IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スカンジナビアン イノベーション グループ オーワイの特許一覧

特表2024-521154紫外線消毒装置付き飲料水ディスペンサ
<>
  • 特表-紫外線消毒装置付き飲料水ディスペンサ 図1
  • 特表-紫外線消毒装置付き飲料水ディスペンサ 図2
  • 特表-紫外線消毒装置付き飲料水ディスペンサ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】紫外線消毒装置付き飲料水ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20230101AFI20240521BHJP
【FI】
C02F1/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572642
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2021054526
(87)【国際公開番号】W WO2022248909
(87)【国際公開日】2022-12-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514075242
【氏名又は名称】スカンジナビアン イノベーション グループ オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パウロウ,アンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パブロフス,アルトゥルス
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA02
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
4D037BB04
(57)【要約】
飲料水ディスペンサであって、本体(10)を備え、本体(10)内には、外部の水源を接続するための入口管(18)と、冷却装置(12)を装備し、かつ、冷水タンクが水で満たされているとき、水で満たされている下部(25)と、空洞が形成されている上部(26)とを有する冷水タンク(11)と、入口管(18)に接続された水入口(13)と、出口管(20)に接続された水出口(14)と、出口管(20)に接続された、消費者に水を分配するための出口弁(21)と、冷水タンク(11)に設置されたUV放射源(17)とを設置された、飲料水ディスペンサ。水入口(13)は、垂直な配管(27)の形態で作られ、冷水タンク(11)内に配置され、開口上端(29)と、入口管(18)に接続された下端(28)とを有し、かつ、UV放射源(17)は、水入口(13)の垂直な配管(27)の開口上端(29)の上方で冷水タンク(11)の上部(26)に設置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
UV消毒装置付き飲料水ディスペンサであって、
本体を備え、前記本体内には、
外部の水源を接続するための入口管と、
冷却装置を装備し、かつ、冷水タンクが水で満たされているとき、水で満たされている下部と、空洞が形成されている上部とを有する冷水タンクと、
前記入口管に接続された水入口と、
出口管に接続された水出口と、
前記出口管に接続された、消費者に水を分配するための出口弁と、
前記冷水タンクに設置されたUV放射源と、
が設置され、前記水入口が垂直な配管の形態で作られ、前記冷水タンク内に配置され、前記入口管に接続された開口上端と下端とを有し、前記UV放射源が、前記冷水タンクの前記上部において、前記水入口の前記垂直な配管の前記開口上端より上方に設置される、飲料水ディスペンサ。
【請求項2】
前記垂直な配管の前記開口上端が、前記冷水タンク内の水表面付近に位置付けられる、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記垂直な配管の前記開口上端から前記水表面までの距離が20mmを超えない、請求項2に記載のディスペンサ。
【請求項4】
前記垂直な配管が円筒形である、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項5】
前記垂直な配管の直径が10mm~50mmである、請求項4に記載のディスペンサ。
【請求項6】
前記UV放射源としてLEDが使用される、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項7】
前記UV放射源として複数のLEDが使用される、請求項6に記載のディスペンサ。
【請求項8】
前記垂直な配管の内面がUV放射に対して反射性を有する、請求項6または7に記載のディスペンサ。
【請求項9】
制御装置をさらに備え、前記制御装置に、前記冷水タンクへの前記給水を調整する入口弁と、前記冷水タンク内に配置された水位センサとを接続され、前記制御装置が、前記冷水タンク内の前記水位を規定された上限値と下限値との間に維持するように構成される、請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項10】
前記上部規定水位値が、前記水入口の前記垂直な配管の前記開口上端よりも上方にあり、前記下部規定水位値が、前記水入口の前記垂直な配管の前記開口上端よりも低くない、請求項9に記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水ディスペンサ、特に紫外線(UV)消毒装置を装備したディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却装置を装備した水貯蔵タンクと、逆さにされたボトルを設置するためのボトル受けと、貯蔵タンク内の水に紫外線を照射するために防水ケース内に配置され、貯蔵タンク内に設置されたUV放射源とを含む飲料水ディスペンサが記載されている。このような装置の欠点は、水のUV放射処理の効率が低いことである。貯蔵タンクは数リットルの水を収容することができ、そのような水の容量を効果的に処理するには十分なUV放射の出力を必要とし、たとえわずかな追加の水が貯蔵タンクに入る場合でも、水の全容量が再処理されなければならない。
【0003】
特許文献2は、冷却装置、外部給水から貯蔵タンクへの給水口、および貯蔵タンクの上部および底部に発光するように貯蔵タンク内に垂直に設置されたUVランプを装備した水貯蔵タンクを含む処理水分配システムを記載している。この場合、給水口は、入口からの水がランプの上部に回り込んでランプ表面を越えてタンクに流入するように設置される。
【0004】
この装置の欠点は、水に含まれる鉱物質がランプの表面に堆積するため、ランプのUV放射効率が時間の経過とともに低下し、ランプの定期的な洗浄が必要になることである。
【0005】
この装置の別の欠点は、水のタンク内において、構造要素によってこれらの箇所が遮られることにより、ランプの放射が及ばない箇所が存在することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6483119号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第6139726号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、消毒の効率およびディスペンサの使い易さを改善することである。別の目的は、貯蔵タンクに入る水の消毒を確実にし、貯蔵タンク内の水の純度を維持することである。別の目的は、貯蔵タンク内の空間の微生物学的な清潔さを維持することである。
【0008】
技術的な結果は、飲料水ディスペンサであって、本体を備え、本体内には、
-外部の水源を接続するための入口管と、
-冷却装置を装備し、かつ、冷水タンクが水で満たされているとき、水で満たされている下部と、空洞が形成されている上部とを有する冷水タンクと、
-入口管に接続された水入口と、
-出口管に接続された水出口と、
-出口管に接続された、消費者に水を分配するための出口弁と、
-冷水タンクに設置されたUV放射源と、
を設置された、飲料水ディスペンサにおいて達成される。水入口は、垂直な配管の形態で作られ、冷水タンク内に配置され、開口上端と、入口管に接続された下端とを有し、かつ、UV源は、水入口の垂直な配管の開口上端よりも上方で冷水タンクの上部に設置される。
【0009】
冷水タンクへのこのような給水は、冷水タンクに入るすべての水がUV放射で処理されることを保証し、未処理の水が外部の水源からタンクに入る可能性を排除し、冷水タンク内に含まれる水および空気の両方にUV放射で脅威を与えることを可能にし、冷水タンク内の微生物学的な純度を維持する。
【0010】
垂直な配管の開口上端は、冷水タンク内の水表面に近い位置にあることが望ましい。好ましくは、水表面から20mm以下の距離である。垂直な配管の開口端をそのように配置することで、タンクに入る水がUV放射源の効果が最大である表面付近に留まることを確実にすることが可能になる。
【0011】
垂直な配管の直径は、10mm~50mmの範囲内であることが好ましい。そのような配管は、UV放射源が配管の内側を完全に照らすことができるように十分に広いことが分かる。
【0012】
UV放射源として1つまたは複数のLEDを使用するのが便利である。UV放射源としていくつかのLEDを使用する場合、それらは、一部のLEDが配管の内部を照らし、残りが冷水タンクの内部を照らすように配置されることができる。
【0013】
UV源の放射の使用効率を高めるために、垂直な配管の内面は、UV放射を良好に反射するように作られることが好ましい。
【0014】
好ましくは、ディスペンサは、制御装置と、冷水タンクへの給水を調整する入口弁と、それに接続された冷水タンク内に位置付けられた水位センサとを含み、制御装置は、冷水タンク内の水位を規定された上限値と下限値との間に維持するように構成される。指定された水位の上限値は、垂直入水管の開口端よりも上方にあり、規定された水位の下限値は、垂直入水管の開口上端よりも低くないことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】提案された水ディスペンサの内部配置の選択肢を概略的に示す図である。
図2】ディスペンサの任意の実施形態を示す図である。
図3】ディスペンサの別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
水ディスペンサは、本体10と、本体10内に設置された以下のもの、すなわち、冷却装置12を装備した冷水タンク11と、水入口13と、水出口14と、水位センサ15と、空気ダクト16と、紫外線(UV)放射源17とを含む。
【0017】
水入口13は、入口弁19を含む入口管18を介して、水源、例えば都市水道に接続される。水出口14は、出口管20を介して、出口弁21に接続される。
【0018】
ディスペンサはまた、ディスペンサの動作を確実にする制御装置22を含む。制御装置22は、水位センサ15および入口弁19を用いてタンク11内の水位を監視する。制御装置22はまた、UV放射源17の動作を制御し、ディスペンサの動作モード、すなわち、配管27を通ってタンク11に入る水の処理、または水が分配されないときのタンク11内の水および空気の微生物学的な純度の維持のいずれか、に応じてUV放射強度を調整する。ディスペンサ本体10はまた、冷却装置12に接続されたコンプレッサ23と、ディスペンサ要素に電力を供給するための電源24とを含む。
【0019】
UV放射源は、半導体UV放射源(UV-C LED)または別のUV放射源、例えばランプである。1つまたは複数の隣接するUVエミッタをUV放射源17として使用することができる。
【0020】
ディスペンサは以下のように作動する。動作を開始する前に、ディスペンサは、外部の水源および電源に接続されなければならない。ディスペンサを起動させた後、入口弁19が開き、冷水タンク11が規定水位まで水で満たされる。入口弁19が開くのと同時に、UV放射源17がオンに切り替わり、タンク11に入る水が消毒される。タンク11内の水位が規定水位に達すると、入口弁19が閉じ、タンク11への給水が停止される。その後、コンプレッサ23が起動し、冷却装置12を流れる冷媒によってタンク11内の水が冷却される。タンク11内の水の温度が規定値に達すると、ディスペンサは動作可能になる。待機モードでは、水が分配されないときには、UV放射源17は、低出力で動作するか、または定期的にオフに切り替えることができる。水は、出口弁21を介して消費者に分配される。出口弁21が開かれると、冷却水がタンク11から配管20および弁21を介して消費者の容器内に流出する。この場合、タンク11内の水位が低下し、水位が規定の閾値を下回った後、入口弁19が開き、外部の水源からの水がタンク11に流入する。配管27を通ってタンク11に入る水は、UV放射源17からのUV放射で消毒される。水がタンク11に入ると、水位が上昇し、水位が規定された閾値に達した後、入口弁19が閉じ、ディスペンサは待機モードに入る。
【0021】
水に沈められたUV源を使用するのとは異なり、冷水タンク11の空気空間26内にUV放射源17を配置することで、構造を単純化し、水中に溶解した鉱物質によるUV源の汚染を低減し、それによってUV放射源17の使用効率を高める。垂直な配管27の開口端29の上方にUV源を位置付けることで、タンク11に入る配管27内の水をUV放射で処理することを可能にし、水表面30の近くに配管27の開口端29を配置することにより、一時的にタンク11に入る水が表面30の近く、すなわちUV放射源17の近くになり、UV放射による水処理の効率をさらに高める。この場合、垂直な配管27を介した給水は、タンク11に入るすべての水35がUV放射で処理されることを保証し、未処理の水がタンク11に入る可能性を排除する。UV源17の発光面は、UV源17の下に垂直に位置付けられる配管29が影を作らないように、垂直な配管27の直径よりも広いことが好ましい。タンク11の空気空間26内にUV放射源17を配置することで、タンク11内の空気および空気空間26に占められるタンク部分のタンク11の壁をUV放射で処理することも可能になる。
【0022】
ディスペンサの動作中、水入口13の垂直な配管27の上部開口端29は常に水表面30の近くにあり、配管27からの水はタンク11に均等に流入し、流入する水の温度は通常タンク11内の冷却水の温度よりも高いため、温度が等しくなるまで、流入する水は一時的に、水表面の上方に位置付けられたUV放射源17からのUV放射の最大強度の領域である、水表面の近くに留まる。
【0023】
図2は、垂直な配管27の内面31が高いUV範囲の反射率で作られているディスペンサの実施形態を示す。この場合、配管27内のUV放射の多重反射は、配管27内のUV放射の強度を増加させる。
【0024】
図3は、ディスペンサの別の実施形態を示す。この実施形態は、図2のディスペンサと同様に、内面31がUV範囲で高反射率を有する垂直な配管27を含む点で、図1のディスペンサとは異なる。別の違いは、このオプションでは、UV放射源が3つの別個のUV源、すなわち配管27の開口端の上方に位置する中央のUV源32と、中央のUV源32の両側に位置する、より低出力の2つの追加のUV源33、34とを含むことである。各UV源は、半導体UV LED(UV-C LED)を使用する。複数のUV源の使用は、UV源の性能を最適化することを可能にする。例えば、中央のUV源32は、その放射の大部分が配管27の内部空間に流入するように狭く方向付けることができ、一方、中央のUV源は、水が配管27を通ってタンク11に入るときに最大出力でオンに切り替わり、残りの時間はオフに切り替わるかまたは低出力で動作することができる。また、タンク内の水の微生物学的な純度の維持には、はるかに低いUV放射強度を必要とするため、側部または追加のUV源33および34はまた、水がタンク11に入るときにオンに切り替え、分配後、消費者に水が分配されないときには、低出力で動作を継続するか、または定期的にオンに切り替えて、タンク11内の水の微生物学的な純度を維持することができる。
【0025】
提案された解決策により、垂直な配管27の上部開口端29を通って冷水タンク11に入る水35を微生物学的な汚染から浄化し、ディスペンサの動作中に冷水タンク11内の水および空気の微生物学的な純度を確実にすることが可能であり、したがって、消費者に必要な水の微生物学的な品質を確実にすることが可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 本体
11 冷水タンク
12 冷却装置
13 水入口
14 水出口
15 水位センサ
16 空気ダクト
17 UV放射源
18 入口管
19 入口弁
20 出口管
21 出口弁
22 制御装置
23 コンプレッサ
24 電源
25 水で満たされた下部
26 空洞がある上部
27 垂直な配管
28 垂直な配管の下端
29 垂直な配管の上部開口端
30 水位
31 垂直な配管の内側反射面
32、33、34 UV放射源
35 流入する水
図1
図2
図3
【国際調査報告】