(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】ポリオキソメタレートによって触媒される二酸化炭素の電気化学的還元
(51)【国際特許分類】
B01J 23/888 20060101AFI20240521BHJP
B01J 31/04 20060101ALI20240521BHJP
C25B 3/26 20210101ALI20240521BHJP
C25B 3/03 20210101ALI20240521BHJP
C25B 3/07 20210101ALI20240521BHJP
C25B 1/23 20210101ALI20240521BHJP
【FI】
B01J23/888 M
B01J31/04 M
C25B3/26
C25B3/03
C25B3/07
C25B1/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572677
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-23
(86)【国際出願番号】 IL2022050551
(87)【国際公開番号】W WO2022249178
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500018608
【氏名又は名称】イエダ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】at the Weizmann Institute of Science,PO Box 95,7610002 Rehovot,Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン、ロニー
(72)【発明者】
【氏名】ダバー-エーザイザ・ディマ
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンマン・アリエル
(72)【発明者】
【氏名】ザギ・アヴラ
【テーマコード(参考)】
4G169
4K021
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA06
4G169AA11
4G169BA43A
4G169BB07A
4G169BB07B
4G169BB14A
4G169BB16A
4G169BC01A
4G169BC06B
4G169BC08A
4G169BC09A
4G169BC10A
4G169BC10B
4G169BC12A
4G169BC13A
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC17A
4G169BC17B
4G169BC18A
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC23A
4G169BC26A
4G169BC27A
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC39A
4G169BC39B
4G169BC40A
4G169BC41A
4G169BC44A
4G169BC58A
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169BC62A
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BD03A
4G169BD05A
4G169BD05B
4G169BD07A
4G169BE08A
4G169BE08B
4G169BE17A
4G169BE17B
4G169BE28A
4G169BE41A
4G169BE45A
4G169CB02
4G169CB62
4G169CB70
4G169CB72
4G169CB74
4G169CB81
4G169DA04
4G169FA01
4G169FB05
4G169FB08
4K021AA09
4K021AC02
4K021AC05
4K021AC07
4K021AC09
4K021BA06
(57)【要約】
本開示によれば、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物、及び、それを使用して二酸化炭素(CO
2)を電気化学的に還元する方法が提供される。
(Q)
n[XM
aM
bM
c(L
a)(L
b)(L
c)W
9O
37] (I)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物。
(Q)
n[XM
aM
bM
c(L
a)(L
b)(L
c)W
9O
37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
M
a、M
b、及びM
cは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
L
a、L
b、及びL
cは、互いに独立して、H
2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
M
a、M
b、及びM
cのうちの少なくとも1つはSn、Al、Zn、もしくはGaであるか、または、M
a、M
b、及びM
cは互いに異なる。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
Qは、第四級アンモニウムカチオンである、化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、
M
a、M
b、及びM
cは互いに異なる、化合物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物であって、
M
a、M
b、及びM
cのうちの少なくとも1つは、Sn、Al、Zn、またはGaである、化合物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の化合物であって、
当該化合物は、(Q)n[XCu
2M´´L
aL
bLcW
9O
37]であり、
M´´は、Sn、Zn、Al、及びGaからなる群から選択される、化合物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の化合物であって、
当該化合物は、(Q)
n[XCu
2ZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCu
2GaL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCu
2SnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCu
2AlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuFeZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuFeNiL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuFeAlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuNiZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuNiAlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuCoZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuCoAlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuMnZnL
aL
bL
cW
9O
37]、または、(Q)
n[XCuMnAlL
aL
bL
cW
9O
37]である、化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の化合物であって、
Xは、SiまたはPである、化合物。
【請求項8】
二酸化炭素を、一酸化炭素、ギ酸塩もしくはギ酸、ホルムアルデヒド、メタノール、エタン、エチレン、エタノール、またはそれらの任意の組み合わせに還元する方法であって、
二酸化炭素を、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物と反応させるステップを含み、
反応は、カソード、アノード、任意選択で参照電極、任意選択で膜、及び、二酸化炭素の還元触媒としての下記の式(I)で表される前記ポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を含む電気化学セル内で行われる、方法。
(Q)
n[XM
aM
bM
c(L
a)(L
b)(L
c)W
9O
37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
M
a、M
b、及びM
cは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
L
a、L
b、及びL
cは、互いに独立して、H
2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
印加電位は、Fc/Fc
+に対して-3.5~0.0Vである、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
印加電位は、Fc/Fc
+に対して-2.5または-1.5Vである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物、及び、それを使用して二酸化炭素(CO2)を電気化学的に還元する方法に関する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
【背景技術】
【0002】
気体二酸化炭素の固定化とさらなる利用は、自然界の最も重要な成果の1つであり、環境及びエネルギー関連化学の最も重要な目的の1つである。二酸化炭素は人間活動によって発生する主な温室効果ガスであり、大気中の二酸化炭素濃度は400ppmの閾値を超えている。二酸化炭素(CO2)の発生の増加により、二酸化炭素を有益な化学物質に変換する方法が求められている(Cokoja, M.; Bruckmeier, C.; Rieger, B.; Herrmann, W. A.; Kuhn, F. E. Transformation of Carbon Dioxide with Homogeneous Transition-Metal Catalysts: A Molecular Solution to a Global Challenge? Angew. Chemie - Int. Ed. 2011, 50, 8510-8537)。最も研究されている変換方法の1つは、CO2を光化学的還元または電気化学的還元によって一酸化炭素に変換し、それにより、使用可能な製品へのさらなる既知の変換のための汎用中間体を生成する方法である。関心のある他の還元生成物は、メタノール、及び、エタノールなどのC-C結合化合物である。残念なことに、裸電極上でのCO2の直接電気支援還元は、反応の多電子的性質及びCO2分子構造の再編成のための基本的要求に起因する大きな過電位によって特徴付けられる速度論的に遅いプロセスである(Mikkelsen, M.; Jorgensen, M.; Krebs, F. C. The Teraton Challenge. A Review of Fixation and Transformation of Carbon Dioxide. Energy Environ. Sci. 2010, 3, 43-81; Appel, A. M.; Bercaw, J. E.; Bocarsly, A. B.; Dobbek, H.; Dubois, D. L.; Dupuis, M.; Ferry, J. G.; Fujita, E.; Hille, R.; Kenis, P. J. A.; Kerfeld, C. A.; Morris, R. H.; Peden, C. H. F.; Portis, A. R.; Ragsdale, S. W.; Rauchfuss, T. B.; Reek, J. N. H.; Seefeldt, L. C.; Thauer, R. K.; Waldrop, G. L. Frontiers, Opportunities, and Challenges in Biochemical and Chemical Catalysis of CO2 Fixation. Chem. Rev. 2013, 3, 6621-6658)。
【0003】
このような背景から、多くの有機金属錯体が電極触媒CO2還元のために研究されてきたが(Franke, R.; Schille, B.; Roemelt, M. Homogeneously Catalyzed Electroreduction of Carbon Dioxide-Methods, Mechanisms, and Catalysts. Chem. Rev. 2018, 118, 4631-4701)、そのほとんどにはいくつかの問題点がある。例えば、一般的に研究されている遷移金属の中には希少で高価であること、電極触媒還元反応中に安定しない錯体があること、好ましい配位子の合成が複雑で経済的でないことなどである。そこで、本願発明者は、CO2還元のための電極触媒として使用することができる、可溶性の無機金属酸化物クラスタ、すなわちポリオキソメタレートを発明した。ポリオキソメタレートは、1以上の架橋酸素原子を有する遷移金属の単量体オキソ種から形成される、一般にアニオン性のクラスタと考えることができる。ポリオキソメタレート化学への関心は、それらの構造、サイズ、酸化還元活性、溶解度、熱安定性、及び電荷密度によるところが大きい。長年にわたり、親ポリオキソメタレートの前駆体を修飾することにより、ユニークな構造及び電子特性を有する新しいクラスの化合物が開発されてきた。遷移金属イオンを置換したオリジナルのポリオキソメタレートは、「遷移金属置換ポリオキソメタレート」として知られている。
【0004】
ポリオキソメタレートは、合成が容易で、熱的にも酸化的にも安定であり、その固有特性を容易に改変することができ、電子移動が関与する変換において優れた効率で使用できるため、触媒として魅力的である(Neumann, R. Activation of Molecular Oxygen, Polyoxometalates and Liquid Phase Catalytic Oxidation. Inorg. Chem. 2010, 49, 3594-3601)。さらに、これらのポリオキソメタレートの多くは、プロトンの存在に敏感な可逆的酸化還元過程を示す。また、ポリオキソメタレートは、弱塩基で求核剤であるが、CO
2配位中心近傍での水素結合ネットワークの形成を促進し、プロトン結合電子移動を促進することができる(Girardi, M.; Blanchard, S.; Griveau, S.; Simon, P.; Fontecave, M.; Bedioui, F.; Proust, A. Electro-Assisted Reduction of CO 2 to CO and Formaldehyde by (TOA)6[α-SiW11O39Co(_)] Polyoxometalate. Eur. J. Inorg. Chem. 2015, 3642-3648)。ラクナリー(lacunary)ポリオキソメタレートを遷移金属で置換すると、通常、弱塩基性酸素原子が表面に存在するポリアニオンの反応性が増大する。このような錯体への合理的なアプローチとして、α-またはβ-[SiW
9O
34]
9-などのラクナリーアニオンを調製し(G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117)、そのラクナリーアニオンのラクナリー位置に金属カチオンを封入することにより、トリ金属置換ポリオキソメタレートを調製した。このようにして、ポリオキソメタレートアニオン、[SiW
9M
3(L)
3O
37]
n-(
図1)を調製した(Liu, J.; Ortega, F.; Sethuraman, P.; Katsoulis, D. E.; Costello, C. E.; Pope, M. T. Trimetallo Derivatives of Lacunary 9-Tungstosilicate. J. Chem. Soc., Dalton Trans. 1992, 1901-1906)。式中、M=Co(II)、Fe(III)、Cu(II)、Mn(II)、Ni(II)、Cr(III)、Al(III)、及びGa(III)である。また、Fe(III)を他の金属と共にラクナリーの位置に含め、これにより、[PW
9O
37{Fe
III
3-xNix(OAc)
3}]
(9+x)-、または、[SiW
9(Fe
III)
2M´(L)
3O
37]
n-(M´は、Ni(II)、Co(II)、またはMn(II)である)を形成したという報告もある(Mizuno, N.; Nozaki, C.; Horose, T.; Tateishi, M.; Iwamoto, M. Liquid-phase oxygenation of hydrocarbons with molecular oxygen catalyzed by Fe, Ni-substituted Keggin-type heteropolyanion. J. Mol. Catal. A: Chem. 1997, 117, 159- 168 and Girardi, M. Application des derives metalliques des polyoxometallates pour la catalyse d'electroreduction de CO2 Universite Pierre et Marie Curie, Paris VI 2016)。
【0005】
既知の分子及び材料の電極触媒はすべて、CO2の電解還元にかなり高い過電位を必要とする。そこで、過電位が低く、触媒反応を駆動するために必要な電力エネルギーがより少ない触媒を見つけることが主な目的となる。CO2の還元は通常、プロトン移動と結合して、1個の電子がCO2に移動してアニオンラジカルであるCO2
・-を形成するという非常にエネルギー吸収性の移動を克服する。このようなプロトン結合電子移動反応は、依然として速度が遅く、反応の駆動に必要な過電位を減少させるためには効率的な触媒が必要である。Savantらは、ルイス酸としてMg2+チオンを加えることにより、Feテトラフェニルポルフィリン(FeTPP)によるCO2からCOへの還元速度を向上させ、それによって、触媒の安定性をさらに改善した(Hammouche, M.; Lexa, D.; Momenteau, M.; Saveant, J.-M. Chemical catalysis of electrochemical reactions. Homogeneous catalysis of the electrochemical reduction of carbon dioxide by iron (″0″) porphyrins. Role of the addition of magnesium cations. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 8455-8466)。Lewis酸は、結合したCO2配位子のC-O結合の1つの切断を促進してCOを生成すると考えられる。別の論文では、Mnビピリジン型触媒の触媒反応速度を上げるために、ブレンステッド酸の代わりにルイス酸を使用することが報告されている(Sampson, M. D.; Kubiak, C. P. Manganese Electrocatalysts with Bulky Bipyridine Ligands: Utilizing Lewis Acids To Promote Carbon Dioxide Reduction at Low Overpotentials. J. Am. Chem. Soc. 2016, 138, 1386-1393)。実際、ルイス酸の影響を受けない高過電位での高ターンオーバーの高速反応と、低過電位での低ターンオーバーの低速反応との2つの触媒領域が観察された。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本開示は、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはSn、Al、Zn、もしくはGaであるか、または、Ma、Mb、及びMcは互いに異なる。
【0007】
さらなる実施形態では、本開示は、二酸化炭素を、一酸化炭素、ギ酸塩もしくはギ酸、ホルムアルデヒド、メタノール、エタン、エチレン、エタノール、またはそれらの任意の組み合わせに還元する方法であって、
二酸化炭素を、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物と反応させるステップを含み、
反応は、カソード、アノード、任意選択で参照電極、任意選択で膜、及び、二酸化炭素の還元触媒としての下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を含む電気化学セル内で行われる、方法を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明と見なされる主題は、明細書の結論部分で特に指摘され、明確に主張されている。しかしながら、本発明は、構成及び動作方法の両方に関して、また、その目的、特徴、及び利点と共に、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読むことによって最もよく理解されるであろう。
【0009】
【
図1】
図1は、{SiM
aM
bM
c(H
2O)
3W
9O
37}
n-アニオンの多面体とボール・スティックの混合表現を示す。Wは外側八面体;Siは中央の内側四面体;M
aM
bM
cは上部の3つのボール;Oは小さな薄灰色のボール。水素原子と対カチオンは図示していない。
【0010】
図示の簡略化及び明確化のために、図示されている要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。例えば、いくつかの要素の寸法は、明確化のために、他の要素と比較して誇張されている場合がある。さらに、適切と考えられる場合には、対応する要素または類似する要素を示すために、参照番号が図面間で繰り返し使用される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細を用いることなく実施してもよいことは、当業者には理解されるであろう。他の例では、よく知られている方法、手順、及び構成要素は、本発明を不明瞭にしないように、詳細に記載されていない。
【0012】
本開示のポリオキソメタレート化合物
【0013】
いくつかの実施態様では、本開示は、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
【0014】
いくつかの実施態様では、本開示は、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つは、Sn、Al、Zn、またはGaである。
【0015】
いくつかの実施態様では、本開示は、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも2つは互いに異なる。
【0016】
いくつかの実施態様では、本開示は、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
Ma、Mb、及びMcは互いに異なる(すなわち、Ma、Mb、及びMcは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される3種類の金属である)。
【0017】
別の実施形態では、オキシアニオンの非限定的な例としては、ホウ酸塩、炭酸塩、硝酸塩、リン酸塩、硫酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、トシラート、メシラート、及びトリフラートが挙げられる。
【0018】
別の実施形態では、ポリオキソメタレートのアニオンは、[PW9O37{FeIII
3-xNix(L)3}]q-(x=1~2)、[SiW9(FeIII)2NiII(L)3O37]n-、[SiW9(FeIII)2MnII(L)3O37]n-、または、[SiW9(FeIII)2CoII(L)3O37]n-、ではない。
【0019】
いくつかの実施態様では、式(I):(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37]中のQは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるカチオンである。他の実施形態では、Qは、プロトンである。他の実施形態では、Qは、アルカリ金属カチオンである。他の実施形態では、Qは、アルカリ土類金属カチオンである。他の実施形態では、Qは、ランタニドカチオンである。他の実施形態では、Qは、窒素中心カチオンである。他の実施形態では、Qは、リン中心カチオンである。他の実施形態では、Qは、R1R2R3R4N+であり、式中、R1は、H、アルキル、アリール、またはアルキルアリールであり、R2は、H、アルキル、アリール、アルキルアリール、CyH2y+1(y≧8である)、または、CzH2z+1COOH(z≧7である)であり、R3及びR4は、互いに独立して、H、アルキル、アリール、アルキルアリール、または、(CH2CH2O)mCH2CH2R5(m≧3である)であり、R5は、H、OH、アルキル、ハロゲン化物、または擬ハロゲン化物である。
【0020】
いくつかの実施態様では、Qは、R1R2R3R4N+であり、式中、R2は、CyH2y+1であり、y≧8である。他の実施形態では、yは、8~50の整数である。他の実施形態では、yは、8~40の整数である。他の実施形態では、yは、8~30の整数である。他の実施形態では、yは、8~20の整数である。
【0021】
いくつかの実施態様では、Qは、R1R2R3R4N+であり、式中、R2は、CzH2z+1COOHであり、y≧7である。他の実施形態では、zは、7~50の整数である。他の実施形態では、zは、7~40の整数である。他の実施形態では、zは、7~30の整数である。他の実施形態では、zは、7~20の整数である。
【0022】
いくつかの実施態様では、Qは、R1R2R3R4N+であり、R3及びR4は、互いに同一であるか、または互いに異なる。いくつかの実施形態ではR3及びR4は、互いに独立して、(CH2CH2O)mCH2CH2R5であり、m≧3である。他の実施形態では、mは、3~50の整数である。他の実施形態では、mは、3~40の整数である。他の実施形態では、mは、3~30の整数である。他の実施形態では、mは、3~20の整数である。他の実施形態では、mは、3~15の整数である。他の実施形態では、mは、3~10の整数である。
【0023】
いくつかの実施態様では、Qは、R1R2R3R4N+であり、式中、R1は、エチルであり、R2は、CzH2z+1COOHであり、z≧7であり、R3及びR4は、(CH2CH2O)mHであり、m=6~20である。他の実施形態では、Qは、R1R2R3R4N+であり、式中、R1は、メチルであり、R2は、テトラデシル、ヘキサデシル、またはオクタデシルであり、R3及びR4は、(CH2CH2O)mHであり、m=5~10である。
【0024】
いくつかの実施態様では、式(I):(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37]のポリオキソメタレート化合物中のQは窒素中心カチオンであり、窒素中心カチオンの非限定的な例としては、第四級アンモニウム、ピリジニウム、及びイミダゾリウムカチオンが挙げられる。
【0025】
一実施形態では、第四級アンモニウムは、テトラヘキシルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、及びベンジルトリメチルアンモニウムなどからなる群から選択される。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0026】
いくつかの実施態様では、リン中心カチオンの一例としては、ホスホニウムカチオン、例えばテトラフェニルホスホニウムが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用するとき、単独で、または別の基の一部として使用される「アルキル」という用語は、一実施形態では、「C1~C12のアルキル」を指し、直鎖または分岐、飽和または不飽和(例えば、アルケニル、アルキニル)基を意味し、後者は、アルキル鎖の炭素原子の数が2以上の場合のみであり、混合構造を含むことができる。非限定的な例は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基(C1~C6アルキル)、または、1~4個の炭素原子を有するアルキル基(C1~C4アルキル)である。飽和アルキル基の例としては、これに限定しないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、アミル、tert-アミル、及びヘキシルが挙げられる。アルケニル基の例としては、これに限定しないが、ビニル、アリル、ブテニルなどが挙げられる。アルキニル基の例としては、これに限定しないが、エチニル、プロピニルなどが挙げられる。同様に、「C1~C12のアルキレン」という用語は、炭素数1~12の二価のラジカルを意味する。
【0028】
アルキル基は、非置換であってもよいし、または、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、オキソ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ナフチル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、カルボキシ、カルバモイル、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホニルアミノ、スルフィニル、スルフィニルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、及びアルキルスルホニル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換されてもよい。任意の置換基は、非置換であってもよいし、または、上記の置換基のいずれかでさらに置換されてもよい。
【0029】
本明細書で使用するとき、単独で、または別の基の一部として使用される「アルキルアリール」という用語は、いくつかの実施態様では、本明細書中に定義されたアリールによって置換される、上記に定義されたアルキル基を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、単独で、または別の基の一部として使用される「アリール」という用語は、6~14個の環炭素原子を有する芳香族環系を指す。アリール環は、単環式、二環式、三環式などであり得る。アリール基の非限定的な例は、フェニルやナフチル(例えば、1-ナフチル、2-ナフチル)などである。アリール基は、非置換であってもよいし、または、利用可能な炭素原子を介して、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、オキソ、シクロアルキル、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ナフチル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジアルキルアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルヘテロアリールアミノ、アリールヘテロアリールアミノ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、カルボキシ、カルバモイル、カルボキサミド、シアノ、スルホニル、スルホニルアミノ、スルフィニル、スルフィニルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、及びアルキルスルホニル基からなる群から選択される1以上の置換基で置換されてもよい。任意の置換基は、非置換であってもよいし、または、上記の置換基のいずれかでさらに置換されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、nは、4~13の整数である。他の実施形態では、nは、4~6、4~9、6~3、または5~10の整数、あるいは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13の整数の間の任意の範囲である。
【0032】
いくつかの実施態様では、式(I)または式(Ia)の化合物のMa、Mb、及びMc、またはM´´は、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Ma、Mb、及びMcは、互いに異なる。いくつかの実施形態では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも2つは互いに異なる。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはCrである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはMnである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはFeである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはCoである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはNiである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはCuである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはZnである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはAlである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはGaである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはSnである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはSbである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはInである。いくつかの実施形態では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはScである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはSrである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはMgである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはYである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはYbである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはBaである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つはCaである。いくつかの実施態様では、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つは、Sn、Al、Zn、またはGaである。
【0033】
いくつかの実施態様では、式(I)のポリオキソメタレートは、(Q)n[XCu2M´´LaLbLcW9O37]であり、M´´は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。一実施形態では、M´´は、Fe、Ni、Al、Ga、Sn、またはZnである。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0034】
いくつかの実施態様では、式(I)のポリオキソメタレートは、(Q)n[XCuFeZnLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2FeLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuFe2LaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2NiLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuNi2LaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2ZnLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2GaLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2AlLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2SnLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2SbLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCu2InLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuFeNiLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuFeAlLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuFeGaLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuFeSnLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuNiZnLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuNiAlLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuCoZnLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuCoAlLaLbLcW9O37]、(Q)n[XCuMnZnLaLbLcW9O37]、または、(Q)n[XCuMnAlLaLbLcW9O37]である。
【0035】
いくつかの実施態様では、式(I)のポリオキソメタレートのXは、SiまたはPである。
【0036】
いくつかの実施態様では、式(I)または(Ia)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2Oである。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、カルボン酸塩である。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、オキシアニオンである。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、ハロゲン化物である。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、擬ハロゲン化物である。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、炭酸塩である。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、互いに独立して、重炭酸塩である。他の実施形態では、式(I)のポリオキソメタレートのLa、Lb、及びLcは、存在しない。
【0037】
いくつかの実施態様では、式(I)のポリオキソメタレートは、(Q)9[SiCu2Fe(H2O)3W9O37]、(Q)8[SiCuFe2(H2O)3W9O37]、(Q)10[SiCu2Ni(H2O)3W9O37]、(Q)10[SiCuNi2(H2O)3W9O37]、(Q)9[SiCuFeNi(H2O)3W9O37]、(Q)8[SiFe2Al(H2O)3W9O37]、(Q)9[SiFeGa2(H2O)3W9O37]、(Q)10[SiCu2Zn(H2O)3W9O37]、(Q)9[SiCu2Al(H2O)3W9O37]、(Q)9[SiCu2Ga(H2O)3W9O37]、(Q)8[SiCu2Sn(H2O)3W9O37]、(Q)9[SiCuFeZn(H2O)3W9O37]、(Q)8[SiCuFeAl(H2O)3W9O37]、(Q)8[SiCuFeGa(H2O)3W9O37]、(Q)7[SiCuFeSn(H2O)3W9O37]、(Q)10[SiCuNiZn(H2O)3W9O37]、または、(Q)9[SiCuNiAl(H2O)3W9O37]である。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0038】
使用方法
【0039】
さらなる実施形態では、本開示は、
二酸化炭素を、一酸化炭素、ギ酸塩もしくはギ酸、ホルムアルデヒド、メタノール、エタン、エチレン、エタノール、またはそれらの任意の組み合わせに還元する方法であって、
二酸化炭素を、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物と反応させるステップを含み、
反応は、カソード、アノード、任意選択で参照電極、任意選択で膜、及び、二酸化炭素の還元触媒としての下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を含む電気化学セル内で行われる、方法を提供する。
(Q)n[XMaMbMc(La)(Lb)(Lc)W9O37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
【0040】
いくつかの実施態様では、本開示の二酸化炭素の還元方法は、二酸化炭素を、式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物と反応させるステップを含み、Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択され、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つは、Sn、Al、Zn、またはGaである。他の実施形態では、Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba及びCaからなる群から選択され、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも2つは互いに異なる。他の実施形態では、Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba及びCaからなる群から選択され、Ma、Mb、及びMcは互いに異なる。
【0041】
いくつかの実施態様では、本開示の二酸化炭素の還元方法は、二酸化炭素を一酸化炭素に還元することを目的とする。いくつかの実施態様では、本開示の二酸化炭素の還元方法は、二酸化炭素をギ酸塩またはギ酸に還元することを目的とする。いくつかの実施態様では、本開示の二酸化炭素の還元方法は、二酸化炭素をホルムアルデヒドに還元することを目的とする。いくつかの実施態様では、本開示の二酸化炭素の還元方法は、二酸化炭素のメタノールに還元することを目的とする。いくつかの実施態様では、本開示の二酸化炭素の還元方法は、二酸化炭素を、エタン、エチレン、エタノール、またはそれらの任意の組み合わせに還元することを目的とする。
【0042】
いくつかの実施態様では、本開示に使用される電気化学セルは、作用電極(カソード)、対向電極(アノード)、及び、任意選択で参照電極を含む。一実施形態では、本開示に使用される電気化学セルは、作用電極、対向電極、及び参照電極を含む。一実施形態では、当技術分野で既知の任意の材料及び形状の電極を本開示で使用することができる。
【0043】
一実施形態では、電気化学は、ガス拡散電解槽である。
【0044】
いくつかの実施態様では、電気化学セルの電解質は、当該技術分野で既知の任意の電解質である。
【0045】
いくつかの実施形態では、電解質はQ-Zであり、Zは、オキシアニオン、ハロゲン化物、擬ハロゲン化物、PF6
-、またはBF4
-であり、Qは、式(I)で定義した通りである。
【0046】
いくつかの実施形態では、電気化学セル内に溶媒が存在しており、溶媒は、当該技術分野で既知の任意の溶媒である。
【0047】
いくつかの実施態様では、溶媒は、pHが塩基性、中性、または酸性の水である。
【0048】
いくつかの実施形態では、溶媒は、有機溶媒、または、複数の有機溶媒の組合せである。有機溶媒の非限定的な例としては、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、グリム、ジグリム、エチレングリコールオリゴマー、エチレングリコールポリマー、モノアルキル化エチレングリコールオリゴマー、モノアルキル化エチレングリコールポリマー、ジアルキル化エチレングリコールオリゴマー、ジアルキル化エチレングリコールポリマー、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施態様では、電気化学セルのカソードは、炭素ディスク、炭素ロッド、炭素布、または炭素紙などの炭素である。
【0050】
いくつかの実施態様では、電気化学セルのカソードは、チタン、鉄、または銅などの金属である。
【0051】
いくつかの実施態様では、電気化学セルのアノードは、Ptワイヤ、炭素、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、鉄、ニッケル、鉄とニッケルの組み合わせ、または、コバルト含有化合物である。
【0052】
いくつかの実施態様では、電気化学セルの膜は、当該技術分野で既知の任意の膜である。
【0053】
いくつかの実施態様では、膜はアニオン性であり、いくつかの実施態様では、膜はナフィオン(Nafion)であり、いくつかの実施態様では、膜はジルコニアやアルミナなどのラミック材料であり、いくつかの実施態様では、膜は多孔性有機ポリマーである。
【0054】
いくつかの実施態様では、電気化学セルの印加電位は、Fc/Fc+に対して、-3.5~0.0V、-3.0~0.0V、-2.5~0.0V、-2.0~0.0V、または、-1.5~0.0Vの間である。特定の実施形態では、印加電位は、Fc/Fc+に対して、-2.5V~-1.5Vである。
【0055】
別の実施形態では、作動電極としてガラス状炭素ディスク(d=3mm)、対向電極としてガラスフリットによって分離された15mmPtワイヤ、及び参照電極としてFc/Fc+という構成が利用される。別の実施形態では、作動電極としてチタン金属、対向電極としてカーボン布、及び、膜としてナフィオン膜という構成が利用される。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0056】
一実施形態では、電気化学セルは、カソード、アノード、ポリオキソメタレート化合物(式(I)の化合物)、及び電解質を含む。
【0057】
一実施形態では、電気化学セルは、カソード、アノード、ポリオキソメタレート化合物、参照電極、及び電解質を含む。
【0058】
一実施形態では、電極触媒反応は、有機溶媒中の非分割セルで行われる。
【0059】
一実施形態では、電極触媒反応は、アノード区画とカソード区画とを分離する高分子膜電解質を有する分割セル構造で行われる。
【0060】
一実施形態では、電極触媒反応は、有機溶媒中、すなわち、アノード区画とカソード区画とを分離する高分子膜電解質を有する分割セル構造の電解質中で行われる。
【0061】
一実施形態では、電極触媒反応は、ポリオキソメタレートが溶媒に溶解しているフローセル膜電解槽で行われる。
【0062】
一実施形態では、電極触媒反応は、ガス拡散電解槽で行われる。
【0063】
一実施形態では、本開示の電気化学セルは、カソード、アノード、及びポリオキソメタレート化合物(式(I)で表される)を含む。一実施形態では、本開示のポリオキソメタレート化合物は、固体形態で使用される。一実施形態では、本開示のポリオキソメタレート化合物は、溶液中に溶解される。一実施形態では、溶液は、溶媒及び溶質を含み、溶質は、本開示のポリオキソメタレート化合物であり、任意選択で電解質である。一実施形態では、溶媒は、アセトニトリルである。一実施形態では、本開示のポリオキソメタレート化合物の濃度は、0.1~5mM、0.1~1mM、0.1~2mM、または、1~5mMの範囲である。別の実施形態では、本開示のポリオキソメタレート化合物の濃度は、2mMである。一実施形態では、溶液中の電解質濃度は、0.01~1M、または0.05~1Mの間である。別の実施形態では、電解質の濃度は、0.1Mである。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0064】
一実施形態では、電解質は、添加剤、安定剤、塩、イオン、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。一実施形態では、電解質のpHは調節される。一実施形態では、水及び化合物を含む溶液のpHは、0~14の範囲である。一実施形態では、溶液のpH値は、酸性である。一実施形態では、溶液のpHは、塩基性である。一実施形態では、溶液のpHは、6~8、5~9、4~10、3~11、2~12、または1~13の範囲である。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0065】
一実施形態では、本開示の方法は、電気化学セル中で本開示のポリオキソメタレート化合物を二酸化炭素と0.1~72時間接触させるステップを含む。別の実施形態では、接触させる時間は、0.1~2時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、2~5時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、5~10時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、10~15時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、10~20時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、15~30時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、20~50時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、25~72時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、1時間である。別の実施形態では、接触させる時間は、15時間である。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0066】
本開示の化合物の調製
【0067】
一実施形態では、本開示の式(I)のポリオキソメタレートのアニオンは、以下の方法によって調製される。一実施形態では、水溶性のα-またはβ-[XW9O34]9-アニオンと、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の混合物または下記のIaで表される化合物(以下のさらなる実施形態を参照)を水中で反応させることによって、アニオン[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-(式(I)のアニオン)を調製する。
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc Ia
式中、
X、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
w及びyは、互いに独立して、1~5の整数である。
zは、0~10の整数である。
na、nb、及びncは、互いに独立して、1~5の整数である。
Mは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sc、Sr、Mg、Y、Ba、またはCaである。
Lは、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
【0068】
一実施形態では、本開示は、[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-を調製する方法であって、
水中の水溶性α-またはβ-[XW9O34]9-アニオンと、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の混合物または下記のIaで表される化合物を水中で反応させるステップを含み、それによって、[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-を調製する方法を提供する。
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc Ia
式中、
X、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
w及びyは、互いに独立して、1~5の整数である。
zは、0~10の整数である。
na、nb、及びncは、互いに独立して、1~5の整数である。
Mは、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sc、Sr、Mg、Y、Ba、またはCaである。
Lは、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
【0069】
Q´n[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]の具体的な調製方法は、以下の通りである。
【0070】
一実施形態では、Q´n[SiMaMbMc(LaLbLc)W9O37]は、Na9[β-SiW9O37]を水中で、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の混合物と反応させることによって生成される。
式中、
w、y、z、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
Q´は、プロトン、アルカリ金属カチオン、またはそれらの組み合わせなどのカチオンである。
Lは、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
【0071】
一実施形態では、Na9[α-SiW9O37]を水中で、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の混合物と反応させて、Q´n[SiMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を生成する。
式中、
w、y、z、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
Q´は、プロトン、アルカリ金属カチオン、またはそれらの組み合わせなどのカチオンである。
Lは、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
【0072】
一実施形態では、Na9[PW9O34]を水中で、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の混合物と反応させて、Q´n[PMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を生成する。
式中、
w、y、z、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
Q´は、プロトン、アルカリ金属カチオン、またはそれらの組み合わせなどのカチオンである。
Lは、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
【0073】
一実施形態では、Na9[β-SiW9O34]を水中で化合物MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)ncと反応させて、Q´n[SiMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を生成する(式中、y、Q´、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。別の実施形態では、na+nb+nc=9である。
【0074】
一実施形態では、Na9[α-SiW9O34]を水中で化合物MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)ncと反応させて、Q´n[SiMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を生成する(式中、y、Q´、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。別の実施形態では、na+nb+nc=9である。
【0075】
一実施形態では、Na9[PW9O34]を水中で化合物MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)ncと反応させて、Q´n[PMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を生成する(式中、w、y、Q´、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。別の実施形態では、na+nb+nc=9である。
【0076】
[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-の具体的な調製方法は、以下の通りである。
【0077】
一実施形態では、[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-は、水溶性α-またはβ-[XW9O34]9-アニオンと、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の混合物とを水中で反応させることによって生成される。
式中、
w、y、z、X、M、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
Lは、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
【0078】
一実施形態では、[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-は、水溶性α-またはβ-[XW9O34]9-アニオンと、化合物MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)ncとを水中で反応させることによって生成される(式中、y、X、M、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。別の実施形態では、na+nb+nc=9である。
【0079】
[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]n-のQ´からQへのカチオン交換の具体的な方法は、以下の通りである。
【0080】
一実施形態では、(Q)n[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37](Qは、アルカリ土類金属塩、ランタニド塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される)は、(Q´)n[XMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を、アルカリ土類金属塩、ランタニド塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせと反応させることによって調製される(式中、Q´、X、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。
【0081】
一実施形態では、(Q)n[SiMaMbMc(LaLbLc)W9O37](Qは、アルカリ土類金属塩、ランタニド塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される)は、(Q´)n[SiMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を、アルカリ土類金属塩、ランタニド塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせと反応させることによって調製される(式中、Q´、X、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。
【0082】
一実施形態では、(Q)n[PMaMbMc(LaLbLc)W9O37](Qは、アルカリ土類金属塩、ランタニド塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される)は、(Q´)n[PMaMbMc(LaLbLc)W9O37]を、アルカリ土類金属塩、ランタニド塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、またはそれらの任意の組み合わせと反応させることによって調製される(式中、Q´、X、Ma、Mb、Mc、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである)。
【0083】
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc化合物
【0084】
一実施形態では、本開示は、下記の式(Ia)のアニオンで表される混合金属塩化合物を提供する。
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc (Ia)
式中、
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、H2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
na、nb、及びncは、互いに独立して、1~5の整数である。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
【0085】
他の実施形態では、Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba及びCaからなる群から選択され、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも1つは、Sn、Al、Zn、またはGaである。他の実施形態では、Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba及びCaからなる群から選択され、Ma、Mb、及びMcのうちの少なくとも2つは互いに異なる。他の実施形態では、Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba及びCaからなる群から選択され、Ma、Mb、及びMcは互いに異なる(すなわち、Ma、Mb、及びMcは、上記の群から選択される3種類の金属である)。
【0086】
別の実施形態では、na、nb、及びncの合計(すなわち、na+nb+nc)は、3~15、3~5、3~10、10~15、12~15、5~15、7~12、または、8~11の範囲である。別の実施形態では、na+nb+nc=9である。
【0087】
一実施形態では、式(Ia)は、CuFeZn(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Fe(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuFe2(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Ni(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuNi2(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Zn(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Ga(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Al(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Sc(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Cu2Mg(La)na(Lb)nb(Lc)nc、Fe2Ni(La)na(Lb)nb(Lc)nc、FeNi2(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuFeNi(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuFeAl(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuNiZn(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuNiAl(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuCoZn(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuCoAl(La)na(Lb)nb(Lc)nc、CuMnZn(La)na(Lb)nb(Lc)nc、または、CuMnAl(La)na(Lb)nb(Lc)ncによって表される。
【0088】
一実施形態では、式(Ia)は、[Cu2Fe(MeCOO)6(H2O)3]、[Cu2Ni(MeCOO)6(H2O)3]、[Cu2Zn(MeCOO)6(H2O)3]、[Cu2Ga(MeCOO)6(H2O)3]、[Cu2Al(MeCOO)6(H2O)3]、[Cu2Sc(MeCOO)6(H2O)3]、[Cu2Mg(MeCOO)6(H2O)3]、[CuFeNi(MeCOO)6(H2O)3]、[CuFeZn(MeCOO)6(H2O)3]、[CuFeAl(MeCOO)6(H2O)3]、[CuNiZn(MeCOO)6(H2O)3]、または、[CuNiAl(MeCOO)6(H2O)3]によって表される。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
【0089】
一実施形態では、下記の式(Ia)で表される化合物は、各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩を反応させ、それによって得られた塩を式(Ia)で表される化合物として単離することによって調製される。
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc (Ia)
式中、
及びyは、互いに独立して、1~5の整数である。
zは、0~10の整数である。
La、Lb、及びLcは、互いに独立して、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Ma、Mb、及びMcは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
【0090】
一実施形態では、本開示は、下記の式(Ia)で表される化合物を調製する方法であって、
各塩がMwLy・zH2Oで表される最大3種の塩の溶液を混合するステップと、
それによって得られた塩を式(Ia)で表される化合物として単離するステップと、
を含む方法を提供する。
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc (Ia)
式中のw、y、z、La、Lb、Lc、並びに、Ma、Mb、及びMcは、本明細書中で上記した通りである。
【0091】
別の実施形態では、溶液は、水性の溶液または当技術分野で既知の他の溶液である。別の実施形態では、塩の溶液は、混合前にろ過される。他の実施形態では、下記の式(Ia)で表される化合物の単離は、当該技術分野で既知の任意の単離工程(非限定的な例としては、蒸発、沈殿/結晶化、抽出、昇華などが挙げられる)を含む。別の実施形態では、単離は、MwLy・zH2Oで表される塩を互いに混合することによって得られた混合物の真空蒸発を含む。各々は、本開示の別個の実施形態を表す。
MaMbMc(La)na(Lb)nb(Lc)nc (Ia)
【0092】
特定の実施形態
【0093】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCu2M´´LaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。M´´は、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
【0094】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCu2M´´LaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0095】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCu2M´´LaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0096】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuFeZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0097】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuFeZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0098】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuFeZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0099】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuFeAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0100】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuFeAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0101】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuFeAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0102】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuFeGaLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0103】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuFeGaLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0104】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuFeGaLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0105】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuFeSnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0106】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuFeSnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0107】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuFeSnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0108】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuNiZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0109】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuNiZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0110】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuNiZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0111】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuNiAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0112】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuNiAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0113】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuNiAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0114】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuNiGaLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0115】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuNiGaLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0116】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuNiGaLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0117】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuCoZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0118】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuCoZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0119】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuCoZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0120】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuCoAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0121】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuCoAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0122】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuCoAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0123】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuMnZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0124】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuMnZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0125】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuMnZnLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0126】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[XCuMnAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0127】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[SiCuMnAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0128】
一実施形態では、本開示は、電気化学セル内で、ポリオキソメタレート化合物(Q)n[PCuMnAlLaLbLcW9O37]またはその溶媒和物を二酸化炭素と反応させることによって、二酸化炭素を一酸化炭素に還元する方法を提供する。
【0129】
いくつかの実施態様では、上記の特定の実施態様内で、式(I)の化合物について、X、Q、La、Lb、Lc、及びnは、本明細書中で上記した通りである。
【0130】
実施例
【0131】
実施例1:セシウム塩としての{SiW9O37[Cu2Ga(L)]3}9-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0132】
硝酸銅(II)三水和物(0.02mol)及び硝酸ガリウム(III)水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[Cu2Ga(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[Cu2Ga(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{Cu2Ga(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率48%)。
【0133】
実施例2:セシウム塩としての{SiW9O37[Cu2Zn(L)]3}10-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0134】
硝酸銅(II)三水和物(0.02mol)及び硝酸亜鉛(II)六水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[Cu2Zn(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[Cu2Zn(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{Cu2Zn(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率57%)。
【0135】
実施例3:セシウム塩としての{SiW9O37[Cu2Sn(L)]3}8-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0136】
硝酸銅(II)三水和物(0.02mol)及び酢酸スズ(IV)三水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[Cu2Sn(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[Cu2Sn(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{Cu2Sn(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率49%)。
【0137】
実施例4:セシウム塩としての{SiW9O37[Cu2Al(L)]3}9-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0138】
硝酸銅(II)三水和物(0.02mol)及び硝酸アルミニウム(III)無水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[Cu2Al(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[Cu2Al(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{Cu2Al(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率51%)。
【0139】
実施例5:セシウム塩としての{SiW9O37[Cu2Sc(L)]3}9-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0140】
硝酸銅(II)三水和物(0.02mol)及び硝酸カドミウム(III)六水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[Cu2Sc(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[Cu2Sc(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{Cu2Sc(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率36%)。
【0141】
実施例6:セシウム塩としての{SiW9O37[Cu2Mg(L)]3}10-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0142】
硝酸銅(II)三水和物(0.02mol)及び硝酸マグネシウム(II)六水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより薄青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[Cu2Mg(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[Cu2Mg(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{Cu2Mg(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率35%)。
【0143】
実施例7:セシウム塩としての{SiW9O37[CuFeNi(L)]3}9-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0144】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸鉄(III)非水和物(0.01mol)、及び硝酸ニッケル(II)六水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより黄緑色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuFeNi(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[CuFeNi(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuFeNi(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率47%)。
【0145】
実施例8:セシウム塩としての{SiW9O37[CuFeZn(L)]3}9-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0146】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸鉄(III)非水和物(0.01mol)、及び硝酸亜鉛(II)六水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70ml)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより褐色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuFeZn(MeCOO)6(H2O)3]を得た。
【0147】
[CuFeZn(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuFeZn(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率37%)。
【0148】
実施例9:セシウム塩としての{SiW9O37[CuFeAl(L)]3}8-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0149】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸鉄(III)無水和物(0.01mol)、及び硝酸アルミニウム(III)無水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより緑褐色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuFeAl(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[CuFeAl(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuFeAl(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率54%)。
【0150】
実施例10:セシウム塩としての{SiW9O37[CuNiZn(L)]3}10-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0151】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸ニッケル(II)六水和物(0.01mol)、及び硝酸亜鉛(II)六水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70ml)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuNiZn(MeCOO)6(H2O)3]を得た。
【0152】
[CuNiZn(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuNiZn(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率52%)。
【0153】
実施例11:セシウム塩としての{SiW9O37[CuNiAl(L)]3}9-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0154】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸ニッケル(II)六水和物(0.01mol)、及び硝酸アルミニウム(III)無水和物(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70ml)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。これにより青色の溶液が得られた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuNiAl(MeCOO)6(H2O)3]を得た。[CuNiAl(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuNiAl(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率49%)。
【0155】
実施例12:セシウム塩としての{SiW9O37[CuFeGa(L)]3}8-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0156】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸鉄(III)非水和物(0.01mol)、及び硝酸ガリウム(II)(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70ml)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuFeGa(MeCOO)6(H2O)3]を得た。
【0157】
[CuFeGa(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuFeGa(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率47%)。
【0158】
実施例13:セシウム塩としての{SiW9O37[CuFeSn(L)]3}7-の合成(L=H2OまたはOAc-):
【0159】
硝酸銅(II)三水和物(0.01mol)、硝酸鉄(III)無水和物(0.01mol)、及び酢酸スズ(IV)(0.01mol)のろ過攪拌溶液(70mL)に、酢酸ナトリウム三水和物(0.32mol)の水溶液(70mL)を加えた。この溶液を蒸発させ、真空下で乾燥させて、[CuFeSn(MeCOO)6(H2O)3]を得た。
【0160】
[CuFeSn(MeCOO)6(H2O)3](1.75mmol)の水溶液(15mL)に、NaOAc/HOAc溶液(pH6)に溶解させたNa9[β-SiW9O37H]・23H2O(1.75mmol、「G. Herve and A. Teze, Study of alpha-and beta-enneatungstosilicates and-germanates. Inorg. Chem., 1977, 16, 2115-2117」にしたがって調製した)を激しく攪拌しながら少量ずつ加え、50°Cで1時間加熱した。CsCl(0.33g/ml)溶液を室温で加えたところ、Cs9[SiW9O37{CuFeSn(L)3}]の淡緑色の沈殿が生じた。この化合物を、赤外線分光法及び高分解能質量分析法で特性評価した(収率36%)。
【0161】
実施例14:アルカリ金属カチオンと第四級アンモニウムカチオンとの代表的な交換:
【0162】
Cs10[SiCu3(H2O)3W9O37](300mg)を、ビーカに入れた50mLの脱イオン水に溶解させた。テトラヘキシルアンモニウムブロミド(3.6g)を100mLのジクロロメタンに溶解させ、超音波処理を15分間行った。この2つの溶液を混合したところ、2つの別々の相が形成された:上相は水性相であり、下相は、[(n-ヘキシル)4N]10[SiCu3(H2O)3W9O37]を含む油性相であった(抽出し、脱イオン水で数回洗浄した)。その後、透明溶液を蒸発乾固した。
【0163】
実施例15:非分割セルのCO2削減:
【0164】
チタン金属作用電極、炭素布対向電極、ナフィオン膜、及びアセトニトリル中の支持電解質として2mMの[(n-ヘキシル)
4N]
n[SiM
aM
bM
c(L
aL
bL
c)W
9O
37](実施例14で詳述したようにして調製した)及び0.1Mの(n-ブチル)
4NPF
6を含む電解槽(
図2)において、定電位電解を室温で1時間行った。6種類の[SiM
aM
bM
c(H
2O)
3W
9O
37]
n-アニオンについての、CO生成量、CO生成に対するファラデー効率(FE)を下記の表に示す。
【0165】
【0166】
本明細書では、本発明の特定の特徴を図示し、説明してきたが、様々な改変、置換、変更、及び均等物が、当業者であれば想到し得るであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の要旨の範囲内に含まれるそのような全ての改変及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物。
(Q)
n[XM
aM
bM
c(L
a)(L
b)(L
c)W
9O
37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
M
a、M
b、及びM
cは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
L
a、L
b、及びL
cは、互いに独立して、H
2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは
、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
M
a、M
b、及びM
cのうちの少なくとも1つはSn、Al、Zn、もしくはGaであるか、または、M
a、M
b、及びM
cは互いに異なる。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、
Qは、第四級アンモニウムカチオンである、化合物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化合物であって、
M
a、M
b、及びM
cは互いに異なる、化合物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化合物であって、
M
a、M
b、及びM
cのうちの少なくとも1つは、Sn、Al、Zn、またはGaである、化合物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の化合物であって、
当該化合物は、(Q)n[XCu
2M´´L
aL
bLcW
9O
37]であり、
M´´は、Sn、Zn、Al、及びGaからなる群から選択される、化合物。
【請求項6】
請求項1または2に記載の化合物であって、
当該化合物は、(Q)
n[XCu
2ZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCu
2GaL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCu
2SnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCu
2AlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuFeZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuFeNiL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuFeAlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuNiZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuNiAlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuCoZnL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuCoAlL
aL
bL
cW
9O
37]、(Q)
n[XCuMnZnL
aL
bL
cW
9O
37]、または、(Q)
n[XCuMnAlL
aL
bL
cW
9O
37]である、化合物。
【請求項7】
請求項
1または2に記載の化合物であって、
Xは、SiまたはPである、化合物。
【請求項8】
二酸化炭素を、一酸化炭素、ギ酸塩もしくはギ酸、ホルムアルデヒド、メタノール、エタン、エチレン、エタノール、またはそれらの任意の組み合わせに還元する方法であって、
二酸化炭素を、下記の式(I)で表されるポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物と反応させるステップを含み、
反応は、カソード、アノード、任意選択で参照電極、任意選択で膜、及び、二酸化炭素の還元触媒としての下記の式(I)で表される前記ポリオキソメタレート化合物またはその溶媒和物を含む電気化学セル内で行われる、方法。
(Q)
n[XM
aM
bM
c(L
a)(L
b)(L
c)W
9O
37] (I)
式中、
Xは、P、Si、As、Ge、Ga、B、またはAlである。
M
a、M
b、及びM
cは、互いに独立して、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Sn、Sb、In、Sc、Sr、Mg、Y、Yb、Ba、及びCaからなる群から選択される。
L
a、L
b、及びL
cは、互いに独立して、H
2O、カルボン酸塩、オキシアニオン、ハロゲン化物もしくは擬ハロゲン化物、炭酸塩、及び重炭酸塩からなる群から選択されるか、または、存在しない。
Qは、プロトン、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、ランタニドカチオン、窒素中心カチオン、リン中心カチオン、及びそれらの任意の組み合わせなどのカチオンである。
nは、4~13の整数である。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
印加電位は、Fc/Fc
+に対して-3.5~0.0Vである、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
印加電位は、Fc/Fc
+に対して-2.5または-1.5Vである、方法。
【国際調査報告】