(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】TERTをコードする組換えウイルスゲノム及びウイルスベクター
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20240521BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240521BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/864 ZNA
A61K35/76
A61P11/00
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023570195
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2022062990
(87)【国際公開番号】W WO2022238557
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523427342
【氏名又は名称】フンダシオン デル セクトル パブリコ エスタタル セントロ ナショナル デ インベスティガシオネス オンコロジカス カルロス テルセーロ(エフェ.エセ.ペ. セエネイオ)
(71)【出願人】
【識別番号】521440507
【氏名又は名称】ウニベルシタ アウトノマ デ バルセロナ
(71)【出願人】
【識別番号】523427353
【氏名又は名称】テロメア セラピューティクス エセエレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラスコ マリア
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス パウラ
(72)【発明者】
【氏名】ボッシュ トゥベール マリア ファティマ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス センツァーノ ヴェロニカ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア マルティネス ミケル
(72)【発明者】
【氏名】カサナ ロレンテ エステファニア
【テーマコード(参考)】
4C087
【Fターム(参考)】
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA56
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZB21
(57)【要約】
本明細書において、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノムが記載される。本明細書に記載される態様は、肺線維症、心筋梗塞、及びそれらに関連する病態等のテロメア長の短縮に関連する病態の治療において使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノムであって、前記ウイルスゲノムの全長は、4700ヌクレオチド未満であり、前記組織特異的プロモーターは、肺特異的プロモーターであり、かつ前記プロモーターは、配列番号12と少なくとも80%、90%、95%、又は99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる、組換えウイルスゲノム。
【請求項2】
前記プロモーターは、配列番号12と少なくとも90%、95%、又は99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる、請求項1に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項3】
前記プロモーターは、本質的に配列番号12のヌクレオチド配列のみからなるか、又はそれのみからなる、請求項1に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項4】
前記TERTをコードする配列は、好ましくはヒト細胞における発現用にコドン最適化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項5】
a)前記TERTをコードする配列は、配列番号4、配列番号7、若しくは配列番号10のいずれか1つ、好ましくは配列番号7若しくは配列番号10と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、又は、
b)前記TERTをコードする配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、及び配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号6及び配列番号9のいずれか1つと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、又は、
c)前記TERTをコードする配列は、遺伝暗号の縮重によりa)若しくはb)のヌクレオチド配列の配列とは異なる配列のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項6】
前記組換えウイルスゲノムは、前記TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたコザックコンセンサス配列を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項7】
前記組換えウイルスゲノムは、前記TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたポリA配列を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項8】
前記ゲノムは、組換えアデノ随伴ウイルスゲノムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム。
【請求項9】
請求項8に規定される組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを含むアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項10】
前記ウイルスベクターは、血清型1型、血清型2型、血清型3型、血清型4型、血清型5型、血清型6型、血清型7型、血清型8型、血清型9型、血清型rh10型、血清型rh8型、血清型Cb4型、血清型rh74型、血清型DJ型、血清型2/5型、血清型2/1型、血清型1/2型、又は血清型Anc80型のものである、請求項8に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項11】
前記ウイルスベクターは、血清型6型又は血清型9型のものである、請求項9に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項12】
前記ウイルスベクターは、血清型6型のものである、請求項9に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項13】
前記ウイルスベクターは、血清型6型のものであり、かつ前記組織特異的プロモーターは、請求項2又は3のいずれかに規定される通りである、請求項9に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項14】
前記ウイルスベクターは、血清型6型のものであり、かつ前記組織特異的プロモーターは、請求項3に規定される通りである、請求項9に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項15】
請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム又は請求項9~14のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクターを含み、任意に1種以上の薬学的に許容可能な成分を更に含む医薬組成物。
【請求項16】
医薬として使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム、請求項9~14のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
テロメア長の短縮と関連する病態の治療及び/又は予防において使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム、請求項9~14のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
肺線維症の治療及び/又は予防において使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム、請求項9~14のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
気管内投与を介した肺線維症の治療及び/又は予防において使用される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組換えウイルスゲノム、請求項9~14のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載される態様及び実施の形態は、医学、特に遺伝子療法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
テロメアは、DNA修復及び分解活性から染色体の末端を保護する役割のある染色体の末端にある特殊な構造物である(非特許文献1)。哺乳動物のテロメアは、シェルテリンとして知られる多重タンパク質複合体によって結合されたTTAGGGリピートからなる。テロメアの保護には、最小限の長さのTTAGGGリピートの存在、及びシェルテリン複合体の完全性が必要とされる。テロメアが大幅に短くなると、テロメアはその保護機能を失い、テロメアでの持続的なDNA損傷反応が誘発され、続いてそれにより細胞老化応答が引き起こされる。
【0003】
テロメラーゼは、関連するncRNA要素(Terc、テロメラーゼRNA要素)を鋳型として使用することにより染色体の末端へとTTAGGGリピートをde novoで付加することによってテロメア短縮(attrition)を補うことができる細胞逆転写酵素(TERT、テロメラーゼ逆転写酵素、TP2、TRT、EST2、TCS1としても知られる)である(非特許文献2)。テロメラーゼは、殆どの成体幹細胞コンパートメントにおいて発現されるが、殆どの体細胞では、テロメラーゼは出生後にサイレンシングされ、テロメアは次第に短縮されていく。これは、殆どのヒト組織及びマウス組織において、加齢に伴ってテロメアの短縮が起こるという事実によって証明されている(非特許文献3)。
【0004】
短縮されたテロメアは、先天性角化異常症、再生不良性貧血、骨髄異形成症候群、ファンコニ貧血、肺線維症、及び心血管疾患(CVD)等の多くの疾患と関連している。これらの疾患の重症度及びそれらに罹患した患者の予後不良を考慮すると、テロメア長の短縮に関連する疾患を治療する改善された療法が必要とされる。
【0005】
テロメラーゼによる治療的介入は、大幅に短い長さを超えたテロメア損失を防ぐことを目的として、短縮されたテロメアに関連する病態についての可能性を秘めた治療に相当する。CMVプロモーターの制御下でテロメラーゼをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-mTert)を使用するようなAAVによるTERT遺伝子療法は、マウスの健康寿命を延ばすこと(非特許文献4)、かつ再生不良性貧血及び肺線維症(特許文献1、非特許文献5、非特許文献6)並びに心血管疾患(特許文献2、非特許文献7)等のテロメア長の短縮に関連する病態を治療することに有効であることが以前に明らかにされており、非特許文献8によれば、ニワトリトロポニンプロモーターの制御下でテロメラーゼをコードするAAV9ベクターを利用して、マウス心臓及びヒト心筋細胞におけるドキソルビシン毒性の回復が実証された。既存のAAVベクターは、標的組織での低い遺伝子発現、治療対象組織以外の組織でのオフターゲット遺伝子発現、及び欠損したウイルスゲノムを含む中間ベクター種の発生等のTERT遺伝子療法におけるそれらの有効性に影響を与える不利点を伴う。上記を考慮すると、TERTを利用する遺伝子療法用の組換えウイルスゲノム及びベクターの改善を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2016/020345号
【特許文献2】国際公開第2016/020346号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Blackburn et al. Cell 2001; 106(6):661-673
【非特許文献2】Greider & Blackburn. Cell 1985; 43:405-413
【非特許文献3】Blasco, Nat Chem Biol. 2007; 3:640-649
【非特許文献4】Bernardes de Jesus et al. EMBO Mol Med 2012; 4:691-704
【非特許文献5】Beier et al. Blood 2012; 120(15):2990-3000
【非特許文献6】Povedano et al. eLife 2018; 7: e31299
【非特許文献7】Baer et al. Nat Comm 2014; 5:5863
【非特許文献8】Chatterjee et al. Mol Ther 2021; 29(4): 1-16)
【発明の概要】
【0008】
本発明の一態様は、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノムであって、ウイルスゲノムの全長が4700ヌクレオチド未満である、組換えウイルスゲノムに関する。幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターが肺特異的プロモーター又は心臓特異的プロモーターであるようなものである。幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、アデノ随伴ウイルスゲノムである。幾つかの実施の形態において、プロモーターは、SpBプロモーター、CMVenh-MLC2Vプロモーター、トロポニンプロモーター、及びそれらの誘導体からなる群より選択される。幾つかの実施の形態において、TERTをコードする配列は、好ましくはヒト細胞における発現用にコドン最適化されている。幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、
a)TERTをコードする配列は、配列番号4、配列番号7、若しくは配列番号10のいずれか1つ、好ましくは配列番号7若しくは配列番号10と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、又は、
b)TERTをコードする配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、若しくは配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、若しくは配列番号9のいずれか1つと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、又は、
c)TERTをコードする配列は、遺伝暗号の縮重によりa)若しくはb)のヌクレオチド配列の配列とは異なる配列のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなるようなものである。
【0009】
幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、プロモーターが、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、又は配列番号16、好ましくは配列番号12、配列番号15、又は配列番号16を有するヌクレオチド配列のいずれか1つと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるようなものである。幾つかの実施の形態において、組換えウイルスゲノムは、TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたコザックコンセンサス配列を更に含む。幾つかの実施の形態において、組換えウイルスゲノムは、TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたポリA配列を更に含む。
【0010】
本発明の別の態様は、本発明の組換えウイルスゲノムを含むアデノ随伴ウイルスベクターに関する。幾つかの実施の形態において、本発明のアデノ随伴ウイルスベクターは、ウイルスベクターが血清型1型、血清型2型、血清型3型、血清型4型、血清型5型、血清型6型、血清型7型、血清型8型、血清型9型、血清型rh10型、血清型rh8型、血清型Cb4型、血清型rh74型、血清型DJ型、血清型2/5型、血清型2/1型、血清型1/2型、又は血清型Anc80型、好ましくは血清型6型又は血清型9型であるようなものである。
【0011】
本発明の別の態様は、本発明の組換えウイルスゲノム又は本発明のアデノ随伴ウイルスベクターを含み、任意に1種以上の薬学的に許容可能な成分を更に含む医薬組成物に関する。
【0012】
本発明の別の態様は、医薬として使用される、本発明の組換えウイルスゲノム、本発明のアデノ随伴ウイルスベクター、又は本発明の医薬組成物に関する。幾つかの実施の形態において、本発明の組換えウイルスゲノム、本発明のアデノ随伴ウイルスベクター、又は本発明の医薬組成物は、テロメア長の短縮に関連する病態の治療及び/又は予防において使用される。幾つかの実施の形態において、本発明の組換えウイルスゲノム、本発明のアデノ随伴ウイルスベクター、又は本発明の医薬組成物は、肺線維症、心筋梗塞、又はそれらに関連する病態の治療及び/又は予防において使用される。
【0013】
詳細な説明
本発明は、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)を利用する遺伝子療法において有用な組換えウイルスゲノム及び組換えウイルスベクターを提供する。本明細書に記載される組換えウイルスゲノム及び組換えウイルスベクターは、既知のウイルスゲノム及びウイルスベクターに比べて、以下の利点の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は全てを示す:
標的組織におけるTERT発現の増加、
オフターゲット組織におけるTERT発現の減少、
低いカプシド形成能力を有するウイルスベクターの利用に付随する欠損したウイルスゲノムを含む中間種の形成の防止、
治療有効性の向上。
【0014】
本明細書の実施例のセクションにおいても実証されるように、TERTを利用する遺伝子療法における本発明の組換えウイルスゲノム及び組換えウイルスベクターの適用から、既存の治療戦略を超える有効性の顕著な改善が期待される。したがって、本明細書に記載される本発明の態様及び実施の形態は、本明細書で論じられる問題及び要求の少なくとも一部を解決する。
【0015】
組換えウイルスゲノム
第1の態様において、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノムであって、ウイルスゲノムの全長が4700ヌクレオチド未満である、組換えウイルスゲノムが提供される。
【0016】
ウイルスゲノムはDNA分子又はRNA分子からなり得る。上記分子は一本鎖又は二本鎖であり得る。上記分子は、線状、環状、分節型(多数の核酸片から構成される)、又は非分節型であり得る。ウイルスゲノム末端は、反復配列、化学修飾、及び/又は二次構造を含んでいてもよく、これらは、それぞれの宿主におけるウイルスゲノム複製を支援する等の調節機能を有し得る。本発明の文脈において、ウイルスゲノムを細胞内に導入する際に、そこに含まれるTERTコーディングヌクレオチド配列の発現が可能となる限り、あらゆるウイルスゲノムが企図され得る。幾つかの実施の形態において、ウイルスゲノムは、レンチウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポリオーマウイルス、ワクシニアウイルス、又はアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する。
【0017】
好ましい実施の形態において、組換えウイルスゲノムはアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する。したがって、好ましい実施の形態において、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVゲノムであって、ウイルスゲノムの全長が4700ヌクレオチド未満である、組換えAAVゲノムが提供される。
【0018】
「アデノ随伴ウイルスゲノム」(AAVゲノム)という用語は、パルボウイルス科(Family Parvoviridae)のディペンドパルボウイルス属(genus Dependoparvovirus)(ディペンドウイルスとも呼ばれる)に属するウイルスのゲノムを指す。天然に存在する(野生型)AAVゲノムは、およそ4.7kbの長さである。ゲノムには、DNA鎖の両末端に逆方向末端反復配列(ITR)が含まれている。
【0019】
「組換え」(代替的に「キメラ」又は「操作された」と呼ばれる)ウイルスゲノムは、天然の調節配列及び/又は転写されるDNA領域が天然には起こらない様式で除去、修飾、又は他には並置された、及び/又は非天然の調節配列及び/又は転写されるDNA領域が組み込まれたウイルスゲノム等の、自然界(野生型ウイルスゲノム)では通常見られないウイルスゲノムである。
【0020】
本発明による組換えウイルスゲノムは、任意に、AAVゲノムに由来する逆方向末端反復配列(ITR)を含む。上記配列は、それぞれの宿主における組換えウイルスゲノムの維持を強化することができる。逆方向末端反復配列は、組換えウイルスゲノムの5’側及び3’側に含まれていてもよい(それぞれ5’ITR及び3’ITR)。適切な逆方向末端反復配列は、限定されるものではないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5等のようなあらゆるアデノ随伴ウイルスの血清型に由来し得る。好ましいITRは、配列番号19(5’ITR)及び配列番号20(3’ITR)を含む、本質的にそれらのみからなる、又はそれらのみからなる配列によって表されるAAV2のITRである。本発明はまた、好ましくは、5’ITRとしての配列番号19と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列、及び3’ITRとしての配列番号20と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する配列の使用を包含する。
【0021】
幾つかの実施の形態において、好ましい組換えウイルスゲノムは、組換えアデノ随伴ウイルスゲノム(AAVゲノム)である。上記ゲノムは、その天然に付随する逆方向末端反復配列(ITR)を含んでいても、又は含まなくてもよい。好ましくは、上記ゲノムは、アデノ随伴ウイルス血清型2型(AAV2)のITRを含み、より好ましくは、配列番号19(5’ITR)及び配列番号20(3’ITR)を含む。
【0022】
本発明による組換えウイルスゲノムは、4700ヌクレオチド未満の全長を有する。本発明者らは、驚くべきことに、限定されるものではないが、アデノ随伴ウイルス等の低いカプシド形成能力を有するウイルスを発現ベクターとして利用する場合、上述の長さを超えないことにより、欠損したウイルスゲノムを含む中間種の形成を防止することが可能となり、その結果、上記ベクターの治療有効性の改善がもたらされることを見出した。幾つかの実施の形態において、組換えウイルスゲノムは、4680ヌクレオチド未満、4660ヌクレオチド未満、4640ヌクレオチド未満、4620ヌクレオチド未満、4600ヌクレオチド未満、4580ヌクレオチド未満、4560ヌクレオチド未満、4540ヌクレオチド未満、4520ヌクレオチド未満、又は4500ヌクレオチド未満、好ましくは4680ヌクレオチド未満の全長を有する。
【0023】
幾つかの実施の形態において、組換えウイルスゲノムは、4400ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4420ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4440ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4460ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4480ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4500ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4520ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4540ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4560ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4580ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4600ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4620ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4640ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、4660ヌクレオチド~4700ヌクレオチド、又は4680ヌクレオチド~4700ヌクレオチドの長さを有し、好ましくは4400ヌクレオチド~4700ヌクレオチドの長さを有する。
【0024】
幾つかの実施の形態において、組換えウイルスゲノムは、4400ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4420ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4440ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4460ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4480ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4500ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4520ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4540ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4560ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4580ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4600ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4620ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4640ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、4660ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチド、又は4680ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチドの長さを有し、好ましくは4400ヌクレオチド~4700ヌクレオチド±10ヌクレオチドの長さを有する。
【0025】
「テロメラーゼ逆転写酵素」(TERT)(代替的には、TP2、TRT、EST2、又はTCS1としても知られる)(EC2.7.7.49)は、テロメラーゼホロ酵素複合体の触媒要素であり、その主な活性は、酵素のncRNA要素(Terc、テロメラーゼRNA要素)内の鋳型配列をコピーすることによって単純な配列リピートを染色体末端に付加する逆転写酵素として作用することによってテロメアを伸長させることである。TERTは、6ヌクレオチドのテロメア反復単位5’-TTAGGG-3’による3’染色体末端のRNA依存性の伸長を触媒する。当業者によれば、限定されるものではないが、TERT断片等のTERTの改変型が依然として機能性であれば、その用語にはTERTの上記改変型も包含されることが理解される。この文脈において、機能性であるとは、改変型タンパク質が、非改変型タンパク質と比較して少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の触媒活性を示すことを指す。改変型のTERTはまた、非改変型タンパク質と比較して増加した機能性を示す場合もある。この文脈において、増加した機能性とは、改変型タンパク質が、非改変型タンパク質と比較して少なくとも105%、少なくとも110%、少なくとも120%、少なくとも130%、少なくとも140%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%、又は少なくとも200%の触媒活性を示すことを指す。本明細書の別の場所で論じられるように、TERTの触媒活性を、当該技術分野における標準的方法に従って測定することができる。
【0026】
本発明によるTERTをコードするヌクレオチド配列は、好ましくは、TERT遺伝子のコーディング配列(CDS)を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。「コーディング配列」又は「コーディング領域」とは、タンパク質をコードする遺伝子の部分を指す。上記ヌクレオチド配列は、天然に存在する(代替的には、「野生型」とも呼ばれる)配列と比較して、改変されていても、又は改変されていなくてもよい。適切な非限定的な改変は、ヌクレオチドの挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換から選択され得る。当業者によれば、上記で論じられたTERTの改変型の発現をもたらす改変も包含されるものと理解される。TERTをコードするヌクレオチド配列は、イントロン及び/又は5’非翻訳領域及び/又は3’非翻訳領域等のTERT遺伝子の非コーディング領域を含んでも、又は含まなくてもよく、好ましくは、非コーディング領域を含まない。したがって、幾つかの実施の形態において、TERTをコードするヌクレオチド配列は、TERT遺伝子のコーディング領域を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。幾つかの実施の形態において、TERTをコードするヌクレオチド配列は、TERT遺伝子のコーディング配列のみからなる。幾つかの実施の形態において、TERTをコードする好ましいヌクレオチド配列は、TERT遺伝子の天然に付随する3’UTR領域を含まない。
【0027】
ヌクレオチド配列の改変を、例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, 3rd edition (2003), John Wiley & Sons Incのような標準的なハンドブック、及びSambrook and Green, Molecular Cloning. A Laboratory Manual, 4th Edition (2012), Cold Spring Harbor Laboratory Press(どちらも、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)等の当該技術分野において既知のあらゆる組換えDNA技術を使用して実施することができる。Kunkel (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. 82:488(部位特異的突然変異誘発について説明している)及びRoberts et al. (1987) Nature 328:731-734又はWells, J.A., et al. (1985) Gene 34: 315(カセット突然変異誘発について説明している)も参照のこと。
【0028】
本発明による組換えウイルスゲノムに含まれるTERTをコードするヌクレオチド配列は、上記遺伝子を含む組換えウイルスゲノムが導入される細胞の本来のヌクレオチド配列に相当する場合もあれば、又は相当しない場合もある。上記ヌクレオチド配列は、あらゆるTERTをコードする配列に由来し得る。幾つかの実施の形態において、TERTをコードするヌクレオチド配列は哺乳動物を起源とする。幾つかの実施の形態において、TERTをコードするヌクレオチド配列は、ネズミ科動物、ウサギ科動物、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ネコ、イヌ、又はヒトを起源とする。ヒトにおいては、長いアイソフォーム(NCBI CCDS ID:3861.2)及び短いアイソフォーム(NCBI CCDS ID:54831.1)といった長さが異なる2種のTERTアイソフォームが存在する。幾つかの実施の形態において、TERTをコードするヌクレオチド配列は、ネズミ科動物(マウス又はラット等)又はヒトを起源とし、好ましくはヒトを起源とし、より好ましくは、そのヌクレオチド配列は、ヒトTERTの長いアイソフォーム若しくは短いアイソフォーム又はそれらの改変型である。
【0029】
TERTをコードするヌクレオチド配列の改変はコドン最適化を含み得る。したがって、幾つかの実施の形態において、TERTをコードするヌクレオチド配列は、好ましくはヒト細胞又はマウス細胞、好ましくはヒト細胞における発現用にコドン最適化されている。「コドン最適化」の説明は、本明細書において「一般情報」と題するセクションで後述される。
【0030】
幾つかの実施の形態において、TERTをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号4のアミノ酸配列、又は配列番号4と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性若しくは類似性を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。配列番号4は、マウスTERTのアミノ酸配列(Uniprotアクセッション番号:O70372-1)を示す。
【0031】
幾つかの実施の形態において、TERTをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号7若しくは配列番号10のアミノ酸配列、又は配列番号7若しくは配列番号10と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性若しくは類似性を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。配列番号7は、ヒトTERTの長いアイソフォームのアミノ酸配列(Uniprotアクセッション番号:O14746-1)を示す。配列番号10は、ヒトTERTの短いアイソフォームのアミノ酸配列(Uniprotアクセッション番号:O14746-3)を示す。
【0032】
幾つかの実施の形態において、TERTをコードする好ましいヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、又は配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、又は配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6又は配列番号9と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0033】
したがって、好ましい実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列であって、
a)TERTをコードする配列が、配列番号4、配列番号7、若しくは配列番号10、好ましくは配列番号7若しくは配列番号10のいずれか1つのアミノ酸配列、若しくは配列番号4、配列番号7、若しくは配列番号10のいずれか1つ、好ましくは配列番号7若しくは配列番号10と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなるか、
b)TERTをコードする配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、若しくは配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、若しくは配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6若しくは配列番号9と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなるか、又は、
c)TERTをコードする配列が、遺伝暗号の縮重によりa)若しくはb)のヌクレオチド配列の配列とは異なる配列のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、ヌクレオチド配列を含む。
【0034】
本発明によるテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列は、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結される。「作動可能に連結される」の説明は、本明細書において「一般情報」と題するセクションで後述される。本開示全体を通じて、「プロモーター」及び「プロモーター配列」という用語は区別なく使用され、「転写調節配列」又は「調節配列」により置き換えられ得る。これらの用語の定義は「一般情報」のセクションに示される。
【0035】
「組織特異的」プロモーター又は「器官特異的」プロモーターは、それぞれ特定の種類の組織又は器官において活性なプロモーターである。上記プロモーターは、構成的であっても、又は誘導性であってもよい。これらの用語の定義は「一般情報」のセクションに示される。この用語はまた、上記組織又は器官の特定の細胞において活性なプロモーター(細胞特異的プロモーター)も包含する。この文脈において、「プロモーター活性」という用語は、プロモーターに作動可能に連結されたコーディングヌクレオチド配列の転写を開始する上記プロモーターの能力を指す。組織特異的プロモーター及び器官特異的プロモーターは、主に1つの組織又は器官における、及び/又は組織又は器官の特定の細胞における1つ以上の遺伝子の発現を調節する。幾つかの実施の形態において、組織特異的プロモーター及び器官特異的プロモーターは、他の組織又は器官における検出可能なレベルの(「リーキーな」)発現をなおも可能にし得る。他の組織又は器官におけるリーキーな発現とは、当業者が既知の標準的なアッセイ(例えば、qPCR、ウェスタンブロット分析、ELISA)によってmRNA又はタンパク質のレベルで評価されて、組織特異的発現又は器官特異的発現と比較して少なくとも1倍、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、又は少なくとも5倍低いが、なおも検出可能である発現を意味する。
【0036】
プロモーターの組織特異的性質及び/又は器官特異的性質の評価を、例えばSambrook and Green(上記参照)に記載されるような標準的な分子ツールボックス技術によって行うことができる。非限定的な例として、本明細書に記載される組換えウイルスゲノムのいずれかを含み、TERTをコードするヌクレオチド配列がGFPをコードするヌクレオチド配列によって置き換えられたあらゆる発現ベクターが生成され得る。次いで、本明細書に記載されるように形質導入された細胞、組織、及び器官を、標準的なプロトコルに従って、例えば本開示の実施例のセクションに記載されるように、RNAレベル若しくはタンパク質レベル、又は免疫染色法及び/又は顕微鏡法(例えば、蛍光顕微鏡法、光学顕微鏡法、明視野顕微鏡法等)に基づいて発現について評価することができる。
【0037】
本発明によるTERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列は、上記プロモーターを含む組換えウイルスゲノムが導入される細胞の本来のプロモーター配列に相当する場合もあれば、又は相当しない場合もある。幾つかの実施の形態において、プロモーター配列は哺乳動物を起源とする。幾つかの実施の形態において、プロモーター配列は、ネズミ科動物、ウサギ科動物、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ネコ、又はイヌを起源とする。幾つかの実施の形態において、プロモーター配列は、ネズミ科動物(マウス又はラット等)又はヒトを起源とし、好ましくはヒトを起源とする。
【0038】
実施例において実証されるように、本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び器官特異的プロモーターにより、標的組織における遺伝子発現の増加、及びオフターゲット組織における遺伝子発現の減少が可能になることを見出した。
【0039】
幾つかの実施の形態において、本発明による組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、肺特異的プロモーター又は心臓特異的プロモーターであり、好ましくは肺特異的プロモーターである。
【0040】
「肺特異的プロモーター」は、肺及び/又は肺組織及び/又は肺細胞において転写を開始することができるプロモーターである。上記プロモーターは、他の器官及び身体部分においてリーキーな発現をなおも可能にする場合もあれば、又は可能にしない場合もある。「肺特異的」には、本明細書において後述するように、他の器官、組織、又は細胞と比較して、肺及び/又は肺組織及び/又は肺細胞におけるヌクレオチド配列の優先的な又は優勢な発現を駆動するプロモーターも包含される。肺での転写は、気管、気管支、胸膜、横隔膜、細気管支、肺胞、又は上皮等の関連領域において検出され得る。肺上皮の細胞において転写を開始することができるプロモーターが有利である。肺胞II型上皮細胞(ATII細胞)において転写を開始することができるプロモーターが特に有利である。したがって、幾つかの実施の形態において、肺特異的プロモーターは、肺胞II型上皮細胞特異的(ATII細胞特異的)プロモーターである。幾つかの実施の形態において、好ましい肺特異的プロモーターは、サーファクタントタンパク質A(SpA)プロモーター、サーファクタントタンパク質B(SpB)プロモーター、及びそれらの誘導体からなる群より選択され、好ましくはSpBプロモーター又はその誘導体である。
【0041】
「心臓特異的プロモーター」(代替的には、「心特異的プロモーター」として知られる)は、心臓及び/又は心臓組織及び/又は心臓細胞において転写を開始することができるプロモーターである。上記プロモーターは、他の器官及び身体部分においてリーキーな発現をなおも可能にする場合もあれば、又は可能にしない場合もある。「心臓特異的」には、本明細書において後述するように、他の器官、組織、又は細胞と比較して、心臓及び/又は心臓組織及び/又は心臓細胞におけるヌクレオチド配列の優先的又は優勢な発現を駆動するプロモーターも包含される。心臓での転写は、三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁、左心房、右心房、左心室、右心室、上皮、又は心筋等の関連領域において検出され得る。心筋の細胞において転写を開始することができるプロモーターが有利である。心筋細胞において転写を開始することができるプロモーターが特に有利である。したがって、幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーターは心筋特異的プロモーターである。幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーターは心筋細胞特異的プロモーターである。幾つかの実施の形態において、好ましい心臓特異的プロモーターは、ミオシン軽鎖2v(MLC2v)、トロポニン(TNT)プロモーター、及びそれらの誘導体からなる群より選択され、好ましくはトロポニン(TNT)プロモーター又はその誘導体である。幾つかの実施の形態において、好ましい心筋特異的プロモーター又は心筋細胞特異的プロモーターは、ミオシン軽鎖2v(MLC2v)、トロポニン(TNT)プロモーター、及びそれらの誘導体からなる群より選択され、好ましくはトロポニン(TNT)プロモーター又はその誘導体である。
【0042】
本発明の文脈において、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、他の組織又は器官と比較して優先的な又は優勢な(少なくとも10%高い、少なくとも20%高い、少なくとも30%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも70%高い、少なくとも80%高い、少なくとも90%高い、少なくとも100%高い、少なくとも150%高い、少なくとも200%高い、又はそれより高い)特定の組織及び/又は器官におけるヌクレオチド配列の発現を駆動することができるプロモーターであり得る。他の器官又は組織は、肝臓、CNS、脳、脂肪組織(白色及び/又は褐色)、骨格筋、心臓、腎臓、結腸、造血組織、肺、卵巣、脾臓、胃、膵臓、精巣、精巣上体、腸等であり得る。好ましくは、他の器官又は組織は肝臓及び脂肪組織(白色及び/又は褐色)である。
【0043】
肺特異的プロモーターは、好ましくは、脳、脂肪組織(白色及び/又は褐色)、心臓、及び/又は肝臓、好ましくは脳、褐色脂肪組織、及び/又は心臓から選択される1つ以上の組織及び/又は器官と比較して優先的な又は優勢な肺におけるヌクレオチド配列の発現を駆動することができるプロモーターであり得る。心臓特異的プロモーターは、好ましくは、脂肪組織(白色及び/又は褐色)、肝臓、腸、精巣、及び/又は骨格筋から選択される1つ以上の組織及び/又は器官と比較して優先的な又は優勢な心臓におけるヌクレオチド配列の発現を駆動することができるプロモーターであり得る。発現を「一般情報」のセクションに記載されるように評価することができる。
【0044】
本発明によるプロモーターのヌクレオチド配列は、対応する天然に存在する配列と比較して改変されていてもよい。このような改変されたプロモーターは、本明細書において、代替的に、それらの天然に存在する型(野生型)の「誘導体」とも呼ばれる場合がある。適切な非限定的な改変は、ヌクレオチドの挿入、欠失、突然変異、及び/又は置換から選択され得る。本明細書の別の場所で論じられるように、適切な改変には、限定されるものではないが、エンハンサー又は他のプロモーター配列等の他のヌクレオチド配列とのプロモーター配列の融合物も含まれる。特に有利なのは、対応する天然に存在するプロモーター配列と比較して、長さが最小化されたプロモーター配列(「短縮型のプロモーター」又は「プロモーター断片」)をもたらす改変である。短縮型のプロモーターは、好ましくは、対応する天然に存在するプロモーター配列の配列長さの少なくとも5%、少なくとも10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、又は40%を含み得る。
【0045】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、1000ヌクレオチド未満、900ヌクレオチド未満、800ヌクレオチド未満、700ヌクレオチド未満、又は650ヌクレオチド未満の長さを有し得る。
【0046】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、100ヌクレオチド~1000ヌクレオチド、200ヌクレオチド~900ヌクレオチド、300ヌクレオチド~800ヌクレオチド、400ヌクレオチド~700ヌクレオチド、又は350ヌクレオチド~650ヌクレオチドの長さを有し得る。
【0047】
好ましい実施の形態において、肺特異的プロモーターは、SpBプロモーター、好ましくはヒトSpBプロモーターの短縮型である。幾つかの実施の形態において、好ましい肺特異的プロモーターは、配列番号11の配列長さの少なくとも10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、又は40%、好ましくは少なくとも38%又は40%を含み、より好ましくは、配列番号12、又はそれと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有する配列を含む。
【0048】
幾つかの実施の形態において、好ましい心臓特異的プロモーターは、MLC2vプロモーター、好ましくはヒトMLC2vプロモーターの短縮型であり、より好ましくはヒトMLC2vプロモーターの296ヌクレオチドの断片である。幾つかの実施の形態において、ヒトMLC2vプロモーターの296ヌクレオチドの断片は、配列番号13の配列、又はそれと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有する配列を有する。
【0049】
幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーターは、Henderson et al. J Biol Chem 264;30:18142-8, (1989)(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるラットMLC2vプロモーターの250ヌクレオチドの断片ではなく、及び/又は心臓特異的プロモーターは、Ian Phillips et al. Hypertension 39:651-655, (2002)(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるラットMLC2vプロモーターの281ヌクレオチドの断片(Genebankアクセッション番号:U26708のヌクレオチド-264~+17に相当する)ではない。
【0050】
幾つかの実施の形態において、好ましい心臓特異的プロモーターは、トロポニンプロモーター、好ましくはヒトトロポニンプロモーターの短縮型であり、より好ましくは、Werfel et al. Cardiovasc Res 104;1:15-23, (2014)(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるヒトトロポニンプロモーターの544塩基対の断片(配列番号16)、又はそれと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の同一性を有する配列である。
【0051】
本発明によるプロモーターの誘導体は、好ましくは、対応する天然に存在する配列の転写開始能力の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を示す。配列改変方法及び転写開始能力(「プロモーター強度」)を評価する方法は本明細書の別の場所で論じられる。
【0052】
本明細書において論じられるプロモーター又はその誘導体は、組換えウイルスゲノムにおいて単コピー又は多コピーで存在し得る。
【0053】
本発明による組換えウイルスゲノムは、限定されるものではないが、シグナル配列、核局在化シグナル、発現エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、コザック配列等のようなTERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された追加のヌクレオチド配列を更に含んでいてもよい。上記配列は、上記プロモーターを含む組換えウイルスゲノムが導入される細胞の本来の配列に相当する場合もあれば、又は相当しない場合もある。
【0054】
「エンハンサー」は、作動可能に連結された配列の転写を刺激し得る配列である。一般に、作動可能に連結されたDNA配列は連続しており、シグナル配列の場合には、連続しかつ読み枠を共有している。しかしながら、エンハンサーは、エンハンサーが転写を制御するコーディング配列と連続している必要はない。連結は、使いやすい制限部位でのライゲーション、又はその代わりに挿入されたアダプター若しくはリンカーでのライゲーション、又は遺伝子合成によって達成される。エンハンサーは、単一配列として使用されてもよく、又は他のエンハンサー及び/又は本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターのいずれかとの融合ヌクレオチド配列に含まれてもよい。エンハンサー-プロモーター融合物は、天然に存在するプロモーターと比較して短縮されたプロモーター誘導体を利用して、TERTをコードするヌクレオチド配列の発現を駆動する場合、転写駆動能力を増強するのに特に有利であり得る。
【0055】
幾つかの実施の形態において、本発明の組換えウイルスゲノムは、CMVエンハンサー(配列番号14)を含む。幾つかの実施の形態において、本発明の組換えウイルスゲノムは、CMVエンハンサーと、MLC2vプロモーターの短縮型との間の融合物(以後、代替的にCMVenh-MLC2vプロモーターとも呼ばれる)を含む。好ましくは、上記融合物は、本明細書の別の場所で論じられるように、CMVエンハンサーと、ヒトMLC2vプロモーターの296ヌクレオチドの断片との間のものである(配列番号15)。
【0056】
したがって、幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、SpB、CMVenh-MLC2v、トロポニンプロモーター、及びそれらの誘導体からなる群より選択されるプロモーターを含み、好ましくは、上記プロモーターはSpBプロモーター又はその誘導体である。
【0057】
幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーター、より詳細にはトロポニンプロモーターは、ニワトリトロポニンプロモーターではない。幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーター、より詳細にはトロポニンプロモーターは、Prasad et al. Gene Ther 18(1):43-52, (2011)(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるニワトリトロポニンプロモーターの411ヌクレオチドの断片ではない。幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーター、より詳細にはトロポニンプロモーターは、非特許文献8(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるニワトリトロポニンプロモーターではない。
【0058】
幾つかの実施の形態において、肺特異的プロモーターは、配列番号11又は配列番号12、好ましくは配列番号12と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0059】
幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーターは、配列番号13、配列番号15、又は配列番号16のいずれか1つ、好ましくは配列番号15又は配列番号16、より好ましくは配列番号16と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0060】
したがって、好ましい実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号15、又は配列番号16、好ましくは配列番号12、配列番号15、又は配列番号16、より好ましくは配列番号12又は配列番号16、最も好ましくは配列番号12を有するヌクレオチド配列のいずれか1つと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるプロモーターを含む。
【0061】
コザック配列(代替的に、本明細書においてはコザックコンセンサス配列とも呼ばれる)は、タンパク質翻訳開始部位として機能し、それが作動可能に連結されているヌクレオチド配列の発現を増強し得る核酸モチーフである。幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたコザックコンセンサス配列を含む。好ましくは、上記コザックコンセンサス配列はヒトを起源とする。幾つかの実施の形態において、好ましいコザックコンセンサス配列は、配列番号17と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0062】
ポリアデニル化配列(代替的に、本明細書において「ポリA配列」又は「ポリA尾部」とも呼ばれる)は、mRNA配列の核外輸送、翻訳、及び/又は安定性を増強することによって作動可能に連結されたヌクレオチド配列の発現を増強し得る一続きの多数のアデノシン一リン酸のみからなるヌクレオチド配列である。幾つかの実施の形態において、本発明による組換えウイルスゲノムは、TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたポリA配列を含む。好ましくは、上記ポリA配列は、SV40ポリA配列、ウサギβ-グロビンポリA配列、又はウシ成長ホルモンのポリA配列から選択され、より好ましくはウシ成長ホルモンのポリA配列である。幾つかの実施の形態において、好ましいポリA配列は、配列番号18と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0063】
幾つかの実施の形態において、好ましい組換えウイルスゲノムは、肺特異的プロモーター、好ましくはSpBプロモーター又はその誘導体、より好ましくは配列番号11又は配列番号12、好ましくは配列番号12と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるプロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVゲノムであり、ここで、このウイルスゲノムの全長は4700ヌクレオチド未満である。任意に、遺伝子コンストラクトは、AAV、好ましくはAAV2のゲノムに由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。幾つかの実施の形態において、そのような組換えウイルスゲノムは、配列番号21のヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0064】
幾つかの実施の形態において、好ましい組換えウイルスゲノムは、心臓特異的プロモーター、好ましくはCMVenh-MLC2vプロモーター又はその誘導体、より好ましくは配列番号15と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるプロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVゲノムであり、ここで、このウイルスゲノムの全長は4700ヌクレオチド未満である。任意に、遺伝子コンストラクトは、AAV、好ましくはAAV2のゲノムに由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。幾つかの実施の形態において、そのような組換えウイルスゲノムは、配列番号22のヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0065】
幾つかの実施の形態において、好ましい組換えウイルスゲノムは、心臓特異的プロモーター、好ましくはトロポニンプロモーター又はその誘導体、より好ましくは配列番号16と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるプロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVゲノムであり、ここで、このウイルスゲノムの全長は4700ヌクレオチド未満である。任意に、遺伝子コンストラクトは、AAV、好ましくはAAV2のゲノムに由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。幾つかの実施の形態において、そのような組換えウイルスゲノムは、配列番号23のヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは100%の配列同一性を有する配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。
【0066】
本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、組織特異的遺伝子発現及び/又は器官特異的遺伝子発現に有用である。したがって、更なる態様において、本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターが提供される。幾つかの実施の形態において、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、肺特異的プロモーター、好ましくは本明細書に記載されるSpBプロモーター又はその誘導体、より好ましくは本明細書に記載されるSpBプロモーター、更により好ましくは本明細書に記載されるヒトSpBプロモーターの短縮型である。幾つかの実施の形態において、好ましい肺特異的プロモーターは、配列番号11の配列長さの少なくとも5%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、又は40%、好ましくは少なくとも38%又は40%を含み、より好ましくは、配列番号12を含む。幾つかの実施の形態において、組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターは、心臓特異的プロモーター、好ましくは本明細書に記載されるMLC2vプロモーター又はその誘導体、より好ましくは本明細書に記載されるMLC2vプロモーター、更により好ましくは本明細書に記載されるヒトMLC2vプロモーターの短縮型である。幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーターは配列番号13を含む。幾つかの実施の形態において、心臓特異的プロモーターは配列番号15を含む。
【0067】
本明細書に記載されるあらゆる配列について、幾つかの実施の形態において、本明細書において使用される配列同一性又は配列類似性のレベルは、好ましくは70%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは80%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは90%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは95%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは99%である。
【0068】
発現ベクター
本明細書に記載される組換えウイルスゲノムを、発現ベクター中に配置することができる。したがって、更なる態様において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノムを含む発現ベクターが提供される。
【0069】
「発現ベクター」の説明は「一般情報」と題するセクションに示される。当業者によれば、「発現ベクター」という用語が非ウイルスベクター及びウイルスベクターを含むものと理解される。適切な発現ベクターは、限定されるものではないが、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、人工染色体、ウイルス、ビリオン等のような細胞間での遺伝子又は核酸の移行を促進することができるあらゆる遺伝因子から選択され得る。適切な発現ベクターはまた、脂質複合体又は裸のDNA等の化学的ベクターであってもよい。「裸のDNA」又は「裸の核酸」は、標的細胞の細胞質への核酸の送達を促進するウイルス粒子、細菌細胞、又は他の封入手段内に収容されていない核酸分子を指す。任意に、裸の核酸を、標的細胞への核酸の送達を促進するのに当該技術分野において使用される標準的手段と会合させて、例えば、消化管を通じた核酸の輸送を促進させ、核酸を胃酸及び/又はヌクレアーゼから保護し、及び/又は腸粘液の浸透に役立てることができる。
【0070】
好ましい実施の形態において、発現ベクターはウイルス発現ベクターである。「ウイルス発現ベクター」の説明は「一般情報」と題するセクションにて示されている。ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、及びレンチウイルスベクターからなる群より選択されるウイルスベクターであってもよい。
【0071】
好ましい実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、好ましくは組換えAAVゲノムを含む発現ベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターである。アデノ随伴ウイルスベクターは代替的に、本明細書においてアデノ随伴ベクター又はアデノ随伴ウイルス由来ベクター又はAAVベクターとも呼ばれる場合もある。「アデノ随伴ウイルスベクター」の説明は「一般情報」と題するセクションにて示されている。上記ベクターは典型的には、およそ4700ヌクレオチド(4.7kb)のヌクレオチド配列カプシド形成能力を有する。実施例で実証されるように、本発明者らは、驚くべきことに、AAVベクターを発現ベクターとして利用する場合、欠損したウイルスゲノムを含む中間種の形成が防止され、上記ベクターの治療有効性が増加するため、本発明の組換えウイルスゲノムが、顕著な予想外の利点を示すことを見出した。好ましいAAVベクターは、血清型1型のAAV(AAV1)、血清型2型のAAV(AAV2)、血清型3型のAAV(AAV3)、血清型4型のAAV(AAV4)、血清型5型のAAV(AAV5)、血清型6型のAAV(AAV6)、血清型7型のAAV(AAV7)、血清型8型のAAV(AAV8)、血清型9型のAAV(AAV9)、血清型rh10型のAAV(AAVrh10)、血清型rh8型のAAV(AAVrh8)、血清型Cb4型のAAV(AAVCb4)、血清型rh74型のAAV(AAVrh74)、血清型DJ型のAAV(AAVDJ)、血清型2/5型のAAV(AAV2/5)、血清型2/1型のAAV(AAV2/1)、血清型1/2型のAAV(AAV1/2)、及び血清型Anc80型のAAV(AAVAnc80)からなる群より選択され得て、好ましくは血清型6型、血清型8型、又は血清型9型のAAV(AAV6、AAV8、又はAAV9)からなる群より選択され、より好ましくは血清型6型のAAV(AAV6)又は血清型9型のAAV(AAV9)から選択され、更により好ましくは血清型9型のAAV(AAV9)である。
【0072】
幾つかの実施の形態において、好ましい発現ベクターは、AAV6又はAAV9、好ましくはAAV9であり、肺特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVゲノムを含み、ここで、ウイルスゲノムの全長は、本明細書において先で記載したように4700ヌクレオチド未満である。任意に、組換えAAVゲノムは、AAVのゲノム、好ましくはAAV2に由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。上記発現ベクターは、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、又は配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、又は配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6又は配列番号9と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるTERTをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0073】
幾つかの実施の形態において、好ましい発現ベクターは、AAV6又はAAV9であり、SpBプロモーター又はその誘導体に作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVウイルスゲノムを含み、ここで、ウイルスゲノムの全長は、本明細書において先で記載したように4700ヌクレオチド未満である。好ましくは、プロモーター配列は、配列番号11又は配列番号12、好ましくは配列番号12と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。任意に、組換えAAVウイルスゲノムは、AAVのゲノム、好ましくはAAV2に由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。上記発現ベクターは、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、又は配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、又は配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6又は配列番号9と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるTERTをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0074】
幾つかの実施の形態において、好ましい発現ベクターは、AAV6又はAAV9、好ましくはAAV9であり、心臓特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVウイルスゲノムを含み、ここで、ウイルスゲノムの全長は、本明細書において先で記載したように4700ヌクレオチド未満である。任意に、組換えAAVウイルスゲノムは、AAVのゲノム、好ましくはAAV2に由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。上記発現ベクターは、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、又は配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、又は配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6又は配列番号9と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるTERTをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0075】
幾つかの実施の形態において、好ましい発現ベクターは、AAV6又はAAV9であり、MLC2vプロモーター又はその誘導体に作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVウイルスゲノムを含み、ここで、ウイルスゲノムの全長は、本明細書において先で記載したように4700ヌクレオチド未満である。好ましくは、プロモーター配列は、配列番号13又は配列番号15、好ましくは配列番号15と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。任意に、組換えAAVウイルスゲノムは、AAVのゲノム、好ましくはAAV2に由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。上記発現ベクターは、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、又は配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、又は配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6又は配列番号9と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるTERTをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0076】
幾つかの実施の形態において、好ましい発現ベクターは、AAV6又はAAV9であり、トロポニンプロモーター又はその誘導体に作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えAAVウイルスゲノムを含み、ここで、ウイルスゲノムの全長は、本明細書において先で記載したように4700ヌクレオチド未満である。好ましくは、プロモーター配列は、配列番号16と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなる。任意に、組換えAAVウイルスゲノムは、AAVのゲノム、好ましくはAAV2に由来する5’側及び3’側の逆方向末端反復配列(ITR)を更に含む。上記発現ベクターは、好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、又は配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号3、配列番号6、又は配列番号9のいずれか1つ、より好ましくは配列番号6又は配列番号9と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、又はそれのみからなるTERTをコードするヌクレオチド配列を含む。
【0077】
ヌクレオチド配列をベクター化する組換えAAVベクター(「rAAV」とも呼ばれる)の生成は以前に記載されており、Ayuso E, et al., Curr. Gene Ther. 2010; 10:423-436、Okada T, et al., Hum. Gene Ther. 2009; 20:1013-1021、Zhang H, et al., Hum. Gene Ther. 2009; 20:922-929、及びVirag T, et al., Hum. Gene Ther. 2009; 20:807-817(いずれも引用することによりその全てが本明細書の一部をなす)を参照のこと。これらのプロトコルを使用して又は適合させて、本発明によるAAVベクターを作製することができる。したがって、別の態様において、本明細書に記載されるアデノ随伴ウイルスベクターを生成する方法が提供される。
【0078】
要するに、この方法は一般に、(a)発現されるヌクレオチド配列を含む組換えAAVゲノムを細胞へと導入することと、(b)細胞内にAAVヘルパーコンストラクトを存在させること又は導入することと(ここで、ヘルパーコンストラクトは組換えAAVゲノムから欠落しているウイルス機能を含む)、任意に(c)ヘルパーウイルス及び/又はヘルパーウイルスプラスミドを宿主細胞へと導入することとを含む。AAVベクターの複製及びゲノムのAAVベクターへのパッケージングを達成するには、AAVベクターの複製及びパッケージング用の全ての構成要素が存在する必要がある。これらの構成要素としては、典型的には、AAVのcapタンパク質、AAVのrepタンパク質、及び任意に、AAVが複製に関して依存するウイルスタンパク質が挙げられる。rep領域及びcap領域は、当該技術分野において既知であり、例えばChiorini et al. (1999, J. of Virology, Vol 73(2): 1309-1319(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)又は米国特許第5,139,941号(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)を参照のこと。AAVのcapタンパク質及びrepタンパク質は、同じAAVの血清型に由来しても、又は異なる血清型の組合せに由来してもよく、好ましくは、これらはAAV6又はAAV9の血清型に由来する。AAVが複製に関して依存するウイルスタンパク質は、単純ヘルペスウイルス(HSV1型及びHSV2型等)、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、又はアデノウイルス等のあらゆるウイルス、好ましくはアデノウイルスに由来してもよい。
【0079】
幾つかの実施の形態において、産生細胞系統は、本発明による組換えAAVゲノム(ITRによって両側が挟まれたTERT発現カセットを含む)と、repタンパク質及びcapタンパク質をコードし、かつヘルパー機能を提供するコンストラクト(複数の場合もある)(ヘルパーコンストラクト(複数の場合もある))とで一過的にトランスフェクションされる。幾つかの実施の形態において、この細胞系統は、安定的にヘルパー機能を提供し、本発明による組換えAAVゲノム(ITRによって両側が挟まれたTERT発現カセットを含む)と、repタンパク質及びcapタンパク質をコードするコンストラクト(複数の場合もある)とで一過的にトランスフェクションされる。幾つかの実施の形態において、この細胞系統は、repタンパク質及びcapタンパク質並びにヘルパー機能を安定的に提供し、本発明による組換えAAVゲノムで一過的にトランスフェクションされる。別の実施の形態において、この細胞系統は、repタンパク質及びcapタンパク質を安定的に提供し、本発明による組換えAAVウイルスゲノムと、ヘルパー機能をコードするポリヌクレオチドとで一過的にトランスフェクションされる。幾つかの実施の形態において、この細胞系統は、本発明による組換えAAVゲノム、repタンパク質及びcapタンパク質、並びにヘルパー機能を安定的に提供する。これらのAAV産生系及び他のAAV産生系を作製及び使用する方法は当該技術分野において記載されている。Muzyczka Nらの米国特許第5,139,941号、Zhou Xらの米国特許第5,741,683号、Samulski Rらの米国特許第6,057,152号、Samulski Rらの米国特許第6,204,059号、Samulski Rらの米国特許第6,268,213号、Rabinowitz Jらの米国特許第6,491,907号、Zolotukhin Sらの米国特許第6,660,514号、Shenk Tらの米国特許第6,951,753号、Snyder Rらの米国特許第7,094,604号、Rabinowitz Jらの米国特許第7,172,893号、Monahan Pらの米国特許第7,201,898号、Samulski Rらの米国特許第7,229,823号、及びFerrari Fらの米国特許第7,439,065号(いずれも引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)を参照のこと。
【0080】
rAAVベクター中に存在する組換えAAV(rAAV)ゲノムは、典型的には、AAV血清型のゲノム(好ましくは、本明細書に開示される血清型AAV2のゲノム)の逆方向末端反復領域(ITR)のヌクレオチド配列、又は実質的にそれと同一のヌクレオチド配列、又はそれと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列と、2つのITR間に挿入された本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結されたTERTをコードするヌクレオチド配列とを少なくとも含む。ベクターゲノムは一般に、rAAVカプシドへのベクターゲノムの効率的なパッケージングを可能にするのに、両側にある5’ITR配列及び3’ITR配列の使用を必要とする。上記ITR配列は、必ずしもrAAVベクターと同じAAV血清型に由来する必要はない。
【0081】
幾つかのAAV血清型の完全なゲノム及び対応するITRは配列決定されている(Chiorini et al. 1999, J. of Virology Vol. 73, No.2, p1309-1319(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす))。これらを、当該技術分野において既知の化学的合成によって、例えばApplied Biosystems Inc.(米国カリフォルニア州、フォスターズ)によって供給されるオリゴヌクレオチド合成装置を使用して、又は標準的な分子生物学技術によってクローニングし、又は作製することができる。ITRは、AAVゲノムからクローニングすることも、又はAAVのITRを含むベクターから切り出すこともできる。ITRヌクレオチド配列を、標準的な分子生物学技術を使用して、本明細書に記載される組織特異的プロモーター及び/又は器官特異的プロモーターに作動可能に連結されたTERTをコードするヌクレオチド配列のいずれかの末端にライゲーションすることができ、又は代替的には、ITR間のAAV配列を所望のヌクレオチド配列に置き換えることができる。
【0082】
好ましくは、rAAVベクター中に存在するrAAVゲノムは、AAVのrep(複製)遺伝子又はcap(カプシド)遺伝子等のウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列を一切含まない。このrAAVゲノムは、例えば、当該技術分野において既知の抗生物質耐性遺伝子、蛍光タンパク質(例えばGFP)をコードする遺伝子、又は化学的に、酵素的に、若しくは他の方法で検出可能な及び/又は選択可能な生成物をコードする遺伝子(例えばlacZ、aph等)等のマーカー遺伝子又はレポーター遺伝子を更に含んでいてもよい。
【0083】
産生細胞への導入を、形質転換、形質導入、及びトランスフェクション等の標準的なウイルス学的技術を使用して行うことができる。殆どのベクターは、そのベクターを感染させた産生細胞中で複製しない。細胞系統及び発現ベクターの実施可能な組合せの例は、Sambrook and Green(上記参照)、及びMetzger et al (1988) Nature 334: 31-36(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されている。例えば、適切な発現ベクターは、酵母、例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae)、例えば昆虫細胞、例えばSf9細胞、哺乳動物細胞、例えばCHO細胞、及び細菌細胞、例えばE.コリ(E. coli)中で発現され得る。したがって、細胞は原核生物又は真核生物の産生細胞であり得る。細胞は、液体培地中又は固体培地上での培養に適した細胞であり得る。最後に、産生細胞は、当該技術分野において既知の標準条件下で培養して、集合したAAVベクターを生成した後に、これらをポリエチレングリコール沈殿又はCsCl勾配等の標準的な技術を使用して精製する(Xiao et al. 1996, J. Virol. 70: 8098-8108(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす))。残留するヘルパーウイルス活性を、例えば熱失活等の既知の方法を使用して失活させることができる。
【0084】
次いで、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム及び発現ベクターを、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.、上記参照)及びSambrook and Green(上記参照)等の標準的なハンドブックにおいて論じられているように、標準的な分子技術を使用して宿主細胞へと導入することができる。ウイルスベクターの場合、形質導入を使用することが好ましい。形質導入された宿主細胞は、ウイルスベクターのタンパク質シェルを含んでいても、又は含まなくてもよい。「宿主細胞」又は「標的細胞」(代替的に、「細胞」又は「操作された細胞」とも呼ばれる)は、本明細書の別の場所に記載される哺乳動物被験体の肺細胞又は心臓細胞等のDNA送達が行われる細胞を指す。特にAAVベクターは、分裂細胞及び非分裂細胞のどちらにも形質導入することができる。
【0085】
したがって、本発明は更に、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム又は発現ベクターのいずれかで形質導入された宿主細胞を提供する。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム又は発現ベクターのいずれかで形質導入された宿主細胞は、脊椎動物の肺細胞等の肺細胞、好ましくは哺乳動物の肺細胞、より好ましくは哺乳動物の肺胞II型上皮細胞(ATII細胞)である。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム又は発現ベクターのいずれかで形質導入された宿主細胞は、ラット、マウス、イヌ、又はヒト、好ましくはマウス又はヒト、より好ましくはヒトの肺細胞、好ましくは肺胞II型上皮細胞(ATII細胞)である。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム又は発現ベクターのいずれかで形質導入された宿主細胞は、脊椎動物の心臓細胞等の心臓(心)細胞、好ましくは哺乳動物の心臓細胞、より好ましくは哺乳動物の心筋細胞である。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム又は発現ベクターのいずれかで形質導入された宿主細胞は、ラット、マウス、イヌ、又はヒト、好ましくはマウス又はヒト、より好ましくはヒトの心臓細胞、好ましくは心筋細胞である。
【0086】
提供される宿主細胞は、必ずしも個体内に存在する必要はない。当業者によれば、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム及び発現ベクターの導入が細胞培養物において実施され得ると理解される。幾つかの実施の形態において、提供される宿主細胞は、人工器官、好ましくは人工肺又は人工心臓内に存在する。幾つかの実施の形態において、提供される宿主細胞は、オルガノイド、好ましくは肺オルガノイド又は心臓オルガノイド内に存在する。本明細書において定義される「オルガノイド」は、現実的な微小解剖学的構造を示すin vitroで三次元的に生成された器官の小型版及び簡略版である。当業者であれば、当該技術分野において一般的に既知の手順を適用することによって、本発明の宿主細胞を使用して、そのような人工器官及び/又はオルガノイドに至ることができる。人工器官及び/又はオルガノイド内に存在する形質導入された宿主細胞を、当該技術分野において一般的に既知の手順を使用して、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはマウス、ラット、イヌ、又はヒト、より好ましくはマウス又はヒト、最も好ましくはヒトに移植することができる。
【0087】
組成物
更なる態様において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム及び/又は本明細書に記載される発現ベクター、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクターを含み、任意に1つ以上の薬学的に許容可能な成分を更に含む組成物が提供される。このような組成物は、遺伝子療法組成物と呼ばれる場合がある。好ましくは、組成物は、医薬組成物である。医薬組成物等の組成物は、特定の投与様式に適するように製剤化され得る。適切な投与様式は、本明細書の別の場所に記載されている。特定の投与様式に適したものであると本明細書に記載される組成物に最も適切である製剤の種類と同様に製剤化方法も十分に当業者の技能の範囲内であり、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 23rd edition, Elsevier (2020)(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)等の標準的なハンドブックに記載されている。
【0088】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容可能な成分」としては、薬学的に許容可能な担体、充填剤、安定剤、保存剤、可溶化剤、ビヒクル、希釈剤、及び/又は添加剤が挙げられる。したがって、1種以上の薬学的に許容可能な成分は、薬学的に許容可能な担体、充填剤、安定剤、保存剤、可溶化剤、ビヒクル、希釈剤、及び/又は添加剤からなる群より選択され得る。このような薬学的に許容可能な担体、充填剤、安定剤、保存剤、可溶化剤、ビヒクル、希釈剤、及び/又は添加剤は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(上記参照)において見出すことができる。
【0089】
本発明の組成物中に更なる化合物が存在してもよい。上記化合物は、組成物の送達に役立つものであり得る。この文脈における適切な化合物の例は、小胞又はリポソーム内に複合体化又は捕捉された本明細書に記載される各構成成分を、細胞膜を通じて送達する複合体、ナノ粒子、ミセル、及び/又はリポソームを形成することができる化合物である。これらの化合物の多くは当該技術分野において既知である。適切な化合物は、ポリエチレンイミン(PEI)、又はポリプロピレンイミン若しくはポリエチレンイミンコポリマー(PEC)及び誘導体を含む類似のカチオン性ポリマー、合成両親媒性物質(SAINT-18)、リポフェクチン(商標)、DOTAPを含み得る。適切な化合物の追加の例は、不活性担体(例えば、炭酸カルシウム及び糖類、例えばスクロース、マンニトール、ラクトース、又はデキストロース等)、溶媒(例えば、水、生理食塩水等)、及び噴射剤ガス(例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)、フルオロカーボン(FC)、又はヒドロフルオロアルカン(HFA)等)である。
【0090】
幾つかの実施の形態において、組成物、好ましくは、医薬組成物は、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム及び/又は本明細書に記載される発現ベクター、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクターの、限定されるものではないが、鼻腔内投与、気管内投与、肺内投与、又は吸入を介した投与等の特定の投与様式に適するように製剤化される。例示的な製剤の非限定的な例は、気道及び/又は肺への送達に適した担体中の粒子のエアロゾル剤、液剤、及び/又は懸濁液剤、及び乾燥粉末剤である。
【0091】
幾つかの実施の形態において、組成物、好ましくは、医薬組成物は送達デバイス内に含まれる。幾つかの実施の形態において、組成物、好ましくは、医薬組成物は、吸入を介した送達に適した送達デバイス(吸入デバイス)内に含まれる。このようなデバイスは当該技術分野において一般に既知であり、多くは市販されており、吸入器(例えば、固定用量吸入器、定量噴霧式吸入器、乾燥粉末吸入器等)及びネブライザー(例えば、ジェット式ネブライザー、超音波式ネブライザー、メッシュ式ネブライザー等)が挙げられる。ネブライザーは、典型的には、エアロゾル粒子の生成によって動作する。本明細書に記載されるエアロゾル化組成物の送達用の例示的なネブライザーとしては、AERx(商標)(Aradigm)、Ultravent(商標)(Mallinkrodt)、Pari LC Plus(商標)又はPari LC Star(商標)(Pari GmbH、ドイツ)、DeVilbiss Pulmo-Aide、及びAcorn II(商標)(Marquest Medical Products)が挙げられる。
【0092】
方法及び使用
また、本明細書においては、療法において使用される、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び組成物が提供される。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び組成物は、医薬として使用される。
【0093】
本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び組成物は、テロメア長の短縮に関連する病態の治療及び/又は予防において特に有効である。「テロメア長の短縮」の定義は「一般情報」と題するセクションにおいて示されている。したがって、更なる態様において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は組成物は、テロメア長の短縮に関連する病態の治療及び/又は予防において使用するのに提供される。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は組成物は、テロメア長の短縮に関連する肺病態の治療及び/又は予防において使用するのに提供される。このような病態の非限定的な例は、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫症候群、及びそれらに関連する病態である。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は組成物は、テロメア長の短縮に関連する心臓病態の治療及び/又は予防において使用するのに提供される。このような病態の非限定的な例は、冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、及びそれらに関連する病態である。好ましい実施の形態において、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は組成物は、肺線維症、心筋梗塞、又はそれらに関連する病態の治療及び/又は予防において使用するのに提供される。
【0094】
肺線維症とは、肺組織の瘢痕化を特徴とする病態を指す。肺線維症は、限定されるものではないが、肺細胞のテロメア短縮、慢性炎症過程、感染症、環境化合物、電離放射線(例えば、胸部の腫瘍を治療する放射線療法)、遺伝的素因、又は慢性的病状(狼瘡、関節リウマチ等)を含む多くの要因によって引き起こされる可能性がある。肺線維症には、原因を特定することができない肺線維症を指す特発性肺線維症(IPF)が含まれる。肺線維症の症状としては、限定されるものではないが、肺の瘢痕化、線維化容積の発生、肺容積の減損、息切れ、空咳、疲労、体重減少、及びばち状指が挙げられる。肺線維症に関連する病態としては、限定されるものではないが、肺高血圧症、呼吸不全、気胸、及び肺癌が挙げられる。幾つかの実施の形態において、肺線維症は、特発性肺線維症(IPF)であり得る。
【0095】
心筋梗塞とは、心臓筋肉(心筋)の組織死(梗塞)を特徴とする病態を指す。心筋梗塞は、限定されるものではないが、心臓細胞のテロメア短縮、アテローム性動脈硬化症、高血圧(高血圧症)、高コレステロール血症、糖尿病、冠状動脈性心臓病、喫煙、肥満、身体活動不足、環境化合物、感染症、遺伝的素因、又は慢性炎症及びその他の病状を含む多くの要因によって引き起こされる可能性がある。心筋梗塞の症状としては、限定されるものではないが、心臓の瘢痕化、心不全、不整脈、疲労、心臓痛、心原性ショック、又は心停止が挙げられる。心筋梗塞に関連する病態としては、限定されるものではないが、心筋梗塞事象(心臓発作)、心筋梗塞に起因する組織損傷(心筋細胞の損失を含む)、心筋梗塞に起因する心筋の線維化、及び心筋梗塞に起因する心機能の低下が挙げられる。
【0096】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される肺特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物は、テロメア長の短縮に関連する肺病態、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態の治療及び/又は予防において使用するのに提供される。好ましくは、肺特異的プロモーターは、本明細書に記載されるSpBプロモーター又はその誘導体である。
【0097】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される心臓特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物は、テロメア長の短縮に関連する心臓病態、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態の治療及び/又は予防において使用するのに提供される。好ましくは、心臓特異的プロモーターは、本明細書に記載されるCMVenh-MLC2vプロモーター、トロポニンプロモーター、又はその誘導体、好ましくはトロポニンプロモーター又はその誘導体である。
【0098】
更なる態様において、テロメア長の短縮に関連する病態を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする被験体等の被験体に、治療有効量の本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は組成物を投与することを含む、方法が提供される。幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する病態は肺病態であり、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態である。幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する病態は心臓病態であり、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態である。
【0099】
幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する肺病態、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする被験体等の被験体に、治療有効量の本明細書に記載される肺特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物を投与することを含む、方法が提供される。好ましくは、肺特異的プロモーターは、本明細書に記載されるSpBプロモーター又はその誘導体である。
【0100】
幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する心臓病態、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態を治療及び/又は予防する方法であって、それを必要とする被験体等の被験体に、治療有効量の本明細書に記載される心臓特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物を投与することを含む、方法が提供される。好ましくは、心臓特異的プロモーターは、本明細書に記載されるCMVenh-MLC2vプロモーター、トロポニンプロモーター、又はその誘導体、好ましくはトロポニンプロモーター又はその誘導体である。
【0101】
本明細書において使用される場合、「有効量」は、有益な結果又は所望の結果を発揮するのに十分な量である。したがって、「治療有効量」は、それを必要とする被験体に投与した場合、限定されるものではないが、テロメア長の短縮に関連する病態、好ましくは本明細書の別の場所に記載される肺線維症、心筋梗塞、又はそれらに関連する病態の少なくとも1つの症状の強さの低減及び/又はそれらの少なくとも1つのパラメーターの改善等の本明細書に記載される何らかの治療効果を発揮するのに十分な量である。「治療有効」量は、個体の年齢、疾患の進行、及び全体的な全身状態に応じて、被験体ごとに異なることになる。あらゆる個々の場合における適切な「治療有効」量も、当業者によれば、本明細書で後述する方法及び/又は本明細書の実験部分の方法等の日常的な実験を使用して決定することができる。「必要とする被験体」は、テロメア長の短縮に関連する病態に罹患している、及び/又はそれを発症するリスクがあるあらゆる個体であり得る。
【0102】
更なる態様において、テロメア長の短縮に関連する病態を治療及び/又は予防する医薬を製造するための、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、又は組成物の使用が提供される。幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する病態は肺病態であり、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態である。幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する病態は心臓病態であり、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態である。
【0103】
幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する肺病態、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態を治療及び/又は予防する医薬を製造するための、本明細書に記載される肺特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物の使用が提供される。好ましくは、肺特異的プロモーターは、本明細書に記載されるSpBプロモーター又はその誘導体である。
【0104】
幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する心臓病態、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態を治療及び/又は予防する医薬を製造するための、本明細書に記載される心臓特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物の使用が提供される。好ましくは、心臓特異的プロモーターは、本明細書に記載されるCMVenh-MLC2vプロモーター、トロポニンプロモーター又はその誘導体、好ましくはトロポニンプロモーター又はその誘導体である。
【0105】
更なる態様において、テロメア長の短縮に関連する病態を治療及び/又は予防するための、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター、又は組成物の使用が提供される。幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する病態は肺病態であり、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態である。幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する病態は心臓病態であり、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態である。
【0106】
幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する肺病態、好ましくは肺線維症又はそれに関連する病態を治療及び/又は予防するための、本明細書に記載される肺特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物の使用が提供される。好ましくは、肺特異的プロモーターは、本明細書に記載されるSpBプロモーター又はその誘導体である。
【0107】
幾つかの実施の形態において、テロメア長の短縮に関連する心臓病態、好ましくは心筋梗塞又はそれに関連する病態を治療及び/又は予防するための、本明細書に記載される心臓特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換えウイルスゲノム、上記ゲノムを含む発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、及び/又は上記ゲノム及び/又はベクターを含む組成物の使用が提供される。好ましくは、心臓特異的プロモーターは、本明細書に記載されるCMVenh-MLC2vプロモーター、トロポニンプロモーター又はその誘導体、好ましくはトロポニンプロモーター又はその誘導体である。
【0108】
本発明による使用される組換えウイルスゲノム、使用される発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、使用される組成物、方法、及び使用の文脈内で、療法及び/又は医薬は、肺におけるTERTの発現、好ましくは特異的な発現を含み得る。本発明による使用される組換えウイルスゲノム、使用される発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)、使用される組成物、方法、及び使用の文脈内で、療法及び/又は医薬は、心臓におけるTERTの発現、好ましくは特異的な発現を含み得る。発現の説明は「一般情報」と題するセクションに示されている。幾つかの実施の形態において、TERTの発現は、肝臓、CNS、脳、脂肪組織(白色及び/又は褐色)、骨格筋、心臓、腎臓、結腸、造血組織、肺、卵巣、脾臓、胃、膵臓、精巣、精巣上体、腸等からなる群より選択される少なくとも1種、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも4種の器官における発現を含まない。
【0109】
好ましい実施の形態において、本明細書に記載される治療若しくは療法若しくは使用又は医薬の投与を繰り返す必要はない。幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される治療若しくは療法若しくは使用又は医薬の投与を、毎年、又は2年毎、3年毎、4年毎、5年毎、6年毎、7年毎、8年毎、9年毎、若しくは10年毎(列挙された値のいずれか2つの間の間隔を含む)に繰り返すことができる。
【0110】
治療される被験体は、脊椎動物、好ましくはネコ、マウス、ラット、イヌ、又はヒト等の哺乳動物であり得る。好ましい実施の形態において、治療される被験体はヒトである。治療の適用を、テロメア長の短縮に関連する病態、好ましくは肺線維症、心筋梗塞、又はそれらに関連する病態に罹患している、及び/又はそれらを発症するリスクがある個体、個体の細胞、組織、及び/又は器官に対して実施することができる。治療の適用を、当該技術分野において既知の適切な手段を使用して、in vivo、ex vivo、又はin vitroで直接的に又は間接的に実施することができる。本発明の組換えウイルスゲノム及び/又は発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)及び/又は組成物を個体又は上記個体の細胞、組織、及び/又は器官に与える手段の改善は、これまで既に達成されてきた進歩を考慮すると、予想されるものである。当然のことながら、そのような今後の改善は、本発明の上述の効果を達成するのに実現され得る。疾患又は病態に応じて、上記個体の細胞、組織、及び/又は器官は、本明細書で先に記載した通りであり得る。本発明の組換えウイルスゲノム及び/又は発現ベクター、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター、及び/又は組成物を投与する場合、そのような遺伝子コンストラクト及び/又は発現ベクター及び/又は組成物を、送達方法に適合可能な溶液中に溶解することが好ましい。このような溶液は当該技術分野において一般に既知であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy(上記参照)を参照のこと。
【0111】
治療の適用を、当該技術分野において一般に既知の様々な投与様式を使用して実施することができる。投与様式は、静脈内投与、鼻腔内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、吸入を介した投与、実質内投与、皮下投与、関節内投与、脂肪組織内投与、経口投与、肝内投与、内臓内投与、耳内投与、胸郭内投与、肺内投与、心内投与、経心内膜投与、又は気管内投与であり得る。肺特異的発現に好ましい投与様式は、吸入を介した投与、鼻腔内投与、気管内投与、肺内投与、及び静脈内投与である。「気管内投与」又は「気管内注入」は、気管への直接投与を指す。「静脈内投与」は、典型的には注射による静脈内への直接投与を指す。心臓特異的投与に好ましい投与様式は、心内投与、経心内膜投与、又は静脈内投与である。「心内投与」は、心臓筋肉又は心室への直接投与を指す。「経心内膜投与」は、心内膜への直接投与を指す。
【0112】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される治療若しくは療法若しくは使用又は治療用の医薬の投与は、既知の治療、療法、使用、又は医薬の投与に対して、以下の利益の少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は全てを示す:
標的組織におけるTERT発現の増加、
オフターゲット組織におけるTERT発現の減少、
低いカプシド形成能力を有するウイルスベクターの利用に付随する欠損したウイルスゲノムを含む中間種の形成の防止、
治療有効性の向上。
【0113】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される治療若しくは療法若しくは使用又は治療用の医薬の投与は、テロメアの短縮を緩和し、除去し、予防し、及び/又は反転させる。
【0114】
「短縮されたテロメア」又は「短いテロメア」は一般に、或る特定の長さ、例えば8kb、7kb、6kb、5kb、又はそれより短い長さを下回るテロメアを指す。当業者によれば、テロメア長は個体が健康であるかどうかだけでなく、個体の年齢にも依存すると理解される。典型的には、短縮されたテロメアは、或る特定の年齢層に属する健康な個体の集団のテロメア長の20パーセンタイル又は10パーセンタイルより下の長さを有し、これはテロメアの20%又は10%がそれを下回るテロメア長を示す。反対に、長いテロメアは、典型的には、或る特定の年齢層に属する健康な個体の集団のテロメア長の80パーセンタイル又は90パーセンタイルより上の長さを有する。テロメア長を、当該技術分野において一般に既知の方法に従って、治療を受けた個体から直接採取された試料、又は治療を受けた個体の細胞、組織、及び/又は器官から採取された試料において評価することができる。例えば、Gonzalez-Suarez et al. (2001) EMBO J 20(11): 2619-30(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されているように、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、定量的蛍光in situハイブリダイゼーション(Q-FISH)、又はハイスループット定量的蛍光in situハイブリダイゼーション(HT Q-FISH)等の標準的なハイブリダイゼーション技術を使用することができる。代替的には、テロメア長を、特許文献2、Canela et al. (2007) Methods Mol Biol 371: 45-72、又はBaer et al. (2018) Nat Comm 5: 5863(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)の開示内容のいずれか1つに記載されるように測定することができる。また、テロメア長を、例えば本明細書の実施例のセクションに示される当該技術分野における標準的な手順を使用して本明細書の別の場所で論じられるテロメア長の短縮に関連する病態の症状及び/又はパラメーターの悪化又は改善を監視することによって推測することもできる。
【0115】
絶対的なテロメア長と、治療期間にわたるテロメアの延長又は短縮の速度とのどちらも決定することができるように、治療期間全体を通して試料を採取することができる。試料を治療期間中毎日採取しても、又はより長い間隔で採取してもよい。幾つかの実施の形態において、試料は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、又はより長い間隔で採取される。採取された試料中の短縮されたテロメアの割合を比較することによってテロメア長の比較を行うことができる。FISH又はQ-FISH等のin situハイブリダイゼーション技術によって測定される試料の平均強度を下回る強度を示すテロメアの率を測定することによって、短縮されたテロメアの割合を評価することができる。幾つかの実施の形態において、短縮されたテロメアの割合は、試料の平均強度と比較して、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、又はそれより低い強度を示すテロメアの率である。幾つかの実施の形態において、治療を受けた個体から直接採取された試料、又は治療を受けた個体の細胞、組織、及び/又は器官から採取された試料中の短縮されたテロメアの割合は、コントロール試料と比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、又はそれより大きく減少する。コントロール試料は、治療開始前の治療を受ける個体、又は治療を受ける個体の細胞、組織、及び/又は器官から、及び/又は同じ病態に罹患している未治療の個体、又は同じ病態に罹患している未治療の個体の細胞、組織、及び/又は器官から採取され得る。
【0116】
幾つかの実施の形態において、肺線維症又はそれに関連する病態を治療する治療若しくは療法若しくは使用又は医薬の投与は、肺の瘢痕化、線維化容積の発生、肺容積の減損、息切れ、空咳、疲労、体重減少、及びばち状指、好ましくは線維化容積の発生及び/又は肺容積の減損からなる群より選択される症状を緩和し、除去し、及び/又は予防し、及び/又はそれらと関連するパラメーターを改善する。
【0117】
幾つかの実施の形態において、心筋梗塞又はそれに関連する病態を治療する治療若しくは療法若しくは使用又は医薬の投与は、心臓の瘢痕化、心不全、不整脈、疲労、心臓痛、心原性ショック、又は心停止、好ましくは心臓の瘢痕化からなる群より選択される症状を緩和し、除去し、及び/又は予防し、及び/又はそれらと関連するパラメーターを改善する。
【0118】
本明細書において論じられる病態の症状の緩和は、個体において、上記個体の細胞、組織、又は器官において、医師による評価で、上記症状が改善若しくは軽減されること、又は典型的な症状の進行が減速したことを意味し得る。典型的な症状の軽減又は改善は、症状の進行の減速又は症状の完全な消失を意味し得る。症状、したがって症状の軽減も様々な方法、大部分は臨床検査及び日常的な実験室試験を含む関連する病態の診断において使用されるのと同じ方法を使用して評価することができる。実験室試験としては、巨視的方法及び微視的方法の両方、分子的方法、X線等の放射線撮影法、CTスキャン、肺活量測定、生化学的方法、免疫組織化学的方法等を挙げることができる。この文脈において、「軽減」(又は「改善」)は、実験部分において実施されるアッセイ等の当業者が既知のアッセイを使用して少なくとも検出可能な軽減(又は検出可能な改善)を意味する。軽減は、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも100%の軽減であり得る。軽減は、本発明の組換えウイルスゲノム及び/又は発現ベクター(好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター)及び/又は組成物を使用した治療の少なくとも1週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、1年後、又はそれ以降に見られる可能性がある。好ましくは、軽減は単回投与後に観察される。幾つかの実施の形態において、軽減は、好ましくは単回投与後に少なくとも1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、12年、15年、20年の期間、又はそれより長い期間にわたって観察される。
【0119】
パラメーターの改善は、個体において、上記個体の細胞、組織、又は器官において、医師による評価で、関連疾患に関連する典型的なパラメーター(例えば、肺線維症の場合の肺容積)の値が改善されることを意味し得る。この文脈において、パラメーターの改善は、上記パラメーターが健康な個体によって示される値により近い値をとることを意味すると解釈され得る。パラメーターの改善は、本発明の組換えウイルスベクター及び/又は発現ベクター、好ましくはアデノ随伴ウイルスベクター及び/又は組成物を使用した治療の少なくとも1週間後、1ヶ月後、6ヶ月後、1年後、又はそれ以降に見られる可能性がある。好ましくは、改善は単回投与後に観察される。幾つかの実施の形態において、改善は、好ましくは単回投与後に少なくとも1週間、1ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、12年、15年、20年の期間、又はそれより長い期間にわたって観察される。
【0120】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される治療若しくは療法若しくは使用又は治療用の医薬の投与は、治療開始前の同じ個体又は同じ病態に罹患している未治療の個体と比較して、治療を受けた個体の全体的なフィジカルフィットネスの増加をもたらす。全体的なフィジカルフィットネスを、関連病態に関連する身体的属性を医師による評価で評価及び/又は測定することによって決定することができ、全体的なフィジカルフィットネスの増加は、少なくとも1つのそのような属性が改善されることを意味し得る。身体的属性の例としては、空咳、疲労等が挙げられる。
【0121】
幾つかの実施の形態において、本明細書に記載される治療若しくは療法若しくは使用又は治療用の医薬の投与は、同じ病態に罹患している未治療の個体と比較して、治療を受けた個体の寿命の増加をもたらす。上記寿命の延長は、治療される関連病態に依存し得て、好ましくは5%、10%、15%、20%、又はそれより長い。
【0122】
一般情報
特段の指定がない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって慣用的に通常理解され、かつ本開示を考慮して解釈されるのと同じ意味を有する。
【0123】
肺及び心臓
本明細書において使用される「肺」及び「心臓」という用語は、当業者によって慣用的に通常理解されるように、それぞれ呼吸器系及び心臓血管系の器官を指す。「上皮」細胞は、当業者によって慣用的に通常理解されるように、上皮組織の細胞を指す。「肺胞上皮」は、当業者によって慣用的に通常理解されるように、肺胞の上皮組織の細胞を指す。「心筋細胞」は、当業者によって慣用的に通常理解されるように、心筋の細胞を指す。
【0124】
配列同一性
本発明の文脈において、TERTをコードするヌクレオチド配列等のヌクレオチド配列は、タンパク質断片又はポリペプチド又はペプチド又はペプチド誘導体をコードする核酸配列又はヌクレオチド配列によって表される。本発明の文脈において、TERT、TERT断片、断片、又はポリペプチド若しくはペプチド若しくはペプチド誘導体は、アミノ酸配列によって表される。
【0125】
所与の配列識別番号(配列番号)によって本明細書において特定される各核酸分子又はタンパク質断片又はポリペプチド又はペプチド又はペプチド誘導体又はコンストラクトは、開示されるこの特定の配列に限定されるものではないと理解されるべきである。本明細書において特定される各コーディング配列は、所与のタンパク質断片若しくはポリペプチド若しくはペプチド若しくはペプチド誘導体若しくはコンストラクトをコードするか、又はそれ自体がタンパク質断片若しくはポリペプチド若しくはコンストラクト若しくはペプチド若しくはペプチド誘導体である。
【0126】
本出願全体を通じて、所与のタンパク質断片又はポリペプチド又はペプチド又はペプチド誘導体をコードする特定のヌクレオチド配列の配列番号(配列番号Xを例として挙げる)について言及するたびに、これを以下によって置き換えることができる:
i.配列番号Xと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列、
ii.遺伝暗号の縮重により(i)の核酸分子の配列とは異なる配列のヌクレオチド配列、又は、
iii.配列番号Xのヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%のアミノ酸同一性若しくはアミノ酸類似性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列。
【0127】
配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは70%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは80%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは90%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは95%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは99%である。
【0128】
本出願全体を通じて、特定のアミノ酸配列の配列番号(配列番号Yを例として挙げる)について言及するたびに、これを以下によって置き換えることができる:アミノ酸配列の配列番号Yと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、又は99%の配列同一性又は配列類似性を有する配列を含むアミノ酸配列によって表されるポリペプチド。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは70%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは80%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは90%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは95%である。配列同一性又は配列類似性の別の好ましいレベルは99%である。
【0129】
所与のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列のそれぞれとの同一性パーセンテージ又は類似性パーセンテージに基づき本明細書に記載される各ヌクレオチド配列又はアミノ酸配列は、更なる好ましい実施の形態において、所与のヌクレオチド配列又はアミノ酸配列のそれぞれと少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性又は類似性を有する。
【0130】
各非コーディングヌクレオチド配列(すなわち、プロモーター又は別の調節領域)を、特定のヌクレオチド配列の配列番号(配列番号Aを例として挙げる)と少なくとも60%の配列同一性又は配列類似性を有するヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列によって置き換えることができる。好ましいヌクレオチド配列は、配列番号Aと少なくとも60%、少なくとも61%、少なくとも62%、少なくとも63%、少なくとも64%、少なくとも65%、少なくとも66%、少なくとも67%、少なくとも68%、少なくとも69%、少なくとも70%、少なくとも71%、少なくとも72%、少なくとも73%、少なくとも74%、少なくとも75%、少なくとも76%、少なくとも77%、少なくとも78%、少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の同一性を有する。好ましい実施の形態において、プロモーター等のこのような非コーディングヌクレオチド配列は、当業者が既知のプロモーターの活性等の非コーディングヌクレオチド配列の活性を少なくとも示すか、又はそれを発揮する。
【0131】
「相同性」、「配列同一性」等の用語は、本明細書において区別なく使用される。配列同一性は、本明細書において、配列を比較することによって決定される、2つ以上のアミノ酸(ポリペプチド又はタンパク質)配列又は2つ以上の核酸(ポリヌクレオチド)配列の間の関係として説明される。好ましい実施の形態において、配列同一性は、2つの所与の配列番号の全長又はその部分に基づいて計算される。その部分とは、好ましくは両方の配列番号の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、又は100%を意味する。当該技術分野において、「同一性」はまた、場合によっては、そのような配列の文字列間の一致によって決定される、アミノ酸配列又は核酸配列の間の配列関連性の程度を指す。2つのアミノ酸配列間の「類似性」は、1つのポリペプチドのアミノ酸配列及びその保存されたアミノ酸置換を第2のポリペプチドの配列と比較することによって決定される。「同一性」及び「類似性」を、限定されるものではないが、Bioinformatics and the Cell: Modern Computational Approaches in Genomics, Proteomics and transcriptomics, Xia X., Springer International Publishing, New York, 2018、及びBioinformatics: Sequence and Genome Analysis, Mount D., Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 2004(それぞれ引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載される方法を含む既知の方法によって容易に計算することができる。
【0132】
「配列同一性」及び「配列類似性」を、2つの配列の長さに応じて、グローバルアラインメントアルゴリズム又はローカルアラインメントアルゴリズムを使用して2つのペプチド配列又は2つのヌクレオチド配列をアラインメントすることによって決定することができる。同様の長さの配列は、好ましくは、配列を全長にわたって最適にアラインメントさせるグローバルアラインメントアルゴリズム(例えば、ニードルマン-ヴンシュ)を使用してアラインメントされ、一方で、実質的に異なる長さの配列は、好ましくは、ローカルアラインメントアルゴリズム(例えば、スミス-ウォーターマン)を使用してアラインメントされる。配列が配列同一性の或る特定の最小パーセンテージ(以下に記載される)を少なくとも共有する場合(例えば、デフォルトパラメーターを使用するEMBOSS needle又はEMBOSS waterのプログラムによって最適にアラインメントされる場合)、配列を「実質的に同一」又は「本質的に類似」と呼ぶことができる。
【0133】
グローバルアラインメントは、2つの配列が同様の長さを有する場合に配列同一性を決定するのに適切に使用される。配列が実質的に異なる全体的な長さを有する場合、スミス-ウォーターマンアルゴリズムを使用するもの等のローカルアラインメントが好ましい。EMBOSS needleでは、ニードルマン-ヴンシュのグローバルアラインメントアルゴリズムを使用して2つの配列がそれらの長さ全体(全長)にわたって、一致の数を最大化し、ギャップの数を最小化してアラインメントされる。EMBOSS waterでは、スミス-ウォーターマンのローカルアラインメントアルゴリズムが使用される。一般に、EMBOSS needle及びEMBOSS waterのデフォルトパラメーターが使用され、ここで、ギャップオープンペナルティ=10(ヌクレオチド配列)/10(タンパク質)及びギャップ延長ペナルティ=0.5(ヌクレオチド配列)/0.5(タンパク質)である。ヌクレオチド配列については、使用されるデフォルトのスコア行列はDNAfullであり、タンパク質については、デフォルトのスコア行列はBlosum62である(Henikoff & Henikoff, 1992, PNAS 89, 915-919(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす))。
【0134】
代替的に、FASTA、BLAST等のようなアルゴリズムを使用して、公開データベースに対して検索することによって、類似性又は同一性のパーセンテージを決定することができる。したがって、本発明の幾つかの実施の形態の核酸配列及びタンパク質配列を「クエリ配列」として更に使用し、公開データベースに対して検索を行って、例えば、他のファミリーメンバー又は関連配列を特定することができる。このような検索を、Altschul, et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-10(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)のBLASTnプログラム又はBLASTxプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行して、本発明のオキシドレダクターゼ核酸分子と相同なヌクレオチド配列を取得することができる。BLASTタンパク質検索を、BLASTxプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行して、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を取得することができる。比較目的のギャップありアラインメントを取得するには、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25(17): 3389-3402(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。BLASTプログラム及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、BLASTx及びBLASTn)のデフォルトパラメーターを使用することができる。ワールドワイドウェブにおいてwww.ncbi.nlm.nih.gov/でアクセス可能なアメリカ国立生物工学情報センターのホームページを参照のこと。
【0135】
任意に、アミノ酸類似性の程度を決定する際に、当業者であれば、いわゆる保存的アミノ酸置換も考慮に入れることができる。本明細書において使用される場合、「保存的」アミノ酸置換とは、類似の側鎖を有する残基が交換可能であることを指す。保存的置換についてのアミノ酸残基のクラスの例を以下の表に示す(本明細書では表1として組み入れられている)。
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸の群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、及びイソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸の群は、セリン及びスレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸の群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸の群は、フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸の群は、リジン、アルギニン、及びヒスチジンであり、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸の群は、システイン及びメチオニンである。好ましい保存的アミノ酸置換の群は、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、及びアスパラギン-グルタミンである。本明細書に開示されるアミノ酸配列の置換変異体は、開示される配列中の少なくとも1つの残基が除去され、その場所に異なる残基が挿入されたものである。好ましくは、アミノ酸の変化は保存的である。天然に存在するアミノ酸のそれぞれに好ましい保存的置換は以下の通りである:Ala→Ser、Arg→Lys、Asn→Gln又はHis、Asp→Glu、Cys→Ser又はAla、Gln→Asn、Glu→Asp、Gly→Pro、His→Asn又はGln、Ile→Leu又はVal、Leu→Ile又はVal、Lys→Arg、Gln又はGlu、Met→Leu又はIle、Phe→Met、Leu、又はTyr、Ser→Thr、Thr→Ser、Trp→Tyr、Tyr→Trp又はPhe、及びVal→Ile又はLeu。
【0140】
遺伝子又はコーディングヌクレオチド配列
「遺伝子」という用語は、適切な調節領域(例えば、プロモーター)に作動可能に連結された細胞内でRNA分子(例えば、mRNA)へと転写される領域(転写領域)を含むDNA断片を意味する。遺伝子は通常、例えばポリアデニル化部位及び/又は転写終結部位を含むプロモーター、5’リーダー配列、コーディング領域、及び3’非翻訳領域(3’末端)等の作動可能に連結された幾つかの断片を含む。キメラ遺伝子又は組換え遺伝子(TERT遺伝子等)は、例えばプロモーターが転写DNA領域の一部又は全部と天然には関連付けられていない遺伝子等の天然には通常見られない遺伝子である。「遺伝子の発現」とは、適切な調節領域、特にプロモーターに作動可能に連結されたDNA領域が、生物学的に活性なRNA、すなわち生物学的に活性なタンパク質又はペプチドへと翻訳され得るRNAに転写される過程を指す。
【0141】
本発明の文脈において、TERT遺伝子は通常、細胞内で発現され得ないか、又は不十分なレベルで発現され得る。この文脈において、「不十分な」とは、上記TERT遺伝子が細胞内で発現しているが、本明細書に記載される病態及び/又は疾患が依然として発症する可能性があることを意味する。この場合、本発明はTERTの過剰発現を可能にする。コーディングヌクレオチド配列は、細胞の本来の配列、細胞内に天然に存在しない配列を含んでいてもよく、両方の組合せを含んでいてもよい。遺伝子は、細胞内でのTERTをコードする配列の発現に適切な調節配列に作動可能に連結され得る、TERTをコードする配列及び/又は本明細書において先で特定された追加のタンパク質を含み得る。好ましくは、導入された遺伝子は宿主細胞のゲノム内に組み込まれない。
【0142】
プロモーター
本明細書において使用される場合、「プロモーター」又は「転写調節配列」という用語は、1つ以上のコーディング配列の転写を制御する機能があり、かつコーディング配列の転写開始部位の転写方向に対して上流に位置し、かつDNA依存性RNAポリメラーゼについての結合部位、転写開始部位、及び限定されるものではないが、転写因子結合部位、リプレッサー、及び活性化因子タンパク質の結合部位を含むあらゆる他のDNA配列、及び直接的に又は間接的に作用してプロモーターからの転写の量を調節することが当業者に既知のヌクレオチドのあらゆる他の配列の存在により構造的に特定される核酸断片を指す。「構成的」プロモーターは、殆どの生理学的条件及び発生条件下で殆どの組織において活性なプロモーターである。「誘導性」プロモーターは、例えば化学的インデューサーの適用によって生理学的又は発生的に調節されるプロモーターである。本明細書において使用される場合、「調節因子」又は「転写調節因子」は、特定のDNA配列に結合することによって、DNAからメッセンジャーRNAへの遺伝情報の転写速度を制御するタンパク質である。このセクションの別の場所に記載されるように発現を評価することができる。「転写開始能力」又は「プロモーター強度」は、プロモーターが作動可能に連結されるコーディングヌクレオチド配列の転写を開始するプロモーターの能力の程度を指す。
【0143】
作動可能な連結
本明細書において使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、機能的関係におけるポリヌクレオチド要素の連結を指す。核酸は、別の核酸配列との機能的関係に置かれている場合に、「作動可能に連結」されている。例えば、転写調節配列は、これがコーディング配列の転写に影響を与える場合に、コーディング配列に作動可能に連結されている。作動可能な連結とは、連結されるDNA配列が典型的には連続しており、2つのタンパク質コーディング領域をつなぐ必要がある場合には連続しており、読み枠内にあることを意味する。連結を、使いやすい制限部位でのライゲーション、又はその代わりに挿入されたアダプター若しくはリンカーでのライゲーション、又は遺伝子合成によって実現することができる。
【0144】
タンパク質及びアミノ酸
「タンパク質」又は「ポリペプチド」又は「アミノ酸配列」という用語は区別なく使用され、特定の作用様式、サイズ、三次元構造、又は起源とは無関係に、アミノ酸の鎖からなる分子を指す。本明細書に記載されるアミノ酸配列において、アミノ酸又は「残基」は3文字記号により表される。これらの3文字記号だけでなく対応する1文字記号も当業者は既知であり、以下の意味を有する:A(Ala)はアラニンであり、C(Cys)はシステインであり、D(Asp)はアスパラギン酸であり、E(Glu)はグルタミン酸であり、F(Phe)はフェニルアラニンであり、G(Gly)はグリシンであり、H(His)はヒスチジンであり、I(Ile)はイソロイシンであり、K(Lys)はリジンであり、L(Leu)はロイシンであり、M(Met)はメチオニンであり、N(Asn)はアスパラギンであり、P(Pro)はプロリンであり、Q(Gln)はグルタミンであり、R(Arg)はアルギニンであり、S(Ser)はセリンであり、T(Thr)はスレオニンであり、V(Val)はバリンであり、W(Trp)はトリプトファンであり、Y(Tyr)はチロシンである。残基は、あらゆるタンパク質形成性アミノ酸であってよいだけでなく、D-アミノ酸及び翻訳後修飾によって形成される修飾アミノ酸等の非タンパク質形成性アミノ酸、またあらゆる非天然アミノ酸であってもよい。
【0145】
発現ベクター
「発現ベクター」又は「ベクター」又は「送達ベクター」という語句は一般に、例えば、遺伝子又はコーディング配列の発現をもたらすことができるヌクレオチド配列を、そのような配列と適合可能な宿主に導入することによって、細胞内で遺伝子発現を得るのに使用される分子生物学におけるツールを指す。発現ベクターは、細胞内で安定化してエピソーム性のままであることができるゲノムを運搬することができる。本発明の文脈内で、細胞は、ベクターを作製するのに使用される細胞、又はベクターが投入される細胞を包含することを意味し得る。代替的に、ベクターは、例えば相同組換え又はその他の方法を通じて細胞のゲノムに組み込むことが可能である。
【0146】
ウイルスベクター
ウイルスベクター又はウイルス発現ベクター、ウイルス遺伝子療法ベクターは一般に、例えば、遺伝子又はコーディング配列の発現をもたらすことができるヌクレオチド配列を、そのような配列と適合可能な宿主に導入することによって、細胞内で遺伝子発現を得るのに分子生物学において使用されるウイルス由来ベクターを指す。
【0147】
ウイルスベクター又はウイルス遺伝子療法ベクターは、遺伝子療法に適したベクターである。遺伝子療法に適したベクターは、Anderson 1998, Nature 392: 25-30、Walther and Stein, 2000, Drugs 60: 249-71、Kay et al., 2001, Nat. Med. 7: 33-40、Russell, 2000, J. Gen. Virol. 81: 2573-604、Amado and Chen, 1999, Science 285: 674-6、Federico, 1999, Curr. Opin. Biotechnol.10: 448-53、Vigna and Naldini, 2000, J. Gene Med. 2: 308-16、Marin et al., 1997, Mol. Med. Today 3: 396-403、Peng and Russell, 1999, Curr. Opin. Biotechnol. 10: 454-7、Sommerfelt, 1999, J. Gen. Virol. 80: 3049-64、Reiser, 2000, Gene Ther. 7: 910-3、特許文献2、特許文献1、Baer et al, 2018, Nat. Comm. 5: 5863、van Lieshout et al, 2018, Mol. Ther. Meth. Clin. Dev. 9、及びこれらに引用される参考文献(いずれも引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0148】
特に適切な遺伝子療法ベクターとしては、アデノウイルスベクター及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが挙げられる。これらのベクターは、滑膜細胞及び肝臓細胞を含む多岐にわたる種類の分裂細胞及び非分裂細胞に感染する。細胞侵入後のアデノウイルスベクター及びAAVベクターのエピソーム性により、これらのベクターは、前述の通り治療用途に適している(Russell, 2000, J. Gen. Virol. 81: 2573-2604、Goncalves, 2005, Virol J. 2(1):43、特許文献2、特許文献1、Baer et al, 2018, Nat. Comm. 5: 5863、van Lieshout et al, 2018, Mol. Ther. Meth. Clin. Dev. 9(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす))。AAVベクターは、導入遺伝子発現の非常に安定した長期発現(イヌでは9年まで(Niemeyer et al, Blood. 2009 Jan 22;113(4):797-806)及びヒトでは約10年(Buchlis, G. et al., Blood. 2012 Mar 29;119(13):3038-41))をもたらすことが知られているため、更により好ましい。好ましいアデノウイルスベクターは、Russell(2000、上記参照)により概説される通りに、宿主応答を低減するように改変される。AAVベクターを使用して遺伝子療法を行う方法は、Wang et al., 2005, J Gene Med. March 9 (Epub ahead of print)、Mandel et al., 2004, Curr Opin Mol Ther. 6(5):482-90、及びMartin et al., 2004, Eye 18(11):1049-55、Nathwani et al, N Engl J Med. 2011 Dec 22;365(25):2357-65、Apparailly et al, Hum Gene Ther. 2005 Apr;16(4):426-34、特許文献2、特許文献1、Baer et al, 2018, Nat. Comm. 5: 5863、van Lieshout et al, 2018, Mol. Ther. Meth. Clin. Dev. 9(いずれも引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)によって記載されている。
【0149】
別の適切な遺伝子療法ベクターとしては、レトロウイルスベクターが挙げられる。本発明における適用に好ましいレトロウイルスベクターは、レンチウイルスに基づく発現コンストラクトである。レンチウイルスベクターは、感染して分裂細胞及び非分裂細胞のゲノムに安定に組み込む能力を有する(Amado and Chen, 1999 Science 285: 674-6(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす))。レンチウイルスに基づく発現コンストラクトの構築方法及び使用方法は、米国特許第6,165,782号、米国特許第6,207,455号、米国特許第6,218,181号、米国特許第6,277,633号、及び米国特許第6,323,031号、並びにFederico(1999, Curr Opin Biotechnol 10: 448-53)及びVigna et al.(2000, J Gene Med 2000; 2: 308-16)(いずれも引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されている。他の適切な遺伝子療法ベクターとしては、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ポリオーマウイルスベクター、又はワクシニアウイルスベクターが挙げられる。
【0150】
アデノ随伴ウイルスベクター(AAVベクター)
本明細書において同義語として使用される「アデノ随伴ウイルス」、「AAVウイルス」、「AAVビリオン」、「AAVウイルス粒子」、及び「AAV粒子」という用語は、AAVの少なくとも1つのカプシドタンパク質(好ましくは特定のAAV血清型の全てのカプシドタンパク質から構成される)と、カプセル化されたAAVゲノムのポリヌクレオチドとから構成されるウイルス粒子を指す。その粒子が、AAV逆方向末端反復配列によって両側が挟まれた異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される遺伝子又は組換えウイルスゲノム等の野生型AAVゲノムとは異なるポリヌクレオチド)を含む場合、これらは典型的には、「AAVベクター粒子」又は「AAVウイルスベクター」又は「AAVベクター」として知られている。AAVは、パルボウイルス科のディペンドパルボウイルス属(ディペンドウイルスとも呼ばれる)に属するウイルスを指す。AAVゲノムは、およそ4.7kbの長さを有し、陽性又は陰性で検出され得る一本鎖デオキシリボ核酸(ssDNA)からなる。本発明はまた、dsAAV又はscAAVとも呼ばれる二本鎖AAVの使用を包含する。ゲノムには、DNA鎖の両末端の逆方向末端反復配列(ITR)と、2つのオープンリーディングフレーム(ORF):rep及びcapとが含まれている。repのフレームは、AAVライフサイクルに必要なタンパク質Repをコードする4つの重複遺伝子でできている。capのフレームは、カプシドタンパク質:VP1、VP2、及びVP3と重複するヌクレオチド配列を含み、これらは相互作用して正二十面体対称のカプシドを形成する(Carter and Samulski., 2000及びGao et al, 2004(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)を参照)。
【0151】
好ましいウイルスベクター又は好ましい遺伝子療法ベクターはAAVベクターである。本明細書において使用されるAAVベクターは、好ましくは、組換えAAVベクター(rAAVベクター)を含む。本明細書において使用される「rAAVベクター」は、本明細書において説明されるAAV血清型に由来するカプシドタンパク質のタンパク質シェル内でカプシド形成されたAAVゲノムの部分を含む組換えベクターを指す。AAVゲノムの部分は、本明細書の別の場所に記載されるように、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5等のようなアデノ随伴ウイルス血清型に由来する逆方向末端反復配列(ITR)を含み得る。
【0152】
カプシドタンパク質から構成されるタンパク質シェルは、あらゆるAAV血清型に由来し得る。タンパク質シェルは、カプシドタンパク質シェルと呼ばれる場合もある。rAAVベクターは、1つの又は好ましくは全ての野生型AAV遺伝子が欠失していてもよいが、なおも機能的なITR核酸配列を含んでいてもよい。機能的なITR配列は、AAVビリオンの複製、レスキュー、及びパッケージングに必要である。ITR配列は、野生型配列であっても、又は野生型配列と少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有してもよく、又は機能性が維持される限り、例えばヌクレオチドの挿入、突然変異、欠失、又は置換によって改変されていてもよい。この文脈において、機能性とは、ゲノムをカプシドシェルに直接パッケージングした後に、感染対象の宿主細胞又は標的細胞内での発現を可能にする能力を指す。本発明の文脈において、カプシドタンパク質シェルは、rAAVベクターゲノムのITRとは異なる血清型であってもよい。
【0153】
選ばれた核酸配列によって表される核酸分子は、好ましくは、上記で特定されたrAAVゲノム又はITR配列の間に挿入され、例えば、発現コンストラクトは、コーディング配列に作動可能に連結された発現調節エレメントと、3’終結配列とを含む。上記核酸分子は、導入遺伝子と呼ばれる場合もある。
【0154】
「AAVヘルパー機能」とは、一般に、トランスでrAAVベクターに提供されるrAAVの複製及びパッケージングに必要とされる対応するAAV機能を指す。AAVヘルパー機能は、rAAVベクターにおいて欠けているAAV機能を補完するが、これらはAAVのITR(これらはrAAVベクターゲノムによって提供される)を欠いている。AAVヘルパー機能には、AAVの2つの主要なORF、すなわち、repコーディング領域及びcapコーディング領域、又はそれらの機能的に実質的に同一の配列が含まれる。Rep領域及びCap領域は、当該技術分野において既知であり、例えばChiorini et al. (1999, J. of Virology, Vol 73(2): 1309-1319)又は米国特許第5,139,941号(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)を参照のこと。AAVヘルパー機能は、AAVヘルパーコンストラクトにおいて提供され得る。宿主細胞へのヘルパーコンストラクトの導入は、例えば、本明細書において特定されるrAAVベクター中に存在するrAAVゲノムの導入の前又は導入と同時に、形質転換、トランスフェクション、又は形質導入によって行うことができる。したがって、本発明のAAVヘルパーコンストラクトは、一方ではrAAVベクターのカプシドタンパク質シェルについて、他方では上記rAAVベクターの複製及びパッケージングにおいて存在するrAAVゲノムについて、これらが血清型の所望の組合せをもたらすように選択され得る。
【0155】
「AAVヘルパーウイルス」は、AAVの複製及びパッケージングに必要とされる追加の機能を提供する。適切なAAVヘルパーウイルスとしては、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV1型及びHSV2型等)、及びワクシニアウイルスが挙げられる。ヘルパーウイルスによって提供される追加の機能を、米国特許第6,531,456号(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす)に記載されるように、プラスミドを介して宿主細胞に導入することもできる。
【0156】
「形質導入」とは、ウイルスベクターによるレシピエント宿主細胞への核酸分子の送達を指す。例えば、本発明によるAAVベクターによる標的細胞の形質導入により、そのベクターに含まれる組換えウイルスゲノムの形質導入された細胞への導入がもたらされる。
【0157】
発現
発現を、当業者が既知のあらゆる方法によって評価することができる。例えば、形質導入された組織における遺伝子発現のレベルをmRNA又はタンパク質のレベルでqPCR、RNAシーケンシング、ノーザンブロット分析、ウェスタンブロット分析、タンパク質由来ペプチドの質量分析、又はELISA等の当業者が既知の標準的なアッセイによって測定することによって、発現を評価することができる。
【0158】
発現を、本明細書に記載される組換えウイルスゲノム、発現ベクター、又は組成物の投与後にいつでも評価することができる。本明細書の幾つかの実施の形態において、発現を、1週間後、2週間後、3週間後、4週間後、5週間後、6週間後、7週間後、8週間後、9週間後、10週間後、11週間後、12週間後、14週間後、16週間後、18週間後、20週間後、22週間後、24週間後、28週間後、32週間後、36週間後、40週間後、又はそれ以降に評価することができる。
【0159】
コドン最適化
本明細書において使用される「コドン最適化」とは、既存のコーディング配列を改変し、又はコーディング配列を設計して、例えば、コーディング配列から転写された転写産物のRNA分子の発現宿主細胞若しくは生物における翻訳を改善するのに又はコーディング配列の転写を改善するのに使用される過程を指す。コドン最適化としては、限定されるものではないが、発現宿主生物のコドン選択に適合するようにコーディング配列についてのコドンを選択することを含む過程が挙げられる。例えば、哺乳動物、好ましくはネズミ科動物、イヌ、又はヒトの発現宿主のコドン選択に適合させる。コドン最適化により、RNAの安定性及び/又は翻訳に悪影響を与える可能性がある要素(例えば、終結配列、TATAボックス、スプライス部位、リボソーム侵入部位、反復配列及び/又はGCリッチ配列、及びRNAの二次構造又は不安定性モチーフ)も排除される。幾つかの実施の形態において、コドン最適化された配列は、元の非コドン最適化配列と比較して、遺伝子発現、転写、RNAの安定性、及び/又は翻訳において少なくとも3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、又はそれより大きな増加を示す。
【0160】
一般用語
本書及びその特許請求の範囲において、「含む(to comprise)」という動詞及びその活用形は、その単語の前にある(following)ものが含まれることを意味する非限定的な意味で使用されるが、具体的に挙げられていないものは除外されない。さらに、「のみからなる(to consist)」という動詞は、本明細書に記載される組成物が具体的に特定されたもの以外の追加の成分(複数の場合もある)を含んでいてもよく、上記追加の成分(複数の場合もある)が本発明の特有の特性を変更しないことを意味する「本質的に・・・のみからなる(to consist essentially of)」によって置き換えることができる。さらに、「のみからなる(to consist)」という動詞は、本明細書に記載される方法又は使用が具体的に特定されたもの以外の追加の工程(複数の場合もある)を含んでいてもよく、上記追加の工程(複数の場合もある)が本発明の特有の特性を変更しないことを意味する「本質的に・・・のみからなる(to consist essentially of)」によって置き換えることができる。さらに、「のみからなる(to consist)」という動詞は、本明細書に記載されるヌクレオチド配列又はアミノ酸配列が具体的に特定されたもの以外の追加のヌクレオチド又はアミノ酸を含んでいてもよく、上記追加のヌクレオチド又はアミノ酸が本発明の特有の特性を変更しないことを意味する「本質的に・・・のみからなる(to consist essentially of)」によって置き換えることができる。
【0161】
不定冠詞("a" or "an")による要素への指示は、文脈上、唯一の要素しか存在しないことが明確に要求されない限り、1つより多くの要素が存在する可能性を排除しない。したがって、不定冠詞("a" or "an")は通常、「少なくとも1」を意味する。
【0162】
本明細書において使用される場合、「少なくとも」を伴うと、特定の値はその特定の値以上を意味する。例えば、「少なくとも2」は「2以上」、すなわち2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15…等と同じであると理解される。
【0163】
さらに、詳細な説明及び特許請求の範囲における第1、第2、第3等の用語は、同様の要素間を区別するのに使用されるものであって、必ずしも順番又は時系列順序を説明するのに使用されるわけではない。このように使用される用語は、適切な状況下では交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施の形態は、本明細書に記載又は例示された以外の順序で動作可能であることを理解されたい。
【0164】
「約」又は「およそ」という語は、数値(例えば、約10)と関連して使用される場合、好ましくは、その値が指定された値(10)の1%多い値又は少ない値であってもよいことを意味する。
【0165】
本明細書において使用される場合、「及び/又は」という用語は、指定された場合の1つ以上が、単独で、又は指定された場合の少なくとも1つ、ないし指定された場合の全てと組み合わせて起こり得ることを示す。
【0166】
様々な実施の形態が本明細書に記載されている。本明細書において特定される各実施の形態は、特段の指示がない限り、互いに組み合わせることができる。
【0167】
本明細書において引用される全ての特許出願、特許、及び印刷出版物は、あらゆる定義、主題のディスクレーマー又は放棄を除き、また、盛り込まれた資料が本明細書の明示的な開示と矛盾する範囲(この場合、本開示の言葉が優先される)を除き、引用することによりその全体が本明細書の一部をなす。
【0168】
当業者であれば、本明細書に記載されるものと類似又は同等の多くの方法及び材料を認識し、これらを本発明の実施において使用し得るであろう。実際、本発明は、決して記載された方法及び材料に限定されるものではない。
【0169】
本発明を以下の実施例により更に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【
図1】AAV9-SpB-GFPベクターとAAV9-CMV-GFPベクターとの間の肺特異的発現の比較を示す図である。マウスを、短縮型SpBプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-SpB-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)で処置した。1.75×10
12個のウイルスゲノム(vg)の用量のAAV9-SpB-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターを、尾静脈を介して静脈内(IV)投与した。GFP発現レベルを、肺(
図1A)、肝臓、及び精巣上体周囲白色脂肪組織(eWAT)(
図1B)においてAAV投与の4週間後に定量的PCRによって評価した。結果は平均相対発現(AU)+SEMとして表される。
**p<0.01、
***p<0.001(AAV9-CMV-GFPに対する)。
【
図2】AAV9-SpB-GFPベクター及びAAV9-CMV-GFPベクターで処置されたマウスの組織におけるGFP陽性細胞の定量化を示す図である。マウスを、短縮型SpBプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-SpB-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)で処置した。1.75×10
12個のウイルスゲノム(vg)の用量のAAV9-SpB-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターを、尾静脈を介して静脈内(IV)投与した。生理食塩液をコントロールとして使用した。AAV9-SpB-GFP、AAV9-CMV-GFP、又は生理食塩水で処置されたマウスの肺、肝臓、心臓、及び褐色脂肪組織(BAT)におけるGFP陽性細胞のパーセンテージを定量化した。結果をAAV投与の4週間後に定量的PCRによって評価した。結果は平均パーセンテージ+SEMとして表される。n=3~4。
***p<0.05、nsは非有意である。バーをつなぐ直線は比較を示す。
【
図3】AAV9-SpB-GFPベクター及びAAV9-CMV-GFPベクターで処置されたマウスの組織におけるGFP陽性細胞の可視化を示す図である。マウスを、短縮型SpBプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-SpB-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)で処置した。1.75×10
12個のウイルスゲノム(vg)の用量のAAV9-SpB-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターを、尾静脈を介して静脈内(IV)投与した。結果をAAV投与の4週間後に評価した。生理食塩液をコントロールとして使用した。肺、褐色脂肪組織(BAT)、心臓、及び肝臓におけるGFP陽性細胞を、GFPに対するウサギモノクローナル抗体を使用した免疫組織化学染色によって検出し、光学顕微鏡法によって視覚化した。
【
図4】AAV9-CMVenh-MLC2v-GFPベクターとAAV9-CMV-GFPベクターとの間の心臓特異的発現の比較を示す図である。マウスを、CMVenh-MLC2vプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMVエンハンサー-MLC2v-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)の2通りの異なる用量(マウス当たり5×10
11個又はマウス当たり2×10
12個のウイルスゲノム(vg))で、尾静脈を介して静脈内(IV)投与して処置した。GFP発現レベルを、心臓(
図4A)、肝臓、及び精巣上体周囲白色脂肪組織(eWAT)(
図4B)においてAAV投与の3週間後に定量的PCRによって評価した。結果は平均相対発現(AU)+SEMとして表される。
*p<0.05、
**p<0.01(マウス当たり2×10
12個のvgのAAV9-CMVエンハンサー-MLC2v-GFPに対する)。
【
図5】AAV9-CMVenh-MLC2v-GFPベクター及びAAV9-CMV-GFPベクターで処置されたマウスの組織におけるGFP陽性細胞の可視化及び定量化を示す図である。マウスを、CMVenh-MLC2vプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMVenh-MLC2v-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)の2通りの異なる用量(マウス当たり5×10
11個(低(L)用量)又はマウス当たり2×10
12個(高(H)用量)のウイルスゲノム(vg))で、尾静脈を介して静脈内投与して処置した。結果をAAV投与の3週間後に評価した。注射していないマウスをコントロールとして使用した。心臓、褐色脂肪組織(BAT)、精巣上体、腸、腎臓、肝臓、肺、筋肉、膵臓、脾臓、精巣、及び白色脂肪組織(WAT)におけるGFP陽性細胞を、GFPに対するウサギモノクローナル抗体を使用した免疫組織化学染色によって検出し、光学顕微鏡法によって視覚化した。
図5Aにおいて、心臓におけるGFP陽性細胞を可視化している。
図5Bにおいて、褐色脂肪組織(BAT)、精巣上体、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、筋肉、膵臓、脾臓、精巣、及び白色脂肪組織(WAT)におけるGFP陽性細胞のパーセンテージを定量化している。結果は平均パーセンテージ+SEMとして表される。n=2~6。
***p<0.05、nsは非有意である。バーをつなぐ直線は比較を示す。
【
図6】AAV9-TNT-GFPベクターとAAV9-CMV-GFPベクターとの間の心臓特異的発現の比較を示す図である。7週齢の雄C57Bl6マウスを、短縮型TNTプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-TNT-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)で処置した。1.75×10
12個のウイルスゲノム(vg)の用量のAAV9-TNT-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターを、尾静脈を介して静脈内(IV)投与した。GFP発現レベルを、心臓、肝臓、及び精巣上体周囲白色脂肪組織(eWAT)においてAAV投与の4週間後に定量的PCRによって評価した。結果は平均相対発現(AU)+SEMとして表される。
**p<0.01(AAV9-CMV-GFPに対する)。
【
図7】AAV9-TNT-GFPベクター及びAAV9-CMV-GFPベクターで処置されたマウスの組織におけるGFP陽性細胞の可視化を示す図である。7週齢の雄C57Bl6マウスを、短縮型TNTプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-TNT-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)で処置した。1.75×10
12個のウイルスゲノム(vg)の用量のAAV9-TNT-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターを、尾静脈を介して静脈内(IV)投与した。注射していないマウスをコントロールとして使用した。結果をAAV投与の4週間後に評価した。褐色脂肪組織(BAT)、心臓、及び肝臓におけるGFP陽性細胞を、GFPに対するウサギモノクローナル抗体を使用した免疫組織化学染色によって検出し、光学顕微鏡法によって視覚化した。
【
図8】沈降速度分析的超遠心分離によるAAVベクターの特性評価を示す図である。AAV9-CMV-mTert(
図8A、5291ヌクレオチド)、AAV9-CMV-mTERT-DN(
図8B、5291ヌクレオチド)、AAV9-SpB-moTERT(
図8C、4638ヌクレオチド)、AAV9-CMVenh-MLC2v-moTERT(
図8D、4676ヌクレオチド)、AA9-TNT-moTERT(
図8E、4536ヌクレオチド)。沈降速度遠心分離を20000rpmで実施した。粒子の沈降を、同じ実行時に260nm及び280nmで記録した。C(S)分布内の各ピークの相対パーセンテージを、分布内の全ての種のモル濃度の合計に対する各種のモル濃度に基づいて計算した。空のベクター、中間種、及び全長ゲノムを含むベクターに対応するピークを矢印で示している。
【
図9】アルカリアガロースゲル電気泳動によるAAVベクターの特性評価を示す図である。精製したベクターDNAを変性条件下でアガロースゲル電気泳動に供した。バンドのサイズ及び質(スメアの存在)を検査して、ゲノムの完全性を評価した。MWはDNAラダーを示す。I.S.は中間種の存在を示す。(
図9A)AAV9-SpB-moTERT(ウェル「1」、4638ヌクレオチド)、AAV9-CMV-mTert(ウェル「2」、5291ヌクレオチド)、AAV9-CMV-mTERT-DN(ウェル「3」、5291ヌクレオチド)、AAV9-CMVenh-MLC2v-moTERT(ウェル「4」、4676ヌクレオチド)。(
図9B)AA9-TNT-moTERT(ウェル「5」、4536ヌクレオチド)、AAV9-CMV-mTert(ウェル「2」、5291ヌクレオチド)。
【
図10】肺線維症マウスモデルにおけるAAV9-SpB-moTERTの治療有用性の評価を示す図である。ブレオマイシン(体重1kg当たり0.5mg)を、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。ブレオマイシン傷害の2週間後、各マウスについてコンピューター断層撮影(CT)スキャンを実施して、真正の肺線維症パターンを診断した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTベクター又はAAV9-nullベクター(ネガティブコントロール)のいずれかを静脈内(IV)投与した。ウイルス処置の1週間後、3週間後、及び5週間後に、罹患した肺の容積の減少を測定するのにCTスキャンを実施したところ、処置開始時と比べて異常なCTパターンが示された。(
図10A)CTスキャンによって測定された異常な線維症パターンの減少(%)の時系列。(
図10B)処置1週間後のCT異常パターンの退縮速度。結果は初期線維症パターンの平均パーセンテージ+SEMとして表される。n=4。
【
図11】マウスモデルにおけるAAV9-SpB-moTERTによる肺線維症治療の治療有効性の評価を示す図である。ブレオマイシン(体重1kg当たり0.5mg~0.7mg)を、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。疾患の進行を毎週のCTスキャンによって追跡した。毎週のCTスキャンを実施して、処置開始時に対する線維化した肺の容積の減少を測定した。(
図11A)CTスキャンによって測定された異常な線維化容積の減少(%)の時系列。(
図11B)処置の最初の6週間の間に計算された罹患した容積の減少速度。
【
図12】AAV9-SpB-moTERTで処置された肺線維症を伴うマウスの肺試料におけるTERTの発現レベル及び活性を示す図である。ブレオマイシン(体重1kg当たり0.5mg~0.7mg)を、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。処置8週間後にマウスを屠殺し、肺試料においてTERTの発現レベル及び活性を測定した。(
図12A)TERTの活性(HEK293Tに対する)を肺試料において測定した。(
図12B)TERTの発現レベル(アクチンに対する)。結果は平均パーセンテージ+SEMとして表される。n=8~10。
【
図13】AAV9-CMV-null、AAV9-CMV-mTERT、及びAAV9-SpB-moTERTで処置されたマウスの肺試料におけるテロメア長の分析を示す図である。A及びB.ATII細胞のSPC陽性細胞(A)及びSPC陰性細胞(B)における平均核強度。C及びD.ATII細胞のSPC陽性細胞(C)及びSPC陰性細胞(D)における平均テロメア強度。E及びF.ATII細胞のSPC陽性細胞(E)及びSPC陰性細胞(F)におけるAAV9-CMV-nullコントロール試料の20パーセンタイルより下の短いテロメアのパーセンテージ。G及びH.ATII細胞のSPC陽性細胞(E)及びSPC陰性細胞(F)におけるAAV9-CMV-nullコントロール試料の20パーセンタイルより下の短いテロメアのパーセンテージ。G~H.ATII細胞のSPC陽性細胞(G)及びSPC陰性細胞(H)におけるAAV9-CMV-nullコントロール試料の80パーセンタイルより上の長いテロメアのパーセンテージ。I.肺試料におけるSPC免疫蛍光及びテロメアFish法の代表的な画像。
【
図14】肺試料、肝臓試料、心臓試料、及び脳試料におけるTertの発現レベル及びテロメラーゼ活性(TRAP)の定量化を示す図である。 ブレオマイシン(体重1kg当たり0.5mg~0.7mg)を、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。処置8週間後にマウスを屠殺し、肺試料、肝臓試料、心臓試料、及び脳試料においてTERTの発現レベル及び活性を測定した。
【
図15】AAV9-SpB-moTERT及びAAV9-CMV-mTERTのPF退縮における治療有効性の評価を示す図である。実験構成。 短いテロメアによって誘発された肺線維症のマウスモデルを使用する。このモデルは、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスにおける低用量、つまり正常な長さのテロメアを有する野生型マウスにおいては線維症を誘発しない用量のブレオマイシン(体重1Kg当たり0.7mg)の気管内注入に基づいている。ブレオマイシン(ブレオ)傷害の前に、各マウスについて初期CTを実施して、健康な肺の容積を計算し、疾患の進行を更に計算する。ブレオ傷害の2週間後、各マウスについてコンピューター断層撮影(CT)を実施して、真正の肺線維症パターンを診断する。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。疾患の進行をCTスキャンによって追跡した。感染1週間後、感染2週間後、感染4週間後、感染6週間後にCTスキャンを実施して、処置開始時に対する線維化した肺の容積の減少を測定した。感染8週間後にマウスを屠殺する。
【
図16】様々なPFスコアを有する肺線維化病理の代表的な画像を示す図である。 線維症スコアの組織病理学的な代表画像。グレード1及びグレード2における肺胞間中隔の線維性肥厚をマッソン・トリクローム(Masson's Trichrome)(矢印を参照)及びピクロシリウスレッド(Picro Sirius Red)(矢印を参照)で示した。グレード3においては、肺胞間中隔の肥厚を伴う孤立した線維化領域(矢印を参照)。
【
図17】エンドポイント(AAV9処置の8週間後)での肺の組織病理学的分析及びCT分子イメージングとの相関を示す図である。 AAV9処置の8週間後のPFスコア(A)及びCT値(B)の定量化。PFスコアとCT値との間で相関分析を行った(C)。 肺線維症(PF)組織学的スコア:シリウスレッド(Sirius red)で染色された10視野(200倍)の分析に基づく肺線維症の半定量的スコア付け(Lawson et al, 2005, 2011、Degryse AL et al 2012) グレード0:正常な肺構造、 グレード1:肺胞間中隔の一部(50%以下)の厚さの増加、 グレード2:線維化病変の形成を伴わない肺胞間中隔の50%超の肥厚化、 グレード3:孤立した線維化病変の形成を伴う肺胞間中隔の肥厚化、 グレード4:実質構造の全体的又は準全体的な歪みを伴う多数の線維化病変。
【
図18】肝臓試料、心臓試料、及び脳試料におけるテロメラーゼ発現(qPCR)を示す図である。 ブレオマイシン(体重1kg当たり0.7mg)を、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。処置8週間後にマウスを屠殺し、肝臓(A)試料、心臓(B)試料、及び脳(C)試料においてTERTの発現レベルを測定した。
【
図19】肝臓試料、心臓試料、及び脳試料におけるテロメラーゼ活性(TRAP)を示す図である。 ブレオマイシン(体重1kg当たり0.7mg)を、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。処置8週間後にマウスを屠殺し、肝臓(A)試料、心臓(B)試料、及び脳(C)試料においてテロメラーゼ活性を測定した。
【
図20】Immuno qFISH CC10及びTelプローブ及びDAPIの代表的な画像を示す図である。 AAV9-CMV-null、AAV9-CMV-mTERT、及びAAV9-SpB-moTERTで処置されたマウスの肺試料におけるCC10免疫蛍光及びテロメアFish法の代表的な画像。
【
図21】Immuno-qFISH CC10-Telの定量化(クララ細胞特異的)を示す図である。 AAV9-CMV-null、AAV9-CMV-mTERT、及びAAV9-SpB-moTERTで処置されたマウスの肺試料中のクララ細胞におけるテロメア長の分析。CC10陽性クララ細胞における平均核強度(A)、CC10陽性クララ細胞における平均テロメア強度(B)、CC10陽性クララ細胞におけるAAV9-CMV-nullコントロール試料の20パーセンタイルより下の短いテロメアのパーセンテージ(C)、及びCC10陽性クララ細胞におけるAAV9-CMV-nullコントロール試料の80パーセンタイルより上の長いテロメアのパーセンテージ(D)。
【
図22】SMA及びF4/80の定量化を示す図である。 肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。処置8週間後にマウスを屠殺し、肺試料において平滑筋アクチン(SMA)陽性領域(上のパネル)及びマクロファージF4/80陽性細胞(下のパネル)を分析した。SMA染色及びF4/80染色の代表的なIHQ画像を右に示す。
【
図23】肺試料におけるγH2AX陽性細胞、p53陽性細胞、及びp21陽性細胞の定量化を示す図である。 肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかを静脈内(IV)投与した。処置8週間後にマウスを屠殺し、肺試料においてγH2AX(上のパネル)陽性細胞、p53(真ん中のパネル)陽性細胞、及びp21(下のパネル)陽性細胞を分析した。γH2AX染色、p53染色、及びp21染色の代表的なIHQ画像を右に示す。
【
図24】実験構成を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後及び感染9週間後にマウスを屠殺する。右上葉、右中葉、右下葉、大静脈後葉(post-caval lobe)、及び左葉の5つの肺葉においてGFP発現を評価する。肝臓、心臓、及び脳においてもGFP発現を評価して、オフターゲット組織に対処する。
【
図25】ウイルスベクターによる感染の3週間後での肺葉におけるq-RT-PCR分析を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後にマウスを屠殺する。右上葉、右中葉、右下葉、大静脈後葉、及び左葉の5つの肺葉においてGFP発現をqPCRによって評価する。
【
図26】ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肺試料におけるq-RT-PCR分析を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後及び感染9週間後にマウスを屠殺する。GFP発現を肺においてqPCRによって評価する(部分a)は3週間時であり、部分b)は9週間時である)。
【
図27】ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肺試料におけるq-RT-PCR分析を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後及び感染9週間後にマウスを屠殺し、両方の時点での結果を取得する。GFP発現を肺においてqPCRによって評価する。
【
図28】ウイルスベクターによる感染の3週間後での肺葉におけるIHC分析を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後にマウスを屠殺する。右上葉、右中葉、右下葉、大静脈後葉、及び左葉の5つの肺葉においてIHQによりGFP陽性細胞のパーセンテージを評価する。
【
図29】ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肺試料におけるIHC分析を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後(図a)に示されるデータ)及び感染9週間後(図b)に示されるデータ)にマウスを屠殺する。GFP陽性細胞のパーセンテージを肺においてIHQによって評価する。
【
図30】GFP IHの代表的な画像を示す図である。 AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のいずれかで、マウス当たり10
12個のvgにて形質導入された肺におけるGFP染色の代表的なIHQ画像。
【
図31】抗SpC及び抗GFPによる二重IHC染色の代表的な画像を示す図である。 AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のいずれかで、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量にて形質導入された肺におけるGFP染色及びSpC染色の代表的なIHQ画像。感染9週間後にマウスを屠殺する。SpCは肺胞II型細胞のマーカーである。
【
図32】抗CC10及び抗GFPによる二重IHC染色の代表的な画像を示す図である。 AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のいずれかで、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量にて形質導入された肺におけるGFP染色及びCC10染色の代表的なIHQ画像。感染9週間後にマウスを屠殺する。CC10はクララ細胞のマーカーである。
【
図33】ウイルスベクターによる感染の9週間後での肺試料におけるIHC分析を示す図である。 マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量でAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)による感染の9週間後での肺試料におけるSPC陽性細胞のパーセンテージ(A)、SPC-GFP二重陽性細胞のパーセンテージ(B)、全GFP陽性細胞のSPC陽性のパーセンテージ(C)、CC10-GFP二重陽性細胞のパーセンテージ(D)、及び全GFP陽性細胞のCC10陽性細胞のパーセンテージ(E)の定量化。
【
図34】ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肺試料、肝臓試料、心臓試料におけるIHC分析を示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後及び感染9週間後にマウスを屠殺する。GFP陽性細胞のパーセンテージを肝臓(A、B)、心臓(C、D)、及び肺(E、F)においてIHQによって評価する。
【
図35】ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肝臓試料、心臓試料、及び脳試料におけるq-RT-PCRによるGFP発現レベルを示す図である。 健康な野生型マウスに、AAV9-CMV-null(バッチ729、UAB)、AAV9-CMV-GFP(バッチ941、UAB)、AAV9-SpB-GFP(バッチ893、UAB)、AAV6-CMV-null(バッチ942、UAB)、AAV6-CMV-GFP(バッチ943、UAB)、及びAAV6-SpB-GFP(バッチ944、UAB)のベクターを、マウス当たり10
11個のvg(D1)、マウス当たり5×10
11個のvg(D2)、及びマウス当たり10
12個のvg(D3)の用量で気管内投与する。感染3週間後及び感染9週間後にマウスを屠殺する。GFP発現を肝臓(A、B)、心臓(C、D)、及び肺(E、F)においてqPCRによって評価する。
【
図36】AAV6-SpB-moTERT-bGHベクターのバッチAAV-953の等密度CsCl勾配を示す図である。
【
図37】AAV-953バッチのタンパク質染色(シプロルビー(Sypro Ruby)染色)を示す図である。VPはウイルス粒子である。
【
図38】AAV-953バッチのアルカリアガロースゲルを示す図である。MWは分子量である。
【
図39】moTERT mRNAの発現を示す図である。3通りの異なるMOI(細胞当たり32000個のvg(32K)、細胞当たり64000個のvg(64K)、及び細胞当たり128000個のvg(128K))にてベクターAAV-953を感染させた2v6.11細胞におけるマウスに最適化されたTERT mRNAの発現レベル。NIは非感染である。AUは任意単位である。
【
図40】AAV6-SpB-moTERT(AAV-953バッチ)のアルカリアガロースゲルを示す図である。MWは分子量である。
【
図41】実験構成を示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。1群当たり10匹のマウスが含まれている。感染6週間後にマウスを屠殺する。
【
図42】ウイルスゲノムの定量化を示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。1群当たり10匹のマウスが含まれている。感染6週間後にマウスを屠殺する。肺試料及び肝臓試料における細胞当たりのウイルスゲノムの数を、プライマーセット1及びプライマーセット2の2種の異なるプライマーセットを使用したqPCRによって分析した。
【
図43】肺におけるTertの発現を示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。1群当たり10匹のマウスが含まれている。感染6週間後にマウスを屠殺する。肺におけるTertの転写発現レベルを、セット1及びセット2の2種の異なるプライマーセットを使用したq-RT-PCRによって分析する。セット1は、フォワードプライマー(5’-TAG CCC TGG CAA GGA TAG A-3’)及びリバースプライマー(5’-GCT CTC GGT GAT GTA GAA GAA G-3’)から構成されている。セット2は、フォワードプライマー(5’-CAC CAG ACA CAA CGA GAG AAG-3’)及びリバースプライマー(5’-CTC GAC CTT CAT CTT CCA CAT C-3’)から構成されている。
【
図44】オフターゲット器官におけるTertの発現及び活性を示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。1群当たり10匹のマウスが含まれている。感染6週間後にマウスを屠殺する。肝臓におけるTertの転写発現レベルを、プライマーセット1を使用したq-RT-PCRによって分析する。セット1は、フォワードプライマー(5’-TAG CCC TGG CAA GGA TAG A-3’)及びリバースプライマー(5’-GCT CTC GGT GAT GTA GAA GAA G-3’)から構成されている(左のパネル)。肝臓試料におけるテロメラーゼ活性を、q-PCRに基づくテロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)によって分析する(右のパネル)。
【
図45】肺におけるテロメラーゼ活性を示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。感染6週間後にマウスを屠殺する。肺試料におけるテロメラーゼ活性を、テロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)によって分析する。肺試料におけるテロメラーゼ発現とテロメラーゼ活性との間に相関が示される。
【
図46】moTert RNAスコープを示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。感染6週間後にマウスを屠殺する。moTertを発現する肺細胞のパーセンテージを、moTert RNAスコープ陽性細胞によって分析する。肺形質導入効率を分析するのに、moTert RNAに特異的なプローブを設計し、ACDBIO(www.acdbio.com)から購入した。
【
図47】AAV6-SpB-moTertがATII細胞及びクララ細胞においてのみ発現されることを示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。感染6週間後にマウスを屠殺する。肺試料におけるプロサーファクタントタンパク質C(SP-C)及びmoTert RNAスコープによる二重免疫染色、並びにセクレトグロビンファミリー1Aメンバー1(SCGB1A1又はCC10)及びmoTert RNAスコープによる二重免疫染色の代表的な画像。
【
図48】AAV6-SpB-moTertがテロメアを延長し、6週間で形質導入細胞において核当たりより多数のテロメアスポット数をもたらすことを示す図である。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。感染6週間後にマウスを屠殺する。moTert RNAスコープ及びテロメアプローブを用いた二重蛍光in situハイブリダイゼーション(q-Fish)を実施して、肺試料中のmoTertを発現する細胞におけるテロメア長を分析した。moTertを発現しない細胞及びmoTertを発現する細胞における平均テロメア強度、平均核強度、及び核当たりのテロメアスポットの平均数が示されている。結果は平均+SEMとして表される。n=10匹のマウス。
【
図49】AAV6-SpB-Tert形質導入マウスを示す図である。テロメア分布:20%パーセンタイル及び80%パーセンタイル。 健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で気管内投与する。感染6週間後にマウスを屠殺する。moTert RNAスコープ及びテロメアプローブを用いた二重蛍光in situハイブリダイゼーション(q-Fish)を実施して、肺試料中のmoTertを発現する細胞におけるテロメア長を分析した。2つの実験群(AAV6-SpB-moTert-D1及びAAV6-SpB-moTert-D2)における、moTertを発現しない細胞及びmoTertを発現する細胞における平均テロメア強度、平均核強度、及び核当たりのテロメアスポットの平均数を取得して、形質導入されていない細胞(Tert RNAスコープ陰性細胞)に対する20%パーセンタイル及び80%パーセンタイルを計算した。
【
図50】短いテロメアによって誘発された肺線維症の治療におけるAAV6-SpB-moTERTの治療有効性の評価を示す図である。実験構成。 ブレオマイシン(体重1kg当たり0.7mg)を、8週齢のG2-Tert
-/-雄マウス及びG3-Tert
-/-雄マウスに気管内注入した。肺線維症と診断されたマウスに、マウス当たり5×10
11個のvgのAAV-CMV-null又はマウス当たり5×10
11個のvgのAAV6-SpB-moTERTのいずれかを気管内(IT)投与した。疾患の進行をCTスキャンによって追跡した。感染1週間後、感染2週間後、感染4週間後、感染6週間後にCTスキャンを実施して、処置開始時に対する線維化した肺の容積の減少を測定した。感染6週間後又は感染11週間後のいずれかでマウスを屠殺する。1群当たり10匹のマウスを長期追跡検査用に残す。
【
図51】RNAスコープによる線維化肺におけるAAV6-SpB-moTertの肺形質導入効率を示す図である。 肺線維症と診断されたマウスに、マウス当たり5×10
11個のvgのAAV-CMV-null又はマウス当たり5×10
11個のvgのAAV6-SpB-moTERTのいずれかを気管内(IT)投与した。moTertを発現する肺細胞のパーセンテージを、感染11週間後の肺試料におけるmoTert RNAスコープ陽性細胞によって分析する(右のパネル)。比較の目的で、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で形質導入した野生型の健康な動物、並びにAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で形質導入した野生型の健康な動物における感染6週間後の肺細胞のパーセンテージを示す(左のパネル)。
【
図52】ウイルスゲノムの定量化を示す図である。 肺線維症と診断されたマウスに、マウス当たり5×10
11個のvgのAAV-CMV-null又はマウス当たり5×10
11個のvgのAAV6-SpB-moTERTのいずれかを気管内(IT)投与した。肺試料、肝臓試料、心臓試料、及び脳試料における細胞当たりのウイルスゲノムの数を、プライマーセット1及びプライマーセット2の2種の異なるプライマーセットを使用したqPCRによって分析した。試料は、感染6週間後及び感染11週間後に屠殺したマウスに対応する(上のパネル)。比較の目的で、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で形質導入した野生型の健康な動物、並びにAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg(D1)及びマウス当たり5×10
11個のvg(D2)で形質導入した野生型の健康な動物の感染6週間後の肺試料及び肝臓試料における細胞当たりのウイルスゲノム数を示す(下のパネル)。
【
図53】Tert発現-qPCRを示す図である。 肺線維症と診断されたマウスに、マウス当たり5×10
11個のvgのAAV-CMV-null又はマウス当たり5×10
11個のvgのAAV6-SpB-moTERTのいずれかを気管内(IT)投与した。テロメラーゼ発現を、肺試料、肝臓試料、心臓試料、及び脳試料において感染11週間後にqPCRによって評価する(上のパネル)。テロメラーゼ発現を、肺において感染6週間後及び感染11週間後(左下のパネル)と、感染6週間後(右下のパネル)とで評価する。3つのプロットは、個々の独立したマウスを分析する3つの異なる独立したPCRの実行に対応する。5×10
11個のvgのAAV6-SpB-moTERTのvgで形質導入された野生型の健康なマウスの肺試料を、ポジティブコントロールとして並行して(最初のバー)実行した。
【
図54】AAVベクターにクローニングされた4つの異なるTERT配列を示す図である。4650bpのAAVベクターゲノムは、SpBプロモーターと、対応するTERTのCDSと、bGHのポリAシグナルとを含み、全ては2つのAAV2のITRによって両側が挟まれている。
【
図55】AAV6-SpB-hoTERT-ID(AAV-962ベクターバッチ)の分析的超遠心分離によって得られた沈降プロファイルを示す図である。x軸はスベドベリ単位(S)で表される沈降係数を表し、y軸は260nm(実線)及び280nm(破線)で測定されたSの関数としての濃度(c(S))の正規化値を表す。
【
図56】AAV6-SpB-hoTERT-ID(AAV-962バッチ)のアルカリアガロースゲルを示す図である。MWは分子量である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0171】
実施例1の一般的な手順
被験体の特徴
短縮型のヒトSpBプロモーター、CMVenh-MLC2vプロモーター、及びTNTプロモーターの組織特異性を評価するのに、雄のC57Bl/6Jマウスを使用した。マウスに標準食(2018S Teklad Global Diets(商標)、Harlan Labs., Inc.、米国ウィスコンシン州、マディソン)を自由に摂食させ、12時間の明暗サイクル(午前8時に点灯)及び安定した温度(22℃±2)に保持した。組織の試料採取の前に、マウスを吸入麻酔薬イソフルラン(IsoFlo(商標)、Abbott Laboratories、米国イリノイ州、アボットパーク)によって麻酔し、頭部切断した。対象となる組織を切除し、分析するまで-80℃で又はホルマリンを用いて保存した。全ての実験手順は、バルセロナ自治大学の動物実験及び人体実験についての倫理委員会(Ethics Committee for Animal and Human Experimentation of the Universitat Autonoma de Barcelona)によって承認された。
【0172】
組換えAAVベクター
血清型9型の一本鎖AAVベクターを、標準的な方法(Ayuso, E. et al., 2010. Curr Gene Ther. 10(6):423-36)に従ってHEK293細胞の三重トランスフェクションによって生成した。細胞を10個のローラーボトル(850cm2、平坦;Corning(商標)、Sigma-Aldrich Co.、米国ミズーリ州、セントルイス)においてDMEM 10%FBS中で80%のコンフルエンスになるまで培養し、リン酸カルシウム法を使用してAAV2のITRによって両側が挟まれた発現カセットを有するプラスミドと、AAV2のrep遺伝子及び血清型9型のAAVのcap遺伝子を有するヘルパープラスミドと、アデノウイルスヘルパー機能を有するプラスミドとを用いて同時トランスフェクションさせた。使用した導入遺伝子は、1)短縮型のヒトSpBプロモーター(配列番号12)、2)短縮型のヒトMLC2vプロモーター(配列番号15)に融合されたCMVエンハンサー、又は3)短縮型のヒトTNTプロモーター(配列番号16)によって駆動されるマウスコドン最適化(配列番号3)されたTERTコーディング配列とした。ユビキタスCMVプロモーターによって駆動される3’UTRを含む野生型マウスTERTコーディング配列(配列番号1)をコントロールとして使用した(非特許文献4)。非コーディングプラスミドを使用してヌルベクターを生成した。AAVを、ポリエチレングリコール沈殿工程と、2つの連続する塩化セシウム(CsCl)勾配とに基づいた最適化された方法で精製した。この第2世代のCsClに基づくプロトコルにより、空のAAVカプシド並びにDNA及びタンパク質の不純物が激減した(Ayuso, E. et al., 2010. Curr Gene Ther. 10(6):423-36)。精製したAAVベクターをPBSに対して透析し、濾過して-80℃で貯蔵した。ウイルスベクターを、Quant-iT(商標)PicoGreen(商標)dsDNAアッセイキット(Invitrogen)を使用して蛍光によって決定した。ファージラムダDNAを標準曲線として使用して、ウイルスベクターの力価を計算した。ベクターを当該技術分野において既知の分子生物学技術に従って構築した。
【0173】
AAVベクターの全身投与
適量のAAV溶液を0.001%のPluronic(商標)を含むPBS中で希釈し、送達の瞬間に圧力をかけずに外側尾静脈へと手動で注射した。注射前に、動物を250Wの赤外線加熱ランプ(Philips NV、オランダ、アムステルダム)の下に数分間置いて、血管を拡張させ、尾静脈を見やすくし、尾静脈へとよりアクセスし易くした。プラスチック製保定器(Harvard Apparatus、米国マサチューセッツ州、ホリストン)を使用して、注射のために動物を固定した。適切な保定装置を使用したため、麻酔を使用しなかった。30ゲージの針を利用して動物に注射した。
【0174】
RNA分析
単離試薬(肺試料、肝臓試料、及び心臓試料用のTripure(Roche)、並びにeWAT試料用のQIAzol(Qiagen))及びRNeasy組織ミニキット(RNeasy Tissue Minikit)(Qiagen NV、オランダ、フェンロー)を使用して製造業者のプロトコルに従って、様々な組織から全RNAを取得した。残留するウイルスゲノムを除去するのに、全RNAをDNAseI(Qiagen NV、オランダ、フェンロー)で処理した。得られたRNAの濃度及び純度をNanodrop(ND-1000、ThermoCientific)を使用して決定した。RT-PCRでは、1μgのRNA試料をTranscriptor First Strand cDNA合成キット(04379012001、Roche、米国、カリフォルニア)を使用して製造業者のプロトコルに従って逆転写した。リアルタイム定量的PCRを、SmartCycleII(商標)(Cepheid、米国、サニーベール)においてLightCycle 480 SYBR Green I Master(Rocheの参照番号04887352001、Roche Diagnostics、ドイツ)を使用して実施した。データをRplp0値で正規化し、以前に記載されたように(Pfaffl, M., Nucleic Acids Res. 2001; 29(9):e45)分析した。
【0175】
沈降速度分析的超遠心分離によるAAVベクターの特性評価
AAVベクターを、分析的超遠心分離(AUC)によって特性評価した。450マイクロリットルの試料を2区分の速度セルの試料区分にロードし、450μlのPBS+0.001%のPF68を対応する参照区分(UV-VIS吸光光学装置を備えたBeckman-Coulterの分析的超遠心分離機Optima XLA)にロードした。沈降速度遠心分離を20000rpmで実施した。粒子の沈降を、同じ実行時に260nm及び280nmで記録した。C(S)分布内の各ピークの相対パーセンテージを、以前に記載されたように(Burnham, B. et al., 2015, Hum Gene Ther Methods 26(6):228-42)、分布内の全ての種のモル濃度の合計に対する各種のモル濃度に基づいて計算した。
【0176】
アルカリアガロースゲル電気泳動によるAAVベクターのゲノムの完全性の決定
AAVベクターのゲノムの完全性を、一本鎖DNAを分析することができるアルカリアガロースゲル電気泳動(変性条件)によって評価した。最初に、8μgのベクターゲノムを、DNeasy血液・組織キット(DNeasy blood and tissue kit)(Qiagen)を使用して製造業者のプロトコルに従って精製した。抽出したDNA(約1μg)をアルカリローディングバッファーと混合し、95℃で5分間煮沸し、氷上で3分間インキュベートした。次に、DNAを変性条件下でアガロースゲル電気泳動に供した。最後に、バンドのサイズ及び質を検査して、ゲノムの完全性を評価した。
【0177】
発現の可視化
心臓、褐色脂肪組織(BAT)、精巣上体、腸、腎臓、肝臓、肺、筋肉、膵臓、脾臓、精巣、及び白色脂肪組織(WAT)におけるGFP陽性細胞を、GFPに対するウサギモノクローナル抗体(D5.1、Cell Signaling、番号2956)を使用した免疫組織化学染色によって検出し、光学顕微鏡法によって視覚化した。
【0178】
コンピューター断層撮影
コンピューター断層撮影(CT)によるin-vivoでの肺イメージングを、小型実験動物用に特別に設計された高解像度CTシステム(CT Locus、GE Healthcare)において行った。導入期間中は4%の割合のイソフルラン(IsoVet Braun)で、維持期間(スキャン時間)中は2%でマウスを麻酔した。マイクロCT画像取得は、下肢に焦点を当てたシングルベッドにおいて450μA/80kVのX線管を用いて、ガントリーをおよそ14分間で完全に1回転させて収集された400個の投影からなっていた。2-D画像及び3-D画像を取得し、ソフトウェアプログラムMicroView(GE Healthcare)を使用して分析した。
【0179】
統計学的分析
全ての結果は平均±SEMとして表される。群間の差をスチューデントのt検定によって比較した。P<0.05の場合に統計的に有意と見なした。
【0180】
実施例1.1.ヒトSpBプロモーターの短縮型を使用したAAVによる肺特異的導入遺伝子発現
低いカプシド形成能力(およそ4.7kb)のAAVベクターと併せて当該技術分野において典型的に使用される長いTERT配列の長さは、AAVベクターのカプシド形成能力を超えずにテロメラーゼをコードする発現カセットにおいて使用することができるプロモーター配列の数を大幅に制限する。TERTコーディング配列及び発現カセットの更なる構成要素(すなわち、ポリA配列、AAVのITR)と併せて肺特異的プロモーターを利用することによって引き起こされるAAVカプシド形成能力を超えないように、短縮型(632ヌクレオチド、配列番号12)のヒトサーファクタントタンパク質B(SpB)プロモーター(野生型ヒトSpBプロモーターのサイズ:1597ヌクレオチド、配列番号11)を設計した。野生型ヒトSpBプロモーターは、肺中のクララ細胞及びATII細胞における発現を駆動する。
【0181】
短縮型のヒトSpBプロモーターが肺特異的導入遺伝子の発現を媒介することができるかどうかを研究するのに、この短縮型プロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-SpB-GFP)又はユビキタスCMVプロモーターの制御下でマーカータンパク質GFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)を、HEK293産生細胞における三重トランスフェクションによってクローニングして生成した。1.75×10
12個のウイルスゲノム(vg)の用量のAAV9-SpB-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターを、尾静脈を介してマウスに静脈内(IV)投与した。生理食塩液をIV投与したマウスの群をコントロールとして使用した。AAV投与の4週間後に、肺、肝臓、及び精巣上体周囲白色脂肪組織(eWAT)においてGFP発現レベルを評価した。肺におけるGFP発現レベルは、CMVプロモーターによって媒介されるレベルよりも低かったが(
図1A)、短縮型のSpBプロモーターは白色脂肪組織におけるGFP発現を妨げ、肝臓におけるGFP発現レベルの80%の低下を媒介した(
図1B)。肺、肝臓、心臓、及び褐色脂肪組織(BAT)におけるGFP
+細胞のパーセンテージの定量化により、短縮型SpBプロモーターの肺特異性が更に確認された(
図2及び
図3)。短縮型のプロモーターの使用は、特異性の喪失、及び肺以外のオフターゲット組織における無差別な導入遺伝子発現をもたらし得た。驚くべきことに、本明細書において使用される短縮型のプロモーターは、高度に特異的な肺発現を媒介することができた。
【0182】
実施例1.2.短縮型の心臓特異的プロモーターを使用したAAVによる心臓特異的導入遺伝子発現
心筋細胞特異的MLC2vプロモーターの短縮型(296ヌクレオチド、配列番号13)も設計した。野生型MLC2vプロモーターのこの短縮型のプロモーター強度を高めるのに、上記プロモーターと併せてCMVエンハンサー(380ヌクレオチド、配列番号14)を使用した(CMVenh-MLC2v、配列番号15)。
【0183】
CMVenh-MLC2vプロモーターが心臓における特異的発現を媒介することができるかどうかを研究するのに、8週齢の雄C57Bl6マウスを2通りの異なる用量(マウス当たり5×10
11個(低(L)用量)のウイルスゲノム(vg)又はマウス当たり2×10
12個(高(H)用量)のウイルスゲノム(vg))のAAV9-CMVenh-MLC2v-GFPベクターで処置した。コントロールとして、追加の2つのマウス群を、同用量のユビキタスCMVプロモーターの制御下でGFPをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-GFP)で処置した。AAVの3週間後に、動物を屠殺し、GFPの発現及び生成のレベルを様々な組織において評価した。AAV9-CMVenh-MLC2v-GFPベクターで、特にマウス当たり2×10
12個のvgの用量で処置されたマウスは、心臓において力強いGFP発現を示した(
図4A)。さらに、GFP
+細胞のパーセンテージの定量化により、高用量のAAV9-CMV-GFPベクターを投与したマウスよりも、低用量及び高用量のAAV9-CMVenh-MLC2v-GFPベクターで処置された動物の心臓において、形質導入細胞の数がより多いことが明らかになった(
図5A及び
図5B)。さらに、CMV-enhMLC2vプロモーターは、精巣、精巣上体、白色脂肪組織、骨格筋、肺、腸、脳、脾臓、及び腎臓におけるGFPの発現及び生成を妨げた(
図4B及び
図5B)。しかしながら、AAV9-CMVenh-MLC2v-GFPベクター又はAAV9-CMV-GFPベクターで処置されたマウスにおいて、GFP
+細胞のパーセンテージが類似した組織である膵臓、褐色脂肪組織、又は肝臓においてGFP生成を制限することはできなかった(
図4B及び
図5B)。CMVenh-MLC2vプロモーターによって媒介される導入遺伝子の発現は完全に心臓特異的ではなかったが、このプロモーターの使用により、CMVプロモーターと比較してより多数の組織においてGFP発現が妨げられた。
【0184】
CMVenh-MLC2vプロモーターによって示される心臓特異性よりも高い心特異性を達成するのに、ヒトトロポニン(TNT)プロモーターの短縮型(544ヌクレオチド、配列番号16)を使用した。TNTプロモーターの短縮型の強度及び組織特異性を評価するのに、1.75×10
12個のvgのAAV9-TNT-GFPベクターを7週齢の雄C57Bl6マウスに投与した。コントロールとして、1つのマウスの群を1.75×10
12個のvgのAAV9-CMV-GFPベクターで処置した。AAV投与の4週間後に、マウスを屠殺し、GFP発現レベルを評価した。TNTプロモーターの短縮型は、CMVプロモーターで得られるレベルと同様の心臓におけるGFP発現レベルを媒介した(
図6)。さらに、AAV9-TNT-GFPベクターで処置されたマウスでは、AAV9-CMV-GFPベクターを与えた動物よりも低い肝臓におけるGFPレベル(25%の減少)が示され、白色脂肪組織及び褐色脂肪組織においては導入遺伝子の発現がないことが示された(
図6及び
図7)。
【0185】
実施例1.3.ウイルスゲノムサイズの最適化によりAAV中間種の生成が妨げられる
CMVプロモーターの制御下でマウステロメラーゼをコードするAAV9ベクター(AAV9-CMV-mTert)を使用した肺におけるテロメラーゼ発現は、肺線維症及び心筋梗塞における治療有用性を媒介することが報告されている(非特許文献6、非特許文献7)。しかしながら、AAV9-CMV-mTertベクターのウイルスゲノムのサイズは、およそ4.7kbのAAVカプシド形成限界を大幅に超える5291ヌクレオチドであった。さらに、ウイルスゲノムのサイズが大きいため、ポリA配列を発現カセットに含めることができなかった。上記AAVベクターの生成により、幾つかの異なる中間種を含むベクターが生じた(
図8A)。注目すべきことに、全長ウイルスゲノムを含むAAVベクターは明確に検出されなかった(
図8A)。さらに、AAV9-CMV-mTertベクターのゲノムの完全性の分析により、全長AAVゲノムに対応するおよそ5.3kbのバンドと、欠損したゲノムに対応する幅広いスメアとが明らかになった(
図9A及び
図9B)。CMVプロモーターの制御下でネズミ科動物のテロメラーゼの触媒的に不活性な形態をコードし、ウイルスゲノムサイズも5291ヌクレオチドであるAAV9ベクター(AAV9-CMV-mTERT-DN)(非特許文献4)について、ゲノムの完全性及びAAV中間種の生成を評価したところ、同様の結果が得られた(
図8B及び
図9A)。
【0186】
ヒトSpBプロモーターの短縮型の制御下でテロメラーゼをコードするAAVベクターにおける中間種の生成を回避するのに、マウステロメラーゼ(mTERT)及びヒトテロメラーゼ(hTERT)のコーディング配列の網羅的な研究を行った。mTERTのcDNA(3786ヌクレオチド、配列番号1)を、タンパク質のアミノ酸配列を変えることなく、mRNAの3’UTRを欠失させることによって改変し、3369ヌクレオチドの長さのコーディング配列(配列番号2)を得て、TERTコーディング配列の長さを最小限に抑えた。さらに、上記配列をコドン最適化して、タンパク質産生(moTERT、配列番号3)を改善した。TERTコーディング配列のサイズを減少させ、短縮型のヒトSpBプロモーター、CMVenh-MLC2vプロモーター、又はTNTプロモーターを使用した結果、ウシ成長ホルモンのポリA配列(配列番号18)を、AAVのカプシド形成限界を超えずに発現カセット中に含めることができた。具体的には、ウイルスゲノムのサイズは、AAV9-SpB-moTERTについては4638ヌクレオチド(配列番号21)、AAV9-CMVenh-MLC2v-moTERTについては4676ヌクレオチド(配列番号22)、かつAAV9-TNT-moTERTについては4536ヌクレオチド(配列番号23)であった。発現カセットにポリA配列を含めることで、mRNAの安定性、翻訳効率が高まるためTERTタンパク質産生の改善が可能となり、不所望な3’UTR配列の生成を回避してmRNAの適切な終結の促進が可能となり得る。これらのベクターについては、AAV中間種は検出されなかった(
図8C~
図8E)。ゲノムの完全性の分析により、全長AAVゲノムに相当するおよそ4.7kbのバンドが明らかになり、欠損したゲノムが存在しないことが更に確認された(
図9A及び
図9B)。さらに、AAV9-Spb-moTERT、AAV9-CMVenh-MLC2v-moTERT、及びAAV9-TNT-moTertにおいて観察された完全長ベクターゲノムに対応するバンドのより高い強度により、これらのAAV調製物において、AAV9-CMV-mTERT及びAAV9-CMV-mTERT-DNと比べて完全長ゲノムの数がより多いことが示された(
図9A及び
図9B)。
【0187】
実施例1.4.AAV9-SpB-moTERTベクターは肺線維症における治療有用性を媒介する
次に、AAV9-SpB-moTERTベクターが肺線維症の治療有用性を媒介し得るかどうかを評価した。短いテロメアによって誘発された肺線維症のマウスモデルを使用した(Povedano el al (2015) Cell Rep 12, 286-299)。このモデルは、8週齢のG3-Tert
-/-雄マウスにおける低用量、つまり正常な長さのテロメアを有する野生型マウスにおいては線維症を誘発しない用量のブレオマイシン(体重1kg当たり0.5mg)の気管内注入に基づいている。ブレオ傷害の2週間後、各マウスについてコンピューター断層撮影(CT)スキャンを実施して、真正の肺線維症パターンを診断した。肺線維症と診断されたマウスに、2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTERTベクター又はAAV9-nullベクターのいずれかを静脈内(IV)投与した。ウイルス処置の1週間後、3週間後、及び5週間後に、疾患の進行を長期的に追跡するのにCTスキャンを実施した。処置開始時と比較して異常なCTパターンを示す肺罹患容積の減少は、AAV9-SpB-moTERTで形質導入されたマウスにおいて、既に1週間後にAAV9-nullで形質導入されたマウスと比較して有意に高かった(
図10A及び
図10B)。
【0188】
実施例1.5.肺線維症の退縮におけるAAV9-CMV-mTERT及びAAV9-SpB-moTERTの有効性の比較研究
AAV9-CMV-mTERTベクターと比較した、AAV9-SpB-moTERTによって媒介される肺線維症治療における治療有効性も評価した。G3-Tert-/-雄マウスにブレオマイシンを気管内投与し、ブレオ傷害の2週間後に各マウスについてCTを実施して、真正の肺線維症パターンを診断した。肺線維症と診断されたマウスに、2×1012個のvgのAAV-CMV-null、2×1012個のvgのAAV9-CMV-mTERT、又は2×1012個のvgのAAV9-SpB-moTERTのいずれかをIV投与した。ブレオマイシン傷害の前に、各マウスについて初期CTを実施して、ベースラインでの健康な肺の容積を計算し、疾患の進行を更に計算した。
【0189】
AAV9処置の1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、及び8週間後に、疾患の進行をCTによって長期的に追跡調査した。AAV9処置の6週間後と8週間後との間に罹患容積の変化は検出されなかったことから、これは疾患の慢性化を示している(
図11A)。したがって、処置の最初の6週間の間に罹患容積の減少速度を計算した。罹患肺容積の減少速度は、AAV9-CMV-mTERT及びAAV9-SpB-moTERTの両方の処置において同様であり、コントロール群よりも速かった(
図11A及び
図11B)。処置の8週間後にマウスを屠殺した。肺試料においてTERTの発現レベル及び活性(TRAP)を測定した。テロメラーゼ発現をqPCRによって分析した。テロメラーゼ活性を、以前に記載されたように(Herbert et al. Nat Protoc 1;583-1590, (2006)(引用することによりその全体が本明細書の一部をなす))測定した。結果は、未処置動物と比較して、AAV9-CMV-mTERT及びAAV9-SpB-moTERTのどちらで処置された動物においても、より高いTERT発現及びより高いテロメラーゼ活性を裏付けている(
図12A及び
図12B)。
【0190】
実施例1.6.テロメア長、Tert発現、及びテロメラーゼ活性
ATII細胞の特異抗体である抗SPC及びテロメアプローブを用いたimmune-q-Fishを実施して、AAV9-CMV-mTert(n=7)処置マウス、AAV9-SpB-moTert(n=7)処置マウス、及びAAV9-CMV-null(n=6)処置マウスの肺切片におけるテロメア強度を定量化した。AAV9-CMV-mTert群及びAAV9-SpB-moTert群の両者は、AAV9-CMV-null処置群と比較して、ATII細胞だけでなくSPC陰性細胞においても平均核強度及び平均スポット強度の増加を示した(
図13A~
図13D)。さらに、短いテロメアのパーセンテージ(AAV9-CMV-nullコントロール試料の20パーセンタイルより下)は、AAV9-CMV-nullコントロール試料と比較して、AAV9-CMV-mTert及びAAV9-SpB-moTertにおいてより低かった(
図13E及び
図13F)。長いテロメアのパーセンテージ(AAV9-CMV-nullコントロール試料の80パーセンタイルより上)は、AAV9-CMV-nullコントロール試料と比較して、AAV9-CMV-mTert及びAAV9-SpB-moTertにおいてより高かった(
図13G及び
図13H)。アッセイの代表的な画像を
図13Iに示す。これらの結果は、AAV9-CMV-mTERT及びAAV9-SpB-moTERTで処置された肺における真正のテロメア長の増加を示している。
【0191】
Tertの発現レベル及びテロメラーゼ活性を、肺、肝臓、脳、及び心臓において、それぞれq-PCR及びTRAP分析によって決定した(
図14)。結果は、AAV9-SpB-moTERTが心臓でも脳でも発現していないことを裏付けている。
【0192】
実施例2.肺線維症の退縮におけるAAV9-CMV-mTERT及びAAV9-SpB-moTERTの有効性の比較研究
AAV9-SpB-moTERT及びAAV9-CMV-mTERTを、PF(肺線維症)退縮におけるそれらの治療有効性について評価した。短いテロメアによって誘発された肺線維症のマウスモデルを使用した。このモデルは、8週齢のG3-Tert-/-雄マウスにおける低用量、つまり正常な長さのテロメアを有する野生型マウスにおいては線維症を誘発しない用量のブレオマイシン(体重1Kg当たり0.5mg~0.7mg)の気管内注入に基づいていた。ブレオマイシン(ブレオ)傷害の前に、各マウスについて初期CTを実施して、健康な肺の容積を計算し、疾患の進行を更に計算した。ブレオ傷害の2週間後、各マウスについてコンピューター断層撮影(CT)を実施して、真正の肺線維症パターンを診断した。
【0193】
目的
AAV9-CMV-mTertベクターと比較した、AAV9-SpB-moTertによって媒介されるPF退縮における治療有効性の評価。
【0194】
研究デザイン
ベクター:
AAV9-CMV-null(配列番号24は、AAV-CMV-null組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV9-CMV-Tert(配列番号25は、AAV-CMV-Tert組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV9-SpB-moTert(配列番号21は、AAV-SpB-moTert組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)。
【0195】
投与量:
マウス当たり2×1012個のvg。
【0196】
G3-Tert-/-雄マウス(n=48)にブレオマイシン(体重1Kg当たり0.7mg)を気管内投与した。ブレオマイシン(ブレオ)傷害の前に、各マウスについて初期CTを実施して、健康な肺の容積を計算し、疾患の進行を更に計算した。ブレオ傷害の2週間後、各マウスについてコンピューター断層撮影(CT)を実施して、真正の肺線維症パターンを診断した。肺線維症と診断されたマウスに、2×1012個のvgのAAV9-CMV-null(n=7)、2×1012個のvgのAAV9-CMV-mTert(n=8)、又は2×1012個のvgのAAV9-SpB-moTert(n=9)のいずれかをIV投与した。AAV9処置の1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、及び8週間後に、疾患の進行をCTによって長期的に追跡調査した。
【0197】
【0198】
材料及び方法
試験物品及びコントロール物品
ブレオマイシン(Sigma-Aldrichの15361)溶液(0.7mg/ml)を気管内投与用に調製して、マウスにおいて肺線維症を誘発した(体重1Kg当たり0.7mg)。フェンタニル、メデトミジン、及びミダゾラム(40%(容量/容量)-20%(容量/容量)-40%(容量/容量))を含む溶液(体重1g当たり5mL)を腹腔内(IP)注射することによってマウスを麻酔した。ナロキソン及びアチパメゾール(85%(容量/容量)-15%(容量/容量))を含む溶液(体重1g当たり3.5mL)のIP注射によって麻酔を解除した。
【0199】
試験されるウイルスベクターは、AAV9-CMV-null、AAV9-CMV-Tert、及びAAV9-SpB-moTertであった。AAV9-CMV-nullをテロメラーゼ発現についてのネガティブコントロールとして使用した。ウイルスベクターを尾部注射により静脈内(IV)投与した。
【0200】
試験系
8週齢のG3-Tert-/-雄マウスに、ブレオマイシン(Sigma-Aldrich 15361)溶液(0.7mg/ml)を気管内注入により接種して、マウスにおいて肺線維症を誘発した(体重1Kg当たり0.7mg)。注入には、血管内カテーテル(24ゲージ、0.75インチ、0.7mm×19mm)を使用した(BD Insyte、参照番号:381212、ロット:9143584)。フェンタニル、メデトミジン、及びミダゾラム(40%(容量/容量)-20%(容量/容量)-40%(容量/容量))を含む溶液(体重1g当たり5mL)を腹腔内(IP)注射することによってマウスを麻酔した。ナロキソン及びアチパメゾール(85%(容量/容量)-15%(容量/容量))を含む溶液(体重1g当たり3.5mL)のIP注射によって麻酔を解除した。
【0201】
ブレオ傷害の3週間後、各マウスについてCTを実施して、真正の肺線維症パターンを診断した。肺線維症と診断されたマウスに、2×1012個のvgのAAV-CMV-null、2×1012個のvgのAAV9-CMV-mTert、又は2×1012個のvgのAAV9-SpB-moTertのいずれかをIV投与した。ブレオマイシン傷害の前に、各マウスについて初期CTを実施して、ベースラインでの健康な肺の容積を計算し、疾患の進行を更に計算した。AAV9処置の1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、及び8週間後に、疾患の進行をCTによって長期的に追跡調査した。ウイルス処置の8週間後に、マウスを生化学的研究及び組織病理学的研究のために屠殺する。
【0202】
実験プロトコル
この作業の目的は、AAV9-CMV-mTertベクターと比較して、AAV9-SpB-moTertによって媒介される肺線維症の退縮における治療有効性に対処することであった。8週間後、動物を屠殺し、試料(肺、肝臓、心臓、及び脳)を採取した。qPCR又はTRAPによって分析される組織試料をドライアイス上で収集し、免疫組織化学分析用の組織試料をホルマリン中に直接収集して、更にパラフィンブロック内に包埋する。組織試料(肺、肝臓、心臓、及び脳)を、テロメラーゼ発現(q-RT-PCR)及び活性(TRAP)レベルの比較分析用に収集した。毒性評価用にもマウス組織のパラフィンブロックを収集する。肺の免疫組織病理学的研究を、免疫組織化学染色及び免疫蛍光染色によって実施した。さらに、テロメア長の研究を、クララ細胞及び肺胞II型細胞において定量的蛍光in situハイブリダイゼーション技術(q-Fish)によって実施した。
【0203】
テロメラーゼ発現
Tertの転写発現レベルを、フォワードプライマー(5’-CTTCTTCCTGCACTTCCTGC-3’)及びリバースプライマー(5’-GGGATGCCCTGGCACTG-3’)を使用してq-RT-PCRによって分析した。RNA試料を、トリゾール及びジルコニウムビーズを用いて抽出した。cDNAを、RT-qPCR用のiScript Adv cDNAキット(Bio-Rad、参照番号:1725037、バッチ:64375699)を使用して合成した。
【0204】
テロメラーゼ活性
テロメラーゼ活性を、Herbert et al., 2006(Herbert et al., Nature Protocols, 2006)に記載されるテロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)によって分析した。
【0205】
免疫組織化学
組織試料を10%の緩衝ホルマリン中で固定し、脱水し、パラフィンワックス中に包埋し、2.5μmで切片化した。組織切片をキシレン中で脱パラフィン化し、エタノールから水までの段階的な系列によって再水和した。圧力下で2分間煮沸した10mMのクエン酸ナトリウム(pH6.5)で処理した脱パラフィン化組織切片において免疫組織化学(IHC)を実施した。マッソン・トリクローム染色及びピクロシリウスレッド染色を実施して、コラーゲン蓄積物を定量化した。肺切片におけるSMA、F4/80、gH2AX、p53、p21のIHC染色を、マウスモノクローナル(1a4)DAKO IR611、ラットモノクローナル(CI:A3-1)ABD serotec MCA497、マウスモノクローナル(JBW301)Millipore 05-636、ラットモノクローナル(POE316 A/E9)CNIOモノクローナル抗体コアユニットAM(POE316)、及びラットモノクローナル(291H/B5)CNIOモノクローナル抗体コアユニットをそれぞれ用いて実施した。スライドをヘマトキシリンで対比染色し、光学顕微鏡法によって分析した。
【0206】
immno q-Fish
肺切片におけるプロサーファクタントタンパク質C(SP-C)及びセクレトグロビンファミリー1Aメンバー1(SCGB1A1又はCC10)の免疫染色を、ウサギポリクローナル抗proSP-C(Merck、AB3786)及びAlexa Fluor 488にコンジュゲートされたマウスモノクローナル抗CC10(Santa Cruz、sc-365992)を用いて実施した。免疫染色後、4%のパラホルムアルデヒドでの20分間の固定を行った後に、定量的テロメア蛍光in situハイブリダイゼーション技術(q-Fish)により肺胞II型細胞及びクララ細胞におけるテロメア長を分析する。
【0207】
データの分析及び管理
統計的有意性を対応のない両側検定のスチューデントの検定によって対処する。
【0208】
結果
合計48匹のマウスに体重1Kg当たり0.7mgのブレオマイシンを投与した。3週間後にCTを実施したところ、肺線維症と診断された(
図15)。24匹のマウスは、線維化表現型と一致する異常なCTパターンを示した。肺線維症と診断されたマウス(n=24)に、2×10
12個のvgのAAV-CMV-null(n=7)、2×10
12個のvgのAAV9-CMV-mTert(n=8)、又は2×10
12個のvgのAAV9-SpB-moTert(n=9)のいずれかをIV投与した。
【0209】
分子イメージングの結果
AAV9処置の1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、及び8週間後に、疾患の進行をCTによって長期的に追跡調査した(
図15)。AAV9処置の6週間後と8週間後との間に罹患容積の変化は検出されなかったことから、これは疾患が慢性化していることを示している。したがって、処置の最初の6週間の間に罹患容積の減少速度を計算した。罹患肺容積の減少速度は、AAV9-CMV-mTert及びAAV9-SpB-moTertの両方の処置において同様であり、コントロール群よりも早く減少した(
図11A、
図11B)。処置8週間後にマウスを屠殺し、免疫組織化学及び発現/活性分析用にホルマリン組織試料及び新鮮な組織試料(肝臓、心臓、脳、及び肺)を採取した。
【0210】
組織病理学的分析の結果
マウス病理学者が組織病理学的分析を盲目的に実施した。全ての肺試料に肺線維症の組織学的スコアを与えた。シリウスレッドで染色された10視野(200倍)の分析に基づく肺線維症の半定量的スコア付け(グレード0~グレード4)(Lawson et al, 2005, 2011、Degryse AL et al 2012)(
図16)。各グレードの定義は以下の通りである:
グレード0:正常な肺構造、
グレード1:肺胞間中隔の一部(50%以下)の厚さの増加、
グレード2:線維化病変の形成を伴わない肺胞間中隔の50%超の肥厚化、
グレード3:孤立した線維化病変の形成を伴う肺胞間中隔の肥厚化、
グレード4:実質構造の全体的又は準全体的な歪みを伴う多数の線維化病変。
【0211】
結果を
図16に表す。AAV9-CMV-null処置されたコントロール群は、AAV9-CMV-Tert処置群及びAAV9-SpB-Tert処置群の両方と比較して2倍高いPFスコアを示した(
図17A)。注目すべきことに、AAV9-CMV-Tert処置群とAAV9-SpB-Tert処置群との間に有意差は観察されなかったことから、これは両方のベクターが線維化表現型の回復において同等に有効であったことを示している。これらの結果は、処置8週間後のCT値と一致している(
図17B)。実際、CT値とPFスコアとの間のピアソン相関分析は、有意性の高い相関を示している(p<0.0001)(
図17C)。
【0212】
全ての器官の完全な組織病理学的分析も実施したところ、8週間の処置時間窓においてテロメラーゼ遺伝子療法の二次的効果がないことが明らかになった。病理学的所見を表2に記載する。観察された肺炎はブレオマイシン処置によって誘発されたものである。一部のマウスで肝臓、腎臓、及び腸において観察される病理は散発的であり、マウスにおいて共通している。精巣における尿細管萎縮はテロメラーゼ欠損マウスに特徴的である。
【0213】
【0214】
テロメラーゼ発現及びテロメラーゼ活性の結果
肺試料においてテロメラーゼの発現レベル(q-RT-PCR)及び活性(TRAP)を測定した。結果は、未処置動物と比較して、AAV9-CMV-mTert及びAAV9-SpB-moTertのどちらで処置された動物においても、より高いTert発現及びより高いテロメラーゼ活性を示している(
図12A及び
図12B)。
【0215】
肝臓試料、心臓試料、及び脳試料においてテロメラーゼの発現レベル(q-RT-PCR)(
図18A~
図18C)及び活性(TRAP)を測定した(
図19A~
図19C)。テロメラーゼは、肝臓においてAAV9-CMV-Tert及びAAV9-SpB-Tertの両方のベクターで検出され、心臓においてはAAV9-CMV-Tertのみで検出された。脳試料において、テロメラーゼは、AAV9-CMV-Tert及びAAV9-SpB-Tertの両方のベクターで検出されたが、他の分析された組織と比較して非常に低いレベルであった。処置8週間後に、AAV9-CMV-Tertを感染させた肝臓試料を唯一の例外として、肝臓、心臓、及び脳において3つのベクター間でテロメラーゼ活性の有意差は検出されなかった(
図19A~
図19C)。結果は、AAV9-SpB-moTERTが心臓でも脳でも発現していないことを裏付けている。
【0216】
定量的蛍光in situハイブリダイゼーション(q-Fish)によるテロメア長の分析
ATII細胞の特異抗体である抗SPC及びテロメアプローブを用いたimmune-q-Fishを実施して、AAV9-CMV-null(n=6)処置マウス、AAV9-CMV-mTert(n=7)処置マウス、及びAAV9-SpB-moTert(n=7)処置マウスの肺切片におけるテロメア強度を定量化した。アッセイの代表的な画像を
図13に示す。AAV9-CMV-mTert群及びAAV9-SpB-moTert群の両者は、AAV9-CMV-null処置群と比較して、ATII細胞において平均核強度及び平均スポット強度の増加を示した(
図13)。さらに、短いテロメアのパーセンテージ(AAV9-CMV-nullコントロール試料の20パーセンタイルより下)は、AAV9-CMV-nullコントロール試料と比較して、AAV9-CMV-mTert及びAAV9-SpB-moTertにおいてより低かった(
図13)。長いテロメアのパーセンテージ(AAV9-CMV-nullコントロール試料の80パーセンタイルより上)は、AAV9-CMV-nullコントロール試料と比較して、AAV9-CMV-mTert及びAAV9-SpB-moTertにおいてより高かった(
図13)。これらの結果は、AAV9-CMV-moTERT及びAAV9-SpB-moTERTで処置された肺における真正のテロメア長の増加を示している。
【0217】
クララ細胞の特異抗体である抗CC10及びテロメアプローブを用いたimmune-q-Fishを実施して、AAV9-CMV-null(n=6)処置マウス、AAV9-CMV-mTert(n=7)処置マウス、及びAAV9-SpB-moTert(n=7)処置マウスの肺切片におけるテロメア強度を定量化した。アッセイの代表的な画像を
図20に示す。3つの群の中で、平均核強度、平均スポット強度、短いテロメア(AAV9-CMV-nullコントロール試料の20パーセンタイルより下)又は長いテロメアのパーセンテージ(AAV9-CMV-nullコントロール試料の80パーセンタイルより上)のいずれにおいても、差異は検出されなかった(
図21A~
図21D)。これらの結果は、AAV9-CMV-mTertベクターもAAV9-SpB-moTertベクターもクララ細胞においては発現されないことを示している。
【0218】
免疫組織化学分析の結果
エンドポイント(AAV9処置の8週間後)での肺の組織学的検査により、AAV9-SpB-moTert処置された肺が、AAV9-CMV-nullコントロールと比較して、より少ないコラーゲン蓄積、活性化筋線維芽細胞(SMA)の存在の減少、及びより少ないマクロファージ浸潤(F4/80)を表すことが示された(
図22)。さらに、AAV9-SpB-moTert処置された肺では、より少ない数の損傷細胞(gH2AX陽性細胞)、したがって、p53陽性細胞及びp21陽性細胞の数の減少が示された(
図23)。
【0219】
結論
Tert処置マウスにおけるエンドポイントでのより少ない線維化病変、
活性化された線維芽細胞の存在及びマクロファージ浸潤(SMA及びF4/80)の減少、
DNA損傷の減少及びDDRの減弱、
ATII細胞数の増加、
immno qFISH Spc/Tel及びCC10/Tel。Tert処置マウスにおけるATII細胞中のより長いテロメア。クララ細胞におけるテロメア長に影響なし。
【0220】
実施例3.気管内送達経路の評価、並びに肺を遺伝子操作するのに最良のAAV血清型及びプロモーターの選択
気道へのAAVベクターの局所送達は、鼻腔内投与又は気管内投与を介して報告されている(Limberis, MP., et al. Proc Natl AcadSci U S A 2006 Aug 29;103(35):12993-8、Lisa A Santry. BMC Biotechnol. 2017 May 15;17(1):43、Laura P. van Lieshout, Methods Mol Biol. 2019;1950:361-372、Katz, MG. et al. J Cardiovasc Dev Dis. 2019 Feb 15;6(1):8、Kang, M. et al., Nat Commun. 2020 Aug6;11(1):3929)。中和抗体の開発は、ウイルスベクターを含む全ての遺伝子療法にとって重要な障壁である。この意味において、肺は反復投与が可能な器官の1つである。この点に関して、嚢胞性線維症(CF)に罹患しているマウス、ウサギ、非ヒト霊長類、及び患者における気道への局所送達に際してのAAVベクターの再投与が報告されている(Limberis, MP., et al. Proc Natl AcadSci U S A 2006 Aug 29;103(35):12993-8、Guggino, BW., et al. Expert OpinBiolTher. 2017 Oct;17(10):1265-1273)。高レベルの血清循環中和抗体が存在する場合でも最初の曝露から早ければ1ヶ月後に再投与は可能であり、全体的な導入遺伝子発現への影響は最小限であった(Limberis, MP., et al. Proc Natl AcadSci U S A 2006 Aug 29;103(35):12993-8、Guggino, BW., et al. Expert OpinBiolTher. 2017 Oct;17(10):1265-1273)。
【0221】
この実施例の目的
気管内局所投与経路によるAAV9血清型及びAAV6血清型の肺形質導入効率、
AAV6血清型対AAV9血清型の肺指向性、
CMVプロモーターとSpBプロモーターとの間の比較研究、
様々なウイルス力価による肺形質導入効率、
SpBプロモーターの生体内分布及び組織特異性。
【0222】
研究デザイン
ベクター:
AAV9-CMV-null(配列番号24は、AAV-CMV-null組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV9-CMV-GFP(配列番号26は、AAV-CMV-GFP組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV9-SpB-GFP(配列番号27は、AAV-SpB-GFP組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV6-CMV-null(配列番号24は、AAV-CMV-null組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV6-CMV-GFP(配列番号26は、AAV-CMV-GFP組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV6-SpB-GFP(配列番号27は、AAV-SpB-GFP組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)。
【0223】
投与量:
マウス当たり1011個のvg、
マウス当たり5×1011個のvg、
マウス当たり1012個のvg。
【0224】
健康な野生型マウスに、上記の用量でベクターを気管内投与した。感染3週間後又は感染9週間後にマウスを屠殺した。右上葉、右中葉、右下葉、大静脈後葉、及び左葉の5つの肺葉においてGFP発現を評価した。肝臓、心臓、及び脳においてもGFP発現を評価して、オフターゲット組織に対処した。GFP発現を定量的PCR及び免疫組織化学によって分析した。
図24において、実験構成を示す。
【0225】
材料及び方法
試験物品及びコントロール物品
試験されるウイルスベクターは、AAV9-CMV-null、AAV9-CMV-GFP、AAV9-SpB-GFP、AAV6-CMV-null、AAV6-CMV-GFP、及びAAV6-SpB-GFPであった。AAV9-CMV-null及びAAV6-CMV-nullを、GFP発現についてのネガティブコントロールとして使用した。
【0226】
試験系
遺伝的背景がC57BL/6J.OlaHsdの9週齢の野生型マウスに、ウイルスベクターを含む30mLのPBS 0.001%Pluronic F-68(Gibco、参照番号:240-032、ロット:1836664)を気管内注入により接種した。注入には、血管内カテーテル(24ゲージ、0.75インチ、0.7mm×19mm)を使用した(BD Insyte、参照番号:381212、ロット:9143584)。マウスを酸素中の1%~3%のイソフルランを用いて吸入により麻酔した。
【0227】
実験プロトコル
この実施例の目的は、次のことに対処することであった:
1.気管内局所投与経路によるAAV9血清型及びAAV6血清型の肺形質導入効率、
2.AAV6血清型対AAV9血清型の肺指向性、
3.CMVプロモーターとSpBプロモーターとの間の比較研究、
3.様々なウイルス力価による肺形質導入効率、
4.SpBプロモーターの生体内分布及び組織特異性。
【0228】
6種の異なるベクター(AAV9-SpB-GFP、AAV6-SpB-GFP、AAV9-CMV-GFP、AAV6-CMV-GFP、AAV9-CMV-nul、AAV6-CMV-null)を、3通りの異なるウイルス用量(1011、5×1011、又は1012)で健康な野生型マウスにおいて気管内送達した。合計120匹のマウスをこのアッセイに割り当てた。3週間後及び9週間後に、動物を屠殺し、試料(肺、肝臓、心臓、及び脳)を採取した。
【0229】
5種の肺葉を個別に試料採取して、ウイルスの広がりが肺葉間で均一であるかどうかをアッセイした。qPCRによって分析される肺試料をドライアイス上で収集し、免疫組織化学分析用の肺試料をホルマリン中に直接収集して、更にパラフィンブロック内に包埋した。
【0230】
GFPの転写発現レベルを、フォワードプライマー(5’-AGC TGG ACG GCG ACG TAA-3’)及びリバースプライマー(5’-GTG CAG ATG AAC TTC AGG GTC A-3’)を使用してq-RT-PCRによって分析した。RNA試料を、トリゾール及びジルコニウムビーズを用いて抽出した。cDNAを、RT-qPCR用のiScript Adv cDNAキット(Bio-Rad、参照番号:1725037、バッチ:64375699)を使用して合成した。
【0231】
GFP、SPC、及びCC10の免疫組織化学検出
組織試料を10%の緩衝ホルマリン中で固定し、脱水し、パラフィンワックス中に包埋し、2.5μmで切片化した。組織切片をキシレン中で脱パラフィン化し、エタノールから水までの段階的な系列によって再水和した。圧力下で2分間煮沸した10mMのクエン酸ナトリウム(pH6.5)で処理した脱パラフィン化組織切片において免疫組織化学(IHC)を実施した。肺切片、肝臓切片、脳切片、及び心臓切片におけるGFPのIHC染色を、ウサギモノクローナル(D5.1)抗GFP(1:100、Cell Signaling Technology)を用いて実施した。肺切片におけるプロサーファクタントタンパク質C(SP-C)のIHC染色を、ウサギモノクローナル(EPR19839)抗SPC(1:100、ABCAM、参照番号:ab211326)を用いて実施した。肺切片におけるセクレトグロビンファミリー1Aメンバー1(SCGB1A1又はCC10)のIHC染色を、ヤギポリクローナル(EPR19839)抗CC10(1:100、ABCAM、参照番号:ab211326)を用いて実施した。スライドをヘマトキシリンで対比染色し、光学顕微鏡法によって分析した。
【0232】
データの分析及び管理
統計的有意性を対応のない両側検定のスチューデントの検定によって対処する。
【0233】
逸脱
計画的又は計画外のどちらのプロトコルからのあらゆる逸脱もこの研究報告書に文書化する。
【0234】
計画的逸脱
感染9週間後に屠殺したマウスに対応する肺試料を以下のように採取した。左肺葉をドライアイス上で収集し、q-RT-PCR分析用に-80℃で貯蔵した。右葉をホルマリン中で固定し、IHC分析用にパラフィン包埋用の単一のカセットに入れた。この逸脱は、異なる肺葉の間でウイルスの広がりに有意差が検出されなかったことを考慮して、感染3週間後のGFP発現レベルの分析からの結果に基づいて計画された。
【0235】
結果
ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後でのq-RT-PCRによる肺試料におけるGFP発現の定量化
感染3週間後の様々な肺葉におけるq-RT-PCR分析からの結果を
図25に示す。使用されるどのベクターに関しても、異なる肺葉間でのウイルスの広がりの違いは観察されなかった。したがって、各肺からの5種の異なる肺葉の全てのデータをプールした(
図26A)。
図26Bにおいて、感染9週間後の左肺葉におけるq-RT-PCR分析に対応するデータを示す。発現レベルは感染3週間後から感染9週間後まで維持された。この観察により、サンプルサイズを増加させるには3週間及び9週間で屠殺したマウスからのデータをプールすることが促された(
図27)。結果は、研究対象の全てのウイルス用量で、AAV6血清型がAAV9血清型よりも高い発現レベルをもたらし、かつSpBプロモーター及びCMVプロモーターが同様の発現レベルを与えることを示している。さらに、マウス当たり5×10
11個のvgとマウス当たり10
12個のvgとのウイルス力価の間でGFP発現レベルにおける差異は観察されなかったことから、これはマウス当たり5×10
11個のvg以下のウイルス力価では感染力が飽和することを示している。
【0236】
ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後でのIHCによる肺試料におけるGFP陽性細胞の定量化
感染3週間後の様々な肺葉におけるIHC分析からの結果を
図28に示す。使用されるどのベクターでも、異なる肺葉間でウイルスの広がりの違いは観察されなかったことから、これは肺葉全体にウイルス粒子が均一に分布していることを示している(
図28)。したがって、各肺からの5種の異なる肺葉の全てのデータをプールした(
図29A)。
図29Bにおいて、感染9週間後の左肺葉におけるIHC分析に対応するデータを示す。GFP陽性細胞のパーセンテージは、アッセイにおいて3通りの力価で感染9週間後に検出することができなかったAAV9-CMV-GFPを除いて、全てのウイルスベクターで感染3週間後から感染9週間後まで維持された(
図29)。この結果は、研究対象の全てのウイルス用量で、AAV6血清型がAAV9血清型よりも高い肺指向性を示すことを指摘している。また、SpBプロモーター下でGFP発現を駆動するウイルスベクターは、血清型とは無関係に、CMVプロモーターを有するウイルスベクターよりも多くの感染細胞数をもたらす。さらに、マウス当たり5×10
11個のvgとマウス当たり10
12個のvgとのウイルス力価の間でGFP陽性細胞のパーセンテージにおける差異は観察されなかったことから、これはマウス当たり5×10
11個のvg以下のウイルス力価では感染力が飽和することを示している。GFP陽性細胞のパーセンテージは、研究対象の3通りのウイルス用量で、AAV9-SpB-GFPベクター及びAAV6-SpB-GFPベクターによる感染の3週間後から9週間後まで維持された。
【0237】
AAV9-CMV-GFP及びAAV6-CMV-GFPで形質導入された肺では、感染9週間後に、GFP陽性細胞は非常に少なく、それぞれ全肺細胞の0.3%及び1%を下回ることが明らかになった。
【0238】
研究対象の全てのベクターを用いたマウス当たり10
12個のvgの力価に対応する代表的な画像を
図30に示す。
【0239】
肺試料におけるウイルスベクターの標的となる肺胞II型細胞及びクララ細胞の特定及び定量化
本実施例における研究対象の様々なウイルスベクターの標的となる肺胞II型細胞(ATII)のパーセンテージ及びクララ細胞のパーセンテージを決定するのに、抗GFP並びにそれぞれATII細胞及びクララ細胞に特異的なマーカーである抗SpC又は抗CC10のいずれかを用いたIHCによる二重染色を実施した。分析された肺は、感染9週間後に屠殺されたマウスに相当する。これらの染色の代表的な画像を
図31及び
図32に示す。AAV9-CMV-GFPを感染させた肺は、0.3%を下回るGFP陽性細胞を示す(
図29B)。AAV6-CMV-GFPを感染させた肺は、1%を下回るGFP陽性細胞を示し(
図29B)、そのいずれもCC10陽性ではなかったことから、このベクターがクララ細胞を標的としないことを示している。GFP陽性細胞は主にSPC陽性であったが、一部のGFP陽性細胞はSPC/CC10陰性であることも判明したことから、このベクターがクララ細胞及びATII細胞以外の他の細胞型も標的とすることを示している。
【0240】
AAV9-SpB-GFPを感染させた肺は、5.7%、4%、及び10%のGFP陽性細胞を示し(
図29B)、そのうちGFP陽性細胞の100%がSPC陽性であったことから、このベクターがATII細胞のみを標的とすることを示している。
【0241】
3通りのウイルス力価でAAV6-SpB-GFPを形質導入した肺における定量化データを
図33に示す。SpC陽性細胞、すなわちATII細胞のパーセンテージは、分析した3通りのウイルス力価では全肺細胞の14%~17%に相当する(
図33A)。全ATII細胞のうち、36%、45%、及び55%が、それぞれマウス当たり10
11個のvg、マウス当たり5×10
11個のvg、及びマウス当たり10
12個のvgでGFP陽性であった(
図33B)。全GFP陽性細胞のうち、73%、78%、及び73% 78%が、それぞれマウス当たり10
11個のvg、マウス当たり5×10
11個のvg、及びマウス当たり10
12個のvgで陽性のATII細胞に相当する(
図33C)。AAV6-SpB-GFPの標的となるCC10陽性細胞、すなわちクララ細胞のパーセンテージは、マウス当たり10
11個のvg、マウス当たり5×10
11個のvg、及びマウス当たり10
12個のvgで、それぞれ7%、15.5%、及び20.2%に相当する(
図33D)。全GFP陽性細胞のうち、11.5%、21.4%、及び32.2%がクララ細胞に相当する(
図33E)。したがって、AAV6-SpB-GFPはATII細胞(およそ80%)及びクララ細胞(およそ20%)を標的とする。
【0242】
オフターゲット器官:肝臓、心臓、及び脳へのウイルス指向性
ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肝臓及び心臓におけるIHCによるGFP陽性細胞の定量化
感染3週間後及び感染9週間後の肝臓試料及び心臓試料におけるIHC分析からの結果を
図34に表す。比較の目的で、肺試料からの結果も示す。どちらの時点でもGFP陽性細胞が検出されなかったため、AAV6血清型は肝臓と心臓とのどちらも標的としなかった。AAV9-CMV-GFP及びAAV9-SpB-GFPは、感染3週間後及び感染9週間後に肝臓においてGFP陽性細胞をもたらし、GFP陽性細胞のパーセンテージは、所与のウイルス力価で、AAV9-SpB-GFPよりもAAV9-CMV-GFPでの方が高い。GFP陽性細胞の数は、感染3週間後と比較して9週間では大幅に減少した(
図34A、
図34B)。AAV9-CMV-GFPで形質導入されたマウスからの心臓試料において、マウス当たり10
11個のvg及びマウス当たり5×10
11個のvgのより高いウイルス力価での感染の3週間後に全心臓細胞の0.1%を下回るごく少数のGFP陽性細胞しか検出されなかった(
図34C、
図34D)。
【0243】
明らかに、これらの結果は、肺細胞、特にATII細胞及びクララ細胞に対するSpBプロモーターの特異性だけでなく、AAV9血清型と比較してAAV6を使用した場合にオフターゲット器官がより少ないことも裏付けている(
図34E、
図34F)。
【0244】
ウイルスベクターによる感染の3週間後及び9週間後での肝臓、心臓、及び脳におけるq-RT-PCRによるGFP発現レベルの定量化
感染3週間後及び感染9週間後での肝臓試料、心臓試料、及び脳試料におけるq-RT-PCRによるGFP発現レベルの結果を
図35に示す。これら3つの器官においては、どちらの時点でもGFP発現は無視することができるほどであった。
【0245】
結論
AAV6血清型及びSpBプロモーターを更なるアッセイに選択したところ(実施例5及び実施例6を参照)、AAV6がAAV9血清型よりも優れていたが、AAV9血清型を更なる分析用に廃棄すべきではない。選択されたウイルス力価はマウス当たり1011個のvg及びマウス当たり5×1011個のvgであった。AAV6血清型及びSpBプロモーターは肺に対して高度に特異的であり、気管内投与した場合にオフターゲット器官において指向性を示さなかった。
【0246】
実施例4.研究グレードのAAV6-SpB-moTERTベクターの生成及び特性評価
この実施例の目的は、研究グレードのAAV6-SpB-moTERTベクターを生成し、特性評価することであった。このために、プラスミドpAAV-SpB-moTERT-bGHを、pRepCap6及びAAV血清型6型の生成に必要なヘルパー遺伝子を含むpAdHelperプラスミドとともにHEK293細胞に同時トランスフェクションさせた。AAV6-SpB-moTERTベクターをPEG沈殿及び二重CsCl勾配によって精製し、PBS(2×)+0.001%のPF68中で配合し、滅菌濾過した。精製後に、幾つかの品質属性を決定して、生成されたAAVベクターを特性評価した。
【0247】
方法
AAVベクターの生成
ローラーボトル内の接着性HEK-293細胞を、トランスフェクション剤としてのPEI-MAX(Polyscience)及び以下のプラスミド:1)REP2遺伝子及びCAP遺伝子をコードする最適化されたパッケージングプラスミドpREPCAP、2)最小限のプラスミドサイズでAAVベクター生成に必要とされる全てのアデノウイルス機能を提供する、E2遺伝子、E4遺伝子、及びVA-RNA遺伝子をコードする最適化されたアデノウイルスヘルパープラスミドpAdHelper、3)AAV2のITR配列によって両側が挟まれた発現カセットを含むプラスミドで三重トランスフェクションさせた。
【0248】
トランスフェクションの72時間後にHEK-293細胞を採取した。細胞を遠心分離によって培地(AAVベクターを含む)から分離し、超音波処理によって溶解した。溶解した細胞を遠心分離して細胞破片を除去し、上清(AAVベクターを含む)を保持し、AAVベクターを含む培地に加えた。次いで、全てのAAV粒子をPEG沈殿によって濃縮した(1)。AAV-PEGペレットを再懸濁した後、上清を100U/mlの最終濃度でベンゾナーゼ(Merk)により処理した。次に、2回のCsCl勾配遠心分離を実施して、完全なAAVカプシドを空のAAVカプシドから分離した。1回目のCsCl勾配(不連続勾配、16時間、スイングバケットローターSW32(Beckman)、27000rpm)において、大部分のタンパク質不純物及び空のAAVカプシドから完全なAAVベクターを分離した。2回目の勾配(等密度勾配、48時間、スイングバケットローターSW40Ti(Beckman)、32000rpm)において、タンパク質不純物、中間種、及び残りの空のAAVカプシドから完全なAAVベクターを分離した。次に、完全なAAVベクターを、Slide-A-Lyser Cassette(Life Technologies)を用いて、所望の配合バッファーによって透析した。最後に、AAVベクターをMillex GV 0.2μmシリンジフィルター(Millipore)を用いて滅菌濾過し、-60℃未満で貯蔵した。
【0249】
デジタルドロップレットPCR(digital droplet PCR)によるベクターゲノム力価の定量化
デジタルドロップレットPCRによるベクターゲノム力価の定量化を、Bio RadによるDigital Droplet PCR(ddPCR)システムを使用して実施した。qPCR反応の前に、試料を10ユニットのDNAseI(カタログ番号04716728001、Roche)で消化して、AAVカプシドの外側に存在する可能性のあるDNA汚染物質を除去した。次いで、SDSを0.1%の最終濃度まで加えて70℃で1時間インキュベートすることによってAAV粒子を溶解した。次に、EDTAを5mMの最終濃度まで加えて、DNAseI活性を阻害した。次いで、試料がこの技術の定量範囲内にほぼ確実に収まるように、試料を1ml当たり5×106個のvgまで希釈した。次いで、試料を、蛍光プローブ及びmoTERT配列を標的とするプライマー(フォワード:CACCAGACACAACGAGAGAAG、リバース:CTCGACCTTCATCTTCCACATC、FAM-プローブ:AGGGACAGCTTGCCGTACTTCC)及びITR2配列を標的とするプライマー(フォワード:GGAACCCCTAGTGATGGAGTT、リバース:CGGCCTCAGTGAGCGA、HEX-プローブ:HEX-CACTCCCTCTCTGCGCGCTCG-BBQ)を含むPCRミックス溶液と混合した。
【0250】
続いて、プローブに特異的な液滴生成オイル(Droplet Generation Oil)(カタログ番号1863005、Bio Rad)を加え、Bio RadによるQX100液滴生成装置(Droplet generator)(カタログ番号186-3002)を使用することによって、液滴を形成した。次いで、液滴をPCRプレートに移し、サーモサイクラーに入れ、PCR増幅(60℃で40サイクル)に供した。最後に、QX100液滴リーダー(droplet reader)(カタログ番号:186-3001、Bio Rad)を使用して、液滴を陽性増幅又は陰性増幅について計数した。
【0251】
データ分析を、QuantaSoftソフトウェアバージョン1.7.4(Bio Rad)を使用して実施した。最終力価を、手順中に行われる様々な希釈でソフトウェアによって提供される1μl当たりのコピーの値を補正することによって計算した。
【0252】
PicoGreenアッセイによるベクターゲノム力価の定量化
AAVベクターを、標準としてラムダDNA(キットに含まれている)を使用した蛍光分析法によるdsDNAの濃度の決定を可能にするQuant-iT PicoGreen dsDNAアッセイキット(カタログ番号P11496、Invitrogen)を使用して定量化した。AAVベクターを、0.1%のSDSとともに70℃で1時間インキュベートしてカプシドを溶解するか、又はネガティブコントロールとして0.1%のSDSなしで室温にてインキュベートした。次に、試料を徐々に25℃まで冷却してdsDNAを形成し、Tris-EDTAバッファー中で希釈した。希釈した試料をPicoGreen色素と混合し、黒色の96ウェルアッセイプレートへとロードした。蛍光をSynergy(商標)HTXマルチモードマイクロプレートリーダー(Multi-Mode Microplate Reader)を用いて測定した。
【0253】
ベクターゲノム力価を定量化するのに、溶解されたAAVベクターの蛍光シグナルから溶解されていないAAVベクターの蛍光シグナルを差し引いてデルタ蛍光を取得した。Lambda Standard段階希釈により作成された標準曲線を使用して、rAAV試料のデルタ蛍光値を補間し、こうしてベクターゲノム濃度をng/mlで取得した。以下の式を使用して、ベクター力価をng/mlからvg/mlで計算した:
vg/ml=(ng/ml)×1.85×1012×希釈/(AAVベクターの長さ)。
【0254】
AAVベクタータンパク質染色の分析
AAVベクターをLaemmliバッファーで95℃にて5分間処理してカプシドを変性させた。ポリアクリルアミドゲル電気泳動を使用して、AAVベクターカプシドを形成するタンパク質と、バッチに混入している可能性のあるタンパク質とを分離した。タンパク質を、シプロルビー染色(Invitrogen)によって染色した。AAVベクターカプシドを形成する3つのウイルスタンパク質(VP1、VP2、及びVP3)の存在、それらの正確な割合(同様の強度を有するVP1バンド及びVP2バンド、並びに最も高い強度を有するVP3バンド)、及び不純物の存在を蛍光分析法(Syngene Gene Geniusバイオイメージングシステム)によって確認した。
【0255】
光学密度によるベクターゲノム及びウイルス粒子力価の定量化
260nm及び280nmでの試料の吸光度を、Synergy(商標)HTXマルチモードマイクロプレートリーダーにおいてTake3マイクロボリュームプレートを使用して測定した。dsDNAの吸光係数をssDNAに変更するSommerら(2)によって記載された式に従って、ベクターゲノム及びウイルス粒子の力価を計算した。
vp/vg=MWDNA×(εssDNA260-εssDNA280×吸光度260/吸光度280)/((吸光度260/吸光度280)×εカプシド280-εカプシド260))
vg/ml=吸光度260×(6.02×1020/(εssDNA260×MW+εカプシド260×vp/vg))、
式中、
εssDNA260(吸光係数ssDNA260)=27g-1×L×cm-1
εssDNA280(吸光係数ssDNA280)=15g-1×L×cm-1
MWDNA(パッケージングされたDNAの分子量)=ヌクレオチド数×MWヌクレオチド
MWssDNA=n゜A×312.2Da+n゜C×288.2Da+n゜G×328.2Da+n゜T×303.2Da
εカプシド260(260nmでのAAVカプシドのモル吸光係数)
εカプシド280(280nmでのAAVカプシドのモル吸光係数)。
【0256】
アルカリゲル電気泳動によるAAVベクターのゲノムの完全性の決定
AAVベクターのゲノムの完全性を、一本鎖DNAを分析することができるアルカリアガロースゲル電気泳動(変性条件)によって評価した。最初に、5×1011個のvgの各バッチをアルカリローディングバッファーと混合し、95℃で5分間煮沸して、AAV粒子を溶解させた。次に、DNAを変性条件下でアガロースゲル電気泳動に供した。最後に、バンドのサイズ及び質を検査して、ゲノムの完全性を評価した。同量のベクターゲノムを処理してアルカリアガロースゲルにロードしたが、この技術の特性によりバンド強度に違いが観察される場合がある。バンド強度におけるこれらの推定上の違いにより、ベクター濃度における違いが説明されない場合がある。
【0257】
AAVベクターのゲノムは一本鎖DNAであるが、センス鎖及びアンチセンス鎖(およそ50%の各鎖)によって形成される。二本鎖DNA(DNAラダー等)又はプラス鎖及びマイナス鎖を有する一本鎖DNAにより、変性アガロースゲルにおいて、別々に流れるセンス鎖及びアンチセンス鎖に対応する二重のバンド(又は拡散バンド)が示される場合がある(Eva Hegedues et al., 2009)。
【0258】
ELISAによるウイルス粒子力価の定量化
AAVウイルス粒子(完全な粒子及び空の粒子)を、AAV力価測定ELISAキット(AAV6力価測定ELISAキット(AAV6 Titration ELISA kit)、Progen、商品番号PRAAV6)を用いて定量化した。捕捉抗体は、集合していないカプシドタンパク質には存在しない立体構造エピトープを検出する。このアッセイはサンドイッチELISA技術に基づいている。集合したAAVカプシド上の立体構造エピトープに特異的なモノクローナル抗体をマイクロタイタープレートのストリップ上にコーティングし、これを使用して試料からAAV粒子を捕捉した。捕捉されたAAV粒子を2段階で検出した。第一に、AAVに対するビオチンがコンジュゲートされたモノクローナル抗体を免疫複合体に結合させた。第二に、ストレプトアビジンペルオキシダーゼコンジュゲートがビオチン分子と反応した。基質溶液の添加により呈色反応が起こり、これは特異的に結合したウイルス粒子の量に比例していた。吸光度を450nmで測定した。
【0259】
in vitro効力アッセイ:mRNA発現
この研究では、AAVベクターによる形質導入の増強を示すため、2v6.11細胞を使用した。HEK293細胞から生成されたこの細胞系統においては、Ad5 E4がエクジソン誘導性プロモーターの制御下で発現され、それによりエクジソン類似体であるポナステロンAによるE4発現の誘導が可能となる。
【0260】
感染の前日に、2v6.11細胞を1ウェル当たり2×105個の細胞の密度で24ウェルプレートに播種した。抗生物質(ペニシリン=10000U/ml、ストレプトマイシン=10000μg/ml)及び1μg/mlのポナステロンAを補充した成長培地(DMEM+10%のFBS)中で37℃及び5%CO2にて細胞を成長させた。
【0261】
感染前に、細胞を明視野顕微鏡で正確な細胞コンフルエンス(70%~80%)について評価した。細胞数を決定するのに、4つのウェルの細胞をトリプシン処理し、Scepter 2.0ハンドヘルド自動セルカウンター(Scepter 2.0 Handheld Automated Cell Counter)(Merck-Millipore)を用いて細胞数を定量化した。細胞にAAV-953ベクターを、細胞当たり32000個のvg、細胞当たり64000個のvg、及び細胞当たり128000個のvgのMOIにて感染させた。細胞を三連で感染させた。非感染2v6.11細胞(NI)をネガティブコントロールとして使用した。
【0262】
感染48時間後で、かつ細胞生存率を評価した後に、細胞を500μlの1×PBSで穏やかに洗浄し、350μlのRLT+β-メルカプトエタノール(10μl/ml)(RNeasyミニキット(RNeasy Mini Kit)、Qiagen)中に収集した。RNAを、RNeasyミニキット(Qiagen)及びRNase不含DNase I(Qiagen)を用いて、製造業者によって提供されるプロトコルに従って抽出したが、但し、感染したAAVベクターゲノムの適切な分解を確実にするのに、オンカラムDNAse I消化を標準の15分から30分に延長した。1μgの各RNA試料を、Transcriptor FirstStrand cDNA合成キット(Transcriptor FirstStrand cDNA Synthesis kit)(Roche)を使用して逆転写させた。qPCRを、プライマー及び2μlの試料(1/10希釈)を使用して三連で実施した。発現を定量化するのに、moTERTを標的とするプライマー-プローブミックスを使用した(フォワードプライマー:GGA AGT GTT CTG CGA CTA CAG、リバースプライマー:CAG CTT GTT CCT CAT GGT CTT、プローブ:/56-FAM/CTACGCCCA/ZEN/GACCAGCATCAAGAC/3IABkFQ/)。ハウスキーピング遺伝子hRplp0用のプライマー-プローブミックスを使用して正規化した(フォワードプライマー:CAG ACA GAC ACT GGC AAC AT、リバースプライマー:GCA GCA TCT ACA ACC CTG AA、プローブ:/5HEX/AA CTC TGC A/ZEN/TT CTC GCT TCC TGG A/3IABkFQ)。
【0263】
品質管理:結果
AAVベクターの生成
バッチAAV-953を生成するのに、50個のローラーボトルをトランスフェクションさせた。
【0264】
PEG沈殿及び1回目の塩化セシウムの後、バッチAAV-953の2回目のCsCl勾配により、完全なベクターに対応する強いバンドが示された(
図36)。空の粒子は1回目の勾配において除去された。
【0265】
AAVベクターをPBS(2×)+0.001%のPluronic F68中で透析した。滅菌濾過後、2.695mlのAAV6-SpB-moTERT-bGHを-80℃で貯蔵した。
【0266】
デジタルドロップレットPCRによるベクターゲノム力価の定量化
2つの定量化を2つの独立した日に実施した。AAVベクターを、全てのAAVベクター中に存在する導入遺伝子(moTERT)及びITR2を標的とする二重ddPCRアッセイで定量化した。
【0267】
【0268】
【0269】
AAVベクターの定量化に使用した2つのプライマーセットを用いて同様の力価が得られた。
【0270】
導入遺伝子(moTERT)を標的とするプライマーセットを用いて得られた力価を選択してバッチの力価として報告し、in vitro実験及びin vivo実験に使用した。
【0271】
PicoGreenアッセイによるベクターゲノム力価の定量化
PicoGreenアッセイをddPCRアッセイの直交法として使用して、AAVベクターの力価を決定した。
【0272】
【0273】
PicoGreenアッセイとddPCRアッセイとの間で同様の力価が得られた。
【0274】
AAVベクタータンパク質染色の分析
ベクターのバッチ純度をシプロルビータンパク質染色によって決定した。AAV-953バッチタンパク質染色により、3つのウイルス粒子(VP)及び優れた純度が示された(
図37)。
【0275】
ELISAによるウイルス粒子力価の定量化
Progen製のAAV6 ELISAキット(商品番号PRAAV6)を使用して、AAV-953バッチのAAV粒子を定量化した。
【0276】
【0277】
ベクターゲノム及びウイルス粒子の同様の力価が得られたことから、これはバッチが主に完全な粒子から構成されていることを示している。
【0278】
光学密度によるベクターゲノム及びウイルス粒子力価の定量化
光学密度アッセイを、AAVベクターの力価を決定するddPCRアッセイの直交法、及びウイルス粒子の濃度を決定するELISAの直交法の両方として使用した。
【0279】
【0280】
ベクターゲノム及びウイルス粒子の同様の力価が得られたことから、これはバッチが主に完全な粒子から構成されていることを示している。
【0281】
AAVベクターのゲノムの完全性の決定
ベクターゲノムの完全性をアルカリアガロースゲルによって決定した(
図38)。AAV-953バッチは、全長ベクターゲノムに対応する4500塩基付近に主バンドを示した。
【0282】
in vitro効力アッセイ:mRNA発現
2v6.11細胞にベクターAAV-953を感染させて、moTERT mRNAの発現を得た。さらに、moTERTの発現レベルはベクター用量(MOI)に比例していた(
図39)。
【0283】
本発明において使用されるAAV6-Spb-moTERTベクターのベクターゲノムの完全性をアルカリアガロースゲルによって決定した(
図40)。ゲノムの完全性の分析により、全長AAVゲノムに相当するおよそ4.7kbのバンドが明らかになり、欠損したゲノムが存在しないことが更に確認された(
図40)。AAV9-Spb-moTERT、AAV9-CMVenh-MLC2v-moTERT、及びAAV9-TNT-moTERTに対してなされた観察と同様に(
図9A及び
図9B)、AAV6-Spb-moTERTにおいて観察された全長ベクターゲノムに対応するバンドの強度が高いほど、サイズ超過したTERTをコードする発現カセットを含むAAVベクター(AAV9-CMV-mTERT及びAAV9-CMV-mTERT-DN)と比較して、このAAV調製物において全長ゲノムの数が多いことが示された(
図9A及び
図9B)。
【0284】
実施例5.健康なマウスにおけるAAV6-SpB-moTertの気管内投与時の肺におけるテロメラーゼ発現レベルの評価
この実施例において、気管内投与によるAAV6-SpB-moTert形質導入マウスにおけるテロメラーゼの発現及び活性を測定し、マウス当たり1011個のvgとマウス当たり5×1011個のvgとの間で比較した。
【0285】
研究デザイン
ベクター:
AAV6-SpB-null(配列番号28は、AAV-SpB-null組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)、
AAV6-SpB-moTert(配列番号21は、AAV-SpB-moTert組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを表す)。
【0286】
投与量:
D1.マウス当たり1011個のvg、
D2.マウス当たり5×1011個のvg。
【0287】
健康な野生型マウス(9週齢)に、AAV6-SpB-nullをマウス当たり5×10
11個のvgで、そしてAAV6-SpB-moTertをマウス当たり1×10
11個のvg及びマウス当たり5×10
11個のvgで気管内投与した。1群当たり10匹のマウスが含まれていた。感染6週間後にマウスを屠殺した。ウイルスゲノム、テロメラーゼ発現レベル、及びテロメラーゼ活性を肺及びオフターゲット組織において評価した。AAV6感染細胞のパーセンテージだけでなくテロメア長も分析した。
図41に実験構成を示す。
【0288】
材料及び方法
試験物品及びコントロール物品
試験されるウイルスベクターは、AAV6-SpB-null及びAAV6-SpB-moTertであった。AAV6-SpB-nullをテロメラーゼ発現についてのネガティブコントロールとして使用した。
【0289】
試験系
遺伝的背景がC57BL/6J.OlaHsdの9週齢の野生型マウスに、ウイルスベクターを含む30mLの2×PBS 0.001%Pluronic F-68(Gibco、参照番号:240-032、ロット:1836664)を気管内注入により接種した。注入には、血管内カテーテル(24ゲージ、0.75インチ、0.7mm×19mm)を使用した(BD Insyte、参照番号:381212、ロット:9143584)。マウスを、酸素中の1%~3%のイソフルランを用いて吸入により麻酔した。
【0290】
実験プロトコル
このアッセイの目的は、次のことに対処することであった:
2種の異なるベクター(AAV6-SpB-null及びAAV6-SpB-moTert)を、2通りの異なるウイルス用量(マウス当たり1011個のvg、マウス当たり5×1011個のvg)で健康な野生型マウスにおいて気管内送達した。合計30匹のマウスをこのアッセイに割り当てた。6週間後、動物を屠殺し、試料(肺、肝臓、心臓、及び脳)を採取した。
qPCRによって分析される組織試料をドライアイス上で収集し、免疫組織化学分析用の組織試料をホルマリン中に直接収集して、更にパラフィンブロック内に包埋した。
【0291】
テロメラーゼ発現
Tertの転写発現レベルを、セット1及びセット2の2種の異なるプライマーセットを使用したq-RT-PCRによって分析した。セット1は、フォワードプライマー(5’-TAG CCC TGG CAA GGA TAG A-3’)及びリバースプライマー(5’-GCT CTC GGT GAT GTA GAA GAA G-3’)から構成されていた。セット2は、フォワードプライマー(5’-CAC CAG ACA CAA CGA GAG AAG-3’)及びリバースプライマー(5’-CTC GAC CTT CAT CTT CCA CAT C-3’)から構成されていた。RNA試料を、トリゾール及びジルコニウムビーズを用いて抽出した。cDNAを、RT-qPCR用のiScript Adv cDNAキット(Bio-Rad、参照番号:1725037、バッチ:64375699)を使用して合成した。
【0292】
ウイルスゲノムの定量化
示された組織からのDNAを、塩析に基づく市販キット(MasterPure(商標)DNA精製キット、Epicentre、文献番号113・6/2012 EPILIT113 Rev.A、カタログ番号MCD85201)を使用して抽出した。細胞当たりのウイルスゲノムの数を、プライマーセット1及びプライマーセット2(上記参照)を使用したqPCRによって分析した。検量線を、moTert遺伝子を有する線状化プラスミドの段階希釈によって作成した。
【0293】
テロメラーゼ活性
テロメラーゼ活性を、Herbert et al., 2006(Herbert et al., Nature Protocols, 2006)及びBlasco et al 1997(Blasco et al., Cell 1997)に記載されるテロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)によって分析した。
【0294】
テロメラーゼRNAスコープ
肺形質導入効率を分析するとともに、moTertを発現する特定の細胞型を特定するのに、moTert RNAに特異的なプローブを設計し、ACDBIO(www.acdbio.com)から購入した。プロサーファクタントタンパク質C(SP-C)に関して、ウサギモノクローナル(EPR19839)抗SPC(1:100、ABCAM、参照番号:ab211326)及びmoTert RNAスコープによる二重免疫染色を実施して、moTertを発現する肺胞II型細胞のパーセンテージを定量的に分析した。肺切片におけるセクレトグロビンファミリー1Aメンバー1(SCGB1A1又はCC10)に関して、ヤギポリクローナル(EPR19839)抗CC10(1:100、ABCAM、参照番号:ab211326)及びmoTert RNAスコープによる二重免疫染色を実施して、moTertを発現するクララ細胞のパーセンテージを定量的に分析した。
【0295】
テロメア長の分析
moTert RNAスコープ及びテロメアプローブを用いた二重蛍光in situハイブリダイゼーション(q-Fish)を実施して、moTertを発現する細胞におけるテロメア長を分析した。
【0296】
データの分析及び管理
統計的有意性を対応のない両側検定のスチューデントの検定によって対処する。
【0297】
結果
肺(感染6週間後)
肺におけるテロメラーゼ活性の増加。発現とTRAPとの間の良好な相関。
肺における20%を超える細胞のmoTERTに対する陽性染色(RNAスコープ)(
図46を参照)。
SPC(ATII細胞)及びCC10(クララ細胞)による同時染色(
図47を参照)。
テロメア定量化(長さ)。同じ動物における細胞の比較(感染細胞対非感染細胞)。テロメアの延長は平均して4.5%(D1)、7.5%(D2)である(
図48を参照)。
平均核強度。テロメア長についての別の読み取り値(7.8%)(
図48を参照)。
スポット数が増加する。短いテロメアの延長(8%~10%)(
図48を参照)。
テロメアの分布により、AAV6-SpB-Tertで形質導入された細胞において、短いテロメアのパーセンテージ(非形質導入細胞の20%パーセンタイル)が減少し、かつ長いテロメアのパーセンテージ(非形質導入細胞の80%パーセンタイル)が増加することが示された。さらに、テロメアスポットの数も、AAV6-SpB-Tertで形質導入された細胞において、同じマウスにおける形質導入されていない細胞と比較して増加する。これらの結果は、短いテロメアが実際に伸長していることを示している(
図49を参照)。
【0298】
肝臓
肝臓においてin vivoでテロメラーゼ発現は検出されなかった(
図44を参照)。
【0299】
実施例6.AAV6-SPB-MOTERTの気管内投与時の肺におけるテロメラーゼ発現レベルの評価
この実施例においては、短期及び長期における肺線維症の退縮及び/又は治癒におけるAAV6-SpB-moTert処置の有効性に取り組むことを目的としている。PF(肺線維症)と診断されたマウスの生存におけるAAV6-SpB-moTert処置の効果。この実施例では、Povedano et al, 2015、非特許文献6において記載されるのと同じ肺線維症のマウスモデルを使用した。実験群当たり20匹~30匹の雄マウスを使用した。PFマウスを、マウス当たり5×1011個のvgの用量のAAV6-SpB-moTertでIT(気管内)処置した。コントロールとして、PFマウスの別のコホートにはAAV6-SpB-nullベクターをマウス当たり5×1011個のvgで与えた。ブレオ傷害の3週間後、各マウスについてコンピューター断層撮影(CT)を実施して、肺線維症の読み取り結果として異常な肺パターンが診断された。
【0300】
肺線維症と診断されたマウスを、気管内投与を使用してAAV6-SpB-moTertベクターで処置した。AAV6処置の1週間後、2週間後、4週間後、6週間後、及び10週間後に、短期の疾患の進行を長期的に追跡するのにCTを実施した。1群当たり10匹のマウスを生存分析及び長期分析用に残した。肺の免疫組織病理学的研究を免疫組織化学によって実施した。さらに、テロメア長の研究を、定量的蛍光in situハイブリダイゼーション技術(q-Fish)によって実施した。Tertの発現レベルを肺及び肝臓においてq-PCRによって決定し、テロメラーゼ活性をTRAP分析によってHEPで評価した。
【0301】
この実施例の目的を以下で次の通りにまとめる:
テロメラーゼ欠損線維症マウスにおける気管内投与によるAAV6-SpB-moTert形質導入マウスにおけるテロメラーゼの発現及び活性。
マウス当たり5×1011個のvgでの健康なマウスと線維症マウスとの間の比較。
テロメアの延長。
PF(肺線維症)の治療についてのテロメラーゼ遺伝子療法の有効性。
【0302】
研究デザイン
ベクター:
AAV6-SpB-null(配列番号28)、
AAV6-SpB-moTert(配列番号21)。
【0303】
投与量:
マウス当たり5×1011個のvg。
【0304】
材料及び方法
試験物品及びコントロール物品
試験されるウイルスベクターは、AAV6-SpB-null及びAAV6-SpB-moTertであった。AAV6-SpB-nullをテロメラーゼ発現についてのネガティブコントロールとして使用した。
【0305】
qPCRによって分析される組織試料をドライアイス上で収集し、免疫組織化学分析用の組織試料をホルマリン中に直接収集して、更にパラフィンブロック内に包埋した。
【0306】
テロメラーゼ発現
Tertの転写発現レベルを、フォワードプライマー(5’-TAG CCC TGG CAA GGA TAG A-3’)及びリバースプライマー(5’-GCT CTC GGT GAT GTA GAA GAA G-3’)から構成されるプライマーセット1を使用してq-RT-PCRによって分析した。RNA試料を、トリゾール及びジルコニウムビーズを用いて抽出した。cDNAを、RT-qPCR用のiScript Adv cDNAキット(Bio-Rad、参照番号:1725037、バッチ:64375699)を使用して合成した。
【0307】
ウイルスゲノムの定量化
示された組織からのDNAを、沈殿に基づく市販キット(MasterPure(商標)DNA精製キット、Epicentre、文献番号113・6/2012 EPILIT113 Rev.A、カタログ番号MCD85201)を使用して抽出した。細胞当たりのウイルスゲノムの数を、プライマーセット1及びプライマーセット2を使用したqPCRによって分析した。セット1は、フォワードプライマー(5’-TAG CCC TGG CAA GGA TAG A-3’)及びリバースプライマー(5’-GCT CTC GGT GAT GTA GAA GAA G-3’)から構成されている。セット2は、フォワードプライマー(5’-CAC CAG ACA CAA CGA GAG AAG-3’)及びリバースプライマー(5’-CTC GAC CTT CAT CTT CCA CAT C-3’)から構成されている。検量線を、moTert遺伝子を有する線状化プラスミドの段階希釈によって作成した。
【0308】
テロメラーゼ活性
テロメラーゼ活性を、Herbert et al., 2006(Herbert BS, Hochreiter AE, Wright WE, Shay JW.著の「テロメア反復配列増幅プロトコルを使用したテロメラーゼ活性の非放射性検出(Nonradioactive detection of telomerase activity using the telomeric repeat amplification protocol.)」 Nat Protoc. 2006;1(3):1583-90. Epub 2007/04/05. doi: 10.1038/nprot.2006.239. PubMed PMID: 17406450)及びBlasco et al 1997(Blasco MA, Lee HW, Hande MP, Samper E, Lansdorp PM, DePinho RA, et al.著の「テロメラーゼRNAを欠いたマウス細胞によるテロメア短縮及び腫瘍形成(Telomere shortening and tumor formation by mouse cells lacking telomerase RNA.)」 Cell. 1997;91(1):25-34. Epub 1997/10/23. doi: 10.1016/s0092-8674(01)80006-4. PubMed PMID: 9335332.)に記載されるテロメア反復配列増幅プロトコル(TRAP)によって分析した。
【0309】
テロメラーゼRNAスコープ
肺形質導入効率を分析するとともに、moTertを発現する特定の細胞型を特定するのに、moTert RNAに特異的なプローブを設計し、ACDBIO(www.acdbio.com)から購入した。プロサーファクタントタンパク質C(SP-C)に関して、ウサギモノクローナル(EPR19839)抗SPC(1:100、ABCAM、参照番号:ab211326)及びmoTert RNAスコープによる二重免疫染色を実施して、moTertを発現する肺胞II型細胞のパーセンテージを定量的に分析した。肺切片におけるセクレトグロビンファミリー1Aメンバー1(SCGB1A1又はCC10)に関して、ヤギポリクローナル(EPR19839)抗CC10(1:100、ABCAM、参照番号:ab211326)及びmoTert RNAスコープによる二重免疫染色を実施して、moTertを発現するクララ細胞のパーセンテージを定量的に分析した。
【0310】
テロメア長の分析
moTert RNAスコープ及びテロメアプローブを用いた二重蛍光in situハイブリダイゼーション(q-Fish)を実施して、moTertを発現する細胞におけるテロメア長を分析した。
【0311】
結果
Tertノックアウト線維症マウスにおける野生型マウスと比較して同様の形質導入効率。肺における20%を超える細胞のmoTERTに対する陽性染色(RNAスコープ)(
図51)。
Tertノックアウト線維症マウスにおける野生型マウスと比較して同様のウイルスゲノムのレベル(
図52)。
肝臓においてウイルスゲノムは検出されなかった(
図52)。
AAV6-SpB-moTert処置の6週間後及び11週間後に肺においてテロメラーゼ発現が容易に検出された(
図53)。
肝臓、心臓、及び脳においてテロメラーゼ発現は検出されなかった(
図53)。
【0312】
実施例7.コドン最適化されたヒトテロメラーゼのコーディング配列の設計及び作製
遺伝子発現を改善し、ヒトTERT導入遺伝子の翻訳効率を高めるのに、mRNA配列を最適化した。コドンは、mRNAからタンパク質に情報を伝達する遺伝暗号を表す。この過程はtRNAのコドン認識によって媒介され、こうして特定のアミノ酸がポリペプチド鎖に組み込まれる。1つの単独のアミノ酸が異なるコドンによってコードされる場合があるため、同じアミノ酸をコードする幾つかのtRNAが存在する。これにより、種特異的な様式で、同じアミノ酸に対して或るコドンが別のコドンよりも優先的に使用される。この現象はコドンバイアスとして知られている。したがって、特定の種に対するコドン使用の最適化は、導入遺伝子からのタンパク質産生を増加させるのに広く使用されている。さらに、GC含量、RNA二次構造、リピート等のような、コドン最適化アルゴリズムにも組み込まれるタンパク質発現に対して重要な影響を与えるパラメーターも存在する。多くのウェブサイト及びソフトウェアには、様々なアプローチによるコドン最適化アルゴリズムが含まれている。最適化過程の複雑な性質のため、別のものよりも或る特定のものを使用することによる明確な利点はないため、最良のものを特定するには、幾つかの並行した最適化が必要とされる。
【0313】
hsoTERT_IDは変異体1のコドン最適化ツールを使用して生成され、hsoTERT_GSは変異体2のコドン最適化ツールを使用して生成され、hsoTERT_GAは変異体3のコドン最適化ツールを使用して生成された。最後に、全ての配列は、最終的なAAVベクターにクローニングするのに3’及び5’に特定の制限部位を含み(
図54)、遺伝子合成によって配列される。
【0314】
実施例8.AAV6-SpB-hoTERT-IDベクターの特性評価
AAV6-SpB-hsoTERT-IDベクターは、完全なベクターの主バンドと、それぞれ中間種及び凝集体に対応し得るより低い沈降係数及びより高い沈降係数の小さなバンドとを示した(
図55)。このバッチには空の粒子は存在しなかった。ベクターゲノムの完全性の分析により、AAV6-SpB-hsoTERT-IDベクターが全長ベクターゲノムに対応する4700付近に主バンドを示すことが明らかになった(
図56)。
【0315】
【0316】
配列番号6(hoTERTの長いアイソフォーム)
atgcctagag cacctagatg tagagctgtg cggagcctgc tgcggagcca ctatagagaa
gttctgcccc tggccacctt cgtgcgtaga cttggacctc aaggatggcg gctggtgcag
agaggcgatc ctgctgcttt tagagccctg gtggcccagt gtctcgtgtg cgttccatgg
gatgctagac ctccaccagc tgctcccagc ttcagacagg tgtcctgcct gaaagaactg
gtggccagag tgctgcagcg gctgtgtgaa aggggcgcca aaaatgtgct ggccttcggc
tttgctctgc tggatggtgc tagaggcgga cctcctgagg cctttacaac aagcgtgcgg
agctacctgc ctaacaccgt gacagatgcc ctgagaggat ctggcgcttg gggactgctg
ctgagaagag tgggagatga cgtgctggtg catctgctgg ctagatgcgc cctgtttgtg
ctggtggctc ctagctgtgc ctaccaagtc tgtggccctc cactgtatca gctgggcgct
gctacacagg ctagaccacc tccacatgcc agcggaccta gaagaaggct gggctgcgaa
agagcctgga accactctgt tagagaagcc ggcgtgccac tgggattgcc tgcacctggt
gcaagaagaa gaggcggcag cgcctctaga tctctgcctc tgcctaagag gcctcggaga
ggtgctgctc ctgagcctga gagaacacct gttggccaag gctcttgggc ccatcctggc
agaacaagag gccctagcga tagaggcttc tgcgtggtgt ctcctgccag acctgccgag
gaagccacat ctcttgaagg cgccctgagc ggcacaagac actctcaccc atctgtgggc
agacagcacc atgccggacc tccaagcaca agcagaccac ctagaccttg ggacacccct
tgtcctccag tgtacgccga gacaaagcac ttcctgtaca gcagcggcga caaagagcag
ctgaggccta gcttcctgct gtcctctctg aggccatctc tgaccggtgc tcggagactg
gtggaaacca tcttcctggg cagcagacct tggatgcccg gcacacctag aaggctgcct
agactgccac agcggtactg gcaaatgagg cccctgttcc tggaactgct gggcaatcac
gctcagtgcc cttatggcgt gctgctgaaa acccactgtc ctctgagagc cgccgtgaca
ccagcagctg gcgtttgtgc cagagagaag cctcaaggct ctgtggctgc ccctgaggaa
gaggacacag atcctagacg actggtgcag ctcctgcggc agcattctag tccatggcag
gtctacggat tcgtgcgggc ctgtctgaga aggcttgttc ctcctggact gtggggctcc
agacacaacg agcggcggtt tctgcggaac accaagaagt tcatcagcct gggaaagcac
gccaagctga gcctgcaaga gctgacctgg aagatgagcg tgcgggattg tgcatggctg
agaaggtccc caggcgtggg atgtgttcct gccgctgaac acagactgcg ggaagagatc
ctggccaagt tcctgcactg gctgatgtcc gtgtacgtgg tcgaactgct tcggagcttc
ttctacgtga ccgagacaac cttccagaag aaccggctgt tcttctaccg gaagtccgtg
tggtccaagc tgcagagcat cggcattcgg cagcacctga agagagtgca gctgagagag
ctgagcgagg ctgaagtccg gcagcacaga gaagctagac cagctctgct gaccagcagg
ctgagattca tccccaagcc tgatggcctg cggcctatcg tgaacatgga ctatgttgtg
ggcgccagaa cctttcggag agagaagaga gccgagcggc tgacctctag agtgaaggcc
ctgttcagcg tgctgaacta cgagagagcc agaaggcctg gactgctcgg agcctctgtt
ctgggcctcg acgatatcca cagagcttgg cggacctttg tgctgagagt cagagcccag
gatcctccac ctgagctgta cttcgtgaag gtggacgtga ccggcgccta cgacacaatc
cctcaggaca gactgaccga agtgatcgcc agcatcatca agccccagaa cacctactgt
gtgcggagat acgccgtggt gcagaaagcc gctcatggac atgtgcgcaa ggccttcaag
tcccacgtgt ccacactgac cgacctgcag ccttacatga gacagttcgt ggcccatctg
caagagacaa gccctctgag ggatgccgtg gtcatcgaac agagcagcag cctgaatgag
gccagctccg gcctgtttga cgtgttcctc agattcatgt gccaccacgc cgtgcggatc
agaggcaaga gctatgtgca gtgccagggc attccacagg gcagcatcct gagcacactg
ctgtgcagcc tgtgctacgg cgacatggaa aacaagctgt tcgccggcat cagacgcgac
ggcctgcttc tgagactggt cgacgatttc ctgctcgtga cccctcacct gacacacgcc
aagacctttc tgagaacact cgtgcggggc gtgccagagt atggctgtgt ggtcaacctg
agaaagaccg tggtcaactt ccccgtcgag gatgaagccc ttggcggcac agctttcgtg
cagatgcctg ctcacggact gttcccttgg tgcggactgc tcctggacac cagaacactg
gaagtgcaga gcgactacag cagctacgcc cggacatcta tcagagccag cctgaccttc
aaccggggct ttaaggccgg cagaaacatg cggagaaagc tgtttggagt gctgcggctg
aagtgccact ctttgtttct ggacctgcaa gtgaacagcc tgcagaccgt gtgcaccaac
atctacaaga ttctgctgct gcaagcctac cggttccacg cctgtgttct gcagctgccc
ttccaccagc aagtgtggaa gaaccctaca ttcttcctgc gcgtgatcag cgacaccgcc
agcctgtgtt actccatcct gaaggccaag aacgccggca tgtctctggg agctaaaggc
gctgctggac ctctgccttc tgaagcagtg cagtggctct gccaccaggc ctttctgctg
aagctgacca gacacagagt gacctacgtg cccctgctgg gctcactgag aacagctcag
acacagctga gcagaaagct gcctggcaca accctgacag ccctggaagc tgcagcaaac
cctgctctgc ccagcgactt caagaccatc ctggattga
【0317】
配列番号9(hoTERTの短いアイソフォーム)
atgcctcggg ctcctagatg tagagccgtc agaagcctgc tgcggagcca ctatagagag
gtgctgcctc tggccacctt cgtgcgtaga cttggacctc aaggatggcg gctggtgcag
agaggcgatc ctgctgcttt tagagccctg gtggcccagt gtctcgtgtg cgttccatgg
gatgctagac ctccaccagc tgctcccagc ttcagacagg tgtcctgcct gaaagaactg
gtggccaggg tgctgcagag actgtgtgaa aggggcgcca agaacgtgct ggcctttgga
tttgctctgc tggatggcgc tagaggcgga cctcctgagg cctttacaac aagcgtgcgg
agctacctgc ctaacaccgt gacagatgcc ctgagaggat ctggcgcttg gggactgctg
ctgagaagag tgggagatga cgtgctggtg catctgctgg ccagatgcgc tctgtttgtg
ctggtggctc ctagctgcgc ctaccaagtt tgtggccctc cactgtatca gctgggcgct
gctacacagg ctagaccacc tccacatgcc agcggaccta gaagaaggct gggctgcgaa
agagcctgga accactctgt tagagaagcc ggcgtgccac tgggattgcc tgcaccaggt
gcaagaagaa gaggcggcag cgcctctaga tctctgcctc tgcctaagag gcctagaaga
ggggctgccc ctgagcctga gagaacacct gttggccaag gctcttgggc ccatcctggc
agaacaagag gccctagcga tagaggcttc tgcgtggtgt ctcctgccag acctgccgag
gaagccacat ctcttgaagg cgccctgagc ggcacaagac actctcaccc atctgtgggc
agacagcacc atgccggacc tccaagcaca agcagaccac ctagaccttg ggacacccct
tgtcctccag tgtacgccga gacaaagcac ttcctgtaca gcagcggcga caaagagcag
ctgaggccta gcttcctgct gtcctctctg aggccatctc tgaccggtgc tcggagactg
gtggaaacca tcttcctggg cagcagacct tggatgcccg gcacacctag aaggctgcct
agactgccac agcggtactg gcaaatgagg cccctgttcc tggaactgct gggcaatcac
gctcagtgcc cttatggcgt gctgctgaaa acccactgtc ctctgagagc cgccgtgaca
ccagcagctg gcgtttgtgc cagagagaag cctcaaggct ctgtggccgc tcctgaggaa
gaggacacag atcctagacg actggtgcag ctcctgagac agcacagctc tccatggcag
gtctacggat ttgtgcgggc ctgtctgaga aggctcgttc ctcctggact gtggggctcc
agacacaacg agcggcggtt tctgcggaac accaagaagt tcatcagcct gggaaagcac
gccaagctga gcctgcaaga gctgacctgg aagatgagcg tgcgggattg tgcatggctg
agaaggtccc caggcgtggg atgtgttcct gccgctgaac acagactgcg ggaagagatc
ctggccaagt tcctgcactg gctgatgtcc gtgtacgtgg tcgaactgct tcggagcttc
ttctacgtga ccgagacaac cttccagaag aaccggctgt tcttctaccg gaagtccgtg
tggtccaagc tgcagagcat cggcatccgg cagcatctga agagagtgca gctgagagag
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ctgagattca tccccaagcc tgatggcctg cggcctatcg tgaacatgga ctatgttgtg
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ctgttcagcg tgctgaacta cgagagagcc agaaggccag gactgctggg agcctctgtt
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ggcctgcttc tgagactggt cgacgatttc ctgctcgtga cccctcacct gacacacgcc
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tactccatcc tgaaggccaa aaacgccggc atgagcctgg gagctaaagg cgctgctgga
cctctgcctt ctgaagcagt gcagtggctg tgtcaccagg cctttctgct gaagctgacc
cggcacagag tgacatatgt gcctctgctg ggctccctga gaaccgctca aacacagctg
agcagaaagc tgcctggcac aaccctgaca gccctggaag ctgcagcaaa ccctgctctg
cccagcgact tcaagaccat cctggattga
【0318】
配列番号12(短縮型のSpBプロモーター)
ATAGGGCTGTCTGGGAGCCACTCCAGGGCCACAGAAATCTTGTCTCTGACTCAGGGTATTTTGTTTTCTGTTTTGTGTAAATGCTCTTCTGACTAATGCAAACCATGTGTCCATAGAACCAGAAGATTTTTCCAGGGGAAAAGGTAAGGAGGTGGTGAGAGTGTCCTGGGTCTGCCCTTCCAGGGCTTGCCCTGGGTTAAGAGCCAGGCAGGAAGCTCTCAAGAGCATTGCTCAAGAGTAGAGGGGGCCTGGGAGGCCCAGGGAGGGGATGGGAGGGGAACACCCAGGCTGCCCCCAACCAGATGCCCTCCACCCTCCTCAACCTCCCTCCCACGGCCTGGAGAGGTGGGACCAGGTATGGAGGCTTGAGAGCCCCTGGTTGGAGGAAGCCACAAGTCCAGGAACATGGGAGTCTGGGCAGGGGGCAAAGGAGGCAGGAACAGGCCATCAGCCAGGACAGGTGGTAAGGCAGGCAGGAGTGTTCCTGCTGGGAAAAGGTGGGATCAAGCACCTGGAGGGCTCTTCAGAGCAAAGACAAACACTGAGGTCGCTGCCACTCCTACAGAGCCCCCACGCCCCGCCCAGCTATAAGGGGCCATGCACCAAGCAGGGTACCCAGGCTGCAGAGGTGC
【0319】
配列番号15(CMVenh-MLC2vプロモーター)
GACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGACTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTTAACGTTTAAACTTAGACAATGGCAGGACCCAGAGCACAGAGCATCGTTCCCAGGCCAGGCCCCAGCCACTGTCTCTTTAACCTTGAAGGCATTTTTGGGTCTCACGTGTCCACCCAGGCGGGTGTCGGACTTTGAACGGCTCTTACTTCAGAAGAACGGCATGGGGTGGGGGGGCTTAGGTGGCCTCTGCCTCACCTACAACTGCCAAAAGTGGTCATGGGGTTATTTTTAACCCCAGGGAAGAGGTATTTATTGTTCCACAGCAGGGGCCGGCCAGCAGGCTCCTTGAATTC
【0320】
配列番号16(短縮型のTNTプロモーター)
CTCAGTCCATTAGGAGCCAGTAGCCTGGAAGATGTCTTTACCCCCAGCATCAGTTCAAGTGGAGCAGCACATAACTCTTGCCCTCTGCCTTCCAAGATTCTGGTGCTGAGACTTATGGAGTGTCTTGGAGGTTGCCTTCTGCCCCCCAACCCTGCTCCCAGCTGGCCCTCCCAGGCCTGGGTTGCTGGCCTCTGCTTTATCAGGATTCTCAAGAGGGACAGCTGGTTTATGTTGCATGACTGTTCCCTGCATATCTGCTCTGGTTTTAAATAGCTTATCTGAGCAGCTGGAGGACCACATGGGCTTATATGGCGTGGGGTACATGTTCCTGTAGCCTTGTCCCTGGCACCTGCCAAAATAGCAGCCAACACCCCCCACCCCCACCGCCATCCCCCTGCCCCACCCGTCCCCTGTCGCACATTCCTCCCTCCGCAGGGCTGGCTCACCAGGCCCCAGCCCACATGCCTGCTTAAAGCCCTCTCCATCCTCTGCCTCACCCAGTCCCCGCTGAGACTGAGCAGACGCCTCCAGGATCTGTCGGCAG
【0321】
配列番号21(AAV-SpB-moTERT組換えアデノ随伴ウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCGATATCATAGGGCTGTCTGGGAGCCACTCCAGGGCCACAGAAATCTTGTCTCTGACTCAGGGTATTTTGTTTTCTGTTTTGTGTAAATGCTCTTCTGACTAATGCAAACCATGTGTCCATAGAACCAGAAGATTTTTCCAGGGGAAAAGGTAAGGAGGTGGTGAGAGTGTCCTGGGTCTGCCCTTCCAGGGCTTGCCCTGGGTTAAGAGCCAGGCAGGAAGCTCTCAAGAGCATTGCTCAAGAGTAGAGGGGGCCTGGGAGGCCCAGGGAGGGGATGGGAGGGGAACACCCAGGCTGCCCCCAACCAGATGCCCTCCACCCTCCTCAACCTCCCTCCCACGGCCTGGAGAGGTGGGACCAGGTATGGAGGCTTGAGAGCCCCTGGTTGGAGGAAGCCACAAGTCCAGGAACATGGGAGTCTGGGCAGGGGGCAAAGGAGGCAGGAACAGGCCATCAGCCAGGACAGGTGGTAAGGCAGGCAGGAGTGTTCCTGCTGGGAAAAGGTGGGATCAAGCACCTGGAGGGCTCTTCAGAGCAAAGACAAACACTGAGGTCGCTGCCACTCCTACAGAGCCCCCACGCCCCGCCCAGCTATAAGGGGCCATGCACCAAGCAGGGTACCCAGGCTGCAGAGGTGCGAATTCATTTAAATTCTAGATCGCTAGCACGCGTGCCACCATGACAAGAGCCCCTAGATGTCCTGCCGTCAGAAGCCTGCTGAGAAGCAGATACAGAGAAGTGTGGCCCCTGGCCACCTTCGTCAGAAGGCTTGGACCTGAAGGCAGACGGCTGGTTCAACCTGGCGACCCCAAGATCTACAGAACCCTGGTGGCTCAGTGCCTCGTGTGTATGCACTGGGGATCTCAGCCACCTCCTGCCGATCTGAGCTTTCACCAGGTGTCCAGCCTGAAAGAACTGGTGGCCAGAGTGGTGCAGAGACTGTGCGAGAGAAACGAGAGGAACGTGCTGGCCTTCGGCTTCGAGCTGCTGAATGAAGCTAGAGGCGGCCCTCCTATGGCCTTCACATCTAGCGTGCGGAGCTACCTGCCTAACACCGTGATCGAGACACTGAGAGTGTCCGGCGCTTGGATGCTGCTGCTGAGCAGAGTGGGAGATGACCTGCTGGTGTACCTGCTGGCTCACTGTGCCCTCTATCTGCTGGTGCCTCCTAGCTGCGCTTACCAAGTGTGCGGAAGCCCTCTGTACCAGATCTGTGCCACCACCGACATCTGGCCTAGCGTGTCCGCTTCCTACAGACCCACAAGACCCGTGGGCAGAAACTTTACCAACCTGAGATTCCTGCAGCAGATCAAGAGCAGCTCCAGGCAAGAGGCCCCTAAGCCTCTTGCTCTGCCTAGCAGAGGCACCAAGAGACACCTGAGCCTGACCAGCACAAGCGTGCCCTCTGCCAAGAAAGCCAGATGCTACCCCGTGCCTAGAGTGGAAGAGGGCCCACATAGACAGGTGCTGCCTACACCTAGCGGCAAGAGCTGGGTTCCATCTCCTGCTAGAAGCCCTGAGGTGCCAACAGCCGAGAAGGACCTGAGCAGCAAGGGCAAAGTGTCCGACCTGTCTCTGAGCGGCAGCGTGTGTTGCAAGCACAAGCCTAGCAGCACCAGCCTGCTGTCCCCACCTAGACAGAACGCTTTCCAGCTGAGGCCCTTTATCGAGACAAGACACTTCCTGTACAGCAGAGGCGACGGCCAAGAGAGACTGAACCCTAGCTTCCTGCTGTCTAACCTGCAGCCTAACCTGACCGGCGCTAGAAGGCTGGTGGAAATCATCTTCCTGGGCAGCAGACCCAGAACCAGCGGACCTCTGTGTAGAACCCACAGACTGAGCAGACGGTACTGGCAGATGAGGCCCCTGTTCCAGCAGCTCCTGGTCAACCATGCCGAGTGTCAGTATGTGCGGCTGCTGAGGTCCCACTGCAGATTCAGAACCGCCAACCAGCAAGTGACAGACGCCCTGAACACAAGCCCTCCACACCTGATGGATCTGCTGAGACTGCACAGCAGCCCCTGGCAGGTCTACGGCTTTCTGAGAGCCTGTCTGTGCAAGGTGGTGTCCGCATCTCTGTGGGGCACCAGACACAACGAGAGAAGATTCTTCAAGAACCTGAAGAAGTTCATCAGCCTGGGGAAGTACGGCAAGCTGTCCCTGCAAGAACTGATGTGGAAGATGAAGGTCGAGGACTGCCACTGGCTGAGGTCTAGCCCTGGCAAGGATAGAGTGCCTGCCGCTGAGCACAGGCTGAGAGAGAGAATCCTGGCCACATTCCTGTTCTGGCTGATGGACACCTACGTGGTGCAGCTGCTGCGGAGCTTCTTCTACATCACCGAGAGCACCTTCCAGAAGAACCGGCTGTTCTTCTACCGCAAGAGCGTGTGGTCCAAGCTGCAGAGCATCGGCGTCAGACAGCACCTGGAAAGAGTGCGCCTGAGAGAGCTGAGCCAAGAGGAAGTGCGGCACCACCAGGATACCTGGCTGGCCATGCCTATCTGCAGACTGAGATTCATCCCCAAGCCTAACGGCCTGAGGCCTATCGTGAACATGAGCTACAGCATGGGCACTAGAGCCCTGGGCAGAAGAAAGCAGGCCCAGCACTTCACCCAGAGGCTGAAAACCCTGTTCTCCATGCTGAACTACGAGCGGACAAAGCACCCTCATCTGATGGGCTCCTCTGTGCTGGGCATGAACGACATCTACAGGACCTGGCGGGCCTTCGTGCTGAGAGTCAGAGCACTGGACCAGACACCTAGAATGTACTTCGTGAAGGCCGACGTGACAGGCGCCTACGATGCTATCCCTCAGGGCAAACTGGTGGAAGTGGTGGCCAACATGATCAGGCACAGCGAGTCCACCTACTGCATCAGACAGTACGCCGTCGTGCGGAGAGACTCTCAGGGACAAGTGCACAAGAGCTTCCGCAGACAAGTGACCACACTGAGCGATCTGCAGCCCTACATGGGCCAGTTTCTGAAGCACCTCCAGGACAGCGACGCCAGCGCTCTGAGAAACTCTGTGGTCATCGAGCAGTCCATCTCCATGAACGAGTCCAGCTCCAGCCTGTTCGACTTCTTCCTGCACTTCCTGCGGCACAGCGTGGTCAAGATCGGCGACAGATGTTACACCCAGTGCCAGGGCATCCCACAGGGAAGCAGTCTGAGCACACTGCTGTGCTCCCTGTGTTTCGGCGACATGGAAAACAAGCTGTTCGCCGAAGTGCAGCGCGACGGACTGCTCCTGAGATTTGTGGACGACTTCCTGCTCGTGACCCCTCACCTGGATCAGGCTAAGACCTTCCTGAGCACCCTGGTGCATGGCGTGCCAGAGTACGGCTGCATGATCAACCTGCAGAAAACCGTGGTCAACTTCCCCGTGGAACCTGGCACTCTTGGAGGCGCTGCTCCTTATCAGCTGCCCGCTCATTGTCTGTTCCCTTGGTGCGGACTGCTGCTGGACACACAGACCCTGGAAGTGTTCTGCGACTACAGCGGCTACGCCCAGACCAGCATCAAGACCAGCCTGACCTTCCAGTCCGTGTTCAAGGCCGGCAAGACCATGAGGAACAAGCTGCTGAGTGTGCTGAGGCTGAAGTGCCACGGCCTGTTTCTGGACCTGCAAGTGAACAGCCTGCAGACCGTGTGCATCAATATCTACAAGATCTTTCTGCTGCAAGCCTACCGGTTCCACGCCTGTGTGATTCAGCTGCCTTTCGACCAGAGAGTGCGGAAGAATCTGACATTCTTTCTGGGCATCATCAGCAGCCAGGCCAGCTGCTGTTACGCCATCCTGAAAGTGAAGAACCCCGGCATGACCCTGAAGGCCTCTGGCAGCTTTCCACCTGAAGCTGCCCATTGGCTGTGCTACCAGGCTTTCCTGCTGAAACTGGCTGCCCACAGCGTGATCTACAAGTGCCTGCTGGGCCCACTGAGAACAGCCCAGAAACTGCTGTGTCGGAAGCTGCCTGAAGCCACAATGACAATCCTGAAGGCTGCCGCCGATCCAGCTCTGAGCACCGACTTCCAGACCATCCTGGACTGAGAATTCGGATCCGATTCGAGCATTTAAATACGTGGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCCACGTGGATATCGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【0322】
配列番号22(AAV9-CMVenh-MLC2v-moTERTウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCGATATCGACATTGATTATTGACTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGACTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTTAACGTTTAAACTTAGACAATGGCAGGACCCAGAGCACAGAGCATCGTTCCCAGGCCAGGCCCCAGCCACTGTCTCTTTAACCTTGAAGGCATTTTTGGGTCTCACGTGTCCACCCAGGCGGGTGTCGGACTTTGAACGGCTCTTACTTCAGAAGAACGGCATGGGGTGGGGGGGCTTAGGTGGCCTCTGCCTCACCTACAACTGCCAAAAGTGGTCATGGGGTTATTTTTAACCCCAGGGAAGAGGTATTTATTGTTCCACAGCAGGGGCCGGCCAGCAGGCTCCTTGAATTCATTTAAATTCTAGATCGCTAGCACGCGTGCCACCATGACAAGAGCCCCTAGATGTCCTGCCGTCAGAAGCCTGCTGAGAAGCAGATACAGAGAAGTGTGGCCCCTGGCCACCTTCGTCAGAAGGCTTGGACCTGAAGGCAGACGGCTGGTTCAACCTGGCGACCCCAAGATCTACAGAACCCTGGTGGCTCAGTGCCTCGTGTGTATGCACTGGGGATCTCAGCCACCTCCTGCCGATCTGAGCTTTCACCAGGTGTCCAGCCTGAAAGAACTGGTGGCCAGAGTGGTGCAGAGACTGTGCGAGAGAAACGAGAGGAACGTGCTGGCCTTCGGCTTCGAGCTGCTGAATGAAGCTAGAGGCGGCCCTCCTATGGCCTTCACATCTAGCGTGCGGAGCTACCTGCCTAACACCGTGATCGAGACACTGAGAGTGTCCGGCGCTTGGATGCTGCTGCTGAGCAGAGTGGGAGATGACCTGCTGGTGTACCTGCTGGCTCACTGTGCCCTCTATCTGCTGGTGCCTCCTAGCTGCGCTTACCAAGTGTGCGGAAGCCCTCTGTACCAGATCTGTGCCACCACCGACATCTGGCCTAGCGTGTCCGCTTCCTACAGACCCACAAGACCCGTGGGCAGAAACTTTACCAACCTGAGATTCCTGCAGCAGATCAAGAGCAGCTCCAGGCAAGAGGCCCCTAAGCCTCTTGCTCTGCCTAGCAGAGGCACCAAGAGACACCTGAGCCTGACCAGCACAAGCGTGCCCTCTGCCAAGAAAGCCAGATGCTACCCCGTGCCTAGAGTGGAAGAGGGCCCACATAGACAGGTGCTGCCTACACCTAGCGGCAAGAGCTGGGTTCCATCTCCTGCTAGAAGCCCTGAGGTGCCAACAGCCGAGAAGGACCTGAGCAGCAAGGGCAAAGTGTCCGACCTGTCTCTGAGCGGCAGCGTGTGTTGCAAGCACAAGCCTAGCAGCACCAGCCTGCTGTCCCCACCTAGACAGAACGCTTTCCAGCTGAGGCCCTTTATCGAGACAAGACACTTCCTGTACAGCAGAGGCGACGGCCAAGAGAGACTGAACCCTAGCTTCCTGCTGTCTAACCTGCAGCCTAACCTGACCGGCGCTAGAAGGCTGGTGGAAATCATCTTCCTGGGCAGCAGACCCAGAACCAGCGGACCTCTGTGTAGAACCCACAGACTGAGCAGACGGTACTGGCAGATGAGGCCCCTGTTCCAGCAGCTCCTGGTCAACCATGCCGAGTGTCAGTATGTGCGGCTGCTGAGGTCCCACTGCAGATTCAGAACCGCCAACCAGCAAGTGACAGACGCCCTGAACACAAGCCCTCCACACCTGATGGATCTGCTGAGACTGCACAGCAGCCCCTGGCAGGTCTACGGCTTTCTGAGAGCCTGTCTGTGCAAGGTGGTGTCCGCATCTCTGTGGGGCACCAGACACAACGAGAGAAGATTCTTCAAGAACCTGAAGAAGTTCATCAGCCTGGGGAAGTACGGCAAGCTGTCCCTGCAAGAACTGATGTGGAAGATGAAGGTCGAGGACTGCCACTGGCTGAGGTCTAGCCCTGGCAAGGATAGAGTGCCTGCCGCTGAGCACAGGCTGAGAGAGAGAATCCTGGCCACATTCCTGTTCTGGCTGATGGACACCTACGTGGTGCAGCTGCTGCGGAGCTTCTTCTACATCACCGAGAGCACCTTCCAGAAGAACCGGCTGTTCTTCTACCGCAAGAGCGTGTGGTCCAAGCTGCAGAGCATCGGCGTCAGACAGCACCTGGAAAGAGTGCGCCTGAGAGAGCTGAGCCAAGAGGAAGTGCGGCACCACCAGGATACCTGGCTGGCCATGCCTATCTGCAGACTGAGATTCATCCCCAAGCCTAACGGCCTGAGGCCTATCGTGAACATGAGCTACAGCATGGGCACTAGAGCCCTGGGCAGAAGAAAGCAGGCCCAGCACTTCACCCAGAGGCTGAAAACCCTGTTCTCCATGCTGAACTACGAGCGGACAAAGCACCCTCATCTGATGGGCTCCTCTGTGCTGGGCATGAACGACATCTACAGGACCTGGCGGGCCTTCGTGCTGAGAGTCAGAGCACTGGACCAGACACCTAGAATGTACTTCGTGAAGGCCGACGTGACAGGCGCCTACGATGCTATCCCTCAGGGCAAACTGGTGGAAGTGGTGGCCAACATGATCAGGCACAGCGAGTCCACCTACTGCATCAGACAGTACGCCGTCGTGCGGAGAGACTCTCAGGGACAAGTGCACAAGAGCTTCCGCAGACAAGTGACCACACTGAGCGATCTGCAGCCCTACATGGGCCAGTTTCTGAAGCACCTCCAGGACAGCGACGCCAGCGCTCTGAGAAACTCTGTGGTCATCGAGCAGTCCATCTCCATGAACGAGTCCAGCTCCAGCCTGTTCGACTTCTTCCTGCACTTCCTGCGGCACAGCGTGGTCAAGATCGGCGACAGATGTTACACCCAGTGCCAGGGCATCCCACAGGGAAGCAGTCTGAGCACACTGCTGTGCTCCCTGTGTTTCGGCGACATGGAAAACAAGCTGTTCGCCGAAGTGCAGCGCGACGGACTGCTCCTGAGATTTGTGGACGACTTCCTGCTCGTGACCCCTCACCTGGATCAGGCTAAGACCTTCCTGAGCACCCTGGTGCATGGCGTGCCAGAGTACGGCTGCATGATCAACCTGCAGAAAACCGTGGTCAACTTCCCCGTGGAACCTGGCACTCTTGGAGGCGCTGCTCCTTATCAGCTGCCCGCTCATTGTCTGTTCCCTTGGTGCGGACTGCTGCTGGACACACAGACCCTGGAAGTGTTCTGCGACTACAGCGGCTACGCCCAGACCAGCATCAAGACCAGCCTGACCTTCCAGTCCGTGTTCAAGGCCGGCAAGACCATGAGGAACAAGCTGCTGAGTGTGCTGAGGCTGAAGTGCCACGGCCTGTTTCTGGACCTGCAAGTGAACAGCCTGCAGACCGTGTGCATCAATATCTACAAGATCTTTCTGCTGCAAGCCTACCGGTTCCACGCCTGTGTGATTCAGCTGCCTTTCGACCAGAGAGTGCGGAAGAATCTGACATTCTTTCTGGGCATCATCAGCAGCCAGGCCAGCTGCTGTTACGCCATCCTGAAAGTGAAGAACCCCGGCATGACCCTGAAGGCCTCTGGCAGCTTTCCACCTGAAGCTGCCCATTGGCTGTGCTACCAGGCTTTCCTGCTGAAACTGGCTGCCCACAGCGTGATCTACAAGTGCCTGCTGGGCCCACTGAGAACAGCCCAGAAACTGCTGTGTCGGAAGCTGCCTGAAGCCACAATGACAATCCTGAAGGCTGCCGCCGATCCAGCTCTGAGCACCGACTTCCAGACCATCCTGGACTGAGAATTCGGATCCGATTCGAGCATTTAAATACGTGGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCCACGTGGATATCGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【0323】
配列番号23(AAV9-TNT-moTertウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCGATATCCTCAGTCCATTAGGAGCCAGTAGCCTGGAAGATGTCTTTACCCCCAGCATCAGTTCAAGTGGAGCAGCACATAACTCTTGCCCTCTGCCTTCCAAGATTCTGGTGCTGAGACTTATGGAGTGTCTTGGAGGTTGCCTTCTGCCCCCCAACCCTGCTCCCAGCTGGCCCTCCCAGGCCTGGGTTGCTGGCCTCTGCTTTATCAGGATTCTCAAGAGGGACAGCTGGTTTATGTTGCATGACTGTTCCCTGCATATCTGCTCTGGTTTTAAATAGCTTATCTGAGCAGCTGGAGGACCACATGGGCTTATATGGCGTGGGGTACATGTTCCTGTAGCCTTGTCCCTGGCACCTGCCAAAATAGCAGCCAACACCCCCCACCCCCACCGCCATCCCCCTGCCCCACCCGTCCCCTGTCGCACATTCCTCCCTCCGCAGGGCTGGCTCACCAGGCCCCAGCCCACATGCCTGCTTAAAGCCCTCTCCATCCTCTGCCTCACCCAGTCCCCGCTGAGACTGAGCAGACGCCTCCAGGATCTGTCGGCAGGAATTATCGCTAGCACGCGTGCCACCATGACAAGAGCCCCTAGATGTCCTGCCGTCAGAAGCCTGCTGAGAAGCAGATACAGAGAAGTGTGGCCCCTGGCCACCTTCGTCAGAAGGCTTGGACCTGAAGGCAGACGGCTGGTTCAACCTGGCGACCCCAAGATCTACAGAACCCTGGTGGCTCAGTGCCTCGTGTGTATGCACTGGGGATCTCAGCCACCTCCTGCCGATCTGAGCTTTCACCAGGTGTCCAGCCTGAAAGAACTGGTGGCCAGAGTGGTGCAGAGACTGTGCGAGAGAAACGAGAGGAACGTGCTGGCCTTCGGCTTCGAGCTGCTGAATGAAGCTAGAGGCGGCCCTCCTATGGCCTTCACATCTAGCGTGCGGAGCTACCTGCCTAACACCGTGATCGAGACACTGAGAGTGTCCGGCGCTTGGATGCTGCTGCTGAGCAGAGTGGGAGATGACCTGCTGGTGTACCTGCTGGCTCACTGTGCCCTCTATCTGCTGGTGCCTCCTAGCTGCGCTTACCAAGTGTGCGGAAGCCCTCTGTACCAGATCTGTGCCACCACCGACATCTGGCCTAGCGTGTCCGCTTCCTACAGACCCACAAGACCCGTGGGCAGAAACTTTACCAACCTGAGATTCCTGCAGCAGATCAAGAGCAGCTCCAGGCAAGAGGCCCCTAAGCCTCTTGCTCTGCCTAGCAGAGGCACCAAGAGACACCTGAGCCTGACCAGCACAAGCGTGCCCTCTGCCAAGAAAGCCAGATGCTACCCCGTGCCTAGAGTGGAAGAGGGCCCACATAGACAGGTGCTGCCTACACCTAGCGGCAAGAGCTGGGTTCCATCTCCTGCTAGAAGCCCTGAGGTGCCAACAGCCGAGAAGGACCTGAGCAGCAAGGGCAAAGTGTCCGACCTGTCTCTGAGCGGCAGCGTGTGTTGCAAGCACAAGCCTAGCAGCACCAGCCTGCTGTCCCCACCTAGACAGAACGCTTTCCAGCTGAGGCCCTTTATCGAGACAAGACACTTCCTGTACAGCAGAGGCGACGGCCAAGAGAGACTGAACCCTAGCTTCCTGCTGTCTAACCTGCAGCCTAACCTGACCGGCGCTAGAAGGCTGGTGGAAATCATCTTCCTGGGCAGCAGACCCAGAACCAGCGGACCTCTGTGTAGAACCCACAGACTGAGCAGACGGTACTGGCAGATGAGGCCCCTGTTCCAGCAGCTCCTGGTCAACCATGCCGAGTGTCAGTATGTGCGGCTGCTGAGGTCCCACTGCAGATTCAGAACCGCCAACCAGCAAGTGACAGACGCCCTGAACACAAGCCCTCCACACCTGATGGATCTGCTGAGACTGCACAGCAGCCCCTGGCAGGTCTACGGCTTTCTGAGAGCCTGTCTGTGCAAGGTGGTGTCCGCATCTCTGTGGGGCACCAGACACAACGAGAGAAGATTCTTCAAGAACCTGAAGAAGTTCATCAGCCTGGGGAAGTACGGCAAGCTGTCCCTGCAAGAACTGATGTGGAAGATGAAGGTCGAGGACTGCCACTGGCTGAGGTCTAGCCCTGGCAAGGATAGAGTGCCTGCCGCTGAGCACAGGCTGAGAGAGAGAATCCTGGCCACATTCCTGTTCTGGCTGATGGACACCTACGTGGTGCAGCTGCTGCGGAGCTTCTTCTACATCACCGAGAGCACCTTCCAGAAGAACCGGCTGTTCTTCTACCGCAAGAGCGTGTGGTCCAAGCTGCAGAGCATCGGCGTCAGACAGCACCTGGAAAGAGTGCGCCTGAGAGAGCTGAGCCAAGAGGAAGTGCGGCACCACCAGGATACCTGGCTGGCCATGCCTATCTGCAGACTGAGATTCATCCCCAAGCCTAACGGCCTGAGGCCTATCGTGAACATGAGCTACAGCATGGGCACTAGAGCCCTGGGCAGAAGAAAGCAGGCCCAGCACTTCACCCAGAGGCTGAAAACCCTGTTCTCCATGCTGAACTACGAGCGGACAAAGCACCCTCATCTGATGGGCTCCTCTGTGCTGGGCATGAACGACATCTACAGGACCTGGCGGGCCTTCGTGCTGAGAGTCAGAGCACTGGACCAGACACCTAGAATGTACTTCGTGAAGGCCGACGTGACAGGCGCCTACGATGCTATCCCTCAGGGCAAACTGGTGGAAGTGGTGGCCAACATGATCAGGCACAGCGAGTCCACCTACTGCATCAGACAGTACGCCGTCGTGCGGAGAGACTCTCAGGGACAAGTGCACAAGAGCTTCCGCAGACAAGTGACCACACTGAGCGATCTGCAGCCCTACATGGGCCAGTTTCTGAAGCACCTCCAGGACAGCGACGCCAGCGCTCTGAGAAACTCTGTGGTCATCGAGCAGTCCATCTCCATGAACGAGTCCAGCTCCAGCCTGTTCGACTTCTTCCTGCACTTCCTGCGGCACAGCGTGGTCAAGATCGGCGACAGATGTTACACCCAGTGCCAGGGCATCCCACAGGGAAGCAGTCTGAGCACACTGCTGTGCTCCCTGTGTTTCGGCGACATGGAAAACAAGCTGTTCGCCGAAGTGCAGCGCGACGGACTGCTCCTGAGATTTGTGGACGACTTCCTGCTCGTGACCCCTCACCTGGATCAGGCTAAGACCTTCCTGAGCACCCTGGTGCATGGCGTGCCAGAGTACGGCTGCATGATCAACCTGCAGAAAACCGTGGTCAACTTCCCCGTGGAACCTGGCACTCTTGGAGGCGCTGCTCCTTATCAGCTGCCCGCTCATTGTCTGTTCCCTTGGTGCGGACTGCTGCTGGACACACAGACCCTGGAAGTGTTCTGCGACTACAGCGGCTACGCCCAGACCAGCATCAAGACCAGCCTGACCTTCCAGTCCGTGTTCAAGGCCGGCAAGACCATGAGGAACAAGCTGCTGAGTGTGCTGAGGCTGAAGTGCCACGGCCTGTTTCTGGACCTGCAAGTGAACAGCCTGCAGACCGTGTGCATCAATATCTACAAGATCTTTCTGCTGCAAGCCTACCGGTTCCACGCCTGTGTGATTCAGCTGCCTTTCGACCAGAGAGTGCGGAAGAATCTGACATTCTTTCTGGGCATCATCAGCAGCCAGGCCAGCTGCTGTTACGCCATCCTGAAAGTGAAGAACCCCGGCATGACCCTGAAGGCCTCTGGCAGCTTTCCACCTGAAGCTGCCCATTGGCTGTGCTACCAGGCTTTCCTGCTGAAACTGGCTGCCCACAGCGTGATCTACAAGTGCCTGCTGGGCCCACTGAGAACAGCCCAGAAACTGCTGTGTCGGAAGCTGCCTGAAGCCACAATGACAATCCTGAAGGCTGCCGCCGATCCAGCTCTGAGCACCGACTTCCAGACCATCCTGGACTGAGAATTCGGATCCGATTCGAGCATTTAAATACGTGGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCCACGTGGATATCGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【0324】
配列番号24(AAV9-CMV-nullゲノム及びAAV6-CMV-nullウイルスゲノム)
GCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCACGCGTGGAGCTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGTCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGATTCGAATCCCGGCCGGGAACGGTGCATTGGAACGCGGATTCCCCGTGCCAAGAGTGACGTAAGTACCGCCTATAGAGTCTATAGGCCCACAAAAAATGCTTTCTTCTTTTAATATACTTTTTTGTTTATCTTATTTCTAATACTTTCCCTAATCTCTTTCTTTCAGGGCAATAATGATACAATGTATCATGCCTCTTTGCACCATTCTAAAGAATAACAGTGATAATTTCTGGGTTAAGGCAATAGCAATATTTCTGCATATAAATATTTCTGCATATAAATTGTAACTGATGTAAGAGGTTTCATATTGCTAATAGCAGCTACAATCCAGCTACCATTCTGCTTTTATTTTATGGTTGGGATAAGGCTGGATTATTCTGAGTCCAAGCTAGGCCCTTTTGCTAATCATGTTCATACCTCTTATCTTCCTCCCACAGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTCTGTGTGCTGGCCCATCACTTTGGCAAAGAATTGGGATTCGAACATCGATTGAATTCCCCGGGGATCCTCTAGAGTCGACCTGCAGAAGCTTGCCTCGAGCAGCGCTGCTCGAGAGATCTACGGGTGGCATCCCTGTGACCCCTCCCCAGTGCCTCTCCTGGCCCTGGAAGTTGCCACTCCAGTGCCCACCAGCCTTGTCCTAATAAAATTAAGTTGCATCATTTTGTCTGACTAGGTGTCCTTCTATAATATTATGGGGTGGAGGGGGGTGGTATGGAGCAAGGGGCAAGTTGGGAAGACAACCTGTAGGGCCTGCGGGGTCTATTGGGAACCAAGCTGGAGTGCAGTGGCACAATCTTGGCTCACTGCAATCTCCGCCTCCTGGGTTCAAGCGATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCGAGTTGTTGGGATTCCAGGCATGCATGACCAGGCTCAGCTAATTTTTGTTTTTTTGGTAGAGACGGGGTTTCACCATATTGGCCAGGCTGGTCTCCAACTCCTAATCTCAGGTGATCTACCCACCTTGGCCTCCCAAATTGCTGGGATTACAGGCGTGAACCACTGCTCCCTTCCCTGTCCTTCTGATTTTGTAGGTAACCACGTGCGGACCGAGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGC
【0325】
配列番号25(AAV9-CMV-mTERTウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCACGCGTGGAGCTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGTCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGATTCGAATCCCGGCCGGGAACGGTGCATTGGAACGCGGATTCCCCGTGCCAAGAGTGACGTAAGTACCGCCTATAGAGTCTATAGGCCCACAAAAAATGCTTTCTTCTTTTAATATACTTTTTTGTTTATCTTATTTCTAATACTTTCCCTAATCTCTTTCTTTCAGGGCAATAATGATACAATGTATCATGCCTCTTTGCACCATTCTAAAGAATAACAGTGATAATTTCTGGGTTAAGGCAATAGCAATATTTCTGCATATAAATATTTCTGCATATAAATTGTAACTGATGTAAGAGGTTTCATATTGCTAATAGCAGCTACAATCCAGCTACCATTCTGCTTTTATTTTATGGTTGGGATAAGGCTGGATTATTCTGAGTCCAAGCTAGGCCCTTTTGCTAATCATGTTCATACCTCTTATCTTCCTCCCACAGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTCTGTGTGCTGGCCCATCACTTTGGCAAAGAATTGGGATTCGAACATCGATTGAATTCATGACCCGCGCTCCTCGTTGCCCCGCGGTGCGCTCTCTGCTGCGCAGCCGATACCGGGAGGTGTGGCCGCTGGCAACCTTTGTGCGGCGCCTGGGGCCCGAGGGCAGGCGGCTTGTGCAACCCGGGGACCCGAAGATCTACCGCACTTTGGTTGCCCAATGCCTAGTGTGCATGCACTGGGGCTCACAGCCTCCACCTGCCGACCTTTCCTTCCACCAGGTGTCATCCCTGAAAGAGCTGGTGGCCAGGGTTGTGCAGAGACTCTGCGAGCGCAACGAGAGAAACGTGCTGGCTTTTGGCTTTGAGCTGCTTAACGAGGCCAGAGGCGGGCCTCCCATGGCCTTCACTAGTAGCGTGCGTAGCTACTTGCCCAACACTGTTATTGAGACCCTGCGTGTCAGTGGTGCATGGATGCTACTGTTGAGCCGAGTGGGCGACGACCTGCTGGTCTACCTGCTGGCACACTGTGCTCTTTATCTTCTGGTGCCCCCCAGCTGTGCCTACCAGGTGTGTGGGTCTCCCCTGTACCAAATTTGTGCCACCACGGATATCTGGCCCTCTGTGTCCGCTAGTTACAGGCCCACCCGACCCGTGGGCAGGAATTTCACTAACCTTAGGTTCTTACAACAGATCAAGAGCAGTAGTCGCCAGGAAGCACCGAAACCCCTGGCCTTGCCATCTCGAGGTACAAAGAGGCATCTGAGTCTCACCAGTACAAGTGTGCCTTCAGCTAAGAAGGCCAGATGCTATCCTGTCCCGAGAGTGGAGGAGGGACCCCACAGGCAGGTGCTACCAACCCCATCAGGCAAATCATGGGTGCCAAGTCCTGCTCGGTCCCCCGAGGTGCCTACTGCAGAGAAAGATTTGTCTTCTAAAGGAAAGGTGTCTGACCTGAGTCTCTCTGGGTCGGTGTGCTGTAAACACAAGCCCAGCTCCACATCTCTGCTGTCACCACCCCGCCAAAATGCCTTTCAGCTCAGGCCATTTATTGAGACCAGACATTTCCTTTACTCCAGGGGAGATGGCCAAGAGCGTCTAAACCCCTCATTCCTACTCAGCAACCTCCAGCCTAACTTGACTGGGGCCAGGAGACTGGTGGAGATCATCTTTCTGGGCTCAAGGCCTAGGACATCAGGACCACTCTGCAGGACACACCGTCTATCGCGTCGATACTGGCAGATGCGGCCCCTGTTCCAACAGCTGCTGGTGAACCATGCAGAGTGCCAATATGTCAGACTCCTCAGGTCACATTGCAGGTTTCGAACAGCAAACCAACAGGTGACAGATGCCTTGAACACCAGCCCACCGCACCTCATGGATTTGCTCCGCCTGCACAGCAGTCCCTGGCAGGTATATGGTTTTCTTCGGGCCTGTCTCTGCAAGGTGGTGTCTGCTAGTCTCTGGGGTACCAGGCACAATGAGCGCCGCTTCTTTAAGAACTTAAAGAAGTTCATCTCGTTGGGGAAATACGGCAAGCTATCACTGCAGGAACTGATGTGGAAGATGAAAGTAGAGGATTGCCACTGGCTCCGCAGCAGCCCGGGGAAGGACCGTGTCCCCGCTGCAGAGCACCGTCTGAGGAGAGGATCCTGGCTACGTTCCTGTTCTGGCTGATGGACACATACGTGGTACAGCTGCTTAGGTCATTCTTTTACATCACAGAGAGCACATTCCAGAAGAACAGGCTCTTCTTCTACCGTAAGAGTGTGTGGAGCAAGCTGCAGAGCATTGGAGTCAGGCAACACCTTGAGAGAGTGCGGCTACGGGAGCTGTCACAAGAGGAGGTCAGGCATCACCAGGACACCTGGCTAGCCATGCCCATCTGCAGACTGCGCTTCATCCCCAAGCCCAACGGCCTGCGGCCCATTGTGAACATGAGTTATAGCATGGGTACCAGAGCTTTGGGCAGAAGGAAGCAGGCCCAGCATTTCACCCAGCGTCTCAAGACTCTCTTCAGCATGCTCAACTATGAGCGGACAAAACATCCTCACCTTATGGGGTCTTCTGTACTGGGTATGAATGACATCTACAGGACCTGGCGGGCCTTTGTGCTGCGTGTGCGTGCTCTGGACCAGACACCCAGGATGTACTTTGTTAAGGCAGATGTGACCGGGGCCTATGATGCCATCCCCCCAGGGTAAGCTGGTGGAGGTTGTTGCCAATATGATCAGGCACTCGGAGAGCACGTACTGTATCCGCCAGTATGCAGTGGTCCGGAGAGATAGCCAAGGCCAAGTCCACAAGTCCTTTAGGAGACAGGTCACCACCCTCTCTGACCTCCAGCCATACATGGGCCAGTTCCTTAAGCATCTGCAGGATTCAGATGCCAGTGCACTGAGGAACTCCGTTGTCATCGAGCAGAGCATCTCTATGAATGAGAGCAGCAGCAGCCTGTTTGACTTCTTCCTGCACTTCCTGCGTCACAGTGTCGTAAAGATTGGTGACAGGTGCTATACGCAGTGCCAGGGCATCCCCCAGGGCTCCAGCCTATCCACCCTGCTCTGCAGTCTGTGTTTCGGAGACATGGAGAACAAGCTGTTTGCTGAGGTGCAGCGGGATGGGTTGCTTTTACGTTTTGTTGATGACTTTCTGTTGGTGACGCCTCACTTGGACCAAGCAAAAACCTTCCTCAGCACCCTGGTCCATGGCGTTCCTGAGTATGGGTGCATGATAAACTTGCAGAAGACAGTGGTGAACTTCCCTGTGGAGCCTGGTACCCTGGGTGGTGCAGCTCCATACCAGCTGCCTGCTCACTGCCTGTTTCCCTGGTGTGGCTTGCTGCTGGACACTCAGACTTTGGAGGTGTTCTGTGACTACTCAGGTTATGCCCAGACCTCAATTAAGACGAGCCTCACCTTCCAGAGTGTCTTCAAAGCTGGGAAGACCATGCGGAACAAGCTCCTGTCGGTCTTGCGGTTGAAGTGTCACGGTCTATTTCTAGACTTGCAGGTGAACAGCCTCCAGACAGTCTGCATCAATATATACAAGATCTTCCTGCTTCAGGCCTACAGGTTCCATGCATGTGTGATTCAGCTTCCCTTTGACCAGCGTGTTAGGAAGAACCTCACATTCTTTCTGGGCATCATCTCCAGCCAAGCATCCTGCTGCTATGCTATCCTGAAGGTCAAGAATCCAGGAATGACACTAAAGGCCTCTGGCTCCTTTCCTCCTGAAGCCGCACATTGGCTCTGCTACCAGGCCTTCCTGCTCAAGCTGGCTGCTCATTCTGTCATCTACAAATGTCTCCTGGGACCTCTGAGGACAGCCCAAAAACTGCTGTGCCGGAAGCTCCCAGAGGCGACAATGACCATCCTTAAAGCTGCAGCTGACCCAGCCCTAAGCACAGACTTTCAGACCATTTTGGACTAACCCTGTCTCCTTCCGCTAGATGAACATGGGCATTGTAGCCTCAGCACTCCTGGATCCACGTCACAAGAGGGACTGGTCAGTTGTGAGGCTAGGTCATCCTCCAAACCTCTGTGTCATGGGTGGTATGGGAGATTGTCCCAGTGCCTTGTTTCCTGTAACAGGCTTGATTTCTTTCCTGATGCCCTCAGGGAGGCAGATCCTATCCCTTTTAGTGGCAGGGATCCACTAGCACCAGCACATGAGGAGTGCACCCAGTGCACATGGGCACTGGGACAGTGGACAGGTGTGAGATTCCTGGGCCCTGGAGTCTTTTCACACCTAACCATGGGAGCCTGTCCCAGTACATCAGAGTGCCTCGGAGATGAAAAAGGACATCGAGCCAGTGACCTAAATTACAGCCTGAATATACTCTGAATTCCCCGGGGATCCTCTAGAGTCGACCTGCAGAAGCTGTAACCACGTGCGGACCGAGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【0326】
配列番号26(AAV-CMV-GFP組換えアデノ随伴ウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCACGCGTGGAGCTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGTCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGAGTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGTGATGCGGTTTTGGCAGTACATCAATGGGCGTGGATAGCGGTTTGACTCACGGGGATTTCCAAGTCTCCACCCCATTGACGTCAATGGGAGTTTGTTTTGCACCAAAATCAACGGGACTTTCCAAAATGTCGTAACAACTCCGCCCCATTGACGCAAATGGGCGGTAGGCGTGTACGGTGGGAGGTCTATATAAGCAGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCGCGGATTCGAATCCCGGCCGGGAACGGTGCATTGGAACGCGGATTCCCCGTGCCAAGAGTGACGTAAGTACCGCCTATAGAGTCTATAGGCCCACAAAAAATGCTTTCTTCTTTTAATATACTTTTTTGTTTATCTTATTTCTAATACTTTCCCTAATCTCTTTCTTTCAGGGCAATAATGATACAATGTATCATGCCTCTTTGCACCATTCTAAAGAATAACAGTGATAATTTCTGGGTTAAGGCAATAGCAATATTTCTGCATATAAATATTTCTGCATATAAATTGTAACTGATGTAAGAGGTTTCATATTGCTAATAGCAGCTACAATCCAGCTACCATTCTGCTTTTATTTTATGGTTGGGATAAGGCTGGATTATTCTGAGTCCAAGCTAGGCCCTTTTGCTAATCATGTTCATACCTCTTATCTTCCTCCCACAGCTCCTGGGCAACGTGCTGGTCTGTGTGCTGGCCCATCACTTTGGCAAAGAATTGGGATTCGAACATTCGAGCGCAAGCTTGAGCTAGCGCTACCGGTCGCCACCATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTCCGGACTCAGATCTCGAGCTCAAGCTTCGAATTCTGCAGTCGACGGTACCGCGGGCCCGGGATCCACCGGATCTAGATAACTGATCCGCGCGATCTACGGGTGGCATCCCTGTGACCCCTCCCCAGTGCCTCTCCTGGCCCTGGAAGTTGCCACTCCAGTGCCCACCAGCCTTGTCCTAATAAAATTAAGTTGCATCATTTTGTCTGACTAGGTGTCCTTCTATAATATTATGGGGTGGAGGGGGGTGGTATGGAGCAAGGGGCAAGTTGGGAAGACAACCTGTAGGGCCTGCGGGGTCTATTGGGAACCAAGCTGGAGTGCAGTGGCACAATCTTGGCTCACTGCAATCTCCGCCTCCTGGGTTCAAGCGATTCTCCTGCCTCAGCCTCCCGAGTTGTTGGGATTCCAGGCATGCATGACCAGGCTCAGCTAATTTTTGTTTTTTTGGTAGAGACGGGGTTTCACCATATTGGCCAGGCTGGTCTCCAACTCCTAATCTCAGGTGATCTACCCACCTTGGCCTCCCAAATTGCTGGGATTACAGGCGTGAACCACTGCTCCCTTCCCTGTCCTTCTGATTTTGTAGGTAACCACGTGCGGACCGAGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【0327】
配列番号27(AAV-SpB-GFP組換えアデノ随伴ウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCGATATCATAGGGCTGTCTGGGAGCCACTCCAGGGCCACAGAAATCTTGTCTCTGACTCAGGGTATTTTGTTTTCTGTTTTGTGTAAATGCTCTTCTGACTAATGCAAACCATGTGTCCATAGAACCAGAAGATTTTTCCAGGGGAAAAGGTAAGGAGGTGGTGAGAGTGTCCTGGGTCTGCCCTTCCAGGGCTTGCCCTGGGTTAAGAGCCAGGCAGGAAGCTCTCAAGAGCATTGCTCAAGAGTAGAGGGGGCCTGGGAGGCCCAGGGAGGGGATGGGAGGGGAACACCCAGGCTGCCCCCAACCAGATGCCCTCCACCCTCCTCAACCTCCCTCCCACGGCCTGGAGAGGTGGGACCAGGTATGGAGGCTTGAGAGCCCCTGGTTGGAGGAAGCCACAAGTCCAGGAACATGGGAGTCTGGGCAGGGGGCAAAGGAGGCAGGAACAGGCCATCAGCCAGGACAGGTGGTAAGGCAGGCAGGAGTGTTCCTGCTGGGAAAAGGTGGGATCAAGCACCTGGAGGGCTCTTCAGAGCAAAGACAAACACTGAGGTCGCTGCCACTCCTACAGAGCCCCCACGCCCCGCCCAGCTATAAGGGGCCATGCACCAAGCAGGGTACCCAGGCTGCAGAGGTGCGAATTCATTTAAATTCTAGAGCCACCATGGTGAGCAAGGGCGAGGAGCTGTTCACCGGGGTGGTGCCCATCCTGGTCGAGCTGGACGGCGACGTAAACGGCCACAAGTTCAGCGTGTCCGGCGAGGGCGAGGGCGATGCCACCTACGGCAAGCTGACCCTGAAGTTCATCTGCACCACCGGCAAGCTGCCCGTGCCCTGGCCCACCCTCGTGACCACCCTGACCTACGGCGTGCAGTGCTTCAGCCGCTACCCCGACCACATGAAGCAGCACGACTTCTTCAAGTCCGCCATGCCCGAAGGCTACGTCCAGGAGCGCACCATCTTCTTCAAGGACGACGGCAACTACAAGACCCGCGCCGAGGTGAAGTTCGAGGGCGACACCCTGGTGAACCGCATCGAGCTGAAGGGCATCGACTTCAAGGAGGACGGCAACATCCTGGGGCACAAGCTGGAGTACAACTACAACAGCCACAACGTCTATATCATGGCCGACAAGCAGAAGAACGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCGCCACAACATCGAGGACGGCAGCGTGCAGCTCGCCGACCACTACCAGCAGAACACCCCCATCGGCGACGGCCCCGTGCTGCTGCCCGACAACCACTACCTGAGCACCCAGTCCGCCCTGAGCAAAGACCCCAACGAGAAGCGCGATCACATGGTCCTGCTGGAGTTCGTGACCGCCGCCGGGATCACTCTCGGCATGGACGAGCTGTACAAGTAAACTCGAGCATTTAAATACGTGGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCCACGTGGATATCGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【0328】
配列番号28(AAV6-SpB-nullゲノム及びAAV9-SpB-nullウイルスゲノム)
CCTGCAGGCAGCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGCCCGGGCAAAGCCCGGGCGTCGGGCGACCTTTGGTCGCCCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGAGAGGGAGTGGCCAACTCCATCACTAGGGGTTCCTGCGGCCGCGATATCATAGGGCTGTCTGGGAGCCACTCCAGGGCCACAGAAATCTTGTCTCTGACTCAGGGTATTTTGTTTTCTGTTTTGTGTAAATGCTCTTCTGACTAATGCAAACCATGTGTCCATAGAACCAGAAGATTTTTCCAGGGGAAAAGGTAAGGAGGTGGTGAGAGTGTCCTGGGTCTGCCCTTCCAGGGCTTGCCCTGGGTTAAGAGCCAGGCAGGAAGCTCTCAAGAGCATTGCTCAAGAGTAGAGGGGGCCTGGGAGGCCCAGGGAGGGGATGGGAGGGGAACACCCAGGCTGCCCCCAACCAGATGCCCTCCACCCTCCTCAACCTCCCTCCCACGGCCTGGAGAGGTGGGACCAGGTATGGAGGCTTGAGAGCCCCTGGTTGGAGGAAGCCACAAGTCCAGGAACATGGGAGTCTGGGCAGGGGGCAAAGGAGGCAGGAACAGGCCATCAGCCAGGACAGGTGGTAAGGCAGGCAGGAGTGTTCCTGCTGGGAAAAGGTGGGATCAAGCACCTGGAGGGCTCTTCAGAGCAAAGACAAACACTGAGGTCGCTGCCACTCCTACAGAGCCCCCACGCCCCGCCCAGCTATAAGGGGCCATGCACCAAGCAGGGTACCCAGGCTGCAGAGGTGCGAATTCATTTAAATACGTGGAGCTCGCTGATCAGCCTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAATAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCCACGTGGATATCGCGGCCGCAGGAACCCCTAGTGATGGAGTTGGCCACTCCCTCTCTGCGCGCTCGCTCGCTCACTGAGGCCGGGCGACCAAAGGTCGCCCGACGCCCGGGCTTTGCCCGGGCGGCCTCAGTGAGCGAGCGAGCGCGCAGCTGCCTGCAGG
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織特異的プロモーターに作動可能に連結されたテロメラーゼ逆転写酵素(TERT)をコードするヌクレオチド配列を含む組換え
アデノ随伴ウイルスゲノムであって、前記ウイルスゲノムの全長は、4700ヌクレオチド未満であり、
かつ前記組織特異的プロモーターは、配列番号12のみからなる、組換え
アデノ随伴ウイルスゲノム。
【請求項2】
前記
TERTをコードする配列は、
好ましくは
ヒト細胞に
おける発現用にコドン最適化されている、請求項1に記載の組換え
アデノ随伴ウイルスゲノム。
【請求項3】
a)前記TERTをコードする配列は、配列番号4、配列番号7、若しくは配列番号10のいずれか1つ、好ましくは配列番号7若しくは配列番号10と少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性若しくは類似性を有するアミノ酸配列によって表されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、又は、
b)前記TERTをコードする配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号5、配列番号6、配列番号8、及び配列番号9のいずれか1つ、好ましくは配列番号6及び配列番号9のいずれか1つと少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、若しくは99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、又は、
c)前記TERTをコードする配列は、遺伝暗号の縮重によりa)若しくはb)のヌクレオチド配列の配列とは異なる配列のヌクレオチド配列を含むか、本質的にそれのみからなるか、若しくはそれのみからなる、請求項1
又は2に記載の組換え
アデノ随伴ウイルスゲノム。
【請求項4】
前記組換えウイルスゲノムは、前記TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたコザックコンセンサス配列を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム。
【請求項5】
前記組換えウイルスゲノムは、前記TERTをコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたポリA配列を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に規定される組換えアデノ随伴ウイルスゲノムを含むアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項7】
前記ウイルスベクターは、血清型1型、血清型2型、血清型3型、血清型4型、血清型5型、血清型6型、血清型7型、血清型8型、血清型9型、血清型rh10型、血清型rh8型、血清型Cb4型、血清型rh74型、血清型DJ型、血清型2/5型、血清型2/1型、血清型1/2型、又は血清型Anc80型のものである、請求項6に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項8】
前記ウイルスベクターは、血清型6型又は血清型9型のものである、請求項7に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項9】
前記ウイルスベクターは、血清型6型のものである、請求項8に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項10】
前記ウイルスベクターは、血清型6型のものであり、かつ前記組織特異的プロモーターは、請求項1に規定される通りである、請求項9に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項11】
前記ウイルスベクターは、血清型6型のものであり、かつ前記組織特異的プロモーターは、請求項1に規定される通りである、請求項9に記載のアデノ随伴ウイルスベクター。
【請求項12】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム又は請求項6~11のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクターを含み、任意に1種以上の薬学的に許容可能な成分を更に含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬として使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム、請求項6~11のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
テロメア長の短縮と関連する病態の治療及び/又は予防において使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム、請求項6~11のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
肺線維症の治療及び/又は予防において使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム、請求項6~11のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項16】
気管内投与を介した肺線維症の治療及び/又は予防において使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組換えアデノ随伴ウイルスゲノム、請求項6~11のいずれか一項に記載のアデノ随伴ウイルスベクター、又は請求項12に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】