(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】干渉パターンを減少させるための光導波路装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20240521BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571121
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 FI2022050348
(87)【国際公開番号】W WO2022248767
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロムステット、カシミール
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA47
2H199CA50
2H199CA54
2H199CA67
2H199CA86
2H199CA94
2H199CA95
2H199DA16
2H199DA18
(57)【要約】
本発明の例示的な態様によると、光導波路装置が提供され、この光導波路装置は、この光導波路装置の少なくとも1つの光導波路に光信号を送信するように構成された光源であって、少なくとも1つの光導波路は、導波路ベースの表示を生成するため、光信号を光源から受信し、光信号を人間の眼に搬送するように構成されている、光源と、この光源を制御し、人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に光信号のスペクトルの形成を生じさせ、時間間隔の間に第1の波長と第2の波長との間で光信号のスペクトルの形成を生じさせるように構成されている少なくとも1つのプロセッサであって、スペクトルの形成は、時間間隔の間における光信号の特徴的なスペクトル特性の掃引を含む、少なくとも1つのプロセッサとを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路装置であって、
前記光導波路装置の少なくとも1つの光導波路に光信号を送信するように構成された光源と、
導波路ベースの表示を生成するため、前記光信号を前記光源から受信し、前記光信号を人間の眼に搬送するように構成されている、前記少なくとも1つの光導波路と、
前記光源を制御するように構成され、前記人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に前記光信号のスペクトルの形成を生じさせるように構成され、前記時間間隔の間に第1の波長と第2の波長との間で前記光信号のスペクトルの形成を生じさせるようにさらに構成されている少なくとも1つのプロセッサであって、前記スペクトルの前記形成は、前記時間間隔の間における前記光信号の特徴的なスペクトル特性の掃引を含む、少なくとも1つのプロセッサとを備える光導波路装置。
【請求項2】
前記光信号の前記特徴的なスペクトル特性は、前記時間間隔の間、一様に掃引される、請求項1に記載の光導波路装置。
【請求項3】
前記光信号の前記特徴的なスペクトル特性は、前記時間間隔の間、連続的に掃引される、請求項1又は2に記載の光導波路装置。
【請求項4】
前記光信号の前記特徴的なスペクトル特性は、前記時間間隔の間、約2ナノメートルだけ掃引される、請求項1から3までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項5】
前記スペクトルの前記形成は、掃引波長範囲の端点では、前記掃引波長範囲における最高の振幅と比較すると、より低い振幅が用いられるように、波長の関数として前記光信号の振幅を変更することを含む、請求項1から4までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項6】
前記スペクトルの前記形成は、円滑なスペクトル・プロファイルを達成するように、前記時間間隔の間、前記光信号のスペクトル形状を変更することを含む、請求項1から5までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項7】
前記スペクトルの前記形成は、円滑なスペクトル・プロファイルを達成するように、前記時間間隔の間、前記光信号の強度を変更することを含む、請求項1から6までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項8】
前記光源はレーザ源であり、前記光信号はレーザ信号である、請求項1から7までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項9】
前記時間間隔は、前記人間の眼の視覚の前記持続時間に対応する約数十ミリ秒であり、好ましくは、20ミリ秒など5から200ミリ秒である、請求項1から8までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記光信号の有効コヒーレンス長を短縮するために、前記時間間隔の間、前記光信号の前記スペクトルの前記形成を生じさせるように構成されている、請求項1から9までのいずれかに記載の光導波路装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれかに記載の光導波路装置を有するヘッドマウント・ディスプレイ又はヘッドアップ・ディスプレイ。
【請求項12】
光導波路装置のための方法であって、
光源によって、光信号を、前記光導波路装置の少なくとも1つの光導波路に送信するステップと、
導波路ベースの表示を生成するため、前記少なくとも1つの光導波路によって、前記光源からの前記光信号を受信し、前記光信号を人間の眼に搬送するステップと、
前記人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に前記光信号のスペクトルの形成を生じさせるように、少なくとも1つのプロセッサによって前記光源を制御するステップと、
少なくとも1つのプロセッサによって、前記時間間隔の間において第1の波長と第2の波長との間で前記光信号のスペクトルの形成を生じさせるステップであって、前記スペクトルの前記形成は、前記時間間隔の間における前記光信号の特徴的なスペクトル特性の掃引を含む、ステップとを含む、方法。
【請求項13】
装置によって実行されると、前記装置に請求項12に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、一般に、光導波路装置に関し、より具体的には、干渉パターンを減少させる光導波路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウント・ディスプレイHMD及びヘッドアップ・ディスプレイHUDは、光導波路技術を用いて、実現されることが可能である。偏向導波路などの光導波路は、たとえばレーザ及び光学的にフィルタリングされた発光ダイオードLEDなど、幅の狭いスペクトル帯域を有する光源と共に用いられ得る。そのような導波路は、しかし、仮想的な画像における可視的な干渉パターンによる被害を受けるのが典型的である。これらの干渉パターンは、たとえばニュートン・リングなど、円柱状に対象的であり得る。干渉パターンは、ディスプレイによって生成される画像の質を劣化させるため、望ましくない効果である。したがって、干渉パターンを減少させるための光導波路装置を提供する必要性が存在している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの態様によると、独立請求項の主題が提供される。いくつかの実施例は、従属請求項において定義されている。
【0004】
本発明の第1の態様によると、光導波路装置が提供され、この光導波路装置は、この光導波路装置の少なくとも1つの光導波路に光信号を送信するように構成された光源と、導波路ベースの表示を生成するため、光信号を光源から受信し、光信号を人間の眼に搬送するように構成されている少なくとも1つの光導波路と、この光源を制御するように構成され、人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に光信号のスペクトルの形成を生じさせるように構成された少なくとも1つのプロセッサとを備えている。
【0005】
本発明の第2の態様によると、第1の態様の光導波路装置を備えたヘッドマウント・ディスプレイ又はヘッドアップ・ディスプレイが提供される。
【0006】
本発明の第3の態様によると、方法が提供され、この方法は、光源によって、光信号を、光導波路装置の少なくとも1つの光導波路に送信するステップと、導波路ベースの表示を生成するため、少なくとも1つの光導波路によって、光源からの光信号を受信し、その光信号を人間の眼に搬送するステップと、人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に光信号のスペクトルの形成を生じさせるように、少なくとも1つのプロセッサによって光源を制御するステップとを含む。
【0007】
本発明の第4の態様によると、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、装置にこの方法を少なくとも実行させる1組のコンピュータ可読な命令がその上に記憶されている非一時的なコンピュータ可読な媒体が提供される。
【0008】
本発明の第5の態様によると、装置によって実行されると、その装置にこの方法を実行させる命令を含むコンピュータ・プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の少なくともいくつかの実施例による例示的なシステムの図解である。
【
図2】本発明の少なくともいくつかの実施例による導波路の例示的な動作の図解である。
【
図3】本発明の少なくともいくつかの実施例をサポートすることができる例示的な装置の図解である。
【
図4】本発明の少なくともいくつかの実施例による光信号のスペクトルの形成の第1の例の図解である。
【
図5】本発明の少なくともいくつかの実施例によるスペクトルの形成の第2の例の図解である。
【
図6】本発明の少なくともいくつかの実施例による方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例は、ニュートン・リングなど、干渉パターンを減少させるための光導波路装置に関する。本発明の少なくともいくつかの実施例によると、干渉パターンは、人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間、光信号の、特徴的なスペクトル・ピークなど、特徴的なスペクトル特性を掃引することによって、減少させることができ、この人間の眼の視覚の持続時間は、人間の眼の平均化/統合時間と称されることもある。人間の眼は、検出器と考えることもでき、よって、人間の眼の視覚の持続時間は、対応する検出器のコヒーレンス時間に等しい。
【0011】
本発明の実施例では、コヒーレンス時間、コヒーレンス長、及びコヒーレンスの他の特性は、典型的なようにライト・フィールド源のコヒーレンス特性だけを指すのではなく、光源と検出器との協働コヒーレンス特性を指すということが注意されるべきである。具体的には、人間の眼における視覚の持続の時間スケールは典型的には数十ミリ秒であるから、(レーザの中心周波数との比較における)光源のスペクトル特性の低周波変化/変調は、(人間の眼に対する)干渉フリンジの可視性に影響するのであって、本明細書において利用されるのは、この効果である。すなわち、人間の眼に対する干渉の可視性の効果は、視覚の持続時間にわたり平均化された光源のスペクトル分布に依存し、したがって、この時間フレームにおいてこのスペクトルを変調することによって、影響され得る。スペクトルの形成は、たとえば、レーザ源のピーク波長を十分に広い波長帯にわたって掃引することにより行われ得るが、より複雑な光源と、スペクトルへのより複雑な変化も、用いられる可能性がある。スペクトルの形成は、振幅及び/又は波長を変更することを含み得る。
【0012】
ピーク波長は、2ナノメートルの範囲内など、たとえば数ナノメートルの範囲内で掃引され得る。すなわち、ピーク波長は、その範囲を横断して、その範囲の一端からその範囲の他端まで、連続的な運動として、又は一連のより小さな離散的なシフトとして、移動され得る。一般に、光信号のスペクトル特性は、ある時間間隔の間に、複数回すなわち2回以上、変更され得る。いくつかの実施例では、この時間間隔は、20ミリ秒であり得るが、これは、典型的な人間の眼の平均化/統合時間に対応する。よって、この変更は、たとえば1秒間に50回、反復され得る。いくつかの実施例では、この時間間隔は、5~200ミリ秒である。
【0013】
本発明の少なくともいくつかの実施例では、光導波路ベースのディスプレイが、ヘッドマウント・ディスプレイHMD及びヘッドアップ・ディスプレイHUDのために、用いられ得る。一般に、光導波路は、光周波数光を搬送することができる。光周波数又は可視周波数とは、波長が約400から700ナノメートルの範囲にある光信号を指し得る。光導波路は、たとえば、拡張現実又は仮想現実型の応用例に適切であり得る。拡張現実の場合には、ユーザは、現実世界とその上に重ねられた補足的表示との光景を見ることになる。仮想現実の場合には、ユーザは、現実世界の光景を奪われてしまい、その代わりとして、ソフトウェアによって定義されたシーンの視界を提供される。
【0014】
図1は、本発明の少なくともいくつかの実施例による例示的なシステムを、図解している。このシステムは、1組の光源140を有し得る。光源140は、たとえば、レーザ又は発光ダイオードLED光源であり得るが、レーザ光源は、LEDと比較して、より厳密に単色であるという長所を有する。光源140は、たとえばMEMS鏡130など、他の光学コンポーネントと共に、角度空間においてライト・フィールドを生成するように構成され得る光学システムを形成する。画像は、ライト・フィールドでエンコードされる。ライト・フィールドは、
図1では、フィールド100として模式的に図解されている。いくつかの実施例では、物理的な主ディスプレイが、ライト・フィールド100の画像を表示することができ、他方で、他の実施例では、このシステムは物理的な主ディスプレイを有しておらず、画像は、単に、角度空間に分布されているライト・フィールドにおいてエンコードされるだけである。ライト・フィールド100からの光信号104は、直接に、又は、たとえば鏡及び/又はレンズを備えた光ガイド102を用いて、光導波路110に搬送され、導波路ベースの表示を生成する。光ガイド102は、特定の実施例の具体的事情に応じて存在しない場合があり得るという意味で、任意選択である。換言すると、光ガイド102は、すべての実施例に存在するとは限らない。
【0015】
光源140からの光信号104は、部分的に反射する鏡、表面レリーフ型格子、又はそれ以外の偏向構造などのインカップリング構造103に向けられ得る。インカップリング構造103は、たとえば、1つ若しくは複数のインカップリング格子、及び/又はプリズムを含み得る。インカップリング構造103は、光線104を光導波路110の中に誘導するように構成され得る。これは、すなわち、インカップリング構造103は、画像を光導波路110の中に偏向的に結合し得る、ということである。
図1に示されているように、いくつかの実施例では、インカップリング構造103は、たとえば、光導波路110の表面上に又は表面に近接して存在し得る。しかし、いくつかの実施例では、光導波路110は、インカップリング構造103を含む場合があり得る。
【0016】
いくつかの実施例では、しかし、インカップリング構造103が存在しないことがあり得るが、そのような場合には、光導波路110の側面を直接的に照射することによって、光信号104を光導波路110の中に導くことが可能である。
【0017】
導波路110では、光信号104は、導波路の内側で反復的に反射され、導波路110から空気にそれを偏向させる素子112と相互作用するまで素子112aと相互作用することによって、光信号114を生じさせる画像として、眼120に向かって前進し得る。素子112a及び112は、光導波路110のいずれかの側又は両側に位置し得るが、光導波路110の一方の側は、眼120に向かう側、又は「外界」側を参照する。素子112a及び112は、たとえば、部分的に反射する鏡、表面レリーフ型格子、又はそれ以外の偏向構造を有し得る。素子112aは、たとえば、導波路ディスプレイの画像が正しく生成されるように、導波路110の内部にライト・フィールド100を拡げるように構成され得る。ライト・フィールド110の異なる角度態様からの光が素子112と相互作用すると、光信号114は、眼120の網膜上のライト・フィールド100においてエンコードされる画像を生成する。光は、特徴的なシーケンスで、素子112と相互作用し得るが、すべての素子112がすべての時点で必ず用いられるとは限らない。光の全部が、すべての素子112を必ず衝突するとは限らない。
【0018】
次に、素子112により、光信号104は、ある出口位置において又は複数の出口位置において、導波路110を去る。結果として、ユーザは、自分の眼前のライト・フィールド100で、エンコードされた画像を知覚することになる。導波路110は、少なくとも部分的には透明であるから、ユーザは、また、有利なことに、たとえば導波路ベースのディスプレイがヘッドマウント型である場合には、導波路110を通過して自分の周囲の現実を見ることができる。光は、素子112の動作の結果として、導波路110から放出され、すなわち、素子112は、アウトカップリング素子と称され得る。
【0019】
色画像は、たとえば、ユーザの色視覚の知覚が標準的な眼に対応すると想定することによって生成され得る。「色空間」という用語は、平均的な人間の眼のスペクトル応答の結果として生じる、知覚される色に対応する(2次元の)色度図を指す。あるデバイスの全範囲は、色空間の領域であり、これは、そのデバイスによって再生可能である。具体的には、ここで、全範囲は、色空間における領域に対応するが、これは、システムにおける光源140と導波路との組合せによって、焦点面から生じるのを観測者が知覚するライト・フィールドに対して、再生されることが可能である。次に、関心領域ROIとは、完全な色画像として知覚されるものを再生するのに十分な色空間の領域を指すが、色空間のより小さな又はより大きな領域に対応する場合もあり得る。色空間における特定の点は、波長の異なる組合せによって到達可能であるから、ある特定のROIは、可視スペクトルのピークなど、特徴的なスペクトル特性の異なる組合せを用いて、到達可能である。
【0020】
色画像は、たとえば、ユーザの色視覚の知覚が標準的な眼に対応すると仮定し、対応する色空間(の一部を)再生することによって、生成され得る。色空間の定義から明らかなように、ユーザは、いくつかの異なる光信号スペクトルの結果として、同じ色を知覚する。これが、導波路110がどのように動作するのかに関する自由度を提供する。さらに、波長など、特徴的なスペクトル特性の異なる組合せは、同じ色を生成するのに用いられ得る。光がどのように導波路から結合されるかは、出口位置の関数であり得る。すなわち、入力画像における特定の位置(特定の伝播角度)に対応する光線は、出口位置に応じて、異なる角度で導波路から退出し得る。一般に、ユーザは、光信号114の複数個のスペクトルから同じ色を知覚し得る。これが、導波路110を製造する際に、自由度を生じさせる。
【0021】
導波路ベースのディスプレイでは、本発明による複数の光導波路110が、すなわち、相互の上の光導波路110のスタックが存在し得る。複数の光導波路110は、たとえば、眼120と共に、図解を明確にする目的で
図1には図解されていないユーザの他方の眼の前で、異なる外見上の深度をシミュレートする光を搬送し得る。或いは、又はそれに加えて、複数の光導波路は、より大きな視野を作成するために用いられ得る。
【0022】
画像をエンコードするライト・フィールド100は、たとえば鏡130とレーザ光源140とを含む光学システムを用いて、生成され得る。鏡130は、たとえば、微小電気機械システムMEMSの鏡を含み得るが、これは、たとえば角度空間を走査することにより画像をエンコードするライト・フィールドを生成することによって、ライト・フィールド100を制御された様態でエンコードする画像を生成するように、光源140からの光信号を反射するように構成されている。鏡130は、したがって、光源140からの光を角度空間におけるライト・フィールド100の適切な部分に向けるように、異なる角度に傾斜させるように付勢され得る。
【0023】
いくつかの実施例では、光学システムは、プロジェクタなど、他のタイプの画像生成デバイスで構成され得るが、その場合には、光源はたとえばLEDであり得るし、主ディスプレイはシリコン上の液晶LCOSデバイスの形態で存在し得る。この光学システムは、主ディスプレイからの画像を角度空間にマッピングすることにより、導波路110への入力のためのライト・フィールドを生成する。
【0024】
図1に図解されている例示的なシステムは、3つの光源140と、光源140を制御するように構成されている少なくとも1つのプロセッサ150とを含む。これは実例であって、本開示はこの実例に限定されることはなく、むしろ、3つよりも少ない、又は3つよりも多くの光源140が存在することもあり得る。光源140は、レーザのように単一のピーク波長を有する光の幅の狭いスペクトル帯か、又はLEDのようにより広いスペクトル帯かのどちらかを生じ得るという意味で、単色であると考えることができる。より複雑なスペクトル分布を有する光源も、可能である。原理的には、人間が見ることができる色空間は、網膜上の光受容体を適切に励起させることによって、生成され得る。典型的には、これは、たとえば、視覚スペクトルの赤、緑、及び青の部分におけるそれぞれにおける1つの波長において光の3つの波長を混合することによって達成される。これは、また、3つの光源からの光とより複雑なスペクトルとを混合させることによっても、達成され得る。
【0025】
角度空間におけるライト・フィールド100でエンコードされる色画像を作成するには、光源140は、たとえば、プログラムによって制御され得る。鏡130が存在する場合には、光源140と鏡130とは、光源140からの光が制御された様態で角度空間100の特定の角度領域を照射し、そこに、たとえば仮想現実又は拡張現実コンピュータなど外部ソースから受け取られる静止又は動く入力画像を再生する色画像の表現を生じさせるように、相互に同期され得る。外部ソースから受け取られる静止画又は動画は、たとえば、デジタル画像又はデジタル・ビデオ・フィードを含み得る。よって、ライト・フィールド100でエンコードされる画像は、適切に選択された入力画像の提供によって、設定可能である。
【0026】
ライト・フィールド100の角度空間においてある与えられた態様で特定の色を生じさせるためには、角度空間におけるこの与えられている態様が、たとえば3つの光源140という組によって照射され得る。すると、ライト・フィールド100の角度空間におけるこの与えられた態様からの光が、導波路110において、角度空間100におけるこの与えられた態様に対応する角度で存在する素子112まで進むと、この特定の色が、光信号114によって再生される。
【0027】
図2は、本発明の少なくともいくつかの実施例による導波路の例示的な動作を図解している。
図2に示されているように、レーザ信号などの光信号140が、導波路110における内部的な反射を経由して伝播し、導波路110のインターフェース111において相互作用して、2つの光信号114及び115を生じ得る。インターフェース111は、眼120に向かう側に存在し得る。第1の光信号114は、眼120に向かってさらに伝播し、第2の光信号115は、導波路110の反対側のインターフェース113に向かって伝播し得る。反対側のインターフェース113は、世界に向かう側に存在し得る。第2の光信号115は、次に、反対側のインターフェース113から部分的に反射することにより、反射光信号116を形成し得る。明確にするという目的のために、
図2には、ただ1つの反射信号116だけが示されているが、複数の反射信号116が存在し得る。現実には、無限個の反射信号が存在し得るが、反射信号は、減衰されるため、第1の及びおそらくは第2の反射信号だけが重要性を有するのが典型的である。
【0028】
結果的に、反射光信号116は、光信号114に干渉して、光源と検出器(人間の眼)とによって構成されるシステムのコヒーレンス長がこれらの光信号の光経路の長さの差よりも大きい場合には、可視的な干渉パターンを生じ得る。干渉パターンは、たとえばニュートン・リングという形式で、生じ得る。よって、干渉は常に生じるとしても、干渉の効果は、経路長の差がシステムのコヒーレンス長よりも大きいときには、可視的ではないのが通常である。
【0029】
図2の実例において生じている干渉パターンの強度は、視覚の持続の時間フレーム内におけるスペクトル分布を一時的に変調すること、たとえば、光信号104の特徴的なスペクトル・ピークを掃引するなど光源のスペクトルを変調することによって、減少させることができる。これは、ユーザすなわち眼120によって観測されるライト・フィールドの有効なコヒーレンス長を縮小するので、結果的に、ユーザすなわち眼120によって観測される画像において、ニュートン・リングなどの干渉パターンが形成されなくなる。これは、すなわち、たとえば中心波長の掃引など、人間の眼の視覚の持続時間の間に実行されるスペクトル形成が、光源と眼とによって構成されるシステムのコヒーレンス長を縮小するのに用いられることが可能であり、よって、(望まない)干渉パターンの可視性を低下させるということである。
【0030】
本発明のいくつかの実施例では、光信号104は、レーザ信号であり得る。レーザは、赤、緑、及び青などの3つの離散的な波長を提供し、作業格子のより容易な実現を可能にするのに用いられ得る。レーザは、また、より高い動作効率とより小さな形状因子を可能にするが、これは、HMDの場合に特に重要である。
【0031】
レーザの使用に関係する1つの困難は、ニュートン・リングなどの望まない干渉であり、これは、最小化されなければならない。本発明のいくつかの実施例によると、望まない干渉は、検出器におけるレーザ信号のコヒーレンスを低下させることによって、最小化され得る。人間の眼は、検出器として考えることが可能であり、人間の眼の特性を、検出器におけるレーザのコヒーレンスを低下させるために、考慮することが可能である。たとえば、人間の眼の平均化/統合時間が20ミリ秒(50Hz)であり、光信号104の特徴的なスペクトル特性が20ミリ秒という時間間隔の間に、すなわち人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に、2ナノメートルにわたり掃引される場合には、光信号104は、眼120によって、コヒーレントではないものとして観察され得る。これが、望まない干渉を抑制する。スローモーションで観測されると、それぞれのフリーズフレームは干渉を表示し得るが、正常な速度で観測されると、人間の眼が特徴的な干渉パターンを平均化することにより、干渉効果の可視性がはるかに低下する。
【0032】
レーザの場合、光信号のスペクトルは、レーザのキャビティを調整することによって形成され得る。キャビティの調整は、キャビティ長と、鏡の反射率と、材料の光学的性質とのうちの少なくとも1つを変化させることを含み得る。ある実施例では、光源140は、たとえば、開放型キャビティ・ダイオード・レーザであり得る。開放型キャビティ・ダイオードの場合、波長を定義するキャビティ長は調整可能である。よって、光信号の特徴的なスペクトル特性は、それに従ってキャビティの長さを調整することによって、掃引することができる。或いは、又はそれに加えて、光源140が電気的であって、駆動電流を変化させることによって制御可能な場合もあり得る。よって、人間の眼によって知覚されるレーザのスペクトルを形成する1つの方法は、人間の眼の視覚の持続時間の範囲内でそのピーク波長をシフトさせることである。ピーク波長をシフトさせることは、たとえば、これに限るわけではないが、ダイオード・レーザの駆動電流を電子的に修正することによって、又は圧電トランスデューサを適用することにより開放型キャビティ・ダイオード・レーザのキャビティ長を電子的に修正することによって、実現可能である。
【0033】
一般に、レーザ信号104のスペクトルの形成を可能にするどのようなレーザ源140でも、用いられ得る。たとえば、レーザ信号104の特徴的なスペクトル特性の掃引、すなわち、ピーク波長の掃引が用いられ得る。開放型キャビティ・ダイオード・レーザが、1つのそのような選択肢を提供する。ピーク波長をシフトさせることにより、本発明の実施例は、スペクトルの形成を可能にし、よって、スペクトルのための所望の形状を作成することが可能になる。スペクトルの形成/変調が一般的な目的であり、レーザ源と、上述した開放型キャビティ・ダイオードと、駆動電流の変更とは、この目的を達成するための単なる例示的な手段である。
【0034】
図3は、本発明の少なくともいくつかの実施例をサポートすることができる例示的な装置を図解している。図解されているのは装置300であり、この装置300は、たとえば、
図1又は
図2に図解されているような光導波路装置を動作させるための制御機構を含み得る。装置300に含まれているのは、プロセッサ310であるが、このプロセッサ310は、たとえば、シングルコア若しくはマルチコアであるプロセッサ又はマイクロコントローラを含み得るのであって、シングルコア・プロセッサは、1つの処理コアを含み、マルチコア・プロセッサは、複数個の処理コアを含む。プロセッサ310は、一般に、制御デバイスを含み得る。プロセッサ310は、複数個のプロセッサを含み得る。プロセッサ310は、制御デバイスであることもあり得る。プロセッサ310は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASICを含むことがあり得る。プロセッサ310は、少なくとも1つのフィールドプログラマブル・ゲート・アレイFPGAを含むことがあり得る。プロセッサ310は、送信するステップ及びシフトさせるステップなど、方法のステップを装置300において実行する手段であり得る。プロセッサ310は、少なくとも部分的にはコンピュータ命令によって動作を実行するように、構成され得る。プロセッサ310は、
図1におけるプロセッサ150であり得る。
【0035】
装置300は、メモリ320を含み得る。メモリ320は、ランダムアクセス・メモリ及び/又は不揮発性メモリを含み得る。メモリ320は、少なくとも1つのRAMチップを含み得る。メモリ320は、たとえば、ソリッドステート、磁気、光学、及び/又はホログラフィック・メモリを含み得る。メモリ320は、少なくとも部分的には、プロセッサ310にアクセス可能であり得る。メモリ320は、少なくとも部分的には、プロセッサ310に含まれることがあり得る。メモリ320は、情報を記憶するための手段であり得る。メモリ320は、プロセッサ310が実行するように構成されているコンピュータ命令を含み得る。プロセッサ310に特定の動作を実行させるように構成されているコンピュータ命令がメモリ320に記憶されており、装置300が全体としてメモリ320からのコンピュータ命令を用いてプロセッサ310の指示の下で動作するように構成されているときには、プロセッサ310及び/又はその少なくとも1つの処理コアは、その特定の動作を実行するように構成されていると考えられ得る。メモリ320は、少なくとも部分的には、プロセッサ310に含まれ得る。メモリ320は、少なくとも部分的には装置300の外部にあり得るが、装置300にアクセス可能であり得る。メモリ320は、たとえば、一次ディスプレイ100のセグメントを定義する情報を記憶し得る。
【0036】
装置300は、送信機330を含み得る。装置300は、受信機340を含み得る。送信機330と受信機340とは、少なくとも1つのセルラ又は非セルラ基準に従って情報をそれぞれ送信及び受信するように、構成され得る。送信機330は、複数個の送信機を含み得る。受信機340は、複数個の受信機を含み得る。受信機340は、入力画像を受け取るように構成され得るし、送信機330は、たとえば、存在する場合にはミラー130と、光源140との向きを入力画像に従って決める制御コマンドを出力するように構成され得る。送信機430及び/又は受信機440は、たとえば無線ローカル・エリア・ネットワークWLAN基準に従って動作するように、構成され得る。
【0037】
装置300は、ユーザ・インターフェースUI350を含み得る。UI350は、ディスプレイ、キーボード、タッチスクリーン、装置300を振動させることによりユーザに告知するように構成されているバイブレータ、スピーカ、及びマイクロフォンのうちの少なくとも1つを含み得る。ユーザは、たとえばディスプレイのパラメータを設定するために、UI350を経由して装置300を動作させることが可能であり得る。
【0038】
プロセッサ310は、プロセッサ310から装置300の内部にある電気リード線を介して装置300に含まれている他のデバイスに情報を出力するように構成されている送信機を備え得る。そのような送信機は、たとえば、情報を少なくとも1つの電気リード線を介してメモリ320に記憶するために出力するように構成されているシリアル・バス送信機を含み得る。シリアル・バスの代わりに、この送信機が、パラレル・バス送信機を含む場合もあり得る。同様に、プロセッサ310が、装置300の内部にある電気リード線を介して装置300に含まれている他のデバイスからの情報をプロセッサ310において受け取るように構成されている受信機を備えていることもあり得る。そのような受信機は、たとえば、情報を少なくとも1つの電気リード線を介して受信機340からプロセッサ310で処理するために受け取るように構成されているシリアル・バス受信機を含み得る。シリアル・バスの代わりに、この受信機が、パラレル・バス受信機を含む場合もあり得る。
【0039】
装置300は、
図3には図解されていないさらなるデバイスを含む場合もあり得る。たとえば、装置300は、近距離無線通信NFCのための送信機を含むことがあり得る。NFC送信機は、NFCなどの少なくとも1つのNFC技術、ブルートゥース(登録商標)、ワイブリ(Wibree)、又は類似の技術をサポートすることができる。いくつかの実施例では、装置300は、上述したデバイスの少なくとも1つを欠く場合もあり得る。たとえば、いくつかのデバイス300は、UI350を欠く場合がある。
【0040】
プロセッサ310、メモリ320、送信機330、受信機340、及び/又はUI350は、装置300の内部にある電気リード線によって、いくつかの異なる様態で、相互接続され得る。たとえば、上述したデバイスのそれぞれが、装置300の内部にあるマスタ・バスに別々に接続されることにより、それらのデバイスが情報を交換することが可能になり得る。しかし、当業者であれば理解するように、これは単なる1つの実例であり、実施例に応じて、上述したデバイスの少なくとも2つを相互接続する様々な方法が、本発明の範囲から逸脱することなく、選択され得る。
【0041】
図4は、本発明の少なくともいくつかの実施例による光信号のスペクトルの形成の第1の実例を図解している。
図4では、たとえば狭い特徴的なスペクトル・ピーク410である特徴的なスペクトル特性が、第1の波長430と第2の波長440との間の波長範囲420で掃引されており、すなわち、波長範囲420は最大の掃引幅である。x軸は波長を表し、y軸は振幅を表す。狭い特徴的なスペクトル・ピーク410は、レーザにおける光スペクトルを表し得るため、これが、
図1及び2における光信号104など、光経路全体に沿った光信号のスペクトルを決定する。スペクトル410におけるピークは、特定の時刻における光信号であり得る。
図4では、狭い特徴的なスペクトル・ピーク410の振幅は、この狭い特徴的なスペクトル・ピーク410の位置が第1の波長430と第2の波長440との間で掃引される間には、一定に維持されている。いくつかの実施例では、波長範囲420にわたり掃引されるスペクトル・ピークが、より幅の広いスペクトル分布となる、すなわち、複数の周波数において非ゼロの振幅を含む場合もあり得る。掃引波長範囲420は、スペクトル特性のピーク波長の位置の範囲を記述している。スペクトルのいくつかの部分が、特に、より幅の広いスペクトル分布の場合には、掃引波長範囲420の外側に存在する場合もあり得る。スペクトルの形状と光源の振幅とは、ピークを含めて、掃引の間に変調されることがあり得る。
【0042】
光信号の特徴的なスペクトル特性は、たとえば、
図1の少なくとも1つのプロセッサ150によって、円滑なスペクトル・プロファイルを達成するように、ある時間間隔の間、掃引され得る。特別な場合として、光信号の特徴的なスペクトル特性は、時間間隔の間に、複数回、変化し得る。特徴的なスペクトル特性は、たとえば、連続的に掃引され又は複数回シフトされて多数のピークを生じることがあり、その結果として、スペクトル・プロファイルが円滑になる。光信号の特徴的なスペクトル特性の強度は、同様に、掃引又はシフトの間に調整されることがあり得る。この時間間隔は、人間の眼の視覚の持続時間に対応し得る。こうして、光信号は、この時間間隔の間、人間の眼によって、コヒーレントではないものとして観察されることがある。
【0043】
いくつかの実施例では、信号の特徴的なスペクトル特性が、数ナノメートルの範囲内で掃引されることがあり得る。たとえば、光信号の特徴的なスペクトル特性が、この時間間隔の間に、約2ナノメートルだけ掃引される場合があり、すなわち、光信号の特徴的なスペクトル特性の掃引波長範囲420の最大シフトが、約2ナノメートルであることがあり得る。たとえば、信号の波長が、+/-1ナノメートルだけ中心波長の周囲で掃引されることがあり得る。いくつかの実施例では、信号の波長が、+/-5ナノメートルだけ中心波長の周囲で掃引されることがあり得る。いくつかの実施例では、より幅広い掃引波長範囲が、掃引波長範囲の端点に向かって減少する振幅など、振幅変調との関係で用いられる。
【0044】
光信号の特徴的なスペクトル特性が、この時間間隔の間に、第1の波長430と第2の波長440との間で掃引/シフトされることがあり得る。すなわち、光信号の特徴的なスペクトル特性が、この時間間隔の間に、1回よりも多く、すなわち複数回、シフトされることがあり得る。たとえば、特徴的なスペクトル特性が、この時間間隔の間に、第1の波長430から第2の波長440まで、おそらくは徐々にシフトされることがあり得る。或いは、特徴的なスペクトル特性が、第1の波長430から第2の波長440まで、そして次には、第2の波長440から第1の波長430まで戻って、おそらくは徐々にシフトされることがあり得る。いくつかの実施例では、特徴的なスペクトル特性は、中心波長から掃引波長範囲420の端点430及び440に向かって、任意の順序で掃引されることもあり得る。
【0045】
いくつかの実施例では、単純な実装を可能にするため、特徴的なスペクトル特性が、それぞれのシフトのステップのサイズが同じになるように、一様に掃引/シフトされ得る。或いは、特定のハードウェアに関する制約に対処するため、特徴的なスペクトル特性が、それぞれのシフトのステップのサイズが同じではないように、非一様に掃引/シフトされ得る。
【0046】
光信号の特徴的なスペクトル特性は、光信号のコヒーレンスを低下させ、人間の眼によるコヒーレントでない検出を可能にするように、この時間間隔の間、連続的にすなわち停止することなく、掃引/シフトされる場合があり得る。より具体的には、いくつかの実施例では、光信号の特徴的なスペクトル特性が、離散的な様態で、連続的に掃引/シフトされる場合があり得る。すなわち、光信号の特徴的なスペクトル特性が、この時間間隔の間、複数回しかし連続的な様態でシフトされることがあり得る。また、特徴的なスペクトル特性のスペクトル形状が、この時間間隔の間に、変化する、すなわち、特徴的なスペクトル特性のスペクトル形状が、波長の変化との関係で変化することがあり得る。いくつかの実施例では、掃引波長範囲は、この時間間隔の間に、複数回、掃引される。
【0047】
いくつかの実施例では、光信号の特徴的なスペクトル特性の強度及び/又はスペクトル形状は、同様に、掃引/シフトの間に、たとえば、
図1の少なくとも1つのプロセッサ150によって、変更されることがあり得る。スペクトル形状のより一般的な変調も可能であり、たとえば、光信号の特徴的なスペクトル特性の強度への変化の結果であり得るし、及び/又は光源を変化させることに起因することもあり得る。
【0048】
いくつかの実施例では、光源はレーザ源であり得るし、光信号はレーザ信号であり得る。たとえば、レーザ源は、開放キャビティ・ダイオード・レーザであり得る。レーザは、たとえば、HMDのためなど、作業格子のより容易な実現を可能にするために用いられ得る。
【0049】
人間の眼の視覚の持続時間は、個々の人間に依存し得るのであって、視覚の持続時間は異なる人間に対して異なり得る。いくつかの実施例では、人間の眼の視覚の持続時間は20ミリ秒と考えられ得、よって、同様に、この時間間隔もまた20ミリ秒であり得る。よって、光信号は、この時間間隔の間、人間の眼によってコヒーレントではないものとして観察され得る。いくつかの実施例では、この時間間隔は、5~200ミリ秒である。
【0050】
図5は、本発明の少なくともいくつかの実施例による、光信号のスペクトル形成の第2の例を図解している。また、
図5では、たとえば幅の狭い特徴的なスペクトル・ピーク510である、特徴的なスペクトル特性が、第1の波長530と第2の波長540との間の掃引波長範囲520で掃引されており、すなわち、波長範囲520は最大掃引幅である。x軸は波長を表し、y軸は振幅を表す。やはり、幅の狭い特徴的なスペクトル・ピーク510は、レーザにおける光スペクトルを表し得るのであって、これが、
図1及び2における光信号104など、光信号のスペクトルを全体的な光経路と共に決定する。
【0051】
光信号の特徴的なスペクトル特性は、
図4の実施例の場合と同様に掃引/シフトされ得るが、スペクトル形成、すなわち
図5に示されているスペクトルの形成の場合には、光信号の振幅が、波長の関数として変更され得る。よって、たとえば波長範囲520の端点のより近く、すなわち、第1の波長530及び第2の波長540のより近くでは、より低い振幅が用いられ得る。
図5では、最高の振幅は、掃引波長範囲520の中心に示されている。いくつかの実施例では、最高の振幅は、掃引波長範囲520の他の部分に位置し得る。スペクトルに先鋭なエッジが存在する場合には、そのようなエッジは、ピークとして振る舞うことがあり得る。よって、光信号の振幅は、波長が波長範囲520の端点により近い場合、すなわち第1の波長530と第2の波長540に近づくときにゼロに近づくように、変更され得る。しかし、いくつかの実施例では、掃引は、掃引波長範囲の端点でより長いままで留まる正弦波パターンに従うことがある。したがって、一様な分布でさえ、掃引の間の強度のアクティブな制御を要求する場合もあり得る。一般に、スペクトル形成の利点は、検出器すなわち人間の眼の視点からコヒーレンス性が形成され得るということである。いくつかの実施例では、波長範囲520で掃引されたスペクトル・ピークは、より幅の広い分布となり得る。
【0052】
一般に、光信号のスペクトルは、人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に形成され得る。スペクトルのこの形成は、この時間間隔の間、光信号の特徴的なスペクトル特性を掃引するステップ、掃引波長範囲における最大振幅と比較して掃引波長範囲の端点ではより小さな振幅が用いられるように、光信号の振幅を波長の関数として変化させるステップと、円滑なスペクトル・プロファイルを達成するように、この時間間隔の間、光信号のスペクトル形状を変化させるステップ、及び/又は円滑なスペクトル・プロファイルを達成するように、この時間間隔の間、光信号の強度を変化させるステップを含み得る。いくつかの実施例では、より幅の広いスペクトル分布が、特徴的なスペクトル特性のピークの代わりに、掃引され得る。
【0053】
図6は、本発明の少なくともいくつかの実施例による方法の流れ図である。図解されている方法のフェーズは、光導波路装置において、若しくは
図3の装置300によって、又はそれらにインストールされるときにはその機能を制御するように構成されている制御機構において、実行され得る。
【0054】
この方法は、ステップ610において、光源によって、光信号を、光導波路装置の少なくとも1つの光導波路に送信するステップを含み得る。さらに、この方法は、ステップ620において、少なくとも1つの光導波路によって、光源から光信号を受け取り、その光信号を人間の眼まで搬送し、導波路ベースの表示を生成するステップを含み得る。最後には、この方法は、ステップ630において、少なくとも1つのプロセッサによって光源を制御し、人間の眼の視覚の持続時間に対応する時間間隔の間に、光信号のスペクトルの形成を生じさせるステップを含み得る。
【0055】
開示されている本発明の実施例は、本明細書に開示されている特定の構造、処理ステップ、又は材料に限定されることはなく、当業者によってであれば認識されるように、その均等物まで拡張される、ということが理解されるべきである。本明細書で採用されている技術用語は、特定の実施例を説明するという目的のみのために用いられているのであって、限定は意図されていない、ということも理解されるべきである。
【0056】
本明細書を通じて1つの実施例又はある実施例に言及する場合には、その実施例との関係で説明されている特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施例に含まれる、ということを意味している。よって、本明細書を通じて、様々な場所で、「1つの実施例では」又は「ある実施例では」という文言が出現するとしても、それは、必ずしも、すべて同一の実施例を指しているとは限らない。たとえば、約又は実質的に、などという用語を用いて数値が言及されている場合には、厳密な数値もまた開示されている。
【0057】
本明細書において用いられているように、複数の品目、構造的要素、組成要素、及び/又は材料が、便宜上、共通のリストとして提示される場合があり得る。しかし、これらのリストは、あたかも、リストの各構成項目が別個で一意的な構成項目として個別に識別されるものとして、解釈されるべきである。よって、そのようなリストのどの個別的な構成項目も、反対の指示がなければ、共通のグループにおける提示のみに基づいて、同じリストの他の構成項目の事実上の均等物として解釈されるべきでない。それに加えて、本発明の様々な実施例及び実例が、本明細書においては、様々なその構成要素に対する代替手段と共に、言及される場合がある。そのような実施例、実例、及び代替手段は、相互の事実上の均等物として解釈されるべきではなく、本発明の別個で自律的な表現として解釈されるべきである、ということが理解されるべきである。
【0058】
例示的な実施例では、たとえば
図3における装置300などの装置は、上述した実施例とその任意の組合せとを実行する手段を含み得る。
【0059】
ある例示的な実施例では、コンピュータ・プログラムを、上述した実施例とその任意の組合せとによる方法を生じさせるように、構成し得る。ある例示的な実施例では、非一時的なコンピュータ可読な媒体上に具体化されているコンピュータ・プログラム製品を、上述した実施例とその任意の組合せとを含むプロセスを実行させるようにプロセッサを制御するように、構成し得る。
【0060】
ある例示的な実施例では、たとえば
図3における装置300などの装置が、少なくとも1つのプロセッサと、コンピュータ・プログラム・コードを含む少なくとも1つのメモリとを備え得るのであって、その場合に、その少なくとも1つのメモリとコンピュータ・プログラム・コードとは、その少なくとも1つのプロセッサを用いて、この装置に、上述した実施例とその任意の組合せとを少なくとも実行させるように構成される。
【0061】
さらに、説明されている特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施例において、いずれかの適切な様態で、組み合わされることが可能である。以上の説明では、長さ、幅、形状などの実例のような多数の具体的な詳細が、本発明の実施例に関して完全な理解を得られるように、提供されている。しかし、当業者であれば、具体的な詳細のうちの1つ又は複数を用いなくても、又は、他の方法、構成要素、材料などを用いても、本発明が実施可能であることを認識するだろう。他の例では、本発明の態様を曖昧にすることを回避するため、広く知られている構造、材料、又は動作は、詳細には図示されておらず、又は説明もされていない。
【0062】
上述した実例は1つ又は複数の特定の応用における本発明の原理を例証するものであるが、発明力を行使することなく、そして、本発明の原理及び概念から逸脱することなく、形式、用法、及び実施の詳細において多数の修正を行い得ることは、当業者にとって、明らかであろう。したがって、以下に述べる特許請求の範囲による場合を除いて、本発明が限定されることは意図されていない。
【0063】
この文書では、動詞「備える(to comprise)」及び「含む(to include)」は、列挙されていない特徴の存在を排除せず要求もしない開放的な限定として用いられている。従属請求項に列挙されている特徴は、別段の明示的な言及がない限り、相互に自由に組み合わせることが可能である。さらに、この文書の全体において、「ある(a又はan)」すなわち単数形を使用したとしても、複数を排除しないということが理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明の少なくともいくつかの実施例は、HMD及びHUDにおいて産業上の応用が認められる。
【符号の説明】
【0065】
ASIC 特定用途向け集積回路(Application-Specific Integrated Circuit)
FPGA フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(Field-Programmable Gate Array)
HMD ヘッドマウント・ディスプレイ(Heam-Mounted Display)
HUD ヘッドアップ・ディスプレイ(Head-Up Display)
LCOS シリコン上液晶(Liquid Crystal on Silicon)
LED 発光ダイオード(Light-Emitting Diode)
NFC 近距離無線通信(Near-Field Communication)
MEMS 微小電気機械システム(Microelectromechanical System)
ROI 関心領域(Region of Interest)
UI ユーザ・インターフェース(User Interface)
WLAN 無線ローカル・エリア・ネットワーク(Wireless Local Area Network)
100 ライト・フィールド
102 光ガイド
103 インカップリング構造
104 光線
110 導波路
111 目に向かうインターフェース
112 素子
113 世界に向かう反対側インターフェース
114 第1の光信号
115 第2の光信号
116 反射した光信号
120 眼
130 鏡
140 光源
150 プロセッサ
300~350
図3の装置の構造
410、510 スペクトルにおけるピーク
420、520 掃引波長範囲
430、530 第1の波長
440、540 第2の波長
610~630
図6の方法のフェーズ
【国際調査報告】