IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東レ先端素材株式会社の特許一覧

特表2024-521018二軸延伸ポリエステルフィルム及びこれを含む二次電池分離膜
<>
  • 特表-二軸延伸ポリエステルフィルム及びこれを含む二次電池分離膜 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】二軸延伸ポリエステルフィルム及びこれを含む二次電池分離膜
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/12 20060101AFI20240521BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240521BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240521BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20240521BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240521BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20240521BHJP
   B65H 18/28 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B29C55/12
H01M50/403 Z
H01M50/446
H01M50/443 M
H01M50/434
H01M50/403 B
H01M50/489
H01M50/414
C08J5/18 CFD
C08K3/36
C08L67/00
B65H18/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566959
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 KR2022006449
(87)【国際公開番号】W WO2022245022
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063950
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501380081
【氏名又は名称】東レ先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA, INC.
【住所又は居所原語表記】93-1, Imsu-dong, Gumi-si, Gyeongsangbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ミン ギ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヤン ホ
【テーマコード(参考)】
3F055
4F071
4F210
4J002
5H021
【Fターム(参考)】
3F055AA05
3F055FA17
4F071AA46
4F071AB26
4F071AD02
4F071AD06
4F071AF30Y
4F071AG28
4F071AH15
4F071BB08
4F071BC01
4F071BC12
4F071BC16
4F210AA24
4F210AB11
4F210AB16
4F210AB17
4F210AG01
4F210AH33
4F210AR04
4F210AR08
4F210AR12
4F210AR13
4F210AR20
4F210QA02
4F210QA03
4F210QC06
4F210QD12
4F210QD25
4F210QG01
4F210QG18
4F210QL16
4F210QM15
4F210QW07
4J002CF061
4J002DJ016
4J002FD206
4J002GQ00
4J002GT00
5H021BB04
5H021BB05
5H021BB19
5H021EE02
5H021EE04
5H021EE08
5H021EE22
5H021EE31
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
(57)【要約】
本発明による二軸延伸ポリエステルフィルムは、無機粒子及びポリエステル樹脂を含む二軸延伸ポリエステルフィルムであって、二軸延伸ポリエステルフィルムが巻き取られたマスターロールをスリッティングした後、巻取張力6.5ないし8.5kg/m、巻取面圧35ないし50kg/m、巻取速度300ないし350m/minで再度巻き取られたロールの硬度は90ないし95ポイントであって、ロール巻取状態で軽視性しわが発生するのを防止して、二次電池分離膜の間紙として使用する時に分離膜にしわが転写されるのを防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子及びポリエステル樹脂を含む二軸延伸ポリエステルフィルムであって、
前記二軸延伸ポリエステルフィルムが巻き取られたマスターロールをスリッティングした後、巻取張力6.5ないし8.5kg/m、巻取面圧35ないし50kg/m、巻取速度300ないし350m/minで再度巻き取られたロールの硬度は90ないし95ポイントである、二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項2】
前記無機粒子の平均粒径は、3.0ないし5.0μmである、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項3】
前記無機粒子は、0.0008ないし0.0015wt%含まれた、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項4】
前記二軸延伸ポリエステルフィルムは、中心線平均粗さ(SRa)が40ないし80nmで、10点平均粗さ(SRz)が800ないし1300nmである、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項5】
前記二軸延伸ポリエステルフィルムは、最大粗さ(SRmax)が1100ないし1800nmである、請求項4に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項6】
前記二軸延伸ポリエステルフィルムは、ヘイズが4%以上である、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項7】
前記二軸延伸ポリエステルフィルムは、表面ピークカウント(SPC)において面積0.1mm内高さ0.15μm以上の突起数が100個以上である、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項8】
前記無機粒子は、シリカ粒子である、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項9】
前記二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、10ないし16μmである、請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項10】
請求項1ないし9のうち、いずれか1項に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムは、二次電池分離膜の間紙として使用される、二軸延伸ポリエステルフィルム。
【請求項11】
請求項1ないし9のうち、いずれか1項に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムを含む、二次電池分離膜。
【請求項12】
請求項11に記載の二次電池分離膜を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二軸延伸ポリエステルフィルムに関し、さらに具体的に表面特性を再設計し巻取条件を最適化して二次電池分離膜間紙として使用する時、軽視性しわが二次電池分離膜に転写されるのを防止できる二軸延伸ポリエステルフィルム及びこれを含む二次電池分離膜に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、親環境政策と二酸化炭素低減政策の一環として、ガソリンまたはディーゼルを燃料として使用する内燃機関自動車の代わりをして電気車に変わるにつれて、電気車に対する需要が次第に拡大して補給率が増加しつつある。このような電気車補給率の増加に伴って電気車に必須的な二次電池に関する需要が急激に増加して、二次電池の市場もまた急成長している。
【0003】
このような二次電池は、充填及び放電が可能な一つ以上の電気化学セルから構成されたバッテリーであって、再充填を通じて複数回使用可能であるから、使用が便利であり、電池廃棄物が発生しないから親環境的な特徴を有する。一般に、二次電池は、電池の用量と電圧を決定し電流を流れるようにする陽極及び陰極、イオンが円滑に移動するのに役立つ媒介体である電解液、そして陽極と陰極の接触を遮断する分離膜から構成される。
【0004】
また、二次電池を製造する過程の一つとして、二次電池の構成品である分離膜(PE素材、軟質)に安全性を強化するためのコーティング(Safety Reinfored Separator、SRS)をし、コーティング後に再度巻き取る過程で分離膜同士互いにくっつく現象があるから、分離膜の間にポリエステルフィルムを間紙として挿入し合紙して、再度巻き取る時に分離膜同士くっつく現象を防止するようになる。
【0005】
しかしながら、間紙として使用されるポリエステルフィルムのしわが激しいと、軟質素材である分離膜にしわが転写され、これによって分離膜の品質が落ちる問題が生じる。特に、従来のポリエステルフィルムは、生産直後のロール状態ではしわがないが、軽視性が良くないから、フィルム内部の空気が十分に抜けずに内部に閉じ込められてしわを発生させ、このようなポリエステルフィルムのしわは分離膜に転写されて分離膜の品質に大きく影響をおよぼす。
【0006】
そのため、二次電池分離膜間紙用として使用されるポリエステルフィルムの軽視性しわ問題を改善して、分離膜に転写されるのを防止することが切実に求められているのが実状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許公報10-2018-0077585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、ポリエステルフィルム生産後にロール巻取状態で軽視性しわが発生するのを防止できる二軸延伸ポリエステルフィルム、及びこれを含む二次電池分離膜を提供することにある。
【0009】
本発明の前記及び他の目的と利点は、好ましい実施例を説明した下記の説明によりさらに明らかになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的は、無機粒子及びポリエステル樹脂を含む二軸延伸ポリエステルフィルムであって、二軸延伸ポリエステルフィルムが巻き取られたマスターロールをスリッティングした後、巻取張力6.5ないし8.5kg/m、巻取面圧35ないし50kg/m、巻取速度300ないし350m/minで再度巻き取られたロールの硬度は90ないし95ポイントである、二軸延伸ポリエステルフィルムにより達成される。
【0011】
好ましくは、無機粒子の平均粒径は、3.0ないし5.0μmでありうる。
【0012】
好ましくは、無機粒子は、0.0008ないし0.0015wt%含まれたものでありうる。
【0013】
好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルムは、中心線平均粗さ(SRa)が40ないし80nmで、10点平均粗さ(SRz)が800ないし1300nmでありうる。
【0014】
好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルムは、最大粗さ(SRmax)が1100ないし1800nmでありうる。
【0015】
好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルムは、ヘイズが4%以上でありうる。
【0016】
好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルムは、表面ピークカウント(SPC)において面積0.1mm内高さ0.15μm以上の突起数が100個以上でありうる。
【0017】
好ましくは、無機粒子は、シリカ粒子でありうる。
【0018】
好ましくは、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、10ないし16μmでありうる。
【0019】
また、上記目的は、上述の二軸延伸ポリエステルフィルムは、二次電池分離膜の間紙として使用される、二軸延伸ポリエステルフィルムにより達成される。
【0020】
また、前記目的は、上述の二軸延伸ポリエステルフィルムを含む二次電池分離膜、及びこれを含む二次電池により達成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムは、巻き取られたフィルムロール内部の空気が円滑に抜けることができるように、ポリエステルフィルムの表面特性再設計及び巻取条件を最適化することで、フィルム生産直後に軽視性しわが発生せず、巻取時に内部空気によるしわが発生しないなどの効果を有する。
【0022】
また、本発明によれば、軽視性しわが発生しないから、二次電池分離膜の間紙用として使用する時にしわが分離膜に転写されないから、分離膜合紙加工時にしわによる品質問題発生を防止することによって、二次電池分離膜の品質を向上させ、安定して製品を供給できる等の効果がある。
【0023】
また、本発明によれば、二次電池分離膜の間紙用として使用する時に、しわが分離膜に転写されないから、高効率の二次電池分離膜を含む二次電池を提供できる等の効果を有する。
【0024】
ただし、本発明の効果らは、以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、以下の記載から当業者にとって明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付した図面を参照して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるよう詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現化でき、ここに説明する実施例に限定されない。
【0027】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分に対しては、同一の図面符号を付してある。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。これに対し、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0028】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により通常に理解されることと同じ意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先するはずである。また、本明細書において説明されることと類似または同等な方法及び材料が本発明の実施または試験に使用されうるが、適合した方法及び材料が本明細書に記載される。
【0029】
本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムは、フィルム製造時に使用される無機粒子の大きさを調節し、ロール巻取工程条件変更を通じて軽視性しわ発生を改善したフィルムを提供することである。以下、本発明をさらに詳細に説明しようとする。
【0030】
図1は、本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムの概略断面図である。
【0031】
図1に示すように、本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムは、無機粒子100及びポリエステル樹脂200を含んで、ポリエステル樹脂200に無機粒子100が分散された構造を有する。
【0032】
本発明において使用される無機粒子100は、シリカ(SiO)、ボロシリケート、アルミノシリケート、及びアルミナを含むことが好ましく、シリカ粒子を含むことがさらに好ましい。
【0033】
一実施例において、無機粒子100の平均粒径は、3.0ないし5.0μmであることが好ましい。3.0μm未満の無機粒子100を使用する場合、巻取中しわ発生が激しくなり、巻き取られたロール状態で空気の抜けが困難であるから、軽視性しわを発生させる。これとは反対に無機粒子100が5.0μmを超過する場合、大きな粒子によるフィルム層間押さえが発生し、フィルム製造時にフィルタ(Filter)の圧力上昇が短時間内に大きくなって、生産損失(Loss)が増加する。
【0034】
一実施例において、無機粒子100は、二軸延伸ポリエステルフィルム全体100wt%に対して0.0008ないし0.0015wt%を含むことが好ましい。無機粒子100の含有量が0.0008wt%未満の場合には、フィルム層間空気層が不足になって、フィルムの特定部分の表面突起が発生し、このような表面突起が累積して巻き取られたロール上において突起が激しくなって、加工不良を起こすようになり、また、巻取性が悪くなって、巻取中MD方向しわがさらに発生できる。反対に無機粒子100の含有量が0.0015wt%を超過する場合には、粒子の凝集による異物増加で不良が発生し、フィルム延伸時に粒子によるフィルム破断が発生するようになる。
【0035】
一実施例において、二軸延伸ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂100は、ジカルボン酸とジオールを重合して形成されたものでありえ、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことができる。
【0036】
ここで、ジカルボン酸は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5-ナトリウムスルホンジカルボン酸、フタル酸などの芳香族ジカルボン酸または水酸、琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などを含むことができ、またジオールは、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールまたは、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコールなどを使用することができる。
【0037】
一実施例において、本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムは、中心線平均粗さ(SRa)が40ないし80nmであることが好ましい。このとき、中心線平均粗さ(SRa)が40nm未満の場合、フィルム積層時に各層間空気が抜け出る空間が少なくなって、軽視性しわが発生し、80nm超過の場合、粒子があまりたくさん投入されて、生産時にフィルタ圧力が高まって生産性が低下する。
【0038】
一実施例において、二軸延伸ポリエステルフィルムは、10点平均粗さ(SRz)が800ないし1300nmであることが好ましい。このとき、10点平均粗さ(SRz)が800nm未満の場合、フィルム積層時に各層間空気が抜け出る空間が少なくなって、軽視性しわが発生し、1300nm超過の場合、粒子があまりたくさん投入されて、生産時にフィルタ圧力が高まって生産性が低下する。
【0039】
一実施例において、二軸延伸ポリエステルフィルムは、最大粗さ(SRmax)が1100ないし1800nmであることが好ましい。このとき、最大粗さ(SRmax)が1100nm未満の場合、フィルム積層時に各層間空気が抜け出る空間が少なくなって軽視性しわが発生し、1800nm超過の場合、粒子があまりたくさん投入されて、生産時にフィルタ圧力が高まって生産性が低下する。
【0040】
一実施例において、二軸延伸ポリエステルフィルムは、ヘイズが4%以上であることが好ましい。このとき、ヘイズが4%未満の場合、その分だけ粒子含有量が少ないから、空気抜け性が不利になって軽視性しわを発生させる。
【0041】
一実施例において、二軸延伸ポリエステルフィルムは、表面ピークカウント(SPC)において面積0.1mm内高さ0.15μm以上の突起数が100個以上であることが好ましい。このとき、突起数が100個未満の場合、フィルム積層時に各層間空気が抜け出る空間が少なくなって、軽視性しわが発生する。
【0042】
一実施例において、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは、10ないし16μmであることが好ましい。このとき、厚さが10μm未満の場合、ロール巻取時にしわが発生し、空気抜けに不利であるから、軽視性しわが発生する。ただし、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さが厚いほど、軽視性しわは少なく発生する傾向があるから、上記の上限値を限定するものではない。
【0043】
本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法は、無機粒子及びポリエステル樹脂を混合し押出及び二軸延伸してマスターロールを製造する第1ステップ、所定の幅を有するようスリッティングする第2ステップ、及び所定の巻取張力、巻取面圧及び巻取速度で再度巻き取って、再度巻き取られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造する第3ステップを含む。
【0044】
まず、無機粒子及びポリエステル樹脂を混合し押出及び二軸延伸してマスターロールを製造する第1ステップでは、ポリエステル樹脂に無機粒子を投入して混合した後、これを押出し、MD方向及びTD方向に二軸延伸して二軸延伸ポリエステルフィルムを製造する。このとき、無機粒子の平均粒径は、3.0ないし5.0μmであることが好ましく、無機粒子の含有量は、二軸延伸ポリエステルフィルム全体100wt%に対し0.0008ないし0.0015wt%であることが好ましい。また、第1ステップで製造されたポリエステルフィルムは、以後工程の便宜のためにマスターロール形態で巻き取られることが好ましい。
【0045】
次に、所定の幅を有するようスリッティングする第2ステップでは、マスターロール形態で巻き取られたポリエステルフィルムを、要求される幅、すなわちユーザが要求する幅でスリッティングする。このとき、スリッティングして達成されるポリエステルフィルムの幅は、特に制限はなく、ポリエステルフィルムが使用される用途及びこれを必要とする企業の要求に応じて、自由に調節可能である。
【0046】
次に、所定の巻取張力、巻取面圧及び巻取速度で再度巻き取って、再度巻き取られた二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造する第3ステップでは、スリッティングを通じて所定の幅を有したポリエステルフィルムを巻取張力6.5ないし8.5kg/m、巻取面圧35ないし50kg/m、巻取速度300ないし350m/minで再度巻き取るステップである。これにより、二軸延伸ポリエステルフィルムが前記条件で再度巻き取られた状態で軽視性しわが発生するのを防止する。
【0047】
一方、第2ステップ及び第3ステップは、それぞれ別の工程で行われることができ、工程の便宜のために第2ステップのスリッティング過程で第3ステップが同時に行われる一つの工程形態を有することができる。
【0048】
上述の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法において、図1の二軸延伸ポリエステルフィルムの内容と同一に繰り返される内容は省略した。
【0049】
一実施例において、上述した二軸延伸ポリエステルフィルムが巻き取られたマスターロール(Master Roll)をスリッティング(Slitting)して、ユーザに提供するために再度巻き取る時、巻取張力6.5ないし8.5kg/m、巻取面圧35ないし50kg/m及び巻取速度300ないし350m/minで最終巻き取られたロールの硬度が90ないし95ポイントを満たすことが好ましい。このとき、ロールの硬度が90ポイント未満の場合、ロールの垂れ下がりが発生し、フィルムの幅方向に横しわが発生し、95ポイント超過の場合、軽視性しわが発生する。
【0050】
以上のように再度巻き取る時、巻取張力が6.5kg/m未満で巻取面圧I35kg/m未満の場合、張力及び面圧のためマスターロール巻取時に横しわ及び巻取断面抜けが発生して、巻取が正しくならないから、製品を生産できず、これに対し、巻取張力が8.5kg/mを超過し巻取面圧が50kg/mを超過する場合、互いに異なるフィルムの層と層の間に空気が入っていく量が多くなって、しわの発生を加速化させる。
【0051】
また、巻取速度が300m/min未満の場合、ロールの硬度が高まり、これにより軽視性しわが発生し、反面に巻取速度が350m/min超過の場合、巻取速度が過度に速くなって、互いに異なるフィルムの層と層との間に空気が入っていく量が多くなって、しわの発生を加速化させる。
【0052】
このように、本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムは、巻き取ってマスターロとして製造されるが、以後ユーザに提供するためにスリッティングした後に再度巻き取る時、巻取張力6.5ないし8.5kg/m、巻取面圧35ないし50kg/m、巻取速度300ないし350m/minの設定条件で巻き取ることでフィルム内に空気(Air)が円滑に抜けるようにすることによって、時間が過ぎてもしわ発生を防止できる。
【0053】
上述のように、本発明の一実施例による二軸延伸ポリエステルフィルムは、上述の物性を通じて軽視性しわ発生を抑制して、分離膜合紙加工時にしわが分離膜に転写される問題を防止できるから、二次電池分離膜間紙として使用されることができる。
【0054】
よって、本発明は、二次電池分離膜の間紙として使用される二軸延伸ポリエステルフィルム、これを含む二次電池分離膜及びこのような二次電池分離膜を含む二次電池にも権利範囲が及ぶということを当業者は容易に分かるはずである。
【0055】
以下、実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明しようとする。本実施例は、本発明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0056】
(実施例1)
平均粒径が3.75μmである無機粒子(SiO)0.00087wt%とポリエステル樹脂(PET A9039、東レ先端素材社製)99.99913wt%を混合する。次に混合されたポリエステル樹脂を真空乾燥後に押出機で275~285℃温度下で溶融し、フィードブロックを経てTダイ(T-DIE)を通じて押出し、冷却ロールに静電印加法(Pinning)でキャストドラムに密着させて冷却、固化させた未延伸シートを得、これをシートのガラス転移温度以上に加熱したロールにおいてロールとロールとの間の周速比差により一軸延伸(縦方向)を実施する。このとき、縦方向の延伸比は4.5倍である。次に、一軸延伸後に縦方向と垂直方向である横方向に4.1倍二軸延伸を行う。このとき、延伸温度は、テンターを基準に延伸ゾーン初期には100~120℃、延伸ゾーン中期は120~140℃、延伸熱固定ゾーン温度は200~240℃に設定する。
【0057】
このように製造されたポリエステルフィルムマスターロール(Master Roll)を製造し、このとき、二軸延伸ポリエステルフィルムの厚さは12μmである。
【0058】
次に、製造されたポリエステルフィルムマスターロールを1,120mmの幅でスリッティング(Slitting)し、巻取張力7.6kg/m、巻取面圧48kg/m、巻取速度340m/minで再度巻き取って、二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0059】
(実施例2)
無機粒子含有量を0.0008wt%としたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0060】
(実施例3)
無機粒子含有量を0.0015wt%としたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0061】
(実施例4)
無機粒子の大きさを3μmとしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0062】
(実施例5)
無機粒子の大きさを5μmとしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0063】
(実施例6)
巻取張力を6.5kg/mとしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0064】
(実施例7)
巻取張力を8.5kg/mとしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0065】
(実施例8)
巻取面圧を35kg/mとしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0066】
(実施例9)
巻取面圧を50kg/mとしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0067】
[比較例]
(比較例1)
無機粒子の大きさが2.9μmであることを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0068】
(比較例2)
無機粒子含有量を0.0016wt%にしたことを除いては、比較例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0069】
(比較例3)
無機粒子の大きさが5.1μmであることを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0070】
(比較例4)
無機粒子含有量を0.0007wt%にしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0071】
(比較例5)
無機粒子含有量を0.0016wt%にしたことを除いては、実施例1と同一に実施してフィルムを製造した。
【0072】
(比較例6)
巻取張力を8.6kg/mにしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0073】
(比較例7)
巻取張力を6.4kg/mにしたことを除いては、実施例1と同一に実施してフィルムを製造した。
【0074】
(比較例8)
巻取面圧を51kg/mにしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0075】
(比較例9)
巻取面圧を34kg/mにしたことを除いては、実施例1と同一に実施してフィルムを製造した。
【0076】
(比較例10)
巻取速度を290m/minにしたことを除いては、実施例1と同一に実施して二軸延伸ポリエステルフィルムロールを製造した。
【0077】
実施例1ないし9及び比較例1ないし10において製造された二軸延伸ポリエステルフィルムロールに対して、下記の実験例を通じて物性を評価し、その結果を表1に表した。
【0078】
[実験例]
(1)軽視性しわ評価
実施例及び比較例によって製造された二軸延伸ポリエステルフィルムを巻き取ったフィルムロールを包装して保管した後、2日経過後に包装を解体して巻き取られたロールの表面状態を肉眼で確認し、しわが発生したかどうかを確認した。このとき、巻き取られたフィルムの長さは8,200mであり、次の通りに評価した。
良好:フィルム全幅に軽視性しわが発生しない
不良:フィルム全幅に軽視性しわが発生
【0079】
(2)巻き取られたロール(Roll)の硬度
JIS K 7312規格に準拠して、ASKER社製の精密型硬度計(モデル:Type C型)を利用して巻き取られたフィルムロールの表面に載せて押さえてロールの左、右の終わり部分の硬度をそれぞれ1回ずつ測定して硬度値を確認した。
【0080】
(3)SRa、SRz、SRmax測定(フィルム表面粗さ)
KOSAKA社製の3次元表面粗さ測定機(モデル:SE3500K)を利用してフィルム一枚ずつの表面のSRa、SRz、SRmax値を測定した。
【0081】
(4)SPC突起数
KOSAKA社製の3次元表面照度測定機(モデル:SE3500K)を利用してフィルム一枚ずつの表面のSPC(Peak Count)を測定し、測定面積0.1mm内の高さ0.15μm以上の突起数を算出した。
【0082】
(5)Haze測定
フィルム1枚を日本電色工業社製のHazemeter(モデル名:COH-300A)で測定した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1から分かるように、実施例1ないし9の場合、平均粒径が3.0~5.0μmである無機粒子0.0008wt~0.0015wt%をポリエステル樹脂に投入し、押出及び二軸延伸してポリエステルフィルムのマスターロールを作った後にスリッティング後再巻取時、張力6.5~8.5kg/m、面圧35~50kg/m及び巻取速度300ないし350m/minに設定して再度巻き取られたロールを製造することによって、軽視性しわを改善した二軸延伸ポリエステルフィルムを提供できることを確認することができる。
【0085】
これに対し、比較例1の場合、無機粒子の大きさが小さく、ロールの硬度が高くて軽視性しわが発生することが分かり、SRmaxが最小範囲未満で、突起数が100個未満で、ヘイズが4%未満であることが分かる。
【0086】
また、比較例2は大きさが小さい無機粒子をさらに投入するにもかかわらず、ロールの硬度が高くて軽視性しわが発生し、SRmaxが最小範囲未満であることが分かる。
【0087】
また、比較例3は、無機粒子大きさがあまりにも大きくて、SRa、SRz、SRmaxが全部最大値を超過することが分かり、ロールの硬度が低くて製造されたフィルムの物性が柔らかくなり底側にロールが垂れ下がって巻取不良が発生することが分かる。
【0088】
また、比較例4は、無機粒子の大きさは実施例1と同一であるが、含有量を基準未満である0.0007wt%しか投入していないから、SRa、SRz、SRmaxともが最小値未満であり、突起の数が100個未満でヘイズが4%未満であり、ロール硬度が高くて軽視性しわが発生したことが分かる。
【0089】
また、比較例5は、ロールの硬度があまり低くなってフィルムが柔らかくなり、底側にロールが垂れ下がって巻取不良が発生し、生産時にフィルタの圧力が過度に増加して生産性が低下する。
【0090】
また、比較例6は、スリッティング後に巻取張力を8.6kg/mに高く設定して、ロールの硬度が高まり、これにより軽視性しわが発生する。
【0091】
また、比較例8は、巻取張力は実施例1と同一であるが、巻取面圧を高く設定した結果、ロールの硬度が高まり、軽視性しわが発生する。
【0092】
また、比較例10は、巻取速度を低く設定して巻き取った結果、ロールの硬度が高まり、これにより軽視性しわが発生する。
【0093】
特に、表1に記載されたことと別に、巻取張力または巻取面圧が低い比較例7及び9はフィルムを製造して巻取する時に、巻取断面不良、押さえ及び折り畳まれなどのような巻取不良が発生することを確認することができた。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
図1
【国際調査報告】