(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】検査室システムにおける少なくとも1つのデバイスの自動登録
(51)【国際特許分類】
G06F 8/61 20180101AFI20240521BHJP
G06F 8/65 20180101ALI20240521BHJP
【FI】
G06F8/61
G06F8/65
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023571980
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022063713
(87)【国際公開番号】W WO2022243511
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン-ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フレンツェル、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス フェルナンデス、ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】シール、ラモーナ
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AA09
5B376AA21
5B376AA32
5B376AD19
5B376AD22
5B376CA13
(57)【要約】
検査室システム(112)における少なくとも1つのデバイス(110)の自動登録のコンピュータ実装方法が提案される。検査室システム(112)は、複数の検査室デバイス(116)を備える。本方法は、以下のステップ:
i) 少なくとも1つの初期化ステップ(118)であって、初期化ステップ(118)は、登録されるべきデバイス(110)から、デバイス固有情報を、少なくとも1つの検査室通信管理ユニット(120)へと、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して送信することを含む、少なくとも1つの初期化ステップ(118)と、
ii) 少なくとも1つのデバイス設定ステップ(124)であって、デバイス設定ステップ(124)は、検査室通信管理ユニット(120)が、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャ(126)からのソリューション固有設定を要求することを含み、デバイス設定ステップ(124)は、検査室通信管理ユニット(120)によって第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャ(126)からのソリューション固有設定を受信し、かつ検査室通信管理ユニット(120)から登録されるべきデバイス(110)へと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信することを含み、ソリューション固有設定は、デバイス固有情報および検査室システム(112)に関する設定情報に基づく、少なくとも1つのデバイス設定ステップ(124)と、
iii) 少なくとも1つの検査室設定ステップ(134)であって、検査室設定ステップ(134)は、更新後ソリューション固有設定を含む検査室通信管理ユニット(120)からの少なくとも1つの要求を、検査室システム(112)の検査室デバイス(116)へと、それらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信することを含み、更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイス(110)に関する情報と、検査室システム(112)へのデバイス(110)の追加に起因する変更とを含み、検査室設定ステップ(134)は、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャ(126)へと提供することをさらに含む、少なくとも1つの検査室設定ステップ(134)と
を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソリューション固有設定を実現する複数の検査室デバイス(116)を備えている検査室システム(112)における少なくとも1つのデバイス(110)の自動登録のコンピュータ実装方法であって、以下のステップ:
i) 少なくとも1つの初期化ステップ(118)であって、前記初期化ステップ(118)は、登録されるべき前記デバイス(110)から、デバイス固有情報を、少なくとも1つの検査室通信管理ユニット(120)へと、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して送信することを含む、少なくとも1つの初期化ステップ(118)と、
ii) 少なくとも1つのデバイス設定ステップ(124)であって、前記デバイス設定ステップ(124)は、前記検査室通信管理ユニット(126)が、前記デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャ(126)からのソリューション固有設定を要求することを含み、前記デバイス設定ステップ(124)は、前記検査室通信管理ユニット(120)によって前記第2の通信インターフェースを介して前記リモートインフラストラクチャ(126)からの前記ソリューション固有設定を受信し、かつ前記検査室通信管理ユニット(120)から前記登録されるべきデバイス(110)へと前記第1の通信インターフェースを介して前記ソリューション固有設定を送信することを含み、前記ソリューション固有設定は、前記デバイス固有情報および前記検査室システム(112)に関する設定情報に基づく、少なくとも1つのデバイス設定ステップ(124)と、
iii) 少なくとも1つの検査室設定ステップ(134)であって、前記検査室設定ステップ(134)は、更新後ソリューション固有設定を含む前記検査室通信管理ユニット(120)からの少なくとも1つの要求を、前記検査室システム(112)の前記検査室デバイス(116)へと、それらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信することを含み、前記更新後ソリューション固有設定は、前記登録されるべきデバイス(110)に関する情報と、前記デバイス(110)の前記検査室システム(112)への追加に起因する変更とを含み、前記検査室設定ステップ(134)は、前記更新後ソリューション固有設定を前記リモートインフラストラクチャ(126)へと提供することをさらに含む、少なくとも1つの検査室設定ステップ(134)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記登録されるべきデバイス(110)は、少なくとも1つの開封装置、少なくとも1つの搬送システム、少なくとも1つの分析機器、少なくとも1つの再封装置、少なくとも1つの分取装置、少なくとも1つの遠心分離機、少なくとも1つの管ソータ、少なくとも1つの貯蔵ユニット、少なくとも1つのバルク管ローダ、少なくとも1つの管検査ステーション、少なくとも1つの事前分析システムからなる群から選択されるデバイスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デバイス固有情報は、バージョン情報、製造情報、所有権情報、ソフトウェアバージョンに関する情報、デバイスコード、通信プロトコルバージョンのうちの1または複数を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップi)(118)は、前記検査室通信管理ユニット(120)が、前記デバイス(110)上に存在するソフトウェアバージョンの更新の要否を判断し、前記検査室通信管理ユニット(120)によって必要であると判断された場合に、前記ソフトウェアバージョンを更新することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ソリューション固有設定は、少なくとも1つのデバイス通信プロトコル、速度情報、少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータなどの設定情報のうちの1または複数を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップi)(118)およびステップii)(124)は、前記デバイス固有情報に応じて異なるレベルに従い、第1のレベルは、前記検査室通信管理ユニット(120)および前記リモートインフラストラクチャ(126)に前記デバイス固有情報を登録することを含み、第2のレベルは、前記デバイス(110)のソフトウェア更新を収集し、インストールし、かつ確認することを含み、第3のレベルは、前記デバイス(110)が通信プロトコル固有情報を受信し、日常的な使用のために取り入れることを含み、第4のレベルは、前記デバイス(110)が前記検査室システム(112)においてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にするための少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータを前記デバイス(110)が受信することを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記検査室設定ステップ(134)は、前記更新後ソリューション固有設定に応じて前記検査室システム(112)の性能および/または前記検査室デバイス(116)の性能を調節することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記デバイス設定ステップ(124)は、前記登録されるべきデバイス(100)によって前記ソリューション固有設定を確認することをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記検査室設定ステップ(134)は、前記検査室デバイス(116)によって前記更新後ソリューション固有設定を確認することをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記検査室通信管理ユニット(120)は、前記検査室デバイス(116)と通信するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記検査室通信管理ユニット(120)は、前記検査室デバイス(116)と無線で通信するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記検査室通信管理ユニット(120)は、ミドルウェア(146)として設計される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
検査室システム(112)のための通信ネットワーク(114)であって、
前記通信ネットワーク(114)は、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成され、前記検査室システム(112)は、少なくとも1つの通信インターフェースを各々が有する複数の検査室デバイス(116)を備え、前記通信ネットワーク(114)は、少なくとも1つの検査室通信管理ユニット(120)を備え、前記検査室通信管理ユニット(120)は、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して、登録されるべきデバイス(110)から送信される前記デバイス(110)からのデバイス固有情報を受信するように構成され、前記検査室通信管理ユニット(120)は、前記デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャ(126)からのソリューション固有設定を要求するように構成され、前記検査室通信管理ユニット(120)は、前記第2の通信インターフェースを介して前記リモートインフラストラクチャ(126)から前記ソリューション固有設定を受信し、かつ前記ソリューション固有設定を前記第1の通信インターフェースを介して前記検査室通信管理ユニット(120)から前記登録されるべきデバイス(110)へと送信するように構成され、前記ソリューション固有設定は、前記デバイス固有情報および前記検査室システム(112)に関する設定情報に基づいており、前記検査室通信管理ユニット(120)は、更新後ソリューション固有設定を含む少なくとも1つの要求を、前記検査室システム(112)の前記検査室デバイス(116)へと、それらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信するように構成され、前記更新後ソリューション固有設定は、前記登録されるべきデバイス(110)に関する情報と、前記デバイスの前記検査室システム(112)への追加に起因する変更とを含み、前記検査室通信管理ユニット(120)は、前記更新後ソリューション固有設定を前記リモートインフラストラクチャ(126)へと提供するように構成される、通信ネットワーク(114)。
【請求項14】
少なくとも1つの通信インターフェースを各々が有する複数の検査室デバイス(116)を備える検査室システム(112)であって、前記検査室システム(112)が、請求項13に記載の通信ネットワーク(114)をさらに備える、検査室システム(112)。
【請求項15】
命令を含むコンピュータプログラムであって、
前記命令は、プログラムが請求項13に記載の通信ネットワークによって実行されると、前記通信ネットワーク(114)に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項16】
命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記命令は、プログラムが請求項13に記載の通信ネットワークによって実行されると、前記通信ネットワーク(114)に請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査室システムにおける少なくとも1つのデバイスの自動登録のためのコンピュータ実装方法、検査室システム用の通信ネットワーク、命令を含むコンピュータプログラム、およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。本方法およびデバイスは、具体的には、医療または化学の検査室の分野において使用されてよい。しかしながら、本発明の他の応用分野も可能である。
【背景技術】
【0002】
現在、検査室において新たなデバイスまたはモジュールを設置または登録するために、一連の手作業による繰り返しの設定タスクを辿らなければならず、設置時にエラーが持ち込まれる恐れが大である。例えば、別々に設置されるべき多数の異なるモジュールが存在する可能性があり、これを手作業で行うことはきわめて面倒であると考えられる。これは、保守性、性能データ、などに影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
他の技術分野において、医療デバイスを含む「プラグアンドプレイ」あるいは自動発見および自動設定のいくつかの例が存在する。
【0004】
米国特許第8,549,065号明細書が、標準プロトコルOPC UAを使用するクライアント/サーバシステムのクライアントとサーバとの間の通信のための方法および対応するデバイスを記載しており、OPC UAクライアントとOPC UAサーバとの対話のために、OPC UAサービスコールが使用される。OPC UAサービスコールにトランザクションコンテキストを統合するために、システムのすべてのOPC UAサーバは、トランザクション管理コンポーネントによって補完され、トランザクションを実行するために、適切に設定されたOPC UAクライアントが、トランザクションを使用してそれぞれのOPC UAサーバと通信する。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0149283号明細書が、稼働中の医療技術デバイスを、医療技術デバイスへの新たなコンポーネントの取り付けの結果として較正するためのプロセスを記載している。新たなコンポーネントが医療技術デバイスに取り付けられたときに新たなコンポーネントを自動的に識別し、識別に基づいて医療技術デバイスの較正に必要なステップを表示するように製作された医療技術デバイスが記載されている。しかしながら、医療技術デバイスを、新たに取り付けられたコンポーネントをその識別後に自動的に識別するように製作することも可能である。
【0006】
米国特許第7,680,605号明細書が、共通インターフェースの下で統一された制御および協調アーキテクチャを提供するために検査室の機器およびアプリケーションを統合するためのシステムおよび方法を記載している。システムは、さまざまなハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントを検出するための機構を提供し、各々のコンポーネントの個々の機能および入力/出力データタイプが、自動的に認識され、利用可能なコンポーネントの動作状態のライブ監視を提供する集中制御システムに取り込まれる。
【0007】
米国特許第8,225,015号明細書が、適応的かつ動的な医療デバイスの接続のためのシステム、装置、および方法を記載している。一例において、医療デバイスインターフェースシステムが、医療デバイスをクライアントシステムに接続し、医療デバイスとクライアントシステムとの間のデータの交換を可能にするデバイスインターフェースを含み、デバイスインターフェースは、デバイスインターフェースへの医療デバイスの接続を検出するプラグアンドプレイ検出器と、医療デバイスとデバイスインターフェースとの間の接続を介して医療デバイスから情報を収集し、医療デバイスの既存のプラグアンドプレイ機能の有無にかかわらず、デバイスインターフェースに接続された医療デバイスを操作し、医療デバイスと対話する適切なデバイスドライバを選択するシリアルエージェントとを含む。
【0008】
“Cloud PUCK for Sensor Selfconfiguration”Sensors&Transducers,Vol.172,Issue 6,June 2014,pp.45-50に、機器設定時の人間の介入を最小限にするためのMBARI PUCKが記載されている。機器がセンサネットワークに物理的に差し込まれる前に、機器パックが機器に予めロードされる。機器パックは、メタデータおよびソフトウェアを含む機器のすべての設定情報を格納する。機器が差し込まれるとすぐに、システムは、パックインターフェースを介して機器の設定情報を取得し、機器を自動的に設定することができる。機器パックハードウェアは、不揮発性フラッシュメモリデバイス、マイクロコントローラ、シリアルトランシーバ、絶縁電源、および2つのRS-232シリアルポートからなる。
【0009】
米国特許第7,535,854号明細書が、通信技術に関するデバイス管理の方法を記載しており、本方法は、以下のステップ:デバイスが、管理システムに、管理システムのアドレス情報に従って、デバイスの固有のデバイス識別子およびIPアドレスを少なくとも含む管理登録要求のためのIPパケットを率先して送信するステップと、管理システムがデバイスの登録要求を受信した後に、このデバイスが正当であるか否かを固有のデバイス識別子に従って判断し、正当である場合には登録を受け付け、そうでない場合には拒否するステップとを含む。デバイスの動的設定を、標準的なDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)手順を通じて実行することができ、管理登録要求のためのIPパケットおよびその応答パケットに暗号化方式を採用することができ、デバイスは間隔ごとに管理登録パケットを管理システムに送信する。
【0010】
欧州特許第1 926 429号明細書が、複数のモジュールを有する高出力X線源装置の自動設定のための方法、システム、およびデバイスを記載している。高出力X線源装置の第1のモジュールは、第1のモジュールの少なくとも1つのパラメータを記憶し、パラメータを設定制御ユニットに送信する識別ユニットを有する。第2のモジュールの少なくとも1つの動作パラメータが、送信された第1のモジュールのパラメータの特性に基づいて、設定制御ユニットによって決定される。高出力X線源装置は、第2のモジュールの動作パラメータを決定された値にセットすることによって設定される。
【0011】
米国特許出願公開第2012/0110200号明細書が、マルチプロトコルアダプタシステムおよびマルチプロトコルアダプタシステムにおけるデータ変換方法を記載している。マルチプロトコルアダプタシステムは、複数の異なる種類のデバイスとの接続を認識する接続認識ユニットと、入力によって接続された複数の異なる種類のデバイスの入力信号を感知して接続セッションを管理し、デバイスとの接続を管理するセッション管理ユニットと、複数の異なる種類のデバイスによって提供されるサービス単位で複数の異なる種類のデバイスを制御するプラグアンドプレイユニットと、受信したデータを変換するデータ変換ユニットと、無線周波数識別を介して受信したユーザ識別情報を管理するユーザ情報管理ユニットと、変換されたデータとユーザ識別情報とを結合させ、結合後のデータを端末に送信するデータ送信ユニットとを含み得る。
【0012】
他の技術分野におけるこの成果にもかかわらず、これまでのところ、検査室環境におけるデバイスの設置または登録の自動化を可能にする解決策は存在しない。検査室環境は、とりわけ医療デバイスの厳密に規制された環境であり、患者の検査結果に影響を及ぼす。例えば、検査室は、認定のために作業プロセスを文書化する必要がある。しかしながら、変更が適切に報告または文書化されない場合があり、あるいは複数のシステムコンポーネント(例えば、10よりも多数)が、それらの共通の目的を果たすために協働する必要がある場合がある。これにより、手作業による設定によってエラーが導入される可能性がある。
【0013】
欧州特許出願公開第3 451 253号明細書が、検査室機器および検査室情報システムを備える検査室システムを動作させるための方法を記載している。本方法は、検査室機器を機器クラスタにグループ化し、機器クラスタにクラスタマネージャを提供するステップを含み、複数の検査室機器が、それらの機器リソース記述を公開し、各々のクラスタマネージャは、クラスタリソースの在庫を維持し、機器クラスタの処理能力のリストを公開し、検査室情報システムは、機器クラスタに検査オーダの処理を割り当て、各々のクラスタマネージャは、クラスタリソースの在庫を考慮して、検査室情報システムからの検査オーダに対応する検査室機器のリソースを割り当て、各々の検査室機器は、クラスタマネージャによって指示されるように生物学的試料について処理ステップを実行する。
【0014】
解決すべき課題
したがって、上述の技術的課題に少なくとも部分的に対処する検査室システムのためのコンピュータ実装方法および通信ネットワークを提供することが望ましい。具体的には、検査室システムに登録されるデバイスの設置時のエラーを低減し、検査室システムに登録されるデバイスの設置時の手作業を低減することを可能にする方法およびシステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0015】
この課題は、独立請求項の特徴を有する検査室システムのためのコンピュータ実装方法および通信ネットワークによって対処される。単独の様相で実現されても、任意の組み合わせで実現されてもよい好都合な実施形態が、従属請求項ならびに明細書全体に挙げられる。
【0016】
以下で使用されるとき、「・・・を有する(have)」、「・・・を備える(comprise)」、または「・・・を含む(include)」という用語、あるいはこれらの任意の文法的変形は、非排他的なやり方で用いられる。したがって、これらの用語は、この文脈において説明されているエンティティに、これらの用語によって導入される特徴以外のさらなる特徴が存在しない状況、および1つまたは複数のさらなる特徴が存在する状況の双方を指すことがある。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現は、B以外に他の要素がAに存在しない状況(すなわち、AがBのみから排他的に構成される状況)、ならびにB以外にエンティティAに要素C、要素CおよびD、あるいはまたさらなる要素などの1つまたは複数のさらなる要素が存在する状況の両方を指す場合がある。
【0017】
さらに、特徴または要素が1回または2回以上存在してもよいことを示す「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という用語あるいは同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を紹介するときに1回だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素に言及するときに、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」という表現を、それぞれの特徴または要素が1回または2回以上存在してもよいという事実にもかかわらず、繰り返さない。
【0018】
さらに、以下で使用されるとき、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「とくには」、「より詳しくは」、「具体的には」、「より具体的には」、または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意による特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意による特徴であり、特許請求の範囲の技術的範囲をいかなるやり方でも限定することを意図していない。本発明は、当業者であれば理解できるとおり、代替の特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関していかなる制限も伴わず、本発明の範囲に関していかなる制限も伴わず、そのようなやり方で導入される特徴を本発明の他の任意の特徴または任意ではない特徴と組み合わせる可能性に関していかなる制限も伴わない任意による特徴であるように意図される。
【0019】
本発明の第1の態様において、検査室システムにおける少なくとも1つのデバイスの自動登録のコンピュータ実装方法が開示される。
【0020】
本明細書において使用されるとき、「コンピュータ実装方法」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/または少なくとも1つのコンピュータネットワークが関与する方法を指し得る。コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークは、本発明による方法の方法ステップのうちの少なくとも1つを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備え得る。具体的には、方法ステップの各々が、コンピュータおよび/またはコンピュータネットワークによって実行される。本方法は、完全に自動的に、具体的には手動の動作および/またはユーザの相互作用を必要とせずに実行されてよい。
【0021】
本明細書において使用されるとき、「自動」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての通常かつ慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つのコンピュータおよび/またはコンピュータネットワークおよび/または機械によって、とくには手動の動作および/またはユーザとの相互作用を必要とせずに完全に実施されるプロセスを指し得る。
【0022】
本明細書において使用されるとき、「検査室システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、少なくとも1つの分析器、および/または少なくとも1つの試料、とくには少なくとも1つの生物学的試料を分析するように構成された少なくとも1つの機器などの複数の検査室機器を備える少なくとも1つの環境を指し得る。検査室システムは、対応する測定および制御を行う機会を提供するという意味で、自然科学および/または工学の分野で作業するように構成された場所であってよい。本明細書において使用されるとき、「システム」という用語は、一般に、少なくとも1つの共通のタスクを実行するために相互作用するように構成された相互作用する構成要素の任意の組を指し得る。具体的には、検査室システムの構成要素は、少なくとも1つの検査室タスクを実行するために互いに相互作用し得る。少なくとも2つの構成要素は、独立して取り扱われても、結合または接続可能であってもよい。検査室システムは、具体的には、複数のサンプル、具体的には多数のサンプルを自動的または半自動的に処理するように構成された自動化された検査室システムであってよく、あるいはそのような自動化された検査室システムを備えてもよい。一例として、検査室システムは、自動化された検査室分析器であってよく、あるいは自動化された検査室分析器を備えてもよい。検査室システムを、具体的には、臨床検査室または法医学検査室などの医療検査室の分野、および/または分析検査室などの化学検査室の分野で使用し得る。本明細書で論じられるような変更を伴って本発明の文脈においても使用し得る検査室システムの例示的な実施形態について、例えば国際公開第2015/011274号パンフレット、欧州特許出願公開第3056320号明細書、または欧州特許出願公開第3412603号明細書を参照してもよい。しかしながら、他の検査室システムが使用されてもよい。
【0023】
検査室システムは、複数の検査室デバイスを備える。本明細書において使用されるとき、「検査室デバイス」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、例えば、限定はされないが、検査室システムの一部である任意の装置または装置構成要素または装置部分またはモジュールであってよい。検査室デバイスの少なくともいくつかは、1つまたは複数の試料について1つまたは複数の処理ステップまたはワークフローステップを実行するように動作可能であってよい。処理ステップは、遠心分離、分取、試料分析、などの処理ステップの物理的実行を含み得る。具体的には、検査室デバイスは、少なくとも1つの検査室機器であってよく、あるいは少なくとも1つの検査室機器を備え得る。「検査室機器」という用語は、例えば、前分析機器、後分析機器、および/または分析機器を包含し得る。
【0024】
本明細書で使用されるとき、「試料」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、化学的または生物学的化合物などの物質の分取を指し得る。具体的には、試料は、血液、血清、血漿、尿、唾液のうちの1つまたは複数などの少なくとも1つの生物試料であってよく、あるいはそのような生物試料を含んでよい。これに加え、あるいは代えて、試料は、化学物質または化合物ならびに/あるいは試薬であっても、化学物質または化合物ならびに/あるいは試薬を含んでもよい。
【0025】
試料の分析は、検査室デバイスによる少なくとも1つのワークフローの実行を含み得る。本明細書において使用されるとき、「ワークフロー」という用語は、「処理ワークフロー」とも称されるが、広義の用語であり、当業者にとっての通常かつ慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ワークフローステップまたは処理ステップの集合を指し得る。例えば、ワークフローは、ワークフローステップまたは処理ステップが検査室デバイスによって実行される順序を定義し得る。ワークフロー、とりわけワークフローに関与する検査室デバイス、および/またはワークフローにおける検査室デバイスの順序、および/または検査室システムを通る最適ルート、および/またはそれぞれの検査室デバイスによって実行されるアクションを、ソリューション管理ソフトウェアとも称される管理ソフトウェアによるなど、検査室システムの少なくとも1つの検査室設定およびレイアウトマネージャによって定義し得る。
【0026】
登録された検査室デバイスは、少なくとも1つの通信ネットワークを介して少なくとも部分的に制御可能であってよい。本明細書において使用されるとき、「通信ネットワーク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、相互接続されたノードのグループを指し得る。したがって、通信ネットワークは、ネットワークノードとも呼ばれる複数のノードを含み得る。ここで、ノードは、互いに通信することができ、データおよび/またはコマンドを交換することができるアセンブリを意味すると理解されるべきである。通信ネットワークは、好ましくは、例えば3つ、4つ、またはさらに多くのそのようなネットワークノードなど、3つ以上のそのようなネットワークノードを含む。検査室デバイスは、通信ネットワークのノードであってよい。検査室通信管理ユニットは、通信ネットワークのさらなるノードであってよい。通信ネットワークは、以下でさらに詳細に説明されるように、リモートインフラストラクチャなどのさらなるノードを含み得る。通信ネットワークは、通信ネットワークのノード間の通信のための複数の通信インターフェースを備え得る。制御は、通信および/または設定などのために検査室デバイスに1つまたは複数のパラメータを提供することを含み得る。本明細書において使用されるとき、「少なくとも部分的に」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、検査室デバイスが通信ネットワークを介して完全に制御可能である実施形態、および不具合の場合などに検査室デバイスの少なくともいくつかの機能を制御するために手動タスクが実行される実施形態を指し得る。
【0027】
通信ネットワークは、速度、アクティビティ、トルクなど、それぞれの検査室デバイスが統合されたラボ環境においてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にする少なくとも1つの固有設定パラメータを、登録された検査室デバイスに提供するように構成されてよい。固有設定パラメータは、検査室デバイスの数および/または特定のタスクを実行するように設計された検査室デバイスの数などの検査室システムの条件に合わせて調整されてよく、あるいはそのような条件に依存でき、この場合、ソリューション固有設定パラメータと呼ばれることもある。ソリューション固有設定パラメータの提供を可能にするために、検査室システムのすべての検査室デバイスが、デバイスタイプ、所有権、デバイスバージョン情報、製造情報、デバイスコード、通信プロトコルバージョン、例えば対話の機能のうちの1または複数の情報を含むデータベースなどに登録される必要がある。
【0028】
本明細書において使用されるとき、用語「データベース」は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、一般に記憶され、コンピュータまたはコンピュータシステムから電子的にアクセスされるデータの組織化された集合を指し得る。データベースは、データ記憶装置を備えても、データ記憶装置によって構成されてもよい。データベースは、コンピュータまたはコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを備える少なくとも1つのデータベース管理システムを備えてもよく、ソフトウェアは、例えばデータベースに含まれるデータをキャプチャおよび分析するために、ユーザ、アプリケーション、またはデータベース自体のうちの1または複数との相互作用を可能にする。データベース管理システムは、データベースを管理するための設備をさらに含み得る。したがって、データを含むデータベースは、データに加えて1または複数の関連のアプリケーションも含むデータベースシステムによって構成されてよい。データベースは、リモートデータベースであってよく、さらには/あるいは検査室システムの一部であってよい。
【0029】
本明細書において使用されるとき、「登録」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、デバイスを検査室システムに取り入れるプロセスを指し得る。登録は、登録されるべきデバイスの設定および検査室システムの性能改善を含み得る。登録は、新たなデータベースエントリの生成、登録されるべきデバイスへのソリューション固有設定の提供、デバイスによるソリューション固有設定の確認のうちの1または複数を含み得る。以下でさらに詳細に概説されるように、登録は、登録されたデバイスに含まれるソリューション固有設定が検査室システム内の新たなデバイスの存在に起因して更新される検査室設定をさらに含む。登録されるべきデバイスは、検査室システムにすでに存在するデバイスと区別するために、本明細書において「新たなデバイス」とも呼ばれることもある。
【0030】
登録されるべきデバイスは、少なくとも1つの開封装置、少なくとも1つの搬送システム、少なくとも1つの分析機器、少なくとも1つの再封装置、少なくとも1つの分取装置、少なくとも1つの遠心分離機、少なくとも1つの管ソータ、少なくとも1つの貯蔵ユニット、少なくとも1つのバルク管ローダ、少なくとも1つの管検査ステーション、少なくとも1つの事前分析システムからなる群から選択されるデバイスであってよい。「登録されるべきデバイス」という用語は、システムにおける使用および必要性に応じて構成されてよいデバイス構成要素、例えば標準電源を指し得る。
【0031】
本方法は、とりわけ所与の順序で実行されてよい以下のステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数を1回、または繰り返し実行することも可能である。さらに、方法ステップのうちの2つまたはそれ以上を同時に、または適時に重複して実行することが可能である。本方法は、挙げられていないさらなる方法ステップを含んでもよい。
i) 少なくとも1つの初期化ステップであって、初期化ステップは、登録されるべきデバイスから、デバイス固有情報を、少なくとも1つの検査室通信管理ユニットへと、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して送信することを含む、少なくとも1つの初期化ステップ。
ii) 少なくとも1つのデバイス設定ステップであって、デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニットが、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャにソリューション固有設定を要求することを含み、デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニットによって第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャからソリューション固有設定を受信し、かつ検査室通信管理ユニットから登録されるべきデバイスへと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信することを含み、ソリューション固有設定は、デバイス固有情報および検査室システムに関する設定情報に基づく、少なくとも1つのデバイス設定ステップ。
iii) 少なくとも1つの検査室設定ステップであって、検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定を含む検査室通信管理ユニットからの少なくとも1つのプロンプトを、検査室システムの検査室デバイスへと、それらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信することを含み、更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイスに関する情報と、検査室システムへのデバイスの追加に起因する変更とを含み、検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャへと提供することをさらに含む、少なくとも1つの検査室設定ステップ。
【0032】
本発明は、登録されるべきデバイスの自動登録を可能にし得る。検査室設定の調整が可能であり、自動的なリモート介入、とくにはリモートインフラストラクチャのデータベースの自己メンテナンスが可能である。本発明は、手動登録を減らすことができるように、検査室機器の自動登録を可能にし得る。さらに、検査室機器は、検査室環境内のリモートインフラストラクチャと通信することが可能であってよい。
【0033】
本明細書において使用されるとき、「初期化」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、検査室システムに新たなデバイスが利用可能であることを知らせるプロセスを指し得る。初期化は、新たなデバイスの通信ネットワークとのいわゆる「ハンドシェイク」を含み得る。
【0034】
本明細書において使用されるとき、「通信インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、情報を転送するように構成された境界を形成するアイテムまたは要素を指し得る。とくには、通信インターフェースは、例えば別のデバイスに情報を送信または出力するなどの目的で、例えばコンピュータなどの計算デバイスから情報を転送するように構成されてよい。これに加え、あるいは代えて、通信インターフェースは、例えば情報を受け取るために、例えばコンピュータなどの計算デバイスに情報を転送するように構成されてよい。通信インターフェースは、具体的には、情報を転送または交換するための手段を提供し得る。とくに、通信インターフェースは、例えば、ブルートゥース、NFC、誘導結合、などのデータ転送接続を提供し得る。例として、通信インターフェースは、ネットワークまたはインターネットポート、USBポート、およびディスクドライブのうちの1つまたは複数を備える少なくとも1つのポートであってよく、あるいはそのような少なくとも1つのポートを備えてもよい。例えば、通信インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースであってよい。例えば、通信ネットワークのノードは、インターネットを介して通信するように構成されてよい。通信ネットワークは、複数の通信インターフェースを備えてもよい。通信インターフェースは、同一の設計であっても、異なる設計であってもよい。「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、本明細書において名前として使用される。通信インターフェースを介したデータ転送は、例えば少なくとも1つのリファレンスUSBインターフェースを使用することにより、とくにはバージョン監視を含み、さらには/あるいは後方互換性を有し、経時的に強化される独自のプロトコルとして実装されてもよい。
【0035】
本明細書において使用されるとき、「検査室通信管理ユニット」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、検査室デバイス間および/またはリモートインフラストラクチャなどの少なくとも1つのリモートデバイスとの通信を提供するように構成され、かつ/または検査室デバイスの役割分布を決定および/または定義するなど、検査室システムを管理するように構成された任意のユニットを指し得る。検査室通信管理ユニットは、ミドルウェアとして設計されてよい。本明細書において使用されるとき、「ミドルウェア」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、コンピュータのオペレーティングシステムのレベルよりも上の異なるアプリケーションプログラム間の通信のためのプラットフォームおよびインターフェースを提供するコンピュータソフトウェアを指し得る。
【0036】
検査室通信管理ユニットを、データおよび/またはコマンドの交換などのために検査室デバイスと通信するように構成し得る。検査室通信管理ユニットを、WLAN、Bluetooth、およびNFCなどによって検査室デバイスと無線で通信するように構成し得る。検査室通信管理ユニットは、検査室デバイス側と、例えばリモートインフラストラクチャによって所有されるバックエンドリソースとの間に配置されてよい。
【0037】
検査室通信管理ユニットは、検査室設定およびレイアウトマネージャを備え得る。検査室設定およびレイアウトマネージャは、ソリューション管理ソフトウェアとして具現化されてよい。例えば、検査室設定およびレイアウトマネージャは、RocheのCOBAS INFINITY(登録商標)というソリューションによって実現されてよい。
【0038】
本明細書において使用されるとき、「デバイス固有情報」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、登録されるべきデバイスを識別するための情報、ならびに/あるいは機能特性、エンティティ特性、などのうちの1または複数などの登録されるべきデバイスの特性であってよい。デバイス固有情報は、可能な動作パラメータの範囲などのデバイスの特徴セットに関係し得る。デバイス固有情報は、バージョン情報、製造情報、所有権情報、ソフトウェアバージョンに関する情報、デバイスコードのうちの1または複数を含み得る。デバイスコードは、FIN=SCIN(システム構成要素識別番号)に相当し得る。デバイスコードは、使用の目的に関係し得る。例えば、デバイス固有情報は、デバイスの機能に関係し得る。デバイス固有情報は、登録されるべきデバイスに予めロードされてよい。例えば、デバイス固有情報は、製造業者のサイトに予めロードされていてもよい。これに加え、あるいは代えて、デバイス固有情報を、登録されるべきデバイスの初期セットアップの最中など、登録されるべきデバイスの少なくとも1つの設置ステップの最中に取得されてもよい。
【0039】
デバイス固有情報は、少なくとも1つのメッセージを含んでもよく、あるいは少なくとも1つのメッセージの形態で送信され得る。例えば、新たな機器またはモジュールが、通信ネットワークに最初に差し込まれるときに、通信ネットワークとのハンドシェイクのためのメッセージを送出し得る。例えば、新たなデバイスが開封装置の場合、登録されるべきデバイスは、例えば「私は企業Xのデバイスであり、このデバイスコードを持っています」と述べるハンドシェイクを送信してもよく、デバイスコードは、開封装置として機能するという目的に対応させてもよい。
【0040】
初期化ステップは、検査室通信管理ユニットが、登録されるべきデバイス上に存在するソフトウェアバージョンを更新する必要があるかどうかを判断し、検査室通信管理ユニットによって必要であると判断された場合にソフトウェアバージョンを更新することを含み得る。初期化ステップは、デバイスの必要なソフトウェア更新を収集し、インストールし、かつ確認することを含み得る。ソフトウェアに加えて、デバイスのファームウェアを、必要な更新に関してチェックし、必要に応じて更新し得る。例えば、開封装置の場合に、この開封装置について利用可能なソフトウェアおよび/またはファームウェアのバージョン、および更新の必要性の有無がチェックされる。
【0041】
とくには、デバイスのソフトウェアおよびファームウェアについて、更新があれば完了させた後に、デバイス設定ステップが実行される。
【0042】
本明細書において使用されるとき、「デバイス設定ステップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、登録されるべきデバイスを既存の検査室システムに合わせて適応させ、かつ/または調整するプロセスを指し得る。
【0043】
本明細書において使用されるとき、「構成」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、動作パラメータなどの少なくとも1つの検査室デバイスの少なくとも1つのパラメータセットを指し得る。
【0044】
本明細書において使用されるとき、「リモートインフラストラクチャ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとっての一般的かつ普通の意味が与えられるべきであり、特殊な意味または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、データを記憶し、かつ/またはデータを処理し、かつ/またはデータを管理するように構成された少なくとも1つのリモートシステムを指し得る。リモートインフラストラクチャは、データベースおよびファイルサーバなどのバックエンドリソースを備え得る。リモートインフラストラクチャを、例えばサービスタスクなどを提供するためのさらなるタスクのために構成し得る。リモートインフラストラクチャは、少なくとも1つの処理ユニット、少なくとも1つのライブラリなどの少なくとも1つのデータベース、例えばデータベースに含まれるデータをキャプチャおよび分析するためにユーザ、アプリケーション、またはデータベース自体のうちの1または複数との相互作用を可能にするフトウェアを備える少なくとも1つのデータベース管理システムのうちの1または複数を備え得る。データベース管理システムは、データベースを管理するための設備をさらに含み得る。
【0045】
デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニット、とくにはミドルウェアが、デバイス固有情報に基づいて、第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャにソリューション固有設定を要求することを含む。検査室通信管理ユニットとリモートインフラストラクチャとの間の通信は、インターネットを介して実行されてもよい。リモートインフラストラクチャを、デバイス固有情報を受信するように構成し得る。デバイス設定ステップは、リモートインフラストラクチャのデータベースにアクセスすることを含み得る。データベースは、検査室システムに関する設定情報を含み得る。例えば、データベースは、検査室システムにすでに存在するすべての検査室デバイス、とくにはそれらの実際の設定および/または可能な動作パラメータの範囲などの可能な設定に関する情報を含み得る。データベースは、試料スループット、ワークフロー、環境条件、通信プロトコル、などの検査室システムに関する他の設定情報を含み得る。リモートインフラストラクチャは、デバイス固有情報および検査室システムに関する設定情報を考慮してソリューション固有設定を生成するように構成されてよい。例えば、リモートインフラストラクチャは、デバイス固有情報および検査室システムに関する設定情報を入力として有する少なくとも1つの最適化問題を解くことによって、ソリューション固有設定を決定するように構成されてよい。例えば、デバイス設定ステップは、検査室システムに関する設定情報を考慮してリモートインフラストラクチャのデータベースにアクセスし、データベースから通信プロトコルの情報を取り出すことを含み得る。
【0046】
本明細書において使用されるとき、「ソリューション固有設定」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、デバイス固有情報および検査室システムに関する設定情報に鑑みたデバイスの特徴セットのパラメータのセットを指し得る。ソリューション固有設定は、デバイスを登録するための少なくとも1つの命令および/または少なくとも1つのプロンプトの形態で提供されてよい。ソリューション固有設定は、少なくとも1つのデバイス通信プロトコル、速度情報、少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータなどの設定情報のうちの1または複数を含み得る。デバイス固有設定パラメータは、デバイスが検査室システムにおいてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にし得る。例えば、ソリューション固有設定は、限界までプッシュし、あるいは60%の性能の範囲内にとどまるなどの必要な速度情報、例えば特定のトルクで試料を2回回転させるなど、試料の開封をどのように処理するかの設定、および/またはコンプライアンスに適合するようにこの検査室タイプまたは国で使用されるデバイス通信プロトコルをどのように定義するかの設定のうちの1または複数を含み得る。ミドルウェアなどの検査室通信管理ユニットは、この検査室タイプ全体について設定された最良の性能および動作を可能にするように、登録されるべきデバイスにソリューション固有設定を提供し、共有し得る。
【0047】
本明細書において使用されるとき、「ソリューション」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、特定の検査室環境のための検査室デバイスへの役割の分配を指し得る。「ソリューション」という用語は、各々の検査室デバイスおよび/または特定のワークフローに関与する検査室デバイスの動作パラメータなどのパラメータ設定を包含し得る。「ソリューション」という用語は、特定の検査室タイプまたは国のための少なくとも1つの通信プロトコルを包含し得る。
【0048】
検査室通信管理ユニットは、第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャからソリューション固有設定を受信し、検査室通信管理ユニットから登録されるべきデバイスへと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信する。デバイス設定ステップは、登録されるべきデバイスによってソリューション固有設定を確認することをさらに含み得る。本明細書において使用されるとき、「ソリューション固有設定を確認する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ソリューション固有設定の受信を知らせ、かつ/または登録されるべきデバイスを受信したソリューション固有設定に従って適応させ、かつ/または調整することを指し得る。
【0049】
ステップi)およびステップii)は、デバイス固有情報に応じて異なるレベルに従ってもよい。例えば、第1のレベルは、検査室通信管理ユニットおよびリモートインフラストラクチャへのデバイス固有情報の登録を含み得る。第2のレベルは、デバイスのソフトウェア更新を収集し、インストールし、かつ確認することを含み得る。第3のレベルは、デバイスが通信プロトコル固有情報を受信し、それらを日常的な使用のために取り入れることを含み得る。第4のレベルは、デバイスが検査室システムにおいてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にするための少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータを受信することを含み得る。
【0050】
本明細書において使用されるとき、「検査室設定ステップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、新たなデバイスの存在に関して検査室システムの検査室デバイスを適応させ、かつ/または調整するプロセスを指し得る。
【0051】
検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定に応じて、検査室システムの性能および/または検査室デバイスの性能を適応させることを含み得る。本発明は、ステップi)およびステップii)を介して検査室システムに追加されたデバイス、およびソリューション全体の「反応」、とくには他の検査室デバイスの全体的性能または性能の適応をトリガするソリューション内の結果としての能力を提案し得る。検査室デバイスの全体的性能または性能を、新たなデバイスに鑑みてバランスさせ得る。例えば、第2の開封装置が設置される場合、必要な試料スループットを、2つの既存の開封装置間で自動的に共有し得る。例えば、例えばスリープモードをトリガしてグリーニングを強化し、したがってフットプリントを減らすことが可能であってよい。
【0052】
検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定を含むプロンプトを検査室通信管理ユニットから検査室システムの検査室デバイスへとそれぞれの通信インターフェースを介して送信することを含む。本明細書において使用されるとき、「検査室デバイスへのプロンプト」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、入力を行うようにとの検査室デバイスへの要求を指し得る。この入力は、それぞれの検査室デバイスの設定の適応および/または調整をもたらし得る。検査室設定ステップは、検査室デバイスによる更新後ソリューション固有設定の確認をさらに含み得る。確認後、検査室デバイスは、更新後ソリューション固有設定で動作および/または作業し、かつ/または更新後ソリューション固有設定に基づいて動作および/または作業し得る。
【0053】
本明細書において使用されるとき、「更新後ソリューション固有設定」という用語は、広義の用語であり、当業者にとってのその通常の慣習的な意味が与えられるべきであり、特殊または特別な意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定はされないが、ステップi)およびステップii)を介して登録されたデバイスを考慮する以前のソリューション固有設定の変更および/または適応に関する情報を指し得る。検査室通信管理ユニットは、ステップii)においてリモートインフラストラクチャから受信したソリューション固有設定を考慮して、他の検査室デバイスの以前のソリューション固有設定を更新し得る。検査室通信管理ユニット、とくにはミドルウェアは、更新後ソリューション固有設定をソリューション内の他の検査室デバイスへと送出してもよく、ソリューションは、新たに設置されたデバイス、およびこれが他のデバイスまたはソリューションレベルのパラメータに及ぼし得る変化を考慮する。更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイスに関する情報と、検査室システムへのこのデバイスの追加に起因する変更とを含む。
【0054】
検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャへと提供することをさらに含む。これにより、リモートインフラストラクチャのデータベースを確実に最新にして、後続の登録におけるさらなるデバイスの統合を可能にし得る。
【0055】
本発明は、具体的には、単なる検査室のデバイス間の通信の保証を超越する。本発明は、とくには、検査室デバイス間で特定のコンテンツを通信することで、デバイスの自動設定および位置特定を可能にするとともに、新たなデバイスの設置の結果としてのソリューションレベルにおける設定更新を促すことを提案する。例えば、米国特許第7,535,854号明細書とは対照的に、新たなデバイスの設定は、検査室環境におけるソリューションの少なくとも1つのパラメータに依存する。より具体的なアイテムを考慮することができ、標準的な命名を適用し得る。例えば、検査室デバイスの所有者が異なる場合に、所有権を共有することができる。受信した情報を使用することができ、動作はそれに基づくことができる。同様に、米国特許出願公開第2005/0149283号明細書に関して、本発明は、とくには、単なる登録を超越する。それは、ソリューション内に設置された構成要素に基づく設定および性能改善に関する。本発明は、とくには、新たなデバイスが検査室に存在する他のデバイスに従って設定されるだけでなく、デバイスの追加が他のデバイスの設定にも影響を及ぼすワークフローを提案する。欧州特許出願公開第3 451 253号明細書のプロセスを、処理能力が単に追加されるだけでなく、最適化され、試料処理情報が、追加されたデバイスの相互依存性および更新後ソリューション固有設定をもたらすソリューション固有設定を考慮した理想的なソリューション固有設定に基づくことができるため、大幅に改善することができる。これは、設置された検査室システム全体を検討および/または考慮する新たなデバイスの技術的能力の改善された取り入れを可能にし得る。
【0056】
本発明のさらなる態様において、検査室システム用の通信ネットワークが提案される。通信ネットワークは、上記で方法に関して開示された実施形態のいずれか1つによるもの、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるものなど、本発明による方法を実行するように構成される。
【0057】
検査室システムは、少なくとも1つの通信インターフェースを各々が有する複数の検査室デバイスを備え、通信ネットワークは、少なくとも1つの検査室通信管理ユニットを備える。検査室通信管理ユニットは、登録されるべきデバイスから、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して、このデバイスから送信されたデバイス固有情報を受信するように構成される。検査室通信管理ユニットは、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャにソリューション固有設定を要求するように構成される。検査室通信管理ユニットは、第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャからソリューション固有設定を受信し、検査室通信管理ユニットから登録されるべきデバイスへと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信するように構成される。ソリューション固有設定は、検査室システムに関するデバイス固有情報および設定情報に基づく。検査室通信管理ユニットは、更新後ソリューション固有設定を含む少なくとも1つのプロンプトを検査室システムの検査室デバイスへとそれらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信するように構成される。更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイスに関する情報と、検査室システムへのこのデバイスの追加に起因する変更とを含む。検査室通信管理ユニットは、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャへと提供するように構成される。
【0058】
本発明のさらなる態様において、少なくとも1つの通信インターフェースを各々が有する複数の検査室デバイスを備える検査室システムが提案される。検査室システムは、本発明による通信ネットワークをさらに備える。検査室システムの実施形態に関して、上記で方法に関して開示された実施形態のいずれか1つによるもの、および/または以下でさらに詳細に開示される実施形態のいずれか1つによるものなど、本発明による方法に関して提示した定義および実施形態が参照される。
【0059】
本明細書において、コンピュータプログラムがさらに開示および提案され、コンピュータプログラムは、コンピュータまたはコンピュータネットワーク上でプログラムが実行され、とくには本発明による通信ネットワークによってプログラムが実行されると、通信ネットワークに本発明による方法を実行させる、本明細書に添付された実施形態のうちの1つまたは複数における本発明による方法を実行するためのコンピュータ実行可能命令を含む。具体的には、コンピュータプログラムは、コンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。
【0060】
本明細書において使用されるとき、「コンピュータ可読データ担体」および「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、具体的には、コンピュータ実行可能命令を格納したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を指し得る。コンピュータ可読データ担体または記憶媒体は、具体的には、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または読み出し専用メモリ(ROM)などの記憶媒体であってよく、あるいは、そのような記憶媒体を含み得る。
【0061】
したがって、具体的には、上記で示した方法ステップi)~ステップiii)のうちの1つ、複数、またはすべてでさえ、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用し、好ましくはコンピュータプログラムを使用することによって、実施され得る。
【0062】
本明細書において、コンピュータプログラム製品がさらに開示および提案され、コンピュータプログラム製品は、プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に含まれる実施形態のうちの1つまたは複数における本発明による方法を実行するために、プログラムコード手段を有している。具体的には、プログラムコード手段は、コンピュータ可読データ担体および/またはコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。
【0063】
コンピュータまたはコンピュータネットワークの作業メモリまたはメインメモリなど、コンピュータまたはコンピュータネットワークへとロードされた後に、本明細書に開示される実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行し得るデータ構造を格納したデータ担体が、本明細書においてさらに開示および提案される。
【0064】
プログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行されると、本明細書に開示の実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行するために、プログラムコード手段を機械可読担体上に格納して有するコンピュータプログラム製品が、本明細書においてさらに開示および提案される。本明細書において使用されるとき、コンピュータプログラム製品は、取引可能な製品としてのプログラムを指す。製品は、一般に、紙フォーマットなどの任意のフォーマットで存在でき、あるいはコンピュータ可読データ担体上および/またはコンピュータ可読記憶媒体上に存在できる。とくには、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを介して配布されてもよい。
【0065】
最後に、本明細書に開示の実施形態のうちの1つまたは複数による方法を実行するためのコンピュータシステムまたはコンピュータネットワークによって読み取り可能な命令を含む変調データ信号が、本明細書に開示および提案される。
【0066】
コンピュータによって実現される本発明の態様に関して、本明細書に開示の実施形態のうちの1つまたは複数による方法の方法ステップのうちの1つまたは複数またはすべての方法ステップを、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行し得る。したがって、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれかを、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することによって実行し得る。一般に、これらの方法ステップは、典型的には試料の提供および/または実際の測定を実行する特定の態様などの手作業を必要とする方法ステップを除いて、任意の方法ステップを含み得る。
【0067】
具体的には、本明細書において、以下がさらに開示される。
- 少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適応されたコンピュータまたはコンピュータネットワーク。
- コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適応されたコンピュータロード可能データ構造。
- コンピュータ上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適応されたコンピュータプログラム。
- コンピュータプログラムがコンピュータ上またはコンピュータネットワーク上で実行されているときに本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム。
- 先行の実施形態に記載のプログラム手段をコンピュータにとって読み取り可能な記憶媒体上に格納して備えているコンピュータプログラム。
- データ構造を格納しており、データ構造は、コンピュータまたはコンピュータネットワークの主記憶部および/または作業記憶部にロードされた後に本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法を実行するように適応された記憶媒体。
- 記憶媒体上に格納可能または格納されたプログラムコード手段を有しており、プログラムコード手段がコンピュータまたはコンピュータネットワーク上で実行された場合に、本明細書に記載の実施形態のうちの1つによる方法が実行されるコンピュータプログラム製品。
【0068】
要約すると、さらなる可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定され得る。
【0069】
実施形態1.複数の検査室デバイスを備えている検査室システムにおける少なくとも1つのデバイスの自動登録のコンピュータ実装方法であって、以下のステップ:
i) 少なくとも1つの初期化ステップであって、初期化ステップは、登録されるべきデバイスから、デバイス固有情報を、少なくとも1つの検査室通信管理ユニットへと、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して送信することを含む、少なくとも1つの初期化ステップと、
ii) 少なくとも1つのデバイス設定ステップであって、デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニットが、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャにソリューション固有設定を要求することを含み、デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニットによって第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャからソリューション固有設定を受信し、かつ検査室通信管理ユニットから登録されるべきデバイスへと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信することを含み、ソリューション固有設定は、デバイス固有情報および検査室システムに関する設定情報に基づく、少なくとも1つのデバイス設定ステップと、
iii) 少なくとも1つの検査室設定ステップであって、検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定を含む検査室通信管理ユニットからの少なくとも1つのプロンプトを、検査室システムの検査室デバイスへと、それらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信することを含み、更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイスに関する情報と、検査室システムへのデバイスの追加に起因する変更とを含み、検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャへと提供することをさらに含む、少なくとも1つの検査室設定ステップと
を含む、方法。
【0070】
実施形態2.登録されるべきデバイスは、少なくとも1つの開封装置、少なくとも1つの搬送システム、少なくとも1つの分析機器、少なくとも1つの再封装置、少なくとも1つの分取装置、少なくとも1つの遠心分離機、少なくとも1つの管ソータ、少なくとも1つの貯蔵ユニット、少なくとも1つのバルク管ローダ、少なくとも1つの管検査ステーション、少なくとも1つの事前分析システムからなる群から選択されるデバイスである、先行の実施形態に記載の方法。
【0071】
実施形態3.デバイス固有情報は、バージョン情報、製造情報、所有権情報、ソフトウェアバージョンに関する情報、デバイスコード、通信プロトコルバージョンのうちの1または複数を含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
実施形態4.ステップi)は、検査室通信管理ユニットが、デバイス上に存在するソフトウェアバージョンの更新の要否を判断し、検査室通信管理ユニットによって必要であると判断された場合に、ソフトウェアバージョンを更新することを含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
実施形態5.ソリューション固有設定は、少なくとも1つのデバイス通信プロトコル、速度情報、少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータなどの設定情報のうちの1または複数を含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
実施形態6.ステップi)およびステップii)は、デバイス固有情報に応じて異なるレベルに従い、第1のレベルは、検査室通信管理ユニットおよびリモートインフラストラクチャにデバイス固有情報を登録することを含み、第2のレベルは、デバイスのソフトウェア更新を収集し、インストールし、かつ確認することを含み、第3のレベルは、デバイスが通信プロトコル固有情報を受信し、日常的な使用のために取り入れることを含み、第4のレベルは、デバイスが検査室システムにおいてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にするための少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータを受信することを含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0075】
実施形態7.検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定に応じて検査室システムの性能および/または検査室デバイスの性能を適応させることを含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
実施形態8.デバイス設定ステップは、登録されるべきデバイスによってソリューション固有設定を確認することをさらに含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0077】
実施形態9.検査室設定ステップは、検査室デバイスによって更新後ソリューション固有設定を確認することをさらに含む、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
実施形態10.検査室通信管理ユニットは、検査室デバイスと通信するように構成される、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
実施形態11.検査室通信管理ユニットは、検査室デバイスと無線で通信するように構成される、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態12.検査室通信管理ユニットは、ミドルウェアとして設計される、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
実施形態13.検査室システムのための通信ネットワークであって、通信ネットワークは、先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行するように構成され、検査室システムは、少なくとも1つの通信インターフェースを各々が有する複数の検査室デバイスを備え、通信ネットワークは、少なくとも1つの検査室通信管理ユニットを備え、検査室通信管理ユニットは、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して、登録されるべきデバイスから送信されるこのデバイスからのデバイス固有情報を受信するように構成され、検査室通信管理ユニットは、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャにソリューション固有設定を要求するように構成され、検査室通信管理ユニットは、第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャからソリューション固有設定を受信し、ソリューション固有設定を第1の通信インターフェースを介して検査室通信管理ユニットから登録されるべきデバイスへと送信するように構成され、ソリューション固有設定は、デバイス固有情報および検査室システムに関する設定情報に基づいて、検査室通信管理ユニットは、更新後ソリューション固有設定を含む少なくとも1つの要求を、検査室システムの検査室デバイスへと、それらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信するように構成され、更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイスに関する情報と、デバイスの検査室システムへの追加に起因する変更とを含み、検査室通信管理ユニットは、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャへと提供するように構成される、通信ネットワーク。
【0082】
実施形態14.少なくとも1つの通信インターフェースを各々が有する複数の検査室デバイスを備える検査室システムであって、先行の実施形態に記載の通信ネットワークをさらに備える、検査室システム。
【0083】
実施形態15.命令を含むコンピュータプログラムであって、命令は、プログラムが実施形態13に記載の通信ネットワークによって実行されると、通信ネットワークに方法に関する先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【0084】
実施形態16.命令を含むコンピュータ可読記憶媒体であって、命令は、プログラムが実施形態13に記載の通信ネットワークによって実行されると、通信ネットワークに方法に関する先行の実施形態のいずれか1つに記載の方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【図面の簡単な説明】
【0085】
さらなる任意による特徴および実施形態が、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてさらに詳細に開示される。ここで、それぞれの任意による特徴は、当業者であれば理解できるとおり、独立した様相で実現されても、任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって限定されるわけではない。実施形態は、図面に概略的に示されている。ここで、これらの図における同一の参照番号は、同一または機能的に同等の要素を指している。
【0086】
【
図1】本発明による方法の例示的な実施形態のフローチャートを示している。
【
図2】本発明による通信ネットワークの例示的な実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1が、検査室システム112において少なくとも1つのデバイス110を自動登録する本発明によるコンピュータ実装方法の例示的な実施形態のフローチャートを示している。
図2が、本発明による検査室システム112の通信ネットワーク114の例示的な実施形態を示している。検査室システム112は、複数の検査室デバイス116を備える。
【0088】
本方法は、とりわけ所与の順序で実行されてよい以下のステップを含む。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、方法ステップのうちの1つまたは複数を1回、または繰り返し実行することも可能である。さらに、方法ステップのうちの2つまたはそれ以上を同時に、または適時に重複して実行することが可能である。本方法は、記載されないさらなる方法ステップを含んでもよい。
【0089】
本方法は、以下のステップ:
i) 少なくとも1つの初期化ステップ(参照番号118で示される)であって、初期化ステップは、登録されるべきデバイス110から、デバイス固有情報を、少なくとも1つの検査室通信管理ユニット120へと、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して送信すること(矢印122で示される)を含む、少なくとも1つの初期化ステップ(参照番号118で示される)と、
ii) 少なくとも1つのデバイス設定ステップ(参照番号124で示される)であって、デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニット120が、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、少なくとも1つのリモートインフラストラクチャ126にソリューション固有設定を要求すること(矢印128で示される)を含み、デバイス設定ステップは、検査室通信管理ユニット120によって第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャ126からソリューション固有設定を受信し(矢印130で示される)、かつ検査室通信管理ユニット120から登録されるべきデバイス110へと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信すること(矢印132で示される)を含み、ソリューション固有設定は、デバイス固有情報および検査室システム112に関する設定情報に基づく、少なくとも1つのデバイス設定ステップ(参照番号124で示される)と、
iii) 少なくとも1つの検査室設定ステップ(参照番号134で示される)であって、検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定を含む検査室通信管理ユニット120からの少なくとも1つのプロンプトを、検査室システム112の検査室デバイス116へとそれらのそれぞれの通信インターフェースを介して送信すること(矢印136で示される)を含み、更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイス110に関する情報と、このデバイス110の検査室システム112への追加に起因する変更とを含み、検査室設定ステップは、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャ126へと提供すること(矢印138で示される)をさらに含む、少なくとも1つの検査室設定ステップ(参照番号134で示される)と
を含む。
【0090】
検査室デバイス116は、検査室システム112の一部である装置または装置構成要素または装置部分またはモジュールであってよい。検査室デバイス116の少なくともいくつかは、1つまたは複数の試料について1つまたは複数の処理ステップまたはワークフローステップを実行するように動作可能であってよい。処理ステップは、遠心分離、分取、試料分析、などの処理ステップの物理的実行を含み得る。検査室システム112は、少なくとも1つの分析器、および/または少なくとも1つの試料、とくには少なくとも1つの生物学的試料を分析するように構成された少なくとも1つの機器など、複数の検査室機器140を備えてもよい。検査室機器140は、前分析機器、後分析機器、および/または分析機器であってよい。検査室システム112は、対応する測定および制御を行う機会を提供するという意味で、自然科学および/または工学の分野で作業するように構成された場所であってよい。検査室システム112は、具体的には、複数の試料、とくには多数の試料を自動的または半自動的に処理するように構成された自動化された検査室システムであってよく、あるいはそのような自動化された検査室システムを備えてもよい。一例として、検査室システム112は、自動化された検査室分析器であってよく、あるいは自動化された検査室分析器を備えてもよい。検査室システム112を、具体的には、臨床検査室または法医学検査室などの医療検査室の分野、および/または分析検査室などの化学検査室の分野で使用し得る。
【0091】
試料は、化学的または生物学的化合物などの物質の分取であってよい。具体的には、試料は、血液、血清、血漿、尿、唾液のうちの1つまたは複数などの少なくとも1つの生物試料であってよく、あるいはそのような生物試料を含んでよい。これに加え、あるいは代えて、試料は、化学物質または化合物ならびに/あるいは試薬であっても、化学物質または化合物ならびに/あるいは試薬を含んでもよい。試料の分析は、検査室デバイス116による少なくとも1つのワークフローの実行を含み得る。ワークフロー、とりわけワークフローに関与する検査室デバイス116、および/またはワークフローにおける検査室デバイス116の順序、および/または検査室システム112を通る最適ルート、および/またはそれぞれの検査室デバイス116によって実行されるアクションを、ソリューション管理ソフトウェアとも称される管理ソフトウェアによるなど、検査室システムの少なくとも1つの検査室設定およびレイアウトマネージャ142によって定義し得る。
【0092】
登録された検査室デバイス116は、少なくとも1つの通信ネットワーク114を介して少なくとも部分的に制御可能であってよい。通信ネットワーク116は、複数のノードを備え得る。通信ネットワーク116は、好ましくは、例えば3つ、4つ、またはさらに多くのそのようなネットワークノードなど、3つ以上のそのようなノードを備える。検査室デバイス116は、通信ネットワークのノードであってよい。検査室通信管理ユニット120は、通信ネットワーク116のさらなるノードであってよい。通信ネットワークは、リモートインフラストラクチャ126などのさらなるノードを備え得る。通信ネットワーク116は、通信ネットワーク116のノード間の通信のための複数の通信インターフェースを備え得る。制御は、通信および/または設定などのために検査室デバイス116に1つまたは複数のパラメータを提供することを含み得る。
【0093】
通信ネットワーク116は、速度、アクティビティ、およびトルクなど、それぞれの検査室デバイス116が統合されたラボ環境においてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にする少なくとも1つの固有設定パラメータを、登録された検査室デバイス116に提供するように構成されてよい。固有設定パラメータは、検査室デバイス116の数および/または特定のタスクを実行するように設計された検査室デバイス116の数などの検査室システム112の条件に合わせて調整されてよく、あるいはそのような条件に依存でき、この場合、ソリューション固有設定パラメータと呼ばれることもある。ソリューション固有設定パラメータの提供を可能にするために、検査室システムのすべての検査室デバイス116が、デバイスタイプ、所有権、デバイスバージョン情報、製造情報、デバイスコード、通信プロトコルバージョン、例えば対話の機能のうちの1または複数の情報を含むデータベース144などに登録される必要がある。
【0094】
データベース144は、一般的には格納され、コンピュータまたはコンピュータシステムから電子的にアクセスされるデータの組織化された集合であっても、そのようなデータの集合を含んでもよい。データベース144は、データ記憶装置を備えても、データ記憶装置によって構成されてもよい。データベース144は、コンピュータまたはコンピュータシステム上で実行されるソフトウェアを備える少なくとも1つのデータベース管理システムを備えてもよく、ソフトウェアは、例えばデータベースに含まれるデータをキャプチャおよび分析するために、ユーザ、アプリケーション、またはデータベース自体のうちの1または複数との相互作用を可能にする。データベース管理システムは、データベースを管理するための設備をさらに含み得る。したがって、データを含むデータベース144は、データに加えて1または複数の関連のアプリケーションも含むデータベースシステムによって構成されてよい。データベース144は、(
図2に示されるような)リモートデータベースであってよく、さらには/あるいは検査室システム112の一部であってよい。
【0095】
デバイス110の登録は、デバイス110を検査室システム112に含ませるプロセスであってよい。登録は、登録されるべきデバイス110の設定および検査室システム112の性能改善を含み得る。登録は、新たなデータベースエントリの生成、登録されるべきデバイス110へのソリューション固有設定の提供、デバイス110によるソリューション固有設定の確認のうちの1または複数を含み得る。登録は、登録されたデバイス116に含まれるソリューション固有設定が検査室システム112内の新たなデバイス110の存在に起因して更新される検査室設定をさらに含む。
【0096】
登録されるべきデバイス110は、少なくとも1つの開封装置、少なくとも1つの搬送システム、少なくとも1つの分析機器、少なくとも1つの再封装置、少なくとも1つの分取装置、少なくとも1つの遠心分離機、少なくとも1つの管ソータ、少なくとも1つの貯蔵ユニット、少なくとも1つのバルク管ローダ、少なくとも1つの管検査ステーション、少なくとも1つの事前分析システムからなる群から選択されるデバイスであってよい。
【0097】
ステップi)における初期化は、新たなデバイス110が検査室システム112にとって利用可能であることを示すプロセスを含み得る。初期化は、通信ネットワーク114との新たなデバイス110のいわゆる「ハンドシェイク」を含み得る。
【0098】
検査室通信管理ユニット120を、検査室デバイス116間および/または少なくとも1つのリモートインフラストラクチャ126との通信を提供するように構成し得る。検査室通信管理ユニット120を、検査室デバイス116の役割分担を決定および/または定義するなど、検査室システム112を管理するように構成し得る。検査室通信管理ユニット120を、ミドルウェア146として設計し得る。検査室通信管理ユニット120を、データおよび/またはコマンドの交換などのために検査室デバイス116と通信するように構成し得る。検査室通信管理ユニット120を、WLAN、Bluetooth、およびNFCなどによって検査室デバイス116と無線で通信するように構成し得る。検査室通信管理ユニット120は、検査室デバイス側と、例えばリモートインフラストラクチャ126によって所有されるバックエンドリソースとの間に配置されてよい。検査室通信管理ユニット120は、検査室設定およびレイアウトマネージャ142を備え得る。検査室設定およびレイアウトマネージャ142は、ソリューション管理ソフトウェアとして具現化されてよい。例えば、検査室設定およびレイアウトマネージャ142は、RocheのCOBAS INFINITY(登録商標)というソリューションによって実現されてよい。
【0099】
デバイス固有情報は、登録されるべきデバイス110を識別するための情報、ならびに/あるいは機能特性、エンティティ特性、などのうちの1または複数などの登録されるべきデバイス110の特性であってよい。デバイス固有情報は、可能な動作パラメータの範囲などのデバイス110の特徴セットに関係し得る。デバイス固有情報は、バージョン情報、製造情報、所有権情報、ソフトウェアバージョンに関する情報、デバイスコード、通信プロトコルバージョン、例えば対話の機能のうちの1または複数を含み得る。デバイスコードは、使用目的に関係し得る。例えば、デバイス固有情報は、デバイス110の機能に関係し得る。デバイス固有情報は、登録されるべきデバイス110に予めロードされてよい。例えば、デバイス固有情報は、製造業者のサイトに予めロードされていてもよい。これに加え、あるいは代えて、デバイス固有情報を、登録されるべきデバイス110の初期セットアップの最中など、登録されるべきデバイス110の少なくとも1つの設置ステップの最中に取得されてもよい。
【0100】
デバイス固有情報は、少なくとも1つのメッセージを含んでもよく、あるいは少なくとも1つのメッセージの形態で送信され得る。例えば、新たな機器またはモジュールが、通信ネットワークに最初に差し込まれるときに、通信ネットワーク114とのハンドシェイクのためのメッセージを送出し得る。例えば、新たなデバイス110が開封装置の場合、登録されるべきデバイス110は、例えば「私は企業Xのデバイスであり、このデバイスコードを持っています」と述べるハンドシェイクを送信してもよく、デバイスコードは、開封装置として機能するという目的に対応させてもよい。
【0101】
初期化ステップ118は、検査室通信管理ユニット120が、登録されるべきデバイス110上に存在するソフトウェアバージョンを更新する必要があるかどうかを判断し、検査室通信管理ユニット120によって必要であると判断された場合にソフトウェアバージョンを更新することを含み得る。初期化ステップ118は、デバイス110の必要なソフトウェア更新を収集し、インストールし、かつ確認することを含み得る。ソフトウェアに加えて、デバイス110のファームウェアを、必要な更新に関してチェックし、必要に応じて更新し得る。例えば、開封装置の場合に、この開封装置について利用可能なソフトウェアおよび/またはファームウェアのバージョン、および更新の必要性の有無がチェックされる。
【0102】
とくには、デバイス110のソフトウェアおよびファームウェアについて、更新があれば完了させた後に、デバイス設定ステップ124が実行される。
【0103】
デバイス設定ステップ124は、登録されるべきデバイス110を既存の検査室システム112に合わせて適応させ、かつ/または調整するプロセスを含み得る。
【0104】
リモートインフラストラクチャ126は、データを記憶し、かつ/またはデータを処理し、かつ/またはデータを管理するように構成された少なくとも1つのリモートシステムであってよく、あるいはそのようなリモートシステムを備えてもよい。リモートインフラストラクチャ126は、データベースおよびファイルサーバなどのバックエンドリソースを備えてもよい。リモートインフラストラクチャ126を、例えばサービスタスクなどを提供するためのさらなるタスクのために構成し得る。リモートインフラストラクチャ126は、少なくとも1つの処理ユニット、少なくとも1つのライブラリなどの少なくとも1つのデータベース、例えばデータベースに含まれるデータをキャプチャおよび分析するためにユーザ、アプリケーション、またはデータベース自体のうちの1または複数との相互作用を可能にするフトウェアを備える少なくとも1つのデータベース管理システムのうちの1または複数を備えてよい。データベース管理システムは、データベースを管理するための設備をさらに含み得る。
【0105】
デバイス設定ステップ124は、検査室通信管理ユニット120、とくにはミドルウェア146が、デバイス固有情報に基づいて、第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャ126にソリューション固有設定を要求すること(矢印128によって示される)を含む。検査室通信管理ユニット120とリモートインフラストラクチャ126との間の通信は、インターネットを介して実行されてもよい。リモートインフラストラクチャ126を、デバイス固有情報を受信するように構成し得る。デバイス設定ステップ124は、リモートインフラストラクチャ126のデータベース144にアクセスすることを含み得る。データベース126は、検査室システム112に関する設定情報を含み得る。例えば、データベース144は、検査室システム112にすでに存在するすべての検査室デバイス116、とくにはそれらの実際の設定および/または可能な動作パラメータの範囲などの可能な設定に関する情報を含み得る。データベース144は、試料スループット、ワークフロー、環境条件、通信プロトコル、などの検査室システム112に関する他の設定情報を含み得る。リモートインフラストラクチャ126は、デバイス固有情報および検査室システム112に関する設定情報を考慮してソリューション固有設定を生成するように構成されてよい。例えば、リモートインフラストラクチャ126は、デバイス固有情報および検査室システム112に関する設定情報を入力として有する少なくとも1つの最適化問題を解くことによって、ソリューション固有設定を決定するように構成されてよい。例えば、デバイス設定ステップ124は、検査室システム112に関する設定情報を考慮してリモートインフラストラクチャ126のデータベース144にアクセスし、データベース144から通信プロトコルの情報を取り出すことを含み得る。
【0106】
ソリューション固有設定は、デバイス固有情報および検査室システム112に関する設定情報に鑑みたデバイス110の特徴セットのパラメータのセットであってよく、あるいはそのようなパラメータのセットを含んでよい。ソリューション固有設定は、デバイス110を登録するための少なくとも1つの命令および/または少なくとも1つのプロンプトの形態で提供されてよい。ソリューション固有設定は、少なくとも1つのデバイス通信プロトコル、速度情報、少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータなどの設定情報のうちの1または複数を含み得る。デバイス固有設定パラメータは、デバイス110が検査室システムにおいてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にし得る。例えば、ソリューション固有設定は、限界までプッシュし、あるいは60%の性能の範囲内にとどまるなどの必要な速度情報、例えば特定のトルクで試料を2回回転させるなど、試料の開封をどのように処理するかの設定、および/またはコンプライアンスに適合するようにこの検査室タイプまたは国で使用されるデバイス通信プロトコルをどのように定義するかの設定のうちの1または複数を含み得る。ミドルウェア146などの検査室通信管理ユニット120は、この検査室タイプ全体について設定された最良の性能および動作を可能にするように、登録されるべきデバイス110にソリューション固有設定を提供し、共有し得る(矢印132で示される)。
【0107】
デバイス設定ステップ124は、登録されるべきデバイスによってソリューション固有設定を確認することをさらに含み得る。ソリューション固有設定の確認は、ソリューション固有設定の受信を知らせ、かつ/または登録されるべきデバイス110を受信したソリューション固有設定に従って適応させ、かつ/または調整することを含み得る。
【0108】
ステップi)118およびステップii)124は、デバイス固有情報に応じて異なるレベルに従ってもよい。例えば、第1のレベルは、検査室通信管理ユニット120およびリモートインフラストラクチャ126へのデバイス固有情報の登録を含み得る。第2のレベルは、デバイスのソフトウェア更新を収集し、インストールし、かつ確認することを含み得る。第3のレベルは、デバイス110が通信プロトコル固有情報を受信し、日常的な使用のためにこれらを取り入れることを含み得る。第4のレベルは、デバイス110が検査室システム112においてそれ自体の特徴セットを最適に利用することを可能にするための少なくとも1つのデバイス固有設定パラメータを受信することを含み得る。
【0109】
検査室設定ステップ134は、新たなデバイス110の存在に関して検査室システム112の検査室デバイス116を適応させ、かつ/または調整することを含み得る。検査室設定ステップ134は、更新後ソリューション固有設定に応じて、検査室システム112の性能および/または検査室デバイス116の性能を適応させることを含み得る。本発明は、ステップi)118およびステップii)124を介して検査室システム112に追加されたデバイス110、およびソリューション全体の「反応」、とくには他の検査室デバイス116の全体的性能または性能の適応をトリガするソリューション内の結果としての能力を提案し得る。検査室デバイス116の全体的性能または性能を、新たなデバイス110に鑑みてバランスさせ得る。例えば、第2の開封装置が設置される場合、必要な試料スループットを、2つの既存の開封装置間で自動的に共有し得る。例えば、例えばスリープモードをトリガしてグリーニングを強化し、したがってフットプリントを減らすことが可能であってよい。
【0110】
検査室設定ステップ134は、更新後ソリューション固有設定を含むプロンプトを検査室通信管理ユニット120から検査室システム112の検査室デバイス116へとそれぞれの通信インターフェースを介して送信すること(矢印136で示される)を含む。検査室デバイス116へのプロンプトは、入力を行うようにとの検査室デバイス116への要求であってよく、あるいはそのような要求を含んでもよい。この入力は、それぞれの検査室デバイス116の設定の適応および/または調整をもたらし得る。検査室設定ステップ134は、検査室デバイス116による更新後ソリューション固有設定の確認をさらに含み得る。確認後、検査室デバイス116は、更新後ソリューション固有設定で動作および/または作業し、かつ/または更新後ソリューション固有設定に基づいて動作および/または作業し得る。
【0111】
更新後ソリューション固有設定は、ステップi)118およびステップii)124を介して登録されたデバイスを考慮する以前のソリューション固有設定の変更および/または適応に関する情報であってよく、あるいはそのような情報を含んでもよい。検査室通信管理ユニット120は、ステップii)124においてリモートインフラストラクチャ126から受信したソリューション固有設定を考慮して、他の検査室デバイス116の以前のソリューション固有設定を更新し得る。検査室通信管理ユニット120、とくにはミドルウェア146は、更新後ソリューション固有設定をソリューション内の他の検査室デバイス116へと送出してもよく、ソリューションは、新たに設置されたデバイス110、およびこれが他のデバイス116またはソリューションレベルのパラメータに及ぼし得る変化を考慮する。更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイス110に関する情報と、検査室システム112へのこのデバイス110の追加に起因する変更とを含む。
【0112】
検査室設定ステップ134は、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャ126へと提供すること(矢印138で示される)をさらに含む。これにより、リモートインフラストラクチャ126のデータベース144を確実に最新にして、後続の登録におけるさらなるデバイス110の統合を可能にし得る。
【0113】
図2に示されるとおり、通信ネットワーク114は、登録されるべきデバイス110から、少なくとも1つの第1の通信インターフェースを介して、このデバイス110から送信されたデバイス固有情報を受信するように構成された検査室通信管理ユニット120を備える。検査室通信管理ユニット120は、デバイス固有情報に基づいて、少なくとも1つの第2の通信インターフェースを介して、リモートインフラストラクチャ126にソリューション固有設定を要求するように構成される。検査室通信管理ユニット120は、第2の通信インターフェースを介してリモートインフラストラクチャ126からソリューション固有設定を受信し、検査室通信管理ユニット120から登録されるべきデバイス110へと第1の通信インターフェースを介してソリューション固有設定を送信するように構成される。ソリューション固有設定は、検査室システム112に関するデバイス固有情報および設定情報に基づく。検査室通信管理ユニット120は、更新後ソリューション固有設定を含む少なくとも1つのプロンプトを検査室システム112の検査室デバイス116へとそれぞれの通信インターフェースを介して送信するように構成される。更新後ソリューション固有設定は、登録されるべきデバイス110に関する情報と、検査室システム112へのこのデバイス110の追加に起因する変更とを含む。検査室通信管理ユニット120は、更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャ126へと提供するように構成される。
【符号の説明】
【0114】
110 デバイス
112 検査室システム
114 通信ネットワーク
116 検査室デバイス
118 初期化ステップ
120 検査室通信管理ユニット
122 デバイス固有情報の送信
124 登録されるべきデバイス110からデバイス固有情報を送信
126 リモートインフラストラクチャ
128 ソリューション固有設定を要求
130 ソリューション固有設定を受信
132 検査室通信管理ユニットからデバイスにソリューション固有設定を送信
134 検査室設定ステップ
136 更新後ソリューション固有設定を検査室デバイスに送信
138 更新後ソリューション固有設定をリモートインフラストラクチャに提供
140 検査室機器
142 検査室設定およびレイアウトマネージャ
144 データベース
146 ミドルウェア
【国際調査報告】