(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する技術
(51)【国際特許分類】
B22F 12/00 20210101AFI20240521BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240521BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240521BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240521BHJP
B29C 64/336 20170101ALI20240521BHJP
B29C 64/35 20170101ALI20240521BHJP
B29C 64/241 20170101ALI20240521BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240521BHJP
【FI】
B22F12/00
B22F10/28
B29C64/153
B33Y30/00
B29C64/336
B29C64/35
B29C64/241
B33Y50/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564626
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2022060400
(87)【国際公開番号】W WO2022223603
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102021110084.4
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523394734
【氏名又は名称】ニコン エスエルエム ソルーションズ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル コプシンスキ
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ミュラー
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AJ10
4F213AM10
4F213WA25
4F213WA53
4F213WA67
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL52
4F213WL53
4F213WL87
4K018BB04
(57)【要約】
本発明は、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去するデバイスに関する。デバイスは、多孔質外壁を有する、回転可能に取り付けられたローラを含み、そしてローラ内部に形成された複数のチャンバを含む。デバイスはまた、所与の時点でチャンバの少なくとも1つに負圧を供給するように構成された、負圧を供給するための接続部を含む。チャンバのこの少なくとも1つは、チャンバに負圧を供給するのに適した開口を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)であって、
- 多孔質外壁(53)を有する、回転可能に支持されたローラ(54)、及び
- 前記ローラ(54)内部に形成された複数のチャンバ(59)、
- 所与の時点で前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに負圧を供給するように形成された負圧供給ポート、
を含み、
前記複数のチャンバ(59)の前記少なくとも1つが、前記チャンバ(59)の前記少なくとも1つに負圧を供給するように構成された開口(57)を有している、
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)。
【請求項2】
前記複数のチャンバ(59)が前記ローラ(54)の回転軸に沿って延びており、前記複数のチャンバ(59)のそれぞれが前記多孔質外壁(53)の区分によって仕切られている、請求項1に記載の装置(51)。
【請求項3】
- 前記ローラ(54)によって拾い上げられた粉末を吸い取るための吸引デバイス(69)であって、前記吸引デバイス(69)が、前記所与の時点で負圧を供給されない、前記ローラ(54)の前記複数のチャンバ(59)のうちの1つに対向して配置されている、吸引デバイス(69)
をさらに含む、請求項1又は2に記載の装置(51)。
【請求項4】
前記負圧供給ポートが前記ローラ(54)の支持体(61)に固定的に結合され、前記複数のチャンバ(59)が前記ローラに回転可能に固定状態で接続され、各チャンバが前記チャンバ(59)に正圧又は負圧を供給するように構成された開口(57)を有しており、前記供給部及び前記複数のチャンバが、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧を供給されるように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置(51)。
【請求項5】
- 正圧供給ポートであって、前記所与の時点で負圧を供給されない、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに、前記チャンバの開口(57)を介して、前記所与の時点で正圧を供給するように形成されている、正圧供給ポート
をさらに含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置(51)。
【請求項6】
前記正圧供給ポートが前記ローラ(54)の前記支持体(61)に固定的に結合されており、前記供給部及び前記複数のチャンバは、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧と正圧とを交互に供給されるように構成されている、請求項4及び5に記載の装置(51)。
【請求項7】
前記ローラ(54)の回転中に、チャンバ(59)の前記開口(57)が前記負圧供給ポートに一度接触させられることにより、それぞれの前記チャンバ(59)が負圧を供給され、前記正圧供給ポートに一度接触させられることにより、それぞれの前記チャンバ(59)が正圧を供給されるように、前記装置(51)が構成されている、請求項6に記載の装置(51)。
【請求項8】
前記ローラ(54)が円筒形状で形成されており、前記開口(57)が円筒の底面内に設けられている、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置(51)。
【請求項9】
前記ローラ(54)内部に少なくとも3つのチャンバ(59)が形成されており、
任意の正圧供給ポートが、前記チャンバ(59)のいくつかに正圧を同時に供給するように構成されており、且つ/又は
前記負圧供給ポートが、前記チャンバ(59)のいくつかに負圧を同時に供給するように構成されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置(51)。
【請求項10】
前記任意の正圧供給ポートが、いくつかのチャンバ(59)の前記開口(57)を同時に露出させる細長い穴(65)を有しており、且つ/又は、
前記負圧供給ポートが、いくつかのチャンバ(59)の前記開口(57)を同時に露出させる細長い穴(65)を有している、
請求項9に記載の装置(51)。
【請求項11】
- 前記ローラ(54)内部で延びるシャフト(55)であって、前記複数のチャンバ(59)が、前記シャフト(55)内に形成された複数の溝によって形成されている、シャフト(55)
をさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の装置(51)。
【請求項12】
三次元のワークピースを製造するシステム(1)であって、
- 粉末床(3)が形成されるように粉末を複数の層で受容する担体(5)と、
- 前記粉末を前記担体(5)へ被着する少なくとも1つの粉末被着デバイス(15a,15b)と、
- 前記粉末床(3)の最上部の粉末層を所定の位置で照射する少なくとも1つの照射ユニットと、
- 請求項1から11のいずれか1項に記載の、粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)と
を含む、三次元のワークピースを製造するシステム(1)。
【請求項13】
前記装置(51)が前記粉末被着デバイス(15a)に連結されており、前記システム(1)が前記装置(51)と前記粉末被着デバイス(15a)とを一緒に動かすように形成された移動デバイスを含む、請求項12に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記負圧を供給される前記チャンバ(59)が、前記ローラ(54)の、前記粉末床(3)に面する側に配置されている、請求項12及び13に記載のシステム(1)。
【請求項15】
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する方法であって、
- 多孔質外壁(53)を有する回転可能に支持されたローラ(54)であって、前記ローラ(54)が、前記ローラ(54)内部に形成された複数のチャンバ(59)を有し、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つが、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに負圧を提供するように構成された開口(57)を有する、前記ローラ(54)を回転させることと、
- 前記少なくとも1つの前記チャンバ(59)に、前記チャンバの開口(57)を介して負圧を供給する、
ことを含む、粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置及び方法に関する。本開示の技術は、特に、規定量の粉末を粉末床から除去するために、選択的電子ビーム溶融、選択的レーザー溶融、又は選択的レーザー焼結との関連において利用することができる。
【背景技術】
【0002】
三次元ワークピースを製造するための生成プロセスにおいて、具体的には生成的な層構築プロセスにおいて、最初は非定形又は形状的に中立の、原材料(例えば原材料粉末)から成る成形コンパウンドを層毎に担体に被着し、そして部位選択的な照射によって(例えば溶融又は焼結によって)凝固することにより、所望の形状のワークピースを最終的に得ることが知られている。照射は、例えば電子又はレーザー放射線の形態を成す電磁放射線によって、実施することができる。初期の状態では、成形コンパウンドは最初は顆粒、粉末、又は液体成形コンパウンドの形態を成し、そして照射の結果として、選択的に、又は換言すれば部位選択的に凝固することができる。成形コンパウンドは、例えばセラミック、金属、又はプラスチック材料、そしてまたこれらの材料混合物を含むことができる。生成的な層構築プロセスの1つの変更形態は、いわゆる粉末床におけるレーザービーム溶融に関する。レーザービーム溶融の場合、特に、金属及び/又はセラミック原材料粉末材料にレーザービームを照射しながら凝固することにより、三次元ワークピースにする。
【0003】
個々のワークピース層を製造するために、原材料粉末層の形態を成す原材料粉末材料を担体に被着し、そしてこれを選択的に、且つ目下製造されるべきワークピース層の表面形状にしたがって照射することも知られている。レーザー放射線は原材料粉末材料中に侵入し、そして、例えば溶融又は焼結を引き起こす加熱の結果として、これを凝固する。ひとたびワークピース層が凝固したら、未加工の原材料粉末材料から成る新しい層を、すでに製造済みのワークピース層へ被着する。公知の塗布装置又は粉末被着デバイスをこの目的のために使用することができる。続いて、今や最上部の、まだ加工されていない原材料粉末層が再び照射される。その結果、ワークピースが層毎に連続して構築され、各層が、ワークピースの断面積及び/又は輪郭を特徴付ける。これに関連して、CAD又は同等のワークピースデータを利用して、ワークピースを実質的に自動的に製造することも知られている。
【0004】
本発明の範囲内で、上で説明した態様のすべてが提供されてよいと理解される。
【0005】
さらに、構築作業において少なくとも2種の材料を組み合わせることにより、これらの少なくとも2種の材料から成るワークピースを製造し得ることも知られている。これは具体的には、異なる材料から成る粉末層を交互に被着することによって行われる。個々の材料が層全体にわたって被着される場合には、新しい被膜が被着される前に、他の材料から成る前の粉末層の凝固されていない部分を除去しなければならない。続いて新たに被着される粉末の汚染を回避するために、前の層の粉末をできる限り完全に除去することが望ましい。
【0006】
目下のところ、前の層をファンネルで吸い取ることが知られている。しかしながら、この工程は通常、定義されていない形式で実施され、そしてこれには粉末損失が伴う。この粉末損失は、粉末が例えば100倍の量で添加されなければならないことを意味し得る。30μm層毎に3mmの深さで粉末混合物が引き抜かれる場合、シリンダ容積が1Lの構成部分では100Lに等しい廃棄粉末が生じ、或いは続いてもはや使用できない、又は多大な労力をかけて再処理しなければならない(例えば清浄化し、そして元の少なくとも2種の粉末材料に分けなければならない)混合粉末が生じる。
【0007】
このような、規定量の且つ信頼性高い粉末除去を可能にする技術が望まれる。
【0008】
さらに、従来のビーム溶融(すなわち単一材料を用いる)によっても、粉末床表面上に粒子、例えば材料の凝固中に生成される溶接スパッタが堆積され得る。これらの粒子は新しい粉末層の後続の被着中、及びこの新しい粉末層の凝固中に支障をきたすことがあるので、これらの粒子を粉末床から除去することが望ましい。
【0009】
このように、具体的には付加的な大量の材料を除去することなしに、粉末床から粒子を信頼性高く除去するのを可能にする技術を有することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、上記問題の少なくとも1つ及び関連する問題を解決する、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題は、請求項1の特徴を有する、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置、及び請求項15の特徴を有する方法によって解決される。
【0012】
したがって、本発明は第1態様によれば、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置に関する。この装置は、多孔質外壁を有する、回転可能に支持されたローラと、ローラ内部に形成された複数のチャンバとを含む。この装置は、所与の時点で前記チャンバの少なくとも1つに負圧を供給するように構成された負圧供給ポートをさらに含む。チャンバの少なくとも1つが、チャンバに負圧を供給するように構成された開口を有している。
【発明の効果】
【0013】
粉末床は、具体的には選択的レーザー溶融又は選択的レーザー焼結を目的とした、担体に被着された1つ又は2つ以上の原材料粉末層であってよい。粉末は例えば金属粉末、セラミック粉末、及び/又はプラスチック粉末を含んでよい。具体的には、装置は、種々異なるタイプの粉末、そして具体的には種々異なる材料から形成された粉末を除去するように構成されていてよい。除去は層毎に行うことができる。
【0014】
ローラは、ローラの支持体に対して回転し得るように、回転可能に支持されていてよい。装置は駆動装置を含むことができ、駆動装置は、ローラを回転させるように構成されている。具体的には、この目的のために、電気的に駆動されるアクチュエータ、例えばサーボモータ又はステッピングモータが設けられていてよい。電気的な駆動装置の代わりに、ローラは、下記の負圧又は正圧用のポートを使用して、負圧及び/又は正圧によって、回転運動させることもできる。さらなる別の実施態様では、ローラを粉末床上で機械的に転動させることができ、この回転運動は、一方で粉末床及び/又は粉末床に並んで延びる構築チャンバ床と、他方ではローラとの間の摩擦によってもたらされる。
【0015】
電気的な駆動装置が設けられる場合には、電気的な駆動装置を制御する制御ユニットが設けられてよい。制御ユニットは、ローラを調節可能な回転速度で駆動するように構成されていてよい。さらに、装置は、粉末床を水平方向に横切ってローラを動かす(並進運動)ように構成された水平方向運動デバイスを含んでよい。こうして、ローラは回転運動と並進運動とを実施することができる。水平方向運動デバイスは、例えば電気的なアクチュエータ(例えばモータ)を含むことができる。水平方向運動デバイスは、制御ユニットによって制御されてもよい。
【0016】
制御ユニットは、ローラの回転運動及びローラの並進運動を調節して、並進運動がローラの外壁上の回転運動に対応するように構成されていてよい。このようにすると、ローラは吸引の結果としてローラに付着したものと同じ厚さの粉末層を除去することができる。さらに、制御ユニットはローラの回転をより速く又はより遅く制御することもでき、並進速度に対して異なる回転速度を可能にする。このようにすると、ローラによって粉末床から取り出される粉末の量を調節することができる。
【0017】
さらに、装置はローラの鉛直方向位置を調節するための鉛直方向運動デバイスを含むことができる。鉛直方向位置はここでは、粉末床の上方の高さに相当する。鉛直方向運動デバイスは好ましくは、制御ユニットによって制御することもできる。制御ユニットは、ローラの下側の高さが粉末床の高さに相当するように、ローラの鉛直方向位置を調節するべく構成することができる。ローラの高さはこのように、当該高さの下側でローラが粉末床上を転動する、又は転動することになる、そのような高さに相当する。換言すれば、ローラは粉末床上に載置されている。しかしながら、ローラの鉛直方向位置は、ローラの動作中にローラと粉末床との間に一定且つ所定の距離があるように調節することもできる。この場合には、ローラの吸引力は、このような距離を越えて粉末を吸引することができる。負圧発生の制御を介して、吸引力のさらなる調節が可能である。
【0018】
上記及び下記の説明は、粉末床の上側からの粒子(具体的には溶融スプラッシュ)の吸引にも当てはまる。ローラは、粉末床表面から粉末を除去するだけではなく、より大きい粒子をも除去するように形成することができる。さらに、ローラの高さ及び/又は吸引力は、ローラが粉末床表面から、主として又は専らより大きい粒子(すなわち使用される粉末よりも大きい粒子)だけを除去するように調節されることも考えられる。
【0019】
ローラの多孔質外壁は、これが何らかのガスが通過するのを許すが、しかし(所定の直径を上回る)粉末及び/又は粒子を通さないという点で多孔質である。例えば、粉末の最小直径は5~30μmであり得る。ローラの外壁は、10μm未満又は5μm未満の孔径を有するように構成されていてよい。大まかに言えば、ローラの孔径は、ローラが、使用される粉末を通さないようになっていてもよい。ローラは、その多孔質外壁として何らかの種類の表面フィルタ、具体的にはメンブレン又は被膜付きファブリックを有していてよい。ローラは、外壁上の均一な圧力分布のために、いくつかの層、例えば最外層の下側に配置された支持格子、及び/又は粗大孔付き構造、例えばスポンジ構造をさらに有することができる。
【0020】
好ましい実施態様では、ローラ内部に形成された複数のチャンバはローラに固定されている。この場合、複数のチャンバは、ローラの回転運動(すなわち回転動作)がローラ内のチャンバの回転運動を引き起こすという点で、ローラに固定的に結合されている。言い換えれば、ローラ内に形成された複数のチャンバは、ローラに回転可能に固定状態で結合されていてもよい。従って、チャンバはローラと共に回転する。固定的な結合はこのように、チャンバの内壁をローラの外壁に(例えば溶接、接着などによって)機械的に結合しなければならないことを意味しない。むしろ、固定的な結合は、ローラとチャンバとの間に剛性の機械的結合があることを単に意味する。このことは、例えばローラの外壁とチャンバの内側仕切りとを、回転可能に支持された同一のシャフトに締め付けることにより、あるいはローラ自体がチャンバによって形成された骨組み上に張設された可撓性媒体から成る場合にも達成できる。
【0021】
回転可能に固定状態で結合されたチャンバとは別の実施態様として、ローラはチャンバとは独立して移動可能であってもよく、そして具体的にはこの場合のチャンバは、回転できないように構成することができる。この場合、ローラはチャンバの上方で回転させられる。加えてローラは、可撓性媒体ウェブから形成することも可能であり、可撓性媒体ウェブはチャンバの上方で駆動される。このために、ウェブをその上で移動させる支持格子構造を設けることもできる。
【0022】
本出願の目的において、閉じた移動経路に沿って、外壁をその初期位置へ戻す、ローラのいかなる軸受も、回転可能に支持されると理解される。本出願の意味におけるローラは円筒形状を必ずしも有しなくてもよく、例えば多角形断面を有することもでき、又は材料ウェブの場合には、固定的な形状をそれ自体は有しなくてもよく、延伸の種類によってこの形状を獲得することが、容易に認識され得る。
【0023】
1つ又は2つ以上のチャンバの開口は、例えば円形の穴の形状で設けることができる。チャンバの開口は、ローラの多孔質外壁によって形成されていない、チャンバのそれぞれの壁内に配置されてよい。例えば、チャンバの開口は、細長いチャンバを1つの端部で仕切る、それぞれのチャンバの壁内に配置されていてよい。この代わりに又はこれに加えて、開口は、内方へ向けられた壁、例えば中心に配置された中空シャフトに設けられてもよい。チャンバのそれぞれは1つ又は2つ以上(例えば2つ)の開口を有してよい。
【0024】
装置はさらに、所与の時点でチャンバの少なくとも1つに負圧を供給するように構成された負圧供給ポートをさらに含む。この場合、負圧はそれぞれのチャンバの開口を介して供給される。
【0025】
ポートは管又はホースを含んでよい。ポートは、所与の時点でそれぞれのチャンバの開口と接触するように構成されていてよい。本明細書中に使用される「所与の時点」という用語は、ローラの回転移動中の任意の時点を意味するように意図されている。これに関連して、「所与の時点」はスナップショットを定義し、そして例えば複数のチャンバのうちの別のチャンバが接触してもよい、前の時点及び後続の時点が存在する。負圧は、粉末床からローラの多孔質外壁へ粉末を引き出すのに適していてよい。
【0026】
チャンバはローラの回転軸に沿って延びていてよく、そしてチャンバのそれぞれは多孔質外壁の区分によって仕切られていてよい。
【0027】
チャンバは好ましくは容積によって、そしてその容積と境を接する壁(チャンバ壁)によって画定されている。上記のように、ローラの多孔質外壁によって、これらのチャンバ壁の一部が形成されている。換言すれば、チャンバのそれぞれは、多孔質外壁の区分である壁を有してもよい。加えて、複数のチャンバを互いに仕切るために、1つ又は2つ以上の仕切り壁が設けられていてよい。チャンバはこのように、ローラの回転軸に沿って細長く形成されていてよい。チャンバのそれぞれは、回転軸に沿って延びる多孔質外壁を有していてよい。
【0028】
本出願の意味において、極めて小さな容積しか有しない、又は容積を全く有しない、ひいてはアパーチャ・チャンバを形成する少なくとも1つのチャンバが設けられていることも考えられる。アパーチャ・チャンバはこの場合、一方では多孔質外壁によって、そして他方では中実壁によって仕切られている。中実壁は、多孔質外壁と直接に接触していてよい。好ましくは、固定された壁は定置であってよく、固定された壁の傍らを、多孔質ローラが動くようにすることができる。この実施態様では、アパーチャ・チャンバは0.5cm超、具体的には1cm超、特に3cm超の、ローラ周囲に沿った延びを有することができる。これにより、アパーチャ・チャンバの中心に、隣接するチャンバよりも低い負圧が形成されるようにすることができる。
【0029】
装置は、ローラによって拾い上げられた粉末を吸い取るための吸引デバイスをさらに含むことができ、吸引デバイスは、所与の時点で負圧を供給されない、ローラのチャンバのうちの1つに対向して配置されている。
【0030】
吸引デバイスは例えば、ローラから粉末を吸引するための開口を含んでよい。さらに、吸引デバイスは、負圧を発生させるためのデバイスに接続されていてよい。これは例えば、ローラの少なくとも1つのチャンバへ負圧を提供するのと同じデバイスであってよい。装置は、吸引デバイスによって吸い取られた粉末を収集するための回収容器をさらに含んでよい。さらに、装置は、吸い取られた粉末をガス流から分離するための分離デバイスを含んでよい。分離された粉末は回収容器内へ導かれてよい。回収容器はさらに、層生成中に被着される余剰の粉末を受容するために、吸引デバイスを含有する製造デバイス(プラント)内に設けられたオーバーフロー容器によって形成されてよい。吸引デバイスに加えて、装置はブラシを有することができ、或いはブラシ又はスクレーパを含むことができる。ブラシ又はスクレーパは、ローラ上に吸い付けられた粉末を再び引き離すので、これを吸引デバイスによって吸い取ることができる。
【0031】
負圧供給ポートはローラの支持体に固定的に結合することができる。チャンバはローラに回転可能に固定状態で接続されており、そして各チャンバは、チャンバに正圧又は負圧を供給するように構成された開口を有することができる。供給部及びチャンバは、ローラの回転中に、チャンバが負圧を供給されるように構成されていてよい。
【0032】
装置は正圧供給ポートをさらに含んでよく、正圧供給ポートは、所与の時点で負圧を供給されない、チャンバの少なくとも1つに、チャンバの開口を介して、所与の時点で正圧を供給するように形成されている。
【0033】
正圧供給ポートはローラの支持体に固定的に結合されていてよい。供給部及びチャンバは、ローラの回転中に、チャンバが負圧と正圧とを交互に供給されるように構成することができる。
【0034】
所与の時点で正圧を供給されるチャンバは、吸引デバイスに対向して配置することができる。このようにすると、粉末はローラから吸引デバイス内へいわば吹き込まれる。こうして粉末が除去されたローラ上には、新しい粉末を今や負圧によって吸い込み、そして取り込むことができる。
【0035】
上述のように、正圧供給ポートと負圧供給ポートとをローラの支持体に固定的に結合し、そしてローラの回転中に、チャンバが負圧と正圧とを交互に供給されるように構成することができる。
【0036】
換言すれば、ローラの回転運動は、負圧供給ポートに対して、そして存在するならば正圧供給ポートに対して行われる。正圧と負圧との交互の供給は、任意の選択されたチャンバが所与の時点で負圧を供給され、後の時点で正圧を供給され、次いで負圧を再び供給される、ということを意味する。
【0037】
ローラの回転中に、負圧供給ポートによってチャンバの開口が一度接触させられることにより、それぞれのチャンバが負圧を供給され、そして正圧供給ポートによって一度接触させられることにより、それぞれのチャンバが正圧を供給されるように、装置が構成されている。
【0038】
装置は、チャンバがいくつかの異なる負圧供給ポート及び正圧供給ポートを有するように構成することもできる。
【0039】
ローラは円筒形状で形成されてよく、単一の又は複数の開口が円筒の底面内に設けられていてよい。
【0040】
このように、開口はローラの第1端部の底面内に設けられていてよい。加えて、チャンバのそれぞれに対して、円筒のさらなる(反対側の)底面内にさらなる開口が設けられていてよい。
【0041】
ローラによって形成された円筒の底面内に開口を設ける代わりに、開口は円筒の多孔質外壁内に設けることもできる。これらの開口はこうして半径方向外側へ向いている。この場合には、これらのポートはローラの支持体内へ組み込むことができ、半径方向内側へ向けることができる。さらなる実施態様としては、チャンバの開口を半径方向内側へ(ローラの回転軸へ)向けることもできる。この場合には、負圧のためのキャビティが延びている内部軸であって、支持体に剛性的に結合された内部軸を設けることができる。負圧のためのポートはこうして、半径方向外側へ向けることができる。さらに、正圧のためのキャビティがこの軸内で延びることができる。正圧のためのキャビティはこうして、半径方向外側へ向くことができる。負圧及び正圧のための開口は、突出した壁のいくつかに設けることもできる。負圧のための開口は、これらの開口とは異なる正圧のための開口とは別の壁又は同じ壁に設けることができる。負圧のための開口は、第1半径でローラ円筒の底面内に設けられていてよく、そして、これらの開口とは異なる正圧のための開口は、第2半径でローラ円筒の底面内に設けられていてよい。
【0042】
ローラ内部には少なくとも3つのチャンバが形成されていてよく、少なくとも1つのチャンバには常に負圧が供給され、そして2つのチャンバには少なくとも一時的に負圧が供給される。
【0043】
ローラ内部に少なくとも3つのチャンバを形成することができ、任意の正圧供給ポートは、チャンバのいくつかに正圧を同時に供給するように構成されており、且つ/又は負圧供給ポートは、チャンバのいくつかに負圧を同時に供給するように構成されている。具体的には、少なくとも4つのチャンバをローラ内部に形成することができる。
【0044】
例えば、8つのチャンバがローラ内部に設けられていてよい。任意の時点で、チャンバのいくつか(すなわち少なくとも2つ)に負圧が同時に供給される。さらに、チャンバのうちの少なくとも1つに、任意の時点で正圧が供給されてよい。負圧又は正圧が供給されず、ひいては大気圧を有する、又は前の圧力状態を維持する1つ又は2つ以上のチャンバが残されていてもよい。大気圧は、三次元ワークピースを製造するシステムの構築チャンバ内部の圧力であり得る。
【0045】
任意の正圧供給ポートは、いくつかのチャンバの開口を同時に露出させる細長い穴を有していてよい。負圧供給ポートは、いくつかのチャンバの開口を同時に露出させる細長い穴を有することができる。
【0046】
チャンバの開口は円形であり得る。露出させるとは、覆うの反対を意味する。換言すれば、露出させられたそれぞれの開口をそれぞれのポートによって接触させることができ、ひいては開口に負圧又は正圧を供給することができる。細長い穴は、具体的には円弧に沿って湾曲していてよい。
【0047】
装置は、ローラ内部で延びるシャフトをさらに含んでよく、複数のチャンバは、シャフト内に形成された複数の溝によって形成されている。
【0048】
好ましくは、チャンバは等しいサイズを有してよい。好ましくは、チャンバ間に配置された壁はできる限り薄く、具体的には少なくとも多孔質外壁への移行領域内では5mm、3mm、又は1mm未満の厚さである。
【0049】
回転しないチャンバと、チャンバの上方で動くローラとを備えた装置では、チャンバは異なるサイズを有していてよい。さらに1つのチャンバだけに永続的に負圧を供給することができる。さらに1つのチャンバだけに正圧を供給することができ、又はどのチャンバにも正圧を供給しないことも可能である。
【0050】
装置は、負圧供給ポートに接続された負圧発生デバイスを含んでよく、負圧発生デバイスは、少なくとも装置の動作中に負圧を発生させるように構成されている。
【0051】
負圧発生デバイスは例えば真空ポンプであってよい。このデバイスは、三次元ワークピースを製造するシステムの、負圧を必要とする他の構成部分にさらに接続されていてよい。
【0052】
装置は、正圧供給ポートに接続された正圧発生デバイスをさらに含んでよく、正圧発生デバイスは、少なくとも装置の動作中に正圧を発生させるように構成されている。
【0053】
正圧発生デバイスは例えばポンプ又はブロワであってよい。このデバイスは、三次元ワークピースを製造するシステムの、正圧を必要とするさらなる構成部分にさらに接続されていてよい。
【0054】
第2態様によれば、第1態様に基づく、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置を含む、三次元のワークピースを製造するシステムが提供される。より具体的には、システムは、粉末床を形成するように粉末を複数の層で受容する担体と、粉末を担体へ被着する少なくとも1つの粉末被着デバイスと、粉末床の最上部の粉末層を所定の位置で照射する少なくとも1つの照射ユニットと、第1態様に基づく、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置とを含む。
【0055】
三次元のワークピースを製造するシステムは、このようなシステムの通常の要素及び機能を有する選択的レーザー溶融システム又は選択的レーザー焼結システムであってよい。三次元のワークピースを製造するシステムは、例えば粉末床を形成するために、粉末を複数の層で被着するための担体を含む。さらに、粉末を被着するために、そして必要な場合には種々異なる材料から成る粉末を被着するために、1つ又は2つ以上の粉末被着デバイスを設けることができる。それぞれの材料のために、別個の粉末被着デバイスを設けることができる。担体は鉛直方向運動デバイスによって鉛直方向に下方へ向かって動かすことができるので、最上部の粉末層は、システムの構築チャンバに対して常に同じ高さにあり続ける。さらに、システムは1つ又は2つ以上の照射ユニットを含んでよい。照射ユニットはそれぞれビーム源(具体的にはレーザービーム源)と、ビームを整形し偏向させるための1つ又は2つ以上の光学素子(例えばビーム拡大器、集束ユニット、スキャナ、fθレンズ)を備えた光学システムとを含む。
【0056】
さらに、システムは、システムの構成部分を制御するように構成された制御ユニットを含んでよい。具体的には、制御ユニットは、粉末を除去する装置を制御するように(例えばローラの回転運動及び/又は並進運動を制御するように)構成されてよい。
【0057】
粉末を除去する装置は、システムの構築チャンバ内に配置することができる。具体的には、装置は粉末被着デバイスに連結することができる。この連結は、粉末を除去する装置を粉末被着デバイスと一緒に動かし得る(水平方向及び/又は鉛直方向に)ように構成することができる。
【0058】
換言すれば、装置は粉末被着デバイスに連結することができ、そしてシステムは運動デバイスを含むことができる。運動デバイスは、装置と粉末被着デバイスとを一緒に動かすように構成されている。
【0059】
具体的には、システムは、粉末を除去する装置を清浄化する清浄化ステーションを含んでよい。清浄化ステーションは、粉末を除去する装置を清浄化ステーションへ移動させ、そこで清浄化するように位置決めされていてよい。これを目的として、清浄化ステーションは例えば1つ又は2つ以上のノズルを含むことができ、そのノズルによって、粉末を除去する装置のローラから粉末を吹き飛ばし、粉末をローラから除去できる。この代わりに、又はこれに加えて、清浄化デバイスは、ローラから吸い取りを行う吸引デバイス、並びにスクレーパ、ブラシ、又は同様の機械的清浄化デバイスを有することもできる。
【0060】
負圧を供給されるチャンバは、ローラの、粉末床に面する側に配置することができる。
【0061】
具体的には、負圧を供給されるチャンバは、デバイスの動作中に粉末床と接触していてよく、或いは少なくとも粉末床に直接に対向しており、ひいては粉末を吸い込んで、粉末がローラの多孔質外壁に付着するようになっている。装置は、2つ以上のチャンバに所与の時点で負圧が供給されるように構成されていてよい。
【0062】
第3態様によれば、本発明は粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する方法に関する。この方法は、多孔質外壁を有する回転可能に支持されたローラを回転させることを含む。ローラは、ローラ内部に形成された複数のチャンバを有する。チャンバの少なくとも1つが、チャンバに負圧を提供するように構成された開口を有する。この方法は、少なくとも1つのチャンバに、チャンバの開口を介して負圧を供給することをさらに含む。具体的には、チャンバのそれぞれは開口を有していてよい。
【0063】
上記装置又はシステムと関連して論じられたすべての態様は、第3態様の方法に適用されてもよい。換言すれば、第1態様の装置及び/又は第2態様のシステムは、第3態様の方法を実施するように構成されていてよい。
【0064】
粉末を除去することに関連して、この方法は下記態様の1つ又は2つ以上をさらに含んでよい。負圧を供給されたチャンバの負圧によって、粉末が粉末床から吸引される。吸引された粉末は、少なくとも負圧が維持されている限り、ローラの多孔質外壁に付着したままである。負圧が維持されている間、粉末はローラの多孔質外壁の、チャンバの壁を形成する区分に吸い付けられる。吸引された粉末は、孔径が選択されていることにより、ローラの内部には侵入しない。ローラの回転移動中、それぞれのチャンバがもはや負圧を供給されなくなる時点まで(すなわちローラの位置まで)、粉末は吸い込まれ続ける。今やもはや吸い込まれることのない粉末は、吸引デバイスによって取り出され、そして必要な場合には、付加的にローラからブラッシング又はスクレーピングにより取り除かれる。加えて、前に負圧を供給されたそれぞれのチャンバの開口に、正圧を加えることができる。このことは吸引デバイスによる取り出しを容易にする。収集された粉末はこうして吸引デバイス内へ吹き込まれる。ローラのそれぞれの区分は今や再び粉末が取り除かれ、そして粉末床から新たな粉末を受容する準備ができた状態になる。ローラの並進に対してローラの回転をどの程度高速に制御するかに応じて、拾い上げる粉末の量を調節することができる。粉末に加えて、又は粉末の代わりとして、粒子(例えば溶接スパッタ)を粉末床から除去することができる。
【0065】
チャンバはローラの回転軸に沿って延びていてよく、そしてチャンバのそれぞれは多孔質外壁の部分によって仕切られていてよい。
【0066】
チャンバの少なくとも1つにその開口を介して負圧を供給することは、負圧供給ポートを介して所与の時点で達成されてよい。
【0067】
負圧を供給されるチャンバはローラの、粉末床に面する側に配置されていてよい。
【0068】
この方法は、ローラが拾い上げる粉末を吸引デバイスにより吸引することを含み、吸引デバイスは、所与の時点で負圧を供給されない、ローラのチャンバのうちの1つに対向して配置されている。
【0069】
この方法は、所与の時点で負圧を供給されない、チャンバの少なくとも1つに、チャンバの開口を介して、所与の時点で正圧を供給することをさらに含んでよい。
【0070】
正圧供給ポート及び負圧供給ポートは、ローラの支持体に固定的に結合されていてよく、そしてこの方法は、ローラの回転中に、チャンバに負圧と正圧とを交互に供給することをさらに含んでよい。
【0071】
この方法は、ローラの回転中に、チャンバの開口が負圧供給ポートによって一度接触させられることにより、それぞれのチャンバが負圧を供給され、そして正圧供給ポートによって一度接触させられることにより、それぞれのチャンバが正圧を供給されるように、ローラを回転させることをさらに含んでよい。
【0072】
ローラは円筒形状で形成されてよく、開口が円筒の底面内に設けられていてよい。
【0073】
ローラ内部には少なくとも3つのチャンバが形成されていてよい。この方法は、正圧供給ポートを介して、チャンバのいくつかに正圧を同時に供給することを含んでよい。この方法は、負圧供給ポートを介して、チャンバのいくつかに負圧を同時に供給することを含んでよい。
【0074】
正圧供給ポートは、いくつかのチャンバの開口を同時に露出させる細長い穴を有していてよい。負圧供給のための接続部は、いくつかのチャンバの開口を同時に露出させる細長い穴を有することができる。
【0075】
添付の図面を参照しながら、本発明を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】
図1は、本開示の実施態様に基づく、三次元物体を製造するシステムを、システムの粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置と一緒に示す斜視側面図である。
【
図2】
図2は、本開示の技術の原理を説明する、粉末床から粉末及び/又は粒子を除去する装置を示す概略側面図である。
【
図3a】
図3(a)は、本開示の実施態様に基づく装置を示す断面図である。
【
図3c】
図3(c)は、
図3(a)の装置を、それぞれ負圧及び正圧を接続するための細長い穴を含む制御ディスクとともに示す斜視図である。
【
図3d】
図3(d)は、
図3(a)の装置を、負圧及び正圧を接続するための管コネクタとともに示す斜視図である。
【
図4a】
図4(a)は、
図3(a)の装置を、溝を備えたシャフト、開口を備えた穿孔ディスク、及び細長い穴を備えた制御ディスクとともに示す斜視断面図である。
【
図4b】
図4(b)は、
図4(a)と同様の
図3(a)の装置を、溝を備えたシャフトを取り除いた状態で示す斜視断面図である。
【
図4c】
図4(c)は、
図4(b)と同様の
図3(a)の装置を、開口を備えた穿孔ディスクが取り除かれた状態で示す斜視断面図である。
【
図5】
図5は、
図3(a)の装置を、ローラの回転軸に沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0077】
図1には、三次元物体2を製造するシステムが示されている。システム1は、システム1の粉末床3から粉末及び/又は粒子を除去する装置51を含む。装置51を除けば、システム1は、公知の構成部分を有する選択的レーザー溶融のための従来のシステムである。システム1によって用いられる選択的レーザー溶融技術は、当業者に周知であり、粉末床3内の選択的レーザー溶融に基づいてここでは手短に説明するだけにする。
【0078】
先ず、第1原材料粉末層がシステム1の担体5に被着され、そして所望の粉末領域が凝固されるように、1つ又は2つ以上のレーザービーム7a,7bによって部位選択的に照射される。この例は、それぞれがレーザー9a,9bと、光学系11a,11bとを含む2つの照射ユニットを備えたシステム1を示している。このように、レーザー9aと光学系11aとを含む照射ユニットは、レーザービーム7aを発し、そしてこれを粉末床3の最上部の粉末層の所望の位置へ導くように構成されている。さらに、レーザー9bと光学系11bとを含む照射ユニットは、レーザービーム7bを発し、そしてこれを粉末床3の最上部の粉末層の所望の位置へ導くように構成されている。光学系11a,11bはそれぞれ、ビームの整形及びビームの偏向のための構成部分、例えばレンズ、偏向ミラー、スキャナミラーなどを含む。
【0079】
システム1のすべての構成部分、具体的にはレーザー9a,9b、光学系11a,11bのスキャナミラー、担体5の移動、及びさらに後述する粉末被着デバイス15a,15b及び装置51の機能は、制御ユニット13によって制御される。
【0080】
第1粉末層が所望の通りに凝固された後、別の粉末層が前の粉末層に被着され、そして再びこの最上層の照射及び凝固が行われる。
【0081】
最上層と光学ユニットとの間の距離を常に一定に保つために、構築プロセス続行中に(本明細書中ではz方向と定義された鉛直方向に沿って)担体5を降下させ、且つ/又は光学ユニットを上昇させることが可能である。このようにすると、製造されるべき三次元ワークピース2が層毎に構築される。続いて凝固されていない粉末を除去し、そして必要な場合には再使用することができる。
【0082】
図1に示されたシステム1の特徴は、ワークピース2が2種の成分2a,2bから構築され、これらの成分のために2種の異なる粉末材料が使用される。粉末材料は例えば使用される粉末材料によって、しかし使用されるそれぞれの粉末の粒径によっても異なり得る。
【0083】
1ワークピース層当たり2種の成分2a及び2bから成るワークピースを構築するために、先ず、第1粉末材料から成る層が被着され、この層のために第1粉末被着デバイス15aが使用される。続いて、第1粉末から形成される、ワークピース2のそれぞれの層の領域が、レーザービーム7a,7bで凝固される。次の工程では、第1粉末材料は粉末床3から再び除去される。この目的のため、装置51が使用される。続いて、第2粉末が第2粉末被着デバイス15bを用いて被着され、そして第2粉末材料から形成される、前に第1粉末に対して照射されたワークピース2の層の領域が凝固される。後続の工程では、担体5は降下させられ、第1粉末から成る新しい層が第1粉末被着デバイス15aによって被着される。
【0084】
図1の二重矢印によって示されているように、2つの粉末被着デバイス15a及び15bは、それぞれの粉末を被着するために、粉末床3上を水平方向に移動可能である。図示の例では、装置51は、第1粉末被着デバイス15aに固定的に結合されており、そして第1粉末被着デバイスと一緒に動かされる。一方では、このことの利点は、装置51が付加的な移動デバイスを必要としないことである。それというのも、装置は第1粉末被着デバイス15aの移動デバイス(水平方向移動デバイス、及び任意には鉛直方向移動デバイス)と一緒に動かすことができるからである。さらなる利点は、粉末被着デバイス15aと装置51との間の高さ較正(すなわちz軸に沿った較正)を省略できることである。さらに、プロセスにおいて必要とされる場合には、(デバイス15a及び51が同時に
図1に示された正のx方向に沿って右へ動かされ、動作させられると)粉末を装置51によって除去し、同時に粉末を粉末被着デバイス15aによって被着することができる。
【0085】
ガス供給部17がシステム1の構築チャンバ19へ不活性ガスを供給するので、構築チャンバ19内部には不活性雰囲気が存在する。さらに、ガス抽出システム(図示せず)を設けることにより、構築チャンバ19から不活性ガスを引き戻すことができるので、構築チャンバ19を通る(具体的には粉末床3上の)ガス流が生成される。
【0086】
2種の粉末材料を使用した構築中に粉末層を除去するという上記の機能に加えて、又は上記の機能の代わりに、装置51を使用して粉末床3の表面から粒子を除去することもできる。具体的には、このような除去はレーザービーム7a,7bによる粉末の凝固中に生成された溶接スパッタであってよい。
【0087】
粉末床3から粉末及び/又は粒子を除去する装置51について以下に詳述する。
【0088】
図2は、粉末床3から粉末及び/又は粒子を除去する装置51を示す概略側面図である。
図2によって、本開示の技術の原理を説明することができる。
【0089】
装置51の基本原理(以後「吸引ローラ」とも呼ぶ)は、多孔質(具体的には微細孔質)の管(例えば焼結材料又はフェルト等の生地から成る、又は微細穴を備えた管から成る)が、内圧差の助けを借りて、粉末を規定された方法で吸引し、そして放出することである。多孔質管はローラ54の多孔質外壁53を構成する。
【0090】
動作中、ローラ54は粉末床3上を極めて短い距離を置いて転動し、回転運動と並進運動との組み合わせを実施し、機械加工(例えばフライス加工)におけるような「切削」速度をもたらす。換言すれば、ローラ54の回転速度と並進速度とは、制御ユニット13によって任意に調節することができる。例えば、これらの速度は、ローラ54のローラの外壁53が粉末床上を転動する回転速度に並進速度が相当するように設定できる。このようにすると、正確に1つの粉末層を除去することができる。しかしながら、ローラ54は並進運動に対して高速又は低速に回転することもできる。このことにより、例えば除去される粉末の量を制御することが可能になる。
【0091】
粉末はローラ54の内部の下側領域内に、負圧(「-p」)によって拾い上げられ、粉末粒子は粉末床3から吸い出される。粒子は多孔質管53内で捕捉され、ひいてはローラ54の拾い上げ能力を局所的に制限するので、決められた層深さだけが拾い上げられる。上側領域では、ローラ54内部に任意の正圧領域(「+p」)が位置しており、この正圧領域によって、拾い上げられた粉末粒子がローラ54から確実に排出される。加えて、ローラ54の上方には、負圧流(「-p」)を有する吸引ファンネル(以下、吸引デバイス69ともいう。)が設けられており、排出された粉末を除去する。
【0092】
負圧領域と正圧領域とは固定壁52によって、ほぼ等しいサイズの2つのチャンバに分離されている。ローラ54は、回転する多孔質外壁53によって形成されている。
【0093】
正圧領域(「+p」)を有する上記原理とは別の実施態様として、正圧領域を省略し、この代わりに例えば大気圧が優勢な領域で置き換えることもできる。大気圧とはここでは、システム1の構築チャンバ19内部の圧力を意味する。さらに、吸引デバイス69の領域内の粉末を除去するための付加的な手段、例えばブラシ又はスクレーパを設けてることもできる。
【0094】
図3(a)~(d)は、粉末床3から粉末及び/又は粒子を除去する装置51の種々異なる図を示している。
【0095】
図3(a)は、回転軸に対して垂直方向にローラ54を断面して示している。
図3(b)は斜視断面図であり、そして
図3(c)及び3(d)は、装置51のさらなる構成部分が示された斜視図である。
【0096】
図2に示された圧力範囲は、複数チャンバ構造によってローラ54内部で達成される。ローラ54のコアは、長手方向に溝を備えたシャフト55で構成され、このシャフト上には多孔質管が、ローラ54の多孔質外壁53として取り付けられている。シャフト55はローラ54と一緒に、従って多孔質外壁53と一緒に回転する。換言すれば、ローラ54内部に形成されたチャンバ59は、ローラ54の多孔質外壁53の「これらの」区分を保持する。従って、ローラ54の外壁53に対するチャンバ59の位置は、変化しないままである。
【0097】
チャンバ59間の壁は、多孔質外壁53への移行部において、できる限り狭幅である。このことは、外壁上の壁の領域内にも十分な負圧を発生させる。
【0098】
ローラ54の下側領域は粉末床3に面しており、そしてこの下側領域内に配置されたチャンバ59に負圧が供給される。ローラ54の上側領域に隣接して、吸引デバイス69が設けられており、この吸引デバイスによって、ローラ54の外壁53上へ吸引された粉末が再び吸引され、そして回収容器(図示せず)へ供給される。吸引デバイス69に対向するチャンバ59には、本実施態様では正圧が供給される。或いは、大気圧がこれらのチャンバ内に形成されてもよい。
【0099】
ローラ54の端部には、開口57(例えば穴、
図3(c)参照)を備えた板(穿孔板)が、シャフト55の溝が終わる個所に設けられている。この板は、ローラ54に結合されており、そしてローラ54と一緒に回転する。ローラ54の支持体61であるハウジング内では、いわゆる制御ディスク63が穿孔プレートに隣接している。制御ディスク63は、正圧供給ポート及び負圧供給ポートの一部を形成している。制御ディスク63の内側には、2つの湾曲した細長い穴65が設けられている。細長い穴65は円弧に沿って湾曲しており、円弧の中心が、ローラ54の回転軸と制御ディスク63との交点を形成する。細長い穴65はそれぞれ、所与の時点で、開口57のいくつかが同時に露出させられるように形成されている。したがって、所与の時点において、チャンバ59のいくつかに負圧を供給することができる。同様に、チャンバ59のいくつかに同時に正圧を供給することもできる。
【0100】
細長い穴65は管コネクタ67a,67bを介して接触している(
図3(d)参照)。
【0101】
図面において、明確さの理由から、上述の要素のすべてに固有の符号が付けられているわけではなく、いくつかの事例では、要素のうちの1つだけに固有の符号が付けられている(例えばチャンバ59のうちの1つだけにその固有の符号が付けられている)。
【0102】
さらに、1実施態様によれば、正圧供給ポートを省くことができ、そしてその代わりに大気へのポートを設けることができる。これを目的として、例えば上側の管コネクタ67bは大気へ向かって開いたままにすることができる。
【0103】
これに関連して、注目すべきなのは、負圧供給ポートの管コネクタ67aが、例えば管又はホースによって、負圧を発生させる装置(図示せず)に接続されていることである。このデバイスは装置51の一部と理解することができる。負圧を発生させるデバイスは、例えば真空ポンプであってよい。これは、システム1の他の要素にも負圧を供給する真空ポンプであってよい。同様に、正圧供給ポートの管コネクタ76bは、例えば管又はホースによって、正圧を発生させる装置(図示せず)に接続されている。このデバイスは装置51の部分と理解することができる。正圧を発生させるデバイスは、例えばポンプ又はブロワであってよい。これは、システム1の他の要素にも正圧を供給するポンプであってよい。
【0104】
ハウジング(支持体61)と吸引デバイス69とを備えた装置51全体は、粉末被着デバイス15aに組み付けられており、そして粉末被着デバイスと一緒に粉末床3上を動かされる。
【0105】
図4(a)~(c)は、
図3(a)~(d)の装置51の断面をさらに示している。より明確にするために、
図4(b)では、シャフト55が省略されており、そして
図4(c)では、チャンバ59の開口57を備えた穿孔板がさらに省かれている。開口57を備えた穿孔板と制御ディスク63との間には、(例えばテフロン(登録商標)のリングの形態を成す)シールを設けることができる。シールは、粉末床からの粉末がローラ及び/又は負圧ラインの内部へ侵入するのを防止する。
【0106】
図5は、
図3(a)~(d)の装置51を、ローラ54の回転軸に沿って示す断面図である。
図5からは、吸引デバイス69が漏斗状の断面を有することが判る。
【0107】
また、負圧供給ポートと正圧供給ポートとがローラ54の一方の端部71に配置されているのが判る。ローラ54の他方の反対側の端部73には、ローラ54の回転を駆動するアクチュエータ(例えばサーボモータ又はステッピングモータ、図示せず)が設けられている。アクチュエータは制御ユニット13によって制御される。
【0108】
電気的に操作されるアクチュエータの代わりの実施態様として、ローラ54は、負圧及び正圧のためのそれぞれのポートによってもたらされる圧力差により駆動することができる。さらに、ローラ54を粉末上で転動させ、そしてその結果生じる摩擦によって回転させることができる。
【0109】
動作中、装置51は規定量の粉末を粉末床3から、下記のように除去する。
【0110】
ローラ54の、粉末床3に面する下側領域内に配置されたチャンバ59には、制御ディスク63によって(より正確に言えば、制御ディスク63の細長い穴65を介して)負圧が供給される。
図3(c)から判るように、例えば3つのチャンバ59を同時に負圧と接触させ、そしてこれらのチャンバに負圧を供給することができる。これらのチャンバ59の多孔質外壁53には(すなわち、これらのチャンバ59の外壁を形成する多孔質外壁53の領域には)、粉末床3から粉末が吸い出される。規定量の厚さの粉末層がローラ54上に形成される。吸引された粉末は、ローラ54の回転によって、装置51の内部へ運ばれ、吸引デバイス69の方向に運ばれる。この経路上で、チャンバ59はこれらの負圧を失い、次いで制御ディスク63の上側の細長い穴65を通して正圧が供給される。吸引された粉末はローラ54から吹き飛ばされる。このことは装置51の、吸引デバイス69が配置された(上側)領域内で行われる。そこでは、粉末は吸い取られ、回収容器(図示せず)へ供給される。
【0111】
こうして再び粉末から解放されたローラ54は回転し続け、そして粉末床3から新しい粉末を拾い上げるすることができる。
【0112】
上記のように、制御ディスク63の細長い穴65は、チャンバ59のいくつかに負圧又は正圧を同時に供給し得るように構成されている。別の実施態様では、いかなる所与の時点においても、1つのチャンバ59だけに負圧が供給され、そして1つのチャンバ59だけに正圧が供給される。
【0113】
さらに、チャンバ59を負圧又は正圧と接触させる方法は、いくつでも可能である。図示の実施態様では、ローラ54は、ローラ54によって形成された円筒の底面を介して接触させられる。
【0114】
或いは、(ローラ54に向かって)内方へ向けられたポートによって、支持体61内の接触を達成することもできる。さらなる別の実施態様では、ローラ54は、支持体61に固定的に結合された軸上で回転させることができる。軸は、チャンバ59の1つ又は2つ以上を負圧と接触させるためのキャビティを有している。これを目的として、キャビティは半径方向外向きの開口を有している。同様に、チャンバ59の1つ又は2つ以上を正圧と接触させるために、軸内にはキャビティが設けられていてよい。このキャビティはまた、半径方向外向きの1つ又は2つ以上の開口を有している。
【0115】
上記技術によって、決められた量の粉末を粉末床から確実に除去することができる。この代わりに、又はこれに加えて、溶接スパッタのような粒子を除去することもできる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
上記技術によって、決められた量の粉末を粉末床から確実に除去することができる。この代わりに、又はこれに加えて、溶接スパッタのような粒子を除去することもできる。
なお、本発明の実施形態の態様として、以下に示すものがある。
[態様1]
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)であって、
- 多孔質外壁(53)を有する、回転可能に支持されたローラ(54)、及び
- 前記ローラ(54)内部に形成された複数のチャンバ(59)、
- 所与の時点で前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに負圧を供給するように形成された負圧供給ポート、
を含み、
前記複数のチャンバ(59)の前記少なくとも1つが、前記チャンバ(59)の前記少なくとも1つに負圧を供給するように構成された開口(57)を有している、
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)。
[態様2]
前記複数のチャンバ(59)が前記ローラ(54)の回転軸に沿って延びており、前記複数のチャンバ(59)のそれぞれが前記多孔質外壁(53)の区分によって仕切られている、態様1に記載の装置(51)。
[態様3]
- 前記ローラ(54)によって拾い上げられた粉末を吸い取るための吸引デバイス(69)であって、前記吸引デバイス(69)が、前記所与の時点で負圧を供給されない、前記ローラ(54)の前記複数のチャンバ(59)のうちの1つに対向して配置されている、吸引デバイス(69)
をさらに含む、態様1又は2に記載の装置(51)。
[態様4]
前記負圧供給ポートが前記ローラ(54)の支持体(61)に固定的に結合され、前記複数のチャンバ(59)が前記ローラに回転可能に固定状態で接続され、各チャンバが前記チャンバ(59)に正圧又は負圧を供給するように構成された開口(57)を有しており、前記供給部及び前記複数のチャンバが、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧を供給されるように構成されている、態様1から3のいずれかに記載の装置(51)。
[態様5]
- 正圧供給ポートであって、前記所与の時点で負圧を供給されない、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに、前記チャンバの開口(57)を介して、前記所与の時点で正圧を供給するように形成されている、正圧供給ポート
をさらに含む、態様1から4のいずれかに記載の装置(51)。
[態様6]
前記正圧供給ポートが前記ローラ(54)の前記支持体(61)に固定的に結合されており、前記供給部及び前記複数のチャンバは、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧と正圧とを交互に供給されるように構成されている、態様4又は5に記載の装置(51)。
[態様7]
前記ローラ(54)の回転中に、チャンバ(59)の前記開口(57)が前記負圧供給ポートに一度接触させられることにより、それぞれの前記チャンバ(59)が負圧を供給され、前記正圧供給ポートに一度接触させられることにより、それぞれの前記チャンバ(59)が正圧を供給されるように、前記装置(51)が構成されている、態様6に記載の装置(51)。
[態様8]
前記ローラ(54)が円筒形状で形成されており、前記開口(57)が円筒の底面内に設けられている、態様1から7のいずれかに記載の装置(51)。
[態様9]
前記ローラ(54)内部に少なくとも3つのチャンバ(59)が形成されており、
任意の正圧供給ポートが、前記チャンバ(59)のいくつかに正圧を同時に供給するように構成されており、且つ/又は
前記負圧供給ポートが、前記チャンバ(59)のいくつかに負圧を同時に供給するように構成されている、
態様1から8のいずれかに記載の装置(51)。
[態様10]
前記任意の正圧供給ポートが、いくつかのチャンバ(59)の前記開口(57)を同時に露出させる細長い穴(65)を有しており、且つ/又は、
前記負圧供給ポートが、いくつかのチャンバ(59)の前記開口(57)を同時に露出させる細長い穴(65)を有している、
態様9に記載の装置(51)。
[態様11]
- 前記ローラ(54)内部で延びるシャフト(55)であって、前記複数のチャンバ(59)が、前記シャフト(55)内に形成された複数の溝によって形成されている、シャフト(55)
をさらに含む、態様1から10のいずれかに記載の装置(51)。
[態様12]
三次元のワークピースを製造するシステム(1)であって、
- 粉末床(3)が形成されるように粉末を複数の層で受容する担体(5)と、
- 前記粉末を前記担体(5)へ被着する少なくとも1つの粉末被着デバイス(15a,15b)と、
- 前記粉末床(3)の最上部の粉末層を所定の位置で照射する少なくとも1つの照射ユニットと、
- 態様1から11のいずれかに記載の、粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)と
を含む、三次元のワークピースを製造するシステム(1)。
[態様13]
前記装置(51)が前記粉末被着デバイス(15a)に連結されており、前記システム(1)が前記装置(51)と前記粉末被着デバイス(15a)とを一緒に動かすように形成された移動デバイスを含む、態様12に記載のシステム(1)。
[態様14]
前記負圧を供給される前記チャンバ(59)が、前記ローラ(54)の、前記粉末床(3)に面する側に配置されている、態様12又は13に記載のシステム(1)。
[態様15]
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する方法であって、
- 多孔質外壁(53)を有する回転可能に支持されたローラ(54)であって、前記ローラ(54)が、前記ローラ(54)内部に形成された複数のチャンバ(59)を有し、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つが、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに負圧を提供するように構成された開口(57)を有する、前記ローラ(54)を回転させることと、
- 前記少なくとも1つの前記チャンバ(59)に、前記チャンバの開口(57)を介して負圧を供給する、
ことを含む、粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)であって、
- 多孔質外壁(53)を有する、回転可能に支持されたローラ(54)、及び
- 前記ローラ(54)内部に形成された複数のチャンバ(59)、
- 所与の時点で前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに負圧を供給するように形成された負圧供給ポート、
を含み、
前記複数のチャンバ(59)の前記少なくとも1つが、前記チャンバ(59)の前記少なくとも1つに負圧を供給するように構成された開口(57)を有している、
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)。
【請求項2】
前記複数のチャンバ(59)が前記ローラ(54)の回転軸に沿って延びており、前記複数のチャンバ(59)のそれぞれが前記多孔質外壁(53)の区分によって仕切られている、請求項1に記載の装置(51)。
【請求項3】
- 前記ローラ(54)によって拾い上げられた粉末を吸い取るための吸引デバイス(69)であって、前記吸引デバイス(69)が、前記所与の時点で負圧を供給されない、前記ローラ(54)の前記複数のチャンバ(59)のうちの1つに対向して配置されている、吸引デバイス(69)
をさらに含む、請求項1又は2に記載の装置(51)。
【請求項4】
前記負圧供給ポートが前記ローラ(54)の支持体(61)に固定的に結合され、前記複数のチャンバ(59)が前記ローラに回転可能に固定状態で接続され、各チャンバが前記チャンバ(59)に正圧又は負圧を供給するように構成された開口(57)を有しており、前記
負圧供給
ポート及び前記複数のチャンバ
(59)が、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧を供給されるように構成されている、請求項1
に記載の装置(51)。
【請求項5】
- 正圧供給ポートであって、前記所与の時点で負圧を供給されない、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに、前記チャンバの開口(57)を介して、前記所与の時点で正圧を供給するように形成されている、正圧供給ポート
をさらに含む、請求項1
に記載の装置(51)。
【請求項6】
前記負圧供給ポートが前記ローラ(54)の支持体(61)に固定的に結合され、前記複数のチャンバ(59)が前記ローラに回転可能に固定状態で接続され、各チャンバが前記チャンバ(59)に正圧又は負圧を供給するように構成された開口(57)を有しており、前記負圧供給ポート及び前記複数のチャンバが、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧を供給されるように構成されており、且つ
前記正圧供給ポートが前記ローラ(54)の前記支持体(61)に固定的に結合されており、前記
負圧供給
ポート及び前記複数のチャンバ
(59)は、前記ローラ(54)の回転中に、前記複数のチャンバ(59)が負圧と正圧とを交互に供給されるように構成されている、請求項
5に記載の装置(51)。
【請求項7】
前記ローラ(54)の回転中に、チャンバ(59)の前記開口(57)が前記負圧供給ポートに一度接触させられることにより、それぞれの前記チャンバ(59)が負圧を供給され、前記正圧供給ポートに一度接触させられることにより、それぞれの前記チャンバ(59)が正圧を供給されるように、前記装置(51)が構成されている、請求項6に記載の装置(51)。
【請求項8】
前記ローラ(54)が円筒形状で形成されており、前記開口(57)が円筒の底面内に設けられている、請求項1
に記載の装置(51)。
【請求項9】
前記ローラ(54)内部に少なくとも3つのチャンバ(59)が形成されており、
任意の正圧供給ポートが、前記チャンバ(59)のいくつかに正圧を同時に供給するように構成されており、且つ/又は
前記負圧供給ポートが、前記チャンバ(59)のいくつかに負圧を同時に供給するように構成されている、
請求項1
に記載の装置(51)。
【請求項10】
前記任意の正圧供給ポートが、いくつかのチャンバ(59)の前記開口(57)を同時に露出させる細長い穴(65)を有しており、且つ/又は、
前記負圧供給ポートが、いくつかのチャンバ(59)の前記開口(57)を同時に露出させる細長い穴(65)を有している、
請求項9に記載の装置(51)。
【請求項11】
- 前記ローラ(54)内部で延びるシャフト(55)であって、前記複数のチャンバ(59)が、前記シャフト(55)内に形成された複数の溝によって形成されている、シャフト(55)
をさらに含む、請求項1
に記載の装置(51)。
【請求項12】
三次元のワークピースを製造するシステム(1)であって、
- 粉末床(3)が形成されるように粉末を複数の層で受容する担体(5)と、
- 前記粉末を前記担体(5)へ被着する少なくとも1つの粉末被着デバイス(15a,15b)と、
- 前記粉末床(3)の最上部の粉末層を所定の位置で照射する少なくとも1つの照射ユニットと、
- 請求項1
に記載の、粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する装置(51)と
を含む、三次元のワークピースを製造するシステム(1)。
【請求項13】
前記装置(51)が前記粉末被着デバイス(15a)に連結されており、前記システム(1)が前記装置(51)と前記粉末被着デバイス(15a)とを一緒に動かすように形成された移動デバイスを含む、請求項12に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記負圧を供給される前記チャンバ(59)が、前記ローラ(54)の、前記粉末床(3)に面する側に配置されている、請求項12
又は13に記載のシステム(1)。
【請求項15】
粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する方法であって、
- 多孔質外壁(53)を有する回転可能に支持されたローラ(54)であって、前記ローラ(54)が、前記ローラ(54)内部に形成された複数のチャンバ(59)を有し、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つが、前記複数のチャンバ(59)の少なくとも1つに負圧を提供するように構成された開口(57)を有する、前記ローラ(54)を回転させることと、
- 前記少なくとも1つのチャンバ(59)に、前記チャンバの開口(57)を介して負圧を供給する、
ことを含む、粉末床(3)から粉末及び/又は粒子を除去する方法。
【国際調査報告】