(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】テストステロン補充治療を実現するための好ましい経口ウンデカン酸テストステロン療法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/568 20060101AFI20240521BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240521BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240521BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61K31/568
A61P15/08
A61K47/28
A61K47/10
A61K47/14
A61K9/10
A61K47/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572110
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 US2022029819
(87)【国際公開番号】W WO2022245933
(87)【国際公開日】2022-11-24
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523438337
【氏名又は名称】マリウス ファーマシューティカルズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ディングラ,オム
(72)【発明者】
【氏名】バーンスタイン,ジェームズ エス.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA16
4C076BB01
4C076CC17
4C076DD08E
4C076DD09E
4C076DD59
4C076DD70E
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA09
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZA81
(57)【要約】
本発明は、例えば、テストステロン補充療法のための新規のウンデカン酸テストステロン(TU)投与レジメンを特徴とする。TUは、フィトステロール又はフィトステロールエステルとともに製剤化され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テストステロン欠乏症の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a)前記対象に食事とともに400mgのウンデカン酸テストステロン(TU)を毎日経口投与することを含む治療レジメンを実施することであって、前記TUは、TU、前記TUの可溶化に効果的な非ステロール可溶化剤及びフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む医薬組成物において投与される、実施すること;
b)テストステロンの第1の定常状態血清濃度を確立すること;
c)工程(b)後、前記医薬組成物の投与の約3時間~約6時間後に測定される、前記対象におけるテストステロンの第1の定常状態血清値を提供すること;及び
d)前記ウンデカン酸テストステロンの第1の用量設定を実施すること
を含み、
i)テストステロンの前記第1の血清値が約400/F+b ng/dL未満である場合、前記対象に約600mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第1の定常状態血清値より高いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立するか;
ii)テストステロンの前記第1の血清値が約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dLである場合、前記対象に約400mgのTUを毎日経口投与し続けて、テストステロンの前記第1の定常状態血清値を維持するか;又は
iii)テストステロンの前記第1の血清値が約900/F+b ng/dLを超える場合、前記対象に約200mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第1の定常状態血清値より低いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立する、方法。
【請求項2】
工程(a)は、前記医薬組成物を1日2回投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の用量は、午前中に投与され、及び第2の用量は、夕方に投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の用量は、約200mgのTUを含み、及び前記第2の用量は、約200mgのTUを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の用量設定後、
i)約600mgのTUは、前記対象に毎日投与され、前記第1の用量は、約300mgのTUを含み、及び前記第2の用量は、約300mgのTUを含むか;
ii)約400mgのTUは、前記対象に毎日投与され、前記第1の用量は、約200mgのTUを含み、及び前記第2の用量は、約200mgのTUを含むか;又は
iii)約200mgのTUは、前記対象に毎日投与され、前記第1の用量は、約100mgのTUを含み、及び前記第2の用量は、約100mgのTUを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
e)テストステロンの第2の定常状態血清濃度を確立すること;
f)工程(e)後、前記対象におけるテストステロンの第2の定常状態血清値を提供すること;及び
g)前記TUの第2の用量設定を実施すること
をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の用量設定後、約600mgのTUは、前記対象に毎日投与され、及び
a)テストステロンの前記第2の血清値が約400/F+b ng/dL未満である場合、前記対象に約800mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立するか;
b)テストステロンの前記第2の血清値が約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dLである場合、前記対象に約600mgのTUを毎日経口投与し続けて、テストステロンの前記第2の定常状態血清値を維持するか;又は
c)テストステロンの前記第2の血清値が約900/F+b ng/dLを超える場合、前記対象に約400mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の用量設定後、約400mgのTUは、前記対象に毎日投与され、及び
a)テストステロンの前記第2の血清値が約400/F+b ng/dL未満である場合、前記対象に約600mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立するか;
b)テストステロンの前記第2の血清値が約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dLである場合、前記対象に約400mgのTUを毎日経口投与し続けて、テストステロンの前記第2の定常状態血清値を維持するか;又は
c)テストステロンの前記第2の血清値が約900/F+b ng/dLを超える場合、前記対象に約200mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の用量設定後、約200mgのTUは、前記対象に毎日投与され、及び
a)テストステロンの前記第2の血清値が約400/F+b ng/dL未満である場合、前記対象に約400mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立するか;
b)テストステロンの前記第2の血清値が約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dLである場合、前記対象に約200mgのTUを毎日経口投与し続けて、テストステロンの前記第2の定常状態血清値を維持するか;又は
c)テストステロンの前記第2の血清値が約900/F+b ng/dLを超える場合、前記対象に約100mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の用量設定後、約800mgのTUは、前記対象に毎日投与され、前記第1の用量は、約400mgのTUを含み、及び前記第2の用量は、約400mgのTUを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の用量設定後、約100mgのTUは、前記対象に毎日投与され、及び前記対象は、約100mgのTUの単一の用量を受ける、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
約100mgのTUの前記単一の用量は、午前中に投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
テストステロンの前記第1の血清値は、前記治療レジメンの21日目の前に測定される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
テストステロンの前記第1の血清値は、前記治療レジメンの約7日目に測定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の用量設定は、前記治療レジメンの約7日目~約35日目に実施される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の用量設定は、前記治療レジメンの約28日目に実施される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物は、約5重量%~約40重量%のウンデカン酸テストステロンを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物は、約2重量%~約45重量%のフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物は、約10重量%~約90重量%の非ステロール可溶化剤を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記非ステロール可溶化剤は、脂質、界面活性剤及びその混合物から選択される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記非ステロール可溶化剤は、プロピレングリコールモノラウレートを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記非ステロール可溶化剤は、ポリオキシル40水素化ヒマシ油を含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記医薬組成物は、自己乳化型又は自己マイクロ乳化型である、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記医薬組成物は、フィトステロールエステルを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記医薬組成物は、
a)約10重量%~約25重量%の可溶化されたウンデカン酸テストステロン;
b)約5重量%~約40重量%の親水性界面活性剤;
c)約15重量%~約65重量%の疎水性界面活性剤;
d)約2重量%~約45重量%のフィトステロールエステル;及び
e)約0~約15重量%の可溶化剤
を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記医薬組成物は、約10重量%~約40重量%の1種以上のフィトステロールエステルを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記医薬組成物は、約10重量%~約30重量%の1種以上のフィトステロールエステルを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記可溶化剤は、dl-アルファ-トコフェロール及び/又はそのエステル若しくは酢酸塩を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記医薬組成物は、
a)約18.2重量%の可溶化されたウンデカン酸テストステロン;
b)約15.0重量%のポリオキシル40水素化ヒマシ油;
c)約39.9重量%のプロピレングリコールモノラウレート;
d)約25.0重量%の1種以上のフィトステロールエステル;及び
e)約2.0重量%のdl-アルファ-トコフェロール及び/又はそのエステル若しくは酢酸塩
を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記対象は、性腺機能低下男性である、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記対象は、少なくとも7日の期間又は前記対象から外因性テストステロンを完全に洗い出すのに十分な期間にわたり、TU又は他のテストステロン補充療法を以前に投与されていない、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ヒト対象の集団に対して実施される、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記集団は、少なくとも10人の対象、少なくとも50人の対象、少なくとも100人の対象、少なくとも200人の対象、少なくとも500人の対象又はそれを超える対象を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
a)前記集団の少なくとも75%において約300ng/dL~約1000ng/dLの血清正常範囲のCavgを実現し;
b)前記集団の少なくとも85%において約1500ng/dL未満のCmaxを実現し;
c)前記集団の5%以下において約1800ng/dL~約2500ng/dLのCmaxを実現し;及び/又は
d)前記集団の0%以下において約2500ng/dL超のCmaxを実現する、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は定常状態テストステロン血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンを受けている集団に対して、約300ng/dL~約1000ng/dLの前記血清値を実現するために、前記集団における1対象当たりの不正確な用量設定の平均数又は不正確な用量設定のリスクを減少させる、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
a)初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は前記血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンと比較して、前記集団におけるより多い数の対象において約300ng/dL~約1000ng/dLの前記血清正常範囲のCavgを実現し;
b)前記初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は前記血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない前記治療レジメンと比較して、前記集団におけるより多い数の対象において約1500ng/dL未満のCmaxを実現し;
c)前記初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は前記血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない前記治療レジメンと比較して、前記集団におけるより少ない数の対象において約1800ng/dL~約2500ng/dLのCmaxを実現し;及び/又は
d)前記初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は前記血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない前記治療レジメンと比較して、前記集団におけるより少ない数の対象において約2500ng/dL超のCmaxを実現する、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ヒト対象の前記集団の血圧上昇のリスクを低減する、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、ヒト対象の前記集団における治療の開始前の前記血圧と比較して3mmHgを超えて増加しない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記対象は、糖尿病又は高血圧であり、及び日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、ヒト対象の前記集団における治療の開始前の前記血圧と比較して4mmHgを超えて増加しない、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
集団の平均は、
a)2.5未満の0~24時間のCmax/Cavg比;
b)2.2未満の0~12時間のCmax/Cavg比;及び/又は
c)2.2未満の12~24時間のCmax/Cavg比
を有する、請求項32~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の血清値は、
(a)チューブでの遠心分離前に約30分間にわたって室温で凝固された血清の、テストステロン濃度を測定すること;
(b)EDTA及びNaFを補充されたチューブにおいて血漿のテストステロン濃度を測定し、及び前記テストステロン濃度に既定の係数Fの逆数(1/F)を乗じること;又は
(c)その同等の方法
によって測定される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第2の血清値は、
(a)チューブでの遠心分離前に約30分間にわたって室温で凝固された血清の、テストステロン濃度を測定すること;
(b)EDTA及びNaFを補充されたチューブにおいて血漿のテストステロン濃度を測定し、及び前記テストステロン濃度に既定の係数Fの逆数(1/F)を乗じること;又は
(c)その同等の方法
によって測定される、請求項6~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記既定の係数Fは、約0.70~約1.10である、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記既定の係数Fは、約0.81~約0.94である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記既定の係数Fは、約0.89である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記対象は、高血圧、心臓発作又は卒中のリスクがある、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象は、加齢に起因する低いテストステロンレベルを患っている、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象は、テストステロン産生を減少させる疾患に起因する低いテストステロンレベルを患っている、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象は、糖尿病、高血圧症、代謝障害を有するか又は肥満である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記糖尿病は、真性糖尿病である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記対象は、降圧薬物療法で以前に治療されたことがある、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記対象は、骨粗鬆症、性機能若しくは性欲、筋力若しくは筋持久力の低下、再生不良性貧血、AIDS消耗症候群、閉塞性睡眠時無呼吸、代謝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有する、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記対象は、テストステロンに関連する有害事象のリスクがある、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
テストステロン欠乏症の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、
a)前記対象に食事とともに400mgのウンデカン酸テストステロン(TU)を毎日経口投与することを含む治療レジメンを実施することであって、前記TUは、TU、前記TUの可溶化に効果的な非ステロール可溶化剤及びフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む医薬組成物において投与される、実施すること;
b)テストステロンの第1の定常状態血清濃度を確立すること;
c)工程(b)後、前記医薬組成物の投与の約3時間~約6時間後に測定される、前記対象におけるテストステロンの第1の定常状態血清値を提供すること;及び
d)前記ウンデカン酸テストステロンの第1の用量設定を実施すること
を含み、
i)テストステロンの前記第1の血清値が約460ng/dL未満である場合、前記対象に約600mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第1の定常状態血清値より高いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立するか;
ii)テストステロンの前記第1の血清値が約460ng/dL~約971ng/dLである場合、前記対象に約400mgのTUを毎日経口投与し続けて、テストステロンの前記第1の定常状態血清値を維持するか;又は
iii)テストステロンの前記第1の血清値が約971ng/dLを超える場合、前記対象に約200mgのTUを毎日経口投与して、テストステロンの前記第1の定常状態血清値より低いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し;
前記対象は、
降圧療法中であり、及び収縮期血圧における3.4mmHg以下の平均変化、拡張期血圧における1.8mmHg以下の平均変化及び/又は心拍数における1分当たり1.3拍以下の平均変化を示し;及び/又は
真性糖尿病を有し、及び収縮期血圧における3.0mmHg以下の平均変化、拡張期血圧における1.7mmHg以下の平均変化及び/又は心拍数における1分当たり1.9拍以下の平均変化を示す、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
性腺機能低下男性におけるテストステロン補充療法(TRT)のために、FDAは、利点と、異常に高いT濃度に関連する安全性リスクとを均衡させるためのテストステロン(T)製剤に対する規制ガイドラインを課している(例えば、Testosterone Replacement Therapy Advisory Committee Briefing Document, September 17, 2014の13頁を参照されたい)。これらの規制ガイドラインは、対象の75%における300~1000ng/dLの正常範囲の平均T血清濃度(Cavg)、対象の85%における1500ng/dL未満の最大T血清濃度(Cmax)、5%以下の1800~2500ng/dL及び2500ng/dLを超えないことを含む。これらのガイドラインは、テストステロン補充療法を上市しようとする全ての製薬会社がその研究の焦点を当てる、FDAの認可を得るために使用される基準である。利点及び安全性リスクをより十分に管理するために、テストステロン又はウンデカン酸テストステロン(TU)などのテストステロンプロドラッグの好ましい薬物動態(PK)性能を実現するように製剤及び投与戦略を設計することが重要である。したがって、新規の製剤、投与レジメン及び用量設定(titration)スキームは、これらの基準を満たし、治療有効性を向上させるために必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
発明の概要
本発明は、テストステロンの血漿又は血清測定を実施すること及び必要に応じて、好ましいPKパラメーターを実現するために1日投与量の漸増又は漸減を用量設定することを含む、新規のウンデカン酸テストステロン投与戦略を特徴とする。
【0003】
一態様では、本発明は、テストステロン欠乏症の治療を、それを必要とする対象において行う方法を特徴とする。治療される対象は、男性、例えば性腺機能低下男性である。方法は、ウンデカン酸テストステロン(TU)、TUの可溶化に効果的な非ステロール可溶化剤及びフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む医薬組成物を対象に投与することを含む治療レジメンを実施することを含む。約400mgのTUが、例えば治療レジメンの開始時に投与され得る。方法は、テストステロンの第1の定常状態血清濃度を確立することを含み得る。方法は、TUの投与後の対象におけるテストステロンの第1の血清値を提供することを含み得る。加えて、方法は、例えば、必要に応じてウンデカン酸テストステロンの第1の用量設定を実施することをさらに含み得る。テストステロンの第1の血清値が約400/F未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、1日投与量は、例えば、約600mgのTUまで増加され得る。Fは、血漿及び血清濃度に関連する既定の実験的因子に対応し、以下でより詳細に記載される。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より高いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。テストステロンの第1の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、1日投与量は、維持され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値を維持し得る。テストステロンの第1の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、1日投与量は、例えば、約200mgのTUまで減少され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より低いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。
【0004】
別の態様では、本発明は、テストステロン欠乏症の治療を、それを必要とする対象において行う方法を特徴とする。治療される対象は、男性、例えば性腺機能低下男性であり得る。方法は、ウンデカン酸テストステロン(TU)、TUの可溶化に効果的な非ステロール可溶化剤及びフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む医薬組成物を対象に投与することを含む治療レジメンを実施することを含む。約400mgのTUが例えば治療レジメンの開始時に投与され得る。方法は、テストステロンの第1の定常状態血清濃度を確立することを含み得る。方法は、TUの投与後の対象におけるテストステロンの第1の血清値を提供することを含み得る。加えて、方法は、例えば、必要に応じてウンデカン酸テストステロンの第1の用量設定を実施することをさらに含み得る。テストステロンの第1の血清値が約460ng/dL未満である場合、1日投与量は、例えば、約600mgのTUまで増加され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より高いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。テストステロンの第1の血清値が460ng/dL~約971ng/dLである場合、1日投与量は、維持され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値を維持し得る。テストステロンの第1の血清値が約971ng/dLを超える場合、1日投与量は、例えば、約200mgのTUまで増加され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より低いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。対象は、例えば、降圧療法中であり得、及び収縮期血圧における3.4mmHg以下の平均変化、拡張期血圧における1.8mmHg以下の平均変化及び/又は心拍数における1分当たり1.3拍以下の平均変化を示し得る。対象は、真性糖尿病を有し得、及び収縮期血圧における3.0mmHg以下の平均変化、拡張期血圧における1.7mmHg以下の平均変化及び/又は心拍数における1分当たり1.9拍以下の平均変化を示し得る。
【0005】
テストステロンの血清値は、投与の約3時間~約6時間(例えば、3時間、4時間、5時間又は6時間、例えば約3時間~約5時間)後に測定され得る。テストステロンの血清値は、投与の約3時間~約5時間後に測定され得る。医薬組成物は、食事とともに投与され得る。医薬組成物は、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える)の用量で投与され得る。医薬組成物は、1日当たり2用量(例えば、1日2回の投与)で投与され得る。医薬組成物は、1日当たり3用量で投与され得る。第1の用量は、午前中に投与され得、及び第2の用量は、夕方に投与され得る。第1の用量は、約200mgのTUを含み得、及び第2の用量は、約200mgのTUを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の用量設定後、1日投与量は、約600mgのTUまで増加され得、第1の用量は、約300mgのTUを含み、及び第2の用量は、約300mgのTUを含むか;1日投与量は、約400mgのTUで維持され得、第1の用量は、約200mgのTUを含み、及び第2の用量は、約200mgのTUを含むか;又は1日投与量は、約200mgのTUまで減少され得、第1の用量は、約100mgのTUを含み、及び第2の用量は、約100mgのTUを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、テストステロンの第2の血清値が測定され得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の用量設定は、例えば、テストステロン測定の第2の血清値後に実施され得る。
【0009】
テストステロンの第1の血清値は、約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)であり得、及び1日投与量は、約600mgのTUまで増加され得る。これにより、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立し得る。テストステロンの第1の血清値は、約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)であり得、及び投与量は、維持され得る。これにより、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持し得る。テストステロンの第1の血清値は、約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)であり得、及び投与量は、約200mgのTUまで減少され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立し得る。
【0010】
第1の用量設定後、約600mgのTUが毎日対象に投与され得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、方法は、約800mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、方法は、約600mgのTUを毎日対象に経口投与し続けて、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、方法は、約400mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。
【0011】
第1の用量設定後、約400mgのTUが毎日対象に投与され得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、方法は、約600mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、方法は、約400mgのTUを毎日対象に経口投与し続けて、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、方法は、約200mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。
【0012】
第1の用量設定後、約200mgのTUが毎日対象に投与され得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、方法は、約400mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、方法は、約200mgのTUを毎日対象に経口投与し続けて、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、方法は、約100mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、第2の用量設定後、投与量は、約800mgのTUに増加され得、第1の用量は、約400mgのTUを含み、及び第2の用量は、約400mgのTUを含む。いくつかの実施形態では、投与量は、約100mgのTUまで減少され得、対象は、約100mgのTUの単一の用量を受ける。約100mgのTUの単一の用量は、午前中に投与され得る。
【0014】
テストステロンの第1の血清値は、定常状態に達してから測定され得る。例えば、テストステロンの第1の血清値は、21日目の前、例えば治療レジメンの約1日目~約21日目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日目、例えば14日目)に測定され得る。テストステロンの第1の血清値は、治療レジメンの約30日目~約60日目(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60日目)に測定され得る。
【0015】
第1の用量設定は、テストステロンの第1の血清値が測定された後の任意の時間、例えば治療レジメンの約1日目~約35日目、例えば約7日目~約35日目、例えば約21日目~約35日目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35日目、例えば28日目)に実施され得る。第1の用量設定は、治療レジメンの約30日目~約60日目(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60日目)に実施され得る。
【0016】
例えば、テストステロンの第1の血清値は、治療レジメンの約14日目に測定され得、及び/又は第1の用量設定は、治療レジメンの約28日目に実施され得る。
【0017】
テストステロンの第2の血清値が測定され得る。例えば、テストステロンの第2の血清値は、治療レジメンの約35日目~約49日目(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48又は49日目、例えば42日目)の尺度であり得る。
【0018】
第2の用量設定は、例えば、テストステロン測定の第2の血清値後に実施され得る。第2の用量設定は、治療レジメンの約49日目~約63日目(例えば、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62又は63日目、例えば56日目)に実施され得る。例えば、テストステロンの第2の血清値は、約42日目に測定され得、及び第2の用量設定は、約56日目に形成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の用量設定は、治療レジメンの約28日目に実施され得、及び/又は第2の用量設定は、治療レジメンの約56日目に実施され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の用量設定は、例えば、治療レジメンの約21日目~約35日目(例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35日目、例えば28日目)に実施され得る。第1の用量設定後、テストステロンの第2の定常状態血清値が確立され得る。次に、テストステロンの第2の血清値が測定され得る。次に、第2の用量設定が実施され得る。
【0021】
対象は、少なくとも7日の期間(例えば、2週、3週、4週、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年又はそれを超える)にわたり、TU又は他のテストステロン補充療法(例えば、TUのプロドラッグ)を以前に投与されていない。例えば、その期間は、身体から全ての外因性テストステロンを洗い出すのに十分であり得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、ヒト対象の集団に対して実施される。対象の集団は、例えば、少なくとも10人の対象、少なくとも50人の対象、少なくとも100人の対象、少なくとも200人の対象、少なくとも500人の対象又はそれを超える対象を含み得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、集団の少なくとも75%において約300ng/dL~約1000ng/dLの血清正常範囲のCavgを実現し;集団の少なくとも85%において約1500ng/dL未満のCmaxを実現し;集団の5%以下において約1800ng/dL~約2500ng/dLのCmaxを実現し;及び/又は集団の0%以下において約2500ng/dL超のCmaxを実現する。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンを受けている集団に対して、約300ng/dL~約1000ng/dLの定常状態テストステロン血清値を実現するために、集団における1対象当たりの不正確な用量設定の平均数又は不正確な用量設定のリスクを減少させる。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンと比較して、集団におけるより多い数の対象において約300ng/dL~約1000ng/dLの血清正常範囲のCavgを実現し;初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンと比較して、集団におけるより多い数の対象において約1500ng/dL未満のCmaxを実現し;初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンと比較して、集団におけるより少ない数の対象において約1800ng/dL~約2500ng/dLのCmaxを実現し;及び/又は初期投与量が約400mgのTUではなく、及び/又は血清値が投与の約3時間~約6時間後に測定されない治療レジメンと比較して、集団におけるより少ない数の対象において約2500ng/dL超のCmaxを実現する。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、ヒト対象の集団における血圧上昇のリスクを低減する。例えば、いくつかの実施形態では、日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、ベースラインと比較して約5mmHgを超えて増加しない(例えば、約4、3又は2mmHg以下)。いくつかの実施形態では、日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、ベースラインと比較して約3mmHgを超えて増加しない。いくつかの実施形態では、日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、自由行動下血圧モニタリング(ABPM)によって測定されるとき、ベースラインと比較して約2mmHgを超えて増加しない。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病又は高血圧であり、及び日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、自由行動下血圧モニタリング(ABPM)によって測定されるとき、ベースラインと比較して約4mmHgを超えて増加しない。
【0027】
いくつかの実施形態では、集団の平均は、2.5未満の0~24時間のCmax/Cavg比;2.2未満の0~12時間のCmax/Cavg比;及び/又は2.2未満の12~24時間のCmax/Cavg比を有する。
【0028】
医薬組成物は、約5重量%~約40重量%(例えば、約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、例えば約18.2重量%)のTUを含み得る。医薬組成物は、約2重量%~約45重量%(例えば、約2重量%、約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%又は約45重量%、例えば約25重量%)のフィトステロール又はフィトステロールエステルを含み得る。フィトステロールは、フィトステロール、フィトステロールエステル又はその組み合わせを含み得る。医薬組成物は、フィトステロールエステルを含み得る。製剤は、約10重量%~約90重量%(例えば、約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%又は90重量%)の非ステロール可溶化剤を含み得る。非ステロール可溶化剤は、脂質、界面活性剤(例えば、疎水性及び/又は親水性界面活性剤)及びその混合物から選択され得る。医薬組成物は、自己乳化型又は自己マイクロ乳化型であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、非ステロール可溶化剤は、プロピレングリコールモノラウレートを含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、非ステロール可溶化剤は、ポリオキシル40水素化ヒマシ油を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10重量%~約25重量%(例えば、約15重量%、20重量%又は25重量%、例えば約18.2重量%)の可溶化されたウンデカン酸テストステロン;約5重量%~約40重量%(例えば、約10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%又は40重量%、例えば約15重量%)の親水性界面活性剤;約15重量%~約65重量%(例えば、約20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%又は65重量%、例えば約39.9重量%)の疎水性界面活性剤;約2重量%~約45重量%(例えば、約2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%又は45重量%、例えば約25重量%)のフィトステロールエステル;及び約0~約15重量%(例えば、約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、10重量%又は15重量%、例えば約2重量%)の可溶化剤を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、経口製剤は、約10重量%~約40重量%(例えば、約10重量%~約30重量%、例えば約25重量%)の1種以上のフィトステロールエステルを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、可溶化剤は、dl-アルファ-トコフェロール及び/又はそのエステル若しくは酢酸塩を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約18.2重量%の可溶化されたウンデカン酸テストステロン;約15.0重量%のポリオキシル40水素化ヒマシ油;約39.9重量%のプロピレングリコールモノラウレート;約25.0重量%の1種以上のフィトステロールエステル;並びに約2.0重量%のdl-アルファ-トコフェロール及び/又はそのエステル若しくは酢酸塩を含む。
【0035】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、第1の血清値及び/又は第2の血清値は、チューブでの遠心分離前に約30分間にわたって室温で凝固された血清の、テストステロン濃度を測定すること、EDTA及びNaFを補充されたチューブにおいて血漿のテストステロン濃度を測定すること、並びにテストステロン濃度に既定の係数Fの逆数(1/F)を乗じること又はその同等の方法によって測定される。既定の係数は、例えば、約0.70~約1.10、例えば約0.81~約0.94(例えば、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93又は0.94)であり得る。例えば、既定の係数は、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09又は1.10であり得る。一実施形態では、既定の係数は、0.82である。一実施形態では、既定の係数は、0.83である。一実施形態では、既定の係数は、0.88である。一実施形態では、既定の係数は、0.89である。別の実施形態では、既定の係数は、0.92である。
【0036】
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、高血圧、心臓発作又は卒中のリスクがある。
【0037】
対象は、加齢に起因する低いテストステロンレベルを患っている場合がある。
【0038】
対象は、テストステロン産生を減少させる疾患に起因する低いテストステロンレベルを患っている場合がある。
【0039】
対象は、糖尿病(例えば、真性糖尿病)、高血圧症、代謝障害を有し得るか又は肥満である。
【0040】
いくつかの実施形態では、対象は、降圧薬物療法で治療されたことがあるか又は治療されている。
【0041】
対象は、骨粗鬆症、性機能若しくは性欲、筋力若しくは筋持久力の低下、再生不良性貧血、AIDS消耗症候群、閉塞性睡眠時無呼吸、代謝障害、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有し得る。
【0042】
対象は、テストステロンに関連する有害事象(例えば、血圧上昇)のリスクがあり得る。
【0043】
定義
本明細書で使用する場合、用語「約」は、列挙される値の+/-10%である値を指す。例えば、約400mgのTUの用量は、360mg~440mgのTUを含有する用量を指す。日に対して言及する場合、約という用語は、+/-3日の値を指す。例えば、約14日目に起こる事象(例えば、血清T測定又は用量設定)は、11日目~17日目に起こり得る。
【0044】
本明細書で使用する場合、用語「フィトステロール」は、植物細胞膜に見出される天然に存在する化合物である一群の植物ステロール分子を指す。フィトステロールは、植物ステロール及びスタノールの両方を含む。フィトステロールは、大豆、木材、トール油、植物油などの任意の一般的な植物供給源に由来し得る。フィトステロールとしては、例えば、β-シトステロール、カンプエステロール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペスタノール、ブラジカステロール、エルゴステロール、ルペオール、シクロアルテノールなどが挙げられる。フィトステロールは、フィトステロールエステル又はフィトスタノールエステルと称され得るそのエステル化された誘導体も包含する。フィトステロールエステルは、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸などの長鎖(例えば、C6~C24、例えばC10~C24、例えばC14~C24)脂肪酸などの脂肪酸でエステル化されたフィトステロールである。フィトステロール及びそれらのエステルは、完全に飽和(例えば、水素化)され得る。市販のフィトステロール及びフィトステロールエステルは、異なる化合物の混合物を含む場合が多い。例えば、ADMによって販売されるCardioAid(商標)XFフィトステロールは、少なくとも約95%の総植物ステロール、約40~58%のβ-シトステロール、約20~30%のカンプエステロール、約14~22%のスチグマステロール、約0~6%のブラジカステロール及び約0~5%のシトスタノールを含む。Cargillよって販売されるCOROWISE(登録商標)植物ステロールは、少なくとも約94%の総植物ステロール、約40~58%のβ-シトステロール、約20~28%のカンプエステロール及び約16~23%のスチグマステロールを含む。トール油由来のフィトステロールは、約36~79%のシトステロール、約6~34%のシトスタノール、約4~25%のカンプエステロール及び約0~14%のカンペスタノールを含み得る。木材由来のフィトステロールは、約72%のシトステロール、約8.2%のカンプエステロール、約0.3%のスチグマステロール、約0%のブラジカステロール、約15.3%のシトスタノール及び約1.6%のカンペスタノールを含み得る。植物油由来のフィトステロールは、約45%のシトステロール、約26.8%のカンプエステロール、約19.3%のスチグマステロール、約1.6%のブラジカステロール、約2.1%のシトスタノール及び約0.8%のカンペスタノールを含み得る。フィトステロール又はそれらのエステルを含有する医薬組成物は、前述の成分の1種以上又はその混合物を含み得る。本明細書で使用する場合、用語1つ又は複数の「フィトステロール」は、フィトステロール及びフィトステロールエステルの両方を包含する。
【0045】
本明細書で使用する場合、「用量設定(titration)」は、対象に投与されるウンデカン酸テストステロンの合計1日投与量の増加又は減少を指し、典型的には外因性の投与されたウンデカン酸テストステロンに対する対象の応答に基づく。投与量は、定常状態に達した後の血清テストステロン濃度の測定に基づいて増加又は減少され得る。
【0046】
本明細書で使用する場合、「定常状態」は、典型的には、投与レジメンの開始の少なくとも7日(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又は28日)後に達する、外因的に投与されたウンデカン酸テストステロンに対する血清総テストステロンレベルにおける安定した応答の実現を指す。
【0047】
いくつかの実施形態では、用量設定は、24時間以内に2又は3用量として投与されるかどうか、食事とともに投与されるかどうか、特定の脂肪含量を有する食事とともに投与されるかどうか又は1日の特定の時間に投与されるかどうかなど、総投与量が投与される様式の調整も含み得る。
【0048】
用語「血漿テストステロン濃度」及び「血清テストステロン濃度」は、それぞれ血漿及び血清中における遊離及びタンパク質結合テストステロン濃度を含む生体利用可能なテストステロンの総量である「総」テストステロン濃度を指す。あらゆる生体分析測定と同様に、一貫性を高めるために、初期の血清テストステロンレベルを測定するために利用される方法は、対象の臨床検査及びテストステロン療法中に血清テストステロンレベルをモニターし、再測定するために使用される方法と一致すべきである。
【0049】
本明細書で使用する場合、平均血漿又は血清テストステロン濃度は、当技術分野で知られる方法及び実践を使用して決定され得る。例えば、ヒト男性の平均ベースライン血漿又は血清テストステロン濃度は、それぞれ総血漿又は血清テストステロン濃度の算術平均であり、相互に適度な間隔を空けた少なくとも2つの連続的な時点、例えば約1時間~約168時間離れた時点で決定される。一例において、血清又は血漿テストステロン濃度は、約12時間~約48時間離れた少なくとも2つの連続的な時点で決定され得る。別の例において、ヒト男性の血漿又は血清テストステロン濃度は、午前中の約5時~約11時の時点で決定され得る。さらに、血漿又は血清テストステロン濃度は、例えば、自動又は手動イムノアッセイ法、液体クロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析(LC-MS/MS)など、当技術分野で利用可能な標準的な分析手順及び方法によって決定され得る。
【0050】
本明細書で使用する場合、用語「血清値」は、指定されるCavg血清濃度テストステロン及び対応する血漿テストステロン濃度を指す。血清濃度に既定の係数(F)を乗じて、血清濃度を対応する血漿濃度に変換し、それにより、
F*(血清濃度)=血漿濃度;及び
血清値=血清濃度=(1/F)*(血漿濃度)
である。テストステロンの血清及び血漿測定値は、測定のために使用されるアッセイに応じて異なる値をもたらすため、既定の係数Fが、異なるアッセイを使用する測定値を関係付けるために必要となる。既定の係数は、実験的に計算され、例えば約0.70~約1.10、例えば約0.81~約0.94(例えば、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93又は0.94)であり得る。既定の係数は、0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.80、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、1.00、1.01、1.02、1.03、1.04、1.05、1.06、1.07、1.08、1.09又は1.10であり得る。1つの特定の実施形態では、既定の係数は、血漿測定が、NaF/EDTAを含有する血漿試料チューブを使用して実行されるとき、約0.89である。この実施形態において、約300ng/dLの血清値は、約300ng/dLのテストステロンの血清濃度及び約267ng/dL(300に0.89ng/dLを乗じる)のテストステロンのNaF/EDTA血漿濃度を指す。約1000ng/dLの血清値は、約1000ng/dLのテストステロンの血清濃度及び約1000に0.89ng/dLを乗じた約890ng/dLであるテストステロンのNaF/EDTA血漿濃度を指す。400ng/dL及び900ng/dLの用量設定決定のためのカットオフとして使用されるテストステロンのNaF/EDTA血漿濃度は、それぞれ(400/0.89)=449ng/dL及び(900/0.89)=1011ng/dLの血清値を指し得る。当業者であれば、実験的に導き出された係数と関連する誤差に起因して、これらの値は、例えば、約+/-0 10%の妥当な誤差内で変動し得ることを理解するであろう。血清値は、チューブでの遠心分離前に約30分間にわたって室温で凝固された血清の、テストステロン濃度を測定すること、EDTA及びNaFを補充されたチューブにおいて血漿のテストステロン濃度を測定すること並びにテストステロン濃度に既定の係数Fを乗じること又はその同等の方法によって得ることができる。例示的な方法は、例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれるLachance et al. Future Sci OA, FSO55, 2015に記載されている。
【0051】
別の実施形態では、線形回帰を使用して、血清及び血漿濃度を関連付けるために使用され得る式を導出し、それにより、
F*(血清濃度-b)=血漿濃度;及び
血清値=血清濃度=(1/F)*(血漿濃度)+b
であり;ここで、bは、線形回帰におけるy切片であり、1/Fは、勾配である。テストステロンの血清及び血漿測定値は、測定のために使用されるアッセイに応じて異なる値をもたらすため、既定の線形方程式が、異なるアッセイを使用する測定値を関係付けるために必要となる。例えば、勾配1/Fは、1.023であり得、切片は、50.45ng/dLであり得る。1つの特定の実施形態では、既定の勾配は、血漿測定が、NaF/EDTAを含有する血漿試料チューブを使用して実行されるとき、約1.023であり、切片は、50.45ng/dLである。この実施形態において、約300ng/dLの血清値は、約300ng/dLのテストステロンの血清濃度及び約244ng/dL(300から切片50.45を引き、その結果を1.023で割る)のテストステロンのNaF/EDTA血漿濃度を指す。約1000ng/dLの血清値は、約1000ng/dLのテストステロンの血清濃度及び約928ng/dL(1000から切片50.45を引き、その結果を1.023で割る)のテストステロンのNaF/EDTA血漿濃度を指す。400ng/dL及び900ng/dLの用量設定決定のためのカットオフとして使用されるテストステロンのNaF/EDTA血漿濃度は、それぞれ(400*1.023)+50.45=460ng/dL及び(900*1.023)+50.45=971ng/dLの血清値を指し得る(例えば、
図8を参照されたい)。当業者であれば、実験的に導き出された係数と関連する誤差に起因して、これらの値は、例えば、約+/-10%の妥当な誤差内で変動し得ることを理解するであろう。血清値は、チューブでの遠心分離前に約30分間にわたって室温で凝固された血清の、テストステロン濃度を測定すること、EDTA及びNaFを補充されたチューブにおいて血漿のテストステロン濃度を測定すること並びに線形方程式を使用して血清値に変換すること又はその同等の方法によって得ることができる。
【0052】
当業者は、使用される線形方程式のパラメーターがテストステロンに関するアッセイの分析的方法論に依存し得ることも理解するであろう。例えば、イムノアッセイは、選択性が異なり得、血清及び血漿濃度を関連付けるのに好適なパラメーターを同様に得ることができる。
【0053】
加えて、当業者は、血清及び血漿濃度を関連付けるより洗練された式が実験的な関連性に適用され得ることも理解するであろう。例えば、非線形方程式を使用して、血清及び血漿濃度の関連性を説明することができた。
【0054】
本明細書で使用する場合、AUC0-tという用語は、時間0~時間「t」で分析物に関して決定された血漿対時間グラフの曲線下面積である。
【0055】
本明細書で使用する場合、用語「Cavg」又は「Cavg-t」は、AUC0-tを既定の期間(t)で割ったものとして決定される。例えば、Cavg-8hは、AUC0-8値を8で割ることによって決定される投与後8時間の期間にわたる平均血漿濃度である。同様に、Cavg-12hは、AUC0-12を12で割ることによって決定される投与後12時間の期間にわたる平均血漿濃度であり;Cavg-24hは、AUC0-24値を24で割ることなどによって決定される投与後24時間の期間にわたる平均血漿濃度である。特に明記しない限り、全てのCavg値は、Cavg-24hとみなされる。
【0056】
本明細書で使用する場合、「Ct」は、本発明の投与量の投与前又は後の時間「t」でのテストステロンの血清濃度を指す。時間「t」は、特に明記しない限り、一般に時間単位である。例えば、C(-2~0)のCtは、試験される対象への投与量の投与の約2時間前~直前の時間で回収される試料で測定される血清テストステロン濃度を指す。同様に、C(2~4)のCtは、試験される対象への投与量の投与後の約2時間~4時間の時間で回収される試料で測定される血清テストステロン濃度を指す。
【0057】
本明細書で使用する場合、PKパラメーター(例えば、Cavg又はCmax)は、例えば、臨床試験の一部として、例えばTU製剤で治療される対象の集団で測定されるパラメーターであり得る。
【0058】
本明細書で使用する場合、「対象の集団」は、少なくとも10人(例えば、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500人又はそれを超える)の対象の群を指す。
【0059】
本明細書で使用する場合、「対象」は、ヒト対象などの動物を指す。対象は、男性であり得る。対象は、性腺機能低下男性であり得る。対象は、高血圧、心臓発作又は卒中を有し得るか又はそれを発症するリスクがあり得る。対象は、加齢に起因する低いTレベルを患っている場合がある。対象は、テストステロン産生を減少させる疾患に起因する低いテストステロンレベルを患っている場合がある。対象は、糖尿病(例えば、真性糖尿病)、高血圧症及び/又は肥満などの併存症を有し得る。対象は、降圧薬物療法で治療されたことがあり得るか又は治療されている。対象は、例えば、肥満、高血圧症及びインスリン感受性の低下が併存するとき、代謝障害を有し得る。対象は、テストステロン補充療法の用量設定プロトコルから同定され得る。対象は、骨粗鬆症、性機能若しくは性欲、筋力若しくは筋持久力の低下、再生不良性貧血、AIDS消耗症候群、閉塞性睡眠時無呼吸、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図面の簡単な説明
【
図1】試験における試験1 SOV2012-F1用量設定の図解である。略称:a.m.=午前;N=対象の数;p.m.=夕方;T3-5=午前の投与後の3時間~5時間(+10分)に測定される血漿テストステロン濃度。
a 治験責任医師及び治験依頼者は、各個体に関するデータを審査し、治療に応答しない理由が調査される。試験薬物による正しい服薬遵守を仮定すると、SOV2012-F1は、安全性を考慮しながら治験責任医師の判断で600mg a.m.、400mg p.m.に増加され得るか、又は対象は、非レスポンダーとして試験を中断し得る。データは、臨床試験報告において報告される。
【
図2】計算された24時間T Cavgと比較して24時間T Cavgを予測するために、午前の投与の0、1.5、3、4、5、6、8、10又は12時間後を含む様々な時点で単回の採血を使用して用量設定の決定の理論的な結果(正確又は不正確)を示すグラフである。手法を示すために、この図は、一般的に認められている300~1000ng/dLの血清正常T範囲を使用する。
【
図3】それぞれの時点での対象のパーセンテージを示すグラフであり、採血の使用は、正確な用量設定の決定につながるであろう(24時間T Cavgに基づいて7日目及び14日目)。
【
図4】単回の採血に基づく不正確な用量設定のパーセンテージを示すグラフである(7日目及び14日目)。
【
図5】それぞれの時点での対象のパーセンテージを示すグラフであり、採血の使用は、正確な用量設定の決定につながるであろう(Cmax0-12に基づいて7日目及び14日目)。
【
図6】本明細書に記載されるとおりの用量設定アルゴリズムを示す概略フローチャートである。
【
図7】14日目及び42日目の投与後0~6時間の平均血漿T濃度を示すグラフである。
【
図8】午前の投与の3時間後~5時間後に得られる血清-血漿濃度の対を使用する血清対血漿濃度の回帰プロットである。
【
図9A】ベースライン並びに経口ウンデカン酸テストステロン療法を開始してから120日後及び180日後の1時間毎の自由行動下血圧(BP)結果を示すグラフである。自由行動下収縮期BPを示す。
【
図9B】ベースライン並びに経口ウンデカン酸テストステロン療法を開始してから120日後及び180日後の1時間毎の自由行動下血圧(BP)結果を示すグラフである。自由行動下拡張期BPを示す。
【
図10A】自由行動下血圧におけるベースラインから120日目及び180日目のパーセンテージ変化の累積分布関数を示すグラフである。自由行動下収縮期BPを示す。
【
図10B】自由行動下血圧におけるベースラインから120日目及び180日目のパーセンテージ変化の累積分布関数を示すグラフである。自由行動下拡張期BPを示す。
【
図11】治療の90日目の血清ヘモグロビン(g/L)と、治療の120日目の自由行動下収縮期BPとの間の関連性を示すグラフである。弱く有意な正の相関が観察された。
【
図12】治療の120日目の血清テストステロンの濃度と、自由行動下収縮期BPにおける変化との間の評価を示すグラフである。相関は、観察されなかった。
【
図13】0~24時間の血漿Tを示すグラフである。
【
図14】0~24時間の標準偏差(SD)を有する血漿Tを示すグラフである。
【
図15】0~24時間の血漿及び血清Tを示すグラフである。
【
図16】0~24時間の血漿TUを示すグラフである。
【
図17】0~24時間の標準偏差(SD)を有する血漿TUを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
詳細な説明
本発明は、テストステロン欠乏症を治療するための新規の方法を特徴とする。特に、本発明は、TUの投与を含むウンデカン酸テストステロン(TU)投与レジメン、テストステロン(T)の血漿又は血清測定を実施すること及び好ましい薬物動態(PK)パラメーターを実現するために、必要に応じて投与量を用量設定すること(例えば、投与量を増加させること又は減少させること)を特徴とする。好ましいPKパラメーターは、投与量を用量設定することなく得られる場合もある。好ましいPKパラメーターを得ることは、テストステロン補充療法に関するFDAの認可を得るのに必要である。現在、テストステロン補充療法に関するFDAガイドラインは、対象の75%における300~1000ng/dLの正常範囲のテストステロン血清濃度(Cavg)、対象の85%における1500ng/dL未満の最大T血清濃度(Cmax)、5%以下の1800~2500ng/dL及び2500ng/dLを超えないことを要求している。FDAのガイドラインは、実際にはガイドラインであり、当業者であれば、変更し得るか又は厳格でなくなる可能性があることを理解するであろうことに留意されたい。例えば、正常な範囲の別の一般的に認められる定義は、約264ng/dL~約917ng/dLである。さらに、一部の対象は、実際に2500ng/dLを超える血清Cmaxを示す可能性がある。しかしながら、目標は、この閾値を超える対象をできるだけ少なくすることである。
【0062】
一般に、目標は、投与を単純化し、患者のコンプライアンスを向上させ、正常な対象(例えば、性腺機能が低下していない男性)と一致し、FDAのガイドラインを反映する範囲の血清T濃度を得るために、用量設定及び血清T測定の回数を減らす一方、安全及び有効な療法を提供する投与戦略を設計することである。さらに、用量設定が実施されるとき、1回以上投与量を調整する必要がないように正確な用量設定の決定を行うことも望ましい。例えば、ある投与量のTUが投与され、正常範囲未満の血清T濃度が測定された場合、投与量を増加させることが望ましい場合がある。しかしながら、投与量を過度に増加させ、次の血清T濃度測定値が正常範囲を超える場合、投与量を減少させる必要があり得る。追加の目標は、血圧の上昇などのテストステロン補充療法と関連付けられる望まれない副作用を減少させることである。本明細書に記載される方法は、テストステロン補充療法とともに生じる可能性のある血圧上昇を最小化し、不正確な用量設定の決定を減少させることによって前述の目標を満たすことが示されている。
【0063】
本発明は、テストステロン補充療法を受けている対象において、血圧及び心拍数の上昇などのテストステロンに関連する有害事象のリスクがある対象を治療する方法も特徴とする。対象は、高血圧、心臓発作又は卒中を有し得るか又はそれを発症するリスクがあり得る。対象は、加齢に起因する低いTレベルを患っている場合がある。対象は、テストステロン産生を減少させる疾患に起因する低いテストステロンレベルを患っている場合がある。対象は、糖尿病(例えば、真性糖尿病)、高血圧症及び/又は肥満などの併存症を有し得る。対象は、降圧薬物療法で治療されたことがあり得るか又は治療されている。対象は、例えば、肥満、高血圧症及びインスリン感受性の低下が併存するとき、代謝障害を有し得る。対象は、テストステロン補充療法の用量設定プロトコルから同定され得る。対象は、骨粗鬆症、性機能若しくは性欲、筋力若しくは筋持久力の低下、再生不良性貧血、AIDS消耗症候群、閉塞性睡眠時無呼吸、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を有し得る。
【0064】
驚くべきことに、本発明者らは、本明細書に記載されるTUの開始投与量を使用し、投与事象の約3時間~約5時間後のTの血清又は血漿濃度を測定し、及び血漿又は血清測定値後の既定の範囲内で、TUの投与量を用量設定することが、治療される対象におけるPK性能の改善、より多くの正確な用量設定の決定、より少ない不正確な用量設定の決定並びに血圧及び/又は心拍数の上昇のリスクの低下につながることを発見した。さらに、約400ng/dL~約900mg/dLのNaF/EDTA血漿Cavg濃度範囲(例えば、Fが0.89又は約460ng/dL~約971ng/dLであり、勾配1/Fが1.023であり、及びbが50.45である場合、約449ng/dL~約1011ng/dLの血清Cavg濃度範囲)を使用して用量設定の決定を行わせることにより、約300ng/dL~約1000ng/dLのCavg濃度範囲と比較してより好ましい結果をもたらす可能性がある。TUの好ましい開始投与量並びに血清又は血漿測定を実施し、投与量の用量設定を実行する特定の日は、以下でより詳細に記載される。さらに驚くべきことに、本発明者らは、本治療レジメンが血圧及び心拍数の上昇のリスクの低下をもたらすことを発見した。これにより、テストステロン補充療法を受けている対象によって必要とされるその後の血圧又は心拍数の薬物療法の必要性がなくなる可能性がある。
【0065】
さらに、本発明者らは、テストステロン値が、TU製剤の投与後(例えば、午前の投与後)の約3時間~約6時間(例えば、約3時間~約5時間)の時間枠で確実に測定されることも発見した。この時間枠は、1回の測定評価のための堅固な測定時間枠を提供する。この特徴は、製剤内のフィトステロールエステルに起因する可能性があり、例えば投与後の平坦なPK曲線の存在に起因する可能性があり、例えば改変された放出に起因する可能性があり、サンプルの時間枠内の対象の信頼性の高い評価を可能にする(
図7を参照されたい)。この範囲において信頼性の高い時間枠を提供することにより、信頼性の高い用量設定の決定及び結果を与え、より正確な用量設定の決定をもたらし、血圧上昇及び心拍数増加などの望まれない副作用を減少させる可能性を有する。
【0066】
投与量及び投与
本明細書では、ウンデカン酸テストステロンの経口投与のための製剤及び方法が記載される。経口投与製剤(例えば、カプセル、ソフトゲル、錠剤、トローチ剤、シロップ剤など)を使用して、対象(例えば、ヒト、例えば男性ヒト対象)を治療することができる。対象は、性腺機能低下などのテストステロン欠乏症に罹患している場合がある。したがって、本明細書に記載される方法は、対象(例えば、男性対象)又は対象の集団に関する標的血清テストステロン濃度Cave範囲内のテストステロンの血清濃度をもたらす。方法は、対象にある投与量のTUを含有する医薬組成物を経口投与する工程を含む。
【0067】
製剤は、製剤の約5重量%~約40重量%(例えば、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%)(wt%)でTUを含み得る。例えば、製剤は、約5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、25重量%、26重量%、27重量%、28重量%、29重量%、30重量%、31重量%、32重量%、33重量%、34重量%、35重量%、36重量%、37重量%、38重量%、29重量%又は40重量%の製剤を含有し得る。医薬組成物は、1日当たり約25mg~約1000mg(例えば、約50mg~約600mg、約100mg~約600mg、約200mg~約600mg、約200mg~約400mg、約100mg~約200mg)のTUの投与量を提供し得る。例えば、製剤は、1日当たり約25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg又は1000mgのTUを提供し得る。
【0068】
医薬組成物は、複数の用量で投与され得る。例えば、全ての投与量は、連続的に与えられ得るか、又は所与の時間枠毎に複数の用量に分割されて与えられ得ることが理解される。例えば、約400mgの1日投与量は、2用量(例えば、約200mgの第1の用量及び約200mgの第2の用量又は100mgの第1の用量及び約300mgの第2の用量)で投与され得る。
【0069】
本明細書に記載される医薬組成物は、1日当たり1回以上投与され得る。例えば、ある用量が1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回又はそれを超えて投与され得る。製剤は、食事とともに投与され得る。
【0070】
製剤及び賦形剤
本明細書に記載される方法において使用される製剤は、自己乳化型薬物送達系(SEDDS)、自己マイクロ乳化型薬物送達系(SMEDDS)又は自己ナノ乳化型薬物送達系(SNEDDS)送達系において提供され、これらはTUなどの疎水性薬物の送達のための有用な機構として当技術分野で知られる。疎水性薬物は、不十分な水溶性及び低い経口バイオアベイラビリティを伴う。SEDDS/SMEDDS/SNEDDS製剤は、油、界面活性剤、共界面活性剤(又は可溶化剤)及び薬物の等方性混合物である。この系の基本原理は、水相による希釈後の緩やかな撹拌(例えば、胃及び腸管の消化運動が、腸の内腔においてインビボで自己乳化に必要となる撹拌をもたらす)の下で微細な水中油(o/w)マイクロエマルションを形成するその能力である。胃腸管などの液体環境中のエマルションのこの自発的な形成は、可溶化形態で薬物を提示し、小さいサイズの形成されたドロップレットは、薬物吸収のために大きい界面の表面積をもたらす。可溶化に加えて、製剤における脂質の存在は、薬物吸収に影響を及ぼすことによってバイオアベイラビリティの改善をさらに促進する。好適な自己乳化型製剤の選択は、様々な成分における薬物の可溶性の評価、状態図において得られるとおりの自己乳化型領域の面積、自己乳化後に得られたエマルションのドロップレットサイズ分布及び腸管液中での分散後の薬物の放出速度に依存する。
【0071】
本明細書に記載される製剤は、TUを含む。TUは、非ステロール可溶化剤及び1種以上のフィトステロール又はフィトステロールエステルと製剤化され得る。非ステロール可溶化剤は、1種以上の疎水性界面活性剤、1種以上の親水性界面活性剤及び/又はその混合物を含み得る。
【0072】
本明細書で定義されるとおりの親油性又は疎水性界面活性剤は、不十分に水可溶性であるか又は水不溶性であり、10未満、好ましくは5未満の親水性-親油性バランス(HLB)値及びより好ましくは1~3のHLBを有する。HLBは、界面活性剤などの界面活性両親媒性分子の親水性及び疎水性基の関連性に関する実験的な表出である。それは、界面活性剤に指標を付けるために使用され、その値は、約1~約45で変動し、非イオン性及びイオン性界面活性剤の両方を含む。HLBが高いほど、界面活性剤の水溶性/分散性が高くなることがよく知られている。
【0073】
例示的な親油性界面活性剤としては、Maisine 35-1、Imwitor 742、Capmul MCM、Capmul PG 12、Lauroglycol 90、Lauroglycol FCC、Caproyl 90、Captex 250、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群から選択される脂肪酸が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪酸は、親油性及び親水性成分の両方を含み得、したがって親油性又は親水性界面活性剤のいずれかとして特徴付けられ得る。本明細書で使用する場合、親油性界面活性剤は、不十分に水溶性の界面活性剤又は疎水性界面活性剤とも称され得る。
【0074】
本明細書に記載される製剤における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸(C6~C24、例えばC10~C24、例えばC14~C24)、例えばオクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸が挙げられる。
【0075】
本明細書に記載される製剤における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、Imwitor 988(グリセリルモノ-/ジ-カプリル酸塩)、Imwitor 742(グリセリルモノ-/ジ-カプリル酸塩/カプリン酸塩)、Imwitor 308(グリセリルモノ-カプリル酸塩)、Imwitor 191(グリセリルモノ-ステアリン酸塩)、Softigen 701(グリセリルモノ-/ジ-リシンオレイン酸塩)、Capmul MCM(グリセリルモノ-/ジ-カプリル酸塩/カプリン酸塩)、Capmul MCM(L)(Capmul MCMの液体形態)、Capmul GMO(グリセリルモノ-オレイン酸塩)、Capmul GDL(ジラウリン酸グリセリル)、Maisine(グリセリルモノ-リノール酸塩)、Peceol(グリセリルモノ-オレイン酸塩)、Myverol 18-92(ヒマワリ油から蒸留されたモノグリセリド)及びMyverol 18-06(水素化された大豆油から蒸留されたモノグリセリド)、Precirol ATO 5(グリセリルパルミトステアリン酸塩)及びGelucire 39/01(半合成グリセリド、例えばC12~18モノ-、ジ-及びトリ-グリセリド)などの脂肪酸のモノ-及び/又はジ-グリセリドが挙げられる。
【0076】
本明細書に記載される製剤における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸のモノ-及び/又はジ-グリセリドの酢酸、コハク酸、乳酸、クエン酸及び/又は酒石酸エステル、例えばMyvacet 9-45(蒸留されたアセチル化モノグリセリド)、Miglyol 829(カプリル酸/カプリン酸ジグリセリルコハク酸塩)、Myverol SMG(モノ/ジ-サクシニル化モノグリセリド)、Imwitor 370(ステアリン酸クエン酸グリセリル)、Imwitor 375(モノステアリン酸/クエン酸/乳酸グリセリル)及びCrodatem T22(モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)が挙げられる。
【0077】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸のプロピレングリコールモノ-及び/又はジ-エステル、例えばLauroglycol(モノラウリン酸プロピレングリコール)、Mirpyl(モノミリスチン酸プロピレングリコール)、Captex 200(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)、Miglyol 840(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)及びNeobee M-20(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール)が挙げられる。
【0078】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、Plurol oleique(オレイン酸ポリグリセリル)、Caprol ET(ポリグリセリル混合脂肪酸)及びDrewpol 10.10.10(オレイン酸ポリグリセリル)などの脂肪酸のポリグリセロールエステルが挙げられる。
【0079】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、Etocas 5(5モルのエチレンオキシドが1モルのヒマシ油と反応される)及びSandoxylate 5(5モルのエチレンオキシドが1モルのヒマシ油と反応される)などの低エトキシレート含量(HLB<10)のヒマシ油エトキシレートが挙げられる。
【0080】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、Crodet 04(ポリオキシエチレン(4)ラウリン酸)、Cithrol 2MS(ポリオキシエチレン(2)ステアリン酸)、Marlosol 183(ポリオキシエチレン(3)ステアリン酸)及びMarlowet G12DO(グリセリル12EOジオレエート)などの脂肪酸又は脂肪酸のグリセロールエステル(HLB<10)をエチレンオキシドと反応させることによって形成される酸及びエステルエトキシレートが挙げられる。
【0081】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸のソルビタンエステル、例えばSpan 20(モノラウリン酸ソルビタン)、Crill 1(モノラウリン酸ソルビタン)及びCrill 4(モノオレイン酸ソルビタン)が挙げられる。
【0082】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、天然の又は水添植物油トリグリセリド及びポリアルキレンポリオール(HLB<10)のエステル交換生成物、例えばLabrafil M1944CS(ポリオキシエチレン化杏仁油)、Labrafil M2125CS(ポリオキシエチレン化トウモロコシ油)及びGelucire 37/06(ポリオキシエチレン化水素化ココナッツ)が挙げられる。
【0083】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、アルコールエトキシレート(HLB<10)、例えばVolpo N3(ポリオキシエチレン化(3)オレイルエーテル)、Brij 93(ポリオキシエチレン化(2)オレイルエーテル)及びMarlowet LA4(ポリオキシエチレン化(4)ラウリルエーテル)が挙げられる。
【0084】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親油性界面活性剤としては、例えば、プルロニック、例えばポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー(HLB<10)、例えばSynperonic PE L42(HLB=8)及びSynperonic PE L61(HLB=3)が挙げられる。
【0085】
いくつかの実施形態では、例えば、上記のとおりの親油性界面活性剤の混合物は、本明細書に記載される製剤において使用され得る。
【0086】
本明細書に記載され方法における使用に好適な製剤としては、任意の薬学的に許容される親水性界面活性剤(例えば、10を超えるHLB値を有する)が挙げられる。いくつかの非限定的な例としては、ヒマシ油又は水素化ヒマシ油エトキシレート(HLB>10)、例えばCremophor EL(ポリオキシエチレン(35)ヒマシ油)、Cremophor RH40(ポリオキシエチレン(40)水素化ヒマシ油)、Etocas 40(ポリオキシエチレン(40)ヒマシ油)、Nikkol HCO-60(ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油)、Solutol HS-15(ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコール660)、Labrasol(カプリロカプロイルマクロゴール-8グリセリド)、α-トコフェロール-ポリエチレングリコール-1000-サクシネート(TPGS)及びパルミチン酸アスコルビル-6が挙げられる。
【0087】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸誘導体、例えばTween 20(ポリオキシエチレン(20)モノラウレート)、Tween 80(ポリオキシエチレン(20)モノオレエート)、Crillet 4(ポリオキシエチレン(20)モノオレエート)及びMontanox 40(ポリオキシエチレン(20)モノパルミテート)が挙げられる。
【0088】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、gelucire、好ましくはGelucire 50/13(パルミチン酸及びステアリン酸のPEGモノ-及びジエステル)が挙げられる。(Gelucireに関して、第1の数(例えば、50)は、材料の融点に対応し、第2の数(例えば13)は、HLB数に対応する。)
【0089】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸エトキシレート(HLB>10)、例えばMyrj 45(ポリオキシエチレン(8)ステアレート)、Tagat L(ポリオキシエチレン(30)モノラウレート)、Marlosol 1820(ポリオキシエチレン(20)ステアレート)及びMarlosol OL15(ポリオキシエチレン(15)オレエート)が挙げられる。Myrj 45が好ましい。
【0090】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、アルコールエトキシレート(HLB>10)、例えばBrij 96(ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル)、Volpo 015(ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル)、Marlowet OA30(ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル)及びMarlowet LMA20(ポリオキシエチレン(20)C12~C14脂肪エーテル)が挙げられる。
【0091】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー及びブロックコポリマー(HLB>10)が挙げられ、これらは、それぞれSyperonic PE L44(HLB=16)及びSyperonic F127(HLB=22)としても知られるPoloxamer 188及び407などの商品名Pluronic又はPoloxamerの下で商業的に入手可能である。
【0092】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムが挙げられる。
【0093】
本明細書に記載される製剤中における使用に好適な親水性界面活性剤としては、例えば、アルキルフェノール界面活性剤(HLB>10)、例えばTriton N-101(ポリオキシエチレン(9-10)ノニルフェノール)及びSynperonic NP9(ポリオキシエチレン(9)ノニルフェノール)が挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、例えば、上記のとおりの親水性界面活性剤の混合物は、本明細書に記載される製剤において使用され得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、例えば、上記のとおりの親水性界面活性剤及び親油性界面活性剤の混合物は、本明細書に記載される製剤において使用され得る。
【0096】
本明細書に記載される製剤は、1種以上の追加の共溶媒も含み得る。本明細書に記載される製剤と好適な共溶媒としては、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、グリセロール、プロピレングリコール、炭酸プロピレン、約200~約10,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(例えば、Transcutol HP)及びその組み合わせなどの短鎖モノ-、ジ-及び多価アルコールが挙げられる。いくつかの実施形態では、製剤は、水をさらに含む。
【0097】
本明細書に記載される製剤は、追加の油を含み得る。本発明の実施形態において組み込まれ得る追加の油としては、低分子量(最大C6)のモノ、ジ-又は多価アルコールと中鎖(C7~C13)又は長鎖(C14~C22)脂肪酸の完全なグリセロールトリエステルが挙げられる。したがって、本発明における使用のための油のいくつかの例としては、植物油(例えば、大豆油、サフラワー種子油、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、ヒマワリ種子油、ココナッツ油、パーム油、ナタネ油、月見草油、ブドウ種子油、コムギ胚芽油、ゴマ油、アボカド油、アーモンド、ルリジサ、ペパーミント及びアンズ核油)及び動物油(例えば、魚肝油、サメ油及びミンク油)が挙げられる。
【0098】
いくつかの好ましい実施形態では、本明細書に記載される方法における使用に好適な製剤としては、TU、非ステロール可溶化剤及びフィトステロール若しくはフィトステロールエステル又はその混合物が挙げられる。例えば、製剤は、約5重量%~約40重量%のTU、約10重量%~約90重量%の非ステロール可溶化剤及び約2重量%~約45重量%のフィトステロール又はフィトステロールエステルを含み得る。例えば、製剤は、製剤の約5重量%~約40重量%(例えば、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%)でTUを含み得る。製剤は、約10重量%~約90重量%(例えば、約10重量%~約80重量%、約10重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約20重量%~約90重量%、約20重量%~約80重量%、約20重量%~約70重量%、約20重量%~約60重量%、約20重量%~約50重量%、約20重量%~約40重量%、約20重量%~約30重量%、約30重量%~約90重量%、約30重量%~約80重量%、約30重量%~約70重量%、約30重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、約30重量%~約40重量%、約40重量%~約90重量%、約40重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%、約40重量%~約60重量%、約40重量%~約50重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、約50重量%~約60重量%、約60重量%~約90重量%、約60重量%~約80重量%、約60重量%~約70重量%、約70重量%~約90重量%、約70重量%~約80重量%又は約80重量%~約90重量%)の非ステロール可溶化剤を含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、約45重量%、約50重量%、約55重量%、約60重量%、約65重量%、約70重量%、約75重量%、約80重量%、約85重量%又は約90重量%の非ステロール可溶化剤を含み得る。製剤は、約2重量%~約45重量%のフィトステロール若しくはフィトステロールエステル又はその混合物を含み得る。例えば、製剤は、約5重量%~約35重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約10重量%~約35重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、約10重量%~約15重量%、約15重量%~約35重量%、約15重量%~約30重量%、約15重量%~約25重量%、約15重量%~約20重量%のフィトステロール又はフィトステロールエステルを含み得る。いくつかの実施形態では、製剤は、約5重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%又は約45重量%のフィトステロール若しくはフィトステロールエステル又はその混合物を含む。フィトステロールは、β-シトステロール、カンプエステロール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペスタノール、ブラジカステロール、エルゴステロール、ルペオール及びシクロアルテノールから選択され得る。同様に、フィトステロールエステルは、β-シトステロール、カンプエステロール、スチグマステロール、スチグマスタノール、カンペスタノール、ブラジカステロール、エルゴステロール、ルペオール及びシクロアルテノールから選択されるフィトステロールの脂肪酸エステルであり得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、製剤は、約10重量%~約25重量%(例えば、約15重量%~約25重量%、例えば約18.2重量%)の可溶化されたウンデカン酸テストステロン;約5~約40重量%(例えば、約5重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、例えば約15.0重量%)の親水性界面活性剤;約15重量%~約65重量%(例えば、約20重量%~約60重量%、約30重量%~約50重量%、例えば約39.9重量%)の疎水性界面活性剤;約2重量%~約45重量%(例えば、約5重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、例えば約25.0重量%)のフィトステロールエステル;及び約0~約15重量%(例えば、約0~約10重量%、例えば約0~約5重量%、例えば約2.0重量%)の可溶化剤を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、親水性界面活性剤は、ポリオキシル40水素化ヒマシ油(例えば、Cremophor RH40)である。いくつかの実施形態では、親水性界面活性剤は、プロピレングリコールモノラウレート(例えば、Lauroglycol 90)である。いくつかの実施形態では、可溶化剤は、dl-アルファトコフェロール(例えば、ビタミンE)及び/又はそのエステル若しくは酢酸塩である。いくつかの実施形態では、製剤は、約18.2重量%の可溶化されたウンデカン酸テストステロン;約15.0重量%のポリオキシル40水素化ヒマシ油;約39.9重量%のプロピレングリコールモノラウレート;約25.0重量%の1種以上のフィトステロールエステル;及び約2.0重量%のdl-アルファ-トコフェロール及び/又はそのエステル若しくは酢酸塩を含む。
【0101】
用量設定
本明細書に記載される方法は、1つ以上のPKパラメーターを最適化するためにTUの投与量を調整することを含む。方法は、ウンデカン酸テストステロン(TU)、TUの可溶化に効果的な非ステロール可溶化剤及びフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む医薬組成物を対象に投与することを含む。対象は、少なくとも7日の期間(例えば、2週、3週、4週、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、1年又はそれを超える)にわたり、TU又は他のテストステロン補充療法(例えば、TUのプロドラッグ)を以前に投与されていない。例えば、その期間は、身体から全ての外因性テストステロンを洗い出すのに十分であり得る。
【0102】
TUの初期投与量は、約100mg~約1000mgのTU(例えば、約200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg又は1000)であり得る。いくつかの実施形態では、初期投与量は、約400mgである。これは、テストステロンの第1の定常状態血清濃度に達するまで毎日投与され得る。方法は、TUの投与後の対象におけるテストステロンの第1の血清値を提供することを含み得る。加えて、方法は、例えば、必要に応じてウンデカン酸テストステロンの第1の用量設定を実施することをさらに含み得る。テストステロンの第1の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dLの血漿濃度)である場合、投与量は、例えば、約25%、50%、100%、150%、200%又はそれを超えて増加され得る。例えば、初期投与量が約400mgである場合、投与量は、例えば、約600mgのTUまで増加され得る。これにより、テストステロンの第1の血清値より高いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。テストステロンの第1の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、投与量は、例えば、約400mgで維持され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値を維持し得る。テストステロンの第1の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、投与量は、例えば、約25%、50%、100%、150%、200%又はそれを超えて減少され得る。例えば、初期投与量が約400mgである場合、投与量は、例えば、約200mgのTUまで減少され得る。これにより、テストステロンの第1の血清値より低いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る(
図6を参照されたい)。
【0103】
用量設定が実施されるとき、TUの投与量は、増加、減少又は維持され得る。投与量は、約50mg、100mg、150mg、200mg、250mg又は300mg増加し得る。投与量は、約50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg又は1000mg減少し得る。
【0104】
血清又は血漿濃度測定は、TU治療の開始後の任意の時間で実施され得る。例えば、血清又は血漿濃度は、治療レジメン中のTU投与の開始の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週又はそれよりも後に測定され得る。
【0105】
用量設定は、治療レジメン中のTUの初期投与後の任意の時間で実施され得る。用量設定は、治療レジメン中のTUの初期投与後に行われる血清又は血漿濃度測定に応答するものであり得る。例えば、用量設定は、血清又は血漿濃度測定の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週又はそれよりも後に実施され得る。いくつかの実施形態では、用量設定は、治療レジメン中のTUの初期投与の1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週又はそれよりも後に実施され得る。
【0106】
テストステロンの血清値は、TUの投与後に測定され得る。例えば、血漿又は血清T濃度は、投与の約3時間~約5時間(例えば、3時間、4時間又は5時間)後に測定され得る。血漿又は血清T濃度は、午前の投与後に測定され得る。いくつかの実施形態では、血漿又は血清T濃度は、投与の約3時間~約6時間後に測定され得る。医薬組成物は、食事とともに投与され得る。代わりに、医薬組成物は、食事を伴わずに投与され得る。医薬組成物は、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超えてる)の用量で投与され得る。医薬組成物は、1日当たり2用量(例えば、1日2回の投与)で投与され得る。第1の用量は、午前中に投与され得、及び第2の用量は、夕方に投与され得る。用量は、等しくてもよい。代わりに、用量は、異なり得る。例えば、約400mgのTUの1日投与量が投与されるとき、第1の用量は、約200mgのTUを含み得、及び第2の用量は、約200mgのTUを含み得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1の用量設定後、投与量は、約600mgのTUまで増加され得、第1の用量は、約300mgのTUを含み、及び第2の用量は、約300mgのTUを含むか;投与量は、約400mgのTUで維持され得、第1の用量は、約200mgのTUを含み、及び第2の用量は、約200mgのTUを含むか;又は投与量は、約200mgのTUまで減少され得、第1の用量は、約100mgのTUを含み、及び第2の用量は、約100mgのTUを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、方法は、テストステロンの第2の血清値をもたらすことをさらに含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、方法は、例えば、テストステロン測定の第2の血清値後に第2の用量設定を実施することをさらに含む。
【0110】
第1の用量設定後、約600mgのTUが毎日対象に投与され得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、方法は、約800mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、方法は、約600mgのTUを毎日対象に経口投与し続けて、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、方法は、約400mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。
【0111】
第1の用量設定後、約400mgのTUが毎日対象に投与され得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、方法は、約600mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、方法は、約400mgのTUを毎日対象に経口投与し続けて、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、方法は、約200mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。
【0112】
第1の用量設定後、約200mgのTUが毎日対象に投与され得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL未満又は400/F+b ng/dL未満(例えば、約449ng/dL未満若しくは約460ng/dL未満の血清濃度又は約400ng/dL未満の血漿濃度)である場合、方法は、約400mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より高いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約400/F ng/dL~約900/F ng/dL又は約400/F+b ng/dL~約900/F+b ng/dL(例えば、約449ng/dL~約1011ng/dL若しくは約460ng/dL~約971ng/dLの血清濃度又は約400ng/dL~約900ng/dLの血漿濃度)である場合、方法は、約200mgのTUを毎日対象に経口投与し続けて、テストステロンの第2の定常状態血清値を維持することを含み得る。テストステロンの第2の血清値が約900/F ng/dL超又は900/F+b ng/dL超(例えば、約1011ng/dL超若しくは約971ng/dL超の血清濃度又は約900ng/dL超の血漿濃度)である場合、方法は、約100mgのTUを毎日対象に経口投与して、テストステロンの第2の定常状態血清値より低いテストステロンの第3の定常状態血清値を確立することを含み得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2の用量設定後、投与量は、約800mgのTUに増加され得、第1の用量は、約400mgのTUを含み、及び第2の用量は、約400mgのTUを含むか;又は投与量は、約100mgのTUに減少され得、対象は、約100mgのTUの単一の用量を受ける。約100mgのTUの単一の用量は、午前又は夕方に投与され得る。
【0114】
テストステロンの第1の血清値は、定常段階に達してから測定され得る。例えば、テストステロンの1の血清値は、治療レジメンの1日目、例えば約1日目~約21日目、例えば約7日目~約21日目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日目、例えば14日目)に測定され得る。
【0115】
第1の用量設定は、テストステロンの第1の血清値が測定された後の任意の時間、例えば治療レジメンの約1日目~約35日目、例えば約7日目~約35日目、例えば約21日目~約35日目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35日目、例えば28日目)に実施され得る。第1の用量設定は、治療レジメンの約30日目~約60日目(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59又は60日目)に実施され得る。
【0116】
例えば、テストステロンの第1の血清値は、治療レジメンの約14日目に測定され得、及び/又は第1の用量設定は、治療レジメンの約28日目に実施され得る。
【0117】
テストステロンの第2の血清値は、第1の用量設定の後、例えば第2の定常状態血清値に達してから測定され得る。例えば、テストステロンの第2の血清値は、治療レジメンの約35日目~約49日目(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48又は49日目、例えば42日目)の尺度であり得る。第2の用量設定は、例えば、テストステロン測定の第2の血清値後に実施され得る。第2の用量設定は、治療レジメンの約49日目~約63日目(例えば、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62又は63日目、例えば56日目)に実施され得る。例えば、テストステロンの第2の血清値は、約42日目に測定され得、及び第2の用量設定は、約56日目に形成され得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、第1の用量設定は、治療レジメンの約28日目に実施され得、及び/又は第2の用量設定は、治療レジメンの約56日目に実施され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、第1の用量設定は、例えば、治療レジメンの約21日目~約35日目(例えば、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35日目、例えば28日目)に実施され得る。第1の用量設定後、テストステロンの第2の定常状態血清値が確立され得る。次に、テストステロンの第2の血清値が測定され得る。次に、第2の用量設定が実施され得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、方法は、血圧上昇のリスクを低減する。例えば、いくつかの実施形態では、日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、ベースラインと比較して約5mmHgを超えて増加しない(例えば、約4、3又は2mmHg以下)。いくつかの実施形態では、日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、ベースラインと比較して約3mmHgを超えて増加しない。いくつかの実施形態では、日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、自由行動下血圧モニタリング(ABPM)によって測定されるとき、ベースラインと比較して約2mmHgを超えて増加しない。いくつかの実施形態では、対象は、糖尿病又は高血圧であり、及び日中の収縮期血圧、夜間の収縮期血圧及び/又は24時間の平均の収縮期血圧は、自由行動下血圧モニタリング(ABPM)によって測定されるとき、ベースラインと比較して約4mmHgを超えて増加しない。いくつかの実施形態では、第1の血清値及び/又は第2の血清値は、チューブでの遠心分離前に(例えば、約30~約50分間にわたり、例えば室温で)凝固された血清のテストステロン濃度を測定すること、EDTA及びNaFを補充されたチューブにおいて血漿のテストステロン濃度を測定すること並びにテストステロン濃度に既定の係数Fの逆数(1/F)を乗じること又はイムノアッセイなどのその同等の方法によって測定される。いくつかの実施形態では、K2/EDTAチューブ又は他の血漿チューブが使用され得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、方法は、ウンデカン酸テストステロン(TU)、TUの可溶化に効果的な非ステロール可溶化剤及びフィトステロール又はフィトステロールエステルを含む医薬組成物を対象に投与することを含む治療レジメンを実施することを含む。約400mgのTUが例えば治療レジメンの開始時に投与され得る。方法は、テストステロンの第1の定常状態血清濃度を確立することを含み得る。方法は、TUの投与後の対象におけるテストステロンの第1の血清値を提供することを含み得る。加えて、方法は、例えば、必要に応じてウンデカン酸テストステロンの第1の用量設定を実施することをさらに含み得る。テストステロンの第1の血清値が約460ng/dL未満である場合、1日投与量は、例えば、約600mgのTUまで増加され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より高いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。テストステロンの第1の血清値が460ng/dL~約971ng/dLである場合、1日投与量は、維持され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値を維持し得る。テストステロンの第1の血清値が約971ng/dLを超える場合、1日投与量は、例えば、約200mgのTUまで増加され得る。これにより、テストステロンの第1の定常状態血清値より低いテストステロンの第2の定常状態血清値を確立し得る。対象は、例えば、降圧療法中であり得、及び収縮期血圧における3.4mmHg以下の平均変化、拡張期血圧における1.8mmHg以下の平均変化及び/又は心拍数における1分当たり1.3拍以下の平均変化を示し得る。対象は、真性糖尿病を有し得、及び収縮期血圧における3.0mmHg以下の平均変化、拡張期血圧における1.7mmHg以下の平均変化及び/又は心拍数における1分当たり1.9拍以下の平均変化を示し得る。
【0122】
前述の用量設定スキームは、他の用量設定スキームより有利であり得る。例えば、約400mgのTUの開始投与量は、800mg、700mg、600mg、500mg、300mg、200mg又は100mgなどのTUの他の開始投与量より有利であり得る。約400mgのTUの開始投与量は、約600mgのTUの開始投与量より有利であり得る。約400mgのTUの開始投与量は、約200mgのTUの開始投与量より有利であり得る。さらに、治療レジメンの約1日目~約21日目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21日目、例えば14日目)及び/又は約35日目~約49日目(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48又は49日目、例えば42日目)にテストステロンの血清値を提供することは、これらの範囲外の日又は特定の日の間にテストステロンの血清値を提供することより有利であり得る。治療レジメンの約1日目~約35日目(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35日目、例えば28日目)及び/又は約49日目~約63日目(例えば、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62又は63日目、例えば56日目)に用量設定を実施することは、これらの範囲外の日又は特定の日の間に用量設定を実施することより有利であり得る。さらに、約400ng/dL~約900mg/dLのNaF/EDTA血漿Cavg濃度範囲又は約449ng/dL~約1011ng/dL(例えば、Fが0.89である場合)若しくは約460ng/dL~約971ng/dL(例えば、勾配1/Fが1.023であり、及びbが50.45である場合)の血清Cavg濃度範囲を使用して用量設定の決定を行わせることにより、約300ng/dL~約1000ng/dLのCavg濃度範囲と比較してより好ましい結果をもたらす可能性がある。開始投与量、Cavg境界及びテストステロンの血清又は血漿濃度を測定し、及び/又は本明細書に記載されるTU投与量の用量設定を実施する日を使用する有利な特性としては、正確な用量設定の決定を増加させること、不正確な用量設定の決定を減少させること、用量設定のリスクを低減すること、より多くの対象が所望のFDAガイドライン内にある対象の集団を得ること(例えば、対象の75%における300~1000ng/dLの正常範囲における血清Cavg、対象の85%における1500ng/dL未満のCmax、5%以下の1800~2500ng/dL及び2500ng/dLを超えない)、患者コンプライアンスを向上させること、血圧を低下させること、血圧上昇のリスクを低下させること及びテストステロン欠乏症の治療を、それを必要とする対象において行うためのテストステロン補充療法に対する応答性を増大させることが挙げられる。
【0123】
いくつかの実施形態では、集団の平均は、2.5未満の0~24時間のCmax/Cavg比;2.2未満の0~12時間のCmax/Cavg比;及び/又は2.2未満の12~24時間のCmax/Cavg比を有する。
【実施例】
【0124】
実施例
実施例1.高用量の用量設定スキーム
試験薬物の用量は、36人の対象におけるSOV2012-F1の84日の第2b相試験から得られる24時間PKデータを使用して開発されたアルゴリズムを使用して有効性期間中に用量設定された。SOV2012-F1に関する90日の有効性期間において確立される最終用量が、9ヶ月の安全性評価期間の開始時に使用され、その用量は、投与後3~5時間以内に単回の採血(166日目及び256日目)からの血漿T濃度に基づいて、180日目及び270日目に用量漸増されたか又は用量漸減された。AndroGel投与中の対象は、製品情報に従い、166日目及び256日目の単回の採血による血清T Cpredoseレベルに基づいて180日目及び270日目に用量漸増又は用量漸減された。
【0125】
用量減少は、試験中の90、180及び270日目に測定される公称の>18g/dLのヘモグロビンレベルに基づいて安全性のために行われた。
【0126】
SOV2012-F1群
各対象に関する用量設定(開始用量は、400mgのTU a.m.及び200mgのTU p.m.であった)は、14日目及び42日目の午前の投与の3~5時間(+10分)後に測定される血漿Tに基づいた。用量設定は、必要に応じて、以下のアルゴリズムに基づいて28日目及び56日目に行われた:
・14日目の3~5時間に得られる血漿Tレベルに基づいて28日目の用量設定を必要とする可能性のある対象に関して:
○T3-5<235ng/dL:用量は800mg(400mg a.m.、400mg p.m.)に増加した
○T3-5≧235~≦1120ng/dL:用量変更なし
○T3-5>1120ng/dL:用量は400mg(200mg a.m.、200mg p.m.)に減少した
・42日目の3~5時間に得られる血漿Tレベルに基づく56日目の用量設定を必要とする可能性のある対象に関して:
○用量が以前に設定されず(例えば、400mg a.m.、200mg p.m.のままであった)、42日目に得られる血漿T3-5が以下のものである対象に関して:
・T3-5<235ng/dL:用量は800mg(400mg a.m.、400mg p.m.)に増加した
・T3-5≧235~≦1120ng/dL:用量変更なし
・T3-5>1120ng/dL:用量は400mg(200mg a.m.、200mg p.m.)に減少した
○用量が以前に400mg(200mg a.m.、200mg p.m.)に減少され、42日目に得られる血漿T3-5が以下のものである対象に関して:
・T3-5<235ng/dL:用量は600mg(400mg a.m.、200mg p.m.)に増加した
・T3-5≧235~≦1120ng/dL:用量変更なし
・T3-5>1120ng/dL:用量は、200mg a.m.にさらに減少され得る
○用量が以前に800mg(400mg a.m.、400mg p.m.)に増加されず、42日目に得られる血漿T3-5が以下のものである対象に関して:
・T3-5<235ng/dL:治験責任医師及び治験依頼者は、各個体に関するデータを審査し、治療に応答しない理由がさらに調査される。試験薬物による正しい服薬遵守を仮定すると、用量は、安全性を考慮しながら治験責任医師の判断で1000mg(600mg a.m.、400mg p.m.)に増加され得るか、又は対象は、非レスポンダーとして試験を中断し得る。
・T3-5≧235~≦1120ng/dL:用量変更なし
・T3-5>1120ng/dL:用量は600mg(400mg a.m.、200mg p.m.)に減少した
【0127】
90日目の24時間PKデータの分析により対象が不正確な用量を受けていることが明らかになる場合、対象の中断が適切であり得る。
【0128】
9ヶ月の安全性評価期間中、用量は、それぞれ166日目及び256日目の午前の投与の3~5時間後に得られる単一の時点のT測定値を使用して180日目及び270日目に用量漸増されたか又は用量漸減された。この試験におけるSOV2012-F1用量設定の図解は、
図1において提供される。
【0129】
方法:
本発明者らは、Axiron製品の臨床薬理学審査からの同様のアルゴリズムを利用して、本発明者らの第IIb相試験からのデータに基づいて単回の採血スキームを導き出した。
【0130】
簡潔に述べると、本発明者らは、単回の採血からの総血漿T濃度(Cx)に基づいてなされる用量設定の推奨と、24時間のT Cavg又はCmaxに基づいてなされる用量設定の推奨との間の比較を実施した。
【0131】
図2は、計算された24時間T Cavgと比較して24時間T Cavgを予測するために、午前の投与の0、1.5、3、4、5、6、8、10又は12時間後を含む様々な時点で単回の採血を使用して理論的な結果(正確又は不正確な用量設定の決定)を表す。手法を示すために、この図は、一般的に認められている300~1000ng/dLの血清正常T範囲を使用する。
【0132】
Cxに基づく用量設定の推奨と、24時間のT Cavgに基づく用量設定の推奨との間に不一致を有する範囲は、「不正確」(例えば、範囲I~VI)と定義される一方、両方の用量設定の推奨が一致する範囲は、「正確」(例えば、範囲A、B及びC)として定義される。
【0133】
A、B及びC範囲内の対象のパーセンテージは、単回の採血の血漿Tレベルからなされる正確な用量設定の決定を表す一方、範囲I~VI内の対象のパーセンテージは、以下のとおりに記載される不正確な決定を表す:
I:300ng/dL未満の血漿Tレベルであるが、1000ng/dL超のCavg
II:正常な範囲の血漿Tレベルであるが、1000ng/dL超のCavg
III:300ng/dL未満の血漿Tレベルであるが、正常な範囲のCavg
IV:正常な範囲の血漿Tレベルであるが、300ng/dL未満のCavg
V:1000ng/dLを超える血漿Tレベルであるが、正常な範囲のCavg
VI:1000ng/dLを超える血漿Tレベルであるが、300ng/dL未満のCavg
I、II及びIIIに記載される状況において、単回の採血に基づく用量設定の推奨は、必要より高い用量をもたらす一方、IV、V及びVIに記載される状況において、単回の採血に基づく用量設定の推奨は、必要より低い用量をもたらす。同じフレームワークがCmax対Cxの比較に適用される。
【0134】
結果
Cavgに基づく決定
組み合わされた第2b相試験(400mg am/400mg pmレジメンのみ)の7日目+14日目からの24時間のT Cavgに基づく用量設定又はCmaxに基づく用量設定の決定の比較に基づいて、本発明者らは、0、1.5、10及び12時間が、用量設定の決定を行うのに好適ではなかった一方、午前の投与の3~8時間後が単回の採血に適切な範囲であるように見えることを見出した。
【0135】
図3は、午前の投与の3~8時間後の単回の採血に基づく用量設定が、24時間のT Cavgに基づく用量設定の推奨(72~86%正確な用量設定の決定)と最良の一致を与えたことを示唆している。
【0136】
表1は、それぞれの不要な用量設定の存在を要約している。
【0137】
【0138】
図4は、必要より高いか又は低い用量をもたらす単回の採血に基づく、不正確な用量設定の決定のパーセンテージを示す。
図4が示唆するとおり、対象は、薬物の午前の投与の3~8時間後に得られる採血に基づいて用量設定されるべきであることを提案することが合理的である。
【0139】
Cavgと組み合わせたCmaxに基づく決定
本発明者らは、用量漸減の決定のための異なる閾値の影響に関してCmaxに基づく決定も比較した。用量設定アルゴリズムにCmaxを組み込むことにより、1500ng/dLを超えるTレベルの安全性リスクに対処する。
【0140】
図5は、午前の投与の3時間後~5時間後の単回の採血に基づく用量設定が、235及び1400ng/dLの閾値を使用するCmax0~12に基づく用量設定の推奨との最良の一致をもたらすことを示唆する(91.7%~100%)。235ng/dLの下限未満のT値(Cx)は、正常範囲内のCavgを実現する用量漸増をもたらす。1400ng/dLの上限を超えるT値(Cx)は、1500ng/dL未満のCmax値を維持する用量漸減をもたらす。範囲300~1000ng/dLの適用は、より低い正確な用量設定のパーセンテージをもたらした。加えて、午前の投与の8時間後は、より低い正確な用量設定の決定のパーセンテージをもたらし、したがって、推奨されない。午前の投与の6時間後に関して、本発明者らは、1600ng/dL超のCmaxを有するが、血漿Tレベルに基づく用量漸減の決定を満たさなかった第2b相試験における5人の対象を観察した。したがって、本発明者らは、本発明者らの第3相試験に関して3~5時間の時間枠を使用することを提案している。
【0141】
【0142】
表2は、6時間及び8時間が、単回の採血に適切ではなく、235~1400ng/dLの範囲が、両方の場合に関してより低い不正確なパーセンテージをもたらしたことを確証した。
【0143】
単一の採血時間枠として午前の投与の3~5時間後を使用することが提案された。用量漸増及び用量漸減の閾値を、それぞれ235ng/dL及び1400ng/dLで設定して、高いパーセンテージの正確な決定を実現しながら、不正確な決定のパーセンテージを最小化した。
【0144】
第IIb相試験における49日目及び84日目の両方が、24時間のPKデータを有する。本発明者らは、第3相試験にける開始用量である400mg A.M./200mg P.M.用量レジメンを受けた15人の対象に対してこれらの2日間にデータを評価した。3~5時間の単回の採血の提案される用量設定の時間枠及び235~1400ng/dLの閾値が、この手法により検証された。
【0145】
用量設定スキーム
結論として、本発明者らは、用量設定の決定のために使用される単回の採血が、午前の投与の3~5時間後に得られることを提案している。235ng/dL以下の総血漿Tの単回の採血値を有する対象は、用量漸増された。1120ng/dLを超える総血漿Tの単回の採血値を有する対象は、用量漸減された。
【0146】
実施例2.新規の投与用量設定スキームの調整
対象の数
最大およそ170人の記入済みの対象が試験1 EXT試験に同意して、試験薬物療法又は暫定のテストステロン補充療法から8週間以上休薬した後、SOV2012-F1による治療を合計180日間受けた。対象は、治療期間の最初の28~56日にわたってそれらの最終用量まで用量設定された。試験1 EXT試験は、対象がその試験に入った時点に応じて(試験1から直接的に又は試験1 EXTに遅れて参加した対象として又は新たに登録された試験1として(未処置の対象))、3~4回の24時間ABPM評価セッションを含んだ。
【0147】
およそ170人の同意した対象のうちのおよそ135人(80%)は、180日の治療期間の中で、最低でも試験1 EXTにおいてベースラインの1日目及び4ヶ月後の120日目の要求される24時間のABPM評価セッションを含む120日を完了することを目標とした。
【0148】
継続試験、試験1 EXT中の治療
試験1 EXT試験期間中、全ての対象は、それらの当初に割り当てられた試験1試験薬物療法又はいずれかの暫定のテストステロン補充から8週間休薬された。その休薬の完了時に、全ての対象は、400mg(朝食とともに200mg及び夕食とともに200mg)の合計1日用量で開始してSOV2012- F1を受け、必要に応じて、試験1 EXTプロトコルのために確立された用量設定アルゴリズムに従って用量設定された。食事指針及び食事内容は、試験1プロトコルから変更されなかった。
【0149】
継続試験期間
主要評価項目
・治療のおよそ120日(±3)後の24時間の平均の自由行動下収縮期血圧におけるベースラインからの変化。
・以下によって測定されるとおり、適宜用量漸増及び用量漸減を伴ってより低い開始用量の経口SOV2012-F1に対する応答を決定すること:
○治療の90日後に正常範囲内の血漿T Cavgを有するSOV2012-F1で治療された対象のパーセンテージ。
【0150】
副次評価項目
・治療のおよそ180日(±3)後の24時間の平均の自由行動下収縮期血圧におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の7AM~10:30 PMの時間平均の自由行動下収縮期血圧(日中)におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の11PM~6:30 AMの時間平均の自由行動下収縮期血圧(夜間)におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の最大24時間収縮期血圧。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の7AM~10:30 PMの時間平均の自由行動下拡張期血圧(日中)におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の11PM~6:30 AMの時間平均の自由行動下拡張期血圧(夜間)におけるベースラインからの変化。
・SOV2012-F1で治療された対象における、治療の120日(±3)及び180日(±3)後にABPMによって測定される24時間平均拡張期血圧(dBP)におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の最大24時間拡張期血圧。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の24時間平均自由行動下心拍数におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の7AM~10:30 PMの時間平均の自由行動下心拍数(日中)におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の11PM~6:30 AMの時間平均の自由行動下心拍数(夜間)におけるベースラインからの変化。
・治療のおよそ120日(±3)及び180日(±3)後の半時間の収縮期血圧、拡張期血圧及び心拍数における観察及びベースラインからの変化。
・治療の90日後に最大血漿テストステロン濃度(T Cmax)値を有するSOV2012-F1で治療された対象のパーセンテージ:
○<1500ng/dL;
○>1800~≦2500ng/dL;
○>2500ng/dL。
【0151】
安全性評価項目
・SOV2012-F1で治療された対象においてAE、SAE及び試験1 EXTの中止を引き起こすAEの発生率を決定すること。
・治療期間中に診療所内で得られるBP及びHRにおける観察及びベースラインからの変化。
・治療期間中のSOV2012-F1で治療された対象における以下の臨床検査パラメーターにおける観察及びベースラインからの変化:
○肝機能検査(アラニンアミノ基転移酵素[ALT]、アスパラギン酸アミノ基転移酵素[AST]、総ビリルビン、アルカリホスファターゼ)
○血液学的パラメーター(ヘモグロビン)
○ホルモンレベル(黄体形成ホルモン[LH]、濾胞刺激ホルモン[FSH]、DHT、性ホルモン結合グロブリン[SHBG]及び甲状腺刺激ホルモン[TSH])
○脂質プロファイル(高密度リポタンパク質、低密度リポタンパク質、総コレステロール及びトリグリセリド)
○血清PSA
【0152】
SOV2012-F1の用量設定
試験薬物の用量は、SOV2012-F1治療群における133人の試験1対象から得られる90日の24時間PKデータを使用して開発されたアルゴリズムを使用して有効性期間中に用量設定された。各対象に関する用量設定は、14日目及び42日目の午前の投与の3~5時間(+10分)後に測定されるNaF/EDTA血漿Tに基づいた。用量設定は、必要に応じて、以下のアルゴリズムに基づいて28日目及び56日目に行われた:
・14日目の3~5時間に得られる血漿Tレベルに基づいて28日目の用量設定を必要とする可能性のある対象に関して:
○T3-5<400ng/dL:用量は600mg(300mg AM、300mg PM)に増加した
○T3-5≧400~≦900ng/dL:用量変更なし
○T3-5>900ng/dL:用量は200mg(100mg AM、100mg PM)に減少した
・42日目の3~5時間に得られる血漿Tレベルに基づく56日目の用量設定を必要とする可能性のある対象に関して:
○用量が以前に設定されず(例えば、200mg AM、200mg PMのままであった)、42日目に得られる血漿T3-5が以下のものである対象に関して:
・T3-5<400ng/dL:用量は600mg(300mg AM、300mg PM)に増加した
・T3-5≧400~≦900ng/dL:用量変更なし
・T3-5>900ng/dL:用量は200mg(100mg AM、100mg PM)に減少した
○用量が以前に200mg(100mg AM、100mg p.m.)に減少され、42日目に得られる血漿T3-5が以下のものである対象に関して:
・T3-5<400ng/dL:用量は400mg(200mg AM、200mg PM)に増加した
・T3-5≧400~≦900ng/dL:用量変更なし
・T3-5>900ng/dL:用量は100mg AMのみに減少した
○用量が以前に600mg(300mg AM、300mg PM)に増加され、42日目に得られる血漿T3-5が以下のものである対象に関して:
・T3-5<400ng/dL:用量は800mg(400mg AM、400mg PM)に増加した
・T3-5≧400~≦900ng/dL:用量変更なし
・T3-5>900ng/dL:用量は400mg(200mg AM、200mg PM)に減少した
【0153】
3~6時間でのTの測定
試験1 EXTにおいて、投与の約3時間~約6時間後に血漿T濃度を測定することにより、食事とともに投与されるフィトステロールエステル含有製剤のための信頼性の高い血漿濃度が得られることが特定された。試験1 EXTの14日目及び42日目の来院に関する投与後0~6時間の期間にわたるT濃度。T測定は、NaF/EDTAチューブにより回収された血漿試料を使用してなされ、LC-MS/MSにより分析された。
図7は、投与後0~2時間の低いTレベル及び投与後3~6時間の相対的に平坦なPK曲線を示し、この時間枠において一定の血漿T値を示している。
【0154】
3~6時間の時間枠にわたる血漿と血清の結果の比も一定であった。比がその時間枠にわたって著しく変化した場合、上記の用量設定閾値は、時間に依存するであろう。下の表3は、既定の係数Fが狭い範囲内で変動し、それにより3~6時間の時間枠において得られる試料に基づいて用量の調整を可能にすることを示している。
【0155】
【0156】
有効性(Cavg)
有効性の主要評価項目は、継続内の治療の90日後に正常範囲内の24時間総T Cavgを有するSOV2012-F1で治療された対象のパーセンテージであった。
【0157】
Cavgは、0~24時間の濃度-時間曲線下面積(AUC0-24)を投与と24時間の試料回収時間との間の実際の時間で割ることによって計算された。
【0158】
自由行動下収縮期血圧(sBP)
24時間平均sBPにおけるベースラインからの変化は、主要血圧評価項目として分析された。重要な副次的分析は、日中及び夜間のsBPにおけるベースラインからの変化から導き出された。
【0159】
最小二乗平均値及び関連する90% CIの差が提供された。
【0160】
自由行動下拡張期血圧(dBP)及び自由行動下心拍数(HR)
これらは、最大心拍数を除いてsBPと同様の様式で評価された。ベースラインから時間毎及び半時間毎に観察された変化及び時間に一致した変化が、記述的に要約された。
【0161】
Cmax
副次評価項目は、T CmaxによりSOV2012-F1で治療された対象の90日目の割合を推定することによって評価された。
a)T Cmax≦1500ng/dL
b)T Cmax>1800及び≦2500ng/dL
c)T Cmax>2500ng/dL
【0162】
用量設定の決定
EDTA及び血清チューブによる用量設定時点で得られるT濃度を使用して、探索的分析を実施して、NaF-EDTA試料を使用してなされたものによる予測された用量設定の決定と比較した。表4は、90日目の試験1及び試験1 EXTからの対象の用量分布を示す。
【0163】
【0164】
要約すると、試験1 EXTにおいて、毎日400mgのSOV2012-F1で開始され、午前の投与の3~5時間後の時間枠で得られる血漿T測定を有した対象並びに400及び900ng/dl(血漿NAF/EDTA)の用量設定閾値に対して用量調整を有しなかった対象が存在した。これらの対象は、正常範囲にある両方のCavg、FDAの判定基準に適合するCmax値及び3.8mm未満の上昇(例えば、2mm未満の上昇、3mm未満の上昇)の血圧結果という驚くべき結果を有した。心拍数の増加も優れていた(ベースラインに対してより少ない増加)。
【0165】
加えて、本発明者らは、毎日400mgのSOV2012-F1で開始し、午前の投与の3~5時間(又は3~6時間)後の時間枠で得られる血漿T測定を有した対象並びに400及び900ng/dLの血漿(NaF/EDTA)閾値に対して用量設定を有した対象を特定した(
図6)。これらの対象は、正常範囲にある両方のCavg、FDAの判定基準に適合するCmax値及び4.9mm未満の上昇(例えば、2mm未満の上昇、3mm未満の上昇)の血圧結果という驚くべき結果を有した。これらの血圧測定は、ABPMプロトコルによってなされた。心拍数の増加も優れていた(ベースラインに対してより少ない増加)。
【0166】
実施例3.血圧はこの用量設定スキームにより最小限に影響される
自由行動下血圧測定値は、上記の実施例2に記載されるとおりに134人の対象に関して得られた。これらのデータは、フィトステロールエステルを欠き、本明細書に記載される同じ投与用量設定レジメンにかけられなかったClarus TherapeuticsからのTU製剤と直接的に比較された。下の表5は、結果を示す。
【0167】
【0168】
これらのデータは、全患者に関するABPM測定値が、Clarus製剤による治療を受けている患者に関する、それぞれ5.0mmHg、4.9mmHg及び4.9mmHgと比較して、ベースラインに対して日中は1.70mmHg、夜間は1.65mmHg及び24時間平均では1.64mmHgの上昇に留まったことを示している。
【0169】
さらに、試験1及び試験1 EXTに関する診療所内での収縮期血圧及び心拍数データが、下で提供される。下の表6及び7において示されるとおり、試験1 EXTは、試験1プロトコルより遅い上昇及び低い最大収縮期血圧測定値をもたらした。試験1 EXTに関する90日目~180日目の心拍数のベースラインからの平均変化は、1分当たり2.2拍(bpm)であり、試験1(90日目及び180日目)の平均変化は、ベースラインから3.3bpmの変化であった。
【0170】
【0171】
【0172】
実施例4.性腺機能低下男性における自由行動下血圧に対する経口TU製剤(SOV2012-F1)の効果
方法
試験は、試験薬物療法の投与前に24時間の自由行動下BPモニタリング(ABPM)を介してBP及び心拍数を評価するベースライン来院時の未治療スクリーニング期間並びに経口ウンデカン酸テストステロンの開始の120日及び180日後の2回の来院を伴う非盲検、多施設、単アーム試験であった。加えて、坐位診療所BP測定は、全ての試験来院時に実施された。全ての試験参加者は最初に、朝食及び夕食とともに1日2回の200mgの用量で経口ウンデカン酸テストステロンを受けた。午前の投与の3~5時間後の午前の血漿テストステロンの閾値に基づいて(用量漸増する<400ng/dL又は用量漸減する>900ng/dL)、1日2回の100mgへの用量減少又は1日2回の300mgへの増加が28日目に行われた。用量のさらなる潜在的な用量設定(毎日最小で100mgまでの減少又は1日2回の最大で400mgまでの増加)は、56日目に行われて、治療レベルの血漿テストステロンに達した;56日目の用量は、治療の終了(中止又は180日)まで維持された。
【0173】
試験参加者
全ての参加者は、18~65歳の男性であり、正常未満の血清テストステロン及びテストステロン欠乏症の少なくとも1つの徴候又は症状により定義されるとおりの実証された性腺機能低下を有した。総血清テストステロンレベルは、アンドロゲン補充に対して未処置の個体又は目下のアンドロゲン療法を少なくとも8週間休薬した後(テストステロン移植には最大6ヶ月の休薬期間が要求された)の個体のいずれかにおいて、少なくとも3日間隔てて、別々の日の午前7時~10時に得られた2つの血液試料に対して≦281ng/dLであることが要求された。登録前の3ヶ月以内に降圧薬を含む薬物療法において変更がなく、平均診療所BPが≦140収縮期及び≦90拡張期であったことも要求された。制御されない高血圧症(診療所BP>140/90mmHg)を有する対象は、FDAのガイダンスに基づいて除外された。主な除外基準は、ウンデカン酸テストステロンの吸収又はレベルに影響を及ぼす可能性のあるいずれかの薬物療法又は臨床条件の使用;ヘモグロビンA1c>8%;ヘモグロビン<11.0g/dL若しくは16.0g/dL;血清トランスアミナーゼ>正常の上限の2倍;<60ml/分/1.73mの推定糸球体濾過率若しくは前立腺特異抗原(PSA)>2.5ng/ml及び/又は触診による前立腺の異常であった。加えて、自由行動下BPモニタリング手順に起因する除外基準は、上腕周囲径>45cm;モニター装着中の長距離運転又は>60分の計画された外出及び自由行動下BP記録計が信頼性の高い測定値を得る能力を妨げる可能性のある心不整脈(例えば、心房細動)であった。
【0174】
試験は、International Conference on Harmonization of Technical Requirements of Pharmaceuticals for Human Use(ICH)ガイドライン及びヘルシンキ宣言の現下の改訂版に記載されるとおりの優良臨床試験基準の要件に従って実行された。試験プロトコル及びインフォームドコンセントフォームが審査され、Copernicus Group Institutional Review Board (Cary, NC, USA)によって認可された。いずれかの試験手順が行われる前に、記入されたインフォームドコンセントが各試験参加者から得られた。
【0175】
安全性評価
臨床評価及び生命徴侯は、ベースライン時及び14、42、90、119及び179日後に評価された。スクリーニング来院後のそれぞれの診療所来院時に、全ての試験参加者は、有害事象について問い合わせられ、症状に応じた身体検査が臨床的な必要性に応じて実施された。臨床検査は、ベースライン時並びに90及び180日後に評価された。
【0176】
血圧モニタリング
血圧は、ベースライン時及び治療後の試験来院時に診療所において手動でモニターされた。臨床測定は、10分間の安静の後、デジタル記録計とともに適切なサイズのカフ及びブラダーを使用して坐位において三つ組でなされた。ベースラインの診療所平均BP>140/90mmHgを有するいずれかの試験参加者は、試験の参加を取りやめた。自由行動下BP測定のために、試験参加者に、日中(7:00 am~11:00 pm)及び夜間(11:00 pm~7:00 am)に30分間隔でBPを測定するために開始された記録計(Spacelabs Medical Model 90207; Redmond, WA)を装着した。ABPMデータは、標準化され、コンピューター化された方法により、手作業及びプログラムの両方で妥当性について評価され、連続した4を超える時点が欠落していないこと、24時間にわたる可能な48の時点のうちの10を超える時点が欠落していないこと及び24時間中少なくとも22の時点が有効なデータを有することが要求された。これらの品質管理判定基準が満たされなかった場合、試験は、自由行動下BP手順の失敗の48時間以内に繰り返されるであろう。
【0177】
統計分析
24時間、日中及び夜間の平均の収縮期及び拡張期BPは、平均及び95% 信頼区間(CI)並びに累積分布曲線により要約された。試験参加者を変量効果(ベースライン後の結果が欠落していない全ての参加者)として、並びに来院、ベースラインの糖尿病の状態及びベースラインの降圧治療の状態を固定効果として混合モデル反復測定(MMRM)分析を使用して、来院の直接的な比較が実施された。関連する95% CIとともに各来院時の最小二乗平均値及び120日とベースラインとの間の差に関する最小二乗平均値が計算された。ベースラインから120日目及び180日目までの変化の累積分布関数曲線も実施された。このBP安全性試験における主要評価項目は、平均24時間収縮期BPに関するベースラインから120日目までの変化であった。重要な副次評価項目は、平均24時間収縮期BPに関するベースラインから180日目までの変化であった。比較は、120日目に対する180日目の自由行動下BP変化に関してもなされた。他の評価は、覚醒時(日中)及び睡眠時(夜間)収縮期BP、24時間、覚醒時及び睡眠時拡張期BP並びに24時間、覚醒時及び睡眠時心拍数のベースラインからの変化を含んだ。加えて、BP及び心拍数の変化は、ベースライン時に降圧療法あり及びなしの両方並びにベースラインの真性糖尿病の病歴あり及びなしの両方の試験参加者の亜群において評価された。有害事象の発生率は、試験薬物の少なくとも1用量を受けた全ての参加者(安全性集団)において作表された。
【0178】
ベースラインからの24時間BPの変化は、期間により割られた24時間にわたって得られる時間加重平均BPを使用して計算された。時間毎の平均BPの変化は、所与の投与後の1時間に関して、治療来院の最終日と、ベースライン来院の対応する時間毎のBPとの間の差を得ることによって計算された。事後分析も、自由行動下収縮期BP及び拡張期BPにおけるベースラインからの変化と、体重、心拍数、テストステロン濃度及びヘモグロビンの変化との間の関連性を評価するために実施された。
【0179】
サンプルサイズの計算。
135人の対象のサンプルサイズは、24時間平均収縮期BPのベースラインに対する120日間の差の推定される標準偏差が10mmHgであった場合、平均値の差から限界までの距離が1.4mmHgに等しい両側90%信頼区間をもたらすであろう。加えて、非劣性マージンが3.0mmHgであり、実際の平均値が0であり、及び検定の有意水準(α)が0.025であった場合、片側1標本のt検定を使用して、119人の試験参加者のサンプルサイズが非劣性(ベースラインに対して)を検出する90%の検出力を達成した。10%の離脱者又は評価不可能な自由行動下BPモニタリング率を仮定すると、133人の試験参加者が、119人の評価可能な試験参加者に達する登録のために必要となるであろう。
【0180】
結果
対象の内訳及びベースライン特性
合計で155人の試験参加者が登録され、試験薬物の少なくとも1用量を受けた。これらの155人の参加者の中で、153人がベースライン時に評価可能な自由行動下BP試験を有し、2人が試験におけるさらなる参加から中断された。136人(89%)が120日の来院を完了し、125人(82%)が180日の来院を完了し、有効なベースライン及び順調な治療中のABPM試験を有した。早期終了に関する主要な理由は、対象による離脱(5.6%)、有害事象(1.3%)、追跡調査不能(6%)及びその他(2.6%)であった。試験参加者の人口統計及びベースライン特性は、表8に示される。ベースライン時の年齢平均値は、51.2歳(52%が50歳を超える)であり、77%は白人であり、19%は黒人であった。試験参加者の37パーセント(155人中56人)は、降圧療法を服用していた。降圧薬物療法における用量増加はなかったが、5人(3.2%)が、180日の試験中に新規の降圧薬の投与を開始した。試験コホートの22パーセント(155人中34人)は、真性糖尿病の病歴を有した。降圧療法を服用していない試験参加者(9.1%)より高いパーセンテージの降圧療法を服用している試験参加者が糖尿病を有した(44.6%)。糖尿病を有し、降圧療法を服用していた高いパーセンテージ(96%)の試験参加者は、肥満(肥満度指数≧30kg/m2)であった一方、これらの併存症を伴わないそれらの参加者に関して、56%が肥満であった。治療の90日後に正常なテストステロン(NaF/EDTAチューブ中で回収される血漿)に達している試験参加者のパーセンテージは、96.1%(血漿Cavg0-24=393.5ng/dL)であった;定量化は、液体クロマトグラフィー-質量分析(3,4)によるものであった。105人の健康な性腺機能正常の対象における試験は、総テストステロンに関する正常範囲が、NaF/EDTA血漿試料回収チューブを使用するとき、222~800ng/dLであることを見出した。
【0181】
【0182】
血圧及び心拍数
治療の120日後の経口ウンデカン酸テストステロンに対する24時間自由行動下収縮期BPにおけるベースラインからの変化は、1.7mmHg、p=0.018(表9)であった。自由行動下拡張期BPに関してより少ない効果が見られ、統計的に有意ではなかった(表9)。経口ウンデカン酸テストステロン療法の180日後の結果は、120日の結果と同等であった(表9)。拡張期BP(日中-夜間/日中BPx100(%))における夜間の低下は、試験の120日目の経口ウンデカン酸テストステロン療法により変化しなかった(ベースライン時の8.8%に対する8.9%)。24時間の自由行動下心拍数におけるわずかな増加は、療法の120及び180日後に観察された(それぞれ0.7及び1.9拍/分)(表9)。
【0183】
【0184】
【0185】
ベースライン時並びに120日及び180日の治療期間の終了時の24時間にわたる自由行動下収縮期及び拡張期BPは、
図9A及び9Bに示される。経口ウンデカン酸テストステロンによる治療の120及び180日後の24時間にわたるBPは、主に自由行動下BPモニタリングの開始の13~16時間後においてより高かった。24時間にわたる拡張期BPに対する効果は、収縮期BPに関するものより低く、特に投与期間の終了に向かって顕著であった。24時間の自由行動下収縮期及び拡張期BPに関する累積分布関数(CDF)曲線は、
図10A及び10Bに示される。収縮期BPに関して、主に24時間の収縮期BP値が<125mmHgであったときにベースライン期間に対して120日目及び180日目のCDF曲線の分離が観察された。24時間の拡張期BPにおける変化は、無視できる程であった(
図10A及び10B)。
【0186】
診療所血圧は、経口ウンデカン酸テストステロンによる治療の120日後に2.7/1.5mmHg上昇し、経口ウンデカン酸テストステロンの治療の180日後に1.7/1.7mmHg上昇した(表9)。診療所脈拍数は、それぞれ120日目及び180日目に1.1及び2.6拍/分増加した(表9)。
【0187】
降圧療法中又は2型糖尿病を有する亜群における血圧変化
降圧療法あり及びなしの両方並びに2型糖尿病あり及びなしの両方の試験参加者における120日目の24時間血圧及び心拍数におけるベースラインからの変化は、表10に示される。24時間収縮期及び拡張期BP並びに心拍数におけるベースラインからの変化は、降圧療法を有しない患者に対して降圧薬を服用している患者において大きかった。
【0188】
【0189】
評価可能な自由行動下BPデータを有したベースライン時に真性糖尿病を有する33人の試験参加者及び真性糖尿病を有しない120人の試験参加者が存在した。120日目の24時間の収縮期及び拡張期BPにおけるベースラインからの変化は、2型糖尿病を有しない患者に対して2型糖尿病を有する患者において数値的には大きかったが、有意ではなかった。同様に、自由行動下心拍数における変化は、糖尿病を有しない患者に対して糖尿病を有する患者において数値的に大きかった。
【0190】
注目すべきことに、2型糖尿病を有する試験参加者に関して、25人(74%)は、降圧療法中であり、したがって、糖尿病の参加者と降圧療法の参加者の実質的な重複が存在する。試験においてベースライン時に降圧薬物療法を有しない89人の対象が存在し、その中の9人のみが真性糖尿病を有した。これらの89人の対象に関して、120日目の24時間収縮期及び拡張期BPにおけるベースラインからの変化に関する95%信頼区間は、0.8mmHgであり、統計的に有意ではなかった(データは示さず)。
【0191】
臨床的特徴に応じた血圧所見
ベースライン自由行動下収縮期BP、年齢、経口ウンデカン酸テストステロンの用量、体重及び降圧治療状態に応じた主要評価項目における変化は、表11に示される。120日目及び180日目の両方で、ベースライン血圧及び高血圧症治療状態は、24時間収縮期BPにおける変化に著しく関連した。他の臨床的特徴は、120日目及び180日目のいずれかで主要評価項目と有意な関連性を有しなかった。
【0192】
【0193】
血清ヘモグロビンは、ベースライン時に14.7±1.1g/dL、90日目に15.1±1.5g/dL及び180日目に15.2±1.5g/dLであった(ヘモグロビン値は120日目に得られなかった)。試験の90日目のヘモグロビンのレベルは弱かったが、120日目及び180日目の24時間自由行動下収縮期BPと有意な関連性を有した(120日目に関してR
2=0.052、p=0.0002及び180日目に関してR
2=0.049、p=0.0005)(
図11)。しかしながら、血清ヘモグロビンにおけるベースラインからの変化は、試験における24時間自由行動下収縮期BPの変化の測因子ではなかった。24時間テストステロン平均濃度(90日後)に対する120日後の24時間収縮期BPにおけるベースラインからの変化の回帰分析は、関連性を示さなかった(R
2=0.009、p=0.3109)(
図12)。ウンデカン酸テストステロン用量は、この試験において56日後から治療の終了まで(名目上180日)一定であった。
【0194】
考察
本発明者らの血圧安全性試験の結果は、経口ウンデカン酸テストステロン製剤SOV2012-F1が、性腺機能低下男性における補充療法のおよそ120日及び180日後の診療所及び自由行動下収縮期BPのわずかな上昇と関連付けられたことを実証した。120日目の来院と180日目の来院との間に差が観察されず、BPに対する薬物の影響が120日までにプラトーに達したことを示唆している。臨床現場で測定された場合及び24時間自由行動下BPモニタリングによって測定された場合の両方において、収縮期BPの上昇は拡張期BPの上昇より大きかった。この経口ウンデカン酸テストステロンに対して診療所及び自由行動下心拍数のわずかな増加も観察された。自由行動下収縮期BPの上昇は、自由行動下BPのベースラインレベル(平均への回帰に部分的に関連している可能性がある)及び降圧治療状態と逆相関したが、自由行動下心拍数、体重、真性糖尿病又はヘモグロビン若しくはテストステロンレベルにおける変化と相関しなかった。これらの所見は、心拍数に対する相関が交感神経系活性の増大を示唆した可能性があり、経口ウンデカン酸テストステロンで治療された男性における体重又はヘモグロビンにおける変化との相関がBPのわずかな上昇に関する1つの可能な機構として血漿体積の増加を支持した可能性があるため有意義である。
【0195】
この試験は、診療所BPにおける変化の代わりにこの試験における主要評価項目として24時間自由行動下BPにおける変化を評価するために設計された。注目すべきことに、米国食品医薬品局は、これらのデバイスが臨床BP測定と比較して再現性の向上を有するより小さいBPの変化を検出する可能性を有し、プラセボ効果が実質的にないため、薬物安全性の調査における自由行動下BP測定の使用を提唱している。自由行動下BP測定の客観性の結果として、本発明者らのものなどの試験に関するプラセボ治療アームは、控えめから中程度のBP効果に関する証拠を提供するための要件ではない。24時間にわたって得られる高頻度の読み取りにより、BP安全性試験の精度が向上し、3~4mmHgのBPの変化を除外する検出力を有する。臨床BPにおける変化は、この試験における24時間自由行動下BPにおける変化よりわずかに大きかったことも注目すべきである。この現象は、珍しいことではなく、臨床的な読み取りで見られる「ホワイトコート」効果と関連している可能性があるが、自由行動下BP測定では、この効果は、消失する。
【0196】
本発明者らは、降圧薬物療法を服用している男性及び2型糖尿病を有する男性において自由行動下BPにおけるより大きいベースラインからの変化を観察した。降圧療法中のそれらの男性における自由行動下BPの平均変化は、約3.4/1.8mmHgであった一方、降圧療法を服用していない男性は、実質的により小さく、0.7/0.0mmHgのわずかな変化を有した。同様の所見は、糖尿病あり及びなしの両方の患者に関して観察されたが、糖尿病を有する試験参加者の高い割合が、降圧療法も服用しており、真に別々の亜集団ではない。
【0197】
本発明者らの試験における治療に対する24時間自由行動下BPの上昇は、控えめであり(SBP 1.7mmHg、95% CI 0.3、3.1)、診療所及び自由行動下BP測定の両方を利用した以前のテストステロン試験によるものより低かった。これらの以前の試験は、ウンデカン酸テストステロン(経口)及びエナント酸テストステロン(皮下)の投与経路を使用し、それぞれ4.9及び3.7)mmHgの自由行動下SBPの上昇を報告した。経口TUの以前に報告された試験に関して、降圧薬物療法を受けている対象に関する自由行動下収縮期BPの上昇は、5.5mmHgであった。SOV2012-F1で観察されるBPのより少ない上昇に関する機構は、完全には知られておらず、BPの低下と関連付けられている製剤中のフィトステロールエステルの存在に部分的に起因している可能性がある。
【0198】
大きい集団のプロスペクティブ試験における3~5mmHgの診療所収縮期BPの上昇は、有害な心血管事象、特に心不全及び卒中と強力な関連性を有することが示されている。しかしながら、テストステロン欠乏症を有する男性が心血管リスクの上昇を有し、性腺機能低下男性におけるテストステロンレベルの正常化が、低テストステロンレベルのままである男性より心血管罹患率の低下と関連付けられ得ることを示唆するデータが存在するため、本発明者らの試験において観察される性腺機能低下男性におけるBPのわずかな上昇の臨床的重要性は、明確ではない。それにもかかわらず、テストステロン補充を必要とする性腺機能低下男性、特に高血圧症の病歴を有する性腺機能低下男性において、BPの起こり得る上昇に関する慎重な臨床評価は、診療において重要なままである。
【0199】
結論
結論として、1日1回の100mg~1日2回の400mgで投与されたウンデカン酸テストステロンのこの新規の経口製剤は、診療所及び自由行動下BPのわずかな上昇を誘導した。自由行動下BPの変化に関連しなかった自由行動下心拍数の最小限の増加があった。降圧療法を服用している高血圧症の病歴を有する試験参加者及び2型糖尿病を有する試験参加者は、これらの2つの併存症を有しない試験参加者より、長期の経口ウンデカン酸テストステロン療法の後に自由行動下BP及び心拍数の両方において大きい上昇を有した。降圧薬物療法を受けていなかった性腺機能低下男性は、自由行動下BP及び心拍数における変化が無視できるものであった。
【0200】
実施例5.Cmax及びCavg測定
SOV-2012-F1として製剤化された経口TU製剤は、テストステロン補充療法を必要とする男性対象に投与された。
1.得られた集団の平均は、2.5未満の0~24時間のCmax/Cavg比を有する;
2.得られた集団の平均は、2.2未満の0~12時間のCmax/Cavg比を有する;
3.得られた集団の平均は、BID投与が使用されるとき、2.2未満の12~24時間のCmax/Cavg比を有する;
4.用量補正された用量は、約0.7×10^-6/dL(393.3ng/dL/571mg平均用量)である
5.1日の用量範囲は、100mg~800mgのTU/日である;200mg以上の1日用量は、単回投与又は1日当たり2回投与される50:50の分割として投与され得る。
6.4ヶ月後の自由行動下血圧モニタリング(ABPM)によって評価されるときの収縮期血圧は、1.7mmHgの平均上昇及び6ヶ月後は1.8mmHgの平均上昇を示す。
【0201】
より低い比の利点
より低い比は、QD又はBIDに関連して、以下を含むいくつかの利点を有する。
【0202】
より信頼性の高い用量設定:薬物動態曲線の吸着及び消失部分の形状を考慮すると、テストステロン濃度をサンプリングするための時間又は時間の範囲は、個体及び医療提供者にとって便利であり、及び変動の程度が低いものを選択することが望ましい。例えば、Cmax/Cavg比が高く、PK曲線の急勾配の消失部分を意味している場合、最大濃度の時間に影響する食事の脂肪含量、正確なサンプリング時間のばらつき及び消失速度の個体差などの要因に起因して、用量設定又は定期的な評価の目的で採取された試料のT濃度にばらつきが生じる。より低いCmax/Cavg比は、これらの要因の各々を軽減する。
【0203】
用量設定又は定期的な評価のサンプリングのためのより広い時間枠:Cmax/Cavg比が低いほど、瞬間的なT濃度の変化が緩やかであるため、消失曲線が緩やかになることにより、試料の採取に使用可能な時間を広げることができ、用量設定は、継続試験により実証されるとおり、ある範囲の時間、例えば3~5時間又は3~6時間にわたって採取された試料に基づき得る。
【0204】
全身性Tに対するプロドラッグ用量のより効率的な変換:より低いCmax/Cavg比は、服用された用量のより効率的な使用の特徴であり得る。しかしながら、他の要因も加わり、例えば、吸収が不十分な用量は、内因性Tレベルに対して最小限の増加を有し、したがって低いCmax/Cavg比を示す。所与の吸収された(服用に対して)用量を別にすれば、より低いCmax比は、効果の延長を示し、望ましい。より低いCmax/Cavg比は、血清テストステロンの正常範囲内の時間の割合がより高いことを示す。
【0205】
より広い用量範囲の利点
広範囲の効果的な用量によるTUの製剤の開発は、以下を含む利点を提供する。
【0206】
より広い患者集団が治療され得る:個体がTUを吸収し、異なる程度までTUをTに変換し、一部の個体は他よりもはるかに低い用量を必要とする一方、他はより高い用量を必要とすることは、よく知られている。例えば、2019EXT試験において、90日目の130人の対象の中で、3人が、1日1回の100mgの用量レベルであり(1日400mgの開始用量の25%)、別の8人は、200mgの1日用量(食事とともに100mg BIDとして)であった。したがって、開始用量の50%以下であった用量は、用量設定される対象のうちの8+3=11;100%*11/130=8.5%の治療を可能にした。広い用量範囲によらずに、これらの対象は、SOV2012-F1製剤に関して高すぎるTレベルを有した可能性がある。加えて、90日目の130人のうちの33人(25%)の対象は、400mgの開始1日用量の2倍である800mgの合計1日用量に用量漸増された。したがって、開始用量の25%及び開始用量の200%まで拡張する広い用量範囲により、30%を超える対象が適切な用量を受けることが可能になった。これらの広い用量範囲によらずに、一部の対象は、T Cavgの生理学的レベル、正常以下のT Cavgレベル又はFDAに記載されるパラメーターを超えるCmaxレベルより高いリスクを有するであろう。
【0207】
外的な要因の許容度:TUの吸収は、食事及び服薬遵守などの外的要因によっても影響され得るため、広範囲の用量により、TUの吸収に関して最適以下の食事を摂取している可能性のある個体が、広範囲の用量への到達によって性腺機能正常の範囲にさらに用量設定され得る。
【0208】
用量補正Cavg
用量補正された用量は、平均用量を平均T Cavgで割ったものとして計算され得る。この属性により、活性物質を送達する際に製剤の効率を特徴付けることを試みる。しかしながら、臨床試験デザインは、広い用量範囲による製剤に関して、用量補正された用量が用量全体にわたって広く変動する点において、用量補正された用量の成績にも影響を及ぼす。T血漿に関する平均の用量補正されたCavgは、0.69であり、血清について0.79であった。この差は、試料中のTUの存在下でのTの測定に関して既知の効果を反映している(LaChance)。
【0209】
これらのデータは、表12~14及び
図13~17において要約される。
【0210】
【0211】
【0212】
【0213】
他の実施形態
本発明はその特定の実施形態に関連して記載されているが、さらなる変更形態が可能であり、本出願は、一般的に、本発明の原理に従い、本発明が属する技術分野で知られているか又は慣例の範囲内にあり、本明細書で前述される本質的特徴に適用され得る本発明からの逸脱を含み、特許請求の範囲に従う本発明のあらゆる変形形態、使用又は適応を包含することを意図することが理解されるであろう。
【0214】
他の実施形態は、特許請求の範囲内である。
【国際調査報告】