(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】KAT6A阻害剤としての縮合イソオキサゾリル化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 498/04 20060101AFI20240521BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240521BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240521BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C07D498/04 101
C07D498/04 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/437
A61K31/519
A61K31/4545
A61K31/5377
A61K31/4985
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572216
(86)(22)【出願日】2022-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2022054771
(87)【国際公開番号】W WO2022243983
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202141022736
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523439345
【氏名又は名称】アウリジーン オンコロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンカテシャッパ, チャンドレゴウダ
(72)【発明者】
【氏名】アッビネニ, チャンドラセカール
(72)【発明者】
【氏名】サマジダール, スサンタ
(72)【発明者】
【氏名】ベラ, カリサンカール
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、式(I)の縮合イソオキサゾリル化合物を提供し、これは、特に、哺乳類においてKAT6Aに依存する疾患または障害の治療及び/または予防におけるKAT6A阻害剤として治療的に有用である。本発明はまた、該化合物の調製、及び式(I)によって表される化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体のうちの少なくとも1つを含む医薬組成物も提供する。さらに別の態様では、本発明は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体、及び少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤(例えば、医薬的に許容される担体または希釈剤)を含む医薬組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化40】
またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体であって、式中、
R
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアリールを表し、前記アルキルは、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換され、前記アリールは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン及びアミノから選択される1つ以上の置換基で置換され、
R
2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシを表し、前記アルキル及び前記アルコキシは、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換され、
Xは、6員の縮合ヘテロアリール環または6員の縮合ヘテロシクロアルキル環を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、アルキル、アルコキシもしくはヘテロアラルキルを表し、前記アルキル及びアルコキシ基は、非置換であるか、もしくはヒドロキシ、アミノ、ハロゲン及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換されるか、または
同じ炭素原子に結合した任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成し、
R
4は、水素またはアルキルを表し、前記アルキルは、非置換であるか、または1つ以上のヒドロキシ基もしくはハロゲン基で置換され、
Qは、水素、-NR
aR
b、アルキル、アリール、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニルまたは5~6員のヘテロアリールを表し、前記アリール、前記ヘテロシクロアルキル、前記シクロアルケニル及び前記ヘテロアリールは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル及びオキソから選択される1つ以上の置換基で置換され、前記アルキルは、非置換であるか、または5~6員のヘテロアリールで置換され、
R
a及びR
bは、独立して、水素、アルキル、5~6員のシクロアルキル、アリール及びアリール-アルキルから選択され、前記シクロアルキル、前記アリール及び前記アリール-アルキルは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、
mは、1、2または3を表し、
nは、1、2または3を表す、前記化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体。
【請求項2】
Xが、1、2または3個のN原子を含む6員の縮合ヘテロアリール環を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、
【化41】
を表し、
【化42】
は、式(I)のイソオキサゾリル環との縮合点を表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Qが、水素、-NR
aR
b、フェニル、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニル、5~6員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリールで置換されたアルキルを表す、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
Qが、以下を表す、請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
(i)水素、-NH(CH
3)、-N(CH
3)(CH
3)、-N(CH
2CH
3)(CH
2CH
3)、-NH(CH
2CH
3)、-N(CH
3)(CH
2CH
3)、-N(CH
3)(フェニル)、-N(CH
3)(シクロヘキシル)、-N(CH
2CH
3)(フェニル)、-N(CH
2CH
3)(CH
2-フェニル)、-N(CH
3)(CH
2-フェニル)、-N(CH
2CH
3)(シクロヘキシル)もしくは-CH
2-ピラゾリル、ここで、前記フェニル、前記シクロヘキシル、及び前記ピラゾリルは、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるか、または
(ii)フェニル、アゼチジニル、チエタニル、オキセタニル、オキサアゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ジオキサニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピリミジニルもしくはピラジニル、ここで、各基は、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換される。
【請求項6】
R
3は、水素、(C
1-C
4)アルキルもしくは(C
1-C
4)アルコキシを表すか、または同じ炭素原子に結合した任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成する、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
式(IA)の化合物によって表される、請求項1に記載の化合物であって:
【化43】
式中、
【化44】
は、単結合または二重結合を表し、
X
1、X
2及びX
3は、独立して、NまたはCを表し、X
1、X
2及びX
3のうちの少なくとも1つは、Nである、前記化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物であって、
R
1は、水素、ハロゲン、(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、ハロ-(C
1-C
4)アルコキシまたはアリールを表し、
R
2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、(C
1-C
4)アルキルまたは(C
1-C
4)アルコキシを表し、
R
3は、出現ごとに、水素、(C
1-C
4)アルキルもしくは(C
1-C
4)アルコキシを表すか、または同じ炭素原子に結合した任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成し、
R
4は、水素または(C
1-C
4)アルキルを表し、
Qが表すのは、
(i)水素、-NH(CH
3)、-N(CH
3)(CH
3)、-NH(CH
2CH
3)、-N(CH
3)(フェニル)、-N(CH
3)(シクロヘキシル)、-N(CH
2CH
3)(フェニル)、-N(CH
2CH
3)(CH
2-フェニル)、-N(CH
3)(CH
2-フェニル)、-N(CH
2CH
3)(シクロヘキシル)もしくは-CH
2-ピラゾリル、ここで、前記フェニル、前記シクロヘキシル、及び前記ピラゾリルは、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるものであるか、または
(ii)フェニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピリミジニルもしくはピラジニル、ここで、各基は、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン及びハロアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるものであり、
mは、1または2を表し、
nは、1、2または3を表す、前記化合物。
【請求項9】
式(IB)の化合物によって表される、請求項1に記載の化合物であって:
【化45】
式中、
X
1、X
2及びX
3は、独立して、NまたはCを表し、X
1、X
2及びX
3のうちの少なくとも1つは、Nである、前記化合物。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物であって、式中、
R
1は、水素、-Cl、-F、-O-CH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CF
3またはフェニルを表し、
R
2は、出現ごとに、-Cl、-F、-CH
3、-CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-O-CH
3または-O-CH
2CH
3を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-O-CH
3、-O-CH
2CH
3を表すか、または同じ炭素原子に結合する任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成し、
mは、1または2を表し、
nは、1、2または3を表す、前記化合物。
【請求項11】
式(IC)の化合物によって表される、請求項1に記載の化合物であって:
【化46】
式中、
X
2及びX
3は、独立して、NまたはCを表し、X
2及びX
3のうちの少なくとも1つは、Nであり、
Qは、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニルまたは5~6員のヘテロアリールを表す、前記化合物。
【請求項12】
Qが、
【化47】
を表し、各基は、非置換であるか、または-Cl、-F、-OCH
3もしくは-OCH
2CH
3のうちの1つまたは2つの出現で置換される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
請求項11に記載の化合物であって、式中、
R
1は、水素、-Cl、-F、-O-CH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CF
3またはフェニルを表し、
R
2は、出現ごとに、水素、-Cl、-F、-CH
3、-CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-O-CH
3または-O-CH
2CH
3を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-O-CH
3、-O-CH
2CH
3を表すか、または同じ炭素原子に結合する任意の2つのR
3基がオキソ基を形成し、
Qは、
【化48】
を表し、各基は、非置換であるか、または-Cl、-F、-OCH
3もしくは-OCH
2CH
3のうちの1つまたは2つの出現で置換される、前記化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物は、
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
から選択されるか、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体である。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体、及び医薬的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項16】
薬剤として使用される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
KAT6Aの阻害によって媒介される疾患または障害の治療に使用される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記疾患または前記障害が、がんである、請求項17に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項19】
前記がんが、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌及びウイルス関連癌から選択される、請求項18に記載の使用のための医薬組成物。
【請求項20】
薬剤として使用される、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体。
【請求項21】
対象におけるKAT6Aを調節する方法であって、それを必要とする前記対象に対して、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項22】
対象における疾患または障害を治療する方法であって、それを必要とする前記対象に対して、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項23】
前記疾患または前記障害が、がんである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌及びウイルス関連癌から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
KAT6Aの阻害によって媒介される疾患または障害の治療または予防のための薬剤の製造における、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の使用。
【請求項26】
前記疾患または前記障害が、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌及びウイルス関連癌から選択されるがんである、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
KAT6Aによって媒介される疾患または障害の治療の治療に使用される、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
前記疾患または前記障害が、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌及びウイルス関連癌から選択されるがんである、請求項27に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年5月21日に出願されたインド仮出願第202141022736号の利益を主張する。その明細書は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、KAT6Aに依存する、またはKAT6Aによって媒介される疾患もしくは障害の治療のための、KAT6A阻害剤として有用な縮合イソオキサゾリル化合物、及びその医薬的に許容される塩または立体異性体または互変異性体に関する。本発明はまた、該イソオキサゾリル化合物の調製方法及び該化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)のMYSTファミリーは、その基礎となる4メンバーであるMOZ、Ybf2(Sas3)、Sas2、及びTip60にちなんで名づけられている。ジンクフィンガー及びクロモドメインの存在が、これらのHATの特性である。MYSTは、ヒストンH2A、H3及びH4のリジン残基をアセチル化する。いくつかのMYSTファミリーのタンパク質は、ジンクフィンガーと、アセチルCoA結合を促進するGNATに見られる高度に保存されたモチーフAを含む。MYST HATは、いくつかの重要な核プロセスに関与しており、遺伝子特異的転写調節、DNA損傷応答、修復及び複製において重要な役割を果たす。これらのHATまたはそれらが会合した複合体の異常な活性は、容易に深刻な細胞機能不全につながり得るため、細胞死または制御されない増殖及び悪性腫瘍がもたらされる。実際、該MYSTファミリーのHATは、ヒトのがんのいくつかの形態に関係している。(Avvakumov,N.et al.“The MYST family of histone acetyltransferases and their intimate links to cancer.”Oncogene 26.37(2007):5395-5407.)
【0004】
MOZ(単球性白血病ジンクフィンガータンパク質)は、ヒトのがん遺伝子として知られている。MOZは、造血前駆細胞及び幹細胞の増殖及び分化のプロセスで転写補助活性化因子及びエピジェネティック調節因子として重要な役割を果たしている。これらのプロセスの脱調節に関する洞察により、MOZ融合タンパク質が、白血病幹細胞の形成に関連していること、及び転写因子等の重要なタンパク質の活性を妨げることが示され、これが、MOZを急性骨髄性白血病治療の有望な標的としている。低分子によるMOZの標的化により、急性骨髄性白血病の治療が期待できる。(Zhou C.et al.“MOZ/KAT6A:a promising target for acute myeloid leukaemia therapy.”(2020):759-761)
【0005】
細胞の老化は、腫瘍増殖の抑制に重要な役割を果たす。KAT6Aは、アポトーシスにもDNA損傷にも影響を与えずに、マウス胚性線維芽細胞(MEF)における細胞老化を抑制する。MOZは、Cdc6、E2f2、Ezh2及びMelkを含めた老化を阻害する遺伝子に直接結合し、その非存在下では、これらの遺伝子座のTSSにおけるH3K9ac及びH3K27acが減少する。(Sheikh,B.N.,et al.“MOZ(MYST3,KAT6A)inhibits senescence via the INK4A-ARF pathway.”Oncogene 34.47(2015):5807-5820)
【0006】
TRIM24結合を介してヒストンアセチルトランスフェラーゼKAT6Aが上方制御するPI3K/AKTシグナル伝達は、グリオーマにおける細胞増殖及び腫瘍増殖に重要である。KAT6Aは、H3K23のアセチル化及びTRIM24との会合を促進し、それによりPIK3CA発現及びPI3K/Aktシグナル伝達の活性化を増加させ、グリオーマの腫瘍形成を増強させる。KAT6Aは、グリオーマのがん遺伝子として機能する。(Lv,D.,et al.“Histone acetyltransferase KAT6A upregulates PI3K/AKT signalling through TRIM24 binding.”Cancer research 77.22(2017):6190-6201)。
多くの特許公報が、KAT標的タンパク質を標的とすることが可能ないくつかの低分子化合物及びそれらの誘導体を開示している。がん等の疾患におけるKATの確立された役割を考慮し、かつ、現在、特定のKAT6AまたはKAT6B標的タンパク質に対してFDA承認の標的治療薬が存在しないことから、KAT6AまたはKAT6Bにより活性化される増殖性疾患及び自己免疫疾患を治療するための化合物、組成物、及び方法の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Avvakumov,N.et al.“The MYST family of histone acetyltransferases and their intimate links to cancer.”Oncogene 26.37(2007):5395-5407.
【非特許文献2】Sheikh,B.N.,et al.“MOZ(MYST3,KAT6A)inhibits senescence via the INK4A-ARF pathway.”Oncogene 34.47(2015):5807-5820
【非特許文献3】Lv,D.,et al.“Histone acetyltransferase KAT6A upregulates PI3K/AKT signalling through TRIM24 binding.”Cancer research 77.22(2017):6190-6201
【非特許文献4】Lv,D.,et al.“Histone acetyltransferase KAT6A upregulates PI3K/AKT signalling through TRIM24 binding.”Cancer research 77.22(2017):6190-6201
【発明の概要】
【0008】
本明細書に提供するのは、KAT6A阻害剤として、及びKAT6Aに依存する、またはKAT6Aによって媒介される疾患もしくは障害の治療に有用な、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体によって表される化合物及び式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を含む医薬組成物である。本発明はまた、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の調製を提供する。
【0009】
1つの態様では、本発明は、式(I)の化合物:
【化1】
またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供し、式中、
R
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアリールを表し、該アルキルは、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換され、該アリールは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン及びアミノから選択される1つ以上の置換基で置換され、
R
2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシを表し、該アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換され、
Xは、6員の縮合ヘテロアリール環または6員の縮合ヘテロシクロアルキル環を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、アルキル、アルコキシもしくはヘテロアラルキルを表し、該アルキル及びアルコキシ基は、非置換であるか、もしくはヒドロキシ、アミノ、ハロゲン及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換されるか、または
同じ炭素原子に結合した任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成し、
R
4は、水素またはアルキルを表し、該アルキルは、非置換であるか、または1つ以上のヒドロキシ基もしくはハロゲン基で置換され、
Qは、水素、-NR
aR
b、アルキル、アリール、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニルまたは5~6員のヘテロアリールを表し、該アリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロアリールは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル及びオキソから選択される1つ以上の置換基で置換され、該アルキルは、非置換であるか、または5~6員のヘテロアリールで置換され、
R
a及びR
bは、独立して、水素、アルキル、5~6員のシクロアルキル、アリール及びアリール-アルキルから選択され、該シクロアルキル、アリール及びアリール-アルキルは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、
mは、1、2または3を表し、
nは、1、2または3を表す。
【0010】
さらに別の態様では、本発明は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体、及び少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤(例えば、医薬的に許容される担体または希釈剤)を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
別の態様では、本発明は、薬剤として使用するための式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、KAT6Aに依存する、またはKAT6Aによって媒介される疾患もしくは障害の治療のための、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を含む医薬組成物を提供する。
【0013】
別の態様では、本発明は、KAT6Aタンパク質の変異及び過剰発現を含めたKAT6Aタンパク質における変化によって媒介される疾患または障害の治療のための、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を含む医薬組成物を提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、疾患または障害の治療方法を提供し、該方法は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体によって表される化合物の治療有効量を、それを必要とする対象、例えば、ヒトに投与することを含む。該疾患または障害、例えば、がんは、KAT6Aの阻害によって治療可能である。
【0015】
別の態様では、本発明は、疾患または状態、例えば、がんの治療のための薬剤の製造のための、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体によって表される化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、KAT6A阻害剤として、及びKAT6Aに依存する、またはKAT6Aによって媒介される状態の治療に有用な、式(I)の化合物と呼ばれる縮合イソオキサゾリル誘導体を提供する。本発明はさらに、該化合物、またはその立体異性体もしくは互変異性体を治療薬として含む医薬組成物を提供する。
【0017】
各実施形態は、本開示の説明として提供され、本開示を限定するものではない。実際、当業者には、本発明の範囲からも趣旨からも逸脱することなく、本明細書に記載の化合物、組成物及び方法に対して様々な修正及び変更がなされ得ることが明白であろう。例えば、1つの実施形態の一部として説明または記載されている特徴を、別の実施形態に適用し、さらなる実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、かかる修正及び変更、ならびにそれらの均等物を含むことが意図される。本発明の他の目的、特徴、及び態様は、以下の詳細な説明に開示されているか、またはそれから明らかである。当業者には、本論考が例示的な実施形態の説明に過ぎないこと、及び本発明のより広い態様を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。
【0018】
1つの実施形態では、本発明は、式(I)の化合物
【化2】
またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供し、式中、
R
1は、水素、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはアリールを表し、該アルキルは、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換され、該アリールは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン及びアミノから選択される1つ以上の置換基で置換され、
R
2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、アルキルまたはアルコキシを表し、該アルキル及びアルコキシは、非置換であるか、またはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換され、
Xは、6員の縮合ヘテロアリール環または6員の縮合ヘテロシクロアルキル環を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、アルキル、アルコキシもしくはヘテロアラルキルを表し、該アルキル及びアルコキシ基は、非置換であるか、もしくはヒドロキシ、アミノ、ハロゲン及びアミドから選択される1つ以上の置換基で置換されるか、または
同じ炭素原子に結合した任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成し、
R
4は、水素またはアルキルを表し、該アルキルは、非置換であるか、または1つ以上のヒドロキシ基もしくはハロゲン基で置換され、
Qは、水素、-NR
aR
b、アルキル、アリール、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニルまたは5~6員のヘテロアリールを表し、該アリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル及びヘテロアリールは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル及びオキソから選択される1つ以上の置換基で置換され、該アルキルは、非置換であるか、または5~6員のヘテロアリールで置換され、
R
a及びR
bは、独立して、水素、アルキル、5~6員のシクロアルキル、アリール及びアリール-アルキルから選択され、該シクロアルキル、アリール及びアリール-アルキルは、非置換であるか、またはアルキル、アルコキシ、アミノ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1つ以上の置換基で置換され、
mは、1、2または3を表し、
nは、1、2または3を表す。
【0019】
1つの実施形態では、R1は、水素、ハロゲン、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、ハロ(C1-C4)アルコキシまたはアリールを表す。
【0020】
1つの実施形態では、R1は、水素または(C1-C4)アルコキシを表す。
【0021】
1つの実施形態では、R2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシを表す。
【0022】
1つの実施形態では、R2は、出現ごとに、水素または(C1-C4)アルコキシを表す。
【0023】
1つの実施形態では、Xは、6員の縮合ヘテロアリール環を表す。
【0024】
1つの実施形態では、Xは、1、2または3個のN原子を含む6員の縮合ヘテロアリール環を表す。
【0025】
1つの実施形態では、Xは、
【化3】
を表し、
【化4】
は、式(I)のイソオキサゾリル環との縮合点を表す。
【0026】
1つの実施形態では、Xは、
【化5】
を表し、
【化6】
は、式(I)のイソオキサゾリル環との縮合点を表す。
【0027】
1つの実施形態では、式
【化7】
は、
【化8】
を表し、
【化9】
は、式(I)のイソオキサゾリル環との縮合点を表す。
【0028】
1つの実施形態では、R3は、出現ごとに、水素、(C1-C4)アルキル、または(C1-C4)アルコキシを表す。
【0029】
1つの実施形態では、同じ炭素原子に結合した任意の2つのR3基が一緒になってオキソ基を形成する。
【0030】
1つの実施形態では、Qは、水素、-NRaRb、フェニル、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニル、5~6員のヘテロアリール、または5~6員のヘテロアリールで置換されたアルキル基を表す。
【0031】
1つの実施形態では、Ra及びRbは、独立して、水素、(C1-C4)アルキル、5~6員のシクロアルキル、アリール及びアリール-アルキルから選択される。
【0032】
1つの実施形態では、Qは、以下を表す。
(i)水素、-NH(CH3)、-N(CH3)(CH3)、-N(CH2CH3)(CH2CH3)、-NH(CH2CH3)、-N(CH3)(CH2CH3)、-N(CH3)(フェニル)、-N(CH3)(シクロヘキシル)、-N(CH2CH3)(フェニル)、-N(CH2CH3)(CH2-フェニル)、-N(CH3)(CH2-フェニル)、-N(CH2CH3)(シクロヘキシル)もしくは-CH2-ピラゾリル、ここで、該フェニル、シクロヘキシル、及びピラゾリルは、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるか、または
(ii)フェニル、アゼチジニル、チエタニル、オキセタニル、オキサアゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ジオキサニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピリミジニルもしくはピラジニル、ここで、各基は、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換される。
【0033】
1つの実施形態では、R4は、水素または(C1-C4)アルキルを表す。
【0034】
1つの実施形態では、本発明は、式(I)の化合物を提供し、式中、
R
1は、水素、ハロゲン、(C
1-C
4)アルキル、(C
1-C
4)アルコキシ、ハロ(C
1-C
4)アルコキシまたはアリールを表し、
R
2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、(C
1-C
4)アルキルまたは(C
1-C
4)アルコキシを表し、
Xは、
【化10】
を表し、
【化11】
は、式(I)のイソオキサゾリル環との縮合点を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、(C
1-C
4)アルキルもしくは(C
1-C
4)アルコキシを表すか、または同じ炭素原子に結合した任意の2つのR
3基が一緒になってオキソ基を形成し、
Qは、以下を表す。
(i)水素、-NH(CH
3)、-N(CH
3)(CH
3)、-N(CH
2CH
3)(CH
2CH
3)、-NH(CH
2CH
3)、-N(CH
3)(CH
2CH
3)、-N(CH
3)(フェニル)、-N(CH
3)(シクロヘキシル)、-N(CH
2CH
3)(フェニル)、-N(CH
2CH
3)(CH
2-フェニル)、-N(CH
3)(CH
2-フェニル)、-N(CH
2CH
3)(シクロヘキシル)もしくは-CH
2-ピラゾリル、ここで、該フェニル、シクロヘキシル、及びピラゾリルは、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるか、または
(ii)フェニル、アゼチジニル、チエタニル、オキセタニル、オキサアゼチジニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ジオキサニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピリミジニルもしくはピラジニル、ここで、各基は、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換される。
【0035】
1つの実施形態では、本発明は、式(IA)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供し:
【化12】
式中、
【化13】
は、単結合または二重結合を表し、
X
1、X
2及びX
3は、独立して、NまたはCを表し、X
1、X
2及びX
3のうちの少なくとも1つは、Nであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、Q、m及びnは、式(I)の化合物において定義される通りである。
【0036】
1つの実施形態では、本発明は、式(IA)の化合物を提供し、
R1は、水素、ハロゲン、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、ハロ-(C1-C4)アルコキシまたはアリールを表し、
R2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシを表し、
R3は、出現ごとに、水素、(C1-C4)アルキルもしくは(C1-C4)アルコキシを表すか、または同じ炭素原子に結合した任意の2つのR3基が一緒になってオキソ基を形成し、
R4は、水素または(C1-C4)アルキルを表し、
Qが表すのは、
(i)水素、-NH(CH3)、-N(CH3)(CH3)、-NH(CH2CH3)、-N(CH3)(フェニル)、-N(CH3)(シクロヘキシル)、-N(CH2CH3)(フェニル)、-N(CH2CH3)(CH2-フェニル)、-N(CH3)(CH2-フェニル)、-N(CH2CH3)(シクロヘキシル)もしくは-CH2-ピラゾリル、ここで、該フェニル、シクロヘキシル、及びピラゾリルは、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるものであるか、または
(ii)フェニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピリミジニルもしくはピラジニル、ここで、各基は、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン及びハロアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるものであり、
mは、1または2を表し、
nは、1、2または3を表す。
【0037】
式(IA)の1つの実施形態では、
【化14】
は、単結合または二重結合を表す。
【0038】
式(IA)の化合物の1つの実施形態では、X1、X2及びX3は、独立して、NまたはCを表し、X1、X2及びX3のうちの少なくとも1つは、Nである。
【0039】
式(IA)の化合物の1つの実施形態では、R4は、水素または(C1-C4)アルキルを表す。
【0040】
1つの実施形態では、本発明は、式(IA)の化合物を提供し、式中、
R1は、水素、ハロゲン、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、ハロ-(C1-C4)アルコキシまたはアリールを表し、
R2は、出現ごとに、水素、ハロゲン、(C1-C4)アルキルまたは(C1-C4)アルコキシを表し、
R3は、出現ごとに、水素、(C1-C4)アルキルもしくは(C1-C4)アルコキシを表すか、または同じ炭素原子に結合した任意の2つのR3基が一緒になってオキソ基を形成し、
R4は、水素または(C1-C4)アルキルを表し、
Qが表すのは、
(i)水素、-NH(CH3)、-N(CH3)(CH3)、-NH(CH2CH3)、-N(CH3)(フェニル)、-N(CH3)(シクロヘキシル)、-N(CH2CH3)(フェニル)、-N(CH2CH3)(CH2-フェニル)、-N(CH3)(CH2-フェニル)、-N(CH2CH3)(シクロヘキシル)もしくは-CH2-ピラゾリル、ここで、該フェニル、シクロヘキシル、及びピラゾリルは、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン、ハロアルキル及びヒドロキシアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるものであるか、または
(ii)フェニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、フラニル、チオフェニル、ピロリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピリミジニルもしくはピラジニル、ここで、各基は、非置換であるか、もしくはアルキル、アルコキシ、ハロゲン及びハロアルキルから選択される1個もしくは2個の置換基で置換されるものであり、
mは、1または2を表し、
nは、1、2または3を表す。
【0041】
1つの実施形態では、本発明は、式(IB)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供し:
【化15】
式中、
X
1、X
2及びX
3は、独立して、NまたはCを表し、X
1、X
2及びX
3のうちの少なくとも1つは、Nであり、
R
1、R
2、R
3、R
4、m及びnは、式(I)の化合物において定義される通りである。
【0042】
1つの実施形態では、本発明は、式(IB)の化合物を提供し、式中、
R1は、水素、-Cl、-F、-O-CH3、-O-CH2CH3、-O-CF3またはフェニルを表し、
R2は、出現ごとに、-Cl、-F、-CH3、-CH2CH3、-C(CH3)3、-O-CH3または-O-CH2CH3を表し、
R3は、出現ごとに、水素、-CH3、-CH2CH3、-C(CH3)3、-O-CH3、-O-CH2CH3を表すか、または同じ炭素原子に結合する任意の2つのR3基が一緒になってオキソ基を形成し、
mは、1または2を表し、
nは、1、2または3を表す。
【0043】
1つの実施形態では、本発明は、式(IC)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供し:
【化16】
式中、
X
2及びX
3は、独立して、NまたはCを表し、X
2及びX
3のうちの少なくとも1つは、Nであり、
Qは、4~6員のヘテロシクロアルキル、3~8員のシクロアルケニルまたは5~6員のヘテロアリールを表し、
R
1、R
2、R
3、Q、m及びnは、式(I)の化合物において定義される通りである。
【0044】
式(IC)の1つの実施形態では、Qは、
【化17】
を表し、各基は、非置換であるか、または-Cl、-F、-OCH
3もしくは-OCH
2CH
3のうちの1つまたは2つの出現で置換される。
【0045】
1つの実施形態では、本発明は、式(IC)の化合物を提供し、R
1は、水素、-Cl、-F、-O-CH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CF
3またはフェニルを表し、
R
2は、出現ごとに、水素、-Cl、-F、-CH
3、-CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-O-CH
3または-O-CH
2CH
3を表し、
R
3は、出現ごとに、水素、-CH
3、-CH
2CH
3、-C(CH
3)
3、-O-CH
3、-O-CH
2CH
3を表すか、または同じ炭素原子に結合する任意の2つのR
3基がオキソ基を形成し、
Qは、
【化18】
を表し、各基は、非置換であるか、または-Cl、-F、-OCH
3もしくは-OCH
2CH
3のうちの1つまたは2つの出現で置換される。
【0046】
1つの実施形態では、本発明は、以下から選択される化合物:
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供する。
【0047】
治療方法
1つの実施形態では、本発明は、KAT6Aに依存する疾患または障害の治療に使用される、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供する。
【0048】
1つの実施形態では、本発明は、KAT6Aに依存する疾患または障害の治療に使用される、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を含む医薬組成物を提供する。
【0049】
1つの実施形態では、本発明は、KAT6Aを阻害する方法を提供し、該方法は、それを必要とする細胞に対して、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の治療有効量を投与することを含む。
【0050】
1つの実施形態では、本発明は、対象におけるKAT6Aを調節する方法を提供し、該方法は、それを必要とする対象に対して、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくはその立体異性体もしくは互変異性体の治療有効量を投与することを含む。
【0051】
1つの実施形態では、本発明は、対象におけるKAT6Aによって媒介される疾患または障害を治療する方法を提供し、該方法は、それを必要とする対象に対して、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩もしくはその立体異性体もしくは互変異性体の治療有効量を投与することを含む。
【0052】
1つの実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくはその立体異性体もしくは互変異性体、及び少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤(例えば、医薬的に許容される担体または希釈剤)を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、該医薬組成物は、治療有効量の少なくとも1つの本明細書に記載の化合物を含む。本発明に記載の化合物を、医薬的に許容される賦形剤(例えば、担体もしくは希釈剤)と会合させても、担体で希釈しても、カプセル、サシェ、紙または他の容器の形態であり得る担体に封入してもよい。
【0053】
1つの実施形態では、本発明は、薬剤の製造に使用される、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0054】
1つの実施形態では、本発明は、KAT6Aの阻害によって媒介される疾患または障害の治療に使用される、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、該疾患または障害は、がんである。
【0055】
1つの実施形態では、該がんは、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌またはウイルス関連癌から選択される。
【0056】
1つの実施形態では、本発明は、薬剤として使用される、化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供する。
【0057】
1つの実施形態では、本発明は、KAT6Aによって媒介される疾患または障害の治療のための薬剤の製造における、式(I)で表される化合物を含む医薬組成物の使用を提供する。
【0058】
1つの実施形態では、本発明は、KAT6Aによって媒介される疾患または障害の治療または予防のための薬剤の製造における、式(I)で表される化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の使用を提供する。
【0059】
1つの実施形態では、KAT6Aに依存する、またはKAT6Aによって媒介される疾患もしくは障害としては、がんが挙げられる。
【0060】
1つの実施形態では、がんは、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌またはウイルス関連癌から選択される。
【0061】
1つの実施形態では、本発明は、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌またはウイルス関連癌から選択されるがんの治療のための薬剤の製造における、式(I)で表される化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の使用を提供する。
【0062】
ある特定の実施形態では、本発明は、KAT6Aによって媒介される疾患または障害の治療に使用される、式(I)で表される化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供する。
【0063】
1つの実施形態では、本発明は、脳グリオーマ、膠芽細胞腫、星状細胞腫、多形性、bannayan-Zonana症候群、カウデン病、レルミット・デュクロ病、乳癌、結腸癌、頭頚部癌、腎臓、肝臓、肺癌、骨癌、大腸癌、生殖細胞癌、黒色腫、卵巣癌、膵臓癌、腺癌、管状腺癌、腺扁平上皮癌、腺房細胞癌、グルカゴノーマ、インスリノーマ、前立腺、肉腫及び甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、上咽頭癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、神経内分泌癌、精巣癌またはウイルス関連癌から選択されるがんの治療または予防に使用される、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を提供する。
【0064】
医薬組成物
経口投与用の液体剤形としては、医薬的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、該液体剤形は、当技術分野で一般に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒等、可溶化剤及び乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤以外に、該経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、甘味剤、香味剤、ならびに芳香剤を含むことができる。
【0065】
注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤及び懸濁化剤を使用して、既知の技術に従って製剤化され得る。該滅菌注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒の滅菌注射液、懸濁液またはエマルション、例えば、1,3-ブタンジオール溶液としてでもよい。使用され得る許容される媒体及び溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油が溶媒または懸濁媒として従来用いられている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含めた任意の無刺激不揮発性油が使用され得る。さらに、オレイン酸等の脂肪酸が、注射剤の調製において使用され得る。
【0066】
薬物の効果を延長させるために、多くの場合、該薬物の皮下または筋肉内注射からの吸収を減速させることが望ましい。これは、難水溶性の結晶質または非晶質物質の液体懸濁液の使用によって達成され得る。該薬物の吸収速度は、したがって、その溶解速度に依存し、これは、次に結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。代替的に、非経口投与される薬物形態の吸収遅延は、該薬物を油媒体に溶解または懸濁することによって達成される。
【0067】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは坐剤であり、これは、本出願の化合物を、周囲温度では固体であるが体温では液体であり、ひいては直腸または膣腔内で溶けて、該活性化合物を放出する、適切な非刺激性賦形剤または担体、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスと混合することにより調製され得る。
【0068】
同様のタイプの固体組成物を、かかる賦形剤をラクトースまたは乳糖、及び高分子量ポリエチレングリコール等として使用して、軟及び硬ゼラチンカプセルにおけるフィラーとして使用してもよい。
【0069】
該活性化合物は、上記の1つ以上の賦形剤を用いたマイクロカプセル化形態であることもできる。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒剤の固体剤形は、コーティング及びシェル、例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングを使用して調製され得る。かかる固体剤形では、該活性化合物は、少なくとも1つの不活性希釈剤、例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプンと混合され得る。かかる剤形はまた、通常の慣例として、打錠滑沢剤及び他の打錠助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースが挙げられるがこれらに限定されない不活性希釈剤以外のさらなる物質も含み得る。カプセル、錠剤及び丸剤の場合、該剤形はまた、緩衝剤も含み得る。
【0070】
本出願の化合物の局所または経皮投与用の剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。該活性成分は、無菌条件下で、医薬的に許容される担体及び任意の必要な保存剤または緩衝剤と必要に応じて混合される。眼科用製剤、点耳剤、眼軟膏、粉末及び溶液もまた、本出願の範囲内にあることが企図される。
【0071】
該軟膏、ペースト、クリーム及びゲルは、本出願の活性化合物に加えて、動物性脂肪及び植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク及び酸化亜鉛またはそれらの混合物等の賦形剤を含み得る。
【0072】
粉末及びスプレーは、本出願の化合物に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含み得る。スプレーはさらに、通例の噴射剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素を含み得る。
【0073】
経皮パッチは、化合物の制御送達を体内にもたらすというさらなる利点を有する。かかる剤形は、該化合物を適切な媒体に溶解または分配することによって作製され得る。吸収向上剤もまた、皮膚への化合物の流動を増加させるために使用され得る。速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させることのいずれかによって制御され得る。
【0074】
本開示の化合物及び医薬組成物の投与は、治療薬のための任意の投与方法によって達成され得る。これらの方法としては、全身または局所投与、例えば、経口、経鼻、非経口、静脈内、経皮、皮下、膣内、口腔、直腸または局所投与方法が挙げられる。
【0075】
意図される投与方法に応じて、本開示の化合物または医薬組成物は、固体、半固体または液体剤形、例えば、注射剤、錠剤、坐剤、丸剤、持効性カプセル、エリキシル剤、チンキ、エマルション、シロップ、粉末、液体、懸濁液等でよく、時として、単位用量で、従来の薬務と一致し得る。同様に、それらは、静脈内(ボーラス及び輸注の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内形態でも投与することができ、すべての使用形態は、製薬技術分野の当業者に周知である。
【0076】
例示的な医薬組成物は、1つ以上の本開示の化合物及び医薬的に許容される担体、例えば、これらに限定されないが、a)希釈剤、例えば、精製水、トリグリセリド油、例えば、硬化植物油もしくは半硬化植物油、またはこれらの混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、EPAもしくはDHA等の魚油、あるいはこれらのエステルもしくはトリグリセリドまたは混合物、オメガ-3脂肪酸またはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコース及び/またはグリシン、b)滑沢剤、例えば、シリカ、滑石、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及び/またはポリエチレングリコール、また、錠剤の場合には、c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、炭酸マグネシウム、天然糖、例えば、グルコースもしくはベータ-ラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然ゴム及び合成ゴム、例えば、アカシア、トラガント、もしくはアルギン酸ナトリウム、ワックス類及び/またはポリビニルピロリドン、必要に応じて、d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチルセルロース、ベントナイト、キサンタンガム、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物、e)吸収剤、着色剤、香料、及び甘味剤、f)乳化剤または分散剤、例えば、Tween(登録商標) 80、Labrasol、HPMC、DOSS、カプロイル909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex 355、gelucire、ビタミンE TGPS、または他の許容される乳化剤、及び/またはg)本化合物の吸収を高める薬剤、例えば、シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200を含む、錠剤及びゼラチンカプセル剤である。
【0077】
液体の、特に注射用の組成物は、例えば、溶解、分散等によって調製され得る。例えば、1つ以上の本開示の化合物は、医薬的に許容される溶媒、例えば、水、食塩水、デキストロース水溶液、グリセロール、エタノール等に溶解されるか、またはそれと混合され、それによって、注入用の等張溶液または懸濁液が形成される。アルブミン、カイロミクロン粒子または血清タンパク質等のタンパク質を使用して、本開示の化合物を可溶化することができる。
【0078】
1つ以上の本開示の化合物または組成物は、非経口投与によって送達され得る。非経口注射投与は、一般に、皮下、筋肉内または静脈内注射及び注入に使用される。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液または注射前に液体に溶解するのに適した固体形態のいずれかの従来の形態で調製され得る。
【0079】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本明細書における主題が属する当業者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、反対の意図でない限り、以下の用語は、本発明の理解を容易にするために示した意味を有する。
【0080】
文脈による明確な別段の指示がない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」には複数の指示対象が含まれる。
【0081】
本明細書で使用される、「任意の」または「任意に」という用語は、その後に記載される事象または状況が生じても生じなくてもよいこと、ならびにその記載が、該事象または状況が生じる場合及びそれが生じない場合を含むことを意味する。例えば、「任意に置換されるアルキル」とは、該アルキルが置換され得る事象または状況、及び該アルキルが置換されない事象または状況を指す。「任意に置換されるアルキル」という用語はまた、「非置換または置換アルキル」基を指すこともできる。
【0082】
「置換される」という用語は、骨格の1つ以上の炭素上の水素を置き換える置換基を有する部分を指す。「置換」または「~で置換された」とは、かかる置換が、置換された原子及び当該置換基の許容される価数に従っており、該置換が安定化合物、例えば、自発的に、転位、環化、脱離等による変換を受けない安定化合物を生じるという暗黙の条件を含むことが理解されよう。本明細書で使用される、「置換される」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むことが企図される。幅広い態様では、該許容される置換基としては、有機化合物の非環式及び環式、分岐及び非分岐、炭素環式及びヘテロ環式、芳香族及び非芳香族置換基が挙げられる。該許容される置換基は、適切な有機化合物に対して1つ以上であってもよく、同じでも異なってもよい。本発明の目的で、窒素等のヘテロ原子は、当該ヘテロ原子の原子価を満たす水素置換基及び/または本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有し得る。具体的な記載がない限り、該置換基は、本明細書に記載の任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシル等)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテート、またはチオフォーメート等)、アルコキシ、オキソ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を含み得る。当業者には、置換基が、適切な場合はそれ自体置換され得ることが理解されよう。
【0083】
本明細書で使用される、「アルキル」という用語は、C1-C10直鎖アルキル基またはC3-C10分岐鎖アルキル基が挙げられるがこれらに限定されない飽和脂肪族基を指す。好ましくは、該「アルキル」基は、C1-C4直鎖アルキル基またはC3-C6分岐鎖アルキル基を指す。最も好ましくは、該「アルキル」基は、C1-C4直鎖アルキル基またはC3-C8分岐鎖アルキル基を指す。「アルキル」の例としては、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、1-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオ-ペンチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、1-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、1-オクチル、2-オクチル、3-オクチル及び4-オクチルが挙げられるがこれらに限定されない。該「アルキル」基は、任意に置換され得る。
【0084】
本明細書で使用される、「アリール-アルキル」という用語は、「アルキル」基が1つ以上の「アリール」基で置換されている基を指す。
【0085】
単独で、または他の用語(複数可)と組み合わせて本明細書で使用される、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0086】
本明細書で使用される、「ハロアルキル」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルキルを指し、ここで、該ハロ及びアルキル基は、上記で定義される通りである。「ハロアルキル」の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル及び2,2,2-トリフルオロエチルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0087】
本明細書で使用される、「ヒドロキシアルキル」という用語は、1つ以上の当該アルキル基の水素原子がヒドロキシ基で置換された、上記で定義されるアルキル基を指す。ヒドロキシアルキル部分の例としては、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH(OH)CH2OH、-CH2CH(OH)CH3、-CH(CH3)CH2OHが挙げられるがこれらに限定されない。
【0088】
本明細書ではそれ自体で、または別の基の一部として使用される、「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、単環式、二環式または多環式の6~14個の炭素原子の芳香族炭化水素環系を指す。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、アントリル及びアセナフチルが挙げられるがこれらに限定されない。好ましいアリール基は、フェニルである。
【0089】
本明細書で使用される、「シアノ」という用語は、-CN基を指す。本明細書で使用される、「アミノ」とは、-NH2基を指す。本明細書で使用される、「アミド」とは、-CONH2基を指す。
【0090】
本明細書で使用される、「シクロアルケニル」という用語は、1つ以上の不飽和単位を有するが芳香族ではない単環式または縮合もしくは架橋二環式の炭素環式環系を指す。例えば、本明細書で使用されるシクロアルケニルは、1、2または3つの不飽和単位を有しかつ芳香族ではないC3-C10単環式または縮合もしくは架橋C8-C12二環式炭素環式環系であり得る。好ましいシクロアルケニル基としては、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
単独で、または他の用語(複数可)と組み合わせて本明細書で使用される、「シクロアルキル」という用語は、C3-C10飽和環式炭化水素環を意味する。シクロアルキルは、通常は3~7個の炭素環原子を含む単環であり得る。単環シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロへプチルが挙げられるがこれらに限定されない。代替的に、シクロアルキルは、多環式であっても、複数の環を含んでもよい。多環式シクロアルキルの例としては、架橋、縮合、及びスピロ環式カルボシクリルが挙げられる。
【0092】
本明細書で使用される、「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環サイズが具体的に言及されない限り、3~15員の、O、NまたはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有し、残余の環原子が、独立して、炭素、酸素、窒素、及び硫黄からなる群から選択される、非芳香族、飽和または部分飽和、架橋二環式、単環式または多環式環系を指す。「ヘテロシクロアルキル」という用語はまた、O、NまたはSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する架橋二環式環系も指す。「ヘテロシクロアルキル」の例としては、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ジヒドロピリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,4-ジオキサニル、ジオキシドチオモルホリニル、オキサピペラジニル、オキサピペリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロピラニル、インドリニル、インドリニルメチル、イソインドリニル、オキソイソインドリニル、ジオキソイソインドリニル、アザ-ビシクロオクタニル、ジアザビシクロオクタニル、アゾシニル、クロマニル、イソクロマニル及びキサンテニルが挙げられるがこれらに限定されない。ヘテロシクロアルキル置換基の結合は、炭素原子またはヘテロ原子のいずれかを介して起こり得る。ヘテロシクロアルキル基は、任意に、1つ以上の前記の基によって1つ以上の適切な基で置換され得る。好ましくは、「ヘテロシクロアルキル」は、アゼチジニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル及びチオモルホリニルからなる群から選択される4~6員の環(環サイズが具体的に言及されない限り)を指す。すべてのヘテロシクロアルキルは、任意に、1つ以上の前記の基で置換される。
【0093】
本明細書で使用される、「ヘテロアリール」という用語は、環サイズが具体的に言及されない限り、合計5~14個の環原子を含む完全に不飽和な環系を指す。該環原子のうちの少なくとも1つはヘテロ原子(すなわち、O、NまたはS)であり、残余の環原子/基は、独立して、C、N、OまたはSから選択される。ヘテロアリールは、単環(単環式)の場合もあれば、縮合した、または共有結合した複数環(二環式、三環式または多環式)の場合もある。好ましくは、「ヘテロアリール」は、環サイズが具体的に言及されない限り、5~6員の環である。該環は、N、O及びSから選択される1~4個のさらなるヘテロ原子を含んでよく、該N原子は、任意に、4級化される。該ヘテロアリール部分の任意の適切な環位置が、該定義された化学構造に共有結合され得る。ヘテロアリールの例としては、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、シンノリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1H-テトラゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、ピリジル(ピリジニル)、3-フルオロピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアジニル、フタラジニル、チアントレン、ジベンゾフラニル、ジベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、9H-カルバゾリル、α-カルボリニル、インドリジニル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピロロピリジル、プリニル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾトリアジアゾリル、カルバゾリル、ジベンゾチエニル、アクリジニル等が挙げられるがこれらに限定されない。ヘテロアリール基は、任意に、さらに置換され得る。
【0094】
本明細書で使用される、「縮合」とは、本明細書で後に記載される任意のヘテロアリール環またはヘテロシクロアルキル環と、本発明の化合物の既存の環構造の隣接原子との縮合を指し、該ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は、上記で定義される通りである。実施形態では、かかる縮合は、該ヘテロアリール環またはヘテロ環式環と、式(I)の化合物のイソオキサゾール環との間に存在する。例えば、縮合ヘテロアリールとは、式(I)の化合物のイソキサゾール環と縮合した任意のヘテロアリール環を指す。
【0095】
単独でまたは別の用語(複数可)と併せて本明細書で使用される、「ヘテロアラルキル基」とは、水素原子がヘテロアリール基で置き換えられたアルキル基を指し、ここで、アルキル基及びヘテロアリール基は、すでに定義されている通りである。該ヘテロアラルキル基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0096】
本明細書で使用される、「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0097】
単独で、または他の用語(複数可)と組み合わせて本明細書で使用される、「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」という用語は、-OHを意味する。
【0098】
本明細書で使用される、「オキソ」という用語は、=O基を指す。
【0099】
本明細書で使用される、「アルコキシ」という用語は、-O-アルキル基を指し、該アルキル基は、上記で定義される通りである。例示的なC1-C10アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシ及びt-ブトキシが挙げられるがこれらに限定されない。アルコキシ基は、任意に、1つ以上の適切な基で置換され得る。
【0100】
本明細書で使用される、「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハロゲン原子で置換されたアルコキシ基(すなわち、ハロC1-C8アルコキシ)を指す。「ハロアルコキシ」の例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ペンタクロロエトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、トリクロロメトキシ及び1-ブロモエトキシが挙げられるがこれらに限定されない。
【0101】
本明細書で使用される、「ヘテロ原子」という用語は、硫黄原子、窒素原子または酸素原子を意味する。
【0102】
本明細書で使用される、「化合物(複数可)」という用語は、本発明に開示される化合物(複数可)を含む。
【0103】
本明細書で使用される、「含む(comprise)」または「含む(comprising)」という用語は、概して、含む(include)、すなわち、1つ以上の特徴または成分の存在を許容するという意味で使用される。
【0104】
本明細書で使用される、「または」という用語は、別途記述されない限り、「及び/または」を意味する。
【0105】
本明細書で使用される、「含む(including)」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(included)」等の他の形態は、限定的でない。
【0106】
本明細書で使用される、「組成物」という用語は、特定量の特定成分を含む生成物、及び特定量の特定成分の組み合わせから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。「医薬的に許容される」とは、当該担体、希釈剤または賦形剤が、製剤の他の成分と適合し、そのレシピエントにとって有害ではないことが求められることを意味する。
【0107】
本明細書で使用される、「医薬組成物」という用語は、治療有効量の少なくとも1つの式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、及び医薬的に許容される担体を含む組成物(複数可)を指す。
【0108】
該医薬組成物(複数可)は、通常、約1重量%~99重量%、例えば、約5重量%~75重量%または約10重量%~約30重量%の式(I)もしくは(II)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を含む。該医薬組成物(複数可)に含まれる式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の量は、約1mg~約1000mgもしくは約2.5mg~約500mgもしくは約5mg~約250mg、またはより広い範囲の1mg~1000mg内に入る任意の範囲、または上記の範囲より高いもしくは低い範囲であり得る。
【0109】
本明細書で使用される、「医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」としては、ヒトまたは家畜での使用に許容されるものとして米国食品医薬品局によって承認された任意のアジュバント、担体、賦形剤、流動促進剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、色素/着色剤、風味向上剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒、界面活性剤または乳化剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0110】
本開示で使用される、「投与する」、「投与すること」、または「投与」という用語は、1つ以上の開示化合物もしくは1つ以上の開示化合物の医薬的に許容される塩または1つ以上の開示化合物を含む組成物を、対象に直接投与するか、あるいは該対象の体内で対応量の活性化合物を形成することができる該化合物もしくは該化合物の医薬的に許容される塩または組成物のアナログを該対象に直接投与することのいずれかを指す。
【0111】
本開示で使用される、「担体」という用語は、担体、賦形剤及び希釈剤を包含し、医薬品を、対象の体内の1つの器官または部分から、体内の別の器官または部分に運搬または輸送することに関与する材料、組成物または媒体、例えば、液体もしくは固体フィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒または封入材料を意味する。
【0112】
本明細書で使用される、「治療する」、「治療すること」及び「治療」という用語は、疾患及び/またはその付随する症状を軽減または排除する方法を指す。
【0113】
本明細書で使用される、「予防する」、「予防すること」及び「予防」という用語は、疾患の発症及び/またはその付随する症状を予防するか、または対象が疾患に罹患することを阻止する方法を指す。本明細書で使用される、「予防」、「予防すること」及び「予防」としては、疾患の発症及び/またはその付随する症状を遅延させること、ならびに対象の疾患獲得リスクを低下させることも挙げられる。
【0114】
本明細書で使用される、「患者」と同義であり得る「対象」という用語は、動物、好ましくは哺乳類、及び最も好ましくはヒトを指す。
【0115】
本明細書で使用される、「治療有効量」という用語は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体、あるいは式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体を含む組成物の、疾患または障害に罹患した特定の患者における所望の治療反応を生じさせるのに有効な量を、特に、がんと関連する疾患または障害におけるそれらの使用において指す。特に、「治療有効量」という用語は、対象において、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体もしくは互変異性体の、それが投与された際に、治療される疾患または障害に有益な改変を誘導する量、あるいは、治療される疾患または障害の1つ以上の症状の発症を予防するのに、またはある程度軽減するのに十分な量を含む。該化合物の治療量に関しては、対象の治療に使用される該化合物の量は、健全な医学的判断も同様に考慮され得る範囲内で、過度のまたは重度の副作用を回避するのに十分低い。該化合物または組成物の治療有効量は、治療される特定の状態、治療または予防される状態の重症度、治療の期間、併用療法の性質、最終使用者の年齢及び健康状態、使用される特定の化合物または組成物、利用される特定の医薬的に許容される担体によって変化する。
【0116】
「医薬的に許容される」という用語は、一般に安全、非毒性でありかつ生物学的にも他の点でも有害ではない医薬組成物を調製するのに有用であること、及び獣医学的使用及びヒトの医薬的使用に許容されるものを含むことを意味する。
【0117】
「医薬的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物と、適切な酸または塩基との反応により得られる生成物を指す。場合によっては、薬剤は、医薬的に許容される塩の形態で存在し得る。ある場合には、医薬的に許容される塩は、Berge et al,J.Pharm.Sci,1977に記載される塩であり得る。ある場合には、医薬品に許容される塩としては、鉱物、有機酸または無機塩基から得られる塩を挙げることができる。医薬的に許容される塩の例としては、アミン等の塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩または有機塩等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の医薬的に許容される塩としては、例えば、非毒性の無機または有機酸から形成される、親化合物の非毒性塩が挙げられる。
【0118】
本発明の医薬的に許容される塩は、塩基性または酸性の部分から、従来の化学的方法によって調製され得る。一般に、かかる塩は、遊離酸形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、もしくはK水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩等)と反応させることによって、または遊離塩基形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な酸と反応させることによって調製され得る。かかる反応は、通常、水中もしくは有機溶媒中、またはそれら2つの混合物中で行われる。一般に、実行可能な場合には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体の使用が望ましい。さらなる適切な塩のリストは、例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”,20th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,(1985)、及び“Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use”by Stahl and Wermuth(Wiley-VCH,Weinheim,Germany,2002)に見出すことができる。
【0119】
本発明はまた、薬剤投与用として本開示の化合物を製剤化するための方法も提供する。
【0120】
好ましい実施形態では、かかる医薬組成物が、ヒトへの投与用、特に、侵襲的な投与経路(すなわち、上皮バリアを介した輸送または拡散を回避する経路、例えば、注射または移植)用である場合、該水溶液は、パイロジェンフリーであるか、実質的にパイロジェンフリーである。該賦形剤は、例えば、薬剤の遅延放出をもたらすか、または1つ以上の細胞、組織、もしくは器官を選択的に標的とするように選択され得る。該医薬組成物は、投与単位形態、例えば、錠剤、カプセル(スプリンクルカプセル及びゼラチンカプセルを含む)、顆粒、再構成用の凍結乾燥物、粉末、溶液、シロップ、坐剤、注射剤等に含まれ得る。該組成物は、経皮送達系、例えば、皮膚パッチにも含まれ得る。該組成物は、局所投与に適した溶液、例えば、点眼剤にも含まれ得る。
【0121】
「立体異性体」という用語は、式(I)の化合物の任意のエナンチオマー、ジアステレオ異性体または幾何異性体を指し、それらはキラルであるか、またはそれらは1つ以上の二重結合を有する。式(I)及び関連する式の化合物がキラルである場合、それらは、ラセミ体で存在する場合もあれば、光学的に活性な形態で存在する場合もある。本発明は、ジアステレオマー、エナンチオマー及びエピマー形態、ならびにd-異性体及びl-異性体、ならびにそれらの混合物を含めた、すべての立体化学的異性体を包含することを理解されたい。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含む市販の出発物質から合成によって調製される場合もあれば、エナンチオマー生成物の混合物を調製した後の分離、例えば、ジアステレオマーの混合物に変換した後の分離または再結晶化、クロマトグラフィー技術、キラルクロマトグラフィーカラムでのエナンチオマーの直接的分離、または当技術分野で既知の任意の他の適切な方法によって調製される場合もある。特定の立体化学の出発化合物は、商業的に入手可能であるか、または当技術分野で既知の技術によって作製及び分割することができる。さらに、本発明の化合物は、幾何異性体として存在する場合もある。本開示は、すべてのcis、trans、syn、anti、entgegen(E)及びzusammen(Z)異性体、ならびにそれらの適切な混合物を含む。
【0122】
「エナンチオマー(enantiomers)」という用語は、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対を指す。「エナンチオマー(enantiomer)」という用語は、この立体異性体の対の単一のメンバーを指す。「ラセミ」という用語は、1:1の混合物のエナンチオマーの対を指す。本開示は、本明細書に記載の化合物のエナンチオマーを含む。本明細書に開示する各化合物は、該化合物の一般構造に従うすべてのエナンチオマーを含む。該化合物は、ラセミ体の場合もあれば、エナンチオマー的に純粋な形態の場合も、立体化学に関して任意の他の形態である場合もある。いくつかの実施形態では、該化合物は、(R,S)-エナンチオマーである。
【0123】
「ジアステレオマー(diastereomers)」という用語は、単結合周りの回転によって重ね合わせることができない立体異性体の組み合わせを指す。例えば、cis及びtrans二重結合、二環式環系でのエンド及びエキソ置換、ならびに異なる相対的配置を有する複数の不斉中心を含む化合物は、ジアステレオマー(diastereomers)であると考えられる。「ジアステレオマー(diastereomer)」という用語は、この化合物の組み合わせの任意のメンバーを指す。提示されているいくつかの実施例では、その合成経路により、単一のジアステレオマーが生成する場合もあれば、ジアステレオマーの混合物が生成する場合もある。本開示は、本明細書に記載の化合物のジアステレオマー(diastereomers)を含む。
【0124】
「互変異性体」という用語は、水素原子が、当該分子の他の部分に置き換えられ、該分子の原子間の化学結合が結果として転位する化合物を指す。本発明の化合物、その遊離型及び塩は、複数の互変異性型で存在し得る。すべての互変異性型が、それらが存在し得る限り、本発明に含まれることが理解される。
【0125】
本発明の化合物は、単剤として使用される場合もあれば、該化合物が様々な薬理学的に許容される賦形剤と混合された医薬組成物として使用される場合もある。
【0126】
本発明の化合物は、通常、医薬組成物の形態で投与される。かかる組成物は、製薬技術の分野で周知の手順を用いて調製すること及び少なくとも1つの本発明の化合物を含むことができる。本特許出願の医薬組成物は、1つ以上の本明細書に記載の化合物及び1つ以上の医薬的に許容される賦形剤を含む。通常、医薬的に許容される賦形剤は、規制当局によって承認されているか、または一般に、ヒトまたは動物での使用に対して安全であると見なされている。医薬的に許容され得る賦形剤としては、担体、希釈剤、流動促進剤及び滑沢剤、保存剤、緩衝剤、キレート剤、ポリマー、ゲル化剤、粘性化剤ならびに溶媒が挙げられるがこれらに限定されない。
【0127】
該医薬組成物は、経口、非経口または吸入経路によって投与され得る。該非経口投与の例としては、注射、経皮、経粘膜、経鼻及び経肺投与による投与が挙げられる。
【0128】
適切な担体の例としては、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ピーナッツ油、オリーブ油、ゼラチン、ラクトース、白土、スクロース、デキストリン、炭酸マグネシウム、糖、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸、セルロースの低級アルキルエーテル、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリド及びジグリセリド、脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0129】
該医薬組成物はまた、1つ以上の医薬的に許容される補助剤、湿潤剤、懸濁化剤、保存剤、緩衝剤、甘味剤、香味剤、着色剤または前述のものの任意の組み合わせも含み得る。
【0130】
該医薬組成物は、従来の形態、例えば、錠剤、カプセル、溶液、懸濁液、注射剤または局所適用のための製品であってよい。さらに、本発明の医薬組成物は、所望の放出プロファイルを与えるように製剤化され得る。
【0131】
純粋な形態または適切な医薬組成物での本発明の化合物の投与は、許容される医薬組成物の投与経路のいずれかを用いて行うことができる。該投与経路は、本特許出願の活性化合物を適切なまたは所望の作用部位に効果的に輸送する任意の経路であり得る。適切な投与経路としては、経口、経鼻、頬側、皮膚、皮内、経皮、非経口、直腸、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内または局所が挙げられるがこれらに限定されない。
【0132】
固体経口製剤としては、錠剤、カプセル(軟または硬ゼラチン)、糖衣剤(粉末またはペレット形態の活性成分を含む)、トローチ及びロゼンジが挙げられるがこれらに限定されない。
【0133】
液体製剤としては、シロップ、エマルション及び滅菌注射液、例えば、懸濁液または溶液が挙げられるがこれらに限定されない。
【0134】
該化合物の局所剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、粉末、溶液、点眼剤または点耳剤、含浸ドレッシングが挙げられ、適切な従来の添加剤、例えば、保存剤、薬物の浸透を補助するための溶剤を含み得る。
【0135】
本特許出願の医薬組成物は、文献で既知の従来の技術によって調製され得る。
【0136】
本明細書に記載の疾患または障害の治療に使用するための化合物の適切な用量は、関連技術の当業者によって決定され得る。治療用量は、一般に、動物実験から得られる予備的証拠に基づいて、ヒトにおける用量決定試験を介して特定される。用量は、望ましくない副作用を引き起こすことなく、望ましい治療効果をもたらすのに十分でなければならない。投与方法、剤形及び適切な医薬賦形剤はまた、当業者によって十分に使用され、かつ調整され得る。すべての変更及び修正は、本特許出願の範囲内であると想定される。
【0137】
実験
一般的スキーム-I
一般式(IB”)の化合物を合成するための一般的なアプローチを、以下のスキームに示す。
【0138】
【化19】
式(M2)の化合物は、式(M1)の化合物から、適切な溶媒中、適切な温度でアルコキシドと反応させることによって得ることができる。式(M2)の化合物を、適切な温度の適切な溶媒中、塩基の存在下で加水分解することで、式(M3)の化合物を得ることができ、これを、アンモニアとさらに反応させ、式(M4)の化合物を得ることができる。式(M4)の化合物が脱水を受けることにより、式(M5)の化合物が得られ、これを、適切な溶媒中、適切なアミドと環化反応させることで、式(M6)の化合物が得られる。式(M6)の化合物が、適切な試薬によるカップリング反応を受けることにより、式IB”の化合物を得ることができる。
【0139】
一般的スキーム-II
一般式(IB”)の化合物を合成するための一般的なアプローチを、以下のスキームに示す。
【0140】
【化20】
式(N2)の化合物は、式(N1)の対応するアルデヒドから、適切な溶媒中でヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させることによって得ることができる。式(N2)の化合物は、適切な試薬及び溶媒の存在下で脱水を受けることにより、式(N3)の化合物を得ることができ、これを、適切な試薬及び溶媒の存在下で環化させることで、式(N4)の化合物を得ることができる。適切な試薬とのカップリング反応により、式(N4)の化合物が、式IB”の化合物をもたらすことができる。別の方法として、式(N3)の化合物が、適切な試薬の存在下でカップリング反応を受けることにより、式(N4’)の化合物を得ることができ、これを、適切な溶媒中、適切な試薬により環化させることで、式(IB”)の化合物を得ることができる。
【0141】
一般的スキーム-III
一般式(IC”)の化合物を合成するための一般的なアプローチを、以下のスキームに示す。
【0142】
【化21】
式(L2)の化合物は、式(L1)の化合物から、適切な溶媒中、適切な温度でアルキル化反応を行うことによって得ることができる。式(L2)の化合物が、適切な試薬の存在下、適切な溶媒系で環化を受けることにより、式(L3)の化合物を得ることができる。式(L3)の化合物を適切な溶媒中、適切な試薬で酸化することにより、式(L4)の化合物が生じ、これをさらに適切な溶媒及び試薬中で環化させることにより、式(IC”)の化合物が得られる。
【0143】
一般的スキーム-IV
一般式(IA”)の化合物を合成するための一般的なアプローチを、以下のスキームに示す。
【0144】
【化22】
式(IB”)の化合物を、適切な溶媒中、対応するスルホニルハライドと反応させ、式(IA”)の化合物を得ることができる。
【0145】
一般的スキーム-V
一般式(IA’’’)の化合物を合成するための一般的なアプローチを、以下のスキームに示す。
【0146】
【化23】
式(IC”)の化合物を、適切な溶媒中、対応するスルホニルハライドと反応させ、式(IA’’’)の化合物を得ることができる。
【0147】
実験で使用される略語は、それぞれ、以下の定義を指す:
DMSO-ジメチルスルホキシド、DIPEA-N,N-ジイソプロピルエチルアミン、THF-テトラヒドロフラン、DCM-ジクロロメタン、1,2-DCE-1,2-ジクロロエタン、K2CO3-炭酸カリウム、LiHMDS-リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、TEA-トリエチルアミン、AgF2-銀ジフルオリド、NaH-水素化ナトリウム、K3PO4-炭酸カリウム、DMAP-ジメチルアミノピリジン、POCl3-オキシ塩化リン(V)、Pd(DPPF)Cl2.DCM-[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)ジクロロメタン錯体、Pd(Amphos)Cl2-ビス(ジ-tert-ブチル(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)、NH4Cl-塩化アンモニウム、Na2SO4-硫酸ナトリウム、br-ブロード、℃-セルシウス度、DMSO-d6-重水素化ジメチルスルホキシド、DMF-N,N-ジメチルホルムアミド、g-グラム、h-時間、1H-プロトン、LC-MS-液体クロマトグラフィー-質量分析、MHz-メガヘルツ(周波数)、MS-質量分析、M-モーラー、mmol-ミリモル、mL-ミリリットル、min-分、mol-モル、M+/-分子イオン、m/z-質量/電荷数、NMR-核磁気共鳴、ppm-百万分率、rt/RT-室温、RM-反応混合物、s-一重線、d-二重線、t-三重線、q-四重線、m-多重腺、dd-二重線の二重線、TLC-薄層クロマトグラフィー、%-パーセンテージ及びδ-デルタ。
【0148】
中間体の合成
中間体-1:6-クロロ-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン
【化24】
2,6-ジクロロ-4-メトキシニコチノニトリル(1g、4.92mmol)(WO2018106459に説明される通りに調製したもの)のアセトニトリル(16mL)及び水(4mL)溶液に、N-ヒドロキシアセトアミド(0.37g、4.92mmol)に続いてK
2CO
3(0.681g、4.92mmol)を加えた。その反応混合物を30℃で3時間攪拌し、次いでこの反応混合物をDCMで抽出した。その有機部分を分離し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して、粗製塊を得た。この粗製物をさらにcombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、75%の酢酸エチルのヘキサン溶液を溶離液として使用して精製した(0.169g、17.1%)。LC-MS: 200.0 [M+H]
+
【0149】
中間体-2:6-フェニルイソオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-3-アミン
【化25】
ステップ-1:6-ブロモイソオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-3-アミンの合成
5-ブロモ-2-フルオロニコチノニトリル(2g、9.95mmol)、アセトヒドロキサム酸(0.822g、10.9mmol)及びK
2CO
3(2.7g、19.9mmol)の水(10mL)溶液をRTで12時間攪拌した。この反応混合物を酢酸エチルに抽出し、次いでその有機部分をNa
2SO
4で乾燥し、濃縮して、粗製固体を得た。この粗製物をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、溶離液として0~20%の酢酸エチルのヘキサン溶液で溶出することにより精製し、これによって表題化合物を得た(1.3g、61.05%)LC-MS: 215.9 [M+2H]
+
【0150】
ステップ-2:6-フェニルイソオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-3-アミンの合成
6-ブロモイソオキサゾロ[4,5-b]ピリジン-3-アミン(0.4g、1.86mmol)の1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)溶液に、フェニルボロン酸(0.34g、2.8mmol)及びK2CO3(0.77g、5.6mmol)を加えた。この反応混合物を窒素ガスで15分間パージし、次いでPd(Amphos)Cl2を加え、その反応混合物を100℃に12時間加熱した。この反応混合物をCelite(登録商標)を通して濾過し、有機部分を水洗し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗製化合物を得た。この粗製物をさらにCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにて、40%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製した(0.33g、83.59%) LC-MS: 212.0 [M+H]+
【0151】
中間体-3:6-フェニルイソオキサゾロ[4,5-c]ピリジン-3-アミン
【化26】
中間体-3を、中間体-2の合成に記載の手順に従い、カップリング方法、反応剤、試薬量及び溶媒を適切に変更して調製した。LC-MS: 212.2 [M+H]
+
【0152】
中間体-4:4-クロロ-2-メトキシ-6-フェニルピリジン
【化27】
ステップ-1:4-クロロ-2-フルオロ-6-フェニルピリジンの合成
4-クロロ-2-フェニルピリジン(3.0g、15.8mmol)のアセトニトリル(30mL)溶液に、AgF
2(6.92g、47.4mmol)を加え、密閉チューブに取った。その反応混合物を70℃で12時間撹拌した。次に、この反応混合物をCelite(登録商標)床に通した。その反応混合物を酢酸エチルで洗浄し、濃縮して残渣を得た。その残渣をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、5%の酢酸エチルのヘキサン溶液を溶媒として使用して精製した。これによって表題化合物を得た(1.1g、33.49%)。1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ: 7.97-7.94(m, 2H), 7.61(s, 1H), 7.48-7.43(m, 3H), 7.24-6.87(m, 1H).
【0153】
ステップ-2:4-クロロ-2-メトキシ-6-フェニルピリジンの合成
4-クロロ-2-フルオロ-6-フェニルピリジン(1g、4.81mmol)の攪拌メタノール(10mL)溶液を、ナトリウムメトキシド(0.78g、51.02mmol)に0℃で加えた。この反応混合物をRTまで徐々に加温し、16時間攪拌した。次いでその反応混合物を濃縮し、粗製塊を得た。この粗製物を、Combiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、溶離液としてヘキサンを使用して精製し、純粋な表題化合物を得た(0.9g、85.07%)。LC-MS: 220.0 [M+H]+
【0154】
中間体-5:4-クロロ-1-メチル-2-オキソ-6-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルバルデヒド
【化28】
ステップ-1:(Z)-N,N-ジメチル-3-(N-メチルアセトアミド)-3-フェニルアクリルアミドの合成
(Z)-3-アセトアミド-N,N-ジメチル-3-フェニルアクリルアミド(4.5g、19.3mmol)(ACS Catalysis,9(9),8128-8135;2019に説明されている通りに調製したもの)のDMF溶液に、NaH(1.39g、58.1mmol)を0℃で加え、15分間攪拌した。次いで、ヨウ化メチル(5.5g、38.7mmol)をその反応混合物に加えた。この反応混合物を徐々にRTまで加温し、12時間攪拌した。その反応混合物を酢酸エチルで希釈し、有機部分を水及びブライン溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して粗製化合物を得た。この粗製物をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、0~4%のメタノールのDCM溶液で溶出して精製した。これによって純粋な表題化合物を得た(2g、41.9%) LC-MS: 247.1 [M+H]
+
【0155】
ステップ-2:4-ヒドロキシ-1-メチル-6-フェニルピリジン-2(1H)-オンの合成
(Z)-N,N-ジメチル-3-(N-メチルアセトアミド)-3-フェニルアクリルアミド(2.5g、1.15mmol)の無水THF(25mL)溶液に、LiHMDS(30.4mL、1M溶液)を0℃で滴下した。この反応混合物を次いでRTで加温し、55℃に3時間加熱し、飽和NH4Cl溶液でクエンチした。次に、この混合物を酢酸エチルで抽出し、濃縮した。その粗製物をCombi flash(登録商標)クロマトグラフィーにより、0~5%のメタノールのDCM溶液を使用して製した。これによって表題化合物を得た(0.7g、34.2%)。LC-MS: 202.0 [M+H]+
【0156】
ステップ-3:4-クロロ-1-メチル-2-オキソ-6-フェニル-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルバルデヒドの合成
4-ヒドロキシ-1-メチル-6-フェニルピリジン-2(1H)-オン(1g、4.9mmol)のDMF(10mL)溶液に、POCl3(1.37g、8.9mmol)を滴下した。その反応混合物を60℃で3時間撹拌した。この反応混合物を次いでRTまで冷却し、氷冷水でクエンチした。次にその反応混合物を酢酸エチルで抽出した。その有機部分を水及びブライン溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮した。その残渣を、Combiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、溶離液として0~5%のメタノールのDCM溶液を使用して精製し、純粋な表題化合物を得た(1g、81.2%)。LC-MS: 248.1 [M+H]+
【0157】
中間体-6:4-メトキシ-6-フェニルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン
【化29】
ステップ-1:2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルピリジンの合成
2,6-ジクロロ-4-メトキシピリジン(5g、28.08mmol)の1,4-ジオキサン(75mL)及び水(19mL)溶液に、フェニルボロン酸(3.42g、19.66mmol)及びK
3PO
4(17.8g、84.2mmol)を加えた。この反応混合物を窒素でパージし、次いでPd(DPPF)Cl
2.DCM(2.2g、2.8mmol)をその反応混合物に加えた。得られた反応混合物を80℃で6時間加熱した。次いで、その反応混合物をRTまで冷却し、Celite(登録商標)を通して濾過した後、酢酸エチルで洗浄した。その濾液を水及びブライン溶液で洗浄した。その有機部分をNa
2SO
4で乾燥し、濃縮して、粗製化合物を得た。この粗製物を、さらにCombiflash(登録商標)カラムクロマトグラフィーを使用し、溶離液として0~20%のDCMのヘキサン溶液を使用して精製し、純粋な表題化合物を得た(3g、48.6%)。LC-MS: 220.1[M+H]
+
【0158】
ステップ-2:2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルニコチンアルデヒドの合成
2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルピリジン(4.5g、20.4mmol)の乾燥THF(80mL)溶液を-78℃に冷却した。これに、n-ブチルリチウム(30.72mmol、1.5当量)を10分かけて滴下した後、DMF(2.9g、40.9mmol)を含むTHF(10mL)を5分かけて加えた。得られた混合物を-78℃で2時間攪拌し、飽和NH4Cl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。その粗製物をCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーを使用し、10~15%の酢酸エチルのヘキサン溶液で溶出して精製した。これによって表題化合物を得た(3.0g、59.13%)。LC-MS: 248.1[M+H]+
【0159】
ステップ-3:(E)-2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルニコチンアルデヒドオキシムの合成
2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルニコチンアルデヒド(3.0g、12.12mmol)のTHF(60mL)溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.926g、13.2mmol)及びDIPEA(2.3g、18.1mmol)を0℃で加えた。その反応混合物をRTまで徐々に加温し、12時間撹拌した。この反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水洗し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して表題化合物を得た(3g、94.29%)。LC-MS: 263.1 [M+H]+
【0160】
ステップ-4:2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルニコチノニトリルの合成
(E)-2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルニコチンアルデヒドオキシム(3.0g、11.4mmol)及びトリメチルアミン(4.6g、45.6mmol)の1,2-DCE(30mL)溶液に、トリフルオロ酢酸無水物(4.7g、22.8mmol)を0℃で滴下した。添加完了後、この反応混合物をRTで2時間撹拌した。次いでその反応混合物を氷冷水に加え、DCMで抽出した。その有機部分をNa2SO4で乾燥し、濃縮して、表題化合物を得た(2.7g、96.63%)。LC-MS: 245.1[M+H]+
【0161】
ステップ-5:4-メトキシ-6-フェニルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
2-クロロ-4-メトキシ-6-フェニルニコチノニトリル(2.7g、11.03mmol)、N-ヒドロキシアセトアミド(2.76g、36.78mmol)のアセトニトリル(31mL)及び水(5mL)の脱気溶液に、K2CO3(10.1g、73.5mmol)を加えた。その反応混合物を70℃で12時間撹拌した。次にこの反応混合物を酢酸エチルで希釈した。その有機部分を水及びブライン溶液で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濃縮して粗製化合物を得た。この粗製物をさらにCombiflash(登録商標)クロマトグラフィーにより、30%の酢酸エチルのヘキサン溶液を溶離液として使用して精製した。これによって表題化合物を得た(1.2g、45.08%)。LC-MS: 242.1[M+H]+
【0162】
以下の中間体(中間体-7~中間体-9)を、中間体-6の合成に記載の手順に従い、カップリング方法、反応剤、試薬量及び溶媒を適切に変更して調製した。
【表4】
【0163】
中間体-10:4-メトキシ-6-(ピロリジン-1-イル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン
【化30】
ステップ-1:4-メトキシ-6-(ピロリジン-1-イル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
6-クロロ-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン(中間体1、0.05g、0.251mmol)の乾燥THF(1mL)溶液に、ピロリジン(0.081g、0.75mmol)を加え、50℃で12時間加熱した。次いで溶媒を蒸発させて粗製物を得た。この粗製物を、分取TLCにより、溶離液として5%のメタノールのDCM溶液を使用して精製し、これによって表題化合物を得た(0.04g、68.03%)。LC-MS: 235.1 [M+H]
+
【0164】
以下の中間体(中間体-11~中間体-17)を、中間体-10の合成に記載の手順に従い、カップリング方法、反応剤、試薬量及び溶媒を適切に変更して調製した。
【表5-1】
【表5-2】
【0165】
中間体-22:4-メトキシ-6-(メトキシフェニル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン
【化31】
6-クロロ-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン(0.1g、501mmol)及び2-(2-メトキシフェニル)-4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン(141mg、0.601mmol)の1,4-ジオキサン(4mL)及び水(1mL)溶液に、K
2CO
3(208mg、1.5mmol)を加え、窒素でパージした後、Pd(Amphos)Cl
2(0.035g、0.050mmol)を加えた。その反応混合物を100℃で12時間撹拌した。次に、この反応混合物を、10%のメタノールを含むDCMで希釈し、Na
2SO
4で乾燥し、濃縮して粗製物を得た。この粗製物を、5%のメタノールを含むDCMを使用してフラッシュカラムに通し、表題化合物を得た(100mg)。LC-MS: 272.2 [M+H]
+
【0166】
中間体-23:4-メトキシ-6-(チオフェン-3-イル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン
【化32】
ステップ-1:tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)(6-クロロ-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)カルバメートの合成
中間体-1(0.500g、2.50mmol)のDCM(5.0mL)溶液に、TEA(0.760g、7.51mmol)及びDMAP(0.031g、0.25mmol)を0℃で加えた後、ジ-tert-ブチルデカーボネート(decarbonate)(2.732g、12.52mmol)を加えた。得られた反応混合物をRTで16時間撹拌した。その反応混合物を水で希釈し、DCMを使用して抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として20~40%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(0.500g、49.94%)。LC-MS: 400.2 [M+H]
+
【0167】
ステップ-2:tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシ-6-(チオフェン-3-イル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)カルバメートの合成
tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)(6-クロロ-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)カルバメート(0.200g、0.5mmol)、K3PO4(0.318g、1.5mmol)、及びチオフェン-3-イルボロン酸(0.128g、1mmol)の1,4-ジオキサン(2.5mL)及び水(0.5mL)の脱気溶液に、Pd(amphos)Cl2(0.004g、0.005mmol)を加え、90℃で2時間攪拌した。反応の完了後、その反応混合物を10%MeOH-DCMで希釈し、Celiteで濾過した。その濾液を真空下濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として30~70%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(0.12g、53.63%)。LC-MS: 345.9 [M-H]-.
【0168】
ステップ-3:4-メトキシ-6-(チオフェン-3-イル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシ-6-(チオフェン-3-イル)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)カルバメート(0.120g、0.268mmol)のDCM(3.0mL)溶液に、4MのHClのジオキサン溶液(0.67mL、2.68mmol)を加え、その反応混合物をRTで4時間攪拌した。この反応混合物を濃縮し、NaHCO3水溶液を使用して塩基性にし、DCM/MeOHで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗製化合物を得た。この粗製物をジエチルエーテルで洗浄し、濾過して表題化合物を得た。LC-MS: 248.1 [M+H]+
【0169】
中間体-24:6-(シクロペンタ-1-エン-1-イル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
【化33】
以下の中間体-24を、中間体-23の合成に記載の手順に従い、カップリング方法、反応剤、試薬量及び溶媒を適切に変更して調製した。LC-MS: 232.1 [M+H]
+
【0170】
中間体-25:6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
【化34】
ステップ-1:エチル2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチネートの合成
エチル2,4-ジクロロ-6-メチルニコチネート(15g、64.08mmol)のメタノール(150.0mL)溶液に、ナトリウムメタノラート(3.80g、70.48mmol)を加え、50℃で12時間撹拌した。その反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥し、続いて濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として0~70%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(11.1g、74.74%)。LC-MS: 230.1 [M+H]
+
【0171】
ステップ-2:2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチン酸の合成
エチル2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチネート(11.0g、47.9mmol)のTHF(55mL)、MeOH(33mL)及び水(22mL)溶液に、LiOH.H2O(3.01g、71.84mmol)を加え、60℃で16時間還流させた。その反応混合物をRTまで冷却し、Amberlyst-15で酸性化し、celiteを通して濾過した。その濾液を濃縮し、表題化合物を白色固体として得た(9.5g、98.38%)。LC-MS: 202.20 [M+H]+.
【0172】
ステップ-3:2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチンアミドの合成
2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチン酸(9.5g、47.12mmol)のTHF(90mL)溶液に、チオニルジクロリド(19.95g、167.75mmol)を0℃で加えた。次いで、その反応混合物を80℃で2時間還流させた。その反応混合物をRTまで冷却し、rotavaporで濃縮した。その粗製反応混合物をDCMに溶解し、0℃で冷却した。アンモニア水(587.18mmol)をこの冷却反応混合物に滴下し、15分間攪拌した。その反応混合物を濾過し、得られた固体を水で2回洗浄し、真空下乾燥して、表題化合物を得た(5.0g、52.89%)。LC-MS: 201.1 [M+H]+.
【0173】
ステップ-4:2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチノニトリルの合成
2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチンアミド(4.8g、23.92mmol)のDCE(20mL)溶液に、チオニルジクロリド(19.18g、161.26mmol)を0℃で加え、85℃で12時間還流させた。反応の完了後、その反応混合物を濃縮した。その残渣をDCMに溶解し、重炭酸ナトリウム及びブラインで洗浄した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。その粗製物をn-ペンタン中で再結晶させ、純粋な化合物を得た(3.6g、82.40%) LC-MS: 180.1 [M+H]+.
【0174】
ステップ-5:4-メトキシ-6-メチルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
2-クロロ-4-メトキシ-6-メチルニコチノニトリル(3.6g、19.71mmol)のアセトニトリル(5mL)及び水(20mL)溶液に、N-ヒドロキシアセトアミド(1.48g、19.71mmol)及び炭酸カリウム(5.44g、39.42mmol)を加えた。その反応混合物を70℃で12時間還流させた。次いでその反応混合物を濃縮した後、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として0~70%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(3.3g、93.42%)。LC-MS: 180.1 [M+H]+
【0175】
ステップ-6:tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシ-6-メチルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)カルバメートの合成
4-メトキシ-6-メチルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン(3.3g、18.41mmol)のDCM(66.0mL)溶液に、TEA(2.26g、18.14mmol)を0℃で添加した後、ジ-tert-ブチルデカーボネート(decarbonate)(10.04g、46.04mmol)を加え、RTで16時間撹拌した。その反応混合物を水で希釈し、DCMを使用して抽出した。合わせた有機層を固体硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として20~40%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(4.5g、64.40%)。LC-MS: 380.1 [M+H]+
【0176】
ステップ-7:tert-ブチル(6-(ブロモメチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)(tert-ブトキシカルボニル)カルバメートの合成
tert-ブチル(tert-ブトキシカルボニル)(4-メトキシ-6-メチルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)カルバメート(4.5g、11.86mmol)のCCl4(100mL)溶液に、2-(2-シアノプロパン-2-イルジアゼニル)-2-メチルプロパンニトリル(0.108g、0.650mmol)に続いてN-ブロモスクシンイミド(2.58g、14.49mmol)をRTで加えた。得られた反応混合物を80℃で2時間加熱した。反応の完了後、その反応混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として0~70%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(2.2g、40.47%)。LC-MS: 458.0 [M+H]+
【0177】
ステップ-8:tert-ブチル(6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)(tert-ブトキシカルボニル)カルバメートの合成
tert-ブチル(6-(ブロモメチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)(tert-ブトキシカルボニル)カルバメート(1.0g、2.18mmol)及びピラゾール(0.446g6.54mmol)のTHF(20mL)溶液に、Cs2CO3(0.711g、2.18mmol)を室温で加えた。次いでその反応混合物をRTで2時間攪拌した。その反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、次いで濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として0~70%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(0.9g、92.59%)。LC-MS: 446.30 [M+H]+
【0178】
ステップ-9:6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミンの合成
tert-ブチル(6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)(tert-ブトキシカルボニル)カルバメート(0.90g、2.02mmol)のDCM(10.0mL)溶液に、HCl(1.5mL、6.0mmol、4Mのジオキサン溶液)を加え、その反応混合物をRTで2時間攪拌した。その反応混合物を濃縮し、得られた残渣をNaHCO3水溶液を用いて塩基性にし、DCM/MeOHで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより、溶離液として0~70%の酢酸エチルのヘキサン溶液を使用して精製し、表題化合物を得た(0.250g、50.47%)。LC-MS: 246.10 [M+H]+
【実施例】
【0179】
実施例-1:2,6-ジメトキシ-N-(4-メトキシ-6-フェニルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)ベンゼンスルホンアミド(化合物-1)
【化35】
4-メトキシ-6-フェニルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン(0.3g、1.24mmol)、2,6-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(0.353g、1.49mmol)のTHF(10mL)懸濁液に、LiHMDS(1MのTHF溶液3.7mL)を0℃で加え、同じ温度で10分間攪拌した。この反応混合物を次いでNH
4Clでクエンチし、酢酸エチルで希釈した。その有機部分を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して粗製物を得た。この粗製物を分取TLCを使用し、溶離液として2%のメタノールのDCM溶液を使用して精製した。さらに、得られた物質をジエチルエーテルで洗浄し、純粋な表題化合物を得た(0.16g、29.1%)。LC-MS: 442.2 [M+H]
+;
1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 10.37(s, 1H), 8.19-8.18 (m, 2H), 7.54-7.49 (m, 5H), 6.80-6.78 (d, 2H), 4.07 (s, 3H), 3.78 (s, 6H).
【0180】
以下の化合物(2~24)を、実施例-1の合成に記載の手順に従い、カップリング方法、反応剤、試薬量及び溶媒を適切に変更して調製した。
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
【表6-4】
【表6-5】
【表6-6】
【表6-7】
【表6-8】
【表6-9】
【0181】
実施例-2:N-(6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)-2,6-ジメトキシベンゼンスルホンアミド(化合物-35)
【化36】
6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-アミン(0.060g、0.245mmol、1当量)及び2,6-ジメトキシベンゼンスルホニルクロリド(0.174g、0.735mmol、3当量)の混合物を含む密閉チューブに、ピリジン(0.5mL)をRTで加えた。次いでその反応混合物を90℃で16時間撹拌した。反応の完了後、その反応混合物を真空下濃縮し、粗製物質を得た。その粗製物を分取TLCにより、5%メタノール及びジクロロメタンを使用して精製した。その固体をペンタン(3mL)で洗浄し、N-(6-((1H-ピラゾール-1-イル)メチル)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)-2,6-ジメトキシベンゼンスルホンアミドの純粋化合物を得た(0.006g、5.50%)。LC-MS: 446.2 [M+H]
+;1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 10.42 (brs, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.56 - 7.50 (m, 2H), 6.85 - 6.79 (m,3H), 6.35 (s, 1H), 5.53 (s, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.79 (s, 6H).
【0182】
実施例-3:2,6-ジメトキシ-N-(4-メトキシ-6-フェニルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)-N-メチルベンゼンスルホンアミド(化合物-36)の調製
【化37】
2,6-ジメトキシ-N-(4-メトキシ-6-フェニルイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)ベンゼンスルホンアミド(化合物1、0.100g、0.227mmol)のTHF(2mL)溶液に、水素化ナトリウム(60%)(0.008g、0.34mmol)を0℃で加え、その反応混合物をRTで30分間攪拌した。その反応混合物を0℃で冷却し、ヨウ化メチル(0.064g、0.450mmol)を加えた。次いでその反応混合物をRTで12時間攪拌した。この反応混合物を次いでNH
4Clでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、分取TLCにより、溶離液として2%のメタノールのDCM溶液を使用して精製し、純粋な表題化合物を得た(0.004g、3.87%)。LC-MS: 456.3 [M+H]
+;1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 8.24-8.21 (m, 2H), 7.60-7.54 (m, 5H), 6.81 (d, 2H), 4.02 (s, 3H), 3.68 (s, 6H), 3.36 (s, 3H).
【0183】
実施例-4:2,6-ジメトキシ-N-(4-メトキシ-6-(メチルアミノ)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)ベンゼンスルホンアミド(化合物-37)
【化38】
2,6-ジメトキシ-N-(4-メトキシ-6-((4-メトキシベンジル)(メチル)アミノ)イソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)ベンゼンスルホンアミド(0.06g、0.117mmol)のDCM(3mL)溶液に、4MのHClのジオキサン溶液(0.29mL、1.17mmol)を加え、RTで4時間攪拌した。反応の完了後、その反応混合物を濃縮し、ジエチルエーテルで研和し、分取TLCによって、溶離液として2%のメタノールのDCM溶液を使用して精製し、純粋な表題化合物を得た(0.005g、10.84%)。LC-MS: 395.0 [M+H]
+;1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 9.54 (brs, 1H), 7.45 (t, 1H), 7.40 (brs, 1H), 6.73 (d, 2H), 5. 85 (s, 1H), 3.77 (s, 3H), 3.73 (s, 6H), 2.76 (d, 3H).
【0184】
実施例-5:N-(6-(エチルアミノ)-4-メトキシイソオキサゾロ[5,4-b]ピリジン-3-イル)-2,6-ジメトキシベンゼンスルホンアミド(化合物-38)
表題化合物(実施例-38)を、化合物37に関する実施例-4の合成に記載の手順に従い、反応剤、試薬量及び溶媒を適切に変更して調製した。
【化39】
LC-MS: 409.2 [M+H]
+;1H-NMR (400 MHz, DMSO-D6) δ 7.29 (t, 1H), 7.12 (brs, 1H), 6.65 (d, 2H), 5.75 (s, 1H), 3.80 (s, 3H), 3.67 (s, 6H), 3.26 - 3.20 (m, 2H), 1.10 (t, 3H).
【0185】
実施例6:KAT6A生化学アッセイ
TR-FRETベースの方法を、本発明の化合物のKAT6A酵素阻害活性に関するアッセイに使用した。TR-FRETは、ホモジニアスプロキシミティアッセイであり、ユーロピウム標識抗アセチルリジン抗体が、ビオチンで標識されたアセチル化基質に結合し、次いで、これがストレプトアビジン標識APC蛍光受容体に結合する。ユーロピウムは、複合体のAPCにエネルギーを伝達し、2つの色素標識結合パートナーの相互作用が、ドナーとアクセプター色素間のエネルギー伝達及びそれに続くアクセプター色素による発光によって検出される。KAT6Aは、アセチル基をアセチルCoAからヒストン/標的タンパク質のリジンアミノ酸に移動させる。通常、5μLのヒト-KAT6A(MYSTドメイン507-778aa)を含むアッセイ緩衝液(100mM Tris HCl(pH7.8)、15mM NaCl、1mM EDTA、0.01%Tween(登録商標)-20、0.02%BSA、1mMDTT)を、8~10点滴定で1:3に連続希釈した選択された試験化合物を含む最終1%のDMSO5μLを含む384ウェルプレートに加えた。選択された本発明の化合物及び酵素を、室温で30分間インキュベートする。次に、ヒストンH4ペプチド及びアセチル-CoAをアッセイ緩衝液に含む5μLの基質混合物をそのプレートに加える。H4ペプチド及びアセチル-CoAの最終濃度は、それぞれ、200nM及び600nMである。室温で30分間反応させた後、ユーロピウム標識抗アセチル抗体及びストレプトアビジン-APCを含む5μLの検出混合物を反応ウェルに加える。プレートを、さらに室温で45分間インキュベートし、プレートリーダーにてTR-FRETモード(Ex:340nm、Em:615nm及び665nm)で読み取る。KAT6Aの阻害における試験化合物の活性は、以下の表-1に示すように内部アッセイ対照の阻害パーセントとして表される。
【表1】
【0186】
選択された本発明の化合物を、上記のアッセイ手順でスクリーニングし、Graph pad prismソフトウェアV8を使用して用量反応データをS字状曲線の適合方程式に適合させることにより、IC
50値を決定した。結果を、以下の表においてA、B及びC群にまとめる。ここで、群「A」は、0.1μM未満のIC
50値を有する化合物を包含し、「B」は、0.11μM~0.2μM(両端点を含む)のIC
50値を有する化合物を包含し、「C」は、0.2μMを超えるIC
50値を有する化合物を包含する。これらの結果を以下に示す。
【表2】
【0187】
参照による援用
本明細書で言及されるすべての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個々に示されたものとして、参照により全体として本明細書に組み込まれる。矛盾する場合は、本明細書におけるいかなる定義をも含む本出願が優先する。
【0188】
均等物
対象発明の特定の実施形態を論じてきたが、上記明細書は例証的であって制限的ではない。本発明の多くの変型は、本明細書及び下記特許請求の範囲を考慮すれば当業者に明らかとなるであろう。本発明の全範囲は、特許請求の範囲を、それらの均等物の全範囲とともに、及び本明細書をかかる変型とともに参照することによって決定されるべきである。
【国際調査報告】