(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】動的なマルチプレックス電源を備えたUSB/サンダーボルトからイーサネットへのアダプタ
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20240521BHJP
G06F 3/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G06F1/26 303
G06F1/26 306
G06F3/00 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504584
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 US2021041476
(87)【国際公開番号】W WO2022231639
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517256655
【氏名又は名称】ハドリー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルスタッド,ホーヴァル
(72)【発明者】
【氏名】ダールバック,ヨルゲン
(72)【発明者】
【氏名】アルメイダ,トマス アレクサンドル サルタオ
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA07
5B011DB05
5B011DB19
5B011EA02
5B011JB10
(57)【要約】
USB、サンダーボルト、および類似の接続を、動的なマルチプレックス電源を備えたイーサネット接続に適合させるための装置が提供される。本開示の装置は、ホストコンピュータのUSB、サンダーボルト、または類似の接続から周辺デバイスのイーサネットポートを介してその周辺デバイスを接続して電力供給するように適合されている。外部の直流と、ホストコンピュータからのUSBまたはサンダーボルト接続とを含む複数の電源からの動的なマルチプレックス電源を提供および調節するために、パワーマルチプレクサが、電流検知回路およびPoEイネーブルロジックブロックとともに利用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB接続を、動的なマルチプレックス電源を備えたイーサネット接続に適合させる装置であって、
前記装置は、
コンピュータのUSBポートに接続することが可能なUSB-Cコネクタと、
周辺デバイスのイーサネットポートに接続することが可能なイーサネットコネクタと、
前記USB-Cコネクタと前記イーサネットコネクタとの間においてデータを伝送するように適合されているデータフロー回路であって、イーサネット MACに接続しているUSB PHYを含み、前記イーサネット MACが、イーサネット PHYに接続されており、前記イーサネット PHYが、次いで磁気レイヤに接続されている、データフロー回路と、
複数の電源から前記イーサネットコネクタへの動的なマルチプレックス電源を提供するように適合されている電源回路であって、前記複数の電源が、直接回路電源ジャックと、前記USB-CコネクタからのVBUSとを含む、前記電源回路と、
を備え、
前記電源回路が、前記複数の電源から電力を受け取ってPoE PSE(power over イーサネット power sourcing equipment)コントローラへ電力を送るように適合されているパワーマルチプレクサを含み、前記PoE PSEコントローラが、前記磁気レイヤに接続されており、それによって前記磁気レイヤへ電力を伝送し、前記磁気レイヤが、データと結合されたPoEを前記イーサネットコネクタへ供給するように適合されている、装置。
【請求項2】
前記パワーマルチプレクサが、直流およびVBUSのうちの一方を前記PoE PSEコントローラへ出力するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パワーマルチプレクサが、前記直流およびVBUSの両方を前記PoE PSEコントローラへ出力するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記直流が前記電力出力において優先される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記電源回路がさらに、前記パワーマルチプレクサの下流に直流-直流(DC-DC)電圧昇圧コンバータを含み、前記DC-DC電圧昇圧コンバータが、前記電源回路における電圧を、前記PoE PSEコントローラへ出力する前に増大させるように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記DC-DC電圧昇圧コンバータが絶縁型DC-DC電圧昇圧コンバータである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記電源回路がさらに、前記USBコネクタの下流にあって前記パワーマルチプレクサへ電圧を出力するように適合されているUSB-PD(USB Power Delivery)コントローラを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記電源回路がさらに、前記パワーマルチプレクサの上流および前記USB-PDコントローラの下流に負荷保護回路を含み、前記負荷保護回路が、USB負荷保護を提供するように適合されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記負荷保護回路が電子ヒューズ(eFuse)である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記電源回路がさらに、電流検知回路を含み、前記電流検知回路が、前記DC-DC電圧昇圧コンバータの上流の電流レベルを検知して、十分な電流レベルが存在するかどうかを示す信号を提供するように適合されている、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記信号が、前記装置の外面上に見える多色LEDライトであり、十分な電流レベルを示すために所定の色が指定されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記信号が、前記USBポートを通じて接続されている前記コンピュータに対して表示される通知である、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記電源回路がさらに、前記電流検知回路の下流にPoEイネーブルロジックブロックを含み、前記PoEイネーブルロジックブロックが、十分な電流レベルが検知された場合に前記DC-DC電圧昇圧コンバータをアクティブ化して前記PoE PSEコントローラを有効にするように適合されている、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記PoEイネーブルロジックブロックが、十分な電流レベルが検知されない場合に前記DC-DC電圧昇圧コンバータを非アクティブ化して前記PoE PSEコントローラを無効にするように適合されており、前記イーサネットコネクタが、電力から切り離されたデータを伝送するように適合されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記電源回路がさらに、前記DC電源ジャックの下流および前記パワーマルチプレクサの上流に逆極性保護回路を含み、前記逆極性保護回路が、逆極性および過電圧からの保護を提供するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
サンダーボルト接続を、動的なマルチプレックス電源を備えたイーサネット接続に適合させる装置であって、
前記装置は、
コンピュータのサンダーボルトポートに接続することが可能なサンダーボルトコネクタと、
周辺デバイスのイーサネットポートに接続することが可能なイーサネットコネクタと、
前記サンダーボルトコネクタと前記イーサネットコネクタとの間においてデータを伝送するように適合されているデータフロー回路であって、イーサネット MACに接続しているサンダーボルト PHYを含み、前記イーサネット MACが、イーサネット PHYに接続されており、前記イーサネット PHYが、次いで磁気レイヤに接続されている、データフロー回路と、
複数の電源から前記イーサネットコネクタへの動的なマルチプレックス電源を提供するように適合されている電源回路であって、前記複数の電源が、直接回路電源ジャックと、前記サンダーボルトコネクタからの電圧とを含む、前記電気回路と、
を備え、
前記電源回路が、前記複数の電源から電力を受け取ってPoE PSE(power over イーサネット power sourcing equipment)コントローラへ電力を送るように適合されているパワーマルチプレクサを含み、前記PoE PSEコントローラが、前記磁気レイヤに接続されており、それによって前記磁気レイヤへ電力を伝送し、前記磁気レイヤが、データと結合されたPoEを前記イーサネットコネクタへ供給するように適合されている、装置。
【請求項17】
前記パワーマルチプレクサが、前記直流、および前記サンダーボルトコネクタからの前記電圧のうちの一方を出力するように適合されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記パワーマルチプレクサが、前記直流、および前記サンダーボルトコネクタからの前記電圧の両方を出力するように適合されている、請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記電源回路がさらに、前記パワーマルチプレクサの下流にDC-DC電圧昇圧コンバータを含み、前記DC-DC電圧昇圧コンバータが、前記電源回路における電圧を、前記PoE PSEコントローラへ出力する前に増大させるように適合されている、請求項16に記載の装置。
【請求項20】
前記電源回路がさらに、電流検知回路を含み、前記電流検知回路が、前記DC-DC電圧昇圧コンバータの上流の電流レベルを検知して、十分な電流レベルが存在するかどうかを示す信号を提供するように適合されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記信号が、前記装置の外面上に見える多色LEDライトであり、十分な電流レベルを示すために所定の色が指定されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記信号が、前記サンダーボルトポートを通じて接続されている前記コンピュータに対して表示される通知である、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
前記電源回路がさらに、前記電流検知回路の下流にPoEイネーブルロジックブロックを含み、前記PoEイネーブルロジックブロックが、十分な電流レベルが検知された場合に前記DC-DC電圧昇圧コンバータをアクティブ化して前記PoE PSEコントローラを有効にするように適合されている、請求項20に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、USB、サンダーボルト(Thunderbolt)、および類似の接続を、電源を備えたイーサネット(Ethernet)接続に適合させることに関する。具体的には、本開示は、接続されるコンピュータのUSB、サンダーボルト、または類似のポートから周辺デバイスのイーサネットポートを介してその周辺デバイスを接続して電力供給するためのシステムおよびソリューションに関する。より具体的には、本開示は、USB、サンダーボルト、または類似の接続を、動的なマルチプレックス電源を備えたイーサネット接続に適合させる装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の企業および家庭用電化製品においては、高解像度カメラおよびIoT(「Internet of Things」)アプライアンスなどの高速周辺デバイスが、そのホストコンピュータへ接続するために標準のイーサネット接続に依拠している場合が多い。たとえば、リモート会議室またはその他のスマートルーム、スマートホーム、およびスマートシティアプリケーションは、スマートカメラ、マイクロフォン、スピーカを含むインテリジェントな周辺機器またはセンサを装備している。これらのインテリジェントな周辺機器と、ルームにおける、またはネットワーク上の集中型のホストコンピュータとの間においては、高速接続が非常に重要である。これらのインテリジェントな周辺機器をそれらのホストコンピュータで操作し、それによってシステムにおける、またはネットワーク上でのデータ統合および処理をサポートするためには、安定した堅牢な電源オプションも不可欠である。イーサネットは、ローカルエリアネットワークにおいて一般的に使用されており、これらの設定でインテリジェントな周辺機器をサポートするのにかなり適している。イーサネットはまた、たとえばPoE(「Power over Ethernet」)インジェクタまたはPoEスイッチを使用することによって、イーサネットを介して電力を供給するように拡張されている。
【0003】
しかしながら、ほとんどのホストコンピュータは、ローカルエリアネットワークへと接続するためのイーサネット接続を(仮にあったとしても)1つしか有していない。それらのホストコンピュータは、イーサネット周辺機器へ接続するためのセカンダリーイーサネットポートを有しておらず、有している場合でも、この接続は、イーサネットを介して電力を提供しない。代わりに、ホストコンピュータは、1つまたは複数のUSB、USB-C、またはサンダーボルト接続を装備してくる場合が多い。その一方で、インテリジェントな周辺機器上での接続インターフェースまたはポートのためのスペースは、ますます乏しくなっているので、これらの周辺デバイスが、そのホストコンピュータへ接続している際にその標準のイーサネット接続を通じて電力供給されることが可能であるならば、有利である。
【0004】
そのため、PoEスイッチ、インジェクタなどの複雑なもしくは費用のかさむインフラストラクチャを付加すること、またはさらなるケーブルを据え付けることを必要とせずに、スマート会議室、スマートホーム、スマートシティ、またはその他のアプリケーションプラットフォームにおいてインテリジェントな周辺機器またはIoTデバイスをそれらのホストコンピュータとともにサポートする必要がある。具体的には、ホストコンピュータから周辺デバイスへのイーサネット接続を供給すること、そして同時にその同じイーサネット接続を介してその周辺デバイスに安定した堅牢な電源を提供することが可能である装置およびソリューションに対する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、USB、サンダーボルト、および関連した接続を、イーサネット接続を介したデバイス内電力を備えたイーサネット接続に適合させるための装置およびソリューションを提供することが、本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特に、本開示によれば、一実施形態において、USB接続を、動的なマルチプレックス電源を備えたイーサネット接続に適合させる装置が提供されている。この装置は、コンピュータのUSBポートに接続することが可能なUSB-Cコネクタと、周辺デバイスのイーサネットポートに接続することが可能なイーサネットコネクタと、USB-Cコネクタとイーサネットコネクタとの間においてデータを伝送するように適合されているデータフロー回路と、複数の電源からイーサネットコネクタへの動的なマルチプレックス電源を提供するように適合されている電源回路とを含む。データフロー回路は、順番にUSB PHY(「Physical Layer」)、イーサネット MAC(「Media Access Control」)、イーサネット PHY、および磁気レイヤを含む。USB PHYは、USB-Cコネクタに接続されている。磁気レイヤは、イーサネットコネクタに接続されている。複数の電源は、直接回路電源ジャックと、USB-CコネクタからのVBUSとを含む。電源回路は、複数の電源から電力を受け取ってPoE PSE(power over Ethernet power sourcing equipment)コントローラへ電力を送るように適合されているパワーマルチプレクサを含む。PoE PSEコントローラは、磁気レイヤに接続されており、それによって磁気レイヤへ電力を伝送する。磁気レイヤは、データと結合されたPoEをイーサネットコネクタへ供給するように適合されている。
【0007】
別の実施形態においては、パワーマルチプレクサは、直流およびVBUSのうちの一方をPoE PSEコントローラへ出力するように適合されている。さらに別の実施形態においては、パワーマルチプレクサは、直流およびVBUSの両方をPoE PSEコントローラへ出力するように適合されている。さらなる実施形態においては、直流が電力出力において優先される。
【0008】
別の実施形態によれば、電源回路はさらに、パワーマルチプレクサの下流に直流-直流(DC-DC)電圧昇圧コンバータを含む。DC-DC電圧昇圧コンバータは、電源回路における電圧を、PoE PSEコントローラへ出力する前に増大させるように適合されている。さらに別の実施形態においては、DC-DC電圧昇圧コンバータは、絶縁型DC-DC電圧昇圧コンバータである。
【0009】
さらなる実施形態においては、電源回路はさらに、USBコネクタの下流にあってパワーマルチプレクサへ電圧を出力するように適合されているUSB-PD(Power Delivery)コントローラを含む。
【0010】
別の実施形態においては、電源回路はさらに、パワーマルチプレクサの上流およびUSB-PDコントローラの下流に負荷保護回路を含む。負荷保護回路は、USB負荷保護を提供するように適合されている。さらに別の実施形態においては、負荷保護回路は、電子ヒューズ(eFuse)である。
【0011】
さらなる実施形態においては、電源回路はさらに、電流検知回路を含み、電流検知回路は、DC-DC電圧昇圧コンバータの上流の電流レベルを検知して、十分な電流レベルが存在するかどうかを示す信号を提供するように適合されている。別の実施形態においては、信号は、装置の外面上に見える多色LEDライトである。十分な電流レベルを示すために、所定の色が指定されている。さらに別の実施形態においては、信号は、USBポートを通じて接続されているコンピュータに対して表示される通知である。
【0012】
さらなる実施形態によれば、電源回路はさらに、電流検知回路の下流にPoEイネーブルロジックブロックを含む。PoEイネーブルロジックブロックは、十分な電流レベルが検知された場合にDC-DC電圧昇圧コンバータをアクティブ化してPoE PSEコントローラを有効にするように適合されている。別の実施形態においては、PoEイネーブルロジックブロックは、十分な電流レベルが検知されない場合にDC-DC電圧昇圧コンバータを非アクティブ化してPoE PSEコントローラを無効にするように適合されている。イーサネットコネクタは、この実施形態においては、電力から切り離されたデータを伝送するように適合されている。
【0013】
さらに別の実施形態においては、電源回路はさらに、DC電源ジャックの下流およびパワーマルチプレクサの上流に逆極性保護回路を含む。逆極性保護回路は、逆極性および過電圧からの保護を提供するように適合されている。
【0014】
本開示によれば、別の実施形態において、サンダーボルト接続を、動的なマルチプレックス電源を備えたイーサネット接続に適合させる装置が提供されている。この装置は、コンピュータのサンダーボルトポートに接続することが可能なサンダーボルトコネクタと、周辺デバイスのイーサネットポートに接続することが可能なイーサネットコネクタと、サンダーボルトコネクタとイーサネットコネクタとの間においてデータを伝送するように適合されているデータフロー回路と、複数の電源からイーサネットコネクタへの動的なマルチプレックス電源を提供するように適合されている電源回路とを含む。データフロー回路は、順番にサンダーボルト PHY、イーサネット MAC、イーサネット PHY、および磁気レイヤを含む。サンダーボルト PHYは、サンダーボルトコネクタに接続されている。磁気レイヤは、イーサネットコネクタに接続されている。複数の電源は、直接回路電源ジャックと、サンダーボルトコネクタからの電圧とを含む。電源回路は、複数の電源から電力を受け取ってPoE PSEコントローラへ電力を送るように適合されているパワーマルチプレクサを含む。PoE PSEコントローラは、磁気レイヤに接続されており、それによって磁気レイヤへ電力を伝送する。磁気レイヤは、データと結合されたPoEをイーサネットコネクタへ供給するように適合されている。
【0015】
別の実施形態においては、パワーマルチプレクサは、直流、およびサンダーボルトコネクタからの電圧のうちの一方を出力するように適合されている。さらに別の実施形態においては、パワーマルチプレクサは、直流、およびサンダーボルトコネクタからの電圧の両方を出力するように適合されている。
【0016】
さらなる実施形態においては、電源回路はさらに、パワーマルチプレクサの下流にDC-DC電圧昇圧コンバータを含む。DC-DC電圧昇圧コンバータは、電源回路における電圧を、PoE PSEコントローラへ出力する前に増大させるように適合されている。
【0017】
別の実施形態においては、電源回路はさらに、電流検知回路を含み、電流検知回路は、DC-DC電圧昇圧コンバータの上流の電流レベルを検知して、十分な電流レベルが存在するかどうかを示す信号を提供するように適合されている。さらに別の実施形態においては、信号は、装置の外面上に見える多色LEDライトである。十分な電流レベルを示すために、所定の色が指定されている。さらなる実施形態においては、信号は、サンダーボルトポートを通じて接続されているコンピュータに対して表示される通知である。
【0018】
別の実施形態においては、電源回路はさらに、電流検知回路の下流にPoEイネーブルロジックブロックを含む。PoEイネーブルロジックブロックは、十分な電流レベルが検知された場合にDC-DC電圧昇圧コンバータをアクティブ化してPoE PSEコントローラを有効にするように適合されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態による装置100を示す図であり、装置100は、そのイーサネットポートを介して周辺機器102に、そしてそのUSB/サンダーボルトポートを介してパーソナルコンピュータ101に接続している。
【
図2】一実施形態による、USBからイーサネットへのアダプタの電源回路およびデータフロー回路を示す図である。
【
図3】一実施形態による、サンダーボルトからイーサネットへのアダプタの電源回路およびデータフロー回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の装置は、さまざまな実施形態において、USB/サンダーボルトを、動的なマルチプレックス電源に基づくPoE電力注入を備えたイーサネットコントローラに結び付けるように適合されている。電源は、外部DC電源入力から、および/またはUSB、サンダーボルト、もしくは類似の接続を介してホストコンピュータから供給される。
【0021】
図1を参照すると、本開示の一実施形態によるアダプタ装置100が、そのイーサネットポートを介して周辺デバイス102に、そしてそのUSB/サンダーボルトポートを介してパーソナルコンピュータ(「PC」)101に接続している。この実施形態においては、周辺デバイス102は、スマートカメラであり、PCは、そのスマートカメラにとってのホストコンピュータである。一実施形態においては、アダプタ装置100は、補助電源に接続されており、この補助電源は、直流を供給する。さまざまな実施形態において、アダプタ装置100は、その電力をUSBまたはサンダーボルト接続からホストPC101へ供給する。そのため、スマートカメラ102は、そのイーサネットポートからアダプタ装置100を通じてホストPC101のUSBまたはサンダーボルトポートへの間における高速データ接続を保持する。同時に、スマートカメラ102は、アダプタ装置100を通じて同じイーサネット接続を介して電力供給される。本開示のさまざまな実施形態においては、周辺デバイス102は、任意のPoE対応周辺デバイスであることが可能であり、ホストPC101は、同じ空間におけるまたはネットワーク上の任意の接続されているコンピュータであることが可能である。
【0022】
データフローおよび電源回路
本開示の例示的な装置は、データフロー回路および電源回路を含む。
図2を参照すると、一実施形態においては、データフロー回路は、USB-Cコネクタ201とイーサネットコネクタ206との間におけるデータ転送をサポートする。順番に、データフロー回路は、USB PHY209、イーサネット MAC210、イーサネット PHY211、および磁気レイヤ212を含む。データは、データフロー回路の両端で、すなわち、USB-Cコネクタ201およびイーサネットコネクタ206で送信および受信される。
【0023】
同様に、
図3を参照すると、別の実施形態においては、データフロー回路は、サンダーボルトコネクタ301とイーサネットコネクタ306との間におけるデータ転送をサポートする。順番に、この実施形態におけるデータフロー回路は、サンダーボルト PHY309、イーサネット MAC310、イーサネット PHY311、および磁気レイヤ312を含む。データは、データフロー回路の両端で、すなわち、サンダーボルトコネクタ301およびイーサネットコネクタ306で送信および受信される。
【0024】
さまざまな実施形態において、電源回路は、直流電源、USB-C、サンダーボルト、および類似の接続を含む複数の電源からイーサネットコネクタへの動的なマルチプレックス電源をサポートする。
図2を参照すると、一実施形態において、電源回路は、直流を電源回路へと供給するDC電源ジャック202と、VBUS電圧を電源回路へと供給するUSB-Cコネクタ201とを含む。この実施形態においては、電源回路は、パワーマルチプレクサ(「Power MUX」)203を含み、パワーマルチプレクサ203は、VBUS電圧およびDC入力をそれぞれUSB-Cコネクタ201およびDC電源ジャック202から受け取る。パワーマルチプレクサ203の上流は、DC電源ジャック202に接続されている逆極性保護回路221、およびUSB-Cコネクタ201に接続されている負荷保護回路222である。逆極性保護221は、DC電源ジャック202から供給される可能性がある逆極性および過電流/電圧からの保護を提供する。負荷保護回路222は、USB-Cコネクタ201から供給されるVBUS電圧における過負荷からの保護を提供する。一実施形態においては、負荷保護回路222はeFuseデバイスである。eFuseデバイスは、USB標準負荷仕様への準拠を確実にする。代替実施形態においては、USB-PDコントローラが、USB-Cコネクタの下流および負荷保護回路222の上流にある電源回路に含まれている。これらの代替実施形態においては、USB PDおよび類似のテクノロジーが、電源回路におけるUSBインターフェースを介した増大された電力供給を提供する。
【0025】
パワーマルチプレクサ203の下流に順番に、電源回路は、DC-DC電圧昇圧コンバータ204、PoE PSEコントローラ205、および磁気レイヤ212を含む。いくつかの実施形態においては、DC-DC電圧昇圧コンバータは、絶縁型DC-DC電圧昇圧コンバータである。DC-DC電圧昇圧コンバータは、パワーマルチプレクサ203からVBUSおよび/またはDCを受け取り、増大された電圧(および電流)をPoE PSEコントローラ205へ供給する。PoE PSEコントローラ205は、PoE電圧を磁気レイヤ212へ出力し、磁気レイヤ212は次いで、磁気レイヤ212とイーサネットコネクタ206との間において搬送および転送されるデータと結合されたPoEをイーサネットコネクタ206へ供給する。
【0026】
図3を参照すると、別の実施形態において、電源回路は、直流を電源回路へと供給するDC電源ジャック302と、サンダーボルト電圧(「T電圧」)を電源回路へと供給するサンダーボルトコネクタ301とを含む。この実施形態においては、電源回路は、パワーマルチプレクサ(「Power MUX」)303を含み、パワーマルチプレクサ303は、T電圧およびDC入力をそれぞれサンダーボルトコネクタ301およびDC電源ジャック302から受け取る。パワーマルチプレクサ303の上流は、DC電源ジャック302に接続されている逆極性保護回路321、およびサンダーボルトコネクタ301に接続されている負荷保護回路322である。逆極性保護321は、DC電源ジャック302から供給される可能性がある逆極性および過電流/電圧からの保護を提供する。負荷保護回路322は、サンダーボルトコネクタ301から供給されるT電圧における過負荷からの保護を提供し、サンダーボルト標準負荷仕様への準拠を確実にする。
【0027】
パワーマルチプレクサ303の下流に順番に、電源回路は、DC-DC電圧昇圧コンバータ304、PoE PSEコントローラ305、および磁気レイヤ312を含む。いくつかの実施形態においては、DC-DC電圧昇圧コンバータは、絶縁型DC-DC電圧昇圧コンバータである。DC-DC電圧昇圧コンバータは、パワーマルチプレクサ303からT電圧および/またはDCを受け取り、増大された電圧(および電流)をPoE PSEコントローラ305へ供給する。PoE PSEコントローラ305は、PoE電圧を磁気レイヤ312へ出力し、磁気レイヤ312は次いで、磁気レイヤ312とイーサネットコネクタ306との間において搬送および転送されるデータと結合されたPoEをイーサネットコネクタ306へ供給する。
【0028】
動的なマルチプレックス電源
上で論じられているように、さまざまな実施形態において、DC電力と、USB VBUSまたはサンダーボルト電圧との間において電源を選択および調節するためにパワーマルチプレクサが利用される。一実施形態においては、DCおよびUSB/サンダーボルト電源の両方が同時に接続される。パワーマルチプレクサは、電源回路における負荷変化に基づいて動的に電源を調節し、接続されているホストコンピュータ101からのそのUSBまたはサンダーボルトポートを通じた入力を感知できる。別の実施形態においては、DCライン上に供給される電圧が、周辺デバイス102に電力供給するのに十分なレベルにある場合には、パワーマルチプレクサは、DC電力ジャック202および302を優先する。さらなる実施形態においては、電源のうちの1つが終端されているか、または電源回路から取り外されている場合には、パワーマルチプレクサは、DC電力とUSB VBUSまたはサンダーボルト電圧との間において切り替えを行う。そのため、動的なマルチプレックス電源を通じて、本開示のアダプタ装置100は、周辺デバイス102がそのネットワーク上で電力供給されてそのホストコンピュータ101に接続されている状態を保つ。
【0029】
本開示の例示的な装置に関しては、USB PDを含む電源回路は、5V、9V、12V、または15Vの電圧、および最大で3Aまたは5Aの電流を搬送することが可能である。USB-C VBUSは、USB規格に従って、最小で4.75Vおよび最大で5.25Vの電圧、ならびに最大で3Aの電流を搬送することが可能である。一実施形態における電源回路上のPoE(802.3af/802.3atタイプ1)は、最大で0.35Aまでの電流で37~57Vの範囲にあることが可能である。
【0030】
電流検知回路およびPoEイネーブルロジック
さらなる実施形態における本開示のアダプタ装置100は、DC-DC電圧昇圧コンバータ204および304ならびにPoE PSEコントローラ205および305を有効にするために十分な電力が利用可能であるかどうかを検知するように適合されている電流検知回路231および331を含む。十分な電流/電圧レベルでDC電力が検知された場合には、電流検知回路は、PoE PSE回路を有効にするために電力が利用可能であるというユーザ通知を提供する。USB VBUSまたはサンダーボルト電圧が電源回路上に供給されている場合には、電流検知回路231または331は、USBホストまたはサンダーボルトホストからの伝えられた電流を読み取る。十分なレベルでUSBまたはサンダーボルトホスト電流が検知された場合には、PoE PSE回路を有効にするのに現在の電力レベルは十分であるというユーザ通知が提供される。
【0031】
一実施形態においては、ユーザ通知は、アダプタ装置100の外面上に見えるLEDライトである。十分な電流レベルが検知された場合には、ライトは有効にされ、オンにされる。別の実施形態においては、LEDライトは多色であり、十分な電流レベルが検知された場合には、緑などの所定の色が表示される。十分な電流レベルが検知されていないということを知らせるために、赤などの異なる色が指定されることが可能である。代替実施形態においては、通知信号は、接続されているホストコンピュータ101上のドライバまたはアプリケーションへそのUSBまたはサンダーボルトポートを通じて伝達されてホストコンピュータ101のユーザへ表示されるメッセージである。
【0032】
さらなる実施形態においては、電源回路は、電流検知回路231および331の下流にそれぞれPoEイネーブルロジックブロック232および332を含み、それによって、十分な電流レベルが検知された場合にDC-DC電圧昇圧コンバータ204および304がアクティブ化され、PoE PSEコントローラ205および305が有効にされる。一実施形態においては、DC-DC電圧昇圧コンバータ204および304は、絶縁型DC-DC電圧昇圧コンバータである。
【0033】
DC電源、USB VBUS、またはサンダーボルト電圧から十分な電流レベルが検知されない場合には、電流検知回路231および331は、十分な電力が利用可能ではないというユーザ通知を表示し、PoEイネーブルロジックブロック232および332は、DC-DC電圧昇圧コンバータ204および304を非アクティブ化し、PoE PSEコントローラ205および305を無効にする。この実施形態においては、イーサネットコネクタ206および306は、電力から切り離されたデータを送信または受信するように適合されている。
【0034】
特定の実施形態によれば、電流検知回路およびPoEイネーブルロジックブロックは、アダプタ装置100におけるハードウェアとして集積回路を使用して実装される。代替実施形態においては、電流検知回路およびPoEイネーブルロジックブロックは、マイクロコントローラ、プロセッサ、FPGA(「field-programmable gate array」)、またはCPLD(「complex programmable logic device」)を使用して、ソフトウェアで実体化される。入力信号は、この実施形態においてはマイクロコントローラによって読み取られることが可能であり、組み合わせロジックはソフトウェアで実装され、マイクロコントローラからのハードウェア信号がPoEを有効にする。この実施形態によれば、マイクロコントローラを使用して、アダプタ装置100に関して、さらなるモニタリングおよび通知が可能にされ得る。追跡把握されてUSBまたはサンダーボルトホストコンピュータ101へ返されることが可能であるステータスパラメータのうちには、たとえば、温度測定値、PoE出力電力消費、PoE出力電圧レベル、PoEが有効にされている時間の量、周辺デバイス102にリンクされているイーサネット接続のスピードがある。これらのパラメータは、この実施形態においてはホストコンピュータ101上のアプリケーションにおいて使用されて、ユーザへの通知、およびアダプタ装置100における電源回路のさらなる管理および調節を可能にし得る。
【0035】
図面および例を含む、さまざまな実施形態の記述は、本発明およびそのさまざまな実施形態を例示するためのものであり、限定するためのものではない。
【国際調査報告】