(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】人工芝用の充填物
(51)【国際特許分類】
E01C 13/08 20060101AFI20240521BHJP
C08L 97/02 20060101ALI20240521BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240521BHJP
C08J 3/12 20060101ALI20240521BHJP
C08J 7/00 20060101ALI20240521BHJP
C08B 15/00 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
E01C13/08
C08L97/02
C08L91/00
C08J3/12 Z CEP
C08J7/00
C08B15/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023568523
(86)(22)【出願日】2022-05-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022062502
(87)【国際公開番号】W WO2022234142
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523418812
【氏名又は名称】ゴエ-イーペー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】イリエ エイムンド
(72)【発明者】
【氏名】マルダール トリグヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴノース アスラ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴノース メッテ
【テーマコード(参考)】
2D051
4C090
4F070
4F073
4J002
【Fターム(参考)】
2D051HA01
2D051HA02
4C090AA04
4C090BA24
4C090BD22
4C090BD24
4C090CA08
4C090DA10
4C090DA31
4F070AA02
4F070AA66
4F070AC12
4F070AC18
4F070AE10
4F070AE28
4F070DA55
4F070DB03
4F070DC07
4F070DC11
4F073AA09
4F073BA03
4F073BB02
4F073EA01
4F073EA11
4F073EA56
4J002AE052
4J002AH001
4J002DD056
4J002DD066
4J002DG046
4J002DG056
4J002FD202
4J002FD206
4J002GL00
4J002HA09
(57)【要約】
本発明は一般に、人工芝用の充填材粒子の分野に関する。より詳細には、本発明は、人工芝用の充填材粒子に関し、粒子は、塩が含浸された基材を含みかつ熱可塑性材料を含まず、基材はセルロース系および/またはヘミセルロース系材料を含み、粒子は約512mm
3までの体積を有し、粒子は少なくとも5重量%の塩含有量を有し、塩は粒子中に分散している。本発明はまた、本発明の充填材粒子を製造する方法、およびこれらの粒子を含む人工芝システムに関する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工芝用充填材粒子であって、前記粒子が塩を含浸させた基材を含み、前記粒子が熱可塑性材料を含まず、前記基材がセルロース系および/またはヘミセルロース系材料を含み、前記粒子が約512mm
3までの体積を有し、前記粒子が少なくとも5重量%の塩含有量を有し、前記塩が前記粒子中に分散している、充填材粒子。
【請求項2】
前記基材が、セルロース系および/またはヘミセルロース系材料から本質的になる、請求項1に記載の充填材粒子。
【請求項3】
前記基材が、セルロース系および/またはヘミセルロース系材料からなる、請求項1に記載の充填材粒子。
【請求項4】
前記粒子が、製造された充填材粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項5】
前記粒子が、0.001mm
3~512mm
3の体積を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項6】
前記粒子が、0.008mm
3~125mm
3の体積を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項7】
前記粒子が、1mm
3~27mm
3の体積を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項8】
前記粒子が、立方体、直方体、球体、楕円体、回転楕円体、卵形またはピラミッド、好ましくは立方体、より好ましくは2mm×2mm×2mmの寸法の立方体の形状を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項9】
前記粒子が角を有し、角が丸みを帯びている、請求項1~8のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項10】
前記粒子が、滑らかなまたは研磨された表面を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項11】
前記基材が木材である、請求項1~10のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項12】
前記木材が天然木または原木である、請求項11に記載の充填材粒子。
【請求項13】
前記木材が軟木または硬木である、請求項12に記載の充填材粒子。
【請求項14】
前記木材がカバノキ木材である、請求項13に記載の充填材粒子。
【請求項15】
前記粒子が油または防腐剤で含浸されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の充填材粒子。
【請求項16】
前記油が天然油であり、前記防腐剤が天然防腐剤である、請求項15に記載の充填材粒子。
【請求項17】
前記油がアマニ油である、請求項16に記載の充填材粒子。
【請求項18】
複数の充填材粒子であって、各充填材粒子が、請求項1~17のいずれか1項に記載の充填材粒子であり、前記複数の粒子が、2種以上の形状の充填材粒子を含みおよび/または2種以上のサイズの充填材粒子を含む、複数の充填材粒子。
【請求項19】
前記2種以上の形状が、立方体、直方体、球体、楕円体、回転楕円体、卵形およびピラミッドからなる群から選択される、請求項18に記載の複数の充填材粒子。
【請求項20】
第1のタイプの充填材粒子および第2のタイプの充填材粒子を含み、第1のタイプの充填材粒子が、第2のタイプの充填材粒子のサイズの少なくとも2倍または3倍の体積を有する、請求項18または請求項19に記載の複数の充填材粒子。
【請求項21】
請求項1~17のいずれか1項に記載の充填材粒子を製造する方法であって、
セルロース系および/またはヘミセルロース系材料を含む基材を含む粒子であって、熱可塑性材料を含まず、約512mm
3までの体積を有する粒子、を塩溶液中に浸漬すること、および、
任意に、浸漬された粒子を乾燥すること、を含む製造方法。
【請求項22】
前記粒子を研磨することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
塩溶液が、少なくとも50℃、好ましくは約75℃に加熱されている、請求項21または請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が、少なくとも10分間、塩溶液中に維持される、請求項21~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
人工芝繊維を含む人工芝カーペットと、請求項1~20のいずれか1項に記載の複数の充填材粒子とを含む人工芝システム。
【請求項26】
砂をさらに含む、請求項25に記載の人工芝システム。
【請求項27】
請求項21~24のいずれか1項に記載の方法であって、
浸漬ステップの前に粒子を得るステップを含み、
前記粒子を得るステップは、セルロース系および/またはヘミセルロース系材料を切断して、1粒子当たり約512mm
3までの体積を有しかつ直方体好ましくは立方体の形状を有する粒子を形成すること、次いで、切断された粒子を研磨してその角を丸めること、を含む方法。
【請求項28】
請求項1~17のいずれか1項に記載の充填材粒子または請求項18~20のいずれか1項に記載の複数の充填材粒子の、人工芝用の充填材としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、人工芝用の充填材粒子に関する。より詳細には、本発明は、人工芝用の充填材粒子であって有機材料から作製された粒子に関する。本発明はまた、本発明の充填材粒子を製造する方法、およびこれらの粒子を含む人工芝システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工芝は、いくつかのタイプの環境において、天然芝に対する重要な代替品となっている。フットボールは、屋内および屋外の両方の大部分において人工芝を使用する。人工芝システムは、それらの設計および製造の点で変化し得るが、それらは一般に、すべて共通の構成要素を共有する。人工芝繊維(または芝パイルまたは人工芝)自体は、通常、人工芝繊維が織り込まれる構造および間隔を提供するポリプロピレン(PP)の一次バッキング材料を有するポリエチレングリコール(PE)から作製される。ポリウレタン(PU)の二次バッキングを適用し、硬化させて、パイルをバッキングに結合させることができる。このようなバッキングは、「芝カーペット」を形成する。
【0003】
ハイブリッド、第1世代(1G)、第2世代(2G)、および第3世代(3G)芝システムを含む、いくつかの異なる種類の人工芝システムがある。ハイブリッド芝または強化天然芝は、天然芝を合成強化繊維と組み合わせることによって作製された芝である。第1世代人工芝システムは、短い人工芝繊維を含む。第1世代の人工芝システムは、第2世代および第3世代の人工芝システムに大きく取って代わられている。第2世代の人工芝システムは、より長い繊維(例えば、13~24mmの高さ)および砂充填材を有する。
【0004】
第3世代のシステムは、典型的にはさらに長い繊維(例えば、高さ30~60mm)を含み、2つのタイプの充填材、すなわち、「安定化充填材」(典型的には砂)および「性能充填材」を含む。典型的には安定化充填材は、人工芝繊維間の下層として配置され、性能充填材は、人工芝繊維間の上層として安定化充填材の上に配置される。安定化充填材は、使用中に人工芝繊維を垂直に維持するように機能し、性能充填材は例えば、正確なレベルの耐衝撃性、回転抵抗および反発力を提供することによって、天然芝床の感触を模倣するように機能する。現在、ほとんどの人工芝システムで使用されている性能充填材は、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)(クラムゴムとしても知られている)であり、これは使用済み自動車タイヤに由来する。必要に応じて、さらなるサポートを提供するために、衝撃パッドを芝カーペットの下に設けることができる。
【0005】
SBRを性能充填材として用いた106×71メートルの典型的な人工芝ピッチでは、全重量の49%が安定化充填材(砂)からなり、全重量の44%が性能充填材(SBR)からなる。残りは、プラスチックベースの芝自体、すなわち、芝カーペットおよび人工芝繊維である。
【0006】
したがって、人工芝システムの環境影響は、多くの場合、充填材料によって支配される。性能充填材の市場はSBRによって支配されており、設備の約83%がこの材料を組み込んでいる。砂はまた、安定化充填材として3G芝システムの大きな構成要素であるが、SBRと比較して、リサイクルのために必要とするエネルギーおよび処理が著しく少ない。毎年10%の充填材が人工芝システムから漏れ出ており、すなわち、より広い環境に散在していると推定される。
【0007】
SBRは生分解に抵抗性であり、環境毒性であるため、SBR顆粒の漏出は、重大な環境問題を引き起こすことが示されている。したがって、人工芝からの漏出後に生分解し、環境毒性ではなく、かつ環境的負荷がより少ない充填材を提供する必要がある。
【0008】
コルク顆粒は、数少ない公知の天然充填材の代替物の1つである。しかしながら、コルク顆粒は高価であり、ゴムよりも速い速度で人工芝上で経時的に劣化する傾向があるため、その充填材は、人工芝の寿命にわたって規則的により多く補充する必要があるため、すべての用途に理想的ではない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、上述の必要性を満たす人工芝用の充填材を提供する。本発明の充填材は、認定されたFIFA実験室-スポーツ研究所(実施例3参照)で実施された試験に基づいて、(EN15330-1:2013に概説される性能要件を満たすことによって)FIFA品質PROおよびFIFA品質認証を達成したことが実証される。
【0010】
特に、本発明は、人工芝用の充填材粒子であって、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%の塩含有量を有し、約512mm3までの体積を有し、木材でできている充填材粒子を提供する。
【0011】
本発明者らは驚くべきことに、木材がSBR顆粒のものに匹敵する技術的特性を有することを見出した。したがって、本発明の充填材粒子は、充填材の漏出に起因する付随する環境被害なしにSBRの機能を果たすことができる製品を構成する。
【0012】
その粒子は、高含量の塩で含浸される。本発明の充填材粒子中の塩のレベルは、粒子が安定して振る舞い、あまり早く分解しない(分解および崩壊に耐性がある)ことに寄与する。理論に拘束されることを望むものではないが、この効力は、微生物および真菌を忌避する塩の能力によってもたらされ、これにより充填材粒子に生分解に対する抵抗を与え、さらに塩は、粒子のUV放射線に対する抵抗に寄与する。塩はまた、粒子をより高密度にし、これは、高濃度の塩で含浸されていない木材よりも、充填材として(例えば、スポーツピッチのために)より良好な特性を与える。高濃度であっても、塩は環境に有害ではなく、充填物と接触する可能性があるヒトまたは他の動物に毒性もなければ、より広い環境に有害になることもない。
【0013】
充填材は、少なくとも5年間人工芝上で安定であることが実証され、10年間安定であると予測される。人工芝(すなわち、人工芝繊維を含む芝カーペット)の寿命は、約10年であり、したがって、コルクおよび他の公知の有機充填材とは異なり、人工芝の寿命にわたって本発明の充填材を交換または補充する必要性が低減される。
【0014】
本明細書を通して、「含む(comprising)」、「含む(comprise)」、および「含む(comprises)」という用語が使用される場合、「から成る(consisting of)」、「から成る(consist)」、および「から成る(consists)」という用語もまた、代替的に意図される。
【0015】
「充填材」とは、人工芝上での使用に適した任意の固体粒子を意味する。人工芝上での使用に適した粒子は、芝システムの一部として、天然芝または天然芝床の特性を模倣する粒子であってもよい。模倣される特性は、ボール反発、ボール転がり、衝撃吸収、垂直変形、足の回転抵抗、および/または透水性でありうる。
【0016】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の充填材は、人工芝(例えば、人工フットボール芝)用の充填材である。好ましい実施形態では本発明の充填材は、約25~70mmの高さ(好ましくは約30~50mmの高さ、より好ましくは約40mmの高さ)の人工芝繊維(好ましくはモノフィラメント繊維、フィブリル化繊維、ステムを有するモノフィラメント繊維、またはそれらの組み合わせ)を有する人工芝(例えば、人工フットボール芝)のためのものである(またはそれに適している、またはその上での使用に適している)。より好ましくは、本発明の充填材は、モノフィラメント芝繊維であり高さ約40mmの人工芝繊維を有する人工芝(または人工フットボール芝)のためのものである(またはそれに適している、またはその上での使用に適している)。好ましい実施形態では本発明の充填材は、第3世代(3G)人工芝のためのものである(またはそれに適している、またはその上での使用に適している)。言い換えれば、好ましい実施形態では、本発明の充填材は第3世代(3G)人工芝充填材である。
【0017】
好ましい実施形態では本発明の充填材は、性能充填材であり、好ましくは人工芝のための(またはそれに適している、またはその上での使用に適している)性能充填材であり、より好ましくは第3世代人工芝のための(またはそれに適している、またはその上での使用に適している)性能充填材である。
【0018】
本発明の充填材粒子(または充填材)は、単に「粒子」と呼ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、充填材粒子の粒度を示すグラフである。
【
図2】
図2Aは、新しい未使用の充填材粒子を示す。
図2Bは、充填材粒子を20,200サイクルの摩耗シミュレーションにかけた後の同じ種類の粒子を示す。
図2Cは、充填材粒子を40,200サイクルの摩耗シミュレーションにかけた後の同じ組成の粒子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の充填材粒子は、塩が含浸された基材(ベース材料とも呼ばれる)を含む。本発明において、基材は、好ましくは木材である。しかしながら、より広くは、基材は、他のセルロース系および/またはヘミセルロース系材料を含む(またはそれから形成される、またはそれらからなる、または本質的にそれらからなる)こともまた、本明細書において意図される。したがって、木材が本明細書で論じられる場合、他のセルロース系および/またはヘミセルロース系材料(リグノセルロース系材料を含む)が意図されることを理解されたい。そのような他の非木材基材の例としては、ナッツ殻、オリーブ石、コルク、ココナッツ、クルミ殻、および/またはコーンコブが挙げられる。
【0021】
したがって、本発明はまた、人工芝用の充填材粒子であって、粒子が少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%の塩含有量を有し、約512mm3までの体積を有し、セルロース系および/またはヘミセルロース系材料でできている充填材粒子を提供する。
【0022】
充填材粒子の木材は、木材全体であっても原木であってもよい。好ましくは、木材は、再構成されていないか、または加工された木材ではない。例えば、好ましくは、木材は、圧縮されまたはブレンドされたおがくずから形成されない。
【0023】
好ましくは、充填材粒子は非生分解性材料を含有しない。
【0024】
好ましくは、充填材粒子(または基材)は熱可塑性材料を含有しない。当技術分野における複合充填材粒子は、熱可塑性材料を含むことができ、その目的は、粒子の置換基を一緒に結合することである。しかしながら、熱可塑性材料は、環境に潜在的に損傷を与えるので、充填材粒子に使用するには不利である(充填材粒子に使用される熱可塑性材料は合成物であり、非生分解性であり得る)。対照的に、本発明の充填材粒子の製造方法は、セルロース系またはヘミセルロース系材料の天然構造を分解し、次いで繊維を再結合する必要なしに、塩処理が可能である。これは、熱可塑性物質を使用する必要がないことを意味し、有益である。
【0025】
最も好ましくは、充填材粒子の基材は、木材(またはセルロースおよび/またはヘミセルロース)材料からなる(または本質的になる)。
【0026】
本発明の充填材粒子は、遺伝子工学的に操作されたもの、原材料を加工したもの、または人造のものであり、好ましくは原材料を加工したものである。
【0027】
塩は、無機塩であり、典型的には、塩化物塩を含むか、それからなるか、またはそれから本質的になる。好ましい態様において、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウムまたはそれらの混合物である。より好ましい実施形態において、塩は、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化カリウムまたはそれらの混合物である。より好ましい実施形態において、塩は、塩化ナトリウムからなるか、または本質的に塩化ナトリウムからなり、すなわち、無機塩成分は、少なくとも95%のNaCl、好ましくは少なくとも98%のNaClである。
【0028】
いくつかの実施形態では、充填材粒子の塩含有量(または塩濃度)は、少なくとも(または最大で)約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50重量%である。好ましくは、充填材粒子の塩含有量(または塩濃度)は、少なくとも約7重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、または少なくとも約40重量%である。好ましくは、充填材粒子の塩含有量は、約10~55重量%、例えば、10~40重量%、20~50重量%、または30~50重量%であり、いくつかの好ましい実施形態では約20~35重量%である。疑義を避けるために、「重量%」という語は、塩を構成として含む充填材粒子の総重量の%(百分率)を意味する。用語「重量%(% by weight)」の代わりに、用語「重量%(% weight)」、「質量%(% by mass)」または「質量%(% mass)」を等しく使用することができる。
【0029】
塩の重量%は、乾燥粒子、例えば、少なくとも1週間、乾燥周囲条件下にあった粒子に基づいて計算される。乾燥周囲条件は、通常の室温(例えば摂氏20度)、かつ通常の湿度条件、例えば湿度30~50%(湿度40%など)で建物内に見られるものでありうる。
【0030】
いくつかの実施形態では、充填材粒子の塩含有量(または塩濃度)は、少なくとも(または最大で)約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49または50体積%である。好ましくは、充填材粒子の塩含有量(または塩濃度)は、少なくとも約5体積%、または少なくとも約10体積%である。好ましくは、塩含有量は約5~15体積%である。疑義を避けるために、「体積%」という語は、塩を構成として含む充填材粒子の総体積の%を意味する。「体積%(% by volume)」という用語の代わりに、「体積%(% volume)」という用語を使用することができる。
【0031】
塩の体積%は、乾燥粒子、例えば、少なくとも1週間、乾燥周囲条件下にあった粒子に基づいて計算される。
【0032】
充填材粒子のサイズは、上記粒子の体積によって都合よく定義することができる。粒子の体積は、最大約512、500、400、343、300、216、200、175、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、または10mm3であり得る。充填材粒子の体積は、少なくとも約0.001、0.008、0.01、0.1、1、2、3、4、または5mm3であってもよい。好ましくは、充填材粒子の体積は、約0.008mm3~約64mm3、または約0.008mm3~約125mm3である。より好ましくは、充填材粒子の体積は、約0.1mm3~約125mm3である。最も好ましくは、充填材粒子の体積は、約0.5mm3~約64mm3、例えば、約1mm3~約10または20mm3、特に約8mm3である。体積は、その寸法から測定または計算される粒子のサイズとして理解されるべきであり、粒子の体積は、それが細孔(すなわち空孔)を含有し得るというだけで減少しない。したがって、それぞれの寸法が2mmの立方体である好ましい粒子は、8mm3の体積を有する。
【0033】
好ましくは、充填材粒子は、約0.001mm3~約512mm3、より好ましくは約0.008mm3~約125mm3、より好ましくは約1mm3~約64mm3、より好ましくは約1mm3~約27mm3の体積を有する。
【0034】
最も好ましくは、充填材粒子は、2×2×2mmの寸法および約8mm3の体積を有する立方体である。本明細書で実証されるように、2×2×2mmの寸法を有する粒子は、人工芝用の充填材としての使用に特に適している。本明細書において、そのような粒子は、人工芝上での劣化に対して長期間(少なくとも5年、おそらく10年以上)の耐性を示すが、有利なことに土壌中では迅速に劣化することが実証される。このような粒子はまた、本明細書において、-18℃までの凍結に対して耐性であることも実証されている。2×2×2mmサイズそのものもまた、人工芝に特に適しており、人工芝カーペット上で通常見られる芝繊維のサイズおよび間隔に特に相補的である。2×2×2mmサイズの粒子は効率的に製造することもできる。1×1×1mmの立方体である粒子も非常に好ましく、充填材として優れた性能を示す。同じ寸法を有する直方体としては、0.5~4×0.5~4×0.5~4mmの寸法を有する立方体が一般に好ましい。
【0035】
本明細書で実証されるように、粒子の角の丸みは、芝上のブーツの転がりおよび滑りを低減し、したがって、丸みを帯びた角を有する塩処理粒子は人工芝用の充填材として特に有利である。本明細書で実証されるように、そのような丸みは単に、人工芝上での使用中の粒子の摩耗によって達成され得、したがって、丸み付けは、粒子の製造中に行われる必要はなく、したがって、製造コストを低減する。それにもかかわらず、立方体/直方体の角の丸み付けは、本明細書の他の箇所に記載されるように、所望であれば、粒子の製造中に行うことができる。
【0036】
充填材粒子は、任意の形状、好ましくは人工芝上での使用に適した任意の形状、より好ましくは第3世代人工芝上での使用に適した任意の形状とすることができる。充填材粒子は、任意の多面体の形状をとり得る。好ましい実施形態では、充填材粒子は、立方体、直方体、球体、楕円体、回転楕円体、卵形、またはピラミッド、例えば四面体または正方錐の形状(または近似形状)を有する。好ましい実施形態では、充填材粒子は、直方体または立方体、より好ましくは立方体の形状(または近似形状)を有する。したがって、粒子は、好ましくはそれらの3次元において(ほぼ)等しい。好ましくは、1つの寸法は任意の他の寸法の長さの1.5倍を超えない。
【0037】
他の実施形態では、細長いまたは平坦な直方体など、例えば1×2×2mmの寸法を有する粒子が好ましい場合がある。他の好ましい形状としては、1x1x4mm、1x1x2mm、2x4x4mm、および2x2x4mmが挙げられる。そのような粒子は、立方体充填材粒子と比較して、(例えば、より多くの回転抵抗を提供することによって)人工芝をより滑りにくくし得る。
【0038】
直方体粒子の形状は細長いよりもむしろ平坦であることが好ましく、言い換えれば、1つの寸法は同じかまたはほぼ同じである他の2つの寸法よりも小さい(細長い直方体/粒子の場合のように、1つの寸法が他の2つの寸法よりも大きいのではない)。
【0039】
他の好ましい実施形態では、粒子は球体または回転楕円体である。好ましい直径は0.5~4mm、好ましくは1~2mmである。
【0040】
粒子は三次元体であり、三次元物体について、アスペクト比は、最長寸法と最短寸法との比であることが理解される。2つの寸法が同じであり、1つが他の2つよりも長いまたは短い場合、または3つ全ての寸法が異なる場合の直方体が意図される。したがって、直方体粒子は、少なくとも(または最大で)1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または10:1のアスペクト比を規定し得る。好ましくは、アスペクト比は、1:1~10:1、より好ましくは2:1~10:1、より好ましくは2:1~5:1である。
【0041】
いくつかの実施形態では、充填材粒子は、約(0.5mm~5mm)x(0.5mm~5mm)の範囲の幅対厚さ寸法を有する。いくつかの実施形態では、充填材粒子は、約1mm~約5mmの断面および/または長さ寸法を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、充填材粒子の長さは1mm~5mmであり、および/またはアスペクト比は3:1~7:1である。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態では、本発明の充填材粒子は滑らかなまたは研磨された表面を有する。本発明による「滑らかなまたは研磨された」表面は、粗さを低減するために、および/または縁や角の鋭さまたは角度を軟化させるために処理された表面である。
【0044】
いくつかの実施形態では、処理された充填材粒子形状の頂点(または角)は丸みを帯びている。丸みを帯びた頂点(または角)を有する本発明の充填材粒子は、充填物が分散される芝の回転抵抗をその丸みが改善するので、有利であり得る。回転抵抗とは、芝を押し下げたときのソール(または足またはブーツ)の回転運動に抵抗する芝の能力を意味する。好ましくは、充填材粒子は、丸みを帯びた角を有する立方体または直方体の形状を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本発明の充填材粒子の外側細孔のいくつかは、粒子の外側から粒子内への開放チャネルを提供しないように、封止される。粒子の表面に開口する細孔の少なくとも10%、20%、30%、50%または70%は、好ましくは封止することができる。本発明の充填材粒子の細孔は、粒子を研磨することによって封止することができる。
【0046】
本発明の充填材粒子の吸水性は、同じ寸法の原木粒子と比較して低減され得る。本発明の充填材粒子の吸水性は、滑らかなまたは研磨された表面を有することによって低減され得る。あるいはまたは加えて、本発明の充填材粒子の吸水性は、油または防腐剤を含浸させることによって低下させることができる。
【0047】
それにもかかわらず、粒子は多少の水を吸収できることが好ましく、その結果、それらはスポンジ状に振る舞い、異なる天候における伝統的な芝ピッチの条件を模倣することができ、すなわち、乾燥した天候ではより硬く、雨ではより柔らかい。
【0048】
本発明の充填材粒子は、油または防腐剤を含浸させることができる(またはしないことができる)。油または防腐剤は、充填材粒子の保護コーティング(例えば、防水コーティング)として機能し、粒子内部の塩の保持を改善するように機能する。
【0049】
したがって、好ましい実施形態では、油は天然油(すなわち植物由来)であり、防腐剤は天然防腐剤である。好ましい実施形態では、油はアマニ油(例えば、冷圧アマニ油)である。代替油としては、タング油、オリーブ油、菜種油またはヒマワリ油が挙げられる。
【0050】
好ましい実施形態では、充填材粒子はコーティングを含まない。好ましい実施形態において、充填材粒子は、グリセロール、キシリトールまたはソルビトールを含有せず(またはコーティングされず)、より好ましくはポリオールを含有しない。いくつかの好ましい実施形態では、充填材粒子は、酢酸カリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、尿素、塩化ナトリウム、および/または塩化カルシウムを含有しない。
【0051】
しかしながら、いくつかの実施形態では、塩に加えて、グリセロール(グリセリン)コーティングが、通常は別個の適用ステップで適用され得る。
【0052】
塩処理プロセスは、木材の密度/重量を著しく増加させ、これは、無塩木材と比較して優れた特性を提供し、特にこれにより、粒子は、充填のためにFIFAによって設定された密度要件を満たすことが可能になる。したがって、例えば、乾燥粒子の密度は、塩の添加によって20~60%、好ましくは少なくとも30%増加する。好ましくは、乾燥粒子は、0.3~0.7g/ml、より好ましくは0.4~0.7g/ml、いくつかの実施形態では0.65~0.70g/mlの密度を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、粒子は、販売のために包装されるとき、または芝システムに適用されるとき、またはピッチ上に置かれるとき、約16~20%の含水量を有する(これは依然として乾燥粒子とみなすことができる)。本発明の充填材粒子は、典型的には純水よりも高い(またはほぼ同じ)密度を有し、その結果、充填材粒子は純水中にあるときに沈む傾向がある。ただ、(乾燥)粒子は木材の浮力のために、最初は浮かぶことがあるが、水中に置かれると(例えば、30分後)、水が取り込まれ、次いで、粒子は水よりも高密度になり沈むことが理解されるべきである。塩含有量は、木材が水中で自然に浮力を有するという事実にもかかわらず、湿潤粒子を水よりも高密度にする。
【0054】
全体として、粒子の密度は飽和量および塩含有量に依存し、したがって、それは基材粒子に添加される塩の量だけでなく、粒子中にどの程度の水分が存在するか(取り込まれるか)に影響を及ぼす周囲条件または環境条件にも依存する。一般に、密度は0.5g/mlから1.0g/ml超(例えば、1.1、1.2または1.4g/mlまで)まで変化する。
【0055】
粒子の木材は例えば、樹脂または接着剤などの非木材バインダーを有し得る再構成チップまたはプライから形成され得る工学的木材製品とは対照的に、天然木または原木であり得る。
【0056】
粒子の木材は、軟木または硬木であってもよく、硬木が好ましい。
【0057】
適切な軟木としては、アラウカリア、スギ(ヒマラヤスギ)、セロリトップ・パイン(フィロクラドゥス・アスプレニフォリウス)、サイプレス(ヒノキ、イトスギ、ヌマスギなど)、ダグラス・ファー(ベイマツ)、ヨーロッパイチイ(タクサスバッカータ)、モミ(アビエス)、ヘムロック(ツガ)、フオン・パイン、マッカリー・パイン(ラガロストロボス・フランクリニイ)、カウリ(アガチス・オーストラリス)、クイーンズランド・カウリ(アガチス・ロブスタ)、日本カヤ(トレヤ・ヌシフェラ)、カラマツ(ラリクス)、マツ(パイナス)、レッドシダー(エンピツビャクシンやベイスギなど)、コースト・レッドウッド(セコイア・センペルヴィレンス)、リム(ダクリジウム・カプレシナム)、トウヒ(ピケア)、スギ(日本クリプトメリア)、ホワイト・シダー(例えばニオイヒバ、ヌマヒノキ)、またはヌートカ・サイプレス(アラスカヒノキ)が挙げられる。
【0058】
適切な硬木としては、カバノキ(ベチュラ)、ハンノキ(アルヌス)、アッシュ(フラキシナス)、アスペン(ポプラ)、オーストラリアのレッドシダー(トゥーナ・シリアタ)、ボクセルダー(ネグンドカエデ)、ボックスウッド(セイヨウツゲ)、ブラジルクルミ(オコテア・ポロサ)、ブラジルウッド(カエサルピニア・エキナータ)、アエスクルス、カタルパ、セイロン・サテンウッド(クロロキシロン・スウィーテニア)、チェリー(プルヌス)、チェスナット(カスタネア)、コーチウッド(セラトペタルム・アペタルム)、コルクウッド(レイトネリア・フロリダーナ)、ポプラ、ハナミズキ(コーヌス)、エボニー(ディオスピロス)、ニレ(ウルムス)、ユーカリ、ヨーロピアン・クラブアップル(マルス・シルベストリス)、ヨーロピアン・ナシ(セイヨウナシ)、アイアンウッド、キングウッド(ダルベルギア・セアレンシス)、レースウッド、マホガニー(スウィーテニア、ハヤ、トゥーナ、エンタンドロフラグマ、チュクラシア、セドレラ、グアレア、カラパ、メリアなど)、メープル(カエデ)、マーブルウッド(マルマロキシロン・ラセモスム)、オーク(ケルクス)、クルミ(ジュグランス)、またはヤナギ(サリックス)が挙げられる。
【0059】
いくつかの好ましい実施形態では、軟木はトウヒ(ピケア)、より好ましくはシトカトウヒ(ピケア・シチェンシス)である。
【0060】
いくつかの特に好ましい実施形態では、硬木は、カバノキ(ベチュラ)、例えばアメリカンバーチ、好ましくはグレイバーチ(ベチュラ・ポプリフォリア)、ブラックバーチ(ベチュラ・ニグラ)、ペーパーバーチ(ベチュラ・パピリフェラ)、スイートバーチ(ベチュラ・レンタ)、バージニアラウンドリーフバーチ(ベチュラ・ウーバー)またはイエローバーチ(ベチュラ・アレガニエンシス)である。いくつかの好ましい実施形態では、カバノキは、ヨーロピアンバーチ、好ましくはシルバーバーチ(ベチュラ・ペンデュラ)または最も好ましくはダウニーバーチ(ベチュラ・プベセンス)である。
【0061】
カバノキは、実施例において実証されるように、その特に有利な特性のために、本発明の充填材粒子の基材として好ましい。また、カバノキは、胴体全体にわたって均一な構造を有し、均一な粒子の生成を可能にするため、特に有利である。これは、充填材粒子のバッチ間の物理的特性の一貫性を提供するので重要である。この均質性は、より不均質な木材、例えばサザンイエローパイン(木の中心に向かってより硬くよりコンパクトであるが外層ではより柔らかくよりコンパクトではない)、とは対照的である。したがって、サザンイエローパインのような木材は、他の木材、特にカバノキ、好ましくはヨーロピアンバーチほど、充填材粒子を作るのに理想的ではない。
【0062】
本発明の充填材粒子の好ましい基材として使用されるカバノキ木材はまた、例えば、サザンイエローパインなどの他の木材よりもエネルギー返還(それは、より大きな「跳ね返り」を提供する)の点で、向上した特性を有する。
【0063】
好ましくは、本発明の複数の充填材粒子のサイズは均質である。例えば、粒子の少なくとも70、80または90%は、平均体積の20%以内、好ましくは10%、例えば5%以内(プラスまたはマイナス)の体積を有する。
【0064】
本発明の充填材粒子は、人工芝上での生分解に対して耐性がある。生分解は、細菌および真菌などの微生物による有機物の分解である。実際には、ほとんどすべての生物学的化合物および材料は生分解プロセスを受ける。しかし、その重要性は、日、週、年または世紀など、そのようなプロセスの速度にある。有機物は特に生分解されやすいので、有機充填材の生分解に対する耐性のレベルは、有機充填材の寿命を決定する際に重要である。
【0065】
本発明の充填材粒子は本明細書において、少なくとも5年間、人工芝上で安定であることが実証され、少なくとも10年間持続すると予想される(対照的に、充填材粒子が土壌中に置かれると、3ヶ月以内に完全に生分解される)。これは、本発明の充填材が人工芝用の充填材として商業的に有益であることを意味するので、特に有益である。
【0066】
粒子は好ましくは安定であり、例えば、人工芝上に置かれたとき、少なくとも5年間、それらの機能的特性および構造を保持することができる。
【0067】
寒い気候中に機能する人工芝システムのためには、充填材(性能充填材を含む)は凍結しないことが重要であり、そうでない場合、その表面は通常の芝床の状態を模倣しない。凍結充填材は、非凍結充填材と同じ有利な特性を有さない。したがって、任意の充填材粒子は低温までの凍結に対して耐性があることが望ましい。
【0068】
本発明の充填材粒子は耐凍結性である。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、充填材粒子の高い塩含有量(または塩濃度)に起因し得、さらに、充填材粒子の木材に起因し得る。本発明の充填材粒子は、好ましくは-10、-15、または-18℃まで凍結されない、即ち凍結されない、耐凍結性である。
【0069】
人工芝上で行われる特定のイベントでは、火工品および/または花火が使用され得る(例えば、スポーツイベントでのプレイの休憩の間)。これが実現可能であるためには、人工芝が耐火性であることが重要である。充填材は人工芝の大きな部分を構成するので、充填材はこのような状況では耐火性であることが重要である。
【0070】
したがって、実施形態において、本発明の充填材粒子は、耐火性または不燃性である。実施形態において、本発明の充填材粒子は、実質的に耐火性または完全に耐火性である。実施形態において、本発明の充填材粒子は、その粒子の対応する非塩処理または非修飾版のものよりも耐火性が高い。
【0071】
本発明の充填材粒子は、好ましくは同じ寸法の未処理木材よりもUV放射線による分解を受けにくい。
【0072】
本発明に従って使用される充填材粒子は、2つ以上の形状の充填材粒子を含んでもよい。好ましい実施形態では、2つ以上の形状は、立方体、直方体、球体、楕円体、回転楕円体、卵形およびピラミッドからなる群から選択される。
【0073】
本発明に従って使用される充填材粒子は、2つ以上のサイズの充填材粒子を含んでもよい。いくつかの実施形態では本発明の複数の充填材粒子は、第1のタイプの充填材粒子および第2のタイプの充填材粒子を含んでもよく、第1のタイプの充填材粒子は、第2のタイプの充填材粒子の大きさの少なくとも2倍または3倍の体積を有する。例えば、1mm×1mm×1mmの立方体や2mm×2mm×2mmの立方体など、2つの異なるサイズの立方体を一緒に使用することができる。
【0074】
本発明の粒子は、異なる基材から作製された第2の粒子と共に使用されてもよい。好ましい実施形態において、第2の粒子は砂、例えば、シリカ砂である。
【0075】
本発明の人工芝システムは、下層の粒子および上層の粒子を含むことができ、上層は本発明の粒子を含み、下層は、人工芝充填材としての使用に適した第2の粒子タイプを含む。好ましい実施形態では、第2の粒子タイプは砂である。好ましい実施形態では、砂はシリカ砂である。このような構成では、本発明の充填材粒子は性能充填物と呼ぶことができ、第2の粒子タイプ(例えば、砂)は安定化充填材である。
【0076】
いくつかの実施形態では、充填材粒子は、約1.5、2、2.5または3、好ましくは約2の充填係数を有する。充填係数は、個々の全ての粒子の総体積で割った、充填された粒子群の全体体積の尺度である。したがって、(個々の全ての粒子の合計体積と比較して)粒子の集合体中の付加された体積は、充填された粒子間の空の空間である。
【0077】
したがって、充填係数は、粒子間に存在する空気の体積を反映する。粒子間の空気は、充填材(および充填材がそれに適用されるときの芝表面)の柔らかさおよび技術的特性に寄与する。したがって、1を超える充填係数を有することが有利であり得る。特に、本発明の充填材粒子は、1~3、1.5~2.5または約2の充填係数を有し得る。
【0078】
本発明はまた、本発明の充填材粒子を製造する方法を提供し、この方法は、木製でかつ約512mm3までの体積を有する粒子を塩溶液に浸漬すること、および、任意に、浸漬された粒子を乾燥させること、を含む。
【0079】
本発明において、木材は、一般にセルロースおよび/またはヘミセルロース粒子の好ましい例である。したがって、本発明はまた、本発明の充填材粒子を製造する方法であって、セルロース系および/またはヘミセルロース系材料で作製されかつ約512mm3までの体積を有する粒子を塩溶液に浸漬すること、および、任意に、浸漬された粒子を乾燥させることを含む方法、を提供する。
【0080】
実施形態において、木製粒子は、最大約512、500、400、343、300、216、200、175、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15または10mm3の体積を有する。木製粒子の体積は、少なくとも約0.001、0.008、0.01、0.1、1、2、3、4または5mm3であり得る。好ましくは、木製粒子の体積は、約0.008mm3~約64mm3、または約0.008mm3~約125mm3である。より好ましくは、木製粒子の体積は、約0.1mm3~約125mm3である。最も好ましくは、木製粒子の体積は、約0.5mm3~約64mm3、例えば約1mm3~約10または20mm3、特に約8mm3である。体積は、その寸法から測定または計算される粒子のサイズとして理解されるべきであり、粒子の体積は、それが細孔(すなわち空孔)を含有し得るというだけで減少しない。したがって、それぞれの寸法が2mmの立方体である好ましい粒子は、8mm3の体積を有する。好ましくは、木製粒子は、約0.001mm3~約512mm3、より好ましくは約0.008mm3~約125mm3、より好ましくは約1mm3~約64mm3、より好ましくは約1mm3~約27mm3の体積を有する。
【0081】
上記で定義された粒子の好ましい特徴は、この方法に準用される。
【0082】
いくつかの実施形態では、木製粒子は、角および縁を有し、角および縁は丸みを帯びている。
【0083】
浸漬ステップは、粒子に本明細書に記載の塩含有量、すなわち少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%の塩を与えるのに十分である。浸漬ステップは、塩が粒子全体に浸透するのに十分であり得る。
【0084】
粒子は、塩水に浸漬され、ここで、その水は、好ましくは少なくとも約200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350または360g/L(すなわち、グラム/リットル)の塩濃度を有する。好ましくは、塩溶液は飽和塩溶液であり、飽和に達する正確な濃度は水の温度に依存する。好ましくは、塩濃度は300~400g/L、より好ましくは320~380g/L、例えば約360g/Lである。
【0085】
浸漬前および/または浸漬中に、塩溶液(塩水)は、好ましくは例えば、少なくとも50℃、少なくとも70または75℃、またはほぼ沸点まで加熱される。好ましい温度は70~80℃、例えば約75℃である。好都合には、塩の添加前に水を加熱し、次いで塩水/塩溶液に粒子を添加することができる。
【0086】
木材のサンプルによる液体(例えば、水または塩水)の取り込み速度は、液体粘度の減少とともに、および木材の表面積および透過性の増加とともに増加させることができる。液体および木材の温度をそれぞれ上昇させることによって、液体(例えば、塩水)の粘度を減少させることができ、木材の表面積(例えば、セルロースおよびヘミセルロース膨張による)および透過性(例えば、細孔膨張による)を増加させることができる。したがって、高温で塩水中の木材の粒子を塩処理することによって、粒子による塩の取り込み速度は、周囲温度で同じ手順と比較して著しく増加する(すなわち、塩の取り込み段階は、高温で行われた場合には、周囲温度で行われた場合の数日間または数週間とは対照的に、早ければ例えば15分程度で取り込むことができる)。加熱された塩溶液中での浸漬は常にではないが、通常好ましい。
【0087】
本発明における浸漬方法では、液体は、木材繊維/細孔を通過するだけでなく、繊維/細孔の間のセルロースおよびヘミセルロース部分を透過する。これは、上述のように木材のセルロースおよびヘミセルロース部分の膨張を可能にするので、高温液体の使用によって促進される。高温の塩水中に木材基材を浸漬すると、塩が粒子全体に分散された木材粒子が形成される。本発明の粒子全体にわたる塩の分散は例えば、粒子の表面を塩で単にコーティングすることと比較して有利である。例えば、粒子全体に塩を分散させることにより、本発明の粒子は、単に塩でコーティングされた粒子と比較して、より多量の塩を保持することができる。さらに、粒子全体にわたる塩の分散は、本明細書に記載された塩の有益な特性が例えば、分解に対する耐性および凍結に対する耐性の点で、粒子全体にわたって示され得ることを意味する。したがって、本発明の充填材粒子全体に塩を分散させることによって、塩含浸に関連する有利な特性が高められる。
【0088】
本発明における浸漬方法は、粒子の表面のみがコーティングされ、粒子の内側部分への浸透がほとんどないコーティングとは異なる。
【0089】
したがって、本発明の充填材粒子において、塩は、粒子全体にわたって(実質的にまたは完全に)分散される。あるいは、言い換えると、粒子の全体(または全部、またはすべて)が塩で含浸される。
【0090】
いくつかの好ましい実施形態では、浸漬ステップは、約5~60分間、好ましくは約5~10、10~15、15~20、20~25、25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、50~55、または55~60分間である。いくつかの実施形態では、浸漬ステップは、少なくとも10分間、少なくとも15分間、または少なくとも20分間であり、より好ましくは少なくとも10分間である。いくつかの実施形態では、浸漬ステップは、約10~40分間、好ましくは約15~35または20~35分間、より好ましくは約30分間である。
【0091】
本発明の充填材粒子の製造方法は例えば、乾燥ステップの後に、充填材粒子の表面を研磨するステップをさらに含んでもよい。
【0092】
本明細書で使用するとき、「研磨」は、摩耗および/または機械的応力/圧力によって、本発明の充填材粒子上に滑らかな表面を作り出すプロセスを指す。滑らかな表面と同様に、研磨は、粒子上に存在する任意の縁/頂点および角の丸みをもたらす。本明細書の他の箇所で論じられるように、これは、性能の点で、および使用中の水の侵入を防ぐための気孔の封止において有益な特性を有し得る。
【0093】
研磨、例えば木材の研磨の方法は、当該技術分野において周知である。例えば、サンドペーパーを使用してサンディングすることによって木材の表面を平滑化することがよく知られている。サンディングは、サンダーまたはサンドペーパーが取り付けられたサンディングマシンを用いて機械的に行うことができる。立方体の角を丸めるために、および/または粒子を研磨するために、グレード200のサンドペーパーを使用するベルトマシンが好都合に使用され得る。適切な機械は、ワイルドベルトサンディング機械として知られており、例えば、HOMAGグループのSANDTEQ-W-200である。「研磨」および「サンディング」は、本明細書では同義語として使用される。
【0094】
本発明の充填材粒子を研磨する別の方法は、摩耗シミュレーション装置、例えばリスポート(すなわち、リスポートクラシック)摩耗シミュレーション装置を用いて、上記粒子を複数サイクル(例えば20,200サイクルまたは40,200サイクル)の摩耗にかけることである。
【0095】
したがって、研磨ステップは、滑らかなまたは研磨された表面を有する本発明の充填材粒子の生成をもたらす。これは、充填材粒子の吸水性を低下させる。これは、吸水が有機材料からなる充填材粒子の劣化に関連するので有利である。
【0096】
理論に拘束されることを望むものではないが、低減された吸水は、研磨プロセスを通して、粒子の細孔(またはより具体的には粒子が構成される木材の細孔)をブロックすることによって達成され得ることが理解される。したがって、研磨ステップは、本発明の充填材粒子の外側細孔の一部を封止することができる。
【0097】
(例えば、塩処理プロセスでの使用のための)木製粒子を得る方法は、当技術分野で公知である。例えば、木製粒子は、木材ミリングによって得ることができる。あるいは、木製粒子は、木製の厚板またはベニヤ板から木材粒子を切断することによって得ることができる。木製の厚板およびベニヤ板は、1つまたは複数の周知のブレード付きツール、例えば、鋸、例えば、スクロール鋸、ハック鋸、ジグ鋸、丸鋸、マイター鋸、往復鋸、またはトリミング鋸を使用して切断することができる。最も適切には、帯鋸(例えば、シュパッチボンドサグHBS261)を使用して、大きさに合わせて木の厚板を切断することができる。必要に応じて、ギロチンカッターを使用して(例えば、帯鋸などの強力な器具を使用して切断した後に)、粒子を正確に切断することができ、ギロチンカッターの刃の間隔は、厚板から切断された木材粒子の所望の寸法を達成するために調整することができる。したがって、帯鋸を使用して、二寸法で所望の粒径の木材を製造することができ、次いで、ギロチンを使用して、第3の寸法でも所望の粒径に切断することによって粒子自体を製造することができる。
【0098】
本発明において、木材は、一般にセルロースおよび/またはヘミセルロース粒子の好ましい例である。したがって、上記の方法は、他のセルロース系および/またはヘミセルロース系材料で作られた粒子を得ることにも適用される。
【0099】
さらなる態様では、本発明は、人工芝用の木製充填材粒子を製造する方法を提供し、この方法は、木材を切断して、1粒子当たり約512mm3(好ましくは1~8mm3)までの体積を有する粒子を形成することを含み、この粒子は直方体、好ましくは立方体であり、次いで、その角を丸めるために、切断された粒子をサンディング(研磨)することを含む。本明細書の他の箇所に記載されている粒子の好ましい特徴ならびに切断および研磨方法は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用される。
【0100】
本発明において、木材は、一般にセルロースおよび/またはヘミセルロース粒子の好ましい例である。したがって、上記の方法は、人工芝用の他のセルロース系および/またはヘミセルロース系材料で作られた粒子の製造にも適用される。
【0101】
実施形態では、丸みを帯びた粒子は、最大約512、500、400、343、300、216、200、175、125、120、115、110、105、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、または10mm3の体積を有する。丸みを帯びた粒子の体積は、少なくとも約0.001、0.008、0.01、0.1、1、2、3、4または5mm3であってもよい。好ましくは、丸みを帯びた微子の体積は、約0.008mm3~約64mm3、または約0.008mm3~約125mm3である。より好ましくは、丸みを帯びた粒子の体積は、約0.1mm3~約125mm3である。最も好ましくは、丸みを帯びた粒子の体積は、約0.5mm3~約64mm3、例えば約1mm3~約10または20mm3、特に約8mm3である。体積は、その寸法から測定または計算される粒子のサイズとして理解されるべきであり、粒子の体積は、それが細孔(すなわち空孔)を含有し得るというだけで減少しない。したがって、それぞれの寸法が2mmの立方体である好ましい粒子は、8mm3の体積を有する。好ましくは、丸みを帯びた粒子は、約0.001mm3~約512mm3、より好ましくは約0.008mm3~約125mm3、より好ましくは約1mm3~約64mm3、より好ましくは約1mm3~約27mm3の体積を有する。
【0102】
上述の丸みを帯びた粒子は、本発明の充填材粒子を生成するように、(例えば、本明細書の他の箇所に記載された浸漬方法によって)塩で含浸されることができる。
【0103】
用語「合成芝」および「人工芝」は、本明細書において互換的に使用される。
【0104】
「人工芝充填材」または「人工芝のための充填材」とは、人工芝に適した(またはその上での使用に適した)充填材、すなわち人工芝システムの一部としての充填材を意味する。「人工芝」とは、スポーツ活動に適した人造、製造または人工の芝を意味する。人工芝の例としては、ハイブリッド、第1世代(1G)、第2世代(2G)および第3世代(3G)芝が挙げられる。これらの用語は当技術分野において周知であり、上記に記載されている。
【0105】
本発明の充填材は、全ての人工または合成表面に適している。好ましい実施形態では、本発明の充填材は、第1、第2または第3世代の人工芝、好ましくは第3世代の人工芝での使用に適している。
【0106】
したがって、さらなる態様では、本発明は、人工芝繊維を含む人工芝カーペット、および本発明の複数の充填材粒子を含む、人工芝システムを提供する。
【0107】
好ましい実施形態では、複数の充填材粒子は、人工芝にわたって均等に分配される。
【0108】
好ましい実施形態では、人工芝システムが砂をさらに含む。
【0109】
人工芝システムは、スポーツに適した任意の人工芝システムとすることができる。好ましい実施形態では、人工芝システムは、ボールゲーム、好ましくはアソシエーションフットボールまたはサッカーのための(またはそれに適した)人工芝システムである。
【0110】
好ましい実施形態では、芝カーペットはバッキングを含む。芝カーペットは、(人工芝繊維に加えて)一次バッキングおよび一次バッキングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、一次バッキングはポリプロピレン(PP)であり、二次バッキングはポリウレタン(PU)またはラテックスである。
【0111】
人工芝カーペットは、人工芝繊維を含む。用語「繊維」および「パイル」は、本明細書において互換的に使用される。人工芝繊維は、人工芝システムの一部として使用するのに適した任意の繊維であり得る。人工芝繊維は、モノフィラメント繊維、フィブリル化繊維、ステムを有するモノフィラメント繊維、またはこれらの組み合わせとすることができ、好ましくはモノフィラメント繊維である。好ましい実施形態では、人工芝繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン(ポリアミド)、またはそれらの組み合わせを含むか、またはそれらからなる。実施形態において、人工芝繊維は、約25~70mmの高さを有する。好ましい実施形態では、人工芝繊維は、約25~30、30~35、35~40、40~45、45~50、55~60、60~65、または65~70mmの高さを有する。好ましい実施形態では、人工芝繊維は、約30~50mm、好ましくは約40mmの高さを有する。
【0112】
本発明の人工芝システムでは、複数の充填材粒子が複数の人工芝繊維の間に分配される。言い換えれば、(複数の)充填材粒子は、複数の人工芝繊維の間に配置される。代替的に見ると、複数の充填材粒子は、人工芝繊維のグレイン(つまり、繊維が(下にある)人工芝カーペットから突出するか、またはそこから発散するか、またはそこに付着している点)の間に分配または配置される。複数の充填材粒子は、繊維間の任意の点、例えば、繊維間の水平方向または垂直方向の任意の点に配置することができる。
【0113】
一態様では、本発明は、本発明の充填材粒子または複数の充填材粒子を含む芝または芝床またはフットボールピッチを提供する。いくつかの実施形態では、芝生または芝床またはフットボールのピッチは(さらに)砂を含む。
【0114】
本発明は、本明細書に開示された本発明の任意の方法によって製造される充填材粒子を提供し、充填材粒子は、本明細書に定義される本発明の充填材粒子の特徴を有する。
【0115】
さらなる態様において、本発明は、本発明の充填材粒子または本発明の複数の充填材粒子の、人工芝用の充填材としての使用を提供する。実施形態において、人工芝は、第3世代(3G)人工芝である。
【0116】
ここで、本発明を、以下の図面を参照して、以下の非限定的な実施例においてさらに説明する:
【0117】
【0118】
図2は、それぞれ2×2×2mmの大きさのカバノキの木材で作られ、30.5重量%の塩含有量を有する、本発明の充填材粒子のイメージを示す。
図2Aは、新しい未使用の充填材粒子を示す。これらの粒子は粗く塩含有量の多い表面を有することに留意されたい。
図2Bは、充填材粒子をリスポート(すなわち、リスポートクラシック)摩耗シミュレーション装置上で20,200サイクルにかけた後の同じ種類の粒子を示す。粒子は、目に見えて滑らかであり、研磨され、光沢があることに留意されたい。
図2Cは、充填材粒子をリスポート(すなわち、リスポートクラシック)摩耗シミュレーション装置上で40,200サイクルにかけた後の同じ組成物の粒子を示す。粒子の外観は、
図2Bの粒子と比較して本質的に変化しないことに留意されたい。
【0119】
図3は、実施例4の結果を示す-これは、過酷な気象条件における人工芝上での5年後の本発明の充填材粒子(それぞれカバノキ木材で作製、2×2×2mmサイズ、塩含有量30.5重量%)のイメージである。
図3が示すように、充填材粒子は依然として安定している。
【実施例】
【0120】
例1-木材の厚板を切断して顆粒を製造する方法
● 標準帯鋸(シュパッチボンドサグHBS261)を使用して、100x100x5000mmの厚板を2次元で2mmに切断した。
● 次に、500×30mmの切断窓と支持体とを有するギロチンカッターを使用して2×2×2mmの立方体を正確に切断した。10枚の高性能ブレードを2mmの隙間を空けて並べ、毎分100mの切削速度を達成した。
【0121】
例2-本発明の充填材粒子を製造するための木材粒子の塩処理
例2A-方法論と結果
プロセス
1.大型容器に水を加える。
2.水に塩を加える。
3.すべての塩が溶解するまで、加熱しながらインキュベートする(例えば、75℃)。
4.塩水に木材顆粒(粒子)を加える。
5.少なくとも15分間浸漬する。
6.水を抜き取り、湿った顆粒を集める。
7.乾燥のために、湿った顆粒をテーブルの上に置く。
【0122】
表1-「2mm粒」は粒径2×2×2mmの顆粒、「1mm粒」は粒径1×1×1mmの顆粒を意味する。
【表1】
【0123】
測定
● 1mm湿潤顆粒の密度:0.63g/ml
● 2mm湿潤顆粒の密度:0.67g/ml
● 塩の密度:1.25g/ml
● 30%w/v塩溶液の密度:
○ 1.12g/ml(混合中の塩溶液の密度(1リットル容器の質量/体積))
○ 1.15g/ml(塩処理プロセス開始時の密度)
○ 1.17g/ml(湿潤塩処理顆粒を除去した後の残留水の密度)
● 乾燥させた無塩処理の2mm顆粒の密度:0.326g/ml
● 乾燥させた塩処理の2mm顆粒の密度:0.426g/ml
● 乾燥させた無塩処理の1mm顆粒の密度:0.264g/ml
● 乾燥させた塩処理の1mm顆粒の密度:0.325g/ml
● 全プレートの密度:0.62g/ml(3mmベニヤ板の重量/体積)
【0124】
塩水と体積残留水の比較
● 塩水:
○ 体積=5.8リットル、
○ 密度=1.12g/ml(5リットルの水および1.25リットルの塩で5.8リットルの液量となる)
● 残留水:
○ 体積=3.8リットル
○ 密度=1.17g/ml(蒸発した水の約4%を示す)
● 顆粒に吸収された水:
○ 1.95リットル、0.585リットル(736グラム)の塩となる。
● 3リットルの乾燥顆粒を加えた;塩処理プロセス前の乾燥質量=960グラム、塩水に浸した後=1620グラム;差660グラム(多少の蒸発および塩の沈殿を踏まえると736グラムとの比較でOK)。
【0125】
結論と考察
● 全ての測定は、良好な塩飽和を示す。
● 温度の上昇は、塩のより速い溶解をもたらす。
● より小さい粒子はより多く凝集し、より多くの水を吸収し、より長い乾燥を必要とする。
【0126】
例2B-乾燥させた塩処理の2mm顆粒中の塩含有量の計算
体積%の計算
乾燥させた塩処理粒子中の塩の体積%を計算するために、以下の式を使用することができる。
(x)*塩の密度+(1-x)*乾燥無塩処理顆粒の密度=乾燥塩処理顆粒の密度
ここで、100*xは、乾燥塩処理顆粒中の塩の体積%(すなわち、塩で構成される顆粒の総体積の%)である。
【0127】
したがって、以下の密度を適用する。
乾燥させた無塩処理の2mm顆粒の密度=0.326g/ml
乾燥させた塩処理の2mm顆粒の密度=0.426g/ml
塩の密度=1.25g/ml
上記の値を式に入れると、次のようになる。
(x)*1.25+(1-x)*0.326=0.426
したがって、x=0.104となる。
したがって、乾燥させた塩処理の2mm顆粒中の塩の体積%は、10.4体積%である。
【0128】
【0129】
したがって、乾燥塩処理2mm顆粒中の塩の質量%(すなわち、塩で構成される顆粒の全質量の%)は0.130/0.426=0.305=30.5質量%(すなわち重量%)である。
【0130】
例2C-乾燥させた塩処理の1mm顆粒中の塩含有量の計算
体積%の計算
例2Bで提供されるのと同じ式を使用することができる。
(x)*塩の密度+(1-x)*乾燥無塩処理顆粒の密度=乾燥塩処理顆粒の密度
ここで、100*xは、乾燥塩処理顆粒中の塩の体積%(すなわち、塩で構成される顆粒の体積%)である。
【0131】
したがって、以下の密度を式に適用する。
乾燥させた無塩処理の1mm顆粒の密度:0.264g/ml
乾燥させた塩処理の1mm顆粒の密度:0.325g/ml
塩の密度=1.25g/ml
これより、
(x)*1.25+(1-x)*0.264=0.325
したがって、x=0.0619となる。
したがって、乾燥塩処理1mm顆粒中の塩の体積%は、6.19体積%である。
【0132】
【0133】
したがって、乾燥させた塩処理の1mm顆粒中の塩の質量%は0.07738/0.325=23.8質量%(すなわち重量%)である。
【0134】
例3-EN15330-1:2013に概説されている性能要件による発明の充填材のスポーツラボ社による試験
この例では、人工芝への使用のための本発明の充填材粒子の適合性を確認するために、スポーツラボ社によって実施された試験からのデータを提供する。以下に示す試験は、BS EN15530-1:2013(スポーツエリア用面-屋外使用を主目的とする人工芝およびニードルパンチ面)に準拠して実施された。
【0135】
BS EN15530-1:2013は、2013年に英国規格協会(BSI)によって公開された文書であり、これは、人工芝のための充填物の要件を満たすために実行されるべき試験の選択を提供する。各試験はそれ自体、別個の公表された文書に詳細に記載されており、これらの文書のそれぞれは、明確かつ明瞭な識別のために特定の「EN番号」で指定されている。充填材粒子に対して行われた各試験のEN番号を表18に示す。
【0136】
充填材粒子の特性はまた、リスポート(すなわち、リスポートクラシック)摩耗シミュレーション装置上で摩耗シミュレーションを行った後に試験した。リスポート摩耗シミュレーション装置は、丸みを帯びた13mmナイロンスタッドを有する2つの重ローラを備える。装置は、所定のサイクル数の間、サンプル(すなわち、充填材を含む人工芝)を横断する。スタッドはサンプルを圧迫し、長年のスポーツ使用によって引き起こされる摩耗をシミュレートする。
【0137】
試験した粒子は、2×2×2mmの大きさのカバノキ木材で構成されており、例2で計算したように塩含有量は30.5重量%であった。
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
表18は、本発明の充填材粒子(カバノキ木材製、サイズ2×2×2mm)の集合体をふるいに通して粒径分布を確認した結果を示す。以下の結果は、粒子が主張された粒径を有することを確認する。表18のデータのグラフについては、
図1を参照のこと。
【0153】
【0154】
【0155】
結論
提出された製品は、EN15330-1:2013に概説されている性能要件に従って試験された。試験結果に基づいて、供給された製品は、主にフットボール用に設計された面について、EN15330-1:2013のすべての性能要件を満たした。
【0156】
表20は、本発明の充填材粒子の技術的結果を示す。それぞれ2×2×2mmサイズのカバノキ木材で作製されたものであり、リスポート(すなわち、リスポートクラシック)摩耗シミュレーション装置上で40,200サイクルにかけた。40,200サイクル後の粒子のイメージを
図2Cに示す。粒子は目に見えて滑らかであり、研磨され、光沢があることに留意することができる。
この方法は、摩耗をシミュレートするだけでなく、場合によっては好ましい可能性がある丸みを帯びた角を有する本発明の粒子、を提供するための好適な方法でもある。
【0157】
【0158】
【0159】
例4-人工芝での本発明の充填材粒子の安定性
それぞれ2×2×2mmの寸法および30.5重量%の塩含有量を有するカバノキ木材製の本発明の充填材粒子の一群を、ノルウェーのスタヴァンゲルの屋外の人工芝のパッチ上に置き、5年間放置した。これらの5年後、充填材粒子群を分析したところ、充填材粒子は依然として安定していることがわかった(
図3)。これは、スタヴァンゲルの厳しい天候条件を考慮すると、実に見事なことである。
【0160】
例5-土壌での本発明の充填材粒子の安定性
それぞれ2×2×2mmの寸法および30.5重量%の塩含有量を有するカバノキ木材製の本発明の充填材粒子の一群を、ノルウェーのスタヴァンゲルの屋外の土壌に配置した。3ヶ月後、土壌を分析したところ、充填材粒子が土壌中で完全に分解したことが分かった。
【国際調査報告】