(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】包帯アプリケータ
(51)【国際特許分類】
A61M 35/00 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
A61M35/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569835
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 IL2022050479
(87)【国際公開番号】W WO2022238996
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523424972
【氏名又は名称】アルマ プラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラズグール、アロン
(72)【発明者】
【氏名】バレル、シャシャール
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA62
4C267AA65
4C267AA66
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB23
4C267CC01
4C267HH08
(57)【要約】
発明は、(a)ロール包帯の中央管腔に挿入するように構成された細長いシリンダであって、当該シリンダを当該ロール包帯の管腔内に保持するように構成された1つ又は複数のフランジを含む、細長いシリンダと、(b)ハンドルの遠位端部がシリンダの遠位端部の近くにあるコンパクトな貯蔵位置と、ハンドルの遠位端部がシリンダの遠位端部から離れており、これにより、ハンドルの長さのほとんどがシリンダの近位端部から近位方向へ突出している作動位置との間で、細長いシリンダの中央管腔内で長手方向に移動するように構成されているハンドルと、を備え、作動位置において、ハンドルは当該シリンダに対して回転可能である、二状態ロール包帯アプリケータに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール包帯の中央管腔に挿入するように構成された細長いシリンダであって、前記シリンダを前記ロール包帯の管腔内に保持するように構成された1つ又は複数のフランジを含む、細長いシリンダと、
ハンドルの遠位端部が前記シリンダの遠位端部の近くにあるコンパクトな貯蔵位置と、前記ハンドルの前記遠位端部が前記シリンダの前記遠位端部から離れており、これにより、前記ハンドルの長さのほとんどが前記シリンダの近位端部から近位方向へ突出している作動位置との間で、前記細長いシリンダの前記中央管腔内で長手方向に移動するように構成されているハンドルと、を備え、
前記作動位置において、前記ハンドルは前記シリンダに対して回転可能である、
二状態ロール包帯アプリケータ。
【請求項2】
前記ハンドルは、1つ又は複数のフランジを備え、前記シリンダは、前記シリンダの管腔内に1つ又は複数の第1の内部突起を有し、前記フランジ及び前記第1の内部突起は、前記ハンドルを前記貯蔵位置にロックするように相互作用する、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項3】
前記貯蔵位置における前記ハンドルの前記ロックは、ユーザが前記アプリケータをその作動位置へ移動させることを可能にするために、解放可能である、請求項2に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項4】
前記シリンダは、前記シリンダの管腔に1つ又は複数の第2の内部突起を備え、前記ハンドルのフランジは、前記アプリケータが前記作動状態にあるときに前記近位方向又は遠位方向への前記ハンドルのさらなる長手方向移動が排除されるように前記第2の突起と係合するように構成されている、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項5】
前記作動状態における長手方向移動の前記排除は、前記シリンダからの前記ハンドルの取外し及び前記貯蔵位置への前記ハンドルの戻りの両方を防止し、これにより、前記アプリケータの複数回の使用を防止する、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項6】
別個の解放エレメントが、作動状態からの及び再び貯蔵状態への又は完全に前記シリンダからの前記ハンドルの長手方向移動を可能にし、これにより、訓練中の前記アプリケータの複数回の使用を可能にする、請求項5に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項7】
前記ハンドルは、取外し可能な中央プラグを含むように構成されたハンドルの管腔をさらに備え、前記プラグは、負傷した手足に前記包帯によって加えられる圧力を増大する引っ張りロッドとしての使用のためにサイズ及び形状が適している、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項8】
前記中央プラグは、ロッド・セクション及びディスク状又はドーム・セクションを有し、前記ロッド・セクションは、前記ハンドルの管腔内のプラグの保持を可能にするように構成されたねじ山を含む、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項9】
前記ハンドル・フランジのうちの少なくとも1つは、遠位方向に向けられた矢印形を有する、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【請求項10】
請求項1に記載の包帯アプリケータと、ロール包帯とを備える包帯巻き付けアセンブリであって、前記アプリケータの前記シリンダが、前記ロール包帯の前記管腔内に保持されている、包帯巻き付けアセンブリ。
【請求項11】
前記ロール包帯は、自己接着ロール包帯である、請求項10に記載の包帯巻き付けアセンブリ。
【請求項12】
傷被覆材料が、前記ロール包帯の外側端部の近くで、前記ロール包帯の1つの面に予め取り付けられている、請求項10に記載の包帯巻き付けアセンブリ。
【請求項13】
前記傷被覆材料は、医療組成物を含む、請求項12に記載の包帯巻き付けアセンブリ。
【請求項14】
前記医療組成物は、血液凝固促進物質を含む、請求項13に記載の包帯巻き付けアセンブリ。
【請求項15】
前記ロール包帯の管腔の断面及び前記シリンダの外側断面は、円形ではない、請求項1に記載のロール包帯アプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包帯アプリケータに関する。より具体的には、発明は、特に、迅速な包帯巻き付けによる出血の即座の停止が最も重要である緊急又は応急条件において、対象者の身体の負傷した部分にロール包帯を適用するために使用される使い捨てアプリケータに関する。アプリケータは、動脈性出血の場合に止血帯効果を達成するために引っ張りロッドとして使用することができる取外し可能なエレメントをさらに備える。
【背景技術】
【0002】
負傷した又は病気の対象者の身体表面における出血を止めるプロセスは、血液の損失、手術ショック、及び幾つかの場合には、死亡を回避するために、スピードが必須であるようなものである。最も一般的には、身体表面における開放出血創は、ある種類又は別の種類の織物包帯を適用することによって治療される。
【0003】
一般的に一片の織物から形成される包帯は、一般的に、医療被覆材、又は副子固定(immobilizing splint)などの装置を支持するために使用される。加えて、包帯は、手足のための機械的支持を提供するために、又は手足又はその他の身体部分の動きを制限するために、これが治癒プロセスを補助するために必要とされる場合に、それ自体で使用されてよい。包帯は、所定の用途のためには(例えば、骨折した腕を固定するための一時的なつり包帯を形成するために)三角形であってよいが、ロール包帯(即ち、巻き取られた形式でパッケージングされた細長い織物ストリップ)が、最も一般的に使用されるタイプである。
【0004】
ほとんどの場合、被覆材を所定の位置に保持するために使用されるとき、被覆材(ガーゼパッドなど)は、治療される傷又は損傷に直接適用され、次いで、被覆材を所定の位置に保持するために包帯が使用される。このような場合(即ち、被覆材と支持する包帯とが別々のユニットである場合)、包帯の適用中に、被覆材がその意図された治療部位から移動しないことを保証することが重要である。これは、傷への被覆材の正確な配置及び当該被覆材を所定の位置に固定するための包帯のその後のきつい適用が非常に切迫している応急又はその他の緊急状況において特に重要である。このような状況において、一人のオペレータ(医療従事者又は訓練されていない見物人)が、傷を治療するために一人で作業する必要があり得る。
【0005】
大部分は、包帯巻き付けシステムは一世紀以上不変のままであり、包帯適用の速度を高めることができ且つ創傷部位への圧力及びきつさの最適な適用を可能にすることができる改良された包帯巻き付け適用装置が必要とされている。加えて、感染のリスクを低減するために、包帯とのオペレータの全ての不要な接触を最小限にするか又は完全に防止しながら包帯の適用を可能にするシステムの必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の目的は、特に包帯を適用するために一人のオペレータしか存在しない場合に、患者への包帯の適用を単純化する包帯適用装置(「包帯アプリケータ」)を提供することである。
【0007】
発明の別の目的は、患者の手足への包帯の適用を加速させる包帯アプリケータを提供することである。
【0008】
発明のさらに別の目的は、動脈性出血の場合に止血帯効果を発揮するための組み込み型エレメントを含む包帯アプリケータを提供することである。
【0009】
発明のさらなる目的は、無菌形式での容易なパッケージングを可能にする、単純、軽量、低コスト及びコンパクトな形式で当該包帯アプリケータを提供することである。
【0010】
発明のさらに別の実施例は、当該アプリケータを使い捨て形式で提供し、アプリケータを再利用するいかなる試みも防止し、当該将来の再利用による起こり得る感染を防止することである。
【0011】
発明のその他の目的及び利点は、説明が進むにつれて明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明は、(a)ロール包帯の中央管腔に挿入するように構成された細長いシリンダであって、当該シリンダを当該ロール包帯の管腔内に保持するように構成された1つ又は複数のフランジを含む、細長いシリンダと、(b)ハンドルの遠位端部がシリンダの遠位端部の近くにあるコンパクトな貯蔵位置と、ハンドルの遠位端部がシリンダの遠位端部から離れており、これにより、ハンドルの長さのほとんどがシリンダの近位端部から近位方向へ突出している作動位置との間で、細長いシリンダの中央管腔内で長手方向に移動するように構成されているハンドルと、を備え、作動位置において、ハンドルは当該シリンダに対して回転可能である、二状態ロール包帯アプリケータに関する。
【0013】
発明の実施例において、当該ハンドルは、1つ又は複数のフランジを備え、当該シリンダは、シリンダの管腔内に1つ又は複数の第1の内部突起を有し、フランジ及び第1の内部突起は、ハンドルを当該貯蔵位置にロックするように相互作用する。
【0014】
発明の実施例において、当該貯蔵位置におけるハンドルの当該ロックは、ユーザがアプリケータをその作動位置へ移動させることを可能にするために、解放可能である。
【0015】
発明の実施例において、当該シリンダは、シリンダの管腔に1つ又は複数の第2の内部突起を備え、当該ハンドルのフランジは、アプリケータが当該作動状態にあるときに近位方向又は遠位方向へのハンドルのさらなる長手方向移動が排除されるように当該第2の突起と係合するように構成されている。
【0016】
発明の実施例において、当該作動状態における長手方向移動の当該排除は、シリンダからのハンドルの取外し及び貯蔵位置へのハンドルの戻りの両方を防止し、これにより、アプリケータの複数回の使用を防止する。
【0017】
発明の実施例において、別個の解放エレメントが、作動状態からの及び再び貯蔵状態への又は完全にシリンダからのハンドルの長手方向移動を可能にし、これにより、訓練中のアプリケータの複数回の使用を可能にする。
【0018】
発明の実施例において、ハンドルは、取外し可能な中央プラグを含むように構成されたハンドルの管腔をさらに備え、当該プラグは、負傷した手足に包帯によって加えられる圧力を増大する引っ張りロッドとしての使用のためにサイズ及び形状が適している。
【0019】
発明の実施例において、中央プラグは、ロッド・セクション及びディスク状又はドーム・セクションを有し、ロッド・セクションは、当該ハンドルの管腔内のプラグの保持を可能にするように構成されたねじ山を含む。
【0020】
発明の実施例において、ハンドル・フランジのうちの少なくとも1つは、遠位方向に向けられた矢印形を有する。
【0021】
発明は、上記の包帯アプリケータと、ロール包帯とを備える包帯巻き付けアセンブリであって、アプリケータのシリンダが、ロール包帯の管腔内に保持されている、包帯巻き付けアセンブリにも関する。
【0022】
発明の実施例において、ロール包帯は、自己接着ロール包帯である。
【0023】
発明の実施例において、傷被覆材料が、ロール包帯の外側端部の近くで、ロール包帯の1つの面に予め取り付けられている。
【0024】
発明の実施例において、傷被覆材料は、医療組成物を含む。
【0025】
発明の実施例において、医療組成物は、血液凝固促進物質を含む。
【0026】
発明の実施例において、ロール包帯の管腔の断面及びシリンダの外側断面は、円形ではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】発明の包帯アプリケータの構成要素を示す図である。
【
図2】発明の包帯アプリケータの構成要素を示す図である。
【
図3】発明の包帯アプリケータの構成要素を示す図である。
【
図4】貯蔵状態におけるアプリケータを示す図である。
【
図5】貯蔵状態におけるアプリケータを示す図である。
【
図6】作動状態における発明のアプリケータを示す図である。
【
図7】作動状態における発明のアプリケータを示す図であり、
図7では中央プラグがハンドルから分離されて示されている。
【
図8】ロール包帯の管腔内に保持されているアプリケータの遠位端部を示す図である。
【
図9】ロール包帯の管腔内に保持されているアプリケータの遠位端部を示す図である。
【
図10】様々な状態におけるアプリケータの断面図を示す図である。
【
図11】様々な状態におけるアプリケータの断面図を示す図である。
【
図12】様々な状態におけるアプリケータの断面図を示す図である。
【
図13】ロール包帯に取り付けられた発明のアプリケータを含む包帯アセンブリを示す図である。
【
図14a】どのようにアプリケータの中央プラグが包帯を締め付けるために使用され、それにより、動脈性出血の場合に止血帯効果を達成するかを示す図である。
【
図14b】どのようにアプリケータの中央プラグが包帯を締め付けるために使用され、それにより、動脈性出血の場合に止血帯効果を達成するかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明は主に、ロール包帯アプリケータに関し、その目的は、影響された身体部分へのロール包帯の適用を容易にすることである。包帯は一般的に、中空でシリンダ状の厚紙(又はポリマー)コアの周囲に巻き付けられて提供される。包帯アプリケータは、負傷した手足に包帯を適用しながら包帯の容易且つ迅速な回転を可能にする。アプリケータは、その最も一般的な形態において、ロール包帯の中央管腔内への挿入に適応した細長いシリンダと、状態位置と開放状態との間で細長いシリンダの中央管腔内で長手方向に移動するように適応した包帯巻き付けハンドルとを含む。閉鎖状態において、ハンドルの遠位端部はシリンダの遠位端部と実質的に整列させられている。開放(「作動」)状態において、ハンドルの遠位端部は、シリンダの近位端部の近くの位置に位置決めされており、これにより、ハンドルの長さのほとんどは、シリンダの近位端部から近位方向へ突出している。アプリケータは、さらに、ハンドルの内腔内に収容されるように構成された中央プラグを含むことができる。好ましくは、中央プラグは、雄ねじ山(この実施例では、ハンドルの内腔を包囲する壁部における相補的な雌ねじ山と係合するように設計されている)を備える細長い部分と、その近位端部における拡張したディスク状(又はドーム状)部分とを含む。工場でのアプリケータの組み立て中、中央プラグは、好ましくはこれを所定の位置へねじ込むことによって、ハンドルの管腔内へ挿入され、これにより、中央プラグの近位のディスク状領域がハンドルの近位端部から突出する。包帯引っ張りロッドとしての中央プラグの使用は、後述する。
【0029】
本明細書において使用される「近位」という用語は、オペレータに最も近く且つ包帯が巻かれる傷又は損傷から最も遠い、アプリケータ及びその構成要素の端部を指すことに留意されたい。逆に、「遠位」は、包帯が巻かれる傷に最も近く且つオペレータ(又は後述するように包帯の自己適用において使用されるオペレータの手)から最も遠い方向を指す。
【0030】
発明の包帯アプリケータ100の1つの実施例が、
図1に示されており、完成品へのそれらの組み立て前に示された上記に定義された構成要素を示している。シリンダ10は、図面の右側に向かって示されている。シリンダは、ロール包帯14の中央管腔内に(後述するように)シリンダをロックするために使用される遠位エレメントを有する複数のフランジ12を含む。シリンダ10の左側において、図面は、包帯巻き付けハンドル16を示しており、この包帯巻き付けハンドル16は、(この実施例では)テーパした外径を有し、これにより、その長さに沿った中間部分は、近位又は遠位端部よりも細く、これにより、ハンドルがオペレータの手に簡便に保持されることを可能にする。加えて、この実施例では、オペレータの手の中での最適なグリップを容易にするために、ハンドルの外面には凹凸が付けられている。ハンドル16の遠位部分は、シリンダ10内へのハンドルの滑らかな挿入及びシリンダ10からのハンドルの滑らかな引き抜きを容易にするために、シリンダ10の内腔の近位部分に切り込まれた同じ数の溝18と係合するように設計された複数の外部フランジ17を含む。
図1に示された実施例は、4つのこのようなフランジ17及びそれぞれの溝18を含むが、それぞれより少数又はより多数のこれらのエレメントを備えるアプリケータを構成することも可能である。包帯巻き付けハンドル16は、さらに、延長した作動位置へのハンドルの意図しない引き抜きを防止するためにロッキング機構の一部として使用される内側フランジ又はタブ(
図1には示されていない)を含む。
【0031】
ハンドル16がシリンダ10の管腔10f内へ完全に挿入されると、ハンドルはシリンダ内にロックされ、ハンドルとシリンダとの回転は防止されることに留意すべきである。しかしながら、
図7に示したようにハンドル16が引き抜かれた位置にあるときには、ハンドル16とシリンダ10との回転が可能になる。この特徴は、包帯引き抜き装置を操作するときに重要である。上記の機構は、より詳細に後述される。最後に、
図1の左側は、中央プラグ19を示し、この中央プラグ19は、細長いロッド19a及び近位に配置された拡張されたディスク19bを含む。
【0032】
上述のように、発明の幾つかの実施例において、アプリケータは、製品組み立て中に包帯巻き付けハンドル16の内腔16f(
図7)内へはめ込まれる中央プラグ19を含む。中央プラグ19のロッド・セクションは包帯巻き付けハンドル16の中央管腔16f内へ(矢印の方向に)回転可能に挿入され、これにより、パッケージング及び通常使用中のハンドルの一体的部分となることが
図2から分かる。プラグ19は、追加的な機能を有し、即ち包帯引っ張りロッドとして働く。
図14aに示したように、幾つかの例において、プラグは、包帯の適用中又は適用後に、負傷した手足の表面に対して実質的に平行に包帯の下側に挿入され、ロッドの回転は、(動脈性出血又は別の多量出血の場合など)包帯の締め付け及び傷又は損傷に対して包帯によって加えられる機械的な力を増大する。したがって、(ロッドによって、その回転後に)締め付けられた包帯は、動脈出血を止めるために使用される。上述のように、中央プラグ19を引っ張りロッドとして使用するために、プラグは、(
図2に示された矢印によって示された方向とは反対の方向へ)包帯ハンドル16の中央管腔から取り外され、(
図14aに示したように)包帯の下側に挿入され、ロッド19aの長手方向軸線に対して垂直な方向へユーザの指によって回転させられる。
図14bに示したように、このようなプラグ回転は、包帯を締め付け、手足により大きな圧力を加える。
【0033】
図3は、本発明の包帯アプリケータの組み立ての次のステージ、即ちシリンダ10の中央管腔への包帯巻き付けハンドル16の挿入を示す。上述のように、当該シリンダ内でのハンドルの回転整列は、ハンドルの遠位端部における外部フランジ17(
図9)の存在により容易にされており、外部フランジ17は、シリンダの内壁におけるスロット18(
図1)と係合する。
【0034】
この包帯アプリケータの実施例による組み立ての最終ステージが、
図4に示されている。したがって、包帯巻き付けハンドル16がシリンダ10の内腔へ完全に挿入されており、これにより、当該ハンドルの小さな近位端部のみが見えており、シリンダの近位端部を超えて突出していることが分かる。このステージにおいて、アプリケータは、コンパクトなサイズを有し、滅菌されたパッケージング及び使用の準備がなされている。ロール包帯と共にアプリケータを使用するために、シリンダ10は、図示のように、矢印の方向に、ロール包帯14の内腔へ挿入される。
【0035】
図5は、ロール包帯14内に完全に組み立てられたアプリケータ100を示す。この初期状態において、包帯巻き付けハンドル16は、その閉鎖位置にあり、即ちシリンダ10及びロール包帯14の近位端部を超えて僅かにのみ突出している。組み立て後、アプリケータは、パッケージングされ、分配、貯蔵及び使用の前に滅菌される。別の実施例において、アプリケータ及びロール包帯のそれぞれは、(滅菌されたパッケージにおいて)別々にパッケージされ、使用の直前に組み立てられてよい。
【0036】
必要なとき、ロール包帯及びアプリケータの両方がパッケージされ、組み立てられていると仮定すると、組み立てられた構造は、滅菌されたパッケージングから取り出される。
図6に示したように、包帯巻き付けハンドル16は、アプリケータの引き出された状態へシリンダの管腔10f内で(ロール包帯14から離れるように)近位に引き出され、その完全に開放した、作動位置にロックされる。このロッキング機構(より詳細に後述する)を利用して、ハンドル16をシリンダ内へ再びさらに押し込むことは不可能である。したがって、この機構は、アプリケータが使い捨てであり、新たな包帯を再装填して次いで再パッケージされるなど、再利用することはできないことを保証する。
【0037】
上述のように、中央プラグ19は、ハンドル内のハウジングから取外し可能であるように設計されており、これにより、中央プラグ19は、必要となったときには、引っ張りロッドとして使用することができる。
図7は、その下側部分において、開放状態における組み立てられたアプリケータ100を示す。中央プラグ19をハンドルから取り外すために、その拡張されたディスク状部分が掴まれ、
図7の上側部分に示したように、プラグがハンドル16から取り外されるまで(図に円形矢印によって示したように)回転させられる。
【0038】
図8は、組み立てられたアプリケータの遠位端部の拡大図を提供する。前述のように、シリンダ10は、複数のフランジにおいて終わっている。この図に示された実施例において、アプリケータは4つのこのようなフランジを有し、そのうち2つ(10a及び10b)は、それらの遠位端部において拡張した歯型領域を含む(例えば、10aaの遠位端部における10aa)。したがって、アプリケータの組み立て中、シリンダがロール包帯14の中央管腔14fに押し込まれた後、歯10aa及び10bbが外向きに(水平方向矢印によって示された方向に)飛び出し、ロール包帯14の遠位面を掴み、これにより、包帯をシリンダ上の所定の位置にロックする。
【0039】
図9は、発明のアプリケータに組み込まれた追加的な新規の機構、即ちシリンダ内でのハンドル16の長手方向移動をロックし且つシリンダからの意図しない引き出しを防止するための機構を示す。包帯巻き付けハンドル(17)は、上述のように遠位部分において複数のフランジに分割されている。
図9に示された実施例の場合、3つのこのようなフランジ、即ち2つの外側フランジ17b及び17cと、中央フランジ17aとが存在する。図に見られるように(また赤い円で囲まれているように)、中央フランジ17aは、その側縁部のそれぞれにおいて小さな切欠き17nを含む。(製品組み立て中に)シリンダ内への包帯巻き付けハンドル16の挿入後、当該切り欠きのそれぞれは、シリンダ10の歯互いに反対側の端部フランジの内面に存在する小さな歯(例えば、この図に示されたアプリケータの右側における10b)に係合する。歯と隣接する切欠きとの間のこの相互作用は、包帯巻き付けハンドルをその内側貯蔵位置に保持するための十分な力を提供し、使用前のハンドルの意図しない引き抜きを防止する。しかしながら、オペレータが、使用の直前にハンドルをその完全に延長した作動位置へ近位に引っ張りたいとき、小さな歯との係合から切欠き17nを解放するために(遠位から近位方向へ)ハンドルに小さな引っ張り力を加える必要がある。
【0040】
図10は、アプリケータの側面図であり、アプリケータ100を組み立てる間に包帯巻き付けハンドル16をシリンダ(10)内へ挿入するプロセスをより詳細に見たところを提供している。この図は、ハンドル16の中央管腔内の中央プラグ19の位置も明らかに示している。図の上側部分は、ハンドルの挿入前のアプリケータを示しており、(上述のような)シリンダが、(
図9にも示された)フランジ10bを含む、一連のフランジにおいて遠位に終わっていることが分かるであろう。
図10の下側部分は、包帯巻き付けハンドル16がシリンダ10の中央管腔10f内のロックされた位置に挿入された後のアプリケータを示す。図示したように、ハンドルの端部は、一連のフランジに分割されており、そのうちの3つが17a、17b及び17cとして図示されている。この図には見られないが、ハンドルは、フランジ17aにおける切欠きとシリンダ・フランジ10bにおける小さな切欠きとの間の相互作用により所定の位置にロックされる(この相互作用は、上述のように
図9により明らかに示されている)。この図から分かるように、シリンダは、シリンダへのハンドルの挿入中の中央ハンドル・フランジ17aの滑らかな進入を容易にする横方向溝10gも含む。この図には、シリンダの内壁の近位部分に形成されたロッキング突起10lも示されている。この構造は、使用前に引き出された後にハンドルがシリンダ内で前方へ移動することを防止する。
【0041】
図11は、発明のアプリケータの別の側面図であり、図の上側部分は、組み立て後のシリンダの中央管腔内の包帯巻き付けハンドルの位置(即ち、
図10の下側部分のような)を示している。
図11の下側部分は、延長した作動位置への引き出し後のハンドルの位置を示す。したがって、横方向ハンドル・フランジ(17bを含む)は、シリンダの内壁の近位部分内に形成されたロッキング突起10lと係合することによって所定の位置にロックされることがわかる。示したように、突起10lは、フランジ17bにおける相補的な凹所と共に、ハンドルが完全に引き出される(即ち、組み立てられる前の位置へ)又はパッケージング及び滅菌のために使用されるコンパクトな位置にシリンダ内へ再挿入されることを防止する(しかしながら、シリンダ10に対するハンドル16の回転が可能となる)。このように、発明は、一回使用の使い捨てアプリケータとしてのみ使用することができる。しかしながら、例えば、包帯巻き付けアプリケータの使用における新たなオペレータを訓練するために、アプリケータを再利用することが必要である又は望ましい状況が存在し得るので、
図12に示されたカスタムメイドの解放エレメント20が使用されてよい。したがって、この図に示したように、解放エレメント20は、シリンダの開放した遠位端部を通じて挿入され、その遠位端部が包帯巻き付けハンドルの横方向フランジ(17b)と係合するまで近位に前進させられる。解放エレメント20の遠位端部に長手方向圧力を加え続けることにより、当該解放エレメントの近位端部は、当該横方向ハンドル・フランジを近位に押し付ける。図示したように、これらのフランジの遠位端部は傾斜しているので、このような圧力は、横方向フランジを、シリンダの内腔の中心に向かって内向きに移動させ、これにより、ロッキング突起10lの制限からハンドルを解放する。次いで、ハンドルは、再び使用前貯蔵位置へ遠位に押し付けられてよい。
【0042】
上述の2つのロッキング機構(即ち、
図10に示したような、ハンドルを閉鎖位置にロックするための機構、及び
図11に示したような、ハンドルを開放位置にロックするための機構)は、本発明の一体的な部分であることに留意されたい。
図10及び
図11に関して上述したように、当該ロッキング機構は、シリンダの内壁に形成された突起(当該内壁の遠位部分に配置された閉鎖位置ロッキング・エレメント及びその近位部分に配置された開放位置ロッキング・エレメント)と相互作用するハンドルの遠位部分の外面における一連のフランジを含む。本開示は、包帯アプリケータ・システムの文脈においてこれらのロッキング機構を説明しているが、当該機構は、回転可能なスリーブ部分及び延長可能なハンドルが含まれたその他のアプリケータに組み込まれてもよいことにさらに留意されたい。このような追加的なアプリケータの実例は、衣服をクリーニングするためのローラ・ブラシ、ペイント・ローラ、電気技術者ローラ等を含む。
【0043】
図13は、完全に組み立てられかつロール包帯34が装填された、シリンダ38の内腔にハンドル36が貯蔵された、発明のアプリケータ30を示す写真である。ハンドル・ロッキング機構40が、アプリケータの遠位縁部に明らかに見られてよい。
【0044】
本発明のアプリケータは、これらに限定されないが、
-患部への包帯の効果的かつ迅速な適用
-層の上に層としてそれ自体に付着する包帯の使用
-アプリケータ自体は低コストであり、衛生的な一回使用及び使い捨てのために設計されており、二回目の使用を防止する
を含む、従来の包帯巻き付けシステムと比較して多くの利点を有する。
【0045】
本発明の包帯アプリケータは、応急処置並びに事故、犯行現場及び戦場などの緊急医療治療環境において医療従事者、緊急要員及び負傷した人自身(例えば、兵士)による使用が主に意図されている。これに関して、アプリケータの操作は、訓練されていない人による使用を可能にするように十分に単純であり、したがって、家庭や企業での使用並びに自動車、電車及びその他の形式の公共及び私的輸送手段のために意図された救急箱に見られる機器及び必需品の中に含まれてよいことにも留意されたい。包帯アプリケータは、病院及びその他の医療環境、例えば、手術室、外来診療所、入院患者病棟、緊急治療室などにおける使用にも非常に適している。発明の幾つかの実施例において(特にアプリケータが片手モードで使用されるとき)、包帯の内側端部がコアから剥ぎ取られたときに提供プロセスは終了する。その他の実施例において、オペレータは、包帯の全長を使用せず、むしろはさみを使用して所定の長さに包帯を切断することを選択してよい。包帯自体は、接着タイプ又は通常の非接着タイプ(白色タイプ)であってよい。
【0046】
本発明において使用されるロール包帯の接着性質は、包帯の外側端部を所定の位置に固定するための手段の絶対的な必要性を排除する(例えば、端部を引き裂き、それにより形成された2つの自由端部と結び合わせることによって、又は所定の長さのサージカル・テープ又は金属クリップを使用することによって)。しかしながら、このような手段は、望まれるならば、本発明に関連して使用されてもよい。
【0047】
本発明の包帯アプリケータは、ポリプロピレンなどのポリマー材料に限定されないがこれを含むあらゆる適切な無害の材料から構成されてよい。アプリケータは、積層造形(3Dプリンティング)、射出成形を含む当業者によく知られた標準的な製造プロセスのうちのいずれかを使用して構成されてよい。
【0048】
様々な市販の接着剤ロール包帯は、本発明のアプリケータに関連して使用されてよい。上述のように、本発明の包帯アプリケータは、接着剤ロール包帯及び別個の創傷被覆材(例えば、ガーゼ・パッド、ゲル、プラスチック・フィルム、フォーム、ヒドロゲル等)に関連して使用されてよい。別の実施例において、ロール包帯は、その外側端部の近くで包帯の1つの表面に縫い付けられた(又はその他の方法で取り付けられた)創傷被覆材料を有してもよい。1つの実施例において、当該創傷被覆材料は、防腐剤(例えば、ポビドン(povidone))又は迅速な血液凝固を促進するように設計された止血剤(例えば、Celoxなどのキトサン誘導製品)などの、医療組成物を含み込んでもよい。さらに、発明のアプリケータ100は、管腔があらゆる断面形状を有してもよい(図示したように、円形の断面に加えて)ロール包帯と共に使用されてよい。例えば、ロール包帯管腔は、楕円形断面形状、正方形又は矩形断面などを有してよい。装置をこのような形状に適応させるために、「シリンダ」10の外側断面は、ロール包帯管腔の断面と合致するようにそれぞれ形成されるべきである(ただしシリンダの内腔の断面は円形のままである)。したがって、本願において使用される「シリンダ」という用語は、全てのこれらのケースも含む。
【0049】
ハンドルがその作動位置に完全に延長した状態での包帯アプリケータの全長は、概して15cm~30cmの範囲である。アプリケータのシリンダ部分は、異なる用途、モデル及び製造業者に適したロール包帯及び被覆材に対応するように構成された様々な長さ及び直径で製造されてよい(例えば、腹部や胸部での使用のためのより幅広い包帯及び被覆材、並びに手足創傷における使用のためのより狭いバージョン)。
【0050】
発明の包帯アプリケータは、ユーザが、片手のみを使用することによって、負傷した手足に包帯を巻くことを可能にするが、従来技術においては、ユーザは、ロール包帯を一方の手から他方の手へ繰り返し移動させなければならない、即ちユーザは両手を使用しなければならない。これは、発明のアプリケータの重要な特徴である。発明のアプリケータは、内臓式及び取外し可能なプラグの使用によって、負傷した手足へのより大きな圧力の提供も可能にする。
【国際調査報告】