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特表2024-520857PCR分析のための流体検出および制御アルゴリズム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】PCR分析のための流体検出および制御アルゴリズム
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240517BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240517BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576369
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2021055645
(87)【国際公開番号】W WO2022086987
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】63/093,640
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520225875
【氏名又は名称】フォーミュラトリックス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Formulatrix, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ラズマス リンドブロム
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ニルソン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS36
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
RT-qPCRシステム上のチップの流体チャネル内の光検出領域を通って移動する流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のためのシステムおよび方法に関する様々な実施形態が開示される。実施形態は、チップおよびチップを受け入れるためのカートリッジを有し、さらに位置制御のためにチップの膜と相互作用するための機械的器具を有するRT-qPCRシステム内に開示される。さらに、例示的な実施形態は、チップ内の流体チャネルの光検出領域内における光検出と同様に、流体チャネル内における流体の静電容量式検出のためのシステムおよび方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体チャネル内の光検出領域を通って移動する流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のためのシステムであって、
機械的器具と、
チップであって、
(i)前記機械的器具が前記流体ボリュームの移動を制御する流体チャネルと、
(ii)光検出領域と、
を含む前記チップと、
1つ以上の独立した加熱ブロックであって、前記流体チャネルが1つ以上の独立した前記加熱ブロックに近接するように、前記チップが少なくとも部分的に1つ以上の独立した前記加熱ブロック上に配置されている前記加熱ブロックと、
光学検出ユニットであって、
(i)発光素子と、
(ii)光検出器と、
(iii)前記チップの前記光検出領域における分析を行うための処理ユニットとを備える前記光学検出ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記機械的器具がオーバーヘッドドラムであり、該オーバーヘッドドラムが流体制御のために前記チップのゴム膜にピンを押圧するように配置されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記機械的器具、前記チップおよび前記光学検出ユニットを収納するハウジングをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記チップが、前記光検出領域内にボクセルをさらに備える請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記処理ユニットに構成されたモータをさらに備え、該モータが前記機械的器具を制御し、該機械的器具が前記チップの前記流体チャネルを通した流体制御を行う請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理ユニットが、時間および前記モータのモータ位置を記録するタイマをさらに備える請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記発光素子が、前記チップの前記光検出領域に光を透過させ、前記光検出器が、前記チップの前記流体チャネルの前記光検出領域内の流体からの蛍光色素(FAM、HEX、ROX、JOE、TAMRA)を検出するように装備されている請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体チャネル上の高温領域(95℃~98℃)と、前記流体チャネル上の低温領域(55℃~60℃)とをさらに備え、前記高温領域が1つ以上の前記加熱ブロックの内の1つの上にあり、前記低温領域が前記1つ以上の前記加熱ブロックの異なる前記加熱ブロックの上にある請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記光学検出ユニットが、単一のPCBボード上にある請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
3つの発光ダイオードと2つのデュアルバンドフィルタとをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記チップ上の静電容量式検出領域と、試料の存在を検出し、前記処理ユニットと電気的に通信するように構成された静電容量式検出アレイとをさらに備える請求項1記載のシステム。
【請求項12】
流体チャネル内の光検出領域を通って移動する流体ボリュームを検出し、位置制御をリアルタイム調整する方法であって、
蛍光マーカを有する試料を準備することと、
該試料を受容するためのチップであって、前記試料が流れるための流体チャネルと、該流体チャネルへの光透過を可能にする光検出領域とを有する前記チップを構成することと、
該チップに前記試料を適用することと、
光学検出ユニットを起動させることであって、1つ以上のLEDを点灯させ、光検出ダイオードを起動させるように構成されることと、
前記チップを2つの加熱アレイに適用することと、
機械的器具を起動して、前記チップの領域を押圧することであって、押圧された該領域が、前記試料を含む前記チップ内の流体を、前記流体チャネルに沿って、2つの前記加熱アレイを横切って移動させることと、
前記光学検出ユニットによって、前記光検出領域内の前記試料の存在および前記試料の信号出力を検出することと、
少なくとも前記信号出力に基づいて、前記機械的器具の少なくとも開始および/または停止を調整する動作制御スクリプトを調整することとを含む方法。
【請求項13】
前記試料を受け取るように前記チップを構成することが、さらに、
(i)該チップの表面上のゴム膜、(ii)複数の前記流体チャネル、(iii)高温流体チャネル領域、(iv)低温流体チャネル領域、および(v)1つ以上の静電容量式検出領域を有する前記チップを構成する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記チップを静電容量式液体検出アレイに適用することをさらに含み、該静電容量式液体検出アレイが、前記チップ上の前記流体チャネルの特定領域における前記流体の存在を検出するために静電容量の変化を測定する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記動作制御スクリプトを調整することが、前記機械的器具の少なくとも速度および/または加速度をさらに調整する請求項12に記載の方法。
【請求項16】
流体チャネル内を移動する流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のための方法であって、
核酸化合物を引き寄せる磁気ビーズを用いて試料を調製することと、
前記試料を受け入れるチップであって、前記試料が流れるための流体チャネルを有し、該流体チャネルが2つの別個の加熱アレイを横切る前記チップを構成することと、
前記試料を前記チップに適用することと、
前記チップの前記流体チャネルの部分に沿って静電容量式アレイを適用することと、
機械的器具を始動させて、前記チップの領域を押圧し、押圧された該領域が、前記試料を含む前記チップ内の流体を、前記流体チャネルに沿って、かつ2つの別個の前記加熱アレイを横切って移動させることと、
静電容量式センサによって、前記静電容量式アレイにおける前記流体チャネルの静電容量変化を検出することとを含む方法。
【請求項17】
前記静電容量式アレイからの少なくとも信号出力に基づいて、動作制御スクリプトを調整することをさらに含み、前記動作制御スクリプトが、ピンを前記チップの前記領域に押圧する前記機械的器具の速度および/または加速度を調整する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記静電容量式センサによって、前記静電容量変化を検出することが、前記静電容量式アレイの特定領域における前記流体チャネル内の前記試料の存在を示す請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記試料を蛍光マーカで調製することをさらに含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
光学検出ユニットを始動させることをさらに含み、
前記光学検出ユニットの始動が、1つ以上のLEDを発光させ、光検出ダイオードを作動させるように構成される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記流体チャネル上の高温領域(95℃から98℃)および前記流体チャネル上の低温領域(55℃から60℃)を開始することをさらに含み、前記高温領域が第1の加熱ブロックであり、前記低温領域が第2の加熱ブロックである請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2020年10月19日に出願され、「Point of Collection qPCR System」と題された米国仮特許出願第63/093,640号のPCT第8条に基づく優先権の利益を主張する。本出願はまた、全て2021年10月19日に同時出願され、同一の出願人であるFormulatrix, Inc.が記載されている「Method and Apparatus for Controlling Fluid Volumes to Achieve Separation and PCR Amplification」、「Disposable Cartridge for Reagent Storage and Methods Using Same」および「Apparatuses with Fluidic Channel Geometries for Sample to Answer PCR Analysis and Methods of Using Same」と題されたPCT出願、並びに、「Fluidic Channel Geometries of a Chip」と題された米国意匠出願第29/812,034号に関連する。上記出願の内容は全て、参照により、その全体が本明細書に完全に記載されているように組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、システムおよび方法、すなわち、試料の光学的および電気的検出を通したqPCR処理および分析の機能性を改善するためのPCRシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(リアルタイムPCR)は、定量的PCRまたは(qPCR)としても知られ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)手順の最後ではなく、定量的分析に使用することができる、リアルタイム中に標的DNAの増幅をモニタする技術である。PCR産物をリアルタイムで検出する一般的な方法は2つある。1つはDNAにインターカレートする非特異的蛍光色素で、もう1つは蛍光レポータで標識されたオリゴヌクレオチドからなる配列特異的DNAプローブであり、プローブとその相補的配列とのハイブリダイゼーション後にのみ検出が可能となる。
【0004】
逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)は、RNAのDNAへの逆転写、相補的DNA(cDNAとしても知られている。)、および特定のDNA標的の増幅を組み合わせる技術である。RT-PCRとqPCRを組み合わせること(RT-qPCR)により、技術者は、遺伝子発現およびウイルスRNAの定量を分析することができる。
【0005】
歴史的に、RT-qPCRを実施するプロセスには、高度で高価な装置とともに熟練した技術者が必要であった。本明細書の開示は、定量分析の能力を向上させる機械的、計算的、および生物学的機能性を追加することにより、RT-qPCRを実施するための実験室技術のシステムおよび方法に対する改良を提供する。さらに、エラーチェック、流体検出、および追跡のシステムおよび方法は、試料速度および試料の完全性とともに、エラー検出、追跡、およびモータ機能を制御することにより、消耗品チップ分析における改善を可能にする。
【発明の概要】
【0006】
本明細書では、流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のためのシステムおよび方法が開示される。流体ボリュームは、RT-qPCRのためのサイクリングが実行される、膜を有するチップ内に配置され得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、例えば、流体チャネル内の光検出領域を通って移動する流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のためのシステムが開示される。このシステムは、機械的器具を含む。さらに、流体チャネルを構成するチップを備え、機械的器具が流体ボリュームの動きを制御するように構成されている。最後に、チップは、ボクセルを含むことができる光検出領域をさらに備える。システムは、1つ以上の独立した加熱ブロックをさらに備える。チップは、流体チャネルが1つ以上の独立した加熱ブロックに近接するように、少なくとも部分的に1つ以上の独立した加熱ブロック上に配置される。さらに、本システムは、光学発光素子と、時には、デュアルバンドフィルタを備えた3つの発光ダイオードとを備える光学検出ユニットを備える。システムの光学検出ユニットは、複数の検出ダイオードであってもよい光検出器と、チップの光検出領域に対して分析を実行するための処理ユニットとをさらに備える。
【0008】
他の実施形態において、流体チャネル内の光検出領域を通って移動する流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のための方法が開示される。この方法は、蛍光マーカを有する試料を準備することを含む。次に、試料を受け取るためのチップを構成し、チップは、試料が流れるための流体チャネルと、流体チャネルへの光透過を可能にする光検出領域とを有する。次に、試料をチップに適用し、チップを2つの加熱アレイに適用する。その後、光学検出ユニットを起動させる。光学検出ユニットを起動させることは、1つ以上のLEDを点灯させ、光学検出ダイオードを起動させるように構成される。次に、機械的器具を作動させてチップの領域を押し下げ、押し下げられた領域が、試料を含むチップ内の流体を流体チャネルに沿って移動させ、2つの加熱アレイを横切らせる。次に、光学検出ユニットによって、光検出領域内の試料の存在および信号出力を検出する。次いで、この方法は、少なくともその信号出力に基づいて動作制御スクリプトを調整し、動作制御スクリプトは、少なくとも機械的器具の開始および/または停止を調整する。
【0009】
他の実施形態において、流体チャネル内を移動する流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のための方法が開示される。この方法は、核酸化合物を引き寄せる磁気ビーズを用いて試料を調製することを含む。次に、試料を受け入れるチップを構成し、チップは試料が流れる流体チャネルを有し、流体チャネルは2つの別々の加熱アレイを横切る。次に、試料をチップに適用し、チップの流体チャネルの、静電容量式検出領域としても知られる部分に沿って静電容量式アレイを適用する。次に、機械的器具を始動させてチップの領域を押し下げ、押し下げられた領域が、試料を含むチップ内の流体を流体チャネルに沿って移動させ、2つの別個の加熱アレイを横切らせる。次いで、本方法は、静電容量式検出領域内の静電容量式センサによって、静電容量式アレイにおける流体チャネルの静電容量式変化を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することによってより良く理解され得る。図面の構成部材は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本開示の原理を明確に例示することに重点が置かれている。さらに、図面において、同様の参照数字は、複数の図を通して対応する部分を指定する。
【0011】
図1】RT-qPCR分析のための流体RT-qPCRシステムの例示的な実施形態の説明図である。
図2】流体RT-qPCRシステムのための、図1のハウジングを除去した例示的な実施形態の説明図である。
図3】光学検出ユニットの例示的な実施形態の説明図である。
図4A】流体チャネルの光検出領域を通って移動する試料の例示的な実施形態の説明図であり、ここで、アナログ/デジタル(ADC)カウントは位置を反映する。
図4B】流体チャネルの光検出領域を通って移動する試料の例示的な実施形態の説明図であり、ここで、アナログ/デジタル(ADC)カウントは位置を反映する。
図4C】流体チャネルの光検出領域を通って移動する試料の例示的な実施形態の説明図であり、ここで、アナログ/デジタル(ADC)カウントは位置を反映する。
図4D】流体チャネルの光検出領域を通って移動する試料の例示的な実施形態の説明図であり、ここで、アナログ/デジタル(ADC)カウントは位置を反映する。
図4E】流体チャネルの光検出領域を通って移動する試料の例示的な実施形態の説明図であり、ここで、アナログ/デジタル(ADC)カウントは位置を反映する。
図5】チップの例示的な実施形態の説明図である。
図6】チップとともに使用するための静電容量式検出アレイの例示的な実施形態の説明図である。
図7】試料が静電容量式検出アレイ上の流体チャネルを通って移動するときに検出されるファラドの例示的な実施形態のチャートである。
図8】静電容量式信号を表す例示的な実施形態のチャートである。
図9】従来のサイクリングのRT-qPCR増幅時間の例示的な実施形態のチャートである。
図10】RT-qPCR増幅の時間の改善における本明細書で開示される機能性の例示的な実施形態のチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付の図を参照する。図において、同様の記号は、文脈上別段の指示がない限り、典型的には同様の構成部材を識別する。詳細な説明、図および特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定を意味するものではない。本明細書に提示された主題の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を加えることができる。本開示の態様は、本明細書で一般的に説明され、図に示されるように、多種多様な異なる構成で配置され、置換され、組み合わされ、分離され、設計されることができ、その全てが本明細書で明示的に企図されることが容易に理解されるであろう。
【0013】
「X、Y、またはZのうちの少なくとも1つ」という語句のような接続詞的な表現は、特に別段の記載がない限り、項目、用語などが、X、Y、またはZのいずれか、またはそれらの任意の組み合わせ(例えば、X、Y、および/またはZ)であってもよいことを提示するために一般的に使用されるものとして、文脈とともに別段理解される。したがって、このような接続詞的な表現は、一般に、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、またはZの少なくとも1つがそれぞれ存在することを必要とすることを意図するものではなく、また、このようなことを意味すべきではない。
【0014】
ここで図1を参照すると、流体RT-qPCRシステム100の例示的な実施形態が開示されている。ハウジング102は、ピンを、カートリッジを通してチップの膜に押し込むための機械的器具、および処理装置を含む内部部材を保護する。描かれていないが、流体RT-qPCRシステム100を使用する技術者にグラフィカルユーザーインターフェースを表示するためのディスプレイユニットまたはスクリーンが、ハウジング102内に組み込まれている。カートリッジまたは消耗品カートリッジは、ハウジング内のカートリッジ挿入部104にスライド挿入される。チップはカートリッジ内に構成され、最初に試料および/または流体がチップ上に置かれ、次にチップがカートリッジ挿入部104に挿入される。システムの寸法は、高さおよび幅が12インチから36インチの範囲であり、内部ハードウェア部材を様々な配列構成で配置することにより、既存の実験室環境内に適合するように構成することができる。本開示の目的上、試料および流体は互換的に使用することができる。
【0015】
上述したように、qPCRシステムはリアルタイムqPCRシステム(RT-qPCR)であり、増幅手順が実施される際に試料がリアルタイムで観察される。流体RT-qPCRシステム100は、従来、技術者が行っていた作業の多くを処理するように設計されている。カートリッジに挿入するチップは消耗品であり、1回限りの使用と、様々な規制および/またはプロトコルに準拠した廃棄が可能である。
【0016】
ここで図2を参照すると、RT-qPCR分析のための流体RT-qPCRシステムのための、図1のハウジングを取り除いた例示的な実施形態の説明図である。この例では、機械的器具202が中心軸回りに公転する。機械的器具は、こぶまたは隆起を備えており、こぶまたは隆起を公転させると、一組のピンを叩いて、ピンがチップのゴム膜を押圧し、その結果、チップ内に捕捉された流体が異なる領域に循環されることを可能にする。異なる領域には、加熱領域、磁気領域、静電容量式アレイ領域が含まれる。例示的なチップの様々な領域のさらなる詳細が図5に開示されている。機械装置は、平滑な外装と、ピンをチップの表面の膜に押し付けるためのこぶとを有する、本質的に剛性のあるオーバーヘッドドラム、ドラムまたはカムであってもよい。オーバーヘッドドラムまたはカムは、金属または硬質ポリマーで構成されてもよく、さらに、機械的器具に構成されたモータは、始動および停止、並びにドラムの加速度および速度の変更を可能にする。モータはシャフトまたはギアボックスを介して接続され、オーバーヘッドドラムまたはカムを駆動する。光学検出ユニットおよび/または静電容量式アレイから受信した入力により、機械的器具202の制御アルゴリズムを構成することができる。
【0017】
いくつかの例において、処理ユニットのロジック内にアルゴリズムが定義され、蛍光マーカ上のアナログ・デジタル(ADC)カウントの一定の大きさが、光検出領域を通過してから10秒などの指定された時間後に機械的器具を停止させるためのフィードバックルックを送信することができる。同様に、機械的器具は、ADCカウントがボクセルまたは光検出領域をクリアし、加熱ユニット上で指定された期間が経過したときに、中心軸回りの回転を開始するようにトリガされてもよい。本明細書の開示において、加熱ユニット、加熱ブロック、加熱領域、または加熱アレイは同じものを意味し、いくつかの例では、それぞれが変化する温度範囲を有する複数の加熱アレイが実施形態の一部であってもよい。
【0018】
続いて、廃棄またはリサイクルされてもよい、消耗品カートリッジが、システム内の消耗品カートリッジ挿入部204に挿入され、カートリッジは、機械的器具202の下に配向された様々なピンと整列される。処理ユニットまたはシステムの事前定義機能に応じて、あるいは初期システムパラメータの一部として、モータ210が作動すると、機械的器具202は中心軸回りに回転し、隆起がピンを押してチップの流体チャネル内で流体を循環させる。試料はチップ内に配置され、チップは複数の洗浄液、および廃液を配置するための領域を有するように構成される。
【0019】
処理ユニットは、単一のPCB基板上に装備され、GPU、RAM、SSDのような複数のコンポーネントと、周辺装置への追加の入出力のための周辺装置およびI/Oとを有していてもよい。本明細書のシステムは、データケーブルを介して、または無線プロトコルを介して通信してもよく、デバイスのクラスタが複数のデバイスの診断およびテストを実行できるシステムを形成し得るクラウド環境に適合および構成されてもよいことが企図される。
【0020】
一例において、試料は、FAMTM、HEXTM、ROXTM、TETTM、JOETM、VICTM、NEDTM、PETTM、TAMRATM、またはDNA配列決定に利用される他の蛍光色素などの蛍光マーカ(色素)を用いて調製することができる。これらの色素の多くは488nmの単一波長で励起されるが、明確に異なる波長で発光する。以下の表は、本明細書の開示に組み込むことができる様々な蛍光色素の例を提供する。
【0021】
【表1】
【0022】
他の例において、試料は、核酸化合物との結合用にACRO BiosystemsTM社が製造しているような、DNA試料調製用の磁気ビーズまたはビーズを用いて調製されてもよい。磁気ビーズの製造業者は多数あり、分析される特定の試料に適合する特性のビーズが選択されてもよい。さらに別の例において、本明細書でさらに開示するように、試料は蛍光マーカ/色素と磁気ビーズの両方を、光学検出システム、静電容量式アレイおよび磁気アレイのさらなる処理および利用のために、適用してもよい。
【0023】
機械的器具202を含むシステムを駆動する処理ユニット206のシステムパラメータは、開始および停止時間、サイクルの長さ(ここで、サイクルとは、機械的器具が動作している時間である。)、機械的器具の加速度、システム器具の速度、並びに様々な加熱領域の温度、静電容量式領域への電力、光学検出ユニットの設定、並びに本明細書に開示されるような他のパラメータ等の多くの他の設定であってもよい。
【0024】
ここで、図3を参照すると、光学検出ユニット300の例示的な実施形態の説明図である。光学検出ユニット300は、調製された試料が配置されるチップ304を収容するカートリッジ302の下方に構成される。チップ304上に描かれているのは流体チャネルであり、この流体チャネルでは、機械的器具が、チップの表面のゴム膜上のピンとの相互作用を通じて、試料および他の流体をチップ内の特定の領域またはゾーンに移動させる。図3の例では描かれていないが、加熱領域または加熱ゾーンは、それぞれの加熱ユニット、磁気領域、静電容量式アレイおよびゾーンとともにある。これらの要素はチップの底面に配置され、本明細書で開示される様々な機能に対応する。例えば、チップの左側と右側の蛇行経路は、一例では、2つの別々の加熱アレイの上に位置している。一方の素子は、流体チャネル上の高温領域またはゾーン(95℃から98℃)と、流体チャネル上の低温領域(55℃から60℃)とを備える。高温領域は第1の加熱ブロックまたはユニットを形成し、低温領域は第2の加熱ブロックまたはユニットを形成する。このタイプの加熱配置は増幅プロセスに利用される。2つの加熱領域の間にはボクセルまたは光検出領域があり、光学検出ユニットは試料内の蛍光色素を観察するために焦点を合わせる。
【0025】
光学検出ユニット300は、ダイオード306のような発光素子と、検出ダイオード308のような光検出器と、チップ304の光検出領域に対して分析を実行するための処理ユニットとにより構成される。処理ユニットは、プロセッサ用のシステムタイマを含むオンボードタイマをさらに備えて構成されてもよく、タイマは、周辺装置の相互作用の決定に使用されてもよい。発光ダイオードは、試料内の特定の色素またはマーカに対する励起値で発光し、検出ダイオード308によって検出可能な結果をもたらす。機械的器具がピンをチップのゴム膜に押し付ける力によって試料が移動すると、流体は光検出領域(ボクセルと呼ばれることもある)を横切り、光学検出ユニット300が試料に対して分析を実行する。ボクセルおよび/または光検出領域は、光学検出ユニットが意図したとおりに動作する可能性のある領域である。このタイプの検出は、光学検出ユニット300が、流体が循環し、かつ、増幅がリアルタイムで起こるときに検出を実行するので、しばしば動的検出と呼ばれる。したがって、モータは、流体が循環している間、オンとオフ、または加速度もしくは速度の変化を調整することができる。したがって、光学検出ユニットは、モータの制御と同時に、流体が2つの加熱領域の間を通過していること、および増幅の状態を検出する検証および検出プロセスとしても機能する。発光ダイオード306の例としては、特定の波長を持つ色素やマーカ用のLED照明カラーシリーズBlue470nmなどのLumiledsTM社製のものがある。典型的な最大電流は1アンペアで、光束は35lm、視野角は125°である。
【0026】
光学検出ユニット300は、その内部に計算能力を内蔵してもよいし、システム上の他の場所に収容された処理ユニットにデータケーブルまたはワイヤレスで接続してもよい装置を形成する。さらに、ダイオードの角度を微調整したり、チップからの距離を調整したりするために、マイクロコントローラおよびモータが、光学検出ユニット300に適用されてもよい。ユニットまたは装置を作動させる際のこのような改良は、光学的な撮影における特定の改良がダイオードおよび発光源の位置の精度を必要とするので、当業者には公知であろう。さらに、任意の数のダイオードが適用されてもよく、この例では3つの発光ダイオードが開示されている。しかしながら、他の実施形態においては、1つ、2つ、またはそれ以上が使用されてもよい。同様に、検出ダイオード308においては、この例では2つの検出ダイオードが開示されているが、検出ダイオードの数はシステム目標によって変化する。
【0027】
続いて、図4Aから図4Eを参照すると、流体チャネルの光検出領域を通って移動する試料の例示的な実施形態の図であり、アナログ/デジタル(ADC)カウントは位置を反映する。図4Aにおいて、試料404はチップの流体チャネルを通って移動し、チップの膜上の機械的な力によってチップ内の空気が流体チャネルを通って試料を移動させることによる、ある加熱領域から別の加熱領域への移動が示されている。試料404は検出領域402に向かって移動し、そこには光学検出ユニットがアクセスしやすいようにボクセルが配置されている。発光ダイオードは、試料404が移動しているチップの底面まで光を導くように配置されている。試料404は光検出領域402に到達していないので、ADCカウントはベースラインのままである。
【0028】
図4Bにおいて、試料404が光検出領域402に入り始め、ADCカウントが増加し始める。この増加は、ダイオードが蛍光色素またはマーカを反射し、ダイオードがより多くのカウントを受信することによるものである。図4Cにおいて、試料404は光検出領域402の中心にあり、ADCカウントはピークに達する。この読み取り値は、試料がボクセル内にあること、または試料の大部分が次の加熱領域に向かって移動していることをシステムに知らせる。モータは、カウントが低下するまで作動するように制御されるか、または光検出領域402での追加読み取りのために一時停止するように制御される。図4Dにおいて、試料404が光検出領域から出る方向に移動し、試料が加熱アレイに向かって移動し、ボクセルから離れていることを示している。この段階でADCカウントが低下し始め、試料の移動を示す明瞭な正弦波または曲線が形成される。この情報は、次に、試料の相対的位置決め、システムの状態、および実行されたサイクルの量を、モータおよび技術者に知らせるために利用される。
【0029】
図4Eにおいて、試料404は光検出領域402を通って出ており、加熱領域に入るか、静電容量式アレイ領域内にあるか、または規定通りに流体チャネルに沿って進行している。試料404が同様の曲線で検出されない場合、システムは技術者に警告を発するか、試料404が循環していないこと、または再度実行開始する必要があることをエラーとして投げることができる。時間経過に伴うカウント量から形成される曲線は、試料の移動を示す。ADCカウントの失敗は、試料404の失速、またはチップにおける漏れまたは故障を含むことがあり、したがって、システムが動作していないことを示し、視覚的または可聴表示によって、エラーメッセージまたは警告を開始する。
【0030】
次に、図5を参照すると、チップの例示的な実施形態が図示されている。流体チャネルはチップ全体を貫通しており、この例では、方向は静電容量式アレイおよび光学検出ユニットに対して独特である。本明細書で開示される原則が維持される限り、追加のチップ設計および装飾が企図され、そのような追加の構成は本開示の一部を形成する。チップの上面には、ゴム膜があり、このゴム膜は、機械的ドラムまたはカムなどの機械的器具に取り付けられたモータによって駆動されるピンによって接触されるときに撓みを許容するゴムまたは他の材料からなっていてもよい。チップはまた、静電容量式層、プローブの挿入または他の診断のための層など、いくつかの他の層を備えていてもよい。
【0031】
図5の例において、試料始点512は、試料がカートリッジからチップに最初に入り、プロセスを開始する場所である。機械的器具は、一連のチャネルを通して試料を流体ハブ508まで移動させる。流体ハブは、流体ハブ508内に流体を保持するための磁石または他の装置を備えていてもよい。次に、磁気領域506は、試料が磁気ビーズを用いて調製された場合に、そのビーズに結合した試料の一部を磁気領域506内に保持するように設計されている。システム上には、試料を保持する目的または他の診断若しくは調製方法のためにチップの下面を収容する磁気アレイがあってもよい。
【0032】
図5の例において、2つの加熱領域が開示されており、一方は高温領域であり、他方は低温領域である。温度はDNAの最適な増幅のために定義される。この例では、高温領域(95℃から98℃)および低温領域(55℃から60℃)が、2つの加熱ユニットによって特定の温度に加熱される。他の実施例において、加熱領域の可変性を有する1つの加熱アレイが使用されてもよく、あるいは追加の実施例において、2つよりも多い加熱アレイが使用されてもよい。
【0033】
静電容量式液体検出アレイ502は、指示された領域に配置され、磁気ビーズ用に調整された試料と組み合わせて、チップの流体チャネル内の流体の追跡を可能にする。この例において、静電容量式アレイは光検出領域またはボクセルの両側に配置され、そうすることで2つの加熱領域間のサイクリングの相対位置が決定され得る。さらに、静電容量式液体検出アレイは、加熱領域504の入口側と出口側に配置され、したがって、増幅プロセス中の移動する試料を完全に追跡することができる。静電容量式アレイは、光学検出ユニットとは独立して、または組み合わせて、モータおよび機械的器具並びに技術者のためのスクリーンまたは診断のような機器を制御する処理ユニットへの信号または情報の検出および送信において機能してもよい。
【0034】
図6は、静電容量式検出領域を有するチップとともに使用するための静電容量式アレイの例示的な実施形態の説明図である。静電容量式アレイは、流体/試料の存在を検知するための特定の静電容量式検出領域に配置される。そのような領域の例は、図5に開示されている。他の領域が存在し、試料の包括的な追跡のために静電容量式検出の「ブランケット」が装備されてもよい。この例において、試料は磁気ビーズで調製されてもよく、このようなビーズは、チップ上の静電容量式検出領域を覆う静電容量式センサを含む静電容量式検出アレイを利用した追跡を可能にする。さらに、試料は、試料流体自体の静電容量を利用して追跡することもでき、この場合、試料は、加熱領域の始点と終点、および光検出領域の両側の優先的な位置で追跡される。他の領域は、洗浄期間の後、または閉塞またはブロックが発生し得る他の位置の後に指定されてもよく、静電容量式センサと結合されたこのような静電容量式アレイは、試料およびRT-qPCR実行の検出、追跡、警告および修正を可能にするであろう。
【0035】
図7は、チップ上の静電容量式検出領域上の静電容量式検出アレイ上を試料が流体チャネルを通って移動するときに検出されるファラドの例示的な実施形態を示すチャートである。この例において、測定は、試料および/または流体が静電容量式アレイ上に分布するときに50フェムトファラドにおいてピークを検出し、静電容量式アレイによって検出され、処理ユニットに送信される。処理ユニットは、プログラム命令を実行可能なプロセッサを備え、静電容量式アレイおよび/または光学検出ユニットからのフィードバックに従ってモータの動作のためのアルゴリズムを定義する。
【0036】
図7のチャートは、試料が静電容量式検出アレイを横切って前後に移動していることを示しており、したがって、システムは期待通りに機能している。試料および/または流体がないところでは、ファラッドの読み取り値は、ベースラインに戻り、試料が移動すると正弦波状を形成する。これは、試料がある加熱領域から他の加熱領域へ移動する際のモータ速度および強度に関連している。静電容量式検出アレイはまた、モータにフィードバックを提供し、開始および停止、並びに速度および加速度を制御してもよい。
【0037】
図8は、静電容量信号を表す例示的な実施形態のチャートである。図8の例において、静電容量式アレイは、チップ上の図5の例においてより完全に定義されるように、加熱領域の蛇行するチャネル全体を覆っている。静電容量は、試料が検出アレイ上に位置するときと、アレイから離れるときに先細りになるように示されている。これにより、ノイズのフィルタリングによる操作だけでなく、モータユニットの制御またはRT-qPCR実行の診断のための信号強度の使用も可能になる。
【0038】
図9は、従来のサイクリングのRT-qPCR増幅時間の例示的な実施形態のチャートである。試料内の標的の増幅が、サイクルの平均時間軸と共に開示されている。
【0039】
図10は、RT-qPCR増幅時間の改善における、本明細書に開示された機能の例示的な実施形態のチャートである。このシステムは、光学検出ユニット、およびモータおよび機械的器具と協調した静電容量式アレイから確立されるフィードバックループから利益を得る。これにより、チップインサートを保護したまま、サイクルの進行をモニタすることができる。したがって、本明細書の開示は、さらに、チップの流体チャネル内の光検出領域および/または静電容量式領域を通って移動する試料のような流体ボリュームの検出および位置制御のリアルタイム調整のためのシステムおよび方法を提供する。一例において、光学検出ユニットと静電容量式アレイセンサとの協調によってリアルタイム調整が行われ、協調フィードバックおよび機械的器具のモータ機能を制御するアルゴリズムが可能になる。その結果、信頼性が高く、迅速なRT-qPCR増幅および分析が、技術者の訓練をほとんど必要とせずに結果を迅速に実行できる自己完結型のシステムにおいて実現される。
【0040】
用語「備える」、「備えている」、「含む」、「有する」およびそれらの組合せは、「含むがこれらに限定されない」を意味する。
【0041】
「からなる」という用語は、「からを含み、からに限定される」ことを意味する。
【0042】
「本質的にからなる」という用語は、組成物、方法または構造が、追加の成分、ステップおよび/または部分を含んでもよいが、追加の成分、ステップおよび/または部分が、請求される組成物、方法または構造の基本的かつ新規な特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0043】
「複数」という用語は、「2つ以上」を意味する。
【0044】
本明細書において、単数形の「一の」、「ある」および「その」は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、複数形の言及を含む。例えば、用語「ある化合物」または「少なくとも1つの化合物」は、それらの混合物を含む複数の化合物を含み得る。
【0045】
本出願を通じて、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示される場合がある。範囲形式での説明は、単に便宜上、簡潔にするためのものであり、本発明の範囲を柔軟性なく限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値と同様に、可能な全ての部分範囲を具体的に開示したとみなされるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記述は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までのような部分範囲、およびその範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示したとみなされるべきである。これは範囲の広さに関係なく適用される。
【0046】
本明細書において数値範囲が示される場合は常に、示された範囲内の任意の引用数字(分数または積分)を含むことを意味する。本明細書では、第1の指示数値と第2の指示数値との「間の範囲」、および第1の指示数値「から」第2の指示数値までの「範囲」という表現は、互換的に使用され、第1および第2の指示数値、並びにその間の全ての分数および整数数字を含むことを意味する。
【0047】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されることもあることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴も、別個に、または任意の適切な下位組み合わせで、または本発明の他の説明された実施形態において適切なように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、その実施形態がそれらの要素なしでは動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とはみなされない。
【0048】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明してきたが、多くの代替案、修正および変形が当業者に明らかであることは明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および広範な範囲に属する、そのような代替案、修正例および変形例を全て包含することを意図している。
【0049】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示される場合と同じ程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における参考文献の引用または特定は、かかる参考文献が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈してはならない。セクションの見出しが使用されている限りにおいて、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】