(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】清掃装置および清掃システム
(51)【国際特許分類】
A47L 1/02 20060101AFI20240517BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A47L1/02
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576177
(86)(22)【出願日】2022-06-08
(85)【翻訳文提出日】2024-02-01
(86)【国際出願番号】 NZ2022050069
(87)【国際公開番号】W WO2022260538
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523463878
【氏名又は名称】サミット ビルディング ウォッシュ テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】トムリンソン,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】クレイトン,サミュエル
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA31
3B201AB54
3B201BA02
3B201BA03
3B201BA12
3B201BA33
3B201BB21
3B201BB94
(57)【要約】
本発明は、建築物などの構造物、より具体的には、建築物の窓を清掃するための無人清掃装置に関する。無人清掃装置は、キャリッジと、キャリッジに回転可能に取り付けられた清掃要素と、少なくとも1対の支持アームと、少なくとも1対の電動ダクテッドファンと、使用時に、清掃する表面を横切るその水平軸の周りに清掃要素を回転させるように遠隔操作可能なモータと、キャリッジに取り付けられたスプレーブームとを備える。更に、本発明は、上述の無人清掃装置と、可搬型ウインチ部材とを備えた清掃システムを提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の表面を清掃するのに適した無人清掃装置であって、
構造物の表面に対して上下方向に移動されるように構成されたキャリッジと、
前記キャリッジに取り付けられ、使用時に、実質的に水平軸の周りに回転する清掃要素であって、前記表面に接触するように構成された清掃要素と、
前記キャリッジに取り付けられ、前記表面に対して前記無人清掃装置を支持する少なくとも1対の支持部材と、
少なくとも1対の電動ダクテッドファンであって、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記対の電動ダクテッドファンが共に、使用時に、清掃する表面に向かう方向に前記キャリッジに押圧力をもたらし、清掃する表面に対して前記無人清掃装置を安定させる電動ダクテッドファンと、
使用時に、清掃する表面を横切るその水平軸の周りに前記清掃要素を回転させるように遠隔操作可能なモータと、
前記キャリッジに取り付けられ、使用時に、前記清掃要素および清掃する前記構造物の表面に向けて水を噴霧する複数の離間したノズルが設けられたスプレーブームと
を備える、無人清掃装置。
【請求項2】
前記キャリッジの上面に近接して配置された少なくとも1つの吊り下げ部材を更に備え、前記吊り下げ部材は、使用時に、ウインチロープに接続され、前記ウインチロープは、使用時に、必要に応じて前記キャリッジを上方または下方に移動させるウインチに前記無人清掃装置を接続する、請求項1に記載の無人清掃装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記キャリッジに取り付けられた1対のホイールであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の無人清掃装置。
【請求項4】
2対のホイールが前記支持部材である、請求項3に記載の無人清掃装置。
【請求項5】
前記支持部材は、2対のホイールであり、前記ホイールのそれぞれは、前記キャリッジのそれぞれの隅に近接して取り付けられる、請求項3または請求項4に記載の無人清掃装置。
【請求項6】
2対の電動ダクテッドファンが設けられ、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記キャリッジのそれぞれの端部の前記電動ダクテッドファンのそれぞれは、前記清掃要素の前記水平軸の周りに離間して配置される、請求項1~5のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項7】
前記電動ダクテッドファンは、バッテリ駆動であり、任意の外部電源とは独立して動作可能である、請求項6に記載の無人清掃装置。
【請求項8】
前記対の電動ダクテッドファンは、合わせて、前記無人清掃装置の重量の少なくとも5%の総合押圧力をもたらす、請求項1~7のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項9】
前記対の電動ダクテッドファンは、前記無人清掃装置の重量の少なくとも10%の総合押圧力をもたらす、請求項8に記載の無人清掃装置。
【請求項10】
前記清掃要素は、回転可能なブラシである、請求項1~9のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項11】
前記無人清掃装置は、任意の外部電源とは独立して前記清掃要素を駆動するバッテリ駆動モータを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の無人清掃装置と、使用時に、清掃する表面で前記無人清掃装置を上下に昇降するように構成され、使用時に、前記無人清掃装置によって清掃する表面の上方の表面に配置される可搬型ウインチ部材とを備える、清掃システム。
【請求項13】
前記可搬型ウインチ部材は、前記無人清掃装置によって清掃する表面の上方で、屋根の索具、または屋根に取り付けられた昇降装置に接続される、請求項12に記載の清掃システム。
【請求項14】
前記無人清掃装置は、使用時に、清掃する表面で前記無人清掃装置を上下に昇降するように構成され、使用時に、前記無人清掃装置によって清掃する表面の上方の表面に配置される可搬型ウインチ部材を更に備える、請求項12に記載の清掃システム。
【請求項15】
構造物の表面を清掃するのに適した無人清掃装置であって、
構造物の表面に対して上下方向に移動されるように構成されたキャリッジと、
前記キャリッジに回転可能に取り付けられ、使用時に、実質的に水平軸の周りに回転する清掃要素であって、前記表面に接触するように構成された清掃要素と、
前記キャリッジに取り付けられ、前記表面に対して前記無人清掃装置を支持する少なくとも1対の支持部材と、
使用時に、前記構造物の表面を横切る前記キャリッジの移動を支持するように構成されて適合された少なくとも1対の側方部材と、
使用時に、清掃する表面を横切るその水平軸の周りに前記清掃要素を回転させるように遠隔操作可能なモータと、
前記キャリッジに取り付けられ、使用時に、前記清掃要素および清掃する前記構造物の表面に向けて水を噴霧する複数の離間したスプレーノズルが設けられたスプレーブームと
を備える、無人清掃装置。
【請求項16】
前記側方部材のそれぞれは、前記キャリッジから外方に延びる揺動アームを備える、請求項15に記載の無人清掃装置。
【請求項17】
前記揺動アームのそれぞれは、その遠位端に、補助移動部材を備える、請求項16に記載の無人清掃装置。
【請求項18】
前記無人清掃装置は、少なくとも2対の側方部材を備える、請求項15~17のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項19】
前記無人清掃装置は、少なくとも1対の電動ダクテッドファンを更に備え、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記対の電動ダクテッドファンは共に、使用時に、清掃する表面に向かう方向に前記キャリッジに押圧力をもたらし、清掃する表面に対して前記無人清掃装置を安定させる、請求項15~18のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項20】
2対の電動ダクテッドファンが設けられ、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記キャリッジのそれぞれの端部の前記電動ダクテッドファンのそれぞれは、前記清掃要素の前記水平軸の周りに離間して配置される、請求項19に記載の無人清掃装置。
【請求項21】
前記電動ダクテッドファンは、バッテリ駆動であり、任意の外部電源とは独立して動作可能である、請求項19または20に記載の無人清掃装置。
【請求項22】
前記対の電動ダクテッドファンは、前記無人清掃装置の重量の少なくとも5%の総合押圧力をもたらす、請求項19~21のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項23】
前記対の電動ダクテッドファンは、前記無人清掃装置の重量の少なくとも10%の総合押圧力をもたらす、請求項19~22のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項24】
前記無人清掃装置は、任意の外部電源とは独立して前記清掃要素を駆動するバッテリ駆動モータを備える、請求項15~23のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項25】
前記清掃要素は、回転可能なブラシである、請求項15~24のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項26】
前記無人清掃装置は、使用時に、前記構造物の表面に対する前記キャリッジの上下移動を容易にするために前記キャリッジに取り付けられたウインチ部材を更に備える、請求項15~25のいずれか1項に記載の無人清掃装置。
【請求項27】
実質的に、添付の
図1~
図12または
図15~
図21を参照して本明細書に記載される清掃装置。
【請求項28】
実質的に、添付の
図1~
図14を参照して本明細書に記載される清掃システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物などの構造物、より具体的には、建築物の窓を清掃するための清掃装置に関する。特に、この清掃装置は、動作中に、構造物に対して安定するように構成される。また、本発明は、本明細書に記載の清掃装置を組み込んだ清掃システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物、特に都市部の高層建築物、特にそれらの窓は、一般的に清掃が面倒であり、時間がかかる。多くの場合、窓の清掃作業者は、クライミングロープを建築物の屋根アンカに結び付け、このロープを建築物の側面に投げ掛ける。次に、清掃作業者は、クライマ用のハーネスを自分自身に装着し、建築物の構造物を降下する際に、水/石鹸バケツを用いて窓を清掃しながら、建築物の表面を効率的に懸垂下降する。
【0003】
建築物の清掃は、特に風の強い環境にある高層建築物の場合、非常に危険であることがわかっている。
【0004】
従って、特定の清掃場所で持ち上げられ/吊り下げられた人員を使用することなく、比較的平坦な表面、特に、位置が高い、および/または傾斜する、および/または垂直な表面の清掃を可能にする可搬型の建築物清掃装置を提供するか、または少なくとも有用な選択肢を公衆に提供することが目的となる。
【発明の概要】
【0005】
第1の態様において、構造物の表面を清掃するのに適した無人清掃装置が提供され、この無人清掃装置は、
構造物の表面に対して上下方向に移動されるように構成されたキャリッジと、
前記キャリッジに回転可能に取り付けられ、使用時に、実質的に水平軸の周りに回転する清掃要素であって、前記表面に接触するように構成された清掃要素と、
前記キャリッジに取り付けられ、前記表面に対して前記無人清掃装置を支持する少なくとも1対の支持部材と、
少なくとも1対の電動ダクテッドファンであって、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記対の電動ダクテッドファンが共に、使用時に、清掃する表面に向かう方向に前記キャリッジに押圧力をもたらし、清掃する表面に対して前記無人清掃装置を安定させる電動ダクテッドファンと、
使用時に、清掃する表面を横切るその水平軸の周りに前記清掃要素を回転させるように遠隔操作可能なモータと、
前記キャリッジに取り付けられ、使用時に、前記清掃要素および清掃する前記構造物の表面に向けて水を噴霧する複数の離間したスプレーノズルが設けられたスプレーブームとを備える。
【0006】
一態様において、前記無人清掃装置は、前記キャリッジの上面に近接して配置された少なくとも1つの吊り下げ部材を備え、前記吊り下げ部材は、使用時に、ウインチロープに接続され、前記ウインチロープは、使用時に、必要に応じて前記キャリッジを上方または下方に移動させるウインチに前記無人清掃装置を接続する。
【0007】
一態様において、前記支持部材は、前記キャリッジに取り付けられた1対のホイールである。好ましい態様において、2対のホイールが前記支持部材であり、前記ホイールのそれぞれは、前記キャリッジのそれぞれの隅に近接して取り付けられる。
【0008】
一態様において、前記1対のホイールまたは複数対のホイールのそれぞれは、前記清掃要素に対する各ホイールの前後移動を可能にするように構成された調整可能な奥行きトラックに取り付けられる。
【0009】
一態様では、2対の電動ダクテッドファンが設けられ、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記キャリッジのそれぞれの端部の前記電動ダクテッドファンのそれぞれは、前記清掃要素の前記水平軸の周りに離間して配置される。
【0010】
一態様において、前記電動ダクテッドファンは、バッテリ駆動であり、任意の外部電源とは独立して動作可能である。
【0011】
一態様において、前記清掃要素は、回転可能なブラシである。
【0012】
一態様において、前記対の電動ダクトテッドファンは、合わせて、前記無人清掃装置の重量の少なくとも5%、より好ましくは前記無人清掃装置の重量の少なくとも10%の総合押圧力をもたらす。
【0013】
一態様において、前記無人清掃装置は、任意の外部電源とは独立して前記清掃要素を駆動するバッテリ駆動モータを備える。
【0014】
別の態様において、上述のように定義される無人清掃装置と、使用時に、清掃する表面で前記無人清掃装置を上下に昇降するように構成され、使用時に、前記無人清掃装置によって清掃する表面の上方の表面に配置される可搬型ウインチ部材とを備える清掃システムが提供される。
【0015】
一態様において、前記可搬型ウインチ部材は、前記無人清掃装置によって清掃する表面の上方で、屋根の索具、または屋根に取り付けられた昇降装置に接続される。
【0016】
これに代わる態様において、前記可搬型ウインチ部材は、前記無人清掃装置に設けられる。
【0017】
一態様において、前記無人清掃装置は、使用時に、清掃する表面で前記無人清掃装置を上下に昇降するように構成され、使用時に、前記無人清掃装置によって清掃する表面の上方の表面に配置される可搬型ウインチ部材を更に備える。
【0018】
別の態様では、構造物の表面を清掃するのに適した無人清掃装置が提供され、この無人清掃装置は、
構造物の表面に対して上下方向に移動されるように構成されたキャリッジと、
前記キャリッジに回転可能に取り付けられ、使用時に、実質的に水平軸の周りに回転する清掃要素であって、前記表面に接触するように構成された清掃要素と、
前記キャリッジに取り付けられ、前記表面に対して前記無人清掃装置を支持する少なくとも1対の支持部材と、
使用時に、前記構造物の表面を横切る前記キャリッジの側方移動を支持するように構成されて適合された少なくとも1対の側方部材と、
使用時に、清掃する表面を横切るその水平軸の周りに前記清掃要素を回転させるように遠隔操作可能なモータと、
前記キャリッジに取り付けられ、使用時に、前記清掃要素および清掃する前記構造物の表面に向けて水を噴霧する複数の離間したスプレーノズルが設けられたスプレーブームとを備える。
【0019】
一態様において、前記少なくとも1対の側方部材は、前記キャリッジから外方に延びる揺動アームを備える。好ましくは、前記揺動アームのそれぞれが、その遠位端に、補助移動部材を備える。
【0020】
一態様において、前記無人清掃装置は、少なくとも2対の側方部材を備える。
【0021】
一態様において、前記無人清掃装置は、少なくとも1対の電動ダクテッドファンを更に備え、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記対の電動ダクテッドファンは共に、使用時に、清掃する表面に向かう方向に前記キャリッジに押圧力をもたらし、清掃する表面に対して前記無人清掃装置を安定させる。好ましくは、2対の電動ダクテッドファンが設けられ、それぞれの対の前記電動ダクテッドファンが1つずつ、前記キャリッジのそれぞれの端部に配置され、前記キャリッジのそれぞれの端部の前記電動ダクテッドファンのぞれぞれは、前記清掃要素の前記水平軸の周りに離間して配置される。
【0022】
一態様において、前記電動ダクテッドファンは、バッテリ駆動であり、任意の外部電源とは独立して動作可能である。
【0023】
一態様において、前記対の電動ダクテッドファンは、合わせて、前記無人清掃装置の重量の少なくとも5%、より好ましくは前記無人清掃装置の重量の少なくとも10%の総合押圧力をもたらす。
【0024】
一態様において、前記無人清掃装置は、任意の外部電源とは独立して前記清掃要素を駆動するバッテリ駆動モータを備える。
【0025】
一態様において、前記無人清掃装置は、任意の外部電源とは独立して前記清掃要素を駆動するバッテリ駆動モータを備える。
【0026】
一態様において、前記清掃要素は、回転可能なブラシである。
【0027】
一態様において、前記無人清掃装置は、使用時に、前記構造物の表面に対する前記キャリッジの上下移動を容易にするために前記キャリッジに取り付けられたウインチ部材を更に備える。
【0028】
更なる態様および実施の形態は、以下の図面および説明を参照することによって明らかになるはずである。本明細書に示す実施形態は、本発明の特定の実施の形態および態様を例示することを目的として提供されるものであり、決して本発明の限定を意図するものではない。当業者は、必要以上の実験を行うことなく、本明細書の開示および教示を利用して、別の実施の形態、態様、および変形を生成することができる。そのような実施の形態、態様、および変形は、いずれも本発明の一部であるとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、添付の図面を参照し、非限定的な例により、清掃装置について説明する。
【
図6】清掃装置から取り外したキャリッジの概略正面斜視図である。
【
図7】清掃装置から取り外したキャリッジの左側面図である。
【
図8】清掃装置から取り外したキャリッジの右側面図である。
【
図9】清掃装置から取り外したキャリッジの背面図である。
【
図10】給水源に接続された清掃装置の背面斜視写真である。
【
図11】給水源に接続された状態で動作する清掃装置の正面斜視写真である。
【
図12】直立面に対向して地上のウインチシステムから吊り下げられた状態にある清掃装置の側面写真である。
【
図13】本発明の清掃装置と共に使用される可搬型の索具装置の上面斜視図である。
【
図15】側方部材が外方に延在する、清掃装置の別の実施形態の左側面図である。
【
図17】側方部材が内側に引き込まれた状態の
図15の実施形態の左側面図である。
【
図18】側方部材が部分的に外方に延在している状態の
図15の実施形態の上面図である。
【
図19】アクセスポートが開いている状態の
図15の実施形態の左側面図である。
【0030】
図面、特に概略図を考察する場合、図面に示される比率、および要素の特定の位置は、開示する構造や、本明細書に添付の特許請求の範囲についての限定を意図するものではなく、一般的な概念を示すことを意図するものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、特定の清掃位置で持ち上げられるかまたは吊り下げられた人員を使用することなく、比較的平坦な表面、特に位置が高い、および/または傾斜する、および/または垂直な表面の清掃を可能にする、移動可能で可搬型の清掃装置を提供する。
図1および
図2を参照すると、清掃装置1は、通常、少なくとも清掃要素3を保持するフレームまたはキャリッジ2を備え、この清掃要素3は、清掃対象の表面領域と接触する外側端部を有した複数の部材、即ち「剛毛」部材または可撓性ブラッシング部材で構成することが可能であり、使用時には、清掃要素が、モータおよびギアボックスユニット5によって駆動される軸4を中心に回転する。剛毛部材は、自動洗車ブラシのような発泡体から形成してもよい。モータおよびギアボックス5は、操作者の要求に応じ、1方向または複数方向に清掃要素を駆動し、清掃する表面に適した速度で清掃要素を回転させるのに適切な大きさとされる。清掃する表面に対して清掃装置を支持する1対または複数対の支持部材、即ちホイール6,7が設けられる。一方の対のホイール6は、キャリッジの下側の隅に近接して配置され、他方の対のホイール7は、キャリッジの上側の隅に近接して配置される。ホイール6およびホイール7は、清掃要素/ブラシ3の幅より外側でキャリッジに配置されるのが好ましい。各ホイールは、トラック6aおよびトラック7aに取り付けられるのが好ましい。各トラックは、清掃要素および清掃する表面に対し、各ホイールの位置を前方および後方の位置に調整可能にする。このようなホイールの調整機能により、表面に対する清掃要素3の剛毛部材の接触圧力を変化させることが可能となる。乗り越える必要がある表面障害物がある場合、各ホイールの位置の調整機能を自動化するようにしてもよい。この自動化された調整機能は、洗車システムで使用されるものと同様のセンサを使用して実現するようにしてもよい。これに代えて、リモートコントロールを使用し、操作者が調整を行うようにしてもよい。キャリッジの上側には、1つまたは複数の吊り下げ部材、即ちリフティングタブ8が設けられている。キャリッジの下側には、清掃装置1が地面を行き来して移動できるようにする2つ以上のキャスタホイール9が設けられている。
図2に最もよく示されるように、2対の電動ダクテッドファンユニット10,11が、軸4のそれぞれの端部に近接して配置される。ファンのそれぞれの対は、合わせて、使用時に、回転するブラシに向けて前方に、少なくとも5kg、好ましくは8kg、より好ましくは10kgの押圧力をキャリッジにもたらす。清掃装置の全体重量は、約100kgであるのが好ましい。電動ダクテッドファンユニットは、EDF JETFAN-120 eco Ejets + HET 800-68-830 ファンであり、https://www.turbines-rc.comから入手可能である。これらの電動ダクテッドファンは、清掃装置に顕著な安定性をもたらし、比較的高速で清掃装置を構造物上または表面上で操作し、移動させることが可能となる。好ましい実施形態において、ファンは、低電圧(約24~48V)のブラシレスDCモータを使用する。対応する充電式バッテリ電源12,13も、キャリッジ2の後部に設けられ、これらファンや、清掃装置に備えられる可能性のある何らかのウインチ、および警告灯または音響機器など、同様に備えられる可能性のある任意の電子機器に電力を供給する。
図3、
図4、および
図6には、清掃装置の後側に配置された更なる吊り下げ部材14が示されている。この吊り下げ部材14は、ストロップなどを接続することにより、リフティングタブ8と共に3方向吊り下げ構造を提供することが可能となる。
図10および
図12を参照すると、3方向ストロップシステムを使用して清掃装置を持ち上げることができることが分かる。また、
図10および
図11は、軽量のシュラウド15がキャリッジ2を覆い、清掃する表面から離れていくような、清掃装置の後側からの残留水の噴霧を防止することを示している。シュラウドは、炭素繊維などの強靱で軽い材料から形成されるのが好ましい。
図6,7,8,9に示すように、シュラウド15が取り外されると、シュラウドおよび清掃装置の構成要素を支持するキャリッジフレームワーク2が露出する。また、フレームワーク2は、清掃装置に強度および形状を与えるように適合され構成される。フレームワーク2は、清掃装置のシュラウドおよび構成要素を支持するために様々な方法で構成することが可能であり、図示する実施形態は、フレームワーク2を構成する方法の1つにすぎないことを理解されたい。清掃装置1は、可搬型ウインチによって建築物の表面(図示せず)に対して上下に移動され、この可搬型ウインチは、建築物の上部に取り付けられており、リフティングタブ8に接続されたロープまたはケーブル(図示せず)を介して清掃装置に接続されている。ウインチは、可搬型であり、自動巻き取り式であり、長いケーブルを有し、可変速度制御を備えているのが好ましい。ウインチは、清掃する表面に対して相対的に水平な方向に沿った移動を更に制御する屋上索具システムなどの屋上システムに配置してもよい。これに代えて、ウインチを清掃装置上に支持し、清掃装置自体が任意の表面で上または下に昇降できるようにしてもよい。
【0032】
更に、遠隔調整やコンピュータ自動操作を可能にするような、電子的な設置を行うことができる。そのような設置の1つは、位置監視システムであり、このシステムは、指定された表面を行き来している清掃要素の現在位置に関する統計、およびパーセンテージとしての進行状況に関する統計を、遠隔操作者または建築物の所有者に与える。屋上システムは、建築物のインフラストラクチャに統合してもよいし、また、清掃作業用に設置された可搬型の昇降フレームまたは索具フレームであってもよく、ウインチは、利用可能な屋上システムに現場で取り付けられることを理解されたい。このようにして、屋上システムにより、建築物の表面を行き来する清掃装置の水平方向の動きを支持および制御しながら、屋上システムおよびウインチを使用して、清掃装置1の上下移動を制御することが可能となる。
【0033】
本発明の清掃装置と共に使用するのに適した可搬型の索具システム30が、
図13および
図14に示されている。ブーム31は、当該ブームのそれぞれの端部に近接する1対のホイール付きフレーム部材32,33に支持される。ブーム31は、取付板34を備えており、この取付板34にウインチ(図示せず)が取り付けられ、使用時に、ウインチケーブルによって建築物を上下するように清掃装置をウインチ操作することができる。使用時に、建築物の清掃する表面から最も離れた位置にあるフレーム部材32は、一連のカウンタウエイトなどのカウンタウエイト部材35を備え、清掃装置の重量に対し、ある程度の釣り合いをもたらす。また、フレーム部材32は、ウインチに電力を供給するための電源ボックス36も備えている。建築物の側面に沿って延在するように構成されたブームの端部を支持するフレーム部材33は、ウインチケーブルが通るプーリ37も支持する。ブームの最も離れた端部は、更なるプーリ38を備え、ウインチケーブルが、清掃装置へと降下する際に、このプーリ38において屈曲する。好ましくは、可搬型の索具システムは、モジュール式で、組み立ておよび分解が容易であるのが好ましい。可搬型の索具システムは、2メートルを超える長さの構成要素がないようにすることで、建築物の既存の昇降システムを使用し、構成要素を屋上の設置場所に搬送できるようにするのがより好ましい。
【0034】
使用時に、清掃要素を時計回りおよび反時計回りのいずれに回転させるかは、完全に任意である。例えば、清掃要素の左側から見た場合、清掃する表面で清掃装置が引き上げられているときに、清掃要素が時計回り方向に回転し、清掃する表面で清掃装置が下降するときに、清掃要素が反時計回り方向に回転することが好ましい場合がある。本発明の清掃装置の利点の1つは、初期の試験において、他の清掃方法よりも50%も速く建築物の表面を清掃できることが示されたことである。このような効果は、清掃装置が比較的軽量(約100kg)であり、電動ダクテッドファンによって与えられる押圧力によって、ビルシステムの全体にわたって迅速かつ効率的に移動できることによるものである。これらのファンは、清掃装置に顕著な安定性をもたらし、比較的高速で構造物または表面を行き来して清掃装置を動作させ、移動させることを可能とする。好ましい実施形態において、ファンは、低電圧(約24~48V)のブラシレスDCモータを使用する。ファンは、清掃する表面に向けて垂直方向に作用することにより、十分な押圧力をもたらして安定性を改善する。このシステムの大きな利点は、清掃する表面に清掃ブラシを接触させ続けるのに必要な力を清掃装置が自給するので、清掃する表面への清掃ブラシの接触を制御して維持するために地面まで延びるロープや配線を必要としないことである。
【0035】
清掃装置の構成要素は、強度、軽量化、耐久性などの面を考慮し、構造上の必要性に基づいた材料で構成される。金属、特にアルミニウム、ステンレス鋼、ポリマ材料、複合材料、セラミックスなどの一般的な構造材料を選択することができる。
【0036】
通常、ほとんどの窓清掃は、流体、特に水を塗布して、または水の塗布を併用して行われるので、上述した清掃装置は、流体移送システムを必要とする。噴霧洗浄システム、ブラシ洗浄システム、ローラアプリケータ/スクラブシステム、布地アプリケータ、布片アプリケータ、およびこれらの組み合わせは、いずれも、表面の汚れの除去を促進するために、そして何らかの物理的要素と清掃する表面との間の摩擦を最小限にして、摩耗および引っ掻きを低減するために、水を使用する。流体は、水、処理水(例えば、脱塩水、脱イオン水、化学的処理水)、またはそれ以外の水性系(界面活性剤、水と共に残るが、疎水性および親油性物質を溶解または軟化させるための両親媒性物質)、およびその他の一般的な清掃流体(アンモニア、酢など)とすることができる。好ましい実施形態では、ホース16(
図10、
図11、および
図12に示す)をキャリッジに接続し、
図1、
図2、および
図11に最もよく示されるような、清掃要素の上方のキャリッジの上部フレームに沿って配置された一連の離間したスプレーヘッドまたはノズル40を介して水を供給し、ノズルまたはスプレーヘッドが、回転するブラシおよび清掃する表面に水を噴霧する。ホースは、クイックリリース(プッシュオンおよびロック)の接続によって清掃装置に接続されるが、ねじ込み式ホース接続などといった別の接続も考えられる。ホースは、地面で、水を汲み上げるために使用するポンプ(電動または燃料式)に接続することが可能であり、あるいは、清掃する構造物の上部から接続することが可能である。これに代えて、水圧送機または水ブラスタを使用し、清掃装置のノズルまたはスプレーヘッドを介して水を押し出すようにしてもよい。清掃する表面に対して液体を塗布するには、多くの方法があることを理解されたい。アプリケータは、当業者が十分に理解しているように、スプレー装置、ジェットスプレー、噴出スプレー、ローラブラシ、往復運動を伴う布地シート、水および空気ジェット、スクイージシステムなどであってもよい。大がかりな圧力システムを必要とすることなく、適切に液体を塗布できることが好ましい。
【0037】
清掃装置の実験的試行の際、清掃装置の設置が容易であり、直立した表面を清掃するための装置の展開が容易であり、建築物の外側表面を比較的迅速かつ容易に清掃可能であることから、システムの設置、および建築物の清掃に多くの工数を節約できることが、使用者によって確認された。工数の削減は、従来のシステムよりも良好な費用効率で建築物を清掃できることを意味する。更に、使用者は、清掃装置が、強風(15~25ノット)においても特に安定していることを確認した。強風の場合、通常、窓の清掃は行われない。この電動ダクテッドファン安定化システムの利点は、清掃する表面に対して清掃装置を保持するために、重量のあるカウンタウエイトシステムや、地面からキャリッジまで延びるロープを必要しないことである。また、清掃装置の軽量性は、高価な足場や余分な人員を必要とすることなく、ベランダまたは天蓋屋根から設置することが容易であることを意味する。
【0038】
本明細書に記載する清掃システムを使用することにより、建築物からの人員の吊り下げを必要とすることなく、オフィスビル、ホテル、病院の外側垂直面などの比較的平坦な表面を清掃するための清掃システムを提供することができる。
【0039】
清掃する表面は、一般的に、ガラス、またはコーティングされたガラス(例えば、耐摩耗性コーティング、光フィルタリングコーティング、強化された清掃可能面などを有した表面)として特に構成されるが、比較的平坦な表面を有した構造物であれば、適切に清掃することができる。実際の清掃は、表面からの汚れ、膜、粒子、ごみ、固着物、堆積物などの除去を支援するために、清掃要素または剛毛部材から十分な力を加えながら、表面に洗浄液を塗布することによって行われる。ガラスが、清掃する主な表面となるが、コンクリート、モルタル、れんが、石、金属、木材、複合材料などの任意の表面材料も清掃する場合がある。多孔性または吸収性の高い表面の場合には、ジェットスプレーが特に望ましい場合がある。好ましい塗布システムには、ブラシ塗布、スポンジ塗布、ストリップ塗布、フォームフィンガ塗布、シート塗布などが含まれ、物理的要素が、洗浄液(水のみであってもよい)の存在下で、清掃する表面に対し、摩擦作用などの物理的な力を及ぼす。
【0040】
上述した清掃装置、ウインチ、ならびに任意の電力ケーブルおよびホースを備えた清掃システムは、複数の建築物へ、そして複数の建築物から容易に移送可能であることがわかる。この清掃システムは、作業者を建築物の構造物から吊り下げる必要なく、多くの建築物で容易に使用可能な可搬型建築物清掃システムを提供する。従って、開示する清掃システムは、作業者を建築物から吊り下げる必要があるいずれの清掃システムにも勝る、健康上および安全上の顕著な利点を提供する。
別の形様において、本発明は、独立した移動可能な可搬型の清掃装置を提供し、この清掃装置は、特定の清掃場所で持ち上げられるかまたは吊り下げられた人員を使用することなく、比較的平坦な表面、特に、位置が高い、および/または傾斜する、および/または垂直な表面の清掃を可能にする。
【0041】
図15~
図21を参照すると、清掃装置101の第2の実施形態が示されている。この清掃装置は、少なくとも1つの清掃要素103を保持するキャリッジ、即ちフレームワーク102(清掃装置の重量を最小限に抑えるために、骨組みのフレームワークであるのが好ましい)を備えており、清掃要素103は、清掃の対象となる表面領域に接触する外側端部を有した複数の部材、即ち「剛毛」部材または可撓性ブラッシング部材125で構成することが可能であり、使用時に、少なくとも1つのモータまたはギアボックスユニット105によって駆動される軸104の周りを回転する。
図20に示す実施形態において、清掃装置は、2つのモータまたはギアボックスユニット105,105aを備える。図示の実施形態において、モータギアボックスユニット105,105aは、軸104のそれぞれの端部に近接して配置される。モータまたはギアボックスユニットは、カバー(図示せず)によって保護するようにしてもよい。剛毛部材125は、自動洗車ブラシのような発泡体で形成してもよい。モータギアボックスは、操作者の要求に応じ、1方向または複数方向に清掃要素を駆動し、清掃する表面に適した速度で清掃要素を回転させるのに適切な大きさとされる。軸104は、1つまたは複数のモータもしくはギアボックスユニットによって駆動するようにしてもよく、図示する実施形態は、軸104を駆動する方法の1つにすぎないことを理解されたい。清掃する表面に対して清掃装置を支持する1対または複数対の支持部材、即ちホイール106,107が設けられる。一方の対のホイール106は、キャリッジの下側の隅に近接して配置され、他方の対のホイール107は、キャリッジの上側の隅に近接して配置される。ホイール106,107は、清掃要素/ブラシの幅より外側でキャリッジに配置されるのが好ましい。各ホイール106,107は、トラック106a,107aに取り付けられるのが好ましい。各トラックは、清掃要素および清掃する表面に対し、ホイールの位置を前方および後方の位置に調整可能にする。このようなホイールの調整機能により、表面に対する清掃要素の剛毛部材125の接触圧力を変化させることが可能となる。乗り越える必要がある表面障害物がある場合、各ホイールの位置の調整機能を自動化するようにしてもよい。この自動化された調整機能は、洗車システムで使用されるものと同様のセンサを使用して実現するようにしてもよい。これに代えて、遠隔制御装置を使用し、操作者が調整を行うようにしてもよい。ホイール106,107は、それぞれ、部分キャビティ112内に取り付けられるのが好ましく(
図19に示す)、この場合、それぞれの部分キャビティ112は、ホイールと相補的な形状となっている。キャリッジの下側には、清掃装置101が地面を行き来して移動できるようにする2つ以上のキャスタホイール110a,122が設けられている。キャスタホイール110aは、清掃装置101に直接取り付けられてもよいし、また、脚部110を介して清掃装置に取り付けられてもよい。キャスタホイールは、手動で作動する制動機構110bを備えていてもよい。1対または複数対の側方部材108,109が設けられている。側方部材は、キャリッジの両端部に取り付けられる。側方部材は、相補的なキャビティ108b,109b内でキャリッジに取り付けるようにしてもよい。それぞれの側方部材は、キャリッジから外方に延びる揺動アームを備えるのが好ましい。図示する実施形態において、それぞれの揺動アームは、その遠位端に、補助移動部材108a,109aを備える。それぞれの補助移動部材は、
図19に示すように、ホイールなどのローラ部材であってもよい。
【0042】
清掃装置は、清掃要素と清掃する表面とに対する側方部材の位置を選択的に調整するためのアクチュエータ(回転アクチュエータなど)(図示せず)を更に備えていてもよい。窓枠または窓棚などといった乗り越える必要がある表面障害物がある場合、アクチュエータによる各側方部材の位置の調整機能を自動化するようにしてもよい。例えば、側方部材は、窓枠などの障害物を越えて延びるようにして、側方部材が障害物を越えて延びる際に、清掃する表面から清掃装置を押し離すようにしてもよい。アームは、機器が表面を横切って移動することができるように、または装置が障害物をよけるように案内するまで、外側に延びたままにしてもよい。アクチュエータによる各側方部材の位置の調整機能は、洗車システムで使用されるものと同様のセンサを使用して自動化してもよい。これに代えて、リモートコントロールまたは押しボタンを使用し、操作者がアクチュエータを制御するようにしてもよい。一実施形態において、アクチュエータは、右側の側方部材とは独立して左側の側方部材の位置を制御するようにしてもよいし、その逆もまた同様である。キャリッジから外方に完全に伸長した状態と、側方部材を収容可能な相補的なキャビティに向けて内方に引き込まれた状態との間で、側方部材が複数の中間位置となることを理解されたい。
【0043】
本実施形態は、軸104のそれぞれの端部の周辺に配置された2対の電動ダクテッドファンユニット113,114を更に備えていてもよい。ファンのそれぞれの対は、合わせて、使用時に、回転するブラシに向けて前方に、少なくとも5kg、好ましくは8kg、より好ましくは10kgの押圧力をキャリッジにもたらす。清掃装置の全体重量は、約100kgであるのが好ましい。ダクテッドファンユニットは、EDF JETFAN-120 eco Ejets + HET 800-68-830 ファンであり、https://www.turbines-rc.comから入手可能である。これらの電動ダクテッドファンは、清掃装置に顕著な安定性をもたらし、比較的高速で清掃装置を構造物上または表面上で操作し、移動させることが可能となる。好ましい実施形態において、ファンは、低電圧(約24~48V)のブラシレスDCモータを使用する。
【0044】
使用時には、清掃装置に取り付けられたウインチ111により、建築物の表面(図示せず)に対し、装置を上下に移動するようにしてもよい。この実施形態におけるウインチ111は、清掃装置に支持または取り付けられており、清掃装置自体が任意の表面を昇降できるようになっている。この実施形態において、清掃装置は、ウインチに独立して電力を供給する電源ボックス115(
図21に示す)も備えている。
【0045】
ウインチは、自動巻き取り式であるのが好ましく、長いロープまたはケーブルを有し、可変速度制御を備える。ウインチは、支持システム、好ましくは屋上支持システム(図示せず)に接続するようにしてもよい。屋上システムは、建築物のインフラストラクチャに統合してもよいし、また、清掃作業用に設置された可搬型の昇降フレームまたは索具フレームであってもよいことを理解されたい。このようにして、ウインチシステムは、清掃する表面を行き来する清掃装置101の上下方向および横方向の動きを制御および支持するために使用することができる。
【0046】
この実施形態において、ウインチ111は、清掃装置の後部に近接するキャリッジ、即ち骨組み102に取り付けられている。ウインチは、清掃装置の他の場所に取り付けられてもよいことを理解されたい。骨組み102には、プーリ120が取り付けられている。使用時には、ロープなどの吊り下げ部材(図示せず)を、ウインチ111からプーリ120を通して屋上まで延在させることができる。ウインチ111は、アクセスポート116を介して作業可能である。アクセスポート116は、複数のヒンジ118によってヒンジ連結され、その開閉が可能となっている。アクセスポート116は、プーリに向けて上方に開き、プーリから離れる方向に向けて下方に閉じる。アクセスポート116は、アクセスポートが開放状態にあるときに、プーリ120をアクセスポートから突出可能にする開口部119を備える。清掃装置101は、可搬型の索具システムからのケーブルまたはロープなどの支持部材(図示せず)を取り付け可能なリフティングタブ121を備えていてもよい。
【0047】
通常、ほとんどの窓清掃は、流体、特に水を塗布して、または水の塗布を併用して行われるので、上述した清掃装置は、流体移送システムを必要とする。噴霧洗浄システム、ブラシ洗浄システム、ローラアプリケータ/スクラブシステム、布地アプリケータ、布片アプリケータ、およびこれらの組み合わせは、いずれも、表面の汚れの除去を促進するために、および何らかの物理的要素と清掃する表面との間の摩擦を最小限にして、摩耗および引っ掻きを低減するために、水を使用する。流体は、水、処理水(例えば、脱塩水、脱イオン水、化学的処理水)、またはそれ以外の水性系(界面活性剤、水と共に残るが、疎水性および親油性物質を溶解または軟化させるための両親媒性物質)、およびその他の一般的な清掃流体(アンモニア、酢など)とすることができる。好ましい実施形態では、ホース(図示せず)をキャリッジに接続し、
図20に最もよく示すように清掃要素の上方のキャリッジの上部フレームに沿って配置された一連の離間したスプレーヘッドまたはノズル126を介して水を供給し、ノズルまたはスプレーヘッドが、回転するブラシおよび清掃する表面に水を噴霧する。ホースは、クイックリリース(プッシュオンおよびロック)の接続によって清掃装置に接続されるが、ねじ込み式ホース接続などといった別の接続も考えられる。ホースは、地面で、水を汲み上げるために使用するポンプ(電動または燃料式)に接続することが可能であり、あるいは、ホースは、清掃する構造物の上部から接続することが可能である。これに代えて、水圧送機または水ブラスタを使用し、清掃装置のノズルまたはスプレーヘッドを介して水を押し出すようにしてもよい。清掃する表面に対して液体を塗布するには多くの方法があることを理解されたい。アプリケータは、当業者が十分に理解しているように、スプレー装置、ジェットスプレー、噴出スプレー、ローラブラシ、往復運動を伴う布地シート、水および空気ジェット、スクイージシステムなどであってもよい。大がかりな圧力システムを必要とすることなく、適切に液体を塗布できることが好ましい。
【0048】
また、キャリッジ、即ち骨組み102は、清掃装置に強度および形状を与えるように適合され構成される。骨組みは、重量を最小限に抑えるために、ハニカム格子状に構成されるのが好ましい。キャリッジ102は、清掃装置の骨組みおよび構成要素を支持するために様々な方法で構成することが可能であり、図示する実施形態は、骨組み102を構成する方法の1つにすぎないことを理解されたい。
【0049】
以上、本発明およびその実施形態について詳細に説明した。但し、本発明の範囲は、本明細書に記載する本発明の特定の実施形態に限定されるものではない。本発明の意図および/または本質的な特徴から逸脱することなく、開示する構成要素に様々な修正、置換、および変形を行うことができる。従って、当業者であれば、本明細書に記載する実施形態と実質的に同じ機能を発揮するか、または実質的に同じ結果を達成するような、後の修正、置換、および/または変形が、本発明の関連する実施形態に従って適用できることを、本開示から容易に理解するはずである。従って、添付の特許請求の範囲は、本明細書に開示する本発明の実施形態に対する修正、置換、および変形を、それらの範囲内に包含することを意図するものである。
【国際調査報告】