(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】マッハツェンダー干渉計アレイを含む干渉計による分析物検出システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/45 20060101AFI20240517BHJP
【FI】
G01N21/45 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575983
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2022065307
(87)【国際公開番号】W WO2022258559
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】522276459
【氏名又は名称】アリバル
【氏名又は名称原語表記】ARYBALLE
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ラプラティーヌ,ロイック
(72)【発明者】
【氏名】エリエ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】リヴァッシュ,ティエリ
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059BB04
2G059BB12
2G059CC16
2G059EE09
2G059GG01
2G059JJ17
2G059JJ22
2G059KK04
(57)【要約】
本発明は、流体試料中に存在する分析物を検出する干渉計システム(1)であって、周期的に長方形に配置されたマッハツェンダー干渉計のアレイ(20)であって、干渉計のアーム(22)が、アスペクト比1で螺旋状および/または蛇行状に延在している、アレイと、感応面(30)のアレイであって、各感応面が、分析物が吸着/脱着によって相互作用できる受容体で形成され、周期的に六角形に配置される、アレイとを含む、干渉計システムに関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体試料中に存在する分析物を検出するための干渉計システム(1)であって、
一方では少なくとも1つのレーザ源(2)に接続され、他方では複数の光検出器(6)に接続されるように意図したマッハツェンダー干渉計アレイ(20)であって、各干渉計(20)は、前記干渉計の前記アームを形成する2つの導波路(22)を含み、前記アーム(22)は、アスペクト比が1である螺旋状および/または蛇行状に延在し、
前記干渉計(20)は、周期的に長方形に配置され、各干渉計(20)の前記アーム(22)間を通る縦軸(Z)に沿った列、および前記縦軸(Z)に直交する横軸(Y)に沿った行に整列している、
マッハツェンダー干渉計アレイと、
感応面(30)のアレイであって、各感応面が、前記分析物が吸着/脱着によって相互作用できる受容体で形成され、各感応面(30)は、感応アーム(22s)を形成する干渉計(20)の前記アーム(22)のうちの一方を少なくとも部分的に覆い、前記もう一方のアーム(22)を覆わずに基準アーム(22r)を形成する、感応面のアレイと
を含む、干渉計システムにおいて、
前記感応面(30)は、周期的に六角形に配置され、それによって同じ行の各々の前記感応面(30)は、対象となる前記干渉計(20)の前記2つのアーム(22)間を通る前記縦軸(Z)の同じ側に位置し、同じ列の前記干渉計(20)に対して前記感応面(30)が位置する側は、行ごとに交互になる
ことを特徴とする、
干渉計システム(1)。
【請求項2】
前記同じ六角形の前記感応面(30)は、前記横軸(Y)に沿って整列した3つの感応面(30)を含む、請求項1に記載の干渉計システム(1)。
【請求項3】
前記感応面(30)は、前記隣接する感応面の受容体の化学的および/または物理的な親和性の点で異なる受容体を含む、
請求項1または2に記載の干渉計システム(1)。
【請求項4】
前記レーザ源(2)を各干渉計(20)に接続するよう意図した入力導波路(4)と、各干渉計(20)を前記光検出器(6)に接続するように意図した出力導波路(5)とを含み、前記入力導波路(5)および出力導波路(6)は、各行の干渉計(20)の間の前記横軸(Y)に沿って延在している、
請求項1から3のいずれか一項に記載の干渉計システム(1)。
【請求項5】
同じ行の前記アーム(22)は、行ごとに一定の縦のスペースe
lの分だけ前記隣接する行のアームから離れ、同じ列の前記アーム(22)は、列ごとに一定の横のスペースe
tの分だけ前記隣接する列のアームから離れている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の干渉計システム(1)。
【請求項6】
前記アーム(22)は、シリコンを基に作製され、前記アームの前記屈折率と比較して屈折率が低く酸化物で作製されたクラッドで取り囲まれている、
請求項1から5のいずれか一項に記載の干渉計システム(1)。
【請求項7】
前記アーム(22)のクラッドは、下層と上層で形成され、前記上層は、各感応アーム(22s)にくぼみを有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の干渉計システム(1)。
【請求項8】
前記アームは(22)、窒化シリコンで作製され、上に前記受容体が固定される酸化物製の薄い接着層(14)で覆われ、前記薄い接着層(14)は、前記くぼみの中に位置する、
請求項6または7に記載の干渉計システム(1)。
【請求項9】
前記薄い接着層(14)にグラフト化したオルガノシランを含み、反応性基を形成し、前記反応性基に反応性基受容体が接合する、
請求項8に記載の干渉計システム(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の干渉計システム(1)を製造する方法であって、
受容体を含有している前記マイクロドロップを、前記感応アーム(22s)を形成するように意図した前記アーム(22)に対向させて堆積する工程を含み、
前記堆積したマイクロドロップは、前記干渉計のアレイ(20)に平行な平面で寸法d
gを有し、
前記マイクロドロップの前記堆積は、ゼロではない位置決め不確かさΔp
gを有し、感応アーム(22s)になるように意図した前記アーム(22)は、ペアで少なくともd
g+2×Δp
gの距離だけ離れている、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、マッハツェンダー干渉計アレイを含む干渉計検出システムを用いて、流体試料中に存在する分析物を検出して特性評価する分野である。
【背景技術】
【0002】
流体試料に含まれている分析物、例えば臭気分子または揮発性有機化合物を検出して特性評価する能力は、特に健康管理、農業食品産業、香料産業(香水)、公共または私的な閉鎖空間(自動車、ホテル、共同生活の場など)などでの嗅覚の快適さの分野でますます重要な問題となっている。流体試料中に存在するこのような分析物の検出および特性評価は、干渉計を用いて検出し特性評価するシステムによって行われるとしてよい。この試料は、気体でも液体でもよい。
【0003】
特性評価の手法には様々なものがあり、それは、特に分析物または受容体を事前に顕示剤で「ラベル付け」する必要があるかどうかによって互いに区別される。例えばこのようなラベルに頼る必要がある蛍光検出とは異なり、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する検出、およびマッハツェンダー型(MZI)の干渉技術を用いる検出は、ラベルフリー技術として知られている。
【0004】
分析物と受容体との相互作用の化学的または物理的な親和性が先験的にわからない限り、分析物を特性評価することは、分析物と受容体との吸着/脱着の相互作用を表す、ここでは各々の感応面の局所的な屈折率の経時的変化を表すパラメータの値または変化を明らかにするということである。このようにして分析物を特性評価する相互作用パターンまたはシグネチャが得られる。実際、感応面(官能面)での分析物の吸着/脱着の相互作用は、他とは異なる吸着特性があることが有利に働くため、様々な感応面の受容体と相互作用した気体中に存在する分子を考慮に入れることができる。
【0005】
そのため、SPRまたはMZI技術を用いる検出システムでは、流体試料中に存在する分析物は、例えば測定チャンバにある1つ以上の異なる感応面にある受容体との吸着/脱着によって相互作用するようになる。これには、各々の感応面に関連付けられている光信号をリアルタイムで検出することが含まれ、この信号は、分析物と受容体との吸着/脱着相互作用によって起こる局所的な屈折率の時間に対する変化を表している。
【0006】
図1は、欧州特許第3754326A1号(特許文献1)に記載されているような先行技術の例にならったMZI技術の干渉計検出システム1を示している。干渉計検出システム1は、レーザ源2、光スプリッタ、マッハツェンダー干渉計アレイ20、および各々が干渉計20に接続している光検出器6を含む。この例では、レーザ源2、干渉計20のアレイおよび光検出器6は、フォトニックチップ10上に載っている。
【0007】
各干渉計20は、縦軸Zに対して互いに対称な2つの螺旋状導波路22を含む。導波路の一方は、分析物が吸着/脱着によって相互作用できる受容体で覆われている。これらの受容体は感応面30を形成し、対象となる導波路を感応アーム22sと称する。もう一方の導波路は、受容体で覆われておらず、基準アーム22rを形成する。
【0008】
感応アーム22sの感応面30に吸収されている分析物の存在は、感応面を通る導波光モードの特性を変化させ、さらに詳細には、導波光モードの位相の変化を引き起こすが、基準アーム22rを通る導波光モードの位相は、実質的に変化しない。出力カプラが受信する信号間の位相差は、2つのアーム22を通る光信号間で強め合うか弱め合う干渉が起こるため、再結合して光検出器6で検出された光信号の強度の変化となって現れる。
【0009】
重要なのは、マッハツェンダー干渉計アレイのサイズを縮小することであり、これは、フォトニックチップの総表面積を縮小し、それによってコストを削減するためにも重要である。
【0010】
1つの可能性が、マッハツェンダー干渉計を複数の行と列とを含むアレイに構成することからなるものであり、これは、Densmoreらの論文、題名「Silicon photonic wire biosensor array for multiplexed real-time and label-free molecular detection」,Opt.Lett.Vol.34,No.23,3598(2009)(非特許文献1)に記載されている通りである。この例では、干渉計は、長方形の周期的配置になっていて、列は各マッハツェンダー干渉計の導波路間を通る縦軸に沿って整列し、行は縦軸に直交する横軸に沿って整列している。
【0011】
ただし、干渉計検出システムの性能を低下させることなくマッハツェンダー干渉計アレイのサイズを縮小する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Densmore et al., entitled Silicon photonic wire biosensor array for multiplexed real-time and label-free molecular detection, Opt. Lett. Vol. 34, No. 23, 3598 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、先行技術の欠点の少なくとも一部を克服することであり、さらに詳細には、サイズを縮小し、特に感応面が感応面ごとに異なる受容体を含んでいる場合に、干渉計システムの性能が維持される、マッハツェンダー干渉計アレイを含む干渉計検出システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのために、本発明の目的は、流体試料中に存在する分析物を検出するための干渉計システムであって、
-一方では少なくとも1つのレーザ源に接続され、他方では複数の光検出器に接続されるように意図したマッハツェンダー干渉計アレイであって、各干渉計は、干渉計のアームを形成する2つの導波路を含み、アームは、アスペクト比1で螺旋状および/または蛇行状に延在し、干渉計は、周期的に長方形に配置され、各干渉計のアーム間を通る縦軸に沿った列、および縦軸に直交する横軸に沿った行に整列している、マッハツェンダー干渉計アレイと、
-感応面のアレイであって、各感応面が、分析物が吸着/脱着によって相互作用できる受容体で形成され、各感応面は、感応アームを形成する干渉計のアームのうちの一方を少なくとも部分的に覆い、もう一方のアームを覆わずに基準アームを形成する、感応面のアレイと
を含む、干渉計システムである。
【0016】
本発明によれば、感応面は、周期的に六角形に配置され、それによって同じ行の各々の感応面は、対象となる干渉計の2つのアーム間を通る縦軸の同じ側に位置し、同じ列の干渉計に対して感応面が位置する側は、行ごとに交互になる。
【0017】
この干渉計検出システムのいくつかの好適だが非限定的な態様は、以下の通りである。
【0018】
同じ六角形の感応面は、横軸に沿って整列している3つの感応面を含んでいてよい。
【0019】
感応面は、隣接する感応面の受容体と比較して、化学的および/または物理的な親和性の点で異なる受容体を含んでいてよい。
【0020】
干渉計システムは、レーザ源を各干渉計に接続するように意図した入力導波路と、各干渉計を光検出器に接続するように意図した出力導波路とを含んでいてよく、入力導波路および出力導波路は、各行の干渉計の間の横軸に沿って延在している。
【0021】
同じ行のアームは、行ごとに一定の縦のスペースelの分だけ隣接する行のアームから離れていてよく、同じ列のアームは、列ごとに一定の横のスペースetの分だけ隣接する列のアームから離れていてよい。
【0022】
アームは、シリコンを基に作製されてよく、(アームの屈折率と比較して)屈折率が低く酸化物で作製されたクラッドで取り囲まれている。
【0023】
アームのクラッドは、下層と上層で形成されてよく、上層は、各感応アームにくぼみを有する。
【0024】
アームは、窒化シリコンで作製されてよく、上に受容体が固定される酸化物製の薄い接着層で覆われていてよく、薄い接着層は、くぼみの中に位置する。好ましくは、薄い接着層は、自然酸化物ではなく堆積した層である。
【0025】
薄い接着層の上に、オルガノシランをグラフト化することができ、それが反応性基を形成し、そこに受容体が接合する。
【0026】
本発明は、以上の特徴のいずれか1つに従った干渉計システムを製造する方法であって、受容体を含有しているマイクロドロップを、感応アームを形成するように意図したアームに対向させて堆積する工程を含み、堆積したマイクロドロップは、干渉計のアレイに平行な平面で寸法dgを有し、マイクロドロップの堆積は、ゼロではない位置決め不確かさΔpgを有し、感応アームになるように意図したアームどうしは、ペアで少なくともdg+2×Δpgの距離だけ離れている、方法にも関する。
【0027】
本発明のその他の態様、目的、利点および特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例とした挙げた本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明を読むことで、さらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】既に記載した通り、先行技術の一例による干渉計検出システムの概略部分上面図である。
【
図2】干渉計検出システムの一例の概略部分上面図である。
【
図3A】
図2の干渉計システムのマッハツェンダー干渉計のアレイの上面図である。
【
図3B】
図3Aのアレイの一部をさらに詳細に示す図であり、さらに具体的には、-マッハツェンダー干渉計の導波路、および感応面を形成することを意図した受容体を含むマイクロドロップの上面図、ならびに-マッハツェンダー干渉計の導波路およびマイクロドロップを含むフォトニックチップの断面図である。
【
図4A】別のマッハツェンダー干渉計アレイの上面図であり、干渉計が縦軸Zを基準とした向きの六角形の周期的配置になっている図である。
【
図4B】別のマッハツェンダー干渉計アレイの上面図であり、干渉計が横軸Yを基準とした向きの六角形の周期的配置になっている図である。
【
図5】1つの実施形態による干渉計検出システムの概略部分上面図である。
【
図6】1つの扁形例による干渉計検出システムの概略部分上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面および以下の説明では、同じ符号は同一または同様の要素を表している。また、図を明瞭にするために、種々の要素は縮尺通りに表示されていない。さらに、種々の実施形態および変形例は、互いを排除するものではなく、一つに合わせることができる。特に明記しない限り、「実質的に」、「約」、「およそ」という用語は、10%以内の誤差、好ましくは5%以内の誤差があることを意味する。さらに、「…~…に含まれる」およびその類語は、特に明記しない限り、その境界が含まれることを意味する。
【0030】
本発明は概して、分析する流体(気体または液体)試料中に存在する分析物の検出および特性評価に関する。検出は、干渉計検出システムを用いて行われ、同システムは一般に、レーザ源、マッハツェンダー干渉計アレイと受容体を含む感応面とを含むフォトニックチップ、および複数の光検出器を有する。検出した分析物を特性評価するために、同システムはさらに、処理ユニットを有する。
【0031】
干渉計検出システムは、マッハツェンダー干渉計(MZI)の技術を使用するものである。マッハツェンダー干渉計のアームを形成する2つの導波路の一方のみが、分析物が吸着および脱着によって相互作用できる受容体を含む感応面で覆われている。この導波路は感応アームを形成し、もう一方の導波路は基準アームを形成する。基準アームは、光学的に外部の媒体から隔離されているため、分析物を含む流体試料から隔離されている。前述したように、光検出器が検出する光信号の強度は、感応アームを通る光モードの実効屈折率の値に左右され、この値は、分析物と受容体との相互作用を表している。
【0032】
分析物は、流体試料中に存在する要素であり、干渉計検出システムで検出して特性評価することを意図している。例を挙げると、分析物は、とりわけ細菌、ウイルス、タンパク質、脂質、揮発性有機分子、無機化合物からなるものであってよい。さらに、受容体(配位子)は、マッハツェンダー干渉計の導波路のうちの1つ(感応アーム)を覆う要素で、分析物と相互作用する能力があるが、分析物と受容体との化学的および/または物理的な親和性は必ずしもわかっているわけではない。異なる感応面の受容体は、異なる物理化学的特性を有することが好ましく、それが分析物と相互作用する能力に影響する。例として、これらはとりわけ、アミノ酸、ペプチド、ヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、有機ポリマーからなるものであってよい。
【0033】
一般に、特性評価とは、流体試料中に含まれる分析物と干渉計検出システムの感応面の受容体との相互作用を表す情報を得ることであると理解されたい。ここで対象となる相互作用は、分析物と受容体との吸着および/または脱着の事象からなるものである。そのため、この情報は、分析物の相互作用パターン、すなわち「シグネチャ」を形成し、このパターンは、例えばヒストグラムまたはレーダーチャートの形で表すことができる。さらに詳細には、干渉計検出システムがK個の異なる感応面を有する場合、相互作用パターンは、スカラーまたはベクトルで表されるK個の情報で形成され、これらは対象となる感応面と関連付けられた測定信号から導き出される。
【0034】
図2は、干渉計検出システム1の一例の概略部分上面図である。概して、干渉計検出システム1は、少なくとも1つのレーザ源2、マッハツェンダー干渉計アレイ20を含むフォトニックチップ10(
図3Bを参照)、および複数の光検出器6を有する。
【0035】
レーザ源2および光検出器6は、
図2に示したように、フォトニックチップ10の上または中に位置していてもよいし、外れていて光カプラ(回折格子など)を介してフォトニックチップに接続されていてもよい。
【0036】
ここで、また以下の説明で、直交する直接の3次元基準フレームXYZを定義し、YZ平面はフォトニックチップ10の主平面に平行な平面であり、X軸は垂直軸であり、各干渉計20に対して、縦軸Zは2つのアーム22の間を通り、横軸Yは両アーム22の中心を通る軸に平行である。「上流」および「下流」という用語は、光信号の伝播方向に従って位置決めが多くなることを指す。
【0037】
レーザ源2は、例えば近赤外線に位置する所定の波長である連続する単色信号のコヒーレント光の光源である。レーザ源は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)源、III-V/Si型のハイブリッドレーザ源、またはその他の任意の種類のレーザ源であってよい。前述したように、レーザ源は、フォトニックチップに組み込まれるか埋め込まれてもよいし、遠隔であってもよい。
【0038】
フォトニックチップ10は、集積フォトニック回路を含む光電子部品であり、さらに詳細には、ここではマッハツェンダー干渉計20のアレイを含む。
【0039】
後に詳述する
図3Bに示したように、フォトニックチップは、例えばシリコンまたはガラス製の支持層11を含み、この支持層の上に干渉計20の導波路22が載っている。導波路22は、低屈折率のクラッドで囲まれた高屈折率のコアで形成される。この例では、コアはシリコン製(例えばシリコン製または窒化シリコン製)で、クラッドは、ここでは酸化シリコン製の下層12と上層13で形成されている。
【0040】
マッハツェンダー干渉計アレイ20は、レーザ源2に接続した光スプリッタ3を含み、この光スプリッタは、レーザ源2から発せられた光信号を分割し、入力導波路4を介してN×M個の干渉計20の方へ誘導する。この点に関して、干渉計20のアレイは、N個の行とM個の列を有し、N>1かつM>1である。この例では、単なる例示目的で、アレイは、3×3の寸法を有するが、これよりも多い数の干渉計20、例えば8×8以上を有していてよい。
【0041】
その後、これらのマッハツェンダー干渉計20の各々は、N×M個の光検出器6のうちの1つの方向に光信号を送信する出力導波路5に接続される。前述したように、光検出器6は、フォトニックチップ10上に載っていてもよいし、外れていてもよい。あるいは、各干渉計20をK個の出力導波路5に接続して、光信号がN×M×K個の光検出器のうちの少なくとも1つに送信されるようにしてもよい。
【0042】
各干渉計20は、マッハツェンダータイプのものであり、したがって、干渉計20のアームを形成する2つの導波路22を含む。
図3Bにさらに明瞭に示したように、マッハツェンダー干渉計20は、入力スプリッタ21、入力スプリッタ21に接続された2つの別々のアーム22、および2つのアーム22を通る光信号を結合する出力カプラ23を含む。次に、再結合した光信号は、出力導波路5を通って対応する光検出器6まで進む。
【0043】
ここでのマッハツェンダー干渉計20のアーム22は、1~20%以内の誤差、好ましくは10%以内の誤差、さらに好ましくは1%以内の誤差を伴うが、等しいアスペクト比で、螺旋状および/または蛇行状に延在するアームからなる。導波路は、入力スプリッタ21と出力カプラ23との間でそれ自体が巻かれている場合は、いわゆる螺旋状の導波路である。したがって、導波路は、固定点に近づく第1の部分と、第1の部分に続いてそこから遠ざかって延在する第2の部分とを含む。さらに、導波路は、うねりながら特定の方向に延在している場合は、いわゆる蛇行状の導波路である。
【0044】
螺旋状および/または蛇行状の各アーム22は、XY平面でのアスペクト比が1で、20%以内の誤差である。したがって、アーム22は、入力スプリッタ21と接続するための上流部分、いわゆる螺旋状および/または蛇行状の中央部分、および出力カプラ23と接続するための下流部分を有する。螺旋状および/または蛇行状の中央部分は、XY平面の任意の第1の軸に沿ってdlb,1(例えば長さ)と表記した最大寸法、および第1の軸に直交するXY平面の第2の軸に沿ってdlb,2(例えば幅)と表記した寸法を有する。寸法dlb、1およびdlb,2は、20%以内の誤差で互いに等しい。アーム22が円形の螺旋形状であるこの例では、寸法dlb,1、dlb,2は、図面ではdlbと表記されている。さらに、螺旋状および/または蛇行状の中央部分は、XY平面で実質的に円形または多角形の全体形状であってよい。
【0045】
後述するように、マッハツェンダー干渉計アレイ20は、横軸Yに沿って行に配置され、縦軸Zに沿って列に配置されている。各マッハツェンダー干渉計20のアーム22は、対称軸を形成する縦軸Zの両側に配置されている。
【0046】
マッハツェンダー干渉計20は、周期的に長方形に配置されるが、これは、互いに隣接する4つの干渉計20が同じ長方形の角に配置されるということである(
図3AのArで示した点線の長方形を参照)。各行の干渉計20は、横軸Yに沿って整列し、周期ピッチp
tを有し、各列の干渉計は、縦軸Zに沿って整列し、ピッチp
lを有する。
【0047】
干渉計20のアーム22は、横軸Yに沿って隣の干渉計20のアームからゼロではない距離etだけ離れ、縦軸Zに沿って隣の干渉計20のアームからゼロではない距離elだけ離れている。横のスペースetおよび/または縦のスペースelは、(光スプリッタ3を干渉計20に接続している)入力導波路4を通過させ、(干渉計20を光検出器6に接続している)出力導波路5を通過させられるのに十分な値である。
【0048】
例えば、縦の寸法dlbが約150μmで、横の寸法dtbが約300μmであるマッハツェンダー干渉計20の場合、横のスペースetは約30μmであってよく、縦のスペースelは約140μmであってよい。また、横のピッチptは約330μmであり、縦のピッチplは約290μmである。よってアレイの総表面積は、N×pl×M×ptである。アレイが3×3の寸法であるこの例では、総表面積は0.8613mm2である。
【0049】
干渉計検出システム1はまた、感応面30のアレイも有する。感応面30は、XY平面に延在するフォトニックチップ10の表面であり、フォトニックチップは、分析物が吸着/脱着によって相互作用できる受容体で形成される。
【0050】
各感応面30は、マッハツェンダー干渉計20のアーム22のうち1つを少なくとも部分的に覆うように位置し、その際このアームは感応アーム22を形成し、第2のアーム22はこれらの受容体で覆われずに基準アーム22rを形成する。基準アーム22rは、環境から光学的に隔離され、よって分析物を含む流体試料から隔離されている。
【0051】
感応面30は、空間的に互いに区別される。感応面は、特性評価する分析物に対する化学的または物理的な親和性の観点で、感応面30どうしで互いに異なっていることがある受容体を含んでいるため、感応面30どうしで互いに異なる相互作用情報を提供するよう意図されている。それにもかかわらず、干渉計検出システム1は、例えば起こり得る測定値の変動を検出するため、および/または欠陥のある感応面30を識別できるようにするため、いくつかの同一の感応面30を含んでいてよい。
【0052】
この例では、感応面30は、円形状(ここでのアーム22は円形の螺旋形状)であり、ここでの縦の寸法は、実質的に螺旋状のアーム22の縦の寸法に等しい。また、縦の寸法dlbは、ここでは螺旋状アーム22の縦の寸法でもあり、感応面30の縦の寸法でもある。
【0053】
さらに、感応面30は、マッハツェンダー干渉計20の配置のように、周期的に長方形に配置されている。そのため、感応面30は、横軸Yに沿って整列して周期ピッチptを有し、縦軸Zに沿って整列してピッチplを有する。言い換えれば、感応面30は、すべてが縦軸Zの同じ側に位置しており、ここでは各マッハツェンダー干渉計20の左側(-Yの方向)の導波路を覆っている。
【0054】
感応アーム22sのコアは、感応面30に対してある特定の深さに、従って受容体の深さに位置しているため、その中を伝播する光信号の実効屈折率は、感応面30に堆積された材料の量によって変化し、したがって分析物と受容体との相互作用によって変化する。この点に関して、
図3Bに示したように、クラッドの上層13は、感応アーム22の少なくとも上面を空けてくぼみを形成するために局所的にエッチングされてよいが、基準アーム22rではエッチングされない。受容体を固定(グラフト化)しやすいように、このように形成されたくぼみ内の感応アームに薄い接着層14を局所的に堆積させてよい。
【0055】
導波モードの実効屈折率は、伝播定数βとλ/2πとの積である(λは光信号の波長)と定義されることに留意されたい。伝播定数βは、波長λおよび光信号のモードによって変化し、導波路の特性(屈折率および立体形状)によっても変化する。光モードの実効屈折率は、光モードから「見える」導波路の屈折率に何らかの形で一致する。通常は、コアの屈折率とクラッドの屈折率との間の範囲である。したがって、受容体の量と種類および感応面に吸収されている分析物の量と種類は、光モードおよび/または導波路の特性を変化させ、それによって導波モードの位相を変化させることを理解されたい。
【0056】
したがって、感応アーム22sの感応面30で吸収された分析物があることで、そこを通る導波光モードの特性が変化し、さらに詳細には、導波光モードの位相の変化が起こるが、基準アーム22rを通る導波モードの位相は実質的に変化しないという結果になる。2つのアーム22を流れる光信号間の強め合う干渉または弱め合う干渉により、出力カプラ23が受信する信号間の位相差は、再結合して光検出器6によって検出された光信号の強度が変化した形で現れる。
【0057】
処理ユニット(図示せず)が、分析物を特性評価する方法の処理動作の実現を可能にする。言い換えれば、光検出器が検出した光信号に基づいて、処理ユニットは、分析物の特性評価を可能にする分析物のシグネチャを明らかにする。このために、処理ユニットは、光検出器に接続されており、少なくとも1つのマイクロプロセッサおよび少なくとも1つのメモリを含んでいてよい。処理ユニットは、情報記録媒体に記録されている命令を実行できるプログラム可能なプロセッサを含む。さらに、特性評価方法を実施するのに必要な命令が入っている少なくとも1つのメモリを含む。メモリは、各測定時点で計算された情報を保存するようにも適応している。
【0058】
図3Aは、
図2に示したマッハツェンダー干渉計アレイ20の上面図であり、感応面30を作るためにフォトニックチップ10の上全体に堆積させたいくつかのマイクロドロップ31を示している。
図3Bは、感応面30、マイクロドロップ31、およびマッハツェンダー干渉計20のアーム22の上面ならびに断面図からなる図である。
【0059】
干渉計検出システム1の製造方法は、感応面30を作る工程を含む。そのために、感応アーム22sで上層13を局所的にエッチングした後、感応面30になるように意図したフォトニックチップ10の領域にマイクロドロップ31を堆積させる。
【0060】
マイクロドロップ31は、所望の受容体を入れた溶媒で形成されている。マイクロドロップは、マイクロドロップ堆積機構(図示せず)を用いて一括して、または1つずつ堆積される。マイクロドロップがフォトニックチップ10の上に堆積されるときは、XY平面にdgと表記した寸法であり、これは、螺旋状のアーム22の寸法dlb(および形成される感応面30の寸法)よりも大きいあるいは等しい寸法である。
【0061】
この例では、導波路は、窒化シリコンを基に、例えばSi3N4で作製され、薄い接着層14は、酸化物で作製され、とりわけ例えばシリコン、アルミニウム、ハフニウムの酸化物で作製される。その厚みは、およそ数ナノメートルから数十ナノメートルであり、例えば10nmである。導波路の材料が受容体に十分確実に接着するのに適している場合は、この薄い接着層14を省略してよいことに注意されたい。
【0062】
この薄い接着層14は、ここではシラン化の改善を可能にする。言い換えれば、薄い接着層14は、受容体を固定化する反応性基を形成するオルガノシランの共有結合グラフト化によって変化する。オルガノシランは、一般式RnSiX(4-n)の有機官能性化合物であり、nは1~3の整数であり、Rは、受容体との相互作用機能を有する非加水分解性有機基であり、Xは加水分解性基である。
【0063】
そのため、薄い接着層14の表面は、オルガノシランのグラフト化によって官能化され、それによって受容体(例えばオルガノシラン)の固定化を確実にする。このシラン化は、(オルガノシランによって形成される)受容体と結合するための活性部位の密度が高く、かつ、各感応面30上の活性部位のこの密度の均質性が良好であるという形で現れるため、最適化される。また、干渉計システムの製造過程で、活性表面30を作製する際に良好な再現性(受容体と結合するための活性部位の密度および均質性の点で)を得ることも可能になる。
【0064】
例えば、特に小さい分析物を検出するために、サイズがおよそ1nmのペプチドなどの小サイズの受容体を使用することを希望することがある。その場合、受容体は、均質で高密度の層、例えば1μm2あたりおよそ106個のペプチドの層を形成することが望ましく、それによって分析物は、(これらのペプチドを介して)感応面30に特有の形で結合するのであって、非特有の形で結合するのではない。それでも、酸化物で作製されたこのような接着層14のシラン化により、1nm2あたりおよそ1~2個の特に高密度の活性部位を得ることができ、それによってその後、所望の密度および均質性である受容体を固定化させることができる。
【0065】
薄い接着層14(シラン化)を官能化する方法は、気体経路(層14の表面を真空チャンバ内で蒸発させたオルガノシラン化合物と接触させること)によって、または液体経路によって(無水有機溶媒で希釈したオルガノシラン化合物の溶液に官能化する表面を浸漬することによって)実施してよい。さらに、受容体のアミン基(もともとタンパク質に存在する)との直接反応を後に可能にするために、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GOPS)、または別の例として、アジド変性受容体(N3)の付加環化(いわゆる「クリックケミストリー」という技術)によるグラフト化のために末端アルキン(例えばO-(プロパルギル)-N-(トリエトキシシリルプロピル)カルバメート)を有するシランを使用してよい。
【0066】
その後、マイクロドロップ31は、受容体が感応アーム22sの導波路に固定される、ここでは薄い接着層14に固定される(グラフト化)のに十分な時間にわたってフォトニックチップ10上に保持される。この時間の間、マイクロドロップ31は、蒸発が制限または防止される条件(温度、湿度レベルなど)の環境に置かれている。このグラフト化工程の最後に、フォトニックチップ10の表面は洗浄されてから乾燥される。
【0067】
ただし、マイクロドロップ堆積機構31は、XY平面での位置決め不確かさΔp
gがゼロではない可能性があると思われる。そのため、
図3Aでは、マイクロドロップ31は実線の円で示され、可能性のある位置決め領域32は、寸法がd
g+2×Δp
gの点線の円で示されている(以下の説明では、互いに接している寸法d
g+2×Δp
gの2つの円は、それでも合着し得ないマイクロドロップに相当すると考える)。
【0068】
したがって、マイクロドロップ31は、2つの隣り合うマイクロドロップの間が合着しないように、互いに十分に離れていることが重要である。実際、このような合着が起こると、対象となる感応面30の欠陥品となって現れるため、干渉計検出システム1による検出および特性評価の性能低下となる。
【0069】
ただし、フォトニックチップ10の総表面積を縮小させ、それによって関連コストを削減するために、マッハツェンダー干渉計アレイ20に関わるサイズ(使用される総表面積)を縮小することが望ましい。
【0070】
よって、マッハツェンダー干渉計アレイ20のサイズを縮小するために、一方ではマイクロドロップ31が合着できないようにする必要があり、他方ではマッハツェンダー干渉計20のアーム22間の縦のスペースelおよび/または横のスペースetが入力導波路4および出力導波路5が通るのに十分であるようにする必要があることを理解されたい。
【0071】
図4Aおよび
図4Bは、マッハツェンダー干渉計アレイ20の2つの例の上面図であり、干渉計20の配置および感応面30の配置は、マイクロドロップ31が合着するリスクを確実に排除しつつ、干渉計20のアレイのサイズを縮小すると考えられる。
【0072】
図4Aの例では、マッハツェンダー干渉計20と感応面30とは、同一の配置になっている。すなわち、ここでは六角形の周期的配置であり、ここでは縦軸Zに沿った向きである。
【0073】
言い換えれば、7つの干渉計20が六角形の頂点および中心に配置され、そのうちの3つの干渉計20が縦軸Zに沿って整列している。また、感応面30は、縦軸Zの同じ側に配置され、すなわちここでは左側(-Yの方向)に配置されている。
【0074】
この配置は、六角形の辺の長さが辺どうしで一定ではないため、正六角形を形成していない。そのため、同じ列の隣接する干渉計20は、実質的にdg+2×Δpgの距離だけ離れ、ここでは290μmだけ離れているが、2つの隣接する干渉計20を別の列から隔てている距離は、dg+2×Δpgよりも大きく、ここでは360μmである。
【0075】
いずれにしても、マッハツェンダー干渉計20および感応面30をこのように配置しても、干渉計20アレイのサイズは最適にならないという結果になる。実際、アレイの総表面積(点線の長方形)は、特に有用ではない空き領域が存在するため、
図2の総表面積よりも15%超大きい。また、干渉計20の行は、一定のスペースe
lをあけて互いに離れてはいないため、この配置では、入力導波路4および出力導波路5が採り得る配置がかなり困難になる。
【0076】
図4Bの例では、マッハツェンダー干渉計20と感応面30とは、同じく同一の配置になっている。すなわちここでは、六角形の周期的配置になっている。ただし、ここでは横軸Yに沿った向きである(六角形の3つの干渉計20がY軸に沿って整列している)。感応面30は、縦軸Zの同じ側に配置され、すなわちここでは左側(-Yの方向)に配置されている。
【0077】
この配置も正六角形ではない。実際、同じ行上にある一辺を形成している隣接する干渉計20は、dg+2×Δpgより大きい距離だけ互いに離れ、ここでは330μm離れている。そして一方の行から別の行へ移る一辺を形成している干渉計20は、dg+2×Δpgの距離だけ離れ、ここでは290μm離れている。
【0078】
ただし、いずれにしても、マッハツェンダー干渉計20および感応面30をこのように配置しても、干渉計20アレイのサイズは実際に最適にならないという結果になる。実際に、アレイの総表面積は、特に有用ではない空き領域が存在するため、
図2の総表面積よりも3%だけ小さい。さらに、干渉計20の行は、およそ90μmの一定スペースe
lだけ互いに離れている(それに対して
図2では140μm)。
【0079】
図5は、本発明の一実施形態による干渉計検出システム1の概略部分上面図である。
【0080】
この図は、感応面30の配置が
図2とは本質的に異なる。実際、干渉計20の周期的配置を感応面30の周期的配置から切り離すことにより、マッハツェンダー干渉計アレイのサイズを縮小できると同時に、確実にマイクロドロップ31が合着できないようになると思われる。また、干渉計20の行および/または列の間のスペースは、入力導波路4および出力導波路5が通れるのに十分である。
【0081】
そのために、マッハツェンダー干渉計20は、周期的な長方形に配置されている。干渉計は、横軸Yに沿った行に整列し、縦軸Zに沿った列に整列している。横のピッチptは一定で、ここでは約330μmである。横のピッチは、アームの横の寸法dtb(ここでは約300μm)と、2つの隣接する干渉計20のアーム22間の横のスペースet(ここでは約30μm)とで形成される。また、縦のピッチplは一定で、ここでは約250μmである。縦のピッチは、アームの縦の寸法dlb(ここでは約150μm)と、2つの隣接する干渉計20のアーム22間の縦のスペースel(ここでは約100μm)とで形成される。
【0082】
また、感応面30は、横軸Yに沿って周期的に六角形に配置される。感応面は、六角形の6つの頂点および中心に位置している。六角形は、横軸Yに沿った向きであり、六角形の3つの感応面30(2つの頂点および中心)は、同じ行にあり、横軸Y沿って整列しているということである。
【0083】
この六角形の周期的配置は、同じ行の感応面が、対象となる干渉計20の2つのアーム22間を通る縦軸Yの同じ側に位置し、かつこの位置する側が行ごとに変わるという形で現れている。言い換えれば、同じ列の干渉計20に対して感応面30が位置する側は、行ごとに交互になる。この例では、下の行の感応面30は、(-Yの方向に沿って位置している)左のアーム22に対向して位置し、中央の行の感応面30は、(+Yの方向に沿って位置している)右のアーム22に対向して位置し、上の表の感応面30は、左のアーム22に対向して位置している。
【0084】
したがって、干渉計20を長方形に配置することで、
図4Aおよび
図4Bに示した有用ではない領域を回避できると思われる。また、感応面30を六角形の周期的配置にすることで、干渉計のアレイのサイズを縮小できる。なぜなら、一方でマイクロドロップ31が合着できないようにし、他方で入力導波路4および出力導波路5の通過が依然として可能である状態で、スペースe
lおよび/またはe
tを縮小することが可能だからである。例として、マッハツェンダー干渉計アレイの総表面積は、
図2の総表面積よりも約14%小さい。
【0085】
以上、特定の実施形態を説明した。当業者には様々な変形例および修正例が明らかになるはずである。
【0086】
したがって、
図6に示したように、マッハツェンダー干渉計20は、行どうしが対称の構成であってもよい。言い換えれば、ある特定の行では、干渉計20は
図5の構成であり、隣の行では、光スプリッタ21は、(-Zの方向に沿って)螺旋状アーム22の中央の上流に位置し、光カプラ23は、(+Zの方向に沿って)螺旋状アーム22の中央の下流に位置する。いずれにしても、アーム22は、アスペクト比が1で20%以内の誤差である螺旋状および/または蛇行状の形である。
【国際調査報告】