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特表2024-521004基材をコーティングする方法及びコーティングされた基材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】基材をコーティングする方法及びコーティングされた基材
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/36 20060101AFI20240521BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240521BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20240521BHJP
   B05D 1/06 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B05D1/36 Z
B05D7/24 301A
B05D7/14 G
B05D1/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564221
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022030129
(87)【国際公開番号】W WO2022246127
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,757
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ガルバリウム鋼板
(71)【出願人】
【識別番号】518155030
【氏名又は名称】エスダブリューアイエムシー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スキルマン、チャールズ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン、リチャード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デスーサ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ベスト、テッド ロバート
(72)【発明者】
【氏名】マンズ、ジェイド ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロマニョーリ、ケビン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ステルター、エリック カール
【テーマコード(参考)】
4D075
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA82
4D075AC41
4D075AE03
4D075AE12
4D075AE16
4D075AE17
4D075BB26Z
4D075BB33Z
4D075BB35Z
4D075BB42Z
4D075BB46Z
4D075BB65X
4D075BB81Y
4D075BB81Z
4D075BB93Z
4D075CA24
4D075CB02
4D075DA03
4D075DB01
4D075DB02
4D075DB03
4D075DB04
4D075DB05
4D075DB07
4D075DC01
4D075DC05
4D075DC11
4D075EA02
4D075EA43
4D075EB13
4D075EB14
4D075EB17
4D075EB18
4D075EB22
4D075EB35
4D075EB37
4D075EB38
4D075EB52
4D075EB53
4D075EB57
4D075EC02
4D075EC10
4D075EC11
4D075EC13
4D075EC31
4D075EC33
4D075EC35
4D075EC37
4D075EC49
(57)【要約】
粉末コーティング組成物、特に基材粉末コーティング組成物をコーティングする方法、及び基材容器、その一部分、又は容器のためのクロージャを作製する方法、並びに粉末コーティングシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材をコーティングする方法であって、
(1つ以上の異なる下にある粉末コーティング組成物を硬化させる前又は後に)少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、別の粉末コーティング組成物上に堆積させるように、複数の粉末コーティング組成物を前記基材の少なくとも一部分に方向付けることと、
前記複数の粉末コーティング組成物が、前記基材の少なくとも一部分上に硬化した連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含み、
各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥された粉末ポリマー粒子)を含み、前記複数の基材粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、方法。
【請求項2】
前記基材が、金属のコイルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基材が、24インチ~72インチの幅を有するコイルである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
効果的な条件を提供することは、前記粉末コーティング組成物の各々が異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化した連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
効果的な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の前記層を全て堆積させた後で、前記粉末コーティング組成物の各々が、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記異なる粉末コーティング組成物が、化学的に異なる、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、前記方法が、カラーオンカラー印刷をもたらす、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
最外(すなわち、最上部)コーティングとして堆積された前記粉末コーティング組成物が、透明なコーティングを形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
第1の粉末コーティング組成物が堆積されて、比較的柔らかく、可撓性のプライマー層を提供し、第2の粉末コーティング組成物が前記第1の粉末コーティング組成物上に堆積されて、比較的硬く、耐摩耗性の最上部コーティングを提供する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の粉末コーティング組成物が、テクスチャ表面を形成するように堆積される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の粉末コーティング組成物が、平滑な表面を形成するように堆積される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記硬化した連続的な付着性コーティングが、マーキングを形成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基材が、極低温洗浄された金属基材である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、前記基材を極低温洗浄することを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記基材が、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、450μm以上、500μm以上、600μm以上、又は700μm以上の平均厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属基材が、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、1mm以下、800μm以下、760μm以下、700μm以下、650μm以下、又は610μm以下の平均厚さを有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化した付着性コーティングが、最大100ミクロンの平均総厚さ、又は最大100ミクロンの最大厚さを有する、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化した付着性コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均総厚さを有する、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記硬化した付着性コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均総厚さを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥された粉末ポリマー粒子)を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量で前記ポリマーを含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で前記粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で前記粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、前記粉末ポリマー粒子、及び/又は前記粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性担体粒子と接触している、1つ以上の電荷制御剤を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記方法が、前記複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも1つの粉末コーティング組成物を前記基材の前記少なくとも一部分に方向付けながら、前記金属基材を電気的に接地させることを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記金属基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、前記複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させることを含み、前記少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電的に付着させることが、前記少なくとも1つの粉末コーティング組成物を前記輸送体表面、前記画像形成部材、及び/又は前記中間転写部材に静電的に付着させる前に、前記輸送体表面、前記画像形成部材、及び/又は前記中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第1の堆積された粉末コーティング組成物が、第1の極性のものであり、前記方法が、前記第1の堆積された粉末コーティング組成物の前記第1の極性を第2の極性に変化させることと、第2の極性の第2のコーティング組成物を前記第1の堆積された粉末コーティング組成物に付与することと、を更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記1つ以上の電荷制御剤は、前記粉末ポリマー粒子が摩擦電荷を効率的に受け入れて、(例えば、本明細書に記載されるもののいずれかなどの導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を介して)基材に付与されることを容易にすることを可能にする、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属カルボン酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩若しくはスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン色素、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を方向付けることが、前記複数の粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の各々を、電場若しくは電磁場(例えば、電場)、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって前記基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を方向付けることが、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、電場又は電磁場によって前記基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記基材の少なくとも一部分に方向付けることが、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の輸送体に給送することと、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、電場又は電磁場によって、前記1つ以上の輸送体から前記基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記1つ以上の輸送体から方向付けることが、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、前記1つ以上の輸送体と前記基材との間の電場によって、前記1つ以上の輸送体から前記基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を前記1つ以上の輸送体から方向付けることが、前記1つ以上の輸送体と1つ以上の転写部材との間の電場によって、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、前記1つ以上の輸送体から前記1つ以上の転写部材に方向付けることと、前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、前記1つ以上の転写部材から前記基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上の転写部材が、半導電性又は絶縁性ポリマーベルトを含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記複数の粉末コーティング組成物の各々を、前記1つ以上の転写部材から前記基材の少なくとも一部分に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電力、若しくは機械力を加えて前記転写をもたらすことを含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ以上の輸送体が、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、磁性担体粒子を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記複数の粉末コーティング組成物が、前記金属基材の少なくとも一部分上に硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流炉若しくは誘導コイルを使用して)、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を前記複数の粉末コーティング組成物に印加することを含む、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
条件を提供することが、熱エネルギーを印加することを含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
熱エネルギーを印加することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
熱エネルギーを印加することが、最高300℃又は最高250℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記基材が、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、溶融亜鉛めっき鋼、電気亜鉛めっき鋼、アルミニウム、ブリキ、種々のグレードのステンレス鋼、及びアルミニウム-亜鉛合金コーティング鋼板(例えば、ガルバリウム鋼板)を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)噴霧乾燥又は限定凝集によって生成された粒子などの化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは35~50)の圧縮性指数、及び1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは35~50)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、15グラム/10分より大きい、50グラム/10分より大きい、又は100グラム/10分より大きいメルトフローインデックス、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最高150℃、最高125℃、最高110℃、最高100℃、又は最高80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記硬化したコーティングが、いかなる検出可能なTgも有しない、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃かつ最高300℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどの、それらのコポリマー若しくは混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの前記1つ以上が、1つ以上のビニルポリマーを含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの前記1つ以上が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリマーを含む、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの前記1つ以上が、フルオロエチレンビニルエーテル(FEVE)ポリマーを含む、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの前記1つ以上が、アクリルポリマーを含む、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、請求項1~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、前記硬化したコーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を更に含む、請求項1~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
粉末潤滑剤を堆積させることを更に含む、請求項1~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記1つ以上の潤滑剤が、前記硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で前記硬化したコーティング中又は前記硬化したコーティング上に存在する、請求項1~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記1つ以上の潤滑剤が、前記硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で前記硬化したコーティング中又は前記硬化したコーティング上に存在する、請求項1~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャートロプシュワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粉化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、それらの組み合わせ、並びにそれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、請求項1~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、請求項1~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、請求項1~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、TMBPFを除く全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、請求項1~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、請求項1~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記硬化した連続的な付着性コーティングが、付着性試験に従って、9又は10、好ましくは10の付着性評点で、金属基材などの基材に付着する、請求項1~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記硬化した連続的な付着性コーティングが、露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、請求項1~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記基材が、コイルとして提供され、前記方法が、コイルコーティングプロセスである、請求項1~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
前記基材が、シートとして提供され、前記方法が、シートコーティングプロセスである、請求項1~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
請求項1~81のいずれか一項に記載の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、コーティングされた基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月19日に出願された米国特許仮出願第63/190,757号の優先権を主張し、それは、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
コイルコーティング及び押出コーティングは、経済的な様式で基材をコーティングするために頻繁に使用されている。そのようなコーティングは、耐摩耗性、可撓性、耐久性、耐食性、耐候性、耐亀裂性などのようないくつかの有用な特性を有することが知られている。
【0003】
コイルコーティング及び押出コーティングは、金属建物製品を含む広範囲の用途において耐久性のあるカラフルな美観を付与するために使用される。噴霧コーティングとしても知られる押出コーティングは、例えば、カーテンウォール、店の正面、窓、ルーバなどの予備成形された金属構成要素に手で又は静電的に付与され、一方で、コイルコーティングは、例えば、建物パネル、屋根ふき材、羽目板などの建築構成要素に後成形される平面的な金属シート上にロールコーティングされる。
【0004】
多種多様な液体を付与されたコーティング組成物が、例えば金属建物製品を含む種々の製品の表面上に硬化したコーティングを提供するために使用されている。硬化したコーティングは、好ましくは、過酷な環境に曝された場合でも、基材に対する優れた付着性を有し、汚れ、並びに「ポッピング」、「白化」、及び/又は「膨れ」などの他のコーティング不良に耐え、長期間にわたる劣化に耐える必要がある。加えて、硬化したコーティングは、ほとんどの場合、製作中に好適なフィルムの完全性を維持することができ、基材が使用中にさらされ得る加工条件に耐えることができる必要がある。
【0005】
液体ベースのコーティングは、今日の市場のニーズを概ね満たすが、それらの使用と関連するいくつかの顕著な欠点がある。液体コーティングは、配送コストの一因となる大量の水及び/又は有機溶媒を含有する。次いで、液体コーティング組成物が付与されるとき、コーティング硬化プロセス中に水又は溶媒を除去するために、しばしば化石燃料を燃やす形態で、著しい量のエネルギーを費やさなければならない。有機溶媒は、硬化フィルムから追い出されると、揮発性有機成分(Volatile Organic Content、VOC)の発生の一因となるか、又は大きいエネルギーを消費する熱酸化剤によって軽減されなければならない。加えて、これらのプロセスは、著しい量の二酸化炭素を放出する場合がある。
【0006】
従来の液体コーティングの1つの代替法は、積層コーティングの使用である。このプロセスでは、積層された又は押出されたプラスチックフィルムが、加熱工程を介して付着される。積層フィルムを生成するために必要とされる生成物は、限られた数の熱可塑性材料とのみ適合性がある(例えば、材料は、薄いフィルムに延伸されるために必要とされる引張強度を有しなければならない)。そのようなフィルムが延伸され得る程度にも限界があり、最終コーティングが基材上に付与され得る薄さを制限する。また、積層された鋼又はアルミニウムを受け入れるために既存の生産設備を改装するのに必要な、著しい資本投資が存在する可能性がある。
【0007】
必要とされているのは、従来の液体、粉末、及び積層コーティング組成物と関連する上記の欠点を克服する、硬質基材用途のための改善されたコーティング組成物である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、粉末コーティング組成物、特に基材粉末コーティング組成物を基材上にコーティングする方法、及びコーティングされた基材、物品の一部分、又は物品を作製する方法を提供する。本開示はまた、粉末コーティングシステム、並びに基材をコーティングするために使用されるコーティング装置に粉末コーティング組成物を送達するための方法及び装置を提供する。
【0009】
全ての実施形態において、好ましい基材粉末コーティング組成物(金属基材との接触前)は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、好ましくは、(i)粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は(ii)粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい1つ以上の磁性担体粒子を含む。粉末ポリマー粒子は、好ましくは化学的に生成される。粉末ポリマー粒子は、好ましくは100~140(例えば、球形及びジャガイモ形状)、より好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形状)の形状係数を有する。粉末コーティング組成物は、好ましくは、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも40重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも50重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%、また更により好ましくは少なくとも70重量%、また更により好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0010】
粉末コーティング組成物は、少なくとも、液体担体を揮発させる必要がないことに起因してエネルギーコストが著しく低減され得ること、並びに配送体積及び重量の低下に起因して配送コストが低減されることから、液体コーティング組成物よりも有利である。粉末コーティングでは、キュアリング中の溶媒ガス放出に起因して起こり得る膨れなどのコーティング欠陥もより少ない。
【0011】
本開示は、例えば、物品を作製するために使用することができる基材をコーティングするために使用されるコーティング装置に、1つ以上の粉末コーティング組成物を送達するための方法及び装置を更に提供する。粉末コーティング組成物は、密閉されたカートリッジを使用して輸送、保管及び吐出することができ、これは、充填プロセス中に、並びに粉末コーティング組成物のカートリッジからの望ましくない漏出を制限するために輸送、保管、及び吐出中に完全に密封され得る。カートリッジは、粉末コーティングが製造される現場で充填され、次いで、粉末コーティング組成物を(必要に応じて、例えば、道路/鉄道/水域/空中にわたって)、粉末コーティングプロセス及び機器において使用するための粉末コーティング組成物を吐出するためにカートリッジが使用される施設に輸送するために使用され得る。カートリッジは、その中に収容された粉末コーティング組成物を吐出した後、好ましくは、廃棄物を低減するために再充填され得る。いくつかの例では、カートリッジは、粉末コーティング組成物製造業者に戻されてもよく、そこで再充填前に(必要であれば)洗浄することができる。カートリッジの再充填は、粉末コーティング組成物の送達と関連する廃棄物を低減するために、送達プロセスを周期的にすることができる。廃棄物を低減することに加えて、輸送、保管、及び吐出中のカートリッジからの粉末コーティング組成物の望ましくない漏出を制限(又は防止)することは、作業者曝露の観点から有益であり得る。本明細書に記載される粉末コーティング組成物の少なくともいくつかの小さい粒径は、吸入の危険があり得る。本明細書に記載されるカートリッジベースのシステムの使用は、いかなるそのような危険も制限することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカートリッジベースの送達システム及び方法において使用されるカートリッジは、拡張構成(本明細書に記載の粉末コーティング組成物を送達及び吐出するために使用される)と、より小さい折り畳み構成(カートリッジの保管及び輸送のために使用される)との間で変換可能であり得る。より小さい折り畳まれた構成は、例えば、再充填のためにカートリッジを輸送するコストを低減し、本明細書に記載される粉末コーティング組成物を輸送及び使用するために必要とされるエネルギーを更に低減する(並びに、使用と使用との間の保管空間要件を低減する)のに役立ち得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、好適な基材をコーティングする方法は、粉末上に粉末をコーティングすることを含む。このパウダーオンパウダーコーティング方法は、基材を提供することと、複数の粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって化学的に生成された粉末ポリマー粒子)を含み、複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、提供することと、(1つ以上の異なる下にある粉末コーティング組成物を硬化させる前又は後に)少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積させるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付けることと、複数の粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の粉末コーティング組成物を含むコーティングシステムが提供され、粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なり、各粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、パターン化コーティングを形成することを含む、基材をコーティングする方法が提供される。このパターン化コーティング方法は、基材を提供することと、粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、提供することと、粉末コーティング組成物を(好ましくは、導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を含む付与するプロセスを使用して)基材の少なくとも一部分上に選択的に付与して、パターン化コーティングを形成することと、粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した付着性のパターン化コーティング(連続的であっても連続的でなくてもよい)を形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるパウダーオンパウダー及び/又はパターン化コーティング方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有するそのようなコーティングされた基材を含む、コーティングされた基材が提供される。
【0017】
いくつかの実施形態では、1つの場所及び/又は1つの連続的な製造ライン若しくはプロセスにおいて基材を物品に作製する方法が提供される。方法は、基材を提供することと、粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された、例えば噴霧乾燥された粉末ポリマー粒子)を含む、提供することと、粉末コーティング組成物を、(好ましくは、導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を含む付与するプロセスを使用して)基材の少なくとも一部分に方向付けることと、粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、少なくとも部分的にコーティングされた基材を物品の少なくとも一部分に形成することと、を含む。そのような方法は、パターン化コーティングを形成することを伴い得る。そのような方法は、複数の異なる基材粉末コーティング組成物を使用することを伴い得る。
【0018】
本明細書において、「コイルコーティング」組成物は、剛性材料上に直接(例えば、少なくとも10ミクロン厚の自立型プラスチックフィルム、紙若しくは他の繊維材料、又は金属箔であり、次いで剛性材料に付与(例えば付着)されるものとは対照的に)、又は基材を覆う自立型フィルム(すなわち、積層などによって別の基材に付与される前に形成されるフィルム)に由来しない前処理層若しくはプライマー層上に間接的にコーティングするのに好適であるコーティング組成物を指す。したがって、例として、基材を覆う紙層又は金属基材を覆う積層プラスチック層のいずれかに付与される粉末コーティング組成物は、本明細書で使用されるようなコイルコーティング組成物ではない。
【0019】
本明細書で言及される粒径は、製造業者によって推奨されるように較正されたBeckman Coulter LS 230レーザ回折粒径分析器又は同等物を使用して、出発材料(例えば、一次ポリマー粒子、電荷制御剤、潤滑剤など)についてのレーザ回折粒径分析によって決定され得る。
【0020】
「D値」、すなわちD50、D90、D95、及びD99は、粒子が昇順の粒径ベースで配置される場合に、試料の体積を特定の割合に分割する粒径である。例えば、粒径分布については、中央値は、D50(又はある特定のISOガイドラインに従う場合にはx50)と呼ばれる。D50は、この直径の上半分及び下半分で分布を分割するミクロン単位の粒径である。Dv50(又はDv0.5)は、体積分布の中央値である。D90は、分布の90パーセントがより小さい粒径を有し、10パーセントがより大きい粒径を有する粒径を説明する。D95は、分布の95パーセントがより小さい粒径を有し、5パーセントがより大きい粒径を有する粒径を説明する。D99は、分布の99パーセントがより小さい粒径を有し、1パーセントがより大きい粒径を有する粒径を説明する。本明細書において別段の指定がない限り、特定の材料の粒径はD50を指し、D50、D90、D95、及びD99はそれぞれ、D50、D90、D95、及びD99を指す。本明細書で指定されるD値は、レーザ回折粒径分析によって決定することができる。
【0021】
「粉末コーティング組成物」とは、粉末粒子を含み、液体担体を含まない組成物を指すが、粉末粒子の調製において使用されている可能性のある微量の水又は有機溶媒を含み得る。粉末コーティング組成物は、典型的には、微細に分割された自由流動性粉末ポリマー粒子の形態であり、これは凝集体の形態にあってもなくてもよい。粉末コーティング組成物(金属基材との接触前)は、1つ以上の電荷制御剤、粒子の形態の1つ以上の磁性担体(すなわち、磁性担体粒子)、又はその両方を含んでも含まなくてもよい。
【0022】
本明細書において、凝集体(又はクラスタ)は粒子の集合体であり、後者は一次粒子と称される。
【0023】
「硬化した」コーティングは、粒子が架橋反応を介して共有結合的にキュアリングされるもの(例えば、熱硬化性コーティング)、又は粒子が架橋反応の不在下で単に融合され(例えば、熱可塑性コーティング)、基材に付着され、それによってコーティングされた基材を形成するものを指す。「硬化した」という用語は、コーティングの相対的な硬度又は軟度(Tg)に関連するものを示唆するものではない。「硬化した」という用語はまた、単に基材上に振りかけられた粉末を指すものではない。
【0024】
「付着性」コーティングは、好ましくは試験方法に記載の付着性試験に従って、基材などの基材に付着する(すなわち、結合する)硬化したコーティングを指す。9又は10、好ましくは10の付着性評点が、付着性であるとみなされる。
【0025】
「連続的な」コーティングは、露出した基材(すなわち、硬化したコーティングを通して露出した基材の領域)をもたらすコーティング欠陥を含まない(好ましくは、ピンホールを含まない)硬化したコーティングを指す。連続的なコーティングは、基材を完全に覆う全面コーティングであってもよく、又は例えば、パターン化コーティングにおけるように基材の一部のみを覆っていてもよい。
【0026】
「パターン化」コーティング(すなわち、複数部分コーティング)は、基材表面上の2つ以上の領域に印刷された硬化したコーティングを指し、これは、印刷された(すなわち、コーティングされた)領域の間及び/又は周囲の「ブランク」領域を有しても有しなくてもよく、「ブランク」領域は、その上にコーティングを有しない。「パターン化」コーティングは、以下の1つ以上を有する任意のコーティングを指す:(i)同じ化学組成の2つ以上の硬化したコーティング部分であって、直接隣接せず、同じ基材表面の異なる領域上に配設され、同じ全体的な複数部分コーティング中に存在する、2つ以上の硬化したコーティング部分、(ii)同じ基材表面の異なる領域上に配設され、同じ全体的な複数部分コーティング中に存在する、異なる化学組成(例えば、異なる色、光沢レベルなどを有する)の2つ以上の硬化したコーティング部分、又は(iii)異なる厚さ若しくはテクスチャの同じ化学組成の2つ以上の硬化したコーティング部分であって、直接隣接していてもしていなくてもよく、同じ基材表面の異なる領域上に配設され、同じ全体的な複数部分コーティング中に存在する、2つ以上の硬化したコーティング部分。パターン化コーティングは、全面コーティング(すなわち、典型的には基材の表面全体を覆う、実質的に均一/均質なコーティング(従来のコーティングプロセスから生じる固有の厚さ変動を伴う)を有する、従来通りに付与された液体又は粉末コーティング)とは異なる。パターン化コーティングのこの定義はまた、以下を除外する:(a)縁部のみがコーティングされた基材、(b)縁部以外の全てがコーティングされた基材、及び(c)(i)、(ii)、又は(iii)のいずれも示さないコーティング。パターン化コーティングは、様々な形状(例えば、ストライプ、ダイヤモンド、正方形、円形、楕円形)であり得る、コーティングされた領域の規則的又は不規則なパターンを含み得る。「パターン」及び「パターン化」という用語は、設計要素におけるいかなる反復も必要としないが、そのような反復が存在してもよい。パターン化コーティングのコーティングされた領域は、好ましくは、下にあるコーティングが存在しない場合に露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥がないという点で、(パターンによってコーティングされることが意図されるエリアにおいて)上記で定義されたように「連続的」である。
【0027】
特定の化合物を「実質的に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化したコーティングが、存在する場合に、1,000百万分率(parts per million、ppm)未満の記載された成分を含有することを意味する。特定の化合物を「本質的に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化したコーティングが、存在する場合に、100百万分率(ppm)未満の記載された成分を含有することを意味する。特定の化合物を「本質的に完全に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化したコーティングが、存在する場合に、10百万分率(ppm)未満の記載された成分を含有することを意味する。特定の化合物を「完全に含まない」という用語は、本開示の組成物又は硬化したコーティングが、存在する場合に、20十億分率(parts per billion、ppb)未満の記載された成分を含有することを意味する。記載された成分を含有し得る組成物又は硬化したコーティングに関して使用される場合、この段落の前述の用語は、存在する場合、組成物又は硬化したコーティング中の成分の文脈にかかわらず(例えば、化合物が未反応形態で、別の材料の構造単位として反応形態で、又はそれらの組み合わせで存在するかどうかにかかわらず)、組成物又は硬化したコーティングが、成分についての適切なppm又はppb最大閾値未満を含有することを意味する。
【0028】
「ビスフェノール」という用語は、各々が6つの炭素環と、環の炭素原子に結合したヒドロキシル基とを含む2つのフェニレン基を有する多価ポリフェノールを指し、2つのフェニレン基の環は、いかなる原子も共有しない。例として、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどは、これらのフェノール化合物が1つのフェニレン環のみを含むため、ビスフェノールではない。
【0029】
「上に」という用語は、表面又は基材上に付与されるコーティングの文脈で使用される場合、表面又は基材に、直接(例えば、未加工基材若しくは例えば電気めっき鋼などの前処理基材)又は間接的に(例えば、プライマー層上に)付与されるコーティングの両方を含む。したがって、例えば、前処理層(例えば、クロム若しくはクロムを含まない前処理から形成される)又は基材を覆うプライマー層に付与されるコーティングは、基材上に付与される(又は配設される)コーティングを構成する。
【0030】
「ポリマー」及び「ポリマー材料」という用語は、有機ホモポリマー、例えばブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーなどのコポリマー、ターポリマーなど、並びにそれらのブレンド及び修飾物を含むが、これらに限定されない。更に、特に限定しない限り、「ポリマー」という用語は、材料の全ての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの立体配置は、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称を含むが、これらに限定されない。
【0031】
「アリール基」(例えば、アリーレン基)という用語は、閉芳香環又は環系(例えば、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、フルオレニレン、及びインデニルなど)、及びヘテロアリーレン基(例えば、閉芳香環又は閉芳香様環炭化水素又は環系であって、その環中の原子のうちの1つ以上が、炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄など)であるもの)を指す。好適なヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニル、ピラジニル、1-オキシドピリジル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルなどが挙げられる。そのような基が二価であるとき、それらは、典型的には、「アリーレン」又は「ヘテロアリーレン」基(例えば、フリレン、ピリジレンなど)と称される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「フェニレン」という用語は、任意の置換基(例えば、ハロゲン(好ましくない)、炭化水素基、酸素原子、ヒドロキシル基などを含む)を有することができる6個の炭素原子のアリール環(例えば、ベンゼン基におけるような)を指す。したがって、例えば、以下のアリール基は各々、フェニレン環である:-C-、-C(CH)-、及び
-CH(CHCl-。加えて、例えば、ナフタレン基のアリール環の各々は、フェニレン環である。
【0033】
「複数の」又は「複数」という用語は、言及された項目(例えば、材料、成分、組成物、コーティング部分)の2つ以上を意味する。
【0034】
粉末コーティング組成物の文脈において、「異なる」とは、粉末コーティング組成物が、1つ以上の化学的/物理的方式(例えば、モノマーのタイプ/量、ポリマーの分子量、コーティング組成物の色、添加剤のタイプ/量)において異なり(すなわち、類似していない)、それによって1つ以上の異なる機能(例えば、硬度、可撓性、耐食性、美観、触覚)を提供することを意味する。
【0035】
「カートリッジ」という用語は、粉末コーティング組成物容器であり、食品又は飲料包装容器とは異なり、サイズ又は形状によって限定されない。
【0036】
本明細書において、「含む」という用語及びその変形形態は、これらの用語が明細書及び実施形態に現れる場合には、限定的な意味を有するものではない。そのような用語は、述べられた工程若しくは要素又は工程若しくは要素の群を含むことを示唆するが、任意の他の工程若しくは要素又は工程若しくは要素の群を除外することを示唆しないことが理解されるであろう。「からなる(consisting of)」とは、「からなる」という語句に続くものを含み、かつそれに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在しなくてもよいことを示す。「から本質的になる」とは、この語句の後に列挙される任意の要素を含み、列挙された要素について本開示で明記される活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素は任意選択的であり、それらが列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに応じて存在してもしなくてもよいことを示す。本明細書においてオープンエンドの文言(例えば、含む及びその派生語)で記載される要素又は要素の組み合わせのいずれも、クローズドエンドの文言(例えば、からなる及びその派生語)、並びに部分的にクローズドエンドの文言(例えば、から本質的になる及びその派生語)で追加的に記載されると考えられる。
【0037】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の利益をもたらし得る本開示の実施形態を指す。しかしながら、同じか又は他の状況下では、他の実施形態が好ましい場合もあり得る。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0038】
本出願において、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために特定の例が使用され得る一般的なクラスを含む。用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」及び「1つ以上」と同義で使用され、これらの用語が修飾する項目の全てを含めて、1つ、2つ、3つなどを含む。リストが続く「のうちの少なくとも1つ」及び「のうちの少なくとも1つを含む」、並びに「1つ以上の」及び「1つ以上を含む」という語句は、リスト内の項目のうちのいずれか、及びリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、一般に、内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含むその通常の意味で用いられる。
【0040】
「及び/又は」という用語は、列挙された要素の1つ若しくは全て、又は列挙された要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0041】
また、本明細書において、全ての数は、用語「約」によって、ある特定の実施形態では、好ましくは、用語「正確に」によって修飾されると想定される。測定された量に関連して本明細書で使用される場合、用語「約」は、測定を行い、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想されるような、測定された量の変動を指す。本明細書において、「最大」の数(例えば、最大50)は、その数(例えば、50)を含む。
【0042】
また本明細書において、終点による数値範囲の列挙は、その範囲、並びに終点(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)及び任意のサブ範囲(例えば、1~5は、1~4、1~3、2~4などを含む)内に包含される全ての数を含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、20℃~25℃の温度を指す。
【0044】
「範囲で(in the range)」又は「範囲内(within a range)」という用語(及び同様の記述)は、述べられた範囲の終点を含む。
【0045】
本明細書を通して、「一実施形態」、「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、又は「いくつかの実施形態」などへの言及は、その実施形態に関連して説明される特定の特徴、構成、組成、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して種々の箇所でそのような語句が出現しても、必ずしも本開示の同じ実施形態に言及しているわけではない。更に、特徴、構成、組成、又は特性を含む特定の実施形態は、1つ以上の実施形態において任意の好適切な様式で組み合わせることができる。
【0046】
本開示の上記の「発明の概要」は、本開示の各開示された実施形態又は全実装形態を記載することを意図するものではない。以下の記載及び図面は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願全体にわたるいくつかの箇所では、実施例の一覧を通してガイダンスが提供され、これらの実施例は、種々の組み合わせで使用することができる。いずれの場合にも、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ働き、排他的な一覧として解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、本明細書で記載される特定の例示的な構造に限定されるべきではなく、むしろ、少なくとも、実施形態の文言によって記載される構造、及びそれらの構造の均等物に及ぶ。代替として本明細書に積極的に記載される要素のいずれも、所望の任意の組み合わせで、明示的に実施形態に含まれてもよく、又は実施形態から除外されてもよい。ここでは種々の理論及び可能な機構について考察してきたが、いかなる場合も、そのような考察が特許請求可能な主題を限定する役割を果たすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A】従来のミリングされたポリエステル粉末コーティング粒子の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope、SEM)画像であり、これは、電場又は電磁場で使用するには大きすぎ、角張りすぎている。
図1B】化学的に生成されたポリマー粒子のSEM画像である。
図1C】化学的に生成されたポリマー粒子のSEM画像である。
図1D】化学的に生成されたポリマー粒子を製造するために使用される先行技術のプロセスの例である。
図1E】化学的に生成されたポリマー粒子を製造するために使用される先行技術のプロセスの例である。
図1F】化学的に生成されたポリマー粒子を製造するために使用される先行技術のプロセスの例である。
図2】噴霧乾燥装置の概略図である(図は、Buchi B290噴霧乾燥機製品資料、BUCHI Labortechnik AG,Flawil,Switzerlandから複製されたものである)。
図3A】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる、付与デバイスの線図である。
図3B】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる、付与デバイスの線図である。
図3C】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる、付与デバイスの線図である。
図3D】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる、付与デバイスの線図である。
図3E】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる、付与デバイスの線図である。
図4A】本明細書に記載されるような複数の付与デバイスを含む付与システムの例示的な実施形態の概略図である。
図4B】本明細書に記載されるような複数の付与デバイスを含む付与システムの例示的な実施形態の概略図である。
図5】本明細書に記載されるような粉末コーティング組成物を輸送し、保管し、吐出する1つの例示的なシステムの概略図である。
図6】本明細書に記載されるような粉末コーティング組成物を含有する積み重ねられた一対のカートリッジの1つの例示的な実施形態を描示する。
図7】カートリッジの充填中の、本明細書に記載されるようなカートリッジの1つの例示的な実施形態を描示する。
図8】排出管がカートリッジの吐出ポートに接続された状態の、本明細書に記載されるようなカートリッジの1つの例示的な実施形態を描示する。
図9】本明細書に記載されるような、折り畳まれた構成にある積み重ねられた変換可能なカートリッジのセットの1つの例示的な実施形態を描示する。
図10】その拡張構成にあるカートリッジの洗浄中の変換可能なカートリッジの1つの例示的な実施形態を描示する。
図11】硬質基材産業における多層コーティングを含むアセンブリの代表的な例の概略図を提供する。
図12】オールインワンロケーション方法の表現である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本開示は、粉末コーティング組成物(すなわち、コーティング組成物)、特に硬質基材粉末コーティング組成物を硬質基材上にコーティングする方法、並びに硬質基材又はその一部分、及びコーティングされた基材自体を作製する方法を提供する。本開示はまた、異なる色、異なるコーティング性能特性などを達成するために使用される粉末コーティング組成物系(例えば、複数の異なる粉末コーティング組成物を含有する系)を提供する。
【0049】
そのような方法は、エレクトログラフィック粉末コーティング(electrographic powder coating、EPC)プロセスと称され得る。EPCプロセスでは、帯電微粉末、典型的には摩擦帯電微粉末が基材に付与される。EPCプロセスは、典型的には、帯電微粉末のための導電性又は半導電性輸送体を使用し、帯電粉末を、電場又は電場又は電磁場を利用して輸送体から基材に直接、又は別の画像形成部材若しくは一連の画像形成部材に移動させ、最終的には基材に移動させる。エレクトログラフィは、光伝導体上に静電潜像を印刷する電子写真又はゼログラフィと、イオンヘッドによって書き込まれた静電潜像を絶縁性又は半導電性の画像形成部材上に印刷するイオノグラフィと、帯電した粉末を引き付けるために電気的にバイアスされ、及び/又はデボス加工されたドラム又はベルトの部分に印刷する静電マスタ印刷と、帯電した粉末をスクリーンを通して印刷する静電スクリーン印刷と、帯電した粉末がステンシルを通して印刷される静電ステンシル印刷と、基材上に均一な粉末層を形成するための、導電性又は半導電性輸送体からの粉末の静電バイアス現像と、を含む。
【0050】
エレクトログラフィック粉末コーティング法は、最終プロセス工程において中間転写部材又は転写定着器を使用して又は使用せずに、基材上に粉末を堆積させることができる。粒子を転写させるために、粒子を基材に付与するための最終プロセスは、典型的には電場を用いて行われる。粒子の注入のために、粒子を基材に付与するための最終プロセスは、典型的には、例えば、米国特許第6,650,860号(Brodinら)に記載されているように、熱を用いて、場合によっては電場も用いて行われる。
【0051】
導電性又は半導電性輸送体は、典型的には、金属ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含む。概して、導電性又は半導電性輸送体は、粉末コーティング組成物を輸送するために利用することができ、輸送体から粉末粒子を移動させるように電場又は電場若しくは電磁場を印加するために利用することができる、任意の部材である。導電性又は半導電性輸送体は、その表面全体上又はその表面の一部分上に絶縁性又は半導電性コーティングを有することができる。導電性又は半導電性輸送体は、その表面全体又はその表面の一部分のみが導電性又は半導電性であり得る。輸送体は、静止した又は回転する永久磁石を含むことができる。
【0052】
導電性又は半導電性輸送体を形成するために使用することができる材料の例としては、米国特許第5,707,743号(Janesら)及び同第5,434,653号(Takizawaら)に記載されているように、金属及び充填有機ポリマー(ポリウレタン又はポリイミドなど)が挙げられる。
【0053】
中間転写部材は、薄い可撓性ベルトすなわちエラストマーベルト又はエラストマーローラの形態にあり得る。概して、中間転写部材は、粉末コーティング組成物を輸送するために利用することができ、また、基材に粉末粒子を移動させるように電場又は電場若しくは電磁場を印加するために利用することができる、任意の部材である。好ましくは、1つ以上の柔軟なバックアップローラを有する柔軟なローラ又はベルトが使用される。帯電した粒子の転写に使用される電場又は電場又は電磁場は、柔軟なローラ内、ベルト内、又は1つ以上のバックアップローラ内の電極から印加することができる。中間転写システムの構成要素には、転写部材が基材と接触させられているときに、転写のための電場又は電場又は電磁場がおよそ3ボルト/ミクロンの空気の絶縁破壊電圧を超えないように、柔軟な及び半導電性の特性が必要である。
【0054】
その結果、多種多様な材料を中間転写部材に使用することができる。薄い可撓性ベルトを使用する構成では、ポリイミド又は充填ポリイミドなどの絶縁性又は半導電性ポリマー材料を、柔軟な半導電性バッキングローラとともに使用することができる。導電性金属ベルト上の柔軟なエラストマーベルト、又は導電性金属コア上の柔軟なエラストマーローラブランケットを使用する構成では、導電性粒子、帯電防止剤、又は電荷制御剤を充填したポリウレタン又はシリコーンゴムなどの半導電性エラストマーが使用される。これらの構成における中間転写部材は全て、剥離層として機能し、多くの場合にフルオロカーボンを含有する、非導電性又は半導電性コーティングを有することができる。剥離剤はまた、柔軟なポリマー材料に直接組み込むこともできる。逆に、中間転写部材のベース材料は、フッ素化ポリマーであってもよい。
【0055】
米国特許第5,370,961号(Zaretskyら)には、10ニュートン/m以下のヤング率を有するベースと、5×10ニュートン/m以上のヤング率を有する薄いオーバーコート又はスキンとを有する、使用することができる転写中間体(すなわち、中間転写部材)が記載されている。中間転写部材の表面は、好ましくは、トナー粒子の平均直径の20%以下に等しい粗さ平均を有する。アルミニウムベース上に形成された、少なくとも中程度の導電性にするために適切な量の帯電防止材料を含有する、例えば0.6cm厚の充填又はドープポリウレタンの比較的厚い層を有する転写ローラ又はドラムを使用することができる。0ボルトで画像形成部材上に正に帯電した粒子の場合、中間転写ドラムに印加される典型的には-400~-1,000ボルトの電気バイアスは、帯電した粒子の転写ドラムへの実質的な転写をもたらす。次いで、トナー画像を基材上に転写するために、例えば-3,000ボルト以下のバイアス及び20psi又は138kPaの圧力を供給して、正に帯電した粒子を基材に転写させることができる。この例では、中間ドラムは、アルミニウムコア上に0.2インチ(0.5cm)のポリウレタンベースを有する。ポリウレタンベースは、ICI,Inc.の一部門であるPermuthane,Inc.によって商品名PERMUTHANEで販売されており、ヤング率が10ニュートン/平方メートルであり、体積抵抗率がおよそ1012オーム-cm又は1010オーム-mである硬質ウレタン樹脂の5ミクロンコーティングでオーバーコートすることができる。
【0056】
米国特許第4,729,925号(Chenら)、同第5,212,032号(Wilsonら)、同第5,978,639号(Masudaら)、同第8,668,976(B2)号(Wuら)、及び同第10,125,218号(Wuら)には、組成物、オーバーコート、導電性ウレタン、ポリイミド、及びシリコーンゴム、並びに中間転写部材の他の特性が記載されている。
【0057】
電場は、帯電した物体に力をもたらす。電場は、電荷、空間における電圧差、及び時間変動磁場から生じる。電場又は電磁場は、磁場を有する電場である。磁場は、電流、永久磁石材料、亜原子粒子スピン、及び時間変動電場から生じる。
【0058】
本明細書においてコーティングされ得る材料の例としては、例えば、金属物品、より好ましくはコイルコーティングされた金属シートを挙げることができる。アルミニウム、鉄、銅、スズ、鋼、亜鉛、及び合金、金属間組成物、これらのうちの1つ以上を含む複合材料などの任意の金属を使用することができる。アルミニウム及び鋼が好ましく、アルミニウムが特に好ましい。いくつかの好ましい実施形態では、基材は、例えば、溶融亜鉛めっき金属を含むことができる。
【0059】
有用な基材としては、その正体、コーティングされる基材の最終目的、所望の特性、それから形成される最終物品、又はそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に依存し得る、可変厚さを有するものが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、コイル基材の有用な平均厚さは、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、450μm以上、500μm以上、600μm以上、又は700μm以上であり得る。コイル基材の厚さは、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、1mm以下、800μm以下、760μm以下、700μm以下、650μm以下又は610μm以下であり得る。
【0060】
有用な基材は、種々の寸法を有する材料のコイルを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、有用なコイルは、例えば、12インチ以上、24インチ以上、36インチ以上、又は更には40インチ以上のコイル幅(コイルの幅は、コイルが巻かれる及び/又は解かれる方向に垂直な寸法とみなされ得る)を有するものを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、有用なコイルは、例えば、144インチ以下、96インチ以下、72インチ以下、又は更には60インチ以下のコイル幅を有するものを含むことができる。
【0061】
コイルコーティングされた金属は、例えば、金属建物パネル、金属屋根、壁パネル、ガレージドア、オフィス家具、家庭電化製品、加熱及び冷却パネル、自動車パネル及び部品などを含む多種多様な用途で使用される高性能材料である。いくつかの好ましい態様において、コーティングされた基材は、カーテンウォール、窓、ドア、パネル、天窓、アトリウムシステム、ルーバ、グリル、コラムカバー及び任意の種類の金属建物構成要素において使用され得る。
【0062】
一実施形態において、本明細書は、コーティングされた物品、すなわち基材、好ましくは1つ以上のコーティング組成物が上に付与された基材を提供する。いくつかのコイルコーティングされた物品において、プライマー組成物が、他のコーティングが付与される前に基材に付与され得る。典型的には、基材を前処理し、次いで市販の防食コーティングでプライミングする。種々の前処理及びプライマーが当業者に既知であり、コーティングのタイプ及びコーティングの最終的な最終用途に応じて変更してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、プライマーコーティングは、他のコーティングが付与される前に基材に付与され得る。典型的には、基材を前処理し、次いで市販の防食コーティングでプライミングする。種々の前処理及びプライマーが当業者に既知であり、コーティングのタイプ(例えば、コイルコーティング又は噴霧コーティング)及びコーティングの最終的な最終用途に応じて変更してもよい。プライマーコーティングは、利用される場合、好ましくは約1~15マイクロメートル、より好ましくは5~12マイクロメートルの厚さを有する。
【0064】
粉末コーティング組成物
したがって、好ましくは、本開示の基材粉末コーティング組成物、及び好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まないか、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を本質的に含まないか、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を本質的に完全に含まないか、又は、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を完全に含まない。
【0065】
より好ましくは、本開示の基材粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を実質的に含まないか、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を本質的に含まないか、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を本質的に完全に含まないか、又は、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、全てのビスフェノール化合物を完全に含まない。
【0066】
好ましくは、テトラメチルビスフェノールF(tetramethyl bisphenol F、TMBPF)は、本開示の粉末コーティング組成物又は硬化したコーティングから除外されない。TMBPFは、以下に示す4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-2,6-ジメチルフェノールであり、以下の反応によって作製される:
【0067】
【化1】
【0068】
例えば、粉末コーティング組成物は、600ppmのビスフェノールA及び600ppmのビスフェノールAのジグリシジルエーテル(diglycidyl ether of bisphenol A、BADGE)を含む、ビスフェノールAを実質的に含まないわけではない(ビスフェノールA及びBADGEが反応形態若しくは未反応形態又はそれらの組み合わせで組成物中に存在するかどうかにかかわらず)。
【0069】
ビスフェノール化合物(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールS)の量は、出発原料に基づいて決定することができ、試験方法は必要ではなく、これらの化合物が少量であることを考慮して、便宜上、重量百分率の代わりに百万分率(ppm)を使用することができる。
【0070】
TMBPFを顕著に除いて、多くのビスフェノール化合物の意図的な添加は、変化する消費者の認識に起因して、現在一般的に望ましくないが、意図的でない微量のビスフェノールAが、例えば環境汚染に起因して、本開示の組成物又はコーティング中に潜在的に存在し得ることを理解されたい。
【0071】
現在まで利用可能な科学的証拠の優勢なものは、既存のコーティングから放出され得る少ない微量のビスフェノールAなどのビスフェノール化合物が、人に対していかなる健康リスクももたらさないことを示すが、それにもかかわらず、これらの化合物は、人の健康に潜在的に有害であるものとして一部の人々によって認識されている。その結果、人が接触する全ての表面上のコーティングからこれらの化合物を排除することが一部望まれている。
【0072】
例えば、いくつかの実施形態では、粉末コーティング組成物は、「PVCを含まない」。すなわち、粉末コーティング組成物は、存在する場合、2重量%未満の塩化ビニル材料及び他のハロゲン化ビニル材料、より好ましくは0.5重量%未満の塩化ビニル材料及び他のハロゲン化ビニル材料、更により好ましくは、存在する場合、1ppm未満の塩化ビニル材料及び他のハロゲン化ビニル材料を含有し得る。
【0073】
粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも40重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも50重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%、また更により好ましくは少なくとも70重量%、また更により好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは最大100重量%、より好ましくは最大99.99重量%、更により好ましくは最大95重量%、最も好ましくは最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。種々の任意選択的な添加剤(例えば、電荷制御剤、潤滑剤、顔料、磁性担体粒子など)が、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大50重量%の量で存在することができる。食品との接触を考慮してその他の点では不利でない場合、粉末ポリマー粒子への添加剤は、電子写真用の乾式トナーに使用される添加剤と同様であってもよい。Handbook of Imaging Materials,ed.A.Diamond and D.Weiss 2nded.,2002,pp.173-205におけるP.Julien及びR.Gruberによる「Dry Toner Technology」を参照されたい。
【0074】
本開示のいくつかの実施形態において、粉末ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤と接触している。より好ましくは、1つ以上の電荷制御剤が、粉末ポリマー粒子の表面上にある。更により好ましくは、1つ以上の電荷制御剤が、粉末ポリマー粒子の表面に付着している。
【0075】
使用される場合、1つ以上の電荷制御剤は、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量パーセント(重量%)、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する。更に好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で存在する。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態において、粉末ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の磁性担体(すなわち、磁性担体粒子)と接触している。磁性担体粒子は、粉末コーティング組成物中に提供されてもよく、又は粉末コーティング粒子は、それとは別に提供されてもよい。
【0077】
使用される場合、1つ以上の磁性担体は、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、粉末ポリマー粒子、磁性担体粒子、任意選択的な電荷制御剤、及び他の任意選択的な添加剤)の総重量に基づいて、少なくとも70重量パーセント(重量%)、少なくとも80重量%、又は少なくとも97重量%の量で存在する。更に、好ましくは、1つ以上の磁性担体は、粉末コーティング組成物(例えば、粉末ポリマー粒子、磁性担体粒子、任意選択的な電荷制御剤、及び他の任意選択的な添加剤)の総重量に基づいて、最大75重量%、最大80重量%、最大90重量%、又は最大95重量%の量で存在する。
【0078】
本明細書中の粉末コーティング組成物の成分の全ての他の量は、存在し得る任意の磁性担体粒子が存在しないコーティング組成物の総重量に基づくパーセンテージで報告される。したがって、硬化したコーティング中の種々の成分の濃度は、存在し得る任意の磁性担体粒子が存在しない粉末コーティング組成物中のそれぞれの出発物質の濃度に等しい。
【0079】
本明細書における好ましい粉末コーティング組成物は、「乾燥」粉末コーティング組成物である。すなわち、粉末粒子は、液体担体中に分散されず、むしろ乾燥粉末形態で存在する。しかしながら、乾燥粉末は、僅少量の水又は有機溶媒(例えば、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満など)を含有し得ることを理解されたい。乾燥プロセスに供される場合であっても、粉末は、典型的には、例えば、大気湿度から存在し得るような、少なくともいくらかの残留液体を含む。
【0080】
粉末コーティング組成物及び作製方法
本開示によれば、基材粉末コーティング組成物(すなわち、自由流動性粉末の形態のコーティング組成物)が提供される。そのような組成物は、基材などの基材上に硬化した付着性コーティングを形成することができる。金属基材に付与する前の粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子と、好ましくは(i)粉末ポリマー粒子と接触している(例えば、粉末ポリマー粒子の表面に存在し、典型的には付着している)1つ以上の電荷制御剤、及び/又は(ii)磁性担体粒子とを含む。
【0081】
本明細書において、磁性担体粒子が使用される場合、基材への付与前の粉末コーティング組成物の考察は、磁性担体粒子を含んでも含まなくてもよいことが理解される。しかしながら、好ましくは、粉末コーティング組成物は、磁性担体粒子を含む。しかしながら、磁性担体粒子が使用される場合、磁性担体は、金属基材に付与した後に、本明細書に記載される粉末コーティング組成物の一部であるとはみなされない。すなわち、磁性担体粒子は、金属基材上への堆積後に粉末コーティング組成物中に残存せず、硬化したコーティングは、磁性担体粒子を含まない。
【0082】
ポリマー粒子
粉末コーティング組成物中のポリマーの分子量は、典型的なポリマーがある範囲の分子量をカバーすることを考慮すると、いくつかの重要な測定基準によって記載され得る。数平均分子量(Mn)は、試料の総重量をその試料中の分子の総数で割ることによって決定される。重量平均分子量(Mw)は、試料中の各別個の分子量の合計に、その分子量における試料の重量分率を掛けたものを計算することによって決定される。多分散性指数(Mw/Mn)は、試料の分子量範囲がどの程度広いかを表すために使用される。多分散性指数が高いほど、分子量範囲は広くなる。Mn、Mw、及びMw/Mnは全て、ゲル浸透クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography、GPC)によって決定され得、様々な分子量のポリスチレン標準のセットに対して測定される。
【0083】
粉末粒子のポリマーのMnは、少なくとも2,000ダルトン、好ましくは少なくとも5,000ダルトン、より好ましくは少なくとも10,000ダルトン、更により好ましくは少なくとも15,000ダルトンである。粉末粒子のポリマーのMnは、乳化重合アクリルポリマー又はある特定の他の乳化重合ラテックスポリマーで生じ得るように、数百万(例えば、10,000,000ダルトン)であり得るが、Mnは、最大10,000,000ダルトン、又は最大1,000,000ダルトン、又は最大100,000ダルトンまで、又は更には最大20,000ダルトンであり得る。ある特定の実施形態では、ポリマー粒子のポリマーのMnは、少なくとも2,000ダルトンかつ最大10,000,000ダルトン、又は少なくとも5000ダルトンかつ最大1,000,000ダルトン、又は少なくとも10,000ダルトンかつ最大100,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンかつ最大20,000ダルトンである。
【0084】
好ましい実施形態において、粉末ポリマー粒子は、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散性指数を有するポリマーから作製され得る。しかしながら、ポリマーが前述の範囲外の多分散性指数を有することが有利である場合がある。例えば、理論によって拘束されることを意図しないが、同じ材料において、より高い分子量(例えば、可撓性及び他の機械的特性のため)及びより低い分子量(例えば、流動性及びレベリングのため)の両方の利益を達成するために、より高い多分散性指数を有することが望ましい場合がある。
【0085】
粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン未満、更により好ましくは10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。好ましい実施形態において、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。より好ましい実施形態において、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。更により好ましい実施形態において、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0086】
好ましくは、粉末コーティング組成物は、全体として(すなわち、粉末コーティング組成物全体又は組成物全体の粒子の全て)は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。好ましい実施形態において、粉末コーティング組成物は、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。より好ましい実施形態において、粉末コーティング組成物は、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。更により好ましい実施形態において、粉末コーティング組成物は、全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0087】
本明細書に記載される粒径分布(例えば、D50、D90、D95、D99など)は、粒径の下限に制限されない。しかしながら、D50(好ましい実施形態では、D90、D95、又はD99)は、1ミクロン超、2ミクロン超、3ミクロン超、又は4ミクロン超であってもよい。
【0088】
上記の粒径分布(例えば、D50、D90、D95、及びD99)は、ポリマー粒子の一部又は全ての表面上に任意選択的に存在し得る任意の追加の材料を考慮すると解釈されるべきである。したがって、例として、ポリマー粒子が、任意選択的な電荷制御剤の付与前に6.5ミクロンのD50を有し、任意選択的な電荷制御剤の付与後、並びに完全に配合された粉末コーティング組成物において7ミクロンのD50を有する場合、7ミクロンが最終ポリマー粒子の適切なD50である。
【0089】
1つ以上の電荷制御剤がポリマー粒子の表面上に存在する好ましい実施形態では、上記の粒径分布(例えば、レーザ回折粒径分析によって決定されるようなD50、D90、D95、及びD99)は、ポリマー粒子上に存在する電荷制御剤を含むポリマー粒子全体に付与される。
【0090】
非常に滑らかなコーティング(例えば、オレンジの皮の外観とは対照的に)を得るために、並びに付与されるコーティング材料の量、したがってコストを最小限に抑えるために、粉末ポリマー粒子、及び任意選択的にコーティング組成物全体(すなわち、全体としての粉末コーティング組成物)も、好ましくは、狭い又は非常に狭い粒径分布を有するが、本開示の粉末コーティング組成物は、上述した粒径パラメータ外の粒径を有するポリマー粒子を含んでもよいことが企図される。好ましくは、粉末コーティング組成物に含まれるそのような任意選択的な「より大きい」及び/又は「より小さい」ポリマー粒子又は他の粒子の総量は、粉末コーティング組成物及び/又は硬化したコーティングの所望の特性(例えば、粉末コーティング組成物の所望の付与特性、キュアリングしたコーティングの所望の付着性、可撓性、耐薬品性、コーティングの美観など)が実質的に保たれるように、十分に低い。そのような実施形態では、好ましくは、粉末コーティング組成物中に存在する全粒子の体積%で実質的に大部分(例えば、65%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上など)が、上述した粒径パラメータに従う粒径を示す。
【0091】
レーザサイズ回折分析は、凝集前の一次ポリマー粒子及び他の出発材料(例えば、電荷制御剤、潤滑剤など)、凝集していても凝集していなくてもよい粉末ポリマー粒子、又は粉末コーティング組成物の粒径を決定するのに有用な方法である。そのような分析のための例示的なデバイスは、製造業者によって推奨されるように較正されたBeckman CoulterのLS230レーザ回折粒径分析器又は同等物である。この分析器の粒径分析は、国際規格ISO13320:2009(E)の原理を具現化すると考えられる。
【0092】
レーザ回折粒径分析用の試料は、例えば、試料を実質的に非膨潤性の溶媒(シクロヘキサノン又は2-ブトキシエタノールなど)に希釈し、均一に分散するまで振盪することによって調製することができる。好適な溶媒の選択は、試験される特定の粒子に依存する。好適な実質的に非膨潤性の溶媒を同定するために、溶媒スクリーニング試験を行う必要がある場合がある。例として、ポリマー粒子が約1%以下(レーザ回折粒径分析によって決定される)だけ膨潤する溶媒は、実質的に非膨潤性の溶媒とみなされる。
【0093】
一次粒子の粒径は、コーティングプロセスの前に測定することができるが、これは、凝集体が形成されると容易に決定することができないことが当業者によって理解されるであろう。すなわち、凝集体を形成する一次粒子の粒径は、出発材料に基づいて決定される。更に、凝集体の粒径を測定するために、凝集体の試料が、コーティング生成プロセス中(例えば、噴霧乾燥プロセス中)に収集される。コーティングが一旦形成されると、凝集物の粒径の正確な決定は容易に決定することができない。
【0094】
本開示の粉末ポリマー粒子は、例えば、フレーク、シート、ロッド、球状、ジャガイモ形状、球形、又はそれらの混合物を含む、任意の好適な形状であり得る。例えば、沈殿したポリマー粒子は、典型的には球形である。好ましくは、粒子は、ジャガイモ形状若しくは球形、又はそれらの混合物である。
【0095】
任意の好適な粉末ポリマー粒子を使用することができるが、好ましいポリマー粒子は、化学的に生成されたポリマー粒子である。化学的に生成された粉末は、機械的処理以外の方法(例えば、従来の粉砕以外)によって調製された微粉末として一般的に定義することができる。そのようなポリマー粒子は、機械的処理手段(例えば、粉砕、ミリングなど)によって典型的に達成されるものとは異なる表面形態及び/又は粒子形状を有する。そのような機械的技法は、ポリマー材料のより大きなサイズの固体塊を取り、それらを何らかの様式で分解してより小さなサイズのポリマー粒子を生成することを伴う。しかしながら、そのようなプロセスは、典型的には、不規則で角張った粒子形状及び粗い不規則な表面形態を生じ、広い粒径分布をもたらし、それによって、所望の粒径分布を達成するために追加の濾過を必要とし、これは、廃棄物及び追加のコストをもたらす。そのような機械的プロセスから得られるポリマー粒子は、しばしば、「微粉末化された」又は「粉砕された」(従来通りに調製された)粒子と称される。例として、角張っており、不規則であり、広い粒径分布を有する従来のミリングされたポリエステル粉末コーティング粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図1Aを参照されたい。
【0096】
対照的に、化学的に生成されたポリマー粒子は、より規則的で滑らかな表面形態、及びより規則的で一貫した粒子形状及びサイズを有する傾向がある。加えて、かなりの廃棄物を発生させることなく、粒径分布をより正確に標的化し、制御することができる。理論によって拘束されることを意図しないが、化学的に生成された粒子の均質性及び規則性(例えば、形状、表面形態、及び粒径分布に関して)が、機械的に生成された粒子と比較して改善されることにより、基材上へのより良好でより予測可能かつ効率的な転写及び付与することにつながり、最終的には、それらから生成される硬化した付着性包装コーティングのコーティング性能特性がより良好になると考えられる。例として、概して狭い粒径分布を有する化学的に生成されたポリマー粒子を示す、図1B(概してジャガイモ形状の粒子)及び図1C(概して球形の粒子)を参照されたい。
【0097】
ポリマー粒子を生成するための化学プロセスの例としては、界面重合、有機溶液中での重合、水性媒体中での乳化重合又は分散重合などの重合、低分子量又はポリマー性の親水性、疎水性、又は親フッ素性界面活性剤を使用して、界面活性剤中(例えば、分散相又は連続相中)にポリマーを分散させること、制御された沈殿などのポリマーの沈殿、ポリマーを溶融ブレンドすること、粒子凝集、マイクロカプセル化、再結晶、コア-シェル形成、及び限定凝集、並びに「複合」粉末ポリマー粒子を形成する他のプロセスが挙げられる。ポリマー粒子の形成に使用するための溶融ブレンド手法の例は、米国特許第8,349,929号(Kainzら)、同第9,598,601号(Malotkyら)、及び同第9,416,291号(Wilburら)において教示されている溶融ブレンド分散技法である。
【0098】
限定凝集の実施では、米国特許第4,833,060号(Nair)に記載されているような分散助剤及びナノスケール無機コロイド、又は米国特許第4,965,131号(Nair)に記載されているようなナノスケール有機コロイドを使用して、揮発性が高く水非混和性の溶媒を利用する有機ポリマー溶液を、水性媒体中に目標粒径まで分散させる。目標粒径は、この分散液中の種々の成分の濃度によって制御される。次いで、揮発性物質が溶液から除去される、加熱、ウォーターフォールエバポレータなどのような任意の数の加熱及び蒸発プロセス。有機溶媒の除去後、粒子は、粒子組成物に好適な手段を介して、濾過され、清浄にされ、乾燥される。任意選択的に、粒子を処理して、所望であれば無機コロイドを少なくとも部分的に除去することもできる。
【0099】
粒子形状、形態、サイズ、及び分布に関して、粉末コーティングのために作製されたポリマー粒子は、電子写真のために作製された化学生成トナー(chemically produced toner、CPT)と同様であってもよく、同様のプロセスで作製されてもよい。化学的に生成されたトナーはまた、化学的に調製されたトナー、化学トナー、重合トナー、ポリマートナー、インサイチュ重合トナー、懸濁重合トナー、乳化重合トナー、乳化凝集トナー、制御凝集、カプセルトナー、マイクロカプセルトナー、カプセル化トナー、マイクロカプセル型トナー、マイクロカプセル化トナー、コア-シェルトナーと称され、及び他の名称によっても称される。制御されたサイズのポリマー粒子の作製に関する研究は、米国特許第2,108,044号(Crawfordら)を含む特許文献において1930年代まで遡ることができる。
【0100】
CPTの基本的な製造方法は、懸濁重合(Canon及びZeonによって使用される)、乳化凝集(Konica Minolta、Xerox/Fuji Xerox、Mitsubishi及びFujifilmによって使用される)、並びにいくつかの変形がある溶媒法(Ricoh、Xerox、及びKodakを含む会社によって使用される)である。従来技術における3つのタイプのプロセスの各々の例を、図1D(懸濁重合プロセスを示す、図1E(乳化凝集プロセスを示す)、及び図1F(溶媒法、溶液反転プロセスを示す)に示す。CPT製造方法は、典型的には、ある種の液体中での成長によるトナー粒子の生成に基づいており、典型的には、清浄、脱水、及び乾燥の同様の最終段階を含む。より多くの情報は、Comexposium Recycling Times Exhibition Services Limitedによる、Imaging World,No.119(2021)pp.33-37,June 2021における、Graham Galliford、「Manufacturing Color Toner」から得ることができる。
【0101】
図1Dは、モノマー、開始剤、及び顔料を有機相容器1002に入ることと、水及び乳化剤も水相容器1004に入れることと、を含む、従来技術の懸濁重合プロセスを描示する。定量給送ポンプを使用して、有機相容器1002及び水相容器1004の内容物を分散機1006に送達し、そこでモノマー液滴が乳化によって形成される。分散機1006の内容物は、反応器1008に送達され、そこでフリーラジカル重合が生じる。反応器1008の内容物は、清浄機1010に送達され、続いて脱水機1012に送達され、最後に乾燥機1014に送達される。
【0102】
図1Eは、モノマー、水、水溶性開始剤及び界面活性剤(例えば、<1ミクロンで調製されたラテックス)を容器1102に入れることと、水性顔料分散液及びワックス分散液も容器1104に入れることと、を含む乳化重合を含む、従来技術の乳化凝集プロセスを描示する。容器1102及び1104の内容物は、混合及び凝集のために容器1106に送達され、トナーサイズの粒子(化学的に制御された)を形成する。容器1106の内容物は、(樹脂の流動及び粒子の圧密を可能にする)Tgの温度でトナーを凝集させるために容器1108に送達される。容器1108の内容物は、清浄機1110に送達され、続いて脱水機1112に送達され、最後に乾燥機1114に送達される。
【0103】
図1Fは、CPTを調製するために溶媒(「Ricoh PxP」と称されることもある)を使用する従来技術の溶液反転法を描示し、この方法は、反応性部位を有するウレタン変性ポリエステルプレポリマーの溶液中に分散された顔料を容器1202に入れることと、ワックス分散液を容器1204に入れることと、を含む。水及びサイズ制御剤を容器1206に入れる。容器1202、1204、及び1206の内容物は、高剪断反応容器1208に送達され、そこで溶媒が除去され、粒子が、同時凝集及びエステル伸長を伴うエマルション中に形成される。容器1208の内容物は、濾過及び清浄のために容器1210に送達され、分散剤を除去する。容器1210の内容物は、濾過のために容器1212に送達され、容器1212の内容物は、乾燥のために容器1214に送達される。
【0104】
CPTの基本的な製造方法は、トナーに使用される典型的なバインダとともに示される以下の表のカテゴリに要約することもできる。
【0105】
種々のタイプのCPTプロセス及びバインダの選択肢:
【0106】
【表1】
予め形成したポリエステル
【0107】
溶媒系プロセスは、ポリエステルだけでなく、多種多様な材料から粉末コーティング粒子を作製することができるという利点を提供する。例えば、Kodakの限定凝集(Limited Coalescence、LC)プロセスは、任意の可溶性ポリマーをトナー樹脂として使用することができるか、又は線状若しくは架橋トナーを作製するための追加の重合に好適であるモノマーを使用することができるという利点を有する。この粒子製造プロセスは、いかなる加熱も必要としない。したがって、このプロセスは、材料のTgによって、又は水溶液若しくは溶媒の沸点によって制限されない。このプロセス及び同様の溶媒ベースのプロセスは、典型的な低分子量ポリエステル電子写真トナーとは著しく異なる材料を使用して、粉末コーティング粒子を作製することができる。より多くの情報は、NIP23 and Digital Fabrication 2007 Final Program and Proceedings,pp.270-273,The Society for Imaging Science and Technology,IS&Tにおける、Dinesh Tyagi、「Polyester-Based Chemically Prepared Toner for High-Speed Digital Production Printing」から得ることができる。
【0108】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、粉末コーティング組成物全体の全ての粒子)は、少なくとも100、又は少なくとも120の形状係数を有し得る。例えば、粉砕又は微粉末化された粒子を使用して、形状係数は、最大165、又は最大155、又は最大140であり得る。したがって、粒子は、球形(100~120未満までの形状係数を有する)、若しくはジャガイモ形状(少なくとも120~140までの形状係数を有する)、又は球形及びジャガイモ形状の混合物であってもよい。対照的に、従来の機械的に生成されたポリマー粒子は、典型的には、145を超える形状係数を有する。粉末ポリマー粒子は、好ましくはジャガイモ形状である。形状係数は、以下の式を使用して決定することができる。
形状係数=((ML)/A)×(π/4))×100
式中、ML=粒子の最大長(球=2r)であり、
A=投影面積(球=πr)である。
【0109】
形状係数は、フロー式粒子動的画像分析器CAMSIZER X2を使用して動的画像分析(dynamic image analysis、DIA)により決定することができる。粒子形状パラメータには、凸性、真球度、対称性、及びアスペクト比(長さ対幅の比)が含まれる。
【0110】
形状分析の場合、典型的には、粒径が1ミクロン未満の粒子は、典型的には無視される。理論によって拘束されるものではないが、そのような小粒子は、大粒子と同様の形状を有し、及び/又は大粒子の形状が、形成される最終的なコーティングの性能を制御すると考えられる。
【0111】
DIAは、照明された背景の前でカメラシステムを通過する粒子の流れを使用する。動的画像分析システムは、自由落下粒子及び懸濁液を測定し、また、凝集する傾向がある粒子について空気圧による分散を特徴付ける。粒子画像を使用して、広範囲の形状パラメータが測定される。
【0112】
DIA用の粉末試料は、例えば、測定されるべき粉末の試料を適切な流体中に分散させることによって調製され得る。次いで、調製された試料は、動的画像化技法を用いるCAMSIZER X2のような動的画像分析器において測定され得る。試料を、加圧空気によって分散させ、2つの明るいパルスLED光源によって照明された間隙を通過させる。次いで、分散された粒子の画像(より具体的には、それらの影又は投射)を、2つのデジタルカメラによって記録し、必要に応じて、例えば、ISO試験法13322-2(2006)(動的画像化による粒径分析に関する)によって、粒子の様々な長さ及び幅の記述子を決定するために、形状について分析する。
【0113】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、全体の粉末コーティング組成物の全ての粒子)は、好ましくは、少なくとも1、ある特定の実施形態では最大50、又は最大30、又は最大20の圧縮性指数を有する。より好ましくは、ある特定の実施形態では、圧縮性指数は、1~10、11~15、又は16~20であり得る。圧縮性指数は、以下の式を使用して決定することができる。
【0114】
圧縮性指数=((タップ密度-かさ密度)/(タップ密度))×100
式中、タップ密度及びかさは各々、ASTM D7481-18(2018)に従って決定される。
【0115】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、全体の粉末コーティング組成物の全ての粒子)は、好ましくは、少なくとも1.00、ある特定の実施形態では最大2.00又は最大1.25のハウスナー比を有する。より好ましくは、ある特定の実施形態では、ハウスナー比は、1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25である。ハウスナー比は、以下の式を使用して決定することができる。
【0116】
ハウスナー比=タップ密度/かさ密度
式中、タップ密度及びかさ密度は、上記で定義/決定された通りである。
【0117】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、少なくとも適正な流動特性(例えば、16~20の圧縮性指数を有し、ハウスナー比が1.19~1.25である)、又は少なくとも良好な流動特性(例えば、11~15の圧縮性指数を有し、ハウスナー比が1.12~1.18である)、又は優れた流動特性(例えば、1~10の圧縮性指数を有し、ハウスナー比が1.00~1.11である)を有する。
【0118】
粉末ポリマー粒子について上で考察された粒径分布(例えば、D50など)と同様に、形状係数、圧縮性指数、及びハウスナー比は、磁性担体粒子が粉末コーティング組成物中に存在する場合、磁性担体粒子を除いて、最終粉末コーティング組成物中のポリマー粒子の表面上に任意選択的に存在し得る任意の追加の材料(例えば、電荷制御剤)を含むものとする。すなわち、磁性担体粒子は、粉末コーティング組成物中に存在する場合、これらの特性上、計算から省かれる。例として、ポリマーコーティング組成物が磁性担体粒子を含む場合、ポリマーコーティング組成物について記載されるD50は、磁性担体粒子の粒径を含まない。磁性担体粒子が、測定される粉末試料中にある場合、測定は、2つのD50(一方は粉末ポリマー粒子について及び一方は磁性担体粒子について)に起因する二峰性粒径分布を示すが、粉末ポリマー粒子についてのD50のみが、粉末コーティング組成物についての粒径分布を記載するために使用される。
【0119】
好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物全体は、粉末ポリマー粒子について上記で開示された範囲内に入るD50、D90、D95、D99、形状係数、圧縮性指数、及びハウスナー比のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、及び好ましくは全てを示す。これらの範囲は、磁性担体粒子が粉末コーティング組成物中に存在する場合、磁性担体粒子を含まない粉末コーティング組成物についてのものである。
【0120】
好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、凝集体(すなわち、一次ポリマー粒子の集合体)の形態である。凝集体(すなわち、クラスタ)は、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大15ミクロン、又は最大10ミクロンの粒径を有し得る。凝集体粒径のより小さいサイズ範囲は制限されないが、典型的には、粒径は、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンである。好ましくは、一次ポリマー粒子は、少なくとも0.05ミクロン、及び最大8ミクロン、最大5ミクロン、最大3ミクロン、最大2ミクロン、又は最大1ミクロンの一次粒径を有する。一次粒径は、出発材料のレーザ回折粒径分析によって決定することができ、ポリマー凝集体(例えば、噴霧乾燥プロセス中に収集された凝集体)の粒径も、レーザ回折粒径分析によって決定することができる。
【0121】
凝集した粒子は、典型的には噴霧乾燥によって形成される。凝集体は、一次粒子の集合体であり、これは、重合プロセスによって形成される。噴霧乾燥プロセスは、典型的には、噴霧ノズルを使用して液滴を形成することを伴い、各液滴は、その中に一次粒子を含む。次いで、液滴を乾燥させて、凝集体(すなわち、その各々が、各液滴中にあった一次粒子のクラスタ又は集合体である)を形成する。二次粒径と称され得る凝集体の粒径は、凝集体内の一次粒子の数によって決定される。これは、液滴のサイズ及び/又は各液滴内の一次粒子の濃度によって制御することができる。例えば、噴霧ノズル圧力を増加させて小滴の微細ミストを形成することによって、小さい凝集体を形成することができる。また、液体中の一次粒子の濃度を低下させるが、より低い噴霧ノズル圧力を使用し、より大きい液滴を形成することによって、小さい凝集体を形成することができる。
【0122】
各粉末ポリマー粒子は、単一のタイプのポリマー材料から形成されてもよく、又は2つ以上の異なるタイプのポリマー材料を含んでもよい。1つ以上のタイプのポリマー材料に加えて、所望であれば、凝集していてもしていなくてもよい粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、最大50重量%の1つ以上の任意選択的な添加剤を組み込んでもよい。したがって、好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも40重量%の量で1つ以上のポリマーを含む。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は100重量%の量で1つ以上のポリマーを含む。
【0123】
そのような任意選択的な添加剤としては、例えば、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。そのような任意選択的な添加剤は、追加的に又は代替的に、粉末ポリマー粒子に加えて粉末コーティング組成物に含まれる他の粒子中に存在してもよい。
【0124】
ポリマー粒子は、1つ以上の熱可塑性ポリマー、1つ以上の熱硬化性ポリマー、又はそれらの組み合わせの任意の好適な組み合わせを含んでもよい。ある特定の好ましい用途では、ポリマー粒子は、1つ以上の熱可塑性ポリマーの任意の好適な組み合わせを含んでもよい。「熱可塑性」という用語は、十分に加熱されると溶融して形状を変化させ、十分に冷却されると硬化する材料を指す。そのような材料は、典型的には、感知できるほどの化学変化を示すことなく、繰り返しの溶融及び硬化を受けることができる。対照的に、「熱硬化性」は、架橋され、「溶融」しない材料を指す。
【0125】
ポリマー材料は、好ましくは、15グラム/10分より大きい、50グラム/10分より大きい、又は100グラム/10分より大きいメルトフローインデックスを有する。ポリマー材料は、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有する。粉末コーティング組成物は、全体として、そのようなメルトフローインデックスを示し得る。本明細書で言及される「メルトフローインデックス」は、ASTM D1238-13(2013)に従って、190℃で、2.16キログラムの重りを用いて測定される。
【0126】
ある特定の実施形態では、ポリマー粒子は、半結晶性、結晶性ポリマー、非晶質ポリマー、又はそれらの組み合わせから作製される。好適な半結晶性又は結晶性ポリマーは、任意の好適なパーセント結晶化度を示し得る。いくつかの実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも20%のパーセント結晶化度(重量ベースで)を有する少なくとも1つの半結晶性又は結晶性ポリマーを含む。例として、所与のポリマーのパーセント結晶化度は、以下の式を使用して示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)試験によって評価することができる:
パーセント結晶化度(%)=[A/B]×100
式中、「A」は、所与のポリマーの融解熱(すなわち、DSC曲線の溶融部分「下」の総面積)であり(ジュール/グラム(J/g))、
「B」は、ポリマーの100%結晶状態についての融解熱(J/g)である。
【0127】
多くのポリマーについて、理論B値は、科学文献において利用可能であり得、そのような値が使用され得る。ポリエステルポリマーについては、例えば、そのようなB値が文献で利用可能ではない場合、145J/gのB値を近似値として使用することができ、これは、以下の文献に報告されているような100%結晶性ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)の融解熱である。Cheng,Stephen;Pan,Robert;及びWunderlich,Bernard;「Thermal analysis of poly(butylene terephthalate)for heat capacity,rigid-amorphous content,and transition behavior,」Macromolecular Chemistry and Physics,Volume 189,Issue 10(1988):2443-2458。
【0128】
好ましくは、ポリマー粒子の少なくとも1つのポリマー材料(より好ましくは、ポリマー粒子中に存在するポリマー材料の実質的に全て又は全て)は、少なくとも半結晶性(例えば、半結晶性又は結晶性)である。ポリマー粒子は、非晶質ポリマー材料、又は少なくとも半結晶性ポリマー材料と非晶質ポリマー材料とのブレンドを含んでもよい。ASTM-D3418-15(2015)は、ポリマーの結晶化特性(結晶化ピーク温度)を評価するための有用な方法論の一例である。
【0129】
使用されるポリマーは、任意の好適なガラス転移温度(Tg)又はTgの組み合わせを示してもよい。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)、及び最高150℃、最高125℃、最高110℃、最高100℃、又は最高80℃のTgを有するポリマーから作製される。
【0130】
いくつかの実施形態では、粒子がより高いTg(例えば、少なくとも40℃)を有する少なくとも1つのポリマーを含む限り、より低いTgのポリマー(例えば、少なくとも0℃又は少なくとも30℃のTgを有するものなど、40℃未満のTgを有する)が、本明細書で使用される粉末ポリマー粒子を作製する際に使用されてもよい。代替的には、より低いTgのポリマー及びより高いTgのポリマーは、本開示の他の箇所の多層の説明において説明されるように、異なる層にあってもよい。
【0131】
ポリマー粒子は、加えて、コア-シェル形態のものであってもよい(すなわち、ポリマー粒子の外側部分又はシェルは、内側部分又はコアとは異なる組成のものである)。そのような場合、シェルは、理想的には、全ポリマー粒子の10重量%以上を構成し、上記のTg優先性は、ポリマー粒子のシェルにのみ付与される。換言すれば、ポリマー粒子のシェルは、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のTg、及び最高150℃、最高125℃、最高110℃、最高100℃、又は最高80℃のTgを有するポリマーから作製される。
【0132】
結晶性又は半結晶性ポリマーを組み込む実施形態において、粉末ポリマー粒子は、好ましくは、少なくとも40℃の融点及び最高300℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーから作製される。
【0133】
好ましい実施形態では、ポリマー粒子のポリマー材料の実質的に全て(すなわち、50重量%超)が、そのような融点又はTgを示す。古典的な非晶質ポリマーは、例えば、いかなる認識可能な融点も示さず(例えば、DSC溶融ピークを示さず)、いかなる結晶領域も含まない。したがって、そのような古典的な非晶質ポリマーは、0%のパーセント結晶化度を示すと予想される。したがって、本開示の粉末コーティング組成物は、0%又は実質的に0%のパーセント結晶化度を有する1つ以上の非晶質ポリマーを含み得る。しかしながら、所望であれば、本開示の粉末コーティング組成物は、0以外のパーセント結晶化度(例えば、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満など)を有する1つ以上の「非晶質」ポリマーを含んでもよい。
【0134】
ポリマー粒子の1つ以上のポリマーは、脂肪族若しくは芳香族、又は1つ以上の脂肪族ポリマーと1つ以上の芳香族ポリマーとの組み合わせであってもよい。同様に、1つ以上のポリマーは、飽和若しくは不飽和、又は1つ以上の飽和ポリマーと1つ以上の不飽和ポリマーとの組み合わせであってもよい。
【0135】
好適なポリマー粒子は、水(例えば、ラテックスポリマー)から、又は有機溶媒(例えば、ノナン、デカン、ドデカン、若しくはイソヘキサデカン)から、又はそれらの組み合わせから調製することができる。コストを考慮すると、処理中のVOCレベルを低く保つため、及び粉末コーティング組成物から残留有機溶媒を排除するために、水性ポリマーが好ましい。
【0136】
粉末ポリマー粒子は、乳化重合ポリマー粒子、懸濁重合ポリマー粒子、溶液重合ポリマー粒子、又は分散重合ポリマー粒子(すなわち、乳化重合プロセス、懸濁重合プロセス、溶液重合プロセス、又は分散重合プロセスから作製された粒子)であってもよい。典型的には、水分散性ポリマーは、自己乳化性基(例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基、又はそれらの塩)を含むが、これは必須要件ではない。中和剤(例えば、アミン、アンモニア、又は水酸化アンモニウム)、特に揮発性のものもまた、当業者に周知であるように、そのようなポリマー粒子を作製する際に使用することができる。逆に、所望であれば、酸で中和された塩基基を使用することもできる。非イオン性極性基もまた、代替的に又は追加的に使用され得る。
【0137】
粉末ポリマー粒子は、沈殿ポリマー粒子(すなわち、沈殿プロセスから作製された粒子)(例えば、溶液重合アクリルポリマー、乳化重合アクリルポリマー、又はそれらの組み合わせ)であってもよい。粉末ポリマー粒子は、液体媒体中での重合、その後の好適な乾燥プロセス(例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、流動層乾燥、放射乾燥、フラッシュ乾燥など)を介して形成することができる。粉末ポリマー粒子はまた、乳化のために使用されるようなディスペンサに任意選択的に結合された溶融ブレンド(例えば、混練機、ミキサ、押出機などを使用して)を介して形成することができる(例えば、そのようなプロセス機器の説明については、米国特許第6,512,024号(Pateら)を参照されたい)。しかしながら、好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉砕されたポリマー粒子、又は他の同様の破砕若しくは微粉末化プロセスから形成されたポリマー粒子ではない。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は、噴霧乾燥粒子である。
【0138】
粉末ポリマー粒子のポリマーは、ポリアクリル(すなわち、アクリル若しくはアクリレート若しくはポリアクリレート)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどの、それらのコポリマー若しくは混合物)であってもよい。ポリマーは、エンジニアリングプラスチックであってもよい。エンジニアリングプラスチックは、より広く使用されている汎用プラスチック(ポリスチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンなど)よりも良好な機械的及び/又は熱的特性を有する熱可塑性材料の群である。エンジニアリングプラスチックの例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリカーボネート、及びポリアミドが挙げられる。好ましくは、粉末ポリマー粒子のポリマーは、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせ(例えば、ポリエーテル-アクリレートコポリマー、ポリエステル-アクリレートコポリマーなど)である。
【0139】
個々の粒子は、1つのポリマー又は2つ以上のポリマーから作製され得る。個々の粒子は、全体にわたって均一であってもよく、又は1、2、3つ以上の「シェル」層を有する「コア-シェル」構成を有してもよく、又は勾配構造(例えば、連続的に変化する構造)を有してもよい。そのような「コア-シェル」粒子は、例えば、2つ以上の異なる段階の乳化重合、ポリマー界面活性剤を使用して行われる乳化重合、又はそれらの組み合わせを介して生成される多段階ラテックスを含んでもよい。粒子の集団は、均一粒子及びコア-シェル粒子の混合物を含む、ポリマーの混合物を含んでもよい。
【0140】
粉末ポリマー粒子は、ポリエステルポリマーを含んでもよい。好適なポリエステルとしては、1つ以上の好適なポリカルボン酸成分(例えば、ジカルボン酸成分、トリカルボン酸成分、テトラカルボン酸成分など)及び1つ以上の好適なポリオール成分(例えば、ジオール成分、トリオール成分、4つのヒドロキシル基を有するポリオールなど)から形成されるポリエステルが挙げられる。所望であれば、1つ以上の他のコモノマーを任意選択的に使用してもよい。ジカルボン酸成分及びジオール成分が好ましい。
【0141】
好適なジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸)、及びフランジカルボン酸(例えば、2,5-フランジカルボン酸)などの芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸及びアゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸;無水マレイン酸、イタコン酸、及びフマル酸などの不飽和酸;並びにそれらの混合物が挙げられる。他の好適なポリカルボン酸(又は無水物)の例としては、ベンゼン-ペンタカルボン酸;メリト酸;1,3,5,7ナフタレン-テトラカルボン酸;2,4,6ピリジン-トリカルボン酸;ピロメリット酸;トリメリット酸;トリメシン酸;3,5,3’,5’-ビフェニルテトラカルボン酸;3,5,3’,5’-ビピリジルテトラカルボン酸;3,5,3’,5’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸;1,3,6,8-アクリジンテトラカルボン酸;1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸;ナジック酸無水物;無水トリメリット酸;無水ピロメリット酸、及びそれらの混合物が挙げられる。前述の酸の無水物又はエステル、及びそのような酸、無水物又はエステルの混合物も使用することができる。
【0142】
好適なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール及びデカメチレングリコールなどの、式HO-(CH-OH(式中、nは、約2~10である)で表されるポリメチレングリコール;ネオペンチルグリコールなどの、式HO-CH-C(R)-CH-OH(式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基である)によって表される分岐グリコール;ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール;シクロヘキサンジメタノール(cyclohexane dimethanol、CHDM)などの、シクロヘキサン環を有するジオール;2-メチル-1,3プロパンジオール;2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールなどの、シクロブタン環を有するジオール類;イソソルビド;トリシクロデカンジメタノール;スピロ二環式ジオール(例えば、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG));及びそれらの混合物が挙げられる。グリセロール、トリメチロールプロパン(trimethylol propane、TMP)、及び他の好適な三官能性以上のポリオールもまた、単独で、又は任意の他の好適なポリオールと組み合わせて使用されてもよい。
【0143】
ポリエステルポリマー粒子は、好ましくは、半結晶性又は結晶性ポリマーから作製される。好適な例示的な結晶性及び半結晶性ポリエステルポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(「polyethylene terephthalate、PET」)、PET/IなどのPETのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(「polybutylene terephthalate、PBT」)、ポリエチレンナフタレート(「polyethylene naphthalate、PEN」)、ポリ-1,4-シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、並びにそれらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。ポリエステル材料は、ダイマー脂肪酸を含む成分から形成されてもよい。有用な市販のポリエステル材料の非限定的な例としては、例えば、DYNAPOL L912(トリシクロデカンジメタノールに由来する多環式基を含む)、DYNAPOL L952、DYNAPOL P1500、DYNAPOL P1500 HV(約170℃の融点温度、約20℃のガラス転移温度、及びおよそ20,000の数平均分子量を有する)、DYNAPOL P1510、及びDYNAPOL P1550(各々Hiils AGから入手可能であり、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むモノマーに基づく)などの、商品名DYNAPOLで市販されているポリエステル;TRITANの商品名で市販されているポリエステル材料(Eastman Chemical Companyから入手可能であり、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含むモノマーに基づく);例えば、GRILTEX DD2267EG及びGRILTEX D2310EG(各々EMS-Chemieから入手可能であり、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むモノマーに基づく)などの、商品名GRILTEXで市販されているポリエステル材料が挙げられ得る。
【0144】
好適な粉末ポリマー粒子を作製する際に使用され得る例示的なポリエステルポリマーは、例えば、米国特許出願公開第2014/0319133号(Castelbergら)、米国特許出願公開第2015/0344732号(Witt-Sansonら)、米国特許出願公開第2016/0160075号(Senekerら)、国際出願第US2018/051726号(Matthieuら)、米国特許第5,464,884号(Nieldら)、米国特許第6,893,678号(Hiroseら)、米国特許第7,198,849号(Stapperfenneら)、米国特許第7,803,415号(Kiefer-Liptakら)、米国特許第7,981,515号(Ambroseら)、米国特許第8,133,557号(Parekhら)、米国特許第8,367,171号(Stensonら)、米国特許第8,574,672号(Doreauら)、米国特許第9,096,772号(Lespinasseら)、米国特許第9,011,999号(Cavallinら)、米国特許第9,115,241号(Gaoら)、米国特許第9,187,213号(Prouvostら)、米国特許第9,321,935号(Senekerら)、米国特許第9,650,176号(Cavallinら)、米国特許第9,695,264号(Lockら)、米国特許第9,708,504号(Singerら)、米国特許第9,920,217号(Skillmanら)、米国特許第10,131,796号(Martinoniら)、米国特許出願公開第2020/0207516号(Senekerら)、及び国際公開第2021/105970号(Riazziら)に記載されている。
【0145】
C4環を有するポリエステルポリマーが、例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)を含むような、例えばシクロブタンジオール型化合物に由来するある特定の構造セグメント中に存在するように使用され得る。そのようなC4環を含む例示的なそのようなポリエステルは、例えば、国際公開第2014/078618号(Knottsら)、米国特許第8,163,850号(Marshら)、米国特許第9,650,539号(Kuoら)、米国特許第9,598,602号(Kuoら)、米国特許第9,487,619号(Kuoら)、米国特許第9,828,522号(Argyropoulosら)、及び米国特許出願公開第2020/0207516号(Senekerら)に記載されている。
【0146】
粉末ポリマー粒子は、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)ポリマーを含んでもよい。多くの実施形態において、PVDFポリマーは、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%を含有し、最も好ましくは、式-[CH CF]-の二フッ化ビニリデン繰り返し単位のホモポリマーである。一般に、より多くの二フッ化ビニリデン含量を有するPVDF材料が有利であり得る。そのような高い二フッ化ビニリデン含量を有するPVDFポリマーは、より高い二フッ化ビニリデン含量を有するポリマーが、フルオロエチレンビニルエーテル(fluoroethylene vinyl ether、FEVE)をベースとする組成物よりも経済的かつ耐候性である可能性を有するという点で、より低い二フッ化ビニリデン含量を有するPVDFポリマーに勝る利点を提供し得る。
【0147】
任意選択的に、PVDFポリマーが二フッ化ビニリデン単位のホモポリマーではない実施形態において、PVDFポリマーは、1つ以上の追加のコモノマーのポリマーを含んでもよい。二フッ化ビニリデンと共重合され得るモノマーは、多くの場合、炭素-炭素二重結合を含み、これは、アリル、スチレン、エチレン、α-メチルスチレン基、(メタ)アクリルアミド基、シアン酸エステル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリル部分などであり得る。そのようなモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、スチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ジフルオロクロロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリロニトリル、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、酢酸イソプロペニルが挙げられ得る。他には、ビニルポリマーを形成するための以下に列挙されるモノマーが挙げられる。熱硬化特性が所望される場合、そのようなモノマーは、-OH、-NCO、-COOH、-NH、これらの組み合わせなどの架橋官能基を含んでもよい。PVDF樹脂は、熱可塑性又は熱硬化性であってもよいが、熱可塑性の実施形態が好ましい場合がある。
【0148】
PVDFポリマーの分子量(M)は、望ましくは約20,000~約500,000、好ましくは約20,000~400,000、より好ましくは20,000~300,000、最も好ましくは50,000~200,000の範囲である。
【0149】
本発明の粉末ポリマー粒子はまた、少なくとも1つの熱可塑性ポリマー及び/又は少なくとも1つの熱硬化性ポリマーを含んでもよく、そのような各ポリマーの二フッ化ビニリデン又は他のフルオロ含量は、約50重量%未満、好ましくは約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、更には0重量%である。熱可塑性及び/又は熱硬化性ポリマーは、多くの利点を提供し得る。これらは、得られるコーティングの基材への付着性を改善するのに役立ち得る。熱可塑性及び熱硬化性ポリマーの使用はまた、得られるコーティングの硬度及び/又は耐久性を改善するのに役立つ傾向があり得る。これらはまた、フルオロカーボンポリマーのみを使用することが、費用効果的であるには高価すぎる傾向があり得るため、費用を削減するのに役立ち得る。
【0150】
加えて、フルオロカーボンポリマーに加えて熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方の組み合わせを使用することは、特に両方が存在するが熱硬化性含量が制限される好ましい実施形態において、性能の利点を提供する。透明性及び光沢性能は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性ポリマーの両方ではなく、一方のみが存在する場合、コーティングが比較的高い温度で及び/又は比較的長い時間にわたって焼成される場合に損なわれ得ることが見出されている。例えば、そのような条件下で熱可塑性ポリマーのみが存在する場合、沸騰水試験時に白化が生じる可能性があり、一方で、熱硬化性ポリマーのみが存在する場合、焼成時に白化が生じる可能性がある。更に、熱硬化性ポリマーが多すぎると、たとえ熱可塑性ポリマーと組み合わせて使用されたとしても、焼成時に白化が依然として生じ得る。したがって、熱可塑性ポリマー対熱硬化性ポリマーの重量比が、約2:1より大きいことが概して望ましく、望ましくは約2:1~約50:1、好ましくは約2:1~約10:1の範囲である。特に好ましい1つの実施形態では、約4:1の重量比を使用することが好適であった。このようにして熱硬化性含量を制限することにより、得られるコーティングの対応する熱硬化性樹脂含量が減少し、この種の白化が生じる傾向を大幅に回避することさえできる。
【0151】
熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの各々は、独立して、広範囲にわたる分子量を有し得る。一般的な指針として、各々独立して、約5000~約200,000、より好ましくは約10,000~約150,000の範囲の分子量(M)を有することができる。一実施形態において、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート及びメタクリル酸から得られる好適な熱可塑性ビニルポリマーは、55,000の分子量を有する。一実施形態において、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、及び2-ヒドロキシアクリレートから得られる熱硬化性ビニルポリマーは、16,200の分子量を有する。熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方が使用される場合、熱可塑性ポリマーの分子量対熱硬化性ポリマーの分子量の比は、広範囲にわたって変化し得るが、一般に、約1:4~約4:1、より好ましくは約1:2~約2:1の範囲であり得る。
【0152】
多種多様なポリマー材料が、熱硬化性ポリマー及び/又は熱可塑性ポリマーとして独立して使用されてもよい。好適な材料の例としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリルポリマーなどのビニルポリマー、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ尿素、ポリイミド、ポリスルホン、ポリカプロラクトン、ポリシロキサン、これらの組み合わせなどが挙げられる。耐候性が望ましい屋外使用の場合、ポリウレタン及びビニルポリマーは、これらがいくつかの他の樹脂よりも耐候性である傾向があるため、より好適である。加えて、屋外用途において芳香族成分を制限又は回避することが望ましく、これは、これらが、経時的に黄変又は劣化するより高い傾向を有し得るためである。
【0153】
熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの両方にビニルポリマー材料を使用することは、多くの用途において望ましく、この理由は、この産業が、このクラスの材料をPVDFポリマーと組み合わせて使用することに関して幅広い経験及び信頼を有しているためである。本明細書で使用される場合、「ビニルポリマー」という用語は、1つ以上の異なる種類のモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーが炭素-炭素二重結合を介して付加重合することによって得られるポリマーを指す。炭素-炭素二重結合の例としては、アリル、スチレン、エチレン又は他のオレフィン、α-メチルスチレン基、(メタ)アクリルアミド基、シアン酸エステル基、ビニルエーテル基、(メタ)アクリル部分などが挙げられる。本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル」という用語は、アクリル及び/又はメタクリルを包含する。1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する多種多様な1つ以上の異なるモノマー、オリゴマー及び/又はポリマー材料を使用して、本発明の実施において有用なビニル熱硬化性又は熱可塑性樹脂を形成することができる。そのようなモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーは、非常に多くの異なるタイプが市販されており、1つ以上の所望の性能特性を提供するのに役立つ多種多様な所望の特性を伴って選択され得るという点で、コポリマーを形成するために有利に使用される。
【0154】
ビニルポリマーを形成するのに有用な単官能性重合性モノマーの代表的な例としては、スチレン、α-メチルスチレン、置換スチレン、ビニルエステル、ビニルエーテル、N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリルアミド、ビニルナフタレン、アルキル化ビニルナフタレン、アルコキシビニルナフタレン、N-置換(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエトキシレート(メタ)アクリレート、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、β-シアノエチル-(メタ)アクリレート、2-シアノエトキシエチル(メタ)アクリレート、p-シアノスチレン、p-(シアノメチル)スチレン、イソノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イソブチリル(メタ)アクリレート、脂環式エポキシ、α-エポキシド、(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、イタコン酸、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(ドデシル)(メタ)アクリレート、ステアリル(オクタデシル)(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N-ビニルカプロラクタム、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0155】
架橋目的でペンダントヒドロキシル基を有するコポリマーを提供するために、1つ以上のヒドロキシル官能性モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーが、最終ポリマー中に組み込まれ得る。コポリマーのペンダントヒドロキシル基は、配合物中の顔料との架橋、分散及び相互作用を容易にするだけでなく、組成物中の他の成分との分散及び相互作用も促進する。ヒドロキシル基は、一級、二級又は三級であり得るが、一級及び二級ヒドロキシル基が好ましい。使用される場合、ヒドロキシ官能性モノマーは、ビニルポリマーを配合するために使用されるモノマーの約0.5~30重量%、より好ましくは1~約25重量%を構成する。
【0156】
好適なヒドロキシル官能性モノマーの代表例としては、α,β-不飽和カルボン酸と1つ以上のジオールとの様々なエステル、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、又は2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;1,3-ジヒドロキシプロピル-2-(メタ)アクリレート;2,3-ジヒドロキシプロピル-1-(メタ)アクリレート;α,β-不飽和カルボン酸とカプロラクトンとの付加物;アルカノールビニルエーテル、例えば2-ヒドロキシエチルビニルエーテル;4-ビニルベンジルアルコール;アリルアルコール;p-メチロールスチレン;などが挙げられる。
【0157】
1分子当たり2つ以上の炭素-炭素二重結合を含む多官能性材料を使用して、架橋密度、硬度、傷抵抗などのような種々の特性を向上させることもできる。そのような高官能性モノマーの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、これらの組み合わせなどが挙げられる。
【0158】
本発明における使用に好適なフリーラジカル反応性オリゴマー及び/又はポリマー材料としては、(メタ)アクリル化ウレタン(すなわち、ウレタン(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル化エポキシ(すなわち、エポキシ(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル化ポリエステル(すなわち、ポリエステル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル化(メタ)アクリル、(メタ)アクリル化シリコーン、(メタ)アクリル化ポリエーテル(すなわち、ポリエーテル(メタ)アクリレート)、ビニル(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリル化油が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
本発明のビニルポリマーは、様々な追加の重合技法によって調製することができる。実施の好ましいモードにおいて、本発明のビニルポリマーは、バルク重合方法、溶液重合方法及び分散重合方法を含むが、これらに限定されない、当該技術分野において既知のフリーラジカル重合方法を使用して調製される。得られるビニルポリマーは、直鎖状、分岐状、三次元ネットワーク状、グラフト構造、これらの組み合わせなどを含む様々な構造を有し得る。
【0160】
PVDFポリマーの、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー(存在する場合)の総重量に対する重量比は、得られるコーティングの所望の最終用途を含むがこれに限定されない様々な要因に応じて、広範囲にわたって変化し得る。代表的な実施のモードでは、PVDF樹脂の、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマーの総重量に対する重量比は、約0.3:1~約30:1の範囲であり得る。
【0161】
そのような範囲内でより多量のPVDFポリマーを使用することがより望ましい。しかしながら、そのような範囲の上限で多すぎるPVDF樹脂を使用することは、本発明のコーティングが外部建築パネル上に形成される場合のように、最終用途が耐久性及び弾性の両方を必要とするときには、望ましいものではない場合がある。1つの特定の建築パネル用途では、PVDFポリマーの、熱可塑性及び熱硬化性ポリマーの総重量に対する重量比は、70:25であり、70重量部のPVDFポリマー当たり、追加の5重量部のアミノプラスト架橋剤が使用される。
【0162】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、ポリエーテルポリマーを含み得る。ポリエーテルポリマーは、複数の芳香族セグメント、より典型的には芳香族エーテルセグメントを含有し得る。ポリエーテルポリマーは、任意の好適な反応物及び任意の好適な重合プロセスを使用して形成され得る。ポリエーテルポリマーは、例えば、エクステンダー化合物(例えば、好ましくは多価フェノール、より好ましくは二価フェノールであるジオール;二酸;又はフェノール性水酸基及びカルボキシル基の両方を有する化合物)と、ポリエポキシドとを含む反応物から形成され得る。好ましい実施形態において、ポリエポキシドは、多価フェノールのポリエポキシド(より典型的には、例えば、二価フェノールのジグリシジルエーテルのジエポキシド)である。好ましくは、(i)多価フェノール化合物は、オルト置換ジフェノール(例えば、テトラメチルビスフェノールF)であるか、(ii)ジエポキシドは、オルト置換ジフェノール(例えば、テトラメチルビスフェノールF)のジエポキシドであるか、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である。
【0163】
ポリエーテルポリマーは、オルト置換ジフェノールのジエポキシド(例えば、テトラメチルビスフェノールFのジグリシジルエーテル)と、1つのみのフェノール環を有する二価フェノール(例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、又はそれらの置換変異体)とを含む反応物から形成され得る。
【0164】
ポリエーテルポリマーは、多価フェノールに由来せず、1つ以上の主鎖又はペンダントアリール若しくはヘテロアリール基を含むジエポキシド(典型的にはジグリシジルエーテル又はジグリシジルエステル)を含む反応物から調製されてもよい。そのような芳香族ジエポキシドは、例えば、ジオール、二酸、ジアミンなどのような2つ以上の反応性基を有する芳香族化合物から調製され得る。芳香族ジエポキシドの形成に使用するのに好適なそのような例示的な芳香族化合物としては、1-フェニル-1,2-プロパンジオール;2-フェニル-1,2-プロパンジオール;1-フェニル-1,3-プロパンジオール;2-フェニル-1,3-プロパンジオール;1-フェニル-1,2-エタンジオール;バニリルアルコール;1,2-、1,3-又は1,4-ベンゼンジメタノール;フランジメタノール(例えば、2,5-フランジメタノール);テレフタル酸;イソフタル酸などが挙げられる。
【0165】
ポリエーテルポリマーは、典型的には脂肪族ジエポキシド、より典型的には脂環式ジエポキシドである、1つ以上の脂肪族ポリエポキシドを含む反応物から調製され得る。例示的な脂肪族ジエポキシドとしては、シクロブタンジオール(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)、イソソルビド、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル1,3-プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG)のジエポキシド(典型的にはそのジグリシジルエーテル)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0166】
好適な粉末粒子を作製する際に使用され得る例示的な反応物、重合プロセス、及びポリエーテルポリマーは、米国特許第7,910,170号(Evansら)、米国特許第9,409,219号(Niederstら)、米国特許出願公開第2013/0280455号(Evansら)、米国特許出願公開第2013/0316109号(Niederstら)、米国特許出願公開第2013/0206756号(Niederstら)、米国特許出願公開第2015/0021323号(Niederstら)、国際公開第2015/160788号(Valspar Sourcing)、国際公開第2015/164703号(Valspar Sourcing)、国際公開第2015/057932号(Valspar Sourcing)、国際公開第2015/179064号(Valspar Sourcing)、国際公開第2018/125895号(Valspar Sourcing)、及び国際公開第2021/105970号(SWIMC LLC)に記載されている。
【0167】
ポリエーテルポリマーは、代替的には、任意のビスフェノール又はビスフェノールの任意のエポキシドを含まない成分から形成されてもよいが、意図的ではなく、微量が、例えば環境汚染に起因して潜在的に存在する可能性がある。そのようなビスフェノールを含まないポリエーテルポリマーを形成するのに好適な反応物の例としては、前段落で参照した特許文献に記載されているビスフェノール以外の材料に由来するジエポキシドのいずれか、及びそのような特許文献に開示されているビスフェノール以外のエクステンダー化合物のいずれかが挙げられる。ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、及びそれらの置換変異体は、そのようなビスフェノールを含まないポリエーテルポリマーの作製に使用するのに好適なエクステンダー化合物の非限定的な例である。
【0168】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合を介して形成されたポリマーを含むことができ、アクリルポリマーがそのようなポリマーの好ましい例である。そのようなポリマーは、そのようなポリマーが典型的には(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸から選択される1つ以上のモノマーを含むことを考慮して、本明細書では便宜上「アクリルポリマー」と称される。好ましいアクリルポリマーとしては、有機溶液重合アクリルポリマー及び乳化重合アクリルラテックスポリマーが挙げられる。好適なアクリルポリマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、任意選択的なエチレン性不飽和一官能性又は多官能性酸、及び任意選択的なビニル化合物を含む成分の反応生成物が挙げられる。例えば、アクリレートフィルム形成ポリマーは、エチルアクリレート及び/又はブチルアクリレート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸、並びにスチレン及び/又はシクロヘキシルメタクリレートを含む成分の(好ましくは、2,2’-アゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)及びtert-ブチルペルオキシベンゾエートフリーラジカル開始剤の存在下での)反応生成物であり得る。
【0169】
好適な(メタ)アクリル酸エステル(すなわち、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル)の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、及びノニル(メタ)アクリレートが挙げられる。上記の任意の好適な異性体又は異性体の組み合わせを使用することができる。例として、「ブチル(メタ)アクリレート」の開示は、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートなどのような全ての異性体を開示することを意図している。概して、本明細書に開示される場合、特段の記載がない限り、所与のモノマーについての全ての異性体の開示が意図される。
【0170】
好適なエチレン性不飽和一官能性又は多官能性酸の例としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、及びフマル酸が挙げられる。
【0171】
好適なビニル化合物の例としては、スチレン、ハロスチレン、イソプレン、共役ブタジエン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、塩化ビニル(好ましくない)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン、ビニルシクロヘキセン、及びステアリン酸ビニルが挙げられる。
【0172】
市販のアクリルポリマーの例としては、VIACRYL SC 454/50BSNB、VIACRYL SC383w/50WA、及びVANCRYL 2900 DEV(全てCytec Industries Inc.(West Patterson,NJ)製)、並びにNEOCRYL A-639、NEOCRYL XK-64、URACON CR203 M3、及びURACON CS113 S1G(全てDSM Neoresins BV(5140 AC Waalwijk,Netherlands)製)の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0173】
好適な粉末粒子の作製に使用され得る例示的なアクリルポリマーは、米国特許第8,168,276号(Cleaverら)、米国特許第7,189,787号(O’Brien)、米国特許第7,592,047号(O’Brienら)、米国特許第9,181,448号(Liら)、米国特許第9,394,456号(Rademacherら)、米国特許出願公開第2016/0009941号(Rademacherら)、米国特許出願公開第2016/0376446号(Gibanelら)、米国特許出願公開第2017/0002227号(Gibanelら)、米国特許出願公開第2018/0265729号(Gibanelら)、国際公開第2016/196174号(Singerら)、国際公開第2016/196190号(Singerら)、国際公開第2017/112837号(Gibanelら)、国際公開第2017/180895号(O’Brienら)、国際公開第2018/085052号(Gibanelら)、国際公開第2018/075762号(Gibanelら)、国際公開第2019/078925号(Gibanelら)、国際公開第2019/046700号(O’Brienら)、及び国際公開第2019/046750号(O’Brienら)に記載されている。
【0174】
粉末ポリマー粒子は、アクリルポリマーの両方を含む乾燥ラテックス粒子を含んでもよい。そのようなラテックス粒子の例は、例えば、国際公開第2017/180895号(O’Brienら)及び国際公開第2019046700号(O’Brienら)に記載されている。
【0175】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、ポリオレフィンポリマーを含み得る。好適なポリオレフィンポリマーの例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、プロピレンアクリル酸コポリマー、プロピレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレンビニルアルコールコポリマーが挙げられる。
【0176】
市販のポリオレフィンポリマーの例としては、商品名DOW PRIMACOR5980i、DUPONT NUCREL、POLYBOND1103、NIPPON SOARNOL(EVOH)、ARKEMA OREVAC18751、及びARKEMA OREVAC18360で入手可能なものが挙げられる。好適な粉末粒子を作製する際に使用され得る例示的なポリオレフィンポリマーは、米国特許第9,000,074号(Choudhery)、米国特許第8,791,204号(Choudhery)、国際公開第2014/140057号(Akzo Nobel)、米国特許第8,722,787号(Romickら)、米国特許第8,779,053号(Lundgardら)、及び米国特許第8,946,329号(Wilburら)に記載されている。
【0177】
好適なポリオレフィン粒子は、ポリオレフィンポリマーの水性分散液から調製することができる。例えば、そのような水性ポリオレフィン分散液を生成するための好適なプロセスの説明については、米国特許第8,193,275号(Monclaら)を参照されたい。市販の水性ポリオレフィン分散液の例としては、例えば、CANVERA1110製品、CANVER3110シリーズ、及びCANVERA3140シリーズを含む、Dowから入手可能なCANVERA系列の製品が挙げられる。本明細書に開示される仕様の乾燥粉末ポリマー粒子は、例えば噴霧乾燥などの、本明細書に開示される好適なプロセスのいずれかを含む、任意の好適なプロセスを使用して達成することができる。好ましくは、噴霧乾燥又は限定凝集などの化学プロセスを使用して、本明細書に開示される仕様の乾燥粉末ポリマー粒子を形成する。
【0178】
粉末ポリマー粒子は、エーテル成分又は金属乾燥剤の一方又は両方と組み合わせた不飽和ポリマーを含んでもよい。エーテル成分は、不飽和ポリマー自体に存在してもよい。理論によって拘束されることを意図しないが、好適な量のエーテル成分又は金属乾燥剤(例えば、アルミニウム、コバルト、銅、それらの酸化物、それらの塩)と組み合わせた、好適な量の不飽和(例えば、ノルボルネン基及び無水マレイン酸、イタコン酸、官能化ポリブタジエンなどに由来する不飽和構造単位中に存在するような、例えば脂肪族又は脂環式炭素-炭素二重結合)の存在は、粉末コーティング組成物の熱キュアリング中に分子量構築をもたらして、硬化したコーティングを形成することができると考えられる。そのような反応機構並びに好適な材料及び濃度の更なる考察については、例えば、米国特許第9,206,332号(Cavallinら)を参照のこと。粉末ポリマー粒子のポリマーは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも35、又は少なくとも50のヨウ素価を有してもよい。好適なヨウ素価の範囲の上限は特に限定されないが、ほとんどのそのような実施形態では、ヨウ素価は、典型的には、約100又は約120を超えない。前述したヨウ素価は、材料1グラム当たりのヨウ素のセンチグラムを単位として表される。ヨウ素価は、例えば、「Standard Test Method for Determination of Iodine Values of Tall Oil Fatty Acids」というタイトルのASTM D5768-02(2006年に再度認可)を使用して決定され得る。
【0179】
任意選択的な電荷制御剤
本開示の粉末コーティング組成物のある特定の好ましい実施形態では、1つ以上の電荷制御剤がコーティング組成物中に含まれる。すなわち、そのような好ましい実施形態において、粉末ポリマー粒子は、1つ以上の電荷制御剤と接触している。
【0180】
好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子の表面上に配設される。ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤で少なくとも実質的にコーティングされているか、又は更には完全にコーティングされている。1つ以上の電荷制御剤は、より好ましくは、粉末ポリマー粒子の表面に付着している。
【0181】
電荷制御剤は、粉末コーティング粒子が、電荷(好ましくは摩擦電荷)を効率的に受け入れて、(例えば、本明細書に記載されるもののいずれかなどの導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を介して)基材に静電的に付与することをより容易にすることを可能にする。電荷制御剤はまた、粉末コーティング粒子がより長期間にわたって潜在摩擦電荷をより良好に維持することを可能にし、経時的に静電的に付与することの特性の劣化を回避する。1つ以上の電荷制御剤を組み込むことによって達成される利点に加えて、電荷制御剤は、系に悪影響を与えるべきではない。例えば、電荷制御剤は、付与する機器の任意の構成要素(定着器など)の機能又は硬化したコーティングの性能(付着性、発色、透明度、又は製品耐性など)に、いかなる有害な方式でも干渉すべきでない。
【0182】
したがって、粒子と電荷制御剤とのそのような組み合わせは、本明細書では「摩擦電気的に帯電可能な粉末ポリマー粒子」(又は単に「帯電可能なポリマー粒子」若しくは「帯電可能な粒子」)と称される。粉末ポリマー粒子に対する電荷制御剤の使用及び適応は、トナー印刷業界の当業者には周知である。
【0183】
基材に付与する間に、電荷制御剤は、好ましくは、摩擦によって粉末ポリマー粒子に電荷を提供し、それによって帯電した(すなわち、摩擦電気的に帯電した)粉末ポリマー粒子を形成する。
【0184】
電荷制御剤は、正に帯電した粉末コーティング組成物とともに使用するためのものであってもよい。代替的には、電荷制御剤は、負に帯電した粉末コーティング組成物とともに使用するためのものであってもよい。
【0185】
電荷制御剤は、無機粒子、有機粒子、又はその両方(例えば、無機変性有機粒子又は有機金属粒子)を含み得る。好ましくは、電荷制御剤は、無機粒子を含む。無機粒子はまた、粉末の流動性を高め、表面力を低減するための流動助剤として機能することができ、並びに噴霧乾燥のための加工助剤として作用することができる。しかしながら、流動助剤は典型的には、電荷制御剤として機能することができない。電荷制御剤は、正に帯電していても負に帯電していてもよい。
【0186】
電荷制御剤粒子は、任意の好適なサイズであり得る。典型的には、電荷制御剤粒子は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有するが、任意の好適なサイズが用いられてもよい。好ましくは、電荷制御剤粒子の粒径は、0.001ミクロン~0.10ミクロンである。電荷制御剤粒子の粒径を決定するための有用な方法は、粉末ポリマー粒子について本明細書に記載されるような、レーザ回折粒径分析である。
【0187】
好適な電荷制御剤の例としては、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属カルボン酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩粒子(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩粒子を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン色素粒子、銅フタロシアニン顔料粒子、粒子の形態のクロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム若しくはカルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0188】
任意選択的な担体粒子
ある特定の好ましい実施形態において、粉末コーティング組成物は、1つ以上の電荷制御剤に加えて、又はその代わりに、1つ以上の担体(例えば、担体粒子)を含む。
【0189】
担体(すなわち、担体粒子)は、粉末ポリマー粒子を輸送し、堆積に必要な極性に粉末ポリマー粒子を摩擦帯電させるために使用される。担体は、典型的には粒状であり、粉末ポリマー粒子よりもおよそ1.5倍~100倍以上大きくてもよい。担体としては、全てを有する砂、ガラス、アルミニウム、鉄、鋼、ニッケル、マグネタイト、フェライトを使用することができる。
【0190】
好適な非磁性担体粒子としては、ガラス、非磁性金属、ポリマー、及びセラミック材料が挙げられる。これらの粒子は、種々の形状、例えば、不規則又は規則的な形状、及びサイズ(例えば、粉末ポリマー粒子の粒径と同様)であり得るが、球形、実質的に球形、又はジャガイモ形状が好ましい。
【0191】
磁性担体粒子が好ましい。好適な磁性担体粒子は、例えば、鉄、鋼、ニッケル、マグネタイト、γ-Fe、又はある特定のフェライト、例えば、CuZn、NiZn、MnZn、及びバリウムフェライトなどのコアを有する。磁性担体は、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate、PMMA)又はポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVF)などの電荷制御剤で溶媒コーティング又は粉末コーティングされていてもよく、又はコーティングされていなくてもよく、球形又は不規則形状であってもよい。磁性担体は、ローラ内部の永久磁石によって容易に輸送されるという利点を有する。これは、ポリマー粉末粒子を摩擦帯電させ、かつそれらを堆積のために光伝導体又は他のエレクトログラフィック画像形成部材の近くに移動させるために行われる。磁性担体としては、球形鉄粉、球形フェライト、マグネタイト、及び不規則な鉄粉が挙げられる。
【0192】
担体についての更なる情報は、Handbook of Imaging Materials,eds.A.Diamond,D.Weiss,第2版(2002)pp.209-238におけるL.Jonesによる「Carrier Materials for Imaging」において見出される。
【0193】
粉末ポリマー粒子と混合される場合、全ての担体粒子の表面積は、全てのポリマー粉末粒子が少なくとも1つの担体粒子と接触するのに十分な大きさであるように、十分な担体が使用される。換言すれば、ポリマー粉末粒子は、大量の過剰なトナー粒子なしに全ての担体をコーティングするべきである。適切な摩擦帯電に必要なポリマー粉末粒子の重量百分率は、実際には、担体粒子の単位重量当たりの表面積及び粒子の密度に依存する。
【0194】
任意選択的な添加剤
本開示の粉末コーティング組成物は、所望の効果を提供するために、1つ以上の他の任意選択的な添加剤を含んでもよい。例えば、そのような任意選択的な添加剤は、組成物の美観を向上させるため、組成物の製造、加工、取り扱い及び付与を容易にするため、かつコーティング組成物又はそれから得られる硬化したコーティングの特定の機能的特性を更に改善するために、コーティング組成物に含まれ得る。1つ以上の任意選択的な添加剤は、粒子自体の一部、例えば化学的に生成された(例えば噴霧乾燥された)粒子の一部を形成してもよい。
【0195】
そのような任意選択的な添加剤の例としては、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。粉末コーティング組成物は、1つ以上の潤滑剤、顔料、架橋剤、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0196】
いくつかの実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の顔料を含む。好適な顔料としては、例えば、二酸化チタン、シリカ、種々の色の酸化鉄、種々のケイ酸塩(例えば、タルク、珪藻土、アスベスト、雲母、粘土、ケイ酸鉛など)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、リトポン、カーボンブラック、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。リーフィング及び非リーフィング金属顔料も使用することができる。第1のコーティング組成物をキュアリング又は焼成するために使用される温度で安定であることが知られている有機顔料も使用することができる。コーティング組成物の市販のバージョンとしては、例えば、ValsparによるFLUROPON又はVALFLONが挙げられ、広い色空間にわたる色の範囲で入手可能である。したがって、一実施形態では、本明細書に記載される第1のコーティング組成物は、好ましくは、第1のコーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは約1~20重量%、より好ましくは約5~15重量%の量で存在する少なくとも1つの顔料を含む。
【0197】
好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、例えば、可撓性のために、1つ以上の潤滑剤を含む。この文脈において、潤滑剤は、コーティングの表面での摩擦を低減して、完成したコーティングされた金属基材に耐摩耗性を付与する化合物である。潤滑剤は、コーティング組成物の流れ及び金属基材にコーティングを付与することを助ける流れ改良剤とは異なる。
【0198】
好適な潤滑剤の例としては、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャートロプシュワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(polyethylene、PE)ワックス、ポリプロピレン(polypropylene、PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粉化エチレン-ビス-ステアラミド(ethylene-bis-stearamide、EBS)ワックス)、それらの組み合わせ、並びにそれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)が挙げられる。潤滑剤は、任意選択的に球形であり得る微粉化ワックスであり得る。
【0199】
1つ以上の潤滑剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在し得る。更に、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で存在してもよい。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0200】
潤滑剤は、粉末ポリマー粒子中に、粉末ポリマー粒子上に、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分中に、又はそれらの組み合わせで存在してもよい。潤滑剤はまた、別個の粉末層に付与される第2の粉末コーティング組成物に付与されてもよい。例えば、潤滑剤は、ベース粉末層のキュアリング前に、本開示の粉末ポリマー粒子を含むベース粉末層上に「ダストオンダスト」手法で付与されてもよい。
【0201】
好適な市販の潤滑剤の例としては、MunzingからのCERETAN系列の製品(例えば、CERETAN MA 7020、MF5010、MM8015、MT9120、及びMXD3920製品);Munzigからの製品のLUBA-PRINT系列(例えば、LUBA-PRINT255/B、276/A(ND)、351/G、501/S-100、749/PM、及びCA30製品);ShamrockからのSST-52、S-483、FLUOROSLIP893-A、TEXTURE5347W、及びSPP-10製品;BYKからの製品のCERAFLOUR系列(例えば、CERAFLOUR981、988、996、258、及び970製品);並びにBYKからのCERACOL607製品が挙げられる。いくつかの実施形態では、PTFEを含まない潤滑剤が好ましい(すなわち、ポリテトラフルオロエチレンを含有しない)。いくつかの実施形態において、コーティング組成物は、フッ素含有成分を使用して作製された任意の潤滑剤を含まない。
【0202】
これらの潤滑剤のいくつかの粒径、及び供給元によって識別されるような粒径を決定するために使用される方法(しかし、本明細書では、そのような潤滑剤粒径は、レーザ回折粒径分析によって測定されてもよい)を、以下の表に提示する。
【0203】
【表2】
製造業者の文献に従う
【0204】
好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の架橋剤及び/又は触媒を含む。追加的に又は代替的に、粉末コーティング組成物は、1つ以上の自己架橋性ポリマーを含んでもよい。
【0205】
「架橋剤」という用語は、ポリマー間又は同じポリマーの2つの異なる領域間に共有結合を形成することができる分子を指す。好適な架橋剤の例としては、カルボキシル反応性キュアリング樹脂が挙げられ、架橋剤(例えば、EMS-GriltechからPRIMIDの商品名で市販されている(例えば、PRIMID XL-552及びPRIMID QM-1260製品))などのβ-ヒドロキシアルキル-アミド架橋剤、並びに、ヒドロキシルキュアリング樹脂、例えば、フェノール架橋剤、ブロックイソシアネート架橋剤、及びアミノプラスト架橋剤などが好ましい。他の好適なキュアリング剤としては、例えば、ベンゾオキサジン系フェノール樹脂などのベンゾオキサジンキュアリング剤、又はヒドロキシアルキル尿素を挙げることができる。ベンゾオキサジン系キュアリング剤の例は、米国特許出願公開第2016/0297994号(Kuoら)に提供されている。ヒドロキシアルキル尿素の例は、米国特許出願公開第2017/0204289号(Kurtzら)に提供されている。
【0206】
架橋官能性を提供するために、熱硬化性ポリマーは、例えば、1つ以上の異なる種類の架橋官能基が提供され得る。架橋官能基の代表的な例としては、OH、-NCO、-COOH、-NH、放射線キュアリング性のための炭素-炭素二重結合、これらの組み合わせなどが挙げられる。架橋官能基は、熱硬化性ポリマー材料上のある種類の架橋官能基が、架橋剤及び/又は架橋触媒の助けを借りて又は借りずに、熱硬化性ポリマー材料上の別の種類の架橋官能基と架橋するように、相補的であってもよい。例えば、ヒドロキシル及びイソシアネートは相補的である。他の実施形態において、架橋官能基は同じであってもよいが、官能基は、架橋剤及び/又は架橋触媒の助けを借りて又は借りずに共反応性である。例えば、ペンダント炭素-炭素二重結合は、共反応性である。別の選択肢として、架橋官能基は、触媒の助けを借りて又は借りずに、架橋剤上に提供された異なる官能基の存在下でのみ反応性であってもよい。例えば、ヒドロキシ官能基自体は、架橋反応に関与するために、イソシアネート及び/又はアミノプラスト架橋剤などの架橋剤を必要とする。本発明の実施において、ヒドロキシ官能基は、特にアミノプラスト架橋剤と組み合わせて使用される場合、好ましい架橋官能基である。
【0207】
例示的な架橋剤は、アルデヒドとフェノールとの縮合生成物を含む。ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは、好ましいアルデヒドである。フェノール、クレゾール、p-フェニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-アミルフェノール、及びシクロペンチルフェノールなどの、種々のフェノールを用いることができる。
【0208】
本発明の粉末ポリマー粒子は、任意選択的に、存在する場合、熱硬化性ポリマーの架橋を容易にするために、架橋剤を含んでもよい。熱硬化性ポリマーがヒドロキシ官能基を含む好ましい実施形態では、アミノプラスト架橋剤が好ましい場合がある。これらの生成物は、広範囲の分子量を有することができる。いくつかは、モノマー、オリゴマー、又はポリマーであり得る。アミノプラスト架橋剤は、典型的には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及びベンズアルデヒドなどのアルデヒドの、尿素、メラミン、及びベンゾグアナミンなどのアミノ基含有物質又はアミド基含有物質との縮合生成物である。好適なアミノプラスト架橋樹脂の例としては、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、エステル化メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素-ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。好適なアミノプラスト架橋剤の一具体例は、Cytec Industries,Inc.からCYMEL 303の商品名で市販されている完全アルキル化メラミン-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0209】
他の好適な架橋剤(例えば、フェノール架橋剤、アミノ架橋剤、又はそれらの組み合わせ)及び触媒(例えば、チタン含有触媒、ジルコニウム含有触媒、又はそれらの組み合わせ)の例は、米国特許第8,168,276号(Cleaverら)に記載されている。
【0210】
他のアミン及びアミドの縮合生成物、例えば、トリアジン、ジアジン、トリアゾール、グアナジン、グアナミン及びアルキル及びアリール置換メラミンのアルデヒド縮合物も、アミノプラスト架橋剤として用いることができる。そのような化合物のいくつかの例は、N,N’-ジメチル尿素、ベンゾ尿素、ジシアンジアミド、ホルマグアナミン、アセトグアナミン、グリコールウリル、アンメリン、2-クロロ-4,6-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、6-メチル-2,4-ジアミノ-1,3,5-トリアジン、3,5-ジアミノトリアゾール、トリアミノピリミジン、2-メルカプト-4,6-ジアミノピリミジン、3,4,6-トリス(エチルアミノ)-1,3,5-トリアジンなどである。用いられるアルデヒドは最も多くの場合はホルムアルデヒドであるが、他の同様の縮合生成物は、他のアルデヒド、例えば、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、ベンズアルデヒド、フルフラール、グリオキサールなどから作製され得る。
【0211】
好ましいアミノプラスト架橋剤は、単に、熱硬化性メチロール官能性樹脂を提供するための、アミン、好ましくはメラミンとのホルムアルデヒド縮合物である。尿素ホルムアルデヒド縮合物及びベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合物などの多くのアミノプラスト樹脂が広く有用であるが、アミノプラスト樹脂は、アルコキシ基が1~4個の炭素原子を含有するポリアルコキシメチルメラミン樹脂であることが好ましい。適切なメラミン-ホルムアルデヒド縮合物は、商業目的で容易に入手可能であり、よく知られているように、通常、有機溶媒溶液中で使用するために低級アルコールでエーテル化される。好適なアミノプラストキュアリング剤の例としては、有機溶媒中の溶液としてのエーテル化メラミン-ホルムアルデヒド縮合物(例えば、Cytecから入手可能な、CYMEL303の商品名で入手可能なポリメトキシメチルメラミン)が挙げられる。アミノプラスト樹脂は、典型的には、全樹脂固形分の0.1~10重量%として、好ましくは全樹脂固形分の0.2~3.0重量%の量で存在する。
【0212】
アミノプラスト樹脂がヒドロキシ官能性コポリマーをキュアリングさせるために好ましいが、ヒドロキシ官能基と反応性の、フェノプラスト樹脂又はブロックポリイソシアネートなどの任意のキュアリング剤を使用することもまた可能である。好適なブロックイソシアネートキュアリング剤としては、メチルエチルケトキシムでブロックされたイソホロンジイソシアネート又はオクチルアルコールでブロックされた2,4-トルエンジイソシアネートが挙げられる。ブロックイソシアネートキュアリング剤のクラスはよく知られており、これらのキュアリング剤は、焼成がブロックイソシアネート基を解離させて活性にするときに、コーティング組成物上のヒドロキシ官能基を有するウレタン基を形成することによって、キュアリングをもたらすことがよく知られている。
【0213】
望ましくは、ヒドロキシ官能性熱硬化性樹脂とアミノプラスト架橋剤との間の架橋反応を容易にするために、従来の実施に従って触媒を使用することができる。1つの代表的な手法によれば、ブロックされた酸触媒が好適な触媒量で使用される。酸は、コーティング組成物が室温で実質的に非反応性であり、良好な保管安定性を有するように、アミンなどの好適な熱不安定性マスキング基でブロックされる。しかしながら、加熱すると、ブロッキングアミン基が脱離し、それによって触媒が活性になり、触媒的に架橋を容易にすることが可能になる。
【0214】
好ましくは、粉末コーティング組成物は、いかなる添加された架橋剤も含まない。そのような実施形態において、粉末粒子のポリマーは、選択されたポリマーの化学的性質及び所望のコーティング特性に応じて、自己架橋性ポリマーであってもよく、又は自己架橋性ポリマーでなくてもよい。
【0215】
1つ以上の架橋剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも8重量%の量で存在し得る。1つ以上の架橋剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0216】
1つ以上の触媒は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%の量で存在し得る。1つ以上の触媒は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大5重量%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0217】
好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、顔料及び/又は染料などの1つ以上の着色剤を含む。粉末コーティング組成物において使用するのに好適な着色剤の例としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、及び酸化鉄が挙げられ、有機染料及び顔料も挙げることができる。
【0218】
1つ以上の着色剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング組成物全体の総重量に基づいて、例えば、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%の量で存在し得る。1つ以上の着色剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、又は最大約20%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。より高い着色剤濃度の使用は、より薄いコーティングで良好な被覆を達成するのに有利であり得る。
【0219】
本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の無機充填剤を含んでもよい。本開示の粉末コーティング組成物において使用される例示的な無機充填剤としては、例えば、粘土、雲母、ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化亜鉛アルミニウム、酸化マグネシウムチタン、酸化鉄チタン、酸化カルシウムチタン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0220】
無機充填剤は、好ましくは非反応性であり、好ましくは1つ以上の粉末ポリマー粒子のブレンドの粒径分布と同じか又はそれよりも小さい粒径分布を有する、粉末の形態で粉末コーティング組成物中に組み込むことができる。
【0221】
1つ以上の無機充填剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%の量で存在し得る。1つ以上の無機充填剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0222】
好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の流動制御剤を含む。流動制御剤は、均一な薄いフィルムを達成するのを助けることができ、さもなければ微粉末粒子で生じ得る塊化及び粉塵問題を低減するのを更に助けることができる。
【0223】
流動調整剤の例は、無機粒子、例えばシリカ粒子(例えば、疎水性ヒュームドシリカ粒子、親水性ヒュームドシリカ粒子、疎水性沈殿シリカ粒子、親水性沈殿シリカ粒子)、及び有機樹脂、例えばポリアクリル酸である。
【0224】
流動制御剤として使用するための市販の材料の例としては、Evonikからの製品のAEROSIL、AEROXIDE、及びSIPERNAT系列(例えば、AEROSIL R972、R816、200、及び380製品;AEROXIDE Alu C製品;並びにSIPERNAT D17、820A、22S、50S、及び340製品);米国のOrient Corporationからの製品のBONTRONシリーズ(例えば、BONTRON Eシリーズ、Sシリーズ、Nシリーズ、及びPシリーズ系列の製品);並びにWackerからの熱分解シリカ製品のHDKライン(例えば、HDK H1303VP、H2000/4、H2000T、及びH3004製品)が挙げられる。粉末コーティング組成物において使用するための例示的な流動制御剤は、Henkel Corporation(Rocky Hill,CT)から商品名PERENOLで市販されているポリアクリレートである。加えて、有用なポリアクリレート流動制御剤は、Protex Franceから商品名ACRYLON MFPで市販されており、BYK-Chemie GmbH(Germany)から市販されているものである。当業者に既知の多くの他の化合物も、流動制御剤として使用することができる。
【0225】
1つ以上の流動制御剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.2重量%の量で存在し得る。1つ以上の流動制御剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大5重量%、又は最大1重量%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0226】
ある特定の好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の艶消し剤を含む。艶消し剤は、光を散乱させ、反射率(すなわち、光沢)を低減するコーティングの表面上の微小粗さを作り出すことによって、表面にわたって均一に、又はパターンで選択的に、艶消し又は平坦な外観(すなわち、ほとんど光沢がないように見える)を作り出すのを助けることができる。好適な艶消し剤の例としては、シリカ、ワックス、及び充填剤が挙げられる。
【0227】
艶消し剤として使用するための市販の材料の例としては、Asahi Glassからの商品名SUNSPHERE L-121、SUNSPHERE L-31、及びSUNSPHERE L-51;DOG ChemieからのDEOCOAT 3100、DEOCOAT 3412、DEOCOAT 3500、及びDEOCOAT 3607;ArkemからのCRAYVALLAC WN-1110及びCRATVALLAC WN-1135;BYKからのCERAFLOUR 913、CERAFLOUR 928、及びCERAFLOUR 968;並びにDSMからのURANOX P7150で入手可能なものが挙げられる。
【0228】
1つ以上の艶消し剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%の量で存在し得る。1つ以上の艶消し剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大15重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0229】
ある特定の好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、表面にわたって均一に、又はパターンで選択的に、コーティングの微小粗さを低減することによって、光沢のある(すなわち、高反射性の)外観を達成するように配合される。この光沢のある外観は、微小粗さを増加させる任意の添加剤、特に艶消し剤の存在を低減又は排除することによって達成され得る。代替的には、同じコーティングされた物品の異なるエリアが、パターン化された様式で、同じコーティングされた物品上に高い光沢のエリア及び高い艶消しのエリアを有してもよい。
【0230】
好ましい実施形態において、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の界面活性剤を含む。粉末コーティング組成物における使用に好適な界面活性剤の例としては、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、分散剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤の1つ以上は、ポリマー界面活性剤(例えば、アルカリ可溶性樹脂)であってもよい。コーティング組成物における使用に好適な界面活性剤の例としては、非イオン性及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0231】
1つ以上の界面活性剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.2重量%の量で存在し得る。1つ以上の界面活性剤は、粉末コーティング組成物の総重量、又は硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大10重量%、又は最大5重量%の量で存在し得る。硬化したコーティング中の濃度は、粉末コーティング組成物中の出発材料の濃度に等しい。
【0232】
微粒子形態である添加剤(例えば、潤滑剤)については、粒子は、粉末ポリマー粒子以下の粒径を有する。典型的には、添加剤は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)であるが、任意の好適なサイズを用いてもよい。任意選択的な添加剤(例えば、潤滑剤)の粒径を決定するための有用な方法は、レーザ回折粒径分析である。
【0233】
粉末コーティング組成物の作製方法
基材粉末コーティング組成物は、以下のように作製することができる。最初の工程において、本明細書に記載されるような粉末ポリマー粒子を提供する。次いで、これらを、好ましくは、本明細書に記載されるような1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性担体粒子と組み合わせる。好ましくは1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性担体粒子と接触しているこれらの粒子を、次いで、そのままで、又は1つ以上の任意選択的な添加剤とともに、本明細書に記載されるような基材粉末コーティング組成物としての使用に好適である粉末コーティング組成物として使用する。
【0234】
ポリマー粒子は、例えば、沈殿ポリマー粒子、沈殿以外の方法によって形成されたポリマー粒子、又は沈殿及び非沈殿ポリマー粒子の組み合わせを含む、任意の好適なポリマー粒子であってもよい。任意の好適な方法を使用して、本開示の好適なサイズの沈殿粒子を形成することができる。この方法は、好ましくは、ポリマー材料が分散された、好ましくは溶解された担体(例えば、溶媒)を提供することと、(例えば、担体の温度を冷却することによって、担体の組成を変化させることによって、又は担体中のポリマーの濃度を変化させることによって)担体中のポリマー材料の溶解度を低下させて、沈殿粒子を形成することと、を含む。好ましくは、方法は、有機溶媒と固体結晶性ポリマーとの混合物を調製することと、混合物を、固体結晶性ポリマーを有機溶媒中に分散させる(好ましくは溶解させる)が溶融させないのに十分な温度まで加熱することと、混合物を冷却して、沈殿したポリマー粒子を形成することと、を含む。
【0235】
粉末ポリマー粒子は、当業者によく知られている乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法又は分散重合法を使用して調製することができる。例えば、ポリマーは、標準的な技法を使用して水性エマルション、懸濁液、溶液、又は分散液の形態で調製され得、続いて、例えば、とりわけ、噴霧乾燥、流動層乾燥、真空乾燥、放射乾燥、凍結乾燥、及びフラッシュ乾燥を含む様々な技法のいずれかを使用して乾燥されて粒子を形成し得る。好ましくは、乾燥は、噴霧乾燥を伴う。乳化/懸濁/分散/溶液重合を使用して生成されたポリマー粒子は、典型的には沈殿粒子とはみなされない。
【0236】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは、ポリマーを粉砕して粉砕ポリマー粒子を形成することによって調製されない(すなわち、粒子は粉砕粒子として提供されない)。
【0237】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、本明細書に記載されるように、一次ポリマー粒子の凝集体として提供され、これは当業者によく知られた標準的な技法を使用して調製され得る。例えば、ポリマーは、水性エマルション/分散液/懸濁液/溶液技法の形態で調製され得、その後、例えば噴霧乾燥技法を使用して乾燥され得る。噴霧乾燥は、凝集体を直接形成し得る。噴霧乾燥は、液体供給原料を液滴の噴霧に霧化し、乾燥チャンバ内で液滴を熱風と接触させることを伴う。噴霧は、典型的には、回転(ホイール)噴霧器又はノズル噴霧器のいずれかによって生成される。液滴からの水分の蒸発及び乾燥粒子の形成は、制御された温度及び気流条件下で進行する。粉末粒子は、典型的には、乾燥チャンバから実質的に連続的に排出される。操作条件及び乾燥機設計は、製品仕様の乾燥特性に従って選択される。
【0238】
図2は、ステンレス鋼ノズル2を介して液体生成物のエアロゾル化噴霧を生成するために、圧縮空気又は窒素などの加圧ガス1を使用する、好適な噴霧乾燥装置(例えば、Buchi B290実験室規模噴霧乾燥機)を示す。この噴霧は、実験室空気又は窒素3などの乾燥ガスとともにガラス乾燥塔4内に共溶出され、そこで、液体生成物の液滴が、加熱された空気/ガスによって脱水/脱溶媒され、その結果、それらの元の溶媒又は分散液をほとんど含まない固体粉末粒子が得られる。次いで、ガラスサイクロン6が、加熱された溶媒蒸気から粉末を分離する。試料は、粒径及び形状を決定するために収集される場合、典型的には、塔4及びサイクロン6の底部の収集ジャー5において収集される。最後に、水/溶媒蒸気は、微粒子フィルタ7を通過して、蒸気が排出又は収集される前にいかなる微粒子も除去される。
【0239】
典型的には、噴霧乾燥技法から形成される凝集した粒子は、球形又は実質的に球形(例えば、ジャガイモ形状)である。凝集体の粒径は、典型的には、エマルション/分散液/懸濁液/溶液の固形分が多いほど、及び/又は噴霧乾燥ノズル内の霧化圧力が低いほど増加する。所望であれば、二次乾燥(例えば、流動層を使用して)を行って、凝集物から結合水を除去することができる。
【0240】
代替的には、一次粒子は、例えば、乳化/分散/懸濁/溶液重合によって、又は沈殿によって形成されてもよく、その後、例えば、化学的凝集又は機械的融合(例えば、ポリマーのTgを超えて加熱して、一次粒子を凝集した粒子に融合させる)を使用して、凝集及び/又は合体させ、凝集した粒子を形成してもよい。任意の好適な凝集プロセスが、添加剤(例えば、顔料、潤滑剤、界面活性剤)の有無にかかわらず、凝集した分散粒子を形成する際に使用され得る。
【0241】
粒子凝集プロセスの例は、米国特許第9,547,246号(Klierら)に記載されており、熱可塑性ポリマー、安定な分散液又はエマルションの形成を促進することができる安定剤(例えば、界面活性剤)、任意選択的な添加剤、及び錯化を引き起こすことができる凝集剤(例えば、アルカリ土類金属塩又は遷移金属塩)を含む水性分散液を容器中で形成することを含む。次いで、混合物を均質になるまで撹拌し、例えば約50℃の温度まで加熱する。混合物は、所望のサイズへの粒子の凝集を可能にする期間にわたって、そのような温度で保持され得る。凝集した粒子の所望のサイズが達成されたら、更なる凝集を阻止するために、混合物のpHを調整してもよい。粒子は、例えば約90℃の温度まで更に加熱されてもよく、粒子が合体して球状化することを可能にするために、pHが下げられてもよい。次にヒータを切り、反応器混合物を室温まで冷却させ、その時点で凝集し合体した粒子を回収し、任意選択的に清浄にされて乾燥させる。粒子凝集プロセスは、熱硬化性ポリマーを含む水性分散液から出発して使用することもできる。
【0242】
また、本開示の粉末ポリマー粒子は、高品質デジタルカラー印刷のためのトナー粒子を作製するための、G.E.Kmiecik-Lawrynowicz,DPP2003:IS&Ts International Conference on Digital Production Printing and Industrial Applicationsの頁211~213に記載されている、乳化凝集プロセスを使用して作製されてもよい。
【0243】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは、本明細書に記載されるように、1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性担体粒子と組み合わされて、帯電可能な粉末ポリマー粒子を形成する。好ましくは、本開示の粉末コーティング組成物を作製する方法は、1つ以上の電荷制御剤及び/又は磁性担体粒子を粉末ポリマー粒子に付与することと、粉末コーティング組成物を形成することと、を含む。電荷制御剤及び/又は磁性担体粒子(本明細書に記載される任意選択的な添加剤のいずれかと同様に)は、粉末ポリマー粒子の形成中(例えば、噴霧乾燥プロセスにおけるように)又はその後に、粉末ポリマー粒子に添加され得る。
【0244】
1つ以上の電荷制御剤は、ポリマー液滴又は発生期形成粒子が電荷制御剤と接触するように、噴霧乾燥プロセスの間、その前、又はその間及びその前の両方に、導入され得る。理論によって拘束されることを意図しないが、噴霧乾燥プロセス中の電荷制御剤の存在は、粉末ポリマー粒子の移動性を向上させ、粉末ポリマー粒子の集塊化を回避若しくは阻止し、及び/又はプロセス機器上への粉末ポリマー粒子の粘着を回避若しくは阻止する目的で有利であり得る。
【0245】
1つ以上の電荷制御剤を、乾燥した粒子に添加してもよい(例えば、噴霧乾燥プロセス後)。例えば、1つ以上の電荷制御剤を、粉末ポリマー粒子の表面に付与してもよい。これは、ポリマー粒子を1つ以上の電荷制御剤で完全にコーティングすることを伴い得る。これは、追加的に又は代替的に、粉末ポリマー粒子の表面に1つ以上の電荷制御剤を付着させることを伴い得る。
【0246】
電荷制御剤と粉末ポリマー粒子とのこの組み合わせは、帯電可能な粒子を形成する。例えば摩擦又は誘導による粉末粒子の帯電は、例えば、写真複写技術又はレーザプリンタ技術において一般的に既知であるプロセスを使用して行うことができる(このプロセスは、例えば、L.B.Schein,Electrophotography and Development Physics,pages 32-244,Volume 14,Springer Series in Electrophysics(1988)に説明されている)。
【0247】
1つ以上の任意選択的な添加剤が帯電可能な粒子とともに使用される場合、標準的な混合方法が使用されてもよく、これは当業者によく知られている。1つ以上の任意選択的な添加剤は、粉末ポリマー粒子、電荷制御剤、又はその両方と組み合わされてもよい。そのような任意選択的な添加剤は、粉末ポリマー粒子の調製中又はその後に添加され得る。そのような添加剤のあるものは、粉末ポリマー粒子に組み込まれてもよく、粉末ポリマー粒子上にコーティングされてもよく、又は粉末ポリマー粒子とブレンドされてもよい。
【0248】
本開示はまた、基材粉末コーティング組成物を、例えば基材の表面基材上で使用させることを含む方法を提供する。複数の当事者が関与する場合、第1の当事者(例えば、基材粉末コーティング組成物を製造及び/又は供給する当事者)は、指示、推奨、又は基材粉末コーティング組成物の最終用途に関する他の情報開示を、第2の当事者(例えば、金属コーティング業者又はブランド所有者)に提供し得る。そのような情報開示は、例えば、基材をコーティングし、その後に基材又はその部分を形成する際に使用すること、予め形成された物品又はその部分の基材をコーティングすること、そのような使用のために粉末コーティング組成物を調製すること、そのようなコーティングのためのキュアリング条件若しくはプロセスに関連する条件、又は得られるコーティングとともに使用するための好適なタイプの製品、に関連する指示、推奨、又は他の情報開示を含み得る。そのような情報開示は、例えば、技術データシート(technical data sheet、TDS)、安全データシート(safety data sheet、SDS)、規制開示、保証若しくは保証制限のステートメントにより、マーケティング文献若しくはプレゼンテーション内で、又は会社ウェブサイト上で行われ得る。第2の当事者に対してそのような開示を行う第1の当事者は、実際に組成物を商業目的で基材に付与し、そのようなコーティングされた基材を商業目的で基材上で使用するのが第2の当事者である場合であっても、基材粉末コーティング組成物を基材上で使用させたとみなされるべきである。
【0249】
コーティングされた基材及びコーティングの概略的な方法
本開示はまた、コーティングされた基材を提供する。本開示の硬化した(例えば、キュアリングした)コーティングは、好ましくは、金属(例えば、鋼、ステンレス鋼、無スズ鋼(tin-free steel、TFS)、スズめっき鋼、電解スズ板(electrolytic tin plate、ETP)、アルミニウムなど)、及び非金属基材に良好に付着する。
【0250】
本明細書において有用であり得る基材としては、金属、木材、紙、セラミック及びガラス、ポリマー、皮革、織布及び不織布、繊維、これらの組み合わせ(合成及び/又は天然にかかわらず)などを挙げることができる。特に好適な基材としては、鋼、アルミニウム、亜鉛、銅、及び合金、金属間組成物、これらの1つ以上を含む複合材料などが挙げられる。本発明のコーティング組成物がその表面に付与されることから利益を得ることができる金属基材の非限定的な例としては、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、溶融亜鉛めっき、電気亜鉛めっき、アルミニウム、ブリキ、種々のグレードのステンレス鋼、及びアルミニウム-亜鉛合金コーティング鋼板(例えば、ガルバリウム鋼板)が挙げられる。基材の代表的な供給品としては、限定されないが、例えば、建物パネル、屋根板、自動車車体部品、アルミニウム押出物などに変換されることを意図した押出物、コイル、又は別様に製作された基材が挙げられる。
【0251】
表面又は基材「上」に配設されている硬化した付着性コーティングの文脈では、表面又は基材に直接(例えば、未加工金属若しくは電気めっき鋼などの前処理金属)又は間接的に(例えば、プライマー層上)付与された両方のコーティングが含まれる。したがって、例えば、前処理層(例えば、クロム若しくはクロムを含まない前処理から形成される)又は基材を覆うプライマー層に付与されるコーティングは、基材上に付与される(又は配設される)コーティングを構成する。
【0252】
基材として鋼板を使用する場合、表面処理は、亜鉛めっき、スズめっき、ニッケルめっき、電解クロメート処理、クロメート処理、リン酸塩処理などの1つ、2つ以上の種類の表面処理を含み得る。基材としてアルミニウム板を使用する場合、表面処理としては、リン酸クロム処理、リン酸ジルコニウム処理、若しくはリン酸塩処理などの無機化成処理;アクリル樹脂若しくはフェノール樹脂などの水溶性樹脂によって例示されるような有機成分による無機化成処理とタンニン酸との組み合わせに基づく有機/無機複合化成処理;又は、アクリル樹脂などの水溶性樹脂とジルコニウム塩との組み合わせに基づく付与するタイプの処理が挙げられ得る。
【0253】
基材は、極低温洗浄されてもよい。基材は、極低温洗浄された金属基材として提供されてもよく、又はコーティング方法は、粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付ける前に金属基材を極低温洗浄することを含んでもよい。例示的なプロセスでは、極低温洗浄は、液体窒素の高圧流(5,000~50,000psi及び150°F~250°F)を金属表面に方向付けることによって達成され得る。金属表面の温度は急速に低下し、いかなる汚染物質の破砕も引き起こす。次いで、破砕された汚染物質は、高圧流によって金属表面から離れるように方向付けられ、洗浄された基材を残す。
【0254】
好ましい実施形態では、硬化した付着性コーティングは、連続的である。したがって、硬化した付着性コーティングは、基材の許容できない腐食につながる可能性があり、基材中の穴に潜在的につながる可能性さえある、露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥がない。コーティングの粗さ又はテクスチャが望まれる実施形態を除いて、硬化した連続的なコーティングは、特にほとんどの内装コーティングについて、好ましくは平滑である。
【0255】
ある特定の実施形態では、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングは、最大100ミクロンの平均総厚さ(特にコーティングがテクスチャを有する場合)、又は最大100ミクロンの最大厚さを有する。好ましくは、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングは、最大60ミクロン、最大55ミクロン、最大50ミクロン、最大45ミクロン、又は更には最大35ミクロンの平均厚さを有する。好ましくは、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングは、例えば、1ミクロン以上、2ミクロン以上、10ミクロン以上、24ミクロン以上、30ミクロン以上、又は更には45ミクロン以上の平均総厚さを有する。理論に限定されるものではないが、1ミクロン未満のコーティング厚さは、キュアリングしたフィルムに必要な程度の色を提供するのに十分な顔料を含まない。一方、40ミクロンを超える平均総コーティング厚さは、コーティングされた物品が基材から形成されるときに曲がるか又は割れる可能性がある脆いフィルムを生成する。いくつかの実施形態では、第1のコーティングの2つ以上の層が付与されてもよく、そのような場合、第1のコーティングの平均総厚さは、好ましくは約30~60ミクロン、より好ましくは45~55ミクロンで変化し得る。
【0256】
本開示の粉末コーティング組成物はまた、例えば、金属建物パネル、金属屋根、壁パネル、ガレージドア、オフィス家具、家庭電化製品、加熱及び冷却パネル、自動車パネル及び部品などを含む、いくつかのタイプの基材上及び多種多様な用途のために使用され得る。コーティング組成物は、照明器具、建築用金属スキン(例えば、ガターストック、窓ブラインド、羽目板及び窓枠など)に使用されるようなシート金属に、噴霧、浸漬又はブラッシングによって付与されてもよいが、コイルコーティング操作に特に適しており、この場合、組成物は、シートがコイルから巻き出されるときにシート上に付与され、次いで、シートが取り込みコイル巻き取り機に向かって進むときに焼成される。本発明のコーティング組成物は、例えば電化製品コーティングなどの工業用コーティング用途、包装コーティング用途、内部又は外部の鋼製建物製品、HVAC用途、農業用金属製品、木材コーティングなどを含む、様々な他の最終用途において有用性を有し得ることが更に企図される。
【0257】
いくつかの実施形態において、基材は、平面的なコイル又はシートの形態にあってもよい。シートコーティングは、正方形又は長方形の「シート」に予め切断されている基材の別々の片にコーティング組成物を付与することを伴う。コイルコーティングは、コイル状の金属ストリップ(例えば、アルミニウム)が巻き出され、次いで、最終的に再び巻かれる前に、前処理、コーティング、及び乾燥機器を通過させられる特別な付与方法である。本開示の好ましい粉末コーティング組成物の使用は、従来の液体コーティングを使用するときに用いられる前処理工程の必要性を排除することができ、それによって、付与プロセスを単純化し、コストを削減すると考えられる。コイルコーティングは、高スループットで短時間に大きな表面積の非常に効率的なコーティングを可能にする。
【0258】
例えば、連続的なプロセスにおけるコイル基材の移動表面は、好ましくは、少なくとも50メートル/分、少なくとも100メートル/分、少なくとも200メートル/分、又は少なくとも300メートル/分のライン速度で進んでいる。典型的には、ライン速度は、毎分400メートル未満である。コイルコーティングが付与されたコーティング組成物のキュアリング時間は、好ましくは、少なくとも6秒、少なくとも10秒、又は少なくとも12秒であり、最大20秒、最大約25秒、又は最大約30秒である。コイルコーティングをキュアリングさせるための熱焼成の文脈において、そのようなキュアリング時間は、炉における滞留時間を指す。そのような実施形態では、キュアリングプロセスは、典型的には、200℃~260℃のピーク金属温度を達成するように行われる。
【0259】
いくつかの実施形態では、基材は、例えば、既に形成された物品、部分的に形成された物品、又は物品の部分であり得る。例示的な物品としては、上記で列挙したもの、又は更により具体的には、例えば、自動車車体部品若しくは自動車車体部品の部分、電化製品若しくは電化製品の部分、建物パネル若しくは建物パネルの部分、及びガレージドア若しくはガレージドアの部分を挙げることができる。
【0260】
したがって、本開示による粉末コーティング組成物を基材に付与するプロセスは、好ましくは、コイルコーティングプロセス又はシートコーティングプロセスにおいて使用される。
【0261】
硬化したコーティングは、本明細書に記載されるような基材粉末コーティング組成物から、1つ以上の任意選択的な添加剤を伴って又は伴わずに、特に本明細書に記載される粉末ポリマー粒子及び潤滑剤を伴って形成されてもよい。潤滑剤は、硬化したコーティングにおいて、粉末ポリマー粒子中に、粉末ポリマー粒子上に、粉末コーティング組成物(又はそれから形成される硬化したコーティング)を形成するために使用される別の成分中に、又はそれらの組み合わせで存在してもよい。代替的に又は追加的に、本明細書に記載されるような潤滑剤(例えば、カルナウバワックス、合成ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、又はそれらの組み合わせ)が、硬化したコーティングに付与されてもよく、又は他の方法で(例えば、別の粉末組成物を付与することを介して)硬化したコーティングの表面上に配設されてもよい。同様に、潤滑剤は、コーティングのキュアリングの前に、本開示のポリマー粒子を含む第1の粉末層に付与される別個の粉末層に付与されてもよい(すなわち、いわゆる「ダストオンダスト」の付与技法において)。しかしながら、潤滑剤は、硬化したコーティング中又は上に組み込まれる場合、粉末コーティング組成物(又はそれから形成される硬化したコーティング)の総重量に基づいて、好ましくは、少なくとも0.1重量%(又は少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%)の量で存在し、潤滑剤は、好ましくは、最大4重量%(又は最大3重量%、又は最大2重量%)の量で存在する。
【0262】
好ましくは、非晶質ポリマー(及び/又は非晶質部分を有する半結晶性ポリマー)を含む硬化したコーティングは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)、及び最高150℃、最高130℃、最高110℃、又は最高100℃のTgを有する。場合によっては、耐食性のためにより高いTgのコーティングが好ましい。いくつかの実施形態において、硬化したコーティングは、いずれの検出可能なTgも有していなくてもよい。
【0263】
本明細書に記載されるコーティングされた物品は、好ましくは、コーティングされた物品の意図される目的に好適な鉛筆硬度を示す。ある特定の好ましい実施形態において、コーティングは、B以上の鉛筆硬度を示す。コーティングは、3H以下の鉛筆硬度を示し得る。コーティングの鉛筆硬度は、B~3H又はF~2Hの範囲内であり得る。
【0264】
本明細書に記載されるコーティングされた物品は、好ましくは、最適な耐風化性又は耐候性を示す。「耐候性」とは、長期間にわたるUV線(すなわち、日光)への曝露による劣化に対するコーティングの耐性を意味する。耐風化性は、コーティングされた基材が最適な耐風化性を示す能力を測定する、試験方法に記載の耐候性試験を使用して決定することができる。
【0265】
基材をコーティングする概略的な方法
基材をコーティングする概略的な方法も提供される。そのような方法は、本明細書に記載されるような粒子(好ましくは摩擦電気的に帯電した粒子を含む)を含む基材粉末コーティング組成物を提供することと、基材粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)を、基材(例えば、コイル又はシート)の少なくとも一部分に、好ましくは電場、電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって方向付けることと、粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的なコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む。
【0266】
基材粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けることは、好ましくは、基材粉末コーティング組成物を、導電性又は半導電性輸送体に給送することと、基材粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)を、導電性又は半導電性輸送体から基材の少なくとも一部分に、電場若しくは電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって方向付けることと、を含む。基材粉末コーティング組成物を方向付けることは、より好ましくは、基材粉末コーティング組成物を、導電性又は半導電性輸送体と基材との間の電場によって、導電性又は半導電性輸送体から基材の少なくとも一部分に直接方向付けることを含む。
【0267】
基材粉末コーティング組成物を方向付けることは、好ましくは、基材粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)を、導電性又は半導電性輸送体と転写部材との間の電場若しくは電磁場(例えば、電場)、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって、導電性又は半導電性輸送体から転写部材に方向付けることと、基材粉末コーティング組成物を転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む。転写は、転写をもたらすために、例えば、熱エネルギー(熱処理技法を使用して)、又は他の力、例えば、電気力、静電力若しくは機械力を加えることによって実行することができる。
【0268】
このプロセスは、従来のエレクトログラフィック印刷プロセスと同様であるが、被覆率が典型的には基材に対してはるかに少ない(例えば、わずか10%)印刷プロセスとは対照的に、完全にコーティングされた基材(例えば、90%超)を連続的に生成するために必要とされ得る。例えば、摩擦又は誘導による粉末粒子の帯電(摩擦電気帯電として既知である)、並びに輸送又は搬送及び基材に付与することは、電子写真、写真複写技術又はレーザプリンタ技術において一般に既知であるプロセスを使用して行うことができる。特に、電圧源又はコロナ放電などの従来の方法を使用して電場を印加して、移動又は固定対向電極を生成することができる。そのようなプロセスは、例えば、米国特許第6,342,273号(Handelsら)及びL.B.Schein,Electrophotography and Development Physics,pages 32-244,Volume 14,Springer Series in Electrophysics(1988)に説明されている。
【0269】
例えば、半導電性又は絶縁性のドラム又はベルトを含む転写部材が使用されてもよい。転写ベルト及びドラムは、通常、柔軟であるか、又は柔軟なバッキングローラを有し、導電性添加剤を含有するポリウレタン又はポリイミドから作製される。例えば、米国特許第8,119,719号(Parkら)は、転写ベルトが10~1013オーム-cmの体積抵抗率、105~113°の接触角、及び0.8~4.5GPaの弾性率を有し得ることを開示している。導電性又は半導電性ベルトは、フルオロポリマー剥離表面などの非導電性コーティングを有してもよい。転写ベルト及びドラムは同様に機能し、同様の構成を有する。転写は、複数の転写部材を使用して1つ以上の工程で実行することができる。
【0270】
粉末コーティング組成物は、好ましくは、磁性担体粒子を含むが、本明細書に記載されるように非磁性粒子を使用してもよい。
【0271】
好ましくは、輸送体は、磁気ローラを含み、磁性担体粒子を含有する粉末コーティング組成物は、例えば、米国特許第4,460,266号(Koppら)に記載されているような磁気ローラによって搬送される。磁気ローラは、固定磁性コア又は回転磁性コアを有することができる。磁性担体粒子は好ましくは粉末コーティング組成物中で使用されるが、実質的に全ての磁性担体粒子が、輸送体とともに留まる。いくつかの磁性担体粒子が基材上に堆積されてもよいが、金属基材上に最終コーティングの一部を形成することは意図されない。通常、そのような磁性担体粒子は、過渡的であり、強い磁石によって除去される。磁性ローラ又はブラシ装置に加えて、例えば、非磁気カスケード現像プロセスも本プロセスにおいて有用である。加えて、例えば米国特許第2,725,304号(Landriganら)に記載されているように、空気による輸送、例えばパウダークラウド現像を使用してもよい。
【0272】
図3Aは、磁性担体粒子の助けを借りずに粉末コーティング組成物13を基材11に送達することができる付与デバイス10の線図を提供する。図3Bは、磁性担体の助けを借りて粉末コーティング組成物13’を基材11’に送達することができる付与デバイス10’の線図を提供する。図3A及び図3Bは、導電性又は半導電性ドラムの形態の輸送体15/15’を用いているが、ドラムの代わりに他の輸送体構造(例えば、ベルトなど)を使用してもよい。例示的なプロセス中、均一な負の電荷を光伝導ドラム15/15’の表面に印加するコロナ帯電器又はローラ帯電器16/16’によって、光導電ドラム15/15’(すなわち、その上に光伝導コーティングを有するドラム)の表面34/34’上に均一な電圧(正又は負のいずれかであるが、この例では負であると仮定する)が誘導される。走査光源17/17’(例えば、レーザ及びミラーアセンブリ又は発光ダイオード(light emitting diode、LED)アレイのいずれか)が、コンピュータ生成画像をドラム15/15’上の対応するパターンに変換する。ドラム15/15’の表面は、光源17/17’がドラム15/15’の表面上に作用する場所、例えば位置36/36’において負電荷を失う。同時に、粉末コーティング組成物は、一連のオーガを通る移動によって、及び/又はバイアスされた帯電部材によって摩擦電気的に帯電され、通常は現像ロール19/19’の形態である輸送体に付与され、輸送体は、粉末コーティング組成物を、ホッパ/リザーバ18/18’からドラム15/15’に運ぶ。ポリマー粉末上の静電荷及び輸送体38/38’上の電圧は、負に帯電した粉末(ドラム15/15’と密接に接触すると)が露光されたドラムのエリアに静電的に付着し、正に帯電した粉末が露光されなかったドラムのエリアに静電的に付着するようなものである。放電されたエリアへの粉末の付着は、放電エリア現像(Discharge Area Development、DAD)と呼ばれる。一度も放電されず高い電荷を保持するエリアへの粉末の付着は、帯電エリア現像(Charged Area Development、CAD)と呼ばれる。
【0273】
場合によっては、図3Aによって実証されるように、粉末コーティング配合物は、磁性担体粒子が必要とされないように現像される。これは、典型的には、本明細書の他の箇所で考察される電荷制御剤及び流動制御剤を慎重に選択することによって、また、粉末コーティングガン、帯電流動層などであってもよい帯電部材20を用いた摩擦帯電、誘導帯電、又はコロナ帯電によって行われる。場合によっては、図3Bによって実証されるように、磁性担体粒子(概してドラム又は基材に転写されない)を用いて、粉末コーティング粒子を静電的に帯電させ、それらをドラム15’と並置するように移動させる。
【0274】
図3A及び図3Bに示すように、1つ以上の電気接地12/12’は、金属基材11/11’を0ボルト(0V)の電気接地に維持して、走査光源17/17’がドラム15/15’上に作成したパターンで、ドラム15/15’から基材11/11’に粉末コーティング粒子を転写する。金属基材11/11’上の得られた粉末コーティング粒子のパターンは、次に、粒子を互いに融合させて連続的なコーティングを形成させる熱、放射、又は誘導定着器14/14’を通過する。金属基材11/11’の表面40/40’は、コーティングされていない金属であってもよく、導電性又は半導電性コーティングを有していてもよく、又は非導電性絶縁コーティングを有していてもよい。
【0275】
基材11/11’を接地電位(0V)にバイアスすることは、基材11/11’への粉末の転写に悪影響を及ぼす可能性がある基材11/11’上のいかなる電荷も除去又は低減することによって、基材への粉末の転写を助ける。各堆積又は転写工程について、少なくとも50V、好ましくは少なくとも200V、より好ましくは少なくとも400V以上の大きさの電位差が必要とされる。電位差の上限のうちの1つは、空気の絶縁破壊電圧であり、およそ3V/ミクロンである。粒子電荷は、概して、10~50マイクロクーロン/グラム(μC/g)の大きさである。
【0276】
負に帯電した粒子及びDADの場合、基材11/11’が0Vの接地電位にあると仮定すると、光伝導導電層30/30’は、少なくとも-200V、好ましくは少なくとも-400V以上であるべきであり、帯電器16/16’は、位置34/34’でドラム15/15’の表面を好ましくは少なくとも-1200Vの電位に帯電させるべきであり(その結果、ドラム上の露光エリア36/36’は、少なくともおよそ-450V以上負の電圧になる)、現像ローラ19/19’は、大きさが少なくとも-1100VDC、又はより負のDCVであるべきである。
【0277】
正に帯電した粒子及びCADの場合、基材11/11’が0Vの接地電位にあると仮定すると、光伝導導電層30/30’は、少なくとも200V、好ましくは少なくとも400V以上であるべきであり、帯電器16/16’は、位置34/34’でドラム15/15’の表面を好ましくは少なくとも-400Vの電位に帯電させるべきであり(その結果、ドラム上の露光エリア36/36’は、およそ350V以上の正の電圧になる)、現像ローラ19/19’は、大きさが少なくとも250VDC、又はより正のDVCであるべきである。非接触現像を実施する場合、現像ローラDC電圧にAC電圧が加えられる。
【0278】
バイアス電圧の考察における重要な点は、光伝導導電層が、接地された基材への帯電した粉末コーティング粒子の堆積を可能にするために、好ましくは非ゼロ電圧にバイアスされる(かつ、従来技術通りに接地に保持されない)ことである。電圧は例として与えられている。範囲は、当該技術分野でよく知られているように、画像形成部材の正確な幾何学的形状、分離距離、及び組成に依存する。光伝導導電層にバイアスをかけることにより、単一バイアスで転写ローラの使用を可能にする。光伝導導電層が接地電位である場合、光伝導体から転写ベルトに粉末コーティング粒子を転写し、続いて、転写ベルトから、同様に好ましくは0ボルトの接地電位である基材に粉末コーティング粒子を転写するために、反対の極性のバッキングローラとともに転写ベルトを使用しなければならない。
【0279】
図3A及び図3Bのシステムは、トナー供給部及び洗浄システムを含む、当該技術分野で既知の追加のサブシステムを有する電子写真オフィスレーザプリンタとして使用される。電子写真オフィスレーザプリンタの場合、基材は通常、紙である。粉末コーティング金属の場合、基材は金属であり、これは、光伝導体表面を引っ掻くか又は摩耗させる可能性がある。2つの移動する硬質表面が互いに接触することを回避することは、良好な設計慣行である。ポリマーローラ19又は磁性ブラシ19’を両方とも、隣接する硬質表面とともに使用することができる。図3Cは、ポリマーローラ19又は磁性ブラシ19’から基材11への直接堆積を示す。適切なバイアス電圧が、19/19’と11との間に加えられて、粉末コーティング組成物を基材11に付与する。図3Dは、米国特許第5,450,789号(Hasegawa)と同様に、ポリマーローラ19又は磁性ブラシ19’から可動ステンシル42を通した直接堆積を示している。
【0280】
ポリマー転写ローラ又はベルトを、硬質表面と接触させて使用することもできる。図3Eは、ポリマー転写部材60を使用して、電子写真ドラム50から、電子写真マスタードラム52から、又はエレクトログラフィックマスタードラム54から基材11上への堆積を示す。電子写真ドラム50は光伝導性であり、その表面上のいずれの場所でも帯電及び露光され得る。電子写真マスタードラム52は、常に接地電位にあるか又は絶縁されているエリアのいずれか、及び光伝導性であり帯電及び露光され得る他のエリアであるエリアを有する。帯電粒子パターンが、DAD又はCADを使用して電子写真マスタードラム50上に生成される。エレクトログラフィックマスタードラム54は、高電位にあるエリアと、より低い電位にある他のエリアとを有する。この電位パターンを生成する手段には、絶縁パターンを有する導電性ドラムを使用することと、絶縁パターンをコロナ帯電させることと、ドラムをバイアス又は接地することと、が含まれる。エレクトログラフィックマスタードラム54上に電位パターンを生成する別の手段は、高電位にバイアスされた導電性エリアと、低電位にバイアスされた相補的な導電性エリアとを有するドラムを作製することであり、この場合、高電位の導電性エリアは、低電位の導電性エリアから電気的に絶縁されている。帯電粒子パターンが、DAD又はCADを使用してエレクトログラフィックマスタードラム54上に生成される。電子写真マスタードラム56は、基材11上に静電的に堆積される帯電粒子でコーティングされるデボス加工エリアを有する半導電性ポリマーで作製される。画像形成部材50/52/54/56を柔軟にすることができる場合、転写部材60は不要であり、コーティング粒子を、画像形成部材50/52/54/56から基材11に直接付与することができる。粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件は、好ましくは、熱エネルギー(例えば、対流炉若しくは誘導コイルを使用して)、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を粉末コーティング組成物に印加することを含む。そのようなプロセスは、1つ又は2つ以上の別個の又は組み合わされた工程で実行することができる。条件は、熱エネルギーを印加することを含み得る。熱エネルギーを印加することは、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の炉温度を使用することを含み得る。熱エネルギーを印加することは、最高300℃又は最高250℃の炉温度を使用することを更に含み得る。熱エネルギーを印加することは、少なくとも177℃のピーク金属温度(peak metal temperature、PMT)まで好適な期間にわたってコーティングされた基材を加熱することを含み得る。好ましくは、熱エネルギーを印加することは、少なくとも218℃のピーク金属温度(PMT)まで好適な期間にわたってコーティングされた基材を加熱することを含む。期間は、コイルコーティングを形成するために、0.5秒、若しくは1秒未満、若しくは3秒未満、若しくは5秒未満もの短さ、又は15分、好ましくは12分未満、10分未満、8分未満、5分未満、4分未満、3分未満、2分未満、若しくは1分未満もの長さであってもよい。好ましくは、これは連続的なプロセスで行われる。
【0281】
本開示のコーティングされた基材は、延伸及び再延伸されてもよい。重要なことに、得られた薄化された金属基材上のコーティングは、連続的かつ付着性のままである。
【0282】
複数の付与デバイスを含む付与システムを使用して、複数の粉末コーティング層及びパターンを基材に送達することができる。例えば、図3A図3Eの付与デバイスを連続して使用して、導電性金属基材を連続帯電粒子パターンでコーティングすることができる。また、1つ以上の付与デバイスを使用して、転写装置上に荷電粒子パターンを順次堆積させ、導電性金属基材への転写のために複数の帯電粒子パターンを蓄積することができる。転写装置は、典型的には、半導電性又は絶縁性ベルトからなる。
【0283】
第1のパターンで基材に付与される粒子の極性を、第2のパターンで付与される粒子と同じ極性に変化させるために、付与デバイス又は付与システムの間でコロナ帯電器が使用される場合、正に帯電した粒子を使用する帯電粒子パターン、及び負に帯電した粒子を使用する別個の帯電粒子パターンを、同じ導電性金属基材上に堆積させることができる。例えば、正に帯電したベース層を導電性金属基材に付与し、負にコロナ帯電させてコーティング粒子の極性を負に変化させることで、電子写真カラートナーの負に帯電した層を続いて付与することができる。
【0284】
図4Aは、一対の付与デバイス110を含む付与システム100の概略図であり、その各々は、転写装置120(例えば、半導電性又は絶縁性ベルトなど)を使用して、基材111に粉末コーティング組成物を送達するように構成されている。描示された実施形態は転写装置120を含むが、1つ以上の代替的な実施形態では、2つ以上の付与デバイス110が、同じ基材111に粉末コーティング組成物を送達するように配置されてもよい。転写装置120の有無にかかわらず、付与デバイス110を使用して送達される粉末コーティング組成物は、同じであっても異なっていてもよい。
【0285】
付与システム100に関連して図4Aに描示される別の特徴部は、カートリッジ130であり、各カートリッジ130は、付与デバイス110のうちの1つに接続されている。カートリッジ130は、本明細書に記載されるある量の粉末コーティング組成物を収容し、カートリッジ130が接続されている付与デバイス110に粉末コーティング組成物を吐出するように構成されている。
【0286】
本明細書に記載されるカートリッジベースの送達システム及び方法で使用されるカートリッジは、例えば、図4Aでは別々に描示されているが、1つ以上の実施形態では、カートリッジの2つ以上を接続(例えば、連結など)して、マルチリザーバカートリッジを形成してもよく、接続されたカートリッジの異なる密封容積部は、本明細書に記載されるような同じ又は異なる粉末コーティング組成物を収容する。
【0287】
図4Bは、付与デバイス110’によって付与された粉末パターンを再帯電させるために付与デバイス110’の後に使用されるコロナ帯電器140とともに、付与デバイス110’の後に順次使用される付与システム100を示す。例えば、この付与システムを使用して、正に帯電したベース層を金属基材上に堆積させ、ベース層の極性をコロナ帯電器で変化させ、少なくとも1つの負に帯電した従来のカラー画像形成トナーをベース層上に堆積させることができる。このカラー画像形成トナーは、ベース層の高い耐久性及び高い分子量を有する必要はない。図4Bに示すプロセスの単純な拡張では、基材上の負に帯電した層を正にコロナ帯電させ、別の正の保護コーティングでコーティングすることができる。
【0288】
図3A図3E及び図4A図4Bは、当業者に付与デバイスの各々を説明するために必要な構成要素のみを示す。電源、電気接地、電圧、帯電器、クリーナ、デジタルコンピュータ、及び動作に必要な他の構成要素が、従来技術通りに使用される。
【0289】
本明細書に記載される金属基材をコーティングするある特定の実施形態において、方法は、複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも1つの粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けながら、金属基材を電気的に接地させることを含む。好ましくは、方法は、複数の粉末コーティング組成物の各々を金属基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電的に付着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させる前に、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む。ある特定の好ましい方法において、追加的に、第1の堆積された粉末コーティング組成物は、第1の極性であり、方法は、第1の堆積された粉末コーティング組成物の第1の極性を第2の極性に変化させることと、第2の極性の第2のコーティング組成物を第1の堆積された粉末コーティング組成物に付与することと、を更に含む。
【0290】
カートリッジベースの送達システム及び方法
カートリッジは、本明細書に記載される粉末コーティング組成物を輸送し、保管し、吐出するシステムの一部である。システムのカートリッジは、本明細書に記載されるようなコーティングを形成するために粉末コーティング組成物が必要とされるとき以外に、本明細書に記載される粉末コーティング組成物の望ましくない吐出を制限及び/又は防止するために、完全に密封される。カートリッジは、好ましくは、必要なときに再充填のために粉末コーティング組成物供給元に戻されるように構成されている。その再充填プロセスは、本明細書に記載されるように、空のときに配送のためにカートリッジのサイズを縮小するためにカートリッジを折り畳むことと、送達プロセスを周期的にし、それによってカートリッジと関連する廃棄物を低減するために、再充填の前に必要に応じて洗浄されることとを含み得る。そのプロセスは、図5に概略的に描示されており、カートリッジの各々の使用は、充填場所1302においてカートリッジに粉末コーティング組成物を充填することと、その後、充填場所から吐出場所1306への充填されたカートリッジ1304の送達及び/又は保管と、を含み、吐出位置において、カートリッジ内の粉末コーティング組成物は、本明細書に記載されるようなコーティングを提供するために必要に応じて吐出される。
【0291】
カートリッジ内の粉末コーティング組成物が空になった(完全に又は部分的に(例えば、吐出場所への送達の時点でのカートリッジ内の粉末コーティング組成物の大部分によって)後、プロセスは、「使用済み」カートリッジ1308を、充填場所(カートリッジが以前に充填された同じ充填場所又は異なる充填場所のいずれか)に戻すことを含み、そこで、カートリッジは、同じ粉末コーティング組成物又は異なる粉末コーティング組成物で再充填するために受容される。
【0292】
描示されたプロセスは、充填場所1302における再充填のために受容されたカートリッジの内部容積部が、それらが充填/再充填される前に洗浄され得る、任意選択的な洗浄プロセス1310を含む。カートリッジが、カートリッジ内に以前に収容されていたものと同じ又は異なる粉末コーティング組成物で充填される場合、洗浄が実施されてもよい。
【0293】
図5には描示されていないが、プロセスは、粉末コーティング組成物を吐出した後にカートリッジを折り畳むことを伴ってもよく、その結果、折り畳まれたカートリッジは、折り畳まれた内部容積部を有し、充填/再充填場所への輸送中に占有する全体的な体積が小さくなる。それらの例では、折り畳まれたカートリッジは、典型的には、粉末コーティング組成物を再充填する前に、それらの折り畳まれた内部容積部からそれらの充填された内部容積部に拡張される。カートリッジの適切な洗浄を確実にするために、カートリッジの内部が洗浄される前に、任意のそのような拡張が実施されることが好ましい場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、折り畳まれたカートリッジは、充填/再充填プロセス中に拡張してもよい。
【0294】
図6図7は、本明細書に記載されるようなカートリッジベースの送達システムにおいて使用され得る、カートリッジの1つの例示的な実施形態を描示する。描示されたカートリッジ230は、密封された容積部234を画定する本体232を含む。密閉容積部234は、本明細書に記載されるような粉末コーティング組成物235で充填される。1つ以上の実施形態において、カートリッジ230は、密封容積部が、本明細書に記載される任意の好適な量の粉末コーティング組成物を保持することができるようなサイズであり得る。
【0295】
カートリッジ230はまた、カートリッジ230内に収容された粉末コーティング組成物の吐出中にカートリッジ230の密閉容積部234から出る経路を提供するように構成された、吐出ポート236を含む。236は、好ましくは、粉末コーティング組成物の望ましくない吐出を回避するために、充填されたカートリッジ230の輸送及び保管吐出ポート中、密閉、閉鎖などされる。カートリッジ230はまた、粉末コーティング組成物235が吐出ポート236から吐出されるときに、補給空気がカートリッジ230の密封容積部234に入ることを可能にするように構成された、入口ポート238を含む。キャップ239は、図7に描示されるように、カートリッジ230が粉末コーティング組成物235で充填されているときに、入口ポート238から取り外されてもよい。
【0296】
カートリッジ230の描示された例示的な実施形態は、別個の入口ポート238及び吐出ポート236を含むが、カートリッジの代替的な実施形態は、入口ポート及び吐出ポートの両方の機能を実施するように構成された単一のポートを含み得る。
【0297】
カートリッジ230はまた、カートリッジ230の内部容積部内に露出された乾燥剤材料を含み、それによって、粉末コーティング組成物の吐出中に密封容積部234に入る補給空気が乾燥剤材料を通過して、カートリッジ230の密封容積部234に入ることができる水蒸気の量を制御する。1つ以上の実施形態において、任意のヘッドスペース(すなわち、粉末コーティング組成物によって占有されていない密封容積部の部分)は、乾燥空気、1つ以上の不活性ガス(例えば、窒素など)のうちの1つ以上で充填され得る。描示された実施形態では、乾燥剤材料は、入口ポート238にわたって提供されたキャップ239内に位置付けることができる。例えば、シリカゲル(又は二酸化ケイ素)(シリカゲルを示す)、ボーキサイト、酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化リチウム、臭化リチウム、硫酸マグネシウム、モンモリロナイト粘土、活性アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミノケイ酸塩モレキュラーシーブなどの、任意の好適な乾燥剤材料を使用することができる。乾燥剤材料は、本明細書に記載のカートリッジベースの送達システム及び方法と関連する廃棄物を制限するために、例えば、加熱などによって再生及び再使用することができることが好ましい場合がある。
【0298】
本明細書に記載されるカートリッジの1つ以上の実施形態の別の特徴部は、例えば、図6に描示されるように、カートリッジ230の相互の積み重ねを可能にするように構成された、カートリッジ230上の積み重ね特徴部233である。積み重ね特徴部233は、様々な異なる形態をとることができる。描示された積み重ね特徴部233はカートリッジ230の底部に位置付けられているが、積み重ね特徴部は、代替的に、カートリッジ230の積み重ねを容易にするために、カートリッジの上部の相補的な構造を含んでもよい。それらの特定の形態にかかわらず、積み重ね特徴部は、積み重ねられたカートリッジが鉛直方向に積み重ねられる場合に、積み重ねられたカートリッジ230の互いに対する横方向(すなわち、水平)移動を防止するように構成され得る。
【0299】
カートリッジ230の描示された実施形態では、入口ポート238及びキャップ239は、カートリッジ230の中心から横方向/水平方向にオフセットされている。そのオフセット位置は、カートリッジ230の底部の対応する隙間と結合されたとき、入口ポート238及びキャップ239からの干渉なしにカートリッジ230の積み重ねを容易にすることができる。描示された実施形態では、積み重ねられたカートリッジ230間の隙間は、カートリッジ230内の粉末コーティング組成物235の吐出も容易にするために、カートリッジの底部表面を、底部表面が吐出ポート236に向かって傾斜するように成形することによって容易にすることもでき、吐出ポート236は、描示された実施形態では、カートリッジ230の傾斜した底部床237上の最下位置に位置付けられている。
【0300】
図7を参照すると、粉末コーティング組成物235をカートリッジ230の密封容積部234内に送達するために使用される装置の1つの例示的な実施形態が描示されている。描示された実施形態では、入口ポート238は、粉末コーティング組成物235をカートリッジ230の密封容積部234内に送達中に、粉末コーティング組成物235を受容するように構成されている。
【0301】
粉末コーティング組成物235をカートリッジ230内に送達するために使用される描示された装置は、(キャップ239の取り外し後に)入口ポート238に接続された送達パイプ250の形態にある。送達パイプ250は、任意選択的に、粉末コーティング組成物235がカートリッジ230の密封容積部234内に送達されるときに、カートリッジ230の密封容積部234から空気を除去するように構成されてもよい。
【0302】
描示された送達パイプ250は、送達ルーメン252及び戻りルーメン254を含む。送達ルーメン252は、粉末コーティング組成物235を密封容積部234内に送達するように構成されており、戻りルーメン254は、密封容積部234から空気を除去するように構成されている。描示された実施形態では、送達ルーメン252及び戻りルーメン254は、送達パイプ250に沿って同軸に配置されている。特に、送達ルーメン252は、戻りルーメン254内に位置付けられているか又はそれによって包囲されている。戻りルーメンは、補給空気を除去するためのベント256を含む。描示されていないが、ベント256には、補給空気とともに内部容積部234から除去されたいかなる粉末コーティング組成物235も捕捉するように構成された、フィルタアセンブリ又は他の構造/装置を提供することができる。
【0303】
図7に描示される、本明細書に記載されるカートリッジベースの送達システムの例示的な実施形態の追加の任意選択的な特徴部は、充填プロセス中にカートリッジ230を支持するように構成されたベース240と、粉末コーティング組成物235による密封容積部234の適切な充填を促進するために(例えば、粉末コーティング組成物235の沈降を促進することによって)、充填プロセス中に沈降モードでカートリッジの本体232の部分又は全部を揺動又は振動させるために使用される振動機構260と、を含む。描示された実施形態では、振動機構260は、ベース240内に取り付けられている(例えば、位置付けられている)が、代替的な実施形態では、1つ以上の振動機構は、カートリッジ230自体に提供されてもよい。加えて、図は横方向の振動移動を示しているが、好ましい振動機構260は、任意の空間軸に沿った運動、又は2つ以上の空間軸に沿った運動、例えば、鉛直方向の叩き運動又は円運動を生成することができる。好ましい振動機構はまた、その周波数及び/又は周期的性質が変わってもよい。描示された実施形態のベース240は、ベース240上の選択された位置においてカートリッジ230を保持して、例えば、振動機構260によってカートリッジ230に送達される揺動エネルギーに起因するベース上のカートリッジ230の望ましくない移動を制限するように構成された、座部242を含む。
【0304】
本明細書に記載されるようなカートリッジベースの送達システムにおいて使用され得るカートリッジ330の1つの代替的な実施形態が、図8に描示される。カートリッジ330は、密封容積部334を画定する本体332を含む。カートリッジ330はまた、吐出ポート336及び入口ポート338を含み、入口ポート338は、描示された実施形態では、キャップ339によって閉鎖されている。カートリッジ330に関連して描示される他の特徴部は、カートリッジ330の底部(カートリッジ330上の積み重ね特徴部333を含む)を受容するように構成された座部342を含むベース340を含む。振動機構360もベース340に取り付けられている。吐出プロセス中、振動機構360は、ブリッジ及びラットホールが形成されて粉末の吐出に干渉することを防止するために、沈降した粉末コーティング組成物を混ぜるために撹拌モードで稼働される。描示された実施形態では、振動機構360は、ベース340に取り付けられている(例えば、位置付けられている)が、代替的な実施形態では、1つ以上の振動機構は、カートリッジ330自体に提供され、特に、カートリッジ本体332を崩すか、拡張させるか又は揺らし、ブリッジ及びラットホール形成を防止してもよい。この場合も同様に、図は横方向の振動移動を示しているが、好ましい振動機構360は、任意の空間軸に沿った運動、又は2つ以上の空間軸に沿った運動、例えば、鉛直方向の叩き運動又は円運動を生成することができる。好ましい振動機構はまた、その周波数及び/又は周期的性質が変わってもよく、振動機構360は、移動、性質、及び/又は位置が振動機構260とは変わっていてもよい。
【0305】
図8はまた、カートリッジ上の吐出ポート336に取り付けられた排出管370を描示し、排出管370は、粉末コーティング組成物をカートリッジ330の内部容積部334から、例えば、本明細書に記載の付与デバイス10、10’、110、及び110’などのような付与デバイスに吐出するために使用される。描示された実施形態はまた、カートリッジ330内の粉末コーティング組成物の吐出を制御するために使用することができる弁380を含む。弁380は、例えば、シャッタ弁、ブレード弁、ボール弁、スクリュコンベヤなどの、粉末コーティング組成物の吐出に適合する任意の好適な形態をとり得る。弁380は、好ましくは、図8に見られるようなカートリッジ330の側面など、ユーザが利用可能である位置から制御され得る。
【0306】
カートリッジ330の傾斜した底部床337は、吐出ポート336を通ってカートリッジ330から出る粉末コーティング組成物の流れを促進するように成形され得る。図8に描示されるように、吐出ポート336は、カートリッジ330内の粉末コーティング組成物を空にすることを容易にするために、傾斜した底部床337上の最下位置に位置付けられている。
【0307】
図9に描示されるカートリッジ430は、本明細書に記載されるカートリッジベースの送達システム及び方法の1つ以上の実施形態において使用されるカートリッジ内に提供され得る、より多くの任意選択的な特徴部を描示する。図9図10のカートリッジ430に描示される任意選択的な特徴部は、カートリッジ430が、折り畳まれた構成(図9において分かる)と拡張された構成(図10において見られる)との間で変換可能であることである。
【0308】
カートリッジ430の描示された実施形態において、拡張ジョイント490が、カートリッジ430の底部パネル492と上部パネル494との間に延在する。拡張ジョイント490は、底部パネル492を上部パネル494に接続して封止するように構成されており、それによって、底部パネル492及び上部パネル494は、拡張距離(拡張構成と関連する)と折り畳み距離(折り畳み構成と関連する)との間で互いに対して移動することができる。底部パネル492及び上部パネル494は、必要に応じて吐出ポート436及び入口ポート438を支持することができる比較的剛性の材料から構成され得る。入口ポート438は、キャップ439によって閉鎖され得る。底部パネル492及び上部パネル494が折り畳み距離だけ互いから離れるとき、カートリッジ430は折り畳み構成にあり、底部パネル492及び上部パネル494が拡張距離だけ互いから離れるとき、カートリッジ430は拡張構成にある。
【0309】
1つ以上の実施形態では、底部パネル492と上部パネル494との間の折り畳み距離は、拡張距離よりも小さく、その結果、底部パネル492及び上部パネル494が拡張距離だけ互いから離れるときよりも、底部パネル492及び上部パネル494が折り畳み距離だけ互いから離れるときに、底部パネル492が上部パネル494に近接して位置付けられる。1つ以上の実施形態では、折り畳み距離対拡張距離の比は、0.5:1以下、0.4:1以下、又は0.3:1以下である。
【0310】
容積部に関して、本明細書に記載される折り畳み式カートリッジは、折り畳み構成にあるとき、拡張された密封容積部の60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、又は20%以下である折り畳まれた密封容積部を有し得る。絶対容積に関しては、本明細書に記載される折り畳み式カートリッジは、折り畳み構成にあるとき、0.5立方メートル以下、0.4立方メートル以下、又は0.3立方メートル以下、0.2立方メートル以下、0.1立方メートル以下、0.05立方メートル以下、0.01立方メートル以下、0.005立方メートル以下、0.001又は立方メートル以下の折り畳み密封容積(上端で)を有し得る。折り畳み式カートリッジは、拡張構成にあるとき、0.001立方メートル以上、0.005立方メートル以上、0.01立方メートル以上、0.05立方メートル以上、0.1立方メートル以上、0.2立方メートル以上、0.3立方メートル以上、0.4立方メートル以上、0.5立方メートル以上、0.75立方メートル以上、又は1立方メートル以上の拡張密封容積(下端で)を有し得る。好ましくは、本明細書に記載されるカートリッジは、典型的なフォークリフトトラックが充填時にカートリッジを輸送するのを妨げるほど大きくない。1つ以上の実施形態では、カートリッジ及び/又はカートリッジが位置付けられ得るベースは、フォークリフトトラックによる輸送を容易にするために、フォークリフトトラックの歯を受容するように構成され得る。
【0311】
これらの折り畳み/拡張距離及び折り畳み/拡張密閉容積部は、1つ以上の実施形態では、折り畳み構成にあるときのカートリッジの配送及び保管を容易にする折り畳み容積部とバランスがとれた、本明細書に記載されるコーティングプロセスにおいて経済的に有用であるほど十分な拡張構成における容積部と、吐出中の粉末の撹拌を助けるための可撓性の側壁との有益な組み合わせを提供し得るため、配送/保管及び吐出の両方において利点を提供し得る。
【0312】
図9に描示されるカートリッジ430の積み重ねられたセットは全て、カートリッジ430の底部パネル492及び上部パネル494が折り畳み距離だけ互いから離れている、折り畳み構成にある。図10に描示されるカートリッジ430は、カートリッジ430の底部パネル492及び上部パネル494が拡張距離だけ互いから離されるように、拡張構成にある。カートリッジ430を折り畳み構成にすることは、カートリッジ430が、例えば、再充填のために戻されるとき、又は単に使用と使用の間に保管されるときに、カートリッジ430のサイズを低減するのに有用である。
【0313】
カートリッジ430は、拡張構成にあるとき、1立方メートルを保持することができること、又は粉末コーティング組成物より多くが、拡張したカートリッジ430内に画定された密封容積部内に収容されることが好ましい場合がある。1つ以上の実施形態では、カートリッジ430は、折り畳み構成にあるとき、0.5立方メートル以下、0.4立方メートル以下、又は0.3立方メートル以下の折り畳み密封容積部を有し得る。
【0314】
拡張ジョイント490の構造は、任意の好適な形態をとり得る。1つ以上の実施形態では、拡張ジョイント490は、可撓性ポリマーリング及び可撓性アコーディオン形状ベローズのうちの一方又は両方を含み得る。拡張ジョイント490は、ゴム、LDPE、ポリウレタン、ネオプレンなどの1つ以上の可撓性材料から構成され得る。拡張ジョイント490及び/又はカートリッジ430は、カートリッジ430を拡張構成に保持する支柱又は他の構造を含んでもよく、カートリッジ430の支持されていない状態は、折り畳み構成である。1つ以上の実施形態では、カートリッジは、カートリッジ内に粉末コーティング組成物を収容するために使用される折り畳み式バッグ又はブラダーを含み得る。
【0315】
カートリッジ430が拡張構成にあり、ベース440上に設置されている図10を参照すると、本明細書に記載されるカートリッジベースの送達システムの別の特徴部は、カートリッジ430が再充填される前にカートリッジ430を洗浄するためにカートリッジ430の密封容積部内に導入され得る洗浄装置482を含み得る。必須ではないが、折り畳み式カートリッジの場合には、カートリッジがそれらの拡張構成に拡張された後に、洗浄を実施することが好ましい。洗浄装置は、洗浄プロセス中にカートリッジ430の内側表面を1つ以上の液体で清浄にする/濯ぐように構成された、噴霧ヘッドの形態にあってもよい。洗浄装置は、描示された実施形態では、入口ポート438を通して導入されているが、カートリッジの代替的な実施形態は、吐出ポート436を通した、又は任意の他の好適なアクセスポイント(例えば、専用洗浄ポートなど)を通した、洗浄装置の導入を可能にし得る。カートリッジ430は、吐出ポート336に取り付けられた排出管370を含み得る。
【0316】
コーティングされた基材及び概略的な作製方法
本開示はまた、コーティングされた基材を作製する概略的な方法を提供する。方法は、その表面の少なくとも一部分上に配設された硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを有する基材(例えば、コイル又はシート)を提供することを含み、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングは、粉末コーティング組成物から形成され、粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0317】
パウダーオンパウダーコーティング方法、システム、及び得られる製品
本開示はまた、本明細書に開示される粉末コーティング組成物の層を概して形成する、パウダーオンパウダーコーティングを伴う、基材をコーティングする方法を提供する。この文脈において、パウダーオンパウダーコーティングは、粉末コーティング組成物を粉末コーティング組成物上、及び粉末コーティング組成物を硬化粉末コーティング上に付与することを伴う。この方法は、ポリマー粒子及び添加剤を含む様々な粉末コーティング組成物のいずれか、並びに一般的な及び本明細書に記載されるカートリッジベースのシステム及び方法のいずれかを使用する。コーティングの一般的な説明は、この方法から得られるコーティングにも当てはまる。
【0318】
開示される粉末コーティング組成物を含有する層は、得られる硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するために、様々な比率及び任意の所望の順序で組み合わされ得る。例えば、第1及び第2の異なる粉末コーティング組成物を使用して、99重量%~1重量%の第1の粉末コーティング組成物及び1重量%~99重量%の第2の粉末コーティング組成物、95重量%~5重量%の第1の粉末コーティング組成物及び5重量%~95重量%の第2の粉末コーティング組成物、90重量%~10重量%の第1の粉末コーティング組成物及び10重量%~90重量%の第2の粉末コーティング組成物、又は80重量%~20重量%の第1の粉末コーティング組成物及び20重量%~80重量%の第2の粉末コーティング組成物などを含有する硬化したコーティングを形成することができる。
【0319】
2つを超える(例えば、3つ以上、4つ以上、又は5つ以上)異なる粉末コーティング組成物を付与して、硬化多層コーティングを作製してもよい。異なる粉末コーティング組成物は、典型的には、少なくとも1つの物理的又は化学的特性に関して異なる。代表的な特性としては、分子量、密度、ガラス転移温度(Tg)、溶融温度(melting temperature、Tm)、固有粘度(intrinsic viscosity、IV)、溶融粘度(melt viscosity、MV)、メルトインデックス(melt index、MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配列、反応部位の利用可能性、反応性、酸価などのポリマー粒子特性、並びに表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、耐熱性、日光又は紫外線エネルギーに対する耐性、金属への付着性、色又は他の視覚効果、及びリサイクル性などのコーティング組成物特性を挙げることができる。絶対スケールで測定された特性について、異なる特性(すなわち、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性)は、例えば、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なっていてもよい。
【0320】
したがって、一実施形態では、本開示は、基材をコーティングする方法であって、基材を提供することと、複数の基材粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含み、複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、提供することと、(下にある粉末コーティング組成物を硬化させてコーティングを形成する前又は後に)少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積させるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を(例えば、導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を使用して)基材の少なくとも一部分に方向付けることと、複数の粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む、方法を提供する。
【0321】
方法は、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するために、粉末コーティング組成物の各々に効果的な条件を提供することを伴い得るが、好ましくは、方法は、異なる粉末コーティング組成物の全ての層を堆積した後に、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するために、粉末コーティング組成物の各々に効果的な条件を提供することを伴う。硬質基材産業におけるこの電子写真粉末コーティングプロセスの重要な利点は、コーティングがキュアリング又は溶融工程を受ける前に、複数の層をパウダーオンパウダー形式で付与することができることである。この産業で現在使用されている液体コーティングプロセスでは、後続のコーティング層は、典型的には、第1の層が少なくとも部分的なキュアリング焼成を受けた後にのみ付与することができる。この中間キュアリング工程は、最初に付与されたコーティング中に依然として存在する溶媒(有機又は水性)を除去し、続いて付与される層中に存在する溶媒のいかなる影響に対しても耐性を有する硬化したフィルムを形成するために必要とされる。この追加の中間キュアリング工程は、コーティングプロセスに時間を追加し、コーティング/キュアリング機器の設置面積の著しい増加を必要とする。
【0322】
着色トナー粉末の連続層を付与する(1回の熱融着工程が続く)レーザプリンタの動作と同様に、EPCは、任意のキュアリング前の連続層間の密接な接触によって引き起こされるいかなる悪影響も回避しながら、粉末コーティングの複数層を付与するために使用することができる。各個々のコーティング層は、所望に応じてキュアリング/融着することができるが、好ましくは、全てのコーティング層が付与された後で、単一のキュアリング/融着工程を使用して、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成することができる。
【0323】
複数の異なる粉末コーティング組成物を付与することの特定の利点は、各組成物が化学的に異なる及び/又は物理的に異なることができ、さもなければ単一の材料で達成することが困難である特定の機能を提供することができることである。例えば、硬度及び可撓性は、コーティングのポリマー骨格に異なる官能基及び構造を組み込むことによって達成されるため、単一のコーティング組成物において達成することは非常に困難であり得る。その上、従来の多層包装コーティング手法(例えば、ロールコーティング、噴霧コーティングなどのような、各層に従来の液体を付与するコーティング手法を使用する)と比較して、(例えば、所与の層に対する「全面コーティング」とは対照的に)その特定の層が所望される場所にのみ、多層粉末コーティングシステムにおいて1つ以上の粉末層を選択的に付与することによって、性能向上及び/又はコスト削減を実現することができる。
【0324】
望ましくは、ヒドロキシ官能性熱硬化性樹脂とアミノプラスト架橋剤との間の架橋反応を容易にするために、従来の実施に従って触媒を使用することができる。1つの代表的な手法によれば、ブロックされた酸触媒が好適な触媒量で使用される。酸は、コーティング組成物が室温で実質的に非反応性であり、良好な保管安定性を有するように、アミンなどの好適な熱不安定性マスキング基でブロックされる。しかしながら、加熱すると、ブロッキングアミン基が脱離し、それによって触媒が活性になり、触媒的に架橋を容易にすることが可能になる。
【0325】
図11は、多層コーティングを含むアセンブリの代表的な例の概略図を提供する。図11の基材511の左側に示されるように、この方法を使用して、潤滑剤513を、基材511上のベース粉末層512上の第2の粉末コーティング組成物中に、ベース粉末層のキュアリングの前に、必要とされる場所にのみ付与してもよく、それによって、コーティング表面にわたって全体的に、又は512粉末コーティング組成物の添加剤成分として潤滑剤を付与する必要性を排除する。ほとんどの場合、この潤滑剤層は、ベース粉末層の50%以下しか覆わないように、及び/又は典型的には付与される潤滑剤の粒径よりも厚くならないように、パターン化された形式で選択的に付与される。
【0326】
図11の基材511の中央部分に示されるように、2つの化学的に異なる粉末コーティング組成物を付与することができ、第1の粉末コーティング組成物514は、カラーコーティングを形成するように付与することができ、次いで、第2の(異なる)粉末コーティング515組成物は、着色コーティング514にわたって最外(すなわち、最上部)の透明なコーティングを形成するように付与することができる。
【0327】
図11の基材511の右側に示されるように、第1の粉末コーティング組成物516は、比較的柔らかいコーティング層を提供するように付与することができ、第2の粉末コーティング組成物517は、比較的硬い最上部(すなわち、最外)コーティング層を提供するように付与する(すなわち、堆積させる)ことができる。この文脈において、柔らかい及び硬いは、(「硬化」コーティングとは対照的に)得られる第1及び第2のコーティングの相対的な硬度又は軟度(Tg)を説明するための用語として使用される。より柔らかいコーティング516は、可撓性と、硬い最上部コーティング層517の付着を強化するプライマー層とを提供し、一方、より硬いコーティング517は、耐摩耗性の最上部コーティングを提供する。
【0328】
パウダーオンパウダーアーキテクチャの別の例は、新たな色を生成するためにカラーオンカラー印刷において使用され得る複数の異なる色の粉末コーティング組成物の使用を含む。したがって、複数の粉末コーティング組成物は、混合されて他の色を形成することができる色の基本セットを含むことができる。デスクトッププリンタが働く方式と同様に、マルチカラープラスブラック方式(好ましくは、3カラープラスブラック方式)を使用して、4つの粉末(又はトナー)源、典型的にはマゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックのみから無限配列の色を印刷することができる。先行層又は後続層が基材にわたって及び/又は発色層にわたって連続的な保護層を提供している発色層の場合、無限配列の色を達成するために画素手法を使用することができる。このようにして、個々の画素又は点(人間の目によって検出されないほど十分に小さい)は、基材上の画素又は点の配列が人間の目にはそれらの色をブレンドした結果であるように見えるよう、基材上に印刷することができる。例えば、シアン及びイエローの画素の1:1ブレンドは、肉眼では緑色に見える。
【0329】
機械的には、この色の配列は、4つの輸送体、レーザアセンブリ、及びトナーカートリッジ(各色に1つずつ)のバンクを一列に配置することによって達成することができ、その結果、各々が所定量の粉末を基材上に堆積し、各々が先行層の上部に粉末を堆積する。
【0330】
加えて、転写ベルトを使用して、4つの付与ユニットの各々から粉末を収集することができ、次いで、ベルトは、その色を収集したものを全て基材上に一度に転写することができる。
【0331】
有用であり得るパウダーオンパウダーアーキテクチャのまた別の例としては、前処理ベース層の使用が挙げられる。従来の非クロムアルミニウム前処理は、保護コーティングの前に非常に薄い(サブミクロン)層でコーティングされるモリブデン及び/又はジルコニウム化合物(多くの場合、ポリアクリル酸マトリックス中)からなる。いくつかの用途において、ポリアクリル酸シーラ層は、前処理性能の利点の著しい割合を提供する。この前処理プロセスは、しばしば複雑で面倒である。粉末コーティング組成物を前処理金属化合物シーラの非常に薄い層に使用すること、又は潜在的に、例えば、単にシーラ単独で使用することが有益であろう。
【0332】
パウダーオンパウダーアーキテクチャは、(例えば、裸眼の人間の視覚及び/又は触覚によって検出可能な)テクスチャ表面を形成するように堆積された複数の粉末コーティング組成物を含んでもよい。テクスチャは、平滑/平坦な基材に付与されているコーティングから生じる。代替的には、パウダーオンパウダーアーキテクチャは、平滑/平坦な表面を形成するように堆積された複数の粉末コーティング組成物を含んでもよい。平滑/平坦な表面は、平滑/平坦な基材又はテクスチャ加工された基材に付与されているコーティングから生じる。テクスチャ又は平滑な表面は、人間の目及び/又は人間の接触によって検出可能であってもよく、又は代替的には、算術平均粗さ(Arithmetical Mean Roughness、Ra)として測定及び報告することができる。算術平均粗さは、サンプリング長さに沿った絶対値の平均を示し、例えば、Keyence VK-X3000などの3D表面プロファイラを用いて測定することができる。
【0333】
パウダーオンパウダーアーキテクチャは、パターン化コーティング方法について記載したように、マーキングを形成する硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングをもたらすことができる。
【0334】
パウダーオンパウダーアーキテクチャは、異なる量で堆積される粉末コーティング組成物の結果として、コーティングされた表面にわたって異なる厚さを有する、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングをもたらし得る。例えば、硬化した付着性コーティングは、最大100ミクロンの平均総厚さ、又は最大100ミクロンの最大総厚さを有し得る。しかしながら、典型的には、最大総厚さ及び平均総厚さの一方又は両方は、100ミクロンよりもかなり薄い。コーティングは、粉末コーティング組成物の複数の層を有してもよく、それによって、コーティング全体にわたって異なる厚さを提供する。コーティングの断面の最も高いピークは、顕微鏡法(例えば、光学顕微鏡法)を使用して測定され得る。
【0335】
複数の粉末コーティング組成物が使用される本開示の方法において、複数の粉末コーティング組成物の各々を方向付けることは、複数の粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の各々を、電場若しくは電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む。概略的な方法で説明したように、これは、複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上の輸送体(例えば、1つ以上の現像ローラ)に給送することと、1つ以上の輸送体と基材との間の電場又は電場又は電磁場によって、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を伴い得る。そのような方法において、輸送体は、粉末コーティング組成物の各々について同じであっても異なっていてもよい。そのような方法では、2つ以上の輸送体を連続して用いて、1つ以上の粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に付与してもよい。
【0336】
輸送体の使用を伴うある特定の方法において、複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上の輸送体から方向付けることは、1つ以上の輸送体と1つ以上の転写部材との間の電場によって、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の輸送体から1つ以上の転写部材に方向付けることと、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む。そのような方法において、転写部材は、粉末コーティング組成物の各々について同じであっても異なっていてもよい。例えば、ドラム輸送体は、電場によって粉末を転写部材(例えば、ベルト)に付与することができ、転写部材は次に、粉末コーティング組成物を少なくとも一部分基材に付与する。
【0337】
本開示はまた、複数の粉末コーティング組成物が使用される本開示の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、コーティングされた基材、及びそのようなコーティングされた基材を含む物品を提供する。そのような物品は、上述する概略的な方法によって作製された、本明細書に記載の物品と類似している。
【0338】
本開示はまた、コーティングシステムであって、複数の粉末コーティング組成物であって、複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なり、各粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、粉末ポリマー粒子は、粉砕された粒子とは異なり、好ましくは、例えば、噴霧乾燥又は限定凝集を介して、好適な規則的な粒子形状及び形態を有するように形成される、複数の粉末コーティング組成物を含むコーティングシステムを提供する。そのようなシステムは、好ましくは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積されるように(先に付与された粉末コーティング組成物の硬化の前又は後に)、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付けることと、複数の粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む、指示を更に含む。
【0339】
好ましくは、そのようなシステムにおいて、粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つは、1つ以上の化学的又は物理的特性において異なる。そのような特性としては、ポリマー粒子特性(例えば、分子量、密度、ガラス転移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、モノマー組成、反応部位の利用可能性、反応性、及び酸価)、並びにコーティング組成物特性(例えば、表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、耐熱性、日光又は紫外線エネルギーに対する耐性、金属への付着性、色又は他の視覚効果、リサイクル性、及び耐候性)が挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性は、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なる。
【0340】
そのようなシステムでは、複数の粉末コーティング組成物は、典型的には、複数のカートリッジ内に収容されており、複数のカートリッジの各カートリッジは、粉末コーティング組成物を収容しており、複数のカートリッジのうちの少なくとも2つのカートリッジは、異なる粉末コーティング組成物(例えば、異なる色の粉末コーティング組成物)を収容している。好ましくは、そのようなカートリッジは、再充填可能かつ再使用可能である。
【0341】
パターン化コーティング方法、システム、及び得られる製品
本開示はまた、パターン化コーティングを形成することを伴う、基材をコーティングする方法を提供する。この方法は、ポリマー粒子及び添加剤を含む様々な粉末コーティング組成物のいずれか、並びに一般的な及び本明細書に記載されるカートリッジベースのシステム及び方法のいずれかを使用する。コーティングの一般的な説明は、この方法から得られるコーティングにも当てはまる。
【0342】
特に、この方法は、基材を提供することと、粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、提供することと、粉末コーティング組成物を、基材の少なくとも一部分上に選択的に付与して(例えば、電磁ドラム輸送体の助けを借りて)、パターン化コーティングを形成することと、粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した付着性のパターン化コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む。これは、粉末コーティング組成物を選択的に付与する又は印刷する方法である。
【0343】
「パターン化」コーティング(すなわち、複数部分コーティング)は、基材表面上の2つ以上の領域に印刷された硬化したコーティングを指し、これは、その上にコーティングを有しない、印刷領域の間及び/又は周囲のブランク領域を有しても有しなくてもよい。
【0344】
パターン化コーティングは、様々な形状(例えば、ストライプ、ダイヤモンド、正方形、円形、楕円形、リング)であり得る、コーティングされた領域の規則的又は不規則なパターンを含み得る。そのようなコーティングされた領域は、明確に線引きされた遷移を伴って非常に離散的であり得る。代替的には、そのようなコーティングされた領域は、明確に線引きされた遷移を伴わずに、勾配効果(例えば、色又は艶消し/光沢に関して)を提供し得る。
【0345】
「パターン」及び「パターン化」という用語は、設計要素におけるいかなる反復も必要としないが、そのような反復が存在してもよい。パターン化コーティングの硬化したコーティングされた領域は、好ましくは、下にあるコーティングが存在しない場合に露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥がないという点で、連続的である。
【0346】
パターン化コーティングは、それが全面コーティングであろうと別のパターン化コーティングであろうと、別の粉末コーティング上に付与されてもよい。パターン化コーティングは、従来の液体が付与されるベースコートに付与されてもよい。いくつかの実施形態では、パターン化コーティングは、EPC又は従来の液体コーティングを付与することによって付与され得る全面コーティングにわたって選択的に付与される。
【0347】
本明細書に記載されるようなパターン化コーティング方法を使用することは、いくつかの利点を有する。それは、従来の方法とは異なる、所与のコーティングにおいて選択的及び/又は異なる様式で物事を行う能力を提供する。例えば、パターン化コーティングは、マーキングの形態で情報を提供することができる。この文脈において、「マーキング」は、グラフィックス、テキスト、印、数字、文字、コード、通信手段(例えば、いつ、どこでコーティングされるかに関して)、及び高解像度画像を含む他の視覚画像(例えば、有名人の顔などの顔、動物、キャラクター、物体、芸術的表現など)を含む。マーキングは、層全体内の部分として存在し得るか、又は第2の層として付与され得る(すなわち、層の縁境界がマーキング又は各個々のマーキングによって実質的に画定される)。マーキングは、例えば、顧客によって、既存の従来の連続的な液体を付与されたベースコートに付与することができる。
【0348】
本明細書に記載されるようなパターン化コーティング方法を使用することは、消費される粉末コーティング組成物の量の潜在的な節約をもたらし得る。また、廃棄される基材の量を低減することができる。例えば、節約は、作製される物品のある部分が最終的に切り抜かれる物品の製作において、パターン化コーティングアーキテクチャを使用して生じ得る。切り抜かれるエリアがコーティングされていない場合、切り抜かれる部分は、コーティングがその上に形成される必要がない物品のある部分を形成し、その部分を使用可能にするために利用することができるが、基材の残りの部分とともにコーティングされている場合には、使用可能ではなかった可能性がある。
【0349】
本明細書に記載されるようなパターン化コーティング方法を使用することは、製作機械を洗浄する必要性に起因するダウンタイムの潜在的な低減をもたらし得る。例えば、パターン化された(例えば、スポット)コーティングとしての粉末コーティング組成物を、それが必要である製品エリアのみに付与することは、製作機械におけるコーティングの毛の発達という下流効果を防止し得る。従来の方法では、スズめっきされた鋼上の有機コーティングを剪断すると、コーティングの細い毛が生成され、これが切断縁部から引っ張られる。このコーティングの毛は、機械内に蓄積し、清潔さの問題及びダウンタイムを生じる。特定のエリアのみにスポットコーティングを付与することにより、切断縁部にコーティング材料がない状態を維持することを可能にする。これにより、コーティングの毛の形成が防止され、洗浄に必要なダウンタイムが排除され、著しいコスト削減につながる。
【0350】
複数の基材粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、複数の粉末コーティング組成物は、パウダーオンパウダーコーティング方法について記載したように、パターン化コーティング方法において使用され得る。例えば、方法は、異なる粉末コーティング組成物を用いてパターン化コーティングを形成する前又は後に、粉末コーティング組成物を、基材の少なくとも一部分に方向付けて、パターン化コーティング又は全面コーティングであり得る連続的なコーティングを形成することを伴い得る。外部画像/印刷のために、現在、保護層とは別個であるパターン化コーティング層(すなわち、パターン層)が使用される。パターン化コーティング方法は、パターン層及び性能層が、コーティング装置を通る単一の通過と、それに続く単一の硬化工程で達成されることを可能にする。
【0351】
複数の粉末コーティング組成物を使用するパターン化コーティング方法を伴う別の例では、複数の粉末コーティング組成物の各々は、少なくとも1つの粉末コーティング組成物が別の異なる粉末コーティング組成物上に任意選択的に堆積されてコーティングを形成するように、基材の少なくとも一部分に方向付けられ得る。これは、パウダーオンパウダーコーティングを含み得る。代替的には、複数のコーティング組成物は、異なる非重複エリア(例えば、そのような連続的なコーティングが好ましくは形成される隣接エリア)に方向付けられてもよく、これはパウダーオンパウダー方法とは異なる。
【0352】
パウダーオンパウダー方法と同様に、複数の粉末コーティング組成物の各々が、硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することは、粉末コーティング組成物の各々が、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを伴う。しかしながら、好ましくは、方法は、パウダーオンパウダーであるか否かにかかわらず、異なる粉末コーティング組成物の全ての層を堆積させた後に、粉末コーティング組成物の各々が硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを伴う。
【0353】
パターン化コーティングは、パウダーオンパウダーコーティング方法について記載したように、粉末コーティング組成物が異なる量で堆積される結果として、コーティングされた表面にわたって異なる厚さを有し得る。これは、例えば、コーティング性能及び/又は美観の目的のために、基材表面にわたって変化するコーティング厚さ(すなわち、インデックス付き可変厚さコーティング)に対する必要性が存在する場合、産業において有利であり得る。好ましくは、そのようなコーティング厚さは、付与する間に要求に応じて選択的に変化させることができる。そのような選択性は、従来のロールに付与される液体コーティングプロセスを使用して達成することができない。そのような従来のプロセスを使用して選択的な可変厚さを達成するには、付与ロールの高価で恒久的なミリング/エッチングが必要とされるであろう。更に、そのような従来のプロセスは、本開示の方法を使用して達成され得る高度の分解能を提供することができなかった。
【0354】
パターン化コーティングはまた、異なる仕上げを有してもよい。例えば、パターン化コーティングの少なくとも一部分は、光沢仕上げを有してもよい。代替的には、パターン化コーティングの少なくとも一部分は、艶消し仕上げを有してもよい。パターン化コーティングは、光沢仕上げエリア(すなわち、領域)から艶消し仕上げエリアへの1つ以上の勾配(例えば、漸進的な)遷移、及び/又は光沢仕上げエリアから艶消し仕上げエリアへの1つ以上の即時遷移を有してもよい。そのような艶消し/光沢仕上げは、BYK-Gardner AG-4440デジタル光沢計などの光沢計を使用して決定することができる。
【0355】
本開示はまた、パターンコーティングされた基材、及びそのようなパターンコーティングされた基材を含む基材を提供する。より具体的には、パターンコーティングされた基材であって、基材の少なくとも一部分が、溶融粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されるもの)を含む硬化した付着性のパターン化コーティングでコーティングされた表面を有する、パターンコーティングされた基材。そのような基材は、単一の粉末コーティング組成物の使用を記載する概略的な方法によって作製される、本明細書に記載される基材に類似する。
【0356】
本開示はまた、パターン化コーティングのためのコーティングシステムであって、1つ以上の粉末コーティング組成物であって、各粉末コーティング組成物は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する(粉末ポリマー粒子は、粉砕された粒子とは異なり、好ましくは、例えば、噴霧乾燥又は限定凝集を介して、好適な規則的な粒子形状及び形態を有するように形成される)、1つ以上の粉末コーティング組成物と、1つ以上の粉末コーティング組成物を、基材の少なくとも一部分上に選択的に付与してパターン化コーティングを形成することと、1つ以上の粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した付着性のパターン化コーティング(連続的であっても連続的でなくてもよい)を形成するのに効果的な条件を提供することと、を含む、指示と、を含む、コーティングシステムを提供する。
【0357】
好ましくは、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物を含むそのようなシステムにおいて、そのような組成物は、1つ以上の化学的又は物理的特性が異なる。そのような特性としては、ポリマー粒子特性(例えば、分子量、密度、ガラス転移温度(Tg)、溶融温度(Tm)、固有粘度(IV)、溶融粘度(MV)、メルトインデックス(MI)、結晶化度、ブロック又はセグメントの配置、モノマー組成、反応部位の利用可能性、反応性、及び酸価)、並びにコーティング組成物特性(例えば、表面エネルギー、疎水性、疎油性、水分又は酸素透過性、透明性、耐熱性、日光又は紫外線エネルギーに対する耐性、金属への付着性、色又は他の視覚効果、耐候性、及びリサイクル性)が挙げられる。好ましくは、少なくとも2つの異なる粉末コーティング組成物の特定の特性は、少なくとも±5%、少なくとも±10%、少なくとも±15%、少なくとも±25%、少なくとも±50%、少なくとも±100%、又はそれ以上異なる。
【0358】
そのようなシステムにおいて、1つ以上の粉末コーティング組成物は、典型的には、1つ以上のカートリッジ内に収容されている。好ましくは、各カートリッジは、異なる粉末コーティング組成物(例えば、異なる色の粉末コーティング組成物)を収容するリザーバを備える。好ましくは、そのようなカートリッジは、再充填可能かつ再使用可能である。
【0359】
基材を作製する方法-オールインワンロケーション
本開示はまた、エレクトログラフィック粉末コーティング(EPC)ユニットを、種々の物品を製造するために使用される製作プレスとインラインで配置することを伴う方法を含む。そのような方法では、コーティングされていない基材は、典型的にはコイル又はスプールの形態で製作者に供給され、巻きを解いた後、基材材料は次いでEPCユニットを通過し、その後、連続的なフィルムを作成するまで融着される。次いで、このコーティングされた金属は、完成部品を作成するために、(例えば、開けやすい端部、プルタブ、缶本体などを製作するための)製作プレスに直ちに供給され得る。連続的なコイルの一部ではない金属シートに対しても同様のプロセスを利用することができる。
【0360】
より具体的には、本開示は、1つの場所及び/又は1つの連続的な製造ライン若しくはプロセスにおいて基材を作製する方法を提供し、方法は、基材を提供することと、粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、提供することと、粉末コーティング組成物を、(好ましくは、導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を含む付与するプロセスを使用して)基材の少なくとも一部分に方向付けることと、粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、少なくとも部分的にコーティングされた基材を物品の少なくとも一部分に形成することと、を含む。
【0361】
本明細書では、この方法を「オールインワンロケーション方法」と称する。この文脈において、「オールインワンロケーション」並びに「1つの場所及び/又は1つの連続的な製造ライン若しくはプロセスにおいて」は、方法が、コンベヤシステムを用いて1つの建物において、又は1つの土地において実施されることを意味する(任意選択的に、コンベヤシステムを間に有する隣接する土地の複数の隣接する建物を伴う)。
【0362】
このオールインワンロケーション方法は、ポリマー粒子及び添加剤を含む様々な粉末コーティング組成物のいずれか、並びに一般的な及び本明細書に記載されるカートリッジベースのシステム及び方法のいずれかを使用する。コーティングの一般的な説明は、この方法から得られるコーティングにも当てはまる。
【0363】
例えば、オールインワンロケーション方法は、本明細書に記載されるようなパターン化コーティングを形成することを伴うことができる。また、オールインワンロケーション方法は、本明細書に記載されるようなパウダーオンパウダーコーティング方法における複数のコーティング組成物の使用を伴うことができる。代替的には、オールインワンロケーション方法は、パウダーオンパウダーにより付与することを必要としないコーティング方法における複数のコーティング組成物の使用を伴うことができる。
【0364】
この方法にはいくつかの利点がある。コーティング装置の単純さ、及びコーティングをキュアリングさせるのに必要な入熱での著しい低減に起因して、EPCは、製作プレスとインラインで完成させることができるほど十分に小さい設置面積を必要とするはずである。この構成では、製作者は、自身のコーティングされたベース基材の在庫を著しく低減することができ、コーティングされていない基材をストックするだけでよい。このインライン設定は、製作者がジャストインタイム製造シナリオに移行することを可能にする。加えて、基材は、典型的には、毎分50~100フィート又は15~30メートルでプレスに給送されるだけである。したがって、コーティングプロセスを著しく減速させることができる一方で、物品全体の生産にゼロ時間を効果的に追加することができる。
【0365】
インラインプロセスは、品質管理ステーションを含むこともできる。例えば、これは、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングの適切な形成を確実にするために、(少なくとも部分的にコーティングされた金属基材を物品の少なくとも一部分に形成する前又は後に)品質検査工程(例えば、目視検査)を含むことができる。
【0366】
加えて、方法は、製造業者が、基材を変更するか、又は異なる予めコーティングされた基材を在庫にする必要なく、稼働と稼働との間で付与された粉末コーティング組成物の変更を行う際に、はるかに高い自由度を可能にし、これは、例えば、差別化されたマーケティングキャンペーン(例えば、パターン化コーティングを介して基材又は物品の一部分の外観を変更することによる)に役立ち得る。
【0367】
この方法の表現を図12に示す。製造設備における物品のインラインコーティング及び製作の準備をするために、例えば、コーティングされていない金属コイル又はシートが、金属生産者によって形成され、製造業者の現場に送達される必要がある。このプロセスは、コーティングされていない基材の送達前の、例えば、金属インゴット形成、熱間圧延、冷間圧延を含む多数のプロセスを伴い得る。インラインコーティング及び製作製造業者の設備の準備をするために、粉末コーティングも、コーティング製造業者によって生成及び送達される必要がある。このプロセスは、粉末コーティングを製造業者の現場に送達する前にコーティング製造業者によって完了されるべき、本開示に記載される工程、すなわち、ポリマー分散液の生成、ポリマー粉末粒子の化学的調製(例えば、噴霧乾燥)、最終粉末コーティング組成物の配合、粉末コーティング組成物の包装、及び粉末コーティング組成物の送達を伴い得る。コーティングされていない基材及び粉末コーティングが製造業者の施設の現場に届くと、顧客又は製造プロセス貢献する追加の者への送達のために、基材を洗浄し(必要又は所望であれば)、コーティングし、製作し、包装する(所望であれば)ことができる。
【0368】
例示的な実施形態
実施形態B:パウダーオンパウダーコーティング方法、システム、及び得られる製品
実施形態B-1は、基材をコーティングする方法であって、基材を提供することと、複数の基材粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含み、複数の基材粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、提供することと、(1つ以上の異なる下にある粉末コーティング組成物を硬化させる前又は後に)少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、別の異なる粉末コーティング組成物上に堆積させるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付けることと、複数の粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、を含み、任意選択的に、粉末ポリマー粒子は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含み、任意選択的に、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有し、各金属包装粉末コーティング組成物は、好ましくは、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤、及び/又は粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性担体粒子を含む、方法である。
【0369】
実施形態B-2は、基材が、金属のコイルから選択される、実施形態B-1に記載の方法である。
【0370】
実施形態B-3は、基材が、24インチ~72インチの幅を有するコイルである、先行するB実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0371】
実施形態B-4は、効果的な条件を提供することが、粉末コーティング組成物の各々が、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、先行するB実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0372】
実施形態B-3は、効果的な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の層を全て堆積させた後で、粉末コーティング組成物の各々が、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、先行するB実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0373】
実施形態B-4は、異なる粉末コーティング組成物が、化学的に異なる、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0374】
実施形態B-5は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、方法が、カラーオンカラー印刷をもたらす、実施形態B-4に記載の方法である。
【0375】
実施形態B-6は、最外(すなわち、最上部)コーティングとして堆積された粉末コーティング組成物が、透明なコーティングを形成する、実施形態B-5に記載の方法である。
【0376】
実施形態B-7は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0377】
実施形態B-8は、第1の粉末コーティング組成物が堆積されて、比較的柔らかく、可撓性のプライマー層を提供し、第2の粉末コーティング組成物が第1の粉末コーティング組成物上に堆積されて、比較的硬く、耐摩耗性の最上部コーティングを提供する、実施形態B-7に記載の方法である。
【0378】
実施形態B-9は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0379】
実施形態B-10は、複数の粉末コーティング組成物が、テクスチャ表面を形成するように堆積される、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0380】
実施形態B-11は、複数の粉末コーティング組成物が、平滑な表面を形成するように堆積される、実施形態B-1~B-9のいずれかに記載の方法である。
【0381】
実施形態B-12は、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングが、マーキングを形成する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0382】
実施形態B-13は、基材が、極低温洗浄された金属基材である、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0383】
実施形態B-14は、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、基材を極低温洗浄することを更に含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0384】
実施形態B-15は、基材が、250μm以上、300μm以上、350μm以上、400μm以上、450μm以上、500μm以上、600μm以上、又は700μm以上の平均厚さを有する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0385】
実施形態B-16は、金属基材が、5mm以下、3mm以下、2mm以下、1.5mm以下、1.3mm以下、1mm以下、800μm以下、760μm以下、700μm以下、650μm以下、又は610μm以下の平均厚さを有する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0386】
実施形態B-17は、硬化した付着性コーティングが、最大100ミクロンの平均総厚さ若しくは最大厚さ、又は最大100ミクロンの最大厚さを有する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0387】
実施形態B-18は、硬化した付着性コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均総厚さを有する、実施形態B-17に記載の方法である。
【0388】
実施形態B-19は、硬化した付着性コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均総厚さを有する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0389】
実施形態B-20は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0390】
実施形態B-21は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0391】
実施形態B-22は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0392】
実施形態B-23は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量でポリマーを含む、実施形態B-20~B-22のいずれかに記載の方法である。
【0393】
実施形態B-24は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0394】
実施形態B-25は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0395】
実施形態B-26は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0396】
実施形態B-27は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0397】
実施形態B-28は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、粉末ポリマー粒子、及び/又は粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性担体粒子と接触している、1つ以上の電荷制御剤を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0398】
実施形態B-29は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態B-28に記載の方法である。
【0399】
実施形態B-30は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態B-28又はB-29に記載の方法である。
【0400】
実施形態B-31は、1つ以上の電荷制御剤が、粉末ポリマー粒子が摩擦電荷を効率的に受け入れて、(例えば、本明細書に記載されるもののいずれかなどの導電性又は半導電性輸送体(例えば、金属ドラム)を介して)基材に付与されることを容易にすることを可能にする、実施形態B-28~B-30のいずれかに記載の方法である。
【0401】
実施形態B-32は、1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態B-28~B-31のいずれかに記載の方法である。
【0402】
実施形態B-33は、1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属カルボン酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン色素、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態B-28~B-32のいずれかに記載の方法である。
【0403】
実施形態B-34は、1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態B-28~B-33のいずれかに記載の方法である。
【0404】
実施形態B-35は、複数の粉末コーティング組成物の各々を方向付けることが、複数の粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の各々を、電場若しくは電場若しくは電磁場、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0405】
実施形態B-36は、複数の粉末コーティング組成物の各々を方向付けることが、複数の粉末コーティング組成物の各々を、電場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、実施形態B-35に記載の方法である。
【0406】
実施形態B-37は、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付けることが、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の輸送体に給送することと、複数の粉末コーティング組成物の各々を、電場又は電磁場によって、1つ以上の輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。1つ以上の輸送体は、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を含み得る。
【0407】
実施形態B-38は、複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上の輸送体から方向付けることが、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の輸送体と基材との間の電場によって、1つ以上の輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、実施形態B-37に記載の方法である。
【0408】
実施形態B-39は、複数の粉末コーティング組成物の各々を1つ以上の輸送体から方向付けることが、1つ以上の輸送体と1つ以上の転写部材との間の電場によって、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の輸送体から1つ以上の転写部材に方向付けることと、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む、実施形態B-37又はB-38に記載の方法である。
【0409】
実施形態B-40は、1つ以上の転写部材が、半導電性又は絶縁性ポリマードラム又はベルトを含む、実施形態B-39に記載の方法である。
【0410】
実施形態B-41は、複数の粉末コーティング組成物の各々を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電力、若しくは機械力を加えて転写をもたらすことを含む、実施形態B-39又はB-40に記載の方法である。
【0411】
実施形態B-42は、1つ以上の輸送体が、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、磁性担体粒子を含む、実施形態B-37~B-41のいずれかに記載の方法である。
【0412】
実施形態B-43は、複数の粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分上に硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流炉若しくは誘導コイルを使用して)、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を複数の粉末コーティング組成物に印加することを含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0413】
実施形態B-44は、条件を提供することが、熱エネルギーを印加することを含む、実施形態B-43に記載の方法である。
【0414】
実施形態B-45は、熱エネルギーを印加することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、実施形態B-44に記載の方法である。
【0415】
実施形態B-46は、熱エネルギーを印加することが、最高300℃又は最高250℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、実施形態B-44又はB-45に記載の方法である。
【0416】
実施形態B-47は、基材が、熱間圧延鋼、冷間圧延鋼、溶融亜鉛めっき鋼、電気亜鉛めっき鋼、アルミニウム、ブリキ、種々のグレードのステンレス鋼、及びアルミニウム-亜鉛合金コーティング鋼板(例えば、ガルバリウム鋼板)を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0417】
実施形態B-48は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0418】
実施形態B-49は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0419】
実施形態B-50は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは36~50)の圧縮性指数、及び1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0420】
実施形態B-51は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0421】
実施形態B-52は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、15グラム/10分より大きい、50グラム/10分より大きい、又は100グラム/10分より大きいメルトフローインデックス、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0422】
実施形態B-53は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0423】
実施形態B-54は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最高150℃、最高125℃、最高110℃、最高100℃、又は最高80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0424】
実施形態B-55は、硬化したコーティングが、いかなる検出可能なTgも有しない、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0425】
実施形態B-56は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃かつ最高300℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0426】
実施形態B-57は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸(例えば、溶液重合アクリルポリマー、乳化重合アクリルポリマー、又はそれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどの、それらのコポリマー又は混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0427】
実施形態B-58は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態B-57に記載の方法である。
【0428】
実施形態B-59は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、1つ以上のビニルポリマーを含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0429】
実施形態B-60は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ポリマーを含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0430】
実施形態B-61は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、フルオロエチレンビニルエーテル(FEVE)ポリマーを含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0431】
実施形態B-62は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、アクリルポリマーを含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0432】
実施形態B-63は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0433】
実施形態B-64は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、硬化したコーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を更に含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0434】
実施形態B-65は、粉末潤滑剤を堆積させることを更に含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0435】
実施形態B-66は、1つ以上の潤滑剤が、硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で硬化したコーティング中又は硬化したコーティング上に存在する、実施形態B-64又はB-65に記載の方法である。
【0436】
実施形態B-66は、1つ以上の潤滑剤が、硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で硬化したコーティング中又は硬化したコーティング上に存在する、実施形態B-63~B-65のいずれかに記載の方法である。
【0437】
実施形態B-67は、潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャートロプシュワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粉化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、それらの組み合わせ、及びそれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、実施形態B-63~B-66のいずれかに記載の方法である。
【0438】
実施形態B-68は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0439】
実施形態B-69は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0440】
実施形態B-70は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、TMBPFを除く全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0441】
実施形態B-71は、複数の粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0442】
実施形態B-72は、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングが、グローバル抽出試験に従って試験したとき、存在する場合、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満の抽出物を含む、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0443】
実施形態B-73は、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングが、付着性試験に従って、9又は10、好ましくは10の付着性評点で、金属基材などの基材に付着する、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0444】
実施形態B-74は、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングが、露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0445】
実施形態B-75は、基材が、コイルとして提供され、方法が、コイルコーティングプロセスである、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法である。
【0446】
実施形態B-76は、基材が、シートとして提供され、方法が、シートコーティングプロセスである、実施形態B-1~B-75のいずれかに記載の方法である。
【0447】
実施形態B-77は、先行する実施形態Bのいずれかに記載の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、コーティングされた基材である。
【0448】
実施形態B-78は、方法が、複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも1つの粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けながら、金属基材を電気的に接地させることを含む、実施形態B-1~B-77のいずれか1つに記載の方法である。
【0449】
実施形態B-79は、方法が、複数の粉末コーティング組成物の各々を金属基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電的に付着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させる前に、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、実施形態B-78に記載の方法である。
【0450】
実施形態B-80は、第1の堆積された粉末コーティング組成物が、第1の極性のものであり、方法が、第1の堆積された粉末コーティング組成物の第1の極性を第2の極性に変化させることと、第2の極性の第2のコーティング組成物を第1の堆積された粉末コーティング組成物に付与することと、を更に含む、実施形態B-79に記載の方法である。
【0451】
実施形態C:パターン化コーティング方法、システム、及び得られる製品(パターン化/パウダーオンパウダーコーティング方法を含む)
実施形態C-1は、コーティングされた基材を形成する際の使用に好適な、基材をコーティングする方法であって、基材を提供することと、基材粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、提供することと、粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けて、パターン化コーティングを形成することと、粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した付着性のパターン化コーティング(連続的であっても連続的でなくてもよい)を形成するのに効果的な条件を提供することと、を含み、基材が、0.010インチ~0.025インチの厚さを有する、方法である。
【0452】
実施形態C-2は、硬化した付着性パターン化コーティングが、マーキングを形成する、実施形態C1に記載の方法である。
【0453】
実施形態C-3は、粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、コーティングされた表面にわたって異なる厚さを有するコーティングを形成する、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0454】
実施形態C-4は、パターン化コーティングを形成する前又は後に、異なる粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けて、パターン化コーティング又は全面コーティングであり得る、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成することを更に含む、先行する実施形態Cに記載の方法である。
【0455】
実施形態C-5は、基材粉末コーティング組成物を提供することが、複数の基材粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含み、複数の基材粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、提供することを含み、粉末コーティング組成物を方向付けることが、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、別の異なる粉末コーティング組成物上に任意選択的に堆積させるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付けて、コーティングを形成することを含み、条件を提供することが、複数の粉末コーティング組成物の各々が、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0456】
実施形態C-6は、条件を提供することが、粉末コーティング組成物の各々が、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、実施形態C-4又はC-5に記載の方法である。
【0457】
実施形態C-7は、効果的な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の層を全て堆積させた後で、粉末コーティング組成物の各々が、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、実施形態C-4又はC-5に記載の方法である。
【0458】
実施形態C-8は、異なる粉末コーティング組成物が、化学的に異なる、実施形態C-4又はC-5に記載の方法である。
【0459】
実施形態C-9は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、方法が、カラーオンカラー印刷をもたらす、実施形態C-8に記載の方法である。
【0460】
実施形態C-10は、最外(すなわち、最上部)コーティングとして堆積された粉末コーティング組成物が、透明なコーティングを形成する、実施形態C-9に記載の方法である。
【0461】
実施形態C-11は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、実施形態C-4~C-10のいずれかに記載の方法である。
【0462】
実施形態C-12は、第1の粉末コーティング組成物が堆積されて、比較的柔らかく、可撓性のプライマー層を提供し、第2の粉末コーティング組成物が第1の粉末コーティング組成物上に堆積されて、比較的硬く、耐摩耗性の最上部コーティングを提供する、実施形態C-11に記載の方法である。
【0463】
実施形態C-12は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、実施形態C-4~C-12のいずれかに記載の方法である。
【0464】
実施形態C-13は、1つ以上の粉末コーティング組成物が、テクスチャ表面を形成するように堆積される、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0465】
実施形態C-14は、1つ以上の粉末コーティング組成物が、平滑な表面を形成するように堆積される、実施形態C-1~C-12のいずれかに記載の方法である。
【0466】
実施形態C-15は、基材が、極低温洗浄された金属基材である、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0467】
実施形態C-16は、粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、基材を極低温洗浄することを更に含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0468】
実施形態C-17は、硬化した付着性コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均総厚さを有する、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0469】
実施形態C-18は、硬化した付着性のパターン化コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均総厚さ又は最大厚さを有する、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0470】
実施形態C-19は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0471】
実施形態C-20は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0472】
実施形態C-21は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0473】
実施形態C-22は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量でポリマーを含む、実施形態C-19~C-21のいずれかに記載の方法である。
【0474】
実施形態C-23は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0475】
実施形態C-24は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0476】
実施形態C-25は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0477】
実施形態C-26は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0478】
実施形態C-27は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、粉末ポリマー粒子、及び/又は粉末ポリマー粒子と接触していてもしていなくてもよい磁性担体粒子と接触している、1つ以上の電荷制御剤を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0479】
実施形態C-28は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態C-27に記載の方法である。
【0480】
実施形態C-29は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態C-27又はC-28に記載の方法である。
【0481】
実施形態C-30は、1つ以上の電荷制御剤が、粉末ポリマー粒子が摩擦電荷を効率的に受け入れて、基材へ付与されることを容易にすることを可能にする、実施形態C-29~C-29のいずれかに記載の方法である。
【0482】
実施形態C-31は、1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態C-27~C-30のいずれかに記載の方法である。
【0483】
実施形態C-32は、1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属カルボン酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン色素、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態C-27~C-31のいずれかに記載の方法である。
【0484】
実施形態C-33は、1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態C-27~C-32のいずれかに記載の方法である。
【0485】
実施形態C-34は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を方向付けることが、粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の1つ以上を、電場若しくは電磁場(例えば、電場)、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0486】
実施形態C-35は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を方向付けることが、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、電場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、実施形態C-34に記載の方法である。
【0487】
実施形態C-36は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を基材の少なくとも一部分に方向付けることが、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の輸送体に給送することと、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、電場又は電磁場によって、1つ以上の輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。1つ以上の輸送体は、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を含み得る。
【0488】
実施形態C-37は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を1つ以上の輸送体から方向付けることが、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の輸送体と基材との間の電場によって、輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、実施形態C-36に記載の方法である。
【0489】
実施形態C-38は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を1つ以上の輸送体から方向付けることが、1つ以上の輸送体と1つ以上の転写部材との間の電場によって、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、輸送体から転写部材に方向付けることと、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む、実施形態C-36又はC-37に記載の方法である。あるいは、1つ以上の輸送体と1つ以上の画像形成部材との間の電場によって、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、輸送体から画像形成部材に方向付けることと、1つ以上の画像形成部材と1つ以上の転写部材との間の電場によって、粉末コーティング組成物を、画像形成部材から転写部材に方向付けることと、1つ以上の転写部材から金属基材の少なくとも一部分に粉末コーティング組成物の1つ以上を転写すること。
【0490】
実施形態C-39は、1つ以上の転写部材が、半導電性又は絶縁性ポリマーベルトを含む、実施形態C-38に記載の方法である。
【0491】
実施形態C-40は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電力、若しくは機械力を加えて転写をもたらすことを含む、実施形態C-38又はC-39に記載の方法である。
【0492】
実施形態C-41は、1つ以上の輸送体が、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、磁性担体粒子を含む、実施形態C-36~C-40のいずれかに記載の方法である。
【0493】
実施形態C-42は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、基材の少なくとも一部分上に硬化したコーティングを形成するのに効果的な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流炉若しくは誘導コイルを使用して)、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を複数の粉末コーティング組成物に印加することを含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0494】
実施形態C-43は、条件を提供することが、熱エネルギーを印加することを含む、実施形態C-42に記載の方法である。
【0495】
実施形態C-44は、熱エネルギーを印加することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、実施形態C-43に記載の方法である。
【0496】
実施形態C-45は、熱エネルギーを印加することが、最高300℃又は最高250℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、実施形態C-43又はC-44に記載の方法である。
【0497】
実施形態C-46は、基材が、鋼、ステンレス鋼、無スズ鋼(TFS)、電気亜鉛めっき鋼、スズめっき鋼、電解ブリキ(ETP)、又はアルミニウムを含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0498】
実施形態C-47は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0499】
実施形態C-48は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0500】
実施形態C-49は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは36~50)の圧縮性指数、及び1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0501】
実施形態C-50は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0502】
実施形態C-51は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、15グラム/10分より大きい、50グラム/10分より大きい、又は100グラム/10分より大きいメルトフローインデックス、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0503】
実施形態C-52は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0504】
実施形態C-53は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最高150℃、最高125℃、最高110℃、最高100℃、又は最高80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0505】
実施形態C-54は、硬化したコーティングが、いかなる検出可能なTgも有しない、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0506】
実施形態C-55は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃かつ最高300℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0507】
実施形態C-56は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどの、それらのコポリマー又は混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0508】
実施形態C-57は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態C-56に記載の方法である。
【0509】
実施形態C-58は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0510】
実施形態C-59は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、硬化したコーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を含む、実施形態C-58に記載の方法である。
【0511】
実施形態C-60は、粉末潤滑剤をパターン化コーティング上に堆積させることを更に含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0512】
実施形態C-61は、1つ以上の潤滑剤が、硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で硬化したコーティング中又は硬化したコーティング上に存在する、実施形態C-59又はC-60に記載の方法である。
【0513】
実施形態C-62は、1つ以上の潤滑剤が、硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で硬化したコーティング中又は硬化したコーティング上に存在する、実施形態C-59~C-61のいずれかに記載の方法である。
【0514】
実施形態C-63は、潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャートロプシュワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粉化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、それらの組み合わせ、及びそれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、実施形態C-59~C-62のいずれかに記載の方法である。
【0515】
実施形態C-64は、粉末ポリマー組成物のうちの1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0516】
実施形態C-65は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0517】
実施形態C-66は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、TMBPFを除く全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0518】
実施形態C-67は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0519】
実施形態C-68は、硬化したコーティングが、グローバル抽出試験に従って試験したとき、存在する場合、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満の抽出物を含む、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0520】
実施形態C-69は、硬化したコーティングが、付着性試験に従って、9又は10、好ましくは10の付着性評点で、金属基材などの基材に付着する、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0521】
実施形態C-70は、硬化したコーティングが、露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0522】
実施形態C-71は、基材が、コイルとして提供され、方法が、コイルコーティングプロセスである、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法である。
【0523】
実施形態C-72は、基材が、シートとして提供され、方法が、シートコーティングプロセスである、実施形態C-1~C-71のいずれかに記載の方法である。
【0524】
実施形態C-73は、先行する実施形態Cのいずれかに記載の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する、パターン化コーティングされた基材である。
【0525】
実施形態C-74は、パターン化コーティングの少なくとも一部分が、光沢仕上げを有する、実施形態Cのいずれか1つに記載のパターン化コーティングされた基材である。
【0526】
実施形態C-75は、パターン化コーティングの少なくとも一部分が、艶消し仕上げを有する、先行する実施形態Cのいずれか1つに記載のパターン化コーティングされた基材である。
【0527】
実施形態C-76は、実施形態C-1~C-75のいずれかに記載の方法によって調製されたコーティングで少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する金属基材を含む、基材である。
【0528】
実施形態D:基材を作製する方法-オールインワンロケーション及び/又は1つの連続的な製造ライン若しくはプロセスにおいて
実施形態D-1は、1つの場所及び/又は1つの連続的な製造ライン若しくはプロセスにおいて、コーティングされた基材を含む物品を作製する方法であって、基材を提供することと、基材粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、提供することと、粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けることと、粉末コーティング組成物が、基材の少なくとも一部分上に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することと、少なくとも部分的にコーティングされた基材を物品の少なくとも一部分に形成することと、を含む。
【0529】
実施形態D-2は、粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けることが、(実施形態Cに記載されるような)パターン化コーティングを形成することを含む、実施形態D-1に記載の方法である。
【0530】
実施形態D-3は、基材粉末コーティング組成物を提供することが、複数の基材粉末コーティング組成物を提供することであって、各粉末コーティング組成物が、粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含み、複数の基材粉末コーティング組成物のうちの少なくとも2つが異なる、提供することを含み、粉末コーティング組成物を方向付けることが、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を、別の異なる粉末コーティング組成物上に任意選択的に堆積させるように、複数の粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付けて、(実施形態Bに記載されるような)コーティングを形成することを含み、条件を提供することが、複数の粉末コーティング組成物の各々が、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、実施形態D-1又はD-2に記載の方法である。
【0531】
実施形態D-4は、条件を提供することが、粉末コーティング組成物の各々が、異なる粉末コーティング組成物の堆積層の間に硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、実施形態D-3に記載の方法である。
【0532】
実施形態D-5は、効果的な条件を提供することが、異なる粉末コーティング組成物の層を全て堆積させた後で、粉末コーティング組成物の各々が、硬化した、好ましくは連続的な付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することを含む、実施形態D-3に記載の方法である。
【0533】
実施形態D-6は、異なる粉末コーティング組成物が、化学的に異なる、実施形態D-3~D-5のいずれかに記載の方法である。
【0534】
実施形態D-7は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる色であり、方法が、カラーオンカラー印刷をもたらす、実施形態D-6に記載の方法である。
【0535】
実施形態D-8は、最外(すなわち、最上部)コーティングとして堆積された粉末コーティング組成物が、透明なコーティングを形成する、実施形態D-7に記載の方法である。
【0536】
実施形態D-9は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる機能を提供する、実施形態D-3~D-8のいずれかに記載の方法である。
【0537】
実施形態D-10は、第1の粉末コーティング組成物が堆積されて、比較的柔らかく、可撓性のプライマー層を提供し、第2の粉末コーティング組成物が第1の粉末コーティング組成物上に堆積されて、比較的硬く、耐摩耗性の最上部コーティングを提供する、実施形態D-9に記載の方法である。
【0538】
実施形態D-11は、異なる粉末コーティング組成物が、異なる量で堆積されて、異なる厚さを有するコーティング層を形成する、実施形態D-3~D-10のいずれかに記載の方法である。
【0539】
実施形態D-12は、パターン化コーティングが、テクスチャ表面を形成する、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0540】
実施形態D-13は、複数の粉末コーティング組成物が、平滑な表面を形成するように堆積される、実施形態D-1~D-11のいずれかに記載の方法である。
【0541】
実施形態D-14は、パターン化コーティングが、マーキングを形成する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0542】
実施形態D-15は、基材が、極低温洗浄された金属基材である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0543】
実施形態D-16は、粉末コーティング組成物の各々を基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、基材を極低温洗浄することを更に含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0544】
実施形態D-17は、硬化した付着性コーティングが、最大100ミクロンの平均総厚さ、又は最大100ミクロンの最大厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0545】
実施形態D-18は、硬化した付着性コーティングが、最大50ミクロン、好ましくは最大25ミクロン(例えば、最大20ミクロン、最大15ミクロン、最大10ミクロン、又は最大5ミクロン)の平均厚さを有する、実施形態D-17に記載の方法である。
【0546】
実施形態D-19は、硬化した付着性コーティングが、少なくとも1ミクロン(又は少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、若しくは少なくとも4ミクロン)の平均厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法である。
【0547】
実施形態D-20は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも2000ダルトン(又は少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、若しくは少なくとも15,000ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、化学的に生成された粉末ポリマー粒子、例えば噴霧乾燥又は限定凝集によって生成されたもの)を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0548】
実施形態D-21は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10,000,000ダルトン(又は最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、若しくは最大20,00ダルトン)の数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0549】
実施形態D-22は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、4未満(又は3未満、2未満、若しくは1.5未満)の多分散性指数(Mw/Mn)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0550】
実施形態D-23は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%の量でポリマーを含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0551】
実施形態D-24は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD50を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0552】
実施形態D-25は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、25ミクロン未満(又は20ミクロン未満、15ミクロン未満、若しくは10ミクロン未満)のD90を有する粒径分布を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0553】
実施形態D-26は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の量で粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0554】
実施形態D-27は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の量で粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0555】
実施形態D-28は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0556】
実施形態D-29は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0557】
実施形態D-30は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で1つ以上の電荷制御剤を含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0558】
実施形態D-31は、1つ以上の電荷制御剤が、粉末ポリマー粒子が摩擦電荷を効率的に受け入れて、基材へ付与されることを容易にすることを可能にする、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0559】
実施形態D-32は、1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0560】
実施形態D-33は、1つ以上の電荷制御剤が、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属カルボン酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性顔料、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン色素、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0561】
実施形態D-34は、1つ以上の電荷制御剤が、無機粒子を含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0562】
実施形態D-35は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を方向付けることが、粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦電気的に帯電した粉末コーティング組成物)の1つ以上を、電場若しくは電磁場(例えば、電場)、又は任意の他の好適なタイプの印加場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0563】
実施形態D-36は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を方向付けることが、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、電場によって基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0564】
実施形態D-37は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を基材の少なくとも一部分に方向付けることが、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の輸送体に給送することと、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、電場又は電磁場によって、1つ以上の輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。1つ以上の輸送体は、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を含み得る。
【0565】
実施形態D-38は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を1つ以上の輸送体から方向付けることが、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の輸送体と基材との間の電場によって、輸送体から基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、実施形態D-37に記載の方法である。
【0566】
実施形態D-40は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を1つ以上の輸送体から方向付けることが、1つ以上の輸送体と1つ以上の転写部材との間の電場によって、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、輸送体から転写部材に方向付けることと、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0567】
実施形態D-41は、1つ以上の転写部材が、半導電性又は絶縁性ポリマーベルトを備える、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0568】
実施形態D-42は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上を、1つ以上の転写部材から基材の少なくとも一部分に転写することが、熱エネルギー、又は電気力、静電力、若しくは機械力を加えて転写をもたらすことを含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0569】
実施形態D-43は、1つ以上の輸送体が、磁気ローラ、ポリマー導電性ローラ、ポリマー半導電性ローラ、金属ベルト、ポリマー導電性ベルト、又はポリマー半導電性ベルトを含み、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、磁性担体粒子を含む、実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0570】
実施形態D-44は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、基材の少なくとも一部分上に硬化した付着性コーティングを形成するのに効果的な条件を提供することが、熱エネルギー(例えば、対流炉若しくは誘導コイルを使用して)、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を複数の粉末コーティング組成物に印加することを含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0571】
実施形態D-45は、条件を提供することが、熱エネルギーを印加することを含む、実施形態D-44に記載の方法である。
【0572】
実施形態D-46は、熱エネルギーを印加することが、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、実施形態D-44に記載の方法である。
【0573】
実施形態D-47は、熱エネルギーを印加することが、最高300℃又は最高250℃の温度で熱エネルギーを印加することを含む、実施形態D-45又はC-46に記載の方法である。
【0574】
実施形態D-48は、基材が、鋼、ステンレス鋼、無スズ鋼(TFS)、スズめっき鋼、電解ブリキ(ETP)、又はアルミニウムを含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0575】
実施形態D-49は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、(機械的に生成された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生成された粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0576】
実施形態D-50は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0577】
実施形態D-51は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、1~50(又は1~10、11~15、16~20、21~35、若しくは36~50)の圧縮性指数、及び1.00~2.00(又は1.00~1.11、1.12~1.18、1.19~1.25、1.26~1.50、若しくは1.51~2.00)のハウスナー比を有する粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0578】
実施形態D-52は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、熱可塑性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0579】
実施形態D-53は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、15グラム/10分より大きい、50グラム/10分より大きい、又は100グラム/10分より大きいメルトフローインデックス、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0580】
実施形態D-54は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0581】
実施形態D-55は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、最高150℃、最高125℃、最高110℃、最高100℃、又は最高80℃のTgを有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0582】
実施形態D-56は、硬化したコーティングが、いかなる検出可能なTgも有しない、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0583】
実施形態D-57は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、少なくとも40℃かつ最高300℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0584】
実施形態D-58は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、ポリエーテル-アクリレートコポリマーなどの、それらのコポリマー又は混合物)から選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0585】
実施形態D-59は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ポリアクリル酸(例えば、溶液重合アクリルポリマー、乳化重合アクリルポリマー、又はそれらの組み合わせ)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択されるポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む、実施形態D-58に記載の方法である。
【0586】
実施形態D-60は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性顔料、脱気剤、レベリング剤、艶消し剤、湿潤剤、界面活性剤、流動制御剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択的な添加剤を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0587】
実施形態D-61は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、硬化したコーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤を含む、実施形態D-60に記載の方法である。
【0588】
実施形態D-62は、粉末潤滑剤をパターン化コーティング上に堆積させることを更に含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0589】
実施形態D-63は、1つ以上の潤滑剤が、硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で硬化したコーティング中又は硬化したコーティング上に存在する、実施形態D-61又はC-62に記載の方法である。
【0590】
実施形態D-64は、1つ以上の潤滑剤が、硬化したコーティング全体の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で硬化したコーティング中又は硬化したコーティング上に存在する、実施形態D-61~C-63のいずれかに記載の方法である。
【0591】
実施形態D-65は、潤滑剤が、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャートロプシュワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粉化エチレン-ビス-ステアラミド(EBS)ワックス)、それらの組み合わせ、及びそれらの変性バージョン(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)を含む、実施形態D-61~C-64のいずれかに記載の方法である。
【0592】
実施形態D-66は、粉末ポリマー組成物のうちの1つ以上が、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む粉末ポリマー粒子を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0593】
実施形態D-67は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々を実質的に含まない、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0594】
実施形態D-68は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、TMBPFを除く全てのビスフェノール化合物を実質的に含まない、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0595】
実施形態D-69は、粉末コーティング組成物のうちの1つ以上が、ホルムアルデヒド及びホルムアルデヒド含有成分(例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂)の各々を実質的に含まない、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0596】
実施形態D-70は、硬化したコーティングが、グローバル抽出試験に従って試験したとき、存在する場合、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満の抽出物を含む、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0597】
実施形態D-71は、硬化したコーティングが、付着性試験に従って、9又は10、好ましくは10の付着性評点で、基材などの基材に付着する、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0598】
実施形態D-72は、硬化したコーティングが、露出した基材をもたらすピンホール及び他のコーティング欠陥を含まない、先行する実施形態Dのいずれかに記載の方法である。
【0599】
実施形態D-73は、方法が、複数の粉末コーティング組成物のうちの少なくとも1つの粉末コーティング組成物を基材の少なくとも一部分に方向付けながら、金属基材を電気的に接地させることを含む、実施形態Dのいずれか1つに記載の方法である。
【0600】
実施形態D-74は、方法が、複数の粉末コーティング組成物の各々を金属基材の少なくとも一部分に方向付ける前に、複数の粉末コーティング組成物の少なくとも1つの粉末コーティングを、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させることを含み、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を静電的に付着させることは、少なくとも1つの粉末コーティング組成物を輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材に静電的に付着させる前に、輸送体表面、画像形成部材、及び/又は中間転写部材を非ゼロ電圧に電気的にバイアスすることを含む、実施形態D-73に記載の方法である。
【0601】
実施形態D-75は、第1の堆積された粉末コーティング組成物が、第1の極性のものであり、方法が、第1の堆積された粉末コーティング組成物の第1の極性を第2の極性に変化させることと、第2の極性の第2のコーティング組成物を第1の堆積された粉末コーティング組成物に付与することと、を更に含む、実施形態D-74に記載の方法である。
【0602】
試験方法
別途示されない限り、以下の試験方法が利用され得る。
【0603】
付着性試験
SCOTCH 610テープ(3M Company(Saint Paul,MN)から入手可能)、並びに横に4つの引っ掻き傷及び下向きに4つの引っ掻き傷(およそ1~2mm離れている)からなる格子パターンを使用して、125ミクロン以下の厚さのコーティングに対して、ASTM D3359-17(2017)、試験方法Bに従って、付着性試験を実施した。試験は、典型的には試料当たり3回繰り返す。付着性は、0~10の尺度で評価され、「10」の評点は、付着破壊を示さないこと、「9」の評点は、コーティングの90%が付着されたままであること、「8」の評点は、コーティングの80%が付着されたままであること、以下同様を示す。9又は10の付着性評点は、典型的には、商業的に実行可能なコーティングに望ましい。したがって、本明細書では、9又は10、好ましくは10の付着性評点が、付着性であるとみなされる。
【0604】
Tgの示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(「DSC」)試験用の粉末組成物の試料を、標準的な試料パンに秤量し、標準的なDSC加熱-冷却-加熱法を使用して分析する。試料を-60℃で平衡化し、次いで20℃/分で200℃まで加熱し、-60℃まで冷却し、次いで20℃/分で再び200℃まで加熱する。ガラス転移温度を、最後の加熱サイクルのサーモグラムから計算する。転移の変曲点でガラス転移を測定する。
【0605】
ゲル浸透クロマトグラフィによる分子量決定
ゲル浸透クロマトグラフィ(「GPC」)試験用の試料を、最初に粉末ポリマーを好適な溶媒(例えば、所与の粉末ポリマーに対して適切であればTHF)に溶解することによって調製する。次いで、この溶液のアリコートを、ポリスチレン(「polystyrene、PS」)標準の混合物とともにGPCによって分析する。試料の分子量を、GPC実行を処理し、標準を確認した後に計算する。
【0606】
可撓性
キュアリングしたコーティング組成物は、好ましくは、10倍の倍率で見たときに、4T以上の可撓性、より好ましくは少なくとも2T以上の可撓性、最も好ましくは少なくとも1T以上の可撓性を有する(すなわち、1T標本を10倍の倍率のガラス下で見たときに亀裂が見えず、#610スコッチテープで試験したときにコーティングの剥がれがない)。可撓性を測定するための好適な試験方法は、ASTM D4145-83に提供されており、BONDERITE 1455SF前処理(Henkel International)で処理した厚さ0.048cmのアルミニウムパネル上の乾燥フィルム厚は0.001651~0.001905cmである。
【0607】
耐候性
試験は、典型的には、フィルタリングされていないウェザロメータ、好ましくはフィルタリングされていないカーボンアークウェザロメータを使用して実施され、コーティングは、数年間の日光への直接曝露をシミュレートすることを意図して、例えば、QUV試験などの従来の促進耐候性試験よりも厳しい条件下で、フィルタリングされていないUV放射線に一定期間(例えば、500時間、1000時間など)曝露される。理論に限定されるものではないが、特定の粒径のガラスフレーク添加剤と第2のコーティングの最適な厚さとの組み合わせは、耐候性コーティングを提供するために組み合わせることができる。一態様において、本明細書に記載されるコーティング組成物は、1000時間の期間にわたって耐候試験にさらされた場合に、従来のコーティングに匹敵するか、又は更にはそれよりも優れた耐候性を提供する。
【0608】
鉛筆硬度試験
上述したコイルコーティングの硬度は、ASTM D3363又はその修正に従った鉛筆硬度試験を使用して試験することができる。
【0609】
耐洗剤性
耐洗剤性は、例えば、ASTM DD2248又はその修正などの試験を使用して決定することができる。
【0610】
耐水性
耐水性は、例えば、ASTM D870又はその修正などの試験を使用して決定することができる。
【0611】
耐食性
耐食性は、例えば、ASTM G85 Annex5又はその修正などの試験を使用して決定することができる。
【0612】
本明細書で引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示は、各々が個々に組み込まれたかのように、それらの全体が参照により組み込まれる。記載された本明細書と、参照により本明細書に組み込まれる任意の文書における開示との間に何らかの矛盾又は不一致が存在する限り、記載された本明細書が優先する。本開示に対する種々の修正及び変更は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者に明らかになるであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図するものではなく、そのような実施例及び実施形態は、例としてのみ提示され、本開示の範囲は、以下のように本明細書に記載される実施形態によってのみ限定されることを意図することを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】