(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】極低温保管容器、閉鎖要素、および製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/38 20060101AFI20240521BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20240521BHJP
B65D 81/24 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
B65D81/38 Q
B65D77/20
B65D81/24 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570026
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022028947
(87)【国際公開番号】W WO2022241089
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519421983
【氏名又は名称】バイオライフ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BioLife Solutions, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】マコーミック,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】バーナード,ゴードン
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067BA05A
3E067BB14A
3E067BC03A
3E067CA03
3E067CA17
3E067EE60
3E067FA01
3E067FC01
3E067GA01
3E067GB01
(57)【要約】
極低温保管容器の開口部を選択的に閉塞するための閉鎖要素が開示されている。閉鎖要素は、ヘッドアセンブリおよび底部材と、ヘッドアセンブリと底部材との間に配置された少なくとも1層の断熱材と、断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの穴と、少なくとも1つの穴に配置され断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの部材と、を有する。少なくとも1つの穴の直径は、少なくとも1つの部材の直径と実質的に等しい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温保管容器の開口部を選択的に閉塞するための閉鎖要素であって、
ヘッドアセンブリおよび底部材と、
前記ヘッドアセンブリと前記底部材との間に配置された少なくとも1層の断熱材と、
前記少なくとも1層の断熱材を貫通し延びる少なくとも1つの穴と、
前記少なくとも1つの穴に配置され、前記断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの部材と
を備え、
前記少なくとも1つの穴の直径は、前記少なくとも1つの部材の直径に実質的に等しい、
閉鎖要素。
【請求項2】
前記少なくとも1層の断熱材は、複数の層の断熱材を含み、
前記閉鎖要素は、さらに、前記複数の層の断熱材の間に配置された少なくとも1つの金属箔を含む、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項3】
前記少なくとも1層の断熱材は、エアロゲル材料のブランケット(blanket of aerogel material)を含む、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項4】
前記少なくとも1層の断熱材は、第1のエアロゲル材料ブランケット(blanket
of aerogel material)と第2のエアロゲル材料ブランケットと、を含み、
前記閉鎖要素は、さらに、センサーと、通信経路要素と、を含み、
前記通信経路要素は、前記第1のブランケット材料と前記第2のブランケット材料とを通って前記センサーに伸び、
前記第1のブランケット材料と前記第2のブランケット材料とは、前記通信経路要素の周囲を圧縮する、
請求項3に記載の閉鎖要素。
【請求項5】
前記少なくとも1つの部材は、フェノール材料から形成され、
前記少なくとも1つの部材の第1端部は前記ヘッドアセンブリに取り付けられ、前記少なくとも1つの部材の第2端部は、前記底部材に取り付けられる、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項6】
さらに、前記少なくとも1つの部材の終端部を受け入れる挿入部を含む数なくとも1つの固定部品、を備え、
前記少なくとも1つの固定部品は、前記ヘッドアセンブリおよび前記底部材の少なくとも一方から前記少なくとも1層の断熱材に圧縮を加えるフランジを形成する、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項7】
前記固定部品は、ガロライト材料から形成され、
前記挿入部は、ねじ込みインサートであり、
前記終端部は、ねじ切りされている、
請求項6に記載の閉鎖要素。
【請求項8】
さらに、積層材料を含む外層、を備え、
前記外層は、前記少なくとも1層の断熱材の外面を覆い、
前記積層材料は、熱収縮チューブまたは直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを含む、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項9】
さらに、積層材料を含む外層、を備え、
前記外層は、前記少なくとも1層の断熱材の外面を覆い、
前記積層材料は、ロール状の不織高密度ポリエチレン繊維材料を含む、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項10】
さらに、前記少なくとも1層の断熱材の外面を覆う積層材料を含む外層、を備え、
前記積層材料は、マイクロセルラー発泡材料を含む、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項11】
さらに、積層材料を含む外層、を備え、
前記外層は、前記少なくとも1層の断熱材の外面を覆い、
前記積層材料は、ポリエステルフリース材料を含む、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項12】
さらに、
前記少なくとも1層の断熱材の外面の周囲に配置された直鎖状低密度ポリエチレンフィルムと、
前記直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの周囲に配置されたロール状の不織高密度ポリエチレン繊維材料と、
前記不織高密度ポリエチレン繊維材料上に配置されたポリエステルフリース材料と、
を備える、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項13】
さらに、前記フリース材料に配置されたマイクロセルラー発泡材料、を備える、
請求項12に記載の閉鎖要素。
【請求項14】
さらに、前記少なくとも1層の断熱材に配置されたベント部材、を備え、
前記ベント部材は、前記極低温保管容器の極低温キャビティから流体冷却剤を移送して、前記キャビティ内で7.25PSI以下の圧力に維持するような大きさである、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項15】
さらに、前記底部材のポケットに固定的に配置されたセンサー、を備え、
前記底部材は、前記閉鎖要素が前記極低温保管容器の開口部を閉鎖するよう装着されているときに、前記極低温保管容器の極低温キャビティに対向するよう構成される、
請求項1に記載の閉鎖要素。
【請求項16】
極低温保管容器の開口部を閉塞するための閉鎖要素を製造する方法であって、
少なくとも1層の断熱材を提供するステップと、
前記少なくとも1層の断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの穴を設けるステップと、
前記少なくとも1つの穴に少なくとも1つの部材を設けるステップと、
前記少なくとも1つの部材の終端部を固定部品に挿入するステップと、
前記少なくとも1つの部材に対して前記固定部品を移動させることにより、前記少なくとも1層の断熱材を圧縮するステップと、
を含む、
方法。
【請求項17】
さらに、前記少なくとも1層の断熱材の外面に外層を配置するステップ、を含み、
前記外層は、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、ロール状の不織高密度ポリエチレン繊維材料、フリース材料、およびマイクロセルラー発泡材料から構成されるグループから少なくとも1つを含む、
請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1層の断熱材を提供するステップは、第1の1つまたは複数のブランケット断熱材層(one or more of blanket layers of insulating material)を提供することと、断熱材の第2の1つまたは複数のブランケット断熱材層を提供することと、を含み、
方法はさらに、
第1外寸を有するセンサーを提供するステップと、
前記第1の1つまたは複数のブランケット断熱材層を貫通する第1センサー穴を切断するステップであって、前記第1センサー穴は、前記センサーの前記第1外寸よりも小さい第1直径を有する、ステップと、
前記1つまたは複数のブランケット断熱材層を貫通する第2センサー穴を切断するステップであって、前記第2センサー穴は、前記センサーの前記第1外寸よりも小さい第2直径を有する、ステップと、
前記第1センサー穴を通して、前記第1外寸を含む面に実質的に垂直な方向に前記センサーを移動させるステップと、
前記第1センサー穴を通して前記センサーを移動させるステップとは別に、前記第2センサー穴を通して、前記第1外寸を含む面に実質的に垂直な方向に前記センサーを移動させるステップと、
を含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
キャビティとネック開口部とを含むハウジングと、
前記ネック開口部に選択的に挿入されるよう構成された閉鎖要素と、
を備え、
前記閉鎖要素は、
ヘッドアセンブリおよび底部材と、
前記ヘッドアセンブリと前記底部材との間に配置された少なくとも1層の断熱材と、
前記少なくとも1層の断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの穴と、
前記少なくとも1つの穴に配置され、前記少なくとも1層の断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの部材と、
を含み、
前記少なくとも1つの穴の直径は、前記少なくとも1つの部材の直径に実質的に等しい、
極低温保管容器。
【請求項20】
前記閉鎖要素は、さらに、
前記少なくとも1層の断熱材の外面の周囲に配置された直鎖状低密度ポリエチレンフィルムと、
前記直鎖状低密度ポリエチレンフィルムの周囲に配置された不織高密度ポリエチレン繊維材料と、
前記不織高密度ポリエチレン繊維材料上に配置されたポリエステルフリース材料と、
を備える、
請求項19に記載の極低温保管容器。
【請求項21】
前記閉鎖要素は、さらに、前記フリースに適用されたマイクロセルラー発泡材料、を備える、
請求項20に記載の極低温保管容器。
【請求項22】
前記閉鎖要素は、さらに、前記少なくとも1層の断熱材の周囲に配置された直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、を備える、
請求項19に記載の極低温保管容器。
【請求項23】
前記閉鎖要素は、さらに、前記少なくとも1層の断熱材の周囲に配置された不織高密度ポリエチレン繊維材料、を備える、
請求項19に記載の極低温保管容器。
【請求項24】
前記閉鎖要素は、さらに、前記少なくとも1層の断熱材の周囲に配置されたポリエステルフリース材料、を備える、
請求項19に記載の極低温保管容器。
【請求項25】
前記閉鎖要素は、さらに、前記少なくとも1層の断熱材の周囲に配置されたマイクロセルラー発泡材料、を備える、
請求項19に記載の極低温保管容器。
【請求項26】
さらに、前記底部材のポケットに固定的に配置された温度センサー、を備え、
前記温度センサーは、前記温度センサーが前記ポケットに固定的に配置されている場合に、極低温キャビティに露出したセンサー先端部を含む、
請求項19に記載の極低温保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、輸送装置、システム、および方法に関し、より詳細には、材料を輸送するための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空輸送による極低温冷凍材料の輸送には、通常、ドライベーパーシッパー(dry vapor shippers)が使用される。これらのシッパーの典型的なタイプは真空デュワー(vacuum dewars)であり、デュワー内に配置された液体窒素などの流体冷却剤を利用して所望の極低温温度を維持する。デュワーの内部に吸収材を配置して、流体冷却剤を液体の状態で吸収して保持できる。
【0003】
ドライベーパーシッパー(DVS)は通常、開口部またはアクセスポートを介して内部にアクセスでき、開口部またはアクセスポートは断熱(insulated)蒸気プラグ(vapor plug)によって閉じることができる。蒸気プラグは、熱がDVSに入る大きな経路を密閉すると同時に、冷却液が気体へ相変化する際に圧力上昇(puressure buildup)を引き起こすガスの放出のための所定の経路も提供する。たとえば、液体窒素は、液体が気体に相変化すると、液体の体積の698倍に膨張する。蒸気プラグはDVSのネック部でDVS内部とDVS外部との間を密閉する。ただし、密閉接続が不完全な場合、熱がDVSに侵入し、冷却剤が逃げる経路が形成される。
【0004】
DVS向けに効率的な蒸気プラグを設計するには、いくつかの課題がある。主な課題は、外部環境と内部のペイロードエリア(payload area)との間に熱障壁(thermal barrier)を設けることである。温度差は、通常、200℃を超える。この温度はしばしば「境界温度」と呼ばれ、通常、約77ケルビン(液体窒素)から約293ケルビン(室温)の範囲である。
【0005】
DVS内のペイロードの温度を測定するために、DVSには通常、熱センサーまたはプローブが取り付けられている。追加の熱損失を発生させることなく、熱センサーとそれに対応する配線をDVSの極低温領域に設置することは、技術的に困難である。熱センサーの先端をDVS内の既知の位置に配置し、センサー先端およびワイヤーへの損傷を避けることは、DVS内で熱センサーを使用する際のさらなる課題である。センサーが極低温領域にあり、センサー先端とセンサー素子とが極低温温度にある場合、センサー素子は柔軟性を失い、破損する可能性がある。
【0006】
センサーワイヤーは、DVS内部のペイロードエリアに熱を導入するための重要な経路を表し、この熱経路には2つの主要な熱伝導の形式または経路が含まれる。第1の経路には、ワイヤー自体を通した熱伝導が含まれる。第2の経路には、ワイヤーが外部からDVSにどのように導入されるかに関連する空間的ギャップが含まれる。このワイヤーを通す従来技術の1つは、プラグの外側とDVSユニットのネック壁(neck wall)との間にワイヤーを配置することを含む。別の従来技術としては、蒸気プラグに外部から内部に貫通する穴を開け、その穴にセンサーおよび/またはセンサーワイヤーを挿入できるようにするものが挙げられる。この方法は、通常、ガスがDVS内部から外部へ容易に通過する経路をもたらす。この空間的ギャップは、穴がセンサーワイヤーの占めるスペースより大きい場合に発生する。このような状況は、例えば、熱センサー先端の直径がワイヤーよりも大きく、穴が先端の通過に対応できるほど十分大きい場合に発生する可能性がある。先端が穴を通過した後、穴内に残るワイヤーの直径は穴のサイズより小さいため、ガスが穴を通って流れる自由通路(free path)が生じ、望ましくない熱伝導を引き起こす。
【0007】
DVSプラグの設計におけるもう1つの課題は、DVS内部に危険な圧力が蓄積する可能性を排除するために、ガスが排出される十分な自由流路(free flowing pathway)を提供することである。特に、最小限の熱交換でDVSの内部から十分な冷却ガスが排出される経路を設計することは、蒸気プラグの設計にとって課題となる。DVS内部からDVS外部へのガスの自由な流れを可能にするガス通気口(gas vent)は、ユニット外部からDVS内部への熱の自由な流れも可能にする。通気能力(venting capacity)が増加すると、DVSの外部から内部への熱の流れがさらに増加し、その結果、所望の温度範囲内でペイロードの熱安定性(熱的性能)が段階的に低下(in a cascading decrease)する。
【0008】
DVSプラグ設計のもう1つの課題には、温度変化と構造的脆弱性との両方によるサイズの不一致が含まれる。蒸気プラグが、例えば77Kから約293Kまでの間の範囲の温度に、異なる時間にまたは同時にさらされると、蒸気プラグが膨張および収縮して、蒸気プラグが変形し、プラグがアクセスポートにぴったりとフィットしなくなる。このような蒸気プラグのサイズの不一致により、熱対流および/または熱伝導のためのさらなる経路が形成される。
【0009】
さらなる課題には、DVSの方向と冷却ガスの重量とが含まれる。DVSが直立方向にある場合、冷却ガスはDVSの底に沈むが、蒸気プラグのすぐ周囲のスペースを比較的温かいガスが占める。したがって、DVSが直立方向に向けられている場合、蒸気プラグのDVSのすぐ外側の領域と蒸気プラグのDVSのすぐ内側の領域との間の温度差は比較的低く、DVSを直立方向に配置すると、蒸気プラグを通る熱流が比較的低くなる。しかし、DVSの向きが変わると温度差は大きくなる。例えば、DVSを横向きにしたり逆さまにしたりすると、冷却ガスが蒸気プラグを押し上げ、蒸気プラグの外側と内側との間の温度差が大きくなる。この温度差が大きいと、蒸気プラグを通る熱流が大きくなり、DVSの熱的性能が低下する。さらに、DVSにおける熱流量が増加すると、窒素ガスの気化も増加し、それにより冷却剤の寿命と効率とが低下する。DVSの向きによって熱的性能に劇的な違いが生じた結果、シッパーはDVSユニットを確実に直立させて輸送するよう多大な努力を払うか、ただしこれは負担になる可能性があり、または、シッパーはユニットの長時間の使用を避けるかのどちらかである。この問題は、輸送中の実際のDVSの向きが見えないことと相まって、実際の輸送で使用されるDVSの推定熱的性能を確実に計算する能力の低下につながる。本開示の開示された装置、システム、および方法は、上述の1つまたは複数の他の欠点および/または既存の技術における他の欠陥を克服することに向けられている。
【発明の概要】
【0010】
一実施形態において、極低温保管容器(cryogenic strage container)の開口部を選択的に閉塞するための閉鎖要素は、ヘッドアセンブリと、底部材と、ヘッドアセンブリと底部材との間に配置された少なくとも1層の断熱材(insulating material)と、少なくとも1層の断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの穴と、少なくとも1つの穴に配置され、断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの部材とを含み、少なくとも1つの穴の直径は、少なくとも1つの部材の直径と実質的に等しい。
【0011】
別の実施形態において、極低温保管容器の開口部を閉塞する閉鎖要素を製造する方法は、少なくとも1層の断熱材を提供することと、断熱材の少なくとも1層を貫通して延びる少なくとも1つの穴を設けることと、少なくとも1つの穴に少なくとも1つの部材を設けることと、少なくとも1つの部材の終端部(end portion)を固定部品内に挿入することと、固定部品を少なくとも1つの部材に対して相対的に移動させることによって少なくとも1層の断熱材を圧縮することと、を含む。
【0012】
別の実施形態において、極低温保管容器は、ハウジングと、閉鎖要素と、を含む。ハウジングは、キャビティとネック開口部とを含む。閉鎖要素は、ネック開口部に選択的に挿入されるように構成されている。閉鎖要素は、ヘッドアセンブリおよび底部材と、ヘッドアセンブリと底部材との間に配置された少なくとも1層の断熱材と、少なくとも1層の断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの穴と、少なくとも1つの穴内に配置され、少なくとも1層の断熱材を貫通して延びる少なくとも1つの部材と、を含む。少なくとも1つの穴の直径は、少なくとも1つの部材の直径と実質的に等しい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態による、開放位置にある装置の側面図
【
図2】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の斜視図
【
図5A】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の構成要素を示す斜視図
【
図5B】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の構成要素を示す斜視図
【
図6】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の構成要素を示す斜視図
【
図7】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の斜視図
【
図8】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の斜視図
【
図9】本発明の一実施形態による、プロセスを示す図
【
図10】本発明の一実施形態による、閉鎖要素の製造プロセスを示す図
【
図11】本発明の一実施形態による、製造中の段階における閉鎖要素の斜視図
【
図12】本発明の一実施形態による、製造中の段階における閉鎖要素の斜視図
【
図13】本発明の一実施形態による、製造中の段階における閉鎖要素の構成要素を示す斜視図
【
図14】本発明の少なくともいくつかの実施形態による、コンピュータデバイスの概略図
【
図15】本発明の少なくともいくつかの実施形態による、ネットワークの概略図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明では、その一部を構成する添付図面を参照し、本教示が実施され得る具体的な例示的実施形態を例示的に示す。これらの実施形態は、当業者が本教示を実践できるように十分詳細に記載されており、他の実施形態を利用してもよく、本教示の範囲から逸脱することなく変更を加えてもよいことを理解されたい。したがって、以下の説明は単なる例示に過ぎない。
【0015】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図するものではない。本明細書において、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むものとする。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、および操作は、実行順序として特に特定されない限り、議論または図示された特定の順序で実行されることを必ずしも必要とすると解釈されるものではない。追加のステップまたは代替ステップを使用できることも理解されるであろう。
【0016】
ある要素または層が、別の要素または層に対して、「上にある(on)」、「係合する(engated to)」、「接続される(connected to)」、または「結合される(coupled to)」と言及される場合、他の要素または層に対して、直接、上にある、係合する、接続される、または結合されることもあれば、介在する要素または層が存在することもある。対照的に、ある要素が別の要素または層に対して、「直接上にある(directly on)」、「直接係合する(directly engaged on)」、「直接接続される(directly connected to)」、または「直接結合される(directly coupled to)」と言及される場合、介在する要素または層が存在しないこともある。要素間の関係を表すために使われるその他の言葉も、同様に解釈されるべきである(例えば、「間(between)」と「(直接の間(directly between)」、「隣接する(adjacent)」と「直接隣接する(directly adjacent)」など)。本明細書で使用される場合、「および/または(and/or)」という用語には、関連する列挙された項目の1つまたは複数のあらゆる組み合わせが含まれる。
【0017】
本明細書では、「内側(inner)」、「外側(outer)」、「下(beneath)」、「下(below)」、「上(above)」、「上(upper)」などの空間的に相対的な用語は、説明を容易にするために、図に示されるように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するために使用される場合がある。空間的に相対的な用語は、図に示された向きに加えて、使用時または動作時の装置の異なる向きを包含することを意図している場合がある。例えば、図中の装置を裏返すと、他の要素または特徴の「下(below)」または「下(beneath)」にあると説明された要素が、他の要素または特徴の「上(above)」を向くことになる。したがって、例示した「下(below)」という用語は、上と下の両方の方向を包含できる。装置は、それ以外の向き(90度回転した向き、または他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子(descriptors)は、それに応じて解釈される。
【0018】
特に断らない限り、「実質的に(substantially)」、「約(about)」、または「およそ(approximately)」という用語は、規定値からの範囲内の任意の値を意味することができ、この範囲は、0%の第一包含端値と、0%と±10%との間の第二包含端値とを包含する任意の範囲とできる。
【0019】
図1は、極低温などの常温以下の温度で物質を保管(storing)または輸送(transporting)するための装置300を示している。装置300は、容器305、閉鎖要素310、およびデータシステム315を含む。閉鎖要素310は、容器305の開口部を選択的に閉鎖する(block)ことができる。データシステム315は、閉鎖要素310(例えば、および/または容器305)の1つまたは複数のセンサーによって収集されたデータを処理するために使用することができる。容器305は、携帯可能な容器またはデュワー(dewar)であってもよい。例えば、容器305はドライベーパーシッパー(dry vapor shipper)であってもよい。容器305は、キャビティ325を含んでもよく、その中に流体冷却剤320を配置することができる。容器305は、液体窒素などの極低温流体のような流体冷却剤320によって冷却された物質を保管または輸送するように構成されてもよい。流体冷却剤320は、沸点が-150℃以下であってもよい。流体冷却剤320は、液体および/または気体の形態であり得る極低温流体または極低温物質(cryogen)であってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、流体冷却剤320は、窒素、ヘリウム、水素、ネオン、酸素、および/または空気を含んでもよい。例えば、流体冷却剤320は、所望の極低温温度(例えば、約-196℃(約77ケルビン)から約-150℃(約123ケルビン)の間)を維持するために冷媒(refrigerant)として使用される窒素であってもよい。
【0020】
閉鎖要素310は、容器305のネック(neck)330のアクセスポート329のようなアクセスポート、開口部(opening)または開口部(aperture)を選択的に閉鎖するように構成されてもよい。アクセスポート329は、容器305の1つまたは複数の壁部(wall portions)332によって形成される。閉鎖要素310は、
図1に示すように、容器305に対して非装着位置(uninstalled position)に配置することも、
図1Aに示すように、容器305に対して装着位置(installed position)(例えば、作業位置(working position))に配置することもでき、この場合、閉鎖要素310は、ネック330のアクセスポート329を密閉できる。それにより、
図1Aに示すように、閉鎖要素310が装着位置に配置されているとき、流体冷却剤320は、閉鎖要素310によってキャビティ325内に選択的に密封されてもよい。
【0021】
図2~
図4は、閉鎖要素310を示す図である。閉鎖要素310は、断熱材348を内部に支持するハウジングアセンブリ345を含む。断熱材は、閉鎖要素310を通る熱伝導を低減または最小化するのに適した特性を有するものであってもよい。例えば、断熱材348は、0.02W/m・K未満の熱伝導率など、比較的非常に低い熱伝導率を有する超断熱材(super insulating material)であってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、断熱材348は、エアロゲルブランケット材料(aerogel blanket material)などのエアロゲル材料を含んでもよい。断熱材348は、微多孔質材料(microporous material)を含んでもよい。少なくともいくつかの実施形態において、断熱材348は複数の層を含んでもよい。少なくともいくつかの実施形態において、断熱材348は非圧縮性または実質的に非圧縮性であってもよい。いくつかの実施形態において、断熱材348の1つまたは複数の層は、低圧縮性および/または低弾性を有していてもよい。
【0022】
図3および
図4に示すように、断熱材348中に反射材370を配置できる。反射材370は箔材(foil material)であってもよい。例えば、反射材370は金属箔および/または金属化箔を含むことができる。
図3および
図4には、2層の反射材370が図示されているが、反射材370は、断熱材348の層の間に配置された単一の層または他の数の層を含むことができる。例えば、反射材370の複数の層は、断熱材348の層の間で互いに分離されていてもよい。反射材370は、容器305の内部(例えば、キャビティ325)から容器305の外部へ、閉鎖要素310を通る熱の流れ方向に対して実質的に垂直に配向させることができる。例えば、
図3および
図4では、反射材370がこの方向に向いて示されている。
【0023】
さらに
図3および
図4を参照すると、閉鎖要素310は外層を含み、この外層は第1層350、第2層355、第3層360、および第4層361のうちの1つまたは複数を含む。層350、355、360は、部材365に取り付けることができる外層を形成することができ、それによって、断熱材348を含むことができるハウジングアセンブリ345を形成することができる。
図3を参照して説明した一般的な方法で、層350、355、360の任意の組み合わせを省略または利用できる。
図3に示すように、第1層350は断熱材348の上および/または周囲に配置することができる。第1層350は、断熱材348と層355との間に配置することができる。第1層350は、熱収縮チューブであってもよい。第1層350は、例えば、第1層350を加熱することによって断熱材348に貼り付ける(affixed to)ことができ、これにより断熱材348を効果的に固定位置に固定することができ、構造的剛性を高めることができる。第1層350は、断熱材348を密封することができる。第1層350は、断熱材348に1回以上巻き付けることができる。第1層350は、利用者への危害を低減または実質的に防止し、および/または製品ペイロードの汚染の可能性を低減または実質的に防止するために、実質的にすべての潜在的な埃物質(dust material)または破片(debris)を断熱材348から封入(例えば、密封(hermetically seal))する役割を果たすことができる。第1層350は、接着基材(adhesive substrate)として機能する。例えば、第1層350は、閉鎖要素310の製造中に追加材料(例えば、第2層355および/または第3層360)を第1層350に接着するための接着剤基材(glue sbstrate)を含むか、または接着剤基材とともに使用することができる。
【0024】
第1層350は、断熱材348の周囲に適用するのに適切な任意の構造材料であればよい。第1層350は、実質的に線状のポリマー材料(例えば、ポリエチレン)であってもよい。第1層350は、任意の適切な低密度ポリエチレン(LDPE)材料であってもよい。例えば、第1層350は、直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDP)または任意の他の適切な類似材料であってもよい。
【0025】
第2層355は、第1層350と第3層360との間に配置できる。第2層355は、第1層350を取り囲む、および/または第1層350の周囲に配置される、任意の適切な構造材料であってもよい。第2層355は、高密度ポリエチレン材料であってもよい。第2層355は、不織高密度ポリエチレン繊維材料(例えば、ロール状)など、ロール状であってもよい。第2層355は、第1層350に複数回巻き付けることができる。第2層355は、接着剤(例えば、液体接着剤、スプレー接着剤、および/または粘着バックテープ)を用いて第1層350に巻き付けられた後、層350に接着されてもよい。第2層355は、スパンボンドオレフィン繊維(spun bond olefin fiber)を含む不織材料であってもよい。第2層355は、フラッシュスパン(flash spun)高密度ポリエチレン繊維材料であってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、第2層355は、DuPont社から入手可能なTyvek(登録商標)材料であってもよい。第2層355は、容器305のネック330内における閉鎖要素310の適合を容易にする適合性を有し、第1層350および断熱材348に構造的剛性を与えることができる。層350および/または355は、断熱材348を密封して、破片や埃が断熱材348から漏れたり分離したりするのを実質的に防ぐことができる。
【0026】
第3層360は、第2層355を取り囲み、および/または第2層355の周囲に配置される任意の適切な構造材料であってもよい。第3層360は、閉鎖要素310が装着位置にあるときは、第2層355と容器305の1つまたは複数の壁部332との間に配置でき、閉鎖要素310が容器305のアクセスポート329を閉じるために取り外されたときは、第2層355と閉鎖要素310の外部の環境との間に配置できる。第3層360は、発泡材料であってもよい。例えば、第3層360は、マイクロセルラー発泡材料(microcellular foam material)であってもよい。第3層360は、ウレタンフォーム材料(例えば、ポリウレタンフォーム材料)であってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、第3層360は、Rogers社から入手可能なPoron(登録商標)材料であってもよい。Poronの性質により、比較的衛生的で耐久性のある外面を提供することが容易になる。第3層360は、壁部332に対してシールを提供する(例えば、シール面として機能する)ために、適切な熱特性およびシール特性を有する任意の適切な材料から形成することができる。第3層360は、ネック330(例えば、壁部332)の不規則な形状を充填するための任意の適切な圧縮性材料であってもよい。例えば、Poronは常温では適合性があるが、冷えると適合しなくなり、構造的に硬くなる。閉鎖要素310を、極低温物質を含む容器305のネック330に挿入すると、Poronは、最初はネック330の形状に適合するが、すぐに冷えて硬くなる。少なくともいくつかの実施形態において、層360は、約0.5mm~約5mmの間の厚さを有してもよい。第3層360は、任意の適切な接着剤を用いて第2層355に貼り付けることができる。例えば、第3層360は、閉鎖要素310の外周の閉止(closure)を画定するために、第3層360の材料の始端と終端とが突き合わされた単一の材料層として第2層355上に適用できる。第3層360の外面は、閉鎖要素310が使用される所定の容器305の所定のネック330に適合するように適切な寸法公差内で構成(例えば、製造または構築)され得る閉鎖要素310の外周(例えば、外周寸法)を形成してもよい。
【0027】
いくつかの実施形態において、ハウジングアセンブリ345の外層は、閉鎖要素310の最も外側の層として第2層355に配置され得るか、または第3層360と第2層355との間に配置され得る、フリース材料(例えば、ポリエステルフリース材料)または低温での適切な熱特性および可鍛性を有する任意の他の材料を含む第4層361を含み得る。また、例えば、フリース材料は、非吸収性表面を提供でき、これは、閉鎖要素310に衛生的な利点をもたらすことができる。フリースは、広い温度範囲にわたって高い適合性と柔らかさを維持し、常温または極低温での容器330のネック330内の閉鎖要素310の良好な適合を促進する。
【0028】
少なくともいくつかの実施形態において、層350、355、および/または360は、柔軟な断熱層であってもよく、これにより、装着位置に配置されたときに、閉鎖要素310が、不均一なまたは円形でないDVSネック(例えば、ネック330)に適合できる。積層材料(例えば、層350、355、および/または355)は、装置300の動作中に閉鎖要素310が経験する使用温度範囲にわたって柔軟性を維持できる。
【0029】
部材365は、閉鎖要素310の底部キャップ(bottom cap)を形成するために、適度に低い熱伝導率と適切な構造特性を有する任意の材料から形成できる。部材365は、層350、355、および/または360と同様の材料から形成できる。少なくともいくつかの実施形態において、部材365は熱可塑性材料を含んでいてもよい。例えば、部材365は、熱可塑性発泡体(例えば、非発泡熱可塑性材料)の層の間に配置された発泡材料を有する多層熱可塑性プラスチックであってもよい。部材365は、ポリエステル系共重合体材料、熱可塑性エラストマー材料、および/または熱可塑性オレフィン材料を含んでいてもよい。
【0030】
さらに
図3および
図4を参照すると、閉鎖要素310は、例えば
図4に示すように、アセンブリ335のキャビティ380内に配置できる熱交換器375を含んでいてもよい。キャビティ380は、例えば、熱交換器375が隣接し、および/または熱交換器375が配置され得るヒートシンクチャネルであってもよい。熱交換器375は、受動的熱交換器であってもよい。熱交換器375は、任意の適切なヒートシンクであってもよい。例えば、熱交換器375は、銅、アルミニウム、および/または他の適切な材料など、比較的熱伝導率の高い材料の層を含んでいてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、熱交換器375は、比較的大きな表面積対厚さ比(例えば、約25,000mm2/mm以上)を有していてもよい。
【0031】
閉鎖要素310には、ヘッドアセンブリ385も含めることができる。ヘッドアセンブリ385は、例えば、閉鎖要素310のキャップ(例えば、外側キャップ)またはヘッドアセンブリを形成することができる。ヘッドアセンブリ385は、例えば、アセンブリ335の他の構成要素と同様の材料および/または他の任意の適切な構造材料(例えば、比較的低い熱伝導率を有する構造材料)から形成することができる。ヘッドアセンブリ385は、例えば
図3および
図4に示すように、閉鎖要素310の他の構成要素に取り付ける(例えば、ファスナー、接着剤、溶接、および/または他の任意の適切な方法によって固定的または取り外し可能に取り付ける)ことができる。例えば、ヘッドアセンブリ385は、以下に説明する開示された固定アセンブリを介して閉鎖要素310の他の構成要素に取り付けることができる。
図3に示すように、ヘッドアセンブリ385は、ヘッドアセンブリ385の1つまたは複数の壁部材(wall members)によって形成され得るキャビティ390およびキャビティ395を含んでいてもよい。キャビティ390およびキャビティ395は、例えば、以下に説明するように、センサーシステム340の要素を収容するように構成されてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、修理を容易にするために、ヘッドアセンブリ385をサブアセンブリに分解することができる。
【0032】
閉鎖要素310は、
図3および
図4に示されているように、ベントアセンブリ400をさらに含んでいてもよい。ベントアセンブリ400は、例えば、閉鎖要素310の流体または気体の排出口(vent)として機能することができる。ベントアセンブリ400は、流体冷却剤320(例えば、蒸発した極低温物質)の一部を容器305のキャビティ325から逃がすことができる流体通路405を形成することができる。ベントアセンブリ400は、流体通路405を形成するキャビティ(例えば、細長いキャビティ)を含むベント部材410を含んでいてもよい。流体通路405は、ベント部材410を含めることなく、断熱材348に直接形成できるが、ベント部材は、より耐久性があり、一貫した流体通路405を提供する。ベント部材410は、断熱材348を貫通して延びるチューブであってもよい。ベント部材410は、例えば、流体冷却剤320(例えば、蒸発した極低温物質)の一部の流れを運ぶための任意の適切な構造材料など、閉鎖要素310の他の構成要素と同様の材料から形成することができる。ベント部材410は、流体冷却剤320(例えば、内部気化ガス)の一部が容器305および閉鎖要素310の外部に自由に排出される(例えば、任意の適切な定義済み寸法(defined dementions)を有する)ように構成されてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、ベントアセンブリ400は、閉鎖要素310が装着位置に配置されているときを含め、キャビティ325と容器305の外部との間に通路を提供し、流体冷却剤320(例えば、窒素ガス)の一部を装置300から逃がすことができる。ベント部材410は、キャビティ325を形成する容器305の壁部へのガス圧の不適当な蓄積を実質的に防止するために、流体冷却剤320(例えば、ガス)の一部を排出できるような大きさであってもよい。例えば、ベント部材410は、キャビティ325内の圧力が、キャビティ325を形成する容器305の1つまたは複数の表面上で約25PSI(ポンド/平方インチ)を超えることを実質的に防止するような大きさであってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、ベント部材410は、キャビティ325内の圧力が、キャビティ325を形成する容器305の1つまたは複数の表面上で約7.25PSIを超えることを実質的に防止するような大きさであってもよい。
【0033】
装置300のNVR(Nitrogen Vaporization Rate:窒素気化率)に基づいたベント部材410を通る所望のガス流量またはガス流量範囲の決定に基づいて、ベント部材410および流体通路405のサイズ決定が行われてもよい。例えば、装置300の効果的な断熱性能は、容器305が完全に満たされ(fully charged)、閉鎖要素310が装着位置にあり、容器305が横向きに置かれている(例えば、それによって窒素ガスなどの流体冷却剤320が閉鎖要素310に押し付けられて容器305から「流出(spill out)」しようとする)ときの装置300のNVRを測定することによって決定することができる。閉鎖要素310は、伝導、対流、および/または放射熱伝達による熱伝達から所望の断熱(例えば、最大断熱)を可能にするように構成されてもよい。容器305が横向きに置かれているときの装置300は、「動的(dynamic)」位置にあると考えることができる。ベント部材410を通る流体冷却剤320(例えば、気体)の流量は、最大内圧(例えば、25PSI、最大25PSI、または約7.25PSI)と、ほぼ標準海面気圧(例えば、14.7PSI)に等しい容器305の外部の外圧と、に基づいて計算できる。ベント部材410は、容器305が動的位置にあるときに決定される装置300のNVR率以上の流体冷却剤320(例えば、流れるのに十分なガス量)の一部の適切な流れを可能にするように構成またはサイズ決め(例えば、内径または断面のサイズを決めることができる)されてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、動的位置にあるときの容器305の全体的な熱的性能(例えば、NVR)は、60g/hr未満であってもよい。
【0034】
閉鎖要素310は、例えば
図4に示すような固定アセンブリ415を含んでもよい。固定アセンブリ415は、1つまたは複数の部材420、1つまたは複数の固定部品425、1つまたは複数の第1固定具430、および1つ以上の第2固定具435を含んでいてもよい。固定部品425、第1固定具430、および第2固定435は、プラグ310の一部として部材420を取り付けまたは固定できる。
【0035】
部材420は、細長い構造部材(例えば、棒(rod))であってもよい。部材420は、熱硬化性の樹脂(resin)またはプラスチック(plastic)材料から形成することができる。例えば、部材420はフェノール材料から形成することができる。部材420は、フェノール材料から形成された棒であってもよい。
図4に示すように、それぞれの部材420は穴440に配置されてもよい。例えば、部材420は、断熱材348に規定された穴であり得る穴440を介して、断熱材348の1つまたは複数の層を貫通する(pass through)(例えば、通過する(transit))ことができる。穴440は、部材420を受け入れるように構成(例えば、サイズ決定)することができる。例えば、穴440および部材420は、実質的に等しい直径および/または断面を有してもよく、実質的に一定の直径および/または断面を有してもよい。ここで「実質的に等しい直径(substantially equal diameters)」という表現における「実質的に(substantially)」とは、嵌合する2つの円形面の直径の差に相当する些細な量を意味する。部材420は、容器305のキャビティ325から穴440を通る流体の流れの自由経路を排除するために、穴440に受け入れられるように構成またはサイズ決めされてもよい(例えば、穴440に配置された部材420は、気体の流れを実質的に遮断することができる)。例えば、穴440の直径は、部材420が穴440内にないときの部材420の直径よりも小さくてもよく、穴440は、部材420の周囲で伸び(stretch)、受け入れ(receive)、および圧縮(compress)するように弾性変形可能であってもよい。
【0036】
それぞれの部材420は、第3固定具435によってヘッドアセンブリ385の下面に、また第4固定具430によって部材365の内側に固定できる。固定具430、435は、例えば、ねじ切り、接着、溶接、および/または任意の他の適切な固定技術などの任意の適切な技術によって構成要素を固定することのできる任意の適切な機械的固定具であってもよい。それぞれの部材420は、所定の穴440に配置され、例えば
図4に示すように、それぞれ固定具435、430を介してヘッドアセンブリ385と部材365との間に固定することができる。
図5Aに示すように、部材420は、固定部品425に受け入れられる終端部445を一方または両方の端部に含んでいてもよい。終端部445は、固定部品425にねじ式に(threadably)受け入れられるねじ部(threaded portion)であってもよい。
図4に戻ると、固定部品425は、ラミネート材料から形成することができる。固定部品425は、硬化エポキシおよびガラス繊維を含む複合材料(例えば、ガラス繊維エポキシ積層体)であってもよい。例えば、固定部品425は、フェノール材料から形成することができる。固定部品425は、高圧ガラス繊維積層体または熱硬化性ガラス強化積層体であってもよい。固定部品425は、ガラス織布材料を含んでいてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、固定部品425は、ガロライト(Garolite)(例えば、G-10ラミネート材料)から形成することができる。固定部品は、木材または木製材料、あるいは任意の他の適切な材料で形成することもできる。
図4に示すように、固定部品425は、部材365における部材420の終端部および/またはヘッドアセンブリ385における部材420の終端部に配置されてもよい。固定部品425は、断熱材348の圧縮を維持するために部材420に固定されるフランジを提供することができるか、またはフランジとして機能することができる。
図5Bに示すように、固定部品425は、部材420の終端部445を受け入れることができる挿入部450を含んでもよい。挿入部450は、ねじ式の部材420の終端部445を受け入れることができるねじ込みインサート(threaded insert)であってもよい。固定部品425は、断熱材348の圧縮を維持して断熱材348の分離を実質的に防止するフランジを提供するために使用でき、挿入部450のハウジングとしても機能することができる。少なくともいくつかの実施形態において、固定部品425は、それによって、部材420を部材365およびヘッドアセンブリ385に固定するために(例えば、これにより、断熱材348の定義済み寸法の確実なモノリシック(monolithic)形状を提供する)、ねじ部品(threaded fastener)(例えば、固定部品425)を用いて部材420を固定することができる。例えば、挿入部450を有する固定部品425はそれぞれ、例えば
図6に示すように、部材420の終端部445を受け入れることができる。
【0037】
図4に戻ると、挿入部450を有する固定部品425により、部材420をヘッドアセンブリ385と部材365との間に固定することができる。挿入部450は、固定部品425が断熱材348を圧縮できるように、部材420のそれぞれの終端部445を受け入れ、それによって部材420のそれぞれの終端部445に動作可能に連結できる。例えば、ねじ込みインサートであり得る挿入部450は、部材420のそれぞれの終端部445をねじ式に受け入れることができ、ヘッドアセンブリ385と部材365との間に配置された断熱材348を圧縮するために、終端部445をそれぞれの固定部品425の挿入部450にねじ込むことができる。部材420は、代わりに、挿入部450および/または固定部品425に圧入することもできる。部材420は、代わりに、現在知られているまたは将来開発される方法によって、挿入部450および/または固定部品425に固定することができる。部材420は、それによってヘッドアセンブリ385および部材365に固定することができ、断熱材348(例えば、断熱材348の層)をともに押圧して固定し、断熱材348(例えば、定義済み寸法の)のモノリシックな形状または体積を提供し、例えば、断熱材348の分離を防止することができる。例えば、部材420は、断熱材348を所望の意義済み寸法のモノリス(monolith)にするように動作できる。
【0038】
センサーシステム340は、センサー455、センサーハウジング460、および通信経路要素465を含んでいてもよい。例えば、
図3に示すように、センサー455はセンサーハウジング460内に配置され、ワイヤーなどの通信経路要素465を介してデータシステム315の構成要素に接続することができる。いくつかの実施形態において、通信経路要素465を省略することができ、センサー455は、現在知られているまたは将来開発される無線手段を通じて機能することができる。
【0039】
センサー455は、キャビティ325(例えば、キャビティ325内に配置された流体冷却剤320)の温度を監視するための任意の適切なセンサーであってもよい。センサー455は、例えばサーマルプローブなどのプローブであってもよい。センサー455は、温度を継続的に感知し、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで、あるいは任意の所望の時間間隔で(例えば、断続的な感知)、データをデータシステム315に提供できる。センサー455は、極低温度の感知に使用される任意の適切な温度センサーであってもよい。例えば、センサー455は、熱電対センサー、負温度係数サーミスタなどのサーミスタ、半導体ベースの集積回路、または抵抗温度検出器であってもよい。通信経路要素465は、センサー455をデータシステム315の構成要素に電気的に接続するための任意の適切な電気部品を含んでいてもよい。例えば、通信経路要素465は、電線または電気ケーブルを含んでいてもよい。
【0040】
センサー455は、閉鎖要素310の組立中に断熱材348を通して挿入することができる。センサー455は、断熱材348の穴470を通して挿入することができる。例えば、穴470は、断熱材348の複数の層のそれぞれの整列した穴を含んでいてもよい。穴470は、例えば、断熱材348に設ける(例えば、切り取る)ことができる。断熱材348に設けられた穴470の直径(例えば、または、断熱材348の複数の層に設けられた整列した穴の直径)は、センサー455を穴470に通すか挿入するための最小の直径に対応する大きさであってもよい(例えば、
図3に示すように、断熱材348の上部から、例えばセンサーハウジング460が配置されている断熱材348の下部まで)。穴470は、例えばセンサー455を設置するためのプローブチェイス(probe chase)であってもよい。センサー455と通信経路要素465とが穴470に配置された後、断熱材348と同様の材料または他の適切な断熱材などの材料を穴470に加えることができる。例えば、穴470を通る気体の流れを実質的に遮断または減少させるために、穴470の上部および底部(例えば、および/または中央部分または実質的に穴470に沿った全体)に断熱材を加えることができる。センサー455および通信経路要素465の設置後に、この開示された材料を穴470に配置することにより、穴470に配置された通信経路要素465の周囲を通過する流体冷却剤320(例えば、気体)の一部の自由経路を減少させるか、または実質的に排除することができる。あるいは、穴470は弾性的に変形可能であってもよく、センサーハウジング460を伸ばし、受け入れ、通過させ、通信経路要素465の周囲を圧縮するよう、適切な大きさであってもよい。この場合、センサー455が穴470を通して押されると、穴470はセンサーハウジング460を収容するために伸び、通信経路要素465の周囲を圧縮する。このようにして、穴470は通信経路要素465の周囲を密閉する。一例では、穴470は直径1mm、センサーハウジング460は直径3mmであってもよく、穴470はセンサーハウジング460を受け入れるように伸びて、通信経路要素465の周囲を圧縮および/または密封することができる。その結果、穴470は、通信経路要素465の直径(またはその他の適切な寸法)と実質的に等しい直径(または、通信経路要素465が円形でない場合は、他の適切な寸法)を有する。ここで「実質的に等しい(substantially equal)」という表現における「実質的に(substantially)」とは、2つの嵌合面の寸法差に相当する些細な量を意味する。
【0041】
センサー455は、センサーハウジング460内に配置することができる。センサーハウジング460は、例えば、本明細書に記載されているように、例えば、閉鎖要素(closure)310の構成要素(例えば、部材365)の構造材料と同様の材料など、任意の適切な構造材料から形成することができる。センサーハウジング460は、例えば、センサー455を受け入れるためのキャビティまたはポケットを部材365に形成することができる。センサーハウジング460は、例えば、センサー455を受け入れるよう構成された部材365および/または部材365の一体部分に配置されたハウジングであってもよい。センサー455は、例えば、本明細書で説明するように、容器305の内部温度を確実に読み取り、この読み取り値のデータを送信するように配置することができる。センサーハウジング460は、閉鎖要素310の底部の実質的に固定された位置にセンサー455を受け入れるまたは保持するように構成されてもよい。例えば、センサーハウジング460は、センサー455がキャビティ325内に移動する(例えば、キャビティ325内にぶら下がる)のを実質的に防ぐことができる。センサーハウジング460は、例えば、
図7に示されるように、閉鎖要素310の底面に先端部分475を露出させるように構成することができる。先端部分475は、キャビティ325(例えば、キャビティ325内に配置された流体冷却剤320)の温度を測定する(例えば、正確に測定する)ために閉鎖要素310が開示された装着位置にあるときに、キャビティ325に露出するセンサー先端部であってもよい。センサーハウジング460は、センサー455を実質的に固定された位置に維持することに基づいて、センサー455および/または通信経路要素465の実質的にいかなる動きも低減または実質的に排除することによって、センサー455(例えば、先端部分475)および/または通信経路要素465への物理的保護を提供するように構成されてもよい。センサー455および通信経路要素465は、センサーハウジング460および穴470から、およびセンサーハウジング460および穴470内で、取り外し可能および/または交換可能でであってもよい。
【0042】
図8は、閉鎖要素310を示す斜視図である。少なくともいくつかの実施形態において、閉鎖要素310は、容器305とともに使用することができる通気性断熱クロージャー(vented insulated closure)を提供するために使用される「蒸気プラグ(vapor plug)」であってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、閉鎖要素310は、超断熱材料(super insulating materials)で構成することができ、低い熱伝導率を有し、最終形態に組み立てられたときに比較的低い実効熱伝導率を達成することができる寸法サイズを有するように構成された構造材料から形成することができる。閉鎖要素310は、極低温に曝されたときに比較的低い(例えば、最小限の収縮)特性を示す材料から構成されてもよく、閉鎖要素310が経験し得る(例えば、約77K~約293Kの間の温度)温度範囲の下で、閉鎖要素310が所望の(例えば、厳密な)寸法公差を維持することを可能にする。閉鎖要素310の全体的な外装の寸法公差は、閉鎖要素310が経験し得る開示された極限温度間の差1mmを超えることができない。
【0043】
図3に戻ると、データシステム315は、コントローラ480、電源485、および1つまたは複数のネットワークコンポーネント490、を含んでもよい。コントローラ480は、電源485から電力を供給され、例えば後述するように、ネットワークコンポーネント490および閉鎖要素310の構成要素と通信することができる。
【0044】
1つまたは複数のネットワークコンポーネント490は、例えば、
図15に関して後述するようなWANを含んでもよい。また、1つまたは複数のネットワークコンポーネント490は、コンピュータデバイス、スマートフォンなどのスマートデバイス、および、例えば、本明細書で説明する技術などの任意の適切な通信技術を介してコントローラ480と通信することができる任意の他の適切なコンピュータデバイスなどのユーザーデバイスを含んでもよい。例えば、開示される1つまたは複数のユーザーデバイスは、タッチスクリーンデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、スマートボード、および/または任意の適切なコンピュータデバイス)、コンピュータキーボードおよびモニター(例えば、デスクトップまたはラップトップ)、音を介して入力を入力しおよび/または出力を受信する音声ベースのデバイス、タッチまたは感触に基づいて入力を入力および/または出力を受信する触覚ベースのデバイス、特にシステム300の他の構成要素と連携するように設計された専用のユーザーデバイスまたはインターフェース、および/または任意の他の適切なユーザーデバイスまたはインターフェースを含んでもよい。1つまたは複数のネットワークコンポーネント490およびコントローラ480は、例えば、無線通信(例えば、CDMA、GSM、3G、4G、および/または5G)、直接通信(例えば、有線通信)、Bluetooth(登録商標)通信範囲、近距離無線通信(例えば、NFC非接触通信)、無線周波数通信(例えば、UHF波などの短波長の電波などのRF通信)、および/または任意の他の所望の通信技術などの任意の適切な通信方法を介して、互いにおよび/またはシステム300の任意の他の適切な構成要素と通信することができる。
【0045】
システム300は、例えば、コントローラ480、1つまたは複数のネットワークコンポーネント490、および/またはシステム300の任意の他の適切な構成要素など、システム300の1つまたは複数の構成要素と部分的または実質的に完全に統合され得る1つまたは複数のモジュールを含んでもよい。1つまたは複数のモジュールは、例えば
図14に関して後述するようなソフトウェアモジュールであってもよい。例えば、1つまたは複数のモジュールは、不揮発性メモリに格納されたコンピュータ実行可能なコードを含んでもよい。また、1つまたは複数のモジュールは、(例えば、本明細書で例として説明する)プロセッサを使用して動作することもできる。1つまたは複数のモジュールは、データを保存することができ、および/または、本明細書に記載された開示されたプロセスの一部またはすべてを制御するために使用することができる。
【0046】
コントローラ480は、システム300の動作を制御することができる。コントローラ480の一部または実質的にすべての構成要素は、キャビティ390内に配置することができる。また、例えば、コントローラ480の構成要素は、キャビティ390内に配置され、閉鎖要素310の他の位置に配置され、および/または1つまたは複数のネットワークコンポーネント490に統合されてもよい。コントローラ480は、システム300の構成要素の動作を制御するための任意の適切なコンピュータデバイスであってもよい。コントローラ480は、例えば、
図14に関して後述する構成要素と同様の構成要素を含んでもよい。コントローラ480は、例えば、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッシングロジック制御装置)またはボードコンポーネント(board components)を含むことができる。また、例えば、コントローラ480は、システム300の他の構成要素に(例えば、無線、Wi-Fi、Bluetooth、または任意の他の適切な通信技術を介して)接続できるようにする入出力配置を含んでもよい。コントローラ480は、直接通信(例えば、有線通信)、無線通信、Wi-Fi、Bluetooth、ネットワーク通信、インターネット、および/または任意の他の適切な技術を介して、システム300の構成要素と通信することができる。通信経路要素465は、コントローラ480に接続されていてもよい。コントローラ480は、通信経路要素465を介してセンサー455との間でデータを転送することができる。少なくともいくつかの実施形態において、コントローラ480は、センサー455によって生成された情報を経時的に記憶および処理することができるデータロガー(data-logger)を含んでもよい。コントローラ480はまた、例えば本明細書で説明される開示された通信技術を介して、1つまたは複数のネットワークコンポーネント490との間でデータ(例えば、感知されたデータを含む)を転送および受信することができる。
【0047】
コントローラ480は、方向装置(orientation device)495を含んでもよい。方向装置495は、コントローラ480の一体構成要素であってもよく、キャビティ390内に配置された別個の構成要素であってもよく、または閉鎖要素310または容器305の任意の他の適切な位置に配置されてもよい。例えば、方向装置495は、閉鎖要素310または容器305の任意の適切な表面または壁部材にまたはその中に配置することができる。方向装置495は、例えば、本明細書で説明される通信技術などの任意の適切な技術によって、コントローラ480および/または1つまたは複数のネットワークコンポーネント490と通信することができる。方向装置495は、容器305の物理的な方向(orientation)を検出するための任意の適切な装置であってもよい。少なくともいくつかの実施形態において、方向装置495は加速度計またはジャイロスコープであってもよい。方向装置495は、容器305が記録されたそれぞれの方向(例えば、容器305が直立位置、および、転倒、傾斜、または逆さまなどの動的位置にあるときおよびその時間)のデータを含む、容器305の実際の方向のデータを感知し、記録し、送信することができる。
【0048】
コントローラ480、1つまたは複数のネットワークコンポーネント490、および/または開示されたモジュールは、センサー455および/または方向装置495から収集および転送された感知データに基づいて、熱的性能に関する処理および計算を行うことができる。少なくともいくつかの実施形態において、感知データは、開示された方向データを所定の閾値(例えば、様々な方向および継続時間(time duration)の下での所与のタイプの容器305の資格データ(qualification data))と比較することに基づいて、容器305の推定性能を計算する(例えば、確実に計算する)ために使用することができる。少なくともいくつかの実施形態において、方向装置495は、容器305および/または閉鎖要素310に内蔵され、容器305の方向および方向の持続時間をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで記録してもよく、および、開示されたモジュール(例えば、クラウドベースのアプリケーション)に報告してもよい。方向装置495、コントローラ480、1つまたは複数のネットワークコンポーネント490、センサー455、および/または開示されたモジュールは、容器305の方向(例えば、または温度)が所定の閾値を超えた(例えば、閾値を超えた)ときに、システム300のユーザーに(例えば、ユーザーデバイスに)アラートを提供することができる。方向装置495(例えば、および/またはセンサー455)は、開示されたクラウドベースのアプリケーションと連携して、容器305の熱的性能に関連するデータまたは情報をユーザーに同様に提供することができる。また、装着位置にある閉鎖要素310を有する容器305のNVRの所定の(例えば、および/または感知された)データに基づいて、センサー455および/または方向装置495のデータの収集および/または処理に基づいて決定される、感知された方向および継続時間データに基づいて、ユーザーがコンテナ305の期待される性能を決定できる場合がある。
【0049】
電源485は、例えばセンサー455および方向装置495など、システム300の構成要素に電力を供給するための任意の適切な電源であってもよい。電源485は、任意の適切な電力源、および/または任意の適切な充電可能または非充電可能な電力源であってもよい。例えば、電源485は、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ウルトラキャパシタ電池(ultracapacitor battery)、鉛酸蓄電池、および/またはニッケルカドミウム電池であってもよい。
【0050】
開示された装置、システム、および方法は、比較的低い、または比較的極めて低い沸点を有する物質の輸送を含む、任意の適切な用途に使用することができる。例えば、開示された装置、システム、および方法は、極低温流体などの極低温物質を保存および/または輸送するための任意の適切な用途に使用することができる。開示された装置、システム、および方法は、輸送物質への、または輸送物質からの熱伝達がほとんどない、または実質的にないことが望まれる、輸送物質を輸送するための任意の適切な用途にも使用することができる。
【0051】
次に、開示された装置、システム、および方法の動作について説明する。例えば、
図9は、システム300のプロセス500を示す図である。プロセス500はステップ505から始まる。ステップ510において、センサー455と方向装置495とは、例えば上述したように動作してデータを感知することができる。センサー455は、キャビティ325(例えば、キャビティ325内に配置された材料320)の温度を感知することができる。方向装置495は、容器305が記録されたそれぞれの方向(例えば、容器305が、直立位置、および転倒、傾斜、または逆さまなどの動的位置にあるときおよびその時間)にさらされる時間の量を測定することを含む、容器305の実際の方向を感知することができる。これにより、方向装置495は、任意の所望の期間にわたって、容器305の方向を示す情報を感知することができる。
【0052】
ステップ515において、センサー455および方向装置495は、開示されたモジュール(例えば、コントローラ480および/またはネットワークコンポーネント490)に対して、例えば、任意の適切な開示された技術によって、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでデータを送信することができる。データ送信は、データ送信が可能なネットワークが1つ以上あれば、自動的に行われる。データ送信中も、センサー455と方向装置495はデータを感知するために作動し続けてもよい。データは、送信後に閉鎖要素310で保持されてもよい。
【0053】
ステップ520において、開示されたモジュール(例えば、コントローラ480および/またはネットワークコンポーネント490)は、センサー455および/または方向装置495から収集および転送された感知データに基づいて、熱的性能に関する処理を行い、計算を行うことができる。キャビティ325(例えば、材料320)の経時的な温度および容器305の経時的な変化する方向の連続的な(例えば、または所望の間隔の)データを転送し、処理し、および開示された計算に使用することができる。少なくともいくつかの実施形態において、感知データは、開示された方向データを、例えば上述のような所定の閾値と比較することに基づいて、容器305の推定熱的性能を計算するために使用することができる。開示されたモジュール(例えば、コントローラ480および/またはネットワークコンポーネント490)は、感知データおよび装着位置に閉鎖要素310を有する容器305のNVRの所定の(例えば、および/または感知された)データに基づいて、容器305の期待される性能を決定することができる。収集したデータを使用して、任意の所望の計算を行うことができる。
【0054】
ステップ525において、開示されたモジュール(例えば、コントローラ480および/またはネットワークコンポーネント490)は、例えば、所定の時間、温度、または他の閾値、アルゴリズム、ユーザー入力またはコマンド(例えば、1つまたは複数のネットワークコンポーネント490の開示されたユーザーデバイスから)、コントローラ480および/またはネットワークコンポーネント490の動作、および/または任意の他の適切な基準などの、任意の適切な基準に基づいて、データの感知を継続するか否かを決定することができる。一実施形態において、データはユーザーによって決定されるよう定期的に感知され、収集される。感知を継続する場合、プロセス500はステップ510に進み、ステップ510から525は、所望の時間、および所望の反復回数だけ繰り返すことができる。感知を継続しない場合、プロセス500はステップ530で終了する。
【0055】
図10は、実施形態による、開示された装置を製造するためのプロセス600を示す図である。プロセス600は、ステップ605から始まる。ステップ615において、断熱材348を配置することができる。例えば、断熱材348の単一の塊を配置することもでき、あるいは断熱材348の複数の層を積層することもできる。
図11は、層のスタックを示す図である。断熱材348を位置決めする前または後に、ベント部材410、部材420、通信経路要素465、および/またはセンサー455のうちの1つまたは複数を受け入れるために、断熱材348に適切な開口部または穴(上述した通り)を切り込むことができる。1つまたは複数の固定部品425をそれぞれ含む1つまたは複数の部材420(例えば、2つの部材420)は、断熱材348を貫通して配置できる。一部の実施形態において、ベント部材410または流体通路405を形成するための部材も、断熱材348を貫通して配置することができる。通信経路要素465および/または通信経路要素465を受け入れるための穴470を形成するための部材705も、断熱材348を貫通して配置することができる。
【0056】
断熱材348のブランケット層(blanket layers)は、断熱材348を貫通して通信経路要素465を配置するのに有益である。いくつかの実施形態において、通信経路要素465がまだセンサー455に取り付けられていない場合、通信経路要素465をセンサー455に取り付け、通信経路素子465が断熱材348のすべての層を貫通して延びるまで、センサー455を断熱材348の1つの層または1組の層を通して一度に押す/引くことによって、通信経路要素465を断熱材348の層の穴470を通して移動させることができる。上述したように、エアロゲル材料などの断熱材348は弾性変形可能であり、穴470を通信経路要素465より小さくでき、センサー455が穴470を通って移動すると穴470がセンサー455の周囲で膨張し、センサー455が穴470から出た後に穴470が通信経路要素465の周囲で収縮できる。
【0057】
再び
図10を参照すると、ステップ620において、材料の層350、355、360を断熱材348に適用する(例えば、巻き付ける)ことができる。例えば、
図12に示すように、第1層350は、例えば上述のように断熱材348に適用することができる。第2層355も第1層350に適用することができ、第3層360は、例えば上述のように、第2層355に適用することができる。
図10に戻ると、固定部品425は、例えば、上述のように、および
図13に示すように、ステップ625において調整することができる。プロセス600はステップ630で終了する。
【0058】
本開示のシステムの実施形態とともに使用するのに適切なコンピュータデバイスの例示的表現を
図14に示す。コンピュータデバイス100は、一般的に、中央演算処理装置(CPU、101)、グラフィック処理装置(GPU)を含むオプションのさらなる処理装置、ランダムアクセスメモリ(RAM、102)、マザーボード103、または代替的/追加的に記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ、クラウドストレージ)、オペレーティングシステム(OS、104)、1つまたは複数のアプリケーションソフトウェア105、表示要素106、および1つまたは複数の通信インターフェース(例えば、RS232、イーサネット、Wi-Fi、Bluetooth、USB)を含む1つまたは複数の入出力装置/手段107から構成されていてもよい。有用な例としては、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、ラップトップ、モバイルコンピュータデバイス、タブレットPC、タッチボード、およびサーバなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。クラスタ化されたコンピュータデバイスおよびサーバーバンク/ファーム(server banks/farms)など、1つまたは複数のリソースを分散して共有する方法で、複数のコンピュータデバイスを動作可能にリンクしてコンピュータネットワークを形成することができる。
【0059】
本開示の実施形態に適するこのような汎用マルチユニットコンピュータネットワークの様々な例、その典型的な構成、および多くの標準化された通信リンクは、本明細書で後述する
図15によってより詳細に説明され図示されるように、当業者には周知である。
【0060】
本開示の一実施形態によると、データは、ローカルエリアネットワーク(LAN)(例えば、オフィスネットワーク、ホームネットワーク)またはワイドエリアネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)を介して、システムに転送され、システムによって保存され、および/またはシステムによってシステムのユーザーに転送することができる。先の実施形態によると、システムは、1つまたは複数のLANおよび/またはWANを介して通信可能に接続された多数のサーバから構成されていてもよい。当業者であれば、システムが構成され得る多数の態様が存在し、本開示の実施形態が任意の構成で使用されることが企図されていることを理解するであろう。
【0061】
一般的に、本明細書で提供されるシステムおよび方法は、ネットワークに接続されているか否かにかかわらず、コンピュータデバイスのユーザーにより採用され得る。同様に、本明細書で提供される方法のいくつかのステップは、接続の有無にかかわらず、システムの構成要素およびモジュールによって実行され得る。そのような構成要素/モジュールがオフラインの間に、それらが生成したデータは、オフラインの構成要素/モジュールがネットワークの残りの部分(またはその関連部分)と再びオンラインになると、システムの関連する他の部分に送信される。本開示の一実施形態によると、本開示のアプリケーションのいくつかは、ネットワークに接続されていないときにはアクセスできないかもしれないが、ユーザー/オフラインのシステム構成要素またはモジュールが後にシステムネットワークに接続されたときに、ユーザーまたはシステム自体のモジュール/構成要素は、システムまたはその他の構成要素によって消費されるデータを、システムの残りの部分からオフラインで構成できる場合がある。
【0062】
図15を参照すると、本開示の一実施形態によるシステムの概略図が示されている。システムは、システムにより使用される情報を電子的に保存するための1つまたは複数のアプリケーションサーバ203から構成される。サーバ203内のアプリケーションは、ストレージデバイス内の情報を取得および操作し、WAN201(例えば、インターネット)を介して情報を交換することができる。サーバ203内のアプリケーションは、遠隔に保存された情報を操作し、WAN201(例えば、インターネット)を介して遠隔に保存されたデータを処理および分析するためにも使用することができる。
【0063】
一実施形態によると、
図15に示すように、WAN201または他のネットワークを介した情報交換は、1つまたは複数の高速接続を介して行われてもよい。場合によっては、高速接続は、無線(over-the-air:OTA)であってもよく、ネットワーク化されたシステムを経由していてもよく、1つまたは複数のWAN201に直接接続されていてもよく、または1つまたは複数のルータ202を経由して(directed through)いてもよい。ルータ202は完全にオプションであり、本開示による他の実施形態では、1つまたは複数のルータ202を利用してもよいし、利用しなくてもよい。当業者であれば、サーバ203が情報交換のためにWAN201に接続する方法は数多くあり、本開示の実施形態は、情報交換を目的としてネットワークに接続するための任意の方法とともに使用することが企図されていることを理解するであろう。さらに、本出願は高速接続に言及しているが、本開示の実施形態はあらゆる速度の接続に利用することができる。
【0064】
システムの構成要素またはモジュールは、WAN201または他のネットワークを介して、多数の方法でサーバ203に接続することができる。例えば、構成要素またはモジュールは、i)WAN201に直接接続されたコンピュータデバイス212を介して、ii)ルーティングデバイス204によりWAN201に接続されたコンピュータデバイス205、206を介して、iii)無線アクセスポイント207に接続されたコンピュータデバイス208、209、210を介して、またはiv)WAN201への無線接続(例えば、CDMA、GSM、3G、4G)を介したコンピュータデバイス211を介して、システムに接続することができる。当業者であれば、構成要素またはモジュールが、WAN201または他のネットワークを介してサーバ203に接続できる多数の方法が存在し、本開示の実施形態は、WAN201または他のネットワークを介してサーバ203に接続するための任意の方法とともに使用することが企図されていることを理解するであろう。さらに、サーバ203は、他のコンピュータデバイスが接続するためのホストとして機能する、スマートフォンなどのパーソナルコンピュータデバイスから構成することもできる。
【0065】
システムの通信手段は、テキスト、バイナリデータ、画像、および映像を含むデータを、1つまたは複数のネットワークを介して、またはシステムに接続された1つまたは複数の周辺装置、またはシステムモジュールまたは構成要素に通信するための任意の手段であってもよい。適切な通信手段には、無線接続、有線接続、セルラー接続、データポート接続、Bluetooth接続、近距離無線通信(NFC)接続、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。当業者であれば、本開示の実施形態とともに利用され得る多数の通信手段が存在し、本開示の実施形態は、任意の通信手段とともに使用されることが企図されていることを理解するであろう。
【0066】
開示されたシステムは、例えば、データセットと変数とを準備し、クラウドコンピュータクラスタおよび/または人工知能ニューラルネットワークを使用してそのようなデータを分析することのできる他の分析ツール(例えば、予測分析ツール)に提出するために収集されたものを利用できる。開示されたシステムは、例えば、予測分析を実行するクラウドコンピュータクラスタを含んでいてもよい。例えば、開示されたシステムは、リスクを予測的に評価するために、ニューラルネットワークベースの人工知能を利用することができる。例えば、ニューラルネットワークは、予測結果(例えば、本明細書で例として説明されるような位置)を決定するために、複数の追加のおよび/または他の処理ノードと相互接続および/またはネットワーク接続され得る複数の入力ノードを含んでいてもよい。
【0067】
例えば、人工知能処理には、データセットのフィルタリングおよび処理、無関係な変数、不変の変数、または余分な変数を統計的に除去することによるデータセットの簡素化、または基礎となる変数の集合の融合である新しい変数の作成、および/または少なくとも層別サンプリング技法を使用して、データセットを、訓練データセット、テストデータセット、および検証データセットに分割する処理が含まれていてもよい。例えば、予測アルゴリズムおよびアプローチには、回帰モデル、ツリーベースアプローチ、ロジスティック回帰、ベイズ法、ディープラーニング、およびニューラルネットワークが、単独でもアンサンブルベースでも含まれていてもよく、最終的な予測は、テストデータセットと検証データセットとに対する実装によって判断される最高度の精度と安定性を実現するモデル/構造に基づいて行われてもよい。また、例えば、人工知能処理には、開示されたセンサーによって収集されたデータに基づいて予測を行うための機械学習モデルを訓練するための処理が含まれていてもよい。
【0068】
従来、コンピュータプログラムには、計算命令またはプログラム命令の有限シーケンスが含まれている。プログラムマブル装置またはコンピュータデバイスは、このようなコンピュータプログラムを受け取り、その計算命令を処理することによって、技術的効果を生み出すことができることが理解されるであろう。
【0069】
プログラマブル装置またはコンピューティングデバイスは、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みマイクロコントローラ、プログラマブルデジタルシグナルプロセッサ、プログラマブルデバイス、プログラマブルゲートアレイ、プログラマブルアレイロジック、メモリデバイス、特定用途向け集積回路などを含み、コンピュータプログラム命令の処理、コンピュータロジックの実行、コンピュータデータの格納などに適切に採用または構成されてもよい。本開示およびその他の全体を通して、コンピュータデバイスは、少なくとも1つの汎用コンピュータ、専用コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、プロセッサ、プロセッサアーキテクチャなどの任意のおよびあらゆる適切な組み合わせを含むことができる。コンピュータデバイスは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでいてもよく、この媒体は、内部または外部、取り外し可能および交換可能、または固定されていてもよいことが理解されるであろう。また、コンピュータデバイスは、基本入出力システム(BIOS)、ファームウェア、オペレーティングシステム、データベースなど、本明細書で説明するソフトウェアおよびハードウェアを含み、それと連動し、またはそれをサポートできるものを含んでもよいことも理解されるであろう。
【0070】
本明細書で説明するシステムの実施形態は、従来のコンピュータプログラムまたはそれを実行するプログラマブル装置を含むアプリケーションに限定されない。例えば、本明細書で主張する本開示の実施形態は、光コンピュータ、量子コンピュータ、アナログコンピュータなどを含んでもよいことが企図されている。
【0071】
含まれるコンピュータプログラムやコンピュータデバイスの種類に関係なく、コンピュータプログラムをコンピュータデバイスにロードして、任意のおよびすべての図示された機能を実行することができる特定のマシンを製造することができる。この特定のマシン(またはそのネットワーク化された構成)は、任意のおよびすべての図示された機能を実行する技術を提供する。
【0072】
1つまたは複数のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子式、磁気式、光学式、電磁式、赤外線式、半導体式のシステム、装置、デバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、1つまたは複数のワイヤーを有する電気接続、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、磁気記憶装置、または前述の任意の適切な組み合わせが挙げられる。本書の文脈では、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって、またはそれらに関連して使用するためのプログラムを含むまたは格納することができる任意の有形媒体であってもよい。
【0073】
データストアは、データベース、ファイルストレージシステム、リレーショナルデータストレージシステム、またはデータを格納するように構成されたその他のデータシステムまたは構造の1つまたは複数で構成されてもよい。データストアはリレーショナルデータベースであってもよく、リレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)と連携してデータを受信、処理、および格納することができる。データストアは、移動情報および見積り情報の処理に関連する情報を格納するための1つまたは複数のデータベース、ならびに移動情報および見積り情報の格納および検索のために構成された1つまたは複数のデータベースを備えていてもよい。
【0074】
コンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラムマブルデータ処理装置に特定の方法で機能するよう指示することができるコンピュータ読み取り可能メモリに格納することができる。コンピュータ読み取り可能メモリに格納された命令は、任意のおよびすべての図示された機能を実施するためのコンピュータ読み取り可能命令を含む製造品を構成する。
【0075】
コンピュータ可読信号媒体は、例えばベースバンドでまたは搬送波の一部として、その中に組み込まれたコンピュータ可読プログラムコードを有する伝播データ信号(propagated data signal)を含むことができる。このような伝播信号は、電磁気的、光学的、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な形態のうちのいずれかを取ることができる。コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読記憶媒体ではなく、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用される、またはそれらに関連して使用されるプログラムを通信、伝播、または移送することができる任意のコンピュータ可読媒体であってもよい。
【0076】
コンピュータ可読媒体に具現化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバーケーブル、RFなど、または前述の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない、任意の適切な媒体を使用して送信することができる。
【0077】
図面全体としてフローチャート図およびブロック図に図示されている要素は、要素間の論理的な境界を意味している。しかし、ソフトウェアまたはハードウェア工学の慣行に従って、図示された要素およびその機能は、モノリシックなソフトウェア構造の一部として、独立したソフトウェアコンポーネントまたはモジュールとして、あるいは外部ルーチン、コード、サービスなどを採用するコンポーネントまたはモジュールとして、またはこれらの任意の組み合わせとして実装することができる。このような実装はすべて本開示の範囲内である。以上のことから、ブロック図およびフローチャート図の要素は、指定された機能を実行するための手段の組み合わせ、指定された機能を実行するためのステップの組み合わせ、指定された機能を実行するためのプログラム命令技術などをサポートすることが理解されるであろう。
【0078】
コンピュータプログラム命令には、コンピュータ実行可能コードが含まれることが理解されるであろう。コンピュータプログラム命令を表現するためのさまざまな言語が可能である。これには、Kotlin、Swift、C#、PHP、C、C++、アセンブラ、Java、HTML、JavaScript、CSSなどが含まれるが、これらに限定されない。このような言語には、アセンブリ言語、ハードウェア記述言語、データベースプログラミング言語、関数型プログラミング言語、命令型プログラミング言語などが含まれる。いくつかの実施形態において、コンピュータプログラム命令は、コンピュータデバイス、プログラマブルデータ処理装置、プロセッサまたはプロセッサアーキテクチャの異種組み合わせなどで実行されるように、格納、コンパイル、または解釈することができる。限定するものではないが、本明細書で説明するシステムの実施形態は、モバイルアプリケーション、監視装置用ファームウェア、ウェブベースのコンピュータソフトウェアなどの形態をとることができ、これには、クライアント/サーバーソフトウェア、SaaS(software-as-a-service)、P2P(peer-to-peer)ソフトウェアなどが含まれる。
【0079】
いくつかの実施形態において、コンピュータデバイスは、複数のプログラムまたはスレッドを含むコンピュータプログラム命令の実行を可能にする。複数のプログラムまたはスレッドは、プロセッサの利用率を高め、実質的に同時の機能を促進するために、多かれ少なかれ同時に処理されることがある。実装方法として、本明細書に記載されているあらゆる方法、プログラムコード、プログラム命令などは、1つまたは複数のスレッドで実装することができる。スレッドは他のスレッドを生成することができ、それらのスレッド自体に関連付けられた優先順位を割り当てることができる。いくつかの実施形態において、コンピュータデバイスは、プログラムコードで提供される命令に基づく優先順位または他の順序に基づいてこれらのスレッドを処理することができる。
【0080】
明示的に記述されていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「処理する(process)」という動詞と「実行する(execute)」という動詞とは、実行、処理、解釈、コンパイル、アセンブル、リンク、ロード、前述のあらゆる組み合わせなどを示すために互換的に使用される。したがって、コンピュータプログラム命令、コンピュータ実行可能コードなどを処理する実施形態は、今説明したあらゆる方法で命令またはコードに適切に作用することができる。
【0081】
本明細書で紹介する機能や動作は、特定のコンピュータデバイスや他の装置と本質的に関連するものではない。様々な汎用システムも、本明細書の教示に従ったプログラムとともに使用することができ、あるいは、必要な方法ステップを実行するためのより特殊な装置を構築することが好都合であることが判明する場合もある。これらの様々なシステムに必要な構造は、同等のバリエーションとともに、当業者には明らかであろう。さらに、本開示の実施形態は、特定のプログラミング言語を参照して説明されるものではない。本明細書に記載されるように、本教示を実装するために様々なプログラミング言語を使用できることが理解され、特定の言語への言及は、本開示の実施形態の有効性(enablement)および最良の態様(best mode)を開示するために提供される。本開示の実施形態は、多数のトポロジーにわたる多種多様なコンピュータネットワークシステムに適している。この分野では、大規模ネットワークの構成と管理には、「ウェブ(web)」または「ワールド・ワイド・ウェブ(world wide web)」とも呼ばれるインターネットなどのネットワークを介して、異種のコンピュータデバイスおよびストレージデバイスと通信可能に結合されたストレージデバイスおよびコンピュータデバイスが含まれる。
【0082】
本開示および他の部分を通して、ブロック図およびフローチャート図は、方法、装置(例えば、システム)、およびコンピュータプログラム製品を図示している。ブロック図およびフローチャート図の各要素、ならびにブロック図およびフローチャート図の各要素の組み合わせは、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品の機能を例示している。このような機能(「図示された機能(depicted functions)」)はすべて、コンピュータプログラム命令によって、特殊用途のハードウェアベースのコンピュータシステムによって、特殊用途のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって、汎用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって、など、本明細書では一般に「コンポーネント(component)」、「モジュール(module)」、または「システム(system)」と呼ぶことができる。
【0083】
前述の図面および説明には、開示されたシステムの機能的側面が示されているが、これらの機能的側面を実装するためのソフトウェアの特定の配置は、明示的に記載されているか、または文脈から明らかでない限り、これらの説明から推測されるべきではない。
【0084】
フローチャート図の各要素は、コンピュータが実施する方法のステップ、またはステップ群を表すことがある。さらに、各ステップは1つまたは複数のサブステップを含むこともある。説明の目的で、これらのステップ(および上で特定および説明した他のすべてのステップ)を順番に示す。実施形態は、本明細書に開示された技術の特定の用途に適合したステップの代替順序を含むことができることが理解されるであろう。このような変形および修正はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。特定の用途で要求される場合、明示的に記載される場合、または文脈から明らかな場合を除き、特定の順序でステップを図示および説明することは、異なる順序でステップを有する実施形態を排除することを意図するものではない。
【0085】
本明細書で説明する機能、システム、および方法は、多数の言語で利用され、提示されうる。個々のシステムは、1つまたは複数の言語で表示でき、上述のプロセスまたは方法のどの時点でも、言語を簡単に変更することができる。当業者であれば、システムを提供できる言語は多数あり、本開示の実施形態はあらゆる言語での使用が想定されることを理解するであろう。
【国際調査報告】