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特表2024-520865ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーを含むヘアケア組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーを含むヘアケア組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240517BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240517BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240517BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q5/12
A61K8/41
A61Q5/02
A61Q5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577196
(86)(22)【出願日】2022-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2022033540
(87)【国際公開番号】W WO2022266171
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,511
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン ステラ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン リー ドイル
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ステファン マイル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC061
4C083AC072
4C083AC082
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC372
4C083AC392
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC642
4C083AC662
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD262
4C083BB04
4C083BB05
4C083BB06
4C083CC31
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD05
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
(57)【要約】
1つ以上のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーを含む、シャンプー、コンディショナー、及びリーブオントリートメントなどのヘアケア組成物が開示される。ヘアケア組成物の使用方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアケア組成物であって、
a)前記ヘアケア組成物の0.01重量%~15重量%のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーであって、
(i.)1つ以上のヒドロキシル基を含む、少なくとも2つのヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位と、
(ii.)前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のヒドロキシル基のうちの少なくとも1つとエステル化している少なくとも1つの脂肪酸と、を含み、
前記オリゴマーが、1~30Pa・sの粘度を有する、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーと、
b)ビヒクルであって、前記ヘアケア組成物の重量に基づいて、以下の成分:
(i.)水性担体、
(ii.)5%~50%の、水性担体中の1つ以上のアニオン性界面活性剤、
(ii.)水性担体中のゲルマトリックス相であって、前記ヘアケア組成物の重量に基づいて、
1)0.1%~20%の1つ以上の高融点脂肪族化合物、
2)約0.1重量%~約10重量%のカチオン性界面活性剤系、
を含む水性担体中のゲルマトリックス相、
(iii.)水性担体中の0.1%~20%の非イオン性界面活性剤、
(iv.)20%~99.99%の溶媒担体
の1つ以上を有するビヒクルと、
を含む、ヘアケア組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、リシノール酸トリグリセリド又はレスクエロール酸トリグリセリドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オリゴマーが、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、2~6の繰り返し単位を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの脂肪酸は、前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中の各ヒドロキシル基でエステル化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの脂肪酸エステルが、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸でエステル化されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、二酸でオリゴマー化されている、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの脂肪酸エステルが、オレイン酸又はステアリン酸の末端エステルを有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
前記第四級アンモニウム基のうちの少なくとも1つが、前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のプロトン化アミノ基に由来する、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記オリゴマーが、2~6個の第四級アンモニウム基を含む、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
前記オリゴマー中の前記第四級アンモニウム基が、対イオンを有し、前記対イオンが、塩化物又は脂肪酸である、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中の前記第四級アンモニウム基の前記対イオンが、ステアリン酸又はオレイン酸である、請求項11に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
前記ヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位の全てが、前記第四級アンモニウム基に結合している、請求項12に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの粘度が、2~25Pa・sである、請求項1~13のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤が、サルフェートを含まない界面活性剤であり、前記組成物が、シリコーンを含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載のヘアケア組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒマシ油又はレスケレラ(lesquerella)油に由来するヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーを含むヘアケア組成物、及びこれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの毛髪は、周囲の環境との接触、及び頭皮から分泌される皮脂によって汚れる。毛髪が汚れると、不潔な感触及び魅力のない外観を呈するようになる。
【0003】
シャンプーをすることにより、余分な汚れ及び皮脂を除去することによって毛髪を清潔にする。しかし、シャンプーにより、毛髪は、濡れて、もつれて、かつ一般には扱いにくい状態になる場合がある。いったん毛髪が乾燥すると、毛髪の天然油分が除去されるため、毛髪は、乾燥し、荒れて、光沢のない、又は縮れた状態になる場合が多い。
【0004】
これらシャンプー後の問題を軽減するために、様々なアプローチが開発されている。1つのアプローチは、単一製品で毛髪の洗浄及びコンディショニングの両方を行おうとするヘアーシャンプーの適用である。他のアプローチとしては、シャンプー後のヘアコンディショナー及び/又はリーブイントリートメントの適用が挙げられる。
【0005】
ヘアケア基剤にヘアコンディショニング効果を与えるため、多種多様なコンディショニング活性物質が提案されている。しかし、シャンプー、コンディショナー、及びトリートメント内に活性濃度のコンディショニング剤を含めると、レオロジー及び安定性の問題が起こる場合があり、洗浄、泡立ちプロファイル、及び髪型が潰れる(weigh-down)作用において、消費者のトレードオフが生じる。更に、シリコーンの価格高騰及びシリコーンの非生分解性性質により、シリコーンはコンディショニング活性物質として望ましいものではなくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に基づいて、毛髪にコンディショニング効果をもたらすことができ、シリコーン若しくは他のコンディショニング活性物質と置き換えて又は併用してヘアケア組成物のコンディショニング活性を最大化することができる、コンディショニング活性物質が必要とされている。更に、天然資源から得ることができるコンディショニング活性物質を見出し、それによって再生可能資源から得られるコンディショニング活性物質を提供することが望まれている。また、生分解性に由来しかつミセル界面活性剤系を含む安定な製品が得られるコンディショニング活性物質を見出すことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ヘアケア組成物であって、
a)当該ヘアケア組成物の約0.01重量%~約15重量%のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーであって、
(i.)1つ以上のヒドロキシル基を含む、少なくとも2つのヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位と、
(ii.)ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のヒドロキシル基のうちの少なくとも1つとエステル化している少なくとも1つの脂肪酸と、を含み、
オリゴマーが、1~30Pa・sの粘度を有する、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーと、
b)ビヒクルであって、当該ヘアケア組成物の重量に基づいて、以下の成分:
(i.)水性担体、
(ii.)約5%~約50%の、水性担体中の1つ以上のアニオン性界面活性剤、
(ii.)水性担体中のゲルマトリックス相であって、当該ヘアケア組成物の重量に基づいて、
1)約0.1%~約20%の1つ以上の高融点脂肪族化合物、
2)約0.1重量%~約10重量%のカチオン性界面活性剤系、を含む水性担体中のゲルマトリックス相、
(iii.)水性担体中の約0.1%~20%の非イオン性界面活性剤、
(iv.)約20%~約99.99%の溶媒担体の1つ以上を有するビヒクルと、を含む、ヘアケア組成物を対象とする。
【0008】
また、本発明は、有効量の上記ヘアケア組成物を用いて毛髪を洗浄及びコンディショニングする方法を対象とする。
【0009】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、本開示を通読することで当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ヒマシ油の構造を示す。
図2】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図3】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図4】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図5】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図6】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図7】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図8】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図9】本発明の組成物において使用される材料1~8の構造をそれぞれ示す。
図10】比較組成物において使用される材料9~11の構造をそれぞれ示す。
図11】比較組成物において使用される材料9~11の構造をそれぞれ示す。
図12】比較組成物において使用される材料9~11の構造をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の全ての実施形態において、全ての百分率は、特に記載のない限り、全組成物の重量に対するものである。特に記載のない限り、全ての比率は重量比である。全ての範囲は、端点を含み、組み合わせ可能である。有効桁数は、表示された量に対する限定を表すものでも、測定値の精度に対する限定を表すものでもない。特に別途記載のない限り、全ての数量は、単語「約」によって修飾されるものと理解される。特に断らない限り、測定は全て、25℃で周囲条件において行われるものと理解され、「周囲条件」とは、約1気圧及び相対湿度約50%の条件を意味する。列挙された成分に関連する重量は、全て、活性レベルに基づいており、特に記載されない限り、市販の材料に含まれ得る担体又は副生成物を含まない。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、最終結果に影響を及ぼさない他の工程及び他の成分を追加できることを意味する。この用語は、「からなる」及び「から本質的になる」という用語を包含する。本発明の組成物及び方法/プロセスは、本明細書に記載する本発明の要素及び限定、並びに本明細書に記載する追加の若しくは任意の成分、構成成分、工程、又は限定のいずれかを含む、これらからなる、及びこれらから本質的になることができる。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include、includes、及びincluding)」は非限定的であることを意味し、それぞれ「含む(comprise、comprises、及びcomprising)」を意味すると理解される。
【0014】
本出願人らの発明のパラメータのそれぞれの値を求めるには、本出願の試験方法の項で開示される試験方法を用いるべきである。
【0015】
別途注記がない限り、全ての構成要素又は組成物のレベルは、その構成要素又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成要素又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0016】
全ての百分率及び比率は、特に断らない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、特に断らない限り、全組成に基づいて計算される。用語「重量パーセント」は、本明細書では「重量%」として表示される場合がある。
【0017】
本明細書の全体を通して与えられる全ての最大数値制限は、それよりも低い全ての数値制限を、このようなより低い数値制限があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられる全ての最小数極限値は、それよりも高い全ての数値限定を、このようなより高い数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本明細書の全体を通して与えられる全ての数値範囲は、このような広い数値範囲内に入るあらゆる狭い数値範囲を、このような狭い数値範囲が全てあたかも本明細書に明示的に記載されているかのように含む。
【0018】
A.ヒマシ油又はレスケレラ油に由来するヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー
ヘアケア組成物は、当該ヘアケア組成物の約0.01重量%~約15重量%、あるいは約0.1重量%~約10重量%、あるいは約0.25重量%~約5重量%のヒマシ油の1つ以上の誘導体、具体的には、ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリドオリゴマー)及びレスケレラ油(レスクエロール酸(lesquerolic)トリグリセリドオリゴマー)に由来するオリゴマーを含み得る。用語「誘導体」は、ヒマシ油又はレスケレラ油に含まれるヒドロキシル基のエステル化反応の結果として得られるエステルを意味し、エステルは、カルボン酸又は官能性カルボン酸に由来し、結果として得られる物質は、本質的に非イオン性又はカチオン性である。ヒマシ油の構造を図1に示す。
【0019】
例示的なヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー及びそれらの調製方法を本明細書に記載する。ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、2つ以上のリシノール酸トリグリセリドがエステル化反応に供される場合に得られる生成物を指す。エステル化は、エステル及び水を生成するためのアルコールと酸との反応である。酸が二酸である場合、エステル結合の成長が起こり、ヒドロキシル化トリグリセリドのオリゴマー化又は重合をもたらし得る。例えば、材料1~5の構造は、図2~6に示されるように、リシノール酸トリグリセリド及びコハク酸を含むヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーを示す。これらの構造において、エステル化は、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの形成をもたらす。標準としてポリスチレンを使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定されるオリゴマーの分子量は、オリゴマーが形成されるヒドロキシル化トリグリセリドの分子量よりも高くてもよい。結合したヒドロキシル化トリグリセリドエステル分子の各々は、「繰り返し単位又は基」と称され得る。典型的には、ヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位の数は、2~約6の範囲であり得る。本発明の多くの実施形態では、リシノール酸トリグリセリドは、ヒドロキシル化脂肪酸で更にエステル化される。ヒドロキシル化脂肪酸の例としては、リシノール酸及び12-ヒドロキシステアリン酸が挙げられる。リシノール酸トリグリセリド上の追加のヒドロキシル化脂肪酸エステルの目的は、2要素ある。第1に、ヒドロキシル化酸エステル上のヒドロキシル基は、コハク酸とのエステル化のための反応部位として作用する。結果として得られるヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、リシノール酸トリグリセリド及びコハク酸によって直接形成されたヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーのリンカーよりも、リシノール酸トリグリセリド繰り返し単位間に2つのヒドロキシル化脂肪酸基及び1つのコハク酸基を含むより長いリンカーを有する。より短いリンカーは、リシノール酸トリグリセリド反復単位間にコハク酸基のみを有する。ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの長いリンカーの例としては、材料1、材料2、材料3、及び材料4が挙げられるが、一方で短いリンカーの例は材料5である。リンカーの長さは、オリゴマーの分子柔軟性に影響を及ぼすと考えられる。長いリンカーは、分子の立体障害を低減する可能性が高く、短いリンカーよりもヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーのより伸長した立体配座をもたらす。第2に、リシノール酸トリグリセリド上の追加のヒドロキシル化脂肪酸エステル(これは、二酸との反応に使用されない)は、脂肪酸で更にエステル化されて、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー上のリシノール酸基を伸長し得る。脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシ酸、及びこれらの混合物が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、材料は、いくらかの残留非エステル化脂肪酸を含んでもよく、これは、オリゴマーと共に又はオリゴマー中に別個のゲル様相を形成することができる。例示的な材料は、材料1である。材料3、材料4、及び材料5の例は、オレイン酸エステルを有する。材料1の例は、ステアリン酸エステルを有する。材料2の例は、25重量%のステアリン酸エステル及び75重量%のオレイン酸エステルの混合物を有する。いくつかの実施形態では、残留脂肪酸は、最大5重量%までヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中に残存し得る。
【0020】
例示的なカチオン性ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー及びそれらの調製方法を本明細書に記載する。カチオン性ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有し得る。第四級アンモニウム基は、ヘアケア組成物に配合される場合、プロトン化アミノ基由来であってもよい。カチオン性ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、図7~9にそれぞれ示される、材料6~8によって例示されるように、2~約6個の第四級アンモニウム基を含んでもよい。第四級アンモニウム基は、材料8などの炭化水素と、又は材料6及び材料7などのヒドロキシル化ポリエーテルと結合している。オリゴマー中の第四級アンモニウム基は、対イオンを有してもよく、対イオンは、塩化物又は脂肪酸であってもよい。脂肪酸対イオンは、ステアリン酸、オレイン酸、又はこれらの混合物から選択され得る。リシノール酸トリグリセリドは、第四級アンモニウム基に結合していてもよい。カチオン性ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、材料8などの2つのヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位、又は物質6及び7などの4つのヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位を含み得る。
【0021】
材料のうちのいくつかについての分子情報の例を以下の表に示す。分子量は、標準ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン標準と比較した。
【0022】
【表1】
【0023】
いくつかの実施形態では、オリゴマーは、約1~約30Pa・sの粘度を有し得る。他の実施形態では、粘度は、約2~約25Pa・sであり得る。
【0024】
ヒドロキシル化トリグリセリドの材料9及び材料10の比較例並びにそれらの調製方法を本明細書に記載し、それぞれ図10及び図11に示す。これらの例は、ヒドロキシル化トリグリセリドのオリゴマー化を示すことができないが、リシノール酸トリグリセリド上のヒドロキシル基と、材料9中の酢酸又は材料10中の脂肪酸とのエステル化が達成される。これらの例の粘度は、比較例A及びBに示されるように、1~30Pa・sの本発明の範囲未満である。
【0025】
別の比較例は、図12に示されるように、材料11、Croda製のクロダボンドCSAである。これは、CrodaからのクロダボンドCSA技術情報及び特開2007ー126371A号に詳細に記載されている、水素添加ヒマシ油/セバシン酸コポリマーのコポリマーである。水素添加ヒマシ油は、比較例Cに示されるように、ヘアコンディショニングのための30Pa・sの本発明の範囲の上限を超えてコポリマーの粘度を著しく増加させる。カチオン性ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの比較例は見出されなかった。
【0026】
本発明のヘアケア組成物は、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー及びビヒクルを含み得る。ビヒクルは、限定されるものではないが、界面活性剤、乳化剤、脂肪族化合物、水性担体、溶媒担体、及び追加の構成成分を含む、ヘアケア組成物を構成する追加の構成成分の組み合わせを含み得る。
【0027】
B.界面活性剤及び乳化剤
ヘアケア組成物は、洗浄性界面活性剤を含んでよく、これは、組成物に洗浄性能をもたらす。次に、洗浄性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、若しくは双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。洗浄性界面活性剤の様々な例及び説明が、米国特許第6,649,155号、米国特許出願公開第2008/0317698号、及び同第2008/0206355号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
ヘアケア組成物中の洗浄性界面活性剤成分の濃度は、所望の洗浄及び泡立ち性能を提供するのに十分でなければならず、一般に、約2重量%~約50重量%、約5重量%~約30重量%、約8重量%~約25重量%、又は約10重量%~約20重量%の範囲である。したがって、ヘアケア組成物は、例えば、約5重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約17重量%、約18重量%、又は約20重量%の量の洗浄性界面活性剤を含んでよい。
【0029】
本組成物における使用に好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル及びアルキルエーテルサルフェートである。その他の好適なアニオン性界面活性剤は、有機の硫酸反応生成物の水溶性塩である。更に他の好適なアニオン性界面活性剤は、イセチオン酸でエステル化され水酸化ナトリウムで中和された脂肪酸の反応生成物である。他の同様のアニオン性界面活性剤は、米国特許第2,486,921号、同第2,486,922号、及び同第2,396,278号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
ヘアケア組成物で用いられる例示的なアニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ナトリウムラウリルサルコシネート、ナトリウムラウロイルサルコシネート、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更なる実施形態では、アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム又はラウレス硫酸ナトリウムである。
【0031】
様々なアニオン性乳化剤をヘアケア組成物で以下のように使用することができる。アニオン性乳化剤としては、例示であって限定するものではないが、アルキルサルフェートの水溶性塩、アルキルエーテルサルフェート、アルキルイソチオネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホスクシネート、アルキルスクシナメート、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、アルキルサルコシネート、タンパク質加水分解物のアルキル誘導体、アシルアスパルテート、アルキル若しくはアルキルエーテル若しくはアルキルアリールエーテルリン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、リン脂質若しくはレシチン、又は石鹸、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムのステアレート、オレエート又はパルミテート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリ(スチレンスルホネート)ナトリウム塩、イソブチレン-無水マレイン酸コポリマー、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロース及びペクチン、ポリ(スチレンスルホネート)、イソブチレン-無水マレイン酸コポリマー、アラビアゴム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸、トラガカントゴム、アーモンドゴム及び寒天;カルボキシメチルセルロース、硫酸化セルロース、硫酸化メチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、リン酸化デンプン、リグニンスルホン酸などの半合成ポリマー;並びに無水マレイン酸コポリマー(その加水分解物を含む)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸ブチルアクリレートコポリマー又はクロトン酸ホモポリマー及びコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸、又は2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマー及びコポリマー、並びにこのようなポリマー及びコポリマーの部分アミド又は部分エステル、カルボキシ修飾ポリビニルアルコール、スルホン酸修飾ポリビニルアルコール、及びリン酸修飾ポリビニルアルコール、リン酸化又は硫酸化トリスチリルフェノールエトキシレートなどの合成ポリマーが挙げられる。
【0032】
更に、アクリレート官能基を有するアニオン性乳化剤を本シャンプー組成物で使用してもよい。本明細書において有用なアニオン性乳化剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸及びその(メタ)アクリレートとC1~22アルキル、C1~C8アルキル、ブチルとのコポリマー;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミドとのコポリマー;カルボキシビニルポリマー;アクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリル酸/ビニルエステルコポリマー/アクリレート/ビニルイソデカノエートクロスポリマー、アクリレート/Palmeth-25アクリレートコポリマー、アクリレート/Steareth-20イタコネートコポリマー、及びアクリレート/Celeth-20イタコネートコポリマーなどのアクリレートコポリマー;ポリスチレンスルホネート、メタクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とのコポリマー、及びアクリル酸とアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸とのコポリマー;カルボキシメチルセルロース;カルボキシグアー;エチレンとマレイン酸とのコポリマー;並びにアクリレートシリコーンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書のアニオン性乳化剤を中和するために中和剤を含んでもよい。このような中和剤の非限定例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、アミノメチルプロパノール、トロメタミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられる。市販されているアニオン性乳化剤としては、例えば、商標名Carbopol981及びCarbopol980としてNoveonから供給されているCarbomer;全てNoveonから入手可能な、商標名Pemulen TR-1、Pemulen TR-2、Carbopol1342、Carbopol1382、及びCarbopol ETD2020を有するアクリレート/C10~30アルキルアクリレートクロスポリマー;HerculesからCMCシリーズとして供給されているナトリウムカルボキシメチルセルロース;並びにSeppicから供給されている商標名Capigelを有するアクリレートコポリマーが挙げられる。別の実施形態では、アニオン性乳化剤はカルボキシメチルセルロースである。
【0033】
本明細書におけるヘアケア組成物で用いるのに好適な両性又は双性イオン性の界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジングにおける使用について公知のものが挙げられる。そのような両性界面活性剤の濃度は、約0.5重量%~約20重量%、及び約1重量%~約10重量%の範囲である。好適な双性イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤の非限定的な例が、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
ヘアケア組成物に用いるのに好適な両性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族基が直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが、約8~約18個の炭素原子を含有し、1つが、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する、脂肪族第二級及び第三級アミンの誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられる。本ヘアケア組成物で用いるための例示的な両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0035】
ヘアケア組成物で用いるのに好適な双性イオン性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族基が直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが、約8~約18個の炭素原子を含有し、1つが、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として広く記載されている界面活性剤が挙げられる。別の実施形態では、ベタインなどの双性イオン性のものが選択される。
【0036】
組成物において使用するのに好適なその他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意選択的な追加の界面活性剤の非限定例は、M.C.Publishing Co.発行によるMcCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual,Publishing Co.発行)、並びに米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号において記載されており、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤系を含み得る。カチオン性界面活性剤系は、1つのカチオン性界面活性剤、又は2つ以上のカチオン性界面活性剤の混合物とすることができる。好ましくは、カチオン性界面活性剤系は、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩;モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩とジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせ、モノ長鎖アルキルアミドアミン塩とモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩との組み合わせから選択することができる。
【0038】
カチオン性界面活性剤系は、約0.1重量%~約10重量%、好ましくは約0.5重量%~約8重量%、より好ましくは約0.8重量%~約5重量%、更により好ましくは約1.0重量%~約4重量%の濃度で組成物中に含まれ得る。
【0039】
モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
本明細書で有用なモノアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤は、12~30個の炭素原子、好ましくは16~24個の炭素原子、より好ましくはC18~22アルキル基を有する1つのアルキル長鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択される。
【0040】
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、以下の式(I):
【0041】
【化1】
(式中、R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12~30個の炭素原子のアルキル基、又は最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R75、R76、R77、及びR78の残りは、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルホネート、サルフェート、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネート基から選択されるものである)を有するものである。アルキル基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。好ましくは、R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12~30個の炭素原子、より好ましくは16~24個の炭素原子、更により好ましくは18~22個の炭素原子、なおもより好ましくは22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R75、R76、R77、及びR78の残りは、CH、C、COH、及びこれらの混合物から独立して選択され、Xは、Cl、Br、CHOSO、COSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
かかるモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、及び水素添加タローアルキルトリメチルアンモニウム塩が挙げられる。
【0043】
モノ長鎖アルキルアミドアミン塩
モノ長鎖アルキルアミンも、カチオン性界面活性剤として好適である。第一級、第二級、及び第三級脂肪族アミンが有用である。約12~約22個の炭素のアルキル基を有する第三級アミドアミンが特に有用である。例示的な第三級アミドアミンとしては、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ステアラミドエチルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジメチルアミン、パルミタミドプロピルジエチルアミン、パルミタミドエチルジエチルアミン、パルミタミドエチルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジメチルアミン、アラキダミドプロピルジエチルアミン、アラキダミドエチルジエチルアミン、アラキダミドエチルジメチルアミン、ジエチルアミノエチルステアラミドが挙げられる。
【0044】
本発明で有用なアミンは、米国特許第4,275,055号(Nachtigalら)に開示されている。これらのアミンは、L-グルタミン酸、乳酸、塩酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、L-グルタミン酸塩酸塩、マレイン酸、及びこれらの混合物などの酸と組み合わせて使用することもでき、より好ましくはL-グルタミン酸、乳酸、クエン酸と組み合わせて使用される。本明細書におけるアミンは、好ましくは、いずれかの酸によって、アミンと酸のモル比が約1:0.3~約1:2、より好ましくは約1:0.4~約1:1で部分的に中和される。
【0045】
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩
ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、好ましくは、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミドアミン塩と組み合わされる。このような組み合わせは、モノアルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミドアミン塩の単一使用と比べて、すすぎが容易であるという感触をもたらすことができると考えられる。モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩又はモノ長鎖アルキルアミドアミン塩とのこのような組み合わせでは、ジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、カチオン性界面活性剤系中のジアルキル四級化アンモニウム塩の重量%が、好ましくは約10%~約50%、より好ましくは約30%~約45%の範囲であるような濃度で用いられる。
【0046】
本明細書で有用なジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤は、12~30個の炭素原子、好ましくは16~24個の炭素原子、より好ましくは18~22個の炭素原子を有する2つの長いアルキル鎖を有するものである。窒素に結合している残りの基は、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択される。
【0047】
本明細書で有用なジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、以下の式(II):
【0048】
【化2】
(式中、R75、R76、R77及びR78のうちの2つは、12~30個の炭素原子のアルキル基、又は最大約30個の炭素原子を有する芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、R75、R76、R77、及びR78の残りは、独立して、1~約4個の炭素原子のアルキル基、又は最大約4個の炭素原子を有するアルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基、若しくはアルキルアリール基から選択され、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、クロリド、ブロミド)、アセテート、シトレート、ラクテート、グリコレート、ホスフェート、ニトレート、スルホネート、サルフェート、アルキルサルフェート、及びアルキルスルホネート基から選択されるものである)を有するものである。アルキル基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル及び/又はエステル結合、並びにアミノ基などの他の基を含有し得る。より長鎖のアルキル基、例えば、炭素数が約12個以上のものは、飽和又は不飽和であってもよい。好ましくは、R75、R76、R77、及びR78のうちの1つは、12~30個の炭素原子、より好ましくは16~24個の炭素原子、更により好ましくは18~22個の炭素原子、なおもより好ましくは22個の炭素原子のアルキル基から選択され、R75、R76、R77、及びR78の残りは、CH、C、COH、及びこれらの混合物から独立して選択され、Xは、Cl、Br、CHOSO、COSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0049】
このようなジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤としては、例えば、ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウムクロリド、ジタローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジ水素添加タローアルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びジセチルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。また、このようなジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤としては、例えば、不斉ジアルキル四級化アンモニウム塩カチオン性界面活性剤も挙げられる。
【0050】
本発明の組成物は、非イオン性界面活性剤を含んでもよい。ヘアケア組成物で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、1~20の平均アルコキシル化度を有するC~C24アルキルアルコキシル化アルコール、好ましくは1~10の平均アルコキシル化度を有するC10~C18アルキルアルコキシル化アルコール、又は更には1~7の平均アルコキシル化度を有するC12~C18アルキルアルコキシル化アルコールを含む非イオン性洗浄性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、非イオン性洗浄性界面活性剤は、エトキシル化アルコールである。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグルコシドを含む。非イオン性洗浄性界面活性剤は、3~7の平均エトキシル化度を有する主にC16アルキルエトキシル化アルコールであってもよい。
【0051】
一実施形態では、界面活性剤は、コカミド、コカミドメチルMEA、コカミドDEA、コカミドMEA、コカミドMIPA、ラウラミドDEA、ラウラミドMEA、ラウラミドMIPA、ミリスタミドDEA、ミリスタミドMEA、PEG-20コカミドMEA、PEG-2コカミド、PEG-3コカミド、PEG-4コカミド、PEG-5コカミド、PEG-6コカミド、PEG-7コカミド、PEG-3ラウラミド、PEG-5ラウラミド、PEG-3オレアミド、PPG-2コカミド、PPG-2ヒドロキシエチルコカミド、及びこれらの混合物からなる群から選択される非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0052】
ヘアケア組成物で使用するのに好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化アルキルフェノール、ポリオキシエチレン化アルコール、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化水素添加ヒマシ油、アルカン酸のグリセリルエステル、アルカン酸のポリグリセリルエステル、アルカン酸のプロピレングリコールエステル、アルカン酸のソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレン化ソルビトールエステル、アルカン酸のポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレン化アルカン酸、アルカノールアミド、N-アルキルピロリドン、アルキルグリコシド、アルキルポリグルコシド、アルキルアミンオキシド、及びポリオキシエチレン化シリコーンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
C.高融点脂肪族化合物
本明細書において有用な高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有することができ、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。本明細書のこの項に開示されている化合物が、場合によっては2つ以上の分類に属し得る(例えば、いくつかの脂肪族アルコール誘導体は、脂肪酸誘導体としても分類され得る)ということが当業者には理解される。しかしながら、所与の分類は、その特定の化合物を限定することを意図するものではなく、分類及び命名法の便宜上そのようになされている。更に、二重結合の数及び位置、並びに分枝の長さ及び位置に依存して、特定の必須炭素原子を有する特定の化合物の融点が25℃未満であり得ることも当業者には理解される。低融点のこのような化合物は、この項に含めることを意図していない。高融点化合物の非限定的な例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,Fifth Edition,1993、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Second Edition,1992に見出される。様々な高融点脂肪族化合物のうち、好ましくは、脂肪族アルコールが本発明の組成物において使用される。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14~約30個の炭素原子、好ましくは約16~約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは飽和しており、直鎖又は分岐鎖アルコールであってもよい。好ましい脂肪族アルコールとしては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0054】
高純度の単一化合物の高融点脂肪族化合物が好ましい。純粋なセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールの群から選択される、純粋な脂肪族アルコールの単一化合物が非常に好ましい。「純粋な」とは、本明細書において、化合物が、少なくとも約90%、好ましくは少なくとも約95%の純度を有することを意味する。これらの高純度の単一化合物は、消費者が組成物を洗い流すときに、毛髪からの良好な洗い流し易さをもたらす。
【0055】
高融点脂肪族化合物は、改善されたコンディショニング効果、例えば、濡れた毛髪に塗布している間のツルツル感、乾いた毛髪における柔らかさ及びしっとり感をもたらすことを考慮して、組成物の約0.1重量%~約20重量%、好ましくは約1重量%~約15重量%、より好ましくは約1.5重量%~約8重量%の濃度で組成物中に含まれる。
【0056】
D.ゲルマトリックス
本発明の組成物は、ゲルマトリックスを含み得る。ゲルマトリックスは、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性担体を含む。
【0057】
ゲルマトリックスは、濡れた毛髪に適用している間のツルツルとした感触、乾いた毛髪における柔らかさ及びしっとりとした感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。上記のゲルマトリックスを提供することを考慮すると、カチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、カチオン性界面活性剤の高融点脂肪族化合物に対する重量比が、好ましくは約1:1~約1:10、より好ましくは約1:1~約1:6の範囲になるような濃度で含まれる。
【0058】
本発明のヘアケア組成物のゲルマトリックスは、水性担体を含み得る。したがって、本発明の配合物は、(周囲条件下で)注ぐことが可能な液体の形態であってよい。したがって、そのような組成物は、通常、水性担体を含み、これは約20重量%~約95重量%、又は更には約60重量%~約85重量%の濃度で存在する。この水性担体は、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよく、一態様では、特に他の構成成分の微量成分として組成物中に偶発的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒を有するか、又は有意な濃度の有機溶媒を有していない水を含んでもよい。
【0059】
本発明で有用な水性担体としては、水、及び低級アルキルアルコールと多価アルコールとの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0060】
本発明の実施形態によれば、ヘアケア組成物は、25℃で約2~約10の範囲のpHを有し得る。1つの実施形態では、ヘアケア組成物は、約2~約6の範囲のpHを有し、このことは、毛髪に既に付着している鉱物及びレドックス金属を可溶化するのに役立ち得る。したがって、ヘアケア組成物はまた、存在する鉱物及びレドックス金属付着物を洗い流すのにも有効であり得、これにより、キューティクルの変形を低減して、キューティクルの欠け落ち(chipping)及びダメージを低減することができる。
【0061】
E.水性担体 ヘアケア組成物は、(周囲条件下で)注ぐことが可能な液体の形態であり得る。したがって、このような組成物は、典型的には、担体を含み、これは約20重量%~約95重量%、又は更には約60重量%~約85重量%の濃度で存在する。担体は、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、一態様では、他の構成要素の微量成分として組成物中に偶発的に組み込まれる場合を除き、最小限の有機溶媒しか含まないか又は著しい濃度の有機溶媒を含まない水を含んでよい。
【0062】
ヘアケア組成物の実施形態において有用な担体としては、水並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様では、エタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な例示的な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0063】
F.溶媒担体
本発明による組成物は、アルコール性又は水性-アルコール性組成物中に配合され得る。したがって、ヘア処理組成物は、任意に、低級アルキルアルコール、例えば、C~Cアルキル一価アルコール、好ましくはC~Cアルキルアルコールなどの、液状、水混和性、又は水溶性の溶媒を含み得る。存在し得るアルコールは、具体的には、好ましくはエタノール及びイソプロパノールなど、化粧目的に通常用いられる1~4個の炭素原子を有する低級一価又は多価アルコールである。
【0064】
本発明に用いることができる水溶性多価アルコールもまた、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する多価アルコールである。このような多価アルコールの典型的な例は、二価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール;三価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオールなど;四価アルコール、例えば、ペンタエリトリトール;五価アルコール、例えば、キシリトールなど;六価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール;多価アルコールポリマー、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン;二価アルコールアルキルエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ-2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル;二価アルコールアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル;二価アルコールエーテルエステル、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジペート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート;グリセリンモノアルキルエーテル、例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール;糖アルコール、例えば、ソルビトール、マルトール、マルトトリオース、マンニトール、スクロース、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン糖、マルトース、キシリトース(xylytose)、デンプン糖還元アルコール、グリソリッド(glysolid)、テトラヒドロフルフリルアルコール、POEテトラヒドロフルフリルアルコール、POPブチルエーテル、POP POEブチルエーテル、トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル、POPグリセリンエーテル、POPグリセリンエーテルリン酸、POP POEペンタンエリトリトールエーテルである。
【0065】
存在し得る追加の溶媒担体は、化粧品として許容される有機溶媒又は400℃未満の沸点を有する溶媒の混合物である。特に好適な溶媒担体は、ペンタン、ヘキサン、イソペンタンなどの非分岐又は分岐炭化水素、並びにシクロペンタン及びシクロヘキサンなどの環状炭化水素である。好適な溶媒担体には、シクロペンタシロキサンなどのシクロメチコンも含まれる。
【0066】
G.追加の構成成分
ヘアケア組成物は、追加の構成成分が製品の安定性、審美性、又は性能を過度に損なわない限り、ヘアケア又はパーソナルケア製品で用いるための公知の1つ以上の追加の構成成分を更に含んでもよい。このような任意成分は、最も典型的には、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第2版、The Cosmetic,Toiletries,and Fragrance Association,Inc.1988,1992などの参考文献に記載されているものである。このような追加の構成成分の個々の濃度は、パーソナルケア組成物の約0.001重量%~約10重量%の範囲であり得る。
【0067】
ヘアケア組成物で用いるための追加の構成成分の非限定的な例としては、コンディショニング剤(例えば、シリコーン、炭化水素油、脂肪酸エステル、天然油)、天然カチオン性付着ポリマー、合成カチオン性付着ポリマー、ふけ防止剤、粒子、懸濁剤、パラフィン系炭化水素、噴射剤、粘度調整剤、染料、不揮発性溶媒又は希釈剤(水溶性及び水不溶性)、真珠光沢助剤、起泡剤、追加の界面活性剤又は非イオン性補助界面活性剤、シラミ駆除剤、pH調整剤、香料、保存剤、タンパク質、皮膚活性剤、日焼け止め剤、UV吸収剤、及びビタミンが挙げられる。
【0068】
1.コンディショニング剤
1つの実施形態では、ヘアケア組成物は、1つ以上のコンディショニング剤を含む。コンディショニング剤としては、毛髪及び/又は皮膚に特定のコンディショニング効果を与えるために使用される物質が挙げられる。ヘアケア組成物において有用なコンディショニング剤は、典型的には、乳化液体粒子を形成する水不溶性で水分散性の不揮発性液体を含む。ヘアケア組成物において用いるのに好適なコンディショニング剤は、一般に、シリコーン(例えば、シリコーンオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンゴム、高屈折率シリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)、若しくはこれらの組み合わせと特徴付けられるコンディショニング剤、又は他の方法で水性界面活性剤マトリックス中に液体分散粒子を形成するコンディショニング剤である。
【0069】
1つ以上のコンディショニング剤は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、あるいは約0.1重量%~約8重量%、あるいは約0.2重量%~約4重量%で存在する。
【0070】
a.シリコーン
ヘアケア組成物のコンディショニング剤は、不溶性シリコーンコンディショニング剤であってよい。シリコーンコンディショニング剤粒子は、揮発性シリコーン、不揮発性シリコーン、又はこれらの組み合わせを含んでよい。揮発性シリコーンが存在する場合、典型的には、シリコーンゴム及び樹脂等の市販の形態の不揮発性シリコーン材料成分用の溶媒又は担体としての使用に付随するものである。シリコーンコンディショニング剤粒子は、シリコーン流体コンディショニング剤を含んでよく、シリコーン流体の付着効率を改善するか又は毛髪の光沢を高めるために、シリコーン樹脂などの他の成分を更に含んでもよい。
【0071】
シリコーンコンディショニング剤の濃度は、典型的に、組成物の約0.01重量%~約10重量%、あるいは約0.1重量%~約8重量%、あるいは約0.1重量%~約5重量%、あるいは約0.2重量%~約3重量%の範囲である。好適なシリコーンコンディショニング剤、及びシリコーン用の任意による懸濁化剤の非限定的な例が、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び同第5,106,609号に記載されており、これらの記載は参照により本明細書に組み込まれる。ヘアケア組成物において使用するためのシリコーンコンディショニング剤は、
【0072】
【数1】
で測定したとき、約20~約2,000,000センチストークス(「csk」)、あるいは約1,000~約1,800,000csk、あるいは約50,000~約1,500,000csk、あるいは約100,000~約1,500,000cskの粘度を有し得る。
【0073】
分散したシリコーンコンディショニング剤粒子は、典型的には、約0.01マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲の体積平均粒径を有する。小さな粒子を毛髪に塗布するには、体積平均粒径は、典型的に、約0.01マイクロメートル~約4マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル~約2マイクロメートル、あるいは約0.01マイクロメートル~約0.5マイクロメートルの範囲である。より大きい粒子を毛髪に塗布するには、体積平均粒径は、典型的に、約5マイクロメートル~約125マイクロメートル、あるいは約10マイクロメートル~約90マイクロメートル、あるいは約15マイクロメートル~約70マイクロメートル、あるいは約20マイクロメートル~約50マイクロメートルの範囲である。
【0074】
シリコーン流体、ゴム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造について議論する項を含むシリコーンに関する参考資料は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,vol.15,2d ed.,pp 204-308,John Wiley & Sons,Inc.(1989)に見られ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
i.シリコーンオイル
シリコーン流体は、25℃で測定したとき、1,000,000csk未満、あるいは約5csk~約1,000,000csk、あるいは約100csk~約600,000cskの粘度を有する流動性シリコーン材料であるシリコーン油を含む。ヘアケア組成物で用いるのに好適なシリコーンオイルとしては、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。ヘアコンディショニング特性を有する他の不溶性不揮発性シリコーン流体を使用してもよい。
【0076】
シリコーンオイルとしては、以下の式(I)に一致するポリアルキル又はポリアリールシロキサンが挙げられる:
【0077】
【化3】
(式中、Rは、脂肪族、いくつかの実施形態では、アルキル、アルケニル、又はアリールであり、Rは置換又は非置換であってよく、xは1~約8,000の整数である)。組成物で用いるのに好適なR基としては、アルコキシ、アリールオキシ、アルカリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アルカミノ、並びにエーテル置換、ヒドロキシル置換、及びハロゲン置換脂肪族及びアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。また、好適なR基としては、カチオン性アミン及び第四級アンモニウム基が挙げられる。
【0078】
可能性のあるアルキル及びアルケニル置換基としては、C~C、あるいはC~C、あるいはC~Cアルキル及びアルケニルが挙げられる。他のアルキル-、アルケニル-、又はアルキニル含有基(例えば、アルコキシ、アルカリール、及びアルカミノ)の脂肪族部分は、直鎖であっても分枝鎖であってもよく、C~C、あるいはC~C、あるいはC~C、あるいはC~Cであってよい。上論のとおり、R置換基は、第一級、第二級、又は第三級アミン、又は第四級アンモニウムであってよい、アミノ官能基(例えば、アルカミノ基)を含有していてもよい。これらとしては、モノ-、ジ-、及びトリ-アルキルアミノ並びにアルコキシアミノ基が挙げられ、ここで、脂肪族部分の鎖長は、本明細書に記載されているとおりであってよい。
【0079】
ii.アミノ及びカチオン性シリコーン
組成物で用いるのに好適なカチオン性シリコーン流体としては、一般式(II)に一致するものが挙げられるが、これらに限定されない:
(R3-a-Si--(--OSiG-(--OSiG(R2-b--O--SiG3-a(R
[式中、Gは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC1~Cアルキル、いくつかの実施形態では、メチルであり、aは、0、又は1~3の値を有する整数であり、bは、0又は1であり、nは、0~1,999、あるいは49~499の数であり、mは、1~2,000、あるいは1~10の整数であり、n及びmの合計は、1~2,000、あるいは50~500の数であり、Rは、一般式CqH2qLに従う一価ラジカルであり、式中、qは、2~8の値を有する整数であり、Lは、
--N(R)CH--CH--N(R
--N(R
--N(R
--N(R)CH--CH--NR
(式中、Rは、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、いくつかの実施形態では、約C~約C20のアルキルラジカルであり、Aは、ハロゲン化物イオンである)の群から選択される]。
【0080】
一実施形態では、式(II)に対応するカチオン性シリコーンは、式(III)において以下に示す、「トリメチルシリルアモジメチコン」として知られているポリマーである:
【0081】
【化4】
【0082】
ヘアケア組成物で使用し得る他のシリコーンカチオン性ポリマーは、一般式(IV)で表される:
【0083】
【化5】
(式中、Rは、C1~18の一価炭化水素ラジカルであり、いくつかの実施形態では、アルキル又はアルケニルラジカル、例えばメチルであり、Rは、炭化水素ラジカルであり、いくつかの実施形態では、C1~18アルキレンラジカル、又は、C10~18アルキレンオキシラジカル、あるいはC1~アルキレンオキシラジカルであり、Qは、ハロゲン化物イオンであり、いくつかの実施形態では塩化物であり、rは、2~20の平均統計値であり、いくつかの実施形態では2~8であり、sは、20~200の平均統計値であり、いくつかの実施形態では20~50である)。このクラスの1つのポリマーは、Union Carbideから入手可能なUCARE SILICONE ALE 56(登録商標)として既知である。
【0084】
iii.シリコーンゴム
ヘアケア組成物で用いるのに好適な他のシリコーン流体は、不溶性シリコーンゴムである。これらのゴムは、25℃で測定したときに1,000,000csk以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン材料である。シリコーンゴムは、米国特許第4,152,416号;Noll and Walter,Chemistry and Technology of Silicones,New York:Academic Press(1968);また、General Electric Silicones Rubber Product Data Sheets SE30、SE33、SE54、及びSE76に記載され、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。ヘアケアで用いるためのシリコーンゴムの非限定的な具体例としては、ポリジメチルシロキサン、(ポリジメチルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン)(ジフェニルシロキサン)(メチルビニルシロキサン)コポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0085】
iv.高屈折率シリコーン
ヘアケア組成物で用いるのに好適な他の不揮発性不溶性シリコーン流体コンディショニング剤は、少なくとも約1.46、あるいは少なくとも約1.48、あるいは少なくとも約1.52、あるいは少なくとも約1.55の屈折率を有する「高屈折率シリコーン」として知られているものである。ポリシロキサン流体の屈折率は、一般に約1.70未満、典型的には約1.60未満である。この状況では、ポリシロキサン「流体」は、油状物及びゴム状物を含む。高屈折率ポリシロキサン流体としては、上記一般式(I)によって表されるもの、及び下記式(V)によって表されるものなどの環状ポリシロキサンが挙げられる:
【0086】
【化6】
(式中、Rは上記に定義されたとおりであり、nは、約3~約7、あるいは約3~約5の数である)。
【0087】
高屈折率ポリシロキサン流体は、本明細書に記載する所望のレベルまで屈折率を増大させるのに十分な量のアリール含有R置換基を含有する。更に、R及びnは、物質が不揮発性になるように選択してよい。
【0088】
アリール含有置換基としては、脂環式及び複素環式の5員及び6員アリール環を含有するもの、並びに5員又は6員縮合環を含有するものが挙げられる。アリール環自体は、置換されていてもよく、又は置換されていなくてもよい。
【0089】
一般に、高屈折率ポリシロキサン流体は、少なくとも約15%、あるいは少なくとも約20%、あるいは少なくとも約25%、あるいは少なくとも約35%、あるいは少なくとも約50%のアリール含有置換度を有する。典型的には、アリール置換度は、約90%未満、より一般的には約85%未満、あるいは約55%~約80%である。いくつかの実施形態では、高屈折率ポリシロキサン流体は、フェニル又はフェニル誘導体置換基と、アルキル置換基、いくつかの実施形態では、C~Cアルキル、ヒドロキシ、又はC~Cアルキルアミノ(特に、-RNHRNH2(式中、各R及びRは、独立して、C~Cアルキル、アルケニル、及び/又はアルコキシである))との組み合わせを有する。
【0090】
高屈折率シリコーンをヘアケア組成物で用いる場合、こらは、表面張力を低減するために、展着を増強し、それによって組成物で処理された毛髪の(乾燥後の)光沢を強化するのに十分な量で、シリコーン樹脂又は界面活性剤などの展着剤を含む溶液中で用いてよい。
【0091】
ヘアケア組成物で用いるのに好適なシリコーン流体は、米国特許第2,826,551号、同第3,964,500号、同第4,364,837号、英国特許第849,433号、及びSilicon Compounds,Petrarch Systems,Inc.(1984)に開示されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
v.シリコーン樹脂
シリコーン樹脂が、ヘアケア組成物のシリコーンコンディショニング剤に含まれていてもよい。これら樹脂は、高度に架橋したポリマーシロキサン系である。架橋は、シリコーン樹脂の製造中に、三官能性及び四官能性シランを単官能性若しくは二官能性又はこれら両方のシランと共に組み込むことによって導入される。
【0093】
具体的には、シリコーン物質及びシリコーン樹脂は、「MDTQ」命名法として当業者に知られている省略命名法のシステムによって便利に同定することができる。このシステムでは、シリコーンは、シリコーンを構成する様々なシロキサンモノマー単位の存在に従って記載される。要約すると、記号Mは、単官能性単位(CHSiO0.5を表し、Dは、二官能性単位(CHSiOを表し、Tは、三官能性単位(CH)SiO1.5を表し、Qは、クァドラ(quadra)又は四官能性単位SiOを表す。ダッシュ記号の付いた単位記号(例えば、M’、D’、T’、及びQ’)は、メチル以外の置換基を表しており、出現の度に具体的に規定されなければならない。
【0094】
ヘアケア組成物で用いるためのシリコーン樹脂としては、MQ、MT、MTQ、MDT及びMDTQ樹脂を挙げることができるが、これらに限定されない。メチルは、可能性のあるシリコーン置換基である。いくつかの実施形態では、シリコーン樹脂は、MQ樹脂であり、M:Q比は、約0.5:1.0~約1.5:1.0であり、シリコーン樹脂の平均分子量は、約1000~約10,000である。
【0095】
使用されるとき、屈折率が1.46未満の不揮発性シリコーン流体のシリコーン樹脂成分に対する重量比は、特に、シリコーン流体成分が本明細書に記載するとおりポリジメチルシロキサン流体であるか又はポリジメチルシロキサン流体とポリジメチルシロキサンゴムとの混合物である場合、約4:1~約400:1、あるいは約9:1~約200:1、あるいは約19:1~約100:1であってよい。シリコーン樹脂が、本発明の組成物中でシリコーン流体、即ち、コンディショニング活性物質と同じ相の一部を形成する限り、組成物中のシリコーンコンディショニング剤のレベルを決定する際には、流体及び樹脂の合計が含まれなければならない。
【0096】
b.有機コンディショニングオイル
ヘアケア(hair care hair care)組成物のコンディショニング剤は、単独で又は上記シリコーンなどのその他のコンディショニング剤と組み合わせて、少なくとも1つの有機コンディショニングオイルを含んでもよい。
【0097】
i.炭化水素油
ヘアケア組成物でコンディショニング剤として用いるのに好適な有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも約10個の炭素原子を有する炭化水素油、例えば、環状炭化水素、直鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)、及び分枝鎖脂肪族炭化水素(飽和又は不飽和)(これらのポリマー及びこれらの混合物を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。直鎖炭化水素油は、約C12~約C19であってよい。分枝鎖炭化水素油(炭化水素ポリマーを含む)は、典型的には、19個超の炭素原子を含有する。
【0098】
ii.ポリオレフィン
ヘアケア組成物で使用するための有機コンディショニングオイルは、液体ポリオレフィン、あるいは液体ポリ-α-オレフィン、あるいは水素添加された液体ポリ-α-オレフィンを含んでもよい。本明細書で用いるためのポリオレフィンは、C~約C14の、いくつかの実施形態では、約C~約C12のオレフィン系モノマーを重合させることによって調製される。
【0099】
iii.脂肪酸エステル
ヘアケア組成物においてコンディショニング剤として用いるのに好適な他の有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも10個の炭素原子を有する脂肪酸エステルが挙げられる。これら脂肪酸エステルとしては、脂肪酸又はアルコールに由来するヒドロカルビル鎖を有するエステルが挙げられる。本明細書における脂肪酸エステルのヒドロカルビル基は、アミド及びアルコキシ部分(例えば、エトキシ又はエーテル結合等)など、他の適合性官能基を含んでいてもよく、又はそれに共有結合していてもよい。
【0100】
iv.フッ素化コンディショニング化合物
有機コンディショニングオイルとして毛髪又は皮膚にコンディショニング効果を送達するのに好適なフッ素化化合物としては、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロ化オレフィン、既に記載したシリコーン流体に類似する流体又はエラストマー形態であってよいフッ素系の特定のポリマー、及びペルフルオロ化ジメチコーンが挙げられる。
【0101】
v.脂肪族アルコール
パーソナルケアヘアケア組成物で用いるのに好適な他の有機コンディショニングオイルとしては、少なくとも約10個の炭素原子、あるいは約10~約22個の炭素原子、あるいは約12~約16個の炭素原子を有する脂肪アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
vi.アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体
パーソナルケアヘアケア組成物で用いるのに好適な有機コンディショニングオイルとしては、アルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアルキルグルコシド及びアルキルグルコシド誘導体の非限定的な具体例としては、Amercholから市販されているGlucam E-10、Glucam E-20、Glucam P-10、及びGlucquat125が挙げられる。
【0103】
vii.天然油
本明細書に記載される種類の天然油は、典型的には、脂肪酸のトリグリセリド及びエステルで構成される。これらの脂肪酸は、飽和、一価不飽和、又は多価不飽和のいずれかであってよく、C~C30の範囲の異なる鎖長を含有する。最も一般的な脂肪酸としては、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、アラキジン酸(エイコサン酸)、及びリグノセリン酸(テトラコサン酸)などの飽和脂肪酸が挙げられ、不飽和酸としては、パルミトレイン酸(C16酸)、及びオレイン酸(C18酸)などの脂肪酸が挙げられ、多価不飽和酸としては、リノール酸(二価不飽和C18酸)、リノレン酸(三価不飽和C18酸)、及びアラキドン酸(四価不飽和C20酸)などの脂肪酸が挙げられる。天然油は、三官能性グリセリン分子の3つの部位にランダムに位置するこれらの脂肪酸のエステルで更に構成される。異なる天然油は異なる脂肪酸の比を有し、所定の天然油内でも、野菜又は作物がどこで育てられたか、野菜又は作物の成熟度、生育シーズン中の季候といった要因に応じてこれらの酸にも幅が生じる。したがって、任意の所定の天然油に特定の又は独特の構造を持たせることは困難であるが、構造は、典型的にはいくつかの統計的平均に基づいている。例えば、大豆油は、15:24:50:11の比のステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、及びリノレン酸の混合物を含有し、トリグリセリド1個当たりの二重結合の平均数は4.4~4.7である。二重結合の数を定量化する方法の1つとして、100gの油と反応するヨウ素のグラム数として定義されるヨウ素価(IV)がある。したがって、大豆油の場合、平均ヨウ素価は120~140の範囲である。大豆油は、約95重量%以上(例えば、約99重量%以上)の脂肪酸のトリグリセリドを含み得る。大豆油のポリオールエステル中の主な脂肪酸としては、飽和脂肪酸(非限定的な例として、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)及びステアリン酸(オクタデカン酸))、及び不飽和脂肪酸(非限定的な例として、オレイン酸(9-オクタデセン酸)、リノール酸(9,12-オクタデカジエン酸)、及びリノレン酸(9,12,15-オクタデカトリエン酸))が挙げられる。
【0104】
例示的な実施形態では、植物油としては、キャノーラ油、ベニバナ油、アルガンオイル、ホホバオイル、ココナッツオイル、シアバター、オレンジピールワックス、ティーツリーオイル、米ぬか油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
c.他のコンディショニング剤
i.第四級アンモニウム化合物
パーソナルケアヘアケア組成物でコンディショニング剤として用いるのに好適な第四級アンモニウム化合物としては、アミド部分のようなカルボニル部分、若しくはリン酸エステル部分、又は類似の親水性部分を有する長鎖置換基を有する親水性第四級アンモニウム化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
有用な親水性第四級アンモニウム化合物の例としては、CTFA Cosmetic Dictionaryにリシノールアミドプロピルトリモニウムクロリド、リシノールアミドトリモニウムエチルサルフェート、ヒドロキシステアラミドプロピルトリモニウムメチルサルフェート、及びヒドロキシステアラミドプロピルトリモニウムクロリドとして記載される化合物、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
ii.ポリエチレングリコール
コンディショニング剤として本明細書において有用な追加の化合物としては、CTFA名称がPEG-200、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-2M、PEG-7M、PEG-14M、PEG-45Mであるもの、及びこれらの混合物などの、約2,000,000以下の分子量を有するポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0108】
iii.カチオン性ポリマー
パーソナルケア組成物は、カチオン性ポリマーを更に含んでもよい。カチオン性ポリマーと組み合わせると、ヘアケア組成物中のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、付着、湿潤、及び乾燥コンディショニング並びに毛髪の感触において向上した利益を示す。
【0109】
任意の既知の天然又は合成カチオン性ポリマーが本明細書で使用され得る。例としては、米国特許第6,649,155号、米国特許出願公開第2008/0317698号、同第2008/0206355号、及び同第2006/0099167号に開示されているポリマーが挙げられ、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
カチオン性ポリマーは、ヘアケア組成物の効果を提供することを考慮して、約0.01重量%~約1重量%、一実施形態では約0.05重量%~約1.0重量%、別の実施形態では約0.25重量%~約0.60重量%の濃度で組成物中に含まれる。カチオン性ポリマーとヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーとの重量比は、一実施形態では約1:100~約1:1、別の実施形態では1:10~約1:2の範囲である。
【0111】
カチオン性ポリマーは、電荷密度が約0.5ミリ当量/グラム~約12ミリ当量/グラムの水溶性ポリマーである。組成物で用いられるカチオン性ポリマーは、約1,000ダルトン~約100,000,000ダルトンの分子量を有する。カチオン性ポリマーは、低電荷密度、中電荷密度、又は高電荷密度のカチオン性ポリマーである。
【0112】
これらのカチオン性ポリマーは、(a)カチオン性グアーポリマー、(b)カチオン性非グアーポリマー、(c)カチオン性タピオカポリマー、(d)アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー、(e)洗浄性界面活性剤と組み合わせた際にリオトロピック液晶を形成する、合成非架橋カチオン性ポリマー、及び/又は(f)カチオン性ヒドロキシエチルセルロースのうちの少なくとも1つを含み得る。更に、カチオン性ポリマーは、ポリマーの混合物であり得る。
【0113】
(a)カチオン性グアーポリマー
一実施形態によれば、カチオン性グアーポリマーは、約1,000,000g/mol未満の重量平均分子量を有し、約0.1meq/g~約2.5meq/gの電荷密度を有する。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、900,000g/mol未満、又は約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/mol、約150,000~約800,000g/mol、又は約200,000~約700,000g/mol、又は約300,000~約700,000g/mol、又は約400,000~約600,000g/molの重量平均分子量を有する。1つの実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、約0.2~約2.2meq/g、又は約0.3~約2.0meq/g、又は約0.4~約1.8meq/g、又は約0.5meq/g~約1.5meq/gの電荷密度を有し得る。
【0114】
ある実施形態では、本組成物は、カチオン性グアーポリマー(a)を、その組成物全体の、約0.01重量%~約0.6重量%未満、又は約0.04重量%~約0.55重量%、又は約0.08重量%~約0.5重量%、又は約0.16重量%~約0.5重量%、又は約0.2重量%~約0.5重量%、又は約0.3重量%~約0.5重量%、又は約0.4重量%~約0.5重量%含む。
【0115】
好適なカチオン性グアーポリマーとしては、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられる。一実施形態では、カチオン性グアーポリマーは、グアーヒドロキシプロピル塩化トリモニウムである。グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドの具体例としては、Rhone-Poulenc Incorporatedから市販されているJaguar(登録商標)シリーズ、例えば、Rhodiaから市販されているJaguar(登録商標)C-500が挙げられる。Jaguar(登録商標)C-500は、0.8meq/gの電荷密度及び500,000g/molの分子量を有する。約1.1meq/gの電荷密度及び約500,000g/モルの分子量を有する別のグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドが、Ashlandから入手可能である。約1.5meq/gの電荷密度及び約500,000g/モルの分子量を有する更なるグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドは、Ashlandから入手可能である。
【0116】
他の好適なポリマーとしては、約0.7meq/gの電荷密度及び約600,000g/モルの分子量を有し、Rhodiaから入手可能であるHi-Care1000;約0.7meq/gの電荷密度及び約425,000g/モルの分子量を有し、Ashlandから入手可能であるN-Hance3269及びN-Hance3270;約0.9meq/gの電荷密度及び約50,000g/モルの分子量を有し、Ashlandから入手可能であるAquaCat CG518が挙げられる。更なる非限定的な例は、Ashland製のN-Hance 3196である。
【0117】
(b)カチオン性非グアーポリマー
本発明のシャンプー組成物は、モノマー対モノマー基準でマンノースのガラクトースに対する比が2:1超であるガラクトマンナンポリマー誘導体を含み、当該ガラクトマンナンポリマー誘導体は、カチオン性ガラクトマンナンポリマー誘導体、及び正味の正電荷を有する両性ガラクトマンナンポリマー誘導体からなる群から選択される。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性ガラクトマンナン」は、カチオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。用語「両性ガラクトマンナン」は、ポリマーが正味の正電荷を有するようにカチオン性基及びアニオン性基が付加されたガラクトマンナンポリマーを指す。
【0118】
本発明のシャンプー組成物で用いるためのガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1,000~約10,000,000の分子量を有する。本発明の1つの実施形態では、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、約5,000~約3,000,000の分子量を有する。本明細書で使用するとき、用語「分子量」とは、重量平均分子量を指す。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0119】
本発明のシャンプー組成物は、約0.9meq/g~約7meq/gのカチオン電荷密度を有するガラクトマンナンポリマー誘導体を含む。本発明の1つの実施形態では、ガラクトマンナンポリマー誘導体は、約1meq/g~約5meq/gのカチオン電荷密度を有する。ガラクトマンナン構造へのカチオン性基の置換度は、必要なカチオン電荷密度をもたらすのに十分である必要がある。
【0120】
(c)カチオン変性デンプンポリマー
本発明のシャンプー組成物は、水溶性カチオン変性デンプンポリマーを含む。本明細書で使用するとき、用語「カチオン性変性デンプン」とは、デンプンがより小さい分子量に分解される前にカチオン性基が付加されたデンプン、又はデンプンの変性後にカチオン性基が付加されて所望の分子量に達したデンプンを指す。用語「カチオン変性デンプン」の定義には、両性変性デンプンも含まれる。用語「両性変性デンプン」とは、カチオン性基及びアニオン性基が付加されたデンプン加水分解物を指す。
【0121】
本発明のシャンプー組成物は、組成物の約0.01重量%~約10重量%、より好ましくは約0.05重量%~約5重量%の範囲のカチオン変性デンプンポリマーを含む。
【0122】
これらのアンモニウム基の非限定的な例としては、ヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、ジメチルステアリルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリド、及びジメチルドデシルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドなどの置換基を挙げることができる。Solarek,D.B.,Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Fla.1986,pp 113~125を参照のこと。カチオン性基は、より小さな分子量に分解される前にデンプンに付加されてもよく、又はカチオン性基は、そのような変性の後に付加されてもよい。
【0123】
化学変性前のデンプン源は、塊茎、マメ科植物、穀草、及び穀物などの様々な供給源から選択することができる。この供給源のデンプンの非限定的な例としては、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、もちトウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、もち麦、もち米(waxy rice)デンプン、もち米(glutenous rice)デンプン、もち米(sweet rice)デンプン、Amioca、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、オート麦デンプン、サゴデンプン、もち米(sweet rice)、又はこれらの混合物が挙げられ得る。タピオカデンプンが好ましい。
【0124】
本発明の1つの実施形態では、カチオン変性デンプンポリマーは、分解されたカチオン性トウモロコシデンプン、カチオン性タピオカ、カチオン性ポテトデンプン、及びこれらの混合物から選択される。別の実施形態では、カチオン変性デンプンポリマーは、カチオン性コーンスターチ及びカチオン性タピオカである。カチオン性タピオカデンプンが好ましい。
【0125】
別の実施形態では、カチオン性付着ポリマーは、天然由来のカチオン性ポリマーである。本明細書で使用するとき、用語「天然由来のカチオン性ポリマー」とは、天然源から得られるカチオン性付着ポリマーを指す。天然資源は、多糖ポリマーであってもよい。したがって、天然由来カチオン性ポリマーは、デンプン、グアー、セルロース、カッシア、イナゴマメ、コンニャク、タラ、ガラクトマンナン、及びタピオカを含む群から選択され得る。更なる実施形態では、カチオン性付着ポリマーは、Mirapol(登録商標)100S(Rhodia)、Jaguar(登録商標)C17、ポリクオタニウム-6、カチオン性タピオカデンプン(Akzo)、ポリクオタニウム-76、及びこれらの混合物から選択される。
【0126】
(d)アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマー
本発明のある実施形態によれば、シャンプー組成物は、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとのカチオン性コポリマーであって、約1.0meq/g~約3.0meq/gの電荷密度を有する、カチオン性コポリマーを含む。ある実施形態では、カチオン性コポリマーは、アクリルアミドモノマーとカチオン性モノマーとの合成カチオン性コポリマーである。
【0127】
一実施形態では、カチオン性コポリマー(b)は、AM:TRIQUATであり、これは、アクリルアミドと1,3-プロパンジアミニウム,N-[2-[[[ジメチル[3-[(2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)アミノ]プロピル]アンモニオ]アセチル]アミノ]エチル]2-ヒドロキシ-N,N,N’,N’,N’-ペンタメチル-,トリクロリドとのコポリマーである。AM:TRIQUATはまた、ポリクオタニウム76(polyquaternium 76、PQ76)としても既知である。AM:TRIQUATは、1.6meq/gの電荷密度及び110万g/molの分子量を有し得る。
【0128】
一実施形態では、カチオン性コポリマーは、トリメチルアンモニオプロピルメタクリルアミドクロリド-N-アクリルアミドコポリマーであり、これは、AM:MAPTACとしても知られている。AM:MAPTACは、約1.3meq/gの電荷密度及び約110万g/molの分子量を有し得る。一実施形態では、カチオン性コポリマーは、AM:ATPACである。AM:ATPACは、約1.8meq/gの電荷密度及び約110万g/molの分子量を有し得る。
【0129】
(e)カチオン性合成ポリマー
本明細書に記載されるカチオン性ポリマーは、ダメージヘア、特に化学的に処理された毛髪に、代用の疎水性F層をもたらすのに役立つ。リオトロピック液晶は、本明細書に記載される合成カチオン性ポリマーをシャンプー組成物の前述のアニオン性洗浄性界面活性剤構成成分と合わせることにより形成される。合成カチオン性ポリマーの電荷密度は比較的高い。カチオン電荷密度が比較的高い一部の合成ポリマーは、主にそれらの異常な線形の電荷密度のためにリオトロピック液晶を形成しないことに留意されたい。このような合成カチオン性ポリマーは、国際公開第94/06403号(Reichら)に記載されている。
【0130】
カチオン性ポリマーの濃度は、シャンプー組成物の約0.025重量%~約5重量%、好ましくは約0.1重量%~約3重量%、より好ましくは約0.2重量%~約1重量%の範囲である。
【0131】
カチオン性ポリマーは、約2meq/gm~約7meq/gm、好ましくは約3meq/gm~約7meq/gm、より好ましくは約4meq/gm~約7meq/gmのカチオン電荷密度を有する。いくつかの実施形態では、カチオン電荷密度は約6.2meq/gmである。また、このポリマーは、約1,000~約5,000,000、より好ましくは約10,000~約2,000,000、最も好ましくは100,000~約2,000,000の分子量を有する。
X-は、ハロゲン、ヒドロキシド、アルコキシド、サルフェート又はアルキルサルフェートである。
【0132】
カチオン性モノマーの例としては、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アミノアルキル(メタ)アクリルアミド;少なくとも1つの第二級、第三級、若しくは第四級アミン官能基、又は窒素原子を含有する複素環基、ビニルアミン若しくはエチレンイミンを含むモノマー;ジアリルジアルキルアンモニウム塩;これらの混合物、これらの塩、及びこれらに由来するマクロモノマーを挙げることができる。
【0133】
カチオン性モノマーの更なる例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオ(ditertio)ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)が挙げられる。
【0134】
カチオン性モノマーの非限定例は、式-NR (式中、Rは、同一であるか又は異なり、水素原子、1~10個の炭素原子を含むアルキル基、又はベンジル基を表し、任意にヒドロキシル基を有し、かつアニオン(対イオン)を含む)の第四級アンモニウム基を含む。アニオンの例は、クロリド、ブロミドなどのハライド、サルフェート、ヒドロサルフェート、アルキルサルフェート(例えば、1~6個の炭素原子を含む)、ホスフェート、シトレート、ホルメート、及びアセテートである。
【0135】
カチオン性モノマーの非限定例としては、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロリド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロリド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミドクロリド、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。カチオン性モノマーの非限定例としては、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロリドが挙げられる。
【0136】
(f)カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースポリマー
本発明のヘアケア組成物は、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロースポリマーを含み得る。カチオン性セルロース系ポリマーは、ポリマー疎水性を調整するために疎水性物質を更に含むことができる。非限定的な例としては、DowからのUCARE(商標)Polymer LR-30M、JR-30M、及びKG-30M並びにUCARE(商標)Extreme Polymerなどの四級化ヒドロキシエチルセルロースのポリクオタニウム-10が挙げられ得る。
【0137】
多くの実施形態では、ヘアケア組成物中のカチオン性ポリマーの混合物は、二元及び三元である。二元混合物の重量比は、約1:10~10:1の範囲である。二元混合物の例としては、DADMAC及びUCARE(商標)Polymer KG-30Mの1:1の比の混合物が挙げられる。
【0138】
2.有益剤
一実施形態では、ヘアケア組成物は、1つ以上の更なる有益剤を更に含む。有益剤は、抗ふけ剤、ビタミン、脂溶性ビタミン、キレート剤、香料、増白剤、酵素、感覚剤、誘引剤、抗菌剤、染料、顔料、ブリーチ剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む。
【0139】
一態様では、上記有益剤は、抗ふけ剤を含んでいてもよい。このようなふけ防止微粒子は、組成物の構成成分と物理的及び化学的に適合している必要があり、過度に製品の安定性、審美性又は性能を過度に損なわないものである必要がある。
【0140】
一実施形態によると、ヘアケア組成物は抗ふけ活性物質を含み、その抗ふけ活性物質は抗ふけ活性の微粒子であってもよい。一実施形態では、抗ふけ活性物質は、ピリジンチオン塩、ケトコナゾール、エコナゾール、及びエルビオールなどのアゾール、硫化セレン、粒子状硫黄、サリチル酸などの角質溶解剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、抗ふけ微粒子はピリジンチオン塩である。
【0141】
ピリジンチオン微粒子は、好適な微粒子抗ふけ活性物質である。一実施形態では、抗ふけ活性物質は、1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩であり、微粒子形態である。一実施形態では、ピリジンチオン抗ふけ粒子の濃度は、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の範囲である。一実施形態では、ピリジンチオン塩は、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム及びジルコニウムなどの重金属、一般的には亜鉛から形成されるもの、典型的には1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオンの亜鉛塩(「亜鉛ピリジンチオン」又は「ZPT」として知られている)、通常、プレートレット状粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩である。一実施形態では、プレートレット状粒子形態の1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオン塩は、約20μm以下、又は約5μm以下、又は約2.5μm以下の平均粒径を有する。他のカチオン(例えば、ナトリウム)から形成される塩もまた好適であり得る。ピリジンチオンふけ防止活性成分は、例えば、米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0142】
一実施形態では、組成物は、ピリチオンの多価金属塩から選択される抗ふけ活性物質に加えて、1つ以上の抗真菌及び/又は抗細菌活性物質を更に含む。一実施形態では、抗細菌活性物質は、コールタール、硫黄、炭、ウィットフィールド軟膏、カステラーニ塗布剤、塩化アルミニウム、ゲンチアナバイオレット、オクトピロックス(ピロクトンオラミン)、シクロピロックスオラミン、ウンデシレン酸及びその金属塩、過マンガン酸カリウム、硫化セレン、チオ硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ビターオレンジ油、尿素調製物、グリセオフルビン、8-ヒドロキシキノリンシロキノール、チオベンダゾール、チオカルバメート、ハロプロジン、ポリエン、ヒドロキシピリドン、モルホリン、ベンジルアミン、アリルアミン(テルビナフィンなど)、茶木油、クローブリーフ油、コリアンダー、パルマローザ、ベルベリン、タイムレッド、桂皮油、ケイ皮アルデヒド、シトロネル酸、ヒノキトール、イヒチオールペール、Sensiva SC-50、Elestab HP-100、アゼライン酸、リチカーゼ、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、オクチルイソチアザリノンなどのイソチアザリノン、及びアゾール、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、抗細菌剤は、イトラコナゾール、ケトコナゾール、硫化セレン、コールタール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0143】
一実施形態では、アゾール抗細菌剤は、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、ビフォナゾール、硝酸ブタコナゾール、クリンバゾール、クロトリマゾール、クロコナゾール、エベルコナゾール、エコナゾール、エルビオール、フェンチコナゾール、フルコナゾール、フルチマゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ラノコナゾール、メトロニダゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、セルタコナゾール、硝酸サルコナゾール、チオコナゾール、チアゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるイミダゾールである。あるいは、アゾール抗細菌剤は、テルコナゾール、イトラコナゾール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるトリアゾールである。アゾール抗細菌活性物質は、ヘアケア組成物中に存在する場合、約0.01重量%~約5重量%、又は約0.1重量%~約3重量%、又は約0.3重量%~約2重量%の量で含まれる。一実施形態では、アゾール抗細菌活性物質は、ケトコナゾールである。一実施形態では、唯一の抗細菌活性物質がケトコナゾールである。
【0144】
ヘアケア組成物の実施形態はまた、抗菌活性成分の組み合わせも含んでもよい。一実施形態では、抗細菌活性物質の組み合わせは、オクトピロックスとジンクピリチオン、パインタールと硫黄、サリチル酸とジンクピリチオン、サリチル酸とエルビオール、ジンクピリチオンとエルビオール、ジンクピリチオンとクリンバゾール(climbasole)、オクトピロックスとクリンバゾール、サリチル酸とオクトピロックス、及びこれらの混合物からなる組み合わせの群から選択される。
【0145】
一実施形態では、組成物は、有効な量の亜鉛含有層状物質を含む。ある実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.001重量%~約10重量%、又は約0.01重量%~約7重量%、又は約0.1重量%~約5重量%の亜鉛含有層状材料を含む。
【0146】
亜鉛含有層状材料は、結晶の成長が主に二次元で生じたものであってもよい。層構造は、全ての原子が十分画定された層に組み込まれているものとしてだけではなく、ギャラリーイオン(gallery ion)と呼ばれる、層間にイオン又は分子があるものとしても説明することが慣例的である(A.F.Wells「Structural Inorganic Chemistry」Clarendon Press,1975)。亜鉛含有層状材料(zinc-containing layered material、ZLM)は、亜鉛を層に組み込んでいてもよく、及び/又はギャラリーイオンの構成成分であってもよい。以下のZLMの部類は、全般的カテゴリの比較的一般的な例を代表するものであり、この定義に適合する、より広範囲の材料に関して限定することを意図するものではない。
【0147】
多くのZLMが鉱物として天然に存在する。一実施形態では、ZLMは、水亜鉛土(炭酸水酸化亜鉛)、水亜鉛銅鉱(炭酸水酸化亜鉛銅)、亜鉛孔雀石(炭酸水酸化銅亜鉛)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。亜鉛を含有する関連鉱物もまた、組成物中に含まれていてもよい。粘土性鉱物(例えば、フィロシリケート)などのアニオン性層の種がイオン交換された亜鉛ギャラリーイオンを含有する、天然のZLMもまた存在し得る。これら天然材料は全て、合成によって得ることもでき、又は組成物中においてその場で、若しくは製造プロセス中に形成することもできる。
【0148】
常にではないが、多くの場合合成である、ZLMの別の一般的な部類は、層状複水酸化物である。一実施形態では、ZLMは、式[M2+ 1-x3+ (OH)x+m- x/m・nHO(式中、二価イオン(M2+)の一部又は全ては、亜鉛イオンである)に一致する層状複水酸化物である(Crepaldi,EL,Pava,PC,Tronto,J,Valim,JB J.Colloid Interfac.Sci.2002,248,429-42)。
【0149】
ヒドロキシ複塩と呼ばれる、更に別の部類のZLMを調製することもできる(Morioka,H.,Tagaya,H.,Karasu,M,Kadokawa,J,Chiba,K Inorg.Chem.1999,38,4211-6)。一実施形態では、ZLMは、式[M2+ 1-x2+ 1+x(OH)3(1-y)n- (1=3y)/n・nHOに一致するヒドロキシ複塩であり、2つの金属イオン(M2+)は同一であっても異なっていてもよい。金属イオンが同一であり亜鉛で表される場合、式は簡素化され、[Zn1+x(OH)2x+2x A・nHOとなる。この後者の式は、ヒドロキシ塩化亜鉛及びヒドロキシ硝酸亜鉛などの材料を表す(x=0.4である場合)。一実施形態では、ZLMは、ヒドロキシ塩化亜鉛及び/又はヒドロキシ硝酸亜鉛である。これらはまた、二価のアニオンで一価のアニオンを置き換える、水亜鉛土にも関する。また、これらの材料は、組成物中においてその場で、又は製造プロセス中に形成することができる。
【0150】
亜鉛含有層状材料及びピリチオン又はピリチオンの多価金属塩を有する実施形態では、亜鉛含有層状材料のピリチオン又はピリチオンの多価金属塩に対する比は、約5:100~約10:1、又は約2:10~約5:1、又は約1:2~約3:1である。
【0151】
抗ふけ活性物質の頭皮への付着量は、少なくとも約1マイクログラム/cmである。抗ふけ活性物質が頭皮に到達し、そこで確実にその作用を発揮できるようにすることを考慮すれば、抗ふけ活性物質の頭皮上への付着量は重要である。一実施形態では、頭皮上への抗ふけ活性物質の付着は、少なくとも約1.5マイクログラム/cm、又は少なくとも約2.5マイクログラム/cm、又は少なくとも約3マイクログラム/cm、又は少なくとも約4マイクログラム/cm、又は少なくとも約6マイクログラム/cm、又は少なくとも約7マイクログラム/cm、又は少なくとも約8マイクログラム/cm、又は少なくとも約8マイクログラム/cm、又は少なくとも約10マイクログラム/cmである。頭皮上への抗ふけ活性物質の付着量は、訓練された美容師が従来の洗浄プロトコルに従い、個人の毛髪を抗ふけ活性物質含有の組成物、例えば、本発明による組成物で洗浄することによって測定される。次いで、頭皮の領域上で毛髪を分けて、表面に開放端ガラスシリンダを保持すると同時に、抽出溶液のアリコートを添加し撹拌した後、回収し、HPLCなどの従来の方法に基づいて抗ふけ活性物質の含有量について分析測定を行う。
【0152】
ヘアケア組成物の実施形態は、脂肪族アルコールゲル網状組織も含んでよいが、これは化粧用クリーム及びヘアコンディショナーにおいて長年使用されてきた。これらゲルネットワークは、約1:1~約40:1(あるいは約2:1~約20:1、あるいは約3:1~約10:1)の比で脂肪族アルコールと界面活性剤とを合わせることによって形成される。ゲルネットワークの形成には、脂肪族アルコールの水分散液を界面活性剤と共に、脂肪族アルコールの融点を超える温度まで加熱することを伴う。この混合プロセス中に、脂肪族アルコールは融解し、界面活性剤を脂肪族アルコール液滴に区分化する。界面活性剤は、脂肪族アルコール中に界面活性剤と共に水を運び込む。これによって、等方性脂肪族アルコール液滴が液晶相液滴に変化する。この混合物が鎖溶融温度よりも低温に冷却されると、液晶相は固体結晶性ゲルネットワークに変換される。ゲルネットワークは、化粧用クリーム及びヘアコンディショナーへの安定化効果に寄与する。加えて、これらは、ヘアコンディショナーに対して調整された感触効果をもたらす。
【0153】
したがって、ある実施形態によれば、脂肪族アルコールは、約0.05重量%~約14重量%の濃度で脂肪族アルコールゲルネットワークに含まれる。例えば、脂肪族アルコールは、約1重量%~約10重量%、あるいは約6重量%~約8重量%の範囲の量で存在してよい。
【0154】
本明細書において有用な脂肪族アルコールは、約10~約40個の炭素原子、約12~約22個の炭素原子、約16~約22個の炭素原子、又は約16~約18個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、直鎖状アルコールであっても分岐状アルコールであってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族アルコールの非限定的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、及びこれらの混合物が挙げられる。約20:80~約80:20の比のセチルアルコールとステアリルアルコールとの混合物が好適である。
【0155】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、サルフェートを含まなくてもよく、シリコーン、鉱油、染料を含まなくてもよく、かつ/又はパラベンを含まなくてもよい。
【0156】
以下は、シャンプー中でゲルネットワークを調製するための任意の方法である:容器を水で満たし、水を約74℃まで加熱する。°セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びSLES界面活性剤を、加熱した水に添加する。組み込み後、得られた混合物を熱交換器に通し、そこで混合物を約35℃まで冷却する。°冷却すると、脂肪族アルコール及び界面活性剤が結晶化して、結晶性ゲルネットワークが形成される。表2は、ゲルネットワーク組成物の構成成分及びそれらのそれぞれの量を提供する。
【0157】
【表2】
【0158】
3.安定化剤
一実施形態では、ヘアケア組成物は、1つ以上の安定化剤を更に含む。安定化剤は、ポリマー増粘剤、プレートレット又は結晶性粉末からなる群から選択される材料を含む。例示的な安定剤としては、BASF製の商品名Rheocare TTAを有するアクリレートコポリマーなどのアクリル系架橋ポリマー、Galaxy Surfactants製のエチレングリコールジステアレート(EGDS)、Dow製の商品名UCARE EPを有するポリクオタニウム-10、及び/又はElementis Specialties製の商品名Thixcin Rを有する水素添加ヒマシ油が挙げられるが、これらに限定されない。ヘアケア組成物中の安定化剤の濃度は、約0.01%~約5%の範囲である。
【実施例
【0159】
下記の実施例は、本発明を例示するものである。例示する組成物は、従来の配合及び混合技術により調製することできる。ヘアケア製剤分野の当業者の技術範囲内でヘアケア組成物の他の変更が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されよう。本明細書における全ての部、百分率、及び比は、特に指定されない限り、重量基準である。いくつかの構成成分は、供給源から希釈溶液として供給され得る。明記されている量は、特に指定されない限り、活性物質の重量%を表す。
【0160】
【表3】
上記の全ての例示的な組成物は、ヘキサン中に0.15重量%の比較例又は本発明の実施例を含む。
【0161】
【表4】
【0162】
【表5】
【0163】
【表6】
【0164】
【表7】
【0165】
【表8】
【0166】
【表9】
【0167】
【表10】
【0168】
【表11】
【0169】
【表12】
【0170】
【表13】
【0171】
ヘアケア組成物は、典型的なヘアケア製剤で提供され得る。この組成物は、溶液、分散液、エマルション、粉末、タルク、カプセル化球体、スポンジャー(sponger)、固形剤形、発泡体、及び他の送達機構の形態であってよい。本発明の実施形態の組成物は、ヘアトニック、リーブオンヘア製品(例えば、トリートメント及びスタイリング製品)、リンスオフヘア製品(例えば、シャンプー)、及び毛髪に塗布可能である任意の他の形態であり得る。
【0172】
一実施形態によれば、ヘアケア組成物は、多孔質の溶解性固体構造体の形態で提供されてよく、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0232873号及び同第2010/0179083号に開示されているものなどである。これらの参考文献に記載されるように、かかる溶解性固体構造体の実施形態は、通常、上記の特定の実施形態の水性担体要素の少なくとも約20%を大きく下回る水含有量を有するであろう。固体基質において、溶解性固体構造体中のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの重量百分率は、約5~約60、より好ましくは約10~40である。
【0173】
ヘアケア組成物は、一般に、組成物を製造する技術分野において既知であるものなどの従来の方法によって調製される。このような方法は、典型的には、加熱、冷却、真空の適用などを用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で比較的均一な状態になるまで混合することを含む。組成物は、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。ヘアケア組成物は、単相若しくは単一製品中に存在してもよく、又はヘアケア組成物は、別個の相若しくは別個の製品中に存在してもよい。2つの製品を使用する場合、それらの製品は、一緒に、同時に又は逐次に使用してもよい。逐次使用は、1つの製品の使用直後などの短時間に行われてもよく、あるいは数時間又は数日の期間にわたって行われてもよい。
【0174】
ヘアケア組成物中のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、離散粒子として分散され得るか、又は液体担体に溶解され得、かつ固体基質中で混合され得る。離散粒子の粒径は、約0.01μm~約50μm、より好ましくは0.05μm~約30μmの範囲である。離散粒子は、ヘアケア組成物に添加する前に予備乳化することができる。予備エマルションとしては、G.追加の構成成分に記載される乳化剤を有するカチオン性、非イオン性、及びアニオン性エマルションが挙げられる。予備エマルションの粒径範囲は、ヘアケア組成物中の粒径を達成することを目標とする。予備エマルション中の乳化剤とヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーとの重量比は、約0.01~約1.0、より好ましくは約0.04~約0.4の範囲である。ヘアケア組成物のpHは、約3~約8、より好ましくは約4.5~約7である。
【0175】
試験方法
本出願の「試験法」の項で開示されている試験法は、本出願人らの発明が本明細書に記載されかつ特許請求されているように、本出願人らの発明のパラメータのそれぞれの値を求めるために使用されるものと理解される。
【0176】
粘度測定
ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー及び比較化合物の粘度特性は、1ミリメートルのギャップを有する40ミリメートルのステンレス鋼平行板を使用して、TA InstrumentによるTA Discovery HR-3ハイブリッドレオメーターなどの応力制御レオメーターで測定される。約1mLの試料を下部プレート上に置く。余分な材料は、材料がプレートの動きによってせん断されないことを確実にするプラスチックの平らな縁部を使用して切り取られる。コンディショニング工程は、25℃で10.0秒の浸漬時間で操作される。予備せん断速度を10.0秒の持続時間で10 1/sに設定する。フロースイープ工程は、0.01~1000 1/sのせん断速度で対数的に行われる。データは、ログモードで10ポイント/ディケードで収集する。1 1/sのせん断速度での粘度(Pa・s.)を使用する。
【0177】
リーブオントリートメントのプロトコル
4gの重量及び8インチの長さを有する中程度に酸化的に損傷した白人のヘアピースを、最初に浄化シャンプーで洗浄し(下記のシャンプー洗浄プロトコルを参照のこと)、24時間空気乾燥させる。担体中に配合された500ppmの量のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー又は比較例をヘアピース上に全体に広げる。処理を、2つの追加のヘアピースに対して繰り返す。処理したヘアピースを、制御温度及び相対湿度条件下(27℃及び50%RH)で、一晩乾燥させ、平衡化する。
【0178】
シャンプー処理
4gの重量及び8インチの長さを有する中程度に酸化的に損傷した白人のヘアピースを、最初に温水で30秒間濡らす。ヘアピース1グラム当たり0.10gの量のシャンプーを、シリンジを介して別個のヘアピース上に広げる。各適用は、毛髪へのシャンプーの付与、30秒間のミルキング、続けて30秒間のすすぎからなる。処理を、2つの追加のヘアピースに対して繰り返す。処理したヘアピースを、制御温度及び相対湿度条件下(27℃及び50%RH)で、一晩乾燥させ、平衡化する。
【0179】
リンスオフコンディショナー処理
4gの重量及び8インチの長さを有する中程度に酸化的に損傷した白人のヘアピースを、最初に浄化シャンプーで洗浄する(上記のシャンプー洗浄プロトコルを参照のこと)。すすぎ後、ヘアピース1グラム当たり0.10gの量のコンディショナーを、シリンジを介してヘアピース上に広げる。各適用は、毛髪へのコンディショナーの付与、30秒間のミルキング、続けて30秒間のすすぎからなる。処理を、2つの追加のヘアピースに対して繰り返す。処理したヘアピースを、制御温度及び相対湿度条件下(27℃及び50%RH)で、一晩乾燥させ、平衡化する。
【0180】
乾燥時コーミング試験
このコーミング試験は、4gの重量及び8インチの長さを有する中程度に酸化的に損傷した白人のヘアピースを通してコームを動かすのに必要とされる力によって測定された場合の、ヘアケア組成物によって提供される毛髪上の摩擦の量を決定する。この方法は、処理されたヘアピースの根元から先端まで毛髪をコーミングする動きを模倣する。オペレータは、Instron機器を使用して基準条件について4g、8インチの脱色されたヘアピースを順位付けし、比較する。次いで、オペレータは、一定量のヘアケア組成物をヘアピースに塗布し(0.1g/g毛髪)、へピース全体に製品を均一に分配し、プロトコル毎にヘアピースをすすぐ。摩擦について濡れたヘアピースを評価し、次いで、一晩乾燥させ、次の日にInstron機器を使用して摩擦力を評価する。各試験製品は、合計3個のヘアピースに塗布する。次いで、標準的な統計方法を使用してデータを分析する。各スイッチにおいてコーミング力を測定し、3つのスイッチの平均を算出する。より低い摩擦力は、毛髪のもつれを解くのにより良い。
【0181】
シャンプーの実験室でのスクリーニング
20gの重量及び10インチの長さを有する中程度に酸化的に損傷した白人のヘアピースは、エキスパートパネリストによって洗浄される(上記のシャンプー洗浄プロトコルを参照のこと)。エキスパートパネリストは、湿潤及び乾燥属性について0~5のスコアを与える。2人の追加のエキスパートパネリストが、別のヘアピースを処理することによってプロトコルを繰り返す。スコアは、3人のエキスパートパネリストからの平均である。ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー又は例示的な比較化合物を含まない対照処理も試験する。エキスパート評価スコアは、以下の式で計算される。スコアが高いほど良い。
エキスパート評価スコア=(平均スコア-対照スコア)×100
【0182】
比較データ
上述の試験プロトコルを使用して、選択された配合物の湿式及び乾式コンディショニング効果を測定した。表9及び表10のデータは、本明細書に記載されるヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーを含むリーブオントリートメント組成物によって提供される、改善された乾式コンディショニング効果を反映する。表11のデータは、記載されたヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、比較例に対して、サルフェートを含まないシャンプー配合物において湿潤及び乾式コンディショニングの改善を提供したことを示す。表12のデータは、記載されたヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、比較例に対して、リンスオフコンディショナーにおいて乾式コンディショニングにおける著しくより低い毛髪摩擦を提供することを示す。
【0183】
【表14】
【0184】
【表15】
【0185】
【表16】
【0186】
【表17】
【0187】
実施例/組み合わせ
A.ヘアケア組成物であって、
a)当該ヘアケア組成物の約0.01重量%~約15重量%のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーであって、
(i.)1つ以上のヒドロキシル基を含む、少なくとも2つのヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位と、
(ii.)ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のヒドロキシル基のうちの少なくとも1つとエステル化している少なくとも1つの脂肪酸と、を含み、
オリゴマーが、1~30Pa・sの粘度を有する、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーと、
b)ビヒクルであって、当該ヘアケア組成物の重量に基づいて、以下の成分:
(i.)水性担体、
(ii.)約5%~約50%の、水性担体中の1つ以上のアニオン性界面活性剤、
(ii.)水性担体中のゲルマトリックス相であって、当該ヘアケア組成物の重量に基づいて、
1)約0.1%~約20%の1つ以上の高融点脂肪族化合物、
2)約0.1重量%~約10重量%のカチオン性界面活性剤系、を含む水性担体中のゲルマトリックス相、
(iii.)水性担体中の約0.1%~20%の非イオン性界面活性剤、
(iv.)約20%~約99.99%の溶媒担体の1つ以上を有するビヒクルと、を含む、ヘアケア組成物。
B.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、リシノール酸トリグリセリド又はレスクエロール酸トリグリセリドを含む、段落Aに記載の組成物。
C.オリゴマーが、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を更に含む、段落A又はBに記載の組成物。
D.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、約2~約6の繰り返し単位を有する、段落A~Cのいずれか1つに記載の方法。
E.少なくとも1つの脂肪酸は、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中の各ヒドロキシル基でエステル化されている、段落A~Dのいずれか1つに記載の組成物。
F.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの脂肪酸エステルが、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸でエステル化されている、段落A~Eのいずれか1つに記載の組成物。
G.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、二酸でオリゴマー化されている、段落Aに記載の組成物。
H.二酸が、4個の炭素を含む、段落Gに記載の組成物。
I.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの脂肪酸エステルが、オレイン酸又はステアリン酸の末端エステルを有する、段落A~Hのいずれか1つに記載の組成物。
J.第四級アンモニウム基のうちの少なくとも1つが、ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のプロトン化アミノ基に由来する、段落Cに記載の組成物。
K.オリゴマーが、2~約6個の第四級アンモニウム基を含む、段落Cに記載の組成物。
L.オリゴマー中の第四級アンモニウム基が、対イオンを有し、対イオンが、塩化物又は脂肪酸である、段落Cに記載の組成物。
M.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中の第四級アンモニウム基の対イオンが、ステアリン酸又はオレイン酸である、段落Lに記載の組成物。
N.第四級アンモニウム基が、炭化水素及びポリエーテル結合で結合している、段落Cに記載の組成物。
O.ヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位の全てが、第四級アンモニウム基に結合している、段落Nに記載の組成物。
P.ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの粘度が、約2~約25Pa・sである、段落A~Oのいずれか1つに記載の組成物。
Q.界面活性剤が、サルフェートを含まない界面活性剤である、段落A~Pのいずれか1つに記載の組成物。
R.溶媒担体が、炭化水素又はアルコールである、段落A~Pのいずれか1つに記載の組成物。
S.組成物が、シリコーンを含まない、段落A~Rのいずれか1つに記載の組成物。
【0188】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示されない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0189】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語のいずれの意味又は定義も、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0190】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアケア組成物であって、
前記ヘアケア組成物は、a)前記ヘアケア組成物の0.01重量%~15重量%のヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーと、b)ビヒクルとを含み、
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、
(i.)少なくとも2つのヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位と、
(ii.)前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のヒドロキシル基の少なくとも1つとエステル化している少なくとも1つの脂肪酸と、
を含み、
前記ヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位は、1つまたは複数のヒドロキシル基を含み、
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーは、1~30Pa・sの粘度を有し、
前記ビヒクルは、以下の成分:
(i.) 水性担体、
(ii.) 水性担体中の、5重量%~50重量%の、1種または複数種のアニオン性界面活性剤、
(iii.) 1)0.1重量%~20重量%の1つ以上の高融点脂肪族化合物と、2)約0.1重量%~約10重量%のカチオン性界面活性剤系とを含む、水性担体中のゲルマトリックス相、
(iv.) 水性担体中の、0.1重量%~20重量%の非イオン性界面活性剤、
(v.) 20重量%~99.99重量%の溶媒担体
の1種または複数種を有し、
前記ビヒクル中の成分(i.)~(v.)のパーセンテージは、前記ヘアケア組成物に基づく
ヘアケア組成物。
【請求項2】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、リシノール酸トリグリセリド又はレスクエロール酸トリグリセリドを含む、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項3】
前記オリゴマーが、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を更に含む、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、約2~約6の繰り返し単位を有する、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1つの脂肪酸は、前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中の各ヒドロキシル基でエステル化されている、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの脂肪酸エステルが、リシノール酸、オレイン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される脂肪酸でエステル化されている、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項7】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーが、二酸でオリゴマー化されている、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項8】
前記二酸が4個の炭素原子を含む、請求項7に記載のヘアケア組成物。
【請求項9】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの脂肪酸エステルが、オレイン酸又はステアリン酸の末端エステルを有する、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項10】
前記第四級アンモニウム基の少なくとも1つが、前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中のプロトン化アミノ基に由来する、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項11】
前記オリゴマーが、2~6個の第四級アンモニウム基を含む、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項12】
前記オリゴマー中の前記第四級アンモニウム基が、対イオンを有し、前記対イオンが、塩化物又は脂肪酸である、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項13】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマー中の前記第四級アンモニウム基の前記対イオンが、ステアリン酸又はオレイン酸である、請求項12に記載のヘアケア組成物。
【請求項14】
前記第四級アンモニウム基が、炭化水素およびポリエーテル連結基によって結合している、請求項3に記載のヘアケア組成物。
【請求項15】
前記ヒドロキシル化トリグリセリド繰り返し単位の全てが、前記第四級アンモニウム基に結合している、請求項14に記載のヘアケア組成物。
【請求項16】
前記ヒドロキシル化トリグリセリドオリゴマーの粘度が、2~25Pa・sである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項17】
前記界面活性剤が、サルフェートを含まない界面活性剤である、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項18】
前記溶媒担体が、炭化水素またはアルコールである、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【請求項19】
前記組成物が、シリコーンを含まない、請求項1に記載のヘアケア組成物。
【国際調査報告】