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特表2024-520813ニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 35/00 20100101AFI20240517BHJP
   A43B 3/10 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
B29D35/00
A43B3/10 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575876
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 IT2022000027
(87)【国際公開番号】W WO2022259271
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021000015113
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521223863
【氏名又は名称】トレレ・イノベーション・エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レディーニ・マルコ
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050HA18
4F050HA20
4F050HA56
4F050HA85
4F050JA01
4F050KA02
4F050NA28
(57)【要約】
本発明は、一連のステップを備えるニットアッパーを有する靴を製造するための方法を説明するものであり、アッパーを形成するステップの間に内側ストッキングがシューツリーに設置されると、膜要素(3)が適切な位置に置かれ、これはシューツリーの靴底に対応する部分と横部とを覆う。膜要素は、その両側に接着材料を有し、適切に形作られ、位置付けられた一連の穿孔(30)を特徴とするポリマー膜で構成される単一体要素である。膜要素は、得られる靴が構造形状を有し、維持するように2つのストッキングのための支持構造を作り出すように設計されている。アッパーが完成すると、単一で、均質の、小型の、構造化されたボディである靴を作り出すために射出成形によって靴底が構築される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニットアッパーを有する靴を製造するための方法であって、
二重ストッキングを製造することで製造されるアッパー(2)の製織/構築の第1のステップと、
先に構築された2つのストッキングが、片側で閉じられている(先端は製織で閉じられる)「筒」形状を特徴とし、一方で、前記筒の他方の端部は開いたままであり、内側ストッキングは、適切なシューツリーに置かれ、外側ストッキングは、先行するストッキングの上に重ねられ二重層を形成する、前記アッパーを形成することを想定する第2のステップと、
前記シューツリー上の前記アッパーが、それを構成する熱可塑性ポリマー糸を湿らせて軟化させる蒸気噴流に当てられる蒸しステップと、
前記アッパーが、高温の窯に通されて、先行するステップから残留する湿気を乾燥させて、熱可塑性ポリマー糸を溶融温度にすることで前記アッパーを所望寸法に戻す乾燥ステップと、
前記シューツリー上の前記アッパーが、窯を出て、周囲へ熱を放出しつつローラコンベア上を通過し、その温度を下げるパーキングステップと、
前記シューツリー上の前記アッパーが、前記熱可塑性ポリマー糸を安定化させる非常に低温の冷蔵庫を通過し、前記アッパーを寸法的に固定する安定化ステップと、
前記アッパーが周囲温度になると、前記アッパーが前記シューツリーから取り外される、前記シューツリーから前記アッパーを取り外すステップと、を備え、
前記アッパーを形成するステップの間、前記内側ストッキングが前記シューツリーに設置されると、膜要素(3)が前記シューツリーの靴底に対応する部分と側部とを覆うように置かれ、前記膜要素は、両方の表面に接着材料を有し、適切に形作られて位置付けられた一連の穿孔(30)を特徴とするポリマー膜で構成される単一体要素であり、前記膜要素は、前記靴が得た構造形状を有して維持するように前記2つのストッキングに支持構造を提供し、その後、開放端部を有する第2のストッキングは、前記シューツリーを完全に覆うように第1のストッキング上に引っ張られ、
前記シューツリーから取り外されると、前記アッパーは、前記アッパーを特別な型に挿入してのインソール(7)の構築、前記シューツリーと前記アッパーの位置決め、およびポリウレタンの注入ステップのための2つの成形リング間に前記アッパーをクランプすることの準備ができており、(前記アッパーを部分的に組み込むように前記成形リングは互いにクランプされて、外部から隔離され、前記インソールを形成するように、その中に前記ポリウレタンが注入できる空洞を形成し、その間、前記ポリウレタンは、前記膜要素の存在によって、前記アッパーの内部に向かうその流れを制限するバリアに遭遇する)、その後、前記型を充填することおよび前記膜要素の前記穿孔(30)を通る所定量のポリウレタンが流れることが続き、その結果、機能的および美観的特性と干渉することも機能的および美観的特性を変えることもなく、前記インソールと前記アッパーとの間および内側靴下との接合点を作り出し、その後、前記注入ステップが完了すると、前記成形リングを開くこと、前記型からおよび前記シューツリーから完成した靴(アッパーとインソール)を取り外すことが続き、前記方法は、単一で、均質の、小型で、構造化されたボディである靴を製造することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アッパーが前記窯を通過する際、前記膜要素の表面に存在する前記接着材料が熱され、活性化し、軟化し、溶けはじめ、従って、前記内側ストッキングのステッチと前記外側ストッキングのステッチと間に流れはじめ、ニットの2つの層の間に結合を形成するブリッジ部を作り出し、単一構造を生じさせ、ニットの前記2つの層(すなわち、前記2つのストッキング)に接着する前記膜要素は、前記ニットに支持を与え、従って、前記靴に構造を与えることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記注入ステップの間、前記ポリウレタンの通過は、前記膜要素(3)の前記穿孔を通って最小限および制御および管理されて生じ、前記通過するポリウレタンは前記アッパーの前記内側ストッキングと前記アッパー上に注入される前記靴底との間の均一な接着ブリッジ部を作り出して、保持フック(35)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
一方が他方の上に重ねられている一対のストッキングから形成されるアッパー(2)を備えるタイプであって、かかと強化要素(4)が、この部分の保護および補強のために前記ストッキングの内側に配置され、前記2つのストッキング間に介設されているのは膜要素(3)であることに特徴付けられ、前記膜要素(3)は、ポリマー膜と、その両面に接着材料の膜を有するヒートシーリング両面接着剤とで構成される単一体要素であり、前記ポリマー膜は、前記靴に求められる性能のレベルに応じて、最小0.5mmから最大1.5mmの範囲の厚さを有し、前記膜の前記厚さが増すと、前記アッパー、ひいては前記靴に伸縮性の相違を生じさせる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法で製造された靴。
【請求項5】
前記膜要素(3)は、前記インソールの形態に対応する第1部分(31)と、かかとから甲の上部、つま先まで延び、前足部外側の始点で終わる側縁部を作り出す第2部分(32)と、かかとで始まり前足部外側で前記第2部分と合流する第3部分(33)とで構成されることを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項6】
前記膜要素(3)の前記3つの部分(31、32、33)は、1枚の膜シートから得られ、それらは打ち抜きにより切り出され、形状が切り出されると、前記第2部分(32)は、前記かかと、前記甲、前記つま先、前記前足部外側の外側までを含む区域に沿って、前記第1部分の外周縁部に沿って延びる継ぎ目により接合され、一方、前記第3部分(33)は前記第2部分から影響を受けない前記第1部分(31)の前記外周縁部にも前記前足部外側から前記かかとまで延びる区域にて前記第1部分に接合され、前記第2部分は、前記かかとおよび前記前足部外側にて垂直に前記第3部分に接合されることを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項7】
前記膜要素(3)の前記第1部分(31)は、前記インソールの製造のために前記ポリウレタンが型に注入される際に前記インソールと前記アッパーとの間に接着点を作り出すように適切に位置付けられる一連の穿孔(30)を有し、前記膜要素(3)の形態は、前記インソール内の前記注入されたポリウレタンが、前記内側ストッキングに向かって流れることを防止し、所定の量のポリウレタンのみが前記穿孔(30)を通過でき、前記穿孔を通って流れる前記量のポリウレタンが前記インソールと前記アッパーとの間、および特に、前記内側ストッキングとの接合点を作り出すことができることを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項8】
前記膜要素(3)は、編まれている間に自らを支持することができない前記2つのストッキングのための支持構造を構成し、このようにして、前記得られた靴は構造形状を有し、維持することを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項9】
前記膜要素(3)は、前記ニットの部分と使用者の足との両方に良好な保護を提供する独立気泡ポリマーで構成されることを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項10】
前記膜要素(3)では、前記第2部分(32)および前記第3部分(33)の垂直高さは、所望の構造性能に応じて足の外周周囲全体においての領域毎に変化し、位置に応じて、打撃および雨または地面に水がある場合に浸入し得るいかなる水または湿気からつま先を守ることができる保護縁部を作り出し、浸入し得るいかなる水または湿気から内側甲部を保護し、アーチ領域のための支持および封止構造を提供し、外側部は打撃および浸入し得るいかなる水または湿気から守られ、前記縁部は、前記アッパーがその形状を時間の経過および使用に対しても維持することを実現する寸法安定性も提供し、前記かかとの領域では、前記縁部がより高く作られて、前記領域により優れた安定性を提供し、前記アッパーにより優れた耐摩耗性を提供するようになっており、前記第2および第3部分は、異なる通気性を前記靴に提供するための穿孔を有していることを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項11】
前記膜要素の前記厚さを増すことで、前記靴の断熱能力が増し、その結果、内部温度を維持し、良好な足の快適性を確保することを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【請求項12】
前記アッパーが前記窯を通過する際、前記膜要素の前記表面に存在する前記接着材料が熱され、活性化し、軟化し、溶けはじめ、従って、前記内側ストッキングのステッチと前記外側ストッキングのステッチとの間に流れはじめ、ニットの2つの層の間に結合を形成するブリッジ部を作り出し、単一構造を生じさせ、ニットの前記2つの層(すなわち、前記2つのストッキング)に接着する前記膜は、前記ニットに支持を与え、従って、前記靴に構造を与えるため、前記アッパーの前記構造は、単一体として作られ、これは、前記膜には伸縮性があり、その独立気泡構造内に空気を含むため、それでもなお柔らかいことを特徴とする、請求項4に記載の靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用中に足へのより優れた保護と最適な柔軟性とを提供するように特に設計されるニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の通り、履物とは、足を保護することが務めである装身具であり、地面と接触する下部である靴底と、上部であり、足を覆って靴底を適切な位置に保持するいくつかの部分から一般的に構成されるアッパーとから基本的に成る。特に、アッパーは、異なる装飾、色、および形状を有していてもよく、縫い合わせまたは接着によって靴底に接合されている。さらに、履物においては内部部品であるインソールが、靴底とアッパーとの間に多くの場合に存在し、その上に足が置かれる。
【0003】
実際に、靴は、使用者が歩行、走行などを行っている際に足を保護するためにいつも使用され、足の骨および/または筋肉構造を痛める、またはそれらに疲労を起こす衝撃を防いできた物である。
【0004】
現在、市場には多くのタイプの靴が存在し、その大半は運動靴やカジュアル靴で構成されており、これらはこの市場で大きなシェアを占めている。
【0005】
最近では、レジャーや他の目的で、多くの人がニットアッパーを有する靴を履いているが、これは、このようなアッパーがその柔らかさと、その通気性および軽量性から快適性を提供するからである。
【0006】
この種の靴は数年ほど前から市場にあるが、その最も初期のものはニットを保護するためのレザーの薄い層で覆われたニットアッパーで製造されたサッカースパイクであった。この靴は、最適な快適性を提供するが、アッパーの繊細さ、その着用性、衝撃および打撃を受ける足の領域に提供される保護性能の低さ、その限られた通気性、およびアッパーの構造が使用するにつれて形状を失いやすいということから起こる問題に遭遇してきた。実際に、構成生地の厚さは一定であるが、足の異なる部分には異なるレベルのグリップ力、抵抗力、および均一性を持つ生地が必要である。
【0007】
続いて、ニットアッパーは、インレイマシンまたはサーキュラマシンを使用して「ストッキング」を構築することにより製造され、そこでは、熱硬化糸を処理に追加することによって2つのストッキングがつま先で接合される構造によってストッキングが構成される。加工が完了すると、1つのストッキングはもう一方の上へと巻き下げられて、窯内での時間および高温蒸気を要する硬化および安定化工程を受ける。
【0008】
別のタイプでは、他方の2つの間に後ほど挿入される、全体が熱硬化材料から製造された第3ストッキングの追加を要する。
【0009】
この場合でも、得られた構造は窯内での時間および高温蒸気を要する硬化および安定化工程を受ける。
【0010】
上述の靴は、ニット生地の全体にわたって、靴を硬くして柔軟性を失わせる熱硬化糸が存在するため、伸縮性および通気性を制限することに起因する重大な問題を引き起こしてきた。
【0011】
さらに、最終的にではないが、アッパーは、接着(これは、剛性、動作の際の構成部品間の限られたグリップ力、および足の皮膚と接触すると不快で硬いニット生地内に浸透した接着剤の存在から成るさらなる問題につながる)または縫製により靴底と組み立てられるが、この場合でも、靴底の成形から生じる他の問題に加えて、アッパーのニット生地に糸が擦れることによって引き起こされる摩耗に関連して問題に遭遇してきた。
【0012】
より詳細には、本出願人は、上述の技術で製造された靴を記載する米国特許出願公開第2017/0181501号明細書を知っており、これにおいては、アッパーが、一方が他方の上に巻き下げられている、2つのストッキングで構成され、それらの間にインソールが介設されて、靴底に接触する部分において足の快適性が改善され、靴底に接合可能な表面を特徴とする構造が提供される。さらに、「エンベロープ」と呼ばれる他の機能要素が2つのストッキング間に介設されて、特定の機能を改善し、足を保護するように設計されている区域を作り出す。特に、アッパーの構造は、靴を留めるための靴ひもを収容するために機能する構造の存在を想定し、その上には続いてストッキングが取り付けられる。
【0013】
特に、前述の特許出願は、アッパーと靴底とが接着または縫製技術によっていかに相互に組み立てられるかを記載している。
【0014】
この靴もまた、縫製された場合のアッパーの摩耗に加え、上述の問題、すなわち、靴の全体的に不十分な柔軟性と要求される領域での保護の欠如とを経験することとなる。
【0015】
さらに遭遇する問題は、アッパーが寸法的に適切に安定化されていないためアッパーが崩れがちであることから生じ、つまり、アッパーが陥没する傾向にあり、時が経つにつれてその形状を失うことを意味する。
【0016】
上述の問題を解決するために、本出願人は、国際特許出願番号PCT/IT2021/000001に記載の通り、ニット靴の構造およびその製造するための方法を創作した。
【0017】
ニットアッパーを有する靴の製造のための前述の特許出願に記載の方法は、二重ストッキングから成るアッパーを編むことや構築することで構成される第1のステップと、続く第2のアッパー形成ステップとを備え、第2のアッパー形成ステップでは、2つのストッキングが、1つの部分(つま先)で密封され、一方、筒の他方の開放されている端部は、一種の「筒」のような外観を有し、内側ストッキングは特別なシューツリーに置かれ、外側ストッキングは内側ストッキング上へと巻き下げられて二重層を形成する。
【0018】
これには、蒸しステップが続き、蒸しステップでは、シューツリー上のアッパーが、ニット内に存在する熱硬化ポリマー糸を湿らせて軟化させる蒸気の噴流に当てられ、その後、乾燥ステップが続き、乾燥ステップでは、アッパーは高温の窯に置かれて前のステップから残る水分が取り除かれ、熱硬化ポリマー糸を溶融温度にすることでアッパーは所望の寸法に戻される。方法は続いて停止ステップを含み、停止ステップでは、シューツリー上のアッパーが周囲へと熱を発生させるため、その温度が下がり、その後、安定化ステップが続き、安定化ステップでは、シューツリー上のアッパーが、熱硬化ポリマー糸を非常に低温の冷蔵庫内を移動させて安定化させてアッパーを寸法的に固定し、その後、アッパーが室温になったらアッパーをシューツリーから取り外すことで構成されるステップへと続く。
【0019】
特に、方法は、アッパーがシューツリーに設置されるステップの間、インソールも適切な位置に設置されることを想定しており、前述のインソールは、シューツリーの表面積全体を覆う足底構造を有し、適切に形作られ位置付けられている一連の溝を特徴とする。
【0020】
シューツリーから取り外されると、アッパーは、靴底の構築の準備ができており、靴底の構築では、ステップは、アッパーを型上の特別なシューツリーへと取り付けること、その上にアッパーが設置されたシューツリーを位置付けすること、および続いて、ポリウレタンの注入ステップを想定して2つの成形リング間にアッパーを密封することを含む。ポリウレタンの注入ステップでは、アッパーを部分的に組み込んで、その結果、外部から隔離され、型を充填して靴底を製造するためのポリウレタンの注入に適した空洞を形成するように、靴底のための成形リングは閉じられる。
【0021】
注入ステップの間、足底構造の存在がアッパーの内部に向かうポリウレタンの流れを制限し、所定量のポリウレタンのみが溝を流れることを可能にするため、機能的または美観的特性のいずれと干渉することも機能的または美観的特性のいずれをも変更することもなく、靴底とアッパーとの間および内側ストッキングとの接合点を作り出すことが可能となる。注入ステップが終わると、成形リングは開かれて、靴が型から取り外され、ここで靴は完成(アッパー+靴底)し、靴はシューツリーから取り外され、単一で、均質の、小型のボディである靴が得られる。
【0022】
ここに記載された方法と得られた靴により、多くの態様が改善され、先に使用されていた靴で遭遇した様々な問題が克服されたが、足底構造の存在により伸縮性がなくなり、その結果、靴をより硬くするということに起因するいくつかの制限が発生してしまった。
【0023】
さらに、この靴は、時間の経過とともにその使用の実用性および足の快適さが限られる、靴底の柔軟性の減少を示した。
【0024】
本出願人の靴で遭遇したさらなる難点は、つま先が湿気の浸入を許すことおよび衝撃および打撃からつま先を保護するには限定的であることの両方の観点において、かなりデリケートであると証明されたということに起因する。
【0025】
極めて柔軟な靴底を有することで、非常に自由な動きを可能にし、軽量で、非常に実用的である靴が市場に必要である。
【発明の概要】
【0026】
本発明の目的は、基本的に、とりわけ柔軟で、足の最も露出されて繊細な部分をより良好に保護しつつ、軽量で非常に柔軟でもあるニットアッパーを有する靴の構築を可能にするニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法を通して上述の困難を克服することで先行技術の課題を解決することにある。
【0027】
本発明の第2の目的は、足を包んでいる領域の最適な構造を特徴とし、伸縮性を持ち、剛性を有し、通気可能で、包み込むための構造とされているアッパーによって、良好な伸縮性および柔軟性を提供するように異なる構造を持つニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法を提供することにある。
【0028】
本発明の他の目的は、良好な寸法安定性を有して、大きな伸縮性を持ちつつ経時的に同じ形状を維持するニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法を提供することにある。
【0029】
本発明の他の目的は、足の形態に完全に適応して、全ての必要な用途を満たす異なる機能および動作を特徴とし、最適な通気性を有して使用者の足を包んで保持するが、同時に外部の水および湿気からの保護、決定的な軽重量、履いた際のかなりな快適性、およびその使用時の著しい柔軟性と軽さを提供するニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法を提供することにある。
【0030】
本発明のさらなる目的は、ストッキングと靴底との間に足底構造を介在させることなく、より迅速な構造順序を有するニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法を提供することにある。
【0031】
本発明のさらなる目的だが、最後的ではない目的は、製造が単純でうまく機能するニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法を提供することにある。
【0032】
これらの目的およびさらにその他は、本明細書のうちでより明確になるが、基本的に、以下の特許請求の範囲に記載のニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法によって達成される。
【0033】
さらなる特性および利点が、単に非限定的な例として提供されている添付の図面の参照を含む本発明によるニットアッパーを有する靴の構造および製造するための方法の詳細な説明より現れてくる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明による方法で得られる靴の概略側面図である。
図2】構造詳細を示す図1の靴の概略的な部分的に区分けされた側面図である。
図3】問題の方法で得られる靴の構成部品の概略的な分解図である。
図4図1の靴の構成部品の概略的な上から見下ろした斜視図である。
図5図4の構成部品の概略的な下から見上げた斜視図である。
図6図4の構成部品の概略的な斜視側面図である。
図7】処理中の図4の構成部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
前述の図面、とりわけ図1を参照すると、本発明により得られるアッパーおよび靴底を有する靴は1の符号で示されている。
【0036】
上述の通り、ニットアッパーを有する靴を製造するための方法は、一連のステップを要し、そのいくつかは現在市場に出回っている靴を製造するために既に使用されている。
【0037】
第1のステップは、アッパー2を編むことや構築することを要し、これは、機械によって直接的に封じられるつま先から開始し、その後、足部分に続いてかかとへまで二重ストッキングを構築し、縁部で終了することによって製造され、その後、先に製造されたものから反対に配置される一連の部分、すなわち、第2縁部、かかと、足部分が続き、第2つま先で終了する(しかしながら、これは封じられない)。
【0038】
2つのストッキングが組み立てられ、アッパーを二層、まるで二重の皮膚のような形態にし、一方のストッキングはアッパーの外側を構成し、天然、合成、および/または混合糸を使用して作られる一方で、他方のストッキングは、アッパーの内側を構成し、例えば、通気性、快適性、断熱等の他の特性を提供するために他の種の糸から主に成るが、これは羊毛等の天然が好ましい。たった今述べた糸に加えて、追加の熱可塑性ポリマー糸がアッパーの構造全体でニットに追加され、両方のストッキングの多様な伸縮性、強化、および通気性性状を提供するように異なる密度を有する明確に画定された領域に追加される。より詳細には、熱可塑性ポリマー糸は外側ストッキングに高い割合で使用され、これによってアッパーの構造により優れた耐久性と抵抗力を付与する。
【0039】
加えて、処理に使用される前述のポリマー糸は2つのストッキング間の結束材として機能し、それらが接合されると、一体成形であるかのようにアッパーを形成する。
【0040】
第2のステップは、アッパーを形作るためである。このステップでは、先に構築された2つのストッキングは、1つの部分で封じられる(つま先が処理中に封じられる)「筒」の外観を有し、一方、筒の他方の端部は開いたままである。このステップでは、内側ストッキングは、特別なシューツリーに設置され、外側ストッキングは、前のストッキング上へと巻き下げられて、二重層のアッパーを形成する。
【0041】
内側ストッキングがシューツリーに設置されると、膜要素3が適切な位置に置かれ、これは、図6に示されるようにシューツリーの靴底に対応する部分と横部を覆う。
【0042】
膜要素が位置付けられると、開放端を有する第2のストッキングは、第1のストッキング上へと引っ張られて、シューツリーを完全に覆う。
【0043】
本実施形態では、膜要素3は単一体要素であり、靴に求められる性能のレベルに応じて、最小0.5mmから最大1.5mmの範囲の厚さを有するポリマー膜で構成される。
【0044】
膜の厚さが増すにつれ、アッパー(ひいては靴)は、異なる伸縮性を得る。
【0045】
実際に、膜要素の厚さを増すことで、靴の断熱能力は増し、その結果、内部温度を維持し、良好な足の快適性を確保する。
【0046】
膜の別の機能としては、編まれている間に自らを支持することができない2つのストッキングのために支持構造を作り出すことにある。このようにして、得られる靴は構造形状を有して維持する。
【0047】
上記に加え、膜は、ニットの部分および使用者の足の両方に良好な保護を提供する独立気泡ポリマーで構成される。さらに、これはヒートシーリング両面接着膜であり、すなわち、前述の膜はその両方の表に接着材料の膜を備えているが、その機能は後ほど説明される。
【0048】
本実施形態によると、前述の膜要素3は、靴底の形状に対応する第1部分31と、かかとから甲の上部、つま先まで延び、前足部外側の始点で終わる側縁部を作り出す第2部分32と、かかとで始まり前足部外側で第2部分と合流する第3部分33とで構成される。
【0049】
より詳細には、3つの部分は、1枚の膜シートから得られ、1枚の膜シートから型抜きにより切り出される。形状が切り出されると、第2部分は、(かかと、甲、およびつま先、前足部外側の外側までを含む区域について)第1部分の外周縁部に沿って縫製されることにより接合され、一方、第3部分はまた、第2部分から影響を受けない第1部分の外周縁部(前足部外側からかかとまでの部分)に沿って第1部分に接合される。さらに、第2部分は、図4に示されるように、かかとおよび外前足部にて垂直に第3部分に接合される。
【0050】
上記に加え、第1部分は一連の穿孔30を有し、これらは、ポリウレタンが型内に注入されて靴底を作り出す際に靴底とアッパーとの間に接着点を作り出すように位置付けられている。
【0051】
より詳細には、膜要素3の形状は靴底のために注入されるポリウレタンが内側ストッキングに向かって流れることを防ぎ、所定量のポリウレタンのみが流れて、穿孔30のみを通ることを可能にする。穿孔を通って流れる所定量の材料は、靴底とアッパーとの間、および特に、内側ストッキングとの接合点を作り出すことができる。
【0052】
実際に、一体の膜要素は、靴底のために注入されたポリウレタンに対するシールドとして機能し、そのようにして、前述のポリウレタンが内部のアッパーを「汚すこと」を阻止する。
【0053】
上記に加え、および図6に示されるように、一体の膜要素の第2および第3部分は、所望の構造性能に応じて、足の外周全体に沿って領域毎に変化する垂直高さを有し、その結果、位置に応じて、打撃および雨または地面に水がある場合に水または湿気が浸入する可能性からつま先を保護できる保護縁部を作り出し、また、水または湿気の浸入から内側部を保護し、足底のアーチ領域のための支持および保持構造を提供し、一方で、外側部は打撃および水または湿気が浸入する可能性からの保護を提供する。縁部は、アッパーの形状が、時間が経過しても、使用中でも維持されることを実現する寸法安定性も提供する。最後に、かかとの領域では、縁部がより高く作られて、前述の領域により優れた安定性を付与するとともにアッパーにより優れた耐摩耗性を付与するようになっている。
【0054】
本発明によると、第2および第3部分は穿孔を有し、図4に示されるように、靴に異なる度合いの通気性を付与している。
【0055】
さらに、要素3の形状は、図2に示されるように、強化構造および/またはカラーが、かかと以外では(今までとは異なって)必要ないことを意味している。
【0056】
本発明によれば、一体の膜要素の介在は、本出願人が従来から使用されていた足底構造に改善をもたらす。
【0057】
さらに、速度面において製造方法における改善が注目され、速度はアッパー安定化ステップで60秒から40秒短縮されている。
【0058】
特に、靴全体の軽さにおける改善および高まりも観察され、靴底の柔軟性に関しても同様で、つま先を持ち上げるために使われる脚の前部筋肉組織の労力が省かれ、そのため、長期の使用による腱症または腱炎の可能性が減少するということに加え、数時間靴を履くことによって起こる足の疲労を軽減するという特性を提供する。
【0059】
靴と靴底の改善された柔軟性は、後脚の筋肉によって作られる筋力が地面に完全に放出されることを実現し、これは結果として、パフォーマンスの向上と経時的な下肢全体の筋疲労の軽減となる。
【0060】
上記に加え、改善された柔軟性は、脚の前部と後部の筋肉組織との間のより効率的で調和のとれた動作を促すため、使用者にとって最適で省エネルギーな方法で順序通りに適切に動作する。
【0061】
本発明によると、要素3は、その構造および形態によって、成形されて、その後、アッパーに接着される靴底にも使用されることもできる。
【0062】
靴を製造するための方法に戻ると、上述の通り、外側ストッキングは続いて引っ張られて再配置されて、アッパーが閉じられてシューツリーに完全に適応するようにされ、その後、開放縁部はつま先接合部にて下部へと動かされる。
【0063】
以下の2つのステップは、既知のタイプであり、そのうちの1つ目では、アッパーが熱可塑性ポリマー糸を湿らせて軟化させる蒸気の噴流に当てられる。このステップは、アッパーがシューツリーにより良好に密着するようにして、次のステップの準備が整うようにし、次のステップでは、前述のアッパーは高温の窯を通過して、前ステップから残るいかなる湿気をも乾燥させ、熱可塑性ポリマー糸を溶融温度にすることでアッパーが所望の寸法に戻るようにする。
【0064】
より詳細には、アッパーが窯を通過すると、膜要素の表面上に存在する接着材料が熱され、活性化し、軟化し、溶けはじめ、従って、内側ストッキングのステッチと外側ストッキングのステッチとの間に流れはじめ、ニットの2つの層の間に結合を形成するブリッジ部を作り出し、単一構造を生じさせる。
【0065】
実際に、2層のニットに(すなわち、2つのストッキングに)接着している前述の膜要素は、ニットを支持し、そのため、靴に構造を与えている。このようにして、市場に現在出回っている多くの靴とは異なり、追加の構造要素の必要性がもはやなくなるが、これはニット要素よりもより硬いため、時間の経過および使用とともに不快となり、ある種の異物となるものである。
【0066】
この場合、結果として生じるアッパー構造は単一体であり、これは、膜には伸縮性があり、その独立気泡構造内に空気を含むため、それでもなお柔らかい。
【0067】
ここで「パーキング」ステップと呼ばれるステップが続き、これは、前ステップと次に続くステップとの間の移行であり、ここで、シューツリー上のアッパーは窯から出て来て、ローラコンベアに沿って移動して、温度がさらに一層下がる次のステップ、すなわち、安定化ステップに移る前に冷却を行うために、周囲空気へと放熱する。
【0068】
より詳細には、パーキングステップは、その目的が窯での時間とその後に続く安定化ステップとの間での温度差が大きくなりすぎることを防ぐことである移行ステップである。
【0069】
安定化ステップでは、シューツリー上のアッパーは、熱可塑性ポリマー糸を安定化させる非常に低温の冷蔵庫を通過し、アッパーはこのステップで寸法的に固定される。このステップでは、先に軟化された膜の接着材料が固まり、ストッキングと単一体を作り出す。
【0070】
アッパーが周辺温度と平衡状態にある場合、アッパーはシューツリーから取り外され、次に続くステップの準備ができている。
【0071】
次に続くステップでは、靴底7が、射出成形ポリウレタンによりアッパー上に構築される。
【0072】
アッパーは、型上の特別なシューツリーに設置され、ここではオーバーモールドされる任意の構成部品が前述のアッパーに位置付けられて、接着により固定できる。
【0073】
(シューツリー上の)アッパーは、ポリウレタンの注入ステップ中に2つの成形リング間でその後封じられるように、適所に位置付けられる。
【0074】
アッパーを部分的に組み込んで、外部から隔離され、靴底の構築のためのポリウレタンの注入に適した空洞を形成するように靴底のための成形リングは閉じられる。
【0075】
先に説明されたように全てが準備されたら、ポリウレタン注入が開始され、膜要素3の存在により、ポリウレタンはアッパーの内部に向かうその流れを制限するバリアに接触する。
【0076】
より詳細には、膜要素3の形状は、靴底内に注入されるポリウレタンが内側ストッキングに向かって流れることを防止し、所定量のポリウレタンのみが流れて、穿孔30のみを通過できるようにする。穿孔を通過して流れる所定量の材料は、靴底とアッパーとの間、および特に、内側ストッキングとの接合点を作り出すことができる。
【0077】
膜要素3の存在がなければ、構成通り、過量のポリウレタンがアッパーへと染み通り、その機能的および美観的特性の両方を変えてしまう。より正確には、ポリウレタンは流れて通過するが、最小限のみであり、その流れは膜要素3の穿孔により制御および管理される。流れて通過するポリウレタンは、アッパーの内側ストッキングとアッパーに注入された靴底との間に結合が均一なブリッジ部を作り出し、保持フック35を形成する。
【0078】
注入ステップが完了すると、靴底成形リングは開かれ、靴(アッパー+靴底)は完成して型から取り外され、その後、シューツリーから取り外される。
【0079】
靴底をトリミングして、成形バリをも取り除くことで構成されるステップがあり、その後、靴が完成する。
【0080】
上記から推定できるように、説明した方法で得られる靴は、一方が他方の上に巻かれる一対のストッキングで形成されるアッパー2を備え、ここでは、かかと保護要素およびこの部分の補強以外は、安定化要素はもはやストッキングの内部に収容されていない。
【0081】
本発明によると、膜要素3は、靴底および美観的観点として得られる横プロファイルに応じて形作られ、可変で、調整可能である。
【0082】
実際に、膜要素3のプロファイルや断面は、所望の保護と構造特性に応じて靴底の形状に対して区域毎に変化する。
【0083】
本実施形態により、上述の通り、膜要素3は、内骨格として機能して、より優れた寸法安定性を実現し、2つのストッキング間で粘着剤として機能して、ある種の単一体を作り出す。
【0084】
特に、靴底の上部の第2および第3部分が配置される部分に作り出された横縁部は、アッパーのための保護要素を作り出し、これは靴底とアッパーとの間に連続性を確保するように位置付けられて、連続的で均一なプロファイルを提供する。
【0085】
特に、ポリウレタン材料が注入されて靴底を製造する際に、膜要素は材料を収容可能であり、その結果、外側ストッキングと膜要素と靴底との間に良好な接合部が作り出され、一方で、保持フックは穿孔のあるところに形成される。
【0086】
加えて、膜要素は、選択性フィルタ、すなわち、その穿孔、形状、およびサイズに応じて得られる異なる性状を可能にする構造となる。
【0087】
靴がどのように使用されるかに応じて、靴に構造的および機能的な特性の両方を付与するために膜の厚さを較正および管理すること、また、靴のグリップ、剛性、および保護特性を変化させるために材料の厚さを変えること、で異なる剛性または柔軟性特性を得ることができる。
【0088】
本発明によれば、良好な固有の柔軟性を有するニットアッパー2が得られ、これは(それ自体がかなり薄く、さらにより柔軟でもある注入された靴底7と組み合わされることと、前述の手順の方法とによって)成形された後に接着または縫製される靴底を有する靴とは大きく異なった靴を製造する。
【0089】
これらの実施形態の方法の組み合わせは、既知のシステムを使用して製造される靴とは異なり、軽さ、柔軟性、寸法安定性、および部品間のグリップ力等の向上した特性を有する靴を結果として生み出す。
【0090】
問題の方法は、単一の製造方法の間というよりはむしろ異なる時間に構築された別個の部品を単純に組み立てるこれまでに製造された靴とは異なり、単一で、均質の、小型のボディである物体を作り出すことを可能にする製造方法である。
【0091】
特に、以前の靴の構築工程に関して、経時的な問題(靴の構造的な接着とその部分の快適性の両方に関して)を引き起こす靴の構造において遭遇した不連続性および不均等性の現象はもはや発生しない。
【0092】
上述の通り、前述の国際出願で説明される本出願人の靴は、足底構造の存在が原因でアッパーの伸縮応答に関して制限があったが、膜要素を使用すれば、この状況はもはや起こらない。実際に、膜要素は、靴底に向かってアッパーの下部を構造して形作り、靴に構造化された外観を付与しているが、以前はそうでなく、特に、つま先のところと側面に沿ったところにおいて、アッパーには何の支持もなかった。
【0093】
この主に構造的な説明は、ここより本発明の動作の説明へと続く。
【0094】
使用者が、ウォーキングまたはスポーツに取り組もうとする時、彼らは単純に本発明による一対の靴を履いて、現在使用中のものと全く同じように使用すればよく、足の様々な領域に提供される支持が区域毎に異なるという相違点によって、快適性は足の部分によって最適化および多様化され、領域毎に温度調節も異なり、かかとは打撃および隆起からより良好に保護され、足の他の部分は様々な動きの中で支援および支持され、また、保護される。さらに、靴の柔軟性は、使用者が靴を何時間も履きっぱなしにし、筋疲労なく歩くことを可能にする。
【0095】
本発明はこのようにして、設定された目的を実現する。
【0096】
問題の方法によれば、アッパーを構成する2つのストッキング間に介設される膜要素の存在のおかげで、単一の製造シーケンス内で、ニットアッパーと直接的なポリウレタン注入により得られる靴底とを有する靴を製造することが可能になる。
【0097】
実際に、膜要素は、靴構築作業を簡略化および迅速化させ、靴底付近の足の部分に打撃、水、および湿気からの良好な保護を保証する、ならびに/または足と中底との間に換気を作り出すことにより靴底が通気できるようにして、その結果、足の快適性を促進させる。
【0098】
膜要素の利点の1つは、前述の要素が靴に全体として特殊な柔軟性を付与するということを発端として、靴を長期使用したとしても使用者は下肢の筋肉が疲労しないという結果である。
【0099】
有利には、本発明による方法でニットアッパーを有する靴が製造され、靴は、アッパーが足を包む領域の最適な構造を提供しつつ、良好な伸縮性および柔軟性を提供するように異なる構造を有し、これは、伸縮性を持ち、剛性を有し、通気可能で、包み込むための構造となっている。
【0100】
さらに、本方法は、ニットアッパーを有する靴が製造されることを可能にし、靴は足の形態に完全に適応し、全ての必要な用途を満たす異なる機能および動作を提供する。
【0101】
本方法の別の利点は、最適な足の包み込み、優れた通気性、決定的な軽重量、履いた際の支持と多大な快適性、およびその使用時の著しい柔軟性と軽さを使用者に提供するニットアッパーを有する靴を製造できるということである。
【0102】
さらなる利点としては、問題の靴は、製造が単純で、うまく機能するということにある。
【0103】
当然、それを特徴付ける発明概念の範囲内にある間は、本発明に対して多数の修正および変形が行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】