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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】固体剤形のメラトニン製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4045 20060101AFI20240517BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240517BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K31/4045
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/26
A61K47/02
A61K9/20
A61K9/48
A61P25/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576434
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022065690
(87)【国際公開番号】W WO2022258752
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】21178508.4
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523465067
【氏名又は名称】アーゲーベー-ファーマ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スタッファン・ヴァクシエゴード
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD29
4C076DD38
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE32B
4C076FF06
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA11
4C086ZA05
(57)【要約】
本発明は、急速放出プロファイルを有する固体剤形のメラトニン製剤及びその調製方法に関する。特に、本発明は、有機溶媒などの、任意の溶媒の必要性なしに、乾燥混合プロセスで調製することができるメラトニン錠剤に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体剤形の急速放出メラトニン製剤の製造のための方法であって、前記方法が、
i)第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップであって、
前記第1の構成成分が、1つ以上の充填剤並びに任意選択的に1つ以上の流動促進剤及び/又は崩壊剤を含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを提供することと、前記第1の量の微結晶性セルロース及び前記総量の微粒子化メラトニンを前記混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の構成成分を前記混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップであって、
前記第2の構成成分が、第2の量の微結晶性セルロース並びに任意選択的に1つ以上の充填剤、流動促進剤、及び/又は崩壊剤を含み、
前記第2の混合物が、微粒子化メラトニン、微結晶性セルロース、充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤を含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを前記混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)前記最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含み、
前記第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つが、1つ以上の流動促進剤を添加することを含み、
前記第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つが、1つ以上の崩壊剤を添加することを含む、方法。
【請求項2】
前記第2の添加ステップに続いて、40~240秒の持続時間にわたって前記第2の混合物の第1のブレンドが行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の量の微結晶性セルロースと前記第2の量の微結晶性セルロースとの間の比が、前記固体剤形の微結晶性セルロースの総重量に対して、1:4~1:10重量%/重量%の範囲、好ましくは約1:5重量%/重量%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記段階的添加ステップの各部分が、前記第1の量の微結晶性セルロースの画分及び前記総量の微粒子化メラトニンの画分を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の量の微結晶性セルロースの前記画分及び前記総量の微粒子化メラトニンの前記画分が、一緒に予混合スクリーンを通して前記混合容器にふるい入れられる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の部分が、3つの部分、4つの部分、5つの部分、6つの部分、7つの部分、又は8つの部分、好ましくは5つの部分である、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、
i)充填剤を含む第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを添加提供することと、前記第1の量の微結晶性セルロース及び前記総量の微粒子化メラトニンを前記混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の量の微結晶性セルロース、流動促進剤、及び崩壊剤を含む第2の構成成分を前記混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを前記混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)前記最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
前記最終混合物が、前記固体剤形の前記総重量に対して少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の添加ステップに続いて、120秒未満にわたる前記最終混合物の第2のブレンドが行われる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記充填剤が、マンニトールであり、前記流動促進剤が、コロイド状無水シリカであり、前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
先行請求項のいずれか一項に記載の方法によって入手可能な、急速放出メラトニン製剤。
【請求項12】
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニンと、
-20~35重量%の微結晶性セルロースと、
-65~75重量%の1つ以上の充填剤と、
-0.2~0.8重量%の1つ以上の流動促進剤と、
-1~3重量%の1つ以上の崩壊剤と、
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む、急速放出メラトニン製剤であって、
前記製剤が、固体剤形として提供され、重量%が、前記製剤の総重量に対する、急速放出メラトニン製剤。
【請求項13】
前記充填剤が、マンニトールであり、前記流動促進剤が、コロイド状無水シリカであり、前記崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、請求項12に記載の急速放出メラトニン製剤。
【請求項14】
前記固体剤形が、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチからなる群から選択され、好ましくは錠剤である、請求項12又は13に記載の急速放出メラトニン製剤。
【請求項15】
医薬品としての使用のための、請求項11~14のいずれか一項に記載の急速放出メラトニン製剤。
【請求項16】
睡眠障害の治療における使用のための、請求項11~14のいずれか一項に記載の急速放出メラトニン製剤。
【請求項17】
-請求項11~14のいずれか一項に記載の急速放出メラトニン製剤を含む複数の固体剤形と、
-任意選択的に、使用説明書と、を含む、キットオブパーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急速放出プロファイルを有する固体剤形のメラトニン製剤及びその調製方法に関する。特に、本発明は、有機溶媒などの、任意の溶媒の必要性なしに、乾燥混合プロセスで調製することができるメラトニン錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
睡眠障害は、継続的に世界中の何億もの人々に影響を及ぼしており、その多くは、生活の質への悪影響、生産性の欠如、及び高い医療利用に苦しんでいる。最も一般的な睡眠障害は、不眠症、又はより逐語的には、眠れないことである。不眠症は、様々な病因及び重症度を有し、成人人口の最大6~12%、小児の15~25%ほどに影響を及ぼすと推定される。したがって、睡眠障害の治療を提供する大きな必要性がある。
【0003】
従来、バルビツラート並びに後のベンゾジアゼピン及びキナゾリノンなどの合成催眠剤は、睡眠を誘導するために使用されている。主に、GABA受容体で神経伝達物質ガンマ-アミノ酪酸(GABA)の効果を増強するベンゾジアゼピンが、睡眠障害に罹患している個体に処方されている。しかしながら、依存症、昼間の鎮静、及び呼吸抑制のリスクのために、ベンゾジアゼピンの長期使用は推奨されず、せいぜい最も低い有効用量での断続的な投与のみが推奨される。ベンゾジアゼピンはまた、一般的に、軽い睡眠を増加させ、深い睡眠を減少させることによって睡眠の質を悪化させる。
【0004】
ベンゾジアゼピンを中心とする安全性の懸念に応答して、非ベンゾジアゼピン催眠剤(又はいわゆるZ薬)が1990年代初頭に導入された。これらの薬物は、本質的に「ベンゾジアゼピン様」であり、同様の薬力学的プロファイルを示す。非ベンゾジアゼピンの使用はより一般的になっているが、主張される改善された有効性は依然として議論されており、ベンゾジアゼピンのそれと同様の副作用は頻発している。
【0005】
合成催眠剤とは対照的に、メラトニンは、脳に位置する松果体によって放出される天然に存在するインドールホルモンである。それは、主に夜間に放出され、メラトニンが睡眠-覚醒サイクルを調節する概日リズムの調節に関与することは、十分に確立されており、主にメラトニン受容体とのその相互作用を通してその効果を主張する。メラトニンは、季節サイクルに関連する睡眠パターンを調節することも見出されている。加えて、メラトニンは、身体機能の他の生物学的及び生理学的調節にも関与しており、それらのうちのいくつかは、抗酸化剤及びフリーラジカル捕捉剤としてのその役割に関連している。
【0006】
メラトニンは、化学的同一性N-アセチル-5-メトキシトリプタミンを有する神経ホルモンであり、中間体としてセロトニンを介してトリプトファンから作製される。過去には、メラトニンは、ウシ松果体組織に由来したが、今日では主に合成であり、これは汚染のリスク又は感染性材料を伝播する手段を制限する。
【0007】
睡眠を誘導するためのメラトニンの使用は、従来の合成催眠剤に対するいくつかの利点を有する。まず、メラトニンは、自然に代謝され、血中レベルは、投与の6~8時間以内に正常日中レベルに戻る。したがって、メラトニンは、多くの事例では、従来の催眠剤での問題と同様に、投与の翌日に有害作用を引き起こさない。重要なことには、メラトニンは、従来の催眠剤と同じ依存症のリスクを提示せず、天然に存在する内因性化合物であることは、ベンゾジアゼピンのような健忘効果を誘導しない。
【0008】
睡眠誘導剤としてのメラトニンの多くの利点を考慮すると、医薬品としてのその使用は広く研究されている。メラトニンは、固体剤形又は液体剤形のいずれかで提供され得る。後者は、液体製剤が固体剤形よりも短い貯蔵寿命を有し、したがって消費者にとってあまり便利ではないという欠点を有する。他方では、固体剤形は、メラトニンの血中レベルを約1時間でそのピークに到達させる急速放出製剤として提供されるべきであり、それによって、液体製剤に相当する迅速な睡眠誘導効果を促進する。
【0009】
残念ながら、メラトニンの急速放出製剤の製造は、困難であることが証明されている。具体的には、メラトニンの高度の凝集及び接着性などの固有の特性は、必要とされる均質性を有する固体剤形の製剤化を困難な課題にする。特に、産業的に実現可能であるほど十分に短い混合期間内に乾燥ブレンドにおいて十分な均質性を得ることは困難である。不十分な均質性での問題は、湿式造粒で行われるように、メラトニンを溶媒中で溶解及び分散させることによって対処され得る。しかしながら、このアプローチは、2つの課題を有する。第一に、メラトニンは、水溶液中での低い溶解度を有し、これは、アセトン又はエタノールなどの、有機溶媒の使用を必要とする可能性が高い。しかしながら、有機溶媒は、安全上の危険性のために、薬学的製剤の産業製造では評価されていない。第二に、湿式造粒などの、湿式加工ステップの添加は、固体剤形におけるメラトニン製剤の大規模製造能力を顕著に低減する。
【0010】
したがって、均質に分布したメラトニンの急速放出固体剤形を調製するための方法を提供することが有利であろう。具体的には、そのような方法は、有利には、湿式プロセスステップを含まず、それによって増強された大規模製造能力を可能にし得る。産業的に魅力的である速い方法を提供することは、特に有利であろう。
【発明の概要】
【0011】
睡眠障害を軽減するための製剤は、毎日何人の生活が影響を受けるかという観点から見ると、非常に重要である。従来の合成催眠剤に関連する有害作用の重度のリスクなしに睡眠を誘導するために、天然に存在する神経ホルモンメラトニンが使用され得る。しかしながら、迅速な効果を有する固体剤形としてのメラトニンの提供は困難であり、特にその製造のスケーリングは困難である。よって、急速放出プロファイルを有する高品質の固体剤形で製剤化されたメラトニンの大規模製造を可能にするプロセスの満たされていない必要性がある。
【0012】
本発明は、固体剤形の急速放出メラトニン製剤の製造のための方法に関する。方法は、任意の煩雑な湿式加工ステップを回避し、したがって大規模製造に特に好適である一連の乾式混合ステップを含む。製剤の乾式加工は、同時に必要とされる標準に従った固体剤形を送達しながら、固体剤形のバッチ全体を通した成分の均質な分布を達成するように設計される。本発明はまた、睡眠障害と闘う迅速効果を提供する固体剤形のメラトニン製剤を提供する。
【0013】
よって、本発明の目的は、個体による摂取時に急速に放出し、その効果を主張する正確に定義された用量のメラトニンを有する固体剤形を調製するための方法の提供に関する。
【0014】
特に、成分の乾式加工を排他的に伴う、メラトニンを含む固体剤形の大規模製造のための方法を提供することが、本発明の目的である。
【0015】
よって、本発明の一態様は、固体剤形の急速放出メラトニン製剤の製造のための方法に関し、当該方法は、
i)第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップであって、
第1の構成成分が、1つ以上の充填剤並びに任意選択的に1つ以上の流動促進剤及び/又は崩壊剤を含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを提供することと、当該第1の量の微結晶性セルロース及び当該総量の微粒子化メラトニンを混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の構成成分を混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップであって、
第2の構成成分が、第2の量の微結晶性セルロース並びに任意選択的に1つ以上の充填剤、流動促進剤、及び/又は崩壊剤を含み、
第2の混合物が、微粒子化メラトニン、微結晶性セルロース、充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤を含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含み、
第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つは、1つ以上の流動促進剤を添加することを含み、
第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つは、1つ以上の崩壊剤を添加することを含む。
【0016】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法によって入手可能な急速放出メラトニン製剤に関する。
【0017】
本発明の更に別の態様は、
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニン、
-20~35重量%の微結晶性セルロース、
-65~75重量%の1つ以上の充填剤、
-0.2~0.8重量%の1つ以上の流動促進剤、
-1~3重量%の1つ以上の崩壊剤、及び
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、急速放出メラトニン製剤に関し、
製剤は、固体剤形として提供され、重量%は、製剤の総重量に対する。
【0018】
本発明の更に別の態様は、医薬品としての使用のための本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関する。
【0019】
本発明の更なる態様は、睡眠障害の治療における使用のための本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関する。
【0020】
本発明のまた更なる態様は、
-本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤を含む複数の固体剤形、及び
-任意選択的に、使用説明書を含む、キットオブパーツに関する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】N4、N7、及びN10、異なる圧縮力で圧縮された錠剤の溶解プロファイルを示す;x軸:時間、分;y軸:溶解パーセンテージAPI。N4;4.5、8、及び10kN;N7:5.3及び9kN;N10:5及び8kN。
図2】製剤中に崩壊剤を含む又は含まないメラトニン製剤の溶解プロファイルを示す。それぞれ、5kN(3mg-5kN-0%Cam)及び8kN(3mg-8kN-0%Cam)の圧縮力でのN10、並びにそれぞれ、5kN及び8kNで圧縮された実験番号1(3mg-0%Cam)が示される。
【0022】
本発明は、以下でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
本発明をより詳細に概説する前に、用語及び慣例のセットがまず定義される。
メラトニン
本文脈では、「メラトニン」という用語は、脳における松果体によって放出される神経ホルモンを指す。メラトニンは、化学的同一性N-アセチル-5-メトキシトリパミンを有する。メラトニンの一形態は、微粒子化メラトニンであり、メラトニン粒子は、粉砕させて粒子サイズを減少させている。
【0024】
微粒子化メラトニン
本文脈では、「微粒子化メラトニン」という用語は、レーザー回折を使用して測定されるとき30μm以下のD90を有するメラトニン粒子の集団を指す。D90は、集団内の粒子の90%がこの値未満の直径を有する値を表す。
【0025】
粒子サイズ及び粒子サイズ分布(PSD)は、測定セルHydro 2000μPを備えるMalvern InstrumentsからのMalvern Mastersizer 2000を使用して決定することができる。この粒子サイズ分析器は、レーザー回折に基づいており、固体粒子状メラトニンのPSDを正確に決定することができる。低角度レーザー光散乱は、粒子の体積に応答し、体積平均粒子サイズをもたらし、これは、密度が一定に保たれる場合、重量平均粒子サイズに相当する。
【0026】
Malvern Mastersizer 2000(Hydro 2000S測定セル)の設定は、以下のとおりであった。
分析モデル: 汎用(粒子形状=不規則)
光学特性材料: RI=1.60 吸収=0
ポンプ速度: 2500rpm
超音波: なし
分散剤名: ヘプタン、ヘプタンRI:1.39
メラトニンF RI: 1.6 吸収=0
試料量: 50mg
不明瞭化: 5~25%
測定時間: 60秒
バックグラウンド時間: 10秒
アリコート: SOPでは1
測定: アリコートでは3
遅延: 10秒
平均結果を作成する: はい
クリーンモード: 手動完全洗浄
【0027】
微結晶性セルロース
本文脈では、「微結晶性セルロース」又は「MCC」という用語は、1~4つのベータグリコシド結合によって接続されたグルコース単位で構成された天然に存在するポリマーのミクロフィブリルの単離された結晶領域を指す。よって、MCCは、繊維状構造を有し、結合剤として機能する。
【0028】
結合剤は、成分を一緒に固体剤形で保持し、固体剤形が必要とされる機械的強度で形成され得ることを確実にする。
【0029】
充填剤
本文脈では、「充填剤」という用語は、低活性用量で固体剤形に体積を提供する物質を指す。よって、充填剤は、少量の活性成分の取り扱いをより便利にするために添加される。充填剤は、典型的には、不活性である。
【0030】
流動促進剤
本文脈では、「流動促進剤」という用語は、流動性特性を改善するために固体剤形に添加される物質を指す。一般に、流動促進剤は、粒子間摩擦及び凝集を低減することによって粉末流動を促進する。
【0031】
崩壊剤
本文脈では、「崩壊剤」という用語は、溶媒などの、変化した環境への曝露後に固体剤形を崩壊させる物質を指す。一般に、崩壊剤は、例えば、消化管において、溶媒に曝露されるとき膨張及び溶解し、それによって吸収のための活性成分を放出し、バイオアベイラビリティを促進する。
【0032】
潤滑剤
本文脈では、「潤滑剤」という用語は、最終粉末混合物が固体剤形への最終加工中に装置の表面に付着することに対抗する物質を指す。よって、潤滑剤は、成分が、例えば、錠剤パンチに付着するのを防ぎ、錠剤の圧縮及び排出が固体とダイ壁との間の低い摩擦で起こり得ることを確実にすることができる。潤滑剤は、成分が一緒に凝集するのを防ぐことにも寄与し得る。
【0033】
急速放出製剤
本文脈では、「急速放出製剤」という用語は、個体による摂取直後に活性成分を放出するように設計された製剤を指す。このタイプの製剤は、特殊コーティングなどのような、速度制御特徴がほとんど又は全くない活性成分の迅速なバイオアベイラビリティを促進する。
【0034】
特に錠剤に関して、「即時放出錠剤」という用語が多くの場合使用される。したがって、「急速放出製剤」及び「即時放出製剤」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0035】
固体剤形
本文脈では、「固体剤形」という用語は、メラトニン製剤の物理的形態を指す。よって、固体剤形としては、これらに限定されないが、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチが挙げられ得る。
【0036】
固体剤形は、それらが市販される形態の製品に対応する、単位用量として、活性成分及び他の成分(例えば、充填剤、結合剤、流動促進剤、潤滑剤、崩壊剤)の特定の混合物で、特定の構成(例えば、錠剤など)で提供し、特定の用量に分配することができる。
【0037】
香味剤
本文脈では、「香味剤」という用語は、活性成分又は他の成分によって引き起こされる任意の不快な味を隠し、消費者の官能経験を改善するために使用される物質を指す。香味剤は、天然又は人工由来であり得る。
【0038】
重量パーセンテージ(重量%)
本文脈では、「重量パーセンテージ」又は「重量%」という用語は、別段定義されない限り、特定される製剤又は固体剤形の総重量に対するそれぞれの成分(メラトニン、充填剤、結合剤、流動促進剤、潤滑剤、崩壊剤)の相対重量を指す。
【0039】
よって、明示的に指定されるとき、重量パーセンテージは、製剤の別個の成分に対して定義され得る。
【0040】
均質性
本文脈では、「均質性」という用語は、活性成分が製剤にわたって及び最終固体剤形中に分布される均一性の程度を指す。よって、高度の均質性は、ほぼ等量の活性成分が各固体剤形に存在することを意味する。
【0041】
均質性は、「投与単位の均一性」を定量化することによって評価され得る。これは、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って行われる。
【0042】
簡潔には、均質性は、10個の錠剤の相対標準偏差(RSD、%)を決定することによって評価される。アッセイは、逆相液体クロマトグラフィー及び285nmでのUV検出によって行われる。
【0043】
均質性の決定には以下の装置を使用した。
分析カラム:Waters Acquity HSS T3 C18 2.1×100mm、1.8μm
ポンプ:Waters Acquity ARC Quaternary Solvent Manager(QSM)
オートサンプラー:Waters Acquity ARC Sample Manager(SM)
カラムオーブン:Waters Acquity ARC Column Manager(CM)
検出器:Waters Acquity ARC PDA検出器
ソフトウェア:Empower
シリンジフィルター:RCメンブレンフィルター、0.2μm、26mmシリンジフィルター、非滅菌、PPハウジング、ルアー/スリップ、Phenomenex
「均質性」及び「均一性」という用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0044】
崩壊時間
本文脈では、「崩壊時間」という用語は、欧州薬局方第10版、2.9.1錠剤及びカプセルの崩壊(Ph.Eur.2.9.1)に従って固体剤形が特定の試験で崩壊するのにかかる時間を指す。
【0045】
本明細書における錠剤の崩壊時間は、Erweka ZT53崩壊試験機で測定される。
【0046】
簡潔には、錠剤は、最も高い位置でバスケットに入れられ、次いでタイマー及び装置が開始される。錠剤がバスケットの下部にあるメッシュを通過したとき、時間が記録される。使用した培地は37℃の脱イオン水であった。
【0047】
摩損度
本文脈では、「摩損度」という用語は、固体剤形が強制下でより小さな画分に分解される傾向を指す。摩損度は、欧州薬局方第10版、2.9.7コーティングされていない錠剤の摩損度(Ph.Eur.2.9.7)に従って決定することができる。試験は、定義された条件下で、
コーティングされていない錠剤の摩損度、それによって錠剤表面が損傷される現象を決定し、かつ/又は機械的衝撃若しくは摩耗に供されるときに積層若しくは破損の証拠を示すことように意図されている。
【0048】
本明細書における錠剤の摩損度は、Erweka TA20 Laboratory Friability Testerで測定される。
【0049】
簡潔には、摩損度試験は、薬局方に従って設計された、回転試験ドラムにおいて行われる。測定されたパラメータは、試験並びに特定の時間及び速度で錠剤をタンブリングする前及び後の体重減少ことである。多数の錠剤がランダムに選択され、一緒に秤量され、摩損度試験機に移される。ドラムは、一貫した25rpmで回転する。ドラムにおける製品がドラムの内部ベーンに対してタンブリングすると、破損又はチッピングによるその損失を測定することができる。試験は、4分間実行され、次いで錠剤は、除塵され、再度秤量される。次いで、損失した量は、パーセンテージとして計算される。
【0050】
破砕に対する耐性
本文脈では、「破砕に対する耐性」という用語は、その上に印加される力に耐える固体剤形の能力を指す。破砕に対する耐性は、固体剤形を破壊するために必要な力によって定義され、欧州薬局方第10版、2.9.8錠剤の破砕に対する耐性(Ph.Eur.2.9.8)に従って測定することができる。
【0051】
破砕に対する耐性は、ニュートン又はキロポンド(kP)として与えられ得る。それらの間の関係は、1kP=9.81Nである。
【0052】
本明細書における錠剤の破砕に対する耐性は、10個の錠剤の平均として測定される。全ての錠剤は、エンボス加工された側面を上にして配置される。
【0053】
「破砕に対する耐性」は、「破断力」とも呼ばれ、2つの用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0054】
引張強度
本文脈では、「引張強度」という用語は、固体剤形が分離する前に引き伸ばされるか又は引っ張られる間に固体剤形が維持することができる最大応力を指す。引張強度は、破断力(以前は「硬度」とも呼ばれた)及び錠剤寸法から計算することができ、固体剤形の異なるサイズの機械的強度の比較を可能にする。
【0055】
よって、円筒錠剤の引張強度は、式:σ=(2*F/(π*D*H))によって計算され得、式中、σは、引張強度であり、Fは、破断力であり、Dは、錠剤直径であり、Hは、錠剤厚さである。
【0056】
本明細書における錠剤の破断力は、Pharmatest 302錠剤硬度試験機で測定される。破断力は、錠剤の強度が、除塵、コーティング、及びパッケージングなどの、全ての更なるプロセスに耐えるであろうことを保証するために試験される。
【0057】
ブレンドすること
本文脈では、「ブレンドすること」という用語は、2つ以上の成分を互いに混合する行為を指す。ブレンドすることは、好適な混合容器において行うことができる。ブレンドすることは、ローター又はインペラーによって促進することができる、撹拌(agitation又はstirring)下でのせん断混合によって達成され得る。
【0058】
「ブレンドすること」及び「混合すること」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0059】
ふるいにかけること
本文脈では、「ふるいにかけること」という用語は、異なるサイズの粒子を分離するためのプロセスを指す。ふるいにかけることは、定義されたメッシュサイズのスクリーンに粉末を通すことによって行うことができる。メッシュサイズよりも大きな粗粒子は、互いに及びメッシュ開口部に対してすりつぶすことによって分離又は分解される。
【0060】
直接圧縮
本文脈では、「直接圧縮」という用語は、錠剤が活性成分及び他の成分(例えば、充填剤、結合剤、流動促進剤、潤滑剤、崩壊剤)の粉末混合物から直接圧縮されるプロセスを指す。したがって、直接圧縮は、乾式又は湿式造粒プロセスステップなどの、粉末混合物の任意の前処理を必要としない。
【0061】

「約」という用語が、本明細書において、量、例えば、数、純度、重量、サイズなどのような、絶対量、又は相対量(例えば、パーセンテージ、当量、又は比)、時間枠、及び温度、圧力などのようなパラメータの文脈で使用されるときはいつでも、そのような変数は、近似値であり、そのようなものとして、指定された実際の数から±10%、例えば、±5%、好ましくは±2%(例えば、±1%)変動し得ることが理解されるであろう。これは、そのような数が最初にパーセンテージとして提示される場合であっても当てはまる(例えば、「約10%」は、数10について±10%を意味し得、これは、9%~11%のいずれかである)。
【0062】
固体剤形のメラトニン製剤及びその製造のための方法
本明細書に概説されるように、睡眠障害は、毎日世界中で何百万の個体に影響を及ぼす。睡眠障害の悪影響を軽減するための合成手段は、何十年にわたって存在しているが、多くの場合、取り扱うのに実用的ではない、かつ/又は重度の有害作用に関連する液体溶液として提供される。
【0063】
メラトニンは、合成対応物に関連する重度の有害作用を引き起こさない睡眠障害と闘う代替活性成分である天然に存在する神経ホルモンである。残念ながら、主にメラトニンの高度な凝集性及び接着性に起因して、メラトニンの急速放出固体剤形を大規模に製造することは困難であることが証明されている。乾燥混合は、一般的に、固有の凝集性及び個々の粒子間の移動に対する抵抗、並びに乾燥粒子のサイズ、形状、及び密度の違いによる実質的な分離によって複雑化される傾向がある。乾燥混合及びメラトニンの固有特性でのこれらの一般的な課題は、固体剤形のバッチにわたって含有量の不均一な分布を引き起こす。含有量の不均質性は、メラトニンを溶媒中に溶解又は分散させることによって取り扱われ得るが、そのような湿式加工ステップは、大規模製造の観点から非常に望ましくない。特に、固体剤形が溶媒の必要性なしに粉末ブレンドから直接圧縮される乾式加工は、より少ない機械、低減した数の人員、より少ない単位操作、及び顕著により少ない加工時間を必要とするため、有利である。
【0064】
本明細書では、微結晶性セルロース(MCC)と一緒での微粒子化メラトニンの段階的添加を含む、乾式加工ステップに排他的に依存する均一に分布した含有量を有するメラトニンの固体剤形を製造するための方法が提供される。方法は、保存及び取り扱いが容易な速い崩壊を伴う、高品質の固体剤形、例えば、錠剤を製造する。
【0065】
よって、本発明の一態様は、固体剤形の急速放出メラトニン製剤の製造のための方法に関し、当該方法は、
i)第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップであって、
第1の構成成分が、1つ以上の充填剤並びに任意選択的に1つ以上の流動促進剤及び/又は崩壊剤を含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを提供することと、当該第1の量の微結晶性セルロース及び当該総量の微粒子化メラトニンを混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の構成成分を混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップであって、
第2の構成成分が、第2の量の微結晶性セルロース並びに任意選択的に1つ以上の充填剤、流動促進剤、及び/又は崩壊剤を含み、
第2の混合物が、微粒子化メラトニン、微結晶性セルロース、充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤を含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含み、
第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つは、1つ以上の流動促進剤を添加することを含み、
第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つは、1つ以上の崩壊剤を添加することを含む。
【0066】
本明細書に提供される方法は、固体剤形の高品質を確保するために、微粒子化形態のメラトニンの使用に基づく。微粒子化形態のメラトニンは、それがより小さなサイズの粒子に加工されるという点で、従来のメラトニンとは異なる。この加工は、形状、サイズ、及びサイズ分布などの粒子特徴に影響を与える。これらの特徴における偶発的な変動は、最終固体剤形の重量、含有量均一性、分離、圧縮、及び溶解での問題を引き起こし得る。少数の過剰に大きな粒子の存在は、例えば、ダイが体積的に充填されるか又は固体剤形の表面積の減少に起因して溶解プロファイルを拡張するため、固体剤形の意図しない低重量を引き起こし得る。
【0067】
微粒子化メラトニンは、従来のメラトニンよりも狭いサイズ分布を有し、これは、時には、上記の望ましくない効果を悪化させるマルチモーダルサイズ分布を有することができる。したがって、微粒子化メラトニンを利用することは、粉末ブレンド中及び最終的には固体剤形中の含有量の必要とされる均一分布を確実にするのを助ける。また、微粒子化メラトニンの小さな粒子サイズは、固体剤形からの放出後に活性成分(メラトニン)の吸収性を改善する。
【0068】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、微粒子化メラトニンは、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下のD90値を有する。
【0069】
粉末ブレンド全体を通してメラトニンの効率的な分布を促進し、メラトニンの凝集を防止するために、微粒子化メラトニンは、混合容器への添加前に微結晶性セルロース(MCC)と予混合される。MCCは、マンニトールなどの、より球状の構成成分と比較して、メラトニンが容易に付着する繊維状構造を有する。したがって、微粒子化メラトニンを充填剤との接触前にMCCと予混合することによって、粉末ブレンド中のメラトニンの均質な分布を増強する。
【0070】
粉末ブレンドの均一性を改善するために、製剤において微粒子化メラトニンをMCCの画分のみと予混合し、MCC対充填剤の比を更に調整することが好ましいことが見出されている。
【0071】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、当該第1の量の微結晶性セルロースと第1の構成成分の当該1つ以上の充填剤との間の比は、固体剤形の総重量に対して、1:8~1:12重量%/重量%の範囲、好ましくは約1:10重量%/重量%である。
【0072】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、当該第1の量の微結晶性セルロースと当該第2の量の微結晶性セルロースとの間の比は、固体剤形の微結晶性セルロースの総重量に対して、1:4~1:10重量%/重量%の範囲、好ましくは約1:5重量%/重量%である。
【0073】
微粒子化メラトニン及びMCCの予混合は、微粒子化メラトニン及びMCCの両方を含む部分の段階的添加によって達成することができる。各部分における微粒子化メラトニン及びMCCの量は、例えば、3つから8つの部分まで変動し得るが、より多数の部分もまた、実用的な観点から非効率的であるが実現可能であり得る。典型的には、一部分における微粒子化メラトニン及びMCCの画分は、段階的添加ステップ中に添加された、それぞれ、第1の量のMCC及び総量の微粒子化メラトニンに対して等しい割合を有する。実際には、これは、一部分が、例えば、第1の量のMCCの20重量%及び総量の微粒子化メラトニンの20重量%を含み得ることを意味する。複数の部分の各部分は、同じ量のMCC及び微粒子化メラトニンを含むことに限定されない。例えば、3つの部分が段階的添加ステップにおいて添加される場合、部分は、それぞれ、第1の量のMCC及び/又は総量の微粒子化メラトニンの、例えば、25重量%、50重量%、及び25重量%を含み得る。しかしながら、方法の変形では、各部分は、同じ量のMCC及び微粒子化メラトニンを含む。この場合、例えば、5つの部分は、各々、第1の量のMCC及び/又は総量の微粒子化メラトニンの20重量%を含むであろう。
【0074】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップの各部分は、当該第1の量の微結晶性セルロースの画分及び当該総量の微粒子化メラトニンの画分を含む。
【0075】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップの各部分は、10~50重量%の当該第1の量の微結晶性セルロース、例えば、15~40重量%の当該第1の量の微結晶性セルロース、例えば、15~25重量%の当該第1の量の微結晶性セルロース、好ましくは約20重量%の当該第1の量の微結晶性セルロースを含む。
【0076】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップの各部分は、10~50重量%の当該総量の微粒子化メラトニン、例えば、15~40重量%の当該総量の微粒子化メラトニン、例えば、15~25重量%の当該総量の微粒子化メラトニン、好ましくは約20重量%の当該総量の微粒子化メラトニンを含む。
【0077】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、一部分における微粒子化メラトニン及びMCCの画分は、それぞれ、第1の量のMCC及び総量の微粒子化メラトニンに対して等しい割合を有する。
【0078】
本発明のまた別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、当該複数の部分は、3つの部分、4つの部分、5つの部分、6つの部分、7つの部分、又は8つの部分、好ましくは5つの部分である。
【0079】
成分の混合容器へのふるい入れは、含有量の均質な分布を更に誘導することができる。微粒子化メラトニンの予混合の部分として、微粒子化メラトニン及びMCCを混合容器に導入するときに、予混合スクリーンが使用され得る。予混合スクリーンのメッシュサイズは、プロセスに調整することができる。一般に、より小さなスクリーンは、含有量のより良い分布をもたらすが、加工時間もより長くなる。
【0080】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップは、総量の微粒子化メラトニン及び第1の量の微結晶性セルロースを予混合スクリーンに通してふるいにかけることを含む。
【0081】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、予混合スクリーンは、0.8~1.2mmの範囲、好ましくは約1mmのメッシュサイズを有する。
【0082】
微粒子化メラトニン及びMCCの予混合は、2つの成分が一緒に予混合スクリーンに通してふるいにかけられるときに増強される。よって、添加される各部分について、ある量のMCC及びある量の微粒子化メラトニンが予混合スクリーンに充填され、予混合スクリーンの撹拌によって同時に通され、混合容器に入れられ得る。
【0083】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップの各部分は、予混合スクリーンに通して一緒にふるいにかけられる当該第1の量の微結晶性セルロースの画分及び当該総量の微粒子化メラトニンの画分を含む。
【0084】
方法の変形では、微粒子化メラトニン及びMCCは、予混合スクリーンへの添加前に、予混合ブレンド中で混合される。方法のこの変形では、微粒子化メラトニン及びMCCは、予混合スクリーン上に別々に充填される必要はないが、予混合ブレンドとして充填される。これはいくらかの加工時間を節約することができる。
【0085】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップは、第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを予混合ブレンドとして提供することを含む。
【0086】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、段階的添加ステップの各部分は、10~35重量%の当該予混合ブレンド、例えば、15~25重量%の当該予混合ブレンド、好ましくは約20重量%の当該予混合ブレンドを含む。
【0087】
活性成分(メラトニン)及びMCCの他に、固体剤形は、典型的には固体剤形に含まれる、充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤などの、他の成分を含む。多くの特定の成分が使用され得、本明細書に提示される方法は、任意の特定の充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤を有する固体剤形を製造することに限定されない。また、いくつかの変形における固体剤形は、同じ機能を果たすことを目的とした1つ以上の成分を含み得ることが企図される。
【0088】
充填剤は、固体剤形に体積を提供する物質である。これは、活性成分の取り扱い及び均質な分布が困難である、低活性用量の製剤にとって特に重要である。充填剤は、希釈剤と呼ばれることもある。
【0089】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、1つ以上の充填剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ラクトース、ポリオール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、塩化カリウム、カオリン、リン酸二カルシウム二水和物、デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはマンニトールである。
【0090】
マンニトールは、忍容性が良好であり、充填剤として好ましい特性を有する糖アルコールである。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、1つ以上の充填剤は、マンニトールを含む。本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、マンニトールは、唯一の充填剤である。
【0091】
方法の変形では、1つ以上の充填剤は、異なる添加ステップにおいて第1及び第2の量で添加され得る。例えば、第1の量の特定の充填剤は、第1の添加ステップにおいて添加され得、残りの量の同じ充填剤は、第2の添加ステップにおいて添加され得る。同じ充填剤でのそのような複数の添加は、例えば、充填剤がマンニトールであるときであり得る。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1の量の充填剤は、第1の添加ステップにおいて添加され、残りの量の充填剤は、第2の添加ステップにおいて添加される。
【0092】
いくつかの用途では、特定の充填剤の使用を控えることが好ましい場合がある。1つのそのような例は、乳糖不耐症個体に有害作用を引き起こし得る、ラクトースである。したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、固体剤形は、ラクトースを含まない。
【0093】
流動促進剤は、非圧縮粉末の流動性を促進し、固体剤形での投与の精度を改善する重要な成分である。任意の従来の流動促進剤は、本明細書に記載される方法で使用することができる。
【0094】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、1つ以上の流動促進剤は、コロイド状無水シリカ、ステアリルフマル酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはコロイド状無水シリカである。
【0095】
コロイド状無水シリカは、流動促進剤の全ての調節要件を満たす、軽量、微細、白色、非晶質粉末である。それは、約15nmの微粒子を含む。コロイド状無水シリカは、コロイド状二酸化ケイ素としても知られている。流動特性を改善することに加えて、コロイド状無水シリカは、固化防止特性を有し、固体剤形の硬度及び摩損度の両方を改善する。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、1つ以上の充填剤は、コロイド状無水シリカを含む。本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、コロイド状無水シリカは、唯一の流動促進剤である。
【0096】
活性成分を急速に放出する能力は、摂取後に迅速な効果が必要とされる任意の固体剤形において重要である。これは、個体の睡眠プロセスを補助するように意図された固体剤形に確かに当てはまる。崩壊剤は、水などの溶媒との接触時、膨張、膨潤、水和、及び/又は溶解することによって機能して、固体構造を破裂させ、それによって吸収のために活性成分を放出する固体剤形において破壊力を生成する。
【0097】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、1つ以上の崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポラクリリン(polacrilin)カリウム、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
【0098】
クロスカルメロースナトリウムは、内部架橋されたカルボキシメチルセルロースナトリウムである。架橋は、水溶性を低減するが、材料が膨潤し、多量の水を吸収することを可能にする。クロスカルメロースナトリウムは、10秒未満で4~8倍に膨張し、固体剤形の迅速な崩壊を促進する。よって、環境との接触が増強されるにつれて、活性成分のバイオアベイラビリティが増加する。よって、本発明の一実施形態は、1つ以上の崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムを含む、本明細書に記載される方法に関する。本発明の別の実施形態は、クロスカルメロースナトリウムが唯一の崩壊剤である、本明細書に記載される方法に関する。
【0099】
メラトニン製剤は、異なる強度の活性成分で製剤化され得る。錠剤などの、メラトニンの典型的な固体剤形は、少なくとも2mg、又はいくつかの場合では1mgのメラトニンの強度で製剤化される。200mgの固体剤形について、1mg用量の活性成分は、固体剤形の総重量の0.5重量%に対応する。本明細書に記載される方法は、1mg未満のメラトニンの含有量を有する、錠剤などの、急速放出固体剤形の大規模製造を可能にする。したがって、本明細書に記載される方法を使用して、幅広い範囲の用量強度の固体剤形を製造することが可能である。低メラトニン強度の固体剤形は、迅速な睡眠誘導効果を促進するのに十分なメラトニンの血中レベルに達するためにより少ないメラトニンが必要とされる小児などの、特定の個体の群について有利であり得る。
【0100】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して約0.2~3重量%の微粒子化メラトニンを含む。
【0101】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して最大1重量%の微粒子化メラトニン、例えば、固体剤形の総重量に対して最大0.5重量%の微粒子化メラトニン、好ましくは固体剤形の総重量に対して最大0.25重量%の微粒子化メラトニンを含む。
【0102】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して約0.5重量%の微粒子化メラトニンを含む。本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して約0.25重量%の微粒子化メラトニンを含む。
【0103】
固体剤形の残りの成分は、一般に不活性であり、すなわち、それらは、睡眠誘導効果に顕著に寄与しない。これらの成分は、メラトニン製剤に、固体剤形の崩壊時間、摩損度、破砕に対する耐性、及び引張強度などの特性を増強する量で含まれ得る。
【0104】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して20~35重量%の微結晶性セルロースを含む。
【0105】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して0.2~0.8重量%の1つ以上の流動促進剤を含む。
【0106】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して1~3重量%の1つ以上の崩壊剤を含む。
【0107】
本発明のまた更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して65~75重量%の1つ以上の充填剤を含む。
【0108】
方法の変形では、1つ以上の充填剤の大部分は、第1の添加ステップにおいて添加され、したがって微粒子化メラトニン及びMCCが添加される第1の混合物の部分を形成する。充填剤の普及は、含有量の良好な分布を促進する。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1の混合物は、固体剤形中の1つ以上の充填剤の総重量に対して、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%の1つ以上の充填剤を含む。
【0109】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1の混合物は、最終混合物に含まれた1つ以上の充填剤の全てを含む。
【0110】
いくつかのメラトニン製剤について、1つ以上の結合剤を製剤に添加することが好ましい場合がある。結合剤は、圧縮後にメラトニン及び他の成分を一緒に含有するのに役立つ。結合剤は、第1及び/又は第2の添加ステップ、好ましくは第2の添加ステップにおいて添加され得る。方法は、任意の特定の結合剤に限定されない。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1及び/又は第2の構成成分は、1つ以上の結合剤を含む。
【0111】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、1つ以上の結合剤は、アカシア、カルボマー、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、液体グルコース、及びポビドンからなる群から選択される。
【0112】
第2の添加ステップの後、第2の混合物が混合容器内でブレンドされ得る。本明細書に開示される方法は、製造時間をブレンドスキームの設計によって短く保つことができる点で有利である。よって、微結晶性セルロース及び微粒子化メラトニンの段階的添加は、含有量均一性を改善する。第1のブレンドの条件は、成分の十分な混合を達成し、加工時間を最小限に抑えるように調整することができる。加工条件は、大規模製造条件に好適に調整され得る。
【0113】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の添加ステップに続いて、第2の混合物の第1のブレンドが行われる。
【0114】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1のブレンドは、40~240秒、例えば、60~180秒、例えば、100~140秒、好ましくは約120秒の持続時間にわたって実施される。
【0115】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1のブレンドは、120rpm未満、例えば、100rpm未満、例えば、80rpm未満、好ましくは60rpm未満で実施される。
【0116】
潤滑剤は、最終固体剤形の製造可能性を補助するために粉末製剤に添加される。特に、潤滑剤は、潜在的に製造を停止し、ピッティング又は他の外部異常に起因する固体剤形の品質を損なう加工中に、成分が、パンチ及びダイなどの、装置の表面に付着しないことを保証する。本明細書に記載される方法について、ステアリン酸マグネシウムを使用することが好ましいことが見出されている。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して少なくとも0.5~2.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0117】
ステアリン酸マグネシウムの量を増加することによって製造プロセスが改善されることも見出されている。具体的には、粉末を固体剤形に加工するときに最終粉末混合物がダイを詰まらせる傾向を低減することができる。
【0118】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0119】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、固体剤形の総重量に対して3~5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。
【0120】
しかしながら、メラトニン製剤における潤滑剤の導入は、固体剤形のより低い湿潤性及びより遅い崩壊時間を引き起こし得る。より多量の潤滑剤は、これらの効果を悪化させるであろう。しかしながら、潤滑剤の延長されたブレンドを回避することによって、「過剰潤滑」効果を減少させることができる。また、崩壊剤の包含は、崩壊時間に対する潤滑剤の負の影響を相殺することができ、高い圧縮力であってもメラトニンの急速な放出を依然としてもたらすことが見出されている。
【0121】
特に>1重量%などの、多量の潤滑剤を有する固体剤形が製造される方法の変形について、潤滑剤のブレンド時間を低減することが有利である。
【0122】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第3の添加ステップに続いて、最終混合物の第2のブレンドが行われる。
【0123】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2のブレンドは、120秒未満、例えば、90秒未満、例えば、80秒未満、例えば、70秒未満、好ましくは約60秒にわたって実施される。
【0124】
本発明のまた更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2のブレンドは、120rpm未満、例えば、100rpm未満、例えば、80rpm未満、好ましくは約60rpmで実施される。
【0125】
成分は、大きな粒子状物質を除去し、粉末ブレンド全体を通して含有量の均一な分布を促進するように混合容器にふるい入れられ得る。ふるいにかけることは、定義されたメッシュサイズを有するスクリーンに成分を通すことによって達成される。産業用途に好適なそのようなスクリーンは、当業者に既知である。
【0126】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1の添加ステップは、1つ以上の充填剤を第1のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の流動促進剤を第2のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の崩壊剤を第3のスクリーンに通してふるいにかけることと、を含む。
【0127】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の添加ステップは、第2の量の微結晶性セルロースを予混合スクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の充填剤を第1のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の流動促進剤を第2のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の崩壊剤を第3のスクリーンに通してふるいにかけることと、を含む。
【0128】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第3の添加ステップは、ステアリン酸マグネシウムを第4のスクリーンに通してふるいにかけることを含む。
【0129】
スクリーンのメッシュサイズは、粉末ブレンド中の含有量の均一な分布を損なう粒子状物質を効果的に除去するように選択することができる。一般に、より小さなメッシュサイズは、含有量の均一な分布を改善するが、加工時間も増加させる。本明細書に提示される方法は、固体剤形中の含有量の均一性などの、品質を損なうことなしに、メラトニンの固体剤形の大規模製造を可能にする。
【0130】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1のスクリーンは、0.8~1.2mmの範囲のメッシュサイズを有し、第2のスクリーンは、2.0~3.0mmの範囲のメッシュサイズを有し、かつ/又は第3のスクリーンは、0.8~1.2mmの範囲のメッシュサイズを有する。
【0131】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第4のスクリーンは、0.8~1.2mmの範囲、好ましくは約1mmのメッシュサイズを有する。
【0132】
本明細書に記載される方法は、第1及び第2の添加ステップを含み、第1及び第2の構成成分は、それぞれ、混合容器に添加される。方法の変形では、成分が混合される順序が更に定義される。例えば、混合の好ましい順序は、第1の構成成分として充填剤のみ、第2の構成成分として残りの成分を含む。微粒子化メラトニン及びMCCの段階的添加の直後に流動促進剤を添加することが好ましい場合もある。
【0133】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の構成成分は、1つ以上の流動促進剤を含む。
【0134】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の添加ステップは、残りの第2の構成成分を添加する前に、1つ以上の流動促進剤を添加することを含む。
【0135】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の構成成分は、1つ以上の崩壊剤を含む。
【0136】
本発明のまた更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の添加ステップは、第2の量の微結晶性セルロースと1つ以上の崩壊剤とを混合し、それらを一緒に混合容器にふるい入れることを含む。
【0137】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1の構成成分は、1つ以上の充填剤を含む。
【0138】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第1の構成成分は、充填剤を含む。
【0139】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、第2の構成成分は、第2の量の微結晶性セルロース、流動促進剤、及び崩壊剤を含む。
【0140】
本明細書に記載される方法は、急速放出メラトニン製剤の製造を可能にするために、複数の充填剤、流動促進剤、崩壊剤、及び/又は潤滑剤の使用を必要としないことが見出されている。成分の数を低減し、プロセスを簡素化することによって、製造時間及びコストを低下させることができる。
【0141】
よって、本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、当該方法は、
i)充填剤を含む第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを添加提供することと、当該第1の量の微結晶性セルロース及び当該総量の微粒子化メラトニンを混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の量の微結晶性セルロース、流動促進剤、及び崩壊剤を含む第2の構成成分を混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含む。
【0142】
成分及びその量の特定の組み合わせは、速い崩壊時間、低い摩損度、及び破砕に対する高い耐性などの、好ましい特徴を有する固体剤形を製造することが示されている。
【0143】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、充填剤は、マンニトールであり、流動促進剤は、コロイド状無水シリカであり、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0144】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、最終混合物は、
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニンと、
-25~30重量%の微結晶性セルロースと、
-60~70重量%のマンニトールと、
-0.4~0.6重量%のコロイド状無水シリカと、
-1~3重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含み、
重量%は、固体剤形の総重量に対する。
【0145】
メラトニン製剤の成分の添加及び混合は、混合容器において行われる。大規模製造に好適な任意のタイプの混合容器は、方法において使用することができる。当業者は、使用することができる混合容器のタイプを認識している。典型的な混合容器には、これらに限定されないが、「V」ブレンダー、オブリコン(oblicone)ブレンダー、容器ブレンダー、タンブリングブレンダー、及び撹拌粉末ブレンダーが含まれる。方法について、高せん断ミキサーを使用することが好ましい。成分は、連続したステップにおいて混合容器に添加される。
【0146】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、混合容器は、高せん断ミキサーが選択される。
【0147】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、当該ステップi)~v)は、連続したステップである。
【0148】
メラトニン製剤の成分は、乾燥形態で、すなわち、実質的に水分を含まず、提供される。好ましくは、成分は、粉末として提供される。
【0149】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、微粒子化メラトニン、微結晶性セルロース、並びに1つ以上の充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤は、粉末などの、乾燥形態である。
【0150】
メラトニン製剤は、個体への経口投与に好適な任意のタイプの固体剤形として製造され得る。固体剤形の例としては、これらに限定されないが、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチが挙げられる。
【0151】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、固体剤形は、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチからなる群から選択され、好ましくは錠剤である。
【0152】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、固体剤形は、錠剤である。
【0153】
固体剤形の単位用量は、0.2mg~10mgのメラトニンを含み得る。好ましくは、固体剤形の単位用量は、0.5mg~5mgのメラトニンを含む。固体剤形は、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、又は5mgのメラトニンを含んで提供され得る。固体剤形は、50mg~300mgの範囲、好ましくは約200mgの重量を有する。
【0154】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、固体剤形は、約200mgの重量を有する。本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、固体剤形は、0.5mg、1mg、2mg、3mg、4mg、又は5mgのメラトニンを含む。
【0155】
錠剤などの、固体剤形は、最終粉末混合物から直接圧縮される。これは、ダイモールドを充填し、続いて固体剤形の圧縮及び排出によって達成される。圧縮は、これらに限定されないが、シングルパンチマシン(スタンピングプレス)又はマルチステーションマシン(ロータリープレス)を含む機械によって達成され得る。
【0156】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、固体剤形は、錠剤であり、最終混合物は、直接圧縮によって錠剤化される。
【0157】
高い圧縮力は、固体剤形の安定性を改善するが、典型的には活性成分の放出プロファイルも延長する。本明細書に記載される方法は、固体剤形が高い圧縮力で製造され、依然として高速放出プロファイルを示すことを可能にする。
【0158】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、圧縮力は、5~15kNの範囲、好ましくは5~10kNの範囲である。更なる実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、圧縮力は、5~8kNの範囲、好ましくは約6kNである。
【0159】
いくつかの変形では、固体剤形は、コーティングを備え得る。そのようなコーティングは、固体剤形の形成後の加工ステップにおいて適用される。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、方法は、固体剤形をコーティングする更なるステップを含む。
【0160】
コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング、ゼラチンコーティング、又は腸溶性コーティングなど、特定の目的を果たすように設計され得る。糖コーティングは、固体剤形の官能特性を改善するが、フィルムコーティング及び腸溶性コーティングは、それぞれ、安定性を改善し、胃酸から活性成分を保護するために使用され得る。本発明の一実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、コーティングは、糖コーティング、フィルムコーティング、ゼラチンコーティング、及び腸溶性コーティングからなる群から選択される。本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される方法に関し、コーティングは、多糖類、スクロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グリセリン、及び/又はソルビトールからなる群から選択される1つ以上の成分を含む。
【0161】
本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤は、本明細書に記載される方法によって調製することができる。方法は、大規模製造に好適であり、低単位用量であっても、メラトニンの均一な分布を有する高品質の固体剤形を製造する。
【0162】
したがって、本発明の一態様は、本明細書に記載される方法によって入手可能な急速放出メラトニン製剤に関する。
【0163】
本発明の別の態様は、
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニン、
-20~35重量%の微結晶性セルロース、
-65~75重量%の1つ以上の充填剤、
-0.2~0.8重量%の1つ以上の流動促進剤、
-1~3重量%の1つ以上の崩壊剤、及び
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、急速放出メラトニン製剤に関し、
製剤は、固体剤形として提供され、重量%は、製剤の総重量に対する。
【0164】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、微粒子化メラトニンは、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下のD90値を有する。
【0165】
メラトニン製剤は、任意の特定の充填剤、流動促進剤、又は崩壊剤に限定されない。錠剤などの固体剤形の製造に好適であることが知られている一般的な賦形剤が、メラトニン製剤に含まれ得る。
【0166】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、1つ以上の充填剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ラクトース、ポリオール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、塩化カリウム、カオリン、リン酸二カルシウム二水和物、デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはマンニトールである。
【0167】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、充填剤は、マンニトールである。
【0168】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、1つ以上の流動促進剤は、コロイド状無水シリカ、ステアリルフマル酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはコロイド状無水シリカである。
【0169】
本発明の別の好ましい実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、流動促進剤は、コロイド状無水シリカである。
【0170】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、1つ以上の崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである。
【0171】
本発明の更に別の好ましい実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0172】
成分の特定の組み合わせは、速い崩壊時間及び高い安定性などの、所望の特性を有する好ましい固体剤形をもたらすことが証明されている。
【0173】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、充填剤は、マンニトールであり、流動促進剤は、コロイド状無水シリカであり、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0174】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニンと、
-25~30重量%の微結晶性セルロースと、
-60~70重量%のマンニトールと、
-0.4~0.6重量%のコロイド状無水シリカと、
-1~3重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む。
【0175】
いくつかの目的のために、メラトニン製剤及び最終的な固体剤形を改善するために、少量の追加の成分を添加することが望ましい場合がある。したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフルマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛からなる群から選択される潤滑剤を更に含む。
【0176】
消費者の官能経験を改善するために、1つ以上の香味剤を添加することも望ましい場合がある。そのような香味剤は、固体剤形の物理的又は薬物動態特性を改変しない少量でのみ添加される。
【0177】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、1つ以上の香味剤を更に含む。
【0178】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、1つ以上の香味剤は、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、酒石酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0179】
急速放出は、異なる状況及び個体に好適である、異なる強度、すなわち、単位用量で生成され得る。特に、低い強度の固体剤形は、小児又は青年への投与に特に適し得る。
【0180】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、
-0.25~2.5重量%の微粒子化メラトニンと、
-28.5重量%の微結晶性セルロースと、
-63.5~65.75重量%のマンニトールと、
-0.5重量%のコロイド状無水シリカと、
-2重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む。
【0181】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、0.25重量%、0.5重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、又は2.5重量%の微粒化メラトニンを含む。
【0182】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、
-0.25重量%の微粒子化メラトニンと、
-28.5重量%の微結晶性セルロースと、
-65.75重量%のマンニトールと、
-0.5重量%のコロイド状無水シリカと、
-2重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む。
【0183】
本発明のまた更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、
-約0.5重量%の微粒子化メラトニンと、
-約28.5重量%の微結晶性セルロースと、
-約65.5重量%のマンニトールと、
-約0.5重量%のコロイド状無水シリカと、
-約2重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-約3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む。
【0184】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、製剤は、
-約2.5重量%の微粒子化メラトニンと、
-約28.5重量%の微結晶性セルロースと、
-約63.5重量%のマンニトールと、
-約0.5重量%のコロイド状無水シリカと、
-約2重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-約3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む。
【0185】
メラトニン製剤は、経口投与に好適な任意のタイプの固体剤形として提供され得る。
【0186】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、固体剤形は、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチからなる群から選択され、好ましくは錠剤である。
【0187】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、固体剤形は、錠剤である。
【0188】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、固体剤形は、即時放出錠剤である。
【0189】
急速放出メラトニン錠剤は、摂取時にその速いバイオアベイラビリティを促進する速い崩壊時間を有する。結果として、それは、とりわけ、迅速な睡眠誘導効果が好ましい状況において、好適である。錠剤の崩壊時間は、欧州薬局方第10版、2.9.1錠剤及びカプセルの崩壊(Ph.Eur.2.9.1)において定義され、本明細書では、ブランドErweka ZT53の錠剤崩壊試験機で測定される。速い崩壊時間は、本明細書において実証され、錠剤の他の物理的特性を損なわない。
【0190】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤の崩壊時間は、60秒未満、例えば、55秒未満、例えば、50秒未満、例えば、45秒未満、40秒未満である。
【0191】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、崩壊時間は、欧州薬局方第10版、2.9.1錠剤及びカプセル剤の崩壊(Ph.Eur.2.9.1)に従って定義される。
【0192】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、崩壊時間は、ブランドErweka ZT53の錠剤崩壊試験機で測定される。
【0193】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤の公称含有量の、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%が、15分以内に放出される。
【0194】
本発明のまた更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、欧州薬局方第10版、2.9.3固体剤形についての溶解試験に従って決定される場合、急速放出メラトニン製剤の公称含有量の少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、例えば、少なくとも97%が15分以内に放出される。好ましくは、急速放出メラトニン製剤は、錠剤である。
【0195】
本明細書に開示される方法は、活性成分(メラトニン)が製剤にわたって均一に分布されることを促進し、それによって各投与単位における定義された量の活性成分を確実にする。これは、投与単位のレシピエントが、摂取時に意図された量の活性成分を受けることを証明するために重要である。投与単位の一貫性は、参照値に対して投与単位を評価するために設定された閾値である、許容値(AV)によって評価される。含有量均一性及び許容値を決定する方法は、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に記載されている。
【0196】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、急速放出メラトニン製剤の含有量均一性は、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って決定される場合、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、例えば、少なくとも97%、例えば、少なくとも98%、例えば、少なくとも99%である。好ましくは、急速放出メラトニン製剤は、錠剤の形態である。
【0197】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、急速放出メラトニン製剤の許容値(AV)は、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って決定される場合、10未満、例えば、8未満、例えば、7未満、例えば、6未満である。好ましくは、急速放出メラトニン製剤は、錠剤の形態である。
【0198】
錠剤の物理的特性は、製造中に手動及び自動サンプリングによって、又は標準的なインプロセス制御(IPC)試験によって試験される。試験されたパラメータの中には、摩損度、破砕に対する耐性、及び引張強度がある。本明細書に提示される錠剤は、全ての標準IPC要件を満たす。
【0199】
したがって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤は、1%未満、例えば、0.7%未満、例えば、0.5%未満の摩損度を有する。
【0200】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤は、0.2~0.5%の範囲の摩損度を有する。
【0201】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤は、30~100Nの範囲、好ましくは40~80Nの範囲の破砕に対する耐性を有する。
【0202】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤は、0.5~3.0MPaの範囲、例えば、1~2MPaの範囲の引張強度を有する。
【0203】
特に好ましい急速放出メラトニン製剤が特定され、患者への投与に好適な投与単位で提供される。患者の必要性は、変動し得、したがって、急速放出メラトニン製剤の強度は、それに応じて改変され得る。
【0204】
よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤は、約0.5~5mgの微粒子化メラトニンを含む。
【0205】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関し、錠剤は、約0.5mg、1mg、1.5mg、2mg、2.5mg、3mg、3.5mg、4mg、4.5mg、又は5mgの微粒子化メラトニン、好ましくは、0.5mg、1mg、3mg、又は5mgの微粒子化メラトニンを含む。
【0206】
本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤は、不眠症などの、睡眠障害の治療に有用である。不眠症の多くの変形は、睡眠持続障害不眠症、終期不眠症、入眠障害不眠症、及び精神生理学的不眠症を含むが、これらに限定されない。しかしながら、急速放出メラトニン製剤はまた、時差ぼけ、シフトワーク睡眠障害、睡眠相後退障害(DSPS)、及び非24時間睡眠覚醒障害を含むが、これらに限定されない、概日リズムに関連する障害の治療に使用され得る。
【0207】
本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤から利益を得ることができる他の患者群は、精神状態及び/又は神経疾患に由来する睡眠障害を経験している患者である。これらの患者は、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、認知症、又はパーキンソニズムに罹患し得る。また、睡眠障害は、多くの場合、精神病若しくは気分及び不安障害などの、精神障害と組み合わされて、又は慢性閉塞性肺疾患及び夜間心虚血などの、医学的障害と併せて発生する。
【0208】
したがって、本発明の一態様は、医薬品としての使用のための本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関する。
【0209】
本発明の別の態様は、睡眠障害の治療における使用のための本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤に関する。
【0210】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、睡眠障害は、不眠症、概日リズムに関連する睡眠障害、睡眠相後退障害(DSPS)、時差ぼけ、精神(psychiatric)状態に関連する睡眠障害、神経疾患に関連する睡眠障害、精神(mental)状態に関連する睡眠障害、医学的障害に関連する睡眠障害からなる群から選択される。
【0211】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、睡眠障害は、ADHDに起因する不眠症である。
【0212】
本発明の更なる実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、急速放出メラトニン製剤は、小児又は青年に投与される。
【0213】
本発明のまた更なる実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、急速放出メラトニン製剤は、ADHD又は発達障害を有する小児又は青年に投与される。
【0214】
本発明の更に別の実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、急速放出メラトニン製剤は、50歳以上、例えば、55歳以上、例えば、60歳以上、例えば、70歳以上、例えば、80歳以上の成人に投与される。
【0215】
本発明のまた別の実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、急速放出メラトニン製剤は、ベンゾジアゼピン又は非ベンゾジアゼピン催眠剤の使用を中止した個体に投与される。
【0216】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、睡眠障害は、不眠症である。
【0217】
本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤は、経口摂取用に設計されている。よって、本発明の一実施形態は、本明細書に記載される使用のための急速放出メラトニン製剤に関し、投与の経路は、経口である。メラトニン製剤は、嚥下、経口崩壊、又は咀嚼、好ましくは嚥下され得る。
【0218】
急速放出メラトニン製剤は、連続使用のための複数の固体剤形を有するキットオブパーツとしてエンドユーザーに便利に提供され得る。キットは、典型的には、キットの内容物の使用に関する情報を保持する。固体剤形は、固体剤形の一般的なルーチンであるように実質的にパッケージングすることができ、当業者によって知られるであろう。そのようなパッケージングは、典型的には、ペットボトルなどの、ボトルである。
【0219】
よって、本発明の一態様は、
-本明細書に記載される急速放出メラトニン製剤を含む複数の固体剤形、及び
-任意選択的に、使用説明書を含む、キットオブパーツに関する。
【0220】
本発明の一実施形態は、本明細書に記載されるキットオブパーツに関し、複数の固体剤形は、ボトル、ブリスターパッケージ、又はアルミニウムパウチで提供される。好ましくは、固体剤形は、ボトル、好ましくはプラスチックボトルにパッケージングされる。
【0221】
本明細書における明らかに以前に公開された文書のリスト又は議論は、必ずしも、その文書が最新技術の一部であるか又は通常の一般的な知識であることを認めているとみなされるべきではない。
【0222】
本発明の所定の態様、特徴、又はパラメータについての選好、選択肢、及び実施形態は、文脈が別段の指示をしない限り、本発明の他の全ての態様、特徴、及びパラメータについてのあらゆる選好、選択肢、及び実施形態と組み合わせて開示されたものとみなされるべきである。これは、本明細書に記載される方法によって得られる最終乾燥組成物の部分で容易にあり得る、乾燥組成物及びその全ての特徴の説明に特に当てはまる。本発明の実施形態及び特徴はまた、以下の項目において概説される。
【0223】
項目
X1.固体剤形の急速放出メラトニン製剤の製造のための方法であって、当該方法が、
i)第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップであって、
第1の構成成分が、1つ以上の充填剤並びに任意選択的に1つ以上の流動促進剤及び/又は崩壊剤を含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを提供することと、当該第1の量の微結晶性セルロース及び当該総量の微粒子化メラトニンを混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の構成成分を混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップであって、
第2の構成成分が、第2の量の微結晶性セルロース並びに任意選択的に1つ以上の充填剤、流動促進剤、及び/又は崩壊剤を含み、
第2の混合物が、微粒子化メラトニン、微結晶性セルロース、充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤を含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含み、
第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つが、1つ以上の流動促進剤を添加することを含み、
第1及び/又は第2の添加ステップのうちの少なくとも1つが、1つ以上の崩壊剤を添加することを含む、方法。
【0224】
X2.当該第1の量の微結晶性セルロースと第1の構成成分の当該1つ以上の充填剤との間の比が、固体剤形の総重量に対して、1:8~1:12重量%/重量%の範囲、好ましくは約1:10重量%/重量%である、項目X1に記載の方法。
【0225】
X3.当該第1の量の微結晶性セルロースと当該第2の量の微結晶性セルロースとの間の比が、固体剤形の微結晶性セルロースの総重量に対して、1:4~1:10重量%/重量%の範囲、好ましくは約1:5重量%/重量%である、項目X1又はX2に記載の方法。
【0226】
X4.段階的添加ステップの各部分が、当該第1の量の微結晶性セルロースの画分及び当該総量の微粒子化メラトニンの画分を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
X5.段階的添加ステップの各部分が、10~50重量%の当該第1の量の微結晶性セルロース、例えば、15~40重量%の当該第1の量の微結晶性セルロース、例えば、15~25重量%の当該第1の量の微結晶性セルロース、好ましくは約20重量%の当該第1の量の微結晶性セルロースを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
X6.段階的添加ステップの各部分が、10~50重量%の当該総量の微粒子化メラトニン、例えば、15~40重量%の当該総量の微粒子化メラトニン、例えば、15~25重量%の当該総量の微粒子化メラトニン、好ましくは約20重量%の当該総量の微粒子化メラトニンを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
X7.当該複数の部分が、3つの部分、4つの部分、5つの部分、6つの部分、7つの部分、又は8つの部分、好ましくは5つの部分である、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
X8.段階的添加ステップが、総量の微粒子化メラトニン及び第1の量の微結晶性セルロースを予混合スクリーンに通してふるいにかけることを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
X9.予混合スクリーンが、0.8~1.2mmの範囲、好ましくは約1mmのメッシュサイズを有する、項目X8に記載の方法。
【0232】
X10.段階的添加ステップの各部分が、予混合スクリーンに通して一緒にふるいにかけられる当該第1の量の微結晶性セルロースの画分及び当該総量の微粒子化メラトニンの画分を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
X11.段階的添加ステップが、第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを予混合ブレンドとして提供することを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
X12.段階的添加ステップの各部分が、10~35重量%の当該予混合ブレンド、例えば、15~25重量%の当該予混合ブレンド、好ましくは約20重量%の当該予混合ブレンドを含む、項目X11に記載の方法。
【0235】
X13.1つ以上の充填剤が、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ラクトース、ポリオール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、塩化カリウム、カオリン、リン酸二カルシウム二水和物、デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはマンニトールである、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
X14.1つ以上の流動促進剤が、コロイド状無水シリカ、ステアリルフマル酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはコロイド状無水シリカである、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
X15.1つ以上の崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
X16.最終混合物が、固体剤形の総重量に対して0.2~3重量%の微粒子化メラトニンを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0239】
X17.最終混合物が、固体剤形の総重量に対して20~35重量%の微結晶性セルロースを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
X18.最終混合物が、固体剤形の総重量に対して65~75重量%の1つ以上の充填剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0241】
X19.最終混合物が、固体剤形の総重量に対して0.2~0.8重量%の1つ以上の流動促進剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
X20.最終混合物が、固体剤形の総重量に対して1~3重量%の1つ以上の崩壊剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0243】
X21.最終混合物が、固体剤形の総重量に対して少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0244】
X22.第1の混合物が、固体剤形中の1つ以上の充填剤の総重量に対して、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも85重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%の1つ以上の充填剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0245】
X23.第2の添加ステップに続いて、第2の混合物の第1のブレンドが行われる、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0246】
X24.第1のブレンドが、40~240秒、例えば、60~180秒、例えば100~140秒、好ましくは約120秒の持続時間にわたって実施される、項目X23に記載の方法。
【0247】
X25.第1のブレンドが、120rpm未満で、例えば、100rpm未満、例えば、80rpm未満で、好ましくは60rpmで実施される、項目X23又はX24に記載の方法。
【0248】
X26.第3の添加ステップに続いて、最終混合物の第2のブレンドが行われる、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0249】
X27.第2のブレンドが、120秒未満、例えば、90秒未満、例えば、80秒未満、例えば、70秒未満にわたって、好ましくは約60秒にわたって実施される、項目X26に記載の方法。
【0250】
X28.第2のブレンドが、120rpm未満で、例えば、100rpm未満で、例えば、80rpm未満で、好ましくは約60rpmで実施される、項目X26又はX27に記載の方法。
【0251】
X29.第1の添加ステップが、1つ以上の充填剤を第1のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の流動促進剤を第2のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の崩壊剤を第3のスクリーンに通してふるいにかけることと、を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0252】
X30.第2の添加ステップが、第2の量の微結晶性セルロースを予混合スクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の充填剤を第1のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の流動促進剤を第2のスクリーンに通してふるいにかけることと、任意選択的に1つ以上の崩壊剤を第3のスクリーンに通してふるいにかけることと、を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0253】
X31.第1のスクリーンが、0.8~1.2mmの範囲のメッシュサイズを有し、第2のスクリーンが、2.0~3.0mmの範囲のメッシュサイズを有し、かつ/又は第3のスクリーンが、0.8~1.2mmの範囲のメッシュサイズを有する、項目X29又はX30に記載の方法。
【0254】
X32.第3の添加ステップが、ステアリン酸マグネシウムを第4のスクリーンに通してふるいにかけることを含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0255】
X33.第4のスクリーンが、0.8~1.2mmの範囲、好ましくは約1mmのメッシュサイズを有する、項目X32に記載の方法。
【0256】
X34.第2の構成成分が、1つ以上の流動促進剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0257】
X35.第2の添加ステップが、残りの第2の構成成分を添加する前に、1つ以上の流動促進剤を添加することを含む、項目X34に記載の方法。
【0258】
X36.第2の構成成分が、1つ以上の崩壊剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0259】
X37.第2の添加ステップが、第2の量の微結晶性セルロースと1つ以上の崩壊剤とを混合することと、それらを一緒に混合容器にふるい入れることと、を含む、項目X36に記載の方法。
【0260】
X38.第1の構成成分が、1つ以上の充填剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
X39.第1の構成成分が、充填剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0262】
X40.第2の構成成分が、第2の量の微結晶性セルロース、流動促進剤、及び崩壊剤を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0263】
X41.当該方法が、
i)充填剤を含む第1の構成成分を混合容器に添加して、第1の混合物を形成することを含む、第1の添加ステップと、
ii)第1の量の微結晶性セルロース及び総量の微粒子化メラトニンを添加提供することと、当該第1の量の微結晶性セルロース及び当該総量の微粒子化メラトニンを混合容器に複数の部分で段階的に添加することと、を含む、段階的添加ステップと、
iii)第2の量の微結晶性セルロース、流動促進剤、及び崩壊剤を含む第2の構成成分を混合容器に添加して、第2の混合物を形成することを含む、第2の添加ステップと、
iv)ステアリン酸マグネシウムを混合容器に添加して、最終混合物を形成することを含む、第3の添加ステップと、
v)最終混合物を固体剤形に加工することを含む、加工ステップと、を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0264】
X42.充填剤が、マンニトールであり、流動促進剤が、コロイド状無水シリカであり、崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0265】
X43.最終混合物が、
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニンと、
-25~30重量%の微結晶性セルロースと、
-60~70重量%のマンニトールと、
-0.4~0.6重量%のコロイド状無水シリカと、
-1~3重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含み、
重量%が、固体剤形の総重量に対する、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0266】
X44.当該ステップi)~v)が、連続的なステップである、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0267】
X45.混合容器が、高せん断ミキサーで選択される、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0268】
X46.微粒子化メラトニン、微結晶性セルロース、並びに1つ以上の充填剤、流動促進剤、及び崩壊剤が、粉末などの、乾燥形態である、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
X47.固体剤形が、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチからなる群から選択され、好ましくは錠剤である、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
X48.固体剤形が、錠剤であり、最終混合物が、直接圧縮によって錠剤化される、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0271】
X49.圧縮力が、5~15kNの範囲、好ましくは5~10kNの範囲である、項目X46に記載の方法。
【0272】
X50.錠剤の含有量均一性が、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って決定される場合、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、例えば、少なくとも約97%、例えば、少なくとも約98%、例えば、少なくとも約99%である、項目X47~X49のいずれか1つに記載の方法。
【0273】
X51.急速放出メラトニン製剤の許容値(AV)が、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って決定される場合、約10未満、例えば、約8未満、例えば、約7未満、例えば、約6未満である、項目X50に記載の方法。
【0274】
X52.錠剤の公称含有量の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%が、約15分以内に放出される、項目X47~X51のいずれか1つに記載の方法。
【0275】
X53.微粒子化メラトニンが、レーザー回折を使用して測定される場合、約30μm以下の粒子サイズ(D90)を有するメラトニン粒子の集団を含む、先行項目のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
X54.粒子サイズが、Malvern InstrumentsからのMalvern Mastersizer 2000を使用して決定される、項目X53に記載の方法。
【0277】
Y1.
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニンと、
-20~35重量%の微結晶性セルロースと、
-65~75重量%の1つ以上の充填剤と、
-0.2~0.8重量%の1つ以上の流動促進剤と、
-1~3重量%の1つ以上の崩壊剤と、
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む、急速放出メラトニン製剤であって、
製剤が、固体剤形として提供され、重量%が、製剤の総重量に対する、急速放出メラトニン製剤。
【0278】
Y2.1つ以上の充填剤が、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ラクトース、ポリオール、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、塩化カリウム、カオリン、リン酸二カルシウム二水和物、デンプン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはマンニトールである、項目Y1に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0279】
Y3.1つ以上の流動促進剤が、コロイド状無水シリカ、ステアリルフマル酸ナトリウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、三塩基性リン酸カルシウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはコロイド状無水シリカである、項目Y1又はY2に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0280】
Y4.1つ以上の崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプン、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはクロスカルメロースナトリウムである、項目Y1~Y3のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0281】
Y5.充填剤が、マンニトールであり、流動促進剤が、コロイド状無水シリカであり、崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、項目Y1~Y4のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0282】
Y6.製剤が、
-0.2~3重量%の微粒子化メラトニンと、
-25~30重量%の微結晶性セルロースと、
-60~70重量%のマンニトールと、
-0.4~0.6重量%のコロイド状無水シリカと、
-1~3重量%のクロスカルメロースナトリウムと、
-少なくとも3重量%のステアリン酸マグネシウムと、を含む、項目Y1~Y5のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0283】
Y7.製剤が、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフルマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルク、及びステアリン酸亜鉛からなる群から選択される潤滑剤を更に含む、項目Y1~Y6のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0284】
Y8.製剤が、1つ以上の香味剤を更に含む、項目Y1~Y7のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0285】
Y9.1つ以上の香味剤が、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、酒石酸、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目Y8に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0286】
Y10.固体剤形が、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カプセル、及びトローチからなる群から選択され、好ましくは錠剤である、項目Y1~Y9のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0287】
Y11.固体剤形が、即時放出錠剤である、項目Y10に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0288】
Y12.錠剤の崩壊時間が、60秒未満、例えば、55秒未満、例えば、50秒未満、例えば、45秒未満、40秒未満である、項目Y10又はY11に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0289】
Y13.錠剤が、1%未満、例えば、0.7%未満、例えば、0.5%未満の摩損度を有する、項目Y10~Y12のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0290】
Y14.錠剤が、30~100Nの範囲、好ましくは40~80Nの範囲の破砕に対する耐性を有する、項目Y10~Y13のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0291】
Y15.錠剤が、0.5~3.0MPaの範囲、例えば、1~2MPaの範囲の引張強度を有する、項目Y10~Y14のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0292】
Y16.錠剤の含有量均一性が、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って決定される場合、少なくとも約95%、例えば、少なくとも約96%、例えば、少なくとも約97%、例えば、少なくとも約98%、例えば、少なくとも約99%である、項目Y10~Y15のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0293】
Y17.錠剤の許容値(AV)が、欧州薬局方第10版、2.9.40投与単位の均一性に従って決定される場合、約10未満、例えば、約8未満、例えば、約7未満、例えば、約6未満である、項目Y16に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0294】
Y18.錠剤の公称含有量の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%が、約15分以内に放出される、項目Y10~Y17のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0295】
Y19.微粒子化メラトニンが、レーザー回折を使用して測定される場合、約30μm以下の粒子サイズ(D90)を有するメラトニン粒子の集団を含む、項目Y10~Y18のいずれか1つに記載の急速放出メラトニン製剤。
【0296】
Y20.粒子サイズが、Malvern InstrumentsからのMalvern Mastersizer 2000を使用して決定される、項目Y19に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0297】
Z1.項目X1~X54のいずれか1つに記載の方法によって入手可能な、急速放出メラトニン製剤。
【0298】
W1.医薬品としての使用のための、項目Y1~Y20又はZ1に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0299】
W2.睡眠障害の治療における使用のための、項目Y1~Y20又はZ1に記載の急速放出メラトニン製剤。
【0300】
W3.睡眠障害が、不眠症、概日リズムに関連する睡眠障害、睡眠相後退障害(DSPS)、時差ぼけ、精神(psychiatric)状態に関連する睡眠障害、神経疾患に関連する睡眠障害、精神(mental)状態に関連する睡眠障害、医学的障害に関連する睡眠障害からなる群から選択される、項目W2に記載の使用のための急速放出メラトニン製剤。
【0301】
U1.
-項目Y1~Y20又はZ1に記載の急速放出メラトニン製剤を含む複数の固体剤形と、
-任意選択的に、使用説明書と、を含む、キットオブパーツ。
【0302】
U2.複数の固体剤形が、ボトル、ブリスターパッケージ、又はアルミニウムパウチで提供される、U1に記載のキットオブパーツ。
【0303】
ここで、本発明は、以下の非限定的な例において更に詳細に説明される。
【実施例
【0304】
実施例1:錠剤の均質性に対する非微粒子化メラトニン又は微粒子化メラトニンを使用することの効果
この例は、直接圧縮が、2つの基本製剤の含有量の許容可能な均一性を有する錠剤を得るための実行可能なアプローチであるかを調査した。よって、非微粒子化メラトニン又は微粒子化メラトニンのいずれかを含む錠剤を調製した。
【0305】
方法:
1mg又は5mgのAPI(微粒子化又は非微粒子化メラトニン)のいずれかの錠剤を、表1に従った組成物で調製した。約1000gのバッチを製造した。
【表1】
【0306】
原材料は、表2に従って取得した。
【表2】
【0307】
微粒子化
Flamma S.p.Aからのメラトニンは、2つの異なる粒子サイズ-1つの微粒子化(メラトニンF micro)及び1つの非微粒子化(メラトニンF)で入手可能であった。追加の供給業者(Swati)は、Flamma S.p.Aよりもわずかに大きなサイズの微粒子化メラトニン粒子を提供した。追加の微粒子化粒子サイズをプローブするために、メラトニンを以下に記載されるように微粒子化して、加えて2つの粒子サイズのメラトニンを得た(実験名1A及び1C、表3)。
【0308】
微粒子化は、グローブボックスに入れた、ジェットミルを使用して行った。ジェットミルは、3つの穴(1.3mm)を有する微粒子化リング、6つの穴(2.9mm)を有する微粒子化リング、又は5つの穴(3.5mm)を有する微粒子化リングのいずれかを備えた。1グラムのメラトニンを、選択された設定(排出器圧力及び粉砕圧力)で微粒子化して、ミルにおいて表面を飽和させるか、又はミルを清掃した。次いで、収集缶を別の収集缶で置き換え、微粒子化を継続することができる。
【0309】
自発的な望ましくない再結晶化を回避するために、任意のステップでの上昇した湿度への曝露を回避し、微粒子化物質を、活性乾燥剤を含む適切な容器にできるだけ早く移した。
【0310】
成分の混合
混合は、高せん断ミキサー(Diosna 4リットル)を使用して行った。メラトニンは、プラスチックに対するその親和性のために、ステンレス鋼器具を使用して取り扱った。以下のプロトコルは、成分を混合するために使用した。
【0311】
1.マンニトールを1mmスクリーンに通してDiosna容器4リットルにふるい入れた。
2.微結晶性セルロース(MCC、20%)(A)及びメラトニン(M)を1mmスクリーンに通して混合容器に交互にふるい入れた。交互混合の以下の順序を使用した:AM AM AM AM AM
3.シリカコロイド状無水を2mmスクリーンに通して混合容器にふるい入れた。
4.クロスカルメロースナトリウム及び残りの部分のMCC(80%)を1mmスクリーンに通して混合容器にふるい入れた。
5.混合ステップ1:300rpm 2分
6.ステアリン酸マグネシウムを1mmスクリーンに通して混合容器にふるい入れた。
7.混合ステップ2:300rpm 1分
【0312】
錠剤圧縮
粉末混合物を、4セットの8mm円形カップ状パンチ及び10mmフィルカムを使用して、Fette 52i錠剤プレス上で圧縮した。ダイの充填を促進するために、強制フィーダーを使用した。充填深さを、200mgの目標錠剤重量に達するように調整した。タレット速度は20rpm、強制フィーダー速度は22rpmであった。平均錠剤重量(n=10)を5分毎にチェックした。
【0313】
粒子サイズ分布
粒子サイズ分布の分析は、測定セルHydro 2000μPを備えたMalvern Mastersizer 2000を使用して行った。測定は、以下に記載されるように、それぞれ、微粒子化メラトニン及び非微粒子化メラトニンについて行った。
【0314】
微粒子化試料
パラフィンを分散剤として使用した。不明瞭化値が3~5になるまで試料を添加した。試料を2500rpmで連続的に撹拌した。試料の超音波処理を10秒間行い、熱アーチファクトを回避する20秒の平衡化後に粒子サイズ分析を行った。粒子サイズ分布が安定するまで超音波処理を繰り返した。
【0315】
非微粒子化試料
ヘプタンを分散剤として使用した。不明瞭化値が9~10になるまで試料を添加した。試料を2500rpmで連続的に撹拌した。超音波処理は、分析前に測定セルにおいて10分間実施した。
【0316】
均一性
含有量均一性の分析は、10個の試料/単位について行い、相対標準偏差(RSD、%)を評価した。アッセイは、逆相液体クロマトグラフィー及びUV検出によって行った。定量化は、外部標準の使用によって行った。分析は、Ph.Eur.2.9.40に従って行った。
【0317】
結果:
非微粒子化メラトニンを有する2つのバッチについての含有量均一性は、微粒子化メラトニンを有するバッチよりも悪く、RSDは、顕著に高かった。含有量及びRSDは、微粒子化メラトニンを有する全ての組成物(1A~1C、1E、5A~5C)について許容可能であるとみなされた。
【0318】
組成物についての計算された許容値は、1D及び5D、すなわち、最も大きなメラトニン粒子サイズを有するバッチを除いて、低かった(表3を参照されたい)。Ph.Eurに従って、10個の錠剤の許容可能なAVは、15未満である。表に見られるように、これは、微粒子化メラトニンを含む全ての試料について容易に満たされる。
【表3】
【0319】
結論:
この例は、微粒子化メラトニンを含む錠剤を直接圧縮して、高均一性のメラトニンの錠剤をもたらすことができるのに対し、より大きな粒子サイズを有するメラトニンが、錠剤間の含有量の均質な分布を保証しないことを実証する。また、プロセスは、非常に低減した混合時間であっても、高い均一性の錠剤を製造した。
【0320】
実施例2:錠剤の溶解に対する非微粒子化メラトニン又は微粒子化メラトニンを使用することの効果
この例は、メラトニン錠剤の溶解速度がメラトニン粒子サイズによってどのように影響されるかを調査した。
【0321】
方法:
1mg又は5mgのAPI(微粒子化又は非微粒子化メラトニン)のいずれかの錠剤を実施例1に従って調製した。
【0322】
溶解試験
分析は、37℃の500mL培地(水)中の1つの錠剤、及び50rpm、n=6で行った。定量化は、外部標準を使用して、逆相液体クロマトグラフィー及びUV検出によって行った。
【0323】
以下の装置を溶解試験に使用した。
【0324】
溶解
溶解装置:パドルを備えたAgilent 708-DS(Apparatus 2,Ph.Eur.2.9.3.)
シリンジフィルター:RCメンブレンフィルター、0.2μm、26mmシリンジフィルター、非滅菌、PPハウジング、ルアー/スリップ、Phenomenex
フィルターを備えたカニューレ:10 Micron Porous(Full Flow)Filters、P/N FIL010-CA-a, QLA
シリンジ:5ml(6ml)NORM-JECT、HENKE SASS WOLF
HPLC
分析カラム:Waters Acquity HSS 1.8 μm、C18 50×2.1mm
ポンプ:Waters Acquity ARC Quaternary Solvent Manager(QSM)
オートサンプラー:Waters Acquity ARC Sample Manager(SM)
カラムオーブン:Waters Acquity ARC Column Manager(CM)
検出器:Waters Acquity ARC PDA検出器
ソフトウェア:Empower
【0325】
結果:
表4は、15分後に放出される公称含有量の%としての錠剤の溶解を示す。溶解は、微粒子化メラトニンを有する全ての変形について許容可能であったが、低強度及び非微粒子化メラトニンを有する錠剤について不十分であった(表4、実験1D)。含有量均一性分析では含有量が93.6%であったため(表3、実験1D)、低い溶解は、低いアッセイによって引き起こされるのではなく、より大きな粒子サイズによるより遅い溶解によるものと思われる。
【表4】
【0326】
結論:
この例は、微粒子化メラトニンを含む錠剤が満足のいく溶解を示したのに対し、低強度及び非微粒子化メラトニンを有する錠剤は、遅い溶解プロファイルを有した。
【0327】
実施例1及び2を一緒にして、微粒子化メラトニンを含有する製剤は、非微粒子化メラトニンを含む製剤と比較して、含有量のより良い均一性及びより速い溶解プロファイルを示すと結論付けることができる。
【0328】
実施例3:錠剤加工及び特徴に対する潤滑剤の影響
この例は、ステアリン酸マグネシウムが製造プロセス及び最終錠剤の特性にどのように影響を及ぼすかを調査した。
【0329】
方法:
錠剤加工に対するステアリン酸マグネシウムの影響
0.5mgのAPI(メラトニン)の錠剤を、表5に従った組成物で調製した。成分は、実験1の表2に従った供給業者によって提供された。
【表5】
【0330】
変動する量のステアリン酸マグネシウムを含む製剤を調製して、メラトニン製剤の錠剤への乾式加工を可能にした。製剤は、ステアリン酸マグネシウムが添加され、23rpmで2分間混合されて、2.25重量%又は3重量%のマグネシウム含有量が得られたことを除いて、表5のものと同様であった。製剤を実施例1(崩壊剤の添加なし)に記載されるように調製した。主圧縮力は、5.2kNであった。
【0331】
崩壊時間に対するステアリン酸マグネシウムの影響
0.5mgのAPI(メラトニン)の錠剤を、表6に従った組成物で調製した。成分は、実施例1の表2に従った供給業者によって提供された。
【表6】
【0332】
3つの実験を並行して実行して(F1、F4、及びF5と呼ばれる、以下の表7を参照されたい)、錠剤の崩壊時間に対するステアリン酸マグネシウムのブレンド条件の影響を試験した。
【0333】
成分を、以下のプロトコルに従って高せん断ミキサー(Diosna 4リットル)を使用して混合した。
【0334】
1.マンニトール(95%)を1mmスクリーンに通してDiosna容器4リットルにふるい入れた。
2.微結晶性セルロース及びメラトニンを0.5mmスクリーンに通して混合容器に交互にふるい入れた。
3.以下の順序で、シリカコロイド状無水、残りのマンニトール(5%)、及びクロスカルメロースナトリウムを、0.5mmスクリーンに通して混合容器にふるい入れた。
4.混合ステップ1:2分間300rpm
5.ステアリン酸マグネシウムを1mmスクリーンに通して混合容器にふるい入れた。
6.混合ステップ2:表7に従った混合速度及び時間
【0335】
結果:
錠剤加工に対するステアリン酸マグネシウムの影響
引き起こされた1.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む粉末混合物の錠剤圧縮は、パンチ/ダイセットを重度に詰まらせ、錠剤の製造を妨げるダイ付着のために中断した。ステアリン酸マグネシウムの量を2.25重量%に増加させることは、錠剤の加工を改善したが、8分後にダイ付着によるノイズが聞かれ、錠剤圧縮を再び中断した。3重量%のマグネシウムを含む製剤は、パンチ/ダイセットにおけるダイ付着なしで、錠剤のストリエーション又はキャッピングなしで製造することができる。錠剤化は、中断なしに35分間進行した。
【0336】
崩壊時間に対するステアリン酸マグネシウムの影響
【表7】
【0337】
全ての実験(F1、F4、及びF5)について、崩壊が急速に生じ、40秒以内に全ての錠剤が崩壊したことが観察された。実験F5のわずかに遅い崩壊時間は、ステアリン酸マグネシウムが混合物中で「過剰混合」されていることに起因し得る。ステアリン酸マグネシウムの影響は、それがその疎水性特性によって崩壊を増加させることである。
【0338】
結論:
この例は、多量のステアリン酸マグネシウムが錠剤化プロセスを改善することを実証する。また、例は、多量のステアリン酸マグネシウムにもかかわらず、速い崩壊時間を有する錠剤を製造することができることを示す。
【0339】
実施例4:微粒子化メラトニンと微結晶性セルロース(MCC)とを予混合する代替方法
この例は、固体剤形中のメラトニンの分布を改善する微粒子化メラトニンの予混合の代替方法を調査した。
【0340】
方法:
0.5mgのAPI(メラトニン)の錠剤を、(実施例3に示されるように)表6に従った組成物で調製した。成分は、実施例1の表2に従った供給業者によって提供された。成分を、以下のプロトコルに従って2つの高せん断ミキサー(Diosna 1及び4リットル)を使用して混合した。
【0341】
予混合(高せん断ミキサー-1リットル)
1.30%のMCCを1リットルの高せん断混合容器に添加した。
2.MCC及びメラトニンを0.5mmスクリーンに通して混合容器に以下の順序でふるい入れた:
-MCC(メラトニンと等しい体積)
-メラトニン
-MCC(メラトニンと等しい体積)
3.30%の残りのMCC(30%)を混合容器に添加した。
4.混合:2分間300rpm
混合(高せん断ミキサー-4リットル)
5.マンニトール(50%)を1mmスクリーンに通して4リットルの高せん断混合容器にふるい入れた。
6.以下の構成成分を0.5mmスクリーンに通して混合容器に以下の順序でふるい入れた。
-残りのMCCの半分
-予混合物
-クロスカルメロースナトリウム
-シリカコロイド状無水
-残りの量のMCC
7.残りの量のマンニトール(50%)を1mmスクリーンに通して混合容器にふるい入れた。
8.混合:2分間300rpm
9.ステアリン酸マグネシウムを1.0mmのふるいに通して混合容器にふるい入れた。
10.混合:1分間500RPM。
【0342】
得られた粉末ブレンドを、実施例1に記載されるように錠剤に圧縮した。含有量均一性の分析を、実施例1に記載されるように行った。
【0343】
結果:
この例に記載される代替予混合方法によって製造された錠剤は、0.6%の相対標準偏差で99.57%の含有量均一性をもたらした。これは、欧州薬局方第10版に従った1.5の許容値(AV)を与えた。
【0344】
結論:
この例は、微粒子化メラトニン及びMCCの段階的添加を含む単一を超える方法を使用して、高含有量均一性を有するメラトニン製剤を提供することができることを実証する。
【0345】
実施例5:メラトニン製剤のバイオアベイラビリティに対する圧縮力の影響
この例は、メラトニン製剤の崩壊時間及び溶解プロファイルに対する圧縮力の影響を調査した。
【0346】
方法:
崩壊剤を含まないメラトニン製剤
異なるメラトニン用量の3つの製剤(N4、N7、及びN10、表8を参照されたい)を調製して、製剤の崩壊時間に対する圧縮力の効果を試験した。
【表8】
【0347】
3つの製剤を、微粉化メラトニン及びMCCを含む予混合物の形成、並びにその後の残りの成分との混合を含む、以下の混合手順に従って調製した。
【0348】
予混合(高せん断ミキサー-1リットル)
1.メラトニン及び等体積のMCCを、ビーカーにおいてスパチュラで混合し、総MCCの量の約半分を含む1LのDiosna混合容器に移した。
【0349】
2.300rpmでの混合を2分間行い、混合容器及びインペラーの内部をスクレープカードでスクレープした。
【0350】
3.約100gのMCCを添加し、3分間混合し、その後、混合容器及びインペラーの内側をスクレープカードでスクレープした。
【0351】
4.MCCの残りを添加し、3分間混合し、その後スクレイピングを行った。このステップを3分の追加の混合のためにもう1回繰り返した。
【0352】
粉末混合(タンブリングミキサー-5リットル)
1.予混合物を500μmスクリーンに通してふるいにかけ、マンニトール(2つの層における約等体積のマンニトール)の下層と上層との間のTurbulaミキサーの5L混合容器に移した。マンニトールを、1.00mmスクリーンに通してふるいにかけることによって脱塊させた。
2.混合を32rpmで5分間行った。
3.流動促進剤をビニール袋において同様の体積の粉末混合物と大まかに混合し、500μmに通してふるいにかけた。
4.流動促進剤混合物を5Lの混合容器に添加し、32rpmで3分間のブレンドを行った。
5.ステアリン酸マグネシウムを上記の同様の体積の混合物と予混合し、500μmに通してふるいにかけ、5Lの混合容器に添加した。32rpmで2分間のブレンドを行った。
【0353】
錠剤圧縮
錠剤を8mm円形パンチ/ダイセット(4セット、通常カップ深さ)において圧縮した。
【0354】
200mgの目標錠剤重量に対応する充填を用いた。主要圧縮力約5kN、タレット速度:20rpm、及び充填剤速度:22rpmを適用した。錠剤は、より低い圧縮力-約4kN(3.8~4.9kN)-及びより高い力-約6kN(5.5~6.6kN)、並びに>8kNの最も高い力でも作製した。
【0355】
溶解試験
錠剤の溶解の決定を、実施例2に記載されるように行った。
【0356】
崩壊剤を含むメラトニン製剤
異なる量の崩壊剤(1.5重量%及び3.0重量%)を含む2つのメラトニン製剤(実験番号1及び3、表9を参照されたい)を調製して、製剤の崩壊時間及び溶解に対する崩壊剤の影響を試験した。
【表9】
【0357】
2つの製剤を、崩壊剤を含まない3つの製剤(N4、N7、N10)について上述された混合手順に従って調製したが、唯一の例外は、クロスカルメロースナトリウムがビニール袋において同様の体積のマンニトールと混合され、手順の粉末混合部分のステップ1の部分として500μmスクリーンに通してふるいにかけられたことである。
【0358】
上記の崩壊剤を含まない3つの製剤(N4、N7、N10)について、錠剤圧縮及び溶解試験を行った。
【0359】
結果:
崩壊剤(N4、N7、及びN10)を含まない3つのメラトニン製剤について得られた溶解プロファイルは、圧縮力に対する強い依存性を示した。図1は、データのサブセットを示し、圧縮力≧8kNで圧縮された製剤が溶解プロファイルを顕著に遅延したことを実証する。≧8kNで圧縮された3つの製剤のうちの1つのみ(N7、低レベルのAPI)が、45分(すなわち、>80%溶解)で品質目標製品プロファイル(QTPP)Q>75%の限界を満たした。
【0360】
メラトニン製剤へのクロスカルメロースナトリウム(Cam)の添加は、圧縮力が増加したとしても、速い崩壊時間をもたらした(表10を参照されたい)。圧縮力が増加したとき崩壊時間が増加し、これは予想されるが、崩壊時間は、50秒未満に保持された。
【表10】
【0361】
N10(崩壊剤なし)と比較される実験番号1の溶解プロファイルは、速い崩壊時間を反映し、崩壊剤の添加によって溶解の顕著な改善を示した(図2)。特に、高い圧縮力で圧縮された錠剤についても崩壊剤を含む製剤について、急速な溶解が達成された。
【0362】
結論:
この例は、崩壊時間を低減することができることを実証し、溶解プロファイルは、崩壊剤のメラトニン製剤への添加によって改善した。また、崩壊剤を含めることは、崩壊剤を含まない製剤と比較して圧縮力に対する感受性を大幅に低減する。
【0363】
実施例6:急速放出メラトニン製剤の特徴
この例は、本方法によって得られた錠剤の特性を調査し、急速放出メラトニン製剤としての錠剤の適合性を評価した。
【0364】
方法:
メラトニン製剤を実施例1に記載されるように調製した。本明細書では、全ての錠剤強度にわたって含有量の均一な分布を可能にする微粒子化メラトニンを有する製剤のみが提示される。
【0365】
圧縮力は、錠剤の崩壊時間及び物理的特性に対する影響を調査するために変動させた。
【0366】
大規模製造には、Fette 52i錠剤プレスの代わりに、Fette 2090錠剤プレスが使用されるであろうことに留意されたい。
【0367】
結果:
結果を表11にまとめる。
【0368】
実験間で圧縮力に大きな差は見られず、全て約4kN、6kN、及び7.5kNを中心とした。
【0369】
破砕に対する耐性は、圧縮力が増加するにつれて増加し、これは予想され、全ての数は、全ての製剤についての良好な製造可能性を示す。
【0370】
予想されるように、圧縮力が増加するにつれて摩損度が減少する。摩損度は、全ての製剤について低く、十分に許容可能な錠剤値内である。
【0371】
崩壊結果は、より高い圧縮力がより長い崩壊時間をもたらすことを示す。全ての製剤は、最も高い圧縮力であっても、40秒未満の速い崩壊時間を有する。よって、製剤は、メラトニンの急速放出に十分に適している。
【表11】
【0372】
結論:
この例は、高品質の急速放出メラトニン製剤が、本明細書に記載される方法を使用して調製することができることを実証する。急速放出メラトニン製剤は、メラトニンの迅速なバイオアベイラビリティを促進する急速崩壊時間を有する。
図1
図2
【国際調査報告】