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特表2024-521056食品または栄養補助食品及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】食品または栄養補助食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240521BHJP
   C12N 1/14 20060101ALI20240521BHJP
   C12N 1/12 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A23L33/10
C12N1/14 A
C12N1/12 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023570087
(86)(22)【出願日】2022-05-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2022062750
(87)【国際公開番号】W WO2022238466
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】21173540.2
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523426828
【氏名又は名称】コラロ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ステッドマン,マイケル フィローズ
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
【Fターム(参考)】
4B018MD80
4B018MD89
4B018MF01
4B018MF02
4B018MF03
4B018MF04
4B018MF05
4B018MF06
4B018MF08
4B018MF09
4B018MF12
4B018MF13
4B065AA58X
4B065AA83X
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4B065AA85X
4B065AC20
4B065BC01
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4B065BD01
4B065BD05
4B065BD08
4B065BD09
4B065BD10
4B065BD13
4B065BD14
4B065BD31
4B065BD38
4B065BD39
4B065BD41
4B065BD43
4B065CA41
4B065CA42
(57)【要約】
本発明は、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、好ましくは、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品に関し、本製品が、0.5重量%~99.5重量%の範囲の少なくとも1つの食用真菌株の繊維状菌糸体塊と、99.5重量%以下の範囲の水と、食用微細藻類または大型藻類またはその一部と、の組成物を含み、ここで、食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び繊維状菌糸体塊は、食用真菌株の成長培地中で一緒にインキュベートした。
さらに、本発明は、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、好ましくは、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を製造する方法に関し、本方法は、少なくとも1つの食用真菌株の菌糸体の組成物と、食用微細藻類または大型藻類またはその一部と、を液体成長培地中でインキュベートするステップと、菌糸体の成長により、繊維状菌糸体塊の生成が可能になる条件下で組成物を培養するステップと、菌糸体の成長が完了後、食用真菌株の繊維状菌糸体塊を食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離するステップと、を含み、これにより、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、特に魚及び海産食物の非動物性代替製品またはヒトまたは動物が消費するため栄養補助食品を得る。
【選択図】無し
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の組成物を含む、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品であって、
a.0.5重量%~99.5重量%の範囲の少なくとも1つの食用真菌株の繊維状菌糸体塊と、
b.最大99.5重量%の範囲の水と、
c.食用微細藻類または大型藻類またはその一部と、を含む組成物を含み、ここで、前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び前記繊維状菌糸体塊は、前記食用真菌株の成長培地中で一緒にインキュベートした、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項2】
魚及び海産食物の非動物性代替製品である、請求項1に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項3】
前記繊維状菌糸体塊が、15~60重量%、好ましくは20~45重量%、最も好ましくは25~35重量%のタンパク質含有量、1~15重量%、好ましくは2~10重量%の脂質含有量、0.3~10重量%、好ましくは1~6重量%の一価及び多価不飽和脂肪酸含有量、及び0.1~500mcg/100g、好ましくは50~350mcg/100gのビタミンD含有量を有する、請求項1または2に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項4】
前記組成物中の前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び前記繊維状菌糸体塊は、前記食用真菌株用の前記成長培地中で、少なくとも60分間、一緒にインキュベートさせる、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項5】
前記組成物が、以下の追加成分のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品:
a.ハーブ、スパイスまたはそれらの抽出物、ソース、天然、人工または自然と同一の風味剤から選択される風味成分、
b.デンプン、ガム、藻類またはアルキルセルロース及びそれらの誘導体から選択される食感改良剤成分、
c.酸、塩、天然抗酸化剤または人工保存料から選択される保存成分、
d.穀物、塊茎または球根塊茎に由来する炭水化物成分、
e.果物、藻類または野菜から選択される繊維成分、
f.香辛料または野菜抽出物、藻類、植物油、人工または自然と同一の色素に由来する着色成分、
g.大豆、エンドウ豆、小麦、米、ルピナス、緑豆、及びひよこ豆から選択されるたんぱく質成分、
h.菜種、亜麻仁、ココナッツ、キャノーラ、ヒマワリ、オリーブ、藻類及びパーム油から選択される植物由来の脂質成分。
【請求項6】
ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、特に、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を製造する方法であって、
a.少なくとも1つの食用真菌株の菌糸体の組成物及び食用微細藻類または大型藻類またはその一部を、液体成長培地中でインキュベートするステップと、
b.前記菌糸体の成長により繊維状菌糸体塊を生成することが可能になる条件下で前記組成物を培養するステップと、
c.前記菌糸体の前記成長の完了後、前記食用真菌株の前記繊維状菌糸体塊を前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離して、ヒトまたは動物が消費するための前記食品または栄養補助食品、特に、前記魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を得るステップと、を含む、方法。
【請求項7】
追加の成長因子、微量元素、CO、酸素または光が前記液体成長培地に添加される、請求項6に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項8】
前記微細藻類または大型藻類の細胞壁が、物理的力及び/または酵素処理によって破壊され、かつ/またはそれらの前記液体成長培地への添加前に滅菌される、請求項6または請求項7に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項9】
前記組成物の前記水分含有量が、遠心分離、濾過、加圧、及び加熱による水の蒸発、または気圧の減圧によって、0、5~95重量%、好ましくは0.5~15重量%、または3~30重量%、または0.5~15重量%、または2~9重量%、または5~25重量%または25~98重量%、または65~95重量%の範囲、減少する、請求項6~8のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項10】
前記食用真菌株及び前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部の前記繊維状菌糸体塊の前記組成物が、閉鎖系、好ましくはバイオリアクターまたはフォトバイオリアクター内で発酵される、請求項5~8のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項11】
前記微細藻類が、緑藻植物門、藍色細菌門、ハプト植物門、黄藻植物門、紅藻植物門、トレボウクシア藻綱、クロロデンドロン藻綱、緑藻綱、藍藻綱、プリムネシウム藻綱、パブロバ亜綱、珪藻綱、コアミケイソウ綱、ラビリンチュラ綱、黄緑藻、真正眼点藻、チノリモ綱、クロレラ目、クラミドモナス目、ヨコワミドロ目、クロロデンドロン目、ユレモ目、シネココックス目、イソクリシス目、クサリケイソウ目、タラシオシラ目、ビドゥルフィア目、ラビリンチュラ目、Mischocodcales、ユースチグマトス目、チノリモ目、クロレラ科、ヘマトコッカス科、ドゥナリエラ科、クラミドモナス科、イカダモ科、クロロデンドロン科、クロロデンドロン科、ミクロコレウス科、シネココッカス科、イソクリシス科、パブロバ科、クサリケイソウ科、フェオダクチラム科、スケレトネマ科、タラシオシラ科、トウダイグサ科、ヤブレツボカビ科、プレウロクロリス科、モノドプシス科、チノリモ科、クロレラ科、ヘマトコッカス属、ドゥナリエラ属、イカダモ属、Dimorphus、Acuminatus、テトラセルミス属、Arthrospira属、シネココッカス属、Isochrysidus、ニッチア属、フェオダクチラム属、オドンテラ属、Pseudonana、シゾキトリウム属、Monodus属、ナンノクロロプシス属、チノリモ属からなる群から選択され、好ましくは、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・reinhardtii、ヘマトコッカス・プルビアリス、ドゥナリエラ・salina、Scenedesmus dimorphus及びacuminatus、テトラセルミス・suecica及びstriates、Arthrospira・platensis、イソクリシス・ガルバナ、Nitzschia dissipata、Phaedactylum tricornutum、Odontella aurita、Monodus subterranea、Nannochloropsis gaditana、oceanica及びoculate、Porphyridium cruentumから選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項12】
前記大型藻類が、紅藻植物門、緑藻植物門、黄藻植物門、ウシケノリ綱、真正紅藻綱、褐藻綱、アオサ藻綱、ウシケノリ目、ダルス目、スギノリ目、アオサ目、コンブ目、ウシケノリ科、ダルス科、スギノリ科、ミリン科、アオサ科、コンブ科、ピロピア属、ダルス属、ツノマタ属、オオキリンサイ属、キリンサイ属、アオサ属、コンブ属及びゴヘイコンブ属、ウシケノリ科のyezoensis及びhaitianensis、Palmaria palmata及びmollis、Chondrus crispus、ネッタイキリンサイ、Euchema cottonii、オオバアオサ、マコンブ及びカラフトコンブ、Laminaria digitataからなる群から選択される、請求項6~10のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの食用真菌株が、担子菌門、子嚢菌門、チャワンタケ亜門、ハラタケ亜門、チャワンタケ綱、ハラタケ綱、フンタマカビ綱、チャワンタケ目、イグチ目、アンズタケ目、ハラタケ目、サルノコシカケ目、ベニタケ目、キクラゲ目、ボタンタケ目、アミガサタケ科、セイヨウショウロ科、ヒラタケ科、ハラタケ科、ホウライタケ科、アンズタケ科、カノシタ科、イグチ科、トンビマイタケ科、サルノコシカケ科、モエギタケ科、シメジ科、キシメジ科、ツキヨタケ科、タマバリタケ科、スエヒロタケ科、ニセショウロ科、マンネンタケ科、ハナビラタケ科、サンゴハリタケ科、ミヤマトンビマイ科、ノムシタケ科、キクラゲ科、及びカンゾウタケ科からなる群から選択され、好ましくは、属、最も好ましくは、Pleurotus sapidusまたはウスヒラタケから選択される、請求項6~12のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項14】
前記食用真菌株の繊維状菌糸体塊を前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離した後、前記組成物を混合する、コーティングする、低温殺菌する、滅菌する、酸性化する、冷蔵する、冷凍させる、凍結乾燥させる、成形する、または発酵させる、請求項6~13のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項15】
真菌菌糸体の発酵から生成された酸素が、微細藻類または大型藻類が成長するフォトバイオリアクターに供給される、請求項6~14のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項16】
請求項6~15のいずれか一項に記載のステップを含む方法によって得られる、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物が消費するための食用食品または栄養補助食品、特に、魚及び海産食物の非動物性代替製品及び栄養補助食品の分野に関する。本発明によるヒトまたは動物が消費するための食用食品または栄養補助食品の主成分は、繊維状菌糸体塊及び微細藻類または大型藻類に由来する。本発明はまた、これらの食品製品及び栄養補助食品を製造する方法についても記載する。
【背景技術】
【0002】
海産食物は、世界において最大の貿易食品として、世界中の何十億もの人々に食料を提供している。主要タンパク質源として、世界の約30億人が、天然または養殖の海産食物に依存している。
【0003】
海産食物産業は、歴史的に、環境に顕著な影響を与えている。国際連合食糧農業機関は、海産魚資源の85%が完全に利用されているか乱獲されていると推定している[1]。さらに、既存の漁法のほとんどは、漁網で生態系全体を破壊し、特定の対象種を選択的に漁獲できなくなるため、非常に大きな負の損失を有する。結果として得られる混獲物は、水産養殖及び鶏肉などの家畜の飼料として広く使用されているが、これはタンパク質の生産には非常に非効率な方法である。
【0004】
水産養殖は、混獲またはアンチョビなどの専用魚として野生で捕獲され、その後飼料に変換されるタンパク質も多量に使用するため、天然漁業に代わることはできない。
【0005】
魚及び海産食物の収穫及び水産養殖が持続不可能であるというこうした問題は、2050年までに人口が96億人まで増加することによってさらに悪化し、170を超える国で、かなりの満たされていない需要が残ることが予想される。
【0006】
魚及び海産食物は、コレステロールを有さず、脂肪が少なく、多くの魚は、多くの量の不飽和必須脂肪酸、特にALA、EPA、及びDHAを有するため、動物性タンパク質の非常に健康的な代替品とも考えられている。多くの様々な魚及び海産食物は、ビタミンDを提供する[2]。EPA及びDHAは、魚及び海産食物を代表する種(サケ、タラ、マグロ、ハドックなどの海水種、またはマス、パンガシウス、コイなど淡水魚などの魚、エビ、ホタテ、カニ、ロブスター、ムール貝、ハマグリ)そのものによって産生されることはない。それらは、食物連鎖(大型魚は小型魚を食べ、小型魚は甲殻類を食べ、甲殻類は微細藻類を食べる)を介して取り込まれる。微細藻類は、これらの必須脂肪酸を合成する。甲殻類は、クラム及びイガイも属するいわゆる濾過摂食者のグループの一部であり、一部の魚種と同様に微細藻類を直接摂食する。
【0007】
近年、植物性タンパク質をベースにした肉の代替品として発売される製品が増加しているが、海産食物の代替品としては、ほとんど選択肢がない。既存の植物ベースの魚及び海産食物の代替品の大部分では、大豆、小麦、ひよこ豆、緑豆、エンドウ豆などの植物ベースのタンパク質と、それぞれのタンパク質単離物を使用している。これらのタンパク質またはタンパク質単離物は、次に、元のタンパク質単離物の異臭を隠し、魚または海産食物の風味を与えるために、風味または風味付与材料、とりわけ大型藻類と混合される。一部の場合には、口当たりを改善するために植物油が添加される。結合剤または食感改良物質を原材料に添加後、そのミックスは、例えば押出プロセスなどにより高度に加工され、確かな食感が得られる。
【0008】
米国特許出願公開第2019/0254328号明細書は、タンパク質及び繊維を含む藻類ベースのカカオバター、藻類ベースの粉末、または小麦粉、及び任意により少なくとも1つの風味料、甘味料または繊維粉末を含む藻類ベースの食品製品について記載している。
【0009】
米国特許出願公開第2020/0060309号明細書は、微細藻類もしくは微細藻類抽出物、藍色細菌門もしくは藍色細菌門抽出物及び海洋菌類もしくはシゾキトリウム属及びオーランチオキトリウム属の海洋菌類抽出物、またはこれらの水生起源の成分のうち少なくとも2つの混合物、及び少なくとも1つの他の植物成分の中から選択される少なくとも1つの水生起源の植物成分を含む繊維構造を有する食品について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0254328号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0060309号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】[1] https://www.worldwildlife.org/industries/sustainable-seafood#:~:text=Approximately%203%20billion%20people%20in,to%20billions%20of%20people%20worldwide.
【非特許文献2】[2] https://www.eatingwell.com/article/7821288/is-seafood-healthy/
【非特許文献3】[3] https://www.quorn.co.uk/products/quorn-vegan-fishless-scampi
【非特許文献4】[4] https://www.quorn.co.uk/products/quorn-vegan-breaded-fishless-fillets
【非特許文献5】[5] https://patents.google.com/patent/WO2012109375A2/en
【非特許文献6】[6] https://patents.google.com/patent/WO2019122030A1/en
【非特許文献7】[7] https://biotechnologyforbiofuels.biomedcentral.com/track/pdf/10.1186/s13068-015-0210-6.pdf
【発明の概要】
【0012】
このような背景に対して、本発明の目的は、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、特に、野生の収穫物または水産養殖をベースとしない、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の代替製品または栄養補助食品を提供することである。
【0013】
この目的は、
a)0.5重量%~99.5重量%の範囲の少なくとも1つの食用真菌株の繊維状菌糸体塊と、
b)最大99.5重量%の範囲の水と、
c)食用微細藻類または大型藻類またはその一部と、を含む組成物によって解決し、ここで、食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び繊維状菌糸体塊は、食用真菌株の成長培地中で一緒にインキュベートした。
【0014】
本発明は、肉代替品として導入された既存の原材料、すなわち食用真菌類の菌糸体を改変することにより、持続不可能な動物性海産食物及び植物性海産食物の課題を同時に解決する。
【0015】
食用真菌類、特にフザリウム・ベネナタムの菌糸体を含む植物ベースの魚及び海産食物代替製品が販売されているが、それらはDHAまたはEPAなどの多価不飽和脂肪酸、及びビタミンDを含まない、代替を目的とする動物性製品よりも栄養的にはるかに劣っている。さらに、魚及び海産食物の風味を模倣するには追加の風味料を必要とする[3;4]。
【0016】
微細藻類及び大型藻類、またはオメガ-3-脂肪酸、特にEPA及びDHAなどのその成分も、補助食品または添加物として販売されている。微細藻類由来成分の製造プロセスにおける課題のうちの1つは、成長培地から微細藻類を分離することであった。濾過または遠心分離などの古典的な分離技術に次いで、真菌類によるフロキュレーションが、バイオ燃料用の微細藻類の生産及び脂質抽出にうまく導入されている[5~7]。
【0017】
本発明では、驚くべきことに、食用真菌類の菌糸体が、微細藻類及び大型藻類を消化し、藻類から非及び多価不飽和脂肪、とりわけALA及びDHAなどのオメガ-3-脂肪酸を吸収し、光にさらされたときに大量のビタミンDが生成され得ることが見出された。得られた食用真菌類の栄養プロファイルは、動物性の魚及び海産食物と非常に類似しており、これにより、既存の植物性製品の優れた代替品となる。閉鎖系での培養及び菌糸体への藻類の直接供給により、従来の魚及び海産食物と比較して、水銀などの重金属の蓄積が回避され、これがさらなる利点である。単離された菌糸体塊は、魚及び海産食物の自然な風味と、魚及び海産食物のものに類似した食感を有する。
【0018】
本発明の一実施形態では、微細藻類は、従来技術に記載されているように成長し、その成長液から分離され、微生物汚染が必要な場合には滅菌され、その細胞壁構造が、物理的力及び/または酵素処理によって破壊され、バッチ、流加培養、または連続発酵バイオリアクター内の真菌菌糸体に添加される。大型藻類の場合、真菌菌糸体の培養培地に添加する前に、滅菌され、破砕され、物理的力及び/または酵素処理によって細胞壁構造が破壊される。
【0019】
滅菌は、真菌、細菌、胞子などの微生物を除去する、死滅させる、または不活化する任意のプロセスによって達成可能である。好ましくは、望ましくない微生物を減少させるまたは除去するために、加熱処理またはUV処理によって滅菌する。
【0020】
異なる量の異なる微細藻類または大型藻類を組み合わせることにより、真菌菌糸体の成長に最適な炭水化物とタンパク質との混合物が得られる。異なる微細藻類の混合物は、真菌菌糸体内のEPA及びDHAなどのオメガ-3-脂肪酸の濃度を高める異なる脂肪酸プロファイルも提供する。任意により、最適な成長条件を得るために微細藻類及び大型藻類によって提供されない、当業者に公知の他の成長因子及び加工助剤が添加される。成長が完了後、真菌菌糸体は、バイオリアクター内の液体から分離される。発酵バイオリアクター内の残りの液体または洗浄水はいずれも、微細藻類または大型藻類の成長培地として補充することにより再生利用される。残りの栄養素は、微細藻類または大型藻類の成長を助け、完全システムを、生態系に対して非常に優しいものにする。
【0021】
一実施形態では、微細藻類及び食用真菌類由来の真菌菌糸体は、1つのバイオリアクター内で一緒に成長させる。光、CO、Feなどの微量元素、N、P、及び任意によりSi源の助けにより、微細藻類が有機物及び酸素を生成する共生システムが創出される。真菌菌糸体は、酸素を消費し、微細藻類の有機物を摂取して、COを生成する。COにより、微細藻類の成長が刺激される。真菌菌糸体は、濾過によって分離され、微細藻類は、サイズが小さいため液体中に浮遊したままになる。第1の実施形態と同様に、微細藻類によって提供されない当業者に公知の他の成長因子及び加工助剤を任意により添加して、真菌菌糸体にとって最適な成長条件を得る。微細藻類の成長に必要な光は、金属容器内の人工照明によって、または透明なバイオリアクター内の自然光/人工光を介して提供可能である。特定の実施形態では、これは、最適な温度及びガス移動のための液体の流れ及び温度制御システムを備えた管状システムまたはパネルシステムなどのフォトバイオリアクターであり得る。この実施形態のシステムは、バイオリアクター内で栄養素とガスとの均質混合物を維持するために使用するエネルギーが少ないため、第1の実施形態よりもさらに生態系に優しいものとなる。
【0022】
一実施形態では、食用真菌類由来の微細藻類及び真菌菌糸体は、1つのバイオリアクター内で一緒に成長させ、微細藻類は、一時的に主要システムから分離され、その細胞壁は、物理的力または酵素処理によって破壊され、利用しやすい真菌菌糸体の供給原料として主要システムに再ループされる。
【0023】
一実施形態では、微細藻類は、最初に別のシステムで成長させ、微細藻類及び食用真菌類由来の真菌菌糸体を一緒に成長させる主容器に、その成長液と共に添加される。この実施形態は、真菌菌糸体の最適な成長のために、または特定の栄養プロファイルもしくは風味プロファイルを得るために、異なる濃度及び異なる最適な成長条件を有する微細藻類が必要な場合に有利である。
【0024】
一実施形態では、タンパク質、脂質、炭水化物または色素などの成分が微細藻類または大型藻類から抽出され、真菌菌糸体の培養培地に添加される。
【0025】
全ての実施形態からの食用真菌類の単離された真菌菌糸体は、魚及び海産食物の植物性食品製品の成分として、またはUV-B放射線に曝露された場合にはビタミンDが豊富な栄養補助食品として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の文脈で使用される「食用」という用語は、ヒトまたは動物の消費に好適である食品製品または栄養補助食品に関する。
【0027】
「魚及び海産食物の非動物性代替製品」の文脈における「非動物性」という用語は、ALA(アルファ-リノレン酸)及びDHA(ドコサヘキサエン酸)及びビタミンDなどの一価及び多価不飽和脂肪酸を含む食品製品または栄養補助食品を指すが、これは、野生の収穫物または水産養殖をベースにしたものではない。
【0028】
「繊維状菌糸体塊」という用語は、少なくとも1つの食用真菌株の菌糸体に関する。
【0029】
食用真菌類の菌糸体は、成長に有機物質及び酸素を必要とする従属栄養生物に由来する。菌糸体は、真菌または真菌様細菌コロニーの植物的部分であり、分岐の塊から構成される。したがって、それは真菌の胞子から発出する真菌の菌糸の延長部である。
【0030】
本発明のために選択された微細藻類または大型藻類は、光合成独立栄養性であり、従属栄養性または混合栄養性条件下でも生育することができる。
【0031】
記載されている魚及び海産食物の植物性代替成分は、微細藻類または大型藻類またはそれらに由来する成分を含む発酵液中で成長させた食用真菌類の菌糸体から構成されている。
【0032】
自然な魚及び海産食物の風味を特徴とし、これは、量、種、及び真菌菌糸体の成長培地に微細藻類または大型藻類を提供するプロセスによって影響を受ける。
【0033】
これは、100%乾燥重量に基づいて、15~60%、好ましくは20~45%、最も好ましくは25~35%のタンパク質含有量、1~15%、好ましくは2~10%の脂質含有量、0.3~10%、好ましくは1~6%の一価及び多価不飽和脂肪酸含有量、0.1~500mcg/100g、好ましくは50~350mcg/100gのビタミンD含有量をさらに特徴とする。
【0034】
魚及び海産食物代替成分はさらに、量、種、及び真菌菌糸体の培養培地に微細藻類または大型藻類を提供するプロセスによって影響を受ける、白、黄色、茶色または赤色によって特徴付けられる。
【0035】
好ましい実施形態では、本発明によるヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品は、組成物中の食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び繊維状菌糸体塊は、食用真菌株用の成長培地中で、少なくとも60分間、一緒にインキュベートさせたことを特徴とする。好ましくは、食用真菌株の繊維状菌糸体塊の組成物のインキュベーション時間は、10時間より長く、好ましくは24~216時間を要する。
【0036】
魚または海産食物代替食品製品は、サケ、タラ、マグロ、ハドックなどの海水魚類、またはマス、パンガシウス、コイなどの淡水魚類を含む魚;海水ベース及び淡水ベースのエビ、ホタテ、カニ、ロブスター、他の貝類、イガイ、及びクラムの類似性または代替品を主張するあらゆる食品製品であり得る。
【0037】
誘導体は、これらに限定されないが、これらの誘導体をベースにしたフィレ、パン粉をまぶした製品、ミンチ、または料理、または調理済みの食事であり得る。これには、低温殺菌、滅菌、酸性化、冷蔵、冷凍、発酵などの食品の加工及び保存のステップも含まれる。
【0038】
本発明は、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品として、
a)0.5重量%~99.5重量%の範囲の少なくとも1つの食用真菌株の繊維状菌糸体塊と、
b)最大99.5重量%の範囲の水と、
c)食用微細藻類または大型藻類またはその一部と、を含む組成物の使用にも関し、ここで、食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び繊維状菌糸体塊は、食用真菌株の成長培地中で一緒にインキュベートした。
【0039】
本発明はまた、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、特に、ヒトまたは動物の消費のための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を製造する方法に関し、本方法は、
a.少なくとも1つの食用真菌株の菌糸体の組成物及び食用微細藻類または大型藻類またはその一部を、液体成長培地中でインキュベートするステップと、
b.菌糸体の成長により繊維状菌糸体塊を生成することが可能になる条件下で組成物を培養するステップと、
c.菌糸体の成長の完了後、食用真菌株の繊維状菌糸体塊を食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離して、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を得るステップと、を含む。
【0040】
以下により詳細に説明するように、追加の成分を、繊維状菌糸体塊及び食用微細藻類または大型藻類またはその一部からなる培養混合物に添加することができる。成分には、これらに限定されないが、成長因子、微量元素、CO、酸素、または光が含まれる。
【0041】
成分を魚または海産食物の植物性代替食品にさらに加工するには、成分の水分含有量を減少させ得るか、食品製造に好適である他の食品グレードの原材料と組み合わせ得るか、典型的な食品加工ステップ(これらに限定されないが、調理、油での加熱処理、冷凍、冷却、混合、コーティング、成形、発酵、または湯通しなどが挙げられる)を経ることができる。
【0042】
水分含有量の減少は、遠心分離、濾過、加圧、及び加熱による水の蒸発または気圧の減圧によって達成され得る。この成分を栄養補助食品として適用する場合、水分含有量は、0.5~15%、好ましくは2~9%である。この成分を風味添加剤として適用する場合、水分含有量は、3~30%、好ましくは5~25%である。食感を付与するための魚または海産食物中の主要成分としてこの成分を適用する場合、水分含有量は、25~98%、好ましくは65~95%である。
【0043】
魚及び海産食物の植物性食品製品を製造するために、この魚及び海産食物の成分と組み合わせるのに適した食品グレードの材料は、植物性のタンパク質、風味料、食感改良剤、及び着色剤、炭水化物、脂質、保存料、及び繊維である。植物ベースのタンパク質としては、これらに限定されないが、大豆、エンドウ豆、小麦、米、ルピナス、緑豆、ジャガイモ、及びひよこ豆などが挙げられる。風味料は、ハーブ及びスパイス、またはそれらから作られた抽出物、藻類またはそれらの抽出物、醤油などの潜在的に発酵する可能性のあるソース、または任意の他の天然、自然同一または人工の風味物質であり得る。食感改良剤は、これらに限定されないが、メチルセルロースまたはその誘導体などのアルキルセルロース、これらに限定されないが、ジャガイモ、米、小麦、トウモロコシまたはタピオカ由来のデンプン、これらに限定されないが、ローカストビーンガムなどのガム、カラギーナン、または他の藻類由来の食感改良剤などであり得る。着色剤は、ウコンまたはニンジンなどに代表されるスパイスまたは野菜抽出物、アスタキサンチンなどの藻類由来着色剤、β-カロテンなどの他の天然色素、または人工着色料などの天然起源の任意の食品グレードの着色剤であり得る。炭水化物は、これらに限定されないが、トウモロコシ、小麦、または米などの穀物、及びジャガイモ、タピオカ、及びコンニャクなどの塊茎または開花塊茎であり得る。脂質は、これらに限定されないが、菜種、亜麻仁、ココナッツ、キャノーラ、ヒマワリ、オリーブ、藻類及びパーム油などの任意の植物由来の脂質であり得る。保存剤は、これらに限定されないが、乳酸または酢酸などの天然酸、塩、トコフェロールまたはローズマリー抽出物などの天然抗酸化剤、またはソルビン酸カリウムなどの人工保存料であり得る。これらに限定されないが、ココナッツ、エンドウ豆、白インゲン豆、藻類、またはリンゴもしくは柑橘類などの果物の搾りかすなどの植物からの繊維を使用することができる。
【0044】
魚及び海産食物の代替成分として食用真菌菌糸体を得る様々な方法を以下に記載する:
本発明の一実施形態では、微細藻類は、開放池/水路システム内、または管状、板状、ビニール袋もしくはそれらの変形形態で、自然光もしくは人工照明を備えた密閉フォトバイオリアクター内で、独立栄養条件下において成長させる。培養培地は、N、P、及び任意により追加のCまたはSi源、及び当業者に公知の鉄などの微量元素を含む。これらの栄養素のミネラル源の代わりに、これらに限定されないが、糖蜜またはコーンスティープリカーなどの食品産業からの食品グレードの廃棄物を使用できる。所望の微細藻類密度に達すると、濾過または遠心分離などの既存のプロセスによって微細藻類をその成長液から分離するが、本発明の一部を構成するものではないため、ここではさらに説明しない。分離後、微細藻類は、真菌菌糸体の培養培地の他の微生物による汚染を回避するために滅菌され、それらの細胞壁構造は、真菌の菌糸体の培養培地に添加前に、微細藻類の消化を促進させるために、物理的力(剪断力及び任意により熱)及び/または酵素処理によって破壊される。大型藻類の場合、これらは収穫後に洗浄し、破砕し、滅菌し、真菌菌糸体の培養培地に添加される前に物理的力及び/または酵素処理によって細胞壁構造が破壊される。様々な量の異なる微細藻類または大型藻類を組み合わせると、真菌菌糸体の成長に最適な炭水化物とタンパク質との混合物が得られ、真菌菌糸体の脂質含有量に影響を与える。異なる微細藻類の混合物は、真菌菌糸体内のALA、EPA及びDHAなどのオメガ-3-脂肪酸の濃度を高める異なる脂肪酸プロファイルも提供する。微細藻類及び大型藻類によって提供されない、当業者に公知の他の有機及び無機原料、微量栄養素、及び例えばpHを調節するための加工助剤を添加して、成長条件を最適化することができる。真菌菌糸体の発酵は、圧縮空気を供給し、温度を制御し、内容物を混合できる最先端のバッチ、フェドバッチ、または連続バイオリアクター内で実施できる。成長が完了後、真菌菌糸体は、バイオリアクター内の液体から分離され、洗浄される。バイオリアクター内の残りの液体またはあらゆる洗浄水は、微細藻類または大型藻類の成長培地として補充することによって再生利用される。残りの栄養素は、微細藻類または大型藻類の成長を助け、完全システムを、生態系に対して非常に優しいものにする。
【0045】
この実施形態の特定の実施形態では、真菌菌糸体発酵から生成された酸素が、接続されたフォトバイオリアクターに供給され、その中で微細藻類が成長する。任意により、微細藻類から生成されたCOは、真菌菌糸体が成長するバイオリアクターに供給される。好ましくは、バイオリアクターは、閉鎖系の一部である。
【0046】
一実施形態では、分離後の大型藻類または微細藻類が、タンパク質、炭水化物、脂質または色素などのそれらの成分を単離するために文献に記載されているような1つまたは複数の抽出ステップで処理される点において、上記とは異なる。これらの成分は、滅菌後の真菌発酵培養培地に1つの成分として、または様々な濃度で組み合わせて添加される。
【0047】
一実施形態では、微細藻類及び食用真菌類由来の真菌菌糸体は、フォトバイオリアクター及び/または従来の閉鎖バイオリアクターから構成され得る閉鎖系内で一緒に成長させる。光、CO、Feなどの微量元素、N、P、及び任意によりSi及びC源の助けにより、微細藻類が有機物及び酸素を生成する共生システムが創出される。真菌菌糸体は、酸素を消費し、微細藻類の有機物を摂取して、COを生成する。次いで、COが、微細藻類の成長を刺激する。真菌菌糸体の十分に高い濃度が達成されると、真菌菌糸体は、濾過によって微細藻類から分離され、さらなる処理のために排出させる。微細藻類は、サイズが小さいため、液体中に浮遊したままになる。微細藻類及び大型藻類によって提供されない、当業者に公知の他の有機原料、微量栄養素、及び例えばpHを調節するための加工助剤を添加して、成長条件を最適化することができる。微細藻類の成長に必要な光は、密閉バイオリアクター内のLEDライトなどの人工光によって、または透明なバイオリアクター内の自然光/人工光によって提供できる。特定の実施形態では、これは、最適な温度及びガス移動のための液体の流れ及び温度制御システムを備えた管状、袋、またはパネルシステムなどのフォトバイオリアクターであり得る。この実施形態のシステムは、フォトバイオリアクター内での微細藻類の産生に必要な換気の必要性、または真菌菌糸体もしくは微細藻類のためにバイオリアクター内に圧縮空気を供給する必要性が低減されるため、さらに生態系に優しいものとなる。エネルギー使用量は、反応容器全体で物理的に混合するのではなく、その場でガスを拡散させることによってさらに減少させ得る。
【0048】
この実施形態の特定の実施形態では、微細藻類のみを含む発酵液が主システムから一時的に分離され、微細藻類の細胞壁が物理的力または酵素処理によって破壊され、その後、真菌菌糸体のよりアクセスしやすい原料として、主システムに再ループされる。
【0049】
一実施形態では、微細藻類は、最初に別個のシステム内で独立栄養的に成長し、その後、それらの成長液と共に主システムに添加される。ここでは、食用真菌類由来の微細藻類及び真菌菌糸体を、従来のバイオリアクター及び/またはフォトバイオリアクター内で一緒に成長させる。この実施形態は、異なる濃度及び異なる最適な成長条件を有する微細藻類が必要とされる場合に有利である。また、真菌菌糸体の特定の栄養プロファイルまたは風味プロファイルを標的にするためにも使用される。微細藻類を含む生育液を添加した後、リアクター内の真菌菌糸体の発酵培地を調整して、真菌菌糸体の最適な生育条件を得る。
【0050】
全ての実施形態の食用真菌類の単離された真菌菌糸体は、魚及び海産食物の植物性成分として、または栄養補助食品として好適である。UV光に曝露された場合、ビタミンDが多くなる。
【0051】
本発明はまた、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、特に、本明細書に記載の方法によって得られる、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品に関し、特に、本方法は、
a.少なくとも1つの食用真菌株の菌糸体の組成物及び食用微細藻類または大型藻類またはその一部を、液体成長培地中でインキュベートするステップと、
b.菌糸体の成長により繊維状菌糸体塊を生成することが可能になる条件下で組成物を培養するステップと、
c.菌糸体の成長の完了後、食用真菌株の繊維状菌糸体塊を食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離して、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、好ましくは、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を得るステップと、を含む。
【0052】
本発明に記載される大型藻類は、毒素を産生しないすべての種、好ましくは食品の消費用に使用される種であり得る。大型藻類が紅藻植物門から選択された場合、ウシケノリ綱及び真正紅藻綱が好ましい。ウシケノリ綱において、ウシケノリ目、その目の中でウシケノリ科、その科の中ではピロピア属が好ましく、Yezoensis種及びHaitianensis種が最も好ましい。
【0053】
大型藻類が真正紅藻綱から選択された場合、その綱の中ではダルス目及びスギノリ目が好ましい。ダルス目が選択された場合、ダルス科及びその科の中ではダルス属が好ましく、最も好ましくは、Palmata及びMollis種である。スギノリ目が選択された場合、スギノリ科及びミリン科が好ましい。スギノリ科の中では、ツノマタ属が好ましく、Crispus種が最も好ましい。ミリン科の中では、オオキリンサイ属及びキリンサイ属が好ましい。オオキリンサイ属が選択された場合、ネッタイキリンサイが最も好ましい種である。キリンサイ属が選択された場合、Cottoniiが最も好ましい種である。
【0054】
大型藻類が緑藻植物門から選択された場合、アオサ藻綱、その綱の中のアオサ目、その綱の中のアオサ科、その科の中のアオサ属が好ましく、最も好ましいのはオオバアオサ種である。
【0055】
大型藻類が黄藻植物門から選択された場合、褐藻綱、その綱の中ではコンブ目、その目の中ではコンブ科、その科の中ではコンブ属及びゴヘイコンブ属が好ましい。コンブ属が選択された場合、最も好ましいのはマコンブ種及びカラフトコンブ種である。ゴヘイコンブ属が選択された場合、最も好ましいのはDigitata種である。
【0056】
微細藻類としては、すべての非毒素産生種が好適であり、一般に、食品として消費されるか食品成分として使用される微細藻類が好ましい。
【0057】
微細藻類が緑藻植物門から選択された場合、トレボウクシア藻綱、クロロデンドロン藻綱及び緑藻綱が好ましい。トレボウクシア藻綱が選択された場合、クロレラ目が好ましい。クロレラ目が選択された場合、科は、クロレラ科が好ましい。クロレラ科が選択された場合、クロレラ属が好ましく、最も好ましいのはブルガリス種である。緑藻綱が選択された場合、クラミドモナス目及びヨコワミドロ目が好ましい。クラミドモナス目が選択された場合、ヘマトコッカス科(Haematococaceae)、ドゥナリエラ科、及びクラミドモナス科が好ましい。クラミドモナス科が選択された場合、クラミドモナス属が好ましく、最も好ましいのはReinhardtii種である。ヘマトコッカス科が選択された場合、ヘマトコッカス属が好ましく、プルビアリス種(Pluvialis)が最も好ましい。ドゥナリエラ科が選択された場合、ドゥナリエラ属が好ましく、Salina種が最も好ましい。
【0058】
ヨコワミドロ目が選択された場合、イカダモ科が好ましい。イカダモ科が選択された場合、イカダモ属が好ましく、Dimorphus種及びAcuminatus種が最も好ましい。
【0059】
クロロデンドロン藻綱が選択された場合、クロロデンドロン目が好ましい。クロロデンドロン目が選択された場合、クロロデンドロン科が好ましい。クロロデンドロン科が選択された場合、テトラセルミス属が好ましく、最も好ましいのはSuecica種及びStriatis種である。
【0060】
微細藻類が藍色細菌門から選択された場合、藍藻綱が好ましい。藍藻綱の中では、ユレモ目及びシネココックス目が好ましい。ユレモ目が選択された場合、ミクロコレウス科が好ましい。ミクロコレウス科が選択された場合、Arthrospira属が好ましく、Platensis種が最も好ましい。シネココックス目が選択された場合、その科は、シネココッカス科が好ましい。シネココッカス科が選択された場合、シネココッカス属が好ましい。
【0061】
微細藻類がハプト植物門から選択された場合、プリムネシウム藻綱及びパブロバ亜綱が好ましい。プリムネシウム藻綱が選択された場合、イソクリシス目が好ましい。イソクリシス目が選択された場合、イソクリシス科が好ましい。イソクリシス科が選択された場合、Isochrysidus属が好ましく、ガルバナ種が最も好ましい。パブロバ亜綱が選択された場合、パブロバ目が好ましい。パブロバ目が選択された場合、パブロバ科が好ましい。
【0062】
微細藻類が黄藻植物門から選択された場合、珪藻綱、コアミケイソウ綱、ラビリンチュラ綱、黄緑藻植物、及び真正眼点藻植物が好ましい。珪藻綱が選択された場合、クサリケイソウ目が好ましい。クサリケイソウ目が選択された場合、クサリケイソウ科及びフェオダクチラム科が好ましい。クサリケイソウ科が選択された場合、ニッチア属が好ましく、Dissipata種が最も好ましい。フェオダクチラム科が選択された場合、フェオダクチラム属が好ましく、Tricornutum種が最も好ましい。
【0063】
コアミケイソウ綱が選択された場合、タラシオシラ目及びビドゥルフィア目が好ましい。タラシオシラ目が選択された場合、スケレトネマ科及びタラシオシラ科が好ましい。スケレトネマ科が選択された場合、スケレトネマ属が好ましい。タラシオシラ科が選択された場合、Pseudonanaが好ましい。
【0064】
ビドゥルフィア目が選択された場合、トウダイグサ科が好ましい。トウダイグサ科が選択された場合、オドンテラ属が好ましく、Aurita種が最も好ましい。
【0065】
ラビリンチュラ綱が選択された場合、ラビリンチュラ目が好ましい。ラビリンチュラ目が選択された場合、ヤブレツボカビ科が好ましい。ヤブレツボカビ科が選択された場合、シゾキトリウム属が好ましい。
【0066】
黄緑藻綱が選択された場合、Mischocodcales目が好ましい。Mischocodcales目が選択された場合、プレウロクロリス科が好ましい。プレウロクロリス科が選択された場合、Monodus属が好ましく、最も好ましいのはSubterranea種である。
【0067】
真正眼点藻綱が選択された場合、ユースチグマトス目が好ましい。ユースチグマトス目が選択された場合、モノドプシス科が好ましい。モノドプシス科が選択された場合、ナンノクロロプシス属が好ましく、最も好ましいのはGaditana種、Oceanica種、及びOculata種である。
【0068】
微細藻類が紅藻植物門から選択された場合、チノリモ綱が好ましい。チノリモ綱が選択された場合、チノリモ目が好ましい。チノリモ目が選択された場合、チノリモ科が好ましい。チノリモ科が選択された場合、チノリモ属が好ましく、最も好ましいのはCruentum種である。
【0069】
本発明で使用される菌糸体は、少なくとも1つの真菌株、細菌株、またはそれらの組み合わせに由来する。菌糸体は、成長に有機物質及び酸素を必要とする従属栄養生物に由来する。菌糸体は、真菌または真菌様細菌コロニーの植物性部分であり、分岐細胞の塊から構成される。したがって、それは真菌の胞子から発出する真菌の菌糸の延長部である。真菌は、例えば糸状真菌である。
【0070】
本発明で使用される真菌は、好ましくは、担子菌門、子嚢菌門、グロムス門、ケカビ門、トリモチカビ門、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0071】
好ましい実施形態において、真菌は、好ましくは、ハラタケ亜門、クロボキン亜門、チャワンタケ亜門、サッカロミケス亜門、タフリナ菌綱、diversisporalis、アルカエオスポラ目、パラグロムス目、アツギケカビ目、ムーコル目、mortieralles、ハエカビ亜門、アセラリア目、キックセラ目、ディマルガリス目、ハルペラ目、トリモチカビ亜門、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0072】
別の実施形態では、真菌は、好ましくは、シロキクラゲ綱、アカキクラゲ綱、ハラタケ綱、exobasisiomycetes、クロボキン綱、マラセチア綱(malasseziomycetes)、moniliellomycetes、ホシゴケ綱、ホソピンゴケ綱、クロイボタケ綱、ユーロチウム菌綱、テングノメシガイ綱、ラブルルベニア綱、チャシブゴケ菌綱、ビョウタケ目、ツブノリ綱、オルビリア菌綱、チャワンタケ綱、フンタマカビ綱、xylonomycetes、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0073】
別の実施形態では、真菌は、好ましくは、フィロバシディウム目、ハラタケ目、アミロコルティシウム目、アテリア目、イグチ目、ジャアピア目、lepidostromatales、ヒメツチグリ目、ラッパタケ目、ヒステランギウム目、スッポンタケ目、キクラゲ目、アンズタケ目、コウヤクタケ目、キカイガラタケ目(gleophylalles)、タバコウロコタケ目、サルノコシカケ目、ベニタケ目、ロウタケ目、stereopsidales、イボタケ目、トレキスポラ目、ceraceosorales、ドアッサンジア目、エンチロマ目(entyomatales)、モチビョウキン目、ゲオルゲフィシェリア目、ミクロストロマ目、ティレティア目、ウロシスティス目、クロボキン目、マラッセジア目(malassezioales)、moniliellales、サッカロミセス目、コロノフォラ目、glomeralles、ボタンタケ目、メラノスポラ目、ミクロアスクス目、ボリニア目、カロスフェリア目、ケートスフェリア目(chaetospheriales)、コニオケータ目、ディアポルテ目、マグナポルテ目、オフィオストマ目、フンタマカビ目、クロサイワイタケ目、コラリオナステス目、ルルワーチア目、メリオラ目、クロカワキン目、トリコスフェリア目、(trichosphariales)、ユーロチウム目、ケートチリウム目、サネゴケ目、アナイボゴケ目、ホネタケ目、クサレケカビ目、ムーコル目、アツギケカビ目、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0074】
あるいは、真菌は、好ましくは、以下の科:フィロバシディウム科、Dacromycetaceae、ハラタケ科、テングタケ科、オキナタケ科、Broomeiceae、Chromocyphellaceae、シロソウメンタケ科、フウセンタケ科、フウリンタケ科、イッポンシメジ科、カンゾウタケ科、Himigasteraceae、ヒドナンギウム科、ヌメリガサ科、アセタケ科、Limnoperdacea、シメジ科、ホウライタケ科、クヌギタケ科、Niaceae、Pellorinaceae、タマバリタケ科、ヒラタケ科、ウラベニガサ科、ポロテレウム科、ナヨタケ科、Pterulacea、スエヒロタケ科、ステファノスポラ科、モエギタケ科、キシメジ科、ガマノホタケ科、イグチ科、Boletinellaceae、イドタケ科、ディプロシスティス科、Gasterellaceae、Gastrosporiaceae、オウギタケ科、クリイロイグチ科、Hygrophoropsidaceae、ヒダハタケ科、Protogastraceae、ショウロ科、ニセショウロ科、Serpulaceae、ヌメリイグチ科、イチョウタケ科、タバコウロコタケ科、ヒナノヒガサ科、Schizoporaceae、サルノコシカケ科、ツガサルノコシカケ科、Fragiporiaceae、マンネンタケ科、Gelatoporaceae、トンビマイタケ科、シワタケ科、マクカワタケ科、タマチョレイタケ科、ハナビラタケ科、ニクハリタケ科、Xenasmataceae、ニンギョウタケモドキ、アミロステレウム科、マツカサタケ科、ミヤマトンビマイ科、Echinodontiaceae、サンゴハリタケ科、ヒボガステル科、ラクノクラディウム科、カワタケ科、ベニタケ科、Gloeocyctidiellacceae、ウロコタケ科、クロボキン綱、サッカロミケス科、Saccharomycodaceae、Saccharomycopsidaceae、ケタマカビ科、Lasiosphaeriaceae、フンタマカビ科、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0075】
別の実施形態では、真菌は、好ましくは、以下の属:ニューロスポラ属、アスペルギルス属、トリコデルマ属、ヒラタケ属、マンネンタケ属、Inonotus、ノムシタケ属、Ustilago、クモノスカビ属、セイヨウショウロ属、フザリウム属、ペニシリウム属、クロサイワイタケ属、カワラタケ属、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0076】
さらに、真菌は、ニホンコウジカビ、Rhizopus oryzae、フザリウム・グラミネアラム、サナギタケ、Cordyceps sinensis、トゥベル・メラノスポルム(Tuber melanosporum)、シロセイヨウショウロ、ペニシリウム・カメンベルティ、Neurospora intermedia、ニューロスポラ シトフィラ、クロサイワイタケ、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0077】
本発明に記載される食用真菌類は、担子菌門または子嚢菌門から選択された真菌株であり得る。
【0078】
担子菌門が選択された場合、推奨される亜門は、ハラタケ亜門である。ハラタケ亜門が選択された場合、推奨される綱は、ハラタケ綱である。
【0079】
ハラタケ綱が選択された場合、ハラタケ目、キクラゲ目、イグチ目、アンズタケ目、サルノコシカケ目、及びベニタケ目が好ましい。
【0080】
イグチ目が選択された場合、イグチ科及びニセショウロ科が好ましい。
【0081】
アンズタケ目が選択された場合、アンズタケ科及びカノシタ科が好ましい。
【0082】
ハラタケ目が選択された場合、ハラタケ科、カンゾウタケ科、シメジ科、ホウライタケ科、ツキヨタケ科、タマバリタケ科、ヒラタケ科、スエヒロタケ科、モエギタケ科、及びキシメジ科が好ましい。
【0083】
サルノコシカケ目が選択された場合、マンネンタケ科、トンビマイタケ科、サルノコシカケ科、及びハナビラタケ科が好ましい。
【0084】
ベニタケ目が選択された場合、ミヤマトンビマイ科及びサンゴハリタケ科が好ましい。
【0085】
キクラゲ目が選択された場合、キクラゲ科が好ましい。
【0086】
ヒラタケ科が選択された場合、ヒラタケ属が好ましく、Pleurotus sapidusまたはウスヒラタケ種が最も好ましい。
【0087】
子嚢菌門が選択された場合、チャワンタケ亜門が好ましい。
【0088】
チャワンタケ亜門が選択された場合、チャワンタケ綱及びフンタマカビ綱が好ましい。
【0089】
チャワンタケ綱が選択された場合、チャワンタケ目が好ましい。チャワンタケ目が選択された場合、アミガサタケ科及びセイヨウショウロ科が好ましい。
【0090】
フンタマカビ綱が選択された場合、ボタンタケ目及びフンタマカビ目が好ましい。ボタンタケ目が選択された場合、ノムシタケ科及びベニアワツブタケ科が好ましい。フンタマカビ目が選択された場合、フンタマカビ科が好ましい。
【0091】
本発明は、本明細書では、以下の実施例によってさらに説明する。
【0092】
本発明を実施するための好ましい方法
【実施例1】
【0093】
-微細藻類の培養:
クロレラ(クロレラ・ブルガリス)及びスピルリナ(Arthrospira platensis)株は、Algae Research(Carlsbad,California-USA)から購入した。ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)株は、Carolina Biological Supply Company(South Carolina-USA)から購入した。
【0094】
微細藻類は、改変BG-11培地中、滅菌条件下で培養した。改変BG-11培地の化学組成は、以下のとおりである:NaCl(5gL-1)、NaNO(1.5gL-1)、KHPO(0.04gL-1)、MgSO・7HO(0.075gL-1)、CaCl・2HO(0.036gL-1)、クエン酸(0.006gL-1)、クエン酸第二鉄アンモニウム(0.006gL-1)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)(0.001gL-1)、NaCO(0.02gL-1)、及び微量金属ミックス(1.0mL)。微量金属混合物は、HBO(2.86g L-1)、MnCl2・4HO(1.81g L-1)、ZnSO・7HO(0.222g L-1)、NaMoO4・2HO(0.39g L-1)、CuSO4・5HO(0.079g L-1)、及びCoCl・6HO(0.05g L-1)から構成される。藻類の培養を開始するために、3LのBG-11培地に、接種原原料からのそれぞれの菌株150mLを接種した。培養物は、フォトバイオリアクターとして使用される4L三角フラスコ内で、24℃で保存し、LEDランプ(Luxceo P6 RGB LEDライト2500K-6500K)をフォトバイオリアクターの周囲に配置し、12時間の光周期で照明を供給した。混合するために磁気撹拌を行った。
【実施例2】
【0095】
-真菌菌糸体の前培養
Pleurotus sapidusが完全に生育した寒天プレートから1cmx1cmの小片を打ち抜き、250mL三角フラスコに移す。121℃で20分間オートクレーブ処理した栽培培地100mLを滅菌条件下で添加した後、Ultra-Turrax分散ユニット(T18 Basic,IKA-Werke,Staufen,Germany)を使用して、8500rpmで20秒間分散させた。栽培培地は、次の組成を有する:D-(+)-グルコースH2O 30.0g L-1;1-アスパラギンHO 4.5g L-1;KHPO 1.5g L-1;MgSO7HO 0.5g L-1;酵母エキス3.0g L-1;微量元素溶液1.0mL L-1/L(FeCl 6HO 80mg L-1)、ZnSO7HO 90mg L-1、MnSOO 30mg L-1、CuSO5HO 5mg L-1;EDTA(エチレンジアミン四酢酸)400mgL-1すべて滅菌濾過されている);2M NaOH/2MHSO溶液でpH6.0に調整。
【0096】
培養は、光の非存在下、インキュベーションフラスコ中、24℃、120rpmで撹拌しながら6日間行った。
【実施例3】
【0097】
-標準栽培培地及びD-(+)-グルコースを使用した真菌菌糸体の主培養
500mLの細口三角フラスコに、以下の培地200mLを加えた(L-アスパラギン酸一ナトリウム水和物6.2g L-1、NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO7HO0.5g L-1、D-(+)-GlucoseH2O15g L-1、FeCl6HO80mg L-1、ZnSO7HO90mg L-1、MnSOO30mg L-1、CuSO5HO5mg L-1、EDTA400mg L-1。2M NaOH/HSO溶液を用いてpHをpH6.0に調整し、フラスコをセルロース栓で密閉し、オートクレーブ処理した(121℃、20分間)。この溶液に、実施例2の均質化した前培養培地20mLを添加した。9日後に発酵を停止した。
【0098】
大規模発酵には、プロペラ撹拌機及び通気管を備えた7.5L発酵槽(Solaris Genesis SIP Benchtop Bioreactor)を使用した。
【0099】
発酵槽に5Lの培地を入れ、2M NaOH/HSO溶液でpHを6.0に調整し、オートクレーブ処理した。接種は、実施例2からの均質化した前培養物500mLを用いて実施した。発酵槽の設定は、次のとおりである:スターラー速度150rpm、温度:24℃、通気量:0.3acm H-1。7日後に発酵を停止した。
【0100】
培養物を250mLの遠心ビーカーに移し、3.2gで10分間遠心分離した。次いで、上清が無色になるまで、菌糸体を再蒸留水(脱イオン水)で3回洗浄した。多量の菌糸体については、代わりに、パスクロスを介して上清から菌糸体を分離し、脱イオン水で洗浄した。得られた発酵生成物は、化学分析のために-85℃(Telstar LyoAlfa 10-85Freeze Dryer)で凍結乾燥した。
【0101】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を未調理の状態及び平鍋で、油で加熱処理後に官能パネルによって試食し、次のような観察結果が得られた:
a.未調理:色-白、淡黄色;香り-わずかにフルーティーな香気;味-淡味、わずかな風味
b.調理済み:色-油で加熱処理したため茶色;香り-油で加熱処理した、風味;味-風味、淡味。
【0102】
乾物含量が94.86%になるまで、サンプルを凍結乾燥した。標準的な分析方法を使用して、その内容物及び他のすべてのサンプルの組成を決定した。
【0103】
タンパク質含有量は、§64LFGBL17.00-15:2013-08(改変)に従って決定した。脂肪含量は、§64 LFGB L 17.00-4:1982-05(改変)に従って測定した。脂肪酸組成は、DGF C-VI 11a2016(改変)及びDGF C-VI 10a:2016(改変)に従って決定し、メチルエステルとして計算した。飽和、一価及び多価不飽和脂肪酸の含有量も同様に計算した。
【0104】
灰分含有量は、§64 LFGB L 17.00-3:2002-12(改変)に従って測定し、水分含有量は、§64 LFGB L17.00-1:2002-12(改変)に従って測定した。
【0105】
繊維含有量は、§64 LFGB L 00.00-18:1997-01に従って測定した。
【0106】
糖含量は、DIN 10758:1997-05(改変)従ってHPLCによって測定し、炭水化物含有量は、微分法によって計算した。
【0107】
発熱値は、VO(EU)Nr.1169/2011.に従って、計算した。
【0108】
ビタミンD2は、DIN EN12821:2009-08(改変)に従って測定した。
【0109】
全組成を表1に示す。
【0110】
【表1】
【実施例4】
【0111】
-破裂したクロレラ・ブルガリスを含む真菌菌糸体の主培養
実施例1のクロレラ・ブルガリスを含む発酵ブロスを250mLの遠心ビーカーに移し、3.2gで10分間遠心分離した。デカントした微細藻類を三角フラスコに移し、121℃で20分間オートクレーブ処理した。50mLの滅菌水に再懸濁後、細胞壁をUltra Turraxにより24,000rpmで10分間破裂させた。この懸濁液を、それぞれ200mLの以下の培養培地((L-アスパラギン酸一ナトリウム水和物6.2g L-1、NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、EDTA400mg L-1)を含む2つの500mL細口三角フラスコに分割した。2M NaOH/HSO溶液を用いてpHをpH6.0に調整し、フラスコをセルロース栓で密閉し、オートクレーブ処理した(121℃、20分間)。この溶液に、実施例2の均質化した前培養培地20mLを添加した。
【0112】
発酵を9日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0113】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を未調理の状態及び平鍋で、油で加熱処理後に官能パネルによって試食し、次のような観察結果が得られた:
c.未調理:色-白、淡黄色;香り-わずかに植物性の香気;味-淡味、わずかに藻類、
d.調理済み:色-油で加熱処理したため茶色;香り-油で加熱処理した新鮮な海産食物;味-非常に新鮮な魚のような風味、わずかに脂肪性。
【0114】
乾物含量が95.78%になるまで、サンプルを凍結乾燥した。実施例2に記載のとおり、標準分析方法を使用して、その内容物の組成を決定した。
【0115】
全組成を表2に示す。
【0116】
【表2】
【実施例5】
【0117】
-破裂したスピルリナを含む真菌菌糸体の主培養
実施例1のスピルリナを含む発酵ブロスを250ml遠心ビーカーに移し、3.2gで10分間遠心分離した。デカントした微細藻類を三角フラスコに移し、121℃で20分間オートクレーブ処理した。50mLの滅菌水に再懸濁後、細胞壁をUltra Turrax(T 18 Basic,IKA-Werke,Staufen,Germany)により24,000rpmで10分間破裂させた。この懸濁液を、それぞれ200mLの以下の培養培地((L-アスパラギン酸一ナトリウム水和物6.2g L-1、NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、EDTA400mg L-1)を含む2つの500mL細口三角フラスコに分割した。2M NaOH/HSO溶液を用いてpHをpH6.0に調整し、フラスコをセルロース栓で密閉し、オートクレーブ処理した(121℃、20分間)。この溶液に、実施例2の均質化した前培養培地20mLを添加した。
【0118】
発酵を9日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0119】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を未調理の状態及び平鍋で、油で加熱処理後に官能パネルによって試食し、次のような観察結果が得られた:
a.調理:色-白、淡黄色;香り-わずかに植物性の香気;味-淡味、わずかに藻類、
b.調理済み:色-油で加熱処理したため茶色;香り-油で加熱処理した新鮮な海産食物;味-非常に新鮮な魚のような風味、わずかに脂肪性。
【実施例6】
【0120】
-破裂した真菌菌糸体の主培養ヘマトコッカス・プルビアリス
実施例1のヘマトコッカス・プルビアリスを含む発酵ブロスを250mL遠心ビーカーに移し、3.2gで10分間遠心分離した。デカントした微細藻類を三角フラスコに移し、121℃で20分間オートクレーブ処理した。50mLの滅菌水に再懸濁後、細胞壁をUltra Turrax(T 18 Basic,IKA-Werke,Staufen,Germany)により24,000rpmで10分間破裂させた。この懸濁液を、それぞれ200mLの以下の培養培地((L-アスパラギン酸一ナトリウム水和物6.2g L-1、NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、EDTA400mg L-1/L)を含む2つの500mL細口三角フラスコに分割した。
【0121】
2M NaOH/HSO溶液を用いてpHをpH6.0に調整し、フラスコをセルロース栓で密閉し、オートクレーブ処理した(121℃、20分間)。この溶液に、実施例2の均質化した前培養培地20mLを添加した。
【0122】
発酵を9日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0123】
驚いたことに、それはわずかにピンクがかった白色をしていることが判明し、水の除去後、さらに濃くなった。
【0124】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を未調理の状態及び平鍋で、油で加熱処理後に官能パネルによって試食し、次のような観察結果が得られた:
a.未調理:色-ピンク色がかった白;香り-わずかに植物性の香気;味-淡味、わずかに藻類、
b.調理済み:色-油で加熱処理したときの外側は茶色、内側は灰色がかったピンク:香り-油で加熱処理した新鮮な海産食物;味-非常に新鮮な魚のような風味、わずかに脂肪性。
【実施例7】
【0125】
-フォトバイオリアクターでの非破裂クロレラ・ブルガリスを含む真菌菌糸体の主培養-混合栄養条件
室温(22℃)でフォトバイオリアクターとして使用される4L三角フラスコとLEDランプ(Luxceo P6 RGB LEDライト2500K-6500K)は、光周期12時間の照明を供給するためにフォトバイオリアクターの周囲に配置され、十分なUV-B線を提供するために、2時間/日、太陽光にさらに曝露した。混合するために磁気撹拌を行い、酸素供給のために空気入口を備えた栓が提供した。3Lクロレラ・ブルガリスの独立栄養バッチを15日間成長させた後、培養培地にD-(+)-グルコース(5gL-1)、酵母エキス(5gL-1)、KHPO(1.0gL-1)、及び1mL L-1のFeCl・6HO80mgL-1)、ZnSO7HO90mgL-1、MnSOO30mgL-1、CuSO5HO5mgL-1;EDTA400mgL-1の滅菌微量元素溶液を補充した。2M NaOH/2M HSO溶液を添加することによってpHを6.0に調整し、実施例2からの前培養物150mLを添加した。
【0126】
フラスコを0.2 acm H-1の一定の空気流で通気し、最大速度で撹拌し、24℃に維持した。LEDランプは、12時間の光周期で照明を提供した。7日後、真菌菌糸体をパスクロスに通すことによって上清から分離した。次に、上清が無色になり微細藻類が見えなくなるまで、再蒸留水(脱イオン水)で3回洗浄した。発酵生成物は、実施例3と同様の白黄色を有していた。
【0127】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を未調理の状態及び平鍋で、油で加熱処理後に官能パネルによって試食し、次のような観察結果が得られた:
a.未調理:色-白、淡黄色;香り-わずかに植物性の香気;味-淡味、わずかに藻類、
b.調理済み:色-油で加熱処理したため茶色;香り-油で加熱処理した新鮮な海産食物;味-非常に新鮮な魚のような風味、わずかに脂肪性、すべて実施例3と同様の強度である。
【0128】
乾物含量が93.59%になるまで、サンプルを凍結乾燥した。実施例2に記載のとおり、標準分析方法を使用して、その内容物の組成を決定した。
【0129】
全組成を表3に示す。
【0130】
【表3】
【実施例8】
【0131】
-破裂していないクロレラ・ブルガリスを含む真菌菌糸体の主培養
70g L-1のクロレラ・ブルガリスを含む発酵ブロス50mLを、以下の組成の滅菌発酵培地3500mLに添加した。NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、D-(+)-グルコース45g L-1、コーンスティープリカー20g L-1、2MNaOH/HSOでpH6.0に調整した。この発酵ミックスに、30g L-1の濃度のウスヒラタケの菌糸体500mLの均質混合物を接種した。
【0132】
発酵を6日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0133】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を生である、調理したもの、油で加熱処理したものを官能パネルによって試食した:
生:色-白、砂色;香り-淡くフルーティーな香気
調理済み:色-白;香り-淡くわずかに海のような香り;味-淡味、わずかに生臭い
油で加熱処理したもの:色-焦げ目による白と茶色;香り-油で加熱処理した風味のある魚;味-新鮮な魚のような風味
【実施例9】
【0134】
-非破裂クロレラ・ブルガリス及び異なる窒素源を使用した真菌菌糸体の主培養
70gL-1のクロレラ・ブルガリスを含む発酵ブロス5mLを、以下の組成の滅菌発酵培地350mLを含む2つの500mL三角フラスコに等量で添加した:NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、D-(+)-グルコース45g L-1、酵母エキス10g L-1、2MNaOH/HSOでpH6.0に調整した。三角フラスコのそれぞれに、30g L-1の濃度のウスヒラタケの菌糸体50mLの均質混合物を接種した。
【0135】
発酵を7日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0136】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を生である、調理したもの、油で加熱処理したものを官能パネルによって試食した:
生:色-薄い茶色、砂色;香り-淡味、酵母の香気
調理済み:色-薄茶色;香り-肉のような香り;味-肉の、鶏肉のような味
油で加熱処理したもの:色-薄茶色、油で加熱処理したため表面は茶色;香り-油で加熱処理した風味のある鶏肉;味-風味があり濃厚な鶏肉風味
【実施例10】
【0137】
-非破裂スピルリナ(Arthrospira platensis)を含む真菌菌糸体の主培養
40gL-1のスピルリナを含む発酵ブロス20mLを、以下の組成の滅菌発酵培地350mLを含む2つの500mL三角フラスコに等量で添加した:NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、D-(+)-グルコース45g L-1、酵母エキス10g L-1、2MNaOH/HSOでpH6.0に調整した。三角フラスコのそれぞれに、30g L-1の濃度でウスヒラタケの菌糸体50mLの均質混合物を接種した。
【0138】
発酵を7日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0139】
官能分析では、洗浄した発酵生成物を生である、調理したもの、油で加熱処理したものを官能パネルによって試食した:
生:色-茶色;香り-淡く、酵母の香気
調理済み:色-茶色;香り-肉のような香り;味-肉の、牛肉のような味
油で加熱処理したもの:色-茶色、油で加熱処理したため表面はより濃い茶色;香り-油で加熱処理した風味のある牛肉のような肉の香り;味-牛肉のような風味のある風味
【実施例11】
【0140】
-乳酸菌で処理した未破裂クロレラ・ブルガリスを含む真菌菌糸体の主培養
70gL-1のクロレラ・ブルガリスを含む発酵ブロス5mLを、以下の組成の滅菌発酵培地350mLを含む2つの500mL三角フラスコに等量で添加した:NHNO2.4g L-1、KNO1.5g L-1、MgSO0.5g L-1、FeCl80mg L-1、ZnSO90mg L-1、MnSO30mg L-1、CuSO5mg L-1、D-(+)-グルコース45g L-1、コーンスティープリカー20g L-1、2MNaOH/HSOでpH6.0に調整した。三角フラスコのそれぞれに、30g L-1の濃度でウスヒラタケの菌糸体50mLの均質混合物を接種した。
【0141】
発酵を7日後に停止し、実施例3と同様に発酵生成物を分離した。
【0142】
得られた合計60gのフィルターケーキをフードブレンダー(Thermomix(商標)6;Vorwerk International&Co KMG)中で粗く均質になるまで細かく刻んだ。混練機能により乳糖5g及び乳酸培養物0.1gを添加した。得られた生成物を4℃で10日間保管した。
【0143】
官能分析のために、得られた発酵生成物を生である、調理したもの、油で加熱処理したものを官能パネルによって試食した:
生:色-白、砂色;香り-淡く酸味のある乳製品の香気;味-わずかに酸味があり、フレッシュクリームチーズのような味。
調理済み:色-薄茶色;香り-調理された乳製品;味-酸性の調理済み牛乳
油で加熱処理したもの:色-薄茶色、油で加熱処理したため表面は茶色;香り-風味があり、酸性;味-風味があり、酸味があり、ハルーミのような味。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下;
a.0.5重量%~99.5重量%の範囲の少なくとも1つの食用真菌株の繊維状菌糸体塊と、
b.最大99.5重量%の範囲の水と、
c.食用微細藻類または大型藻類またはその一部と、の組成物を含む、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品であって、ここで、前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び前記繊維状菌糸体塊は、前記食用真菌株の成長培地中で一緒にインキュベートし、前記組成物が、以下の追加成分のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品:
d.ハーブ、スパイスまたはそれらの抽出物、ソース、天然、人工または自然と同一の風味剤から選択される風味成分、
e.デンプン、ガム、藻類またはアルキルセルロース及びそれらの誘導体から選択される食感改良剤成分、
f.酸、塩、天然抗酸化剤または人工保存料から選択される保存成分、
g.穀物、塊茎または球根塊茎に由来する炭水化物成分、
h.果物、藻類または野菜から選択される繊維成分、
i.香辛料または野菜抽出物、藻類、植物油、人工または自然と同一の色素に由来する着色成分、
j.大豆、エンドウ豆、小麦、米、ルピナス、緑豆、及びひよこ豆から選択されるたんぱく質成分、
k.菜種、亜麻仁、ココナッツ、キャノーラ、ヒマワリ、オリーブ、藻類及びパーム油から選択される植物由来の脂質成分。
【請求項2】
魚及び海産食物の非動物性代替製品である、請求項1に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項3】
前記繊維状菌糸体塊が、15~60重量%、好ましくは20~45重量%、最も好ましくは25~35重量%のタンパク質含有量、1~15重量%、好ましくは2~10重量%の脂質含有量、0.3~10重量%、好ましくは1~6重量%の一価及び多価不飽和脂肪酸含有量、及び0.1~500mcg/100g、好ましくは50~350mcg/100gのビタミンD含有量を有する、請求項1または2に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項4】
前記組成物中の前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部及び前記繊維状菌糸体塊は、前記食用真菌株用の前記成長培地中で、少なくとも60分間、一緒にインキュベートさせる、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【請求項5】
ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品、特に、ヒトまたは動物が消費するための魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を製造する方法であって、
a.少なくとも1つの食用真菌株の菌糸体の組成物及び食用微細藻類または大型藻類またはその一部を、液体成長培地中でインキュベートするステップと、
b.前記菌糸体の成長により繊維状菌糸体塊を生成することが可能になる条件下で前記組成物を培養するステップと、
c.前記菌糸体の前記成長の完了後、前記食用真菌株の前記繊維状菌糸体塊を前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離して、ヒトまたは動物が消費するための前記食品または栄養補助食品、特に、前記魚及び海産食物の非動物性代替製品または栄養補助食品を得るステップと、を含む、方法。
【請求項6】
追加の成長因子、微量元素、CO、酸素または光が前記液体成長培地に添加される、請求項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項7】
前記微細藻類または大型藻類の細胞壁が、物理的力及び/または酵素処理によって破壊され、かつ/またはそれらの前記液体成長培地への添加前に滅菌される、請求項または請求項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項8】
前記組成物の前記水分含有量が、遠心分離、濾過、加圧、及び加熱による水の蒸発、または気圧の減圧によって、0、5~95重量%、好ましくは0.5~15重量%、または3~30重量%、または0.5~15重量%、または2~9重量%、または5~25重量%または25~98重量%、または65~95重量%の範囲、減少する、請求項5~7のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項9】
前記食用真菌株及び前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部の前記繊維状菌糸体塊の前記組成物が、閉鎖系、好ましくはバイオリアクターまたはフォトバイオリアクター内で発酵される、請求項5~8のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項10】
前記微細藻類が、緑藻植物門、藍色細菌門、ハプト植物門、黄藻植物門、紅藻植物門、トレボウクシア藻綱、クロロデンドロン藻綱、緑藻綱、藍藻綱、プリムネシウム藻綱、パブロバ亜綱、珪藻綱、コアミケイソウ綱、ラビリンチュラ綱、黄緑藻、真正眼点藻、チノリモ綱、クロレラ目、クラミドモナス目、ヨコワミドロ目、クロロデンドロン目、ユレモ目、シネココックス目、イソクリシス目、クサリケイソウ目、タラシオシラ目、ビドゥルフィア目、ラビリンチュラ目、Mischocodcales、ユースチグマトス目、チノリモ目、クロレラ科、ヘマトコッカス科、ドゥナリエラ科、クラミドモナス科、イカダモ科、クロロデンドロン科、クロロデンドロン科、ミクロコレウス科、シネココッカス科、イソクリシス科、パブロバ科、クサリケイソウ科、フェオダクチラム科、スケレトネマ科、タラシオシラ科、トウダイグサ科、ヤブレツボカビ科、プレウロクロリス科、モノドプシス科、チノリモ科、クロレラ科、ヘマトコッカス属、ドゥナリエラ属、イカダモ属、Dimorphus、Acuminatus、テトラセルミス属、Arthrospira属、シネココッカス属、Isochrysidus、ニッチア属、フェオダクチラム属、オドンテラ属、Pseudonana、シゾキトリウム属、Monodus属、ナンノクロロプシス属、チノリモ属からなる群から選択され、好ましくは、クロレラ・ブルガリス、クロレラ・reinhardtii、ヘマトコッカス・プルビアリス、ドゥナリエラ・salina、Scenedesmus dimorphus及びacuminatus、テトラセルミス・suecica及びstriates、Arthrospira・platensis、イソクリシス・ガルバナ、Nitzschia dissipata、Phaedactylum tricornutum、Odontella aurita、Monodus subterranea、Nannochloropsis gaditana、oceanica及びoculate、Porphyridium cruentumから選択される、請求項5~9のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項11】
前記大型藻類が、紅藻植物門、緑藻植物門、黄藻植物門、ウシケノリ綱、真正紅藻綱、褐藻綱、アオサ藻綱、ウシケノリ目、ダルス目、スギノリ目、アオサ目、コンブ目、ウシケノリ科、ダルス科、スギノリ科、ミリン科、アオサ科、コンブ科、ピロピア属、ダルス属、ツノマタ属、オオキリンサイ属、キリンサイ属、アオサ属、コンブ属及びゴヘイコンブ属、ウシケノリ科のyezoensis及びhaitianensis、Palmaria palmata及びmollis、Chondrus crispus、ネッタイキリンサイ、Euchema cottonii、オオバアオサ、マコンブ及びカラフトコンブ、Laminaria digitataからなる群から選択される、請求項5~9のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの食用真菌株が、担子菌門、子嚢菌門、チャワンタケ亜門、ハラタケ亜門、チャワンタケ綱、ハラタケ綱、フンタマカビ綱、チャワンタケ目、イグチ目、アンズタケ目、ハラタケ目、サルノコシカケ目、ベニタケ目、キクラゲ目、ボタンタケ目、アミガサタケ科、セイヨウショウロ科、ヒラタケ科、ハラタケ科、ホウライタケ科、アンズタケ科、カノシタ科、イグチ科、トンビマイタケ科、サルノコシカケ科、モエギタケ科、シメジ科、キシメジ科、ツキヨタケ科、タマバリタケ科、スエヒロタケ科、ニセショウロ科、マンネンタケ科、ハナビラタケ科、サンゴハリタケ科、ミヤマトンビマイ科、ノムシタケ科、キクラゲ科、及びカンゾウタケ科からなる群から選択され、好ましくは、属、最も好ましくは、Pleurotus sapidusまたはウスヒラタケから選択される、請求項5~11のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項13】
前記食用真菌株の繊維状菌糸体塊を前記食用微細藻類または大型藻類またはその一部から分離した後、前記組成物を混合する、コーティングする、低温殺菌する、滅菌する、酸性化する、冷蔵する、冷凍させる、凍結乾燥させる、成形する、または発酵させる、請求項5~12のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項14】
真菌菌糸体の発酵から生成された酸素が、微細藻類または大型藻類が成長するフォトバイオリアクターに供給される、請求項5~13のいずれか一項に記載のヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品を製造する方法。
【請求項15】
請求項5~14のいずれか一項に記載のステップを含む方法によって得られる、ヒトまたは動物が消費するための食品または栄養補助食品。
【国際調査報告】