(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】ハイブリッド基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークを備えたデジタル予歪
(51)【国際特許分類】
H03F 1/32 20060101AFI20240520BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20240520BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20240520BHJP
H04L 27/01 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H03F1/32 141
H03F3/24
H04B1/04 R
H04L27/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570019
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022028294
(87)【国際公開番号】W WO2022240732
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520490417
【氏名又は名称】アナログ ディヴァイスィズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タオ・ユ
(72)【発明者】
【氏名】クリストバル・アレッサンドリ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンジエ・ル
【テーマコード(参考)】
5J500
5K060
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC02
5J500AC12
5J500AC22
5J500AF08
5J500AF17
5J500AH09
5J500AK15
5J500AK26
5J500AK32
5J500AK33
5J500AK34
5J500AK41
5J500AK53
5J500AK55
5J500AM13
5J500AS14
5J500AT01
5J500AT07
5J500NC04
5J500ND02
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5J500NF10
5J500NG03
5J500NG06
5J500NN05
5K060BB07
5K060CC04
5K060KK06
5K060LL24
(57)【要約】
ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのデジタル予歪(DPD)に関連するシステム、デバイス、及び方法が提供される。無線周波数(RF)トランシーバ用の例示的な装置は、RFトランシーバの非線形コンポーネントに関連付けられた入力信号を受信し、予歪された信号を出力するためのデジタル予歪(DPD)アクチュエータを含む。DPDアクチュエータは、非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられた一組の基底関数を使用して、第1のDPD動作を実行するための基底関数ベースのアクチュエータを含む。DPDアクチュエータは、非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられた第1のニューラルネットワークを使用して、第2のDPD動作を実行するためのニューラルネットワークベースのアクチュエータを更に含む。予歪された信号は、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に基づいている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)トランシーバ用の装置であって、前記装置が、
前記RFトランシーバの非線形コンポーネントに関連付けられた入力信号を受信し、予歪された信号を出力するためのデジタル予歪(DPD)アクチュエータを備え、前記DPDアクチュエータが、
前記非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられた一組の基底関数を使用して第1のDPD動作を実行するための基底関数ベースのアクチュエータと、
前記非線形コンポーネントの第2の非線形特性と関連付けられた第1のニューラルネットワークを使用して第2のDPD動作を実行するためのニューラルネットワークベースのアクチュエータと、を備え、
前記予歪された信号が、前記基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号及び前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に基づいている、装置。
【請求項2】
前記基底関数ベースのアクチュエータが、前記入力信号又は前記一組の基底関数を使用して、前記非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、前記第1の出力信号を生成することによって、前記第1のDPD動作を実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、
前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号に基づいて、前記基底関数ベースのアクチュエータのパラメータを更新することによって、前記第2のDPD動作を実行し、
前記基底関数ベースのアクチュエータが、更に、
前記更新されたパラメータを更に使用して、前記第1の出力信号を生成することによって、前記第1のDPD動作を実行する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基底関数ベースのアクチュエータが、前記一組の基底関数を使用して、前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号を処理して、前記第1の出力信号を生成することによって、前記第1のDPD動作を実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、前記入力信号又は前記第1のニューラルネットワークを使用して、前記非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、前記第2の出力信号を生成することによって、前記第2のDPD動作を実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、前記第1のニューラルネットワークを使用して、前記基底関数ベースのアクチュエータの前記第1の出力信号を処理して、前記第2の出力信号を生成することによって、前記第2のDPD動作を実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記DPDアクチュエータが、前記基底関数ベースのアクチュエータの前記第1の出力信号を、前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号と組み合わせて、前記予歪された信号を生成するためのコンバイナを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コンバイナが、前記入力信号を、前記基底関数ベースのアクチュエータの前記第1の出力信号及び前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号と更に組み合わせて、前記予歪された信号を生成する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記コンバイナが、前記基底関数ベースのアクチュエータの前記第1の出力信号を、前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号と組み合わせる前に、前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号に変換動作を更に適用する、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記DPDアクチュエータが、
前記第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークを使用して、前記入力信号又は前記ニューラルネットワークベースのアクチュエータの前記第2の出力信号のうちの少なくとも1つを処理して、第3の出力信号を生成することと、
前記第3の出力信号を、前記基底関数ベースのアクチュエータの前記第1の出力信号と組み合わせて、前記予歪された信号を生成することと、を行うためのコンバイナを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
無線周波数(RF)トランシーバ用の装置であって、前記装置が、
前記RFトランシーバの非線形コンポーネントに関連付けられた入力信号にデジタル予歪(DPD)を実行するためのDPDアクチュエータを備え、前記DPDアクチュエータが、
一組の基底関数及びDPD係数に基づいて、前記入力信号を処理して、第1の出力信号を生成するための第1のアクチュエータと、
1つ以上のニューラルネットワークを使用して、前記入力信号又は前記非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第2の出力信号を生成するための第2のアクチュエータと、
前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号に基づいて、予歪された信号を生成するためのコンバイナと、を備え、
前記一組の基底関数、前記DPD係数、及び前記1つ以上のニューラルネットワークが各々、前記非線形コンポーネントの1つ以上の非線形特性に関連付けられている、装置。
【請求項12】
前記第2のアクチュエータが、前記フィードバック信号の利用可能性に基づいて、前記1つ以上のニューラルネットワークのうちの第1のニューラルネットワークと第2のニューラルネットワークとの間で選択する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2のアクチュエータが、前記第1のニューラルネットワークを使用することによって、前記第2の出力信号を生成して、前記入力信号及び前記フィードバック信号を処理し、前記第1のニューラルネットワークを使用することが、前記フィードバック信号の前記利用可能性に基づいている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2のアクチュエータが、前記第2のニューラルネットワークを使用することによって、前記第2の出力信号を生成して、前記入力信号を処理し、前記第2のニューラルネットワークを使用することが、前記フィードバック信号の利用可能性の欠如に基づいている、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記第2のアクチュエータが、
前記第1のニューラルネットワーク又は前記第2のニューラルネットワークのうちの前記選択された1つを使用することによって、前記第2の出力信号を生成して、
前記入力信号又は前記フィードバック信号のうちの前記少なくとも1つと、
前記第1のニューラルネットワーク又は前記第2のニューラルネットワークのうちの少なくとも1つに関連付けられた以前の状態情報と、を処理し、
前記第2の出力信号に基づいて、前記第1のニューラルネットワーク又は前記第2のニューラルネットワークのうちの少なくとも1つに関連付けられた状態情報を更新する、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記1つ以上のニューラルネットワークに関連付けられたパラメータを記憶するためのメモリと、
ニューラルネットワーク固有の動作を実行するためのニューラルネットプロセッサと、を更に備え、
前記第2のアクチュエータが、前記ニューラルネットプロセッサ及び前記記憶されたパラメータを使用することによって、前記入力信号又は前記フィードバック信号のうちの前記少なくとも1つを処理する、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
非線形コンポーネントに対する入力信号を予歪するためにデジタル予歪(DPD)を実行するための方法であって、前記方法が、
第1のアクチュエータ回路を使用して、一組の基底関数、DPD係数、及び前記入力信号又は前記非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つに基づいて、第1の信号を生成することであって、前記一組の基底関数及び前記DPD係数が、前記非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられている、生成することと、
第2のアクチュエータ回路を使用して、ニューラルネットワーク及び前記入力信号又は前記フィードバック信号のうちの少なくとも1つに基づいて、第2の信号を生成することであって、前記ニューラルネットワークが、前記非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられている、生成することと、
前記第1の信号及び前記第2の信号に基づいて、予歪された信号を生成することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記第1の信号を前記生成することが、前記一組の基底関数及び前記DPD係数を、前記入力信号又は前記フィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み、
前記第2の信号を前記生成することが、前記ニューラルネットワークを、前記入力信号又は前記フィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記予歪された信号を前記生成することが、前記第1のアクチュエータ回路によって生成された前記第1の信号と、前記第2のアクチュエータ回路によって生成された前記第2の信号と、を組み合わせることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ニューラルネットワークが、推定ニューラルネットワークモデル及び予測ニューラルネットワークモデルを含み、
前記第2の信号を前記生成することが、
前記フィードバック信号が有効であるかどうかに基づいて、前記推定ニューラルネットワークモデル又は前記予測ニューラルネットワークモデルの間で選択することと、
前記フィードバック信号が有効であることに応答して、前記推定ニューラルネットワークモデルを、前記入力信号及び前記フィードバック信号に適用することと、
前記フィードバック信号が無効であることに応答して、前記予測ニューラルネットワークモデルを、前記入力信号に適用することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月12日に出願された「DIGITAL PREDISTORTION FOR POWER AMPLIFIER LINEARIZATION USING NEURAL NETWORKS」と題された米国仮特許出願第63/187,536号、及び2022年4月29日に出願された「DIGITAL PREDISTORTION WITH HYBRID BASIS-FUNCTION-BASED ACTUATOR AND NEURAL NETWORK」と題された米国非仮特許出願第17/732,764号の優先権及び利益を主張し、以下に完全に記載されているように、及び全ての適用可能な目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、電子機器に関し、より具体的には、ハイブリッド基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークを備えたデジタル予歪(digital predistortion、DPD)に関する。
【背景技術】
【0003】
無線周波数(Radio frequency、RF)システムは、ほぼ3キロヘルツ(kHz)~300ギガヘルツ(GHz)のRF範囲の電磁波の形態で信号を送受信するシステムである。RFシステムは、普通、無線通信に使用され、セルラー/無線モバイル技術が顕著な例であるが、ケーブルテレビなどのケーブル通信にも使用される場合がある。これらの種のシステムの両方で、その中の様々なコンポーネントの線形性が重要な役割を果たす。
【0004】
RFコンポーネント又はRFトランシーバなどのシステムの線形性は、理論的には理解しやすい。すなわち、線形性は、概して、入力信号に直接比例する出力信号を提供するためのコンポーネント又はシステムの能力を指す。言い換えれば、コンポーネント又はシステムが完全に線形である場合、入力信号に対する出力信号の比率の関係は直線である。実際のコンポーネント及びシステムでこの挙動を達成することは、はるかに複雑であり、線形性に対する多くの課題は、多くの場合、効率及び/又は出力電力などのいくつかの他のパフォーマンスパラメータを犠牲にして解決されなければならない。
【0005】
本質的に非線形であり、比較的高い電力レベルで動作しなければならない半導体材料から作られた電力増幅器(power amplifier、PA)は、通常、線形性の観点からRFシステムの設計を考慮するときに分析する最初のコンポーネントである。非線形歪みを伴うPA出力は、低減された変調精度(例えば、低減された誤差ベクトル振幅(error vector magnitude、EVM))及び/又は帯域外エミッションをもたらし得る。したがって、無線RFシステム(例えば、ロングタームエボリューション(Long-Term Evolution、LTE)及びミリ波又は第5世代(5th generation、5G)システム)並びにケーブルRFシステムの両方は、PA線形性に関して厳格な仕様を有する。
【0006】
DPDを適用して、PAの線形性を高めることができる。典型的には、DPDは、デジタルドメインにおいて、PAに入力として提供される信号に予歪を適用して、PAによって引き起こされると予想される歪みを低減及び/又はキャンセルすることを伴う。予歪は、PAモデルによって特徴付けることができる。PAモデルは、PAからのフィードバックに基づいて(すなわち、PAの出力に基づいて)更新することができる。PAモデルが、PAが導入する歪みを予測する点でより正確であるほど、PAへの入力の予歪が、増幅器によって引き起こされる歪みの影響を低減する点でより効果的である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
様々な要因が、DPDのコスト、品質、堅牢性に影響を与える可能性があるため、RFシステムでDPDを実行することは容易な仕事ではない。空間/表面積及びまた規制などの物理的制約は、DPDの要件又は仕様に更なる制約をもたらす可能性がある。最先端のRFシステムで使用されるサンプリングレートが絶えず増加するため、DPDは特に困難になっており、したがって、DPDの設計においてトレードオフ及び創意工夫を必要とする。
【0008】
本開示並びにその特徴及び利点のより完全な理解を提供するために、添付の図と併せて以下の説明を参照し、ここで、同様の参照番号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのデジタル予歪(DPD)が実装され得る例示的な無線周波数(RF)トランシーバの概略ブロック図を提供する。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDブロックのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDブロックのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのためのオフライン訓練及びオンライン作動のためのスキームの例解図を提供する。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるコンバイナのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるコンバイナのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるコンバイナのための例示的な配置の概略例解図を提供する。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおける例示的なPA状態推定及び予測実装の概略例解図を提供する。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるニューラルネットワークベースのアクチュエータのための例示的なハードウェアアーキテクチャの概略例解図を提供する。
【
図13】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDを実行するための方法を例解するフロー図を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<概要>
本開示のシステム、方法、及びデバイスは各々、いくつかの革新的な実施形態を有し、そのうちの単独の1つが、本明細書に開示された所望される属性の全てに単独で責任を負うものではない。本明細書で説明される主題の1つ以上の実装の詳細は、以下の説明及び添付の図面に記載されている。
【0011】
本明細書で提案される、ニューラルネットワークを使用したDPDを例解する目的で、最初に、RFシステムにおいて起こり得る現象を理解することが有用であると考えられる。以下の基本的な情報は、本開示が適切に説明され得る根拠として見ることができる。このような情報は、説明のみを目的として提供されるものであり、そのため、本開示の広義の範囲及びその潜在的な応用を制限するものとして多少なりとも解釈されるべきではない。
【0012】
上記のように、PAは通常、線形性の観点からRFシステムの設計を考慮するときに分析する最初のコンポーネントである。無線及びケーブルRFシステムには、線形で効率的なPAを有することが不可欠である。線形性はまた、低ノイズ増幅器などの小信号増幅器にとっても重要であるが、そのような増幅器は、典型的には、比較的高いレベルの出力電力を生成する必要があり、したがって、非線形挙動をもはや無視することができない特定の動作条件に特に陥りやすいため、線形性の課題は、PAにとって特に顕著である。一方で、増幅器を形成するために使用される半導体材料の非線形挙動は、増幅器が高電力レベルの信号(一般に「飽和状態で動作する」と呼ばれる動作条件)で動作するときに悪化する傾向があり、出力信号の非線形歪みの量が増加し、これは非常に望ましくない。一方で、比較的高い電力レベルで動作する(すなわち、飽和状態で動作する)増幅器はまた、典型的には、それらの最高効率で機能し、これは非常に望ましい。結果として、線形性及び効率(又は電力レベル)は、多くの場合、これらのパラメータのうちの1つの観点からの改善は、他のパラメータが最適でないことを犠牲にして生じるという点で、許容可能なトレードオフが見出されなければならない2つのパフォーマンスパラメータである。その目的のために、「バックオフ」という用語が、望ましい出力線形性を実現するために入力電力(すなわち、増幅される増幅器に提供される信号の電力)をどの程度減らすべきかの度合いを説明するために当技術分野で使用される(例えば、バックオフは、最大電力をもたらす入力電力と、望ましい線形性をもたらす入力電力との比として測定され得る)。このため、入力電力を低減することは、線形性の点では改善をもたらし得るが、増幅器の効率を低下させる結果となる。
【0013】
また、上記のように、DPDは、増幅器によって引き起こされる歪みを低減及び/又はキャンセルするために、PAへの入力を予歪することができる。高レベルにおいて、この機能を実現するために、DPDは、PAが入力信号にどのように影響を与え得るかのモデルを形成することを含み、このモデルは、増幅器によって引き起こされる入力信号の歪みを低減及び/又はキャンセルする試みにおいて、入力信号に適用されるフィルタの係数(「DPD係数」と呼ばれるそのような係数)を定義する。このようにして、DPDは、増幅器に提供される入力信号に対応する修正を適用することによって、送信される信号に望ましくない非線形修正を適用する増幅器を補償しようとする。
【0014】
DPDアルゴリズムで使用されるモデルは、典型的には、増幅器への入力に入るデータと増幅器の出力から出るデータとの間の比較に基づいて、係数を徐々に調整することによって、反復プロセスで形成されることを意味する適応型モデルである。DPD係数の推定は、一般に「キャプチャ」と称される、入力及び出力データ(すなわち、PAへの入力及びPAからの出力)の有限シーケンスの取得、並びにモデルがキャプチャの分析に基づいて適応されるフィードバックループの形成に基づいている。より具体的には、従来のDPDアルゴリズムは、一般的に「更新方程式」と呼ばれる一組の多項式方程式を形成し、広い解空間で方程式の適切な解を検索して、PAのモデルを更新することを伴う一般化メモリ多項式(General Memory Polynomial、GMP)モデルに基づいている。そのために、DPDアルゴリズムは、逆問題を解決し、これは、一連の観測から、これらの観測を生成した偶然の要因を計算するプロセスである。
【0015】
非線形効果の存在下で逆問題を解決することは、困難であり得、不適切である可能性がある。特に、本開示の発明者らは、GMPベースのPAモデルが、特に最先端のRFシステムで使用されるサンプリングレートが絶えず増加している場合に、多項式データを記憶するために必要な信号ダイナミクス及び制限されたメモリ深度に起因する制限を有し得ることを認識した。
【0016】
高周波で使用することができるソリッドステートデバイスは、現代の半導体技術において非常に重要である。部分的には、それらの大きなバンドギャップ及び高移動度に起因して、GaNベースのトランジスタなどのIII-Nベースのトランジスタ(すなわち、周期表のIII族からの少なくとも1つの元素(例えば、Al、Ga、In)の第1のサブ格子及びチャネル材料としての窒素(N)の第2のサブ格子を有する化合物半導体材料を用いるトランジスタ)は、高周波用途に特に有利であり得る。特に、PAは、GaNトランジスタを使用して構築され得る。
【0017】
GaNトランジスタは、カットオフ周波数及び効率に関して望ましい特徴を有するが、それらの挙動は、トランジスタチャネル内の欠陥部位が電荷キャリアをトラップする電荷トラップとして知られている効果によって複雑になっている。トラップされた電荷の密度は、ゲート電圧に大きく依存し、ゲート電圧は、典型的には、信号振幅に比例する。物事を更に複雑にするために、反対の効果が同時に電荷トラップの効果と競合し得る。すなわち、いくつかの電荷キャリアが欠陥部位によってトラップされると、例えば、熱活性化のために、他の電荷キャリアがトラップからリリースされる。これら2つの効果は、非常に異なる時定数を有する。ゲート電圧が上昇するたびに、欠陥部位がトラップされた電荷で迅速に充填されることがあり、一方、トラップされた電荷のリリースは、よりゆっくりと起こる。リリース時定数は、数十マイクロ秒から最大ミリ秒であり得、その効果は、典型的には、4G又は5Gデータ、特にバーストを含むデータのシンボル期間の時間スケールで非常に明らかである。
【0018】
本開示の様々な実施形態は、RFシステム(ミリ波/5G技術の無線RFシステムなどが挙げられるが、これらに限定されない)のために線形で効率的な増幅器(PAなどが挙げられるが、これらに限定されない)を提供するのに、上記の欠点のうちの1つ以上を改善することを目指すシステム及び方法を提供する。特に、本開示の態様は、基底関数ベースのアクチュエータとニューラルネットワーク(neural network、NN)ベースのアクチュエータとの組み合わせを利用するDPD配置を提供する。
【0019】
本明細書で使用される場合、基底関数ベースのアクチュエータは、一組の基底関数を使用して、非線形コンポーネント(例えば、PA)への入力信号を予歪する一部としてDPD動作を実行するDPDアクチュエータを指し得る。基底関数は、関数空間の特定の基底の要素を指し得る。ベクトル空間内の全てのベクトルが基底ベクトルの線形結合として表すことができるように、関数空間内の全ての関数は、基底関数の線形結合として表すことができる。基底関数のいくつかの実施例は、ボルテラ級数、GMPモデル(ボルテラ級数のサブセットである)、及び/又は線形区分関数に基づき得る。
【0020】
本明細書で使用される場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、非線形コンポーネント(例えば、PA)への入力信号を予歪する一部としてDPD動作を実行するDPDアクチュエータを指し得る。ニューラルネットワークは、機械学習のサブセットである深層学習モデルである。一例として、ニューラルネットワークは、複数の層、例えば、入力層、続いて1つ以上の隠れ層(例えば、完全接続層又は畳み込み層)、及び出力層を含み得る。各層は、前の層から受信された入力を変換することができる一組の重み及び/又はバイアスを含み得、結果として生じる出力を、次の層に渡すことができる。各層の重み及び/又はバイアスは、例えば、入力信号及び/又は観測信号若しくは非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号を処理し、基底関数ベースのアクチュエータの出力信号を後処理し、入力信号を予歪する際に基底関数ベースのアクチュエータのパラメータを更新し、及び/又は基底関数ベースのアクチュエータ並びにニューラルネットワークベースのアクチュエータによって生成された信号を組み合わせるように、訓練及び適応させることができる。一般に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータによって使用される1つ以上のニューラルネットワークは、任意の適切なアーキテクチャ(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、等)を有することができる。
【0021】
本開示の一態様によれば、RFトランシーバ用の装置は、RFトランシーバの非線形コンポーネント(例えば、PA)に関連付けられた入力信号を受信し、予歪された信号を出力するためのDPDアクチュエータを含み得る。DPDアクチュエータは、基底関数ベースのアクチュエータと、ニューラルネットワークベースのアクチュエータとを含み得る。基底関数ベースのアクチュエータは、非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられた一組の基底関数を使用して、第1のDPD動作を実行し得る。いくつかの実施例では、一組の基底関数は、ボルテラ級数、GMPモデル、及び/又は動的偏移低減(dynamic deviation reduction、DDR)モデルに基づくことができる。ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられた1つ以上のニューラルネットワークを使用して、第2のDPD動作を実行し得る。第1の非線形特性及び第2の非線形特性は、同じであってもよく、又は異なっていてもよい。一般に、第1及び第2の非線形特性は、非線形コンポーネントの非線形特性の任意の適切な次数(例えば、第3次、第5次、第10次、第11次、等)及び/又は任意の数の非線形特性を含むことができる。DPDアクチュエータは、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に基づいて、予歪された信号を出力し得る。基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークベースのアクチュエータは、様々な構成、例えば、並列構成又はカスケード構成で配置することができ、予歪された信号を生成するために様々な方法で互いに相互作用し得る。
【0022】
並列構成の場合、基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの各々は、入力信号又は非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理し得る(ここで、出力は、観測のために送信機経路から受信機経路にループバックされる)。この点で、基底関数ベースのアクチュエータは、一組の基底関数を使用して、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第1の出力信号を生成することによって、第1のDPD動作を実行し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第2の出力信号を生成することによって、第2のDPD動作を実行し得る。更に、一実施例では、DPDアクチュエータは、入力信号、第1の出力信号、及び/又は第2の出力信号を組み合わせて、予歪された信号を提供するためのコンバイナを更に含み得る。コンバイナは、入力信号、第1の出力、及び/又は第2の出力信号に対して、これらの信号を一緒に合計する前に、様々なデータ変換(例えば、信号アライメント、アップサンプリング、フィルタリング、別のニューラルネットワークを使用した処理、等)を実行することができる。別の実施例では、第2のDPD動作を実行する一環として、第1及び第2の出力信号を組み合わせる代わりに、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号を使用して、基底関数ベースのアクチュエータのパラメータを更新することができ、基底関数ベースのアクチュエータは、更新されたパラメータを更に使用して、第1の出力信号を生成し得る。
【0023】
カスケード構成の場合、基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークベースのアクチュエータは、逐次直列に配置され得る。一実施例では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、基底関数ベースのアクチュエータの出力に結合され得る。この点で、基底関数ベースのアクチュエータは、一組の基底関数を使用して、入力信号又は非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第1の出力信号を生成することによって、第1のDPD動作を実行し得る。その後、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号を処理して、第2の出力信号を生成することによって、第2のDPD動作を実行し得る。場合によっては、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、入力信号を更に処理することによって、第2の出力信号を更に生成し得る。別の実施例では、基底関数ベースのアクチュエータは、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの出力に結合され得る。この点で、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第2の出力信号を生成することによって、第2のDPD動作を実行し得る。その後、基底関数ベースのアクチュエータは、一組の基底関数を使用して、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号を処理して、第1の出力信号を生成することによって、第1のDPD動作を実行し得る。
【0024】
いくつかの態様では、並列構成及び/又はカスケード構成について、基底関数ベースのアクチュエータ及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータは、それぞれ、第1のDPD動作及び/又は第2のDPD動作の一部として、それぞれの入力を前処理(例えば、変換)し得る。追加的又は代替的に、並列構成について、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、第2のDPD動作の一部として、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つを更にダウンサンプリングすることができる。
【0025】
いくつかの態様では、第2のDPD動作のためにニューラルネットワークベースのアクチュエータによって使用される1つ以上のニューラルネットワークは、推定ニューラルネットワークモデル及び予測ニューラルネットワークモデルを含み得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、フィードバック信号の利用可能性に基づいて、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデルの間で選択し得る。この点で、フィードバック信号が利用可能又は有効である場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、推定ニューラルネットワークモデルを使用して、入力信号及びフィードバック信号を処理することによって、第2の出力信号を生成し得る。一方で、フィードバック信号の利用可能性がない場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、予測ニューラルネットワークモデルを使用して、入力信号を処理することによって、第2の出力信号を生成し得る。更に、いくつかの態様では、1つ以上のニューラルネットワークは、再帰的な内部状態を有し得る。この点で、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデルのうちの選択された1つを使用して、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理し、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデルのうちの少なくとも1つに関連付けられた以前の状態情報を更に処理することによって、第2の出力信号を生成し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、第2の出力信号に基づいて、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデルのうちの少なくとも1つに関連付けられた状態情報を更に更新し得る。
【0026】
更に、いくつかの態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、ニューラルネットワーク固有の動作(例えば、畳み込み、整流線形ユニット(rectified linear unit、ReLU)動作、等)を実行するためのニューラルネットプロセッサ(例えば、ハードウェアアクセラレータ)を含み得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、1つ以上のニューラルネットワーク(例えば、推定ニューラルネットワークモデル及び予測ニューラルネットワークモデル)と関連付けられたパラメータ(例えば、訓練された重み)を記憶するためのメモリを更に含み得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、ニューラルネットプロセッサを利用して、記憶されたパラメータに基づいて、第2のDPD動作を実行し得る。
【0027】
本明細書に記載のシステム、スキーム、及びメカニズムは、有利には、DPD作動を支援するためにニューラルネットワークを利用する。例えば、DPDに基底関数を使用することには、制限があり得る。ニューラルネットワークは、一般に、基底関数よりも高い自由度を提供することができ、解析又は数学関数によって容易に表されない可能性がある任意の複雑な関数をモデル化することができる。例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、基底関数ベースのアクチュエータが(例えば、ハードウェアリソースの制限及び/又は所望の使用率のために)モデル化及び/又は修正するように設計されていない、及び/又は変化(例えば、アナログゲイン設定、温度、信号電力、等)のためにモデル化することができない、非線形特性及び/又は長期メモリ効果のためにモデル化及び修正することができる。更に、観測データ(例えば、送信機から受信機にループバックされるフィードバック信号)が適応のためにのみ使用され、観測の時間から作動の時間までに秒のオーダの長い遅延を有する可能性がある、従来のDPDとは対照的に、本明細書に開示されるニューラルネットワークベースのアクチュエータは、作動又は補償のために観測データを使用することができ、これは、観測の時間から作動の時間までにマイクロ秒のオーダのより短い遅延を有し得る。したがって、本開示は、非線形コンポーネントを線形化する際のDPDパフォーマンスを改善することができる。本開示の態様は、RFシステムにおけるPAを線形化する文脈で論じられているが、開示されたハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDは、任意の適切な非線形コンポーネントを線形化するために適用することができる。更に、開示されたハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPD技法は、無線基地局及び/又は無線モバイルハンドセット(例えば、ユーザ機器)での使用に適している。
【0028】
ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPD配置を備えた例示的なRFトランシーバ
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDが実装され得る、例示的なRFトランシーバ100の概略ブロック図を提供する。
図1に示されるように、RFトランシーバ100は、DPD回路110、送信機回路120、PA130、アンテナ140、及び受信機回路150を含み得る。
【0029】
DPD回路110は、デジタルサンプルのシーケンスであってもよく、ベクトルであってもよい、xで表される入力信号102を受信するように構成されている。一般に、本明細書で使用される場合、本図で使用される小文字の太字斜体の単一文字ラベル(例えば、
図1に示されるラベルx、z、y、及びy’)の各々は、ベクトルを指す。いくつかの実施形態では、入力信号102xは、周波数ドメイン内の1つ以上のアクティブチャネルを含み得るが、簡略化のために、1つのチャネル(すなわち、帯域内周波数の単一の周波数範囲)のみを有する入力信号が説明される。いくつかの実施形態では、入力信号xは、ベースバンドデジタル信号であり得る。DPD回路110は、入力信号102xに基づいて、zによって表され得る出力信号104を生成するように構成されている。DPD出力信号104zは、更に送信機回路120に提供され得る。
【0030】
本開示の態様によれば、DPD回路110は、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を含み得る。基底関数ベースのアクチュエータ112は、非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられた一組の基底関数を使用して、第1のDPD動作を実行し得る。いくつかの実施例では、一組の基底関数は、ボルテラ級数又はボルテラ級数のサブセット(例えば、GMP及び/又はDDR)であり得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられた1つ以上のニューラルネットワークを使用して、第2のDPD動作を実行し得る。DPD回路110は、基底関数ベースのアクチュエータ112の第1の出力信号及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の第2の出力信号に基づいて、予歪された信号104zを出力し得る。一般に、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の好適な組み合わせを使用して実装され得る。ある特定の態様では、基底関数ベースのアクチュエータ112は、ルックアップテーブル(lookup table、LUT)を利用して、一組の基底関数及びcによって表され得るDPD係数の関連付けられたセットを記憶することができ、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、ニューラルネットワーク動作を実行するためのハードウェアアクセラレータ(例えば、ニューラルネットプロセッサ)を含むことができる。基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、様々な構成、例えば、並列構成又はカスケード構成で配置することができ、予歪された信号を生成するために様々な方法で互いに相互作用し得る。いくつかの態様では、DPD回路110は、例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が並列構成で配置されるときに、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力を組み合わせるために、破線のボックスによって示されるようなコンバイナ116を任意選択で含むことができる。基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を使用して、DPDを実行するためのメカニズムは、以下でより完全に説明される。場合によっては、DPD回路110は、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDと呼ばれることがある。
【0031】
送信機回路120は、信号104zを、ベースバンド信号からRF信号などのより高い周波数の信号にアップコンバートするように構成され得る。送信機120によって生成されたRF信号は、PA130に提供され得、PA130は、N個の個々のPAを含むPAアレイとして実装されてもよい。PA130は、送信機120によって生成されたRF信号を増幅し(したがって、PA130は、DPD回路110の出力に基づく駆動信号によって駆動され得る)、y(例えば、ベクトル)によって表され得る増幅されたRF信号131を出力するように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、RFトランシーバ100は、無線RFトランシーバであり得、その場合、それはまた、アンテナ140を含む。無線RFシステムの文脈において、アンテナは、空間を無線で伝播する電波と、送信機、受信機、又はトランシーバで使用される金属導体内で移動する電流との間のインターフェースとして機能するデバイスである。送信中、RFトランシーバの送信機回路は、電気信号を供給することができ、その信号は、PAによって増幅され、その信号の増幅されたバージョンがアンテナの端子に提供される。次いで、アンテナは、PAによって出力された信号からのエネルギーを電波として放射し得る。アンテナは、全ての無線機器に不可欠なコンポーネントであり、ラジオ放送、放送テレビ、双方向ラジオ、通信受信機、レーダ、携帯電話、衛星通信などのデバイスで使用される。
【0033】
単一のアンテナ素子を有するアンテナは、典型的には、球面波面内の全ての方向に等しく放射する放射パターンをブロードキャストする。フェーズドアンテナアレイは、概して、特定の方向に電磁エネルギーを集中させるために使用されるアンテナ素子の集合を指し、それによってメインビームを作成し、プロセスは一般に「ビームフォーミング」と呼ばれる。フェーズドアンテナアレイは、高ゲイン、指向性ステアリングを実行する能力、及び同時通信など、単一のアンテナシステムよりも多くの利点を提供する。したがって、フェーズドアンテナアレイは、モバイル/セルラー無線技術、軍事用途、飛行機レーダ、自動車レーダ、産業レーダ、及びWi-Fi技術など、無数の異なる用途でより頻繁に使用されている。
【0034】
RFトランシーバ100が無線RFトランシーバである実施形態では、増幅されたRF信号131yは、アンテナ140に提供され得、アンテナ140は、複数のアンテナ素子、例えば、N個のアンテナ素子を含むアンテナアレイとして実装され得る。アンテナ140は、増幅されたRF信号131yを無線で送信するように構成されている。
【0035】
RFトランシーバ100が、フェーズドアンテナアレイシステムの無線RFトランシーバである実施形態では、RFトランシーバ100は、PAアレイ130の個々のPAに提供される入力信号を変化させて、アンテナアレイ140によって生成されるビームを操舵するように構成されたビームフォーマ配置を更に含み得る。このようなビームフォーマ配置は、異なる様態で、例えば、アナログビームフォーマとして(すなわち、PAアレイ130によって増幅される入力信号が、アナログドメインで、すなわち、これらの信号がデジタルドメインからアナログドメインに変換された後に修正される)、デジタルビームフォーマとして(すなわち、PAアレイ130によって増幅される入力信号が、デジタルドメインで、すなわち、これらの信号がデジタルドメインからアナログドメインに変換される前に修正される)、又はハイブリッドビームフォーマとして(すなわち、PAアレイ130によって増幅される入力信号が、部分的にデジタルドメインで、かつ部分的にアナログドメインで修正される)実装され得るため、
図1には特に示されていない。
【0036】
理想的には、PA130からの増幅されたRF信号131yは、送信機回路120の出力の、単にアップコンバートされ、増幅されたバージョン、例えば、入力信号102xの、アップコンバートされ、増幅され、ビームフォームされたバージョンであるべきである。しかしながら、上記で論じたように、増幅されたRF信号131yは、メイン信号成分の外側に歪みを有し得る。そのような歪みは、PA130の応答における非線形性から生じ得る。上記で論じたように、そのような非線形性を低減することが望ましい場合がある。したがって、RFトランシーバ100は、RFトランシーバが、(送信経路内の)PA130からの増幅されたRF信号131yを分析することを可能にするフィードバック経路(又は観測経路)を更に含み得る。いくつかの実施形態では、フィードバック経路は、
図1Aに示されるように実現され得、ここで、フィードバック信号151y’が、PA130から受信機回路150に提供され得る。しかしながら、他の実施形態では、フィードバック信号は、アンテナ140によって送信された無線RF信号を感知するように構成されたプローブアンテナ素子からの信号であってもよい(
図1Aに特に示さず)。
【0037】
したがって、様々な実施形態では、PA130の出力又はアンテナ140の出力の少なくとも一部は、フィードバック信号151として、受信機回路150に提供され得る。受信機回路150の出力は、DPD回路110、特に、基底関数ベースのアクチュエータ112及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114に結合される。このようにして、PA130からの出力信号131(y)のものである受信機回路150の出力信号151(y’)は、受信機回路150を経由して基底関数ベースのアクチュエータ112及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114に提供され得る。上記で論じたように、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、並列構成又はカスケード構成で配置することができる。並列構成の場合、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の各々は、入力信号102x又はフィードバック信号151y’の少なくとも1つを処理し得る。カスケード構成の場合、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、逐次直列に配置され得、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114のうちの1つは、入力信号102x又はフィードバック信号151y’の少なくとも1つを処理して、第1の出力信号を生成し得、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114のうちの他方は、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号を処理して、第2の出力信号を生成する。並列構成及びカスケード構成の詳細は、
図2~
図5を参照して以下でより完全に論じられる。場合によっては、DPD回路110は、任意選択で、受信信号(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を処理して、DPDアクチュエータ回路112によって入力信号102xに適用されるDPD係数cを更新して、アクチュエータ出力104zを生成するためのDPD適応回路を含むことができる。アクチュエータ出力zに基づく信号は、PA130への入力として提供され、DPDアクチュエータ出力zは、PA130の動作を制御するために使用され得ることを意味する。
【0038】
図1に更に示されるように、いくつかの実施形態では、送信機回路120は、デジタルフィルタ122、デジタルアナログコンバータ(digital-to-analog converter、DAC)124、アナログフィルタ126、及びミキサ128を含み得る。そのような送信機では、予歪された信号104zは、デジタルフィルタ122によってデジタルドメインでフィルタリングされて、フィルタリングされた予歪された入力、デジタル信号を生成し得る。その後、デジタルフィルタ122の出力は、DAC124によってアナログ信号に変換され得る。次いで、DAC124によって生成されたアナログ信号は、アナログフィルタ126によってフィルタリングされ得る。次いで、アナログフィルタ126の出力は、ローカル発振器(local oscillator、LO)162から信号を受信して、アナログフィルタ126からのフィルタリングされたアナログ信号をベースバンドからRFに変換し得る、ミキサ128によってRFにアップコンバートされ得る。送信機回路120を実装する他の方法もまた可能であり、本開示の範囲内である。例えば、別の実装形態(本図面には例解されていない)では、デジタルフィルタ122の出力は、DAC124によってRF信号に直接変換され得る(例えば、直接RFアーキテクチャにおいて)。このような実装形態では、DAC124によって提供されるRF信号は、次いで、アナログフィルタ126によってフィルタリングすることができる。この実装形態では、DAC124がRF信号を直接合成するため、そのような実施形態では、
図1Aに例解されるミキサ128及びローカル発振器162を、送信機回路120から省略することができる。
【0039】
図1に更に示されるように、いくつかの実施形態では、受信機回路150は、デジタルフィルタ152、アナログデジタルコンバータ(analog-to-digital converter、ADC)154、アナログフィルタ156、及びミキサ158を含み得る。そのような受信機では、フィードバック信号151は、ローカル発振器(LO)160(ローカル発振器160と同じであってもよく、又は異なっていてもよい)から信号を受信して、フィードバック信号151をRFからベースバンドに変換する、ミキサ158によってベースバンドにダウンコンバートされ得る。その後、ミキサ158の出力は、アナログフィルタ156によってフィルタリングされ得る。次いで、アナログフィルタ156の出力は、ADC154によってデジタル信号に変換され得る。次いで、ADC154によって生成されたデジタル信号は、デジタルフィルタ152によってデジタルドメイン内でフィルタリングされて、フィルタリングされたダウンコンバートされたフィードバック信号151y’を生成し得、これは、PA130の出力yを示すデジタル値のシーケンスであり得、これはまた、ベクトルとしてモデル化され得る。フィードバック信号151y’は、DPD回路110に提供され得る。受信機回路150を実装する他の方法もまた可能であり、本開示の範囲内である。例えば、別の実装形態(本図面には例解されていない)では、RFフィードバック信号151y’は、ADC154によってベースバンド信号に直接変換され得る(例えば、直接RFアーキテクチャにおいて)。このような実装形態では、ADC154によって提供されるダウンコンバートされた信号は、次いで、デジタルフィルタ152によってフィルタリングすることができる。この実装形態では、ADC154がベースバンド信号を直接合成するため、そのような実施形態では、
図1Aに例解されるミキサ158及びローカル発振器160を、受信機回路150から省略することができる。
【0040】
上記のRFトランシーバ100に対して、更なる変形が可能である。例えば、アップコンバージョン及びダウンコンバージョンは、ベースバンド周波数に関して説明されているが、RFトランシーバ100の他の実施形態では、代わりに中間周波数(IF)が使用され得る。IFは、受信信号内の情報の最終検出が行われる前に、受信RF信号がIFにシフトされるスーパヘテロダイン無線受信機で使用され得る。IFへの変換は、いくつかの理由で有用であり得る。例えば、数段のフィルタが使用されるとき、それらを全て固定周波数に設定することができ、それは、それらを構築しやすく、チューニングしやすくする。いくつかの実施形態では、RF送信機120又は受信機150のミキサは、IF変換のいくつかのそのような段を含み得る。別の実施例では、単一経路ミキサが、RFトランシーバ100の送信(TX)経路(すなわち、送信機120によって処理される信号のための信号経路)及び受信(RX)経路(すなわち、受信機150によって処理される信号のための信号経路)の各々に示されるが、いくつかの実施形態では、TX経路ミキサ128及びRX経路ミキサ158は、それぞれ、直交アップコンバータ及びダウンコンバータとして実装されてもよく、その場合、それらの各々は、第1のミキサ及び第2のミキサを含むことになる。例えば、RX経路ミキサ158について、第1のRX経路ミキサは、フィードバック信号151と、ローカル発振器160によって提供されるローカル発振器信号の同相成分とを混合することによって、同相(in-phase、I)ダウンコンバートされたRX信号を生成するようにダウンコンバージョンを実行するように構成され得る。第2のRX経路ミキサは、フィードバック信号151と、ローカル発振器160によって提供されるローカル発振器信号の直交成分(直交成分は、ローカル発振器信号の同相成分から90度だけオフセットされる成分である)とを混合することによって、直交(quadrature、Q)ダウンコンバートされたRX信号を生成するようにダウンコンバージョンを実行するように構成され得る。第1のRX経路ミキサの出力は、I信号経路に提供され得、第2のRX経路ミキサの出力は、I信号経路と実質的に90度位相がずれ得るQ信号経路に提供され得る。一般に、送信機回路120及び受信機回路150は、ゼロIFアーキテクチャ、直接変換RFアーキテクチャ、複素IFアーキテクチャ、高(リアル)IFアーキテクチャ、又は任意の好適なRF送信機及び/又は受信機アーキテクチャを利用し得る。
【0041】
一般に、RFトランシーバ100は、ほぼ3kHz~300GHzのRF範囲の電磁波の形態での信号の送受信をサポートするように構成された任意のデバイス/装置又はシステムであり得る。いくつかの実施形態では、RFトランシーバ100は、例えば、汎欧州デジタル移動電話方式(Global System for Mobile Communication、GSM)、符号分割多元接続(Code Division Multiple Access、CDMA)、又はLTEなどの任意の適切なセルラー無線通信技術の基地局(base station、BS)又はユーザ機器(user equipment、UE)デバイスにおいて、無線通信のために使用され得る。更なる実施例では、RFトランシーバ100は、5G無線(すなわち、高周波/短波長スペクトル、例えば、約5~15ミリメートルの範囲の波長に対応する、約20~60GHzの範囲の周波数を有する)などのミリ波無線技術の、例えば、BS又はUEデバイスとして、又はその中で使用され得る。更に別の実施例では、RFトランシーバ100は、Wi-Fi技術(例えば、約12cmの波長に対応する2.4GHzの周波数帯域、又は約5cmの波長に対応する5.8GHzの周波数帯域、スペクトル)を使用して、例えば、デスクトップ、ラップトップ、ビデオゲームコンソール、スマートフォン、タブレット、スマートTV、デジタルオーディオプレーヤ、車、プリンタなどのWi-Fi対応デバイスで無線通信のために使用され得る。いくつかの実装形態では、Wi-Fi対応デバイスは、例えば、他のノード、例えば、スマートセンサとデータを通信するように構成されたスマートシステム内のノードであってもよい。なお更に別の実施例では、RFトランシーバ100は、Bluetoth技術(例えば、約12cmの波長に対応する、約2.4~約2.485GHzの周波数帯域)を使用する無線通信のために使用され得る。他の実施形態では、RFトランシーバ100は、例えば、自動車用レーダシステムで、又は磁気共鳴撮像(magneto-resonance imaging、MRI)などの医療用途で、通信以外の目的で無線RF信号を送信及び/又は受信するために使用され得る。更に他の実施形態では、RFトランシーバ100は、ケーブル通信のために、例えば、ケーブルテレビネットワークにおいて使用され得る。
【0042】
基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの例示的な並列及びカスケード配置
上述したように、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、並列構成又はカスケード構成で配置することができ、入力信号102xから予歪された信号104zを生成するために、様々な方法で互いに相互作用し得る。高レベルでは、基底関数ベースのアクチュエータ112への入力は、入力信号102x、フィードバック信号151y’、又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力の任意のサブセット又は変換バージョンとすることができる。同様に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114への入力は、入力信号102x、フィードバック信号151y’、又は基底関数ベースのアクチュエータ112の出力の任意のサブセット又は変換バージョンとすることができる。予歪された信号104zは、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力、又は入力信号x、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力、及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力の組み合わせ波形から得ることができる。
図2及び
図3は、
図1に関連して論じられるものであり、ここでは、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が並列構成で配置されている。
図4及び
図5は、
図1に関連して論じられるものであり、ここでは、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114がカスケード構成で配置されている。簡略化のために、
図2~
図5は、同じ要素又は同じ信号を指すために、
図1と同じ参照番号を使用し得る。
【0043】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置200の概略例解図を提供する。例えば、
図1のDPD回路110の基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、配置200に示されるように、並列構成で配置することができる。
【0044】
図2に示されるように、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の各々は、入力信号102x又はフィードバック信号151y’(PA130によって出力された出力信号131yを示す)のうちの少なくとも1つを入力として取り得る。例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数(例えば、ボルテラ級数、GMP、DDR関数、区分線形関数、等)を使用して、入力信号102x又はフィードバック信号151y’のうちの少なくとも1つを処理して、出力信号202を生成することによって、第1のDPD動作を実行し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、1つ以上のニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、等)を使用して、入力信号102x又はフィードバック信号151y’のうちの少なくとも1つを処理して、出力信号204を生成することによって、第2のDPD動作を実行し得る。
【0045】
より具体的には、一実施例では、第1の動作の一部として、基底関数ベースのアクチュエータ112が、一組の基底関数を使用して、入力信号102xを処理して、出力信号202を生成し得る。別の実施例では、第1の動作の一部として、基底関数ベースのアクチュエータ112が、一組の基底関数を使用して、入力信号102x及びフィードバック信号151y’を処理して、出力信号202を生成し得る。同様に、一実施例では、第2のDPD動作の一部として、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、入力信号102xを処理して、出力信号204を生成し得る。別の実施例では、第2のDPD動作の一部として、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、入力信号102x及びフィードバック信号151y’を1つ以上のニューラルネットワークで処理して、出力信号204を生成し得る。すなわち、1つ以上のニューラルネットワークは、そのパラメータを更新及び適応させて、予歪された信号104zの少なくとも一部分又は一成分を生成するように訓練され得る。
【0046】
更に、いくつかの態様では、基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数を入力に適用する前に、その入力(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を前処理し得る。同様に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、1つ以上のニューラルネットワークを入力に適用する前に、その入力(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を前処理し得る。前処理のいくつかの実施例は、エンベロープの大きさ計算、ダウンサンプリング、等を含み得る。ある特定の態様では、基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数及び関連する線形結合係数(例えば、c)がLUTとして記憶されるLUTベースのアクチュエータであり得る。基底関数ベースのアクチュエータ112は、入力信号102x(例えば、複素ベースバンドの同相/直交位相(I/Q)信号)の大きさを計算し、計算された大きさを使用して、LUTからのテーブルルックアップに基づいて、出力信号202を生成し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’を、1つ以上のニューラルネットワークのうちの少なくとも第1のニューラルネットワークのネットワーク層を通して通過させ得る。
【0047】
図2に更に示されるように、コンバイナ116は、入力信号102x、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号202、及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号204を組み合わせて、予歪された信号104zを生成し得る。その後、予歪された信号104zは、送信のためにDAC124に送られ得る。コンバイナ116は、
図8~
図10を参照して以下でより完全に論じられるように、様々な構造を有し得る。場合によっては、入力信号102x、予歪された信号104z、フィードバック信号151y’、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号202、及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号204は、デジタルベースバンドI/Q信号(複素I/Qサンプルを含む)である。
【0048】
配置200は、有利なことに、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が独立して動作すること、例えば、別々に最適化及び/又は適応されることを可能にすることができる。この点で、基底関数ベースのアクチュエータ112によって使用される一組の基底関数は、PA130の第1の非線形特性を線形化するように構成され得、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって使用される1つ以上のニューラルネットワークは、第2の非線形特性を線形化するように構成され得る。第1及び第2の非線形特性は、異なることができる(例えば、非線形性の異なる次数、又は非線形性の次数の異なる組み合わせ)。代替的に、第1の非線形特性及び第2の非線形特性は、同じであってもよく、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114における1つ以上のニューラルネットワークは、PA130の非線形性を変化させ得る動的条件に適応するように訓練され得る。
【0049】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置300の概略例解図を提供する。例えば、
図1のDPD回路110の基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、配置300に示されるように、並列構成で配置することができる。
図3の配置300は、
図2の配置200と実質的に同様であり得る。例えば、配置300内の基底関数ベースのアクチュエータ112は、上記で論じた配置200内の基底関数ベースのアクチュエータ112と実質的に同様の方法で動作し得る。しかしながら、予歪された信号104zは、
図2のように、基底関数ベースのアクチュエータ112とニューラルネットワークベースのアクチュエータ114との組み合わせ出力ではなく、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力に対応する。
【0050】
図3に示されるように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号304は、基底関数ベースのアクチュエータ112に提供される。より具体的には、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、出力信号304を生成するために、1つ以上のニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、等)を使用して、入力信号102x又はフィードバック信号151y’のうちの少なくとも1つを処理することによって、DPD動作を実行し得る。出力信号304は、基底関数ベースのアクチュエータ112のパラメータを更新するために使用され得る。したがって、1つ以上のニューラルネットワークは、PA130のDPD特徴(例えば、非線形特性)を生成し、入力信号を予歪するために基底関数ベースのアクチュエータ112のパラメータを更新するように訓練され得る。特定の実施例では、出力信号304は、予歪された信号104zを生成するために基底関数ベースのアクチュエータ112によって使用されるDPD係数を更新する(又はLUTをプログラムする)ために使用され得る。
【0051】
更に、いくつかの態様では、基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数を適用する前に、その入力(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を前処理し得、及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、
図2を参照して上記で論じたように、1つ以上のニューラルネットワークを適用する前に、その入力(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を前処理し得る。
【0052】
配置300は、有利には、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を使用して、基底関数ベースのアクチュエータ112を支援し、例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112が、さもなければそれ自体では達成できない可能性のある、動的条件に適応させることができる。いくつかの実施例では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、PA130での動的変化に適応することができ、DPD適応回路の代わりに使用して、基底関数ベースのアクチュエータ112(のDPD係数及び/又はLUT)を更新することができる。
【0053】
一般に、上記で論じた並列DPD配置200及び/又は300は、異なるサンプリングレートで動作することができる。例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112は、全信号サンプリングレートで動作し得る一方で、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、
図6及び
図7を参照して以下で論じられるように、より低いレート(ダウンサンプリングされたレート)で動作し得る。場合によっては、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114はまた、
図7を参照して以下でより十分に論じられるように、異なるサンプリングレートで動作する複数のニューラルネットワークを含み得る。このようにして、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、基底関数ベースのアクチュエータ112によって使用される一組の基底関数によって追跡又はモデル化され得ない動的変化及び/又は長期メモリ効果を考慮し得る。
【0054】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置400の概略例解図を提供する。例えば、
図1のDPD回路110の基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、配置400に示されるように、カスケード構成で配置することができる。
【0055】
図4に示されるように、基底関数ベースのアクチュエータ112は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力に結合されている。例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、出力信号402を生成するために、1つ以上のニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、等)を使用して、入力信号102x又はフィードバック信号151y’のうちの少なくとも1つを処理することによって、DPD動作を実行し得る。基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数(例えば、ボルテラ級数、GMP、DDR関数、区分線形関数、等)を使用して、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号402を処理して、予歪された信号104zを生成することによって、別のDPD動作を実行し得る。すなわち、1つ以上のニューラルネットワークは、基底関数ベースのアクチュエータ112による処理の前に、入力信号102x又はフィードバック信号151y’のうちの少なくとも1つを前処理するように(例えば、特徴を生成するために)訓練され、適応され得る。
【0056】
更に、いくつかの態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、1つ以上のニューラルネットワークを適用する前に、その入力(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を前処理し得る。追加的又は代替的に、基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数を適用する前に、その入力(例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号402)を前処理し得る。
【0057】
配置400は、有利には、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を使用して、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’からの特徴を生成することにおいて、基底関数ベースのアクチュエータ112を支援し得る。いくつかの実施例では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号402は、基底関数ベースのアクチュエータ112によって容易にキャプチャ又は表現することができないPA130の特性又は入力信号102x上の変換に関連付けられた情報を含み得る。
【0058】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置500の概略例解図を提供する。例えば、
図1のDPD回路110の基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、配置500に示されるように、カスケード構成で配置することができる。
図5の配置500は、
図4の配置400と実質的に同様であり得るが、信号経路内の基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の順序はスワップされている。
図5に示されるように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力に結合されている。
【0059】
例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数(例えば、ボルテラ級数、GMP、DDR関数、区分線形関数、等)を使用して、入力信号102x又はフィードバック信号151y’のうちの少なくとも1つを処理して、出力信号502を生成することによって、DPD動作を実行し得る。その後、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号502を処理して、予歪された信号104zを生成することによって、別のDPD動作を実行し得る。更に、いくつかの態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114はまた、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、入力信号102x又はフィードバック信号151y’を処理し得る。このようにして、(ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって使用される)1つ以上のニューラルネットワークは、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号を後処理し、及び/又は入力信号102x又はフィードバック信号151y’を処理するように訓練され、適応され得る。
【0060】
更に、いくつかの態様では、基底関数ベースのアクチュエータ112は、入力に1つ以上のニューラルネットワークを適用する前に、その入力(例えば、入力信号102x及び/又はフィードバック信号151y’)を前処理し得る。追加的又は代替的に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、一組の基底関数を入力に適用する前に、その入力(例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号502)を前処理し得る。
【0061】
配置500は、基底関数ベースのアクチュエータ112によってモデル化されない特徴(例えば、動的変化及び/又は非線形性効果)を考慮するために、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を有利に使用し得る。例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112は、制限されたメモリを有し得、それゆえ、PA130の特定の長期メモリ効果を修正又は線形化することができない可能性がある。したがって、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力を修正して、長期変動を補正するように訓練され得る。追加的に又は代替的に、基底関数ベースのアクチュエータ112は、より複雑ではないDPD動作を実行してもよく、一方、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、より複雑なDPD動作を実行してもよい。例えば、基底関数は、解析方程式に基づく場合があるため、それゆえ制限を有し得る(例えば、特定の非線形性をモデル化することができるが、他のより複雑又は高次の非線形性をモデル化することができない)。したがって、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、(例えば、より高い自由度を有する)任意の非線形関数をモデル化するために使用され得、これは、解析的な数学方程式によって表現可能であってもなくてもよい。
【0062】
上記の説明からわかるように、様々なDPD配置200、300、400、及び500は、異なる利点を有する。したがって、DPD回路110は、ハードウェアリソース(例えば、メモリ)の利用可能性、線形化下のPA130の非線形特性(例えば、トラップされた電荷、メモリ効果、等)、及び/又は目標線形化パフォーマンスメトリックに応じて、DPD配置200、300、400、又は500を使用して構成され得る。更に、いくつかの態様では、DPD配置200、300、400、及び/又は500内のニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、ニューラルネットプロセッサ又はアクセラレータ(例えば、
図6のアクセラレータ670及び/又は
図7のアクセラレータ760)を含むことができる。ニューラルネットプロセッサ又はアクセラレータは、ニューラルネットワーク固有の処理(例えば、畳み込み層内の前の層からの重み付けされた出力を組み合わせるための乗加算演算を用いた層処理、ReLU演算、バイアス演算、等)の効率的な計算を可能にするアーキテクチャ及び/又はハードウェア演算を有し得る。
【0063】
ニューラルネットワークモデルを備えた例示的なDPD配置
本開示の一態様は、ニューラルネットワークモデルに基づいており、信号ダイナミクス又はGaN電荷トラップなどの遅い影響を推定、予測、及び補償するように構成されている、増幅器状態推定分岐を有するDPD配置を提供する。
【0064】
ニューラルネットワークは、幅広い用途にわたって良好な精度で任意の非線形関数を近似する能力を有することが示されている。ニューラルネットワークモデルは、PAの出力(例えば、PA130の出力)の送信(例えば、入力信号102x)及びループバック観測(例えば、フィードバック信号151y’)の両方を取り込み、有用な特徴ベクトル(PA状態推定)を生成するように構成することができる。そのようなニューラルネットワークはまた、異なる動的挙動、例えば、GaN PAの電荷トラップ又は接合温度変化を引き起こす挙動、を有する多種多様な波形で訓練され得る。加えて、いくつかの実施形態では、状態ダイナミクスモデルは、PA状態変化が主に入力励起によって引き起こされると仮定して、前の状態推定及び次の入力信号を取り込み、次の状態を予測する(PA状態予測)ように構成され得る。したがって、将来の状態の予測は、もはや観測チャネルを必要としなくてもよい。信号/システムダイナミクスのはるかに長い時間スパンに対処するために、いくつかの実施形態では、このモデルは、システムの長期的な進化を主に(例えば、それだけを)含み得る、ダウンサンプリングされた波形で訓練され得る。サンプリングレートで作動する予歪モデル(様々な実施形態では、ニューラルネットワークモデル又はGMPモデルのいずれかであり得る)と併せて、2つの組み合わせは、コンバイナモデル、すなわち、両方のモデルの出力及び出力I/QサンプルをDAC(例えば、DAC124)に取り込む、
図2のコンバイナ116に類似したモデルを介して、動的システムを用いて予歪を実行することができる。PA状態推定ネットワークは、低いサンプルレートで作動しているので、モデルの作動を処理するために、アクセラレータ(例えば、
図6のアクセラレータ670及び/又は
図7のアクセラレータ760)を構築することができる。
【0065】
純粋に送信信号に基づいて、マイクロ秒からミリ秒までの範囲のPAにおける長期効果をモデル化することは、典型的には、長いキャプチャバッファ(例えば、数万のサンプル)及び非常に深いメモリモデルを必要とする。本明細書で提案する、増幅器状態推定分岐を有するDPD配置は、(従来の実装形態における適応とは対照的に)作動中の送信及び観測信号の両方の短いキャプチャを比較することによって、現在のPA状態を最初に推定するように構成される。そのようなDPD配置は、観測することなく、現在のPA状態及び将来の送信信号を使用して、将来のPA状態を追跡及び予測するように更に構成され得る。いくつかの実施形態では、そのようなDPD配置は、推定PA状態を利用して、サンプルごとの補正信号を生成して、メインDPD作動を補償するように構成され得る。
【0066】
図6~
図12は、ニューラルネットワークモデルを用いたDPD配置の様々な態様を例解する。
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのためのオフライン訓練及びオンライン作動のためのスキーム600の例解図を提供する。スキーム600は、
図6の左側に示されるオフライン訓練と、
図6の右側のオンライン作動とを含む。図面を混乱させないために、
図6は、DPD作動に顕著な要素のみを示すが、オンライン作動は、コンバイナ116の出力とPA130の入力との間の送信機回路(例えば、少なくともDAC124を含む送信機回路120に類似する)と、PA130の出力とキャプチャバッファ660との間の受信機回路(例えば、ADC154を含む受信機回路150に類似する)とを含むことができる。いくつかの態様では、
図1のDPD回路110及び/又は
図2の配置200は、スキーム600を使用して訓練及び展開され得る。簡略化のために、
図6は、同じ要素又は同じ信号を指すために、
図1及び
図2と同じ参照番号を使用し得る。
【0067】
図6の右側のオンライン作動によって示されるように、
図1のDPD回路110の基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、
図2の配置200と実質的に同様の方法で配置されている。例えば、オンライン作動は、一組の基底関数及び一組の関連するDPD係数を使用して入力信号102xを処理して、出力信号202を生成する、基底関数ベースのアクチュエータ112を含み得る。オンライン作動は、キャプチャされた信号662を処理して、出力信号204を生成するためのニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を更に含み得る。コンバイナ116は、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号202とニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力信号204とを組み合わせて、予歪された信号104zを生成し得る。一般に、コンバイナ116は、基底関数ベースのアクチュエータ112からの出力信号202、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114からの出力信号204、及び/又は入力信号102xを組み合わせて、予歪された信号104zを生成し得る。
【0068】
コンバイナ116は、様々な構造を有し得る。
図6は、コンバイナ116のための1つの例示的な構造を例解する。例解された例では、コンバイナ116は、出力信号204及び入力信号102xを後処理して、後処理信号642を出力するための後処理回路640を含み得る。コンバイナ116は、後処理信号642を(基底関数ベースのアクチュエータ112からの)出力信号202に追加して、予歪された信号104zを生成するための信号加算回路630を更に含み得る。更に、遅延を、
図7を参照して以下でより完全に説明されるように、組み合わせる前の時間アライメントのために、基底関数ベースのアクチュエータ112からの出力信号202、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114からの出力信号204、及び/又は入力信号102xのいずれかに追加することができる。コンバイナ116のための様々な例示的な構造は、
図8~
図10を参照して以下でより完全に説明される。
図1を参照して同様に上記で論じたように、予歪された信号104zは、送信のためにPA130に送られ得る。更に、オンライン作動は、キャプチャメモリ又はバッファ660(例えば、DPD回路110の一部として実装される)を含み得る。キャプチャバッファ660は、予歪された信号104z(又は送信信号)及びPA130の出力を示すフィードバック信号151y’(又は観測信号)の複数のキャプチャを実行し得る。例えば、各キャプチャは、特定の数のデジタルI/Qサンプルを含み得る。いくつかの実施例では、キャプチャは、例えば、キャプチャを記憶するための利用可能なメモリ及び/又はPA130のメモリ効果に応じて、特定のデューティサイクルに従って実行することができる。例えば、予歪された信号104zの短いセグメント(例えば、N個のサンプル)及び/又はフィードバック信号151y’の短いセグメントを、特定の時間間隔でキャプチャすることができる。
【0069】
図6の例解された実施例において、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、ニューラルネットアクセラレータ670を含み得る。ニューラルネットアクセラレータ670は、例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112とともにDPD動作(例えば、PA状態予測、PA状態推定、及び/又は非線形事前補償を含む)を実行するために特別に訓練された、ニューラルネットワークモデル610のための処理を実行し得る。いくつかの態様では、ニューラルネットアクセラレータ670は、ニューラルネットワーク固有の処理(例えば、畳み込み層内の前の層からの重み付けされた出力を組み合わせるための乗加算演算を用いた層処理ユニット、ReLU演算、バイアス演算、等)の効率的な計算を可能にするアーキテクチャ及び/又はハードウェア演算を有し得る。
図6に更に示されるように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、ダウンサンプリングされた信号683を提供するために、キャプチャされた信号662をダウンサンプリングするためのダウンサンプリング回路682を含み得る。ニューラルネットアクセラレータ670は、訓練されたニューラルネットワークモデル610に従ってダウンサンプリングされた信号683を処理して、出力信号676を提供し得る。いくつかの態様では、ニューラルネットアクセラレータ670は、任意選択で、ニューラルネットワークモデル610の内部状態(例えば、674として示される)を追跡し得、例えば、ニューラルネットワークモデル610が再帰型ニューラルネットワークモデルであるとき、ダウンサンプリングされた信号683及び内部状態674を処理して、出力信号676を生成し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、ニューラルネットワークモデル610の出力信号676をアップサンプリングして、信号204を生成するためのアップサンプリング回路680を更に含み得る。すなわち、604内の動作(基底関数ベースのアクチュエータ112及びコンバイナ116を含む)は、完全なサンプリングレートで(例えば、入力信号102xのサンプリングレートで)実行され得、一方、608内の動作(ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を含む)は、より低いサンプリングレートで実行され得る。一例として、ダウンサンプリング回路682は、Kの係数でその入力をダウンサンプリングしてもよく、アップサンプリング回路680は、同じKの係数でその入力信号をアップサンプリングしてもよく、Kは、2、3、4、又は任意の適切な値であり得る。
図6は、ダウンサンプリングされたレートで動作するニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を例解するが、他の態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、基底関数ベースのアクチュエータ112と同じ全信号サンプリングレートで動作することができる。
【0070】
一態様では、ニューラルネットアクセラレータ670によって実装されるPA状態推定及び追跡の出力(例えば、信号204)を使用して、コンバイナ116によって補償されたPA130は、短期メモリ効果を明示し得る。これらの短期メモリ効果は、基底関数ベースのアクチュエータ112によって処理(補正)することができる。いくつかの実施形態では、基底関数ベースのアクチュエータ112、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114、及びコンバイナ116は、DPDアクチュエータ回路(例えば、DPD回路110)内に含まれ得る。場合によっては、基底関数ベースのアクチュエータ112は、メインDPD又はサンプルレートアクチュエータと称され得、ニューラルネットワークモデル610は、PA状態推定モデルと称され得る。
【0071】
図6の左側によって示されるように、事前訓練は、以下のプロセスを含み得る。第1に、データは、PA130への様々な入力刺激を有する(例えば、
図6の右側に示されるようなターゲットハードウェアの)送信経路及び観測経路からキャプチャされて、訓練データセット(キャプチャ602として示される)を形成し得る。キャプチャ602は、予歪された信号104z及び/又はフィードバック信号151y’のキャプチャを含み得る。次に、最適化アルゴリズムを使用して、ニューラルネットワークモデル610を訓練して、キャプチャされたデータ602に基づいて、PA状態を推定し得る。最後に、コンバイナモデル(コンバイナ116をモデル化したもの)が、PA状態推定モデルと一緒に訓練されて、補正信号(例えば、予歪された信号104z)を生成し得る。いくつかの実施形態では、PA状態推定モデルは、キャプチャされたデータ602に基づいて、PA状態を推定するために、メインDPDモデル(基底関数ベースのアクチュエータ112をモデル化したもの)及びコンバイナモデルの両方と一緒に訓練され得る。他の実施形態では、メインDPDモデルが、最初にキャプチャされたデータ602に基づいて事前に訓練されてもよく、その後、PA状態推定モデルが、事前に訓練されたメインDPDモデル及びコンバイナと一緒に訓練されて、キャプチャされたデータ602に基づいてPA状態を推定してもよい。別の言い方をすれば、ニューラルネットワークモデル610は、例えば、ニューラルネットワークモデル610の層を介して、予歪された信号104z及び/又はフィードバック信号151y’のキャプチャを渡すことによって、キャプチャ602を使用して、並びに、ニューラルネットワークモデル610の出力が最適化される(すなわち、ニューラルネットワークモデル610によって予測された出力と所望の信号との間の誤差が、最小化されるか、又は特定の基準を満たすとき)まで、ニューラルネットワークモデル610の重み(又はパラメータ)を更新するためにバックプロパゲーションを使用して、訓練されてもよい。いくつかの実施例では、PA状態推定モデル又はニューラルネットワークモデル610が訓練された後、更なる剪定及び量子化612及び/又は任意の他の後処理が実行されて、ニューラルネットワークモデル表現614を生成し得る。いくつかの実施例では、ニューラルネットワークモデル表現614は、訓練された重みパラメータを含み得る。ニューラルネットワークモデル表現614は、オンライン作動のためにニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって使用され得る。例えば、ニューラルネットワークモデル表現614(訓練されたパラメータ)は、メモリに記憶されてもよく、ニューラルネットアクセラレータ670は、記憶されたパラメータを使用して、ニューラルネットワーク処理を実行し得る。
【0072】
図6の右側によって更に示されるように、展開後の動作は、以下のプロセスを含み得る。第1に、メインDPD(例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112)の出力からの送信信号(例えば、予歪された信号104z)の短いセグメントが、キャプチャされ得る。任意選択で、PA130の出力からの観測信号(例えば、フィードバック信号151y’)の短いセグメントがキャプチャされ得る。次に、事前に訓練されたPA状態推定モデル(例えば、モデル610)が、キャプチャされた信号662を使用してPA状態を推定し得る。いくつかの実施形態では、事前に訓練されたPA状態推定モデルは、観測が利用可能である場合、キャプチャされた送信信号(例えば、予歪された信号104のキャプチャ)と、キャプチャ観測信号(例えば、フィードバック信号151のキャプチャ)と、を比較することによって、PA状態を直接推定し得る。観測が、キャプチャの時間から作動における効果までに数秒オーダの遅延を有する、適応(すなわち、観測を使用して、アクチュエータ内の次の係数セットを見つける最適化アルゴリズム)のためにのみ使用される先行技術のDPD実装とは対照的に、(
図2の配置200と同様である)
図6の右側に示されるPA状態推定及び補償DPD配置では、観測は、補償のためにアクチュエータ(例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112)に直接送られ、キャプチャの時間から作動までにマイクロ秒オーダの遅延を有する。いくつかの実施形態では、事前に訓練されたPA状態推定モデルは、(観測が利用できない場合)以前のPA状態及びキャプチャされた送信信号を使用して、PA状態を推定し得る。これは、必要に応じて観測からのモデルドリフトを自己修正する能力を有さず、最適なパフォーマンスのための明示的な観測受信機デューティサイクリング機構を有しないフィードフォワードモデルを使用する、先行技術のDPD実装とは対照的である。次のプロセスでは、コンバイナ116は、メインDPDの出力(例えば、信号202)と、推定PA状態ベクトル(例えば、信号204)と、を組み合わせて、最終的な予歪信号を生成し得、これは、次いで、PA130に供給される。その後、メインDPDは、PA状態推定モデル及びコンバイナモデルの知識なしに、それ自身の適応を実行し得る。最後に、PA状態推定モデルは、適応を実行し得、パラメータ更新は、任意の適切な既知の最適化アルゴリズム(例えば、確率的勾配降下法)を使用して実行され得る。
【0073】
サンプルデシメーションに関して、いくつかの実施形態では、ニューラルネットアクセラレータ670に含まれるPA状態推定モデルは、デシメートされたサンプルレートで動作して、長時間のホライズンにわたって、例えば、マイクロ秒のオーダで、メモリ効果をキャプチャし得る。任意の決定論的変換が、第1のダウンサンプリングの前に入力に適用され得る。いくつかの実施形態では、PA状態推定モデルは、
図7及び
図11に示されるように、複数のダウンサンプリング段を含み得る。
【0074】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的な配置700の概略例解図を提供する。配置700は、
図2の配置200及び/又は
図6のスキーム600におけるオンライン作動に使用されるDPDハードウェアに実質的に類似であり得、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の内部要素及び基底関数ベースのアクチュエータ112、コンバイナ116、及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114間の相互作用(又は共同作用)のより詳細な図を提供し得る。簡略化のために、
図7は、同じ要素又は同じ信号を指すために、
図1、
図2、及び
図6と同じ参照番号を使用し得る。
【0075】
図7に示されるように、配置700は、基底関数ベースのアクチュエータ112、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114、コンバイナ116、アライメントバッファ720、遅延回路710、712、714、及びアップサンプリング回路762を含み得る。基底関数ベースのアクチュエータ112は、一組の基底関数及び関連するDPD係数を使用して、入力信号102x(例えば、送信のためのデータで符号化されたデジタルベースバンドI/Q信号)を処理して、出力信号202を生成し得る。アライメントバッファ720は、キャプチャバッファ660と同様であり得る。アライメントバッファ720は、フィードバック信号151y’(PA130の出力を示す観測信号)のキャプチャ(例えば、N個のI/Qサンプル)、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力信号202のキャプチャ(例えば、N個のI/Qサンプル)、及び/又は予歪された信号104z(コンバイナ116の出力)のキャプチャ(例えば、N個のI/Qサンプル)を含み得る。フィードバック信号151y’、予歪された信号104z、及び出力信号202は、全信号サンプリングレート(例えば、Fs)であり、時間アライメントされ、アライメントバッファ720に記憶され得る。例えば、送信経路及びフィードバック経路における処理及び/又は信号伝播遅延のために、それぞれの遅延が、バッファ720に記憶されたこれらの信号の間でサンプルレベルで1対1の対応が存在し得るように、出力信号202及び予歪された信号104z、並びにフィードバック信号151y’の各々に追加され得る。
【0076】
図7に更に示されるように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、変換及び特徴生成ブロック730(例えば、デジタル回路及び命令コードを実行するプロセッサ)、ダウンサンプリング回路682と同様の1つ以上のダウンサンプリング回路740、1つ以上のシリアル/パラレル(serial-to-parallel、S/P)回路750、ニューラルネットアクセラレータ670と同様のニューラルネットアクセラレータ760、及びアップサンプリング回路680と同様のアップサンプリング回路762を含み得る。変換及び特徴生成ブロック730は、時間アライメントされたフィードバック信号151y’、予歪された信号104z、出力信号202及び/又は追加の特徴732を入力として取り、入力に基づいて信号734(例えば、PA130の非線形特性に関連する特徴)を生成し得る。追加の特徴732のいくつかの実施例は、(送信経路及び/又は受信経路内の)アナログゲイン設定、温度(例えば、現在の動作温度)、フィードバック信号151y’のシンボル電力、及び/又はDPDに異なる挙動を引き起こし得る任意の動作パラメータ及び/又は測定値を含み得るが、これらに限定されない。追加の特徴732は、他の回路(例えば、検出回路及び/又は測定回路)によって提供されてもよく、及び/又はCPUアクセス可能レジスタから読み取られてもよい。一例として、アナログゲイン設定は、回路(例えば、検出回路及び/又は測定回路)から直接取得することができる。あるいは、アナログゲイン設定は、レジスタを介してデジタル的に制御することができ、読み戻すことができる。別の実施例として、基底関数ベースのアクチュエータ112及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114を含むDPD装置又はRFトランシーバは、温度感知回路を含むことができ、レジスタ読み取りを介して現在の動作温度の指示を提供することができる。
【0077】
信号734は、ダウンサンプリング回路740によってダウンサンプリングされ得る。S/P回路750は、ダウンサンプリングされた信号に対してシリアルからパラレルへの変換を実行し、変換された信号752をニューラルネットアクセラレータ760に提供し得る。例えば、ニューラルネットアクセラレータ760は、並列処理を利用して、信号752を処理し得る。一例として、ニューラルネットワークモデル(例えば、モデル610)は、一度にダウンサンプリングされたサンプルのブロック上で動作し得、S/P回路750は、ターゲットサンプルブロックをニューラルネットアクセラレータ760に提供し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、任意選択で、ダウンサンプリング回路740及び関連するS/P回路750が破線で示されるように、複数の並列ダウンサンプリング経路を含むことができる。いくつかの実施例では、異なるダウンサンプリング経路は、異なるダウンサンプリングされたレートで実行する。すなわち、ニューラルネットアクセラレータ760は、例えば、異なるPA状態情報の推定又は予測について、異なるレートで複数のニューラルネットワークモデルを作動することができる。対応するニューラルネットワークを介して信号752を処理した後、ニューラルネットアクセラレータ760は、出力信号204を生成し得る。アップサンプリング回路762は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力をコンバイナ116に提供する前に、出力信号204を信号763にアップサンプリングし得る。いくつかの実施例では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、異なるダウンサンプリング係数を有する複数のダウンサンプリング経路を含む場合、アップサンプリング回路762は、信号763が全信号サンプリングレートで戻り得るように、対応するダウンサンプリング係数に従ってニューラルネットアクセラレータ760からの出力をアップサンプリングし得る。一般に、アップサンプリングは、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の一部として、又はニューラルネットアクセラレータ760での処理の一部として、又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の外部で実行することができる。
【0078】
図7に更に示されるように、入力信号102x、基底関数ベースのアクチュエータ112によって生成された信号202、及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって生成された信号763は、それらをコンバイナ116に提供する前に、それぞれ、遅延回路710、712、及び714によって遅延され得る。同様に上記で論じたように、異なる経路からの処理及び/又は信号伝播遅延が存在し得る。したがって、遅延回路710、712、及び714は、コンバイナ116の前に、入力信号102x、信号202、及び信号763を時間整列させることができる。例えば、遅延回路710は、入力信号102xをKサンプルだけ遅延させることができ、遅延回路712は、信号202をLサンプルだけ遅延させることができ、遅延回路714は、信号763をPサンプルだけ遅延させることができ、K、L、及びPは、異なる値を有することができる。コンバイナ116は、遅延された入力信号102x、基底関数ベースのアクチュエータ112の遅延された出力信号202、及びニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の遅延された出力信号763を組み合わせて、予歪された信号104zを生成し得る。コンバイナ116は、
図6に示すような構造、又は
図8~
図10を参照して以下で論じられるような他の構造を有し得る。
【0079】
上記で論じたように、基底関数ベースのアクチュエータ112の出力と、
図2及び
図6~
図7に示されるニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力と、を組み合わせるために使用されるコンバイナ116は、様々な構造を有することができる。
図6は、コンバイナ116のための1つの例示的な構造を例解する。
図8~
図10は、コンバイナ構造の他の変形を例解する。
【0080】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるコンバイナのための例示的な配置800の概略例解図を提供する。例えば、DPD回路110内のコンバイナ116は、配置800を使用して配置され得る。
図8に示されるように、コンバイナ116は、加算回路810、乗算回路820、ローパスフィルタ(low-pass filter、LPF)回路830、及びアップサンプリング回路840を含み得る。
【0081】
配置800において、アップサンプリング回路840は、例えば、上記で論じたように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114で実行されるダウンサンプリングに従って、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力される信号204をアップサンプリングし得る。一例として、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、(入力信号102xの)全信号サンプリングレートの半分で動作する場合、アップサンプリング回路840は、出力信号204を2だけアップサンプリングし得、その結果、アップサンプリングされた信号842は、同じ全信号サンプリングレートになり得る。LPF回路830は、アップサンプリングされた信号842を、LPFを通して通過させ得る。乗算回路820は、入力信号102xをフィルタリングされた信号832と乗算して、信号822を提供し得る。加算回路810は、信号822を、基底関数ベースのアクチュエータ112によって出力された信号202と加算して、予歪された信号104zを生成し得る。
【0082】
図8には示されていないが、配置800は、乗算回路820での乗算の前に信号102及び832を時間整列させるために、及び/又は加算回路810での加算の前に信号202及び822を時間整列させるために、遅延回路710、712、及び/又は714と同様の遅延回路を含むことができる。更に、いくつかの実施例では、アップサンプリング動作は、例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、基底関数ベースのアクチュエータ112と同じレートで動作するときに、任意選択で行うことができる。
【0083】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるコンバイナのための例示的な配置900の概略例解図を提供する。例えば、DPD回路110内のコンバイナ116は、配置900を使用して配置され得る。
図9に示されるように、コンバイナ116は、配置800と実質的に同様の加算回路910、乗算回路920、LPF回路930、及びアップサンプリング回路940を含み得る。しかしながら、配置900では、コンバイナ116は、予歪された信号104zを生成するために入力信号102xを利用しない。
【0084】
例えば、アップサンプリング回路940は、例えば、上記で論じたように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114で実行されるダウンサンプリングに従って、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力される信号204をアップサンプリングし得る。LPF回路930は、アップサンプリングされた信号942を、LPFを通して通過させ得る。乗算回路920は、信号202をフィルタリングされた信号932と乗算して、信号922を提供し得る。加算回路910は、信号922を、基底関数ベースのアクチュエータ112によって出力された信号202と加算して、予歪された信号104zを生成し得る。
【0085】
図9には示されていないが、配置900は、乗算回路920での乗算の前に信号932及び202を時間整列させるために、及び/又は加算回路910での加算の前に信号922及び202を時間整列させるために、遅延回路710、712、及び/又は714と同様の遅延回路を含むことができる。更に、いくつかの実施例では、アップサンプリング動作は、例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、基底関数ベースのアクチュエータ112と同じレートで動作するときに、任意選択で行うことができる。
【0086】
図10は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるコンバイナのための例示的な配置1000の概略例解図を提供する。例えば、DPD回路110内のコンバイナ116は、配置1000を使用して配置され得る。
図10に示されるように、コンバイナ116は、加算回路1010、ニューラルネットワーク1020、LPF回路1030、及びアップサンプリング回路1040を含み得る。
【0087】
配置1000において、アップサンプリング回路1040は、例えば、上記で論じたように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114で実行されるダウンサンプリングに従って、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力される信号204をアップサンプリングし得る。LPF回路1030は、アップサンプリングされた信号1042を、LPFを通して通過させ得る。ニューラルネットワーク1020(例えば、
図6のアクセラレータ670、
図7のアクセラレータ760、及び/又は
図12のニューラルネットプロセッサコア1240などのニューラルネットワークプロセッサ又はアクセラレータによって実行される)は、アップサンプリングされた信号1032及び入力信号102xを処理して、信号1022を提供し得る。ニューラルネットワーク1020は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の出力を、入力信号102xと組み合わせるように訓練された重みを含み得る。加算回路1010は、信号1022を、基底関数ベースのアクチュエータ112によって出力された信号202と加算して、予歪された信号104zを生成し得る。
【0088】
図10には示されていないが、配置1000は、ニューラルネットワーク1020による処理の前に信号1032及び102を時間整列させるために、及び/又は加算回路1010での加算の前に信号1022及び202を時間整列させるために、遅延回路710、712、及び/又は714と同様の遅延回路を含むことができる。更に、いくつかの実施例では、アップサンプリング動作は、例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114が、基底関数ベースのアクチュエータ112と同じレートで動作するときに、任意選択で行うことができる。
【0089】
一般に、コンバイナ116は、入力信号x、基底関数ベースのアクチュエータ112によって出力された信号202、及び/又はニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力された信号204を組み合わせて、予歪された信号104zを生成することができる。いくつかの態様では、コンバイナ116は、組み合わせる前に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力される出力信号204をアップサンプリング及び/又はフィルタリングすることができる。追加的又は代替的に、コンバイナ116は、組み合わせる前に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力された信号204を、入力信号102xと乗算することができる。追加的に又は代替的に、コンバイナ116は、組み合わせる前に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって出力された信号204を、基底関数ベースのアクチュエータ112によって出力された信号202と乗算することができる。追加的又は代替的に、コンバイナ116は、組み合わせる前に、ニューラルネットワークを介して204及び/又は入力信号102xを通過させることができる。
【0090】
図11は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDのための例示的なPA状態推定及び予測実装1100の概略例解図を提供する。例えば、DPD回路110のニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、実装1100に示されるように実装され得る。
図11に示されるように、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、PA状態推定フェーズ1102及びPA状態予測フェーズ1104を含み得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、推定ニューラルネットワークモデル1116及び予測ニューラルネットワーク1126を含み得る。いくつかの態様では、推定ニューラルネットワークモデル1116及び予測ニューラルネットワークモデル1126は、ニューラルネットプロセッサ又はアクセラレータ(例えば、
図6のアクセラレータ670、
図7のアクセラレータ760、及び/又は
図12のニューラルネットプロセッサコア1240)によって実行され得る。
【0091】
PA状態推定フェーズ1102の間、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、PA状態推定のために推定ニューラルネットワークモデル1116を利用し得る。例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、入力信号102x(例えば、PA130による送信のためのデータを運ぶデジタルベースバンドI/Q信号)及びPA130の出力を示すフィードバック信号151y’に基づいて、PA状態1118を推定し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、入力信号102x及びフィードバック信号151y’に対して1つ以上の段の変換1110及び/又はダウンサンプリング1112を実行し、変換された及び/又はダウンサンプリングされた信号1114を、処理のために推定ニューラルネットワークモデル1116に提供し得る。推定ニューラルネットワークモデル1116は、各々が一組の重みを有する複数のニューラルネットワーク層(例えば、入力層、1つ以上の隠れ層、及び出力層を含む)を含み得、変換された及び/又はダウンサンプリングされた信号1114は、処理のための層の各々を通過して、推定PA状態1118を提供し得る。
【0092】
PA状態予測フェーズ1104の間、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、PA状態予測のために予測ニューラルネットワークモデル1126を利用し得る。例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、入力信号102x(例えば、PA130による送信のためのデータを運ぶデジタルベースバンドI/Q信号)に基づいて、PA状態1128を予測し得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、入力信号102xに対して1つ以上の段の変換1120及び/又はダウンサンプリング1122を実行し、変換された及び/又はダウンサンプリングされた信号1124を、処理のために予測ニューラルネットワークモデル1126に提供し得る。予測ニューラルネットワークモデル1126は、各々が一組の重みを有する複数のニューラルネットワーク層(例えば、入力層、1つ以上の隠れ層、及び出力層を含む)を含み得、変換された及び/又はダウンサンプリングされた信号1124は、処理のための層の各々を通過して、予測PA状態1128を提供し得る。
【0093】
いくつかの態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、フィードバック信号151y’の利用可能性に基づいて、PA状態推定フェーズ1102とPA状態予測フェーズ1104との間で切り替えられ得る。この点で、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、フィードバック信号151y’の利用可能性に基づいて、推定ニューラルネットワークモデル1116又は予測ニューラルネットワークモデル1126の間で選択し得る。例えば、フィードバック信号151y’(観測)が利用可能である場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、推定ニューラルネットワークモデル1116を選択し得る。しかしながら、フィードバック信号151y’の利用可能性が欠如している場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、予測ニューラルネットワークモデル1126を選択し得る。
【0094】
更に、いくつかの態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、推定ニューラルネットワークモデル1116及び/又は予測ニューラルネットワークモデル1126に関連付けられた状態情報を記憶するための共有ストレージ1130(例えば、メモリ)を含み得る。状態情報は、それぞれのPA状態を生成するための処理のために、推定ニューラルネットワークモデル1116及び/又は予測ニューラルネットワークモデル1126にフィードバックされ得る。ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、推定ニューラルネットワークモデル1116及び/又は予測ニューラルネットワークモデル1126による処理の前にPA状態情報を遅延させる遅延回路1132を更に含み得る。一例として、推定ニューラルネットワークモデル1116は、変換された及び/又はダウンサンプリングされた信号1114並びに以前の状態情報1134(例えば、以前の推定PA状態1118及び/又は以前の予測PA状態1128)を処理して、新しい推定PA状態1118を出力し得る。その後、共有ストレージ1130における状態情報は、新しい推定PA状態1118で更新され得る。同様に、予測ニューラルネットワークモデル1126は、変換された及び/又はダウンサンプリングされた信号1124並びに以前の状態情報1134(例えば、以前の推定PA状態1118及び/又は以前の予測PA状態1128)を処理して、新しい予測PA状態1128を出力し得る。その後、共有ストレージ1130における状態情報は、新しい予測PA状態1128で更新され得る。
【0095】
別の言い方をすれば、例えば、観測受信機(例えば、受信機回路150)でのデューティサイクリングのために、フィードバック信号151y’(観測)が利用できない場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、予測ニューラルネットワークモデル1126を利用して、入力信号102x及び以前の状態情報1134に従って更なるPA状態を予測し得る。一方で、フィードバック信号151y’(観測)が利用可能な場合、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、推定ニューラルネットワークモデル1116を利用して、入力信号102x及びフィードバック信号151y’に従って将来のPA状態を推定し得る。いくつかの実施例では、推定ニューラルネットワークモデル1116は、以前の状態情報1134に更に基づいて、将来のPA状態を推定し得る。概して、推定ニューラルネットワークモデル1116及び予測ニューラルネットワークモデル1126は、フィードバック信号151y’の利用可能性に応じて交互の様態で作動し得る。
【0096】
いくつかの態様では、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、推定ニューラルネットワークモデル1116の後に更なる処理段階を含んで、PA状態1118を処理して、推定PA状態1119を生成することができる。同様に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、予測ニューラルネットワークモデル1126の後に更なる処理段階を含んで、PA状態1128を処理して、予測PA状態1129を生成することができる。
【0097】
図11は、PA状態推定フェーズ1102及びPA状態予測フェーズ1104中に、動作を実行するための2つの別個の経路を例解しているが、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、例えば、少なくともいくつかのハードウェアブロック及び回路を共有する、任意の適切な方法で実装することができる。
【0098】
図12は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDにおけるニューラルネットワークベースのアクチュエータのための例示的なハードウェアアーキテクチャ1200の概略例解図を提供する。アーキテクチャ1200は、
図11の実装1100と併せて使用され得る。例えば、DPD回路110のニューラルネットワークベースのアクチュエータ114は、実装1100及びアーキテクチャ1200を使用して実装されたものを使用して、実装され得る。
図12に示されるように、アーキテクチャ1200は、重みメモリ1210、マルチプレクサ1220、推論コントローラ1230、ニューラルネットプロセッサコア1240、アクティベーションメモリ1250、及びダイレクトメモリアクセス(direct memory access、DMA)コントローラ1260を含み得る。
【0099】
重みメモリ1210は、任意の適切な揮発性又は不揮発性メモリであり得る。メモリのいくつかの実施例は、ダブルデータレートランダムアクセスメモリ(double data rate random access memory、DDR RAM)、シンクロナスRAM(synchronous RAM、SRAM)、ダイナミックRAM(dynamic RAM、DRAM)、フラッシュ、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、等を含み得る。アクティベーションメモリ1250は、推定ニューラルネットワークモデル情報1212及び予測ニューラルネットワークモデル情報1214を記憶するように構成され得る。例えば、推定ニューラルネットワークモデル情報1212は、重みパラメータ及び/又は推定ニューラルネットワークモデル1116のニューラルネットワーク層に関連付けられた任意の他の情報を含み得る。同様に、予測ニューラルネットワークモデル情報1214は、重みパラメータ及び/又は予測ニューラルネットワークモデル1126のニューラルネットワーク層に関連付けられた任意の他の情報を含み得る。
【0100】
マルチプレクサ1220は、フィードバック信号(又は観測信号)有効性指示信号1222に基づいて、メモリ1210に記憶された推定ニューラルネットワークモデル情報1212又は予測ニューラルネットワークモデル情報1214の間で選択し得る。例えば、フィードバック信号有効性指示信号1222は、フィードバック信号151y’が有効である(又は利用可能である)ことを示し、マルチプレクサ1220は、推定ニューラルネットワークモデル情報1212を選択し、推定ニューラルネットワークモデル情報1212をニューラルネットプロセッサコア1240に出力し得る。しかしながら、フィードバック信号有効性指示信号1222が、フィードバック信号151y’が無効である(又は利用できない)ことを示す場合、マルチプレクサ1220は、予測ニューラルネットワークモデル情報1214を選択し、予測ニューラルネットワークモデル情報1214をニューラルネットプロセッサコア1240に出力し得る。
【0101】
アクティベーションメモリ1250は、任意の好適な揮発性メモリ、例えば、DDR RAM、SRAM、DRAM、等であり得る。アクティベーションメモリ1250は、入力データ1252、再帰状態情報1254、及び出力データ1256を記憶するように構成され得る。例えば、入力データ1252は、(PA130による送信の前に本明細書に開示されるような、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDによって予歪される)入力信号102xのキャプチャ、及び(PA130の出力を示す)フィードバック信号151y’のキャプチャを含み得る。再帰状態情報1254は、推定ニューラルネットワークモデル情報1212によって定義されるニューラルネットワークによって推定される以前のPA状態(例えば、PA状態1118、1119)、及び/又は予測ニューラルネットワークモデル情報1214によって定義されるニューラルネットワークによって予測される以前のPA状態(例えば、PA状態1128、1129)を含み得る。出力データ1256は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって生成された出力信号204を含み得る。出力信号204を使用して、本明細書に開示されるようにPA130のための予歪された信号104zを生成し得る。
【0102】
DMAコントローラ1260は、ニューラルネットプロセッサコア1240とハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPD回路110内の他の要素との間のメモリアクセス(例えば、データをストリーミングするための)を提供するように構成されたハードウェアデバイスであり得る。例えば、信号経路は、
図6~
図10に示されるように、DPD回路110内の基底関数ベースのアクチュエータ112及びコンバイナ116に結合され得る。いくつかの態様では、DMAコントローラ1260は、入力データ1252をDPDキャプチャバッファ(例えば、キャプチャバッファ660)からアクティベーションメモリ1250に転送し得る。いくつかの態様では、信号経路は、ダウンサンプリング回路(例えば、ダウンサンプリング回路682、740、1112)、アップサンプリング回路(例えば、アップサンプリング回路680、840、940、1040)、フィルタリング回路(例えば、LPF回路830、930、1030)、乗算回路(例えば、乗算回路820、920)、ニューラルネットワークプロセッサ(例えば、
図6のアクセラレータ670及び/又は
図7のアクセラレータ760、並びに/又はニューラルネットプロセッサ1240)、加算回路(例えば、加算回路630、810、910、1010)、等などの、他の回路を含むことができる。
【0103】
ニューラルネットプロセッサコア1240は、ニューラルネットワーク固有の動作(例えば、畳み込み、ReLU動作、バイアス動作、等)を実行するように構成され得る。ニューラルネットプロセッサコア1240は、マルチプレクサ1220での選択に従って、推定ニューラルネットワークモデル情報1212又は予測ニューラルネットワークモデル情報1214を使用して、入力データ1252でキャプチャされた入力信号102x(デジタルI/Qサンプルのブロック)、及び/又はフィードバック信号151y’(デジタルI/Qサンプルのブロック)を処理し得る。例えば、フィードバック信号151y’が利用可能であるとき、ニューラルネットプロセッサコア1240は、推定ニューラルネットワークモデル情報1212を使用して、入力信号102x及びフィードバック信号151y’を処理して、推定PA状態(将来のPA状態)を生成し得る。入力データ1252でフィードバック信号151y’の利用可能性が欠如しているとき、ニューラルネットプロセッサコア1240は、予測ニューラルネットワークモデル情報1214を使用して、入力信号102xを処理して、予測PA状態(将来のPA状態)を生成し得る。
【0104】
推論コントローラ1230は、所与のケイデンスでニューラルネットプロセッサコア1240の推論をトリガするように構成され得る。例えば、推論コントローラ1230は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114とコンバイナ116及び/又は基底関数ベースのアクチュエータ112との間でデータをストリーミングすることができるように、ニューラルネットプロセッサコア1240の入力、出力、及び/又は動作を同期させることができる。更に、推論制御1230は、ニューラルネットプロセッサコア1240に、実行するニューラルネットワークモデル(例えば、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデル)を通知することができる。例えば、場合によっては、推論コントローラ1230は、PA状態推定及び/又は予測に関連付けられた他の情報をニューラルネットプロセッサコア1240に提供することができる。
【0105】
一般に、重みメモリ1210、マルチプレクサ1220、推論コントローラ1230、ニューラルネットプロセッサコア1240、アクティベーションメモリ1250、及びDMAコントローラ1260は、任意の好適な方法で配置され得る。いくつかの態様では、重みメモリ1210、マルチプレクサ1220、推論コントローラ1230、ニューラルネットプロセッサコア1240、アクティベーションメモリ1250、及び/又はDMAコントローラ1260は、ニューラルネットワークハードウェアアクセラレータ(例えば、
図6のアクセラレータ670及び/又は
図7のアクセラレータ760)の一部として実装され得る。
【0106】
図12は、推定ニューラルネットワークモデル及び予測ニューラルネットワークモデルを利用するニューラルネットワークベースのアクチュエータ114の文脈で説明されているが、態様はそれらに限定されない。例えば、アーキテクチャ1200は、任意の適切な数のニューラルネットワークを利用するニューラルネットワークベースのアクチュエータ114によって使用され得、それぞれのニューラルネットワークに関連付けられたパラメータは、重み付けメモリ1210に記憶され得、ニューラルネットプロセッサ1240は、それぞれのパラメータを使用して入力を処理し得る。例えば、アーキテクチャ1200は、上記で論じられた配置200、300、400、及び/又は500におけるニューラルネットワークベースのアクチュエータ114に使用することができる。
【0107】
図13は、本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDを実行するための方法1300を例解するフロー図を提供する。方法1300は、
図1~
図12を参照して上記で論じたように、入力信号(例えば、入力信号102x)を非線形コンポーネント(例えば、PA130)に予歪するハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPDによって実装され得る。動作は、各々一度、かつ特定の順序で、
図13に例解されているが、動作は、所望に応じて並列に、並べ替えられて、及び/又は繰り返されて実行され得る。
【0108】
1302において、第1の信号(例えば、信号202)が、第1の作動回路(例えば、基底関数ベースのアクチュエータ112)を使用して、一組の基底関数、DPD係数、及び入力信号又は非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号(例えば、フィードバック信号151y’)のうちの少なくとも1つに基づいて生成され得る。一組の基底関数及びDPD係数は、非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられ得る。
【0109】
1304において、第2の信号(例えば、信号204)が、第2のアクチュエータ回路(例えば、ニューラルネットワークベースのアクチュエータ114)を使用して、ニューラルネットワーク(例えば、ニューラルネットワークモデル610、ニューラルネットワーク1020、推定ニューラルネットワークモデル1116、予測ニューラルネットワークモデル1126、推定ニューラルネットワークモデル情報1212、及び/又は予測ニューラルネットワークモデル情報1214)、並びに入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに基づいて生成され得る。ニューラルネットワークは、非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられている。
【0110】
1306において、予歪された信号(例えば、予歪された信号104z)が、第1の信号及び第2の信号に基づいて、生成され得る。
【0111】
いくつかの態様では、第1及び第2のアクチュエータ回路は、並列構成で配置され得る。したがって、1302において第1の信号を生成することは、一組の基底関数及びDPD係数を、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み得る。更に、1304において第2の信号を生成することは、ニューラルネットワークを、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み得る。いくつかの態様では、1306において予歪された信号を生成することは、例えば、
図2、
図6、
図7~
図10を参照して上記で論じたように、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号と、第2のアクチュエータ回路によって生成された第2の信号と、を組み合わせることを含み得る。いくつかの態様では、1306において予歪された信号を生成することは、例えば、
図8~
図10を参照して上記で論じたように、入力信号を、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号及び第2のアクチュエータ回路によって生成された第2の信号と組み合わせることを更に含み得る。いくつかの態様では、1306において予歪された信号を生成することは、例えば、
図3を参照して上記で論じたように、第2のアクチュエータ回路の第2の信号に基づいて、第1のアクチュエータ回路のパラメータを更新することを含み得る。
【0112】
いくつかの態様では、第1及び第2のアクチュエータ回路は、カスケード構成で配置され得る。したがって、一態様では、1302において第1の信号を生成することは、一組の基底関数及びDPD係数を、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み得、1304において第2の信号を生成することは、例えば、
図5を参照して上記で論じたように、ニューラルネットワークを、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号に適用することを含み得る。別の態様では、1304において第2の信号を生成することは、ニューラルネットワークを、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み得、1302において第1の信号を生成することは、例えば、
図4を参照して上記で論じたように、一組の基底関数及びDPD係数を、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号に適用することを含み得る。
【0113】
いくつかの態様では、ニューラルネットワークは、例えば、
図11~
図12を参照して上記で論じたように、推定ニューラルネットワークモデル(例えば、モデル1116)及び予測ニューラルネットワークモデル(例えば、モデル1126)を含み得る。したがって、1304において第2の信号を生成することは、フィードバック信号が有効であるかどうかに基づいて、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデルの間で選択することを含み得る。1304において第2の信号を生成することは、フィードバック信号が有効であることに応答して、推定ニューラルネットワークモデルを、入力信号及びフィードバック信号に適用することを更に含み得る。1304において第2の信号を生成することは、フィードバック信号が無効であることに応答して、予測ニューラルネットワークモデルを、入力信号に適用することを更に含み得る。
【0114】
実施例1は、無線周波数(RF)トランシーバ用の装置を提供する。装置は、RFトランシーバの非線形コンポーネントに関連付けられた入力信号を受信し、予歪された信号を出力するためのデジタル予歪(DPD)アクチュエータを含み、DPDアクチュエータが、非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられた一組の基底関数を使用して第1のDPD動作を実行するための基底関数ベースのアクチュエータと、非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられた第1のニューラルネットワークを使用して第2のDPD動作を実行するためのニューラルネットワークベースのアクチュエータと、を含み、予歪された信号が、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に基づいている。
【0115】
実施例2は、基底関数ベースのアクチュエータが、入力信号又は一組の基底関数を使用して、非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第1の出力信号を生成することによって、第1のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0116】
実施例3は、基底関数ベースのアクチュエータが、更に、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに変換動作を適用することによって、第1のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0117】
実施例4は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に基づいて、基底関数ベースのアクチュエータのパラメータを更新することによって、第2のDPD動作を実行し、基底関数ベースのアクチュエータが、更に、更新されたパラメータを更に使用して、第1の出力信号を生成することによって、第1のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0118】
実施例5は、基底関数ベースのアクチュエータが、一組の基底関数を使用して、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号を処理して、第1の出力信号を生成することによって、第1のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0119】
実施例6は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、入力信号又は第1のニューラルネットワークを使用して、非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第2の出力信号を生成することによって、第2のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0120】
実施例7は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、更に、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに変換動作を適用することによって、第2のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。一実施例では、変換は、フィードバック信号に関連付けられたアナログゲイン設定、温度、又はシンボル電力の少なくとも1つに基づいて、特徴を生成することを含む。
【0121】
実施例8は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、更に、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つをダウンサンプリングすることによって、第2のDPD動作を更に実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0122】
実施例9は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、第1のニューラルネットワークを使用して、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号を処理して、第2の出力信号を生成することによって、第2のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0123】
実施例10は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、更に、第1のニューラルネットワークを使用して、入力信号を処理することによって、第2のDPD動作を実行する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0124】
実施例11は、DPDアクチュエータが、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号を、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号と組み合わせて、予歪された信号を生成するためのコンバイナを更に含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0125】
実施例12は、コンバイナが、入力信号を、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号と更に組み合わせて、予歪された信号を生成する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0126】
実施例13は、コンバイナが、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号を、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号と組み合わせる前に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号を、基底関数ベースのアクチュエータの入力信号又は第1の出力信号と更に乗算する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0127】
実施例14は、コンバイナが、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号を、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号と組み合わせる前に、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に変換動作を更に適用する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0128】
実施例15は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に適用される変換動作が、アップサンプリング、フィルタリング、信号アライメント、又は第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークのうちの少なくとも1つに関連付けられている、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0129】
実施例16は、DPDアクチュエータが、第1のニューラルネットワークとは異なる第2のニューラルネットワークを使用して、入力信号又はニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号のうちの少なくとも1つを処理して、第3の出力信号を生成することと、第3の出力信号を、基底関数ベースのアクチュエータの第1の出力信号と組み合わせて、予歪された信号を生成することと、を行うためのコンバイナを更に含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0130】
実施例17は、コンバイナが、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に変換動作を更に適用する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0131】
実施例18は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータの第2の出力信号に適用される変換動作が、アップサンプリング動作又はフィルタリング動作のうちの少なくとも1つに関連付けられている、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0132】
実施例19は、ニューラルネットワークベースのアクチュエータが、第2のニューラルネットワークを更に使用して、第2のDPD動作を実行し、第1のニューラルネットワーク及び第2のニューラルネットワークが、異なるサンプリングレートで動作する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。例えば、基底関数ベースのアクチュエータは、第1のサンプリングレートで第1のDPD動作を実行し、ニューラルネットワークベースのアクチュエータは、第1のサンプリングレートとは異なる第2のサンプリングレートで第2のDPD動作を実行する。
【0133】
実施例20は、無線周波数(RF)トランシーバ用の装置を提供する。装置は、RFトランシーバの非線形コンポーネントに関連付けられた入力信号にデジタル予歪(DPD)を実行するためのDPDアクチュエータを含み、DPDアクチュエータは、一組の基底関数及びDPD係数に基づいて、入力信号を処理して、第1の出力信号を生成するための第1のアクチュエータと、1つ以上のニューラルネットワークを使用して、入力信号又は非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理して、第2の出力信号を生成するための第2のアクチュエータと、第1の出力信号及び第2の出力信号に基づいて、予歪された信号を生成するためのコンバイナと、を含み、一組の基底関数、DPD係数、及び1つ以上のニューラルネットワークが各々、非線形コンポーネントの1つ以上の非線形特性に関連付けられている。
【0134】
実施例21は、第2のアクチュエータが、フィードバック信号の利用可能性に基づいて、1つ以上のニューラルネットワークのうちの第1のニューラルネットワークと第2のニューラルネットワークとの間で選択する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0135】
実施例22は、第2のアクチュエータが、第1のニューラルネットワークを使用することによって、第2の出力信号を生成して、入力信号及びフィードバック信号を処理し、第1のニューラルネットワークを使用することが、フィードバック信号の利用可能性に基づいている、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0136】
実施例23は、第2のアクチュエータが、第2のニューラルネットワークを使用することによって、第2の出力信号を生成して、入力信号を処理し、第2のニューラルネットワークを使用することが、フィードバック信号の利用可能性の欠如に基づいている、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0137】
実施例24は、第2のアクチュエータが、第1のニューラルネットワーク又は第2のニューラルネットワークのうちの選択された1つを使用することによって、第2の出力信号を生成して、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つと、第1のニューラルネットワーク又は第2のニューラルネットワークのうちの少なくとも1つに関連付けられた以前の状態情報と、を処理し、第2の出力信号に基づいて、第1のニューラルネットワーク又は第2のニューラルネットワークのうちの少なくとも1つに関連付けられた状態情報を更新する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0138】
実施例25は、1つ以上のニューラルネットワークに関連付けられたパラメータを記憶するためのメモリと、ニューラルネット固有の動作を実行するためのニューラルネットプロセッサと、を更に含み、第2のアクチュエータが、ニューラルネットプロセッサ及び記憶されたパラメータを使用することによって、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つを処理する、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の装置を提供する。
【0139】
実施例26は、非線形コンポーネントに対する入力信号を予歪するためにデジタル予歪(DPD)を実行するための方法を提供する。方法は、第1のアクチュエータ回路を使用して、一組の基底関数、DPD係数、及び入力信号又は非線形コンポーネントの出力を示すフィードバック信号のうちの少なくとも1つに基づいて、第1の信号を生成することであって、一組の基底関数及びDPD係数が、非線形コンポーネントの第1の非線形特性に関連付けられている、生成することと、第2のアクチュエータ回路を使用して、ニューラルネットワーク及び入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに基づいて、第2の信号を生成することであって、ニューラルネットワークが、非線形コンポーネントの第2の非線形特性に関連付けられている、生成することと、第1の信号及び第2の信号に基づいて、予歪された信号を生成することと、を含む。
【0140】
実施例27は、第1の信号を生成することが、一組の基底関数及びDPD係数を、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み、第2の信号を生成することが、ニューラルネットワークを、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0141】
実施例28は、予歪された信号を生成することが、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号と、第2のアクチュエータ回路によって生成された第2の信号と、を組み合わせることを含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0142】
実施例29は、予歪された信号を生成することが、入力信号を、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号及び第2のアクチュエータ回路によって生成された第2の信号と組み合わせることを更に含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0143】
実施例30は、予歪された信号を生成することが、第2のアクチュエータ回路の第2の信号に基づいて、第1のアクチュエータ回路のパラメータを更新することを含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0144】
実施例31は、第1の信号を生成することが、一組の基底関数及びDPD係数を、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み、第2の信号を生成することが、ニューラルネットワークを、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号に適用することを含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0145】
実施例32は、第2の信号を生成することが、ニューラルネットワークを、入力信号又はフィードバック信号のうちの少なくとも1つに適用することを含み、第1の信号を生成することが、一組の基底関数及びDPD係数を、第1のアクチュエータ回路によって生成された第1の信号に適用することを含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0146】
実施例33は、ニューラルネットワークが、推定ニューラルネットワークモデル及び予測ニューラルネットワークモデルを含み、第2の信号を生成することが、フィードバック信号が有効であるかどうかに基づいて、推定ニューラルネットワークモデル又は予測ニューラルネットワークモデルの間で選択することと、フィードバック信号が有効であることに応答して、推定ニューラルネットワークモデルを、入力信号及びフィードバック信号に適用することと、フィードバック信号が無効であることに応答して、予測ニューラルネットワークモデルを、入力信号に適用することと、を含む、先行及び/又は以下の実施例のうちの1つ以上に記載の方法を提供する。
【0147】
変形及び実装形態
基底関数ベースの作動及びニューラルネットワークベースの作動の組み合わせを使用してDPDを実行する様々な実施形態が、本明細書で説明される、PAのための駆動信号である「PAのための入力信号」、すなわち、入力信号xに基づいて生成される信号、を参照して本明細書で説明されている。しかしながら、基底関数ベースの作動及びニューラルネットワークベースの作動の組み合わせを使用するDPDの他の実施形態では、「PAのための入力信号」は、N個のPAをバイアスするために使用されるバイアス信号であり得る。したがって、本開示の実施形態はまた、PAのための駆動信号を修正する代わりに、DPD配置が、PAのためのバイアス信号を修正するように構成され得、これは、PAの出力がPAをバイアスするために使用されるバイアス信号に基づいている、DPD適応回路(例えば、本明細書に記載のDPD適応回路)によって生成される制御信号に基づいて行われ得ることを除いて、本明細書に説明され、図に例解されているものと同様の、基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの組み合わせを含むDPD配置を包含する。本開示の他の態様では、PAのための駆動信号及びバイアス信号の両方が、ニューラルネットワークを使用してDPDを実装するために、本明細書に記載のように調整され得る。
【0148】
説明のいくつかは、PAを参照して本明細書に提供されているが、一般に、本明細書に提示される、基底関数ベースのアクチュエータ及びニューラルネットワークベースのアクチュエータの組み合わせを含むDPDの様々な実施形態は、低ノイズ増幅器、可変ゲイン増幅器、等などのPA以外の増幅器、並びに増幅器以外のRFトランシーバの非線形電子コンポーネント(すなわち、非線形挙動を示し得るコンポーネント)に適用可能である。更に、説明のいくつかは、ミリ波/5G技術を参照して本明細書で提供されているが、一般に、本明細書に提示されるニューラルネットワークを使用するDPDの様々な実施形態は、ミリ波/5G以外の任意の技術又は標準の無線通信システム、無線通信システム以外の任意の無線RFシステム、及び/又は無線RFシステム以外のRFシステムに適用可能である。
【0149】
本開示の実施形態は、
図1~
図13に示したような例示的な実装形態に関して上記に説明したが、当業者であれば、上記で説明された様々な教示が、多種多様な他の実装形態に適用可能であることを理解するであろう。
【0150】
ある特定の状況において、本明細書において論じた特徴は、自動車システム、安全性が重要な工業用途、医療システム、科学機器、無線及び有線通信、ラジオ、レーダ、工業プロセス制御、オーディオ及びビデオ機器、電流感知、器具類(極めて精密であり得る)、並びに他のデジタル処理ベースシステムに適用可能であり得る。
【0151】
上記の実施形態の議論において、マルチプレクサ、乗算器、加算器、遅延タップ、フィルタ、コンバータ、ミキサ、及び/又は他のコンポーネントなどのシステムのコンポーネントは、特定の回路のニーズに対応するために、容易に交換、置換、又は別様に修正され得る。更に、相補的な電子デバイス、ハードウェア、ソフトウェア、等の使用は、様々な通信システムにおいて、ハードウェア構成のためのモデルアーキテクチャ検索の適用に関連する本開示の教示を実装するための同様に実行可能な選択肢を提供することに留意すべきである。
【0152】
本明細書で提案されるようなハイブリッド基底関数、ニューラルネットワークベースのDPD技法を使用するための様々なシステムの部品は、本明細書に記載の機能を実行するための電子回路を含むことができる。いくつかの場合において、システムの1つ以上の部品は、本明細書に記載の機能を果たすために特別に構成されたプロセッサにより提供され得る。例えば、プロセッサは、1つ以上の特定用途向けコンポーネントを含み得、又は本明細書に記載の機能を果たすように構成されたプログラマブルロジックゲートを含み得る。回路は、アナログドメイン、デジタルドメイン、又はミックスドシグナルドメインで動作することができる。場合によっては、プロセッサは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶された1つ以上の命令を実行することによって、本明細書に記載の機能を果たすように構成され得る。
【0153】
一例示的な実施形態では、本図の任意の数の電気回路が、関連する電子デバイスの基板上に実装され得る。基板は、電子デバイスの内部電子システムの様々なコンポーネントを保持することができ、更に、他の周辺装置のためのコネクタを提供することができる、一般的な回路基板とすることができる。より具体的には、基板は、電気接続を提供することができ、これにより、システムの他のコンポーネントが電気的に通信することができる。任意の適切なプロセッサ(DSP、マイクロプロセッサ、サポートチップセット、等を含む)、コンピュータ可読の非一時的メモリ素子、等を、特定の構成ニーズ、処理要求、コンピュータ設計、等に基づいて、基板に適切に結合することができる。外部ストレージ、追加センサ、オーディオ/ビデオディスプレイ用コントローラ、及び周辺デバイスなどの他のコンポーネントが、プラグインカードとして、ケーブルを介して、基板に取り付けられ得、又は基板自体に一体化され得る。様々な実施形態において、本明細書に記載の機能性は、これらの機能をサポートする構造内に配置された1つ以上の構成可能な(例えば、プログラム可能な)要素内で作動するソフトウェア又はファームウェアとして、エミュレーション形式で実装され得る。エミュレーションを提供するソフトウェア又はファームウェアは、プロセッサがそれらの機能性を果たすのを可能にする命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に提供され得る。
【0154】
別の例示的な実施形態では、本図の電気回路は、独立型モジュール(例えば、特定のアプリケーション又は機能を行うように構成された関連のコンポーネント及び回路を備えるデバイス)として実装され得るか、又は電子デバイスの特定用途向けハードウェアへのプラグインモジュールとして実装され得る。本開示の特定の実施形態は、部分的、又は全体的のいずれかで、システムオンチップ(system on chip、SOC)パッケージ内に容易に含めることができることを留意されたい。SOCは、コンピュータ又は他の電子システムのコンポーネントを単一のチップ内に統合するICを表す。これは、デジタル、アナログ、ミックスドシグナル、そして多くの場合RFの機能を含み得、これらの機能の全ては、単一のチップ基板上で提供され得る。他の実施形態は、単一の電子パッケージ内に位置し、電子パッケージを通じて互いに密接に相互作用するように構成された、複数の別個のICを備えたマルチチップモジュール(multi-chip-module、MCM)を含み得る。
【0155】
また、本明細書で概略を述べた仕様、寸法、及び関係(例えば、
図1~
図12に示されている装置、DPD配置、及び/又はRFトランシーバのコンポーネントの数)は、単に、例示及び教示のみを目的として提供されていることに留意することが不可欠である。そのような情報は、本開示の趣旨、又は添付の特許請求の範囲から逸脱せずに大きく変動し得る。システムは、任意の好適な様態で固められ得ると理解されたい。同様の設計代替案に沿って、本図の例解された回路、コンポーネント、モジュール、及び要素のいずれも、様々な可能な構成で組み合わせることができ、これらの全ては、明らかに、本明細書の広義の範囲内にある。前述の説明では、例示的な実施形態を、特定のプロセッサ及び/又はコンポーネントの配置を参照して説明した。添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、このような実施形態に対して様々な修正及び変更を加えることができる。したがって、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、例解的な意味で捉えられるべきである。
【0156】
本明細書で提供される多くの実施例では、相互作用は、2つ、3つ、4つ、又はそれ以上の電気的コンポーネントに関して説明され得ることに留意すべきである。しかしながら、これは、明瞭化及び例示のみの目的でなされたものである。システムは、任意の好適な様態で固められ得ると理解されたい。同様の設計の代替手段に沿って、図の例解されたコンポーネント、モジュール、及び要素のいずれかは、様々な可能な構成に組み合わせられ得、それらの全ては、明らかに本明細書の広範な範囲内にある。場合によっては、ただ限られた数の電気要素を参照することによって、所与のセットのフローの機能性の1つ以上を説明する方が容易である場合がある。図の電気回路及びその教示は、容易に拡張可能であり、多数のコンポーネント、並びにより複雑で/洗練された配置及び構成に対応することができることを理解されるべきである。したがって、提供された実施例は、範囲を限定、又は無数の他のアーキテクチャに潜在的に適用される電気回路の広範な教示を阻害するべきではない。
【0157】
本明細書において、「一実施形態」、「例示的実施形態」、「実施形態」、「別の実施形態」、「いくつかの実施形態」、「様々な実施形態」、「他の実施形態」、「代替の実施形態」、などに含まれる様々な特徴(例えば、要素、構造、モジュール、コンポーネント、ステップ、演算、特性、等)への参照は、任意のそのような特徴が、本開示の1つ以上の実施形態に含まれるが、同じ実施形態において組み合わされてもよく、又は必ずしも組み合わされなくてもよいことを意味するように意図されていることに留意されたい。また、特許請求の範囲を含めて、本明細書で使用されるとき、項目のリスト(例えば、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」などの語句によって前置きされた項目のリスト)において使用される「又は」は、例えば、[少なくとも1つのA、B、又はC]のリストは、A又はB又はC又はAB又はAC又はBC又はABC(すなわち、AかつBかつC)を意味するように、包括的なリストを示す。
【0158】
例解する実施形態の様々な態様は、自分の仕事の内容を他の当業者に伝えるために、当業者によって一般的に採用される用語を使用して説明されている。例えば、「接続された」という用語は、いずれかの中間デバイス/コンポーネントなしに接続されているものの間の直接電気的接続を意味するが、「結合された」という用語は、接続されているものの間の直接電気的接続、又は1つ以上の受動的若しくは能動的な中間デバイス/コンポーネントを介した間接接続のいずれかを意味する。別の実施例では、「回路」という用語は、所望の機能を提供するために互いに協働するように配置された1つ以上の受動的及び/又は能動的コンポーネントを意味する。また、本明細書で使用される場合、「実質的に」、「ほぼ」、「約」、等の用語は、本明細書に記載されている、又は当技術分野で知られている特定の値の文脈に基づいて、目標値の+/-20%以内、例えば、目標値の+/-10%以内であることを概して指すのに使用され得る。
【0159】
多数の他の変更、置換、変形、改変、及び修正が、当業者に確認される場合があり、本開示は、実施例及び添付の特許請求の範囲内にあるような全てのそのような変更、置換、変形、改変、及び修正を包含することが意図される。上述の装置の全ての任意選択の特徴はまた、本明細書に記載の方法又はプロセスに関して実装され得、実施例の詳細は、1つ以上の実施形態においてどこでも使用され得ることに留意されたい。
【符号の説明】
【0160】
100 RFトランシーバ
102 入力信号
104 出力信号
110 DPD回路
112 DPDアクチュエータ回路
114 アクチュエータ
116 コンバイナ
120 送信機回路
122 デジタルフィルタ
124 デジタルアナログコンバータ
126 アナログフィルタ
128 ミキサ
130 PAアレイ
131 出力信号
140 アンテナアレイ
150 受信機回路
151 フィードバック信号
152 デジタルフィルタ
154 アナログデジタルコンバータ
156 アナログフィルタ
158 ミキサ
160 ローカル発振器(LO)
200、300、400、500、700、800、900、1000 DPD配置
202、204、304、402、502 出力信号
600 スキーム
602 データ
610 ニューラルネットワークモデル
612 量子化
614 ニューラルネットワークモデル表現
630 信号加算回路
640 後処理回路
642 後処理信号
660 キャプチャバッファ
662 信号
670 ニューラルネットアクセラレータ
674 内部状態
676 出力信号
680 アップサンプリング回路
682 ダウンサンプリング回路
683 信号
710、712、714 遅延回路
720 アライメントバッファ
730 特徴生成ブロック
734 信号
740 ダウンサンプリング回路
750 S/P回路
752 信号
760 ニューラルネットアクセラレータ
762 アップサンプリング回路
763 出力信号
810 加算回路
820 乗算回路
822 信号
830 LPF回路
832 信号
840 アップサンプリング回路
842 信号
910 加算回路
920 乗算回路
922 信号
930 LPF回路
932 信号
940 アップサンプリング回路
942 信号
1010 加算回路
1020 ニューラルネットワーク
1022 信号
1030 LPF回路
1032 信号
1040 アップサンプリング回路
1042 信号
1100 実装
1102 PA状態推定フェーズ
1104 PA状態予測フェーズ
1110 変換
1112 ダウンサンプリング回路
1114 信号
1116 推定ニューラルネットワークモデル
1118 推定PA状態
1119 推定PA状態
1120 変換
1122 ダウンサンプリング
1124 信号
1126 予測ニューラルネットワークモデル
1128 予測PA状態
1129 予測PA状態
1130 共有ストレージ
1132 遅延回路
1134 状態情報
1200 ハードウェアアーキテクチャ
1210 メモリ
1212 推定ニューラルネットワークモデル情報
1214 予測ニューラルネットワークモデル情報
1220 マルチプレクサ
1222 フィードバック信号有効性指示信号
1230 推論コントローラ
1240 ニューラルネットプロセッサ
1250 アクティベーションメモリ
1252 入力データ
1254 再帰状態情報
1256 出力データ
1260 DMAコントローラ
【国際調査報告】