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特表2024-521050溶鋼の洗浄機能を有する耐火材、製造方法及びその使用
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  • 特表-溶鋼の洗浄機能を有する耐火材、製造方法及びその使用 図1
  • 特表-溶鋼の洗浄機能を有する耐火材、製造方法及びその使用 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】溶鋼の洗浄機能を有する耐火材、製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/44 20060101AFI20240521BHJP
   C04B 35/101 20060101ALI20240521BHJP
   F27D 1/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C04B35/44
C04B35/101 500
F27D1/00 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569869
(86)(22)【出願日】2022-05-10
(85)【翻訳文提出日】2024-01-09
(86)【国際出願番号】 CN2022091933
(87)【国際公開番号】W WO2022237769
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202110507748.0
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516265780
【氏名又は名称】北京科技大学
(71)【出願人】
【識別番号】523425821
【氏名又は名称】▲ず▼博市魯中耐火材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZIBO CITY LUZHONG REFRACTORIES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Niecun, Luocun Town, Zichuan District, Zibo, Shandong 255138, China
(71)【出願人】
【識別番号】523425832
【氏名又は名称】▲ず▼博郎豊高温材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZIBO LANGFENG HIGH TEMPERATURE MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Niecun, Luocun Town, Zichuan District, Zibo, Shandong 255138, China
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】陳俊紅
(72)【発明者】
【氏名】封吉聖
(72)【発明者】
【氏名】賈元平
(72)【発明者】
【氏名】李斌
(72)【発明者】
【氏名】朱波
(72)【発明者】
【氏名】李広奇
(72)【発明者】
【氏名】郭玉涛
【テーマコード(参考)】
4K051
【Fターム(参考)】
4K051AA06
4K051BB02
4K051BE00
(57)【要約】
本願は、溶鋼の洗浄機能を有する耐火材、製造方法及びその使用を開示している。本願の耐火材の相には、CA6、CMA、コランダム、及びZrOのうちの1つまたは複数が含まれる。本願で製造された耐火材は、高純度、良好な耐溶損性、良好な耐スラグ浸透性、及び高い熱衝撃安定性を備え、溶鋼への耐火材の侵食量を減らし、溶鋼への汚染を低減すると共に、高純度原料の性能上の利点を十分に発揮することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼の洗浄機能を有する耐火材であって、前記耐火材の相が、CA6、CMA、コランダム、及びZrOのうちの1つまたは複数を含む、ことを特徴とする耐火材。
【請求項2】
前記耐火材全質量に対する前記耐火材中のCA6、CMA、コランダム及びZrO相の合計含有量が百分率で90%以上であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~35%であり、好ましくは0~15%であり、
前記コランダム相の含有量が0~70%であり、好ましくは0~30%であり、
好ましくは、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは55%~100%または52.5~100%であり、
より好ましくは、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6相の含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは52.5%~100%または55%~100%である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐火材。
【請求項3】
前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは0である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の耐火材。
【請求項4】
前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、
53.20%~97.13%または55.72%~97.48%のAl、好ましくは71.06%~94.10%または72.86%~94.12%のAl、より好ましくは75.58%~94.10%のAl
1.60%~8.40%または1.76%~8.4%のCaO、好ましくは3.05%~8.40%または3.2%~8.4%のCaO、より好ましくは4.16%~8.40%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~35%のZrO、好ましくは0~15%のZrOを含む、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項5】
前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cmであり、好ましくは2.95~3.35g/cmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項6】
前記耐火材の基質部分の相が、コランダム、CA6、CMA、及びZrOのうちの1つまたは複数を含み、
前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、
前記コランダム相の含有量が0~100%であり、好ましくは0~50%であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~25%であり、
好ましくは、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分における前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で25%~100%であり、
より好ましくは、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分における前記CA6相の含有量が百分率で25%~100%である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項7】
前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、
41.2%~99.5%または42.5%~100%のAl、好ましくは63.15%~95.80%または64.29%~95.8%のAl、より好ましくは67.46%~95.80%のAl
0~8.4%のCaO、好ましくは1.35%~8.40%または1.47%~8.4%のCaO、より好ましくは2.0%~8.40%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~50%のZrO、好ましくは0~25%のZrOを含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項8】
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項9】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60である、ことを特徴とする請求項8に記載の耐火材。
【請求項10】
前記顆粒材料が、CA6顆粒材料及びCMA顆粒材料から選択される1つまたは2つである、ことを特徴とする請求項8または9に記載の耐火材。
【請求項11】
前記微粉末は、Al-CaO-MgO系微粉末を含み、
好ましくは、前記微粉末は、ZrO含有微粉末をさらに含み、
好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~50%のZrO含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末は、75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~25%のZrO含有微粉末とを含み、
好ましくは、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、CMA微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末、CaO・2Al微粉末、及び12CaO・7Al微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項12】
前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmである、ことを特徴とする請求項8~11のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項13】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、
ことを特徴とする請求項8~12のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項14】
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaである、ことを特徴とする請求項8~13のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項15】
前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上である、ことを特徴とする請求項8~14のいずれか一項に記載の耐火材。
【請求項16】
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法。
【請求項17】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60である、ことを特徴とする請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記顆粒材料が、CA6顆粒材料及びCMA顆粒材料から選択される1つまたは2つである、ことを特徴とする請求項16または17に記載の製造方法。
【請求項19】
前記微粉末は、Al-CaO-MgO系微粉末を含み、
好ましくは、前記微粉末は、ZrO含有微粉末をさらに含み、
好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~50%のZrO含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末は、75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~25%のZrO含有微粉末とを含み、
好ましくは、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、CMA微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末、CaO・2Al微粉末、及び12CaO・7Al微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする請求項16~18のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項20】
前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmである、ことを特徴とする請求項16~19のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項21】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、
ことを特徴とする請求項16~20のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項22】
前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaである、ことを特徴とする請求項16~21のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項23】
前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上である、ことを特徴とする請求項16~22のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項24】
請求項1~15のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項16~23のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
【請求項25】
請求項1~15のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項16~23のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とするアルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
【請求項26】
請求項1~15のいずれか一項に記載の耐火材、または請求項16~23のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする工業炉用耐火材ライニング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、耐火材の技術分野に関し、特に、溶鋼を洗浄する機能を有する耐火材、その製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高機能ダイス鋼、シリコンウェーハ切断用ワイヤー鋼、自動車変速機用鋼などの中高級鋼種の一部は、非金属介在物の制御が不十分なため、鋼材の性能が不安定な場合が多くある。非金属介在物は、精錬プロセスに関係しているだけではなく、耐火材(耐火物)の損傷にも密接に関係している。精錬プロセス中、耐火材の損傷は非常に深刻であり、損傷が急速であるため、より多くの耐火材が鋼に入り込み、介在物が形成される。
【0003】
溶鋼に対する耐火材の汚染としては、耐火材がスラグによって損傷を受け、鋼中に侵入して介在物を形成する一方、耐火材中の関連成分の酸素ポテンシャルは高く、例えば、SiOやFeなどの高酸素ポテンシャル成分により、溶鋼が酸化して介在物を形成する。したがって、溶鋼の洗浄機能を備えた耐火材には、次のような特性が必要である。
(1)耐火材は高い溶融温度と高い使用温度を有すること。
(2)溶鋼が酸化して介在物を形成することがないように、耐火材はなるべく高酸素ポテンシャル成分を含まないこと。
(3)耐火材は、スラグ侵食及びスラグ浸透に対して良好な耐性を有し、変成層の形成が遅く、スラグの腐食が遅く、溶鋼への侵入速度を最小限に抑えること。
以上を実現するためには、第一に、原料の酸素ポテンシャルが低く、高温耐性があり、高温でのスラグとの反応速度が遅いこと、第二に、原料がC12A7を放出して溶鋼を浄化する潜在的な機能を備えていること、そして、耐火材の製造技術を革新し、均一な構造を確保し、低温焼結剤の導入を削減する必要がある。
【0004】
現在、耐火材原料として上記の機能を有するものはCaOのみであるが、CaOは水和しやすくて実用化が難しい。耐火材から見ると、その研究開発思想や従来の理論では、材料中の気孔や構造の均一性を解決することが難しいため、スラグの浸透深さを低減することは困難である。耐火材の製造技術から見て、現在の製造技術には、常温液圧成形、摩擦レンガプレスによる衝撃成形、常温振動成形の他に、流し込み振動成形、スプレー成形などもあるが、これらは材料の構造均一性及び焼結の問題を解決することはできない。したがって、従来技術には主に次のような問題及び欠陥がある。
(1)工業的に適用されている既存のコランダム・スピネルキャスタブル、Al-MgO-SiO系キャスタブル等の取鍋作業用ライニング耐火材自体は、いずれも溶鋼を浄化する機能がなく、これらの耐火材に使用される原料、例えば、板状コランダム、白色コランダム、亜白色コランダム、ボーキサイト、ムライト等も、溶鋼を浄化する機能を持たない。原料には溶鋼を浄化する機能がないため、耐火材にも当然溶鋼を浄化する作用はない。
(2)従来の耐火材の開発思想では、キャスタブルであっても耐火レンガであっても気孔の分布は非常に不均一である。温度変化による応力損傷を軽減するには、不均一な気孔の分布に対抗するための多量の気孔率が必要であることから、スラグの侵入が避けられず、スラグ浸透深さを低く制御することも困難となる。その結果、多量の耐火材が溶鋼中に溶損され、溶鋼を浄化する機能がないばかりか、逆に溶鋼を大きく汚染することになる。
(3)コランダム-スピネル系キャスタブルであろうと、ヘキサアルミン酸カルシウムを含む新しく出現した材料であろうと、高い気孔率と急速な損傷という欠陥があり、これにより、より多くの耐火材が鋼に入り込んで介在物を形成する。
(4)CA6材は、酸素ポテンシャルが低く、融点が高く、使用温度が高く、溶鋼を潜在的に浄化するという非常に重要な機能を持っているが、CA6の結晶構造特性や焼結しにくい特性を考慮すると、CA6材の体積密度は非常に低い。そのため、現在のヘキサアルミン酸カルシウム系のキャスタブルはすべて、材料の高温性能を犠牲にしてTiO、MnO、SiO、及びFeなどの焼結促進成分が添加されている。これにより、材料の高温性能が大幅に低下するだけではなく、酸素ポテンシャルの高い添加剤が導入され、本来酸素ポテンシャルが低く、溶鋼を汚染しないヘキサアルミン酸カルシウムに有害な成分が追加されることになる。
(5)ヘキサアルミン酸カルシウムの含有量が高いキャスタブルの体積密度は、ほとんどが2.60~2.90g/cmであり、気孔率はより高く、15~23%にも達し、耐溶鋼摩耗性が低く、損傷速度が速く、多量の耐火材が溶鋼に入り、溶鋼を浄化しないばかりか、逆に溶鋼を汚染することになる。
(6)従来の耐火材の製造技術や開発思想では、耐火材の気孔率を低くすることができず、低すぎると熱衝撃安定性が悪くなるため、熱衝撃安定性と耐スラグ浸透性を両立させるために、耐火材は高い気孔率を保持する必要がある。これにより、スラグが耐火材に深く浸透し、変成層が厚くなり、その後の溶損や剥離損傷が発生する。
【0005】
上記の問題と欠陥を解決することの難しさは次のとおりである。
(1)CA6は現在の従来原料に比べて熱衝撃安定性及び耐浸透性が良いという利点があるが、耐火材分野の既存技術では、ヘキサアルミン酸カルシウムを導入しても耐溶損性、耐浸透性と熱衝撃安定性との矛盾の問題を解決できない。これは、既存の耐火材の開発思想によって決定されており、その開発思想やコンセプトが変わらずに、特定成分の添加のみで問題を解決することは困難である。ヘキサアルミン酸カルシウムが添加された材料システムは依然として高い気孔率を持っている;(2)ヘキサアルミン酸カルシウム原料は、その独特のラメラ構造と異方性結晶化特性により、それ自体の粒子拡散に頼って焼結することが困難であり、TiO、MnO、SiO、Feなどの焼結促進成分を添加し、高温で液相を形成して粒子の拡散を加える必要がある。そうでなければ、ヘキサアルミン酸カルシウム原料の密度が低く、材料の気孔率が高く、強度が低くなり、使用できない;(3)焼結促進成分の導入によりヘキサアルミン酸カルシウムの純度と高温性能が低下し、特に酸素ポテンシャルの高い焼結促進成分は材料の酸素ポテンシャルの増加を招き、溶鋼中の脱酸や介在物が発生し、鋼の品質に影響を及ぼす;(4)高温液相の表面張力の観点から、焼結促進成分の添加と高温液相の引張力によりヘキサアルミン酸カルシウム材料の焼結が可能であるが、粒子を近づけて緻密にすることは困難である。そのため、液相焼結に基づく高純度のヘキサアルミン酸カルシウム材料の体積密度は、一般に2.90g/cm以下である。2.90g/cm以上に達するには、より多くの焼結助剤を添加する必要があり、材料の高温性能が急激に低下することになる;(5)高温液相の表面張力の影響は限られており、液相が粒子を近づけて緻密化することは困難であることに鑑み、液相焼結による耐火材の孔構造は不均一であり、熱衝撃安定性を確保することが難しいだけではなく、気孔の集中により損傷が不均一になり、局所的な損傷が急速に発生する。
【0006】
上記の問題や欠点を解決する意義は、次のとおりである。高純度、低酸素ポテンシャル、及び潜在的な溶鋼浄化機能を有するCA6をベースに、焼結助剤を添加せず、低融点液相を生成せず、液相焼結に依存することなく、高純度、耐溶損性、及び溶鋼浄化機能を有する耐火材を製造することができ、高純度原料の耐溶損性や溶鋼の浄化機能などの利点を最大限に発揮することができる;均一な気孔構造と低い気孔率を持つ耐火材を構築することで、耐火材全体の構造応力を解決するだけではなく、耐スラグ浸透性、及び急速な侵食問題も解決し、耐浸透性と耐熱衝撃性の両立を実現できる;これにより、耐溶損性に優れた高純度原料の利点とCA6材の溶鋼浄化機能を十分に発揮するだけではなく、熱衝撃安定性と耐スラグ浸透性を両立させ、過酷な精錬条件下で取鍋の作業用ライニングの耐火材が急速に損傷する問題も解決し、鋼への耐火材混入の問題が軽減され、有意な経済的及び社会的利益をもたらす。
【発明の開示】
【0007】
上記課題を解決するために、本出願は、溶鋼の洗浄機能を有する耐火材、その製造方法及びその使用を提供する。本出願は、高純度、高耐溶損性の原料をベースに、焼結促進成分を添加せず、低融点液相を生成せず、液相焼結に依存することなく、高純度、良い耐溶損性、良い耐スラグ浸透性、及び高い耐熱衝撃性を有するヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材製品を製造することができ、侵食されて溶鋼に入る耐火材の量を減らし、溶鋼への汚染を低減するとともに、高純度原料の性能上の利点を最大限に発揮することができる;均一な構造を持つ耐火材を構築することで、耐火物全体の構造応力を解決するだけではなく、耐スラグ浸透性の問題も解決し、耐浸透性と耐熱衝撃性の両立を実現できる;CA6の結晶構造、相、及び化学組成の特性に基づいて、ヘキサアルミン酸カルシウムの低酸素ポテンシャル、介在物の吸着、溶鋼の浄化という機能を十分に発揮できる。これにより、耐溶損性に優れた高純度原料の利点を十分に発揮するだけではなく、熱衝撃安定性と耐スラグ浸透性を両立させ、過酷な精錬条件下で取鍋の作業用ライニングの耐火材が急速に損傷する問題、アルミニウム溶湯取鍋の寿命、及び他の同様の炉の速すぎる損傷の問題も解決し、有意な経済的及び社会的利益をもたらす。
【0008】
本出願の具体的な技術案は次のとおりである。
1、溶鋼の洗浄機能を有する耐火材であって、前記耐火材の相が、CA6、CMA、コランダム、及びZrOのうちの1つまたは複数を含む、ことを特徴とする耐火材。
2、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中のCA6、CMA、コランダム及びZrO相の合計含有量が百分率で90%以上であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~35%であり、好ましくは0~15%であり、
前記コランダム相の含有量が0~70%であり、好ましくは0~30%であり、
好ましくは、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは55%~100%または52.5~100%であり、
より好ましくは、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6相の含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは52.5%~100%または55%~100%である、ことを特徴とする項1に記載の耐火材。
3、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは0である、ことを特徴とする項1または2に記載の耐火材。
4、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、
53.20%~97.13%または55.72%~97.48%のAl、好ましくは71.06%~94.10%または72.86%~94.12%のAl、より好ましくは75.58%~94.10%のAl
1.60%~8.40%または1.76%~8.4%のCaO、好ましくは3.05%~8.40%または3.2%~8.4%のCaO、より好ましくは4.16%~8.40%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~35%のZrO、好ましくは0~15%のZrOを含む、ことを特徴とする項1~3のいずれか一項に記載の耐火材。
5、前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cmであり、好ましくは2.95~3.35g/cmである、ことを特徴とする項1~4のいずれか一項に記載の耐火材。
6、前記耐火材の基質部分の相が、コランダム、CA6、CMA、及びZrOのうちの1つまたは複数を含み、
前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、
前記コランダム相の含有量が0~100%であり、好ましくは0~50%であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~25%であり、
好ましくは、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分における前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で25%~100%であり、
より好ましくは、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分における前記CA6相の含有量が百分率で25%~100%である、ことを特徴とする項1~5のいずれか一項に記載の耐火材。
7、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、
41.2%~99.5%または42.5%~100%のAl、好ましくは63.15%~95.80%または64.29%~95.8%のAl、より好ましくは67.46%~95.80%のAl
0~8.4%のCaO、好ましくは1.35%~8.40%または1.47%~8.4%のCaO、より好ましくは2.0%~8.40%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~50%のZrO、好ましくは0~25%のZrOを含む、ことを特徴とする項1~6のいずれか一項に記載の耐火材。
8、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される、ことを特徴とする項1~7のいずれか一項に記載の耐火材。
9、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60である、ことを特徴とする項8に記載の耐火材。
10、前記顆粒材料が、CA6顆粒材料及びCMA顆粒材料から選択される1つまたは2つである、ことを特徴とする項8または9に記載の耐火材。
11、前記微粉末は、Al-CaO-MgO系微粉末を含み、
好ましくは、前記微粉末は、ZrO微粉末をさらに含み、
好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~50%のZrO含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末は、75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~25%のZrO含有微粉末とを含み、
好ましくは、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、CMA微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末、CaO・2Al微粉末、及び12CaO・7Al微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする項8~10のいずれか一項に記載の耐火材。
12、前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmである、ことを特徴とする項8~11のいずれか一項に記載の耐火材。
13、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、
ことを特徴とする項8~12のいずれか一項に記載の耐火材。
14、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaである、ことを特徴とする項8~13のいずれか一項に記載の耐火材。
15、前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上である、ことを特徴とする項8~14のいずれか一項に記載の耐火材。
16、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、耐火材の製造方法。
17、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60である、ことを特徴とする項16に記載の製造方法。
18、前記顆粒材料が、CA6顆粒材料及びCMA顆粒材料から選択される1つまたは2つである、ことを特徴とする項16または17に記載の製造方法。
19、前記微粉末は、Al-CaO-MgO系微粉末を含み、
好ましくは、前記微粉末は、ZrO微粉末をさらに含み、
好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~50%のZrO含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末は、75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~25%のZrO含有微粉末とを含み、
好ましくは、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、CMA微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末、CaO・2Al微粉末、及び12CaO・7Al微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である、ことを特徴とする項16~18のいずれか一項に記載の製造方法。
20、前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmである、ことを特徴とする項16~19のいずれか一項に記載の製造方法。
21、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである、
ことを特徴とする項16~20のいずれか一項に記載の製造方法。
22、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaである、ことを特徴とする項16~21のいずれか一項に記載の製造方法。
23、前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上である、ことを特徴とする項16~22のいずれか一項に記載の製造方法。
24、項1~15のいずれか一項に記載の耐火材、または項16~23のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする溶鋼精錬用取鍋の作業用ライニング。
25、項1~15のいずれか一項に記載の耐火材、または項16~23のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とするアルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業用ライニング。
26、項1~15のいずれか一項に記載の耐火材、または項16~23のいずれか一項に記載の製造方法により製造された耐火材を含む、ことを特徴とする工業炉用耐火材ライニング。
【0009】
発明の効果
既存の耐火材は、キャスタブルであっても耐火レンガであっても気孔の分布は不均一である。温度変化による応力損傷を軽減するには、不均一な気孔の分布に対抗するための多量の気孔率が必要であることから、スラグの侵入が避けられず、その制御も困難となる。耐スラグ侵食性を高めるには原料の純度を高めるしかなく、高純度の原料は、粒子拡散のみでは焼結を達成することが難しく、強度も保証できない;高純度耐火材システムは、焼結助剤を添加することによってのみ液相で焼結を達成し、強度を得ることができるが、低融点の液相の出現により耐溶損性が低下する。現在入手可能な耐火材及び耐火材原料には、溶鋼を浄化する潜在的な機能はない。
【0010】
ヘキサアルミン酸カルシウム材料は、その構造的特性から焼結が難しく、焼結助剤の添加により緻密化は可能であるが、高温性能が低下し、耐スラグ浸食性が大幅に低下し、耐熱衝撃性が低下する。既存の耐火材は粒子の最密充填と液相の表面張力に基づいてより高い密度を達成することは困難である。従来技術と比較して、本出願の耐火材料は以下の利点を有する。
(1)本願で提供する耐火材は、製造過程において焼結促進成分(前記焼結促進成分とはSiO、TiO、Fe、ROなどであり、その中で、ROは、KOとNaOの総称)を使用しておらず、液相量で焼結するのではなく、高温高圧で焼結することで顆粒の再配列と粒子の拡散を促進している。そのため、本出願によって提供される耐火材は、高温の液相量が少なく、材料構造が均一であり、熱衝撃安定性がよく、溶損が均一である。
(2)本願で提供する耐火材は、原料から導入されるSiO、TiO、Fe、RO(KOとNaOの総称)等の焼結促進成分の合計含有量が1.5%以下であり、材料系の化学組成の純度が高く、現在の既存技術で製造されたヘキサアルミン酸カルシウム耐火材の純度よりも高く、高温の液相が少なく、高純度原料の性能上の利点を十分に発揮でき、耐スラグ浸食性に優れ、溶鋼への汚染が少ない。
(3)本出願によって提供される耐火材の相には、コランダム、CA6、CMA、及びZrOの1つ以上が含まれており、前記耐火材全質量に対して、耐火材における合計相含有量が90%以上であり、相純度が高く、CA6構造相が主である。前記CA6構造相には、CA6相と、CA6構造に基づいて合成されたCMA相とが含まれる。CA6構造相はスラグと反応すると、精錬効果を有するC12A7を放出し、脱硫、介在物吸着、溶鋼浄化が可能である。
(4)本出願により提供されるCA6系耐火材の体積密度は2.90~3.65g/cmであり、従来技術で製造されたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材の体積密度よりもはるかに高い。材料系の高純度を維持している場合、高い体積密度を有する本出願の材料は、溶鋼及びスラグの機械摩耗耐性が大幅に向上し、耐スラグ浸透性が向上し、耐用年数も大幅に向上し、溶鋼に入る介在物も低減され、溶鋼品質の浄化に大きく寄与する。
(5)本願により提供される耐火材は組織構造が均一であり、局所的な進行損傷の問題が発生せず、使用中にバランスよくゆっくりと溶損し、剥離型の層落ちや大きな損傷がなく、溶鋼への汚染が少なく、耐用年数が大幅に延長される。
(6)本願により提供される耐火材は、高密度で均一な材料構造を有し、高酸素ポテンシャル成分(SiO、TiO、Fe、RO等を指す)が少ない高純度の原料に基づいているため、材料は耐スラグ浸食性、耐浸透性、熱衝撃安定性に優れており、これら3つの間の矛盾をよく解決し、高純度原料の性能上の利点を十分に発揮し、材料の耐用年数を大幅に向上させ、溶鋼の洗浄機能を果たすことができる。これは、冶金産業で広く使用でき、セメント回転炉移行ゾーンやその他の工業用窯の石積みにも広く使用でき、設備の稼働サイクルを増加させ、生産コストを削減し、エネルギーを節約し、排出量を削減することができる。
(7)本願が提供する製造方法は、使用する原料がシンプルでソースに富んでおり、焼結促進成分を一切使用せずに、ホットプレス焼結プロセスによりヘキサアルミン酸カルシウム系高純度耐火材を良好に焼結させることができ、その方法は科学的かつ合理的である。
(8)本願により提供されるヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、炉外の精錬取鍋の作業ライニングなど、製鋼生産ラインで広く使用することができる。良好な耐溶損性を有し、脱硫と介在物吸着が可能であり、高級特殊鋼の製錬工程における耐火材の損傷と溶鋼への影響を大幅に軽減し、我が国の冶金産業における高級特殊鋼の全体的な品質を向上させ、設備の稼働サイクルを増加させ、経済性を向上させることができ、有意な社会的利益をもたらす。
(9)本出願のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、セメント回転炉の移行ゾーンなどの回転炉の耐火材ライニングにも広く使用でき、耐溶損性がよく、熱伝導率が低く、その性能は、既存のシリカムライトレンガやマグネシアアルミナスピネルレンガなどの多くの耐火材よりも明らかに優れており、設備の稼働サイクルを延ばし、熱損失を減らし、経済的利益を向上させることができる。
(10)本出願のヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材は、大気に対する感受性が非常に低く、石油化学分解炉など、高温、還元性雰囲気、及びアルカリ性雰囲気侵食などの条件下での工業用窯の石材にも広く使用できる。良好な安定性、低い熱伝導率、良好な耐溶損性を備えており、その性能は、既存のコランダムレンガなどの多くの耐火材料よりも有意に優れており、設備の稼働サイクルを延長し、熱損失を低減し、経済的利益を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本願の実施例1で製造されたルツボ内での溶鋼の精錬の概略図である。
図2図2は、本発明の実施例とスラグとの間に形成される界面の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に記載された実施形態を組み合わせて本願を詳細に説明するが、すべての図面における同じ番号は同じ特徴を表す。本願の特定の実施形態が図面に示されているが、本願は様々な形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本願をより完全に理解し、本願の範囲を当業者に十分に伝えるために提供される。
【0013】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、特定の構成要素を指すために特定の用語が使用されていることに留意されたい。当業者は、同じ構成要素を指すのに異なる用語を使用する場合があることを理解するのであろう。本明細書及び請求の範囲では、構成要素を区別する方法として名詞の違いを使用するのではなく、構成要素の機能上の違いを区別の基準として使用する。例えば、明細書及び請求の範囲全体で言及される「含有する」または「含む」は開放的な用語であるため、「含むがそれらに限定されない」と解釈されるべきである。本明細書における以下の記載は、本願を実施するための好ましい実施形態であるが、これらの記載は本明細書の一般原理を目的とするものであり、本願の範囲を限定するものではない。本発明の保護範囲は、添付の請求の範囲によって定められるべきである。
【0014】
本願は、溶鋼の洗浄機能を有する耐火材を提供し、前記耐火材の相は、CA6、CMA、コランダム、及びZrOのうちの1つまたは複数を含む。
【0015】
特定の実施形態では、耐火材の相は、CA6、CMA、コランダム、及びZrOのうちの1つまたは複数からなる。
【0016】
特定の実施形態では、耐火材の相は、MAをさらに含む。
【0017】
本願における「CA6」とは、ヘキサアルミン酸カルシウムの略称であり、構造式はCaO・6AlO、融点は1875℃、理論密度は3.79g/cmである。この材料の特徴は以下のとおりである。低酸素分圧下での安定性が良好であり、層状の積層構造であり、結晶成長に異方性があり、C軸の成長速度が遅く、焼結しにくい。スラグと反応すると、CA2(CaO・2Alの略称)やCA(CaO・Alの略称)等を生成し、製鋼温度においてCA2が固体、CAが液相となり、固液混合相が気孔を閉塞してスラグの浸透を抑制する。
【0018】
本願における「MA」はMgO・Alの略語であり、本願における「C2M2A14」は2CaO・2MgO・14Alの略語であり、本願における「CM2A8」はCaO・2MgO・8Alの略語であり、本願における「CMA」はC2M2A14とCM2A8の総称である。C2M2A14とCM2A8はいずれもCA6構造単位とMAのC軸スタッキングに基づいており、その特性はCA6と類似している。
【0019】
本願における「物質の相」とは、物質中の特定の物理的及び化学的性質を有する相である。
【0020】
前記耐火材の相は、XRDによって測定される。例えば、測定される材料を325メッシュ未満に研磨した後、X線回折計によってスキャンする。回折データを分析し、標準PDF(Powder Diffraction File)カードと照合することにより、関連する相を取得し、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を取得する。
【0021】
ZrO相は、HとZrOが共存するため分離しにくく、結晶形も似ているため、
(1)ZrO中にH相が含まれる。
(2)温度やプロセスなどの違いにより、及び成分分布があまり均一ではない(完全に均一にすることは不可能)ため、最終製品には、ZrO-CaO固溶体、ZrO-MgO固溶体、CaO・ZrO、MgO・ZrO、及び他の相が現れる可能性がある。ZrO-CaO固溶体、ZrO-MgO固溶体、CaO・ZrO、MgO・ZrO、及び他の相が現れる場合、まずXRF結果を組み合わせてZrO含有量を補正し、次にZrO含有量をジルコニア相に変換し、固溶されたまたはCaO・ZrOやMgO・ZrO等の形で結合するCaOやMgOなどをCA6、CMAに変換し(CaO、MgOの含有量をCA6、MAに変換し、その後、温度またはCaO-MgO-Al系成分などによってCA6、CMAなどに変換する)、そして、これらすべての相を100%に正規化し、各相の百分率での含有量を計算する。
【0022】
化学組成中のZrOの含有量については、HとZrOが共存するため分離が困難であるため、本特許のXRFではHfOの含有量をZrOの含有量に含めて計算している。
【0023】
特定の実施形態では、本出願の耐火材は、耐火材全質量に対する前記耐火材中のCA6、CMA、コランダム及びZrO相の合計含有量が百分率で90%以上であり、例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%などであってもよい。
【0024】
好ましい実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、百分率で、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~35%であり、好ましくは0~15%であり、
前記コランダム相の含有量が0~70%であり、好ましくは0~30%である。
【0025】
例えば、CA6相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよい。
CMA相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよい。
ZrO相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%などであってもよい。
コランダム相の含有量は、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%などであってもよい。
【0026】
好ましい実施形態では、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で30%~100%であり、例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、好ましくは55%~100%である。
【0027】
より好ましい実施形態では、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6相の含有量が百分率で30%~100%であり、例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、好ましくは55%~100%である。
【0028】
より好ましい実施形態では、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6相の含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは55%~100%である。CA6相を除いて、他の相の好ましい順序は、ZrO>CMA>コランダムである。すなわち、ZrOの含有はCMAの含有よりも好ましく、CMAの含有はコランダムの含有よりも好ましい。
【0029】
特定の実施形態では、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材中のCA6相の含有量が0~100%であり、CMA相の含有量が0~100%であり、コランダム相の含有量が0~70%であり、ZrO相の含有量が0~35%である。
【0030】
好ましい実施形態では、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材中のCA6相の含有量が0~100%であり、CMA相の含有量が0~100%であり、コランダム相の含有量が0~30%であり、ZrO相の含有量が0~15%であり、CA6とCMA相の合計含有量が52.5%~100%である。
【0031】
より好ましい実施形態では、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材中のCA6相の含有量が52.5%~100%であり、コランダム相の含有量が0~30%であり、ZrO相の含有量が0~15%である。
【0032】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対する焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは0である。
【0033】
例えば、耐火材全質量に対して、耐火材中の焼結促進成分の含有量は、1.5%、1.4%、1.3%、1.2%、1.1%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0034】
焼結促進成分は、SiO、TiO、Fe、ROであり、焼結促進成分の含有量が少ないため、材料系の化学組成の純度が高い。ここで、ROとは、アルカリ金属酸化物を指す。
【0035】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、
55.72%~97.48%のAl、好ましくは72.86%~94.12%のAl、例えば、55.72%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97.48%、またはそれらの間の任意の範囲のAl
1.76%~8.38%のCaO、好ましくは3.20%~8.40%のCaO、例えば、1.76%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.38%、またはそれらの間の任意の範囲のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、例えば、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%、またはそれらの間の任意の範囲のMgO、及び
0~35%のZrO、好ましくは0~15%のZrO、例えば0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%またはそれらの間の任意の範囲のZrOを含む。
【0036】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、53.20%~97.13%のAl、0~8.4%のMgO、1.60%~8.40%のCaO、及び0~35%のZrOを含む。
【0037】
好ましい実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、71.06%~94.10%のAl、0~8.4%のMgO、3.05%~8.40%のCaO、及び0~15%のZrOを含む。
【0038】
より好ましい実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、75.58%~94.10%のAl、4.16%~8.40%のCaO、及び0~15%のZrOを含む。
【0039】
前記耐火材の化学組成は、GB/T21114-2007に従って蛍光分析、すなわちXRFによって測定される。
【0040】
特定の実施形態では、本願の耐火材の体積密度は、2.90~3.65g/cmであり、好ましくは2.95~3.35g/cmであり、例えば、2.90g/cm、2.91g/cm、2.92g/cm、2.93g/cm、2.94g/cm、2.95g/cm、2.96g/cm、2.97g/cm、2.98g/cm、2.99g/cm、3.00g/cm、3.05g/cm、3.10g/cm、3.15g/cm、3.20g/cm、3.25g/cm、3.30g/cm、3.35g/cm、3.40g/cm、3.45g/cm、3.50g/cm、3.55g/cm、3.60g/cm、3.65g/cm、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0041】
前記耐火材の体積密度は、GB/T2997-2000に従って測定される。
【0042】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分の相が、コランダム、CA6、CMA、及びZrOのうちの1つまたは複数を含む。
【0043】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分の相が、コランダム、CA6、及びCMAを含む。
【0044】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、
前記コランダム相の含有量が0~100%であり、好ましくは0~50%であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~25%である。
【0045】
例えば、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、コランダム相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
CA6相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
CMA相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
ZrO相の含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%などであってもよい。
【0046】
好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、前記CA6とCMA相の合計含有量は、25%~100%であり、例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよい。
【0047】
より好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分中の前記CA6相の含有量は、25%~100%であり、例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよい。
【0048】
より好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分では多相複合が好ましく、例えば、ZrOとCMAとコランダムの三相複合は、CMAとコランダムの二相複合よりも好ましい。
【0049】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、前記CA6相の含有量は0%~100%であり、CMA相の含有量は0%~100%であり、コランダム相の含有量は0%~100%であり、ZrO相の含有量は0%~50%である。
【0050】
好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、前記CA6相の含有量は0%~100%であり、CMA相の含有量は0%~100%であり、コランダム相の含有量は0%~50%であり、ZrO相の含有量は0%~25%である。
【0051】
より好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、前記CA6相の含有量は0%~100%であり、コランダム相の含有量は0%~50%であり、ZrO相の含有量は0%~25%である。
【0052】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、
42.5%~100%のAl、好ましくは64.29%~95.8%のAl
0~8.4%のCaO、好ましくは1.47%~8.4%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~50%のZrO、好ましくは0~25%のZrOを含む。
【0053】
例えば、前記耐火材の基質部分全質量に対して、Alの含有量は、42.5%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
CaOの含有量は、0、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよく、
MgOの含有量は、0、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよく、
ZrOの含有量は、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%などであってもよい。
【0054】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、41.2%~99.5%のAl、0~8.40%のMgO、0~8.40%のCaO、及び0~50%のZrOを含む。
【0055】
好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、63.15%~95.80%のAl、0~8.40%のMgO、1.35~8.40%のCaO、及び0~25%のZrOを含む。
【0056】
より好ましい実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、67.46%~95.80%のAl、2.0~8.40%のCaO、及び0~25%のZrOを含む。
【0057】
ここで、前記耐火材の基質部分とは、顆粒材料を含まない耐火材の部分を指す。
【0058】
耐火材の基質部分の相は、XRDによる微小部回折によって測定される。
【0059】
微小部回折測定の操作方法としては、例えば、異なるサンプルを7つ選択し、その中から7つのサンプルを切り出すことができる。各サンプルの基質部分に微小部回折を行い、スペクトルに対して全スペクトルフィッティングを実行して各相の含有量を決定する。偏差の大きい2つのデータを除き、残りの5つのサンプル相の含有量の平均値を求め、これを断熱耐火材の基質相の含有量とする。正確な分析と小さな偏差を確保するためには、サンプルの準備とスキャン中に、選択する基質領域を最大化する必要がある。
【0060】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造される。
【0061】
前記顆粒材料とは、180メッシュ角穴ふるい(新郷市衆拓機械設備有限公司製角穴ふるいなど)でふるい分けできない部分、すなわち、180メッシュの上の部分を指す。顆粒材料の粒径は0.088mm以上である。例えば、顆粒材料の粒径は、0.088mm、0.090mm、0.095mm、0.10mm、0.15mm、0.20mm、0.25mm、0.30mm、0.35mm、0.40mm、0.45mm、0.50mm、0.55mm、0.60mm、0.65mm、0.70mm、0.75mm、0.80mm、0.85mm、0.90mm、0.95mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm、14mm、15mm、17mm、19mm、20mm、22mm、24mm、25mm、またはそれらの間の任意の範囲であってもよく、好ましくは0.088~10mmである。
【0062】
前記微粉末とは、180メッシュ角穴のふるいを通過した部分、すなわち、180メッシュの角穴のふるいの下の部分を指し、その粒径は0.088mm未満である。
【0063】
本出願におけるホットプレス焼結とは、加えられた圧力と温度の共同作用の下で材料の焼結と調製を達成する方法を指す。
【0064】
特定の実施形態では、本出願の耐火材において、前記顆粒材料の総質量と前記微粉末の総質量との比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60である。例えば、30:70、31:69、32:68、33:67、34:66、35:65、36:64、37:63、38:62、39:61、40:60、41:59、42:58、43:57、44:56、45:55、46:54、47:53、48:52、49:51、50:50、51:49、52:48、53:47、54:46、55:45、56:44、57:43、58:42、59:41、60:40、61:39、62:38、63:37、64:36、65:35、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0065】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記顆粒材料が、CA6顆粒材料、C2M2A14顆粒材料、及びCM2A8顆粒材料から選択される1つまたは2つまたは3つである。前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末、好ましくは75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末、例えば、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれらの間の任意の範囲のAl-CaO-MgO系微粉末、及び0~50%のZrO含有微粉末、好ましくは0~25%のZrO含有微粉末、例えば、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、またはそれらの間の任意の範囲のZrO含有微粉末を含む。
【0066】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、C2M2A14微粉末、CM2A8微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末(CA微粉末)、CaO・2Al微粉末(CA2微粉末)、及び12CaO・7Al微粉末(C12A7微粉末)から選択される1つまたは複数であり、
前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数である。
【0067】
本願における「Al含有微粉末」とは、化学組成が主にAlであるアルミナ系微粉末を意味する。
【0068】
本願における「MgO含有微粉末」とは、化学組成が主にMgOである微粉末をいう。
【0069】
本願における「CaO含有微粉末」とは、化学組成中にCaO成分を含む微粉末、またはCaO、Alを含む微粉末、またはCaO、MgO、Alを含む微粉末を意味する。
【0070】
本願における「ZrO含有微粉末」とは、化学組成が主としてZrOである微粉末をいう。
【0071】
本願における「活性α-Al微粉末」とは、工業用アルミナまたは水酸化アルミニウムを原料として1250~1450℃で処理して得られる、α-Alを主成分とする高活性なアルミナ粉末をいう。
【0072】
本願における「γ-Al微粉末」とは、水酸化アルミニウムを原料として得られる比表面積が大きく、吸着性に優れたアルミナ粉末である。
【0073】
本願における「ρ-Al微粉末」とは、水酸化アルミニウムを原料とし、600~900℃の急速高温処理により得られる、一定の水和結合性を有するアルミナ粉末である。
【0074】
本願における「工業用アルミナ微粉末」とは、α-Alを主成分とする鉱物であり、水酸化アルミニウムを原料として900~1250℃で焼成して得られる粉末である。
【0075】
本願の「白色コランダム微粉末」は、工業用アルミナを原料として電気溶解して製造した、酸化アルミニウム(Al)含有量が97.5%以上のアルミナ原料であり、かつ微量の酸化鉄、酸化ケイ素等の成分を含有し、白色である。
【0076】
本願における「焼結コランダム微粉末」とは、アルミナを原料としてペレットまたは素体に研磨し、1750~1900℃の高温で焼結してなる耐火性クリンカーを指し、体積密度が高く、気孔率が低く、高温での耐熱衝撃性及び耐スラグ浸食性に優れている。
【0077】
本願の「板状コランダム顆粒材料」は、粗くてよく発達したα-Al結晶構造を有し、Al含有量が97.0%以上であり、板状の結晶構造を有し、気孔が小さく閉気孔が多い。
【0078】
本願における「軽焼マグネシア微粉末」とは、マグネサイトが主成分である炭酸マグネシウムを原料として、800~1000℃で焼成して得られる、高活性でペリクラーゼ(Periclase)相を有するマグネシア系粉末原料である。
【0079】
本願の「ブルーサイト微粉末」は、Mg(OH)を主成分とする原料である。
【0080】
本願における「焼結マグネシア微粉」とは、軽焼マグネシアを原料として高温で焼成した、MgO含有量が94.5%以上である緻密なマグネシア原料である。
【0081】
本願における「電融マグネシア微粉末」とは、軽焼マグネシアまたはマグネサイトを原料としてアーク溶解により製造された、MgO含有量が96.5%以上である緻密なマグネシア原料である。
【0082】
本願の「生石灰微粉末」は、酸化カルシウムを主成分とするものであり、通常、炭酸カルシウムを主成分とする自然岩を高温で焼成し、二酸化炭素と酸化カルシウムに分解して製造される。酸化カルシウムの化学式はCaO、すなわち、生石灰であり、大理石と呼ばれる。
【0083】
本願における「単斜晶系ジルコニア微粉末」とは、結晶形が単斜晶系のジルコニア微粉末をいう。
【0084】
本願における「正方晶系ジルコニア微粉末」とは、結晶形が正方晶系であるジルコニア微粉末をいう。
【0085】
本願における「脱珪ジルコニウム微粉末」とは、ジルコンサンドを脱珪した後に得られるジルコニア微粉末をいう。
【0086】
本願における「電融ジルコニア微粉末」とは、溶融法により製造されたジルコニア原料をいう。
【0087】
特定の実施形態では、本願の耐火材では、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0088】
前記混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、混合した材料を高温装置の型に入れて加熱し、最高温度まで温度が上昇したら、加圧して焼結するか、一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、混合材料を高温装置の型に入れて一定温度まで加熱すると加圧し、その後徐々に昇温すると同時に加圧力を上げていき、最高温度に達するまでに圧力が最高値に達するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、混合材料を高温装置の型に入れて昇温しながら混合材料に加えた圧力を徐々に上げ、温度が最高温度に達するまでに圧力が最高値に達するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成することである。
【0089】
前記混合材料を常温で成形した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、混合材料を常温でプレスして素体とし、乾燥させた後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、あるいは、素体を最高温度に加熱したら加圧して焼結するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、素体を高温装置の型に入れて一定温度まで加熱すると加圧し、その後徐々に昇温すると同時に加圧力を上げていき、最高温度に達するまでに圧力が最高値に達するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成すること、あるいは、素体を高温装置の型に入れて昇温しながら混合材料に加えた圧力を徐々に上げ、温度が最高温度に達するまでに圧力が最高値に達するか、または一定時間保温・保圧して材料のホットプレス焼結を完成することである。
【0090】
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することとは、混合材料を常温でプレス成形し、1350~1500℃で仮焼結した後にホットプレス焼結することを指す。ホットプレス焼結操作は上記と同様である。
【0091】
特定の実施形態では、本出願の耐火材料に関して、前記高温装置は、高温とホットプレスを一体化したキルンである。
【0092】
特定の実施形態では、本出願の耐火材料は、ホットプレス焼結の温度が1550~1800℃であり、例えば、1550℃、1600℃、1650℃、1700℃、1750℃、1800℃、またはそれらの間の任意範囲であってもよい。ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaであり、例えば0.5MPa、1MPa、1.5MPa、2MPa、2.5MPa、3MPa、3.5MPa、4MPa、4.5MPa、5MPa、5.5MPa、6MPa、6.5MPa、7MPa、7.5MPa、8MPa、8.5MPa、9MPa、9.5MPa、10MPa、10.5MPa、11MPa、11.5MPa、12MPa、12.5MPa、13MPa、13.5MPa、14MPa、14.5MPa、15MPa、20MPa、25MPa、30MPa、またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0093】
ここでいう圧力とは、ホットプレス強度を指し、ホットプレス強度は、調製された耐火材に高温で加えられる単位面積当たりの圧力を指す。
【0094】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上であり、例えば、2.90g/cm、2.91g/cm、2.92g/cm、2.93g/cm、2.94g/cm、2.95g/cm、2.96g/cm、2.97g/cm、2.98g/cm、2.99g/cm、3.00g/cm、3.05g/cm、3.10g/cm、3.15g/cm、3.20g/cm、3.25g/cm、3.30g/cm、3.35g/cm、3.40g/cm、3.45g/cm、3.50g/cm、3.55g/cm、3.60g/cm、3.65g/cmなどであってもよい。
【0095】
耐火材を調製するための顆粒材料がCA6顆粒材料であり、微粉末が、CA6微粉末、またはAl含有微粉末、またはCA6微粉末とAl含有微粉末、またはAl含有微粉末とCaO含有微粉末を含む場合には、
特定の実施形態では、本出願の耐火材の相はCA6を含む。
【0096】
特定の実施形態では、本出願の耐火材の相は、コランダム及びCA6を含む。
【0097】
特定の実施形態では、前記微粉末はZrO微粉末をさらに含み、本出願の耐火材の相はZrOをさらに含む。
【0098】
特定の実施形態では、本出願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、百分率で、
前記CA6相の含有量は30%~100%であり、好ましくは55%~100%であり、例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
前記コランダム相の含有量は0~70%であり、好ましくは0~30%であり、例えば、0、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%などであってもよく、
前記ZrO相の含有量は0~35%であり、好ましくは0~15%であり、例えば、0、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%などであってもよい。
【0099】
特定の実施形態では、本願の耐火材は、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、
59.54%~97.48%のAl、好ましくは77.86%~94.12%のAl、例えば、59.54%、62%、65%、67%、70%、73%、75%、77%、80%、83%、85%、90%、92%、95%、96.64%、97%、97.48%などであってもよいAl
2.52%~8.4%のCaO、好ましくは4.62%~8.4%のCaO、例えば、2.52%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよいCaO、及び
0~35%のZrO、好ましくは0~15%のZrO、例えば0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%などであってもよいZrOを含む。
【0100】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材の基質部分の相が、コランダムとCA6のうちの1つまたは2つを含む。
【0101】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材の基質部分の相が、コランダムとCA6のうちの1つまたは2つ、及びZrOを含む。
【0102】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、
前記コランダム相の含有量が0~100%であり、好ましくは0~50%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、好ましくは25~100%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
前記ZrO相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~25%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%などであってもよい。
【0103】
特定の実施形態では、前記耐火材の基質部分全質量に対して、本願の耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、
45.8%~100%のAl、好ましくは68.7%~95.8%のAl、例えば、45.8%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよいAl
0~8.4%のCaO、好ましくは2.1%~8.4%のCaO、例えば、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよいCaO、及び
0~50%のZrO、好ましくは0~25%のZrO、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%などであってもよいZrOを含む。
【0104】
耐火材を調製するための顆粒材料が、CMA顆粒材料、またはCMA顆粒材料とCA6顆粒材料であり、微粉末が、CA6微粉末、CMA微粉末、及びAl含有微粉末のうちの1つまたは2つまたは3つを含む場合には、
特定の実施形態では、本出願の耐火材の相はCMAを含む。
【0105】
特定の実施形態では、本出願の耐火材の相は、コランダムとCA6のうちの1つまたは2つ、及びCMAを含む。
【0106】
特定の実施形態では、前記微粉末はZrO微粉末をさらに含み、本出願の耐火材の相はZrOをさらに含む。
【0107】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材の基質部分全質量に対して、
前記CMA相の含有量が30~100%であり、好ましくは55~100%であり、例えば、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
CM2A8を骨材や微粉末として使用する場合、その含有量は好ましくは0~80%である。
前記CA6相の含有量が0~70%であり、好ましくは0~60%であり、例えば、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%などであってもよく、
前記コランダム相の含有量が0~70%であり、好ましくは0~30%であり、例えば、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%などであってもよく、
前記ZrO相の含有量が0~35%であり、好ましくは0~15%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%などであってもよい。
【0108】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、
55.72%~96.43%のAl、好ましくは72.86%~92.72%のAl、例えば、55.72%、60%、62%、65%、67%、70%、73%、75%、77%、80%、83%、85%、90%、92%、95.24%、96.43%などであってもよいAl
1.76%~7.95%のCaO、好ましくは3.23%~7.80%のCaO、例えば、1.76%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、7.95%などであってもよいCaO、
1.48%~8.4%のMgO、好ましくは1.98%~6.72%のMgO、例えば、1.48%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよいMgO、及び
0~35%のZrO、好ましくは0~15%のZrO、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%などであってもよいZrOを含む。
【0109】
特定の実施形態では、本出願の耐火材において、前記耐火材の基質部分の相は、コランダム、CA6、及びCMAのうちの1つまたは2つまたは3つを含む。
【0110】
特定の実施形態では、本出願の耐火材において、前記耐火材の基質部分の相は、コランダム、CA6、及びCMAのうちの1つまたは2つまたは3つ、及びZrOを含む。
【0111】
特定の実施形態では、本願の耐火材において、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、
前記コランダム相の含有量が0~100%であり、好ましくは0~50%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、好ましくは25~100%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、好ましくは25~100%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよく、
前記ZrO相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~25%であり、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%などであってもよい。
【0112】
特定の実施形態では、本願の耐火材の基質部分の化学組成は、
42.86%~100%のAl、好ましくは64.29%~95.8%のAl、例えば、42.86%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%などであってもよいAl
0%~8.4%のCaO、好ましくは1.47%~8.4%のCaO、例えば、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよいCaO、
0%~8.4%のMgO、好ましくは0%~8.4%のMgO、例えば、0%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6%、6.5%、7%、7.5%、8%、8.4%などであってもよいMgO、及び
0~50%のZrO、好ましくは0~25%のZrO、例えば、0%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%、20%、22%、25%、27%、30%、32%、35%、40%、45%、50%などであってもよいZrOを含む。
【0113】
本出願はまた、顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法を提供する。
【0114】
特定の実施形態では、本願の製造方法において、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60である。
【0115】
特定の実施形態では、本願の製造方法において、前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088mmより大きく、好ましくは0.088~10mmである。
【0116】
特定の実施形態では、本願の製造方法において、前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することである。
【0117】
本出願は、高温高圧を利用して顆粒の再配列と粒子の拡散を促進し、得られる耐火材は高温液相が少なく、組織構造が均一であり、熱衝撃安定性に優れている。
【0118】
本出願は、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された耐火材を含む、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニングを提供する。
【0119】
本出願は、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された耐火材を含む、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニングを提供する。
【0120】
本出願は、上記の耐火材、または上記の製造方法により製造された耐火材を含む、工業炉用耐火材ライニングを提供する。
【0121】
本出願は、高純度、低酸素ポテンシャル、高耐溶損性、及び溶鋼の潜在浄化機能を有するCA6原料をベースに、焼結助剤を添加せず、液相焼結に依存することなく、高純度、耐溶損性、及び溶鋼浄化機能を有する耐火材を製造することができ、高純度原料の耐溶損性上の利点及び溶鋼浄化機能を十分に発揮することができる;均一な構造を持つ耐火材を構築することで、耐火材全体の構造応力を解決するだけではなく、耐スラグ浸透性と過度の溶損の問題も解決し、耐浸透性と耐熱衝撃性の両立を実現できる;これにより、耐溶損性に優れた高純度原料の利点、及び溶鋼の浄化というCA6材料の機能を十分に発揮するだけではなく、熱衝撃安定性と耐スラグ浸透性を両立させ、過酷な精錬条件下で取鍋の作業用ライニングの耐火材が急速に損傷する問題も解決し、鋼に耐火材介在物が混入する問題を軽減し、有意な経済的及び社会的利益をもたらす。
【実施例
【0122】
本出願は、試験に使用した材料及び試験方法を一般的及び/または具体的に説明する。以下の実施例において、特に断りのない限り、%は重量%、すなわち重量百分率を表す。使用した試薬や機器については製造元を明示していない場合、いずれも市販の従来の試薬製品である。ここで、表1は、実施例で使用した原材料及び供給源を示す。
【0123】
【表1】
【0124】
XRD法を用いて、各実施例における耐火材の相を分析した。すなわち、測定される材料を325メッシュ以下に研磨し、次いでX線回折装置(Bruker:D8ADVANCE)によって走査した。回折データを分析し、標準PDFカードと照合することにより、関連する相を取得した後、回折データをフィッティングすることにより、関連する相の含有量を得た。
【0125】
各実施例の耐火材の化学組成を、GB/T21114-2007に従ってXRF法により測定した。
【0126】
前記耐火材中の基質部分の相をXRD微小部回折法により分析した。すなわち、12の異なる耐火材を選択し、その中から12のサンプルを切り出した。各サンプルから、比較的に均一な色と構造を持つ基質領域を選択して微小部回折を行い、回折パターンに対して全スペクトルフィッティングを実行して各相の含有量を決定した。偏差の大きい2つのデータを除き、残りの10のサンプルの相の含有量の平均値を求め、これを前記耐火材の基質の相の含有量とした。
【0127】
実施例1
(1)CA6微粉末350gとCA6顆粒材料650gを混合し、均一に撹拌して混合材料を得た。ここで、顆粒材料の最大粒径は5mmであり、体積密度は3.15g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、温度を最高1650℃まで昇温し、ホットプレス強度を3MPaにし、この温度で1時間保温・保圧して、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、前記耐火材全質量に対する耐火材中のCA6相の含有量は100%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、耐火材全質量に対して、前記耐火材は、91.05%のAlと、8.40%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は100%のCA6を含んでいた。
耐火材の基質部分の化学組成は、91.0%のAlと、8.40%のCaOとを含んでいた。
得られた耐火材を排水法により分析したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0128】
実施例2
(1)活性α-Al微粉末115g、CaO・Al微粉末36g、白色コランダム微粉末200g、ρ-Al微粉末100g、単斜晶ジルコニア微粉末150gを均一に混合した後、CA6顆粒材料400gを加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであり、体積密度は3.15g/cmであった。
(2)混合材料に適量の水を加えて均一に撹拌し、注入成形、乾燥後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1350℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1730℃に、最大ホットプレス強度が15MPaになり、20分間保温・保圧して、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCA6、コランダム、及びジルコニアであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CA6相が55%であり、コランダム相の含有量が28.5%であり、ジルコニア相の含有量が15%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、79.3%のAlと、4.4%のCaOと、15%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、24.0%のCA6と、47.5%のコランダムと、25%のジルコニアとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、71.7%のAlと、1.98%のCaOと、25%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.25g/cmであった。
【0129】
実施例3
(1)CA6微粉末300g、焼結コランダム微粉末200g、水酸化アルミニウム微粉末153gを均一に混合し、次いでCA6顆粒材料400gを加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は3mmであり、体積密度は2.90g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れて加熱し、最高1680℃まで温度が上昇するまで昇温しながら圧力を加え、最大ホットプレス強度が2MPaになり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCA6及びコランダムであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CA6相の含有量が68.6%であり、コランダム相の含有量が30%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、94.12%のAlと、5.0%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、耐前記火材の基質部分の相は主に、48.5%のCA6と、50%のコランダムとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、95.8%のAlと、4.05%のCaOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は2.95g/cmであった。
【0130】
実施例4
(1)CM2A8微粉末400gと脱珪ジルコニア微粉末100gを均一に混合してから、CA6顆粒100g、C2M2A14顆粒300g、及びCM2A8顆粒100gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであり、体積密度は2.98g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1720℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が6MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダム及びCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CA6相が9.71%であり、C2M2A14が28.4%であり、CM2A8が49.9%であり、ジルコニア相が9.46%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、77.5%のAlと、5.43%のMgOと、5.68%のCaOと、9.45%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、80%のCM2A8相と、18.7%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、67.9%のAlと、6.72%のMgOと、4.05%のCaOと、18.9%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0131】
実施例5
(1)CM2A8微粉末200g、工業用アルミナ微粉末100g、及び正方晶ジルコニア微粉末100gを均一に混合してから、CM2A8顆粒600gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は3mmであり、体積密度は3.0g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1710℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が4MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダム及びCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、コランダム相の含有量が9.48%であり、CM2A8相の含有量が80.0%であり、ジルコニア相が9.72%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、78.0%のAlと、6.72%のMgOと、4.3%のCaOと、9.6%のZrOとを含んでいた。
耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、50%のCM2A8相と、25%のコランダムと、25%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、66.3%のAlと、4.20%のMgOと、2.84%のCaOと、25%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.10g/cmであった。
【0132】
実施例6
(1)CM2A8微粉末450g及び電融ジルコニア微粉末150gを均一に混合してから、CM2A8顆粒400gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであり、体積密度は3.0g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1740℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が1MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCM2A8及びジルコニアであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が83.8%であり、ジルコニア相の含有量が15%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、72.86%のAlと、6.89%のMgOと、4.63%のCaOと、15%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、73.89%のCM2A8相と、25%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、64.29%のAlと、6.0%のMgOと、4.05%のCaOと、25%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.15g/cmであった。
【0133】
実施例7
(1)CM2A8微粉末150g、焼結コランダム微粉末200g、ρ-Al微粉末102g、及び単斜晶ジルコニア微粉末150gを均一に混合してから、CM2A8顆粒400gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであり、体積密度は3.25g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1760℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が7MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が55%であり、コランダム相の含有量が30%であり、ジルコニア相の含有量が14.3%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、76.1%のAlと、4.52%のMgOと、3.2%のCaOと、14.5%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、50%のコランダム相と、25%のCM2A8相と、23.8%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、70.2%のAlと、1.98%のMgOと、1.47%のCaOと、24.2%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.28g/cmであった。
【0134】
実施例8
(1)CM2A8微粉末350g及び電融ジルコニア微粉末350gを均一に混合してから、CM2A8顆粒300gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は10mmであり、体積密度は3.56g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1550℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が30MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が63.7%であり、ジルコニア相の含有量が35%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、55.72%のAlと、5.28%のMgOと、3.63%のCaOと、35%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、48.6%のCM2A8相と、50%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、41.5%のAlと、3.98%のMgOと、2.75%のCaOと、50%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.65g/cmであった。
【0135】
実施例9
(1)C2M2A14微粉末300g、γ-Al微粉末178g、電融マグネシア微粉末14g、石灰石微粉末18g、及びC2M2A14顆粒材料500gを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を常温で成形して乾燥した後、1500℃で高温処理し、次いで高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1550℃まで温度が上昇したら圧力を加え、温度を上げながら圧力を上げ、最高温度が1800℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が8MPaとなり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にC2M2A14であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、C2M2A14相の含有量が100%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、87.7%のAlと、4.02%のMgOと、6.29%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、100%のC2M2A14相を含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、87.65%のAlと、4.13%のMgOと、6.37%のCaOとを含んでいた。
得られた耐火材を排水法により分析したところ、得られた前記耐火材の体積密度は3.55g/cmであった。
【0136】
実施例10
(1)CM2A8微粉末500g、水酸化アルミニウム微粉末264g、水酸化カルシウム微粉末16.5g、水酸化マグネシウム微粉末25g、及びCM2A8顆粒材料300gを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は8mmであった。
(2)混合材料を常温で成形した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1450℃まで温度が上昇したら圧力を加え、温度を上げながら圧力を上げ、最高温度が1750℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が10MPaとなり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が100%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、85.24%のAlと、8.40%のMgOと、5.58%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分のCM2A8相の含有量が100%であった。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、85.12%のAlと、8.40%のMgOと、5.67%のCaOとを含んでいた。
得られた耐火材を排水法により分析したところ、得られた前記耐火材の体積密度は3.41g/cmであった。
【0137】
実施例11
(1)板状コランダム微粉末700gとCA6顆粒材料300gを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は3mmであり、体積密度は2.90g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1780℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が0.5MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、コランダム相の含有量が70%であり、CA6相の含有量が28.2%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、97.48%のAlと、2.38%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分中のコランダム相の含有量が100%であった。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、100%のAlであった。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.0g/cmであった。
【0138】
実施例12
(1)板状コランダム微粉末400g、工業用アルミナ微粉末200g、α-Al微粉末100g、及びCM2A8顆粒材料300gを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は1mmであり、体積密度は3.04g/cmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1600℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が20MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、耐前記火材において、コランダム相の含有量が68.35%であり、CM2A8相の含有量が28.9%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、94.67%のAlと、2.41%のMgOと、1.76%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分中のコランダム相の含有量が97.64%であった。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、98.85%のAlを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は2.90g/cmであった。
【0139】
実施例13
(1)CM2A8微粉末500g、水酸化アルミニウム微粉末264g、水酸化カルシウム微粉末16.5g、水酸化マグネシウム微粉末25g、及びCM2A8顆粒材料300gを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は8mmであり、堆積密度は2.95g/cmであった。
(2)混合材料を常温で成形して乾燥した後、1500℃で高温処理し、次いで高温装置の型に入れてホットプレス焼結した。1650℃まで温度が上昇したら2MPaのホットプレス強度を加えて溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCM2A8とCA6であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が80%であり、CA6相の含有量が3.7%であり、コランダム相の含有量が6.3%であり、これら3相の合計が90%であり、残りの相はCA2とMAであり、そのうちCA2相の含有量は3.85%であり、MA相の含有量は5.78%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、85.32%のAlと、8.38%のMgOと、5.53%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分において、CM2A8相の含有量が71.4%であり、CA6相の含有量が5.28%であり、コランダム相の含有量が9.0%であり、CA2相の含有量が5.5%であり、MA相の含有量が8.26%であった。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、85.15%のAlと、8.37%のMgOと、5.71%のCaOとを含んでいた。
得られた耐火材を排水法により分析したところ、得られた前記耐火材の体積密度は2.92g/cmであった。
【0140】
実施例14
(1)CA6微粉末350g、活性アルミナ微粉末94g、CaO 8.75g、及び脱珪ジルコニア微粉末158gを均一に混合した後、CA6顆粒材料400gを加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1550℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1640℃に、ホットプレス強度が12MPaになり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCA6及びジルコニアであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CA6相が81.2%であり、ジルコニア相の含有量が15%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、75.58%のAlと、6.75%のCaOと、15%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、73.1%のCA6相と、25%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、67.46%のAlと、6.02%のCaOと、25%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0141】
実施例2-1
(1)活性α-Al微粉末116.5g、CaO・Al微粉末36.7g、白色コランダム微粉末205g、ρ-Al微粉末105g、単斜晶ジルコニア微粉末152gを均一に混合した後、CA6顆粒材料400gを加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料に適量の水を加えて均一に撹拌し、注入成形、乾燥後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、1350℃まで温度が上昇したら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1700℃に、最大ホットプレス強度が15MPaになり、20分間保温・保圧して、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCA6、コランダム、及びジルコニアであり、耐火材全質量に対して、耐火材において、CA6相が52.5%であり、コランダム相の含有量が29.3%であり、ジルコニア相の含有量が14.8%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、79.12%のAlと、4.16%のCaOと、14.2%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、22.5%のCA6と、48.9%のコランダムと、24.67%のジルコニアとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、71.08%のAlと、2.0%のCaOと、23.71%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0142】
実施例3-1
(1)CA6微粉末300g、焼結コランダム微粉末205g、水酸化アルミニウム微粉末157.7gを均一に混合し、次いでCA6顆粒材料400gを加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は3mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れて加熱し、最高1550℃まで温度が上昇し、最大ホットプレス強度が30MPaになり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCA6及びコランダムであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CA6相の含有量が68.28%であり、コランダム相の含有量が30%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、94.10%のAlと、5.62%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、得られた前記耐火材の基質部分の相は主に、47.6%のCA6と、50%のコランダムとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、95.8%のAlと、4.12%のCaOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0143】
実施例6-1
(1)CM2A8微粉末450g及び電融ジルコニア微粉末150gを均一に混合してから、CM2A8顆粒400gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、温度が1450℃になったら加圧し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1760℃であり、ホットプレス強度が2MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にCM2A8及びジルコニアであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が82.5%であり、ジルコニア相の含有量が15%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、71.06%のAlと、6.54%のMgOと、4.63%のCaOと、15%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、73.89%のCM2A8相と、25%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、63.15%のAlと、6.13%のMgOと、4.25%のCaOと、25%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0144】
実施例7-1
(1)CM2A8微粉末150g、焼結コランダム微粉末205g、ρ-Al微粉末105g、及び単斜晶ジルコニア微粉末152gを均一に混合してから、CM2A8顆粒400gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は5mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1700℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が7MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダム、CM2A8、及びジルコニアであり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が52.5%であり、コランダム相の含有量が30%であり、ジルコニア相の含有量が14.43%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、75.23%のAlと、4.18%のMgOと、3.05%のCaOと、14.48%のZrOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、得られた前記耐火材の基質部分の相は主に、50%のコランダム相と、23.5%のCM2A8相と、24.5%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、69.6%のAlと、2.0%のMgOと、1.35%のCaOと、24.2%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0145】
実施例8-1
(1)CM2A8微粉末350g及び電融ジルコニア微粉末350gを均一に混合してから、CM2A8顆粒300gをさらに加えて均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は10mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1700℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が4MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、CM2A8相の含有量が62.5%であり、ジルコニア相の含有量が35%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、53.20%のAlと、5.09%のMgOと、3.49%のCaOと、35%のZrOとを含んでいた。
耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分の相は主に、48.7%のCM2A8相と、50%のジルコニア相とを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、41.2%のAlと、4.02%のMgOと、2.71%のCaOと、50%のZrOとを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0146】
実施例11-1
(1)板状コランダム微粉末718gとCA6顆粒材料300gを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は3mmであった。
(2)混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、最高温度1680℃になったらこの温度で加圧し、ホットプレス強度が6MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCA6であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、コランダム相の含有量が70%であり、CA6相の含有量が29.4%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、97.13%のAlと、2.38%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、前記耐火材の基質部分中のコランダム相の含有量が100%であった。
前記耐火材の基質部分の化学組成は、99.5%のAlであった。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.20g/cmであった。
【0147】
実施例12-1
(1)板状コランダム微粉末710gと、CM2A8顆粒材料300gとを混合して均一に撹拌して混合材料を得た。顆粒材料の最大粒径は1mmであり、体積密度は3.04g/cmであった。
(2)混合材料を常温で成形した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結し、昇温しながら圧力を上げ、最高温度が1750℃まで上昇し、最大ホットプレス強度が3.5MPaであり、溶鋼洗浄機能を備えたヘキサアルミン酸カルシウム系耐火材を得た。
得られた耐火材をXRDで分析したところ、得られた相は主にコランダムとCM2A8であり、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材において、コランダム相の含有量が70%であり、CM2A8相の含有量が28.1%であった。
得られた耐火材をXRFで分析したところ、前記耐火材全質量に対して、前記耐火材は、94.67%のAlと、2.36%のMgOと、1.60%のCaOとを含んでいた。
前記耐火材の基質部分の相分析は、XRDによる微小部回折によって測定したところ、得られた前記耐火材の基質部分中のコランダム相の含有量が100%であった。
耐火材の基質部分の化学組成は、99.5%のAlを含んでいた。
測定したところ、得られた耐火材の体積密度は3.35g/cmであった。
【0148】
【表2-1】
【0149】
【表2-2】
【0150】
実験例
静的スラグ侵食試験
実施例1の耐火材をφ45mm×90mmのサンプルとし、サンプルの中央にφ30mm×40mmのピットを掘削して溶鋼精錬実験用ルツボを作製した。脱酸方法は金属アルミニウム脱酸を採用し、実験温度は1600℃であり、アルゴン雰囲気で、スラグ系としてはCaO-Al-SiO系を採用した。
【0151】
図1は、実施例1のサンプルに基づく溶鋼製錬の模式図である。図2は、耐火材と製鋼スラグとの界面のミクロ組織図である。界面にはスラグの浸透を抑制し、介在物の大きさ及び性能を改善する変成層が形成されており、その層の相が主にC12A7、CA2、及びCAであることが、電子顕微鏡とXRD分析によって確認された。さらに、この材料の反応界面及び遷移層が非常に薄く、構造が均一であることが分かり、これは、この材料が耐スラグ浸透性及び耐スラグ浸食性に優れていることを十分に示している。通常の耐火材料の場合、この壁厚の従来の耐火材ルツボを使用してこの方法で試験を実行すると、スラグはルツボ壁の耐火材料を完全に浸透する。これは、本発明の耐火材の利点が現在の従来の耐火材の利点よりも遥かに大きいことも示している。
【0152】
表3は、実施例1で調製したルツボを使用してアルミニウムキルド鋼を製錬した後の経時的な鋼中の介在物の統計を示す。表3から分かるように、時間の経過とともに鋼中の介在物のサイズ分布が徐々に減少し、危険性の大きい大型介在物が有意に減少し、その効果が非常に明らかである。これは、鋼中の介在物に対する実施例1の耐火材の洗浄効果が有意であることを示している。
【0153】
【表3】
【0154】
表4は、異なる実施例及び比較例の耐火材で調製したルツボを使用してアルミニウムキルド鋼を製錬した後の鋼中の介在物の統計、スラグ浸食及び浸透の合計深さ、ならびに異なる実施例及び比較例で製造された耐火材の熱衝撃安定性の回数を示す。ここで、熱衝撃安定性の回数は、GB/T 30873-2014に従って測定された。
【0155】
表4から分かるように、本実施例の耐火材によって調製されたルツボに基づく清浄な鋼の製錬では、介在物の平均サイズが比較的小さく、スラグ浸食深さ及びスラグ浸透深さが比較的小さい。さらに熱衝撃性能などを考慮すると、具体的には、実施例1、2、3、14、2-1、及び3-1の耐火材の性能が最も優れており、実施例4、5、6、7、8、6-1、7-1、及び8-1の耐火材の性能がよく、実施例9、10、11、12、13、11-1、及び12-1の耐火材の性能が上記の耐火材の性能に及ばなかった。最も一般的に使用される取鍋作業ライニング材であるコランダム・スピネルキャスタブルに基づいた比較例1では、介在物の平均サイズは2.48μmであり、面積率は7.52%であった。比較例2(CN107500747A)の実施例1に基づいて作製した耐火材では、その鋼中の介在物の平均サイズは2.45μmであり、面積率は6.35%であった。それに対して、本発明の実施例1に基づいて調製された耐火材では、鋼中の介在物の平均サイズは1.47μmであり、面積率は5.89%であり、介在物のサイズ、特に大きなサイズの介在物の数が有意に改善された。
【0156】
【表4】
【0157】
上記は、本発明の好ましい実施例にすぎず、本出願を他の形態に限定することを意図したものではなく、当業者であれば、上記に開示された技術内容を使用して、同等の変更を加えた同等の実施例に変更または修正することができる。ただし、本出願の技術案の内容から逸脱することなく、本出願の技術的本質に従って上記の実施例に行われたあらゆる単純な修正、同等の変更及び修正は、依然として本出願の技術案の保護範囲に属する。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶鋼の洗浄機能を有する耐火材であって、前記耐火材の相が、CA6、CMA、コランダム、及びZrOのうちの1つまたは複数を含むことを特徴とする、耐火材。
【請求項2】
前記耐火材全質量に対する前記耐火材中のCA6、CMA、コランダム及びZrO相の合計含有量が百分率で90%以上であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~35%であり、好ましくは0~15%であり、
前記コランダム相の含有量が0~70%であり、好ましくは0~30%であり、
好ましくは、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは55%~100%または52.5~100%であり、
より好ましくは、前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の前記CA6相の含有量が百分率で30%~100%であり、好ましくは52.5%~100%または55%~100%であることを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項3】
前記耐火材全質量に対する前記耐火材中の焼結促進成分の含有量が百分率で1.5%以下であり、好ましくは0である、ことを特徴とする請求項1に記載の耐火材。
【請求項4】
前記耐火材全質量に対して、前記耐火材の化学組成が、百分率で、
53.20%~97.13%または55.72%~97.48%のAl、好ましくは71.06%~94.10%または72.86%~94.12%のAl、より好ましくは75.58%~94.10%のAl
1.60%~8.40%または1.76%~8.4%のCaO、好ましくは3.05%~8.40%または3.2%~8.4%のCaO、より好ましくは4.16%~8.40%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~35%のZrO、好ましくは0~15%のZrOを含み、
好ましくは、前記耐火材の体積密度が2.90~3.65g/cmであり、好ましくは2.95~3.35g/cmであることを特徴とする、請求項1項に記載の耐火材。
【請求項5】
前記耐火材の基質部分の相が、コランダム、CA6、CMA、及びZrOのうちの1つまたは複数を含み、
前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分において、百分率で、
前記コランダム相の含有量が0~100%であり、好ましくは0~50%であり、
前記CA6相の含有量が0~100%であり、
前記CMA相の含有量が0~100%であり、
前記ZrO相の含有量が0~50%であり、好ましくは0~25%であり、
好ましくは、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分における前記CA6とCMA相の合計含有量が百分率で25%~100%であり、
より好ましくは、前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記基質部分における前記CA6相の含有量が百分率で25%~100%であり、
前記耐火材の基質部分全質量に対して、前記耐火材の基質部分の化学組成が、百分率で、
41.2%~99.5%または42.5%~100%のAl、好ましくは63.15%~95.80%または64.29%~95.8%のAl、より好ましくは67.46%~95.80%のAl
0~8.4%のCaO、好ましくは1.35%~8.40%または1.47%~8.4%のCaO、より好ましくは2.0%~8.40%のCaO、
0~8.4%のMgO、好ましくは0~6.72%のMgO、及び
0~50%のZrO、好ましくは0~25%のZrOを含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項6】
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して前記耐火材を得るステップ
を含む方法によって製造され、
好ましくは、前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60であり、
好ましくは、前記顆粒材料が、CA6顆粒材料及びCMA顆粒材料から選択される1つまたは2つであり、
好ましくは、前記微粉末は、Al-CaO-MgO系微粉末を含み、
好ましくは、前記微粉末は、ZrO含有微粉末をさらに含み、
好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~50%のZrO含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末は、75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~25%のZrO含有微粉末とを含み、
好ましくは、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、CMA微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末、CaO・2Al微粉末、及び12CaO・7Al微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmである
ことを特徴とする、請求項1に記載の耐火材。
【請求項7】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結する、または、
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することであり、
好ましく、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaであり、
好ましく、前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上である
ことを特徴とする、請求項6に記載の耐火材。
【請求項8】
顆粒材料と微粉末とを混合して混合材料を得、前記混合材料をホットプレス焼結して耐火材を得るステップ
を含む、前記耐火材の製造方法。
【請求項9】
前記顆粒材料と前記微粉末との質量比が30~65:35~70であり、好ましくは40~65:35~60であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記顆粒材料が、CA6顆粒材料及びCMA顆粒材料から選択される1つまたは2つであり、
好ましくは、前記微粉末は、Al-CaO-MgO系微粉末を含み、
好ましくは、前記微粉末は、ZrO含有微粉末をさらに含み、
好ましくは、前記微粉末全質量に対して、前記微粉末は、百分率で、50%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~50%のZrO含有微粉末とを含み、好ましくは、前記微粉末は、75%~100%のAl-CaO-MgO系微粉末と、0~25%のZrO含有微粉末とを含み、
好ましくは、前記Al-CaO-MgO系微粉末は、CA6微粉末、CMA微粉末、Al含有微粉末、Al含有微粉末とCaO含有微粉末との混合粉末、及びAl含有微粉末とCaO含有微粉末とMgO含有微粉末との混合粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記Al含有微粉末は、活性α-Al微粉末、γ-Al微粉末、ρ-Al微粉末、水酸化アルミニウム微粉末、工業用アルミナ微粉末、白色コランダム微粉末、焼結コランダム微粉末、及び板状コランダム微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記MgO含有微粉末は、炭酸マグネシウム微粉末、軽焼マグネシア微粉末、ブルーサイト微粉末、水酸化マグネシウム微粉末、塩化マグネシウム微粉末、焼結マグネシア微粉末、及び電融マグネシア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記CaO含有微粉末は、生石灰微粉末、石灰石微粉末、水酸化カルシウム微粉末、CaO・Al微粉末、CaO・2Al微粉末、及び12CaO・7Al微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記ZrO含有微粉末は、単斜晶系ジルコニア微粉末、正方晶系ジルコニア微粉末、脱珪ジルコニア微粉末、及び電融ジルコニア微粉末から選択される1つまたは複数であり、
好ましくは、前記微粉末の粒径が0.088mm未満であり、前記顆粒材料の粒径が0.088~10mmであることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項11】
前記ホットプレス焼結は、混合材料を高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を常温で成形してから高温装置の型に入れてホットプレス焼結すること、または、
前記混合材料を常温で成形し、低温で焼結した後、高温装置の型に入れてホットプレス焼結することであり、
好ましくは、前記ホットプレス焼結の温度は1550~1800℃であり、好ましくは、前記ホットプレス焼結の圧力は0.5~30MPaである、ことを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
【請求項12】
前記顆粒材料全質量に対する前記顆粒材料の化学組成におけるCaO、Al、及びMgOの合計含有量が、百分率で97.5%以上であり、前記顆粒材料の体積密度が2.90g/cm以上であることを特徴とする、請求項8に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の耐火材、または請求項8に記載の製造方法により製造された耐火材を含むことを特徴とする、溶鋼精錬用取鍋の作業ライニング。
【請求項14】
請求項1に記載の耐火材、または請求項8に記載の製造方法により製造された耐火材を含むことを特徴とする、アルミニウム溶湯の製錬及び取鍋搬送用の作業ライニング。
【請求項15】
請求項1に記載の耐火材、または請求項8に記載の製造方法により製造された耐火材を含むことを特徴とする、工業炉用耐火材ライニング。
【国際調査報告】