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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】石英坩堝及び結晶引上げ炉
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/06 20060101AFI20240517BHJP
   C03B 20/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
C30B29/06 502B
C03B20/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576152
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2022120213
(87)【国際公開番号】W WO2023051348
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111162512.4
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522248559
【氏名又は名称】西安奕斯偉材料科技股▲ふん▼有限公司
【住所又は居所原語表記】Room 1-3-029, No.1888 South Xifeng Rd., Hi-Tech Zone Xi’an, Shaanxi 710100, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】衡 鵬
【テーマコード(参考)】
4G014
4G077
【Fターム(参考)】
4G014AH00
4G077AA02
4G077BA04
4G077EG02
4G077HA12
4G077PD01
4G077PD02
4G077PD05
(57)【要約】
本願の実施例は、結晶棒を引き抜くための石英坩堝及び結晶引上げ炉を開示しており、前記石英坩堝は、二酸化シリコン材質で作られた坩堝ベースと、前記坩堝ベースの内面の一部にメッキされたメッキ膜であって、結晶棒の引き抜き過程中に前記坩堝ベースの被メッキ部分における酸素原子の析出を阻止するためのメッキ膜を含み、前記メッキ膜のメッキ面積は、前記坩堝ベースの口部から前記坩堝ベースの底部に至る方向に沿って徐々に減少する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶棒を引き抜くための石英坩堝であって、
二酸化シリコン材質で作られた坩堝ベースと、
前記坩堝ベースの内面の一部にメッキされたメッキ膜であって、結晶棒の引き抜き過程中に前記坩堝ベースの被メッキ部分における酸素原子の析出を阻止するためのメッキ膜とを含み、
前記メッキ膜のメッキ面積は、前記坩堝ベースの口部から前記坩堝ベースの底部に至る方向に沿って徐々に減少する、石英坩堝。
【請求項2】
前記メッキ膜は、互いに離間した複数のメッキ膜ストリップの形で前記坩堝ベースの前記内面に分布される、請求項1に記載の石英坩堝。
【請求項3】
前記複数のメッキ膜ストリップのうち、各々のメッキ膜ストリップは、前記坩堝ベースの口部から前記内面に沿って下向きに前記坩堝ベースの底部まで延在し、各メッキ膜ストリップの幅は、前記坩堝ベースの口部から前記内面に沿って下向きに徐々に減少する、請求項2に記載の石英坩堝。
【請求項4】
前記複数のメッキ膜ストリップのうち、各々のメッキ膜ストリップは環状形状をなし、前記環状形状の中心線は、前記坩堝ベースの回転軸線と重なり合うとともに、前記複数のメッキ膜ストリップのうち、各メッキ膜ストリップの幅は、前記坩堝ベースの前記口部から前記坩堝ベースの前記底部に至る方向に沿って順次に減少する、請求項2に記載の石英坩堝。
【請求項5】
前記メッキ膜は、窒化シリコン膜である、請求項1に記載の石英坩堝。
【請求項6】
結晶棒を引き抜くための石英坩堝であって、
二酸化シリコン材質で作られた坩堝ベースと、
前記坩堝ベースの内面の一部にメッキされたメッキ膜であって、結晶棒の引き抜き過程中に前記坩堝ベースの被メッキ部分における酸素原子の析出を阻止するためのメッキ膜とを含み、
前記メッキ膜は、互いに離間した複数のメッキ膜ストリップの形で前記坩堝ベースの前記内面に分布されるとともに、前記複数のメッキ膜ストリップのうち、各々のメッキ膜ストリップは、前記坩堝ベースの口部から前記内面に沿って下向きに前記坩堝ベースの縦方向の中間位置まで延在する、石英坩堝。
【請求項7】
前記複数のメッキ膜ストリップのうち、少なくとも1つのメッキ膜ストリップの幅は、前記坩堝ベースの前記口部から前記内面に沿って下向きに徐々に減少する、請求項6に記載の石英坩堝。
【請求項8】
請求項1に記載の石英坩堝を含む、結晶引上げ炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年9月30日に中国で出願された中国特許出願第202111162512.4号の優先権を主張し、その内容の全ては、参照により本願に組み込まれる。
本願は、半導体シリコンウェーハ生産の分野に関し、特に、石英坩堝及び結晶引上げ炉に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路等の半導体電子部品の生産に使用されるシリコンウェーハは、主にチョクラルスキー(Czochralski)法で引き抜かれた単結晶シリコン棒をスライスして製造される。チョクラルスキー法は、坩堝部材内のポリシリコンを溶かしてシリコン溶融物を得ることと、単結晶の種結晶をシリコン溶融物内に浸すことと、種結晶を連続的に持ち上げてシリコン溶融物の表面から離れるように移動させることで、移動過程中に相界面で単結晶シリコン棒が成長されるようにすることとを含む。ドーパントが添加されている場合、ポリシリコンの溶かしとともに、ドーパントの溶解も起こされ、単結晶シリコン棒が成長し続けるにつれて、石英坩堝内の溶融物も低下し続け、単結晶シリコン棒の引き抜きが完成すると、石英坩堝内には、少量の溶融物のみが残される。
【0003】
注意すべきなのは、石英坩堝から、高温ではシリコン原子及び酸素原子が発生され、酸素原子は、シリコン溶融物内に溶け込んでシリコン溶融物内のシリコン原子と反応して揮発性二酸化シリコンガスが形成され、結晶引上げ過程が進むにつれて、石英坩堝は、溶融物と反応し続けて薄くなる。しかしながら、単結晶シリコン棒内の酸素含有量は、均一なものではなく、頭部で高くて尾部で低いという傾向があり、このような事態になる理由は、以下の通りである。即ちち、酸素は、偏析係数が約1であるため、固体内と溶融物内とでの分布がほぼ同じとなるが、結晶引上げ過程中に坩堝内の溶融物が低下し続けるにつれて、溶融物と石英坩堝との接触面積が徐々に減少するため、結晶引上げ過程中に石英坩堝の内面から析出された酸素は、均一に溶融物内に分布できなくなり、引き抜かれた単結晶シリコン棒内の酸素濃度も不均一となり、単結晶シリコン棒内の酸素分布に頭部で高くて尾部で低いという状況が生じ、これにより、後続の処理過程におけるシリコンウェーハ内の酸素析出物、いわゆるバルク微小欠陥(Bulk Micro Defect、BMD)の均一性に影響が与えられてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記課題を解決するために、本願の実施例は、単結晶シリコン棒内の酸素濃度分布を促進可能な石英坩堝及び結晶引上げ炉を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の技術案は、次のように実現されている。
【0006】
第一局面において、本願の実施例には、結晶棒を引き抜くための石英坩堝であって、
二酸化シリコン材質で作られた坩堝ベースと、
前記坩堝ベースの内面の一部にメッキされたメッキ膜であって、結晶棒の引き抜き過程中に前記坩堝ベースの被メッキ部分における酸素原子の析出を阻止するためのメッキ膜とを含み、
前記メッキ膜のメッキ面積は、前記坩堝ベースの口部から前記坩堝ベースの底部に至る方向に沿って徐々に減少する、石英坩堝が提供されている。
【0007】
第二局面において、本願の実施例には、第一局面に記載の石英坩堝を含む、結晶引上げ炉が提供されている。
【発明の効果】
【0008】
本願の実施例は、単結晶シリコン棒を生産するための石英坩堝及び結晶引上げ炉を提供しており、当該石英坩堝の内面の一部にメッキ膜を付けることで、当該一部における酸素原子の析出を阻止でき、メッキ膜のメッキ面積が坩堝ベースの口部から坩堝ベースの底部に至る方向に沿って徐々に減少しているため、結晶引上げ過程中に石英坩堝から析出される酸素原子が徐々に増加する。つまり、結晶引上げを開始した際、この時に石英坩堝内の溶融物の量が多くあるが、メッキ膜の存在により、溶融物と石英坩堝との接触面積が従来の石英坩堝よりも減少されるため、最初に引き抜かれた単結晶シリコン棒の頭部部分の酸素含有量も、従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒の頭部部分よりも減少され、結晶引上げ過程が進むにつれて、メッキ膜のメッキ面積が減少されることで、残りの溶融物が段々に石英坩堝に十分に接触可能となるため、引き抜かれた単結晶シリコン棒内の酸素含有量は、従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒内の酸素含有量に近づくようになり、その結果、結晶シリコン棒全体の酸素含有量を均一に分布させるという目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】従来の結晶引上げ炉の一実現形態の模式図である。
図2図1の従来の結晶引上げ炉の別の模式図である。
図3】本願の実施例による石英坩堝の模式図である。
図4】本願の別の実施例による石英坩堝の模式図である。
図5】本願の別の実施例による石英坩堝の模式図である。
図6】本願の実施例による結晶引上げ炉の模式図である。
図7】従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒及び本願の実施例による石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒において、酸素の濃度と単結晶シリコン棒の長さとの間の関係を示した曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例における添付図面を参照して、本願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。
【0011】
図1及び図2を参照して、従来の結晶引上げ炉の一実現形態が示されている。図1に示すように、結晶引上げ炉1は、ケース2で囲まれてなる炉室と、炉室内に設けられた石英坩堝10と、黒鉛ヒータ20と、坩堝回転機構30と、坩堝載置装置40とを含む。石英坩堝10は、坩堝載置装置40によって載置され、坩堝回転機構30は、坩堝載置装置40の下方に位置し、石英坩堝10をその自身の軸線回りに方向Rに沿って回転させるように駆動するためのものである。
【0012】
結晶引上げ炉1を用いて単結晶シリコン棒を引き抜く際、まず、高純度のポリシリコン原料が石英坩堝10内に投入され、坩堝回転機構30により石英坩堝10が方向Rに沿って回転するように駆動されると同時に黒鉛ヒータ20により石英坩堝10が絶え間なく加熱されていくことで、石英坩堝10内に収容されたポリシリコン原料が溶かされて溶融状態とされ、即ち溶融物S2になるように溶かされ、そのうち、加熱温度は、約1000℃超に保され、炉内のガスは、ポリシリコンが溶かされる一方で不要な化学反応が起こされないように、一般的に惰性ガスとされる。黒鉛ヒータ20によるホットゾーンを制御することで、溶融物S2の液面温度が結晶化の臨界点に制御されると、液面の上方に位置する単結晶の種結晶S1を液面から方向Tに沿って上向きに引き上げることで、溶融物S2が単結晶の種結晶S1の引き上げに伴って上昇し、単結晶の種結晶S1の結晶方向に従って単結晶シリコン棒S3が成長される。
【0013】
結晶引上げプロセスが進むにつれて、溶融物S2は段々に減少する。図2に示すように、引き抜き過程が終了して単結晶シリコン棒S3と溶融物S2とが完全に分離されると、石英坩堝10内には、少量の溶融物S2のみが残される。結晶引上げ過程中に溶融物S2が段々に減少するため、溶融物S2と石英坩堝10の接触面積も徐々に減少し、その結果、単結晶シリコン棒S3内の酸素含有量が不均一となり、頭部で高くて尾部で低いという状況が生じる。
【0014】
単結晶シリコン棒S3内の酸素含有量を均一にするために、本願の実施例は、石英坩堝を提案している。具体的に、図3を参照して、本願の実施例は、結晶棒を引き抜くための石英坩堝10’を提供しており、前記石英坩堝10’は、
二酸化シリコン材質で作られた坩堝ベースDEと、
前記坩堝ベースDEの内面の一部にメッキされたメッキ膜であって、結晶棒の引き抜き過程中に前記坩堝ベースDEの被メッキ部分における酸素原子の析出を阻止するためのメッキ膜LAとを含み、
前記メッキ膜LAのメッキ面積は、前記坩堝ベースの口部OPから前記坩堝ベースの底部BOに至る方向に沿って徐々に減少する。
【0015】
上記実施例における石英坩堝10’を用いれば、メッキ膜LAの存在により、溶融物と石英坩堝10’との接触面積が従来の石英坩堝よりも減少されるため、最初に引き抜かれた単結晶シリコン棒の頭部部分の酸素含有量が、従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒の頭部部分よりも減少され、結晶引上げ過程が進むにつれて、メッキ膜LAのメッキ面積が減少されることで、溶融物が段々に石英坩堝10’に十分に接触可能となるため、引き抜かれた単結晶シリコン棒内の酸素含有量は、従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒内の酸素含有量に近づくようになり、その結果、結晶シリコン棒全体の酸素含有量を均一に分布させるという目的が達成される。
【0016】
メッキ膜LAの実現形態について、選択的に、前記メッキ膜LAは、互いに離間した複数のメッキ膜ストリップPTの形で前記坩堝ベースDEの前記内面に分布される。
【0017】
本願の一実施例において、選択的に、図3を参照して、前記複数のメッキ膜ストリップPTのうち、各々のメッキ膜ストリップは、前記坩堝ベースDEの口部OPから前記内面に沿って下向きに前記坩堝ベースDEの底部BOまで延在し、各メッキ膜ストリップの幅は、前記坩堝ベースの口部OPから前記内面に沿って下向きに徐々に減少する。
【0018】
具体的に、図3に示すように、各メッキ膜ストリップは、坩堝ベースの口部での幅Dが坩堝ベースの底部での幅dよりも大きい。
【0019】
本願の別の実施例において、選択的に、図4に示すように、前記複数のメッキ膜ストリップPTのうち、各々のメッキ膜ストリップPTは、前記坩堝ベースDEの口部OPから前記内面に沿って下向きに前記坩堝ベースDEの縦方向の中間位置まで延在している。つまり、図4に示す実施例では、坩堝ベースDEの内面の上半分のみにメッキ膜LAが設けられている。
【0020】
坩堝ベースの内面の上半分のみに設けられたメッキ膜について、選択的に、前記複数のメッキ膜ストリップのうち、少なくとも1つのメッキ膜ストリップの幅は、前記坩堝ベースの前記口部から前記内面に沿って下向きに徐々に減少する。
【0021】
選択的に、図4に示すように、各メッキ膜ストリップPTは、坩堝ベースの口部OPでの幅Dが坩堝ベースDEの中部での幅dよりも大きい。
【0022】
図2図4の実施例では、メッキ膜LAは、坩堝ベースDEの内面上に縦に配置された複数のメッキ膜ストリップの形とされており、メッキ膜ストリップが配置されている位置では、石英坩堝は、溶融物と反応できず、つまり、従来の石英坩堝と比較して、少なくとも溶融物の量が多い場合には、本願の実施例による石英坩堝は、溶融物との接触面積が減少される。したがって、単結晶シリコン棒の頭部引き抜き段階では、酸素濃度が低減される。
【0023】
なお、メッキ膜ストリップの配置は、上記実施例に限定されるものではなく、別の選択的な実施例において、図5を参照して、複数のメッキ膜ストリップPTのうち、各々のメッキ膜ストリップPTは環状形状をなし、前記環状形状の中心線は、前記坩堝ベースの回転軸線と重なり合うとともに、前記複数のメッキ膜ストリップPTのうち、各メッキ膜ストリップの幅は、前記坩堝ベースの前記口部から前記坩堝ベースの前記底部に至る方向に沿って順次に減少する。図5に示すように、坩堝ベースの口部OP付近に位置するメッキ膜ストリップPTの幅Dは、坩堝ベースの中部に位置するメッキ膜ストリップPTの幅dよりも大きい。
【0024】
高密度のバルク微小欠陥(Bulk Micro Defect、BMD)を有するシリコンウェーハを生産するためには、シリコンウェーハに窒素がドープされていることは、非常に有利である。例を挙げると、シリコンウェーハに窒素がドープされている場合、窒素を核とするBMDの形成を促進できるため、BMDが一定の密度に達され、BMDが金属ゲッタリング源として効果的に機能するだけでなく、BMDの密度分布に有利な影響を与えることができ、例えばシリコンウェーハの径方向におけるBMDの密度分布をより均一にすることができる。シリコンウェーハに窒素をドープする一実現形態としては、石英坩堝内のシリコン溶融物に窒素をドープしてもよく、こうすれば、引き抜かれた単結晶シリコン棒及び単結晶シリコン棒から切り出されたシリコンウェーハには、窒素がドープされることになる。
【0025】
上記事情に鑑みて、選択的に、本願の実施例による石英坩堝にメッキされたメッキ膜は、窒化シリコン膜である。これにより、溶融物と坩堝ベースの内面の一部とが直接接触することが阻止されるだけでなく、単結晶シリコン棒への窒素のドープも促進するため、単結晶シリコン棒内の酸素濃度の均一性が更に促進される。
【0026】
従来の石英坩堝と比較して、本願の実施例による石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒は、より均一な酸素濃度を有し、具体的に、図6を参照されたく、同図には、従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒及び本願の実施例による石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒において、単結晶シリコン棒内の酸素の濃度と単結晶シリコン棒の長さとの間の関係の曲線図が示されており、そのうち、実線は、従来の石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒内の状況を表し、破線は、本願の実施例による石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒内の状況を表す。比較すれば分かるように、本願の実施例による石英坩堝を用いて引き抜かれた単結晶シリコン棒内の酸素濃度は、結晶棒の長さが増加しても、明らかな変化が生じず、つまり、全体的に、単結晶シリコン棒の酸素濃度は、比較的均一である。
【0027】
図7を参照して、本願の実施例は、結晶引上げ炉1’を更に提供しており、当該結晶引上げ炉1’は、本願の上記実施例による石英坩堝10’を含む点で、従来の結晶引上げ炉と相違している。
【0028】
説明すべきなのは、本願の実施例に記載の各技術案は、矛盾しない限り、任意に組み合わせ可能である。
【0029】
上記は、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲は、これに限定されず、当業者であれば、本願に開示された技術範囲内で、変化や代替を容易に想到可能であり、これらの変化や代替は、何れも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、添付の特許請求の範囲の保護範囲に準じるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】