(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】エラストマーバネ、およびエラストマーバネを有するアジマス駆動装置
(51)【国際特許分類】
F03D 80/50 20160101AFI20240517BHJP
F03D 80/00 20160101ALI20240517BHJP
【FI】
F03D80/50
F03D80/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576000
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2022063369
(87)【国際公開番号】W WO2022258323
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114582.1
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021116293.9
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523461070
【氏名又は名称】エフベ、ゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング
【氏名又は名称原語表記】EFFBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、シェデル
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング、シュパツィヒ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス、ケール
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB79
3H178CC23
3H178CC25
3H178DD70X
(57)【要約】
本発明は、一体的に構成されたエラストマー本体であって、前記エラストマー本体のバネ方向に向く上側面および下側面を有するとともに、バネ力を前記バネ方向に伝達するためのエラストマー本体と、前記上側面と前記下側面とを接続する予圧部品であって、凹状に湾曲した側面を有する予圧部品と、を備える、風力タービンのタワーに対してロータを有するナセルを追跡するためのアジマス駆動装置のアジマスブレーキ用のエラストマーバネに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンのタワー(101)に対してロータを有するナセル(103)を追跡するためのアジマス駆動装置(100)のアジマスブレーキ(10)用のエラストマーバネ(1)であって、
一部品から構成されたエラストマー本体(2)であって、前記エラストマー本体(2)のバネ方向(F)を向く上側面(13)および下側面(15)を有するとともに、バネ力を前記バネ方向(F)に伝達するためのエラストマー本体(2)と、
前記上側面(13)と前記下側面(15)とを接続する予圧部品(17)であって、凹状に湾曲した側面(19)を有する予圧部品(17)と、を備えるエラストマーバネ(1)。
【請求項2】
前記予圧部品(17)は、圧縮中に、前記側面(19)の曲率が減少する態様で弾性的に圧縮するように適合される、請求項1のエラストマーバネ(1)。
【請求項3】
前記予圧部品(17)は、たわみ中に、前記側面(19)の曲率が増加する態様で膨張するように適合される、請求項1または2に記載のエラストマーバネ(1)。
【請求項4】
前記予圧部品(17)は、圧縮中に弾性的に圧縮して弾性変形復元力を生じさせ、前記エラストマー本体(2)が、前記変形復元力を、予圧力として前記バネ方向(F)において前記上側面(13)および前記下側面(15)を介して伝達する、請求項1~3の一項に記載のエラストマーバネ(1)。
【請求項5】
前記エラストマー本体(2)は、少なくとも1つ、特に2つまたは3つの、さらに特に同一形状の予圧部品(17)を備え、
前記予圧部品(17)は、前記バネ方向(F)において直列に配置される、請求項1~4の一項に記載のエラストマーバネ(1)。
【請求項6】
2つの隣り合う予圧部品(17)が、圧縮および/または伸長中に実質的に変形しないままである切断ディスク(21)、特に平面状のものにより互いから隔てられる、請求項5に記載のエラストマーバネ(1)。
【請求項7】
前記切断ディスク(21)は、前記上側面(13)および前記下側面(15)と同一の形状および/または外法寸法を有する、請求項5または6に記載のエラストマーバネ(1)。
【請求項8】
風力タービンのタワー(101)に対してロータを有するナセル(103)を追跡するためのアジマス駆動装置(100)のためのアジマスブレーキ(10)であって、前記アジマス駆動装置(100)は、前記タワー(101)に回転的に固定した態様で接続するアジマスリング(105)を有し、
前記アジマスブレーキ(10)は、前記アジマスリング(105)と摺動接触する摺動ディスク(3)と、前記摺動ディスク(3)に前記アジマスリング(105)に接触するように予圧を加えるための、特に請求項1~7の一項に従って形成されたエラストマーバネ(1)と、を備え、
前記エラストマーバネ(1)は、成型エラストマー、特にウレラスト(Urelast)等のポリウレタンから構成される、
アジマスブレーキ(10)。
【請求項9】
前記アジマスブレーキ(10)は、前記エラストマーバネ(1)用の特にナセルに固定されたレセプタクル(5)をさらに備え、
前記レセプタクル(5)において、前記エラストマーバネ(1)は、特に前記摺動ディスク(3)も、並進的に変位可能である、請求項8に記載のアジマスブレーキ(10)。
【請求項10】
前記エラストマーバネ(1)は、少なくとも2つのクランプ部(14、16、21)を有し、
前記クランプ部(14、16、21)は、前記エラストマーバネ(1)の前記バネ方向(F)において互いから距離を置いて配置され、前記レセプタクル(5)に周方向において接触し、凹状に湾曲した側面(19)を介して互いに接続する、請求項9に記載のアジマスブレーキ(10)。
【請求項11】
前記エラストマーバネ(1)が圧縮して前記摺動ディスク(3)に対する前記予圧力が増加するとき、前記クランプ部(14、16、21)は、それらが互いに向かって移動するように、かつ前記側面(19)の曲率が減少するように、前記レセプタクル(5)に支持される、請求項10に記載のアジマスブレーキ(10)。
【請求項12】
前記予圧力は、前記エラストマーバネ(1)の圧縮の程度を介して調節可能である、請求項8~11のいずれか一項に記載のアジマスブレーキ(10)。
【請求項13】
前記アジマスブレーキ(10)は、前記エラストマーバネ(1)を圧縮するための機械式、油圧式、または空気圧式のユニットをさらに備え、
特に、前記ユニットは、ネジ(9)を備える、請求項8~12のいずれか一項に記載のアジマスブレーキ(10)。
【請求項14】
少なくとも1つのサーボモータ(105)と、
請求項8~13の一項に従って構成されたアジマスブレーキ(10)と、
を備える、風力タービンのタワー(101)に対してロータを有するナセル(103)を追跡するためのアジマス駆動装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンのタワーに対してロータを有するナセルを追跡するためのアジマス駆動装置のアジマスブレーキ用のエラストマーバネに関する。さらに、本発明は、風力タービン用のアジマスブレーキおよびアジマス駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
風力タービンは、通常、静止したタワー、特に基礎や地面に固定されたタワーを備えている。タワーに、風により制動および追跡可能なナセルが、旋回リングにより鉛直方向軸を中心として回転可能に装着されている。ナセルは、回転可能に装着されたロータハブを有しており、その周囲をロータの少なくとも1つのロータブレードが回転し得る。
【0003】
アジマス(方位角)駆動装置の役割は、ナセルを、ひいては風力タービンロータのロータブレードを、風向きに応じて、エネルギー変換に最適なナセル位置に移動させることである。例えば、ボール旋回リングや電気駆動装置が使用される。旋回リングは、通常、タワーに固定されたフェース側伝動装置を有するギアリム(アジマスリングとも呼ばれる)を備えている。そのフェース側に、アジマスリングに対して回転運動で移動してナセルを追跡するように、複数のモータがギア方式で係合している。
【0004】
例えばメンテナンスの場合にナセルを制動して固定するために、アジマスリングの円周上に分散配置された複数の摩擦ブレーキが使用される。これらは、本質的にC字状の構造を有し、鉛直方向を向くアジマスリングの上側面および下側面と摩擦接触するように、クランプ態様においてアジマスリングの周囲を把持する。アジマスブレーキは、一般に、アジマスリングと接触するための摺動ライニングを有している。さらに、皿バネアセンブリが、摺動ライニングにアジマスリングの方向において予圧を加えるように設けられる。予圧の量は、摩擦抵抗、ひいてはブレーキ効果を調節するように使用され得る。
【0005】
メーカーによれば、皿バネの故障確率は、およそ1%である。風力タービンの種類によるが、最大で270個もの皿バネが風力タービンに使用されているため、アジマス駆動装置に対する損傷のリスクは倍増する。皿バネアセンブリの問題点は、皿バネが1つでも損傷したり故障したりした場合、アセンブリの全体的な予圧が突然失われることである。この結果、残りの荷重が無傷のままであるバネアセンブリに分散し、永久的に過荷重状態となる。このため、他の皿バネアセンブリの損傷プロセスが加速する。風力タービンは停止し、予定外のメンテナンス処置が必要となりコストがかかる。
【0006】
このようなアジマス駆動装置およびアジマスブレーキは、例えば、EP0945613B1またはWO2015/082114A1から知られている。また、EP0945613A1およびWO2015/082114A1は、皿バネアセンブリに代えて、空気バネ、気体バネ、エラストマーバネ、またはねじりバネ等の位置エネルギーの代替的な備品を使用する初期アプローチを開示している。
【0007】
皿バネアセンブリの高い故障リスクに加え、大きなスペースが必要であること、部品点数が多いことが、既知のアジマスシステムの欠点であることが判明している。
【発明の概要】
【0008】
本発明の1つの課題は、従来技術の欠点を克服すること、特に、信頼性および/または耐久性のより高いアジマスブレーキおよび/またはアジマス駆動装置を提供することである。
【0009】
この課題は、独立請求項のものにより解決される。
【0010】
これによれば、風力タービンのタワーに対してロータを有するナセルを追跡するためのアジマス駆動装置のアジマスブレーキ用のエラストマーバネが提供される。タワーは、通常、静止している、および/または基礎に固定されている。エラストマーバネは、基本的に、摩擦力を生じさせるために使用される。特に、摩擦抵抗ひいては制動効果を生じさせつつ、風力タービンのタワーに対する追跡中にナセルを制動するように、エラストマーバネは、アジマスブレーキの摺動ライニングをアジマスリングに接触させるように適合されている。
【0011】
本発明によるエラストマーバネは、一体的に構成されたエラストマー本体を備えている。エラストマー本体は、例えば重合、重縮合、重付加または加硫により製造され得る。エラストマー材料は、例えば、成型エラストマー、特にウレラスト(Urelast)等のポリウレタンであり得る。
【0012】
エラストマー本体は、エラストマー本体のバネ方向に向く上側面と、エラストマー本体のバネ方向を向く下側面であって、上側面とは反対側の下側面と、を有する。上側面および下側面は、バネ力をバネ方向に伝達する役割を果たす。エラストマー本体は、例えば、中実材料を備え得る、および/またはこれから構成され得る。エラストマー本体は、さらに、エラストマー本体のバネ方向に対して平行に配向された長手方向において延びる。バネ方向において、エラストマー本体は、特に弾性的に変形および圧縮し得る。エラストマーバネは、特に弾性変形、特に圧縮および膨張を利用することにより、ナセルを制動するための摩擦力を適用および低減するように適合され得る。
【0013】
本発明によるエラストマーバネは、上側面と下側面とを接続する予圧部品であって、凹状に湾曲した側面を有する予圧部品をさらに備える。側面の凹部は、エラストマーバネを外側から見た場合に理解されることが理解されるべきである。反対方向、すなわちエラストマー本体の内側から見た場合、側面の湾曲は凸状である。予圧部品は、上側面および下側面と一体的に構成される。上側面および下側面は、実質的に平面状のプレートまたはディスクにより各々実現され得る。上側面と下側面とを接続する側面は、一定の曲率半径を有し得る、および/またはエラストマー本体の長手方向に対して周方向に閉じ得る。
【0014】
アジマスブレーキ用のエラストマーバネとしてのエラストマー本体は、とりわけ有利であることが判明している。なぜならば、皿バネアセンブリとは対照的に、エラストマーバネは、優れた緊急運転特性を特徴とするからである。これは、エラストマーバネが損傷しても予圧が完全に失われないため、これを次の予定されたメンテナンス時に交換できるためである。1つのエラストマーバネを6部品の皿バネアセンブリに代えることができるため、部品の種類を大幅に減らすことができるとともに、エラストマーバネの故障のリスクも6部品の皿バネアセンブリよりもはるかに低い。本発明によるエラストマー本体の構造を理由として、特に凹状に湾曲した側面により純粋に円筒状の形状から逸脱した形状を理由として、エラストマーバネは、非常に高い荷重を受け得る。特に、粘弾性効果が利用され得る。この結果、必要な変形に要求されるスペースも最小とすることができる。純粋に円筒状のエラストマーバネとは対照的に、本発明による構造により、利用可能な設置スペースを保持しつつ、標準的なアジマスブレーキにおける所望のクランプ力が達成され得る。標準的な円筒形のエラストマーバネを使用した場合、同一の十分なクランプ力を生じさせるためには、バネ要素の断面積を倍増させる、特に2倍~3倍に増大する必要があるであろう。エラストマー本体の側面の部分でエラストマー材料を省略することにより、一方でエラストマーバネの材料コストが削減され、他方で側面を囲む凹部の結果として側面に残るフリースペースにより、エラストマー本体のエラストマー材料に大きな凹みスペースが提供されるため、その変形率が増加する。
【0015】
変形部品とも称され得る予圧部品は、特にバネ方向において予圧を加えられる、および/または変形する、例えば、特に弾性的に圧縮する、または圧縮するように適合され得る。これにより、軸方向に向く力、特に反力、例えば特に弾性変形復元力が生じ得る。予圧部品は、変形していない、および/または予圧を加えられていない受動状態と、変形している、および/または予圧を加えられている能動状態と、を有し得る。
【0016】
本発明によるエラストマーバネの例示的な実施形態において、予圧部品は、圧縮中に、側面の曲率が減少する態様で弾性的に圧縮するように適合される。換言すれば、エラストマー本体が圧縮する場合、その上側面と下側面とが互いに向かって移動する結果、予圧部品のエラストマー材料が軸方向すなわちバネ方向に圧縮することで、エラストマー材料が径方向外方に変位して、側面の曲率半径が増加するという、予圧部品の特に弾性的な変形が生じる。
【0017】
本発明によるエラストマーバネのさらなる例示的な実施形態によれば、予圧部品は、たわみ中に、側面の曲率が増加する態様で特に弾性的に膨張するようにさらに適合される。これにより、特に側面の曲率半径が減少する。予圧部品が膨張するとき、上述の圧縮とは逆の効果が生じる。
【0018】
予圧部品の圧縮または膨張の程度が、その寸法により調節または制限され得ることが明瞭である。軸方向および径方向における寸法ならびに曲率半径は、関係している。
【0019】
本発明の他の例示的な実施形態において、予圧部品は、バネのたわみ中に圧縮して弾性変形復元力を生じさせ、エラストマー本体が、変形復元力を、予圧力としてバネ方向において上側面および下側面を介して伝達する。換言すれば、特にエラストマー本体の予圧部品の弾性圧縮を利用して、結果として生じる変形復元力を介して予圧力を生成することができる。摩擦力が生じることにより、この力をアジマスブレーキがアジマス駆動装置を制動するように利用できる。
【0020】
本発明によるエラストマーバネの例示的なさらなる発展例において、エラストマー本体は、少なくとも1つのさらなる、特に2つまたは3つのさらなる、特に同一形状の予圧部品を備える。このように形成されたエラストマーバネは、サンドイッチ構造とも称され得る。特に、すべての予圧部品が、上側面および下側面、および/または互いに一体的に構成される。
【0021】
予圧部品は、バネ方向において直列に配置され得る。複数の予圧部品の直列配置は、個々の予圧部品が独立して変形可能、特に圧縮可能かつ膨張可能に構成され得る。例えば、エラストマーバネは、蛇腹状またはアコーディオン状の変形挙動を有する。
【0022】
本発明によるエラストマーバネの例示的なさらなる発展例によれば、2つの隣り合う予圧部品が、圧縮および/または伸長中に実質的に変形しないままである切断ディスク、特に平面状のものにより互いから隔てられる。切断ディスクは、予圧部品および/または上側面および下側面と一体的に構成される。本実施形態によれば、蛇腹状またはアコーディオン状の構造が得られ、その変形挙動も蛇腹またはアコーディオンに類似する。個々の予圧部品は、変形または膨張の有無に応じて切断ディスクと上側面および下側面とが互いに向かって、または互いから離れるようにそれぞれ移動するにつれて、荷重下で圧縮および膨張する。
【0023】
本発明によるエラストマーバネの別の例示的な実施形態によれば、切断ディスク、特に複数の切断ディスクは、上側面および下側面と同一の形状および/または同一の外法寸法を有する。エラストマー本体は、回転可能な形状とされ得る、および/またはエラストマー本体の断面に対して長手方向および横方向の両方向において見て中心軸に対して軸対称であり得る。
【0024】
先行する態様および例示的な実施形態と組み合わせ得る本発明の別の態様によれば、風力タービンのタワーに対してロータを有するナセルを追跡するためのアジマス駆動装置のアジマスブレーキが提供される。アジマスブレーキの基本的な構造、動作、および配置について、アジマス駆動装置および関連するナセル、ロータ、およびタワーの構成要素に関する上述の実施形態を参照することができる。アジマス駆動装置は、静止した、および/または基礎に固定されたタワーに回転的に固定した態様で接続するアジマスリングを備える。
【0025】
本発明によるアジマスブレーキは、アジマスリングと摺動接触する摺動ディスクと、摺動ディスクにアジマスリングに接触するように予圧を加えるための、例えば上述の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って形成された特に本発明によるエラストマーバネと、を備える。
【0026】
アジマスリングに制動力を加えるために、すなわち、アジマス駆動装置により回転駆動されているアジマスリングを制動するために、エラストマーバネをアジマスリングに摩擦接触させることで、または既存の摩擦接触を増幅させることでアジマスリングが制動されるように、アジマスリングに対面する摺動ディスクにエラストマーバネによって力を加えることができる。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、エラストマーバネは、成型エラストマー、特にウレラスト(Urelast)等のポリウレタンから、および/または単一部品から、特に1つの製造ステップおよび/またはツールで構成される。
【0028】
皿バネアセンブリに代えてエラストマーバネを使用する基本的な利点について、上述の実施形態を参照されたい。成型エラストマーは、圧縮永久ひずみが非常に小さい、例えば、標準的なエラストマー部品の圧縮永久ひずみよりも少なくとも10%または少なくとも15%低い、および/または、例えば5%であるという点で、風力タービンのアジマスブレーキに使用するのに有利であることが判明している。さらに、成型エラストマーは、経年変化に対する高い耐性を特徴とする。アジマスブレーキの用途において、20年を超える耐経年変化性が成型エラストマーに対して得られる。また、ポリウレタンは、およそ40N/mm2の高い引張強さ、およびおよそ500%の破断伸びを特徴とする。これにより、標準的なエラストマーに比較して、特に少なくとも1.5倍、2倍、または2.5倍の著しく高い引張強さおよび著しく高い破断伸びが得られる。
【0029】
本発明によるアジマスブレーキの例示的な実施形態によれば、アジマスブレーキは、エラストマーバネ用の特にナセルに固定されたレセプタクルをさらに備え、レセプタクルにおいて、エラストマーバネは、特に摺動ディスクも、並進的に変位可能である。換言すれば、レセプタクルは、ナセルそれ自体に、または特に回転的に固定した態様でナセルに接続した風力タービンのさらなる部品に設けられる。エラストマーバネは、バネ方向において特に並進変位可能であり得るため、エラストマーバネは、圧縮および膨張を目的としてバネ方向において並進変位可能である。エラストマーバネ用のレセプタクルは、例えば凹部、特に円筒状凹部により実現され得る。
【0030】
本発明によるアジマスブレーキの例示的なさらなる発展例によれば、エラストマーバネは、エラストマーバネのバネ方向において互いから距離を置いて配置された少なくとも2つのクランプ部を有し、少なくとも2つのクランプ部は、レセプタクルに周方向において接触するとともに、周方向に閉じた凹状に湾曲した側面を介して互いに接続する。クランプ部は、エラストマーバネの上側面および下側面により形成され得る。クランプ部は、バネ方向に対して平行に配向されたエラストマーバネの長手方向を横断する方向におけるエラストマーバネの最大寸法を規定し得る。換言すれば、エラストマーバネは、クランプ部を介してレセプタクルの周壁に周方向に接触する。エラストマーバネは、必ずしも凹部底面と接触している必要はなく、そこから少なくともわずかな距離を置いて少なくとも圧縮した状態で配置され得る。
【0031】
本発明によるアジマスブレーキの別の例示的な実施形態によれば、エラストマーバネが圧縮して摺動ディスクに対する予圧力が増加する、および/または摺動ディスクに予圧力が加えられるとき、クランプ部は、それらが互いに向かって移動するように、かつ側面の曲率が減少するように、レセプタクルに配置される。クランプ部が互いに向かって移動する際に生じるエラストマーバネの弾性圧縮により、エラストマーバネの材料は径方向外方に変位することため、側面の曲率が減少する。エラストマーバネの変位した材料は、レセプタクルの内壁と側面との間に生じた凹みスペース内において膨張または凹み得る。
【0032】
本発明による別の実施形態によれば、予圧力は、エラストマーバネの圧縮の程度を介して調節可能である。例えば、予圧力、ひいてはアジマスブレーキの制動力は、エラストマーバネの圧縮の程度が増加するにつれて、特に直線的に増加する。
【0033】
本発明によるアジマスブレーキの別の例示的な実施形態において、アジマスブレーキは、エラストマーバネを圧縮するための機械式、または油圧式、または空気圧式の装置をさらに備える。例えば、装置は、エラストマーバネの圧縮または膨張を制御する電子コントローラに連結され得る。例えば、装置は、ネジを備え得る。例えば、ネジは、レセプタクル内に突出してエラストマーバネを圧縮する。ネジがレセプタクルスペースに次第にねじ込まれると、ネジはクランプ部のうちの一方を押圧し、それを他方のクランプ部に向けて押すため、エラストマーバネが圧縮する。
【0034】
さらに、本発明は、風力タービンのタワーに対してロータを有するナセルを追跡するためのアジマス駆動装置をも提供する。本発明によるアジマス駆動装置は、例えばアジマスリングを駆動する少なくとも1つのサーボモータと、本発明の上述の態様または例示的な実施形態のうちの1つに従って形成されたアジマスブレーキであって、本発明によるエラストマーバネを備え得るアジマスブレーキと、を備える。
【0035】
好適な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0036】
以下において、本発明のさらなる特性、特徴、および利点が、添付の例示的な図面を参照してなされる本発明の好適な実施形態の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】風力タービンのアジマス駆動装置の一部の概略図。
【
図2】
図1のアジマス駆動装置のアジマスブレーキの概略断面図。
【
図5】本発明によるエラストマーバネの例示的な実施形態の側面図。
【
図8】側面図における本発明によるエラストマーバネのさらなる例示的な実施形態。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の例示的な実施形態についての以下の説明において、風力タービンのアジマス駆動装置のアジマスブレーキ用の本発明によるエラストマーバネには、全体として参照符号1が付されている。本発明によるアジマスブレーキには、全体として参照符号10が付され、対応するアジマス駆動装置には、全体として参照符号100が付されている。
【0039】
図1は、風力タービンのアジマス駆動装置100の一部の概略図を示す。風力タービンは、通常、静止したタワー101と、タワー101に回転可能に接続したナセル103と、を備えている。ナセル103は、鉛直方向軸を中心として、回転接続部により回転可能である。この目的は、風を追跡すること、および、ナセル103とナセル103に回転可能に装着されたロータ(図示せず)であって少なくとも1つのロータブレードを有するロータとを減速させることである。このようにして、ロータブレードは、風向きに対して、常にエネルギー変換について最適な位置にある。
図1において、タワー101とナセル103との回転接続部は、アジマス駆動装置100により実現されている。
【0040】
アジマス駆動装置100は、アジマスリングとも称される外歯車を有するギアリム105であって、タワー101に回転不可能に接続するギアリム105を備えている。アジマス駆動装置100は、複数のサーボモータまたは電気モータ107も備えている。これらは、回転的に固定した態様でナセル103に接続するとともに、各場合にギアホイール106を介してギア式にアジマスリング105の外歯車に係合している。この目的は、アジマスリング105に対して回転運動をすることで、ナセル103を移動させることである。ナセル103を制動するために、
図1のアジマス駆動装置100は、アジマスリング105の円周上に均等に分散配置された4つのアジマスブレーキ10も備えている。
図1において、アジマスブレーキ10は、実質的にC字状の構造を各々有し、アジマスリング105をクランプのように囲んで把持していることが分かる。ナセル103を制動するために、鉛直方向に見てアジマスブレーキ10とアジマスリング105の上側面108および下側面110との間に、通常はアジマスブレーキ10に対する摺動ライニング3の形態における摩擦接触部が形成されている。摺動ライニング3にアジマスリング105の方向において予圧を加えることでアジマスリング105と摺動ライニング3との間に摩擦力を発生させるように、本発明によるエラストマーバネ1が、
図1のアジマスブレーキ10において使用されている。
図1において、アジマスブレーキ10は、C字状の構造を理由として、アジマスリング105の下側面110と摩擦接触をなす摺動ライニング3および対応するエラストマーバネ1と、アジマスリング105の上側面108と摩擦接触をなす摺動ライニング3および対応するエラストマーバネ1と、の両方を有していることが分かる。このようにして、アジマスブレーキ10の制動効果が向上し得る。
【0041】
アジマスブレーキ10で本発明によるエラストマーバネ1を使用することは、有利であることが判明している。なぜならば、従来技術で使用される皿バネアセンブリとは対照的に、エラストマーバネ1は、優れた緊急運転特性を特徴とするからである。これは、エラストマーバネ1が損傷しても予圧が完全に失われないため、これを次の予定されたメンテナンスで容易に交換できるためである。また、本発明によるエラストマーバネ1の故障のリスクは、皿バネアセンブリのものよりも低い。本発明によるエラストマーバネ1について、
図3~
図8を参照して以下に説明する。
【0042】
図2は、
図1のアジマス駆動装置100のアジマスブレーキ10の概略側面図を示す。
図2のアジマスブレーキ10は、
図1のアジマスブレーキ10の下部を表す。このため、
図2において、制動力は、アジマスリング105の下側面110との摩擦接触を介して生成される。アジマスブレーキ10は、
図1のアジマスブレーキ10の上部をさらに備え得る。この上部は、アジマスリング105の上側面108との摩擦接触を生成し、構成において実質的に同一である。しかしながら、アジマスブレーキ10の上側面は、
図2の実施形態では示されていない。
【0043】
図2~
図4の本発明によるアジマスブレーキ10の実施形態は、アジマスリング105と摺動接触する4つの摺動ディスク3と、摺動ディスク3のうちの1つと各々対応付けられる以下で詳述する本発明による4つのエラストマーバネ1であって、摺動ディスク3にアジマスリング105に接触するように予圧を加えて摩擦接触を生じさせるためのエラストマーバネ1と、を備えている。
【0044】
図3および
図4は、
図2のアジマスブレーキ10を、対応する線III‐IIIおよび線IV‐IVにおける断面図にて各々示して、本発明によるエラストマーバネ1またはアジマスブレーキ10の動作を説明するものである。
図3において、エラストマーバネ1が張力のかかっていない状態で示されている。これにより、エラストマーバネ1に対応するアジマスブレーキユニット10は、アジマスリング105にまったく制動力を加えないようにガイドされている。
図4は、張力のかかった状態にあるさらなるエラストマーバネ1を示し、さらなるエラストマーバネ1に対応するアジマスブレーキユニット10は、アジマスブレーキユニット10に制動力を加えるとともにナセル103を減速させるようにガイドされている。このようにして、アジマスブレーキ10すなわち個々のアジマスブレーキユニット10の予圧力は、エラストマーバネ1の圧縮の程度により調節可能である。エラストマーバネ1の圧縮の程度は、エラストマーバネ1がどれだけ圧縮可能であるかを示し、エラストマーバネ1の圧縮により生成され得る変形復元力を決定する。
【0045】
アジマスブレーキ10は、ナセル103に回転不可能に接続するエラストマーバネ1のためのレセプタクル5を有している。
図2~
図4の実施形態において、レセプタクル5は、L字状の構造を有し、風力タービンにおいてアジマスリング105の鉛直方向下方およびタワー101(
図2~
図4で図示せず)の上方に配置されている。したがって、レセプタクル5は、アジマスリング105に上側面6において隣接しているとともに、タワー101に下側面8において隣接している。レセプタクル5がタワー101に対して回転できるように、下側面8ではタワー101と直接的な接触がない。レセプタクルの上側面6では、同様にアジマスリング105との直接的な接触がない。または、レセプタクル5の上側面6およびアジマスリング105の下側面110は、タワー101に回転不可能に接続するアジマスリング105に対するレセプタクル5の回転を損なわないように形成されている。
【0046】
図2~
図4に示す実施形態において、レセプタクル5は、各エラストマーバネ1のための円筒状凹部7を有している。凹部7内で、エラストマーバネ1、および、鉛直方向においてエラストマーバネ1とアジマスリング105との間に配置された対応する摺動ディスク3は、並進的に変位可能である。凹部7は、レセプタクル5のアジマスリング105に対面する上側面6から、レセプタクル5の内部に延びている。並進的に変位可能であることにより、エラストマーバネ1を、凹部7内で圧縮することができる。さらに、並進的に変位可能であることにより、
図3に示すようにエラストマーバネ1が弛緩状態であり、かつアジマスリング105に制動力が生じていない場合、アジマスブレーキユニット10の摺動ディスク3とアジマスリング105との間に、ナセル103の回転時に摩擦抵抗を生じさせ得る接触がないことが可能とされている。
図3は、張力のかかっていない状態において、摺動ディスクとアジマスリング105との間に隙間12が形成されていることを示す。
図4に示すようにエラストマーバネ1が圧縮するとき、エラストマーバネ1は、最初にアジマスリング105の方向に並進的に移動する。このため、摺動ディスク3とアジマスリング105との間に隙間12はなくなる。こうしてエラストマーバネ1は、初めて圧縮する。これにより、エラストマーバネ1と凹部7の凹部底面25との間に隙間が形成される。隙間12は、一方では、エラストマーバネ1が弛緩状態にある場合、摺動ディスク3とアジマスリング105との間に接触がないように十分に大きく、他方では、アジマスブレーキ10すなわちアジマスブレーキユニット10の作動時に、ブレーキ効果を可能な限り遅らせないように十分に小さい寸法とされている。円筒状凹部7は、エラストマーバネ1と同一の直径を有しているため、エラストマーバネ1は、凹部7の内壁23に周方向において接触している。
【0047】
図2~
図4に示す実施形態において、レセプタクル5は、エラストマーバネ1を圧縮するための装置を備えている。この装置は、各々のエラストマーバネ1について、それぞれのエラストマーバネ1を圧縮するためのネジ9を有している。ネジ9は、レセプタクル5の下側面8からレセプタクル5すなわち円筒状凹部7内に突出している。これにより、ネジ9は、エラストマーバネ1を圧縮するようにレセプタクル5すなわち円筒状凹部7に次第にねじ込まれ、エラストマーバネ1を押圧する。ネジ9からエラストマーバネ1への力の伝達を均一にするため、ネジ9の各々とエラストマーバネ1との間に、エラストマーバネ1および凹部7と同一の外形寸法を有するディスク11が設けられている。アジマスブレーキユニット10が作動してエラストマーバネ1を圧縮するとともに摺動ディスク3に対する予圧力が生成されると、ディスク11は、円筒状凹部7においてネジ9によりアジマスリング105の方向に押圧される。このように、エラストマーバネ1は、圧縮中にそれ自体をレセプタクル5のディスク11に対して支持することで、摺動ディスク3に対する予圧力を増大させている。エラストマーバネ1は、こうして摺動ディスク3をアジマスリング105に対して押圧し、これに接続するレセプタクル5またはナセル103が制動される。
【0048】
図5~
図7を参照して、本発明によるエラストマーバネ1の構造について以下に詳細に説明する。
図5は、
図3に示すように張力のかかっていない状態におけるエラストマーバネ1の側面図を示す。
図7は、斜視図を示す。
図6は、
図4に示すように張力のかかった状態にあるエラストマーバネ1を示す。
【0049】
本発明によるエラストマーバネ1は、例えば重合、重縮合、重付加または加硫により製造され得る一部品から構成されたエラストマー本体2を備えている。エラストマー材料は、例えば、成型エラストマー、特にウレラスト(Urelast)等のポリウレタンであり得る。エラストマー本体2は、バネ方向Fにおいて弾性的に変形および圧縮可能である。エラストマー本体2は、回転可能な形状とされるとともに、バネ方向Fを同様に規定する中央軸Mに対して軸対称である。
【0050】
エラストマーバネ1は、エラストマー本体2のバネ方向Fを向く上側面13と、エラストマー本体2のバネ方向Fを向く下側面15であって、上側面13とは反対側の下側面15と、を有している。上側面13および下側面15は、平面状のディスク14、16により各々実現されるとともに、バネ力をバネ方向Fにおいて伝達する役割を果たす。
図5~
図7におけるエラストマーバネ1の実施形態は、2つの同一形状の予圧部品17も備えている。予圧部品17は、エラストマー本体2の上側面13と下側面15とを互いに接続し、外側から見て凹状に湾曲する側面19を各々有している。予圧部品17は、バネ方向Fにおいて見て、直列に配置されている。2つの予圧部品17の間に、2つの予圧部品17を互いから隔てる平面状の切断ディスク21が存在している。切断ディスク21は、エラストマー本体2の上側面13および下側面15におけるディスク14、16と同一の形状および同一の外法寸法を有している。本発明によれば、上側面13および下側面15におけるディスク14、16、予圧部品17、および切断ディスク21は、一体的に構成されている。
【0051】
図5と
図6とを比較することにより、また
図3および
図4を参照することにより、本発明によるエラストマーバネ1の機能が理解され得る。圧縮時には、エラストマー本体2の上側面13および下側面15におけるディスク14、16、または切断ディスク21が、2つの予圧部品17の間において、互いに向かって移動する。ディスク14、16または切断ディスク21は変形しないままである。これにより、ディスク14、16、21の間の予圧部品17が弾性的に圧縮する結果、エラストマーバネ1の蛇腹状またはアコーディオン状の構造が得られる。予圧部品17の圧縮により、予圧部品17のエラストマー材料が径方向外方に変位するため、それぞれの側面19の曲率が減少する。このため、予圧部品17の側面19の曲率は、
図6および
図4におけるエラストマーバネ1の圧縮状態において、
図5および
図3におけるエラストマーバネ1の弛緩状態よりも小さい。エラストマーバネ1が圧縮されなくなると、上側面13および下側面15におけるディスク14、16または切断ディスク21が伸長中に再び互いから遠ざかるように移動することにより、予圧部品17は再び膨張し、側面19の曲率が増大する。2つの予圧部品17は、切断ディスク21により互いに独立して圧縮および膨張可能であるため、2つの側面19の曲率が異なることも可能である。
【0052】
圧縮中に、予圧部品17の圧縮により、弾性変形復元力が生じる。この弾性変形復元力は、エラストマー本体2により、上側面13および下側面15におけるディスク14、16を介して、バネ方向Fにおける予圧力として伝達され得る。この予圧力により、例えば、風力タービンのナセル103を制動するアジマスブレーキ10で必要な摩擦力が発生し得る。
図3において、ディスク14、16、21は離れているため、予圧部品17は圧縮しておらず、エラストマーバネ1は弛緩している。したがって、変形復元力、ひいては予圧力は発生していない。
図4において、制動のために、まず、ネジ9を凹部7にねじ込むことにより、エラストマーバネ1および鉛直方向においてその真上にある摺動ディスク3がアジマスリング105の方向に押し込まれる。摺動ディスク3とアジマスリング105とが接触すると、すなわち、摺動ディスク3とアジマスリング105との間の隙間12が閉じると、エラストマーバネ1のディスク14、16、21は互いに向かって移動するため、中間の予圧部品17が圧縮されて、側面19の曲率が減少する。これにより、予圧力として利用できる変形復元力が発生する。
図4の実施形態におけるエラストマーバネ1の下側面15は、ネジ9に接続するディスク11にしっかりと接触している結果移動できないため、予圧力は、エラストマーバネ1の上側面13を介して摺動ディスク3に伝達される。こうして、摺動ディスク3は、アジマスリング105に対して押圧される。これにより、摺動ディスク3とアジマスリング105との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって、エラストマーバネ1が収容されているレセプタクル5、およびこれに接続する風力タービンのナセル103が制動される。
【0053】
予圧部品17の凹状に湾曲した側面19により、粘弾性効果が利用できるため、エラストマーバネ1は非常に高い荷重を受けることができる。また、円筒状の断面を有するエラストマーバネに比較して、必要な設置スペースおよび材料コストを削減できる。さらに、予圧部品17の凹状に湾曲した側面19により、予圧部品17のエラストマー材料により大きい凹みスペースが形成されるため、エラストマーバネ1の変形率または圧縮の程度が増加する。予圧部品17、ひいてはエラストマーバネ1の圧縮または膨張の程度を調節するには、エラストマー本体2または予圧部品17の軸方向および径方向の寸法、および、予圧部品17の側面19の曲率半径の両方が関係する。
【0054】
図3および
図4を参照すると、上側面13および下側面15におけるディスク14、16および切断ディスク21は、レセプタクル5および円筒状凹部7にそれぞれ周方向に接触することで、エラストマーバネ1を凹部7において中央に位置決めするとともに固定するクランプ部であることが分かる。したがって、クランプ部14、16、21は、バネ方向Fを横断するエラストマーバネ1の最大寸法を決定する。エラストマーバネ1の圧縮時には、クランプ部14、16、21が、凹部7の内面23に沿って摺動する。さらに、エラストマーバネ1の圧縮時に、予圧部品17のエラストマー材料は、凹部7の内面23と側面19との間に生じる凹みスペースにおいて、膨張または凹み得ることが分かる。
【0055】
図8は、本発明によるエラストマーバネ1のさらなる例示的な実施形態を側面図にて示す。
図8に示す実施形態において、エラストマー本体2の上側面13と下側面15とは、各々が凹状の側面19を有する3つの同一形状の予圧部品17により接続している。2つの隣り合う予圧部品17は、切断ディスク21により互いから隔てられている。本発明によるエラストマーバネ1は、エラストマー本体2の上側面13と下側面15との間に、3つを超える予圧部品17または1つの予圧部品17のみを有することも可能である。
【0056】
上述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された特徴は、種々の実施形態における本発明に実現のために、個々においても任意の組み合わせにおいても重要であり得る。
【0057】
1 エラストマーバネ
10 アジマスブレーキ
100 アジマス駆動装置
2 エラストマー本体
3 摺動ディスク
5 レセプタクル
6 レセプタクルの上側面
7 円筒状凹部
8 レセプタクルの下側面
9 ネジ
11 ディスク
12 隙間
13 上側面
14 ディスク
15 下側面
17 予圧部品
19 側面
21 切断ディスク
23 内面
25 凹部底面
101 タワー
103 ナセル
105 アジマスリング
106 ギアホイール
107 電気モータ
108 アジマスリングの上側面
110 アジマスリングの下側面
【国際調査報告】