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特表2024-521125廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体及び廃棄物によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体及び廃棄物によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20240521BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20240521BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240521BHJP
   C22C 19/07 20060101ALI20240521BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20240521BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20240521BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240521BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20240521BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240521BHJP
   B22F 1/14 20220101ALI20240521BHJP
   B22F 3/02 20060101ALI20240521BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20240521BHJP
   H01F 41/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F1/057 130
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
C22C19/07 E
C22C28/00 A
B22F9/04 C
B22F9/04 D
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
B22F1/05
B22F1/14 500
B22F3/02 R
B22F3/24 B
B22F3/24 K
H01F41/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572058
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2021132075
(87)【国際公開番号】W WO2023087302
(87)【国際公開日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】202111354828.3
(32)【優先日】2021-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516293598
【氏名又は名称】江西金力永磁科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JL MAG RARE-EARTH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 81, West Jinling Road, Development Zone, Ganzhou City, Jiangxi 341000, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 運鵬
(72)【発明者】
【氏名】毛 ▲宗▼尭
(72)【発明者】
【氏名】毛 華雲
(72)【発明者】
【氏名】易 鵬鵬
(72)【発明者】
【氏名】頼 欣
(72)【発明者】
【氏名】徐 志欣
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
5E040
5E062
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017BA06
4K017BB12
4K017BB13
4K017CA06
4K017CA07
4K017DA04
4K017EA03
4K017EA09
4K017EA11
4K017FB02
4K018AA27
4K018BA18
4K018BA20
4K018BB04
4K018BC12
4K018CA04
4K018CA07
4K018CA23
4K018FA08
4K018FA11
4K018KA45
5E040AA04
5E040AA19
5E040BD01
5E040CA01
5E040HB03
5E040HB05
5E040HB11
5E040HB15
5E040HB17
5E040NN01
5E040NN06
5E040NN17
5E040NN18
5E062CD04
5E062CE04
5E062CG01
5E062CG02
5E062CG03
5E062CG05
5E062CG07
(57)【要約】
本発明は、配合合金の廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における使用を提供し、さらに、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法を提供する。本発明は、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造プロセスに使用される特定の組成を有する配合合金を提案する。この特定の組成を有する配合合金は、製品の組成と性能を柔軟に調整して設計要件を満たし、バッチ製品の一貫性を確保し、廃棄焼結磁性体の利用率を向上させるだけでなく、拡散性能の向上にも役立つ。本発明は、廃棄磁性体を溶製せずに直接合金に破砕して希土類リッチな合金と混合できる利用方法を提供し、アルニコ磁石のスクラップのリッチな相の欠陥を解決して磁気性能を大きく向上させ;溶製を行う必要がなく、加工コストを削減すると同時に、溶製添加量に制限されることなく、アルニコ磁石のスクラップ原料の100%の活用を実現することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における、式IIで示される一般式を有する配合合金の使用。
RE-M-T-B II;
(式中、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものである。)
【請求項2】
廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体、第1の合金、及び式IIで示される一般式を有する第2の合金を含む原料から製造して得られることを特徴とする廃棄焼結磁性体から製造されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
RE-M-T-B II;
(式中、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものである。)
【請求項3】
前記第2の合金は、配合合金であり、
前記配合は、成分配合及び/又は性能配合を含み、
前記第2の合金の酸素含有量は、1000ppm未満であり、
前記第2の合金の粒度は、2~5μmである、ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項4】
前記第1の合金は、式Iで示される一般式を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
RE-M-H I;
(式中、80wt%≦x≦97wt%、2.5wt%≦y≦20wt%、0.05wt%≦z≦0.5wt%、且つx+y+z=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Hは、水素元素である。)
【請求項5】
前記第1の合金は、粒界添加相合金であり、
前記第1の合金の酸素含有量は、1000ppm未満であり、
前記第1の合金の粒度は、2mm以下であり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の酸素含有量は、2000ppm未満であり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の粒度は、0.2~2mmである、ことを特徴とする請求項4に記載のネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項6】
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体と第1の合金との質量比は、(90~99):(1~10)であり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体と第1の合金の合計質量と第2の合金の質量比は、(10~95):(90~5)であり、
前記原料は、さらに、酸化防止剤及び/又は潤滑剤を含み、
前記原料は、さらに、表面浸透重希土類元素を含み、
前記重希土類元素は、Dy及び/又はTbを含み、
前記表面浸透重希土類元素は、前記ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の全量に占める含有量が0.2wt%~0.8wt%である、ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム-鉄-ホウ素磁性体。
【請求項7】
1)廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を破砕し、水素化粉砕した後、スクラップ粗粉を得、第1の合金原料を溶製してキャストシート又は鋳塊にした後、さらに、水素化粉砕を経て第1の合金粗粉を得るステップと、
2)前記ステップで得られたスクラップ粗粉と第1の合金粗粉を混合し、粉砕した後、混合細粉を得るステップと、
3)第2の合金粉末と前記ステップで得られた混合細粉とを再度混合した後、混合粉末を得るステップと、
4)前記ステップで得られた混合粉末を配向成形して焼結した後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、
を含むことを特徴とする廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法。
【請求項8】
前記水素化粉砕後の粒度は、2mm以下であり、
前記溶製して鋳造したキャストシートの厚さは、0.1~0.6mmであり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は、同じグレードの磁性体廃棄物又は異なるグレードの磁性体廃棄物を含み、
前記水素化粉砕過程中に、水素吸蔵時間は60~180minであり、水素吸蔵温度は20~300℃であり、
前記水素化粉砕過程中に、水素放出時間は3~7hであり、水素放出温度は550~600℃であり、
前記水素化粉砕後に、さらに、水冷ステップを含み、
前記水冷時間は0.5~3hである、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の合金粗粉の粒度は、0.2~2mmであり、
前記混合ステップで酸化防止剤をさらに加えて混合し、
前記酸化防止剤は、前記混合細粉の質量に占める含有量が0.02%~0.1%であり、
前記第2の合金粉末は、第2の合金原料から溶製、水素化粉砕及び気流粉砕を経て得られ、
前記再度混合ステップでさらに潤滑剤を加えて再度混合し、
前記潤滑剤は、前記混合粉末の質量に占める含有量が0.02%~0.1%であり、
前記混合粉末の粒度は、2~5μmである、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記配向成形は、配向プレス及び静水圧プレス成形ステップを含み、
前記配向成形及び静水圧プレス成形は、具体的には、無酸素または低酸素条件下、配向成形及び静水圧プレス成形を行い、
前記焼結の温度は、1030~1060℃であり、
前記焼結の時間は、6~10hであり、
前記焼結後に、さらに時効処理ステップを含み、
前記時効処理は、第1回の時効処理及び第2回の時効処理を含み、
前記第1回の時効処理の温度は、700~950℃であり、
前記第1回の時効処理の時間は、2~15時間であり、
前記第2回の時効処理の温度は、350~550℃であり、
前記第2回の時効処理の時間は、1~8時間であり、
前記焼結後に、さらに、浸透拡散ステップを含み、
前記浸透拡散ステップは、具体的には、焼結及び時効処理を経った磁性体ブランクの表面に、重希土類を塗布した後、さらに、熱処理を行うことであり、
前記熱処理は、第1回の熱処理及び第2回の熱処理を含み、
前記第1回の熱処理の温度は、850~950℃であり、
前記第1回の熱処理の時間は、5~15時間であり、
前記第2回の熱処理の温度は、450~600℃であり、
前記第2回の熱処理の時間は、3~6時間である、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【相互参照】
【0001】
本願は、2021年11月16日に、中国特許局に出願された出願番号が202111354828.3、発明名称が「廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体及び廃棄物によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全内容は援用により本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、磁性材料製造の技術分野に関し、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用、廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその方法に関し、特に、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用、廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体、及び廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
NdFe14B型化合物を主相とするR-Fe-B型希土類焼結磁石は、すべての磁性材料のうち、最も高性能の永久磁石であり、ハードディスクドライブ用ボイスコイルモーター(VCM)、サーボモーター、インバーターエアコン用モーター、ハイブリッド車用モーターなどに広く用いられていることは周知のとおりである。R-Fe-B型希土類焼結磁石の伝統的な製造方法は、主に、合金の溶製、破砕、プレス、焼結などのプロセスを介して磁性体を作製する。しかし、希土類磁石の大規模な使用に伴い、製造工程や消費者で発生するアルニコ磁石のスクラップがますます増えているため、環境保護だけでなく資源節約にもなる希土類資源のよく効率的なリサイクルは非常に重要である。
従来のプロセスでは、主に廃磁石の表面を洗浄して原料として溶製工程に添加し、廃棄磁性体及び原材料を添加して溶製して新しい合金を製造するが、溶製過程中に一部の燃焼損失をもたらし、多くのスラグを形成して収率に影響を及ぼし、また、アルニコ磁石のスクラップの添加量は非常に限られ、一般的に、20%を超えない。もう一つの方法は、廃棄磁性体を電解精製するであるが、その方法は、通常に希土類のみを抽出するため、他の元素が無駄になる。
従って、如何に、廃棄磁性体のより合理的な利用方法を見つけ、磁性体の損失を減らし、廃棄磁性体の処理能力を高め、廃棄磁性体の成分をより多く利用し、多方向リサイクルの目的を達成するのは、業界内の多くのメーカーや研究者が解決すべき緊急の問題の1つになっている。
【発明の概要】
【0004】
上記状況に鑑みて、本発明によって解決されるべき技術的問題は、磁性体廃棄物のリサイクルへの使用、及び新規な磁性体の製造方法であって、特に、廃棄物によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法を提供することである。本発明では、アルニコ磁石のスクラップは溶製工程を経る必要がなく、アルニコ磁石のスクラップを直接破砕して粉末にし使用するが、直接リサイクルされたアルニコ磁石のスクラップは、粒界相に欠陥があり、且つリサイクル過程中に有機物などの不純物が存在するため、本発明では、第1の合金、第2の合金の配合使用を導入してアルニコ磁石のスクラップのリッチな相の欠陥をよく解決し、磁気特性を大幅に改善し、アルニコ磁石のスクラップ原料の100%利用を実現し、配合合金により、粒界構造がさらに改善され、粒界浸透の効率が向上し、重希土類資源の浪費が削減されると同時に、プロセスが単純であり、大規模な工業生産に適している。
【0005】
本発明は、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用を提供する。
前記配合合金は、式IIで示される一般式を有する。
RE-M-T-B II;
(式中、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものである。)
【0006】
本発明は、廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体であって、廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体、第1の合金及び第2の合金を含む原料から製造して得られたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
前記第2の合金は、式IIで示される一般式を有する。
RE-M-T-B II;
(式中、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものである。)
好ましくは、前記第2の合金は、配合合金であり、
前記配合は、成分配合及び/又は性能配合を含み、
前記第2の合金の酸素含有量は、1000ppm未満であり、
前記第2の合金の粒度は、2~5μmである。
好ましくは、前記第1の合金は、式Iで示される一般式を有する。
RE-M-H I;
(式中、80wt%≦x≦97wt%、2.5wt%≦y≦20wt%、0.05wt%≦z≦0.5wt%、且つx+y+z=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Hは、水素元素である。)
好ましくは、前記第1の合金は、粒界添加相合金であり、
前記第1の合金の酸素含有量は、1000ppm未満であり、
前記第1の合金の粒度は、2mm以下であり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の酸素含有量は、2000ppm未満であり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の粒度は、0.2~2mmであり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体と第1の合金との質量比は、(90~99):(1~10)である。
好ましくは、前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体と第1の合金の合計質量と第2の合金の質量比は、(10~95):(90~5)であり、
前記原料は、さらに、酸化防止剤及び/又は潤滑剤を含み、
前記原料は、さらに、表面浸透重希土類元素を含み、
前記重希土類元素は、Dy及び/又はTbを含み、
前記表面浸透重希土類元素は、前記ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の全量に占める含有量が0.2wt%~0.8wt%である。
【0007】
本発明は、さらに、廃棄焼結磁性体リサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
1)廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を破砕し、水素化粉砕した後、スクラップ粗粉を得、第1の合金原料を溶製してキャストシート又は鋳塊にした後、さらに、水素化粉砕を経て第1の合金粗粉を得るステップと、
2)上記ステップで得られたスクラップ粗粉と第1の合金粗粉とを混合し、粉砕した後、混合細粉を得るステップと、
3)第2の合金粉末と上記ステップで得られた混合細粉とを再度混合した後、混合粉末を得るステップと、
4)上記ステップで得られた混合粉末を配向成形し、焼結した後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
好ましくは、前記水素化粉砕後の粒度は、2mm以下であり
前記溶製して鋳造したキャストシートの厚さは、0.1~0.6mmであり、
前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は、同じグレードの磁性体廃棄物又は異なるグレードの磁性体廃棄物を含み、
前記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は60~180minであり、水素吸蔵温度は20~300℃であり、
前記水素化粉砕過程中、水素放出時間は3~7hであり、水素放出温度は550~600℃であり、
前記水素化粉砕後、さらに、水冷ステップを含み、
前記水冷の時間は、0.5~3hである。
好ましくは、前記第1の合金粗粉の粒度は、0.2~2mmであり、
前記混合ステップでさらに酸化防止剤を加えて混合し、
前記酸化防止剤は、前記混合細粉の質量に占める含有量が0.02%~0.1%であり、
前記第2の合金粉末は、第2の合金原料から溶製、水素化粉砕及び気流粉砕を経て得られるものであり、
前記再度混合ステップでさらに潤滑剤を加えて再度混合し、
前記潤滑剤は、前記混合粉末の質量に占める含有量が0.02%~0.1%であり、
前記混合粉末の粒度は、2~5μmである。
好ましくは、前記配向成形は、配向プレス及び静水圧プレス成形を含み、
前記配向成形及び静水圧プレス成形は、具体的には、無酸素または低酸素条件下で配向成形及び静水圧プレス成形を行い、
前記焼結の温度は、1030~1060℃であり、
前記焼結の時間は、6~10hであり、
前記焼結後、さらに時効処理ステップを含み、
前記時効処理は、第1回の時効処理及び第2回の時効処理を含み、
前記第1回の時効処理の温度は、700~950℃であり、
前記第1回の時効処理の時間は、2~15時間であり、
前記第2回の時効処理の温度は、350~550℃であり、
前記第2回の時効処理の時間は、1~8時間であり、
前記焼結後、さらに、浸透拡散ステップを含み、
前記浸透拡散ステップは、具体的には、焼結及び時効処理を経った磁性体ブランクの表面に重希土類を塗布した後、さらに、熱処理を行うことであり、
前記熱処理は、第1回の熱処理及び第2回の熱処理を含み、
前記第1回の熱処理の温度は、850~950℃であり、
前記第1回の熱処理の時間は、5~15時間であり、
前記第2回の熱処理の温度は、450~600℃であり、
前記第2回の熱処理の時間は、3~6時間である。
【0008】
本発明は、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における、式IIで示される一般式(ここで、RE-M-T-B 式II)を有する配合合金の使用を提供する。さらに、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法を提供する。従来の技術と比較して、本発明は、従来のプロセスにおいて廃棄磁性体を原料として溶製し、一部の燃焼損失、多くのスラグを形成して収率に影響を及ぼし、また、アルニコ磁石のスクラップの添加量は非常に限られる問題が存在する。本発明の研究によれば、そのように廃棄磁性体の表面を洗浄した後、原料として溶製工程に添加し、溶製した合金を水素化粉砕し、気流粉砕して廃棄物の細粉を作製し、重希土類リッチ粉末の添加により再生磁石の保磁力を向上させる。さらに、焼結させて成形しやすいように、希土類リッチ粉末を混入し、廃棄焼結ネオジム-鉄-ホウ素粉末中の希土類の含有量を高め、最後に、プレス成形、焼結などのプロセスで設計要件を満たす性能を製造する方法では、重希土類粉末を添加して粉末を混合することにより、重希土類資源の浪費をもたらし、廃棄物に多くの不純物があり、且つ粒界間のギャップが小さいため、その後の粒界浸透が容易ではなく、拡散効率に影響を及ぼす。
以上を踏まえた上で、本発明は、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造プロセスに使用される特定の組成を有する配合合金を創造的に提案する。この特定の組成を有する配合合金は、製品の組成と性能を柔軟に調整して設計要件を満たし、バッチ製品の一貫性を確保し、廃棄焼結磁性体の利用率を向上させるだけでなく、拡散性能の向上にも役立つため、本発明は、廃棄磁性体を溶製せずに合金に直接破砕して希土類リッチな合金と混合できる利用方法を提供し、アルニコ磁石のスクラップのリッチな相の欠陥を解決して磁気性能を大きく向上させ;溶製を行う必要がなく、加工コストを削減すると同時に、溶製添加量に制限されることなく、アルニコ磁石のスクラップ原料の100%の活用を実現することができる。
【0009】
本発明で提供される廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法は、廃棄磁性体を合金粉末に作製し、さらに、合金の成分に応じて対応する希土類リッチな合金粉末と配合し、該過程は、廃棄物回収の利用率を向上させることができ、溶製過程での廃棄磁性体の添加量が限られており、一部の燃焼損失、及び低収率、或いは希土類の電解精製法による他の元素が無駄になるという問題を解決し、溶製過程で廃棄物を添加する場合と比較して、そのプロセスは、溶製を必要とせずコストを削減させ、過程が単純であるとともに柔軟性が高く、異なるグレードの磁性体を大量に製造でき;また、成分が異なる第1の合金を少量添加し、基材の粒界拡散経路を最適化し、粒界浸透の効率を向上させ、粒界相の不純物組成を効果的に改善させ、廃棄物の粒界欠陥を改善させ、保磁力性能を顕著に向上させるとともに、粒界拡散効果を改善させ、重希土類資源の浪費を減らすことができ;さらに、配合比が異なる配合合金(第2の合金)の細粉を添加することで、設計要件を満たすように製品の組成と性能を柔軟に調整し、バッチ製品の一貫性を確保するだけでなく、粒界拡散性能をさらに向上させ、粒界拡散効果を改善させ、粒界浸透の効率を向上させ、廃棄物の粒界欠陥を改善させ、保磁力をさらに高めることができる。
本発明で提供される利用方法は、希土類のリサイクル率を高め、資源を節約し、生産コストを削減することを目的とする。本発明は、廃棄物を効率よくリサイクルすることができ、再生利用率が高く、100%近く使用でき、資源を節約し、コストを削減することができる。本発明は、処理された廃棄磁性体を粗破砕及び水素化粉砕により必要な合金粉末Aを直接作製し、B合金(第1の合金)を添加することで、廃棄物の粒界欠陥を改善させ、性能を向上させるとともに粒界拡散効果を改善させることができ;さらに、配合比が異なる合金(第2の合金)の細粉Cの添加により異なるグレードの基材を製造することで、磁性体の性能をさらに向上させることもでき、その後、基材を半製品に加工し、最後に浸透して必要なネオジム-鉄-ホウ素の完成品を取得し、生産の柔軟性が強く、資源の総合的利用率が高くなる。
実験の結果より示すように、本発明で提供される利用方法は、廃棄物を効率よくリサイクルすることができ、再生利用率が高く、100%近く使用でき、資源を節約し、コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施例1で作製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体の金属組織の写真である。
図2図2は、本発明の比較例1で作製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体の金属組織の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をさらに理解するために、本発明に係る好適な実施形態について、実施例により説明するが、以下の記載は、本発明の特徴やメリットをさらに説明するためのものであり、本発明の請求範囲を限定するものではないことを理解すべきである。
本発明のすべての原材料は、それらの供給源が特に限定されなく、市場で購入するか、または当業者に周知の常法に従って作製することができればよい。
本発明のすべての原材料は、それらの純度が特に限定されないが、本発明は、工業用純度又はネオジム-鉄-ホウ素磁性体の分野で使用される通常の純度を使用することができる。
本発明は、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用を提供する。
前記配合合金は、式IIで示される一般式を有する。
RE-M-T-B II;
(式中、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものである。)
本発明では、前記REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であることが好ましく、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy又はTbであることがより好ましい。
【0012】
本発明では、Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd及びMoから選ばれる1種又は複数種であることが好ましく、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd又はMoであることがより好ましい。
本発明では、Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものであることが好ましく、Fe又はCoであるより好ましい。
本発明では、x+y+z+m=100wt%、前記REの割合であるx値は、28wt%~32wt%、好ましくは、28.5wt%~31.5wt%、より好ましくは、29wt%~31wt%、より好ましくは、29.5wt%~30.5wt%である。前記Mの割合であるy値は、0.35wt%~1.6wt%、好ましくは、0.65wt%~1.3wt%、より好ましくは、0.95wt%~1.0wt%である。前記Tの割合であるz値は、66wt%、好ましくは、63wt%、より好ましくは、60wt%である。前記Bの割合であるm値は、0.90wt%~0.98wt%、好ましくは、0.91wt%~0.97wt%、より好ましくは、0.92wt%~0.96wt%、より好ましくは、0.93wt%~0.95wt%である。
【0013】
本発明では、前記配合合金は、第2の合金又はC合金である。以下、式IIで示される一般式を有する第2の合金の更なる選択及びパラメータは、上記の用途に使用されることもできる。
本発明は、前記式II又は式Iの具体的な定義が特に限定されなく、当業者によく知られているそのような記載方式であればよく、質量比、一般式、又は他の類似する組成の定義として理解することができる。
本発明は、廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体、第1の合金及び第2の合金を含む原料から製造して得られる廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体を提供する。
前記第2の合金は、式IIで示される一般式を有する。
RE-M-T-B II;
(式中、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものである。)
【0014】
本発明では、前記REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であることが好ましく、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy又はTbであることがより好ましい。
本発明では、Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd及びMoから選ばれる1種又は複数種であることが好ましく、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd又はMoであることがより好ましい。
本発明では、Tは、Fe及び/又はCoから選ばれるものであることが好ましく、Fe又はCoであるより好ましい。
本発明では、x+y+z+m=100wt%、前記REの割合であるx値は、28wt%~32wt%、好ましくは、28.5wt%~31.5wt%、より好ましくは、29wt%~31wt%、より好ましくは、29.5wt%~30.5wt%である。前記Mの割合であるy値は、0.35wt%~1.6wt%、好ましくは、0.65wt%~1.3wt%、より好ましくは、0.95wt%~1.0wt%である。前記Tの割合であるz値は、66wt%、好ましくは、63wt%、より好ましくは、60wt%である。前記Bの割合であるm値は、0.90wt%~0.98wt%、好ましくは、0.91wt%~0.97wt%、より好ましくは、0.92wt%~0.96wt%、より好ましくは、0.93wt%~0.95wt%である。
【0015】
本発明では、前記第2の合金は、配合合金であることが好ましい。
本発明では、前記第2の合金の酸素含有量は、1000ppm未満であることが好ましく、900ppm未満であることがより好ましく、800ppm未満であるより好ましい。
本発明では、前記第2の合金は、合金粉末であることが好ましい。前記第2の合金の粒度は、2~5μmであることが好ましく、2.5~4.5μmであることがより好ましく、3~4μmであることがより好ましい。
本発明では、前記配合は、成分配合及び/又は性能配合を含むことが好ましく、成分配合及び性能配合を含むことがより好ましい。さらに、前記配合合金は、粒界欠陥を改善させ、及び/又は粒界拡散効果を改善させ、浸透効果を向上させることもでき、特に、第1の合金と配合使用する場合には実現できる。
本発明では、前記第1の合金は、式Iで示される一般式を有することが好ましい。
RE-M-H I;
(式中、80wt%≦x≦97wt%、2.5wt%≦y≦20wt%、0.05wt%≦z≦0.5wt%、且つx+y+z=100wt%。
REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種である。
Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd 及びMoから選ばれる1種又は複数種である。
Hは、水素元素である。)
【0016】
本発明では、前記REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる1種又は複数種であることが好ましく、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy又はTbであることがより好ましい。
本発明では、前記Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd及びMoから選ばれる1種又は複数種であることが好ましく、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd又はMoであることがより好ましい。
本発明では、前記Hは、水素元素であることが好ましい。
本発明では、x+y+z=100wt%、前記REの割合であるx値は、80wt%~97wt%、好ましくは、82wt%~95wt%、より好ましくは、85wt%~92wt%、より好ましくは、87wt%~9wt%である。前記Mの質量割合であるy値は、2.5wt%~20wt%、好ましくは、4.5wt%~16wt%、より好ましくは、8.5wt%~12wt%である。前記水素元素の質量割合であるz値は、0.05wt%~0.5wt%、好ましくは、0.15wt%~0.4wt%、より好ましくは、0.25wt%~0.3wt%である。
本発明では、前記第1の合金は、粒界添加相合金であることが好ましい。具体的には、前記粒界添加相は、粒界欠陥の改善及び/又は粒界拡散効果の改善を含むことが好ましく、粒界欠陥の改善又は粒界拡散効果の改善を含むことがより好ましい。
【0017】
本発明では、本発明に記載の第1の合金の融点は、廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の合金の粒界の融点よりも低くなる。
本発明では、前記第1の合金の酸素含有量は、1000ppm未満であることが好ましく、900ppm未満であることがより好ましく、800ppm未満であることがより好ましい。
本発明では、前記第1の合金の粒度は、2mm以下であることが好ましく、1.8mm以下であることがより好ましく、1.6mm以下であることが好ましい。
本発明では、前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の酸素含有量は、2000ppm未満であることが好ましく、1900ppm未満であることがより好ましく、1800ppm未満であることがより好ましい。
本発明では、前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の粒度は、0.2~2mmであることが好ましく、0.6~1.6mmであることがより好ましく、1.0~1.2mmであることがより好ましい。
本発明では、前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体と第1の合金との質量比は、好ましくは、(90~99):(1~10)、より好ましくは、(92~97):(1~10)、より好ましくは、(94~95):(1~10)、より好ましくは、(90~99):(3~8)、より好ましくは、(90~99):(5~6)である。
本発明では、前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体と第1の合金の合計質量と第2の合金の質量比は、好ましくは、(10~95):(90~5)、より好ましくは、(30~75):(90~5)、より好ましくは、(50~55):(90~5)、より好ましくは、(10~95):(70~25)、より好ましくは、(10~95):(50~45)である。
本発明では、前記原料は、酸化防止剤及び/又は潤滑剤を含むことが好ましく、酸化防止剤又は潤滑剤を含むことがより好ましい。
本発明では、前記原料は、表面浸透重希土類元素をさらに含むことが好ましい。
本発明では、前記重希土類元素は、Dy及び/又はTbを含むことが好ましく、Dy又はTbを含むことがより好ましい。
本発明では、前記表面浸透重希土類元素は、前記ネオジム-鉄-ホウ素磁性体の全量に占める含有量が、好ましくは、0.2wt%~0.8wt%、より好ましくは、0.3wt%~0.7wt%、より好ましくは、0.4wt%~0.6wt%である。
本発明では、希土類とは、主に、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbを意味する。
【0018】
本発明では、廃棄磁石とは、磁性体の製造過程におけるスクラップ又は性能が不足する磁性材料、消費者で廃棄されたモーター及び部品が廃棄された後に解体された焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を意味する。
本発明は、廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法であって、
1)廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を破砕し、水素化粉砕した後、スクラップ粗粉を得;
第1の合金原料を溶製してキャストシート又は鋳塊にした後、さらに、水素化粉砕を経て第1の合金粗粉を得るステップと、
2)上記ステップで得られたスクラップ粗粉を第1の合金粗粉と混合し、粉砕した後、混合細粉を得るステップと、
3)第2の合金粉末を上記ステップで得られた混合細粉と再度混合した後、混合粉末を得るステップと、
4)上記ステップで得られた混合粉末を配向成形し、焼結した後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得るステップと、を含む製造方法を提供する。
本発明は、まず、廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を破砕し、水素化粉砕した後、スクラップ粗粉を得、
第1の合金原料を溶製してキャストシート又は鋳塊にした後、さらに、水素化粉砕を経て第1の合金粗粉を得る。
本発明では、前記破砕後の粒度は、30mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることがより好ましい。
本発明では、前記水素化粉砕後の粒度は、2mm以下であることが好ましく、1.9mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることがより好ましい。
本発明では、前記溶製して鋳造したキャストシートの厚さは、好ましくは、0.1~0.6mm、より好ましくは、0.2~0.5mm、より好ましくは、0.3~0.4mmである。
本発明では、前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は、同じグレードの磁性体廃棄物又は異なるグレードの磁性体廃棄物を含むことが好ましい。
本発明では、前記水素化粉砕過程中、水素吸蔵時間は、好ましくは、60~180min、より好ましくは、80~160min、より好ましくは、100~140minである。水素吸蔵温度は、好ましくは、20~300℃、より好ましくは、60~260℃、より好ましくは、100~220℃、より好ましくは、140~180℃である。
本発明では、前記水素化粉砕過程中、水素放出時間は、好ましくは、3~7h、より好ましくは、3.5~6.5h、より好ましくは、4~6h、より好ましくは、4.5~5.5hであり、水素放出温度は、好ましくは、550~600℃、より好ましくは、560~590℃、より好ましくは、570~580℃である。
本発明では、前記水素化粉砕後に、水冷ステップを含むことが好ましい。
本発明では、前記水冷時間は、好ましくは、0.5~3h、より好ましくは、1~2.5h、より好ましくは、1.5~2hである。
【0019】
本発明は、さらに、上記ステップで得られたスクラップ粗粉を第1の合金粗粉と混合し、粉砕した後、混合細粉を得る。
本発明では、前記第1の合金粗粉の粒度は、好ましくは、0.2~2mm、より好ましくは、0.6~1.6mm、より好ましくは、1.0~1.2mmである。
本発明では、前記混合ステップでは酸化防止剤を加えて混合することが好ましい。
本発明では、前記酸化防止剤は、前記混合細粉の質量に占める含有量が好ましくは、0.02%~0.1%、より好ましくは、0.06%~0.16%、より好ましくは、0.1%~0.12%である。
本発明は、次いで、第2の合金粉末を上記ステップで得られた混合細粉と再度混合した後、混合粉末を得る。
本発明では、前記第2の合金粉末は、第2の合金原料から溶製し、水素化粉砕及び気流粉砕を経った後に得られるものであることが好ましい。
本発明では、前記再度混合ステップで潤滑剤を加えて再度混合することが好ましい。
本発明では、前記潤滑剤は、前記混合粉末の質量に占める含有量が、好ましくは、0.02%~0.1%、より好ましくは、0.06%~0.16%、より好ましくは、0.1%~0.12%である。
本発明では、前記混合粉末の粒度は、好ましくは、2~5μm、より好ましくは、2.5~4.5μm、より好ましくは、3~4μmである。
本発明は、最後に、上記ステップで得られた混合粉末を配向成形し、焼結した後、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を得る。
【0020】
本発明では、前記焼結後、浸透拡散ステップを含むことが好ましく、前記浸透拡散ステップは、具体的には、焼結及び時効処理を経った磁性体ブランクの表面に、重希土類(表面浸透重希土類元素)を塗布した後、さらに、熱処理を行うことが好ましい。
本発明では、前記熱処理は、第1回の熱処理及び第2回の熱処理を含むことが好ましい。
本発明では、前記第1回の熱処理の温度は、好ましくは、850~950℃、より好ましくは、870~930℃、より好ましくは、890~910℃である。
本発明では、前記第1回の熱処理の時間は、好ましくは、5~15時間、より好ましくは、7~13時間、より好ましくは、9~11時間である。
本発明では、前記第2回の熱処理的温度好ましくは、450~600℃、より好ましくは、480~570℃、より好ましくは、510~540℃。
本発明では、前記第2回の熱処理の時間は、好ましくは、3~6時間、より好ましくは、3.5~5.5時間、より好ましくは、4~5時間である。
本発明で提供される廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法は、廃棄した磁石から表面めっき層を除去し、その後、いわゆる原料を一次破砕し、さらに一次破砕された原料を水素化粉砕して合金粉末Aを作製する。希土類を主成分とする第1の合金を溶製し、水素化粉砕により第1の合金粉末Bを作製し;合金粉末を第1の合金粉末を合金ABに混合して、合金ABを気流粉砕して細粉ABを得;合金ABの処方の組成及び目的とする成分に応じて成分性能を調製するためのC合金(第2の合金)を設計し、C合金は新しい原材料から溶製、水素化粉砕、気流粉砕を経て合金細粉Cを得る。細粉ABと細粉Cから撹拌、成形、焼結などのプロセスを経て設計要件を満たすブランクを製造する。
【0021】
本発明は、リサイクルプロセス全体を完備して細分化し、粒界浸透の効率をよく向上させ、アルニコ磁石のスクラップのリッチな相の欠陥をさらに低減させ、磁気特性を高め、アルニコ磁石のスクラップ原料の100%利用をより良く実現し、磁性体完成品の性能をよりよく確保するために、上記廃棄焼結磁性体のリサイクル方法は、具体的には、以下の通りである。即ち、
1、本発明は、塊状の磁性体であり、酸素含有量が5000ppm以下である前記廃棄ネオジム-鉄-ホウ素磁性体に、めっき層の除去、脱脂、洗浄などの予備処理を行い、その表面を清潔した後に、酸素含有量が2000PPM以下になり、次いで、一次破砕を行い、破砕後の粒度は30mm未満になり、その後、水素化粉砕処理を行い、破砕後の粒度は200um~2mmになり、その合金をA合金と称する。
2、RE-M-H粉末を粒界添加相として作製し、粉末のサイズが2mm以下になり、その合金をB合金(第1の合金)と称する。
RE-M-H合金粉末をリッチ相合金として合金Aに添加し、ここで、REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd及びMoから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Hは水素であり、80wt%≦x≦97wt%、2.5wt%≦y≦20wt%、0.05wt%≦z≦0.5wt%、且つx+y+z=100wt%である。
前記RE-M-H合金粉末の酸素含有量は、1000ppm以下である。本発明では、B合金の融点は、A合金粒界の融点よりも低くなる。B合金の主な機能は、廃棄物の粒界欠陥を改善させて性能を高めるとともに粒界拡散効果を改善させることである。本発明では、前記B合金の製造プロセスに特別な制限はなく、当業者に周知の製造プロセスを使用する。
【0022】
3、RE-M-T-B残部粉末を配合合金として作製して性能の配合に使用し、粉末のサイズが2~5μmになり、その合金をC合金(第2の合金)と称する。
RE-M-T-B合金粉を配合合金としてAB粉末と混合し、ここで、REは、La、Ce、Ho、Gd、Pr、Nd、Dy及びTbから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Mは、Al、Cu、Zn、Sn、Ga、Ge、Nb、V、W、Ti、Ni、Zr、Ta、Mn、Cd及びMoから選ばれる少なくとも1種の元素であり、Rは、Fe及びCoの少なくとも1種の元素であり、28wt%≦x≦32wt%、0.35wt%≦y≦1.6wt%、66wt%≦z、0.90wt%≦m≦0.98wt%、且つx+y+z+m=100wt%である。
前記RE-M-T-B合金粉末の酸素含有量は、1000ppm以下であり、C合金は、設計要件を満たすように製品の成分及び特性を柔軟に調整するために使用される。本発明は、前記C合金の製造プロセスに特別な制限はなく、当業者に周知の製造プロセスを使用する。
4、合金Aと合金Bを適当な割合(A-B1-x、ここで、90wt%≦x≦99wt%)で混合し、合金ABを得、合金ABに酸化防止剤を加えて撹拌混合し、次に、さらに気流粉砕を行って平均粒度2~5μmの細粉ABを得る。
5、細粉ABの処方の組成及び目的とする成分に応じて成分性能を調整するためのC合金を設計し、C合金は新しい原材料から溶製、水素化粉砕、気流粉砕を経て平均粒度2~5umの細粉Cを得る。
6、細粉ABと細粉Cを適当な割合((AB)1-y、ここで、10wt%≦y≦95wt%)で配合した後、潤滑剤を加えて撹拌して均一に混合させ、次いで、さらに配向成形、焼結などの工程を行って焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を製造する。Cを添加すると拡散性能がより良くなる。
7、焼結ネオジム-鉄-ホウ素磁性体を2mmのシートサンプルに加工し、シートサンプルに0.6wt%Tb浸透させて浸透体を得る。
【0023】
本発明に係る上記のステップでは、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用、廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体、及び廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法を提供する。本発明は、廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造プロセスに使用する特定の組成を有する配合合金を提案する。該特定の組成を有する配合合金は、製品の組成と性能を柔軟に調整して設計要件を満たし、バッチ製品の一貫性を確保し、廃棄焼結磁性体の利用率を向上させるだけでなく、拡散性能の向上にも役立つため、本発明は、廃棄磁性体を溶製せずに合金に直接破砕して希土類リッチな合金と混合できる利用方法を提供し、アルニコ磁石のスクラップのリッチな相の欠陥を解決して磁気性能を大きく向上させ;溶製を行う必要がなく、加工コストを削減すると同時に、溶製の添加量に制限されることなく、アルニコ磁石のスクラップ原料の100%活用を実現することができる。
本発明で提供される廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法は、廃棄磁性体を合金粉末に作製し、さらに、合金の成分に応じて、対応する希土類リッチな合金粉末と配合し、該過程は、廃棄物回収の利用率を向上させることができ、溶製過程での廃棄磁性体の添加量の制限、一部の燃焼損失、及び低収率、又はいは希土類の電解精製法による他の元素が無駄になる問題を解決しており、溶製過程での廃棄物の添加と比較して、そのプロセスは、溶製を必要とせずにコストを削減させ、過程が単純であるとともに柔軟性が高く、異なるグレードの磁性体を大量に製造でき;また、成分が異なる第1の合金を少量添加し、基材の粒界拡散経路を最適化し、粒界浸透の効率を向上させるので、粒界相の不純物組成を効果的に改善させ、廃棄物の粒界欠陥を改善させ、保磁力性能を顕著に向上させるとともに、粒界拡散効果を改善させ、重希土類資源の浪費を減らすことができ;さらに、配合比が異なる配合合金(第2の合金)の細粉を添加するので、設計要件を満たすように製品の組成と性能を柔軟に調整し、バッチ製品の一貫性を確保するだけでなく、粒界拡散性能をさらに向上させ、粒界拡散効果を改善させ、粒界浸透の効率を向上させ、廃棄物の粒界欠陥を改善させ、保磁力をさらに高めることができる。
【0024】
本発明で提供される利用方法は、希土類のリサイクル率を高め、資源を節約し、生産コストを削減することを目的とする。本発明は、処理された廃棄磁性体を粗破砕及び水素化粉砕により必要な合金粉末Aを作製し、B合金(第1の合金)を添加することで、廃棄物の粒界欠陥を改善させ、性能を向上させるとともに粒界拡散効果を改善させることができ;さらに、配合比が異なる合金(第2の合金)の細粉Cの添加により異なるグレードの基材を製造することで、磁性体の性能をさらに向上させることもでき、その後、基材を半製品に加工し、最後に浸透して必要なネオジム-鉄-ホウ素の完成品を取得し、製造に対する柔軟性が強く、資源の総合的利用率が高くなる。
実験結果は、本発明で提供される利用方法が、廃棄物を効率よくリサイクルすることができ、再生利用率が高く、100%近く使用でき、資源を節約し、コストを削減することができることを示す。
以下、本発明をさらに説明するために、実施例により本発明で提供される廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用、廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体及びその製造方法を詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の技術的な手段を前提として実施され、詳しい実施形態及び具体的な操作手順を与え、本発明の特徴および利点をさらに説明するためだけであるが、本発明の請求範囲を限定するものではない、本発明の保護範囲も以下の実施例に限定されないことを理解すべきである。
【0025】
実施例1
1、A合金の調製
1.1 ネオジム-鉄-ホウ素廃棄物にめっき層の除去、脱脂、洗浄などの予備処理を行った。
1.2 バルク原材料を一次破砕し、破砕後の粒度<30mmになり、本発明は、破砕装置および条件が特別な制限はなく、当業者は、実際の製造条件に応じて異なる装置を選択することができる。
1.3 水素化粉砕(HD)により合金シートを処理した生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は、75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉A合金を得た。粗粉Aの組分を計測し、表1を参照した。表1には、実施例1中のA合金の組分の含有量を示した。
【表1】
2、B合金の調製
2.1、合金の組分により、リッチ相B合金成分[1]Pr21 Nd70 Cu2 Al4 Ga3を設計した。
2.2、溶製は、当分野で周知の真空誘導溶解炉により合金シートを製造する方法であればよく;製造されたキャストシートの厚さは0.10~0.60mmである。
2.3、水素化粉砕(HD)により合金シートを処理した生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉(B合金)を得た。
3、合金Aと合金BをA:B=98%:2%で混合し、合金ABを得;合金ABに酸化防止剤を加えて撹拌混合した。
4、上記合金ABの粗粉を気流粉砕処理し、平均粒度が3.0μmである細粉ABを得た。
5、合金の成分に応じて、合金C成分[1]Pr6.3Nd23.50.94Cu0.1Al0.15Ga0.1Ti0.1Fe残部を設計し、合金Cは新しい原材料から溶製、水素化粉砕、気流粉砕を経て平均粒度2μm~5μmの細粉Cを得た。
6、細粉AB:細粉C=70%:30%の割合で配合した後に潤滑剤を加えて撹拌して均一に混合した。
7、配合した細粉ABCに磁場配向プレス成形及び静水圧プレス処理にかけ;磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実行され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保した。
8、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は真空焼結及び時効熱処理により得られた。それは真空焼結炉で行われ、焼結温度は1050℃であり、焼結時間は6hであり;時効処理は2回に分けられて行い、第1回の時効熱処理温度は920℃であり、時間は2hであり;第2回の時効熱処理的時効温度は550℃であり、時間は5hである。
9、焼結磁性体を2mmのシートに加工し、シートの両面にそれぞれ重希土類を塗布し、その後、熱処理加工を行って浸透体を得た。重希土類の塗布量は0.5wt%であり、熱処理プロセスは900℃8h+490℃*5hである。
本発明の実施例1で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体が特徴付らけた。
図1を参照し、図1は、本発明の実施例1で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体の金属組織の写真である。
本発明の実施例1及び比較例1で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を測定した。
表3を参照し、表3は、実施例1及び比較例1の実施前後の磁性体性能データである。
【0026】
比較例1
1、A合金の調製
1.1 ネオジム-鉄-ホウ素廃棄物にめっき層の除去、脱脂、洗浄などの予備処理を行った。
1.2 バルク原材料を一次破砕し、破砕後の粒度<30mmになり、本発明は、破砕装置および条件が特別な制限はなく、当業者は、実際の製造条件に応じて異なる装置を選択することができる。
1.3 水素化粉砕(HD)により合金シートを処理する生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉A合金を得た。粗粉Aの組分を計測し、表2を参照した。表2は、比較例1中のA合金の組分の含有量を示した。
【表2】
2、合金Aに酸化防止剤を加えて撹拌混合した。
3、上記合金A粗粉を気流粉砕処理し、平均粒度が3.0μmである細粉Aを得た。
4、B合金の調製
4.1、合金の成分に応じて、リッチ相B合金成分[1]Pr21 Nd70 Cu2 Al4 Ga3を設計した。
4.2、溶製では、当分野で周知の真空誘導溶解炉により合金シートを作製する方法であればよく;作製されたキャストシートの厚さは0.10~0.60mmである。
4.3、水素化粉砕(HD)により合金シートを処理する生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉(B合金)を得た。
5、合金Aと合金BをA:B=98%:2%で混合し、合金ABを得;合金ABに酸化防止剤を加えて撹拌混合した。
6、上記合金ABの粗粉を気流粉砕処理し、平均粒度が3.0μmである細粉ABを得た。磁場配向プレス成形及び静水圧プレス処理を経て、磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実行され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保した。
7、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は真空焼結及び時効熱処理により得られた。それは真空焼結炉で行われ、焼結温度は1050℃であり、焼結時間は6hであり;時効処理は2回に分けられて行い、第1回の時効熱処理温度は920℃であり、時間は2hであり;第2回の時効熱処理的時効温度は550℃であり、時間は5hである。
8、焼結磁性体を2mmのシートに加工し、シートの両面にそれぞれ重希土類を塗布し、その後、熱処理加工を行って浸透体を得た。重希土類の塗布量は0.5wt%であり、熱処理プロセスは900*8h+490*5hである。
本発明の比較例1で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体が特徴付らけた。
図2を参照し、図2は、本発明の比較例1で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体の金属組織写真である。
本発明の実施例1及び比較例1で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を測定した。
表3を参照し、表3は、実施例1及び比較例1の浸透前後の磁性体性能データを示した。
【表3】
【0027】
実施例2
1、A合金の調製
1.1 ネオジム-鉄-ホウ素廃棄物にめっき層の除去、脱脂、洗浄などの予備処理を行った。
1.2 バルク原材料を一次破砕し、破砕後の粒度<30mmになり、本発明は、破砕装置および条件に特別な制限はなく、当業者は、実際の製造条件に応じて異なる装置を選択することができる。
1.3 水素化粉砕(HD)により合金シートを処理する生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉A合金を得た。粗粉Aの組分を計測し、表4を参照した。表4は、実施例2中のA合金の組分の含有量を示した。
【表4】
2、B合金の調製
2.1、合金の成分に応じて、リッチ相B合金成分[1]Pr20 Nd61Dy10 Cu2 Al4 Ga3を設計した。
2.2、溶製では、当分野で周知の真空誘導溶解炉により合金シートを作製する方法であればよく;作製されたキャストシートの厚さは0.10-0.60mm。
2.3、水素化粉砕(HD)により合金シートを処理する生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉(B合金)を得た。
3、合金Aと合金BをA:B=97%:3%で混合し、合金ABを得;合金ABに酸化防止剤を加えて撹拌混合した。
4、上記合金ABの粗粉を気流粉砕処理し、平均粒度が3.0μmである細粉ABを得た。
5、合金の成分に応じて、合金C成分[1]Pr6.1Nd22.7 Dy0.50.94Cu0.1Al0.15Ga0.1Ti0.1Fe残部を設計し、合金Cとして新しい原材料から溶製、水素化粉砕、気流粉砕を経て平均粒度2μm~5μmの細粉Cを得た。
6、細粉AB:細粉C=60%:40%の割合で配合した後に潤滑剤を加えて撹拌して均等に混ぜる;
7、配合した細粉ABCに磁場配向プレス成形及び静水圧プレス処理にかけ;磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実行され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保した。
8、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は真空焼結及び時効熱処理により得られた。それは真空焼結炉で行われ、焼結温度は1050℃であり、焼結時間は6hであり;時効処理は2回に分けられて行い、第1回の時効熱処理温度は920℃であり、時間は2hであり;第2回の時効熱処理的時効温度は550℃であり、時間は5hである。
9、焼結磁性体を2mmのシートに加工し、シートの両面にそれぞれ重希土類を塗布し、その後、熱処理加工を行って浸透体を得た。重希土類の塗布量は0.5wt%であり、熱処理プロセスは900℃8h+490℃*5hである。
本発明の実施例2及び比較例2で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を測定した。
表6を参照し、表6は、実施例2及び比較例2の浸透前後の磁性体性能データを示した。
【0028】
比較例2
1、A合金の調製
1.1 ネオジム-鉄-ホウ素廃棄物にめっき層の除去、脱脂、洗浄などの予備処理を行った。
1.2 バルク原材料を一次破砕し、破砕後の粒度<30mmになり、本発明は、破砕装置および条件に特別な制限はなく、当業者は、実際の製造条件に従って異なる装置を選択することができる。
1.3 水素化粉砕(HD)により合金シートを処理する生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉A合金を得た。粗粉Aの組分を計測し、表5を参照した。表5は、比較例2中のA合金の組分の含有量を示した。
【表5】
2、合金Aに酸化防止剤を加えて撹拌混合した。
3、上記合金A粗粉を気流粉砕処理し、平均粒度が3.0μmである細粉Aを得た。
4、B合金の調製
4.1、合金の成分に応じて、リッチ相B合金成分[1]Pr20 Nd61Dy10 Cu2 Al4 Ga3を設計した。
4.2、溶製では、当分野で周知の真空誘導溶解炉により合金シートを作製する方法であればよく;作製されたキャストシートの厚さは0.10~0.60mmである。
4.3、水素化粉砕(HD)により合金シートを処理する生産プロセスにおいて、水素吸蔵時間は75minであり、その後、580℃で5h水素放出し、最後に2h水冷し、粗粉(B合金)を得た。
5、合金Aと合金BをA:B=97%:3%で混合し、合金ABを得;合金ABに酸化防止剤を加えて撹拌混合した。
6、上記合金ABの粗粉を気流粉砕処理し、平均粒度が3.0μmである細粉ABを得た。磁場配向プレス成形及び静水圧プレス処理を経て;磁場配向成形は、密閉された無酸素または低酸素のグローブボックス内で実行され、操作全体および静水圧プレス過程中に製品が無酸素または低酸素性であることを確保した。
7、ネオジム-鉄-ホウ素磁性体は真空焼結及び時効熱処理により得られた。それは真空焼結炉で行われ、焼結温度は1050℃であり、焼結時間は6hであり;時効処理は2回に分けられて行い、第1回の時効熱処理温度は920℃であり、時間は2hであり;第2回の時効熱処理的時効温度は550℃であり、時間は5hである。
8、焼結磁性体を2mmのシートに加工し、シートの両面にそれぞれ重希土類を塗布し、その後、熱処理加工を行って浸透体を得た。重希土類の塗布量は0.5wt%であり、熱処理プロセスは、900*8h+490*5hである。
本発明の実施例2及び比較例2で調製されたネオジム-鉄-ホウ素磁性体を測定した。
表6を参照し、表6は、実施例2及び比較例2の浸透前後の磁性体性能データを示した。
【表6】
【0029】
以上、本発明で提供される廃棄焼結磁性体によるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造における配合合金の使用、廃棄焼結磁性体から製造したネオジム-鉄-ホウ素磁性体、及び廃棄焼結磁性体のリサイクルによるネオジム-鉄-ホウ素磁性体の製造方法を詳しく説明しているが、本明細書では、本発明の原理及び実施形態を具体例により説明しているが、以上の実施例の説明は、本発明の方法及び主旨を理解することを助けるためにのみ使用され、最適の形態を含み、且つ当業者が本発明を実施できるようになり、任意の装置又はシステムの製造及び使用、並びに任意の結合を実施する方法を含む。当業者にとっては、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に若干の改良及び修飾を行うこともでき、これらの改良及び修飾も特許請求の範囲内にあることを指摘すべきである。本発明の特許の保護範囲は、特許請求の範囲によって限定され、且つ当業者が取得可能な他の実施例を含む。これらの他の実施例は請求項の文字通りの言語と異ならない構造要素を有するか、又は請求項の文字通りの言語と実質的に異なる同等の構造要素を含むと、これらの他の実施例も請求の範囲に含まれるべきである。
図1
図2
【国際調査報告】