IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲーの特許一覧

<>
  • 特表-体内通信のための通信システム 図1
  • 特表-体内通信のための通信システム 図2
  • 特表-体内通信のための通信システム 図3
  • 特表-体内通信のための通信システム 図4
  • 特表-体内通信のための通信システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】体内通信のための通信システム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/372 20060101AFI20240521BHJP
   A61N 1/375 20060101ALI20240521BHJP
   A61N 1/362 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61N1/372
A61N1/375
A61N1/362
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559127
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 EP2022062411
(87)【国際公開番号】W WO2022248198
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/193,285
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21183021.1
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】512158181
【氏名又は名称】バイオトロニック エスエー アンド カンパニー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】BIOTRONIK SE & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Woermannkehre 1 12359 Berlin Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒューゲリッヒ、ブルクハルト
(72)【発明者】
【氏名】キブラー、アンドリュー ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ク、ミン
(72)【発明者】
【氏名】ストッツ、ラリー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ06
4C053JJ23
4C053KK02
(57)【要約】
体内通信を確立するための通信システムは、多数の植込み型医療機器1~3であって、多数の植込み型医療機器1~3の各々が、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器1~3のうちの別のものと通信するための通信回路13、23を含む、多数の植込み型医療機器1~3を備える。少なくとも1つの外部機器4、5は、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器1~3と通信するための第1の通信回路41、及び第1のシグナリング技法とは異なる第2のシグナリング技法を用いて遠隔システム6と通信するための第2の通信回路42を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内通信を確立するための通信システムにおいて、
多数の植込み型医療機器(1~3)であって、前記多数の植込み型医療機器(1~3)の各々が、第1のシグナリング技法を用いて前記多数の植込み型医療機器(1~3)のうちの別のものと通信するための通信回路(13、23)を含む、多数の植込み型医療機器(1~3)と、
前記第1のシグナリング技法を用いて前記多数の植込み型医療機器(1~3)と通信するための第1の通信回路(41)、及び前記第1のシグナリング技法とは異なる第2のシグナリング技法を用いて遠隔システム(6)と通信するための第2の通信回路(42)を含む少なくとも1つの外部機器(4、5)と
を備える、通信システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの外部機器(4、5)の前記第1の通信回路(41)が、前記第1のシグナリング技法を用いて前記多数の植込み型医療機器(1~3)の各々と通信するように構成されている、請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1のシグナリング技法が、振動電気信号を用いた第1の物理層シグナリングに基づいている、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1のシグナリング技法が、超音波信号を用いた第1の物理層シグナリングに基づいている、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1のシグナリング技法が、振動磁場又は電磁波信号を用いた第1の物理層シグナリングに基づいている、請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの外部機器(4、5)が、患者に外部から接触するように構成されている、請求項1から5までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの外部機器(4、5)が、患者の体に装着されるように構成されている、請求項1から6までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項8】
前記第2のシグナリング技法が、RF信号を用いた第2の物理層シグナリングに基づいている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記第2のシグナリング技法が、Bluetooth技法、Zigbee技法、NFC技法、又はWiFi技法に基づいている、請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記第2のシグナリング技法が、音響信号を用いた第2の物理層に基づいている、請求項1から7までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項11】
前記第2のシグナリング技法を用いた前記少なくとも1つの外部機器(4、5)と前記遠隔システム(6)との間でのデータ送信を確立するために、前記少なくとも1つの外部機器(4、5)に結合される通信機器(7)を備える、請求項1から10までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項12】
前記多数の植込み型医療機器(1~3)のうちの少なくとも1つが、心臓刺激機器である、請求項1から11までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項13】
前記多数の植込み型医療機器(1~3)のうちの少なくとも1つが、リードレス心臓刺激機器である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項14】
前記多数の植込み型医療機器(1~3)のうちの少なくとも1つが、皮下の心臓ループ・レコーダ又は血圧を測定するための生体センサである、請求項1から13までのいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項15】
体内通信のための通信システムを動作させるための方法であって、
第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器(1~3)のうちの別のものと通信するための通信回路(13、23)を各々が有する前記多数の植込み型医療機器(1~3)間での通信を確立することと、
前記第1のシグナリング技法を用いて前記多数の植込み型医療機器(1~3)と通信するための第1の通信回路(41)を有する少なくとも1つの外部機器(4、5)と、前記多数の植込み型医療機器(1~3)との間での通信を確立することと、
前記第1のシグナリング技法とは異なる第2のシグナリング技法を用いて遠隔システム(6)と通信するための第2の通信回路(42)を有する前記少なくとも1つの外部機器(4、5)と、前記遠隔システム(6)との間で通信を確立することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、体内通信のための通信システム及び通信システムを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書で説明される種類の通信システム内では、心臓刺激機器(例えばペースメーカ機器若しくは除細動器)、センサ機器、記録機器、或いは治療機能又は診断機能を提供するために患者に植え込まれる他の医療機器などの、植込み型医療機器間での通信が促進されるものである。この種類の通信システムは、ボディ・エリア・ネットワーク(BAN:Body Area Network)システムとしても示され得る。
【0003】
本明細書において関係する種類の植込み型医療機器は、例えば、ペースメーカ、植込み型除細動器、血圧を測定するための生体センサなどのセンサ機器、又は患者の皮下に植え込まれるループ・レコーダなどの記録機器であり得る。
【0004】
例えば、植込み型ペースメーカは、患者の皮下に植え込まれ得、電極を搭載するリードであって、ペースメーカ機器のジェネレータ・ユニットから患者の心臓の中に延在して、例えば心臓の右心室にペーシング作用を提供するリードを備え得る。或いは、植込み型ペースメーカ機器は、リードを備えず、ペーシング作用を提供するために患者の心臓の中、例えば右心室に直接植え込まれるリードレス・ペースメーカとして設計され得る。
【0005】
除細動器は、患者の心臓の中で、場合によっては生命にかかわる不整脈を監視及び治療するために働き得る。例えば、この種類の除細動器は、皮下に植え込まれ得、信号を記録するために、及び患者の心臓の中に刺激エネルギーを注入して例えば電気ショック(除細動)を提供するために患者の心臓の中に延在するリードを備え得る。
【0006】
例えば、圧力センサ、流量センサ、温度センサ等のセンサ機器は、治療を提供する状況下での関連するパラメータの監視を提供するために、静脈などの血管の中に植え込まれ得る。
【0007】
例えば、ループ・レコーダは、皮下に植え込まれ、例えばECGなどの心臓活動についての情報を連続的に記録するために働く。ループ・レコーダは、そのメモリを連続的にループし、信号の特定の部分を保存し得、そのようにして、信号の分析及び診断の提供用の外部機器に、記録した信号を通信し得る。
【0008】
患者に植え込まれた医療機器は、医療機器の相互作用を可能にするために互いに通信し得ることが望ましい。例えば、ペースメーカ機器又は植え込まれたセンサ機器によって感知された信号は、そのような信号をループ・レコーダが記録し得るように、ループ・レコーダに送信され得る。さらに、ペースメーカ機器は、患者の心臓の中でのペーシング作用を制御する目的で、ペースメーカ機器と離れて植え込まれているセンサ機器の感知信号を考慮するために、センサ機器からの信号を受信し得る。
【0009】
通信を確立するためには、植え込まれた医療機器間で信号が交換され得るように、植え込まれた医療機器を互いにリンクさせる体内ネットワーク(IBN:intra-body network)を作成する手法が存在する。
【0010】
例えば、EP2327609B1号は、植え込まれた医療機器間で情報を交換するための、植え込まれた医療機器間の音響通信リンクを記載している。音響通信リンクは、植え込まれた医療機器間のワイヤレス通信を可能にするように確立されており、既存の通信リンクを改善するために、感度及び搬送周波数などの伝送パラメータが適合され得る。
【0011】
植込み型医療機器は、概して、別の植込み型医療機器、及び加えて、さらに処理するための外部機器に通信されるものであるデータを感知し得る。その代わりに又は加えて、植込み型医療機器は、特定の植込み型医療機器の動作を適合させるために、外部機器から構成データを受信し得る。このために、外部機器との通信を確立する必要がある。
【0012】
いくつかの手法では、植込み型医療機器の環境内で採用されているシグナリングとは異なる専用の通信概念を有する外部機器への通信リンクを提供するために、専用の植込み型医療機器がハブとして働く。このことには、外部機器との通信が電力集約的であり得るので、ハブとして働く植込み型医療機器が、消費エネルギーの増加を示すという欠点がある。さらに、外部機器との通信は、ハブとして働く植込み型医療機器が正しく機能することに依存し、ハブは、他の植込み型医療機器との通信と同様に外部機器との通信も確立することができるように、異なる通信概念を実施しなければならない。ハブとして働く専用の植込み型医療機器の失敗はいずれも、他の植込み型医療機器との通信を排除し得る。
【0013】
米国特許出願公開第2006/0031378(A1)号は、ワイヤレス体内ネットワークを介したデジタル・データ通信を提供するためのシステム及び方法を記載している。物理プロトコル層は、体内ネットワーク中の複数の植込み型機器に一意に割り当てられた識別子によって論理的に定義される。機能は、ワイヤレス・インターフェースを介したデータの交換を許可する物理プロトコル層内で指定される。スレーブ植込み型機器は、マスタ植込み型機器によってワイヤレス・インターフェースを通じて送信される起動信号に応答して起動する。ワイヤレス通信リンクは、スレーブ植込み型機器に割り当てられた識別子が一致すると、スレーブ植込み型機器とマスタ植込み型機器との間で確立される。データは、通信リンクを介して体内で通信される。
【0014】
米国特許出願公開第2007/02083890(A1)号は、植込み型医療機器又は外部の監視機器とワイヤレス通信する植え込まれた音センサを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】EP2327609B1号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0031378(A1)号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/02083890(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、外部機器との通信と同様に植込み型医療機器間での通信も、高い信頼性で、さらに高い電力効率を可能にする通信システム及び通信システムを動作させるための方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、小型で低エネルギーの植込み型機器の要件を最も良く支持し、消費エネルギーが最小化され、システムの単純さが最大化される体内通信を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
1つの態様では、体内通信を確立するための通信システムは、多数の植込み型医療機器であって、多数の植込み型医療機器の各々が、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器のうちの別のものと通信するための通信回路を含む、多数の植込み型医療機器と、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器と通信するための第1の通信回路、及び第1のシグナリング技法とは異なる第2のシグナリング技法を用いて遠隔システムと通信するための第2の通信回路を含む少なくとも1つの外部機器とを備える。
【0019】
さらに、通信システム内では、多数の植込み型医療機器は、第1のシグナリング技法を用いて互いに及び外部機器と通信するように構成されている。したがって、植込み型医療機器の各々は、他の植込み型医療機器、及び外部機器すなわち患者の体の外側の機器と通信することが可能である。
【0020】
外部機器が(患者に植え込まれている場合の)植込み型医療機器のうちのいずれとも通信し得るので、通信を中継するためのハブとして働く専用の植込み型医療機器は、1つも必要ではない。むしろ、共通の通信技法が、植込み型医療機器と外部機器との通信と同様に、植込み型医療機器間での体内通信にも使用される。
【0021】
(植え込まれた状態の)植込み型医療機器と1つ又は多数の外部機器との間の通信と同様に、植込み型医療機器間の互いの間での体内通信にも、同じシグナリング技法を利用することによって、体内機器の通信回路に対する実現の複雑さを最小化することができる。さらに、外部機器は、例えばプログラミング又は呼びかけ作業を実行する具体的な体内ハブを必要とせずに、個別の植込み型医療機器をアドレス指定することができ、様々な医療機器間の通信を監視することに加えて、例えばネットワークの維持管理作業を提供することができる。
【0022】
さらに、外部機器が内部の個別の植込み型医療機器のいずれへも通信できることにより、植込み型医療機器の電池が消耗又は故障しても、他の植込み型医療機器への通信を妨げないであろう。
【0023】
少なくとも1つの外部機器の第1の通信回路は、特に、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器の各々と通信するように構成されている。したがって、任意の植込み型医療機器は、別の植込み型医療機器を用いた中継を必要とせずに、1つ又は多数の外部機器と直接通信することが可能である。
【0024】
第1のシグナリング技法及び第2のシグナリング技法は、通信システムが、共通のワイヤレス・シグナリング技法を利用して、外部機器と同様に患者に植え込まれた医療機器にもワイヤレスで及ぶように、ワイヤレス通信を可能にする。
【0025】
1つの実施例では、第1のシグナリング技法は、変調された振動電場を用いた第1の物理層シグナリングに基づいている。例えば、体内通信(IBC:IntraBody Communication)技術は、IEEE802.15.6 WBANプロトコルに記載されているように通信に使用され得る。したがって外部機器は、特に、流電結合又は静電結合を用いて患者に結合し得る。
【0026】
別の実施例では、第1のシグナリング技法は、音響信号、特に超音波信号を用いた物理層シグナリングに基づいている。このために、少なくとも1つの外部機器と同様に植込み型医療機器の通信回路は、植込み型医療機器のそれぞれ及び外部機器を取り囲む媒体に振動結合するようにパッケージ化されている超音波変換器として形成され得る。外部機器は、患者に結合するために例えば患者の皮膚上に配置され得、そのようにして、超音波信号が患者へと送信され得、患者から受信され得る。
【0027】
さらに別の実施例では、第1のシグナリング技法は、振動磁場又は電磁波信号を用いた物理層シグナリングに基づいている。この実施例では、少なくとも1つの外部機器と同様に植込み型医療機器も、植込み型医療機器間での通信のため並びに外部機器との通信のために、磁気コイル及び変調された振動磁場を用いた通信回路を備える。
【0028】
別の実施例では、第1のシグナリング技法は、体組織を透過するのに適切な搬送周波数を有するRF技術を用いた物理層に基づいている。
【0029】
通信内では、共通の通信プロトコルと同様に共通の物理層シグナリングも、植込み型医療機器と少なくとも1つの外部機器との間での通信に使用されている。本明細書では、物理層とは、共通の通信プロトコルによる共通の技術を使用している異なる機器間での物理シグナリングを定義する論理層を示す。本明細書では、少なくとも1つの外部機器と同様に各植込み型医療機器も、通信メッセージ内で一意の識別子を用いて識別され得、そのようにして、患者の体を通って送信されるメッセージは、すべての機器によって受信され、そのメッセージの中に含まれる識別子情報による機器によって処理される。
【0030】
1つの実施例では、少なくとも1つの外部機器は、患者に外部から接触するように構成されている。例えば、少なくとも1つの外部機器は、患者の体に装着されるように構成されている。例えば、少なくとも1つの外部機器は腕時計の形状を有し得、したがって患者の手首に装着され得、少なくとも1つの外部機器の接触面は、患者に結合するため、例えば電気信号若しくは音響信号(特に超音波信号)を患者へと導入し、又はそのような信号を患者から受信するために、患者の皮膚と接触させられるように構成されている。
【0031】
さらに少なくとも1つの外部機器は、第2のシグナリング技法を実施し、この第2のシグナリング技法は、例えば、RF信号を用いた第2の物理層シグナリングに基づいている。第2のシグナリング技法は、例えば、Bluetooth技法特に、Bluetooth Low Energy(BLE)、Zigbee技法、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)技法、又はWi-Fi技法などの標準化された通信技術を採用し得る。
【0032】
第2の信号技法は、少なくとも1つの外部機器と、インターネットなどの公共の通信ネットワークを経由してアクセス可能な遠隔サーバなどの遠隔システムとの通信を確立するために、第2の(論理)物理層を実施する。第2のシグナリング技法を用いると、少なくとも1つの外部機器は、例えば、ローカル・コンピュータ、スマート・フォンなど携帯機器、又は患者の近傍にある別のローカル機器のなどの、中継機器として働く通信機器に接続し得、第2のシグナリング技法を用いると、特に、ローカル環境内での通信が確立され得る。通信機器を用いると、例えば公共の通信ネットワークを用いた共通の通信プロトコル方式を用いて、データが遠隔システムに及び遠隔システムから中継され得る。
【0033】
1つの実施例では、第2のシグナリング技法は、音響信号を用いた第2の物理層に基づいている。例えば、少なくとも1つの外部機器の第2の通信回路は、音響変換器を備え得、この音響変換器は、可聴音響周波数帯域、例えば50Hzから8kHzまでの間にある音響信号を生成するように構成されており、この音響信号は、公衆電話交換網(PSTN:Public Switched Telephone Network)用いて送信され得る。例えば、遠隔システムにデータを中継するために、ユーザは、電話を用いて中央サーバ・リンク局に関連付けられた電話番号に電話し得る。次に、ユーザは、その電話のマイクロフォンの近傍に少なくとも1つの外部機器を配置し得、そのようにして、少なくとも1つの外部機器によって生成された音響信号を、電話を経由して遠隔システムに伝送することにより、インターネット接続又は他の特殊なハードウェアを必要とすることなく、データ送信が行われ得る。
【0034】
1つの実施例では、植込み型医療機器のうちの少なくとも1つは、ペースメーカ機器又は除細動器などの心臓刺激機器である。
【0035】
1つの実施例では、植込み型医療機器のうちの少なくとも1つは、リードレス心臓刺激機器であり、リードレス心臓刺激機器とは電極を搭載するリードを備えない心臓刺激機器である。この種類のリードレス心臓刺激機器は、特に、患者の心臓の中、例えば右心室又は右心房に直接植え込まれ得る。
【0036】
概して、通信システムの1つ又は多数の植込み型医療機器は、患者の皮下に、又は直接患者の心臓の中に植え込まれ得る。例えば、1つの実施例では、1つの植込み型医療機器が患者の心臓の右心室の中に植え込まれ、別の植込み型医療機器が右心房の中に植え込まれて、通信システム内の心臓内植込み型医療機器間で、通信が確立される。
【0037】
1つの実施例では、植込み型医療機器のうちの少なくとも1つは、皮下の心臓ループ・レコーダ又は血圧を測定するための生体センサである。
【0038】
概して、通信システム内では、例えば刺激機器、感知機器、記録機器、又はマーキング機器の形状である異なる植込み型医療機器が、別の機器と通信し得、共通の通信プロトコルと同様に共通の物理層も必要とする共通の(第1の)シグナリング技法を使用している少なくとも1つの外部機器と通信し得る。
【0039】
1つの実施例では、通信システム内で、心臓内ペースメーカが右心室に植え込まれ、心臓内ペースメーカが右心房に植え込まれる。
【0040】
1つの実施例では、通信システム内で、心臓内ペースメーカが右心室に植え込まれ、ループ・レコーダが皮下に植え込まれる。
【0041】
1つの実施例では、通信システム内で、心臓内ペースメーカが右心室に植え込まれ、血圧を測定するセンサ(例えば生体センサ)が、患者の血管に植え込まれ、及び/又は心臓内ペースメーカに統合される。
【0042】
通信システムは、体の中に植え込まれた機器間で通信するための変調された振動電場を用いた、エネルギー節約の最適化に基づき得る。そのような通信概念は、ビット情報を伝達するために、位相シフト・キーイング(PSK:phase-shift keying)又はオンオフ・キーイング(OOK:on-off keying)のいずれかで変調された高周波の電気パルスを利用する。いずれの場合でも、搬送周波数は、50%デューティ・サイクルの方形パルス形状信号によって発生させられ得る。PSK変調の場合には、搬送周波数信号は連続的であり、搬送周波数の位相シフトは、送信されるビット値の変化を示している。OOK変調の場合には、所定の時間に対する搬送周波数の存在がビット値1についての符号を表しており、やはり所定の時間枠に対して、搬送周波数が存在しないことがビット値0についての符号を表している。OOK変調のこの基本原理により、OOK変調は、良好なエネルギー節約の可能性がある単純な通信概念へのよい候補となる。
【0043】
50%デューティ・サイクルの方形パルス信号形状の搬送周波数を有するOOK変調された振動電場には、2つの利用可能なエネルギー節約パラメータがあり得る。
1 ビット継続時間(0又は1)を定義するために使用される所定の時間
2 方形パルス信号の搬送周波数に使用されるデューティ・サイクル
【0044】
OOK変調された振動電場を復調すると、パルス幅の時間を著しく削減し、それと共にデューティ・サイクルを強く削減し得ることが試験によって示されている。パルス間隔の活性部分についてデューティ・サイクルを削減すると、広帯域信号が効果的に生成される。パルスが狭いほど、周波数スペクトルが広くなる。通信信号の発生に対して両方のエネルギー節約方法を適用すると、当業界の技術の既存の状態と比較して、大きなエネルギー節約をもたらすことができる。このことは、既存の技術(例えばZAND通信)で使用されるような活性信号時間(AST:active signal time)を、エネルギー最適化済みの信号パラメータを利用する試験結果と比較することによって、認めることができる。ASTが時間を表し、活性電圧が送信電極に印加されるため、ASTを削減すると、送信信号を発生させるために必要なエネルギーが直接削減される。
【0045】
OOKにおけるASTは、設計によって値1のビット送信にのみ適用し得、所定のビット時間は、その時間に必要な搬送周波数間隔の数で表されることができる。最後に、活性信号時間をさらに制限する方形パルス形状のデューティ・サイクルでは、ASTは、
AST=(1/fc)*N*DC
と表されることができ、ここで、
fc=搬送周波数、
N=搬送周波数間隔の数、及び
DC=搬送周波数方形パルス形状のデューティ・サイクルである。
【0046】
OOK変調での通信の場合、間隔の数は約60であり得、使用されるデューティ・サイクルは0.5(50%)であり得る。例えば、10に設定されたパラメータN及び0.1(10%)に設定されたデューティ・サイクル値で、通信の成功が達成され得、上記の設定と比較して、30倍のエネルギー削減をもたらし得る。
【0047】
上記で説明した実施例及びそれらの任意の組合せにより、植え込まれた機器が、複雑な技術を何も利用することなく、最小の消費エネルギーで通信を実行することが可能である。
【0048】
別の態様では、体内通信のための通信システムを動作させるための方法は、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器のうちの別のものと通信するための通信回路を各々が有する多数の植込み型医療機器間での通信を確立することと、第1のシグナリング技法を用いて多数の植込み型医療機器と通信するための第1の通信回路を有する少なくとも1つの外部機器と、多数の植込み型医療機器との間での通信を確立することと、第1のシグナリング技法とは異なる第2のシグナリング技法を用いて遠隔システムと通信するための第2の通信回路を有する少なくとも1つの外部機器と、遠隔システムとの間で通信を確立することとを含む。
【0049】
通信システムについて上記で説明した利点及び有利な実施例は、本方法にも同様に等しく適用され、この点では上記を参照するものとする。
【0050】
本発明の様々な特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面に示した実施例を参照すると、より容易に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】患者に植え込まれた医療機器の通信システムの概略図である。
図2】医療機器間でのデータ通信のための通信リンクが、その間に確立されるものである2つの医療機器の概略図である。
図3】患者に植え込まれた多数の医療機器と、多様な外部機器とを含む通信システムの概略図である。
図4】植込み型医療機器と、外部機器と、遠隔システムとの間での物理層シグナリングの概略図である。
図5】音響シグナリング技法を用いた、外部機器と遠隔システムとの間でのデータ送信の一事例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
続いて、本発明の実施例は、図面を参照して詳細に説明されるものである。図面では、同じ参照番号は、同様の構造的要素を示している。
【0053】
実施例は、本発明を限定するものではなく、単に例示的な実例を提示するものであることに留意されたい。
【0054】
図1を参照すると、植込み型医療機器1、2、3は、患者Pの体内で異なる機能を提供するために、異なる箇所で患者Pに植え込まれ得る。例えば、リードレス・ペースメーカ機器の形状である医療機器1は、心臓H内にペーシング作用を提供するために、患者の心臓Hの右心室RVに植え込まれ得る。例えばループ・レコーダの形状である別の医療機器2は、胸部の皮下に植え込まれ得、ループ・レコーダは、患者Pの体内で特定のパラメータを監視するために、信号を記録し、例えば外部機器と通信することができる。例えば圧力センサ、流量センサ、温度センサ等のセンサ機器の形状である別の植込み型医療機器3は、血圧又は血流量などの特徴的なパラメータを感知するために、例えば血管に植え込まれ得る。
【0055】
概して、患者Pに植え込まれた異なる医療機器1、2、3間には、データ通信があることが望ましい。医療機器1、2、3を共にリンクさせる体内ネットワーク・システムを確立することによって、この種類の通信をワイヤレスの形態で確立する手法が存在し、そのようにして、医療機器1、2、3間でデータが交換され得る。したがって、ループ・レコーダは、例えばセンサ機器のセンサデータ、又はペースメーカ若しくは除細動器のデータを記録し、例えば治療の作用を制御するためにペースメーカ若しくは除細動器にデータを提供し得る。
【0056】
データ通信を可能にするためには、医療機器1、2、3間の通信リンクを確立する必要がある。本明細書では、信号は、音響的な電気又は磁気(誘導)信号の伝送などの特定の伝送技術と、PCM、FSK、PSK、QPSK、FM、又はAM変調等の特定の変調方式とを使用して変調された形態において交換される。
【0057】
ここで図2を参照すると、患者Pに植え込まれる医療機器1、2は、小さな造りを有し得、長期にわたって患者Pの体内に留まるために、消費電力が低く設計され得る。
【0058】
例えばリードレス・ペースメーカの形状である第1の医療機器1は、本明細書では、筐体10と、制御回路11と、刺激信号を発し感知信号を受信するための電極装置12と、通信回路13と、例えば電池の形状であるエネルギー貯蔵部14とを備え得る。
【0059】
例えば圧力センサなどの植込み型センサ機器の形状、又はループ・レコーダの形状である第2の医療機器2は、筐体20と、制御回路21と、通信回路23と、例えば電池の形状であるエネルギー貯蔵部24とを備え得る。
【0060】
通信回路13、23は、それぞれ、送信ユニット130、230と、受信ユニット131、231とを備える。通信回路13、23は具体的な伝送技術用に、すなわち、音響的な電気又は磁気信号を送信し受信するために設計されている。また、通信回路13、23は、送信及び受信用の復調信号をそれぞれ変調して、伝送パラメータを最適化し、受信した信号を増幅させ信号を処理するように設計されており、この目的は、医療機器1、2の動作を分析し制御するための制御回路11、21に処理した信号を転送することである。
【0061】
概して、図1に概略的に示す通信システム内で、植込み型医療機器1、2、3間での通信は、通信リンクを用いて確立されるものである。例えば図2を参照すると、通信リンクLは、例えば医療機器1、2のうちの一方の初期起動時に、又は医療機器1、2の不活動の長い継続時間の後に存在するスリープ・モードの後に、医療機器1、2間で確立されるものである。本明細書では、通信を確立しようとする医療機器1、2は、例えば他方の医療機器2、1に向かって、医療機器1が通信を確立しようとしていることを示すトリガー信号を発信し得る。次いで通信は、例えば、電気、音響、又は磁気信号を利用したシグナリング技術を採用している共通の物理層シグナリングを用いて行われる。
【0062】
ここで図3を参照すると、患者Pに植え込まれた医療機器1、2、3は、通信リンクL12、L13、L23を用いて、互いの間でデータを送信するための通信を確立し得る。例えば測定データは、受信機器による処理のために、感知機器から、そのような通信リンクL12、L13、L23を経由して、ループ・レコーダなどの記録機器又は刺激機器に伝送され得る。
【0063】
さらに、患者Pに植え込まれた医療機器1、2、3は、データ、例えば測定データを、医療機器1、2、3から外部機器4、5に向かって伝送するため、又は構成データを外部機器4、5から受信して、植え込まれた医療機器1、2、3の動作を適合させるために、1つ又は多数の外部機器4、5と通信し得る。本明細書では、通信は、外部機器4、5と植え込まれた医療機器1、2、3とを互いに接続する通信リンクL15、L25、L35、L34を経由して行われ、さらに、外部機器4、5はまた、通信リンクL45を経由して互いに通信し得る。
【0064】
本明細書では、体内医療機器1、2、3と外部機器4、5との間での通信を促進するために、内部の体内機器1、2、3と外部機器4、5との両方に共通の通信技術を使用することが提案されており、そのようにして、医療機器1、2、3は、同じ通信技術を用いて、外部機器4、5と通信し得、同様に互いも通信し得る。
【0065】
共通の通信技術は、特に、共通の物理層シグナリング及び共通の通信プロトコルを必要とする。
【0066】
例えば、植込み型医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、変調された振動電場を用いた物理層シグナリングに基づくシグナリング技法を使用し得る。例えば、外部機器4、5の患者Pへの流電結合又は静電結合を用いた、標準化された体内通信(IBC)によるシグナリングが採用され得る。
【0067】
別の実施例では、植込み型医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、音響信号、特に超音波信号を用いた物理層シグナリングに基づくシグナリング技法を使用し得る。この場合には、植込み型医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、周囲の媒体を結合するために音響変換器を採用する。特に、植込み型医療機器1、2、3は、組織に接触する変換器を採用し得る。外部機器4、5は、例えば、外部機器4が図3の実施例における腕時計の形状を有する場合に、患者の皮膚上に配置され得る。
【0068】
さらに別の実施例では、植込み型医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、変調された振動磁場を用いた物理層シグナリングに基づくシグナリング技法を使用し得る。この場合には、医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、振動磁場を誘導する磁気コイルの形状である変換器を備える。
【0069】
さらに別の実施例では、植込み型医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、変調された電磁波を用いた物理層シグナリングに基づくシグナリング技法を使用し得る。この場合には、医療機器1、2、3及び外部機器4、5は、適切なアンテナの形状である変換器を備える。
【0070】
外部機器4、5のうちの1つ又は多数は、図3の実施例における腕時計の形状である外部機器4の場合に、患者の皮膚上に配置され得、このために、例えば患者Pによって装着され得る。
【0071】
共通のシグナリング技法を用いた、植込み型医療機器1、2、3間の互いの間での通信、植込み型医療機器1、2、3と外部機器4、5との間での通信、及び外部機器4、5間の互いの間での通信は、変調された信号の送信に基づいており、信号は、機器1~5を識別しアドレス指定する識別子情報を符号化し得る。本明細書では、各機器1~5は、機器1~5間でメッセージを交換することができるように、一意識別子によって識別され得る。
【0072】
したがって、図3に示されている通信リンクは、論理リンクとして確立され、信号は、概して、導波媒体としての患者Pの体を用いて送信され、そのようにして、1つの機器1~5から送信された信号は、概して、ネットワーク内で結合されているすべての機器1~5によって受信されるが、信号内で符号化されている識別子情報によって判別され得る。
【0073】
図3の実施例では、外部機器4、5は、遠隔システム6、例えばインターネットなどの公共の通信ネットワーク内の遠隔サーバ・システムと通信するように構成されている。例えば、データは、外部機器4、5のうちの1つ又は両方から遠隔システム6に送信され得、遠隔システム6から外部機器4、5に受信され得る。遠隔システム6は、外部リンクE4を経由して外部機器4と通信し、外部リンクE5を経由して外部機器5と通信する。
【0074】
ここで図4を参照すると、外部機器4、5の各々は、共通の物理層シグナリングPHY1を使用する植込み型医療機器1、2、3との通信を確立するための第1の通信回路41を備える。共通の物理層シグナリングPHY1を用いると、通信は、外部機器4、5から植込み型医療機器1、2、3のうちのいずれかまでの間で個別に確立され得、そのようにして、外部機器4、5と植込み型医療機器1、2、3のうちのいずれかとの間でデータが交換され得る。
【0075】
さらに、外部機器4、5は、物理層シグナリングPHY1とは異なる物理層シグナリングPHY2を使用する遠隔システム6との通信を確立するための第2の通信回路42を備える。第2の通信回路42を用いると、遠隔システム6とデータが交換され得る。
【0076】
物理層シグナリングPHY2は、例えば、Bluetooth、Zigbee、近距離無線通信(NFC)、又はWi-Fiなどの標準的な近接通信方式を利用し得る。本明細書では、遠隔システム6との通信を確立するために、物理層シグナリングPHY2を用いた接続が、携帯機器又はローカル・コンピュータなどのローカル通信機器7に対して確立され得、このローカル通信機器7は、公共の通信ネットワークを経由して、データを中継し遠隔サーバ6と通信する。遠隔システム6は、遠隔サーバ6であることができ、逆もまた同様である。
【0077】
制御ユニット40は、外部機器4、5の動作を制御するように働き、データを処理する。例えば、制御ユニット40は、遠隔サーバ6と植込み型医療機器1、2、3との間での送信のために、異なる通信回路41、42間でデータを変換するように構成され得る。
【0078】
ここで図5を参照すると、1つの実施例では、ローカル通信機器7は、公衆電話交換網(PSTN)を経由して遠隔システム6に接続されている通常の電話の形状を有し得る。外部機器4、5の通信回路42は、例えば、可聴周波数帯域、例えば50Hzから8kHzまでの間にある音響信号を生成するように構成され得、この音響信号は、通常の電話線を経由して伝送され得る。遠隔システム6への通信を確立するために、ユーザは、例えば、遠隔システム6の中央サーバ・リンク局に関連付けられた電話番号に電話をかけ得、ユーザがその電話のマイクロフォンの近傍に外部機器4、5を配置し得ると、そのようにして、音響信号を用いて、電話の形状であるローカル通信機器7を経由して遠隔システム6に向かって、データを送信することができる。
【0079】
通信システム内の植込み型医療機器1、2、3は、例えば、リードレス・ペースメーカ機器若しくは除細動器などの心臓刺激機器、例えば血圧を感知するための生体センサなどの感知機器、又はループ・レコーダなどの記録機器であり得る。
【0080】
概して、植込み型医療機器1、2、3は、患者の心臓の中、例えば右心室又は右心房に、完全に又は部分的に直接植え込まれ得る。別の実施例では、植込み型医療機器1、2、3は、患者の皮下に、完全に又は部分的に植え込まれ得る。
【0081】
上記の実施例における外部機器4、5と植込み型医療機器1、2、3との間の通信は、場合によっては、外部機器4、5を患者Pに近接させること、有利には患者の皮膚に接触させることによってのみ確立され得るので、植込み型医療機器1、2、3との通信を容易には破損又は中断することができない点で、本質的に安全性を高めることが達成される。
【符号の説明】
【0082】
1、2、3 植込み型医療機器
10、20 筐体
11、21 制御回路
12 電極装置
13、23 通信回路
130、230 送信ユニット
131、231 受信ユニット
14、24 エネルギー貯蔵部
4、5 外部機器
40 制御ユニット
41 通信回路
42 通信回路
6 遠隔システム(遠隔サーバ)
7 通信機器
E4、E5 外部リンク
H 心臓
L 通信リンク
12-L45 通信リンク
P 患者
PHY1、PHY2 物理層シグナリング
RV 右心室
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】