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特表2024-520962真空トイレ及び真空トイレ用の真空タンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-27
(54)【発明の名称】真空トイレ及び真空トイレ用の真空タンク
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/11 20060101AFI20240520BHJP
   E03D 5/00 20060101ALI20240520BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
E03D11/11
E03D5/00
E03D9/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519961
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 AT2022060198
(87)【国際公開番号】W WO2022261688
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】A50475/2021
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523469560
【氏名又は名称】エーオース ネクスト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】グルエンドル,ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】フィエルモンテ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】エストラーダ レオン,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】ザンプル,ゲオルク
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038AA04
2D038KA06
2D038ZA00
2D039AA02
2D039AC14
2D039AD00
2D039CB02
2D039DA00
2D039DA05
2D039FA09
2D039FC00
2D039FD01
(57)【要約】
本発明は真空トイレの真空タンク(1)に関する。真空タンクは、タンク側壁に配置され便器(5)の主排出口(4)と弁(3)を介し接続可能な流入開口部(2)と、最下点に配置され排水流を更に送出するための流出開口部(6)とを備え、流出開口部(6)又は真空タンク(1)の他の開口部を介しタンクの空気は大気圧より低い圧力まで吸引可能である。真空タンク(1)は分離部材(7)で上方容積(8)と下方容積(9)に分割され、分離部材(7)は、タンクの流入開口部(2)の高さにほぼ位置し、かつ、タンクの周に沿って延在すると共に好ましくは螺旋状に形成される下方開口の導水路(10)を形成し、導水路は流入開口部(2)から始まり水平の周を少なくとも一周して下方容積(9)へ延びる。分離部材(7)の中央で通路孔(11)が上方容積(8)と下方容積(9)の間に配置される。本発明は更に上述の真空タンク(1)を有する真空トイレに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空トイレ用の真空タンク(1)であって、
前記真空タンク(1)は、前記タンクの側壁に配置され、便器(5)のメイン排出口(4)と中間で接続された弁(3)を介して接続可能な流入開口部(2)と、最下点に配置され、吸い出された排水流をさらに送出するための流出開口部(6)とを備え、
かつ、前記流出開口部(6)を介して又は前記真空タンク(1)内の他の開口部を介して、前記タンク内の空気が大気圧より低い圧力まで吸引可能であるものにおいて、
前記真空タンク(1)は、分離部材(7)によって上方の容積(8)と下方の容積(9)に分割され、
前記分離部材(7)は、前記タンク内の前記流入開口部(2)の高さにほぼ位置し、かつ、前記タンクの周に沿って延在していると共に好ましくはらせん形状に形成される下方に開口の導水路(10)を場合によっては前記真空タンク(1)の側壁部分と一緒に形成し、
前記導水路(10)は、前記流入開口部(2)から始まって、実質的に水平の周を少なくとも一周して前記下方の容積(9)に向かって延在し、
前記分離部材(7)の中央において、通路孔(11)が前記上方の容積(8)と前記下方の容積(9)の間に配置されている
ことを特徴とする真空トイレ用の真空タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の真空トイレ用の真空タンク(1)において、
前記分離部材(7)内の前記通路孔(11)は、前記下方の容積(9)へ向かって漏斗状に形成され、
場合によっては、前記分離部材(7)の上側が同様に漏斗状に前記通路孔(11)へ向かって延びるように形成されている
ことを特徴とする真空トイレ用の真空タンク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の真空トイレ用の真空タンク(1)において、
前記分離部材(7)は、前記下方の容積を形成するタンク部分(24)と共に一体的に形成されると共に、前記上方の容積を形成するタンク部分と前記通路孔(11)を介して接続されている
ことを特徴とする真空トイレ用の真空タンク。
【請求項4】
メイン排出口(4)を有する便器(5)と、洗浄部と、側壁内に配置された流入開口部(2)及び最下点に配置された流出開口部(6)を有する真空タンク(1)とを備え、前記便器(5)の前記メイン排出口(4)が弁(3)を介して前記真空タンク(1)の前記流入開口部(2)と接続された真空トイレであって、
使用者のための少なくとも1つの操作ユニット(19)を有する制御ユニット(12)をさらに備え、前記操作ユニットを介して洗浄プロセスが始動可能であるものにおいて、
前記真空タンク(1)は、分離部材(7)によって上方の容積(8)と下方の容積(9)に分割され、
前記分離部材(7)は、前記タンク内の前記流入開口部(2)の高さにほぼ位置し、かつ、前記タンクの周に沿って延在していると共に好ましくはらせん形状に形成される下方に開口の導水路(10)を場合によっては前記真空タンク(1)の側壁部分と一緒に形成し、
前記導水路(10)は、前記流入開口部(2)から始まって、実質的に水平の周を少なくとも一周して前記下方の容積(9)に向かって延在し、
前記分離部材(7)の中央において、通路孔(11)が前記上方の容積(8)と前記下方の容積(9)の間に配置されている
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項5】
請求項4に記載の真空トイレにおいて、
前記分離部材(7)内の前記通路孔(11)は、前記下方の容積(9)へ向かって漏斗状に形成され、
場合によっては、前記分離部材(7)の上側も同様に前記通路孔(11)へ向かって漏斗状に延びるように形成されている
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の真空トイレにおいて、
前記分離部材(7)は、前記下方の容積を形成するタンク部分(24)と共に一体的に形成されると共に、前記上方の容積を形成するタンク部分と前記通路孔(11)を介して接続されている
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか1項に記載の真空トイレにおいて、
1つの入口と2つの出口を有する三方弁(13)が前記真空タンク(1)の前記流出開口部(6)の下流に設けられ、
前記三方弁は、排水流が尿流であるか又は排泄物流であるかに応じて排水流を下流に配置された2つの異なる排出導管(14、15)へ導くために、前記制御ユニット(12)を介して作動可能である
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項8】
請求項7に記載の真空トイレにおいて、
前記三方弁(13)の切替は、前記操作ユニット(19)の入力によって行われる
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項9】
請求項7に記載の真空トイレにおいて、
前記便器(5)内にセンサユニット(20)が設けられ、
前記センサユニットは、前記制御ユニット(12)と接続されていると共に、排水流の種類すなわち尿流であるか又は排泄物流であるかを検出し、
前記三方弁(13)の切替がセンサデータに基づいて前記制御ユニット(12)からの制御インパルスによって行われる、
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか1項に記載の真空トイレにおいて、
前記便器(5)内の前記メイン排出口(4)の上流にすでに、尿流の大部分を導き出すための他の分離装置(16)が設けられている
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載の真空トイレにおいて、
前記三方弁(13)の下流に配置されて排泄物を含まない排水流のための排出導管(14)に、フィルタ装置(17)が設けられている
ことを特徴とする真空トイレ。
【請求項12】
請求項4~11のいずれか1項に記載の真空トイレにおいて、
前記流出開口部(6)の下流に粉砕ポンプ(25)が配置され、
前記粉砕ポンプは、前記真空タンク(1)から来る排水流をさらに移送すると共に場合によっては均質化し、
前記粉砕ポンプの下流に、場合によっては、1つの入口と2つの出口を有する三方弁(26)が設けられ、一の出口が他の排出導管と接続されていると共に第2の出口が還流部(27)を介して前記真空タンク(1)の前記下方の容積(9)と接続されている
ことを特徴とする真空トイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空トイレ用の真空タンクであって、真空タンクが、タンクの側壁に配置され便器のメイン排出口と中間で接続された弁を介して接続可能な流入開口部と、最下点に配置され吸い出された排水流をさらに送出するための流出開口部とを備え、かつ、流出開口部を介して又は真空タンク内の他の開口部を介してタンク内の空気が大気圧より低い圧力まで吸引可能なものに関する。
【0002】
さらに本発明は、メイン排出口を有する便器と、洗浄部と、側壁内に配置された流入開口部及び最下点に配置された流出開口部を有する真空タンクとを備え、便器のメイン排出口が弁を介して真空タンクの流入開口部と接続された真空トイレであって、使用者のための少なくとも1つの操作ユニットを有する制御ユニットをさらに備え、当該操作ユニットを介して洗浄プロセスが始動可能であるものに関する。
【背景技術】
【0003】
真空トイレは、車両、船舶、又は列車内で多く使用される。というのは、それらは極めて僅かな洗浄水しか必要としないからである。洗浄プロセスにおいて通常、約1リットルの洗浄水しか必要とされない。メイン排出口が弁により閉じられている便器は、洗浄プロセスの際に、先ず洗浄水の水量で洗浄され、その後洗浄水が排泄物、尿及びペーパーと共に弁を介して高速で吸い出される。充分な吸引作用を達成することができるためには、適切な大きさの真空容器が必要であり、当該真空容器は先ずポンプを使って真空にされる。その後、弁の開放時に急速な圧力均一化が行われ、その場合に排水流の全体が真空容器内へ吸い込まれる。それから、弁が閉止され、真空タンクから排水流がさらに移送される。
【0004】
この種のトイレは、水の要求が少ないことから、分離トイレの用途として魅力的である。分離トイレでは、排泄物を有する排水流を排泄物の無い排水流から分離し、別々の用途に供給される。この文脈においても、排水流の更なる処理のために必要な洗浄水が特に少ないことは有利である。
【0005】
使用すべき洗浄水量にとっての限定要因は真空タンクであることが明らかになっている。真空タンクは、洗浄プロセスのために必要な吸引力を提供することができるように、通常数リットルの所定の容積、例えば標準的なトイレにとって6~8リットル、を持たなければならない。洗浄プロセスそれ自体において、例えば排泄物、尿、ペーパー、及び洗浄水からなる排水流が高速でタンク内へ吸い込まれ、それによって真空タンク内への流入の際に、特に排泄物を伴う排水流の場合には、排水流が真空タンクの内側の側壁全体にわたって爆発的に分散した状態になる。真空タンクは、側壁に沿って排水流をさらに移送する場合に、徐々に貼り付いてその機能が妨げられないようにするために、洗浄水の量をそれ以上減らすことができない。
【0006】
特にトイレを、高い固体割合の排水流を固体割合の高い以降の処理へ供給しなければならない分離トイレとして使用しようとする場合には、排泄物流れがそれに続いてエネルギの集中的な措置によって更に処理されなければならないことがないように、洗浄の水量をさらに著しく減少させることが必要である。真空タンクの後方でもさらに、排水流がそれぞれの種類に応じて異なるように処理されるべきである限りにおいては、個々の洗浄プロセスの間で相前後する排水流のできる限り少ない2次汚染を達成するために、洗浄の水量は充分多くなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の課題は、洗浄水の必要をさらに著しく低下させることができる真空トイレのための真空タンクを提供することである。さらに、本発明の課題は、異なる排水流を真空タンクの通過後もそれぞれ個別にさらに処理することができる分離トイレとしても使用可能な洗浄水の必要が少ない真空トイレを提供することである。真空タンクも真空トイレも、広範囲に既に標準化されている構成部品を使用することができるように、その構造において既知のシステムに対してできる限り少なく変更されるべきであり、それによって製造コストが低く抑えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、まず、真空タンクによって解決される。当該真空タンクは、分離部材によって上方の容積と下方の容積に分割され、分離部材は、タンク内の流入開口部の高さにほぼ位置し、かつ、タンクの周に沿って延在していると共に好ましくはらせん形状に形成される下方に開口の導水路を場合によっては真空タンクの側壁部分と一緒に形成し、当該導水路は、流入開口部から始まって実質的に水平の周を少なくとも一周して下方の容積へ向かって延在し、分離部材内の中央において通路孔が上方の容積と下方の容積の間に配置されている。分離部材の使用によって洗浄の水量を著しく低減することが可能となる。洗浄プロセスのとき、排水流は、流入開口部から、周に沿って延在する導水路の長めの経路を通じて制動され、下方へ向かって下方の容積内へしか広がらす、それによって真空タンクの内部全体に爆発的に分散した状態になることがない。排水流は、所望に、真空タンクの下方の容積内に配置されている流出開口部へ向かって導かれる。上方の容積は、決して排水流と接触することはなく、それ故真空の構築のためだけに使用される。それによって、導水路及び下方の容積は、洗浄プロセス毎にわずかな洗浄水で浄化することができる。実験によれば、洗浄水量を300mlだけに低減することが可能であるが、それにもかかわらず、導水路と下方の容積の重要部分の全体が洗浄プロセスの際に完全に洗い流されることが明らかにされている。これは、下痢の場合のように、ひどく汚れている排泄物流の場合でも可能であった。分離部材内の通路孔によって、次の洗浄プロセスのための真空を準備するために真空タンクの容積全体を利用することができる。その場合に分離部材は、正確に真空タンクの半分の位置に配置すること、又は、好ましくは下方の半分の内でずらすこと、例えば高さの3分の1の位置に配置することもできる。
【0009】
他の好ましい特徴は、分離部材内の通路孔が下方の容積へ向かって漏斗形状に形成され、場合によっては分離部材の上側も同様に通路孔へ向かって漏斗形状に延びるように形成されていることである。それによって付加的に、真空タンク内の上方の容積が汚れないことが保証される。もし排水流が下方の容積内に比較的高速で分散した場合でも、通路孔の漏斗形状の構造によって、液体が上方の容積内に入ることがほぼないことが保証される。もし排水流の一部が通路孔を介して上方の容積内へ達した場合でも、それは、同様に漏斗形状に形成されている分離部材の上側を介して再び通路孔の方向に下方の容積内へ排出される。
【0010】
他の好ましい特徴によれば、分離部材は、下方の容積を形成するタンク部分と一体的に形成されると共に、上方の容積を形成するタンク部分と通路孔を介して接続されている。製造技術的理由から、分離部材が、下方の容積を形成するタンク部分と共に、共通の部材として形成されると好ましい場合がある。その場合に、下方のタンク部分は、分離部材の領域内に流入開口部を、一番低い箇所に流出開口部を有している。分離部材は、タンク部分のためのカバー面を形成し、かつ上方へ向かって方向づけされて、通路孔を有する。その場合に、上方のタンク容積を形成する他のタンク部分は、下方のタンク部分と通路孔を介して接続することができる。上方のタンク容積は、その下方の領域内で、通路孔へ向かって漏斗形状に延びるように形成することができる。
【0011】
本発明の課題は、さらに、冒頭で挙げた真空トイレによって解決される。当該真空トイレは、真空タンクが分離部材によって上方の容積と下方の容積に分割され、分離部材はタンク内の流入開口部の高さにほぼ位置し、かつ、タンクの周に沿って延在していると共に好ましくはらせん形状に形成される下方に開口の導水路を場合によっては真空タンクの側壁部分と一緒に形成し、当該導水路が流入開口部から始まって実質的に水平の周を少なくとも一周して下方の容積へ向かって延在し、分離部材内の中央において通路孔が上方の容積と下方の容積との間に配置されていることを特徴としている。真空トイレに対応する真空タンクを設置することによって、ここでも上述の利点が実現される。真空タンクの流入開口部及び分離部材の組込みの位置を除いて、標準的な構成部品を引き続き組み込むことが可能であり、それによって製造コストが低く抑えられる。
【0012】
好ましい特徴は、分離部材内の通路孔が下方の容積へ向かって漏斗形状に形成され、場合によっては、分離部材の上側も同様に通路孔へ向かって漏斗形状に延びるように形成されていることである。すでに上述したように、それによって、排水流の一部が真空タンクの上方の容積内へ達することがほぼなく、又は、そこに残留することはほぼない、という利点が生じる。
【0013】
同様にすでに、真空タンクに関連して上で説明したように、他の好ましい特徴は、分離部材が下方の容積を形成するタンク部分と共に一体的に形成されると共に、上方の容積を形成するタンク部分と通路孔を介して接続されていることである。これは、コスト的に有利な生産のための利点になる。
【0014】
他の好ましい実施形態によれば、さらに、1つの入口と2つの出口を有する三方弁が真空タンクの流出開口部の下流に設けられ、当該三方弁は排水流が尿流であるか又は排泄物流であるかに応じて排水流を下流に配置された2つの異なる排出導管内へ導くために制御ユニットを介して作動可能である。このように形成された真空トイレは、異なる排水流を効果的に分離することを可能にする。すなわち、例えば、尿、洗浄水、及び場合によってはペーパーからなる排水流は一方の出口へ導かれる一方、排泄物、洗浄水、ペーパー、及び尿からなる排水流は他方の出口へ導かれる。少ない洗浄水の割合によって、7~12%の固体割合を有する排泄物の排水流を達成することが可能である。それによって、そのような排泄物の排水流をエネルギ効率よくさらに処理することができる。
【0015】
その場合に可能な好ましい変形例によれば、三方弁の切替は操作ユニットの入力によって行われる。もっとも簡単な場合においては、洗浄プロセスがすでに始動される場合に、2つの排出導管の間で切替が行われる。通常の節水トイレのように、使用者は、たとえば「小」及び「大」の洗浄のための洗浄ボタンを有しており、洗浄ボタンの利用によって排泄物で汚染された排水流であるか否かを決定する。この場合において、確かに、洗浄の水量は変わらずに、三方弁のみがそれに応じて切り替えられるが、しかし、この種の洗浄ボタンは使用者の大部分にとって既知であるので、新たな操作を学ぶ必要がなく、それによって誤使用の割合が最小限に抑えられる。
【0016】
それに対して代替的に、他の好ましい変形例によれば、便器内にセンサユニットが設けられ、当該センサユニットは制御ユニットと接続されていると共に排水流の種類すなわち尿流であるか又は排泄物流であるかを検出し、三方弁の切替がセンサデータに基づいて制御ユニットからの制御インパルスによって行われる。いかなる使用者エラーも回避するために、正しい排出導管の選択がセンサユニットに基づいて行われることが可能であり、当該センサユニットは対応する情報を制御ユニットに提供する。可能なセンサは便器内に取りつけられた光学的なセンサであり、当該センサは便器の内容物を検出し、排泄物の排水流であるか否かをさらに伝達する。その場合に測定は同様に洗浄プロセスが作動する場合に行われ、算出されたセンサ値が制御ユニットにより評価され、それに応じて三方弁が調節される。なお、平均的な当業者にとって、三方弁の代わりに他の等価の実施形態があり得ることは、自明である。すなわち、真空タンクは、例えば2つの分離された流出開口部を一番低い箇所に備えることができ、当該流出開口部がそれぞれ制御ユニットによって作動可能な弁を有している。
【0017】
真空トイレの付加的な好ましい特徴は、便器内のメイン排出口の上流にすでに、尿流の大部分を導き出すための他の分離装置が設けられていることである。これは、排水流の更に効率的な分離を可能とする。特に簡単に実現すべき、尿流を導き出すための分離装置は、例えばオーストリア特許第521114号に開示されている。そこに記載されている解決策では、尿流は便器壁を直接介してティーポット効果に基づいて分離した排出導管内へ導かれる。それによって、便器のメイン排出口には、排泄物、ペーパー、及び洗浄水のみか、又は、そもそもペーパーと洗浄水のみのどちらか一方を有する多量の排水流のみが生じる。
【0018】
他の好ましい特徴は、三方弁の下流に配置されて排泄物を含まない排水流のための排出導管内に、フィルタ装置が設けられていることである。尿の排水流又はほぼ清潔な洗浄水の排水流からさらにペーパーを除去するために、それに応じたフィルタ装置を使用することができる。ここでは、従来技術において例えばスクリューや遠心分離器などを介して分離するような様々な解決策が存在する。したがって、便器内ですでに尿流の分離が行われる場合に、純粋な洗浄水流は、例えばフィルタ設備の通過後にきわめて簡単に新たな洗浄のために用意することもできる。それによって真空トイレの水の消費全体をさらに低下させることができる。
【0019】
そして、他の好ましい特徴は、流出開口部の下流に粉砕ポンプが配置され、当該粉砕ポンプは真空タンクから来る排水流をさらに移送すると共に場合によっては均質化し、粉砕ポンプの下流に場合によっては1つの入口と2つの出口を有する三方弁が設けられ、一の出口が他の排出導管と接続されていると共に第2の出口が還流部を介して真空タンクの下方の容積と接続されていることである。まさに、例えばトイレペーパーも含み排泄物で汚染された排水流においては、排水流を更なる移送及び処理のために均質化することは効果的である。充分な均質化を達成するために、真空タンクの下方の容積から排水流を汲み上げる粉砕ポンプを設けることができる。洗浄水の量が非常に少ないことから、粉砕ポンプの1回の通過では充分な均質化をもたらさないことがあり、そのため真空タンクの下方の容積内への還流部を設けることができる。これによって、関連する排水流は、真空タンク内へ循環してポンプで戻されることが可能であり、完全に均質化されるまで、何回も粉砕ポンプを通して移送されることができる。その後、均質化された排水流は、排出導管へ導かれ、そこで、例えばさらに上で説明したように、他の処理のところへ供給される。粉砕ポンプ及び還流循環の継続は、同様に制御ユニットによって制御される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明を、実施例を用い、かつ添付の図面を用いて詳細に説明する。
図1】本発明に係る真空タンクの図式的な表示である。
図2】本発明に係る真空タンクの他の図式的な表示である。
図3】分離部材の図式的な表示である。
図4】分離部材の他の図式的な表示である。
図5】本発明に係る真空トイレとその中に配置されている真空タンクの可能な実施形態の図式的な回路図である。
図6】本発明に係る真空トイレとその中に配置されている真空タンクの可能な実施形態の図式的な回路図である。
図7】本発明に係る真空トイレとその中に配置されている真空タンクの可能な実施形態の図式的な回路図である。
図8】本発明に係る真空トイレとその中に配置されている真空タンクの可能な実施形態の図式的な回路図である。
図9】上側に統合された分離部材を有する下方のタンク部分を図式的に断面で示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1及び図2には、本発明に係る真空タンク1が図式的に示されている。図1において、タンク自体は断面で示されており、組み込まれた分離部材7は破線で記入された見えないラインによって完全に示されている。図2においては、同じ表示が上からの視点で示されている。真空タンク1は、その側壁にほぼその高さの半分の下方に流入開口部2を有している。真空タンク1の最下点に、流出開口部6がある。真空タンクの内側の容積は、組み込まれた分離部材7によって上方の容積8と下方の容積9に分割される。分離部材7は、らせん状に延びて下方が開放した導水路10を有しており、その導水路が流入開口部2から流入する排水流を真空タンク1の周を介して制動し、下方の流出開口部6の方向へ導く。分離部材7の中央に、通路孔11が存在し、それが特に図2に見られる。通路孔は、下方へ向かって漏斗状に延びるように形成されている。さらに、分離部材1の上側が、同様に漏斗状に通路孔11へ向かって延びるように形成されている。すなわち排水は、そもそも上方の容積8内へ達するのがきわめて難しく、かつ達したとしても、漏斗状の面を介して即座に再び通路孔11を通して下方の流出開口部6へ導かれる。
【0022】
図3には、分離部材7のみが斜視図で示されており、図4においては縦断面で示されている。見てわかるように、分離部材7は、図示の実施例において漏斗として形成されており、その場合に下方へ張り出す漏斗短管のまわりにらせん状に下方に開口の導水路10が形成されている。したがって分離部材7は、一体的な構成部分として形成することができる。
【0023】
図5には、本発明に係る真空トイレの可能な実施形態の図式的な回路図が示されている。メイン排出口4を有する便器5は、弁3を介してすでに上述した真空タンク1の流入開口部2と接続されている。真空タンク1の流出開口部6の下流に、1つの入口と2つの出口を有する三方弁13が接続されている。2つの出口にはそれぞれ、排泄物で汚染された排水流のための排出導管15と排泄物のない排水流のための排出導管14が設けられている。真空トイレは、さらに、制御ユニット12を有しており、当該制御ユニットは操作ユニット19、真空ポンプ18並びに、センサユニット20及び弁3、13と接続されている。
【0024】
洗浄プロセスは、操作ユニット9を介して始動される。操作ユニット9は、使用者に排水流の種類のためのしかるべきボタンを選択することが可能であるように設計することができる。この場合には、センサユニット20は必要ではなく、三方弁13の制御は、使用者の入力によって行われる。唯一の洗浄ボタンとセンサユニット20のみが設けられている限りにおいて、操作ユニット19が操作された場合にセンサユニット20が能動化される。その場合にこのセンサユニットは、それがどの種類の排水流であるかを検出する。センサユニット20は、たとえば光学的なセンサを有することができ、それが便器5内に取りつけられており、かつ便器の内容物を検出する。それに続いて、洗浄水が便器内へ移送されて、真空タンク1内に負圧を発生させる。次に、便器5のメイン排出口4の下方の弁3が開放されて、便器の内容物が真空タンク内へ吸い込まれる。分離部材7によって、排水流がタンクの側壁を介して制動されて真空タンク1の下方の容積9内へ導かれる。便器5の内容物が完全に吸い出されるとすぐに、流入開口部2の上流の弁3が再び閉止されて、三方弁13は制御ユニット12によってそれぞれ排水流の種類に応じて2つの排出導管14、15の一方へ向かって開放される。場合によっては、下方の容積9内の内容物をタンクから移送するために、三方弁13が開放された場合に真空ポンプ18を介して真空タンク1の内部を加圧することもできる。
【0025】
図6に示す実施形態においては、他の分離装置16が便器5内に設けられており、それを介して尿流を直接排出することができる。原理的に、尿流のための各既知の分離装置16を便器5内に設けることができる。好ましくは、それは、オーストリア国特許第521114号に開示されているような分離装置であって、それにおいては便器5内の副排出導管を介して尿流がティーポット効果を介して直接排出される。洗浄プロセスの制御は、図5に示す実施形態において上述したのと同様に行われる。図6に示す実施形態における他の差異は、排出導管14内に排泄物を含まない排水流のためにフィルタ装置17が設けられていることある。ここでは、たとえば排水流内にあるトイレペーパーが排水流から分離される。「固体」の要素として数えられるトイレペーパーは、フィルタ装置17を介して分離された後に、他の排出導管15内の排泄物で汚染された排水流へ供給して、それと一緒にさらに処理することができる。フィルタ装置17の後に残留する、多くの洗浄流と微量の尿を有する排水流は、図示される例において尿流のための分離装置16からの尿の排水流と一緒に案内されて、さらに処理される。しかし、洗浄水流を分離して洗浄水としての再処理へ供給することも可能である。
【0026】
図7に示す実施形態は、重要な部材内に図6に示す配置を示しており、その場合にここではフィルタ装置17の下流で排泄物を含まない排水流のさらなる分離が行われる。それなりに尿の割合がある排水流をほぼ洗浄水の割合のみの排水流から分離するために、フィルタ装置の下流の他の方向弁23が設けられており、それも同様に制御ユニット12によって駆動される。この方向弁23の制御は、様々なやり方で行うことができ、たとえば時間的にずらして純粋な浄化洗浄過程を排水洗浄過程から分離することができ、しかしまた、フィルタ装置17内に配置されている他のセンサユニット20に基づいて制御が行われる。当該センサユニットとしては、例えば、フィルタ装置17内にある排水流内の尿含有量を測定する伝導率センサが可能である。この情報に基づいて制御ユニット12が、方向弁23を洗浄水処理部22の方向に開放することができ、あるいは尿含有量が高い場合には排水流を尿流処理部21へ供給することができる。すでに便器5内に存在する尿流のための分離装置16も、尿流処理部21へ連通している。この付加的な分離可能性によって、既存のトイレ使用における尿排水流も効率的に洗浄水流から区別して分離することができる。
【0027】
図8は、他の可能な実施形態を示しており、それにおいて排水流全体がメイン排出口4を介して真空タンク1内へ移送されて、次に様々な流れ内で処理される。この目的のために、真空タンク1の流出開口部6に続いて粉砕ポンプ25が接続されており、それを介して真空タンク1の下方の容積9内にある排水流がさらに移送されて、均質化される。それは、尿の排水流である場合には、粉砕ポンプ25の下流にある三方弁26、13と方向弁23を介して尿流処理部21の方向へ迂回される。それが、純粋な洗浄水流である場合には、フィルタ装置17を介して洗浄水処理部22へ迂回される。その場合にフィルタ装置17は、もちろん三方弁13と方向弁23の間に配置することもできる。その場合に洗浄プロセスの制御と弁26、13、23の位置は、ここでも制御ユニット12によって、操作ユニット19の使用者の入力又はセンサユニット20に基づいて制御される。できるだけ少ない水の消費を達成するために、排水流は洗浄プロセスから時間的にもほぼ分離される。すなわち例えば、尿の排出流においては、これは洗浄プロセスの際にはまず真空タンク1を介して吸い出され、しかるべき尿流処理へ案内される。次に約1リットルの水による別の洗浄過程が行われ、その水が洗浄水処理部22へ供給される。
【0028】
排泄物で汚染された排水流である場合には、洗浄過程における水量がわずかであることに基づいて排水流は第1の通過においては粉砕ポンプ25によって充分に均質化されない。ここでも洗浄水を節約するために、洗浄プロセスは分離して実施される。排泄物の移送のためには、例えば0.3リットルの水しか使用されない。この理由から、制御ユニットが三方弁26を還流部27の方向へ切り替えることができ、当該還流部は真空タンク7の下方の容積9と接続されている。したがって、排水流は、それが充分に均質化されるまで、何回も粉砕ポンプ25を通して循環して案内することができる。次に、その排水流は、三方弁26、13を介して排泄物流のための排出導管15の方向へ迂回される。その後に初めて、便器5及び真空タンク1の下方の容積9のための本来の清掃洗浄が行われ、そのために約1.5リットルの洗浄水が使用される。この洗浄水は、汚れが少ないためにその後、同様に洗浄水処理部22を介して再使用することができる。その場合にこの種のトイレにおいては、合計において、1日あたり、従来の真空トイレの場合の約40リットル、あるいは従来の洗浄トイレの場合の約200リットルに比較して、約2.6リットルのきわめてわずかな洗浄水の全消費量となる。
【0029】
図9には、図式的な断面図において、下方のタンク部分24の可能な実施形態が示されている。その場合に、下方のタンク部分24は、タンク部分24の上端としての分離部材7と共に一体に形成されている。その場合に、導水路10は、下方のタンク部分24の側壁の一番上の壁部分と共に分離部材7によって形成されている。分離部材7の領域内において、流入開口部2が下方のタンク部分24内へ通じており、最下点には流出開口部6がある。上へ向かって通路孔11があり、真空処理の可能な容積を拡大するために上方のタンク部分(図示せず)を当該通路孔に接続することができる。すなわちそれぞれ適用事例と必要な真空度に応じて、それぞれ様々な幾何学配置又は容積を有する上方のタンク部分を配置することができる。その場合に、下方のタンク部分は常に等しいままであって、そのことが製造コストを低く抑える。
【0030】
したがって、本発明によって、一方ではきわめて少ない量の洗浄水で作動させることができ、他方では分離トイレとしての使用の場合に更によく分離可能で既に濃縮された排水流を発生させ、そのことは排水流のさらなる処理にとっても著しいエネルギの節約を意味する、真空トイレを形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】