(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】新規抗CD276抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240521BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240521BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240521BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240521BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240521BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240521BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240521BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240521BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240521BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240521BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240521BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240521BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240521BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240521BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240521BHJP
A61K 35/17 20150101ALN20240521BHJP
A61K 35/15 20150101ALN20240521BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12P21/08
C07K19/00
C12N15/62 Z
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 U
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/06
A61P29/00
A61P31/00
A61P35/02
A61P43/00 121
A61K47/68
A61K35/17
A61K35/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569782
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022092138
(87)【国際公開番号】W WO2022237820
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/093157
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2022/089645
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522497478
【氏名又は名称】アンテンジーン バイオロジクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【氏名又は名称】大木 信人
(74)【代理人】
【識別番号】100204582
【氏名又は名称】大栗 由美
(72)【発明者】
【氏名】ユウェン,フイ
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ビン
(72)【発明者】
【氏名】リ,テンテン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】デン,ミン
(72)【発明者】
【氏名】シャン,ボ
(72)【発明者】
【氏名】メイ,ジェイ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA90X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AB04
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB02
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB25
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC31
4C076EE41
4C076EE59
4C085AA14
4C085AA16
4C085AA21
4C085BB11
4C085BB36
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4C085CC23
4C085DD62
4C085GG01
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4C085GG08
4C087AA01
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4C087BB65
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4C087MA52
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4C087NA05
4C087ZB07
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4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZB32
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA09
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
抗CD276抗体および抗CD276/PD-L1二重特異性抗体分子、それらをコードする単離されたポリヌクレオチド、それらを含む医薬組成物ならびにそれらの使用が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1~3、9~11、17~19、25~27、33~35、41~43、49~51、57~59、65~67、73~75、81~83、89~91、97~99、105~107、113~115、121~123、129~131、137~139、145~147、153~155、161~163、169~171、177~179、185~187、193~195、201~203、209~211、217~219、225~227、233~235、241~243、249~251、257~259、265~267、273~275、281~283、289~291、297~299、305~307、313~315、321~323、329~331、337~339および374~375からなる群から選択される1、2もしくは3つの重鎖相補性決定領域(CDR)配列ならびに/または配列番号4~6、12~14、20~22、28~30、36~38、44~46、52~54、60~62、68~70、76~78、84~86、92~94、100~102、108~110、116~118、124~126、132~134、140~142、148~150、156~158、164~166、172~174、180~181、188~190、196~198、204~206、212~214、220~222、228~230、236~238、244~246、252~254、260~262、268~270、276~278、284~286、292~294、300~302、308~310、316~318、324~326、332~334、340~342および376~377からなる群から選択される1、2もしくは3つの軽鎖CDR配列を含む、CD276と特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
a)配列番号1~3から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
b)配列番号9~11から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
c)配列番号17~19から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
d)配列番号25~27から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
e)配列番号33~35から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
f)配列番号41~43から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
g)配列番号49~51から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
h)配列番号57~59から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
i)配列番号65~67から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
j)配列番号73~75から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
k)配列番号81~83から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
l)配列番号89~91から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
m)配列番号97~99から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
n)配列番号105~107から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
o)配列番号113~115から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
p)配列番号121~123から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
q)配列番号129~131から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
r)配列番号137~139から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
s)配列番号145~147から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
t)配列番号153~155から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
u)配列番号161~163から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
v)配列番号169~171から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
w)配列番号177~179から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
x)配列番号185~187から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
y)配列番号193~195から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
z)配列番号201~203から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
aa)配列番号209~211から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
bb)配列番号217~219から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
cc)配列番号225~227から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
dd)配列番号233~235から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ee)配列番号241~243から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ff)配列番号249~251から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
gg)配列番号257~259から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
hh)配列番号265~267から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ii)配列番号273~275から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
jj)配列番号281~283から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
kk)配列番号289~291から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ll)配列番号297~299から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
mm)配列番号305~307から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
nn)配列番号313~315から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
oo)配列番号321~323から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
pp)配列番号329~331から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
qq)配列番号337~339から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、および
rr)配列番号9、374および375から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域
からなる群から選択される重鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
a)配列番号4~6から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号12~14から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号20~22から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号28~30から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号36~38から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号44~46から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号52~54から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号60~62から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号68~70から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
j)配列番号76~78から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
k)配列番号84~86から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
l)配列番号92~94から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号100~102から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号108~110から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号116~118から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号124~126から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号132~134から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号140~142から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号148~150から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号156~158から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
u)配列番号164~166から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
v)配列番号172~174から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
w)配列番号180~181から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
x)配列番号188~190から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
y)配列番号196~198から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
z)配列番号204~206から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
aa)配列番号212~214から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
bb)配列番号220~222から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
cc)配列番号228~230から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
dd)配列番号236~238から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ee)配列番号244~246から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ff)配列番号252~254から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
gg)配列番号260~262から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
hh)配列番号268~270から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ii)配列番号276~278から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
jj)配列番号284~286から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
kk)配列番号292~294から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ll)配列番号300~302から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
mm)配列番号308~310から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
nn)配列番号316~318から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
oo)配列番号324~326から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
pp)配列番号332~334から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
qq)配列番号340~342から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
rr)配列番号376、13および14から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、ならびに
ss)配列番号377、45および46から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域
からなる群から選択される軽鎖可変領域を含む、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
a)配列番号1、配列番号2および配列番号3から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号9、配列番号10および配列番号11から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号12、配列番号13および配列番号14から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号17、配列番号18および配列番号19から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号20、配列番号21および配列番号22から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号25、配列番号26および配列番号27から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号28、配列番号29および配列番号30から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号33、配列番号34および配列番号35から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号36、配列番号37および配列番号38から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号44、配列番号45および配列番号46から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号49、配列番号50および配列番号51から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号52、配列番号53および配列番号54から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号57、配列番号58および配列番号59から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号60、配列番号61および配列番号62から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号65、配列番号66および配列番号67から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号68、配列番号69および配列番号70から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
j)配列番号73、配列番号74および配列番号75から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号76、配列番号77および配列番号78から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
k)配列番号81、配列番号82および配列番号83から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号84、配列番号85および配列番号86から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
l)配列番号89、配列番号90および配列番号91から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号92、配列番号93および配列番号94から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号97、配列番号98および配列番号99から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号100、配列番号101および配列番号102から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号105、配列番号106および配列番号107から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号108、配列番号109および配列番号110から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号113、配列番号114および配列番号115から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号116、配列番号117および配列番号118から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号121、配列番号122および配列番号123から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号124、配列番号125および配列番号126から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号129、配列番号130および配列番号131から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号132、配列番号133および配列番号134から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号137、配列番号138および配列番号139から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号140、配列番号141および配列番号142から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号145、配列番号146および配列番号147から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号148、配列番号149および配列番号150から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号153、配列番号154および配列番号155から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号156、配列番号157および配列番号158から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
u)配列番号161、配列番号162および配列番号163から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号164、配列番号165および配列番号166から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
v)配列番号169、配列番号170および配列番号171から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号172、配列番号173および配列番号174から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
w)配列番号177、配列番号178および配列番号179から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号180、配列番号181および配列番号182から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
x)配列番号185、配列番号186および配列番号187から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号188、配列番号189および配列番号190から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
y)配列番号193、配列番号194および配列番号195から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号196、配列番号197および配列番号198から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
z)配列番号201、配列番号202および配列番号203から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号204、配列番号205および配列番号206から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
aa)配列番号209、配列番号210および配列番号211から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号212、配列番号213および配列番号214から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
bb)配列番号217、配列番号218および配列番号219から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号220、配列番号221および配列番号222から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
cc)配列番号225、配列番号226および配列番号227から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号228、配列番号229および配列番号230から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
dd)配列番号233、配列番号234および配列番号235から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号236、配列番号237および配列番号238から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ee)配列番号241、配列番号242および配列番号243から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号244、配列番号245および配列番号246から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
ff)配列番号249、配列番号250および配列番号251から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号252、配列番号253および配列番号254から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
gg)配列番号257、配列番号258および配列番号259から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号260、配列番号261および配列番号262から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
hh)配列番号265、配列番号266および配列番号267から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号268、配列番号269および配列番号270から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ii)配列番号273、配列番号274および配列番号275から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号276、配列番号277および配列番号278から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
jj)配列番号281、配列番号282および配列番号283から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号284、配列番号285および配列番号286から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
kk)配列番号289、配列番号290および配列番号291から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号292、配列番号293および配列番号294から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ll)配列番号297、配列番号298および配列番号299から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号300、配列番号301および配列番号302から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
mm)配列番号305、配列番号306および配列番号307から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号308、配列番号309および配列番号310から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
nn)配列番号313、配列番号314および配列番号315から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号316、配列番号317および配列番号318から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
oo)配列番号321、配列番号322および配列番号323から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号324、配列番号325および配列番号326から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
pp)配列番号329、配列番号330および配列番号331から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号332、配列番号333および配列番号334から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
qq)配列番号337、配列番号338および配列番号339から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号340、配列番号341および配列番号342から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
rr)配列番号9、配列番号374および配列番号375から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号376、配列番号13および配列番号14から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、または
ss)配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号377、配列番号45および配列番号46から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103、配列番号111、配列番号119、配列番号127、配列番号135、配列番号143、配列番号151、配列番号159、配列番号167、配列番号175、配列番号183、配列番号191、配列番号199、配列番号207、配列番号215、配列番号223、配列番号231、配列番号239、配列番号247、配列番号255、配列番号263、配列番号271、配列番号279、配列番号287、配列番号295、配列番号303、配列番号311、配列番号319、配列番号327、配列番号335、配列番号343、配列番号347、および配列番号349、ならびにそれらの少なくとも80%配列同一性のある相同配列からなる群から選択される重鎖可変領域を含む、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号96、配列番号104、配列番号112、配列番号120、配列番号128、配列番号136、配列番号144、配列番号152、配列番号160、配列番号168、配列番号1756、配列番号184、配列番号192、配列番号200、配列番号208、配列番号216、配列番号224、配列番号232、配列番号240、配列番号248、配列番号256、配列番号264、配列番号272、配列番号280、配列番号288、配列番号296、配列番号304、配列番号312、配列番号320、配列番号328、配列番号336、配列番号344、配列番号348、および配列番号350ならびにそれらの少なくとも80%配列同一性のある相同配列からなる群から選択される軽鎖可変領域を含む、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
a)配列番号7を含む重鎖可変領域および配列番号8を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号15を含む重鎖可変領域および配列番号16を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号23を含む重鎖可変領域および配列番号24を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号31を含む重鎖可変領域および配列番号32を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号39を含む重鎖可変領域および配列番号40を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号55を含む重鎖可変領域および配列番号56を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号63を含む重鎖可変領域および配列番号64を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号71を含む重鎖可変領域および配列番号72を含む軽鎖可変領域、
j)配列番号79を含む重鎖可変領域および配列番号80を含む軽鎖可変領域、
k)配列番号87を含む重鎖可変領域および配列番号88を含む軽鎖可変領域、
l)配列番号95を含む重鎖可変領域および配列番号96を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号103を含む重鎖可変領域および配列番号104を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号111を含む重鎖可変領域および配列番号112を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号119を含む重鎖可変領域および配列番号120を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号127を含む重鎖可変領域および配列番号128を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号135を含む重鎖可変領域および配列番号136を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号143を含む重鎖可変領域および配列番号144を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号151を含む重鎖可変領域および配列番号152を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号159を含む重鎖可変領域および配列番号160を含む軽鎖可変領域、
u)配列番号167を含む重鎖可変領域および配列番号168を含む軽鎖可変領域、
v)配列番号175を含む重鎖可変領域および配列番号176を含む軽鎖可変領域、
w)配列番号183を含む重鎖可変領域および配列番号184を含む軽鎖可変領域、
x)配列番号191を含む重鎖可変領域および配列番号192を含む軽鎖可変領域、
y)配列番号199を含む重鎖可変領域および配列番号200を含む軽鎖可変領域、
z)配列番号207を含む重鎖可変領域および配列番号208を含む軽鎖可変領域、
aa)配列番号215を含む重鎖可変領域および配列番号216を含む軽鎖可変領域、
bb)配列番号223を含む重鎖可変領域および配列番号224を含む軽鎖可変領域、
cc)配列番号231を含む重鎖可変領域および配列番号232を含む軽鎖可変領域、
dd)配列番号239を含む重鎖可変領域および配列番号240を含む軽鎖可変領域、
ee)配列番号247を含む重鎖可変領域および配列番号248を含む軽鎖可変領域、
ff)配列番号255を含む重鎖可変領域および配列番号256を含む軽鎖可変領域、
gg)配列番号263を含む重鎖可変領域および配列番号264を含む軽鎖可変領域、
hh)配列番号271を含む重鎖可変領域および配列番号272を含む軽鎖可変領域、
ii)配列番号279を含む重鎖可変領域および配列番号280を含む軽鎖可変領域、
jj)配列番号287を含む重鎖可変領域および配列番号288を含む軽鎖可変領域、
kk)配列番号295を含む重鎖可変領域および配列番号296を含む軽鎖可変領域、
ll)配列番号303を含む重鎖可変領域および配列番号304を含む軽鎖可変領域、
mm)配列番号311を含む重鎖可変領域および配列番号312を含む軽鎖可変領域、
nn)配列番号319を含む重鎖可変領域および配列番号320を含む軽鎖可変領域、
oo)配列番号327を含む重鎖可変領域および配列番号328を含む軽鎖可変領域、
pp)配列番号335を含む重鎖可変領域および配列番号336を含む軽鎖可変領域、
qq)配列番号343を含む重鎖可変領域および配列番号344を含む軽鎖可変領域、
rr)配列番号347を含む重鎖可変領域および配列番号348を含む軽鎖可変領域、または
ss)配列番号349を含む重鎖可変領域および配列番号350を含む軽鎖可変領域
を含む、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
ヒト化されたものである、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
配列番号378(EVQLVESGGGLXQPGXSLRLSCXTSGFTLSDYYMSWVRQXPGKGLEWVXFMRNKANXYTTEYSASVRGRFTISRDTSKSXIYLQMNSLXXEDTAVYYCVRDRXGRPFAYWGQGTLVTVSS)を含み、配列番号378のi位(i=12、16、23、40、49、57、80、89、90および103)におけるXが、X
Hiと称され、X
H12が、VまたはIであり、XH
16が、GまたはRであり、X
H23が、AまたはTであり、X
H40が、AまたはPであり、X
H49が、GまたはSであり、X
H57が、AまたはGであり、X
H80が、IまたはTであり、X
H89が、RまたはKであり、X
H90が、AまたはTであり、X
H103が、DまたはEである、重鎖可変領域、および配列番号379(DIXMTQSPXSLXXXXGXXXXIXCKSSQSLLNXINQKNFLTWYXQKPGXXPXLLIYWASTRESGVPXRFSGSGSGTDFTLXISXXXXEDLXXYYCQNDYTYPLTFGQGTKLEIK)を含み、配列番号379のi位(i=3、9、12、13、14、15、17、18、19、20、22、32、43、48、49、51、66、80、83、84、85、86、90および91)におけるXが、X
Liと称され、X
L3が、VまたはQであり、X
L9が、D、LまたはSであり、X
L12が、A、SまたはPであり、X
L13が、AまたはVであり、X
L14が、SまたはTであり、X
L15が、L、VまたはPであり、X
L17が、DまたはEであり、X
L18が、RまたはPであり、X
L19が、AまたはVであり、X
L20が、SまたはTであり、X
L22が、N、TまたはSであり、X
L32が、AまたはSであり、X
L43が、QまたはLであり、X
L48が、QまたはKであり、X
L49が、A、PまたはSであり、X
L51が、KまたはQであり、X
L66が、SまたはDであり、X
L80が、KまたはTであり、X
L83が、RまたはSであり、X
L84が、LまたはVであり、X
L85が、QまたはEであり、X
L86が、AまたはPであり、X
L90が、AまたはGであり、X
L91が、TまたはVである、軽鎖可変領域を含む、抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
配列番号380(QVQLQESGPGLVKPSXTLSLTCXVXGYSITSDYAWNWIRQXPGKGLEWIGYISHSGSTSYNPSLKSRVTISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARSLGRRWYFDVWGQGTTVTVSS)を含み、配列番号380のi位(i=16、23、25および41)におけるXが、X
Hiと称され、X
H16が、EまたはQであり、X
H23が、AまたはTであり、X
H25が、SまたはYであり、X
H41が、HまたはPである、重鎖可変領域、および
配列番号381(DIXMTQSPXSLXXXXGXXXXIXCKSSQSLLXSSTQKNYLAWYXQKPGXXPXLLIYFASTRDSGVPXRFSGSGSGTDFTLXISXXXXEDLXXYFCQQHYIIPFTFGQGTKLEIK)を含み、配列番号381のi位(i=3、9、12、13、14、15、17、18、19、20、22、31、43、48、49、51、66、80、83、84、85、86、90および91)におけるXが、X
Liと称され、X
L3が、VまたはQであり、X
L9が、D、LまたはSであり、X
L12が、A、SまたはPであり、X
L13が、AまたはVであり、X
L14が、SまたはTであり、X
L15が、L、VまたはPであり、X
L17が、DまたはEであり、X
L18が、RまたはPであり、X
L19が、AまたはVであり、X
L20が、SまたはTであり、X
L22が、N、TまたはSであり、X
L31が、NまたはQであり、X
L43が、QまたはLであり、X
L48が、QまたはKであり、X
L49が、A、PまたはSであり、X
L51が、KまたはQであり、X
L66が、SまたはDであり、X
L80が、KまたはTであり、X
L83が、RまたはSであり、X
L84が、LまたはVであり、X
L85が、QまたはEであり、X
L86が、AまたはPであり、X
L90が、AまたはGであり、X
L91が、TまたはVである、軽鎖可変領域を含む、請求項8に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
(iii)配列番号9、配列番号10もしくは374(MRNKANAYTT)および配列番号11もしくは375(VRDREGRPFAY)としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号12もしくは376(QSLLNAINQKNF)、配列番号13および配列番号14としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、または
(iv)配列番号41、配列番号42および配列番号43としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号44もしくは377(QSLLQSSTQKNY)、配列番号45および配列番号46としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域を含む、請求項8に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
配列番号351、353、355、357、358、360、362、364、365、367および370から選択される配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号352、354、356、359、361、363、366、368、369、371、372および373から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項8に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
1つまたは複数のアミノ酸残基置換または修飾をさらに含むが、ヒトCD276に対する特異的結合親和性を保持する、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
置換が、1つもしくは複数のCDR配列中、および/またはVHもしくはVL配列の1つもしくは複数にあるが、CDR配列のいずれにもない、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
免疫グロブリン定常領域、任意選択で、ヒトIgの定常領域、または任意選択で、ヒトIgGの定常領域をさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
定常領域が、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の定常領域を含む、請求項10に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
キメラである、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
Fab、Fab’、F(ab’)
2、Fd、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)
2、一本鎖抗体分子(scFv)、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディー、ドメイン抗体および二価ドメイン抗体である、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
抗体または抗原結合断片が、1つまたは複数のコンジュゲートと連結しており、任意選択で、コンジュゲートが、直接またはリンカーを介してのいずれかで共有結合によって結合している、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
コンジュゲートが、クリアランス修飾剤、化学療法剤、毒素、放射性同位元素、ランタニド、発光標識、蛍光標識、酵素基質標識、DNAアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、チューブリン結合剤または他の抗癌薬を含む、請求項19に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
CD276がヒトに由来し、任意選択で、CD276が、組換えCD276または細胞表面上に発現されたCD276である、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
同一エピトープについて、先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片と競合する抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
先行する請求項のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項24】
第2の治療剤をさらに含み、任意選択で、第2の治療剤が、1つまたは複数の免疫抑制分子に対するアンタゴニストである、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
第2の治療剤がPD-L1アンタゴニストであり、任意選択で、PD-L1アンタゴニストが、PD-L1抗体またはその抗原結合断片である、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項27】
請求項26に記載の単離されたポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項28】
請求項27に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項29】
請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片を発現させる方法であって、請求項28に記載の宿主細胞を、請求項27に記載のベクターが発現される条件下で培養することを含む、方法。
【請求項30】
CD276活性の調節から恩恵を受けるであろう対象における疾患または状態を処置する方法であって、対象に、請求項1から22のいずれかに記載の抗体もしくはその抗原結合断片または請求項24から25のいずれか一項に記載の医薬組成物の治療上有効な量を投与することを含む、方法。
【請求項31】
疾患または状態が、CD276関連疾患または状態である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
疾患または状態が、癌、適応免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患または感染性疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
癌が、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞巣状軟部肉腫、星状膠細胞腫瘍、膀胱癌、骨癌、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌腫、明細胞癌腫、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成症、胆嚢または胆管癌、胃癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌腫、膵島腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌腫、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、希少血液障害、転移性腎癌、横紋筋肉腫様腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌腫、胸腺腫、甲状腺転移性癌ならびに子宮癌であり、任意選択で、癌が、化学療法抵抗性である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
疾患または状態が、B細胞リンパ腫、任意選択で、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、リヒター症候群、バーキットリンパ腫または濾胞性リンパ腫から選択される血液癌である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
対象がヒトである、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
対象に1つまたは複数の治療剤の治療上有効な量を投与することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記治療剤が、化学療法剤、放射線療法剤、ホルモン療法剤、毒素または免疫療法剤である、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
第2の治療剤がPD-L1アンタゴニストであり、任意選択で、PD-L1アンタゴニストが、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
投与が、経口、経鼻、静脈内、皮下、舌下または筋肉内投与による、請求項30から38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
化学療法、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法および外科手術からなる群から選択される1つまたは複数の追加の癌治療の投与をさらに含む、請求項30~39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
CD276を発現する細胞においてCD276活性を調節する方法であって、CD276を発現する細胞を、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片に対して曝露することを含む、方法。
【請求項42】
サンプル中のCD276の存在または量を検出する方法であって、サンプルを、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、サンプル中のCD276の存在または量を決定することとを含む、方法。
【請求項43】
対象におけるCD276関連疾患または状態を診断する方法であって、a)対象からサンプルを得ることと、b)対象から得られたサンプルを、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、c)サンプル中のCD276の存在または量を決定することと、d)CD276の存在または量を、対象におけるCD276関連疾患または状態の存在または状況と相関させることとを含む、方法。
【請求項44】
対象におけるCD276関連疾患または状態を処置するための医薬の製造における、請求項1から21のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片の使用。
【請求項45】
医薬が、第2の治療剤をさらに含み、任意選択で、第2の治療剤が、1つまたは複数の免疫抑制分子に対するアンタゴニストである、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
第2の治療剤がPD-L1アンタゴニストであり、任意選択で、PD-L1アンタゴニストが、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
CD276関連疾患または状態を診断するための診断用試薬の製造における、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片の使用。
【請求項48】
CD276、任意選択で、組換えCD276、細胞表面に発現されたCD276またはCD276を発現する細胞の検出において有用な、請求項1から22のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片を含むキット。
【請求項49】
抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域およびTCRシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、抗原結合ドメインが、CD276と特異的に結合し、請求項1から22のいずれか一項に記載の抗原結合断片を含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項50】
抗原結合断片が、FabまたはscFvである、請求項49に記載のCAR。
【請求項51】
二重特異性である、請求項49または50に記載のCAR。
【請求項52】
CARが、CD276以外の第2の抗原またはCD276上の第2のエピトープとさらに特異的に結合可能である、請求項51に記載のCAR。
【請求項53】
第2の抗原が腫瘍抗原である、請求項52に記載のCAR。
【請求項54】
TCRシグナル伝達ドメインが、CD3ζ、FccRIγ、CD27、CD28、CD137、CD134、MyD88、CD40、CD278、TLRまたはそれらの組合せの細胞内シグナル領域配列からなる群から選択される、請求項49に記載のCAR。
【請求項55】
膜貫通領域が、CD3、CD4、CD8またはCD28の膜貫通領域を含む、請求項49に記載のCAR。
【請求項56】
請求項49から55のいずれか一項に記載のキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列。
【請求項57】
請求項56に記載の核酸配列を含む細胞。
【請求項58】
請求項49から55のいずれか一項に記載のCARを発現するように遺伝子改変された細胞。
【請求項59】
細胞が免疫細胞であり、任意選択で、免疫細胞が、Tリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージまたはNKTリンパ球である、請求項58に記載の細胞。
【請求項60】
請求項56に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項61】
哺乳動物においてCD276を発現する細胞または組織に対するT細胞媒介性免疫応答を刺激するための方法であって、哺乳動物に、請求項49から55のいずれか一項に記載のCARを発現するように遺伝子改変された細胞の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項62】
CD276関連疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、哺乳動物に請求項57または58に記載の細胞の有効量を投与し、それによって哺乳動物を処置することを含む、方法。
【請求項63】
細胞が自己T細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
CD276関連疾患または状態が、癌である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
哺乳動物がヒト対象である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
哺乳動物においてCD276を発現する細胞または組織に対するT細胞媒介性免疫応答を刺激するための医薬の製造における、請求項49~55のいずれか一項に記載のCARを発現するように遺伝子改変された細胞の使用。
【請求項67】
CD276関連疾患または状態を有する哺乳動物を処置するための医薬の製造における、請求項57または58に記載の細胞の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、新規抗CD276抗体に関する。
【背景技術】
【0002】
B7-H3(CD276、ヒトアミノ酸配列についてのUniProt ID:Q5ZPR3およびマウスアミノ酸配列:Q8VE98)は、B7およびCD28ファミリーの新たに発見された重要な免疫チェックポイントメンバーであり、これは、細胞外ドメインによって決定される2つのアイソフォームに存在するI型膜貫通共刺激分子である。マウスでは、細胞外ドメインは単一の対の免疫グロブリン可変(IgV)様ドメインおよび免疫グロブリン定常(IgC)様ドメインから構成されるが、ヒトでは、それはエクソン重複に起因して一対(2Ig-B7-H3)または2つの同一の対(4Ig-B7-H3)から構成される。B7-H3 mRNAはほとんどの組織において広く分布しており、対照的に、B7-H3タンパク質は、マイクロRNAによる転写後制御のために、正常組織上で非常に制限された発現を有する。しかしながら、B7-H3タンパク質は、多くの異なる癌型(すべての癌の60%)において高頻度で発現する(「B7-H3:an attractive target for antibody-based immunotherapy」. Clinical Cancer Research:clincanres.2584.2020)。
【0003】
B7-H3の機能については議論の余地がある。これは、腫瘍抗原特異的免疫応答を阻害するT細胞活性化のための共刺激分子、または遊走、腫瘍成長、浸潤、転移、悪性期、再発率、血管新生、化学抵抗性、上皮から間葉への移行の促進、および腫瘍細胞代謝への影響などの非免疫学的役割のいずれかとして分類された。B7-H3に対する受容体は、B7-H3に結合し、特にCD8 T細胞の活性化を共刺激する骨髄細胞(TREM)様転写物2(TLT-2またはTREML2)上で発現するトリガー受容体であることが報告されている。B7-H3はまた、未知の受容体をライゲーションすることにより、NK細胞および骨芽細胞に対する阻害剤であることも報告されている。(The contrasting role of B7-H3,PNAS July 29,2008,105(30)10277-10278)。B7-H3を遮断するモノクローナル抗体による処置は、癌処置のための主要な免疫療法戦略である。
【0004】
阻害性免疫チェックポイント遮断剤(CTLA-4、PD-1およびPD-L1)の臨床的成功に基づくと、CD276に対するmAbは開発に値する有望な治療戦略であるように見える。固形腫瘍上でのその選択的発現に起因して、いくつかのグループが、エノブリツズマブ(MGA271)、オンブルタマブ、MGD009、MGC018、DS-7300aおよびCAR T細胞などの抗CD276抗体を生成しており(「B7-H3:an attractive target for antibody-based immunotherapy」.Clinical Cancer Research:clincanres.2584.2020)、in vitroおよびin vivoで腫瘍成長抑制を観察した。CD276はまた、血液腫瘍細胞において発現することが報告されており(Wei Zhang et al.,B7 Family Members in Lymphoma:Promising Novel Targets for Tumor Immunotherapy? Front.Oncol.,31 March 2021を参照のこと)、CD276は、血液癌を処置するための潜在的標的でもあり得ることを示している。
【0005】
CD276を標的とする治療薬の開発にもかかわらず、新規抗CD276抗体が大いに必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示を通じて、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、本明細書において、冠詞の文法的対象の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「1種の抗体」は、1種の抗体または1種より多い抗体を意味する。
【0007】
本開示は、新規抗CD276抗体分子、そのアミノ酸およびヌクレオチド配列ならびにその使用を提供する。
【0008】
一態様では、本開示は、配列番号1~3、9~11、17~19、25~27、33~35、41~43、49~51、57~59、65~67、73~75、81~83、89~91、97~99、105~107、113~115、121~123、129~131、137~139、145~147、153~155、161~163、169~171、177~179、185~187、193~195、201~203、209~211、217~219、225~227、233~235、241~243、249~251、257~259、265~267、273~275、281~283、289~291、297~299、305~307、313~315、321~323、329~331、337~339および374~375からなる群から選択される1、2もしくは3つの重鎖相補性決定領域(CDR)配列ならびに/または配列番号4~6、12~14、20~22、28~30、36~38、44~46、52~54、60~62、68~70、76~78、84~86、92~94、100~102、108~110、116~118、124~126、132~134、140~142、148~150、156~158、164~166、172~174、180~181、188~190、196~198、204~206、212~214、220~222、228~230、236~238、244~246、252~254、260~262、268~270、276~278、284~286、292~294、300~302、308~310、316~318、324~326、332~334、340~342および376~377からなる群から選択される1、2もしくは3つの軽鎖CDR配列を含む、単離された抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、
a)配列番号1~3から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
b)配列番号9~11から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
c)配列番号17~19から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
d)配列番号25~27から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
e)配列番号33~35から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
f)配列番号41~43から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
g)配列番号49~51から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
h)配列番号57~59から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
i)配列番号65~67から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
j)配列番号73~75から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
k)配列番号81~83から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
l)配列番号89~91から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
m)配列番号97~99から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
n)配列番号105~107から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
o)配列番号113~115から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
p)配列番号121~123から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
q)配列番号129~131から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
r)配列番号137~139から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
s)配列番号145~147から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
t)配列番号153~155から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
u)配列番号161~163から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
v)配列番号169~171から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
w)配列番号177~179から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
x)配列番号185~187から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
y)配列番号193~195から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
z)配列番号201~203から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
aa)配列番号209~211から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
bb)配列番号217~219から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
cc)配列番号225~227から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
dd)配列番号233~235から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ee)配列番号241~243から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ff)配列番号249~251から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
gg)配列番号257~259から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
hh)配列番号265~267から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ii)配列番号273~275から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
jj)配列番号281~283から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
kk)配列番号289~291から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
ll)配列番号297~299から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
mm)配列番号305~307から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
nn)配列番号313~315から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
oo)配列番号321~323から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
pp)配列番号329~331から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、
qq)配列番号337~339から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、ならびに
rr)配列番号9、374および375から選択される1、2または3つのCDR配列を含む重鎖可変領域
からなる群から選択される重鎖可変領域を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、
a)配列番号4~6から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号12~14から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号20~22から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号28~30から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号36~38から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号44~46から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号52~54から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号60~62から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号68~70から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
j)配列番号76~78から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
k)配列番号84~86から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
l)配列番号92~94から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号100~102、108~110から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号108~110から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号116~118から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号124~126から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号132~134から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号140~142から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号148~150から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号156~158から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
u)配列番号164~166から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
v)配列番号172~174から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
w)配列番号180~181から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
x)配列番号188~190から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
y)配列番号196~198から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
z)配列番号204~206から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
aa)配列番号212~214から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
bb)配列番号220~222から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
cc)配列番号228~230から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
dd)配列番号236~238から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ee)配列番号244~246から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ff)配列番号252~254から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
gg)配列番号260~262から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
hh)配列番号268~270から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ii)配列番号276~278から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
jj)配列番号284~286から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
kk)配列番号292~294から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ll)配列番号300~302から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
mm)配列番号308~310から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
nn)配列番号316~318から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
oo)配列番号324~326から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
pp)配列番号332~334から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
qq)配列番号340~342から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
rr)配列番号376、13および14から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、ならびに
ss)配列番号377、45および46から選択される1、2または3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域
からなる群から選択される軽鎖可変領域を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、
a)配列番号1、配列番号2および配列番号3から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号4、配列番号5および配列番号6から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号9、配列番号10および配列番号11から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号12、配列番号13および配列番号14から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号17、配列番号18および配列番号19から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号20、配列番号21および配列番号22から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号25、配列番号26および配列番号27から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号28、配列番号29および配列番号30から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号33、配列番号34および配列番号35から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号36、配列番号37および配列番号38から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号44、配列番号45および配列番号46から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号49、配列番号50および配列番号51から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号52、配列番号53および配列番号54から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号57、配列番号58および配列番号59から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号60、配列番号61および配列番号62から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号65、配列番号66および配列番号67から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号68、配列番号69および配列番号70から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
j)配列番号73、配列番号74および配列番号75から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号76、配列番号77および配列番号78から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
k)配列番号81、配列番号82および配列番号83から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号84、配列番号85および配列番号86から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
l)配列番号89、配列番号90および配列番号91から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号92、配列番号93および配列番号94から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号97、配列番号98および配列番号99から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号100、配列番号101および配列番号102から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号105、配列番号106および配列番号107から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号108、配列番号109および配列番号110から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号113、配列番号114および配列番号115から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号116、配列番号117および配列番号118から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号121、配列番号122および配列番号123から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号124、配列番号125および配列番号126から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号129、配列番号130および配列番号131から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号132、配列番号133および配列番号134から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号137、配列番号138および配列番号139から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号140、配列番号141および配列番号142から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号145、配列番号146および配列番号147から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号148、配列番号149および配列番号150から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号153、配列番号154および配列番号155から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号156、配列番号157および配列番号158から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
u)配列番号161、配列番号162および配列番号163から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号164、配列番号165および配列番号166から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
v)配列番号169、配列番号170および配列番号171から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号172、配列番号173および配列番号174から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
w)配列番号177、配列番号178および配列番号179から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号180、配列番号181および配列番号182から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
x)配列番号185、配列番号186および配列番号187から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号188、配列番号189および配列番号190から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
y)配列番号193、配列番号194および配列番号195から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号196、配列番号197および配列番号198から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
z)配列番号201、配列番号202および配列番号203から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号204、配列番号205および配列番号206から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
aa)配列番号209、配列番号210および配列番号211から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号212、配列番号213および配列番号214から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
bb)配列番号217、配列番号218および配列番号219から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号220、配列番号221および配列番号222から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
cc)配列番号225、配列番号226および配列番号227から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号228、配列番号229および配列番号230から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
dd)配列番号233、配列番号234および配列番号235から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号236、配列番号237および配列番号238から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ee)配列番号241、配列番号242および配列番号243から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号244、配列番号245および配列番号246から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
ff)配列番号249、配列番号250および配列番号251から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号252、配列番号253および配列番号254から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
gg)配列番号257、配列番号258および配列番号259から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号260、配列番号261および配列番号262から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
hh)配列番号265、配列番号266および配列番号267から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号268、配列番号269および配列番号270から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ii)配列番号273、配列番号274および配列番号275から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号276、配列番号277および配列番号278から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
jj)配列番号281、配列番号282および配列番号283から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号284、配列番号285および配列番号286から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
kk)配列番号289、配列番号290および配列番号291から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号292、配列番号293および配列番号294から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
ll)配列番号297、配列番号298および配列番号299から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号300、配列番号301および配列番号302から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
mm)配列番号305、配列番号306および配列番号307から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号308、配列番号309および配列番号310から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
nn)配列番号313、配列番号314および配列番号315から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号316、配列番号317および配列番号318から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
oo)配列番号321、配列番号322および配列番号323から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号324、配列番号325および配列番号326から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む軽鎖可変領域、
pp)配列番号329、配列番号330および配列番号331から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号332、配列番号333および配列番号334から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、
qq)配列番号337、配列番号338および配列番号339から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号340、配列番号341および配列番号342から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、または
rr)配列番号9、配列番号374および配列番号375から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号376、配列番号13および配列番号14から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、または
ss)配列番号41、配列番号42および配列番号43から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域ならびに配列番号377、配列番号45および配列番号46から選択される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域
を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103、配列番号111、配列番号119、配列番号127、配列番号135、配列番号143、配列番号151、配列番号159、配列番号167、配列番号175、配列番号183、配列番号191、配列番号199、配列番号207、配列番号215、配列番号223、配列番号231、配列番号239、配列番号247、配列番号255、配列番号263、配列番号271、配列番号279、配列番号287、配列番号295、配列番号303、配列番号311、配列番号319、配列番号327、配列番号335、配列番号343、配列番号347、および配列番号349、ならびにそれらの少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)配列同一性のある相同配列からなる群から選択される重鎖可変領域を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号96、配列番号104、配列番号112、配列番号120、配列番号128、配列番号136、配列番号144、配列番号152、配列番号160、配列番号168、配列番号1756、配列番号184、配列番号192、配列番号200、配列番号208、配列番号216、配列番号224、配列番号232、配列番号240、配列番号248、配列番号256、配列番号264、配列番号272、配列番号280、配列番号288、配列番号296、配列番号304、配列番号312、配列番号320、配列番号328、配列番号336、配列番号344、配列番号348、および配列番号350ならびにそれらの少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)配列同一性のある相同配列からなる群から選択される軽鎖可変領域を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、
a)配列番号7を含む重鎖可変領域および配列番号8を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号15を含む重鎖可変領域および配列番号16を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号23を含む重鎖可変領域および配列番号24を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号31を含む重鎖可変領域および配列番号32を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号39を含む重鎖可変領域および配列番号40を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号47を含む重鎖可変領域および配列番号48を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号55を含む重鎖可変領域および配列番号56を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号63を含む重鎖可変領域および配列番号64を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号71を含む重鎖可変領域および配列番号72を含む軽鎖可変領域、
j)配列番号79を含む重鎖可変領域および配列番号80を含む軽鎖可変領域、
k)配列番号87を含む重鎖可変領域および配列番号88を含む軽鎖可変領域、
l)配列番号95を含む重鎖可変領域および配列番号96を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号103を含む重鎖可変領域および配列番号104を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号111を含む重鎖可変領域および配列番号112を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号119を含む重鎖可変領域および配列番号120を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号127を含む重鎖可変領域および配列番号128を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号135を含む重鎖可変領域および配列番号136を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号143を含む重鎖可変領域および配列番号144を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号151を含む重鎖可変領域および配列番号152を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号159を含む重鎖可変領域および配列番号160を含む軽鎖可変領域、
u)配列番号167を含む重鎖可変領域および配列番号168を含む軽鎖可変領域、
v)配列番号175を含む重鎖可変領域および配列番号176を含む軽鎖可変領域、
w)配列番号183を含む重鎖可変領域および配列番号184を含む軽鎖可変領域、
x)配列番号191を含む重鎖可変領域および配列番号192を含む軽鎖可変領域、
y)配列番号199を含む重鎖可変領域および配列番号200を含む軽鎖可変領域、
z)配列番号207を含む重鎖可変領域および配列番号208を含む軽鎖可変領域、
aa)配列番号215を含む重鎖可変領域および配列番号216を含む軽鎖可変領域、
bb)配列番号223を含む重鎖可変領域および配列番号224を含む軽鎖可変領域、
cc)配列番号231を含む重鎖可変領域および配列番号232を含む軽鎖可変領域、
dd)配列番号239を含む重鎖可変領域および配列番号240を含む軽鎖可変領域、
ee)配列番号247を含む重鎖可変領域および配列番号248を含む軽鎖可変領域、
ff)配列番号255を含む重鎖可変領域および配列番号256を含む軽鎖可変領域、
gg)配列番号263を含む重鎖可変領域および配列番号264を含む軽鎖可変領域、
hh)配列番号271を含む重鎖可変領域および配列番号272を含む軽鎖可変領域、
ii)配列番号279を含む重鎖可変領域および配列番号280を含む軽鎖可変領域、
jj)配列番号287を含む重鎖可変領域および配列番号288を含む軽鎖可変領域、
kk)配列番号295を含む重鎖可変領域および配列番号296を含む軽鎖可変領域、
ll)配列番号303を含む重鎖可変領域および配列番号304を含む軽鎖可変領域、
mm)配列番号311を含む重鎖可変領域および配列番号312を含む軽鎖可変領域、
nn)配列番号319を含む重鎖可変領域および配列番号320を含む軽鎖可変領域、
oo)配列番号327を含む重鎖可変領域および配列番号328を含む軽鎖可変領域、
pp)配列番号335を含む重鎖可変領域および配列番号336を含む軽鎖可変領域、
qq)配列番号343を含む重鎖可変領域および配列番号344を含む軽鎖可変領域、
rr)配列番号347を含む重鎖可変領域および配列番号348を含む軽鎖可変領域、または
ss)配列番号349を含む重鎖可変領域および配列番号350を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化されたものである。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号378(EVQLVESGGGLXQPGXSLRLSCXTSGFTLSDYYMSWVRQXPGKGLEWVXFMRNKANXYTTEYSASVRGRFTISRDTSKSXIYLQMNSLXXEDTAVYYCVRDRXGRPFAYWGQGTLVTVSS)を含み、配列番号378のi位(i=12、16、23、40、49、57、80、89、90および103)におけるXは、XHiと称され、XH12は、VまたはIであり、XH16は、GまたはRであり、XH23は、AまたはTであり、XH40は、AまたはPであり、XH49は、GまたはSであり、XH57は、AまたはGであり、XH80は、IまたはTであり、XH89は、RまたはKであり、XH90は、AまたはTであり、XH103は、DまたはEである、重鎖可変領域、および配列番号379(DIXMTQSPXSLXXXXGXXXXIXCKSSQSLLNXINQKNFLTWYXQKPGXXPXLLIYWASTRESGVPXRFSGSGSGTDFTLXISXXXXEDLXXYYCQNDYTYPLTFGQGTKLEIK)を含み、配列番号379のi位(i=3、9、12、13、14、15、17、18、19、20、22、32、43、48、49、51、66、80、83、84、85、86、90および91)におけるXは、XLiと称され、XL3は、VまたはQであり、XL9は、D、LまたはSであり、XL12は、A、SまたはPであり、XL13は、AまたはVであり、XL14は、SまたはTであり、XL15は、L、VまたはPであり、XL17は、DまたはEであり、XL18は、RまたはPであり、XL19は、AまたはVであり、XL20は、SまたはTであり、XL22は、N、TまたはSであり、XL32は、AまたはSであり、XL43は、QまたはLであり、XL48は、QまたはKであり、XL49は、A、PまたはSであり、XL51は、KまたはQであり、XL66は、SまたはDであり、XL80は、KまたはTであり、XL83は、RまたはSであり、XL84は、LまたはVであり、XL85は、QまたはEであり、XL86は、AまたはPであり、XL90は、AまたはGであり、XL91は、TまたはVである、軽鎖可変領域を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号380(QVQLQESGPGLVKPSXTLSLTCXVXGYSITSDYAWNWIRQXPGKGLEWIGYISHSGSTSYNPSLKSRVTISRDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARSLGRRWYFDVWGQGTTVTVSS)を含み、配列番号380のi位(i=16、23、25および41)におけるXは、XHiと称され、XH16は、EまたはQであり、XH23は、AまたはTであり、XH25は、SまたはYであり、XH41は、HまたはPである、重鎖可変領域、および配列番号381(DIXMTQSPXSLXXXXGXXXXIXCKSSQSLLXSSTQKNYLAWYXQKPGXXPXLLIYFASTRDSGVPXRFSGSGSGTDFTLXISXXXXEDLXXYFCQQHYIIPFTFGQGTKLEIK)を含み、配列番号381のi位(i=3、9、12、13、14、15、17、18、19、20、22、31、43、48、49、51、66、80、83、84、85、86、90および91)におけるXは、XLiと称され、XL3は、VまたはQであり、XL9は、D、LまたはSであり、XL12は、A、SまたはPであり、XL13は、AまたはVであり、XL14は、SまたはTであり、XL15は、L、VまたはPであり、XL17は、DまたはEであり、XL18は、RまたはPであり、XL19は、AまたはVであり、XL20は、SまたはTであり、XL22は、N、TまたはSであり、XL31は、NまたはQであり、XL43は、QまたはLであり、XL48は、QまたはKであり、XL49は、A、PまたはSであり、XL51は、KまたはQであり、XL66は、SまたはDであり、XL80は、KまたはTであり、XL83は、RまたはSであり、XL84は、LまたはVであり、XL85は、QまたはEであり、XL86は、AまたはPであり、XL90は、AまたはGであり、XL91は、TまたはVである、軽鎖可変領域を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
(i)配列番号9、配列番号10もしくは374(MRNKANAYTT)および配列番号11もしくは375(VRDREGRPFAY)としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号12もしくは376(QSLLNAINQKNF)、配列番号13および配列番号14としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域、または
(ii)配列番号41、配列番号42および配列番号43としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号44もしくは377(QSLLQSSTQKNY)、配列番号45および配列番号46としてそれぞれ示される1、2もしくは3つのCDR配列を含むカッパ軽鎖可変領域を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号351、353、355、357、358、360、362、364、365、367および370から選択される配列を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号352、354、356、359、361、363、366、368、369、371、372および373から選択される配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、
a)配列番号351を含む重鎖可変領域および配列番号352を含む軽鎖可変領域、
b)配列番号353を含む重鎖可変領域および配列番号354を含む軽鎖可変領域、
c)配列番号355を含む重鎖可変領域および配列番号352を含む軽鎖可変領域、
d)配列番号355を含む重鎖可変領域および配列番号356を含む軽鎖可変領域、
e)配列番号357を含む重鎖可変領域および配列番号352を含む軽鎖可変領域、
f)配列番号357を含む重鎖可変領域および配列番号354を含む軽鎖可変領域、
g)配列番号358を含む重鎖可変領域および配列番号359を含む軽鎖可変領域、
h)配列番号360を含む重鎖可変領域および配列番号361を含む軽鎖可変領域、
i)配列番号362を含む重鎖可変領域および配列番号359を含む軽鎖可変領域、
j)配列番号362を含む重鎖可変領域および配列番号363を含む軽鎖可変領域、
k)配列番号364を含む重鎖可変領域および配列番号359を含む軽鎖可変領域、
l)配列番号364を含む重鎖可変領域および配列番号361を含む軽鎖可変領域、
m)配列番号365を含む重鎖可変領域および配列番号366を含む軽鎖可変領域、
n)配列番号367を含む重鎖可変領域および配列番号368を含む軽鎖可変領域、
o)配列番号367を含む重鎖可変領域および配列番号369を含む軽鎖可変領域、
p)配列番号367を含む重鎖可変領域および配列番号366を含む軽鎖可変領域、
q)配列番号370を含む重鎖可変領域および配列番号369を含む軽鎖可変領域、
r)配列番号370を含む重鎖可変領域および配列番号366を含む軽鎖可変領域、
s)配列番号365を含む重鎖可変領域および配列番号371を含む軽鎖可変領域、
t)配列番号367を含む重鎖可変領域および配列番号372を含む軽鎖可変領域、
u)配列番号367を含む重鎖可変領域および配列番号373を含む軽鎖可変領域、
v)配列番号367を含む重鎖可変領域および配列番号371を含む軽鎖可変領域、
w)配列番号370を含む重鎖可変領域および配列番号373を含む軽鎖可変領域、または
x)配列番号370を含む重鎖可変領域および配列番号371を含む軽鎖可変領域
を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、1つまたは複数のアミノ酸残基置換または修飾をさらに含むが、ヒトCD276に対する特異的結合親和性を保持する。
【0022】
いくつかの実施形態では、置換は、1つもしくは複数のCDR配列中、および/またはVHもしくはVL配列の1つもしくは複数にあるが、CDR配列のいずれにもない。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、免疫グロブリン定常領域、任意選択で、ヒトIgの定常領域、または任意選択で、ヒトIgGの定常領域をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の定常領域を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、キメラまたはヒト化されたものである。
【0026】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、一本鎖抗体分子(scFv)、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディー、ドメイン抗体および二価ドメイン抗体である。
【0027】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、1つまたは複数のコンジュゲートと連結している。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、直接またはリンカーを介してのいずれかで共有結合によって結合している。
【0028】
いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、クリアランス修飾剤、化学療法剤、毒素、放射性同位元素、ランタニド、発光標識、蛍光標識、酵素基質標識、DNAアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、チューブリン結合剤または他の抗癌薬を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合断片は、CD276と特異的に結合可能である。いくつかの実施形態では、CD276は、ヒト由来する。いくつかの実施形態では、CD276は、組換えCD276または細胞表面上に発現されたCD276である。
【0030】
一態様では、本開示は、同一エピトープについて本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片と競合する抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0031】
一態様では、本開示は、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片および医薬上許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される医薬組成物は、第2の治療剤をさらに含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、1つまたは複数の免疫抑制分子に対するアンタゴニストである。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤はPD-L1アンタゴニストである。
【0035】
いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストは、PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片である。
【0036】
一態様では、本開示は、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0037】
一態様では、本開示は、本明細書において提供される単離されたポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。
【0038】
一態様では、本開示は、本明細書において提供されるベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0039】
一態様では、本開示は、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片を発現させる方法であって、本明細書において提供される宿主細胞を、本明細書において提供されるベクターが発現される条件下で培養することを含む方法を提供する。
【0040】
一態様では、本開示は、CD276活性の調節から恩恵を受けるであろう対象における疾患または状態を処置する方法であって、対象に、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片または本明細書において提供される医薬組成物の治療上有効な量を投与することを含む方法を提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、疾患または状態は、CD276関連疾患または状態である。
【0042】
いくつかの実施形態では、疾患または状態は、癌、適応免疫疾患、自己免疫疾患、炎症性疾患または感染性疾患である。
【0043】
いくつかの実施形態では、癌は、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞巣状軟部肉腫、星状膠細胞腫瘍、膀胱癌、骨癌、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌腫、明細胞癌腫、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症〔fibrogenesis imperfecta ossium〕、線維性骨異形成症、胆嚢または胆管癌、胃癌〔gastric cancer〕、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌腫、膵島腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌腫、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、希少血液障害、転移性腎癌、横紋筋肉腫様腫瘍、横紋筋肉腫〔rhabdomysarcoma〕、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌〔stomach cancer〕、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌腫、胸腺腫、甲状腺転移性癌ならびに子宮癌であり、任意選択で、癌は化学療法抵抗性である。
【0044】
いくつかの実施形態では、疾患または状態は、B細胞リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、リヒター症候群、バーキットリンパ腫または濾胞性リンパ腫から選択される血液癌である。
【0045】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される方法は、対象に1つまたは複数の治療剤の治療上有効な量を投与することを含む。いくつかの実施形態では、前記治療剤は、化学療法剤、放射線療法剤、ホルモン治療剤、毒素または免疫療法剤である。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤はPD-L1アンタゴニストである。
【0048】
いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストは、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片である。
【0049】
いくつかの実施形態では、投与は、経口、経鼻、静脈内、皮下、舌下または筋肉内投与による。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記方法は、化学療法、免疫療法、放射線療法、ホルモン療法および外科手術からなる群から選択される1つまたは複数の追加の癌治療の投与をさらに含む。
【0051】
一態様では、本開示は、CD276を発現する細胞においてCD276活性を調節する方法であって、CD276を発現する細胞を、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片に対して曝露することを含む方法を提供する。
【0052】
一態様では、本開示は、サンプル中のCD276の存在または量を検出する方法であって、サンプルを、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、サンプル中のCD276の存在または量を決定することとを含む方法を提供する。
【0053】
一態様では、本開示は、対象におけるCD276関連疾患または状態を診断する方法であって、a)対象からサンプルを得ることと、b)対象から得られたサンプルを、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、c)サンプル中のCD276の存在または量を決定することと、d)CD276の存在または量を、対象におけるCD276関連疾患または状態の存在または状況と相関させることとを含む方法を提供する。
【0054】
一態様では、本開示は、対象におけるCD276関連疾患または状態を処置するための医薬の製造における、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0055】
いくつかの実施形態では、医薬は第2の治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、第2の治療剤は、化学療法剤、放射線療法剤、ホルモン療法剤、毒素または免疫療法剤である。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2の治療剤はPD-L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-L1アンタゴニストは、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片である。
【0057】
一態様では、本開示は、CD276関連疾患または状態を診断するための診断用試薬の製造における、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片の使用を提供する。
【0058】
一態様では、本開示は、CD276、任意選択で、組換えCD276、細胞表面に発現されたCD276またはCD276を発現する細胞の検出において有用な、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片を含むキットを提供する。
【0059】
一態様では、本開示は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域およびTCRシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)であって、抗原結合ドメインが、CD276と特異的に結合し、本明細書において提供される抗原結合断片を含む、キメラ抗原受容体(CAR)を提供する。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、FabまたはscFvである。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるCARは二重特異性である。
【0061】
いくつかの実施形態では、CARは、CD276以外の第2の抗原またはCD276上の第2のエピトープとさらに特異的に結合可能である。いくつかの実施形態では、第2の抗原は腫瘍抗原である。
【0062】
いくつかの実施形態では、TCRシグナル伝達ドメインは、CD3ζ、FccRIγ、CD27、CD28、CD137、CD134、MyD88、CD40、CD278、TLRまたはそれらの組合せの細胞内シグナル領域配列からなる群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、CD3、CD4、CD8またはCD28の膜貫通領域を含む。
【0064】
一態様では、本開示は、本明細書において提供されるキメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を提供する。一態様では、本開示は、本明細書において提供される核酸配列を含む細胞を提供する。
【0065】
一態様では、本開示は、本明細書において提供されるCARを発現するように遺伝子改変された細胞を提供する。
【0066】
いくつかの実施形態では、細胞は免疫細胞であり、任意選択で、免疫細胞は、Tリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージまたはNKTリンパ球である。
【0067】
一態様では、本開示は、本明細書において提供される核酸配列を含むベクターを提供する。
【0068】
一態様では、本開示は、哺乳動物においてCD276を発現する細胞または組織に対するT細胞媒介性免疫応答を刺激するための方法であって、哺乳動物に、本明細書において提供されるCARを発現するように遺伝子改変された細胞の有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0069】
一態様では、本開示は、CD276関連疾患または状態を有する哺乳動物を処置する方法であって、哺乳動物に、本明細書において提供される細胞の有効量を投与し、それによって哺乳動物を処置することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、細胞は自己T細胞である。
【0070】
いくつかの実施形態では、CD276関連疾患または状態は、癌である。
【0071】
いくつかの実施形態では、哺乳動物はヒト対象である。
【0072】
一態様では、本開示は、哺乳動物においてCD276を発現する細胞または組織に対するT細胞媒介性免疫応答を刺激するための医薬の製造における、本明細書において提供されるCARを発現するように遺伝子改変された細胞の使用を提供する。
【0073】
一態様では、本開示は、CD276関連疾患または状態を有する哺乳動物を処置するための医薬の製造における、本明細書において提供される細胞の使用を提供する。
【0074】
図面は例示のみを目的としており、限定を目的とするものではない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【
図1】
図1は、FAC解析によって測定された、SKOV3細胞に対する本明細書において提供される抗CD276抗体の結合親和性を示す。
【
図2】
図2A~2Eは、FACS解析によって測定された、B7H3を発現するいくつかの癌細胞株に対する6-D8-E7-A11の結合を示す。
【
図3】
図3A~
図3Cは、SKOV3細胞に対する本明細書において提供される抗CD276抗体のADCC効果を示す。
【
図4】
図4Aおよび
図4Bは、CHO-S-hCD276細胞に対する本明細書において提供される抗CD276抗体のCDC効果を示す。
【
図5-1】
図5A~
図5Cは、SKOV3細胞に対する本明細書において提供される抗CD276抗体の間接的なADC細胞傷害効果を示す。
【
図5-2】
図5Dおよび
図5Eは、SKOV3細胞に対する本明細書において提供される抗CD276抗体の間接的なADC細胞傷害効果を示す。
【
図6】
図6は、MC-38-hCD276(B7H3)腫瘍細胞を接種したマウスモデルにおける腫瘍成長を阻害する際の、本明細書において提供される抗CD276抗体のin vivo有効性を示す。
【
図7】
図7は、balb/cヌードマウスの皮下calu-6モデルにおける腫瘍成長に対する効果を示す(平均±sem)。
【
図8】
図8は、MLRアッセイにおけるT細胞活性化によるIL2放出を示す。
【
図9】
図9は、MLRアッセイにおけるT細胞活性化によるIFNγ放出を示す。
【
図10】
図10は、30-C7-C11-D4に由来するヒト化抗体のSKOV3に対する結合親和性を示す。
【
図11】
図11は、10-G6-C4-B2に由来するヒト化抗体のSKOV3に対する結合親和性を示す。
【
図12】
図12は、Balb/cヌードマウスの皮下Calu-6モデルにおける腫瘍成長に対する効果を示す(平均±SEM)。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本開示の以下の説明は、単に、本開示の種々の実施形態を例示するよう意図される。そのようなものとして、論じられる特定の改変は、本開示の範囲に対する制限と解釈されてはならない。本開示の範囲から逸脱することなく、種々の等価物、変法および改変が行われ得ることは当業者には明らかであり、また、このような同等な実施形態は、本明細書に含まれるべきであるということが理解される。刊行物、特許および特許出願を含む本明細書において引用されたすべての参考文献は、参照によりその全文で本明細書に組み込まれる。
【0077】
定義
用語「抗体」は、本明細書において、特異的抗原と結合する任意の免疫グロブリン、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多価抗体、二価特異性または一価抗体を含む。天然の無傷の抗体は、2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む。哺乳動物重鎖は、α、δ、ε、γおよびμとして分類され、各重鎖は、可変領域(VH)およびa第1の、第2の、および第3の定常領域(それぞれ、CH1、CH2、CH3)からなり、哺乳動物軽鎖は、λまたはκとして分類され、各軽鎖は、可変領域(VL)および定常領域からなる。抗体は、「Y」型を有し、Yのステムは、ジスルフィド結合を介して一緒に結合している2つの重鎖の第2および第3の定常領域からなる。Yの各アームは、単一軽鎖の可変および定常領域と結合している単一重鎖の可変領域および第1の定常領域を含む。軽鎖および重鎖の可変領域は、抗原結合に関与している。両鎖中の可変領域は、一般に、相補性決定領域(CDR)(LCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖CDR、HCDR1、HCDR2、およびHCDR3を含む重鎖CDR)と呼ばれる3つの高度可変ループを含有する。本明細書において開示される抗体および抗原結合ドメインのCDR境界は、Kabat、IMGT、AbM、ChothiaまたはAl-Lazikaniの慣習(Al-Lazikani,B.,Chothia,C.,Lesk,A.M.,J.Mol.Biol.,273(4),927(1997);Chothia,C.et al.,J Mol Biol.Dec 5;186(3):651-63(1985);Chothia,C.and Lesk,A.M.,J.Mol.Biol.,196,901(1987);N.R.Whitelegg et al,Protein Engineering,v13(12),819-824(2000);Chothia,C.et al.,Nature.Dec 21-28;342(6252):877-83(1989);Kabat E.A.et al.,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991);Marie-Paule Lefranc et al,Developmental and Comparative Immunology,27:55-77(2003);Marie-Paule Lefranc et al,Immunome Research,1(3),(2005);Marie-Paule Lefranc,Molecular Biology of B cells(second edition),chapter 26,481-514,(2015))によって定義または同定され得る。3つのCDRは、CDRよりもより高度に保存され、超可変ループを支持するスキャフォールドを形成するフレームワーク領域(FR)として知られる、両端に位置するストレッチの間に挿入されている。重鎖および軽鎖の定常領域は、抗原結合に関与しないが、種々のエフェクター機能を示す。抗体は、その重鎖の定常領域のアミノ酸配列に基づいてクラスに割り当てられる。抗体の5種の主要なクラスまたはアイソタイプとして、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMがあり、これらは、α、δ、ε、γおよびμ重鎖それぞれの存在を特徴とする。主要な抗体クラスのうちいくつかは、IgG1(γ1重鎖)、IgG2(γ2重鎖)、IgG3(γ3重鎖)、IgG4(γ4重鎖)、IgA1(α1重鎖)またはIgA2(α2重鎖)などのサブクラスに分割される。
【0078】
用語「抗体分子」とは、本明細書において、少なくとも1つの抗体断片(CDRおよび/または可変領域配列など)を含む抗原結合タンパク質またはポリペプチドを指す。抗体分子として、例えば、モノクローナル抗体、抗体断片またはドメイン、抗体断片またはドメインを含む融合タンパク質、抗体断片またはドメインを含むポリペプチド複合体などが挙げられる。
【0079】
用語「抗原結合ドメイン」(例えば、CD276結合ドメイン)とは、本明細書において、1つもしくは複数のCDRを含む抗体の一部から形成される抗体断片または抗原と結合するが無傷の天然抗体構造を含まない任意の他の抗体断片を指す。抗原結合ドメインの例として、制限するものではないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ジスルフィド安定化Fv断片(dsFv)、(dsFv)2、一本鎖抗体分子(scFv)、ラクダ化単一ドメイン抗体、ナノボディー、ドメイン抗体および二価ドメイン抗体が挙げられる。抗原結合ドメインは、親抗体が結合する同一抗原と結合可能である。特定の実施形態では、抗原結合ドメインは、1つまたは複数の異なるヒト抗体からのフレームワーク領域にグラフトされた特定のヒト抗体からの1つまたは複数のCDRを含み得る。抗原結合ドメインのより詳細なフォーマットについては、Spiess et al,2015およびBrinkman et al.,mAbs,9(2),pp.182-212(2017)に記載されており、これらは参照によりその全文で本明細書に組み込まれる。
【0080】
抗体に関して「Fab」とは、ジスルフィド結合によって単一重鎖の可変領域および第1の定常領域と結合している単一軽鎖(可変および定常領域の両方)からなる抗体の部分を指す。
【0081】
「Fab’」とは、ヒンジ領域の部分を含むFab断片を指す。
【0082】
「F(ab’)2」とは、Fab’の二量体を指す。
【0083】
抗体に関して「断片ディフィカルト〔fragment difficult〕(Fd)」とは、軽鎖と結合してFabを形成することができる重鎖断片のアミノ末端半分を指す。例えば、Fd断片はVHおよびCH1ドメインからなり得る。
【0084】
抗体に関して「Fv」とは、完全な抗原結合部位を有する抗体の最小断片を指す。Fv断片は、単一重鎖の可変領域と結合している単一軽鎖の可変領域からなる。dsFvを含む多数のFv設計が提供されており、2つのドメイン間の会合が導入されたジスルフィド結合によって増強され、scFvは、単一ポリペプチドとして一緒に2つのドメインに結合するようにペプチドリンカーを使用して形成され得る。対応する免疫グロブリン重鎖または軽鎖の可変ドメインおよび定常ドメインに会合した免疫グロブリン重鎖または軽鎖の可変ドメインを含むFv構築物も作製されている。
【0085】
「一本鎖Fv抗体」または「scFv」とは、互いに直接またはペプチドリンカー配列を介して接続している軽鎖可変領域および重鎖可変領域からなる遺伝子操作された抗体を指す(Huston JS et al.Proc Natl Acad Sci USA、85:5879(1988))。
【0086】
「dsFv」とは、単一軽鎖の可変領域と単一重鎖の可変領域との間の連結がジスルフィド結合である、ジスルフィド安定化Fv断片を指す。いくつかの実施形態では、「(dsFv)2」または「(dsFv-dsFv’)」は、3つのペプチド鎖:ジスルフィド橋を介して、ペプチドリンカー(例えば、長い可動性リンカー)によって連結され、それぞれ2つのVL部分と結合している2つのVH部分を含む。いくつかの実施形態では、dsFv-dsFv’は、各ジスルフィド対形成された重鎖および軽鎖が、異なる抗原特異性を有する二重特異性である。
【0087】
抗体に関して「Fc」とは、ジスルフィド結合を介して第2の重鎖の第2および第3の定常領域と結合している、第1の重鎖の第2および第3の定常領域からなる抗体の部分を指す。抗体のFc部分は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)などの種々のエフェクター機能に関与するが、抗原結合における機能に関与しない。
【0088】
「ラクダ化された単一ドメイン抗体」、「重鎖抗体」または「HCAb」とは、2つのVHドメインを含有し、軽鎖を含有しない抗体を指す(Riechmann L.and Muyldermans S.,J Immunol Methods.Dec 10;231(1-2):25-38(1999);Muyldermans S.,J Biotechnol.Jun;74(4):277-302(2001);WO94/04678;WO94/25591;米国特許第6,005,079号)。重鎖抗体は、元々、ラクダ科〔Camelidae〕(ラクダ、ヒトコブラクダおよびラマ)に由来していた。ラクダ化抗体は、軽鎖を欠くが、信頼のおける抗原結合レパートリーを有する(Hamers-Casterman C.et al.,Nature.Jun 3;363(6428):446-8(1993);Nguyen VK.et al.“Heavy-chain antibodies in Camelidae;a case of evolutionary innovation,”Immunogenetics.Apr;54(1):39-47(2002);Nguyen VK.et al.Immunology.May;109(1):93-101(2003))。重鎖抗体の可変ドメイン(VHHドメイン)は、適応免疫応答によって生じた最小の既知抗原結合単位に相当する(Koch-Nolte F.et al.,FASEB J.Nov;21(13):3490-8.Epub 2007 Jun 15 (2007))。
【0089】
「ナノボディー」とは、重鎖抗体に由来するVHHドメインおよび2つの定常ドメイン、CH2およびCH3からなる抗体断片を指す。
【0090】
「ドメイン抗体」とは、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する抗体断片を指す。特定の例では、2つまたはそれ以上のVHドメインは、ペプチドリンカーと共有結合によって結合されて、二価または多価ドメイン抗体を作製する。二価ドメイン抗体の2つのVHドメインは、同一または異なる抗原を標的とし得る。
【0091】
用語「キメラ」とは、本明細書において、ある種に由来する重鎖および/または軽鎖の一部ならびに別の種に由来する重鎖および/または軽鎖の残りを有する抗体または抗原結合ドメインを意味する。例示的例では、キメラ抗体は、ヒトに由来する定常領域およびマウスなどの非ヒト種に由来する可変領域を含み得る。いくつかの実施形態では、非ヒト動物は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、モルモットまたはハムスターである。
【0092】
用語「ヒト化」とは、本明細書において、抗体または抗原結合ドメインが、非ヒト動物に由来するCDR、ヒトに由来するFR領域、適用可能な場合には、ヒトに由来する定常領域を含むことを意味する。
【0093】
用語「作動可能に連結している」または「作動可能に連結された」とは、スペーサーもしくはリンカーまたは介在配列の有無にかかわらず、2つ以上の目的の生物学的配列が意図した様式で機能することを可能にする関係にあるような2つ以上の目的の生物学的配列の並置を指す。ポリペプチドに関して使用される場合、連結された生成物が意図した生物学的機能を有することを可能にするようにポリペプチド配列が連結されていることを意味することを意図する。例えば、抗体可変領域は、抗原結合活性を有する安定な生成物を提供するために、定常領域に作動可能に連結され得る。別の例として、抗原結合ドメインは、それらの間に介在配列を介して別の抗原結合ドメインに作動可能に連結され得、そのような介在配列はスペーサーであってもよいか、または抗体の定常領域などの非常により長い配列を含んでもよい。この用語はまた、ポリヌクレオチドに関しても使用され得る。一例として、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー配列など)に作動可能に連結している場合、ポリヌクレオチドからのポリペプチドの調節された発現を可能にするようにポリヌクレオチド配列が連結していることを意味することを意図する。
【0094】
用語「融合」または「融合した」とは、アミノ酸配列(例えば、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質)に関して使用される場合、例えば、化学結合または組換え手段による、2つ以上のアミノ酸配列の、自然に存在しない単一アミノ酸への結合を指す。融合アミノ酸配列は、2つのコード化ポリヌクレオチド配列の遺伝子組換えによって生成することができ、組換えポリヌクレオチドを含む構築物を宿主細胞に導入する方法によって発現させることができる。
【0095】
「抗原」とは、本明細書において、細胞培養物または動物における抗体の産生またはT細胞応答を刺激することができる化合物、組成物、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質または物質を指し、細胞培養物(ハイブリドーマなど)に加えられるか、または動物に注射もしくは吸収される組成物(癌特異的タンパク質を含むものなど)を含む。抗原は、異種抗原によって誘導されるものを含む、特定の体液性免疫または細胞性免疫の生成物(抗体など)と反応する。
【0096】
用語「CD276タンパク質」または「B7-H3タンパク質」は、本明細書において、任意の形態のCD276、例えば、1)天然の非プロセシングCD276分子、「全長」CD276鎖または例えば、スプライス変異体もしくは対立遺伝子変異体を含むCD276の天然に存在する変異体、2)細胞におけるプロセシングに起因する任意の形態のCD276または3)組換え法によって作製されたCD276サブユニットの全長、断片(例えば、末端切断形態、細胞外/膜貫通型ドメイン)または修飾された形態(例えば、変異形態、グリコシル化/PEG化、Hisタグ/免疫蛍光融合された形態)を包含するものとする。
【0097】
用語「抗CD276抗体」、「抗CD276結合ドメイン」または「CD276結合ドメイン」とは、CD276(例えば、ヒト、サルまたはマウスCD276)と特異的に結合可能である抗体または抗原結合ドメインを指す。
【0098】
用語「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、本明細書において、例えば、抗体および抗原の間などの2つの分子間の非ランダム結合反応を指す。
【0099】
組換えCD276または細胞の表面上に発現されたCD276への抗体の結合は、「半数最大有効濃度」(EC50)値によって表すこともでき、これは、その最大効果(例えば、結合または阻害など)の50%が観察される抗体の濃度を指す。EC50値は、当技術分野で公知の方法、例えば、ELISAなどのサンドイッチアッセイ、ウエスタンブロット、フローサイトメトリーアッセイおよびその他の結合アッセイによって測定できる。特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体およびその断片は、フローサイトメトリーによって0.05nM以下、0.06nM以下、0.07nM以下、0.08nM以下、0.09nM以下、0.1nM以下、0.2nM以下、0.3nM以下、0.4nM以下、0.5nM以下、0.6nM以下、0.7nM以下、0.8nM以下、0.9nM以下、1nM以下、1.5nM以下、2nM以下、2.5nM以下、3.5nM以下、3nM以下、4nM以下、4.5nM以下、5nM以下、6nM以下、7nM以下、8nM以下、9nM以下または10nM以下のEC50(すなわち、50%結合濃度)で組換えヒトCD276と特異的に結合する。
【0100】
「結合を遮断する」または「同一エピトープについて競合する」能力とは、本明細書において、抗体または抗原結合ドメインの、2つの分子(例えば、ヒトCD276およびその結合リガンド、例えば、TLT-2)の間の結合相互作用を、任意の検出可能な程度に阻害する能力を指す。特定の実施形態では、2つの分子間の結合を遮断する抗体または抗原結合ドメインは、2つの分子間の結合相互作用を少なくとも85%または少なくとも90%阻害する。特定の実施形態では、この阻害は、85%超または90%超であり得る。
【0101】
用語「エピトープ」は、本明細書において、抗体が結合する、抗原上の原子またはアミノ酸の特定の群を指す。エピトープは、連続アミノ酸(線状エピトープまたは連続エピトープとも呼ばれる)またはタンパク質の三次フォールディングによって並置された非連続アミノ酸(立体配置エピトープまたは立体構造エピトープとも呼ばれる)の両方から形成され得る。連続アミノ酸から形成されたエピトープは、典型的には、タンパク質上の一次アミノ酸残基に沿って線状に配置されており、連続アミノ酸の小さなセグメントは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と結合している抗原から消化され得るか、または変性溶媒に曝露されても保持され得るが、三次フォールディングによって形成されたエピトープは、典型的には、変性溶媒で処理すると喪失される。エピトープは、典型的には、少なくとも3個、より通常は少なくとも5個、約7個または約8~10個のアミノ酸を独特の空間構造で含む。2種の抗体は、抗原について競合結合を示す場合には、抗原内の同一または密接に関連するエピトープと結合し得る。例えば、抗体または抗原結合ドメインが、参照抗体の抗原への結合を少なくとも85%または少なくとも90%または少なくとも95%遮断する場合、抗体または抗原結合ドメインは、参照抗体と同じ/密接に関連したエピトープに結合すると考えられ得る。
【0102】
「保存的置換」とは、アミノ酸配列に関して、アミノ酸残基を、同様の生理化学的特性を有する側鎖を有する異なるアミノ酸残基と置換することを指す。例えば、保存的置換は、疎水性側鎖を有するアミノ酸残基(例えば、Met、Ala、Val、LeuおよびIle)の間で、中性親水性側鎖を有する残基(例えば、Cys、Ser、Thr、AsnおよびGln)の間で、酸性側鎖を有する残基(例えば、Asp、Glu)の間で、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、His、LysおよびArg)の間で、または芳香族側鎖を有する残基(例えば、Trp、TyrおよびPhe)の間で行われ得る。当技術分野で公知であるように、保存的置換は、通常、タンパク質のコンホメーション構造において重大な変化を引き起こさず、したがって、タンパク質の生物活性を保持し得る。
【0103】
用語「相同体」および「相同な」とは、本明細書において、互換的であり、最適にアラインされた場合に別の配列に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有する核酸配列(またはその相補鎖)またはアミノ酸配列を指す。
【0104】
「配列同一性パーセント(%)」とは、アミノ酸配列(または核酸配列)に関して、配列をアラインし、必要に応じて、ギャップを導入して、同一アミノ酸(または核酸)の最大数を達成した後に、参照配列中のアミノ酸(または核酸)残基に対して同一である、候補配列中のアミノ酸(または核酸)残基のパーセントとして定義される。アミノ酸残基の保存的置換は、同一残基と考えられる場合も、考えられない場合もある。アミノ酸(または核酸)配列同一性パーセントを決定する目的のアラインメントは、例えば、BLASTN、BLASTp(U.S.National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイトで入手可能、Altschul S.F.et al,J. Mol.Biol.,215:403-410(1990);Stephen F.et al,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402(1997)も参照のこと)、ClustalW2(European Bioinformatics Instituteのウェブサイトで入手可能、Higgins D.G.et al,Methods in Enzymology,266:383-402(1996);Larkin M.A.et al,Bioinformatics(Oxford,England),23(21):2947-8(2007)も参照のこと)およびALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なツールを使用することによって達成できる。当業者は、ツールによって提供されたデフォルトパラメータを使用してもよく、またはアラインメントのために必要に応じて、例えば、適したアルゴリズムを選択することなどによって、パラメータをカスタマイズしてもよい。
【0105】
「エフェクター機能」とは、本明細書において、抗体のFc領域の、そのエフェクター、例えばC1複合体、Fc受容体およびエフェクター細胞(例えば、マクロファージ)との結合に起因する生物学的活性を指す。例示的エフェクター機能として、抗体と、C1複合体上のC1qとの相互作用によって誘導される補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体のFc領域の、エフェクター細胞上のFc受容体との結合によって誘導される抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、および抗体のFc領域の、食作用との結合によって誘導される抗体依存性細胞食作用(ADCP)が挙げられる。Fc-CH2ドメイン内の保存された二分岐グリカンに関連する特定のグリカン構造が、ADCCおよびADCPを媒介するFcyRとの相互作用ならびにCDCをもたらす最初の結合事象であるClq結合との相互作用に強い影響を与え得ることが十分に確立されている(Reusch D,Tejada ML.Fc glycans of therapeutic antibodies as critical quality attributes.Glycobiology 2015;25:1325-34を参照のこと)。
【0106】
状態の「処置すること」または「処置」とは、本明細書において、状態を予防することもしくは軽減すること、状態の発症もしくはその発生の速度を減速すること、状態の発生のリスクを低減すること、状態と関連する症状の発生を予防もしくは遅延すること、状態と関連する症状を低減もしくは終結させること、状態の完全または部分退縮をもたらすこと、状態を治癒することまたはそれらのいくつかの組合せを含む。
【0107】
用語「対象」または「個体」または「動物」または「患者」とは、本明細書において、疾患または障害の診断、予後、改善、予防および/または処置を必要とする、哺乳動物または霊長類を含むヒトまたは非ヒト動物を指す。哺乳動物対象として、ヒト、サル、飼育動物、家畜およびイヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ブタ、ウシ、クマなどの動物園、競技用またはペットの動物が挙げられる。
【0108】
用語「ベクター」とは、本明細書において、タンパク質をコードするポリヌクレオチドが、そのタンパク質の発現を引き起こすように作動可能に挿入され得る媒体を指す。ベクターは、宿主細胞内に運ぶ遺伝要素の発現を引き起こすように、宿主細胞を形質転換、形質導入またはトランスフェクトするために使用され得る。ベクターの例として、プラスミド、ファージミド、コスミド、および酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1由来人工染色体(PAC)などの人工染色体、λファージまたはM13ファージなどのバクテリオファージおよび動物ウイルスが挙げられる。ベクターとして使用される動物ウイルスのカテゴリーとして、レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルス)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルスおよびパポーバウイルス(例えば、SV40)が挙げられる。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択可能要素およびリポーター遺伝子を含む、発現を制御するための種々のエレメントを含有し得る。さらに、ベクターは、複製起点を含有し得る。ベクターはまた、限定されるものではないが、ウイルス粒子、リポソームまたはタンパク質コーティングを含む、細胞へのその侵入を補助するための材料を含み得る。ベクターは、発現ベクターまたはクローニングベクターであり得る。
【0109】
語句「宿主細胞」とは、本明細書において、外因性ポリヌクレオチドおよび/またはベクターが導入されている細胞を指す。
【0110】
「CD276関連疾患または状態」とは、本明細書において、CD276の発現または活性の増大または減少によって引き起こされる、増悪される、そうでなければ、関連している任意の疾患または状態を指す。いくつかの実施形態では、CD276関連状態として、免疫関連障害、例えば、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患または感染性疾患などがある。
【0111】
「癌」とは、本明細書において、悪性細胞成長または新生物、異常な増殖、浸潤または転移を特徴とする任意の医学的状態を指し、固形腫瘍および非固形癌(血液悪性腫瘍)、例えば、白血病の両方を含む。本明細書において、「固形腫瘍」とは、新生物および/または悪性細胞の固体塊を指す。癌または腫瘍の例として、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞巣状軟部肉腫、星状膠細胞腫瘍、膀胱癌、骨癌、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌腫、明細胞癌腫、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成症、胆嚢または胆管癌、胃癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌腫、膵島腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌腫、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、希少血液障害、転移性腎癌、横紋筋肉腫様腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌腫、胸腺腫、甲状腺転移性癌ならびに子宮癌が挙げられる。
【0112】
特定の実施形態では、血液悪性腫瘍として、B細胞リンパ腫、任意選択で、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、リヒター症候群、バーキットリンパ腫または濾胞性リンパ腫が挙げられる。
【0113】
特定の実施形態では、癌は、胃癌、乳癌、頭頸部癌、膵臓癌および結腸癌から選択される。特定の実施形態では、癌は、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫およびB細胞リンパ腫から選択される。
【0114】
特定の実施形態では、癌は化学療法抵抗性である。用語「化学療法抵抗性癌」とは、本明細書において、化学療法の効果に反応しない癌の種類を指す。例えば、化学療法または異なる化学療法の組合せに反応していた癌が、突然成長し始めることを化学療法抵抗性癌と呼ぶことがある。
【0115】
用語「医薬上許容される」は、指定された担体、ビヒクル、希釈剤、賦形剤(複数可)および/または塩が、一般に、製剤を含むその他の成分と化学的におよび/または物理的に適合しており、そのレシピエントと生理学的に適合していることを示す。
【0116】
抗CD276抗体
本開示は、抗CD276抗体である9-E8-F9-C10、10-G6-C4-B2、18-F9-D8-G7、9-G2-H6-E4、20-F8-B5-G2、30-C7-C11-D4、23-F10-G4-F11、6-H11-G5-D8、27-E7-D8-C7、30-E2-G7-G7、5-D1-G6-D9、3-C2-C3-E7、11-G10-B4-B11、16-C6-F7-F5、22-E11-C3-F2、24-C10-F9-G7、25-C8-D7-C5、4-D5-B9-B11、10-B9-D10-A12、15-G1-D1-E3、8-B4-F5-E11、6-F3-G2-G1、9-B9-H11-G7、9-G12-D6-A11、13-A8-C4-G1、15-C8-B5-G7、28-G2-E6-B10、3-G7-D8-D3、14-E7-G9-D4、20-C5-D7-D3、8-C3-E3-F3、2-A7-B10-A3、26-D2-D6-B12、11-C12-F4-F6、16-G3-D10-C10、27-F8-E10-E11、7-E1-F8-F6、25-D3-G4-C6、13-E4-G9-A4、20-A2-D10-G8、3-F2-E7-F9、6-D8-E7-A11および21-B3-B1-H5の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5または6個)のCDR配列を含む抗CD276抗体およびその抗原結合断片を提供する。特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、CD276と特異的に結合可能である。任意選択で、CD276はヒト、サルまたはマウスに由来する。特定の実施形態では、CD276は、組換えCD276または細胞表面上に発現されたCD276である。
【0117】
本明細書において提供される抗CD276抗体およびその抗原結合断片のすべては、マウスモノクローナル抗体である。表1は、IMGTナンバリングシステムに従うこれらの43個の抗CD276抗体のCDR配列を示す。重鎖および軽鎖可変領域配列もまた、以下に提供する。
【0118】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0119】
9-E8-F9-C10、10-G6-C4-B2、18-F9-D8-G7、9-G2-H6-E4、20-F8-B5-G2、30-C7-C11-D4、23-F10-G4-F11、6-H11-G5-D8、27-E7-D8-C7、30-E2-G7-G7、5-D1-G6-D9、3-C2-C3-E7、11-G10-B4-B11、16-C6-F7-F5、22-E11-C3-F2、24-C10-F9-G7、25-C8-D7-C5、4-D5-B9-B11、10-B9-D10-A12、15-G1-D1-E3、8-B4-F5-E11、6-F3-G2-G1、9-B9-H11-G7、9-G12-D6-A11、13-A8-C4-G1、15-C8-B5-G7、28-G2-E6-B10、3-G7-D8-D3、14-E7-G9-D4、20-C5-D7-D3、8-C3-E3-F3、2-A7-B10-A3、26-D2-D6-B12、11-C12-F4-F6、16-G3-D10-C10、27-F8-E10-E11、7-E1-F8-F6、25-D3-G4-C6、13-E4-G9-A4、20-A2-D10-G8、3-F2-E7-F9、6-D8-E7-A11および21-B3-B1-H5抗体の重鎖または軽鎖可変領域配列は、表2に提供される。
【0120】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【0121】
CDRは、抗原結合と関与しているとわかっているが、6CDRのすべてが、不可欠である、または不変であるのではないということがわかっている。言い換えれば、抗CD276抗体9-E8-F9-C10、10-G6-C4-B2、18-F9-D8-G7、9-G2-H6-E4、20-F8-B5-G2、30-C7-C11-D4、23-F10-G4-F11、6-H11-G5-D8、27-E7-D8-C7、30-E2-G7-G7、5-D1-G6-D9、3-C2-C3-E7、11-G10-B4-B11、16-C6-F7-F5、22-E11-C3-F2、24-C10-F9-G7、25-C8-D7-C5、4-D5-B9-B11、10-B9-D10-A12、15-G1-D1-E3、8-B4-F5-E11、6-F3-G2-G1、9-B9-H11-G7、9-G12-D6-A11、13-A8-C4-G1、15-C8-B5-G7、28-G2-E6-B10、3-G7-D8-D3、14-E7-G9-D4、20-C5-D7-D3、8-C3-E3-F3、2-A7-B10-A3、26-D2-D6-B12、11-C12-F4-F6、16-G3-D10-C10、27-F8-E10-E11、7-E1-F8-F6、25-D3-G4-C6、13-E4-G9-A4、20-A2-D10-G8、3-F2-E7-F9、6-D8-E7-A11および21-B3-B1-H5中の1つまたは複数のCDRを置き換える、または変更する、または修飾するが、CD276に対する特異的結合親和性を実質的に保持することが可能である。
【0122】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体および抗原結合断片は、抗CD276抗体9-E8-F9-C10、10-G6-C4-B2、18-F9-D8-G7、9-G2-H6-E4、20-F8-B5-G2、30-C7-C11-D4、23-F10-G4-F11、6-H11-G5-D8、27-E7-D8-C7、30-E2-G7-G7、5-D1-G6-D9、3-C2-C3-E7、11-G10-B4-B11、16-C6-F7-F5、22-E11-C3-F2、24-C10-F9-G7、25-C8-D7-C5、4-D5-B9-B11、10-B9-D10-A12、15-G1-D1-E3、8-B4-F5-E11、6-F3-G2-G1、9-B9-H11-G7、9-G12-D6-A11、13-A8-C4-G1、15-C8-B5-G7、28-G2-E6-B10、3-G7-D8-D3、14-E7-G9-D4、20-C5-D7-D3、8-C3-E3-F3、2-A7-B10-A3、26-D2-D6-B12、11-C12-F4-F6、16-G3-D10-C10、27-F8-E10-E11、7-E1-F8-F6、25-D3-G4-C6、13-E4-G9-A4、20-A2-D10-G8、3-F2-E7-F9、6-D8-E7-A11および21-B3-B1-H5のうちの1種の重鎖CDR3配列を含む。特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体および抗原結合断片は、配列番号3、11、19、27、35、43、51、59、67、75、83、91、99、107、115、123、131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283、291、299、307、315、323、331および339からなる群から選択される重鎖CDR3配列を含む。重鎖CDR3領域は、抗原結合部位の中心に位置し、したがって、抗原と最も接触し、抗体の抗原に対する親和性に最も自由なエネルギーを提供すると考えられる。また、重鎖CDR3は、複数の多様化機序(Tonegawa S.Nature.302:575-81)によって長さ、アミノ酸組成およびコンホメーションの点で、抗原結合部位のうち群を抜いて最も多様なCDRであると考えられる。重鎖CDR3の多様性は、ほとんどの抗体特異性(Xu JL,Davis MM.Immunity.13:37-45)ならびに望ましい抗原結合親和性(Schier R,etc.J Mol Biol.263:551-67)をもたらすのに十分である。
【0123】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体および/またはその抗原結合断片は、抗体および/またはその抗原結合断片が、CD276と特異的に結合できる限り、適したフレームワーク領域(FR)配列を含む。表1に提供されるCDR配列は、マウス抗体から得られるが、それらは、当技術分野で公知の適した方法、例えば、組換え技術を使用して任意の適した種、例えば、中でもマウス、ヒト、ラット、ウサギの任意の適したFR配列にグラフトできる。
【0124】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体および/またはその抗原結合断片は、PTM最適化される。本明細書において使用される場合、PTM最適化とは、潜在的な凝集、活性喪失または他のリスクを回避することを目的とした翻訳後修飾を指す。例示的なPTM最適化抗体および/またはその抗原結合断片として、10-G6-C4-B2および30-C7-C11-D4にそれぞれ由来するmVH5-mVL4-10およびmVH-mVL1-30が挙げられる。mVH5-mVL4-10およびmVH-mVL1-30の可変領域配列は表3に示され、すべてのCDR領域に下線が引かれている。
【0125】
【0126】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体および/またはその抗原結合断片は、ヒト化されたものである。ヒト化抗体または抗原結合断片は、ヒトにおけるその低減された免疫原性において望ましい。ヒト化抗体は、非ヒトCDR配列が、ヒトまたは実質的にヒトFR配列にグラフトされるので、その可変領域においてキメラである。抗体または抗原結合断片のヒト化は、ヒト免疫グロブリン遺伝子において非ヒト(マウスなど)CDR遺伝子を、対応するヒトCDR遺伝子と置換することによって本質的に実施できる(例えば、Jones et al.(1986)Nature 321:522-525;Riechmann et al.(1988)Nature 332:323-327;Verhoeyen et al.(1988)Science 239:1534-1536を参照のこと)。
【0127】
当技術分野で公知の方法を使用して、適したヒト重鎖および軽鎖可変ドメインを選択して、この目的を達成できる。例示的例では、「ベストフィット」アプローチを使用でき、非ヒト(例えば、げっ歯類)抗体可変ドメイン配列を、既知ヒト可変ドメイン配列のデータベースに対してスクリーニングまたはBLASTし、非ヒトクエリー配列に対して最も近いヒト配列を同定し、非ヒトCDR配列をグラフトするためのヒトスキャフォールドとして使用する(例えば、Sims et al、(1993)J. Immunol.151:2296;Chothia et al.(1987)J.Mot.Biol.196:901を参照のこと)。あるいは、すべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワークを、非ヒトCDRのグラフトのために使用してもよい(例えば、Carter et al.(1992)Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:4285;Presta et al.(1993)J.Immunol.,151:2623を参照のこと)。特定の実施形態では、本明細書において提供されるヒト化抗体または抗原結合断片は、非ヒトであるCDR配列を除いて、実質的にすべてのヒト配列から構成されている。いくつかの実施形態では、可変領域FRおよび存在する場合には定常領域は、完全に、または実質的に、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒトFR配列およびヒト定常領域配列、例えば、あるヒト抗体に由来するFR配列および別のヒト抗体に由来する定常領域は、異なるヒト免疫グロブリン遺伝子に由来する場合もある。
【0128】
以下の表4は、hVH2-hVL1-10、hVH3-hVL3-10、hVH4-hVL1-10、hVH4-hVL2-10、hVH5-hVL1-10、hVH5-hVL3-10、10-G6-C4-B2_hVH2-VL1_PTM、10-G6-C4-B2_hVH3-VL3_PTM、10-G6-C4-B2_hVH4-VL1_PTM、10-G6-C4-B2_hVH4-VL2_PTM、10-G6-C4-B2_hVH5-VL1_PTM、10-G6-C4-B2_hVH5-VL3_PTM、hVH1-hVL5-30、hVH2-hVL1-30、hVH3-hVL2-30、hVH3-hVL5-30、hVH4-hVL2-30、hVH4-hVL5-30、30-C7-C11-D4_hVH1-hVL5_PTM、30-C7-C11-D4_hVH2-hVL1_PTM、30-C7-C11-D4_hVH3-hVL2_PTM、30-C7-C11-D4_hVH3-hVL5_PTM、30-C7-C11-D4_hVH4-hVL2_PTMおよび30-C7-C11-D4_hVH4-hVL5_PTMと指定される、10-G6-C4-B2および30-C7-C11-D4に対するヒト化抗体の重鎖および軽鎖可変領域アミノ酸配列を示し、すべてのCDR領域に下線が引かれている。
【0129】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0130】
特定の実施形態では、本明細書において提供されるヒト化抗体またはその抗原結合断片は、非ヒトであるCDR配列を除いて、実質的にすべてのヒト配列から構成されている。いくつかの実施形態では、可変領域FR、および存在する場合には定常領域は、完全に、または実質的に、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒトFR配列およびヒト定常領域配列は、異なるヒト免疫グロブリン遺伝子に由来してもよく、例えば、FR配列は、あるヒト抗体に由来してもよく、定常領域は別のヒト抗体に由来してもよい。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、ヒト重鎖HFR1~4および/または軽鎖LFR1~4を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、ヒトに由来するFR領域は、それが由来するヒト免疫グロブリンと同じアミノ酸配列を含み得る。いくつかの実施形態では、ヒトFRの1つまたは複数のアミノ酸残基は、親非ヒト抗体由来の対応する残基で置換される。これは、特定の実施形態では、結合特性を最適化する(例えば、結合親和性を増加させる)ために、ヒト化抗体または非ヒト親抗体構造にほぼ近似するその断片を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態では、本明細書において提供されるヒト化抗体またはその抗原結合断片は、ヒトFR配列の各々において10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1つ以下のアミノ酸残基置換、または重鎖もしくは軽鎖可変ドメインのすべてのFR配列において10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1つ以下のアミノ酸残基置換を含む。いくつかの実施形態では、このようなアミノ酸残基の変化は、重鎖FR領域のみ、軽鎖FR領域のみ、または両方の鎖に存在し得る。特定の実施形態では、ヒトFR配列の1つまたは複数のアミノ酸は、結合親和性を増加させるためにランダムに変異される。特定の実施形態では、ヒトFR配列の1つまたは複数のアミノ酸は、結合親和性を増加させるために親非ヒト抗体の対応するアミノ酸に復帰変異される。
【0132】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体およびその断片は、免疫グロブリン定常領域をさらに含む。いくつかの実施形態では、免疫グロブリン定常領域は、重鎖および/または軽鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、CH1、ヒンジおよび/またはCH2-CH3領域を含む。特定の実施形態では、重鎖定常領域は、Fc領域を含む。特定の実施形態では、軽鎖定常領域は、CκまたはCλを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、免疫グロブリン(Ig)、任意選択でヒトIg、任意選択でヒトIgGの定常領域を有する。いくつかの実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の定常領域を含む。
【0134】
ヒトIgGアイソタイプ(成熟ガンマグロブリンクラスG抗体のサブクラス;IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4)は、エフェクター機能を動員する異なる能力を示す。例えば、ADCCはIgG1およびIgG3によって促進され、ADCPはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4によって促進され、CDCはIgG1およびIgG3によって促進される。このようなエフェクター機能のアイソタイプに特異的な関与は、異なる免疫細胞上のFc受容体に対する選択性およびC1qに結合し、それによって膜攻撃複合体(MAC)の構築を活性化する能力に基づく。様々なアイソタイプの中でも、FcγRI、FcγRIIa/b/cおよびFcγRIIIa/bを含む、Fcγ受容体に対する相対親和性は、IgG1およびIgG3に対して高い。しかしながら、IgG2に対するFcγの親和性は、FcγRIIa H131多型を除いてかなり低く、IgG4はFcγRIに対して測定可能な親和性のみ有する。
【0135】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、ADCC、CDCもしくはADCPを誘導し得るヒトIgG1アイソタイプの定常領域またはエフェクター機能が減少もしくは枯渇したIgG4もしくはIgG2アイソタイプの定常領域を含む。ADCCおよびCDCなどのエフェクター機能は、CD276を発現する細胞に対して細胞毒性を引き起こし得る。エフェクター機能は、Fc受容体結合アッセイ、C1q結合アッセイおよび細胞溶解アッセイなどの様々なアッセイを使用して評価され得る。
【0136】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、ADCC、CDCまたはADCPを誘導し得るマウスIgG2アイソタイプの定常領域を含む。
【0137】
抗体変異体
本開示はまた、本明細書において提供される抗体および/またはその抗原結合断片の種々の変異体を包含する。特定の実施形態では、本開示は、本明細書において提供される例示的抗体、すなわち、配列番号3、11、19、27、35、43、51、59、67、75、83、91、99、107、115、123、131、139、147、155、163、171、179、187、195、203、211、219、227、235、243、251、259、267、275、283、291、299、307、315、323、331、339、または375からなる群から選択される重鎖CDR3配列を有する抗体の様々な種類の変異体を包含する。
【0138】
特定の実施形態では、抗体変異体は、表1に提供されるような1つまたは複数のCDR配列中の1つまたは複数の修飾または置換、1つまたは複数のFR配列、表2において提供される重鎖または軽鎖可変領域配列および/または定常領域(例えば、Fc領域)を含む。このような変異体は、その親抗体のCD276に対する特異的結合親和性を保持するが、修飾(複数可)または置換(複数可)によって付与される1つまたは複数の望ましい特性を有する。例えば、抗体変異体は、改善された抗原結合親和性、改善されたグリコシル化パターン、低減されたグリコシル化のリスク、低減された脱アミノ化、低減されたまたは枯渇したエフェクター機能(複数可)、改善されたFcRn受容体結合、増大された薬物動態半減期、pH感受性および/またはコンジュゲーション(例えば、1個または複数の導入されたシステイン残基)に対する適合性を有し得る。
【0139】
当技術分野で公知の方法、例えば、「アラニンスキャニング突然変異誘発」を使用して、親抗体配列を、スクリーニングして、修飾または置換される適したまたは好ましい残基を同定してもよい(例えば、Cunningham and Wells(1989)Science、244:1081-1085を参照のこと)。手短には、標的残基(例えば、電荷を有する残基、例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGlu)を同定し、中性または負電荷を有するアミノ酸(例えば、アラニンまたはポリアラニン)によって置き換えることができ、修飾された抗体を製造し、興味深い特性についてスクリーニングする。特定のアミノ酸位置の置換が、興味深い機能的変化を実証する場合には、その位置を修飾または置換にとって有望な残基と同定できる。同定された有望な残基を、異なる種類の残基(例えば、システイン残基、正電荷を有する残基等)と置換することによってさらに評価してもよい。
【0140】
親和性変異体
親和性変異体は、表1に提供されるような1つまたは複数のCDR配列中の修飾または置換、1つまたは複数のFR配列または表2、3または4において提供される重鎖または軽鎖可変領域配列を含有し得る。親和性変異体は、その親抗体のCD276に対する特異的結合親和性を保持する、または親抗体を上回る改善されたCD276特異的結合親和性をさらに有する。特定の実施形態では、CDR配列、FR配列または可変領域配列中の少なくとも1つの(またはすべて)の置換は、保存的置換を含む。
【0141】
当業者ならば、表1に提供されるCDR配列およびFR配列において、1個または複数のアミノ酸残基が置換されてもよいが、得られた抗体または抗原結合断片は、CD276との結合親和性を依然として保持する、または改善された結合親和性をさらに有するということは理解するであろう。当技術分野で公知の種々の方法を使用して、この目的を達成できる。例えば、ファージディスプレイ技術を用いて、抗体変異体(FabまたはscFv変異体など)のライブラリーを作製し、発現させ、次いで、ヒトCD276との結合親和性についてスクリーニングできる。別の例のために、コンピュータソフトウェアを使用して、抗体のヒトCD276との結合を実質的にシミュレートし、結合面を形成する抗体上のアミノ酸残基を同定できる。このような残基は、結合親和性の低減を防ぐために置換において避けられる場合もあり、より強い結合を提供するために置換の標的とされる場合もある。
【0142】
特定の実施形態では、本明細書において提供されるヒト化抗体または抗原結合断片は、1つもしくは複数のCDR配列および/または1つもしくは複数のFR配列中に1つまたは複数のアミノ酸残基置換を含む。特定の実施形態では、親和性変異体は、CDR配列および/またはFR配列中に合計10、9、8、7、6、5、4、3、2または1つ以下の置換を含む。
【0143】
特定の実施形態では、抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、表1に列挙されるもの(単数または複数)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有する1、2または3つのCDR配列を含み、一方で、その親抗体と同様の、またはさらに高いレベルでCD276に対する結合親和性を保持する。
【0144】
特定の実施形態では、抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、表1に列挙されるもの(単数または複数)に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも85%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%)の配列同一性を有する1つまたは複数の可変領域配列を含み、一方で、その親抗体と同様の、またはさらに高いレベルでCD276に対する結合親和性を保持する。いくつかの実施形態では、表1に列挙されるもの(単数または複数)から選択される配列において、合計1~10個のアミノ酸が置換、挿入または欠失されている。いくつかの実施形態では、置換、挿入または欠失は、CDRの外側の領域において(すなわち、FRにおいて)生じる。
【0145】
グリコシル化変異体
本明細書において提供される抗CD276抗体および抗原結合断片はまた、グリコシル化変異体を包含し、これは、抗体またはその抗原結合断片のグリコシル化の程度を増大または減少するために得ることができる。
【0146】
抗体またはその抗原結合断片は、炭水化物部分(例えば、オリゴ糖構造)が結合され得る側鎖を有する、1個または複数のアミノ酸残基を含み得る。抗体のグリコシル化は、通常、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型とは、炭水化物部分の、アスパラギン残基、例えば、アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)などのトリペプチド配列中のアスパラギン残基の側鎖との結合を指す。O結合型グリコシル化とは、糖N-アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのうち1種の、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはトレオニンとの結合を指す。天然グリコシル化部位の除去は、例えば、上記のトリペプチド配列のうち1種(N結合型グリコシル化部位について)または配列中に存在するセリンもしくはトレオニン残基(O結合型グリコシル化部位について)が置換されるようにアミノ酸配列を変更することによって好都合に達成できる。新規グリコシル化部位は、このようなトリペプチド配列またはセリンもしくはトレオニン残基を導入することによって同様の方法で作製できる。
【0147】
システインが遺伝子操作された変異体
本明細書において提供される抗CD276抗体および抗原結合断片はまた、システインが遺伝子操作された変異体を包含し、これは、1個または複数の導入された遊離システインアミノ酸残基を含む。
【0148】
遊離システイン残基は、ジスルフィド橋の一部ではないものである。システインが遺伝子操作された変異体は、例えば、マレイミドまたはハロアセチルを介した、例えば、中でも、遺伝子操作されたシステインの部位での細胞傷害性および/またはイメージング化合物、標識または放射性同位体とのコンジュゲーションにとって有用である。遊離システイン残基を導入するために抗体または抗原結合断片を遺伝子操作する方法は、当技術分野で公知である、例えば、WO2006/034488を参照のこと。
【0149】
Fc変異体
本明細書において提供される抗CD276抗体および抗原結合断片はまた、そのFc領域および/またはヒンジ領域に1個または複数のアミノ酸残基修飾または置換を含むFc変異体を包含する。
【0150】
特定の実施形態では、抗CD276抗体または抗原結合断片は、新生児Fc受容体(FcRn)とのpH依存性結合を改善する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。このような変異体は、リソソームにおける分解から逃れ、次いで、転座され、細胞の外に放出されることを可能にする酸性pHでFcRnと結合するので、薬物動態半減期の拡大を有し得る。抗体およびその抗原結合断片を遺伝子操作して、FcRnとの結合親和性を改善する方法は、当技術分野で周知である、例えば、Vaughn,D.et al,Structure,6(1):63-73,1998;Kontermann,R.et al,Antibody Engineering,Volume 1,Chapter 27:Engineering of the Fc region for improved PK,published by Springer,2010;Yeung,Y.et al,Cancer Research,70:3269-3277(2010);and Hinton,P.et al,J.Immunology,176:346-356(2006)を参照のこと。
【0151】
特定の実施形態では、抗CD276抗体または抗原結合断片は、抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)を変更する1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。Fc領域のCH2ドメインのある特定のアミノ酸残基を、置換して、増強されたADCC活性を提供できる。あるいはまたはさらに、抗体上の炭水化物構造を変更して、ADCC活性を増強できる。抗体エンジニアリングによってADCC活性を変更する方法は、当技術分野で記載されている、例えば、Shields RL.et al.,J Biol Chem.2001.276(9):6591-604;Idusogie EE.et al.,J Immunol.2000.164(8):4178-84;Steurer W.et al.,J Immunol.1995,155(3):1165-74;Idusogie EE.et al.,J Immunol.2001,166(4):2571-5;Lazar GA.et al.,PNAS,2006,103(11):4005-4010;Ryan MC.et al.,Mol.Cancer Ther.,2007,6:3009-3018;Richards JO,.et al.,Mol Cancer Ther.2008,7(8):2517-27;Shields R.L.et al,J.Biol.Chem,2002,277:26733-26740;Shinkawa T.et al,J.Biol.Chem,2003,278:3466-3473を参照のこと。
【0152】
特定の実施形態では、抗CD276抗体または抗原結合断片は、例えば、C1q結合および/またはCDCを改善または減少することによって補体依存性細胞傷害(CDC)を変更する1つまたは複数のアミノ酸置換(複数可)を含む(例えば、WO99/51642;Duncan & Winter Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号を参照のこと)およびFc領域変異体のその他の例に関するWO94/29351。
【0153】
特定の実施形態では、抗CD276抗体またはその抗原結合断片は、ヘテロ二量体化を容易にするおよび/または促進するためにFc領域の界面における1つまたは複数のアミノ酸置換を含む。これらの修飾は、第1のFcポリペプチドへの隆起および第2のFcポリペプチドへの空洞の導入を含み、ここでは、第1および第2のFcポリペプチドの相互作用を促進して、ヘテロ二量体または複合体を形成するために、隆起を空洞中に位置付けることができる。これらの修飾を有する抗体を作製する方法は、当技術分野で公知である、例えば、米国特許第5,731,168号に記載されている。
【0154】
抗原結合断片
抗CD276抗原結合断片も本明細書において提供される。種々の種類の抗原結合断片が、当技術分野で公知であり、例えば、そのCDRおよびFR配列が表1に示されている例示的抗体、その種々の変異体(例えば、親和性変異体、グリコシル化変異体、Fc変異体、システインが遺伝子操作された変異体など)を含む、本明細書において提供される抗CD276抗体をベースとして開発することができる。
【0155】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗CD276抗原結合断片は、ラクダ化された単一ドメイン抗体、一本鎖Fv断片(scFv)、dsFv、(dsFv)2、Fv断片、Fab、Fab’、F(ab’)2、ナノボディー、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体または二価ドメイン抗体である。
【0156】
このような抗原結合断片の製造のために種々の技術を使用できる。例示的方法として、無傷の抗体の酵素的消化(例えば、Morimoto et al.,Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117(1992);and Brennan et al.,Science,229:81(1985)を参照のこと)、大腸菌〔E.Coli〕などの宿主細胞による組換え発現(例えば、Fab、FvおよびScFv抗体断片のため)、上記で論じられるようなファージディスプレイライブラリーからのスクリーニング(例えば、ScFvのための)およびF(ab’)2断片を形成するための2つのFab’-SH断片の化学的カップリング(Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992))が挙げられる。抗体断片の製造のためのその他の技術は、当業者には明らかであろう。
【0157】
特定の実施形態では、抗原結合断片は、scFvである。scFvの作製は、例えば、WO93/16185;米国特許第5,571,894号および同5,587,458号に記載されている。scFvを、アミノ末端またはカルボキシ末端のいずれかでエフェクタータンパク質と融合して、融合タンパク質を提供してもよい(例えば、Antibody Engineering、ed.Borrebaeckを参照のこと)。
【0158】
コンジュゲート
いくつかの実施形態では、抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、1つまたは複数のコンジュゲートと連結しており、任意選択で、コンジュゲートが、直接またはリンカーを介してのいずれかで共有結合によって結合している。コンジュゲートは、抗体またはその抗原結合断片と結合することができる非タンパク質性部分である。種々のコンジュゲートを、本明細書において提供される抗体または抗原結合断片と連結してもよいということが考慮される(例えば、“Conjugate Vaccines”,Contributions to Microbiology and Immunology,J.M.Cruse and R.E.Lewis,Jr.(eds.),Carger Press,New York,(1989)を参照のこと)。これらのコンジュゲートを、その他の方法の中でも、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合、複合体形成、会合、ブレンドまたは付加によって抗体または抗原結合断片と連結してもよい。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、クリアランス修飾剤、化学療法剤、毒素、放射性同位元素、ランタニド、発光標識、蛍光標識、酵素基質標識、DNAアルキル化剤、トポイソメラーゼ阻害剤、チューブリン結合剤または他の抗癌薬を含む。
【0159】
特定の実施形態では、本明細書において開示される抗体および抗原結合断片を、1つまたは複数のコンジュゲートとの結合に利用され得るエピトープ結合部分の外側に指定の部位を含有するように遺伝子操作してもよい。例えば、このような部位は、コンジュゲートとの共有結合を容易にするために、1つまたは複数の反応性アミノ酸残基、例えば、システインまたはヒスチジン残基などを含み得る。
【0160】
特定の実施形態では、抗体を、コンジュゲートと間接的に、または別のコンジュゲートを介して連結してもよい。例えば、抗体または抗原結合断片を、ビオチンにコンジュゲートしてもよく、次いで、アビジンにコンジュゲートされている第2のコンジュゲートに間接的にコンジュゲートしてもよい。コンジュゲートは、毒素(例えば、化学療法剤)、検出可能な標識(例えば、放射性同位元素、ランタニド、発光標識、蛍光標識または酵素-基質標識)であり得る。
【0161】
「毒素」は、細胞にとって有害である、または細胞に損傷を与え得る、もしくは死滅させ得る任意の薬剤であり得る。毒素の例として、制限するものではないが、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラセンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンおよびその類似体、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキサート、6-メルカププリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンCおよびシス-ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前は、ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前は、アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))および抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられる。
【0162】
検出可能な標識の例として、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリトリンまたはテキサスレッド)、酵素基質標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖類オキシダーゼまたはβ-D-ガラクトシダーゼ)、放射性同位元素(例えば、123I、124I、125I、131I、35S、3H、111In、112In、14C、64Cu、67Cu、86Y、88Y、90Y、177Lu、211At、186Re、188Re、153Sm、212Biおよび32P、その他のランタニド、発光標識)、発色団部分、ジゴキシゲニン、ビオチン/アビジン、DNA分子または検出用金を挙げることができる。
【0163】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、抗体の半減期を増大するのに役立つ薬物動態修飾部分であり得る。例示的例として、水溶性ポリマー、例えば、PEG、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマーなどが挙げられる。ポリマーは、任意の分子量のものであってよく、分岐していても、非分岐であってもよい。抗体と結合しているポリマーの数は、変わることがあり、1つより多いポリマーが結合される場合には、同一分子である場合も、異なる分子である場合もある。
【0164】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、磁性ビーズなどの精製部分であり得る。
【0165】
特定の実施形態では、本明細書において提供される抗体および/またはその抗原結合断片は、コンジュゲートの基材として使用される。
【0166】
ポリヌクレオチドおよび組換え法
本開示は、抗CD276抗体およびその抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来手順を使用して(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合可能であるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、シーケンシングされる。コードするDNAはまた、合成法によって得ることもできる。
【0167】
抗CD276抗体およびその抗原結合断片をコードする単離されたポリヌクレオチドは、当該技術分野で公知の組換え技術を使用して、さらなるクローニング(DNAの増幅)または発現のためにベクターに挿入され得る。多数のベクターが入手可能である。ベクター構成成分は、一般に、それだけには限らないが、以下:シグナル配列、複製起点、1種または複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター(例えば、SV40、CMV、EF-1α)および転写終結配列のうち1つまたは複数を含む。
【0168】
いくつかの実施形態では、ベクター系として、哺乳動物、細菌、酵母系などが挙げられ、それだけには限らないが、pALTER、pBAD、pcDNA、pCal、pL、pET、pGEMEX、pGEX、pCI、pCMV、pEGFP、pEGFT、pSV2、pFUSE、pVITRO,pVIVO、pMAL、pMD18-T、pMONO、pSELECT、pUNO、pDUO、Psg5L、pBABE、pWPXL、pBI、p15TV-L、pPro18、pTD、pRS420、pLexA、pACT2.2などといったプラスミドならびにその他の実験室および市販のベクターを含む。適したベクターとして、プラスミドまたはウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を挙げることができる。
【0169】
抗体または抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド配列を含むベクターを、クローニングまたは遺伝子発現のために宿主細胞に導入できる。本明細書においてベクター中のDNAをクローニングまたは発現させるための適した宿主細胞として、上記の原核生物、酵母またはより高度の真核生物細胞がある。この目的のために適した原核生物として、グラム陰性またはグラム陽性生物などの真正細菌、例えば、エシェリキア属〔Escherichia〕、例えば、大腸菌〔E.coli〕、エンテロバクター属〔Enterobacter〕、エルウィニア属〔Erwinia〕、クレブシエラ属〔Klebsiella〕、プロテウス属〔Proteus〕、サルモネラ属〔Salmonella〕、例えば、サルモネラ・チフィリウム〔Salmonella typhimurium〕、セラチア属〔Serratia〕、例えば、セラチア・マルセッセンス〔Serratia marcescans〕および赤痢菌属〔Shigella〕ならびにB.スブチリス〔subtilis〕およびB.リケニフォルミス〔licheniformis〕などのバチルス属〔Bacilli〕、P.エルジノーサ〔aeruginosa〕などのシュードモナス属〔Pseudomonas〕およびストレプトマイセス属〔Streptomyces〕などの腸内細菌科〔Enterobacteriaceae〕が挙げられる。
【0170】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核細胞微生物は、抗CD276抗体をコードするベクターの適したクローニングまたは発現宿主である。サッカロミセス・セレビシエ〔Saccharomyces cerevisiae〕または一般的なパン酵母は、下等真核細胞宿主微生物の中で最もよく使用されている。しかし、シゾサッカロミセス・ポンベ〔Schizosaccharomyces pombe〕;例えば、K.ラクチス〔lactis〕、K.フラギリス〔fragilis〕(ATCC12,424)、K.ブルガリクス〔bulgaricus〕(ATCC16,045)、K.ウィッカーアミー〔wickeramii〕(ATCC24,178)、K.ワルチー〔waltii〕(ATCC56,500)、K.ドロソフィラルム〔drosophilarum〕(ATCC36,906)、K.サーモトレランス〔thermotolerans〕およびK.マーキシアヌス〔marxianus〕などのクリベロミセス属〔Kluyveromyces〕宿主;ヤロウイア属〔yarrowia〕(EP402,226);ピキア・パストリス〔Pichia pastoris〕(EP183,070);カンジダ属〔Candida〕;トリコデルマ・リーゼイ〔Trichoderma reesia〕(EP244,234);アカパンカビ〔Neurospora crassa〕;シュワニオミセス・オクシデンタリス〔Schwanniomyces occidentalis〕などのシュワニオミセス属〔Schwanniomyces〕;および例えば、アカパンカビ属〔Neurospora〕、アオカビ属〔Penicillium〕、トリポクラジウム属〔Tolypocladium〕ならびにA.ニデュランス〔A.nidulans〕およびクロコウジカビ〔A.niger〕などのアスペルギルス属〔Aspergillus〕宿主などの糸状菌などの、いくつかのその他の属、種および株が一般に入手可能であり、本明細書において有用である。
【0171】
本明細書において提供されるグリコシル化抗体または抗原断片の発現に適した宿主細胞は、多細胞生物に由来する。脊椎動物細胞の例として、植物および昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株および変異体ならびにヨトウガ〔Spodoptera frugiperda〕(イモムシ)、ネッタイシマカ〔Aedes aegypti〕(蚊)、ヒトスジシマカ〔Aedes albopictus〕(蚊)、キイロショウジョウバエ〔Drosophila melanogaster〕(ショウジョウバエ〔fruiffly〕)およびカイコ〔Bombyx mori〕などの宿主に由来する対応する許容昆虫宿主細胞が同定されている。トランスフェクションのための種々のウイルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカ〔Autographa californica〕NPVのL-1変異体およびカイコ〔Bombyx mori〕NPVのBm-5株が公的に入手可能であり、このようなウイルスは、本明細書において、本発明に従って、特に、ヨトウガ〔Spodoptera frugiperda〕細胞のトランスフェクションのためにウイルスとして使用され得る。ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマトおよびタバコの植物細胞培養物も宿主として使用され得る。
【0172】
しかし、関心は、脊椎動物細胞において最大であり、培養(組織培養)での脊椎動物細胞の増殖は、日常的な手順となった。有用な哺乳動物宿主細胞株の例として、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL1651);ヒト胚性腎臓株(293または懸濁培養における成長のためにサブクローニングされた293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980));マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳房腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞腫株(Hep G2)がある。
【0173】
宿主細胞は、抗CD276抗体生成のために上記の発現またはクローニングベクターを用いて形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択するか、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために必要に応じて修飾された従来の栄養培地で培養される。別の実施形態では、抗体は、当技術分野で公知の相同組換えによって生成され得る。
【0174】
本明細書において提供される抗体または抗原結合断片を生成するために使用される宿主細胞は、種々の培地で培養され得る。HamのF10(Sigma)、最小必須培地(MEM)(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Sigma)などの市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Hamら、Meth.Enz.第58巻:44頁(1979年)、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号;同4,657,866号;同4,927,762号;同4,560,655号;または同5,122,469号;WO90/03430;WO87/00195;または再発行米国特許第30,985号に記載される培地のいずれも、宿主細胞のための培養培地として使用され得る。これらの培地のいずれも、必要に応じて、ホルモンおよび/またはその他の増殖因子(インスリン、トランスフェリンまたは上皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸など)、バッファー(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(GENTAMYCIN(商標)薬など)、微量元素(マイクロモル範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)およびグルコースまたは同等のエネルギー供給源を用いて補給され得る。任意のその他の必要な栄養補助剤もまた、当業者に公知であろう適当な濃度で含まれ得る。温度、pHなどといった培養状態は、発現のために選択された宿主細胞とともにこれまでに使用されたものであり、当業者には明らかとなろう。
【0175】
組換え技術を使用する場合には、抗体は、細胞膜周辺腔において細胞内で生成され得る、または培地中に直接分泌され得る。抗体が細胞内で生成される場合には、第1のステップとして、微粒子状細片、宿主細胞または溶解した断片のいずれかが例えば、遠心分離または限外濾過によって除去される。Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992)には、大腸菌〔E.coli〕の細胞膜周辺腔に分泌される抗体を単離するための手順が記載されている。手短には、細胞ペーストが、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTAおよびフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下で約30分かけて解凍される。細胞細片は、遠心分離によって除去され得る。抗体が培地中に分泌される場合には、このような発現系から得られた上清は、一般に、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを使用してまず濃縮される。タンパク質分解を阻害するために、PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤が前記のステップのいずれにも含まれることがあり、外来性の混入物質の成長を防ぐために、抗生物質が含まれることがある。
【0176】
細胞から調製される抗CD276抗体およびその抗原結合断片は、例えば、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、DEAE-セルロースイオン交換クロマトグラフィー、硫酸アンモニウム沈殿、塩析およびアフィニティークロマトグラフィーを使用して精製することができ、アフィニティークロマトグラフィーが好ましい精製技術である。
【0177】
特定の実施形態では、固層で固定化されたプロテインAは、抗体およびその抗原結合断片の免疫親和性精製のために使用される。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する任意の免疫グロブリンFcドメインの種およびアイソタイプに応じて変わる。プロテインAは、ヒトγ1、γ2またはγ4重鎖をベースとする抗体を精製するために使用され得る(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13(1983))。プロテインGは、すべてのマウスアイソタイプに対して、およびヒトγ3に対して推奨される(Guss et al.,EMBO J.5:1567 1575(1986))。親和性リガンドが付着されるマトリックスは、最も多くはアガロースであるが、その他のマトリックスが利用可能である。コントロールドポアガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定なマトリックスは、アガロースを用いて達成され得るものよりも迅速な流速およびより短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合には、精製にはBakerbond ABX.TM.樹脂(J.T.Baker、ニュージャージー州、フィリップスバーグ)が有用である。イオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)でのクロマトグラフィー、陰イオンまたは陽イオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラムなど)でのクロマトグラフィー、等電点電気泳動、SDS-PAGEおよび硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製のためのその他の技術も、回収されるべき抗体に応じて利用可能である。
【0178】
任意の予備的精製ステップ(単数または複数)後に、対象の抗体および混入物質を含む混合物は、約2.5~4.5の間のpHの溶出バッファーを使用する、好ましくは、低塩濃度(例えば、約0~0.25Mの塩)で実施される低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに付され得る。
【0179】
CAR
別の態様では、本開示はまた、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域およびTCRシグナル伝達ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)も提供し、抗原結合ドメインはCD276と特異的に結合し、本明細書において提供されている抗原結合断片を含む。特定の実施形態では、抗原結合断片はFabまたはscFvである。特定の実施形態では、本明細書において提供されるCARは二重特異性である。CARは、CD276以外の第2の抗原またはCD276上の第2のエピトープとさらに特異的に結合可能である。特定の実施形態では、第2の抗原は、上述のような腫瘍抗原、腫瘍関連抗原または免疫関連標的である。TCRシグナル伝達ドメインは、CD3ζ、FccRIγ、CD27、CD28、CD137、CD134、MyD88、CD40、CD278、TLRまたはそれらの組合せの細胞内シグナル領域配列からなる群から選択され得る。膜貫通領域は、CD3、CD4、CD8またはCD28の膜貫通領域を含み得る。特定の実施形態では、第2の抗原は、PD-L1、SIRPα、CD47またはB2Mなどの免疫抑制分子である。
【0180】
別の態様では、本開示はまた、上述のCARをコードする核酸配列およびそのような核酸配列を含む細胞もしくはベクターまたは本明細書において提供されるCARを発現するように遺伝子改変された細胞も提供する。細胞は、免疫細胞であってもよく、任意選択で、免疫細胞は、Tリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージまたはNKTリンパ球である。
【0181】
医薬組成物
本開示は、抗CD276抗体またはその抗原結合断片および1種または複数の医薬上許容される担体を含む医薬組成物をさらに提供する。
【0182】
本明細書において開示される医薬組成物において使用するための医薬上許容される担体として、例えば、医薬上許容される液体、ゲルまたは固体担体、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌剤、等張化剤、バッファー、抗酸化剤、麻酔剤、懸濁剤/分配剤、封鎖剤またはキレート化剤、希釈剤、アジュバント、賦形剤または非毒性補助物質、当技術分野で公知のその他の成分またはそれらの種々の組合せを挙げることができる。
【0183】
適した成分として、例えば、抗酸化剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、バッファー、保存料、滑沢剤、香味料、増粘剤、着色剤、乳化剤または糖およびシクロデキストリンなどの安定化剤を挙げることができる。適した抗酸化剤として、例えば、メチオニン、アスコルビン酸、EDTA、チオ硫酸ナトリウム、白金、カタラーゼ、クエン酸、システイン、チオグリセロール、チオグリコール酸、チオソルビトール、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエンおよび/または没食子酸プロピルを挙げることができる。本明細書において開示されるように、本明細書において提供されるような抗体または抗原結合断片およびコンジュゲートを含む組成物中に、メチオニンなどの1種または複数の抗酸化剤を含めることによって、抗体または抗原結合断片の酸化が減少される。この酸化の低減は、結合親和性の喪失を防ぐまたは低減し、それによって、抗体安定性を改善し、有効期間を最大化する。したがって、特定の実施形態では、本明細書において開示されるような1種または複数の抗体またはその抗原結合断片およびメチオニンなどの1種または複数の抗酸化剤を含む組成物が提供される。抗体または抗原結合断片を、メチオニンなどの1種または複数の抗酸化剤と混合することによって、酸化を防ぐための、有効期間を延長するための、および/または本明細書において提供されるような抗体もしくは抗原結合断片の有効性を改善するための方法がさらに提供される。
【0184】
さらに例示するために、医薬上許容される担体として、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、等張性デキストロース注射、滅菌水注射またはデキストロースおよび乳酸リンゲル注射などの水性ビヒクル、植物起源の硬化油、ココナッツオイル、トウモロコシオイル、ゴマ油またはピーナッツオイルなどの非水性ビヒクル、静菌性または静真菌性濃度の抗菌剤、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの等張性剤、リン酸またはクエン酸バッファーなどのバッファー、重硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤、塩酸プロカインなどの局所麻酔、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルピロリドンなどの懸濁剤および分散剤、ポリソルベート80(TWEEN-80)などの乳化剤、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)またはEGTA(エチレングリコール四酢酸)などの封鎖剤またはキレート化剤、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を挙げることができる。担体として利用される抗菌剤を、複数回用量容器中の医薬組成物に添加してもよく、これとして、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンズアルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムが挙げられる。適した賦形剤として、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールを挙げることができる。適した非毒性補助物質として、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解促進剤、または酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミンもしくはシクロデキストリンなどの薬剤を挙げることができる。
【0185】
医薬組成物は、液体溶液、懸濁液、エマルジョン、丸剤、カプセル剤、錠剤、持続放出製剤または散剤であり得る。経口製剤はとして、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどといった標準担体を挙げることができる。
【0186】
特定の実施形態では、医薬組成物は、注射用組成物に製剤化される。注射用医薬組成物は、例えば、液体溶液、懸濁液、エマルジョンまたは液体溶液、懸濁液またはエマルジョンを作製するのに適した固体形態などの任意の従来の形態で調製され得る。注射のための調製物として、注射用に準備された滅菌および/または非発熱性溶液、皮下錠剤を含む、使用直前に溶媒と組み合わされるべく準備された凍結乾燥散剤などの滅菌乾燥可溶性製剤、注射用に準備された滅菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わされるべく準備された滅菌乾燥不溶性製剤、ならびに滅菌および/または非発熱性エマルジョンを挙げることができる。溶液は、水性であっても、非水性であってもよい。
【0187】
特定の実施形態では、単位用量非経口調製物は、アンプル、バイアルまたはニードルを備えたシリンジ中にパッケージングされる。非経口投与用のすべての調製物は、当技術分野で公知であり、実施されるように滅菌および非発熱性でなくてはならない。
【0188】
特定の実施形態では、滅菌、凍結乾燥散剤は、適した溶媒中に本明細書において開示されるような抗体または抗原結合断片を溶解することによって調製される。溶媒は、散剤または散剤から調製された再構成された溶液の安定性またはその他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有し得る。使用され得る賦形剤として、それだけには限らないが、水、デキストロース、ソルビトール〔sorbital〕、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロースまたはその他の適した薬剤が挙げられる。溶媒は、クエン酸、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムなどのバッファーまたは、一実施形態ではおよそ中性のpHの、当業者に公知のその他のこのようなバッファーを含有し得る。当業者に公知の溶液のその後の滅菌濾過と、それに続く標準状態下での凍結乾燥によって、望ましい製剤が提供される。一実施形態では、得られた溶液は、凍結乾燥のためにバイアル中に配分される。各バイアルは、抗CD276抗体またはその抗原結合断片またはその組成物の単一投与量または複数回投与量を含有し得る。バイアルに用量または用量のセットに必要なものを上回る少量(例えば、約10%)を過剰充填することは、正確なサンプル引き出しおよび正確な投薬を促進するために許容される。凍結乾燥散剤は、約4℃~室温などの適当な状態下で保存され得る。
【0189】
注射水を用いる凍結乾燥散剤の再構成は、非経口投与において使用するための製剤を提供する。一実施形態では、再構成のために滅菌および/または非発熱性水またはその他の液体の適した担体が、凍結乾燥散剤に付加される。正確な量は、与えられている選択された療法に応じて変わり、経験的に決定され得る。
【0190】
使用方法
本開示はまた、本明細書において提供されるような抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な量を、それを必要とする対象に投与し、それによってCD276関連疾患または状態を処置または予防することを含む治療方法も提供する。いくつかの実施形態では、CD276関連疾患または状態は、癌、自己免疫疾患、炎症性疾患、適応免疫疾患または感染性疾患である。
【0191】
癌の例として、それだけには限らないが、非小細胞肺癌(扁平上皮/非扁平上皮)、小細胞肺癌、腎細胞癌、結腸直腸癌、結腸癌、卵巣癌、乳癌(基底乳癌腫、乳管癌腫および小葉乳癌腫を含む)、膵臓癌、胃癌腫、膀胱癌、食道癌、中皮腫、黒色腫、頭頸部癌、甲状腺癌、肉腫、前立腺癌、神経膠芽腫、子宮頸癌、胸腺癌腫、黒色腫、骨髄腫、菌状息肉腫〔mycoses fungoids〕、メルケル細胞癌、肝細胞癌腫(HCC)、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫およびその他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、リンパ系腫瘍、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌腫、甲状腺髄様癌腫、乳頭様甲状腺癌腫、褐色細胞腫脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、古典的ホジキンリンパ腫(CHL)、縦隔原発B細胞性大細胞型リンパ腫、T細胞/組織球に富むB細胞リンパ腫、急性リンパ性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、真性赤血球増加症、肥満細胞由来腫瘍、EBV陽性および陰性PTLDおよびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、形質芽球性リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫、上咽頭癌腫、HHV8関連原発性滲出リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリー細胞白血病および脊髄形成異常症、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫〔craniopharyogioma〕、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫〔menangioma〕、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫が挙げられる。
【0192】
特定の実施形態では、癌は、副腎腫瘍、AIDS関連癌、胞巣状軟部肉腫、星状膠細胞腫瘍、膀胱癌、骨癌、脳および脊髄癌、転移性脳腫瘍、乳癌、頸動脈球腫瘍、子宮頸癌、軟骨肉腫、脊索腫、嫌色素細胞性腎癌腫、明細胞癌腫、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚良性線維性組織球腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、上衣腫、ユーイング腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫、骨性線維形成不全症、線維性骨異形成症、胆嚢または胆管癌、胃癌、妊娠性絨毛性疾患、胚細胞腫瘍、頭頸部癌、肝細胞癌腫、膵島腫瘍、カポジ肉腫、腎臓癌、白血病、脂肪腫/良性脂肪腫性腫瘍、脂肪肉腫/悪性脂肪腫性腫瘍、肝臓癌、リンパ腫、肺癌、髄芽腫、黒色腫、髄膜腫、多発性内分泌腫瘍症、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、神経芽細胞腫、神経内分泌腫瘍、卵巣癌、膵臓癌、甲状腺乳頭癌腫、副甲状腺腫瘍、小児癌、末梢神経鞘腫瘍、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺癌、後部ブドウ膜黒色腫、希少血液障害、転移性腎癌、横紋筋肉腫様腫瘍、横紋筋肉腫、肉腫、皮膚癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌腫、胸腺腫、甲状腺転移性癌ならびに子宮癌である。特定の実施形態では、癌は、化学療法抵抗性である。
【0193】
特定の実施形態では、疾患または状態は、B細胞リンパ腫から選択される血液癌である。B細胞リンパ腫の例として、限定されるものではないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、多発性骨髄腫(MM)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、リヒター症候群、バーキットリンパ腫または濾胞性リンパ腫が挙げられる。
【0194】
自己免疫疾患として、それだけには限らないが、後天性免疫不全症候群(自己免疫成分を有するウイルス疾患であるAIDS)、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖性症候群(ALPS)、自己免疫性血小板減少性紫斑病(ATP)、ベーチェット病、心筋症、セリアックスプルーヘルペス状皮膚炎;慢性疲労免疫機能障害症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIPD)、瘢痕性類天疱瘡、寒冷凝集素病、クレスト症候群、クローン病、デゴス病、皮膚筋炎-若年性、円板状ループス、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症-線維筋炎、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、インスリン依存性糖尿病、若年性慢性関節炎(スチル病)、若年性関節リウマチ、メニエール病、混合型結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、悪性〔pemacious〕貧血、結節性多発性動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発性筋痛、多発性筋炎および皮膚筋炎、原発性無γグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、乾癬の関節炎、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症(進行性全身性硬化症(PSS)、全身性硬化症(SS)としても知られる)、シェーグレン症候群、スティフ・マン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨大細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、白斑およびウェジナー肉芽腫症が挙げられる。
【0195】
炎症性障害として、例えば、慢性および急性炎症性障害が挙げられる。炎症性障害の例として、アルツハイマー病、喘息、アトピー性アレルギー、アレルギー、アテローム性動脈硬化症、気管支喘息、湿疹、糸球体腎炎、移植片対宿主病、溶血性貧血、変形性関節症、敗血症、卒中、組織および臓器の移植、脈管炎、糖尿病性網膜症および人工呼吸器誘発肺損傷が挙げられる。いくつかの実施形態では、CD276関連状態は、炎症性疾患、例えば、全身性エリテマトーデス(SLE)、腸管粘膜炎症、大腸炎と関連する消耗性疾患、多発性硬化症、ウイルス感染、関節リウマチ、変形性関節症、クローン病〔Cohn's disease〕および炎症性腸疾患、乾癬、全身性強皮症、自己免疫性糖尿病などである。
【0196】
感染性疾患として、それだけには限らないが、真菌感染、寄生虫/原虫感染または慢性ウイルス感染、例えば、マラリア、コクシジオイオドマイコシスイミティス〔coccidioiodmycosis immitis〕、ヒストプラスマ症、爪真菌症、アスペルギルス症〔aspergilosis〕、ブラストミセス症、カンジジアシスアルビカンス〔candidiasis albicans〕、パラコクシジオイデス症〔paracoccidioiomycosis〕、微胞子虫症、アカントアメーバ角膜炎、アメーバ症、回虫症、バベシア症、バランチジウム症、バイリサスカリアシス〔Baylisascariasis〕、シャーガス病、肝吸虫症、コクリオミイヤ属〔Cochliomyia〕、クリプトスポリジウム症、裂頭条虫症、メジナ虫症、エキノコッカス症、象皮症、腸蟯虫症、肝蛭症、肥大吸虫症、フィラリア症、ジアルジア症、顎口虫症、膜様条虫症、イソスポーラ症、片山熱、リーシュマニア症、ライム病、横川吸虫症、ハエ幼虫症、オンコセルカ症、シラミ寄生症、疥癬、住血吸虫症、睡眠病、糞線中症、条虫症、トキソカラ症、トキソプラズマ症、旋毛虫症、鞭虫症、トリパノソーマ症、蠕虫感染、B型肝炎(HBV)、C型肝炎(HCV)、ヘルペスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、HIV、サイトメガロウイルス、I型単純ヘルペスウイルス、II型単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI、ヒト免疫不全ウイルスII、カポジウエスト肉腫関連ヘルペスウイルス伝染病、シンリングウイルス(トルクテノウイルス〔Torquetenovirus〕)、ヒトTリンパ増殖性ウイルスI、ヒトTリンパ増殖性ウイルスII、水痘帯状疱疹、JCウイルスまたはBKウイルスの感染が挙げられる。
【0197】
特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0198】
別の態様では、CD276活性の調節から恩恵を受けるであろう対象における疾患または状態を処置する方法であって、それを必要とする対象に、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な量を投与することを含む方法が提供される。用語「疾患または状態」は、本明細書において、用語「CD276関連疾患または状態」と互換的に使用され得る。
【0199】
本明細書において提供されるような抗体またはその抗原結合断片の治療上有効な量は、当技術分野で公知の種々の因子、例えば、対象の体重、年齢、過去の病歴、現在の薬物適用、健康の状態および交差反応の可能性、アレルギー、感受性および有害な副作用、ならびに投与経路および疾患発達の程度などに応じて変わる。投与量は、これらおよびその他の状況または必要条件によって示されるように、当業者(例えば、医師または獣医師)によって比例的に低減または増大され得る。
【0200】
特定の実施形態では、本明細書において提供されるような抗体またはその抗原結合断片は、約0.01mg/kg~約100mg/kg(例えば、約0.01mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約5mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、約45mg/kg、約50mg/kg、約55mg/kg、約60mg/kg、約65mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約85mg/kg、約90mg/kg、約95mg/kgまたは約100mg/kg)の治療上有効な投与量で投与され得る。これらの実施形態のうち特定のものでは、抗体またはその抗原結合断片は、約50mg/kg以下の投与量で投与され、これらの実施形態のうち特定のものでは、投与量は、10mg/kg以下、5mg/kg以下、3mg/kg以下、1mg/kg以下、0.5mg/kg以下または0.1mg/kg以下である。特定の実施形態では、投薬量は、治療過程にわたって変化し得る。例えば、特定の実施形態では、初期投薬量は、その後の投薬量よりも高い場合がある。特定の実施形態では、投薬量は、対象の反応に応じて処置過程にわたって変わり得る。
【0201】
投与計画は、最適な望ましい応答(例えば、治療的応答)を提供するように調整され得る。例えば、単回用量が投与される場合も、または数回の分割用量が経時的に投与される場合もある。
【0202】
本明細書において開示される抗体およびその抗原結合断片は、例えば、非経口(例えば、皮下、腹腔内、静脈内注入を含む静脈内、筋肉内または皮内注射)または非経口ではない(例えば、経口、鼻腔内、眼球内、舌下、直腸内または局所)経路などの当技術分野で公知の任意の経路によって投与され得る。
【0203】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片は、単独で、または1種もしくは複数のさらなる治療手段または薬剤と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片は、単独で、または第2の治療薬と組み合わせて投与され得る。例えば、本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片は、第2の治療剤、例えば、化学療法剤または抗癌剤と組み合わせて投与され得る。特定の実施形態では、本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片は、1つまたは複数の免疫抑制分子、例えば、CD24、CD47、SIRPα、PD-L1または主要組織適合複合体クラスI(B2M)のベータ-2ミクログロブリンサブユニットのアンタゴニストと組み合わせて投与され得る。用語「アンタゴニスト」とは、本明細書において、免疫抑制シグナルの誘発を阻止するために、CD24、CD47、SIRPα、PD-L1またはB2Mのそれらのそれぞれの結合パートナーへの結合を遮断または阻害する任意の小分子、低分子もしくはマイクロRNAまたは抗体もしくはその抗原結合断片を指すことができる。特定の実施形態では、本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片は、抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片などのPD-L1アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0204】
用語「抗PD-L1抗体」とは、限定されるものではないが、WO2019196309A1に開示されているYN035およびWO2010077634A1に開示されているMPDL3280Aを含む、任意の既知の抗PD-L1抗体またはその抗原結合断片を指すことができる。
【0205】
これらの実施形態の特定のものでは、1種または複数のさらなる治療薬と組み合わせて投与される本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片は、1種または複数のさらなる治療薬と同時に投与されてもよく、これらの実施形態の特定のものでは、抗体またはその抗原結合断片およびさらなる治療薬(複数可)は、同一医薬組成物の一部として投与されてもよい。しかし、別の治療薬と「組み合わせて」投与される抗体またはその抗原結合断片は、薬剤と同時に、または薬剤と同一組成物中で投与されなくてもよい。別の薬剤に先立って、またはその後に投与される抗体またはその抗原結合断片は、抗体またはその抗原結合断片および第2の薬剤が、異なる経路によって投与される場合でさえ、その語句が本明細書において使用される場合、その薬剤と「組み合わせて」投与されると考えられる。可能であれば、本明細書において開示される抗体またはその抗原結合断片と組み合わせて投与されるさらなる治療薬は、さらなる治療薬の添付文書に列挙されるスケジュールに従って、またはPhysicians’ Desk Reference 2003年(Physicians’ Desk Reference,57th Ed;Medical Economics Company;ISBN:1563634457;57th edition(November 2002))もしくは当技術分野で周知のプロトコールに従って投与される。
【0206】
いくつかの実施形態では、本開示は、サンプル中のCD276の存在または量を検出する方法であって、サンプルを、抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、サンプル中のCD276の存在または量を決定することとを含む方法をさらに提供する。
【0207】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるCD276関連疾患または状態を診断する方法であって、a)対象からサンプルを得ることと、b)対象から得られたサンプルを、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、c)サンプル中のCD276の存在または量を決定することと、d)CD276の存在を、対象におけるCD276関連疾患または状態と相関させることとを含む方法をさらに提供する。
【0208】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるCD276関連疾患または状態を処置するための医薬の製造における、CD276関連疾患または状態を診断するための診断用試薬の製造における、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片の使用も提供する。
【0209】
別の態様では、本開示はまた、CD276を発現する細胞においてCD276活性を調節する方法であって、CD276を発現する細胞を、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片に対して曝露することを含む方法も提供する。
【0210】
別の態様では、本開示はまた、サンプル中のCD276の存在または量を検出する方法であって、サンプルを、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、サンプル中のCD276の存在または量を決定することとを含む方法も提供する。
【0211】
別の態様では、本開示はまた、対象におけるCD276関連疾患または状態を診断する方法であって、a)対象からサンプルを得ることと、b)対象から得られたサンプルを、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片と接触させることと、c)サンプル中のCD276の存在または量を決定することと、d)CD276の存在または量を、対象におけるCD276関連疾患または状態の存在または状況と相関させることとを含む方法も提供する。
【0212】
別の態様では、本開示はまた、対象におけるCD276関連疾患または状態を処置するための医薬の製造における、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片の使用も提供する。医薬は第2の治療剤、例えば、PD-L1アンタゴニストをさらに含み、任意選択で、PD-L1アンタゴニストは、抗PD-L1抗体もしくはその抗原結合断片である。
【0213】
別の態様では、本開示はまた、CD276関連疾患または状態を診断するための診断用試薬の製造における、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片の使用も提供する。
【0214】
別の態様では、本開示はまた、CD276、任意選択で、組換えCD276、細胞表面に発現されたCD276またはCD276を発現する細胞の検出において有用な、本明細書において提供される抗体またはその抗原結合断片を含むキットも提供する。用語「組換え」とは、本明細書において、生体分子をその天然の状態以外のものにする1つまたは複数の分子生物学的技術を使用した、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド分子などの1つまたは複数の生体分子の人為的操作を指す。
【0215】
別の態様では、本開示はまた、哺乳動物においてCD276を発現する細胞または組織に対するT細胞媒介性免疫応答を刺激するための方法であって、哺乳動物に、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激シグナル伝達領域およびTCRシグナル伝達ドメインを含むCARを発現するように遺伝子改変された細胞の有効量を投与することを含み、抗原結合ドメインがCD276と特異的に結合し、本明細書において提供される抗原結合断片を含む方法も提供する。特定の実施形態では、抗原結合断片はFabまたはscFvである。特定の実施形態では、本明細書において提供されるCARは二重特異性である。CARは、CD276以外の第2の抗原またはCD276上の第2のエピトープとさらに特異的に結合可能である。特定の実施形態では、第2の抗原は上述の腫瘍抗原である。TCRシグナル伝達ドメインは、CD3ζ、FccRIγ、CD27、CD28、CD137、CD134、MyD88、CD40、CD278、TLRまたはそれらの組合せの細胞内シグナル領域配列からなる群から選択され得る。膜貫通領域は、CD3、CD4、CD8またはCD28の膜貫通領域を含み得る。特定の実施形態では、第2の抗原は、免疫抑制分子、例えば、PD-L1、SIRPα、CD24、CD47またはB2Mである。
【0216】
別の態様では、本開示はまた、CD276関連疾患または状態を有する哺乳動物を処置するための方法であって、哺乳動物に、本明細書において提供されるCAR(例えば、自己T細胞)を発現するように遺伝子改変された細胞の有効量を投与し、それによって哺乳動物を処置することを含む方法も提供する。特定の実施形態において、CD276関連疾患または状態は癌である。特定の実施形態において、哺乳動物はヒト対象である。
【0217】
以下の実施例は、特許請求された本発明をより良好に例示するために提供され、本発明の範囲を制限すると解釈されてはならない。以下に記載されるすべての特定の組成物、材料および方法は、全体で、または一部で本発明の範囲内に入る。これらの特定の組成物、材料および方法は、本発明を制限するものではなく、単に、本発明の範囲内に入る特定の実施形態を例示するものである。当業者は、発明の能力を行使することなく、本発明の範囲から逸脱することなく、同等の組成物、材料および方法を開発し得る。本発明の範囲内にとどまりながら本明細書に記載される手順において多数の変法を行うことができるということが理解されよう。このような変法が本発明の範囲内に含まれることは本発明者らの意図である。
【実施例】
【0218】
[実施例1]
ハイブリドーマ開発
1.方法
1.1 免疫化および血清力価測定
1.1.1 免疫原および免疫化戦略
細胞免疫化
ヒトCD276タンパク質(UniProt ID:Q5ZPR3、すなわち、CHO-S-hCD276)またはマウスCD276タンパク質(UniProt ID:Q8VE98、すなわち、CHO-S-hCD276)を過剰発現するCHO-S細胞を免疫原として使用した。
【0219】
タンパク質免疫化
組換えヒトCD276タンパク質(配列番号346):組換えヒトCD276タンパク質を、ヒトCD276タンパク質をエンテロキナーゼにより消化することによって調製し、ヒトCD276の細胞外ドメインを、6×HisタグおよびDDDDKと融合した(配列番号345)。
【0220】
組換えヒトCD276タンパク質(配列番号346):
LEVQVPEDPVVALVGTDATLCCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDTKQLVHSFAE
GQDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFVSIRDFGSAA
VSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYQGYPEAEVFWQDGQGVP
LTGNVTTSQMANEQGLFDVHSILRVVLGANGTYSCLVRNPVLQQDAHSSVTI
TPQRSPTGAVEVQVPEDPVVALVGTDATLRCSFSPEPGFSLAQLNLIWQLTDT
KQLVHSFTEGRDQGSAYANRTALFPDLLAQGNASLRLQRVRVADEGSFTCFV
SIRDFGSAAVSLQVAAPYSKPSMTLEPNKDLRPGDTVTITCSSYRGYPEAEVF
WQDGQGVPLTGNVTTSQMANEQGLFDVHSVLRVVLGANGTYSCLVRNPVL
QQDAHGSVTITGQPMTFPPEAHHHHHHDDDDK
【0221】
Balb/cおよびSJLマウスを以下に示すように免疫化した。一次免疫に続いて、動物がハイブリドーマ開発に適した十分な抗血清力価を発生するまで数回のブーストを行った。
【0222】
【0223】
1.1.2 免疫化スケジュール
免疫化スケジュール(1群)
【0224】
【0225】
免疫化スケジュール(2群)
【0226】
【0227】
免疫化スケジュール(3群)
【0228】
【0229】
免疫化スケジュール(4群)
【0230】
【0231】
免疫化スケジュール(5群)
【0232】
【0233】
1.1.3 試験ブリード抗血清解析
スクリーニング-試験ブリードを実施し、ヒトおよび/またはマウスCD276を安定して過剰発現するCHO-S細胞株(CHO-S-hCD276および/またはCHO-S-mCD276)に対してFACSを使用して試験することによって評価した。
【0234】
スクリーニング-試験ブリードを実施し、組換えヒトCD276タンパク質の細胞外ドメインによるElisaを使用して試験することによって評価した。
【0235】
1.2 ハイブリドーマの作製およびスクリーニング
1.2.1 細胞融合およびスクリーニング
融合-試験ブリードFACSによって決定されるように、免疫化に最もよく応答したマウスに対して脾細胞融合を実施した。脾臓およびリンパ節からのリンパ球を、最適化した電気融合プロトコールを使用してSp2/0細胞株に融合した。細胞融合の成功を確実にするために、複数の融合を実施した。
【0236】
スクリーニングおよび拡大-融合体を96ウェルプレートのスタックにプレーティングした(ウェル当たり2×104~105個)。プレートを成長についてモニタリングし、毎週給餌した。細胞成長のあるウェルを、FACSおよび/またはElisaなどの他の実行可能なアッセイを用いて10~14日の一次スクリーニングアッセイによってスクリーニングした。各標的化抗原について複数の融合を実施し、スクリーニングした。一次スクリーニングからCHO-S-CD276との陽性結合および陽性Elisaシグナルを示した陽性親クローンを、二次スクリーニングのために24ウェルプレートに拡大させた。
【0237】
追加の抗体スクリーニング-一次スクリーニングに続いて、24ウェルプレートに拡大させた陽性親クローンを、以下のハイブリドーマスクリーニングファンネルに記載されるアッセイによって再度スクリーニングした。
【0238】
サブクローニングに進むために、目的のハイブリドーマを選択した。
【0239】
1.2.2 ハイブリドーマのサブクローニング、スクリーニングおよび凍結保存
サブクローニング-次いで、上記のスクリーニングファンネルからの所望の反応性およびアイソタイプを有する親ハイブリドーマを、モノクローンが得られるまで複数回の限界希釈または単一細胞選別によってサブクローニングした。
【0240】
スクリーニングおよび拡大-サブクローニングプレートを、タンパク質または細胞ベースのElisaによってスクリーニングし、良好な結合能力を有するサブクローンを、確認試験のために24ウェルに拡大させた。これらのサブクローンの特異性および交差反応性をFACS解析によって確認した。簡潔に述べると、カニクイザル〔Macaca_fascicularis〕CD276を安定して過剰発現する親CHO-S細胞、CHO-S-hCD276、CHO-S細胞株、マウスCD276を安定して過剰発現するCHO-K1 S細部株を、それぞれ各サブクローンによって産生された抗体とインキュベートした。蛍光色素がコンジュゲートした二次抗体を使用して、一次抗体の細胞との結合を検出した。蛍光強度中央値を、FAC分析によって測定した。
【0241】
凍結保存-所望のサブクローン細胞株を配列決定し、凍結保存のために培養フラスコ内でさらに拡大させた。0.5~13.0×106個の細胞/バイアルで細胞株当たり4~6個のバイアルを最初に凍結保存した。必要に応じて、選択された最も価値のある細胞株に対してマスターセルバンクおよびワーキングセルバンクを確立した。
【0242】
2.結果
本発明者らは、ヒトCD276タンパク質を安定して過剰発現するCHO-S細胞(CHO-S-hCD276)との陽性結合を示すが、親CHO-S細胞との結合を示さない、特有の配列を有する43個の抗体を発見し、これらの抗体がヒトCD276を認識する抗体であることを示唆した。これらのうちの42個の抗体はカニクイザル〔cynomolgus monkey〕CD276と結合でき、11個の抗体はマウスCD276タンパク質と結合できた。FACSによって検出された、CHO-S、CHO-S-hCD276、CHO-S-mCD276、CHO-S-カニクイザルCD276(CHO-S-cynoCD276)を染色するマウス抗体のMFIを以下の表にまとめた(表5)。
【0243】
【0244】
[実施例2]
抗体の特性評価:親和性
1.方法
1.1 SKOV3癌細胞株に対する細胞ベースの結合親和性
表5から31個のマウス抗体の配列を選択して、ヒトIgG1キメラ抗体を作製および産生した。これらの抗体ならびにベンチマーク抗体であるエノブリツズマブ(米国特許第8802091号、特にhBRCA84D-2と指定された構築物を有するMGA271を参照のこと)およびMGC018(mAb MGA017(ヒトIgG1)が、分裂細胞および非分裂細胞の両方においてDNAを損傷させ、それによって細胞死を引き起こし得るアルキル化剤である、プロドラッグseco-DUocarmycinヒドロキシベンズアミドアザインドール(DUBA)と切断可能なリンカーを介してコンジュゲートしている抗体-薬物-コンジュゲート)と、ヒト患者由来の卵巣癌細胞株であるSKOV3との結合親和性を、FACS解析によって決定した。
【0245】
FAC解析のプロトコールは以下のように説明される。
【0246】
1.Trypsin(1×)を使用して細胞を消化した。回収した細胞を300gで3分間遠心分離し、上清を捨てた。
【0247】
2.300gで3分間遠心分離し、上清を捨てることにより、FACSバッファーで細胞を2回洗浄した。
【0248】
3.細胞を再懸濁し、2*105個の細胞/ウェルを50ulのFACSバッファー中のアッセイプレートに播種し、次いで50μlの一次抗体を添加した(一次抗体最終濃度:5.00、1.67、0.56、0.19、0.06、0.02、0.01、0.00μg/ml、または20.00、6.67、2.22、0.74、0.25、0.08、0.03、0.00μg/ml)。4℃で1時間インキュベートした。
【0249】
4.ステップ2の条件を使用することによって細胞を2回洗浄した。細胞を100μl/ウェルで希釈した二次抗体で再懸濁し、暗所において4℃で1時間インキュベートした。
【0250】
5.ステップ2の条件を使用することによって細胞を2回洗浄した。細胞を100μl/ウェルのFACSバッファーで再懸濁した。FACS解析のために細胞を暗所に維持した。
【0251】
SKOV3に対する選択された抗体の結合親和性は、ベンチマーク抗体であるエノブリツズマブよりも高いか、低いか、または同等である(表6および
図1を参照のこと)。
【0252】
【0253】
2.Biacore(ChemPartner)によるタンパク質ベースの親和性試験
試験条件:
分析物:B7H3
ランニングバッファー:HBS-EP+
流速:30μL/分
捕捉:Ab、60秒間10μL/分
段階希釈したB7H3の注入
接触時間:180秒
解離時間:400秒
再生:pH1.5 Gly、30秒間30μL/分
方法:捕捉を使用した複数サイクルの動態/親和性
機械モデル:Biacore 8K(GE)
解析温度:25℃
【0254】
【0255】
3.いくつかの癌細胞株上でのB7H3の発現パターン
B7H3発現を、6-D8-E7-A11を用いたFACSによって検出した。BxPC3(膵臓)、MCF7(乳房)、Dentroit562(頭頸部)、RKO(結腸)およびSUN620(胃)などのいくつかの癌細胞株上での高発現レベルのB7H3を見出した(
図2を参照のこと)。
【0256】
[実施例3]
抗体の特性評価:ADCC
1.方法
抗CD276抗体のADCCを決定するために、1×105/ウェルのSKOV3を96ウェル平底滅菌プレートに播種し、次いで2×104のJurkat-NFAT-ルシフェラーゼ-CD16をエフェクター細胞として添加した。その後、段階希釈した抗体を各ウェルに添加し、プレートを37℃、5%CO2で18時間インキュベートした。最後に、ルシフェラーゼ活性を検出して抗体のADCC活性を評価した。
【0257】
2.結果
すべての本発明者らの抗体は、SKOV3細胞(ヒト卵巣癌細胞株)に対して強力なADCC効果を示した。抗体の一部は、ベンチマーク抗体であるエノブリツズマブと比較して、より低いか、または同等のEC
50を示し(表8および
図3)、エノブリツズマブ(MGA271)よりもSKOV3細胞に対するADCC効果の媒介において強力であることを示した。
【0258】
【0259】
[実施例4]
抗体の特性評価:CDC
1.方法
抗CD276抗体のCDCを決定するために、CHO-S-hCD276細胞を4E5細胞/mLで細胞培養培地に再懸濁し、次いで96ウェル不透明壁プレートに50μL/ウェルで添加した。抗CD276抗体を完全F-12K培地で希釈し、96ウェル不透明壁プレートに50μL/ウェルで添加した。ヒト血清補体を細胞培養培地で希釈し、同じプレートに50μL/ウェルで添加した。混合物を37℃にてCO2インキュベーター内で2時間インキュベートした。細胞傷害性を決定するためのCellTiter-Glo試薬を50μL/ウェルで添加し、混合物を室温で10分間インキュベートした。マイクロプレートリーダー上の生細胞の発光シグナルを記録した。
【0260】
2.結果
すべての抗CD276抗体は、CHO-S-hCD276細胞に対して強力なCDC効果を示し、ベンチマーク抗体であるエノブリツズマブ(MGA271)と比較して低いEC
50を示した(表9および
図4を参照のこと)。
【0261】
【0262】
[実施例5]
抗体の特性評価:間接的ADC細胞傷害性
1.方法
Fab-ZAPは、ヤギ抗ヒト一価抗体(二次抗体)およびリボソーム不活化タンパク質であるサポリンの化学的コンジュゲートである。Fab-ZAPは、抗体の内部移行能力を決定するために使用される。このアッセイでは、80μLのSKOV-3細胞を96ウェルプレートに2000細胞/ウェルでプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。次いで抗CD276抗体を40μL/ウェルで添加した。Fab-ZAPヒト希釈液を40μL/ウェルで添加し、37℃にてCO2インキュベーター内で96時間インキュベートした。細胞の細胞傷害性を決定するためのCellTiter-Glo試薬を100μL/ウェルで添加し、室温で10分間インキュベートした。マイクロプレートリーダー上の生細胞の発光シグナルを記録した。
【0263】
2.結果
すべての抗CD276抗体は、ベンチマーク抗体であるMGC018と比較して低いか、または同等のIC
50で、SKOV3細胞に対する強力な間接的ADC効果を示し(表10、
図5)、これらがADCを作製するための潜在的な候補であることを示した。
【0264】
【0265】
[実施例6]
雌のC57BL/6マウスにおける皮下MC-38-hCD276マウス結腸癌腫の処置における抗体のin vivo有効性
1.研究設計および方法
マウスIgG2a Fcを有するいくつかのモノクローナル抗体を構築し、in vivo有効性研究のために発現させた。
【0266】
1.MC-38-hCD276(B7H3)腫瘍細胞を、37℃、空気中5%CO2の雰囲気下で10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地を用いて、in vitroで維持した。対数増殖期の細胞を採取し、腫瘍接種前にセルカウンターにより定量した。
【0267】
2.各マウスの右後部脇腹領域に、腫瘍発生のために、0.1mlのPBS中のMC-38-hCD276(B7H3)腫瘍細胞(1×10^6)を皮下接種した。ランダム化の日付を0日目として示し、投与を0日目から開始する。
【0268】
3.平均腫瘍サイズが約50~60mm3に達すると、ランダム化を開始する。60匹のマウスをこの研究に登録した。すべての動物をランダムに7つの研究群に割り当てた。ランダム化は、ランダム化ブロック設計に基づいて実施した。
【0269】
4.腫瘍体積を、ノギスを使用して2次元で1週間に2回測定し、体積は、式:V=(L×W×W)/2を使用してmm
3で表し、式中、Vは腫瘍体積であり、Lは腫瘍の長さ(最長の腫瘍寸法)であり、Wは腫瘍幅(Lに垂直な最長の腫瘍寸法)である。投与ならびに腫瘍サイズおよび体重の測定は、層流キャビネット内で行った(表11、
図6を参照のこと)。
【0270】
5.アテゾリズマブ(TecentriqまたはMPDL3280Aとも呼ばれる抗PD-L1抗体、WO2010077634A1を参照のこと)およびAntengene-084M(マウスIgG2aで構築されたMGA271のFab配列(米国特許第8802091Bを参照のこと))を対照として使用した。
【0271】
【0272】
2.結果
図6に示すように、抗CD276抗体の一部は強力なin vivo有効性を示した。特に、25-C8-D7-C5マウスIgG2aは、Antengene-084MマウスIgG2aよりも高い腫瘍阻害を示した。
【0273】
[実施例7]
抗体のADCin vivo有効性試験
1.研究設計および方法
抗体のADC潜在能力を評価するために、ChemPartnerにおいてVC-MMAEとの抗体コンジュゲーションを実施した。一連のVC-MMAEコンジュゲート抗体を得た。詳細を表12に示す。
【0274】
【0275】
Calu-6研究のための各Balb/cヌードマウスの右前部脇腹領域に、腫瘍発生のために、0.1mlのPBS中のCalu-6腫瘍細胞(5×106)を皮下接種した。平均腫瘍サイズが約122mm3に達すると、ランダム化を開始する。60匹のマウスをこの研究に登録した。ランダム化の日付を0日目として示し、投与は0日目から開始する。
【0276】
2.結果
Balb/cヌードマウスの皮下ヒト肺癌Calu-6の処置における試験物質の治療効果をこの研究において調査した。明らかな体重減少、死亡率または毒性反応は、有効性研究の間、設計された投与レジメンでは観察されなかった。24日目に、単剤としての3mg/kgでのMGC018、10-G6-C4-B2、16-C6-F7-F5、15-C8-B5-G7および18-F9-D8-G7は、それぞれBalb/cヌードマウスのCalu-6モデルに対して有意な抗腫瘍効果を示す。結果を
図7および表13に示す。
【0277】
【0278】
[実施例8]
抗体のT細胞活性化(MLRアッセイ)試験
1.研究設計および方法
DC誘導
単球細胞を、2U/mlの樹状細胞培養因子を補充した3mlの完全培地中で5×106で再懸濁し、次いで6ウェルプレートで細胞を培養する。2日目に、2U/mlの樹状細胞培養因子を補充した2ml/ウェルの新鮮な完全培地を、さらに3日間の培養のために添加した。その後、単球は未成熟樹状細胞(iDC)に分化した。2U/mlの樹状細胞成熟因子で48時間刺激した後、iDCは成熟樹状細胞に分化する。
【0279】
抗体消化
25μgのhIgG1および3μLの10×Glycoバッファーを混合し、次いでPBSを添加して30μlの総反応体積を作製した。1μlのIdeZプロテアーゼを添加し、次いで37℃で30分間インキュベートした。10μlのプロテインA/Gビーズを1mLのPBS中に添加し、2回洗浄した。ビーズを上記のステップからの反応溶液で再懸濁した。
【0280】
チューブを室温で1分間磁石上に置き、F(ab)2は上清中にあり、Fcをビーズによって捕捉した。
【0281】
MLRアッセイ
20万細胞/ウェルのT細胞および2万細胞/ウェルのmDCを播種した。
【0282】
細胞を、PBS、IgG1、25-C8-D7-C5、30-C7-C11-D4、BMK(MGA271)またはそれらのFab(最終濃度5μg/ml)で処理した。24時間後、上清を収集し、Elisaを用いてヒトIL-2およびIFNγを試験した。
【0283】
2.結果
図8および9に示すように、30-C7-C11-D4は、T細胞活性化を活性化できるが、25-C8-D7-C5およびBMK(MGA271)は活性化できない。
【0284】
[実施例9]
抗体のヒト化およびPTM最適化
9.1 FACSによるヒト化抗体の細胞ベースの親和性試験
10-G6-C4-B2および30-C7-C11-D4を選択して、ヒト化およびPTM最適化を実施した。ヒト化候補および最適化されたPTM配列の親和性をFACSによって評価した。
【0285】
結果を
図10および11に示す。すべての配列は、親抗体と同等の親和性を示した。
【0286】
9.2 Biacore(ChemPartner)によるタンパク質ベースの親和性試験
試験条件:
分析物:B7H3。ランニングバッファー:HBS-EP+。流速:30μL/分。補足:Ab、60秒間10μL/分。段階希釈したB7H3の注入。接触時間180秒、解離時間400秒。再生:pH1.5 Gly、30秒間30μL/分。方法:捕捉を使用した複数サイクルの動態/親和性。機械モデル:Biacore 8K(GE)。解析温度:25℃。
【0287】
結果を表14に示す。
【0288】
【0289】
9.3 in vivoでのヒト化10-G6-C4-B2抗体のADC治療能力試験
ヒト化10-G6-C4-B2抗体のin vivoでのADC治療能力を評価した。ChemPartnerにおいてVC-MMAEとの抗体コンジュゲーションを構築した。一連のVC-MMAEコンジュゲート抗体を得、その詳細を表15に示す。
【0290】
【0291】
Calu-6研究のための各Balb/cヌードマウスの右前部脇腹領域に、腫瘍発生のために、0.1mlのPBS中のCalu-6腫瘍細胞(5×106)を皮下接種した。平均腫瘍サイズが約122mm3に達すると、ランダム化を開始する。60匹のマウスをこの研究に登録した。ランダム化の日付を0日目として示し、投与は0日目から開始する。
【0292】
Balb/cヌードマウスの皮下ヒト肺癌Calu-6の処置における試験物質の治療効果をこの研究において調査した。明らかな体重減少、死亡率または毒性反応は、有効性研究の間、設計された投与レジメンでは観察されなかった。
【0293】
結果を
図12および表16に示す。26日目に、単剤としての3mg/kgでの試験物質のほぼすべてが、それぞれBalb/cヌードマウスのCalu-6モデルに対して顕著な抗腫瘍効果を示す。
【0294】
【配列表】
【国際調査報告】