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特表2024-520979糞便及び/又は尿の特徴付けを使用して対象者の体温を計測するためのシステム、装置、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】糞便及び/又は尿の特徴付けを使用して対象者の体温を計測するためのシステム、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20240521BHJP
【FI】
G01J5/48 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558840
(86)(22)【出願日】2022-05-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 US2022029646
(87)【国際公開番号】W WO2022245834
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,539
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/291,615
(32)【優先日】2021-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】523328946
【氏名又は名称】カサナ ケア,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ボークホルダー,デイビッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】シャムクハリチェナール,ハメド
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066AC20
2G066BA08
2G066BC15
2G066CA02
2G066CA04
(57)【要約】
排泄物収集装置の開口部を通じて受け取られた物体(例えば、尿又は糞便)の温度を監視するためのシステム、装置、及び方法を含む、排泄物収集装置内に排尿又は排便する対象者の生理学的データを監視するためのシステム、装置、及び方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステム、装置、及び方法は、排尿又は排便イベントに関連する温度プロファイルを生成し得る温度センサを含み、温度プロファイルに基づいて対象者の深部体温を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物収集装置の少なくとも一部分に結合するように構成されたカプラを含むハウジングと、
前記ハウジングによって支持された温度センサであって、前記温度センサは、前記カプラが前記排泄物収集装置に結合された際に前記排泄物収集装置の開口部に向かって方向付けされ、それにより、尿又は糞便が前記排泄物収集装置の前記開口部を通じて受け取られるとき、前記温度センサが、前記排泄物収集装置内に排尿している又は排便している対象者の前記尿又は前記糞便の温度を計測し得る、温度センサと、
前記温度センサに動作自在に結合されたプロセッサであって、
前記温度センサから前記尿及び/又は糞便の前記温度を通知する温度データを受け取るように、及び、
前記温度データに基づいて前記対象者の深部体温を判定するように、
構成されたプロセッサと、
を有する装置。
【請求項2】
前記温度センサに結合されたドライブシステムを更に有し、前記ドライブシステムは、前記開口部の少なくとも実質的な部分に跨ってスキャンするために前記温度センサを運動させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドライブシステムは、軸を中心として前記温度センサを回転させるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ドライブシステムは、前記温度センサを線形に平行運動させるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記排泄物収集装置はトイレであり、前記カプラは、前記トイレの座席に機械的に結合するように構成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記対象者の前記深部体温を通知する信号をプロセッサに送信するように構成された通信インターフェイスを更に有し、それにより、前記プロセッサは、前記信号の受信に応答して、前記深部体温に基づいて前記対象者の1つ又は複数の生理学的状態を評価する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記温度センサは、非接触型の赤外線(IR)センサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記温度センサは、前記温度センサのアレイが前記尿又は糞便の前記温度を計測し得るように、前記排泄物収集装置の前記開口部の実質的な大部分にわたるように構成された温度センサのアレイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
排尿又は排便イベントを検出するように構成されたセンサを更に有し、
前記プロセッサは、前記センサが前記排尿又は排便イベントを検出することに応答して、前記尿又は糞便の前記温度を計測するために前記温度センサを起動するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジングによって支持された温度センサであって、排泄物収集装置の開口部に向かって方向付けされた温度センサと、
前記温度センサに結合されたドライブシステムであって、前記ドライブシステムは、前記開口部のエリアに跨ってスキャンするために前記温度センサを運動させるように構成され、前記温度センサは、前記エリアに跨ってスキャンしている間に、及び、対象者が前記排泄物収集装置内に排尿又は排便しているときに、温度データを計測するように構成されている、ドライブシステムと、
前記温度センサに動作自在に結合されたプロセッサであって、
前記温度データを受け取り、前記温度センサによってスキャンされた前記エリア内の1つ又は複数の物体の温度を表す温度プロファイルとして前記温度データを組み合わせるように、
前記温度プロファイルから特徴の組を抽出するように、並びに、
深部体温を予測するようにトレーニングされたモデルを使用することにより、前記抽出された特徴の組に基づいて前記対象者の深部体温を判定するように、
構成されたプロセッサと、
を有する装置。
【請求項11】
前記モデルは、多重線形回帰、多項線形回帰、サポートベクトル回帰(SVR)、決定木回帰、ランダムフォレスト回帰、又は人工ニューラルネットワークの1つ又は複数を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記抽出された特徴の組は、最大ピーク温度、前記ピーク温度のプロミネンス、前記ピーク温度の高さから既定の距離における前記ピーク温度の幅、或いは、温度ベースラインと前記温度ベースラインに対応したものよりも高い温度を有するデータポイントの間の曲線下面積のうち少なくとも1つを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記深部体温を通知する信号をプロセッサに送信するように構成された通信インターフェイスを更に有し、それにより、前記プロセッサは、前記信号の受信に応答して、少なくとも前記深部体温に基づいて前記対象者の1つ又は複数の生理学的状態を評価する、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記温度センサは、非接触型の赤外線(IR)センサである、請求項10乃至13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記ドライブシステムは、軸を中心として前記温度センサを回転させるように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
排尿又は排便イベントを検出するように構成されているセンサを更に有し、
前記プロセッサは、前記センサが前記排尿又は排便イベントを検出するのに応答して、前記尿又は糞便の前記温度データを計測するために前記温度センサを起動するように更に構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
温度センサを起動することであって、前記温度センサは排泄物収集装置に結合され、対象者の尿又は糞便を受け取るためにトイレの開口部に対向するように方向付けされている、ことと、
前記対象者の排尿又は排便イベントの際に前記温度センサを使用して温度計測値の組を収集することと、
前記排尿又は排便イベントに関連する温度プロファイルを生成することと、
を含む方法。
【請求項18】
前記方法は、前記温度センサとは別個であるプロセッサに前記温度プロファイルを送信することを更に有し、それにより、前記プロセッサは、前記温度プロファイルに基づいて前記対象者の深部体温を判定する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記温度プロファイルに基づいて前記対象者の深部体温を判定することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記温度プロファイルに基づいて前記対象者の前記深部体温を判定することは、
前記温度プロファイルから特徴の組を抽出することと、
前記特徴の組に基づいて前記尿又は糞便の温度を予測するために、モデルに前記特徴の組を入力することと、
を含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記モデルは、多重線形回帰、多項線形回帰、サポートベクトル回帰(SVR)、決定木回帰、ランダムフォレスト回帰、又は人工ニューラルネットワークの1つ又は複数を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記モデルは、既知の温度を有する物体の予め収集された温度プロファイルを使用することにより、前記尿又は糞便の前記温度を予測するようにトレーニングされている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記特徴の組は、ピーク最大値、ピーク幅、又はピークのプロミネンスの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記温度計測値の組を収集することは、前記開口部の少なくとも実質的な部分に跨って前記温度センサを回転又は平行運動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記温度センサを較正するために温度データを収集することを更に含み、前記温度データは、黒体源の少なくとも1つの既知の温度を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項26】
前記温度センサは、約20℃~約40℃の温度の範囲内において約0.05℃~約1℃の精度を有するように較正されている、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記温度センサを前記起動することは、排尿又は排便イベントを通知するセンサからの信号を受け取ることに応答して前記温度センサを起動することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
温度センサにより、既知の温度の組を有する1つ又は複数の物体の温度データを収集することと、
前記既知の温度の組からのそれぞれの既知の温度ごとに前記1つ又は複数の物体に関連する温度プロファイルを生成することと、
前記既知の温度の組からのそれぞれの既知の温度ごとに生成された前記温度プロファイルから特徴の組を抽出することと、
前記1つ又は複数の物体の前記抽出された特徴の組及び前記既知の温度の組に基づいて物体の温度を予測するようにモデルをトレーニングすることと、
を含む方法。
【請求項29】
前記モデルをトレーニングすることは、(1)前記モデルによって予測された前記1つ又は複数の物体の予測温度と(2)前記1つ又は複数の物体の前記対応する既知の温度の間の誤差を極小化するように前記モデルの1つ又は複数のパラメータを反復的に調節することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記特徴の組は、最大ピーク温度、前記ピーク温度のプロミネンス、前記ピーク温度の高さから既定の距離における前記ピーク温度の幅、或いは、温度ベースラインと前記温度ベースラインに対応するものよりも大きな温度を有するデータポイントとの間の曲線下面積の少なくとも1つを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記温度センサは、排泄物収集装置に結合され、前記排泄物収集装置の開口部に向かって方向付けされており、
前記1つ又は複数の物体は、液体の1つ又は複数のストリーム又は1つ又は複数の固体物であり、前記排泄物収集装置の前記開口部は、前記液体の1つ又は複数のストリーム又は前記1つ又は複数の固体物を受け取るように構成されている、請求項28乃至30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記温度センサは、前記1つ又は複数の物体が前記開口部を通じて受け取られた際に前記排泄物収集装置の前記開口部の少なくとも実質的な部分に跨ってスキャンしながら、前記1つ又は複数の物体の前記温度データを収集するように構成されている、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年5月17日付で出願された「Systems,Devices,and Methods for Measurement of Human Body Core Temperature Using Urine or Feces」という名称の米国仮特許出願第63/189,539号の利益を主張するものであり、この特許文献の開示内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0002】
[0002] また、本出願は、2021年12月20日付で出願された「Systems,Devices,and Methods for Measuring Body Temperature of a Subject Using Characterization of Feces and/or Urine」と題する米国仮特許出願第63/291,615号の利益を主張するものであり、この特許文献の開示内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
技術分野
【0003】
[0003] 本明細書に記載の実施形態は、一般に、健康監視システムに関し、更に詳しくは、尿及び/又は糞便の特徴付けを通じて体温を計測するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
[0004] 患者の健康監視は、患者健康劣化の場合に個人及び医療従事者に早期の警告又はガイダンスを提供するために患者の生理学的状態を追跡する際の重要なツールである。しばしば、患者監視は煩わしいものであり、患者の特定のバイタルサイン又は特性を計測し得るように、個人が特定の装置を能動的に着用するか又はそのルーチンを変更することを必要とする。また、個人を監視する煩わしくないシステムは制限されており、不正確な結果を提供する可能性がある。従って、煩わしくない手段を通じて個人を監視するためのより正確な方式を開発するニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
[0005] 例えば、トイレ、小便器、便所、又はその他の排泄物収集装置又は排出物レセプタクルを使用することにより、排尿及び/又は排便の際に個人のデータを計測するためのシステム、装置、及び方法について本明細書に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] いくつかの実施形態において、装置は、トイレに結合するように構成されたカプラを含むハウジングと、ハウジングによって支持された温度センサであって、尿又は糞便がトイレの開口部を通じて受け取られるとき、カプラがトイレに結合された際にトイレの開口部に向かって方向付けされ、それにより、温度センサがトイレに着座した対象者の尿又は糞便の温度を計測し得る、温度センサと、温度センサに動作自在に結合されたプロセッサであって、温度センサから尿又は糞便の温度を通知する温度データを受け取るように及び温度データに基づいて対象者の深部体温を判定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態において、方法は、トイレにおける排尿又は排便イベントを検出することと、排尿又は排便イベントの検出に応答して温度センサを起動することであって、温度センサはトイレに結合され、対象者の尿又は糞便を受け取るためにトイレの開口部に対向するように方向付けされている、起動することと、排尿又は排便イベントの際に温度センサを使用して温度計測値の組を収集することと、排尿又は排便イベントに関連する温度プロファイルを生成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
図1】[0008]一実施形態による、対象者の体温を計測する検知装置の概略図である。
図2】[0009]一実施形態による、対象者の生理学的状態を監視する装置のネットワークを概略的に描く。
図3A】[0010]一実施形態による、排便及び/又は排尿装置の座席又はベースとの関係において構成された温度検知装置の概略図である。
図3B】[0011]一実施形態による、排泄物収集装置の座席又はベースとの関係において構成された温度検知装置の別の概略図である。
図4】[0012]一実施形態による、対象者の尿及び/又は糞便の特徴付けを介して対象者に関連する温度データを計測する検知装置を動作させる、例示用の方法のフローチャートである。
図5】[0013]一実施形態による、検知システムによって計測された温度プロファイルを使用して物体(例えば、糞便及び/又は尿)の温度を判定する、例示用の方法のフローチャートである。
図6】[0014]一実施形態による、物体(例えば、糞便及び/又は尿)の温度を判定するために使用されるモデルをトレーニングする、例示用の方法のフローチャートである。
図7A】[0015]一実施形態による、温度プロファイルを計測する例示用のインスタンスの概略図を示し、物体の幅が温度センサの視野を部分的に占有している。
図7B】[0016]一実施形態による、物体の幅が温度センサの視野を完全に占有している際に温度プロファイルを計測する、例示用のインスタンスの概略図を示す。
図8A】[0017]一実施形態による、温度センサの例示用の構成の概略図を示す。
図8B】[0018]いくつかの実施形態による、複数の温度センサの例示用の構成の概略図を示す。
図9A】[0019]いくつかの実施形態による、温度センサの観察角度又は位置の関数として計測された例示用の温度プロファイルを示す。
図9B】[0020]いくつかの実施形態による、温度センサの観察角度又は位置の関数として計測された例示用の温度プロファイルを示す。
図10A】[0021]一実施形態による、トイレ座席との関係において位置決めされた検知装置の斜視図を示す。
図10B】[0022]一実施形態による、検知装置の温度センサのクローズアップ図を示す。
図11A】[0023]一実施形態による、検知システムの温度センサの試験用の例示用のセットアップを示す。
図11B】[0024]図11Aに描かれている例示用のセットアップ内の温度センサのクローズアップ図を示す。
図12】[0025]一実施形態による、図11A図11Bのセットアップにおいて描かれている温度センサの観察角度の関数としての温度センサによって計測された温度プロファイルのプロットである。
図13】[0026]一実施形態による、温度プロファイルから抽出され得る様々なパラメータを示す物体の温度プロファイルのプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
[0027] 本明細書に記載の実施形態は、一般に、健康監視システム及び装置に関し、更に詳しくは、例えば、トイレなどの排泄物収集装置又は排出物レセプタクルの、例えば、上部に着座した又はその前面に直立している人物から排出される尿又は糞便の温度などの信号を監視するためのシステム、装置、及び方法に関する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、個人に関連する体内温度又は深部体温を計測することができ、これらは、個人の特定の生理学的データ又は状態を監視するために、及び特定の療法、治療、ライフスタイルの変化などを必要とするこのようなデータ又は状態の変化について個人及び/又は医療従事者に通知するために使用することができる。
【0010】
[0028] ほとんどの個人は、毎日、トイレ、小便器、又はその他の排便又は排尿装置を使用している。従って、個人がこのような装置に排便又は排尿している間に実施され得る健康監視は、その個人に関する情報を定期的に監視するための煩わしくない方法を提供し得る。体内温度又は深部体温などの尺度は、例えば、熱、月経の健康、概日リズム、不眠症及び睡眠障害、熱中症、低体温症、及び個人の全体的な健康及び幸福などの個人の特定の状態を監視するために有用であり得る。
【0011】
[0029] 対象者の深部体温は、対象者のバイタル臓器(例えば、脳又は心臓)の温度を表す。深部体温の非侵襲的計測は困難であり得る。従って、多くの既存のシステムは、外部体温の計測に依存している。但し、皮膚、脇の下、口腔温度、又は内耳などの身体の異なる領域内の外部体温は変化し得ることから、そのようなシステムは、体温の不正確な計測を提供する。直腸又は膣の温度は、一般には、特に低体温症においては深部体温の正確な評価を提供するものと見なされているが、相対的に侵襲的な又は面倒な計測方法であり得る。また、膀胱は、深部体温に近接した温度を有する部位として認識されている。従って、糞便又は尿などの直腸及び/又は膀胱から排出された物体の計測は、深部体温の相対的に正確な尺度を提供し得る。但し、このような物体の計測は、物体が環境条件に起因して熱を喪失しないように、身体からの物体の排出の際に迅速に実施する必要がある。本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、深部体温用の正確な尺度を取得するために、身体を離脱した直後に尿及び/又は糞便の温度を非侵襲的に計測するように設計される。
【0012】
[0030] 上述のように、深部体温は、例えば、熱、熱中症、低体温症、及び全体的な健康及び幸福を含む個人に関連するいくつかの状態を監視及び評価するために使用することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のシステム、装置、及び方法は、その他の検知システム及び/又は装置と共に使用することができる。トイレ、小便器などと一体化された更なるセンサからの情報によって温度データを補完することは、個人の健康に、より総合的な評価を提供し得る。例えば、個人の健康に関連するその他の計測は、例えば、個人の呼吸、体重、心弾動図(BCG)、脈波伝播速度(PWV)、1回拍出量、心拍出量、排尿又は排便の重量、及び/又はこれらに関連する重量の変化などを含む状態を監視及び評価するために使用することができる。その他の検知装置の適切な例については、「Apparatus,System,and Method for Mechanical Analysis of Seated Individual」と題する、2019年5月21日付で発行された米国特許第10,292,658号(「‘658特許」)、2022年4月11日付で出願された「Systems,Devices,and Methods for Monitoring Loads and Forces on a Seat」と題する国際特許出願第PCT/US2022/024236号(’236特許出願)、及び2022年5月11日付で出願された「Systems Devices,and Methods for Measuring Loads and Forces of a Seated Subject Using Scale Devices」と題する国際特許出願第PCT/US2022/28787号(‘787特許出願)に説明されている。これらの特許出願のそれぞれの開示内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0013】
[0031] 図1は、いくつかの実施形態による検知装置100の概略図である。検知装置100は、例えば、トイレボール、小便器、又はその他の排泄物収集装置内において対象者によって排泄された尿ストリーム又は糞便の温度を計測するように構成され得る。いくつかの実施形態において、対象者は、排尿/排便のためにトイレ座席上に着座していてもよく、又は排尿のためにトイレの前面に直立していてもよい。検知装置100は、ハウジング110を含み、ハウジング110は、プロセッサ120、メモリ122、及び1つ又は複数の温度センサ112を収容及び/又は支持し、任意選択により、1つ又は複数の更なるセンサ113、ドライブシステム114、及び/又は通信インターフェイス124を収容及び/又は支持する。また、検知装置100は、ハウジング110をトイレ又はその他の排泄物収集装置に結合する任意選択のカプラ116を含むこともできる。例えば、検知装置100は、トイレ又はその他の排泄物収集装置にカプラ116を介して結合されたアタッチメントであり得る。或いは、いくつかの実施形態において、検知装置100はトイレ内に統合されることができ、従って、カプラ116を含み得ない。
【0014】
[0032] ハウジング110は、温度センサ112、ドライブシステム114、プロセッサ120、メモリ122、更なるセンサ113、及び通信インターフェイス124を含む温度組立体の1つ又は複数のコンポーネントを収容(内蔵、格納、支持など)する、1つ又は複数のエリアを定義し得る。ハウジング110は、検知装置110がトイレ(或いは、その他の排泄物収集装置)の個人による使用を妨げることなしにトイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)内にフィットし得るように、十分に小さいものであり得る。例えば、ハウジング110は、個人がトイレボール内に排尿又は排便し得るエリアを妨げるか又は覆い隠すことなしにトイレボール内にフィットするように、十分に小さいものであり得る。いくつかの実施形態において、ハウジング110は、例えば、プロセッサ120、メモリ122、通信インターフェイス124、ドライブシステム114、温度センサ112、及び/又は更なるセンサ113などの、検知装置110の1つ又は複数のその他のコンポーネントを保護するように構成され得る。例えば、ハウジング110は、流体封止されたコンパートメントを含むことができ、それにより、例えば、水、尿、又はその他の液体は、このようなコンパートメント内に進入してこれらのコンパートメント内のコンポーネントを損傷することができない。いくつかの実施形態において、ハウジング110は、偶発的な力がプロセッサ120、メモリ122、通信インターフェイス124、ドライブシステム114、温度センサ112、及び/又は更なるセンサ113の1つ又は複数に印加されることを防止し得る(或いは、偶発的な力が印加されることを低減し得る)突出部、棚部、凹部などを含み得る。いくつかの実施形態において、ハウジング110は剛性材料から製造され得る一方で、その他の実施形態において、ハウジング110は柔軟な材料から形成され得る。
【0015】
[0033] 温度センサ112は、対象者の身体から排泄されるとき、尿ストリーム及び/又は糞便の温度を計測するように構成され得る。温度センサ112は、例えば、尿及び/又は糞便がそれを通じて収集され得るトイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)の開口部にわたるように、静的なものであってもよく、又は線形モーションにおいて及び/又は軸を中心とした回転方式において運動可能であってもよい。従って、温度センサ112は、このような尿及び/又は糞便がトイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)内に受け取られる正確な場所とは無関係に尿及び/又は糞便の温度をキャプチャするために使用することができる。具体的には、個人がトイレに着座しているか又はトイレの周りに直立している位置に応じて、個人は、尿及び/又は糞便をトイレボールの異なる場所内に排泄し得る。従って、トイレボールの領域全体にわたる温度センサ112(例えば、温度センサのアレイ)又はトイレボールの全体領域をカバーするように運動し得る運動可能なセンサを有することにより、検知装置100は、尿及び/又は糞便がトイレボール内に排出される場所とは独立的に個人の尿及び/又は糞便を計測するように構成され得る。一実施形態において、温度センサ112は、非接触型の赤外線(IR)温度計又は温度センサを含むことができ、これらは、計測対象の物体によって放出される熱放射又は黒体放射に基づいて温度を計測し得る。非接触型の赤外線温度センサは、物体によって放出された赤外線熱放射を検出器上に合焦するレンズを含むことができ、これは、放射力を物体の温度を表す電気信号に変換している。非接触型の赤外線温度計の例は、赤外線サーモパイルセンサ、ダイオードに基づいたデジタル赤外線センサ、及び熱撮像カメラを含む。或いは、又はこれに加えて、温度センサ112は、複数のピクセルを有するサーモパイル赤外線アレイを含むこともできる。サーモパイル赤外線アレイを使用する際には、物体の温度プロファイルを記録するためにセンサをスキャン又は運動させる必要性が存在しない場合がある。
【0016】
[0034] いくつかの実施形態において、任意選択のカプラ116は、例えば、ハウジング110を定位置に堅固に固定するように、ハウジング110をトイレ又はその他の排泄物収集装置に結合するために使用することができる。いくつかの実施形態において、カプラ116は、検知装置100をトイレ又はその他の排泄物収集装置の一部分に固定するために、例えば、ラッチ、クランプ、フック、留め具、又はその他の機械的コンポーネントなどの機械的カプラを含み得る。いくつかの実施形態において、カプラ116は、検知装置110をトイレ又はその他の排泄物収集装置の一部分に固定するために、接着剤、磁石、及び/又は電気的に起動されるコンポーネントを含み得る。
【0017】
[0035] いくつかの実施形態において、任意選択のドライブシステム114を1つ又は複数の温度センサ112の位置及び/又は向きを制御するために使用することができる。例えば、ドライブシステム114は、例えば、1つ又は複数の温度センサ112が複数の位置又は観察角度において温度データを収集することを可能にするために1つ又は複数の温度センサ112を線形に平行運動及び/又は回転させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ドライブシステム114は、温度センサ112の観察範囲がトイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)の長さの少なくとも実質的な大部分を包含又はカバーするように、温度センサ112を運動させるように構成され得る。具体的には、温度センサ112は、トイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)の長さ全体をカバーしていない視野(FOV)を有し得る。従って、温度センサ112は、隔離され且つ任意の運動を伴うことなしに使用された場合には、トイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)の特定の場所内に落下する尿及び/又は糞便の温度をキャプチャすることができない。従って、本明細書に記載の検知装置100は、トイレボールの長さ及び/又はエリアの全体(或いは、長さ及び/又はエリアの少なくとも実質的な大部分)に跨って計測値を収集するために温度センサ112(或いは、複数の温度センサ112)を運動させるように構成されたドライブシステム114を含むことができる。いくつかの実施形態において、ドライブシステム114は、一連の観察角度を通じて1つ又は複数の温度センサ112を回転させる単一モーターを含み得る。或いは、この代わりに、ドライブシステム114は、複数の軸に沿って温度センサ112を平行運動させ得る及び/又は複数の軸を中心として温度センサ112を回転させ得る複数のモーターを含み得る。いくつかの実施形態において、検知装置100は、ドライブシステム114を含んでいなくてもよい。このような実施形態においては、検知装置110は、トイレボール(或いは、その他の排泄物収集装置)の長さ及び/又はエリアの全体(或いは、長さ及び/又はエリアの少なくとも実質的な大部分)にわたるか又はこれをカバーする、温度センサ112又は温度センサ112のアレイを有していてもよく、従って、ドライブシステム114は、装置100の動作のために必要とされ得ない。いくつかの実施形態において、検知装置110は、例えば、対象者の尿及び/又は糞便を受け取るためのエリアにわたるように回転又は平行運動され得る、単一の温度センサ112を含み得る。或いは、この代わりに、検知装置110は、2つのセンサ、3つのセンサ、4つのセンサ、5つのセンサ、約10個のセンサ、約15個のセンサ、約20個のセンサ、約25個のセンサ、約50個のセンサ、約75個のセンサ、約100個のセンサ、或いは、これらの間の任意の他の値又は範囲の数のセンサを含み得る。
【0018】
[0036] いくつかの実施形態において、検知装置100は、例えば、対象者がトイレ座席上に着座している及び/又はトイレ座席の前面に直立している間に、対象者の更なるデータを収集し得る、任意選択の更なるセンサ113を含むことができる。例えば、検知装置110は、力センサ、インピーダンスセンサ、パルスオキシメータ、皮膚温度センサ、及び/又はその他のタイプのセンサを含み得る。更なるセンサ113は、ハウジング110によって支持及び/又は収容することができる。例えば、一実施形態において、ハウジング110は、トイレリング及び/又はトイレリングに対するアタッチメントとして実装することができ、温度センサ112及び/又は更なるセンサ113は、トイレリングの周りの異なる場所に位置決めすることができる。いくつかの実施形態において、複数の温度センサ112は、尿及び/又は糞便の温度を計測するために(単独で又は更なるセンサとの組合せにおいて)使用することができ、複数のセンサからの温度データは、例えば、(例えば、独立した信号を平均化又は比較することによって)ノイズを低減するために及び/又は深部体温及び/又はその他の生理学的特性又は状態の相対的に正確な尺度を提供するために平均化することができる。いくつかの実施形態において、更なるセンサ113は、個人がトイレ又はその他の排泄物収集装置を使用している際を検出するためのモーション、光、力、又はその他のタイプのセンサを含み得る。例えば、このようなセンサ113は、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の近傍の運動及び/又はトイレ又はその他の排泄物収集装置の座席上の圧力又は力を検出することができる。次いで、センサ113は、この情報をプロセッサ(例えば、後述するプロセッサ120)に送信することができ、プロセッサは、個人によってトイレ又はその他の排泄物収集装置内に落下される尿及び/又は糞便の温度をキャプチャするために温度センサ112及び/又はドライブシステム114を起動するように構成され得る。
【0019】
[0037] 温度センサ112及び/又は更なるセンサ113によって収集されたデータは、プロセッサ120において受け取ることができる。いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、温度センサ112及び/又は更なるセンサ113によって収集されたデータを処理(例えば、フィルタリング、平均化など)するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、例えば、対象者の様々な生理学的データ又は状態を監視及び/又は評価するために、温度センサ112及び/又は更なるセンサ113によって収集されたデータを分析するように構成され得る。プロセッサ120は、温度センサ112及び/又は更なるセンサ113からのセンサデータの処理及び/又は分析に関連する機能を実行及び/又は稼働させるように構成された任意の適切な処理装置であり得る。例えば、プロセッサ120は、個人の温度、体重、BCG、ECG、姿勢、インピーダンス、又はその他の生理学的データ又は状態を判定するために、(例えば、センサ112及び/又は113から受け取られた)センサデータを処理及び/又は分析するように構成され得る。これに加えて、又はこの代わりに、プロセッサ120は、ドライブシステム114がトイレ又はその他の排泄物収集装置との関係におけるセンサ112及び/又は113の角度及び位置を変更するようにすることもできる。例えば、プロセッサ120は、既定のアルゴリズムに従ってセンサ112及び/又は113を運動させるためにドライブシステム114を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ120は、センサ112及び/又は更なるセンサ113によって収集されたデータをその他の装置(例えば、リモート演算装置又はユーザー装置)に送信するように構成され得、それにより、これらの装置はデータを処理及び/又は分析することができる。プロセッサ120は、任意選択の通信インターフェイス124に結合することができ、これは、その他の装置との間において情報を送信及び/又は受信するために使用することができる。プロセッサ120は、汎用プロセッサ、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、用途固有の集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又はこれらに類似したものであり得る。
【0020】
[0038] プロセッサは、メモリ122に動作自在に結合することができる。メモリ122は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、データベース、消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、読み出し専用メモリ(ROM)、及び/又はこれらに類似したものであり得る。いくつかの実施形態において、メモリ122は、プロセッサがセンサ112及び/又は113からのセンサデータの処理及び分析、ドライブシステム114の制御、又は通信インターフェイス124を介したセンサデータのその他の装置への送信に関連するモジュール、プロセス、及び/又は機能を実行するようにする命令を保存している。
【0021】
[0039] 図2は、ネットワーク204を介してその他の装置との通信状態にある検知システム200を示すブロック図を描いている。いくつかの実施形態において、検知システム200は、例えば、個人の深部体温を含む、トイレに着座した個人に関連する生理学的データ又は信号を計測するように構成され得る。検知システム200は、例えば、検知装置100を含む本明細書に記載のその他の検知システム及び装置のものに構造的及び/又は機能的に類似したコンポーネントを含み得る。例えば、検知システム200は、温度を計測するように構成され得る1つ又は複数のセンサを含み得る。センサは、センサ112に機能的及び/又は構造的に類似し得る。センサは、検知装置(例えば、検知装置100)内において配設することができ、トイレ、小便器、又はその他の排泄物収集装置上に着座した又はその前面に直立している対象者の身体から排泄されるときに尿ストリーム及び/又は糞便の温度を表すセンサデータを収集するように構成され得る。センサによって計測された温度は、対象者の体内温度又は深部体温を判定するために(例えば、一例として、プロセッサ120などのプロセッサによって)使用することができる。
【0022】
[0040] いくつかの実施形態において、検知システム200は、任意選択により、ネットワーク204を介して補助検知システム250と通信することができる。補助検知システム250は、検知システム200と同一の個人に関連する生理学的データ又は信号を計測するように構成され得る。例えば、個人は、トイレ又はその他の排泄物収集装置内に排尿又は排便していることができ、検知システム200は、身体から排泄されときに尿ストリーム又は糞便の温度を計測することができ、及び、補助検知システム250は、個人に関連するその他のデータ(例えば、荷重又は力、皮膚温度、インピーダンスなど)を計測することができる。いくつかの実施形態において、検知システム200及び補助検知システム250は、個人に関連するデータを計測するように集合的に構成することができ、これは、個人の1つ又は複数の生理学的状態を評価するために使用することができる。
【0023】
[0041] 描かれていないが、補助検知システム250は、トイレ又はその他の排泄物収集装置を使用して個人に関連するデータを計測及び/又は処理するために、1つ又は複数のセンサ、通信インターフェイス、及び/又はプロセッサを含むことができる。いくつかの実施形態において、補助検知システム250は、検知システム200からデータ(例えば、温度データ)を受け取るように構成することができ、補助検知システム250のオンボードプロセッサは、対象者(例えば、トイレに着座した個人)の体重、BCG、インピーダンス、又はその他の生理学的データ又は状態などの情報を判定するために、補助検知システム250によって収集されたその他のデータと組み合わせて、このデータを処理及び/又は分析するように構成され得る。いくつかの実施形態において、補助検知システム250は、先程引用によって包含された’658特許及び’236特許出願に説明されているように、トイレ座席内に統合された検知システムを含むことができる。
【0024】
[0042] いくつかの実施形態において、検知システム200は、ネットワーク204を介して、演算装置280、1つ又は複数のユーザー装置260、1つ又は複数のサードパーティ装置270などのその他の装置と通信するように構成され得る。ネットワーク204は、有線ネットワーク及び/又は無線ネットワークとして実装され、検知システム200、補助検知システム250、演算装置280、ユーザー装置260、及び/又はサードパーティ装置270を含む任意の演算装置に動作自在に結合するために使用される、任意のタイプのネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、仮想ネットワーク、電気通信ネットワーク)であり得る1つ又は複数のネットワークを含み得る。
【0025】
[0043] 任意選択により、検知システム200は、通信インターフェイス(例えば、通信インターフェイス124)を介してセンサによって計測されたデータを補助検知システム250、演算装置280、1つ又は複数のユーザー装置260、及び/又は1つ又は複数のサードパーティ装置270に送信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、検知システム200は、センサデータを補助検知システム250、演算装置280、ユーザー装置260、及び/又はサードパーティ装置270に送信する前に、センサデータを処理(例えば、フィルタリング、変換、平均化など)するために、マイクロプロセッサ(例えば、プロセッサ120)として実装されたプロセッサなどのオンボード処理を含むことができる。或いは、検知システム200は、補助検知システム250、演算装置280、1つ又は複数のユーザー装置260、及び/又は1つ又は複数のサードパーティ装置270に、未加工センサデータを送信するように構成することもできる。いくつかの実施形態において、プロセッサは、センサデータを分析するように及び/又は対象者(トイレに着座した個人)の深部体温又はその他の生理学的データ又は状態などの情報を判定するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、例えば、オンボードディスプレイ、オーディオ装置、又はその他の出力装置を介してこの情報をユーザーに提示するように構成され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、情報をユーザーに提供するように、情報を別の装置(例えば、補助検知システム250、ユーザー装置260、演算装置280、又はサードパーティ装置270)に送信するために通信インターフェイスとインターフェイスすることができる。通信インターフェイスは、例えば、演算装置280、1つ又は複数のユーザー装置260、及び/又は1つ又は複数のサードパーティ装置270を含む外部装置との間の双方向通信を許容するように構成され得る。通信インターフェイスは、ネットワーク204上において通信するための有線又は無線インターフェイスを含み得る。
【0026】
[0044] 演算装置280は、例えば、センサから受け取られたセンサデータを処理及び/又は分析するように構成され得る。いくつかの実施形態において、演算装置280は、センサデータを受け取り、そのセンサデータを処理及び/又は分析するためのソフトウェア及び/又はハードウェアを含む近傍の演算装置(例えば、ローカルコンピュータ、ラップトップ、モバイル装置、タブレットなど)であり得る。いくつかの実施形態において、演算装置280は、検知システム200から離れているが、ネットワーク204を介して及び/又はネットワーク204上の別の装置(例えば、ユーザー装置260)を介して検知システム200と通信し得るサーバーであり得る。例えば、検知システム200は、例えば、無線ネットワーク(例えば、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標) low energy、Zigbee、及びこれらに類似したもの)を介して近傍の装置(例えば、補助検知システム250又はユーザー装置260)にセンサデータを送信するように構成することができ、次いで、その装置は、更なる処理及び/又は分析のためにセンサデータを演算装置280に送信するように構成され得る。
【0027】
[0045] ユーザー装置260は、検知システム200を装備したトイレ又はその他の排泄物収集装置のユーザーに関連する演算装置であり得る。ユーザー装置260の例は、携帯電話機又はその他の携帯型装置、タブレット、ラップトップ、パーソナルコンピュータ、スマート装置などを含み得る。いくつかの実施形態において、ユーザー装置260は、検知システム200からセンサデータを受け取ることができ、センサデータを演算装置260に伝達する前にそのセンサデータを処理することができる。例えば、ユーザー装置260は、未加工のセンサデータにおけるノイズを低減(例えば、フィルタリング、時間平均化、など)するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ユーザー装置260は、センサデータを分析するように、及び(例えば、ディスプレイを介して)センサデータを表す又は要約する情報を提示するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ユーザー装置260は、体重情報、体温情報、心拍数情報、などをユーザーに提供することができる。いくつかの実施形態において、ユーザー装置260は、センサデータを演算装置260に送信することができ、これは、センサデータを分析することができ、センサデータを表すか又は要約する情報を(例えば、ディスプレイを介した)ユーザーへの提示のためにユーザー装置260に返送することができる。
【0028】
[0046] サードパーティ装置270は、ユーザーのデータへのアクセスを要求した又はこれが提供されているその他の個人又はエンティティに関連する演算装置であり得る。例えば、サードパーティ装置270は、医療従事者(例えば、医師、看護師、セラピスト)及び/又はユーザーの介護者と関連付けられ得る。ユーザーは、特定のサードパーティが(例えば、検知システム200によって収集されたセンサデータから得られた健康データを含む)ユーザーの健康データに対するアクセスを有するように選択することができる。従って、サードパーティは、ユーザーが特定の状態におけるリスク状態にあるかどうか及び/又は特定の介入、治療、又は介護を必要としているかどうかを判定するために、ユーザーの健康情報を追跡することができる。
【0029】
[0047] 演算装置280は、プロセッサ282、メモリ284、及び入出力装置(I/O)286(或いは、このようなコンポーネントの多数)を含み得る。メモリ284は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、データベース、消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、読み出し専用メモリ(ROM)、及び/又はこれらに類似したものであり得る。いくつかの実施形態において、メモリは、プロセッサが検知システムからのセンサデータの処理及び/又は分析に関連するモジュール、プロセス、及び/又は機能を実行するようにする命令を保存する。
【0030】
[0048] 演算装置280のプロセッサ282は、検知システム200からのセンサデータの処理及び/又は分析に関連する機能を実行する及び/又は稼働させるように構成された任意の適切な処理装置であり得る。例えば、プロセッサ282は、個人の深部体温、体重、BCG、ECG、姿勢、インピーダンス、又はその他の生理学的データ又は状態を判定するために、(例えば、センサ112及び/又は113などの検知システム200のセンサから受け取られた)センサデータを処理及び/又は分析するように構成され得る。プロセッサ282は、汎用プロセッサ、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、用途固有の集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び/又はこれらに類似したものであり得る。
【0031】
[0049] いくつかの実施形態において、演算装置280は入出力装置286を含み、入出力装置286は、その他の装置(例えば、検知システム200、ユーザー装置260、サードパーティ装置270)との間で情報を受信及び/又は送信するための1つ又は複数のコンポーネント(例えば、通信又はネットワークインターフェイス)を含み得る。いくつかの実施形態において、入出力装置286は、任意選択により、情報をユーザーに提示するためのディスプレイ、オーディオ装置、又はその他の出力装置を含むことができ、又はこれらに動作自在に結合することができる。いくつかの実施形態において、入出力装置286は、任意選択により、ユーザーから情報を受け取るためのタッチスクリーン、キーボード、又はその他の入力装置を含むことができ、又はこれらに動作自在に結合することができる。
【0032】
[0050] 補助検知システム250、ユーザー装置260、及びサードパーティ装置270は、任意のオンボードメモリ、処理、及び/又は入出力装置を伴って描かれてはいないが、これらの装置のうち任意のものは、例えば、センサデータの処理及び/又は分析或いは個人に関する生理学的情報(例えば、深部体温、体重、BCG、姿勢、インピーダンス、など)の判定のためのセンサデータの使用などの機能を実行することを可能にするコンポーネント(例えば、メモリ、プロセッサ、入出力装置、など)を含み得ることを理解されたい。
【0033】
[0051] 図3Aは、一実施形態によるカプラ316を介してトイレ又はその他の排泄物収集装置の座席又はベース340に結合された温度検知システム300の概略図である。検知システム300は、例えば、検知装置100及び/又は検知システム200を含む本明細書に記載のその他の検知システム及び装置に構造的及び/又は機能的に類似し得、このようなシステム及び装置に構造的及び/又は機能的に類似したコンポーネントを含むことができる。例えば、カプラ316は、図1を参照して説明されるカプラ116に構造的及び/又は機能的に類似し得る。また、検知システム300は、例えば、トイレ又はその他の排泄物収集装置の座席又はベース340内に受け取られた尿及び/又は糞便の温度を計測するための温度センサ(例えば、温度センサ112)をも含み得る。カプラ316は、検知システム300を座席又はベース340に着脱自在に結合するように構成され得る。検知システム300は、カプラ316を介して座席又はベース340に結合された際に検知システム300の温度センサがその内部に受け取られた尿及び/又は糞便の温度を計測するためにトイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部342の少なくとも実質的な部分をスキャンし得るように、位置決めすることができる。また、いくつかの実施形態において、検知システム300は、個人がトイレ又はその他の排泄物収集装置を使用している際を検出するための及び/又は個人のその他の生理学的パラメータを計測するための更なるセンサ(例えば、更なるセンサ113)を含むことができる。例えば、検知システム300は、座席又はベース340の開口部342の近傍における運動が存在している際を検出し得るモーション又は光センサを含み得る。このような事例においては、モーション又は光センサは、信号をプロセッサ(例えば、プロセッサ120などのオンボードプロセッサ)に送信することができ、プロセッサは、信号の受信に応答して温度センサを起動するように構成され得る。
【0034】
[0052] 図3Bは、一実施形態によるトイレ又はその他の排泄物収集装置の座席又はベース340’内に直接的に統合された温度検知システム300’の別の概略図を描いている。検知システム300’は、検知システム300(並びに、本明細書に記載のその他の検知システム及び/又は装置)に構造的及び/又は機能的に類似し得るが、カプラ316を介して結合される代わりに座席又はベース340’内に統合することができる。統合されるのに伴って、検知システム300’は、その温度センサ(例えば、温度センサ112)が開口部342’内に受け取られた尿及び/又は糞便の温度を計測するためにトイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部342’の少なくとも実質的な部分をスキャンし得るように位置決めされている。
【0035】
[0053] 図4は、本明細書に記載のシステム及び装置の動作の例示用の方法400を描いている。例えば、検知システム100及び/又はシステム200、300、300’などの本明細書に記載のシステム及び装置は、トイレ又はその他の排泄物収集装置内に受け取られた尿及び/又は糞便の温度を計測するための1つ又は複数の温度センサ(例えば、温度センサ112)を含み得る。システム又は装置は、その温度センサが尿及び/又は糞便を受け取っているトイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の少なくとも実質的な部分をスキャンし得るように、トイレ又はその他の排泄物収集装置上に設置することができる。
【0036】
[0054] 402において、トイレ又はその他の排泄物収集装置上に設置された検知システムの温度センサを較正することができる。例えば、温度センサは、基準源(例えば、既知の温度及び/又は表面特性(例えば、放射率)を有する黒体源)のデータを収集することができ、そのデータをプロセッサ(例えば、オンボードプロセッサ(例えば、プロセッサ120)及び/又は外部演算装置(例えば、ユーザー装置260、演算装置280)に関連するプロセッサ)に送信することができ、プロセッサは、センサデータ及び基準源の既知の温度及び/又は表面特性に基づいて温度センサを較正することができる。いくつかの例において、温度センサは、予め定義された精度を有するように較正することができる。例えば、温度センサは、その間のすべての範囲及び値(例えば、約0.05℃超、1℃未満、又は約0.05℃~約1℃の間)を含む約0.05℃、0.1℃、約0.2℃、約0.3℃、約0.4℃、約0.5℃、又は約1℃の精度を有するように構成され得る。温度センサは、その間の他のサブレンジを含む、例えば、約20℃~約40℃などの、予め定義された温度の範囲内において予め定義された精度を有するように較正され得る。例えば、温度センサは、約30℃~約40℃の範囲内の予め定義された精度に較正され得る。いくつかの実施形態において、温度センサは、工場較正され得、或いは、個人によってそのトイレ又はその他の排泄物収集装置上に設置される前に較正され得る。いくつかの実施形態において、温度センサは、例えば、トイレ又はその他の排泄物収集装置に対するシステムコンポーネントの異なる装着及び/又はその他の環境ファクタ(例えば、通常の照明、周辺室温、など)を考慮するために、トイレ又はその他の排泄物収集装置上におけるシステムの設置の際に又は後に較正され得る。
【0037】
[0055] 例示の較正手順において、IRセンサなどの温度センサ(例えば、112)は、既知の温度及び表面特性を有する黒体源によって較正され得る。表面特性の一例は放射率であり、これは、物体が電磁放射をどれだけ良好に放出し得るかを示している。放射率は、理想的な黒体の場合の1から0までの範囲を有する。1の放射率は、完全なエミッタのインジケータであるが、実際的な用途においては、黒体は100%の効率性を有していない。例えば、MLX90614ESF-DCIセンサなどのIRセンサを較正するために使用されている黒体は、温度の予め定義された範囲(例えば、22~40℃)における±0.3℃の温度精度を伴って、0.97の放射率を有し得る。計測を実行するためにセンサを使用する前に、例えば、30~40℃の範囲内などの相対的に狭い範囲内においてセンサの精度を増大させることが望ましいことであり得る。この相対的に狭い範囲内においてIRセンサを較正するために、例示用の一実施形態において、IRセンサは、5cmの距離において黒体源のアクティブな温度制御された表面に向かうポイントに対して配置することができる。較正プロセスにおいて、1℃のインターバルにより、黒体の温度を30℃から40℃へ変更することができる。次いで、例えば、計測の前に黒体温度が安定化することを確実にするために、それぞれのインターバルごとに計測を実行する間に5分の待機時間が存在している状態において、IRセンサを使用することにより、それぞれのインターバル変化の後に黒体の温度を計測することができる。複数(例えば、約65回)の計測をそれぞれの温度において実行することができ、センサを較正するために中央値を選択することができる。
【0038】
[0056] センサの工場較正は、センサが対向している物体が1の放射率を有するという仮定の下に実行されている。1の放射率に基づいたセンサ工場較正と実際の黒体放射率との差によって導入される誤差は、以下の式に基づいて算出することができ、
【数1】

ここで、δ、T、ε、ε、及びTは、それぞれ、放射率誤差、黒体温度、センサの元の設定放射率、黒体放射率、及び周辺温度である。
【0039】
[0057] 表1は、例示用のセンサの較正の結果を要約している。センサ誤差は、黒体とセンサとの間の放射率のミスマッチに由来する誤差を補正した後の絶対誤差である。表1において、黒体温度は、放射率誤差及びセンサ誤差によって調節された計測温度に等しい。
【0040】
【表1】
【0041】
[0058] センサデータを収集した後に、計測された温度と放射率誤差によって調節された黒体温度の間の差を極小化するために線形フィットをセンサ出力に適用することにより、較正を実行した。較正曲線のスロープ及び切片は、式「較正済みの計測温度=1.15×計測温度-4.65+放射率誤差」として表現することができる。
【0042】
[0059] 図4を再度参照すると、検知システムは、任意選択により、403において、例えば、個人による排泄物収集装置の使用を検出するための1つ又は複数のモーション、力、又は光センサからのデータなどの信号を受け取ることができる。検知システムは、検知システムの1つ又は複数のセンサによってキャプチャされた信号を受け取り排尿又は排便イベントが発生し始めるか又は発生していることを判定し得る、プロセッサ(例えば、オンボードプロセッサ(例えば、プロセッサ120)及び/又は外部演算装置(例えば、ユーザー装置260、演算装置280)に関連するプロセッサ)を有することができ、又はこれに結合され得る。信号は、信号が排尿又は排便イベントを通知し得るように、ユーザーがトイレ又はその他の排泄物収集装置上に着座した又はトイレ又はその他の排泄物収集装置の前面に直立している際に受け取ることができる。
【0043】
[0060] 403において検知システムによって受け取られた信号に基づいて、プロセッサは、トイレ又はその他の排泄物収集装置内に受け取られている物体(例えば、尿及び/又は糞便)の温度の計測を開始するために、検知システムの1つ又は複数の温度センサを起動することができる。任意選択により、プロセッサは、404において、ターゲットエリアに跨って検知システムの1つ又は複数の温度センサを運動させるために、ドライブシステム(例えば、ドライブシステム114)を制御することができる。温度センサは、運動した際に、トイレボール又はその他の排泄物収集装置の開口部の少なくとも実質的な部分をスキャンすることができ、及び、ボール又はその他の排泄物収集装置内に受け取られている尿及び/又は糞便の温度を計測することができる。或いは、温度センサのアレイをトイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の少なくとも一部分の周りに位置決めすることもでき、及び、トイレ又はその他の排泄物収集装置内に受け取られている尿及び/又は糞便の温度をキャプチャするために一緒に起動することもできる。温度センサのアレイは、トイレ又はその他の排泄物収集装置の一側部(例えば、前部側部又は後部側部)に沿って一列で配置することができ、及び、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の少なくとも実質的な部分を一緒にわたる視野を有することができる。上述のように、検知システムは、尿及び/又は糞便を受け取るためのエリアにわたるように回転又は平行運動する単一のセンサ(或いは、相対的に少数のセンサ)又は尿及び/又は糞便を受け取るためのエリアに一緒にわたる複数のセンサ(例えば、2~約100個のセンサ)を含むことができる。
【0044】
[0061] プロセッサは、406において、温度センサからの信号を受け取り及び/又は分析することができ、408において、個人の尿及び/又は糞便の計測温度を判定することができる。トイレ、小便器、又はその他の排泄物収集装置内に受け取られている尿及び/又は糞便は、排泄物収集装置の全体エリアにわたっていない場合があることから、温度センサによって収集された温度は、温度プロファイルの形態を有し得る。温度プロファイルは、異なる角度位置(例えば、観察角度)又は空間位置に跨って温度センサによって計測された温度を表し得る。上述のように、検知装置の温度センサは、トイレ、小便器、又はその他の排泄物収集装置の開口部の長さ及び/又はエリア全体(或いは、長さ及び/又はエリア全体の実質的な範囲)に跨って温度データをキャプチャするために回転及び/又は平行運動させることができ、或いは、このような温度データをキャプチャするためにセンサのアレイを使用することもできる。従って、温度センサは、異なる角度及び/又は空間位置において温度データを計測することができ、及び、温度データは、尿及び/又は糞便を受け取るための開口部の長さ及び/又はエリア全体に跨る温度分布を通知する温度プロファイルとして1つに組み合わせることができる。これらの温度プロファイルは、尿及び/又は糞便の温度を判定するために分析及び使用することができる。尿及び/又は糞便の計測温度の判定の更なる詳細は、図5及び図6を参照して提供する。
【0045】
[0062] プロセッサは、410において、個人の深部体温を判定するために尿及び/又は糞便の計測温度を使用することができる。いくつかの実施形態において、計測温度は、深部体温と等価であり得る。上述のように、尿及び/又は糞便は、個人の身体からの排出の際に迅速に計測された際には、深部体温の正確な予測値であり得る。いくつかの実施形態において、プロセッサは、例えば、アルゴリズム又はモデルを適用することにより、尿及び/又は糞便の計測温度に基づいて深部体温を推定するように構成され得る。412において、プロセッサは、任意選択により、例えば、熱、熱中症、低体温症などのような個人の1つ又は複数の生理学的状態を監視するために判定された深部体温を使用することができる。或いは、プロセッサは、例えば、線形相関、機械学習アルゴリズム、などのようなアルゴリズムを使用することにより、尿及び/又は糞便の計測温度に基づいて深部体温を予測することもできる。深部体温は、412において、対象者に関連する1つ又は複数の生理学的状態(例えば、熱、月経の健康、概日リズム、不眠症及び睡眠障害、熱中症、低体温症、及び全体的な健康及び幸福)を監視するために使用することができる。任意選択により、プロセッサは、深部体温、監視対象の状態などのような情報をユーザーに提示することができ、及び/又は、例えば、1つ又は複数の演算装置(例えば、ユーザー装置260、演算装置280、及び/又はサードパーティ装置270)を通じて、このような情報に基づいてフィードバックをユーザーに提供することができる。
【0046】
[0063] 方法400は、プロセッサを参照して説明されるが、本明細書に記載の任意のプロセッサ又はプロセッサの組合せ(例えば、オンボードプロセッサ(例えば、プロセッサ120)及び/又は外部演算装置(例えば、ユーザー装置260、演算装置280)に関連するプロセッサ)は、方法400のステップの1つ又は複数を実行するために使用され得ることを理解されたい。このようなプロセッサは、方法400のステップを実行するために互いとの間でデータを送信及び/又は受信するように構成され得る。
【0047】
[0064] 図5は、実施形態による物体(例えば、糞便及び/又は尿)の温度を判定する例示用の方法のフローチャートである。図4を参照して上述したように、プロセッサ(例えば、オンボードプロセッサ(例えば、プロセッサ120)及び/又は外部演算装置(例えば、ユーザー装置260、演算装置280)に関連するプロセッサ)は、502において、1つ又は複数の温度センサから温度データを受け取ることができる。温度データは、温度プロファイルの形態であることができ、これは、異なる観察角度又は位置の範囲に跨って温度センサによって計測された温度の分布を表し得る。
【0048】
[0065] 上述のように、1つ又は複数の温度センサは、対象者の尿及び/又は糞便がトイレ、小便器、又はその他の排泄物収集装置の開口部内に受け取られている際に温度データを収集するために使用することができる。いくつかの実施形態において、温度センサは、異なる観察角度又は位置において温度データを収集するように構成され得る。いくつかの実施形態において、温度センサは、例えば、ドライブシステム(例えば、ドライブシステム114)を使用することにより、異なる観察角度又は位置に運動(例えば、平行運動又は回転)させることができ、温度センサは、その観察角度又は位置のそれぞれにおいて温度データを収集することができる。或いは、又はこれに加えて、複数の温度センサは、異なる観察角度又は位置に配置することもでき、それぞれの温度センサは、その異なる観察角度又は位置において温度データを収集するために使用することができる。異なる観察角度又は位置において温度センサによって収集された温度データは、温度プロファイルとして組み合わせることができる。
【0049】
[0066] 上述のように、温度センサは、固定されたFOVを有していてもよく、及び、そのFOV内において物体の重み付けされた平均温度を計測することにより、温度を計測するように構成され得る。従って、温度センサのFOVよりも小さな幅を有するターゲット物体は、例えば、ターゲット物体とは異なる温度を有するバックグラウンド物体に起因して、センサ出力に誤差を導入する可能性がある。一般に、尿ストリームは小さな幅を有し、従って、温度センサのFOVを十分にカバーしない場合がある。例えば、5度のFOVを有するセンサを使用することにより、約10cm超の距離において設定された際に、約8mmの通常の幅を有する尿ストリームは、センサのFOVよりも小さな幅を有することになろう。より小さなFOVを有するセンサが使用され得るが、尿ストリームの場所は変化する場合があり、従って、より小さなFOVセンサは、尿ストリームの温度データを十分にキャプチャするのに適さない場合がある。
【0050】
[0067] 図7A及び図7Bは、実施形態による温度センサのFOV内の物体を概略的に描いている。図7Aは、物体704(例えば、尿ストリーム及び/又は糞便)を描いており、ここで物体の幅は、温度センサ712のFOVを部分的に占有している。温度センサ712は、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の近傍又は周りに配設された検知システム(例えば、検知装置100、200、300、300’)の一部分であってよい。温度センサ712は、FOV702を有することができる。物体704は、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部内において受け取られる物体であることができ、D2の幅を有することができる。物体704がセンサ712と関係している距離において、物体704の幅D2は、センサのFOV702の直径D1未満である。対照的に、図7Bは、いくつかの実施形態によるセンサ712のFOVを占有する幅D4を有する物体706を描いている。具体的には、物体706がセンサ712と関係している距離において、物体706の幅D4は、温度センサ712のFOV702の少なくとも直径D3である。物体の幅が温度センサ712のFOVを占有しているかどうかに応じて、温度センサ712によって計測される温度は変化する。例えば、温度センサ712は、そのFOV内の物体の重み付けされた平均温度を判定することにより、温度を計測することができる。従って、ターゲット物体が温度センサ712のFOVを占有していない場合には、温度センサ712は、その物体の温度とは異なる温度を検出する可能性がある。
【0051】
[0068] 図8A及び図8Bは、実施形態による温度を計測している間に異なる観察角度及び/又は位置において位置決めされ得る1つ又は複数の温度センサを描いている。図8Aは、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部に跨ってスキャンするように(矢印Aによって概略的に描かれた)軸を中心として回転され得るセンサ812を描いている。センサ812は、観察角度のそれぞれにおいて、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の一部分をカバー又はこれにわたるFOV802、808、810を有することができる。様々な観察角度の間においてセンサ812を回転させることにより、センサ812は、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部を通じて受け取られる物体(例えば、尿及び/又は糞便)をキャプチャすることができる。尿ストリーム又は糞便は運動し得ることから、センサ812の回転は、尿及び/又は糞便が開口部を通じて受け取られている場所とは無関係に尿ストリーム又は糞便をキャプチャするために使用することができる。図8Aに描かれているように、物体804、806(例えば、尿及び/又は糞便)は、その多くの観察角度の1つにおいて温度センサ812によってキャプチャすることができる。いくつかの例において、物体804は、センサ812のFOVを部分的にのみ占有し得る一方で、その他の例においては、物体806は、センサ812のFOV全体を占有することができる。
【0052】
[0069] 図8Bは、センサ812’の代替構成を描いており、ここでセンサ812’は、様々な位置に線形に平行運動されることもでき、或いは、複数のセンサ812’は、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の長さに沿って位置決めすることもできる。図示のように、位置のそれぞれにおいて、センサ812’は、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部の一部分をカバーする又はこれにわたるFOV802’、808’、810’を有することができる。温度センサ812’のFOV内に落下する物体804、806(例えば、尿又は糞便)の温度は、温度センサ812’によってキャプチャすることができる。図8Aを参照して説明されるものと同様に、いくつかの例において、物体804はセンサ812’のFOVを部分的にのみ占有し得る一方で、その他の例において、物体806は、センサ812’のFOV全体を占有することができる。
【0053】
[0070] (例えば、図8A及び図8Bに描かれている)その様々な観察角度及び/又は位置においてセンサによって計測された温度は、例えば、図8Aに描かれている構成を有するセンサの回転の程度との関係において、又は図8Bに描かれている構成を有するセンサの相対位置との関係において温度プロファイルを取得するために使用することができる。図9A及び図9Bは、いくつかの実施形態による温度センサの観察角度又は位置に応じて、物体の例示用の温度プロファイルを描いている。尿ストリーム及び/又は糞便は、通常、その周囲よりも高い温度を有することから、尿ストリーム及び/又は糞便の温度プロファイルは、尿ストリーム及び/又は糞便に関連するピークを有することになろう。物体が温度センサのFOV全体を占有している際には(例えば、物体の幅がセンサのFOVの直径超である際には)、温度プロファイルは、図9Aに描かれているように、プラトーを有するパルス900を有することができる。プラトーにおける温度は、その他のバックグラウンド物体がセンサの温度計測に影響を及ぼしていないであろうことから、物体の温度を表すことができる。物体が温度センサのFOV全体を占有していない際には(例えば、物体の幅がセンサのFOVの直径未満である際には)、温度プロファイルは、図9Bに描かれているように、プラトーを有していないパルス902を有することができる。パルス902のピーク温度は、その他のバックグラウンド物体がセンサの温度計測に影響を及ぼしているであろうことから、物体の温度を表していない場合がある。このような例においては、例えば、パルス902から抽出され得る特徴に基づいて物体の温度を判定するために、アルゴリズムを使用することができる。
【0054】
[0071] 物体の温度プロファイルは、その物体が温度センサのFOV全体を占有しているかどうかに応じて変化し得ることから、物体がセンサのFOV全体を占有している場合とそうではない場合とを判定することが重要であり得る。図5を再度参照すると、プロセッサ(例えば、オンボードプロセッサ(例えば、プロセッサ120)及び/又は外部演算装置(例えば、ユーザー装置260、演算装置280)に関連するプロセッサ)に受け取られた温度プロファイルは、504において、センサが少なくとも1つの角度又は位置にある際に物体(例えば、尿又は糞便)の幅が温度センサのFOV全体を占有しているかどうかを判定するために評価することができる。例えば、プロセッサは、温度プロファイルがプラトーを有しているかどうかを判定することができ、温度プロファイルがプラトーを有している場合には、プロセッサは、物体がセンサのFOV全体を占有していたと判定することができる(504:はい)。或いは、この代わりに、温度プロファイルがプラトーを有していない場合には、プロセッサは、物体がセンサのFOV全体を占有してはいなかったと判定し得る(504:いいえ)。いくつかの実施形態において、温度プロファイルがプラトーを有しているかどうかを判定することは、例えば、2つ以上の位置において1つ又は複数のセンサによって計測された温度が同一である(或いは、互いから予め定義された値又は百分率内にある)際などのように、異なる角度又は位置において1つ又は複数のセンサによって計測された温度が同一である(或いは、互いから予め定義された値又は百分率内にある)かどうかを判定することを含む。
【0055】
[0072] 尿及び/又は糞便は、その周囲超の温度を有することになると仮定することにより、尿及び/又は糞便が1つ又は複数の角度又は位置においてセンサのFOV全体を占有している際には(504:はい)、プロセッサは、506において、例えば、温度プロファイル内のプラトーの値などのセンサによって計測された最大温度に基づいて物体の温度を判定することができる。或いは、この代わりに、尿及び/又は糞便がセンサのFOV全体未満を占有している際には(504:いいえ)、プロセッサは、508において、計測された温度プロファイルから特徴を抽出することができ、510において、物体の温度を判定するために、それらの抽出された特徴をアルゴリズム(例えば、トレーニングされた機械学習モデル)内に入力することができる。図13は、温度センサの任意の位置又は角度において物体がセンサの全体FOVを占有していない際に、温度センサによって計測される、温度プロファイル1300の一例を描いている。図13においては、センサによって計測された温度が温度センサの観察角度の範囲(即ち、温度センサが回転される角度の範囲)にわたってプロットされている。温度プロファイル1300は、物体に関連するピークを有することができる。但し、ピークの最大値は、物体の温度を表していない場合があり、その理由は、物体が任意の位置又は角度においてセンサのFOV全体を占有していなかったからである。従って、物体の温度を判定するために、例えば、ピークの最大値、異なる相対距離におけるピークの幅、ピークのプロミネンス(例えば、ベースライン温度又はバックグラウンド温度とピークの最大温度の間の差)などを含む特定の特徴を温度プロファイルから抽出することができる。次いで、このような抽出された特徴は、抽出された特徴に基づいて物体の温度を判定(例えば、予測)するために、トレーニング又は較正済みのモデル又はアルゴリズムに入力され得る。
【0056】
[0073] いくつかの実施形態において、温度プロファイルに基づいて物体の温度を判定するために、過去の温度データを使用して較正されたモデル(例えば、統計モデル又は機械学習モデル)を使用することができる。図6は、実施形態による物体の温度を判定するためにモデルを較正する例示用の方法600を描いている。方法600は、本明細書に記載の装置の任意のもの(例えば、検知装置100、200、300、300’、ユーザー装置260、演算装置280、サードパーティ装置270)に結合されたプロセッサによって実行することができる。602において、温度データを既知の温度を有する物体について収集することができる。一実施形態において、既知の温度を有する物体の温度データを収集するために、以下の図11A及び図11Bを参照して説明されるものなどの実験セットアップを使用することができる。モデルの精度を増大させるために、実験セットアップは、トイレ又はその他の排泄物収集装置内に排尿する又は排便する対象者を模写するように、又はこれに類似するように設計することができる。例えば、1つ又は複数の温度センサ(例えば、温度センサ112)を含む検知装置又はシステム(例えば、検知装置100、200、300、300’)は、トイレ又はその他の排泄物収集装置に結合することができ、1つ又は複数の温度センサは、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部を通じて受け取られる物体の温度を計測するために使用することができる。受け取られる物体は、例えば、尿ストリーム及び/又は糞便、既知の温度及び/又は表面特性(例えば、放射率)の固体物、或いは、尿ストリーム及び/又は糞便を近似した物体(例えば、水のストリーム)であり得る。いくつかの実施形態において、温度センサ又は温度センサのアレイは、トイレ又はその他の排泄物収集装置の開口部を通じて受け取られている物体の温度をキャプチャするために、例えば、線形に平行運動される又は軸を中心として回転されるなどのように、運動させることができる。1つ又は複数の温度センサによって収集された温度データは、既知の温度のそれぞれの物体ごとに温度プロファイルを生成するために使用することができる。
【0057】
[0074] 次いで、物体の温度プロファイル及び既知の温度は、物体の温度を予測するためのモデルを較正するために使用することができる。プロセッサは、604において、例えば、ピーク温度、(例えば、ピークに沿った異なる地点における)ピーク幅、ピークのプロミネンス、などの特徴をそれぞれの物体ごとに温度プロファイルから抽出することができる。抽出された特徴は、モデルに入力することができ、モデルは、それぞれの物体の既知の温度を示す値を出力するように較正又はトレーニングすることができる。較正は、モデルによって出力された予測温度と物体の既知の温度の間の誤差を極小化するためにモデルの1つ又は複数の重み及び/又はパラメータを調節することを含み得る。いくつかの実施形態において、モデルは、例えば、多重線形回帰、多項線形回帰、サポートベクトル回帰(SVR)、決定木回帰、ランダムフォレスト回帰、及び/又は人工ニューラルネットワークを含み得る。温度データを使用したモデルの較正の更なる詳細については、図12及び図13を参照して以下に提供する。
【0058】
[0075] 図10A及び図10Bは、実施形態によるトイレの開口部との関係における検知装置1000の例示用の構成を描いている。図10Aは、トイレ座席1040の前部部分に装着された検知装置1000を示している。検知装置1000は、例えば、検知装置100、200、300、300’を含む本明細書に記載のその他の検知装置に構造的及び/又は機能的に類似したコンポーネントを含み得る。トイレ座席1040は、尿及び/又は糞便が受け取られ得る開口部1042を定義することができる。検知装置1000は、温度センサ1012を含むことができ、これは、トイレ座席1040の開口部1042に向かって方向付けされている。いくつかの例において、検知装置1000は、温度センサ1012がトイレの開口部1042の少なくとも実質的な部分をスキャンし得るように、温度センサ1012を運動させるように構成されたドライブシステム(例えば、ドライブシステム114)を含むことができる。例えば、検知装置1000は、図10B内の矢印Bによって示されているように、温度センサ1012を回転させるように構成され得る。センサの運動は、センサが、開口部1042に沿った異なる場所においてトイレ内に受け取られている物体(例えば、尿及び/又は糞便)をキャプチャすることを許容することができる。
【0059】
[0076] 図11A図11Bは、実施形態による検知システム1100の温度センサ1112を較正する例示用の実験セットアップを示している。検知システム1100は、例えば、検知装置100、200、300、300’、1000を含む本明細書に記載のその他の検知装置に構造的及び/又は機能的に類似したコンポーネントを含み得る。温度センサ1112は、本明細書に記載のその他の温度センサ(例えば、温度センサ112、1012)に構造的及び/又は機能的に類似し得る。実験セットアップは、1つ又は複数の排尿/排便イベントをシミュレートするように設計することができ、これは、温度予測モデルをトレーニング又は較正するための温度データを提供するために使用することができる。
【0060】
[0077] 実験セットアップ内において、水槽1148内の水は、既知の一定の温度において維持することができる。いくつかの実施形態において、水槽1148は、例えば、約36℃~約40℃の温度などの体温値に一般に対応した範囲内の異なる温度に設定することができる。水槽1148からの水は、チューブ1144を介してトイレ開口部1142内に水ストリーム1146として排出することができる。水ストリーム1146は、トイレ座席1140上に着座している個人の身体から排出されている尿ストリームをシミュレートすることができる。図11Bは、水ストリーム1146に隣接している温度センサ1112のクローズアップ図を示している。水ストリーム1146は、既知の温度(即ち、水槽1148によって設定されているもの)を有することができ、検知システム1100の温度センサ1112から固定された距離に排出することができる。水ストリーム1146の温度をキャプチャするために、温度センサ1112は、トイレ座席1140との関係において軸を中心として回転させることができる。センサ1112の温度計測値は、水ストリーム1146の温度プロファイルを取得するために使用することができる。これは、既知の温度に設定されたそれぞれの水ストリーム1146ごとに反復することができる。特定の一例において、温度を計測するプロセスは、36℃、37℃、38℃、39℃、及び40℃の既知の温度を有する水ストリームについて反復することができる。
【0061】
[0078] それぞれの水ストリーム1146の計測された温度プロファイルは、例えば、水ストリームの温度のみならず、トイレのバックグラウンド温度、水ストリームの幅、水ストリームのセンサ1112からの距離、などに応じて変化し得る。温度プロファイルは、例えば、図6を参照して説明されるように、トイレ内に落下している物体(例えば、尿及び/又は糞便)の温度を予測するようにモデルをトレーニング又は較正するために使用することができる。いくつかの例において、実験セットアップは、尿及び/又は糞便の温度を判定するシステムの能力に影響を及ぼし得るその他のファクタ又は変数をキャプチャするために変更することができる。例えば、試験セットアップの異なる変形において、水ストリーム1146は、トイレボール内の異なる位置に及び温度センサからの異なる距離に排出することができる。これらの変形は、実際の排尿/排便イベントにおいて発生し得る様々な状況に対応した異なる温度プロファイルを生成するために使用することができる。従って、温度予測モデルを効果的にトレーニング又は較正するために、既知の温度及び/又はその他のプロパティを有する水ストリーム1146用の異なる温度プロファイルを生成する様々な実験セットアップを使用することができる。
【0062】
[0079] 図11A図11Bには、水槽を使用した実験セットアップが示されているが、排尿及び/又は排便イベントを近似するために及び温度予測モデルの較正のために使用され得る温度データを提供するために、その他の実験セットアップが使用され得ることを理解されたい。例えば、一代替実施形態においては、温度データは、尿ストリームをシミュレートするためにその中心に空のスロットを有する障壁と共に黒体源を使用することにより、収集することができる。この結果、黒体源は、異なる温度プロファイルを取得するために異なる温度に設定することができる。
【0063】
[0080] 図12は、温度センサの観察角度の関数としての温度センサ(例えば、温度センサ1112)によって計測された温度データの温度プロファイルのプロット1200である。プロット1200は、5つの異なる温度、具体的には、36℃、37℃、38℃、39℃、及び40℃に設定された水ストリームの温度プロファイルを含む。それぞれの温度プロファイルの温度データは、観察角度の範囲にわたって、具体的には、センサの開始位置との関係において約60°から約100°までに提供することができる。図12に描かれているように、温度プロファイルは、(例えば、センサのFOVよりも小さな幅を有する水ストリームに起因して)プラトーを有してはおらず、従って、水ストリームの温度を表していないピーク温度を有し得る。
【0064】
[0081] 図12に提供されている温度プロファイルから特徴を抽出することができ、これらの特徴は、物体の温度を予測するようにモデルを較正するために使用することができる。例えば、図13に示されているように、例えば、
(1)温度プロファイルの最大ピーク温度、
(2)例えば、温度プロファイルの最大ピーク温度と最小等高線の間の垂直方向距離などのピークのプロミネンス又はピークがその周囲のベースラインから突出している量、
(3)ピークの高さ及びプロミネンスまでの異なる相対距離におけるピークの幅。例えば、ピークの幅は、ベースライン温度値からのピークのプロミネンスの(その間のすべての値及び範囲を含む)約1%、約5%、約10%、約25%、約50%、約90%、及び約99%に対応する温度値において計測することができる、
(4)ピークの最小等高線又はベースラインとピークの最小等高線に対応するものよりも大きな温度を有するデータポイントの間の曲線下面積(AUC:Area Under the Curve)、
(5)バックグラウンド温度又はベースライン温度。計測が一定のバックグラウンドを有するトイレボールの内側に実施される場合、バックグラウンド温度は、記録された温度プロファイルに跨ってほぼ均一となり、バックグラウンドの放射率も、バックグラウンドにおける一貫性を有する材料に起因して一定となろう、
(6)例えば、温度センサ(例えば、図1に示されているハウジング110内の1つ又は複数の更なるセンサ113)によって別個に計測される周辺温度、
を含む温度プロファイル1300の様々な特徴を抽出することができる。
【0065】
[0082] また、例えば、温度センサのサンプリングレート、温度センサのスキャニング速度、及びターゲット物体(例えば、水ストリーム又は黒体源)との関係におけるセンサの位置、などのような温度プロファイルから抽出されたもの以外のパラメータも、温度予測モデルを較正するために使用することができる。例えば、相対的に大きなスキャニングレートは、センサの相対的に大きなサンプリングレートを必要としている。また、相対的に大きなサンプリングレートは、ターゲット物体の運動に由来する誤差を低減することもできる。但し、サンプリングレートを増大させることは、計測の精度を減少させる場合がある。センサの位置と共にこれらのパラメータの最適化は、様々なモデルを使用して温度を予測する精度を改善することができる。
【0066】
[0083] 温度プロファイル(或いは、温度プロファイルから抽出された特徴)に基づいて物体の温度を予測するために、様々なモデルを使用することができる。例示用のモデルは、多重線形回帰、多項線形回帰、SVR、決定木回帰、ランダムフォレスト回帰、及び人工ニューラルネットワークを含む。以下の表2は、既知の温度源(例えば、既知の温度を有する水ストリーム又は黒体源)の温度プロファイルデータを使用して較正された様々なモデルの性能メトリックを示している。図示のように、温度データを使用して較正されたモデルのうち、多重線形回帰モデルは、0.9という判定の係数及び0.79℃という最大絶対誤差を有する最良のフィッティング結果を示している。
【0067】
【表2】
【0068】
[0084] 本明細書において、様々な発明実施形態について説明及び図示しているが、当業者は、本明細書に記載の機能を実行するための及び/又は結果及び/又は利点の1つ又は複数を取得するための様々なその他の手段及び/又は構造を容易に想起することになり、従って、そのような変形及び/又は変更のそれぞれは、本明細書に記載の発明実施形態の範囲に含まれるものと考えられる。更に一般的には、当業者は、本明細書に記載のすべてのパラメータ、寸法、材料、及び構成は、例示を目的としたものであり、従って、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成は、発明の教示が使用される特定の1つ又は複数の用途に依存することになることを容易に理解するであろう。当業者は、慣例に過ぎない実験を使用することにより、本明細書に記載の特定の発明実施形態に対する多くの均等物を認識することになり或いはこれらを特定し得るであろう。従って、以上の実施形態は、例としてのみ提示されており、及び、添付の請求項及びその均等物の範囲内において、発明実施形態は、具体的に記述及び特許請求されているものとは異なる方式で実施され得ることを理解されたい。本開示の発明実施形態は、本明細書に記載のそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法を対象とする。これに加えて、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法の任意の組合せは、このような特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法が相互に一貫性を有している場合には、本開示の発明の範囲に含まれる。
【0069】
[0085] また、様々な発明概念は、その例が提供されている1つ又は複数の方法として実施することができる。方法の一部分として実行されている行為は、任意の適切な方式で順序付けすることができる。従って、行為が図示のものとは異なる順序で実行される実施形態が構築されてもよく、これは、例示用の実施形態において逐次的な行為として示されている場合にも、いくつかの行為を同時に実行することを含み得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
【国際調査報告】