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特表2024-5209512量子ビットマルチユーザ量子鍵配送プロトコルのための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】2量子ビットマルチユーザ量子鍵配送プロトコルのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04L 9/12 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
H04L9/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573658
(86)(22)【出願日】2021-05-31
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CA2021050738
(87)【国際公開番号】W WO2022251944
(87)【国際公開日】2022-12-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518359797
【氏名又は名称】ホアウェイ テクノロジーズ カナダ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】ウェン・トン
(72)【発明者】
【氏名】シェン・スン
(57)【要約】
2量子ビットエンタングルメントを利用する量子鍵配送の方法が提供され、一方の絡み合った量子ビットがオペレータOからアリスに送信され、他方の絡み合った量子ビットがオペレータOからボブに送信され、3者間で鍵共有(マルチユーザ量子鍵配送、すなわちMU QKD)を行う。アリスおよびボブは各々、2つの状態のいずれか1つに沿ってランダムに量子ビットのそれぞれのシーケンスを測定し、測定値をそれぞれのリストに記録し、符号化リスト内のビットを符号化する。符号化されたリストは、CHSH不等式で検証されるエンタングルメントのためにオペレータOに送信される。ボブの検証済みリストはアリスに送信され、その逆も同様であり、アリスとボブが相関をさらに検証することを可能にする。アリスとボブが求められた照合された量子ベースの鍵である同様の鍵を有するまで、絡み合っていないビットは拒否される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータOがマルチユーザ共有鍵を生成して受信機Aおよび受信機Bに配送するための方法であって、
絡み合った量子ビットの対を順に準備するステップであって、
絡み合った量子ビットの各対は2量子ビットエンタングルメントの状態にある、
ステップと、
絡み合った量子ビットの各対から、
一方の絡み合った量子ビットを受信機Aに、かつ
他方の絡み合った量子ビットを受信機Bに、
送信するステップと、
受信機Aおよび受信機Bの各々から応答を受信するステップと、
受信機Aおよび受信機Bの各々に前記鍵を送信するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
受信機Aおよび受信機Bの各々から応答を受信するステップが、
受信機Aから符号化ビットのリストを受信するステップであって、各ビットは、
オペレータOによって送信された量子ビットから測定され、
記録ビットのリストに記録され、
受信機Aからの前記符号化ビットのリストに符号化されている、
ステップと、
受信機Bから符号化ビットのリストを受信するステップであって、各ビットは、
オペレータOによって送信された量子ビットから測定され、
ビットのリストに記録され、
受信機Bからの前記符号化ビットのリストに符号化されている、
ステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信機Aおよび受信機Bの各々に前記鍵を送信するステップが、
受信機Aからの前記符号化ビットのリストと、
受信機Bからの前記符号化ビットのリストと
の間の相関を検証するステップを含み、
相関を検証するステップは、量子エンタングルメント不等式を使用して実行される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記量子エンタングルメント不等式が、Clauser、Horne、Shimony、Holt(CHSH)不等式である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
受信機Aおよび受信機Bの各々に前記鍵を送信するステップが、
受信機Aの測定されたビットのリスト、および
受信機Aの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、
受信機Bからの前記符号化ビットのリストを受信機Aに送信するステップと、
受信機Bの測定されたビットのリスト、および
受信機Bの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、
受信機Aからの前記符号化ビットのリストを受信機Bに送信するステップと、
受信機Aの導出鍵、および
受信機Bの導出鍵
を、それぞれの認証された古典チャネルを介して受信するステップと、
エンタングルメント不等式を使用して、
受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵との間の
量子相関を実行するステップと
を含み、
鍵を導出するステップは、前記エンタングルメント不等式に従って絡み合っていなかったビットの対を拒否するステップを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵と間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに十分である場合、導出鍵を照合された鍵として使用するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵との間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに不十分である場合、導出鍵を破棄し、通信を中断するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
レイヤ2反復をさらに含み、
請求項1のオペレータOは請求項1の受信機Aに置き換えられ、
請求項1の受信機Aはユーザ-1に置き換えられ、
請求項1の受信機Bはユーザ-2に置き換えられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
レイヤ2反復をさらに含み、
請求項1のオペレータOは請求項1の受信機Bに置き換えられ、
請求項1の受信機Aはユーザ-3に置き換えられ、
請求項1の受信機Bはユーザ-4に置き換えられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
光子のシーケンスを送信するように動作する光子源と、
第1のビーム分割デバイスと
を備える、鍵を配送するためのシステムであって、
前記第1のビーム分割デバイスは、
前記光子のシーケンスから、
絡み合った量子ビットの対を順に準備し、
絡み合った量子ビットの各対は2量子ビットエンタングルメントの状態にあり、
各絡み合った量子ビットの対から、
一方の絡み合った量子ビットを第2のビーム分割デバイスに、かつ
他方の絡み合った量子ビットを第3のビーム分割デバイスに、
送信する
ように構成され、
前記第2および第3の分割デバイスは、
量子ビットをビットとして測定し、
測定されたビットのリストにビットを記録し、
符号化ビットのリスト内のビットを符号化し、
符号化ビットのリストを前記第1のビーム分割デバイスに送信する
ように構成され、
前記第1のビーム分割デバイスは、符号化ビットのリストを受信し、エンタングルメント不等式を使用して前記符号化ビットのリスト間の相関を計算するように動作する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
これは、本発明について出願された最初の出願である。
【0002】
本発明は、一般に、量子暗号の分野に関し、詳細には、2つの絡み合った量子ビットを使用する、3者間の量子鍵配送のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、量子物体を利用して、従来の非量子方法よりもはるかに改善された通信セキュリティを提供することができると考えられている。BB84プロトコル(Bennet,Brassard,Quantum Cryptography:Public key distribution and coin tossing,Proceedings of IEEE International Conference on Computers,Systems and Signal Processing,volume 175,page 8,New York,1984)は、1つの送信側から1つの受信側への鍵配送を可能にすることができる実証可能な認証プロトコルであるが、2者認証に限定され、複数の当事者への鍵配送にはあまり適していない。通信機器の複数のユーザ間で量子ベースのセキュリティを可能にするための従来技術の方法は、一般性を失うことなく、2つの面に特に焦点を当てている。
【0004】
第1の観点では、従来技術は、複数のユーザのために、複数の絡み合った粒子を生成するためにフォトニックデバイスを利用するいくつかの方法を検討している。Kumavorら(Comparison of Four Multi-User Quantum Key Distribution Schemes Over Passive Optical Networks,Journal of Lightwave Technology,Vol.23,No.1,January 2005)において、著者らは、最近の量子鍵配送(QKD)プロトコル開発に関するいくつかの調査情報、ならびに性能比較を提供している。この論文で考慮されている方式は、2者、すなわち従来「アリス」と呼ばれていた送信側、および「ボブ」と呼ばれていた受信側のためのエンタングルメントシナリオを考慮する。
【0005】
第2の観点では、従来技術は、BB84プロトコルを一般化する方法に対処している。これらの方法は、複数のユーザのためのQKDをサポートすることを目的とする。この点に関する最近の従来技術は、Xueら(Efficient multiuser quantum cryptography network based on entanglement,Nature,Sci Rep 7,45928,2017)による論文で表されことができる。この論文は、物理的に実装することが困難な3つ以上の絡み合ったビットに基づく、複数のユーザのためのQKD方式を考慮する。
【0006】
第1の観点では、2者のみが考慮されるが、第2の観点では、システムは一般に、3つの絡み合った量子ビットを有するシステムに依存しており、実際に実装することは困難である。
【0007】
どちらの観点においても、従来技術は、1対の量子ビットを使用して、3者間の安全な量子エンタングルメントベースの通信リンクを実装するための実用的な手法を欠いている。したがって、方法およびシステムは、3者間の量子エンタングルメントベースの通信リンクを容易にし、3者間の通信セキュリティを大幅に改善することによって、従来技術の1つまたは複数の制限を回避または緩和する必要がある。
【0008】
この背景情報は、本発明に関連する可能性があると出願人によって信じられている情報を明らかにするために提供される。上記の情報のいずれかが本発明に対する先行技術を構成することを認めることは必ずしも意図されておらず、解釈されるべきでもない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Bennet,Brassard,Quantum Cryptography:Public key distribution and coin tossing,Proceedings of IEEE International Conference on Computers,Systems and Signal Processing,volume 175,page 8,New York,1984
【非特許文献2】Kumavorら(Comparison of Four Multi-User Quantum Key Distribution Schemes Over Passive Optical Networks,Journal of Lightwave Technology,Vol.23,No.1,January 2005
【非特許文献3】Efficient multiuser quantum cryptography network based on entanglement,Nature,Sci Rep 7,45928,2017
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、3者間の量子鍵配送を可能にするために量子エンタングルメントが使用される。実施形態は、マルチユーザ(N≧2)ベースの量子鍵配送システムを含み、基礎となるセキュリティ方式は、量子エンタングルメントおよびベル不等式違反に基づいており、これらは、求められる非展性と盗聴防止のセキュリティ特性を提供することが証明されている。
【0011】
本開示の態様は、オペレータOがマルチユーザ共有鍵を生成し、複数のデバイス、例えば受信機Aおよび受信機Bに配送するための方法を提供する。鍵は、オペレータOと受信機Aと受信機Bとの間で共有される。そのような方法は、絡み合った量子ビットの対を順に準備するステップを含み、絡み合った量子ビットの各対は、2量子ビットエンタングルメントの状態にある。そのような方法は、絡み合った量子ビットの各対から、一方の絡み合った量子ビットを受信機Aに送信し、他方の絡み合った量子ビットを受信機Bに送信するステップをさらに含む。そのような方法は、受信機Aおよび受信機Bの各々から応答を受信するステップと、受信機Aおよび受信機Bの各々に鍵を送信するステップとをさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、受信機Aおよび受信機Bの各々からの応答は、受信機Aから符号化ビットのリストを受信するステップと、受信機Bから符号化ビットのリストを受信するステップとを含む。受信機Aからの符号化ビットのリストについて、各ビットは、オペレータOによって送信された量子ビットから測定され、記録ビットのリストに記録され、受信機Aからの符号化ビットのリストに符号化されている。受信機Bからの符号化ビットのリストについて、各ビットは、オペレータOによって送信された量子ビットから測定され、ビットのリストに記録され、受信機Bからの符号化ビットのリストに符号化されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、受信機Aおよび受信機Bの各々に鍵を送信するステップは、受信機Aからの符号化ビットのリストと受信機Bからの符号化ビットのリストとの間の相関を検証するステップを含む。そのような方法では、相関を検証するステップは、量子エンタングルメント不等式を使用して実行される。いくつかの実施形態では、量子エンタングルメント不等式は、Clauser、Horne、Shimony、Holt(CHSH)不等式である。
【0014】
いくつかの実施形態では、受信機Aおよび受信機Bの各々に鍵を送信するステップは、
受信機Aの測定されたビットのリスト、および
受信機Aの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、受信機Bからの符号化ビットのリストを受信機Aに送信するステップを含む。
そのような実施形態は、
受信機Bの測定されたビットのリスト、および
受信機Bの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、受信機Aから符号化ビットのリストを受信機Bに送信するステップをさらに含む。
【0015】
そのような方法は、それぞれの認証された古典チャネルを介して、受信機Aの導出鍵および受信機Bの導出鍵を受信するステップをさらに含む。
そのような方法は、エンタングルメント不等式を使用して、受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵との間の量子相関を実行するステップをさらに含む。そのような実施形態では、鍵を導出するステップは、エンタングルメント不等式に従って絡み合っていなかったビットの対を拒否するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵と間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに十分である場合、導出鍵を照合された鍵として使用するステップをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵との間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに不十分である場合、導出鍵を破棄し、通信を中断するステップをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本方法は、レイヤ2反復をさらに含み、請求項1のオペレータOは請求項1の受信機Aに置き換えられ、請求項1の受信機Aはユーザ-1に置き換えられ、請求項1の受信機Bはユーザ-2に置き換えられる。いくつかの実施形態では、本方法は、レイヤ2反復をさらに含み、請求項1のオペレータOは請求項1の受信機Bに置き換えられ、請求項1の受信機Aはユーザ-3に置き換えられ、請求項1の受信機Bはユーザ-4に置き換えられる。
【0019】
本開示のさらなる態様は、上述の方法を実施するための、プロセッサと、プロセッサによって実行される非一時的機械可読メモリとを含むデバイスに関する。このようなデバイスは、オペレータOによって操作されてもよい。
【0020】
本開示のさらなる態様は、上述の方法を実施するための、プロセッサと、プロセッサによって実行される非一時的機械可読メモリとを含む受信機Aデバイスに関する。同様に、本開示のさらなる態様は、上述の方法を実施するための、プロセッサと、プロセッサによって実行される非一時的機械可読メモリとを含む受信機Bデバイスに関する。
【0021】
本開示のさらなる態様は、上述の方法を実施するための、オペレータOデバイスと、受信機Aおよび受信機Bとを含むシステムに関し、各デバイスは、プロセッサと、プロセッサによって実行される非一時的機械可読メモリとを含む。
【0022】
本開示のさらなる態様は、鍵を配送するためのシステムを提供する。そのようなシステムは、一連の光子を送信するように動作する光子源と、第1のビーム分割デバイスとを含む。第1のビーム分割デバイスは、光子のシーケンスから、絡み合った量子ビットの対を順に準備するように構成され、絡み合った量子ビットの各対は2量子ビットエンタングルメントの状態にある。第1のビーム分割デバイスは、絡み合った量子ビットの各対から、一方の絡み合った量子ビットを第2のビーム分割デバイスに送信し、他方の絡み合った量子ビットを第3のビーム分割デバイスに送信するようにさらに構成される。そのようなシステムでは、第2および第3の分割デバイスは、ビットとして量子ビットを測定し、測定されたビットのリストにビットを記録し、符号化ビットのリストにビットを符号化し、符号化ビットのリストを第1のビーム分割デバイスに送信するように構成される。そのようなシステムでは、第1のビーム分割デバイスは、符号化ビットのリストを受信し、エンタングルメント不等式を使用して符号化ビットのリスト間の相関を計算するように動作する。
【0023】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明を添付の図面と組み合わせて参照することによって、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態による2つの計算ベースを示す図である。
図2】一実施形態による、量子鍵を配送するための例示的な実施態様を示す図であり、量子ビットは光子として実装され、量子鍵はそのような光子のシーケンスであり、量子鍵配送(QKD)は光子のシーケンスを偏光ビームスプリッタに送信することによって実行される。
図3】実施形態による、量子鍵配送の方法を示す図である。
図4】一実施形態による、オペレータOによって使用されるベル状態の準備を表す量子計算回路である。
図5】実施形態による、z軸(すなわち、
【数1】
)に沿った量子ビットqr_0の状態を測定するための、受信機A(アリス)によって準備され得る量子計算回路を示す図である。
図6】実施形態による、x軸(すなわち、
【数2】
)に沿った量子ビットqr_0の状態を測定するための、受信機A(アリス)によって準備され得る量子計算回路を示す図である。
図7】実施形態による、vw基底のw軸(すなわち、
【数3】
)に沿って量子ビットqr_1の状態を測定するために受信機B(ボブ)によって使用され得る量子計算回路を示す図である。
図8】実施形態による、vw基底のv軸(すなわち、
【数4】
)に沿って量子ビットqr_1の状態を測定するために受信機B(ボブ)によって使用され得る量子計算回路を示す図である。
図9】一実施形態による、アリスおよびボブによって受信され、アリスおよびボブによってそれぞれ記録されたビットの2つのリストを示す図である。
図10】実施形態による、アリスおよびボブによって受信および記録されたビットのストリングを示す図であり、そのうちのいくつかは、エンタングルメントの欠如のために拒否される。
図11】実施形態による、本開示の代表的な実施形態によるデバイスおよび方法を実装するために使用され得るコンピューティングおよび通信環境950内の電子デバイス952のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
0および1としてラベル付けされた2つの状態のいずれかにあってもよく、オフまたはオンのいずれかであるトランジスタとして実装され得る情報のビットとは対照的に、典型的には「量子ビット(qubit)」に短縮された量子ビット(quantum bit)は、0および1としてラベル付けされた2つの状態のいずれかにあってもよく、従来から
【数5】
(ケット0)および
【数6】
(ケット1)とラベル付けされているか、または状態
【数7】
および
【数8】
の重畳であってもよく、以下のように表されることができる:
【数9】
ここで、
【数10】
は関心の状態を表し、
【数11】
は計算基底状態として識別され、
【数12】
は別の計算基底状態として識別され、
αは複素数であり、
βは別の複素数である。
【0026】
量子ビットは従来のトランジスタでは実装されることができないが、量子ビットを実現するために他の多くの物理システムが設計されることができる。量子ビットの1つの実施態様は単一光子であり、これは、完全にオフにすることなくそれ以上減光することができないような低強度の光である。原子、イオン、核、特別に設計された電子回路などを含む他の物理系が使用されることができる。
【0027】
一実施形態は、いかなる特定の実施態様にも限定されないが、いずれにせよ、量子ビットの状態は、2つの計算基底状態、すなわち、計算基底状態
【数13】
および計算基底状態
【数14】
で構成することができる計算基底を参照することによって表されることができる。一実施形態では、各々が2つの計算基底状態を有する2つの計算ベースが存在し得る。第1の計算基底は、計算基底状態として
【数15】
および
【数16】
を有することができ、第2の計算基底は、計算基底状態として
【数17】
(ケットスラッシュ)および
【数18】
(ケットバックスラッシュ)を有することができる。グラフィカル表現では、計算基底状態
【数19】
および
【数20】
は、第1の計算基底の計算基底状態
【数21】
および
【数22】
から45°傾斜させることができる。状態
【数23】
および
【数24】
を有する計算基底は、xz基底と呼ぶことができ、その状態
【数25】
および
【数26】
は、それぞれx軸およびz軸に沿っていると言うことができる。状態
【数27】
および
【数28】
を有する計算基底に関しては、vw基底と呼ぶことができ、その状態
【数29】
および
【数30】
は、それぞれv軸およびw軸に沿っていると言うことができる。
【0028】
図1は、実施形態による2つの計算ベースを示している。第1の計算基底は、x軸110に沿った計算基底状態
【数31】
と、z軸120に沿った第2の計算基底状態
【数32】
とを有する。第2の計算基底は、第3の状態
【数33】
130および第4の状態
【数34】
140を有する。各量子ビットが直線偏光を有する光子として実装される実施形態では、第1の計算基底は、90°(垂直)または0°(水平)で偏光された光子を有するという2つの選択肢を表すことができ、第2の計算基底は、水平状態から45°または-45°のいずれかで偏光された光子を有するという2つの選択肢を表すことができる。状態
【数35】

【数36】

【数37】
および
【数38】
は、図1のx軸、z軸、v軸およびw軸にそれぞれ対応することができる。一実施形態では、そのようなシステムは、モバイルデバイス(例えば、ユーザ機器UE)255のネットワーク上に実装されることができる。
【0029】
単一の量子ビットの任意の状態を表すために、2つの状態(例えば、
【数39】
および
【数40】
)が選択されて計算基底を形成することができ、任意の他の状態は2つの計算基底状態の重畳として表されることができる。例えば、計算基底状態は、以下とすることができる。
【数41】
あるいは、各計算基底状態はベクトルとして表されることができる。
【数42】
一般状態
【数43】
は、重畳であり、以下のいずれかで表されることができる。
【数44】
式中、αおよびβの各々は複素数であり得る。2つの量子ビットのシステムの場合、システムの状態に関して4つの可能性があり、これらは以下のように表されることができる。
【数45】

【数46】

【数47】
、および
【数48】
量子ビットは、その状態がxz基底などの計算基底の軸に射影され、
【数49】
または
【数50】
のいずれかの出力を生成するときに「測定された」と言われる。あるいは、量子ビットの状態は、状態
【数51】
および
【数52】
によって決定される別の計算基底に沿って(投影されて)測定されることができる。光子の場合、計算基底状態
【数53】
および
【数54】
はそれぞれ垂直および水平直線偏波を表すことができ、計算基底状態
【数55】
および
【数56】
は+45°および-45°直線偏波(典型的には水平直線偏波に対する)を表すことができる。一実施形態では、量子ビットの受信機は、計算基底状態
【数57】
および
【数58】
、または計算基底状態
【数59】
および
【数60】
のいずれかで測定を行うことを選択することができる。
【0030】
量子鍵配送プロトコルの一実施形態では、最初のステップは、量子鍵配送オペレータ(O)が(n,2)量子ビットシステムを作成することであり得、nは鍵の長さであり、2は量子ビットの数である。2量子ビットのこのシステムは、ベル状態として知られる2量子ビット状態で準備することができ、以下のように表される。
【数61】
これは、1つの量子ビット、すなわちqr_0の測定時に、状態
【数62】
にある確率が50%であり、状態
【数63】
にある確率が50%であり、いずれの場合も、第2の量子ビットは同じ状態
【数64】
または
【数65】
にあることを示す。言い換えれば、2量子ビットシステムの状態測定は、等しい確率で状態
【数66】
または状態
【数67】
のいずれかをもたらすことができる。
【0031】
量子エンタングルメントは、それぞれが粒子であり得る量子ビットのペアまたはグループが、各量子ビットの量子状態を独立して記述することができないように生成されるときに生じる物理現象である。代わりに、システム全体について量子状態が記述されなければならない。一例としてベル状態を使用すると、2つの量子ビットqr_0およびqr_1が絡み合っていない場合、それらの状態を測定すると、それらの集合的な状態について4つの可能性
【数68】
が得られ、上記のように、各々が1/4の等しい測定確率を有する。しかしながら、それらが絡み合っている場合、可能性は
【数69】
に限定され、各々が1/2の等しい測定確率を有し、これはベル状態の場合である。量子状態が絡み合っているかどうかを判定するために、CHSH不等式(Clauser、Horne、Shimony、Holt)が使用され得る。
【0032】
図2は、一実施形態による、量子鍵配送方式の実施態様を示している。量子ビットの供給源205は、光子の供給源であってもよく、ネットワークベースであってもよい。量子ビットの初期シーケンスは、量子鍵207を形成する量子ビットのシーケンスを含むことができる。量子ビットが光子として実装される場合、量子ビットは、オペレータ(O)として機能するビームスプリッタ210に送信され得る。各光子から、ビームスプリッタO210は、2量子ビットの1つの絡み合った状態215を生成し、一方の量子ビットqr_0を受信機A(アリス)220に送信し、他方の量子ビットqr_1を受信機B(ボブ)225に送信することができる。受信機アリスおよびボブもビームスプリッタ自体である場合、受信機アリスおよびボブは、さらに絡み合った状態を生成し、それらを別のユーザ、例えば、ユーザ-1 235、ユーザ-2 104、ユーザ-3 145、ユーザ-4 150に配送するプロセスを繰り返すことができる。オペレータOからアリスおよびボブへの配送はレイヤ1配送255と呼ぶことができ、アリスおよびボブからユーザ-1 235、ユーザ-2 204、ユーザ-3 245、およびユーザ-4 250への配送はレイヤ2配送と呼ぶことができる。ビームスプリッタを使用して例を説明しているが、代替として、偏光ビームスプリッタを使用して、偏光モード間のそのようなエンタングルメントを空間モード間のエンタングルメントに変換することができることを理解されたい。ビームスプリッタは、ビームスプリッタと、プロセッサと、メモリとを備えるビーム分割デバイスであってもよい。
【0033】
図2において、各ビームスプリッタは、量子計算ゲート、または入射光子に対する一連のゲートを実装するように構成されることができる。しかし、量子ビットが光子以外で実装される実施形態では、ゲートはビームスプリッタ以外の要素であってもよい。
【0034】
実施形態は、量子通信チャネルの複数のユーザに量子鍵を配送するために、量子ビットおよびゲートが物理的にどのように実装されるかに関係なく、量子ビットにゲートを実装するための方法を含む。
【0035】
図3は、実施形態による、量子鍵配送の方法を示している。オペレータOは、1対の絡み合った量子ビットqr_0およびqr_1を準備することができ、その状態(すなわち、固有状態)は、2つの可能性
【数70】
および
【数71】
の間でランダムに選択される。選択肢は、0または1のいずれかの古典ビット(すなわち、{0,1})として記憶されることができ、シーケンスo()を有するように複数の絡み合った量子ビットを準備することができる(305)。オペレータOは、qr_0をアリスに送信し(307)、qr_1をボブに送信する(309)ことができる。一実施形態では、受信機A(アリス)は、各量子ビットqr_0を
【数72】
または
【数73】
のいずれか(それぞれ図1のx軸およびz軸)に沿って測定するために、2つの測定回路のうちの一方を一様にランダムに選択することができる(310)。アリスが量子ビットのストリングを受信した場合。量子ビットのストリングを受信する場合、アリスは、選択された測定回路をストリングa()として表すことができる。同様に、受信機B(ボブ)は、測定回路をランダムに選択して、各量子ビットqr_1を
【数74】
または
【数75】
のいずれか(それぞれ図1のv軸およびw軸)に沿って測定し(315)、選択された測定回路をストリングb()として表すことができる(315)。
【0036】
受信機A(アリス)は、古典ビットのリストA[]内の各測定された量子ビットqr_0を符号化することができ(320)、ボブは、リストB[]内の各測定された量子ビットqr_1を同様に符号化することができる(325)。次いで、アリスは測定選択肢のリストa()および符号化された測定値のリストA[]をオペレータOに送信することができ(330)、ボブも同様にオペレータOに送信することができる(335)。
【0037】
オペレータOは、アリスの測定選択肢のリストa()およびボブの測定選択肢のリストb()を使用して、CHSH不等式を検証することによって、アリスの符号化された測定値A[]がボブの符号化された測定値のリストB[]に絡み合っているかどうかを検証することができる(340)。CHSH不等式によって十分なエンタングルメントが確認された場合、オペレータOは、鍵照合を実行し、鍵K(O,AB)およびK(O,BA)を導出することができる(345)。その後、オペレータOは、アリスに、照合された鍵K(O-A-B)で署名されたボブが使用する測定軸のストリングを送信し、ボブに、照合された鍵K(O-A-B)で署名されたアリスが使用する測定軸のストリングを送信することができる(350)。次いで、アリスおよびボブは、それぞれK(O,AB))およびK(O,BA)を導出することによって、照合された鍵K(O-A-B)をそれぞれ確認することができる(355)。
【0038】
一実施形態では、量子鍵配送システムは、2つのチャネル、すなわち、図2に表されているような量子チャネルと、光ファイバネットワークなどの従来の通信システムであり得る古典チャネルとを有することができる。量子チャネルを介して、Oは、量子ビットqr_0を受信機A(アリス)に送信することができ、量子ビットqr_0に絡み合っている量子ビットqr_1を受信機B(ボブ)に送信することができる。量子ビットqr_0と量子ビットqr_1の両方を、初期状態
【数76】
になるように準備することができ、両方は、行列として表すことができる単一のパウリXゲートXによって動作することができる。
【数77】
【0039】
表記では、量子ビットqr_0は初期状態
【数78】
にあってもよく、パウリXゲートHの適用によるその準備は以下によって表されることができる。
【数79】
【0040】
同様に、量子ビットqr_1はまた、初期状態
【数80】
にあってもよく、パウリXゲートを適用することによって準備されてもよく、同様の状態をもたらす。
【数81】
【0041】
このように準備されると、量子ビットqr_0は、以下によって表されるアダマールゲートHで処理されることができる。
【数82】
【0042】
図4は、実施形態による、ベル状態215の準備を表す量子計算回路である。各水平単一ライン405は、時間における量子ビットの発展を表し、各二重ライン410のラインは、同様に古典ビットの発展を表す。第1の量子ビットはqr_0 415であり、第1の単一ラインを占有する。第2の量子ビットはqr_1 420であり、第2の単一ラインを占有する。二重ラインは、古典ビットcr_0、cr_1、cr_2、cr_3によって占有される。各ラインには、ビットの識別425、およびビットの初期状態の識別430が先行する。パウリXゲート435が量子ビットqr_0およびqr_1の各々に適用され、次いでアダマールゲートH440が量子ビットqr_0に適用される。この時点で、量子ビットqr_1を同じアダマールゲートへの入力とすることができる。
【0043】
一実施形態では、ベル状態が準備されると、オペレータOは、量子チャネルを介して受信機A(アリス)207に第1の量子ビットqr_0を送信することができる。アリスの受信は、アリスの測定準備(Measurement Preparation)210と呼ぶことができる。
【0044】
量子ビットqr_0の状態測定を行うために、受信機A(アリス)は、代替として、各々が異なる計算基底、すなわち
【数83】
または
【数84】
のいずれかに沿って測定するための2つの測定回路のいずれか1つを準備することができる(310)。図1を参照すると、1つの測定回路は、x軸(すなわち、
【数85】
)に沿って量子ビットqr_0を測定することができ、別の測定回路は、z軸(すなわち、
【数86】
)に沿って量子ビットqr_0を測定することができる。z軸上へのマッピングを得るために、図5の量子計算回路が使用され得る。
【0045】
図5は、z軸(すなわち、
【数87】
)に沿って量子ビットqr_0の状態を測定するために、受信機A(アリス)によって使用され得る量子計算回路を示している。まず、アダマールゲート510が、量子ビットqr_0 415に適用されることができる。次に、量子ビットqr_0 415の状態測定520が古典ビットcr_0 530に対して行われることができる。
【0046】
あるいは、受信機A(アリス)のサイトで、アリスは、x軸(すなわち、
【数88】
)に沿って量子ビットqr_0を測定するための測定回路を使用することができる。そうするために、単一の量子ビットqr_0は、パウリSゲート(すなわち、いくつかのプログラミングコードにおける
【数89】
または「Z**0.5」)、次いでアダマールゲート、次いでTゲート(すなわち、いくつかのコードにおける
【数90】
または「Z**0.25」)、次いで別のアダマールゲートによって処理されることができる。このシーケンスの後に、量子ビットqr_0から古典ビットcr_0 530の測定625を行うことができる。以下は、SゲートおよびTゲートに対応する行列である。
【数91】
【0047】
図6は、x軸に沿って量子ビットqr_0の状態を測定するために、受信機A(アリス)によって使用され得る量子計算回路を示している。そうするために、単一の量子ビットqr_0は、パウリSゲート605(すなわち、いくつかのコードにおける
【数92】
または「Z**0.5」)、次いでアダマールゲート610、次いでTゲート(すなわち、いくつかのプログラミングコードにおける
【数93】
または「Z**0.25」)615、次いで別のアダマールゲート620によって動作することができる。このシーケンスの後に、量子ビットqr_0 415から古典ビットcr_0 530の測定625を行うことができる。
【0048】
一実施形態では、オペレータOによってベル状態が準備されると、オペレータOは、量子ビットqr_0および量子ビットqr_1が2量子ビットエンタングルメントの状態にあるように、各々が量子ビットqr_1に絡み合った量子ビットqr_0のシーケンスを受信機A(アリス)に送信する(307)だけでなく、各々が量子ビットqr_0に絡み合った量子ビットqr_1のシーケンスも受信機B(ボブ)に送信する(309)ことができる。ボブの受信は、ボブの測定準備315と呼ぶことができる。アリスと同様に、ボブは、2つの計算ベースのそれぞれに沿って量子ビットを測定するために、2つの測定回路のいずれか1つを代替的かつランダムに準備することができる。図1を参照すると、一方の測定回路は、v軸(すなわち、
【数94】
)に沿って測定するためのものであり、他方の測定回路は、直交するw軸(すなわち、
【数95】
)に沿って測定するためのものである。vw基底は、xz基底から45°傾斜している。
【0049】
状態射影をvw基底のw軸(すなわち、
【数96】
)にマッピングするには、図7の量子計算回路が使用され得る。
【0050】
図7は、vw基底のw軸(すなわち、
【数97】
)に沿って量子ビットqr_1の状態を測定するために受信機B(ボブ)によって使用され得る量子計算回路を示している。この回路では、一連のゲートが量子ビットqr_1に連続して適用される。まず、パウリSゲート805が適用され、次にアダマールゲート810が適用される。これに続いて、Tゲート815および別のアダマールゲート820が適用される。このシーケンスの後に、量子ビットqr_1 420から古典ビットcr_1 830の測定825が続く。
【0051】
あるいは、ボブは、vw基底のv軸(すなわち、
【数98】
)に沿って測定を行うこともできる。この目的のために、図8の量子計算回路が使用され得る。
【0052】
図8は、vw基底のv軸に沿って量子ビットqr_1の状態を測定するために受信機B(ボブ)によって使用され得る量子計算回路を示している。量子ビットqr_1 420の測定910は、古典ビットcr_1 920に対して行われることができる。
【0053】
一実施形態では、アリスが測定準備を行う(310)と、アリスは、受信した量子ビットを測定し、各量子ビット測定に応答して古典ビットにおける鍵として-1または1のいずれか、すなわち{-1,1}として符号化することができる(320)。アリスは、測定された量子ビットをリストA[]として生成し、オペレータOに送信することができる(330)。
【0054】
同様に、ボブが測定準備を行う(315)と、ボブは、受信した量子ビットを測定し、各量子ビット測定に応答して古典ビットにおける鍵として-1または1のいずれか、すなわち{-1,1}として符号化することができる(325)。ボブは、測定された量子ビットをリストB[]として生成し、オペレータOに送信することができる(335)。
【0055】
一実施形態では、オペレータOは、準備し(305)、2つの絡み合った量子ビットをそれぞれアリスおよびボブに送信する(307および309)プロセスを繰り返すことができる。そして、アリスおよびボブは、量子ビットを受信し続け、測定準備を行い(310,315)、量子ビットを古典ビットで符号化することができる(220,225)。繰り返しにより、2つの量子ビットのストリングがアリスとボブによってそれぞれ受信され、各ストリングは鍵を表し、一方のストリームの各量子ビットは他方のストリームの量子ビットに絡み合っているため、アリスとボブは完全にノイズのない量子チャネル伝送において同じ鍵を有すると言える。
【0056】
一実施形態では、アリスおよびボブは、鍵を表すnビットのそれらのそれぞれのストリームの受信および符号化を完了すると、認証された古典チャネルを介して、それらが生成した古典ビットの対応するストリームをオペレータOに送信することができる(320,325)。したがって、アリスはa()およびA[]をOに送信することができ(330)、ボブはb()およびB[]をOに送信することができる(335)。
【0057】
一実施形態では、オペレータOが古典チャネルを介して符号化された鍵A[]およびB[]を受信すると、オペレータOは、オペレータOが最初に送信した(305,307)量子ビットおよびアリスおよびボブによって受信された(310および315)量子ビットが絡み合っているかどうかを検証する(340)ために、A[]およびB[]からのビットの各対の共同測定を行うことができる。2つのビットの同時測定がCHSH不等式に違反するようなものである場合、それらの2つのビット間のエンタングルメントが確認される。CHSH不等式は、以下のように表されることができる。
C=||CHSH(A[],B[])||<2
【0058】
一実施形態では、ビットの各対間の量子エンタングルメントがCHSH不等式によって検証されると、ビットのストリームは、絡み合ったビットのみを含むようにすることができる。これにより、アリスおよびボブからのビットストリームが同じであり、絡み合ったビットのみを含むことを保証することができる。そのような技法は、アリスの鍵要素とボブの鍵要素が等しいことを保証するために必要な技法として定義することができる照合345と呼ぶことができる。
【0059】
照合を実行するために、オペレータOは、K-O-Aで署名されたb()をアリスに送信することができ(350)、K(O-A-B)で署名されたa()をボブに送信することができる(350)。a()およびA[]を既に有しているアリスは、b()を使用して鍵K(O,AB)を計算することができ、b()およびB[]を既に有しているボブは、a()を使用して鍵K(O,BA)を計算することができる。b()とa()を使用してK(O,AB)とK(O,BA)をそれぞれ導出することで、アリスとボブへの鍵配送が完了する。この最後の交換は、古典チャネルにおける盗聴者からの追加の保護を提供することができるが、別の実施形態では、オペレータOは、アリスおよびボブに共通鍵を直接送信することができる。
【0060】
一実施形態では、アリスの測定はxz基底に沿って行うことができ、ボブの測定はvw基底に沿って行うことができ、その軸はxz基底の軸から45°のところにある。絡み合った量子ビットのストリームには、望ましくないノイズが存在する可能性がある。ノイズの可能性を低減するために、以下の方法を実行して均一に分布した測定値を生成することができる。
【0061】
一実施形態では、均一に分布した測定値を生成し、送信ノイズを最小化するための方法は、アリスがビットのストリングをランダムに選択し、各要素aiがビット0またはビット1のいずれかであるリストa()を準備することから始めることができる。これは、以下のように示されることができる。
a(),ai={0,1}
【0062】
次に、アリスは、各固有状態σiがxz基底
【数99】
図1に示す)またはvw基底
【数100】
図1に示す)のいずれかであるリストσ()をランダムに準備することができる。これは、以下のように表されることができる。
【数101】
式中、
αは、図1のxz基底(すなわち、
【数102】
)、またはxz平面に対応する複素数であり、
βは、図1のvw基底(すなわち、
【数103】
)、またはxz平面に対応する複素数である。
【0063】
ai=0の場合、α平面に沿って測定が実行されることができ、ai=1の場合、β平面に沿って測定が実行されることができる。
【0064】
各測定結果は、各要素Aiが-1または1のいずれかであるリストA()に記録されることができる。
A(),Ai={-1,1}
【0065】
それぞれリストa()およびリストσ()からの要素aiおよび要素σiは、対応するベクトルaおよびベクトルσの成分として見ることができる。このように、リストA()への測定結果の記録は、ベクトルaとベクトルσとの間のテンソル演算として見ることができる。
【数104】
【0066】
ボブでは、アリスと同様の測定が行われることができる。ボブは、各要素Biが-1または1のいずれかである対応するリストB()に測定値を記録することができる。
B(),Bi={-1,1}
【0067】
アリスと同様に、ボブの記録はテンソル演算で表されることができる。
【数105】
【0068】
図9は、一実施形態による、アリスおよびボブによって受信され、アリスおよびボブによってそれぞれ記録されたビットの2つのリストを示している。アリスは、各々が0または1であり得るビットのストリングa()1100を受信する。アリスは、テンソル演算
【数106】
1110に従って、各ビットをリストA[]1105に記録することができる。同様に、ボブは、各々が0または1であり得るビットのストリングb()1115を受信し、テンソル演算
【数107】
1125に従って、それらをリストB[]1120に記録することができる。
【0069】
アリスおよびボブによって受信される各ビットは0または1のいずれかであり得、これは4つの異なる可能性、すなわち00、01、10および11をもたらす。これらの各可能性に対して、テンソル演算が定義されることができ、Eは、α平面にAiが記録され、α平面にBiが記録されたときにE(0,0)が計算され、β平面にAiが記録され、α平面にBiが記録されたときにE(1,0)が計算され、α平面にAiが記録され、β平面にBiが記録されたときにE(0,1)が計算され、β平面にAiが記録され、β平面にBiが記録されたときにE(1、1)が計算されるという、記録表記である。
【数108】
【0070】
アリスおよびボブがそれらの測定値をリストA[]1105およびB[]1120に記録すると、オペレータOは、A[]およびB[]、ならびにa()およびb()を使用して、同時に受信された任意の2つのビット間のCHSH相関Cを計算することができる。2つのビットのストリング(すなわち、リスト)に対するCの値は、以下を用いて計算されることができる。
C=|E(0,0)+E(0,1)|+|E(1,0)-E(1,1)|
【0071】
局所性および現実性理論の下では、CHSH相関はC≦2であるが、量子エンタングルメントが定義される非局所性理論の下では、
【数109】
である。したがって、CHSH相関が2と
【数110】
との間である場合、ビットのストリングが絡み合っていること、すなわち、2つのストリングが十分に絡み合うためには、Cが範囲
【数111】
になければならないことを示す。
言い換えれば、このようなCの値は、ベル不等式に違反し、量子エンタングルメントの発生を確認する。
【0072】
一実施形態では、CHSH不等式を使用してエンタングルメントが確認されない場合、それは過剰なノイズまたは傍受を示すことができ、通信が中断されることができる。
【0073】
一実施形態では、アリスに送信されたビットストリングとボブに送信されたビットストリングとの間のエンタングルメントが確認された場合(340)、オペレータOは鍵照合345を行うことができる。CHSH不等式により、鍵照合は、送信中に盗聴者傍受がないことを示すことができる。そうでない場合、Oは、マルチユーザ鍵配送を中断すべきである。
【0074】
図10は、実施形態による、アリスおよびボブによって受信および記録されたビットのストリングを示しており、そのうちのいくつかは、エンタングルメントの欠如のために拒否される。オペレータOから、アリスAは、古典ビットのストリングa()1205を生成するなどのために、各々が測定され得る量子ビットのストリングを受信することができる。ストリングの各ビットは、ストリングA[]1210を生成するように符号化されることができる。ボブにも同じことが起こり、受信された量子ビットのリストを用いて、アリスによって受信されかつ古典ビットのリストb()1215において測定された量子ビットに絡み合い、次いでこれらはリストB[]1220において符号化される。
【0075】
図10では、A[]の第2のビット1212は、B[]の第2のビット1222と異なっている。これは、a()の第2のビット1207およびb()の第2のビット1217として測定された、それらが測定された量子ビットの最初の対が絡み合っておらず、したがってそれらが拒否され得る(1225)ことを示す。アリスのストリングとボブのストリングとの間のCHSH相関のレベルに応じて、特定の数のビットが拒否され得る。CHSH相関が小さいほど、拒否の数が多くなり、これは傍受の可能性が高いか、またはノイズが多すぎることを示す。リストA[]からの拒否されていないビットはアリスの鍵K(O,AB)1225を形成し、リストB[]からの拒否されていないビットはボブの鍵K(O,AB)1230を形成する。それらが同じである場合、それらは所望の量子鍵K(O-A-B)を形成する。
【0076】
図11は、本明細書に開示するデバイスおよび方法を実施するために使用され得る、コンピューティングおよび通信環境950内に示す電子デバイス(ED)952のブロック図である。電子デバイス952は、通常、中央処理装置(CPU)などのプロセッサ954を含み、グラフィック処理装置(GPU)もしくは他のそのようなプロセッサなどの専用プロセッサ、メモリ956、ネットワークインターフェース958およびED952の構成要素を接続するためのバス960をさらに含んでもよい。ED952はまた、オプションとして、大容量記憶装置962、ビデオアダプタ964、およびI/Oインターフェース968(破線で示される)などの構成要素を含んでもよい。実施形態では、電子デバイスはオペレータOの一部であってもよく、電子デバイスは受信機A(アリス)の一部であってもよく、電子デバイスは受信機B(ボブ)の一部であってもよい。いくつかの実施形態では、受信機A(アリス)の電子デバイス部は、オペレータOの電子デバイス部に接続され、古典通信チャネルを含むことができる。いくつかの実施形態では、受信機B(ボブ)の電子デバイス部は、オペレータOの電子デバイス部に接続され、古典通信チャネルを含むことができる。
【0077】
実施形態は、これらが実施される本発明の態様と併せて上記で説明されてきた。当業者は、実施形態が、説明に用いられた態様と併せて実施されてもよいが、その態様の他の実施形態を用いて実施されてもよいことを理解されよう。実施形態が相互に排他的であるか、そうでなければ互いに両立しないとき、これは当業者にとって明らかとなる。いくつかの実施形態は、1つの態様に関連して説明され得るが、当業者にとって明らかとなるように、他の態様にも適用可能であり得る。
【0078】
本発明は、特定の特徴およびその実施形態を参照して説明されてきたが、本発明から逸脱することなく様々な修正および組み合わせがなされ得ることは明らかである。本明細書および図面は、したがって、添付の特許請求の範囲で定義されるように、単に本発明の例示と見なされるべきであり、本発明の範囲内に含まれるあらゆる修正、変更、組み合わせ、または均等物を包含するものと考えられる。
【符号の説明】
【0079】
110 x軸
120 z軸
130 v軸
140 w軸
205 量子ビットの供給源
207 量子鍵
210 ビームスプリッタ
215 ベル状態
220 受信機A(アリス)
225 受信機B(ボブ)
235 ユーザ-1
240 ユーザ-2
245 ユーザ-3
250 ユーザ-4
255 モバイルデバイス
405 水平単一ライン
410 二重ライン
415 量子ビットqr_0
420 量子ビットqr_1
435 パウリXゲート
440 アダマールゲートH
510 アダマールゲート
520 状態測定
530 古典ビットcr_0
605 パウリSゲート
610 アダマールゲート
615 Tゲート
620 アダマールゲート
625 測定
805 パウリSゲート
810 アダマールゲート
815 Tゲート
820 アダマールゲート
825 測定
830 古典ビットcr_1
910 測定
920 古典ビットcr_1
950 通信環境
952 電子デバイス
954 プロセッサ
956 メモリ
958 ネットワークインターフェース
960 バス
962 大容量記憶装置
968 I/Oインターフェース
1100 ストリングa()
1105 リストA[]
1110 テンソル演算
1115 ストリングb()
1120 リストB[]
1125 テンソル演算
1205 ストリングa()
1207 a()の第2のビット
1210 ストリングA[]
1212 A[]の第2のビット
1215 リストb()
1217 b()の第2のビット
1220 リストB[]
1222 B[]の第2のビット
1225 鍵K(O,AB)
1230 鍵K(O,AB)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータOがマルチユーザ共有鍵を生成して受信機Aおよび受信機Bに配送するための方法であって、
絡み合った量子ビットの対を順に準備するステップであって、
絡み合った量子ビットの各対は2量子ビットエンタングルメントの状態にある、
ステップと、
絡み合った量子ビットの各対から、
一方の絡み合った量子ビットを受信機Aに、かつ
他方の絡み合った量子ビットを受信機Bに、
送信するステップと、
受信機Aおよび受信機Bの各々から応答を受信するステップと、
受信機Aおよび受信機Bの各々に前記鍵を送信するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
受信機Aおよび受信機Bの各々から応答を受信するステップが、
受信機Aから符号化ビットのリストを受信するステップであって、各ビットは、
オペレータOによって送信された量子ビットから測定され、
記録ビットのリストに記録され、
受信機Aからの前記符号化ビットのリストに符号化されている、
ステップと、
受信機Bから符号化ビットのリストを受信するステップであって、各ビットは、
オペレータOによって送信された量子ビットから測定され、
ビットのリストに記録され、
受信機Bからの前記符号化ビットのリストに符号化されている、
ステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
受信機Aおよび受信機Bの各々に前記鍵を送信するステップが、
受信機Aからの前記符号化ビットのリストと、
受信機Bからの前記符号化ビットのリストと
の間の相関を検証するステップを含み、
相関を検証するステップは、量子エンタングルメント不等式を使用して実行される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記量子エンタングルメント不等式が、Clauser、Horne、Shimony、Holt(CHSH)不等式である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
受信機Aおよび受信機Bの各々に前記鍵を送信するステップが、
受信機Aの測定されたビットのリスト、および
受信機Aの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、
受信機Bからの前記符号化ビットのリストを受信機Aに送信するステップと、
受信機Bの測定されたビットのリスト、および
受信機Bの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、
受信機Aからの前記符号化ビットのリストを受信機Bに送信するステップと、
受信機Aの導出鍵、および
受信機Bの導出鍵
を、それぞれの認証された古典チャネルを介して受信するステップと、
量子エンタングルメント不等式を使用して、
受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵との間の
量子相関を実行するステップと
を含み、
鍵を導出するステップは、前記量子エンタングルメント不等式に従って絡み合っていなかったビットの対を拒否するステップを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵と間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに十分である場合、導出鍵を照合された鍵として使用するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵との間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに不十分である場合、導出鍵を破棄し、通信を中断するステップをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
レイヤ2反復をさらに含み、
請求項1のオペレータOは請求項1の受信機Aに置き換えられ、
請求項1の受信機Aはユーザ-1に置き換えられ、
請求項1の受信機Bはユーザ-2に置き換えられる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
レイヤ2反復をさらに含み、
請求項1のオペレータOは請求項1の受信機Bに置き換えられ、
請求項1の受信機Aはユーザ-3に置き換えられ、
請求項1の受信機Bはユーザ-4に置き換えられる、
請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
光子のシーケンスを送信するように動作する光子源と、
第1のビーム分割デバイスと
を備える、鍵を配送するためのシステムであって、
前記第1のビーム分割デバイスは、
前記光子のシーケンスから、
絡み合った量子ビットの対を順に準備し、
絡み合った量子ビットの各対は2量子ビットエンタングルメントの状態にあり、
各絡み合った量子ビットの対から、
一方の絡み合った量子ビットを第2のビーム分割デバイスに、かつ
他方の絡み合った量子ビットを第3のビーム分割デバイスに、
送信する
ように構成され、
前記第2および第3のビーム分割デバイスは、
量子ビットをビットとして測定し、
測定されたビットのリストにビットを記録し、
符号化ビットのリスト内のビットを符号化し、
符号化ビットのリストを前記第1のビーム分割デバイスに送信する
ように構成され、
前記第1のビーム分割デバイスは、符号化ビットのリストを受信し、量子エンタングルメント不等式を使用して前記符号化ビットのリスト間の相関を計算するように動作する、
システム。
【請求項11】
前記第1のビーム分割デバイスが、
前記第2のビーム分割デバイスからの前記符号化ビットのリストと、
前記第3のビーム分割デバイスからの前記符号化ビットのリストと
の間の相関を検証する
ように構成され、
相関を検証することは、前記量子エンタングルメント不等式を使用して実行される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のビーム分割デバイスが、
前記第2のビーム分割デバイスの測定されたビットのリスト、および
前記第2のビーム分割デバイスの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、
前記第3のビーム分割デバイスからの前記符号化ビットのリストを前記第2のビーム分割デバイスに送信し、
前記第3のビーム分割デバイスの測定されたビットのリスト、および
前記第3のビーム分割デバイスの符号化ビットのリスト
に従って鍵を導出するために、
前記第2のビーム分割デバイスからの前記符号化ビットのリストを前記第3のビーム分割デバイスに送信し、
前記第2のビーム分割デバイスの導出鍵、および
前記第3のビーム分割デバイスの導出鍵
を、それぞれの認証された古典チャネルを介して受信し、
量子エンタングルメント不等式を使用して、
前記第2のビーム分割デバイスの導出鍵と前記第3のビーム分割デバイスの導出鍵との間の
量子相関を実行するように構成され、
鍵を導出することは、前記量子エンタングルメント不等式に従って絡み合っていなかったビットの対を拒否することを含む、
請求項10または11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1のビーム分割デバイスが、受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵と間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに十分である場合、導出鍵を照合された鍵として使用するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1のビーム分割デバイスが、受信機Aの導出鍵と受信機Bの導出鍵と間のエンタングルメントがセキュリティを確保するのに不十分である場合、導出鍵を破棄し、通信を中断するように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
前記量子エンタングルメント不等式が、Clauser、Horne、Shimony、Holt(CHSH)不等式である、請求項10から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
オペレータOがマルチユーザ共有鍵を生成して受信機Aおよび受信機Bに配送するために操作するためのデバイスであって、前記デバイスはメモリに動作可能に結合されたプロセッサを備え、前記デバイスは請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される、デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】削除
【補正の内容】
【国際調査報告】