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特表2024-520907ブドウ球菌バクテリオファージ及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ブドウ球菌バクテリオファージ及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20240520BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240520BHJP
   C12Q 1/04 20060101ALI20240520BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240520BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240520BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240520BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N7/01 ZNA
C12Q1/04
A61K35/76
A61P17/00
A61P17/00 101
A61P31/04
A61P37/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569829
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 IB2022054416
(87)【国際公開番号】W WO2022238947
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/187,484
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/216,002
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】523373876
【氏名又は名称】バイオエムエックス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163784
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 健志
(72)【発明者】
【氏名】ゼルクバチ,リオール・モシェ
(72)【発明者】
【氏名】ブシュタブ,ヌファール
(72)【発明者】
【氏名】エルハラール,イファト
(72)【発明者】
【氏名】ニセンボイム,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】リン,タマール
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QQ06
4B063QQ10
4B063QQ13
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR75
4B063QR79
4B063QR80
4B063QS36
4B063QS38
4B063QX01
4B065AA98X
4B065AA98Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA08
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA52
4C087MA60
4C087MA63
4C087NA14
4C087ZA89
4C087ZB13
4C087ZB35
(57)【要約】
各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株を含む組成物であって、その単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの少なくとも1種が、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%同一のゲノム核酸配列を有する組成物が、開示される。その使用も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が、黄色ブドウ球菌種(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)の細菌に(溶菌的に)感染することができる単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株を含む組成物であって、前記単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株のうちの少なくとも1つが、(i)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列、及び/又は(ii)(例えば、組み合わせ領域において)実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一である遺伝子を有し、かつ
任意選択で、前記単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株が、(i)前記細菌に関して最長の個々のファージの変異までの時間(TTM)を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、若しくは80%上回るTTM、又は(ii)前記細菌(又は前記細菌の2種以上の混合物)に関して最小の個々のファージ正規化曲線下面積よりも、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%小さいOD600時間プロットについての正規化曲線下面積(AUC)のいずれかに基づいて、相乗的重複効果を有する、組成物。
【請求項2】
前記単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの第1の株が、(組み合わせコード領域において)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、前記単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの第2の株が、(組み合わせコード領域において)配列番号7に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、前記単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株のうちの第3の株が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号5に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
(i)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、
(ii)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、
(iii)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、及び、
(iv)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、
を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組み合わせた前記単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株が、(a)実施例1における損傷したヒト皮膚由来の約120種の細菌単離物のリスト(「実施例1におけるリスト」)からの黄色ブドウ球菌の、少なくとも80、85、90、95、100、又は110種の異なる株、及び/又は(b)表6の黄色ブドウ球菌株のうちの1種以上、を標的化する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記実施例1のリスト及び表6からの黄色ブドウ球菌の少なくとも100種の異なる株、及び/又は図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも25種の異なるMLSTが、前記少なくとも2種の異なる株の各々によって標的化される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、前記単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株の各々が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、組み合わせた前記単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株が、(i)前記実施例1のリスト及び表6からの黄色ブドウ球菌の少なくとも100種の異なる株、及び/又は(ii)前記図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも25種の異なるMLSTを標的化する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、前記単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株の各々が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、(i)前記実施例1のリスト及び表6からの黄色ブドウ球菌の少なくとも40種の異なる株、及び/又は(ii)前記図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも52種の異なるMLSTが、前記少なくとも3種の異なる株のうちの少なくとも2種によって標的化される、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株の少なくとも1つのバクテリオファージは、その転移因子(transposable element、TE)が不活性であるように遺伝子改変され、任意選択で、前記TEは、(a)TEのトランスポザーゼ、及び/又は(b)転移に必要なTEの構造要素、を不活性化する突然変異(例えば、欠失)によって不活性化される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記転移因子は、表7に列挙されたもののうちのいずれか1つである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
10種以下の異なるバクテリオファージ株を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
局所送達、直腸送達、又は経口送達による送達のために製剤化されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる組換えバクテリオファージであって、前記バクテリオファージが、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有し、前記バクテリオファージが、そのゲノムが異種配列を含むように遺伝子改変され、かつ/又は前記バクテリオファージは、前記バクテリオファージが遺伝子改変される前に前記バクテリオファージ内に存在していた天然のトランスポゾン配列を欠いている、組換えバクテリオファージ。
【請求項14】
前記異種配列が、治療剤又は診断剤をコードする、請求項13に記載の組換えバクテリオファージ。
【請求項15】
前記治療剤が免疫調節剤を含む、請求項14に記載の組換えバクテリオファージ。
【請求項16】
活性剤としての請求項13~15のいずれか一項に記載の組換えバクテリオファージと、医薬担体とを含む医薬組成物。
【請求項17】
局所送達、直腸送達、又は経口送達による送達のために製剤化されている、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
黄色ブドウ球菌種(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)の細菌に(溶菌的に)感染することができる単離されたバクテリオファージであって、前記バクテリオファージが、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、単離されたバクテリオファージ。
【請求項19】
黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患の治療を必要とする対象(例えば、アトピー性皮膚炎を有する対象)においてそれを治療する方法であって、前記感染を引き起こす黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる少なくとも1種の単離されたバクテリオファージ株を含む治療有効量の組成物を前記対象に投与することを含み、前記少なくとも1種のバクテリオファージ株が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有し、それによって、前記黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療する、方法。
【請求項20】
黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患(例えば、アトピー性皮膚炎)の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、請求項1~12のいずれか一項に記載の治療有効量の組成物を前記対象に投与し、それによって前記黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療することを含む、方法。
【請求項21】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎(Atopic Dermatitis、AD)であるか、又は前記疾患が、表皮ブドウ球菌感染に更に関連するか若しくはそれによって特徴付けられる、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記投与することが、経口投与すること又は局所投与することを含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記組成物は、10種以下の異なるバクテリオファージ株を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記投与前に、前記対象にコロニー形成する少なくとも1種の黄色ブドウ球菌株を同定することを更に含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記少なくとも1種のバクテリオファージ株は、そのゲノムが不活性の転移因子を含むか又は転移因子を欠くように遺伝子改変されている、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象が、黄色ブドウ球菌(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)に対して有効な抗生物質でこれまでに治療されているか、又は更に治療される予定である、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記対象を、黄色ブドウ球菌(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)に対して有効な抗生物質で治療することを更に含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2021年5月12日に出願された米国仮特許出願第63/187,484号、及び2021年6月29日に出願された同第63/216,002号の出願日の利益を主張するものであり、全ての図面及び配列表を含む上記出願のそれぞれの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表に関する声明)
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表であって、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2022年5月11日に作成された前述のASCIIコピーは、136923_00220_Sequence_listing.txtという名前が付けられ、そのサイズは791,898バイトである。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、そのいくつかの実施形態において、ブドウ球菌(Staphylococcus)属の細菌に感染することができるバクテリオファージ株に関し、より具体的には、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、SA)による皮膚でのコロニー形成の増加に関連することが示されたアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis、AD)などの皮膚障害及び疾患に関連する、黄色ブドウ球菌種及び表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermis、SE)種の細菌に感染することができるバクテリオファージ株に関する。黄色ブドウ球菌は、ケラチノサイト及び免疫細胞に影響を及ぼす病原性因子の放出を介して、アトピー性皮膚炎の病因に寄与する。アトピー性皮膚炎と皮膚細菌との間の関係は、漂白浴の使用を含む異なる抗菌処理アプローチをもたらした。現在のところ、抗菌療法としての漂白浴の使用は、一貫性のある結果を示してはいないが、それは、異なる研究において様々な濃度の漂白剤が使用されたことにおそらく起因している。マイクロバイオームを、標的化して安全に、ロバストに調節することが、より有益であり得る。
【0004】
ファージは、特定の細菌を死滅させる天然に存在するウイルスである。抗生物質とは異なり、ファージは株レベルに特異的であり、したがって、マイクロバイオームの摂動を最小限に抑えるという点で独特の利点を有する。それらは哺乳動物細胞に感染する能力を有さないので、安全であると考えられる。
【発明の概要】
【0005】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、本発明の実施形態の実施又は試験において使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料は、下記で説明される。矛盾する場合には、定義を含む本特許明細書が支配する。更に、材料、方法、及び実施例は例示に過ぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0006】
本発明の一態様によれば、各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株を含む組成物であって、その単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの少なくとも1種が、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する組成物が、提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株を含む組成物であって、その単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの少なくとも1種が、実施例7に記載の表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子の組み合わせコード領域と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一である相同性必須遺伝子の組み合わせ領域を含むゲノム核酸配列を有する組成物が、提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージであって、そのバクテリオファージが、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有する単離されたバクテリオファージが、提供される。
【0009】
本発明の一態様によれば、(例えば、組み合わせ領域において)表2に列挙されたファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一の遺伝子を含み、その選択されるバクテリオファージの必須遺伝子は、実施例7に記載されているものである、単離されたバクテリオファージが、提供される。
【0010】
本発明の一態様によれば、選択されたファージの非必須ゲノム領域は、実施例7に記載の選択されたバクテリオファージの必須遺伝子として列挙されていない全ての領域を含む。
【0011】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌種(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)の細菌に(溶菌的に)感染することができる組換え(非野生型)バクテリオファージが提供され、当該組換えバクテリオファージは、(i)(例えば、組み合わせコード領域において)実施例7に記載の表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一である遺伝子を含むゲノム核酸配列、及び/又は(ii)(例えば、転移因子を不活性化するために)欠失又は他の方法で変異している、少なくとも200bpのその組換えバクテリオファージ非必須ゲノム領域を有する。
【0012】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌種の細菌(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)に(溶菌的に)感染することができる組換え(非野生型)バクテリオファージであって、その組換えバクテリオファージは、(i)(例えば、組み合わせコード領域において)、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列、(ii)実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一の遺伝子、及び/又は(iii)(例えば、転移因子を不活性化するために)欠失又は他の方法で突然変異している、少なくとも200bpのその組換えバクテリオファージ非必須ゲノム領域を有する組換えバクテリオファージが、提供される。
【0013】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌種(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)の細菌に(溶菌的に)感染することができる組換え(非野生型)バクテリオファージであって、その組換えバクテリオファージは、(i)組み合わせコード領域において、配列番号1~7に記載の核酸配列の一つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列、(ii)(例えば、組み合わせ領域において)実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一である遺伝子、及び/又は(iii)(例えば、転移因子を不活性化するために)欠失又は他の方法で変異している少なくとも200bpのその組換えバクテリオファージ非必須ゲノム領域を有する、組換えバクテリオファージを有する組換えバクテリオファージが、提供される。
【0014】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患の治療を必要とする対象において、それを治療する方法であって、黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる少なくとも1種の単離されたバクテリオファージ株を含む治療有効量の組成物をその対象に投与することを含み、その少なくとも1種のバクテリオファージ株が、(i)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列、及び/又は(ii)(例えば、組み合わせ領域において)実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一の遺伝子を有し、それにより黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療する方法が、提供される。
【0015】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、その対象に治療有効量の本明細書に記載の組成物を投与し、それによって黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療することを含む方法が、提供される。
【0016】
本発明の一態様によれば、黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる組換えバクテリオファージであって、そのバクテリオファージは、(i)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列、及び/又は(ii)(例えば、組み合わせ領域において)実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一の遺伝子であって、そのバクテリオファージが、そのゲノムが異種配列を含むように遺伝子改変されている組換えバクテリオファージが、提供される。
【0017】
本発明の一態様によれば、活性剤としての本明細書に記載される組換えバクテリオファージと、医薬担体と、を含む医薬組成物が提供される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株のうちの第1の株は、配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し(及び/又は実施例7に記載のファージSTA48-1の必須遺伝子を含む)、及び単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株のうちの第2の株は、配列番号7に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%同一であるゲノム核酸配列を有する(かつ/又は実施例7に記載のファージSTA48-7の必須遺伝子を含む)。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも3種の異なる株を含み、単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも3種の異なる株の第3の株は、配列番号5に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%同一であるゲノム核酸配列を有する(かつ/又は実施例7に記載のファージSTA48-5の必須遺伝子を含む)。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、
(i)配列番号1と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する(かつ/又は実施例7に記載のファージSTA48-1の必須遺伝子を含む)バクテリオファージ、
(ii)配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する(及び/又は実施例7に記載のファージSTA48-7の必須遺伝子を含む)バクテリオファージ、
(iii)配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する(かつ/又は実施例7に記載のファージSTA48-5の必須遺伝子を含む)バクテリオファージ、及び/又は
(iv)配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する(かつ/又は実施例7に記載のファージSTA48-4の必須遺伝子を含む)バクテリオファージ、から選択されるバクテリオファージ又はバクテリオファージの組み合わせ(例えば、2つ、3つ、又は4つのバクテリオファージの組み合わせ)を含み、
例えば、そのバクテリオファージ又はバクテリオファージの組み合わせは、黄色ブドウ球菌の1種以上の細菌、例えばヒトに感染することができる黄色ブドウ球菌の1つ以上の株に感染して溶解することができるものである。任意選択で、組み合わせ中の少なくとも1つのバクテリオファージは、自然界に天然には存在しない、組換え又は遺伝子操作された細菌ファージである。
【0021】
ある特定の実施形態では、組成物は、(i)配列番号1のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-1の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、(ii)配列番号7のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-7の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、及び(iii)配列番号5のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-5の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、の3つのバクテリオファージの組み合わせなど、(i)~(iii)の3つのバクテリオファージの組み合わせを含む。
【0022】
特定の実施形態では、組成物は、(i)配列番号1のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-1の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、(ii)配列番号7のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-7の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、(iii)配列番号5のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-5の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、及び(iv)配列番号4のゲノム核酸配列又は実施例7に記載のファージSTA48-4の必須遺伝子を有するバクテリオファージ、の4つのバクテリオファージの組み合わせなど、(i)~(iv)の4つのバクテリオファージの組み合わせを含む。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、組み合わせた単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株は、実施例1のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも60、72、84、96、又は108種の異なる株を標的化する。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、組み合わせた単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株は、図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5、6、又は7種の異なるクローン複合体を標的化する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、組み合わせた単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株は、図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも14、17、20、23、26、又は29種の異なるMLSTを標的化する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、実施例1のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも98、72、76、80、84、又は88種の異なる株が、上記の少なくとも2種の異なる株の各々によって標的化される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5、6、又は7種の異なるクローン複合体が、上記の少なくとも2種の異なる株の各々によって標的化される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも10、12、14、17、20、又は23種の異なるMLSTが、上記の少なくとも2種の異なる株の各々によって標的化される。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株の各々は、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%同一のゲノム塩基配列を有し、かつ/又は実施例7に特定されるバクテリオファージの必須遺伝子を含み、組み合わせた単離されたバクテリオファージの上記の少なくとも3種の異なる株は、(i)実施例1のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも80、85、90、95、100、105、又は110種の異なる株、及び/又は(ii)図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも14、17、20、23、26、又は29種の異なるMLST、及び/又は(iii)図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5、6、又は7種の異なるクローン複合体、を標的化する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株の各々は、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、かつ/又は実施例7に特定されるバクテリオファージの必須遺伝子を含み、(i)実施例1のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも65、70、75、又は80種の異なる株、及び/又は(ii)図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも10、12、14、17、20、又は23種の異なるクローン複合体、及び/又は(iii)図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5、6、又は7種の異なるクローン複合体が、上記の少なくとも3種の異なる株の各々によって標的化される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、上記の少なくとも1つのバクテリオファージは、そのゲノムが異種配列を含むように遺伝子改変されている。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、その異種配列は、治療剤又は診断剤をコードする。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、組成物は、7種以下の異なるバクテリオファージ株を含む。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、その異種配列は、治療剤又は診断剤をコードする。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、治療剤は免疫調節剤を含む。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、医薬組成物は、局所送達、経口送達、又は直腸送達用に製剤化される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、疾患はアトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis、AD)である。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、投与することは、局所投与、経口投与、又は直腸投与を含む。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、本方法は、投与前に、対象にコロニー形成する黄色ブドウ球菌株を決定することを更に含む。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、上記の少なくとも1つのバクテリオファージ株は、そのゲノムが異種配列を含むように遺伝子改変されている。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、その異種配列は、治療剤又は診断剤をコードする。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、治療剤は免疫調節剤を含む。
【0043】
本明細書に記載される本発明の更なる態様及び実施形態は、以下の番号付けされた段落において提供される。
1.各々が、黄色ブドウ球菌種(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)の細菌に(溶菌的に)感染することができる単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株を含む組成物であって、その単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株のうちの少なくとも1種が、(i)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列、及び/又は(ii)(例えば、組み合わせ領域において)実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一である遺伝子を有し、かつ
任意選択で、単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株が、(i)細菌に関して最長の個々のファージの変異までの時間(TTM)を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、若しくは80%上回るTTM、又は(ii)細菌(又は細菌の2種以上の混合物)に関して最小の個々のファージ正規化曲線下面積よりも、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、若しくは90%小さいOD600時間プロットについての正規化曲線下面積(AUC)のいずれかに基づいて、相乗効果を有する、組成物。
2.単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの第1の株が、(組み合わせコード領域において)配列番号1に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株のうちの第2の株が、(組み合わせコード領域において)配列番号7に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有する、段落1に記載の組成物。
3.単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも3種の異なる株を含み、単離されたバクテリオファージのその少なくとも3種の異なる株の第3の株が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号5に記載の核酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、段落2に記載の組成物。
4.
(i)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、
(ii)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号7と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、
(iii)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号5と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージ、及び、
(iv)(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号4と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージを含む、段落1~3のいずれか1つに記載の組成物。
5.単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株が、組み合わされて、(a)実施例1における損傷したヒト皮膚からの約120種の細菌単離物のリスト(「実施例1におけるリスト」)からの黄色ブドウ球菌の、少なくとも60、72、84、96、又は108種の異なる株、及び/又は(b)表6の黄色ブドウ球菌株の1種以上、を標的化する、段落1~4のいずれか1つに記載の組成物。
6.実施例1のリスト及び表6からの黄色ブドウ球菌の少なくとも80又は100種の異なる株、及び/又は図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも20又は25種の異なるMLST、及び/又は図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5種の異なるクローン複合体が、少なくとも2種の異なる株のそれぞれによって標的化される、段落1~5のいずれか1つに記載の組成物。
7.各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株の各々が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株が組み合わされて、(i)実施例1のリスト及び表6からの黄色ブドウ球菌の少なくとも100種の異なる株、及び/又は(ii)図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも25種の異なるMLST、及び/又は(iii)図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5種の異なるクローン複合体、を標的化する、段落1~6のいずれか1つに記載の組成物。
8.各々が黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株を含み、単離されたバクテリオファージの少なくとも3種の異なる株の各々が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム核酸配列を有し、(i)実施例1のリスト及び表6からの黄色ブドウ球菌の少なくとも90種の異なる株、及び/又は(ii)図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも25種の異なるMLST、及び/又は(iii)図2のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも5種の異なるクローン複合体が、少なくとも3種の異なる株のうちの少なくとも2種によって標的化される、段落1~7のいずれか1つに記載の組成物。
9.単離されたバクテリオファージの少なくとも2種の異なる株の少なくとも1種のバクテリオファージは、(a)そのゲノムが異種配列を含み、かつ/又は(b)その転位因子(transposable element、TE)が不活性であるように、遺伝子改変され、任意選択で、上記のTEは、(a)TEのトランスポザーゼ、及び/又は(b)転移に必要なTEの構造要素、を不活性化する突然変異(例えば、欠失)によって不活性化される、段落1~8のいずれか1つに記載の組成物。
10.(a)異種配列が、治療剤又は診断剤をコードし、かつ/又は(b)転移因子が表7に列挙されるいずれか1つである、段落9に記載の組成物。
11.10種以下、例えば7種以下の異なるバクテリオファージ株を含む、段落1~10のいずれか1つに記載の組成物。
12.局所送達、経口送達、直腸送達、又は吸入による送達のために製剤化されている、段落1~11のいずれか1つに記載の組成物。
13.黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる組換えバクテリオファージであって、バクテリオファージが、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有し、バクテリオファージが、そのゲノムが異種配列を含むように遺伝子改変され、かつ/又はバクテリオファージは、バクテリオファージが遺伝子改変される前にバクテリオファージ内に存在していた天然のトランスポゾン配列を欠いている、組換えバクテリオファージ。
14.その異種配列が、治療剤又は診断剤をコードする、段落13に記載の組換えバクテリオファージ。
15.その治療剤が免疫調節剤を含む、段落14に記載の組換えバクテリオファージ又は段落10に記載の組成物。
16.活性剤としての段落13~15のいずれか1つに記載の組換えバクテリオファージと、医薬担体と、を含む医薬組成物。
17.局所送達、経口送達、直腸送達、又は吸入による送達のために製剤化されている、段落16に記載の医薬組成物。
18.黄色ブドウ球菌種(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)の細菌に(溶菌的に)感染することができる単離されたバクテリオファージであって、バクテリオファージが、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有する、単離されたバクテリオファージ。
19.黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患の治療を必要とする対象(例えば、アトピー性皮膚炎を有する対象)においてそれを治療する方法であって、感染を引き起こす黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる少なくとも1種の単離されたバクテリオファージ株を含む治療有効量の組成物を、対象に投与することを含み、少なくとも1種のバクテリオファージ株が、(例えば、組み合わせコード領域において)配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一であるゲノム核酸配列を有し、それによって、黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療する、方法。
20.黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患(例えば、アトピー性皮膚炎)の治療を必要とする対象においてそれを治療する方法であって、段落1~12のいずれか1つに記載の治療有効量の組成物を対象に投与し、それによって黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療することを含む、方法。
21.その疾患が、アトピー性皮膚炎(AD)であるか、又はその疾患が、表皮ブドウ球菌感染に更に関連するか若しくはそれによって特徴付けられる、段落19又は20に記載の方法。
22.当該投与することが、経口投与すること又は直腸投与することを含む、段落19~21のいずれか1つに記載の方法。
23.当該組成物は、7種以下の異なるバクテリオファージ株を含む、段落19~22のいずれか1つに記載の方法。
24.投与前に、対象にコロニー形成する黄色ブドウ球菌株を同定することを更に含む、段落19~23のいずれか1つに記載の方法。
25.その少なくとも1種のバクテリオファージ株は、(a)そのゲノムが異種配列を含み、かつ/又は(b)そのゲノムが不活性の転移因子を含むか又は転移因子を欠くように遺伝子改変されている、段落19~24のいずれか1つに記載の方法。
26.その異種配列が、治療剤又は診断剤をコードする、段落25に記載の方法。
27.その治療剤が、免疫調節剤を含む、段落26に記載の方法。
28.対象が、黄色ブドウ球菌(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)に対して有効な抗生物質でこれまでに治療されているか、又は更に治療される予定である、段落19~27のいずれか1つに記載の方法。
29.対象を、黄色ブドウ球菌(例えば、アトピー性皮膚炎患者に存在する黄色ブドウ球菌)に対して有効な抗生物質で治療することを更に含む、段落19~27のいずれか1つに記載の方法。
【0044】
本明細書中に記載される本発明の任意の1つの実施形態(実施例若しくは特許請求の範囲、又は本明細書中の番号付けされた段落のみに記載されるものを含む)は、本発明の任意の1つ以上の更なる実施形態と、このような組み合わせが不適切であるか又は明確に否定されない限り、組み合わせられ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例として本明細書に記載される。ここで図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細は、例としてであり、本発明の実施形態の例示的議論の目的のためであることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【0046】
図面は以下の通りである。
図1】単離されたファージ間の、(局所BLASTに基づく)%配列相同性をまとめた距離行列である。
図2】宿主細菌クローン複合体(clonal complex、CC)に従ってプロファイリングされた単離されたファージの宿主範囲を示す。少なくとも1つの細菌メンバーが対応するファージによって感染されていることが判明したCCインスタンスは、「+」とマークされた。
図3】宿主細菌多座配列タイピング(multilocus sequence typing、MLST)に従ってプロファイリングされた単離されたファージの宿主範囲を示す。少なくとも1つの細菌メンバーが対応するファージによって感染されていることが判明したMLSTインスタンスは、「+」とマークされた。
図4】10,000を超える既知の配列に基づく黄色ブドウ球菌系統樹、及びアスタリスクでマークされた約120の単離株の出願人のアセンブリを示す。単離株は、黄色ブドウ球菌系統樹全体に分布している。
図5A】個々のバクテリオファージ又はカクテルによる黄色ブドウ球菌株のインビトロ液体感染の増殖曲線、及び各ファージメンバーについて別々に観察されたTTMと比較した、ファージ混合物の相乗的性能を示す。
図5B】個々のバクテリオファージ又はカクテルによる黄色ブドウ球菌株のインビトロ液体感染の増殖曲線、及び各ファージメンバーについて別々に観察されたTTMと比較した、ファージ混合物の相乗的性能を示す。
図6】異なる感受性パターンを有する2つの細菌株の増殖曲線を示す。(A)黄色ブドウ球菌株527(上の3つのチャート)は、3つ全てのファージに対して感受性である。(B)黄色ブドウ球菌株418(下の3つのチャート)は、STA48-7に対してのみ感受性である。最も左の2つのチャートは、初期対数期における感染についてのOD曲線を示し、中央の2つのチャートは、中期対数期における感染についてのOD曲線を示し、最も右の2つのチャートは、定常期における感染についてのOD曲線を示す。NPC;ファージなし対照(no phage control)。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、ブドウ球菌属の細菌、より具体的には黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができるバクテリオファージ株に関する。
【0048】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるか又は実施例によって例示される詳細に必ずしも限定されないということが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法で実施若しくは実行することが可能である。
【0049】
本発明者らは、1種以上の黄色ブドウ球菌株に対して高い特異性を有することを特徴とする新規なバクテリオファージ株を単離した。開示されたバクテリオファージは溶解性であり、したがって、それらの細菌宿主のDNAに組み込まれるいかなる能力も有さない。そのようなバクテリオファージは、必要なファージタンパク質成分を製造するために、宿主タンパク質発現機構を乗っ取った後の溶解を通じて、即時の標的細菌根絶をもたらす。
【0050】
本発明者らは、特定のファージ株を組み合わせ、単回投与で無数の黄色ブドウ球菌株を溶解することができるカクテルとしてそれらを提供しようとした。カクテルは、黄色ブドウ球菌感染に関連することが知られているアトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis、AD)の治療のための既製の治療薬として機能することができる。更に、各個体は広範囲の黄色ブドウ球菌株によって感染され得るので、混合物は、個体レベルでアトピー性皮膚炎を処置するための高い治療効力を有することが想定される。
【0051】
本明細書に開示される組み合わせは、典型的には、標的細菌に対するそれらの阻害効果に関して相乗的(例えば、相乗的組み合わせ)である。これは、変異にかかる時間(time taken to mutation、TTM)、すなわち、細菌が変異してファージの阻害効果を克服するのにかかる時間を測定することによって定量化することができる。2つのファージX及びYが標的細菌株Hに感染することが知られている場合、各ファージのTTMを別々に、並びにそれらの組み合わせのTTMを同じ増殖条件下で測定する。組み合わせ[X,Y]のTTMがX及びYの両方のTTMよりも長い場合に、相乗的冗長性効果が現れる。
【0052】
特定の実施形態では、単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株は、TTMが測定される細菌に関して、最も長い個々のファージTTMを少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又は80%上回る、変異までの時間(time-to-mutant、TTM)に基づく、相乗的重複効果を有する。
【0053】
代替的又は追加的に、特定の実施形態では、単離されたバクテリオファージのうちの少なくとも2種の異なる株は、OD600-時間プロットの正規化曲線下面積(AUC)に基づいて、その細菌(又はその細菌の2種以上の混合物)に関する最小の個々のファージ正規化曲線下面積よりも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%小さい相乗的重複効果を有する。
【0054】
ここで、バクテリオファージ(又はその組み合わせ)の存在下での細菌増殖を経時的にOD600としてプロットすると、各ファージ(又はその組み合わせ)について曲線下面積(area under the curve、AUC)を計算することができる。そのようなAUCは、ファージなし対照AUCに対して正規化された場合、組み合わせにおける個々のファージと比較して、ファージ組み合わせによる細菌増殖の相乗的抑制を評価するために比較することができる。
【0055】
理論に束縛されるものではないが、相乗作用は、2つのファージX及びYによって使用される感染の異なる機構に由来し得る。本発明の特定の実施形態によれば、相乗的TTM増加は、ファージ組み合わせの「少なくとも2ファージ%カバレッジ」、及び/又は「少なくとも3ファージ%カバレッジ」、及び/又は「少なくとも4ファージ%カバレッジ」、及び/又は「少なくとも5ファージ%カバレッジ」特性によって予測され得る。
【0056】
したがって、本発明の第1の態様によれば、黄色ブドウ球菌種の細菌に感染することができる単離されたバクテリオファージであって、配列番号1~7に記載の核酸配列のうちの1つと少なくとも95%同一のゲノム核酸配列を有する、バクテリオファージが提供される。任意選択で、バクテリオファージは天然に存在せず、少なくとも1つの異種遺伝子操作変異を含む。
【0057】
本明細書で使用される場合、「バクテリオファージ」及び「ファージ」という用語は互換的に使用され、細菌に感染することができる単離されたウイルスを指す。典型的には、ファージは、1)そのゲノムを構成する核酸の性質、例えば、DNA、RNA、一本鎖、又は二本鎖、2)その感染性の性質例えば、溶解性又は溶原性、及び3)それが感染する特定の黄色ブドウ球菌亜種(及びある場合には、その黄色ブドウ球菌亜種の特定の株)によって特徴付けられる。この態様は、「宿主範囲」として知られている。
【0058】
本明細書中で使用される場合、句「単離されたバクテリオファージ」、「単離物」又は文法上の等価物は、その天然の環境から除去された(例えばそれが典型的に感染する細菌から除去される)バクテリオファージを指す。一実施形態では、単離されたバクテリオファージは、元の臨床試料又は環境試料中に天然に存在する細胞材料及び/又は他の要素から除去される。「単離されたバクテリオファージ」という用語は、ヒト又は動物の患者から単離されたファージ(「臨床分離株」又は「臨床バリアント」)、及び環境から単離されたファージ(「環境分離株」)が含まれる。
【0059】
一実施形態では、バクテリオファージは溶菌性である。
【0060】
「溶菌性バクテリオファージ」という用語は、細菌宿主に感染し、ファージ核酸を宿主ゲノムに組み込むことなくその宿主を溶解させるバクテリオファージを指す。溶菌性バクテリオファージは、典型的には、溶原サイクルを用いて複製することができない。
【0061】
本明細書中で使用される場合、句「ファージ株」は、本明細書中に記載されるように、寄託されたファージ又は配列決定されたファージを指す。
【0062】
バクテリオファージ及びある感染した宿主細菌は、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに寄託されており、寄託番号は、本明細書の以下の表2.1及び表6に提供されている。
【0063】
「黄色ブドウ球菌」という用語は、ブドウ球菌属の細菌の種に関する。ブドウ球菌細菌は、バチルス目からのスタフィロコッカス科のグラム陽性菌である。顕微鏡下では、それらは球状(球菌)に見え、ブドウ様クラスターを形成する。ブドウ球菌属の種は、通性嫌気性生物である(好気的にも嫌気的にも増殖することができる)。「黄色ブドウ球菌」という用語は、黄色ブドウ球菌細菌として現在分類されているか、又は将来再分類される細菌を含むということが理解されよう。
【0064】
本発明のファージ株によって感染される黄色ブドウ球菌の例示的な株は、ヒト検体(例えば、皮膚、無傷のもの又は火傷及び創傷などの損傷を受けたもの)において見出される株である。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるバクテリオファージは、免疫応答及び/又は炎症応答を誘導する有害な黄色ブドウ球菌細菌を溶解することができる。
【0066】
特定の一実施形態では、本明細書に記載されるファージは、対象(例えばアトピー性皮膚炎患者)に感染する、(例えば、実施例1のリスト及び/又は表6からの)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌株、及び/又は図2のリストからの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌のCC、及び/又は図3のリストからの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌のMLSTに感染することができる。
【0067】
特定の一実施形態では、本明細書に記載されるファージは、対象(例えばアトピー性皮膚炎患者)に感染する、(例えば、実施例1のリスト及び/又は表6からの)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌株、図2のリストからの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌のCC、及び/又は対象(例えば、皮膚、無傷のもの又は火傷及び創傷などの損傷を受けたもの)に存在する、図3のリストからの黄色ブドウ球菌の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上のMLSTに感染することができる。
【0068】
特定の一実施形態では、本明細書に記載されるファージは、対象(例えばアトピー性皮膚炎患者)に感染する、(例えば、実施例1のリスト及び/又は表6からの)少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌株、及び/又は図2のリストからの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌のCC、及び/又はAD患者などの対象に感染する、図3のリストからの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ又はそれ以上の黄色ブドウ球菌のMLSTに感染することができる。
【0069】
特定の一実施形態によれば、本明細書に記載されるファージは、特定の莢膜遺伝子座型を有する黄色ブドウ球菌の細菌株に感染することができる。
【0070】
配列番号1~7に記載のゲノム核酸を有するファージの子孫も企図され、ここで、子孫は、上記のゲノム核酸配列のうちの1つを有する親バクテリオファージが感染するのと同じ黄色ブドウ球菌の亜種に(又は株にさえも)感染し得る。そのような子孫は、親バクテリオファージのゲノムと少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも95%同一、96%同一、97%同一、98%同一、又は99%同一の配列を有するゲノムを有し得る。
【0071】
本明細書中で使用される場合、「又はバクテリオファージの子孫」という用語は、本明細書中で同定される株から生じるか又はそれに由来するバクテリオファージを指す。
【0072】
また、配列番号1~7に記載のゲノム核酸配列を有するものの機能的相同性も企図され、ここで、機能的に相同なバクテリオファージは、上記のゲノム核酸配列のうちの1つを有するバクテリオファージが感染するのと本質的に同じ黄色ブドウ球菌の亜種に(又は株にさえも)感染し得る。
【0073】
本明細書で使用される場合、「機能的相同性」又は「機能的に相同な」又は「改変体」又は文法上の等価物は、本明細書中で使用される場合、配列決定されたバクテリオファージのゲノム核酸配列とは異なるゲノム核酸配列(すなわち、少なくとも1つの変異)を有するバクテリオファージであって、配列決定されたバクテリオファージと実質的に同じ生物学的活性のアンサンブル(同じ条件下で試験した場合、+/-10%、20%、40%、50%、60%)を与えられ、種/株分類の公知の方法に基づいて細菌の本質的に同じ株又は亜種に感染するとして分類され得るバクテリオファージをいう。
【0074】
バクテリオファージは、細菌を溶解させるか、又はその核酸配列を細菌ゲノムに組み込む場合に、細菌に「感染」する。
【0075】
特定の一実施形態によれば、本明細書に開示されるバクテリオファージは、それらの標的細菌を溶解する。
【0076】
特定の一実施形態によれば、それらの標的細菌に感染する(「標的化する」とも称する)バクテリオファージの能力は、固体アッセイ又は液体アッセイを使用して測定される。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載されるバクテリオファージのゲノム核酸配列は、(i)配列番号1、2、3、4、5、6、又は7に記載のゲノム配列、及び/又は(ii)実施例7に記載の表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子の組み合わせ領域と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約97.1%、少なくとも約97.2%、少なくとも約97.3%、少なくとも約97.4%、少なくとも約97.5%、少なくとも約97.6%、少なくとも約97.7%、少なくとも約97.8%、少なくとも約97.9%、少なくとも約98%、少なくとも約98.1%、少なくとも約98.2%、少なくとも約98.3%、少なくとも約98.4%、少なくとも約98.5%、少なくとも約98.6%、少なくとも約98.7%、少なくとも約98.8%、少なくとも約98.9%、少なくとも約99%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.2%、少なくとも約99.3%、少なくとも約99.4%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.95%約99.95%、少なくとも約99.99%、又はそれ以上同一である。
【0078】
特に、バクテリオファージは、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7に記載の核酸配列、及び/又は(ii)実施例7に記載の表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子の組み合わせ領域と、少なくとも95%同一(%相同)のゲノム核酸配列を有する。
【0079】
特定の実施形態によれば、バクテリオファージは、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7に記載の全長核酸配列と少なくとも95%同一(%相同)であるゲノム核酸配列を有する。
【0080】
特定の実施形態によれば、バクテリオファージは、(例えば、組み合わせ領域において)表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一である遺伝子を含み、ここで、必須遺伝子は、実施例7において選択されたバクテリオファージについて記載されている遺伝子である。
【0081】
本明細書中で使用される場合、2つの核酸配列又はポリペプチド配列の文脈において本明細書中で使用される「パーセント相同性」、「パーセント同一性」、「配列同一性」若しくは「同一性」又は「文法上の等価物」は、整列された場合に同じである2つの配列における残基への言及を含む。配列同一性パーセントがタンパク質に関して使用される場合、同一ではない残基位置は、アミノ酸残基が類似の化学的特性、(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基と置換され、したがって分子の機能的特性を変化させない保存的アミノ酸置換によって異なることが多いことが認識される。配列が保存的置換において異なる場合、配列同一性パーセントは、置換の保存的性質を補正するために上方に調整され得る。このような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有するとみなされる。この調整を行うための手段は、当業者に周知である。典型的には、これは、保存的置換を完全なミスマッチではなく部分的なミスマッチとしてスコア付けし、それによってパーセント配列同一性を増加させることを含む。したがって、例えば、同一のアミノ酸にスコア1が与えられ、非保存的置換にスコア0が与えられる場合、保存的置換には0~1のスコアが与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、Henikoff S and Henikoff JG.[Amino acid substitution matrices from protein blocks.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1992,89(22):10915-9]のアルゴリズムに従って計算される。
【0082】
パーセント同一性は、例えば、National Center of Biotechnology Information(NCBI)のBLASTnソフトウェアを含む任意の相同性比較ソフトウェアを使用して、例えばデフォルトパラメータを使用することによって決定することができる。
【0083】
2つの配列間の%相同性又は同一性を決定するために使用され得る他の例示的な配列アラインメントプログラムとしては、FASTAパッケージ(厳密な(SSEARCH、LALIGN、GGSEARCH及びGLSEARCH)及びヒューリスティックな(FASTA、FASTX/Y、TFASTX/Y及びFASTS/M/F)アルゴリズムを含む)、EMBOSSパッケージ(Needle、stretcher、water及びmatcher)、BLASTプログラム(BLASTN、BLASTX、TBLASTX、BLASTP、TBLASTNを含むがこれらに限定されない)、megablast及びBLATが挙げられるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、配列アラインメントプログラムはBLASTNである。例えば、95%相同性は、BLASTNによって、全ての非重複アラインメントセグメント(BLAST HSP)を組み合わせ、それらの同一マッチの数を合計し、この合計をより短い配列の長さで割ることによって決定される95%配列同一性を指す。
【0084】
いくつかの実施形態では、配列アラインメントプログラムは、基本的な局所アラインメントプログラム例えば、BLASTである。一部の実施形態では、配列アラインメントプログラムは、ペアワイズグローバルアラインメントプログラムである。いくつかの実施形態では、ペアワイズグローバルアラインメントプログラムは、タンパク質-タンパク質アラインメントのために使用される。いくつかの実施形態では、ペアワイズグローバルアラインメントプログラムはNeedleである。いくつかの実施形態では、配列アラインメントプログラムは多重アラインメントプログラムである。いくつかの実施形態では、多重アラインメントプログラムはMAFFTである。いくつかの実施形態では、配列アラインメントプログラムは、全ゲノムアラインメントプログラムである。いくつかの実施形態では、全ゲノムアラインメントは、BLASTNを使用して実施される。いくつかの実施形態では、BLASTNは、デフォルトパラメータに対するいかなる変更もなしに利用される。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態によれば、同一性は、全体的な同一性すなわち、本発明の核酸配列全体にわたる同一性であり、その一部にわたる同一性ではない。
【0086】
追加的又は代替的な実施形態によれば、機能的相同体は、コアゲノムのDNA保存性を検出する平均ヌクレオチド同一性(average nucleotide identity、ANI)として決定される(Konstantinidis K and Tiedje J M,2005,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:2567-2592)。いくつかの実施形態では、機能的相同体と寄託されたバクテリオファージ(又は配列番号1、2、3、4、5、6、若しくは7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージ)との間のANIは、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%以上である。
【0087】
追加的又は代替的な実施形態によれば、機能的相同体は、オリゴヌクレオチド頻度に基づくテトラヌクレオチドシグネチャー頻度相関係数として決定される、機能的相同体と配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに示されるゲノムを有するバクテリオファージとの間の関連性の程度によって決定される(Bohlin J.et al.2008,BMC Genomics,9:104)。いくつかの実施形態では、バリアントと、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージとの間のテトラヌクレオチドシグネチャー頻度相関係数は、約0.99、0.999以上である。
【0088】
追加の又は代替の実施形態によれば、機能的相同体と配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージとの間の関連性の程度は、1つ又は2つ以上の制限エンドヌクレアーゼを使用するパルスフィールドゲル電気泳動(Pulsed-field gel electrophoresis、PFGE)によって親バクテリオファージ及びバリアントバクテリオファージのゲノムを分析した場合に得られる類似性の程度として決定される。PFGEによって得られる類似性の程度は、Dice類似性係数によって測定することができる。いくつかの実施形態では、変異体と、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージとの間のDice類似生係数は、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%以上である。
【0089】
追加又は代替の実施形態によれば、機能的相同体と配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージとの間の関連性の程度は、反復遺伝子外パリンドロームエレメントベースのPCR(repetitive extragenic palindromic element-based PCR、REP-PCR)によって得られた両方のファージの遺伝子プロファイルを比較することによって得られるピアソン相関係数によって決定される(例えば、Chou and Wang,Int J Food Microbiol.2006,110:135-48参照)。いくつかの実施形態では、ピアソン相関係数は、バリアント及び上記(例えば寄託ファージ)のREP-PCRプロファイルを比較することによって得られるピアソン相関係数は、少なくとも約0.99、少なくとも約0.999以上である(例えば、bmcmicrobioldotbiomedcentraldotcom/articles/10.1186/s12866-020-01770-2を参照されたい。
【0090】
追加の又は代替の実施形態によれば、機能的相同体と、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージとの間の関連性の程度は、多遺伝子座配列タイピング(Multi-locus sequence typing、MLST)によって得られた両方のファージの遺伝子プロファイルを比較することによって得られる連鎖距離によって定義される(例えば、Maiden,M.C.,1998,Proc.Natl.Acad.Sci.米国95:3140-3145を参照されたい)。いくつかの実施形態では、機能的相同体と、配列番号:1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するファージとのMLSTによって得られる連結距離は、少なくとも約0.99、少なくとも約0.999以上である。
【0091】
追加の又は代替の実施形態によれば、機能的相同体は、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージのものと少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.1%、少なくとも約99.5%、少なくとも約99.6%、少なくとも約99.7%、少なくとも約99.8%、少なくとも約99.9%、又はそれ以上同一である機能的に保存された遺伝子又はその断片、すなわち必須遺伝子、例えばインテグラーゼ遺伝子、ポリメラーゼ遺伝子、カプシドタンパク質アセンブリ遺伝子、DNAターミナーゼ、尾部繊維遺伝子、又はリプレッサー遺伝子を含む。
【0092】
開示されたバクテリオファージの各々について、実施例7は、それらの必須遺伝子の遺伝子名を提供する。
【0093】
追加又は代替の実施形態によれば、機能的相同体は、コード配列(遺伝子)順序の比較によって定義される。
【0094】
追加又は代替の実施形態によれば、機能的相同体は、実施例7に記載の、表2に列挙されたバクテリオファージから選択されるバクテリオファージの必須遺伝子のコード配列(遺伝子)順序の比較によって定義される。
【0095】
追加又は代替の実施形態によれば、機能的相同体は、非コード配列の順序の比較によって定義される。
【0096】
追加又は代替の実施形態によれば、機能的相同体は、コード配列及び非コード配列の順序の比較によって定義される。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態によれば、機能的相同体の組み合わされたコード領域は、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージのゲノム配列内のコード領域の元の順序を維持するが、非コード領域を含まないようなものである。ある特定の実施形態では、組み合わされたコード領域は、トランスポゾン配列、例えば、転移に必要な配列、及び/又はトランスポゾン酵素コード配列(例えば、トランスポザーゼコード配列)を含まない(除外する)。
【0098】
例えば、ゲノム配列が以下のコード領域、A、B、C、D、E、F、Gを有し、それぞれが非コード配列(例えば、調節エレメントなど)に隣接する場合、組み合わせコード領域は、A+B+C+D+E+F+Gコード領域が一緒に組み合わされているが、他方でそれらのゲノムの元の順序を維持しているが、非コード配列を有していない単一の核酸配列を含む。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態によれば、機能的相同体の組み合わされた非コード領域は、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージのゲノム配列内のような非コード領域の元の順序を維持するが、元のバクテリオファージに元々存在するようなコード領域を含まないようなものである。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態によれば、機能的相同体の組み合わされた非コード領域及びコード領域(すなわち、ゲノム)は、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージのゲノム配列内のようなコード領域及び非コード領域の元の順序を維持するようなものである。
【0101】
本明細書で使用される場合、「維持する」は、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに示されるゲノムを有するバクテリオファージと比較して、機能的相同体のコード領域及び/又は非コード領域のうちの少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%に関する。
【0102】
追加又は代替の実施形態によれば、機能的相同体は、遺伝子内容の比較によって定義される。
【0103】
特定の実施形態によれば、機能的相同体は、配列番号1、2、3、4、5、6、又は7のいずれか1つに記載のゲノムを有するバクテリオファージのゲノムに存在する組み合わせコード領域と、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又はそれ以上(例えば100%)同一の組み合わせコード領域を含む。
【0104】
本明細書で使用される場合、「組み合わせコード領域」は、元のバクテリオファージのコード領域の全てを含むが、元のバクテリオファージの非コード領域を含まない核酸配列を指す。
【0105】
一実施形態では、バクテリオファージは、本明細書に開示されるバクテリオファージと最大85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示し、以下の特徴、すなわち類似の宿主範囲、感染性の類似のタイプ(すなわち溶菌性又は溶原性)のうちの少なくとも1つを共有する。
【0106】
別の一実施形態では、バクテリオファージは、本明細書に開示されるバクテリオファージと最大85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を示し、以下の特徴、類似タイプの感染性の両方を共有する。
【0107】
2つのファージゲノム間の関連性を決定するために使用され得る更なるバイオインフォマティクス方法としては、Nucmer及びMinimapが挙げられ、これらは両方ともアラインメントに基づくツールであり、それぞれ情報ベースのツールであるWin-zip、Jacard距離、及びMinHash並びにコドン使用頻度類似性、経路類似性、及びタンパク質モチーフ類似性である。
【0108】
本明細書中で使用される場合、「宿主範囲」とは、特定のファージによる感染に感受性である細菌を指す。ファージの宿主範囲は、細菌の株、亜種、種、属、又は複数の属を含み得るが、これらに限定されない。
【0109】
ファージ分離株は、その分野で既知の方法、例えば、プラークアッセイ、液体培地アッセイ、固体培地アッセイを使用して調製され、表現型決定され得る。いくつかの実施形態では、ファージを定量及び単離するための固体培地アッセイは、プラークアッセイ(S.T.Abedon et al.,Methods in Molecular Biology 2009(Clifton,N.J.),501,161-74)に基づき、メッキ効率(efficiency of plating、EOP)(E.Kutter,Methods in Molecular Biology 2009(Clifton,N.J.),501,141-9)から、斑点試験(P.Hyman et al.,Advances in Applied Microbiology(1st ed.,Vol.70,pp.217-48)2010.Elsevier Inc.)に基づく。いくつかの実施形態では、プラークアッセイに使用されるプレートフォーマットは、例えば、ペトリ皿から48ウェルプレートに変更することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、二重層プラークアッセイを使用して、バクテリオファージ単離株を表現型決定する。例えば、4mLのBHISのスターター培養物に、プレートからの50~100コロニーを接種することができる。この培養物は、嫌気性環境において37℃で16時間インキュベートされ得る。200μLの体積のこの培養物を、100μLのファージ含有試料(又は培地のみの対照)と混合し、15分間インキュベートすることができる。5mLのBHISトップアガー(1mM Ca2+、Mn2+及びMg2+イオンを補充した予め融解した0.4%アガーBHISを添加してもよい)、及び混合物をBHIS底アガープレート(1.5%アガーBHIS)上に注いでもよい。プレートを室温でゲル化させ、次いで、プラークが同定されるまで嫌気性環境において37℃又は32℃(皮膚温度を模倣)で16時間インキュベートすることができる。
【0111】
一部の実施形態では、改変されたスポットドロップアッセイを使用して、バクテリオファージ分離株を表現型決定する。例えば、4mLのBHISのスターター培養物に、プレートからの50~100コロニーを接種することができる。この培養物は、嫌気性環境において37℃で16時間インキュベートされ得る。200μLの体積のこの培養物を、5mLのBHISトップアガー(1mMのCa2+、Mn2+及びMg2+イオンを補充した予め融解した0.4%アガーBHISを添加してもよい)と混合し、混合物をBHIS底アガープレート(1.5%アガーBHIS)上に注ぐことができる。プレートを室温でゲル化させ、次いで嫌気性環境において37℃で30分間インキュベートすることができる。この段階で、ファージを含有する又は対照として培地のみを含有する5μLの試料をプレート上に滴下し、放置して吸収させ、次いで、計数のためにプラークが見えるようになるまで16時間インキュベートすることができる。
【0112】
いくつかの実施形態では、逆プラークアッセイが二重層プラークアッセイの代替として使用される。この方法では、ファージをトップアガーに組み込み、トップアガーを培地プレートの半分に注ぎ、細菌でその上に線を描く。二重層プラークアッセイとは対照的に、プラークは形成されず、むしろ、感受性細菌は、感染したローン(穿孔ローン)として、又は単一コロニーとして現れ、あるいはトップアガー及びファージからなるプレートの部分のみにコロニーが全く存在しないように見えた。試験したファージを有するトップアガー上の細菌の増殖を、ファージを有さない(ファージなし対照(No Phage Control、NPC))プレートの他方の側の同じ細菌の増殖と比較する。
【0113】
各ファージを、BHIS中で10PFU/mLに希釈し、10μLを、1mMイオンを含む10mLの融解トップアガーに(56℃で)移す。穏やかに混合した後、チューブ内容物を、BHISプレート上に注ぐ。プレートを20分間放置してトップアガーを固化させる。凍結細菌をアガープレート上に接種し、37℃で一晩(15~16時間)インキュベートする。翌日、5~10個のコロニーを合わせ、NPC側から開始してファージ側とのトップアガーで終わるように、反転したプレート上で線を描く。プレートを37℃で、一晩(15~16時間)インキュベートする。トップアガー側及びファージ側の細菌の増殖を、NPC側の細菌の増殖と比較する。細菌は、ファージに対して感受性(「S」)又は耐性(「R」)に指定される。
【0114】
いくつかの実施形態では、液体培地アッセイを使用して、バクテリオファージを表現型決定する。いくつかの実施形態では、液体ベースのファージ感染アッセイは、感染の時間経過に従い、固相プラークアッセイと比較して、感染の定量的エンドポイント以上のものを提供することができる。いくつかの実施形態では、液体培地中でファージを細菌と混合し、次いで経時的に培養物の濁度を追跡することによって、異なる細菌株がファージとどのように相互作用するかの間のより微細な差異(例えば、細胞溶解時間の遅延)を識別することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、液体ベースのファージ感染アッセイは、細菌及びファージが一緒に混合される実験の開始から、宿主細菌がファージに対する耐性を(おそらく変異によって)発達させるまでの期間を測定するために使用される。この期間は、変異までの時間(TTM)としても知られている。このようなTTMアッセイを使用して、図5A~5Bに示される結果を得た。
【0116】
いくつかの実施形態では、TTMは、OD読み取り値が所定の閾値(例えば、0.3のOD600)に達した場合に相乗的であると宣言される。次いで、組み合わせ(例えば、X、Y)のTTMが、個々のメンバーファージのより長いTTM(例えば、X単独のTTM及びY単独のTTM)よりも、例えば50%長い場合、相乗的重複効果が結論付けられる。
【0117】
一実施形態では、相乗効果は、より長い個々のファージメンバーTTMより10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%上回るものとして定義される。
【0118】
いくつかの実施形態では、液体培地アッセイは、96ウェルプレートを使用し、プレートリーダーで光学密度を読み取ることによってハイスループット測定を可能にする。
【0119】
例えば、細菌株は、約1.5~2のOD600まで16時間増殖させることができる。次いで、この培養物を、BHIS培地を使用して、開始光学密度、代表的には0.03~0.05のOD600まで希釈し得る。次いで、200μLの体積の培養物を、Nunclon平底96ウェルプレートのウェルに分注することができる。10μLのファージ含有試料又は対照として10μLの培地を各ウェルに添加することができる。蒸発を制限するためにウェルを50μLの鉱油で覆うことができ、培養物を無菌に保つために薄い無菌の光学的に透明なポリウレタンフィルムを加えることができる。光学密度の測定は、例えば、Tecan EVO75ロボットに接続されたTecan Infinite M200プレートリーダーにおいて、20分毎に行われ得る。測定の間に、プレートを、例えば、EVO75インキュベーター内で、37℃又は32℃で振盪しながらインキュベートしてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、感染性は、固体アッセイのみにおけるプラークの存在によって決定される。いくつかの実施形態では、感染性は、液体アッセイのみにおけるプラークの存在によって決定される。いくつかの実施形態では、感染性は、液体アッセイ及び固体アッセイの両方におけるプラークの存在によって決定される。
【0121】
本明細書に記載されるバクテリオファージは、典型的には、それらの出現率、すなわち、濃度が天然に見出されるものよりも富化されている(それを超える)調製物中に存在する。
【0122】
「調製物」という用語は、バクテリオファージの出現率が天然に見出されるものよりも富化されている組成物を指す。バクテリオファージは細菌細胞に感染するので、細菌が豊富な検体又は試料(例えば下水、廃水及び糞便を含む生物学的試料などの環境試料)中に見出され得る。本発明のいくつかの実施形態によれば、調製物は、50種未満の微生物種(例えば、細菌及び真菌)、例えば、40種未満の細菌種、30種未満の細菌種、20種未満の細菌種、10種未満の細菌種、5種未満の細菌種、4種未満の細菌種、3種未満の細菌種、2種未満の細菌種を含むか、又は細菌を完全に欠いている。
【0123】
特定の一実施形態によれば、調製物は、単一株のバクテリオファージ(又はその機能的相同体)、2種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、3種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、4種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、5種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、6種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、7種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、8種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、9種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)、又は10種以下の異なるバクテリオファージ株(又はその機能的相同体)を含む。
【0124】
一実施形態では、調製物は、ファージ株のうちの少なくとも1つがSTA48-1(配列番号1に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム配列を有する)である場合、複数のファージ株を含む。
【0125】
別の一実施形態では、調製物は、ファージ株のうちの少なくとも1つがSTA48-7(配列番号7に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム配列を有する)である場合、複数のファージ株を含む。
【0126】
別の一実施形態では、調製物は、ファージ株のうちの少なくとも1つがSTA48-5(配列番号5に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%、又は100%)同一のゲノム配列を有する)である場合、複数のファージ株を含む。
【0127】
一実施形態では、調製物は、ファージ株のうちの少なくとも1つがSTA48-1(配列番号1に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%又は100%)同一のゲノム配列を有する)であり、ファージ株の他方が、STA48-7(配列番号7に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%又は100%)同一のゲノム配列を有する)である場合、少なくとも2種の異なるファージ株を含む。
【0128】
一実施形態では、調製物は、ファージ株のうちの少なくとも1つがSTA48-1(配列番号1に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%又は100%)同一のゲノム配列を有する)であり、ファージ株の2つ目がSTA48-7(配列番号7に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%又は100%)同一のゲノム配列を有する)であり、ファージ株の3つ目がSTA48-5(配列番号5に記載の配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.2%、99.4%、99.6%、99.8%、99.9%又は100%)同一であるゲノム配列を有する)である場合、少なくとも3つの異なるファージ株を含む。
【0129】
単一組成物中のコアファージの例示的な組み合わせは、本明細書の以下の表1に提供される。
【0130】
更なる企図される組み合わせは、本明細書の以下の実施例2、実施例3及び実施例4に提供される。
【0131】
【表1】
【0132】
本発明者らによって企図される1つの例示的なカクテルは、以下のファージ、STA48-1、STA48-7、及びSTA48-5、を含むもの(ADX2)である。
【0133】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の20%超(例えば、70種超の異なる黄色ブドウ球菌株、90種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは110種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の20%超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。特定の実施形態では、混合集団は、実施例1及び/又は表6における黄色ブドウ球菌株のリストから選択される。
【0134】
別の一実施形態では、組み合わせは、少なくとも40、60、80、100、200、300、400、500、600、700、800、900、又は1000種の異なる黄色ブドウ球菌株が標的化されるように選択される。
【0135】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の30パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の30パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0136】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の40パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の40パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0137】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の45パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の45パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0138】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の50パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の50パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0139】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の55パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の55パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0140】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の60パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の60パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0141】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の65パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の65パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0142】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の70パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の70パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0143】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の75パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の75パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0144】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の80パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の80パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0145】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の85パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の85パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0146】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団の細菌の異なる株の90パーセント超(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)が標的化される(かつ溶解される)ように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の90パーセント超が標的化され、かつ溶解されるように選択される。
【0147】
本明細書に記載の組み合わせは、重複する宿主カバレッジを有するファージを含むように選択することができる。宿主カバレッジは、細菌株分類、細菌莢膜型、細菌クローン複合体、及び/又は多遺伝子座配列タイピング(MLST)に関して定義することができる。なお、(sanger-pathogens(dot)github(dot)io/ariba/)参照。
【0148】
一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の10パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の10%超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0149】
別の一実施形態では、組み合わせは、少なくとも10、20、40、60、80、100種の特異的黄色ブドウ球菌株が、組み合わせの1種を超える(例えば、2、3、4、又は5種)のファージ株によって標的化されるように選択される。
【0150】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の15%超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の15パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0151】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の20パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の20パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0152】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の25パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の25パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0153】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の30パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の30パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0154】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の35パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の35パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0155】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の40パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の40パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0156】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の45パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の45パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0157】
別の一実施形態では、組み合わせは、黄色ブドウ球菌の混合集団(例えば、80種超の異なる黄色ブドウ球菌株、100種超の異なる黄色ブドウ球菌株、及び好ましくは120種超の異なる黄色ブドウ球菌株を含む)の細菌の異なる株の50パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株、又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化されるように選択される。一実施形態では、組み合わせは、ヒトに感染する黄色ブドウ球菌の全ての株の50パーセント超が、1種を超えるファージ株(例えば、組み合わせの少なくとも2種のファージ株、組み合わせの少なくとも3種のファージ株、組み合わせの少なくとも4種のファージ株又は組み合わせの少なくとも5種のファージ株)によって標的化及び溶解されるように選択される。
【0158】
本明細書を通して、ファージが具体的に命名される場合、本発明は、それらのゲノムの配列に対して少なくとも90%の同一性を有するファージも考慮し、ファージは類似の宿主範囲を有することが理解されるであろう。
【0159】
特定の実施形態によれば、調製物は、少なくとも約10PFU、10PFU、10PFU、10PFU、又は更に1010PFU以上の上記の(例えば、寄託された)バクテリオファージ又はその機能的相同体若しくはその子孫を含む。
【0160】
本明細書に記載されるバクテリオファージは、それらのゲノムが異種配列を含むように遺伝子改変されてもよい。
【0161】
一実施形態では、異種配列は、形質転換が成功したかどうかを示すマーカー、例えばバーコード配列として機能する。
【0162】
別の一実施形態では、異種配列は、治療剤又は診断剤(本明細書においてペイロードとも称される)をコードする。治療剤又は診断剤は、核酸(例えば、RNAサイレンシング剤)、ペプチド又はタンパク質であり得る。治療剤は、典型的には、治療される疾患に従って選択される。したがって、例えば、バクテリオファージが黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を治療するために使用される場合、治療剤は、典型的には、その疾患を治療するために有用であることが知られているものである。
【0163】
本明細書中で使用される場合、「RNAサイレンシング剤」は、標的遺伝子の発現を特異的に阻害又は「サイレンシング」することができるRNAを指す。特定の実施形態では、RNAサイレンシング剤は、転写後サイレンシング機構を介してmRNA分子の完全なプロセシング(例えば、完全な翻訳及び/又は発現)を防止することができる。RNAサイレンシング剤は、非コードRNA分子、例えば、対になった鎖を含むRNA二本鎖、並びにそのような小さな非コードRNAが生成され得る前駆体RNAを含む。例示的なRNAサイレンシング剤としては、siRNA、miRNA及びshRNA等のdsRNAが挙げられる。一実施形態では、RNAサイレンシング剤は、RNA干渉を誘導することができる。別の一実施形態では、RNAサイレンシング剤は翻訳抑制を媒介することができる。本発明の一実施形態によれば、RNAサイレンシング剤は、標的RNAに特異的であり、標的遺伝子に対して99%以下の全体的相同性、例えば標的遺伝子に対して98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%未満の全体的相同性を示す遺伝子又はスプライスバリアントを交差阻害又はサイレンシングしない。
【0164】
例示的なRNAサイレンシング剤としては、siRNA、shRNA、miRNA及びガイドRNA(gRNA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
治療剤は、細菌タンパク質又はペプチド(例えば、バクテリオファージで治療される対象においてワクチンとして作用し得る小細菌ペプチド)、治療タンパク質又はペプチド(例えば、サイトカイン、例えば、IL-15)、可溶性ペプチド又はタンパク質リガンド(例えば、STINGアゴニスト又はTRAIL)、毒性若しくは疾患を引き起こす抗原を認識するか、又は免疫療法において有用である抗体若しくは抗体断片(例えば、チェックポイント阻害剤)、発現された場合に治療的に有用な産物を産生する酵素(例えば、治療的に有用な細菌代謝産物若しくは他の細菌抗原を産生する細菌酵素又は代謝カセット、LPSを産生するか、又はグラム陰性菌の外膜からのLPSの切断を引き起こす細菌酵素)、共通腫瘍抗原、又は発現された場合に共通腫瘍抗原、固有腫瘍抗原若しくはネオ抗原を産生する酵素、又は発現された場合に固有腫瘍抗原若しくはネオ抗原を産生する酵素であり得る。
【0166】
別の一実施形態では、治療剤は、アトピー性皮膚炎の治療において治療的である薬剤である。
【0167】
別の一実施形態によれば、治療剤は免疫調節剤である。
【0168】
免疫調節剤の例としては、IL-2、IL-15、IL-7、IL-21、GM-CSFを含むがこれらに限定されない免疫調節サイトカイン、並びに免疫応答を更に増強することができる任意の他のサイトカイン、抗CTLA4、抗CD40、抗41BB、抗OX40、抗PD1及び抗PDL1を含むがこれらに限定されない免疫調節抗体が挙げられる。
【0169】
診断剤の例としては、蛍光タンパク質又は比色反応を生じる酵素が挙げられる。検出可能シグナルを生成する例示的なタンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(Genbank受託番号AAL33912)、アルカリホスファターゼ(Genbank受託番号AAK73766)、ペルオキシダーゼ(Genbank受託番号NP_568674)、ヒスチジンタグ(Genbank受託番号AAK09208)、Mycタグ(Genbank受託番号AF329457)、ビオチンリガーゼタグ(Genbank受託番号NP_561589)、橙色蛍光タンパク質(Genbank受託番号AAL33917)、ベータ-ガラクトシダーゼ(Genbank受託番号NM_125776)、フルオレセインイソチオシアネート(Genbank受託番号AAF22695)、及びストレプトアビジン(Genbank受託番号S11540)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0170】
別の一例では、診断剤は、細菌ルシフェラーゼ遺伝子、例えば、Vibrio harveyi、Vibrio fischeri、及びXenorhabdus luminescensによってコードされるルシフェラーゼ遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子FFluxなどの産物などの発光タンパク質である。
【0171】
ファージゲノムに異種配列を挿入するための組換え方法は、当技術分野において周知である。適切なコード配列は、ファージゲノム中のいくつかの位置の1つ以上に挿入される。一実施形態において、ファージゲノムに導入される核酸挿入物は、ファージゲノム長のおよそ10%以下である。
【0172】
ペイロードコード配列は、初期、中期又は後期発現ファージ遺伝子のいずれかの後に挿入され、既存のファージオペロン、プロモーター及びターミネーターのいずれかに依存して、ファージオペロンの一部として、又は別個のオペロンとして発現され得る。後者の場合、ファージ由来の適切なプロモーター及びターミネーターが、新たに形成されたオペロンの一部として挿入される。
【0173】
例えば、ペイロードの強い発現が必要とされる場合、ペイロードコード配列は、主カプシドタンパク質の終止コドンの後に付加され、主カプシドオペロンの一部として発現される。代替的に、それは、ファージの機能性を損傷しないファージゲノム中のどこにでも挿入することができる個々の新しく形成されたオペロンとして、主カプシドタンパク質プロモーター及びターミネーターの付加によって発現させることができる。ペイロードの低発現が所望される場合、ペイロードコード配列は、通常低発現を有するターミナーゼ遺伝子(又は他の低発現遺伝子)の後に付加され得る。更に、ペイロードレベルは、所望の強度を有するリボソーム結合部位を付加することによって調整される。
【0174】
ファージ感染性及び特異性に悪影響を及ぼすことを回避するために、ペイロードコード配列は、典型的には、既存のファージオープンリーディングフレーム内に挿入されない。これに対する例外は、ペイロードがファージ外殻の融合タンパク質として発現されることが意図される場合である。ペイロードディスプレイの後者の場合、ペイロードコード配列は、ファージコートタンパク質をコードする配列にインフレームで付加される。
【0175】
本明細書に記載されるバクテリオファージは、黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患を有する対象を治療するために使用され得る。
【0176】
黄色ブドウ球菌感染に関連する疾患としては、アトピー性皮膚炎及び感染性創傷が挙げられる。
【0177】
本明細書中で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物、好ましくは、病態に罹患している任意の年齢のヒトを含む。治療を必要とする者には、既にアトピー性皮膚炎を有する個体、並びに疾患を有するリスクがあるか、又は最終的に疾患にかかり得る者が含まれ得る。治療の必要性は、例えばアトピー性皮膚炎の発症に関連する1つ以上の危険因子の存在、アトピー性皮膚炎の存在若しくは進行、又はアトピー性皮膚炎を有する対象の治療に対する可能性のある受容性によって評価される。例えば、アトピー性皮膚炎を「治療すること」は、関連する症状を減少させること又は排除することを包含し得るが、根底にある疾患病因例えば、遺伝子不安定性遺伝子座の排除を必ずしも包含しない。
【0178】
「治療する」という用語は、病状(疾患、障害又は状態)の進行を阻害、予防又は停止すること、及び/又は病状の軽減、寛解又は退行を引き起こすことを指す。当業者は、様々な方法論及びアッセイを使用して、病態の発症を評価することができ、同様に、様々な方法論及びアッセイを使用して、病態の低減、寛解又は退行を評価することができることを理解するであろう。
【0179】
バクテリオファージは、それ自体で使用され得るか、又は医薬組成物の一部として使用され得、ここで、好適な担体又は賦形剤と混合される。
【0180】
本明細書で使用される場合、「医薬組成物」とは、本明細書中に記載される1つ以上の活性成分と、他の化学成分(例えば、生理学的に好適な担体及び賦形剤)との調製物をいう。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることである。
【0181】
本明細書において、「有効成分」という用語は、生物学的効果を担うバクテリオファージを指す。
【0182】
以下、互換的に使用され得る「生理学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される担体」という語句は、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物学的活性及び特性を無効にしない担体又は希釈剤を指す。
【0183】
本明細書において、「賦形剤」という用語は、活性成分の投与を更に容易にするために医薬組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の非限定的な例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖及び種々のタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0184】
薬物の製剤化及び投与のための技術は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」,Mack Publishing Co.,Easton,PA,最新版に見出され得るが、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
好適な投与経路としては、例えば、局所、吸入(例えば吸入器又はネブライザーによる)経口、直腸、経粘膜、特に経鼻、腸又は非経口送達、例えば、筋肉内、皮下及び髄内注射、並びに髄腔内、直接脳室内、心臓内、例えば右心室若しくは左心室腔へ、総冠状動脈への注射、静脈内、腹腔内、鼻腔内又は眼内注射が挙げられる。
【0186】
あるいは、医薬組成物を全身的ではなく局所的に、例えば皮膚への局所適用によって投与してもよい。一実施形態では、バクテリオファージは、対象の腫瘍に直接投与されてもよい。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物は、当技術分野で周知のプロセスによって、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入、噴霧乾燥、コーティング、又は凍結乾燥プロセスによって製造することができる。
【0188】
したがって、本発明のいくつかの実施形態に従って使用するための医薬組成物は、医薬的に使用することができる調製物への活性成分の加工を容易にする賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の様式で製剤化することができる。適切な製剤は、選択される投与経路に依存する。
【0189】
いくつかの実施形態では、組成物は、哺乳動物の皮膚、哺乳動物の眼、哺乳動物の歯、又は哺乳動物に挿入されるインプラントへの送達のために製剤化される。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0190】
いくつかの実施形態では、組成物は、局所塗布用に製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、ゲル、クリーム、軟膏、ローション、ペースト、溶液、マイクロエマルジョン、液体洗浄剤、スプレー、塗布スティック、化粧品、包帯、洗顔料、石鹸、粉末、スプレー、カプセル、点眼剤、眼軟膏、眼ローション、固体、若しくは湿ったスポンジワイプの形態であるか、又は固体表面に結合される。いくつかの実施形態では、組成物は、アジュバント、担体、又はビヒクルを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、可溶化剤、皮膚軟化剤、保湿剤、増粘剤、透過促進剤、キレート剤、抗酸化剤、緩衝剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤、及び防腐剤から選択される1つ以上の添加剤を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ゲル形成剤、クリーム形成剤、ワックス、油、界面活性剤、及び結合剤のうちの1つ以上を含む。
【0191】
物質、化合物、組成物、製剤、又は薬剤を対象に「投与すること」又はそれらの「投与」は、当業者に公知の様々な方法のうちの1つを使用して行うことができる。例えば、化合物又は薬剤は、皮膚、歯、眼、又は水晶体嚢及び角膜実質を含むがこれらに限定されない眼の一部に適用することによって、局所的に投与することができる。例えば、組成物は、局所投与に適した形態であってもよく、クリーム、ペースト、溶液、粉末、スプレー、エアロゾル、カプセル、点眼剤、眼軟膏、眼ローション、固体、若しくはゲルの形態であってもよく、又は固体表面に結合されていてもよい。組成物はまた、洗顔料、石鹸、塗布スティック、化粧品、又は包帯の一部を形成してもよい。投与はまた、例えば、1回、複数回、及び/又は1つ以上の長期間にわたって行うことができる。いくつかの態様では、投与は、自己投与を含む直接投与、及び製剤を処方する行為を含む間接投与の両方を含む。例えば、本明細書中で使用される場合、患者に処方物を自己投与するように指示する医師、又は別の者によって処方物を投与させる医師、及び/又は患者に処方物の処方箋を提供する医師は、患者に処方物を投与している。
【0192】
本明細書に記載される医薬組成物は、医薬的使用のための組成物への活性成分の加工を容易にする賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理学的に許容される担体を使用して、従来の様式で製剤化され得る。医薬組成物を製剤化する方法は、その分野で公知である(例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,」Mack Publishing Co.,Easton,PAを参照のこと)。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、溶液、マイクロエマルジョン、ローション、液体洗浄剤、スプレー、塗布スティック、化粧品、包帯、洗顔料、石鹸、粉末、スプレー、カプセル、点眼剤、眼軟膏、眼ローション、固体、湿潤スポンジワイプ、又は固体表面に結合された組成物を製造する方法を含むがこれらに限定されない、局所投与のための適切な製剤に供される。
【0193】
本明細書に記載されるバクテリオファージは、任意の適切な局所的投薬量剤形(例えば、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、溶液、マイクロエマルジョン、ローション、液体洗浄剤、スプレー、塗布スティック、化粧品、包帯、洗顔料、石鹸、粉末、スプレー、カプセル、点眼剤、眼軟膏、眼ローション、固体、湿潤スポンジワイプ、又は固体表面に結合されてもよい)で、任意の適切なタイプの投与(例えば、即時放出、パルス状放出、遅延放出、長時間放出、又は持続的放出)のための医薬組成物に製剤化されてもよい。一部の実施形態では、バクテリオファージは、ゲル、クリーム、ペースト、軟膏、溶液、マイクロエマルジョン、ローション、液体洗浄剤、スプレー、塗布スティック、化粧品、包帯、洗顔料、石鹸、粉末、スプレー、カプセル、点眼剤、眼軟膏、眼ローション、固体、湿ったスポンジワイプとして投与するために製剤化されるか、又は固体表面に結合され得る。組成物は、毎日、毎週、又は毎月1回又は複数回投与され得る。
【0194】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、局所製剤としての使用のために、又はインプラントへの適用のために、担体粒子に共有結合され得る。いくつかの実施形態では、担体粒子は、典型的にはほぼ球状であり、20ミクロンまで、15ミクロンまで、10ミクロンまでの平均直径、0.1ミクロンから、0.5ミクロンからの平均直径、又はこれらの任意の組み合わせの平均直径、例えば、0.1ミクロン~20ミクロン又は0.5ミクロン~10ミクロンの平均直径を有し得る。粒子は、一般に、ほぼ円形又は回転楕円体であり得る。それらは、特に身体の敏感な部分に使用するために、好ましくは滑らかである。粒径は、当技術分野で標準として認識されている方法及び装置を使用して適切に測定される。分散液中の粒子サイジングは、レーザー回折、動的光散乱(dynamic light scattering、DLS)、ディスク遠心分離、及び光学顕微鏡法を含む様々な技術を使用して達成することができる。サイジング装置の例は、Malvern Instruments社(UK)によって製造され、これはレーザー回折法を用いている。いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、複数の粒子に共有結合され得る。これらは、好ましくは、比較的均質な形態であり、複数の粒子の大部分が、20ミクロンまで、15ミクロンまで、10ミクロンまでの直径、0.1ミクロンから、0.5ミクロンからの直径、又はこれらの任意の組み合わせ(例えば、0.1ミクロン~20ミクロン又は0.5ミクロン~10ミクロン)の直径を有する。いくつかの実施形態では、ファージが共有結合した粒子の80%以上、90%以上又は95%以上が、20ミクロンまで、15ミクロンまで、10ミクロンまでの直径、0.1ミクロンから、0.5ミクロンからの直径、又はこれらの任意の組み合わせ、例えば、0.1ミクロン~20ミクロン又は0.5ミクロン~10ミクロンの直径を有する。国際公開第2015118150号は、バクテリオファージ製剤に使用することができる担体粒子を更に記載している。
【0195】
バクテリオファージが共有結合によって固定化される用途において使用するための粒子は、一般に、処置される動物に対して実質的に不活性である。実施例では、ナイロン粒子(ビーズ)を使用した。他の不活性な、好ましくは非毒性の生体適合性材料を使用してもよい。加えて、粒子は生分解性材料から作られてもよい。適切な材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、エチレン/アクリレートコポリマー、ナイロン-12、ポリウレタン、シリコーン樹脂、シリカ、及びナイロン1010が挙げられる。国際公開第2003093462号は、粒子がそこから作製され得る更なる材料を記載している。
【0196】
バクテリオファージの粒子基質への固定化又は付着は、バクテリオファージコートタンパク質と担体基質との間に形成される共有結合によって達成され得る。バクテリオファージはまた、バクテリオファージの添加及び結合の前に基質粒子を活性化することによって、それらの頭部、尾部、又は莢膜を介して基質に固定化され得る。「活性化された/活性化する/活性化」という用語は、例えばコロナ放電によって電気的に、又は当該基材を様々な化学基と反応させる(バクテリオファージ頭部、尾部又は莢膜基などのウイルスに結合することができる表面化学物質を残す)ことによってなど、基材を活性化することを指す。国際公開第2015118150号、同第2003093462号、及び同第2007072049号は、当該基質の活性化、ファージの基質へのカップリング、及びファージの粒子への共有結合のための方法の詳細を更に記載している。
【0197】
いくつかの実施形態では、バクテリオファージは、哺乳動物の皮膚、眼、歯、又はインプラントへの送達のために製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、バクテリオファージ及び薬学的又は美容的に許容される賦形剤を含み、ここで、バクテリオファージ及び賦形剤は、天然には一緒に存在しない。いくつかの実施形態では、組成物は、バクテリオファージ及び薬学的又は美容的に許容される賦形剤を含み、ここで、賦形剤は、天然に存在しない賦形剤である。いくつかの実施形態では、組成物は、薬学的又は美容的に許容されるポリマー中に封入されたバクテリオファージを含み、ここで、ポリマーは非天然ポリマーである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物は、ファージのより長い貯蔵寿命及び貯蔵を容易にして、再現可能な用量を確実にし、所望の作用部位又は吸着部位への有効な送達を容易にするために、カプセル化され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、エマルジョン、軟膏、ポリマー又は脂質微粒子(マイクロスフェア及び微結晶)、ナノ粒子、ナノファイバー、マイクロファイバー、膜、薄膜構造、及び/又はリポソーム中にカプセル化され得る。天然及び合成ポリマーは、ファージのカプセル化のために使用され得る。ファージカプセル化は、種々の親水性及び疎水性ポリマー(アガロース、アルギネート、キトサン、ペクチン、乳清タンパク質、ゲル化乳タンパク質、ヒアルロン酸メタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(DL-ラクチド:グリコリド)、ポリエステルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド/ポリビニルアルコール、二酢酸セルロース、及び/又はポリメチルメタクリレートが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して行われ得る。リポソーム中にカプセル化されたファージの調製のために使用され得る材料の例としては、ホスファチジルコリン、コレステロール、Softisan 100(商標)、ダイズホスファチジルコリン、DOPC(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン)、DOPS(1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-L-セリン)、DLPC(1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホリルコリン)、コレステロールPEG600、及び/又はコレステリルエステルが挙げられるが、これらに限定されない。局所投与のための固体-液体粒子は、固体脂質及びアジュバント(界面活性剤及び乳化剤(例えば、ステアリン酸、オレイン酸、トリパルミチン、セチルアルコール、パルミチン酸セチル、トリステアリン、トリミリスチン、及び水素化植物性脂肪(HVF)、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、タウロコール酸ナトリウム、オクタデシルアルコール、Tween 80、Poloxamer 188、Compritol(登録商標)888 ATO、Imwitor(登録商標)900、Precirol(登録商標)ATO5、カルナウバワックス及びオレイン酸イソデシル、水素化ホスファチジルコリン、コレステロール)が挙げられるが、これらに限定されない)によって生成され得る。Malik et al.,2017、Bacteriophage Methods and Protocols 2018、及びDas and Chaudhury,2011は、バクテリオファージカプセル化のための更なる材料及び技術を記載している。
【0198】
いくつかの実施形態では、組成物は単一用量剤形である。単一用量剤形は、液体、ゲル又はクリーム形態であってよい。単一用量剤形は、修飾することなく患者に直接投与してもよく、又は投与前に希釈若しくは再構成してもよい。組成物の単一用量剤形は、組成物をより小さいアリコート、単一用量容器、単一用量液体形態、又は単一用量固体形態(例えば、錠剤、顆粒、ナノ粒子、ナノカプセル、マイクロカプセル、マイクロ錠剤、ペレット、又は粉末)に分割することによって調製され得る。固体形態の単一用量は、患者への投与前に、液体、典型的には滅菌水若しくは生理食塩水溶液を添加することによって、又は他の皮膚製剤成分と混合することによって再構成され得る。
【0199】
治療応答を提供するように、投与量レジメンを調整することができる。投薬は、疾患の重症度及び応答性、投与経路、処置の時間経過(数日から数ヶ月、数年)、並びに状態の改善までの時間を含むいくつかの因子に依存し得る。例えば、一個の大きな丸薬を一度に投与してもよく、数回に分割した用量を所定の期間にわたって投与してもよく、又は治療状況によって示されるように用量を減少若しくは増加させてもよい。
【0200】
いくつかの実施形態では、成分は、別々に供給されるか、又は単位剤形中に一緒に混合されて提供されるかのいずれかである。医薬組成物は、薬剤の量を示すアンプル又はサシェなどの密封容器に包装することができる。いくつかの実施形態において、1つ以上の医薬組成物は、密封容器中の乾燥滅菌凍結乾燥粉末又は無水濃縮物として供給され、対象への投与のために適切な濃度に(例えば、水又は生理食塩水で)再構成することができる。いくつかの実施形態では、予防剤若しくは治療剤又は薬学的組成物のうちの1つ以上は、密封容器中の乾燥滅菌凍結乾燥粉末として供給され、投与前に再構成される。いくつかの実施形態では、乾燥滅菌凍結乾燥粉末は、噴霧乾燥によって生成され、以下のうちの1つの混合物を含むことができる。30~50%デキストラン、40~70%スクロース、0.5~2%トリス、及び1~3%ロイシン、又は30~50%ヒドロキシエチルデンプン、40~70%スクロース、0.5~2%トリス、及び1~3%ロイシン。凍結保護剤、主に0~10%スクロース(最適には0.5~1.0%)を、凍結乾燥剤形に含めることができる。他の適切な凍結保護剤としては、トレハロース及びラクトースが挙げられる。他の適切な増量剤としては、グリシン及びアルギニン(いずれも0~0.05%の濃度で含まれ得る)、並びにポリソルベート-80(最適には0.005~0.01%の濃度で含まれる)が挙げられる。更なる界面活性剤としては、ポリソルベート20及びBRIJ界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0201】
注射のために、医薬組成物の活性成分は、水溶液、好ましくは生理学的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス液、リンゲル液、又は生理学的塩緩衝液)中で製剤化され得る。経粘膜投与のためには、透過すべき障壁に適した浸透剤が製剤中に使用される。そのような浸透剤はその技術分野で周知である。
【0202】
経口投与の場合、医薬組成物は、活性化合物を当技術分野で周知の薬学的に許容される担体と組み合わせることによって容易に製剤化することができる。そのような担体は、医薬組成物が、患者による経口摂取のための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などとして製剤化されることを可能にする。経口使用のための医学的調製物は、固体賦形剤を使用して作製され得るが、任意選択で、得られた混合物を粉砕し、所望される場合、適切な助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工して、錠剤又は糖衣錠コアを得ることができる。適切な賦形剤は、充填剤、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖など、セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボメチルセルロースナトリウムなど;及び/又は生理学的に許容されるポリマー、例えばポリビニルピロリドン(PVP)などである。所望であれば、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリドン、アガー、又はアルギン酸若しくはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム))が添加され得る。
【0203】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが備わっている。この目的のために、濃縮糖溶液が使用され得、これは、必要に応じて、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含み得る。識別のため、又は活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに添加してもよい。
【0204】
経口的に使用され得る医薬組成物としては、ゼラチンから作製されるプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及び可塑剤(例えば、グリセロール又はソルビトール)から作製される軟質密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び任意選択で安定剤と混合した活性成分を含有してもよい。軟カプセルにおいて、活性成分は、脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体に溶解又は懸濁され得る。更に、安定剤を添加してもよい。経口投与のための全ての製剤は、選択された投与経路に適した投与量であるべきである。
【0205】
口腔投与のために、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又は薬用キャンディーの形態をとってもよい。
【0206】
鼻吸入による投与のために、本発明のいくつかの実施形態に従って使用するための活性成分は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は二酸化炭素の使用を伴う加圧パックからのエアロゾルスプレー提示の形態で好適に送達される。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって決定され得る。ディスペンサーで使用するための例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物を含有して製剤化することができる。
【0207】
本明細書に記載の医薬組成物は、例えばボーラス注射又は連続注射による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、単位剤形、例えばアンプルで、又は複数回用量容器で、任意選択で保存剤を添加して提供することができる。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又はエマルジョンであってもよく、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有してもよい。
【0208】
非経口投与用の医薬組成物は、水溶性形態の活性調製物の水溶液を含む。更に、活性成分の懸濁液は、適切な油性又は水性注射懸濁液として調製することができる。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル、トリグリセリド若しくはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが挙げられる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。任意選択で、懸濁液はまた、好適な安定剤又は活性成分の溶解度を増加させて高濃縮溶液の調製を可能にする薬剤を含有し得る。
【0209】
代替的に、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル例えば、滅菌された、発熱物質を含まない水性溶液で構成するための粉末形態であり得る。
【0210】
本発明のいくつかの実施形態の医薬組成物は、例えばカカオ脂又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を使用して、坐剤又は停留浣腸などの直腸用組成物に製剤化することもできる。
【0211】
本発明のいくつかの実施形態の文脈における使用に好適な医薬組成物は、活性成分が意図された目的を達成するのに有効な量で含有される組成物を含む。より具体的には、治療有効量は、傷害(例えば、炎症性腸疾患)の症状を予防、緩和若しくは改善するか、又は治療される対象の生存を延長するのに有効な活性成分(バクテリオファージ)の量を意味する。
【0212】
治療有効量の決定は、特に本明細書に提供される詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0213】
本発明の方法において使用される任意の調製物について、治療有効量又は用量は、インビトロアッセイ及び細胞培養アッセイから最初に推定され得る。例えば、用量を動物モデルにおいて製剤化して、所望の濃度又は力価を達成することができる。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約10の感染多重度(MOI)に対応する量で1つ又は2つ以上のバクテリオファージを提供するように、それを必要とする対象に送達される。MOIは、感染部位におけるおよその細菌負荷を評価することによって、又は所定の型の疾患についての推定値を使用し、次いで所望のMOIを与えるように計算された量でファージを提供することによって決定される。
【0215】
いくつかの実施形態では、MOIは、細菌1つ当たり平均して10個のファージが吸着されている場合、細菌密度が有意に減少すると述べている「10倍のルール」に基づいて選択することができる(Abedon S T,2009,Foodborne Pathog Dis 6:807-815;and Kasman L M,et al.,2002,J Virol 76:5557-5564)。一方、より低い力価のファージ投与(例えば、10未満のMOIを使用する)は、成功する可能性が低い(Goode D,et al.,2003,App Environ Microbiol 69:5032-5036;Kumari S,et al.,2010,J Infect Dev Ctries 4:367-377)。
【0216】
他の実施形態において、ファージ(又はファージの組み合わせ)の量は、皮膚の規定サイズ領域上に存在する細菌例えば、黄色ブドウ球菌の量を少なくとも5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は更に100%減少させるように提供される。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書に記載されるバクテリオファージは、対象におけるアトピー性皮膚炎(AD)のうちの少なくとも1つの発現を改善するために投与され、未治療の又は対照の対象におけるレベルと比較して、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又はそれ以上改善する、状態又は障害の1つ以上の症状又は物理的パラメータをもたらす。いくつかの態様では、改善は、バクテリオファージの投与前及び投与後の対象における症状又は身体パラメータを比較することによって測定される。いくつかの実施形態では、測定可能な物理的パラメータは、対象の皮膚試料又は血液試料からの細菌コロニー形成単位(colony-forming unit、CFU)数又はプラーク形成単位(plaque-forming unit、PFU)数の減少である。
【0218】
本明細書に記載される活性成分の毒性及び治療有効性は、インビトロ、細胞培養、又は実験動物において、標準的な医薬的手順によって決定することができる。これらのインビトロ及び細胞培養アッセイ並びに動物研究から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲を製剤化する際に使用され得る。投薬量は、使用される剤形及び利用される投与経路に依存して変化し得る。正確な製剤、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択することができる。(例えば、Fingl,et al.,1975,in「The Pharmacological Basis of Therapeutics,」Ch.1 p.1を参照されたい)。
【0219】
投薬量及び間隔は、生物学的効果を誘導又は抑制するのに十分な活性成分のレベル(最小有効濃度、minimal effective concentration、MEC)を提供するように個々に調整され得る。MECは各調製物について変化するが、インビトロデータから推定することができる。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴及び投与経路に依存する。検出アッセイを使用して、血漿濃度を決定することができる。
【0220】
処置される状態の重篤度及び応答性に依存して、投薬は、単回又は複数回の投与であり得、処置の過程は、数日から数週間まで、又は治癒がもたらされるまで、又は疾患状態の減少が達成されるまで続く。
【0221】
投与される組成物の量は、もちろん、処置される被験体、苦痛の重篤度、投与の様式、処方する医師の判断などに依存する。
【0222】
本発明のいくつかの実施形態の組成物は、必要に応じて、有効成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有し得る、FDA承認キットなどのパック又はディスペンサー装置で提供され得る。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属箔又はプラスチック箔を含み得る。パック又はディスペンサー装置には、投与のための説明書が添付されていてもよい。パック又はディスペンサーはまた、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関によって規定された形態で容器に付随する通知によって収容され得るが、この通知は、組成物の形態又はヒト若しくは動物への投与の機関による承認を反映する。そのような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベルのもの、又は承認された製品挿入物のものであってもよい。適合性の医薬担体中に製剤化された本発明の調製物を含む組成物はまた、上記で更に詳述されるように、調製され、適切な容器に入れられ、示された状態の治療のためにラベル付けされ得る。
【0223】
本明細書に記載される組成物は、2つ以上のファージ株を含み得る。一実施形態では、組成物は、2つのファージ株、3つのファージ株、4つのファージ株、5つのファージ株、又はそれ以上を含む。
【0224】
一実施形態では、バクテリオファージカクテルは、単一の黄色ブドウ球菌株を標的化する複数のファージを含む。
【0225】
一実施形態では、バクテリオファージカクテルは、2つ以上の黄色ブドウ球菌株を標的化する複数のファージを含む。
【0226】
ファージの特定の組み合わせの例を以下に提供する。
【0227】
本発明の医薬組成物はまた、本明細書に記載されるような、かつ/又は当技術分野で公知の、細菌感染症の治療及び/又は予防に有用な1つ以上の非ファージ治療剤及び/又は予防剤例えば、1つ以上の従来の抗生剤と組み合わせてもよい。本発明のファージ(複数可)又はファージ産物(複数可)と組み合わせて使用され得る他の治療剤及び/又は予防剤としては、抗生物質、抗炎症剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤、又は局所麻酔剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0228】
本明細書に記載されるバクテリオファージと共に投与され得る標準的な又は従来の抗生物質としては、限定されないが、本明細書に記載されるバクテリオファージと共に投与され得る標準的な又は従来の抗生物質としては、限定されないが、アミカシン、ゲンタミシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、ロドストレプトマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、アプラマイシン、リファマイシン、ナフトマイシン、ムピロシン、ゲルダナマイシン、アンサマイトシン、カルバセフェム、イミペネム、メロペネム、エルタペネム、ファロペネム、ドリペネム、パニペネム/ベタミプロン、ビアペネム、PZ-601、セファロスポリン、セファセリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファロチン、セファピリン、セファトリジン、セファザフルール、セファゼドン、セファゾリン、セフラジン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セフォニシド、セフプロジル、セフロキシム、セフゾナム、セフゾナム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、セフカペン、セフダロキシム、セフジニル、セフジトレン、セフタメット、セフィキシム、セフメノキシム、セフテラム、セフチブテン、セフチオフルセフチオレン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、ラタモキセフ、セフクリジン、セフピメ、セフルプレナム、セフォセリス、セフォゾプラン、セフピロメ、セフキノメ、フロモキセフ。セフトビプロール、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、アズトレオナム、ペンシリン及びペニシリン誘導体、アクチノマイシン、バシトラシン、コリスチン、ポリミキシンB、シノキサシン、フルメキン、ナリジクス酸、オキソリニック酸、ピロミジン酸、ピペミド酸、ロソキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、フレロキサシンロメフロキサシン、ナジフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、ルフロキサシン、バロフロキサシン、ガチフロキサシン、グレパフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、パズフロキサシンスパルフロキサシン、テマフロキサシン、トスフロキサシン、クリナフロキサシン、ガレノキサシン、ゲミフロキサシン、スチフロキサシン、トロバルフロキサシン、プルリフロキサシン、アセタゾラミド、ベンゾラミドブメタニド、セレコキシブ、クロルタリドン、クロパミド、ジクロルフェナミド、ドルゾラミド、エトキシゾラミド、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、マフェンジドメフルシド、メトラゾン、プロベネシド、スルファセトアミド、スルファジメトキシン、スルファドキシン、スルファニルアミド、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルチアメ、スマトリプタン、キシパミドテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、リメサイクリン、メクロサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、ロリテトラサイクリン、メチシリン、ナフシリンオキサシリン、クロキサシリン、バンコマイシン、テイコプラニン、クリンダマイシン、コトリモキサゾール、フルクロキサシリン、ジクロキサシリン、アンピシリン、アモキシシリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0229】
標準的な抗真菌剤には、リポソーマルアンフォテリシンB及び非リポソーマルアンフォテリシンBなどのアンフォテリシンBが含まれる。
【0230】
本発明者らは更に、減少した「陰性」細菌によって残されたニッチを占有するために、「良好な」細菌を含むプロバイオティクスを対象に投与することを企図する。そのようなプロバイオティック細菌は、乳酸桿菌、サッカロマイセスブラウディ、及び/又はビフィズス菌を含み得る。
【0231】
本発明のバクテリオファージ及びバクテリオファージカクテルは、院内感染の発生を予防又は低減するために、細菌、特に黄色ブドウ球菌の増殖を制御するための抗感染性組成物において使用することができる。抗感染性組成物は、それと接触する表面上の細菌のコロニー形成又は増殖を低減又は阻害するのに使用される。本発明のバクテリオファージは、生物学的表面(例えば、皮膚及び粘膜)への適用のため、並びに非生物学的表面への適用のために製剤化される組成物に組み込まれ得る。
【0232】
生体表面上で使用するための抗感染製剤としては、ゲル、クリーム、軟膏、スプレーなどが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、抗感染製剤は、術野、又は医療従事者及び/若しくは患者の手及び/若しくは露出した皮膚を滅菌するために使用される。
【0233】
非生物学的表面上で使用するための抗感染製剤としては、スプレー、溶液、懸濁液、溶液又は懸濁液を含浸させたワイプなどが挙げられる。特定の実施形態において、抗感染製剤は、例えば器具、調理台、及び医療機器、病院設備を含む、病院、ナーシングホーム、救急車などにおける固体表面上で使用される。好ましい実施形態では、非生物学的表面は、病院装置又は病院設備の一部の表面である。特に好ましい実施形態では、非生物学的表面は、外科用装置又は外科用設備の一部である。
【0234】
本発明はまた、細菌感染の部位における原因物質を決定するための診断方法を包含する。特定の実施形態では、細菌感染の原因因子の診断は、(i)患者由来の試料、例えば、皮膚試料、腫瘍生検、糞便試料又は感染症を引き起こす細菌を培養するのに適切な他の試料を培養すること、(ii)その培養物を本発明の1つ又は2つ以上のバクテリオファージと接触させること、並びに(iii)その培養物の細胞増殖及び/又は溶解の証拠をモニタリングすることによって実行される。ファージの活性は種又は株特異的である傾向があるため、本発明の1つ又は2つ以上のファージに対する感受性又は感受性の欠如は、感染を引き起こす細菌の種又は株を示すことができる。
【0235】
試料は、患者から採取された組織生検若しくはスワブ、又は血液、涙、若しくは尿などの流体試料であってもよい。
【0236】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、ある値の+/-10%を指す。
【0237】
「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(having)」という用語及びそれらの活用形は、「含むがそれに限定されない」ことを意味する。
【0238】
「~からなる」という用語は、「~を含み、~に限定される」ことを意味する。
【0239】
「から本質的になる」という用語は、組成物、方法又は構造が、追加の成分、ステップ及び/又は部分を含んでもよいが、追加の成分、ステップ及び/又は部分が、特許請求される組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特徴を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0240】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。例えば、「化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、複数の化合物(それらの混合物を含む)を含み得る。
【0241】
本出願を通して、本発明の様々な実施形態は、範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔さのためであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、具体的に開示された全ての可能な部分範囲並びにその範囲内の個々の数値を有すると考えられるべきである。例えば、1~6などの範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、並びにその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示しているとみなされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0242】
数値範囲が本明細書で示されるときはいつでも、示された範囲内の任意の引用された数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の指示数及び第2の指示数「の間の範囲/範囲」、並びに第1の指示数「から」第2の指示数「までの範囲/範囲」という句は、本明細書において互換的に使用され、第1及び第2の指示数、並びにそれらの間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。
【0243】
本明細書で使用する「方法」という用語は、化学、薬学、生物学、生化学及び医学の実務者に公知であるか、又はこれらの者により、既知の様式、手段、技術及び手順から容易に開発されるものを含むが、これらに限定されない、所定の課題を達成するための様式、手段、技術及び手順を指す。
【0244】
特定の配列表に言及する場合、そのような言及は、例えば配列決定エラー、クローニングエラー、又は塩基置換、塩基欠失若しくは塩基付加をもたらす他の変化から生じるマイナーな配列変動を含むものとして、その相補配列に実質的に対応する配列も包含すると理解されるべきであるが、ただし、そのような変動の頻度は、50ヌクレオチド中1未満、あるいは100ヌクレオチド中1未満、あるいは200ヌクレオチド中1未満、あるいは500ヌクレオチド中1未満、あるいは1000ヌクレオチド中1未満、あるいは5,000ヌクレオチド中1未満、あるいは10,000ヌクレオチド中1未満である。
【0245】
本出願に開示される任意の配列識別番号(SEQ ID NO)は、そのSEQ ID NOがDNA配列形式又はRNA配列形式でのみ発現される場合であっても、そのSEQ ID NOが言及される文脈に依存して、DNA配列又はRNA配列のいずれかを指し得ることが理解される。同様に、いくつかの配列は、記載される分子の実際のタイプに応じて、RNA配列形式で表されるが(例えば、ウラシルについてUを記載する)、それは、dsRNAを含むRNA分子の配列、又は示されるRNA配列に対応するDNA分子の配列のいずれかを指すことができる。いずれにしても、任意の置換体と共に開示される配列を有するDNA分子及びRNA分子の両方が想定される。
【0246】
明確にするために別々の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴は、別々に、又は任意の好適なサブコンビネーションで、又は本発明の任意の他の記載された実施形態において好適なように提供されてもよい。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作しない場合を除き、それらの実施形態の本質的な特徴とみなされるべきではない。
【0247】
上記で説明され、以下の特許請求の範囲の項で請求される本発明の様々な実施形態及び態様は、以下の実施例において実験的な裏付けを見出す。
【実施例
【0248】
ここで以下の実施例を参照するが、これらの実施例は、上記の説明と共に、本発明のいくつかの実施形態を非限定的に例示するものである。
【0249】
一般に、本明細書中で使用される命名法、及び本発明において利用される実験手順は、分子技術、生化学技術、微生物学的技術、及び組換えDNA技術を含む。このような技術は、文献において十分に説明されている。例えば、以下を参照:「Molecular Cloning:A laboratory Manual」Sambrook et al.,(1989)、「Current Protocols in Molecular Biology」Volumes I-III Ausubel,R.M.,ed.(1994)、Ausubel et al.,「Current Protocols in Molecular Biology,」John Wiley and Sons,Baltimore,Maryland(1989)、Perbal,「A Practical Guide to Molecular Cloning,」John Wiley & Sons,New York(1988)、Watson et al.,「Recombinant DNA,」Scientific American Books,New York、Birren et al.(eds)「Genome Analysis:A Laboratory Manual Series,」Vols.1-4,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1998)。また、以下の米国特許に記載の方法も参照:米国特許第4,666,828号、同第4,683,202号、同第4,801,531号、同第5,192,659号、及び同第5,272,057号。更に、以下も参照:「Cell Biology:A Laboratory Handbook,」Volumes I-III Cellis,J.E.,ed.(1994)、「Culture of Animal Cells-A Manual of Basic Technique」by Freshney,Wiley-Liss,N.Y.(1994),Third Edition、「Current Protocols in Immunology」Volumes I-III Coligan J.E.,ed.(1994)、Stites et al.(eds),「Basic and Clinical Immunology」(8th Edition),Appleton & Lange,Norwalk,CT(1994)、Mishell and Shiigi(eds),「Selected Methods in Cellular Immunology,」W.H.Freeman and Co.,New York(1980)。利用可能な免疫学的検定は、特許文献及び科学文献に広く記載されており、例えば、米国特許第3,791,932号、同第3,839,153号、同第3,850,752号、同第3,850,578号、同第3,853,987号、同第3,867,517号、同第3,879,262号、同第3,901,654号、同第3,935,074号、同第3,984,533号、同第3,996,345号、同第4,034,074号、同第4,098,876号、同第4,879,219号、同第5,011,771号、及び同第5,281,521号を参照。また、以下も参照:「Oligonucleotide Synthesis」Gait,M.J.,ed.(1984)、「Nucleic Acid Hybridization」Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1985)、「Transcription and Translation」Hames,B.D.,and Higgins S.J.,eds.(1984)、「Animal Cell Culture」Freshney,R.I.,ed.(1986)、「Immobilized Cells and Enzymes」IRL Press,(1986)、「A Practical Guide to Molecular Cloning」Perbal,B.,(1984)and「Methods in Enzymology」Vol.1-317,Academic Press、「PCR Protocols:A Guide To Methods And Applications,」Academic Press,San Diego,CA(1990)、Marshak et al.,「Strategies for Protein Purification and Characterization-A Laboratory Course Manual」CSHL Press(1996)。以上は全て、参照により本明細書に完全に記載されているかのように組み込まれる。他の一般的な参考文献は、本明細書を通して提供される。その中の手順は、その技術分野において周知であると考えられ、読者の便宜のために提供される。そこに含まれる全ての情報は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0250】
実施例1 ファージの単離及び特徴付け
材料及び方法
細菌標的アセンブリ、細菌配列決定、及び特徴付け:
ATCC、CCUG、BEI、及びIMHA細菌リポジトリから、損傷ヒト皮膚由来の以下の120個の細菌単離株の集合体を入手し、感染ファージの単離に使用した。ATCC-HFH-30676、ATCC-NCTC 9318、BEI-HFH-29568、BEI-MRSA131、BEI-Sa1263、BEI-Sa1303、BEI-SA1912、CCUG-10778、CCUG-17417、CCUG-30188 B、CCUG-35603、CCUG-38604、CCUG-47207、CCUG-49255、CCUG-56450、CCUG-60578、CCUG-68145、CCUG-7410、IHMA-2162980、IHMA-2163579、IHMA-2163598、IHMA-2163653、IHMA-2163681、IHMA-2163703、IHMA-2163709、IHMA-2163714、IHMA-2163719、IHMA-2164168、IHMA-2164169、IHMA-2164172、IHMA-2164173、IHMA-2164174、IHMA-2164178、IHMA-2164182、IHMA-2164188、IHMA-2164189、IHMA-2164190、IHMA-2164192、IHMA-2164194、IHMA-2164195、IHMA-2164196、IHMA-2164197、IHMA-2164201、IHMA-2164204、IHMA-2164205、IHMA-2164206、IHMA-2213861、IHMA-2213869、IHMA-2213905、IHMA-2213907、IHMA-2213918、IHMA-2213948、IHMA-2213965、IHMA-2213976、IHMA-2213985、IHMA-2213993、IHMA-2214003、IHMA-2221107、IHMA-2221108、IHMA-2221113、IHMA-2221115、IHMA-2221118、IHMA-2221119、IHMA-2221120、IHMA-2221124、IHMA-2221125、IHMA-2221127、IHMA-2244260、IHMA-2244261、IHMA-2244269、IHMA-2244289、IHMA-2244311、IHMA-2244333、IHMA-2250008、IHMA-2262230、IHMA-2262285、IHMA-2262338、IHMA-2262342、IHMA-2262346、IHMA-2262355、IHMA-2262366、IHMA-2262373、IHMA-2262388、IHMA-2262396、IHMA-2262404、IHMA-2262410、IHMA-2262411、IHMA-2262414、IHMA-2262417、IHMA-2262418、IHMA-2262425、IHMA-2262426、IHMA-2262427、IHMA-2281017、IHMA-2281018、IHMA-2281019、IHMA-2281020、IHMA-2281021、IHMA-2281022、IHMA-2281024、IHMA-2281026、IHMA-2281027、IHMA-2281030、IHMA-2281031、IHMA-2311520、IHMA-2311525、IHMA-2311527、IHMA-2311529、IHMA-2311531、IHMA-2311535、IHMA-2311536、IHMA-2311547、IHMA-2311548、IHMA-2311549、IHMA-2311550、IHMA-2311552、IHMA-2311553、IHMA-2311568、及びIHMA-2311588。
【0251】
単離株は、黄色ブドウ球菌系統樹全体にわたって良好に分布している(図4)。各黄色ブドウ球菌単離株を、150bpペアエンドリードの、Illumina Nextera配列決定を使用して配列決定した。Trimgalore(github(dot)com/FelixKrueger/TrimGalore)/TrimGalore)及びcutadapt(Martin,2011)を使用して、アダプタ除去及び品質トリミングを行った。30未満のphredスコアを有する位置をリードから削除し、低品質ヌクレオチドを除去した後の55bpより短いリードを完全に廃棄した。SPAdes(Bankevichら、2012)を用いてアセンブリを行った。黄色ブドウ球菌分類の検証を、pubmlst(ドット)org/organisms/staphylococcusを使用して行った。結果は、アセンブリのコンティグを、refseq(www(dot)ncbi(dot)nlm(dot)nih(dot)gov/refseq/)で提供される既知のブドウ球菌種のゲノムと比較することによって得られた。BLAST(Altschul,1990)を用いて比較を行い、既知のブドウ球菌種間の同一性に由来する系統樹からブドウ球菌種を決定した。なお、距離測定基準はMashである(Ondov et al.,2016)。細菌分離株のクローン複合体及びMLSTを、pubmlst(ドット)org/organisms/staphylococcus-aureusによって決定した。
【0252】
ファージ単離、増幅及びファージ力価の決定
ファージを液体ブロス又は軟アガー二重アガー重層プラークから増幅した。液体ブロスからの増幅を、50μLの単離ファージ試料を、MOI 0.01で4mLの対数期宿主培養物中にOD=0.05で希釈し、37℃又は32℃(皮膚温度を模倣)で一晩インキュベートすることによって実施した。表皮ブドウ球菌プラークから増幅された場合、1μLループを使用してプラーク全体を採取し、培養物中にプラークを放出した(OD600=0.05)。チューブを遠心分離し、上清を0.45μmフィルターで濾過し、1mMの二価イオンCa2+及びMg2+を添加した。
【0253】
ファージ力価を以下のようにドロッププラークアッセイによって決定した:4mLの液体BHISに宿主の5~10個のコロニーを接種し、ODが2になるまで(16時間)37℃でインキュベートすることによって宿主培養物を調製した。150μLの宿主培養液を、二価イオンMn2+、Ca2+及びMg2+を含む4mLの溶融トップアガー(BHISトップアガー:BHIS培地、0.4%アガロース)に添加し、BHISアガープレート(1.6%アガロース)上に分注した。プレートを室温で15分間放置して固化させた後、プレートを37℃で30分間インキュベートした。次いで、ファージ試料の希釈物を滴下した(5μL)。プレートを一晩インキュベートした後、プラークを計数し(10~50プラーク/滴)、ファージ力価を決定した(プラーク数×200×計数希釈の逆数=PFU/mL)。
【0254】
固体宿主範囲
上記セクション(「ファージ単離、増幅及びファージ力価の決定」セクション)で詳述したのと同じ様式で、固体宿主範囲を実施した。プラーク計数(10~50プラーク/滴)及びファージ力価/宿主の決定後、平板培養の有効性(Efficiency of Plating、EOP)を以下のように計算した。
【0255】
【数1】
【0256】
感受性/耐性決定のために、0.1を超えるEOP(EOP>0.1)は、対応する細菌が各々のファージに感受性であることを意味する。%カバレッジは、試験した細菌株の数のパーセントとして感受性であることが判明した感受性細菌の数に基づいて決定した。
【0257】
液体宿主範囲:
各試験株の10個の細菌コロニーを採取し、4mLの液体BHISを予め充填した培養管に移した。180rpm、37℃で一晩(15~16時間)振盪することによって、培養物をOD600≧1.5までインキュベートした。細菌培養物を、1mM MMCイオンを補充したBHISを使用して希釈して、0.05の最終OD600に到達させ、96ウェルプレートに分注した。各ファージを10PFU/mlの濃度に希釈し、等しい比率で混合してカクテルの組み合わせを得た。次いで、10μLの単一又はカクテルファージをウェルに添加して、最終濃度を10PFU/ウェルとした。「ファージなし対照」(NPC)については、BHISを適切なウェルに添加した。鉱油を各ウェルに添加して試料の蒸発を減少させ、プレートを滅菌フィルムで覆って細菌を増殖させ、培養物を滅菌状態に保った。プレートを、振盪しながら37℃でプレートリーダーにおいて24時間インキュベートし、OD600を20分毎に測定した。アッセイのために2回の生物学的反復を行い、1mMのMMCイオンを補充したBHIS培地をブランクとして使用した。
【0258】
宿主範囲決定のために、細菌株は、アッセイの終わりに突然変異体が生じても、アッセイ中にOD600値の減少が観察された場合(OD600<0.1)、ファージに関して感受性であると定義された。
【0259】
宿主の総クリアランスを評価するアッセイのために、培養物を37℃又は32℃で24時間又は72時間インキュベートしたことを除いて、上記と同じ手順を使用した。最終OD600が0.2以下(クリアランス閾値とも呼ばれる)であった場合に、クリアランスを宣言した。37℃と32℃との間に宿主範囲の有意差は見られなかった。試験した細菌株の数のパーセントとして感受性であることが判明した感受性細菌の数に基づいて、%カバレッジを決定した。
【0260】
結果
損傷ヒト皮膚からの黄色ブドウ球菌単離株を用いてファージを探索した。ファージを環境試料(下水道)から単離し、精製し、配列決定した。それらの分類は、International Committee on Taxonomy of Viruses(ICTV)分類に基づく配列から推定した(表2)。更に、この配列を用いてファージ間の距離(配列相同性)を決定した(図1)。
【0261】
【表2】
【0262】
【表3】
【0263】
具体的には、ファージSTA48-1は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00170で寄託されている。
【0264】
ファージSTA48-2は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00171で寄託されている。
【0265】
ファージSTA48-3は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00172で寄託されている。
【0266】
ファージSTA48-4は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00173で寄託されている。
【0267】
ファージSTA48-5は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00174で寄託されている。
【0268】
ファージSTA48-6は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00175で寄託されている。
【0269】
ファージSTA48-7は、2021年12月6日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号F/00176で寄託されている。
【0270】
単離されたファージの局所BLASTに基づく相同性%を、図1に記載するように比較した。
【0271】
ファージの宿主範囲(host range、HR)を試験した。単離されたファージのHR分析を、上で詳述したように、固体アッセイにおいて行った。これらの単離された黄色ブドウ球菌株のカバレッジ(%)を以下の表3にまとめる。
【0272】
【表4】
【0273】
ファージSTA48-1及びSTA48-7の宿主範囲も、上述の細菌標的アセンブリ(119個の単離株)に基づいて、液体アッセイで評価したが、上述の感度閾値に基づいて、それぞれ87.4%及び65.5%であることが判明した。
【0274】
4つのファージSTA48-1、STA48-7、STA48-5、及びSTA48-4の組み合わせを使用して、上記の細菌標的アセンブリ(119個の単離株)に基づいて、上述のアッセイに従って液体中でのクリアランス性能を評価し、87%のクリアランスが得られた。すなわち、上述のクリアランス閾値に基づいて、試験した宿主株の87%が、ファージの組み合わせによってクリアランスされた。
【0275】
以下の表4における3つの組み合わせを、22個の宿主株のサブグループに基づいて、液体クリアランスアッセイにおいて評価した。達成された%クリアランスを、表4に詳述する。
【0276】
【表5】
【0277】
ファージの宿主範囲もまた、感染細菌のクローン複合体に従って、プロファイリングした。結果を図2に記載する。少なくとも1つの細菌メンバーが、対応するファージによって感染されていることが判明したクローン複合体インスタンスは、「+」とマークされた。図2に示すように、全部で7個のクローン複合体がファージに感染していることが判明した。ファージの宿主範囲はまた、pubmlst(pubmlst(dot)org/)に対するコンティグをスキャンするmlst(github(dot)com/tseemann/mlst)を使用する、多座配列タイピング(MLST)に従ってプロファイリングした。結果を図3に記載する。少なくとも1つの細菌メンバーが、対応するファージによって感染されていることが判明したMLSTインスタンスは、「+」とマークされた。
【0278】
実施例2 株によって定義される細菌カバレッジに従って選択されたファージの組み合わせ
この実施例については、特定のファージは、本明細書の上記の表2における一文字表記によって参照される。
【0279】
2つのファージの組み合わせ
2つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、(実施例1に記載されるように)黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0280】
感染した細菌株の百分率数によって分類された代替的組み合わせが、本明細書において以下に提供される。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化される119種の株のパーセント)を指す。組み合わせは、性能グレードの降順で列挙されている。
【0281】
したがって、例えば[ba;86]の場合、STA48-4及びSTA48-1は、分析された黄色ブドウ球菌の全ての株の86%を溶解しており、2つのファージの全ての組み合わせのうち、最も高いカバレッジを提供している。
【0282】
[ba;86][cd;85][da;85][dg;85][bc;85][bg;84][af;84][cf;83][bd;83][ae;83][ag;83][ca;82][ge;81][ce;81][df;81][de;80][gf;80][cg;79][bf;65][fe;59][be;53]。
【0283】
ファージの組み合わせの2つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセントが提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージの組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0284】
したがって、例えば、[ca;73]の場合、すなわち、STA48-5及びSTA48-1が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の73%が、これらのファージの両方によって標的化された。
【0285】
[ca;73][cg;70][ag;69][da;67][cd;64][dg;61][ba;44][bc;43][bd;42][bg;41][be;39][ae;36][af;36][ce;36][cf;34][de;34][gf;34][ge;32][df;32][bf;27][fe;22]。
【0286】
3つのファージの組み合わせ
3つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0287】
対応する「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセントを指す。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0288】
例えば、[bdg;92]の場合、最も高いカバレッジを提供した組み合わせ、STA48-4、STA48-7、及びSTA48-6は、分析された黄色ブドウ球菌の全ての株の92%を溶解した。
【0289】
[bdg;92][bcd;92][bda;91][dge;90][bag;90][cdf;90][dgf;89][cde;89][bca;89][baf;88][dag;88][daf;88][dae;88][bcg;87][caf;87][agf;87][cda;87][bcf;86][bdf;86][age;86][bae;86][cdg;86][cae;86][afe;86][bce;85][cgf;85][bge;85][bgf;85][cfe;84][cge;84][dfe;84][cag;83][bde;83][gfe;83][bfe;66]。
【0290】
対応する「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0291】
したがって、例えば、[cag;78]の場合、すなわち、STA48-5、STA48-1、及びSTA48-6が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の78%が、3つのファージのうちの少なくとも2つによって標的化された。
【0292】
[cag;78][cda;77][cdg;77][dag;76][cae;75][bca;75][caf;75][age;75][daf;74][cge;74][bag;74][bcg;73][bda;73][agf;72][cgf;72][dae;71][cdf;69][bcd;69][cde;68][dgf;68][bdg;67][dge;66][bcf;60][bgf;59][baf;59][bdf;56][cfe;56][afe;55][gfe;54][dfe;53][bce;50][bae;50][bde;50][bge;49][bfe;46]。
【0293】
ファージ組み合わせの3つのファージによって感染される宿主細菌株のパーセントが提供される。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0294】
したがって、例えば、[cag;67]の場合、すなわち、STA48-5、STA48-1、及びSTA48-6が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の67%が、3つのファージのうちの各々によって標的化された。
【0295】
[cag;67][cda;64][dag;60][cdg;59][bca;42][bcg;41][bda;40][bag;40][bcd;40][bdg;38][bae;35][cae;35][caf;34][bce;34][cgf;33][agf;33][cde;33][dae;33][cge;32][bde;32][bge;31][age;31][daf;31][cdf;31][dge;31][dgf;30][baf;24][bdf;22][bcf;22][bgf;21][bfe;21][afe;19][cfe;18][dfe;18][gfe;17]。
【0296】
4つのファージの組み合わせ
4つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0297】
対応する「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0298】
例えば、[bdag;93]の場合、最も高いカバレッジを提供した4つのファージの組み合わせ、STA48-4、STA48-7、STA48-1、及びSTA48-6は、分析された黄色ブドウ球菌の全ての株の93%を溶解した。
【0299】
[bdag;93][bdgf;93][bcdf;93][bdaf;92][bcdg;92][bdge;92][bcda;92][bcde;92][bdae;91][bagf;91][dgfe;91][bcaf;91][dagf;91][cdaf;91][cdfe;91][dage;91][cdae;90][bcag;90][bage;90][cdge;90][cdgf;90][dafe;90][bcae;89][cdag;88][bafe;88][cafe;88][bcgf;88][agfe;88][cagf;87][bcge;87][bdfe;86][bcfe;86][cage;86][bgfe;86][cgfe;86]。
【0300】
対応する「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0301】
したがって、例えば、[bdag;81]の場合、すなわち、STA48-4、STA48-7、STA48-1、及びSTA48-6が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の81%が、4つのファージのうちの少なくとも2つによって標的化された。
【0302】
[bdag;81][bcda;81][cagf;81][dage;81][dagf;81][cdaf;81][cdae;81][cdgf;80][cage;80][bcdg;80][cdag;80][bcag;80][bcge;79][bcgf;79][bcae;79][cdge;79][cgfe;79][bcaf;79][bage;78][agfe;78][cafe;78][bagf;78][bdae;76][bdaf;76][dafe;76][cdfe;75][bcdf;75][dgfe;74][bcde;74][bdge;73][bdgf;73][bafe;62][bcfe;62][bgfe;62][bdfe;60]。
【0303】
対応する「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0304】
したがって、例えば、[cdag;75]の場合、すなわち、STA48-5、STA48-7、STA48-1、及びSTA48-6が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の75%が、4つのファージのうちの少なくとも3つによって標的化された。
【0305】
[cdag;75][cage;71][bcag;70][cagf;68][cdaf;67][bcda;66][cdae;65][dagf;64][bdag;64][cdgf;64][cdge;64][bcdg;64][dage;64][bcaf;56][bdaf;55][bagf;54][bcdf;53][bcgf;53][cafe;53][bdgf;53][dafe;50][agfe;50][cgfe;49][cdfe;48][bcae;47][dgfe;47][bdae;46][bage;46][bcde;45][bcge;44][bcfe;44][bafe;43][bdge;43][bdfe;42][bgfe;42]。
【0306】
ファージの組み合わせの4つのファージによって感染される宿主株のパーセントは、本明細書において以下に提供される。この特性は、本明細書において「少なくとも4つのファージの%カバレッジ」と称される。したがって、例えば、[cdag;57]の場合、すなわち、STA48-5、STA48-7、STA48-1、及びSTA48-6が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の57%が、4つのファージのうちの各々によって標的化された。
【0307】
[cdag;57][bcda;40][bcag;40][bdag;38][bcdg;38][cdae;33][cagf;33][bcae;33][cage;31][bcge;31][bcde;31][bdae;31][bage;31][cdge;31][cdaf;31][dage;31][cdgf;30][dagf;30][bdge;30][bcaf;22][bagf;21][bcgf;21][bdaf;20][bcdf;20][bdgf;19][bafe;19][cafe;18][bcfe;17][bdfe;17][cgfe;17][agfe;17][cdfe;17][dafe;17][bgfe;16][dgfe;16]。
【0308】
5つのファージの組み合わせ
5つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0309】
対応する「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化される119種の株のパーセント)を指す。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0310】
例えば、[bdagf;94]の場合、最も高いカバレッジを提供した5つのファージの組み合わせ、STA48-4、STA48-7、STA48-1、STA48-6、及びSTA48-2は、分析された黄色ブドウ球菌の全ての株の94%を溶解した。
【0311】
[bdagf;94][bcdaf;94][bcdfe;93][bdgfe;93][bdage;93][bcdag;93][bcdgf;93][bcdge;92][bdafe;92][bcdae;92][dagfe;92][cdafe;92][bcagf;91][bcafe;91][bagfe;91][cdagf;91][cdage;91][cdgfe;91][bcage;90][bcgfe;88][cagfe;88]。
【0312】
対応する「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0313】
したがって、例えば、[bdagf;84]の場合、すなわち、STA48-4、STA48-7、STA48-1、STA48-6、及びSTA48-2が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の84%が、5つのファージのうちの少なくとも2つによって標的化された。
【0314】
[bdagf;84][dagfe;84][cdgfe;84][bdage;84][cdagf;84][bcdgf;84][bcdge;84][bcagf;84][bcdae;84][bcage;83][cdafe;83][bcdaf;83][bcdag;83][cagfe;83][cdage;82][bcgfe;81][bcafe;80][bagfe;80][bdafe;78][bdgfe;75][bcdfe;75]。
【0315】
対応する「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0316】
したがって、例えば、[cdage;76]の場合、すなわち、STA48-5、STA48-7、STA48-1、STA48-6、及びSTA48-3が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の76%が、5つのファージのうちの少なくとも3つによって標的化された。
【0317】
[cdage;76][bcdag;76][cdagf;75][cagfe;73][bcage;73][bcagf;72][bcdaf;71][cdafe;70][bcdae;69][dagfe;69][bdage;69][bdagf;69][bcdgf;67][cdgfe;67][bcdge;66][bcafe;60][bagfe;59][bcdfe;59][bcgfe;59][bdafe;57][bdgfe;57]。
【0318】
対応する「少なくとも4つのファージの%カバレッジ」との組み合わせが、本明細書において以下に提供される。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0319】
したがって、例えば、[cdagf;63]の場合、すなわち、STA48-5、STA48-7、STA48-1、STA48-6、及びSTA48-2が組み合わせて使用される場合、分析された細菌株の63%が、5つのファージのうちの少なくとも4つによって標的化された。
【0320】
[cdagf;63][cdage;62][bcdag;62][bcagf;53][bcdaf;52][bdagf;51][bcdgf;51][cagfe;48][cdafe;47][dagfe;46][cdgfe;46][bcage;44][bcdae;43][bcdge;42][bdage;42][bcafe;41][bdafe;40][bagfe;39][bcdfe;38][bcgfe;38][bdgfe;37]。
【0321】
実施例3 細菌クローン複合体によって分類される宿主カバレッジに従って選択されたファージの組み合わせ
この実施例については、特定のファージは、本明細書の上記の表2における一文字表記によって参照される。
【0322】
2つのファージの組み合わせ
2つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のクローン複合体の細菌を溶解する単一ファージの能力によってプロファイリングされた、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0323】
以下の全ての組み合わせは、119の細菌株に関連するクローン複合体の100%をカバーすることが判明した。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるクローン複合体によってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。
【0324】
[bc;100][bd;100][ba;100][bg;100][bf;100][be;100][cd;100][ca;100][cg;100][cf;100][ce;100][da;100][dg;100][df;100][de;100][ag;100][af;100][ae;100][gf;100][ge;100][fe;100]。
【0325】
ファージの組み合わせの2つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0326】
[bc;100][cg;100][ba;100][bg;100][ag;100][cd;100][ca;100][dg;100][da;100][bd;100][bf;86][be;86][ce;86][cf;86][df;86][de;86][af;86][ae;86][gf;86][ge;86][fe;71]。
【0327】
3つのファージの組み合わせ
3つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のクローン複合体の細菌を溶解する単一ファージの能力によってプロファイリングされた、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0328】
以下の全ての組み合わせは、119の細菌株に関連するクローン複合体の100%をカバーすることが判明した。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるクローン複合体によってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。
【0329】
[bcd;100][bag;100][bcg;100][bcf;100][bce;100][bda;100][bdg;100][bdf;100][cdg;100][bca;100][baf;100][bae;100][bgf;100][bge;100][bfe;100][cda;100][bde;100][cdf;100][daf;100][dae;100][caf;100][cae;100][cgf;100][cge;100][cfe;100][dag;100][cde;100][cag;100][dgf;100][dge;100][dfe;100][agf;100][age;100][afe;100][gfe;100]。
【0330】
ファージの組み合わせの2つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。以下の全ての組み合わせは、100%に等しい「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」を有することが判明した。
【0331】
[bcd;100][bag;100][bcg;100][bcf;100][bce;100][bda;100][bdg;100][bdf;100][cdg;100][bca;100][baf;100][bae;100][bgf;100][bge;100][bfe;100][cda;100][bde;100][cdf;100][daf;100][dae;100][caf;100][cae;100][cgf;100][cge;100][cfe;100][dag;100][cde;100][cag;100][dgf;100][dge;100][dfe;100][agf;100][age;100][afe;100][gfe;100]。
【0332】
ファージの組み合わせの3つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0333】
[bcd;100][cdg;100][cag;100][bcg;100][bda;100][bdg;100][bca;100][bag;100][dag;100][cda;100][baf;86][bdf;86][bae;86][bgf;86][bce;86][bcf;86][bge;86][bde;86][cdf;86][daf;86][age;86][agf;86][dge;86][dgf;86][cde;86][dae;86][cge;86][cgf;86][cae;86][caf;86][afe;71][dfe;71][cfe;71][bfe;71][gfe;71]。
【0334】
4つのファージの組み合わせ
4つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のクローン複合体の細菌を溶解する単一ファージの能力によってプロファイリングされた、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0335】
本明細書において以下に提供される全ての組み合わせは、(それらのクローン複合体によってプロファイリングされる)組み合わせの少なくとも1つのファージによる100%カバレッジをもたらす。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるクローン複合体によってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。
【0336】
[bcda;100][bcfe;100][bcdf;100][bcde;100][bcag;100][bcaf;100][bcae;100][bcgf;100][bagf;100][bcdg;100][bdag;100][bdaf;100][bdae;100][bdgf;100][bdge;100][bdfe;100][bcge;100][bage;100][cagf;100][cage;100][cdag;100][cdaf;100][cdae;100][cdgf;100][cdge;100][cdfe;100][bafe;100][bgfe;100][cafe;100][cgfe;100][dagf;100][dage;100][dafe;100][dgfe;100][agfe;100]。
【0337】
ファージの組み合わせの2つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。以下のファージの組み合わせは全て、100%のカバレッジをもたらす。
【0338】
[bcda;100][bcfe;100][bcdf;100][bcde;100][bcag;100][bcaf;100][bcae;100][bcgf;100][bagf;100][bcdg;100][bdag;100][bdaf;100][bdae;100][bdgf;100][bdge;100][bdfe;100][bcge;100][bage;100][cagf;100][cage;100][cdag;100][cdaf;100][cdae;100][cdgf;100][cdge;100][cdfe;100][bafe;100][bgfe;100][cafe;100][cgfe;100][dagf;100][dage;100][dafe;100][dgfe;100][agfe;100]。
【0339】
ファージの組み合わせの3つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。以下のファージの組み合わせは全て、100%のカバレッジをもたらす。
【0340】
[bcda;100][bcfe;100][bcdf;100][bcde;100][bcag;100][bcaf;100][bcae;100][bcgf;100][bagf;100][bcdg;100][bdag;100][bdaf;100][bdae;100][bdgf;100][bdge;100][bdfe;100][bcge;100][bage;100][cagf;100][cage;100][cdag;100][cdaf;100][cdae;100][cdgf;100][cdge;100][cdfe;100][bafe;100][bgfe;100][cafe;100][cgfe;100][dagf;100][dage;100][dafe;100][dgfe;100][agfe;100]。
【0341】
ファージの組み合わせの4つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも4つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0342】
[bcda;100][bdag;100][bcag;100][bcdg;100][cdag;100][bdgf;86][bdae;86][bdaf;86][bdge;86][cagf;86][bcgf;86][bcae;86][bcaf;86][bcde;86][bcdf;86][bcge;86][bagf;86][bage;86][dage;86][dagf;86][cdaf;86][cdae;86][cdgf;86][cdge;86][cage;86][bgfe;71][cdfe;71][bdfe;71][bcfe;71][dgfe;71][bafe;71][cafe;71][cgfe;71][dafe;71][agfe;71]。
【0343】
5つのファージの組み合わせ
5つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のクローン複合体の細菌を溶解する単一ファージの能力によってプロファイリングされた、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0344】
最大数の細菌株(それらのクローン複合体によってプロファイリングされる)を溶解する組み合わせが、本明細書において以下に提供される。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるクローン複合体によってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。以下のファージの組み合わせは全て、100%のカバレッジをもたらす。
【0345】
[bcdag;100][bcdaf;100][bcdae;100][bcdgf;100][bcdge;100][bcdfe;100][bcagf;100][bcage;100][bcafe;100][bcgfe;100][bdagf;100][bdage;100][bdafe;100][bdgfe;100][bagfe;100][cdagf;100][cdage;100][cdafe;100][cdgfe;100][cagfe;100][dagfe;100]。
【0346】
ファージの組み合わせの2つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。以下のファージの組み合わせは全て、100%のカバレッジをもたらす。
【0347】
[bcdag;100][bcdaf;100][bcdae;100][bcdgf;100][bcdge;100][bcdfe;100][bcagf;100][bcage;100][bcafe;100][bcgfe;100][bdagf;100][bdage;100][bdafe;100][bdgfe;100][bagfe;100][cdagf;100][cdage;100][cdafe;100][cdgfe;100][cagfe;100][dagfe;100]。
【0348】
ファージの組み合わせの3つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。以下のファージの組み合わせは全て、100%のカバレッジをもたらす。
【0349】
[bcdag;100][bcdaf;100][bcdae;100][bcdgf;100][bcdge;100][bcdfe;100][bcagf;100][bcage;100][bcafe;100][bcgfe;100][bdagf;100][bdage;100][bdafe;100][bdgfe;100][bagfe;100][cdagf;100][cdage;100][cdafe;100][cdgfe;100][cagfe;100][dagfe;100]。
【0350】
ファージの組み合わせの4つのファージによって感染されている宿主細菌株のパーセント(それらのクローン複合体によってプロファイリングされている)が以下に提供される。この特性は、「少なくとも4つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。以下のファージの組み合わせは全て、100%のカバレッジをもたらす。
【0351】
[bcdag;100][bcdaf;100][bcdae;100][bcdgf;100][bcdge;100][bcdfe;100][bcagf;100][bcage;100][bcafe;100][bcgfe;100][bdagf;100][bdage;100][bdafe;100][bdgfe;100][bagfe;100][cdagf;100][cdage;100][cdafe;100][cdgfe;100][cagfe;100][dagfe;100]。
【0352】
実施例4 細菌MLSTによって分類される宿主カバレッジに従って選択されたファージの組み合わせ
この例に関して、特定のファージは、本明細書の上記の表2における一文字表記によって言及される。
【0353】
2つのファージの組み合わせ
2つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のMLSTの細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、MLSTによって分類された、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0354】
最大数の細菌株(MLSTによって分類される)を溶解する組み合わせが、本明細書において以下に提供される。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるMLSTによってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。組み合わせは、性能グレードの降順で列挙されている。
【0355】
[bd;96][ae;96][de;96][da;96][ba;96][bc;93][af;93][df;93][ce;93][cd;89][ag;89][ca;89][dg;89][cf;89][bg;85][ge;85][cg;81][gf;81][bf;67][fe;67][be;59]。
【0356】
ファージの組み合わせの少なくとも2つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTにより分類される)のパーセントが提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0357】
[ca;81][da;81][cd;81][cg;74][ag;74][dg;74][ba;48][bd;48][be;48][bc;44][de;44][bg;44][ae;44][ce;41][df;41][af;41][ge;41][cf;37][gf;37][bf;33][fe;30]。
【0358】
3つのファージの組み合わせ
3つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のクローン複合体の細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、MLSTによって分類された、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0359】
最大数の細菌株(MLSTによって分類される)を溶解する組み合わせが、本明細書において以下に提供される。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるMLSTによってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。組み合わせは、性能グレードの降順で列挙されている。
【0360】
[bda;100][dae;100][dge;96][afe;96][bdg;96][bdf;96][bde;96][bag;96][baf;96][bae;96][age;96][cda;96][bca;96][cde;96][daf;96][dag;96][cae;96][dfe;96][bcd;96][bcg;93][bcf;93][bce;93][caf;93][cdf;93][cfe;93][agf;93][dgf;93][cge;93][cgf;89][cag;89][cdg;89][bge;85][bgf;85][gfe;85][bfe;67]。
【0361】
ファージの組み合わせの少なくとも2つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTにより分類される)のパーセントが、以下に提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0362】
[bda;89][daf;89][dae;89][bcd;85][cae;85][cde;85][bca;85][caf;85][cdf;85][cdg;81][dag;81][cda;81][cag;81][bdg;78][agf;78][dgf;78][age;78][bag;78][dge;78][bcg;74][cge;74][cgf;74][bdf;63][gfe;63][bgf;63][dfe;63][bcf;63][afe;63][baf;63][cfe;63][bce;59][bae;59][bge;59][bde;59][bfe;59]。
【0363】
ファージ組み合わせの3つのファージによって感染される宿主細菌株(MLSTによって分類される)のパーセントを以下に提供する。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0364】
[cda;81][cdg;74][cag;74][dag;74][bda;44][bag;44][bcd;44][bcg;44][bca;44][bdg;44][cge;41][dae;41][bde;41][age;41][bae;41][dge;41][cde;41][cae;41][caf;37][daf;37][bge;37][dgf;37][agf;37][cdf;37][cgf;37][bce;37][baf;30][bdf;30][bcf;26][dfe;26][afe;26][bgf;26][bfe;26][cfe;22][gfe;22]。
【0365】
4つのファージの組み合わせ
4つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のMLSTの細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、MLSTによって分類された、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0366】
最大数の細菌株(MLSTによって分類される)を溶解する組み合わせが、本明細書において以下に提供される。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるMLSTによってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。組み合わせは、性能グレードの降順で列挙されている。
【0367】
[bcda;100][dafe;100][dage;100][cdae;100][bdae;100][bdaf;100][bdag;100][bcag;96][bcae;96][bcdf;96][bcde;96][bdge;96][bcaf;96][agfe;96][bdgf;96][bdfe;96][bagf;96][bage;96][bafe;96][cdge;96][cdag;96][dgfe;96][cdfe;96][cdaf;96][bcdg;96][cage;96][cafe;96][dagf;96][bcge;93][bcgf;93][bcfe;93][cgfe;93][cdgf;93][cagf;93][bgfe;85]。
【0368】
ファージの組み合わせの2つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTにより分類される)のパーセントが、以下に提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0369】
[bcae;93][bcde;93][bdae;93][cdfe;89][bdag;89][bcaf;89][dagf;89][cafe;89][bcdf;89][bcda;89][cdaf;89][bdaf;89][cdae;89][dage;89][dafe;89][bcge;85][bdge;85][cagf;85][bcag;85][cdgf;85][bage;85][cage;85][bcdg;85][cdge;85][bagf;81][dgfe;81][agfe;81][bdgf;81][bcgf;81][cgfe;81][cdag;81][bafe;67][bdfe;67][bcfe;67][bgfe;67]。
【0370】
ファージ組み合わせの3つのファージによって感染される宿主細菌株(MLSTによって分類される)のパーセントを以下に提供する。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0371】
[bcda;81][cdae;81][cdag;81][cdaf;81][cdge;74][bdag;74][cdgf;74][dagf;74][cage;74][bcdg;74][bcag;74][cagf;74][dage;74][bdaf;63][dafe;63][bcdf;59][agfe;59][bcaf;59][bdgf;59][cafe;59][bagf;59][dgfe;59][cdfe;59][cgfe;56][bcfe;56][bdfe;56][bcgf;56][bgfe;56][bafe;56][bdae;56][bdge;52][bcde;52][bcae;52][bage;52][bcge;48]。
【0372】
ファージの組み合わせの4つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTによりプロファイリングされている)のパーセントが、以下に提供される。この特性は、「少なくとも4つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0373】
[cdag;74][bcda;44][bdag;44][bcag;44][bcdg;44][dage;41][cdae;41][cdge;41][cage;41][cagf;37][cdgf;37][bcge;37][bdge;37][bcde;37][bcae;37][bage;37][dagf;37][bdae;37][cdaf;37][bdgf;26][bdaf;26][bagf;26][bcdf;26][bcaf;26][bcgf;26][dafe;22][cgfe;22][bafe;22][bdfe;22][dgfe;22][agfe;22][cdfe;22][cafe;22][bcfe;19][bgfe;19]。
【0374】
5つのファージの組み合わせ
5つのファージの組み合わせを、固体(EOP)アッセイによって評価される特定のMLSTの細菌を溶解する単一ファージの能力に基づいて、MLSTによって分類された、黄色ブドウ球菌細菌の118種の異なる株を溶解するそれらの能力について、コンピュータシミュレーションで分析した。
【0375】
最大数の細菌株(MLSTによって分類される)を溶解する組み合わせが、本明細書において以下に提供される。この特性は、「少なくとも1つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。各組み合わせの後の数字は、特性性能パーセント(この場合、ファージ組み合わせによって標的化されるクローン複合体によってプロファイリングされた、細菌株のパーセント)を指す。組み合わせは、性能グレードの降順で列挙されている。
【0376】
[bcdag;100][cdafe;100][cdage;100][bdafe;100][bdage;100][bdagf;100][bcdae;100][dagfe;100][bcdaf;100][bagfe;96][cagfe;96][cdgfe;96][bcdgf;96][cdagf;96][bcafe;96][bdgfe;96][bcdge;96][bcdfe;96][bcagf;96][bcage;96][bcgfe;93]。
【0377】
ファージの組み合わせの少なくとも2つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTにより分類される)のパーセントが、以下に提供される。この特性は、「少なくとも2つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0378】
[bcafe;93][bcdfe;93][bdafe;93][bdage;93][bcdae;93][bcage;93][bcdge;93][cagfe;89][cdgfe;89][bcdgf;89][cdagf;89][bcdag;89][bcagf;89][bcdaf;89][dagfe;89][bdagf;89][cdage;89][cdafe;89][bdgfe;85][bagfe;85][bcgfe;85]。
【0379】
ファージの組み合わせの少なくとも3つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTにより分類される)のパーセントが、以下に提供される。この特性は、「少なくとも3つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0380】
[cdafe;89][bcdae;89][bcdaf;89][bcdag;81][cdagf;81][cdage;81][bdage;81][bdagf;81][dagfe;81][cagfe;78][bcage;78][bcagf;78][cdgfe;78][bcdge;78][bcdgf;78][bcafe;63][bagfe;63][bdgfe;63][bcdfe;63][bdafe;63][bcgfe;63]。
【0381】
ファージの組み合わせの少なくとも4つのファージによって感染されている宿主細菌株(MLSTにより分類される)のパーセントが、以下に提供される。この特性は、「少なくとも4つのファージの%カバレッジ」と呼ばれる。ファージ組み合わせは、性能グレードの降順に並べられる。
【0382】
[bcdag;74][cdage;74][cdagf;74][cdafe;56][bdafe;56][cagfe;56][bdagf;56][cdgfe;56][dagfe;56][bcdgf;56][bcdaf;56][bcagf;56][bdgfe;52][bagfe;52][bcafe;52][bcdfe;52][bcdge;48][bcage;48][bcdae;48][bdage;48][bcgfe;48]。
【0383】
実施例5 ファージカクテルによって達成される、TTMの相乗的な増加
耐性変異細菌の出現が検出されるまでの時間(「time to mutant」、TTM)に対する効果を試験するために、カクテルADX2と、カクテルの個々のメンバーファージとを、異なる細菌株の混合物(マルチ培養物(multi-culture、MC)と呼ぶ)に対して試験した。試験した各細菌株の10個の細菌コロニーを採取し(約1μLループ全体)、4mLの液体BHISを予め充填した培養チューブに移し、180rpm、37℃で約16時間振盪することによってOD600≧1.5まで培養した。細菌培養物を、1mMのMMCイオンを補充したBHISを使用して希釈して、0.05の最終ODに到達させ、96ウェルプレートに分注した。各ファージを10PFU/mLの濃度に希釈し、カクテルを作製するために、等しい比率で混合して個体と同じ総濃度を得た。次いで、単一又はカクテルファージの試料10μLを各ウェルに添加して、最終濃度を、10PFU/ウェルとした。「ファージなし対照」(NPC)については、BHISを適切なウェルに添加した。鉱油を各ウェルに添加して試料の蒸発を減少させ、プレートを滅菌フィルムで覆って細菌を増殖させ、培養液を滅菌状態に保った。プレートを、振盪しながら32℃でプレートリーダーにおいて18~45時間インキュベートし、OD600を20分毎に測定した。アッセイのために2回の生物学的反復を行い、1mMのMMCイオンを補充したBHIS培地をブランクとして使用した。
【0384】
図5A~5Bは、上記のように調製した等濃度の3つの細菌株の混合物に関して、各メンバーファージと比較したADX2カクテルの効果を示す。任意の細菌耐性突然変異体の増殖を長時間にわたって排除するADX2の能力は、少なくとも約19時間(図5A)及び55時間(図5B)まで実証される。図5A~5Bは、各ファージメンバーを別々に比較して、相乗的に機能するファージ混合物が耐性変異体の増殖を排除する能力を示す。
【0385】
表5は、図5A~5Bの各グラフについて、対応するOD600読み取り値が変異細菌の増殖を示す値である0.3に達するおよその時間(単位は、時間)を示す。この表はまた、OD600正規化曲線下面積(AUC)、すなわちファージ/ファージカクテルによる処理を表す線のAUC600とファージなし対照(NPC)のOD600読み取り値を表す線のAUC600との間の比を示す。
【0386】
【数2】
【0387】
【表6】
【0388】
実施例6 試験したファージは、アトピー性皮膚炎患者由来の黄色ブドウ球菌細菌に対して有効である
【0389】
材料及び方法
アトピー性皮膚炎患者からの黄色ブドウ球菌の単離
アトピー皮膚炎の患者をイスラエル及び米国から募集して、皮膚試料を病変皮膚から採取する標本調査に参加させた。皮膚試料を病変皮膚の1~4つの領域から採取し、ブドウ球菌種の選択的増殖のために、ChromAgarプレート上にプレーティングした。黄色ブドウ球菌をコロニーの形態に基づいて区別し、更に、Maldi-Tofを用いて黄色ブドウ球菌として同定した。
【0390】
EOPアッセイ
試験する各細菌株の2~3個の細菌コロニーを採取し、4mLの液体BHISを予め充填した培養チューブに移し、180rpm、37℃で一晩振盪することによってOD600≧1.5まで培養した。4mLのBHISのみを含む1本の培養チューブを、ブランクとして使用した。
【0391】
380μLの細菌培養物を、10~12mLのトップアガーを含有するチューブ(65℃のサーモブロックで少なくとも30分間予熱した)に移した。次いで、最終濃度1mMのMMCイオンを添加し、チューブを穏やかに混合した。チューブ内容物を室温で12cm×12cmのBHISアガープレート上に注いだ。トップアガーを、室温で15分間放置して固化させた。ファージの試料を、最高濃度のもの20μLを、180μLのBHIS中にピペッティングすることによって、10倍で連続希釈した。クリップチップを使用して、5μLのファージ希釈液100-10-7を、細菌ローン(ステップ3で調製した)上にスポットした。室温で15分後、プレートを、目に見えるプラークが出現するまで(約18時間)30℃に置いた。
【0392】
ファージの力価を以下のように計算した:(a)適切な希釈でのプラーク数(単一プラークを計数することができる)に、200(1000/5μL)及び希釈係数を掛け、PFU/mLとして表した。(b)EOPは、以下の式に従って、試験した各STA株で得られたPFU/mLを生産宿主で得られたPFU/mLで割ることによって計算した。
【0393】
【数3】
【0394】
試験したファージについて、EOPが≧0.1である細菌株を感受性であるとみなした。
【0395】
結果及び考察
【0396】
【表7】
【0397】
具体的には、株STA163は、2022年5月10日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号B/00393で寄託されている。
【0398】
株STA174は、2022年5月10日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号B/00394で寄託されている。
【0399】
株STA210は、2022年5月10日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号B/00395で寄託されている。
【0400】
株STA236は、2022年5月10日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号B/00397で寄託されている。
【0401】
株STA238は、2022年5月10日に、Polish Collection of micororganisms(PCM),Institute of Immunology and Experimental Therapy,Polish Academy of Sciences,Ul.Weigla 12,53-114 Wroclaw,Polandに、受託番号B/00398で寄託されている。
【0402】
この研究では、アトピー性皮膚炎を有する7人の患者からの黄色ブドウ球菌の単離物を、ファージSTA48-1、STA48-5、及びSTA48-7(ADX2カクテルのメンバー)に対して試験した。患者は、全ての病変部にわたって単一の黄色ブドウ球菌株を有することが判明し、典型的には、2つ以上の病変が、単一の黄色ブドウ球菌株を含有していた。表6は、各ファージの感受性株を詳述する。試験した7人の患者のうち4人(57%)において、黄色ブドウ球菌細菌は、試験した各ファージに個別的に感受性であった。試験した7人の患者のうち5人(71%)において、黄色ブドウ球菌細菌は、このADX2カクテルの少なくとも1つのファージに対して感受性であった。
【0403】
実施例7 ファージ溶菌サイクルのための必須遺伝子
材料及び方法
遺伝子分析
特定の実施形態によれば、ファージのゲノムは、それらの本質的な機能性(例えば、宿主細菌に感染し、それを溶解する能力)を著しく妨げることなく、より小さいゲノムを有する合成ファージを作製するために低減される。特定の実施形態によれば、そのような減少されたゲノムは、そうでなければ、元の完全なゲノムDNAに加えられた場合、ファージの制限されたDNA封入能力に起因して困難であり得るDNAの異種分子をより容易に収容することができる(例えば、Pires,D.P.,Monteiro,R.,Mil-Homens,D.et al.Designing P.aeruginosa synthetic phages with reduced genomes.Sci Rep 11,2164(2021).doi(dot)org/ 10.1038/s41598-021-81580-2参照)。加えて、又は代替的に、選択されたファージの遺伝子配列は、必須遺伝子が比較的保存されているという条件で、例えば好適な産生細胞株における発現のために改変又は最適化することができる。
【0404】
特定の実施形態によれば、可能性のある必須遺伝子を見出すための以下の例示的な方法が使用される。遺伝子Xは、PATRIC(docs(dot)patricbrc(dot)org/)によって認識され、機能が割り当てられた場合に必須と定義された。更に、遺伝子の機能がPATRICによって未知であった場合(例えば、「仮想タンパク質」又は「ファージタンパク質」、以下の試験が行われた。ファージゲノムを所与として、遺伝子Xについて、同じ種に感染する全ての公的に利用可能なファージゲノムにおける相同体の数(blastpを使用して30%以上のグローバルアミノ酸類似性)をカウントする(num.相同体(遺伝子X))。続いて、遺伝子Xを含有することが判明したゲノム中の各遺伝子についての相同体の数の平均及び標準偏差を計算し、遺伝子Xについてのzスコアを以下のように計算した。
【0405】
【数4】
【0406】
-1を超えるzスコアを有する遺伝子を必須と定義した。全ての他の遺伝子は非必須と定義された。
【0407】
以下は、各ファージの必須遺伝子のリストである。各遺伝子は、半列によって分離された以下のデータフィールドを含む角括弧によって表される:第1、遺伝子の開始座標、終了座標、及び配列表に提示されるファージゲノム配列に関連する鎖(+は配列表に与えられる鎖である)。第2に、遺伝子の機能である。(「HP」は仮想タンパク質を示し、「PP」は未分類ファージタンパク質を示す)。
【0408】
ファージSTA48-1の必須遺伝子:
[670:1150:-;HP][1302:1935:-;HP][2118:2898:-;HP][2994:3936:-;HP][4200:4908:-;HP][4962:5160:-;HP][5885:6083:-;HP][6099:6489:-;HP][6509:6791:-;HP][6768:7035:-;HP][8063:8270:+;HP][8280:8496:+;HP][8774:9638:+;HP][9735:9951:+;HP][10754:10943:+;HP][11023:11524:+;HP][11523:12441:+;HP][12466:13213:+;HP][13314:13536:+;HP][13549:13765:+;HP][13757:14396:+;HP][14409:14598:+;HP][14590:14863:+;HP][15027:15291:+;HP][15403:15907:+;HP][16639:17383:+;HP][17384:18014:+;HP][18006:18630:+;HP][18604:18778:+;HP][18791:19055:+;HP][19133:21173:+;HP][21172:21334:+;HP][21333:21519:+;HP][21637:22054:+;HP][22040:22364:+;HP][22360:22501:+;HP][22569:26376:+;HP][26394:26757:+;HP][27143:27929:+;HP][27921:28146:+;HP][28235:28559:+;HP][28575:29136:+;HP][29262:29802:+;HP][29804:30212:+;HP][30208:30403:+;HP][30402:30789:+;HP][30785:31139:+;HP][31135:31375:+;HP][31388:31955:+;HP][32593:32938:-;HP][33042:33267:-;HP][33280:33622:-;HP][33868:34015:-;HP][34865:35180:-;HP][35749:36157:-;HP][36966:37248:-;HP][39343:39745:-;HP][41421:41661:-;HP][41726:41912:-;HP][42144:42354:-;HP][42479:42881:-;HP][45155:45329:-;HP][45802:46489:-;HP][46880:47078:-;HP][48624:48837:-;HP][48868:49588:-;HP][49587:49794:-;HP][49799:50351:-;HP][50369:51026:-;HP][51048:51567:-;HP][51701:51947:-;HP][51949:52264:-;HP][52339:52621:-;HP][52633:52918:-;HP][52918:53182:-;HP][53191:53443:-;HP][53583:53982:-;HP][54017:54653:-;HP][54663:55101:-;HP][55165:55624:-;HP][55641:56373:-;HP][56745:57600:-;HP][57599:58106:-;HP][58086:58848:-;HP][58840:59131:-;HP][59787:61041:-;HP][61033:61804:-;HP][61803:62058:-;HP][62154:62367:-;HP][62917:63550:-;HP][63656:64316:-;HP][64302:64656:-;HP][64648:65575:-;HP][65722:66691:-;HP][67019:67244:-;HP][67306:68464:-;HP][68534:69017:-;HP][69041:69698:-;HP][70661:73187:-;HP][73575:74178:-;HP][74384:74705:-;HP][74688:75015:-;HP][75027:75450:-;リボヌクレオシド二リン酸レダクターゼの大サブユニット][75663:76380:-;HP][79732:80851:-;HP][81682:82120:-;HP][82488:83565:-;HP][83578:84172:-;HP][84155:85634:-;HP][85810:87094:-;HP][87568:88012:-;HP][88272:89304:-;HP][89373:90063:-;HP][90279:90999:-;HP][91323:91581:-;HP][91580:93020:-;HP][93012:94236:-;HP][94608:95730:-;HP][96148:96604:-;HP][96691:98056:-;HP][98061:98418:-;HP][98435:100349:-;HP][100338:100509:-;HP][100560:104019:-;HP][104038:104560:-;ビリオンタンパク質3][104663:107366:-;HP][107376:108423:-;HP][108437:109142:-;HP][109141:109663:-;HP][109662:110514:-;HP][110625:113082:-;HP][113072:113966:-;HP][113971:116404:-;HP][116455:117286:-;HP][117344:118214:-;HP][118669:121657:-;HP][121716:122175:-;HP][122266:122695:-;HP][122783:123092:-;HP][123148:123529:-;HP][125992:126352:-;ビリオンタンパク質5][126414:128175:-;推定尾鞘タンパク質][128197:128404:-;HP][128403:129240:-;HP][129258:129879:-;HP][129878:130754:-;HP][131045:132254:-;HP][132695:133445:-;HP][133791:135183:-;主カプシドタンパク質][136231:136996:-;HP][137172:137877:-;HP][138501:139458:-;HP][139498:139741:-;HP][139869:140163:-;HP]。
【0409】
ファージSTA48-2の必須遺伝子:[186:369:+;HP][361:664:+;HP][681:918:+;HP][941:1310:+;HP][1358:1535:+;HP][1538:1709:+;HP][1711:2194:+;HP][2241:3489:+;HP][3503:5789:+;HP][5902:7342:-;HP][7316:7739:-;HP][7740:9504:-;HP][9559:10012:-;HP][10029:11046:-;HP][11108:11870:-;HP][11876:13814:-;HP][13826:14603:-;HP][14574:15558:-;HP][15572:16784:-;主カプシドタンパク質][16790:16973:-;HP][16986:17364:-;HP]。
【0410】
ファージSTA48-3の必須遺伝子:[300:396:+;HP][416:719:+;HP][736:973:+;HP][996:1365:+;HP][1413:1590:+;HP][1591:1858:+;HP][2023:2506:+;HP][2553:3801:+;HP][3815:6101:+;HP][6215:7655:-;HP][7629:8052:-;HP][8053:9817:-;HP][9871:9997:-;HP][10185:11238:-;HP][11234:11375:-;HP][11437:12190:-;HP][12201:14145:-;HP][14158:14935:-;HP][14906:15890:-;HP][15904:17119:-;主カプシドタンパク質][17125:17308:-;HP][17321:17741:-;HP]。
【0411】
ファージSTA48-4の必須遺伝子:[313:409:+;HP][429:732:+;HP][749:986:+;HP][1009:1378:+;HP][1426:1603:+;HP][1604:1871:+;HP][2036:2519:+;HP][2566:3814:+;HP][3828:6114:+;HP][6228:7668:-;HP][7642:8065:-;HP][8066:9830:-;HP][9884:10337:-;HP][10586:11330:-;HP][11392:12145:-;HP][12156:14100:-;HP][14113:14890:-;HP][14861:15845:-;HP][15859:17074:-;主カプシドタンパク質][17080:17263:-;HP][17276:17696:-;HP]。
【0412】
ファージSTA48-5の必須遺伝子:[11:320:+;HP][408:837:+;HP][928:1387:+;HP][1446:4434:+;HP][4888:5758:+;HP][5816:6641:+;HP][6692:8891:+;HP][9367:10573:+;HP][11013:11907:+;HP][11897:14354:+;HP][14465:15317:+;HP][15316:15838:+;HP][15837:16542:+;HP][16556:17603:+;HP][17613:20316:+;HP][20419:20941:+;ビリオンタンパク質3][20960:24419:+;HP][24470:24641:+;HP][24630:26544:+;HP][26559:26916:+;HP][26921:28286:+;HP][28371:28827:+;HP][29245:30367:+;HP][30739:31963:+;HP][31955:33395:+;HP][33394:33652:+;HP][33976:34300:+;HP][34495:34696:+;HP][34664:34913:+;HP][34912:35602:+;HP][35671:36703:+;HP][36963:38898:+;エキソヌクレアーゼサブユニット2][38881:39475:+;HP][39488:40565:+;HP][40933:41371:+;HP][42202:43321:+;HP][43336:45070:+;HP][45900:46827:+;HP][46839:47166:+;HP][47149:47470:+;HP][47676:48279:+;HP][48883:49159:+;HP][49381:52594:+;HP][52618:53101:+;HP][53171:54347:+;HP][54409:54634:+;HP][54962:55931:+;HP][56078:57005:+;HP][56997:57351:+;HP][57337:57997:+;HP][58103:58736:+;HP][59286:59499:+;HP][59595:59850:+;HP][59849:60620:+;HP][60612:61866:+;HP][62522:62813:+;HP][62805:63567:+;HP][63547:64054:+;HP][64053:64908:+;HP][65280:66012:+;HP][66029:66488:+;HP][66552:66990:+;HP][67000:67636:+;HP][67671:68070:+;HP][68210:68462:+;HP][68471:68735:+;HP][68735:69020:+;HP][69032:69326:+;HP][69389:69704:+;HP][69706:69952:+;HP][70086:70590:+;HP][70618:71275:+;HP][71293:71845:+;HP][71850:72057:+;HP][72056:72776:+;HP][72807:73020:+;HP][73013:73910:+;HP][74015:74213:+;HP][74212:74605:+;HP][74604:75081:+;HP][75141:75336:+;HP][75848:76883:+;HP][77884:78292:+;HP][78417:78627:+;HP][78859:79045:+;HP][79110:79338:+;HP][79800:80151:+;HP][80290:80629:+;HP][81087:81489:+;HP][81514:81874:+;HP][83149:83458:+;HP][83567:84191:+;HP][84317:84599:+;HP][87375:87690:+;HP][87761:87998:+;HP][88074:88365:+;HP][88380:88527:+;HP][88770:89112:+;HP][89125:89338:+;HP][89445:89790:+;HP][90344:90911:-;HP][90924:91164:-;HP][91160:91514:-;HP][91510:91897:-;HP][91896:92088:-;HP][92087:92495:-;HP][92497:93016:-;HP][93142:93703:-;HP][93719:94043:-;HP][94132:94357:-;HP][94349:95135:-;HP][95521:95884:-;HP][95902:99709:-;HP][99777:99918:-;HP][99914:100238:-;HP][100224:100641:-;HP][100759:100945:-;HP][100944:101106:-;HP][101105:103145:-;HP][103223:103487:-;HP][103500:103674:-;HP][103648:104272:-;HP][104264:104894:-;HP][104895:105639:-;HP][106371:106875:-;HP][106987:107251:-;HP][107415:107688:-;HP][107680:107869:-;HP][107882:108521:-;HP][108513:108729:-;HP][108742:108964:-;HP][109065:109635:-;HP][109830:110259:-;HP][110728:111646:-;HP][111645:112146:-;HP][112226:112415:-;HP][113218:113434:-;HP][113531:113765:-;HP][113769:113994:-;HP][114272:114488:-;HP][114498:114705:-;HP][115733:116000:+;HP][115977:116259:+;HP][116279:116669:+;HP][116685:116883:+;HP][117608:117806:+;HP][117860:118568:+;HP][118832:119774:+;HP][119870:120650:+;HP][120833:121466:+;HP][121618:122098:+;HP][123154:123448:+;HP][123576:123819:+;HP][123859:124816:+;HP][125349:126054:+;HP][126230:126995:+;HP][128043:129435:+;主カプシドタンパク質][129781:130531:+;HP][130715:130835:+;HP][131151:132027:+;HP][132026:132647:+;HP][132665:133502:+;HP][133501:133708:+;HP][133730:135491:+;推定尾鞘タンパク質][135553:135892:+;ビリオンタンパク質5][137040:137178:+;HP][137283:137664:+;HP]
【0413】
ファージSTA48-6の必須遺伝子:[842:1250:+;HP][1375:1585:+;HP][1817:2003:+;HP][2068:2296:+;HP][2758:3109:+;HP][4649:4859:+;HP][4861:5170:+;HP][5279:5903:+;HP][6029:6311:+;HP][9087:9402:+;HP][9473:9710:+;HP][9786:10077:+;HP][10092:10239:+;HP][10482:10824:+;HP][10837:11050:+;HP][11157:11502:+;HP][11791:12166:-;HP][12454:13015:-;HP][13031:13355:-;HP][13444:13669:-;HP][13661:14447:-;HP][14836:15199:-;HP][15217:19024:-;HP][19091:19232:-;HP][19228:19552:-;HP][19538:19955:-;HP][20073:20259:-;HP][20258:20420:-;HP][20419:22459:-;HP][22537:22801:-;HP][22814:22988:-;HP][22962:23586:-;HP][23578:24208:-;HP][24209:26009:-;HP][27704:27968:-;HP][28407:28596:-;HP][28609:29248:-;HP][29240:29456:-;HP][29469:29691:-;HP][29792:30362:-;HP][30557:30986:-;HP][31455:32373:-;HP][32372:32873:-;HP][32952:33141:-;HP][33943:34159:-;HP][34256:34490:-;HP][34494:34719:-;HP][34999:35215:-;HP][35225:35432:-;HP][36460:36727:+;HP][36704:36986:+;HP][37006:37396:+;HP][37412:37610:+;HP][38335:38533:+;HP][38587:39295:+;HP][39560:40499:+;HP][40595:41375:+;HP][41558:42191:+;HP][42343:42823:+;HP][43825:44119:+;HP][44247:44490:+;HP][44530:45487:+;HP][46020:46725:+;HP][46901:47666:+;HP][48674:50066:+;主カプシドタンパク質][50412:51162:+;HP][51346:51466:+;HP][51782:52658:+;HP][52657:53278:+;HP][53296:54133:+;HP][54132:54339:+;HP][54361:56122:+;推定尾鞘タンパク質][56184:56523:+;ビリオンタンパク質5][57671:57809:+;HP][57914:58295:+;HP][58351:58660:+;HP][58748:59177:+;HP][59268:59727:+;HP][59786:62774:+;HP][63228:64098:+;HP][64156:64981:+;HP][65032:67465:+;HP][67470:68364:+;HP][68354:70811:+;HP][70922:71774:+;HP][71773:72295:+;HP][72294:72999:+;HP][73013:74060:+;HP][74070:76773:+;HP][76876:77398:+;ビリオンタンパク質3][77417:80876:+;HP][80927:81098:+;HP][81087:83001:+;HP][83016:83373:+;HP][83378:84743:+;HP][84828:85284:+;HP][85702:86824:+;HP][87196:88420:+;HP][88412:89852:+;HP][89851:90109:+;HP][90433:90757:+;HP][90952:91153:+;HP][91121:91370:+;HP][91369:92059:+;HP][92128:93160:+;HP][93420:95355:+;エキソヌクレアーゼサブユニット2][95338:95932:+;HP][95945:97022:+;HP][97390:97828:+;HP][98659:99778:+;HP][99793:101527:+;HP][102357:103284:+;HP][103296:103623:+;HP][103606:103927:+;HP][104133:104736:+;HP][105340:105616:+;HP][105838:109051:+;HP][109075:109558:+;HP][109628:110804:+;HP][110866:112102:+;HP][112094:112448:+;HP][112434:113094:+;HP][113200:113833:+;HP][114383:114596:+;HP][114692:114947:+;HP][114946:115717:+;HP][115709:116963:+;HP][117619:117910:+;HP][117902:118664:+;HP][118644:119151:+;HP][119150:120005:+;HP][120377:121109:+;HP][121126:121585:+;HP][121649:122087:+;HP][122097:122733:+;HP][122768:123167:+;HP][123307:123559:+;HP][123568:123832:+;HP][123832:124117:+;HP][124129:124423:+;HP][124486:124801:+;HP][124803:125049:+;HP][125183:125687:+;HP][125715:126372:+;HP][126390:126942:+;HP][126947:127154:+;HP][127153:127873:+;HP][127904:128117:+;HP][128110:129007:+;HP][129112:129310:+;HP][129309:129702:+;HP][129701:130433:+;HP][130906:131941:+;HP]
【0414】
ファージSTA48-7の必須遺伝子:[125:344:+;HP][1889:2075:+;HP][2159:2663:+;HP][2662:4150:+;HP][4263:4572:+;HP][4571:5366:+;HP][5562:6255:+;HP][6363:6591:+;HP][6593:6824:+;HP][6813:7455:+;HP][7477:7669:+;HP][7658:7823:+;HP][8099:8714:+;HP][8765:9506:+;HP][9574:9799:+;HP][9798:10695:+;HP][10687:11314:+;HP][11306:11885:+;HP][12081:12345:+;HP][12422:14471:+;HP][14470:14632:+;HP][14675:14864:+;HP][14863:15178:+;HP][15158:15779:+;HP][15910:16327:+;HP][16430:16646:+;HP][16797:17916:+;HP][17927:18773:+;HP][19053:19218:+;HP][19220:19754:+;HP][19753:20296:+;HP][20345:20828:+;HP][20868:21042:+;HP][21140:21530:+;HP][21531:21771:+;HP][21782:21887:+;HP][21949:22687:+;HP][22676:22871:+;HP][22871:23090:+;HP][24541:26392:+;HP][26484:27192:+;HP][27188:27587:+;HP][27900:28389:+;HP][28400:28943:+;HP][28956:29388:+;HP][29380:29866:+;HP][29862:30054:+;HP][30056:30491:+;HP][30490:30727:+;HP][31059:31239:-;HP][31323:31593:-;HP][31592:31766:-;HP][32474:32711:-;HP][34120:34501:-;HP][34600:34924:-;HP][35091:35250:-;HP][35850:36339:+;HP][37162:37450:-;HP][37655:37964:-;HP][38273:38612:+;HP][38816:39164:-;HP][39174:39414:-;HP][39509:39767:-;HP][39770:40064:-;HP][40171:40357:-;HP][40372:40672:-;HP][42707:42902:-;HP][43909:44206:-;HP][44270:44468:-;HP][44469:44862:-;HP][44878:45124:-;HP][45202:46672:-;HP][46689:47598:-;HP][47594:47903:-;HP][47996:48260:-;HP][48287:48488:-;HP][48500:48725:-;HP][49195:49510:-;HP][49876:50194:-;HP][50196:50460:-;HP][50474:50654:-;HP][51237:51765:-;HP][52406:52712:-;HP][52788:53052:-;HP][53168:53456:-;HP][53472:53766:-;HP][53767:54169:-;HP][54395:54575:-;HP][55682:56033:-;HP][56047:56353:-;HP][56422:56701:-;HP][56700:57048:-;HP][57060:57429:-;HP][57441:57624:-;HP][57671:57968:-;HP][57960:58137:-;HP][58148:58397:-;HP][58411:59056:-;HP][59136:59370:-;HP][59362:59614:-;HP][59603:59780:-;HP][59815:60373:-;HP][60377:60620:-;HP][60766:61165:-;HP][61226:61931:-;HP][61947:62391:-;HP][62455:62914:-;HP][62931:63663:-;HP][64034:64898:-;HP][64897:65344:-;HP][65321:66089:-;HP][66081:66618:-;HP][66681:66993:-;HP][66979:67348:-;HP][67361:68612:-;HP][68604:69360:-;HP][69363:69624:-;HP][69718:69946:-;HP][69960:70482:-;HP][70495:71128:-;HP][71254:71917:-;HP][71903:72257:-;HP][72260:73529:-;HP][74946:75429:-;HP][75757:78976:-;HP][79052:79358:-;HP][79367:79964:-;HP][80170:80491:-;HP][80474:80804:-;HP][80821:81871:-;リボヌクレオシド二リン酸レダクターゼサブユニットβ][81884:83999:-;リボヌクレオシド二リン酸レダクターゼの大サブユニット][84013:84406:-;HP][84422:85031:-;HP][85017:85470:-;HP][85872:86940:-;HP][86954:87551:-;HP][87550:89470:-;エキソヌクレアーゼサブユニット2][89469:89847:-;HP][89846:90872:-;HP][90950:92393:-;HP][92385:93999:-;HP][94010:95759:-;HP][95849:97226:-;HP][97232:97604:-;HP][97625:99548:-;HP][99548:99707:-;HP][99755:103214:-;HP][103234:103756:-;ビリオンタンパク質3][103866:106821:-;HP][106946:107993:-;HP][108007:108712:-;HP][108711:109236:-;HP][109235:110027:-;HP][110133:112680:-;HP][112679:113567:-;HP][113580:116007:-;HP][116085:120141:-;HP][120196:120733:-;HP][120776:121235:-;HP][121367:121679:-;HP][122121:122580:-;HP][123281:124217:-;HP][124887:125268:-;ビリオンタンパク質5][125340:127104:-;推定尾鞘タンパク質][127130:127346:-;HP][127347:128184:-;HP][128202:128823:-;HP][128822:129701:-;HP][129714:130623:-;HP][131044:132436:-;主カプシドタンパク質][132551:133508:-;HP][133526:134267:-;HP][134494:135997:-;HP][136189:136501:-;HP][137004:138156:-;HP][138249:138729:-;HP][138885:139707:-;HP][139699:141517:-;HP][141531:141858:-;HP][141938:142217:-;HP][142194:142461:-;HP][143485:143692:+;HP][143704:143914:+;HP]
【0415】
実施例8 試験したファージは、全ての試験した増殖状態において有効である
この研究では、液体アッセイを使用して、不活性代謝細菌の代用として役立ち得る静止状態の細菌に焦点を当てて、異なる増殖期における細菌のファージ感染を評価したConlon et al.,2016;Lewis,2007)。異なる増殖期は、細菌の多様な代謝状態を表し、したがって、異なる代謝条件下でのファージ感染性を評価するために使用することができる。
【0416】
初期対数期細菌、中期対数期細菌、及び定常状態細菌に対するADX2(ファージSTA48-1、STA48-5、STA48-7)の活性を評価するために、代表的な黄色ブドウ球菌株に対して液体感染アッセイを行った。
【0417】
方法-液体感染及びOD読み取り
各被験株の10個の細菌コロニーを採取し(約1μLループ全体)、4mLの液体BHISを予め充填した培養チューブに移し、180rpm、37℃で約6時間振盪することによってOD600≧1.5まで培養した。4mLのBHISのみを含む1本の培養チューブを、ブランクとして使用した。40μL培養物を、4mLの液体BHISを予め充填した2つの培養チューブに希釈し、OD600が初期対数期については0.1~0.2に、中期対数期については0.6~0.8に達するまで、37℃で180rpmで振盪することによってインキュベートした。細菌培養物の残りを、定常増殖期用に、37℃で更に約24時間、180rpmで振盪することによってインキュベートした。96ウェルプレートを、各STA株の複製において1mM(MMC)イオンを補充した各細菌増殖期(初期対数期、中期対数期、及び定常期)からの190μLの細菌培養物を含有するように調製した。10μLの以下の混合物を適切なウェルに添加した。
a.ファージなし対照(NPC):BHIS単独
b.106PFU/ウェルでの、BHIS中のファージ混合物
【0418】
プレートはまた、対照として培地内又はファージカクテル内の汚染を除外するために、200μLのBHIS培地単独及びBHIS単独中のファージカクテルの一対のウェルを含有した。50μLの鉱油を各ウェルに添加して蒸発を防止し、プレートを通気性フィルムで密封した。次いで、プレートを、Infinite M200PROプレートリーダー(Tecan)に取り付けられたFreedom Evoロボット式液体ハンドラー(Tecan)に入れ、32℃に加熱し、90rpmで穏やかに回転させた。各ウェルのOD600を100時間にわたって約20分毎に読み取った。
【0419】
結果
ADX2ファージカクテルは、予備的な液体宿主範囲評価において感受性であるとみなされた株について、全ての試験された増殖状態において感染性である。図6は、異なる感受性パターンを有する2つの細菌株の増殖曲線を示す:(A)黄色ブドウ球菌株527(上の3つのチャート)は、3つ全てのファージに対して感受性である。(B)黄色ブドウ球菌株418(下の3つのチャート)は、STA48-7に対してのみ感受性である。最も左の2つのチャートは、初期対数期における感染についてのOD曲線を示し、中央の2つのチャートは、中期対数期における感染についてのOD曲線を示し、最も右の2つのチャートは、定常期における感染についてのOD曲線を示す。NPC;ファージなし対照(no phage control)。
【0420】
実施例9 転移因子の検出及び不活性化
転移因子(transposable element、TE、トランスポゾン、又はジャンピング遺伝子)は、ファージのゲノム内でのその位置を変化させることができるDNA配列であり、例えば、突然変異を作製又は逆転させて、ファージの遺伝的同一性及びゲノムサイズを変化させることによって、遺伝子変化及び不安定性の源となり得るものである。そのような不安定性は、(例えば、元の宿主範囲に関して)ファージの性能を変化させ得る。したがって、TEを検出して不活性化することが好ましい。
【0421】
計算による方法を用いて、本発明のファージのゲノムをスクリーニングし、以下のトランスポゾンを検出した。
【0422】
【表8】
【0423】
配列表に詳述されるファージのゲノム配列に関して。
【0424】
特定の実施形態によれば、表7に列挙されるものなどのTEは、DNA塩基対の完全な切除又は一部切除によって不活性化される。例えば、単一の塩基対の最も短い切除は、トランスポザーゼ酵素遺伝子(TPase)におけるフレームシフトをもたらし、かつ/又はトランスポゾン移動性(例えば、挿入及び/又は切除)に必要な構造配列の機能を損なう可能性がある。
【0425】
あるいは、又は更に、TEは、元の単一塩基対又はそれ以上の置換によって不活性化され得る。例えば、コドンシフトを引き起こすか、又はTPase遺伝子に初期終止コドンを導入する変化は、翻訳されたタンパク質の不活性バージョンを導き得る。当業者は、トランスポゾンを不活性化するために、このような遺伝子操作を実施するための、その分野で公知の多数の代替的な分子生物学的方法を容易に想定し得る。
【0426】
実施例10 黄色ブドウ球菌による皮膚感染のインビボ及びエクスビボモデルを使用したファージの有効性の試験。
異なるモデルを使用して、ヒトの皮膚を模倣する関連条件におけるファージの有効性を評価する。例えば、再構築されたヒト表皮(Reconstructed Human Epidermis、RHE)モデルが、この目的のために使用され得る。これは、不活性ポリカーボネートフィルター上で培養された正常なヒトケラチノサイトから再構築された、インビトロモデルである。このモデルを使用して、ファージによる処理後に細菌負荷が減少するかどうかを測定することによって、ファージの有効性を試験し、確認し得る。モデルは、異なる黄色ブドウ球菌株を用いて構築することができ、それにより、バイオフィルムの低減又は防止などの異なる表現型に対するファージの効果、増殖を遅らせることに対する有効性を研究することが可能になる。そのような研究は、異なるファージ、異なる製剤、及び様々な適用レジメンの有効性を比較するために行うことができる。
【0427】
別のモデルは、ファージの活性を妨害し得る免疫系及び潜在的経路の存在下で、生きた生物におけるファージの効力を研究することを可能にするマウスモデルである。そのようなモデルは、Nakatsujiら(Nature Medicine,2021)によって使用され、アトピー皮膚炎をモデル化するために処置されたマウスの皮膚上の黄色ブドウ球菌の減少が研究された。詳細には、黄色ブドウ球菌によって4日間コロニー形成されたOVA感作FLGft/ft Balb/cマウスに、ShA9(抗微生物剤)又はビヒクルを、1日2回、3日間局所適用した後のマウス皮膚について分析を行った。この研究において、彼らは、スワブによって病変背部皮膚から回収された生黄色ブドウ球菌、炎症、及び選択されたサイトカインのmRNAの相対存在量をモニターした。
【0428】
実施例11 表皮ブドウ球菌に対するファージ感染力の試験。
表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)は、ヒト皮膚の天然マイクロバイオーム中に見出されるブドウ球菌細菌の1つの種である。以前の研究は、これは、有害でないコロニー形成体及び病原体の両方としての表皮ブドウ球菌の二重の役割を示唆している。
【0429】
ファージSTA48-1、STA48-5、及びSTA48-7(ADX2カクテルのメンバー)の表皮ブドウ球菌に対する感染性を調査するために、ヒト皮膚から単離された13種類の代表的な表皮ブドウ球菌株を、IMHA細菌レポシトリから入手し、EOP分析によって評価した。以下の表8は、表皮ブドウ球菌の13株のリストと、0.1以上のEOPでのファージSTA48-7に対する対応する感受性を示す。表皮ブドウ球菌の2つの株は、STA48-7に対して感受性であることが判明した。表皮ブドウ球菌の13株の全ては、そのEOPレベルで、STA48-1及びSTA48-5に耐性であるということが判明した。
【0430】
【表9】
【0431】
本発明をその特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、修正、及び変形が当業者には明らかであることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に入る全てのそのような代替形態、修正形態、及び変形形態を包含することが意図される。
【0432】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が、参照されるときに、それが参照により本明細書に組み込まれるべきであると具体的かつ個別に言及されているかのように、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるべきであることが、出願人(複数可)の意図である。加えて、本出願における任意の参考文献の引用又は特定は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることの承認として解釈されるべきではない。セクションの見出しが使用される限りにおいて、それらは必ずしも限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、本出願の任意の優先権書類(複数可)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【配列表】
2024520907000001.app
【国際調査報告】