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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】洗濯用洗浄剤物品
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20240521BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20240521BHJP
   D06L 1/12 20060101ALI20240521BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D3/37
D06L1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572653
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 US2022030636
(87)【国際公開番号】W WO2022251150
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/192,474
(32)【優先日】2021-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】522029903
【氏名又は名称】チャーチ・アンド・ドゥワイト・カンパニー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHURCH & DWIGHT CO., INC.
【住所又は居所原語表記】469 North Harrison Street, Attn Patent Law Group, Princeton, New Jersey 08543-5297 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ペチェラ,レイラニ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ポッチャ,サード,ジョン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】アダミー,スティーヴン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ブテラ,アダム イー.
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003AD04
4H003BA18
4H003EB30
4H003EB34
4H003EB36
4H003EB42
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA32
(57)【要約】
布パウチ内に備えられた固体洗浄剤製剤を含む物品が提供される。洗浄剤は、複数の粒子を含む製剤として洗浄剤を提供するためのポリマー造粒助剤と組み合わされた典型的な洗浄剤から形成することができる。布パウチは、水溶性とすることができ、特に、水溶性である繊維(例えば、織布又は不織布)から形成することができる。布パウチは、洗浄で使用する前にそこから洗浄剤が著しく失われることを依然として回避しながら、その中の洗浄剤及びパウチ自体を溶解するための水を急速に浸透させる複数の孔を有することができる。洗浄剤製剤を形成する方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも界面活性剤とビルダーとを含む洗浄剤組成物及びポリマー造粒助剤の混合物である固形剤と、該固形剤を包むパウチとを含んでなる物品であって、
前記ポリマー造粒助剤が、前記固形剤の総重量に対して少なくとも約20重量%であり、
前記パウチが水溶性繊維から形成された織布又は不織布として構成される、
物品。
【請求項2】
前記ポリマー造粒助剤が、溶融可逆性ポリマーである請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリマー造粒助剤が、約40℃から約80℃に溶融温度を持つ、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記ポリマー造粒助剤が、ポリエチレングリコール(PEG)材料である、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記PEG材料が、約1000 Daから約25000 Daの平均分子量を有する、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記ポリマー造粒助剤が、エチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)コポリマーである、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
前記固形剤が、複数の粒子の形態である、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記複数の粒子が、約80ミクロン以上の平均粒子サイズを有する、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記固形剤が、複数の粒子として構成され、前記織布又は不織布が複数の孔を有するように構成され、前記複数の孔が有する平均孔サイズに対する前記複数の粒子が有する平均粒子サイズの比が、約1.6以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項10】
前記平均孔サイズと前記平均粒子サイズとの比が、50以下である、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記平均孔サイズと前記平均粒子サイズとの比が、約6から約35である、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記水溶性繊維が、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリレート及びそれらの組合せからなる群から選択される繊維を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項13】
前記パウチが、約10 ft3/ft2/minの空気透過性を有するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項14】
前記パウチが、約350ミクロン以下の平均孔サイズを有するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項15】
前記パウチが、少なくとも5ミクロンの平均孔サイズを有するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項16】
前記パウチが、約50ミクロンから約350ミクロンの平均孔サイズを有するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項17】
前記パウチが、約5 gsm(グラム/平方メートル)から約150 gsmの坪量を有するように構成される、請求項1~8のいずれか1項に記載の物品。
【請求項18】
溶融可逆性ポリマーと組み合わされた洗浄剤組成物を含む製剤の複数の粒子と、
前記複数の粒子を包むパウチと
を含む物品であって、
前記洗浄剤組成物が、少なくとも界面活性剤とビルダーとを含み、
前記溶融可逆性ポリマーが、前記固形剤の総重量に対して少なくとも20重量%であり、
前記パウチが、ノンフィルム形態の水溶性ポリマーの1枚以上のシートとして構成される、
物品。
【請求項19】
以下のうち1以上の条件を満たす物品であって、前記条件が:
前記溶融可逆性ポリマーが、約40℃から約80℃に溶融温度を有する;
前記溶融可逆性ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)材料及びエチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)コポリマーのうち少なくとも1つを含む;
前記複数の粒子が、約80ミクロン以上の平均粒子サイズを有する;
前記水溶性ポリマーの1枚以上のシートが、水溶性繊維で形成される織布又は不織布として構成される;
前記パウチが、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリレート及びそれらの組合せからなる群より選択される物質で形成される;
である、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
洗浄剤の製造方法であって、前記方法が:
少なくとも界面活性剤及びビルダーを含む洗浄剤組成物と溶融可逆性ポリマーとを、前記溶融可逆性ポリマーが流動可能状態にある間に混合して、前記洗浄剤組成物と前記溶融可逆性ポリマーとの混合物を形成することと;
形成された混合物を凝固させることと;
前記形成された混合物を造粒機で加工し、前記形成された混合物を複数の粒子の形態とすることと;
を含む、洗浄剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特に自動洗濯機用の、改善された溶解特性を有する洗浄剤製剤の単位用量を提供するための洗浄剤製剤及び物品に関する。物品は、水溶性繊維で作製された織布又は不織布から形成されたパウチなどの多孔質パウチ材料内に収容された洗浄剤製剤を含むことができる。
【背景技術】
【0002】
単位適用量の洗濯製品を送達するための水溶性フィルムパッケージの使用は既知であり、洗浄剤及びブリーチは、長年にわたってこの形態で販売されている。水溶性フィルムパウチ内のコンパクトな顆粒状洗浄剤組成物は、1986年6月27日に出願された日本国特許出願第61-151032号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。水溶性フィルムに包装されたペースト洗浄剤組成物は、同様に1986年6月27日に出願された日本国特許出願第61-151029号に開示されている。水溶性フィルム中に包装されたペースト、ゲル、スラリー、又は塊のいずれかである洗浄剤組成物に関するさらなる開示は、Huber et al.の米国特許第8,669,220号;Edwards et al.の米国特許出願公開第2002/0033004号、Oehms et al.の米国特許出願公開第2007/0157572号、及びRossetto et al.の米国特許出願公開第2012/0097193号;1981年11月17日発行のカナダ特許第1,112,534号;及び1985年10月16日公開の欧州特許出願公開第158464号及び1987年9月2日公開の欧州特許出願公開第234867号に見出すことができ、これらのそれぞれは参照により本明細書に組み込まれる。水/プロピレングリコール溶液中に洗浄剤を含有する液体洗濯用洗浄剤は、米国特許第4,973,416号に開示されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。ポッドに使用するための高いビルダー含有量を有する組成物を開示している、Adamy et al.の米国特許第7,915,213号及びKellar et al.の米国特許出願公開第2006/0281658号も参照されたく、前記文献の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
既知の単位用量洗浄剤物品は、パウチ又は他の担体材料の不十分な溶解に悩まされ得、これは、パウチ又は他の担体によって保持される洗浄剤の不十分な溶解特性を悪化させ得る。これは、実質的に溶解していないポッドが洗浄ロード(load)中に残る洗浄サイクル、又は物品から放出されたが完全には溶解していない固体のために残留物が存在する洗浄サイクルをもたらし得る。単位用量形態である洗濯用洗浄剤組成物を提供する要望及び必要性が依然としてある。また、自動洗濯機において改善された溶解性を達成する単位用量洗濯用組成物及び物品に対する要望及び必要性も存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、洗浄剤物品に関する。物品は、標準的な洗濯機で典型的な量の洗濯を行うのに十分な量の洗浄剤を提供することが意図されるという点で、単位用量物品として提供される。物品は、単位用量を提供するためにパウチ内に含まれる洗浄剤を含む。パウチは、具体的には、布、すなわち織布又は不織布として構成することができる。布は、水溶性繊維、特に水溶性であるポリマー繊維から形成される。この布は、その中の洗浄剤及びパウチ自体を溶解するための水の浸透を改善する孔を含む。洗浄剤は、典型的な洗浄剤(例えば、界面活性剤、ビルダー、及び洗濯用洗浄剤に典型的に見られる任意の他の成分を含む固体又は液体洗濯用洗浄剤)を含む。洗浄剤は、布の孔を通って著しく漏出することなく布パウチ内に収容されるように具体的にサイズ決定された複数の固体粒子として洗浄剤を製剤化する形態を提供する造粒助剤と組み合わされる。造粒助剤は、洗浄剤の溶解を改善し、さらには付加的な洗浄効力を提供するなどのさらなる利点を提供することができる。
したがって、1つ以上の実施形態では、本開示は、少なくとも界面活性剤とビルダーとを含む洗浄剤組成物及びポリマー造粒助剤の混合物である固形剤と、該固形剤を包むパウチとを含んでなる物品であって、該ポリマー造粒助剤が、該固形剤の総重量に対して少なくとも約20重量%であり、該パウチが水溶性繊維から形成された織布又は不織布として構成される、物品を提供することができる。さらなる実施形態では、物品は、以下の記述の1つ以上に関して定義することができ、これらの記述は、任意の数又は順序で組み合わせることができる。
ポリマー造粒助剤は、溶融可逆性ポリマーであり得る。
ポリマー造粒助剤は、約40℃から約80℃に溶融温度を有することができる。
ポリマー造粒助剤は、ポリエチレングリコール(PEG)材料であり得る。
PEG材料は、約1000 Daから約25000 Daの平均分子量を有することができる。
ポリマー造粒助剤は、エチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)コポリマーであり得る。
固形剤は、複数の粒子の形態であり得る。
複数の粒子は、約80ミクロン以上の平均粒子サイズを有することができる。
固形剤は、複数の粒子として構成することができ、織布又は不織布が複数の孔を有するように構成することができ、複数の孔が有する平均孔サイズに対する複数の粒子が有する平均粒子サイズの比は、約1.6以上であり得る。
平均孔サイズに対する平均粒子サイズは、50以下であり得る。
平均孔サイズと平均粒子サイズとの比は、約6から約35であり得る。
水溶性繊維としては、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリレート及びそれらの組合せからなる群より選択される繊維を挙げることができる。
パウチは、約10ft3/ft2/minの空気透過性を有するように構成することができる。
パウチは、約350ミクロン以下の平均孔サイズを有するように構成することができる。
パウチは、少なくとも5ミクロンの平均孔サイズを有するように構成することができる。
パウチは、約50ミクロンから約350ミクロンの平均孔サイズを有するように構成することができる。
パウチは、約5 gsm(グラム/平方メートル)から約150 gsmの坪量を有するように構成することができる。
いくつかの実施形態では、本開示は、溶融可逆性ポリマーと組み合わされた洗浄剤組成物を含む製剤の複数の粒子と、前記複数の粒子を包むパウチとを含む物品であって、前記洗浄剤組成物が、少なくとも界面活性剤とビルダーとを含み、前記溶融可逆性ポリマーが、前記固形剤の総重量に対して少なくとも20重量%であり、前記パウチが、ノンフィルム形態の水溶性ポリマーの1枚以上のシートとして構成される、物品に関することができる。さらなる実施形態では、物品は、以下の記述の1つ以上に関して定義することができ、これらの記述は、任意の数又は順序で組み合わせることができる。
溶融可逆性ポリマーは、約40℃から約80℃に溶融温度を有することができる。
溶融可逆性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)材料及びエチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)コポリマーのうち少なくとも1つを含むことができる。
複数の粒子は、約80ミクロン以上の平均粒子サイズを有することができる。
水溶性ポリマーの1枚以上のシートは、水溶性繊維で形成される織布又は不織布として構成することができる。
パウチは、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリレート及びそれらの組合せからなる群より選択される物質で形成することができる。
さらなる実施形態では、本開示は、洗浄剤製剤を形成又は製造する方法に関することができる。例えば、かかる方法は、少なくとも界面活性剤及びビルダーを含む洗浄剤組成物と溶融可逆性ポリマーとを、前記溶融可逆性ポリマーが流動可能状態にある間に混合して、前記洗浄剤組成物と前記溶融可逆性ポリマーとの混合物を形成することと;形成された混合物を凝固させることと;前記形成された混合物を造粒機で加工し、前記形成された混合物を複数の粒子の形態とすることとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
上記の一般的な用語で本開示の態様を説明してきたが、ここで、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照する。 図面は例にすぎず、本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
図1図1は、本開示の実施形態による単位用量洗濯用洗浄剤物品の例を示す図である。
図2図2は、同じ顆粒を含有する水溶性ポリビニルアルコール(PVOH)布パウチ(左)及び水溶性PVOHフィルムパウチ(右)を示す写真である。
図3図3は、残留物試験のための非水溶性布の内側の水溶性PVOH布パウチを示す写真である。
図4図4は、液体洗濯用洗浄剤、ポリマー及び追加成分の組合せからなる洗濯用洗浄剤タブレットを示す写真である。
図5図5は、ヒートシールされた布PVOHで包まれた洗濯用洗浄剤タブレットを示す写真である。
図6】同じタブレットを含有する水溶性PVOH布パウチ(左)及び水溶性PVOHフィルムパウチ(右)。
【発明を実施するための形態】
【0005】
ここで、本開示は、添付の図面を参照して以下でより完全に説明される。本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書中に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が、適用可能な法的要件を満たすように提供される。全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「当該(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の参照を含む。
【0006】
1つ以上の実施形態では、本開示は、洗濯用洗浄剤物品を提供する。このような物品は、洗浄剤製剤を包むパッケージを含むことができる。物品は、洗浄剤製剤がパッケージと直接接触する(又は一般的にパッケージによって保持される)ように、及び洗濯用洗浄剤が水中に置かれたときにパッケージから放出されるように構成することができる。本開示の物品は、特に、水がパッケージに急速に浸透して、洗濯用洗浄剤製剤の水への溶解プロセスを開始するように構成されている。物品はまた、パッケージ自体が洗濯用洗浄剤と共に水に急速に溶解するように構成される。
【0007】
本明細書で使用する場合、「パッケージ」、「ポッド」、「パウチ」などの用語は、本明細書に記載の洗濯用洗浄剤を包む水溶性材料を説明するために区別なく使用することができる。本開示によれば、水溶性材料は、洗濯用洗浄剤と実質的に直接接触しており、水溶性材料は、洗濯用洗浄液などの水性媒体と外部接触する前にその構造的一体性を維持している。洗浄剤は、貯蔵中に遭遇し得るような比較的広い温度範囲にわたるような貯蔵安定性のために構成され、パウチは、長期間の貯蔵後であっても水中での急速な溶解の特性を保持する。加えて、洗浄剤製剤は、使用中にパウチ材料が溶解する前に、洗浄剤を包んでいるパウチから相当量の洗浄剤が流出又は漏出しないような形態である。
【0008】
本明細書に記載の物品は、様々な形状及びサイズで提供することができる。例えば、水平寸法を通る断面において、物品は、実質的に正方形、長方形、平行四辺形、三角形、円形、又は他の形状の形態であり得る。様々な実施形態では、本明細書に記載の物品は、最大約10cm、最大約8cm、又は最大約6cmの長さを有することができ、最小長さは、少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、又は少なくとも4cmである。特に、長さは、約5cm~約10cm(例えば、約6.5cm)であり得る。同様に、物品は、最大約10cm、最大約8cm、又は最大約6cmの幅を有することができ、最小幅は、少なくとも1cm、少なくとも2cm、少なくとも3cm、又は少なくとも4cmである。特に、幅は、約5cm~約10cm(例えば、約5.8cm)であり得る。物品は、最大約4cm、最大約3cm、又は最大約1cmの厚さを有することができ、最小厚さは、少なくとも0.2cm、0.3cm、0.4cm、又は0.5cmである。特に、物品は、約0.2~約2cm(例えば、約0.4cm)の厚さを有することができる。パウチは、いくつかの実施形態では、特に、長さ及び幅の両方よりも小さい厚さを備えることができる。例えば、長さと厚さとの比及び幅と厚さとの比は、各々独立して、少なくとも約5:1、少なくとも約7:1、少なくとも約10:1、少なくとも約12:1、又は少なくとも約14:1とすることができ、最小比は、約2:1、約3:1、又は約4:1であり得る。ある特定の実施形態では、当該比は、約2:1から約25:1、約3:1から約20:1、約4:1から約18:1、又は約5:1から約16:1であり得る。いくつかの実施形態では、当該比は、約10:1から約25:1、約12:1から約20:1、又は約13:1から約18:1であり得る。このような寸法は、パウチ構成とパウチ内に保持される洗浄剤製剤との組合せから生じる物品の改善された溶解特性を提供するように具体的に選択される。同様に、寸法は、既知の洗濯用洗浄剤物品では達成できない方法で、パウチ及び洗浄剤を洗浄水中に迅速かつ完全に溶解させるために、その中に包まれる洗浄剤の重量とバランスを保たせることができる。
【0009】
パウチ材料
本物品を形成するのに使用されるパウチ材料は、ノンフィルム形態で提供される水溶性材料である。「ノンフィルム」形態は、材料が、多くの既知の洗濯用洗浄剤ポッドに使用されるフィルム又はシートに存在するような、連続した途切れのない材料シートではないことを示す。ノンフィルム形態は、むしろ、材料が、パウチの内部空間が周囲大気と直接連通するようにその中に形成された複数の孔又は他の不連続点を含むことを示す。いくつかの実施形態では、ノンフィルムパウチ材料は、シートの外側表面からシートの内側表面まで完全に延在する複数の孔又は他の開口部をその中に含む、シートとして構成することができる。いくつかの実施形態では、ノンフィルムパウチは、布を形成するように組み合わせられる複数の別個の繊維から形成されるという点で、織物材料として構成することができる。したがって、パウチは、水溶性の多孔質シートから形成することができるか、又は水溶性布から形成することができる。既知の単位用量洗濯用洗浄剤物品は、従来、封入フィルム材料から形成されているが、本開示は、パウチが、本明細書に別途記載されるような改善された特性及び機能性と組み合わせて、独特の外観及び感触を呈する物品を提供する。消費者調査の結果は、消費者が単位用量洗濯用洗浄剤物品に対して布様の質感を積極的に受け入れていることを示している。これは、少なくとも部分的には、布織りの単位用量洗濯用洗浄剤物品が、衣類のクリーニングにおける使用に関して、従来のフィルム封入された単位用量ポッドよりも優しいかもしれないという認識によるものであり得る。
【0010】
本明細書で使用する場合、「布」という用語は、一体化された構造を達成するように組み合わされた複数の繊維から生産された布、シート、又は他の材料構造を指す。布は、それ自体が複数の繊維から形成される複数の繊維又は糸を、織る又は編むことによって形成された材料であってもよい。このような布は、織布と呼ぶことができる。布は、織る又は編むことなく組み合わされた複数の繊維によって形成された材料であってもよい。このような布は、不織布と呼ぶことができる。本明細書で使用する場合、「フィルム」という用語は、ポリマー材料の薄層を指す。本開示の目的のために、フィルムは、実質的に非多孔質の材料であるが、布は、個々の繊維の間の孔の存在に起因した多孔質の材料である。
【0011】
本明細書で使用する場合、「繊維」という用語は、織物の基本要素として定義される。繊維は、多くの場合、ロープ状又は紐状の要素の形態である。本明細書で使用する場合、「繊維」という用語は、繊維、フィラメント、連続フィラメント、ステープル繊維などを含むことが意図される。「多成分繊維」という用語は、二成分繊維を含む、物理的又は化学的性質が異なる2つ以上の成分を含む繊維を指す。具体的には、「多成分繊維」という用語は、ドメインが分散しているか、ランダムであるか、又は構造化されていない傾向がある混合物とは対照的に、繊維/フィラメント中の別個の構造化ドメイン中に存在する2つ以上のポリマーから製造されたステープル繊維及び連続フィラメントを含む。繊維は、単一成分(すなわち、繊維全体にわたって組成が実質的に均一)又は多成分繊維タイプから選択されてもよく、シース/コア構造を有する繊維及び海島構造を有する繊維、並びにサイドバイサイド、セグメントパイ、セグメントクロス、セグメントリボン、またはチップマルチローバル(tipped multilobal)断面を有する繊維が挙げられるがこれらに限定されない。繊維は、中空又は非中空の繊維とすることができ、さらに、実質的に丸い若しくは円形の断面又は非円形の断面(例えば、楕円形、長方形、マルチローブ形など)を有することができる。本開示による繊維は様々であり得、円形、長方形、正方形、楕円形、三角形、及びマルチローブ形を含むがこれらに限定されない任意のタイプの断面を有する繊維を含むことができることに留意されたい。
【0012】
本明細書で使用する場合、「織布」という用語は、織ることによって形成された任意の織物を指す。織布は、多くの場合、織機上で作成され、縦糸及び横糸上に織られた多くの糸/繊維から作製される。技術的には、織布は、2本以上の糸を互いに直角に織り交ぜることによって作られた任意の布として当該技術分野において知られている。織布は、所望により、例えば、様々な2、3、又は4本のフォールド/プライヤーン、コアスパンヤーン、又はケーブルヤーンなどの様々なタイプのヤーンから製造することができる。ヤーンは、縦糸方向又は横糸方向のいずれかに織ることができる。織り方は、平織り、綾織り、若しくは繻子織り、又はパウチ/ポッドに対してより審美的な特性をもたらすための任意の他の従来のパターンであり得る。編物については、最終的な孔構造が粉末を保持するのに十分である限り、使用することができるヤーンカウント、太さ、並びにリブ及びホエール(whale)の数の変動とともに、縦編み又は横編みを使用することができる。
【0013】
「不織」という用語は、本明細書では、繊維が不定の又はランダムな配向で整列している繊維材料、ウェブ、マット、バット、又はシートに関して使用される。不織繊維は、最初は非結合繊維又はフィラメントとして提供される。不織布の製造における重要なステップは、様々な繊維又はフィラメントを一緒に結合することを伴う。繊維又はフィラメントが結合される方法は様々であり得、最終製品の所望の特性に部分的に基づいて選択される熱的、機械的、及び化学的技術を含む。
【0014】
天然繊維及び合成繊維の不織布形成方法は、ドライレイド法、エアレイド法及びウェットレイド法を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、不織布は、スパンボンドプロセス及びメルトブローンプロセスの両方を含むスパンレイドプロセス又はスパンメルトプロセスを使用して形成することができ、かかるプロセスは、典型的には、熱可塑性ポリマー材料を溶融し、押し出し、収集し、結合して、繊維性不織ウェブを形成することを伴うと理解される。メルトブローイングの技術は、当該技術分野において既知であり、様々な特許、例えば、Butinの米国特許第3,849,241号、Buntin et al.の同第3,978,185号、Buntinの同第3,972,759号、及びMcAmish et al.の同第4,622,259号に記載されており、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一般的なスパンボンドプロセスは、例えば、Appel et al.の米国特許第4,340,563号、Dorschner et al.の同第3,692,618号、Matsuki et al.の同第3,802,817号、Kinneyの同第3,338,992号及び同第3,341,394号、Hartmannの同第3,502,763号、並びにDobo et al.の同第303,542,615号に記載されており、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0015】
本明細書に記載の布は、フリース材料と呼ぶこともできる。本明細書で使用される「フリース材料」は、様々なタイプの水溶性繊維から形成されてもよい。例えば、フリース材料は、織布又は不織布の形態で提供されてもよく、本開示の布パウチは、それを形成するための既知の方法及び材料を組み込んでもよい。例えば、粒子状物質をその中に保持するように構成された不織布(例えば、ティーバッグなど)は、Iwasaki et al.の米国特許第7,498,281号に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
いくつかの実施形態では、水溶性布材料は、様々な厚さ、多孔度、及び他のパラメータを有することができる。例えば、水溶性布材料は、その中に収容された放出可能な材料の所望の放出特性を達成するために、材料の繊維配向及び多孔度が変更されるように形成することができる。
【0017】
水溶性布材料中に存在する繊維の物理的パラメータは様々であり得る。例えば、水溶性布材料に使用される繊維は、長さ及びdpf(デニール/フィート)などの様々なサイズ、並びに捲縮特性を有することができる。いくつかの実施形態では、水溶性布材料に使用される繊維は、ナノ繊維、サブミクロン繊維、及び/又はミクロンサイズ繊維であり得る。ある特定の実施形態では、本明細書で有用な水溶性布材料の繊維は、約1.0dpfから約3.0dpf、又は約1.5dpfから約2.0dpfを示すことができる。様々な実施形態では、水溶性布材料の繊維は、約3.0dpf未満、又は約2.5dpf未満、又は約2.0dpf未満のdpfを有し得る。いくつかの実施形態では、各繊維はステープル繊維であり得る。各繊維長は、例えば、約35mmから約60mm、又は約38mmから約55mmを示すことができる。様々な実施形態では、各繊維は、約4~10個の捲縮/cm、又は約5~8個の捲縮/cmを示すことができる。フリース材料中の繊維の好ましいブレンド及び配向を確実にするために、フリース材料中の全ての繊維が同様の繊維サイズ及び捲縮属性を有することが有利であり得る。いくつかの実施形態では、水溶性布材料の粉末/顆粒移動又は溶解速度を制御するために、様々な繊維デニールの繊維を混合又は積層して、本明細書に記載の物品に有用な布材料を形成することができる。
【0018】
様々な実施形態では、本明細書に記載の水溶性布材料は、洗浄水からの液体が水溶性布材料に浸透し、水溶性布材料、並びに水溶性布材料で形成されたパウチ内に保持された洗浄剤製剤の望ましい溶解速度を提供することを確実にする透過性を有する。水溶性布の透過性は、洗浄剤が洗濯用洗浄水中にどれだけ速く導入されるかに応じて変化し得ることに留意されたい。例えば、高い透過性により、布地がより速く溶解し、並びに水がより速く浸透することを可能にして洗浄剤製剤の溶解を開始させる。いくつかの実施形態では、透過性は、孔サイズに対して定義することができる。したがって、単位用量洗浄剤物品の使用前に良好な洗浄剤保持を維持しながら透過性を最適化することを考慮することができる。いくつかの実施形態では、水溶性パウチ材料は、少なくとも約10ft3/ft2/min、少なくとも約20ft3/ft2/min、少なくとも約25ft3/ft2/min、少なくとも約30ft3/ft2/min、少なくとも約40ft3/ft2/min、又は少なくとも約50ft3/ft2/min、最大で約800ft3/ft2/min、約700ft3/ft2/min、又は約600ft3/ft2/minの空気透過性を有する。特に、空気透過性は、約20ft3/ft2/minから約600ft3/ft2/min、約25ft3/ft2/minから約550ft3/ft2/min、又は約30ft3/ft2/minから約500ft3/ft2/minの範囲であり得る。空気透過性は、12.7mmの圧力差を使用するASTM D737を用いて測定することができる。
【0019】
様々な実施形態では、水溶性布材料は、布材料内に収容された洗濯用洗浄剤製剤の大部分が使用前に流出しないような孔サイズを有することができる。孔サイズは、当該技術分野において既知の式を用いて計算することができる(例えば、Cohen, ‘A Wet Pore-Size Model for Coverstock Fabrics’, Book of Papers: The International Nonwoven Fabrics Conference, INDATEC'90, Association of the Nonwoven Fabrics Industry, pp. 317-330 (1990)による記事に記載されたもの)。したがって、孔サイズは、以下に提供される式1を用いて計算することができる。
【数1】
【0020】
式1において、aは繊維半径であり、ρfは繊維密度であり、ρwは乾燥時の布の密度であり、τは屈曲定数(例えば、織布/編物については0.15、不織布については1.44)であり、ξは乾燥布密度の湿潤布密度に対する比であり、rは計算された孔半径である。織布材料の構造の規則性に起因して、織布/編物に対して、及び不織布に対して、2つの異なる屈曲定数が使用され、これは、不織布に対してより低い屈曲定数を必要とすることに留意されたい。また、当該式で使用される布密度は、乾燥時に布地カリパスをまず記録し、選択された液体媒体中で布を飽和させ、次いで、湿潤時に布地カリパスを記録するカリパス法から生じることにも留意されたい。したがって、ξの値は、乾燥カリパスの湿潤カリパスに対する比である。PVOH及び同様の合成繊維に関しては、繊維の合成的性質のために膨潤又は崩壊が有意には起こらず、湿潤試料のカリパス測定値が乾燥試料のカリパス測定値と実質的に同一であるという仮定に基づいて、比1を使用した。
【0021】
パウチ材料は、洗濯機で使用する前に、洗浄剤製剤の著しい含有量が水溶性布材料から流出するのを防ぐ孔サイズを明確に有するように構成することができる。「著しい」含有量は、洗濯用洗浄剤製剤の初回用量を含むパウチ物品の総開始重量に対して、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%、又は1重量%として定義することができる。換言すれば、パウチ物品は、パウチ物品の貯蔵及び輸送中を含む、パウチ物品の形成時から洗濯機内でのパウチ物品の使用時までに、洗濯用洗浄剤製剤の上記の「著しい」重量を超えて失わないように構成される。この特徴は、水溶性パウチの孔サイズと、パウチ内に収容された洗濯用洗浄剤の平均粒子サイズとの適切な組合せによって達成することができる。様々な実施形態では、水溶性布材料又はパウチは、約350ミクロン以下、約300ミクロン以下、約250ミクロン以下、約200ミクロン以下、約150ミクロン以下、又は約100ミクロン以下の平均孔サイズを有し、少なくとも5ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも20ミクロン、少なくとも30ミクロン、少なくとも40ミクロン、又は少なくとも50ミクロンの最小孔サイズを有する。いくつかの実施形態では、水溶性布材料は、約50ミクロンから約350ミクロン、約100ミクロンから約300ミクロン、又は約150ミクロンから約250ミクロンの範囲の平均孔サイズを有する。パウチ内の洗濯用洗浄剤製剤の保持、したがって、洗濯機で使用する前にパウチ物品が著しい量以下の洗濯用洗浄剤製剤を失うことの確認は、タンブリング前後の質量差を利用してVartest Laboratories 19 West 36th Street New York, NY 10018によって実施されるVartest/ICIタンブリング法によって試験することができる。試験方法は、添付の実施例に記載されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、水溶性布パウチは、約5gsm(グラム/平方メートル)から約150gsm、約10gsmから約130gsm、約20gsmから約120gsm、又は約40gsmから約100gsmの坪量を有することができる。ある特定の実施形態では、布パウチは、約150gsm未満、約140gsm未満、約120gsm未満、約110gsm未満、又は約100gsm未満の坪量を有することができ、例えば、少なくとも約5gsm、少なくとも約10gsm、少なくとも約20gsm、少なくとも約40gsm、少なくとも約50gsm、少なくとも約75gsm、又は少なくとも約100gsmの最小値を有することができる。布の坪量は、例えば、ASTM D3776/D3776M-09a(2013)(Standard Test Methods for Mass Per Unit Area(Weight)of Fabric)を用いて測定することができる。
【0023】
様々な実施形態では、パウチ材料は、約0.5mm未満、約0.3mm未満、約0.2mm未満、又は約0.15mm未満(例えば、最小約0.01mm)の層厚を有することができる。さらなる実施形態では、パウチ材料は、少なくとも約0.02mm、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.07mm、又は少なくとも約0.08mmの層厚を有することができる。特に、パウチ材料は、約0.05mmから約0.3mm、約0.08mmから約0.2mm、又は約0.1mmから約0.15mm(例えば、約0.11mm)の層厚を有することができる。パウチ材料は、約10%から約80%、又は約70%から約80%、例えば、約78%の伸び率を有することができる。いくつかの実施形態では、パウチ材料は、約1 lbから約8 lbs、又は約4 lbsから約8 lbs、例えば、約5.5 lbsのピーク負荷を有することができる。いくつかの実施形態では、編まれた及び織られた水溶性布材料は、約20 lbsから約 80lbsの範囲の引張力を有することができる。様々な実施形態では、編まれた及び織られた水溶性布材料は、約50%から約300%の伸び率を有することができる。織布の伸び率及び破断強度は、例えば、ASTM D5034-09(2013)(織布の破断強度及び伸び率の標準的な試験方法(グラブ試験))を用いて測定することができる。様々な実施形態では、フリース材料は、約35から約40、例えば、約37の引張エネルギー吸収度(TEA)を有することができる。TEAは、例えば、試験片の横方向面積当たりの引張荷重下で試験片を破断させるために行われる仕事量として測定することができる。ある特定の実施形態では、フリース材料は、約10,000ml/min/cm2を超える多孔度を有することができる。織布の多孔度又は空気透過性は、例えば、ASTM D737-04(2012)(織布の空気透過性の標準的な試験方法)を用いて測定することができる。
【0024】
本明細書に記載の洗浄剤パウチに有用な水溶性布材料は、少なくとも1つのポリマー材料を含む繊維から形成することができ、当該ポリマー材料は少なくとも部分的に水溶性である。様々な実施形態では、本明細書に記載の水溶性布材料は、実質的に完全に水溶性又は完全に水溶性であるポリマー材料を含む繊維から形成される。本明細書に記載の水溶性布材料に有用なポリマー材料は、冷水(例えば、約35℃未満の温度の水)に部分的に、実質的に完全に、又は完全に水溶性であり得る。完全に水溶性とは、ポリマーの少なくとも99.9重量%が水に可溶化されることを意味すると理解され、実質的に完全に水溶性とは、少なくとも98%、少なくとも98.5%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%が水に可溶化されることを意味すると理解される。
【0025】
パウチを形成するための水溶性布に使用される繊維は、水溶性であり、本明細書に別途記載されるような繊維又はフィラメントに形成されるのに好適な任意のポリマーから形成することができる。布パウチを形成するのに使用される1つ又は複数のポリマーは、溶解時間、パウチ強度、パウチを封止する能力、及びパウチ全体の審美性(例えば、平均的な消費者によって知覚されるような「外観」、「感触」など)をカスタマイズするのに有用であると考えられるように選択することができる。いくつかの実施形態では、パウチ材料を形成する繊維としては、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリエチレンオキシド、メチルセルロース、ポリアクリレート、及びそれらの組合せからなる群から選択されるポリマーを挙げてもよいが、これらに限定されない。様々な実施形態では、水溶性布材料は、少なくともポリビニルアルコール(PVOH)を含む。加えて、パウチ材料は、例えば、洗浄剤製剤がその中に挿入されると、単位用量パウチを封止するために、ヒートシールされるように構成されるように形成することができる。
【0026】
本開示の様々な実施形態では、水溶性ポリマーの混合物を含む繊維が提供される。好ましくは、このような繊維は、ポリマーの均質な混合物を含む。本明細書に記載の繊維の様々な実施形態では、均質な混合物のポリマー成分は、同じ又は異なるポリマーから形成することができる。本明細書で使用する場合、「同じ」ポリマーは、同一又は類似の化学式を有するポリマー成分を指すが、各ポリマー成分は、例えば、それらの異性体形態に関して異なり得る。ある特定の実施形態では、物品の様々な部分における溶解速度及び/又は粉末/顆粒の移動を制御するために、ポリマーが溶解する温度が異なる、異なるポリマーを、単位用量洗濯用洗浄剤物品の異なる部分で利用することができる。
【0027】
洗濯用洗浄剤パッケージ自体は、任意の構成であり得るが、その2つの最長寸法の平面に対して普通に見たときに、長方形又は正方形の形状を有するのが好都合であってもよい。長方形又は正方形のパケットは、従来のパッケージング用装置を使用する場合、他の構成よりも容易に製造され、封止される。単位用量洗濯用洗浄剤物品の例を図1に示す。単位用量洗濯用洗浄剤物品は、異なる消費者のニーズに対応するために、異なるサイズ及び重量(例えば、小、中、大)で提供することができることに留意されたい。サイズは、洗濯布量又は汚れのレベルに対して推奨される洗浄剤用量に相当することができる。単位用量洗浄剤物品の重量及び寸法は、洗浄水中での物品の迅速かつ完全な溶解を確実にするようにバランスされる。
【0028】
洗浄剤製剤
本開示による物品は、上述のパウチ内に供えられた洗濯用洗浄剤製剤を含む。パウチは多孔質又はノンフィルム形態として提供されるので、パウチ内に提供される洗浄剤製剤は、液体又はゲル形態ではなく固体形態である。パウチ内に存在する固体洗浄剤製剤は、様々な異なる形態(例えば、粒子、粉末、タブレット、顆粒など)で提供することができる。洗浄剤製剤は、布又は他のノンフィルムパウチ材料の孔を通して水が急速に浸透するため、物品が水と接触するとほぼ直ちに溶解し始めるように構成されるという点で、多孔質パウチで使用するように特に構成される。洗浄剤製剤はまた、既に上述した基準に従ってパウチ内に保持されるのに十分に大きい粒子サイズを維持しながら、急速な溶解を達成するように構成される。洗浄剤製剤は、有利には、液体又は固体として出発するかどうかにかかわらず、多種多様な洗浄剤組成物を改良する能力を考慮すると、多孔質パウチで使用するのに必要な形式で提供することができる。したがって、洗浄剤製剤は、造粒助剤の有無に関して洗浄剤組成物と区別することができ、これについては以下でさらに論じる。洗浄剤組成物は、固体、液体、又はそうでなければ、洗浄プロセスで使用する準備が整っている典型的な洗浄剤であってよい。洗浄剤組成物を造粒助剤とブレンドして洗浄剤製剤を形成し、これをパウチに入れて、本開示による洗浄剤物品を形成することができる。材料は、同様に、中間及び最終という用語の使用を通して区別されてもよい。中間洗浄剤は、本明細書に記載の造粒助剤と混合されていない洗浄剤であり、最終洗浄剤は、中間洗浄剤と造粒助剤とのブレンディングから得られる洗浄剤である。
【0029】
本開示によるパウチ物品に使用される洗浄剤製剤は、洗浄剤組成物に典型的に有用な任意の数の成分を含むことができる。洗濯用洗浄剤組成物中の、したがって本開示による洗濯用洗浄剤製剤中の有用な成分は、以下の成分のいずれか1つ以上を含むことができる(これらの各々は、単独で、又は上記群の複数の異なるメンバーとして存在してもよい):界面活性剤、キレート剤、ビルダー、アルカリ化剤、増粘剤、重炭酸塩、酵素、酵素安定剤、染料、蛍光増白剤、再析防止ポリマー、蛍光増白剤、香料、苦味剤、消泡剤、pH調整剤、ブリーチ、真珠状光沢剤、防腐剤、及び洗濯用ブースター。上記の成分のいずれか、並びにこのような製品において典型的に見出される他の成分は、形態又は意図される用途にかかわらず、記載されるような任意の組成物又は製剤において利用することができる。更に、必要であると別途規定されていない、本明細書に記載の任意の他の成分は、洗濯用洗浄剤組成物又は製剤の実施形態から任意に、明確に除外してもよい。前述の材料のうちのいずれかは、中間洗浄剤組成物又は最終洗浄剤製剤中に、中間洗浄剤組成物又は最終洗浄剤製剤の総重量に対して、0重量%から約20重量%、約0.01重量%から約15重量%、約0.02重量%から約10重量%、又は約0.05重量%から約5.0重量%の量で存在していてもよい。他の実施形態では、前述の材料のうちのいずれかは、中間洗浄剤組成物又は最終洗浄剤製剤中に、中間洗浄剤組成物又は最終洗浄剤製剤の総重量に対して、0重量%から約4.0重量%、約0.01重量%から約3.0重量%、約0.02重量%から約2.0重量%、又は約0.05重量%から約1.0重量%の量で存在していてもよい。
【0030】
既知の固体洗浄剤形態、例えば粉末は、本明細書に記載されるような多孔質パウチ内に保持するには不適切に小さい平均サイズを有し得、液体形態も同様に、多孔質パウチ内に好適に保持することができない。しかしながら、製品形態にかかわらず、本開示は、別の方法で完成された洗浄剤組成物と組み合わせることができ、かつ、洗濯機で使用する前に洗浄剤製剤を著しく損失することなく、本物品の多孔質パウチで使用するのに好適なサイズの粒子状洗浄剤製剤形態をもたらす造粒プロセスに供することができる造粒助剤を利用することができる。得られる粒子状洗浄剤製剤はまた、水と接触するとほぼ直ちに洗浄剤製剤が洗浄水中に溶解するように、水がパウチに浸透することができる物品において必要とされる望ましい溶解特性を備えている。
【0031】
本開示によるパウチ物品に有用な洗浄剤製剤を形成するための造粒助剤は、ポリマー材料であり得る。造粒助剤として使用されるポリマー材料は、上記の洗浄剤成分のいずれとも明確に区別することができる。これは、少なくとも部分的には、成分の添加の順序によるものであり得る(すなわち、ポリマー造粒助剤は、全ての他の洗浄剤成分が組み合わされて中間洗浄剤組成物を形成した後に添加され、次いで造粒プロセスに供される)。これはまた、少なくとも部分的には、既知の洗浄剤組成物の他のポリマー成分に対するポリマー造粒助剤の相対含有量によるものであり得る。これはまた、少なくとも部分的には、より小さな粉末をより大きな粒子に凝集させる際の、又は室温及びより高い温度で固体として液体洗浄剤製剤を提供するように液体洗浄剤組成物を同伴する際の、ポリマー造粒助剤の機能によるものであり得る。好ましくは、ポリマー材料は、少なくとも部分的に水溶性であるか、実質的に完全に水溶性であるか、又は完全に水溶性であり、このような用語は、本明細書中に既に記載された意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の洗浄剤製剤を形成するために洗浄剤組成物と組み合わせるための造粒助剤として使用されるポリマー材料は、洗浄剤組成物の成分を、多孔質パウチ内に保持されたときに所望の溶解特性を有する所望の粒子形状及びサイズに結合するように構成することができる。したがって、造粒助剤との組合せから得られる洗浄剤粒子は、多孔質パウチ内に洗浄剤製剤を保持するための上記以外の要件を満たす形態/サイズを呈することができる。
【0032】
1つ以上の実施形態では、本開示による造粒助剤として有用なポリマー材料は、洗浄水中での使用に好適であり(すなわち、一般に、自治体の水処理プラント又は環境へのアウトプットに許容可能であり)、パウチ物品を使用して洗濯中の衣類又は他の布物品に望ましくない影響をもたらさず、洗濯洗浄条件で上述のように溶解し、固体又は液体の中間洗浄剤組成物との組合せを容易にするために好適に低い融点を有し、その形成後のパウチ物品の運送及び貯蔵条件中に安定したままであるように好適に高い融点を有するポリマーであり得る。好適なポリマー材料は、特に、著しいゲル化を伴わずに固体状態と液体状態との間で可逆的に遷移するものであってもよい。このような溶融可逆性ポリマー材料は、溶融温度超で流動性組成物を提供する能力と共に、既に上述した特性を示して、中間洗浄剤組成物との混合を容易にし、次いで溶融温度未満に冷却すると固体形態に容易に遷移して戻ることを可能にするものであり得る。このような特性を満たすポリマーの非限定的な例としては、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー及びエチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)コポリマーが挙げられる。このような特性を満たす他のポリマー材料も同様に使用することができる。一方、本開示によれば、ゲル化ポリマー、例えば、ゼラチン及びペクチンは、本明細書に記載の洗浄剤の顆粒を形成するのに不適合である場合があることが見出された。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、親水コロイド又は増粘/ゲル化ポリマー、例えば、寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、MCC、MHPC、HPC、CMC)、滲出ガム(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、カラヤガム)、ジェランガム、コンニャクガム、加工デンプン、シードガム(例えば、ローカストビーンガム、グアーガム、及びタラガム)、及びキサンタンガムの使用を明確に除外してもよい。
【0033】
好適なポリマー材料は、溶融温度に関して具体的に特徴付けてもよい。いくつかの実施形態では、造粒助剤として使用されるポリマー材料は、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも45℃、又は少なくとも50℃、かつ80℃以下、75℃以下、又は70℃以下の溶融温度を有する。いくつかの実施形態では、溶融温度は、約40℃から約60℃であり得る。
【0034】
様々な実施形態では、ポリマー材料は、ポリエチレングリコール(PEG)であり得る。PEGポリマーは、ポリマー材料の平均分子量に関連して定義することができる。本開示による有用なPEGポリマーは、少なくとも約1000 Da、少なくとも約2000 Da、少なくとも約3000 Da、少なくとも約4000 Da、少なくとも約5000 Da、又は少なくとも約6000 Daの平均分子量を有することができる。好適な分子量の上限は、約25000 Da以下、約20000 Da以下、約15000 Da以下、又は約10000 Da以下であり得る。平均分子量は、名称の後に列挙されるポリマーの「グレード」として表してもよい(例えば、PEG 1000、PEG 8000など)。PEGは、数十万を超える分子量を有し得るので、PEGは、低分子量PEGであると特徴付けることができる。したがって、「低分子量PEG」は、上記のような分子量を有するか、又はより一般的には、25000 Da未満の分子量を有するようなPEGであり得る。
【0035】
分子量は、重量平均分子量(Mw)又は数平均分子量(Mn)として表すことができる。両表現は、高分子溶質含有溶液を、平均分子数(ni)及び各分子のモル質量(Mi)を有するものとして特徴付けることに基づいている。したがって、数平均分子量は、下記式2で定義される。
【数2】
【0036】
重量平均分子量(分子量平均としても知られる)は、光散乱法を使用して直接測定することができ、下記式3で定義される。
【数3】
【0037】
分子量はまた、Z-平均モル重量(Mz)として表すことができ、計算は、モル重量が大きい分子をより重視して行われる。Z-平均モル重量は、下記式4で定義される。
【数4】
【0038】
特に断りのない限り、分子量(MW)は、本明細書中では重量平均分子量として表される。
【0039】
理論に束縛されるものではないが、驚くべきことに、本開示によれば、低分子量ポリマー造粒助剤(例えば、PEG 8000)の使用は、本明細書に記載の洗濯用洗浄剤物品の製造に必要な結合能(すなわち、適切なサイズの粒子を形成するための造粒)及び水溶性の両方を可能にすることができることが発見された。低分子量PEGポリマーはまた、付加的な洗濯洗浄効果を提供することができる。洗濯洗浄性能試験は、ASTM D4265 Standard Guide for Evaluating Stain Removal Performance in Home Launderingに従って行った。添付の実施例に示される結果は、造粒助剤としてPEG 8000を用いて製造された洗濯用洗浄剤製剤が、PEG 8000造粒助剤を含まない洗濯用洗浄剤と比較して、コットン及びポリコットンからのいくつかの染み/汚れのより高い除去を提供したことを示した。相加効果は、少なくとも5%、少なくとも8%、少なくとも10%、又は少なくとも12%の改善であり得る。
【0040】
上述のように、造粒助剤としての使用に好適なポリマーとしては、エチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)コポリマー、具体的にはEO-PO-EOタイプのものを挙げることができる。これらのポリマーは、ポリマー特性に加えて界面活性挙動を示すので、特に有用であり得る。これらのEO-PO-EOブロックコポリマーは、BASFから商品名Pluronic(登録商標)で市販されており、総称的にポロキサマー界面活性剤とも呼ばれる。本発明において特に好ましいのは、上述の範囲の融点を有するポロキサマー材料である。単一のポロキサマー又は複数のポロキサマーを使用することができ、組合せを使用して融解温度をカスタマイズすることができる。
【0041】
本明細書に記載の造粒助剤は、同様に、ポロキサマーと構造が類似している1つ以上のポリマーを含むことができる。例えば、PO-EO-POブロック構造からなるポリマーであるPluronic(登録商標)R界面活性剤を使用してもよい。Pluronic(登録商標)R界面活性剤は、Pluronic(登録商標)界面活性剤と類似の物性を示し、したがって、上述のパラメーターを満たす造粒助剤として用いることができる。
【0042】
ポリマー造粒助剤として採用してもよい追加のポリマー界面活性剤としては、PO-EOブロック基で四官能性に修飾されたエチレンジアミンを挙げることができる。これらのポリマーは、商品名Tetronic(登録商標)で市販されている。言及された他のポリマーと同様に、材料が、論じられた要件を満たす限り、任意のTetronic(登録商標)R又はその組合せを採用してもよい。
【0043】
様々な実施形態では、造粒助剤として利用される少なくとも1つのポリマー材料は、パウチ物品に含まれる最終洗浄剤製剤中に、洗浄剤製剤の総重量に対して、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、又は少なくとも約45重量%の量で存在することができる。ポリマー材料は、約95重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、又は約60重量%以下の最大量で存在することができる。様々な実施形態では、少なくとも1つのポリマー材料は、洗浄剤製剤の総重量に対して、約10重量%から約60重量%、約15重量%から約50重量%、約20重量%から約45重量%、又は約25重量%から約35重量%の量で存在する。
【0044】
1つ以上の実施形態では、本開示はまた、特に多孔質パウチ材料で使用するための特性が改善された洗浄剤製剤を作製する方法を包含する。本方法は、別の方法で完全な洗浄剤として構成される形態の洗浄剤組成物(粉末又は液体)を提供することを含むことができる。これは、組成物が本開示の製剤を達成するためにさらなる加工に供されるので、「中間」洗浄剤組成物として特徴付けることができる。中間洗浄剤組成物は、造粒剤として使用される好適な量のポリマー材料とブレンドすることができ、当該ポリマー材料は溶融した流動可能状態にある。ポリマー材料は、例えば、ToAutoワックスメルターを使用して溶融することができる。溶融ポリマー材料は、中間洗浄剤組成物の添加中にポリマーを溶融形態に維持するように構成された好適なユニットに添加することができる。実質的に均一な混合物を達成するのに好適な時間にわたってブレンドしたら、合わせた製剤を凝固させることができる。これは、例えば、複数の型を用いて行うことができる。型は、実質的にタブレットの形態又は造粒機で加工するのに十分なサイズの他の形状の固形剤を提供するようなサイズにすることができる。
【0045】
洗浄剤/ポリマーの組合せの凝固したタブレット又は単位は、次いで、処理速度及びスクリーンサイズの必要な組合せで造粒機中で加工して、完成した洗浄剤製剤として提供される所望の平均粒子サイズを達成することができる。完成した製剤をスクリーニングして、所望の粒子サイズ分布を達成することができる。様々な実施形態では、多孔質パウチ内に封入するための完成した洗浄剤製剤は、0.08mm(80ミクロン)超、0.1mm(100ミクロン)超、0.2mm(200ミクロン)超、0.4mm(400ミクロン)超、0.6mm(600ミクロン)超、0.8mm(800ミクロン)超、又は0.9mm(900ミクロン)超の平均粒子サイズを有することができる。粒子は、所望の溶解特性及び/又は所望の審美的特性に基づいて変化する最大平均粒子サイズを有することができる。例えば、実質的に粉末状の外観を維持することが望ましい場合があり、最大サイズは、1.5mm未満、1.2 mm未満、又は1mm未満であってもよい。より大きい粒子が所望される場合、平均サイズは、最大2mm、最大2.5mm、最大3mm、最大4mm、又は最大5mmであってもよい。粒子サイズを増大させることで、洗浄剤製剤の洗浄水への溶解時間を延長できることを理解すれば、さらに大きいサイズは必ずしも除外されるわけではない。ある特定の実施形態では、粒子サイズは、約0.08mmから約2mm、約0.1mmから約1.5mm、約0.2mmから約1.2mm、又は約0.4mmから約1mmであり得る。
【0046】
述べたように、洗浄剤製剤は、洗浄剤組成物に典型的に用いられる成分の任意の組合せを含む。例えば、典型的な固体洗浄剤組成物は、約10重量%から約15重量%の水、約2重量%から約15重量%の界面活性剤、約75重量%から約86重量%のビルダー、及び約0.01重量%から約13重量%の既に上で提供された成分のリストから選択される他の成分を含むことができる。典型的な液体洗浄剤組成物は、約65重量%から約80重量%の水、約2重量%から約15重量%の界面活性剤、約0.1重量%から約3重量%のビルダー、及び約2重量%から約20重量%の既に上で提供された成分のリストから選択される他の成分を含むことができる。
【0047】
洗浄剤組成物と造粒助剤との組合せである本開示による洗浄剤製剤は、典型的な洗浄剤組成物の少なくともある特定の成分を含むことができる。例えば、本開示による中間洗浄剤組成物又は完全な洗浄剤製剤は、少なくとも1つの界面活性剤及び/又は少なくとも1つのビルダーを含むことができる。
【0048】
多種多様なアニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を、本開示に従って用いてもよい。様々な実施形態では、好適なアニオン性界面活性剤としては、アニオン性サルフェート、スルホネート、カルボキシレート、及びサルコシネートの1つ以上の塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩、例えば、モノ-、ジ-、及びトリエタノールアミン塩)を挙げてもよい。例示的なアニオン性サルフェートとしては、直鎖及び/又は分枝鎖一級及び二級アルキルサルフェート、アルキルエトキシサルフェート、脂肪オレオイルグリセロールサルフェート、アルキルフェノールエチレンオキシドエーテルサルフェート、C5~C17アシル-N-(C1~C4アルキル)及び-N-(C1~C2ヒドロキシアルキル)グルカミンサルフェート、並びにアルキルポリサッカライドのサルフェート、例えば、アルキルポリグルコシドサルフェートを挙げることができる。例示的なアルキルサルフェートとしては、直鎖及び分枝鎖一級C10~C18アルキルサルフェートを挙げることができる。例示的なアルキルエトキシサルフェート界面活性剤としては、1分子当たり0.5から20モルのエチレンオキシドでエトキシル化されたC10~C18アルキルサルフェートを挙げることができる。例示的なアニオン性スルホネート界面活性剤としては、C5~C20直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエステルスルホネート、C6~C22第一級又は第二級アルカンスルホネート、C6~C24オレフィンスルホネート、スルホン化ポリカルボン酸、アルキルグリセロールスルホネート、脂肪酸アシルグリセロールスルホネート、脂肪酸オレイルグリセロールスルホネートの塩、及びそれらの任意の組合せを挙げることができる。例示的なアニオン性カルボキシレートとしては、アルキルエトキシカルボキシレート、及びアルキルポリエトキシポリカルボキシレートを挙げることができる。いくつかの実施形態では、好ましいアニオン性界面活性剤としては、様々なサルフェート(例えば、アルキルエーテルサルフェート、例えば、ラウレスサルフェート塩)、アルキルエステルスルホネート、及びアルキルベンゼンスルホネート(例えば、C5~C20又はC10~C16)を挙げることができる。本明細書で使用してもよいアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、メチルエステルスルホネート(MES)、及びC10-16アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)が挙げられる。ある特定の実施形態では、エトキシル化アニオン性界面活性剤が利用されてもよく、限定されたモル数のエチレンオキシド基を含んでもよい。例えば、アルキルエーテルサルフェートアニオン性界面活性剤は、5モル未満、又は4モル未満のエチレンオキシド基、例えば1から4個又は2から3個のエチレンオキシド基を含んでもよい。
【0049】
様々な実施形態では、好適な非イオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコールと1から25モルのエチレンオキシドとのアルキルエトキシレート縮合生成物を挙げてもよく、ここで、脂肪族アルコールのアルキル鎖は、直鎖又は分枝鎖、第一級又は第二級のいずれかであることができ、一般に6から22個の炭素原子を含有する。更に好適な非イオン性界面活性剤としては、水溶性エトキシル化C6~C18脂肪アルコール及びC6~C18混合エトキシル化/プロポキシル化脂肪アルコールを挙げることができる。例えば、エトキシル化脂肪アルコールは、3から20のエトキシル化度を有するC10~C18エトキシル化脂肪アルコールであることができる。いくつかの実施形態では、混合エトキシル化/プロポキシル化脂肪アルコールは、10から18個の炭素原子のアルキル鎖長、3から30のエトキシル化度、及び1から10のプロポキシル化度を有することができる。さらなる実施形態では、好適な非イオン性界面活性剤としては、プロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合によって形成された疎水性塩基とエチレンオキシドとの縮合から形成されるものを挙げることができる。このタイプの化合物の例としては、BASFから販売されている、ある特定の市販のPluronic(商標)界面活性剤が挙げられる。さらに、好適な非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応から得られる生成物との縮合から形成されるものを挙げることができる。このタイプの非イオン性界面活性剤の例としては、BASFから販売されている市販のTetronic(商標)化合物が挙げられる。ある特定の実施形態において、好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、様々なアルコールエトキシレートから選択することができる。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール鎖長及び/又は分子中に存在するエトキシレート基の数に関連して定義することができる。例えば、非イオン性界面活性剤は、3から20個の炭素原子、5から20個の炭素原子、7から19個の炭素原子、9から18個の炭素原子、10から17個の炭素原子、又は12から15個の炭素原子の炭素鎖長を有するアルコールから形成されたアルコールエトキシレートを含むことができる。さらなる例として、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり2から10、4から9、又は6から8モルのエチレンオキシドを有するアルコールエトキシレートを含むことができる。本明細書で使用してもよい非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、エトキシル化アルコール(AE)(特にC12-15アルコール)、例えば、商品名NEODOL(登録商標)で入手可能なもの、ラウリル又はミリスチルグルコシド(APG)、及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(2°AE)が挙げられる。
【0050】
好適なビルダーとしては、アルカリ化剤として有効な材料を挙げることができる。例えば、様々なアルカリ炭酸塩及び/又は他の無機アルカリ化剤を利用して、洗濯用洗浄剤組成物のpHを増大させると同時に、粘度を所望のレベルまで増大させてもよい。好ましくは、ナトリウム塩及び/又はカリウム塩(例えば、K2CO3及び/又はNa2CO3)を使用してもよい。例えば、ソーダ灰を用いることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の成分が、インサイチュでの炭酸塩の形成のために利用してもよい。例えば、重炭酸塩及び水酸化物の組合せは、炭酸塩のin situ形成に有効であり得る。例示的な実施形態では、重炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムをこの目的のために利用してもよく、他の形態の重炭酸塩及び水酸化物も同様に利用してもよい。
【0051】
様々な実施形態では、約5gから約20g、又は約8gから約15g(例えば、約10g)の複数の粒子の形態の完成した洗浄剤製剤をパウチに含めることができる。上述のように、パウチの寸法及びその中に包まれる洗浄剤の重量は、洗浄水中でのパウチ及び含まれる洗浄剤製剤の迅速かつ完全な溶解を確実にするようにバランスをとることができる。
【0052】
洗浄剤粒子サイズは、所望の粒子保持又はパウチからの製品の損失を達成するために、洗浄剤粒子が保持される布パウチ内の平均孔サイズと一致するように選択することができる。したがって、本開示の物品は、布平均孔サイズに対する洗浄剤粒子サイズの比が約1.6以上、約2以上、約4以上、約6以上、約8以上、約10以上、約12以上、約14以上、又は約16以上となるように、当該比を有するように製造することができる。最大比は、50以下、40以下、30以下、又は25以下であってもよい。ある特定の実施形態では、当該比は、約1.6から約50、約2から約40、約6から約35、約8から約30、又は約10から約25であり得る。
【0053】
上記の比は、布屈曲による予測不可能な効果のために、平均粒子サイズを平均布孔サイズに一致させることだけに依存するものではない。平均孔サイズがより小さいと、一般に、孔を通る粒子の損失がより低くなる場合があるが、生成物の透過性及び生成物の多孔度は、少なくとも布構造の屈曲の影響のために、直接的な相関を有さない。具体的には、不織布は、規則的な孔間隔を有する織布と比較して、粒子が布を通過するための屈曲が著しく大きい。この現象は、布の重量及び厚さと共に増大する。したがって、不織布に形成された非常に曲がりくねった経路のために、空気及び液体に対しては高い透過性を示すが、粒子に対しては非常に低い透過性を示す、好適な坪量及び布密度を有する布を製造することが可能である。上記の比は、平均孔サイズに加えて、少なくとも布坪量、布密度、及び布厚さを考慮して、布パウチが必要な粒子保持を提供する物品を得るために、布地の屈曲の影響を考慮に入れる。当該比は、同様に、不必要に小さい布平均孔サイズを選択することなく、洗浄水中での急速な溶解を促進するために望ましい小さい粒子サイズの選択を可能にする。
【実施例
【0054】
実施例1-洗濯用洗浄剤製剤の形成
従来の粉末洗浄剤組成物を提供し、これは、約10から15重量%の水、約2から15重量%の界面活性剤、約75から86重量%のビルダー、及び約0.01から13重量%の他の典型的な洗濯用洗浄剤成分(例えば、酵素、酵素安定剤、再析防止ポリマー、香料、染料、防腐剤、消泡剤、蛍光増白剤、又は本明細書に記載の他の材料)から構成されていた。
【0055】
約8000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(すなわち、PEG8000)を溶融し、以下の比で粉末洗浄剤組成物と混合した:
50%PEG 8000/50%洗浄剤;
40%PEG 8000/60%洗浄剤;
25%PEG 8000/75%洗浄剤;及び
35%PEG 8000/65%洗浄剤。
【0056】
Pluriol(商標)E 8000 Pastille PEGをPEG材料として使用した。PEGを、Fisher Scientific Isotemp Digital Magnetic Stirrer/Hotplateを用いて溶融した。プロペラを備えたIKA Werke EUROSTAR Power-B Overhead Stirrer Mixerを700rpmで用いて、記載の量のPEG及び洗浄剤を混合した。次いで、これらの混合物を型に入れ、固体になるまで室温で硬化させた。
【0057】
より高い濃度の洗浄剤を有する試料については、混合物は、型に注がれている間に結晶化し始めたので、試料をマイクロ波中に15秒間置いて、それらがより容易に型に入るように再溶融させた。型内のPEG-洗浄剤混合物を冷却したら、次いで、KitchenAidスタンドミキサーGrain Millアタッチメントを用いて粉砕した。粉砕後の顆粒生成物を、サイズ20 USメッシュ又は841μmの篩に通した。
【0058】
次いで、顆粒について溶解性試験を実施した。試料10グラムを室温の水1600mLに溶解し、全ての顆粒が溶解した時間を溶解時間として記録した。2000mLのガラスビーカーをこの試験に使用し、プロペラを備えたIKA Werke EUROSTAR Power-B Overhead Stirrer Mixerを使用し700rpmで混合した。ストップウォッチを使用して時間を測定した。
【0059】
PEG/CPD混合物について20 USメッシュ篩上に保持された材料のパーセント収率を計算し、以下の表1に報告した。以下の式を用いて、各試料のパーセント収率を計算した:
【数5】
【表1】
【0060】
PEG 8000と混合した洗浄剤のパーセンテージが異なっていても、どの混合物についてもパーセント収率に違いはもたらされなかった。しかしながら、溶解時間は、存在する洗浄剤の量によって影響を受けた。結果は、混合物中の洗浄剤の濃度がより高いと、顆粒の溶解性がより良好となることを示した。75%の洗浄剤を含む混合物は最も短い時間で水に溶解し、50%の洗浄剤を含む混合物は最も長い時間で溶解した。理論に束縛されるものではないが、これらの結果は、洗浄剤成分がPEG 8000ポリマーと比較して水溶性がより高いか又は溶解がより速い可能性があるという点で理にかなっている。
【0061】
PEG 8000を含む粒状洗濯用洗浄剤を製造した後、10グラムの洗濯用洗浄剤顆粒を、卓上インパルスヒートシーラーを用いて水溶性布シートの内側に密封して、パウチを形成した。使用した布材料は、ジョージア州ケネソーのGepco社から入手可能な100 gsmのPVOHフィラメントニット布であった。首尾よく形成されたパウチの写真を図1に示す。
【0062】
実施例2-洗浄剤顆粒の溶解性に対するポリマーの効果
PEG-洗浄剤型の別の2つの試料を、上記の実施例1に従って作製した。40%のPEG 8000及び60%の洗浄剤を含有する1つの試料を作製し、そしてさらなる試験のために上記と同じ様式で粉砕した。他の試料は、40%のBrijs100(ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル)及び60%の洗浄剤を含んでいた。Brijs100は、異なる水溶性ポリマーであり、PEG 8000と比較するために選択した。次いで、各試料からの顆粒を布パウチに包んだ。10グラムの各試料顆粒を、卓上インパルスヒートシーラーを用いて布パウチ内に熱密封し、矩形のパウチを作製し、当該布は、ジョージア州ケネソーのGepco社から入手可能な100 gsmのPVOHフィラメントニット布であった。
【0063】
40%PEG 8000/60%洗浄剤試料を含有する布パウチ及び40%BRIJ S100/60%洗浄剤試料を含有する布パウチの溶解性データは、以下の表2に見出すことができる。PEG顆粒を含有する布パウチは、BRIJ顆粒を含有するものよりも有意に速く溶解した。
【表2】
【0064】
実施例3-溶解速度に対するパウチ材料の効果
上記の実施例1及び2に従って作製された顆粒を、2つの異なる封入材料、すなわち、ジョージア州ケネソーのGepco社から入手可能な100 gsmのPVOHフィラメントニット布を含む水溶性布、及び水溶性フィルムPVOHフィルム(すなわち、非多孔質であり、したがって市販の単位用量洗濯用ポッドに類似している)に包んだ。10グラムの顆粒を、卓上インパルスヒートシーラーを用いて熱密封することによって水溶性布の内側に包み、矩形のパウチを作製した。別の10グラムの顆粒を水溶性PVOHフィルムの内側に熱密封し、別の矩形のパウチを作製した。同じ顆粒を含有する2つの異なるパウチの例は、同じ顆粒を含有する図2(水溶性PVOH布パウチ(左)及び水溶性PVOHフィルムパウチ(右))に見ることができる。各顆粒充填パウチを非水溶性布で覆い、ゴムバンドで縛って、図3に見ることができる、より大きなパウチを作製した。これらのより大きなパウチをビーカー内で10℃の水に浸漬し、Fisher Scientific Isotemp Digital Magnetic Stirrer/Hotplate及び大きな磁気撹拌棒を用いて冷水中で撹拌した。5分後、パウチをビーカーから取り出した。パウチを乾燥キャビネット内に室温で2日間放置し、次いで乾燥時に秤量した。残留物パーセントは、顆粒を含む水溶性布パウチからの残留未溶解材料の量から計算した。
【0065】
非水溶性布の内側に縛られた水溶性パウチの残留物試験の結果を以下の表3に示した。非水溶性布の内側に配置された場合、水溶性PVOH布で包まれた顆粒のパウチは、水溶性PVOHフィルムを有するパウチよりも良好に溶解した。非水溶性布の存在は、パウチに到達する水の遅延を引き起こした。この結果から、封入材料として布PVOHを用いることの利点は、洗濯機の布量が非常に高い場合など、単位用量パウチを完全に溶解するために利用可能な水が少ない場合にあることがわかった。理論によって限定されることを意図するものではないが、布PVOHの高い多孔度が、フィルムPVOHと比較してより良好な冷水の拡散/溶解を可能にし、その結果、残留物のパーセントが低くなった可能性がある。
【表3】
【0066】
実施例4-洗濯用洗浄剤製剤の製造
試験製剤は、既に上述したような組成を有する典型的な液体洗濯用洗浄剤と、PEG 8000ポリマー(Pluriol E 8000 Prills)と、ジエチレントリアミンペンタ酢酸DTPAキレート剤(4%水溶液、2%活性DTPA)、ジプロピレングリコール溶媒、コカミドプロピルベタイン界面活性剤(10%水溶液)、鎖延長界面活性剤(10%水溶液)、及び両性界面活性剤(10%水溶液)のリストから選択される1つの追加材料とを使用して製造した。布パウチを使用し、これは、ジョージア州ケネソーのGepco社から入手可能な100 gsmのPVOHフィラメントニット布を含んでいた。
【0067】
相組成研究を、液体洗濯用洗浄剤、結合ポリマー造粒助剤、及びキレート剤、溶媒、又は界面活性剤のいずれかである追加成分の組合せを用いて行った。これらの追加成分を、追加洗浄成分(キレート剤又は界面活性剤)として、又は混合物の成分の可溶化を助ける溶媒として評価した。洗浄剤、ポリマー、及び添加剤の組合せを、様々な異なる比でビーカーに添加した。直ちに分離しなかった混合物を15gのバッチで再度作製し、小さな秤量ボートに注ぎ、50℃の実験室オーブンで一晩乾燥させて、厚さ1cmの洗濯用洗浄剤タブレットを形成した(図4)。次いで、得られた洗濯用タブレットを、卓上インパルスヒートシーラーを用いて布ポリビニルアルコールに包んだ(図5)。
【0068】
液体洗濯用洗浄剤、ポリマー及び追加成分の全ての組合せが安定な混合物を示したわけではなかった。キレート剤又は溶媒を添加した組合せは、相分離を示した。コカミドプロピルベタイン(鎖延長界面活性剤)を含む組合せは、乾燥時に、外観が均一であり、最も滑らかな質感を有し、軟らかくも脆くもないタブレットをもたらす均質な混合物を示した。最良の結果は、洗浄剤/ポリマー/コカミドプロピルベタインの以下の比を用いた場合に見られた:
70%/20%/10%;
50%/40%/10%;
50%/20%/30%;及び
35%/35%/30%。
【0069】
以下の表4に示すように、洗浄剤タブレット中の水分パーセンテージを測定した。
【表4】
【0070】
冷水溶解試験において、布PVOH内に包まれた洗濯用洗浄剤タブレットは、1Lの9.8℃の水に1分15秒以内に溶解し始め、75%が混合しながら10分以内に溶解した。
【0071】
実施例5-洗濯用洗浄剤製剤の製造
液体洗濯用洗浄剤、PEG 8000(Pluriol(商標)E 8000 Prill)、及びSurfonic X-AESを加熱し、以下のパーセンテージで一緒に混合した:70%洗浄剤、20%PEG 8000、及び10%Surfonic X-AES。液体洗濯用洗浄剤は、本明細書に別途記載の一般的な組成を有していた。この混合物は、配合安定性(相分離なし)を示す組合せとして相組成研究(上記実施例4に記載)に基づいた。鎖延長界面活性剤Surfonic X-AESを、例えばグリース状又は油性の汚れ物質に対する最終洗浄剤製剤の洗浄効力を改善するために選択した。全ての成分を50mLのガラスビーカーに入れ、150℃に設定したFisher Scientific Isotemp Digital Magnetic Stirrer/Hotplateにセットした。混合物を、PEGが溶融し、混合物が均質になるまで、小型の磁気撹拌棒を用いて約300rpmで撹拌した。得られた試料を小型のプラスチック秤量ボートに注ぎ、一晩室温で硬化させた。次いで、得られたタブレットをさらなる試験に用いた。
【0072】
1つのタブレットを、本開示による水溶性PVOH布(ジョージア州ケネソーのGepco社から入手可能な100gsmのPVOHフィラメントニット布)に熱密封し、別のタブレットを、卓上インパルスヒートシーラーを用いて水溶性PVOHフィルムに熱密封した。2つのタブレットの例は、図6(水溶性PVOH布タブレット(左)及び水溶性PVOHフィルムタブレット(右))に見ることができる。
【0073】
残留物試験は、水溶性PVOH布タブレット及び水溶性PVOHフィルムタブレットに対して、各々を非水溶性布の内側に輪ゴムで縛った後に行った。残留物パーセントは、水溶性PVOH封入タブレットからの残留未溶解物の量から計算した。
非水溶性布の内側に配置された場合、水溶性PVOH布で包まれたタブレットは、水溶性PVOHフィルムで包まれたタブレットよりも良好に溶解した。非水溶性布の存在は、タブレットに到達する水の遅延を引き起こした。これらの知見から、封入材料として布PVOHを用いることの利点は、洗濯機の布量が非常に高い場合など、洗濯用洗浄剤タブレットを完全に溶解するために利用可能な水が少ない場合にあることがわかった。布PVOHの高い多孔度により、フィルムPVOHと比較して、水の拡散及び冷水中でのタブレットの溶解がより良好になり、残留物%がより低くなったと考えられる(表5)。
【表5】
【0074】
実施例6-多孔度評価
異なる水溶性布材料タイプの多孔度を、本開示の式1を用いて計算して、本明細書に別途記載される範囲内の平均粒子サイズを有する洗浄剤製剤を保持するのに十分に小さい孔サイズを有する水溶性繊維から形成された織布及び不織布を提供する能力を確認した。6つのパウチ材料試料を評価した:
1)PVOH繊維をNE 50/1カウントを有するスパンヤーンで縦編みして100gsmの織物にしたもの、PVOHグレードAA(15~25℃の溶解温度、実験室で測定した機械方向の平均孔サイズ0.28mm(0.011インチ又は11ミル)及び交差方向の平均孔サイズ0.16mm(0.006インチ又は6.2ミル);
2)試料1と同様のPVOH布であるが、より低デニールのPVOHフィラメントを有するPVOH布;
3)不織PVOH、1.7デニール/フィート(dpf)、スパンボンド;
4)不織PVOH、3.0 dpf、カレンダーボンド;
5)不織PVOH、3.0dpf、ニードルパンチ;及び
6)不織PVOH、2.2dpf、スルーエアボンド。
【0075】
様々な水溶性繊維材料を用いて、本開示の物品用のパウチとして使用するための織布、編物、又は不織布材料を製造することができるが、サイズ、dpf、坪量、及び布密度の選択は、所望のサイズ範囲の洗浄剤粒子、例えば、本明細書に別途記載される範囲内の平均サイズを有する粒子の捕捉を確実にするために重要であり得る。布の多孔度は、以下の表6に示すように、コーエンの式(上記の式1)を用いて決定することができる。
【表6】
【0076】
Cohenモデルは、プロトタイプ試料に使用されたニット材料の実際の測定値と比較したときに正確であり、優れた粉末保持を示した。理論的孔サイズは231ミクロンと推定され、実験室での孔サイズ測定値は160から280ミクロンであった。
【0077】
計算値を確認するために、水溶性繊維を用いて様々な不織布及びニット布を製造した。密度、透過性、強度、及び孔サイズを、製造した各布試料について測定した。布をパウチに形成し、約800ミクロンの平均粒子サイズを有する洗浄剤粒子で充填した。パウチからの粒子放出は、CIタンブリング試験を用いて測定した。試験を実施するためのタンブリング装置は、ISO 12945-3:2014,“Textiles - Determination of the fabric propensity to surface pilling, fuzzing or matting - Part 3: Random tumble pilling method”に記載されている。試験試料をASTM D1776に従って調整した。洗浄剤パウチをジッパーで閉じた1つのプラスチックバッグに入れた後、装置内で40RPMで100サイクル回転させ、Mettler 5 place balanceを用いてパウチの質量損失を測定した。本開示による布のための以下の試験試料を製造した。
【0078】
試験試料1-Kurrary 100%PVOH Kuralon K-II WN2 1.7 T繊維で作製された、Southeast Nonwovens Inc(Clover, NC)製のカレンダーポイントボンド不織布。
試験試料2-Kurrary 100%PVOH Kuralon K-II WN2 1.7 T繊維で作製された、Southeast Nonwovens Inc(Clover, NC)製のニードルパンチ不織布。
試験試料3-50%Kurrary PVOH Kuralon K-II WN2 1.7 T繊維、及びTechnical Absorbents Grimsby(North East Lincolnshire, UK)製の50%可溶性アクリレート(コード100/52/7)で作製された、Southeast Nonwovens Inc(Clover, NC)製のカレンダーポイントボンド不織布。
試験試料4-50%Kurrary PVOH Kuralon K-II WN2 1.7 T繊維、及びTechnical Absorbents Grimsby(North East Lincolnshire, UK)製の50%可溶性アクリレート(コード100/52/7)で作製された、Southeast Nonwovens Inc(Clover, NC)製のニードルパンチ不織布。
試験試料5-Aquapak Polymers(Birmingham, UK)製のスパンボンド100%PVOH。
試験試料6-Gepco Inc.(Kennesaw, GA USA)から調達した、100%PVOH(100 gsm)縦編み、ヤーン寸法スパンヤーンカウントNE 50/1。
【0079】
各試験試料の試験値を表7に示す。平均孔サイズがより小さいと、一般に、孔を通る粒子の損失がより低くなる場合があるが、生成物の透過性及び生成物の多孔度は、少なくとも布構造の屈曲の影響のために、直接的な相関を有さない。具体的には、不織布は、規則的な孔間隔を有する織布と比較して、粒子が布を通過するための屈曲が著しく大きい。この現象は、布の重量及び厚さと共に増大する。したがって、不織布に形成された非常に曲がりくねった経路のために、空気及び液体に対しては高い透過性を示すが、粒子に対しては非常に低い透過性を示す、好適な坪量及び布密度を有する布を製造することが可能である。
【0080】
本開示による試験布は、800ミクロン以上の平均サイズを有する粒子を含有する孔サイズ及び布構造を目標とした。試験により、粒子損失に対する所望の耐性を達成するための、布平均孔サイズに対する洗浄剤粒子サイズの好ましい比が特定された。好ましい比は、約1.6以上、特に約8以上又は約16以上の範囲であることが見出された。このような比は、本明細書に記載の粒子サイズ範囲及びパウチ布孔サイズのいずれにも同様に適用される。
【0081】
タンブリング時の粒子放出は、上記のCIタンブリング試験を用いて測定した。布の平均孔サイズは、SOP 926-11孔サイズ法を使用して、Vartest Laboratories, New York(NY)によって評価した。孔サイズは、ImageJソフトウェアで動作するAskania Stereo Microscopeを用いて測定した。したがって、孔は、布を通る光透過によって識別され、オペレーティングソフトウェアは、識別された各孔を横切る線を生成して、孔直径又は孔を横切る平均距離を獲得することによって機能した。複数の測定値の平均を報告した。
【0082】
引張強度は、ASTM 5035に従って評価した。空気透過性は、ASTM D737に従って評価した。厚さはASTM D1777に従って測定した。試料1では、ポイントボンドカレンダリングにより、表7に示すような全体の平均孔サイズを有する布が得られたが、孔の一部は明らかに大きく、約500ミクロンの範囲であった。したがって、孔サイズに対する粒子サイズの比は、全体の平均で約8であったが、存在する500ミクロンの孔に基づいて測定した場合、比は約1.6であった。
【表7】
【0083】
実施例7-洗浄剤製剤の造粒
上に一般的に記載した組成を有する標準的な粉末洗濯用洗浄剤を、1000から20,000ダルトンの分子量範囲を有するPEGとブレンドした。PEGは、製剤全体の35%から95%の量で使用し、残りは洗浄剤であった。PEGを、35℃から110℃の温度で、TOAUTO 6.5Liter Wax Melter中で溶融した。溶融PEGを必要とされる重量パーセントに計量し、二重ボイラーモード用に構成された予熱したArtestia Electric Fondue 1500W Makerに添加した。次いで、洗浄剤を溶融PEGに添加し、任意の熱安全器具を用いて一緒にブレンドして、実質的に均一な状態にした。均一な混合物を計量して型に入れ、室温で放置してタブレットに凝固させた。凝固したタブレットを、付属の2C156Qスクリーンを用いてQuadro 194 Overdriven Conical Comil中で粉砕した。Comilの速度は、Quadro 194の製造業者によって提供される可変周波数ドライブを用いて、700から2400RPMの間で調整した。速度及びスクリーンは、顆粒サイズを調整するために変更することができる。具体的には、一定の速度設定を使用して、1インチあたりの穴の数が増加するにつれて、顆粒の粒子サイズを減少させることができる。製剤によっては、凝固したPEG/洗浄剤タブレットは、穴/インチの設定がより低い場合は顆粒に、又は穴/インチの設定がより高い場合は粉末になる。マトリックスをComilに通して加工したら、Ro-Tapスクリーンを用いてスクリーニングを行い、所望の粒子サイズ分布カットを得た。
【0084】
実施例8-粒状洗浄剤の洗浄効力 試験を実施して、典型的な洗浄剤組成物(上記のような)とブレンドして本開示による洗浄剤製剤を形成したときの造粒助剤(PEG 8000)の添加剤洗浄効果を評価した。コットン又はポリコットン布を、異なる染み剤及びソイリング(soiling)剤で汚し、次いで、典型的な洗浄剤組成物単独、又は造粒助剤としてPEG 800とブレンドした典型的な洗浄剤組成物(20重量%のPEG及び80重量%の洗浄剤)を用いて、同一の洗濯ステップに供した。洗濯洗浄性能試験は、ASTM D4265 Standard Guide for Evaluating Stain Removal Performance in Home Launderingに従って行った。以下の表8に見られるように、造粒助剤としてPEG 8000を用いて製造された洗濯用洗浄剤製剤が、PEG 8000造粒助剤を含まない洗濯用洗浄剤と比較して、コットン及びポリコットンからのいくつかの染み/汚れのより高い除去を提供した。
【表8】
【0085】
実施例9-洗浄剤物品の溶解 試験を実施して、洗浄剤物品が洗浄水に溶解し、したがって水中に洗浄剤又は担体材料からの残留粒子が存在しないようにする能力を評価した。本開示による試験物品を、洗浄剤組成物が担体と組み合わされた(例えば、溶解可能なパウチの内側に、又は溶解可能なシート若しくはバーに埋め込まれた)4つの比較物品に対して評価した。試験品は、造粒助剤としてPEG 8000と組み合わされた典型的な洗浄剤組成物を用いて製造した洗浄剤製剤から形成した。試験物品の洗浄剤製剤を、100%PVOHで作製された繊維から形成された不織布の内側に置き、不織布をカレンダーボンドして、60 gsmの坪量を有する布を得た。
【0086】
試験物品及び4つの比較物品の各々を、15℃で1Lの脱イオン水に別々に添加し、10分間絶えず撹拌しながら溶解させた。得られた溶液を、真空下、ブフナー漏斗上の濾紙を通して濾過した。別々の溶液からの残留固体を集めたら、残留固体を含む濾紙を54℃のオーブンに10分間入れて、残っている水を全て飛ばした。次いで、濾紙を秤量して、溶液からの残留粒子の重量を決定した(すなわち、残留物を含む紙の重量から残留物を添加する前の紙の重量を引いたもの)。
【0087】
4つの比較物品のうちの3つは、ブフナー漏斗法による濾過が失敗するほど十分に多量の未溶解固体を含む溶液をもたらした。第4の比較試料及び試験試料は各々、実質的に完全に溶解したような視覚的外観を呈し、両方とも濾過に成功した。濾過に成功した2つの試料の残留物は、濾紙上に捕捉された残留物の重量を溶解前の物品の元の重量で割ったものとして計算した。比較試料は3.98gの開始重量を有し、3.5gの残留物を濾過によって捕捉した。これにより、元の物品の固体質量の87.94%が水に完全には溶解しなかったことが示された。
【0088】
本開示による試験試料は、31.11gの開始重量を有し、2.95gの残留物を濾過によって捕捉した。これにより、元の物品の固体質量の9.48%だけが水に完全には溶解しなかったことが示された。したがって、試験は、織布又は不織布パウチと、本明細書に記載されるような造粒助剤とブレンドされた典型的な洗浄剤組成物から形成された洗浄剤製剤との組合せにより、洗浄水中での溶解特性が改善された洗浄剤物品がもたらされるという結論を支持した。
【0089】
本明細書で使用される「約」又は「実質的に」という用語は、ある特定の列挙された値又は条件が、明確に列挙された値又は条件、及びそれに比較的近い値又はそれに比較的近いと認識される条件も包含するものとして解釈されることが意図されていることを示すことができる。例えば、本明細書において別段の指示がない限り、「約」ある特定の数又は「実質的に」ある特定の値の値は、特定の数又は値だけでなく、そこから(+又は-)2%以下、又は1%以下だけ変動する数又は値を示すことができる。同様に、本明細書において別段の指示がない限り、実質的に存在する条件は、その条件が、記載若しくは特許請求されている通りに正確に満たされていることか、又は典型的な製造公差内にあることか、又は必要とされる条件を完全には満たさない場合であっても、何気なく観察すると必要とされる条件を満たすように見えることを示すことができる。いくつかの実施形態では、値又は条件は、明確なものとして定義してもよく、よって、「約」又は「実質的に」との用語(したがって、言及した分散)は、かかる明確な値から除外されてもよい。複数の可能な下端値及び複数の可能な上端値が、特定のパラメータに対して提供される場合、下端値のいずれか及び上端値のいずれかを含む値の考えられる全ての組合せが、パラメータを説明するために包含されていることが理解される。
【0090】
本開示の多くの改変及び他の実施形態は、前述の説明に提示される教示の利益を有する、本開示が関係する技術分野の当業者には想起されるであろう;そして、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、本開示の変形及び改変を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変形例及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。特定の用語が本明細書で採用されているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用され、限定の目的では使用されていない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】