IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイマックス セラピューティクス,インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-521147細菌感染症の治療または予防におけるプリスチナマイシンIAおよびフロプリスチンの組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】細菌感染症の治療または予防におけるプリスチナマイシンIAおよびフロプリスチンの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/444 20060101AFI20240521BHJP
   A61K 31/424 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240521BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240521BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
A61K31/444
A61K31/424
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/10
A61K9/12
A61K9/06
A61K9/70 401
A61P31/04
A61P15/00
A61P13/00
A61P11/00
A61P17/00 101
A61P19/00
A61P19/02
A61P9/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572516
(86)(22)【出願日】2022-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-01-05
(86)【国際出願番号】 US2022030552
(87)【国際公開番号】W WO2022251118
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,564
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523440019
【氏名又は名称】エイマックス セラピューティクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】キーディ,カラ,エス.
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ローレン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA07
4C076AA08
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA17
4C076AA22
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA48
4C076AA49
4C076AA53
4C076AA54
4C076AA56
4C076AA72
4C076BB01
4C076BB02
4C076BB11
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB16
4C076BB21
4C076BB22
4C076BB24
4C076BB25
4C076BB26
4C076BB27
4C076BB29
4C076BB30
4C076BB31
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC17
4C076CC18
4C076CC32
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA36
4C086MA37
4C086MA41
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA81
4C086ZA90
4C086ZA96
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、腸球菌属菌種、ヘモフィルス属菌種、モラクセラ属菌種、レジオネラ属菌種、クラミジア属菌種、マイコプラズマ属菌種、ウレアプラズマ属菌種、ナイセリア属菌種、ガードネレラ属菌種、バチルス属菌種、およびフランシセラ属菌種ならびに他の細菌種に対して相乗的抗菌活性を有する、種々の比率の2種のストレプトグラミン、ストレプトグラミンB(例えば、プリスチナマイシンIA)およびストレプトグラミンA(例えば、フロプリスチン)を含む新規抗生物質組成物の発見に関する。特に、本発明は、ストレプトグラミンB(例えば、プリスチナマイシンIA)およびストレプトグラミンA(例えば、フロプリスチン)の約0:100~約99:1の範囲の重量比率(プリスチナマイシンIA:フロプリスチン)での医薬組成物に関する。さらに、本発明は、医薬組成物および種々の細菌感染症を治療するおよび予防する方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリスチナマイシンIA(PIA)またはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物であって、前記PIA:フロプリスチンの重量比は、約1:99~約99:1の範囲である、組成物。
【請求項2】
前記フロプリスチンに対するプリスチナマイシンIA(PIA)の重量比(PIA:フロプリスチン)は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1の組成物およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2の組成物を含む、キット。
【請求項4】
前記フロプリスチンに対するプリスチナマイシンIA(PIA)の重量比(PIA:フロプリスチン)は、約1:99~約99:1の範囲であり;任意で、前記比率は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記パッケージは、ブリスターパックである、請求項3または4に記載のキット。
【請求項6】
同時に前記第1の組成物および前記第2の組成物をそれを必要としている対象に投与するための、または前記第2の組成物が投与される前にまたは後で前記第1の組成物を投与するための説明書をさらに含む、請求項3~5のいずれかに記載のキット。
【請求項7】
前記組成物、前記第1の組成物、または前記第2の組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、結合剤、溶媒または担体をさらに含み;任意で、前記組成物、第1の組成物または第2の組成物は、固体、半固体、液体、懸濁液、またはエアロゾルであり;任意で、前記組成物、第1の組成物、または第2の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、ジェルタブ、ロゼンジ、急速溶解ストリップ、カプセル(硬カプセルまたは軟カプセル)、カプレット、シロップ、エリキシル剤、懸濁液、乳剤、サッシェ、スプリンクル、ペレット、パッチ、噴霧剤、クリーム、軟膏、ゲル、ローションまたは発泡剤である、請求項1または2に記載の組成物または請求項3~6のいずれかに記載のキット。
【請求項8】
持続されたまたは制御された放出剤形で;任意で、蓄積注射、浸透圧ポンプ、ゲル、懸濁液または乳剤、丸薬または経皮パッチとして、処方される、請求項7に記載の組成物、第1の組成物、または第2の組成物。
【請求項9】
前記持続されたまたは制御された放出剤形は、所定の速度での延長されたおよび/または時間を決められた、パルスされる投与においてである、請求項8に記載のキット中の組成物、第1の組成物または第2の組成物。
【請求項10】
プリスチナマイシンIA(PIA)またはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量の組み合わせをそれを必要としている対象へ投与することを含む、細菌感染症を治療するまたは予防する方法であって、前記組み合わせは、単一組成物として投与されるまたは2つの別々の組成物として投与される、方法。
【請求項11】
前記組み合わせは、請求項1もしくは2および請求項7~9のいずれかに記載の組成物または請求項3~9のいずれかのキットとして提供される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記細菌感染症は、1種または複数の感受性のおよび/または耐性のグラム陽性細菌、グラム陰性細菌、非定型細菌、好気性細菌、および/または嫌気性細菌により引き起こされる感染症である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記細菌感染症は、バチルス属菌種、バクテロイデス属菌種、ボルデテラ属菌種、ボレリア属菌種、ブルセラ属菌種、ブルクホルデリア属菌種、カンピロバクター属菌種、クラミジア属菌種、クロストリジウム属菌種、コリネバクテリウム属菌種、コクシエラ属菌種、エーリキア属菌種、腸球菌属菌種、フランシセラ属菌種、フゾバクテリウム属菌種、ガードネレラ属菌種、ヘモフィルス属菌種、キンゲラ属菌種、レジオネラ属菌種、リステリア属菌種、モラクセラ属菌種、マイコプラズマ属菌種、マイコバクテリウム属菌種、ナイセリア属菌種、ノカルジア属菌種、ペプトストレプトコッカス属菌種、ポルフィロモナス属菌種、プロピオニバクテリウム属菌種、プレボテラ属菌種、リケッチア属菌種、サルモネラ属菌種、赤痢菌属菌種、ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、ウレアプラズマ属菌種、ビブリオ属菌種、またはエルシニア属菌種の1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株による前記対象の感染の結果である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
薬学的に許容可能な担体または賦形剤中のフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、細菌感染症を治療するまたは予防する方法。
【請求項15】
前記細菌感染症は、性感染症または泌尿生殖器感染症である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記細菌は、ナイセリア・ゴノレア、トラコーマ病原体、マイコプラズマ・ゲニタリウムまたはガードネレラ・バジナリスの1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記治療を受ける対象は、ヒトまたは動物である、請求項10~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記投与の経路は、経口、直腸、経粘膜、吸入、鼻腔内、局所(皮膚、眼部、耳を含む)、腟、腸、頬側、または舌下投与;筋肉内、皮下、静脈内、または髄内注射、ならびに髄腔内、硬膜外、直接脳室内、腹腔内、羊水内、鼻腔内、もしくは眼内注射または関節中への注射を含む、非経口の送達である、請求項10~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記細菌感染症は、呼吸器感染症である、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記呼吸器感染症は、細菌によりまたは細菌と関連して引き起こされる市中感染肺炎、医療ケア関連肺炎、慢性気管支炎、副鼻腔炎、急性上顎洞炎、慢性気管支炎の急性増悪、咽頭炎、慢性閉塞性肺疾患、または非結核マイコバクテリア感染症である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記細菌は、肺炎球菌、化膿性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、カタル球菌、レジオネラ属菌種、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、百日咳菌、ナイセリア・ゴノレア、ジフテリア菌、コクシエラバーネティー、ペプトストレプトコッカス属菌種、フゾバクテリウム属菌種、バクテロイデス属菌種、プレボテラ属菌種、ノカルジア属菌種、またはマイコバクテリウム属菌種の1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細菌感染症は、性感染症または泌尿生殖器感染症である、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記細菌は、ナイセリア・ゴノレア、トラコーマ病原体、マイコプラズマ・ゲニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ウレアプラズマ・パルバム、またはガードネレラ・バジナリスの1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細菌感染症は、皮膚および/または柔組織の感染症である、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記細菌は、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・アガラクチア、緑色連鎖球菌、化膿性連鎖球菌、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、コリネバクテリウム属菌種、またはアクネ菌の1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細菌感染症は、骨および/または関節感染症である、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記細菌は、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿性連鎖球菌、肺炎球菌、緑色連鎖球菌、ササルモネラ属菌種、赤痢菌属菌種、カンピロバクター属菌種、エルシニア属菌種、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、キンゲラ・キンゲ、コリネバクテリウム属菌種、アクネ菌、トラコーマ病原体またはナイセリア・ゴノレアの1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記対象は、細菌感染症により引き起こされるまたはそれと関連する心内膜炎を有する、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記細菌は、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・ガロリチカス、緑色連鎖球菌、化膿性連鎖球菌、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、ヘモフィルス属菌種、キンゲラ属菌種、レジオネラ属菌種、またはコリネバクテリウム属菌種の1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記対象は、細菌感染症により引き起こされるまたはそれと関連する菌血症または敗血症を有する、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記対象は、細菌感染症により引き起こされるまたはそれと関連する炭疽病、野兎病、ペスト、鼻疽または類鼻疽を有する、請求項10~13および請求項17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記細菌は、炭疽菌、フランシセラ・ツラレンシス、ペスト菌、鼻疽菌、または類鼻疽菌の1種または複数の感受性のおよび/または耐性の菌株を含む、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、抗菌活性を有するプリスチナマイシンIAとフロプリスチンの種々の比率を含む新規ストレプトグラミン抗生物質組成物の発見に関する。これは、ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、腸球菌属菌種、ヘモフィルス属菌種、モラクセラ属菌種、レジオネラ属菌種、クラミジア属菌種、マイコプラズマ属菌種、ウレアプラズマ属菌種、ナイセリア属菌種、ガードネレラ属菌種、バチルス属菌種、およびフランシセラ属菌種ならびに他の細菌種に対する活性を含む。本発明の追加の態様は、ストレプトグラミンBおよびストレプトグラミンA化合物の種々の組み合わせを用いる種々の細菌感染症の治療および予防を含む。
【背景技術】
【0002】
抗生物質の導入はかつて、感染性疾患に起因するヒトの罹患率および死亡率を劇的に低減させた。しかし、抗生物質の広範な使用は、抗生物質耐性病原性細菌の出現をもたらし、臨床的有効性の低下または減少、およびその結果として新規抗生物質治療薬選択肢の必要性をもたらした。抗生物質耐性の機序は、トランスポーターによる抗生物質の流出、変異による抗生物質の標的との相互作用の防止、標的の改変および保護、ならびに抗生物質の改変を含む(Ogawara H “Comparison of Antibiotic Resistance Mechanisms in Antibiotic-Producing and Pathogenic Bacteria” Molecules 2019,vol.24,no.19,3430)。
【0003】
2019年に、疾病予防管理センター(CDC)は、米国における抗生物質耐性の脅威報告の最新情報を公表した。次の病原体が、これらの中で強調された:薬剤耐性ナイセリア・ゴノレア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、薬剤耐性肺炎球菌、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、エリスロマイシン耐性化膿性連鎖球菌、クリンダマイシン耐性ストレプトコッカス・アガラクチア、および薬剤耐性マイコプラズマ・ゲニタリウム(CDC:米国における抗生物質耐性の脅威、2019.Atlanta,GA:CDC)。ナイセリア・ゴノレア、肺炎球菌、MRSA、およびVREはまた、世界保健機関(WHO)の新規抗生物質を必要とする優先対処すべき病原体のリストにも収載されている(Tacconelli E,et al.“Discovery,research,and development of new antibiotics:the WHO priority list of antibiotic-resistant bacteria and tuberculosis” The Lancet Infectious Diseases 2018,vol.18,no.3,pages 318-327)。これらのリストの両方は、新規抗生物質の特定および開発のための公衆衛生の優先順位を明確にするのに役立つ。
【0004】
ストレプトグラミンは、ユニークな種類の抗生物質であり、それらの抗菌活性およびそれらの作用機序は注目に値する。これらの抗生物質は、いくつかのストレプトマイセス種により二次代謝物として天然に産生される。それらは、2つの構造上異なる化合物群からなる。ストレプトグラミンAまたはMは、プリスチナマイシンIIA(PIIA)が一例である、マクロラクトン(多価不飽和大環状ラクトン)であり;一方、ストレプトグラミンBまたはSは、プリスチナマイシンIA(PIA)が一例である、環状ヘキサデプシペプチドである。
【化1】
【0005】
ストレプトグラミンは、多剤耐性を有する細菌を含む、グラム陽性、特定のグラム陰性、および非定型細菌ならびに好気性および嫌気性細菌に対し、インビトロおよびインビボで活性を示した。
【0006】
両群のストレプトグラミンは、細菌性リボソームに結合し、タンパク質合成を阻害し、かつそれらは、多くの細菌種に対しインビトロで相乗的に作用する。
【0007】
ストレプトグラミンA成分は、ペプチジルトランスフェラーゼのドナーおよびアクセプター部位を不活化する。それらは、2つのペプチド鎖延長ステップ:リボソームのA部位へのアミノアシル-tRNA結合およびP部位でのペプチジル-tRNAとのペプチド結合形成、を遮断する。
【0008】
ストレプトグラミンB成分は、不完全なペプチド鎖の放出を伴うペプチド結合形成の阻害を含む、より複雑な作用機序を有する。
【0009】
ストレプトグラミンAとB成分の間の相乗作用は、ストレプトグラミンA成分により、ならびにタンパク質合成の初期および後期の両方の阻害により、ペプチジルトランスフェラーゼ中心に与えられる立体構造変化に起因すると考えられている。立体構造変化は、ストレプトグラミンB成分に対するリボソーム親和性を高める。
【0010】
2種のストレプトグラミン抗生物質の組み合わせは、細菌感染症の治療のためのヒトでの使用が認可された。プリスチナマイシンは、ストレプトマイセス・プリスティナエスピラリスにより、約30:70の重量比で共産生されるプリスチナマイシンIAおよびプリスチナマイシンIIAを含むストレプトグラミン抗生物質であり、主にブドウ球菌感染症、およびより少ない程度に連鎖球菌感染症の治療に使用される。プリスチナマイシンは、経口投与用の錠剤としての使用のためにのみ利用でき、その低い経口バイオアベイラビリティの理由で、それは、高投与量で1日数回(感染症の種類に応じて1日当り1gを2回~4回)投与される必要がある。さらに、治療の失敗が発生したことがあるので、組成物の有効性を改善する必要性がある。
【0011】
キヌプリスチン-ダルホプリスチンは、ヒトでの使用が認可された2つ目のストレプトグラミンの組み合わせである。ストレプトグラミンB成分である、キヌプリスチンは、プリスチナマイシンIAの半合成誘導体であり、ストレプトグラミンA成分である、ダルホプリスチンは、プリスチナマイシンIIAの半合成誘導体である。成分は、30:70のB:A重量比率で混合される。それは、静脈内注入可能製剤としてのみ利用可能である。
【0012】
未認可であるが、3番目のストレプトグラミンの組み合わせ、リノプリスチン-フロプリスチンは、細菌性皮膚および肺炎感染症に対する第2相ヒト臨床試験で評価された。しかし、この組み合わせの開発は、臨床試験第2相を越えて継続されなかった。ストレプトグラミンB成分である、リノプリスチンは、プリスチナマイシンIAの半合成誘導体である。ストレプトグラミンA成分である、フロプリスチンは、プリスチナマイシンIIBの半合成フッ化誘導体である。このストレプトグラミンの組み合わせは、少数の異なる比率で臨床試験されたが、大部分の試験は、30:70の重量比でB:Aを使用した。
【化2】
【0013】
ストレプトグラミンは有用な種類であったが、より良好な効力および有効性を有する改善されたストレプトグラミンの組み合わせが、抗生物質耐性の絶え間ない脅威および進化に対処するために望まれる。さらに、殺菌活性を有するより多くの抗生物質が、必要とされる。殺菌活性は、感染症の間の細菌量の迅速な除去が耐性発生の可能性を低減させるので、有効性にとって重要である。既存のストレプトグラミンの異なる組み合わせの生物活性を評価することにより、我々は意外にも、一連の重要な細菌種に対し全ての他のストレプトグラミンの組み合わせの中で最も効力の高い活性を一貫して示すストレプトグラミンB(即ち、プリスチナマイシンIA)およびストレプトグラミンA(即ち、フロプリスチン)のユニークな新規の組み合わせを発見した。
【発明の概要】
【0014】
一実施形態では、ストレプトグラミンB(例えば、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩)およびストレプトグラミンA(例えば、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩)を含む組成物が提供され、ストレプトグラミンAに対するストレプトグラミンBの重量比(ストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA)は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0015】
別の実施形態では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物が提供され、フロプリスチンに対するプリスチナマイシンIA(PIA)の重量比(PIA:フロプリスチン)は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0016】
別の実施形態では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含む医薬組成物が提供され、フロプリスチンに対するプリスチナマイシンIA(PIA)の重量比(PIA:フロプリスチン)は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0017】
別の実施形態では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1の組成物、およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2の組成物を含むキットが提供され、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1であり、各成分は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤を更に含み、キットは任意に、ブリスターパックとしてパッケージ化され、キットは、同時に第1の組成物および第2の組成物をそれを必要としている対象に投与するための、または第2の組成物が投与される前にまたは後で第1の組成物を投与するための説明書を含む。
【0018】
別の実施形態では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、それを必要としている上記対象において細菌感染症を治療するまたは予防する方法が提供され、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1であり、 細菌感染症は、1種または複数の感受性および/または耐性のグラム陽性細菌、グラム陰性菌、非定型細菌、好気性細菌、および/または嫌気性細菌、例えば、バチルス属菌種、バクテロイデス属菌種、ボルデテラ属菌種、ボレリア属菌種、ブルセラ属菌種、ブルクホルデリア属菌種、カンピロバクター属菌種、クラミジア属菌種、クロストリジウム属菌種、コリネバクテリウム属菌種、コクシエラ属菌種、エーリキア属菌種、腸球菌属菌種、フランシセラ属菌種、フゾバクテリウム属菌種、ガードネレラ属菌種、ヘモフィルス属菌種、キンゲラ属菌種、レジオネラ属菌種、リステリア属菌種、モラクセラ属菌種、マイコプラズマ属菌種、マイコバクテリウム属菌種、ナイセリア属菌種、ノカルジア属菌種、ペプトストレプトコッカス属菌種、ポルフィロモナス属菌種、プロピオニバクテリウム属菌種、プレボテラ属菌種、リケッチア属菌種、サルモネラ属菌種、赤痢菌属菌種、ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、ウレアプラズマ属菌種、ビブリオ属菌種、またはエルシニア属菌種により引き起こされる感染症である。
【0019】
また本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において呼吸器感染症および/または疾患を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、呼吸器感染症および/または疾患は、感受性および/または耐性肺炎球菌、化膿性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、カタル球菌、レジオネラ属菌種、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、百日咳菌、ナイセリア・ゴノレア、ジフテリア菌、コクシエラバーネティー、ペプトストレプトコッカス属菌種、フゾバクテリウム属菌種、バクテロイデス属菌種、プレボテラ属菌種、ノカルジア属菌種、またはマイコバクテリウム属菌種の1種または複数の菌株などの細菌により、または細菌に関連して引き起こされる市中感染肺炎または医療ケア関連肺炎、慢性気管支炎、副鼻腔炎、急性上顎洞炎、慢性気管支炎の急性増悪、咽頭炎、慢性閉塞性肺疾患、および非結核マイコバクテリア感染症を含む。
【0020】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において性感染症または泌尿生殖器感染症を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、性感染症または泌尿生殖器感染症は、感受性および/または耐性ナイセリア・ゴノレア、トラコーマ病原体、マイコプラズマ・ゲニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ウレアプラズマ・パルバム、またはガードネレラ・バジナリスの1種または複数の菌株によるなどの細菌により引き起こされるまたは細菌に関連する。
【0021】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において皮膚および/または軟部組織感染症および/または疾患を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、皮膚および/または軟部組織感染症および/または疾患は、感受性および/または耐性黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・アガラクチア、緑色連鎖球菌、化膿性連鎖球菌、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、コリネバクテリウム属菌種、またはアクネ菌の1種または複数の菌株などの細菌により引き起こされる。
【0022】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、嚢胞性線維症の上記対象において感染症を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、またはマイコバクテリウム属菌種の1種または複数の菌株などの細菌により引き起こされるまたは細菌に関連する。
【0023】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において骨および/または関節感染症を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿性連鎖球菌、肺炎球菌、緑色連鎖球菌、ササルモネラ属菌種、赤痢菌属菌種、カンピロバクター属菌種、エルシニア属菌種、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、キンゲラ・キンゲ、コリネバクテリウム属菌種、アクネ菌、トラコーマ病原体またはナイセリア・ゴノレアの1種または複数の菌株などの細菌により引き起こされる。
【0024】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において心内膜炎を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・ガロリチカス、化膿性連鎖球菌、緑色連鎖球菌、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、ヘモフィルス属菌種、キンゲラ属菌種、レジオネラ属菌種、またはコリネバクテリウム属菌種の1種または複数の菌株などの細菌により引き起こされる。
【0025】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において菌血症または敗血症を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性細菌の1種または複数の菌株により引き起こされる。
【0026】
本明細書で記載されるのは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において炭疽病、野兎病、ペスト、鼻疽、または類鼻疽を治療するまたは予防する方法であり、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲であり、感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性炭疽菌、フランシセラ・ツラレンシス、ペスト菌、鼻疽菌、類鼻疽菌の1種または複数の菌株などの細菌により引き起こされる。
【0027】
また、本明細書で記載されるのは、薬学的に許容可能な担体または賦形剤中のフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を、それを必要としている対象に投与することを含む細菌感染症を治療するまたは予防する方法である。
【0028】
本明細書で記載されるのは、薬学的に許容可能な担体または賦形剤中のフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量をそれを必要としている対象に投与することを含む、上記対象において性感染症または泌尿生殖器感染症を治療するまたは予防する方法であり、性感染症または泌尿生殖器感染症は、感受性および/または耐性のナイセリア・ゴノレア、トラコーマ病原体、マイコプラズマ・ゲニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ウレアプラズマ・パルバム、またはガードネレラ・バジナリスの1種または複数の菌株によるなどの細菌により引き起こされるまたは細菌に関連する。
【0029】
本明細書で記載される感染症または状態を治療するまたは予防する方法のいずれかにおいて、投与経路は、経口、直腸の、経粘膜、吸入、鼻腔内、局所(皮膚、眼部、耳を含む)、腟、腸、頬側、または舌下の投与;筋肉内、皮下、静脈内、または髄内注射、ならびに髄腔内、硬膜外、直接脳室内、腹腔内、羊水内、鼻腔内、または眼内注射もしくは関節内注射を含む、非経口送達であり得る。
【0030】
本明細書で記載されるいずれの感染症を治療するまたは予防する方法のいずれかにおいて、対象は、動物またはヒトであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】黄色ブドウ球菌の菌株に対する、ストレプトグラミンBとストレプトグラミンA #1(CBA1:図の1ページ目)、プリスチナマイシンIAとプリスチナマイシンIIAの組み合わせ(図の2ページ目)、およびリノプリスチンとフロプリスチンとの組み合わせ(図の3ページ目)の新規組み合わせのストレプトグラミンBおよびストレプトグラミンA成分のチェッカーボード試験例の結果を示す。CBA1は、プリスチナマイシンIAとフロプリスチンの組み合わせである。網掛け領域は、微生物増殖を有するウェルを表す。特定のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの組み合わせ比率のMICは、ウェルを取り囲む太線の境界で識別される。
図2】既知のストレプトグラミン組み合わせプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチンおよび/またはリノプリスチン-フロプリスチンと比較した、種々のグラム陽性、グラム陰性、および非定型細菌種に対するCBA1のMIC分布を示す。X軸のより低い値は、より大きな生物活性を示す。
図3】セフトリアキソンと比較して多剤耐性ナイセリア・ゴノレア菌株NCTC13480に対するCBA1の殺菌時間動力学活性を示すグラフである。殺菌活性は、ベースラインからの、≧3-log10コロニー形成単位(CFU)/mLの減少で定義される。
図4】好中球減少症大腿感染モデルにおける黄色ブドウ球菌に対する静脈内(IV)または経口投与後のCBA1の有効性を示す。クラス内比較物質は、IVキヌプリスチン-ダルホプリスチンおよび経口プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAを含んだ。IVバンコマイシンおよび経口リネゾリドは、陽性対照として機能した。
【発明を実施するための形態】
【0032】
略語および定義
本明細書中で使用される用語は一般に、本発明の枠組みの中で、およびそれぞれの用語が使われる特定の文脈における当該技術分野の用語の通常の意味を有する。本開示の記載に使われる特定の用語は、下で、または本明細書の別の場所で考察されて、本発明の記載に関して開業医へ追加のガイダンスを提供する。
【0033】
別に定めのない限り、本明細書で使われる全ての技術科学用語は、本発明が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合には、定義を含み、本文書が優先される。
【0034】
ストレプトグラミンに対する用語「化合物」または「薬剤」は、指定された範囲の重量比率でのストレプトグラミンB成分およびストレプトグラミンA成分の混合物を指す。
【0035】
用語「最小発育阻止濃度」(MIC)は、細菌を含む微生物の目視可能な増殖を防ぐ、化学薬品または化合物の最小濃度を指す。
【0036】
用語「最小殺菌濃度」(MBC)は、初期細菌接種の生存率を99.9%以上減らす、抗菌薬の最小濃度を指す。それは、試験薬剤を含まない寒天プレートに継代培養することにより、ブロス希釈最小発育阻止濃度(MIC)試験から決定できる。
【0037】
用語「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」は、有効量の治療薬を、疾患の治癒、軽減、緩和、治療、および/または回復の目的を有するそれを必要としている対象への、治療薬の有効量の投与を指す。このような対象は、任意の好適な診断法からの結果に基づいて、医療専門家により特定できる。「治療すること(treating)」または「治療(treatment)」はまた、臨床成績を含む、対象の状態における有益な結果、または目的の結果を得るための手法も含む。有益なまたは望ましい臨床成績は、限定されないが、部分的または全体に関わらずおよび検出可能または検出不能に関わらず、1種または複数の症状または状態の軽減または寛解、疾患の程度の低減、疾患の状態の安定化(即ち、悪化させない)、疾患進行の遅延または緩徐化、病状の回復または軽減、疾患の再発の減少化、および寛解を含み得る。
【0038】
用語「防止する(prevent)」、「予防の(preventative)」、「予防の(preventive)」または「予防的(prophylactic)」は、対象の疾患症状(例えば、感染性疾患症状)の発生を減少させる治療を指す。防止する(prevent)、予防の(preventative)、予防の(preventive)または予防的(prophylactic)は、より少ない症状が、予防の治療なしに起こると思われるよりも観察されるような、完全である(検出可能な症状なし)または部分的であってよい。予防の治療はまた、感染病原体への曝露の前に、対象を前治療することも指す。
【0039】
用語「相乗作用(synergy)」または「相乗作用(synergism)」または「相乗的(synergistic)」は、それぞれの薬剤または薬物の個別の効果の合計よりも大きい、組み合わされた薬剤または薬物の総量効果を生ずる、2種以上の薬剤または薬物の間の相互作用を指す。
【0040】
用語「相加効果」は、2種以上の薬剤または薬物の組み合わされた効果が、単独で与えられるそれぞれの薬剤または薬物の効果の合計に等しい場合を指す。
【0041】
用語「感受性のおよび/または耐性の」菌株は、この薬剤の投与計画を用いて治療の成功の高い可能性があることを意味する、感受性である細菌、および/またはこの薬剤の投与計画を用いて治療の失敗の高い可能性があることを意味する、耐性である細菌を指す。
【0042】
用語「既知の」ストレプトグラミンの組み合わせは、ヒト使用に認可された、またはヒト臨床試験で試験された、3種のストレプトグラミンの組み合わせを指し、これは、プリスチナマイシンIAとプリスチナマイシンIIAの組み合わせ、キヌプリスチンとダルホプリスチンの組み合わせ、およびリノプリスチンとフロプリスチンの組み合わせを含む。
【0043】
用語「投与する(administer)」、「投与すること(administering)」、「投与(administration)」などは、本明細書で使用される場合、生物学的作用の所望の部位への薬剤または組成物の送達を可能にするために使用され得る方法を指す。
【0044】
用語「対象」は、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指し、それは、治療、観察または実験の対象である。例示的哺乳動物は、マウス、ラット、げっ歯類、ハムスター、スナネズミ、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、雌ウシ、ウマ、キリン、ゾウ、トラ、ライオン、熊、カモノハシ、サル、チンパンジー、類人猿、およびヒトなどの霊長類を含む。動物はまた、ニワトリ、七面鳥および他の鳥種として例示される鳥類であってよい。
【0045】
語句「薬学的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題や合併症なしにヒトまたは、場合に応じて、動物の組織と接触させて用いるのに適しており、妥当なベネフィットリスク比に見合う、化合物、材料、組成物、製剤、および/または剤形を指す語句として用いられる。
【0046】
用語「医薬組成物」は、本明細書で開示される化合物と、剤形を作製するための希釈剤、結合剤、賦形剤または担体などの他の化学成分の混合物を指す。医薬組成物は、対象への化合物の投与を促進する。
【0047】
用語「約(about)」は、当業者が指定された値に合理的に類似であるとみなし得る、指定された値を含むある範囲の値を意味する。いくつかの実施形態では、約(about)は、当該技術分野で一般に許容可能な測定値を用いる標準偏差内を意味する。いくつかの実施形態では、約(about)は、指定された値の±10%に拡張する範囲を意味する。いくつかの実施形態では、約(about)は、指定された値を包含する。
【0048】
本明細書で使用される場合、プリスチナマイシンIAもしくはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含むいずれかの医薬組成物の量、用量、投与量または濃度は、プリスチナマイシンIAおよびフロプリスチンの遊離塩基の量または濃度の合計であり;プリスチナマイシンIAもしくはその薬学的に許容可能な塩またはフロプリスチンもしくはその薬学的に許容可能な塩を含むいずれかの医薬組成物の量、用量、投与量または濃度は、それぞれ、プリスチナマイシンIAまたはフロプリスチンの遊離塩基の量である。
【0049】
組成物
一般命題として、単一の医薬組成物(剤形)内で一緒に、または2種の独立した医薬組成物(剤形)中で、例えば、キット中で、治療的有効量または予防的有効量のストレプトグラミンB(例えば、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩)およびストレプトグラミンA(例えば、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩)が、細菌感染症または細菌感染症により引き起こされる状態を治療するまたは予防するために提供される。
【0050】
一般命題として、ある実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量または予防的有効量は、1回または複数回の投与に関係なく、約10ng/kg体重/日~約100mg/kg体重/日の範囲で投与されてよい。特定の実施形態では、治療化合物は、約10ng/kg体重/日~約100mg/kg体重/日、約10ng/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、約10ng/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、約10ng/kg体重/日~約100μg/kg体重/日、約10ng/kg体重/日~約10μg/kg体重/日、約10ng/kg体重/日~約1μg/kg体重/日、約10ng/kg体重/日~約100ng/kg体重/日、約100ng/kg体重/日~約100mg/kg体重/日、約100ng/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、約100ng/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、約100ng/kg体重/日~約100μg/kg体重/日、約100ng/kg体重/日~約10μg/kg体重/日、約100ng/kg体重/日~約1μg/kg体重/日、約1μg/kg体重/日~約100mg/kg体重/日、約1μg/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、約1μg/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、約1μg/kg体重/日~約100μg/kg体重/日、約1μg/kg体重/日~約10μg/kg体重/日、約10μg/kg体重/日~約100mg/kg体重/日、約10μg/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、約10μg/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、約10μg/kg体重/日~約100μg/kg体重/日、約100μg/kg体重/日~約100mg/kg体重/日、約100μg/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、約100μg/kg体重/日~約1mg/kg体重/日、約1mg/kg体重/日~約100mg/kg体重/日、約1mg/kg体重/日~約10mg/kg体重/日、約10mg/kg体重/日~約100mg/kg体重/日の範囲で投与される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量または予防的有効量は、個別投与当り約100ng~約1μg、個別投与当り約100ng~約10μg、個別投与当り約100ng~約100μg、個別投与当り約100ng~約1mg、個別投与当り約100ng~約10mg、個別投与当り約100ng~約100mg、個別投与当り約100ng~約1000mg、個別投与当り約100ng~約10,000mg、個別投与当り約1μg~約10μg、個別投与当り約1μg~約100μg、個別投与当り約1μg~約1mg、個別投与当り約1μg~約10mg、個別投与当り約1μg~約100mg、個別投与当り約1μg~約1000mg、個別投与当り約1μg~約10,000mg、個別投与当り約10μg~約100μg、個別投与当り約10μg~約1mg、個別投与当り約10μg~約10mg、個別投与当り約10μg~約100mg、個別投与当り約10μg~約1000mg、個別投与当り約10μg~約10,000mg、個別投与当り約100μg~約1mg、個別投与当り約100μg~約10mg、個別投与当り約100μg~約100mg、個別投与当り約100μg~約1000mg、個別投与当り約100μg~約10,000mg、個別投与当り約1mg~約10mg、個別投与当り約1mg~約100mg、個別投与当り約1mg~約1000mg、個別投与当り約1mg~約10,000mg、個別投与当り約10mg~約100mg、個別投与当り約10mg~約1000mg、個別投与当り約10mg~約10,000mg、個別投与当り約100mg~約1000mg、個別投与当り約100mg~約10,000mg、個別投与当りまたは約1000mg~約10,000mg個別投与当りの範囲で投与される。組成物は、毎日、および1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎に、1回、2回、3回、4回、6回、または8回投与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物は、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%感染症を減らす、または感染症の発生を防止する。
【0053】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物は、例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%感染症を減らす、または感染症の発生を防止する。
【0054】
この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物は、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%の範囲だけ感染症を減らす。
【0055】
本明細書で開示のプリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩および/またはフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、対象への柔軟で慣用的な投与を可能にするのに十分な量である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量または予防的有効量は、例えば、少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg、少なくとも125mg、少なくとも150mg、少なくとも175mg、少なくとも200mg、少なくとも250mg、少なくとも300mg、少なくとも350mg、少なくとも400mg、少なくとも450mg、少なくとも500mg、少なくとも550mg、少なくとも600mg、少なくとも650mg、少なくとも700mg、少なくとも750mg、少なくとも800mg、少なくとも850mg、少なくとも900mg、少なくとも950mg、少なくとも1,000mg、少なくとも1,100mg、少なくとも1,200mg、少なくとも1,300mg、少なくとも1,400mg、少なくとも1,500mg、少なくとも1,600mg、少なくとも1,700mg、少なくとも1,800mg、少なくとも1,900mg、または少なくとも2,000mgの医薬組成物であってよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量または予防的有効量は、例えば、約5mg~約100mg、約10mg~約100mg、約50mg~約150mg、約100mg~約250mg、約150mg~約350mg、約250mg~約500mg、約350mg~約600mg、約500mg~約750mg、約600mg~約900mg、約750mg~約1,000mg、約850mg~約1,200mg、約1,000mg~約1,500mg、または約1,200mg~約2,000mgの範囲であってよい。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物は、例えば、約5mg~約250mg、約5mg~約500mg、約5mg~約750mg、約5mg~約1,000mg、約5mg~約1,500mg、約5mg~約2,000mg、約10mg~約250mg、約10mg~約500mg、約10mg~約750mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約10mg~約2,000mg、約50mg~約250mg、約50mg~約500mg、約50mg~約750mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約50mg~約2,000mg、約100mg~約250mg、約100mg~約500mg、約100mg~約750mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約100mg~約2,000mg、約250mg~約500mg、約250mg~約750mg、約250mg~約1,000mg、約250mg~約1,500mg、約250mg~約2,000mg、約500mg~約750mg、約500mg~約1,000mg、約500mg~約1,500mg、約500mg~約2,000mg、約750mg~約1,000mg、約750mg~約1,500mg、または約750mg~約2,000mgの範囲であってよい。
【0058】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量または予防的有効量は、例えば、約90%未満(v/v)、約85%未満(v/v)、約80%未満(v/v)、約75%未満(v/v)、約70%未満(v/v)、約65%未満(v/v)、約60%未満(v/v)、約55%未満(v/v)、約50%未満(v/v)、約45%未満(v/v)、約40%未満(v/v)、約35%未満(v/v)、約30%未満(v/v)、約25%未満(v/v)、約20%未満(v/v)、約15%未満(v/v)、約10%未満(v/v)、約5%未満(v/v)、または約1%未満(v/v)の量で溶媒、乳剤、ビークル、担体または希釈剤を含んでよい。
【0059】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量または予防的有効量は、例えば、約1%(v/v)~90%(v/v)、約1%(v/v)~80%(v/v)、約1%(v/v)~70%(v/v)、約1%(v/v)~60%(v/v)、約1%(v/v)~50%(v/v)、約1%(v/v)~40%(v/v)、約1%(v/v)~30%(v/v)、約1%(v/v)~20%(v/v)、約1%(v/v)~10%(v/v)、約2%(v/v)~50%(v/v)、約2%(v/v)~40%(v/v)、約2%(v/v)~30%(v/v)、約2%(v/v)~20%(v/v)、約2%(v/v)~10%(v/v)、約4%(v/v)~50%(v/v)、約4%(v/v)~40%(v/v)、約4%(v/v)~30%(v/v)、約4%(v/v)~20%(v/v)、約4%(v/v)~10%(v/v)、約6%(v/v)~50%(v/v)、約6%(v/v)~40%(v/v)、約6%(v/v)~30%(v/v)、約6%(v/v)~20%(v/v)、約6%(v/v)~10%(v/v)、約8%(v/v)~50%(v/v)、約8%(v/v)~40%(v/v)、約8%(v/v)~30%(v/v)、約8%(v/v)~20%(v/v)、約8%(v/v)~15%(v/v)、or約8%(v/v)~12%(v/v)、約25%(v/v)~75%(v/v)、約30%(v/v)~60%(v/v)、約20%(v/v)~80%(v/v)、約40%(v/v)~60%(v/v)、約45%(v/v)~55%(v/v)、約35%(v/v)~65%(v/v)、約50%(v/v)~90%(v/v)、約45%(v/v)~60%(v/v)、約15%(v/v)~75%(v/v)、約20%(v/v)~65%(v/v)、または約25%(v/v)~50%の範囲の量で溶媒、乳剤、ビークル、担体または他の希釈剤を含んでよい。
【0060】
本明細書で開示されるいずれかの治療的に有効なまたは予防的に有効な医薬組成物の最終濃度は、望ましい任意の濃度であってよい。この実施形態の一態様では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩および/またはフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の最終濃度は、治療的に有効であり得る。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物中の有効成分の最終濃度は、例えば、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mL、または少なくとも1,000mg/mLであってよい。この実施形態の他の態様では、医薬組成物中の医薬組成物の最終濃度は、例えば、約0.01mg/mL~約1,000mg/mL、約0.1mg/mL~約1,000mg/mL、約1mg/mL~約1,000mg/mL、約10mg/mL~約1000mg/mL、約25mg/mL~約1000mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約250mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約0.01mg/mL~約750mg/mL、約0.1mg/mL~約750mg/mL、約1mg/mL~約750mg/mL、約10mg/mL~約750mg/mL、約25mg/mL~約750mg/mL、約50mg/mL~約750mg/mL、約100mg/mL~約750mg/mL、約250mg/mL~約750mg/mL、約500mg/mL~約750mg/mL、約0.01mg/mL~約500mg/mL、約0.1mg/mL~約500mg/mL、約1mg/mL~約500mg/mL、約10mg/mL~約500mg/mL、約25mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約250mg/mL~約500mg/mL、約0.01mg/mL~約250mg/mL、約0.1mg/mL~約250mg/mL、約1mg/mL~約250mg/mL、約10mg/mL~約250mg/mL、約25mg/mL~約250mg/mL、約50mg/mL~約250mg/mL、約100mg/mL~約250mg/mL、約0.01mg/mL~約100mg/mL、約0.1mg/mL~約100mg/mL、約1mg/mL~約100mg/mL、約10mg/mL~約100mg/mL、約25mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約0.01mg/mL~約50mg/mL、約0.1mg/mL~約50mg/mL、約1mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約25mg/mL~約50mg/mL、約0.01mg/mL~約25mg/mL、約0.1mg/mL~約25mg/mL、約1mg/mL~約25mg/mL、約10mg/mL~約25mg/mL、約0.01mg/mL~約10mg/mL、約0.1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約0.01mg/mL~約1mg/mL、約0.1mg/mL~約1mg/mL、または約0.01mg/mL~約0.1mg/mLの範囲であってよい。
【0061】
本明細書のいくつかの態様は、一部には、細菌感染症に罹患した対象を治療することを開示する。本明細書で使用される場合、用語「治療すること(treating)」は、細菌感染症の臨床症状を対象において減らす、または除去すること;または細菌感染症の臨床症状の発生を対象において遅らせる、または防止することを指す。例えば、用語「治療すること(treating)」は、細菌感染症により特徴付けられる状態の徴候または症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%少なくとも95%、または少なくとも100%低減させることを意味し得る。細菌感染症に関連する実際の症状はよく知られており、様々な因子を考慮に入れて当業者により決定でき、これらの因子としては、細菌感染症の部位、細菌感染症の原因、細菌感染症の重症度、慢性炎症の重症度、および/または細菌感染症により影響を受ける組織もしくは臓器が挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、特定の種類の細菌感染症に関連する適切な症状または指標を理解し、対象が本明細書で開示される治療のための候補であるかどうかを決定する方法を理解するであろう。
【0062】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、細菌感染症に関連する症状を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%減らすことができる。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示される医薬組成物の治療的有効量は、細菌感染症に関連する症状を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%、または最大で100%低減させる。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書で開示されるプリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量は、細菌感染症に関連する症状を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%減らす。
【0063】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は通常、約10ng/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってよい。医薬組成物は、例えば、1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎に投与される。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量は、例えば、少なくとも10ng/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日、または少なくとも50mg/kg/日であってよく、例えば、1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎に投与される。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量は、例えば、約10ng/kg/日~約10mg/kg/日、約10ng/kg/日~約15mg/kg/日、約10ng/kg/日~約20mg/kg/日、約10ng/kg/日~約25mg/kg/日、約10ng/kg/日~約30mg/kg/日、約10ng/kg/日~約35mg/kg/日、約10ng/kg/日~約40mg/kg/日、約10ng/kg/日~約45mg/kg/日、約10ng/kg/日~約50mg/kg/日、約10ng/kg/日~約75mg/kg/日、または約10ng/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってよく、例えば、1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎に投与される。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量は、例えば、約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約75mg/kg/日、または約0.1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってよく、例えば、1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎に投与される。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量は、例えば、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約1mg/kg/日~約75mg/kg/日、または約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってよく、例えば、1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎に投与される。
【0064】
液体、懸濁液、および半固形製剤において、本明細書で開示されるいずれかの治療組成物の濃度は、約0.01mg/mL~約1,000mg/mLであってよい。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、例えば、約0.01mg/mL~約1,000mg/mL、約0.1mg/mL~約1,000mg/mL、約1mg/mL~約1,000mg/mL、約10mg/mL~約1000mg/mL、約25mg/mL~約1,000mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約200mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約50mg/mL、約1mg/mL~約100mg/mL、約1mg/mL~約200mg/mL、約1mg/mL~約300mg/mL、約1mg/mL~約400mg/mL、約1mg/mL~約500mg/mL、約1mg/mL~約600mg/mL、約1mg/mL~約700mg/mL、約1mg/mL~約800mg/mL、約1mg/mL~約900mg/mL、約1mg/mL~約1,000mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約100mg/mL、約10mg/mL~約200mg/mL、約10mg/mL~約300mg/mL、約10mg/mL~約400mg/mL、約10mg/mL~約500mg/mL、約10mg/mL~約600mg/mL、約10mg/mL~約700mg/mL、約10mg/mL~約800mg/mL、約10mg/mL~約900mg/mL、約10mg/mL~約1,000mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約400mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約600mg/mL、約50mg/mL~約700mg/mL、約50mg/mL~約800mg/mL、約50mg/mL~約900mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約100mg/mL~約300mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約600mg/mL、約100mg/mL~約700mg/mL、約100mg/mL~約800mg/mL、約100mg/mL~約900mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mL、約200mg/mL~約400mg/mL、約200mg/mL~約500mg/mL、約200mg/mL~約600mg/mL、約200mg/mL~約700mg/mL、約200mg/mL~約800mg/mL、約200mg/mL~約900mg/mL、約200mg/mL~約1,000mg/mL、約300mg/mL~約400mg/mL、約300mg/mL~約500mg/mL、約300mg/mL~約600mg/mL、約300mg/mL~約700mg/mL、約300mg/mL~約800mg/mL、約300mg/mL~約900mg/mL、約300mg/mL~約1,000mg/mL、約400mg/mL~約500mg/mL、約400mg/mL~約600mg/mL、約400mg/mL~約700mg/mL、約400mg/mL~約800mg/mL、約400mg/mL~約900mg/mL、約400mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約600mg/mL、約500mg/mL~約700mg/mL、約500mg/mL~約800mg/mL、約500mg/mL~約900mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約600mg/mL~約700mg/mL、約600mg/mL~約800mg/mL、約600mg/mL~約900mg/mL、または約600mg/mL~約1,000mg/mLであってよい。
【0065】
投与量は、一回用量または、累積投与量(逐次投与)であってよく、当業者により容易に決定できる。例えば、細菌感染症の治療は、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量の1回限りの投与を含み得る。あるいは、細菌感染症の治療は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日6回、1日8回、および/または1、2、3、4、5、6または7日毎に、または1、2、3または4週毎などの回数または期間の範囲にわたって実施される本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量の複数回の投与を含み得る。投与のタイミングは、対象の症状の重症度などの因子に応じて、対象ごとに変わり得る。例えば、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量は、不確定の期間、または対象がもはや治療を必要としなくなるまで、1日1回または1日2回対象に投与され得る。当業者なら、対象の状態が治療の全過程にわたりモニターされ得ること、および投与される本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の有効量がそれに応じて調節され得ることを、認識するであろう。
【0066】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、同じ治療を受けていない対象に比べて、細菌感染症に罹患している対象における細菌感染症の細菌細胞の数またはその感染症の重症度を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%減らすことができる。
【0067】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、同じ治療を受けていない対象に比べて、細菌感染症に罹患している対象における細菌感染症の細菌細胞の数または細菌感染症の重症度を、例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または少なくとも約100%低減できる。
【0068】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、同じ治療を受けていない対象に比べて、細菌感染症に罹患している対象における細菌感染症の細菌細胞の数または重症度を、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減できる。
【0069】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、約0.5時間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約7日、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約1か月間、約2か月間、約3か月間、約4か月のまたはそれより長い半減期を有し得る。
【0070】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量の投与の期間(または持続時間)は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月間、またはそれを超える期間であってよい。さらなる実施形態では、投与が停止される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日間、3週、4週、5週、6週、7週、8週、9週、10週、11週、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月間、またはそれを超える期間である。
【0071】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、対象における細菌感染症、および/または細菌量を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減し得る。
【0072】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、対象における細菌感染症および/または細菌量を、例えば、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%または約100%低減し得る。
【0073】
開示されるいずれかの医薬組成物の治療的有効量は、対象における細菌感染症および/または細菌量を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減し得る。
【0074】
本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物は、所与の期間にわたり罹患した細菌感染症に関連する傷害の症状の頻度を低減し得る。本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物は、所与の期間にわたり罹患した細菌感染症に関連する障害の症状の頻度を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減し得る。この実施形態の他の態様では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物は、所与の期間にわたり罹患した細菌感染症に関連する障害の症状の頻度を、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減する。
【0075】
本明細書の治療方法のいずれかは、組み合わされた2種の活性成分の薬学的有効量で、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物、あるいは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を投与する(例えば、同時に、または順次に)ステップを含み得る。合計の一日量は、医師による適切な医学判断により決定され、1回または数回投与されなければならない。いずれかの特定の対象に対する特定の治療的有効量レベルは、医術分野でよく知られた種々の因子に応じて変化する可能性があり、これらの因子は、達成されるべき応答の種類および程度、他の薬剤が一緒に使用されるかどうかに応じた医薬組成物、患者の年齢、体重、健康状態、性別、および食事、投与の時間および経路、医薬組成物の排出速度、療法の期間、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物と組み合わせてまたは同時に使用される他の薬物、および医術分野で周知の類似の因子を含む。
【0076】
さらに別の態様では、本明細書は、細菌感染症の予防または治療のための、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む治療組成物の使用、またはプリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物およびフロプリスチンまたは薬学的に許容可能な塩を含む組成物の使用を提供する。
【0077】
さらに別の態様では、本明細書は、細菌感染症の予防または治療のための、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む治療組成物の使用を提供する。
【0078】
一実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の治療用量は、毎日、週2回、毎週、隔週、または毎月、投与され得る。治療の期間は、1週間、2週間、1か月、2か月、4か月、6か月、8か月、1年間の、またはそれより長い期間であり得る。初期の投与量は、維持用量より多くてよい。
【0079】
一実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の毎週の治療用量は、少なくとも0.05mg/kg、少なくとも0.25mg/kg、少なくとも0.5mg/kg、少なくとも0.75mg/kg、少なくとも1mg/kg、少なくとも2.5mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも25mg/kg、少なくとも50mg/kg、少なくとも100mg/kg、少なくとも250mg/kg、または少なくとも500mg/kgであってよい。
【0080】
一実施形態では、毎週の治療用量は、最大で1mg/kg、最大で2.5mg/kg、最大で5mg/kg、最大で10mg/kg、最大で25mg/kg、最大で50mg/kg、最大で100mg/kg、最大で250mg/kg、最大で500mg/kg、または最大で700mg/kgであってよい。特定の態様では、毎週の投与量は、0.01mg/kg~200mg/kgの範囲であってよい。代替態様では、毎週の治療用量は、1mg/kg~100mg/kgの範囲であってよい。代替態様では、毎週の投与量は、5mg/kg~75mg/kgの範囲であってよい。
【0081】
本明細書はまた、対象への投与のための、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物、およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物を提供する。本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能なキャリア、ビークル、賦形剤、または希釈剤をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な」は、組成物が、有害な副作用なしに治療効果を達成するのに十分であり、かつ疾患のタイプ、患者の年齢、体重、健康状態、性別、および薬物感受性、投与経路、投与モード、投与頻度、治療の期間、本明細書で開示される組成物と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、および医学で既知の他の因子に応じて、容易に決定され得ることを意味する。
【0082】
本明細書で開示される医薬組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含み得る。経口投与のために、担体は、限定されないが、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、界面活性剤、乳化剤、増粘剤、着色剤、および/または風味剤を含み得る。注射可能製剤のために、担体は、緩衝剤、保存剤、鎮痛薬、可溶化剤、共溶媒、乳化剤、等張剤、および/または安定化剤を含み得る。局所投与用の製剤のために、担体は、塩基、賦形剤、潤滑剤、ゲル、軟膏、クリーム、乳剤、発泡剤、噴霧剤および/または保存剤を含み得る。
【0083】
本明細書で開示される医薬組成物は、上述の薬学的に許容可能な担体と組み合わせて、種々の剤形に処方され得る。例えば、経口投与のために、医薬組成物は、錠剤、トローチ剤、カプセル剤(硬または軟)、カプレット、顆粒、粉末、サッシェ、スプリンクル、ロゼンジ、急速溶解ストリップ、エリキシル剤、乳剤、懸濁液、シロップまたはウェハに処方され得る。医薬組成物は、坐剤に処方され得る。注射可能な製剤のために、医薬組成物は、単回剤形としてアンプル中に、または複数回投与容器中に処方され得る。注射剤のための医薬組成物はまた、凍結乾燥粉末、溶液、懸濁液、乳剤、リポソームなどのナノ粒子、ミセル分散液、ゲル、または長時間作用性製剤に処方され得る。
【0084】
他方では、医薬製剤に好適な担体、賦形剤、および希釈剤の例は、限定されないが、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アラビアゴム、アルギネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、水、オキシ安息香酸メチル、プロピルヒドロキシ安息香酸、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱物油を含む。加えて、医薬製剤は、充填剤、抗凝固剤、潤滑剤、保水剤、風味剤、および防腐剤をさらに含み得る。
【0085】
本明細書で開示される医薬組成物は、患者の身体に好適な単一剤形に処方され、好ましくは、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、脳室内、髄腔内、硬膜外、肺、吸入、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、結腸内、経眼、眼内、舌下、腟、または直腸投与を含む経口、非経口または局所経路により投与されるように医薬品分野で典型的な方法により製剤に処方されるが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書で開示される医薬組成物は、種々の薬学的に許容可能な担体、例えば、生理食塩水または有機溶媒または高分子と混合することにより使用され得る。安定性または吸光率を高めるために、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、界面活性剤、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート化剤、低分子量タンパク質、高分子、または他の安定剤が使用され得る。
【0087】
本明細書で開示される医薬組成物の投与の量および頻度は、治療される疾患、投与経路、対象の年齢、性別、および体重、ならびに疾患重症度などの種々の因子と共に、有効成分のタイプにより決定される。
【0088】
本明細書で開示される医薬組成物の総有効投与量は、単回用量で対象に投与され得るか、または分割された治療プロトコルに従い複数回投与で長期間にわたり投与され得る。本明細書で開示される医薬組成物では、有効成分の含量および量は、疾患の重症度に応じて変わってよい。好ましくは、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物の総有効用量または治療一日用量は、対象の体重の1kgあたり約0.01μg~約100mgであり得る。しかし、抗生物質の有効用量は、医薬組成物の投与経路および治療回数に加えて、対象の年齢、体重、健康状態、性別、疾患重症度、食事、他の同時投与薬物を含む各種要因を考慮して決定される。これを考慮して、当業者は、本明細書で開示される医薬組成物の特定の使用のために好適な有効用量を容易に決定し得る。本明細書で開示される医薬組成物は、それが好適な効果を示す限り、製剤、ならびに投与経路およびモードに特に限定されない。
【0089】
さらに、本明細書で開示される医薬組成物は、予防のまたは治療の効力を示す活性剤と共に、またはその活性剤内で他の医薬製剤との組み合わせで、またはそれらと同時に投与され得る。
【0090】
本明細書で提供される教示および手引きを考慮して、当業者はまた、本明細書で記載される製剤は、例示されるもの、ならびに当該技術分野で既知の他のものを含む、多くのタイプの抗生物質および他の治療化合物に等しく適用できることを理解するであろう。本明細書で提供される教示および手引きを考慮して、当業者はまた、例えば、1種または複数の賦形剤、界面活性剤および/または任意の成分のタイプおよび/または量の選択が、処方されるバイオ医薬品との化学的および機能的適合性および/または投与の方法ならびに当該技術分野において周知の他の化学的、機能的、生理学的および/または医学的因子に基づき行われることを理解するであろう。
【0091】
種々の実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物はまた、限定されないが、単一または複数の状態に対し、2種以上の異なる治療化合物を含み得る。製剤中の複数の治療化合物の使用は、例えば、同じまたは異なる症状を対象にしてよい。同様に、別の実施形態では、複数の治療化合物は、例えば、病的状態および一次治療により引き起こされた1つまたは複数の副作用の両方を治療するために製剤中で使用できる。さらなる実施形態では、複数の治療化合物はまた、限定されないが、本明細書で記載の医薬組成物中に含まれて、例えば、同時の治療および病的状態の進行の監視を含む、異なる医療目的を達成できる。追加の実施形態では、複数の、同時の治療法、例えば、本明細書で例示されるもの、ならびに当該技術分野において周知の他の組み合わせは、患者コンプライアンスに対し特に有用である。理由は、単一の医薬組成物は、いくつかのまたは全ての示唆された治療および/または診断に十分であり得るためである。当業者は、広範囲の併用療法のために混合できる治療化合物を分かるであろう。同様に、種々の実施形態では、第1の治療化合物は、第2のまたは更に多くの治療化合物、および1種または複数の治療化合物と1種または複数の、小分子(例えば、別の抗生物質)または抗体医薬品を含む他の治療化合物と一緒の組み合わせと共に使用できる。従って、種々の実施形態では、製剤は、1、2、3、4、5または6種のもしくは更に多くの異なる治療化合物を含んで、ならびに、1種または複数の他の治療化合物と組み合わされた1種または複数の治療化合物用に提供される。
【0092】
種々の実施形態では、本明細書で開示される医薬組成物は、1種または複数の防腐剤および/または当該技術分野において既知の添加物を含み得る。同様に、医薬組成物は、種々の既知の送達製剤へと、限定なしに、さらに処方できる。例えば、ある実施形態では、医薬組成物は、界面活性剤、アジュバント、生分解性ポリマー、ヒドロゲル、などを含んでよく、このような任意の成分、これらの化学的および機能的特性は、当技術分野において既知である。同様に、投与後に生物活性剤の急速な、持続的なまたは遅延された放出を促進する医薬組成物もまた、当該技術分野において既知である。記載される製剤は、これらのまたは当該技術分野において既知の他の製剤成分を含むように製造できる。
【0093】
本明細書で記載される方法または組成物のいずれかにおいて、フロプリスチン(PIAフロプリスチン)に対するプリスチナマイシンIAの重量比は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0094】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書に記載される化合物上に認められる特定の置換基に応じて、比較的無毒性の酸または塩基で調製される活性化合物の塩を含むことを意味する。本明細書で開示される化合物が比較的酸性の官能基を含む場合、塩基付加塩は、中性型のこのような化合物を、未希釈でまたは好適な不活性溶媒中のいずれかで、十分な量の所望の塩基と接触させることにより得ることができる。薬学的に許容可能な塩基付加塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミノ、またはマグネシウム塩、または類似塩を含む。本開示の化合物が比較的塩基性の官能基を含む場合、酸付加塩は、中性型のこのような化合物を、未希釈でまたは好適な不活性溶媒中のいずれかで、十分な量の所望の酸と接触させることにより得ることができる。薬学的に許容可能な酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、または亜リン酸などの無機酸から誘導されたもの、ならびに、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸などの相対的に無毒性の有機酸から誘導された塩を含む。アルギン酸塩などのアミノ酸の塩、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩もまた含まれる(例えば、Berge et al.,”Pharmaceutical Salts”,Journal of Pharmaceutical Science,1977,66,1-19)。本明細書で開示されるある特定の化合物は、化合物が塩基または酸付加塩のいずれかへ変換されることを可能にする塩基性および酸性の官能基の両方を含む。
【0095】
本明細書で開示されるある特定の化合物は、溶媒和されない型および、水和型を含む溶媒和された型で存在できる。一般に、溶媒和型は、非溶媒和型と等価であり、本開示の範囲内に包含される。本明細書で開示される特定の化合物は、複数の結晶型または非晶質型で存在し得る。一般に、全ての物理的形態は、本開示により意図される使用に関し等価であり、本開示の範囲内に包含されると意図される。
【0096】
医薬組成物
ある実施形態では、医薬組成物は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、フロプリスチンに対するプリスチナマイシンIAの重量比(PIA:フロプリスチン)は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0097】
別の実施形態では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1の組成物、およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2の組成物を含むキットが提供され、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1であり、各組成物は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤をさらに含み、キットは任意に、ブリスターパックとしてパッケージ化され、キットは、同時に第1の組成物および第2の組成物をそれを必要としている対象に投与するための、または第2の組成物が投与される前にまたは後で第1の組成物を投与するための説明書を含む。
【0098】
「薬学的に許容可能な賦形剤」および「薬学的に許容可能な担体」は、対象への活性剤の投与および対象による吸収を支援し、または作用の部位への有効成分の分配または送達を促進でき、かつ対象に対し顕著で有害な毒性学的影響を生ずることなしに本明細書で開示される組成物中に含まれ得る物質を指す。薬学的に許容可能な賦形剤の非限定的例は、水、NaCl、生理食塩水、乳酸リンゲル、正常スクロース、正常グルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、被覆材、甘味料、風味料、食塩水(リンゲル液など)、アルコール、油剤、脂質、ゼラチン、ラクトース、アミラーゼまたはデンプンなどの炭水化物、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリジン、高分子および着色料、などを含む。このような配合物は、滅菌でき、必要に応じ、潤滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、界面活性剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色剤、香味料および/または芳香物質および本開示の化合物と有害に反応しない物質などの助剤と混合できる。当業者なら、他の医薬賦形剤が本開示において有用であることを理解するであろう。
【0099】
例えば、ボーラス注入または持続点滴による、非経口投与のための医薬製剤としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。さらに、活性化合物の懸濁剤または乳剤は、適切な油性の注入用ナノ懸濁剤またはナノ乳剤として調製され得る。好適な親油性の溶媒またはビークルとしては、脂肪油、例えば、ゴマ油、または他の有機油、例えば、大豆、グレープフルーツまたはアーモンド油、または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリン脂質または他の脂質が挙げられる。水性の注射用懸濁剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどの、懸濁剤の粘度を増大させる物質を含んでよい。任意で、懸濁剤はまた、好適な安定剤もしくは界面活性剤または高濃度溶液、懸濁液、乳剤またはゲルなどの半固体の調製を可能にするために化合物の溶解度を増大させる薬剤を含んでよい。注射用の製剤は、単位剤形で、例えば、アンプルで、または防腐剤を添加した複数回投与用容器で提供されてよい。組成物は、懸濁液、溶液または油性もしくは水性ビークル中の乳剤などの形態を取ってよく、かつ懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含んでよい。あるいは、有効成分は、使用前に、好適なビークル、例えば、無菌の発熱性物質非含有水を用いて構成される粉末形態であってよい。有効成分はまた、タンパク質(アルブミンなど)、高分子と複合体化されてよく、または親水性ゲルへと、またはリポソームもしくは他の注射用製剤へと処方されてもよい。
【0100】
局所投与のために、医薬組成物は、標的領域への直接適用のために当該技術分野で知られるように処方されてよい。局所投与のために主に調整される形態は、例えば、クリーム、乳状液、ゲル、粉末、分散液またはマイクロエマルジョン、点眼剤、点耳剤、点鼻薬、より大きいまたは小さい程度に濃縮されたローション、含浸パッド、経皮貼付剤、軟膏または粘着、エアロゾル製剤(例えば、噴霧剤または発泡剤)、セッケン、セッケンの洗浄剤、ローションまたはケーキの形態を取る。医薬組成物はさらに、口内または咽頭内の局所投与用に処方され得る。例えば、有効成分は、香味基剤、通常スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガントを更に含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性な基剤中の組成物を含むトローチ剤;好適な液体担体中の本発明の組成物を含むうがい薬、として処方され得る。
【0101】
経口投与のために、化合物は、活性化合物を当該技術分野において周知の薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせることにより容易に処方できる。このような担体は、本発明の化合物が、治療される患者による経口摂取のための、錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、カプレット、液剤、ゲル剤、膜剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、サッシェ、粉末、スプリンクル、ペレット、急速溶解ストリップ、懸濁液、乳剤、などとして処方されることを可能にする。経口使用のための医薬製剤は、活性化合物を固体賦形剤と組み合わせること、任意で得られた混合物を粉砕すること、および所望に応じ、錠剤または糖衣錠コアを得るために好適な補助剤を添加した後、顆粒の混合物を処理することにより、得ることができる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含むショ糖などの充填剤;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、などのセルロース配合物;および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である。必要に応じ、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの、崩壊剤を加えてよい。
【0102】
さらに、医薬組成物は、徐放剤形などとして処方され得る。製剤は、それらが、おそらくある期間にわたり、例えば、腸または気道の特定の部分で、活性剤を放出するように構成できる。被覆材、被覆物、および保護マトリックスは、例えば、ポリ乳酸-グリコール酸などの、高分子物質、リポソーム、マイクロエマルジョン、マイクロパーティクル、ナノ粒子、またはワックスから作製され得る。これらの被覆材、被覆物、および保護のマトリックスは、留置装置、例えば、ステント、カテーテル、腹膜透析チューブ、排液装置などをコートするのに有用である。
【0103】
本発明の医薬組成物は、気道にも投与できる。吸入または吹送による投与のために、組成物は、噴霧液または乾燥粉末、例えば、治療薬とラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物の形態を取り得る。本発明の医薬組成物は、エアロゾルまたは吸入形態で投与される場合、水溶液またはナノ粒子懸濁液中で投与されてもよい。従って、他のエアロゾル医薬製剤は、例えば、約0.01mg/mL~約1,000mg/mL、約0.1mg/mL~約1,000mg/mL、約1mg/mL~約1,000mg/mL、約10mg/mL~約1000mg/mL、約25mg/mL~約1,000mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約200mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約1mg/mL~約50mg/mL、約1mg/mL~約100mg/mL、約1mg/mL~約200mg/mL、約1mg/mL~約300mg/mL、約1mg/mL~約400mg/mL、約1mg/mL~約500mg/mL、約1mg/mL~約600mg/mL、約1mg/mL~約700mg/mL、約1mg/mL~約800mg/mL、約1mg/mL~約900mg/mL、約1mg/mL~約1,000mg/mL、約10mg/mL~約50mg/mL、約10mg/mL~約100mg/mL、約10mg/mL~約200mg/mL、約10mg/mL~約300mg/mL、約10mg/mL~約400mg/mL、約10mg/mL~約500mg/mL、約10mg/mL~約600mg/mL、約10mg/mL~約700mg/mL、約10mg/mL~約800mg/mL、約10mg/mL~約900mg/mL、約10mg/mL~約1,000mg/mL、約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約400mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約600mg/mL、約50mg/mL~約700mg/mL、約50mg/mL~約800mg/mL、約50mg/mL~約900mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約100mg/mL~約300mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約600mg/mL、約100mg/mL~約700mg/mL、約100mg/mL~約800mg/mL、約100mg/mL~約900mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mL、約200mg/mL~約400mg/mL、約200mg/mL~約500mg/mL、約200mg/mL~約600mg/mL、約200mg/mL~約700mg/mL、約200mg/mL~約800mg/mL、約200mg/mL~約900mg/mL、約200mg/mL~約1,000mg/mL、約300mg/mL~約400mg/mL、約300mg/mL~約500mg/mL、約300mg/mL~約600mg/mL、約300mg/mL~約700mg/mL、約300mg/mL~約800mg/mL、約300mg/mL~約900mg/mL、約300mg/mL~約1,000mg/mL、約400mg/mL~約500mg/mL、約400mg/mL~約600mg/mL、約400mg/mL~約700mg/mL、約400mg/mL~約800mg/mL、約400mg/mL~約900mg/mL、約400mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約600mg/mL、約500mg/mL~約700mg/mL、約500mg/mL~約800mg/mL、約500mg/mL~約900mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約600mg/mL~約700mg/mL、約600mg/mL~約800mg/mL、約600mg/mL~約900mg/mL、または約600mg/mL~約1,000mg/mLの治療される適応症または疾患に特異的な本発明の活性剤を含む、例えば、生理学的に許容可能な緩衝食塩水を含み得る。
【0104】
点眼薬、点耳剤、または点鼻薬などの点滴剤は、1種または複数の分散剤、可溶化剤または懸濁化剤もまた含む水性または非水性基剤中で本発明の活性剤と共に処方され得る。液体噴霧剤は、圧送されてよく、または加圧型パックから好都合に送達できる。点滴剤は、単純な点眼器キャプボトルにより、液体含有物液滴を送達するように適合されたプラスチックボトルにより、または特殊形状栓により、送達できる。
【0105】
本明細書でまた提供されるのは、賦形剤としてアミノ酸の組み合わせを用いる好適な医薬組成物を開発するためのコンビナトリアル手法である。これらの方法は、安定な液体または凍結乾燥医薬組成物、および特に、1種または複数の治療化合物を含む医薬組成物を開発するために効果的である。
【0106】
本明細書で記載される実施形態による組成物は、望ましい溶解度、粘度、シリンジ通過性および安定性などの、望ましい特性を有する。本明細書で記載される実施形態による凍結乾燥物は、望ましい回収率、安定性およびシリンジ通過性および再構成などの、望ましい特性を有する。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物のpHは、少なくとも約1、1.5、2、2.5、3、3.5、3.75、4、4.25、4.5、4.75、5、5.25、5.5、5.75、6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25、8.5、8.75、9、9.25、9.5、9.75、10、10.25、10.5、10.75、11、11.25、11.5、11.75または12である。
【0108】
ある実施形態では、本明細書で開示されるいずれかの医薬組成物のpHは、約3~約9、約3~約8、約3~約7、約3~約6、約3~約5、約3~約4、約4~約9、約4~約8、約4~約7、約4~約6、約4~約5、約5~約9、約5~約8、約5~約7、約5~約6、約6~約9、約6~約8、約6~約7、約7~約9、約7~約8、または約8~約9である。
【0109】
治療および予防の方法
一般命題として、単一の医薬組成物(剤形)内で一緒に、または2種の独立した医薬組成物(剤形)中で、例えば、キット中で、別々にのいずれかで、ストレプトグラミンB(例えば、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩)およびストレプトグラミンA(例えば、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩)の治療的有効量または予防的有効量が、細菌感染症、または細菌感染症により引き起こされる状態を治療するまたは予防するための方法において使用され得る。本明細書に記載されるいずれかの医薬組成物またはキットは、本方法のいずれかにおいて使用できる。
【0110】
本明細書で開示される治療方法のいずれかにおいて、医薬組成物は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含み、フロプリスチンに対するプリスチナマイシンIA(PIA)の重量比(PIA:フロプリスチン)は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0111】
本明細書で開示される治療方法のいずれかにおいて、キットは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第1の医薬組成物、およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む第2の医薬組成物を含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91、約10:90、約11:89、約12:88、約13:87、約14:86、約15:85、約16:84、約17:83、約18:82、約19:81、約20:80、約21:79、約22:78、約23:77、約24:76、約25:75、約26:74、約27:73、約28:72、約29:71、約30:70、約31:69、約32:68、約33:67、約34:66、約35:65、約36:64、約37:63、約38:62、約39:61、約40:60、約41:59、約42:58、約43:57、約44:56、約45:55、約46:54、約47:53、約48:52、約49:51、約50:50、約51:49、約52:48、約53:47、約54:46、約55:45、約56:44、約57:43、約58:42、約59:41、約60:40、約61:39、約62:38、約63:37、約64:36、約65:35、約66:34、約67:33、約68:32、約69:31、約70:30、約71:29、約72:28、約73:27、約74:26、約75:25、約76:24、約77:23、約78:22、約79:21、約80:20、約81:19、約82:18、約83:17、約84:16、約85:15、約86:14、約87:13、約88:12、約89:11、約90:10、約91:9、約92:8、約93:7、約94:6、約95:5、約96:4、約97:3、約98:2、または約99:1である。
【0112】
一実施形態では、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む治療的有効量の医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む、上記対象における細菌感染症を治療するまたは予防する方法が提供され、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比率は、1:99~99:1の範囲であり、細菌感染症は、グラム陽性細菌、グラム陰性菌、非定型細菌、好気性細菌、および/または嫌気性細菌、例えば、バチルス属菌種、バクテロイデス属菌種、ボルデテラ属菌種、ボレリア属菌種、ブルセラ属菌種、ブルクホルデリア属菌種、カンピロバクター属菌種、クラミジア属菌種、クロストリジウム属菌種、コリネバクテリウム属菌種、コクシエラ属菌種、エーリキア属菌種、腸球菌属菌種、フランシセラ属菌種、フゾバクテリウム属菌種、ガードネレラ属菌種、ヘモフィルス属菌種、キンゲラ属菌種、レジオネラ属菌種、リステリア属菌種、モラクセラ属菌種、マイコプラズマ属菌種、マイコバクテリウム属菌種、ナイセリア属菌種、ノカルジア属菌種、ペプトストレプトコッカス属菌種、ポルフィロモナス属菌種、プロピオニバクテリウム属菌種、プレボテラ属菌種、リケッチア属菌種、サルモネラ属菌種、赤痢菌属菌種、ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、ウレアプラズマ属菌種、ビブリオ属菌種、またはエルシニア属菌種の1種または複数の感受性および/または耐性の菌株により引き起こされる。
【0113】
それを必要としている対象において呼吸器感染症および/または疾患を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。呼吸器感染症および/または疾患は、感受性および/または耐性の肺炎球菌、化膿性連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、パラインフルエンザ菌、カタル球菌、レジオネラ属菌種、肺炎クラミジア、肺炎マイコプラズマ、百日咳菌、ナイセリア・ゴノレア、ジフテリア菌、コクシエラバーネティー、ペプトストレプトコッカス属菌種、フゾバクテリウム属菌種、バクテロイデス属菌種、プレボテラ属菌種、ノカルジア属菌種、またはマイコバクテリウム属菌種の1種または複数の菌株などの細菌により、または細菌と関連して引き起こされる、市中感染肺炎または医療ケア関連肺炎、慢性気管支炎、副鼻腔炎、急性上顎洞炎、慢性気管支炎の急性増悪、咽頭炎、慢性閉塞性肺疾患、および非結核マイコバクテリア感染症を含み得る。
【0114】
それを必要としている対象において性感染症または泌尿生殖器感染症を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。性感染症または泌尿生殖器感染症は、感受性および/または耐性のナイセリア・ゴノレア、トラコーマ病原体、マイコプラズマ・ゲニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ウレアプラズマ・パルバム、またはガードネレラ・バジナリスの1種または複数の菌株によるなど、細菌により引き起こされ得る、または細菌と関連し得る。
【0115】
それを必要としている対象において皮膚および/または軟部組織感染症および/または疾患を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。皮膚および/または軟部組織感染症および/または疾患は、感受性および/または耐性の黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・アガラクチア、緑色連鎖球菌、化膿性連鎖球菌、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、コリネバクテリウム属菌種、またはアクネ菌の1種または複数の菌株などの、細菌により引き起こされ得る。
【0116】
それを必要としている嚢胞性線維症の対象において感染症を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性の黄色ブドウ球菌、インフルエンザ菌、またはマイコバクテリウム属菌種の1種または複数の菌株によるなど、細菌により引き起こされ得る、またはこれらの細菌と関連し得る。
【0117】
それを必要としている対象において骨および/または関節感染症を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・アガラクチア、化膿性連鎖球菌、フェシウム菌、緑色連鎖球菌、ササルモネラ属菌種、赤痢菌属菌種、カンピロバクター属菌種、エルシニア属菌種、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、キンゲラ・キンゲ、コリネバクテリウム属菌種、アクネ菌、トラコーマ病原体またはナイセリア・ゴノレアの1種または複数の菌株などの、細菌により引き起こされ得る。
【0118】
それを必要としている対象において心内膜炎を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性の黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、スタフィロコッカス・ルグドゥネンシス、ストレプトコッカス・ガロリチカス、緑色連鎖球菌、エンテロコッカス・フェカリス、フェシウム菌、ヘモフィルス属菌種、キンゲラ属菌種、レジオネラ属菌種、またはコリネバクテリウム属菌種の1種または複数の菌株などの、細菌により引き起こされ得る。
【0119】
それを必要としている対象において菌血症または敗血症を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性の細菌の1種または複数の菌株により引き起こされ得る。
【0120】
それを必要としている対象において炭疽病、野兎病、鼻疽、または類鼻疽を治療するまたは予防する方法は、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を上記対象に投与することを含み、プリスチナマイシンIA:フロプリスチンの重量比は、1:99~99:1の範囲である。感染症または感染の脅威は、感受性および/または耐性の炭疽菌、フランシセラ・ツラレンシス、ペスト菌、鼻疽菌、または類鼻疽菌の1種または複数の菌株などの、細菌により引き起こされ得る。
【0121】
それを必要としている対象において細菌感染症を治療するまたは予防する方法は、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を、上記対象に投与することを含む。感染症または感染の脅威は、グラム陽性細菌、グラム陰性菌、非定型細菌、好気性細菌、および/または嫌気性細菌の感受性および/または耐性の菌の1種または複数の菌株により引き起こされ得る。
【0122】
それを必要としている対象において性感染症または泌尿生殖器感染症を治療するまたは予防する方法は、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物の治療的有効量を、上記対象に投与することを含む。性感染症または泌尿生殖器感染症は、感受性および/または耐性のナイセリア・ゴノレア、トラコーマ病原体、マイコプラズマ・ゲニタリウム、マイコプラズマ・ホミニス、ウレアプラズマ・ウレアリチカム、ウレアプラズマ・パルバム、またはガードネレラ・バジナリスの1種または複数の菌株によるなど、細菌により引き起こされ得る、または細菌と関連し得る。
【0123】
細菌感染症を治療するまたは予防する方法のいずれかにおいて、対象は、ヒトまたは動物であり得る。
【0124】
細菌感染症を治療するまたは予防する方法のいずれかにおいて、投与の経路は、経口、直腸の、経粘膜、吸入、鼻腔内、局所(皮膚、眼部、耳を含む)、腟、腸、頬側、または舌下の投与;筋肉内、皮下、静脈内、または髄内注射、ならびに髄腔内、硬膜外、脳室内、腹腔内、羊水内、鼻腔内、または眼内注射もしくは関節内注射を含む非経口送達であり得る。
【0125】
「治療する(Treating)」および「治療(treatment)」方法は、活性剤の治療的有効量を対象に投与することを含む。投与するステップは、単回投与からなってよく、または一連の投与を含んでよい。治療期間の長さは、状態の重症度、患者の年齢、活性剤の濃度、治療に使われる組成物の活性、またはこれらの組み合わせなどの、様々な因子に依存する。治療のために使用される薬剤の有効投与量は、特定の投与計画にわたって増加するまたは減少し得ることもまた理解されよう。投与量における変化が、生じ、当技術分野で既知の標準診断アッセイにより明らかになり得る。いくつかの事例では、長期投与が必要とされ得る。
【0126】
防止的治療(Preventive treatment)または予防的治療(prophylactic treatment)は、活性剤または活性剤の組み合わせの治療的有効量を対象に投与することを含む。投与するステップは、単回投与からなってよく、または一連の投与を含んでよい。治療期間の長さは、状態の重症度、対象の年齢、活性剤の濃度、治療に使われる組成物の活性、またはこれらの組み合わせなどの、様々な因子に依存する。特定の防止的(Preventive)または予防的(prophylaxis)のために使用される薬剤の有効投与量は、特定の防止的(Preventive)または予防的(prophylaxis)投与計画の間に増加するまたは減少し得ることもまた理解されよう。投与量における変化が、生じ、当技術分野で既知の標準診断アッセイにより明らかになり得る。いくつかの事例では、長期投与が必要とされ得る。
【0127】
「有効量」は、化合物が、その化合物の非存在と比較して示された目的を達成するために十分な量である(例えば、そのためにそれが投与され、疾患を治療し、酵素活性を低減し、酵素活性を高め、標的または受容体への結合を低減させ、シグナル伝達経路を低減または遮断し、または疾患または状態の1種または複数の症状を減らす、効果を達成する)。「有効量」の例は、細菌の負荷または疾患の症状を治療する、予防する、または低減させるよう寄与するのに十分な量であり、これは「治療的有効量」とも呼ばれ得る。
【0128】
治療的有効量は最初に、細胞培養アッセイまたは薬物動態学的研究から決定できる。標的濃度は、本明細書に記載される方法または当該技術分野において既知の方法を用いて測定される、本明細書で記載される治療または予防の方法を達成できる活性化合物の濃度である。
【0129】
当該技術分野において周知であるように、ヒトでの使用のための治療的有効量はまた、動物モデルから決定できる。例えば、ヒトに対する投与量は、動物で効果的であると見出された濃度を達成するように処方できる。ヒトにおける投与量は、上述のように、化合物有効性および/または血漿中濃度を監視することおよび投与量を多い側にまたは少ない側に調節することにより、調節できる。上記の方法および他の方法に基づきヒトにおいて最大効力を達成するために用量を調節することは、十分に当業者の能力の範囲内にある。
【0130】
投与量は、患者の要求、および用いられる化合物に応じて変わり得る。対象に投与される投与量は、本開示の状況において、経時的に患者における有益な治療応答に影響するのに十分であるべきである。投与の量はまた、存在、性質、および何らかの有害な副作用の程度によっても決定される。特定の状況に対する適切な投与量の決定は、開業医の技能の範囲内にある。処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投与量から開始されてよい。その後、投与量を、このような状況下の最適な効果に達するまで、小さい増分で増やしてよい。投与の量および間隔は、治療される臨床適応症に効果的な投与される化合物のレベルを提供するように個別に調節できる。これは、対象の病状の重症度と見合う治療薬投与計画を与える。
【0131】
投与の経路
一般命題として、単一の医薬組成物(剤形)内で一緒に、または2種の独立した医薬組成物(剤形)中で、例えば、キット中で、別々にのいずれかで、ストレプトグラミンB(例えば、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩)およびストレプトグラミンA(例えば、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩)の治療的有効量または予防的有効量が、本明細書で記載される投与経路により投与され得る。本明細書に記載されるいずれかの医薬組成物またはキットは、いずれかの投与経路で投与され得る。
【0132】
プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩およびフロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物は、従って、埋め込み装置またはカテーテルを介して静脈内に、または持続的な点滴として、経時的に単一用量として、または2種以上の用量として(これは所望の分子の同じ量を含んでも、含まなくてもよい)投与され得る。適切な投与量の更なる精密化は、当業者者により日常的に行われ、かつ当業者により日常的に実施される作業の範囲内である。適切な投与量は、適切な用量反応データの使用により確認され得る。種々の実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物中の治療化合物は、限定なしに、慢性状態に対する長期投与などの、長時間にわたり患者に投与されてよい。組成物は、固体、半固体、液体、懸濁液、またはエアロゾルであってよく;任意で、組成物、第1の組成物、または第2の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、ジェルタブ、ロゼンジ、急速溶解ストリップ、カプセル(硬カプセルまたは軟カプセル)、カプレット、シロップ、エリキシル剤、懸濁液、乳剤、サッシェ、スプリンクル、ペレット、パッチ、噴霧剤、クリーム、軟膏、ゲル、ローションまたは発泡剤である。
【0133】
ある実施形態では、経口、直腸、腟、非経口、肺、舌下、および/または鼻腔内の送達製剤のために、錠剤が、任意で1種または複数の補助成分または添加物と共に、圧縮もしくは型成形により作製され得る。ある実施形態では、圧縮された錠剤は、例えば、、任意で結合剤(例えば、限定されないが、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、界面活性剤、崩壊剤(例えば、限定されないが、グリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポビドン、架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)および/または界面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒などの易流動性形態の治療化合物を、好適な打錠機(tabletting machine)中で圧縮することにより調製される。
【0134】
ある実施形態では、成形された錠剤は、例えば、限定なしに、不活性液体希釈剤で湿潤された粉末状の化合物の混合物を、好適な打錠機で成形することにより、作製される。ある実施形態では、錠剤は任意で、被覆されまたは刻み目を付けられ、例えば、限定なしに、望ましい放出プロファイルを与える種々の比率でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、有効成分の緩徐なまたは制御された放出を提供するように処方され得る。ある実施形態では、錠剤は任意で、コーティング、例えば、限定なしに、薄膜、ショ糖被覆、または腸溶コーティングを施されて、胃以外の腸の一部での放出を提供し得る。ある実施形態では、錠剤およびカプセルの製造のための工程、装置、および受託製造会社は、当該技術分野において周知である。
【0135】
ある実施形態では、カプセル医薬組成物は、限定されないが、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(HMPC)から作製されるものなどのゼラチンカプセルまたは植物カプセルを含む、硬カプセルまたは軟カプセルのいずれかを利用できる。ある実施形態では、カプセルのタイプは、ゼラチンカプセルである。ある実施形態では、カプセルは、限定されないが、Miranda Internationalなどの市販の業者から、または産業界で周知のカプセル製造技術を採用して入手できるものなどの、カプセル充填器を用いて充填され得る。
【0136】
パッケージングおよび投与のための装置は、限定されないが、投与される物質の体積、貯蔵状態、熟練保健開業医が投与するか、患者自己コンプライアンスかどうか、投与計画、地政学的環境(例えば、発展途上国の場合の極限温度条件への曝露など)、および他の実施上の配慮点などの、種々の考察により決定され得る。
【0137】
注入装置は、ペン型注入器、自動注入装置、安全注射器、注入ポンプ、点滴ポンプ、薬剤充填済みガラス注射器、薬剤充填済みプラスチック注射器、および無針注入器を含み、注射器は、液体充填済みであってよく、または例えば、凍結乾燥物質との使用のために、2重室であってよい。このような使用のための注射器の例は、Vetter GmbH,Ravensburg,Germanyから入手できるLyo-Jet(商標)、2重室プレフィルリオシリンジである。別の例は、LyoTipであり、これは、LyoTip、Inc.,Camarillo,California,U.S.A.から入手可能である凍結乾燥製剤を都合良く送達するように設計されたあらかじめ充填された注射器である。注射による投与は、限定されないが、必要に応じて、静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下投与であってよい。非注射経路による投与は、限定されないが、必要に応じて、経鼻、経口、経眼、経皮、または肺であってよい。
【0138】
特定の実施形態では、キットは、限定されないが、本明細書で記載される1種または複数の医薬組成物を投与するための1種または複数の単室または多室の注射器(例えば、液体注射器およびリオシリンジ)を含み得る。種々の実施形態では、キットは、注射器への充填および対象への投与の準備ができている形態で部分的真空下でバイアル中に密封される、非経口、皮下、筋肉内またはIV投与用の医薬組成物を含み得る。この点に関し、医薬組成物は、部分的真空下でその中に配置できる。全てのこれらのおよび他の実施形態では、キットは、前述のいずれかに従い1種または複数のバイアルを含んでよく、各バイアルは、対象への投与のための単一の単位用量を含む。
【0139】
キットは、本明細書に記載のように配置され、再構成時にそれらに従い医薬組成物を提供する、凍結乾燥物を含み得る。種々の実施形態では、キットは、凍結乾燥物および凍結乾燥物を再構成するための無菌希釈剤を含み得る。
【0140】
キットは、ストレプトグラミンBの医薬組成物およびストレプトグラミンAの医薬組成物の組み合わせを含んでよく、ある実施形態では、ストレプトグラミンBは、プリスチナマイシンIAまたはその薬学的に許容可能な塩であり、およびストレプトグラミンAは、フロプリスチンまたはその薬学的に許容可能な塩である。キットは、その中にストレプトグラミンBの医薬組成物およびストレプトグラミンAの医薬組成物の組み合わせが、両組成物が同時に一緒に投与される、または1種の組成物が他の組成物の前にまたは後で投与される際に、感染症および/または疾患を治療するための対象へのストレプトグラミンBの医薬組成物およびストレプトグラミンAの医薬組成物の組み合わせの使用に必要な説明書、ラベル、容器および他の物品の1つまたは複数と共に含まれる、パッケージをさらに含み得る。
【0141】
ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、任意の好適な経路により、具体的には非経口(parenteral)(皮下、筋肉内、静脈内および皮内を含む)投与により、および/または関節の隙間領域中へ投与できる。好ましい経路は、レシピエントの状態および年齢、ならびに治療される疾患と共に変化することも理解されよう。投与の最も効果的な手段および用量を決定する方法は、当業者に既知であり、限定なしに、治療に使用される医薬組成物、治療の目的、治療される対象により変化するであろう。単回または複数回の投与は、限定なしに、治療する医師により選択される投与レベルおよびパターンにより実施され得る。好適な投与医薬組成物および薬剤を投与する方法は、当技術分野において既知である。
【0142】
本明細書で記載される医薬組成物は、薬物の製造において使用でき、および従来の手順での投与によるヒトおよび他の動物の治療のために使用できる。
【0143】
好適な投与経路は、例えば、経口、直腸、経粘膜、吸入、鼻腔内、局所(皮膚、眼部、耳を含む)、腟、腸、頬側、または舌下投与;筋肉内、皮下、静脈内、または髄内注射、ならびに髄腔内、硬膜外、直接脳室内、腹腔内、羊水内、鼻腔内、または眼内注射または関節中への注射を含む、非経口の送達を含み得る。
【0144】
化合物はまた、所定の速度での長期のおよび/または時限の、パルスされる投与のために、蓄積注射、浸透圧ポンプ、ゲル、懸濁液または乳剤、丸薬、経皮貼付剤、などを含む、持続的なまたは制御された放出の剤形で投与できる。
【0145】
有効な投与量レベル、即ち望ましい結果を達成するために必要な投与量レベル、の決定は、日常的な薬理学的方法を用いて、当業者により達成できる。典型的には、製剤のヒト臨床の適用は、より低い投与量レベルで開始され、投与量レベルは望ましい効果が達成されるまで増大される。あるいは、許容可能なインビトロ試験を用いて、組成物の投与の有用な用量および経路を確立できる。
【0146】
本発明による治療薬の投与は、例えば、対象生理的状態、投与の目的が治療的かまたは予防的か、および熟練開業医に既知の他の因子に応じて、単回投与、複数回投与、連続的または間欠的投与方式であってよい。本発明の活性な抗菌化合物の投与は、予め選択された期間にわたり実質的に連続的投与であってよく、または一連の間隔を置いた投与であってよい。局所および全身性の投与の両方が、意図される。
【0147】
併用療法
「併用療法」は、本明細書で記載される組成物が、1種または複数の追加の療法と同時に、またはその直前に、またはその直後に投与されることを意味する。本明細書で提供される化合物は、対象に単独で投与でき、または共投与できる。共投与は、個別にまたは組み合わせて(2種以上の化合物)、化合物の同時のまたは逐次の投与を含むことを意味する。従って、配合物はまた、所望であれば、他の活性物質と(例えば、代謝分解または他の活性を低減させるために)組み合わされてもよい。本発明の化合物は、経口、非経口的、局所または経皮にまたは吸入により、またはアプリケータースティック、溶液、懸濁液、乳剤、サッシェ、スプリンクル、シロップ、エリキシル、錠剤、カプセル、カプレット、ゲル、クリーム剤、軟膏、発泡剤、ローション、ペースト、貼付剤、ゼリー、塗料、粉末、固体、液剤、リポソームおよびエアロゾルとして製剤化して送達できる。いくつかの実施形態では、共投与は、追加の二次薬剤(例えば、追加の抗生物質)に加えて個別に、化合物(例えば、本明細書で記載の化合物)の同時のまたは逐次の投与を含む。
【0148】
実施例
実施例1
ストレプトグラミンの組み合わせの選択
チェッカーボード分析による相乗作用測定を用いて、それらの個別の活性に比べて、抗生物質の組み合わせの効力に対する影響を決定する(Pillai SK,et al.“Antimicrobial combinations”.Antibiotics in Laboratory Medicine 5th Ed.2005,pages 365-440)。 さらに、チェッカーボード試験は広範囲の組み合わせ比率を評価するので、それらは、異なる比率にわたる抗生物質の異なる組み合わせについての活性を比較して評価する手段を与える。
【0149】
チェッカーボード分析を用いて、ストレプトグラミンBとストレプトグラミンAの最良の組み合わせを調査した。ストレプトグラミンBとストレプトグラミンAの組み合わせ(CBA)のIDにより特定される、新規のストレプトグラミンの組み合わせを、表1に列挙する。既知のストレプトグラミンの組み合わせであるプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、およびリノプリスチン-フロプリスチンを、クラス比較基準物質中にベンチマークとして含めた。

【表1】
【0150】
チェッカーボード分析を、4種のナイセリア・ゴノレア菌株、5種の黄色ブドウ球菌菌株、2種の肺炎球菌菌株、および1種のインフルエンザ菌菌株で実施した(利用した菌株の詳細およびそれらの抗生物質耐性プロファイルは表2参照)。
【表2】
【0151】
8x12チェッカーボード試験フォーマットを、9種の組み合わせのそれぞれを試験するために使用した。MICアッセイプレートを、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の微量液体希釈法を用いて調製した(CLSI「Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing.28th ed.」CLSI補足M100.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2018;CLSI “Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically;Approved Standard-11th Edition” CLSI standard M07.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2018;CLSI “Methods for Antimicrobial Dilution and Disk Susceptibility Testing of Infrequently Isolated or Fastidious Bacteria.3rd ed.” CLSI guideline 45.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2016)。 ナイセリア・ゴノレアの試験のために、成長を維持できるATCCにより記載された改変培地を、使用した。この培地は、1L当り15gのOxoid Special Peptone、1gのコーンスターチ、5gのNaCl、4gのKHPOおよび1gのKHPOならびに1%のIsoVitaleXエンリッチメント(Becton Dickinson)を含む。
【0152】
試験品のストック溶液を、試験される102X最高最終濃度にてジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した。段階希釈を、1種は水平方向で希釈されるストレプトグラミン成分のために、別の1種は垂直方向で希釈されるストレプトグラミン成分のために、「マザー」プレート中で行った。水平方向希釈されるマザープレートでは、標準的96ウェル微量希釈プレート(Costar)のウェルを、縦列2~12にて150μLのDMSOで満たした。試験薬剤のための300μLのストック溶液分取量を、プレートの縦列1の各ウェルに加えた。自動化液体取扱器Biomek2000(Beckman Coulter、Fullerton CA)を用いて、縦列2-11(左から右へ)にプレートの各横列全体にわたって水平方向に11種の2倍段階希釈物を作製した。
【0153】
垂直方向希釈されるマザープレートでは、150μLのDMSOを、96ウェルマイクロタイタープレートの横列B-H(上端から底部へ)に加えた。このプレートの横列Aを、試験される102X最高最終濃度にて300μLの各試験薬剤で満たした。一連の2倍希釈物をその後、マルチチャンネルピペットを使って手で横列B-Gから調製した。
【0154】
「娘プレート」を、自動化液体取扱器Multidrop 384(Labsystems,Helsinki,Finland)を用いて190μLの試験培地で充填した。自動化液体取扱器Biomek FX(Beckman Coulter,Fullerton CA)を用いて、1ステップで水平方向希釈マザープレートの各ウェルから2μLの薬液を全ての娘プレートの対応するウェルに移した。その後、垂直方向希釈マザープレートの各ウェルからの2μLの分取量を、娘プレートの対応するウェルにBiomek FXを用いて移した。横列Hおよび縦列12はそれぞれ、薬物単独のMICの測定のために、単一薬物の段階希釈を含んだ。この手順を、全ての試験薬剤に対し繰り返した。
【0155】
各細菌の生物標準化種菌を、CLSI法に従って調製した。10μLの標準化種菌を、低濃度から高濃度へBiomek 2000を用いて各ウェル中に送達した。これらの接種は、各ウェル中に約5x10コロニー形成単位(CFU)/mLの娘プレート中の最終細胞濃度をもたらした。従って、娘プレートのウェルは最終的に、190μLの培地、2μLの1つの試験薬剤、2μLの第2の試験薬剤、および10μLの種菌を含んだ。
【0156】
試験フォーマットは、8x12チェッカーボードの生成をもたらし、ここで各化合物を、単独で(縦列12および横列H)、およびマイクロタイタープレートの各ウェルが2種のストレプトグラミンの濃度のユニークな組み合わせを含む様々な比率の化合物濃度での組み合わせで、試験した。96ウェルプレート中の各化合物の正確な濃度範囲は、特異菌株に対する各成分単独について以前に得られたMIC値を基準にした。各ストレプトグラミンの組み合わせおよび各菌株について評価された範囲を、次の段落で与える(表1のCBA IDおよび表2の菌株IDを参照)。特定の組み合わせについて、列挙された第1の濃度範囲は、ストレプトグラミンB成分についてであり、列挙された第2の濃度範囲は、ストレプトグラミンA成分についてである。11種の2倍値を有する範囲を、プレート上で水平方向に希釈し、かつ7種の2倍値を有する範囲を、プレート上で垂直方向に希釈した。
【0157】
CBA1、CBA2、およびリノプリスチン-フロプリスチンを、菌株1~4および12について0.004~4&0.004~0.25μg/mLで、および菌株5~11について0.004~4&0.03~2μg/mLで評価した。CBA3を、菌株1、2および12について0.004~4&0.016~1μg/mLで、菌株3および4について0.008~8&0.03~2μg/mLで、菌株5、8、および9について0.004~4&0.06~4μg/mLで、および菌株6、7、10および11について0.008~8&0.12~8μg/mLで評価した。CBA4を、菌株1、2および12について0.004~4&0.008~0.5μg/mLで、菌株3、4、6、7、10、および11について、0.016~16&0.06~4μg/mLで、菌株5、8および9について0.004~4&0.03~2μg/mLで評価した。CBA5およびCBA6を、菌株1~12について0.06~4&0.004~4μg/mLで評価した。プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAを、菌株1、2および12について0.004~4&0.016~1μg/mLで、菌株3および4について0.016~16&0.03~2μg/mLで、菌株5、8、および9について0.004~4&0.06~4μg/mLで、および菌株6、7、10および11について0.016~16&0.12~8μg/mLで評価した。キヌプリスチン-ダルホプリスチンを、菌株1、2および12について0.004~4&0.008~0.5μg/mLで、菌株3、4、6、7、10、および11について0.008~8&0.06~4μg/mLで、および菌株5、8および9について0.004~4&0.03~2μg/mLで評価した。
【0158】
接種の後、プレートを、黄色ブドウ球菌および肺炎球菌の場合は周囲雰囲気中で、ナイセリア・ゴノレアの場合は5%COの雰囲気中で、35℃で約20時間インキュベートした。
【0159】
MIC測定のために、プレートを、プレートビューアーを用いて底部から観察した。特定の組み合わせ比率のMICを、その比率で目視可能な細菌の成長が完全に抑制されたストレプトグラミンBとストレプトグラミンAの最も低い組み合わされた濃度として読み取った。1例を図1に示し、これは、黄色ブドウ球菌の菌株5に対する、CBA1のストレプトグラミン組み合わせ(図の1ページ目)、プリスチナマイシンIAとプリスチナマイシンIIAの組み合わせ(図の2ページ目)、およびリノプリスチンとフロプリスチンとの組み合わせ(図の3ページ目)のチェッカーボードMIC試験の結果を示す。各ウェル中の比率値は、そのウェル中のストレプトグラミンAに対するストレプトグラミンBの濃度比率を示す。マイクロタイタープレート中の網掛ウェルは、微生物の成長を示す。図1中の特定のストレプトグラミン濃度比のMICは、ウェルを取り囲む太線の境界で識別される。例として、CBA1パネルでは、ストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの組み合わせについて33:67の比率でのMICは、ウェルF8に位置し、0.03:0.06μg/mLであり(総計0.09μg/mLのMIC)およびストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの組み合わせについて比率20:80でのMICは、ウェルF9に位置し、0.016:0.06μg/mLである(0.076μg/mLの総MIC)。
【0160】
チェッカーボードMICの結果を、種々の比率、種、および菌株にわたり表1に列挙される9種のストレプトグラミン組み合わせを比較するために使用した。33:67および67:33比率で得られたMICの比較分析を、以下に示す。評価した9種の組み合わせにわたり、全ての種でおよび全ての菌株で、新規のCBA1組み合わせは一貫して、最も低いMIC値をもたらし、全ての他のストレプトグラミンの組み合わせを上回る改善された効力の予想外の発見を示す。
【0161】
表3は、ナイセリア・ゴノレア、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、およびインフルエンザ菌において33:67のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率でそれぞれ試験したストレプトグラミンの9種の組み合わせのMIC値を示す。最も低い平均MICを有する組み合わせは、CBA1であり、0.19μg/mLの平均MIC値を有し;一方でPIA-PIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、およびリノプリスチン-フロプリスチンは、それぞれ、0.43μg/mL、0.81μg/mL、および0.31μg/mLの平均MIC値を有した。
【表3】
【0162】
表4は、ナイセリア・ゴノレア、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、およびインフルエンザ菌のそれぞれの菌株において33:67のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率でそれぞれ試験したストレプトグラミンの9種の組み合わせのMIC値の順位を示す。試験した各菌株について、および全ての菌株にわたり、CBA1は一貫して、最良の順位(順位1)であった。
【0163】
表5は、ナイセリア・ゴノレア、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、およびインフルエンザ菌において67:33のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率でそれぞれ試験したストレプトグラミンの9種の組み合わせのMIC値を示す。最も低い平均MICを有した組み合わせは、CBA1であり、0.23μg/mLの平均MIC値を有し;一方でPIA-PIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、およびリノプリスチン-フロプリスチンは、それぞれ、0.54μg/mL、0.81μg/mL、および0.42μg/mLの平均MIC値を有した。
【0164】
表6は、ナイセリア・ゴノレア、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、およびインフルエンザ菌のそれぞれの菌株において67:33のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率でそれぞれ試験したストレプトグラミンの9種の組み合わせのMIC値の順位を示す。試験した各菌株について、および全ての菌株にわたり、CBA1は一貫して、最良の順位(順位1)であった。
【表4】

【表5】

【表6】
【0165】
順位付けの類似の結果が、0:100~99:1の他のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率で観察された。実例として、黄色ブドウ球菌菌株5に対し図1で示されたCBA1、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、およびリノプリスチン-フロプリスチンの各比率でのMIC値を、表7に示す。検出限界を越える活性を有した評価された比率の大部分において、新規のCBA1の組み合わせは、CBA1とは1つの成分のみが異なる、既知のストレプトグラミン組み合わせ:プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAおよびリノプリスチン-フロプリスチンよりも2~4倍効力が高かった。どのような場合でも、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAまたはリノプリスチン-フロプリスチンのいずれかのMICは、CBA1のMICより小さくなかった。まとめると、これらの実施例データは、プリスチナマイシンIAまたはフロプリスチンおよび他の新規ストレプトグラミンの組み合わせを含む既知の組み合わせと比較して、広範囲の比率にわたり一貫して、この新規組み合わせCBA1(プリスチナマイシンIAとフロプリスチン)の改善された効力の予想外の結果を示す。
【表7】
【0166】
実施例2:ストレプトグラミン成分比率にわたるCBA1の抗菌プロファイル
最小発育阻止濃度(MIC)および最小殺菌濃度(MBC)に対するCBA1中の種々のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA重量比率の効果を、抗生物質耐性菌株に富む肺炎球菌、ナイセリア・ゴノレアおよび黄色ブドウ球菌の一団において調査した。調査されたCBA1中のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率は、重量で100:0、90:10、70:30、50:50、30:70、10:90、および0:100であった。プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAを、同じ比率でのクラス内比較物質として含めた。マイコプラズマ・ゲニタリウム臨床分離株および菌株の一団も同様に、100:0、70:30、30:70、および0:100の比率にてCBA1で評価した。
【0167】
MICを、CLSI微量液体希釈法を用いて各ストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率について測定した(CLSI “Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing.28th ed.” CLSI supplement M100.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2018;CLSI “Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically;Approved Standard-11th Edition” CLSI standard M07.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2018)。ナイセリア・ゴノレアの試験のために、改変培地を、上記実施例1に記載されるように利用した。マイコプラズマ・ゲニタリウム、マイコプラズマの試験について、マイコプラズマの感受性試験のためのCLSI法に従った(CLSI “Methods for antimicrobial susceptibility testing of human mycoplasmas” Approved Guideline M43-A.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2011)。
【0168】
ストレプトグラミンのためのストック溶液を、101X最終濃度にてDMSO中で指定されたストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率にて調製した。試験品の11種の一連の2倍段階希釈物を、DMSO中で作製し、試験される種に適切な培地を含む標準96ウェル微量希釈プレート(Costar3795)のウェルに加えた。マイクロタイタープレートの各横列は、縦列1~11に2倍の希釈系列を含んだ。縦列12のウェルは、薬物を含まず、細菌増殖対照ウエルとして機能した。各細菌の生物標準化種菌を、約5x10CFU/mLの最終種菌濃度を目標にしてCLSI法により調製した。感受性試験の間のウェル中の最終体積は、202μLであった。黄色ブドウ球菌および肺炎球菌について周囲雰囲気中で、およびナイセリア・ゴノレアについて5%COの雰囲気中で35℃にて約20時間のインキュベーションの後で、プレートを、プレートビューアーを用いて底部から観察した。MIC値を、目視可能な細菌の成長が完全に抑制された試験品の最も低い濃度として読み取った。
【0169】
試験パネル中の包含のために選択された菌株の大部分は、抗生物質耐性であった。5種の肺炎球菌菌株中の4種は、マクロライドに対し耐性であり、これらの1種はまた、ペニシリンおよびテトラサイクリンに対し耐性であった。選択されたナイセリア・ゴノレア菌株のパネルは主に、WHOおよびCDC抗菌薬耐性分離株バンクコレクション由来の多剤耐性または広範囲薬剤耐性菌株であった。これらは、ペニシリン、フルオロキノロン、テトラサイクリン、マクロライド、および広域スペクトルセファロスポリンに耐性を有する分離菌を含んだ。15種の黄色ブドウ球菌菌株中で、11種は、メチシリンに対し耐性であり、10種は、マクロライドに対し耐性であり、2種は、リネゾリドに対し耐性であった。ブレイクポイントは、マイコプラズマ・ゲニタリウムについて確立されなかった。しかし、試験した10種のマイコプラズマ・ゲニタリウム菌株および分離菌の中で、3種は、アジスロマイシンおよびモキシフロキサシンに対し高められたMICを有した。
【0170】
表8は、多剤耐性および広範囲薬剤耐性ナイセリア・ゴノレアの一団における種々の比率のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAについてのCBA1のMIC値を示す。アジスロマイシンを、マクロライド耐性ナイセリア・ゴノレアに対する活性を評価するための比較物質として用いた。90:10~0:100のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率にわたり、CBA1は、ナイセリア・ゴノレアに対する顕著な抗菌活性を有した。いずれの場合も、抗菌活性は、ストレプトグラミンB成分単独(即ち、100:0でのCBA1)ではほとんどまたは全く観察されなかった。しかし、抗菌活性は、ストレプトグラミンA成分単独(即ち、0:100でのCBA1)で観察された。CBA1は、マクロライド耐性菌株に対し強力な活性を維持し、CBA1とマクロライドの間の交差耐性の証拠はなかった。
【表8】
【0171】
表9は、ナイセリア・ゴノレアの複数菌株に対するCBA1の効力増大倍率を、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAのMICをCBA1のMICで除算することにより決定される、同じストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率のそれぞれでのプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAと比較して示す。CBA1は、評価した全ての比率および全ての菌株全体にわたり、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAよりも、ほぼ4~8倍効力が高かった。
【表9】
【0172】
MBCアッセイにおいて、CBA1は、4以下のMIC値で除算したMBCにより決定されるように、ナイセリア・ゴノレアに対し殺菌性であった。90:10~0:100のCBA1中のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率では、CBA1は、全ての(20種のうちの20種)ナイセリア.ゴノレア菌株に対し、殺菌性であった。プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAは、ナイセリア・ゴノレアに対し殺菌活性を示したが、しかし、その低下された効力により、より高い濃度でのみであった。CBA1について試験した全ての菌株の90%を阻害するために必要とされるMBC(MBC90)は、90:10~10:90の比率にわたり、0.25~1μg/mLの範囲であった。対照的に、ナイセリア・ゴノレアに対するプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAのMBC90は、同じ比率にわたり、1~4μg/mLの範囲であった。2つの組み合わせの間の効力のこれらの差異は、ある組み合わせの上記のMICまたはMBCに達する全身曝露が投与の特定の経路に従い達成できない場合に、臨床的に意味がある可能性がある。
【0173】
表10は、肺炎球菌株における種々の比率のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAでのCBA1についてのMIC値を示す。CBA1の種々の比率にわたり、この新規の組み合わせは、肺炎球菌に対し優れた抗菌活性を示した。いずれの場合も、MIC値は、1種のみの成分単独(即ち、100:0または0:100の比率でのCBA1)とのインキュベーションに対し、遙かに高かったが、しかし、いくらかの抗菌活性が依然として観察された。これらのデータは、CBA1中のストレプトグラミンの組み合わせの相乗作用を示す。
【表10】
【0174】
表11は、肺炎球菌に対するCBA1の効力増大倍率を、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAのMICをCBA1のMICで除算することにより決定される、同じストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率のそれぞれでのプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAと比較して示す。全体として、CBA1は、特にマクロライド耐性菌株MMX3031、MMX3033、およびATCC700677に対し、評価した全ての比率にわたり、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAよりも効力が高かった。
【表11】
【0175】
MBCアッセイにおいて、CBA1は、4以下のMIC値により除算したMBCにより決定されるように、全てのストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率にわたり、肺炎球菌に対し殺菌性であった。90:10、70:30、50:50、30:70、10:90、および0:100のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率にわたり、CBA1は、5種の肺炎球菌菌株のうちの5種に対し殺菌性であった。ストレプトグラミンB成分のみ(即ち、CBA1中の100:0の比率)では、それは、評価された4種の肺炎球菌菌株のうちの2種のみに対し殺菌性であった。
【0176】
表12は、肺黄色ブドウ球菌株に対する種々の比率のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAでのCBA1 MIC値を示す。90:10~0:100の比率にわたり、CBA1は、黄色ブドウ球菌に対し顕著な抗菌活性を有した。活性は、ストレプトグラミンAおよびストレプトグラミンB成分の両方が存在した場合の比率でより大きく、相乗作用を示唆した。全ての場合において、より高いMIC値は、特定の菌株中の測定可能な抗菌活性を含まないストレプトグラミンB成分単独(即ち、100:0のCBA1比率)で得られた。他方で、より良好な抗菌活性は、ストレプトグラミンA成分単独(即ち、0:100でのCBA1)で観察された。
【表12】
【0177】
表13は、黄色ブドウ球菌に対するCBA1の効力増大倍率を、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAのMICをCBA1のMICで除算することにより決定される同じストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率それぞれでのプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAと比較して示す。大部分の菌株に対し、CBA1は、特にメチシリン耐性およびマクロライド耐性の両方であった菌株(表の下半分の8種の菌株)に対し、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAより効力が高かった。試験された分離菌の90%を抑制するMIC(MIC90)は、CBA1の90:10~10:90の比率にわたり0.12~0.5μg/mLの範囲であり、一方で黄色ブドウ球菌に対するプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAのMIC90は、90:10~10:90の比率にわたり2~8μg/mLの範囲であり、これは、MIC90値に基づくプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAを上回るCBA1の16倍の増加効力を示す。
【表13】
【0178】
MBCアッセイにおいて、90:10~10:90のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率でのCBA1は、表14に示されるようにMIC値に対するMBC値の比較に基づき大部分の黄色ブドウ球菌菌株(比率にわたり60%~73%)に対し殺菌活性を示した。CBA1の殺菌活性は、比率に関係なく類似であった。対照的に、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAの組み合わせは主に、大部分の菌株に対し8以上のMIC値により除算されたMBCで、黄色ブドウ球菌に対し静菌活性を示した。30:70のプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAに対する臨床的に承認された投与量比率では、黄色ブドウ球菌におけるこのストレプトグラミン組み合わせについて、殺菌活性の証拠はなかった(0%)。

【表14】
【0179】
CBA1はまた、マイコプラズマ・ゲニタリウムに対する強力な活性を示し、70:30または30:70のプリスチナマイシンIA:フロプリスチン比率で試験した場合、類似のMICが観察され、両方の比率は0.015~0.12μg/mLの範囲のMICをもたらした。さらに、試験した両方の比率について、CBA1のMIC値は、0.12~0.5μg/mLの範囲のMIC値を有した、ベンチマーク比較物質であるプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAで観察された値よりも4倍~16倍効力が高く、CBA1の組み合わせの優れた効力を示した。CBA1のストレプトグラミンA成分(フロプリスチン)のみが存在した、即ち、0:100の比率でのCBA1の場合、活性がまた観察され、マイコプラズマ・ゲニタリウムに対し0.015~0.5μg/mLの範囲のMICを有した。低下された活性が、CBA1のストレプトグラミンB成分(プリスチナマイシンIA)のみが存在した、即ち、100:0の比率のCBA1の場合に認められ、それは、2~16μg/mLの範囲のMICを有した。
【0180】
実施例3
既知のストレプトグラミンの組み合わせと比較した活性のインビトロ効力およびスペクトル
CBA1のより広範な抗菌活性スペクトルを、種々のグラム陽性、グラム陰性および非定型種の分離菌に対し評価し、かつ30:70のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAの比率で全ての試験品を用いて既知のストレプトグラミンの組み合わせであるプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、および/またはリノプリスチン-フロプリスチンと比較した。以下の種を評価した:肺炎球菌(9種のマクロライド耐性菌、8種のクリンダマイシン耐性菌、および5種のテトラサイクリン耐性菌を含む30種の分離菌)、フェシウム菌(全てのバンコマイシン耐性菌を含む30種の分離菌)、化膿性連鎖球菌(3種のマクロライド耐性および3種のテトラサイクリン耐性分離菌を含む30種の分離菌)、ストレプトコッカス・アガラクチア(18種のマクロライド耐性菌、10種のクリンダマイシン耐性菌、および23種のテトラサイクリン耐性菌を含む30種の分離菌)、黄色ブドウ球菌(米国および欧州医療センターから2019年~2021年に収集された、48種のメチシリン耐性菌および12種のクリンダマイシン耐性菌を含む96種の臨床分離株)、ナイセリア・ゴノレア(主にWHOおよびCDC抗菌薬耐性分離株バンクコレクション由来の20種の多剤耐性および広範囲薬剤耐性分離菌パネル)、マイコプラズマ・ゲニタリウム(1980年~2020年中に英国、デンマーク、または米国から収集された、およびモキシフロキサシンおよびモキシフロキサシンに対する高められたMICを有する3種の分離菌を含む4種のATCC菌株および6種の臨床分離株)、ガードネレラ・バジナリス(米国およびイタリアから1992年~2020年に収集された30種の臨床分離株)、炭疽菌(遺伝的に多様な30種の菌株パネル)、フランシセラ・ツラレンシス(遺伝的に多様な30種の菌株パネル)、鼻疽菌(10種の菌株パネル)、類鼻疽菌(10種の菌株パネル)、およびペスト菌(10種の菌株パネル)。
【0181】
MICを、黄色ブドウ球菌、連鎖球菌属菌種、フェシウム菌、およびナイセリア・ゴノレアのためのCLSIガイドラインドキュメントM07およびM100に従い実施例2で記載される微量液体希釈法により、炭疽菌、野兎病菌、鼻疽菌、類鼻疽菌、およびペスト菌のための低頻度に分離されたまたは選好性細菌のためのCLSI法(CLSI “Methods for Antimicrobial Dilution and Disk Susceptibility Testing of Infrequently Isolated or Fastidious Bacteria.3rd ed.” CLSI guideline 45.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2016)に従い、およびマイコプラズマのマイコプラズマ・ゲニタリウムのためのCLSIガイドライン(CLSI “Methods for antimicrobial susceptibility testing of human mycoplasmas” Approved Guideline M43-A.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2011)に従い測定した。ガードネレラ・バギナリスについて、MICを、嫌気性細菌の感受性試験のためのCLSIにより推奨されるように(CLSI “Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria,Approved Standard-Eleventh Edition” CLSI document M11,11th Ed.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2018)、寒天希釈により測定した。5%(v/v)ヒツジ溶解血を含む補充ブルセラ寒天プレートを、感受性試験のために利用し、プレートを、5%の二酸化炭素、5%の水素、および90%の窒素の雰囲気を含むBactron600嫌気性菌チャンバー(Sheldon Manufacturing,Cornelius,Oregon)中でインキュベートした。MICエンドポイントを、全てのガードネレラ・バギナリス分離菌について72時間で測定し、MICを、そこで嫌気性対照プレート上で成長した外観に比較して試験プレート上での成長の出現に顕著な減少が起こる、最小濃度として定義した。全ての種について、CBA1、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、またはリノプリスチン-フロプリスチンを、30:70のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA比率で全て試験した。
【0182】
それぞれの種のMIC分布を、図2にヒストグラムとして示す。他の既知の組み合わせを上回る新規組み合わせCBA1の効力が、試験した全ての種で示される。それぞれの種に対し、CBA1についてのMIC分布は、比較物質のストレプトグラミン組み合わせであるプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、またはリノプリスチン-フロプリスチンよりも良好であり、ヒストグラムの左へのMIC分布の移動により示されるように、評価したほとんど全ての分離菌に対しより低いMICが得られた。肺炎球菌、フェシウム菌、化膿レンサ球菌、ストレプトコッカス・アガラクチア、黄色ブドウ球菌、ナイセリア・ゴノレア、マイコプラズマ・ゲニタリウム、ガードネレラ・バギナリス、炭疽菌、および野兎病菌に対するCBA1のMIC90値は、それぞれ、0.12、0.12、0.015、0.03、0.12、0.012、0.03、0.015、0.25、および0.25μg/mLであった(表15)。MIC90値を比較すると、CBA1は、ヒト使用のために認可された2種の既知のストレプトグラミンの組み合わせよりも効力が高く、即ち、試験した全ての種にわたり、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAよりも2~32倍効力が高く、キヌプリスチン-ダルホプリスチンよりも2~8倍効力が高い(表15)。
【0183】
CBA1はまた、鼻疽菌、類鼻疽菌、およびペスト菌に対しても活性を示し、それぞれ、1~4μg/mL、4~>8μg/mL、および1~4μg/mLのMICの範囲を有した。各種に対し、CBA1の活性は、プリスチナマイシンIA:プリスチナマイシンIIAより2~8倍良好であり、それらは、それぞれ、4~>8μg/mL、全て>8μg/mL、および全て9μg/mLのMICの範囲を有した。
【表15】
【0184】
実施例4
インビトロ時間-殺菌動力学
インビトロ時間-殺菌アッセイは、抗生物質への曝露後の種々の時点での抗生物質の殺菌活性の定量的評価を可能にする。CBA1の生物活性の殺菌時間動力学を、多剤耐性ナイセリア・ゴノレア菌株NCTC13480およびNCTC13820に対し評価した。これらの菌株の両方は、ペニシリン、テトラサイクリン、およびシプロフロキサシンに耐性である。NCTC13480は、CDCの淋菌分離株サーベイランスプロジェクト(GISP)「アラート値」基準に適合する、淋病の治療のための唯一残された標準治療抗生物質に対し高められたMICを有する。NCTC13820は、セフトリアキソンおよびセフィキシムの両方に対し高レベルの耐性を有する。
【0185】
ベースラインMIC値を、CLSI M07ガイドライン(CLSI “Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria That Grow Aerobically;Approved Standard-11th Edition” CLSI standard M07.CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,2018)に従いブロスマクロ希釈(チューブ)法を用いて、3重で測定した。選好性ブロスを、各チューブ中4mLの総体積で試験培地として使用した。分離菌を、全ての化合物について5%COインキュベーター中で35℃にて24時間インキュベートした。MIC値は、目視試験時に濁度がない最低の濃度のチューブに相当した。
【0186】
時間-殺菌殺菌活性アッセイを、CLSIにより記載される方法(CLSI “Methods for determining bactericidal activity of antimicrobial agents;approved guideline.Document M26-A” CLSI,950 West Valley Road,Suite 2500,Wayne,Pennsylvania 19087 USA,1999)に従って実施した。菌株を最初に、選好性ブロス中で2時間成長させた。培養物をその後、4mLの選好性ブロス中のモデルベースラインMICの濃度の2X、4X、および8Xの抗菌剤を含むチューブ中に希釈した。各試験イベントはまた、各菌株の抗菌化合物を含まない増殖対照チューブも含んだ。
【0187】
各チューブの試料を、化合物の添加後35℃にて0、2、4、8、および24時間で取り出した。各試料を、生理食塩水中で段階希釈し、CFU測定のために1%淋菌-インフルエンザ菌(GCHI)エンリッチメントを含むGC寒天上に蒔いた。
【0188】
NCTC13480についての結果を図3に示す。CBA1は、それぞれ、8X、4X、および2XのMICでの曝露の2、4、8時間以内に殺菌活性(即ち、≧3-log10CFU/mL)をもたらした。対照的に、淋病の標準治療抗生物質であるセフトリアキソンは、最大で8XのMIC濃度ででも、曝露の24時間までに、殺菌活性を達成しなかった。類似の結果が、CBA1がナイセリア・ゴノレア菌株NCTC13820に対して評価された場合に観察され、殺菌活性は、8Xおよび4XのCBA1 MICで2時間以内に、および2XのCBA1 MICで4時間以内に生じた。これらの結果は、新規のストレプトグラミンの組み合わせCBA1が、迅速殺菌活性の望ましい特性を有することを示す。
【0189】
実施例5
インビトロ有効性
動物感染症モデルは、抗生物質開発におけるインビボ有効性の概念実証のために高い価値を有する。ほとんどの他の治療領域とは異なり、抗生物質の場合、薬物標的は宿主ではなく、細菌である。マウス好中球減少症大腿感染モデルは、インビボ抗菌有効性を評価するために最も一般的に使用されているモデルの1つである。このモデルでの主要エンドポイントは、抗生物質療法の開始後24時間での細菌性CFUの減少であり、マウスでのこのエンドポイントは、ヒト対象での臨床転帰と相関することが示されている。
【0190】
黄色ブドウ球菌に対する静脈内または経口経路を介して投与されたCBA1のインビボ有効性を、MRSA菌株BAA-1717を用いてマウス好中球減少症大腿感染モデルで評価した。静脈内試験のために、Charles River Laboratories由来のメスCD-1マウスを、それぞれ、腹腔内注射により送達された150mg/kgおよび100mg/kgの-4日目および-1日目のシクロホスファミドの2回の投与により好中球減少症にした。調査の0日目に、マウスを、右大腿筋肉中への100μLの調製された細菌接種材料(1.9x10CFU/マウス大腿)の注射により、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌菌株ATCC BAA-1717に感染させた。4匹のマウスの群に、感染の2および14時間後に尾静脈注入を介して2回、ビークル(5%DMSO、25%PEG-400、30%プロピレングリコールおよび40%生理食塩水)または試験薬剤のいずれかを投与し、投与された薬剤の用量は5mL/kgで体重に基づいた。試験薬剤は、投与毎に15mg/kgでCBA1(33:67質量比のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA)、投与毎に15mg/kgでキヌプリスチン-ダルホプリスチン(30:70の比率のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンA)、および投与毎に50mg/kgで陽性対照バンコマイシンを含んだ。BAA-1717菌株に対するCBA1、キヌプリスチン-ダルホプリスチン、およびバンコマイシンのMICは、それぞれ、0.06、0.12および1μg/mLであった。
【0191】
ビークル感染対照群を、感染後2および26時間で安楽死させ、試験薬剤群を、感染後26時間で安楽死させた。各動物からの右大腿を、無菌的に外植し、秤量し、均一になるまでホモジナイズした。ホモジナイズした試料を、段階希釈し、CFU測定のために細菌増殖培地に播種した。CFUを、37℃で一晩インキュベーション後に算出した。CFUを、希釈および各大腿についての組織重量ついて調節し、平均値および標準偏差を、各群について計算した。
【0192】
同じ試験を実施して、黄色ブドウ球菌菌株BAA-1717に感染した好中球減少症マウスにおける経口投与により投与された試験薬剤の有効性を評価した。この試験では、4匹のマウスの群に、経口胃管投与を介して感染の2および14時間後に2回ビークル(0.5%メチルセルロース(4000CP)、0.2%ツイーン80)または試験薬剤を投与し、投与体積は10mL/kgで体重に基づいた。試験薬剤は、投与毎に75mg/kgでCBA1、または投与毎に150mg/kgでプリスチナマイシン1A-プリスチナマイシンを含み、いずれも30:70の比率のストレプトグラミンB:ストレプトグラミンAであり、および陽性対照リネゾリドを、投与毎に100mg/kgで投与した。BAA-1717菌株に対するCBA1、プリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIA、およびリネゾリドのMICは、それぞれ、0.06、0.12および2μg/mLであった。感染の2時間または26時間後に、大腿を処理し、CFUを、上記のように測定した。
【0193】
15mg/kgの2回(感染後2および14時間)の静脈内投与後に、CBA1は、同じ投与量で投与されたキヌプリスチン-ダルホプリスチンに比べて、優れた有効性を示し、3.3倍高い投与量(50mg/kgを2回)で静脈内投与された標準治療バンコマイシンと同等であった。結果を、平均log10CFU/gの大腿組織±標準偏差として、図4(上段)で示す。感染の26時間後に、CBA1は、ビークル対照に比べて、細菌負荷を3.17log10CFU低下させ、一方でキヌプリスチン-ダルホプリスチンは、CBA1と同じ投与レベルで投与された場合、細菌負荷に対し影響を与えることができなかった(ビークルに比べて、+0.01log10CFU)。
【0194】
75mg/kgの2回(感染後2および14時間)の経口投与後に、CBA1は、2倍高い投与量(150mg/kgを2回)で経口投与されたプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAに比べて、優れた有効性を示し、1.3倍高い投与量(100mg/kgを2回)で経口投与された標準治療リネゾリドと同等であった。結果を、平均log10CFU/gの大腿組織±標準偏差として図4(下段)で示す。感染の26時間後に、CBA1は、ビークル対照に比べて、細菌負荷を2.92log10CFU低下させ、一方でプリスチナマイシンIA-プリスチナマイシンIIAは、CBA1の投与量の2倍で投与されたが、0.47log10CFUだけ細菌負荷を減らしたのみであった。
【0195】
まとめると、これらのインビボデータは、既知のヒト使用のために認可されたストレプトグラミン抗生物質を上回る、新規でユニークなストレプトグラミンの組み合わせCBA1(プリスチナマイシンIA+フロプリスチン)の顕著に改善されたインビボ有効性を示す。既存のストレプトグラミン組み合わせを上回るCBA1の高められたインビボ有効性は、本明細書で提示された膨大な量のインビトロデータから立証されるように、その殺菌活性を含む、その優れた抗菌効力および望ましい抗菌プロファイルにより裏付けられる。
【0196】
他の実施形態
本発明の特定の実施形態が本明細書に記載され、これは、発明者らに既知の本発明を実施するための最良の形態を含む。当然のことながら、これまでの記載を読めば、ここに記載した実施形態に対する変形形態が当業者に明らかとなるであろう。発明者は、当業者が必要に応じてこのような変更を採用することを予期しており、また、発明者らは、本明細書で具体的に記載された方法とは別の方法で本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法で認められる本明細書に添付の請求項に記載の主題の全ての変形物および等価物を含む。さらに、本明細書で特に指示がない限り、または別の理由で文脈と明確に矛楯することがない限り、その全ての可能な変形物における上述の実施形態の任意の組み合わせが本出願に包含される。
【0197】
別段の指示がない限り、本明細書および請求項で使われる特性、項目、量、パラメータ、性質、期間、などを表す全ての数字は、全ての場合において、「約」という語で修飾されているものとして理解されるべきである。特に指示がない限り、明細書および添付請求項に記載の数値パラメータは、変わってもよい近似値である。少なくとも、および請求項の範囲に対する均等論の適用を限定しようとするものでなく、各々の数値表示は少なくとも、報告された有効桁数を考慮に入れて、および通常の丸め技術を適用することによって解釈されなければならない。本発明の広い範囲を記載する数値範囲および値は近似値であるにもかかわらず、具体例な実施例に記載の数値範囲および値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値範囲および値は、それらの各試験測定で認められる標準的なずれに起因して必然的に生じる一定の誤差を本質的に含む。本明細書における値の範囲の記載は、その範囲内に入るそれぞれ別々の値を個別に参照する省略表現法として機能すると意図されるに過ぎない。本明細書で特に指示がない限り、数値範囲のそれぞれの個別値は、あたかもそれが個別に本明細書中に記述されているかのように明細書中に組み込まれる。
【0198】
本明細書で言及され、特定された全ての特許、特許公報、および他の出版物は、例えば、このような出版物に記載され、本発明との関係で使用可能な組成物および方法を説明し、開示するために、個別に、明示的に参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの出版物は、本出願の出願日に先立つそれらの開示のためにのみ提供される。これに関して、先行発明を理由にしてまたは何らかの他の理由で本発明者らがそのような開示に先行する権利を与えられないことを承認するものと解釈されるべきではない。これらの文書の内容に関する日付または表現は、出願者らに入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関して何ら承認するものではない。
【0199】
最後に、特定の実施形態に言及することにより本明細書の態様が強調されているが、これらの開示実施形態は、本明細書で開示の主題の原理の例示に過ぎないことは、当業者に容易に認識されるであろうことを理解されたい。従って、開示される主題は、本明細書で記載される特定の方法、プロトコル、および/または試薬、などに決して限定されないことを理解されたい。従って、開示される主題または開示される主題の代替構成物に対する種々の修正もしくは変更を、本明細書の趣旨から逸脱することなく本明細書の教示に従って行うことができる。最後に、本明細書に使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明の範囲を制限することを意図していない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ規定される。従って、本発明は、示され、および説明された通りの形態に正確に限定されるものではない。

図1-1】
図1-2】
図1-3】
図2
図3
図4
【国際調査報告】