(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】スパーク発光分光法のためのプラズマ制御
(51)【国際特許分類】
H05H 1/10 20060101AFI20240520BHJP
G01N 21/67 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H05H1/10
G01N21/67 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577190
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 EP2022062432
(87)【国際公開番号】W WO2022263055
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511141744
【氏名又は名称】サーモ フィッシャー サイエンティフィック (エキュブラン) エスアーエールエル
(71)【出願人】
【識別番号】303043704
【氏名又は名称】エフイーアイ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ランキューバ パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ケロッグ ショーン
【テーマコード(参考)】
2G043
2G084
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043BA01
2G043CA02
2G043EA09
2G043GA09
2G043GA10
2G043GB10
2G043GB13
2G043JA01
2G043LA02
2G043LA03
2G043MA04
2G084CC13
2G084CC23
2G084FF27
2G084FF29
2G084HH42
(57)【要約】
プラズマ制御のための装置が開示される。本装置は、アノード及びカソードの2つの電極を含み、2つの電極間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、プラズマを取り囲むように配置され、2つの電極間の長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、プラズマの生成に対して磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された回路と、を備える装置が提供される。分光システムにおけるプラズマ制御のための方法及び当該方法を使用する発光分光計も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光システムにおけるプラズマ制御のための方法であって、
プラズマを生成することと、
長手方向軸に平行な磁場を印加することであって、前記磁場を印加するタイミングは、前記プラズマを生成するタイミングとは別に制御される、磁場を印加することによって、前記長手方向軸の周りに前記プラズマを閉じ込めることと、
前記長手方向軸の近くの位置又は前記長手方向軸の位置で前記プラズマによって生成されたスペクトルを観察することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記磁場が、前記プラズマを取り囲み、可変電流が放電されるソレノイドコイルによって変調され生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調が、ナノ秒、マイクロ秒、又はミリ秒レジームのうちの1つに及ぶ、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ソレノイドコイルが、内部に温度管理流体が流れる中空金属管からなる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度管理流体が前記ソレノイドコイルを能動的に冷却する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ソレノイドコイルが、単巻きコイル若しくは多巻きコイル、及び/又は単層コイル若しくは多層コイルのうちの1つである、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ソレノイドコイルが、その巻回直径よりも長い長さを有する、請求項2から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマを生成すること及び/又は前記磁場を印加することが、1Hz~1MHzの周波数で繰り返し実行される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマを生成するために使用される電流が、第1の電子回路によって制御される、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記磁場を生成するために使用される前記電流が、前記第1の電子回路とは別個の第2の電子回路によって制御される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場を生成するために使用される前記電流が、指数関数的減衰と正弦波との組み合わせを含む変調放電を生成するように、前記第2の電子回路によって変調される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記磁場を生成するために使用される前記電流が、前記第2の電子回路によって変調されて、イオンスペクトル線及び原子スペクトル線の生成を最適化し、線干渉を減少させるように、前記プラズマを生成するために使用される前記電流に対してタイミング調整される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分光システムが、
スパーク発光分光計(OES)、
誘導結合プラズマ(ICP)OES、
プラズマ質量分光計(MS)、
レーザ誘起ブレークダウン分光計(LIBS)、及び、
グロー放電質量分光計(GDMS)のうちの1つである、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プラズマ制御のための装置であって、
アノード及びカソードの2つの電極を含み、前記2つの電極間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、
前記プラズマを取り囲むように配置され、前記2つの電極間の長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、
前記プラズマの生成に対して前記磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された回路と、を備える、装置。
【請求項15】
前記磁場生成が、前記磁場と組み合わされて、最適なプラズマ圧縮をもたらす半径方向及び内向きのローレンツ力を生成する最適な接線方向のラーモア電流を前記プラズマの外面に誘導するようにタイミング調整される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記回路が、
前記プラズマを生成するために使用される電流を変調する第1の電子回路と、
前記磁場を生成するために使用される別の電流を変調する第2の電子回路と、
前記プラズマの生成に対して前記磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された、前記第1の電子回路と前記第2の電子回路との間の論理接続と、を更に備える、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載の装置を備える分光計。
【請求項18】
発光分光計であって、
電極を含み、前記電極と試料との間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、
前記プラズマを取り囲むように配置され、前記電極と前記試料との間に長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、
前記プラズマから放出された光を離散波長に分散させるための光学システムと、
前記分散された光の強度を検出するための検出システムと、を備える、発光分光計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、プラズマ制御のためのシステム、デバイス、及び方法に関し、より具体的には、スパーク発光分光法のためのプラズマ制御のためのシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光分光法(OES)は、試料の元素分析のための技術であり、例えば、固体金属試料の分析において特に有用である。本開示は、(本明細書では、任意の電気スパーク、アーク、又は放電を指すために使用される)スパークを使用して試料を急速に蒸発させ、蒸発した試料中の元素を励起するOES、すなわちいわゆるスパークOESに関する。光は、励起状態からより低いエネルギー状態への遷移が起こるときに、試料の励起された元素によって放出される。各元素は、スペクトル線とも呼ばれる、その電子構造に特徴的な離散波長の光を放出する。スペクトル線を検出することによって、OESは、試料の元素組成の定性的及び定量的決定を提供することができる。従来のスパーク発光分光計は、典型的には、試料中の元素を励起して光を放出するためのスパーク発生器と、放出された光を離散波長に分散させるための光学システムと、分散された光の光強度を検出するための検出システムと、光強度を表す検出システムからの信号を記憶及び処理するためのデータ記憶及び処理システムとを含む。組成の決定のための十分なデータを構築するために、一連のスパークが典型的に用いられ、スパークから生成された結果のデータが処理のために蓄積される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
1回の測定は、典型的には、数百ヘルツのスパーク周波数で数十秒の分析を含む。これは2つの重要な理由から必要である。
【0004】
第1の理由は、スパークが、例えば不均一性又は包含物の存在に依存して、試料の表面上の異なる位置を攻撃することである。この結果、スパークは必ずしも試料と電極との間の中心に位置するとは限らない。
【0005】
第2の理由は、スパークが中心電極の周りで時間の関数として振動することである。これは、とりわけ、プラズマの超音速膨張、ガス流内の乱流、試料の組成の物理的差異(例えば、異なる融点)などの組み合わせによって引き起こされ得る。これは
図2に示されており、プラズマの形態及び位置が示されている。サブ図(201から206)の各々は、異なる時間に取られたスナップショットに対応する。
【0006】
統計的に一貫性のある安定した結果を達成するために、各分光測定は、これらの変動を補償し、高い精度及び高い再現性を保証するために、何千もの個々のスパークから構成される必要がある。しかしながら、そのような戦略は、より長い分析時間を有すること、及び低濃度を測定する能力を制限することを犠牲にして得られるが、これらは、プラズマの不安定な性質によって生成される統計的ノイズ内に入るからである。換言すれば、これは、スパークOES技術で測定することができる最低濃度を制限する。
【0007】
したがって、a)時間の関数としてプラズマを安定化させ、b)信号対ノイズ比を改善し、したがって検出限界を改善し、c)全体的な分析時間を短縮し、その結果、運用コストが節約するために、プラズマのフォームファクタ及び時間発展を制御する必要がある。
【0008】
次に、本開示を、例として、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】発光分光計の典型的な構造を示す概略図である。
【
図1B】電極と試料との間のプラズマの典型的な構造を示す概略図である。
【
図2】異なる時間に取られたプラズマの一連の写真を示す。
【
図3A】本開示で説明される「シータピンチ」の概念を示す。
【
図3B】本開示で説明される「シータピンチ」の概念を示す。
【
図3C】本開示で説明される「シータピンチ」の概念を示す。
【
図3D】本開示で説明される「シータピンチ」の概念を示す。
【
図3E】本開示で説明される「シータピンチ」の概念を示す。
【
図4】本開示の一実施形態によるプラズマ制御装置を示す。
【
図5A】本開示の実施形態によるソレノイドコイルの例を示す。
【
図5B】本開示の実施形態によるソレノイドコイルの例を示す。
【
図6】時間の関数としてのいくつかのタイプの電流放電のグラフ表示である。
【
図7】本開示の一実施形態による分光システムにおけるプラズマ制御のための方法を示す。
【
図8】本開示の一実施形態による発光分光計の構造を示す概略図である。
【0010】
〔課題を解決するための手段〕
本開示によれば、分光システムにおけるプラズマ制御のための方法が提供される。本方法は、プラズマを生成することと、長手方向軸に平行な磁場を印加することによって、当該長手方向軸の周りにプラズマを閉じ込めることと、プラズマの生成のタイミングとは別に磁場の印加のタイミングを制御することと、長手方向軸の近くの位置又は長手方向軸の位置においてプラズマによって生成されたスペクトルを観察することと、を含む。
【0011】
本開示の別の態様によれば、プラズマ制御のための装置であって、2つの電極、アノード及びカソードを含み、2つの電極間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、プラズマを取り囲むように配置され、2つの電極間の長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、プラズマの生成に対して磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された回路と、を備える装置が提供される。
【0012】
本開示の更なる態様によれば、プラズマ制御のための装置を備える分光計が提供される。分光計は、発光分光計であってもよく、プラズマから放出された光を離散波長に分散させるための光学システムと、分散光の強度を検出するための検出システムと、を備えてもよい。本開示の更に別の態様によれば、電極を含み、電極と試料との間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、プラズマを取り囲むように配置され、電極と試料との間に長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、プラズマから放出された光を離散波長に分散させるための光学システムと、分散された光の強度を検出するための検出システムと、を備える発光分光計が提供される。
【0013】
一実施形態では、磁場は、可変電流が放電されるプラズマを取り囲むソレノイドコイルによって変調され、生成される。一実施形態では、変調は、ナノ秒、マイクロ秒、又はミリ秒レジームのうちの1つに及ぶ。
【0014】
一実施形態では、ソレノイドコイルは、温度管理流体が流れる中空金属管で作られる。一実施形態では、温度管理流体は、ソレノイドコイルを能動的に冷却する。
【0015】
一実施形態では、ソレノイドコイルは、単巻きコイル若しくは多巻きコイル、及び/又は単層コイル若しくは多層コイルのうちの1つである。一実施形態では、ソレノイドコイルは、その巻回直径よりも長い長さを有する。
【0016】
一実施形態では、プラズマの生成及び/又は磁場の印加は、1Hz~1MHzの周波数で繰り返し実行される。
【0017】
一実施形態では、プラズマを生成するために使用される電流は、第1の電子回路によって制御される。
【0018】
一実施形態では、磁場を生成するために使用される電流は、第1の電子回路とは別個の第2の電子回路によって制御される。一実施形態では、磁場を生成するために使用される電流は、指数関数的減衰と正弦波との組み合わせを含む変調放電を生成するように、第2の電子回路によって変調される。
【0019】
一実施形態では、磁場を生成するために使用される電流は、第2の電子回路によって変調されて、イオン及び原子スペクトル線の生成を最適化し、線干渉を減少させるように、プラズマを生成するために使用される電流に対してタイミング調整される。
【0020】
一実施形態では、磁場生成は、磁場と組み合わされて、最適なプラズマ圧縮をもたらす半径方向及び内向きのローレンツ力を生成する最適な接線方向のラーモア電流をプラズマの外面上に誘導するようにタイミング調整される。
【0021】
一実施形態では、分光計は、スパーク発光分光計(スパークOES)又は誘導結合プラズマ(ICP)OESなどの発光分光計(OES)、プラズマ質量分光計(MS)、レーザ誘起ブレークダウン分光計(LIBS)、及び、グロー放電質量分光計(GDMS)のうちの1つである。
【0022】
一実施形態では、回路は、プラズマを生成するために使用される電流を変調する第1の電子回路と、磁場を生成するために使用される別の電流を変調する第2の電子回路と、プラズマの生成に対して磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された、第1の電子回路と第2の電子回路との間の論理接続と、を更に備える。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、一般に、スパーク発光分光法におけるプラズマ制御のためのシステム、デバイス、及び方法に関する、本発明の実施形態を提供する。そのような説明は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に実施形態の説明を提供するものである。
【0024】
図1Aは、典型的な発光分光計の一実施形態を概略的に示す。この分光計は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に例示のためのものである。分光計はコンピュータ113によって制御される。コンピュータ113は、本発明による波形でスパーク源106の放電を変調するための1つ以上のプログラムを記憶する。
【0025】
スパーク源106は、高電流源及び低電流源を備え、各々は、放電(スパーク)電流が変調されることを可能にする構成要素、例えば、電流測定手段、比較器、及び関連する回路スイッチ構成要素を備える。
【0026】
したがって、使用時には、一種のフィードバックシステムがスパーク源106において使用され、コンピュータプログラムに従ってコンピュータから基準電流も供給される比較器に放電電流を供給することを含み、回路内のスイッチは、プログラムに従って電流の流れを可能にするか、又は電流の流れを減少させて、電流波形を共に構成する各電流源からの変調電流を供給するように作動される。高電流源及び低電流源の各々には、別個の基準電流が供給される。
【0027】
スパーク源106は、スパークチャンバ107内に収容された電極101及び試料102に電気的に接続され、その結果、使用時に、スパークがそれらの間に形成されて、回路の放電時に試料102の一部を蒸発させて励起する。試料102は、典型的には金属試料であり、典型的にはディスクの形態である。使用中、スパーク励起時に試料102内の元素によって放出されるスペクトル線を含む光108は、光をスペクトル線に分散させる光学システム110に進入する。光学システム110は、典型的には、光を分散させるための回折格子(図示せず)を備える。次いで、選択された分散スペクトル線111は、1つ以上の光検出器、例えば光電子増倍管又はCCD検出器を含む検出システム112によって検出される。そのようなスパーク発光分光計の更なる詳細は、国際公開第2010/066644号パンフレットに見出すことができる。
【0028】
検出システム112からの信号は、任意選択で更なる処理の後に、コンピュータ113によって受信され、コンピュータは、それらを、例えば試料のスペクトル又は他の定性的若しくは定量的分析の形態の最終出力のためのデータとして記憶し、処理する。光学システム110及び検出システム112は、典型的には、スペクトル線との干渉を回避するために、減圧(真空)下に保持され、及び/又は光学的に不活性ガスでフラッシュされる。
【0029】
ここで
図1Bを参照すると、スパークOES機器における電極と試料との間のプラズマの典型的な構造を示す概略図が示されている。スパークOES機器は、
図1Bに示されるように、アノードとして作用する電極(101)と、カソードとして作用する、分析される必要がある導電性試料(102)との間の電気スパークの点火に依存する。このような点火は、試料の表面上の物質をアブレーションし、それを霧化し、それを励起し、それをイオン化する。したがって、プラズマが生成され、そこからの発光は、試料からアブレーションされた物質の組成に依存する。この光は、定性的及び定量的分光法を実行するために発光分光法で収集される。
【0030】
典型的には、分光計は、集光のために固定スポット径に焦点を合わせられる。機器の機械的/光学的設定は、プラズマの固定観察点が光を収集するように設計される。この比較的狭い観察直径(典型的には1~2mm)は、非発光ゾーンと比較して十分に高い信号対ノイズ比を維持するために重要である。この観察直径は、特定の線放出が他のものと比較して増強されることを可能にし、したがって、線放出干渉を低減する。
図1Bは、イオン線ゾーン(103)対原子線ゾーン(104)を示す。
【0031】
この構成の欠点は、この観察スポットからの任意の物理的プラズマ偏差が、収集された発光信号に大きな発振をもたらすことである。これは、プラズマが時間の関数として電極の周りを移動する
図2の写真において明確に見ることができる。
【0032】
ここで
図3A~
図3Eを参照すると、プラズマのシータピンチ閉じ込めの概念に関する概略図が示されている。
【0033】
本開示の一実施形態では、スパークOES機器内のプラズマを制御するために、シータピンチ構成で磁場が使用される。シータピンチの概念は、
図3A及び
図3Bに概略的に概説されている。電流が放電されるソレノイドコイル(301)によってプラズマ(302)が取り囲まれると、磁場B(309)が円筒の軸(z)に沿って生成される。次に、この磁場は、プラズマの表面上に反対方向の電流(ラーモア電流J、310)を誘導する。プラズマの表面層におけるラーモア電流は、磁場Bと結合し、したがって、ローレンツ力F=J×B(311)を生成する。ラーモア電流は常にプラズマに対して接線方向であるため、ローレンツ力は常にプラズマの中心に向けられる(
図3B参照)。これは、プラズマ圧縮、又は名前が示すように、プラズマピンチをもたらす。「シータピンチ」という名称は、電流が方位角方向(円筒座標においてシータ方向)であるという事実に由来する。
【0034】
シータピンチの概念は、当初、1960年代に熱核用途のために考えられた。そのような概念は、
図3C及び3Dに示されており、単巻き円筒形ソレノイドコイル(301)がプラズマ(302)を取り囲んでいる。次いで、電位差ΔU(304)を印加することによって、コイルを横切って電流が放電される。これは、コイルの軸に沿ってプラズマを閉じ込めるために上述したようにプラズマを半径方向に絞るローレンツ力の形成をもたらす。
【0035】
それにもかかわらず、シータピンチの熱核用途に関する課題は、プラズマが円筒コイルを横切って平行に伸長し、その軸に沿った閉じ込めの欠如をもたらすことであった(
図3D参照)。したがって、熱核用途に関心のある科学者は、トカマク設計に切り替えた。トカマク設計は、基本的にシータピンチの元の設計を使用したが、それを湾曲及び屈曲させてトロイドを形成し、この閉じ込められていない3次元を閉じた。
【0036】
本開示の文脈において、この「閉じ込められていない端部」の問題は、スパークOESシステムには当てはまらない。典型的なスパークは、電極と試料との間で発生し、したがって、シータピンチが適用されるとき、プラズマがソレノイドコイルの軸に沿って閉じ込められていない方式で伸長することは不可能である。プラズマは軸方向に捕捉され、ピンチはプラズマを半径方向に圧縮することに成功する。
【0037】
スパークOESのためにこの新規なシータピンチアーキテクチャを使用する目標は、プラズマに圧縮力を印加し、したがって、その温度及び密度を増加させると同時に、時間の関数として制御下にフォームファクタを維持することである。
【0038】
この制御は、A)一方向プラズマのより高温のコアにおける試料の蒸発及び霧化効率の増加のために、より強い線放出をもたらし、B)より高い温度及び密度が、より早くより急速な線放出をもたらし、したがってイオン線放出と原子線放出との間のより良好な時間分離をもたらすので、線干渉が低減され、C)プラズマ軸付近の領域における連続バックグラウンド放射のより大きな局在化から、より低いバックグラウンドノイズが生じる。
【0039】
これらの特徴により、信号対ノイズ比が向上し、プラズマ全体の安定性が向上する。したがって、より短い分析時間でのより良好な定量限界は、本明細書で提案されるシータピンチシステムの重要な利点である。
【0040】
本開示の実用的な実施形態は、
図4に概略的に示される。
【0041】
プラズマは、電極(401)と分析される試料(403)との間に電流を通すことによる点火によって生成される。電極(401)及び試料(403)は、間隙によって分離される。典型的には、電極(401)はアノードとして機能し、試料(403)はカソードとして機能する。
【0042】
ソレノイドコイル(402)は、電極と試料との間の軸に沿ったその長さの少なくとも一部に沿ってプラズマを半径方向に取り囲む。いくつかの実施形態において、ソレノイドコイルは、電極と試料との間の長さの半分より長くに沿ってプラズマを取り囲む。いくつかの実施形態では、ソレノイドコイルは、電極と試料との間の長さの60%超、又は70%超、又は80%超、又は90%超に沿ってプラズマを取り囲む。典型的には、ソレノイドコイルは、電極と試料との間の長さの100%に沿ってプラズマを取り囲む。更に、いくつかの実施形態では、ソレノイドコイルは、電極及び試料の少なくとも一部又は全部を取り囲む。
【0043】
前のセクションで説明したように、電流をコイルに放電させることによって、シータピンチが生成され、前のセクションで説明したように、シータピンチはプラズマを半径方向に圧縮する。
【0044】
このソレノイドコイルは、(
図4及び
図5Aに示すように)単巻き又は多巻きであり得、(
図5Bに示すように)単層又は複数の層で構成され得る。いくつかの実施形態では、このソレノイドコイルは、2層又は3層に配置された10~30巻きを備えてもよい。それは、中実導体(銅、銅合金、銀合金又は他の金属及び合金など)によって、又は冷却流体(例えば水など)がそれを通って流れ、コイルの温度を制御下に保つことを可能にする中空導体によって形成することができる。中空導体は、中実導体について説明したのと同じ導体材料から形成することができる。
【0045】
図4に示されるように、プラズマを生成するために使用される電流は、第1の電子回路(404)によって制御され、磁場を生成するためにソレノイドコイルに使用される電流は、第2の別個の電子回路(405)によって制御される。これらの2つの電子回路は、アナログ的又はデジタル的に互いに接続されてもよく(406)、共通のコンピュータに接続されてもよく、又は完全に別個であってもよい。これにより、イオン及び原子スペクトル線の生成を最適化し、線干渉を減少させ、よりクリーンなスペクトルを提供するように、磁場を生成するために使用される電流を、プラズマを生成するために使用される電流に対して変調及びタイミング調整することが可能になる。このように、磁場を印加するタイミングは、プラズマを生成するタイミングとは別に制御される。遅延は典型的には2つの間に適用される。プラズマを生成するために使用される電流は、磁場を生成するために使用される電流の前に開始される。このようにして、第1のステップにおいてプラズマが生成され、第1のステップの後に開始される第2のステップにおいて磁場が生成されて、第2のステップにおいて膨張プラズマを閉じ込める。プラズマの開始と磁場の開始との間の遅延は、0~50マイクロ秒、例えば、5~50マイクロ秒、10~50マイクロ秒、又は20~40マイクロ秒、典型的には約30マイクロ秒であり得る。プラズマピンチングの持続時間は、少なくとも100マイクロ秒、又は少なくとも150マイクロ秒の長さであってもよい。プラズマピンチの持続時間は、最大500マイクロ秒、又は300マイクロ秒、又は200マイクロ秒の長さであってもよい。プラズマピンチの持続時間は、100~500マイクロ秒、100~300マイクロ秒、又は100~200マイクロ秒であってもよい。
図2の写真(203)に示されるように、この遅延は、プラズマがフィラメントからカラム形状に膨張することを可能にし、その結果、磁場は、かなりのローレンツ力を実際に及ぼすことができ、したがって、(203)に示されるようにプラズマを維持する有効シータピンチを実際に及ぼすことができる。このようにして、プラズマは、検出された信号の安定度及びS/Nを最適化するために、初期膨張が起こった後であるがプラズマ増補が大きくなりすぎる前に、磁場によってピンチされ始めることができる。磁場生成ステップは、プラズマ生成ステップから切り離すことができる。このようにして、スパーク放電及びソレノイドコイルのためのそれぞれの電流を生成することにより、電流の大きさ、タイミング、及び変調を独立して制御することが可能になる。いくつかの実施形態では、磁場のタイミング及び強度は、磁場を調整し、スペクトル線の信号対ノイズ比を最適化するために、1つ以上の検出されたスペクトル線からのフィードバックによって制御され得る。したがって、例えば人工知能に基づく方法又は装置は、1つ以上の検出されたスペクトル線から信号を取得し、時間減衰、時間遅延、パルス持続時間などの1つ以上の選択されたコイル電流パラメータを最適化することができる。磁場の開始に関する前述の説明は、磁場自体のタイミングに関する。当業者であれば、磁場に電力を供給する電子放電回路は、それ自体のランプアップ時間を有する場合があり、したがって、ピーク磁場が所望される数十マイクロ秒前に開始される必要がある場合があることを理解するであろう。
【0046】
ソレノイド設計は、プラズマ光が分光計によって収集されることを可能にするように設計されることができる。これは、本開示の一実施形態によるソレノイドコイルを示す
図5Aの助けを借りて理解することができる。
【0047】
図5Aでは、長さ(501)及び巻回直径(502)を伴うソレノイドコイルが、表示される。ワイヤの太さは(504)で与えられる。典型的な長さ(501)は4~5cmであり、典型的な直径(502)は2~3cmであり、典型的な太さ(504)は1.5~2mm(例えば、1.8mm)である。典型的な巻き数は、5~30、5~20(例えば、10~30、5~15、8~15、又は10~12)である。開口(503)が、ソレノイドコイルの巻線間に導入されている。コイル間の典型的な開口(503)は、1~3mm程度(例えば、1.5mm又は2mm)である。この開口を通して、プラズマによって放出された光は、分光計の適切な光学システムによって収集され、試料の化学分析を提供するために検出され得る。
【0048】
一実施形態では、ソレノイドコイルは、好ましくは、その直径(502)より大きい、例えば、少なくとも1.5倍大きい、又は少なくとも2倍長い長さ(501)を有する。この形状は、実際のスパークOESシステムでの使用によく適している。従来技術の形状は、大きすぎ、太い銅線を使用しない限り急速に加熱され、正確なピンチ時間を提供しないので、直接適用することができない。
【0049】
プラズマスパークは、典型的には、例えば、10~1000Hz、100~800Hz、又は300~600Hz(500Hzなど)のパルス周波数を有する一連のパルスとして提供される。プラズマ生成時間は、電流放電期間によって決定され、典型的には、1~1000マイクロ秒、又は1~100マイクロ秒の範囲である。これは、イオン及び原子スペクトル線を生成するために、表面の効率的なアブレーション及びアブレーションされた材料の励起を可能にする。シータピンチは、繰り返しピンチすることによって、例えば、プラズマ生成と同じ周波数でシータピンチを適用することによって、パルスプラズマシステムに適用することができる。シータピンチ繰り返しは、1Hz~1MHzの範囲であってもよい。シータピンチ繰り返しは、スパークプラズマシステムの場合、10Hz~10kHz、10~1000Hz、100~800Hz、又は300~600Hz(500Hzなど)であってもよい。この解決策の利点は、コイル内の磁場の乱れが最小限に抑えられ、その結果、シータピンチによって印加されるローレンツ力の不均一性も最小限に抑えられることである。
【0050】
シータピンチは、2つの成分、すなわち、一方の側のイオンの速度(v)と組み合わされた磁場の強度(B)と、他方の側の電場の強度(E)とに依存する。
【数1】
式中、qはイオンの電荷である。
【0051】
項qEは、通常、磁場の寄与と比較して無視できる。
【0052】
次に
図6を参照すると、時間の関数としてのいくつかのタイプの電流放電のグラフ表示が示されている。
【0053】
曲線602は、指数関数的減衰を伴う非変調放電を表す。磁場の強度は、ソレノイドを介して放出される電流に依存する。これは、高電流放電が急速に上昇する磁場に対応し、これが今度は次第に強くなるピンチに対応することを意味する。ピンチは、電流の指数関数的減衰とともに消失し、プラズマの再膨張をもたらす。したがって、このピンチは、その有効性において時間制限される。ローレンツ力の式において、磁場Bは、イオンを方位角方向に加速することなく最大化される。イオンの速度は、単に半径、すなわちプラズマの周りの「軌道」上のイオンの位置に依存する。したがって、外部イオンは、より高い線速度を有し、より効果的にピンチされる。
【0054】
曲線603は、変調された定電流を表す。ここで、2つのことに留意する必要があり、第1に、一定の高電流は一定の強い磁場をもたらす。これは、602におけるような強いピンチをもたらす。しかしながら、602とは異なり、この強度は、電流が流れ続ける限り持続する。第2に、電流変調を印加することによって、逆起電力(Back-EMF)も誘導される。これは、マクスウェル方程式(レンツの法則)によって理解することができる。
【数2】
【0055】
時間の関数として放電電流の強度(したがって、磁場B)を変化させることによって、電場勾配も可能になる。これは、プラズマの周りに方位角電流を生成し、これは、プラズマを「周回する」電荷(イオン)を加速し、次に、ローレンツ力の方程式における項qvを強化する。このオプション603では、602のケースのように再膨張することなく、非常に強くかつ一定のピンチを期待することができる。しかしながら、絶対電流が長期間にわたって非常に高い場合、これは、ジュール効果に起因してソレノイドの非常に強い加熱をもたらす。電流の強さに応じて、これは、ソレノイドの温度を制御下に保つことに関して管理不可能な状況に急速につながる可能性がある。
【0056】
曲線601は、変調された低電流シナリオを表す。本方法の目標は、ケース603の主な問題を解決することである。すなわち、ソレノイドの温度を制御下に保つが、必要とされる限りプラズマを制御するために依然としてかなりのピンチを有することである。これを達成するために、レンツの法則を利用する。603と同様に、放電電流の強度を変化させることによって、イオンを加速して項qvを強化し、これはまた、全体的なローレンツ力を強化する。しかしながら、603とは異なり、電流を比較的低い絶対値に保ち、したがって強いジュール効果を回避することによって、高温問題を回避する。ピンチに関して、我々は、プラズマの周りのイオンの加速によって磁場Bの相対的な弱さを補償する。このオプションは、603におけるような強いピンチをもたらさないが、電流の低い消費のために、これは、ランナウェイジュール効果なしに長期間にわたって有効なピンチをもたらす。601において磁場を生成するための回路のピーク放電電流は、100~500Aの範囲、例えば200Aにあってもよい。601において磁場を生成するための回路の充電電圧は、50~1000Vの範囲、例えば150Vにあってもよい。放電電流及び充電電圧は、ソレノイドコイルの特定の詳細に強く依存し、当業者は、様々なソレノイドコイル構成が使用され得ることを理解するであろう。このオプションはまた、より単純でより安価な電子機器を必要とするという利点を有する。磁場を生成するための電流の変調は、振幅変調、例えば減衰電流に対する発振を含む。変調は正弦波であってもよい。減衰電流は、指数関数的減衰電流であってもよい。変調は、ナノ秒若しくはマイクロ秒、又はミリ秒レジームであり得る。典型的には、磁場を生成する電流の変調周波数は、1kHz~100MHzであり得る。好ましい実施形態では、磁場を生成する電流の変調周波数は、1MHz~100MHzである。
【0057】
図7に示すように、本開示は、分光システムにおけるプラズマ制御のための方法(700)を提供する。本方法は、プラズマを生成すること(702)と、長手方向軸に平行な磁場を印加することによって、当該長手方向軸の周りにプラズマを閉じ込めること(704)と、プラズマの生成のタイミングとは別に磁場の印加のタイミングを制御すること(706)と、長手方向軸の近くの位置又は長手方向軸の位置においてプラズマによって生成されたスペクトルを観察すること(708)と、を含む。
【0058】
図8に示すように、本開示はまた、電極801と試料802との間のスパークからプラズマを生成するように構成された、電極801を含むプラズマ発生器と、電極及び試料を取り囲むように配置され、電極と試料との間に長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイル814と、プラズマから放出された光を離散波長に分散させるための光学システム810と、分散された光の強度を検出するための検出システム812と、を備える発光分光計を提供する。
【0059】
典型的には、分光計は、光強度を表す検出システムからの信号を記憶及び処理するためのデータ記憶及び処理システム813を更に備える。組成の決定のための十分なデータを構築するために、一連のスパークが典型的に用いられ、スパークから生成された結果のデータが処理のために蓄積される。
【0060】
本開示で説明するシステムは、スパーク発光分光法(スパークOES)システムを参照するが、同じ原理を、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光計、プラズマ質量分光計(MS)、レーザ誘起ブレークダウン分光計(LIBS)、又はグロー放電質量分光計(GDMS)などの異なるプラズマ源及び/又は分析器を有するシステムに適用することができる。
【0061】
前述の開示は、例示的な態様及び/又は実施形態を論じているが、添付の特許請求の範囲によって定義される記載された態様及び/又は実施形態の範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更及び修正を行うことができることに留意されたい。更に、記載された態様及び/又は実施形態の要素は、単数形で説明又は請求され得るが、単数形への限定が明示的に述べられていない限り、複数形が企図される。追加的に、任意の態様及び/又は実施形態のすべて又は一部は、別段の記載がない限り、他の任意の態様及び/又は実施形態のすべて又は一部とともに利用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光システムにおけるプラズマ制御のための方法であって、
プラズマを生成することと、
長手方向軸に平行な磁場を印加することであって、前記磁場を印加するタイミングは、前記プラズマを生成するタイミングとは別に制御される、磁場を印加することによって、前記長手方向軸の周りに前記プラズマを閉じ込めることと、
前記長手方向軸の近くの位置又は前記長手方向軸の位置で前記プラズマによって生成されたスペクトルを観察することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記磁場が、前記プラズマを取り囲み、可変電流が放電されるソレノイドコイルによって変調され生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記変調が、ナノ秒、マイクロ秒、又はミリ秒レジームのうちの1つに及ぶ、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ソレノイドコイルが、内部に温度管理流体が流れる中空金属管からなる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度管理流体が前記ソレノイドコイルを能動的に冷却する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ソレノイドコイルが、単巻きコイル若しくは多巻きコイル、及び/又は単層コイル若しくは多層コイルのうちの1つである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記ソレノイドコイルが、その巻回直径よりも長い長さを有する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項8】
前記プラズマを生成すること及び/又は前記磁場を印加することが、1Hz~1MHzの周波数で繰り返し実行される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマを生成するために使用される電流が、第1の電子回路によって制御される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項10】
前記磁場を生成するために使用される前記電流が、前記第1の電子回路とは別個の第2の電子回路によって制御される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場を生成するために使用される前記電流が、指数関数的減衰と正弦波との組み合わせを含む変調放電を生成するように、前記第2の電子回路によって変調される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記磁場を生成するために使用される前記電流が、前記第2の電子回路によって変調されて、イオンスペクトル線及び原子スペクトル線の生成を最適化し、線干渉を減少させるように、前記プラズマを生成するために使用される前記電流に対してタイミング調整される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分光システムが、
スパーク発光分光計(OES)、
誘導結合プラズマ(ICP)OES、
プラズマ質量分光計(MS)、
レーザ誘起ブレークダウン分光計(LIBS)、及び、
グロー放電質量分光計(GDMS)のうちの1つである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項14】
プラズマ制御のための装置であって、
アノード及びカソードの2つの電極を含み、前記2つの電極間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、
前記プラズマを取り囲むように配置され、前記2つの電極間の長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、
前記プラズマの生成に対して前記磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された回路と、を備える、装置。
【請求項15】
前記磁場生成が、前記磁場と組み合わされて、最適なプラズマ圧縮をもたらす半径方向及び内向きのローレンツ力を生成する最適な接線方向のラーモア電流を前記プラズマの外面に誘導するようにタイミング調整される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記回路が、
前記プラズマを生成するために使用される電流を変調する第1の電子回路と、
前記磁場を生成するために使用される別の電流を変調する第2の電子回路と、
前記プラズマの生成に対して前記磁場の独立したタイミングを可能にするように構成された、前記第1の電子回路と前記第2の電子回路との間の論理接続と、を更に備える、請求項14又は15に記載の装置。
【請求項17】
請求項14又は15に記載の装置を備える分光計。
【請求項18】
発光分光計であって、
電極を含み、前記電極と試料との間にプラズマを生成するように構成されたプラズマ発生器と、
前記プラズマを取り囲むように配置され、前記電極と前記試料との間に長手方向軸に平行な磁場を生成するように構成されたソレノイドコイルと、
前記プラズマから放出された光を離散波長に分散させるための光学システムと、
前記分散された光の強度を検出するための検出システムと、を備える、発光分光計。
【国際調査報告】