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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】圧縮機及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/356 20060101AFI20240517BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F04C18/356 Z
F04C29/00 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517187
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2022077322
(87)【国際公開番号】W WO2023029391
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】202111002997.0
(32)【優先日】2021-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523451473
【氏名又は名称】広州市徳善数控科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU DESHAN CNC TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Workshop, Henglujie Mechanical Garden, No. 122, Beilong Road ,Dagang Town,Nansha District, Guangzhou, Guangdong 511470, China
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】▲ルオ▼ ▲イン▼学
【テーマコード(参考)】
3H129
【Fターム(参考)】
3H129AA04
3H129AA13
3H129AB03
3H129BB32
3H129BB33
3H129CC02
3H129CC07
3H129CC09
(57)【要約】

本発明は、同軸に設けられる外筒部(111)と内筒部(112)とを含むベース(100)であって、底壁(113)を更に含み、外筒部(111)と内筒部(112)が底壁(113)を介して連結され、外筒部(111)の軸方向が上下方向に沿って、外筒部(111)、内筒部(112)及び底壁(113)が一体に成形され、外筒部(111)と内筒部(112)との間に組み立てスペースが形成されるベース(100)と、内筒部(112)の軸方向に沿って内筒部(112)に挿通するクランク軸(105)と、外筒部(111)の内壁に配置される固定子(103)と、回転子(104)であって、クランク軸(105)に連結され、固定子(103)が回転子(104)の外周に嵌設され、固定子(103)と回転子(104)がいずれも組み立てスペース内に位置する回転子(104)と、底壁(113)の下方に配置されるシリンダ本体(106)と、シリンダ本体(106)内に配置され、クランク軸(105)に連結されるピストン(107)と、シリンダ本体(106)の下方に配置され、クランク軸(105)に連結される下軸受け(108)とを含む圧縮機を開示する。上記圧縮機を用いると、圧縮機の稼働中の電磁ノイズを低下させ、圧縮機の構造の安定性を向上させることができる。本発明は、この圧縮機を製造するための製造方法を更に開示する。
【選択図】 図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸に設けられる外筒部(111)と内筒部(112)とを含むベース(100)であって、底壁(113)を更に含み、前記外筒部(111)と前記内筒部(112)が前記底壁(113)を介して連結され、前記外筒部(111)の軸方向が上下方向に沿って、前記外筒部(111)、前記内筒部(112)及び前記底壁(113)が一体に成形され、前記外筒部(111)と前記内筒部(112)との間に組み立てスペースが形成されるベース(100)と、
前記内筒部(112)の軸方向に沿って前記内筒部(112)に挿通するクランク軸(105)と、
前記外筒部(111)の内壁に配置される固定子(103)と、
回転子(104)であって、前記クランク軸(105)に同軸に連結され、前記固定子(103)が前記回転子(104)の外周に嵌設され、前記固定子(103)と前記回転子(104)がいずれも前記組み立てスペース内に位置する回転子(104)と、
前記底壁(113)の下方に配置されるシリンダ本体(106)と、
前記シリンダ本体(106)内に配置され、前記クランク軸(105)に連結されるピストン(107)と、
前記シリンダ本体(106)の下方に配置され、前記クランク軸(105)に連結される下軸受け(108)と、を含むことを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記底壁(113)には、上下方向に沿って前記底壁(113)を貫通する長円穴(114)が開設されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記外筒部(111)の上端に係合される上蓋(200)を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記外筒部(111)の上端の外側には、前記上蓋(200)に嵌合される止め口部が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記外筒部(111)の下端に係合される下蓋(300)を更に含み、前記下蓋(300)の側壁に給気部(310)が開設されることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記外筒部(111)の下端の外側に止め口部が設けられ、前記下蓋(300)が前記止め口部に対して隙間嵌めされることを特徴とする請求項5に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記給気部(310)に挿通して前記シリンダ本体(106)の給気側に連通する管継手(400)を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記管継手(400)の側壁には、前記給気部(310)に係合される第1フランジ(401)と、前記シリンダ本体(106)に係合される第2フランジ(402)とが設けられることを特徴とする請求項7に記載の圧縮機。
【請求項9】
請求項1に記載の圧縮機を製造するための圧縮機製造方法であって、
ベース(100)を製造する準備工程と、
シリンダ本体(106)、ピストン(107)、クランク軸(105)及び下軸受け(108)をベース(100)に予め取り付ける事前取付工程と、
固定子(103)を外筒部(111)の内壁に取り付ける固定子(103)取付工程と、
回転子(104)をクランク軸(105)に取り付けて調心し、次に下軸受け(108)を締め付ける回転子(104)取付工程とを含むことを特徴とする圧縮機製造方法。
【請求項10】
回転子(104)取付工程の後、ハウジング取付工程、管継手(400)取付工程及び溶接工程を順に実行し、
ハウジング取付工程は、上蓋(200)を外筒部(111)の上端の止め口部に嵌合し、下蓋(300)を外筒部(111)の下端の止め口部に嵌合することを含み、
管継手(400)取付工程は、管継手(400)を下蓋(300)の給気部(310)に挿入し、且つシリンダ本体(106)の給気側に接続することを含み、
溶接工程において、上蓋(200)とベース(100)を溶接し、且つ下蓋(300)とベース(100)を溶接することを特徴とする請求項9に記載の圧縮機製造方法。
【請求項11】
上蓋(200)と下蓋(300)はプレス加工によって製造することを特徴とする請求項10に記載の圧縮機の製造方法。
【請求項12】
管継手(400)取付工程において、第1フランジ(401)を給気部(310)に係合させ、第2フランジ(402)をシリンダ本体(106)に係合させることを特徴とする請求項10に記載の圧縮機製造方法。
【請求項13】
溶接工程において、上蓋(200)、ベース(100)及び下蓋(300)を接続してなる三部分はレーザで溶接されることを特徴とする請求項10に記載の圧縮機の製造方法。
【請求項14】
準備工程において、プレス加工によってベース(100)を製造することを特徴とする請求項9に記載の圧縮機製造方法。
【請求項15】
準備工程において、プレス加工して得られたベース(100)の素材に対して荒加工処理を行い、荒加工処理は、
素材の上端面を平らにした後、外筒部(111)の上端と下端にそれぞれ旋盤で削って止め口部を加工することと、
リーマ加工によって外筒部(111)の内壁における固定子(103)の取付位置を精密にリーマ加工することと、
内筒部(112)の上端面を平らにし、クランク軸(105)を取り付ける軸孔の端面を面取りすることとを順に含むことを特徴とする請求項14に記載の圧縮機製造方法。
【請求項16】
準備工程において、荒加工処理後の素材に対して仕上げ加工処理を行い、仕上げ加工処理は、
精密にリーマ加工した後の固定子(103)の取付位置を位置決め挟持基準とし、内部膨張自動調心を行うことと、
内筒部(112)の軸孔をファインボーリング加工し、底壁(113)の下端面を精研削することと、
フローティングシングルストロークホーニング加工によって内筒部(112)の軸孔をホーニングすることとを順に含むことを特徴とする請求項15に記載の圧縮機の製造方法。
【請求項17】
底壁(113)に開設される取付穴と半円穴は、プレス加工によって得られることを特徴とする請求項14に記載の圧縮機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換システムの分野に関し、特に、圧縮機及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロータ圧縮機は、略下記の組み立て工程を含み、まず、上軸受け、シリンダ、ピストン、下軸受け、クランク軸等の部品を調心して予め組み立てて、次に、上軸受けの外径とハウジングの内径を組み立てて、ハウジング内の固定子をクランク軸に設けられた回転子に嵌着し、隙間ゲージによって固定子と回転子の隙間を調整した後、スポット溶接して連結する。
【0003】
上記の圧縮機の組み立て方式には、メインハウジングが鋼板を巻いて形成されるため、その幾何公差をよく確保することができず、圧縮機の稼働過程において、固定子と回転子との間の隙間が不均一になって電磁ノイズを引き起こすことが非常に発生しやすく、また、ハウジングと上軸受けとの間のスポット溶接による連結の強度が足りなく、上軸受けとハウジングが分離する事故を引き起こしやすいという欠陥が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、少なくとも従来技術に存在する技術的課題の一つを解決することを目的とする。そのため、本発明は、圧縮機の稼働中の電磁ノイズを低下させ、圧縮機の構造の安定性を向上させることができる圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の圧縮機は、同軸に配置された外筒部と内筒部を含るベースであって、底壁を更に含み、外筒部と内筒部が底壁を介して連結され、外筒部の軸方向が上下方向に沿って、外筒部、内筒部及び底壁が一体に成形され、外筒部と内筒部との間に組み立てスペースが形成されるベースと、内筒部の軸方向に沿って内筒部に挿通するクランク軸と、外筒部の内壁に配置される固定子と、回転子であって、クランク軸に連結され、固定子が回転子の外周に嵌設され、固定子と回転子がいずれも組み立てスペース内に位置する回転子と、底壁の下方に配置されるシリンダ本体と、シリンダ本体内に配置され、クランク軸に連結されるピストンと、シリンダ本体の下方に配置され、クランク軸に連結される下軸受けとを含む。
【0006】
本発明のいくつかの実施例によると、底壁には、上下方向に沿って底壁を貫通する長円穴が開設される。
【0007】
本発明のいくつかの実施例によると、圧縮機は、外筒部の上端に係合される上蓋を更に含む。
【0008】
本発明のいくつかの実施例によると、外筒部の上端の外側には、上蓋に嵌合される止め口部が配置されている。
【0009】
本発明のいくつかの実施例によると、圧縮機は、外筒部の下端に係合される下蓋を更に含み、下蓋の側壁に給気部が開設される。
【0010】
本発明のいくつかの実施例によると、外筒部の下端の外側に止め口部が設けられ、下蓋が止め口部に対して隙間嵌めされる。
【0011】
本発明のいくつかの実施例によると、圧縮機は、給気部に挿通してシリンダ本体の給気側に連通する管継手を更に含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施例によると、管継手の側壁には、給気部に係合される第1フランジと、シリンダ本体に係合される第2フランジとが配置されている。
【0013】
本発明は、上記圧縮機を製造するための圧縮機製造方法であって、ベースを製造する準備工程と、シリンダ本体、ピストン、クランク軸及び下軸受けをベースに予め取り付ける事前取付工程と、固定子を外筒部の内壁に取り付ける固定子取付工程と、回転子をクランク軸に取り付けて調心し、次に下軸受けを締め付ける回転子取付工程とを含む圧縮機製造方法を更に提供する。
【0014】
本発明のいくつかの実施例によると、回転子取付工程の後、ハウジング取付工程、管継手取付工程及び溶接工程を順に実行し、ハウジング取付工程は、上蓋を外筒部の上端の止め口部に嵌合し、下蓋を外筒部の下端の止め口部に嵌合することを含み、管継手取付工程は、管継手を下蓋の給気部に挿入し、且つシリンダ本体の給気側に接続することを含み、溶接工程において、上蓋とベースを溶接し、且つ下蓋とベースを溶接する。
【0015】
本発明のいくつかの実施例によると、上蓋と下蓋はプレス加工によって製造する。
【0016】
本発明のいくつかの実施例によると、管継手取付工程において、第1フランジを給気部に係合させ、第2フランジをシリンダ本体に係合させる。
【0017】
本発明のいくつかの実施例によると、溶接工程において、上蓋、ベース及び下蓋を接続してなる三部分はレーザで溶接される。
【0018】
本発明のいくつかの実施例によると、準備工程において、プレス加工によってベースを製造する。
【0019】
本発明のいくつかの実施例によると、準備工程において、プレス加工して得られたベースの素材に対して荒加工処理を行い、荒加工処理は、素材の上端面を平らにした後、外筒部の上端と下端にそれぞれ旋盤で削って止め口部を加工することと、リーマ加工によって外筒部の内壁における固定子の取付位置を精密にリーマ加工することと、内筒部の上端面を平らにし、クランク軸を取り付ける軸孔の端面を面取りすることとを順に含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施例によると、準備工程において、荒加工処理後の素材に対して仕上げ加工処理を行い、仕上げ加工処理は、精密にリーマ加工した後の固定子の取付位置を位置決め挟持基準とし、内部膨張自動調心を行うことと、内筒部の軸孔をファインボーリング加工し、底壁の下端面を精研削することと、フローティングシングルストロークホーニング加工によって内筒部の軸孔をホーニングすることとを順に含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施例によると、底壁に開設される取付穴と半円穴は、プレス加工によって得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の圧縮機を用いると、圧縮機の組み立ての過程で、まず、シリンダ本体、ピストン、クランク軸及び下軸受け等の部品をベースに予め取り付け、次に、固定子を外筒部の内壁に取り付け、回転子をクランク軸に取り付け、そして固定子と回転子を調心することができる。ベースが一体成形の部品であるため、製造過程で内筒部と外筒部の公差を好適に制御することができる。固定子が外筒部の内壁に取り付けられた後、受ける力が均一であり、変形が小さく、固定子と回転子の同軸度が高く、隙間が均一であり、固定子と回転子の不均一な隙間による電磁ノイズを効果的に低下させ、また、固定子、回転子及びシリンダ本体等の部品がいずれもベースに配置され、従来技術に比べると、固定子と回転子がいずれもベースに支持され、圧縮機の構造の安定性を効果的に向上させた。
【0023】
本発明の付加態様及び利点は一部が以下の記述に示され、一部が以下の記述から明らかになり、或いは、本発明の実践によって理解される。
【0024】
本発明の上記及び/又は追加の態様と利点は、以下の図面を参照した実施例の説明から明らかになり、容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例における圧縮機の正面図である。
図2】本発明の実施例における圧縮機の断面図である。
図3図2におけるベースの断面図である。
図4図3におけるベースの軸測投影図である。
図5図3におけるベースの別の視角の軸測投影図である。
図6図2における下蓋の断面図である。
図7図3における下蓋の軸測投影図である。
図8図2における管継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。図面には前記実施例が示される。ここで、同様又は類似の符号は同様又は類似の部材或いは同様又は類似の機能を有する部材を終始的に示す。以下、図面を参照して説明する実施例は例示のものであり、本発明を解釈するためのみであり、本発明に対する限定を理解すべきではない。
【0027】
本発明の記載において、方位に係る記載、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」などによって指示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づいてものであり、単に本発明の説明を容易にして簡略化するためのものであり、言及される装置又は要素が特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本発明を限定するものと理解すべきではない。
【0028】
本発明の記載において、「若干」の意味は一つ又は複数であり、「複数」の意味は二つ及び二つ以上であり、「より大きい」、「より小さい」、「超える」等はその数自身を含まないと理解され、「以上」、「以下」、「以内」等はその数自身を含むと理解される。第1の、第2という説明は、単に技術的特徴を区別するために用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示し、又は指示される技術的特徴の数を示唆し、又は指示される技術的特徴の前後関係を示唆すると理解すべきではない。
【0029】
本発明の記載において、特に明確な規定がない限り、配置、取り付け、接続などの用語は広義に理解されるべきであり、当業者は技術案の具体的な内容に応じて上述した用語の本発明における具体的な意味を適当的に決定することができる。
【0030】
図1図8を参照し、本実施例の第1態様の圧縮機は、同軸に設けられる外筒部111と内筒部112とを含むベース100と、クランク軸105と、固定子103と、回転子104と、シリンダ本体106と、ピストン107と、下軸受け108とを含む。ベース100は、底壁113を更に含み、外筒部111と内筒部112は、底壁113を介して連結され、外筒部111の軸方向は上下方向に沿って、外筒部111、内筒部112及び底壁113が一体に成形され、即ち、ベース100が一体成形の部品であり、外筒部111と内筒部112との間に組み立てスペースが形成さる。クランク軸105は、内筒部112の軸方向に沿って内筒部112に挿通する。固定子103は、外筒部111の内壁に配置される。回転子104は、クランク軸105に同軸に連結される。固定子103と回転子104は、いずれも組み立てスペース内に位置し、固定子103は、回転子104の外周に嵌設される。シリンダ本体106は、底壁113の下方に配置される。ピストン107は、シリンダ本体106内に配置され、クランク軸105に連結される。下軸受け108は、シリンダ本体106の下方に配置され、クランク軸105に連結される。
【0031】
本実施例の圧縮機を用いると、圧縮機の組み立ての過程で、まず、シリンダ本体106、ピストン107、クランク軸105及び下軸受け108等の部品をベース100に予め取り付け、次に、固定子103を外筒部111の内壁に取り付け、回転子104をクランク軸105に取り付け、次に、固定子103と回転子104を調心することができる。ベース100が一体成形の部品であるため、製造過程で内筒部112と外筒部111の公差をよく制御することができる。固定子103が外筒部111の内壁に取り付けられた後、受ける力が均一であり、変形が小さく、固定子103と回転子104の同軸度が高く、隙間が均一であり、固定子103と回転子104の不均一な隙間による電磁ノイズを効果的に低下させる。また、固定子103、回転子104及びシリンダ本体106等の部品は、いずれもベース100に配置され、従来技術に比べると、固定子103と回転子104は、いずれもベース100により支持され、圧縮機の構造の安定性を効果的に向上させた。
【0032】
ベース100は様々な方式で一体成形することができ、例えば、プレス加工、冷間成形押出等の加工方式でベース100を形成することができる。フライス加工、旋削等の切削加工方式で素材を加工してベース100を形成することもできる。
【0033】
具体的には、図3に示すように、ベース100は、断面形状が英字Eに類似し、同軸に設けられる内筒部112と外筒部111を含む。外筒部111の内壁には、固定子103を取り付けるための固定子103の取付位置を有する。内筒には、上下に貫通される、クランク軸105を取り付けるための軸孔を有する。外筒部111もハウジングとして使用される。内筒部112も圧縮機における軸受けとして使用される。即ち、ベース100を上軸受けと一部のハウジングが一体化に設けられた部品としてもよい。
【0034】
固定子103、回転子104、クランク軸105、シリンダ本体106、ピストン107及び下軸受け108等の部品がベース100に取り付けられる方式については、既存の回転子104圧縮機の構造を参照することができる。複数のボルトをベース100、シリンダ本体106及び下軸受け108に挿通してそれらを固定し、この場合、上下軸受け108は共同でクランク軸105に対して支持する。
【0035】
図4に示すように、底壁113には上下方向に沿って底壁113を貫通する長円穴114が開設される。長円穴114は通気機能と柔軟的な緩衝作用を有し、ポンプへのハウジング熱変形による外力衝撃等の影響を低減し、圧縮機の稼働信頼性を高める。プレス加工によってベース100を製造する時に、底壁113に設けられる長円穴114とボルト用の固定孔等の孔は、いずれもプレス加工で開孔されることができ、組み立て効率が向上する。
【0036】
図2に示すように、圧縮機は外筒部111の上端に係合される上蓋200を更に含む。外筒部111と上蓋200は共に圧縮機のハウジング全体の一部とする。ハウジングには、圧縮機が圧縮した冷媒を排出するための排気管102と、モータへの電力供給及びモータの稼働を制御するための接続端子101とが更に配置される。
【0037】
図3に示すように、外筒部111の上端の外側には上蓋200に嵌合される止め口部が設けられる。上蓋200を外筒部111に嵌着した場合に、外筒部111の上端外側における止め口部は、上蓋200を位置決めすることができる。それによって、上蓋200とベース100の取付位置を正確にし、両者を溶接する前に、上蓋200の止め口部での嵌合位置を微調整することもできる。
【0038】
図2図6に示すように、圧縮機は、外筒部111の下端に係合される下蓋300を更に含む。下蓋300の側壁に給気部310が開設される。上蓋200、ベース100の外筒部111及び下蓋300の三者は、それぞれ圧縮機のハウジングの三部分とする。給気部310はシリンダ本体106の給気側と給気銅管を接続するためのものである。
【0039】
図3に示すように、外筒部111の下端の外側に止め口部が設けられ、下蓋300が止め口部に対して隙間嵌めされる。上蓋200を外筒部111に嵌着した時に、外筒部111の下端外側における止め口部は、下蓋300を位置決めすることができる。それによって、下蓋300とベース100の取付位置を正確にし、両者を完全に溶接する前に、下蓋300の止め口部での嵌合位置を微調整することもできる。具体的には、下蓋300が止め口部に対して隙間嵌めされるため、圧縮機の組み立て過程で、まず、下蓋300をベース100に取り付け、次に、管継手400を取り付け、管継手400が所定の位置に取り付けられてシリンダ本体106の給気側に正確に位置合わせされた後、下蓋300とベース100を溶接することができる。管継手400と給気部310が締まり嵌めされるので、上記の取付方式は、管継手400とシリンダ本体106の給気側を正確に位置合わせすることを確保でき、ガス漏れを防止する。
【0040】
具体的には、図6図7に示すように、下蓋300の底部には圧縮機のダンパ装置の位置決め及び取り付けに用いられる突起部312が更に設けられる。下蓋300の頂部には外筒部111の下端外側における止め口部に対して隙間嵌めされるフレア部311が設けられる。
【0041】
本実施例では、上蓋200、下蓋300及びベース100はいずれもプレス加工によって製作することができる。下蓋300に開設される給気部310は側の延伸成形によって製作することができる。部品の精度を確保すると共に、組み立て効率を効果的に向上させる。
【0042】
図2に示すように、圧縮機は、給気部310に挿通してシリンダ本体106の給気側に連通する管継手400を更に含む。管継手400は、冷媒システム中の銅管とシリンダ本体106の給気側を接続するためのものである。
【0043】
具体的には、図8に示すように、管継手400の側壁には、給気部310に係合される第1フランジ401と、シリンダ本体106に係合される第2フランジ402とが設けられる。第1フランジ401は、断面が円形であり、給気部310に係合され、最後に溶接する時に異物が圧縮機に入ることを防止する。第2フランジ402は、断面が段階状の歯形であり、且つバーブ構造を有する。第2フランジ402の取り付けが完了した後、組み立て面の密封を確保することができ、圧縮機吸入孔での高・低圧による通気を回避する。管継手400の詳細な構造については、CN108644502A等の従来技術を参照することができる。
【0044】
本実施例の第2態様の圧縮機の製造方法は、上記圧縮機を製造する方法であって、ベース100を製造する準備工程と、シリンダ本体106、ピストン107、クランク軸105及び下軸受け108をベース100に予め取り付ける事前取付工程と、固定子103を外筒部111の内壁に取り付ける固定子103取付工程と、回転子104をクランク軸105に取り付けて調心し、次に下軸受け108を締め付ける回転子104取付工程とを含む。
【0045】
ベース100が一体化の部品であり、且つベース100が同時に固定子103と回転子104を支持するため、事前取付工程の時に、先に下軸受け108を締め付けず、固定子103と回転子104を調心してから下軸受け108を締め付けた後、固定子103と回転子104との間の隙間が均一になり、稼働が安定化し、固定子103と回転子104の不均一な隙間による電磁ノイズを効果的に低減させた。
【0046】
具体的には、図2に示すように、回転子104取付工程の後、ハウジング取付工程、管継手400取付工程及び溶接工程を順に実行する。ハウジング取付工程は、上蓋200を外筒部111の上端の止め口部に嵌合し、下蓋300を外筒部111の下端の止め口部に嵌合することを含む。管継手400取付工程は、管継手400を下蓋300の給気部310に挿入し、且つシリンダ本体106の給気側に接続することを含む。溶接工程において、上蓋200とベース100を溶接し、且つ下蓋300とベース100を溶接する。フレア部311が止め口部に対して隙間嵌めされるため、圧縮機の組み立て過程で、まず、フレア部311をベース100に取り付け、次に、管継手400を取り付けることができる。管継手400が所定の位置に取り付けられてシリンダ本体106の給気側に正確に位置合わせされた後、下蓋300とベース100を溶接することができる。管継手400と給気部310が締まり嵌めされるので、上記取付方式は管継手400とシリンダ本体106の給気側を正確に位置合わせすることを確保でき、ガス漏れを防止する。
【0047】
具体的には、管継手400取付工程において、第1フランジ401を給気部310に係合させ、第2フランジ402をシリンダ本体106に係合させる。第1フランジ401は、断面が円形であり、給気部310に係合され、最後に溶接する時に異物が圧縮機に入ることを防止する。第2フランジ402は、断面が段階状の歯形であり、且つバーブ構造をする。第2フランジ402の取り付けが完了した後、組み立て面の密封を確保することができ、圧縮機吸入孔での高・低圧による通気を回避する。
【0048】
図2に示すように、最後の溶接工程において、上蓋200、ベース100及び下蓋300を接続してなる三部分はレーザで溶接される。これによって、上蓋200、外筒部111及び下蓋300は共同で圧縮機全体のハウジング部分を構成し、圧縮機全体の構造が安定化し、受力構造が合理であり、固定子103と回転子104との間の隙間が均一であり、稼働ノイズが低い。
【0049】
図3に示すように、準備工程において、プレス加工によってベース100を製造することができ、生産効率を向上させることができる。具体的には、プレス加工時に規格番号SPCC-2D、厚み3.2mmの板材を選択でき、切り取りの重量が264gであり、プレス加工の部品の重量が117gである。ベース100の強度要件が満たされると共に、重量がより軽くなる。また、従来技術においてHT250材料を用いて鋳造した上軸受け部品と比べると、受力要件を満たすと共に重量を効果的に低下させた。
【0050】
具体的には、準備工程において、プレス加工して得られた素材に対して荒加工処理を更に行う必要がある。荒加工処理は、素材の上端面を平らにした後、外筒部111の上端と下端にそれぞれ旋盤で削って止め口部を加工することと、リーマ加工によって外筒部111の内壁における固定子103の取付位置を精密にリーマ加工し、固定子103取付位置の円筒度が0.02より小さいことを確保することと、内筒部112の上端面を平らにし、クランク軸105を取り付ける軸孔の端面を面取りすることとを順に含む。荒加工の工程全過程において、プレス加工の素材の内筒部112中の中心軸孔を機械荒加工の位置決め基準とする。
【0051】
準備工程において、荒加工後の素材に対して更に仕上げ加工処理を行う必要がある。仕上げ加工処理は、精密にリーマ加工した後の固定子103の取付位置を位置決め挟持基準とし、内部膨張自動調心を行うことと、内筒部112の軸孔をファインボーリング加工し、底壁113の下端面を精研削することと、フローティングシングルストロークホーニング加工によって内筒部112の軸孔をホーニングすることとを順に含む。同一の挟持によって端面及び内孔の加工を完了し、軸孔と端面の垂直度が0.002より小さく、内筒部112の軸孔と固定子103取付位置の同軸度が0.03より小さいことを確保する。
【0052】
プレス加工によってベース100を製造する過程で、底壁113に開設される取付穴、半円穴及び排気溝115等の構造はいずれもプレス加工において加工できる。
【0053】
以上、図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、当業者が有する知識の範囲内において、本発明の趣旨を逸脱することなく種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
100 ベース
101 接続端子
102 排気管
103 固定子
104 回転子
105 クランク軸
106 シリンダ本体
107 ピストン
108 下軸受け
111 外筒部
112 内筒部
113 底壁
114 長円穴
115 排気溝
200 上蓋
300 下蓋
310 給気部
311 フレア部
312 突起部
400 管継手
401 第1フランジ
402 第2フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】