(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ビート植物の人工栽培用装置、プラント及び栽培方法
(51)【国際特許分類】
A01G 22/25 20180101AFI20240520BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20240520BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
A01G22/25 Z
A01G31/00 611Z
A01G31/00 612
A01G7/00 601A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561183
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-03
(86)【国際出願番号】 EP2022059296
(87)【国際公開番号】W WO2022214607
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523376556
【氏名又は名称】ズイテック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クロスターハルフェン、 ヴォルフギャング
(72)【発明者】
【氏名】フェスパー、 マルティン
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
【Fターム(参考)】
2B022AB13
2B022DA01
2B314MA38
2B314NC60
(57)【要約】
【課題】 ビート植物の栽培用の人工栽培用装置、プラント及び栽培方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、成長するビート(4)を収容するためのキャビティ(3)を備える形成的構造(2)を備えている、ビート植物、特に、テンサイ(4)の栽培のための人工栽培用装置(1)に関し、形成的構造(2)は、ビート(4)の外形が成長中にキャビティ(3)の壁によって少なくとも部分的に影響を受けるように設計される。さらに、複数のそのような人工栽培用装置(1)を備えるプラント、ビート植物、特に、テンサイ(4)の対応する栽培方法、及びテンサイ(4)が提供される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長するビート(4)を収容するためのキャビティ(3)を備える形成的構造(2)を備えている、ビート植物、特に、テンサイ(4)の栽培のための人工栽培用装置(1)であって、
前記形成的構造(2)は、前記ビート(4)の外形が成長中に前記キャビティ(3)の壁によって少なくとも部分的に影響を受けるように設計されている、人工栽培用装置(1)。
【請求項2】
前記キャビティ(3)が、単一のビート(4)を収容するように設計されている、請求項1に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項3】
前記形成的構造(2)が、前記キャビティ(3)を提供するベース要素(5)を備え、
前記ベース要素(5)は、円筒状、円錐状、直方体、又は立方体の内側形状を備え、
前記内側形状は、丸みを帯びた縁を有する直方体又は立方体に成形されている、請求項1又は請求項2に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項4】
前記ベース要素(5)が、剛性又は半剛性である、請求項3に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項5】
前記ベース要素(5)が、1つ又は複数の液体透過性領域を備えているか、又は、液体透過性であって多孔性及び又は有孔の材料で作られている、請求項3又は請求項4に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項6】
前記ベース要素(5)が、液体不透過性の外層(6’)と、前記ベース要素(5)内に水を分配するための中間液体担持層(6’’)と、液体透過性であり分配された水を前記キャビティ(3)に誘導する内層(6’’’)とを備えている多層材料(6)で作られている、請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項7】
前記人工栽培用装置(1)が、水及び又は栄養液のための流体入口(7)を備え、
前記流体入口(7)が、前記中間液体担持層(6’’)に接続されている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項8】
前記ベース要素(5)が、前記ベース要素(5)を少なくとも2つの部分に分離するための分離領域(8)を備えるか、又は、前記ビート(4)を前記キャビティ(3)から取り出すための排出デバイス(9)、好ましくは、開放可能なフラップを備えている、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項9】
前記ベース要素(5)が、前記ビート植物の頭部及び葉がそれを通して前記キャビティ(3)外へ成長できる照明アパーチャ(10)を備えている、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項10】
前記人工栽培用装置(1)が、少なくとも前記照明アパーチャ(10)を照射する光源(11)、特に、発光ダイオードを備えている、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項11】
前記ベース要素(5)が、固定部分(5’)と可動部分(5’’)を備え、
前記可動部分(5’’)は、前記固定部分(5’)に対して可動であり、前記ビート(4)の成長中に前記キャビティ(3)のサイズを増大させている、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項12】
前記可動部分(5’’)が、開始位置(100)と終端位置(101)との間で移動可能であり、
前記ベース要素(5)は、前記終端位置(101)を定める機械的ストッパ(12)を備え、
前記可動部分(5’’)は、ばね手段によって前記開始位置(100)にばね付勢されている、請求項11に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項13】
前記人工栽培用装置(1)が、前記ビート(4)と前記キャビティ(3)の少なくとも1つの表面の壁との間の機械的な接触及び又は圧力を検出する少なくとも1つのセンサ(13)を備えている、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の複数の人工栽培用装置(1)を備えている、ビート植物、特に、テンサイ(4)の人工栽培用のプラント(20)。
【請求項15】
前記プラント(20)が、前記人工栽培用装置(1)が上下にスタックされるか、及び又は、横並びに配置される装置配置システム(21)を備えている、請求項14に記載のプラント(20)。
【請求項16】
前記プラント(20)が、ビート(4)を複数の人工栽培用装置(1)から前記装置配置システム(21)外へ搬送するためのビート取り出しシステム(22)を備えている、請求項14又は請求項15に記載のプラント(20)。
【請求項17】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)を使用することによる、ビート植物、特に、テンサイ(4)の栽培方法であって、
a.ビート(4)又はビートの苗(4’)を前記人工栽培用装置(1)の形成的構造(2)のキャビティ(3)内に提供するステップと、
b.成長中に前記キャビティ(3)内で前記ビート(4)又はビートの苗(4’)に水及び又は栄養液を供給するステップと、
c.少なくとも部分的に形成された成長したビート(4)を前記キャビティ(3)から取り出すステップと
を含む栽培方法。
【請求項18】
前記キャビティ(3)のサイズが、ビートの成長とともに増大する、請求項17に記載の栽培方法。
【請求項19】
水及び又は栄養液が、中間液体担持層(6’’)によって前記形成的構造(2)のベース要素(5)内に分配され、前記ベース要素(5)の液体透過性内層(6’’’)を介して前記ビート(4)に提供される、請求項17又は請求項18に記載の栽培方法。
【請求項20】
前記ビート(4)が、排出デバイス(9)を介して、特に、前記ベース要素(5)のフラップを開放することによって、前記キャビティ(3)から取り出される、請求項17~請求項19のいずれか一項に記載の栽培方法。
【請求項21】
ビート植物が、少なくとも1つの平坦な表面領域を備えている、請求項17~請求項20のいずれか一項に記載の栽培方法によって栽培された、ビート植物、特に、テンサイ(4)。
【請求項22】
前記ビート植物が、少なくとも2つ、4つ又は6つの平坦な表面を備えている、請求項21に記載のビート植物。
【請求項23】
少なくとも2つの表面が互いに直交し、
少なくとも2つのさらなる表面が互いに平行である、請求項22に記載のビート植物。
【請求項24】
前記ビート植物の外形が、実質的に円筒状、円錐状、直方体、立方体、丸みを帯びた縁を有する直方体、又は、丸みを帯びた縁を有する立方体である、請求項21~請求項23のいずれか一項に記載のビート植物。
【請求項25】
前記ビート植物の高さが、50~300ミリメートル、好ましくは、80~200ミリメートル、特に好ましくは、100~150ミリメートルであり、特に、前記ビート植物は、この高さを、少なくとも100ミリメートルの幅、好ましくは、少なくとも250ミリメートルの幅、特に好ましくは、少なくとも300ミリメートルの幅にわたって有する、請求項21~請求項24のいずれか一項に記載のビート植物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、ビート植物、特に、テンサイの人工栽培用装置に関する。
伝統的に、テンサイは、農家によって畑栽培の栽培方法で育てられる。
このために、順調な栽培のために特有の土壌と適切な気候が必要である。
土壌は、多くの養分を含有し、腐植質に富み、水分を多く含有できなければならない。
さらに、テンサイの伝統的な畑栽培は、特に、テンサイが数年の輪作体系を必要とすることから、広い面積を必要とすることと表裏一体である。
【0002】
今日、地球の気候システムの長期的な加熱による地球温暖化と、それに関連する局所的・地域的気候の平均的な気象パターンの変化により、テンサイの栽培条件は、著しく悪化している。
特に、熱が波打つと、長期の干ばつ及び厳しい気象条件がより頻繁に起こるようになる。
同時に、世界の食糧需要は、増加の一途をたどっている。
【0003】
この問題を解決するアプローチのひとつが、建物、コンテナ等の内側に配置された垂直にスタックされた層の中で作物を育てる、いわゆる、インハウス又は垂直農法の中に見出すことができる。
これは、植物の生育を最適化し、より小さな単位面積の用地で作物の収穫量を増やすために、環境制御型農業を取り入れたものである。
【0004】
これまでのこのアプローチの欠点は、照明、気候制御、及び養分供給を完全に人為的に行わなければならないという事実のために、垂直農法が、伝統的な畑栽培に比べて莫大なエネルギー消費を伴うことである。
その結果、垂直農法は、エネルギーバランスと作物収穫量が改善されて初めて、前述の課題に対する解決策になることができる。
【0005】
別の態様は、収穫されたビート植物は、所望の最終製品を得るためにさらに処理されなければならないということである。
例えば、テンサイは、洗浄され、機械的にスライスされるか、又は、「コセット(cossette)」とも呼ばれる薄いストリップに切断される。
その後、典型的に向流交換によって糖分を水溶液中に抽出するため、ストリップは、抽出装置(拡散装置とも呼ばれる)に通される。
もちろん、このようなさらなる処理には、追加のエネルギー消費が伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の課題及び欠点に対処するビート植物の人工栽培用装置、及び、栽培方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、成長するビートを収容するためのキャビティを備える形成的構造を備える、ビート植物、特に、テンサイの栽培のための人工栽培用装置であって、形成的構造は、ビートの外形が成長中にキャビティの壁によって少なくとも部分的に影響を受けるように設計される、人工栽培用装置によって達成される。
【0008】
本発明によれば、形成的構造のキャビティの内側でビートを成長させることによって成長したビートの外形を少なくとも部分的に決定することが可能になる。
成長するビートの形状が特定の所望の形状に付勢され、収穫されたビートの形状が所定の形状仕様に従う場合、ビートのその後の処理は、より効果的に実行可能であり、収穫量は、増大し、エネルギー消費は、低減する。
本発明は、垂直農法に限定されず、本発明による人工栽培用装置がビート植物の改善された従来式の畑栽培のためにも使用可能であるが、その主要な利点は、垂直農法と組み合わせた人工栽培用装置を通して与えられる。
したがって、さらなる処理と一緒に垂直農法の全体エネルギーバランスが従来型の畑栽培のエネルギーバランスと比較してより良くなる程度までさらなる処理の効率を高めることが可能になり、上述の畑栽培の一般的な課題及び欠点を解決することができる。
例えば、収穫されたテンサイが、所定の形状仕様に適合する形状を有し、互いに形状及びサイズがより似ている場合、ビートの搬送、ストリップへのスライス及び水中でのストリップの拡散のようなさらなる処理は、より簡単且つ効率的に実行することができる。
【0009】
本発明によれば、キャビティは、ビート植物の無土壌栽培、特に、空中又は水中栽培のための液状、気体状及び又は蒸気状の水及び又は栄養液で部分的又は完全に満たされる。
そして、完全に成長したビートは、さらなる処理前に洗浄する必要がない。
或いは、キャビティは、土壌栽培のために土壌で満たされる。
【0010】
本発明の意味で、「形成的」という語は、ビートが成長中に形成的構造の少なくとも1つの壁と接触し、それによって成長中のビートの外形が、形成的構造の壁が降伏しないので、形成的構造の壁によって付勢されることを意味する。
これは、以下のことを意味する、すなわち、キャビティのサイズが、少なくとも1つの方向において、例えば、高さ又は直径において、収穫までキャビティの外側で栽培されるビート植物よりも小さいように、形成的構造が設計されることを意味する。
さらに、形成的構造は、剛性又は半剛性であり、成長中のビートの典型的な成長の勢いに機械的に耐えることができる。
そして、キャビティは、単一のビートを収容するように設計され、各単一ビートの外形は、個々に所望の形態に形成することができる。
【0011】
本発明は、ビート植物の人工的な栽培のための人工栽培用装置、プラント及び栽培方法を含み、少なくとも人工の光源が成長を引き起こすために使用される。
好ましくは、ビート植物の無土壌の空中又は水中人工栽培が意図される。
しかしながら、土壌栽培も、代替策として考えられる。
【0012】
本発明によれば、形成的構造が、キャビティを提供するベース要素を備えている。
そして、ベース要素は、円筒状、円錐状、直方体状、又は立方体状の内側形状を備え、この内側形状は、丸みを帯びた縁を有する直方体又は立方体状に成形される。
さらに、直方体又は立方体状の内側形状を有するキャビティは、丸みを帯びた縁を有する、対応する直方体又は立方体状の外形を少なくとも部分的に備える成長したビートをもたらす。
そのように形成されたビートは、転がって行かないので、自然に形成されたビートのように、容易且つ効率的に搬送可能であり、高い詰込み密度でスタック又は詰め込むことができる。
【0013】
それは、別として、直方体又は立方体状のビートは、スライス又は切断されるときにより均一なストリップをもたらし、特に、特定のさらなる処理に非常に有害である短すぎるストリップを生じない。
自然に成長したテンサイをストリップ(コセット)にスライスすることは、一般に、上手く形成されたストリップだけでなくかなりの数の短いストリップも生成する。
そのような短いストリップは、抽出装置(拡散装置とも呼ばれる)内での向流交換に悪影響を及ぼす。
それらは、抽出装置内の篩を閉塞する傾向があるからである。
それが起こると、向流交換は、停止しなければならず、篩は、閉塞している短いストリップから人間の手によって洗浄しなければならない。
本発明による人工栽培用装置内で成長することによりもたらされた直方体又は立方体状のテンサイは、いわゆる、短いストリップの数が低減した状態でストリップにスライス又は切断することができ、抽出装置内の閉塞は、回避され、同時にスライス中のビートの廃棄量は、実質的に低減される。
ビートが、例えば、上から下へ又は逆にスライスされる限り、同じことが円筒状の内側形状を有するキャビティ内で成長するビートにもあてはまる。
或いは、ビートは、交差するようにスライスされる。
ビートが細かく刻まれる。
そして、キャビティの縁が丸みを帯びるほど、収穫のためにキャビティからビートを取り出すことは簡単になる。
【0014】
内側形状は、50~550ミリメートル、好ましくは、100~450ミリメートル、特に好ましくは、150~400ミリメートル、最も好ましくは、250~350ミリメートルの直径を有する、それぞれ垂直長手方向軸に垂直な直径(円形の場合)、幅又は最大拡張(直方体の場合)を有する断面を含む。
キャビティは、50~400ミリメートル、好ましくは、80~300ミリメートル、特に好ましくは、100~200ミリメートルの垂直長手方向軸に沿った高さを有する。
【0015】
本発明によれば、ベース要素は、ビートホルダ、特に、生分解性支持構造を備えることがさらに好ましい。
ビートホルダは、キャビティの頂部に近接して又はキャビティの頂部に配置され、ビートの苗を受け入れる。
したがって、ビート苗ホルダは、キャビティの頂部及び光源に近接してビートの苗を保持し、ビートは、キャビティ内で上から下へ成長することができる。
【0016】
本発明によれば、ベース要素が、1つ又は複数の液体透過性領域を含むか、又は、液体透過性で多孔質及び又は有孔の材料で作られている。
これにより、キャビティ内で成長するビートに、多孔質材料及び又は有孔材料の液体透過性領域及び又は孔を通して水及び又は栄養液を供給して、ビートの成長を刺激することが可能になる。
特に、無土壌栽培が達成できるので、収穫されたビートの土壌、土、石からの洗浄及び浄化は、さらなる処理の前に不要である。
その結果、さらなる処理の完全なステップを省くことができる。
同時に、栄養供給を最適化し、ビートの成長速度に個別に適合させることができる。
ベース要素は、合成材料、金属、繊維等から作られたメッシュを備える。
或いは、ベース要素は、成形、深絞り又は積層されたデバイスを備え、円形、楕円形、角形又は正方形の断面を有するポット型又は管状である。
このデバイスは、ガラス繊維強化プラスチックで作ることができ、水透過性を提供するために孔が開けられる。
【0017】
そして、ベース要素は、液体不透過性の外層と、ベース要素内に水を分配するための中間液体担持層と、液体透過性であり分配された水をキャビティに誘導する内層とを備える多層材料で作られる。
内層は、水透過性であるが、必ずしもより大きな穴又は孔を提供される必要はなく、キャビティからのビートの取り出しは、できるだけ単純なままである。
このために、理想的には、根の部分は、ベース要素のオリフィス内に成長しないことが意図される。
内層は、水透過性の合成フィルム又はフォイルを含む。
或いは、アルミニウム若しくは鋼フォイル又は複合フォイルも可能である。
【0018】
そして、人工栽培用装置は、水及び又は栄養液のための流体入口を備え、この流体入口は、中間液体担持層に接続されるか、有孔又は多孔質領域と接続される。
【0019】
本発明によれば、ベース要素は、このベース要素を少なくとも2つの部分に分離するための分離領域、又は、ビートをキャビティから取り出すための排出デバイス、好ましくは開放可能なフラップを備える。
そして、分離領域は、成長したビートをキャビティから簡単に取り出すためにベース要素の2つの部分を分離することを可能にする。
或いは、ベース要素は、成長したビートをキャビティから取り出すことができる開放可能なフラップ、例えば、ヒンジ式ドアを備えている。
ベース要素の底部は、開放可能なフラップとして提供され、フラップを開放すると成長したビートが重力によって自動的にキャビティから排出されることができる。
そして、人工栽培用装置は、取り出す前に成長したビートから頭部及び葉を切り離すための切断デバイスを備えている。
切断デバイスは、アパーチャに対応する切断オリフィスとともに切断ブレードを備え、頭部及び葉は、切断ブレードの相対移動によって切り離される。
【0020】
本発明によれば、ベース要素は、ビート植物の頭部及び葉がそれを通してキャビティ外へ成長できるアパーチャを備えている。
特に、アパーチャの直径は、典型的なビートの直径よりもかなり小さい、及び又は、キャビティの断面と重なる。
したがって、アパーチャを取り囲む壁部分は、依然として成長中にビートの形成に影響を及ぼす。
しかしながら、頭部及び葉は、光合成活動を発達させるためにアパーチャから光源に向かって成長できるが、ビートは、キャビティ内に位置する。
【0021】
本発明によれば、人工栽培用装置は、少なくとも照明アパーチャを照射する光源、特に、発光ダイオード(LED)を備えている。
人工の光源の使用は、キャビティ内のビートの成長期間を、実際の気象、季節及び日中の条件から切り離す。
特に、成長期間及び輪作を大幅に加速することができ、複数の収穫期間を一年あたりで実現することができる。
【0022】
本発明によれば、ベース要素は、固定部分と可動部分を備え、この可動部分は、固定部分に対して可動であり、ビートの成長中にキャビティのサイズを増大させる。
そして、可動部分は、開始位置と終端位置との間で移動可能であり、ベース要素は、終端位置を定める機械的ストッパを備え、及び又は、可動部分は、ばね手段によって開始位置にばね付勢される。
キャビティは、可動部分が機械的ストッパと接触するまでビート又はビート苗の成長とともに拡張することができる。
したがって、ビートの頭部及び葉は、光源によって照射されるために、アパーチャを通って常に伸びることができる。
そして、アパーチャは、同時に上部である可動部分内に位置する。
可動部分は、固定部分に対して特にスライド可能である。
固定部分は、底部と任意選択的に開放可能なフラップとを備える下部である。
可動部分がストッパに達した後、ビートの形状は、可動部分及び固定部分の壁によって影響を受ける。
【0023】
本発明によれば、人工栽培用装置は、ビートとキャビティの少なくとも1つの表面の壁との間の機械的な接触及び又は圧力を検出する少なくとも1つのセンサを備えている。
それによって、成長するビートによってキャビティの壁に作用する力が成長とともに増大するので、ビートの成長の度合いを検出することが有利に可能である。
【0024】
本発明の別の目的は、本発明による複数の人工栽培用装置を備える、ビート植物、特に、テンサイの人工栽培用のプラントである。
そして、プラントは、人工栽培用装置が上下にスタックされるか及び又は横並びに配置される装置配置システムを備えている。
それによって、人工栽培用装置ができるだけ近接して上下にスタックされる、及び又は、互いの頂部にスタックされるので、単位/面積あたりの収穫量を最適化することが可能である。
同時に、ビートあたりのプラント内の気候制御のための必要なエネルギーは、減少する。
そして、プラントは、ビートを複数の人工栽培用装置から装置配置システム外へ搬送するためのビート取り出しシステムを備えている。
さらに、このビート取り出しシステムは、いくつかのビートを異なる人工栽培用装置から同時に装置配置システム外へ、特に、スライサ又はカッタのようなさらなる処理ユニットへ搬送することができるコンベヤシステムを備えている。
ビート取り出しシステムは、いくつかの人工栽培用装置の下に配置されたベルトコンベヤを備え、それによってフラップを介して自動的に排出されたビートは、ベルトコンベヤ上に着地し、さらなる処理ユニットの方へ搬送される。
【0025】
本発明の別の主題は、人工栽培用装置、特に本発明による人工栽培用装置を使用することによる、ビート植物、特に、テンサイの人工栽培のための栽培方法であり、この栽培方法は、ビート又はビートの苗を人工栽培用装置の形成的構造のキャビティ内に提供するステップと、成長中にキャビティ内でビート又はビートの苗に水及び又は栄養液を供給するステップと、少なくとも部分的に形成された成長したビートをキャビティから取り出すステップとを含む。
【0026】
この栽培方法は、本発明による人工栽培用装置に関連して記載されたものと同じ利点を提供する。
人工栽培用装置について記載された説明及び実施形態も、栽培方法にあてはまり、逆もまた、同様である。
【0027】
本発明によれば、キャビティのサイズは、ビートの成長とともに増大する。
【0028】
本発明によれば、水及び又は栄養液は、中間液体担持層によって形成的構造のベース要素内に分配され、ベース要素の液体透過性内層を介してビートに提供される。
【0029】
本発明によれば、ビートは、排出デバイスを介して、特に、ベース要素のフラップを開放することによって、キャビティから取り出される。
【0030】
本発明によれば、キャビティは、ビートプラントの無土壌栽培のために、特に、空中又は水中栽培のために、液状、気体状及び又は蒸気状の水及び又は栄養液で部分的に又は完全に満たされる。
完全に成長したビートは、さらなる処理前に洗浄する必要がない。
【0031】
本発明の別の主題は、本発明による栽培方法によって栽培される、ビート植物、特に、テンサイであり、ビート植物は、少なくとも1つの平坦な表面領域を備えている。
少なくとも平坦な表面は、形成的構造のキャビティ内でビートを成長させることによって達成される。
ビートは、少なくとも2つ、4つ又は6つの平坦な表面を備える。
少なくとも2つの表面は、互いに直交し、及び又は、少なくとも2つのさらなる表面は、互いに平行である。
ビート植物の外形は、実質的に円筒状、円錐状、直方体、立方体、丸みを帯びた縁を有する直方体、又は丸みを帯びた縁を有する立方体である。
【0032】
本発明によれば、ビート植物は、50~300ミリメートル、好ましくは、80~200ミリメートル、特に好ましくは、100~150ミリメートルの高さを有し、特に、ビート植物は、この高さを、少なくとも100ミリメートルの幅、好ましくは、少なくとも250ミリメートルの幅、特に好ましくは、少なくとも300ミリメートルの幅にわたって有する。
このようにして、栽培されたビート植物は、搬送及びストリップへスライスされるのに有利な形状を備え、ストリップは、その長さに起因して可能な限り均質であり、短いストリップを含まない。
【0033】
本発明は、本発明の原理を示す添付の図面と、以下の詳細な記載から明らかになる。
本記載は、本発明の範囲を限定することなく、例示のためにのみ与えられる。
以下に引用する参照図は、添付図面を指す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1施形態による人工栽培用装置を示す。
【
図2】本発明の第2実施形態による人工栽培用装置を示す。
【
図3a-3b】本発明の第3実施形態による人工栽培用装置、栽培方法及びビート植物を示す。
【
図4a-4b】本発明の第4実施形態による人工栽培用装置及び栽培方法を示す。
【
図5】本発明の第5実施形態による人工栽培用装置を示す。
【
図6】本発明の第6実施形態によるプラントを示す。
【
図7】本発明の第7実施形態によるプラント及び栽培方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の実施形態に関して、図面を参照しながら記載するが、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
図面は、概略的であり、非限定的なものである。
図面において、要素のサイズは、例示を目的として誇張されている場合があり、原寸に比例して描かれていない場合がある。
【0036】
単数形の名詞に言及する際に不定冠詞又は定冠詞、例えば、「a」、「an」、「the」が使用される場合、他の何かが具体的に記載されていない限り、これは、その名詞の複数形を含む。
【0037】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、類似の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも連続的又は時系列的な順序を記載するために使用されるものではない。
このように使用される用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は示される以外の順序で動作可能である。
【0038】
図1において、本発明の第1実施形態によるビート植物の人工栽培用装置1が示されている。
本発明は、テンサイの栽培に限定されるものではないが、本例及び以下の例は、テンサイ4の人工栽培に言及している。
【0039】
前記人工栽培用装置1は、キャビティ3を有する剛性の形成的構造2を備えている。
キャビティ3は、テンサイの苗4’を受け入れるために設けられ、また、苗4’から生じる単一の成長するテンサイ4を、この対応する成長したテンサイ4の収穫まで含むために設けられる。
【0040】
前記キャビティ3は、テンサイ4の外形4’’がその成長中にキャビティ3の壁によって影響を受けるように設計される。
【0041】
形成的構造2は、キャビティ3を画定する内側形状2’を有するベース要素5を備え、ベース要素5の内側形状2’は、キャビティ3の壁によって画定される。
内側形状2’は、垂直長手方向軸102に沿って延びる円筒形状を備え、内側形状2’は、垂直長手方向軸102に垂直な円形の断面を備えている。
ベース要素5は、キャビティ3をその下端で制限する閉鎖底部を備えている。
さらに、ベース要素5は、成長するテンサイ4の頭部及び葉4’’’が光源11に向かって伸びることができる中央アパーチャ14を備える上部制限部を備えている。
【0042】
テンサイ4の成長中、キャビティ3内のテンサイ4の体積は、キャビティ3の壁と接触するまで連続的に膨張する。
ベース要素5は、その壁が成長するテンサイ4の対応する成長の勢いに機械的に耐えることができる硬さ及び剛性に設計される。
結果、テンサイ4は、それ自体の形状をさらなる成長中に内側形状2’の形状に合うように適合しなければならない。
内側形状2’のサイズは、キャビティ3のサイズ、特に、垂直長手方向軸102に垂直な直径及び又は垂直長手方向軸102に沿った高さが、収穫までキャビティ3の外側で栽培される典型的な成長したテンサイ4よりも小さいように設計される。
最終的に、人工栽培用装置1のキャビティ3内で成長した収穫されたテンサイ4は、内側形状2’の円筒形状に少なくとも似た外形4’’を有する。
【0043】
結果として、収穫されたテンサイ4のさらなる処理を、より効果的に、且つ、より少ないエネルギー消費で実行することができる。
特に、砂糖を製造するためにテンサイをストリップ状にスライスし、当該ストリップを向流交換によって水中に拡散することは、最適化される。
収穫されたテンサイ4の円筒状の外形がスライス中により長いストリップをもたらし、いわゆる、短いストリップの数を大幅に減らすからである。
そのような短いストリップは、抽出装置(拡散装置とも呼ばれる)内で向流交換に悪影響を及ぼす。
抽出装置内の篩を閉塞する傾向があるからである。
【0044】
キャビティ3は、テンサイ4の無土壌の空中又は水中栽培のための液状、気体状及び又は蒸気状の栄養液で満たされる。
また、完全に成長したテンサイは、さらなる処理前に洗浄する必要がない。
【0045】
ベース要素5は、キャビティ3内の苗4’及びテンサイ4に水及び栄養液を供給するために、液体透過性材料、例えば、有孔性ガラス繊維強化プラスチックで作られる。
無土壌栽培は、栄養物をベース要素5を通してテンサイ4に供給することによって達成可能であり、例えば、スライス及び拡散などさらなる処理前に、収穫したテンサイ4を土壌、土及び石から洗浄し浄化することは不要である。
【0046】
ベース要素5は、
図5によって以下で説明されるように多層材料からなる。
【0047】
任意選択的に、ベース要素5は、このベース要素5を2つの異なる部分、上部及び下部に分離するための分離エリア8を備えている。
成長したテンサイ4は、上部及び下部を互いに分離することによってキャビティから容易に取り出すことができる。
或いは、ベース要素5は、キャビティ3からテンサイ4を取り出すための排出デバイスを備えている。
そして、排出デバイスは、
図7によって以下で説明されるようにドアを開放した後に重力によってキャビティ3から成長したテンサイ4が落下できるヒンジドアの形態のベース要素5の底部の開放可能フラップである。
【0048】
内側形状は、50~550ミリメートル、好ましくは、100~450ミリメートル、特に好ましくは、150~400ミリメートル、最も好ましくは、250~350ミリメートルの直径を有する垂直長手方向軸にそれぞれ垂直である直径(円形の場合)、幅又は最大拡張(直方体の場合)を有する断面を備える。
キャビティは、50~300ミリメートル、好ましくは、80~200ミリメートル、特に好ましくは、100~150ミリメートルの垂直長手方向軸に沿った高さを有する。
【0049】
図2において、本発明の第2実施形態によるビート植物の人工栽培用装置1が示されている。
第2実施形態は、
図1に示された第1実施形態に基本的に一致する。
唯一の違いは、第2実施形態は、円筒状に成形されておらず丸みを帯びた縁を有する直方体状に成形された内側形状2’を有するベース要素5を備えている。
結果、垂直長手方向軸102に垂直な断面は、円形ではなく、丸みを帯びた縁を有する正方形として成形されている。
【0050】
成長したテンサイ4は、直方体状の外形4’’を有し、後続の処理ステップのさらなる最適化をもたらす。
特に、得られた直方体状のテンサイ4の搬送は、テンサイ4が(縁が丸みを帯びているとしても)その平坦な外殻面に起因して転がって行かないので、単純化される。
【0051】
本発明の第3実施形態によるテンサイ4の人工栽培用装置1及び栽培方法が、
図3a~3bに示されている。
第3実施形態による人工栽培用装置1は、
図1の第1実施形態による人工栽培用装置1に等しく、又は、
図2の第2実施形態による人工栽培用装置1に等しい。
【0052】
図3aにおいて、テンサイの苗4’は、ベース要素5のキャビティ3に配置される。
苗4’は、キャビティ3の底部の上、又は、キャビティ3の内側に配置された不織材料又はメッシュの上に置かれる。
或いは、苗4’は、テンサイ苗ホルダ15としての役割を果たす、例えば、セルロース繊維等から作られた生分解性支持構造の上に配置される。
テンサイ苗ホルダ15は、キャビティ3の頂部に近接してテンサイの苗4’を保持し、テンサイ4は、キャビティ3の内側で上から下へ成長することができる。
【0053】
その後、苗4’及び、その後、苗4’から生じるテンサイ4は、成長のために水及び栄養液を供給される。
同時に、ベース要素5は、光源(
図5及び7に示されている)によって照射される。
光源、好ましくは、発光ダイオード(LED)の光は、アパーチャ14に向けられる。
【0054】
図3bにおいて、成長中のテンサイ4が概略的に示されている。
テンサイ4は、成長するにつれて大きくなり、その外面がキャビティ3の壁に接触し、テンサイ4の膨張は、制限される。
このようにして、テンサイ4の外形4’’は、影響を受ける。
【0055】
テンサイ4の頭部及び葉4’’’は、アパーチャ14を通って光源11(図示せず)に向かって伸びる。
【0056】
収穫する準備が整った完全に成長したテンサイ4が、
図3cに示されている。
このテンサイ4は、本発明によるテンサイである。
テンサイ4の外形4’’が、キャビティ全体をほぼ満たし、この外形4’’は、内側形状2’’によって決定されることができる。
この例では、テンサイ4は、ほぼ直方体状に成形されて、4つ又は6つの平面を備え、これらは、部分的に直交し、互いに平行である。
【0057】
そして、ビート植物の高さは、50~300ミリメートル、好ましくは、80~200ミリメートル、特に好ましくは、100~150ミリメートルであり、特に、ビート植物は、少なくとも100ミリメートルの幅、好ましくは、少なくとも、250ミリメートルの幅、特に好ましくは、少なくとも300ミリメートルの幅にわたって、この高さを有する。
【0058】
さらなる処理のために完全に成長したテンサイ4をキャビティ3から取り出すために、ベース要素5は、2つの部分に分離される、又は、上述したような排出デバイスが使用される。
【0059】
図4a、4b及び4cにおいて、本発明による人工栽培用装置1及び栽培方法の第4実施形態が示されている。
全体的な機能は、
図3a~3cに関連して記載したものと同じである。
唯一の違いは、ベース要素5が、固定部分5’と、この固定部分5’の内側でスライド可能に案内され支持される可動部分5’’とを備える。
可動部分5’’は、
図4aに示される開始位置100と
図4cに示される終端位置101との間で移動可能である。
【0060】
図4aに示される開始位置において、可動部分5’’は、固定部分5’の底部に近いその最下位置にある。
したがって、キャビティ3は、小さく、キャビティ3の壁は、苗4’に近接し、アパーチャ14を通って輝く光は、苗4’の上に落ちる。
苗4’がその第1の葉4’’’を発達させる場合、それらは、すぐに光で照射され、それにより光合成が非常に初期の状態から始まることができる。
根が成長するにつれて大きくなると、可動部分5’’は、
図4bに示されるようにテンサイ4の上面によって上方へ(上向き矢印によって示されるように)押される。
同時に、成長中のテンサイ4の頭部及び葉は、アパーチャ14を介して伸び、光源11(
図4a~4cには、示されない)によって完全に照射される。
【0061】
可動部分5’’は、
図4cに示されるように、上方への移動を制限し終端位置101を定める機械的停止手段12にぶつかるまでテンサイ4によって上方へ押される。
そして、終端位置101において、キャビティ3の最大高さに到達し、テンサイ4は、成長する間、さらなる膨張のために、その外形4’’を内側形状2’’に適合させなければならない。
【0062】
図5に、本発明の第5実施形態による人工栽培用装置1が示されている。
第5実施形態は、
図2の第2実施形態と同様である。
【0063】
第5実施形態による人工栽培用装置1は、多層材料6で作られたベース要素5を備えている。
多層材料6は、少なくとも、外層6’と、内層6’’’と、これらの外層6’と内層6’’’ との間に位置する中間層6’’とを備えている。
【0064】
さらに、ベース要素5は、水及び栄養液をキャビティ3に導入するための中間層に流体的に接続された流体入口7を備えている。
【0065】
外層6’は、液体不透過性であり、供給された水及び栄養液は、ベース要素5を出ることができない。
そして、外層6’は、ベース要素5に剛性及び強靭性も提供する。
外層6’は、厚みのあるフォイル、例えば、深絞りしたアルミニウム又はプラスチックフォイルである。
また、この外層6’は、射出成形によって製造することもできる。
或いは、外層6’は、ガラス繊維強化プラスチックを含む。
【0066】
内層6’’’は、水及び栄養液をキャビティ3の方に仕向け、したがって、苗4’又はテンサイ4に仕向けるために、少なくとも部分的に水透過性である。
このため、内層6’’’は、この内層6’’’の表面に等しく分配された複数のオリフィス又は穿孔を備えている。
そして、内層6’’’は、穴あけされる薄い合成の鋼又はアルミニウムフォイルである。
【0067】
中間層6’’は、流体入口7を介して供給された水及び栄養液を等しく内層6’’’のオリフィスに向けて分配するための流体担持層として機能する。
このため、中間層6’’は、この中間層6’’内の流体の横方向の流れを可能にするために、不織布で作られた多孔質構造、又は、層、特に、フリース又はフェルト構造を備えている。
【0068】
図5において、光源11は、概略的に示されている。
光源11は、テンサイ4の頭部及び葉4’’’を照射するために、アパーチャ14の上に置かれる。
光源11は、比較的低いエネルギー消費を有する発光ダイオード(LED)である。
【0069】
図5による実施形態は、土壌中でのテンサイ4の栽培に完全に適している。
この場合、キャビティ3は、土壌で完全に満たされ、栄養液は、多孔質構造を介して土壌に供給される。
【0070】
任意選択的に、
図5に示されるベース要素5は、テンサイ4の成長によって誘導されるキャビティ3の壁に作用する機械的な力及び成長中のテンサイ4と対応する壁との間の機械的な接触を検出するための複数のセンサ13をさらに備えている。
センサ13によって検出された力は、テンサイ4の成長の状態の測定値として使用することができる。
【0071】
図6おいて、本発明の第6実施形態によるプラント20が示されている。
プラント20は、複数の人工栽培用装置1を備え、それぞれの装置は、
図1~
図5の実施形態のうちの1つに従って設計され動作する。
人工栽培用装置1は、装置配置システム21によって互いに隣接して配置されている。
プラント20は、複数のコンテナ23からなり、各コンテナ23は、複数の人工栽培用装置1を備えている。
各コンテナ23は、人工栽培用装置1内に位置するテンサイ4の向上した人口栽培のための閉鎖型人工環境を提供する。
そして、複数のコンテナ23又は1つのコンテナ23の内側の複数の人工栽培用装置1は、これらの人工栽培用装置1の総数及び密度を上昇させるために、互いの頂部の上にスタックされる(明確にするために
図6に示されていない)。
各コンテナ23は、1つを超える人工栽培用装置1から、装置配置システム21の外へ、コンテナ23の外へ及び又はさらなる処理ステーションへ、テンサイ4を自動的に搬送するための、全体的なビート取り出しシステム22を備えている。
ビート取り出しシステム22については、
図7によって、以下に説明する。
【0072】
プラント20を増大させるための標準化されたコンテナ23の使用により、特定の製造ニーズに適合された個々にサイズ決めされたプラント20を簡単に増大させることが可能になる。
【0073】
図7において、本発明の第7実施形態によるプラント20及び栽培方法が示されている。
左側に、
図6に示されるようなプラント20が示されている。
プラント20は、複数の人工栽培用装置1を備え、それぞれの人工栽培用装置1は、排出デバイス9を備えている。
排出デバイス9は、それぞれ、ベース要素5の底部を形成するドア9’を備えている。
このドア9’は、重力によってテンサイ4を取り出すためにヒンジの周りを旋回することによって開放可能である。
ドア9’が開放されると、完全に成長したテンサイ4は、キャビティ3から、複数の人工栽培用装置1の下に配置されたビート取り出しシステム22の上に落下する。
そして、このビート取り出しシステム22は、収穫されたテンサイ4を、コンテナ23から後続の処理ステーション24へ搬送するためのベルトコンベヤを備えている。
【0074】
任意選択的に、取り出し前に成長したテンサイ4から頭部及び葉4’’’を切り離すために切断デバイス24が実装される。
切断デバイス24は、複数の切断オリフィスとともに可動切断ブレード25を備え、各切断オリフィスは、1つのアパーチャ14に対応し、ベース要素5に対する切断ブレード25の相対移動により複数のテンサイ4の頭部及び葉4’’’が切り離される。
【0075】
本例では、前記後続の処理ステーション25は、別個のプラント建築物内に配置されている。
処理ステーション25は、収穫したテンサイ4を上下に又は交差式にスライスしてストリップにするスライスステーション26と、水との向流交換によってストリップから砂糖塊を生成する拡散ステーション27とを備えている。
このために、拡散ステーション27は、短すぎるストリップによってもはや閉塞されない篩を備えている。
形成的構造2によって能動的に成形されたテンサイ4から得られたストリップは、より均一な長さ及びサイズを有している。
【符号の説明】
【0076】
1 ・・・人工栽培用装置
2 ・・・形成的構造
2’・・・内側形状
3 ・・・キャビティ
4 ・・・ビート
4’・・・ビートの苗
4’’・・・ビートの外形
4’’’・・・ビートの頭部及び葉
5 ・・・ベース要素
5’・・・固定部分
5’’・・・可動部分
6 ・・・多層材料
6’・・・外層
6’’・・・中間液体担持層
6’’’・・・内層
7 ・・・流体入口
8 ・・・分離領域
9 ・・・排出デバイス
10 ・・・照明アパーチャ
11 ・・・光源
12 ・・・機械的ストッパ
13 ・・・センサ
14 ・・・アパーチャ
15 ・・・ビートホルダ
20 ・・・プラント
21 ・・・装置配置システム
22 ・・・ビート取り出しシステム
23 ・・・コンテナ
24 ・・・切断デバイス
25 ・・・切断ブレード
25 ・・・さらなる処理ステーション
26 ・・・スライスステーション
27 ・・・拡散ステーション
100 ・・・開始位置
101 ・・・終端位置
102 ・・・垂直長手方向軸
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長するビート(4)を収容するためのキャビティ(3)を備える形成的構造(2)を備えている、ビート植物、特に、テンサイ(4)の栽培のための人工栽培用装置(1)であって、
前記形成的構造(2)は、前記ビート(4)の外形が成長中に前記キャビティ(3)の壁によって少なくとも部分的に影響を受けるように設計され、
前記形成的構造(2)は、前記キャビティ(3)を提供するベース要素(5)を備え、
前記ベース要素(5)は、直方体の内側形状を備えている、人工栽培用装置(1)。
【請求項2】
前記キャビティ(3)が、単一のビート(4)を収容するように設計されている、請求項1に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項3】
前記内側形状は、丸みを帯びた縁で成形されている、請求項1又は請求項2に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項4】
前記ベース要素(5)が、剛性又は半剛性である、請求項3に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項5】
前記ベース要素(5)が、1つ又は複数の液体透過性領域を備えているか、又は、液体透過性であって多孔性及び又は有孔の材料で作られている、請求項3又は請求項4に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項6】
前記ベース要素(5)が、液体不透過性の外層(6’)と、前記ベース要素(5)内に水を分配するための中間液体担持層(6’’)と、液体透過性であり分配された水を前記キャビティ(3)に誘導する内層(6’’’)とを備えている多層材料(6)で作られている、請求項3~請求項5のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項7】
前記人工栽培用装置(1)が、水及び又は栄養液のための流体入口(7)を備え、
前記流体入口(7)が、前記中間液体担持層(6’’)に接続されている、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項8】
前記ベース要素(5)が、前記ベース要素(5)を少なくとも2つの部分に分離するための分離領域(8)を備えているか、又は、前記ビート(4)を前記キャビティ(3)から取り出すための排出デバイス(9)、好ましくは、開放可能なフラップを備えている、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項9】
前記ベース要素(5)が、前記ビート植物の頭部及び葉がそれを通して前記キャビティ(3)外へ成長できる照明アパーチャ(10)を備えている、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項10】
前記人工栽培用装置(1)が、少なくとも前記照明アパーチャ(10)を照射する光源(11)、特に、発光ダイオードを備えている、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項11】
前記ベース要素(5)が、固定部分(5’)と可動部分(5’’)を備え、
前記可動部分(5’’)は、前記固定部分(5’)に対して可動であり、前記ビート(4)の成長中に前記キャビティ(3)のサイズを増大させている、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項12】
前記可動部分(5’’)が、開始位置(100)と終端位置(101)との間で移動可能であり、
前記ベース要素(5)は、前記終端位置(101)を定める機械的ストッパ(12)を備え、
前記可動部分(5’’)は、ばね手段によって前記開始位置(100)にばね付勢されている、請求項11に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項13】
前記人工栽培用装置(1)が、前記ビート(4)と前記キャビティ(3)の少なくとも1つの表面の壁との間の機械的な接触及び又は圧力を検出する少なくとも1つのセンサ(13)を備えている、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の複数の人工栽培用装置(1)を備えている、ビート植物、特に、テンサイ(4)の人工栽培用のプラント(20)。
【請求項15】
前記プラント(20)が、前記人工栽培用装置(1)が上下にスタックされるか、及び又は、横並びに配置される装置配置システム(21)を備えている、請求項14に記載のプラント(20)。
【請求項16】
前記プラント(20)が、ビート(4)を複数の人工栽培用装置(1)から前記装置配置システム(21)外へ搬送するためのビート取り出しシステム(22)を備えている、請求項14又は請求項15に記載のプラント(20)。
【請求項17】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の人工栽培用装置(1)を使用することによる、ビート植物、特に、テンサイ(4)の栽培方法であって、
a.ビート(4)又はビートの苗(4’)を前記人工栽培用装置(1)の形成的構造(2)のキャビティ(3)内に提供するステップと、
b.成長中に前記キャビティ(3)内で前記ビート(4)又はビートの苗(4’)に水及び又は栄養液を供給するステップと、
c.少なくとも部分的に形成された成長したビート(4)を前記キャビティ(3)から取り出すステップと
を含む栽培方法。
【請求項18】
前記キャビティ(3)のサイズがビートの成長とともに増大する、請求項17に記載の栽培方法。
【請求項19】
水及び又は栄養液が、中間液体担持層(6’’)によって前記形成的構造(2)のベース要素(5)内に分配され、前記ベース要素(5)の液体透過性内層(6’’’)を介して前記ビート(4)に提供される、請求項17又は請求項18に記載の栽培方法。
【請求項20】
前記ビート(4)が、排出デバイス(9)を介して、特に、前記ベース要素(5)のフラップを開放することによって、前記キャビティ(3)から取り出される、請求項17~請求項19のいずれか一項に記載の栽培方法。
【請求項21】
ビート植物が、少なくとも1つの平坦な表面領域を備えている、請求項17~請求項20のいずれか一項に記載の栽培方法によって栽培された、ビート植物、特に、テンサイ(4)。
【請求項22】
前記ビート植物が、少なくとも2つ、4つ又は6つの平坦な表面を備えている、請求項21に記載のビート植物。
【請求項23】
少なくとも2つの表面が互いに直交し、
少なくとも2つのさらなる表面が互いに平行である、請求項22に記載のビート植物。
【請求項24】
前記ビート植物の外形が、実質的に円筒状、円錐状、直方体、立方体、丸みを帯びた縁を有する直方体、又は、丸みを帯びた縁を有する立方体である、請求項21~請求項23のいずれか一項に記載のビート植物。
【請求項25】
前記ビート植物の高さが、50~300ミリメートル、好ましくは、80~200ミリメートル、特に好ましくは、100~150ミリメートルであり、特に、前記ビート植物は、この高さを、少なくとも100ミリメートルの幅、好ましくは、少なくとも250ミリメートルの幅、特に好ましくは、少なくとも300ミリメートルの幅にわたって有する、請求項21~請求項24のいずれか一項に記載のビート植物。
【国際調査報告】