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特表2024-521065アルギネートを用いる球状の金属-有機のフレームワーク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】アルギネートを用いる球状の金属-有機のフレームワーク
(51)【国際特許分類】
   C08L 85/00 20060101AFI20240521BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20240521BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20240521BHJP
   C08G 79/14 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C08L85/00
C08K5/098
C08K3/16
C08G79/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570388
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022030581
(87)【国際公開番号】W WO2022251134
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,263
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523025539
【氏名又は名称】エクソンモービル テクノロジー アンド エンジニアリング カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ExxonMobil Technology and Engineering Company
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】サトラー,ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】ハーブ,ニコール エム
(72)【発明者】
【氏名】ピーターズ,アーロン ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】カペレフスキー,マシュー ティ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J030
【Fターム(参考)】
4J002CQ031
4J002DD066
4J002EG087
4J030CB01
4J030CB02
4J030CB03
4J030CB04
4J030CB06
4J030CB07
4J030CC04
4J030CC05
4J030CC15
4J030CC16
4J030CC17
4J030CC21
4J030CC23
4J030CC24
4J030CC27
4J030CC29
4J030CC30
4J030CG10
(57)【要約】
本開示では、本願の金属-有機のフレームワークの球状物の製造方法ならびに当該製造方法によって製造される新たな組成物を提供する。本願の方法では、アルギン酸ナトリウムおよび水を混合して、アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成させる。このアルギン酸ナトリウムの水溶液に複数の金属-有機のフレームワークを添加して、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を生成させる。このような金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物に塩化カルシウムの溶液を添加して、金属-有機のフレームワークの球状物を形成する。このように形成された金属-有機のフレームワークの球状物は、約70重量%以下の金属-有機のフレームワークと、アルギン酸カルシウム錯体のネットワークとを含み、少なくとも44.5Nのクラッシュ強度に耐えることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属-有機のフレームワークを含む組成物であって、前記金属-有機のフレームワークは、複数のアルギン酸カルシウム錯体のネットワーク内に位置し、当該組成物は、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウムの水溶液と合わせることによって調製され、
前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、
約5.0重量%以下のアルギン酸ナトリウムと、
約1.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムと、
少なくとも10重量%の金属-有機のフレームワークと
を含み、
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、少なくとも1つの金属イオンと、少なくとも1つの有機リガンドとを含み、
当該組成物は、60重量%以上の金属-有機のフレームワークを含み、なおかつ、少なくとも約10ポンドフォースのクラッシュ強度を有し、なおかつ、少なくとも約500m/グラムの表面積を有する、組成物。
【請求項2】
金属-有機のフレームワークの球状物であって、当該球状物は、約60重量%~約70重量%の複数の金属-有機のフレームワークを含み、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドと金属とを含み、前記金属-有機のフレームワークは、複数のアルギン酸カルシウム錯体のネットワーク内にブレンドされていて、前記アルギン酸カルシウム錯体は、それぞれ、アルギネートを含み、前記アルギネートは、カルシウムとイオン的に架橋しており、当該金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォースのバルク・クラッシュ強度を有し、なおかつ、少なくとも500m/グラムの表面積を有する、金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項3】
金属-有機のフレームワークの球状物を製造するための方法であって、当該方法は、
塩化カルシウムの溶液を生成させるために、塩化カルシウムを水中に溶解させる工程と、
アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成させるために、アルギン酸ナトリウムと水とを混合する工程と、
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を生成させるために、複数の金属-有機のフレームワークを前記アルギン酸ナトリウムの水溶液に添加する工程であって、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドと金属とを含む、工程と、
金属-有機のフレームワークの球状物を形成するために、前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を前記塩化カルシウムの溶液に添加する工程と
を含む、方法。
【請求項4】
前記塩化カルシウム溶液は、少なくとも3.0重量%の塩化カルシウムを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記アルギン酸ナトリウムの水溶液の温度は、20℃~25℃である、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、スラリーである、請求項3~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記スラリーは、少なくとも10重量%の金属-有機のフレームワークを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記スラリーを前記塩化カルシウムの溶液に滴下して添加する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
金属-有機のフレームワークの球状物を製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程:
アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成させるために、約5.0重量%以下のアルギン酸ナトリウムを水と混合する工程、
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を生成させるために、複数の金属-有機のフレームワークをアルギン酸ナトリウムの水溶液に添加する工程であって、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドと金属とを含む、工程、および
金属-有機のフレームワークの球状物を形成するために、前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウムの水溶液に添加する工程であって、前記塩化カルシウムの水溶液が、約2.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムを含む、工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォースのクラッシュ強度を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積を有する、請求項3~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ニートのアミンあるいはトルエン中のアミンの溶液を前記金属-有機のフレームワークの球状物に添加することをさらに含む、請求項3~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキル基のサブ構造、または
1~5個の芳香環を有するアリール基のサブ構造
の1以上を含み、
前記1以上のサブ構造は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であって、前記官能基は、金属または半金属に配位するように構成されている、
請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項13】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドを含み、前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキルアミンのサブ構造、あるいは、
1~5個の芳香環を有するアリールアミンまたは窒素含有複素環のサブ構造
を含み、
前記サブ構造は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であり、前記官能基は、金属または半金属に配位するように構成されている、
請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項14】
Xは、それぞれ、独立して、COH、OH、SH、OH、NH、CN、HCO、CSH、NO、SOH、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Si(SH)、Ge(SH)、Sn(SH)、POH、AsOH、AsOH、P(SH)、As(SH)、CH(RSH)、C(RSH)、CH(RNH、C(RNH、CH(ROH)、C(ROH)、CH(RCN)、C(RCN)、CH(SH)、C(SH)、CH(NH、C(NH、CH(OH)、C(OH)、CH(CN)、C(CN)、窒素含有複素環、硫黄含有複素環、またはそれらの組み合わせの中性またはイオンの形態から選択され、式中、Rは、1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、1~2個のフェニル環を有するアリール基である、請求項12または13に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項15】
前記有機リガンドは、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレート、1,4-ベンゼンジカルボキシレート、1,3-ベンゼンジカルボキシレート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(1H-テトラゾール)、アセチレン-1,2-ジカルボキシレート、ナフタレンジカルボキシレート、アダマンタンテトラカルボキシレート、ベンゼントリベンゾエート、メタンテトラベンゾエート、アダマンタントリベンゾエート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、イミダゾール、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシ-(1,1’-ビフェニル)-3,3’-ジカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項16】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、およびBi5+、Bi3+、Bi、またはそれらの組み合わせから選択される金属イオンを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項17】
前記金属イオンは、Mg2+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cu2+、Cu、Pt2+、Ag、Zn2+、Zr4+、Hf4+、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項16に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項18】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Mg-MOF-74、HKUST-1、UiO-66、ZIF-8、ZIF-7、MIL-100、Mg-MOF-274、混合された金属-有機のフレームワーク、および/またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項19】
前記金属-有機のフレームワークは、UiO-66、Mg-MOF-74、またはアミン-MOF-274である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【請求項20】
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、エネルギー効率がよい温度スイング吸着プロセスにおいて、COを吸収することができる、請求項1~19のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮出願第63/192263号(出願日:2021年5月24日)(その全体が参考として本開示に組み込まれている)の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
(分野)
本開示は、概して、金属-有機のフレームワークの組成物を製造することに関する。具体的には、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))(44.5ニュートン(N))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度)を有する金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
金属-有機のフレームワークは、分離(又はセパレーション)の技術(又はテクノロジー)および触媒(又はキャタリスト)および/または触媒サポート(又はキャタリスト・サポート)において吸着剤(又はアドソーベント)としての用途(又はアプリケーション)を有する。合成する場合、金属-有機のフレームワークは、微結晶性(又は微晶質又はミクロクリスタル)のパウダー(又は粉末)またはナノ・パウダー(又はナノ粉末)として製造(又は生成又は形成)されている。次いで、パウダー(又は粉末)は、様々な用途(又は適用又は応用又はアプリケーション)で使用するために、小さな粒径分布(又は粒度分布又はパーティクル・サイズ・ディストリビューション)を有する可能性のある形状の本体(又はボディ)(又は成形物)に形成(又は生成)される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属-有機のフレームワークを成形するために、ペレット化(又はペレタイゼーション)および押出(又はエクストルージョン)などの技術(又はテクニック)は、金属-有機のフレームワークの粒子を圧縮(又はプレス)して破砕(又は破壊又はクラッシュ)することで、粒径画分(又は粒度画分又は粒径フラクション又は粒度フラクション又はパーティクル・サイズ・フラクション)にすることを含む。このような技術(又はテクニック)に必要な高い圧力は、しばしば、金属-有機のフレームワークの材料(又はマテリアル)にとって、あまりにも過酷である。また、成形した材料の多孔度(又は多孔性又はポロシティ)および表面積(又はサーフェス・エリア)の顕著な減少をもたらし得る。理想的には、成形(又はシェイピング)は、重量表面積(又はグラビメトリック・サーフェス・エリア(gravimetric surface area))、多孔度(又は多孔性又はポロシティ)、化学的な構造(又はケミカル・ストラクチャ)または官能性(又は官能基又はファンクショナリティ)が顕著に減少することなく、行われるべきである。
【0005】
他の方法は、押出(又はエクストルージョン)または乾燥させるためのペーストを用いて、金属-有機のフレームワークを成形(又は形成又はシェイピング)することを含む。このような調製物は、しばしば、添加剤および/またはバインダ(セルロースまたはポリマー(ポリビニルアルコール(PVA)または同様のもの)など)を必要とする。また、金属-有機のフレームワークのパウダー形態(又はパウダー・フォーム)と比較した場合、押出物(又は押出によって成形したもの又はエクストルーデート(extrudate))における重量比表面積(weight-specific surface area)の減少をもたらし得る。また、ゲル化剤とともに、またはゲル化剤なしで、親水コロイド(例えば、アガー、スターチ、セルロース、キサンタン、ゼラチン、カゼインなど)が使用されている。このような方法に関連する問題として、ポア(又は孔又は細孔)のブロック(又はポア・ブロッキング)ならびに最適化の一般的な欠落(形状(又はシェイプ)、表面積および球状物(又は球状体又はスフェア)の強度(又はストレングス)に関するもの)が挙げられる。さらに、バイオポリマーの熱的な安定性(又は熱安定性)は、製造された材料(又はマテリアル)の熱的な安定性(又は熱安定性)を制限し得る。最近では、親水コロイドを用いる方法によって、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を製造することが開発されている。
Spjelkavik, A.I.ら、Forming MOFs into Spheres by Use of Molecular Gastronomy Methods, Chem. Pub. Soc. Eur., 20, 8973-8978, 2014.
この方法(又は方法論又はメソドロジー)によって、95重量%を超える金属-有機のフレームワークが7.0ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))を下回る最大のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度)を有するものを含む球状物(又は球状体又はスフェア)が形成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本開示では、本願の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)の球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための方法を提供する。本願の方法では、アルギン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルギネート)および水を混合して、アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成(又は形成)させる。アルギン酸ナトリウムの水溶液に金属-有機のフレームワークを添加して、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)を生成(又は形成)させる。金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウムの溶液に添加して、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を形成(又は生成)する。塩化カルシウムの溶液は、水および塩化カルシウムを含んで成る。金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度)を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積(又はサーフェス・エリア)を有する。
【0007】
さらに、本開示では、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための方法を説明する。当該方法は、以下の工程(又はステップ)を含む。
アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成(又は形成)させるために、少なくとも5.0重量%のアルギン酸ナトリウムを水と混合する工程(又はステップ)、および
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)を生成(又は形成)させるために、複数の金属-有機のフレームワークをアルギン酸ナトリウムの水溶液に添加する工程(又はステップ)。水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウムの水溶液に添加して、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を形成(又は生成)させる。ここで、塩化カルシウムの水溶液は、約2.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムを含むものである。金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度)を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積(又はサーフェス・エリア)を有し、なおかつ、約60重量%以上の金属-有機のフレームワークを含む。
【0008】
また、本開示では、組成物(又はコンポジション)を提供する。当該組成物は、複数の金属-有機のフレームワークを含む。金属-有機のフレームワークは、アルギン酸カルシウム錯体(又はカルシウムアルギネート錯体)(複数)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)内に位置している(又は位置決め又は配置されている)。当該組成物は、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)を塩化カルシウムの水溶液と合わせる(又はコンバインする)ことによって製造(又は調製又は生成又は形成)させる。ここで、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、約20.0重量%未満の金属-有機のフレームワークと、約1.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムと、約5.0重量%以下のアルギン酸ナトリウムとを含む。金属-有機のフレームワークは、それぞれ、少なくとも1つの金属イオン(又はメタル・イオン)と、少なくとも1つの有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)とを含む。組成物は、70重量%以下の金属-有機のフレームワークを含み、なおかつ、少なくとも約10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度)を有し、なおかつ、少なくとも約500m/gの表面積(又はサーフェス・エリア)を有する。
【0009】
本開示では、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を提供する。金属-有機のフレームワークの球状物は、約60重量%~約70重量%の金属-有機のフレームワーク(複数)を含むものである。金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)と金属(又はメタル)とを含む。金属-有機のフレームワークをアルギン酸カルシウム錯体(又はカルシウム・アルギネート錯体)(複数)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)内にブレンド(又は混合又は配合)する。アルギン酸カルシウム錯体は、それぞれ、アルギネート(又はアルギン酸塩)を含む。アルギネートは、カルシウムとイオン的に架橋(又はイオン性の架橋又はイオン架橋)している。金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも3.0重量%のカルシウムを含み、なおかつ、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のバルク・クラッシュ強度(又はバルク破砕強度又はバルク圧縮強度又はバルク圧潰強度又はバルク圧壊強度)を有し、なおかつ、少なくとも500m/グラム(m/g)の表面積(又はサーフェス・エリア)を有する。
【0010】
本開示の方法および組成物のこのような特徴および他の特徴ならびに特性、本開示の方法および組成物の有用な適用(又は応用又は用途又はアプリケーション)および/または使用(又はユース)は、以下の詳細な説明から明らかである。
【0011】
本開示の主題(又はサブジェクト・マター)を当業者が作製して使用する際に役立つように、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、Mg-MOF-74(アルギネートの球状物の形成あり、アルギネートの球状物の形成なし)のNのアイソサーム(isotherm)(77Kで採取したもの)を示すグラフである。
図1B図1Bは、UiO-66(アルギネートの球状物の形成あり、アルギネートの球状物の形成なし)のNのアイソサーム(isotherm)(77Kで採取したもの)を示すグラフである。
図2図2は、COのアイソサーム(isotherm)を示すグラフである(mmen-Mg-MOF-274、mmen-Mg-MOF-274(アルギン酸ナトリウムを用いて球状化したもの)、mmen-Mg-MOF-274(アルギン酸ナトリウムを用いて球状化、続いて、mmenを用いて再アミン化したもの)、mmen-Mg-MOF-274(アルギン酸ナトリウムを用いて球状化、続いて、mmen/トルエンを用いて再アミン化したもの))。
図3図3は、COのアイソサーム(isotherm)を示すグラフである(mmen-Mg-MOF-274(アルギン酸ナトリウムを用いて球状化したもの)(外部の方法および内部の方法の両方を用いた))(それ自体はアルギン酸ナトリウムの球状物である)。
図4図4は、イオン架橋の前のアルギン酸ナトリウムの構造を示す。
図5図5は、Ca2+を用いたイオン架橋後のアルギン酸ナトリウムの構造(仮説)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(詳細な説明)
本願の方法およびデバイス(又は装置)を開示して説明する前に、この発明は、他に示されていない限り、具体的な化合物(又はコンパウンド)、成分(又はコンポーネント)、組成物(又はコンポジション)、反応物(又はリアクタント)、反応条件、リガンド(又は配位子又は結合基)、触媒構造、メタロセン構造などに限定されないことを理解するべきである。なぜなら、これらは、他に具体的に示されていない限り、変動し得るからである。また、以下のことも理解するべきである。本開示で使用する用語(又は用語法又はターミノロジー)は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、これらに限定することは意図していない。
【0014】
本開示の詳細な説明および特許請求の範囲に記載のすべての数値は、記載した値に関して、「約(about)」または「約(approximately)」で修飾されている。また、当業者によって想定され得る実験の誤差(又はエラー)および変動(又はバリエーション)が考慮されている。他に記載しない限り、室温は、約25℃である。
【0015】
簡潔に記載するために、特定の範囲のみが本開示において明示的に開示されている。しかし、任意の下限からの範囲は、任意の上限と組み合わせることができ、それにより、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。また、任意の下限からの範囲は、任意の他の下限と組み合わせることができ、それにより、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。同様にして、任意の上限からの範囲は、任意の他の上限と組み合わせることができ、それにより、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。さらに、明示的に記載されていない場合であっても、範囲は、その両端の値(又はポイント)の間の全ての値(又はポイント)または個々の値(又はバリュー)を含む。従って、全ての値(又はポイント)または個々の値(又はバリュー)は、それ自体が、下限または上限として作用することができ、任意の他の値(又はポイント)または任意の個々の値(又はバリュー)あるいは任意の他の下限または上限と組み合わせることができ、それにより、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。
【0016】
本開示の目的のために以下の定義(又は規定)が適用される。
【0017】
本開示で使用する通り、用語「不定冠詞(a)」および「定冠詞(the)」は、本開示で使用される通り、複数および単数を包含することが理解される。
【0018】
用語「アリール(aryl)」は、他に記載されていない限り、多価不飽和(又は高度不飽和)の芳香族の置換基を意味し、単環式であっても、多環式であってもよく、多環式の場合、ともに縮合していても、共有結合で結合した多環式であってもよい。1つの態様において、この置換基は、1~11個の環を有する。あるいは、より具体的には、1~3個の環を有する。
用語「ヘテロアリール(heteroaryl)」は、N、OおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子(又は複素原子)を含むアリール置換基のグループ(又はリング)を意味する。ここで、窒素原子および硫黄原子は、必要に応じて、酸化されていてよい。窒素原子(単数または複数)は、必要に応じて、四級化されていてよい。例示のヘテロアリール基は、6員のアジン(例えば、ピリジニル、ジアジニル、トリアジニル)である。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子(又は複素原子)を介して、分子の残りの部分(又は残基又はリマインダ)に結合することができる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例として、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリルおよび6-キノリルが挙げられる。
上記のアリール環系およびヘテロアリール環系のそれぞれの置換基は、以下に記載の許容可能な置換基の群から選択される。
【0019】
本開示において使用する通り、用語「アルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」は、必要に応じて、提示された化学種(又はスピーシーズ)の置換された形態および置換されていない(又は非置換)の形態の両方を含むことができる。アリール基およびヘテロアリール基の置換基は、概して、「アリール基の置換基」と呼ばれる。置換基は、例えば、以下から選択される:
炭素またはヘテロ原子(例えば、P、N、O、S、SiまたはB)を介して、ヘテロアリールまたはヘテロアレーン(heteroarene)の核に結合する基として、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN、および、-R’、-、-CH(Ph)、フルオロ(C-C)アルコキシ、およびフルオロ(C-C)アルキルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
置換基の数は、ゼロ(0)から芳香環系のオープンの価数(又は値又はバレンシー)の総数の範囲内である。
上記で命名した基のそれぞれは、直接またはヘテロ原子(例えば、P、N、O、S、SiまたはB)を介して、アリールまたはヘテロアリールの核に結合している。式中、R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、好ましくは、独立して、水素、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のヘテロアルキル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が1よりも多くのR基を含む場合、例えば、R基は、それぞれ、独立して、R’、R’’、R’’’、R’’’’の基であるものとして、それぞれ、選択される(ただし、このような基が1よりも多く存在する場合である)。
【0020】
用語「アルキル(alkyl)」は、他に記載されない限り、それ自体または別の置換基の一部として、直鎖もしくは分枝鎖または環状の炭化水素の基(又はラジカル)あるいはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)を意味し、完全に飽和であっても、一不飽和であっても、多価不飽和であってもよい。二価、三価および多価の基(又はラジカル)を含んでいてもよい。指定された数の炭素原子を有する(すなわち、C-C10は、1~10個の炭素(C)を意味する)。
飽和の炭化水素の基(又はラジカル)の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、同族体(又はホモログ)および異性体(又はアイソマー)(例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの同族体および異性体)などの基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
不飽和のアルキル基は、1以上の二重結合または三重結合を有するものである。
不飽和のアルキル基の例として、ビニル、2-プロぺニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-プロピニル、3-プロピニル、3-ブチニル、およびより高級の同族体(又はホモログ)および異性体(又はアイソマー)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、用語「アルキル(alkyl)」は、他に記載されない限り、そのアルキルの誘導体(以下にて、より詳細に定義(又は規定)する)(例えば、「ヘテロアルキル(heteroalkyl)」)を必要に応じて含むことを意味する。
【0021】
用語「ハロ(halo)」または「ハロゲン(halogen)」は、他に記載されない限り、それ自体または別の置換基の一部として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。
【0022】
本開示で使用する通り、「アイソサーム(isotherm)(又は等温線)」とは、系の温度を一定(又はコンスタント)に維持しつつ、濃度の関数(又はファンクション)として、吸着物(又は吸着質又はアドソーベート(adsorbate))を吸着することを意味する。
一実施形態において、吸着物は、COであり、COの圧力として濃度を測定することができる。本開示で説明する通り、アイソサームは、多孔性(又は多孔質またはポーラス)の材料(又はマテリアル)(又はポーラス・マテリアル)を用いて行うことができる。また、見かけの表面積(apparent surface area)を計算するために適用(又は応用)された様々な数学的なモデル(又は数学モデル)を使用する。
Brunauer, S.ら、 Adsorption of Gases in Multimolecular Layers, J. Am. Chem. Soc., 60, 309-319, 1938;
Walton, K.S.ら、Applicability of the BET Method for Determining Surface Areas of Microporous Metal-Organic Frameworks, J. Am. Chem. Soc., 129, 27, 8552-8556, 2007;
Langmuir, I., The Constitution and Fundamental Properties of Solids and Liquids. Part I. Solids, J. Am. Chem. Soc., 38, 11, 2221-2295, 1916.
【0023】
本開示で使用する通り、用語「リガンド(又は配位子又は結合基(ligand))」は、ルイス塩基(電子供与体(又は電子ドナー又はエレクトロン・ドナー))として機能させることができる1以上の置換基を含む分子を意味する。
1つの態様において、リガンドは、酸素、リンまたは硫黄であってよい。
1つの態様において、リガンドは、アミンであってよく、あるいは1~10個のアミン基を含むアミン類であってよい。
【0024】
記号(又はシンボル)の「R」は、一般的な省略形であって、H、置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のヘテロアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基、および置換または非置換のヘテロシクロアルキル基から選択される置換基を表すものである。
【0025】
本開示で使用する通り、用語「周期表(Periodic Table)」とは、国際純正・応用化学連合(the International Union of Pure and Applied Chemistry)(IUPAC)の元素周期表(the Periodic Table of the Elements)(2015年12月付)を意味する。
【0026】
用語「塩(又はソルト(salt))(単数または複数)」として、酸または塩基の中和によって調製(又は製造)される化合物の塩が挙げられる。このような塩は、本開示に記載の化合物で見出される特定のリガンドまたは置換基に依存するものである。本発明の化合物が相対的(又は比較的)に酸性の官能性(又は官能基又はファンクショナリティ)を含む場合、このような化合物(中性の形態)を十分な量の所望の塩基(ニートまたは適切な不活性(又はイナート)の溶媒中)と接触させることによって塩基付加塩を得ることができる。
塩基付加塩の例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ(又はオーガニック・アミノ)、またはマグネシウムの塩、あるいは同様の塩が挙げられる。
酸付加塩の例として、無機酸(例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸など)から誘導される塩、ならびに、相対的(又は比較的)に非毒性の有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸など)から誘導される塩が挙げられる。本願の開示の特定の具体的な化合物は、塩基性および酸性の両方の官能性(又は官能基又はファンクショナリティ)を含む。それにより、当該化合物は、塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに変換させることができる。
塩の水和物(又はハイドレート)も含まれる。
【0027】
以下のことが理解される。1以上のキラル中心(又はキラル・センター)を有する本開示に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明確に記載されていない場合、キラル中心は、それぞれ、独立して、R配置もしくはS配置またはそれらの混合(物)を含んでよい。従って、本開示において提供される化合物は、エナンチオマー的に純粋(又はピュア)であってよく、あるいは、立体異性(又はステレオアイソマー)の混合(物)であってもよい。
さらに、以下のことが理解される。本開示で説明する任意の化合物が、1以上の二重結合(単数または複数)を有する場合、このような二重結合によって、EまたはZで規定(又は定義)され得る幾何異性体が生成(又は形成)されることから、二重結合は、それぞれ、独立して、EまたはZあるいはそれらの混合(物)であってよい。
同様に以下のことが理解される。説明する任意の化合物において、すべての互変異性の形態も含まれ得ることが意図されている。
【0028】
また、さらに、本開示で提供される化合物は、このような化合物を構成する1以上の原子において、原子異性体(又は原子アイソトープ又はアトミック・アイソトープ)の不自然な割合(又は異常な割合又はアンナチュラル・プロポーション)を含んでもよい。例えば、化合物は、放射性同位体(又は放射性同位元素またはレディオアクティブ・アイソトープ)(例えば、トリチウム(H)、ヨウ素125(125I)または炭素14(14C)など)で放射標識(又はレディオラベル)されてよい。表題化合物の全ての同位体(又はアイソトープ)のバリエーションが、放射性であろうと、放射性でなかろうとも、本願の開示の範囲内に包含され得ることが意図されている。
【0029】
本開示で使用する通り、用語「金属-有機のフレームワークの材料(又はマテリアル)(又はメタル・オーガニック・フレームワーク・マテリアル(metal organic-framework material))」または「MOF材料(又はMOFマテリアル)」は、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)、ならびに、このような金属または半金属に配位することができる有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)を意味する。有機リガンドと金属(またはメタロイド)の金属-有機のフレームワークが配位したネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)(又はメタル・オーガニック・フレームワーク・コーディネーション・ネットワーク)は、多孔質の三次元的な構造(又はポーラス3Dストラクチャ)を形成(又は生成)することができる。
【0030】
本開示で使用する通り、「金属-有機のフレームワーク(又はメタル・オーガニック・フレームワーク)」は、混合金属有機フレームワーク(又は混合された金属-有機のフレームワーク又はミックス・メタル・オーガニック・フレームワーク)または金属有機フレームワーク系(又は金属-有機のフレームワークのシステム又はメタル・オーガニック・フレームワーク・システム)または混合金属混合有機フレームワーク系(混合された金属-混合された有機のフレームワークのシステム又はミックス・メタル-ミックス・オーガニック・フレームワーク・システム)であってよい(これらは、公開されたPCTの特許出願であるWO2020/219907に記載の通りである)。
【0031】
概して、金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク(metal-organic framework))(「MOF」)は、高度に多孔性(又は高い多孔度)の材料のクラスであって、広範な分野(例えば、気体の保存(又はガス・ストレージ)、気体の分離および液体の分離、異性体の分離、センシング(又は感知又は計測)、環境の回復、水の除去、および触媒などを含む)における潜在的な適用(又は応用又は用途又はアプリケーション)を有するものである。ゼオライト(特徴(又はキャラクタ)が純粋に無機的(又はインオーガニック)であるもの)とは対照的に、MOFは、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)を利用するものである。有機リガンドは、「ストラット(strut)」として機能することができる。このようなストラットは、金属原子あるいは金属原子同士のクラスターを架橋するものである。ゼオライトと同様に、MOFは、ミクロ多孔性(又は微多孔性又は微多孔質又はミクロポーラス)である。有機リガンドおよび金属を選択することによって、金属-有機のフレームワーク(「MOF」)のポア(又は孔又は細孔)の形状(又はシェイプ)および寸法(又はサイズ)を調節(又は調整)することができる。有機リガンドは修飾(又は改変又はモディフィケーション)することができることから、MOFは、全体として、構造的に多様である。このような点において、ゼオライトとは異なっている。MOFの構造に影響を与える因子(又はファクター)として、例えば、以下の1以上の因子が挙げられる:リガンドの座数(又はデンティシティ)、配位している基(単数または複数)の寸法(又はサイズ)および種類(又はタイプ)、配位している基が遠い又は近い追加の置換基、リガンドの寸法(又はサイズ)および形状(又は配置又はジオメトリ)、リガンドの疎水性または親水性、金属および/または金属塩の選択、溶媒の選択、および反応条件(例えば、温度、濃度など)。
【0032】
金属-有機のフレームワークは、金属(又はメタル)およびマルチトピックの有機リンカー(又はオーガニック・リンカー)(又はマルチトピック・オーガニック・リンカー)の両方を含んで成る材料(又はマテリアル)である。マルチトピックの有機リンカーとは、自己会合性(又はセルフ・アセンブル)であり、配位ネットワーク(又はコーディネーション・ネットワーク)を形成するものである。実際の適用(又は応用又は用途又はアプリケーション)において、材料の強度および形状は、性能(又はパフォーマンス)に対して、重要なものである。成形(又は形成)された粒子は、吸着剤(又はアドソーベント)の床(又はベッド)において、大きな圧力の低下(又はドロップ)を回避するのに役立つ。また、材料をより簡単に扱うことができるようになる。従って、頻繁に、粉末(又はパウダー)のMOFを押出物(又はエクストルーデート(extrudate))、リング、ペレット、スフェア(又は球状物又は球状体)などに成形(又は形成)する。成形された材料の化学的および物理的な特性(又はプロパティ)を維持することに加えて、機械的な強度(又はメカニカル・ストレングス)も重大な重要性を有している。粉末状態のMOFは、機械的な特性(又はメカニカル・プロパティ)が乏しい(すなわち、クラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))がゼロ(0)である)。
【0033】
現状では、MOFは、結晶性の粉末材料として合成または市販品として得ることができる。しばしば、粉末材料は、押出物(又はエクストルーデート(extrudate))、リング、ペレット、スフェア(又は球状物又は球状体)などに成形(又は形成)される。成形された材料の化学的および物理的な特性を維持することに加えて、機械的な強度(又はメカニカル・ストレングス)も重大な重要性を有している。MOFは、単独では、機械的な特性(又はメカニカル・プロパティ)が乏しい(すなわち、クラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))がゼロ(0)である)。
【0034】
上記で説明した通り、多くの工業製品および市販の製品に関して、粉末形態のMOFをより大きく、コヒーレント(又はまとまりのある)のもの(又はボディ又は本体又は物体)(所望され得る規定の形状を有するもの)に成形(又は形成)することができる。粉末形態のMOFを大きなもの(又はラージ・ボディ)に固めるための従来の方法(例えば、ペレット化、押出加工(又は押出成形又はエクストルージョン))は、頻繁に、物理的および機械的な特性(又はプロパティ)が望ましいものよりも低くなる。より具体的には、コンパクション(又は圧縮(compaction))を通して、粉末形態のMOFを処理(又は加工)することによって、粉末形態のMOFよりも小さい表面積を得ることができる。このことは、金属-有機のフレームワーク(「MOF」)の構造の感圧性(又はプレッシャー・センシティビティ)と、相対的(又は比較的)に低いクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))に起因するものである。さらに、特定の処理(又は加工)の条件によって、完全または部分的な最初のMOF構造の相転移(又はフェーズ・トランスフォーメーション)をもたらすことができる。このことは粉末X線回折および表面積の分析によって実証されている通りである。これらの要因(又はファクター)は、それぞれ、MOFを製造する際(成形されたもの(又はボディ又は本体又は物体)(又は成形体)の形態で製造する際)および/または様々な適用(又は応用又は用途又はアプリケーション)においてデバイスとして成形されたもの(又はボディ又は本体又は物体)(または成形体)を使用する際に問題となり得る。
【0035】
金属-有機のフレームワークの粉末(又はパウダー)をよりコヒーレント(又はまとまりのある)(成形された)のもの(又はボディ又は本体又は物体)(又は成形体)に固めることが望ましい。その一方で、MOFの特性(又はプロパティ)、具体的にはその圧力およびせん断力(又はシアー)に対する弱さによって、圧力(例えば、約100psiから数千psi)およびせん断力(又はシアー)(粉末形態のMOFを固めるため(特に押出加工(又は押出成形又はエクストルージョン)の間)に使用するせん断力)のもとで、様々な問題がもたらされ得る。MOF粉末のこのような処理(又は加工)によって、MOF構造内のポア(又は孔又は細孔)の少なくとも一部を潰すことができ、BET表面積の望ましくない頻繁に生じる顕著な低下をもたらすことができる。さらに、粉末形態のMOFを、成形されたもの(又はボディ又は本体又は物体)(又は成形体)に固めるために使用される条件によって、MOF構造を少なくとも部分的、場合によっては完全に別の材料(例えば、別の結晶の相(又は結晶相))に変換させることができる。固められたMOFが乏しいクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))を有する場合、問題となり得る。例えば、乏しいクラッシュ強度の値によって、微粉末の生成(又は形成又は製造)がもたらされ得る。これにより、輸送上の問題に加えて、特定の用途(又は適用又は応用又はアプリケーション)に悪影響を与え得る。
【0036】
金属-有機のフレームワーク
本開示で提供される通り、金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)は、ZIF(またはZeolitic Imidazolate Frameworks)、MIL(またはMate'riaux de l'Institut Lavoisier)、およびIRMOF(またはIsoReticular Metal Organic Frameworks)であってよく、単独または他のMOFとの組み合わせ(又はコンビネーション)であってよい。
特定の実施形態において、MOFは、以下から選択される:HKUST-1、MOF-74、MIL-100、ZIF-7、ZIF-8、ZIF-90、UiO-66、UiO-67、MOF-808またはMOF-274。
1つの態様において、金属-有機のフレームワークは、HKUST-1、UiO-66、ZIF-8、ZIF-7、MIL-100、MOF-74、M(m-dobdc)、MOF-274、Cu(Qc)およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)の群から選択される。
【0037】
MOFは、有機リガンド(または2以上の有機リガンドの組み合わせ(またはコンビネーション))と、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)(以下にて説明する通りである)との組み合わせ(又はコンビネーション)によって調製(又は製造)することができる。
例えば、MOF-274およびEMM-67は、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Zn2+、Ni2+、Cu2+、Co2+(またはそれらの組み合わせ(またはコンビネーション))と、4,4’-ジヒドロキシ-(1,1’-ビフェニル)-3,3’-ジカルボン酸との組み合わせ(又はコンビネーション)である(WO2020/219907を参照のこと)。
あるいは、MOF-274は、その構造内に金属部位(又は金属サイト又はメタル・サイト)に配位したアミンを含むことができる。
【0038】
有機リガンド
本開示で使用する通り、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)は、一座(又はモノデンテート(monodentate))、二座(又はバイデンテート(bidentate))または多座(又はマルチデンテート(multi-dentate))のリガンド(又は配位子又は結合基)である。有機リガンドは、シングル・タイプのリガンド、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)であってよい。
概して、有機リガンドは、金属イオン(又はメタル・イオン)に配位することができる。原理的には、このような配位に適した全ての化合物を使用することができる。
有機リガンドは、少なくとも2つの中心(又はセンター)を含む。このような有機リガンドは、金属塩の金属イオン、または金属(又はメタル)もしくは半金属(又はメタロイド)に配位することができる。
1つの態様において、有機リガンドは、以下を含む。
(i)
アルキル基のサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)であって、1~10個の炭素原子を有するもの
(ii)
アリール基のサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)であって、1~5個の芳香環を有するもの
(iii)
アルキルアミンまたはアリールアミンのサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)であって、1~10個の炭素原子を有するアルキル基または1~5個の芳香環を有するアリール基を含んでなるもの
ここで、サブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)とは、少なくとも2つの官能基「X」を有し、かかる官能基は、サブ構造に共有結合で結合している。Xは、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)に配位することができるものである。
【0039】
1つの態様において、Xは、それぞれ、独立して、COH、OH、SH、NH、CN、HCO、CSH、NO、SOH、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Sn(SH)、POH、CH(RSH)、C(RSH)、CH(RNH、C(RNH、CH(ROH)、C(ROH)、CH(RCN)、C(RCN)、CH(SH)、C(SH)、CH(NH、C(NH、CH(OH)、C(OH)、CH(CN)、C(CN)、窒素含有複素環(又は窒素含有ヘテロ環又は窒素含有ヘテロサイクル)、硫黄含有複素環(又は硫黄含有ヘテロ環又は硫黄含有ヘテロサイクル)、およびそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)の中性(又はニュートラル)またはイオンの形態から選択される。
式中、Rは、1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、1~2個のフェニル環を含んで成るアリール基である。
【0040】
1つの態様において、有機リガンドは、置換または非置換の単核または多核の芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸ならびに置換または非置換の少なくとも1つのヘテロ原子(又は複素原子)を含む芳香族のジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸(これらは、1以上の核を有するものである)を含む。
【0041】
1つの態様において、有機リガンドは、ベンゼントリカルボキシレート(benzenetricarboxylate)(BTC)(1以上の異性体)、ADC(アセチレンジカルボキシレート(acetylene dicarboxylate))、NDC(ナフタレンジカルボキシレート((naphtalenedicarboxylate))(任意の異性体)、BDC(ベンゼンジカルボキシレート(benzene dicarboxylate))(任意の異性体)、ATC(アダマンタンテトラカルボキシレート(adamantanetetracarboxylate))(任意の異性体)、BTB(ベンゼントリベンゾエート(benzenetribenzoate))(任意の異性体)、MTB(メタンテトラベンゾエート(methane tetrabenzoate))、ATB(アダマンタントリベンゾエート(adamantanetribenzoate))(任意の異性体)、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(1H-テトラゾール)、イミダゾール、またはそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)である。
【0042】
多座(又はマルチデンテート(multidentate))の官能基を有するリガンドとして、対応するカウンターカチオン(例えば、H、Na、K、Mg2+、Ca2+、Sr2+、アンモニウムイオン、アルキル置換アンモニウムイオン、およびアリール置換アンモニウムイオン)、あるいはカウンターアニオン(例えば、F、Cl、Br、I、ClO、ClO 、ClO 、ClO 、OH、NO 、NO 、SO 2-、SO 2-、PO 3-、CO 2-およびHCO )を挙げることができる。
【0043】
1つの態様において、有機リガンドは、一座(又はモノデンテート(monodentate))の官能基を含む。
一座の官能基は、サブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)に結合された部位として定義(又は規定)され、これは、有機リガンドまたはアミンリガンドのサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)L(上記で定義した通りである)を含むことができ、これは、金属イオンに対して1つの結合のみを形成することができるものである。
この定義に従うと、リガンドは、1以上の一座(又はモノデンテート(monodentate))の官能基を含むことができる。
例えば、シクロヘキシルアミンおよび4,4’-ビピリジンは、一座の官能基を含むリガンドである。なぜなら、官能基は、それぞれ、1つの金属イオンのみに結合することができるからである。
【0044】
従って、シクロヘキシルアミンは、一座の官能基を含む単官能性(又は単官能基)のリガンドである。そして、4,4’-ビピリジンは、2つの一座の官能基を含む二官能性(又は二官能基)のリガンドである。
一座の官能基を含むリガンドの具体的な例は、ピリジン(単官能性(又は単官能基)のリガンドである)、ヒドロキノリン(二官能性(又は二官能基)のリガンドである)および1,3,5-トリシアノベンゼン(三官能性のリガンドである)である。
【0045】
適切な金属イオンおよび必要に応じてテンプレート剤(又はテンプレート化剤(templating agent))の存在下でMOFを製造するために、一座の官能基を有するリガンドを多座の官能基を含むリガンドとブレンド(又は混合又は配合)させることができる。
また、一座のリガンドは、テンプレート剤として使用することもできる。
生成するMOFのポア(又は孔又は細孔)を占有することを目的として、反応混合物にテンプレート剤を添加することができる。
一座のリガンドおよび/またはテンプレート剤は、以下の物質および/またはその誘導体を含むことができる。
【0046】
(A)アルキルまたはアリールのアミンまたはホスフィンならびにその対応するアンモニウムまたはホスホニウム塩
アルキルアミンまたはアルキルホスフィンは、直鎖、分枝または環状の脂肪族基(1~20個の炭素原子を有する)(およびその対応するアンモニウム塩)を含むことができる。
アリールアミンまたはアリールホスフィンは、1~5個の芳香環(複素環(又はヘテロ環又はヘテロサイクル)を含む)を含むことができる。
単官能性(又は単官能基)のアミンの例は、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、iso-プロピルアミン、n-ブチルアミン、sec-ブチルアミン、iso-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、neo-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミン、ピロリジン、3-ピロリン、ピペリジン、シクロヘキシルアミン、モルホリン、ピリジン、ピロール、アニリン、キノリン、イソキノリン、1-アザフェンアントレン、および8-アザフェンアントレンである。
二官能性(又は二官能基)のアミンおよび三官能性(又は三官能基)のアミンの例は、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノベンゼン、4,4’-ビピリジル、イミダゾール、ピラジン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、1,3,5-トリアジン、および1,3,5-トリアミノベンゼンである。
【0047】
(B)アルコール
アルコールは、アルキル基またはシクロアルキル基(1~20個の炭素原子を含む)またはアリール基(1~5個のフェニル環を含む)を含む。
単官能性(又は単官能基)のアルコールの例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、アリルアルコール、n-ブタノール、iso-ブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、n-ペンタノール、iso-ペンタノール、sec-ペンタノール、neo-ペンタノール、n-ヘキサノール、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール、および2-フェニルエタノールである。
二官能性(又は二官能基)のアルコールおよび三官能性(又は三官能基)のアルコールの例は、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、および1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサンである。
【0048】
(C)エーテル
エーテルは、アルキル基またはシクロアルキル基(1~20個の炭素原子を含む)あるいはアリール基(1~5個のフェニル環を含む)を含む。
エーテルの例は、ジエチルエーテル、フランおよびモルホリンである。
【0049】
(D)チオール
チオールは、アルキル基またはシクロアルキル基(1~20個の炭素原子を含む)あるいはアリール基(1~5個のフェニル環を含む)を含む。
単官能性(又は単官能基)のチオールの例は、チオメタン、チオエタン、チオプロパン、チオシクロヘキサン、チオフェン、ベンゾチオフェンおよびチオベンゼンである。
二官能性(又は二官能基)のチオールおよび三官能性(又は三官能基)のチオールの例は、1,4-ジチオシクロヘキサン、1,4-ジチオベルトゼン(1,4-dithiobertzene), 1,3,5-トリチオシクロヘキサン、および1,3,5-トリチオベンゼンである。
【0050】
(E)
ニトリル
ニトリルは、アルキル基またはシクロアルキル基(1~20個の炭素原子を含む)あるいはアリール基(1~5個のフェニル環を含む)を含む。
単官能性(又は単官能基)のニトリルの例は、アセトニトリル、プロパンニトリル、ブタンニトリル、n-バレロニトリル、ベンゾニトリル、およびp-トルニトリルである。
二官能性(又は二官能基)のニトリルおよび三官能性(又は三官能基)のニトリルの例は、1,4-ジニトリロシクロヘキサン、1,4-ジニトリロベンゼン、1,3,5-トリニトリロシクロヘキサン、および1,3,5-トリニトリロベンゼンである。
【0051】
(F)無機アニオン
無機アニオンは、スルフェート(又は硫酸塩)、ニトレート(又は硝酸塩)、ニトライト(又は亜硝酸塩)、スルファイト(又は亜硫酸塩)、ビスルファイト(又は亜硫酸水素塩又は重亜硫酸塩)、ホスフェート(又はリン酸塩)、リン酸水素、リン酸二水素、ビホスフェート(又は二リン酸塩)、トリホスフェート(又は三リン酸塩)、ホスファイト(又は亜リン酸塩)、クロリド、クロレート、ブロミド、ブロメート、アイオダイド、アイオデート、カーボネート(又は炭酸塩)、ビカーボネート(又は炭酸水素塩)、チオシアニド、およびイソニトリル、および上記の無機アニオンの対応する酸および塩からなる群からのもの。
【0052】
(G)有機酸および対応するアニオン(および塩)
有機酸として、アルキル有機酸(直鎖、分枝または環状の脂肪族基(1~20個の炭素原子を含む)を含む)あるいはアリール有機酸およびその対応するアリール有機アニオンおよび塩(1~5個の芳香環(複素環(又はヘテロ環又はヘテロサイクル)を含んでよい)を含む)を挙げることができる。
【0053】
(H)他の有機物および無機物
他の有機物および無機物は、例えば、アンモニア、二酸化炭素、メタン、酸素、エチレン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ナフタレン、チオフェン、ピリジン、アセトン、1,2-ジクロロエタン、メチレンクロリド、テトラヒドロフラン、エタノールアミン、トリエチルアミンまたはトリフルオロメチルスルホン酸である。
【0054】
さらに、テンプレート剤(又はテンプレート化剤(templating agent))は、官能基を含まない他の脂肪族および芳香族の炭化水素を含むことができる。
1つの態様において、テンプレート剤として、シクロアルカン(例えば、シクロヘキサン、アダマンタンまたはノルボルネン)および/または芳香族(例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレン)が挙げられる。
【0055】
金属イオン
上記で説明した通り、金属-有機のフレームワークは、金属イオン(又はメタル・イオン)と、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)と、必要に応じて、適切なテンプレート剤(又はテンプレート化剤(templating agent))とを合わせる(又は一緒にする又はコンバインする)ことによって合成することができる。
適切な金属イオンは、金属(又はメタル)および半金属(又はメタロイド)を含む。それにより、配位のジオメトリ(又は形状又は形態又は配置)(又はコーディネーション・ジオメトリ)および酸化の状態(又はオキシデーション・ステータス)が変化する。
1つの態様において、配位のジオメトリが全く異なる金属イオンを用いて、多座(又はマルチデンテート(multidentate))の官能基を有するリガンドと、適切なテンプレート剤とを組み合わせること(又はコンビネーション)によって、金属-有機のフレームワークを製造(又は生成又は形成)する。八面体の配位(又はオクタヘドラル・コーディネーション)を好む金属イオン(例えば、コバルト(II))および/または四面体の配位(又はテトラヘドラル・コーディネーション)を好む金属イオン(例えば、亜鉛(II))を用いることによって、金属-有機のフレームワークを製造(又は調製)することができる。
以下の金属イオンを1つ以上使用することによって、MOFを製造(又は生成又は形成)することができる:
Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V5+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、およびBi5+、Bi3+、Bi、Be2+(対応する金属塩のカウンターイオンを伴う)。
用語「金属イオン(又はメタル・イオン)」とは、金属(又はメタル)および半金属(又はメタロイド)のイオンの両方を意味する。
1つの態様において、適切な金属イオンとして、以下のものが挙げられる:
Sc3+、Ti4+、V4+、V3+、V2+、Cr3+、Mo3+、Mg2+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Al3+、Ga3+、In3+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、Sb5+、Sb3+、Sb、および/またはBi5+、Bi3+、Bi、Be2+(対応する金属塩のカウンターアニオンを伴う)。
1つの態様において、金属イオンとして、以下のものが挙げられる:
Sc3+、Ti4+、V4+、V3+、Cr3+、Mo3+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cu2+、Cu、Ag、Zn2+、Cd2+、Al3+、Sn4+、Sn2+、および/またはBi5+、Bi3+、Bi(対応する金属塩のカウンターイオンを伴う)。
1つの態様において、MOFの製造に使用する金属イオンは、以下からなる群から選択
される:
Mg2+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cu2+、Cu、Pt2+、Ag、およびZn2+(対応する金属塩のカウンターイオンを伴う)。
【0056】
金属-有機のフレームワークの製造(又は調製)
硬くて(リジッド)なおかつ安定(ステーブル)な金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク(metal-organic framework))(「MOF」)の合成は、優しい(又はマイルドな)反応条件のもとで行うことができる。
ほとんどの場合において、試薬を溶液(水性または非水性)と合わせる(又は一緒にする又はコンバインする)。このとき、合成反応の温度は、0℃~100℃(オープン(又は開放)のビーカー)の範囲内である。
他の場合、25℃~300℃の温度で密閉(又はクローズ)した容器において、溶液反応を行う。
いずれの場合においても、大きな単結晶(又はシングル・クリスタル)または微結晶(又はミクロクリスタル)のミクロ多孔性(又は微多孔性又は微多孔質又はミクロポーラス)の固体(又はソリッド)が形成(又は生成)される。
【0057】
MOFを製造(又は調製)する際、反応物は、1:10~10:1の金属イオン:リガンド(多座(又はマルチデンテート(multidentate))の官能基を含むもの)のモル比で添加することができる。
1つの態様において、金属イオン:リガンド(多座の官能基を含むもの)のモル比は、1:3~3:1(例えば、1:2~2:1)である。
特定の状況において、テンプレート剤(又はテンプレート化剤(templating agent))は、反応が進行する溶媒として用いることができる。
テンプレート剤の量は、MOFの製造に影響を与えることができる。
従って、テンプレート剤は、過剰に用いることができる。また、反応およびMOFの製造(又は調製)に干渉することもない。
さらに、リガンド(単座(又はモノデンテート(monodentate))の官能基を含むもの)を金属イオンおよびリガンド(多座(又はマルチデンテート(multidentate))の官能基を含むもの)と組み合わせて使用する場合、リガンド(単座(又はモノデンテート(monodentate))の官能基を含むもの)を過剰に添加してもよい。
特定の状況において、リガンド(単座の官能基を含むもの)は、反応が進行する溶媒として利用することができる。
さらに、特定の状況において、テンプレート剤とリガンド(単座の官能基を含むもの)は、同一であってよい。
テンプレート剤(単座の官能基を含むリガンドである)の例は、ピリジンである。
【0058】
MOFの合成は、水系または非水系で行うことができる。
本開示で使用する場合、水系または非水系とは、溶液または懸濁液の状態を意味し、なおかつ溶液または懸濁液の状態を含む。
溶媒は、極性であっても、非極性であってもよい。溶媒は、テンプレート剤(又はテンプレート化剤(templating agent))であってもよい。あるいは、任意のリガンド(単座の官能基を含むもの)であってもよい。非水性の溶媒の例として、n-アルカン類、例えば、ペンタン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、シアノベンゼン、アニリン、ナフタレン、ナフサ、n-アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、アセトン、1,2-ジクロロエタン、メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、チオフェン、ピリジン、エタノールアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミンなどが挙げられる。
【0059】
ミクロ多孔性(又は微多孔性又は微多孔質又はミクロポーラス)の材料(又はマテリアル)の大きな単結晶(又はラージ・シングル・クリスタル)(単結晶X線構造解析に適している)を形成(又は生成)させるために、粘性の材料(ポリマーの添加剤(又は添加物)など)の存在下で溶液反応を行うことができる。
具体的な添加剤として、ポリエチレンオキシド、ポリメチルメタクリル酸、シリカゲル、アガー(又は寒天)、ファット(又は脂質)、およびコラーゲンを挙げることができる。これらは、高収率で純粋な結晶性の生成物を達成するのに役立つことができる。
ミクロ多孔性の材料の大きな単結晶の成長によって、ミクロ多孔性のフレームワーク(又はミクロポーラス・フレームワーク)の明確なキャラクタリゼーション(又は特徴付け又は解析)がもたらされる。
大きな単結晶のミクロ多孔性の材料は、磁気的および電子的なセンシング(又は感知又は計測)の適用(又は応用又はアプリケーション)に有用であってよい。
【0060】
任意の添加剤
金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)は、フィラー(又は充填剤)、アンチオキシダント(又は抗酸化剤)(例えば、嵩高いフェノール類、例えば、IRGANOXTM 1010またはIRGANOXTM 1076(Ciba-Geigyから入手可能))、光酸化(又はフォト・オキシダント)のインヒビター(又は阻害剤)(例えば、嵩高いアミンの光安定剤、HALS、例えば、TINUVN(登録商標)123(BASFから入手可能)、ホスファイト(例えば、IRGAFOSTM 168(Ciba-Geigyから入手可能))、クリング防止添加剤(又はアンチ・クリング・アディティブ)、シックナー(又は増粘剤)、例えば、ポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族および芳香族の炭化水素樹脂、アルカリ金属およびグリセロールステアレート、および水素化されたロジン、UV安定剤;熱安定剤、ブロッキング防止剤(又はアンチ・ブロッキング・エージェント)、リリース剤、帯電防止剤(又はアンチ・スタティック・エージェント)、ピグメント(又は色素);カラーラント(又は着色剤)、ダイ(又は染料)、ワックス、シリカ、フィラーおよびタルクなどの添加剤(又は添加物)を含んでよい。
【0061】
他の任意の添加剤(又は添加物)としては、シリカ、例えば、沈降シリカならびにフライアッシュなどの副生成物に由来するシリカ、例えば、シリカ-アルミナ、シリカ-カルシウムの粒子またはフューズド・シリカが挙げられる。
1つの態様において、シリカは、粒子状のものであり、その平均粒子径(又は平均粒径又はアベレージ・パーティクル・サイズ)は、10μm以下、例えば、5μm以下、または1μm以下である。
1つの態様において、シリカは、アモルファス(又は非晶質)のシリカである。
【0062】
金属-有機のコーティング層(又はメタル・オーガニック・コーティング・レイヤー)に必要に応じて含まれ得る他の添加剤(又は添加物)として、無機化合物、例えば、二酸化チタン、含水二酸化チタン、含水アルミナまたはアルミナ誘導体、ケイ素とアルミニウムの化合物の混合物、ケイ素化合物、クレイ鉱物(又はクレイ・ミネラル)、アルコキシシラン、および両親媒性の物質が挙げられる。
また、添加剤(又は添加物)として、酸化物(又はオキシド)などの粉末材料(又はパウダー材料又はパウダー・マテリアル)、シリコン(又はケイ素)、アルミニウム、ホウ素、リン、ジルコニウムおよび/またはチタンを接着させるために使用する任意の適切な化合物を挙げることができる。
さらに、添加剤(又は添加物)として、マグネシウムの酸化物およびベリリウムの酸化物を挙げることができる。
さらに、添加剤(又は添加物)として、テトラアルコキシシランを使用することができる(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランおよびテトラブトキシシラン、類似のテトラアルコキシチタンおよびテトラアルコキシジルコニウムの化合物ならびにトリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウムおよびトリブトキシアルミニウム)。
【0063】
アルギン酸ナトリウム溶液および塩化カルシウム溶液の使用
アルギン酸ナトリウム(又はナトリウムアルギネート)は、アルギン酸のナトリウム塩であり、褐藻類の細胞壁の内側から発見された親水性のポリサッカリド(又は多糖類)である(図4)。アルギン酸は、直鎖のコポリマーであり、ホモポリマーのブロック((1→4)-結合のβ-D-マンヌロネート(M)残基、α-L-グルロネート(G)残基)を有し、これらが様々なシーケンスまたはブロックで共有結合で一緒に結合されている。ホモポリマーのブロック(連続するG残基(Gブロック)、連続するM残基(Mブロック)または交互のM残基およびG残基(MGブロック))において、モノマーは明らかであってよい。α-L-グルロネートは、β-D-マンヌロネートのC-5エピマーであることに留意されたい。アルギン酸ナトリウム(又はナトリウムアルギネート)からアルギン酸カルシウム(又はカルシウムアルギネート)が生成(又は形成)される。アルギン酸ナトリウムから2つのナトリウムイオンが除去されて、1つのカルシウムイオンと置換される。
【0064】
アルギン酸ナトリウムは、水中で溶液を形成(又は生成)する。アルギン酸ナトリウムの濃度およびアルギン酸ナトリウムの分子量が増加するにつれて、溶液の粘度(又はビスコシティ)が増加する。アルギン酸ナトリウムの水溶液を多価(又はマルチバレント(multivalent))(優位には二価(又はジバレント(divalent)))のカチオン(例えば、Ca2+、Ba2+)の水溶液と混合させると、イオン性の架橋(又はイオン架橋)が生じ、ゲル材料の形成(又は生成)がもたらされる(図5)。
【0065】
本開示で示した通り、水性のアルギン酸ナトリウムの溶液(又はアルギン酸ナトリウムの水溶液)は、金属-有機のフレームワークの粉末(又はパウダー)とともに調製(又は調剤又は処方又はフォーミュレーション)することができる。次いで、塩化カルシウムの水溶液に添加することができる。それにより、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を製造(又は生成又は形成)することができる。次いで、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、押出または造粒によって形成(又は成形)された材料(又はマテリアル)と同様に使用することができる。
【0066】
本願の金属-有機のフレームワークの球状物を形成するための方法
本開示では、本願の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)の球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための方法を提供する。
本願の方法では、アルギン酸ナトリウム(又はナトリウムアルギネート)および水を混合(又はミックス)して、水性のアルギン酸ナトリウム溶液(又はアルギン酸ナトリウムの水溶液)を生成(又は形成又は製造)させる。
金属-有機のフレームワークを水性のアルギン酸ナトリウム溶液に添加して、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又はメタル-オーガニック・フレームワーク・アルギネートの水性混合物)を生成(又は形成又は製造)させる。
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、水媒性(又はウォーターボーン(waterborne))の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を含む。この混合物において、分子は、水性媒体において、溶媒和(又はソルベート)されている。
また、水と塩化カルシウムとを含む塩化カルシウム溶液を調製(又は製造)する。
金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウム溶液に添加して、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を生成(又は形成)させる。
本開示において示される通り、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積(又はサーフェス・エリア)を有する。
【0067】
より具体的には、塩化カルシウムは、水中に溶解させることができ、それにより、塩化カルシウム溶液を生成(又は形成又は製造)させることができる。
アルギン酸ナトリウムおよび水を混合することによって、水性のアルギン酸ナトリウム溶液(又はアルギン酸ナトリウムの水溶液)を生成(又は形成又は製造)させる。
金属-有機のフレームワークを水性のアルギン酸ナトリウム溶液(又はアルギン酸ナトリウムの水溶液)に添加して、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)を生成(又は形成又は製造)させる。
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウム溶液に添加して、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を生成(又は形成)させる。
1つの態様において、少なくとも5.0重量%のアルギン酸ナトリウムを水と混合(又はミックス)して、水性のアルギン酸ナトリウム溶液(又はアルギン酸ナトリウムの水溶液)を生成(又は形成又は製造)させる。
1つの態様において、水性の塩化カルシウム溶液(又は塩化カルシウムの水溶液)は、約2.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムを含む。
1つの態様において、ウェット(又は湿潤)の金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、乾燥した金属-有機のフレームワークの球状物において、少なくとも60重量%の金属-有機のフレームワークを含む。
本開示で説明する通り、本願の方法で製造(又は生成又は形成)される金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積(又はサーフェス・エリア)を有する。
【0068】
1つの態様において、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、約60重量%~約70重量%の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)を含む。
1つの態様において、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、少なくとも3.0重量%のカルシウムを含む。
1つの態様において、塩化カルシウム溶液は、少なくとも3.0重量%の塩化カルシウムを含む。
1つの態様において、水性のアルギン酸ナトリウム溶液(又はアルギン酸ナトリウムの水溶液)の温度は、約20℃~約25℃である。
1つの態様において、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)は、スラリーである。
1つの態様において、スラリーは、少なくとも10重量%の金属-有機のフレームワークを含む。
1つの態様において、スラリーを塩化カルシウム溶液に滴下して添加する。
さらに、理論に拘束されることなく、金属-有機のフレームワークをアルギン酸カルシウム(又はカルシウムアルギネート)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)内にブレンド(又は混合又は配合)する。
1つの態様において、錯体は、それぞれ、アルギネート(又はアルギン酸塩)を含む。アルギネート(又はアルギン酸塩)は、カルシウムとイオン的に架橋(又はイオン性の架橋又はイオンで架橋又はイオン架橋)されている。
当該方法は、組成物(又はコンポジション)を製造(又は生成又は形成)する。当該組成物は、約70重量%以下の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニックのフレームワーク)と、アルギン酸カルシウム錯体(又はカルシウムアルギネート錯体)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)とを含む。アルギン酸カルシウム錯体は、金属-有機のフレームワークと合わされて(又は一緒になって)、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を形成(又は生成)する。このような球状物は、少なくとも約10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のバルク・クラッシュ強度(又はバルク破砕強度又はバルク圧縮強度又はバルク圧潰強度又はバルク圧壊強度(bulk crush strength))を有するものである。
【0069】
また、本開示では、複数の金属-有機のフレームワークを含む組成物(又はコンポジション)を提供する。複数の金属-有機のフレームワークは、アルギン酸カルシウム錯体(又はカルシウムアルギネート錯体)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)内に位置している(又は位置決め又は配置されている)。当該組成物は、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物)を水性の塩化カルシウムの溶液(又は塩化カルシウムの水溶液)と合わせる(又はコンバインする)ことによって、製造(又は調製)する。ここで、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)は、5重量%未満のアルギネート(又はアルギン酸塩)と、少なくとも10重量%のウェット(又は湿潤)の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)とを含む。
金属-有機のフレームワークは、それぞれ、少なくとも1つの金属イオン(又はメタル・イオン)と、少なくとも1つの有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)とを含む。
当該組成物は、70重量%以下の金属-有機のフレームワークを含み、なおかつ、少なくとも約10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))を有し、なおかつ、少なくとも約500m/グラム(m/g)の表面積(又はサーフェス・エリア)を有する。
【0070】
本開示で説明する通り、金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)は、それぞれ、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)および金属(又はメタル)を含む。
1つの態様では、有機リガンドは、以下の1以上を含む:
アルキル基のサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)であって、1~10個の炭素原子を含むもの;または
アリール基のサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)であって、1~5個の芳香環を含むもの。
1以上のサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有する。ここで、Xは、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)に配位するように構成(又は形成)された官能基である。
1つの態様において、本願の方法は、金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)を製造(又は形成)することができる。金属-有機のフレームワークは、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)を含む。有機リガンドは、アルキルアミンのサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)(1~10個の炭素原子を含むもの)あるいはアリールアミンまたは窒素含有複素環(又は窒素含有ヘテロ環又は窒素含有ヘテロサイクル)のサブ構造(又は副構造又はサブストラクチャ)(1~5個の芳香環を含むもの)を含む。ここで、サブ構造(単数または複数)は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有する。Xは、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)に配位するように構成(又は形成)された官能基である。
1つの態様において、Xは、いずれの場合においても、それぞれ、独立して、COH、OH、SH、OH、NH、CN、HCO、CSH、NO、SOH、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Si(SH)、Ge(SH)、Sn(SH)、POH、AsOH、AsOH、P(SH)、As(SH)、CH(RSH)、C(RSH)、CH(RNH、C(RNH、CH(ROH)、C(ROH)、CH(RCN)、C(RCN)、CH(SH)、C(SH)、CH(NH、C(NH、CH(OH)、C(OH)、CH(CN)、C(CN)、窒素含有複素環(又は窒素含有ヘテロ環又は窒素含有ヘテロサイクル)、硫黄含有複素環(又は硫黄含有ヘテロ環又は硫黄含有ヘテロサイクル)、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)の中性(又はニュートラル)またはイオンの形態から選択される。式中、Rは、1~5個の炭素原子を含むアルキル基であるか、1~2個のフェニル環を含むアリール基である。
1つの態様において、有機リガンドは、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレート、1,4-ベンゼンジカルボキシレート、1,3-ベンゼンジカルボキシレート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(1H-テトラゾール)、アセチレン-1,2-ジカルボキシレート、ナフタレンジカルボキシレート、アダマンタンテトラカルボキシレート、ベンゼントリベンゾエート、メタンテトラベンゾエート、アダマンタントリベンゾエート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、イミダゾール、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシ-(1,1’-ビフェニル)-3,3’-ジカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)である。
【0071】
さらに、本願の方法によって、以下から選択される金属イオンを含む金属-有機のフレームワークを製造することができる:
Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、およびBi5+、Bi3+、Bi、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)。
1つの態様において、金属イオンは、Mg2+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cu2+、Cu、Pt2+、Ag、Zn2+、Zr4+、Hf4+、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)であってよい。
【0072】
1つの態様において、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、金属-有機のフレームワーク(UiO-66またはMg-MOF-74またはHKUST-1またはmmen-Mg-MOF-274)を含む。
1つの態様において、本願の方法によって製造(又は生成又は形成)される金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、エネルギー効率がよい(又は優れたエネルギー効率又は良好なエネルギー効率又はエネルギー・エフィシエントの)温度スイング吸着プロセス(temperature swing adsorption process)において、COを吸着させることができる。
【0073】
以下の実施例にて示す通り、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又は金属-有機のフレームワーク・アルギネートの水性混合物)と塩化カルシウムとの組み合わせ(又はコンビネーション)によって、様々な金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)とともに、球状(又は球形)の組成物(又はコンポジション)を生成(又は形成)させることができる。それにより、クラッシュ強度が増加(又は向上)した金属-有機のフレームワークの材料(又はマテリアル)を提供することができる(例えば、ASTM D4179-11(2017)で測定する通りである)。
かかる金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)は、ミクロ多孔性(又は微多孔性又は微多孔質又はミクロポーラス)の大きな表面積を維持する(低温でのNのアイソサーム(又は等温線)(low temperature N2 isotherm)で測定する通りである)。
また、温度スイング吸着プロセス(temperature swing adsorption processes)における適用(又は応用又は用途又はアプリケーション)において、球状物(又は球状体又はスフェア)によって、COを吸着させることができる。
【0074】
説明した通り、金属-有機のフレームワークの材料(又は物質又はマテリアル)(複数)を塩化カルシウム溶液に直接的に添加することによって、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を生成(又は形成又は製造)した。
【実施例
【0075】
(実施例)
本発明の特徴を以下の非限定的な実施例で説明する。
【0076】
実施例1:金属-有機のフレームワークの球状物の形成(又は生成)
室温で塩化カルシウム(CaCl)を水中に溶解させることによって、塩化カルシウム(CaCl)の水溶液を形成(又は生成)させた。アルギン酸ナトリウムと温水とを混合し、次いで、溶液を室温まで冷却させることによって、アルギン酸ナトリウム溶液を形成(又は生成)させた。次いで、このアルギン酸ナトリウム溶液に金属-有機のフレームワーク(複数)(metal-organic frameworks)(MOF)を添加してスラリーを生じさせた。次いで、このような金属-有機のフレームワークとアルギネート(又はアルギン酸塩)とを含むスラリーをCaCl溶液に撹拌しながら滴下して添加した(大気中、約1フィートの高さから滴下した)。このことによって、球状(又は球形)または略球状(又は略球形)の肉眼で見える粒子(又は巨視的な粒子)(本開示では、金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)と呼ぶ)が形成(又は生成)された。続いて、手順が完了した後、金属-有機のフレームワークの球状物をろ過し、次いで、水およびエタノールで洗浄し、室温で乾燥させた。
【0077】
以下の表1は、CaClの重量%およびスラリーにおけるMOFの重量%(「MOF(ウェット)重量%」と呼ぶ)を示す。また、表1は、乾燥させた金属-有機の球状物におけるMOFの重量%(「MOF(ドライ)重量%」と呼ぶ)を示す。次いで、金属-有機のフレームワークの球状物のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度(crush strength))を分析した(表1の最も右側の欄に示す)。
【0078】
【表1】
【0079】
MOFの粉末(又はパウダー)は、それ自体、クラッシュ強度はゼロ(0)である。その一方で、当該方法で製造した金属-有機のフレームワークの球状物によって、クラッシュ強度が向上することは明らかである。
【0080】
実施例2:金属-有機のフレームワークの球状物(大きな表面積を有する球状物)
上記の実施例1で製造した金属-有機のフレームワークの球状物を作製するために使用する金属-有機のフレームワークの表面積(維持された表面積(retained surface area))を決定した。以下の表2に示す通り、「正規化された表面積(Normalized Surface Area)」とは、金属-有機のフレームワークの1グラムあたりの表面積を意味する。また、金属-有機のフレームワークの球状物の全質量についても言及する。維持された表面積(%)は、この正規化された表面積の値に基づくものであり、表2の最も右側の欄に示す。
【0081】
【表2】
【0082】
アルギネート(又はアルギン酸塩)を用いて形成した場合のMg-MOF-74は、表面積が中程度に低下した(79%の表面積が維持された)。その一方で、UiO-66では、表面性がわずかに増加した。
図1Aは、Mg-MOF-74(球状物の形成あり、球状物の形成なし)でのNのアイソサーム(isotherm)(77Kで採取したもの)を示す。
図1Bは、UiO-66(球状物の形成あり、球状物の形成なし)でのNのアイソサーム(isotherm)(77Kで採取したもの)を示す。
【0083】
実施例3:金属-有機のフレームワークの球状物(COを吸着することができる球状物)
実施例1で使用した金属-有機のフレームワークの方法について、一連の実験を行うことで、mmen-Mg-MOF-274の球状物によってCOを吸着させることができることが実証された(顕著なmmen-Mg-MOF-274と同様である)(ここで、mmen=N,N’-ジメチルエチレンジアミンである)。
表3に記載のサンプルでは、それぞれ、金属-有機のフレームワークの球状物を提供するための配合(又は調剤又はフォーミュレーション)を使用した。このような配合では、乾燥基準(又はドライ基準又はドライベース)で91.7%の金属-有機のフレームワークを含み、3.6重量%の塩化カルシウム溶液を使用した。
表3は、理論的なキャパシティ(又は理論容量)に基づく、COのキャパシティ(又は容量)(又はCOキャパシティ)(%)を示す。
mmen-Mg-MOF-274の理論的なキャパシティ(又は理論容量)は、17.78%の質量増加である。ここで、COの1分子が、1つのmmen-Mg部位に吸着される。
正規化された値は、COを吸着しないアルギネート錯体(又はアルギン酸塩錯体)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)(およびそれに関連するポリマー)に基づくものであった(実施例4を参照のこと)。具体的には、金属-有機のフレームワークの球状物が91.7%の金属-有機のフレームワークを含む場合、理論的な質量増加は、16.30%の質量増加である。ここで、COの1分子が、1つのmmen-Mg部位に吸着される。
【0084】
温度スイング吸着プロセス(temperature swing adsorption process)において、吸着され得るガスは、低温で優先的に吸着され、高温では、吸着も、脱着(又は放出)もされない。理想的には、小さな温度の変化によって、エネルギー効率がよい(又は優れたエネルギー効率又は良好なエネルギー効率又はエネルギー・エフィシエントの)吸着/脱着(又は放出)を起こすことができる。
【0085】
以下の表3に示す通り、COのキャパシティ(又は容量)(又はCOキャパシティ)(%)は、3つの温度(140℃、120℃、40℃)で示されている。
表3において、COのキャパシティ(又は容量)(又はCOキャパシティ)(%)(40℃/140℃)の値は、正規化された値を用いている。このとき、これに関しては、最も右側の欄に示している。
この値は、重要である。理想的には、可能な限り大きな値であるべきである。mmen-Mg-MOF-274(アルギネートなし)は、23.4倍も多くのCOを吸着する(40℃/140℃)。
【0086】
【表3】
【0087】
mmen-Mg-MOF-274をアルギン酸ナトリウムおよび塩化カルシウムと混合する場合(表3の第2列および図2)、低温よりも高温でより多くのCOが吸着されている(4.3の値が得られている)。球状物にニートのmmen(第3列)またはトルエン中のmmenの溶液(第4列)を添加することによって、この悪影響を逆転させることができる(表3の第3列および第4列)(図2)。しかし、このことは、アルギン酸ナトリウム/塩化カルシウムを用いることでmmen-Mg-MOF-274が球状化(又は球形化又は球体化)する能力を実証している。また、生成(又は形成)された球状物がエネルギー効率がよい(又は優れたエネルギー効率又は良好なエネルギー効率又はエネルギー・エフィシエントの)温度スイング吸着プロセス(temperature swing adsorption process)においてCOを吸着することができることを実証している。
【0088】
実施例4:様々な試験方法
金属-有機のフレームワークの球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための代替の方法が開発されている。ここでは、金属-有機のフレームワークを塩化カルシウムの水溶液に混合する。次いで、この混合物をアルギン酸ナトリウムの水溶液に添加した。3.6重量%のCaClの溶液を使用した。以下の表4は、金属-有機のフレームワークの球状物における金属-有機のフレームワーク(乾燥基準(又はドライ基準又はドライベース))を重量%で示し、COキャパシティ(又はCO容量)を重量%ゲインで示す。
【0089】
【表4】
【0090】
表4のデータおよび図3に示す通り、コントロール(又は対照)のサンプル(金属-有機のフレームワークなし)は、COを全く吸着しない。
さらに、この方法(又は方法論又はメソドロジー)では、金属-有機のフレームワークの球状物が生成(又は形成)されるが、球状物は、COを吸着しなかった。
その一方で、実施例1の方法を使用すると、金属-有機のフレームワークの球状物は、COを吸着した(金属-有機のフレームワークの球状物における金属-有機のフレームワークの重量%を基準とする)。
【0091】
本開示において、数値の下限および数値の上限を列挙する場合、任意の下限から任意の上限までの範囲を考慮する。本願の開示は、具体的な態様について記載されているが、そのような態様に限定されるものではない。具体的な条件下での操作(又は作動又は運転又はオペレーション)について、適切な変更/改変は、当業者にとって明らかであるべきである。従って、以下のことが意図されている。以下の特許請求の範囲は、本開示の本当の精神/範囲に含まれるように、このような変更/改変の全てを包含することが意図されている。
【0092】
さらに/あるいは、本発明は、以下の実施形態に関する。
【0093】
実施形態1
複数の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)を含む組成物であって、前記金属-有機のフレームワークは、複数のアルギン酸カルシウム錯体(又はカルシウム・アルギネート錯体)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)内に位置し(又は位置決め又は配置され)、当該組成物は、水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又はメタル-オーガニック・フレームワーク・アルギネートの水性混合物)を塩化カルシウムの水溶液と合わせることによって調製され、
前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、
約5.0重量%以下のアルギン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルギネート)と、
約1.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムと、
少なくとも10重量%の金属-有機のフレームワークと
を含み、
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、少なくとも1つの金属イオン(又はメタル・イオン)と、少なくとも1つの有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)とを含み、
当該組成物は、60重量%以上の金属-有機のフレームワークを含み、なおかつ、少なくとも約10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のクラッシュ強度(又は破砕強度又は圧縮強度又は圧潰強度又は圧壊強度)を有し、なおかつ、少なくとも約500m/グラム(m/g)の表面積(又はサーフェス・エリア)を有する、組成物。
【0094】
実施形態2
金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)の球状物(又は球状体又はスフェア)であって、当該球状物は、約60重量%~約70重量%の複数の金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)を含み、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)と金属(又はメタル)とを含み、前記金属-有機のフレームワークは、複数のアルギン酸カルシウム錯体(又はカルシウム・アルギネート錯体)のネットワーク(又は網又は網目又は網状組織又は網状構造)内にブレンド(又は混合又は配合)されていて、前記アルギン酸カルシウム錯体は、それぞれ、アルギネート(又はアルギン酸塩)を含み、前記アルギネートは、カルシウムとイオン的に架橋(又はイオン性の架橋又はイオン架橋)しており、当該金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォース(又は重量ポンド又はポンド力(lb.force))のバルク・クラッシュ強度(又はバルク破砕強度又はバルク圧縮強度又はバルク圧潰強度又はバルク圧壊強度)を有し、なおかつ、少なくとも500m/グラム(m/g)の表面積(又はサーフェス・エリア)を有する、金属-有機のフレームワークの球状物。
【0095】
実施形態3
金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)の球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための方法であって、当該方法は、
塩化カルシウムの溶液を生成(又は形成)させるために、塩化カルシウムを水中に溶解させる工程(又はステップ)と、
アルギン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルギネート)の水溶液を生成(又は形成)させるために、アルギン酸ナトリウムと水とを混合する工程(又はステップ)と、
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又はメタル-オーガニック・フレームワーク・アルギネートの水性混合物)を生成(又は形成)させるために、複数の金属-有機のフレームワークを前記アルギン酸ナトリウムの水溶液に添加する工程(又はステップ)であって、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)と金属(又はメタル)とを含む、工程(又はステップ)と、
金属-有機のフレームワークの球状物を形成(又は生成又は製造)するために、前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を前記塩化カルシウムの溶液に添加する工程(又はステップ)と
を含む、方法。
【0096】
実施形態4
前記塩化カルシウム溶液は、少なくとも3.0重量%の塩化カルシウムを含む、実施形態3に記載の方法。
【0097】
実施形態5
前記アルギン酸ナトリウムの水溶液の温度は、20℃~25℃である、実施形態3または4に記載の方法。
【0098】
実施形態6
前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、スラリーである、実施形態3~5のいずれか1項に記載の方法。
【0099】
実施形態7
前記スラリーは、少なくとも10重量%の金属-有機のフレームワークを含む、実施形態6に記載の方法。
【0100】
実施形態8
前記スラリーを前記塩化カルシウムの溶液に滴下して添加する、実施形態6または7に記載の方法。
【0101】
実施形態9
金属-有機のフレームワーク(又はメタル-オーガニック・フレームワーク)の球状物(又は球状体又はスフェア)を製造するための方法であって、当該方法は、以下の工程(又はステップ):
アルギン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルギネート)の水溶液を生成(又は形成)させるために、約5.0重量%以下のアルギン酸ナトリウムを水と混合する工程(又はステップ)、
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物(又はメタル-オーガニック・フレームワーク・アルギネートの水性混合物)を生成(又は形成)させるために、複数の金属-有機のフレームワークをアルギン酸ナトリウム(又はナトリウム・アルギネート)の水溶液に添加する工程(又はステップ)であって、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンド(又はオーガニック・リガンド)と金属(又はメタル)とを含む、工程(又はステップ)、および
金属-有機のフレームワークの球状物を形成(又は生成又は製造)するために(例えば、金属-有機のフレームワークの球状物において、約15重量%以下のウェット(又は湿潤)の金属-有機のフレームワークを形成(又は生成又は製造)するために)、前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウムの水溶液に添加する工程(又はステップ)であって、前記塩化カルシウムの水溶液が、約2.0重量%~約5.0重量%の塩化カルシウムを含む、工程(又はステップ)
を含む、方法。
【0102】
実施形態10
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォースのクラッシュ強度を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積を有する、実施形態3~9のいずれか1項に記載の方法。
【0103】
実施形態11
ニートのアミンあるいはトルエン中のアミンの溶液を前記金属-有機のフレームワークの球状物に添加すること(又は工程又はステップ)をさらに含む、実施形態3~10のいずれか1項に記載の方法。
【0104】
実施形態12
前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキル基のサブ構造(又はサブストラクチャ又は副構造)、または
1~5個の芳香環を有するアリール基のサブ構造(又はサブストラクチャ又は副構造)
の1以上を含み、
前記1以上のサブ構造(又はサブストラクチャ又は副構造)は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であって、前記官能基は、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)に配位するように構成(又は形成)されている、
実施形態1~11のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0105】
実施形態13
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドを含み、前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキルアミンのサブ構造(又はサブストラクチャ又は副構造)、あるいは、
1~5個の芳香環を有するアリールアミンまたは窒素含有複素環(又は窒素含有ヘテロ環又は窒素含有ヘテロサイクル)のサブ構造(又はサブストラクチャ又は副構造)
を含み、
前記サブ構造(又はサブストラクチャ又は副構造)(単数または複数)は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であり、前記官能基は、金属(又はメタル)または半金属(又はメタロイド)に配位するように構成(又は形成)されている、
実施形態1~12のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0106】
実施形態14
Xは、それぞれ、独立して、COH、OH、SH、OH、NH、CN、HCO、CSH、NO、SOH、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Si(SH)、Ge(SH)、Sn(SH)、POH、AsOH、AsOH、P(SH)、As(SH)、CH(RSH)、C(RSH)、CH(RNH、C(RNH、CH(ROH)、C(ROH)、CH(RCN)、C(RCN)、CH(SH)、C(SH)、CH(NH、C(NH、CH(OH)、C(OH)、CH(CN)、C(CN)、窒素含有複素環(又は窒素含有ヘテロ環又は窒素含有ヘテロサイクル)、硫黄含有複素環(又は硫黄含有ヘテロ環又は硫黄含有ヘテロサイクル)、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)の中性(又はニュートラル)またはイオンの形態から選択され、式中、Rは、1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、1~2個のフェニル環(又はフェニル・リング)を有するアリール基である、実施形態12または13に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0107】
実施形態15
前記有機リガンドは、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレート、1,4-ベンゼンジカルボキシレート、1,3-ベンゼンジカルボキシレート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(1H-テトラゾール)、アセチレン-1,2-ジカルボキシレート、ナフタレンジカルボキシレート、アダマンタンテトラカルボキシレート、ベンゼントリベンゾエート、メタンテトラベンゾエート、アダマンタントリベンゾエート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、イミダゾール、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシ-(1,1’-ビフェニル)-3,3’-ジカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)から選択される、実施形態1~14のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0108】
実施形態16
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、およびBi5+、Bi3+、Bi、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)から選択される金属イオンを含む、実施形態1~15のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0109】
実施形態17
前記金属イオンは、Mg2+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cu2+、Cu、Pt2+、Ag、Zn2+、Zr4+、Hf4+、またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)から選択される、実施形態16に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0110】
実施形態18
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Mg-MOF-74、HKUST-1、UiO-66、ZIF-8、ZIF-7、MIL-100、Mg-MOF-274、混合された金属-有機のフレームワーク、および/またはそれらの組み合わせ(又はコンビネーション)(単数または複数)から選択される、実施形態1~17のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0111】
実施形態19
前記金属-有機のフレームワークは、UiO-66、Mg-MOF-74、またはアミン-MOF-274である、実施形態1~18のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
【0112】
実施形態20
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、エネルギー効率がよい(又は優れたエネルギー効率又は良好なエネルギー効率又はエネルギー・エフィシエントの)温度スイング吸着プロセス(temperature swing adsorption process)において、COを吸収することができる、実施形態1~19のいずれか1項に記載の組成物、金属-有機のフレームワークの球状物または方法。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-有機のフレームワークの球状物であって、当該球状物は、60重量%~70重量%の複数の金属-有機のフレームワークを含み、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドと金属とを含み、前記金属-有機のフレームワークは、複数のアルギン酸カルシウム錯体のネットワーク内にブレンドされていて、前記アルギン酸カルシウム錯体は、それぞれ、アルギネートを含み、前記アルギネートは、カルシウムとイオン的に架橋しており、当該金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォースのバルク・クラッシュ強度を有し、なおかつ、少なくとも500m/グラムの表面積を有する、金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項2】
金属-有機のフレームワークの球状物を製造するための方法であって、当該方法は、
塩化カルシウムの溶液を生成させるために、塩化カルシウムを水中に溶解させる工程と、
アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成させるために、アルギン酸ナトリウムと水とを混合する工程と、
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を生成させるために、複数の金属-有機のフレームワークを前記アルギン酸ナトリウムの水溶液に添加する工程であって、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドと金属とを含む、工程と、
金属-有機のフレームワークの球状物を形成するために、前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を前記塩化カルシウムの溶液に添加する工程と
を含む、方法。
【請求項3】
前記塩化カルシウム溶液は、少なくとも3.0重量%の塩化カルシウムを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記アルギン酸ナトリウムの水溶液の温度は、20℃~25℃である、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物は、スラリーである、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記スラリーは、少なくとも10重量%の金属-有機のフレームワークを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記スラリーを前記塩化カルシウムの溶液に滴下して添加する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
下の工程:
アルギン酸ナトリウムの水溶液を生成させるために、5.0重量%以下のアルギン酸ナトリウムを水と混合する工程、
水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を生成させるために、複数の金属-有機のフレームワークをアルギン酸ナトリウムの水溶液に添加する工程であって、前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドと金属とを含む、工程、および
金属-有機のフレームワークの球状物を形成するために、前記水性の金属-有機のフレームワーク・アルギネートの混合物を塩化カルシウムの水溶液に添加する工程であって、前記塩化カルシウムの水溶液が、2.0重量%~5.0重量%の塩化カルシウムを含む、工程
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、少なくとも10ポンドフォースのクラッシュ強度を有し、なおかつ、少なくとも500m/gの表面積を有する、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ニートのアミンあるいはトルエン中のアミンの溶液を前記金属-有機のフレームワークの球状物に添加することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキル基のサブ構造、または
1~5個の芳香環を有するアリール基のサブ構造
の1以上を含み、
前記1以上のサブ構造は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であって、前記官能基は、金属または半金属に配位するように構成されている、
請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドを含み、前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキルアミンのサブ構造、あるいは、
1~5個の芳香環を有するアリールアミンまたは窒素含有複素環のサブ構造
を含み、
前記サブ構造は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であり、前記官能基は、金属または半金属に配位するように構成されている、
請求項に記載の方法。
【請求項13】
Xは、それぞれ、独立して、COH、OH、SH、OH、NH、CN、HCO、CSH、NO、SOH、Si(OH)、Ge(OH)、Sn(OH)、Si(SH)、Ge(SH)、Sn(SH)、POH、AsOH、AsOH、P(SH)、As(SH)、CH(RSH)、C(RSH)、CH(RNH、C(RNH、CH(ROH)、C(ROH)、CH(RCN)、C(RCN)、CH(SH)、C(SH)、CH(NH、C(NH、CH(OH)、C(OH)、CH(CN)、C(CN)、窒素含有複素環、硫黄含有複素環、またはそれらの組み合わせの中性またはイオンの形態から選択され、式中、Rは、1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、1~2個のフェニル環を有するアリール基である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記有機リガンドは、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレート、1,4-ベンゼンジカルボキシレート、1,3-ベンゼンジカルボキシレート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(1H-テトラゾール)、アセチレン-1,2-ジカルボキシレート、ナフタレンジカルボキシレート、アダマンタンテトラカルボキシレート、ベンゼントリベンゾエート、メタンテトラベンゾエート、アダマンタントリベンゾエート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、イミダゾール、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシ-(1,1’-ビフェニル)-3,3’-ジカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、およびBi5+、Bi3+、Bi、またはそれらの組み合わせから選択される金属イオンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記金属イオンは、Mg2+、Mn3+、Mn2+、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cu2+、Cu、Pt2+、Ag、Zn2+、Zr4+、Hf4+、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Mg-MOF-74、HKUST-1、UiO-66、ZIF-8、ZIF-7、MIL-100、Mg-MOF-274、混合された金属-有機のフレームワーク、および/またはそれらの組み合わせから選択される、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属-有機のフレームワークは、UiO-66、Mg-MOF-74、またはアミン-MOF-274である、請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、エネルギー効率がよい温度スイング吸着プロセスにおいて、COを吸収することができる、請求項に記載の方法。
【請求項20】
前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキル基のサブ構造、または
1~5個の芳香環を有するアリール基のサブ構造
の1以上を含み、
前記1以上のサブ構造は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であって、前記官能基は、金属または半金属に配位するように構成されている、
請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項21】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、有機リガンドを含み、前記有機リガンドは、
1~10個の炭素原子を有するアルキルアミンのサブ構造、あるいは、
1~5個の芳香環を有するアリールアミンまたは窒素含有複素環のサブ構造
を含み、
前記サブ構造は、それぞれ、少なくとも2つのX基を有し、
Xは、官能基であり、前記官能基は、金属または半金属に配位するように構成されている、
請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項22】
Xは、それぞれ、独立して、CO H、OH、SH、OH 、NH 、CN、HCO、CS H、NO 、SO H、Si(OH) 、Ge(OH) 、Sn(OH) 、Si(SH) 、Ge(SH) 、Sn(SH) 、PO H、AsO H、AsO H、P(SH) 、As(SH) 、CH(RSH) 、C(RSH) 、CH(RNH 、C(RNH 、CH(ROH) 、C(ROH) 、CH(RCN) 、C(RCN) 、CH(SH) 、C(SH) 、CH(NH 、C(NH 、CH(OH) 、C(OH) 、CH(CN) 、C(CN) 、窒素含有複素環、硫黄含有複素環、またはそれらの組み合わせの中性またはイオンの形態から選択され、式中、Rは、1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるか、1~2個のフェニル環を有するアリール基である、請求項20または21に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項23】
前記有機リガンドは、1,3,5-ベンゼントリカルボキシレート、1,4-ベンゼンジカルボキシレート、1,3-ベンゼンジカルボキシレート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、ベンゼン-1,3,5-トリス(1H-テトラゾール)、アセチレン-1,2-ジカルボキシレート、ナフタレンジカルボキシレート、アダマンタンテトラカルボキシレート、ベンゼントリベンゾエート、メタンテトラベンゾエート、アダマンタントリベンゾエート、ビフェニル-4,4’-ジカルボキシレート、イミダゾール、2,5-ジヒドロキシ-1,4-ベンゼンジカルボン酸、4,4’-ジヒドロキシ-(1,1’-ビフェニル)-3,3’-ジカルボン酸、その誘導体、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項24】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Be 2+ 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Sr 2+ 、Ba 2+ 、Sc 3+ 、Y 3+ 、Ti 4+ 、Zr 4+ 、Hf 4+ 、V 4+ 、V 3+ 、V 2+ 、Nb 3+ 、Ta 3+ 、Cr 3+ 、Mo 3+ 、W 3+ 、Mn 3+ 、Mn 2+ 、Re 3+ 、Re 2+ 、Fe 3+ 、Fe 2+ 、Ru 3+ 、Ru 2+ 、Os 3+ 、Os 2+ 、Co 3+ 、Co 2+ 、Rh 2+ 、Rh 、Ir 2+ 、Ir 、Pd 2+ 、Pd 、Pt 2+ 、Pt 、Cu 2+ 、Cu 、Ag 、Au 、Zn 2+ 、Cd 2+ 、Hg 2+ 、Al 3+ 、Ga 3+ 、In 3+ 、Tl 3+ 、Si 4+ 、Si 2+ 、Ge 4+ 、Ge 2+ 、Sn 4+ 、Sn 2+ 、Pb 4+ 、Pb 2+ 、As 5+ 、As 3+ 、As 、Sb 5+ 、Sb 3+ 、Sb 、およびBi 5+ 、Bi 3+ 、Bi 、またはそれらの組み合わせから選択される金属イオンを含む、請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項25】
前記金属イオンは、Mg 2+ 、Mn 3+ 、Mn 2+ 、Fe 3+ 、Fe 2+ 、Co 3+ 、Co 2+ 、Cu 2+ 、Cu 、Pt 2+ 、Ag 、Zn 2+ 、Zr 4+ 、Hf 4+ 、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項24に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項26】
前記金属-有機のフレームワークは、それぞれ、Mg-MOF-74、HKUST-1、UiO-66、ZIF-8、ZIF-7、MIL-100、Mg-MOF-274、混合された金属-有機のフレームワーク、および/またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項27】
前記金属-有機のフレームワークは、UiO-66、Mg-MOF-74、またはアミン-MOF-274である、請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【請求項28】
前記金属-有機のフレームワークの球状物は、エネルギー効率がよい温度スイング吸着プロセスにおいて、CO を吸収することができる、請求項1に記載の金属-有機のフレームワークの球状物。
【国際調査報告】