(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-24
(54)【発明の名称】組織周波数を検出し、分析することによって内部身体障害をモニタするための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/316 20210101AFI20240517BHJP
A61B 5/30 20210101ALI20240517BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20240517BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20240517BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20240517BHJP
A61N 1/04 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
A61B5/316
A61B5/30
A61B5/33 120
A61B10/00 N
A61B10/00 M
A61N1/36
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519489
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022031681
(87)【国際公開番号】W WO2022256357
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514215778
【氏名又は名称】ノア マーク ディー
(71)【出願人】
【識別番号】523456788
【氏名又は名称】エンドシュア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169155
【氏名又は名称】倉橋 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075638
【氏名又は名称】倉橋 暎
(72)【発明者】
【氏名】ノア, マーク ディー
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB35
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ15
4C053JJ21
4C127AA01
4C127BB01
4C127BB03
4C127FF01
4C127FF02
4C127GG15
(57)【要約】
組織障害モニタリングシステムは、患者からアナログ電気信号を得るために構成され、配置される少なくとも2つの電極を含む。増幅器は、アナログ電気信号を増幅する。フィルタ構造は、増幅されたアナログ電気信号をフィルタ処理する。A/D変換器は、増幅され、フィルタ処理されたアナログ電気信号をデジタル化電気信号に変換する。マイクロプロセッサ回路は、患者内の障害組織の特定の位置および/または増殖を含む処置データを同定し、決定するために、デジタル化電気信号を分析するアプリケーションを実行するために構成され、配置される。伝送器は、無線方法でデータを伝送する。電源は、デバイスに電力を供給する。患者における障害組織の位置の特定を行う方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織障害モニタリングシステムであって、
患者からアナログ電気信号を得るために構成され、配置される少なくとも2つの電極と、
前記アナログ電気信号を増幅するために構成され、配置される増幅器と、
前記増幅されたアナログ電気信号をフィルタ処理するために構成され、配置されるフィルタ構造と、
前記増幅され、フィルタ処理されたアナログ電気信号をデジタル化電気信号に変換するために構成され、配置されるA/D変換器と、
前記患者内の障害組織の特定の位置および/または増殖を含む処置データを同定し、決定するために、前記デジタル化電気信号を分析するアプリケーションを実行するために構成され、配置されるマイクロプロセッサ回路と、
無線方法でデータを伝送するために構成され、配置される伝送器と、
前記システムに電力を供給するための電源と、
を有する組織障害モニタリングシステム。
【請求項2】
ハウジングをさらに有し、少なくとも前記増幅器、前記フィルタ構造、前記A/D変換器、前記電源および前記伝送器がハウジングの中または上に設けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デジタル化電気信号が周波数シグナルおよび前記周波数シグナルの強度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電極が、前記ハウジングの中または上に設けられる単一電極検知器において提供される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの電極が、広い検知場にわたって周波数を検知するために各々構成され、配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも3つの電極が提供され、各電極が検知領域を有し、前記電極が前記患者の上またはその近くに配置される場合、前記検知領域が重なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも3つの電極が、電極アレイ構造において規定され、前記少なくとも3つの電極が、可撓基板上に固定されるアレイまたはグリッドにおいて提供される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも3つの電極が、それらの中に、複数の、間隔を置いて配置された水平スロットと、複数の、間隔を置いて配置された垂直スロットとを有する可撓基板を含む電極摺動構造において規定され、各電極が、前記水平スロットおよび前記垂直スロットにおいて移動可能であるように構成され、配置される、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記マイクロプロセッサ回路が前記ハウジングの中または上に設けられ、前記伝送器が、前記処置データを伝送するために構成され、配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項10】
前記増幅器、前記フィルタ構造およびA/D変換器が、前記マイクロプロセッサ回路の一部である、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記マイクロプロセッサ回路が、三角測量および/または三辺測量によって前記特定の障害組織の前記特定の位置および/または増殖を決定するために構成され、配置される人工知能モジュールをさらに有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記マイクロプロセッサ回路が、受信器を有する別個の携帯可能デバイス内に、前記伝送器によって伝送されたデータが前記受信器によって受信され得るように設けられ、前記マイクロプロセッサ回路が、前記アプリケーションを実行して、前記特定の障害組織の前記特定の位置および増殖を含む前記処置データを決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
処置を前記障害組織に送達するために構成され、配置される処置送達構造をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
処置を前記障害組織に送達するために構成され、配置される処置送達構造をさらに有し、前記処置送達構造が、前記ハウジングの中または上において提供され、電磁気周波数エネルギーまたは電気ショックエネルギーを前記特定の障害組織に送達するために構成され、配置される、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記処置送達構造が、電磁気周波数エネルギーまたは電気ショックエネルギーを前記特定の障害組織に送達するために構成され、配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記処置送達構造が、要求に基づきエネルギー、薬剤またはホルモンを前記特定の障害組織に送達するために構成され、配置される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも2つの電極、前記増幅器、前記フィルタ構造、前記A/D変換器、前記マイクロプロセッサ回路、前記電源および前記伝送器が単一集積回路の一部である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記集積回路が、可撓に構成され、着用可能であるように構成され、配置される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
患者における障害組織をモニタする方法であって、
a)関連する正常組織の周波数範囲の外側の患者の特定の障害組織に関連する周波数範囲を同定するステップ、
b)前記患者の身体表面の上または近くに少なくとも2つの電極を配置するステップ、
c)前記少なくとも2つの電極を使用して、周波数データおよび前記周波数データの強度を得るステップ、
d)プロセッサ回路において、前記周波数データを分析して、それが前記患者の前記特定の障害組織に関連する前記同定された周波数範囲内にあるかどうかを決定し、そうである場合、前記周波数データおよび前記周波数データの前記強度に基づいて、前記患者の身体内の前記特定の障害組織の特定の位置および/または増殖を含む処置データを決定するステップ、および
e)前記処置データを別のデバイスに伝送するステップ、
を有する方法。
【請求項20】
前記特定の障害組織が、子宮内膜症を引き起こしている組織であり、前記周波数範囲を同定する前記ステップが、前記範囲を12~22cpm(1分当たりのサイクル数)または22~27cpmの1つとして同定する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記特定の障害組織が腸攣縮組織または腸閉塞組織であり、前記周波数範囲を同定する前記ステップが、前記範囲を50~70cpmまたは180~200cpmの1つとして同定する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
EMF、電気ショック処置、薬剤またはホルモンによって前記特定の障害組織を処置することをさらに有する、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記特定の障害組織を処置する前記ステップが、要求に基づいた処置を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記分析ステップが、三角測量および/または三辺測量によって前記特定の障害組織の前記特定の位置および/または増殖を決定することを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記処理ステップの後に、少なくともステップa)~c)を繰り返すこと、および前記周波数データの変化があるかどうかを決定することをさらに有する、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織周波数を検出し、分析することによって内部身体障害をモニタするためのシステムおよび方法に関し、しかるに、前記身体障害の治療のための情報を提供する。
【背景技術】
【0002】
多くの内部身体障害、例えば、子宮内膜症、腸閉塞、可能性のある腫瘍などでは、例えば手術によって後で処置されるように、身体障害の位置を特定し、前記身体障害を診断するために、内視鏡検査手法または腹腔鏡検査手法の使用が必要である。これらの手法は、侵襲性であり、コストがかかり、患者を病院環境内で、または他の医療施設において処置することが必要となる。
【0003】
したがって、障害組織から生じる特定の周波数をモニタすることによって内部身体障害の特定の位置および進行を非侵襲的に同定し、決定し、周波数データを分析し、身体障害の処置に用いるための分析データを伝送するための新規の方法および在宅システムを提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、上記の必要を満たすことである。本実施形態の原理によれば、この目的は、患者における障害組織の位置を特定する方法によって得られる。前記方法は、関連する正常組織の周波数範囲の外側の患者の特定の障害組織に関連する周波数範囲を同定することを含む。前記患者の身体表面の上または近くに少なくとも2つの電極が配置される。周波数データおよび前記周波数データの強度は、前記少なくとも2つの電極によって得られる。プロセッサ回路は、前記周波数データを分析して、それが前記患者の前記特定の障害組織に関連する前記同定された周波数範囲内にあるかどうかを決定し、そうである場合、前記周波数データおよび前記周波数データの前記強度に基づいて、前記患者の身体内の前記特定の障害組織の特定の位置および/または増殖を含む処置データを決定する。次いで、前記処置データは、別のデバイスに伝送される。
【0005】
実施形態の別の態様によれば、障害組織モニタリングシステムは、患者からアナログ電気信号を得るために構成され、配置される少なくとも2つの電極を含む。増幅器は、前記アナログ電気信号を増幅するために構成され、配置される。フィルタ構造は、前記増幅されたアナログ電気信号をフィルタ処理するために構成され、配置される。A/D変換器は、前記増幅され、フィルタ処理されたアナログ電気信号をデジタル化電気信号に変換するために構成され、配置される。マイクロプロセッサ回路は、前記患者内の障害組織の特定の位置および/または増殖を含む処置データを同定し、決定するために、前記デジタル化電気信号を分析するアプリケーションを実行するために構成され、配置される。伝送器は、無線方法でデータを伝送するために構成され、配置される。電源は、前記デバイスに電力を供給するために提供される。
【0006】
本発明の他の目的、特徴および特性、ならびに操作方法、構造の関連要素の機能、部分の組み合わせ、および製造の経済的側面は、全てが本明細書の一部を形成する添付の図面を参照して、以下の詳細な説明およびに添付の特許請求の範囲を考慮してより明らかになるであろう。
【0007】
本発明は、同様の参照符号が同様の部分を指す添付の図面と共に示される以下のその好ましい実施形態の詳細な説明からより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態によって提供される障害組織モニタリングシステムのブロック図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態によって提供される障害組織モニタリングシステムのブロック図である。
【
図3】患者の腹部に装着されたその電極を有するシステムの実施形態の図である。
【
図4】
図1のシステムに用いられる電極グリッドの平面図である。
【
図5】
図1のシステムに用いられるそのスロット内において移動可能な電極を有する電極摺動構造の平面図である。
【
図6】実施形態の方法のステップのフローチャートである。
【
図7】システムの構成要素を含む集積回路を組み込んでいる医療用皮膚パッチの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照して、概して10で示される、内部身体障害をモニタし、診断するための障害組織モニタリングシステムの実施形態が示される。システム10は、少なくとも2つ(好ましくは3つ)の電極12を含み、各々は、好ましくは、電極コネクタ13を介して、電極電気信号16のための第1のゲインステージを提供する計測増幅器14と接続される銀-塩化銀電極である。フィルタ構造18は、信号16のハイパスおよびローパスフィルタリングを提供する。フィルタ構造18は、アナログ(ハードウェア)もしくはデジタル(ソフトウェア)ハイパスおよびローパスフィルタ、またはアナログフィルタおよびデジタルフィルタの組み合わせを含むことができる。増幅器14およびフィルタ構造18は、信号調節器に組み合わせることができる。
【0010】
電気信号16は、16ビットのA/D変換器20にも通される。次いで、周波数信号および周波数信号の強度を含むデジタル化電極電気信号16’は、外部携帯可能ハンドヘルドデバイス24(例えば、慣用のスマートフォン、タブレット、ラップトップ)に、または無線方法でネットワーク30にデータ(例えば、信号16’)を転送する伝送器22に通される。データは、携帯可能デバイス24に伝送される際、携帯可能デバイス24の受信器28で受信される。実施形態において、電極12は、基板またはハウジングであると考えることができる携帯可能ユニット25の外部で提供される。電池などの電源26は、前記ユニット25に電力を供給する。
【0011】
携帯可能デバイス24は、携帯可能デバイス24の伝送器32を介してネットワーク30と無線方法で通信することもできるプロセッシングデバイスであると考えることができる。ネットワーク30は、コンピュータネットワーク(例えば、LANまたはWAN)などの遠隔通信ネットワーク、インターネット、クラウドベースサーバおよび電話ネットワークの内の少なくとも1つを含んでもよい。
【0012】
携帯可能デバイス24は、伝送器22から受信された生データ(例えば、少なくとも周波数および周波数データの強度を含むシグナル16)を分析することが可能であり、かつ生データに基づいて患者の身体障害の同定、重症度、位置および進行を含む処置データを提供することが可能なマイクロプロセッサ回路42によって実行されるアプリケーション(APP)40を含むことができる。処置データは、ネットワーク30上に保存され得るか、ネットワーク30を介して共有もしくは検索され得るか、または携帯可能デバイス24のメモリ回路35内に保存可能とされる。また、携帯可能デバイス24は、受信器28を介してネットワーク30からデータを受信することもできる。
【0013】
伝送器22は、携帯可能デバイス24からデータも受信するように送受信機の形態であることができる。例えば、携帯可能デバイス24は、較正目的のために増幅器14によって受信され得る較正信号37を送受信機22に送信して、システム10が仕様内で作動しているかどうかを決定してもよい。
【0014】
図2を参照して、概して10’で示される、内部身体障害を診断するためのモニタリングシステムの第2の実施形態が示される。システム10’は、携帯可能ユニット25’内に設けられ、かつマイクロプロセッサ回路44と接続される(少なくとも2つまたは複数の微小電極を含むことができる)単一センサ11を含む。マイクロプロセッサ回路44は、ユニット25’内において提供され、周波数シグナルおよび周波数シグナルの強度を含むデジタル化電気信号16’にアナログ電気信号16を変換するために構成され、配置される。実施形態において、マイクロプロセッサ回路44は、アナログ電気信号16を増幅するために構成され、配置される増幅回路46と、増幅されたアナログ電気信号をフィルタ処理するために構成され、配置されるフィルタ回路48と、増幅され、フィルタ処理されたアナログ電気信号をデジタル化電気信号16’に変換するために構成され、配置されるA/D変換器回路50とを含むことができる。デジタルフィルタは、それらのアナログの対応物よりも非常に正確にされ得、デバイス間における、そして経時的な性能が理想的なものより低くなるアナログ構成要素の許容差の同じ効果の影響を受けないので、フィルタ構造48は、好ましくは、デジタルのハイパスフィルタおよびローパスフィルタを含む。理想的な構成要素だけが使用されるようにアナログ構成要素を手作業で選別することができるが、医師に対して最終価格を上昇させることになるかなりの費用がかかり、これらの構成要素は、環境的ストレスによる損害と、それらの正確さを損なう時間との影響を依然として受ける。マイクロプロセッサ回路44は、生データ(例えば、少なくとも周波数および周波数データの強度を含むシグナル16’)を分析することが可能であり、かつ生データに基づいて患者の身体障害の同定、重症度、位置および/または増殖を含む処置データを提供することが可能である42に対して少なくとも1つのアルゴリズムを実行するために構成される人工知能(AI)モジュール49を含む。位置データおよび増殖データは、以下でさらに記載されるとおりの電極の内の少なくとも2つによって得られる周波数および強度データに基づいて、慣用の三角測量手法および/または三辺測量手法を用いることによって、AIモジュール49で得ることができる。代替として、AIモジュール49は、デバイス24内におけるAPP40の一部であることができる。
【0015】
伝送器22は、ユニット25’内において提供され、無線方法で上記記載の処置データを携帯可能デバイス24および/またはネットワーク30に伝送するために構成され、配置される。電源26は、デバイス10’に電力を供給するために提供される。
【0016】
システム10、10’の好ましい実施形態におけるゲインは、通常期待される最高ピーク-ピーク信号16に従って固定され、設定される。16ビットA/D変換器20、50は、皮膚表面、胃または他の脂肪組織上に直接接触で配置される場合に電極12の間に介在する相当量の脂肪組織を有する人から記録することが可能であるなどより低いレベルのシグナルを適切に処理するための充分な解決(分解能、解像度)を提供する。もちろん、ゲインは、アナログ制御を介して、またはさらなる費用でデジタル制御を介して制御可能となってもよい。
【0017】
携帯可能デバイス24および/またはネットワークまたはコンピュータ30とのデータ通信のための無線伝送器22の使用によって、各々がシステム性能を低下させ得る断続的または全体的な誤動作の明白な可能性を示す扱いにくいケーブルおよび複雑なインタフェースの必要性がなくなる。得られた処置データは、例えば、携帯電話信号、Bluetooth(登録商標)またはWIFIを介して無線でネットワーク30または携帯可能デバイス24に送信することができる。メモリ回路35または51は、各々が後でネットワーク30に伝送するためのデータの全体的検査価値を保存するのに充分なオンボードメモリを提供する。
【0018】
出願人は、内部身体障害が身体内に存在する場合、前記障害を引き起こしている組織の神経が特定のエネルギー(例えば、周波数)を出すことを決定したが、正常なかかる組織と比較して、特定の組織障害の「指紋」を定義する。例えば、子宮内膜症は、組織が子宮を逸脱し、神経系の問題および疼痛を引き起こしている状態である。逸脱した(障害があるかまたは正常でない)組織は、12~22cpm(1分当たりのサイクル数)の周波数範囲で近位十二指腸の近くで、22~27cpmの周波数範囲で遠位十二指腸の近くで検出可能であると同定された。
【0019】
別の例として、瘢痕組織(障害があるかまたは正常でない組織)による腸攣縮または腸閉塞は、180~200cpmの周波数範囲で遠位回腸の近くで、50~70cpmの周波数範囲の小腸の近くで検出可能であると同定された。さらなる例では、尿道障害を検出することができる。排尿するための尿道組織の正常周波数は7cpmである。出願人は、少なくとも18cpm以上の周波数が、障害があるかまたは正常でない尿道組織を示すことを決定した。
【0020】
したがって、システム10および10’のフィルタ構造18、48は、それぞれ、任意の身体障害の「指紋」を定義することが知られている周波数範囲を検出するように構成することができる。
【0021】
子宮内膜症を検出するために、フィルタ構造18、48は、12~27cpmの範囲の周波数の検出を可能にするためにハイパスフィルタおよびローパスフィルタを有するように選択される。腸閉塞を検出するために、フィルタ構造18、48は、検出しようとする場所によって、180~200cpmの範囲の、または50~70cpmの範囲の周波数の検出を可能にするためにハイパスフィルタおよびローパスフィルタを有するように選択される。尿道障害を検出するために、フィルタ構造18、48は、15~25cpmの範囲の周波数の検出を可能にするためにハイパスフィルタおよびローパスフィルタを有するように選択される。これらのフィルタは、概して、共に二次のものであるが、より高次のデジタルフィルタを実装することができる。任意の第2のデジタルフィルタは、ソフトウェア分析の前にシグナル16’の所望のバンドパスフィルタリングを達成するために、ハイパス機能および/またはローパス機能のためのソフトウェア(コンピュータ読み取り可能メディア)において実装されてもよい。このアプローチは、特定の身体障害に焦点を定めるために、デジタルフィルタにおける特定の周波数範囲を変化させるためのシステムにおけるより大きな柔軟性も提供する。
【0022】
エネルギー「指紋」を有する任意の内部身体組織疾患の位置の特定を行うためにシステム10を用いることができるので、電極12または検知器11が、1)身体部分の広い領域を検知することが可能であるか、2)いずれも相互に対して、かつそれらが接触しているかもしくは近くにある患者の組織に対して移動可能であるか、または3)グリッド上に固定されることが好ましく、グリッドは、それらが接触しているかもしくは近くにある患者の組織に対して移動可能である。
【0023】
図3を参照して、患者Pの身体表面に接触して、またはその近くに装着される複数の電極12(好ましくは少なくとも3つ)を用いるシステム10、10’が示される。各電極12は、全体的な検知領域(Aの陰影線(クロスハッチ模様)領域)を規定するために検知領域Sを有する。検知領域Sは、マイクロプロセッサ回路42または44のAIモジュール49が、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの電極12から三次元における障害組織の重症度、位置および/または増殖(移動または変化)を決定するために最も強い周波数信号(信号の強さ)を得た際に電極信号の三角測量および/または三辺測量を用いることができるように、二重陰影線領域Oで重なる。電極12がユニット25に対して外部にある場合、各電極12の電気的接続41は、ユニット25の電極コネクタ13(
図1)と接続することができる。電極12は、好ましくは使い捨て可能である。検出の複数の重なり合う場が開示されるが、複数の電極の代わりに、広い検知場を有する単一の検知器または電極を身体表面上にまたはその近くに提供し、配置することができることを理解することができる。さらに、そのような単一の広い検知場の検知器または電極は、皮膚の下に埋め込むことができる。
【0024】
別の実施形態において、
図4を参照して、概して52で示される電極アレイ構造は、可撓基板54に固定されるアレイまたはグリッドにおいて提供される複数の電極12’(好ましくは少なくとも3つの電極12’)を含む。単一のコネクタ56は、ユニット25の電極コネクタ13(
図1)と接続することができる。電極アレイ構造52は、マイクロプロセッサ回路42または44のAIモジュール49が、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの電極12’から三次元における障害組織の重症度、位置および増殖(移動または変化)を決定するために最も強い周波数信号(信号の強度:signal intensity)を得た際に電極信号の三角測量および/または三辺測量を用いることができるように、患者の身体上に配置することができ、異なる位置へ移動することができる。代替として、電極アレイ構造52は、電極12’が患者の皮膚に近接するように患者に配置されるベスト内に配置され得、ベストは、マイクロプロセッサ回路42または44のAIモジュール49が、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの電極12’から三次元における障害組織の重症度、位置および増殖(移動)を決定するために最も強い周波数信号(信号の強さ)を得た際に電極信号の三角測量および/または三辺測量を用いることができるように移動可能である。電極アレイ構造52は、好ましくは使い捨て可能である。
【0025】
代替として、可撓基板上に電極を固定する代わりに、
図5を参照して、その中に、複数の、間隔を置いて配置された水平スロット62と、複数の、間隔を置いて配置された垂直スロット64とを有する可撓基板60を含む、概して58で示される電極摺動構造が示される。各々が可撓基板60に対して水平および垂直に移動可能であるようにスロット62、64に対して摩擦によって係合されるベース66を有する複数の電極12”(好ましくは少なくとも3つの電極12”)が提供される。電極12”の電気的接続68は、ユニット25の電極コネクタ13(
図1)に接続することができる。したがって、マイクロプロセッサ回路42または44のAIモジュール49が、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの電極12’から三次元における障害組織の、重症度、位置および増殖(移動または変化)を決定するために最も強い周波数信号(信号の強さ)を得た際に電極信号の三角測量および/または三辺測量を用いるために、電極摺動構造58は、患者の身体上に配置することができ、身体上の異なる位置へ移動させることができ、電極12”は、基板60上の異なる位置に摺動または移動させることが可能とされる。例えば、
図3を参照して、障害組織が部分的に電極検知領域Sの内の1つ以上の中にある場合、三辺測量を使用して、障害組織の位置Tは、3つの電極領域Sの外周の交点にある。3つの外周(円)が1点で交差しない場合、位置領域が得られることになる。障害組織が電極の内の1つだけの検知領域S内にある場合、三角測量を使用することができる。
【0026】
代替として、電極摺動構造58は、電極12”が患者の皮膚に近接するように患者に配置されるベスト内に配置することができ、ベストは身体上の異なる位置に移動可能であり、電極12”は、マイクロプロセッサ回路42または44のAIモジュール49が、少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの電極12’から三次元における障害組織の重症度、位置および増殖(移動または変化)を決定するために最も強い周波数信号(信号の強さ)を得た際に電極信号の三角測量および/または三辺測量を用いることができるように基板60上の異なる位置に摺動または移動させることが可能とされる。電極摺動構造58は、好ましくは使い捨て可能である。
【0027】
電極12、12、12”または電極検知器11は、周波数、周波数強度、および障害組織の周波数信号の起点の方向を検出することが可能であり、上記のとおりの三角測量および/または三辺測量を使用することによって、障害組織の重症度、位置および増殖を含む処置データを同定することができる。したがって、モニタされた組織の周波数が特定の障害組織の「指紋」範囲内にある場合、障害組織に関する処置データが得られる。また、さらなる侵襲性の内視鏡検査位置特定手法や腹腔鏡検査位置特定手法なしで処置を遂行することができるように、システム10、10’によって障害組織の位置や、増殖などの他の特性を決定することもできる。例えば、腸閉塞は、上記したとおりの正常周波数と比較した腸組織の特定の障害周波数に基づいて検出することができる。(例えば、筋肉の接触によって引き起こされる)周波数信号の強度(強さ:strength)が規定領域にわたって一定のままである場合、これは閉塞の静的位置を示す。しかし、周波数信号の強度が距離にわたって増加し、次いで減少することが検出される場合、閉塞(障害組織)の増殖(変化および重症度または広がり)が決定される。例えば、子宮内膜症組織(障害組織)は、関連する腸溶性神経系攣縮で起こり得るように、女性の月経周期の間に変化する可能性があるか、または腸閉塞は、位置を変化する可能性があるか、もしくは消化管系の可変部分を含む可能性がある。腸閉塞が固定されるかまたは静的である場合、増殖はゼロである。周波数信号が障害組織に沿ってある位置から第2の位置へ移動する時間と、2つの位置の間の距離とは、AIモジュール49によって得ることができ、障害組織の増殖および/または閉塞もしくは障害の位置を決定するために使用することができる。したがって、システム10、10”は、障害組織の焦点と、障害組織の広がり、例えば、上流、下流、または焦点とは異なる位置とを決定することができる。
【0028】
なお、ユニット、25、25’(例えば、少なくとも2つの電極、増幅器、フィルタ構造、A/D変換器、マイクロプロセッサ回路および伝送器)は、携帯可能で、可撓で、着用可能で、使い捨て可能であるように、小型電源を有する単一集積回路に小型化することができる。したがって、ハウジングは必要でなくてもよいか、または集積回路の可撓基板がハウジングであると考えることができる。着用性を増強するために、小型化されてもされなくても、ユニット25、25’は、好ましくは可撓性および耐汗性または耐水性である。例えば、
図7を参照して、身体上の概略の装着位置が知られている場合、集積回路25、25’は、医療用皮膚パッチ78に構成することができるか、またはユーザの皮膚に粘着または着用させるように粘着性絆創膏のパッドに替えることができる。皮膚パッチ78は、集積回路の全体を覆う部分80を有することが可能であり、下側が皮膚に粘着する装着部分82を含むことができる。代替として、集積回路は、自己粘着性の絆創膏(例えば、腹部の周囲が包まれる)を使用して身体上に装着可能とされるか、または身体上の異なる位置に移動させ、必要に応じて再装着させることが可能であるようにベルト上に組み込むことができる。したがって、ユニット25、25’は、患者によって着用される場合、一定期間にわたってデータを得ることができる。
【0029】
処置データがシステム10、10’によって得られると、システム10、10’は、ユーザに処置を開始するよう通知することができる。例えば、ユニット25’(
図2)に含まれる処置送達構造53からの電磁気周波数(EMF)または電気ショック処置などのエネルギーで障害組織をモジュレートすることによって、処置を行うことができる。処置送達構造53は、参照により内容が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第20170332961 A1号に開示される型のものであることができる。処置送達構造53は、ユニット25’とは別個であることが可能であり(例えば、薬剤またはホルモン)、その外側にあることが可能であり、患者の身体に埋め込まれるか、または設けられることが可能であり、ネットワーク30または携帯可能デバイス24と無線で通信することができる。マイクロプロセッサ回路42または44は、処置送達構造53に信号を送って、処置を送達することができる。代替として、処置は、手術による障害組織の除去であることができる。薬剤処置またはホルモン処置が用いられる場合、患者に設けられるかまたは埋め込まれる処置送達構造53は、好ましくは医師からの許可を受けて、携帯可能デバイス24におけるAPPによって制御されることによって障害組織を鎮静するために、EMFまたは電気ショックを送達する代わりに必要に応じて要求に基づき障害組織に薬剤またはホルモンを送達することができる。例えば、システム10、10’が消化管の運動性における異常を検出した場合、処置送達構造53は、処置(薬剤、EMFなど)を送達して、運動性を速めるか、遅くするか、または運動性の停止も行うことができる。代替として、ユニット25’が医療用皮膚パッチ78上における集積回路の形態である場合、処置送達構造53はパッチそのものであることが可能であり、その結果、薬剤またはホルモンは、パッチを介して経皮的に送達可能とされる。ユニット25’は、制御を開始するための入力ボタンを有することもできる。
【0030】
携帯可能デバイス24またはコンピュータ30によって得られるかまたは受信される処置データは、色分けデータを含むことができる。例えば、異常組織を示す周波数が赤色で色分けされ得るなど、異なる周波数に異なる色で割り当てることができるが、他の正常周波数は青色の色であることができる。周波数シグナルの強度をデータで表示することもできる。
【0031】
したがって、上記で概説されたアルゴリズムを用いることによって、
図6を参照して、患者における障害組織をモニタする方法は、ステップ70において、関連する正常組織の周波数範囲の外側にある患者の特定の障害組織に関連した周波数範囲を(例えば、上記の「指紋」に基づいて)同定することを含む。ステップ72において、患者の身体表面の上または近くに少なくとも1つの電極11、12、12’、12”を配置する。ステップ74において、少なくとも1つの電極によって周波数データを得る。ステップ76において、マイクロプロセッサ42、44によって周波数データを分析して、それが患者の特定の障害組織に関連する同定された周波数範囲内にあるかどうかを決定し、そうである場合、マイクロプロセッサ42、44のAIモジュール49が、三辺測量によって患者の身体内の障害組織の特定の位置を決定する。ステップ78において、周波数データおよび位置データを別のデバイスに伝送する。上記のように、データの伝送は好ましくは無線方法であるが、伝送が有線方法でデータを転送することを含むことができることは実施形態の意図の範囲内である。患者が障害組織を有することが知られると、次いで、例えば、EMFで障害組織をモジュレートすること、手術を行うこと、または患者に薬剤もしくはホルモンを送達することによって、処置を行うことができる。治療的処置の後、システム10、10’を、その直後、しばらくの期間の後、または長期間の後に再び用いて、事前に障害組織が同定された(1つまたは複数の)位置において検知された周波数の変化があるかどうか決定することができる。
【0032】
子宮内膜症および腸閉塞のための実施形態が開示されたが、障害が上記したようにエネルギー「指紋」を出す限り、適当な周波数範囲の検出を確実にすることによって、任意の内部身体障害の位置を特定するためにシステム10、10’を構成することができる。例えば、限定されるものではないが、例えば閉塞による腸の異常な収縮または攣縮;例えば潰瘍による胃の異常な収縮または攣縮;例えば腎臓結石による膀胱の異常な収縮または攣縮は、システム10、10’によって検出可能とされる。また、腫瘍によって放たれる異常な周波数は、システム10、10’によって検出可能とされる。
【0033】
本明細書に記載される動作およびアルゴリズムは、記載されるようにマイクロプロセッサ回路42、44の中の実行可能コードとして実装され得るか、または独立型コンピュータもしくは機械で読み取り可能な非一時的タンジブル記憶メディアに保存可能とされ、それは1つ以上の集積回路を使用して実装されたプロセッサ回路によってコードの実行に基づいて完了される。開示された回路の例示的な実装としては、プログラマブル論理回路アレイ(PLA)などの論理回路アレイにおいて実装されるハードウェア論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)などの集積回路のマスクプログラミングによるものが挙げられる。これらの回路のいずれかを、マイクロプロセッサ回路などの対応する内部プロセッサ回路によって実行されるソフトウェアベースの実行可能リソースを使用して実装することも可能であり、1つ以上の集積回路を使用して実装することも可能であり、内部メモリ回路に保存された実行可能コードの実行によって、プロセッサ回路を実装する(1つまたは複数の)集積回路がプロセッサメモリのアプリケーション状態変数を保存し、本明細書に記載されるように回路の動作を行う実行可能アプリケーションリソース(例えば、アプリケーションインスタンス)を作成する。故に、本明細書における「回路」という用語の使用は、1つ以上の集積回路を使用して実装され、記載された動作を行うための論理回路を含むハードウェアベースの回路、または(1つ以上の集積回路を使用して実装される)プロセッサ回路を含むソフトウェアベースの回路の両方を指し、プロセッサ回路は、プロセッサ回路による実行可能コードの実行によって改変されるアプリケーション状態データおよびアプリケーション変数の記憶のためのプロセッサメモリの保存部分を含む。メモリ回路35、51は、例えば、プログラマブル読出し専用メモリ(PROM)もしくはEPROMなどの不揮発性メモリ、および/またはDRAMなどの揮発性メモリなどを使用して実装することが可能とされる。
【0034】
前述の好ましい実施形態は、本発明の構造的原理および機能的原理を示し、好ましい実施形態を用いる方法を示す目的のために図と共に記載されたが、そのような原理から逸脱することなく変わることがある。故に、本発明は、以下の請求項の精神の範囲内で包含される全ての改変を含む。
【国際調査報告】