(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】窒化アルミニウム化合物に対するアルミニウムのエピタキシャル成長
(51)【国際特許分類】
H03H 3/02 20060101AFI20240520BHJP
H03H 9/17 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H03H3/02 C
H03H9/17 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569831
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 US2022028836
(87)【国際公開番号】W WO2022241033
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,ジョン,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,ブライアン,ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,セオド-ル,ディー.
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108BB08
5J108CC04
5J108CC11
5J108EE03
5J108KK01
5J108KK02
5J108MM08
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
装置および関連する方法は、窒化アルミニウム化合物(12')に対してアルミニウムのエピタキシャル層(14')を形成することに関連する。アルミニウムは、真空チャンバ内でクラスタ有効温度閾値を下回って結晶窒化アルミニウム化合物の温度を維持することによって、結晶窒化アルミニウム化合物に対してエピタキシャルに成長する。次いで、結晶窒化アルミニウム化合物は、予め定められた持続時間の間に、元素アルミニウムの原子に露出される。アルミニウムは、予め定められた厚みのエピタキシャルアルミニウムの層を生成するように、予め定められた持続時間の間に、このようにしてエピタキシャルに成長する。そのようなエピタキシャルに成長した単結晶アルミニウムは、多結晶アルミニウムよりも低い抵抗率を有する。得られた構造は、BAW共振器(10')に使用され、アルミニウムのエピタキシャル層(14')は、上部電極として機能し、結晶窒化アルミニウム化合物(12')は、圧電層として機能する。下部アルミニウム電極(16')は、多結晶であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶窒化アルミニウム化合物層上にアルミニウムのエピタキシャル層を形成する方法であって、
温度および環境の両方が制御された真空チャンバに、単結晶窒化アルミニウム化合物層を含むウェーハをロードするステップと、
クラスタ有効(favoring)温度閾値よりも低い温度に前記ウェーハの温度を維持するステップと、
前記真空チャンバ内で所定の期間にわたって、元素アルミニウムの原子に前記ウェーハを暴露するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項2】
維持される前記温度は、室温未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
維持される前記温度は、ゼロ℃よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
維持される前記温度は、-25℃未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、エピタキシ用の前記単結晶窒化アルミニウム化合物を調製するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記真空チャンバから前記ウェーハをアンロードするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記単結晶窒化アルミニウム化合物層は、圧電層である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
バルク弾性波(BAW)共振器構造であって、
単結晶窒化アルミニウム化合物層と、
前記単結晶窒化アルミニウム化合物層の第1の面に結合された第1の接点層であって、前記第1の接点層は、前記単結晶窒化アルミニウム化合物層と結晶学的に結合された単結晶アルミニウム接点層である、前記第1の接点層と、
前記単結晶窒化アルミニウム化合物層の第2の面に結合された第2の接点層と、
を有する、前記BAW共振器構造。
【請求項9】
前記第1の接点層は、臨界厚み限界よりも小さな厚みを有する、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項10】
前記第1の接点層は、40nm未満の厚みを有する、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項11】
前記第1の接点層は、30nm未満の厚みを有する、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項12】
前記窒化アルミニウム化合物層は、スカンジウム(
x)-アルミニウム(
1-x)-窒化物(Sc
xAl
1-xN)を含む、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項13】
xは、0.00から0.50の間である、請求項12に記載のBAW共振器構造。
【請求項14】
xは、0.15から0.45の間である、請求項13に記載のBAW共振器構造。
【請求項15】
xは、0.40から0.43の間である、請求項14に記載のBAW共振器構造。
【請求項16】
前記第2の接点は、多結晶アルミニウム接点層である、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項17】
前記第2の接点の第2の厚みは、前記第1の接点の第1の厚みよりも大きい、請求項16に記載のBAW共振器構造。
【請求項18】
前記単結晶窒化アルミニウム化合物層は、圧電層である、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項19】
前記第1の接点層の抵抗率は、アルミニウムのバルク抵抗率の150%未満である、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【請求項20】
前記第1の接点層の抵抗率は、アルミニウムのバルク抵抗率の135%未満である、請求項8に記載のBAW共振器構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
信号の高周波数フィルタリングのためにバルク弾性波(BAW)共振器が使用される。BAW共振器を製造するために様々な構造および材料が使用される。これらの構造は概して、2つの電気伝導接点の間で挟まれた圧電材料の薄層から形成される。これらの構造は次いで、例えば、いずれかの基板などの周囲の媒体から音響的に隔離される。そのようなBAW共振器のインピーダンス/周波数関係は、鮮明な共振特徴を有する場合がある。そのようなインピーダンス共振は、電気信号をフィルタリングするための正確な周波数選択をもたらす場合がある。しかしながら、これらの共振特徴は、例えば、圧電材料、接点材料、および層の各々の厚みなど、特定のBAW共振器構造の様々なメトリックに依存する。より薄い接点層は、これらのBAW共振器構造のより良好な制御および性能を有利に促進する。
【発明の概要】
【0002】
装置および関連する方法は、単結晶窒化アルミニウム化合物層上でアルミニウムのエピタキシャル層を形成することに関連する。そのように行う方法は、温度および大気が制御される真空チャンバの中に単結晶窒化アルミニウム化合物層を有するウェーハをロードすることを含む。方法は、クラスタ有効温度閾値を下回ってウェーハの温度を維持することを更に含む。方法はまた、真空チャンバ内で予め定められた持続時間の間に元素アルミニウムの原子にウェーハを露出することを含む。
【0003】
いくつかの実施形態は、バルク弾性波(BAW)共振器構造に関連する。BAW共振器構造は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層を含む。BAW共振器構造は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層の第1の面に結合された第1の接点層を更に含み、第1の接点層は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層に結晶学的に結合された単結晶アルミニウム接点層である。BAW共振器構造はまた、単結晶窒化アルミニウム-化合物層の第2の面に結合された第2の接点層を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】エピタキシャルに成長したアルミニウムが、真空チャンバ内で窒化アルミニウム化合物に対して成長する、バルク弾性波(BAW)共振器構造の断面図である。
【
図2】BAW共振器についてのシミュレートされた性能指数(FOM)に対する圧電窒化アルミニウム-化合物層の厚みのグラフである。
【
図3】アルミニウムの抵抗率に対するスパッタリング堆積したアルミニウムおよびエピタキシャルに成長したアルミニウムの両方についての厚みのグラフである。
【
図4】A~Bは、室温を下回って堆積したアルミニウムの表面および室温において堆積したアルミニウムの表面の平面図である。
【
図5】窒化アルミニウム化合物に対してアルミニウムをエピタキシャルに成長させる方法のフローチャートである。
【
図6】A~Bは、様々な製造のステージにおけるBAW共振器構造の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
装置および関連する方法は、窒化アルミニウム化合物に対してアルミニウムのエピタキシャル層を形成することに関連する。アルミニウムは、真空チャンバ内でクラスタ有効温度閾値を下回って単結晶窒化アルミニウム化合物の温度を維持することによって、単結晶窒化アルミニウム化合物に対してエピタキシャルに成長する。次いで、単結晶窒化アルミニウム化合物は、予め定められた持続時間の間に、元素アルミニウムの原子に露出される。アルミニウムは、予め定められた厚みのエピタキシャルアルミニウムの層を生成するように、予め定められた持続時間の間に、このようにしてエピタキシャルに成長する。そのようなエピタキシャルに成長した単結晶(すなわち、単一結晶)アルミニウムは、多結晶アルミニウムよりも低い抵抗率を有する。エピタキシャルに成長したアルミニウムの抵抗率が多結晶アルミニウムの抵抗率よりも低いことを理由に、単結晶アルミニウム接点層は、等しい抵抗の多結晶接点層よりも薄くなることができる。そのような薄い接点層は、バルク弾性波(BAW)共振器構造のより良好な制御および性能を促進することができる。
【0006】
図1は、エピタキシャルに成長したアルミニウムが、真空チャンバ内で圧電窒化アルミニウム化合物に対して成長する、バルク弾性波(BAW)共振器構造の断面図である。そのようなアルミニウム層の意図しない酸化がそれによって防止されることを理由に、真空チャンバの使用は、アルミニウムの高品質のエピタキシャル成長を促進する。
図1では、BAW共振器構造10は、第1の接点層14と第2の接点層16との間で挟まれた単結晶窒化アルミニウム-化合物層12を含む。窒化アルミニウム-化合物層12において、様々なタイプの窒化アルミニウム化合物が使用されることができる。例えば、窒化アルミニウム-化合物層12において、スカンジウム-窒化アルミニウム(Sc
xAl
1-xN)またはイットリウム-窒化アルミニウム(Y
xAl
1-xN)が使用されることができる。Sc
xAl
1-xNの式において使用される添え字xは、例えば、0~0.50、0.15~0.45、または0.40~0.43であることができる。ここで、圧電応答は、本分野において既知であるように、相対組成インデックスxにおける変化に応答して変化する(例えば、Akiyama et al.Appl.Phys.Lett.95 162107(2009)を参照されたい)。
【0007】
第1の接点層14は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12の第1の面18に結晶学的に結合された単結晶アルミニウムの層である。第1の接点層14を単結晶窒化アルミニウム-化合物層12に結晶学的に結合することは、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12の結晶学的構造上の第1の接点層14の単結晶アルミニウム材料に対するエピタキシャル成長から結果として生じる。下層にある単結晶材料のそれらと同等である(例えば、関連する)横方向格子次元を想定して、単結晶材料上の1つの材料のそのようなエピタキシャル成長は、成長した材料を結果としてもたらす。同様に、そのようなエピタキシャル成長も、成長した材料と基板の単結晶表面材料との間の結晶学的関係を結果としてもたらす。
【0008】
第2の接点層16は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12の第2の面20に結合される。いくつかの実施形態では、第2の接点層16は、多結晶アルミニウムであるが、他の実施形態では、第2の接点層16は、単結晶アルミニウムである。これらの後者の実施形態では、第1の接点層14および第2の接点層16の両方についてのアルミニウムは、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12上でエピタキシャルに成長することができる。原則として、第1の接点層14、窒化アルミニウム-化合物層12、および第2の接点層16は全て、連続して成長すると共に、実際には、第1の接点層14および/または第2の接点層16は典型的には、別々の時間に成長する。そのようなケースでは、第2の接点層16が作成される前に、窒化アルミニウム-化合物層12の下でいずれかの基板材料の一部/全てを除去して、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12の露出した表面上でのエピタキシャル成長を可能にするように、エッチング加工ステップが実行される。以下で示されるように、エピタキシャルに成長したアルミニウム接点層は、従来からの堆積した多結晶アルミニウム接点層よりも低いバルク抵抗率を有することができる。
【0009】
図2は、BAW共振器についてのシミュレートされた性能指数(FOM)に対する圧電窒化アルミニウム-化合物層の厚みのグラフである。
図2では、グラフ22は、水平軸24、第1の垂直軸26、第2の垂直軸28、接点-厚み/共振器-厚み関係32、および性能指数(FOM)/共振器-厚み関係34を有する。水平軸24は、第1の接点層14の表面内部と第2の接点層16の表面内部との間で測定されるように、圧電窒化アルミニウム-化合物層12(
図1に表されるように)の厚みを示す。第1の垂直軸26は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12上で成長/堆積した、第1の接点層14および第2の接点層16の各々のアルミニウムの厚みを示す。接点-厚み/共振器-厚み関係32は、第1の接点層14および第2の接点層16の各々の厚みと窒化アルミニウム-化合物層12の厚みとの間の関係を表す。接点-厚み/共振器-厚み関係32によって示されるように、接点層の厚みが減少するにつれて、窒化アルミニウム-化合物層の厚みは、所与の中心周波数に対して増大することができる。
【0010】
第2の垂直軸26は、
【数1】
によって計算されるように性能指数(FOM)を示す。ここで、k
Tは、圧電材料の電気機械結合係数であり、Qは、BAW共振器構造10の品質係数である。シミュレートされた性能指数-(FOM)/共振器-厚み関係34は、式(1)を使用して計算されるようなこのFOMと窒化アルミニウム-化合物層12の合計の厚みとの関係を表す。シミュレートされたFOM/窒化アルミニウム-化合物厚み関係34によって示されるように、所与の中心周波数に対するアルミニウム電極を有するAlN共振器に対し、シミュレートされたFOMは、20nm~40nmの接点層厚みに対応する、190nm~230nmの合計の窒化アルミニウム-化合物厚みに対してピークになる。
【0011】
図3は、アルミニウムの抵抗率に対するスパッタリング蒸着したアルミニウムおよびエピタキシャルに成長したアルミニウムの両方についての厚みのグラフである。
図3では、グラフ38は、水平軸40、垂直軸42、電気-抵抗率/厚み関係44、並びに電気-抵抗率データ46/厚みデータ48を含む。水平軸40は、第1の接点層14の厚み(
図1に表されるように)を示す。垂直軸42は、第1の接点層14の抵抗率を示す。電気-抵抗率/厚み関係44は、多結晶アルミニウムのスパッタリング堆積した層の電気抵抗率(例えば、オームメートルにおいて測定されるような)と厚み(例えば、nmにおいて測定されるような)との間の関係を表す(A.Karoui 2011 ECS Trans.41 21からのデータ)。電気-抵抗率/厚み関係44において示されるように、電気抵抗率は、おおよそ多結晶アルミニウムのスパッタリング堆積した層の厚みに反比例する。電気-抵抗率データ46および厚みデータ48は、第1の接点層14に対して使用される単結晶アルミニウムのエピタキシャルに成長した層の電気抵抗率と厚みとの間の関係を表すデータ点である。
図3に表されるように、エピタキシャルに成長した単結晶アルミニウムは、スパッタリング蒸着した多結晶アルミニウムよりもはるかに低い電気抵抗率を有する。そのような低い電気抵抗率は、結果として生じるシート抵抗の影響を受けることなく、より薄い第1の接点層が使用されることを可能にすることができる。逆に、第1の接点層に対して同一の厚みが使用されることができると共に、エピタキシャルに成長した単結晶アルミニウムは、はるかに減少したシート抵抗を示す。第1の接点層14に対して使用される単結晶アルミニウムの結果として生じる抵抗率は、アルミニウムのバルク抵抗率の抵抗率に近い(約2.65×10
-8Ω・m)ことに留意されよう。いくつかの実施例では、第1の接点層14に対して使用される単結晶アルミニウムの抵抗率は、アルミニウムのバルク抵抗率の150%、135%、120%、または110%未満であることができる。
【0012】
図4A~4Bはそれぞれ、室温を下回って堆積したアルミニウムの表面および室温において堆積したアルミニウムの表面の平面図である。
図4Aは、室温を下回る温度においてエピタキシャルに成長したアルミニウムに対する、第1の接点層14(
図1に表されるように)の表面の原子間力顕微鏡(AFM)画像を表す。
図4Aの表示は、アルミニウムクラスタのいずれのインジケーションも有さない、顕微鏡によって平坦な表面を示す。そのような室温を下回ってエピタキシャルに成長したアルミニウムが実際に単結晶であることをX線回折研究が確認してきた。
図4Bは、室温においてエピタキシャルに成長したアルミニウムに対する、第1の接点層14(
図1に表されるように)の表面の画像を表す。
図4Bの表示(および、差し込まれた上記の
図4Bにおいて表される拡大図)は、クラスタ形成を示し、クラスタ形成は、多結晶アルミニウム形成(より高い電気抵抗率を有する)またはクラスタの間の電気不連続性を示すことができる。アルミニウムの表面移動度は、室温においてさえ高い。したがって、室温において、アルミニウム吸着原子は、下層にある材料との結晶学的結び付きを形成する支持サイトをそれらが発見する前に、相互にクラスタする傾向がある。よって、室温は、クラスタ有効可能温度である。クラスタ有効閾値温度が存在し、クラスタ有効閾値温度を上回って、アルミニウム吸着原子は、結晶学的結び付き上でクラスタ形成を支持し、クラスタ有効閾値温度を下回って、アルミニウム吸着原子は、クラスタ形成上で結晶学的結び付きを支持する。室温がそのようなクラスタ有効温度閾値を上回ることを理由に、窒化アルミニウム化合物に対してアルミニウムをエピタキシャルに成長させる試みは典型的には、多結晶アルミニウム堆積を結果としてもたらし、単結晶アルミニウム形成を結果としてもたらさない。逆に、クラスタ有効温度閾値を下回って、窒化アルミニウム化合物に対してアルミニウムをエピタキシャルに成長させる試みは、成功することができる。
【0013】
図5は、窒化アルミニウム化合物に対して単結晶アルミニウムをエピタキシャルに成長させる方法のフローチャートである。
図5では、表されるフローチャートは、窒化アルミニウム化合物に対してアルミニウムのエピタキシャル層を形成する方法50を説明する。方法50は、ステップ52において開始し、ステップ52では、窒化アルミニウム化合物の単結晶表面を有するウェーハが、分子線エピタキシ法のために真空チャンバにロードされる。次いで、ステップ56において、ウェーハは任意選択で、熱脱ガス、プラズマクリーニング、ガリウムフラッシュクリーニング、または他のアプローチなど、本分野において既知の様々な技術を介して真空で洗浄されることができる。ステップ66において、基板の温度は、クラスタ形成温度閾値を下回って減少する。ウェーハを冷却する様々な方法は、ステップ66において実行されることができる。基板の温度がクラスタ形成温度閾値を下回る温度に減少したとき、方法は、ステップ68に進み、ステップ68では、元素アルミニウムが室に導入される(例えば、蒸発セルを介して)。ステップ68において、アルミニウムは、窒化アルミニウム化合物の単結晶表面上でエピタキシャルに成長する。方法は、エピタキシャルに成長したアルミニウム層が予め定められた厚みに到達するまでステップ68に残る。ステップ72において、基板の温度は、室温まで増大する。最終的に、ステップ74において、ウェーハは、質から除去され、方法50は終了する。
【0014】
図6A~6Bは、様々な製造のステージにおけるBAW共振器構造の実施形態の断面図である。
図6Aでは、BAW共振器構造10'は、単結晶窒化アルミニウム-化合物層12'の単結晶表面78を有する基板76上で形成されている。単結晶表面78上にあるのは、単結晶アルミニウム層から構成された第1の接点層14'である。その後、
図6Bでは、基板76の下部の表面は、下部の単結晶表面80へのアクセスをもたらすように、機械的エッチングまたは化学的エッチングを通じてなど、部分的に除去されている。次いで、第2の接点層16'は、多結晶アルミニウムまたは単結晶アルミニウムのいずれかにより、下部の単結晶表面80上で形成される。そのようにして、例えば、BAW共振器構造10'のサンドイッチ構造は、基板76の特定の領域内で形成されることができる。
【0015】
例示的な実施形態(複数可)を参照して本発明が説明されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が行われ得、同等物がそれらの要素に対して置き換えられ得ることを当業者によって理解されよう。加えて、それらの必須の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるように、多数の修正が行われ得る。したがって、本発明は、開示される特定の実施形態(複数可)に限定されないが、本発明は、添付の請求項の範囲に収まる全ての実施形態を含むことが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】