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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】雪崩送受信機
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/12 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
G01S5/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571941
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 US2022029401
(87)【国際公開番号】W WO2022245707
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,500
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】513296121
【氏名又は名称】バックカントリー アクセス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ヴァンホーン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ヘックマン
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・エドガリー
【テーマコード(参考)】
5J062
【Fターム(参考)】
5J062AA07
5J062BB05
5J062CC14
5J062FF01
5J062FF04
(57)【要約】
雪崩送受信機、ならびに関連するシステムおよび方法が本明細書に開示されている。一実施形態において、雪崩に埋まった被害者の場所を特定するための方法は、被害者の送信側送受信機によって信号を発信するステップと、受信側送受信機によって信号を受信するステップと、受信側送受信機から送信側送受信機への直線を構築することに基づいて、受信側送受信機から被害者への配向を特定するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雪崩に埋まった被害者の場所を特定するための方法であって、
前記被害者の送信側送受信機によって信号を発信するステップと、
受信側送受信機によって前記信号を受信するステップと、
前記受信側送受信機から前記送信側送受信機への直線を構築することに基づいて、前記受信側送受信機から前記被害者への配向を特定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記受信側送受信機から前記送信側送受信機までの距離を決定することにより、前記直線に沿った前記被害者の位置を特定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号は2つのチャンネルにおいて発信される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記2つのチャンネルのうちの一方は、Bluetooth周波数またはWiFi周波数において動作する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記2つのチャンネルのうちの他方は、457kHzの周波数において動作する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記直線は、
arg minxr||M(xr)-mi||
についての解を見つけることに基づいて構築され、ここで、miは、位置および配向xrにおいて受信されたパルスbiについての測定された磁場データである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記受信側送受信機の位置および配向の差xr-xr+1が、捜索者に取り付けられた慣性計測ユニット(IMU)から決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記捜索者の連続的な場所が、連続的なパルスが前記送信側送受信機から受信される場所に対応する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計を含む微小電気機械システムオンチップ(MEMS SoC)である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
捜索者に取り付けられた慣性計測ユニット(IMU)から信号を取得するステップと、
前記捜索者に取り付けられた前記IMUからの前記信号に基づいて、前記被害者の前記場所が変えられたかどうかを決定するステップと、
前記被害者の前記場所が変えられた場合、前記被害者の前記送信側送受信機の前記信号を誤信号として特定するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記受信側送受信機は、直交サンプリング検出(QSD)によって、前記送信側送受信機からの前記信号を検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記送信側送受信機は、第1の信号を発信する第1の送信側送受信機であり、前記被害者は第1の被害者であり、前記方法は、
第2の被害者の第2の送信側送受信機によって第2の信号を発信するステップと、
前記QSDを用いて、前記受信側送受信機によって前記第2の信号を検出するステップと、
前記第1の送信側送受信機の前記信号と前記第2の送信側送受信機の前記信号との間の周波数差に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の被害者の場所と前記第2の被害者の場所とを区別するステップと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の被害者からの前記第1の信号と前記第2の被害者からの前記第2の信号とを区別するステップが、機械学習技術に基づくことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記機械学習技術は微分法である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
雪崩に埋まった被害者の場所を特定するためのシステムであって、
前記被害者に取り付けられる送信側送受信機であって、前記送信側送受信機は、信号を発信するように構成される送信側送受信機と、
捜索者に取り付けられる受信側送受信機であって、前記信号を受信するように構成される受信側送受信機と
を備え、
前記受信側送受信機は、前記受信側送受信機から前記送信側送受信機への直線を決定することに基づいて、前記受信側送受信機から前記被害者の前記送信側送受信機への配向を特定するように構成される制御装置を備える、システム。
【請求項16】
前記制御装置は、前記受信側送受信機から前記送信側送受信機までの距離を決定することにより、前記直線に沿った前記被害者の位置を特定するようにさらに構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記信号は2つのチャンネルにおいて発信される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記2つのチャンネルのうちの一方は、Bluetooth周波数またはWiFi周波数において動作する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記2つのチャンネルのうちの他方は、457kHzの周波数において動作する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記直線は、
arg minxr||M(xr)-mi||
についての解を見つけることに基づいて決定され、ここで、miは、位置および配向xrにおいて受信されたパルスbiについての測定された磁場データである、請求項15に記載のシステム。
【請求項21】
前記受信側送受信機を持ち運ぶ捜索者に取り付けられる慣性計測ユニット(IMU)をさらに備え、前記受信側送受信機の位置および配向の差xr-xr+1が前記IMUから決定される、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記IMUは、加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計を含む微小電気機械システムオンチップ(MEMS SoC)である、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記制御装置は、前記被害者の場所が変わる場合、前記送信側送受信機による前記信号を誤信号として特定するように構成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記送信側送受信機からの前記信号は、直交サンプリング検出(QSD)として前記受信側送受信機によって受信される、請求項15に記載のシステム。
【請求項25】
前記送信側送受信機は、第1の信号を発信する第1の送信側送受信機であり、前記被害者は第1の被害者であり、前記システムは、
第2の被害者に取り付けられる第2の送信側送受信機であって、第2の信号を発信するように構成される第2の送信側送受信機をさらに備え、
前記受信側送受信機は、前記第1の送信側送受信機と前記第2の送信側送受信機との間の周波数差に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の被害者の場所と前記第2の被害者の場所とを区別するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年5月19日に出願された米国仮特許出願第63/190,500号への優先権を主張し、この米国仮特許出願は、その全体において本明細書で参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
雪崩送受信機は、スキーヤ、スノーモービル運転者、雪靴で歩く人、および、スノースポーツおよびレクレーションへの他の参加者によって持ち運ばれるデバイスである。雪崩送受信機は、埋まった被害者の場所を正確に示すのを助けるために、救助チームによって検出することができる信号を発信する。
【0003】
現在、雪崩送受信機の性能の課題は、異なる埋まった被害者の送受信機から来る信号の分離である。送受信機が送信したパルスが重なるとき、埋まった被害者からの信号を追跡し、見つかった被害者を「マーキング」または「抑制」することが困難になる。いくつかの従来の雪崩送受信機は、時間に伴う各々のユニットの送信パルスパターンを分離するために、異なるユニット同士の間で小さい周波数の違いを検出することで、この問題を解決することができる。
【0004】
さらに、従来の雪崩送受信機は、被害者の信号の湾曲した束線に追従する。これは、一人だけの被害者が埋まっている場合には難しくないが、束線が湾曲されることにより、捜索者から被害者に向かう方向がめったに正確ではないため、複数の被害者の場合には非常に難しくなる可能性がある。結果として、使用者が、埋まった送受信機へと導かれるためには、この束線に注意深く追従しなければならない。最良の場合で、これは、使用者と被害者の送受信機との間に、直線経路より長い経路を提供する。最悪の場合には、受信側送受信機が不適切に使用される場合(例えば、使用者が自身の進行方向に対して送受信機を回転させることを介する場合)、使用者は、自身を不正確な方向へと導く偽りの結果を見ることになる。
【0005】
既存の送受信機の他の課題は、その限られた受信範囲である。いくつかの従来の雪崩送受信機について、最大範囲は、最適な条件の下であっても40メートル未満であり得る。
【0006】
最後に、送受信機捜索を実施するときの重要な懸念は、信号(「不正信号」)をうっかり送信している捜索者を、実際に埋まっている被害者と区別することである。このような信号は、雪崩の領域において、すでに複雑化された電磁場をさらに汚染する可能性がある。例えば、捜索を現在実施しているとき、近辺におけるすべての送受信機の使用者が、自身の送受信機のモードを捜索モードに切り替えるように、訓練を通じて教えられているが、このステップが一部の捜索者によって忘れられている可能性がある。さらに、捜索が行われていることに気づいていない、近辺における他の使用者は、自身の送受信機を捜索モードに切り替えないことになる。これら信号発生源の両方が、捜索関係者を混乱させるように作用する可能性がある。
【0007】
したがって、雪崩被害者の雪崩送受信機からの信号に基づいて雪崩被害者を正確に位置特定することができるシステムおよび方法への要求が依然としてある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の技術は、雪崩被害者を位置特定することに向けられている。異なる実施形態では、本発明の技術は以下のことを含む。
【0009】
(i)湾曲した電磁束線に追従する代わりの直線捜索。別の言い方をすれば、本発明の技術は、モデルによって湾曲した線の端点の推定を提供し、そのため束線自体の湾曲に追従することなく送信側送受信機の端点を推定する。
【0010】
(ii)送受信機の一部である慣性計測ユニット(IMU)。このようなIMUのいくつかの例は、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、磁力計などを含む。IMUは、3軸に沿ってそれぞれの量を読み取ることができる加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計を含む単純な微小電気機械システムオンチップ(MEMS SoC)として実施されてもよい。様々な信号処理技術[1]と組み合わされて、IMUからのデータは、推測航法として知られている過程において、(例えば、補色フィルタまたはMadgwickフィルタを使用して)確率的にバイアス補正およびノイズキャンセルされた走行距離計測および進行方向の情報をもたらすために、フィルタリングされてもよい。いくつかの実施形態では、IMUは9軸IMUであり得る。
【0011】
(iii)モデル回帰とも称される機械学習技術。この技術は、送信側送受信機がパルスを発生させるときに確立される電場の数学的モデルを推測し、送信側送受信機と捜索側(信号受信側)送受信機との間の相対的な位置および配向に基づいて、(アンテナごとに)捜索モードにある送受信機によって受信信号強度インジケータ(RSSI)を予測する。
【0012】
(iv)捜索側送受信機が動いているとき、静止した送信側送受信機の位置および配向を推定すること。例えば、捜索側送受信機によって受信された各々のパルスについて、その送受信機の位置および配向は、IMUのフィルタリングされたデータの結果として分かる。その位置および配向は、送信側送受信機の相対的な位置および配向に関連する以前の一連のパルスのRSSIへの対応に対して、合致させられ得る。組み合わされて、これらのデータは、静止した送信側送受信機の位置および配向を確率的に推論するために回帰させられ得る。より多くのデータがその送信側送受信機から集められるにつれて、回帰された推定は収束し、小さい電磁的外乱、または、推測航法から生じる不正確性の影響を排除する。この手順は、この推定を計算する時間量を変調する、または、受信されたパルスの重要性を計ることができる様々な時空間フィルタで増大させることができる。
【0013】
(v)分類として知られる機械学習技術。例えば、複数の送信側送受信機の存在する場合、捜索側送受信機によって受信される各々のパルスは、具体的な送信側送受信機と一意的に関連付けられなければならない。各々の送信側送受信機について、別々の回帰が実施されてもよい。この関連付けは、送信側送受信機のパルス周波数を回帰させることと、具体的な送受信機と関連付けさせるためにこの周波数において受信されたパルスを分類することとによって遂行できる。
【0014】
(vi)推定アルゴリズムによる疑わしい被害者の移動する信号(「不正信号」)の排除。原則として、被害者は、静止した捜索者または他の被害者に対して移動しないはずである。データ関連付けの段階において、送信側送受信機が静止していなければならず、そうでない場合、各々のパルスについてのRSSIに対するモデル回帰は収束しないと想定される。不正信号として知られる、移動していると思われる送信側送受信機は、その推定の非収束のため、そのように分類されてもよい。そのため、これらのパルスは、その分類に基づいて、データ関連付けの段階においてマスクされてもよい。
【0015】
(vii)雪崩送受信機に組み込まれた直交サンプリング検出(QSD: Quadrature Sampling Detection)。QSDは、特に複数の被害者が存在する場合、より良好なサンプリングを可能にする。QSDは、ノイズフロアを下回る信号を検出するために、ユニット同士の間の周波数差を分析するために、および、送信パルスパターンをより良好に分析するために、使用され得る。QSDは、被害者が埋まっている場所に(三角測量を通じて)接近することを可能にする。
【0016】
(viii)送受信機通信において複数の周波数を組み合わせる。例えば、通信は、457kHzにおける1つのチャンネルと、Bluetooth周波数における他のチャンネルとで行うことができる。いくつかの実施形態において、送受信機の通信は、1つだけのチャンネル(例えば、457kHzまたは他の周波数)を使用して開始できる。次に、被害者の場所が少なくともある程度決定されるため、第2のBluetoothチャンネルが、送信側送受信機の場所を決定することに向けて、(yおよび図3を参照して後で記載されている)数学的モデルの収束を速めるために作動させられ得る。本出願の背景において、Bluetoothは例示の無線リンクとして使用されているが、標準化されていてもいなくても、他の無線リンクが第2のチャンネルとして使用されてもよいことは、理解されるべきである。当業者は、実際の捜索では、被害者がおそらく窒息で苦しんでおり、内部損傷および相当の出血でも苦しんでいる可能性があることを理解するであろう。捜索時間を短くすることは、被害者の気道を通すことができ、被害者の脱出および安定化ができるだけ素早く行われるためには、重要である。
【0017】
前述の態様、および本発明の付随する利点の多くは、添付の図面と併せて、以下の詳細な記載を参照してより容易に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本技術の実施形態によるシステムの動作を示す図である。
図2】ここで開示されている技術の実施形態による被害者の場所を特定するための方法の流れ図である。
図3】ここで開示されている技術の実施形態による不正信号を排除するための方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書を通じて、「一例」または「一実施形態」への言及は、例と関連して記載されている具体的な特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの例に含まれることを意味している。したがって、本明細書を通じた様々な場所における「一例において」または「一実施形態において」の文言の出現は、必ずしもすべて同じ例に言及しているわけではない。さらに、具体的な特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の例において任意の適切な手法で組み合わされてもよい。
【0020】
「~の下方に」、「~の下に」、「下方」、「~の下」、「~の上方に」、「上方」などの空間的に相対的な用語が、図に示されているように他の要素または特徴への1つの要素または特徴の関係を説明するために、記載の容易性について本明細書に記載されてもよい。空間的に相対的な用語が、図で描写されている配向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる配向を網羅するように意図されていることが理解されるであろう。例えば、図におけるデバイスがひっくり返される場合、他の要素または特徴「の下に」、「の下方に」、または「の下」として記載されていた要素は、他の要素または特徴「の上方に」配向されることになる。したがって、「~の下方に」および「~の下」という例示の用語は、上方および下方の両方の配向を網羅することができる。デバイスは、他に配向されてもよく(90度回転させられる、または他の配向に回転させられる)、本明細書で記載されている空間的に相対的な記載はそれに応じて理解される。
【0021】
前述のことから、本技術の特定の実施形態が、例示の目的のために本明細書において記載されているが、様々な変更が本開示から逸脱することなく行うことができることが理解されるであろう。さらに、特定の実施形態と関連付けられる様々な利点および特徴が、それらの実施形態の状況において先に記載されているが、他の実施形態がこのような利点および/または特徴を呈してもよく、必ずしもすべての実施形態が、本技術の範囲内になるために、このような利点および/または特徴を呈する必要はない。方法が記載されている場合、方法は、より多くのステップ、より少ないステップ、または他のステップを含んでもよい。また、ステップは任意の適切な順番で実施されてもよい。したがって、本開示は、本明細書において明示的に表示または記載されていない他の実施形態を網羅することができる。本開示の文脈において、「約」という用語は、述べられた値の±5%を意味している。
【0022】
図1は、本技術の実施形態によるシステムの動作を示す図である。図1は、受信側送受信機12(受信機またはRXとも称される)を有する捜索者10を示している。受信側送受信機は、制御装置C(例えば、マイクロプロセッサ)と、計算を実施するための適切なソフトウェアとを含み得る。いくつかの実施形態では、受信側(捜索側)送受信機12は、1つまたは複数のIMU14も含む。捜索者10の連続的な場所が(Ai, θi)として指示される。これらの連続的な場所は、図示されている例では1秒間である特定の時間間隔によって、時間的に分離される。
【0023】
被害者20が送信側送受信機22を有する。先に説明されているように、送信側送受信機22(送信機またはTXとも称される)は無線送信器(アナログまたはデジタルのいずれか)を備えてもよい。類似して、受信側送受信機12は無線受信機を含み得る。送信側送受信機22および受信側送受信機12は多チャンネル送受信機であり得る。例えば、送信側送受信機22および受信側送受信機12は、457kHzにおいて、および、Bluetooth周波数において、同時または連続的に動作することができる。他の非限定的な例において、送信側送受信機22および受信側送受信機12は、457kHz(または、欧州電気通信標準化機構(ETSI)によって規制された他の周波数)およびWiFi周波数において動作することができる。いくつかの実施形態では、受信側送受信機はIMUユニットも含み得る。受信側送受信機と送信側送受信機とは、送受信機またはTRXと集合的に称されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、追加の無線リンク(例えば、Bluetooth)が、一次無線リンクに追加されてもよい。ETSI強制捜索周波数の波長のため、フェライト棒アンテナが信号を送信および受信するために使用される。アンテナは、アンテナのパターンおよびゲインが、送信局面の間に受信局面の間と同じである点において、「相互的」である。フェライト棒アンテナが、実用的に信号が発信または受信されない少なくとも2つの深い「ゼロ」を有することが、知られている。これは、受信信号強度インジケータ(RSSI)において大きな変化をもたらし、距離指示が、1メートル未満から、非常に経験豊富な捜索でも判断を誤らせ得る1メートルよりも相当に大きなメートルまで跳ね上がり得る場所を細かく捜索する間に、「スパイク」をもたらす。
【0025】
雪崩に埋まっているという動態のため、送信側送受信機22の配向は分からず、被害者が露わにされるまで発見することができない。さらに、ETSIの要件が、小さな変化が許容された1秒間あたりに1パルスの公称率にパルスを制限している。ETSIの要件および電力消費の考慮のため、ほとんどの送信側送受信機22は、大まかに1秒間あたりに1パルスを実際に送信する。これは、捜索者が1パルスごとに距離の更新を得るだけであることを意味する。さらに、製造者同士、型式同士、および内部無作為化ソフトウェア同士の間の変化は、捜索者がパルス間隔の大まかな考えを有するだけであることを意味する。実際には、埋まった送信側送受信機22がその瞬間に送信していないため、最も小さい距離の点を越えて進むことが可能である。先に記載されているアンテナパターンの懸念のため、使用者は、距離測定の誤りをもたらすため、捜索側送受信機を回転させないように訓練される。熟練した使用者は通常これを合理的に良好に行うことができるが、この技術は、統制の取れた方法で従うのが難しく、経験の少ない使用者は、被害者の細かい捜索の間に送受信機を自然に回転させようとしてしまう。
【0026】
第2の無線リンク(例えば、2.4GHzにおけるBluetoothリンク)がETSI仕様の範囲外で動作するため、第2の無線リンク(チャンネル)はETSI仕様によって制約もされない。既存の実施において、第2の無線リンクは、1秒間あたりに多くのパルスを送信/受信し、表示される距離をETSI方法によるよりもはるかに速く更新することができる。
【0027】
実際の動作では、2.4GHz(Bluetooth)の周波数は、水および雪によって相当に減衰され得る。しかしながら、減衰が捜索者の効率を通常は低下させるが、本発明の2つのチャンネルの技術が使用されるとき、雪の減衰は、実際には、二次リンク(少なくともいくつかの実施形態では、Bluetoothに対応する第2のチャンネル)を被害者の周りの小さい半径に限定し、拡大した距離を網羅しないことで、捜索を向上させることができる。これは、他の捜索者が、二次リンクにおける第1の被害者からの信号を見ることなく、短い距離で離れて、被害者の場所を同時に細かく捜索することができることを意味する。このような状況は、現実世界の状況では複雑で非効率的であり得る「マーキング」または「信号抑制」のような特別な技術を必要とする1つのチャンネル(例えば、457kHzまたは同等のETSI周波数)だけに依拠するときには不可能である。
【0028】
理屈に縛られることなく、パルスの非常に短い間隔を前提として、二次リンク(二次チャンネル)における実際の飛行時間型(TOF)の測定は短く、捜索ビーコンの回転または移動に対して概して鈍感であると考えられている。そのため、動作中、捜索者は受信側送受信機を移動させながら、進むときに距離の測定値を気に留めるだけでよい。アンテナパターンによって引き起こされる信号強度における変化が無視されるため、受信側送受信機(捜索側送受信機)の回転は、一次のETSIリンク(チャンネル)だけに依拠するときと異なり、もはや問題ではない。
【0029】
いくつかの実施形態では、捜索は以下のように進行することができる。捜索が開始するとき、ETSIリンク(第1のチャンネルまたは一次チャンネルとも称される)だけが使用中である。埋まった送信側送受信機22における二次リンク(例えば、Bluetoothリンク、WiFiリンク)は、受信側送受信機12を周期的にリッスンしているが、捜索者が近くに来るまで電池を節約するために低出力モードのままである。埋まった送信側送受信機22が二次リンク(二次チャンネル)において捜索側送受信機を受信すると、埋まった送信側送受信機22は通常モードに切り替わり、両方のチャンネルにおいて捜索側送受信機と測距データを交換することを開始する。
【0030】
捜索者の受信側送受信機12は、二次リンクから、高い速度でより正確なデータを使用することを開始する一方で、一次ETSIリンク(一次チャンネル)をなおも受信して処理している。いくつかの実施形態では、使用者は、捜索者に細かい捜索をはるかにより素早く実施させる相当に速い更新以外で動作に違いが見られない。ETSIリンク(一次チャンネル)において概して問題となる距離「スパイク」は、二次リンク(二次チャンネル)に存在せず、混乱させる誤ったデータが使用者に提示されることなく捜索を進めさせることができる。
【0031】
受信側送受信機12がETSI送信(一次チャンネル)をなおもリッスンすることができ、正常に機能するために第2の無線リンク(例えばBluetoothといった第2のチャンネル)の存在を必要としないことは、強調されるべきである。しかしながら、受信側送受信機12は、第2のリンクが利用可能であるとき、第2のリンクを利用する。この方法は、ETSI順守と、この二次リンクを欠いている受信側送受信機12との相互運用性とを維持する。例えば、単一のチャンネルに依拠する捜索は、いずれにせよ自身の送受信機を通常通り操作するだけで、捜索者に意識させることなく進行する。
【0032】
そのため、埋まった送信側送受信機22と捜索側送受信機12との両方が二次リンクをサポートする場合、二重のチャンネルの捜索の上記の利点が生まれることになる。そうでない場合、操作者は単一の一次リンクで作業するだけである。
【0033】
いくつかの実施形態では、「パルスカスタマイズ」の手法が使用されてもよい。ここで、登山口でのチェックの間、リーダの送受信機のパルス繰り返し数は、グループの他のメンバとのパルスの重複を最小限にするためにカスタマイズされる。
【0034】
図2は、ここで開示されている技術の実施形態による被害者の場所を特定するための方法の流れ図である。先に説明されているように、被害者の場所を、捜索者から被害者への直線として特定することは、有利であり得る。このような直線の方法の例が、図1に示されているような捜索者/被害者の配置を参照して以下に記載されている。このような直線(例えば、図1からのSL1、SL2、SL3)は、概して配向および長さを持つ。そのため、直線Sl1、SL2、SL3などは、配向(受信側送受信機から送信側送受信機への方向を指示するベクトル角度)と、長さ(受信側送受信機から送信側送受信機へのベクトル長さまたは距離)とを有するベクトルとして理解できる。そのため、直線Sl1、SL2、SL3などは、電磁束線の端点のモデル生成された推定を提供し、それによって、電磁束線自体の湾曲に追従することなく送信側送受信機の端点の位置を推定する。当業者は、「直線Sl1、SL2、SL3」が、捜索者が被害者に近付いているときにこれらの直線に追従しなければならないという意味を必ずしも含まない数学的な概念であることを理解するであろう。例えば、捜索者は、被害者を捜索者から分け隔てる地形などによって、指示されているような埋まった被害者に向けての湾曲した経路に追従することができる。さらに、当業者は、エンジンをモデル化することで「直線」(またはベクトル)を生成することが、直線が捜索者の表示部に必ず示されるという意味を必ずしも含んでいないことを理解するであろう。重要なのは、捜索者から被害者への距離および方向は、以下に記載されている計算アルゴリズムによって決定されるが、この方向および距離を指示する直線またはベクトルは、必ずしも捜索者によって歩かれるわけではなく、捜索者の送受信機の表示部に必ず表示されるわけでもないことである。
【0035】
(A1, θ1)、(A2, θ2)、(A3, θ3)、…、miを、位置および配向xr(rはそれらの位置を列挙している)において、受信側送受信機j(捜索者)によって、送信側送受信機(被害者)から受信されるパルスbiから分解される範囲Aiおよび進行方向θiとする。一般性の損失のない場合、進行方向θiは、受信側送受信機12と送信側送受信機22との間の平面によって定められ、受信側送受信機のアンテナの軸で配向されたヨー角度であると仮定し得る。特定の送信側jへのパルスの特定が、例えば、k平均法または無線周波数/振幅フィンガープリンティング技術を通じた信号クラスタリングを通じてなど、様々な方法を通じて遂行され得る。
【0036】
受信側送受信機12の位置および配向の差xr-xr+1が、パルスが送信側送受信機jから受信されるそれらの位置(rおよびr+1)のタイムスタンプの間の慣性計測ユニット(IMU)のデータの積分を通じて計算され得る。
【0037】
送信側送受信機に関する位置および配向におけるこれらのパルスの各々について、推論が実施される。この過程は、時間rと時間r+1との間の位置および配向の差がIMU積分に基づいて既知であると仮定し得るが、IMU測定は初期推測または確率的事前分布のいずれかとなると考えることもでき、どちらの場合も、これらの位置と方向は推論の問題の一部となる。
【0038】
推論は、様々な技術を通じて実施できる。いくつかの実施形態では、このような推論は最適化問題を通じて実施することができ、例えば、解かれるべき問題は、送信側送受信機22からの磁場測定の所与のモデルM(x)=[A, θ]として表すことができ、
arg minxr||M(xr)-mi|| (1)
となるように、受信側送受信機12の位置および配向xrを見つけ出すことができ、ここで、miはパルスbiについての測定された磁場データである。すべてではないがいくつかのこれらの測定は、この最適化問題で利用されことになり得、いくつかの測定は除外される。このようにいくつかの測定を使用しないことは、問題解決の質に悪影響を与えるのを回避するために、いくつかの状況の下で有用であり得る。
【0039】
式(1)における推論の問題は、送受信機が位置および配向を受信して送信側送受信機に対して特定してから受信された1つ、多く、またはすべての位置および配向(ならびにそれらの対応するパルス)に対して実施され得る。式(1)における推論の問題は、一次および二次の最小化の技術、勾配に基づく技術、および勾配なしでの技術を含め、様々な数多くの最適化技術を用いて実施され得る。傾斜に基づく技術は、自動(数値)微分法技術、または解析的勾配の使用の両方を含み得る。式(1)における推論の問題は、興味のある量の部分集合に対してだけ実施されてもよい(例えば、配向に対してだけであって、位置に対してはない)。
【0040】
いくつかの実施形態において、このような推論は確率的フィルタリングを通じて実施されてもよく、例えば、解決される問題は、パルスbiについての磁場データの測定miを前提として、1つまたは一連のこれらの測定の後、位置、配向、および潜在的にこれらの量における統計の概要を推定し、送信側送受信機に対する受信側送受信機の位置xrを漸進的に推定するとして表すことができる。この漸進的な推定は、位置、配向、および潜在的にこれらの量における統計の離散的(例えば、粒子フィルタに基づく)または連続的(例えば、カルマンフィルタに基づく)推定を通じて具現化される確率的フィルタリング技術の適用を通じて遂行され得る。
【0041】
図3は、ここで開示されている技術の実施形態による不正信号を排除するための方法の流れ図である。式(1)における推論についての上記の公式化は、送信側送受信機が位置および配向においておおよそ静的であることを仮定している。しかしながら、そうでない場合(例えば、送信側送受信機が相当の動きを被っている場合)、上記の推論の問題は大きな誤りをもたらす結果となる。つまり、次の差:
||M(xr)-mi|| (2)
が、送信側送受信機に対する受信側送受信機の相対的な位置および配向を測定する定義によって、xrとしての複数のパルスの受信にわたってゼロに収束しない。式(2)における差がδよりも大きいすべての例について、不正になる信号を指定するカウンタρrが増分させられる。具体的な送信側送受信機が、閾値Rについてρr>Rを有する場合、その送受信機は、不正の送信側送受信機と見なすことができ、受信側送受信機の表示部から消すことができる。
【0042】
先に記載されている技術の多くの実施形態が、プログラム可能コンピュータまたは制御装置によって実行されるルーチンを含め、コンピュータ実行可能または制御装置実行可能な命令の形態を取ることができる。当業者は、本技術が先に図示および記載されているもの以外のコンピュータ/制御装置システムにおいて実施することができることを理解するであろう。本技術は、先に記載されているコンピュータ実行可能な命令のうちの1つまたは複数を実施するように特異的にプログラム、構成、または構築された専用コンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、制御装置、またはデータ処理装置で具現化され得る。当然ながら、本明細書に記載されているあらゆる理論またはアルゴリズムは、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせで実施することができる。
【0043】
本発明の図示された実施例に関する上記の記載は、要約に記載されていることも含め、網羅的であること、または、開示されている正確な形態に本発明を限定するように、意図されていない。本発明の特定の例が、本明細書において例示の目的のために記載されているが、当業者が認識するように、様々な変形が本発明の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 捜索者
12 受信側送受信機、受信機、RX、捜索側送受信機
14 IMU
20 被害者
22 送信側送受信機、送信機、TX
C 制御装置
SL1、SL2、SL3 捜索者から被害者への直線
図1
図2
図3
【国際調査報告】