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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】固体金属発泡体熱界面材料
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240521BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/40 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571669
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 US2022029901
(87)【国際公開番号】W WO2022245992
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,586
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512285214
【氏名又は名称】インディウム コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーントソン,ロス,ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ソチャ,デビッド,ピー.
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA04
5F136BC07
5F136FA01
5F136FA75
5F136GA12
(57)【要約】
電子装置組立体における固体金属発泡体熱界面材料およびそれらの使用について説明する。一実装形態では、方法は、第1の装置と第2の装置との間に熱界面材料(TIM)を適用する工程であって、第1の装置の表面と接触関係にあるTIMの第1の表面と、第1の表面とは反対側の、第2の装置の表面と接触関係にあるTIMの第2の表面とを有する組立体を形成し、TIMが固体金属発泡体および第1の液体金属を含む、適用する工程と、第1の装置を第2の装置に接合する合金をTIMから形成するように組立体を圧縮する工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装置と第2の装置との間に熱界面材料(TIM)を適用する工程であって、前記第1の装置の表面と接触関係にある前記TIMの第1の表面と、該第1の表面とは反対側の、前記第2の装置の表面と接触関係にある前記TIMの第2の表面とを有する組立体を形成し、前記TIMが固体金属発泡体および第1の液体金属を含む、適用する工程と、
前記第1の装置を前記第2の装置に接合する合金を前記TIMから形成するように、前記組立体を圧縮する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の装置が発熱装置であり、前記第2の装置が熱伝達装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記発熱装置が半導体ダイであり、前記熱伝達装置が半導体パッケージの蓋またはヒートシンクである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固体金属発泡体が、該固体金属発泡体の第1の表面から、前記固体金属発泡体の第1の表面とは反対側の前記固体金属発泡体の第2の表面まで延びる1つまたは複数の間隙多孔質領域を含み、
前記第1の装置と前記第2の装置との間に前記TIMを適用する工程が、
前記固体金属発泡体の第2の表面が前記第1の装置の表面と接触関係となるように、前記固体金属発泡体を前記第1の装置と前記第2の装置との間に配置することと、
前記第1の液体金属の一部が前記1つまたは複数の間隙多孔質領域を通って前記第1の装置の表面上に拡散するように、前記固体金属発泡体の第1の表面上に前記第1の液体金属を適用することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固体金属発泡体の密度が、圧縮後に、前記固体金属発泡体が形成された元の金属または金属合金の密度よりも低い水準まで増加する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記TIMが、第2の液体金属をさらに含み、
前記第1の装置と前記第2の装置との間に前記TIMを適用する工程が、
前記第1の装置と前記第2の装置との間に前記固体金属発泡体を配置することと、
前記第2の装置と前記固体金属発泡体との間に前記第1の液体金属を適用することと、
前記第1の装置と前記固体金属発泡体との間に前記第2の液体金属を適用することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組立体を圧縮する工程が、前記組立体に圧力を印加して前記固体金属発泡体を圧縮することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の装置と前記固体金属発泡体との間に前記第1の液体金属を適用することが、前記第1の液体金属を、前記第2の装置の表面または前記固体金属発泡体の第1の表面に擦着、分配または噴射することを含み、
前記第1の装置と前記固体金属発泡体との間に前記第2の液体金属を適用することが、前記第2の液体金属を、前記第1の装置の表面または前記固体金属発泡体の第2の表面に擦着、分配または噴射することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記固体金属発泡体が、インジウムまたはインジウム合金を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の液体金属が、ガリウム、ガリウムとインジウム、ガリウムとインジウムとスズ、ガリウムとインジウムとスズと亜鉛、またはそれらの混合物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の液体金属が、気泡を含む液体金属発泡体である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記固体金属発泡体が、該固体金属発泡体の第1の表面から延びる1つ又は複数の間隙多孔質領域を含み、
前記第1の装置と前記第2の装置との間に前記TIMを適用する工程が、
前記第1の装置と前記第2の装置との間に前記固体金属発泡体を配置することと、
前記第1の液体金属が前記1つまたは複数の間隙多孔質領域を部分的にまたは完全に充填するように、前記固体金属発泡体の第1の表面上に前記第1の液体金属を適用することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の間隙多孔質領域が、前記第1の液体金属を包含するための酸化物またはコーティングを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記組立体の圧縮中に、前記第1の液体金属が前記1つまたは複数の間隙多孔質領域と合金化して、前記固体金属発泡体よりも粘度の高い、前記TIMから得られる合金を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
インジウムまたはインジウム合金のブロックの表面に前記第1の液体金属を適用することによって前記固体金属発泡体を形成する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の装置が半導体パッケージの蓋であり、前記第2の装置がヒートシンクである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
半導体組立体であって、
発熱装置と、
熱伝達装置と、
前記発熱装置を前記熱伝達装置に接合する合金であって、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法を実行することによって形成される合金と、
を備える、組立体。
【請求項18】
前記発熱装置が半導体ダイであり、前記熱伝達装置が半導体パッケージの蓋またはヒートシンクである、請求項17に記載の組立体。
【請求項19】
半導体組立体であって、
第1の熱伝達装置と、
第2の熱伝達装置と、
前記第1の熱伝達装置を前記第2の熱伝達装置に接合する合金であって、請求項1および4から16のいずれか一項に記載の方法を実行することによって形成される合金と、
を備える、組立体。
【請求項20】
前記第1の熱伝達装置が半導体パッケージの蓋であり、前記第2の熱伝達装置がヒートシンクである、請求項19に記載の半導体組立体。
【請求項21】
半導体組立体であって、
半導体ダイと、
熱交換器と、
前記半導体ダイの表面または前記熱交換器の表面に別個のメタライゼーション層を用いることなく、前記半導体ダイを前記熱交換器に接合する熱界面材料(TIM)合金と、
を備える、組立体。
【請求項22】
前記TIM合金が、
前記半導体ダイと前記熱交換器との間にTIM材料を配置する工程であって、該TIM材料は、前記半導体ダイの表面と接触関係にある第1の液体金属発泡体と、前記熱交換器の表面と接触関係にある第2の液体金属発泡体と、前記第1の液体金属発泡体と前記第2の液体金属発泡体との間の金属シムとを含む、配置する工程と、
前記第1の液体金属発泡体および前記第2の液体金属発泡体が前記金属シムに合金化するように前記TIM材料を圧縮することによって、前記TIM合金を形成する工程と、
によって形成される、請求項21に記載の半導体組立体。
【請求項23】
前記金属シムがインジウムまたはインジウム合金からなる、請求項22に記載の半導体組立体。
【請求項24】
前記TIM合金が、
前記半導体ダイと前記熱交換器との間にTIM材料を配置する工程であって、該TIM材料は、前記半導体ダイの表面と接触関係にある第1の液体金属と、前記熱交換器の表面と接触関係にある第2の液体金属と、前記第1の液体金属と前記第2の液体金属との間の熱伝導性金属箔とを含む、配置する工程と、
前記第1の液体金属および前記第2の液体金属が前記熱伝導性金属箔に合金化するように前記TIM材料を圧縮することによって、前記TIM合金を形成する工程と、
によって形成される、請求項21に記載の半導体組立体。
【請求項25】
前記TIM材料が、第1の液体金属発泡体および第2の液体金属発泡体を含み、前記第1の液体金属は、第1の液体金属発泡体の構成要素であり、前記第2の液体金属は、前記第2の液体金属発泡体の構成要素である、請求項24に記載の半導体組立体。
【請求項26】
前記熱伝導性箔が、インジウムまたはインジウム合金から本質的になる、請求項24に記載の半導体組立体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年5月19日に出願された「SOLID METAL FOAM THERMAL INTERFACE MATERIAL」と題する米国仮特許出願第63/190,586号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
放熱は、半導体および電源装置の寿命および信頼性における重要な要素である。半導体装置の小型化および高性能化に伴い、放熱機構を提供するために、熱交換器またはヒートシンク(ヒートスプレッダまたは蓋と呼ばれることもある)が様々な用途でより一般的になってきている。熱界面材料は、熱発生半導体装置とその関連するヒートシンクとの間で一般的に使用される。熱界面材料を使用することによって、装置からヒートシンクへのより効率的で信頼性の高い熱伝導をもたらすことができる。一般的な熱界面材料は金属系であり、これは、ポリマー系の熱界面材料と比較して非常に高い伝導性を有することを意味する。
【0003】
インジウム金属は、以下の特性の組み合わせのために熱界面材料として使用されることが多い。1)競合する熱界面材料と比較して熱伝導性が相対的に高いこと、2)流動応力が低い/可鍛性が高いこと、3)外部の機械的固定機構なしでこの種の用途に許容し得る機械的強度を有すること、および4)通常の使用中に接合領域の外側に移動したり、エアポケットを発生させたりしない固体材料であること。インジウムの延性および熱伝導性によって、インジウムは圧縮性熱界面材料として理想的なものとなっている。
【0004】
インジウム金属を使用する従来の熱界面では、半導体ダイが裏面メタライゼーションを有する必要がある。このメタライゼーションは、典型的には、1)反応層と、2)バリア層と、3)不活性化層と、の3つの部分から構成される。集積回路裏面のための一般的なメタライゼーションは、例えば、チタン、ニッケルおよび金(それぞれダイ表面から)であってもよいが、多くの他の材料を用いて同じまたは同様の機能を提供することができる。インジウムは、半導体ダイの二酸化ケイ素表面などの非金属表面に接合する。非金属との接合強度は、所望の機械的接着を与えるには十分な強さであるが、これらの構成要素では、高いプロセス温度およびダイに必要なインジウム材料の擦着が実現できない場合がある。
【0005】
金属発泡体は、金属液体または金属固体中の気泡の分散物、あるいは気体媒体中の安定化された金属粒子の分散物である。固体金属発泡体は、間隙性多孔質特徴部を有する構造体であり、その一部は発泡体の外面領域まで延在してもよい。気体で充填された他の多孔質特徴部が、金属半固体内に完全にまたは部分的に包含されてもよい。固体金属発泡体は、それが形成された元の金属または金属合金よりも密度が低い。
【0006】
固体金属発泡体は、構造的および解剖学的目的のために使用されてきた。固体金属発泡体は、軽量で、高い強度対重量比を有し、衝撃方向に関わらずエネルギーを吸収する能力を有するため、例えば、人工肢、バイク用ヘルメットおよび他の構造部品に所望される。そのような装置は、バナジウムおよびチタン合金などの高強度材料から製造することができ、これらの材料は、非反応性でもあり、人体に適合する。固体金属発泡体は、流体および気体/ファンの組み合わせと共に、熱交換器としても使用されてきた。これらの熱交換器は、電子装置または機械的装置によって発生した熱を、流体媒体、多くの場合気体または液体冷却剤に伝達する。そのような多孔質特徴部は、冷却媒体が熱除去手段としての固体金属発泡体内を流れることができるように、剛性で不変であり続けるように設計される。
【発明の概要】
【0007】
本開示のいくつかの実装形態は、層状に堆積された場合に、熱界面材料において望ましい熱的および機械的特性を改善または最大化させるための集合体として共に作用することができる金属発泡体を含む材料に関する。
【0008】
一実施形態では、方法は、第1の装置と第2の装置との間に熱界面材料(TIM)を適用することであって、第1の装置の表面と接触関係にあるTIMの第1の表面と、第1の表面とは反対側の、第2の装置の表面と接触関係にあるTIMの第2の表面とを有する組立体を形成し、TIMが固体金属発泡体および第1の液体金属を含む、適用することと、組立体を圧縮して、第1の装置を第2の装置に接合する合金をTIMから形成することと、を含む。
【0009】
いくつかの実装形態では、第1の装置は発熱装置であり、第2の装置は熱伝達装置である。いくつかの実装形態では、発熱装置は半導体ダイであり、熱伝達装置は半導体パッケージの蓋またはヒートシンクである。
【0010】
いくつかの実装形態では、固体金属発泡体は、固体金属発泡体の第1の表面から、固体金属発泡体の第1の表面とは反対側の固体金属発泡体の第2の表面まで延びる1つまたは複数の間隙多孔質領域を含む。第1の装置と第2の装置との間にTIMを適用することは、固体金属発泡体の第2の表面が第1の装置の表面と接触関係となるように、固体金属発泡体を第1の装置と第2の装置との間に配置することと、第1の液体金属の一部が1つまたは複数の間隙多孔質領域を通って第1の装置の表面上に拡散するように、固体金属発泡体の第1の表面上に第1の液体金属を適用することと、を含む。
【0011】
いくつかの実装形態では、圧縮後に、固体金属発泡体の密度が、固体金属発泡体が形成された元の金属または金属合金の密度よりも低い水準まで増加する。
【0012】
いくつかの実装形態では、TIMは、第2の液体金属をさらに含む。また、第1の装置と第2の装置との間にTIMを適用することは、第1の装置と第2の装置との間に固体金属発泡体を配置することと、第2の装置と固体金属発泡体との間に第1の液体金属を適用することと、第1の装置と固体金属発泡体との間に第2の液体金属を適用することと、を含む。
【0013】
いくつかの実装形態では、組立体を圧縮することは、組立体に圧力を印加して固体金属発泡体を圧縮することを含む。
【0014】
いくつかの実装形態では、第2の装置と固体金属発泡体との間に第1の液体金属を適用することは、第1の液体金属を、第2の装置の表面または固体金属発泡体の第1の表面に擦着、分配または噴射することを含む。第1の装置と固体金属発泡体との間に第2の液体金属を適用することは、第2の液体金属を、第1の装置の表面または固体金属発泡体の第2の表面に擦着、分配または噴射することを含む。
【0015】
いくつかの実装形態では、固体金属発泡体は、インジウムまたはインジウム合金を含む。
【0016】
いくつかの実装形態では、第1の液体金属はガリウム、ガリウムとインジウム、ガリウムとインジウムとスズ、ガリウムとインジウムとスズと亜鉛、またはそれらの混合物を含む。
【0017】
いくつかの実装形態では、第1の液体金属は、気泡を含む液体金属発泡体である。いくつかの実装形態では、固体金属発泡体は、固体金属発泡体の第1の表面から延びる1つ又は複数の間隙多孔質領域を含む。第1の装置と第2の装置との間にTIMを適用することは、第1の装置と第2の装置との間に固体金属発泡体を配置することと、第1の液体金属が1つまたは複数の間隙多孔質領域を部分的にまたは完全に充填するように、固体金属発泡体の第1の表面上に第1の液体金属を適用することと、を含む。
【0018】
いくつかの実装形態では、1つまたは複数の間隙多孔質領域は、第1の液体金属を包含するための酸化物またはコーティングを含む。
【0019】
いくつかの実装形態では、組立体の圧縮中に、第1の液体金属が1つまたは複数の間隙多孔質領域と合金化して、固体金属発泡体よりも粘度の高い、TIMから得られる合金を形成することによって、組立体内の合金の移動を制限し、固体金属合金の全体的な圧縮性を向上させる。
【0020】
いくつかの実装形態では、本方法は、インジウムまたはインジウム合金のブロックの表面に第1の液体金属を適用することによって固体金属発泡体を形成することをさらに含む。
【0021】
いくつかの実装形態では、第1の装置は第1の熱伝達装置であり、第2の装置は第2の熱伝達装置である。いくつかの実装形態では、第1の熱伝達装置は半導体パッケージの蓋であり、第2の熱伝達装置はヒートシンクである。
【0022】
一実施形態では、半導体組立体は、第1の装置と、第2の装置と、第1の装置を第2の装置に接合する合金とを含み、合金は、TIMの第1の表面が第1の装置の表面と接触関係となり、第1の表面とは反対側のTIMの第2の表面が第2の装置の表面と接触関係となるように、第1の装置と第2の装置との間にTIMを適用することであって、TIMは固体金属発泡体および第1の液体金属を含む、適用することと、TIMを圧縮してTIMから合金を形成することと、によって形成される。例えば、第1の装置は、半導体ダイなどの発熱装置であってもよく、第2の装置は、半導体パッケージの蓋またはヒートシンクなどの熱伝達装置であってもよい。別の例として、第1の装置は、半導体パッケージの蓋などの第1の熱伝達装置であってもよく、第2の装置は、ヒートシンクなどの第2の熱伝達装置であってもよい。
【0023】
一実施形態では、半導体組立体は、半導体ダイと、熱交換器と、半導体ダイの表面または熱交換器の表面に別個のメタライゼーション層を用いることなく、半導体ダイを熱交換器に接合するTIM合金と、を含む。
【0024】
いくつかの実装形態では、TIM合金は、半導体ダイと熱交換器との間にTIM材料を配置することであって、TIM材料は、半導体ダイの表面と接触関係にある第1の液体金属発泡体と、熱交換器の表面と接触関係にある第2の液体金属発泡体と、第1の液体金属発泡体と第2の液体金属発泡体との間の金属シムとを含む、配置することと、第1の液体金属発泡体および第2の液体金属発泡体が金属シムに合金化するようにTIM材料を圧縮することによってTIM合金を形成することと、によって形成される。
【0025】
いくつかの実装形態では、TIM合金は、半導体ダイと熱交換器との間にTIM材料を配置することであって、TIM材料は、半導体ダイの表面と接触関係にある第1の液体金属と、熱交換器の表面と接触関係にある第2の液体金属と、第1の液体金属と第2の液体金属との間の熱伝導性金属箔とを含む、配置することと、第1の液体金属および第2の液体金属が熱伝導性金属箔に合金化するようにTIM材料を圧縮することによってTIM合金を形成することと、によって形成される。
【0026】
いくつかの実装形態では、TIM材料は、第1の液体金属発泡体および第2の液体金属発泡体を含み、第1の液体金属は、第1の液体金属発泡体の構成要素であり、第2の液体金属は、第2の液体金属発泡体の構成要素である。
【0027】
いくつかの実装形態では、金属シムは、インジウムまたはインジウム合金からなる。
【0028】
いくつかの実装形態では、熱伝導性箔は、インジウムまたはインジウム合金から本質的になる。
【0029】
開示された技術の他の特徴および態様は、開示された技術の実装形態による特徴を例として示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本概要は、特許請求の範囲および同等物によって定義される本明細書に記載の発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0030】
前述の概念のすべての組み合わせは、(そのような概念が相互に矛盾しない限り)本明細書に開示される発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示は、1つまたは複数の実装形態に従って、以下の図を参照して詳細に説明される。図面は、例示のみを目的として提供されており、例示的な実装形態を単に示している。さらに、説明を明確かつ容易にするために、図中の要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。
【0032】
本明細書に含まれる図のいくつかは、開示された技術の、異なる視野角からの様々な実装形態を示す。添付の説明文は、「上面」、「底面」、または「側面」視などの視点に言及することがあるが、そのような言及は単に説明的なものであり、特に明記しない限り、開示された技術が特定の空間的方向で実施または使用されることを暗示または要求するものではない。
【0033】
図1A】本開示の実装形態による、独立気泡固体金属発泡体の断面図である。
【0034】
図1B】本開示の実装形態による、連続気泡固体金属発泡体の断面図である。
【0035】
図1C】本開示の実装形態による、ハイブリッド気泡固体金属発泡体の断面図である。
【0036】
図2】本開示の実装形態による、TIM1およびTIM2熱界面材料を含む半導体組立体を形成するために用いられる構成要素の分解図である。
【0037】
図3】本開示の実装形態による、TIM1およびTIM2熱界面材料を含む別の半導体組立体を形成するために用いられる構成要素の、液体金属拡散前の分解図である。
【0038】
図4】本開示の実装形態による、TIM1およびTIM2熱界面材料を含む別の半導体組立体を形成するために用いられる構成要素の、液体金属拡散後の分解図である。
【0039】
図5】本開示の実装形態による、TIM0熱界面材料を含む半導体組立体を形成するために用いられる構成要素の分解図である。
【0040】
図6A】液体金属を有する固体金属発泡体を圧縮する前の図5の半導体組立体を示す図である。
【0041】
図6B】液体金属を有する固体金属発泡体を圧縮した後の図5の半導体組立体を示す図である。
【0042】
図7】本開示の実装形態による、固体金属発泡体TIM0熱界面材料を含む半導体組立体を形成するために用いられる構成要素の分解図である。
【0043】
図8A】固体金属発泡体を圧縮する前の図7の半導体組立体を示す図である。
【0044】
図8B】固体金属発泡体を圧縮した後の図7の半導体組立体を示す図である。
【0045】
図9】本開示のいくつかの実装形態による、ハイブリッド気泡金属発泡体の圧縮と、伝導性材料または相変化材料による充填とを示す図である。
【0046】
図10】本開示の実装形態による、液体金属発泡体の間に挟まれた固体金属シムを含むTIMを用いて半導体ダイを熱交換器に接合する、半導体組立体の例示的な構成を示す図である。
【0047】
図11】本開示の実装形態による、液体金属発泡体の間に挟まれた熱伝導性パターン付金属箔を含むTIMを用いて半導体ダイを熱交換器に接合する、半導体組立体の例示的な構成を示す図である。
【0048】
図12】本開示の実装形態による、熱伝導性パターン付金属箔および液体金属層を含むTIMを用いて半導体ダイを熱交換器に接合する、半導体組立体の例示的な構成を示す図である。
【0049】
図面は網羅的なものではなく、開示された正確な形態に本開示を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0050】
半導体装置から熱を除去する場合、その高い表面積のために金属発泡体が所望され得る。熱構造的、解剖学的および/または熱交換目的で使用される固体金属発泡体とは異なり、圧縮可能、変形可能および反応性であり、高い熱伝導性および低い熱抵抗を併せ持つ熱界面固体金属発泡体が所望され得る。この目的のために、本開示の実装形態は、層状に堆積された場合に、熱界面材料において望まれる熱的および機械的特性を改善または最大化させる集合体として共に作用することができる金属発泡体を含む材料に関する。上述の特性に加えて、本明細書に記載の材料は、半導体ダイの裏面メタライゼーションの必要性を排除することができる。
【0051】
図1A図1Bおよび図1Cはそれぞれ、本開示の実装形態による、TIMの一部として使用され得る固体金属発泡体10、20および30の断面図を示す。金属発泡体は、以下でさらに説明するように、半導体組立体に熱伝達をもたらすために使用される、TIMに実装される長方形(例えば6面)、立方体、または不規則な形状の物体であってもよい。
【0052】
図1Aは、独立気泡固体金属発泡体10を示す。独立気泡固体金属発泡体10は、媒体全体にわたって間隙多孔質領域または細孔11を有するが、外面まで延びる細孔を有さない。
【0053】
図1Bは、連続気泡固体金属発泡体20を示す。連続気泡金属発泡体20は、発泡体の外面まで延びる多孔質領域または細孔21を有する。連続気泡金属発泡体の一方の側に照射された光は、媒体の細孔21を通って移動し、反対側に出現する。
【0054】
図1Cは、連続気泡金属発泡体と独立気泡金属発泡体との組み合わせであるハイブリッド気泡固体金属発泡体30を示す。発泡体30は、間隙多孔質領域または細孔31を有し、いくつかの側面では、細孔31は発泡体30の外面まで延び、他の側面では、多孔質領域または細孔32は発泡体30の外面を通り抜けない。細孔が延びるそのような表面は、必ずしも対向する側面(例えば、金属発泡体の上部および底部)である必要はない。同様の表面は、より複雑な形状の物体の場合のように、対向していてもよく、隣接していてもよく、または無作為に配置されていてもよい。
【0055】
以下でさらに説明するように、いくつかの実装形態において、ハイブリッド気泡固体金属発泡体は、固体金属発泡体が、熱界面材料と、液体金属、液体金属発泡体、グリースまたはワックスの包含部との両方として機能することができるという点で所望され得る。液体金属は、ハイブリッド固体金属発泡体の上部に分配されると多孔質構造を浸み通り、上部および下部を湿潤し得る。ハイブリッド固体金属発泡体の独立気泡部分は、酸化物またはコーティングを包含することによってx面およびy面に液体金属を包含し、固体発泡体の液体金属への溶解度を遅くさせ得る。
【0056】
固体金属発泡体は、凝固前に、溶融液体金属中に外部供給源からガスを注入することによって作製してもよい。また、溶融金属にガス放出発泡剤を混合することにより、液体金属中にガスを形成することによって作製してもよい。上記方法のうちの1つに続いて、ガス充填溶融金属を、その固相線温度よりも低い温度に下げ、冷却することによって、固体内の多孔質ガス状領域を維持しながら凝固させることができる。
【0057】
別の実装形態では、固体金属発泡体は、NaClなどの塩結晶を型に圧縮し、塩結晶を包含する型の上部に溶融金属を注入することによって作製することができる。溶融金属は塩の間に浸透し、塩結晶の周りの空洞領域を満たす。金属が固化すると、塩結晶が埋め込まれた固体金属を金型から取り出し、水性浴に入れることができる。塩結晶は水溶液中に溶解し、かつて固体塩結晶が存在した各空間には多孔質領域が残り、金属からなる多孔質フレーム構造が残る。
【0058】
固体金属発泡体は、インジウム、ガリウム、インジウム合金、ガリウム合金、または他の好適な金属もしくは金属合金で作製することができる。インジウム金属は、室温で86Wm-1-1という比較的高い熱伝導率を有する元素である。柔軟で可鍛性および延性がある。インジウム金属は、固体および固体金属発泡体の両方の形態において圧縮可能である。インジウムの圧縮性は、固体金属発泡体としての方がより顕著であり、これは、発泡体中の空気の間隙ポケットが圧縮方向に収縮し、圧縮方向に垂直な平面内に拡張するからである。このような圧縮は、圧縮に垂直な平面内の熱伝導性を向上させ、これはヒートスプレッダにおいて望ましい。圧縮はまた、TIMを定位置に堅固に固定し、TIM材料とこのサンドイッチ構造内の装置の対向する側との接触抵抗を低くするために役立ち得る。
【0059】
本明細書に記載の固体金属発泡体は、構造的一体性が弱いため、圧縮力を印加すると変形が起こり得る。これにより、対向する表面への十分な表面接触および接着を確保することができる。間隙多孔質領域が完全に変形する間、金属発泡体の各多孔質領域の真上および真下に位置する可鍛性金属は収縮して接触し、電子輸送による熱流のための連続した金属経路を提供することができる。いくつかの実装形態では、圧縮された固体金属発泡体で得られる密度は、圧縮されていない固体金属発泡体の密度よりも大きくなり得るが、それが形成された元の金属または金属合金の密度よりも小さくなり得る。
【0060】
金属発泡体の圧縮面に垂直な方向における熱伝導が増加するため、固体金属発泡体を含むTIMに他の材料を添加して、圧縮面における熱伝導性も増加させることができる。そのような材料としては、相変化材料、例えばグリースおよびワックス、低融点金属および金属合金、ならびに液体金属、例えば水銀、ガリウム、ガリウム-インジウム合金、およびガリウム-インジウム-スズ合金、ならびにそれら各々の液体金属発泡体が挙げられる。これらの材料は、固体金属発泡体の外面、金属発泡体の間隙多孔質部分(例えば、連続気泡またはハイブリッド気泡金属発泡体の場合)、またはその両方に適用することができる。
【0061】
図2は、本開示の実装形態による、TIM130およびTIM150を含む半導体組立体100を形成するために用いられる構成要素の分解図である。この例および図に示されている他の半導体組立体例では、TIMは、ボールグリッドアレイ(BGA)組立体として示されているチップキャリア内で使用される。しかしながら、TIMを、例えば、ランドグリッドアレイ(LGA)、ピングリッドアレイ(PGA)などの他の半導体組立体、チップキャリアまたは表面実装パッケージングにTIMを供給するために利用してもよいことを理解されたい。
【0062】
半導体組立体100は、はんだボール105と、半導体ダイ120と、TIM130と、半導体パッケージ蓋140と、TIM150と、ヒートシンク160とを含む。ダイ120の下(例えば、基板の底部側)には、はんだボール105の配列が取り付けられている。はんだボールの各々は、ダイ120に電気的に連結する相互接続部(図示せず)に連結することができるそれぞれのパッドに連結してもよい。このようにして、ダイ120と、組立体100が配置されるプリント回路基板(PCB)190との間で電気信号を伝導することができる。半導体パッケージ蓋またはヒートスプレッダ140は、TIM130を介したダイ120からの熱としてのエネルギーを、TIM150を介してヒートシンク160に伝達するように構成される。
【0063】
TIM130は、ダイ120によって発生した熱を半導体パッケージ蓋140に伝達するように構成される。TIM130が半導体ダイ120と蓋140との間の熱界面材料であるこの構成では、TIM130をTIM1熱界面材料と呼んでもよい。
【0064】
TIM150は、ヒートスプレッダ140からの熱をヒートシンク160に伝達するように構成される。TIM150が半導体パッケージ蓋140とヒートシンク160との間の熱界面材料であるこの構成では、TIM150をTIM2熱界面材料と呼んでもよい。
【0065】
TIM130は、液体金属湿潤剤131、固体金属発泡体132および液体金属湿潤剤133を含む。同様に、TIM150は、液体金属湿潤剤151、固体金属発泡体152および液体金属湿潤剤153を含む。この例では、固体金属発泡体132および152は独立気泡であるが、以下でさらに説明される、連続気泡またはハイブリッド気泡固体金属発泡体を用いることによる利点が実現されてもよい。固体金属発泡体132および固体金属発泡体152の各々は、半導体組立体100の製造中に半導体ダイ120と蓋140との間(発泡体132)、または蓋140とヒートシンク160との間(発泡体152)に配置されたときに、その多孔質特徴部が、発泡体の圧縮中に完全にまたは部分的に崩壊するように、可鍛性金属(例えば、インジウムもしくはガリウム)または金属合金(例えば、インジウム合金もしくはガリウム合金)で形成されてもよい。
【0066】
液体金属湿潤剤131、133、151および153は、インジウム、インジウム合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウムとガリウムとの組み合わせ、ガリウムとインジウムとスズとの組み合わせ、ガリウムインジウムとスズと亜鉛との組み合わせ、それらの混合物、または互いに表面接触して配置されたときに金属発泡体と合金化することができる他の好適な液体金属もしくは金属合金を含んでもよい。例えば、液体金属または金属合金は、室温または室温付近で金属発泡体と合金化されてもよい。いくつかの実装形態では、液体金属は、液体金属発泡体の構成要素であってもよい。いくつかの実装形態では、液体金属発泡体はまた、媒体全体にわたって空気または窒素などの気泡を包含してもよい。他の実装形態では、液体金属発泡体は、その場で形成された酸化ガリウムおよび/または意図的に添加された酸化ガリウムを包含してもよい。他の実装形態では、液体金属発泡体は、意図的に添加された金属粒子を包含してもよい。いくつかの実装形態では、液体金属発泡体は、液体金属、液体金属の合金、気泡、酸化ガリウム、固体金属粒子、またはそれらの任意の組み合わせを包含してもよい。
【0067】
例として、Ga、GaIn、GaInSn、またはGaInSnZnを含む室温の液体金属または液体金属発泡体は、インジウム金属と自発的に合金化し得る。これらの液体金属がインジウム含有固体金属発泡体(例えば、発泡体132または152)と直接接触して配置されると、液体ガリウムまたはガリウム合金は固体インジウムを溶解し始め、多孔質固体金属発泡体をさらに弱める。多孔質のインジウム固体金属発泡体中の液体ガリウムの部分溶解性によって、この組み合わせは、半導体チップの脆弱な構造的一体性を維持しながら圧縮性とz方向熱伝導性とを改善するのに役立つ、可塑性を有する非共晶半固体TIMに変換され得る。
【0068】
固体金属発泡体への合金化に加えて、液体金属湿潤剤は、半導体ダイ120が裏面メタライゼーションを有する、蓋140がメタライゼーションを有する、および/またはヒートシンク160がメタライゼーションを有するという要件をなくすことができる。液体金属湿潤剤は、TIMが半導体組立体の異なる構成要素に接合することを容易にするための接合増強剤として機能することができる。これは、インジウム発泡体などの発泡体が、非金属(例えば、ダイ表面など)に接合する能力を高めることができる。したがって、本明細書に記載の実施形態は、裏面ダイ/ウェハメタライゼーション、フラックス塗布または硬化プロセスに用いられるリソースを排除するというさらなる利点を提供することができる。
【0069】
液体金属湿潤剤を装置の熱性積層体に適用するために用いることができる様々な方法がある。液体金属は、発泡体、ヒートシンク160、パッケージ蓋140および/または半導体ダイ120の表面に擦着、分配または噴射することができる。例えば、液体金属湿潤剤131は、ダイ120上の表面に分配されてもよく、液体金属湿潤剤133は、固体金属発泡体132の上面に擦着されてもよい。以下でさらに説明する実装形態では、液体金属が固体金属発泡体の多孔質領域を通って流れ、および/またはTIM材料と合金化し、反対側に拡散することができるため、液体金属を必ずしもすべての表面に適用する必要はない。
【0070】
図3は、本開示の実装形態による、TIM210およびTIM220を含む半導体組立体200を形成するために用いられる構成要素の、液体金属拡散前の分解図である。図4は、本開示の実装形態による、TIM210およびTIM220を含む半導体組立体200を形成するために用いられる構成要素の、液体金属拡散後の分解図である。半導体組立体200は、はんだボール105と、半導体ダイ120と、TIM210と、半導体パッケージ蓋140と、TIM220と、ヒートシンク160とを含む。
【0071】
この実装形態では、TIM210は、固体金属発泡体211および液体金属湿潤剤212を含み、TIM220は、固体金属発泡体221および液体金属湿潤剤222を含む。固体金属発泡体211および221は、上下のTIM表面に多孔構造を有するハイブリッド気泡固体金属発泡体である。これにより、ダイ120または蓋140の表面に液体金属を必ずしも別個に適用する必要がないという利点をもたらす。発泡体の上面に適用された液体金属は、多孔質発泡体TIMの上面を通って拡散し、下面構造まで湿潤させ、発泡体の界面抵抗を低下させることによって、TIM構造の圧縮面に垂直方向の熱伝導を向上させることができる。図3は、液体金属の拡散前のTIM210および220を示す。図4は、液体金属の拡散後のTIM210および220を示す。このように、この実装形態では、液体金属の拡散/合金化がTIM構造を通じて生じ得る。液体金属湿潤剤212および222は、液体金属湿潤剤131、133、151および153に関して上述したのと同様の組成を有してもよい。
【0072】
本明細書に記載の固体金属発泡体TIMは、TIM0の構成において特に利点をもたらすことができる。TIM0構成では、熱界面材料は、半導体ダイの表面とヒートシンクの表面との間に配置され、それらと直接接触する。従来のTIM0構成で直面する1つの問題は、TIM0構成において、剛性材料を半導体チップ上に配置した場合、ヒートシンクを剛性熱界面材料の上に配置する間にチップを破壊する危険性があることである。従来のTIM0材料の圧縮中にチップを損傷する危険性が増加し、装置の致命的な故障につながる可能性がある。多くの場合、代わりにグリース、ワックスまたは液体金属などの軟質材料がTIM0用途に使用される。軟質材料は、圧縮中に液体またはペースト材料がヒートシンクの下および半導体チップの上のx-y平面内に拡張するにつれ、材料が変形してより薄い接合線を生成することができるように、TIM0用途のために選択される。これらのワックス状または液体の熱界面材料は、チップとヒートシンクとの十分な界面熱接触をもたらすが、それらは、従来、材料自体の内部の熱輸送が少ないという欠点がある。
【0073】
これらの課題を克服するため、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,593,228号は、鉛、インジウムまたはスズなどの可鍛性金属を含む熱伝導性パターン付箔の使用について記載している。金属箔は、少なくとも1つの集積回路装置から少なくとも1つのヒートシンクへの熱放散を容易にするためのパターンを付した表面を有する。パターンを付した表面は、特に圧縮中に変形して凹凸に適合することができ、これにより、表面接触および接着を最大化しながら半導体チップへの力を低減する。熱伝導性パターン付箔のこれらの波状表面特徴部は、チップをある程度保護することができるが、近年、電子装置の小型化傾向に適合するより薄い半導体チップを製造することが推進されている。チップが薄くなると圧縮力下で割れやすくなるため、これらのより薄い装置には、TIMの圧縮中にさらなる機械的エネルギー吸収が必要となり得る。
【0074】
この目的のために、図5は、本開示の実装形態による、TIM310を含む半導体組立体300を形成するために用いられる構成要素の分解図を示す。半導体組立体300は、はんだボール105と、半導体ダイ120と、TIM310と、ヒートシンク160とを含む。TIM310は、液体金属湿潤剤311、固体金属発泡体312および液体金属湿潤剤313を含む。固体金属発泡体312および液体金属湿潤剤312~312は、図1から図4の固体発泡体および液体金属湿潤剤について上述したのと同様の組成を有してもよく、同様の方法で適用してもよい。固体金属発泡体312は、上述のように、独立気泡、連続気泡またはハイブリッドであってよい。いくつかの実装形態では、液体金属湿潤剤311と313とは同じである。
【0075】
上述したように、TIM材料(この場合、TIM310)の構造的一体性が乏しいことにより、圧縮力を印加したときに十分な変形(および機械的エネルギー吸収)を生じさせることができ、対向する表面への十分な表面接触および接着を確保し、圧縮力に対する亀裂から半導体チップを保護することができる。さらに、多孔質固体金属発泡体中の液体金属の部分溶解性によって、この組み合わせを、半導体チップの脆弱な構造的一体性を維持しながら圧縮性およびz方向熱伝導性を改善するのに役立つ可塑性を有する非共晶半固体TIMに変換することができる。このように、本明細書に記載のTIM組成物は、TIM0構成のTIMを有する半導体組立体の前述の問題に対処することができる。図6Aから図6Bは、液体金属を有する固体金属発泡体を圧縮する前(図6A)と、液体金属を有する固体金属発泡体を圧縮した後(図6B)の、半導体組立体300のTIM310を示す。
【0076】
代替的な実装形態では、TIM0構成で用いられるTIMは、液体金属湿潤剤を含まなくてもよい。例えば、図7は、本開示の実装形態による、固体金属発泡体TIM410を含む半導体組立体400を形成するために用いられる構成要素の分解図を示す。半導体組立体400は、はんだボール105と、半導体ダイ120と、固体金属発泡体410と、ヒートシンク160とを含む。図8Aから図8Bは、固体金属発泡体の圧縮前(図8A)および固体金属発泡体の圧縮後(図8B)の半導体組立体400の固体金属発泡体TIM410を示す。
【0077】
図9は、本開示のいくつかの実装形態による、ハイブリッド気泡金属発泡体の圧縮と、伝導性材料または相変化材料による充填とを示す図である。図示されているように、ハイブリッド気泡固体金属発泡体は圧縮性があり、液体金属を多孔質特徴部に添加することができる。ハイブリッド構造は、液体金属を包含し、液体金属を上から下に流すことができるという利点をもたらすことができる。
【0078】
前述の例が示すように、本明細書に記載の固体金属発泡体を有するTIMを用いることによって、様々な技術的利点が実現され得る。例えば、長方形または立方体の固体金属発泡体が与えられた場合、6面TIMの対向する一組の面は、連続気泡固体金属発泡体のままであってよい一方で、周囲の平面にある残りの4面は、独立気泡のままであってよい。液体金属、液体金属発泡体、グリース、ワックス、または他の相変化材料を固体金属発泡体の多孔質部分に添加することは、以下を含むいくつかの目的を果たしてもよい。x-y平面(例えば、ヒートスプレッダ)における熱伝導性を高めること、半導体チップ、蓋およびヒートスプレッダに平行なz方向の熱伝導性を高めること、チップと蓋との間に位置するTIM1材料の表面抵抗を下げること、および/または蓋とヒートシンクとの間に含まれるTIM2材料の表面抵抗を下げること。TIM0構成の場合には、チップとヒートシンクとの間の表面抵抗を下げることができる。これを、TIM材料の圧縮と組み合わせることで、熱流が発生するのに十分な接触を確保することができ、装置全体の温度勾配がもたらされる。さらに、本明細書に記載の固体金属発泡体は、熱発生構成要素上の隙間を覆う、または複数の高さの電子パッケージを自らで平坦化させるように接触するという利点をもたらしてもよい。
【0079】
いくつかの実装形態では、液体金属発泡体は、別個のメタライゼーションを必要とすることなく、TIMを半導体組立体の様々な構成要素に容易に接合させる、接合強化剤として機能することができる。例えば、液体金属発泡体は、半導体ダイが裏面メタライゼーションを有するという要件、半導体パッケージ蓋がメタライゼーションを有するという要件、および/またはヒートシンクがメタライゼーションを有するという要件をなくすことができる。これにより、例えばインジウム金属が非金属(例えばダイ表面など)に接合する能力を高めることができる。
【0080】
この目的のために、図10は、液体金属発泡体554、555の間に挟まれた固体金属シム590を含むTIM500を用いて半導体ダイ358を熱交換器352に接合する、本開示の実装形態による半導体組立体の例示的な構成を示す図である。熱交換器は、ヒートシンク、ヒートスプレッダまたは蓋を含むことができる。この例では、半導体ダイ358は回路基板360に実装されている。はんだ球374を半導体ダイ358のメタライズパッド372に配置し、リフローして、メタライズパッド372をプリント回路基板の電気コネクタ376に電気的に接続した。378は、半導体装置358と回路基板360との間に施されたアンダーフィルを示す。
【0081】
TIM500は、液体金属発泡体554、金属シム590および液体金属発泡体555を含む。金属シム590は、インジウムまたはインジウム合金で作製されてもよい。液体金属発泡体554は、TIM500が接合される半導体ダイ358の表面に直接配置され、液体金属発泡体555は、TIM500が接合される熱交換器352の表面に直接配置される。液体金属発泡体554および555は、シム590のインジウム金属またはインジウム金属合金に合金化して、TIM合金を形成することができる。これは、熱を加えずに室温で行われてもよい。
【0082】
したがって、この例では、TIM500が半導体装置358に接合できるように、半導体ダイ358に裏面メタライゼーションを適用する必要はない。さらに、TIM500を用いて半導体ダイ358に熱交換器352を接合するために、熱交換器352にメタライゼーションを適用する必要はない。代替的な実装形態では、半導体ダイ358または熱交換器352の一方は、既にメタライゼーションを有していてもよい。そのような実装形態では、固体金属シム590に直接合金化できるメタライゼーションをどの構成要素が既に有しているかに応じて、液体金属発泡体554または液体金属発泡体555をTIM500から省略してもよい。
【0083】
液体金属発泡体554および555は、酸化ガリウムとガリウムまたはガリウム合金との混合物を含んでもよい。ガリウムは空気中の酸素と急速に反応して酸化ガリウムの薄層を形成する。ガリウム含有液体金属合金が、その固相線温度を超えた温度で他の何らかの手段によって撹拌、混合、ブレンド、振盪または撹拌されると、表面形成金属酸化物は液体金属アマルガム全体に分散される。液体金属発泡体中のこの金属酸化物の存在は、液体金属が流れて表面に付着する方法に大きな影響を及ぼし得る。液体金属/液体金属酸化物混合物の表面張力は、酸化物を含まない対照物と比較して大幅に低下する。このように、液体金属/液体金属酸化物混合物は、その高い熱伝導性のため、および表面に広がり付着する能力のために、TIMとしての使用に理想的であり得る。いくつかの実装形態では、金属酸化物は、酸素の存在下で液体金属の表面に受動的に形成される。いくつかの実装形態では、金属酸化物を液体金属合金に意図的に添加してもよい。他の実装形態では、自然に発生した金属酸化物と意図的に添加された金属酸化物との組み合わせが、同じ液体金属混合物中に存在してもよい。
【0084】
別の例として、図11は、液体金属発泡体554、555の間に挟まれた熱伝導性パターン付金属箔690を含むTIM600を用いて半導体ダイ358を熱交換器352に接合する、本開示の実装形態による半導体組立体の例示的な構成を示す図である。
【0085】
金属箔690は、金属箔690の部分の厚さを著しく変化させて山と谷のパターンを生成する表面テクスチャを有するように製造することができる。特に、箔は、複数の第1の領域および複数の第2の領域を含んでもよく、第1の領域は第1の厚さを有し、第2の領域は第1の厚さよりも大きい第2の厚さを有して、熱伝導性金属箔上にパターンを付した表面を形成する。パターンは、金属箔をロール成形またはプレスすることによって生成してもよいが、他の化学的または物理的方法によって生成してもよい。熱伝導性金属箔は、半導体ダイ358から熱交換器352への熱放散を容易にするように構成されてもよく、変形可能であり、凹凸に適合可能であることによって、ダイ358と熱交換器352の少なくとも一方の接触面においてそのような凹凸の形状に適合する、インジウムまたはインジウム合金で形成されてもよい。インジウムまたはインジウム合金で作製された箔690は、圧縮された界面において、より低い印加応力で均一な熱抵抗を提供することができる。インジウムの可鍛性は、表面抵抗を最小にし、熱流(伝導度)を増加させることができる。さらに、箔690の構造は、純粋なインジウム金属のブロックよりも高い圧縮性をもたらす。
【0086】
半導体ダイ358または熱交換器352の一方が既にメタライゼーションを有する代替的な実装形態では、液体金属発泡体554または液体金属発泡体555をTIM600から省略してもよい。
【0087】
いくつかの実装形態において、別個のメタライゼーションを必要とすることなく、TIMを半導体組立体の構成要素に容易に接合させるために、インジウムまたはインジウム合金で作製された熱伝導性パターン付金属箔を、半導体ダイ、半導体パッケージ蓋またはヒートシンクの非メタライズ表面に適用される液体金属と共に用いることができる。この目的のために、図12は、熱伝導性パターン付金属箔690および液体金属層385、386を含むTIM700を用いて半導体ダイ358を熱交換器352に接合する、本開示の実装形態による半導体組立体の例示的な構成を示す図である。
【0088】
液体金属層385は、TIM700が接合される半導体ダイ358の表面に直接適用してもよく、液体金属層386は、TIM700が接合される熱交換器352の表面に直接適用してもよい。組立体の接合および金属箔690の配置の前に、それぞれの酸化物シード層を残して液体金属層を除去してもよく、酸化物シード層は、インジウムと合金化した場合に、純粋なインジウムと同様の固体である合金を残留させることができる。酸化物シード層を形成するために用いることができる液体金属は、例えば、インジウム、インジウム合金、ガリウム、ガリウム合金、インジウムとガリウムとの組み合わせを含む合金、または前記のものに場合によってスズを添加したものを含むことができる。
【0089】
このように、図12に示す組立体は、熱伝導性パターン付箔690まで圧縮され、熱交換器352を半導体ダイ358に固着させることができる。液体金属層385および386をそれぞれ除去することによって半導体ダイ358および熱交換器352の表面に残された酸化物シード層は、箔690のインジウム金属または金属合金による、半導体ダイ358および熱交換器352の露出表面までの湿潤を促進することができる。さらに、シード層は、箔690のインジウム金属またはインジウム金属合金に合金化してTIM合金を形成することができる。半導体ダイ358または熱交換器352の一方が既にメタライゼーションを有している代替的な実装形態では、液体金属層385または液体金属層386をTIM 700から省略してもよい。
【0090】
開示された技術の様々な実施形態を上述したが、それらは限定ではなく例としてのみ提示されていることを理解されたい。同様に、様々な図は、開示された技術の例示的な構造または他の構成を示してもよく、これは、開示された技術に含まれ得る特徴および機能の理解を助けるために行われる。開示された技術は、図示された例示的な構造または構成に限定されず、所望の特徴は、様々な代替的な構造および構成を使用して実装することができる。さらに、フロー図、動作説明、および方法の特許請求の範囲に関して、本明細書で工程が提示される順序は、文脈上別段の指示がない限り、列挙された機能を同じ順序で実行するために様々な実施形態を実施することを要求するものではない。
【0091】
開示された技術は、様々な例示的な実施形態および実装形態に関して上述されているが、個々の実施形態のうちの1つまたは複数に記載された様々な特徴、態様および機能は、それらが記載されている特定の実施形態への適用に限定されるものではなく、代わりに、そのような実施形態が記載されているか否か、およびそのような特徴が、記載の実施形態の一部として提示されているか否かにかかわらず、開示された技術の他の実施形態のうちの1つまたは複数に単独でまたは様々な組み合わせで適用できることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される技術の幅および範囲は、上述の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではない。
【0092】
本明細書で使用される用語および語句、ならびにそれらの変形は、特に明記されていない限り、限定ではなく無制限として解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む」は、「限定されないが、含む」などの意味として解釈すべきである。「例」という用語は、その網羅的または限定的なリストではなく、議論中の項目の例示的な例を提供するために使用される。「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つの」、「1つまたは複数の」などを意味すると解釈すべきである。「従来の(conventional)」、「従来の(traditional)」、「通常の」、「標準的な」、「公知の」などの形容詞および同様の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに、現在または将来のいつの時点でも利用可能または公知であり得る従来の、従来の、通常の、または標準的な技術を包含するように解釈すべきである。同様に、本明細書が当業者に明らかであるかまたは公知である技術を指す場合、そのような技術は、現在または将来の任意の時点で当業者に明らかであるかまたは公知である技術を包含する。
【0093】
いくつかの場合における、「1つまたは複数」、「少なくとも」、「しかしこれに限定されない」または他の同様の語句などの幅広い単語および語句の存在は、そのような幅広い語句が存在しない場合に、より狭い場合が意図されるかまたは必要とされることを意味すると解釈されるべきではない。
【0094】
さらに、本明細書に記載の様々な実施形態は、例示的なブロック図、フローチャートおよび他の図に関して説明されている。本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるように、図示された実施形態およびそれらの様々な代替形態は、図示された例に限定されることなく実施することができる。例えば、ブロック図およびそれらに付随する説明は、特定の構造または構成を要求するものとして解釈されるべきではない。
【0095】
前述の概念のすべての組み合わせは、(そのような概念が相互に矛盾しない限り)本明細書に開示される発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示に現れる特許請求される主題のすべての組み合わせは、本明細書に開示される本発明の主題の一部であると考えられる。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】