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特表2024-521143体積次世代インサイチュ配列決定装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】体積次世代インサイチュ配列決定装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240521BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240521BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572226
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022030232
(87)【国際公開番号】W WO2022246181
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/191,460
(32)【優先日】2021-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ダイセロス,カール エー
(72)【発明者】
【氏名】リッチマン,イーサン ビー
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029FA02
4B029GB06
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR62
4B063QX01
(57)【要約】
体積組織試料の自動化インサイチュ配列決定のための配列決定装置が提供される。特に、複数の試料上で並列して操作することができる自動化体積インサイチュ配列決定デバイスが提供される。配列決定装置の製造及び使用の方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列決定デバイスであって、
(a)平坦照射補正による照射のための複数のレーザー線を含むスピニングディスク共焦点構成要素であって、前記複数のレーザー線が、1つ以上の波長での励起光で試料を照射するために使用される、スピニングディスク共焦点構成要素と、バンドパス放出フィルタと、ロングパス画像スプリッタと、第1の波長範囲内の蛍光放出を検出する第1のカメラと、第2の波長範囲内の蛍光放出を検出する第2のカメラとを備え、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラが、放出を同時に検出することができる、照射及び検出モジュールと、
(b)x、y、及びz軸に沿って多軸配置することができる電動ステージと、対物レンズZ駆動と、複数の対物レンズを備える対物タレットホイールとを備え、各対物レンズが、異なる倍率を提供し、1つ以上の対物レンズが、浸漬対物レンズであり、各浸漬対物レンズが、対物レンズ浸漬カラー及び光学系を有し、前記光学系が、前記対物レンズから前記照射及び検出モジュールに光を送る、顕微鏡モジュールと、
(c)自動化浸漬媒体モジュールであって、i)浸漬媒体を含む容器と、ii)前記容器及び前記顕微鏡モジュールの前記浸漬対物レンズの前記対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、前記流体ラインが、前記対物レンズ浸漬カラーに、かつ前記対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、前記浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、iii)前記流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、前記マイクロコントローラが、前記流体ラインを介する前記浸漬媒体の前記ポンプの添加及び除去を制御する、ポンプとを備え、前記自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、前記浸漬対物レンズの上部で前記対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の前記浸漬媒体を提供する、自動化浸漬媒体モジュールと、
(d)マルチウェルプレートであって、前記電動ステージを移動させて、撮像に使用される前記浸漬対物レンズの下方に前記マルチウェルプレートのウェルを配置することができる、マルチウェルプレートと、
(e)流体連結タワーであって、前記流体連結タワーが、前記電動ステージの上部にあり、前記マルチウェルプレートのウェル内に前記流体ラインを配置する、流体連結タワーと、
(f)流体管理モジュールであって、ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、前記ポンプが、前記流体ライン及び気泡検出器に接続されており、前記気泡検出器が、前記ポンプに通じる前記流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、前記流体管理モジュールが、前記流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の単方向又は双方向の移動を可能にする、流体管理モジュールと、
(g)試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、i)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、前記スライドトレイ内に配置され、前記流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、ii)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、前記廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、iii)キャッピング機構であって、前記キャッピング機構が、前記廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに前記廃棄物容器を閉じ、前記廃棄物容器が前記システムに戻されるときに前記廃棄物容器を開く、キャッピング機構とを備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールと、
(h)電気モジュールであって、i)前記自動化浸漬媒体モジュールから分配される媒体を制御する第1のファームウェアボードと、ii)前記流体管理モジュール、並びに前記試薬、緩衝液及び廃棄物モジュールを制御する第2のファームウェアボードとを備え、前記電気モジュールが、前記システムの他のモジュールへの電力を調節する、電気モジュールと、
(i)ユーザインターフェースを提供し、前記配列決定デバイスの前記モジュールを操作するようにプログラムされたプロセッサと
を備える、配列決定デバイス。
【請求項2】
前記複数のレーザー線が、少なくとも5つのレーザー線を含む、請求項1に記載の配列決定デバイス。
【請求項3】
前記バンドパス放出フィルタが、ペンタバンドパス放出フィルタである、請求項2に記載の配列決定デバイス。
【請求項4】
前記電動ステージが、ピエゾz軸を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項5】
前記浸漬媒体が、水である、請求項1~4のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項6】
前記浸漬媒体が、濾過され、気泡を含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項7】
各対物レンズ上にOリング及び収縮包装コーティングを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項8】
前記流体ライン内の圧力をモニタリングする圧力モニタを更に備え、流体ライン内の圧力の増加が、前記流体ラインの潜在的な閉塞を検出するために使用され得る、請求項1~7のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項9】
複数の発光ダイオード(LED)を更に備え、各LEDが、前記システムについての状態表示を提供するために光を放出することができる、請求項1~8のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項10】
情報を表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示構成要素を更に備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項11】
前記プロセッサが、
(a)前記マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、
(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、
(c)前記シグナルを使用して、前記試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、
(d)画像を生成するために前記XY境界ボックス内の前記試料を撮像することであって、撮像することが、前記試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、
(e)ステップ(d)で生成された前記画像を表示することと、
(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される前記試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、
(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の前記試料を撮像することと、
(h)前記試料中の目的の前記領域の体積を計算し、目的の前記領域の計算された試料体積を前記ユーザに表示することと、
(i)前記Z範囲に沿って、目的の前記領域内の前記試料の前記画像をセグメント化することと、
(j)配列決定を開始する前に、前記ユーザが前記試料体積の前記Z範囲を調整するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザによって定義された目的の前記領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の前記領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、
(k)前記ユーザが配列決定することを意図する前記マルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すことと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、
請求項1~10のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項12】
前記プロセッサが、
前記ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、
配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、
前記制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行するように更にプログラムされる、請求項1~11のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサが、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる、請求項1~12のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサが、
所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、前記開始XY位置で前記試料のZプロファイルを決定することと、
セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、
前記試料モンタージュの開始時に前記インターフェースから一定の距離で前記対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたる前記ステージ及び前記対物レンズに対する前記試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、
請求項1~13のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項15】
前記配列決定が、組織試料における標的核酸のインサイチュ配列決定である、請求項1~14のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項16】
前記組織試料が、20μm~200μmの厚さを有する組織スライスである、請求項15に記載の配列決定デバイス。
【請求項17】
前記インサイチュ配列決定が、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である、請求項1~16のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項18】
前記顕微鏡モジュールが、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、構造化照明顕微鏡、又は光シート若しくは傾斜面光シート顕微鏡を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項19】
前記共焦点顕微鏡が、スピニングディスク又は点走査共焦点顕微鏡である、請求項18に記載の配列決定デバイス。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか一項に記載の配列決定デバイスを使用する方法であって、
試料を前記マルチウェルプレートに充填することと、
前記マルチウェルプレート内のどの試料が配列決定されるかを選択することと、
配列決定プロトコルを選択することと、
請求項1~19のいずれか一項に記載の配列決定デバイスを使用して、前記選択された試料中の核酸を配列決定することと
を含む、方法。
【請求項21】
前記配列決定が、組織試料のインサイチュ体積配列決定である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組織試料が、20~200μmの厚さを有する組織スライスである、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記インサイチュ配列決定が、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である、請求項20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
コンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータが、
(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、
(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、前記選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、
(c)前記シグナルを使用して、前記試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、
(d)画像を生成するために前記XY境界ボックス内の前記試料を撮像することであって、撮像することが、前記試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定された前記Z範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、
(e)ステップ(d)で生成された前記画像を表示することと、
(f)前記選択された試料の配列決定中に更に撮像される前記試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、
(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の前記試料を撮像することと、
(h)目的の前記領域の試料体積を計算し、目的の前記領域の前記計算された試料体積を前記ユーザに表示することと、
(i)Z範囲に沿って、目的の前記領域内の前記試料の前記画像をセグメント化することと、
(j)配列決定を開始する前に、前記ユーザが前記試料体積の前記Z範囲を調整するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザによって定義された目的の前記領域から導出された前記撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って前記目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、
(k)前記ユーザが配列決定することを意図する前記マルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すことと
を含むステップを実行する、コンピュータ実装方法。
【請求項25】
コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項24に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
コンピュータ実装方法であって、前記コンピュータが、
ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザが、利用可能な緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、
配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、
前記制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行する、
コンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記コンピュータが、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる、請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項26又は27に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
コンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータが、
所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、前記開始XY位置で前記試料のZプロファイルを決定することと、
セグメント化方法を使用して、前記試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、
前記試料モンタージュの開始時に前記インターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び前記対物レンズに対する前記試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することと
を含むステップを実行する、
コンピュータ実装方法。
【請求項30】
コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項29に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
自動化浸漬媒体モジュールであって、
(a)浸漬媒体を含む容器と、
(b)前記容器及び顕微鏡モジュールの対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、前記流体ラインが、浸漬対物レンズ上の対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、前記浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、
(c)前記流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、前記マイクロコントローラが、前記流体ラインを介する前記浸漬媒体の前記ポンプの添加及び除去を制御するポンプと
を備えており、前記自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、前記対物レンズの上部で前記対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の前記浸漬媒体を提供する、
自動化浸漬媒体モジュール。
【請求項32】
請求項31に記載の自動化浸漬媒体モジュールを使用する方法であって、
請求項31に記載の自動化浸漬媒体モジュールを使用して、顕微鏡の浸漬対物レンズに取り付けられている対物レンズ浸漬カラーに浸漬媒体を送達することを含む、方法。
【請求項33】
流体管理モジュールであって、
ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、前記ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、前記気泡検出器が、前記ポンプに通じる前記流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、前記流体管理モジュールが、前記流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の双方向又は単方向の移動を可能にする、流体管理モジュール。
【請求項34】
試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、
(a)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、前記スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、
(b)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、前記廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、
(c)キャッピング機構であって、前記キャッピング機構が、前記廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに前記廃棄物容器を閉じ、前記廃棄物容器が前記システムに戻されるときに前記廃棄物容器を開く、キャッピング機構と
を備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生物学的試料は、個々の細胞の長さの尺度から組織全体の長さの尺度にわたる複雑で不均一な遺伝情報を含有する。細胞内の核酸の空間パターンは、細胞機能の特性及び異常を明らかにする可能性があり、RNA発現の累積分布は、細胞の型又は機能を定義する可能性があり、組織内の細胞型の位置の体系的バリエーションは、組織機能を定義する可能性がある。核酸にエンコードされる解剖学的接続性情報と組織全体の細胞型分布との組み合わせは、多くの組織領域及び切片にわたる可能性がある。したがって、インサイチュ核酸配列決定のための技法は、個々の分子と同じくらい小さい分解能と脳全体と同じくらい大きな分解能とを橋渡しすることができなければならない。長さの桁違いの差にわたってこの情報を効率的に収集及び記録するには、インサイチュ配列決定技法の堅牢性、迅速性、自動化、及びハイスループットの性質を増強させるための新しい発明が必要である。
【発明の概要】
【0002】
体積組織試料の自動化インサイチュ配列決定のための配列決定デバイスが提供される。特に、複数の試料上で高分解能で並列して操作することができる自動化体積インサイチュ配列決定デバイスが提供される。配列決定デバイスは、自動化浸漬と自動化インサイチュ配列決定機能を組み合わせている。配列決定デバイスは、その高分解能の能力から利益を得る組み合わせ配列決定に特に有用である。配列決定装置の製造及び使用の方法も提供される。
【0003】
一態様では、配列決定デバイスが提供され、デバイスは、(a)平坦照射補正による照射のための複数のレーザー線を含むスピニングディスク共焦点構成要素であって、複数のレーザー線が、1つ以上の波長での励起光で試料を照射するために使用される、スピニングディスク共焦点構成要素と、バンドパス放出フィルタと、ロングパス画像スプリッタと、第1の波長範囲内の蛍光放出を検出する第1のカメラと、第2の波長範囲内の蛍光放出を検出する第2のカメラとを備え、第1のカメラ及び第2のカメラが、放出を同時に検出することができる、照射及び検出モジュールと、(b)x、y、及びz軸に沿って多軸配置することができる電動ステージと、対物レンズZ駆動と、複数の対物レンズを備える対物タレットホイールとを備え、各対物レンズが、異なる倍率を提供し、1つ以上の対物レンズが、浸漬対物レンズであり、各浸漬対物レンズが、対物レンズ浸漬カラー及び光学系を有し、光学系が、対物レンズから照射及び検出モジュールに光を送る、顕微鏡モジュールと、(c)自動化浸漬媒体モジュールであって、i)浸漬媒体を含む容器と、ii)容器及び顕微鏡モジュールの対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、流体ラインが、対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、iii)流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、マイクロコントローラが、流体ラインを介する浸漬媒体のポンプの添加及び除去を制御する、ポンプとを備え、自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、対物レンズの上部で対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の浸漬媒体を提供する、自動化浸漬媒体モジュールと、(d)マルチウェルプレートであって、電動ステージを移動させて、撮像に使用される対物レンズの下方にマルチウェルプレートのウェルを配置することができる、マルチウェルプレートと、(e)流体連結タワーであって、流体連結タワーが、電動ステージの上部にあり、マルチウェルプレートのウェル内に流体ラインを配置する、流体連結タワーと、(f)流体管理モジュールであって、ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、気泡検出器が、ポンプに通じる流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、流体管理モジュールが、流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の単方向又は双方向の移動を可能にする、流体管理モジュールと、(g)試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、i)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、ii)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、iii)キャッピング機構であって、キャッピング機構が、廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに廃棄物容器を閉じ、廃棄物容器がシステムに戻されるときに廃棄物容器を開く、キャッピング機構とを備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールと、(h)電気モジュールであって、i)自動化浸漬媒体モジュールから分配される媒体を制御する第1のファームウェアボードと、ii)流体管理モジュール、並びに試薬、緩衝液及び廃棄物モジュールを制御する第2のファームウェアボードとを備え、電気モジュールが、システムの他のモジュールへの電力を調節する、電気モジュールと、(i)ユーザインターフェースを提供し、配列決定デバイスのモジュールを操作するようにプログラムされたプロセッサとを備える。
【0004】
ある特定の実施形態では、複数のレーザー線は、少なくとも4つのレーザー線を含む。ある特定の実施形態では、複数のレーザー線は、少なくとも5つのレーザー線を含む。いくつかの実施形態では、バンドパス放出フィルタは、ペンタバンドパス放出フィルタである。
【0005】
ある特定の実施形態では、電動ステージは、ピエゾz軸を有する。
【0006】
ある特定の実施形態では、浸漬媒体は、水である。
【0007】
ある特定の実施形態では、浸漬媒体は、濾過され、気泡を含まない。
【0008】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、各対物レンズ上にOリング及び収縮包装コーティングを更に含む。
【0009】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、流体ライン内の圧力をモニタリングするための圧力モニタを更に備え、流体ライン内の圧力の増加は、流体ラインの潜在的な閉塞を検出するために使用され得る。
【0010】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、複数の発光ダイオード(LED)を更に備え、各LEDは、システムについての状態表示を提供するために光を放出することができる。
【0011】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、情報を表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示構成要素を更に備える。
【0012】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、(c)シグナルを使用して、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、(d)画像を生成するためにXY境界ボックス内の試料を撮像することであって、撮像することが、試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、(e)ステップ(d)で生成された画像を表示することと、(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される試料中の目的の所望のXY領域をユーザが精査するためのインターフェースを提供することと、(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の試料を撮像することと、(h)試料中の目的の領域の体積を計算し、目的の領域の計算された試料体積をユーザに表示することと、(i)Z範囲に沿って、目的の領域内の試料の画像をセグメント化することと、(j)配列決定を開始する前に、ユーザが試料体積のZ範囲を調整するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザによって定義された目的の領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、(k)ユーザが配列決定することを意図するマルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すこととを含むステップを実行するように更にプログラムされる。
【0013】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行するように更にプログラムされる。
【0014】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる。
【0015】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、開始XY位置で試料のZプロファイルを決定することと、セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、試料モンタージュの開始時にインターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することとを含むステップを実行するように更にプログラムされる。
【0016】
ある特定の実施形態では、配列決定は、組織試料における標的核酸のインサイチュ配列決定である。いくつかの実施形態では、組織試料は、50~200μmの厚さを有する厚い組織スライスである。他の実施形態では、組織試料は、5~20μmの厚さを有する薄い組織スライスである。いくつかの実施形態では、インサイチュ配列決定は、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である。
【0017】
別の態様では、本明細書に記載される配列決定デバイスを使用する方法が提供され、本方法は、試料をマルチウェルプレートに充填することと、マルチウェルプレート内のどの試料が配列決定されるかを選択することと、配列決定プロトコルを選択することと、本明細書に記載される配列決定デバイスを使用して、選択された試料中の核酸を配列決定することとを含む。ある特定の実施形態では、配列決定は、組織試料における標的核酸のインサイチュ配列決定である。いくつかの実施形態では、組織試料は、50~200μmの厚さを有する厚い組織スライスである。他の実施形態では、組織試料は、5~20μmの厚さを有する薄い組織スライスである。いくつかの実施形態では、インサイチュ配列決定は、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である。
【0018】
別の態様では、コンピュータ実装方法が提供され、コンピュータは、(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、(c)シグナルを使用して、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、(d)画像を生成するためにXY境界ボックス内の試料を撮像することであって、撮像することが、試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、(e)ステップ(d)で生成された画像を表示することと、(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の試料を撮像することと、(h)目的の領域の試料体積を計算し、目的の領域の計算された試料体積をユーザに表示することと、(i)Z範囲に沿って、目的の領域内の試料の画像をセグメント化することと、(j)配列決定を開始する前に、ユーザが試料体積のZ範囲を調整するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザによって定義された目的の領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、(k)ユーザが配列決定することを意図するマルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すこととを含むステップを実行する。
【0019】
別の態様では、コンピュータ実装方法が提供され、コンピュータは、ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行する。いくつかの実施形態では、コンピュータは、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる。
【0020】
別の態様では、コンピュータ実装方法が提供され、コンピュータは、所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、開始XY位置で試料のZプロファイルを決定することと、セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、試料モンタージュの開始時にインターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することとを含むステップを実行する。
【0021】
別の態様では、コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、本明細書に記載されるコンピュータ実装方法のうちのいずれかを実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体が提供される。
【0022】
別の態様では、自動化浸漬媒体モジュールであって、(a)浸漬媒体を含む容器と、(b)容器及び顕微鏡モジュールの対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、流体ラインが、対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、(c)流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、マイクロコントローラが、流体ラインを介する浸漬媒体のポンプの添加及び除去を制御する、ポンプとを備え、自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、対物レンズの上部で対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の浸漬媒体を提供する、自動化浸漬媒体モジュール。
【0023】
別の態様では、自動化浸漬媒体モジュールを使用する方法が提供され、本方法は、自動化浸漬媒体モジュールを使用して、顕微鏡の浸漬対物レンズに取り付けられている対物レンズ浸漬カラーに浸漬媒体を送達することを含む。
【0024】
別の態様では、流体管理モジュールが提供され、モジュールは、ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、気泡検出器が、ポンプに通じる流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、流体管理モジュールは、流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の双方向又は単方向の移動を可能にする。
【0025】
別の態様では、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールが提供され、モジュールは、(a)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、(b)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、(c)キャッピング機構であって、キャッピング機構が、廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに廃棄物容器を閉じ、廃棄物容器がシステムに戻されるときに廃棄物容器を開く、キャッピング機構とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】様々なモジュールを備える配列決定デバイスを示す。
図2】広視野及び共焦点モードにおいてデュアル撮像することができるデュアルカメラを示す。
図3】405nm、488nm、561nm、637nm、及び730nmをカバーする5つのレーザー線、並びにビーム調節ユニットを示す。
図4】顕微鏡構成要素を示す。
図5】4倍、20倍、40倍、及び60倍の倍率を有する対物レンズを有する6つの位置のノーズピースを示す。ウォーターカラーは、40倍及び60倍の対物レンズに示されている。
図6】24個のウェルを有するマルチウェルプレートのための手動式流体連結システムを示す。
図7】ノーズピース及びピエゾZを有するXY電動ステージの上部にマルチウェルプレートを有する流体連結システムを示す。
図8】自動化流体送達システムを示す。
図9】自動化流体送達システムの構成要素を示す。
図10】振動分離を提供するカスタムテーブルの上部にある光感受性試料用の筐体を示す。カバー及びビーム調節ユニットを有する5つのレーザー線、並びに高データスループット撮像用のプロセッサを有するワークステーションが、テーブルの上部の下の棚に示されている。テーブルに接続された4K表示構成要素もまた示されている。
図11A】自動化流体送達システムのためのボードポートを示す。
図11B】自動化流体送達システムのためのボードポートを示す。
図12A】配列決定デバイスのモジュラー部分のアセンブリを示す。
図12B】配列決定デバイスのモジュラー部分のアセンブリを示す。
図13】様々な角度から示される、1)顕微鏡及びテーブル、2)マルチウェルプレート、並びに3)配列決定装置を含む既存の撮像セットアップに連結するスタンドアロン流体モジュールの概略を示す。
図14】マルチウェルプレート及びカバーの概略を示す。
図15】マルチウェルプレートに接続され、マルチウェルプレートのいくつかの選択されたウェルに挿入された複数の流体ラインを有するマルチウェルプレートの概略を示す。
図16】マルチウェルプレートに接続され、マルチウェルプレートの全てのウェルに挿入された複数の流体ラインを有するマルチウェルプレートの概略を示す。
図17】ウェル上にカバーを有するマルチウェルプレートを示す。マルチウェルプレートの各ウェルについて、カバーは、ウェル上のカバーの穴への流体ラインの挿入を誘導する流体ライン用のホルダを備える。
図18】1)顕微鏡及びテーブル、2)カバーされたマルチウェルプレート、並びに3)マルチウェルプレートが配列決定装置に接続されているか、又は配列決定装置から除去されている、様々な角度からの配列決定装置の概略を示す。
図19】コンパクトな自動化流体送達システムの設計を示す。
図20】コンパクトな自動化流体送達システムの設計を示す。
図21】緩衝液及び試薬トレイのための設計を示す。
図22】緩衝液の密封されたボトルのためのキャリア及び追跡のためのRFIDタグを含む緩衝液トレイの設計を示す。
図23】緩衝液トレイのための代替設計を示す。上部には、個々の緩衝液用のキャップを有する緩衝液トレイが示されている。下部には、緩衝液の密封されたボトルを保持するように設計された緩衝液トレイが示されている。
図24】エッペンドルフチューブのためのキャリア、密封、及び追跡用のRFIDタグを含む試薬トレイの設計を示す。
図25】試薬充填検証のための計量ステーション、スケール上の試薬消耗品を保持するための治具、及び充填マニホールドを示す。
図26】緩衝液充填ステーションを示す。
図27】40倍及び60倍の対物レンズにおいてカラーを有する対物レンズを示す。
図28】40倍及び60倍の対物レンズにおけるカラーに流体を提供するための流体図を示す。
図29】供給カラーを示す。60倍の対物レンズは、1つのOリングを有し、40倍の対物レンズは、2つのOリングを有する。
図30】浸漬水ディスペンサーのための接続を有する顕微鏡を示す。
図31】40倍及び60倍の対物レンズ用の接続を有するNikon Ti2e顕微鏡で使用するための浸漬水ディスペンサーを示す。
図32】ワークステーションのための下の棚、及びテーブルに取り付けられている表示構成要素を有する、テーブルの上部にある光感受性試料のための筐体の概略を示す。
図33】ワークステーションのための下の棚、及びテーブル上の表示構成要素を有する、テーブルの上部にある光感受性試料のための筐体の概略を示す。
図34】試薬トレイ、緩衝液トレイ、蠕動ポンプ、モータ駆動ロータリーバルブ、圧力センサ、及び気泡検出器への流体工学ライン接続を示す、自動化流体送達システムのための流体図を示す。
図35】浸漬媒体モジュール並びに40倍及び60倍の顕微鏡対物レンズへの接続を有する流体工学ラインに接続された一連のポンプを有する流体図を示す。
図36】シリンジポンプ、モータ駆動ロータリーバルブ、及びマルチウェルプレートへの接続を有する流体工学図を示す。
図37】吸引デュアルバルブの概略を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
体積組織試料の自動化インサイチュ配列決定のための配列決定装置が提供される。特に、複数の試料上で並列して操作することができる自動化体積インサイチュ配列決定デバイスが提供される。配列決定装置の製造及び使用の方法も提供される。
【0028】
体積組織試料の自動化インサイチュ配列決定のための配列決定装置、並びにかかる配列決定装置の製造及び使用の方法を説明する前に、本発明は、記載された特定のデバイス、方法、又は組成物に限定されるものではなく、それ自体が当然、変化し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものであることも理解されたい。
【0029】
値の範囲が提供される場合、文脈上別段の指示のない限り、その範囲の上限と下限との間の各介在値も、下限の単位の10分の1まで具体的に開示されていることを理解されたい。任意の記載値又は記載された範囲内の間に介在する値と、任意の他の記載値又はその記載された範囲内の間に介在する値との間の、それぞれより小さい範囲が、本発明に包含される。これらの小さい範囲の上限及び下限は、独立して範囲に含まれていても、除外されていてもよく、いずれか、どちらでもない、又は両方の限定が小さい範囲に含まれている各範囲も、記載されている範囲の中で任意の具体的に除外されている限定に従うことを条件として、本発明に包含される。記載された範囲が限定の一方又は両方を含む場合、それらの含まれる限定のいずれか又は両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0030】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載される方法及び材料と類似又は同等の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用することができるが、ここでは、いくつかの潜在的かつ好ましい方法及び材料を説明する。本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物が引用されることに関連して方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、本開示は、組み込まれた刊行物の任意の開示に優先されることを理解されたい。
【0031】
本開示を読むと当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び例証される別個の実施形態の各々は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の様々な実施形態のいずれかの特徴から容易に分離され得るか、又はこれらと組み合わされ得る別個の構成要素及び特徴を有する。任意の列挙された方法は、列挙された事象の順序、又は論理的に可能な任意の他の順序で実行され得る。
【0032】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「a cell(細胞)」への言及は、複数のかかる細胞を含み、「the peptide(ペプチド)」への言及は、当業者に既知の1つ以上のペプチド及びその等価物、例えばオリゴペプチド又はポリペプチドなどへの言及を含む。
【0033】
本明細書において考察された刊行物は、本出願の出願日より前のそれらの開示についてのみ提供される。本明細書におけるいかなる内容も、本発明が先行発明を理由に、そのような刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。更に、提供される刊行物の日付は、独立して確認する必要があり得る実際の刊行日とは異なる場合がある。
【0034】
定義
「約」という用語は、特に所与の量に関して、プラス又はマイナス5パーセントの偏差を包含することを意味する。
【0035】
「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを指す。この用語は、また、1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に存在するアミノ酸の人工的な化学的模倣物であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び非天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。全長タンパク質及びその断片の両方が、定義に包含される。この用語は、また、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、リン酸化、グリコシル化、アセチル化、ヒドロキシル化、酸化など、並びに修飾ペプチド骨格を有する化学的又は生化学的に修飾された又は誘導体化されたアミノ酸及びポリペプチドを含む。この用語は、また、異種のアミノ酸配列を有する融合タンパク質、N末端メチオニン残基を有する、又は有さない異種及び相同のリーダー配列を有する融合、免疫学的にタグ付けされたタンパク質などを含むが、これらに限定されない、融合タンパク質も含む。この用語は、脂肪酸部分、脂質部分、糖部分、及び炭水化物部分のうちの1つ以上を含むポリペプチドを含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、「標的核酸」という用語は、単一の細胞内に存在する任意のポリヌクレオチド核酸分子(例えば、DNA分子、RNA分子、修飾核酸など)である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、コードRNA(例えば、mRNA)である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、非コードRNA(例えば、tRNA、rRNA、マイクロRNA(miRNA)、成熟miRNA、未成熟miRNAなど)である。いくつかの実施形態では、標的核酸は、細胞の状況におけるRNA分子(例えば、mRNA、プレmRNAなど)のスプライスバリアントである。したがって、好適な標的核酸は、スプライシングされていないRNA(例えば、プレmRNA、mRNA)、部分的スプライシングRNA、又は完全スプライシングRNAなどであり得る。目的の標的核酸は、細胞集団内で可変的に発現されてもよく、すなわち、異なる存在量を有してもよく、本発明の方法は、個々の細胞におけるRNA転写産物を含むがこれに限定されない核酸の発現レベルのプロファイリング及び比較を可能にする。標的核酸は、また、DNA分子、例えば、変性ゲノム、ウイルス、プラスミドなどであってもよい。例えば、本方法を使用して、例えば、標的核酸が集団における細胞のゲノムにおいて異なる存在量で存在するがん細胞集団、ウイルス負荷及び動態を決定するためのウイルス感染細胞において、コピー数バリアントを検出し得る。
【0037】
本明細書では互換的に使用される「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、及び「核酸分子」という用語は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。したがって、この用語には、単鎖、二本鎖、若しくは多鎖DNA若しくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、又はプリン及びピリミジン塩基、若しくは他の天然、化学的若しくは生化学的に修飾された、非天然、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドの骨格は、糖及びリン酸基(典型的には、RNA又はDNAに見出され得る)、又は修飾若しくは置換された糖若しくはリン酸基を含み得る。代替的に、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホラミダイト、及び/又はホスホロチオエートなどの合成サブユニットのポリマーを含み得、したがって、オリゴデオキシヌクレオシドホスホラミデート又は混合ホスホラミデート-ホスホジエステルオリゴマーであり得る。Peyrottes et al.(1996)Nucl.Acids Res.24:1841-1848、Chaturvedi et al.(1996)Nucl.Acids Res.24:2318-2323を参照されたい。ポリヌクレオチドは、1つ以上のLヌクレオシドを含み得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの修飾ヌクレオチド、ウラシル、他の糖、並びにフルオロリボース及びチオエートなどの連結基、及びヌクレオチド分岐を含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、N3’-P5’(NP)ホスホラミデート、モルホリノホスホロシアミデート(MF)、ロックド(locked)核酸(LNA)、2’-O-メトキシエチル(MOE)、又は2’-フルオロアラビノ核酸(FANA)を含むように修飾されてもよく、これらはヌクレアーゼ分解に対するポリヌクレオチドの耐性を増強することができる(例えば、Faria et al.(2001)Nature Biotechnol.19:40-44、Toulme(2001)Nature Biotechnol.19:17-18を参照されたい)。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化成分とのコンジュゲーションによって、重合後に更に修飾されてもよい。この定義に含まれる他の種類の修飾は、キャップ、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上の類似体での置換、及びポリヌクレオチドをタンパク質、金属イオン、標識化成分、他のポリヌクレオチド、又は固体支持体に結合させるための手段の導入である。免疫調節核酸分子は、本明細書でより詳細に記載するように、様々な製剤において、例えば、リポソーム、マイクロカプセル化などと関連して提供され得る。増幅に使用されるポリヌクレオチドは、増幅における最大効率のために概して一本鎖であるが、代替的に二本鎖であってもよい。二本鎖である場合、ポリヌクレオチドをまず処理して、その鎖を分離した後、伸長産物を調製するために使用することができる。この変性ステップは、典型的には熱の影響を受けるが、代替的には、アルカリを使用して実行し、続いて中和してもよい。
【0038】
「単離された」とは、タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを指す場合、示される分子が、その分子が天然に見られる生物全体から分離され、離れているか、又は同じ種類の他の生物学的マクロ分子の実質的な非存在下で存在することを意味する。ポリヌクレオチドに関して「単離された」という用語は、天然において通常それと会合する配列の全体若しくは一部を欠く核酸分子、又は天然に存在するが、それと関連する異種配列を有する配列、又は染色体から解離した分子である。
【0039】
「個体」、「対象」、「宿主」、及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、節足動物(例えば、昆虫、甲殻類、クモ類)、頭足類(例えば、タコ、イカ)、両生類(例えば、カエル、サラマンダー、アシナシイモリ)、魚、爬虫類(例えば、カメ、ワニ、ヘビ、ミミズトカゲ、トカゲ、ムカシトカゲ)、ヒト並びにチンパンジー及び他の類人猿並びにサル種を含む非ヒト霊長類などの非ヒト哺乳動物を含む哺乳動物、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、及びチンチラなどの実験動物、イヌ及びネコなどの飼育動物、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、及びウシなどの家畜、並びにニワトリ、シチメンチョウ、並びに他のキジ類のトリ、アヒル、及びガンを含む、飼育、野性、及び狩猟のトリなどのトリを含むが、これらに限定されない、無脊椎動物及び脊椎動物を指す。ある場合には、本発明の方法は、実験動物で、獣医学的用途で、並びにマウス、ラット、及びハムスターを含むげっ歯類、霊長類、並びにトランスジェニック動物を含むが、これらに限定されない、疾患のための動物モデルの開発での使用を見出す。
【0040】
本明細書で使用される「ユーザ」という用語は、本明細書に開示される方法のうちの1つ以上のステップを実行するために、本明細書に開示されるデバイス及び/又はシステムと相互作用する人を指す。ユーザは、本明細書に記載される配列決定デバイスを使用する対象であり得る。
【0041】
配列決定デバイス
体積組織試料の自動化インサイチュ配列決定のための配列決定装置が提供される。特に、複数の試料上で並列して操作することができる自動化体積インサイチュ配列決定デバイスが提供される。いくつかの実施形態では、配列決定デバイスは、照射及び検出モジュール、顕微鏡モジュール、自動化浸漬媒体モジュール、マルチウェルプレート、流体連結タワー又はスタンドアロン流体モジュール、流体管理モジュール、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュール、電気モジュール、並びにプロセッサを備える。
【0042】
いくつかの実施形態では、照射及び検出モジュールは、平坦照射補正による照射のための複数のレーザー線を含むスピニングディスク共焦点構成要素であって、複数のレーザー線が、1つ以上の波長での励起光で試料を照射するために使用される、スピニングディスク共焦点構成要素と、バンドパス放出フィルタと、ロングパス画像スプリッタと、第1の波長範囲内の蛍光放出を検出する第1のカメラと、第2の波長範囲内の蛍光放出を検出する第2のカメラとを備え、第1のカメラ及び第2のカメラは、放出を同時に検出することができる。ある特定の実施形態では、複数のレーザー線は、少なくとも4つのレーザー線を含む。いくつかの実施形態では、複数のレーザー線は、ペンタバンドパス放出フィルタとともに使用される5つのレーザー線を含む。ある特定の実施形態では、電動ステージは、ピエゾz軸を有する。他の実施形態では、対物レンズz軸駆動が使用され、電動ステージzは、一定に保たれる。
【0043】
顕微鏡モジュールは、x、y、及びz軸に沿って多軸配置することができる電動ステージと、対物レンズZ駆動と、複数の対物レンズを備える対物タレットホイールとを備え、各対物レンズは、異なる倍率及び光学系を提供し、光学系は、対物レンズから照射及び検出モジュールに光を送る。対物レンズは、浸漬対物レンズを備え得、各浸漬対物レンズは、対物レンズ浸漬カラーを有する。ある特定の実施形態では、浸漬対物レンズは、Oリング及び収縮包装コーティングのマルチウェルプレートを更に備え、電動ステージは、例えば、顕微鏡の光学系又は機械的部分を損傷する可能性のある流出を防止する。対物レンズは、また、浸漬カラーを有さない乾燥対物レンズを含み得る。いくつかの実施形態では、顕微鏡モジュールは、共焦点顕微鏡を備える。いくつかの実施形態では、顕微鏡モジュールは、エピ蛍光顕微鏡を備える。
【0044】
自動化浸漬媒体モジュールは、i)浸漬媒体を含む容器と、ii)容器及び顕微鏡モジュールの対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、流体ラインが、対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、iii)流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、マイクロコントローラが、流体ラインを介する浸漬媒体のポンプの添加及び除去を制御する、ポンプとを備え、自動化浸漬媒体モジュールは、撮像中に、対物レンズの上部で対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の浸漬媒体を提供する。ある特定の実施形態では、浸漬媒体は、水である。ある特定の実施形態では、浸漬媒体は、濾過され、気泡を含まない。
【0045】
電動ステージは、撮像に使用される対物レンズの下方にマルチウェルプレートのウェルを配置するように移動させることができる。いくつかの実施形態では、流体連結タワーは、電動ステージの上部にあり、マルチウェルプレートのウェル内に流体ラインを配置して、流体ラインを使用してウェルから試料を添加又は除去することを可能にする。いくつかの実施形態では、流体連結インターフェースは、電動ステージに取り付けられない。代わりに、スタンドアロン流体連結インターフェースモジュールが使用され、これは、ユーザによって試料プレート上方に手動で配置され、ステージに固定され、流体連結インターフェースは、配列決定の期間に流体ラインを試料に連結させる。
【0046】
流体管理モジュールは、ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、気泡検出器が、ポンプに通じる流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、流体管理モジュールは、流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の単方向又は双方向の移動を可能にする。一連の気泡検出器は、浸漬流体ラインが気泡を含まないことを確実にするために使用され得る。加えて、気泡は、ある体積の流体を添加し、過剰な流体を除去し、次いでより多くの流体を添加し、ステージをウェルの端に移動させ、試料中央に戻して、浸漬流体の添加中に形成され得る任意の追加の気泡を除去することによって回避され得る。
【0047】
試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールは、i)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、ii)廃棄物モジュールであって、廃棄物モジュールが、流体管理ポンプからの流体ラインに連結された廃棄物容器を含む、廃棄物モジュールと、iii)キャッピング機構であって、キャッピング機構が、廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに廃棄物容器を閉じ、廃棄物容器がシステムに戻されるときに廃棄物容器を開く、キャッピング機構とを備える。
【0048】
電気モジュールは、i)自動化浸漬媒体モジュールから分配される媒体を制御する第1のファームウェアボードと、ii)流体管理モジュール、並びに試薬、緩衝液及び廃棄物モジュールを制御する第2のファームウェアボードとを備え、電気モジュールは、システムの他のモジュールへの電力を調節する。
【0049】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、流体ライン内の圧力をモニタリングするための圧力モニタを更に備え、流体ライン内の圧力の増加は、流体ラインの潜在的な閉塞を検出するために使用され得る。
【0050】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、複数の発光ダイオード(LED)を更に備え、各LEDは、システムについての状態表示を提供するために光を放出することができる。
【0051】
ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、ユーザインターフェースを提供し、配列決定デバイスのモジュールを操作するようにプログラムされたプロセッサを備える。いくつかの実施形態では、配列決定デバイスは、情報を表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示構成要素を更に備える。
【0052】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、(c)シグナルを使用して、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、(d)画像を生成するためにXY境界ボックス内の試料を撮像することであって、撮像することが、試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、(e)ステップ(d)で生成された画像を表示することと、(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される試料中の目的の所望のXY領域をユーザが精査するためのインターフェースを提供することと、(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の試料を撮像することと、(h)試料中の目的の領域の体積を計算し、目的の領域の計算された試料体積をユーザに表示することと、(i)Z範囲に沿って、目的の領域内の試料の画像をセグメント化することと、(j)配列決定を開始する前に、ユーザが試料体積のZ範囲を調整するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザによって定義された目的の領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、(k)ユーザが配列決定することを意図するマルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すこととを含むステップを実行するように更にプログラムされる。
【0053】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行するように更にプログラムされる。ある特定の実施形態では、プロセッサは、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる。
【0054】
ある特定の実施形態では、プロセッサは、所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点又はエピ蛍光スイープを実行して、開始XY位置で試料のZプロファイルを決定することと、セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、試料モンタージュの開始時にインターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することとを含むステップを実行するように更にプログラムされる。
【0055】
ある特定の実施形態では、配列決定は、組織試料における標的核酸のインサイチュ配列決定である。いくつかの実施形態では、組織試料は、50~200μmの厚さを有する厚い組織スライスである。他の実施形態では、組織試料は、5~20μmの厚さを有する薄い組織スライスである。いくつかの実施形態では、インサイチュ配列決定は、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である。
【0056】
配列決定装置構成要素のモジュラー使用
いくつかの実施形態では、流体工学構成要素は、任意の適合性がある撮像システムで使用するためのスタンドアロン配列決定モジュールとして機能し得る。試料への流体ラインは、連結が係合位置に容易に取り付け可能であり、係合位置から取り外し可能であるように、かつ流体構成要素が試料ウェルに連結されるように、試料プレート及び顕微鏡ステージに磁気的及び/又は機械的に連結され得る。この連結の一例では、各試料ウェルにアドレス指定された流体ラインは、一緒に束ねられ、取り外し可能なプレート蓋(概略図を参照されたい)を介して各試料ウェルに送られ、これは、機械的ガイド及び磁気的治具を介して顕微鏡ステージに連結する。連結の別の実施形態では、顕微鏡ステージに固定されるモジュラー連結タワーが提供される。スタンドアロン配列決定モジュールとして使用される場合、流体構成要素は、試薬及び緩衝剤キットの使用、並びに流体添加及び除去の複数のサイクルにわたる複数の試料ウェルからの流体交換の自動化を容易にする。インサイチュ配列決定のためのデバイスとして使用される場合、流体構成要素は、試料フォーマットと適合性がある既存の顕微鏡法セットアップ、例えば、倒立顕微鏡に連結され得る。薄い切片試料(5~20mm)とともに使用する場合、顕微鏡は、3、4、又は5つの照射チャネル又は検出チャネルを有するエピ蛍光顕微鏡であり得る。薄い又は厚い切片試料とともに使用する場合、顕微鏡は、エピ蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡(スピニングディスク又は点走査)、構造化照明顕微鏡、又は光シート若しくは傾斜面光シート顕微鏡であり得る。
【0057】
浸漬水分配モジュール(IWD)は、配列決定装置のための統合された流体システムのサブモジュールとして使用され得る。代替的に、IWDは、顕微鏡浸漬対物レンズの自動化浸漬のためのスタンドアロンキットとして使用され得る。一例では、IWDは、試薬/緩衝液/消耗品流体モジュールと直列で使用され、別個の及び既存の顕微鏡セットアップ上での試料の並列及び自動化配列決定を可能にする。この例では、ユーザが手動で浸漬流体リザーバを充填し、廃棄物リザーバを空にすることができるように、浸漬流体リザーバ及び浸漬流体廃棄物は、流体デバイスに対して外部にある。浸漬水分配モジュールは、浸漬カラーを介して顕微鏡対物レンズに接続され、浸漬カラーは、気泡が導入されず、液体の体積及び流量が正確かつ一貫しているように、対物レンズの撮像ガラスにわたって浸漬液体を流すように設計され、一方で、過剰な液体を除去することができるように、対物レンズ本体に対する密封を提供する。浸漬カラーの正確な寸法は、適切な適合を確実にするために特定の対物レンズに一致するように調整されるが、他の浸漬水分配モジュールサブ構成要素の機能は、撮像システムの作製及び製造には関係ない。
【0058】
配列決定装置を制御するソフトウェアは、照射、検出、顕微鏡、及びステージ構成要素の制御上の抽象化層を提供し、したがって、適切な構成ファイル又は他のハードウェアプラグインが提供されることを条件に、様々な撮像セットアップとともにモジュール式に使用され得る。したがって、特定の撮像及び顕微鏡法セットアップは、配列決定装置及びソフトウェアの操作において特権ではなく、対物レンズ浸漬モジュール、試料、試薬及び緩衝液流体工学、並びに消耗品は、モジュール式に使用され、構成要素のうちの1つ以上の組み合わせに再構成され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、試薬及び緩衝液流体成分は、再利用可能なリザーバから流体を引き出す。配列決定装置の別の実施形態では、試薬及び緩衝液流体成分は、消耗品リザーバから流体を引き出す。一例では、消耗品リザーバは、充填された後に密封され、密封は、試薬/緩衝液流体モジュールのシッパー針(sipper needles)によって穿刺される。一例では、密封は、密封の一貫した穿刺を確実にし、シッパー針に対する過剰な力、又はシッパー針の平行軸に整列していない力を回避するために、消耗品のアセンブリ内で機械的に支持される。消耗品リザーバは、通常、配列決定装置の各使用の開始時に交換され、それらの使用は、消耗品の同一性の検出を通じてプログラム的に追跡される。一例では、消耗品の検出は、消耗品に統合されたRFID、及び配列決定装置流体モジュール内のRFIDリーダーの使用を介して実行される。別の実施形態では、消耗品の検出は、消耗品上のバーコード及び配列決定装置流体モジュールに統合されたバーコードスキャナの使用を介して実行される。
【0060】
別の実施形態では、流体モジュールは、インサイチュ配列決定サイクルで使用される緩衝液及び試薬から引き出す。流体モジュールの一例では、緩衝液又は試薬の一部又は全ては、冷凍構成要素によって冷却される。流体モジュールのいくつかの実施形態では、緩衝液又は試薬の一部又は全ては、温度感受性、例えば、リガーゼなどの酵素、又はSCAL、SEDAL、若しくはSEDAL2配列決定化学に関与するATPなどの分子である。別の実施形態では、緩衝液及び試薬流体モジュールは、他の配列決定又は周期的標識化学で使用される液体、例えば、試料中の配列にハイブリダイゼーションするために使用されるオリゴ、又は試料中のハイブリダイゼーション事象を検出するために使用される蛍光標識されたオリゴを引き出す。別の実施形態では、緩衝液及び試薬流体モジュールは、色素による試料の標識化に使用される液体を引き出す。別の実施形態では、緩衝液及び試薬流体モジュールは、試料とのCLICK化学反応に使用される液体を引き出す。別の実施形態では、緩衝液及び試薬流体モジュールは、試料中の蛍光シグナルをクエンチするために液体を引き出す。別の実施形態では、緩衝液及び試薬流体モジュールは、試料からシグナルを追加又は除去する酵素成分を含有する流体を引き出す。
【0061】
コンピュータ実装方法
本開示は、本明細書に記載される配列決定デバイスの使用における使用を見出すシステム及びコンピュータ実装方法を提供する。ある特定の実施形態では、配列決定デバイスは、ユーザインターフェースを提供し、配列決定デバイスのモジュールを操作するようにプログラムされたプロセッサを備える。いくつかの実施形態では、配列決定デバイスは、情報を表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示構成要素を更に備える。システムは、また、組織画像のグラフィック情報を処理し、表示構成要素に出力するための1つ以上のグラフィックボードを備え得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、コンピュータ実装方法は、例えば、配列決定実行のセットアップを実行し、配列決定実行オプションを選択し、目的の試料領域(ROI)を選択及び定義するために、ユーザと配列決定装置ファームウェア及びハードウェアとの間のインターフェースを提供するために使用される。コンピュータ実装方法は、配列決定デバイスの異なるモジュール及び試料にわたる配列決定の並列化を制御し、ロギング、エラーモニタリング、データ取得、管理及び転送、並びに実行の進行モニタリングを提供するために使用され得る。
【0063】
一実施形態では、コンピュータ実装方法が提供され、コンピュータは、(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、(c)シグナルを使用して、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、(d)画像を生成するためにXY境界ボックス内の試料を撮像することであって、撮像することが、試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、(e)ステップ(d)で生成された画像を表示することと、(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の試料を撮像することと、(h)目的の領域の試料体積を計算し、目的の領域の計算された試料体積をユーザに表示することと、(i)Z範囲に沿って、目的の領域内の試料の画像をセグメント化することと、(j)配列決定を開始する前に、ユーザが試料体積のZ範囲を調整するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザによって定義された目的の領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、(k)ユーザが配列決定することを意図するマルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すこととを含むステップを実行する。
【0064】
別の実施形態では、コンピュータ実装方法が提供され、コンピュータは、ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行する。いくつかの実施形態では、コンピュータは、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる。
【0065】
別の実施形態では、コンピュータ実装方法が提供され、コンピュータは、所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、開始XY位置で試料のZプロファイルを決定することと、セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、試料モンタージュの開始時にインターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することとを含むステップを実行する。
【0066】
本方法は、デジタル電子回路において、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、若しくはハードウェアにおいて実装され得る。開示された実施形態及び他の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、すなわち、データ処理装置により実行するために、又はデータ処理装置の操作を制御するために、コンピュータ可読媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム命令のうちの1つ以上のモジュールとして実装され得る。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝播シグナルに影響を与える物質の組成物、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0067】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても既知である)は、蓄積された言語又は解釈された言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述され得、それは、スタンドアロンプログラムとして、若しくはモジュール、構成要素、サブルーチン、又はコンピューティング環境において使用に好適な他のユニットを含む任意の形式で展開され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステムにおけるファイルに対応するものではない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータ(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部に、問題のプログラム専用の単一のファイルに、又は複数のコーディネートされたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を記憶するファイル)に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのサイトに位置するか、又は複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続される1つのコンピュータ又は複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0068】
更なる態様では、記載されるように、コンピュータ実装方法を実行するためのシステムは、プロセッサ、記憶構成要素(すなわち、メモリ)、表示構成要素、及び汎用コンピュータに典型的に存在する他の構成要素を含み得る。記憶構成要素は、プロセッサによって実行され得る命令と、プロセッサによって取り出され得る、操作され得る、又は記憶され得るデータとを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶する。
【0069】
記憶構成要素は、命令を含む。例えば、記憶構成要素は、本明細書に記載されるように、配列決定デバイスのためのユーザインターフェースを提供するための命令、配列決定デバイスを操作するための命令、及びインサイチュ配列決定撮像データを処理するための命令を含み得る。コンピュータプロセッサは、本明細書に記載されるように、インサイチュ配列決定撮像データを受信し、1つ以上のアルゴリズムに従ってデータを分析するために、記憶構成要素に連結され、記憶構成要素に記憶された命令を実行するように構成される。表示構成要素は、情報を表示し、ユーザインターフェースを提供する。
【0070】
記憶構成要素は、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、CD-ROM、USBフラッシュドライブ、書き込み可能メモリ、及び読み取り専用メモリなどの、プロセッサによってアクセス可能な情報を記憶することができる任意のタイプのものであり得る。プロセッサは、Intel Corporationからのプロセッサなどの任意の周知のプロセッサであり得る。代替的に、プロセッサは、ASICなどの専用コントローラであり得る。
【0071】
ある特定の実施形態では、インサイチュ配列決定撮像データは、クラウドデータ記憶システムにアップロードされ、記憶される。いくつかの実施形態では、クラウドデータ記憶システムは、パブリッククラウド記憶システムである。他の実施形態では、クラウドデータ記憶システムは、プライベートクラウド記憶システムである。クラウドデータ記憶は、生画像、中間処理ファイル、及び最終データ製品を記憶するために使用され得る。処理は、データ取得システムによってクラウド記憶にデータセットをアップロードすることにより始まり得る。エンコードスキーム、コードブック、画像取得パラメータ、及び試料メタデータなどの構成パラメータは、データ管理ウェブインターフェースを使用してユーザによって入力され得るか、又は配列決定データとともにクラウド記憶にアップロードされた構成ファイルから自動的に生成され得る。構成パラメータの各セットは、クラウドデータベースに記憶される。ある場合には、異なる構成パラメータを使用する複数の処理実行が単一のデータセットに適用され、処理パラメータを最適化し得る。
【0072】
命令は、プロセッサによって直接的に(マシンコードなど)、又は間接的に(スクリプトなど)実行される命令の任意のセットであり得る。その点において、「命令」、「ステップ」、及び「プログラム」という用語は、本明細書では互換的に使用され得る。命令は、プロセッサによる直接処理のためのオブジェクトコード形式で、又はオンデマンドで解釈されるか、若しくは事前に蓄積される独立ソースコードモジュールのスクリプト若しくはコレクションを含む任意の他のコンピュータ言語で記憶され得る。
【0073】
データは、命令に従ってプロセッサによって取り出され、記憶され、又は修正され得る。例えば、システムは、任意の特定のデータ構造によって制限されないが、データは、複数の異なるフィールド及びレコード、XMLドキュメント、又はフラットファイルを有するテーブルとして、コンピュータレジスタ、関係データベースに記憶され得る。データは、また、限定されないが、バイナリ値、ASCII、又はUnicodeなどの、任意のコンピュータ可読フォーマットでフォーマットされ得る。更に、データは、数字、記述テキスト、独自コード、ポインタ、他のメモリ(他のネットワーク位置を含む)に記憶されたデータへの参照、又は関連データを計算するために関数によって使用される情報など、関連情報を識別するために十分な任意の情報を含み得る。
【0074】
ある特定の実施形態では、プロセッサ及び記憶構成要素は、同じ物理ハウジング内に記憶されてもよく、又は記憶されなくてもよい複数のプロセッサ及び記憶構成要素を備え得る。例えば、命令及びデータのいくつかは、リムーバブルCD-ROM上に、及び読み取り専用コンピュータチップ内の他のものに記憶され得る。命令及びデータの一部又は全ては、プロセッサから物理的に離れているが、依然としてプロセッサによってアクセス可能な位置に記憶され得る。同様に、プロセッサは、並列して操作され得るか、又は操作され得ないプロセッサのコレクションを備え得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、本方法は、クラウドコンピューティングシステムを使用して実行され得る。いくつかの実施形態では、撮像データを処理するための画像データファイル及びプログラミングは、プログラムを実行し、出力をユーザに返すクラウドコンピュータにエクスポートされ得る。本方法は、データサイズを低減させ、転送速度を増加させるために、転送前の撮像データの任意選択的な圧縮を含み得る。データ取得プロセス中、取得された画像は、光学仕様、ステージ位置、及び配列決定情報を詳述するメタデータファイル、撮像取得から別個のプロセスとしての撮像データの任意選択的な圧縮、並びに取得からリモートクラウド記憶媒体、ネットワーク接続された記憶システム、又は別個の大規模ファイルシステムへのデータの任意選択的なオフロードと連結される。
【0076】
本明細書に開示される方法を実行するためのシステムの構成要素は、以下の実施例に更に記載される。
【0077】
インサイチュ遺伝子配列決定
本明細書に開示される配列決定デバイスは、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のために使用され得る。インサイチュ配列決定は、(a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることであって、一対のプライマーが、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々が、第1の相補性領域、第2の相補性領域配列、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、バーコード配列を更に含み、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、標的核酸の第2の部分に相補的であり、標的核酸の第1の部分が、標的核酸の第2の部分に隣接している、接触させることと、(b)リガーゼを添加して、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成することと、(c)核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行することであって、第2のオリゴヌクレオチドを鋳型として、そして第1のオリゴヌクレオチドをポリメラーゼのためのプライマーとして使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む、実行することと、(d)1つ以上のアンプリコンをヒドロゲルサブユニットの存在下で埋め込んで、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを形成することと、(e)ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一組の配列決定プライマーと接触させることであって、一組の配列決定プライマーが、塩基を解読するように構成された第3のオリゴヌクレオチド及び解読された塩基をシグナルに変換するように構成された第4のオリゴヌクレオチドを含み、ライゲーションが、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンの隣接する配列に相補的であるときにのみ生じる、接触させることと、(f)ステップ(e)を何度も繰り返すことと、(g)本明細書に記載される配列決定デバイスを使用して1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを撮像して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列をインサイチュで決定することとを含む、方法によって実行され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、インサイチュ配列決定は、動的アニーリング及びライゲーションによる誤差補正を伴う配列決定(SEDAL)を使用して実行され、標的核酸の配列が決定される。SEDAL法は、ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを一対のプライマーと接触させることを含み、一対のプライマーは、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドを含み、ライゲーションは、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの両方が同じアンプリコンにライゲーションするときにのみ生じる。いくつかの実施形態では、SEDALは、STARmapとともに使用される。かかる実施形態では、本明細書における方法は、低バックグラウンドノイズ及び誤差低減を伴う組織形態の最良の保存のために室温で操作することを含む。そのような他の実施形態では、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることは、配列決定が進むにつれてエラーの蓄積を排除することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることは、限定されないが、例えば、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、又は7回以上を含む、2回以上生じる。ある特定の実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、薄い組織標本については4回以上生じる。他の実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、厚い組織標本については6回以上生じる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアンプリコンを、24時間以上、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で一対のプライマーに接触させ得る。
【0080】
本方法を使用して調製された標本は、いくつかの異なるタイプの顕微鏡法、例えば、光学顕微鏡法(例えば、明視野、傾斜照明、暗視野、位相コントラスト、微分干渉コントラスト、干渉反射、エピ蛍光、共焦点などの顕微鏡法)、レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、及び走査プローブ顕微鏡法のいずれかによって分析することができる。いくつかの態様では、非一過性コンピュータ可読媒体は、インサイチュ配列決定の多数ラウンドの顕微鏡法を通じて取得された生の画像を、まず解読された遺伝子同一性及び空間的位置に転換し、次いで、遺伝子発現の1細胞当たりの組成を分析する。
【0081】
SEDALオリゴヌクレオチドプライマー
いくつかの実施形態では、開示される方法は、第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドを含む。ある特定の態様では、第3のオリゴヌクレオチドは、塩基を解読するように構成され、第4のオリゴヌクレオチドは、解読された塩基をシグナルに変換するように構成される。いくつかの態様では、シグナルは、蛍光信号である。例示的な態様では、ライゲーションを可能にする条件下で、バーコード配列を有する1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンを一対のプライマーと接触させることは、完璧な一致が生じた場合にのみ、画像化のための安定した産物を形成するように第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの各々のライゲーションを含む。ある特定の態様では、リガーゼ酵素の不一致感受性を使用して、標的核酸分子の基礎となる配列を決定する。
【0082】
「完全に一致した」という用語は、二本鎖に関して使用される場合、二本鎖を構成するポリヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド鎖が、各鎖における全てのヌクレオチドが他方の鎖におけるヌクレオチドとワトソン-クリック塩基対合を受けるように、互いに二本鎖構造を形成することを意味する。「二本鎖」という用語には、これらに限定されないが、デオキシイノシンなどのヌクレオシド類似体、2-アミノプリン塩基を有するヌクレオシド、ペプチド核酸(PNA)などの対合が含まれ、それらが用いられ得る。2つのオリゴヌクレオチド間の二本鎖における「不一致」は、二本鎖における一対のヌクレオチドがワトソン-クリック結合を受けることができないことを意味する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本方法は、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、5つ以上の第3のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含むが、これらに限定されない、複数の第3のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第3のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第3のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、5個以上の第4のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含む、複数の第4のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第4のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第4のオリゴヌクレオチドを含む。複数のオリゴヌクレオチド対を反応に使用することができ、1つ以上の対が各標的核酸に特異的に結合する。例えば、感受性を改善し、可変性を低減するために、2つのプライマー対を1つの標的核酸に対して使用することができる。また、細胞内の複数の異なる標的核酸を検出すること、例えば、最大2つ、最大3つ、最大4つ、最大5つ、最大6つ、最大7つ、最大8つ、最大9つ、最大10個、最大12個、最大15個、最大18個、最大20個、最大25個、最大30個、最大40個又はそれ以上の異なる標的核酸を検出することも目的である。
【0084】
ある特定の実施形態では、SEDALは、塩基不一致、第3のオリゴヌクレオチド、及び第4のオリゴヌクレオチドによって妨げられる活性を有するリガーゼを伴う。この文脈における「妨げられる」という用語は、約20%以上、25%以上など、50%以上など、75%以上など、90%以上など、95%以上など、99%以上など、100%など低減されるリガーゼの活性を指す。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、5~13個のヌクレオチド、5~10個のヌクレオチド、又は5~8つのヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、5~15個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドのTは、室温(22~25℃)である。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、変性しているか、又は部分的に変性している。いくつかの実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドは、5~13個のヌクレオチド、5~10個のヌクレオチド、又は5~8つのヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、5~15個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドのTは、室温(22~25℃)である。塩基読み出しに対応するSEDALの各サイクル後、第4のオリゴヌクレオチドは剥離されてもよく、これにより、配列決定が進むにつれて誤差蓄積が排除される。かかる実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドは、ホルムアミドによって剥離される。
【0085】
いくつかの実施形態では、SEDALは、非結合オリゴヌクレオチドを除去するための第3のオリゴヌクレオチド及び第4のオリゴヌクレオチドの洗浄を伴い、その後、撮像のための蛍光産物を明らかにする。ある特定の例示的な実施形態では、検出可能な標識を使用して、1つ以上のヌクレオチド及び/又は本明細書に記載のオリゴヌクレオチドを検出し得る。ある特定の実施形態では、検出可能な標識を使用して、1つ以上のアンプリコンを検出し得る。検出可能なマーカーの例としては、様々な放射性部分、酵素、補綴基、蛍光マーカー、発光マーカー、生物発光マーカー、金属粒子、タンパク質-タンパク質結合対、タンパク質-抗体結合対などが挙げられる。蛍光タンパク質の例には、黄色蛍光タンパク質(YFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、塩化ダンシル、フィコエリトリンなどが含まれるが、これらに限定されない。生物発光マーカーの例としては、ルシフェラーゼ(例えば、細菌、ホタル、コメツキムシなど)、ルシフェリン、エクオリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。視覚的に検出可能なシグナルを有する酵素系の例としては、これら限定されないが、ガラクトシダーゼ、グルコリミダーゼ、ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、コリンエステラーゼなどが挙げられる。識別可能なマーカーには、125I、35S、14C、又はHなどの放射性化合物も含まれる。識別可能なマーカーは、様々な供給源から市販されている。
【0086】
蛍光標識、並びにヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドへのそれらの結合は、Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、第9版(Molecular Probes,Inc.、Eugene、2002)、Keller及びManak、DNA Probes、第2版(Stockton Press、New York、1993)、Eckstein、編集者、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press、オックスフォード、1991)、並びにWetmur、Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology,26:227-259(1991)を含む多くの報告に記載される。本発明に適用可能な特定の方法論は、米国特許第4,757,141号、同第5,151,507号、及び同第5,091,519号の参考文献の例に開示されている。一態様では、1つ以上の蛍光色素は、標識された標的配列のための標識として使用され、例えば、米国特許第5,188,934号(4,7-ジクロロフルオレセイン色素)、米国特許第5,366,860号(スペクトル分解性ローダミン色素)、米国特許第5,847,162号(4,7-ジクロロローダミン色素)、米国特許第4,318,846号(エーテル置換されたフルオレセイン色素)、米国特許第5,800,996号(エネルギー伝達色素)、Leeら、米国特許第5,066,580号(キサンチン染料)、米国特許第5,688,648号(エネルギー伝達染料)などによって開示されている。標識付けは、米国特許第6,322,901号、同第6,576,291号、同第6,423,551号、同第6,251,303号、同第6,319,426号、同第6,426,513号、同第6,444,143号、同第5,990,479号、同第6,207,392号、同第2002/0045045号、及び同第2003/0017264号の特許及び特許刊行物に開示されるように、量子ドットで行うことができる。本明細書で使用される場合、「蛍光標識」という用語は、1つ以上の分子の蛍光吸収及び/又は発光特性を通して情報を伝達するシグナル伝達部分を含む。そのような蛍光特性には、蛍光強度、蛍光寿命、発光スペクトル特性、エネルギー伝達などが含まれる。
【0087】
ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列に容易に組み込まれる市販の蛍光ヌクレオチド類似体には、Cy3-dCTP、Cy3-dUTP、Cy5-dCTP、Cy5-dUTP(Amersham Biosciences、Piscataway,N.J.)、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、TEXAS RED(商標)-5-dUTP、CASCADE BLUE(商標)-7-dUTP、BODIPY TMFL-14-dUTP、BODIPY TMR-14-dUTP、BODIPY TMTR-14-dUTP、RHODAMINE GREEN(商標)-5-dUTP、OREGON GREENR(商標)488-5-dUTP、TEXAS RED(商標)-12-dUTP、BODIPY(商標)630/650-14-dUTP、BODIPY(商標)650/665-14-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)488-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)532-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)568-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)594-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)546-14-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、TEXAS RED(商標)-5-UTP、mCherry、CASCADE BLUE(商標)-7-UTP、BODIPY(商標)FL-14-UTP、BODIPY TMR-14-UTP、BODIPY(商標)TR-14-UTP、RHODAMINE GREEN(商標)-5-UTP、ALEXA FLUOR(商標)488-5-UTP、LEXA FLUOR(商標)546-14-UTP(Molecular Probes,Inc.Eugene,Oreg.)などが含まれるが、これらに限定されない。他のフルオロフォアを有するヌクレオチドのカスタム合成のためのプロトコルが当該技術分野で既知である(Henegariu et al.(2000)Nature Biotechnol.18:345を参照されたい)。
【0088】
合成後の結合に利用可能な他のフルオロフォアには、ALEXA FLUOR(商標)350、ALEXA FLUOR(商標)532、ALEXA FLUOR(商標)546、ALEXA FLUOR(商標)568、ALEXA FLUOR(商標)594、ALEXA FLUOR(商標)647、BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、カスケードブルー、カスケードイエロー、ダンシル、リサミンローダミンB、マリナブルー、Oregon Green488、Oregon Green514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes,Inc.、Eugene,Oreg.から入手可能)、Cy2、Cy3.5、Cy5.5、Cy7(Amersham Biosciences、Piscataway,N.J.)などが含まれるが、これらに限定されない。FRET直列フルオロフォアも使用することができ、PerCP-Cy5.5、PE-Cy5、PE-Cy5.5、PE-Cy7、PE-テキサスレッド、APC-Cy7、PE-アレクサ色素(610、647、680)、APC-アレクサ色素などが含まれるがこれらに限定されない。
【0089】
金属銀又は金粒子を使用して、蛍光標識されたヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列からのシグナルを増強し得る(Lakowicz et al.(2003)Bio Techniques 34:62)。
【0090】
ビオチン又はその誘導体は、また、ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列上の標識として使用され得、その後、検出可能に標識されたアビジン/ストレプトアビジン誘導体(例えば、フィコエリトリンコンジュゲートストレプトアビジン)、又は検出可能に標識された抗ビオチン抗体によって結合され得る。ジゴキシゲニンは、標識として組み込まれ得、その後、検出可能に標識された抗ジゴキシゲニン抗体(例えば、フルオレセイン化抗ジゴキシゲニン)によって結合され得る。アミノアリル-dUTP残基は、オリゴヌクレオチド配列に組み込まれ得、続いてN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)誘導体化蛍光色素に結合し得る。概して、検出可能に標識されたコンジュゲートパートナーが検出を可能にするように結合され得ることを条件に、コンジュゲート対の任意のメンバーを検出オリゴヌクレオチドに組み込め得る。本明細書で使用される場合、抗体という用語は、任意の部類の抗体分子、又はFabなどのその任意のサブ断片を指す。
【0091】
オリゴヌクレオチド配列のための他の好適な標識は、フルオレセイン(FAM)、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、ダンシル、ビオチン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、ヘキサヒスチジン(6×His)、リン光体アミノ酸(例えば、P-tyr、P-ser、P-thr)などを含み得る。一実施形態では、以下のハプテン/抗体対を検出に使用し、抗体の各々は、検出可能な標識、ビオチン/α-ビオチン、ジゴキシゲニン/α-ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)/α-DNP、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)/α-FAMで誘導体化される。
【0092】
ある特定の例示的な実施形態では、ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列は、例えば、米国特許第5,344,757号、同第5,702,888号、同第5,354,657号、同第5,198,537号及び同第4,849,336号、PCT公開第91/17160号などに開示されるように、特に次いで捕捉剤によって結合されるハプテンで間接的に標識化され得る。多くの異なるハプテン捕捉剤対が使用可能である。例示的なハプテンには、ビオチン、デスビオチン及び他の誘導体、ジニトロフェノール、ダンシル、フルオレセイン、CY5、ジゴキシゲニンなどが含まれるが、これらに限定されない。ビオチンの場合、捕捉剤は、アビジン、ストレプトアビジン、又は抗体であり得る。抗体は、他のハプテンに対する捕捉剤として使用することができる(多くの色素-抗体対は、市販されている、例えば、Molecular Probes、Eugene,Oreg.)。
【0093】
いくつかの実施形態では、インサイチュ配列決定は、標的核酸の配列を決定するために、競合的アニーリング及びライゲーション(SCAL)による配列決定を使用して実行され、本方法は、1つ以上の配列決定サイクルを実行することを含み、各サイクルは、(a)標的核酸を、読み取りオリゴヌクレオチド及び一組の蛍光標識された解読プローブと接触させることであって、読み取りオリゴヌクレオチドが、標的核酸上の読み取り配列に相補的である第1の相補性領域を含み、各解読プローブが、標的核酸上のプローブ結合部位に相補的である第2の相補性領域を含む、接触させることと、(b)読み取りオリゴヌクレオチドを、一組の蛍光標識された解読プローブの解読プローブのうちの1つにライゲーションして、蛍光ライゲーション産物を生成することであって、ライゲーションが、読み取りオリゴヌクレオチド及び解読プローブが標的核酸上の隣接する配列に結合し、読み取りオリゴヌクレオチド及び解読プローブの両方が標的核酸の配列に正確に相補的である配列を有する場合にのみ生じる、生成することと、(c)非ライゲーションプローブを除去することと、(d)蛍光ライゲーション産物を撮像して、読み取りオリゴヌクレオチドにライゲーションされた解読プローブの蛍光標識を検出することであって、蛍光標識が、標的核酸の配列のヌクレオチドを特定する、検出することと、(e)競合物オリゴヌクレオチドを標的核酸に結合させることによって標的核酸から蛍光ライゲーション産物を除去することであって、競合物オリゴヌクレオチドが、標的核酸上の読み取り配列に相補的である配列を含む第3の相補性領域を含み、蛍光ライゲーション産物が、標的核酸から解離する、除去することとを含む。
【0094】
例示的な態様では、ライゲーションは、完璧な一致が生じる場合にのみ、撮像のための安定した産物を形成するように、読み取りオリゴヌクレオチド及び蛍光標識された解読プローブの各々のライゲーションを伴う。ある特定の態様では、リガーゼ酵素の不一致感受性を使用して、標的核酸分子の基礎となる配列を決定する。配列決定ライゲーション混合物中にポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含めることは、標的核酸へのシグナル付加を実質的に加速させる。例示的なPEGポリマーは、300g/mol~10,000,000g/molの範囲の分子量を有する。いくつかの実施形態では、PEG6000ポリマーは、読み取りオリゴヌクレオチド及び蛍光標識された解読プローブのライゲーション中に存在する。
【0095】
ある特定の実施形態では、一組の蛍光標識された解読プローブは、グアニンをエンコードする第1のプローブであって、第1のプローブが、第1の蛍光標識を含む、第1のプローブと、アデニンをエンコードする第2のプローブであって、第2のプローブが、第2の蛍光標識を含む、第2のプローブと、シトシンをエンコードする第3のプローブであって、第3のプローブが、第3の蛍光標識を含む、第3のプローブと、チミンをエンコードする第4のプローブであって、第4のプローブが、第4の蛍光標識を含む、第4のプローブとを含む。
【0096】
ある特定の実施形態では、各蛍光標識された解読プローブは、読み取りオリゴヌクレオチドが蛍光標識された解読プローブにライゲーションされるライゲーション接合部に隣接する1~3つの塩基をエンコードし、塩基の異なる配列をエンコードする蛍光標識された解読プローブは、異なる蛍光標識を含む。
【0097】
ある特定の実施形態では、配列決定の現在のサイクルについての蛍光標識された解読プローブの配列は、他の配列決定サイクルについての蛍光標識された解読プローブとの交差ハイブリダイゼーションを最小限に抑えるように最適化される。
【0098】
ある特定の実施形態では、読み取りオリゴヌクレオチドは、8~11個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、8つ、9つ、10個、又は11個のヌクレオチドの長さを含む。いくつかの実施形態では、読み取りオリゴヌクレオチドは、17℃~20℃の範囲の融解温度を有し、この範囲内の任意の融解温度、例えば、17℃、18℃、19℃、又は20℃を含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドは、プローブ結合部位の少なくとも一部に相補的である配列を含む第4の相補性領域を更に含む。いくつかの実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドの第4の相補性領域は、標的核酸上のプローブ結合部位全体に完全に相補的である配列を含む。ある特定の実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドは、標的核酸上の読み取り配列に隣接する競合物特異的相補的部位に相補的である配列を含む第5の相補性領域を更に含む。いくつかの実施形態では、競合物特異的相補的部位は、2つのヌクレオチド~16個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は16個のヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、初期配列決定サイクルの後の配列決定サイクルについては、以前の配列決定のサイクルで使用される競合物オリゴヌクレオチドは、1つ以上のその後の配列決定のサイクル中に存在する。
【0100】
ある特定の実施形態では、読み取りオリゴヌクレオチドは、競合物特異的相補的配列を更に含む。いくつかの実施形態では、読み取りオリゴヌクレオチドの競合物特異的相補的配列は、2つのヌクレオチド~16個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は16個のヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、配列決定の現在のサイクルについての読み取りオリゴヌクレオチドの配列は、他の配列決定サイクルについての読み取りオリゴヌクレオチドとの交差ハイブリダイゼーションを最小限に抑えるように最適化される。
【0101】
ある特定の実施形態では、複数の読み取りオリゴヌクレオチド、数組の蛍光標識された解読プローブ、及び異なる標的核酸に対する特異性を有する競合物オリゴヌクレオチドは、複数の異なる標的核酸を同時に又は連続して配列決定するために使用される。
【0102】
ある特定の実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドは、配列決定サイクルのステップ(a)又は(b)を現在受けている標的核酸とは異なる標的核酸からの、以前の配列決定のラウンドからのライゲーション産物を除去する。ある特定の実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドは、配列決定サイクルのステップ(a)又は(b)を現在受けている同じ標的核酸からの、以前の配列決定のラウンドからのライゲーション産物を除去する。ある特定の実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドは、次の配列決定のサイクルのための読み取り配列に相補的である配列を含む第4の相補性領域を含むラウンド特異的競合物オリゴヌクレオチドである。
【0103】
配列決定読み取りは、5’から3’の前方方向、又は3’から5’の逆方向にあってもよい。前方方向における配列決定読み取りのために、各蛍光標識された解読プローブは、5’末端にフルオロフォア修飾を有し、各読み取りオリゴヌクレオチドは、5’末端にホスフェートを有する。逆方向における配列決定読み取りのために、各蛍光標識された解読プローブは、5’末端にホスフェートを有し、3’末端にフルオロフォア修飾を有する。
【0104】
ある特定の実施形態では、配列決定は、連続的エンコードを用いて実行される。いくつかの実施形態では、各読み取りオリゴヌクレオチドは、配列決定の各サイクルについて、独自の連続的直交読み出し配列及び独自の隣接する競合物特異的相補的配列を含む。いくつかの実施形態では、独自の連続的直交読み出し配列は、8つのヌクレオチド~11個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、8つ、9つ、10個、又は11個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、独自の隣接する競合物特異的相補的配列は、2つのヌクレオチド~16個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は16個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、各競合物オリゴヌクレオチドは、配列決定の各サイクルについて、読み取りオリゴヌクレオチドの独自の連続的直交読み出し配列及び独自の隣接する競合物特異的相補的配列、並びに蛍光標識された解読プローブの配列の少なくとも一部に相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、競合物オリゴヌクレオチドの配列は、蛍光標識された解読プローブの配列に部分的な相補性又は完全な相補性を有する。
【0105】
ある特定の実施形態では、配列決定は、組み合わせエンコードを用いて実行される。いくつかの実施形態では、複数の読み取りオリゴヌクレオチドが配列決定に使用され、各読み取りオリゴヌクレオチドは、標的核酸上の別個の組み合わせ読み取り位置での読み取り配列に相補的である組み合わせ読み出し配列を含む第1の相補性領域を含み、標的核酸上の各別個の位置での読み取り配列は、プローブ結合部位に隣接している。いくつかの実施形態では、各読み取りオリゴヌクレオチドは、読み取り配列に隣接する競合物特異的相補的配列を更に含む。いくつかの実施形態では、競合物特異的相補的配列は、蛍光標識された解読プローブに相補的ではない。いくつかの実施形態では、読み取り配列は、8つのヌクレオチド~11個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、8つ、9つ、10個、又は11個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、競合物特異的相補的配列は、2つのヌクレオチド~16個のヌクレオチドの長さの範囲であり、この範囲内の任意の長さ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、11個、12個、13個、14個、15個、又は16個のヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、各別個の組み合わせ読み取り位置について、競合物オリゴヌクレオチドは、配列決定の各サイクルについて、読み取りオリゴヌクレオチドの組み合わせ読み出し配列及び競合物特異的相補的配列、並びに蛍光標識された解読プローブの配列の少なくとも一部に相補的である配列を含む。いくつかの実施形態では、組み合わせエンコードは、ハミングコードを使用する。
【0106】
本明細書に記載される配列決定方法は、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のために使用され得る。いくつかの実施形態では、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定の方法は、(a)特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることであって、一対のプライマーが、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々が、第1の相補性領域、第2の相補性領域配列、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドが、バーコード配列を更に含み、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域が、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域が、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域が、標的核酸の第2の部分に相補的であり、標的核酸の第1の部分が、標的核酸の第2の部分に隣接している、接触させることと、(b)リガーゼを添加して、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成することと、(c)核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行することであって、第2のオリゴヌクレオチドを鋳型として、そして第1のオリゴヌクレオチドをポリメラーゼのためのプライマーとして使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む、実行することと、(d)1つ以上のアンプリコンをヒドロゲルサブユニットの存在下で埋め込んで、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを形成することと、(e)本明細書に記載される方法に従って、1つ以上のアンプリコンを配列決定することとを含む。ある特定の実施形態では、配列決定は、連続的エンコードを用いて実行される。他の実施形態では、配列決定は、組み合わせエンコードを用いて実行される。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることは、限定されないが、例えば、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、若しくは7回以上、8回以上、9回以上、10回以上、11回以上、又は12回以上を含む、2回以上生じる。ある特定の実施形態では、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを接触させることは、薄い組織標本については4回以上生じる。他の実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、厚い組織標本については6回以上生じる。いくつかの実施形態では、1つ以上のアンプリコンを、24時間以上、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で一対のプライマーに接触させ得る。いくつかの実施形態では、13回以上のサイクル、14回以上のサイクル、15回以上のサイクル、16回以上のサイクル、17回以上のサイクル、又は18回以上のサイクルの配列決定を含む、12回以上のサイクルの配列決定が実行される。いくつかの実施形態では、本方法は、組織形態の保存のために室温で実行され、低いバックグラウンドノイズ及び誤差低減を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンの接触は、配列決定が進むにつれて誤差の蓄積を排除することを含む。
【0108】
本方法を使用して調製された標本は、いくつかの異なるタイプの顕微鏡法、例えば、光学顕微鏡法(例えば、明視野、傾斜照明、暗視野、位相コントラスト、微分干渉コントラスト、干渉反射、エピ蛍光、共焦点などの顕微鏡法)、レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法、及び走査プローブ顕微鏡法のいずれかによって分析することができる。いくつかの態様では、非一過性コンピュータ可読媒体は、インサイチュ配列決定の多数ラウンドの顕微鏡法を通じて取得された生の画像を、まず解読された遺伝子同一性及び空間的位置に転換し、次いで、遺伝子発現の1細胞当たりの組成を分析する。
【0109】
「完全に一致した」という用語は、二本鎖に関して使用される場合、二本鎖を構成するポリヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド鎖が、各鎖における全てのヌクレオチドが他方の鎖におけるヌクレオチドとワトソン-クリック塩基対合を受けるように、互いに二本鎖構造を形成することを意味する。「二本鎖」という用語には、これらに限定されないが、デオキシイノシンなどのヌクレオシド類似体、2-アミノプリン塩基を有するヌクレオシド、ペプチド核酸(PNA)などの対合が含まれ、それらが用いられ得る。2つのオリゴヌクレオチド間の二本鎖における「不一致」は、二本鎖における一対のヌクレオチドがワトソン-クリック結合を受けることができないことを意味する。
【0110】
いくつかの実施形態では、本方法は、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、5つ以上の読み取りオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含むが、これらに限定されない、複数の読み取りオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の読み取りオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる読み取りオリゴヌクレオチドを含むが、これらに限定されない、複数の読み取りオリゴヌクレオチドを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、本方法は、4つ以上の蛍光標識された解読プローブ、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、16個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含むが、これらに限定されない、複数の蛍光標識された解読プローブを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の蛍光標識された解読プローブ、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる蛍光標識された解読プローブを含むが、これらに限定されない、複数の蛍光標識された解読プローブを含む。
【0112】
複数の対のオリゴヌクレオチドプライマーを反応に使用することができ、1つ以上の対が各標的核酸に特異的に結合する。例えば、感受性を改善し、可変性を低減するために、2つのプライマー対を1つの標的核酸に対して使用することができる。また、細胞内の複数の異なる標的核酸を検出すること、例えば、最大2つ、最大3つ、最大4つ、最大5つ、最大6つ、最大7つ、最大8つ、最大9つ、最大10個、最大12個、最大15個、最大18個、最大20個、最大25個、最大30個、最大40個又はそれ以上の異なる標的核酸を検出することも目的である。
【0113】
ある特定の実施形態では、配列決定は、塩基不一致、読み取りオリゴヌクレオチド、及び蛍光標識された解読プローブによって妨げられる活性を有するリガーゼによって実行される。この文脈における「妨げられる」という用語は、およそ20%以上、25%以上など、50%以上など、75%以上など、90%以上など、95%以上など、99%以上など、100%など低減されるリガーゼの活性を指す。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドは、5~13個のヌクレオチド、5~10個のヌクレオチド、又は5~8つのヌクレオチドを含むがこれらに限定されない、5~15個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第3のオリゴヌクレオチドのTは、室温(22~25℃)である。いくつかの実施形態では、読み取りオリゴヌクレオチドは、変性しているか、又は部分的に変性している。いくつかの実施形態では、蛍光標識された解読プローブオリゴヌクレオチドは、5~13個のヌクレオチド、5~10個のヌクレオチド、又は5~8つのヌクレオチドを含むが、これらに限定されない、5~15個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第4のオリゴヌクレオチドのTは、室温(22°~25℃)である。塩基読み出しに対応する配列決定の各サイクル後、蛍光ライゲーション産物は、競合物オリゴヌクレオチドを標的核酸に結合させることによって標的核酸から除去され、競合物オリゴヌクレオチドは、標的核酸上の読み取り配列に相補的である配列を含む第3の相補性領域を含み、蛍光ライゲーション産物は、標的核酸から解離する。
【0114】
いくつかの実施形態では、配列決定は、非結合オリゴヌクレオチド及び非ライゲーションプローブを除去するための洗浄を伴い、その後、撮像のための蛍光産物を明らかにする。ある特定の例示的な実施形態では、検出可能な蛍光標識を使用して、本明細書に記載される1つ以上のヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドを検出し得る。ある特定の実施形態では、蛍光タンパク質、蛍光色素、又は蛍光量子ドットなどの検出可能な蛍光標識を使用して、プローブを標識する。
【0115】
蛍光標識、並びにヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドへのそれらの結合は、Haugland、Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、第9版(Molecular Probes,Inc.、Eugene、2002)、Keller及びManak、DNA Probes、第2版(Stockton Press、New York、1993)、Eckstein、編集者、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach(IRL Press、オックスフォード、1991)、並びにWetmur、Critical Reviews in Biochemistry and Molecular Biology,26:227-259(1991)を含む多くの報告に記載される。本発明に適用可能な特定の方法論は、米国特許第4,757,141号、同第5,151,507号、及び同第5,091,519号の参考文献の例に開示されている。一態様では、1つ以上の蛍光色素は、標識された標的配列のための標識として使用され、例えば、米国特許第5,188,934号(4,7-ジクロロフルオレセイン色素)、米国特許第5,366,860号(スペクトル分解性ローダミン色素)、米国特許第5,847,162号(4,7-ジクロロローダミン色素)、米国特許第4,318,846号(エーテル置換されたフルオレセイン色素)、米国特許第5,800,996号(エネルギー伝達色素)、Leeら、米国特許第5,066,580号(キサンチン染料)、米国特許第5,688,648号(エネルギー伝達染料)などによって開示されている。標識付けは、米国特許第6,322,901号、同第6,576,291号、同第6,423,551号、同第6,251,303号、同第6,319,426号、同第6,426,513号、同第6,444,143号、同第5,990,479号、同第6,207,392号、同第2002/0045045号、及び同第2003/0017264号の特許及び特許刊行物に開示されるように、量子ドットで行うことができる。本明細書で使用される場合、「蛍光標識」という用語は、1つ以上の分子の蛍光吸収及び/又は発光特性を通して情報を伝達するシグナル伝達部分を含む。そのような蛍光特性には、蛍光強度、蛍光寿命、発光スペクトル特性、エネルギー伝達などが含まれる。
【0116】
ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列に容易に組み込まれる市販の蛍光ヌクレオチド類似体には、Cy3-dCTP、Cy3-dUTP、Cy5-dCTP、Cy5-dUTP(Amersham Biosciences、Piscataway,N.J.)、フルオレセイン-12-dUTP、テトラメチルローダミン-6-dUTP、TEXAS RED(商標)-5-dUTP、CASCADE BLUE(商標)-7-dUTP、BODIPY TMFL-14-dUTP、BODIPY TMR-14-dUTP、BODIPY TMTR-14-dUTP、RHODAMINE GREEN(商標)-5-dUTP、OREGON GREENR(商標)488-5-dUTP、TEXAS RED(商標)-12-dUTP、BODIPY(商標)630/650-14-dUTP、BODIPY(商標)650/665-14-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)488-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)532-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)568-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)594-5-dUTP、ALEXA FLUOR(商標)546-14-dUTP、フルオレセイン-12-UTP、テトラメチルローダミン-6-UTP、TEXAS RED(商標)-5-UTP、mCherry、CASCADE BLUE(商標)-7-UTP、BODIPY(商標)FL-14-UTP、BODIPY TMR-14-UTP、BODIPY(商標)TR-14-UTP、RHODAMINE GREEN(商標)-5-UTP、ALEXA FLUOR(商標)488-5-UTP、LEXA FLUOR(商標)546-14-UTP(Molecular Probes,Inc.Eugene,Oreg.)などが含まれるが、これらに限定されない。他のフルオロフォアを有するヌクレオチドのカスタム合成のためのプロトコルが当該技術分野で既知である(Henegariu et al.(2000)Nature Biotechnol.18:345を参照されたい)。
【0117】
合成後の結合に利用可能な他のフルオロフォアには、ALEXA FLUOR(商標)350、ALEXA FLUOR(商標)532、ALEXA FLUOR(商標)546、ALEXA FLUOR(商標)568、ALEXA FLUOR(商標)594、ALEXA FLUOR(商標)647、BODIPY 493/503、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY 530/550、BODIPY TMR、BODIPY 558/568、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、カスケードブルー、カスケードイエロー、ダンシル、リサミンローダミンB、マリナブルー、Oregon Green488、Oregon Green514、パシフィックブルー、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン、テキサスレッド(Molecular Probes,Inc.、Eugene,Oreg.から入手可能)、Cy2、Cy3.5、Cy5.5、Cy7(Amersham Biosciences、Piscataway,N.J.)などが含まれるが、これらに限定されない。FRET直列フルオロフォアも使用することができ、PerCP-Cy5.5、PE-Cy5、PE-Cy5.5、PE-Cy7、PE-テキサスレッド、APC-Cy7、PE-アレクサ色素(610、647、680)、APC-アレクサ色素などが含まれるがこれらに限定されない。
【0118】
蛍光タンパク質の例には、緑色蛍光タンパク質、スーパーフォルダ緑色蛍光タンパク質、増強緑色蛍光タンパク質、Dronpa(光スイッチング可能な緑色蛍光タンパク質)、黄色-緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、オレンジ色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、紫色蛍光タンパク質、mApple、mNectarine、mNeptune、mCherry、mStrawberry、mPlum、mRaspberry、mCrimson3、mCarmine、mCardinal、mScarlet、mRuby2、FusionRed、mNeonGreen、TagRFP675、及びmRFP1などが含まれるが、これらに限定されない。
【0119】
金属銀又は金粒子を使用して、蛍光標識されたヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列からのシグナルを増強し得る(Lakowicz et al.(2003)Bio Techniques 34:62)。
【0120】
ビオチン又はその誘導体は、また、ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列上の標識として使用され得、その後、検出可能に標識されたアビジン/ストレプトアビジン誘導体(例えば、フィコエリトリンコンジュゲートストレプトアビジン)、又は検出可能に標識された抗ビオチン抗体によって結合され得る。ジゴキシゲニンは、標識として組み込まれ得、その後、検出可能に標識された抗ジゴキシゲニン抗体(例えば、フルオレセイン化抗ジゴキシゲニン)によって結合され得る。アミノアリル-dUTP残基は、オリゴヌクレオチド配列に組み込まれ得、続いてN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)誘導体化蛍光色素に結合し得る。概して、検出可能に標識されたコンジュゲートパートナーが検出を可能にするように結合され得ることを条件に、コンジュゲート対の任意のメンバーを検出オリゴヌクレオチドに組み込め得る。本明細書で使用される場合、抗体という用語は、任意の部類の抗体分子、又はFabなどのその任意のサブ断片を指す。
【0121】
オリゴヌクレオチド配列のための他の好適な標識は、フルオレセイン(FAM)、ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)、ダンシル、ビオチン、ブロモデオキシウリジン(BrdU)、ヘキサヒスチジン(6×His)、リン光体アミノ酸(例えば、P-tyr、P-ser、P-thr)などを含み得る。一実施形態では、以下のハプテン/抗体対を検出に使用し、抗体の各々は、検出可能な標識、ビオチン/α-ビオチン、ジゴキシゲニン/α-ジゴキシゲニン、ジニトロフェノール(DNP)/α-DNP、5-カルボキシフルオレセイン(FAM)/α-FAMで誘導体化される。
【0122】
ある特定の例示的な実施形態では、ヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチド配列は、例えば、米国特許第5,344,757号、同第5,702,888号、同第5,354,657号、同第5,198,537号及び同第4,849,336号、PCT公開第91/17160号などに開示されるように、特に次いで捕捉剤によって結合されるハプテンで間接的に標識化され得る。多くの異なるハプテン捕捉剤対が使用可能である。例示的なハプテンには、ビオチン、デスビオチン及び他の誘導体、ジニトロフェノール、ダンシル、フルオレセイン、CY5、ジゴキシゲニンなどが含まれるが、これらに限定されない。ビオチンの場合、捕捉剤は、アビジン、ストレプトアビジン、又は抗体であり得る。抗体は、他のハプテンに対する捕捉剤として使用することができる(多くの色素-抗体対は、市販されている、例えば、Molecular Probes、Eugene,Oreg.)。
【0123】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤化合物は、蛍光撮像中の光退色を低減するために、洗浄及び撮像緩衝液(すなわち、「抗退色緩衝液」)中に含まれる。例示的な酸化防止剤には、トロロックス(6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸)及びトロロックス-キノン、没食子酸プロピル、ターシャリーブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、グルタチオン、アスコルビン酸、及びトコフェロールが含まれるが、これらに限定されない。かかる酸化防止剤は、フルオロフォアに対する抗退色効果を有する。すなわち、酸化防止剤は、タイリング中の光退色を低減させ、感受性フルオロフォアのシグナル対ノイズ比(SNR)を大幅に増強し、より厚い試料のより高いSNR撮像を可能にする。酸化防止剤を含む固定された曝露時間の場合は、光への曝露中に退色されていないフルオロフォアの濃度を増加させることにより、SNRを増加させる。酸化防止剤を含むことにより、より長い曝露時間(光退色前に限られたフルオロフォア寿命によって引き起こされる)のリターンの減少も除去され、曝露時間の増加を可能にすることによってSNRの増加が提供される。
【0124】
例示的な配列決定サイクルは、任意選択的に、第1のシグナル付加に進む前に、短時間の試料洗浄で開始する。連続的又は組み合わせエンコードが特定のラウンドに使用されているか否かに応じて、対応する一組の読み取りオリゴヌクレオチド、蛍光標識された解読プローブ、及びそれらのラウンド特異的競合物が添加され、ライゲーションされる。組み合わせエンコードでは、所与の位置xについての読み取りオリゴヌクレオチドが添加され、更に一組の蛍光標識された二塩基エンコードオリゴヌクレオチド、更に標識化された以前の位置についての競合物オリゴヌクレオチドが添加される(それが標識化の第1のラウンドである場合を除き、その場合には、競合物オリゴヌクレオチドは省略される)。連続的エンコードでは、所与のラウンドxについての読み取りオリゴヌクレオチド、4チャネルフルオロフォア混合物、及びラウンドx-1競合物オリゴヌクレオチドが、それが標識化の第1のラウンドである場合を除き、添加される。配列決定ライゲーション混合物中のPEGの存在は、標的へのシグナル付加を実質的に加速させる。撮像緩衝液中の試料のインキュベーション後、試料を撮像し、次の配列決定サイクルに進む前に短時間すすぐ。
【0125】
加えて、複数の配列決定サイクルが使用されるとき、プローブからのフルオロフォア切断又はプローブ剥離を使用して、1つのラウンドから次のラウンドへのシグナルキャリーオーバーを排除することができる。例えば、フルオロフォアは、ホルムアミドで剥離して除くことができる。代替的に、フルオロフォアとオリゴヌクレオチドプローブとの間にジスルフィド連結を有するチオール結合色素を使用することもでき、これにより、還元環境下でのオリゴヌクレオチドプローブからのフルオロフォアの切断が可能になる。ジスルフィド結合を切断するために使用され得る例示的なジスルフィド還元剤には、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、ジチオスレイトール(DTT)、及びb-メルカプトエタノール(BME)が含まれるが、これらに限定されない。配列決定ラウンド中の蛍光撮像後、剥離剤及び/又は還元剤を添加し、その後の洗浄ステップにより、別の配列決定のラウンドを実行する前に拡散性蛍光シグナルが除去される。
【0126】
本明細書に開示される方法は、また、本明細書に記載される方法を実行して、無傷組織における細胞における標的核酸の遺伝子配列を決定することによって、かつ標的核酸の遺伝子発現のレベルを検出することであって、候補薬剤の不在下での標的核酸の発現のレベルに対する、候補薬剤の存在下での標的核酸の発現のレベルの変化が、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節することを示す、検出することによって、候補薬剤をスクリーニングして、候補薬剤が無傷組織における細胞における核酸の遺伝子発現を調節するか否かを決定する方法を提供する。
【0127】
ある特定の態様では、本明細書に開示される方法は、既存の遺伝子発現分析ツールと比較して、より速い処理時間、より高い多重性、より高い効率、より高い感受性、より低い誤差率、及びより空間的に分解される細胞型を提供する。本方法は、誤差低減を伴うインサイチュ配列決定のための改善されたライゲーションによる配列決定技法(SCAL及びSEDAL2)を提供する。いくつかの他の態様では、本明細書に開示される方法は、単一の細胞及び/又は単一の分子感受性を有する生物医学研究及び臨床診断(例えば、がん、細菌感染、ウイルス感染など)のための空間的配列決定(例えば、試薬、チップ、又はサービス)を含む。
【0128】
分子内ライゲーションを介した核酸の特異的増幅(SNAIL)
SNAILと本明細書で称される分子内ライゲーションを介した核酸の特異的増幅のための、細胞RNAからインサイチュでcDNAライブラリを生成するための効率的なアプローチを利用してもよい。ある特定の実施形態では、本方法は、特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、固定され、透過化された無傷組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと接触させることを含み、一対のプライマーは、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含む。
【0129】
より一般的には、組織における目的の細胞において存在する核酸は、本明細書において第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドと称される、一対のプライマーを含む複合体のアセンブリのための足場として機能する。いくつかの実施形態では、固定化及び透過化された無傷の組織を接触させることは、一対のプライマーを同じ標的核酸にハイブリダイゼーションすることを含む。いくつかの実施形態では、標的核酸は、RNAである。かかる実施形態では、標的核酸は、mRNAであり得る。他の実施形態では、標的核酸は、DNAである。
【0130】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーションする」及び「ハイブリダイゼーション」という用語は、ワトソン-クリック塩基対合を介して複合体を形成するために十分に相補的であるヌクレオチド配列間の複合体の形成を指す。プライマーが標的(鋳型)と「ハイブリダイゼーションする」場合、かかる複合体(又はハイブリッド)は、DNA合成を開始するために、例えば、DNAポリメラーゼによって必要とされるプライミング機能を果たすために十分に安定している。ハイブリダイゼーションする配列は、安定したハイブリッドを提供するために完全な相補性を有する必要はないことが理解される。多くの場合では、4つ以上のヌクレオチドのループは無視して、塩基の約10%未満が不一致で、安定したハイブリッドが形成される。したがって、本明細書で使用される場合、「相補的」という用語は、概して約90%以上の相同性が存在するアッセイ条件下で、その「相補体」と安定な二本鎖を形成するオリゴヌクレオチドを指す。
【0131】
SNAILオリゴヌクレオチドプライマー
主題の方法では、SNAILオリゴヌクレオチドプライマーは、少なくとも第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドの各々は、第1の相補性領域、第2の相補性領域、及び第3の相補性領域を含み、第2のオリゴヌクレオチドは、バーコード配列を更に含み、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、標的核酸の第1の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、標的核酸の第2の部分に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域に隣接している。代替的な実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、閉じた環状分子であり、ライゲーションステップは省略される。
【0132】
本開示は、固定化及び透過化された組織の接触が、異なる標的核酸に対する特異性を有する複数のオリゴヌクレオチドプライマーをハイブリダイゼーションすることを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、5つ以上の第1のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含む、複数の第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第1のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第1のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、これらに限定されないが、5つ以上の第2のオリゴヌクレオチド、例えば、8つ以上、10個以上、12個以上、15個以上、18個以上、20個以上、25個以上、30個以上、35個以上を含む、複数の第2のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示の方法は、これらに限定されないが、15個以上、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる標的ヌクレオチド配列にハイブリダイゼーションする、15個以上の第2のオリゴヌクレオチド、例えば、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、60個以上、70個以上、及び最大80個の異なる第1のオリゴヌクレオチドを含む、複数の第2のオリゴヌクレオチドを含む。複数のオリゴヌクレオチド対を反応に使用することができ、1つ以上の対が各標的核酸に特異的に結合する。例えば、感受性を改善し、可変性を低減するために、2つのプライマー対を1つの標的核酸に対して使用することができる。また、細胞内の複数の異なる標的核酸を検出すること、例えば、最大2つ、最大3つ、最大4つ、最大5つ、最大6つ、最大7つ、最大8つ、最大9つ、最大10個、最大12個、最大15個、最大18個、最大20個、最大25個、最大30個、最大40個又はそれ以上の異なる標的核酸を検出することも目的である。プライマーは、典型的には、使用前に、典型的には、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、及び最大約99℃、最大約95℃、最大約90℃の温度まで加熱することによって変性される。
【0133】
いくつかの実施形態では、プライマーは、試料と接触する前に加熱することによって変性される。ある特定の態様では、オリゴヌクレオチドの融解温度(T)は、溶液中のライゲーションを最小限に抑えるように選択される。核酸の「融解温度」又は「T」は、加熱、又は、例えば、酸若しくはアルカリ処理などによる塩基対間の水素結合の他の解離に起因して、核酸の螺旋構造の半分が失われる温度として定義される。核酸分子のTは、その長さ及び塩基組成に依存する。GC塩基対に富む核酸分子は、AT塩基対が豊富なものよりも高いTを有する。分離された核酸の相補鎖は、温度がT未満に低下した場合に、自発的に再会合又はアニールして二本鎖核酸を形成する。核酸ハイブリダイゼーションの最高速度は、Tよりもおよそ25℃下で起こる。Tは、以下の関係を使用して推定し得る。T=69.3+0.41(GC)%(Marmur et al.(1962)J.Mol.Biol.5:109-118)。
【0134】
ある特定の実施形態では、複数の第2のオリゴヌクレオチドは、パドロック(padlock)プローブを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、測定及び定量化することができる検出可能な標識を含む。「標識」及び「検出可能な標識」という用語は、放射性同位体、蛍光剤、化学発光体、酵素、酵素基質、酵素補因子、酵素阻害剤、発色団、色素、金属イオン、金属ゾル、リガンド(例えば、ビオチン又はハプテン)などを含むが、これらに限定されない、検出することができる分子を指す。「蛍光剤」という用語は、検出可能な範囲内で蛍光を示すことができる物質又はその一部を指す。本発明とともに使用され得る標識の特定の例には、フィコエリトリン、アレクサ色素、フルオレセイン、YPet、CyPet、カスケードブルー、アロフィコシアニン、Cy3、Cy5、Cy7、ローダミン、ダンシル、ウンベリフェロン、テキサスレッド、ルミノール、アクラジマムエステル、ビオチン、緑色蛍光タンパク質(GFP)、増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、増強黄色蛍光タンパク質(EYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、ホタルルシフェラーゼ、レニラルシフェラーゼ、NADPH、ベータガラクトシダーゼ、ホースラジッシュペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、及びウレアーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
いくつかの実施形態では、1つ以上の第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドは、標的核酸又は標的部位の異なる領域に結合する。一対において、各標的部位は異なり、標的部位は、標的核酸上の隣接部位であり、例えば、通常、他の部位から15個のヌクレオチド以下の距離にあり、例えば、10個、8つ、6つ、4つ、又は2つのヌクレオチド以下の距離であり、連続部位であり得る。標的部位は、典型的には、同じ方向で標的核酸の同じ鎖上に存在する。標的部位もまた、細胞内に存在する他の核酸に対して独自の結合部位を提供するように選択される。各標的部位は、概して、約19~約25個のヌクレオチド長、例えば約19~23個のヌクレオチド、約19~21個のヌクレオチド、又は約19~20個のヌクレオチドである。第1及び第2のオリゴヌクレオチドの対は、対において各オリゴヌクレオチドが、その同族の標的部位に結合するための同様の融解温度を有するように選択され、例えば、Tは、約50℃から、約52℃から、約55℃から、約58℃から、約62℃から、約65℃から、約70℃から、又は約72℃からであり得る。標的部位のGC含有量は、概して、約20%以下、約30%以下、約40%以下、約50%以下、約60%以下、約70%以下であるように選択され得る。
【0136】
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドは、第1、第2、及び第3の相補性領域を含む。第1のオリゴヌクレオチドの標的部位は、第1の相補性領域を指し得る。上記に要約したように、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、19~25個のヌクレオチドの長さを有し得る。ある特定の態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む3~10個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、6つのヌクレオチドの長さを有する。いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、同様に、6つのヌクレオチドの長さを有する。かかる実施形態では、第1のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む3~10個のヌクレオチドの長さを有する。
【0137】
いくつかの実施形態では、第2の第1のオリゴヌクレオチドは、第1、第2及び第3の相補性領域を含む。第2のオリゴヌクレオチドの標的部位は、第2の相補性領域を指し得る。上記に要約したように、第2のオリゴヌクレオチドの第2の相補性領域は、19~25個のヌクレオチドの長さを有し得る。ある特定の態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む3~10個のヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様では、第1のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、6つのヌクレオチドの長さを有する。いくつかの態様では、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端を含む。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、同様に、6つのヌクレオチドの長さを有する。そのような実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、例えば、4~8つのヌクレオチド又は4~7つのヌクレオチドを含む、3~10個のヌクレオチドの長さを有する。更なる実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端を含む。いくつかの実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの第1の相補性領域は、第2のオリゴヌクレオチドの第3の相補性領域に隣接する。
【0138】
いくつかの態様では、第2のオリゴヌクレオチドは、バーコード配列を含み、第2のオリゴヌクレオチドのバーコード配列は、標的核酸の特定のためのバーコード化情報を提供する。「バーコード」という用語は、単一の細胞又は細胞の亜集団を同定するために使用される核酸配列を指す。バーコード配列は、増幅中に目的の標的核酸に連結させることができ、標的核酸が由来する細胞までアンプリコンをトレースするために使用することができる。バーコード配列は、バーコード配列を含む領域及びバーコード配列が最終的に増幅された標的核酸産物(すなわち、アンプリコン)に組み込まれるように標的核酸に相補的な領域を含有するオリゴヌクレオチドで増幅を行うことによって、増幅中に目的の標的核酸に付加され得る。
【0139】
組織
本明細書に記載される場合、開示される方法は、特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で固定化及び透過化された無傷の組織を少なくとも一対のオリゴヌクレオチドプライマーと少なくとも接触させることによるインサイチュ配列決定技術を含む。本明細書に記載の方法とともに使用するために好適な組織標本には、概して、例えば、上皮、筋肉、結合組織、及び神経組織が含まれるが、これらに限定されないそれらの生検標本及び検死標本などの生体又は死体の対象から収集された任意の種類の組織標本が含まれる。組織標本は、本明細書に記載の方法を使用して収集及び処理されてもよく、処理の直後に顕微鏡分析に供されてもよく、又は保存され、将来的に、例えば長期間の保管後に顕微鏡分析に供されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、将来の分析のために、安定し、アクセス可能で、完全に無傷の形態で組織標本を保存し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を使用して、以前に保存又は保管された組織標本を分析してもよい。いくつかの実施形態では、無傷の組織は、視覚野スライスなどの脳組織を含む。いくつかの実施形態では、無傷の組織は、例えば、5~18μm、5~15μm、又は5~10μmを含むがこれらに限定されない、5~20μmの厚さを有する薄いスライスである。他の実施形態では、無傷組織は、例えば、20~150μm、50~100μm、又は50~80μmを含むが、これらに限定されない、20~200μmの厚さを有する厚いスライスである。
【0140】
本発明の態様は、無傷組織を固定化することを含む。本明細書で使用される「固定化する」又は「固定化」という用語は、腐敗及び/又は分解から生体材料(例えば、組織、細胞、オルガネラ、分子など)を保存するプロセスである。固定化は、任意の好都合なプロトコルを使用して達成され得る。固定化は、試料を固定化試薬(すなわち、少なくとも1つの固定化剤を含有する試薬)と接触させることを含み得る。試料を、温度、試料の性質、及び固定化剤に依存し得る広い範囲の時間、固定化試薬に接触させ得る。例えば、試料を、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で固定化試薬に接触させ得る。
【0141】
試料は、5分~24時間、例えば、10分~20時間、10分~18時間、10分~12時間、10分~8時間、10分~6時間、10分~4時間、10分~2時間、15分~20時間、15分~18時間、15分~12時間、15分~8時間、15分~6時間、15分~4時間、15分~2時間、15分~1.5時間、15分~1時間、10分~30分、15分~30分、30分~2時間、45分~1.5時間、又は55分~70分の範囲の期間、固定化試薬によって接触することができる。
【0142】
試料は、プロトコル及び使用する試薬に応じて、様々な温度で固定化試薬によって接触することができる。例えば、場合によっては、試料は、-22℃~55℃の範囲の温度で固定化試薬によって接触することができ、目的となる特定の範囲には、これらに限定されないが、50~54℃、40~44℃、35~39℃、28~32℃、20~26℃、0~6℃、及び-18~22℃が含まれる。場合によっては、試料は、-20℃、4℃、室温(22~25℃)、30℃、37℃、42℃、又は52℃の温度で固定化試薬によって接触することができる。
【0143】
任意の好都合な固定化試薬が使用され得る。一般的な固定化試薬としては、架橋固定化剤、沈殿固定化剤、酸化固定化剤、水銀などが挙げられる。架橋固定化剤は、共有結合によって2つ以上の分子を化学的に接合し、幅広い架橋試薬が使用され得る。好適な架橋固定化剤の例としては、アルデヒド(例えば、一般に「パラホルムアルデヒド」及び「ホルマリン」とも称されるホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなど)、イミドエステル、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好適な沈殿固定化剤の例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノールなど)、アセトン、酢酸などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、固定化剤は、ホルムアルデヒド(すなわち、パラホルムアルデヒド又はホルマリン)である。固定化試薬中のホルムアルデヒドの好適な最終濃度は、10分間で、約1.6%を含む0.1~10%、1~8%、1~4%、1~2%、3~5%、又は3.5~4.5%である。いくつかの実施形態では、試料は、4%のホルムアルデヒドの最終濃度で固定される(より濃縮されたストック溶液、例えば、38%、37%、36%、20%、18%、16%、14%、10%、8%、6%などから希釈される)。いくつかの実施形態では、試料は、10%のホルムアルデヒドの最終濃度で固定化される。いくつかの実施形態では、試料は、1%のホルムアルデヒドの最終濃度で固定化される。いくつかの実施形態では、固定剤は、グルタルアルデヒドである。固定化試薬中のグルタルアルデヒドの好適な濃度は、0.1~1%である。固定化試薬は、任意の組み合わせで2つ以上の固定化剤を含有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、試料を、ホルムアルデヒド及びグルタルアルデヒドの両方を含有する固定化試薬と接触させる。
【0144】
本明細書で使用される「透過化」又は「透過化する」という用語は、試料の細胞(細胞膜など)を核酸プローブ、抗体、化学基質などの実験試薬に対して透過可能にするプロセスを指す。透過処理のための任意の好都合な方法及び/又は試薬が使用され得る。好適な透過化試薬としては、洗剤(例えば、サポニン、トリトンX-100、Tween-20など)、有機固定化剤(例えば、アセトン、メタノール、エタノールなど)、酵素などが挙げられる。洗剤は幅広い濃度で使用され得る。例えば、0.001%~1%の洗剤、0.05%~0.5%の洗剤、又は0.1%~0.3%の洗剤を、透過化に用いることができる(例えば、0.1%のサポニン、0.2%のtween-20、0.1~0.3%のトリトンX-100など)。いくつかの実施形態では、氷上のメタノールを少なくとも10分間使用して、透過化する。
【0145】
いくつかの実施形態では、固定化試薬及び透過化試薬として同じ溶液が使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、固定化試薬は、0.1%~10%のホルムアルデヒド及び0.001%~1%のサポニンを含有する。いくつかの実施形態では、固定化試薬は、1%のホルムアルデヒド及び0.3%のサポニンを含有する。
【0146】
試料は、温度、試料の性質、及び透過処理試薬に依存し得る広い範囲の時間、透過化試薬によって接触することができる。例えば、試料を、24時間以上、24時間以下、18時間以下、12時間以下、8時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、60分以下、45分以下、30分以下、25分以下、20分以下、15分以下、10分以下、5分以下、又は2分以下で透過化試薬に接触させ得る。試料を、プロトコル及び使用する試薬に応じて、様々な温度で透過化試薬に接触させ得る。例えば、いくつかの例では、試料を、-82℃~55℃の範囲の温度で透過化試薬に接触させることができ、目的の特定の範囲には、50~54℃、40~44℃、35~39℃、28~32℃、20~26℃、0~6℃、-18~-22℃、及び-78~-82℃が含まれる。場合によっては、試料は、-80℃、-20℃、4℃、室温(22~25℃)、30℃、37℃、42℃、又は52℃の温度で透過化試薬によって接触することができる。
【0147】
いくつかの実施形態では、試料は、酵素透過化試薬と接触する。酵素透過化試薬は、アッセイ試薬による試料の透過化を妨げる細胞外マトリックス又は表面タンパク質を部分的に分解することによって試料を透過させる。酵素透過化試薬との接触は、固定後及び標的検出前の任意の時点で行うことができる。場合によっては、酵素透過化試薬は、市販の酵素であるプロテイナーゼKである。そのような場合、試料は、固定後試薬と接触する前にプロテイナーゼKと接触する。プロテイナーゼK処理(すなわち、プロテイナーゼKによる接触であり、一般に「プロテイナーゼK消化」とも称される)は、ある範囲の時間にわたって、ある範囲の温度で、調査中の各細胞型又は組織型について経験的に決定される酵素濃度の範囲に及んで実行することができる。例えば、試料は、プロテイナーゼKによって30分間以下、25分間以下、20分間以下、15分間以下、10分間以下、5分間以下、又は2分間以下、接触させることができる。試料は、1μg/ml以下、2μg/ml以下、4μg/ml以下、8μg/ml以下、10μg/ml以下、20μg/ml以下、30μg/ml以下、50μg/ml以下、又は100μg/ml以下のプロテイナーゼKによって接触することができる。試料は、2℃~55℃の範囲の温度でプロテイナーゼKによって接触することができ、目的の特定の範囲は、限定されないが、50~54℃、40~44℃、35~39℃、28~32℃、20~26℃、及び0~6℃が挙げられる。場合によっては、試料は、4℃、室温(22~25℃)、30℃、37℃、42℃、又は52℃の温度でプロテイナーゼKによって接触することができる。いくつかの実施形態では、試料は、酵素透過化試薬と接触しない。いくつかの実施形態では、試料は、プロテイナーゼKと接触しない。無傷組織と少なくとも固定化試薬及び透過化試薬との接触により、固定され、透過処理された組織の生成が生じる。
【0148】
リガーゼ
いくつかの実施形態では、開示される方法は、第2のオリゴヌクレオチドをライゲーションし、閉じた核酸環を生成するためにリガーゼを添加することを含む。いくつかの実施形態では、リガーゼの添加は、DNAリガーゼの添加を含む。代替的な実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、閉鎖核酸環として提供され、リガーゼを添加するステップは省略される。ある特定の実施形態では、リガーゼは、標的核酸分子の配列決定を促進する酵素である。
【0149】
本明細書で使用される「リガーゼ」という用語は、ポリヌクレオチドを一緒に接合するか、又は単一のポリヌクレオチドの末端を接合するために一般的に使用される酵素を指す。リガーゼには、ATP依存性二本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、NAD-i-依存性二本鎖DNA又はRNAリガーゼ、並びに一本鎖ポリヌクレオチドリガーゼ、例えば、EC6.5.1.1(ATP依存性リガーゼ)、EC6.5.1.2(NAD+依存性リガーゼ)、EC6.5.1.3(RNAリガーゼ)に記載されるリガーゼのうちのいずれかが含まれる。リガーゼの具体例には、E.coli DNAリガーゼ及びTaq DNAリガーゼなどの細菌リガーゼ、Ampligase(登録商標)熱安定性DNAリガーゼ(Epicentre(登録商標)Technologies Corp.、lllumina(登録商標)の一部、Madison,Wis.)、並びにT3 DNAリガーゼ、T4 DNAリガーゼ及びT7 DNAリガーゼなどのファージリガーゼ、並びにそれらの変異体が含まれる。
【0150】
ローリングサークル増幅
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、核酸分子の存在下でローリングサークル増幅を実行するステップを含み、実行することは、第2のオリゴヌクレオチドを鋳型として、そして第1のオリゴヌクレオチドをポリメラーゼのためのプライマーとして使用して、1つ以上のアンプリコンを形成することを含む。かかる実施形態では、一本鎖環状ポリヌクレオチド鋳型は、第2のヌクレオチドのライゲーションによって形成され、環状ポリヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドに相補的な領域を含む。適切なdNTP前駆体及び他の補助因子の存在下でDNAポリメラーゼを添加すると、第1のオリゴヌクレオチドは、鋳型の複数のコピーの複製によって伸長される。この増幅産物は、検出プローブに結合することによって容易に検出され得る。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、ローリングサークル増幅を実行する前に、ポリメラーゼが試料を均一に浸透することを可能にするために、dNTPなしでプレインキュベーションされる。
【0151】
いくつかの実施形態では、第1のオリゴヌクレオチド及び第2のオリゴヌクレオチドが同じ標的核酸分子にハイブリダイゼーションする場合にのみ、第2のオリゴヌクレオチドを環化し、ローリングサークル増幅して、cDNAの複数のコピーを含有するcDNAナノボール(すなわち、アンプリコン)を生成し得る。「アンプリコン」という用語は、PCR反応又は他の核酸増幅プロセスの増幅された核酸産物を指す。いくつかの実施形態では、アミン修飾ヌクレオチドは、ローリングサークル増幅反応にスパイクされる。
【0152】
ローリングサークル増幅のための技法は、当該技術分野で既知である(例えば、Baner et al,Nucleic Acids Research,26:5073-5078,1998、Lizardi et al,Nature Genetics 19:226,1998、Schweitzer et al.Proc.Natl Acad.Sci.USA 97:101 13-1 19,2000、Faruqi et al,BMC Genomics 2:4,2000、Nallur et al,Nucl.Acids Res.29:el18,2001、Dean et al.Genome Res.11:1095-1099,2001、Schweitzer et al,Nature Biotech.20:359-365,2002、米国特許第6,054,274号、同第6,291,187号、同第6,323,009号、同第6,344,329号、及び同第6,368,801号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、ポリメラーゼは、phi29DNAポリメラーゼである。
【0153】
ある特定の態様では、核酸分子は、アミン修飾ヌクレオチドを含む。かかる実施形態では、アミン修飾ヌクレオチドは、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミド部分修飾を含む。他のアミン修飾ヌクレオチドの例としては、5-アミノアリル-dUTP部分修飾、5-プロパルギルアミノ-dCTP部分修飾、N6-6-アミノヘキシル-dATP部分修飾、又は7-デアザ-7-プロパルギルアミノ-dATP部分修飾が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
組織-ヒドロゲル設定へのアンプリコン埋め込み
いくつかの実施形態では、開示される方法は、ヒドロゲルサブユニットの存在下で1つ以上のアンプリコンを包埋し、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンを形成することを含む。記載されるヒドロゲル組織化学は、組織清澄化、酵素拡散、及び多重サイクル配列決定のために核酸をインサイチュ合成されたヒドロゲルに共有結合することを含むが、既存のヒドロゲル組織化学方法は、それができない。いくつかの実施形態では、組織-ヒドロゲル設定へのアンプリコン埋め込みを可能にするために、アミン修飾されたヌクレオチドが、ローリングサークル増幅反応にスパイクされ、アクリル酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを使用してアクリルアミド部分で官能化され、アクリルアミドモノマーと共重合されて、ヒドロゲルを形成する。
【0155】
本明細書で使用される場合、「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲルネットワーク」という用語は、水が分散媒体であるコロイドゲルとして時々見出される、水不溶性であるポリマー鎖のネットワークを意味する。言い換えれば、ヒドロゲルは、溶解することなく大量の水を吸収することができる高分子材料の部類である。ヒドロゲルは、99%を超える水を含有することができ、天然若しくは合成ポリマー、又はそれらの組み合わせを含み得る。ヒドロゲルは、また、それらの顕著な水含有量により、天然組織と非常に類似したある程度の柔軟性を有する。好適なヒドロゲルの詳細な説明は、米国特許出願第2010/0055733号に見出され得、これは参照により本明細書に具体的に組み込まれる。本明細書で使用される場合、「ヒドロゲルサブユニット」又は「ヒドロゲル前駆体」という用語は、架橋又は「重合」されて三次元(3D)ヒドロゲルネットワークを形成することができる親水性モノマー、プレポリマー、又はポリマーを意味する。いかなる科学的理論にも拘束されないが、ヒドロゲルサブユニットの存在下での生体標本のこの固定は、標本の成分をヒドロゲルサブユニットに架橋し、それによって分子成分を所定の位置に固定し、組織構造及び細胞形態を保存すると考えられている。
【0156】
いくつかの実施形態では、埋め込むことは、1つ以上のアンプリコンをアクリルアミドと共重合させることを含む。本明細書で使用される場合、「コポリマー」という用語は、2つ以上の種類のサブユニットを含有するポリマーを説明する。この用語は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの種類のサブユニットを含むポリマーを包含する。
【0157】
ある特定の態様では、埋め込むことは、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを清澄化することを含み、標的核酸は、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンに実質的に保持される。かかる実施形態では、浄化は、1つ以上のヒドロゲル包埋アンプリコンから複数の細胞成分を実質的に除去することを含む。いくつかの他の実施形態では、清澄化することは、1つ以上のヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンから脂質及び/又はタンパク質を実質的に除去することを含む。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、清澄化する前に試料中に存在する元の量が、およそ70%以上、75%以上など、80%以上など、85%以上など、90%以上など、95%以上など、99%以上など、100%など低減していることを意味する。
【0158】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルに埋め込まれたアンプリコンを清澄化することは、標本に対して電気泳動を実行することを含む。いくつかの実施形態では、アンプリコンは、イオン界面活性剤を含む緩衝溶液を使用して電気泳動される。いくつかの実施形態では、イオン界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。いくつかの実施形態では、標本は、約10~約60ボルトの範囲の電圧を使用して電気泳動される。いくつかの実施形態では、標本は、約15分~最大で約10日の範囲の期間にわたって電気泳動される。いくつかの実施形態では、本方法は、浄化された標本を、浄化された組織の屈折率と一致する屈折率を有する封入媒体中でインキュベーションすることを更に含む。いくつかの実施形態では、封入媒体は、標本の光学的透明度を増加させる。いくつかの実施形態では、封入媒体はグリセロールを含む。
【0159】
細胞
本明細書に開示される方法は、無傷組織における細胞における標的核酸のインサイチュ遺伝子配列決定のための方法を含む。ある特定の実施形態では、細胞は、細胞の集団に存在する。ある特定の他の実施形態では、細胞の集団は、興奮性ニューロン、抑制性ニューロン、及び非ニューロン細胞を含むが、これらに限定されない、複数の細胞型を含む。本発明のアッセイにおいて使用される細胞は、生物、生物由来の単一細胞型、又は細胞型の混合物であり得る。天然に存在する細胞及び細胞集団、遺伝子操作された細胞株、トランスジェニック動物に由来する細胞などが含まれる。事実上、あらゆる細胞の型及びサイズに対応し得る。好適な細胞としては、細菌、真菌、植物、及び動物の細胞が含まれる。本発明の一実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞、例えば、天然に存在する組織、例えば、血液、肝臓、膵臓、神経組織、骨髄、皮膚などの複雑な細胞集団である。いくつかの組織は、単分散懸濁液中に破壊され得る。代替的に、細胞は、培養された集団、例えば、複雑な集団に由来する培養物、細胞が複数の系統に分化した、又は細胞が刺激に差次的に応答している単一細胞型に由来する培養物などであり得る。
【0160】
主題の発明において使用を見出し得る細胞型には、幹細胞及び前駆細胞、例えば、胚性幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、神経堤細胞など、内皮細胞、筋細胞、心筋、平滑筋及び骨格筋細胞、間葉系細胞、上皮細胞;Th1 T細胞、Th2 T細胞、ThO T細胞、細胞傷害性T細胞などのT細胞を含むリンパ球などの造血細胞;B細胞、前B細胞など;単球;樹状細胞;好中球;及びマクロファージ;ナチュラルキラー細胞;肥満細胞など;脂肪細胞、胸腺、内分泌腺、膵臓、ニューロン、グリア、星状細胞、樹状細胞などの脳などの特定の器官に関与する細胞、並びにそれらの遺伝子組換え細胞が含まれる。造血細胞は、炎症性プロセス、自己免疫疾患などに関連している可能性があり、内皮細胞、平滑筋細胞、心筋細胞などが心血管疾患と関連している可能性がある。ほとんどの任意の型の細胞は、肉腫、がん及びリンパ腫などの腫瘍、肝細胞を伴う肝疾患、腎細胞を伴う腎疾患などと関連している可能性がある。
【0161】
細胞は、また、異なる型の形質転換細胞又は腫瘍細胞、例えば、異なる細胞起源のがん腫、異なる細胞型のリンパ腫などであってもよい。The American Type Culture Collection(Manassas,VA)は、150を超える異なる種から4,000を超える細胞株、700のヒトがん細胞株を含む950を超えるがん細胞株を収集し、利用可能にしている。National Cancer Instituteは、ヒト腫瘍細胞株の大パネルから臨床的、生化学的、及び分子的データを蓄積しており、これらは、ATCC又はNCIから入手可能である(Phelps et al.(1996)Journal of Cellular Biochemistry Supplement 24:32-91)。自発的に派生したか、又は個々の細胞株から所望の成長又は応答特性に対して選択された異なる細胞株が含まれ、類似の腫瘍型に由来するが、異なる患者又は部位に由来する多数の細胞株を含み得る。
【0162】
細胞は、非接着性であってもよく、例えば、単球、T細胞、B細胞を含む血液細胞、腫瘍細胞など、又は接着性細胞、例えば、上皮細胞、内皮細胞、神経細胞などであってもよい。接着性細胞をプロファイルするために、プローブ分子を認識し、結合する能力を維持する様式で、それらが接着される基質から、及び他の細胞から解離されてもよい。
【0163】
かかる細胞は、例えば、当該技術分野で既知の様々な技法によって、様々な組織、例えば、血液、骨髄、固形組織(例えば、固形腫瘍)、腹水から、引き抜き、洗浄(lavage)、洗浄(wash)、外科的解剖などを使用して、個体から取得することができる。細胞は、固定化されたか、又は固定化されていない、新鮮又は凍結された、全体又は分解された試料から得ることができる。組織の分解は、既知の技法を使用して機械的又は酵素的のいずれかで生じ得る。
【0164】
本開示の非限定的な態様の例
上述の本主題の態様(実施形態を含む)は、単独で、又は1つ以上の他の態様又は実施形態と組み合わせて有益であり得る。先の説明を限定することなく、番号1~34の本開示の特定の非限定的な態様を以下に提供する。本開示を読むと当業者には明らかであるように、個々に番号付けされた態様の各々は、前述の態様のいずれか又は個々に番号付けされた態様に続く態様のいずれかと使用又は組み合わせられ得る。これは、態様の全てのかかる組み合わせのサポートを提供することを意図しており、以下に明示的に提供される態様の組み合わせに限定されない。
【0165】
1.配列決定デバイスであって、
(a)平坦照射補正による照射のための複数のレーザー線を含むスピニングディスク共焦点構成要素であって、複数のレーザー線が、1つ以上の波長での励起光で試料を照射するために使用される、スピニングディスク共焦点構成要素と、バンドパス放出フィルタと、ロングパス画像スプリッタと、第1の波長範囲内の蛍光放出を検出する第1のカメラと、第2の波長範囲内の蛍光放出を検出する第2のカメラとを備え、第1のカメラ及び第2のカメラが、放出を同時に検出することができる、照射及び検出モジュールと、
(b)x、y、及びz軸に沿って多軸配置することができる電動ステージと、対物レンズZ駆動と、複数の対物レンズを備える対物タレットホイールとを備え、各対物レンズが、異なる倍率を提供し、1つ以上の対物レンズが、浸漬対物レンズであり、各浸漬対物レンズが、対物レンズ浸漬カラー及び光学系を有し、光学系が、対物レンズから照射及び検出モジュールに光を送る、顕微鏡モジュールと、
(c)自動化浸漬媒体モジュールであって、i)浸漬媒体を含む容器と、ii)容器及び顕微鏡モジュールの浸漬対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、流体ラインが、対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、iii)流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、マイクロコントローラが、流体ラインを介する浸漬媒体のポンプの添加及び除去を制御する、ポンプとを備え、自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、浸漬対物レンズの上部で対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の浸漬媒体を提供する、自動化浸漬媒体モジュールと、
(d)マルチウェルプレートであって、電動ステージを移動させて、撮像に使用される対物レンズの下方にマルチウェルプレートのウェルを配置することができる、マルチウェルプレートと、
(e)流体連結タワーであって、流体連結タワーが、電動ステージの上部にあり、マルチウェルプレートのウェル内に流体ラインを配置する、流体連結タワーと、
(f)流体管理モジュールであって、ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、気泡検出器が、ポンプに通じる流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、流体管理モジュールが、流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の単方向又は双方向の移動を可能にする、流体管理モジュールと、
(g)試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、i)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、ii)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、iii)キャッピング機構であって、キャッピング機構が、廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに廃棄物容器を閉じ、廃棄物容器がシステムに戻されるときに廃棄物容器を開く、キャッピング機構とを備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールと、
(h)電気モジュールであって、i)自動化浸漬媒体モジュールから分配される媒体を制御する第1のファームウェアボードと、ii)流体管理モジュール、並びに試薬、緩衝液及び廃棄物モジュールを制御する第2のファームウェアボードとを備え、電気モジュールが、システムの他のモジュールへの電力を調節する、電気モジュールと、
(i)ユーザインターフェースを提供し、配列決定デバイスのモジュールを操作するようにプログラムされたプロセッサと
を備える、配列決定デバイス。
2.複数のレーザー線が、少なくとも5つのレーザー線を含む、態様1に記載の配列決定デバイス。
3.バンドパス放出フィルタが、ペンタバンドパス放出フィルタである、態様2に記載の配列決定デバイス。
4.電動ステージが、ピエゾz軸を有する、態様1~3のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
5.浸漬媒体が、水である、態様1~4のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
【0166】
6.浸漬媒体が、濾過され、気泡を含まない、態様1~5のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
7.各対物レンズ上にOリング及び収縮包装コーティングを更に含む、態様1~6のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
8.流体ライン内の圧力をモニタリングする圧力モニタを更に備え、流体ライン内の圧力の増加が、流体ラインの潜在的な閉塞を検出するために使用され得る、態様1~7のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
9.複数の発光ダイオード(LED)を更に備え、各LEDが、システムについての状態表示を提供するために光を放出することができる、態様1~8のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
10.情報を表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示構成要素を更に備える、態様1~9のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
【0167】
11.プロセッサが、
(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、
(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、
(c)シグナルを使用して、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、
(d)画像を生成するためにXY境界ボックス内の試料を撮像することであって、撮像することが、試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、
(e)ステップ(d)で生成された画像を表示することと、
(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、
(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の試料を撮像することと、
(h)試料中の目的の領域の体積を計算し、目的の領域の計算された試料体積をユーザに表示することと、
(i)Z範囲に沿って、目的の領域内の試料の画像をセグメント化することと、
(j)配列決定を開始する前に、ユーザが試料体積のZ範囲を調整するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザによって定義された目的の領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、
(k)ユーザが配列決定することを意図するマルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すことと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、態様1~10のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
12.プロセッサが、
ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、
配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、
制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、態様1~11のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
13.プロセッサが、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる、態様1~12のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
14.プロセッサが、
所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、開始XY位置で試料のZプロファイルを決定することと、
セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、
試料モンタージュの開始時にインターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、態様1~13のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
15.配列決定が、組織試料における標的核酸のインサイチュ配列決定である、態様1~14のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
【0168】
16.組織試料が、20μm~200μmの厚さを有する組織スライスである、態様15に記載の配列決定デバイス。
17.インサイチュ配列決定が、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である、態様1~16のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
18.顕微鏡モジュールが、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、構造化照明顕微鏡、又は光シート若しくは傾斜面光シート顕微鏡を含む、態様1~17のいずれか1つに記載の配列決定デバイス。
19.共焦点顕微鏡が、スピニングディスク又は点走査共焦点顕微鏡である、態様18に記載の配列決定デバイス。
【0169】
20.態様1~19のいずれか1つに記載の配列決定デバイスを使用する方法であって、
試料をマルチウェルプレートに充填することと、
マルチウェルプレート内のどの試料が配列決定されるかを選択することと、
配列決定プロトコルを選択することと、
態様1~19のいずれか1つに記載の配列決定デバイスを使用して、選択された試料中の核酸を配列決定することと
を含む、方法。
21.配列決定が、組織試料のインサイチュ体積配列決定である、態様20に記載の方法。
22.組織試料が、20~200μmの厚さを有する組織スライスである、態様20又は21に記載の方法。
23.インサイチュ配列決定が、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である、態様20~22のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
24.コンピュータ実装方法であって、
コンピュータが、
(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、
(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、
(c)シグナルを使用して、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、
(d)画像を生成するためにXY境界ボックス内の試料を撮像することであって、撮像することが、試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、
(e)ステップ(d)で生成された画像を表示することと、
(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、
(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の試料を撮像することと、
(h)目的の領域の試料体積を計算し、目的の領域の計算された試料体積をユーザに表示することと、
(i)Z範囲に沿って、目的の領域内の試料の画像をセグメント化することと、
(j)配列決定を開始する前に、ユーザが試料体積のZ範囲を調整するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザによって定義された目的の領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、
(k)ユーザが配列決定することを意図するマルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すことと
を含むステップを実行する、コンピュータ実装方法。
25.コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、態様24に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
26.コンピュータ実装方法であって、
コンピュータが、
ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースをユーザに提供することであって、ユーザが、利用可能な緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、
配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、
制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することと
を含むステップを実行する、コンピュータ実装方法。
27.コンピュータが、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる、態様26に記載のコンピュータ実装方法。
28.コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、態様26又は27に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【0171】
29.コンピュータ実装方法であって、
コンピュータが、
所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、開始XY位置で試料のZプロファイルを決定することと、
セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、
試料モンタージュの開始時にインターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することと
を含むステップを実行する、コンピュータ実装方法。
30.コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、態様29に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【0172】
31.自動化浸漬媒体モジュールであって、
(a)浸漬媒体を含む容器と、
(b)容器及び顕微鏡モジュールの対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、流体ラインが、浸漬対物レンズ上の対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、
(c)流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、マイクロコントローラが、流体ラインを介する浸漬媒体のポンプの添加及び除去を制御する、ポンプと
を備え、
自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、対物レンズの上部で対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の浸漬媒体を提供する、
自動化浸漬媒体モジュール。
32.態様31に記載の自動化浸漬媒体モジュールを使用する方法であって、態様31に記載の自動化浸漬媒体モジュールを使用して、顕微鏡の浸漬対物レンズに取り付けられている対物レンズ浸漬カラーに浸漬媒体を送達することを含む、方法。
【0173】
33.流体管理モジュールであって、
ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、気泡検出器が、ポンプに通じる流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、
流体管理モジュールが、流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の双方向又は単方向の移動を可能にする、流体管理モジュール。
34.試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、
(a)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、
(b)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、
(c)キャッピング機構であって、キャッピング機構が、廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに廃棄物容器を閉じ、廃棄物容器がシステムに戻されるときに廃棄物容器を開く、キャッピング機構と
を備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュール。
【0174】
実験
以下の実施例は、当業者に、本発明の作製及び使用方法の完全な開示及び説明を提供するために提示されるものであり、本発明者らがその発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が実行される全て又は唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用される数字(例えば、量、温度など)に対する正確性を確保する努力がなされているが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別様に示されない限り、部とは重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
【0175】
本明細書で引用された全ての刊行物及び特許出願は、各々の個々の刊行物又は特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0176】
本発明は、本発明の実施のための好ましいモードを含むように、本発明者によって見出されるか、又は提供される特定の実施形態に関して説明されている。当業者は、本開示に照らして、本発明の意図される範囲から逸脱することなく、例示される特定の実施形態で多数の修正及び変更を行うことができることを理解されたい。例えば、コドン冗長性によって、タンパク質配列に影響を与えることなく、基礎となるDNA配列の変更を行うことができる。生物学的機能的等価性を考慮することによって、種類又は量において生物学的作用に影響を与えることなく、タンパク質構造の変更を行うことができる。かかる修正は全て、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0177】
実施例1
体積次世代インサイチュ配列決定装置
概要
1.統合された流体工学及び急速共焦点プラットフォーム、並びに最大5チャネルの撮像
2.自動化浸漬媒体モジュール
堅牢な気泡防止のためのルーチン
3.試料/流体連結タワー
4.カスタム廃棄物容器
5.配列決定装置ソフトウェア
a.GUI
b.急速試料検索アルゴリズム(3D配列決定試料に一般的)
c.配列決定時間、並列性、試薬消費、及びディスクスペースの共同最適化(3D配列決定試料に一般的)
d.複数ラウンドにわたるデータの最小限のドリフトのための、試料インターフェース及びxyz位置の閉ループ検出
【0178】
技術的な説明
試料を、並行して多くの試料上で配列決定及び撮像サイクルの複数ラウンドを実施することができる自動化された統合された流体及び撮像プラットフォーム上で配列決定した。配列決定装置は、以下のいくつかの重要なモジュールを有する。
【0179】
Andor Technologiesからの構成要素を統合する照射及び検出モジュールは、スピニングディスク共焦点構成要素、5つのレーザー線照射、Borealis平坦照射補正、ペンタバンドパス放出フィルタ、ロングパス画像スプリッタ、並びに短い波長及び長い波長の照射によって生成された放出を同時に検出するための2つの検出カメラで構成される。
【0180】
カスタム顕微鏡モジュールは、電動XYZステージ(ピエゾZを有する)、対物レンズZ駆動、タレットホイール、低倍率から高倍率までの範囲の複数の対物レンズ、並びに対物レンズから照射及び検出モジュールに光を送る光学系を組み合わせている。
【0181】
対物レンズとカバーガラスとの間に浸漬媒体を必要とする対物レンズに連結する新しい自動化浸漬媒体モジュールは、正確に制御された体積の濾過された気泡を含まない媒体(水など)を対物レンズの上部に提供し、流入及び流出の両方を管理する。このモジュールは、さもなければ浸漬媒体の手動添加を必要とする高倍率浸漬対物レンズを有する試料の並列の配列決定を可能にする。浸漬媒体の添加及び除去は、カバーガラス上の表面張力が最小限に抑えられ(試料のZ次元におけるシフトが最小限に抑えられる)、気泡が回避され、液体オーバーフローが防止され、長期の撮像のために対物レンズ上に十分な体積が存在するように、一連のポンプ及びマイクロコントローラによって管理される。これは、液体流量、試料に対する対物レンズのx、y、及びzにおける位置、気泡を除去するための液体交換ステップ、並びに流体交換タイミングのアルゴリズム的な調整を伴う。例えば、較正された体積の浸漬媒体(典型的には水)をカラーを介して対物レンズ上に供給した後、気泡形成の発生を防止する斜めのステージ移動が実行される。浸漬カラーは、過剰な浸漬媒体を捕捉し、対物レンズ上の複数のOリング及び収縮包装コーティングを介して対物レンズに媒体がアクセスすることを防ぐ。対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体をもたらす流体ラインは、対物タレットに統合される中央タワーによって管理される。
【0182】
XYZステージ上に配置された新しい流体連結タワーは、マルチウェル試料プレート内に流体ラインを配置する。この連結器は、自動化顕微鏡ステージ上の構造的負荷を最小限に抑えながら(ステージ上の過剰な重量は、正確な配置及び迅速な移動を阻害する)、顕微鏡ステージからの試料の容易な添加及び除去、並びに試料への流体ラインの嵌合を可能にする。ビーム破断は、試料がシステムに完全に連結されているか否かを検出し、構造的要素は、操作中の流体ラインへの損傷又はユーザへの危害を防止する。
【0183】
流体管理モジュールは、対称ロータリーバルブ、ポンプ、ロータリーバルブ機構を介して、試薬、緩衝液、及び廃棄物の双方向の移動を可能にする。ポンプの移動は制御され、ライン圧力はカスタムファームウェアによってモニタリングされる。ポンプに向かって移動する液体は、(ロータリーバルブの前に)ポンプに通じるラインのいずれかの側面上の気泡検出器の使用を介して、正確な体積移動のためにプライミングされる。ライン内の圧力は、公称流体流れについてモニタリングされ、ラインの潜在的な閉塞を検出する。
【0184】
試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールは、システムへの配列決定試薬及び緩衝液の添加、並びにシステムからの廃棄物の除去を編成する。それは、カスタム試薬及び緩衝液カートリッジが配置され、続いて自動化された様式で流体管理モジュールに連結されるスライドトレイで構成される。廃棄物モジュールは、廃棄物処分のためにシステムから除去されたときに廃棄物容器を閉じるが、システムに戻されたときに開くことを確実にするキャッピング機構設計を介して、流体管理ポンプから流出ラインを受ける。
【0185】
電気モジュールは、システムの様々な構成要素のための電力を調節する。1つのファームウェアボードは、自動化浸漬媒体ディスペンサーを制御し、第2のファームウェアボードは、システムに関連する状態表示を表示するLEDに加えて、流体管理モジュール、並びに試薬、緩衝液及び廃棄物モジュールを制御する。
【0186】
バックエンド及びGUIモジュールの両方を含むカスタムコンピュータソフトウェアプログラムは、配列決定実行セットアップ、配列決定実行オプション、目的の試料領域(ROI)定義、配列決定及び撮像に必要な高レベル操作、自動化浸漬システムの高レベル制御、試料にわたる配列決定の並列化、ロギング、エラーモニタリング、データ取得、管理及び転送、並びに実行の進行モニタリングを含む、ユーザと配列決定装置ファームウェア及びハードウェアとの間のインターフェースを提供する。コンピュータソフトウェアプログラムは、実行セットアップ及び配列決定ラウンドの一貫した撮像のためのいくつかの新しいアルゴリズムを含む。自動化された、3D試料検索及びROI仕様アルゴリズムは、最大限のカメラビニングによる、低倍率の広視野撮像モード取得を介して、試料からのXY平面内のシグナルを迅速に検出する。このシグナルは、試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化するために使用される。その後、このXY境界は、試料のおよそのZ範囲を決定するために、より高い倍率ではあるが最大限のカメラビニングにより、Zにおいて共焦点撮像モードで迅速にサブサンプリングされる。単一のZ平面は、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、XY範囲にわたって迅速に収集され、ユーザに表示される。この時点で、ユーザは、所与の試料のための配列決定中に撮像される所望のXY ROIをインターフェースを介して選択することができる。その後、XY ROIのより詳細な取得が、以前にサンプリングされたZ範囲にわたって取得される。この体積はユーザに表示され、追加的に、所与のROIにおける試料範囲をZにおいてセグメント化するために使用される。ユーザは、配列決定が開始される前に、インターフェースを介して体積のZ範囲をより細かく調整してもよい。このROI定義から導出された撮像の範囲は、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、更に、配列決定中にXYZ ROIの最適な撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界に自動的に変換される。このROI定義アルゴリズムを使用することは、3Dでの急速な半自動ROI定義を提供し、ユーザ相互作用の量を最小限に抑える(例えば、過度に時間がかかり、経験が浅いユーザにとって困難である、試料及びモンタージュ定義及び試験のためのウェルの任意の手動制御及び検索)。この自動化ROI手順は、ユーザが配列決定することを意図する各試料ウェルに対して実行される。
【0187】
第2のアルゴリズムは、過剰な量のデータの収集(記憶又は転送)、又は利用可能であるよりも多くの緩衝液及び試薬の使用を防止しながら、最適な試料並列性及び配列決定装置時間効率を確実にするために、配列決定実行セットアップにおいてユーザを誘導する。このアルゴリズムは、ユーザが異なる試料タイプにわたって変化するXYZ範囲のROIに関心があり、ROIを超える過剰な撮像体積がユーザにとって無関係であることから、空間配列決定アプローチ、特に体積配列決定アプローチのために不可欠である。更に、単一の試料取得は、記憶及び/又は転送される必要がある多くのテラバイトの生データを生成し得る。更に、配列決定キットが緩衝液及び試薬の最大容量を有するため、特に正確な配列決定プロトコル及び必要とされるラウンドの数に応じて、ユーザは、使用のために定義され得る試料の数が制限される。したがって、複数の試料配列決定時間、緩衝液/試薬の利用可能性、配列決定プロトコル、総データ収集及び転送容量、並びにXYZにおけるROI範囲のバランスをとる最適化アルゴリズムが必要である。アルゴリズムは、総配列決定時間(例えば、3日間)、取得された総データ及び取得の速度(利用可能なデータ転送/オフローディング速度に関連する)、全ての試料にわたる最大ROI予算、並びに最大の利用可能な緩衝液/試薬に厳しい制約を課してもよく、一方で、最大量の所望の配列決定をこれらの制約に詰めるROI及び試料プロトコルの組み合わせを提案してもよい。この最適化は、また、異なる数の試料及び撮像タイプが変化する時間の最適な並列化ソリューションをもたらし得るため、試料配列決定並列化のためのサブルーチンオプティマイザを伴う。
【0188】
試料の配列決定中に適用される別のアルゴリズムは、カバーガラスから反射された角度付き赤外線レーザー光を利用して、閉ループでZ位置設定点を見出す、いわゆるパーフェクトフォーカスシステムハードウェアの必要性を排除する。このアルゴリズムは、所与の試料モンタージュの開始XY位置で、Zにおける急速共焦点スイープを使用して、その位置での試料の特徴的なZプロファイルを決定する。セグメント化方法は、試料の上部及び下部インターフェースを決定するために使用され、対物レンズのZ位置は、モンタージュの開始時にこのインターフェースから一定の距離に設定される。これは、ラウンドにわたるステージ及び対物レンズに対する試料のZにおけるドリフトがあったとしても、試料Zドリフトがいくつかの許容範囲を下回るまで低減され、取得後処理中のラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にすることを確実にする。このアルゴリズムは、回折制限されたスポットの正確な位置がラウンドにわたって整列されなければならない、組み合わせ配列決定のためのパーフェクトフォーカスハードウェアシステムの不在下で特に重要であり、試料の厚さが小さい場合には更に重要であり、その場合、任意のラウンドで他の方法で生じ得るZにおけるドリフトは、Zにおける総試料範囲に対して大きく、試料範囲の端での各ラウンドにおけるデータ損失のより大きなパーセンテージをもたらす。かかるアルゴリズムは、また、取得のアスペクト比のために、XYにおける予期しない試料移動からのデータ損失のパーセンテージは概して最小であるが、XYにおける整列のために実行されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
【手続補正書】
【提出日】2024-01-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列決定デバイスであって、
(a)平坦照射補正による照射のための複数のレーザー線を含むスピニングディスク共焦点構成要素であって、前記複数のレーザー線が、1つ以上の波長での励起光で試料を照射するために使用される、スピニングディスク共焦点構成要素と、バンドパス放出フィルタと、ロングパス画像スプリッタと、第1の波長範囲内の蛍光放出を検出する第1のカメラと、第2の波長範囲内の蛍光放出を検出する第2のカメラとを備え、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラが、放出を同時に検出することができる、照射及び検出モジュールと、
(b)x、y、及びz軸に沿って多軸配置することができる電動ステージと、対物レンズZ駆動と、複数の対物レンズを備える対物タレットホイールとを備え、各対物レンズが、異なる倍率を提供し、1つ以上の対物レンズが、浸漬対物レンズであり、各浸漬対物レンズが、対物レンズ浸漬カラー及び光学系を有し、前記光学系が、前記対物レンズから前記照射及び検出モジュールに光を送る、顕微鏡モジュールと、
(c)自動化浸漬媒体モジュールであって、i)浸漬媒体を含む容器と、ii)前記容器及び前記顕微鏡モジュールの前記浸漬対物レンズの前記対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、前記流体ラインが、前記対物レンズ浸漬カラーに、かつ前記対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、前記浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、iii)前記流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、前記マイクロコントローラが、前記流体ラインを介する前記浸漬媒体の前記ポンプの添加及び除去を制御する、ポンプとを備え、前記自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、前記浸漬対物レンズの上部で前記対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の前記浸漬媒体を提供する、自動化浸漬媒体モジュールと、
(d)マルチウェルプレートであって、前記電動ステージを移動させて、撮像に使用される前記浸漬対物レンズの下方に前記マルチウェルプレートのウェルを配置することができる、マルチウェルプレートと、
(e)流体連結タワーであって、前記流体連結タワーが、前記電動ステージの上部にあり、前記マルチウェルプレートのウェル内に前記流体ラインを配置する、流体連結タワーと、
(f)流体管理モジュールであって、ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、前記ポンプが、前記流体ライン及び気泡検出器に接続されており、前記気泡検出器が、前記ポンプに通じる前記流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、前記流体管理モジュールが、前記流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の単方向又は双方向の移動を可能にする、流体管理モジュールと、
(g)試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、i)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、前記スライドトレイ内に配置され、前記流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、ii)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、前記廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、iii)キャッピング機構であって、前記キャッピング機構が、前記廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに前記廃棄物容器を閉じ、前記廃棄物容器が前記システムに戻されるときに前記廃棄物容器を開く、キャッピング機構とを備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールと、
(h)電気モジュールであって、i)前記自動化浸漬媒体モジュールから分配される媒体を制御する第1のファームウェアボードと、ii)前記流体管理モジュール、並びに前記試薬、緩衝液及び廃棄物モジュールを制御する第2のファームウェアボードとを備え、前記電気モジュールが、前記システムの他のモジュールへの電力を調節する、電気モジュールと、
(i)ユーザインターフェースを提供し、前記配列決定デバイスの前記モジュールを操作するようにプログラムされたプロセッサと
を備える、配列決定デバイス。
【請求項2】
前記複数のレーザー線が、少なくとも5つのレーザー線を含む、請求項1に記載の配列決定デバイス。
【請求項3】
前記バンドパス放出フィルタが、ペンタバンドパス放出フィルタである、請求項2に記載の配列決定デバイス。
【請求項4】
前記電動ステージが、ピエゾz軸を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項5】
前記浸漬媒体が、水である、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項6】
前記浸漬媒体が、濾過され、気泡を含まない、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項7】
各対物レンズ上にOリング及び収縮包装コーティングを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項8】
前記流体ライン内の圧力をモニタリングする圧力モニタを更に備え、流体ライン内の圧力の増加が、前記流体ラインの潜在的な閉塞を検出するために使用され得る、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項9】
複数の発光ダイオード(LED)を更に備え、各LEDが、前記システムについての状態表示を提供するために光を放出することができる、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項10】
情報を表示し、ユーザインターフェースを提供するための表示構成要素を更に備える、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項11】
前記プロセッサが、
(a)前記マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、
(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、
(c)前記シグナルを使用して、前記試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、
(d)画像を生成するために前記XY境界ボックス内の前記試料を撮像することであって、撮像することが、前記試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定されたZ範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、
(e)ステップ(d)で生成された前記画像を表示することと、
(f)選択された試料の配列決定中に更に撮像される前記試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、
(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の前記試料を撮像することと、
(h)前記試料中の目的の前記領域の体積を計算し、目的の前記領域の計算された試料体積を前記ユーザに表示することと、
(i)前記Z範囲に沿って、目的の前記領域内の前記試料の前記画像をセグメント化することと、
(j)配列決定を開始する前に、前記ユーザが前記試料体積の前記Z範囲を調整するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザによって定義された目的の前記領域から導出された撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って目的の前記領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、
(k)前記ユーザが配列決定することを意図する前記マルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すことと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、
請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項12】
前記プロセッサが、
前記ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザが、利用可能である緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、
配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、
前記制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行するように更にプログラムされる、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項13】
前記プロセッサが、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項14】
前記プロセッサが、
所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、前記開始XY位置で前記試料のZプロファイルを決定することと、
セグメント化方法を使用して、試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、
前記試料モンタージュの開始時に前記インターフェースから一定の距離で前記対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたる前記ステージ及び前記対物レンズに対する前記試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することと
を含むステップを実行するように更にプログラムされる、
請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項15】
前記配列決定が、組織試料における標的核酸のインサイチュ配列決定である、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項16】
前記組織試料が、20μm~200μmの厚さを有する組織スライスである、請求項15に記載の配列決定デバイス。
【請求項17】
前記インサイチュ配列決定が、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項18】
前記顕微鏡モジュールが、蛍光顕微鏡、共焦点顕微鏡、構造化照明顕微鏡、又は光シート若しくは傾斜面光シート顕微鏡を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイス。
【請求項19】
前記共焦点顕微鏡が、スピニングディスク又は点走査共焦点顕微鏡である、請求項18に記載の配列決定デバイス。
【請求項20】
請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイスを使用する方法であって、
試料を前記マルチウェルプレートに充填することと、
前記マルチウェルプレート内のどの試料が配列決定されるかを選択することと、
配列決定プロトコルを選択することと、
請求項1~のいずれか一項に記載の配列決定デバイスを使用して、前記選択された試料中の核酸を配列決定することと
を含む、方法。
【請求項21】
前記配列決定が、組織試料のインサイチュ体積配列決定である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記組織試料が、20~200μmの厚さを有する組織スライスである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記インサイチュ配列決定が、連続的又は組み合わせインサイチュ配列決定である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
コンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータが、
(a)マルチウェルプレート内に選択された試料を位置付けることと、
(b)カメラビニングによる広視野撮像モード取得を使用して、前記選択された試料から低倍率でXY平面内のシグナルを検出することと、
(c)前記シグナルを使用して、前記試料の周りのXY境界ボックスをセグメント化することと、
(d)画像を生成するために前記XY境界ボックス内の前記試料を撮像することであって、撮像することが、前記試料のおよそのZ範囲を決定するために、カメラビニングによりステップ(b)で使用されるよりも高い倍率でZにおいて共焦点撮像モードで実行され、単一のZ平面が、以前に決定された前記Z範囲の中点を介して、かつXY範囲にわたって収集される、撮像することと、
(e)ステップ(d)で生成された前記画像を表示することと、
(f)前記選択された試料の配列決定中に更に撮像される前記試料中の目的の所望のXY領域をユーザが選択するためのインターフェースを提供することと、
(g)以前にサンプリングされたZ範囲にわたって、目的の選択されたXY領域内の前記試料を撮像することと、
(h)目的の前記領域の試料体積を計算し、目的の前記領域の前記計算された試料体積を前記ユーザに表示することと、
(i)Z範囲に沿って、目的の前記領域内の前記試料の前記画像をセグメント化することと、
(j)配列決定を開始する前に、前記ユーザが前記試料体積の前記Z範囲を調整するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザによって定義された目的の前記領域から導出された前記撮像の範囲が、所与の撮像対物レンズについての適切なモンタージュされた視野に自動的に変換され、配列決定中にXYZ軸に沿って前記目的の領域の撮像のために顕微鏡ステージの位置、対物レンズのZ配置、及びピエゾ境界を調整する、提供することと、
(k)前記ユーザが配列決定することを意図する前記マルチウェルプレート内の各試料についての目的の領域を定義するためにステップ(a)~(j)を何度も繰り返すことと
を含むステップを実行する、コンピュータ実装方法。
【請求項25】
コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項24に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項26】
コンピュータ実装方法であって、前記コンピュータが、
ユーザが配列決定及び配列決定プロトコルのために1つ以上の試料を選択するためのインターフェースを前記ユーザに提供することであって、前記ユーザが、利用可能な緩衝液及び試薬の量、並びに選択された配列決定プロトコルに応じて、選択され得る試料の数が制限される、提供することと、
配列決定され、撮像される全ての試料にわたる総配列決定時間、取得される総データ、取得の速度、及び目的の領域の最大総体積に対する制約を提供することと、
前記制約内の試料における目的の所望の領域の配列決定を最大化するプロトコルを提案することとを含むステップを実行する、
コンピュータ実装方法。
【請求項27】
前記コンピュータが、配列決定される試料の数及び配列決定に使用される撮像タイプに応じて、試料配列決定並列化を最適化するように更にプログラムされる、請求項26に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項28】
コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項26又は27に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
コンピュータ実装方法であって、
前記コンピュータが、
所与の試料モンタージュの開始XY位置でZにおいて急速共焦点スイープを実行して、前記開始XY位置で前記試料のZプロファイルを決定することと、
セグメント化方法を使用して、前記試料の上部及び下部インターフェースを決定することと、
前記試料モンタージュの開始時に前記インターフェースから一定の距離で対物レンズのZ位置を設定することであって、ラウンドにわたるステージ及び前記対物レンズに対する前記試料のZにおけるドリフトが、選択された許容範囲を下回るまで低減されて、取得後処理中にラウンドにわたる下流サブピクセル登録を容易にする、設定することと
を含むステップを実行する、
コンピュータ実装方法。
【請求項30】
コンピュータにおけるプロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項29に記載の方法を実行させるプログラム命令を含む、非一過性コンピュータ可読媒体。
【請求項31】
自動化浸漬媒体モジュールであって、
(a)浸漬媒体を含む容器と、
(b)前記容器及び顕微鏡モジュールの対物レンズの対物レンズ浸漬カラーに連結された流体ラインであって、前記流体ラインが、浸漬対物レンズ上の対物レンズ浸漬カラーに、かつ対物レンズ浸漬カラーから浸漬媒体を運び、前記浸漬カラーが、過剰な浸漬媒体を捕捉する、流体ラインと、
(c)前記流体ライン及びマイクロコントローラに接続された一連のポンプであって、前記マイクロコントローラが、前記流体ラインを介する前記浸漬媒体の前記ポンプの添加及び除去を制御するポンプと
を備えており、前記自動化浸漬媒体モジュールが、撮像中に、前記対物レンズの上部で前記対物レンズ浸漬カラーに制御された体積の前記浸漬媒体を提供する、
自動化浸漬媒体モジュール。
【請求項32】
請求項31に記載の自動化浸漬媒体モジュールを使用する方法であって、
請求項31に記載の自動化浸漬媒体モジュールを使用して、顕微鏡の浸漬対物レンズに取り付けられている対物レンズ浸漬カラーに浸漬媒体を送達することを含む、方法。
【請求項33】
流体管理モジュールであって、
ロータリーバルブ機構を含む対称ロータリーバルブと、ポンプであって、前記ポンプが、流体ライン及び気泡検出器に接続されており、前記気泡検出器が、前記ポンプに通じる前記流体ラインのいずれかの側面に配置される、ポンプとを備え、前記流体管理モジュールが、前記流体ラインを介する試薬、緩衝液、及び廃棄物の双方向又は単方向の移動を可能にする、流体管理モジュール。
【請求項34】
試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュールであって、
(a)スライドトレイであって、試薬カートリッジ及び緩衝液カートリッジが、前記スライドトレイ内に配置され、流体管理モジュールに連結され得る、スライドトレイと、
(b)廃棄物容器を備える廃棄物モジュールであって、前記廃棄物容器が、流体管理ポンプからの流体ラインに連結される、廃棄物モジュールと、
(c)キャッピング機構であって、前記キャッピング機構が、前記廃棄物容器が廃棄物処分のためにシステムから除去されるときに前記廃棄物容器を閉じ、前記廃棄物容器が前記システムに戻されるときに前記廃棄物容器を開く、キャッピング機構と
を備える、試薬、緩衝液、及び廃棄物モジュール。
【国際調査報告】