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▶ グローバル ブラッド セラピューティクス インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ヘモグロビン調節因子の固体形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 413/06 20060101AFI20240520BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240520BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C07D413/06 CSP
A61K31/5377
A61P7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569774
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 US2022029289
(87)【国際公開番号】W WO2022241278
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/188,833
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515252271
【氏名又は名称】グローバル ブラッド セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ディー. ペアレント
(72)【発明者】
【氏名】トラヴィス リー ヒューストン
(72)【発明者】
【氏名】コートニー エス. ジョンソン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ワン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB04
4C063CC54
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC73
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA51
(57)【要約】
(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(化合物I)の形態、またはその塩もしくは溶媒和物を調製し、固体状態において特徴づけた。また、化合物Iの形態の製造方法および使用方法も提供する。
【化1】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式を有し、
【化1】
Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:18.3、23.4、および26.1°2θ±0.2°2θ(化合物Iの形態I)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、化合物Iの結晶性形態。
【請求項2】
前記ディフラクトグラムが、10.8または17.3°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項1に記載の結晶性形態。
【請求項3】
図1に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、請求項1から2のいずれか一項に記載の結晶性形態。
【請求項4】
約111℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の結晶性形態。
【請求項5】
図2Aに実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる、請求項1から4のいずれか一項に記載の結晶性形態。
【請求項6】
次式を有し、
【化2】
単位格子パラメータ:a=5.50599(10)Å、b=16.4086(2)Å、c=20.4992(4)Å、α=90°、β=90°、およびγ=90°を有する、化合物Iの結晶性形態。
【請求項7】
単位格子パラメータ:a=5.50599(10)Å、b=16.4086(2)Å、c=20.4992(4)Å、α=90°、β=90°、およびγ=90°、ならびに体積=1852.02(5)Åを有する、請求項6に記載の結晶性形態。
【請求項8】
次式を有し、
【化3】
Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:14.9、16.7、および22.9°2θ±0.2°2θ(化合物Iの材料II)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、化合物Iの結晶性形態。
【請求項9】
前記ディフラクトグラムが、18.4または19.2°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項8に記載の結晶性形態。
【請求項10】
図5に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、請求項8から9のいずれか一項に記載の結晶性形態。
【請求項11】
約102℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる、請求項8から10のいずれか一項に記載の結晶性形態。
【請求項12】
図6に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる、請求項8から11のいずれか一項に記載の結晶性形態。
【請求項13】
次式を有し、
【化4】
Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:12.7、16.4、および23.5°2θ±0.2°2θ(化合物IのHCl形態A)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、化合物Iの結晶性塩形態。
【請求項14】
前記ディフラクトグラムが、16.7または18.5°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む、請求項13に記載の結晶性塩形態。
【請求項15】
図9に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、請求項13から14のいずれか一項に記載の結晶性塩形態。
【請求項16】
約193℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる、請求項13から15のいずれか一項に記載の結晶性塩形態。
【請求項17】
図10に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる、請求項13から16のいずれか一項に記載の結晶性塩形態。
【請求項18】
次式を有し、
【化5】
単位格子パラメータ:a=7.72088(10)Å、b=7.57161(10)Å、c=17.6273(2)Å、α=90°、β=98.0066(12)°、およびγ=90°を有する、化合物Iの結晶性塩形態。
【請求項19】
単位格子パラメータ:a=7.72088(10)Å、b=7.57161(10)Å、c=17.6273(2)Å、α=90°、β=98.0066(12)°、およびγ=90°、ならびに体積=1022.44(2)Åを有する、請求項18に記載の結晶性塩形態。
【請求項20】
化合物I:
【化6】
(式中、Xは、ベンゼンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、シュウ酸、硫酸、またはp-トルエンスルホン酸であり、化合物IのXに対する比は、1:1または2:1である)の結晶性塩形態またはその溶媒和物。
【請求項21】
前記結晶性塩形態またはその溶媒和物が、化合物Iのベシル酸塩形態A、化合物Iのエジシル酸塩形態A、化合物Iのエジシル酸塩材料B、化合物Iのエシル酸塩形態A、化合物Iのエシル酸塩形態B、化合物Iのナパジル酸塩形態A、化合物Iのナパジル酸塩材料B、化合物Iのナプシル酸塩形態A、化合物Iのナプシル酸塩材料B、化合物Iのシュウ酸塩材料A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、化合物Iの硫酸塩形態A、および化合物Iのトシル酸塩形態Aからなる群から選択される、請求項20に記載の結晶性塩形態。
【請求項22】
請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶性形態または請求項13から21のいずれか一項に記載の結晶性塩形態および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項23】
化合物Iの少なくとも99%が、請求項1に記載の結晶性形態である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
化合物Iの少なくとも99%が、請求項8に記載の結晶性形態である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
化合物Iの少なくとも99%が、請求項13に記載の結晶性塩形態である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項26】
薬学的に許容できる賦形剤、請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶性形態または請求項13から21のいずれか一項に記載の結晶性塩形態、および他の治療剤を含む医薬組成物。
【請求項27】
それを必要とする対象におけるヘモグロビンSの酸素親和性を増加させる方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶性形態、請求項13から21のいずれか一項に記載の結晶性塩形態、または請求項22から26のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項28】
それを必要とする対象におけるヘモグロビンによって媒介される障害を治療する方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶性形態、請求項13から21のいずれか一項に記載の結晶性塩形態、または請求項22から26のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項29】
前記ヘモグロビンが、鎌状赤血球ヘモグロビンである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
それを必要とする対象における鎌状赤血球症を治療する方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の結晶性形態、請求項13から21のいずれか一項に記載の結晶性塩形態、または請求項22から26のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2021年5月14日出願の米国仮出願第63/188,833号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ヘモグロビンを調節する化合物の固体形態、その医薬組成物、その治療的使用、および固体形態を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
鎌状赤血球症は、赤血球の障害であり、特にアフリカ系および地中海系の人々の間で見られる。鎌状赤血球症の根拠は、ヘモグロビンA(HbA)の一般的なペプチド配列に関連する点突然変異を含む鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)に見られる。
【0004】
ヘモグロビン(Hb)は、酸素分子を肺から身体の様々な組織および臓器に運搬する。ヘモグロビンは、立体構造上の変化を通じて酸素を結合し、放出する。鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)は、グルタミン酸がバリンに置き換わっている点突然変異を含み、それによって、HbSは低酸素条件下で重合しやすくなり、HbS含有赤血球に特徴的な鎌状の形状をもたらす。鎌状赤血球はまた、正常な赤血球よりも硬く、その柔軟性の欠如は血管の閉塞を引き起こす可能性がある。
【0005】
ヘモグロビンを調節し、異常なHb(HbSなど)によって媒介される障害の治療に有用な化合物、例えば化合物Iなどが、米国特許第10,683,285号に開示されており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヘモグロビンによって調節される疾患の治療に効果的な化合物Iの高純度な固体形態が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、次式の化合物Iの固体形態:
【0008】
【化1】
ならびにその塩および溶媒和物を提供する。また、本明細書では、化合物Iの形態を作製する方法、化合物Iの固体形態を含む医薬組成物、ならびにヘモグロビンによって調節される疾患の治療においてそのような形態および医薬組成物を使用する方法を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】化合物Iの形態IのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図2A】化合物Iの形態Iの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図2B】化合物Iの形態Iの別の示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図3】化合物Iの形態Iの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図4】化合物Iの形態Iの動的蒸気収着(DVSプロット)を示す図である。
図5】化合物Iの材料IIのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図6】化合物Iの材料IIの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図7】化合物Iの材料IIの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図8】化合物Iの材料IIの動的蒸気収着(DVSプロット)を示す図である。
図9】化合物IのHCl形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図10】化合物IのHCl形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図11】化合物IのHCl形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図12】化合物IのHCl形態Aの動的蒸気収着(DVSプロット)を示す図である。
図13】非晶性化合物IのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図14】非晶性化合物Iの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図15】非晶性化合物Iの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図16】非晶性化合物Iの動的蒸気収着(DVSプロット)を示す図である。
図17】化合物Iのベシル酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図18】化合物Iのベシル酸塩形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図19】化合物Iのベシル酸塩形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図20】化合物Iのエジシル酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図21】化合物Iのエジシル酸塩形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図22】化合物Iのエジシル酸塩形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図23】化合物Iのエジシル酸塩材料BのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図24】化合物Iのエジシル酸塩材料Bの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図25】化合物Iのエジシル酸塩材料Bの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図26】化合物Iのエシル酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図27】化合物Iのエシル酸塩形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図28】化合物Iのエシル酸塩形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図29】化合物Iのエシル酸塩形態BのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図30】化合物Iのエシル酸塩形態Bの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図31】化合物Iのエシル酸塩形態Bの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図32】化合物Iのナパジル酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図33】化合物Iのナパジル酸塩形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図34】化合物Iのナパジル酸塩形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図35】化合物Iのナパジル酸塩材料BのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図36】化合物Iのナパジル酸塩材料Bの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図37】化合物Iのナパジル酸塩材料Bの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図38】化合物Iのナプシル酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図39】化合物Iのナプシル酸塩材料BのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図40】化合物Iのナプシル酸塩材料Bの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図41】化合物Iのナプシル酸塩材料Bの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図42】化合物Iのシュウ酸塩材料AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図43】化合物Iのシュウ酸塩材料Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図44】化合物Iのシュウ酸塩材料Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図45】化合物Iのシュウ酸塩形態BのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図46】化合物Iのシュウ酸塩形態Bの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図47】化合物Iのシュウ酸塩形態Bの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図48】化合物Iの硫酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図49】化合物Iの硫酸塩形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図50】化合物Iの硫酸塩形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
図51】化合物Iのトシル酸塩形態AのX線粉末回折(XRPD)を示す図である。
図52】化合物Iのトシル酸塩形態Aの示差走査熱量計(DSC)曲線を示す図である。
図53】化合物Iのトシル酸塩形態Aの熱重量分析(TGA)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において化合物Iと称する化合物(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドは、以下の式を有する。
【0011】
【化2】
【0012】
化合物Iは、ヘモグロビンの調節因子である。その合成および使用方法は、米国特許第10,683,285号、および米国仮特許出願第63/188,735号(2021年5月14日出願、表題「Methods of Making a Modulator of Hemoglobin」)、およびPCT出願(本明細書と同日出願、表題「Methods of Making a Modulator of Hemoglobin」)に記載されており、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
本開示は、化合物Iの様々な固体形態およびそのような固体形態を作製する方法に関する。例えば、いくつかの実施形態では、化合物Iの固体形態は、化合物Iの塩または溶媒和物を含むことができる。いくつかの実施形態では、化合物Iの固体形態は、非晶性の形態を含んでよく、本明細書においては「非晶性化合物I」と称する。
【0014】
本開示は、化合物Iの様々な結晶性形態およびその結晶性形態を作製する方法に関する。本明細書に記載の化合物Iの結晶性形態としては、「化合物Iの形態I」および「化合物Iの材料II」がある。いくつかの実施形態では、化合物Iのこのような形態は、無水物でもよい。
【0015】
本明細書において、化合物Iの追加の結晶性形態もさらに記載する。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性形態は、化合物Iの塩を含むことができる。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性塩形態は、無水物でも溶媒和物でもよい。
【0016】
いくつかの実施形態は、化合物I:
【0017】
【化3】
(式中、Xは、ベンゼンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、シュウ酸、硫酸、またはp-トルエンスルホン酸であり、化合物IのXに対する比は、1:1または2:1である)の結晶性塩形態またはその溶媒和物を提供する。
【0018】
いくつかの実施形態では、Xは、塩酸、ベンゼンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、シュウ酸、硫酸、またはp-トルエンスルホン酸であり得る。本明細書において、以下の例示的な形態:「化合物IのHCl形態A」、「化合物Iのベシル酸塩形態A」、「化合物Iのエジシル酸塩形態A」、「化合物Iのエジシル酸塩材料B」、「化合物Iのエシル酸塩形態A」、「化合物Iのエシル酸塩形態B」、「化合物Iのナパジル酸塩形態A」、「化合物Iのナパジル酸塩材料B」、「化合物Iのナプシル酸塩形態A」、「化合物Iのナプシル酸塩材料B」、「化合物Iのシュウ酸塩材料A」、「化合物Iのシュウ酸塩形態B」、「化合物Iの硫酸塩形態A」、および「化合物Iのトシル酸塩形態A」をさらに記載する。
【0019】
いくつかの実施形態では、結晶性塩形態またはその溶媒和物は、化合物Iのベシル酸塩形態A、化合物Iのエジシル酸塩形態A、化合物Iのエジシル酸塩材料B、化合物Iのエシル酸塩形態A、化合物Iのエシル酸塩形態B、化合物Iのナパジル酸塩形態A、化合物Iのナパジル酸塩材料B、化合物Iのナプシル酸塩形態A、化合物Iのナプシル酸塩材料B、化合物Iのシュウ酸塩材料A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、化合物Iの硫酸塩形態A、および化合物Iのトシル酸塩形態Aからなる群から選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、または化合物Iの硫酸塩形態Aを提供する。
【0021】
1.定義
本明細書で使用する場合、以下の単語およびフレーズは、それらが使用される文脈で別の意味が示される場合を除き、通常、以下に示す意味を有することを意図している。
【0022】
用語「含む(comprise)」およびその変化形、例えば、「含む(comprises)」および「含んでいる(comprising)」などは、オープンで包括的な意味、すなわち、「含むが、これに限らない(including, but not limited to)」と解釈すべきである。さらに、単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈上そうでないとする明白な指示がない限り、複数の言及を含む。したがって、「化合物(compound)」への言及は、複数のそのような化合物を含み、「アッセイ(assay)」への言及は、当業者に既知の1つまたは複数のアッセイおよびその均等物への言及を含む。
【0023】
本明細書における値またはパラメータの「約(about)」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および説明する)。ある種の実施形態では、用語「約」は、示した量±10%を含む。他の諸実施形態では、用語「約」は、示した量±5%を含む。ある種の他の実施形態では、用語「約」は、示した量±2.5%を含む。ある種の他の実施形態では、用語「約」は、示した量±1%を含む。また、用語「約X」は、「X」の記載を含む。
【0024】
本開示全体にわたって値の数値範囲の言及は、範囲を定義する値を含む範囲内にある各別個の値を個別に参照する簡略表記として機能することを意図しており、各別個の値は、本明細書において個別に引用されるものとして本明細書に組み込まれる。
【0025】
化合物Iの形態またはその塩もしくは溶媒和物を本明細書において提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iの形態またはその塩もしくは溶媒和物への言及は、組成物中に存在する化合物Iまたはその塩もしくは溶媒和物の少なくとも50%~99%(例えば、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%)が、指定された形態であることを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iへの言及は、組成物中に存在する化合物Iの少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、形態Iであることを意味する。
【0026】
用語「固体形態」は、固体状態材料の一タイプを指し、それには非晶性ならびに結晶性形態が含まれる。用語「結晶性形態」は、多形体ならびに溶媒和物などを指す。用語「多形体」は、X線回折や融点などの特定の物理的性質を有する特定の結晶構造を指す。
【0027】
用語「溶媒和物」は、溶媒分子と溶質の分子またはイオンとの組合せによって形成される複合体を指す。溶媒は、有機化合物、無機化合物、またはその両方の混合物でよい。溶媒のいくつかの例として、メタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、および水が挙げられるが、これらに限らない。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態の均等物であり、本開示の範囲内に包含される。
【0028】
用語「脱溶媒和された」は、本明細書に記載の溶媒和物であり、溶媒分子が部分的または完全に除去された化合物Iの形態を指す。脱溶媒和された形態を製造する脱溶媒和技術には、化合物Iの形態(溶媒和物)を真空にさらすこと、溶媒和物を高温にさらすこと、溶媒和物を空気や窒素などの気体の流れにさらすこと、またはそれらの任意の組合せがあるが、これらに限らない。したがって、脱溶媒和された化合物Iの形態は、無水物、すなわち溶媒分子を完全に含まない、または溶媒分子が化学量論的もしくは非化学量論的量で存在する部分的溶媒和物であり得る。
【0029】
用語「非晶性」は、材料が分子レベルでの長距離秩序を欠き、温度に応じて固体または液体の物理的性質を示し得る状態を指す。典型的には、このような材料は、特有のX線回折パターンを示さず、固体の性質を示すが、より正式には液体として説明される。加熱すると、固体から液体への性質の変化が起こり、これは状態の変化、通常は二次(ガラス転移)によって特徴づけられる。
【0030】
化合物Iを含めた、本明細書に示す任意の式または構造は、化合物の非標識形態ならびに同位体標識形態を表すことも意図している。任意の所与の原子について、同位体は、本質的にそれらの自然における存在度に従った比率で存在してもよく、または1種もしくは複数種の特定の原子は、当業者に既知の合成方法を使用して、1種もしくは複数種の同位体に関して増強されてもよいことが理解されよう。したがって、水素は、例えば、H、H、Hを含み、炭素は、例えば、11C、12C、13C、14Cを含み、酸素は、例えば、16O、17O、18Oを含み、窒素は、例えば、13N、14N、15Nを含み、硫黄は、例えば、32S、33S、34S、35S、36S、37S、38Sを含み、フルオロは、例えば、17F、18F、19Fを含み、クロロは、例えば、35Cl、36Cl、37Cl、38Cl、39Clを含み、その他同種類のものなどがある。
【0031】
「薬学的に許容できる」または「生理学的に許容できる」は、獣医学またはヒトの医薬用途に適した医薬組成物の調製に有用である本明細書に記載の形態、組成物、剤形物、および他の材料を指す。
【0032】
所与の化合物の「薬学的に許容できる塩」という用語は、所与の化合物の生物学的有効性および性質を保持し、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない塩を指す。「薬学的に許容できる塩」または「生理学的に許容できる塩」は、例えば、無機酸との塩および有機酸との塩を含む。さらに、本明細書に記載の形態が酸付加塩として得られる場合、遊離塩基は、酸性塩の溶液を塩基性化することによって得ることができる。これに対して、生成物が遊離塩基である場合、付加塩、特に薬学的に許容できる付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来の手順に従って、遊離塩基を適切な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することによって生成することができる。当業者なら非毒性の薬学的に許容できる付加塩を調製するために使用することができる様々な合成法を認識するであろう。薬学的に許容できる酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製することができる。無機酸から誘導される塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸から誘導される塩としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。同様に、薬学的に許容できる塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩としては、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級、および第三級アミンの塩が挙げられるが、これらに限らない。適切なアミンの具体例としては、ほんの一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(iso-プロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、薬学的に許容できる塩は、第一級アミンの塩を含まない。
【0033】
いくつかの実施形態では、「図に実質上示される(substantially shown in FIG.)」または「図に実質上示される(substantially shown in Figure)」という表現は、X線粉末ディフラクトグラムに適用する場合、±0.2°2θまたは±0.1°2θの変動を含むことを意味し、DSCサーモグラムに適用する場合は、±3℃の変動を含むことを意味し、熱重量分析(TGA)に適用する場合は、重量損失において±2%の変動を含むことを意味する。
【0034】
2.化合物Iの形態
上記で一般的に説明したように、本開示は、化合物Iの結晶性形態、およびその塩または溶媒和物を提供する。追加の形態(非晶性形態を含む)も本明細書でさらに説明する。
【0035】
化合物Iの結晶性形態、およびその塩または溶媒和物、ならびに化合物Iの他の形態(例えば、非晶性形態)、およびその塩または溶媒和物を、本明細書では「化合物Iの形態」と総称することに留意されたい。
【0036】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、塩である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、薬学的に許容できる塩である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物Iは、塩または溶媒和塩である。
【0037】
いくつかの実施形態では、化合物Iは、非晶性形態である。
【0038】
化合物Iの形態I
化合物Iの形態Iは、単変的には、化合物Iの材料IIと比較して、熱力学的に、より安定であることが企図される。
【0039】
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:18.3、23.4、および26.1°2θ±0.2°2θ(化合物Iの形態I)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる化合物Iの結晶性形態を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iのディフラクトグラムは、10.8または17.3°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性形態は、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:10.8および23.4°2θ±0.2°2θ(化合物Iの形態I)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性形態は、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:10.8、23.4、および26.1°2θ±0.2°2θ(化合物Iの形態I)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iのディフラクトグラムは、17.3、17.5、または23.7°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、図1に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0043】
いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、約111℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、図2Aに実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、192℃まで加熱した際に無視できる重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、図3に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0045】
いくつかの実施形態は、単位格子パラメータ:a=5.50599(10)Å、b=16.4086(2)Å、c=20.4992(4)Å、α=90°、β=90°、およびγ=90°を有する化合物Iの形態Iを提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、単位格子パラメータ:a=5.50599(10)Å、b=16.4086(2)Å、c=20.4992(4)Å、α=90°、β=90°、およびγ=90°、ならびに体積=1852.02(5)Å を有する。いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iは、表1の結晶構造パラメータのうちの1つまたは複数により特徴づけられる。
【0047】
いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iを作製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iの形態Iを作製する方法は、
化合物Iおよび溶媒を組み合わせて、混合物を形成することと;
混合物を加熱することと;
混合物を冷却して、スラリーを形成することと;
スラリーをろ過して、固体を得ることと;
固体を乾燥させて、化合物Iの形態Iを得ることと
を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、溶媒は、有機溶媒である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、酢酸エチルである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトニトリルである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンである。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、アセトンとメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)との混合物である。
【0049】
いくつかの実施形態では、混合物を加熱することは、混合物が透明な溶液となるように、化合物Iが混合物に溶解するまで混合物を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、混合物を加熱することは、(加熱しながら)第2の溶媒を添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の溶媒は、MTBEである。いくつかの実施形態では、混合物を冷却してスラリーを形成することは、混合物を周囲温度に冷却することを含む。いくつかの実施形態では、混合物を冷却してスラリーを形成することは、混合物を周囲温度に冷却し、約18~24時間撹拌することを含む。いくつかの実施形態では、混合物を冷却することは、第3の溶媒を添加することを含む。いくつかの実施形態では、第3の溶媒は、MTBEである。いくつかの実施形態では、固体を乾燥させることは、約45℃~約55℃で真空下で乾燥させることを含む。
【0050】
化合物Iの材料II(化合物Iの形態IIとも称する)
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:14.9、16.7、および22.9°2θ±0.2°2θ(化合物Iの材料II)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる化合物Iの結晶性形態を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIのディフラクトグラムは、18.4または19.2°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、化合物Iの結晶性形態は、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:14.9、22.6、および25.8°2θ±0.2°2θ(化合物Iの材料II)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIのディフラクトグラムは、18.6、19.6、または20.2°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIは、図5に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIは、約102℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIは、図6に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIは、195℃まで加熱した際に無視できる重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの材料IIは、図7に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0056】
化合物IのHCl形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、次式:
【0057】
【化4】
を有し、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:12.7、16.4、および23.5°2θ±0.2°2θ(化合物IのHCl形態A)を含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる、化合物Iの結晶性塩形態を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aのディフラクトグラムは、16.7または18.5°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、図9に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、約193℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、図10に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0060】
いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、188℃まで加熱した際に0.6%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、図11に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0061】
いくつかの実施形態は、単位格子パラメータ:a=7.72088(10)Å、b=7.57161(10)Å、c=17.6273(2)Å、α=90°、β=98.0066(12)°、およびγ=90°を有する化合物IのHCl形態Aを提供する。
【0062】
いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、単位格子パラメータ:a=7.72088(10)Å、b=7.57161(10)Å、c=17.6273(2)Å、α=90°、β=98.0066(12)°、およびγ=90°、ならびに体積=1022.44(2)Åを有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、化合物IのHCl形態Aは、表3の結晶構造パラメータのうちの1つまたは複数により特徴づけられる。
【0064】
化合物Iのベシル酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:4.93、17.0、18.5、および19.2°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドベシル酸塩(「化合物Iのベシル酸塩形態A」または「ベシル酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aのディフラクトグラムは、15.7および22.4°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、図17に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、約114℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、約130℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、図18に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、145℃までに約3.9%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、145℃~211℃に約6.6%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのベシル酸塩形態Aは、図19に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0067】
化合物Iのエジシル酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:11.5、18.6、および23.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドエジシル酸塩(「化合物Iのエジシル酸塩形態A」または「エジシル酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Aのディフラクトグラムは、4.99および21.1°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Aは、図20に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0068】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Aは、約91.4℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Aは、図21に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0069】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Aは、91℃までに約0.8%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩形態Aは、図22に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0070】
化合物Iのエジシル酸塩材料B
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:14.6、22.6、および23.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドエジシル酸塩(「化合物Iのエジシル酸塩材料B」または「エジシル酸塩材料B」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bのディフラクトグラムは、19.0および26.7°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、図23に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0071】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、約118℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、約187℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、約208℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、図24に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0072】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、204℃までに約1.1%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、図25に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0073】
化合物Iのエシル酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:18.5、19.2、および22.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドエシル酸塩(「化合物Iのエシル酸塩形態A」または「エシル酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aのディフラクトグラムは、11.2および21.4°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、図26に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、約49.6℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、約100℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、約172℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、図27に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0075】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、91℃までに約3.8%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、93℃~170℃に約17.6%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Aは、図28に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0076】
化合物Iのエシル酸塩形態B
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:5.52、19.8、および22.7°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドエシル酸塩(「化合物Iのエシル酸塩形態B」または「エシル酸塩形態B」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Bのディフラクトグラムは、10.8および16.8°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Bは、図29に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Bは、約97.0℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Bは、図30に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0078】
いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Bは、117℃までに約2.6%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのエシル酸塩形態Bは、図31に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0079】
化合物Iのナパジル酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:5.26、10.6、12.1、および17.8°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドナパジル酸塩(「化合物Iのナパジル酸塩形態A」または「ナパジル酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aのディフラクトグラムは、19.5および20.7°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、図32に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0080】
いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、約69.8℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、約151℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、約198℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、図33に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0081】
いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、117℃までに約16.9%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、117℃~162℃までに約5.9%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、163℃~225℃までに約3.7%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、図34に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0082】
化合物Iのナパジル酸塩材料B
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:5.02、10.4、18.1°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドナパジル酸塩(「化合物Iのナパジル酸塩材料B」または「ナパジル酸塩材料B」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bのディフラクトグラムは、20.2および20.9°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、図35に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0083】
いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、約77.1℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、約158℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、図36に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0084】
いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、162℃までに約5.5%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、図37に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0085】
化合物Iのナプシル酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:15.0、20.0、および24.0°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドナプシル酸塩(「化合物Iのナプシル酸塩形態A」または「ナプシル酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩形態Aのディフラクトグラムは、15.1および17.4°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩形態Aは、図38に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0086】
化合物Iのナプシル酸塩材料B
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:4.30、18.5、および19.0°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドナプシル酸塩(「化合物Iのナプシル酸塩材料B」または「ナプシル酸塩材料B」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bのディフラクトグラムは、10.7および21.5°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、図39に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0087】
いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、約52.0℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、約111℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、約177℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、図40に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、117℃までに約3.0%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、図41に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0089】
化合物Iのシュウ酸塩材料A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:10.7、11.6、および16.9°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドシュウ酸塩(「化合物Iのシュウ酸塩材料A」または「シュウ酸塩材料A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aのディフラクトグラムは、10.9および21.6°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、図42に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、約67.6℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、約111℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、図43に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0091】
いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、122℃までに約1.3%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、図44に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0092】
化合物Iのシュウ酸塩形態B
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:11.9、16.6、および20.2°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドシュウ酸塩(「化合物Iのシュウ酸塩形態B」または「シュウ酸塩形態B」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Bのディフラクトグラムは、18.1および23.3°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Bは、図45に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Bは、約118℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Bは、図46に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Bは、128℃までに約0.2%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのシュウ酸塩形態Bは、図47に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0095】
化合物Iの硫酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:10.7、18.2、および23.5°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒド硫酸塩(「化合物Iの硫酸塩形態A」または「硫酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Aのディフラクトグラムは、11.6、19.3、および20.8°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Aは、図48に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0096】
いくつかの実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Aは、約146℃(開始温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Aは、図49に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0097】
いくつかの実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Aは、161℃までに約1.4%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iの硫酸塩形態Aは、図50に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0098】
化合物Iのトシル酸塩形態A
本開示は、いくつかの実施形態では、Cu-Kα放射線を使用する回折計で決定した場合、以下のピーク:4.68、17.7、および23.4°2θ±0.2°2θを含むX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる結晶性形態(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドトシル酸塩(「化合物Iのトシル酸塩形態A」または「トシル酸塩形態A」)を提供する。いくつかの実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Aのディフラクトグラムは、18.6および19.1°2θ±0.2°2θに1つまたは複数のピークをさらに含む。いくつかの実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Aは、図51に実質上示されるX線粉末ディフラクトグラムにより特徴づけられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Aは、約115℃(ピーク温度)での吸熱を含む示差走査熱量測定(DSC)曲線により特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Aは、図52に実質上示されるDSC曲線により特徴づけられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Aは、137℃までに約3.3%の重量損失を示す熱重量分析(TGA)サーモグラムにより特徴づけられる。いくつかの実施形態では、化合物Iのトシル酸塩形態Aは、図53に実質上示されるサーモグラムにより特徴づけられる。
【0101】
3.医薬組成物および投与方法
本明細書に記載の化合物Iの形態は、医薬組成物において投与することができる。したがって、本明細書において、本明細書に記載の化合物Iの形態のうちの1種もしくは複数種、またはその塩もしくは溶媒和物、ならびに担体、補助剤、および賦形剤などの1種もしくは複数種の薬学的に許容できるビヒクルを含む医薬組成物を提供する。適切な薬学的に許容できるビヒクルとしては、例えば、不活性固体希釈剤および充填剤、滅菌水溶液および様々な有機溶媒を含む希釈剤、浸透増強剤、可溶化剤、ならびに補助剤が挙げられる。このような組成物は、医薬分野においての周知の方法で調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Co.、Philadelphia、Pa.第17版(1985);およびModern Pharmaceutics、Marcel Dekker,Inc.第3版(G.S.Banker&C.T.Rhodes編)を参照されたい。
【0102】
医薬組成物(または本明細書に記載の結晶性形態もしくは結晶性塩形態)は、単独で、または他の治療剤と組み合わせて投与することができる。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、ヘモグロビンの調節因子である。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、鎌状赤血球症の治療に有用である。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、鎌状赤血球症の合併症を治療するのに有用である。鎌状赤血球症の合併症の非限定的な例としては、鉄過剰症、疼痛、感染症、急性胸部症候群、脳卒中、および肺高血圧症が挙げられる。いくつかの実施形態では、他の治療剤は、ヒドロキシ尿素、L-グルタミン、クリザンリズマブ、またはデフェリプロンである。
【0103】
いくつかの実施形態は、本明細書に記載の結晶性形態または本明細書に記載の結晶性塩形態および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態は、治療有効量の本明細書に記載の結晶性形態または本明細書に記載の結晶性塩形態および薬学的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0104】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iの形態I、化合物Iの材料II、化合物IのHCl形態A、化合物Iのベシル酸塩形態A、化合物Iのエジシル酸塩形態A、化合物Iのエジシル酸塩材料B、化合物Iのエシル酸塩形態A、化合物Iのエシル酸塩形態B、化合物Iのナパジル酸塩形態A、化合物Iのナパジル酸塩材料B、化合物Iのナプシル酸塩形態A、化合物Iのナプシル酸塩材料B、化合物Iのシュウ酸塩材料A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、化合物Iの硫酸塩形態A、および化合物Iのトシル酸塩形態Aから選択される結晶性形態、ならびに1種または複数種の薬学的に許容できる担体を含む。
【0105】
いくつかの実施形態は、薬学的に許容できる賦形剤、本明細書に記載の結晶性形態または本明細書に記載の結晶性塩形態、および他の治療剤を含む医薬組成物を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも95%は、本明細書に記載の結晶性形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも95%は、形態Iである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも95%は、化合物IのHCl形態A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、または化合物Iの硫酸塩形態Aである。
【0107】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも97%は、本明細書に記載の結晶性形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも97%は、形態Iである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも97%は、材料IIである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも97%は、化合物IのHCl形態A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、または化合物Iの硫酸塩形態Aである。
【0108】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99%は、本明細書に記載の結晶性形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99%は、形態Iである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99%は、材料IIである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99%は、HCl形態Aである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99%は、化合物IのHCl形態A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、または化合物Iの硫酸塩形態Aである。
【0109】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99.5%は、本明細書に記載の結晶性形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99.5%は、形態Iである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99.5%は、化合物IのHCl形態A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、または化合物Iの硫酸塩形態Aである。
【0110】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99.9%は、本明細書に記載の結晶性形態である。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99.9%は、形態Iである。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、化合物Iを含み、ここで、化合物Iの少なくとも99.9%は、化合物IのHCl形態A、化合物Iのシュウ酸塩形態B、または化合物Iの硫酸塩形態Aである。
【0111】
医薬組成物は、単回または複数回用量のいずれかで投与することができる。医薬組成物は、例えば、直腸、頬、鼻腔内、および経皮経路を含めた様々な方法によって投与することができる。ある種の実施形態では、医薬組成物は、動脈内注射によって、静脈内に、腹腔内に、非経口的に、筋肉内に、皮下に、経口的に、局所的に、または吸入剤として投与することができる。
【0112】
投与のための一様式は、例えば注射による非経口投与である。本明細書に記載の医薬組成物を注射による投与のために組み込むことができる形態としては、例えば、ゴマ油、トウモロコシ油、綿実油、またはラッカセイ油を含む水性または油性の懸濁液または乳濁液、ならびにエリキシル、マンニトール、デキストロース、または滅菌水溶液、および同様の医薬用ビヒクルが挙げられる。
【0113】
経口投与は、本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物の投与のための別の経路であり得る。投与は、例えば、カプセルまたは腸溶性錠剤を介して行うことができる。本明細書に記載の少なくとも1種の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物を作製する場合、有効成分は通常、賦形剤によって希釈され、および/またはカプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態であり得るこのような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、固体、半固体、または液体材料の形態とすることができ、これらは、有効成分のためのビヒクル、担体、または媒体として作用する。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳濁剤、溶液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固体または液体媒体中)、例えば最大10重量%の有効成分を含む軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、無菌注射溶液、ならびに無菌包装散剤の形態とすることができる。
【0114】
適切な賦形剤のいくつかの例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤はさらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;メチルおよびプロピルヒドロキシ安息香酸などの保存剤;甘味剤;ならびに香味剤を含むことができる。
【0115】
本明細書に記載の少なくとも1種の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物を含む組成物は、当技術分野で既知の手順を使用することによって、対象への投与後に有効成分の迅速、持続、または遅延放出を提供するように製剤化することができる。経口投与用の制御放出薬物送達系としては、ポリマー被覆リザーバまたは薬物-ポリマーマトリックス製剤を含有する浸透圧ポンプ系および溶解系がある。制御放出系の例は、米国特許第3,845,770号;同第4,326,525号;同第4,902,514号;および同第5,616,345号に示されている。本明細書に開示の方法において使用するための他の製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ」)を使用する。このような経皮パッチは、本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物を、制御された量で連続的または非連続的に注入するために使用することができる。医薬剤の送達用の経皮パッチの構築および使用は、当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,023,252号、同第4,992,445号、および同第5,001,139号を参照されたい。このようなパッチは、医薬剤を連続的、パルス的、またはオンデマンドで送達するように構築することができる。
【0116】
錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な有効成分を医薬賦形剤と混合して、本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物の均質な混合物を含有する固体の予備製剤組成物を形成することができる。これらの予備製剤組成物を均質と言及している場合、有効成分は組成物全体に均一に分散されていて、組成物を錠剤、丸剤、およびカプセル剤などの均等に有効な単位剤形に容易に小分けすることができるようになる。
【0117】
本明細書に記載の固体形態またはそれらの塩もしくは溶媒和物の錠剤もしくは丸剤は、持続性作用の利点をもたらす剤形を提供するために、または胃の酸条件から保護するために、コーティングするか、または他の方法で配合することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内部投与成分および外部投与成分を含むことができ、後者は前者を覆う包囲体の形態である。この2つの成分は、胃内での崩壊に耐える働きをし、内部成分がそのまま十二指腸に入るまたは放出を遅延させることを可能にする腸溶層によって分離することができる。このような腸溶層またはコーティングには様々な材料を使用することができ、このような材料としては、多くのポリマー酸、ならびにポリマー酸と、シェラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどの材料との混合物が挙げられる。
【0118】
吸入または吹送用の組成物は、薬学的に許容できる水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物における溶液および懸濁液、ならびに粉末を含むことができる。液体または固体組成物は、本明細書に記載されるような適切な薬学的に許容できる賦形剤を含有することができる。いくつかの実施形態では、組成物は、局所的または全身的な効果のために、経口または鼻呼吸経路によって投与される。他の諸実施形態では、薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧させることができる。噴霧装置から噴霧された溶液を直接吸入してもよく、または噴霧装置をフェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、製剤を適切な方法で送達する装置から、好ましくは経口的または経鼻的に投与することができる。
【0119】
4.投与
任意の特定の対象に対する本出願の固体形態またはその塩もしくは溶媒和物の特定の用量レベルは、使用する特定の固体形態の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、および排泄速度、薬物の組合せ、ならびに治療を受ける対象における特定の疾患の重症度を含めた様々な要因に依存するであろう。例えば、投与量は、対象の体重1kgあたりの、本明細書に記載の固体形態またはその塩もしくは溶媒和物のミリグラム数(mg/kg)として表すことができる。約0.1~150mg/kgの投与量が適切であり得る。いくつかの実施形態では、約0.1~100mg/kgが適切であり得る。他の諸実施形態では、0.5~60mg/kgの投与量が適切であり得る。対象の体重に応じた正規化は、小児と成人の両方に固体形態を使用する場合、またはイヌなどの非ヒト対象での有効投与量をヒト対象に適した投与量に換算する場合に生じるような、サイズが大きく異なる対象間で投与量を調整する場合に特に有用である。
【0120】
5.方法
「治療(treatment)」または「治療する(treating)」は、臨床結果を含む有益なまたは所望の結果を得るための手法である。有益なまたは所望の臨床結果として、以下のうちの1つまたは複数を挙げることができる:a)疾患または病態を阻害すること(例えば、疾患もしくは病態から生じる1つもしくは複数の症状の低減、および/または疾患もしくは病態の程度の軽減);b)疾患または病態に関連する1つまたは複数の臨床症状の発現を遅らせることまたは阻止すること(例えば、疾患もしくは病態の安定化、疾患もしくは病態の悪化もしくは進行の予防もしくは遅延、および/または疾患もしくは病態の拡散(例えば、転移)の予防もしくは遅延);ならびに/あるいはc)疾患を緩和すること、すなわち、臨床症状の退行を引き起こすこと(例えば、疾患状態の改善、疾患もしくは病態の部分的もしくは全体的寛解の提供、他の薬物治療の効果の増強、疾患の進行の遅延、生活の質の向上、および/または生存期間の延長)。
【0121】
「予防(prevention)」または「予防する(preventing)」は、疾患または病態の臨床症状を発現させないようにする疾患または病態の任意の治療を意味する。本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物は、いくつかの実施形態では、疾患もしくは病態のリスクがある、またはその家族歴を有する対象(ヒトを含む)に投与することができる。
【0122】
「対象(subject)」は、治療、観察、または実験の目的物であった、または目的物となるであろう哺乳動物(ヒトを含む)などの動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒトの治療および/または獣医学的施用において有用である可能性がある。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0123】
本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物の「治療有効量(therapeutically effective amount)」または「有効量(effective amount)」という用語は、対象に投与した場合に治療に効果をもたらして、症状の改善または疾患の進行の遅延など、治療上の利益をもたらすのに十分な量を意味する。例えば、治療有効量は、鎌状赤血球症の症状を軽減するのに十分な量であり得る。治療有効量は、対象、ならびに治療される疾患または病態、対象の体重および年齢、疾患または病態の重症度、ならびに投与方法に応じて変化する可能性があるが、これらは当業者によって容易に決定することができる。
【0124】
本明細書に記載の方法は、in vivoまたはex vivoの細胞集団に適用することができる。「in vivo」とは、動物またはヒトの体内など、生きている個体の内を意味する。この文脈では、本明細書に記載の方法は、個体において治療的に使用することができる。「ex vivo」とは、生きている個体の外を意味する。ex vivo細胞集団の例としては、in vitro細胞培養物、および個体から得られた体液または組織試料を含む生物学的試料が挙げられる。このような試料は、当技術分野で周知の方法で得ることができる。例示的な生体液試料としては、血液、脳脊髄液、尿、および唾液が挙げられる。この文脈では、本明細書に記載の形態および本明細書に記載の組成物は、治療および実験目的を含めた様々な目的のために使用することができる。例えば、本明細書に記載の形態および本明細書に記載の組成物をex vivoで使用して、所与の適応症、細胞型、個体、および他のパラメータに対する本開示の形態の最適な投与スケジュールおよび/または投与量を決定することができる。このような使用から収集された情報は、in vivo治療のプロトコルを設定するために、実験目的または臨床で使用することができる。本明細書に記載の形態および本明細書に記載の組成物が適し得る他のex vivo用途は、以下に記載しており、または当業者に明らかになるであろう。本明細書に記載の選択された形態は、ヒトまたは非ヒト対象における安全性または耐容投与量を調べるためにさらに特徴づけることができる。このような特性は、当業者に一般的に既知の方法を使用して調べることができる。
【0125】
用語「ヘモグロビン」は、本明細書で使用する場合、正常ヘモグロビン(HbA)、および鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)などの異常ヘモグロビンを含めた、任意のヘモグロビンタンパク質を指す。
【0126】
用語「鎌状赤血球症」は、ヘモグロビン(Hb)の単一点突然変異に起因する鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)によって媒介される疾患を指す。鎌状赤血球症としては、鎌状赤血球貧血(HbSS)、ヘモグロビンSC病(HbSC)、ヘモグロビンSβプラスサラセミア(HbS/β+)、およびヘモグロビンSβゼロサラセミア(HbS/β0)が挙げられる。
【0127】
本明細書において、鎌状赤血球症(SCD)を治療する方法を提供する。鎌状赤血球ヘモグロビン(HbS)は、グルタミン酸がバリンに置き換わっている点突然変異を含み、それによって、HbSは低酸素条件下で重合しやすくなり、HbS含有赤血球に特徴的な鎌状の形状をもたらす。鎌状赤血球はまた、正常赤血球よりも硬く、その柔軟性の欠如は血管の閉塞を引き起こす可能性がある。重合は低酸素条件下では脱酸素状態でのみ起こるため、治療へのアプローチは、HbSを酸素化状態に維持することであると企図される。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書において、それを必要とする対象におけるヘモグロビンSの酸素親和性を増加させる方法であって、本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書において、それを必要とする対象におけるヘモグロビンSの酸素親和性を増加させる方法であって、本明細書に記載の結晶性形態もしくは結晶性塩形態または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書において、それを必要とする対象におけるヘモグロビンによって媒介される障害を治療する方法であって、本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書において、それを必要とする対象におけるヘモグロビンによって媒介される障害を治療する方法であって、本明細書に記載の結晶性形態もしくは結晶性塩形態または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0132】
いくつかの実施形態では、障害は、ヘモグロビン異常症である。いくつかの実施形態では、ヘモグロビンは、鎌状赤血球ヘモグロビンである。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書において、それを必要とする対象における鎌状赤血球症を治療する方法であって、本明細書に記載の固体形態、またはその塩もしくは溶媒和物、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0134】
いくつかの実施形態では、本明細書において、それを必要とする対象における鎌状赤血球症を治療する方法であって、本明細書に記載の結晶性形態もしくは結晶性塩形態または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【実施例
【0135】
機器技術
X線粉末回折(XRPD)
XRPD図は、SSCI Pattern Match3.0.4、未検証ソフトウェアを使用して作成した。
【0136】
XRPDパターンは、PANalytical X’Pert PRO MPDまたはPANalytical Empyrean回折計を用いて、Optix長距離高精度焦点源を使用して生成したCu放射線の入射ビームを使用して収集した。楕円傾斜多層ミラーを使用して、Cu Kα X線を、試験片を通過させて検出器に集束させた。分析前に、ケイ素試験片(NIST SRM 640eまたはNIST SRM 640f)を分析して、Si111ピークの観察位置がNIST認証位置と一致していることを確認した。試料の試験片を3μm厚のフィルム間に挟み、透過幾何配置で分析した。ビームストップ、短い散乱線除去エクステンション、および散乱線除去用ナイフエッジを使用して、空気によって生じたバックグラウンドを最小化した。入射および回折ビーム用のソーラースリットを使用して、軸発散からの広がりおよび非対称性を最小化した。回折パターンは、試験片から240mm離れて位置する走査式位置感応型検出器(X’Celerator)、およびデータコレクターソフトウェアv.2.2bまたはv.5.5を使用して収集した。
【0137】
反射幾何配置
XRPDパターンは、PANalytical X’Pert PRO MPD回折計を用いて、長距離高精度焦点源およびニッケルフィルターを使用して生成したCu Kα放射線の入射ビームを使用して収集した。回折計は、対称なブラッグ-ブレンターノ幾何配置を使用して構成した。分析前に、ケイ素試験片(NIST SRM 640eまたはNIST SRM 640f)を分析して、Si111ピークの観察位置がNIST認証位置と一致していることを確認した。試料の試験片は、ケイ素ゼロバックグラウンド基板を中心とした薄い環状層として調製した。散乱防止スリット(SS)を使用して、空気によって生じたバックグラウンドを最小化した。入射および回折ビーム用のソーラースリットを使用して、軸発散からの広がりを最小化した。回折パターンは、試料から240mm離れて位置する走査式位置感応型検出器(X’Celerator)、およびデータコレクターソフトウェアv.5.5を使用して収集した。
【0138】
示差走査熱量測定(DSC)
DSCは、Mettler-Toledo DSC3+示差走査熱量計を使用して実施した。タウラグ(tau lag)調整は、インジウム、スズ、および亜鉛を用いて実施した。温度およびエンタルピーは、オクタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、および亜鉛を用いて調整した。次いで、オクタン、サリチル酸フェニル、インジウム、スズ、および亜鉛を用いて調整を確認した。試料を、密封したアルミニウムDSCパンに入れ、重量を正確に記録した。次いで、パンをDSCセルに挿入した。試料パンとして構成した秤量済みアルミニウムパンを、セルの基準側に置いた。試料分析の前に、パンの蓋に穴を開けた。試料を10°/分で-30℃から250℃まで分析した。
【0139】
循環DSC法は、-30℃から100℃まで加熱し、-30℃に戻し、次いで、10°/分で250℃まで加熱した。
【0140】
動的蒸気収着/脱着(DVS)
自動蒸気収着(VS)データは、Surface Measurement System DVS Intrinsic装置またはVTI SGA-100装置で収集した。分析前に試料を乾燥させなかった。収着および脱着データは、窒素パージ下において5%~95%の相対湿度(RH)の範囲にわたって10%RHずつ上昇させて収集した。分析に使用した平衡基準は、5分間に0.0100%未満の重量変化であり、最大平衡時間は3時間とした。試料の初期含水量に関してはデータを補正しなかった。
【0141】
熱重量分析(TGA)
TG分析は、Mettler-Toledo TGA/DSC3+分析器を使用して実施した。温度およびエンタルピーの調整は、インジウム、スズ、および亜鉛を使用して実施し、次いで、インジウムで確認した。シュウ酸カルシウムを用いて、バランスを確認した。試料を、開いたアルミニウムパンに入れた。パンを密封し、蓋に穴を開け、次いで、TG炉に挿入した。試料パンとして構成した秤量済みアルミニウムパンを、参照プラットフォームに置いた。炉を窒素下で加熱した。各試料を10℃/分で周囲温度から350℃まで加熱した。
【0142】
イオンクロマトグラフィ
イオンクロマトグラフィを実施して、各試料中の選択された陰イオンの重量パーセントを定量した。およそ5~10mgの試料水を溶解することによって、試料を調製した。
【0143】
溶液状態プロトン核磁気共鳴(H NMR)
溶液NMRスペクトルは、Avance 600MHz NMR分光計を用いて取得した。所定量の試料をTMS含有DMSO-dに溶解することによって、試料を調製した。
【0144】
単結晶データ収集 化合物Iの形態I
標準不確かさは、結晶学上の括弧表記で記され、例えば、0.123(4)は0.123±0.004に相当する。計算によるXRPDパターンは、Mercuryを使用したCu放射線、ならびに単結晶構造からの原子座標、空間群、および単位格子パラメータに対して作成した。原子変位楕円体図は、Mercuryを使用して作成した。原子を50%確率の異方性熱的楕円体で表す。フィット残差Rの0.0317(3.17%)が示すように、得られた構造の品質は高い。2%~6%の範囲のR因子が、最も信頼できると判定された構造であると言われている。
【0145】
データ収集:おおよその寸法が0.18×0.08×0.03mmである無色のプレートを、ランダム配向でポリマーループに載せた。予備調査およびデータ収集は、銅陽極マイクロフォーカス密閉型X線管(Cu Kαλ=1.54184Å)およびDectris Pilatus3 R 200Kハイブリッドピクセルアレイ検出器を備えたRigaku SuperNova回折計で実施した。データ収集のための格子定数および配向行列は、4.3100°<θ<77.1380°の範囲の4579反射の設定角度を使用して、最小二乗精密化から得た。空間群は、プログラムCRYSALISPROによって、P2(国際表番号19)と決定された。データは、室温で155.236°の最大回折角度(2θ)に対して収集した。
【0146】
データ縮約:フレームをCrysAlisProで統合した。合計8747反射を収集し、そのうちの3808は固有であった。ローレンツ補正および偏光補正をデータに適用した。線吸収係数は、Cu Kα放射線について0.860mm-1である。CrysAlisProを使用した実験的吸収補正を適用した。透過係数は、0.957~1.000の範囲であった。二次消衰補正を適用した。最小二乗法で精密化した最終係数は、0.0023(3)(絶対単位)であった。等価反射の強度を平均化した。平均化に関する一致因子は、強度に基づいて2.55%であった。
【0147】
単結晶データ収集 化合物IのHCl形態A
標準不確かさは、結晶学上の括弧表記で記され、例えば、0.123(4)は0.123±0.004に相当する。計算によるXRPDパターンは、Mercuryを使用したCu放射線、ならびに単結晶構造からの原子座標、空間群、および単位格子パラメータに対して作成した。原子変位楕円体図は、Mercuryを使用して作成した。原子を50%確率の異方性熱的楕円体で表す。フィット残差Rの0.0389(3.89%)が示すように、得られた構造の品質は高い。2%~6%の範囲のR因子が、最も信頼できると判定された構造であると言われている。
【0148】
データ収集:おおよその寸法が0.36×0.16×0.03mmである無色のプレートを、ランダム配向でポリマーループに載せた。予備調査およびデータ収集は、銅陽極マイクロフォーカス密閉型X線管(Cu Kαλ=1.54184Å)およびDectris Pilatus3 R 200Kハイブリッドピクセルアレイ検出器を備えたRigaku SuperNova回折計で実施した。データ収集のための格子定数および配向行列は、5.0710°<θ<77.0390°の範囲の7034反射の設定角度を使用して、最小二乗精密化から得た。空間群は、プログラムCRYSALISPROによって、P2(国際表番号4)と決定された。データは、室温で154.678°の最大回折角度(2θ)に対して収集した。
【0149】
データ縮約:フレームをCrysAlisProで統合した。合計10895反射を収集し、そのうちの4117は固有であった。ローレンツ補正および偏光補正をデータに適用した。線吸収係数は、Cu Kα放射線について2.004mm-1である。CrysAlisProを使用した実験的吸収補正を適用した。透過係数は、0.716~1.000の範囲であった。等価反射の強度を平均化した。平均化に関する一致因子は、強度に基づいて2.67%であった。
【0150】
(実施例1)
非晶性化合物Iのキャラクタリゼーション
化合物Iは、当技術分野で既知の方法に従って作製することができる。
【0151】
図13は、非晶性化合物IのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。TGAにより、203℃までにおよそ1.9%の連続的な重量損失が観察される(図15)。加熱により残留水分を除去した後のガラス転移(T)を測定するために、循環DSC実験を実施した。非晶性化合物Iは、およそ27℃(中間点)にTを示す。Tの観察により、材料の非結晶性を特徴づけることができる。ガラス転移温度を超えると、再結晶ではなく分解が観察された。
【0152】
動的蒸気収着(DVS)等温線は、材料が5~95%RHで顕著な吸湿性を示すことを示唆している(図16)。収着サイクルによる重量増加はおよそ10%であった。ヒステリシスが観察され、脱着時の重量損失は7%であった。DVS実験から回収された材料は、XRPDで測定したところ、非晶性のままであった。
【0153】
(実施例2)
化合物Iの形態Iの調製
非晶性化合物IのMeCN溶液(>540mg/mL)を4日間冷蔵し、次いで、冷凍庫に1日間置いた。固体をろ過し、窒素下で乾燥させて、化合物Iの形態Iを得た。
【0154】
また、化合物Iの形態Iを以下のように調製した。非晶性化合物Iを、別の実験からの化合物Iの形態I(本明細書に記載した通りに調製)の結晶種を入れたエーテル中で周囲温度で1日間スラリー化して、化合物Iの形態Iを得た。
【0155】
化合物Iの形態Iは無水であり、111℃付近で融解が開始する(図2A)。
【0156】
化合物Iの形態Iの単結晶構造を決定することに成功した。結晶系は斜方晶であり、空間群はP2である。格子パラメータおよび計算体積は、a=5.50599(10)Å、b=16.4086(2)Å、c=20.4992(4)Å、α=90°、β=90°、γ=90°、V=1852.02(5)Åである。式量は386.39gmol-1で、Z=4であり、計算密度は1.386gcm-3になる。結晶データおよび結晶学的データ収集パラメータのさらなる詳細を表1にまとめる。
【0157】
【表1】
【0158】
TGA曲線(図3)は、192℃まで加熱した際に無視できる重量損失を示し、無水形態と一致している。
【0159】
化合物Iの形態Iの2種の異なる試料についてDSCサーモグラムを得た。試料Bは、エーテル中、周囲温度で1日間、結晶種(エーテル中、周囲温度で4日間スラリー化することによって非晶性化合物Iから得た)とともにスラリー化することによって非晶性化合物Iから結晶化させた。
【0160】
試料Aは、化合物Iの形態IをMeCN中で周囲温度で6日間スラリー化することによって得られた。図2Bに示す試料Bは、101℃の融解開始点を示す。これに対して、試料Aは、連続的な再結晶化から得られ、白色であったことから、この試料がより代表的な純粋な材料であることが示唆された。図2Aに示す試料Aは、111℃(87J/g)のより高い溶融開始点を示す。
【0161】
DVS等温線は、形態Iが低い吸湿性を示すことを示唆している(図4)。吸着/脱着サイクル中にヒステリシスなしで合計0.7%の重量増加および損失が観察された。DVS実験から回収された材料は、XRPDによって化合物Iの形態Iと同定された。
【0162】
(実施例3)
化合物Iの材料IIの調製
化合物Iの形態IをDCMに溶解し、その溶液をヘプタンに添加した。得られた懸濁液を周囲温度で3日間撹拌し、次いで、冷蔵状態で8日間撹拌して、化合物Iの材料IIを得た。
【0163】
また、化合物IをEtOAcに溶解し、濃縮して油状物にした。残渣に、上記の通りに調製した化合物Iの材料IIの結晶種を添加し、MTBEを添加した。濁った混合物を周囲温度で7日間撹拌した。スラリーを高速蒸発により濃縮した。残渣をMTBEで処理し、化合物Iの材料IIを得た。
【0164】
化合物Iの材料IIは無水であり、102℃付近で融解が開始する(図6)。
【0165】
化合物Iの材料IIの代表的なXRPDパターンを図5に示す。データは、材料IIが特有の結晶相であることを示唆している。しかし、試みたものの、材料IIのXRPDパターンをインデックス化して、相純度を確認することはできなかった。
【0166】
TGA曲線(図7)は、195℃まで加熱した際に無視できる重量損失を示し、無水形態と一致している。
【0167】
DSC曲線(図6)は、102℃付近に開始点を有する単一吸熱(65J/g)を示す。
【0168】
DVS等温線は、材料IIが85%超のRHで顕著な吸湿性を示すことを示唆している(図8)。収着/脱着サイクルによる重量増加および損失はおよそ3.4%であり、重量変化の大部分は85%超のRHで生じた。脱着時にヒステリシスが明白に見られた。DVS実験から回収された材料は、XRPDによって化合物Iの材料IIと同定された。
【0169】
材料IIは、形態Iよりも観察される頻度が低く、速度論的実験(溶媒/貧溶媒の添加)からのみ観察された。
【0170】
(実施例4)
相互変換研究
室温での様々な溶媒系における化合物Iの形態Iと化合物Iの材料IIとの間の二元相互変換スラリー実験を表2にまとめる。飽和溶液を作製し、次いで、ほぼ等量の2種の多形体から構成される混合物に添加した。試料を数日間スラリー化し、固体を採取し、XRPDで分析した。高温実験を試みたが、溶媒の溶解度は限られており、評価した期間内に変換は起こらなかった。室温での相互変換研究の結果から、形態Iが材料IIと比較して熱力学的に最も安定な形態であることが立証される。
【0171】
【表2】
【0172】
(実施例5)
化合物IのHCl形態Aの調製
79.2mgの非晶性化合物Iを含む0.5mLのTHF溶液に、モル当量のHClを含むTHFを添加した。得られた固体をろ過して、化合物IのHCl形態Aを形成した。
【0173】
1.09gの非晶性化合物Iを含む3mLのテトラヒドロフランを用いて、琥珀色の溶液を作製した。化合物I溶液を250RPM(磁気撹拌棒)で撹拌し、化合物IのHCl形態A(上記の段落に従って作製)の結晶種を入れた。0.213mLの37%HClを含む2mLのテトラヒドロフラン(モル当量)を用いて酸性溶液を作製し、次いで、結晶種を入れた化合物I溶液にゆっくりと添加した。沈殿が直ちに確認された。およそ15分後、固体を真空ろ過で収集し、2mLのテトラヒドロフランですすぎ、一晩真空乾燥して、1.10gの化合物IのHCl形態Aを得た。
【0174】
化合物IのHCl形態Aは無水であり、193℃付近で融解が開始する。HCl形態Aの単結晶構造を決定することに成功した。結晶系は単斜晶であり、空間群はP2である。格子パラメータおよび計算体積は、a=7.72088(10)Å、b=7.57161(10)Å、c=17.6273(2)Å、α=90°、β=98.0066(12)°、γ=90°、V=1022.44(2)Åである。式量は422.85gmol-1で、Z=2であり、計算密度は1.376gcm-3になる。結晶データおよび結晶学的データ収集パラメータのさらなる詳細を表3にまとめる。
【0175】
【表3】
【0176】
化合物IのHCl形態AのTGAデータは、188℃まで加熱した際に0.6%の重量損失を示している(図11)。DSCは、193℃付近に開始点を有する単一吸熱を示している(図10)。DVS等温線は、材料が顕著な吸湿性を示すことを示唆している(図12)。収着サイクル中に3%の重量増加が観察され、その大部分は85%超のRHで生じた。脱着時には3.3%の重量損失が観察された。DVS実験から回収された材料は、XRPDによると化合物IのHCl形態Aのままであった。化合物IのHCl形態Aに40℃/75%RHで27日間ストレスを与えた。材料は、除去後に自由流動性粉末であることが観察され、XRPDパターンに変化は観察されなかった。
【0177】
(実施例5)
塩スクリーン
化合物Iの形態Iの代替調製および化合物Iの塩スクリーン
(R)-(2-(2-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)エチル)ピリジン-3-イル)(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)メタノンは、米国特許第10,683,285号、または米国仮特許出願第63/188,735号(2021年5月14日出願、表題「Methods of Making a Modulator of Hemoglobin」)、またはPCT出願(本明細書と同日出願、表題「Methods of Making a Modulator of Hemoglobin」)に記載される方法に従って合成することができ、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0178】
50L容の反応器に、(R)-(2-(2-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)エチル)ピリジン-3-イル)(3-(ヒドロキシメチル)モルホリノ)メタノンのTHF溶液(約30LのTHF中に6.07kg)、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド(1.2当量)、およびトリフェニルホスフィン(1.3当量)を入れた。得られた混合物を30℃に温めた。混合物に、DIADのTHF溶液(約9LのTHF中に1.3当量)を、温度を25℃~35℃の間に維持しながら滴下で添加した。反応混合物を30℃で30分間撹拌した。反応混合物に水(0.6当量)を添加し、混合物を30℃でさらに1時間撹拌した。
【0179】
反応混合物にTBAFのTHF溶液(0.5当量、THF中1M溶液)を添加し、混合物を18時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、温度を50℃未満に維持しながら真空下でTHFの大部分を除去した。残渣に1.2NのHCl水溶液(約72L)およびトルエン(約30L)を添加した。混合物を20℃で15分間撹拌し、層を分離した。水層をトルエンで2回抽出した(抽出1回あたり約30L)。水溶液にDCM(約90L)を添加し、混合物に、pHがpH8~pH10の間になるまで炭酸カリウムを添加した。層を分離した。DCM溶液を水(約30L)で洗浄し、減圧下で濃縮した。
【0180】
残渣をシリカゲルクロマトグラフィ(シリカゲル30kg、溶離液として酢酸エチル:DCM:メタノール=100:20:8の混合物)によって精製した。これにより、粗製(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒドが得られた。
【0181】
油状物としての粗製(S)-2-ヒドロキシ-6-((4-(2-(2-ヒドロキシエチル)ニコチノイル)モルホリン-3-イル)メトキシ)ベンズアルデヒド(4.4kg、11.4mol)をEtOAc(9.11L)に溶解した。得られた溶液に、化合物Iの形態Iの種結晶(本明細書に記載した通りに調製)を添加し、反応混合物を15℃~25℃で18時間撹拌した。得られたスラリーを35℃~45℃に加熱し、18時間撹拌した。スラリーにMTBE(52.8L)を添加し、温度を35℃~45℃に維持しながら混合物を18時間撹拌した。スラリーを15℃~25℃に冷却し、18時間撹拌した。固体をろ過によって収集し、MTBE(2.2L)で洗浄し、35℃~45℃で真空乾燥した。これにより、化合物Iの形態Iが得られた。
【0182】
次いで、55種の酸性および中性コフォーマーを用いて、化合物Iの結晶性塩および共結晶の作製を試みた。約115回の実験を行った(データは示さず)。実験から得られた生成物を、PLMおよび/またはXRPDによって結晶化度に関して定性的に評価した。
【0183】
本明細書に記載のHCl塩に加えて、ベンゼンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、シュウ酸、硫酸、およびp-トルエンスルホン酸を含めた8種の異なる酸から、13種のユニークな結晶性材料および形態を得た。残りの対イオンおよびコフォーマーはすべて、結晶性材料を提供できなかったか、または遊離塩基形態I、コフォーマー、もしくはその2つの組合せを提供した。
【0184】
化合物Iのベシル酸塩形態A
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(106.2mg)を、ベンゼンスルホン酸/THF溶液(0.5mLのTHF中に54.4mg)と合わせた。得られた溶液を周囲温度で3日間撹拌放置して、濃厚な灰白色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのベシル酸塩形態Aからなるものであった。
【0185】
化合物Iのベシル酸塩形態Aは、1:1の化合物Iのベシル酸塩である(図17)。化合物Iのベシル酸塩形態AはヘミTHF溶媒和物であるように見えるが、単位格子の体積は可変であり、おそらく溶媒含有量の違いを相殺している。XRPDパターン(データは示さず)は、真空下で44℃にさらされた試料のピークが右にシフトしていることを示しており、これは単位格子の体積の減少に関連している。結晶構造は、化合物Iのトシル酸塩形態Aならびに化合物Iのエシル酸塩形態AおよびBと等構造である。
【0186】
化合物Iのベシル酸塩形態A中のベンゼンスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ7.6ppmおよび7.31ppmの多重線は、ベンゼンスルホン酸の5個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると合計484.21になる。化合物I/ベンゼンスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:96.84または1:1である。この試料はまた、THFの8個のプロトンに対応する多重線をおよそ3.60ppmおよび1.75ppmに示した。これらのピークを積分すると合計367.08になる。化合物I/THFの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:45.89または1:0.5である。
【0187】
溶媒和試料の示差走査熱量測定は、113.9℃および129.7℃に2つの小さな吸熱を示した(図18)。熱重量分析によって、およそ85℃までに無視できる重量損失が見られた(図19)。およそ85℃~211℃に2段階の重量損失が観察された。37℃~145℃に3.9%の重量損失が観察された。145℃~211℃に6.6%の重量損失が観察された。3.9%の重量損失は、化合物I1molあたりTHF0.3molと一致する。これは、前述の単位格子サイズのばらつきに起因して、NMRで観察されたものよりもわずかに低い。
【0188】
化合物Iのエジシル酸塩形態A
1,2-エタンジスルホン酸のEtOH溶液(1mLのEtOH中に54.1mg)を、実施例5に記載の通りに調製した化合物Iの固体(105.1mg)に添加した。灰白色スラリーを2日間撹拌した。2日後、スラリーはピンク色に変化した。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた湿った固体は、化合物Iのエジシル酸塩形態Aからなるものであった。
【0189】
化合物Iのエジシル酸塩形態Aは、準安定な1:1の化合物Iのエジシル酸塩である(図20)。試料は、わずかに湿ったピンク色の固体からなるものであった。過剰溶媒を特徴とするが、化合物Iのエジシル酸塩形態Aを暫定的に無水物として記載する。
【0190】
わずかに湿った材料のXRPDパターン(データは示さず)は、無水1:1エジシル酸塩と一致する単位格子体積でインデックス化することに成功した。化合物Iのエジシル酸塩形態A中の1,2-エタンジスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。2.68ppmの一重線は、1,2-エタンジスルホン酸の4個のプロトンに対応する。このピークは積分すると282.188になる。化合物I/1,2-エタンジスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:70.547または1:0.7である。過剰なエタノールが明らかである。
【0191】
湿った試料のDSC(図21)およびTGA(図22)サーモグラムは、91.4℃以降に熱的不安定性を示した。TGAにおいて39℃~91℃に0.8%の重量損失が観察された。どちらの実験でも、加熱すると材料が膨張して試料パンから出た。
【0192】
化合物Iのエジシル酸塩形態Aの物理的安定性を調査した。固体は、相対湿度レベルがおよそ57%の周囲条件にさらすと、非常に粘着性になった。これは、化合物Iのエジシル酸塩形態Aが非常に吸湿性であり、周囲条件下では安定ではないことを示唆している。湿った試料を43℃の真空オーブンで乾燥させると、物理的不安定性が示され、得られた材料のX線パターンに識別不能なピークが追加された(データは示さず)。これはおそらく、上述したように、示差走査熱量測定および熱重量分析を行うときに観察された熱的不安定性に起因する。
【0193】
化合物Iのエジシル酸塩材料B
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体のTHF溶液(0.5mLのTHF中に99.0mg)を1,2-エタンジスルホン酸の固体(62.1mg)に添加し、得られたスラリーを周囲温度で2日間撹拌放置して、濃いオレンジ色の固体を含む透明な溶液を得た。溶液を使い捨てピペットでデカントし、残った固体をN下で短時間乾燥させた。得られた粘着性固体は、化合物Iのエジシル酸塩材料Bからなるものであった。
【0194】
化合物Iのエジシル酸塩材料Bは、おそらく無水の1:1の化合物Iのエジシル酸塩である(図23)。
【0195】
化合物Iのエジシル酸塩材料B中の1,2-エタンジスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。2.68ppmの一重線は、1,2-エタンジスルホン酸の4個のプロトンに対応する。このピークは積分すると484.380になる。化合物I/1,2-エタンジスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:121.095または1:1.2である。
【0196】
示差走査熱量測定は、117.8℃、187.3℃、および207.8℃に3つの幅広くて浅い吸熱を示した(図24)。乾燥済み試料の熱重量分析は、46~204℃にわたって1.1%の重量損失を示した(図25)。この重量損失はおそらく水によるものであり、この材料が吸湿性でもあり得ることを示唆している。これは、様々な温度の真空オーブンでの物理的安定性試験によってさらに観察することができる(データは示さず)。化合物Iのエジシル酸塩材料Bを真空下で44℃にさらすと、XRPDによる追加の未同定ピークを有する化合物Iのエジシル酸塩材料Bが得られた。これらの余分なピークは、真空下80℃でさらに乾燥させた後ではもはや分からなくなった。この未同定ピークは、XRPDが得られる前に、吸湿性のために化合物Iのエジシル酸塩材料Bが水を吸収した結果であると考えられる。
【0197】
化合物Iのエシル酸塩形態A
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(107.4mg)を、周囲温度でIPA(2mL)中でスラリー化した。エタンスルホン酸(24.5μL)をスラリーに添加した。混合物を5日間撹拌して、淡いピンク色のスラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのエシル酸塩形態Aからなるものであった。
【0198】
化合物Iのエシル酸塩形態Aは、1:1の化合物Iのエシル酸塩のIPA溶媒和物からなる(図26)。IPAの化学量論量は分析ごとに異なり、確認できなかった。さらに、単位格子の体積は、変化することが示され、おそらく溶媒含有量の違いを相殺している。XRPDパターン(データは示さず)は、44℃の真空オーブンで脱溶媒した試料のインデックス付きピークのわずかなシフトを示し、単位格子がわずかに小さくなっていることを示している。追加のピークも明らかとなっており、これは溶媒和物が物理的に安定ではないことを示唆している。形態は、化合物Iのベシル酸塩形態A、化合物Iのエシル酸塩形態B、および化合物Iのトシル酸塩形態Aと等構造である。
【0199】
化合物Iのエシル酸塩形態A中のエタンスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ2.4ppmの四重線およびおよそ1.07ppmの三重線は、エタンスルホン酸の5個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると632.905になる。化合物I/エタンスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:126.581または1:1.3である。この試料はまた、IPAの6個のプロトンに対応する二重線をおよそ1.04ppmに示した。これらのピークを積分すると合計1794.425である。化合物I/IPAの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:299.071または1:3である。
【0200】
溶媒和試料の示差走査熱量測定は、49.6℃および171.6℃に2つの幅広くて浅い吸熱、ならびに100.0℃に鋭い吸熱を示した(図27)。熱重量分析によって、およそ31℃~91℃および93℃~170℃に2段階の重量損失が観察された(図28)。およそ31℃~91℃に3.8%の重量損失が観察され、93℃~170℃に17.6%の重量損失が観察された。これは、化合物I1モルあたりIPA2.1モルの損失と一致する。NMRとTGAの両方で観察されたIPA含有量の不一致は、化合物Iのエシル酸塩形態Aが可変溶媒和物であることをさらに裏付けている。
【0201】
化合物Iのエシル酸塩形態B
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(128.1mg)を、超音波処理をしながら周囲温度でアセトン(1 mL)に溶解した。エタンスルホン酸(29.0μL)を溶液に添加した。溶液を1日間撹拌して、灰白色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのエシル酸塩形態Bからなるものであった。
【0202】
化合物Iのエシル酸塩形態Bは、1:1の化合物Iのエシル酸塩からなる(図29)。化合物Iのエシル酸塩形態Bはまた、化合物Iのエシル酸塩形態A、化合物Iのベシル酸塩形態A、および化合物Iのトシル酸塩形態Aと等構造に見える。これらの可変溶媒和物との構造類似性に起因して、化合物Iのエシル酸塩形態Bが可変ヘミアセトン溶媒和物である可能性が非常に高い。単位格子体積は、ピークのシフトによって溶媒含有量の違いを相殺することが示された(データは示さず)。化合物Iのエシル酸塩形態Bの物理的安定性も、周囲温度において90%の相対湿度条件下で評価した。これらの条件下では、試料は潮解し、したがって非常に吸湿性であった。
【0203】
化合物Iのエシル酸塩形態B中のエタンスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ2.42ppmの四重線およびおよそ1.07ppmの三重線は、エタンスルホン酸の5個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると382.97になる。化合物I/エタンスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:76.594または1:0.8である。アセトンの6個のプロトンに対応する2.09ppmの一重線も存在した。このピークを積分すると184.94になる。化合物I/アセトンの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:30.823または1:0.3である。
【0204】
試料の示差走査熱量測定は、97.0℃を開始点とするわずかに幅広い吸熱を示した(図30)。熱重量分析によって、41℃~117℃にわたって2.6%のわずかな重量損失が見られた(図31)。これはアセトン1molあたり0.23molと計算された。NMRとTGAの両方で観察されたアセトン含有量の不一致は、化合物Iのエシル酸塩形態Bが可変溶媒和物であることをさらに裏付けている。
【0205】
化合物Iのナパジル酸塩形態A
ナフタレン-1,5-ジスルホン酸のEtOH溶液(1mLのEtOH中に95.4mg)を、実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(98.8mg)に添加した。混合物を周囲温度で2日間撹拌した。2日後、混合物はピンク色スラリーになった。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのナパジル酸塩形態Aからなるものであった。
【0206】
化合物Iのナパジル酸塩形態Aは、1:1の化合物Iのナパジル酸塩のエタノール溶媒和物からなる(図32)。材料のXRPDパターンは、溶媒和した1:1ナパジシル酸塩と一致する単位格子体積でインデックス化することに成功した。エタノールの化学量論量は、3mol/mol以上であると思われる。溶媒和物は、真空下で43℃にさらされると物理的に安定せず、追加の未知のピークが4日以内にXRPDによって明らかになった(データは示さず)。化合物Iのナパジル酸塩形態Aに関連するピークに顕著なシフトは観察されず、溶媒和物が変化しないことが示唆された。
【0207】
化合物Iのナパジル酸塩形態A中のナフタレン-1,5-ジスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ8.96ppmおよび7.93ppmの二重線ならびにおよそ7.41ppmの三重線は、ナフタレン(naphthatlene)-1,5-ジスルホン酸の6個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると449.158になる。化合物I/ナフタレン-1,5-ジスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:74.90または1:0.7である。この試料はまた、およそ3.45ppmに四重線、およそ1.06ppmに三重線を示し、これらはEtOHの5個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると合計1754.551になる。化合物I/EtOHの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:350.9または1:3.5である。
【0208】
溶媒和試料の示差走査熱量測定は、69.8℃、151.0℃、および198.4℃に3つの幅広い吸熱を示した(図33)。熱重量分析によって3段階の重量損失が見られ(図34)、これはDSCで観察された吸熱と一致した。最初に、30℃~117℃に16.9%の重量損失が見られ、続いて、117℃~162℃に5.9%の重量損失、163℃~225℃に3.7%の重量損失が見られた。これは、化合物I1モルあたり3モルのエタノールの損失と一致する。
【0209】
化合物Iのナパジル酸塩材料B
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(98.1mg)を、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸/THF溶液(0.5mLのTHF中に50.2mg)と合わせ、得られた溶液を周囲温度で2日間撹拌放置して、灰白色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのナパジル酸塩材料Bからなるものであった。
【0210】
化合物Iのナパジル酸塩材料Bは、1:1の化合物Iのナパジル酸塩のTHF溶媒和物である可能性が高い(図35)。材料のXRPDパターンはうまくインデックス化されず、相純度を確認することはできなかった。
【0211】
化合物Iのナパジル酸塩材料B中のナフタレン-1,5-ジスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ8.85ppmおよび7.90ppmの二重線、ならびにおよそ7.4ppmの三重線は、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸の6個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると476.767になる。化合物I/ナフタレン-1,5-ジスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:79.46または1:0.8である。この試料はまた、THFの8個のプロトンに対応する多重線をおよそ3.60ppmおよび1.75ppmに示した。これらのピークを積分すると合計813.548になる。化合物I/THFの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:101.69または1:1である。
【0212】
溶媒和試料の示差走査熱量測定は、77.1℃および157.5℃に2つの幅広い吸熱を示した(図36)。熱重量分析によって、46℃~162℃にわたって5.5%の重量損失が見られた(図37)。これはTHF1molあたり0.5molに一致すると計算された。
【0213】
化合物Iのナプシル酸塩形態A
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(98.3mg)を、ナフタレン-2-スルホン酸/THF溶液(0.5mLのTHF中に69.0mg)と合わせ、得られた溶液を周囲温度で2日間撹拌放置して、黄色スラリーを得た。スラリーを遠心分離し、黄色固体から透明な溶液をデカントした。固体をN下で簡単に乾燥させた。得られた湿った固体は、化合物Iのナプシル酸塩形態Aからなるものであった。
【0214】
化合物Iのナプシル酸塩形態Aは、1:1の化合物Iのナプシル酸塩のTHF溶媒和物からなる(図38)。湿った材料のXRPDパターンは、1:1のナプシル酸塩としてうまくインデックス化され、単位格子の体積はTHF1molあたり少なくとも1molを含むのに十分過剰なものであった。
【0215】
化合物Iのナプシル酸塩形態A中のナフタレン-2-スルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって示した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ8.14ppmの一重線、およそ7.97ppmおよび7.90ppmの多重線、ならびにおよそ7.7ppmの二重線は、ナフタレン-2-スルホン酸の4個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると986.947になる。化合物I/ナフタレン-2-スルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:246.74または1:2.5である。この試料はまた、THFの8個のプロトンに対応する多重線をおよそ3.60ppmおよび1.75ppmに示した。これらのピークを積分すると合計2375.854になる。化合物I/THFの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:297.0または1:3である。試料を過剰なTHFで湿らせたため、これは、化合物Iのナプシル酸塩形態Aの溶媒化学量論量を示すものではない。
【0216】
化合物Iのナプシル酸塩材料B
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(120.4mg)を、ナフタレン-2-スルホン酸/THF溶液(1mLのTHF中に76.5mg)と合わせ、得られた溶液を周囲温度で3日間撹拌放置して、灰白色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのナプシル酸塩材料Bからなるものであった。
【0217】
化合物Iのナプシル酸塩材料Bは、潜在的に溶媒和した、1:1の化合物Iのナプシル酸塩からなる(図39)。材料のXRPDパターンはうまくインデックス化されず、相純度を確認することはできなかった。NMRおよびTGAデータは、0.5mol/mol以下のTHF溶媒和物の可能性を示唆している。
【0218】
化合物Iのナプシル酸塩材料B中のナフタレン-1,5-ジスルホン酸の化学量論量を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ8.15ppmの一重線、およそ7.97ppmおよび7.90ppmの多重線、ならびにおよそ7.71ppmの二重線は、ナフタレン-2-スルホン酸の7個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると1030.08になる。化合物I/ナフタレン-2-スルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:147.15または1:1.5である。この試料はまた、THFの8個のプロトンに対応する多重線をおよそ3.60ppmおよび1.75ppmに示した。これらのピークを積分すると合計428.23になる。化合物I/THFの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:53.529または1:0.5である。
【0219】
試料の示差走査熱量測定は、52.0℃、110.7℃、および177.3℃に3つの幅広い吸熱を示した(図40)。熱重量分析によって、40~117℃にわたって3.0%の重量損失が見られた(図41)。この重量損失は、THF1molあたり0.26molと計算された。
【0220】
化合物Iのシュウ酸塩材料A
シュウ酸のEtOH溶液(1mLのEtOH中に23.9mg)を、実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(98.8mg)に添加した。灰白色スラリーを2日間撹拌した。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのシュウ酸塩材料Aからなるものであった。
【0221】
化合物Iのシュウ酸塩材料Aは、溶媒和していない、化合物Iのヘミシュウ酸塩からなる可能性が高い(図42)。材料のXRPDパターンはうまくインデックス化されず、相純度を確認することはできなかった。物理的安定性は評価されなかったが、熱重量分析における重量損失は、化合物Iのシュウ酸塩材料Aが吸湿性であることを示唆している。
【0222】
化合物Iのシュウ酸塩材料A中のシュウ酸の化学量論量は、イオンクロマトグラフィによってシュウ酸イオン1molあたり0.42mol含有することが確認された。溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法は、化合物Iの化学構造と一致しており、残留有機溶媒は見られなかった。
【0223】
試料の示差走査熱量測定は、67.6℃に幅広く浅い吸熱を示し、110.9℃を開始点とする鋭い吸熱を示した(図43)。熱重量分析によって、39~122℃にわたって1.3%の重量損失が観察された(図44)。NMRにより残留溶媒が観察されなかったため、この重量損失は、水に起因する可能性が高く、化合物Iのシュウ酸塩材料Aが吸湿性であり得ることを示唆している。
【0224】
化合物Iのシュウ酸塩形態B
シュウ酸のアセトン溶液(0.5mLのアセトン中に26.1mg)を、実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(106.1mg)に添加した。透明な黄色溶液を1日間撹拌して、灰白色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのシュウ酸塩形態Bからなるものであった。
【0225】
化合物Iのシュウ酸塩形態BのXRPDパターン(図45)は、溶媒和していない1:1シュウ酸塩と一致する単位格子体積でインデックス化することに成功した。化合物Iのシュウ酸塩形態Bの物理的安定性を高湿条件下で評価した。90%RHおよび周囲温度では、材料は11日後でも主に化合物Iのシュウ酸塩形態Bであった(データは示さず)。XRPDパターンにおいて16.96°(2θ)に1つの追加のピークが示された。
【0226】
化合物Iのシュウ酸塩形態Bの水溶解度は、134mg/mL超であることが示された。
【0227】
化合物Iのシュウ酸塩形態B中のシュウ酸の化学量論量は、イオンクロマトグラフィによって陰イオンの化合物Iに対するモル比が1:1であることが確認された。溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法を使用して、化合物Iの化学構造を確認した。NMRでは、感知できる量の残留有機溶媒は見られなかった。
【0228】
試料の示差走査熱量測定は、117.5℃を開始点とする鋭い吸熱を示した(図46)。熱重量分析によって、49~128℃にわたってわずか0.2%の重量損失が観察され、無水/非溶媒和形態と一致した(図47)。その後分解が起こった。
【0229】
化合物Iの硫酸塩形態A
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(99.1mg)を、周囲温度でIPA(2mL)中でスラリー化した。硫酸(14.5μL)をスラリーに添加した。混合物を5日間撹拌して、淡いピンク色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた湿ったピンク色固体を43℃の真空オーブンで2日間かけてさらに乾燥させた。乾燥固体は、化合物Iの硫酸塩形態Aからなるものであった。
【0230】
化合物Iの硫酸塩形態Aは、溶媒和していない1:1の化合物Iの硫酸塩からなる(図48)。材料のXRPDパターンは、溶媒和していない1:1硫酸塩と一致する単位格子体積でインデックス化することに成功した。化合物Iの硫酸塩形態Aは、43℃の真空下で2日間、XRPDによって物理的に安定であることが示された。しかし、この塩は吸湿性があり、周囲温度で90%RHでは1日以内に潮解することが示された。
【0231】
化合物Iの硫酸塩形態Aは、87mg/mL超の水溶解度を示す。
【0232】
化合物Iの硫酸塩形態A中の硫酸の化学量論量は、イオンクロマトグラフィによって化合物Iの陰イオンに対するモル比が1:1であることが確認された。溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法を使用して、化合物Iの化学構造を確認した。NMRでは、感知できる量の残留有機溶媒は見られなかった。
【0233】
試料の示差走査熱量測定は、146.0℃を開始点とする鋭い吸熱を示した(図49)。熱重量分析によって、46℃~161℃にわたってわずか1.4%の重量損失が観察された(図50)。その後分解が起こった。NMRでは溶媒が観察されなかったため、この重量損失は、水に起因する可能性が高く、化合物Iの硫酸塩形態Aが吸湿性であり得ることを示唆している。
【0234】
化合物Iのトシル酸塩形態A
実施例5に記載した通りに調製した化合物Iの固体(92.3mg)を、p-トルエンスルホン酸一水和物/THF溶液(0.5mLのTHF中に46.7mg)と合わせ、得られた溶液を周囲温度で3日間撹拌放置して、濃厚な灰白色スラリーを得た。スラリーをSwinnexフィルターホルダーにおいて0.2μmナイロンフィルターでろ過した。固体をフィルター上において空気(5×20mL)でフラッシュした。得られた固体は、化合物Iのトシル酸塩形態Aからなるものであった。
【0235】
化合物Iのトシル酸塩形態Aは、1:1の化合物Iのトシル酸塩からなる(図51)。化合物Iのトシル酸塩形態AはヘミTHF溶媒和物であるように見えるが、単位格子の体積は可変であり、おそらく溶媒含有量の違いを相殺している。XRPDパターン(データは示さず)は、真空下で44℃にさらされた試料のピークが右にシフトしていることを示しており、これは単位格子の体積の減少に関連している。結晶構造は、化合物Iのベシル酸塩形態Aならびに化合物Iのエシル酸塩形態AおよびBと等構造である。
【0236】
化合物Iのトシル酸塩形態A中のp-トルエンスルホン酸の化学量論を、溶液状態プロトン核磁気共鳴分光法によって確認した。およそ6.75ppmの二重線は、化合物Iの1個のプロトンに対応し、積分すると100になる。およそ7.45ppmおよび7.13ppmの二重線、ならびに2.29ppmの一重線は、p-トルエンスルホン酸の7個のプロトンに対応する。これらのピークを積分すると合計788.20になる。化合物I/p-トルエンスルホン酸の比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:112.6または1:1.1である。この試料はまた、THFの8個のプロトンに対応する多重線をおよそ3.60ppmおよび1.75ppmに示した。これらのピークを積分すると合計400.61になる。化合物I/THFの比は、プロトン1個あたりの積分値に基づくと、100:50.08または1:0.5である。
【0237】
溶媒和試料の示差走査熱量測定は、114.6℃に重なり合った幅広い吸熱を示した(図52)。TGAによって、43~137℃にわたって3.3%の重量損失が観察され(図53)、これは化合物I1molあたりTHF0.3molと一致するものであった。NMRおよびTGAにおけるTHFの存在量の相違は、前述したように、単位格子において許容されるばらつきによるものである。
【0238】
バイオアッセイ
前述の結晶性形態は、米国特許第10,683,285号に記載されているような、しかしこれらに限定されない、生物学的活性について公表されているアッセイで試験することができる。
【0239】
本明細書において引用したすべての特許および他の参考文献は、本開示が関係する当業者の技術レベルを示すものであり、各参考文献が個々に参照によりその全体が組み込まれる場合と同じ程度に、いずれの表および図も含めてその全体が参照により組み込まれる。
【0240】
当業者なら、本開示が、言及した目的および利点、ならびにそれらに付随するものを得るために十分に適合していることを容易に認識するであろう。好ましい諸実施形態を現時点で代表するものとして本明細書に記載した方法、変形、および組成物は、例示的なものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。そこでの変更および他の用途は、当業者には思いつくであろうが、それらは本開示の趣旨内に包含され、特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2-1】
図2-2】
図3
図4
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図6
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図47
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図49
図50
図51
図52
図53
【国際調査報告】