(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】曲面に対するインプリントリソグラフィプロセスおよび方法
(51)【国際特許分類】
B82Y 20/00 20110101AFI20240521BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20240521BHJP
G02B 1/10 20150101ALI20240521BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240521BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240521BHJP
H04N 13/344 20180101ALI20240521BHJP
G02B 1/118 20150101ALN20240521BHJP
【FI】
B82Y20/00
G02B5/32
G02B1/10
G02B27/02 Z
B82Y40/00
H04N13/344
G02B1/118
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565905
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 US2022071986
(87)【国際公開番号】W WO2022232819
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514108838
【氏名又は名称】マジック リープ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Magic Leap,Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 W SUNRISE BLVD,PLANTATION,FL 33322 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シン, ビクラムジト
(72)【発明者】
【氏名】シュー, フランク ワイ.
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
2K009
【Fターム(参考)】
2H199CA02
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA27
2H199CA32
2H199CA53
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA92
2H199CA93
2H199CA94
2H199CA95
2H199CA97
2H249CA04
2H249CA09
2H249CA15
2H249CA22
2H249CA28
2K009AA01
(57)【要約】
曲面上にパターンを作成するための方法および光学構造(例えば、湾曲導波路、反射防止特徴を有するレンズ、ウェアラブルヘッドデバイスの光学構造)が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、曲面上にパターニング材料を堆積させることと、パターニング材料の上に上層を配置することであって、上層が、パターンを作成するためのテンプレートを備える、ことと、パターニング材料を使用して、曲面と上層との間に力を加えることと、パターニング材料を硬化させることであって、硬化したパターニング材料がパターンを含む、ことと、上層を除去することとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、パターンを使用して光学構造を形成することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
第1のパターニング材料を曲面上に堆積させることと、
前記パターニング材料の上に上層を配置することであって、前記上層は、パターンと関連付けられたテンプレートを備える、ことと、
前記第1のパターニング材料を使用して、前記曲面と前記上層との間に力を加えることと、
前記第1のパターニング材料を硬化させることであって、前記硬化は、前記パターンを備える硬化したパターニング材料をもたらす、ことと、
前記上層を除去することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記パターンを使用して光学構造を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記曲面は、1つ以上のナノチャネル配置を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記力は、毛管力を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記力は、前記パターニング材料の厚さおよび前記パターニング材料の接触角の1つ以上に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記力は、前記曲面に対する適用された上層の位置を維持する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記曲面上に前記パターニング材料を堆積させることは、前記パターニング材料をインクジェットすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パターニング材料の上に前記上層を配置することは、前記上層に力を加えて、前記上層を前記曲面に向かって曲げることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記上層は、可撓性コーティングされたレジストテンプレートを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記上層は、ポリカーボネートおよびポリエチレンテレフタレートの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記上層は、50~550μmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記上層は、10GPa未満の弾性率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記パターンを剥離層によってコーティングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
共有結合を介して前記パターニング材料を前記曲面と結合させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のパターニング材料は、第1の体積を有し、
前記第1のパターニング材料は、前記曲面に対して第1の位置に堆積され、
前記方法は、前記曲面に対して第2の位置に第2の体積を有する第2のパターニング材料を堆積させることをさらに含み、
前記第1の位置における前記第1のパターニング材料の第1の厚さは、前記第1の体積の厚さに対応し、
前記第2の位置における前記第2のパターニング材料の第2の厚さは、前記第2の体積の厚さに対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のパターニング材料は、第1の材料を含み、
前記第1のパターニング材料は、前記曲面に対して第1の位置に堆積され、
前記方法は、第2の材料を含む第2のパターニング材料を前記曲面に対して第2の位置に堆積させることをさらに含み、
前記第1の位置における前記第1のパターニング材料の第1の厚さは、前記第1の材料の特性に対応し、
前記第2の位置における前記第2のパターニング材料の第2の厚さは、前記第2の材料の特性に対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のパターニング材料は、前記曲面の複数の第1の位置に堆積され、前記第1の位置は、第1の間隔によって分離され、
前記硬化したパターニング材料は、第2のパターンをさらに含み、
前記方法は、前記曲面の複数の第2の位置に第2のパターニング材料を堆積させることであって、前記第2の位置は、第2の間隔によって分離される、ことをさらに含み、
前記第1の間隔は、前記第1のパターンを作成するための前記第1の力を加えるための第1の厚さに対応し、
前記第2の間隔は、前記第2のパターンを作成するための第2の力を加えるための第2の厚さに対応する、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
エッチングによって前記パターンを前記曲面上に転写することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
光学的特徴を備える光学スタックであって、前記光学的特徴は、
第1のパターニング材料を曲面上に堆積させることと、
前記第1のパターニング材料の上に上層を配置することであって、前記上層は、パターンに関連付けられたテンプレートを備え、前記光学的特徴は、前記パターンを備える、ことと、
前記第1のパターニング材料を使用して、前記曲面と前記上層との間に力を加えることと、
前記第1のパターニング材料を硬化させることであって、前記硬化は、前記パターンを備える硬化パターニング材料をもたらす、ことと、
上層を除去することと
を含む方法を使用して形成される、光学スタック。
【請求項20】
システムであって、
ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスであって、
前記ディスプレイは、光学的特徴を備える光学スタックを備え、
前記光学的特徴は、
第1のパターニング材料を曲面上に堆積させることと、
前記パターニング材料の上に上層を配置することであって、前記上層は、パターンに関連付けられたテンプレートを備え、前記光学的特徴は、パターンを備える、ことと、
前記第1のパターニング材料を使用して、前記曲面と前記上層との間に力を加えることと、
前記第1のパターニング材料を硬化させることであって、前記硬化は、前記パターンを含む硬化パターニング材料をもたらす、ことと、
上層を除去することと
を含む方法を使用して形成される、ウェアラブルヘッドデバイスと、
方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサであって、前記方法は、
前記ディスプレイ上に、複合現実環境に関連付けられたコンテンツを提示することであって、前記コンテンツは、前記光学的特徴に基づいて提示される、こと
を含む、1つ以上のプロセッサと
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/182,522号の優先権を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、一般に、曲面、例えば湾曲導波路の表面に対するインプリントリソグラフィに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
微細パターンまたはナノパターンを曲面上にパターニングすることが望ましい場合がある。例えば、複合現実(MR)デバイス用の湾曲導波路を製造することは、曲面(例えば、湾曲導波路基材)上に微細パターンまたはナノパターンをパターニングすることを含み得て、パターンは、デバイス上のMRコンテンツの提示を改善し得る。剛性超基材(例えば、テンプレート)を使用する従来のパターニングプロセス(例えば、基材厚さ制御(例えば、フォトリソグラフィ)、全厚変動(TTV)が、これらのパターンを曲面上に確実に製造しないことがあるため、微細パターンまたはナノパターンを曲面上にパターニングするプロセスは、単純ではない場合がある。例えば、従来のプロセスは、そのような表面(例えば、基材上、上層の下方)上に分配される硬化性材料の体積を制御する能力を欠く場合がある。
【0004】
これらのパターンを曲面上に確実且つ効率的に製造するためには、パターニング機構の理解が必要となる場合がある。例えば、いくつかのプロセスパラメータは、柔軟でなくてもよく、他のいくつかのプロセスパラメータは、柔軟であってもよい。最適化され得る調整可能なパラメータの識別、およびパラメータが調整されることを可能にすることは、これらのパターンが曲面上に効果的に製造されることを許容し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
曲面上にパターンを作成するための方法および光学構造(例えば、湾曲導波路、反射防止特徴を有するレンズ、ウェアラブルヘッドデバイスの光学構造)が開示される。いくつかの実施形態では、方法は、曲面上にパターニング材料を堆積させることと、パターニング材料の上に上層を配置することであって、上層が、パターンを作成するためのテンプレートを備える、ことと、パターニング材料を使用して、曲面と上層との間に力を加えることと、パターニング材料を硬化させることであって、硬化したパターニング材料がパターンを含む、ことと、上層を除去することとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、本方法は、パターンを使用して光学構造を形成することをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、光学構造は、硬化性樹脂を成形するためにパターンを使用することによって形成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、光学構造は、湾曲導波路を備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、パターンは、湾曲導波路の焦点に対応する。
【0010】
いくつかの実施形態では、光学構造は、パターンに対応する反射防止特徴を有するレンズを備える。
【0011】
いくつかの実施形態では、曲面は、1つ以上のナノチャネル配置を備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、1つ以上のナノチャネル配置のそれぞれは、曲面の縁部に対して0度、12度、または22度の角度で配置される。
【0013】
いくつかの実施形態では、本方法は、ナノチャネル配置の上にパターニング材料を広げることをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、力は、毛管力を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、力は、パターニング材料の厚さ、パターニング材料の接触角、またはその両方に基づく。
【0016】
いくつかの実施形態では、力は、曲面に対する適用された上層の位置を維持する。
【0017】
いくつかの実施形態では、曲面上にパターニング材料を堆積させることは、パターニング材料をインクジェットすることを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、パターニング材料の上に上層を配置することは、上層に力を加えて上層を曲面に向かって曲げることを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、上層にかかる力は、ローラまたは機構を使用して加えられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、上層にかかる力は、上層と曲面との間の距離を維持し、距離は、加えられた力に対応する。
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、パターニング材料を使用して曲面と上層との間に力が加えられた後に、上層に力を加えることを停止することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、上層は、可撓性コーティングされたレジストテンプレートを備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、上層は、PC、ポリエチレンテレフタレート、またはその両方を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、上層は、50~550μmの厚さを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、上層は、10GPa未満の弾性率を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本方法は、パターンを剥離層によってコーティングすることをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、本方法は、共有結合を介してパターニング材料を曲面と結合することをさらに含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のパターニング材料は、第1の体積を有し、第1のパターニング材料は、曲面に対して第1の位置に堆積される。本方法は、曲面に対して第2の位置に第2の体積を有する第2のパターニング材料を堆積させることをさらに含む。第1の位置における第1のパターニング材料の第1の厚さは、第1の体積の厚さに対応し、第2の位置における第2のパターニング材料の第2の厚さは、第2の体積の厚さに対応する。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のパターニング材料は、第1の材料を含み、第1のパターニング材料は、曲面に対して第1の位置に堆積される。本方法は、第2の材料を含む第2のパターニング材料を曲面に対して第2の位置に堆積させることをさらに含む。第1の位置における第1のパターニング材料の第1の厚さは、第1の材料の特性に対応し、第2の位置における第2のパターニング材料の第2の厚さは、第2の材料の特性に対応する。
【0030】
いくつかの実施形態では、第1のパターニング材料は、曲面の複数の第1の位置に堆積され、第1の位置は第1の間隔によって分離され、硬化したパターニング材料は、第2のパターンをさらに含む。本方法は、曲面の複数の第2の位置に第2のパターニング材料を堆積させることであって、第2の位置が、第2の間隔によって分離される、ことをさらに含む。第1の間隔は、第1のパターンを作成するための第1の力を加えるための第1の厚さに対応し、第2の間隔は、第2のパターンを作成するための第2の力を加えるための第2の厚さに対応する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本方法は、エッチングによってパターンを曲面上に転写することをさらに含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、光学スタックは、光学的特徴を備える。光学的特徴は、上記の方法のいずれかを使用して形成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、システムは、ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスを備える。ディスプレイは、光学的特徴を備える光学スタックであって、光学的特徴が、上記の方法のいずれかを使用して形成される、光学スタックと、ディスプレイ上に、複合現実環境に関連付けられたコンテンツを提示することであって、コンテンツが光学的特徴に基づいて提示されることを含む方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な環境を示している。
【
図1B】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な環境を示している。
【
図1C】
図1A~
図1Cは、本開示の1つ以上の実施形態にかかる、例示的な環境を示している。
【0035】
【
図2A】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2B】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2C】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【
図2D】
図2A~
図2Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの構成要素を示している。
【0036】
【
図3A】
図3Aは、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実ハンドヘルドコントローラを示している。
【0037】
【
図3B】
図3Bは、本開示の実施形態にかかる、例示的な補助ユニットを示している。
【0038】
【
図4】
図4は、本開示の実施形態にかかる、例示的な複合現実システムの例示的な機能ブロック図を示している。
【0039】
【0040】
【
図6】
図6A~
図6Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的なナノチャネル配置を示している。
【0041】
【
図7A】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図7B】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図7C】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図7D】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図7E】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図7F】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【0042】
【
図8A】
図8A~
図8Cは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図8B】
図8A~
図8Cは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【
図8C】
図8A~
図8Cは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。
【0043】
【
図9】
図9は、本開示の実施形態にかかる、曲面上にパターンを製造するための例示的な力伝達を示している。
【0044】
【
図10】
図10A~
図10Eは、本開示の実施形態にかかる、曲面上に製造されたパターンの例示的な適用を示している。
【0045】
【0046】
【
図12】
図12は、本開示の実施形態にかかる、曲面上にパターンを製造する例示的な方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
詳細な説明
以下の例の説明では、本明細書の一部を形成し、実施されることができる特定の例を例示として示す添付の図面を参照する。開示された例の範囲から逸脱することなく、他の例が使用されることができ、構造的変更が行われることができることを理解されたい。
【0048】
全ての人と同様に、複合現実システムのユーザは、現実環境、すなわち、ユーザによって知覚可能な「現実世界」の3次元部分およびそのコンテンツの全てに存在する。例えば、ユーザは、人間の通常の感覚(視覚、音、触覚、味覚、嗅覚)を使用して現実環境を知覚し、現実環境内で自分の身体を動かすことによって現実環境と相互作用する。現実環境における位置は、座標空間における座標として記述されることができる。例えば、座標は、海面に対する緯度、経度、および高度;基準点からの3つの直交寸法における距離;または他の適切な値を含むことができる。同様に、ベクトルは、座標空間内の方向および大きさを有する量を記述することができる。
【0049】
コンピューティングデバイスは、例えば、デバイスに関連付けられたメモリに、仮想環境の表現を維持することができる。本明細書で使用される場合、仮想環境は、3次元空間の計算表現である。仮想環境は、任意のオブジェクト、アクション、信号、パラメータ、座標、ベクトル、またはその空間に関連付けられた他の特性の表現を含むことができる。いくつかの例では、コンピューティングデバイスの回路(例えば、プロセッサ)は、仮想環境の状態を維持および更新することができる。すなわち、プロセッサは、第1の時間t0において、仮想環境に関連付けられたデータおよび/またはユーザによって提供された入力に基づいて、第2の時間t1における仮想環境の状態を決定することができる。例えば、仮想環境内のオブジェクトが時間t0において第1の座標に位置し、特定のプログラムされた物理的パラメータ(例えば、質量、摩擦係数)を有する場合、ユーザから受信した入力は、方向ベクトルにおいてオブジェクトに力が加えられるべきであることを指示する。プロセッサは、基本力学を使用して時間t1におけるオブジェクトの位置を決定するために運動学の法則を適用することができる。プロセッサは、仮想環境について知られている任意の適切な情報および/または任意の適切な入力を使用して、時間t1における仮想環境の状態を決定することができる。仮想環境の状態を維持および更新する際に、プロセッサは、仮想環境における仮想オブジェクトの作成および削除に関連するソフトウェア;仮想環境における仮想オブジェクトまたはキャラクタの挙動を定義するためのソフトウェア(例えば、スクリプト);仮想環境における信号(例えば、音声信号)の挙動を定義するためのソフトウェア;仮想環境に関連付けパラメータを作成および更新するためのソフトウェア;仮想環境において音声信号を生成するためのソフトウェア;入出力を扱うソフトウェア;ネットワーク動作を実装するためのソフトウェア;アセットデータを適用するソフトウェア(例えば、仮想オブジェクトを経時的に移動させるためのアニメーションデータ);または他の多くの可能性を含む任意の適切なソフトウェアを実行することができる。
【0050】
ディスプレイまたはスピーカなどの出力デバイスは、仮想環境の任意のまたは全ての態様をユーザに提示することができる。例えば、仮想環境は、ユーザに提示されることができる仮想オブジェクト(これは、無生物;人々;動物;ライトなどのオブジェクトの表現を含み得る)を含み得る。プロセッサは、仮想環境のビューを決定することができ(例えば、原点座標、ビュー軸、および錐台を有する「カメラ」に対応する)、ディスプレイに、そのビューに対応する仮想環境の視聴可能なシーンをレンダリングすることができる。この目的のために、任意の適切なレンダリング技術が使用され得る。いくつかの例では、視聴可能なシーンは、仮想環境内のいくつかの仮想オブジェクトを含み、特定の他の仮想オブジェクトを除外し得る。同様に、仮想環境は、1つ以上の音声信号としてユーザに提示され得る音声態様を含み得る。例えば、仮想環境内の仮想オブジェクトは、オブジェクトの位置座標から生じる音を生成し得る(例えば、仮想キャラクタは、発話するか、または効果音を発生させ得る)。あるいは、仮想環境は、特定の位置に関連付けられてもよく、または関連付けられなくてもよい音楽キューまたは周囲音に関連付けられてもよい。プロセッサは、「聴取者」座標に対応する音声信号、例えば、仮想環境内の音の合成に対応し、聴取者座標において聴取者が聞く音声信号をシミュレートするために混合および処理された音声信号を決定し、1つ以上のスピーカを介して音声信号をユーザに提示することができる。
【0051】
仮想環境は、計算構造として存在するため、ユーザは、通常の感覚を使用して仮想環境を直接知覚し得ない。代わりに、ユーザは、例えばディスプレイ、スピーカ、触覚出力デバイスなどによってユーザに提示されるように、仮想環境を間接的に知覚することができる。同様に、ユーザは、仮想環境に直接触れたり、仮想環境を操作したり、仮想環境と直接相互作用したりし得ないが、仮想環境を更新するためにデバイスまたはセンサデータを使用することができるプロセッサに、入力デバイスまたはセンサを介して入力データを提供することができる。例えば、カメラセンサは、ユーザが仮想環境内でオブジェクトを移動させようとしていることを示す光学データを提供することができ、プロセッサは、そのデータを使用して、仮想環境内でオブジェクトにそれに応じて応答させることができる。
【0052】
複合現実システムは、例えば、透過型ディスプレイおよび/または1つ以上のスピーカ(これは、例えば、ウェアラブルヘッドデバイスに組み込まれてもよい)を使用して、現実環境と仮想環境との態様を組み合わせた複合現実環境(MRE)をユーザに提示することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上のスピーカは、ウェアラブルヘッドデバイスの外部にあってもよい。本明細書で使用される場合、MREは、現実環境と対応する仮想環境との同時表現である。いくつかの例では、対応する現実環境および仮想環境は、単一の座標空間を共有する。いくつかの例では、実座標空間および対応する仮想座標空間は、変換行列(または他の適切な表現)によって互いに関連付けられる。したがって、単一の座標(いくつかの例では、変換行列とともに)は、現実環境内の第1の位置、および仮想環境内の第2の対応する位置を定義することができ、逆もまた同様である。
【0053】
MREでは、仮想オブジェクト(例えば、MREに関連付けられた仮想環境における)は、現実オブジェクト(例えば、MREに関連する現実環境における)に対応することができる。例えば、MREの現実環境が位置座標に現実のランプポスト(現実オブジェクト)を含む場合、MREの仮想環境は、対応する位置座標に仮想ランプポスト(仮想オブジェクト)を含み得る。本明細書で使用される場合、現実オブジェクトは、対応する仮想オブジェクトと組み合わせて、「複合現実オブジェクト」を構成する。仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトと完全に一致または位置合わせされる必要はない。いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトの単純化版とすることができる。例えば、現実環境が現実のランプポストを含む場合、対応する仮想オブジェクトは、現実のランプポストとほぼ同じ高さおよび半径の円筒を含み得る(ランプポストがほぼ円筒形の形状であり得ることを反映している)。このように仮想オブジェクトを単純化することは、計算効率を高めることができ、そのような仮想オブジェクトに対して実行される計算を単純化することができる。さらに、MREのいくつかの例では、現実環境内の全ての現実オブジェクトが対応する仮想オブジェクトに関連付けられるとは限らない。同様に、MREのいくつかの例では、仮想環境内の全ての仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトに関連付けられるとは限らない。すなわち、いくつかの仮想オブジェクトは、現実世界の対応物なしで、MREの仮想環境のみであってもよい。
【0054】
いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトの特性とは時々大幅に異なる特性を有し得る。例えば、MRE内の現実環境は、緑色の2本腕のサボテン(とげのある無生物のオブジェクト)を含み得るが、MRE内の対応する仮想オブジェクトは、人間の顔の特徴および無表情を有する緑色の2本腕の仮想キャラクタの特性を有し得る。この例では、仮想オブジェクトは、特定の特性(色、腕の数)においてその対応する現実オブジェクトに似ているが、他の特性(顔の特徴、性格)は、現実オブジェクトとは異なる。このようにして、仮想オブジェクトは、創造的、抽象的、誇張的、または想像的な方法で現実オブジェクトを表す、または、そうでなければ無生物の現実オブジェクトに挙動(例えば、人間の性格)を与える可能性を有する。いくつかの例では、仮想オブジェクトは、現実世界の対応物のない純粋に想像力のある作成物(例えば、場合によっては現実環境内の空きスペースに対応する位置にいる仮想環境内の仮想モンスター)であり得る。
【0055】
いくつかの例では、仮想オブジェクトは、対応する現実オブジェクトに似た特性を有する。例えば、仮想キャラクタは、ユーザに没入型複合現実体験を提供するために、仮想または複合現実環境において生きているような人物として提示され得る。生きているような特徴を有する仮想キャラクタでは、ユーザは、自分が現実の人と相互作用しているように感じることがある。そのような場合、仮想キャラクタの筋肉の動きや視線などの動作は自然に見えることが望ましい。例えば、仮想キャラクタの動きは、対応する現実オブジェクトと同様であるべきである(例えば、仮想人間は、現実の人間のように腕を歩いたり動かしたりすべきである)。別の例として、仮想人間のジェスチャおよび位置決めは自然に見えるべきであり、仮想人間は、ユーザとの最初の相互作用を行うことができる(例えば、仮想人間は、ユーザとの協調的体験を導くことができる)。ここで、生きているような特徴を有する仮想キャラクタの提示についてより詳細に説明する。
【0056】
現実環境を不明瞭にしながらユーザに仮想環境を提示する仮想現実(VR)システムと比較して、MREを提示する複合現実システムは、仮想環境が提示されている間に現実環境が知覚可能なままであるという利点を提供する。したがって、複合現実システムのユーザは、現実環境に関連付けられた視覚的および音声的キューを使用して、対応する仮想環境を体験し、相互作用することができる。例として、本明細書に記載されるように、ユーザは、仮想環境を直接知覚または相互作用し得ないため、VRシステムのユーザは、仮想環境に表示された仮想オブジェクトを知覚または相互作用するのに苦労することがあるが、複合現実(MR)システムのユーザは、自分自身の現実環境内の対応する現実オブジェクトを見て、聞いて、触れることによって仮想オブジェクトと相互作用することがより直感的且つ自然であると見出し得る。このレベルの相互作用性は、仮想環境との没入感、接続感、および関与感を高め得る。同様に、現実環境と仮想環境とを同時に提示することによって、複合現実システムは、VRシステムに関連付けられた否定的な心理的感情(例えば、認知的不協和)および否定的な身体的感情(例えば、酔い)を低減し得る。複合現実システムは、現実世界の体験を増強または変更し得るアプリケーションの多くの可能性をさらに提供する。
【0057】
図1Aは、ユーザ110が複合現実システム112を使用する例示的な現実環境100を示している。複合現実システム112は、例えば本明細書に記載されるように、ディスプレイ(例えば、透過型ディスプレイ)および1つ以上のスピーカ、ならびに1つ以上のセンサ(例えば、カメラ)を備え得る。図示の現実環境100は、ユーザ110が立っている長方形部屋104Aと、現実オブジェクト122A(ランプ)、現実オブジェクト124A(テーブル)、現実オブジェクト126A(ソファー)、および現実オブジェクト128A(絵画)とを含む。部屋104Aは、位置座標(例えば、座標系108)によって空間的に記述され得る。現実環境100の位置は、位置座標の原点(例えば、点106)に関して記述され得る。
図1Aに示すように、その原点106(世界座標)を有する環境/世界座標系108(x軸108X、y軸108Y、およびz軸108Zを含む)は、現実環境100の座標空間を定義することができる。いくつかの実施形態では、環境/世界座標系108の原点106は、複合現実システム112の電源がオンにされた場所に対応し得る。いくつかの実施形態では、環境/世界座標系108の原点106は、動作中にリセットされてもよい。いくつかの例では、ユーザ110は、現実環境100内の現実オブジェクトとみなし得る。同様に、ユーザ110の身体部分(例えば、手、足)は、現実環境100における現実オブジェクトとみなし得る。いくつかの例では、点115(例えば、ユーザ/聴取者/頭部座標)を原点とするユーザ/聴取者/頭部座標系114(x軸114X、y軸114Y、およびz軸114Zを含む)は、複合現実システム112が配置されているユーザ/聴取者/頭部についての座標空間を定義することができる。ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115は、複合現実システム112の1つ以上の構成要素に対して定義され得る。例えば、ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115は、複合現実システム112の初期較正中などに、複合現実システム112のディスプレイに対して定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、ユーザ/聴取者/頭部座標系114空間と環境/世界座標系108空間との間の変換を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、左耳座標116および右耳座標117は、ユーザ/聴取者/頭部座標系114の原点115に対して定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、左耳座標116および右耳座標117とユーザ/聴取者/頭部座標系114空間との間の変換を特徴付けることができる。ユーザ/聴取者/頭部座標系114は、ユーザの頭部、または例えば環境/世界座標系108に対する頭部装着型デバイスに対する位置の表現を単純化することができる。同時位置推定およびマッピング(SLAM)、ビジュアルオドメトリ、または他の技術を使用して、ユーザ座標系114と環境座標系108との間の変換がリアルタイムで決定および更新されることができる。
【0058】
図1Bは、現実環境100に対応する例示的な仮想環境130を示している。図示の仮想環境130は、現実の長方形部屋104Aに対応する仮想の長方形部屋104Bと、現実オブジェクト122Aに対応する仮想オブジェクト122B;現実オブジェクト124Aに対応する仮想オブジェクト124B;現実オブジェクト126Aに対応する仮想オブジェクト126Bとを含む。仮想オブジェクト122B、124B、126Bに関連付けられたメタデータは、対応する現実オブジェクト122A、124A、126Aから導出された情報を含むことができる。仮想環境130は、現実環境100内のいかなる現実オブジェクトにも対応し得ない仮想キャラクタ132をさらに備える。現実環境100における現実オブジェクト128Aは、仮想環境130におけるいずれの仮想オブジェクトにも対応し得ない。点134をその原点とする持続座標系133(x軸133X、y軸133Y、およびz軸133Zを含む)(持続座標)は、仮想コンテンツの座標空間を定義することができる。持続座標系133の原点134は、現実オブジェクト126Aなどの1つ以上の現実オブジェクトに対して/相対的に定義され得る。行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、持続座標系133空間と環境/世界座標系108空間との間の変換を特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132のそれぞれは、持続座標系133の原点134に対して独自の持続座標点を有し得る。いくつかの実施形態では、複数の持続座標系が存在してもよく、仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132のそれぞれは、1つ以上の持続座標系に対して独自の持続座標点を有してもよい。
【0059】
持続座標データは、物理的環境に対して持続的な座標データであり得る。持続座標データは、持続的仮想コンテンツを配置するためにMRシステム(例えば、MRシステム112、200)によって使用されてもよく、持続的仮想コンテンツは、仮想オブジェクトが表示されているディスプレイの動きに結び付けられなくてもよい。例えば、2次元スクリーンは、スクリーン上の位置に対する仮想オブジェクトを表示し得る。2次元スクリーンの移動に伴って、仮想コンテンツがスクリーンとともに移動してもよい。いくつかの実施形態では、持続的仮想コンテンツは、部屋の隅に表示され得る。MRユーザは、隅を見て、仮想コンテンツを見て、隅から外を見てもよく(ユーザの頭部の動きにより、仮想コンテンツがユーザの視野内からユーザの視野外の位置に移動した可能性があるため、仮想コンテンツはもはや見えなくなり得る)、後ろを見て隅内の仮想コンテンツを見てもよい(現実オブジェクトが挙動し得る方法と同様)。
【0060】
いくつかの実施形態では、持続座標データ(例えば、持続座標系および/または持続座標フレーム)は、原点および3つの軸を含むことができる。例えば、持続座標系は、MRシステムによって部屋の中心に割り当てられ得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、部屋の中を動き回ったり、部屋の外に出たり、部屋に再び入ったりしてもよく、持続座標系は、(例えば、物理的環境に対して持続することから)部屋の中心に留まってもよい。いくつかの実施形態では、仮想オブジェクトは、持続的仮想コンテンツの表示を可能にし得る持続座標データへの変換を使用して表示され得る。いくつかの実施形態では、MRシステムは、持続座標データを生成するために同時位置特定およびマッピングを使用し得る(例えば、MRシステムは、持続座標系を空間内の点に割り当て得る)。いくつかの実施形態では、MRシステムは、一定の間隔で持続座標データを生成することによって環境をマッピングし得る(例えば、MRシステムは、グリッド内に持続座標系を割り当て得て、持続座標系は、別の持続座標系から少なくとも5フィート以内にあり得る)。
【0061】
いくつかの実施形態では、持続座標データは、MRシステムによって生成され、リモートサーバに送信され得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、持続座標データを受信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、複数の観測インスタンスからの持続座標データを同期させるように構成され得る。例えば、複数のMRシステムは、同じ部屋を持続座標データによってマッピングし、そのデータをリモートサーバに送信し得る。いくつかの実施形態では、リモートサーバは、この観測データを使用して、1つ以上の観測に基づき得る標準的な持続座標データを生成し得る。いくつかの実施形態では、標準的な持続座標データは、持続座標データの単一の観測よりも正確および/または信頼性が高くてもよい。いくつかの実施形態では、標準的な持続座標データは、1つ以上のMRシステムに送信され得る。例えば、MRシステムは、画像認識および/または位置データを使用して、対応する標準的な持続座標データを有する部屋に位置することを認識し得る(例えば、他のMRシステムが以前に部屋をマッピングしていることから)。いくつかの実施形態では、MRシステムは、その位置に対応する標準的な持続座標データをリモートサーバから受信し得る。
【0062】
図1Aおよび
図1Bに関連して、環境/世界座標系108は、現実環境100および仮想環境130の両方についての共有座標空間を定義する。図示の例では、座標空間は、点106にその原点を有する。さらに、座標空間は、同じ3つの直交軸(108X、108Y、108Z)によって定義される。したがって、現実環境100内の第1の位置、および仮想環境130内の第2の対応する位置は、同じ座標空間に関して記述されることができる。これは、同じ座標が使用されて両方の位置を識別することができるため、現実環境および仮想環境における対応する位置の識別および表示を単純化する。しかしながら、いくつかの例では、対応する現実環境および仮想環境は、共有座標空間を使用する必要はない。例えば、いくつかの例(図示せず)では、行列(並進行列および四元数行列または他の回転行列を含み得る)、または他の適切な表現は、現実環境座標空間と仮想環境座標空間との間の変換を特徴付けることができる。
【0063】
図1Cは、現実環境100および仮想環境130の態様を、複合現実システム112を介してユーザ110に同時に提示する例示的なMRE150を示している。図示の例では、MRE150は、現実環境100からの現実オブジェクト122A、124A、126A、および128A(例えば、複合現実システム112のディスプレイの透過部分を介して)、および仮想環境130からの仮想オブジェクト122B、124B、126B、および132(例えば、複合現実システム112のディスプレイのアクティブ表示部分を介して)をユーザ110に同時に提示する。本明細書に記載されるように、原点106は、MRE150に対応する座標空間の原点として機能し、座標系108は、座標空間のx軸、y軸、およびz軸を定義する。
【0064】
図示の例では、複合現実オブジェクトは、座標空間108内の対応する位置を占める現実オブジェクトと仮想オブジェクトの対応するペア(例えば、122A/122B、124A/124B、126A/126B)を含む。いくつかの例では、現実オブジェクトと仮想オブジェクトの両方がユーザ110に同時に見えることがある。これは、例えば、仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトのビューを拡張するように設計された情報を提示する場合(仮想オブジェクトが古い損傷した彫刻の欠落したピースを提示する美術館アプリケーションなど)に望ましいことがある。いくつかの例では、対応する現実オブジェクト(122A、124A、および/または126A)を遮るように、仮想オブジェクト(122B、124B、および/または126B)が表示され得る(例えば、画素化遮蔽シャッタを使用するアクティブ画素化遮蔽を介して)。これは、例えば、仮想オブジェクトが対応する現実オブジェクトの視覚的置換として機能する場合(無生物の現実オブジェクトが「生きている」キャラクタになる相互作用型ストーリーテリングアプリケーションなど)に望ましいことがある。
【0065】
いくつかの例では、現実オブジェクト(例えば、122A、124A、126A)は、必ずしも仮想オブジェクトを構成しなくてもよい仮想コンテンツまたはヘルパーデータに関連付けられてもよい。仮想コンテンツまたはヘルパーデータは、複合現実環境における仮想オブジェクトの処理または取り扱いを容易にすることができる。例えば、そのような仮想コンテンツは、対応する現実オブジェクトの2次元表現;対応する現実オブジェクトに関連付けられたカスタムアセットタイプ;または対応する現実オブジェクトに関連付けられた統計データを含むことができる。この情報は、不必要な計算オーバーヘッドを招くことなく、現実オブジェクトを含む計算を可能または容易にすることができる。
【0066】
いくつかの例では、本明細書に記載される提示はまた、音声態様を組み込んでもよい。例えば、MRE150では、仮想キャラクタ132は、キャラクタがMRE150の周りを歩くときに生成される足音効果などの1つ以上の音声信号に関連付けられることができる。本明細書に記載されるように、複合現実システム112のプロセッサは、MRE150内の全てのそのような音の混合および処理された合成に対応する音声信号を計算し、複合現実システム112に含まれる1つ以上のスピーカおよび/または1つ以上の外部スピーカを介してユーザ110に音声信号を提示することができる。
【0067】
例示的な複合現実システム112は、(ニアアイディスプレイであってもよい左右の透過型ディスプレイと、ディスプレイからの光をユーザの眼に結合するための関連構成要素とを備え得る)ディスプレイ;左右スピーカ(例えば、ユーザの左右の耳にそれぞれ隣接して配置される);(例えば、ヘッドデバイスのテンプルアームに取り付けられる)慣性測定ユニット(IMU);(例えば、左側のテンプル片に取り付けられる)直交コイル型電磁受信機;ユーザから離れる方向に向けられた左右のカメラ(例えば、深度(飛行時間)カメラ);および(例えば、ユーザの眼球運動を検出するための)ユーザに向けられた左右の眼のカメラを備えるウェアラブルヘッドデバイス(例えば、ウェアラブル拡張現実または複合現実ヘッドデバイス)を含むことができる。しかしながら、複合現実システム112は、任意の適切なディスプレイ技術、および任意の適切なセンサ(例えば、光学、赤外線、音響、LIDAR、EOG、GPS、磁気)を組み込むことができる。さらに、複合現実システム112は、MRE150および他の複合現実システム内の要素(例えば、仮想キャラクタ132)の提示に関連するデータ処理および訓練データのためのニューラルネットワーク(例えば、クラウドにおいて)を含む、他のデバイスおよびシステムと通信するためのネットワーキング機能(例えば、Wi-Fi機能、モバイルネットワーク(例えば、4G、5G)機能)を組み込み得る。複合現実システム112は、バッテリ(ユーザの腰の周りに装着されるように設計されたベルトパックなどの補助ユニットに装着され得る)、プロセッサ、およびメモリをさらに含み得る。複合現実システム112のウェアラブルヘッドデバイスは、ユーザの環境に対するウェアラブルヘッドデバイスの座標のセットを出力するように構成された、IMUまたは他の適切なセンサなどの追跡構成要素を含み得る。いくつかの例では、追跡構成要素は、同時位置特定およびマッピング(SLAM)および/またはビジュアルオドメトリアルゴリズムを実行するプロセッサに入力を提供し得る。いくつかの例では、複合現実システム112はまた、本明細書に記載されるように、ウェアラブルベルトパックであってもよいハンドヘルドコントローラ300および/または補助ユニット320を含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、アニメーションリグが使用されて、MRE150に仮想キャラクタ132を提示する。アニメーションリグは、仮想キャラクタ132に関して説明されているが、アニメーションリグは、MRE150内の他のキャラクタ(例えば、人間のキャラクタ、動物のキャラクタ、抽象的なキャラクタ)に関連付けられてもよいことが理解される。アニメーションリグの動きは、本明細書においてより詳細に説明される。
【0069】
図2A~
図2Dは、MRE(MRE150に対応し得る)または他の仮想環境をユーザに提示するために使用され得る例示的な複合現実システム200(複合現実システム112に対応し得る)の構成要素を示している。
図2Aは、例示的な複合現実システム200に含まれるウェアラブルヘッドデバイス2102の斜視図を示している。
図2Bは、ユーザの頭部2202に装着されたウェアラブルヘッドデバイス2102の平面図を示している。
図2Cは、ウェアラブルヘッドデバイス2102の正面図を示している。
図2Dは、ウェアラブルヘッドデバイス2102の例示的なアイピース2110の端面図を示している。
図2A~
図2Cに示すように、例示的なウェアラブルヘッドデバイス2102は、例示的な左アイピース(例えば、左透明導波路セットアイピース)2108および例示的な右アイピース(例えば、右透明導波路セットアイピース)2110を含む。各アイピース2108および2110は、現実環境が見られることができる透過要素、ならびに現実環境と重複するディスプレイ(例えば、イメージワイズ変調光を介して)を提示するためのディスプレイ要素を含むことができる。いくつかの例では、そのようなディスプレイ要素は、イメージワイズ変調光の流れを制御するための表面回折光学素子を含むことができる。例えば、左アイピース2108は、左内部結合格子セット2112、左直交瞳孔拡張(OPE)格子セット2120、および左射出(出力)瞳孔拡張(EPE)格子セット2122を含むことができる。同様に、右アイピース2110は、右内部結合格子セット2118、右OPE格子セット2114、および右EPE格子セット2116を含むことができる。イメージワイズ変調された光は、内部結合格子2112および2118、OPE2114および2120、ならびにEPE2116および2122を介してユーザの眼に伝達されることができる。各内部結合格子セット2112、2118は、光をその対応するOPE格子セット2120、2114に向けて偏向させるように構成されることができる。各OPE格子セット2120、2114は、光をその関連するEPE2122、2116に向かって徐々に下方に偏向させ、それによって形成される射出瞳を水平に延ばすように設計されることができる。各EPE2122、2116は、その対応するOPE格子セット2120、2114から受光した光の少なくとも一部を、アイピース2108、2110の背後に画定されたユーザのアイボックス位置(図示せず)に徐々に向け直すように構成されることができ、アイボックスに形成された射出瞳を垂直に延長する。あるいは、内部結合格子セット2112および2118、OPE格子セット2114および2120、ならびにEPE格子セット2116および2122の代わりに、アイピース2108および2110は、イメージワイズ変調された光のユーザの眼への結合を制御するための格子ならびに/または屈折および反射機構の他の配置を含むことができる。
【0070】
いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス2102は、左テンプルアーム2130および右テンプルアーム2132を含むことができ、左テンプルアーム2130は、左スピーカ2134を含み、右テンプルアーム2132は、右スピーカ2136を含む。直交コイル電磁受信機2138は、左テンプル片内、またはウェアラブルヘッドユニット2102内の別の適切な位置に配置されることができる。慣性測定ユニット(IMU)2140は、右テンプルアーム2132内に、またはウェアラブルヘッドデバイス2102内の別の適切な位置に配置されることができる。ウェアラブルヘッドデバイス2102はまた、左深度(例えば、飛行時間)カメラ2142および右深度カメラ2144を含むことができる。深度カメラ2142、2144は、より広い視野をともにカバーするように、異なる方向に適切に配向されることができる。
【0071】
図2A~
図2Dに示す例では、イメージワイズ変調光の左供給源2124は、左内部結合格子セット2112を介して左アイピース2108に光学的に結合されることができ、イメージワイズ変調光の右供給源2126は、右内部結合格子セット2118を介して右アイピース2110に光学的に結合されることができる。イメージワイズ変調光の供給源2124、2126は、例えば、光ファイバスキャナ;デジタル光処理(DLP)チップまたは液晶オンシリコン(LCoS)変調器などの電子光変調器を含むプロジェクタ;または、側面ごとに1つ以上のレンズを使用して内部結合格子セット2112、2118に結合されたマイクロ発光ダイオード(μLED)またはマイクロ有機発光ダイオード(μOLED)パネルなどの発光ディスプレイを含むことができる。入力結合格子セット2112、2118は、イメージワイズ変調光の供給源2124、2126からの光を、アイピース2108、2110の全内部反射(TIR)の臨界角を超える角度に偏向させることができる。OPE格子セット2114、2120は、TIRによって伝播する光をEPE格子セット2116、2122に向かって徐々に下方に偏向させる。EPE格子セット2116、2122は、ユーザの眼の瞳孔を含むユーザの顔に向かって光を徐々に結合する。
【0072】
いくつかの例では、
図2Dに示すように、左アイピース2108および右アイピース2110のそれぞれは、複数の導波路2402を含む。例えば、各アイピース2108、2110は、それぞれがそれぞれの色チャネル(例えば、赤色、青色および緑色)専用の複数の個々の導波路を含むことができる。いくつかの例では、各アイピース2108、2110は、そのような導波路の複数のセットを含むことができ、各セットは、放射された光に異なる波面曲率を付与するように構成される。波面曲率は、例えば、ユーザの前方にある距離(例えば、波面曲率の逆数に対応する距離だけ)に配置された仮想オブジェクトを提示するために、ユーザの眼に対して凸状であってもよい。いくつかの例では、EPE格子セット2116、2122は、各EPEを横切る出射光のポインティングベクトルを変更することによって凸波面曲率を達成する湾曲格子溝を含むことができる。
【0073】
いくつかの例では、表示されたコンテンツが3次元であるという知覚を作り出すために、立体的に調整された左右の眼の画像が、イメージワイズ光変調器2124、2126およびアイピース2108、2110を通してユーザに提示されることができる。立体的な左右の画像によって示される距離に近い距離に仮想オブジェクトが表示されるように導波路を選択する(したがって、波面曲率に対応する)ことによって、3次元仮想オブジェクトの提示の知覚される臨場感が高められることができる。この技術はまた、立体視左右眼画像によって提供される深度知覚キューと人間の眼の自律神経調節(例えば、オブジェクト距離に依存する焦点)との間の差によって引き起こされ得る、一部のユーザが体験する酔いを低減し得る。
【0074】
図2Dは、例示的なウェアラブルヘッドデバイス2102の右アイピース2110の上からの端面図を示している。
図2Dに示すように、複数の導波路2402は、3つの導波路の第1のサブセット2404と、3つの導波路の第2のサブセット2406とを含むことができる。導波路の2つのサブセット2404、2406は、出射光に異なる波面曲率を付与するために異なる格子線曲率を特徴とする異なるEPE格子によって区別されることができる。導波路の各サブセット2404、2406内で、各導波路が使用されて、異なるスペクトルチャネル(例えば、赤色、緑色、および青色のスペクトルチャネルのうちの1つ)をユーザの右眼2206に結合することができる。
図2Dには示されていないが、左アイピース2108の構造は、右アイピース2110の構造に対して鏡像反転され得る。
【0075】
図3Aは、複合現実システム200の例示的なハンドヘルドコントローラ構成要素300を示している。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ300は、グリップ部346と、上面348に沿って配置された1つ以上のボタン350とを含む。いくつかの例では、ボタン350は、カメラまたは他の光学センサ(これは、複合現実システム200のヘッドユニット(例えば、ウェアラブルヘッドデバイス2102)に装着されることができる)とともに、例えば、ハンドヘルドコントローラ300の6自由度(6DOF)動きを追跡するための光学追跡ターゲットとして使用するように構成され得る。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ300は、ウェアラブルヘッドデバイス2102に対する位置または向きなどの位置または向きを検出するための追跡構成要素(例えば、IMUまたは他の適切なセンサ)を含む。いくつかの例では、そのような追跡構成要素は、ハンドヘルドコントローラ300のハンドル内に配置されてもよく、および/またはハンドヘルドコントローラに機械的に結合されてもよい。ハンドヘルドコントローラ300は、ボタンの押下状態;またはハンドヘルドコントローラ300の位置、向き、および/または動き(例えば、IMUを介して)のうちの1つ以上に対応する1つ以上の出力信号を提供するように構成されることができる。そのような出力信号は、複合現実システム200のプロセッサへの入力として使用され得る。そのような入力は、ハンドヘルドコントローラの位置、向き、および/または動き(および、延長により、コントローラを保持するユーザの手の位置、向き、および/または動きに)に対応し得る。そのような入力は、ユーザがボタン350を押すことにも対応し得る。
【0076】
図3Bは、複合現実システム200の例示的な補助ユニット320を示している。補助ユニット320は、システム200を動作させるためのエネルギーを供給するためのバッテリを含むことができ、システム200を動作させるためのプログラムを実行するためのプロセッサを含むことができる。図示のように、例示的な補助ユニット320は、補助ユニット320をユーザのベルトに取り付けるなどのためのクリップ2128を含む。ユニットをユーザのベルトに取り付けることを伴わないフォームファクタを含む、他のフォームファクタが補助ユニット320に適しており、明らかであろう。いくつかの例では、補助ユニット320は、例えば、電線および光ファイバを含むことができる多導管ケーブルを介してウェアラブルヘッドデバイス2102に結合される。補助ユニット320とウェアラブルヘッドデバイス2102との間の無線接続も使用されることができる。
【0077】
いくつかの例では、複合現実システム200は、音を検出し、対応する信号を複合現実システムに提供するための1つ以上のマイクロフォンを含むことができる。いくつかの例では、マイクロフォンは、ウェアラブルヘッドデバイス2102に取り付けられるか、または一体化されてもよく、ユーザの音声を検出するように構成されてもよい。いくつかの例では、マイクロフォンは、ハンドヘルドコントローラ300および/または補助ユニット320に取り付けられるか、または一体化されてもよい。そのようなマイクロフォンは、環境音、周囲の雑音、ユーザもしくは第三者の音声、または他の音を検出するように構成されてもよい。
【0078】
図4は、本明細書に記載される複合現実システム200(これは、
図1に関する複合現実システム112に対応し得る)などの例示的な複合現実システムに対応し得る例示的な機能ブロック図を示している。ウェアラブルシステム400の要素は、本開示に記載される方法、動作、および特徴を実装するために使用され得る。
図4に示すように、例示的なハンドヘルドコントローラ400B(ハンドヘルドコントローラ300(「トーテム」)に対応し得る)は、トーテム・ツー・ウェアラブルヘッドデバイス6自由度(6DOF)トーテムサブシステム404Aを含み、例示的なウェアラブルヘッドデバイス400A(ウェアラブルヘッドデバイス2102に対応し得る)は、トーテム・ツー・ウェアラブルヘッドデバイス6DOFサブシステム404Bを含む。この例では、6DOFトーテムサブシステム404Aおよび6DOFサブシステム404Bは、協働して、ウェアラブルヘッドデバイス400Aに対するハンドヘルドコントローラ400Bの6つの座標(例えば、3つの並進方向のオフセットおよび3つの軸に沿った回転)を決定する。6自由度は、ウェアラブルヘッドデバイス400Aの座標系を基準として表され得る。3つの並進オフセットは、そのような座標系におけるX、Y、およびZオフセットとして、並進行列として、または他の何らかの表現として表され得る。回転自由度は、ヨー、ピッチ、およびロール回転のシーケンスとして、回転行列として、四元数として、または他の何らかの表現として表され得る。いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス400A;ウェアラブルヘッドデバイス400Aに含まれる1つ以上の深度カメラ444(および/または1つ以上の非深度カメラ);および/または1つ以上の光学ターゲット(例えば、本明細書に記載されるハンドヘルドコントローラ400Bのボタン350、またはハンドヘルドコントローラ400Bに含まれる専用の光学ターゲット)が6DOF追跡に使用されることができる。いくつかの例では、ハンドヘルドコントローラ400Bは、本明細書に記載されるように、カメラを含むことができ、ウェアラブルヘッドデバイス400Aは、カメラと連動して光学追跡のための光学ターゲットを含むことができる。いくつかの例では、ウェアラブルヘッドデバイス400Aおよびハンドヘルドコントローラ400Bは、それぞれ、3つの識別可能な信号を無線で送受信するために使用される3つの直交して配向されたソレノイドのセットを含む。受信に使用されるコイルのそれぞれにおいて受信された3つの識別可能な信号の相対的な大きさを測定することにより、ハンドヘルドコントローラ400Bに対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの6DOFが決定され得る。さらに、6DOFトーテムサブシステム404Aは、ハンドヘルドコントローラ400Bの迅速な動きに関する改善された精度および/またはよりタイムリーな情報を提供するのに有用な慣性測定ユニット(IMU)を含むことができる。
【0079】
いくつかの実施形態では、ウェアラブルシステム400は、ヘッドギアデバイス400A上に配置された1つ以上のマイクロフォンを含むことができるマイクロフォンアレイ407を含むことができる。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ407は、4つのマイクロフォンを含むことができる。ヘッドギア400Aの前面に2つのマイクロフォンが配置されることができ、ヘッドヘッドギア400Aの背面に2つのマイクロフォンが配置されることができる(例えば、左後方に1つ、右後方に1つ)。いくつかの実施形態では、マイクロフォンアレイ407によって受信された信号は、DSP408に送信されることができる。DSP408は、マイクロフォンアレイ407から受信された信号に対して信号処理を実行するように構成されることができる。例えば、DSP408は、マイクロフォンアレイ407から受信した信号に対してノイズ低減、音響エコー除去、および/またはビームフォーミングを実行するように構成されることができる。DSP408は、信号をプロセッサ416に送信するように構成されることができる。
【0080】
いくつかの例では、例えば、座標系108に対する(例えば、MRシステム112の)ウェアラブルヘッドデバイス400Aの動きを補償するために、座標をローカル座標空間(例えば、ウェアラブルヘッドデバイス400Aに対して固定された座標空間)から慣性座標空間(例えば、現実環境に対して固定された座標空間)に変換することが必要になることがある。例えば、そのような変換は、現実環境に仮想オブジェクト(例えば、現実の椅子に座っており、ウェアラブルヘッドデバイスの位置および向きに関係なく、前方を向いている仮想人物)が存在するという錯覚を維持するために、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのディスプレイが、ディスプレイ上の固定された位置および向きではなく、現実環境に対して予想される位置(例えば、ディスプレイの右下隅の同じ位置)および向きで仮想オブジェクトを提示するために必要であり得る(そして、例えば、ウェアラブルヘッドデバイス400Aが移動および回転するときに現実環境に不自然に配置されているようには見えない)。いくつかの例では、座標空間間の補償変換は、座標系108に対するウェアラブルヘッドデバイス400Aの変換を決定するために、SLAMおよび/またはビジュアルオドメトリ手順を使用して深度カメラ444からの画像を処理することによって決定されることができる。
図4に示す例では、深度カメラ444は、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406に結合され、画像をブロック406に提供することができる。SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406の実装は、この画像を処理し、ユーザの頭部の位置および向きを決定するように構成されたプロセッサを含むことができ、頭部座標空間と別の座標空間(例えば、慣性座標空間)との間の変換を識別するために使用されることができる。同様に、いくつかの例では、ユーザの頭部姿勢および位置に関する追加の情報源は、IMU409から取得される。IMU409からの情報は、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406からの情報と統合されて、ユーザの頭部姿勢および位置の迅速な調整に関する改善された精度および/またはよりタイムリーな情報を提供することができる。
【0081】
いくつかの例では、深度カメラ444は、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのプロセッサに実装され得るハンドジェスチャトラッカ411に3D画像を供給することができる。ハンドジェスチャトラッカ411は、例えば、深度カメラ444から受信した3D画像をハンドジェスチャを表す記憶されたパターンと照合することによって、ユーザのハンドジェスチャを識別することができる。ユーザのハンドジェスチャを識別する他の適切な技術が明らかであろう。
【0082】
いくつかの例では、1つ以上のプロセッサ416は、ウェアラブルヘッドデバイスの6DOFヘッドギアサブシステム404B、IMU409、SLAM/ビジュアルオドメトリブロック406、深度カメラ444、および/またはハンドジェスチャトラッカ411からデータを受信するように構成され得る。プロセッサ416はまた、6DOFトーテムシステム404Aから制御信号を送受信することもできる。プロセッサ416は、ハンドヘルドコントローラ400Bが接続されていない例のように、6DOFトーテムシステム404Aに無線で結合されてもよい。プロセッサ416は、さらに、視聴覚コンテンツメモリ418、グラフィカル処理ユニット(GPU)420、および/またはデジタル信号プロセッサ(DSP)音声スペーシャライザ422などの追加の構成要素と通信してもよい。DSP音声スペーシャライザ422は、頭部伝達関数(HRTF)メモリ425に結合されてもよい。GPU420は、(例えば、左アイピース428にコンテンツを表示するための)イメージワイズ変調光の左供給源424に結合された左チャネル出力と、(例えば、右アイピース430にコンテンツを表示するための)イメージワイズ変調光の右供給源426に結合された右チャネル出力とを含むことができる。GPU420は、例えば、
図2A~
図2Dを参照して本明細書に記載されるように、立体画像データをイメージワイズ変調光の供給源424、426に出力することができる。いくつかの例では、GPU420が使用されて、ウェアラブルシステム400のディスプレイ上に提示されるMRE内の仮想要素をレンダリングし得る。DSP音声スペーシャライザ422は、左スピーカ412および/または右スピーカ414に音声を出力することができる。DSP音声スペーシャライザ422は、ユーザから仮想音源(これは、例えば、ハンドヘルドコントローラ320を介して、ユーザによって移動され得る)への方向ベクトルを示す入力をプロセッサ419から受信することができる。方向ベクトルに基づいて、DSP音声スペーシャライザ422は、(例えば、HRTFにアクセスすることによって、または複数のHRTFを補間することによって)対応するHRTFを決定することができる。次いで、DSP音声スペーシャライザ422は、決定されたHRTFを、仮想オブジェクトによって生成された仮想音に対応する音声信号などの音声信号に適用することができる。これは、複合現実環境における仮想音に対するユーザの相対的な位置および向きを組み込むことによって、すなわち、仮想音が現実環境の現実音である場合にその仮想音がどのように聞こえるかというユーザの期待に一致する仮想音を提示することによって、仮想音の真実味および臨場感を高めることができる。
【0083】
図4に示すようないくつかの例では、プロセッサ416、GPU420、DSP音声スペーシャライザ422、HRTFメモリ425、および視聴覚コンテンツメモリ418の1つ以上は、補助ユニット400C(本明細書に記載される補助ユニット320に対応し得る)に含まれ得る。補助ユニット400Cは、その構成要素に電力を供給するため、および/またはウェアラブルヘッドデバイス400Aまたはハンドヘルドコントローラ400Bに電力を供給するためのバッテリ427を含み得る。ユーザの腰に装着されることができる補助ユニットにこのような構成要素を含めることは、ウェアラブルヘッドデバイス400Aのサイズおよび重量を制限することができ、ひいてはユーザの頭と首の疲労を軽減することができる。
【0084】
図4は、例示的なウェアラブルシステム400の様々な構成要素に対応する要素を示しているが、これらの構成要素の様々な他の適切な配置が当業者には明らかになるであろう。例えば、示されるヘッドギアデバイス400Aは、プロセッサおよび/またはバッテリ(図示せず)を含み得る。含まれるプロセッサおよび/またはバッテリは、補助ユニット400Cのプロセッサおよび/またはバッテリとともに動作するか、または補助ユニット400Cのプロセッサおよび/またはバッテリの代わりに動作し得る。一般に、別の例として、補助ユニット400Cに関連するものとして
図4に関して説明した要素または機能は、代わりにヘッドギアデバイス400Aまたはハンドヘルドコントローラ400Bに関連付けられることができる。さらにまた、いくつかのウェアラブルシステムは、ハンドヘルドコントローラ400Bまたは補助ユニット400Cを完全に取り止めてもよい。そのような変形および変更は、開示された例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【0085】
図5A~
図5Bは、本開示の実施形態にかかる、例示的な導波路層を示している。
図5Aは、いくつかの実施形態にかかる、導波路層が所定の曲率によって特徴付けられる場合の、アイピースの導波路層および導波路層から投射された光の簡略断面図である。導波路層504は、本明細書中に記載された方法を用いて作製された導波路層であり得る。
図5Aに示すように、表面プロファイルは、導波路層504を特徴付ける。いくつかの実施形態では、表面プロファイルは、球面曲率の曲率半径によって定義されることができる曲線を形成する。いくつかの実施形態では、表面プロファイルは、非球面であるが、球面形状によって近似されることができる。導波路層504の構造のために、入射面506は、導波路層504の全長にわたって出射面508と実質的に平行とすることができる。
【0086】
導波路層504を全内部反射(TIR)によって光が伝搬すると、出射光は、出射光線によって示されるように、導波路層504の外へ回折される。低レベルの曲率の場合、入射面506および出射面508は、導波路層を横切る位置において互いに実質的に平行である。したがって、光がTIRによって導波路層を通って伝搬するとき、導波路表面の平行性は、TIR中の反射角を保存し、その結果、出射光線と出射面との間の角度は、導波路層にわたって保存される。表面法線は、湾曲導波路層の出射面にわたって僅かに変化するため、出射光線も僅かに変化し、
図5Aに示す発散を生成する。
【0087】
出射面508の曲率から生じる出射光線の発散は、光が導波路層504の背後の特定の距離に配置された点源から発するように見えるように、入射光ビーム502をレンダリングする効果を有することができる。したがって、導波路層504の表面プロファイルまたは曲率は、ユーザまたは観察者の眼510に向かう光の発散を生成し、光を眼に対して導波路層の背後に位置する深度面から生じるものとして効果的にレンダリングする。
【0088】
入射光ビームが発生しているように見える導波路層からの距離は、導波路層504の曲率半径と関連付けられることができる。より高い曲率半径を有する導波路は、より低い曲率半径を有する導波路よりも導波路層からより大きな距離で発するものとして光源をレンダリングすることができる。例えば、
図5Aに示すように、導波路層504は、0.5mの曲率半径を有することができ、これは、例えば、40mmの横方向寸法(例えば、長さまたは幅)を有するEPEを横切る0.4mmの導波路層504の弓形状によって達成されることができる。導波路層504のこの例示的な曲率を考えると、入射光ビーム502は、導波路層504から0.5mの距離で発生するように見える。別の例として、別の導波路層は、0.2mの曲率半径を有するように動作されることができ、ユーザには導波路層から0.2mの距離を起点として見える光源をレンダリングする。したがって、導波路層材料と互換性のある、長さ/深さが数十ミリメートルの導波路層を横切る曲率、すなわち1ミリメートルの弓形状の部分を利用することによって、2次元導波路とも呼ばれる2次元膨張導波路に対して深度面機能が実装されることができる。本発明の実施形態にしたがって利用される曲率は、数ミリメートル(例えば、1~5mm)の弓形状を有することができるサングラス、車両フロントガラスなどを含む様々な市販製品に使用されることができる。したがって、本発明の様々な実施形態において利用される少量の曲率は、アイピースの光学性能を低下させない。例えば、例は、0.5mの曲率半径を有するアイピースの中心視野において0.1分未満のぼけ、および視野全体で2分未満のぼけを導入することができる。
【0089】
図5Aは、アイピースの要素である導波路層504の1次元断面図のみを示している。しかしながら、導波路層に課される表面プロファイルはまた、図の平面に直交する方向に課されることができ、結果として導波路層の2次元湾曲をもたらすことが理解されよう。したがって、本発明の実施形態は、アイピースの構造、特にアイピースの導波路層に深度面機能を提供する。本明細書に記載されるように、深度面機能は、特定の実装に応じてバイモーダルまたは連続的とすることができる。
【0090】
図5Bは、いくつかの実施形態にかかる、導波路層が所定の曲率によって特徴付けられる場合の、アイピースの導波路層および導波路層を通過する光の簡略断面図である。
図5Aに関して説明したように、導波路層504から投射された光は、光源を3次元空間内のユーザの眼に見えるようにすることができる。現実世界の光512、または仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、もしくは複合現実(MR)の目的のために導波路層504を通って投射されない光は、導波路層504の入射面506および出射面508を通過してユーザの眼510に向かうことができる。厚さの変動が小さい導波路(例えば、1.0μm未満)は、無視できる光パワーを有し、実世界の光512がほとんどまたは全く外乱なしに導波路層504の曲面を通過することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、現実世界の光の補正は必要とされず、導波路層504の表面プロファイルによって引き起こされる現実世界の光の軸外劣化は低減されるか、または存在しない。したがって、導波路層に表面プロファイルまたは曲率を課すことは、現実世界の光の完全性を維持しながら、アイピースから離れた位置からの仮想コンテンツの投射を可能にし、それにより、現実世界の光をユーザが見ること、および同時に、仮想コンテンツを3次元空間においてリアルタイムでユーザのためにレンダリングすることの両方を可能にする。
【0091】
いくつかの実施形態では、ポリマー導波路層とすることができる導波路層の曲率半径は、第1の距離(例えば、0.1m)と無限大との間で動的に変化することができ、これにより、アイピースの深度面(すなわち、投射された光源がレンダリングされているように見える距離)が第1の距離と無限大との間で動的に変化されることができる。したがって、本発明の実施形態は、拡張または複合現実用途において通常利用される深度面を含む、第1の距離(例えば、0.1m)と無限との間の深度面の変化を可能にする。導波路層、例えば可撓性ポリマー導波路層の表面プロファイルは、本明細書においてより詳細に説明するように、様々な方法論および機構を使用して調整されることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、動的アイピースが提供され、アイピースの深度面は、異なる深度面で仮想コンテンツを表示するように変化されることができ、例えば、時間の関数としての時間的変化が提供される。したがって、仮想コンテンツの後続のフレームは、異なる深度面に由来するように表示されることができる。しかしながら、静的実装もまた、本発明の範囲内に含まれる。これらの静的実装では、固定された所定の表面プロファイルまたは曲率がアイピースの導波路層を特徴付け、それによって固定された深度面に仮想コンテンツを提示する。外部レンズ、回折レンズ、または他の光学素子を利用するいくつかのシステムとは対照的に、静的実装を利用する実施形態は、導波路層の曲率を通る深度面を実装し、システムの複雑さを低減し、光学的品質を改善することができる。さらに、いくつかの実施形態は、アイピースのセットを実装することができ、各アイピースは、2つの静的深度面を提供するための湾曲導波路層のスタックを含む。例として、3つの湾曲導波路層の第1のスタックは、1mに位置する深度面において3色シーンを実装するために導波路スタックの幅/長さにわたって0.2mmの弓形状を利用することができ、3つの湾曲導波路層の第2のスタックは、0.5mに位置する深度面において第2の3色シーンを実装するために導波路スタックの幅/長さにわたって0.4mmの弓形状を利用することができる。他の適切な寸法は、本発明の範囲内である。さらに、両眼システムならびに単眼システムが企図される。
【0093】
いくつかの実施形態では、開示された導波路は、米国特許出願公開第2021/0011305号に記載されている通りであり、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。開示された導波路は、費用効果の高い方法で光学特性を改善することによって、ユーザへの画像(例えば、複合現実(MR)コンテンツ)の提示を向上させ得る。
【0094】
したがって、例えば、MR用途のための湾曲導波路を製造し、上述した利点を達成するために、または湾曲光学構造(例えば、反射防止特徴を有する湾曲レンズ)上に反射防止特徴を作成するために、曲面上にマイクロパターンまたはナノパターンを作成することが望ましい場合がある。曲面上にマイクロパターンまたはナノパターンを作成するプロセスは、簡単ではない場合がある。本開示の実施形態は、曲面上にこれらのパターンを効率的に作成するためのパターニング機構および/またはパラメータを記載する。
【0095】
例えば、可撓性プラスチック、ガラスウェブ、またはシート上にコーティングされたレジストテンプレート(CRT)(例えば、所望のパターンを作成するためのテンプレートを備える上層)を有するナノインプリントリソグラフィプロセス(例えば、J-FIL)を使用することは、(例えば、パターニング材料の体積を制御する能力を可能にすることによって)従来のプロセスにおいて経験するプロセスバリアを克服し得る。本明細書に開示されるように、J-FILおよび可撓性CRT(例えば、ガラス、プラスチック、シート)などのナノインプリントリソグラフィ工程を使用することは、有利には、(1)様々な材料屈折率および/または体積の材料を曲面の任意の領域にわたって分配すること、および/または(2)毛管力を使用して型(例えば、薄い可撓性型)を表面(例えば、曲面)に直接適合させることを可能にする。毛管力は、薄く制御された体積のレジスト流体コーティングに付与され、変化するTTV表面上にマイクロパターンおよび/またはナノパターンを形成することを可能にする。
【0096】
流体毛管力(例えば、パターニング材料に関連付けられる)の大きさは、流体の流れ、流れの時間、および/または流体抵抗によって影響を受ける場合がある。流体力学方程式は、これらの力を記述し、それによって接触ベースのインプリント原理を記述し得る。パターニング材料(例えば、レジスト流体)および媒体としての空気を有する2つの表面の間(例えば、曲面と上層との間)に適用される境界条件を有するヤング・ラプラス方程式は、式(1)に記載されている。
【化1】
【0097】
式(1)に記載されるように、各表面に作用する力は、2つの表面間のパターニング材料相互作用の面積に正比例する。領域は、幅wおよび長さlを有することができる。γrは、空気中のパターニング材料(例えば、レジスト)表面張力であり得る。力は、2つの表面間の距離dに反比例する。場合によっては、距離パラメータdは、表面に作用する力の大きさを決定し得るため、重要である。距離パラメータの制御は、特定の状態でパターニング材料を分配するためのプロセスタイプによって決定されてもよい。
【0098】
非圧縮性層流のヤング・ラプラス方程式およびナビエ・ストークス方程式を使用して、所与のパターニング材料の毛細管充填に必要な時間が式(2)に記載され得る。
【化2】
【0099】
式(2)は、層流の流速の大きさを理解するためにさらに使用され得る。粘性力に対する慣性力の比であるレイノルズ数が計算され得る。例えば、そのような流れのレイノルズ数は、約10-5であり、したがって流れは、層流と見なされる。
【0100】
式(1)および(2)は、表1に示すような一般化された近似傾向を提供し得る。表1は、30mN/mにおける所与の材料表面張力についてのパターニング材料(例えば、レジスト流体)の接触角(湿潤(例えば、5度未満)対非湿潤(例えば、5度よりも大きい))および体積/厚さの変化に基づいて表面に及ぼされる例示的な力を示している。具体的には、表1は、様々な超低体積充填を伴うレジストおよび様々な接触角を伴うレジストについて、毛細管濡れによって及ぼされる1mm×1mm単位面積にわたるニュートン単位の力を示している。
【表1】
【0101】
表1は、表面(例えば、1N/平方mm以上)に及ぼされる高い毛管力を達成するために低体積(例えば、50nm未満の厚さに対応する)において分配されることができるパターニング材料(例えば、湿潤レジスト流体)の重要性を強調している。すなわち、50nm未満の厚さでパターニング材料を分配することは、1N/平方mm以上の表面に及ぼされる毛管力を達成し得る。高い毛管力を達成することは、本明細書においてより詳細に記載するように、微細パターンまたはナノパターンを曲面上により効率的に作成することを可能にし得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、パターニング材料は、(1)充填および/または体積分配制御のための良好な湿潤特性を有し、および/または(2)硬化時に低い剥離力を必要とするナノインプリントレジストである。例えば、パターニング材料は、J-FIL型プロセスにおいて使用されるレジストとすることができ、レジストは、低粘度(例えば、20cP未満)、SiおよびSiO2型表面との低い接触角(例えば、20度未満)、および約30mN/mの表面張力を有する。表1に示すように、これらの条件は、高い毛管力を可能にし得る。例えば、高い毛管力を達成するための低体積を提供するために、インクジェットが使用されて、広い領域(例えば、50mm×50mm)にわたって500nL未満の体積のレジストを分配し、平均して、180μm×180μmの正方形グリッド上に6pL未満のサイズの液滴が分配される。
【0103】
いくつかの実施形態では、パターニング材料(例えば、レジスト流体)は、インクジェットを使用して堆積され、これは、スピンコーティングまたはスロットダイコーティングと比較して表面張力が低くなり得る。例えば、より低い表面張力は、パターニング材料が、蒸発し得るスピンコート材料と比較して、より速く広がり、充填する(例えば、テンプレートを広げて充填する)ことを可能にし得る。インクジェットを使用して、パターニング材料は、有利には、その所望の材料状態およびより低い粘度に保たれ、粘性力を低減する。結果として、より低い粘性力は、毛細管充填時間を増加させ、有利にはインプリントのために広い面積にわたって及ぼされる毛管力を増加させ得る。さらに、インクジェットによって達成される流体形態のレジスト材料のより低い表面張力およびより低い粘度は、デウェッティング、非充填、または充填不足などのパターニング欠陥を低減し得る。
【0104】
上述したように、印加される毛管力に影響を及ぼすレジストの接触角および湿潤特性は、レジストが接触しているときのブランク表面と比較して、ナノ形状タイプおよびレジストの密度によって影響を受ける場合がある。ナノチャネルを含む領域は、特定の方向への流体(例えば、パターニング材料)の流れを助け得る。流体の流れを助けることによって、パターニング材料(例えば、レジスト)の広がりが増加され得る。広がりを増大させることによって、流体を挟む2つの表面(例えば、上層および基材)間の流体が低減され得る。2つの挟持面の間の流体を低減させることは、上述したように、2つの面を接触状態に保つ力(例えば、毛管力)を増加させ得る。本明細書においてより詳細に記載するように、2つの表面間に増加した力を加える方法は、マイクロパターンまたはナノパターンを曲面上により効果的且つ確実に作成することを可能にする。
【0105】
図6A~
図6Dは、本開示の実施形態にかかる、例示的なナノチャネル配置を示している。ナノチャネル配置は、平坦な表面に関して記載されているが、この配置は、曲面に使用されてもよいことが理解される。例えば、
図6A~
図6Dに関して記載したナノチャネル配置は、
図7~
図12に関して記載した曲面上に含まれてもよい。ナノチャネル配置は、特定のピッチおよび角度を有するものとして記載されているが、記載された幾何学的形状は、例示的なものであることが理解される。表面上のナノチャネル配置の幾何学的形状は、(例えば、特定の位置において所望の毛管力を達成するために)拡散要件に応じて、表面上で変化し得る。
【0106】
図6Aは、ナノチャネルを含まない基材600の側面図および平面図を示している。図示のように、
図6B~
図6Dに関して記載した配置と比較して、パターニング材料602(例えば、レジスト流体)は、基材600を横切ってそれほど広くは広がらない。いくつかの例では、パターニング材料は、図示のように、距離176μm離れて分配されてもよい。
【0107】
図6Bは、ナノチャネル配置614を含む基材610の側面図および平面図を示している。いくつかの実施形態では、ナノチャネル配置614は、ピッチ(例えば、ナノチャネル配置の2つの隣接するライン間の間隔)および角度を有する。例えば、ナノチャネル配置614は、50~500nmのピッチ、10~400nmの線幅、10~500nmの高さ、および基材610の軸に対する0度の角度を有する。ナノチャネル配置614は、有利には、パターニング材料の充填速度を改善する。図示のように、
図6Aに関して記載した配置と比較して、パターニング材料612(例えば、レジスト流体)は、基材610を横切ってより広く広がり、より薄いパターニング材料層を形成する。
【0108】
図6Cは、ナノチャネル配置624を含む基材620の側面図および平面図を示している。いくつかの実施形態では、ナノチャネル配置624は、ピッチ(例えば、ナノチャネル配置の2つの隣接するライン間の間隔)および角度を有する。例えば、ナノチャネル配置624は、50~500nmのピッチ、10~400nmの線幅、10~500nmの高さ、および基材620の軸に対する12度の角度を有する。ナノチャネル配置624は、有利には、パターニング材料の充填速度を改善する。図示のように、
図6Aおよび
図6Bに関して記載した配置と比較して、パターニング材料622(例えば、レジスト流体)は、基材620を横切ってより広く広がり、より薄いパターニング材料層を形成する。
【0109】
図6Dは、ナノチャネル配置634を含む基材630の側面図および平面図を示している。いくつかの実施形態では、ナノチャネル配置634は、ピッチ(例えば、ナノチャネル配置の2つの隣接するライン間の間隔)および角度を有する。例えば、ナノチャネル配置634は、50~500nmのピッチ、10~400nmの線幅、10~500nmの高さ、および基材630の軸に対する22度の角度を有する。ナノチャネル配置634は、有利には、パターニング材料の充填速度を改善する。図示のように、
図6A~
図6Cに関して記載した配置と比較して、パターニング材料632(例えば、レジスト流体)は、基材630を横切ってより広く広がり、より薄いパターニング材料層を形成する。
【0110】
記載されたナノチャネル配置は、パターニング材料の充填速度を改善し(ナノチャネル配置のない表面と比較して)、パターニング材料によって占められるギャップ厚を低減し、2つの表面(例えば、2つの曲面;湾曲基材および湾曲上層)間で相互作用するときにより多くの毛管力を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、その幅と同じピッチ(すなわち、50%の空間周期性)を有するナノチャネル配置を使用することによって、マイクロパターンまたはナノパターンは、(非充填空隙がないと仮定して)所与の充填体積に対する毛細管保持を(例えば、2倍)改善し得る。
【0111】
図7A~
図7Fは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。例えば、
図7A~
図7Fは、J-FILのプロセスおよび湾曲基材上のマイクロパターニングまたはナノパターニングのための可撓性CRTの使用を示している。曲面は、特定の凸性および曲率(例えば、特定の曲率半径)を有するものとして示されているが、示されている凸性および曲率は、例示的なものであることが理解される。いくつかの実施形態では、開示されたプロセスを使用して、異なる曲率を有する凸状または凹状の曲面上にパターンが作成され得る。パターンは、1次元にわたって示されているが、パターンは、1より大きい次元にわたって作成されてもよいことが理解される。
【0112】
図7Aは、曲面700上に堆積されているパターニング材料702を示している。いくつかの実施形態では、パターニング材料702は、レジスト流体(例えば、UV硬化性レジスト)であり、パターニング材料702は、本明細書において記載するように、インクジェットを使用して堆積される。いくつかの実施形態では、各堆積物の体積は、(例えば、所望の厚さおよび毛管力を達成するために)正確に制御される。簡潔にするために、インクジェットの記載および利点はここでは繰り返さない。いくつかの実施形態では、曲面700は、その中心から縁部まで20mm未満の高さを有する。パターニング材料702は、異なる順序(例えば、全ての液滴が同時に、一度に1つ、一度に2つ以上の液滴)において堆積されてもよいことが理解される。
【0113】
いくつかの実施形態では、曲面700は、
図6A~
図6Dに関して記載したように、ナノチャネル配置を含む。ナノチャネル配置は、有利には、パターニング材料702がより広い領域にわたって広がることを可能にし、パターニング材料の厚さを減少させることを可能にし、所望のパターンを作成するためのより大きな毛管力を達成する。
【0114】
いくつかの実施形態では、パターニング材料702の堆積物の位置は、所望のパターン(例えば、微細パターン、ナノパターン)に対応する。例えば、堆積されたパターニング材料の中心は、上層によって成形される所望のパターン(例えば、パターンピッチ)の周期性に対応する。具体的には、堆積物の位置は、CRTを使用して所望のパターンを効果的且つ確実に作成するために、(式(1)および(2)ならびに表1に関して記載したように)十分な毛管力を加えることを可能にし得る。次に、所望のパターンは、インプリントまたは湾曲した光学要素(例えば、湾曲導波路上の光学パターン、湾曲光学素子上の反射防止特徴)上に光学パターンを作成するための型になり得る。
【0115】
図7Bは、曲面700および上層704の上に堆積されたパターニング材料702を示している。いくつかの実施形態では、図示のように、堆積されたパターニング材料702の位置は、上層によって成形される所望のパターン(例えば、微細パターン、ナノパターン)に対応する。いくつかの実施形態では、上層704は、CRTであり、CRTは、パターニング材料702を所望のパターンに成形する。例えば、CRTは、PCまたはポリエチレンテレフタレート(PET)を含み、50~550μmの厚さを有する可撓性CRTである。いくつかの実施形態では、上層704は、(例えば、50~550μmの厚さにおいて)10GPa未満の弾性率Eを有する。
【0116】
図7Cは、パターニング材料702および曲面700の上に適用されている上層704を示している。上層704は、パターニング材料702を所望のパターンに成形し得る。いくつかの実施形態では、パターニング材料702上の毛管力は、曲面700および上層704の表面との相互作用に起因して生成される。例えば、毛管力は、式(1)および(2)ならびに表1を参照して記載され得る。いくつかの実施形態では、ナノチャネル配置および上層特性により、パターニング材料の厚さが低減され得て、より強い毛管力が達成され得て、(例えば、CRTがパターニング材料702上に所望のパターンを効果的且つ確実に作成することを可能にするのに十分な力が加えられ得る)曲面上に所望の微細パターンまたはナノパターンを効果的且つ確実に作成し得る。上層704を位置決めするための例示的なプロセスは、
図9に関してより詳細に記載される。
【0117】
表1に戻って参照すると、特定の体積のパターニング材料によって充填された密閉空間を形成するために使用する上層のタイプ(例えば、CRT)を考慮すると、単位1mm×1mm面積当たりの力の大きさが重要であり得る。例えば、これらの考慮事項は、上層の曲げ能力および/または曲げによる上層の最大撓みを含む。
【0118】
式(3)に示すオイラー・ベルヌーイビーム方程式は、特定の厚さを有する特定の上層(例えば、CRT)材料タイプに対して達成される撓みおよび/または特定の距離を曲げるのに必要な力の概念を与え得る。
【化3】
【0119】
式(3)は、本明細書に記載されるように、密閉空間を形成し、マイクロパターンまたはナノパターンを作成するために使用する上層またはCRTのタイプを決定するために使用され得る。式(3)において、qは、荷重Iに垂直な軸における弾性率Eおよび断面二次モーメントを有する材料(例えば、上層材料)上の長さL(例えば、上層の長さ)にわたる一定の力である。式(3)の結果は、中心(例えば、CRT)における最大撓みDCをもたらす。この式は、例えば球面インプリント(例えば、レンズタイプのプロファイル)のエッジから中心までのスライスを表し得る。
【0120】
式(3)を使用し、曲率を保持するために加えられる毛管力(例えば、表1からの関係)を理解すると、表2は、サブ250nmのレジスト体積厚さが保持され得ることを示している。具体的には、表2は、表1に基づいて、特定のレジストギャップ厚さおよびレジスト接触角で、異なる力が加えられたときの厚さ50~550μmのポリカーボネート(PC)ベースのCRTの長さ20mmにわたるmm単位の最大撓みを示している。
【表2】
【0121】
図7Dは、上層704がパターニング材料702および曲面700の上に適用された後に硬化されるパターニング材料702を示している。例えば、パターニング材料702は、UV硬化性レジストであり、パターニング材料702は、UV光を使用して硬化され、上層のパターンに基づいてパターニング材料702上にパターンが作成される。いくつかの実施形態では、上層704が適用された後、パターニング材料702が硬化している間に、パターニング材料堆積物の体積、パターニング材料の広がり(例えば、曲面上のナノチャネル配置によって引き起こされる)、および/または(例えば、上層の特性、広がり、および/または上層の適用に基づいて)パターニング材料の厚さに起因して、パターニング材料全体に力が加えられる。加えられる力は、所望のパターンが曲面の上方および上層の下方に効果的且つ確実に形成されることを可能にする十分に大きい力であってもよい。
【0122】
図7Eは、パターニング材料702が硬化を終了した後に除去されている上層704を示している。いくつかの実施形態では、上層704は、パターニング材料702が硬化を完了し、所望の微細パターンまたはナノパターンが曲面700上に形成された後に剥離される。
【0123】
いくつかの例では、テンプレート離型は、テンプレートの表面との硬化レジスト表面相互作用(例えば、上層の表面)、パターン密度、および作成されるパターンの複雑さ(例えば、凹状、傾斜した側壁)に依存し得る。上層からの離型要件は、基材タイプへの接着性に依存し得る。いくつかの実施形態では、パターニング材料の基材への結合は、追加の共有結合を介して化学的に強化される。
【0124】
図7Fは、曲面700上に作成されたパターン706を示している。いくつかの実施形態では、パターン706は、上層のパターンと、材料が硬化している間にパターニング材料702に作用する力とに基づく。例えば、力は、堆積されるパターニング材料702の体積、(例えば、曲面上のナノチャネル配置によって引き起こされる)パターニング材料の広がり、および/または(例えば、上層の特性、広がり、および/または上層の適用に基づく)パターニング材料の厚さに基づく。
【0125】
いくつかの実施形態では、パターン706は、レンズ上に反射防止特徴(例えば、反射防止ナノパターン)を作成するために使用されてもよい。例えば、パターン706は、型の一部であってもよい。レンズおよびその反射防止パターンは、有利には、1つのステップ(例えば、反射防止膜堆積なし)で成形型(すなわち、パターン706)を用いて形成され得る。いくつかの実施形態では、導波路パターン(例えば、曲面ガラス上、曲面プラスチック上、パターニング幾何学的位相(GP)(例えば、液晶材料に基づく)上、曲面基材上のメタレンズ、より小さいフォームファクタ(例えば、コンタクトレンズ)での曲面基材上の導波路またはメタレンズパターン)を作成するために、(例えば、型として)パターン706が使用され得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、パターン706は、剥離層によってコーティングされて、(例えば、パターン706が型として使用されるときに解放するために)パターン転写面を形成する。例えば、剥離層コーティングは、フッ素化シラン処理(例えば、FOTS)の有無にかかわらず、SiO2、Au、Al、またはAl2O3を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、
図7A~
図7Fに関して記載したプロセスは、有利には、微細パターンまたはナノパターンを曲面上に効果的且つ確実に作成することを可能にする。開示されたナノチャネル配置、上層、および/またはパターニング材料堆積プロセスを使用することにより、パターニング材料によってパターンを作成するための力が加えられ得る(例えば、曲面の上方および上層の下方に所望のパターンを作成するための十分に強い毛管力)。
【0128】
いくつかの実施形態では、パターン706は、反応性イオンエッチング(RIE)、誘導結合プラズマ-RIE、イオンビームミリング、およびCHF3、CF3、SF6、Cl2、O2、Arなどのガスを使用したエッチングなどのエッチングプロセスを介して曲面に転写される。曲面700は、溶融シリカ(SiO2)、石英(SiO2)、クロムコーティング溶融シリカ、ソーダ石灰などの材料を含み得る。エッチングされたパターンは、物理気相成長プロセス(例えば、蒸発、スパッタ)および/または化学気相成長プロセス(例えば、プラズマCVD、原子層堆積)を使用して、曲面上に堆積された薄膜に転写されることもできる。そのような膜は、窒化シリコン(Si3N4)、酸化窒化シリコン、および二酸化シリコン(SiO2)を含むことができる。パターンを転写するために、他のプロセス、ガス、および材料が使用されてもよいことを理解されたい。
【0129】
いくつかの実施形態では、マイクロパターンまたはナノパターンは、上層によって覆われた湾曲領域にわたって変化してもよい。いくつかの実施形態では、分配されるレジストのタイプは、(例えば、様々なマイクロパターンまたはナノパターンを形成するために)異なる曲率深さに対して毛細管保持力を最適化するために、(例えば、表面張力を変化させるために、粘度を変化させるために、接触角を変化させるために)基材によって覆われた湾曲領域にわたって変化してもよい。
【0130】
図8A~
図8Cは、本開示の実施形態にかかる、曲面上の例示的なパターンの製造を示している。曲面は、特定の凸性および曲率(例えば、特定の曲率半径)を有するものとして示されているが、示されている凸性および曲率は、例示的なものであることが理解される。いくつかの実施形態では、開示されたプロセスを使用して、異なる曲率を有する凸状または凹状の曲面上にパターンが作成され得る。パターンは、1次元にわたって示されているが、パターンは、1より大きい次元にわたって作成されてもよいことが理解される。特定の変動パラメータが記載されているが、他のパラメータが変動されて所望の変動パターンを作成してもよいことが理解される。簡潔にするために、
図7A~
図7Fに関して記載したステップ、特徴、および利点は、ここでは繰り返さない。
【0131】
図8Aは、曲面800上に堆積されているパターニング材料802を示している。いくつかの実施形態では、図示のように、パターニング材料802の堆積物(例えば、インクジェットを使用する)の体積(例えば、10pL~10μL)は、曲面800にわたって変化する。例えば、曲面800の縁部に近い堆積の体積は、曲面800の中心に近い堆積の体積よりも小さくてもよい。
【0132】
体積が変化するため、上層804が適用された後(例えば、適切な曲げおよびコンフォーマル被覆を確実にする)、パターニング材料802を横切る厚さ(例えば、パターニング材料を横切る位置における曲面800と上層804との間の距離)が変化し得る。例えば、図示のように、曲面800の縁部に近い堆積の体積は、曲面800の中心に近い堆積の体積よりも小さく、曲面800の縁部に近い第1の厚さ806は、曲面800の中心に近い第2の厚さ808よりも薄い。結果として、第1の厚さ806に対応するパターン810は、第2の厚さ808に対応するパターン812と比較して、曲面800に対してより低い高さにある。体積、厚さ、および作成されたパターンの間の関係は、式(1)および(2)ならびに表1に関して記載したように予測され得る。
【0133】
図8Bは、曲面820上に堆積されているパターニング材料822Aおよび822Bを示している。いくつかの実施形態では、図示のように、パターニング材料822Aに関連する堆積物(例えば、インクジェットを使用する)は、パターニング材料822Bに関連する堆積物と比較して異なるように広げられる。いくつかの実施形態では、パターニング材料822Aは、パターニング材料822Bとは異なる材料を含むため、広がりは異なる。
【0134】
例えば、異なる材料は、変化する屈折率(例えば、1.53の屈折率を有する第1の材料(例えば、パターニング材料822A)および1.9の屈折率を有する第2の材料(例えば、パターニング材料822B))を有する材料を含んでもよい。第1の材料は、アクリレートおよびビニルエステルなどのUV硬化性ポリマーを含んでもよい。第2の材料は、硫黄、炭素鎖中の芳香族分子、またはTiO2およびZrO2などの高屈折率ナノ粒子を含んでもよい。より一般的には、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるパターニング材料は、第1の材料、第2の材料、または第1の材料と第2の材料の両方を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、パターニング材料822A(例えば、対応する材料が堆積される曲面上に位置するナノチャネル配置)およびパターニング材料822Bに関連するナノチャネル配置が異なるため、広がりは異なる。例えば、パターニング材料822Aに関連するナノチャネル配置は、パターニング材料822Bと比較して、パターニング材料822Aがより広がることを可能にする。
【0136】
様々な広がりのために、上層824が適用された後、パターニング材料822Aおよび822Bにわたる厚さ(例えば、パターニング材料を横切る位置における曲面820と上層824との間の距離)は変化し得る。例えば、図示のように、パターニング材料822Aに対応する第1の厚さ826は、パターニング材料822Bに対応する第2の厚さ828よりも薄い。その結果、パターニング材料822Aに対応するパターン830は、パターニング材料822Bに対応するパターン832と比較して、曲面800に対してより低い高さにある。体積、厚さ、および作成されたパターンの間の関係は、式(1)および(2)ならびに表1に関して記載したように予測され得る。
【0137】
図8Cは、曲面840上に堆積されているパターニング材料842Aおよび842Bを示している。いくつかの実施形態では、図示のように、パターニング材料822Aは、パターニング材料842Bの堆積位置と比較して異なる間隔で(例えば、インクジェットを使用して)堆積される。例えば、パターニング材料842Aは、パターニング材料842Bの堆積よりも広い間隔(例えば、隣接する堆積物間のより大きなギャップ)の間に堆積される。いくつかの実施形態では、パターニング材料824Aおよび824Bは同じ材料を含む。
【0138】
堆積位置が変化するため、上層844が適用された後、パターニング材料842Aおよび842Bにわたる厚さ(例えば、パターニング材料を横切る位置における曲面840と上層844との間の距離)は変化し得る。例えば、図示のように、パターニング材料842Aに対応する第1の厚さ846は、パターニング材料842Bに対応する第2の厚さ848よりも薄い。
【0139】
異なる厚さは、上層844によって作成される異なるパターンに対応し得る。例えば、第1の厚さ846は、(例えば、式(1)および(2)ならびに表1に基づいて)パターン850を形成するのに十分な力を加えるための厚さであってもよく、第2の厚さ848は、パターン852を形成するのに十分な力を加えるための厚さであってもよい。その結果、作成されるパターンに対応する十分な力が厚さに基づいて加えられることが可能にされる。パターン850を形成するための力は、パターン852を形成するための力よりも大きくてもよく、したがって、パターン850を形成するためにより大きな毛管力を加えるために、より薄い厚さが必要とされる。体積、厚さ、および作成されたパターンの間の関係は、式(1)および(2)ならびに表1に関して記載したように予測され得る。
【0140】
いくつかの実施形態では、
図8A~
図8Cにおいて作成されたパターンは、剥離層によってコーティングされて、(例えば、パターンが型として使用されるときに解放するために)パターン転写面を形成する。例えば、剥離層コーティングは、フッ素化シラン処理(例えば、FOTS)の有無にかかわらず、SiO
2、Au、Al、またはAl
2O
3を含む。
【0141】
場合によっては、上層(例えば、可撓性CRT)が屈曲して適合するために必要な推進力を提供するために、レジストによって曲面に向かって表面接触を開始する能力が必要とされ得る。
図9は、本開示の実施形態にかかる、曲面上にパターンを製造するための例示的な力伝達を示している。力が伝達されて、上層910をパターニング材料上に配置し得る。例えば、
図7A~
図7Fおよび
図8A~
図8Cに関して記載したように、(例えば、上層と曲面との間のパターニング材料特性および厚さおよび距離をパターニングすることに基づいて)毛管力が上層をそのパターニング位置に保持するまで、(例えば、所望の上層曲率、したがって上層と曲面との間の所望の距離を達成するために)上層を曲げ、上層とパターニング材料との間の接触を開始するために、ローラ900Aもしくは900Bまたは機構902Aもしくは902Bによって力が加えられ得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載のマイクロパターンまたはナノパターンを形成するために、上層910の上方にローラを転動させて、上層910をパターニング材料(上層の下方)に接触させることによって)上層を位置決めするための力を提供するために、凹状/凸状プッシュローラ900Aまたは900B(例えば、上下左右)が使用される。いくつかの実施形態では、(例えば、本明細書に記載のマイクロパターンまたはナノパターンを形成するために、上層910をパターニング材料(上層の下方)に接触させるための上下移動を伴って)上層を位置決めするための力を提供するために、コンプライアントzヘッド機構902Aまたは902Bが使用される。
【0143】
いくつかの実施形態では、上層(例えば、可撓性CRT)を位置決めし、特定のマイクロパターンまたはナノパターンを形成するための力を生成するために、加圧された不活性ガス、空気、または(例えば、より低い圧力セクションを作成することによる)圧力差の生成を使用するなどの非接触方法が使用され得る。
【0144】
例えば、上層をパターニング材料と接触させるための開示されたプロセスを使用して、可撓性CRT(例えば、50~550μmの厚さの共押出PCまたはPETウェブ/ロール)を使用して-1D出力でNBK-7レンズ(n=1.53)にインプリントすることが、直径50mmを有する曲面上で達成され得る。この例では、可撓性CRTは、縁部に対して600μmの中心に曲率深さを有し得る。開示されたプロセスを使用して曲面に押し付けられると、CRTは、有利には湾曲の形状に適合し、その形状を保持する。いくつかの例では、上層は、曲面上の任意の引っかき傷または空隙(例えば、ヘイズ)を平坦化するという追加の利点を有し得る。
【0145】
図10A~
図10Eは、本開示の実施形態にかかる、曲面上に製造されたパターンの例示的な適用を示している。曲面は、特定の凹面および曲率(例えば、特定の曲率半径)を有するものとして示されているが、示されている凹面および曲率は、例示的なものであることが理解される。いくつかの実施形態では、開示されたプロセスを使用して、異なる曲率を有する凹状または凸状の曲面上にパターンが作成され得る。パターンは、1次元にわたって示されているが、パターンは、1より大きい次元にわたって作成されてもよいことが理解される。簡潔にするために、
図7~
図9に関して記載したステップ、特徴、および利点は、ここでは繰り返さない。
【0146】
図10Aは、曲面1000上に堆積されているパターニング材料1002を示している。パターニング材料1002は、
図7A~
図7Fおよび
図8A~
図8Cに関して記載したパターニング材料を含み得る。いくつかの実施形態では、パターニング材料1002は、レジスト流体(例えば、UV硬化性レジスト)であり、パターニング材料1002は、本明細書において説明するように、インクジェットを使用して堆積される。いくつかの実施形態では、各堆積物の体積は、(例えば、所望の厚さおよび毛管力を達成するために)正確に制御される。簡潔にするために、インクジェットの記載および利点はここでは繰り返さない。パターニング材料1002は、異なる順序(例えば、全ての液滴が同時に、一度に1つ、一度に2つ以上の液滴)において堆積されてもよいことが理解される。
【0147】
図10Bは、曲面1000上に堆積されたパターニング材料1002を示している。いくつかの実施形態では、
図10Bは、
図7A~
図7Fおよび
図8A~
図8Cに関して記載したように、上層を適用する前の曲面1000およびパターニング材料1002を示している。
図10Cは、曲面1000上に作成されたパターン1006を示している。パターン1006は、
図7~
図9に関して記載したプロセスを使用して作成され得る。
【0148】
図10Dは、曲面1000上に堆積されているパターニング材料1008を示している。パターニング材料1008は、
図7A~
図7Fおよび
図8A~
図8Cに関して記載したパターニング材料を含み得る。いくつかの実施形態では、パターニング材料1008は、レジスト流体(例えば、UV硬化性レジスト)であり、パターニング材料1008は、(例えば、
図10Aに関して記載したように)インクジェットの代替として、非インクジェット法を使用して堆積される。いくつかの実施形態では、各堆積物の体積は、(例えば、所望の厚さおよび毛管力を達成するために)正確に制御される。
【0149】
図10Eは、(例えば、
図10Bに関して記載したように)インクジェットの代替として、非インクジェット法を使用して曲面1000上に堆積されたパターニング材料1008を示している。いくつかの実施形態では、
図10Eは、
図7A~
図7Fおよび
図8A~
図8Cに関して記載したように、上層を適用する前の曲面1000およびパターニング材料1008を示している。パターニング材料1008は、
図7~
図9に関して記載したような、および
図10Cに関して記載したようなプロセスを使用して、パターン1006を形成するために使用され得る。
【0150】
図11A~
図11Dは、本開示の実施形態にかかる、曲面上に製造されたパターンの例示的な適用を示している。パターンは、1次元にわたって示されているが、パターンは、1より大きい次元にわたって作成されてもよいことが理解される。
【0151】
図11Aは、第1の型1100Aおよび第2の型1100Bを示している。第1の型1100Aは、第1のパターン1102を備え、第2の型1100Bは、第2のパターン1104を備える。いくつかの実施形態では、図示とは異なり、第1の型および第2の型は、両方とも凹状または凸状である。いくつかの実施形態では、パターン1102および/またはパターン1104は、
図7~
図9に関して記載したプロセスを使用して作成される。いくつかの実施形態では、パターン1102および/またはパターン1104は、剥離層によってコーティングされて、(例えば、パターンが型として使用されるときに解放するために)パターン転写面を形成する。例えば、剥離層コーティングは、フッ素化シラン処理(例えば、FOTS)の有無にかかわらず、SiO
2、Au、Al、またはAl
2O
3を含む。
【0152】
図11Bは、第1の型1100Aと第2の型1100Bとの間に配置された材料1106を示している。いくつかの実施形態では、材料1106は、光学構造(例えば、導波路、反射防止特徴を有する光学構造)を製造するための材料である。材料1106は、例えば、硬化型導波路樹脂である。
【0153】
いくつかの実施形態では、材料1106は、第1の型1100Aと第2の型1100Bとの間で成形される。例えば、2つの型の間に硬化型導波路樹脂が成形される。2つの型ならびにパターン1102および1104の曲率は、型1100Aおよび1100Bによって作成される最終生成物の所望の曲率半径に基づいて決定される。例えば、所望の曲率半径は、所望の導波路曲率半径であり、導波路は、パターン1102および1104に対応するパターンを有する。2つの型の湾曲は、
図7~
図9に関して記載したプロセスを使用して作成され得る。
【0154】
図11Cは、最終生成物1108を示している。いくつかの実施形態では、最終生成物1108は、所望の曲率半径および所望の光学特性を可能にするパターン(例えば、第1の光学パターン1110、第2の光学パターン1112)を有する導波路である。いくつかの実施形態では、第1のパターン1102は、第1の光学パターン1110(例えば、材料1106を第1のパターン1102に成形して第1の光学パターン1110を形成することによって)に対応し、第2のパターン1104は、第2の光学パターン1112(例えば、材料1106を第2のパターン1104に成形して第2の光学パターン1112を形成することによって)に対応する。
【0155】
いくつかの実施形態では、第1の光学パターン1110および/または第2の光学パターン1112は、光源からの入射光を基材へと内部全反射で回折させる入力結合素子;ユーザの眼の近くの回折素子に向けて光を誘導および拡散するのに役立つ瞳孔拡張素子;虚像を生成するためにユーザから外側に光を抽出する射出瞳またはアウトカップリング要素;または透過率を高めるための反射防止パターンの1つまたは組み合わせを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、最終生成物1108は、反射防止特徴を有する屈折レンズである。例として、レンズ曲率は、20mmの曲率半径を有する425mmの開口+/-1.25Dのレンズパワーを有し得る。曲率の高さまたは深さは、1.53の屈折率のレンズ材料では約450μm、1.65の屈折率のレンズ材料では約400μm、1.75の屈折率のレンズ材料では350μmを超える。
【0157】
図11Dは、最終生成物1108のパターンに関連する所望の光学特性を示している。例えば、最終生成物1108は、(
図1~
図5に関して記載したように)MRシステムの導波路であり、パターン1110は、MR画像に対応する特定の焦点深度を有する焦点1114に対応する。MRコンテンツがユーザに提示されているとき、光源1116は、MRコンテンツを提示するための光を提供するために導波路に光学的に結合される。パターン1110は、MR画像に対応する焦点1114に合焦するように構成されているため、MR画像の提示を改善する。
【0158】
いくつかの実施形態では、
図7~
図9に関して記載したプロセスにより、型1100Aおよび1100Bを作成し、最終生成物1108の製造をより実現可能にすることができる。例示的な利点として、最終生成物1108を形成するための
図11A~
図11Dに関して記載したプロセスは、従来の方法と比較してより効率的であり得る。例えば、最終生成物1108は導波路であり、プロセスは、特定の曲率を生成するために湾曲した固体表面上に平坦なポリマー導波路基材をポストアニーリングする必要性を回避し得る。追加の後アニーリングステップは、より時間がかかり、信頼性が低く、より高価であり得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、システム(例えば、本明細書に記載のMRシステム)は、ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイス(例えば、本明細書に記載のMRデバイス、ウェアラブルヘッドデバイス)を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、光学的特徴(例えば、パターン1110および/またはパターン1112を含む最終生成物1108)を含む光学スタックを含み、光学的特徴は、
図6~
図12に関して記載したプロセスまたは方法を使用して形成される。いくつかの実施形態では、システムは、複合現実環境に関連付けられたコンテンツをディスプレイ上に提示することを含む方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサを含み、コンテンツは、光学的特徴に基づいて提示される。
【0160】
図12は、本開示の実施形態にかかる、曲面上にパターンを製造する例示的な方法1200を示している。方法1200は、記載したステップを含むものとして示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、異なる順序のステップ、追加のステップ、またはより少ないステップが含まれてもよいことが理解される。簡潔にするために、
図5~
図11に関して記載したいくつかの利点およびパターンは、ここでは記載しない。
【0161】
いくつかの実施形態では、方法1200は、曲面上にパターニング材料を堆積させることを含む(ステップ1202)。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、パターニング材料(例えば、パターニング材料702、802、822A、822B、842A、844B、1002)が曲面上に堆積される。いくつかの実施形態では、曲面上にパターニング材料を堆積させることは、パターニング材料をインクジェットすることを含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、パターニング材料(例えば、パターニング材料702、802、822A、822B、842A、844B、1002)は、インクジェットを使用して曲面上に堆積される。
【0162】
【0163】
いくつかの実施形態では、1つ以上のナノチャネル配置のそれぞれは、曲面の縁部に対して0度、12度、または22度の角度で配置される。例えば、
図6B~
図6D、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、1つ以上のナノチャネル配置(例えば、ナノチャネル配置614、624、634)は、曲面の縁部に対して0度、12度または22度の角度で配置される。
【0164】
いくつかの実施形態では、方法1200は、パターニング材料の上方に上層を配置することを含む(ステップ1204)。いくつかの実施形態では、上層は、パターンを作成するためのテンプレートを備える。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層(例えば、上層704、804、824、844、910)がパターニング材料の上方に配置される。
【0165】
いくつかの実施形態では、上層は、可撓性コーティングされたレジストテンプレートを備える。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層(例えば、上層704、804、824、844、910)は、可撓性CRTを含む。いくつかの実施形態では、上層は、ポリカーボネートを含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層(例えば、上層704、804、824、844、910)は、PC、PET、またはその両方を含む。いくつかの実施形態では、上層は、50~550μmの厚さを有する。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層(例えば、上層704、804、824、844、910)は、50~550μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、上層は、(例えば、50~550μmの厚さにおいて)10GPa未満の弾性率Eを有する。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層(例えば、上層704、804、824、844、910)は、10GPa未満の弾性率Eを有する。
【0166】
いくつかの実施形態では、パターニング材料の上に上層を配置することは、上層に力を加えて上層を曲面に向かって曲げることを含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層を曲面に向かって曲げるために上層(例えば、上層704、804、824、844、910)に力が加えられる。
【0167】
いくつかの実施形態では、上層にかかる力は、ローラまたは機構を使用して加えられる。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、ローラ(例えば、ローラ900A、900B)または機構(例えば、機構902A、902B)を使用して上層(例えば、上層704、804、824、844、910)に力が加えられる。
【0168】
いくつかの実施形態では、上層にかかる力は、上層と曲面との間の距離を維持し、距離は、加えられた力に対応する。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層(例えば、上層704、804、824、844、910)に力が加えられ、上層と曲面との間の距離を維持し、(例えば、表1に関して記載したような)加えられる毛管力は距離に関連する。
【0169】
いくつかの実施形態では、方法1200は、パターニング材料を使用して、曲面と上層との間に力を加えることを含む(ステップ1206)。いくつかの実施形態では、力は、毛管力を含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、(表1に関して記載したような)毛管力が曲面と上層との間に加えられる。力は、パターニング材料および上層のテンプレートを使用してパターンを確実に作成するのに十分な力であり得る。
【0170】
いくつかの実施形態では、力は、パターニング材料の厚さ、パターニング材料の接触角、またはその両方に基づく。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、および
図10A~
図10Cならびに表1に関して記載したように、曲面と上層との間に加えられる毛管力の大きさは、パターニング材料の厚さ、パターニング材料の接触角、またはその両方の関数である。いくつかの実施形態では、力は、曲面に対する適用された上層の位置を維持する。例えば、毛管力は、上層に加えられる力なしに上層と曲面との間の距離を維持する。
【0171】
いくつかの実施形態では、方法1200は、曲面と上層との間に力が加えられた後に、上層に力を加えることを停止することを含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図9、および
図10A~
図10Cに関して記載したように、上層と曲面との間に所望の毛管力が加えられた後、毛管力は、上層に力を加えずに上層と曲面との間の距離を維持し得て、上層への力の印加が停止され得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、方法1200は、パターニング材料を硬化させることを含む(ステップ1208)。いくつかの実施形態では、硬化したパターニング材料は、パターンを含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図10A~
図10C、および
図11A~
図11Dに関して記載したように、パターニング材料は、(例えば、UV光を使用して)硬化し、硬化したパターニング材料は、上層のテンプレートからのパターン(例えば、パターン706、810、812、830、832、850、852、1006、1102、1104)を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、方法1200は、上層を除去することを含む(ステップ1210)。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図10A~
図10C、および
図11A~
図11Dを参照して記載したように、パターン(例えば、パターン706、810、812、830、832、850、852、1006、1102、1104)が作成された後、上層が除去される。いくつかの実施形態では、方法1200は、共有結合を介してパターニング材料を曲面と結合することを含む。例えば、パターニング材料と曲面との間の結合強度を高め、上層除去中のパターンへの潜在的な損傷を低減するために、パターニング材料は、共有結合を介して曲面に結合される。
【0174】
いくつかの実施形態では、方法1200は、パターンを使用して光学構造を形成することを含む。例えば、
図11A~
図11Dに関して記載したように、最終生成物1108は、パターン1102および1104を使用して形成される。いくつかの実施形態では、光学構造は、硬化性樹脂を成形するためにパターンを使用することによって形成される。例えば、
図11A~
図11Dに関して記載したように、最終生成物1108は、材料1106(例えば、硬化性樹脂)を成形することによって形成される。いくつかの実施形態では、最終生成物1108は、成形ポリマーを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、光学構造は、湾曲導波路を備える。例えば、
図11A~
図11Dに関して記載したように、最終生成物1108は、湾曲導波路を備える。いくつかの実施形態では、パターンは、湾曲導波路の焦点に対応する。例えば、
図11A~
図11Dに関して記載したように、湾曲導波路は、パターン1102および1104によって形成された光学パターン1110および1112を備え、光学パターンは、MRコンテンツを表示するための焦点1114に対応する。
【0176】
いくつかの実施形態では、光学構造は、パターンに対応する反射防止特徴を有するレンズを備える。例えば、
図11A~
図11Dに関して記載したように、最終生成物1108は、パターン1102および/または1104によって形成された反射防止特徴を有するレンズを備える。
【0177】
いくつかの実施形態では、方法1200は、パターンを剥離層によってコーティングすることを含む。例えば、
図7A~
図7F、
図8A~
図8C、
図10A~
図10C、および
図11A~
図11Dに関して記載したように、パターン(例えば、パターン706、810、812、830、832、850、852、1006、1102、1104)が作成された後、パターンは、剥離層によってコーティングされて、パターン(例えば、型1100Aのパターン1102、型1100Bのパターン1104)によって成形された最終生成物(例えば、最終生成物1108)の剥離を容易にする。
【0178】
いくつかの実施形態では、第1のパターニング材料は、第1の体積を有し、第1のパターニング材料は、曲面に対して第1の位置に堆積される。いくつかの実施形態では、方法1200は、曲面に対して第2の位置に第2の体積を有する第2のパターニング材料を堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、第1の位置における第1のパターニング材料の第1の厚さは、第1の体積の厚さに対応し、第2の位置における第2のパターニング材料の第2の厚さは、第2の体積の厚さに対応する。例えば、
図8Aに関して記載したように、パターン810および812は、パターン材料802の堆積体積の変化に起因して形成される。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1のパターニング材料は、第1の材料を含み、第1のパターニング材料は、曲面に対して第1の位置に堆積される。いくつかの実施形態では、方法1200は、曲面に対して第2の位置に第2の材料を含む第2のパターニング材料を堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、第1の位置における第1のパターニング材料の第1の厚さは、第1の材料の特性に対応し、第2の位置における第2のパターニング材料の第2の厚さは、第2の材料の特性に対応する。例えば、
図8Bに関して記載したように、パターン830は、パターニング材料822Aに基づいて形成され、パターン832は、パターニング材料822Bに基づいて形成される。パターニング材料822Aの特性は、パターニング材料822Aを第1の様式で広げさせる。パターニング材料822Aの広がりにより、第1の厚さ826が生じ、第1の毛管力が第1の厚さ826に基づいて加えられる。パターニング材料822Bの特性は、パターニング材料822Bを第2の様式で広げさせる。パターニング材料822Bの広がりにより、第2の厚さ828が生じ、第2の毛管力が第2の厚さ828に基づいて加えられる。
【0180】
いくつかの実施形態では、第1のパターニング材料は、曲面の複数の第1の位置に堆積され、第1の位置は第1の間隔によって分離され、硬化したパターニング材料は、第2のパターンをさらに含む。いくつかの実施形態では、方法1200は、曲面の複数の第2の位置に第2のパターニング材料を堆積させることを含み、第2の位置は、第2の間隔によって分離される。いくつかの実施形態では、第1の間隔は、第1のパターンを作成するために第1の力を加えるための第1の厚さに対応し、第2の間隔は、第2のパターンを作成するために第2の力を加えるための第2の厚さに対応する。例えば、
図8Cに関して記載したように、パターニング材料842Aは、第1の間隔によって分離された曲面の第1の位置に堆積され、パターニング材料842Bは、第2の間隔によって曲面の第2の位置に堆積される。第1の間隔は、第1のパターン850を形成するための第1の力を加えるための第1の厚さ846に対応し、第2の間隔は、第2のパターン852を形成するための第2の力を加えるための第2の厚さ848に対応する。
【0181】
いくつかの実施形態によれば、方法は、曲面上にパターニング材料を堆積させることと、パターニング材料の上に上層を配置することであって、上層が、パターンを作成するためのテンプレートを備える、ことと、パターニング材料を使用して、曲面と上層との間に力を加えることと、パターニング材料を硬化させることであって、硬化したパターニング材料がパターンを含む、ことと、上層を除去することと、を含む。
【0182】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、パターンを使用して光学構造を形成することをさらに含む。
【0183】
いくつかの実施形態によれば、光学構造は、硬化性樹脂を成形するためにパターンを使用することによって形成される。
【0184】
いくつかの実施形態によれば、光学構造は、湾曲導波路を備える。
【0185】
いくつかの実施形態によれば、パターンは、湾曲導波路の焦点に対応する。
【0186】
いくつかの実施形態によれば、光学構造は、パターンに対応する反射防止特徴を有するレンズを備える。
【0187】
いくつかの実施形態によれば、曲面は、1つ以上のナノチャネル配置を備える。
【0188】
いくつかの実施形態によれば、1つ以上のナノチャネル配置のそれぞれは、曲面の縁部に対して0度、12度または22度の角度で配置される。
【0189】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、ナノチャネル配置の上にパターニング材料を広げることをさらに含む。
【0190】
いくつかの実施形態によれば、力は、毛管力を含む。
【0191】
いくつかの実施形態によれば、力は、パターニング材料の厚さ、パターニング材料の接触角、またはその両方に基づく。
【0192】
いくつかの実施形態によれば、力は、曲面に対する適用された上層の位置を維持する。
【0193】
いくつかの実施形態によれば、曲面上にパターニング材料を堆積させることは、パターニング材料をインクジェットすることを含む。
【0194】
いくつかの実施形態によれば、パターニング材料の上に上層を配置することは、上層に力を加えて上層を曲面に向かって曲げることを含む。
【0195】
いくつかの実施形態によれば、上層にかかる力は、ローラまたは機構を使用して加えられる。
【0196】
いくつかの実施形態によれば、上層にかかる力は、上層と曲面との間の距離を維持し、距離は、加えられた力に対応する。
【0197】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、曲面と上層との間の力がパターニング材料を使用して加えられた後に、上層に力を加えることを停止することをさらに含む。
【0198】
いくつかの実施形態によれば、上層は、可撓性コーティングされたレジストテンプレートを備える。
【0199】
いくつかの実施形態によれば、上層は、PC、ポリエチレンテレフタレート、またはその両方を含む。
【0200】
いくつかの実施形態によれば、上層は、50~550μmの厚さを有する。
【0201】
いくつかの実施形態によれば、上層は、10GPa未満の弾性率を有する。
【0202】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、パターンを剥離層によってコーティングすることをさらに含む。
【0203】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、共有結合を介してパターニング材料を曲面と結合することをさらに含む。
【0204】
いくつかの実施形態によれば、第1のパターニング材料は、第1の体積を有し、第1のパターニング材料は、曲面に対して第1の位置に堆積される。本方法は、曲面に対して第2の位置に第2の体積を有する第2のパターニング材料を堆積させることをさらに含む。第1の位置における第1のパターニング材料の第1の厚さは、第1の体積の厚さに対応し、第2の位置における第2のパターニング材料の第2の厚さは、第2の体積の厚さに対応する。
【0205】
いくつかの実施形態によれば、第1のパターニング材料は、第1の材料を含み、第1のパターニング材料は、曲面に対して第1の位置に堆積される。本方法は、第2の材料を含む第2のパターニング材料を曲面に対して第2の位置に堆積させることをさらに含む。第1の位置における第1のパターニング材料の第1の厚さは、第1の材料の特性に対応し、第2の位置における第2のパターニング材料の第2の厚さは、第2の材料の特性に対応する。
【0206】
いくつかの実施形態によれば、第1のパターニング材料は、曲面の複数の第1の位置に堆積され、第1の位置は第1の間隔によって分離され、硬化したパターニング材料は、第2のパターンをさらに含む。本方法は、曲面の複数の第2の位置に第2のパターニング材料を堆積させることであって、第2の位置が、第2の間隔によって分離される、ことをさらに含む。第1の間隔は、第1のパターンを作成するための第1の力を加えるための第1の厚さに対応し、第2の間隔は、第2のパターンを作成するための第2の力を加えるための第2の厚さに対応する。
【0207】
いくつかの実施形態によれば、本方法は、エッチングによってパターンを曲面上に転写することをさらに含む。
【0208】
いくつかの実施形態によれば、光学スタックは、光学的特徴を備える。光学的特徴は、上記の方法のいずれかを使用して形成される。
【0209】
いくつかの実施形態によれば、システムは、ディスプレイを備えるウェアラブルヘッドデバイスを備える。ディスプレイは、光学的特徴を備える光学スタックであって、光学的特徴が、上記の方法のいずれかを使用して形成される、光学スタックと、ディスプレイ上に、複合現実環境に関連付けられたコンテンツを提示することであって、コンテンツが光学的特徴に基づいて提示されることを含む方法を実行するように構成された1つ以上のプロセッサと、を備える。
【0210】
開示された例は、添付の図面を参照して十分に説明されているが、様々な変形および変更が当業者には明らかになることに留意されたい。例えば、1つ以上の実装の要素が組み合わせられ、削除され、変更され、または補足されて、さらなる実装を形成してもよい。そのような変形および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される開示された例の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【国際調査報告】