(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】改良された剥離コーティングを有する硬質シェルカプセル
(51)【国際特許分類】
A61K 47/38 20060101AFI20240521BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240521BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240521BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240521BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240521BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240521BHJP
A61K 9/48 20060101ALN20240521BHJP
【FI】
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/10
A23L5/00 C
A61K9/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572599
(86)(22)【出願日】2022-05-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 EP2022063581
(87)【国際公開番号】W WO2022248334
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ベーア
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ホーフマン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン スミス
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ニーポート
(72)【発明者】
【氏名】リマ ジャベル
(72)【発明者】
【氏名】ベッティーナ ヘルツァー
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
【Fターム(参考)】
4B035LG04
4B035LG06
4B035LG08
4B035LG15
4B035LG21
4B035LG26
4B035LP26
4B035LP59
4C076AA54
4C076DD07F
4C076DD27
4C076DD28
4C076DD29
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD46F
4C076DD47
4C076EE12
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE32
4C076EE38
4C076EE42
4C076FF31
4C076FF33
(57)【要約】
本発明は、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、a)少なくとも1種のポリマー;b)少なくとも1種の流動促進剤;c)少なくとも1種の乳化剤;d)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;e)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;およびf)任意選択的にa)~e)とは異なる少なくとも1種の添加剤;を含むかまたはこれらからなるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、コーティングされた、好ましくは外側表面においてのみコーティングされた予備ロック状態の硬質シェルカプセルを得て、コーティング溶液、懸濁液または分散液が、最大38mN/mの表面張力を有する、方法に関する。さらに、本発明は、本発明による方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル、および即時放出、遅延放出、または持続放出のための、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品または栄養補助食品の生物学的活性成分のための容器として適した、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
前記硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、前記キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで前記本体に重なっており、
前記硬質シェルカプセルを、前記予備ロック状態で提供し、
a)少なくとも1種のポリマー;
b)少なくとも1種の流動促進剤;
c)少なくとも1種の乳化剤;
d)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f)任意選択的にa)~e)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、コーティングされた、好ましくは外側表面においてのみコーティングされた前記予備ロック状態の硬質シェルカプセルを得て、
前記コーティング溶液、懸濁液または分散液が、DIN EN 14370:2004に従って測定して、最大38mN/mの表面張力を有する、
方法。
【請求項2】
前記本体および前記キャップのベース材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、プルラン、および(メタ)アクリル酸のC1~C4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のポリマーが、少なくとも1種の(メタ)アクリレートコポリマーから選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリマーが、少なくとも1種のアニオン性セルロース、エチルセルロース、または少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンから選択される、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリマーが、
I.65~75重量%のエチルアクリレートおよび25~35重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む70~80重量%のコアと、45~55重量%のエチルアクリレートおよび45~55重量%のメタクリル酸の重合単位を含む20~30重量%のシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスによって得られるコポリマーであるコアシェルポリマー;または
II.25~95重量%の、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C12アルキルエステルと、アニオン性基を有する75~5重量%の(メタ)アクリレートモノマーとを重合することによって得られるアニオン性ポリマー;または
III.アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アルキル基に第3級もしくは第4級アンモニウム基を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルとを重合することによって得られるカチオン性(メタ)アクリレートコポリマー;または
iv)メタクリル酸とエチルアクリレートとを重合するか、メタクリル酸とメチルメタクリレートとを重合するか、エチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合するか、もしくはメタクリル酸とメチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
v)40~60重量%のメタクリル酸と60~40重量%のエチルアクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vi)60~80重量%のエチルアクリレートと40~20重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vii)5~15重量%のメタクリル酸と60~70重量%のメチルアクリレートと20~30重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;またはそれらの混合物
である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリマーが、
i)10:1~1:10の重量比での、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、60~80重量%のエチルアクリレートおよび40~20重量%のメチルメタクリレートを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物;または
ii)1:1~5:1の重量比での、5~15重量%のメタクリル酸、60~70重量%のメチルアクリレートおよび20~30重量%のメチルメタクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物
である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種の流動促進剤が、
i)前記少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて3~75重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)シリカ、粉砕シリカ、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸塩、フマル酸ステアリルナトリウム、デンプン、ステアリン酸、およびモノステアリン酸グリセロール、またはそれらの混合物から選択される、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種の乳化剤が、
i)前記少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて1.5~40重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)非イオン性乳化剤である、
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種の可塑剤が、
i)前記少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて2~40重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)クエン酸アルキル、フタル酸アルキル、およびセバシン酸アルキル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはそれらの組み合わせから選択される、
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて最大400重量%の少なくとも1種の添加剤が含まれる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記本体および前記キャップが、前記キャップが前記本体と重なる領域に、前記予備ロック状態または前記最終ロック状態のいずれかで所定位置へのスナップイン機構によって前記カプセルを閉鎖することを可能にする周囲ノッチまたはディンプルを含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
前記本体がテーパー状リムを含む、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング層を、約0.7~20mg/cm
2の量で適用する、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載の方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル。
【請求項15】
即時放出、遅延放出、または持続放出のための、請求項14記載のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、
a)少なくとも1種のポリマー;
b)少なくとも1種の流動促進剤;
c)少なくとも1種の乳化剤;
d)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f)任意選択的にa)~e)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、コーティングされた、好ましくは外側表面においてのみコーティングされた予備ロック状態の硬質シェルカプセルを得て、コーティング溶液、懸濁液または分散液が、最大38mN/mの表面張力を有する、方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、本発明による方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル、および即時放出、遅延放出、または持続放出のための、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用に関する。
【0003】
背景
医薬品または栄養補助食品の製品の分野におけるポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは公知である。これらは、例えば、国際公開第2019/096833号、国際公開第2020/229178号、および国際公開第2020/229192号に開示されている。しかしながら、これらの出願では、コーティングプロセスは、9,000個未満のカプセルの実験室スケールのセットアップでのみ実施された。
【0004】
これらの例は、こういった実験室スケールのセットアップではうまく機能するが、開示されているコーティングは、工業スケールの製造方法には適切ではない。特に、本発明の発明者等は、驚くべきことに、空硬質カプセルコーティングプロセスのスケールアップ中に、先行技術文献に記載されているような特定の配合物がブリッジング傾向の増加を示すことを見出した。ブリッジング傾向は、予備ロックされたコーティングされた空カプセルがカプセルの本体とカプセルのキャップとの間にポリマーブリッジを示したことを意味する。このポリマーブリッジによって、これらのカプセルは、工業的な製造方法に不適切になる。手動、半自動、または自動のカプセル充填プロセスのような下流プロセスでは、カプセルを開放することができること、また開放されている場合にはこれらが損傷していないことが重要である。
【0005】
この点に関して、驚くべきことに、少なくとも1種の流動促進剤および少なくとも1種の乳化剤の添加、ならびに最大38mN/mの表面張力を有するコーティング溶液、懸濁液または分散液の使用が、パイロットスケールまたは製造スケールで調製された最終コーティングにおけるポリマーブリッジを防止することができることが、本発明者等によって見出された。したがって、本発明の目的は、ポリマーブリッジを防止することができる、最大38mN/mの表面張力を有するコーティング溶液、懸濁液または分散液を提供することである。
【0006】
このことは特に予想外であった。というのも、乳化剤のような界面活性物質は、典型的には、ポリマーのガラス転移温度を低下させ、それによって、典型的には、粘着傾向の増加がもたらされるからである。
【0007】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、
a)少なくとも1種のポリマー;
b)少なくとも1種の流動促進剤;
c)少なくとも1種の乳化剤;
d)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e)任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分;および
f)任意選択的にa)~e)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティングして、コーティングされた、好ましくは外側表面においてのみコーティングされた予備ロック状態の硬質シェルカプセルを得て、
コーティング溶液、懸濁液または分散液が、最大38mN/mの表面張力を有する、
方法に関する。
【0008】
第2の態様では、本発明は、本発明による方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルに関する。
【0009】
第3の態様では、本発明は、即時放出、遅延放出、または持続放出のための、本発明によるポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用に関する。
【0010】
発明の詳細な説明
硬質シェルカプセル
医薬品または栄養補助食品のための硬質シェルカプセルは、当業者には周知である。硬質シェルカプセルは、本体およびキャップと呼ばれる2つのカプセル半体から構成される2ピースの封入カプセルである。カプセルの本体およびキャップの材料は、通常、硬質の、場合によって脆い材料で作製されている。硬質シェルカプセルは、本体およびキャップを含む。本体およびキャップは、通常、反対端に閉鎖した丸い半球形の端部を有する、片側の端部が開放された円筒形のものである。キャップおよび本体の形状およびサイズは、本体をその開放端でキャップの開放端に伸縮自在に押し込むことができるようなものである。
【0011】
本体およびキャップは、本体の外側およびキャップの内側に、カプセルが予備ロック状態で閉鎖されているときに部分的に重なり、最終ロック状態で完全に重なる、潜在的な重なり一致領域(重なり領域)を含む。キャップが本体の重なり一致領域の上方に部分的にスライドされている場合、カプセルは予備ロック状態にある。キャップが本体の重なり一致領域の上方に完全にスライドされている場合、カプセルは最終ロック状態にある。予備ロック状態または最終ロック状態の維持は、通常、一致周囲ノッチまたはディンプル、好ましくは細長いディンプルなどの、本体およびキャップのスナップインロック機構によって補助される。
【0012】
通常、本体は、キャップよりも長い。カプセルを閉鎖またはロックするために、本体の外側重なり領域をキャップによって覆ってよい。閉鎖状態では、キャップは、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体の外側重なり領域を覆っている。最終ロック状態では、キャップは、本体の外側重なり領域を全体的に覆っており、予備ロック状態では、キャップは、本体の外側重なり領域に部分的にのみ重なっている。キャップを本体の上方でスライドさせて、通常、カプセルが予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで閉鎖される2つの異なる位置のうちの一方で固定することができる。
【0013】
硬質シェルカプセルは、異なるサイズで市販されている。硬質シェルカプセルは、通常、本体およびキャップがすでに予備ロック状態に位置している空の容器として、必要に応じて、別々のカプセル半体、本体、およびキャップとして送達される。予備ロックされた硬質シェルカプセルを、カプセルの開放、充填、および最終ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給することができる。通常、硬質シェルカプセルは、生物学的活性成分を含む乾燥材料、例えば、粉末もしくは顆粒、または粘稠な液体で充填されている。
【0014】
キャップおよび本体には、カプセルの予備ロック(一時的)および/または最終ロックにとって有利な閉鎖手段が設けられている。したがって、突出点をキャップの内壁に設けることができ、カプセルを閉鎖したときに突出部が凹部に係合するように配置された若干より大きな凹んだ点が本体の外壁に設けられている。あるいは、突出部を本体の外壁に、凹部をキャップの内壁に形成することができる。突出部または凹部が壁の周りにリング状またはスパイラル状に配置された配置でもよい。突出部および凹部の点状構成の代わりに、これらは、キャップまたは本体の壁を環状構成で取り囲んでよいが、有利には、カプセル内部へのおよびカプセル内部からのガスの交換を可能にする凹所および開口部が設けられている。カプセルの最終ロック位置においてキャップ上の突出部が本体上の突出部に隣接して位置するように、1つ以上の突出部をキャップの内壁および本体の外壁の周りに環状配置で設けることができる。場合によって、本体上の突出部が、カプセルの最終ロック位置でキャップにおける凹部にラッチングするように、突出部が、開放端の近くで本体の外側に形成されており、凹部が、開放端の近くでキャップにおいて形成されている。突出部は、カプセルへの損傷なくいつでも予備ロック状態でキャップを開放することができるようなもの、あるいは、キャップが一旦閉鎖されたらこれを破壊することなしにはカプセルを再び開放することができないようなものであってよい。1つ以上のそのようなラッチング機構(ラッチ)(例えば、2つの周囲の溝)を有するカプセルが好ましい。2つのカプセル部分を異なる程度で留める少なくとも2つのそのようなラッチング手段を有するカプセルがより好ましい。この種の部分では、第1のラッチング(ディンプルまたは周囲ノッチ)手段をカプセルキャップおよびカプセル本体において開口部の近くに形成することができ、第2のラッチング(周囲ノッチ)をカプセル部分の閉鎖端に向かって若干さらにシフトさせることができる。第1のラッチング手段は、第2のラッチング手段ほど強くはない程度で、2つのカプセル部分を留める。この変形例には、空カプセルの製造後に、第1のラッチング機構を使用して、カプセルキャップおよびカプセル本体を最初に予備ロックでまとめて接続することができるという利点がある。次いで、カプセルを充填するために、2つのカプセル部分は再び分離される。充填後に、2つのカプセル部分は、2セット目のラッチがカプセル部分を最終ロック状態でしっかりと留めるまでまとめて押される。
【0015】
好ましくは、硬質シェルカプセルの本体およびキャップは、キャップが本体の上方でスライドすることができる領域に、周囲ノッチおよび/またはディンプルを各々含む。本体の周囲ノッチおよびキャップのディンプルは、スナップインまたは所定位置へのスナップイン機構を提供するように互いに一致する。ディンプルは、円形であってよいか、または長手方向に細長くてよい(楕円形)。本体の周囲ノッチおよびキャップの周囲ノッチ(かなり一致したリング)も、スナップインまたは所定位置へのスナップイン機構を提供するように互いに一致する。これによって、カプセルを、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで、所定位置へのスナップ機構によって閉鎖することができる。
【0016】
好ましくは、本体の一致周囲ノッチおよびキャップの細長いディンプルを、本体およびキャップを予備ロック状態で互いに固定するために使用する。本体およびキャップの一致周囲ノッチを、好ましくは、本体およびキャップを最終ロック状態で互いに固定またはロックするために使用する。
【0017】
キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域は、本体とキャップとの重なり領域または端的に重なり領域と呼ぶことができる。キャップが、部分的にのみ、おそらくは重なり領域の20~90%または60~85%本体に重なっている場合、硬質シェルカプセルは、部分的にのみ閉鎖されている(予備ロックされている)。好ましくは、本体およびキャップにおいて一致周囲ノッチおよび/またはディンプルのようなロック機構が存在する場合、部分的に閉鎖されたカプセルは、予備ロックされていると呼ぶことができる。カプセルが予備ロック状態でポリマーコーティングされている場合、コーティングは、この予備ロック状態においてキャップが重なっていない、本体およびキャップの重なり領域の部分を含む外側表面を完全に覆うことになる。カプセルが、予備ロック状態でポリマーコーティングされ、次いで、最終ロック状態に閉鎖される場合、予備ロック状態においてキャップが重なっていない、本体およびキャップの重なり領域の部分のコーティングは、次いで、キャップによって覆われることになる。次いで本体とキャップとの間に最終ロック状態で囲まれるコーティングの部分の存在は、硬質シェルカプセルを強く密封するのに十分である。
【0018】
キャップが本体の重なり領域全体にわたって本体に重なっている場合、硬質シェルカプセルは、最終閉鎖されているか、または最終ロック状態にある。好ましくは、本体およびキャップにおいて一致周囲ノッチおよび/またはディンプルのようなロック機構が存在する場合、最終閉鎖されたカプセルは、最終ロックされていると呼ぶことができる。
【0019】
通常、本体およびキャップを予備ロック状態で固定するためにはディンプルが好ましい。拘束力のない規則として、ディンプルの一致領域は、周囲ノッチの一致領域よりも小さい。したがって、スナップインされたディンプルは、一致周囲ノッチによるスナップイン固定をスナップアウトするのに必要であり得る力よりも少ない力を適用することによって、再びスナップアウトすることができる。
【0020】
本体およびキャップのディンプルは、キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域に位置しており、スナップインまたは所定位置へのスナップイン機構によって予備ロック状態で互いに一致する。例えば、キャップの周りに円形に分布して位置している、2つ、4つ、または好ましくは6つのノッチまたはディンプルが存在してよい。
【0021】
通常、キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域におけるキャップのディンプルおよび本体の周囲ノッチは、これらが予備ロック状態で所定位置へのスナップイン機構によってカプセルを閉鎖することを可能にするように互いに一致する。予備ロック状態では、開放するのに必要な力が比較的低いため、硬質シェルカプセルは、損傷なく手動でまたは機械によって再び開放することができる。したがって、「予備ロック状態」は、「緩くキャップされた状態」とも称されることがある。
【0022】
通常、キャップを本体の上方でスライドさせることができる領域における本体およびキャップの周囲ノッチまたは一致ロックリングは、これらが最終ロック状態で所定位置へのスナップイン機構によってカプセルを閉鎖することを可能にするように互いに一致する。最終ロック状態では、開放するのに必要な力が比較的高いため、硬質シェルカプセルは、損傷なしには手動でまたは機械によって再び開放することができないか、またはほとんどできない。
【0023】
通常、ディンプルおよび周囲ノッチがカプセル本体またはカプセルキャップに形成されている。これらの突出部および凹部が設けられたカプセル部品を互いに係合させると、カプセル本体とその上に配置されているカプセルキャップとの間の接触表面に沿って、10ミクロン~150ミクロン、より詳細には20ミクロン~100ミクロンの理想的に定義された均一なギャップが形成される。
【0024】
好ましくは、硬質シェルカプセルの本体は、テーパー状リムを含む。テーパー状リムによって、カプセルを手動でまたは機械によって閉鎖する際に、本体およびキャップのリムが衝突して損傷することを防止する。
【0025】
硬質シェルカプセルとは対照的に、軟質シェルカプセルは、接合された一体型封入カプセルである。軟質ゲルカプセルは、多くの場合、ブロー成形された軟質ゲル化物質から作製され、通常、生物学的活性成分を含む液体で注入によって充填される。本発明は、接合された軟質シェル一体型封入カプセルに関するものではない。
【0026】
硬質シェルカプセルのサイズ
閉鎖された最終ロックされた硬質シェルカプセルは、約5~40mmの範囲の全長を有してよい。キャップの直径は、約1.3~12mmの範囲であってよい。本体の直径は、約1.2~11mmの範囲であってよい。キャップの長さは、約4~20mmの範囲であってよく、本体の長さは、8~30mmの範囲であってよい。充填体積は、約0.004~2mlの間であってよい。予備ロック長さと最終ロック長さとの間の差は、約1~5mmであってよい。
【0027】
カプセルは、例えばサイズ000~5の標準化されたサイズに分割することができる。サイズ000の閉鎖されたカプセルは、例えば、約9.9mmのキャップ外径および約9.5mmの本体外径を伴って、約28mmの全長を有する。キャップの長さは、約14mmであり、本体の長さは、約22mmである。充填体積は、約1.4mlである。
【0028】
サイズ5の閉鎖されたカプセルは、例えば、約4.8mmのキャップ外径および約4.6mmの本体外径を伴って、約10mmの全長を有する。キャップの長さは、約5.6mmであり、本体の長さは、約9.4mmである。充填体積は、約0.13mlである。
【0029】
サイズ0のカプセルは、予備ロック状態で約23~24mmの長さを示してよく、最終ロック状態で約20.5~21.5mmの長さを示してよい。したがって、予備ロック長さと最終ロック長さとの間の差は、約2~3mmであってよい。
【0030】
コーティングされた硬質シェルカプセル
本発明は、本明細書に記載されているような方法によって得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルに関する。
【0031】
本体およびキャップの材料
本体およびキャップのベース材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、プルラン、および(メタ)アクリル酸のC1~C4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーから選択することができる。ポリマーコーティングに対するその良好な接着特性を理由に、本体およびキャップがHPMCまたはゼラチンを含むかまたはこれらからなる硬質シェルカプセルが好ましく、HPMCが最も好ましい。
【0032】
コーティング層に含まれるポリマーまたはポリマー混合物
コーティング層に含まれる少なくとも1種のポリマーは、好ましくはフィルム形成ポリマーであり、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、および中性ポリマー、またはそれらの任意の混合物の群から選択することができる。
【0033】
本明細書に開示されているような一般的なまたは特定のポリマー特徴または実施形態の選択は、カプセル材料、カプセルサイズ、コーティング厚さ、生物学的活性成分、および開示されているようなその他の特徴または実施形態などの、本明細書に開示されているような材料または数値的特徴または実施形態のその他の一般的なまたは特定の選択と制限なく組み合わせることができる。
【0034】
単層であってよいか、または2つ以上の個別の層を含んでよいかもしくはこれらからなっていてよいコーティング層は、合計10~100重量%、20~95重量%、30~90重量%の1種以上のポリマー、好ましくは(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい。
【0035】
それぞれのポリマーについて言及されているモノマーの割合は、一般に、合計で100重量%になる。
【0036】
ガラス転移温度Tgm
コーティング層は、125℃以下、好ましくは-10~115℃のガラス転移温度Tgmを有する1種以上のポリマー、好ましくは(メタ)アクリレートコポリマーを含んでよい。
【0037】
コーティング層は、130℃以下、好ましくは127℃以下、より好ましくは50~127℃のガラス転移温度Tgmを有する、1種以上のアニオン性セルロース、エチルセルロース、および/または少なくとも35重量%のアミロースを含む1種以上のデンプンを含んでよい。
【0038】
ガラス転移温度Tgmは、ISO 11357-2:2013-05に従って示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。決定は、20K/分の加熱速度で実施される。ガラス転移温度Tgmは、DIN EN ISO 11357-2の第10.1.2項に記載されているようなハーフステップハイト法(half step height method)によって決定された。
【0039】
アニオン性ポリマー-腸溶性コーティングおよび胃耐性
記載されている方法は、胃耐性および小腸(腸溶性コーティング)または大腸(結腸標的化)における意図された急速放出を有する医薬品または栄養補助食品剤形のための強く閉鎖されたポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを提供するのに特に有用である。
【0040】
コーティング層に含まれる少なくとも1種のポリマーは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー、アニオン性ポリビニルポリマーまたはコポリマー、およびアニオン性セルロースの群から選択されるアニオン性ポリマーであってよい。
【0041】
上述のアニオン性ポリマーは、「腸溶性ポリマー」とも呼ばれる。コーティング層において、そのようなポリマーは、カプセルに腸溶性保護を提供することができる。腸溶性保護は、カプセルが、最終閉鎖状態にあり、かつ医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物を含む場合に、含まれる生物学的活性成分の10%未満が、pH1.2の0.1のHCl中で120分後に放出されることを意味するものとする。最も好ましくは、pH1.2の0.1のHCl中で120分、続いて、pH6.8の緩衝媒体に変更した後に、含まれる生物学的活性成分の約80%以上が、合計時間165分または180分後に放出される。
【0042】
結腸標的化は、カプセルが、最終閉鎖状態にあり、かつ医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物を含む場合に、含まれる生物学的活性成分の10%未満が、pH1.2の0.1のHCl中で120分後に放出されることを意味するものとする。好ましくは、pH1.2の0.1のHCl中で120分、続いて、pH6.8の緩衝媒体に変更した後に、含まれる生物学的活性成分の約80%以上が、合計時間165分後に放出される。最も好ましくは、pH1.2の0.1のHCl中で120分、続いて、pH6.5または6.8の緩衝媒体に中間変更して60分、続いて、pH7.2またはpH7.4の緩衝媒体に最終変更した後に、含まれる生物学的活性成分の約80%以上が、合計時間225分または240分後に放出される。
【0043】
溶解試験は、米国薬局方43(USP)の<711>章に従って、50または75rpmのパドル速度を有するUSP装置IIを利用して実施される。試験媒体温度は、37+0.5℃に調整される。サンプルは、適切な時点で採取される。
【0044】
アニオン性(メタ)アクリレートコポリマー
好ましくは、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、25~95重量%、好ましくは40~95重量%、特に60~40重量%のフリーラジカル重合されたC1~C12アルキルエステル、好ましくは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アニオン性基を有する75~5重量%、好ましくは60~5重量%、特に40~60重量%の(メタ)アクリレートモノマーとを含む。一般に言及されている割合は、合計で100重量%になる。しかしながら、本質的な特性の損傷または変化をもたらすことなく、0~10重量%、例えば1~5重量%の範囲の少量のビニル共重合可能な更なるモノマー、例えば、ヒドロキシエチルメタクリレートまたはヒドロキシエチルアクリレートなどが存在することもさらに可能である。ビニル共重合可能な更なるモノマーが存在しないことが好ましい。
【0045】
アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルは、特に、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびブチルアクリレートである。
【0046】
アニオン性基を有する(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、アクリル酸であり、メタクリル酸が好ましい。
【0047】
適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、40~60重量%のメタクリル酸と、60~40重量%のメチルメタクリレートまたは60~40重量%のエチルアクリレートとから重合されたもの(EUDRAGIT(登録商標)LまたはEUDRAGIT(登録商標)L 100 55タイプ)である。
【0048】
EUDRAGIT(登録商標)Lは、50重量%のメチルメタクリレートと50重量%のメタクリル酸とから重合されたコポリマーである。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始のpHは、約pH値6.0であると言うことができる。
【0049】
EUDRAGIT(登録商標)L 100-55は、50重量%のメチルメタクリレートと50重量%のメタクリル酸とから重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55は、30重量%のEUDRAGIT(登録商標)L 100-55を含む分散液である。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始のpHは、約pH値5.5であると言うことができる。
【0050】
同様に、20~40重量%のメタクリル酸と80~60重量%のメチルメタクリレートとから重合されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマー(EUDRAGIT(登録商標)Sタイプ)が適切である。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始のpH値は、約pH値7.0であると言うことができる。
【0051】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、10~30重量%のメチルメタクリレートと、50~70重量%のメチルアクリレートと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合する(EUDRAGIT(登録商標)FSタイプ)。腸分泌液または模擬腸液における特定の活性成分放出の開始時のpHは、約pH値7.0であると言うことができる。
【0052】
EUDRAGIT(登録商標)FSは、25重量%のメチルメタクリレートと、65重量%のメチルアクリレートと、10重量%のメタクリル酸とから重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30重量%のEUDRAGIT(登録商標)FSを含む分散液である。
【0053】
20~34重量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
20~69重量%のメチルアクリレートと、
0~40重量%のエチルアクリレートと、かつ/または必要に応じて
0~10重量%のビニル共重合可能な更なるモノマーと
から構成されるコポリマーが適切であるが、
ただし、ISO 11357-2:2013-05の小項目3.3.3に従ったコポリマーのガラス転移温度は、60℃以下である。この(メタ)アクリレートコポリマーは、その破断点伸び特性が良好であることを理由に、ペレットを錠剤に圧縮するのに特に適切である。
【0054】
20~33重量%のメタクリル酸および/またはアクリル酸と、
5~30重量%のメチルアクリレートと、
20~40重量%のエチルアクリレートと、
10重量%超~30重量%のブチルメタクリレートと、ならびに必要に応じて
0~10重量%のビニル共重合可能な更なるモノマーと
から重合されたコポリマーが適切であり、
モノマーの割合の合計は、合計で100重量%になり、
ただし、ISO 11357-2:2013-05の小項目3.3.3に従ったコポリマーのガラス転移温度(中間点温度Tmg)は、55~70℃である。
【0055】
コポリマーは、好ましくは、先に示されている量の範囲内の、90、95、または99~100重量%のモノマーメタクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、およびブチルメタクリレートからなる。しかしながら、これが必ずしも本質的な特性の低減につながるわけではなく、0~10重量%、例えば1~5重量%の範囲の少量のビニル共重合可能な更なるモノマー、例えば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、ビニルマロン酸、スチレン、ビニルアルコール、酢酸ビニル、および/またはそれらの誘導体などがさらに存在することが可能である。
【0056】
更なる適切なアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、国際公開第2012/171575号または国際公開第2012/171576号に記載されているようないわゆるコア/シェルポリマーであってよい。適切なコアシェルポリマーは、30重量%のエチルアクリレートおよび70重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む75重量%のコアと、50重量%のエチルアクリレートおよび50重量%のメタクリル酸から重合された25重量%を占めるシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスからのコポリマーである。
【0057】
適切なコアシェルポリマーは、65~75重量%のエチルアクリレートおよび25~35重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む70~80重量%のコアと、45~55重量%のエチルアクリレートおよび45~55重量%のメタクリル酸の重合単位を含む20~30重量%のシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスからのコポリマーであってよい。
【0058】
アニオン性セルロース
アニオン性セルロースは、カルボキシメチルエチルセルロースおよびその塩、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、酢酸コハク酸セルロース(CAS)、酢酸トリメリット酸セルロース(CAT)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP、HP50、HP55)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS-LF、-MF、-HF)から選択することができる。
【0059】
硬質シェルカプセルは、予備ロック状態の硬質シェルカプセルを覆うコーティング層でコーティングされている。コーティング層は、好ましくは130℃以下のガラス転移温度Tgm(ISO 11357-2:2013-05に従った示差走査熱量測定(DSC)によって決定)を有する、1種以上のアニオン性セルロース、エチルセルロース、および/または少なくとも35重量%のアミロースを含む1種以上のデンプンを含んでよく、コーティング層は、好ましくは約1~5.8mg/cm2、より好ましくは2~5mg/cm2の量で存在する。
【0060】
単層であってよいか、または2つ以上の個別の層を含んでよいかもしくはこれらからなっていてよいコーティング層は、合計10~100重量%、20~95重量%、30~90重量%の1種以上のアニオン性セルロース、エチルセルロース、および/または少なくとも35重量%のアミロースを含む1種以上のデンプンを含んでよい。
【0061】
フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースのガラス転移温度Tgmは、約132~138℃である(HP-55タイプは、約133℃であり、HP-50タイプは、約137℃である)。
【0062】
酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)のガラス転移温度Tgmは、約120℃である(AquaSolve(商標)L HPMCASは、119℃であり、AquaSolve(商標)M HPMCASは、120℃であり、AquaSolve(商標)H HPMCASは、122℃である)。
【0063】
エチルセルロース
エチルセルロースは、繰り返しグルコース単位の水酸基の一部がエチルエーテル基に変換されたセルロースの誘導体である。エチルセルロースは、開示されているようなカプセルのための遅延放出コーティング材料として使用することができる。エチルセルロースのガラス転移温度Tgmは、約128~130℃の範囲であってよい(Hui Ling Lai et al. Int.J.Pharmaceuticals 386 (2010) 178-184)。
【0064】
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプン
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンは、コーンまたはトウモロコシ由来のデンプンとして市販されている。
【0065】
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンは、例えば欧州特許第1296658号明細書から知られている。高いアミロース含有量を有するこのタイプの化学加工(アセチル化)デンプンは、予備ゲル化プロセスによって得られる。これらのデンプンは、医薬品または栄養補助食品の分野での様々な用途に使用される固体配合物のためのカプセルおよびコーティングの製造について高い機械的耐性を示す。
【0066】
少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンのガラス転移温度Tgmは、約52~60℃の範囲であってよい(Peng Liu et al., J.Cereal Science (2010) 388-391)。
【0067】
アニオン性ビニルコポリマー
アニオン性ビニルコポリマーは、ポリ酢酸ビニルフタレートまたは酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー(好ましくは9:1の比)によって例示されるような、アクリル酸またはメタクリル酸以外の不飽和カルボン酸から選択することができる。
【0068】
カチオン性ポリマー-水分保護
記載されている方法は、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル、および改善された水分保護特性、例えば、保管中の減少した水分吸収を有するこれらの種のカプセルに基づく医薬品または栄養補助食品剤形を提供するのに特に有用である。この目的のために、カチオン性ポリマー、好ましくはカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーを有するコーティングが提示されている。
【0069】
コーティング層に含まれる適切なカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アルキル基に第3級または第4級アンモニウム基を有するアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステルとを含むモノマーから重合することができる。カチオン性水溶性(メタ)アクリレートコポリマーは、アルキルラジカルに第3級アミノ基を有するアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートから部分的または完全に重合することができる。これらの種類のポリマーを含むコーティングは、硬質シェルカプセルに水分保護を提供するという利点を有し得る。水分保護は、容易に充填および最終ロックされたカプセルの保管中の水分または水の吸収が減少していることと理解されるものとする。
【0070】
適切なカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、30~80重量%の、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、70~20重量%の、アルキルラジカルに第3級アミノ基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーとから重合することができる。
【0071】
好ましいカチオン性(メタ)アクリレートコポリマーは、20~30重量%のメチルメタクリレートと、20~30重量%のブチルメタクリレートと、60~40重量%のジメチルアミノエチルメタクリレートとから重合することができる(EUDRAGIT(登録商標)Eタイプポリマー)。
【0072】
第3級アミノ基を有する特に適切な市販の(メタ)アクリレートコポリマーは、25重量%のメチルメタクリレートと、25重量%のブチルメタクリレートと、50重量%のジメチルアミノエチルメタクリレートとから重合する(EUDRAGIT(登録商標)E 100またはEUDRAGIT(登録商標)E PO(粉末形態))。EUDRAGIT(登録商標)E 100およびEUDRAGIT(登録商標)E POは、pH値約5.0未満で水溶性であり、したがって、胃分泌液に可溶でもある。
【0073】
適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、85~98重量%の、アクリル酸またはメタクリル酸のフリーラジカル重合されたC1~C4アルキルエステルと、15~2重量%の、アルキルラジカルに第4級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーとから構成することができる。
【0074】
アクリル酸またはメタクリル酸の好ましいC1~C4アルキルエステルは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、およびメチルメタクリレートである。
【0075】
更なる適切なカチオン性(メタ)アクリレートポリマーは、2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドまたはトリメチルアンモニウムプロピルメタクリレートクロリドの重合モノマー単位を含有してよい。
【0076】
適切なコポリマーは、50~70重量%のメチルメタクリレートと、20~40重量%のエチルアクリレートと、7~2重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから重合することができる。
【0077】
特に適切なコポリマーは、65重量%のメチルメタクリレートと、30重量%のエチルアクリレートと、5重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから重合する(EUDRAGIT(登録商標)RS)。
【0078】
更なる適切な(メタ)アクリレートコポリマーは、85重量%~93重量%未満の、アクリル酸またはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、7重量%超~15重量%の、アルキルラジカルに第4級アミノ基を有する(メタ)アクリレートモノマーとから重合することができる。そのような(メタ)アクリレートモノマーは、市販されており、放出減速コーティングに長い間使用されてきた。
【0079】
特に適切なコポリマーは、60重量%のメチルメタクリレートと、30重量%のエチルアクリレートと、10重量%の2-トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリドとから重合する(EUDRAGIT(登録商標)RL)。
【0080】
中性ポリマー
中性ポリマーは、中性モノマーと、5重量%未満、好ましくは2重量%未満、または最も好ましくは0重量%の、イオン性基を有するモノマーとから重合されたポリマーとして定義される。
【0081】
硬質シェルカプセルのコーティングに適切な中性ポリマーは、メタクリレートコポリマー、好ましくは、EUDRAGIT(登録商標)NEもしくはEUDRAGIT(登録商標)NMのようなエチルアクリレートとメチルメタクリレートとのコポリマー、中性セルロース、例えば、セルロースのメチルエーテル、エチルエーテルもしくはプロピルエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、またはポリビニルアルコールである。
【0082】
中性メタクリレートコポリマーは、多くの場合、アニオン性(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物において有用である。
【0083】
中性メタクリレートコポリマーは、少なくとも95重量%超の程度、特に少なくとも98重量%の程度、好ましくは少なくとも99重量%の程度、特に少なくとも99重量%の程度、より好ましくは100重量%の程度の、中性ラジカル、特にC1~C4アルキルラジカルを有する(メタ)アクリレートモノマーから重合する。
【0084】
中性ラジカルを有する適切な(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートである。メチルメタクリレート、エチルアクリレート、およびメチルアクリレートが好ましい。
【0085】
アニオン性ラジカルを有するメタクリレートモノマー、例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸は、5重量%未満、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、または0.05~1重量%の少量で存在してよい。
【0086】
適切な例は、20~40重量%のエチルアクリレート、60~80重量%のメチルメタクリレート、および0重量%~5重量%未満、好ましくは、0~2重量%または0.05~1重量%のメタクリル酸またはアクリル酸から重合された中性または実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマーである。
【0087】
適切な例は、20~40重量%のメチルメタクリレート、60~80重量%のエチルアクリレート、および0重量%~5重量%未満、好ましくは、0~2重量%または0.05~1重量%のメタクリル酸またはアクリル酸から重合された中性または実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマーである。(EUDRAGIT(登録商標)NEまたはEUDRAGIT(登録商標)NMタイプ)。
【0088】
EUDRAGIT(登録商標)NEおよびEUDRAGIT(登録商標)NMは、28~32重量%のメチルメタクリレートと68~72重量%のエチルアクリレートとのフリーラジカル重合単位を含むコポリマーである。
【0089】
国際公開第01/68767号に従って15.2~17.3のHLB値を有する1~10重量%の非イオン性乳化剤を使用して分散液として調製した中性または本質的に中性のメチルアクリレートコポリマーが好ましい。後者のものは、乳化剤による結晶構造の形成による相分離がないという利点を呈する(EUDRAGIT(登録商標)NMタイプ)。
【0090】
しかしながら、欧州特許出願公開第1571164号明細書によると、0.05~1重量%の少ない割合のモノオレフィン性不飽和C3~C8カルボン酸を有する対応する実質的に中性の(メタ)アクリレートコポリマーは、比較的少量、例えば0.001~1重量%のアニオン性乳化剤の存在下での乳化重合によっても調製することができる。
【0091】
天然ポリマー
特に栄養補助食品剤形では、いわゆる「天然ポリマー」コーティングが多くの顧客に好まれている。天然ポリマーは、自然、植物、微生物、または動物からの供給源に基づいているが、さらに化学的に加工されている場合がある。コーティングのための天然ポリマーは、デンプン、アルギネート、またはアルギネートの塩、好ましくは、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、シェラック、ゼイン、カルボキシメチルゼイン、加工デンプン、例えばEUDRAGUARD(登録商標)Natural、マリンスポンジコラーゲン、キトサン、ジェランガムなどのポリマーから選択することができる。適切なポリマー混合物は、以下のものを含んでよい:
エチルセルロースおよびペクチン、加工デンプン(EUDRAGUARD(登録商標)Natural)およびアルギネートおよび/またはペクチン、シェラックおよびアルギネートおよび/またはペクチン、シェラックおよびイヌリン、ホエイタンパク質およびガム(グアーガムまたはトラガカントガムなど)、ゼイン、アルギン酸ナトリウムおよびキトサン。
【0092】
流動促進剤
流動促進剤は、通常、親油性の特性を有する。これらは、フィルム形成ポリマーのフィルム形成中のコアの凝集を防止する。
【0093】
少なくとも1種の流動促進剤は、好ましくは、例えばRXCIPIENTS(登録商標)GL100またはRXCIPIENTS(登録商標)GL200という商標名で市販されているシリカ、粉砕シリカ、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛のようなステアリン酸塩、フマル酸ステアリルナトリウム、デンプン、ステアリン酸、好ましくは、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびモノステアリン酸グリセロール、またはそれらの混合物、より好ましくは、モノステアリン酸グリセロールおよびタルクまたはそれらの混合物から選択される。
【0094】
本発明のコーティングにおける流動促進剤の使用についての標準的な割合は、少なくとも1種のポリマーの総重量に対して、0.5~100重量%、好ましくは3~75重量%、より好ましくは5~50重量%、最も好ましくは5~30重量%の範囲である。
【0095】
乳化剤
一般に、すべて公知の乳化剤が適切である。非イオン性乳化剤、特に10超のHLBを有する乳化剤が好ましい。HBL値は、Griffin, William C. (1954), “Calculation of HLB Values of Non-Ionic Surfactants” (PDF), Journal of the Society of Cosmetic Chemists, 5 (4):249-56に従って決定することができる。
【0096】
少なくとも1種の乳化剤は、好ましくは、ポリグリコシド、アルコール、糖および糖誘導体、ポリエーテル、アミン、ポリエチレン誘導体、硫酸アルキル(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、硫酸アルキルエーテル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ポリソルベート(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン)、ノニルフェノールエトキシレート(ノノキシノール-9)、およびそれらの混合物から選択される。
【0097】
少なくとも1種の乳化剤は、好ましくは、アルキルポリグリコシド、デシルグルコシド、デシルポリグルコース、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド、N-オクチルベータ-D-チオグルコピラノシド、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリオキシエチレンセトステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、オレイルアルコール、ジオレイン酸ポリグリセリル-6、クエン酸ステアリン酸グリセリル、カプリン酸ポリグリセリル-3、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、モノリノール酸グリセリル、炭酸ジカプリリル、アルコールポリグリコールエーテル、セテアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(n=20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール-6、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸ポリエチレングリコール-32、ステアリン酸ポリエチレングリコール-20、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、ラウリン酸ポリエチレングリコール-4、ポリエチレングリコールイソセチルエーテル(n=20)、ラウリン酸(C12)のポリエチレングリコール-32(Mw1500g/mol)モノエステルおよびジエステル、ノナエチレングリコール、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ポリエチレングリコールマクロセチルエーテル、パルミチン酸(C16)またはステアリン酸(C18)またはカプリル酸のポリエチレングリコールエステル、BRIJ S2のようなステアリルアルコール由来のポリオキシエチレン脂肪エーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンステアレート、マクロゴールステアリルエーテル(20)、ステアリン酸ジエチルアミノエチル、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸マンニド、モノオレイン酸オクタグリセロール、ジオレイン酸ソルビタン、ポリリシンオレエート、ポリソルベート20およびポリオキシエチレン(20)モノオレイン酸ソルビタン(ポリソルベート80)のようなポリソルベート、ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ヤシ脂肪酸スクロース、ヤシ脂肪酸グリセレス-2、ヤシ脂肪酸エチルヘキシル、ミリスチン酸ポリプロピレングリコール-3ベンジルエーテル、ミリスチン酸ナトリウム、チオリンゴ酸金ナトリウム、ラウリン酸ポリエチレングリコール-8、ジラウリン酸ポリエチレン-4、α-ヘキサデシル-ω-ヒドロキシポリ(オキシエチレン)からのもの、コカミドジエタノールアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)ドデカンアミド、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール、マルトシド、2,3-ジヒドロキシプロピルドデカノエート、3-[(3R,6R,9R,12R,15S,22S,25S,30aS)-6,9,15,22-テトラキス(2-アミノ-2-オキソエチル)-3-(4-ヒドロキシベンジル)-12-(ヒドロキシメチル)-18-(11-メチルトリデシル)-1,4,7,10,13,16,20,23,26-ノナオキソトリアコンタヒドロピロロ[1,2-g][1,4,7,10,13,16,19,22,25]ノナアザシクロオクタコシン-25-イル]プロペンアミド、2-{2-[2-(2-{2-[2-(2-{2-[2-(4-ノニルフェノキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エトキシ}エタノール、オキシポリエトキシドデカン、ポロキサマー188(Pluronic F-68)およびポロキサマー407のようなポロキサマー、モノカプリン酸プロピレングリコール、タイプI(Capryol PGMC)、ポリエトキシル化タローアミン、ポリグリセロール、ポリオキシル40水添ヒマシ油、サーファクチン、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール、カルボマー、ナトリウムカルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カラギーナン、コレステロール、デオキシコール酸、卵リン脂質のようなリン脂質、ジェランガム、ラノリン、カプリン酸、Polawax NF、Polawax A31またはCeral PWのようなワックス、エステルガム、デアセチルホスフェート、大豆レシチン、スフィンゴミエリン、リン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラノリン、オキシランモノブチルエーテルを有するオキシランメチルポリマー、1,2-ジエルコイルホスファチジルコリン、平均14モルのプロピレンオキシドで末端ブロックされたジメチコン、ラウリルメチコンコポリオール、ラウログリコール90、Amphocerine KSのような白色鉱油、イソヘキサデカン中のアクリルアミド/タウリン酸アクリロイルジメチルナトリウムコポリマーの分散液、ならびにポリアクリル酸ナトリウム、またはそれらの混合物から選択される。マクロゴールステアリルエーテル(20)およびポリソルベート80が好ましい。
【0098】
コーティング層
硬質シェルカプセルは、前述の成分とは異なる、少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の流動促進剤、少なくとも1種の乳化剤、および任意選択的に少なくとも1種の可塑剤、任意選択的に少なくとも1種の生物学的活性成分、および任意選択的に少なくとも1種の添加剤を含むコーティング層でコーティングされている。
【0099】
コーティング層は、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上の少なくとも1種のポリマーを含んでよい。コーティング層は、10~100重量%、10~90重量%、12~80重量%、15~80重量%、18~80重量%、20~80重量%、または40~80重量%の少なくとも1種のポリマーを含んでよい。
【0100】
コーティング層の量および厚さ
硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。コーティング層の量が、8mg/cm2未満、例えば、1~8mg/cm2、または1~7mg/cm2、または1~7mg/cm2、または1~6mg/cm2、または1~5mg/cm2、または1~4mg/cm2である場合、通常、変形なしで標準的なカプセル充填機を用いても問題は起こらない。4mg/cm2~最大約8mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約1~約8mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0101】
サイズ#0の硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。コーティング層の量が、5mg/cm2未満、例えば1~4mg/cm2である場合、通常、変形なしで標準的なカプセル充填機を用いても問題は起こらない。4mg/cm2~最大約8mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約1~約8mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0102】
サイズ#1の硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。コーティング層の量が、4mg/cm2未満、例えば1~3.5mg/cm2である場合、通常、変形なしで標準的なカプセル充填機を用いても問題は起こらない。3.5mg/cm2~最大約8mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約1~約8mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0103】
サイズ#3の硬質シェルカプセルの場合、コーティング層の量は、多過ぎるべきではない。適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、これによって、ポリマーコーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを後にカプセル充填機内で加工することが困難になる可能性がある。コーティング層の量が、3mg/cm2未満、例えば1~2.5mg/cm2である場合、通常、変形なしで標準的なカプセル充填機を用いても問題は起こらない。2.5mg/cm2~最大約6mg/cm2の範囲では、カプセル充填機をなおも使用することができるが、本体およびキャップの形状を若干より幅広に調整するべきである。そのような調整は、機械技師であれば容易に実施することができる。したがって、カプセル充填機は、約1~約6mg/cm2のコーティング層の量の範囲内で有利に使用することができる。
【0104】
8mg/cm2超かつ最大約20mg/cm2では、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの慎重な開放、充填、および予備ロック状態への閉鎖は、ポリマーコーティングに損傷を引き起こすことなくなおも可能であり得る。コーティング層が、コーティングされていない本体とキャップとの間のギャップよりも厚い場合、キャップが本体の上方で最終ロック状態にスライドすることがもはやほとんどできないため、コーティングされた予備ロックされたカプセルは、適用されたコーティングを損傷させることなしには閉鎖することができない。損傷を引き起こすことなく、コーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを最終ロック状態に手動で閉鎖するための上限は、最大約20mg/cm2の量のコーティング層であり得る。20mg/cm2超では、カプセルを非常に正確かつ慎重に手動で閉鎖しても、損傷を引き起こすことなしにはもはや不可能であり得る。
【0105】
適用されるコーティング層の量が多過ぎる場合、本体とキャップとの間のギャップが予備ロック状態にあるキャップのリムにおいてあまりに多くのコーティング層の集合体も存在することになる。これによって、コーティングされた予備ロックされた硬質シェルカプセルを手動でまたは機械内で開放する場合、乾燥後にコーティング層のひびが生じる可能性がある。ひびによって、後にカプセルの漏出が生じる可能性がある。最終的に、コーティングが厚過ぎると、コーティング層が本体とキャップとの間の重なり領域におけるギャップよりも厚いため、開放されたコーティングされた硬質シェルカプセルを最終ロック状態に閉鎖することが困難または不可能になる可能性がある。
【0106】
概略的な規則として、硬質シェルカプセル上のコーティング層は、0.7~20mg/cm2、1.0~18mg/cm2、2~10mg/cm2、4~8mg/cm2、1.0~8mg/cm2、1.5~5.5mg/cm2、1.5~4mg/cm2の量(=総重量増加)で適用することができる。
【0107】
概略的な規則として、硬質シェルカプセル上のコーティング層は、約5~100μm、10~50μm、15~75μmの平均厚さを有してよい。
【0108】
概略的な規則として、硬質シェルカプセル上のコーティング層は、予備ロックされたカプセルの重量に対して、5~50%、好ましくは8~40%の乾燥重量の量で適用することができる。
【0109】
この指針によって、当業者であれば、コーティング層の量を過少~過多の間の範囲で調整することができるであろう。
【0110】
生物学的活性成分
生物学的活性成分は、好ましくは、医薬品活性成分および/または栄養補助食品活性成分および/または化粧品活性成分である。特定の生物学的活性成分がそれぞれのコーティング層に含有される可能性があるが、生物学的活性成分が充填物に含有されることが好ましい。特に、生物学的活性成分が、リポソーム、脂質ナノ粒子、または核酸である場合、生物学的活性成分は、充填物のみに含有される。
【0111】
医薬品または栄養補助食品活性成分
本発明は、好ましくは、医薬品または栄養補助食品活性成分の充填物を有する、即時放出性、遅延放出性、または持続放出性の配合された医薬品または栄養補助食品剤形に有用である。
【0112】
記載されているポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルのための充填物としてその構成要素を使用することができる医薬品活性成分の適切な治療的および化学的なクラスは、例えば、鎮痛薬、抗生物質または抗感染症薬、抗体、抗てんかん薬、植物からの抗原、抗リウマチ薬、ベンズイミダゾール誘導体、ベータ遮断薬、心臓血管薬、化学療法薬、中枢神経系薬、ジギタリス配糖体、胃腸薬、例えば、プロトンポンプ阻害剤、酵素、ホルモン、液体または固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ホルモン、タンパク質、治療用細菌、ペプチド、タンパク質(金属)塩、すなわち、アスパルテート、塩化物、泌尿器科薬、脂質ナノ粒子、リポソーム、ポリマーナノ粒子、ワクチンである。
【0113】
好ましい実施形態では、医薬的活性成分は、核酸であり、より好ましくは、核酸剤は、DNA、RNA、またはそれらの組み合わせであってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリヌクレオチドであってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、オリゴヌクレオチドおよび/または修飾オリゴヌクレオチド(リン酸化による修飾を含むが、これらに限定されることはない);アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/または修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド(リン酸化による修飾を含むが、これらに限定されることはない)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、cDNAおよび/またはゲノムDNAを含んでよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、非ヒトDNAおよび/またはRNA(例えば、ウイルス、細菌、または真菌の核酸配列)を含んでよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、プラスミド、コスミド、遺伝子断片、人工および/もしくは天然染色体(例えば、酵母人工染色体)、ならびに/またはその一部であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、機能性RNA(例えば、mRNA、tRNA、rRNA、および/またはリボザイム)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、RNAi誘導物質、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、および/またはマイクロRNA(miRNA)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、ペプチド核酸(PNA)であってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、修飾されていても修飾されていなくてもよい核酸の合成類似体を含むポリヌクレオチドであってよい。幾つかの実施形態では、核酸剤は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、スーパーコイルDNAおよび/もしくは三重らせんDNA;Z-DNA;ならびに/またはそれらの組み合わせを含むDNAの様々な構造形態を含んでよい。更なる適切な核酸は、例えば、参照により組み込まれる国際公開第2012103035号に開示されている。
【0114】
記載されているポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルのための充填物として使用することができる薬物の更なる例は、例えば、アカンプロセート、アエスシン、アミラーゼ、アセチルサリチル酸、アドレナリン、5-アミノサリチル酸、オーレオマイシン、バシトラシン、バルサラジン、ベータカロテン、ビカルタミド、ビサコジル、ブロメライン、ブロメライン、ブデソニド、カルシトニン、カルバマシピン、カルボプラチン、セファロスポリン、セトロレリックス、クラリスロマイシン、クロロマイセチン、シメチジン、シサプリド、クラドリビン、クロラゼペート、クロマリン、1-デアミノシステイン-8-D-アルギニン-バソプレシン、デラムシクラン、デチレリックス、デクスランソプラゾール、ジクロフェナク、ジダノシン、ジギトキシンおよび他のジギタリス配糖体、ジヒドロストレプトマイシン、ジメチコン、ジバルプロエクス、ドロスピレノン、デュロキセチン、酵素、エリスロマイシン、エソメプラゾール、エストロゲン、エトポシド、ファモチジン、フッ化物、ニンニク油、グルカゴン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、ヒト成長ホルモン(hGH)、イブプロフェン、イラプラゾール、インスリン、インターフェロン、インターロイキン、イントロンA、ケトプロフェン、ランソプラゾール、ロイプロリダセタットリパーゼ(leuprolidacetat lipase)、リポ酸、リチウム、キニン、メマンチン、メサラジン、メテナミン、ミラメリン、ミネラル、ミノプラゾール、ナプロキセン、ナタマイシン、ニトロフランチオン、ノボビオシン、オルサラジン、オメプラゾール、オロテート、パンクレアチン、パントプラゾール、副甲状腺ホルモン、パロキセチン、ペニシリン、ペルプラゾール、ピンドロール、ポリミキシン、カリウム、プラバスタチン、プレドニゾン、プレグルメタシンプロガバイド、プロソマトスタチン、プロテアーゼ、キナプリル、ラベプラゾール、ラニチジン、ラノラジン、レボキセチン、ルトシド、ソマトスタチンストレプトマイシン、サブチリン、スルファサラジン、スルファニルアミド、タムスロシン、テナトプラゾール、トリプシン、バルプロ酸、バソプレシン、ビタミン、亜鉛であり、それらの塩、誘導体、多形体、同形体、またはそれらの任意の種類の混合物もしくは組み合わせを含む。
【0115】
医薬品および栄養補助食品活性成分、賦形剤および組成物、または医薬品もしくは栄養補助食品剤形という用語に広範な重複があることは当業者には明らかである。機能性食品栄養補助食品として列挙されている多くの物質は、医薬品活性成分として使用することもできる。特定の用途、ならびに地方自治体の法律および分類に応じて、同じ物質が、医薬品もしくは栄養補助食品活性成分、または医薬品もしくは栄養補助食品組成物、またはさらにはその両方として列挙されている場合がある。
【0116】
栄養補助食品は、当業者には周知である。栄養補助食品は、多くの場合、ヒトの健康に医療効果があると主張される食品の抽出物として定義される。したがって、栄養補助食品活性成分は、同様に医薬的活性も示す可能性がある:栄養補助食品活性成分の例は、抗酸化物質としてのブドウ製品からのレスベラトロール、高コレステロール血症を軽減するためのオオバコ種子殻などの可溶性食物繊維製品、がんの予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)であってよい。したがって、栄養補助食品として列挙されている多くの物質を医薬品活性成分として使用することもできることが明らかである。
【0117】
記載されているポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルのための充填物として使用することができる典型的な栄養補助食品または栄養補助食品活性成分は、プロバイオティクスおよびプレバイオティクスを含んでいてもよい。プロバイオティクスは、消費されるとヒトまたは動物の健康を補助すると考えられている生きた微生物である。プレバイオティクスは、ヒトまたは動物の腸内で有益な微生物の増殖または活性を誘導または促進する栄養補助食品または栄養補助食品活性成分である。
【0118】
栄養補助食品の例は、ブドウ製品からのレスベラトロール、抗酸化物質としてのブルーベリーからのオメガ-3-脂肪酸またはプロアントシアニン、高コレステロール血症を軽減するためのオオバコ種子殻などの可溶性食物繊維製品、がん予防剤としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)である。他の栄養補助食品の例は、フラボノイド、抗酸化物質、亜麻仁からのアルファリノール酸、マリーゴールドの花弁からのベータカロテン、またはベリーからのアントシアニンである。ニュートラシューティカルズまたはニュートリシューティカルズという表現は、栄養補助食品の同義語として使用されることがある。
【0119】
好ましい生物学的活性成分は、メトプロロール、メサラミン、およびオメプラゾールである。
【0120】
添加剤
本発明による添加剤は、好ましくは賦形剤であり、これらは、当業者には周知であり、多くの場合、コーティングされた硬質シェルカプセルに含有される生物学的活性成分とともに、かつ/または本明細書で開示および特許請求されているような硬質シェルカプセルのポリマーコーティングとともに配合される。使用されるすべての賦形剤は、毒物学的に安全である必要があり、患者または消費者にリスクを与えることなく医薬品または栄養補助食品に使用される必要がある。
【0121】
剤形は、抗酸化物質、光沢剤、結合剤、着香剤、流動助剤、芳香剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、細孔形成剤もしくは安定剤、またはそれらの組み合わせの群から選択される賦形剤、好ましくは医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤を含んでよい。医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤は、開示されているようなポリマーを含むコアおよび/またはコーティング層に含まれてよい。医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤は、医薬品または栄養補助食品の分野での用途に使用することが可能な賦形剤である。
【0122】
コーティング層は、最大90重量%、最大80重量%、最大70重量%、最大50重量%、最大60重量%、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、最大10重量%、最大5重量%、最大3重量%、最大1重量%の添加剤、または医薬品もしくは栄養補助食品に許容可能な賦形剤を含んでよいか、またはこれらを全く含んでいなくてよい(0%)。
【0123】
可塑剤
硬質シェルカプセルのポリマーコーティングは、1種以上の可塑剤を含んでよい。可塑剤は、添加される量に応じて、ポリマーとの物理的相互作用を通じてガラス転移温度を低下させ、フィルム形成を促進する。適切な物質は、通常、100~20,000g/molの間の分子量を有し、分子内に1個以上の親水性基、例えば、ヒドロキシル、エステル、またはアミノ基を含む。
【0124】
適切な可塑剤の例は、クエン酸アルキル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールである。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル(DBS)、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコール、またはそれらの混合物である。
【0125】
配合物への可塑剤の添加は、公知の手法で、直接的に、水溶液中で、または混合物の熱前処理後に行うことができる。可塑剤の混合物を用いることも可能である。硬質シェルカプセルのポリマーコーティングは、1種以上の可塑剤を、少なくとも1種のポリマーに基づいて計算して、好ましくは最大60重量%、最大30重量%、最大25重量%、最大20重量%、最大15重量%、最大10重量%、最大5重量%、5重量%未満含んでよいか、または可塑剤は全く含まれていなくてよい(0%)。
【0126】
充填剤
標準的な充填剤は、通常、コーティングおよび結合剤への加工中に本発明の配合物に添加される。医薬コーティングの中または層の上方における標準的な充填剤の導入される量および使用は、当業者にはよく知られている。標準的な充填剤の例は、離型剤、顔料、安定剤、抗酸化物質、細孔形成剤、浸透促進剤、光沢剤、芳香剤、または着香剤である。これらは、加工補助剤として使用され、信頼性および再現性のある調製プロセスおよび良好な長期保存安定性を確実にすることを意図しているか、またはこれらは、医薬品形態で追加的な有利な特性を達成する。これらは、加工前にポリマー配合物に添加され、コーティングの浸透性に影響を与える可能性がある。この特性は、必要に応じて、追加的な制御パラメータとして使用することができる。
【0127】
顔料
顔料は、可溶性形態で添加されることはほとんどない。一般に、酸化アルミニウム顔料または酸化鉄顔料などの顔料は、分散形態で使用される。二酸化チタンは、白色化顔料として使用される。顔料の使用についての標準的な割合は、コーティング層中の少なくとも1種のポリマーの総重量に対して、10~200重量%、20~200重量%である。少なくとも1種のポリマーの総重量に基づいて最大200重量%の割合を容易に加工することができる。
【0128】
特に有利な実施形態では、顔料は、追加的な外層、いわゆるトップコートとして濃縮形態で直接的に使用される。適用は、粉末の形態で、または5~35%(w/w)固体含有量を有する水性懸濁液からの噴霧によって行われる。必要な濃度は、ポリマー層への組み込みの場合よりも低く、医薬品形態の重量に対して、0.1~2重量%に相当する。
【0129】
任意選択的なトップコートおよびサブコート
任意選択的に、硬質シェルカプセルをサブコートまたはトップコートまたはその両方でさらにコーティングすることができる。
【0130】
サブコートは、カプセルとコーティング層との間に位置することができ、開示されているような少なくとも1種のポリマーを含む。サブコートは、活性成分放出特性には本質的に影響を与えないが、例えば、ポリマーコーティング層の接着を改善することができる。サブコートは、好ましくは本質的に水溶性であり、例えば、これは、フィルム形成剤としてのHPMCのような物質からなってよい。サブコート層の平均厚さは、通常、非常に薄く、例えば、15μm以下、好ましくは10μm以下(0.1~1.0mg/cm2)である。サブコートまたはトップコートは、予備ロック状態の硬質シェルカプセル上に必ずしも適用される必要はない。
【0131】
トップコートは、コーティング層上に位置することができ、開示されているような少なくとも1種のポリマーを含む。トップコートも、好ましくは水溶性または本質的に水溶性である。トップコートは、医薬品または栄養補助食品の形態を着色する機能、または保管中に水分などの環境的な影響から保護する機能を有してよい。トップコートは、バインダー、例えば、多糖もしくはHPMCのような水溶性ポリマー、またはサッカロースのような糖化合物から構成されていてよい。トップコートはさらに、顔料、可塑剤、乳化剤、または流動促進剤のような医薬品または栄養補助食品に許容可能な賦形剤を大量に含有することができる。トップコートは、剥離特性には本質的に影響を与えない。トップコートは、本明細書に記載されているような最終ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを含む医薬品または栄養補助食品剤形の上部に適用することができる。トップコート層の平均厚さは、通常、非常に薄く、例えば、15μm以下、好ましくは10μm以下(0.1~1.0mg/cm2)である。
【0132】
コーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法
生物学的活性成分のための容器として適した、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、本発明によるコーティング溶液、懸濁液または分散液で噴霧コーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの外側表面を覆うコーティング層を生成する、方法が記載されている。
【0133】
更なるプロセスステップでは、予備ロックされた硬質シェルカプセルは、少なくとも1種の生物学的活性成分を含む充填物が供給されてよく、最終ロック状態に閉鎖される。
【0134】
そのような更なるプロセスステップでは、予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放し、生物学的活性成分を含む充填物で充填することができ、最終ロック状態で閉鎖する。この更なるプロセスステップは、好ましくは、予備ロック状態のコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放、少なくとも1種の生物学的活性成分を含む充填物の充填、およびポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの最終ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給することで実施される。
【0135】
この更なるプロセスステップによって、少なくとも1種の生物学的活性成分のための容器である、最終ロックされたポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルが得られる。少なくとも1種の生物学的活性成分のための容器である、最終ロックされたポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは、医薬品または栄養補助食品剤形である。
【0136】
剤形は、好ましくは、少なくとも1種の生物学的活性成分を含む充填物を含有する最終ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを含み、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは、本発明によるコーティング層を含み、コーティング層は、予備ロック状態のカプセルの外側表面領域を覆うが、キャップが予備ロック状態で本体を覆う重なり領域は覆わない。
【0137】
少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の流動促進剤、および少なくとも1種の乳化剤を含むコーティング懸濁液は、有機溶媒、例えば、アセトン、イソプロパノール、またはエタノールを含有してよい。有機溶媒中の乾燥重量材料の濃度は、ポリマーの約5~50重量%であってよい。適切な噴霧濃度は、乾燥重量で約5~25%であってよい。
【0138】
コーティング懸濁液は、水性媒体中、例えば、水中、または80重量%以上の水とアセトンまたはイソプロパノールなどの20重量%以下の水溶性溶媒との混合物中の少なくとも1種のポリマー、少なくとも1種の流動促進剤、および少なくとも1種の乳化剤の分散液であってよい。水性媒体中の乾燥重量材料の適切な濃度は、約5~50重量%であってよい。適切な噴霧濃度は、乾燥重量で約5~25%であってよい。
【0139】
噴霧コーティングは、好ましくは、ドラムコーターまたは流動床コーティング設備内で、予備ロックされたカプセル上にコーティング溶液または分散液を噴霧することによって実施される。
【0140】
コーティング溶液、懸濁液または分散液の表面張力は、好ましくは、例1に記載されているような測定に従って決定する。
【0141】
別の好ましい実施形態では、コーティング溶液、懸濁液または分散液は、5~38mN/m、または5~36mN/m、または5~33mN/mの範囲の表面張力を有し、より好ましくは、コーティング溶液、懸濁液または分散液は、20~36mN/m、または20~38mN/m、または20~33mN/mの範囲の表面張力を有し、最も好ましくは、コーティング溶液、懸濁液または分散液は、25~33mN/m、または25~38mN/m、または25~36mN/mの範囲の表面張力を有し、各場合で、DIN EN 14370:2004に従って測定する。
【0142】
剤形のための充填物を調製するための方法
医薬品または栄養補助食品剤形のための充填物を調製するための適切な方法は、当業者に周知である。本明細書に開示されているような医薬品または栄養補助食品剤形のための充填物を調製するための適切な方法は、直接圧縮である乾燥顆粒、湿潤顆粒もしくは焼結顆粒の圧縮によって、押出およびその後の丸めによって、湿式もしくは乾式造粒によって、直接ペレット化によって、または活性成分不含ビーズもしくは中性コアもしくは活性成分含有粒子もしくはペレット上に粉末を結合することによってペレットの形態の生物学的活性成分を含むコアを形成し、任意選択的に、噴霧プロセスでまたは流動床噴霧造粒によって水性分散液または有機溶液の形態でコーティング層を塗布することによるものであり得る。
【0143】
カプセル充填機
ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルは、本体およびキャップを分離し、本体を充填物で充填し、本体およびキャップを最終ロック状態で再接続するステップを実施するカプセル充填機に予備ロックされた状態で提供される。
【0144】
使用されるカプセル充填機は、1時間あたり1000個以上の充填および最終閉鎖されたカプセルの生産量の速度で充填および閉鎖されたカプセルを製造することができるカプセル充填機、好ましくは全自動カプセル充填機であってよい。カプセル充填機、好ましくは全自動カプセル充填機は、当技術分野で周知であり、幾つかの会社から市販されている。実施例で使用されるような適切なカプセル充填機は、例えば、ACG、モデルAFT Labであってよい。
【0145】
使用されるカプセル充填機は、好ましくは、1時間あたり、1,000個以上、好ましくは10,000個以上、100,000個以上、10,000個~最大500,000個の充填および最終閉鎖されたカプセルの生産量の速度で操作することができる。
【0146】
カプセル充填機の一般的な操作
カプセル充填プロセスの前に、カプセル充填機に、十分な数または量の予備コーティングされた硬質シェルカプセルが予備ロック状態で供給される。カプセル充填機には、操作中に充填すべき十分な量の充填物も供給される。
【0147】
予備ロック状態の硬質シェルカプセルは、重力によって給送チューブまたはシュートに落下することができる。キャップと本体との間の直径差を機械的に測定することによって、カプセルを均一に整列させることができる。次いで、硬質シェルカプセルは、通常、適切な方位で、2つの区画からなるハウジングまたはブッシングに給送される。
【0148】
上側ブッシングまたはハウジングの直径は、通常、カプセル本体のブッシングの直径よりも大きく、したがって、カプセルのキャップは、本体が真空によって下側ブッシング内に引き込まれる一方で、上部ブッシング内に保持することができる。カプセルが開放されると/本体およびキャップが分離されると、上側および下側のハウジングまたはブッシングは、カプセル本体を充填のために位置決めするように分離される。
【0149】
次いで、開放されたカプセル本体は、充填物で充填される。顆粒、粉末、ペレット、または小型錠剤などの異なる充填物に対して、様々なタイプの充填機構を適用することができる。カプセル充填機は、一般に、様々な投薬成分および様々な数の充填ステーションを取り扱うために、様々な機構を用いる。投与システムは、通常、カプセルのサイズおよびカプセル本体の容量によって左右される充填物の体積または量に基づく。空カプセルのメーカーは、通常、充填材料の密度に基づいて、メーカーのカプセル本体の体積容量と、異なるカプセルサイズについての最大充填重量とを示す参照表を提供している。充填後に、本体およびキャップは、最終ロック状態または位置で機械によって再接続される。
【0150】
使用/使用方法/方法ステップ
本明細書に記載されているような適切なポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法は、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分のための容器として適した、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための、本体およびキャップを含む硬質シェルカプセルの使用方法であって、閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
a)硬質シェルカプセルを予備ロック状態で提供するステップと、
b)ポリマーまたはポリマーの混合物を含むコーティング溶液、懸濁液または分散液を噴霧コーティングして、予備ロック状態の硬質シェルカプセルの外側表面を覆うコーティング層を生成するステップと
を含む、使用方法として理解することができる。
【0151】
噴霧コーティングは、好ましくは、ドラムコーター設備または流動床コーティング設備を使用することによって適用することができる。噴霧コーティングプロセス中の適切な生成物温度は、約15~40℃、好ましくは約20~35℃の範囲であってよい。適切な噴霧速度は、約0.3~17.0、好ましくは0.5~14[g/分/kg]の範囲であってよい。噴霧コーティング後に、乾燥ステップが含まれる。
【0152】
予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、ステップc)で開放し、ステップd)で医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物で充填し、次いで、ステップe)で閉鎖して、最終ロック状態にすることができる。
【0153】
ステップc)~e)は、手動で実施することができるか、または好ましくは、カプセル充填機などの適切な設備によって補助することができる。好ましくは、予備ロック状態のコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放ステップc)、ステップd)における医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物の充填、およびステップe)における最終ロック状態へのカプセルの閉鎖を実施するカプセル充填機に供給する。
【0154】
本明細書に開示されているようなすべてのそれらの一般的なまたは特定の特徴および実施形態の選択は、ポリマー、カプセル材料、カプセルサイズ、コーティング厚さ、生物学的活性成分、および開示されているようなその他の実施形態などの、本明細書に開示されているような材料または数値的特徴および実施形態のその他の一般的なまたは特定の選択と制限なく組み合わせることができる。
【0155】
医薬品または栄養補助食品剤形
医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物を含有する最終ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを含む医薬品または栄養補助食品剤形であって、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルが、ポリマーまたはポリマーの混合物を含むコーティング層を含み、コーティング層が、予備ロック状態のカプセルの外側表面領域を覆う、医薬品または栄養補助食品剤形が開示されている。予備ロック状態のカプセルの外側表面領域は、最終ロック状態のカプセルの外側表面領域よりも大きいため、ポリマーコーティング層の一部は、硬質シェルカプセルの本体とキャップとの間に隠れているか、または囲まれており、それによって、効率的な密封が実現される。
【0156】
項目
特に、本発明は、以下のものに関する:
1.医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分のための容器として適した、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを調製するための方法であって、
硬質シェルカプセルが、本体およびキャップを含み、
閉鎖状態では、キャップが、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで本体に重なっており、
硬質シェルカプセルを、予備ロック状態で提供し、
a)少なくとも1種のポリマー、好ましくは、少なくとも1種の(メタ)アクリレートコポリマー、アニオン性セルロース、エチルセルロース、または少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプン;
b)少なくとも1種の流動促進剤;
c)少なくとも1種の乳化剤;
d)任意選択的に少なくとも1種の可塑剤;
e)任意選択的に、少なくとも1種の生物学的活性成分、好ましくは、少なくとも1種の医薬品、栄養補助食品;または少なくとも1種の化粧品成分;および
f)任意選択的にa)~e)とは異なる少なくとも1種の添加剤;
を含むかまたはこれらからなるコーティング溶液、懸濁液または分散液でコーティング、好ましくは噴霧コーティングして、コーティングされた、好ましくは外側表面においてのみコーティングされた予備ロック状態の硬質シェルカプセルを得て、
コーティング溶液、懸濁液または分散液が、最大38mN/m、好ましくは最大36mN/m、より好ましくは最大33mN/mの表面張力を有する、
方法。
【0157】
2.本体およびキャップのベース材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、ゼラチン、プルラン、および(メタ)アクリル酸のC1~C4アルキルエステルと(メタ)アクリル酸とのコポリマーから選択され、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項目1記載の方法。
【0158】
3.少なくとも1種のポリマーが、少なくとも1種の(メタ)アクリレートコポリマーから選択され、好ましくは125℃以下のガラス転移温度Tgmを有する、項目1または2記載の方法。
【0159】
4.少なくとも1種のポリマーが、
i)65~75重量%のエチルアクリレートおよび25~35重量%のメチルメタクリレートの重合単位を含む70~80重量%のコアと、45~55重量%のエチルアクリレートおよび45~55重量%のメタクリル酸の重合単位を含む20~30重量%のシェルとを有する、二段階乳化重合プロセスによって得られるコポリマーであるコアシェルポリマー;または
ii)25~95重量%の、アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C12アルキルエステルと、アニオン性基を有する75~5重量%の(メタ)アクリレートモノマーとを重合することによって得られるアニオン性ポリマー;または
iii)アクリル酸もしくはメタクリル酸のC1~C4アルキルエステルと、アルキル基に第3級もしくは第4級アンモニウム基を有するアクリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステルとを重合することによって得られるカチオン性(メタ)アクリレートコポリマー;または
iv)メタクリル酸とエチルアクリレートとを重合するか、メタクリル酸とメチルメタクリレートとを重合するか、エチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合するか、もしくはメタクリル酸とメチルアクリレートとメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
v)40~60重量%のメタクリル酸と60~40重量%のエチルアクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vi)60~80重量%のエチルアクリレートと40~20重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;または
vii)5~15重量%のメタクリル酸と60~70重量%のメチルアクリレートと20~30重量%のメチルメタクリレートとを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマー;またはそれらの混合物
である、項目1または2記載の方法。
【0160】
5.少なくとも1種のポリマーが、
i)10:1~1:10の重量比での、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、60~80重量%のエチルアクリレートおよび40~20重量%のメチルメタクリレートを重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物;または
ii)1:1~5:1の重量比での、5~15重量%のメタクリル酸、60~70重量%のメチルアクリレートおよび20~30重量%のメチルメタクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーと、40~60重量%のメタクリル酸および60~40重量%のエチルアクリレートを共重合することによって得られる(メタ)アクリレートコポリマーとの混合物
である、項目1または2記載の方法。
【0161】
6.前記少なくとも1種のポリマーが、少なくとも1種のアニオン性セルロース、エチルセルロース、または少なくとも35重量%のアミロースを含むデンプンから選択される、項目1または2記載の方法。
【0162】
7.少なくとも1種のポリマーが、デンプン、アルギネート、またはアルギネートの塩、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、シェラック、ゼイン、カルボキシメチルゼイン、加工デンプン、マリンスポンジコラーゲン、キトサン、ジェランガム、エチルセルロースおよびペクチン、加工デンプンおよびアルギネートおよび/またはペクチン、シェラックおよびアルギネートおよび/またはペクチン、シェラックおよびイヌリン、ホエイタンパク質およびガム、ゼイン、アルギン酸ナトリウムおよびキトサン、またはそれらの混合物から選択される、項目1または2記載の方法。
【0163】
8.少なくとも1種の流動促進剤が、
i)少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて3~75重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)シリカ、粉砕シリカ、ヒュームドシリカ、カオリンケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸塩、フマル酸ステアリルナトリウム、デンプン、ステアリン酸、またはそれらの混合物、好ましくは、タルク、ステアリン酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびモノステアリン酸グリセロール、またはそれらの混合物、より好ましくは、モノステアリン酸グリセロール、およびタルクから選択される、
項目1から7までのいずれか1つ記載の方法。
【0164】
9.少なくとも1種の乳化剤が、
i)少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて1.5~40重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)非イオン性乳化剤、好ましくは、10超のHLBを有する非イオン性乳化剤である、
項目1から8までのいずれか1つ記載の方法。
【0165】
10.少なくとも1種の可塑剤が、
i)少なくとも1種のポリマーa)の総重量に基づいて2~40重量%の量で存在しており、かつ/または
ii)クエン酸アルキル、フタル酸アルキル、セバシン酸アルキル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはそれらの混合物、好ましくは、セバシン酸ジエチル、クエン酸トリエチル(TEC)、クエン酸アセチルトリエチル(ATEC)、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル(DBS)、ポリエチレングリコール、もしくはそれらの混合物から選択される、
項目1から9までのいずれか1つ記載の方法。
【0166】
11.少なくとも1種のポリマーa)の総重量に対して最大400重量%、好ましくは最大200重量%、より好ましくは、最大100重量%、または最大50重量%、または最大30重量%、または最大15重量%、または最大5重量%、または最大3重量%、または最大1重量%の少なくとも1種の添加剤が含まれており、好ましくは、抗酸化物質、光沢剤、着香剤、流動助剤、芳香剤、浸透促進剤、顔料、a)とは異なるポリマー、細孔形成剤もしくは安定剤、またはそれらの組み合わせから選択される、項目1から10までのいずれか1つ記載の方法。
【0167】
12.本体およびキャップが、キャップが本体と重なる領域に、予備ロック状態または最終ロック状態のいずれかで所定位置へのスナップイン機構によってカプセルを閉鎖することを可能にする周囲ノッチまたはディンプルを含む、項目1から11までのいずれか1つ記載の方法。
【0168】
13.本体がテーパー状リムを含む、項目1から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0169】
14.コーティング層を、約0.7~20mg/cm2、好ましくは2~10mg/cm2、4~8mg/cm2、1.0~8mg/cm2、1.5~5.5mg/cm2、または1.5~4mg/cm2の量で適用する、項目1から13までのいずれか1つ記載の方法。
【0170】
15.予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放し、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物で充填し、最終ロック状態に閉鎖する、項目1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0171】
16.予備ロック状態のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルを、開放、医薬品または栄養補助食品生物学的活性成分を含む充填物の充填、および最終ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給する、項目1から15までのいずれか1つ記載の方法。
【0172】
17.項目1から16までのいずれか1つ記載の方法から得られる、ポリマーコーティングされた硬質シェルカプセル。
【0173】
18.即時放出、遅延放出、または持続放出、好ましくは遅延放出、より好ましくは腸送達のための即時放出、遅延放出、または持続放出のための、項目17記載のポリマーコーティングされた硬質シェルカプセルの使用。
【実施例】
【0174】
組成物の調製
例1:コーティング懸濁液の表面張力の測定
例1では、表面張力を幾つかのコーティング懸濁液について測定する。これは、それぞれの表(表1~3)で、コーティング懸濁液が本発明によるものである場合は「本発明」で、コーティング懸濁液が本発明によるものではない場合は「比較」で示される。
【0175】
試験方法の原理(DIN EN 14370:2004に従う)
単位表面積あたりの自由表面エンタルピーを表面張力と呼ぶ。これは、mN/mで示される。これらの方法は、液体の表面に接触しているプレートに、これを表面から分離するために垂直に加える必要のある最大の力を測定することに基づいている。この方法は、それらの純度の程度に関係なく、ほとんどの物質の水溶液に適用可能である。
【0176】
プレートは、金属ピンおよびワイヤ取付ブラケットから垂直に吊り下げられており、力測定システムへの接続を確立する。試験溶液を保持する測定容器は、温度管理されたガラス容器である。これは、測定中、試験溶液およびその表面の上方の気相の温度が一定のままであり、サンプルが蒸発しないように設計されている。
【0177】
装置:
張力計:Kruess Processor Tensiometer K12(Kruess)
パラメータ:
温度:30℃
加熱時間:15分
【0178】
【0179】
【0180】
【0181】
例2:(比較)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および400,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0182】
機能性コーティング:
EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55を、30重量%の水性ポリマー分散液として提供し、計算された水量で希釈した。クエン酸トリエチルを添加しながら、分散液を穏やかに撹拌した。10分後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30Dを連続撹拌下でゆっくりと添加した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0183】
【0184】
トップコーティング
METHOCEL(商標)を、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0185】
【0186】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 400でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表6に列挙する。
【0187】
【0188】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0189】
結果:
機能性コーティングの終了時に22.7%、トップコーティングプロセスの終了時に17.3~26.3%(n=5)のバッチがブリッジングを示した。
【0190】
例3:(比較)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および200,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0191】
機能性コーティング:
EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55を、30重量%の水性ポリマー分散液として提供し、計算された水量で希釈した。クエン酸トリエチルを添加しながら、分散液を穏やかに撹拌した。10分後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30Dを連続撹拌下でゆっくりと添加した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0192】
【0193】
トップコーティング
METHOCEL(商標)E3製品は、膨張およびその後の水和によって冷水に溶解する炭水化物ポリマーである。METHOCEL(商標)E3を、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0194】
【0195】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 200でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表9に列挙する。
【0196】
【0197】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0198】
結果:
機能性コーティングおよびトップコーティングプロセスの適用後に、50%超(n=5)のバッチがブリッジングを示した。
【0199】
例4:(比較)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および30,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0200】
機能性コーティング
EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55を、30重量%の水性ポリマー分散液として提供し、計算された水量で希釈した。クエン酸トリエチルを添加しながら、分散液を穏やかに撹拌した。10分後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30Dを連続撹拌下でゆっくりと添加した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0201】
【0202】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムGlatt GMPC 2でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表11に列挙する。
【0203】
【0204】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0205】
結果:
この例の結果、100個中15個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0206】
例5:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および40,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0207】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0208】
【0209】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0210】
【0211】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 40でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表に列挙する。
【0212】
設備パラメータを機能性コーティングおよびトップコーティングについて同一に保った。
【0213】
【0214】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0215】
結果:
この例の結果、100個中2個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0216】
崩壊試験(欧州薬局方2.9.1試験Bの胃耐性カプセルに基づく修正された方法に従う)-未充填のカプセル
方法:0.1NのHClで2時間、続いて、緩衝液系pH6.8に完全に変更。
装置:PTZ Auto 4 EZ Pharma Test
検出方法:視覚的および電気的インピーダンス
温度:37.0℃
媒体I:欧州薬局方に従った700mlの0.1NのHCL
媒体II:欧州薬局方に従った700mLのpH6.8のリン酸塩緩衝液
サンプル:n=6
【表15】
【0217】
溶解試験(欧州薬局方(2.9.3)装置IIに従う)
カプセルを手動で充填する。ポリマーコーティングされた予備ロックされたカプセルを、500mgのカフェイン/乳糖混合物4:6で手動で充填し、最終ロック状態に閉鎖し、溶解試験で試験した。
【0218】
方法:
装置:ERWEKA DT 700パドル装置(USPII)
検出方法:オンラインUV
温度:37.5℃
媒体I:(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによって)pH1.2に調整した700mlの0.1NのHCL
媒体II:2時間後に媒体Iに214mlの0.2NのNa
3PO
4溶液を添加して、pHを6.8に増加させる(2NのNaOHおよび2NのHClを使用することによってpHを微調整する)。
パドル速度:75rpm
【表16】
【0219】
例6:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.8mm2の表面積および30,000個のカプセル(V-caps plusサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0220】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。
【0221】
【0222】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 40でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表に列挙する。
【0223】
【0224】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0225】
結果:
この例の結果、100個中2個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0226】
例7:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の594.5mm2の表面積および30,000個のカプセル(K-capsサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0227】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、400μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。
【0228】
【0229】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムGlatt GMPC 2でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表に列挙する。
【0230】
【0231】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0232】
結果:
この例の結果、100個中1個は、カプセルのキャップおよび本体を分離するために大きな力を必要とする。
【0233】
例8:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.8mm2の表面積および200,000個のカプセル(Vcaps plusサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0234】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0235】
【0236】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0237】
【0238】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 200でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表に列挙する。
【0239】
設備パラメータを機能性コーティングおよびトップコーティングについて同一に保った。
【0240】
【0241】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。
【0242】
結果:
機能性コーティングの終了時に4%、トップコーティングプロセスの終了時に7~9%(n=3)のバッチがブリッジングを示した。
【0243】
崩壊試験(欧州薬局方2.9.1試験Bの胃耐性カプセルに基づく修正された方法に従う)
サンプルの調製:サンプルに500mgの乳糖/カフェイン(20mgまたは200mgのいずれかのカフェインを含有する)ブレンドを充填し、カプセルの長さを記録する(目標21.7+0.3mm)。
方法:0.1NのHClで2時間、続いて、リン酸塩緩衝液pH5.5で30分、続いて、リン酸塩緩衝液pH6.8で1時間。
検出方法:視覚的および電気的インピーダンス
温度:37.0℃
媒体I:ディスクなしの欧州薬局方に従った700mlの0.1NのHCl
媒体II:ディスクなしの700mLのリン酸塩緩衝液pH5.5
媒体III:ディスクなしの700mLのリン酸塩緩衝液pH6.8
サンプル:n=6
リン酸塩緩衝液pH5.5(媒体II)の組成:
2NのHClまたは2NのNaOHでpH5.50(±0.05)に調整された、2100mlの0.1NのHCl+534gの0.2MのNa
3PO
4水溶液
リン酸塩緩衝液pH6.8(媒体III)の組成:
2NのHClまたは2NのNaOHでpH6.80(±0.05)に調整された、2100mlの0.1NのHCl+684gの0.2MのNa
3PO
4水溶液
【表24】
【0244】
例9:(本発明)ドラムコーターにおける予備ロックされたカプセルの腸溶性コーティング
機能性コートおよびトップコートの配合物は、予備ロック状態の545.8mm2の表面積および40,000個のカプセル(Vcaps plusサイズ0)のバッチサイズを考慮して計算する。
【0245】
機能性コーティング
GMSエマルションの調製において、40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であった。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。次いで、賦形剤懸濁液を、従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、EUDRAGIT(登録商標)L 30 D-55分散液にゆっくりと注いだ。10分間の穏やかな撹拌後に、EUDRAGIT(登録商標)NM 30 Dを連続撹拌下でゆっくりと添加し、さらに15分間撹拌した。最終的なコーティング懸濁液を、300μmのふるいに通してふるい分けし、コーティングプロセス中に撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。
【0246】
【0247】
トップコーティング
METHOCEL(商標)VLVを、塊化を防止するように穏やかに撹拌しながら、水に完全に分散させた。40%の水を最大70~80℃に加熱した。ポリソルベート80溶液、クエン酸トリエチル、およびGMSを、ホモジナイザ(例えば、Ultra Turrax)を使用して、加熱した水中で10分間均質化した。固体含有量は、約15%であるべきである。残りの60%の水を、従来のスターラを使用することによって熱いGMSエマルションに撹拌導入し、連続的に撹拌しながら室温に冷却した。従来のスターラで穏やかに撹拌しながら、懸濁液をMETHOCEL(商標)VLV溶液にゆっくりと注ぐ。噴霧懸濁液を0.3mmのふるいに通す。賦形剤懸濁液をポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。
【0248】
【0249】
カプセルコーティングプロセス
カプセルを完全穿孔サイドベンドパンコーティングシステムBohle BFC 40でコーティングする。関連するプロセスパラメータを表に列挙する。
【0250】
設備パラメータを機能性コーティングおよびトップコーティングについて同一に保った。
【0251】
【0252】
ブリッジング試験:
カプセルを、本体とキャップとの間のブリッジングについて試験した。本体を保持し、カプセルのキャップを穏やかに捻ることによって、試験を実施した。カプセルを損傷させること、亀裂が聞こえること、または亀裂が感じられることなしにはキャップを捻ることができなかった場合、およびキャップを全く捻ることができなかった場合、カプセルは壊れており、ブリッジングが決定された。100個のカプセルを試験した。本発明によると、ブリッジングを示すバッチのカプセルが10%未満であることが許容可能であると考えられる。
【0253】
結果:
機能性コーティングの終了時に3%、トップコーティングプロセスの終了時に3%(n=3)のバッチがブリッジングを示した。
【0254】
崩壊試験(欧州薬局方2.9.1試験Bの胃耐性カプセルに基づく修正された方法に従う)
サンプルの調製:サンプルに500mgの乳糖/カフェイン(20mgまたは200mgのいずれかのカフェインを含有する)ブレンドを充填し、カプセルの長さを記録する(目標21.7+0.3mm)。
方法:0.1NのHClで2時間、続いて、リン酸塩緩衝液pH5.5で30分、続いて、リン酸塩緩衝液pH6.8で1時間。
検出方法:視覚的および電気的インピーダンス
温度:37.0℃
媒体I:ディスクなしの欧州薬局方に従った700mlの0.1NのHCl
媒体II:ディスクなしの700mLのリン酸塩緩衝液pH5.5
媒体III:ディスクなしの700mLのリン酸塩緩衝液pH6.8
サンプル:n=6
リン酸塩緩衝液pH5.5(媒体II)の組成:
2NのHClまたは2NのNaOHでpH5.50(±0.05)に調整された、2100mlの0.1NのHCl+534gの0.2MのNa
3PO
4水溶液
リン酸塩緩衝液pH6.8(媒体III)の組成:
2NのHClまたは2NのNaOHでpH6.80(±0.05)に調整された、2100mlの0.1NのHCl+684gの0.2MのNa
3PO
4水溶液
【表28】
【0255】
溶解試験(欧州薬局方(2.9.3)装置IIに従う)
カプセルを手動で充填する。ポリマーコーティングされた予備ロックされたカプセルを、500mgのカフェイン/乳糖混合物4:6で手動で充填し、最終ロック状態に閉鎖し、溶解試験で試験した。
【0256】
方法:
装置:ERWEKA DT 700パドル装置(USPII)
検出方法:オンラインUV
温度:37.5℃
媒体I:ディスクなしの欧州薬局方に従った700mlの0.1NのHCl
媒体II:ディスクなしの700mLのリン酸塩緩衝液pH5.5
媒体III:ディスクなしの700mLのリン酸塩緩衝液pH6.8
サンプル:n=6
パドル速度:75rpm
リン酸塩緩衝液pH5.5(媒体II)の組成:
2NのHClまたは2NのNaOHでpH5.50(±0.05)に調整された、2100mlの0.1NのHCl+534gの0.2MのNa
3PO
4水溶液
リン酸塩緩衝液pH6.8(媒体III)の組成:
2NのHClまたは2NのNaOHでpH6.80(±0.05)に調整された、2100mlの0.1NのHCl+684gの0.2MのNa
3PO
4水溶液
【表29】
【0257】
国際公開第2020/229178号による例10(比較):予備ロックされたカプセル上でモノステアリン酸グリセロール(GMS)を有する標準EUDRAGIT(登録商標)L 30D-55コーティングの腸溶性コーティング、続いて、ドラムコーターにおけるHPMCのトップコート、および自動カプセル充填GMSエマルションを、ポリソルベート80(33%の溶液)、クエン酸トリエチル、およびGMSを、熱水(70~80℃)中で高せん断ホモジナイザで10分間添加することによって調製した。調製したGMSエマルションを、室温で冷却し、次いで、オーバーヘッド撹拌下でEUDRAGIT(登録商標)ポリマー分散液に添加した。噴霧懸濁液をコーティングプロセス中に穏やかに撹拌した。カプセルを、ドラムコーターを利用して予備ロック状態でコーティングした。トップコート:HPMCを、撹拌しながら水に溶解させ、ドラムコーターを利用して、コーティングされたカプセル上に噴霧した。
【0258】
【国際調査報告】