(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】TENSユーザの活動タイプ、レベル、及び持続期間に基づいて経皮的電気神経刺激(TENS)デバイスを自動制御するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240521BHJP
A61B 5/22 20060101ALI20240521BHJP
A61B 5/313 20210101ALI20240521BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61N1/36
A61B5/22 100
A61B5/313
A61B5/11 230
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568359
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022027019
(87)【国際公開番号】W WO2022235516
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】506335938
【氏名又は名称】ニューロメトリックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴザニ,シャイ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】コン,シュエン
(72)【発明者】
【氏名】モイニハン,マーティン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4C038
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C038VA12
4C038VA20
4C038VB14
4C038VB34
4C038VC20
4C053JJ02
4C053JJ13
4C053JJ21
4C053JJ27
4C127AA04
(57)【要約】
経皮的電気神経刺激(TENS)治療をユーザに提供するための装置であって、上記装置は、ユーザの少なくとも1本の神経を電気的に刺激するための刺激ユニットと、ユーザの身体運動を感知して、身体運動活動タイプ及び活動持続期間を分析するための感知ユニットと、上記感知ユニットとユーザの身体との間に機械的結合を提供するための付着ユニットと、(i)ユーザの上記身体運動活動タイプ及び活動持続期間の上記分析に応じて、ユーザにフィードバックを提供すること、及び(ii)ユーザの上記身体運動活動タイプ及び活動持続期間の上記分析に応じて、上記刺激ユニットによってユーザに提供される電気的刺激を修正すること、のうちの少なくとも1つを行うためのフィードバックユニットと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮的電気神経刺激(TENS)治療をユーザに提供するための装置であって、
前記ユーザの少なくとも1本の神経を電気的に刺激するための刺激ユニットと、
前記ユーザの身体運動を感知して、身体運動活動タイプ及び活動持続期間を分析するための感知ユニットと、
前記感知ユニットと前記ユーザの身体との間に機械的結合を提供するための付着ユニットと、
(i)前記ユーザの前記身体運動活動タイプ及び前記活動持続期間の分析に応じて、前記ユーザにフィードバックを提供すること、及び(ii)前記ユーザの前記身体運動活動タイプ及び前記活動持続期間の前記分析に応じて、前記刺激ユニットによって前記ユーザに提供される電気的刺激を修正すること、のうちの少なくとも1つを行うためのフィードバックユニットと、を含む、装置。
【請求項2】
前記感知ユニットが、電気機械センサからのデータを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電気機械センサが、(i)加速度計、及び(ii)ジャイロスコープのうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記感知ユニットが、電気生理学的センサからのデータを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記電気生理学的センサが、(i)筋電図センサ、及び(ii)筋音図センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記感知ユニットが、力感知センサからのデータを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記感知ユニットが、導電性ストレッチセンサからのデータを使用する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記付着ユニットが可撓性バンドである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記付着ユニットが、前記感知ユニットが前記ユーザの前記身体に機械的に結合されているかどうかを判定する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記付着ユニットがオンスキン検出器を使用して、前記感知ユニットと前記ユーザの前記身体との間の機械的結合を判定する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記付着ユニットが張力計を使用して、前記感知ユニットと前記ユーザの前記身体との間の機械的結合を判定する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記感知ユニットが前記ユーザの前記身体に機械的に結合されているかどうかの前記判定が、前記感知ユニットからのデータの有用性を決定する、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記身体運動が、前記ユーザの前記身体の検出可能な物理的運動である、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記身体運動が、前記ユーザの筋肉運動である、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記身体運動活動タイプが、ウォーキングである、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記身体運動活動タイプが、サイクリングである、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記身体運動活動タイプが、ストレッチエクササイズである、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記身体運動活動タイプが、筋力強化エクササイズである、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記身体運動活動タイプが、ガイド付き身体活動である、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記感知ユニットからのデータの処理後の特徴が、一定の期間にわたる連続的なステップであると判定されると、前記身体運動活動タイプがウォーキングであると判定される、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記期間が20秒である、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記活動持続期間が、前記身体運動活動タイプが持続する期間である、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記感知ユニットは、前記ユーザの身体運動活動レベルを分析する、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記活動持続期間が前記身体運動活動タイプに対応する活動持続期間閾値を超えると、前記フィードバックユニットが起動される、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記活動持続期間閾値が固定値である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記固定値が5分である、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記活動持続期間閾値が、(i)前記身体運動活動タイプ、(ii)身体運動活動レベル、(iii)前記ユーザのデモグラフィック情報、(iv)前記ユーザの臨床特性、及び(v)他のユーザの使用情報のうちの少なくとも1つの関数である、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記フィードバックユニットが、(i)スマートフォン、及び(ii)別の接続したデバイスのうちの少なくとも1つを通じて、前記ユーザに配信されるアラートを介して前記ユーザにフィードバックを提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記フィードバックユニットが、前記ユーザに提供される機械的振動の形態で前記ユーザにフィードバックを提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
前記フィードバックユニットが、前記ユーザに提供される電気的刺激の形態で前記ユーザにフィードバックを提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項31】
前記活動持続期間が前記身体運動活動タイプに対応する活動持続期間閾値を超えると、前記フィードバックユニットが前記電気的刺激を修正する、
請求項1に記載の装置。
【請求項32】
前記電気的刺激の修正が、刺激強度を修正することである、請求項1に記載の装置。
【請求項33】
前記電気的刺激の修正が、刺激頻度を修正することである、請求項1に記載の装置。
【請求項34】
前記電気的刺激の修正が、刺激開始時間を修正することである、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記電気的刺激の修正が、刺激停止時刻を修正することである、請求項1に記載の装置。
【請求項36】
前記電気的刺激の修正が、刺激持続期間を修正することである、請求項1に記載の装置。
【請求項37】
前記電気的刺激の修正が、刺激パルスパターンを修正することである、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
経皮的電気神経刺激をユーザに印加するための方法であって、
刺激ユニット及び感知ユニットを前記ユーザの身体に付着させるステップと、
前記ユーザの1本以上の神経を刺激するように前記刺激ユニットを使用して前記ユーザに電気的刺激を送達するステップと、
前記感知ユニットによって収集されたデータを分析して、前記ユーザの身体運動活動タイプ及び活動持続期間を判定するステップと、
前記身体運動活動タイプ及び前記活動持続期間の分析に基づいて、前記刺激ユニットによって送達される前記電気的刺激を修正するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、痛みの症状軽減を提供するためにユーザの無傷の皮膚を通過して電流を送達する経皮的電気神経刺激(TENS)デバイスに関する。より具体的には、本発明は、TENSデバイス内に組み込まれた加速度計によって提供されるものなどの動き追跡センサデータに基づいて、TENSユーザの活動タイプ、レベル、及び持続期間を分析するための装置及び方法に関する。筋電図センサ、筋音図センサ、力センサ、及び導電性ストレッチセンサを含む他のセンサからのデータも考えられる。TENSデバイスの動作は、ユーザの活動タイプ、レベル、及び持続期間に基づいて修正される。
【背景技術】
【0002】
経皮的電気神経刺激(TENS)は、感覚神経線維を活性化するために、ユーザの皮膚の無傷の表面を通過する電気(すなわち、電気的刺激)の送達である。TENS治療の最も一般的な用途は、慢性疼痛の緩和などのための鎮痛を提供することである。TENS治療の他の用途は、下肢静止不能症候群の症状の軽減、夜間筋痙攣の軽減、及び全身性掻痒症の緩和を含むが、これらに限定されない。
【0003】
運動誘発性疼痛は、人がエクササイズやウォーキングなどの身体活動をするときに悪化する疼痛である。身体活動は、線維筋痛管理などの疾患管理の重要な部分として認識されている。しかしながら、患者は、処方されたエクササイズ療法を完遂しても十分な利益を得るのを妨げる活動依存性の深部組織の疼痛を報告することが多い。
【0004】
運動誘発性疼痛は、痛覚過敏及び中枢性感作に関連していると考えられている。圧痛閾値(PPT)は、深部組織の痛覚感受性の実験的尺度である。低いPPTは、運動誘発性筋骨格痛に対する高い感受性に関連する。新規に開発されたウェアラブルTENSデバイス(すなわち、米国マサチューセッツ州ウォーバーンに拠点を置くNeurometrix,Inc.製Quell(登録商標)デバイス)は、線維筋痛症患者においてPPTを上昇させることが分かっている。したがって、Quell(登録商標)デバイスのようなデバイスからのTENS治療は、運動関連の疼痛を軽減することが期待されている。
【0005】
感覚神経刺激がどのようにして疼痛の軽減につながるかの概念モデルは、1965年にメルザックとウォールによって提案された。彼らの理論は、感覚神経(Aβ線維)の活性化が、侵害受容求心性神経(C及びAδ線維)によって運ばれる疼痛信号の脳への伝達を阻害する脊髄の「疼痛ゲート」を閉じると提案している。過去20年間、疼痛ゲートの根底にあり得る解剖学的経路及び分子機構が同定されてきた。(例えば、TENSを介した)感覚神経刺激は、それぞれ脳幹の中脳部分及び延髄部分に位置する中脳水道周囲灰白質(PAG)及び吻側延髄腹内側部(RVM)を主とする下行性疼痛抑制系を活性化する。PAGは、RVMへの神経突起を有し、次いでRVMは、脊髄後角へびまんした、上行性疼痛信号伝達を抑制する両側性突起を有する。
【0006】
TENSは通常、ユーザの身体に装着されたハイドロゲル電極を介して、各々が約10~150Hz周波数で、通常数百マイクロ秒である持続期間の短い離散パルスで送達される。TENSは、(パルス荷電を確立するために組み合わされる)刺激用パルスの振幅及び形状、パルスの周波数及びパターン、治療セッションの持続期間、並びに治療セッション間の間隔を含むいくつかの電気的パラメータによって特徴付けられる。これらのパラメータはすべて治療用量と相関している。例えば、より高い振幅及びより長いパルス(すなわち、より大きなパルス荷電)は用量を増加させるが、より短い治療セッションは用量を
減少させる。臨床研究は、パルス荷電及び治療セッションの持続期間が治療用量に最も大きな影響を及ぼすことを示唆している。
【0007】
最大の疼痛緩和(すなわち、痛覚鈍麻)を達成するために、TENSは適切な刺激強度で送達される必要がある。感覚の閾値を下回る強度は臨床的に有効ではない。最適な治療強度は、「強力でありながら快適」な治療強度と言われることが多い。ほとんどのTENSデバイスは、ユーザが、通常、アナログ強度ノブ又はデジタル強度制御プッシュボタンからなる手動強度コントロールを通じて刺激強度を設定することに依存する。いずれの場合も(すなわち、アナログ制御又はデジタル制御)、ユーザは、ユーザが治療レベルと考えるレベルまで刺激の強度を手動で増加させなければならない。したがって、いくつかのTENSデバイスの主な制限は、多くのユーザが適切な治療刺激強度を決定することが困難になり得ることである。結果として、ユーザは、医療スタッフからの実質的なサポートを必要とするか、又は不十分な刺激レベルのために疼痛緩和を得られない場合がある。
【0008】
新規に開発されたウェアラブルTENSデバイス(すなわち、米国マサチューセッツ州ウォーバーンに拠点を置くNeurometrix,Inc.製Quell(登録商標)デバイス)は、TENS刺激強度が治療範囲内に入る確率を最大化するために、刺激強度を較正する新規な方法を使用する。Quell(登録商標)デバイスを使用して、ユーザは、自分の電気触感閾値を識別し、次いで、識別された電気触感閾値に基づいてTENSデバイスによって治療強度が自動的に推定される。
【0009】
TENS刺激からの疼痛緩和は通常、刺激開始から15分以内に始まり、刺激期間(「治療セッション」とも呼ばれる)の完了後最大1時間続くことがある。各治療セッションは、典型的には30~60分間実行される。最大疼痛緩和(すなわち、痛覚鈍麻)を維持するために、TENS治療セッションは通常、一定の間隔で開始する必要がある。前述のQuell(登録商標)デバイスなどの新規に開発されたウェアラブルTENSデバイスは、所定の時間間隔で治療セッションを自動的に再開するオプションをユーザに提供する。
【0010】
運動誘発性疼痛を患っているTENSユーザ、例えば線維筋痛症の症状を持っているTENSユーザの場合、所定の時間間隔で治療セッションを行うよりも、ユーザの身体活動期間に合わせたTENS治療セッションの方が有利である。身体活動期間中にTENS治療を自動的に起動することにより、TENSデバイスは、運動誘発性疼痛をジャストインタイムで緩和する。運動誘発性疼痛の効果的な制御により、TENSユーザは活動を継続できるようになり、したがって、健康状態が改善される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第8,948,876号明細書
【特許文献2】米国特許出願第13/678,221号明細書
【特許文献3】米国特許第9,474,898号明細書
【特許文献4】米国特許出願第14/230,648号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0004715号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2010/0217349号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2013/0158627号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2016/0144174号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2016/0296935号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2014/0309709号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2017/0312515号明細書
【特許文献12】米国特許出願公開第2018/0132757号明細書
【特許文献13】米国特許出願公開第2013/0116514号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】P.Bifulco et al.,“A stretchable,conductive rubber sensor to detect muscle contraction for prosthetic hand control”、E-Health and Bioengineering Conference(EHB)、ルーマニア、シナイア、2017年、ページ173~176、doi:10.1109/EHB.2017.7995389
【非特許文献2】O.Amft et al.,Sensing muscle activities with body-worn sensors.Int Work Wearable Implant Body Sens Networks、2006年、doi:10.1109/BSN.2006.48
【発明の概要】
【0013】
本発明は、ユーザの脹脛上部(又は他の解剖学的位置)に装着されるように設計された刺激装置と、ユーザの脹脛上部(又は他の解剖学的位置)に配置される少なくとも1本の神経に電気的刺激を提供するように設計された事前構成済みの電極アレイとを含む新規なTENSデバイスの提供及び使用を含む。TENSデバイスと同じ場所に配置されるか、又は身体の別の部分に配置される3軸加速度計が、ユーザの活動を継続的かつ客観的に測定するために、ユーザの下肢の動き及び向きを測定する。本発明の主な特徴は、新規なTENSデバイスが、生活の質の1つ以上の側面に対する疼痛の干渉、特に動きによって引き起こされる疼痛による干渉を最小限に抑えるために、上述の活動測定に従ってその動作(例えば、刺激の開始、刺激の停止、又は刺激条件の変更)を自動的に制御することである。電気生理学的センサ(例えば、筋電図センサ及び筋音図センサ)、力センサ(例えば、感圧抵抗器)、及び変位センサ(例えば、ファブリックストレッチセンサ)からのものなど、筋肉活動を定量化するのに有用な他の測定値もまた、TENSデバイスの動作を制御するための入力と見なされる。
【0014】
本発明の一形態では、経皮的電気神経刺激(TENS)治療をユーザに提供するための装置が提供され、上記装置は、
ユーザの少なくとも1本の神経を電気的に刺激するための刺激ユニットと、
ユーザの身体運動を感知して、身体運動活動タイプ及び活動持続期間を分析するための感知ユニットと、
上記感知ユニットとユーザの身体との間に機械的結合を提供するための付着ユニットと、
(i)ユーザの上記身体運動活動タイプ及び活動持続期間の上記分析に応じて、ユーザにフィードバックを提供すること、及び(ii)ユーザの上記身体運動活動タイプ及び活動持続期間の上記分析に応じて、上記刺激ユニットによってユーザに提供される電気的刺激を修正すること、のうちの少なくとも1つを行うためのフィードバックユニットと、を含む。
本発明の別の形態では、経皮的電気神経刺激をユーザに印加するための方法が提供され、上記方法は、
刺激ユニット及び感知ユニットをユーザの身体に付着させるステップと、
ユーザの1本以上の神経を刺激するように上記刺激ユニットを使用してユーザに電気的刺激を送達するステップと、
上記感知ユニットによって収集されたデータを分析して、ユーザの身体運動活動タイプ及び活動持続期間を判定するステップと、
身体運動活動タイプ及び活動持続期間の分析に基づいて、上記刺激ユニットによって送達される電気的刺激を修正するステップと、を含む、方法。
【0015】
本発明のこれら及び他の目的及び特徴は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を、添付の図面と併せて熟考することによってより完全に開示又は明らかになるであろう。図面では、同様の番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に従って形成された新規なTENSデバイスを示し、この新規なTENSデバイスは、ユーザの脹脛上部に取り付けられ、また、ユーザの身体が直立位及び臥位にあるときの新規なTENSデバイスに組み込まれた加速度計の座標系も示す概略図である。
【
図2】
図1の新規なTENSデバイスをより詳細に示す概略図である。
【
図3】
図1及び
図2の新規なTENSデバイスの電極アレイをより詳細に示す概略図である。
【
図4】活動タイプ、レベル、及び持続期間を分析し、デバイス位置を分析するためのプロセッサを含む、
図1、
図2、
図3の新規なTENSデバイスの概略図である。
【
図5】
図1、
図2、
図3、
図4の新規なTENSデバイスの刺激装置によって生成される刺激パルストレインを示す概略図である。
【
図6】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5に示される新規なTENSデバイスのオンスキン検出システム、並びに新規なTENSデバイスがユーザの皮膚上にあるとき及び皮膚から外されたときのその等価回路を示す概略図である。
【
図7】TENSデバイスに組み込まれた加速度計のy軸からの加速度計データ波形の一例を示す概略図であり、この加速度計データ波形は、ユーザ活動に関連する様々な特性イベントを示す。
【
図8】例示的な加速度計データ波形に対して行われる例示的なフィルタ演算、及びフィルタ演算による波形の変化を示す概略図である。
【
図9】ストライド持続期間時系列に基づいて歩行変動メトリックを判定するための処理ステップを示す概略図である。
【
図10】活動期間中の前進動き加速度に基づいて新規なTENSデバイスの回転位置を判定するための例示的な座標系変換及びその有用性を示す概略図である。
【
図11】活動タイプ、レベル、及び持続期間を追跡するための、並びにデバイスの配置位置を判定するための機能性を含む、新規なTENSデバイスの例示的な動作を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
一般的なTENSデバイス
本発明は、ユーザの脹脛上部(又は他の解剖学的位置)に装着されるように設計された刺激装置と、ユーザの脹脛上部(又は他の解剖学的位置)に配置される少なくとも1本の神経に電気的刺激を提供するように設計された事前構成済みの電極アレイとを含む新規なTENSデバイスの提供及び使用を含む。本発明の主な特徴は、新規なTENSデバイスがユーザの運動を自動的に追跡し、ユーザに装着された1つ以上のウェアラブルセンサから得られる運動追跡結果から導出される活動タイプ、レベル、及び持続期間に従って刺激パラメータを制御することである。
【0018】
より具体的には、ここで
図1を見ると、本発明に従って形成された新規なTENSデバイス100が示されており、新規なTENSデバイス100は、ユーザの脹脛上部140に着用されて示されている。ユーザは、TENSデバイス100を、(一度に)片方の脚又は(同時に)両方の脚に着用してもよく、又はユーザは、ユーザの片方の脚(又は両方の脚)に着用されたTENSデバイス100とは別個の、又はそれに加えて、身体の別の領域にTENSデバイス100を着用してもよい。
【0019】
次に
図2を見ると、TENSデバイス100がより詳細に示されている。TENSデバイス100は、好ましくは、刺激装置105、ストラップ110、及び(刺激装置105に適切に接続されたカソード電極及びアノード電極を含む)電極アレイ120の3つの主要な構成要素を含む。
図2に示すように、刺激装置105は、3つの機械的及び電気的に相互接続される区画101、102、及び103を含み得る。区画101、102、103は、好ましくは、ヒンジ機構104(
図2ではそのうちの1つのみが見える)によって相互接続され、これにより、TENSデバイス100をユーザの脚の湾曲した解剖学的構造に適合させることが可能になる。本発明の好ましい実施形態では、区画102は、TENS刺激回路構成(バッテリを除く)並びにユーザインターフェース要素106及び108を収容する。区画102はまた、(i)中央区画102へのタップなどのユーザのジェスチャ、(ii)ユーザの脚及び身体の向き、並びに(iii)ユーザの脚及び身体の動きを検出するための、好ましくはMEMSデジタル加速度計マイクロチップ(例えば、Freescale MMA8451Q)の形態の加速度計132(
図4を参照)を収容する。区画102はまた、振動モータ134(
図4)、リアルタイムクロック135(
図4)、屋内/屋外測位システム136(例えば、通常「GPS」と呼ばれる種類の全地球測位システム)、温度センサ137(
図2及び
図4)、及びストラップ張力計138(
図2及び
図4)を収容する。
【0020】
本発明の1つの好ましい形態では、区画101及び103は、TENS刺激回路構成及び他の回路構成に電力を供給するためのバッテリ、並びにTENSデバイス100が他の要素(例えば、
図2に示すスマートフォンなどのハンドヘルド電子デバイス860)とワイヤレス通信することを可能にするための当技術分野で周知の種類のワイヤレスインターフェースユニット(図示せず)などの他の補助要素を収容する、より小さい補助区画である。
【0021】
本発明の別の形態では、1つ又は2つの区画のみが、本発明のTENS刺激回路構成、バッテリ、及び他の補助要素のすべてを収容するために使用され得る。
【0022】
本発明の別の形態では、例えば、身体により良く適合し、ユーザの快適性を向上させるために、より多くの区画が使用される。
【0023】
また、本発明のさらなる別の形態では、TENS刺激回路構成及び他の回路構成をユーザの脚の周りにより均一に配置するためにフレキシブル回路基板が使用され、これにより、デバイスの厚さを薄くする。
【0024】
さらに
図2を見ると、インターフェース要素106は、好ましくは、TENSデバイス100による電気的刺激のユーザ制御のためのプッシュボタンを含み、インターフェース要素108は、好ましくは、刺激のステータスを示し、他のフィードバックをユーザに提供するためのLEDを含む。LEDが1つのみ示されているが、インターフェース要素108は、異なる色の複数のLEDを含み得る。追加のユーザインターフェース要素(例えば、LCDディスプレイ、ビーパ又は音声出力を介したオーディオフィードバック、振動素子などの触覚デバイス、適切な「アプリ」を実行するスマートフォンなど)も企図されており、本発明の範囲内であると見なされる。
【0025】
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス100は、
図1に示すようにユーザの脹脛上部140に着用されるように構成されているが、TENSデバイス100は他の解剖学的位置に着用されてもよく、又は複数のTENSデバイス100が様々な解剖学的位置に着用されてもよいことなども理解されたい。(前述の刺激装置105、電極アレイ120、及びストラップ110を含む)TENSデバイス100は、装置を脹脛上部(又は他の解剖学的位置)に対して所定の位置に配置し、次いでストラップ110を締め付
けることによって、ユーザの脹脛上部140(又は他の解剖学的位置)に確実に固定される。より具体的には、本発明の1つの好ましい形態では、電極アレイ120は、ユーザの脚(又は他の解剖学的位置)上のTENSデバイス100の特定の回転位置に関係なく、ユーザの適切な解剖学的構造に適切な電気的刺激を印加するように、意図的にサイズ決め及び構成される。
【0026】
図3は、電極アレイ120の1つの好ましい実施形態の概略図を示す。電極アレイ120は、好ましくは、各々が等しい又は同様のサイズ(すなわち、等しい又は同様のサイズの表面積)を有する4つの個別の電極152、154、156、158を含む。電極152、154、156、158は、好ましくは、(TENSデバイス100のカソードを表す)電極154と156が(例えば、コネクタ155を介して)互いに電気的に接続され、(TENSデバイス100のアノードを表す)電極152と158が(例えば、コネクタ157を介して)互いに電気的に接続されるように対になって接続される。電極152、154、156、158は、好ましくは、ユーザの脚(又は他の解剖学的位置)上のTENSデバイス100の回転位置に関係なく(したがって、電極アレイ120の回転位置に関係なく)、皮膚を適切に被覆することを保証するように、適切にサイズ決めされ、対になって接続されることを理解されたい。さらに、電極152、154、156、158は交互に接続されておらず、むしろ、2つの内側電極154、156が互いに接続され、2つの外側電極152、158が互いに接続されるように接続されていることを理解されたい。この電極接続パターンは、2つの外側電極152、158が不注意に互いに接触した場合に、カソードからアノードに直接流れる刺激電流の電気的短絡が発生しないことを保証する(すなわち、電極接続パターンは、治療用TENS電流が常にユーザの組織を通って導かれることを保証する)。
【0027】
(すなわち、組織への治療用電気的刺激用の)電気電流は、刺激装置105上の相補的なコネクタ210、212(
図4)とそれぞれ嵌合するコネクタ160、162(
図3)によって電極対154、156及び152、158に提供される。刺激装置105は、コネクタ160、162を介して電極154、156及び電極152、158をそれぞれ通過する電気電流を生成する。
【0028】
本発明の1つの好ましい実施形態では、電極152、154、156、158の皮膚接触導電性材料は、電極152、154、156、158に「組み込まれた」ハイドロゲル材料である。電極上のハイドロゲル材料の機能は、電極152、154、156、158とユーザの皮膚との間の、(すなわち、刺激されるべき感覚神経が存在するユーザの身体の部分内にある、又はそれに隣接する、又はそれに近接する)インターフェースとして機能することである。乾式電極及び非接触刺激電極などの他のタイプの電極も企図されており、本発明の範囲内であると見なされる。
【0029】
図4は、TENSデバイス100とユーザとの間の電流の流れの略図である。
図4に概略的に見られるように、定電流源410からの刺激電流415は、アノード電極420(前述の電極152、158を含むアノード電極420)を介してユーザの組織430(例えば、ユーザの脹脛上部)に流れる。要素410を定電圧源に置き換えて刺激電流415を提供することもできる。アノード電極420は、導電性バッキング(例えば、銀製ハッチ)442及びハイドロゲル444を含む。電流は、ユーザの組織430を通過し、カソード電極432(前述の電極154、156を含むカソード電極432)を通って定電流源410に戻る。カソード電極432もまた、導電性バッキング442及びハイドロゲル444を含む。定電流源410は、好ましくは、TENS治療の当該技術分野で周知の種類の適切な二相波形(すなわち、二相刺激パルス)を提供する。この点に関しては、「アノード」及び「カソード」電極の指定は、二相波形の文脈においては純粋に表記上のものであることを理解されたい(すなわち、二相刺激パルスが二相TENS刺激の第2の相で
その極性を反転すると、電流が「カソード」電極432を介してユーザの身体に流入し、「アノード」電極420を介してユーザの身体から流出する)。
【0030】
図5は、TENS治療セッション中に刺激装置105によって提供されるパルストレイン480、及び2つの個別の二相パルスの波形490を示す概略図であり、各個別の二相パルスは、第1の相491又は497及び第2の相492又は498を含む。第1の二相パルスの場合、第1の相491は正の極性を有する。第2の二相パルスの場合、第1の相497は負の極性を有する。本発明の一形態では、第1の相の極性は、すべての二相パルスについて同じままである。本発明の別の形態では、連続する二相パルスの第1の相はその極性を交替する。本発明のさらなる別の形態では、第1の相の極性は、1つ以上の二相パルスに対して負に切り替わる前に、1つ以上の二相パルスに対して正のままである。本発明のさらなる別の形態では、二相パルスの第1の相は、正の極性と負の極性との間でランダムに切り替わる。本発明の一形態では、各パルス波形は、二相パルスの2つの相491、492(又は497、498)にわたって荷電平衡が行われ、これにより、皮膚炎症及び潜在的な皮膚損傷をもたらす可能性がある、電極アレイ120の電極下でのイオン導入による堆積が防止される。本発明の別の形態では、個々の二相パルスは二相パルスの2つの相にわたって不平衡であるが、荷電平衡は複数の連続する二相パルスにわたって達成される。固定周波数のパルス又はランダムに変化する周波数のパルスが、治療セッション482の持続期間全体にわたって印加される。刺激の強度(すなわち、刺激装置105によって送達される電流の振幅493)は、以下でさらに詳細に解説するように、ユーザ入力に応じて、及び習慣作用補償のために調整される。二相パルスの2つの相のパルス振幅493は同じである必要はない。同様に、2つの相のパルス幅494も同じである必要はない。
【0031】
他のパルスパターンも考えられる。例えば、ユーザの活動監視結果に基づいてバーストモードパルスパターンを採用してもよい。一例として、バーストモードパターンは、各グループ間の時間が100ミリ秒に設定された二相パルスのグループからなる。各グループは、2ミリ秒のパルス周期を有する10個の二相パルスを有する。
【0032】
2015年2月3日に米国特許第8,948,876号として発行され、参照により本明細書に組み込まれる、Neurometrix,Inc.及びShai N.Gozaniらによって2012年11月15日に出願された、「APPARATUS AND METHOD FOR RELIEVING PAIN USING TRANSCUTANEOUS ELECTRICAL NERVE STIMULATION」(代理人整理番号NEURO-5960)の先行する米国特許出願第13/678,221号では、TENSデバイスのセットアップ時に、ユーザの触覚閾値に従ってTENS治療刺激強度をユーザがパーソナライズ化できるようにするための装置及び方法を開示している。前述の米国特許第8,948,876号明細書はまた、ユーザによる最初の手動開始後に追加の治療セッションを自動的に再開するための装置及び方法を開示している。
【0033】
2016年10月25日に米国特許第9,474,898号として発行され、参照により本明細書に組み込まれる、NeuroM etrix,Inc.及びShai Gozaniらによって2014年3月31日に出願された、「DETECTING CUTANEOUS ELECTRODE PEELING USING ELECTRODE-SKIN IMPEDANCE」(代理人整理番号NEURO-64)の先行する米国特許出願第14/230,648号では、ユーザが眠っている夜間にTENS治療を安全に送達することを可能にする装置及び方法を開示している。これらの方法及び装置により、TENSデバイスを1日24時間を含む長期間にわたってユーザに装着することが可能になる。
【0034】
昼と夜の両方を通して一貫して快適で効果的な疼痛緩和をユーザに送達するために、固定のTENS刺激レベルを送達することは適切ではない場合があり、その理由は、概日リズム又は他の時変リズムの効果がTENS刺激の有効性を軽減する可能性があるためである。TENS刺激の有効性に影響を与えるパラメータは、刺激パルス振幅493(
図5)及びパルス幅494(
図5)、パルス周波数495(
図5)、並びに治療セッション持続期間482(
図5)を含むが、これらに限定されない。限定ではなく例として、より高い振幅及びより長いパルス(すなわち、より大きなパルス荷電)は、ユーザに送達される刺激(すなわち、刺激「用量」)を増加させ、より短い治療セッションは、ユーザに送達される刺激(すなわち、刺激「用量」)を減少させる。臨床研究は、パルス荷電(すなわち、パルス振幅及びパルス幅)及び治療セッション持続期間が、ユーザに送達される治療刺激(すなわち、治療的刺激「用量」)に最も大きな影響を及ぼすことを示唆している。
【0035】
運動誘発性疼痛を患っているTENSユーザ、例えば線維筋痛症を持っているTENSユーザの場合、所定の時間間隔で治療セッションを行うよりも、ユーザの身体活動期間に合わせたTENS治療セッションの方が有利である。したがって、本発明の1つの目的は、TENSデバイス100が、TENSユーザの運動パターン、又はTENSユーザの筋肉活動、又はその両方の結果を監視することに基づいて、その動作を自動的に調整することを可能にすることである。TENS治療セッションのタイミングを、疼痛を引き起こすイベントのタイミングと一致させることによって、TENS治療は疼痛緩和をより効果的に提供することができる。
【0036】
ユーザの運動は、電気的刺激を制御するために使用されてきた。例えば、米国特許出願公開第2010/0004715号明細書(Fahey)及び米国特許出願公開第2010/0217349号明細書(Fahey)は、筋肉組織に電気的刺激を送達するシステムを開示している。次いで、電気的刺激によって直接引き起こされる筋肉収縮(不随意な身体運動)を使用して、特定の所望身体運動パターンが達成されるように刺激パラメータを調整する。本発明は、TENSユーザの運動が自発的で、TENS刺激とは無関係であり、TENS刺激がユーザの運動を引き起こさないという点で、米国特許出願公開第2010/0004715号明細書(Fahey)及び米国特許出願公開第2010/0217349号明細書(Fahey)に開示されているシステムとは異なる。米国特許出願公開第2010/0004715号明細書(Fahey)及び米国特許出願公開第2010/0217349号明細書(Fahey)に開示されているシステムでは、電気的刺激の修正は、測定された運動パターンと意図される運動パターンとの間の差に基づいて行われていた。本発明は、目標として意図される運動パターンなしで、測定された運動タイプ、レベル、及び持続期間に基づいて電気的刺激を修正する。
【0037】
米国特許出願公開第2013/0158627号明細書(Gozani)は、加速度計を使用してTENSユーザの身体の向き及び活動を識別し、識別された状態の刺激パターン及びパラメータを最適化するために、識別された情報を使用して刺激特性を修正するという一般的開示を提供する。しかしながら、米国特許出願公開第2013/0158627号明細書(Gozani)は、特定の活動タイプ及び活動持続期間を使用してTENS刺激を制御し、運動誘発性疼痛の緩和を提供することができる方法を教示していない。言い換えれば、米国特許出願公開第2013/0158627号明細書(Gozani)に開示されているシステムでは、活動の単純な存在がTENS刺激の変化を引き起こすが、本発明は、特定の活動タイプ、レベル及び持続期間条件下でTENS動作を修正する。一例として、米国特許出願公開第2013/0158627号明細書(Gozani)に開示されているシステムは、ユーザのウォーキング活動が検出されるたびにTENS治療セッションを開始する。本発明のシステムは、ユーザが5分間活発なウォーキングの活動を行ったときにのみTENS治療セッションを開始し得る。ウォーキングが5分未満の場合、TENS治療は自動的に開始されない。
【0038】
米国特許出願公開第2016/0144174号明細書(Ferree)は、睡眠中に発生することが知られている特定の脚運動パターンを監視して、ユーザの睡眠状態を判定するTENSシステムを開示している。しかしながら、特定の脚運動持続期間は、TENS動作を制御するために測定も使用もされない。
【0039】
米国特許出願公開第2016/0296935号明細書(Ferree)は、特定の身体運動パターンを監視し、このような運動パターンの存在を利用して、TENSデバイス動作を制御するための他の測定値(例えば、ユーザジェスチャ及び電極-皮膚接触劣化)を可能にする、又は抑制するTENSシステムを開示している。
【0040】
米国特許出願公開第2014/0309709号明細書(Gozani)は、睡眠中のTENSユーザの活動レベル及び身体の向きを監視するTENSシステムを開示している。活動レベルが低いままであり、身体の向きが一定期間臥位のままである場合、TENS刺激パラメータを修正し得る。米国特許出願公開第2014/0309709号明細書(Gozani)のシステムでは、TENS動作の自動制御は、臥位の身体の向きと、一定期間のあらゆる種類の身体活動の欠如の両方を条件とする。対照的に、本発明は、一定期間にわたる特定のパターンの身体活動の存在に基づいてTENS動作を制御する。
【0041】
米国特許出願公開第2017/0312515号明細書(Ferree)は、米国特許出願公開第2014/0309709号明細書(Gozani)と同様のTENSシステムを開示している。身体の向き及び身体運動(活動レベル)に加えて、特定の活動パターン(周期的な脚の運動、又はPLM)が監視される。PLMの発生カウントのみが、身体の向き及び身体運動と併せて、TENS刺激を制御するために使用される。PLM持続期間は、TENS刺激制御では測定も使用もされない。
【0042】
米国特許出願公開第2018/0132757号明細書(Kong)は、TENS治療の利益を客観的に評価するために、TENSデバイスを着用しているユーザの活動レベル、歩行、及びバランスなどのバイオマーカーを監視するTENSシステムを開示している。システムはまた、TENS動作を自動的に調整するためにこれらの監視されるバイオマーカーを使用する。しかし、TENS動作の制御には活動レベルのみが使用され、TENS刺激制御では活動持続期間は使用されない。
【0043】
米国特許出願公開第2013/0116514号明細書(Kroner)は、特定の身体運動パターン(すなわち、発作型のもの)を検出し、アラートを発する発作検出システムを開示した。しかしながら、アラートアクションは、活動持続期間を考慮せずに、事前定義済みの活動タイプの検出時に直ちに行われる。
【0044】
臨床アンケート又は疼痛日誌への回答によって測定されるものなどのTENS治療の治療的利益の評価は、主観的であり、頻度が低く、不完全であることが多い。さらに、疼痛の知覚(すなわち、被験者の疼痛レベルの自己評価)は、効果的な疼痛緩和の多くの重要な次元のうちの1つにすぎない。より活動的な生活習慣、より安定した歩行、及びより良いバランスは、生活の質及び健康の改善の例である。TENS治療の結果としての疼痛の軽減は、これらの改善に寄与し得る。先行する米国特許出願公開第2018/0132757号明細書(Kong)では、客観的かつ自動的に測定される1つ以上のバイオマーカーを提供し、TENSデバイスを着用しているユーザの活動、歩行、及びバランスを評価することに基づく装置及び方法を開示している。TENSデバイスが、ユーザの活動レベル、歩行、及びバランスを監視することから得られた結果に基づいて、その動作を自動的に調整することを可能にするための装置及び方法も開示している。
【0045】
身体活動が線維筋痛症の有効な治療法であることを示唆する強力な証拠があるが、線維筋痛症を持っている多くの個人は、運動誘発性疼痛によって活動が制限されていると報告している。運動誘発性疼痛を軽減できる場合、線維筋痛症を患っている個人は、介護者によって処方されるような、より長くより頑強な身体活動に取り掛かることができ、その結果、これらの個人の全体的な健康状態が改善される。TENS治療は、臨床研究では、線維筋痛症患者の運動誘発性疼痛を軽減するのに有効であることが示されている(2020年、Daileyら)。この研究では、参加者は、身体活動中にTENS治療を使用するように指示された。しかしながら、TENS治療は、試験参加者によって手動で開始されることになっていた。
【0046】
線維筋痛症を患っている個人に対するTENS治療の疼痛緩和効果を最大化するために、身体活動が検出された後にのみ自動的にTENS治療を開始することが望ましい。線維筋痛症患者は一定期間の身体活動後にのみ運動誘発性疼痛を経験するので、TENS治療は、最小限の期間にわたって連続的な身体活動が検出された後にのみ起動されるべきである。より激しい活動は、より高いレベルの疼痛をもたらす可能性がある。したがって、TENS治療の開始及び強度レベルもまた、活動レベル及び活動持続期間の複合効果に基づいて自動的に制御されるべきである。本発明では、運動誘発性疼痛を軽減するために、TENSユーザの身体活動タイプ、活動レベル及び/又は活動持続期間に基づいてTENS治療動作を制御するための装置及び方法が開示される。
【0047】
線維筋痛症患者に有益なエクササイズの種類の例としては、ファストウォーキング及びサイクリングが挙げられる。これらの活動及び他の運動関連の活動は、加速度計などの電気機械センサを用いて監視及び測定することができる。筋力強化及びストレッチエクササイズもまた、線維筋痛症患者に推奨される活動である。これらのエクササイズは身体の大きな運動とは相関していない可能性があるが、筋肉の収縮や弛緩などの筋肉活動を必要とする。これらの筋肉活動は、導電性ゴムストレッチセンサ(P.Bifulcoらによる「A stretchable,conductive rubber sensor to detect muscle contraction for prosthetic hand control」、2017年ルーマニアシナイアにて開かれたE-Health and Bioengineering Conference(EHB)、ページ173~176(2017)、doi:10.1109/EHB.2017.7995389)、力感知センサ又はファブリックストレッチセンサ(O.Amftら、「Sensing muscle activities with body-worn sensors.Int Work Wearable Implant Body
Sens Networks」(2006)、10.1109/BSN.2006.48)、筋電図(EMG)センサ、又は筋音図(AMG)センサなどの非侵襲的かつ着用可能なセンサによって監視及び測定することができる。
【0048】
1つの好ましい実施形態では、活動トラッカ(活動タイプ、レベル、及び持続期間を判定する要素)が、TENSシステムの一部として刺激装置と同じハウジング内に埋め込まれる。別の実施形態では、活動トラッカは、ユーザにおいて刺激装置と同じ場所にあるが、異なるハウジング内に配置される。さらなる別の実施形態では、活動トラッカは、ユーザの異なる解剖学的位置に配置される。特定の刺激機能が言及されない限り、活動トラッカ及びTENSデバイスという用語は、本出願では交換可能に使用されることがある。
【0049】
発明の概要
身体活動は通常、直立した身体の向き(ウォーキングなど)又は横たわった身体の向き(筋力強化及びストレッチエクササイズなど)のいずれかに関連する。ユーザの活動のレベル及び持続期間に基づく自動化TENS制御装置の様々な要素が、以下の段落で説明される。オンスキン検出器は、(TENSシステムの一部として、又は別個の要素としての
)活動トラッカとユーザの身体との物理的結合を確立して、身体の向き及び運動を、活動トラッカに埋め込まれた1つ以上のセンサからの測定値のパターンと相関させる。センサのこのような一例としては、3軸加速度計が挙げられる。次に、重力と、TENSシステムの2つの他の要素、すなわちデバイス向きの判定及び垂直整列の補償と、を利用することによって、加速度計軸と身体の軸との間の整列が決定される。ウォーキングは、身体の向きが直立しているときに最も一般的に行われる身体活動である。「ウォーキング活動レベル及び持続期間の判定」セクションは、最も一般的な身体活動であるウォーキングを自動的に定量化するための装置及び方法の詳細な説明を提供する。「サイクリング活動の判定」セクションは、もう1つの最も一般的な身体活動であるサイクリングを自動的に定量化するための装置及び方法の詳細な説明を提供する。「その他活動の判定」セクションは、筋力強化、ストレッチ、及びアイソメトリックエクササイズなどその他身体活動を自動的に定量化するための装置及び方法の説明を提供する。「刺激パラメータ修正用コントローラ」セクションは、活動追跡要素によって測定された活動タイプ、レベル、及び持続期間に基づいてTENS動作を制御するための装置及び方法を詳述する。最後に、本発明の例示的な動作が「例示的な動作」セクションで与えられる。
【0050】
オンスキン検出器
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス100は、TENSデバイス100がユーザの皮膚上にしっかりと着座していることを確認するために、オンスキン検出器265(
図4及び
図11)を含み得る。
【0051】
より具体的には、TENSデバイス100の加速度計及び/又はジャイロスコープ132(
図4)からの向き及び動きの測定値は、TENSデバイスがユーザに確実に固定されているときにのみ、ユーザの向き及び動きと結合される。1つの好ましい実施形態では、オンスキン検出器265(
図4)を使用して、TENSデバイス100がユーザの脹脛上部上に確実に配置されているかどうか、及び確実に配置された時点を判定し得る。
【0052】
上記好ましい実施形態では、ここで
図6を見ると、オンスキン検出器265は、TENSデバイス100に組み込まれ得る。より具体的には、本発明の1つの好ましい形態では、電圧源204からの20ボルトの電圧が、スイッチ220を閉合することによってTENS刺激装置105のアノード端子212に印加される。TENSデバイスがユーザによって着用されている場合、アノード電極420とカソード電極432との間に介在するユーザ組織430は閉回路を形成して、抵抗器208及び206によって形成される分圧回路に電圧を印加する。より具体的には、TENSデバイス100がユーザの皮膚上にあるとき、
図6に示す等価回路260は現実世界のシステムを表し、等価回路260により、アノード電圧V
a204を分圧抵抗206及び208を介して感知することが可能になる。TENSデバイス100がユーザの皮膚に確実に固定されると、増幅器207から測定されるカソード電圧はゼロでなくなり、アノード電圧204に近づくようになる。一方で、TENSデバイス100がユーザの皮膚に確実に固定されていない場合、等価回路270は現実世界のシステムを表し、増幅器207からのカソード電圧はゼロになる。
【0053】
オンスキン検出器265は、好ましくは2つの方法で使用される。
【0054】
第1の方法として、TENSデバイス100の電極アレイ120がユーザの皮膚から部分的又は完全に取り外されていることをオンスキン検出器265が示す場合、TENSデバイス100は、TENS治療をユーザに適用することを停止することができる。
【0055】
第2の方法として、TENSデバイス100の電極アレイ120がユーザの皮膚から部分的又は完全に取り外されていることをオンスキン検出器265が示す場合、TENSデバイス100のプロセッサ515(
図4)は、加速度計及び/又はジャイロスコープ13
2からのデータがユーザの脚の向き及び脚の動きを確実に反映していない可能性があると認識する。この点に関しては、加速度計及び/又はジャイロスコープ132がユーザの下肢に密接に結合されるように、TENSデバイス100がユーザの皮膚に確実に固定されていることをオンスキン検出器265が示すとき、加速度計及び/又はジャイロスコープ132からのデータは、ユーザの脚の向き及びユーザの脚の動きを表すと見なし得ることを理解されたい。しかし、TENSデバイス100がユーザの皮膚上になく、加速度計及び/又はジャイロスコープ132がユーザの下肢に密接に結合されていないことをオンスキン検出器265が示すとき、加速度計及び/又はジャイロスコープ132からのデータは、ユーザの脚の向き及びユーザの脚の動きを表すと見なし得ないことを理解されたい。
【0056】
刺激電流が流れるには閉じた電気回路が必要なので、ユーザを刺激するにはTENSデバイスがオンスキン状態である必要がある。しかしながら、オンスキン状態は、TENSデバイスがユーザの活動を監視するために必要なものではない。TENSデバイスは、デバイスが身体上に配置されている限り、これらの監視機能を依然として実行し、TENSデバイスの配置位置を判定することができる。
【0057】
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス上のストラップ張力計138(
図2及び
図4)がストラップ110の張力を測定する。ストラップ張力が所定の閾値を満たすとき、TENSデバイス100は「オンボディ」と見なされ、オンスキン状態が満たされない場合でも監視機能は継続することができる。別の実施形態では、オンスキン状態が真である間の張力計値が、オンボディ張力閾値として使用される。オンスキン状態が偽になると、張力計値がオンボディ張力閾値を上回っている限り、オンボディステータスは真のままである。オンボディステータスが真である限り、すべての活動監視機能を依然として実行することができる。さらに、身体上のTENSデバイス配置の位置も、オンボディステータスが真である限り実行することができる。
【0058】
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス100に組み込まれた温度センサ137(
図2及び
図4)が皮膚温度を測定し、皮膚温度測定値を使用してTENSデバイス100のオンボディステータスを判定する。好ましい実施形態では、オンスキン状態中の皮膚温度測定値は平均化され、基準として保存される。オンスキン状態が真から偽に遷移する際、皮膚温度が継続的に監視される。測定された皮膚温度が基準皮膚温度と同様のままである場合、オンボディステータスは、TENSデバイス100が依然としてユーザの身体上にあることを示すように真に設定される。したがって、すべての活動監視機能は依然として監視することができる。さらに、身体上のTENSデバイス配置の位置の判定も、オンボディステータスが真である限り実行することができる。
【0059】
加速度計データのサンプリング
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス100は、400Hzのレートで加速度計132をサンプリングするが、異なるサンプリングレートを利用することもできる。
【0060】
デバイス向きの判定
本発明の1つの好ましい形態では、(加速度計132を含む)TENSデバイス100は、例えば
図1に示すように、ユーザの脹脛上部140にストラップで留められる。加速度計132の3つの軸は、
図1にも示されている。加速度計132のy軸は、脚の解剖学的軸とほぼ整列しており、したがって、重力g148(略して「重力」)は、ユーザが立っているときに加速度計132のy軸とほぼ平行である。TENSデバイス100が「直立」の向きで脚に配置されているとき、加速度計132は-gの加速度値を感知することになるが、TENSデバイス100が「逆さま」の向きで脚に配置されているとき、加速度計132は+gの加速度値を感知する。
【0061】
1つの好ましい実施形態では、TENSデバイス100の向きは、一旦オンスキン検出器265がTENSデバイス100が「オンスキン」であると判定すると、デバイス向き検出器512(
図11)を介して評価される。加速度計132のy軸値を10秒間累積し、次いで、y軸値の平均及び標準偏差を計算する。標準偏差が所定の閾値を下回っている場合、それは、ユーザがその期間中に何の活動もしなかったことを示唆する(すなわち、検証中の10秒の期間)。平均値は、所定の閾値のセットに対してチェックされる。平均値が-0.5*gより小さい場合、デバイスの向きは直立であると見なされる。平均値が-0.5*gより大きい場合、デバイスの向きは逆さまであると見なされる。平均値(すなわち、y軸に沿った加速度)が-0.5gから+0.5gの間である場合、脚は臥位にある可能性が高く、デバイスの向きを確実に判定することができない。この場合、y軸値の新しいセットが収集され、デバイス配置の向きを確実に判定できるまで上記のプロセスが反復される。一旦デバイス配置の向きが判定されると、オンスキン状態が「偽」になり(すなわち、TENSデバイスがもはや「オンスキン」ではないと判定され)、デバイス配置の向きが未定義の状態に戻るまで、デバイスの向きのステータスは同じ(すなわち、直立又は逆さま)のままである。
【0062】
本発明の1つの好ましい形態では、オンスキンステータスはまた、オンボディステータスを真に設定する。温度センサ137及び張力計138は、先に開示したように、オンボディステータスを評価するために使用することができる。TENSデバイス100とユーザの皮膚との間の電気的接触の喪失によりオンスキンステータスが「偽」になると、オンボディステータスは、温度センサ137もしくは張力計138、又はその両方からの測定値に基づいて評価される。測定値は、固定基準閾値又はオンスキン期間中に確立された閾値と比較される。デバイス配置向きステータスは、オンボディステータスが真である限り維持される。
【0063】
本発明の1つの好ましい形態では、逆さまに配置されているTENSデバイスから取得された加速度計測定値は、後続の活動レベル及び持続期間評価のためのデータ分析を単純化するために、あたかも直立して配置されているTENSデバイスから収集されたかのような値にマッピングされる。別の実施形態では、データ分析方法は、2つの異なるデバイスの向き(すなわち、デバイスの直立、デバイスの逆さま)の下で取得されたデータに対して別々に開発される。
【0064】
本発明の1つの好ましい形態では、活動レベル及び強度評価(以下を参照)は、デバイスの向きが判定されるまで実行されない。本発明の別の形態では、評価は、デバイス向きの状態が定義されていないときにデバイスの向きが直立であるという仮定の下で実行される。このような仮定の下で得られた結果は、実際のデバイスの向きが後で逆さまであると判定された場合に調整される。本発明のさらなる別の形態では、評価は、デバイスの向きが前のオンスキンセッションで判定されたデバイスの向きと同じであるという仮定の下で実行される。本発明のさらなる別の形態では、評価は、デバイスの向きが過去に観察された大部分のデバイスの向きと同じであるという仮定の下で実行される。仮定の根拠にかかわらず、一旦実際のデバイス向きが判定されると、活動レベル及び持続期間の評価結果が必要に応じて調整される。
【0065】
明確にするために、以下の説明では、デバイス配置の向きが直立であるか、又は加速度計データが直立したデバイス配置に対応する値にマッピングされると仮定する。
【0066】
垂直整列の補償
理想的な条件(すなわち、直立したデバイスの配置、走行中の列車で経験するような外部の運動のないことなど)では、対象が静止しているとき、加速度計132からのy軸信
号は-1*gレベル(すなわち、地球の重力によって引き起こされる静的加速度値)に留まる。加速度計132からのy軸加速度値は、脚の活動に応じてこの値を上回るか下回る。しかしながら、加速度計132のy軸方向と地球重力の方向との相対位置が(例えば、脚の解剖学的構造及びデバイス配置のばらつきに起因して)完全に整列していない可能性があるため、ゼロ活動加速度値は-1*gとは異なる可能性がある。
【0067】
加速度計132のy軸と地球重力方向との間の正確な整列関係(
図1のα146)を判定するために、TENSデバイス100がユーザの脚に配置される(そして「オンスキン」状態が偽から真に遷移する)たびに、自動較正アルゴリズムを使用して、加速度計132のy軸の方向と地球重力との間のずれを判定し、補償することが好ましい。加速度計132の軸145は、
図1にも示されている。この自動較正アルゴリズムは、
図11ではデバイス垂直整列ユニット514として示されている。
【0068】
好ましい実施形態では、直立しているユーザ(すなわち、y軸加速度平均値y
mean値が所定の閾値よりも大きい)及び静止しているユーザ(すなわち、y軸加速度標準偏差y
stdev値が所定の閾値よりも小さい)に対応する加速度計データの初期セグメントが分析されて、静的重力加速度値の平均を求める。この値は、静的重力加速度の期待値と比較され、2つの軸方向(すなわち、加速度計132のy軸加速度と地球の重力g)間の角度(
図1のα146)を計算することができる。次いで、(基本的に加速度計132のy軸と地球重力との間のずれを識別する)角度α146を使用して、これらの2つの軸のずれの影響を補償する。
【0069】
本発明の1つの好ましい形態では、加速度計132のy軸からの加速度値が10秒間にわたって累積され、平均が計算され、この値がy
meanとして定義される。加速度計132のy軸と重力g148(
図1)との間の角度α146(
図1)は、式α=cos
-1(y
mean/g)を用いて推定することができる。
【0070】
別の実施形態では、角度α146の複数の推定値が平均化され、その後のデータ分析に使用される。
【0071】
推定角度α146に関する情報により、TENSユーザの脚の向きを決定することができる。地球重力gと加速度計のx-z平面との間の角度が推定角度に近い場合、脚の向きは臥位にある。人がベッド又は床のエクササイズマットの上に快適に横たわっているとき、臥位の脚の向きを有する。
【0072】
多くの場合、活動関連の分析を実行する前に、生の加速度計測定値から静的重力加速度値を取り除くことが望ましい。一旦脚の向きが直立であると判定されると、静的重力-gをy軸加速度計の測定値から取り除くことができる。あるいは、y軸加速度計測定値から-gを取り除く代わりに、静的重力加速度-g*cos(α)の正確な投影を取り除いて、活動関連評価の精度を向上させる。この手法の目的は、加速度計データのゼロ活動レベルに対するより良い基準を得ることである。
【0073】
同様に、脚の向きが臥位であると判定された場合、静的重力-g又は-g*cos(α)をx-z平面の加速度計投影から取り除いて、活動関連評価の精度を向上させることができる。
【0074】
背景ノイズにより、静的重力値が取り除かれた後、加速度計132のy軸加速度値がゼロ活動レベル付近で変動する可能性がある。背景ノイズを補償するために、標準偏差y
stdev(上記を参照)の2倍がこのゼロ活動レベルに加算及び減算されて、「ゼロ活動帯域」が生成される。好ましい実施形態では、デバイスの向きは、各デバイスの「オンス
キン」セッションに対して1回だけ判定されるが、このゼロ活動帯域は、{y
mean、y
stdev}の新しい推定が利用可能になるたびに更新される。ゼロ活動帯域の上限314(
図7)は「正のゼロ超過閾値」と呼ばれ、ゼロ活動帯域の下限312(
図7)は「負のゼロ超過閾値」と呼ばれる。
【0075】
一例として、エクササイズマット上に快適に横たわっているTENSユーザが脚のストレッチエクササイズを行っているとき、加速度計から測定されるデータは、以下の測定パターンを有する。1)重力加速度-g又は-g*cos(α)が、加速度計のx-z平面内で検出される。2)加速度計のy軸に沿った動き、かつこのような動きが、ユーザが脚のストレッチ活動を反復するのとほぼ同じ周期関数のパターンに従う。
【0076】
ウォーキング活動レベル及び持続期間の判定
フィルタリング演算
フィルタリング演算は、ノイズ及び他の重要でない特徴を抑えながら、活動分析にとって重要な波形特徴を保存するように設計される。フィルタユニット516(
図11)は、加速度計132からの入力及びデバイス垂直整列ユニット514からの設定パラメータを受け取り、脚活動分類器ユニット518(
図11)によるさらなる処理に適した出力を生成する。
【0077】
ウォーキングは、身体活動の最も一般的な形態である。本発明者らは、脚と機械的に結合された加速度計を用いてウォーキング活動がどのように認識されるかを以下で詳細に説明する。脚の反復スイング動きは、ウォーキングのサインである。ここで
図7を見ると、点線310で接続されている中空円は、重力バイアスy
meanが取り除かれた後の加速度計y軸値を表す。2つの水平線は、負のゼロ超過閾値312及び正のゼロ超過閾値314である。(多くのサンプルでは線310と重複している)実線318で接続された中実円形ディスクは、フィルタリングされた加速度計y軸値である。
【0078】
1つの好ましい実施形態では、選択的な「中央値」フィルタを使用して、元の加速度計データをフィルタリングする。ゼロ活動帯域付近又はゼロ活動帯域内の波形サンプル(すなわち、閾値312と閾値314との間の領域)に対する中央値フィルタの効果を
図7に見ることができるが、より大きな振幅を有する波形サンプルは影響を受けていない。中央値フィルタは、その直近の隣接するサンプルの大きさに基づいて個々の波形サンプルに選択的に適用される。
図8は、波形サンプルに対して中央値フィルタ演算を行うときの4つのケースを示している。中央値フィルタは、一度に1つの波形サンプルに対して演算を行う。ケース322では、元の波形サンプル352が中央値フィルタ演算の対象となる。フィルタは、直近の隣接する2つのサンプル351及び353を検査する。一方のサンプル351は、境界線316(例えば、+0.5*g)の外側の大きな振幅を有する。フィルタは、その振幅を3つのサンプル351、352、353の元の振幅の中央値に変更することによってサンプル352を修正(すなわち、フィルタリング)する。このケースでは、中央値はサンプル353の値である。したがって、サンプル352の選択的中央値フィルタの出力は354となり、353の振幅値をとる。ケース326の中央値フィルタ演算は、ケース322と同様に実行される。ケース324では、電流波形サンプル356並びにその直近の隣接するサンプル355及び357はいずれも、境界線316(例えば、+0.5*g)と317(例えば、-0.5*g)によって囲まれた領域内にある。しかし、サンプル355からサンプル356への移行により、波形はゼロ活動領域を(領域の上方から下方へ)横切るようになる。さらに、現在のサンプル356といずれか一方の隣接サンプルとの間の振幅差は、閾値0.75*gを超えている。このような条件下で、フィルタは、現在のサンプル356の振幅を、3つのサンプル355、356、357の元の振幅の中央値に修正する。このケースでは、中央値はサンプル357の値である。したがって、サンプル356の選択的中央値フィルタの出力は358となる。ケース328の中
央値フィルタ演算は、ケース324と同様に実行される。他のケースでは、現在のサンプルはその元の振幅値を保持する。隣接するサンプル点の正確な値に応じて、中央値フィルタの適用後でも閾値超過イベントが依然として発生する可能性があることに留意されたい。(境界線316を設定するために使用される)+0.5*g、(境界線317を設定するために使用される)-0.5*g、及び(現在のサンプルに対する中央値フィルタ演算の適用性を判定するのを補助するために使用される)0.75*gの値は、本発明の1つの好ましい形態に対して選択されたものであり、他の値が使用されてもよく、これらの他の値も本発明の範囲内であると見なされることにも留意されたい。
【0079】
スイングイベントの識別
脚活動識別器ユニット518(
図11)は、加速度計波形の特定の特性に基づいて脚スイングイベントを識別する。ユーザがストライドしているときの脚のスイングイベント336(すなわち、ストライド)(
図7)に関連するフィルタリングされたy軸加速度計データ波形318(
図7)については、以下の特性が明らかである。波形のセグメント(逆相、
図7の332)が負のゼロ超過閾値312を下回り、続いて波形のより大きなセグメント(正相、
図7の334)が正のゼロ超過閾値314を上回る。正相及び負相の面積が計算される。面積計算のために、各サンプルの大きさは、大きな加速度スパイクの影響を最小限に抑えるために1*gに制限される。大きさが限定された正相(すなわち、「正の矩形領域」)を覆う最も小さい長方形の面積も計算される。以下の条件のすべてが満たされている場合、ストライド(例えば、
図7の脚スイングイベント336)が認識される。
1.正相持続期間が第1の閾値Th1以下である。
2.正相持続期間が第2の閾値Th2以上である。
3.スイングイベントが以前に検出されたスイングイベントに近すぎない(すなわち、2つのイベントのタイミングの差が所定の閾値より大きい)。
4.正相の面積(
図7の334)が第3閾値Th3以上である。
5.「正の矩形領域」が第4閾値Th4以上であるか、又は、正相と負相との合計面積(
図7の332及び334)が閾値Th4の1.5倍以上である。及び
6.正相の最大振幅(
図7の334)が第5の閾値Th5以上であるか、又はピークツーピーク振幅(すなわち、正相ピーク波形値から逆相ピーク波形値を減算したもの)が第6の閾値Th6以上である。
【0080】
識別された各脚スイングイベント336(
図7)により、ストライドカウンタ520(
図11)を介して(カウンタ又はレジスタに記録される)ストライドカウントに1つのストライドが追加される。ステップカウントは、任意の測定期間のストライドカウントの2倍として定義される。各ストライドのタイミングは、波形318の谷に関連付けられているタイムインスタンス338(
図7)である「トーオフ」イベントに固定される。「トーオフ」イベントは、脚を前方にスイングする直前に、片方の足が地面から離れて行くタイムインスタンスに対応する。2つの連続するトーオフイベント(
図7の340)間の時間差は、時間差が閾値(例えば、3秒)を下回っている場合、ストライド持続期間と呼ばれる。ケイデンスは、ステップカウントを、歩いたステップに対応する時間間隔で除算することによって計算される。
【0081】
別の実施形態では、(
図4のジャイロスコープ132からの)ジャイロスコープデータを使用して、脚スイング活動を検出及び定量化する。(ユーザの脚に取り付けられた)TENSデバイス100に組み込まれたジャイロスコープ132は、脚のスイング期間中に脚の角加速度及び速度を測定することができる。
【0082】
WalkNowステータスインジケータ
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス100はまた、「WalkNowステータスインジケータ」を設定するためのウォーキング検出器522(
図11)を備え
る。WalkNowステータスインジケータは、デフォルトで偽に設定されている。5つ以上のストライドが検出されると、2つの連続するストライドが所定の閾値時間間隔(例えば、5秒)を超えて離れていない場合、ストライド平均持続期間が計算される。ストライド平均持続期間が所定の閾値時間間隔以下である場合、WalkNowステータスインジケータは真に設定される。2つの連続するストライドが閾値時間間隔を超えて離れている場合にはいつでも、WalkNowステータスインジケータは偽にリセットされる。WalkNowステータスインジケータが真に設定されると、活動タイプ、レベル、及び持続期間ユニット526は、活動タイプをウォーキングとして登録し、活動持続期間を、WalkNowステータスが真である時間持続期間として設定する。
【0083】
歩行分析
歩行分析の主な目的は、歩行変動を評価し、特徴付けることである。歩行変動は、転倒リスクの有効な予測因子である(Hausdorffらによる「Gait variability and fall risk in community-living older adults:a 1-year prospective study」。理学療法とリハビリテーションのアーカイブ誌、82(8)、第1050~1056頁(2001))。
【0084】
本発明の1つの好ましい形態では、ストライド持続期間変動が測定される。ストライド持続期間は、TENSユーザがユーザ自身の自然なウォーキング環境にいるときに取得される。これは、実験室環境で行われるほとんどの歩行変動測定とは対照的である。適格なウォーキングセグメントごとに変動係数(CoV)値が計算される。ウォーキングセグメントは、WalkNowステータスが真のままのときの連続する一連のストライドである。適格なウォーキングセグメントは、ストライド数が最小閾値を超えるなど、ストライド特性が特定の基準を満たすウォーキングセグメントである。ウォーキング環境は歩行変動に影響を及ぼし得るので、CoV(パーセンタイル値)の毎日の分布は、適格なウォーキングセグメントが利用可能になるたびに更新され、ユーザに報告される。歩行分析器ユニット524(
図11)の主な機能ブロックは、以下を含む。
1.トーオフイベントの検出、
2.歩行セグメントの判定、及び
3.歩行変動の推定。
歩行分析をまとめたフローチャートを
図9に示す。
【0085】
トーオフイベントのタイミングの検出
ウォーキングは、脚の周期的な運動を含む。脚の運動を容易に識別できる任意のイベントを使用して、周期的な運動の期間(ストライド持続期間)をマークすることができる。2つのイベント、「ヒールストライク」及び「トーオフ」イベントが、ストライド持続期間の推定及び歩行変動分析に一般的に使用される。「ヒールストライク」イベントは、ウォーキング中に足のかかとが地面と最初に接触するタイムインスタンスである。「トーオフ」イベントは、脚を前方にスイングする直前に、足が地面から離れて行くタイムインスタンスに対応する。1つの好ましい実施形態では、トーオフイベントが歩行分析に使用される。正確なトーオフイベントのタイミングは、従来、力マット又は力センサの測定値を調べることによって得られる。しかしながら、(ユーザの脹脛上部に取り付けられた)TENSデバイスに組み込まれた加速度計132からの測定値は、実際のトーオフイベントと高度に相関する明確な特徴を提供する。本発明の1つの好ましい形態では、正相334(
図7)の前の負のピーク338(
図7)のタイミングを使用して、トーオフイベントのタイミングを近似する。負のピーク338のタイミングは実際のトーオフ時間と正確に一致しない可能性があるが、両者の関係性が高く、高い相関を提供する。力センサから導出される(実際のトーオフイベントの)及び負のピーク338を使用して加速度計132から導出されるストライド持続期間もまた、(例えば、通常のペースのウォーキング、より
速いペースのウォーキング、より遅いペースのウォーキングなど)様々な歩行条件の下で非常に高い相関を示す。
【0086】
一旦ストライド(負相332に続く正相334、336)が検出されると、記録された負のピーク338は、ストライド検出イベントの前のタイムウィンドウ内で検査される。1つの好ましい実施形態では、最大振幅を有する負のピーク338が識別され、そのタイミングがトーオフイベント時刻として使用される。探索ウィンドウ内に負のピーク338が存在していない場合、ストライド検出イベントに最も近い負のピーク338のタイミングが使用される。
【0087】
さらなる別の実施形態では、y軸以外の軸からの加速度計信号の同様の特徴を使用して、トーオフイベントを判定する。2つの連続するトーオフイベント間の差は、ストライド持続期間として記録される。
【0088】
ストライド持続期間系列のセグメント化
ストライド持続期間時系列342(
図9)は、各ウォーキングセグメントの持続期間にわたって累積される。ストライド持続期間測定値の数が最大カウントを超えている場合、ストライド持続期間系列は(各々が最大カウントまで)複数のセグメントに分割される。1つの好ましい実施形態では、ストライド持続期間系列の各セグメントの平均及び標準偏差が計算され、算出された平均及び標準偏差値に基づいて外れ値閾値が設定される。平均との差の絶対値が外れ値閾値を超えている場合、ストライド持続期間は外れ値としてフラグ付けされる。これらの外れ値は、存在している場合、歩行変動評価用に、元の系列を連続するストライド持続期間のより小さなセグメントに分割する。
図9は、ストライド持続期間時系列342から導出された3つのそのようなセグメント344、345、及び346を示す。
【0089】
ストライド持続期間セグメントのトリミング
さらに
図9を見ると、最小セグメント長(例えば、30個のストライド)を超えているセグメント長(セグメント長は、セグメント内のストライド持続期間の数である)を有する各セグメントの場合、セグメントは適格な歩行変動評価セグメント345になる。持続期間時系列の統計量は、適格な歩行セグメントごとに計算される。計算の前に、セグメントの最初及び最後の5つのストライド持続期間サンプルは、中間セグメントを形成するために時間的にトリミングされる。中央セグメント平均からのサンプルの最大絶対差が計算される。次いで、中央セグメントは、平均からのサンプル差が最大絶対差を超えるまで、最初の5つから連続する隣接サンプルを含めるようにサンプルごとに拡張される。最後の5つのサンプルからの持続期間を含めるための拡張も同様に行われる。この演算の結果として、各セグメント347(
図9)及び348(
図9)は、歩行変動推定に適した一連のストライド持続期間を含むようになる。
【0090】
歩行変動の推定
各適格セグメント347及び348について、ストライド持続期間サンプルの平均値及び標準偏差値が計算される。変動係数(CoV)も計算される。1つの好ましい実施形態では、1日の最小CoVは、歩行変動メトリックとして各ユーザについて維持される。別の実施形態では、歩行変動メトリックは、ビン<2.5%、2.5%-3.5%、3.5%-4.5%、4.5%-5.5%、5.5%-6.5%、6.5%-7.5%、及び>7.5%を有するCoVのヒストグラム349(
図9)(パーセンテージ値)である。歩行変動メトリックは、適格な歩行分析セグメントが利用可能になるたびに、歩行変動レポータユニット526(
図11)を介してユーザに報告される。別の実施形態では、歩行変動メトリックは、異なるステップケイデンス条件下で報告される。例えば、ゆっくりとしたレジャーウォーキングの歩行変動は、活発なウォーキングの歩行変動とは別に報告され
る。
【0091】
先行する米国特許出願公開第2018/0132757号明細書(Kong)では、毎日の最小CoVを使用して、TENSユーザの固有の歩行変動を決定した。最小CoVは、任意のウォーキング条件下で安定した歩行を維持するユーザの能力の最高のパフォーマンス(限界)を表す。本発明の1つの好ましい実施形態では、セグメントごとのCoV値(例えば、347及び348に関連するもの)を使用して、歩行分析器524の結果を活動タイプ、レベル、及び持続期間推定器526に供給することによってウォーキング活動難易度レベルを決定する。次いで、推定器526は、CoV値に基づいて活動レベルを判定することができる。例えば、ユーザが舗装された歩道を歩いているとき、そのウォーキングセグメントのCoV値は、ハイキングコースのウォーキングセグメントのCoV値よりも低くなる。ハイキングコースで同じステップ数を歩くのにかかる労力は、舗装された歩道で必要とされる労力よりも大きい。したがって、CoVによって測定される歩行変動を使用して、ウォーキングなどの身体活動の持続期間を修正することができる。活動タイプの持続期間と努力の両方を考慮する利点は、ユーザの筋肉にかかる労力をより正確に推定できることである。運動誘発性疼痛は、筋肉活動強度のより良好なモデル化によってより良好に予測することができる。
【0092】
別の実施形態では、特定の活動特性を推定器ユニット526によってより高い精度で解釈できるように、ユーザは、Bluetooth対応スマートフォンなどの接続したデバイス860(
図4)を介して手動で、又はTENSデバイスへの直接ジェスチャ(
図4のユーザ入力850)によって、エクササイズ条件(例えば、「草の多い表面を歩いている」、「トレイルでハイキングしている」など)をタグ付けすることができる。さらなる別の実施形態では、コンテキストタグは、例えば、時刻、(睡眠監視機能性がTENSデバイスに組み込まれているときの)目覚めてからの時間、一定量の活動の前又は後(例えば、5000ステップのウォオーキングを行った後)の時間、(例えば、GPSであってもよい
図4の屋内/屋外測位システム136を介した)ユーザの位置、(例えば、
図4の温度センサ137を介した)ユーザの皮膚温度などの活動に自動的に適用することもできる。
【0093】
サイクリング活動の判定
回転位置の判定
本発明の別の態様は、デバイス位置検出器ユニット528(
図11)を介して、ユーザの脚上におけるTENSデバイス100の回転位置を自動的に判定することである。一旦TENSデバイス100がユーザの脚に配置されると、身体から取り外されるまで定位置に留まる。配置及び取り外しイベントは、前述した方法でオンスキン検出器265を介して検出することができる。
【0094】
図10は、脚140の断面(横断面)及び脚上におけるTENSデバイス100の例示的な回転位置を示す。TENSデバイス100の回転位置は、TENSデバイス100と「前進動き」方向404(
図10)との間の(
図10ではθと表記されている)角度402によって定義される。加速度計132からのy軸加速度計データに基づく前述のストライド検出アルゴリズムは、回転角度θに関する情報を必要とすることなしに完全に機能することに留意されたい。
【0095】
前述のストライド検出アルゴリズムによって識別された正相334(
図7)の間、脚の前進運動に関連する(すなわち、y軸加速度値が正のゼロ超過閾値314を上回っているときの)加速度は、加速度計132のx軸及びz軸の座標系406(
図10)に投影される。限定ではない例として、角度がθ402で、90度である(すなわち、TENSデバイス100が肢体部の右側に配置されている)場合、前方加速度A
F404は、x軸上に
ゼロ投影(A
F*cosθ=0)を有し、z軸上に最大投影(A
F*sinθ=A
F)を有する。限定ではないさらなる例として、TENSデバイス100が角度θ=180で後部位置(すなわち、脚の後側)に配置されている場合、前方加速度A
F404は、x軸上に負の投影(A
F*cosθ=-A
F)を有し、z軸上にゼロ投影(A
F*sinθ=0)を有する。
【0096】
1つの好ましい実施形態では、x軸及びz軸加速度測定値は、脚のスイング動きの正相334(
図7)の間に取得される。20回の連続するストライドにわたるx軸及びz軸加速度データの平均が得られ、これらは
【数1】
及び
【数2】
として定義される。回転角度θ402は、
【数3】
を用いて推定される。正接関数の周期性は180度であるため、0~90度の範囲に属する、又は180~270度の範囲に属する推定角度
【数4】
の多義性は、
【数5】
及び
【数6】
の符号に基づいて解決される。
【数7】
及び
【数8】
の符号が両方とも正である場合、
【数9】
は0~90度の範囲に属する。そうでない場合、
【数10】
は180~270度の範囲に属する。
【0097】
1つの好ましい実施形態では、一旦角度
【数11】
の個別の推定値が利用可能になると、TENSデバイス100の現在の回転位置として使用される。別の実施形態では、回転位置は、オンスキンイベントが開始してから得られた角度の利用可能なすべての個々の推定値の累積平均である。さらなる別の実施形態では、TENSデバイス100の回転位置は、オンスキンイベントが開始してから得られた個々の角度推定値の加重平均である。本発明のこの形態では、より最近に取得された角度推定値は、加重平均においてより高い重み係数を与えられる。
【0098】
TENSデバイス100の回転位置に関する情報により、加速度計132のx軸及びz軸の座標系406(
図10)内の測定された加速度を、周知の「軸の回転」平行移動を通して、x’軸が内外方向(すなわち、冠状面)にあると見なされ、z’軸が前後方向(すなわち、矢状面)にあると見なされる脚の座標系408(
図10)にマッピングすることができる。
【0099】
AX’=AXsinθ-AZcosθ、Az’=-AXcosθ+AZsinθ。
【0100】
x’-z’軸座標系におけるマッピングされた値AX’及びAz’は、脚及び身体の内外方向の運動(AX’)及び前後方向の運動(Az’)の直接的な尺度を提供する。方向特有の運動の大きさ及び周波数により、TENSデバイス100が他のタイプの活動を測定することが可能になる。これにより、今度は、TENSデバイスを起動させて、これらの活動の結果としての運動誘発性疼痛に対処することができる。
【0101】
線維筋痛症患者に処方されることが多い活動の1つはサイクリング(屋外バイク又は定置バイク)である。X’-Y-Z’座標系に適切にマッピングされた加速度計データにより、サイクリング検出器530は、Y-Z’平面内で検出される大きな周期的運動及びX’軸内の小さな運動に基づいて、サイクリング運動活動を容易に識別することができる。サイクリング持続期間は、推定器ユニット526によってそのような周期的運動の時間持続期間を追跡することによって測定することができる。推定器ユニット526はまた、加
速度計データからY-Z’平面内で周期的運動が何サイクル発生するかに基づいて、ケイデンス又は1分間当たりのペダル旋回数を追跡することによって、サイクリング活動レベルを追跡することができる。
【0102】
注目に値するのは、角度θ402に関する情報がサイクリング活動タイプの検出又はサイクリング活動持続期間の測定に必要でないことである。サイクリング中の脚の反復動きは、常に加速度計によってキャプチャされる。加速度計軸への動きの投影は(角度θが何であっても)、常に周期的なものであるが、振幅は特定のものではない。したがって、ウォーキング活動(
図7を参照)におけるヒールストライクイベント339又はトーオフイベント338に関連するインパルス状の波形要素なしに脚の動きの周期的性質を判定することができるならば、サイクリング活動タイプを推測することができ、その特性を追跡することができる。
【0103】
その他活動の判定
バーベルを持ち上げるなどの筋力強化エクササイズもまた、通用活動検出器532(
図11)付きの活動トラッカ170又は172(
図4)によって追跡及び監視することができる。腕の運動は、腕に取り付けられた活動トラッカによって追跡することができる。トラッカ170は、TENSデバイス100が腕に装着されている場合、TENSデバイスの一部とすることができる。トラッカ172はまた、TENSデバイスが脚の脹脛上部などの身体の別の部分に配置されているときに、TENSデバイス100とワイヤレスで(例えば、Bluetooth接続を介して)通信することができる。一実施形態では、生の加速度計データの代わりにエクササイズ特性(例えば、エクササイズのレベル及び持続期間)が活動トラッカからTENSデバイスに送信される。生の加速度計データからエクササイズ特性への変換は、電気機械センサに接続された処理ユニットを用いてトラッカ内で行われる。さらなる別の実施形態では、運動特性の代わりに、TENS治療を開始、停止、又は修正するためのコマンドが、活動トラッカ172からTENSデバイス100に送信される。
【0104】
アイソメトリックエクササイズは、目に見える身体の動きを伴わずに筋肉を緊張させる身体的活動を指し、適切なセンサ入力を用いて通用活動検出器532によって検出することができる。EMGセンサ131(
図4)を使用して、筋肉の収縮を監視することができる。筋肉の活動を感知するために筋音図(AMG)センサ131(
図4)を使用することもできる。導電性ストレッチセンサ(
図4のその他センサ139)を使用して、筋肉活動による皮膚のストレッチを感知することもできる。筋力強化エクササイズモニタリング用の構成と同様に、EMG又はAMGセンサデータ、センサデータに基づく筋肉収縮特性、又は筋肉特性に基づくTENSデバイス制御コマンドは、活動トラッカ170から、活動トラッカ170と同じ身体の部分に装着されているTENSデバイス100に送信される。EMG又はAMGセンサデータ、センサデータに基づく筋肉収縮特性、又は筋肉特性に基づくTENSデバイス制御コマンドは、活動トラッカ172から、身体の別の部分に装着されているTENSデバイス100に送信される。送信は、ワイヤード送信であってもよく、ワイヤレス送信であってもよい。
【0105】
ストレッチエクササイズは、その(筋力強化エクササイズに類似する)身体運動成分及び(アイソメトリックエクササイズに類似する)筋肉収縮成分に基づいて監視することができる。
【0106】
ユーザはまた、理学療法クリニックで行われるもの又は仮想インストラクタ(例えば、アップルフィットネス)のもとで行われるものなどのガイド付き身体活動エクササイズを行うことがある。上述のセンサを介して活動を追跡することに加えて、理学療法士によって、又は仮想インストラクタプログラムからのデータを用いて、接続したデバイス860
によって、ユーザ入力850を介して活動を追跡及び測定することもできる。
【0107】
刺激パラメータ修正用コントローラ
TENSユーザの活動タイプ、レベル、及び持続期間の評価(すなわち、推定器526の出力)の結果は、スマートフォン860又は同様の接続したデバイスを介してユーザ又はユーザの介護者に表示することができる。より多様な活動タイプ、より高い活動レベル、及びより長い活動持続期間は、生活の質及び健康の改善の重要な例である。動きによって引き起こされる疼痛のTENS治療の結果としての疼痛の軽減は、これらの改善に寄与することができる。これらの機能の変化は通常、徐々に進行し、定量化するのが困難である。TENSユーザにこれらの重要な健康メトリックの客観的測定値及びバックグラウンド測定値が提供されると、TENS治療を続ける可能性が高くなる。
【0108】
本発明の主な特徴は、新規なTENSデバイスが、コントローラユニット452(
図4及び
図11)を介して、前述の活動タイプ、レベル、及び持続期間(すなわち、推定器526の出力)に従ってその刺激パラメータを自動的に調整することである。活動タイプ、レベル、及び持続期間をTENS制御コマンド(例えば、刺激の開始、刺激の停止、刺激強度の調整)にマッピングする機能は、臨床研究の観察によって得られたものなどの事前知識に基づくデフォルト設定で開始することができる。例えば、TENS治療は、平均速度での5分間のウォーキング活動が検出されると自動的に開始される。TENS治療は、ウォーキング活動が少なくとも3分間行われないと終了する。ウォーキング速度が時速3.5マイルの平均速度を上回っているとき、ウォーキング活動レベルは高いと見なされる。ウォーキング活動レベルが高いと、TENS治療を開始するのに必要な活動持続期間は5分間から3分間に短縮される。あるいは、ウォーキング活動レベルが高いと、TENS刺激強度が自動的に20%増加する。ウォーキング活動レベルが高いと、治療を開始する持続期間の短縮と治療強度の増加の両方をもたらすこともできる。ウォーキング以外の活動についても、同様にマッピング機能を確立することができる。
【0109】
マッピング機能は、個々のTENSユーザの使用パターンに基づいて修正することができる。例えば、活動レベルの低下又は活動の一時停止によって活動が頻繁に中断される場合、中断はTENSデバイスの疼痛制御が不十分であることが原因である可能性がある。TENS治療を起動するのに必要な活動持続期間は、TENSユーザにとって長すぎる可能性がある。機能はこのパターンから学習して、TENS治療をより早く(すなわち、より短い活動持続期間閾値で)一時的に起動することができる。後続のユーザ活動レベルがより安定し、及び/又は活動持続期間がより長くなると、短縮された活動持続期間は、そのユーザのデフォルト持続期間設定を永続的に置き換える。刺激強度調整にも同様の更新を行うことができる。
【0110】
新しいTENSユーザのマッピング機能のデフォルト設定は、1人又は複数の既存のTENSユーザの使用パターンに基づいて修正することができる。前の段落で説明したデフォルト設定の調整は、すべてのTENSユーザがアクセスできるデータベースに取り込むことができる。新しいユーザのTENSデバイスがデータベースに接続すると、TENSデバイスは更新された持続期間閾値を採用することができる。データベース内の設定の採用は、ユニバーサルのものにすることも、パーソナル化のものにすることもできる。ユニバーサル採用とは、すべての新しいユーザのTENSデバイスが、すべての既存のユーザの使用パターンに基づくデフォルト設定の同じ更新を受信することを意味する。パーソナル化採用とは、新しいユーザのTENSデバイスが、そのプロファイルが新しいユーザのプロファイルと一致する既存のユーザのサブセットに基づいて設定の更新を受信することを意味する。プロファイルの要素は、年齢、性別、身長、体重、病歴、体温、(疼痛の位置などの)疼痛状況、(疼痛の頻度などの)疼痛パターン、電極-皮膚インピーダンス、(TENSデバイスが配置されている身体位置などの)TENS使用パターン、活動タイ
プ、地理的位置、及び天気状況を含み得る。マッチングは、プロファイル内のすべての利用可能な要素又は選択された要素のみに対して行うことができる。
【0111】
例示的な動作
本発明の1つの好ましい形態では、TENSデバイス100は、刺激装置105(
図2)と、オンスキン検出器265(
図4)と、デバイス位置検出器528(
図11)と、刺激パラメータ修正用コントローラ452(
図4)と、活動タイプ、活動レベル、活動持続期間、及びデバイス位置分析用プロセッサ515(
図4)と、を備える。TENSデバイス100は、好ましくは、とりわけ、
図4及び
図11に示す方法で動作するように構成/プログラムされる。
【0112】
より具体的には、TENSデバイス100がユーザの脹脛上部140に固定されると、オンスキン検出器265は、1つ以上の(ジャイロスコープ及び/又は加速度計などの)電気機械センサ132と通信して、オンスキンセッションが開始されたことを示し、電気機械センサ132からのデータは、ユーザの活動測定値を求めるために処理される。データはまた、ユーザ上のTENSデバイス100の(肢体部を含む)配置位置を判定するために使用される。
【0113】
オンスキンセッションの開始時に、TENSデバイス100の向きは、デバイス向き検出器512によって直立向きであると仮定するように設定される。加速度計y軸データに基づいて、デバイス向き検出器512は、デバイスの向きを、確認された直立ステータス又は確認された逆さまステータスのいずれか一方に更新する。次いで、確認されたステータス(直立又は逆さま)は、オンスキンセッションが終了するまで持続する。確認されたデバイスの逆さまの向きにより、x軸とy軸の加速度計値の符号が反転する。符号反転を用いると、ジャイロスコープ又は加速度計からのデータストリームは、どちらのデバイス向きステータスに対しても同じ方法で処理することができる。
【0114】
加速度計132のy軸は、ユーザが立っているときに重力とほぼ同じ方向に沿っているが、完全に整列していない可能性がある。結果として、y軸に投影される静的重力は、-1*gと正確に同じではない可能性がある。デバイス垂直整列ユニット514(
図11)は、y軸と重力との間の正確な整列関係を決定し、整列結果は、静的重力を除去して、ウォーキング及びサイクリングなどの直立した身体の向きに関連する任意の活動の正味の活動加速度を得るために使用される。整列結果は、オンスキンセッション中に定期的に更新することができる。整列に加えて、デバイス垂直整列ユニット514(
図11)はまた、ゼロ活動領域を画定するために、負のゼロ超過閾値312(
図7)及び正のゼロ超過閾値314(
図7)を求める。ゼロ活動領域は、オンスキンセッション中に連続的に更新され得る。
【0115】
フィルタ演算516(
図11)は、静的重力成分を除去し、ゼロ活動領域付近の急激な変化を平滑化することによって、y軸データにフィルタを適用する。フィルタリングされたy軸データは、ユーザの活動レベル及びタイプを判定するために使用される。高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタなどのフィルタ演算は、x軸及びz軸の加速度計データにも適用することができる。
【0116】
脚のスイングは、ウォーキング及びランニングにおける重要かつ必要な要素である。脚活動分類器ユニット518(
図11)は、脚のスイングに特徴的な加速度又はジャイロスコープデータ波形の成分を識別する。各脚のスイングに関連するトーオフ及びヒールストライクのようなイベントのタイミングは、波形特徴から抽出される。
【0117】
脚のスイングもサイクリングの特徴である。ウォーキング又はランニングとは異なり、
加速度計データには(ヒールストライク又はトーオフに対応する)インパルス様イベントは存在しないが、加速度の周期性は明らかである。脚のスイング動き又はペダリングのケイデンスの反復は、ウォーキングのケイデンスよりも高い頻度で行われるであろう。
【0118】
ストライドカウンタ520(
図11)は、特定の期間(例えば、24時間の期間)内のストライド数を累積的にカウントし、結果は、TENSデバイス100上の表示内容として、又はTENSデバイスにリンクされている接続したデバイス860(
図4)(例えば、Bluetoothを介してTENSデバイスに接続されているスマートフォン)を介してユーザに報告される。
【0119】
ウォーキング検出器522(
図11)は、検出されたスイングイベントのタイミングパターンを監視することにより、ユーザがウォーキング中であるか否かを判定する。1/2秒から2秒の間の発生間隔で規則的に発生するスイングイベントは、ウォーキング期間を示す。発生間隔は、ジョギングかそれともランニングかを判定するように適合させることができることに留意されたい。サイクリング活動も同様に、最小限の期間にわたる脚のスイング動きの反復に基づいて、サイクリング検出器ユニット530によって検出することができる。
【0120】
一旦ウォーキング又はサイクリング活動が検出されると、活動持続期間は、タイマ又はリアルタイムクロック135(
図4)によって測定することができる。タイマは、追跡される活動がもはや存在しないときにのみ停止する。
【0121】
活動持続期間がTENS治療を開始するための持続期間閾値(例えば、10分間)を満たすと、TENSデバイスは自動的にTENS治療を開始する。1つの好ましい実施形態では、TENS治療は所定の期間(例えば、60分間)継続する。別の実施形態では、TENS治療は、監視される活動が一定の期間(例えば、15分間)停止すると終了する。さらなる別の実施形態では、TENS治療は、先に述べたイベントの後の時点(すなわち、一定の期間後又は監視される活動タイプの終了後)で終了する。
【0122】
歩行分析器524(
図11)は、歩行変動分析を実行するのに十分な数のストライドが累積されているかどうかを判定するために、脚活動分類器518(連続したトーオフイベント間の時間差として定義されるストライド持続期間)、ストライドカウンタ520(ウォーキングセグメント内のストライド数)、及びウォーキング検出器522(ウォーキングステータス)から入力を受信する。十分なストライド持続期間が収集され、ストライド持続期間シーケンスが外れ値なしで十分な長さを有している場合、歩行分析器524によってウォーキングセグメントのストライド変動測定値が計算される。そのような尺度の1つは、ストライド持続期間シーケンスの標準偏差を平均で除算したものとして定義される(パーセンテージ値として表される)変動係数(CoV)である。ウォーキングセグメント持続期間が、TENS治療を開始することが予定されている持続期間閾値を超えている場合、CoV値は、その初期持続期間のウォーキングセグメントに基づいて計算することもできる。CoV値自体、又は過去の値によって正規化された値(例えば、以下に解説するような最小値、中央値、又は最大値など)を使用して、前述のように活動レベルを推定することができる。CoVは、ウォーキング活動レベルをリアルタイムで監視及び使用してTENS刺激強度を調整できるように、連続的に更新することができる。
【0123】
歩行分析と同様に、サイクリングケイデンスは、活動レベルを判定するためにサイクリング検出器530を介して経時的に追跡することができる。ケイデンスが高い(すなわち、サイクリング活動中の脚のスイング動きの連続期間のCoVが高い)場合、活動レベルは高いと見なされる。CoVの解釈は、特定の個人について収集されたユニバーサル閾値又は過去の値に基づくことができる。
【0124】
デバイス位置検出器528(
図11)は、脚140上のTENSデバイス100の回転位置を判定する。スイング相中、検出器528は、x軸及びz軸データに基づいて、加速度計132のx軸及びz軸によって画定される平面における前進動き加速度ベクトル方向を推定する。回転角度θ402(
図10)は、加速度ベクトルA
F404(
図10)のx軸及びz軸への投影に基づいて推定される。より多くの測定データが利用可能になるにつれて、回転位置角度θ402を連続的に精緻化することができる。設定期間(1日24時間など)内の複数のオンスキンセッションにわたる同じデバイス位置の総持続期間を使用して、皮膚炎症を防止するようにユーザに通知することができる。これは、一般に、皮膚炎症の危険性を最小限に抑えるために、TENSデバイスの下の皮膚を時々空気にさらすことが望ましいためである。脹脛上部の異なる位置での神経感度が異なり得るため、デバイスの位置を使用して刺激パラメータを制御することもできる。
【0125】
筋力強化、ストレッチ、及びアイソメトリックエクササイズなどのその他活動は、通用活動検出器532によって監視することができ、それらの活動の持続期間及びレベルを同様に定量化することができる。EMG又はAMGセンサ131が筋肉収縮を検出し、加速度計132がごくわずかな身体活動を検出した場合、活動タイプはアイソメトリックエクササイズとして登録される。(他のセンサ139の一部としての)導電性ストレッチセンサからのデータを任意選択的に使用して、活動検出器532の検出結果を精緻化することもできる。EMG又はAMG信号の短期エネルギーを使用して、活動レベルを定量化することができる。短期エネルギーのそのような実施態様の1つは、特定の期間にわたって(例えば、5秒ごと)信号振幅の2乗を加算することである。動きの反復において一貫性を欠く身体運動は、ストレッチ又は筋力強化エクササイズとして記録される。筋力強化及びストレッチ活動を登録するために、2つ以上の活動トラッカをユーザの身体に配置することができる。TENSデバイスは、トラッカのうちの1つと同じ場所に配置されてもよい。TENSデバイスはまた、すべてのセンサ位置とは異なる身体位置に配置されてもよい。
【0126】
好ましい実施形態の修正
本発明の本質を説明するために本明細書で説明及び図示した細部、材料、ステップ、及び部品の配置における多くの追加的な変更は、本発明の原理及び範囲内に留まりながら、当業者によってなされ得ることを理解されたい。
【国際調査報告】