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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】筋肉の有効体積を定量化する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240520BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240520BHJP
【FI】
A61B5/055 380
G06T7/00 612
G06T7/00 660Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569941
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2022062032
(87)【国際公開番号】W WO2022238211
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21173319.1
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520012194
【氏名又は名称】アムラ・メディカル・エービー
【氏名又は名称原語表記】AMRA Medical AB
【住所又は居所原語表記】Badhusgatan 5,582 22 Linkoeping,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダールクビスト・ラインハルト、オロフ
【テーマコード(参考)】
4C096
5L096
【Fターム(参考)】
4C096AA07
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC22
4C096DC24
4C096DC36
5L096AA09
5L096BA06
5L096BA13
5L096EA39
5L096GA51
(57)【要約】
本発明は、被験者の筋肉(20)の有効体積(V)を定量化する方法(100)に関し、方法は、筋肉の3次元水および脂肪分離画像を取得するステップ(102)と、画像は、それぞれが水および脂肪レベル値を有する体積要素を備え、筋肉における筋肉脂肪浸潤レベルを決定するステップ(104)と、筋肉脂肪分率、MFF1、が予め定められた閾値レベルT1を下回る前記画像における筋肉の第1の体積領域(30)を決定するステップ(106)と、第1の体積領域の体積にWF(MFF1)を乗算することによって筋肉の有効体積(V)を計算するステップ(108)とを備え、ここで、WF(MFF1)は、前記第1の体積領域における筋肉脂肪分率、MFF1、の重み関数である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の筋肉(20)の有効体積(V)を定量化する方法(100)であって、
前記筋肉の3次元の水および脂肪分離画像を取得するステップ(102)と、前記画像は、それぞれが水および脂肪レベル値を有する体積要素を備え、
前記筋肉の取得された画像内の各体積要素について、筋肉脂肪分率レベル、MFF1、を決定するステップ(104)と、
前記筋肉脂肪分率レベル、MFF1、は予め定められた閾値レベル、T1を下回る、前記画像内の前記筋肉の第1の体積領域(30)を決定するステップ(106)と、
前記第1の体積領域の体積にWF(MFF1)を乗算することによって、前記筋肉の有効体積表現を計算するステップ(108)とを備え、ここで、WF(MFF1)は、前記第1の体積領域における前記筋肉脂肪分率、MFF1、の重み関数である、方法。
【請求項2】
筋肉脂肪分率の前記予め定められた閾値レベル、T1、は、30から80%の間、好ましくは45から55%の間、より好ましくは50%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記重み関数WF(MFF1)は、さらに、前記予め定められた閾値レベル、T1の関数である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記重み関数WF(MFF1)は、MFF1がゼロであるときに1に等しく、MFF1がT1に向かって増加するときに0に向かって減少する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記重み関数WF(MFF1)は、MFF1の線形関数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記重み関数WF(MFF1)は、1-(MFF1/T1)である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記重み関数WF(MFF1)は、MFF1の非線形関数である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記重み関数WF(MFF1)は、exp(-k*(MFF1/T1))であり、kは正の整数である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記重み関数WF(MFF1)は、(1-MFF1/T1)である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記筋肉脂肪分率レベルは、各体積要素について、それぞれの体積要素についての前記水および脂肪レベル値に基づいて決定される、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の体積領域(30)は、前記予め定められた閾値レベル、T1を下回るMFF1を有する前記画像内の前記筋肉(20)の体積要素によって提供される、請求項1から10のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記筋肉(20)の前記有効体積(30)は、予め定められた速度で機能レベルを有する前記筋肉の部分の定量化を提供する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記3次元の水脂肪分離画像は、MRI画像である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法にしたがう被験者の筋肉の有効体積を決定するように構成されたシステム(10)であって、
前記3次元の水脂肪分離画像を取得する手段(12)と、
前記筋肉における前記筋肉脂肪分率レベルを決定し、前記第1の体積領域を決定し、前記有効体積を計算するように構成された手段(14)とを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉の有効体積を決定する方法に関し、特に、筋肉の3次元水脂肪分離画像を用いた方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被験者の医学的評価において、特に筋肉関連状態を識別するとき、筋肉の状態の関連する評価を提供することは困難であるかもしれない。サルコペニアなどのいくつかの筋肉関連状態は、経時的にゆっくりと進行し、これは、特定の試験が繰り返される一般的に使用される方法を使用することを困難にするかもしれない。
【0003】
筋肉関連状態は、いくつかの異なる疾患領域における有害転帰に関係する経時的な筋肉の量および機能の進行性喪失によって特徴付けられることができる。
【0004】
低筋肉量の識別のために、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)および生体電気インピーダンス分析(BIA)が、四肢骨格筋量(ASM)を推定し、特に低筋肉量を伴う被験者に敏感な閾値の識別のための基礎を提供するために広く使用される。
【0005】
筋肉関連状態およびその結果を理解する際の主要な課題は、一般集団に存在する正常な生理機能の幅広い変動である。低筋肉量の病因は、自然に広がっている;低カロリー摂取と組み合わせた健康なライフスタイルが低筋肉量をもたらすことがあるので、低筋肉量を有する特定の表現型は、長寿と関係することがある。より高いボディマス指数(BMI)では、個人がますます大きな体重を運ぶ結果として筋肉量が増加し、低筋肉量による筋肉関連状態を有する患者の識別をより困難にする。これは、測定された筋肉量に対して、すなわち、例えばASMを身長、体重、またはBMIで割ることによって、ある範囲の身体サイズ調整を適用する開示された方法をもたらした。しかしながら、そのような調整を伴う方法は、信頼性を得ることが困難であるかもしれない。
【0006】
筋肉の量および/または質は、被験者の筋肉関連状態を決定するときに重要な尺度であることは明らかである。したがって、被験者の身体のばらつきのために、信頼でき、筋肉の状態の有効な尺度を提供する、筋肉の量および質を決定する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、現在のデバイスに伴う上述の欠点を軽減する改良された解決策を提供することである。さらに、筋肉の有効体積を定量化する方法を提供することが目的である。
【0008】
本発明は、添付の独立請求項によって定義され、実施形態は、従属請求項、以下の説明、および図面に記載される。
【0009】
本発明によれば、被験者の筋肉の有効体積を定量化する方法であって、筋肉の3次元水および脂肪分離画像を取得するステップと、前記画像は、それぞれが水および脂肪レベル値を有する体積要素を備え、筋肉の取得画像内の各体積要素について筋肉脂肪浸潤レベルを決定するステップと、筋肉脂肪分率、MFF1、が予め定められた閾値レベル、T1、を下回る、前記画像内の筋肉の第1の体積領域を決定するステップと、第1の体積領域の体積にWF(MFF1)を乗算することによって筋肉の有効体積表現を計算するステップとを備え、ここで、WF(MFF1)は、前記第1の体積領域内の筋肉脂肪分率、MFF1、の重み関数である。
【0010】
コンピュータ断層撮影(CT)と共に、磁気共鳴画像法(MRI)は、筋肉量の非侵襲的評価のゴールドスタンダードと考えられる。身体組成プロファイリングは、従来の身体組成(総無脂肪筋肉組織体積および総脂肪組織体積)の同時評価、ならびに内臓脂肪組織(VAT)、肝臓脂肪および筋肉脂肪浸潤(MFI)などの脂肪組織分布および異所性脂肪蓄積の詳細な特徴付けを可能にする標準化されたMRI検査を利用する概念である。筋肉脂肪浸潤は、以前に筋肉の質の定量的尺度として使用されており、異なる筋ジストロフィーの説明において十分に確立されたバイオマーカーである。
【0011】
一実施形態では、3次元水脂肪分離画像は、MRIスキャンを使用して決定されてもよく、MRI画像の画像解析は、第1の体積領域を決定するために使用されてもよい。大腿筋のサイズは個人の身体サイズに密接に関連するかもしれないため、筋肉は、一実施形態では、大腿筋であってもよい。
【0012】
3次元水脂肪分離された画像の体積要素は、3次元画像のボクセルであってもよい。画像分析を行って、筋肉における筋肉脂肪分率レベルを決定することができる。画像内の筋肉の各ボクセルについて、脂肪レベルを決定して、そのボクセルの筋肉脂肪分率レベルを確立することができる。取得された画像は、関心のある筋肉の関心のある領域が定義された、被験者の全身スキャンまたは部分的身体スキャンであってもよい。一実施形態では、本方法は、取得された画像に表される2つ以上の筋肉に同時に適用されてもよい。
【0013】
第1の体積領域を決定するとき、予め定められた閾値レベルより低い筋肉脂肪分率レベルを有する全てのボクセルが一緒に第1の体積領域を形成するように、筋肉の各ボクセルの脂肪分率レベルが評価される。従って、第1の体積領域は、予め定められた閾値を下回る筋肉脂肪分率レベルを有するボクセルのみを構成する。予め定められた閾値レベルは、被験者の特性に基づいて予め定められてもよい。そのような特性は、例えば、性別、年齢、またはBMIであってもよい。したがって、予め定められた閾値は、被験者個人に対して予め定められてもよいが、任意の被験者個人に対して同一ではない。一実施形態では、方法は、被験者の特徴に基づいて予め定められた閾値を決定するステップを含んでもよい。
【0014】
第1の体積領域を決定することは、筋肉を表す取得された画像の部分におけるどのボクセルが、筋肉脂肪分率の予め定められた閾値レベルに対応する閾値レベル未満の脂肪レベルを有するかを決定することを意味することができる。第1の体積領域は、一実施形態では、閾値レベル未満の脂肪レベルを有する全てのボクセルによって厳密に形成されてもよい。あるいは、第1の体積領域は、一実施形態では、閾値レベルに加えて、特定のボクセルに隣接するボクセルの脂肪レベルに関して形成されてもよい。
【0015】
筋肉の有効体積を決定するために、第1の体積領域の体積に第1の体積領域における筋肉脂肪分率の重み関数を乗じる計算が行われる。筋肉の有効体積は、それによって、筋肉全体の筋肉脂肪分率に基づき、一方、予め定められた閾値レベルを上回る筋肉脂肪分率を有する筋肉の部分は無視されてもよい。したがって、予め定められた閾値を上回る筋肉脂肪分率レベルを有する筋肉の部分は、有効体積に関して完全に無視される。第1の体積領域における筋肉の部分は、有効体積の基礎として使用されるが、第1の体積領域を形成する部分における筋肉脂肪分率レベルは、そのような部分が筋肉の機能に提供する寄与に対する重みとして使用される。このような筋肉部分は、3次元画像内のボクセルであってもよい。ボクセルによって表される筋肉の一部の関数は、それによって、予め定められた閾値レベルを上回る筋肉脂肪分率レベルを有するとき、すなわち、依然として筋肉組織が残され、純粋な脂肪がないレベルであるとき、ゼロと見なされてもよい。重み関数を使用して、ボクセルによって表される部分における筋肉の関数は、筋肉脂肪分率レベルが予め定められた閾値レベルに向かって増加するときにゼロに向かって移動する。重み付け関数は、予め定められた閾値に向かって増加する筋肉脂肪分率レベルとともに筋肉機能がどのように変化するかを設定する。
【0016】
筋肉の有効体積を決定することによって、筋肉の機能の定量化が提供され、これは、信頼できる正確な方法で実際の筋肉機能を表す。有効体積は、筋肉の機能的体積の表現として見られてもよい。有効体積は、例えば、筋肉がゆっくりと機能を失うときに、筋肉機能の長期的なモニタリングにおいて使用されてもよい。
【0017】
一実施形態によれば、筋肉脂肪分率の予め定められた閾値レベル、T1、は、30から80%の間、好ましくは45から55%の間、より好ましくは50%であってもよい。筋肉を形成する取得画像の各ボクセルについて、予め定められた閾値レベルは、予め定められた脂肪レベルを提供してもよい。各ボクセルについて、脂肪レベルが予め定められた脂肪レベルを下回り、それによって第1の体積領域の一部を形成するかどうかが決定されてもよい。閾値レベルは、一実施形態では50%であってもよく、これは、第1の体積領域が、最大脂肪レベルの50%未満の脂肪レベルを有する取得画像内の関心領域内の全てのボクセルによって形成されてもよいことを意味する。最大脂肪レベルは、特定のボクセルによって表される筋肉の部分が100%の脂肪および0%の筋肉組織を含むことを意味してもよい。有効体積は、それによって、50%を上回る筋肉脂肪分率を有する筋肉の全ての部分が、ゼロ筋肉機能を提供すると見なされることを提供してもよく、50%未満の筋肉脂肪分率を有する筋肉の全ての部分は、重み関数によって決定されるレベルで筋肉機能を提供してもよい。同じことが、例えば30から80%の間隔で他の閾値レベルに適用されてもよい。
【0018】
一実施形態によれば、重み関数WF(MFF1)は、MFF1が0であるときに1に等しくてもよく、MFF1がT1に向かって増加するときにWF(MFF1)は0に向かって減少してもよい。これは、WF(0)が1に等しく、WF(T1)が0に等しい単調減少関数である重み付け関数として表現されてもよい。
【0019】
一実施形態によれば、重み関数WF(MFF1)は、MFF1の線形関数であってもよい。第1の体積領域が乗算される筋肉脂肪分率の線形関数は、有効筋肉体積を決定するためのエンティティ間の基本的な関係を提供することができる。線形重み関数は、予め定められた閾値レベルより低い筋肉脂肪分率レベルを有する筋肉の部分について、有効体積によって表される筋肉機能が、予め定められた閾値レベルに向かって増加する筋肉脂肪分率レベルとともにゼロに向かって線形に移動することを提供してもよい。一実施形態では、重み関数WF(MFF1)は、1-(MFF1/T1)であってもよい。
【0020】
別の実施形態によれば、重み関数WF(MFF1)は、MFF1の非線形関数であってもよい。筋肉脂肪分率の非線形関数は、有効筋肉体積のより複雑な決定を提供し、それによって、被験者の筋肉関連状態を決定する際のさらなる能力を提供してもよい。非線形重み関数は、予め定められた閾値レベルより低い筋肉脂肪分率レベルを有する筋肉の部分について、有効体積によって表される筋肉機能が、予め定められた閾値レベルT1に向かって増加する筋肉脂肪分率レベルとともに、ゼロに向かって非線形に移動することを提供してもよい。
筋肉脂肪分率の増加に伴う非線形減少有効体積を用いて、筋肉脂肪分率の異なるレベルでの筋肉機能のさらなる態様を考慮する筋肉機能の表現が提供されてもよい。例えば、筋肉脂肪分率レベルが予め定められた閾値レベルT1に近づくほど、有効体積に対する体積要素の寄与を減少させることに対してより大きな効果を有してもよい。一実施形態では、非線形関数は、exp(-k*(MFF1/T1))であってもよく、ここでkは正の整数である。別の実施形態では、非線形重み関数は、(1-MFF1/T1)であってもよい。
【0021】
一実施形態によれば、各体積要素についての水および/または脂肪レベル値に基づいて、各体積要素についての筋肉脂肪分率レベルを決定することができる。体積要素は、取得された水および脂肪分離画像内のボクセルによって表されてもよい。取得画像の水画像における水レベルと取得画像の脂肪画像における脂肪レベルとは、特定のボクセルについての筋肉脂肪分率値を一緒に提供してもよい。取得された画像は、1または100%の脂肪レベル値が、筋肉組織を含まない純粋な脂肪の体積要素を表すように正規化されてもよい。1または100%の脂肪レベルを有するボクセルにおける筋肉脂肪の割合は、100%であってもよい。脂肪レベルが0であるボクセルでは、筋肉脂肪分率は0%であってもよい。予め定められた閾値レベル、T1、は、ボクセル内の脂肪レベルに関連してもよい。50%の予め定められた閾値レベルは、最大脂肪レベルの50%、例えば1または100%のボクセル内の脂肪レベルに対応してもよい。有効体積を計算するとき、各体積要素のための筋肉脂肪分率レベルは、それぞれの体積要素の体積が乗算される各体積要素のための重み関数を提供してもよい。次いで、有効体積は、第1の体積領域の全ての体積要素について計算された体積の合計によって提供されてもよい。
【0022】
一実施形態によれば、第1の体積領域は、予め定められた閾値レベル、T1、を下回るMFF1を有する筋肉の体積要素によって提供されてもよい。予め定められた閾値レベル未満の筋肉脂肪分率を有する取得画像内の全てのボクセルは、次いで、第1の体積領域を一緒に形成してもよい。第1の体積領域の体積は、第1の体積領域を構成する体積要素の体積の合計によって提供されてもよい。一実施形態では、ボクセルが第1の体積領域の一部として決定されるかどうかは、現在のボクセルに隣接するボクセルの筋肉脂肪分率レベルにさらに基づくことができる。例えば、特定のボクセルは、隣接するボクセルのうちの1つ以上があるレベルを上回る場合にのみ、第1の体積領域の一部であると決定されてもよい。追加的に、または代替的に、特定のボクセルの筋肉脂肪分率レベルは、1つ以上の隣接するボクセルの筋肉脂肪分率レベルにさらに基づいて決定または調整されてもよい。
【0023】
一実施形態によれば、筋肉の有効体積は、予め定められた速度で機能レベルを有する筋肉の部分の定量化を提供することができる。短期間または長期間のいずれかで、筋肉における被験者の機能レベルの決定を行うために、筋肉の有効体積の表現の決定は、提供することが適切であってもよく、次いで、筋肉の実際の機能の定量化された表現を与えてもよい。
【0024】
一実施例によれば、前記3次元水脂肪分離画像は、MRI画像であってもよい。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、上記の実施形態のいずれかによる方法を実行するように構成されたシステムが提供され、システムは、3次元の水および脂肪分離画像を取得する手段と、筋肉内の筋肉脂肪分率レベルを決定し、第1の体積領域を決定し、有効体積を計算するように構成された手段とを備える。システムは、画像を受信するように構成された受信ユニットと、筋肉脂肪分率レベルを決定し、第1の体積領域を決定し、有効体積を計算するように構成されたプロセッサユニットとを備えるコンピュータデバイスを備えてもよい。システムは、上記の実施形態のいずれかに従って方法を実行する手段をさらに備え、実行するように構成されてもよい。
【0026】
本発明について、添付図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態による、方法のフローチャートを示す。
図2図2は、本発明の実施形態による、システムの概略ブロック図を示す。
図3図3は、本発明の実施形態による、決定ステップのチャートを示す。
図4図4は、本発明の実施形態の筋肉の表現の概略図を示す。
図5図5は、本発明の実施形態における筋肉の表現上で決定される第1の体積領域の概略図を示す。
図6図6は、本発明の実施形態における第1の体積領域の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の現在好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明を以下により十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書で示される実施形態に限定されるものとして解釈すべきではない。むしろ、本開示が十分で完全となり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように、これらの実施形態を提供している。図面では、同様の番号は、同様の要素を示す。
【0029】
図1は、本発明の実施形態による、被験者の筋肉20の有効体積を決定する方法100を図示する。方法100は、3次元の水脂肪分離画像を取得するステップ102を備える。画像は、図2に図示されるように、被験者の筋肉20の有効体積を決定するように構成されるシステム10の一部である取得手段12によって取得されてもよい。3次元水脂肪分離画像は、MRIスキャンに基づいて提供されてもよい。
【0030】
次に、3次元水脂肪分離画像のデータに基づいて、筋肉20の筋肉脂肪分率MFF1の決定104が行われる。筋肉20の筋肉脂肪分率は、3次元水脂肪分離画像の水画像および脂肪画像におけるボクセル毎の水レベルおよび脂肪レベルによって与えられる。このステップ104から、取得された画像内の筋肉20の3次元部分を表す各ボクセルについての筋肉脂肪分率レベルが提供される。
【0031】
予め定められた閾値レベルT1に基づいて、各ボクセルについて、特定のボクセルの筋肉脂肪分率MFF1が予め定められた閾値レベルT1を下回るかどうかを決定する(106)ことによって、第1の体積領域30が決定される。筋肉脂肪分率レベルMFF1が閾値レベルT1を下回る全てのボクセルは、第1の体積領域30を一緒に形成する。
【0032】
方法100の最終ステップでは、筋肉20の有効体積の計算108が行われる。計算108において、第1の体積領域30の体積は、第1の体積領域30における筋肉脂肪分率レベルMFF1の関数である重み関数WF(MFF1)と乗算される。
【0033】
図2に図示されるように、筋肉脂肪分率を決定するステップ、第1の体積領域30を決定するステップ、および有効体積を計算するステップは、システム10の一部であるように構成された手段14によって実行されてもよい。手段12、14は、コンピュータデバイスによって提供されてもよい。
【0034】
図3aにおいて、チャートは、特定のボクセルv-v27に対する筋肉脂肪分率レベルMFF1が予め定められた閾値レベルT1を下回るかどうかを決定することによる第1の体積領域30の決定を概略的に図示する。閾値T1より低い筋肉脂肪分率レベルを有するボクセルは、第1の体積領域30を一緒に形成する。これは、有効体積VEの決定を図示する図3bに示されている。ボクセルV-V11およびV20-V23は、閾値T1を上回る筋肉脂肪分率レベルのために除外される。残りのボクセルは、第1の体積領域30を一緒に形成する。各ボクセルの体積、V(v)は、その特定のボクセルの重み関数WFと乗算されるWF(MFF1vx)。特定のボクセルに対する重み関数WFは、そのボクセルの筋肉脂肪分率レベルMFF1vxに基づく。上述のように、重み関数は、一実施形態では、0のMFF1に対して1、T1のMFF1に対して0であってもよい。図3bの図示された実施形態では、ボクセルv、v、v、v13-v15、v17、v18、v24およびv26は重み関数が1であり、これらのボクセルの全体積が有効体積VEに使用されることを提供する。第1の体積領域の一部である他のボクセルについて、各ボクセルについての筋肉脂肪分率レベルMFF1vxは、線形または非線形重み関数WFに基づいて、有効体積VEに寄与する体積の減少を提供する。次いで、第1の体積領域30の一部である全てのボクセルについての計算の和によって、有効体積VEが決定される。したがって、有効体積は、一実施形態では、Σ(V(v)・WF(MFF1vx))によって決定されてもよい。
【0035】
第1の体積領域30は、図4および図5に更に図示されている。図4に示すように、筋肉20は、3次元の水脂肪分離画像に表される。筋肉20における筋肉脂肪分率レベルの決定後、第1の体積領域30が上述のように決定される。第1の体積領域30は、筋肉20の全体積から、高すぎる筋肉脂肪分率レベルを有する体積部分40を引いたものである。図5では、これは、筋肉体積20から体積部分40を除外し、第1の体積領域30をもたらすことによって図示される。第1の体積部分30は、単一の連続した体積部分であってもよく、または1つ以上の排除体積部分40によって分離された2つ以上の体積部分を含んでもよい。
【0036】
図5の筋肉20から得られた第1の体積領域30を図6に図示する。決定された第1の体積領域30と、第1の体積領域30を構成するボクセルとに基づいて、第1の体積領域30の体積Vが決定される。次いで、体積Vに重み関数WF(MFF1)を乗じて、筋肉20の有効体積VEを決定する。上述したように、これは、第1の体積領域30の一部である各ボクセルの計算を合計することによって提供されてもよい。
【0037】
第1の体積領域30は、閾値Tを上回る筋肉脂肪分率を有する筋肉20の画像内の全てのボクセルを除外する。有効体積VEにおいて、筋肉20を表すボクセルは、特定のボクセルにおける筋肉脂肪分率レベルに基づいて漸進的に筋肉機能に寄与する。
【0038】
図面および明細書において、本発明の好ましい実施形態および実施例が開示され、特定の用語が用いられているが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されず、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に記載される。
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5
図6
【国際調査報告】