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特表2024-521162組み合わせた高速/低速スキャニングを有するLiDAR
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】組み合わせた高速/低速スキャニングを有するLiDAR
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240521BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240521BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572859
(86)(22)【出願日】2022-05-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 IB2022054861
(87)【国際公開番号】W WO2022249067
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】17/331,265
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508977
【氏名又は名称】マカル オプティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】MAKALU OPTICS LTD.
【住所又は居所原語表記】Hamada 4, 2066718 Yokneam Ilit, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】ツァドカ,サギエ
(72)【発明者】
【氏名】アガッシ,シャイ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA07
5J084AA10
5J084AA14
5J084AB01
5J084AB16
5J084AC02
5J084BA03
5J084BA20
5J084BA39
5J084BA49
5J084BB07
5J084BB14
5J084BB28
5J084BB31
5J084BB35
5J084CA03
5J084EA04
(57)【要約】
3次元LiDARスキャニングは、光学スイッチなどのソリッドステート高速スキャニング装置とミラーなどのより低速のスキャニング装置とを組み合わせ、改善された分解能及び検出レンジを有する100Hz以上のフレームレートを提供するために、ポート数が多い光学スイッチ用のスイッチアーキテクチャを含み得る。コントローラは、スキャニングエリア、スキャニング又はフレームレート、及びフレームの分解能、検出された物体、或いは、スキャニングの時間スライスに関して視野(FOV)を調節可能なスキャニングを提供する。コントローラは、3D画像をカラー2D画像とマッチングさせるためにRGBデータをNIRデータと組み合わせる。コントローラ又はコンピュータは、FOV内の又は外の物体を識別、分類、及び追跡するためにベクトルクラウドデータを生成するようにポイントクラウドを処理する。ベクトルクラウドデータは、道路トラフィック及びシーンデータ、物体履歴、及びFOV外の物体共有の保存及び/又は伝達のための損失なし圧縮を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーと、
前記レーザーからレーザーパルスを受信し、前記レーザーパルスを複数の出力のうちの選択された1つの出力にリダイレクトするよう構成された入力を有する第1の光学スイッチと、
それぞれが前記第1の光学スイッチの前記複数の出力のうちの異なる出力に結合された第1の複数のファイバと、
制御信号に応答して回動又は回転するよう構成されたミラーと、
前記第1の複数のファイバから前記レーザーパルスを受信し、前記レーザーパルスを前記ミラーにリダイレクトするよう構成された第1の少なくとも1つの光学要素と、
少なくとも1つの検出器と、
前記少なくとも1つの検出器に結合された出力を有する第2の複数のファイバと、
視野から反射された前記レーザーパルスを受信し、受信した反射パルスを前記ミラーにリダイレクトするよう構成された第2の少なくとも1つの光学要素と、
前記第1の光学スイッチを制御して前記レーザーパルスを前記第1の光学スイッチの前記入力から前記複数の出力のそれぞれに順番に導波し、前記視野の少なくとも一部をスキャンするよう前記第1の複数のファイバからの光を導波し前記視野からの反射光を前記第2の複数のファイバの入力に導波するよう前記ミラーを回動又は回転させるよう制御する制御信号を生成し、前記少なくとも1つの検出器からの信号を処理して前記視野の少なくとも一部を表すデータを生成するよう構成された少なくとも1つのコントローラと、
を有するスキャニングLiDARシステム。
【請求項2】
前記第1の光学スイッチは、前記入力から前記複数の出力のうちの1つへ光をスイッチングすることに関連する可動部品を有さない、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の光学スイッチは、磁気光学スイッチを有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の光学スイッチは、
少なくとも第1のスイッチング要素を有する入力層と、複数のスイッチング要素を有する出力層と、を含む複数の層を有し、
前記第1のスイッチング要素及び前記複数のスイッチング要素のそれぞれは、前記少なくとも1つのコントローラからの制御信号に応答して、単一の入力と複数の出力との間に順番に光を光学的にスイッチングするよう構成され、
前記入力層の前記第1のスイッチング要素の前記単一の入力は前記第1の光学スイッチの前記入力を有し、前記出力層の前記スイッチング要素の前記複数の出力は前記第1の光学スイッチの前記出力を有し、
前記層内のそれぞれのスイッチング要素の前記単一の入力を有するそれぞれの層は、隣接する層内の前記スイッチング要素のうちの関連するものの前記複数の出力のうちの1つに接続され、
前記少なくとも1つのコントローラは、第1のスイッチング速度において前記第1のスイッチング要素を動作させ、前記第1のスイッチング速度よりも低速のスイッチング速度においてそれぞれの層の前記スイッチング要素を動作させるよう構成された、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1のスイッチング速度と前記層内の整数の数のスイッチング要素に対応する前記第1のスイッチング速度の整数倍の間のスイッチング速度においてそれぞれの層の前記スイッチング要素を動作させるよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のスイッチング要素は電気光学スイッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数のスイッチング要素のそれぞれは磁気光学スイッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記入力層と前記出力層の間の中間層を更に含み、前記入力層は、1×2電気光学スイッチを含み、前記中間層は、2つの1×4磁気光学スイッチを含み、前記出力層は、8つの1×4磁気光学スイッチを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ミラーは、ガルバノミラー、回転プリズム、MEMSミラー、又は圧電トランスデューサ(PZT)ミラーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の複数のファイバは、前記視野内のピクセル列をスキャニングするために線形アレイ状に配置され、前記ミラーは、前記視野にわたって前記ピクセル列を水平方向に移動させるように前記少なくとも1つのコントローラによって制御され、或いは、前記第1の複数のファイバは、前記視野内のピクセル行をスキャンするように線形アレイ状に配置され、前記ミラーは、前記視野にわたって前記ピクセル行を垂直方向に移動させるように前記少なくとも1つのコントローラによって制御される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つの検出器は、前記第2の複数のファイバの前記出力のうちの1つにそれぞれが結合された複数の検出器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の検出器の数は、前記第1の複数のファイバ及び前記第2の複数のファイバの数に対応する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の少なくとも1つの光学要素は、前記第1の軸に垂直である第2の軸に沿った角度発散よりも整数倍だけ大きい第1の軸に沿った角度発散を有する出力ビームを前記レーザーパルスから形成し、前記第2の複数のファイバの数は、前記第1の複数のファイバ内のファイバの数の整数倍及び前記第1の光学スイッチの出力の数の整数倍である、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第1の光学要素は、楕円断面を有する出力ビームを形成するように構成された非球面レンズ、アナモルフィックプリズム、又は円筒形レンズを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記レーザーは、900ナノメートル(nm)~1700ナノメートル(nm)の公称波長を有するパルスを生成するように構成されたファイバレーザーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1の少なくとも1つの光学要素は、前記レーザーパルスを前記ミラーにリダイレクトし、前記視野からの前記反射光を前記第2の複数のファイバの前記入力にリダイレクトするよう構成されたビームスプリッタを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記少なくとも1つの検出器は、近赤外(NIR)光を検出するよう構成された第1の線形検出器と、可視光を検出するよう構成された第2の線形検出器と、を含み、前記システムは、
前記視野から反射光を受信し、前記第2の複数のファイバから受信した反射NIR光を前記第1の線形検出器にリダイレクトし、前記第2の複数のファイバからの可視光を前記第2の線形検出器にリダイレクトするよう構成された二色性ビームスプリッタを更に含み、
前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1の及び第2の線形検出器からのデータを組み合わせ及びオーバーレイして前記視野の組み合わせられた画像を生成するようプログラミングされたプロセッサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記視野を表すフレームの第1の部分内に前記視野のエリア当たり第1の数のデータポイントを生成するより低い分解能と、前記視野を表す前記フレームの第2の部分内に前記視野のエリア当たり第2の数のデータポイントを生成するより高い分解能と、を含むハイブリッドスキャニングモードにて前記第1の光学スイッチ及び前記ミラーを制御するように更に構成され、前記データポイントの前記第2の数は前記データポイントの前記第1の数を超える、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコントローラは、第1のフレームレートにて前記視野を表すフレーム内に第1の数のデータポイントを生成する少なくともより低い分解能の第1のモードと、第2のフレームレートにて前記視野を表す前記フレーム内に第2の数のデータポイントを生成するより高い分解能の第2のモードと、にて前記第1の光学スイッチ及び前記ミラーを制御するように更に構成され、データポイントの前記第2の数は、データポイントの前記第1の数を超え、前記第2のフレームレートは、前記第1のフレームレート未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のフレームレートによって乗算されたデータポイントの前記第1の数は、前記第2のフレームレートによって乗算されたデータポイントの前記第2の数に等しい、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記第1の及び第2のモードの間でスイッチングし、前記視野の単一フレームを生成するために前記第1の及び第2のモードにおける動作によって生成された前記データを組み合わせるよう更に構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記システムの場所、周辺条件、又は前記視野内の物体の識別に応じて、前記第1のモード及び前記第2のモードの1つを選択する、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記視野の一部分のみをスキャニングするために前記第1の光学スイッチ及び前記ミラーを制御するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記少なくとも1つのコントローラは、物体を識別するために前記データを処理するように更に構成され、前記視野の前記部分は前記物体に対応する、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つのコントローラは、
前記視野の反復されたスキャニングによって生成された前記データを処理してポイントクラウドを生成し、
少なくともいくつかの前記ポイントクラウドの速度及び方向を含む速度ベクトルを判定して対応するベクトルクラウドを生成するよう構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つのコントローラは、既定の許容値未満だけ異なる類似の値を有するベクトルクラウド内のベクトルのクラスタに基づいて物体を識別する、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つのコントローラは、類似の値を有する複数のベクトルクラスタに基づいて複数の関係する物体を識別し、前記複数の物体を複数の既定の物体タイプのうちの1つに分類する、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記視野内の複数の物体ごとに、物体タイプ、前記視野との関係における物体位置、及び物体ベクトルを保存又は伝達し、前記視野の圧縮された表現を提供するよう更に構成される、請求項26に記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記物体タイプ、位置、及びベクトルを遠隔配置されたコンピュータサーバーに伝達するよう構成される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記遠隔配置されたコンピュータサーバーによる予め保存された物体タイプ、位置、及びベクトルに対する前記物体タイプ、位置、及びベクトルの比較に基づいて前記遠隔配置されたコンピュータサーバーから確実性スコアを受信するよう更に構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記サーバーが、前記伝達された物体タイプ、位置、及びベクトルの1つ又は複数に基づいて前記物体を識別することに応答して、前記遠隔配置されたコンピュータサーバーによって予め保存されている物体に関係するデータを受信するよう更に構成される、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記物体に関係するデータは物体履歴データを有する、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記物体履歴データは、移動タイムスタンプ、移動方向、速度、及び前記視野との関係における場所のうち少なくとも1つを含む、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記視野の外側にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信するよう更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記少なくとも1つのコントローラは、前記視野内にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信し、前記受信したベクトルデータを前記視野の少なくとも一部分を表す生成されたデータと組み合わせるように、更に構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項36】
請求項1に記載のLiDARシステムを有する車両。
【請求項37】
請求項1に記載のシステムを使用して視野をスキャニングすることを有する方法。
【請求項38】
レーザーパルスを生成することと、
入力で受信した前記レーザーパルスを、第1の軸に沿って方向付けされた第1の線形アレイ状に配置された対応する第1の複数のファイバに結合された複数の出力のそれぞれに光学的にスイッチングすることと、
少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、前記第1の軸に直交する第2の軸に沿って前記第1の複数のファイバからの光をリダイレクトし、視野の少なくとも一部を照射することと、
少なくともいくつかの前記レーザーパルスを照射された物体から反射された光を、前記少なくとも1つのミラーによって、第2の線形アレイ状に配置された第2の複数のファイバを通じて少なくとも1つの検出器に導波することと、
前記少なくとも1つの検出器からの信号を処理して、前記視野の少なくとも一部を表すデータを生成することと、
を有する方法。
【請求項39】
光学的にスイッチングすることは、
第1の層光学スイッチの前記入力からの前記レーザーパルスを第1のスイッチング時間内に複数の第1の層出力にスイッチングすることと、
前記第1の層出力のそれぞれは、複数の第2の層光学スイッチのうちの1つの単一の入力に接続されており、
前記第2の層光学スイッチのそれぞれごとに連続的に、前記単一の入力からの前記レーザーパルスを、前記第1のスイッチング時間よりも長い第2のスイッチング時間内に、複数の第2の層出力のうちの1つにスイッチングすることと、
を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
光学スイッチの第3の層は、前記複数の第2の層出力及び複数の第3の層出力のうちの1つに結合された単一の入力をそれぞれ含み、前記方法は、
前記第3の層光学スイッチのそれぞれごとに連続的に、前記単一の入力からの前記レーザーパルスを、前記第2のスイッチング時間よりも長い第3のスイッチング時間内に、前記複数の第3の層出力のうちの1つにスイッチングすること
を更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の層光学スイッチは電気光学スイッチを有し、前記第2の層光学スイッチは磁気光学スイッチを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1つのミラーを回動又は回転させることは、ガルバノミラー、回転プリズム、MEMSミラー、又は圧電トランスデューサに結合されたミラーを回動又は回転させることを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の複数のファイバからの前記レーザーパルスを、ビームスプリッタを通じて前記少なくとも1つのミラーに導波することと、
前記少なくともいくつかのレーザーパルスを照射された物体から反射された前記光を、前記ビームスプリッタを通じて前記第2の複数のファイバに導波することと、
を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つの検出器は、少なくとも第1の検出器及び第2の検出器を含み、前記方法は、
物体から反射され波長の第1の範囲を有する前記光の第1の部分を前記第1の検出器に導波することと、
物体から反射され波長の第2の範囲を有する前記光の第2の部分を前記第2の検出器に導波することと、
を更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記波長の第1の範囲は可視波長を含み、前記波長の第2の範囲は赤外波長を含み、前記光の第1の及び第2の部分を導波することは、物体から反射された前記光を二色性ビームスプリッタを通じて導波することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記レーザーパルスを光学的にスイッチングし、前記少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、低分解能によって前記視野の第1の部分をスキャンし、高分解能によって前記視野の第2の部分をスキャンすることを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記レーザーパルスを光学的にスイッチングし、前記少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、第1の時間期間中に、より低い分解能を有するより高いレートにおいて前記視野をスキャンすることと、
前記レーザーパルスを光学的にスイッチングし、前記少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、第2の時間期間中に、より高い分解能を有するより低いレートにおいて前記視野をスキャンすることと、
を更に有する、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記第1の時間期間中に生成される前記データは、前記第2の時間期間中に生成される前記データと同一数のデータポイントを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記より高いレート及び前記より低いレートにおけるスキャニングによって生成されたデータを組み合わせて、前記視野を表すデータの単一フレームを生成することを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記より高いレート及びより低いレートはフレームレートを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
物体を識別するために前記データを処理することと、
前記レーザーパルスを光学的にスイッチングし、前記少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、前記視野の少なくとも1つのその他の部分とは異なる分解能によって前記物体をスキャンすることと、
を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項52】
前記視野の反復されたスキャニングによって生成された前記データを処理してポイントクラウドを生成することと、
前記少なくともいくつかのポイントクラウドの速度及び方向を含む速度ベクトルを判定して、対応するベクトルクラウドを生成することと、
を更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項53】
既定の許容値未満だけ異なる類似の値を有する前記ベクトルクラウド内のベクトルのクラスタに基づいて前記視野内の物体を識別することを更に含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
類似の値を有する複数のベクトルクラスタに基づいて複数の関係する物体を識別することと、前記複数の物体を複数の既定の物体タイプのうちの1つに分類することと、を更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記視野内の複数の物体のそれぞれごとに、物体タイプ、前記視野との関係における物体位置、及び物体ベクトルを保存又は伝達して、前記視野の圧縮された表現を提供することを更に含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記物体タイプ、位置、及びベクトルを遠隔配置されたコンピュータサーバーに伝達することを更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記遠隔配置されたコンピュータサーバーによる予め保存された物体タイプ、位置、及びベクトルに対する前記物体タイプ、位置、及びベクトルの比較に基づいて、前記遠隔配置されたコンピュータサーバーから確実性スコアを受け取ることを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記サーバーが、前記伝達された物体タイプ、位置、及びベクトルの1つ又は複数に基づいて前記物体を識別することに応答して、前記遠隔配置されたコンピュータサーバーによって予め保存されている物体に関係するデータを受信することを更に含む、請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記物体に関係するデータは物体履歴データを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
移動タイムスタンプ、移動方向、速度、及び前記視野との関係における場所の少なくとも1つを含む物体履歴データを受信することを更に含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記視野の外側にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信することを更に含む、請求項38に記載の方法。
【請求項62】
前記視野内にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信することと、前記受け取られたベクトルデータを前記視野の前記少なくとも一部分を表す前記生成されたデータと組み合わせることと、を更に含む、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソリッドステート及び機械スキャニングを組み合わせたスキャニングLiDAR及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LiDARは、物体までのレンジ又は距離を判定するために視野(FOV)内の物体によって反射されたトランスミッタからの光を使用する、能動型の遠隔検知技術である。この情報を処理することにより、例えば、自動車又はドローンなどの様々なタイプの車両において、マッピング、物体識別、物体回避、ナビゲーションなどに使用される画像又はその他のものを生成し得る。いくつかのLiDAR解決策が提案されており、特定の用途において受け入れ可能であり得るが、様々な方式は、その他の用途においてはそれ自体を不適切なものにし得る、関連する欠点を有する。FOVにわたってレーザービームをスキャニングするために、様々なタイプのアクチュエータ又は装置を使用し得る。2つの機械的ミラーを使用してFOVをスキャニングする際には、通常、1秒間に複数回以上にわたってFOV全体をカバーし得るように、ミラーの1つが、極端な速度及び精度を伴って動作する。このようなミラーは、LiDARスキャニングパターンを常にサポートするために、1年当たり1千億サイクル、又は場合によっては1兆サイクルを実行するものと予想される。このような巨大な数のサイクル及び高速チューニングは、時間に伴って摩耗と損傷を結果的にもたらし、システムの信頼性を大幅に低減することになり、この方法を使用して生成され得る画像のフレームレートを制限する。これらの問題に対処するために関連する可動部品を除去し、信頼性及び安定性を改善するように、ソリッドステートスキャニングのみを有するスキャニングLiDARシステムが開発されている。但し、これらのシステムにおける関連する光学損失は分解能及び検出レンジを制約し得ると共に、すべての用途にとってパワー要件が適切なわけではない場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示のシステム及び方法は、ソリッドステート高速スキャニングメカニズムとより低速の機械スキャニングメカニズムの組合せを通じた3次元LiDARスキャニングを提供する。組み合わせたソリッドステート及び機械スキャニングLiDARは、自律型車両及び/又は自動運転車にとって、これまでに配備されたシステムよりもより良好に適し得る、改善された分解能及び検出レンジを提供し得る。100Hzフレームレート又はそれ以上をもサポートし得る高速のスキャニングレートを提供するために、機械的システムの高速スキャニングミラーは磁気光学(MO)スイッチなどのソリッドステートデバイスに置換され、その一方で、高速スイッチングメカニズム内に可動部品が存在しないために、システム全体のより高い信頼性を提供する。
【0004】
1つ又は複数の実施形態において、スキャニングLiDARシステムは、レーザーと、レーザーからレーザーパルスを受信し、レーザーパルスを複数の出力のうちの選択された出力にリダイレクトするよう構成された入力を有する第1の光学スイッチと、それぞれが第1の光学スイッチの複数の出力のうちの異なる出力に結合された第1の複数のファイバと、制御信号に応答して回動又は回転するように構成されたミラーと、第1の複数のファイバからレーザーパルスを受信し、レーザーパルスをミラーにリダイレクトするよう構成された第1の少なくとも1つの光学要素と、少なくとも1つの検出器と、少なくとも1つの検出器に結合された出力を有する第2の複数のファイバと、視野から反射されたレーザーパルスを受信し、受信した反射パルスをミラーにリダイレクトするよう構成された第2の少なくとも1つの光学要素と、少なくとも1つのコントローラと、を有する。少なくとも1つのコントローラは、第1の光学スイッチを制御して第1の光学スイッチの入力から複数の出力のそれぞれにレーザーパルスを順番に導波し、視野の少なくとも一部をスキャンするよう第1の複数のファイバからの光を導波し視野からの反射光を第2の複数のファイバの入力に導波するようミラーを回動又は回転させるよう制御する制御信号を生成し、少なくとも1つの検出器からの信号を処理して視野の少なくとも一部を表すデータを生成するよう構成される。第1の光学スイッチは、入力から複数の出力のうちの1つへ光をスイッチングすることに関連する可動部品を有さないように構成され得ると共に、磁気光学スイッチとして実装され得る。
【0005】
様々な実施形態において、システムは、少なくとも第1のスイッチング要素を有する入力層と、複数のスイッチング要素を有する出力層と、を含む複数の層を有する少なくとも1つの光学スイッチを含み、第1のスイッチング要素及び複数のスイッチング要素のそれぞれは、少なくとも1つのコントローラからの制御信号に応答して単一の入力と複数の出力との間に順番に光を光学的にスイッチングするように構成され、入力装置の第1のスイッチング要素の単一の入力は光学スイッチの入力を有し、出力層のスイッチング要素の複数の出力は光学スイッチの出力を有し、層内のそれぞれのスイッチング要素の単一出力を有するそれぞれの層は、隣接する層内のスイッチング要素のうちの関連するものの複数の出力のうちの1つに接続され、少なくとも1つのコントローラは、第1のスイッチング速度において第1のスイッチング要素を動作させ、第1のスイッチング速度よりも低速のスイッチング速度においてそれぞれの層のスイッチング要素を動作させるように構成されている。1つ又は複数の実施形態において、少なくとも1つのコントローラは、第1のスイッチング速度と層内の整数の数のスイッチング要素に対応する第1のスイッチング速度の整数倍の間のスイッチング速度においてそれぞれの層のスイッチング要素を動作させるよう構成されている。第1のスイッチング要素は電気光学スイッチを含み得る。複数のスイッチング要素のそれぞれは磁気光学スイッチを含み得る。1つ又は複数の実施形態において、光学スイッチは、入力層と出力層との間に中間層を含み得、磁気光学スイッチよりも大きなスイッチング速度において動作する電気光学スイッチを有する1×32スイッチを提供するために、入力層は1つの1×2電気光学スイッチを含み、中間層は2つの1×4磁気光学スイッチを含み、出力層は8つの1×4磁気光学スイッチを含む。
【0006】
様々な実施形態において、システムは、ガルバノミラー、回転プリズム、MEMSミラー、又は圧電トランスデューサ(PZT)ミラーを含み得る。第1の複数のファイバは、視野にわたってピクセル列を水平方向に移動させるように少なくとも1つのコントローラによって制御されたミラーによって視野内にピクセル列をスキャンするように線形アレイ状に配置され得、或いは、第1の複数のファイバは、視野にわたってピクセル行を垂直方向に移動させるように少なくとも1つのコントローラによって制御されたミラーによって視野内にピクセル行をスキャンするように線形アレイ状に配置され得る。少なくとも1つの検出器は、第2の複数のファイバの出力のうちの1つにそれぞれが結合された複数の検出器を有し得る。複数の検出器の数は、第1の複数のファイバ及び第2の複数のファイバの数に対応し得る。一実施形態において、第1の少なくとも1つの光学要素は、第1の軸に垂直である第2の軸に沿った角度発散よりも整数倍だけ大きい第1の軸に沿った角度発散を有するレーザーパルスから出力ビームを形成し、第2の複数のファイバは、第1の複数のファイバ内のファイバの数の整数倍と、第1の光学スイッチの出力の数の整数倍と、を含む。少なくとも1つの第1の光学要素は、楕円断面を有する出力ビームを形成するように構成された非球面レンズ、アナモルフィックプリズム、又は円筒形レンズを含み得る。レーザーは、900ナノメートル(nm)~1700ナノメートル(nm)の公称波長を有するパルスを生成するよう構成されたファイバレーザーを含み得る。第1の少なくとも1つの光学要素は、レーザーパルスをミラーにリダイレクトし、視野からの反射光を第2の複数のファイバの入力にリダイレクトするように構成されたビームスプリッタを含み得る。少なくとも1つの検出器は、近赤外(NIR)光を検出するように構成された第1の線形検出器と、可視光を検出するように構成された第2の線形検出器と、を含み得、システムは、視野からの反射光を受信し、第2の複数のファイバから受信した反射NIR光を第1の線形検出器にリダイレクトし、第2の複数のファイバからの可視光を第2の線形検出器にリダイレクトするよう構成された二色性ビームスプリッタを含む。少なくとも1つのコントローラは、第1の及び第2の線形検出器からのデータを組み合わせ及びオーバーレイして視野の組み合わせられた画像を生成するようプログラミングされたプロセッサを含み得る。
【0007】
1つ又は複数の実施形態において、システムは、視野を表すフレームの第1の部分内に視野のエリア当たり第1の数のデータポイントを生成するより低い分解能と、視野を表すフレームの第2の部分内に視野のエリア当たり第2の数のデータポイントを生成するより高い分解能モードと、を含むハイブリッドスキャニングモードにて第1の光学スイッチ及びミラーを制御するように構成された少なくとも1つのコントローラを含み、データポイントの第2の数は、データポイントの第1の数を超える。
【0008】
実施形態は、少なくとも第1のフレームレートにて視野を表すフレーム内に第1の数のデータポイントを生成するより低い分解能の第1のモードと、第2のフレームレートにて視野を表すフレーム内に第2の数のデータポイントを生成するより高い分解能の第2のモードと、にて第1の光学スイッチ及びミラーを制御するように構成された少なくとも1つのコントローラを有するシステムを含んでいてもよく、データポイントの第2の数は、データポイントの第1の数を超え、第2のフレームレートは第1のフレームレート未満である。一実施形態において、第1のフレームレートによって乗算されたデータポイントの第1の数は、第2のフレームレートによって乗算されたデータポイントの第2の数に等しい。少なくとも1つのコントローラは、第1の及び第2のモードとの間でスイッチングし、視野の単一フレームを生成するために第1の及び第2のモードの動作によって生成されたデータを組み合わせるよう構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、第1の光学スイッチ及びミラーを制御して視野の一部分のみをスキャニングするよう更に構成し得る。少なくとも1つのコントローラは、データを処理して物体を識別するよう更に構成されていてもよく、視野の一部分は物体に対応する。少なくとも1つのコントローラは、システムの場所、周辺条件、又は視野内の物体の識別に応答して、第1のモード及び第2のモードのいずれかを選択し得る。
【0009】
様々な実施形態において、少なくとも1つのコントローラは、視野の反復されたスキャニングによって生成されたデータを処理してポイントクラウドを生成し、少なくともいくつかのポイントクラウドの速度及び方向を含む速度ベクトルを判定して対応するベクトルクラウドを生成するよう構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、既定の許容値未満だけ異なる類似の値を有するベクトルクラウド内のベクトルのクラスタに基づいて物体を識別し得る。少なくとも1つのコントローラは、類似の値を有する複数のベクトルクラスタに基づいて複数の関係する物体を識別し得ると共に、複数の物体を複数の既定の物体タイプのうちの1つに分類し得る。少なくとも1つのコントローラは、視野内の複数の物体ごとに、物体タイプ、視野との関係における物体位置、及び物体速度ベクトルを保存又は伝達し、視野の圧縮された表現を提供するよう更に構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、物体タイプ、位置、及びベクトルを遠隔配置されたコンピュータサーバーに伝達するよう構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、遠隔配置されたコンピュータサーバーによる予め保存された物体タイプ、位置、及びベクトルに対する物体タイプ、位置、及びベクトルの比較に基づいて遠隔配置されたコンピュータサーバーから確実性スコアを受信するよう更に構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、サーバーが、伝達された物体タイプ、位置、及びベクトルの1つ又は複数に基づいて物体を識別することに応答して、遠隔配置されたコンピュータサーバーによって予め保存されている物体に関係するデータを受信するように更に構成され得る。物体に関係するデータは物体履歴データを有してもよく、これは、移動タイムスタンプ、移動方向、速度、及び視野との関係における場所のうち少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つのコントローラは、視野の外側にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信するよう更に構成され得る。少なくとも1つのコントローラは、視野内に位置する少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信し、受信したベクトルデータを視野の少なくとも一部分を表す生成されたデータと組み合わせるよう更に構成され得る。
【0010】
少なくとも1つの実施形態は、連続的なスキャニングにおいて識別された複数の物体の3D物体表現と、それぞれの連続的なスキャニングにおける物体タイプ、位置、及び速度ベクトルと、を分離する能力を含み得る。3D物体表現は、時間に伴って、異なる角度から観察された同一物体の表現及びスキャニングを収集し得るが、その理由は、LiDAR及び物体が一定の移動状態にあり、従って、これにより、センサと物体の間の、のみならず、物体自体の、向きを変更し得るからである。統合された3D表現は、異なる記憶内に保存されることになり、時間に伴う物体ベクトルは、3D物体に対するポインタと共に保存される。同様に、すべてのバックグラウンド(静止)物体も、時間に伴って統合される3D物体として保存される。それぞれの物体は、1つ又は複数のLiDARについて一意に保持される方式により、一意の識別子番号によって識別される。コントローラの一実施形態は、LiDARが現時点においてスキャニングしているジオフェンスを有する場所内の様々な自動車タイプ又は(樹木又は看板などの)識別された静止物体などの可能なターゲットの既定のバンクに照らして物体を一意に識別することを試みることができる。
【0011】
コントローラの少なくとも1つの実施形態は、スキャニングに由来するオリジナルのポイントクラウドに対する高い忠実性(損失なし)を有し続ける方式によって収集された履歴時系列データからポイントクラウドを生成することが可能であり得る。このスキャニングされた画像の損失なし圧縮は、圧縮された形態におけるシーンデータの履歴保存及びリアルタイム送信のために大きな利益を提供する。
【0012】
少なくとも1つの実施形態は、上述の特徴のうちの任意のものを有するLiDARシステムを有する車両を含む。車両は、自律型車両であってよい。実施形態は、上述の特徴の1つ又は複数を有するシステムを使用して視野をスキャニングすることを有する方法を含む。
【0013】
実施形態は、レーザーパルスを生成することと、入力において受信したレーザーパルスを、第1の軸に沿って方向付けされた第1の線形アレイ状に配置された対応する第1の複数のファイバに結合された複数の出力のそれぞれに光学的にスイッチングすることと、少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、第1の軸に直交する第2の軸に沿って第1の複数のファイバからの光をリダイレクトし、視野の少なくとも一部を照射することと、少なくともいくつかのレーザーパルスを照射された物体から反射された光を、前記少なくとも1つのミラーによって、第2の線形アレイ状に配置された第2の複数のファイバを通じて少なくとも1つの検出器に導波することと、前記少なくとも1つの検出器からの信号を処理して、前記視野の少なくとも一部を表すデータを生成することと、を有する方法を含む。方法は、第1の層光学スイッチの入力からのレーザーパルスを第1のスイッチング時間内に複数の第1の層出力に対してスイッチングすることにより、光学的にスイッチングすることと、第1の層出力のそれぞれは、複数の第2の層の光学スイッチの1つの単一の入力に接続されており、第2の層光学スイッチのそれぞれごとに連続的に、単一の入力からのレーザーパルスを、第1のスイッチング時間より長い第2のスイッチング時間内に、複数の第2の層出力のうちの1つにスイッチングすることと、を含み得る。少なくとも1つの実施形態において、方法は、複数の第2の層出力のうちの1つに結合された単一の入力をそれぞれが含む光学スイッチの第3の層と、複数の第3の層出力と、を含み、第3の層光学スイッチのそれぞれごとに連続的に、第2のスイッチング時間より長い第3のスイッチング時間内に、単一の入力からのレーザーパルスを複数の第3の層出力のうちの1つにスイッチングすることを含む。
【0014】
方法の実施形態は、電気光学スイッチを有する第1の層光学スイッチと、磁気光学スイッチを有する第2の層光学スイッチと、を含み得る。方法は、ガルバノミラー、回転プリズム、MEMSミラー、又は圧電トランスデューサに結合されたミラーの少なくとも1つを回動又は回転させることを含み得る。方法は、第1の複数のファイバからのレーザーパルスを、ビームスプリッタを通じて少なくとも1つのミラーに導波することと、少なくともいくつかのレーザーパルスを照射された物体から反射された光を、ビームスプリッタを通じて第2の複数のファイバに導波することと、を含み得る。
【0015】
様々な実施形態において、方法は、物体から反射され波長の第1の範囲を有する光の第1の部分を第1の検出器に導波することと、物体から反射され波長の第2の範囲を有する光の第2の部分を第2の検出器に導波することと、を含む。方法は、可視波長を含む波長の第1の範囲及び赤外波長を含む波長の第2の範囲を導波することを含み得る。光の第1の及び第2の部分を導波することは、物体から反射された光を二色性ビームスプリッタを通じて導波することを有し得る。
【0016】
1つ又は複数の実施形態において、方法は、レーザーパルスを光学的にスイッチングし、少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、低分解能によって視野の第1の部分をスキャンし、高分解能によって視野の第2の部分をスキャンすることを含む。方法は、また、レーザーパルスを光学的にスイッチングし、少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、第1の時間期間中に、より低い分解能を有するより高いレートにおいて視野をスキャンすることと、レーザーパルスを光学的にスイッチングし、少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、第2の時間期間中に、より高い分解能を有するより低いレートにおいて視野をスキャンすることと、を含み得る。第1の時間期間中に生成されるデータは、第2の時間期間中に生成されるデータと同一数のデータポイントを有し得る。方法は、より高いレート及びより低いレートにおけるスキャニングによって生成されたデータを組み合わせて視野を表すデータの単一のフレームを生成することを含み得る。より高いレート及びより低いレートは、フレームレートであってよい。
【0017】
実施形態はまた、物体を識別するためにデータを処理することと、レーザーパルスを光学的にスイッチングし、少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、視野の少なくとも1つのその他の部分とは異なる分解能によって物体をスキャンすることと、を含み得る。方法は、視野の反復されたスキャニングによって生成されたデータを処理してポイントクラウドを生成することと、少なくともいくつかのポイントクラウドの速度及び方向を含む速度ベクトルを判定して対応するベクトルクラウドを生成することと、を含み得る。方法は、既定の許容値未満だけ異なる類似の値を有するベクトルクラウド内のベクトルのクラスタに基づいて視野内の物体を識別することを含み得る。また、方法は、類似の値を有する複数のベクトルクラスタに基づいて複数の関係する物体を識別することと、複数の物体を複数の既定の物体タイプのうちの1つに分類することと、を含み得る。
【0018】
1つ又は複数の実施形態において、方法は、野内の複数の物体のそれぞれごとに、物体タイプ、視野との関係における物体位置、及び物体ベクトルを保存又は伝達して、視野の圧縮された表現を提供することを更に含む。方法は、物体タイプ、位置、及びベクトルを遠隔配置されたコンピュータサーバーに伝達することを含み得る。様々な実施形態において、方法は、遠隔配置されたコンピュータサーバーによる予め保存された物体タイプ、位置、及びベクトルに対する物体タイプ、位置、及びベクトルの比較に基づいて遠隔配置されたコンピュータサーバーから確実性スコアを受信することを含む。方法は、サーバーが、伝達された物体タイプ、位置、及びベクトルのうちの1つ又は複数に基づいて物体を識別することに応答して、遠隔配置されたコンピュータサーバーによって予め保存されている物体に関係するデータを受信することを含み得る。物体に関係するデータは、物体履歴データを有してもよく、これは、移動タイムスタンプ、移動方向、速度、及び視野との関係における場所を含み得る。方法は、視野の外側にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信することを含み得る。方法は、視野の内部にある少なくとも1つの物体に関連するベクトルデータを受信することと、受信するベクトルデータを視野の少なくとも一部分を表す生成されたデータと組み合わせることと、を含み得る。
【0019】
1つ又は複数の実施形態は、関連する利点を提供し得る。例えば、様々な実施形態は、ソリッドステート高速スキャニング装置をより低速の機械スキャニング装置と組み合わせた3D-LiDARスキャニング用のシステム及び方法を提供する。ソリッドステートデバイスのみを使用するLiDAR方式は、信頼性及び安定性の利点を有する一方で、機械スキャニング装置とのソリッドステートデバイスの組合せは、より良好な分解能及び検出レンジを有するLiDARスキャニングを提供することができ、これは、特に自律型車両及び/又は自動運転車の用途に適し得る。ソリッドステートデバイス及び機械スキャニング装置の組合せは、ミラーのうち1つが1秒間に複数回にわたって視野全体をスキャニングし得るように極端な速度及び精度によって稼働しており、数十億又は数兆サイクルにわたって摩耗と損傷に晒されている、2つの機械的ミラーを有するシステムに関して、改善された信頼性を提供し得る。このような方式の高速ミラースキャニングを磁気光学(MO)スイッチなどの光学スイッチによって置換することは、100Hz以上のフレームレートをサポートする能力を有するより高速のスキャニングレートを提供し得る。光学スイッチのカスケード型の層又はステージを有する光学スイッチアーキテクチャは、より小さなパワー消費及び全体的なスイッチ費用により、増大したLiDARフレームレートを促進するために、ポート数の大きいMOスイッチのスイッチング時間を低減する。LiDARスキャニングの結果として得られるポイントクラウドデータの変化に基づいてベクトルクラウドを生成することは、LiDARセンサの視野の内側及び外側における検出情報の共有及び物体の改善された検出を提供するために車両及び/又は外部サーバー又はサービスの間の高速低帯域幅保存及び通信用のデータの損失なし圧縮を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】組み合わせた高速/低速スキャニング装置及び代替レーザービーム形状を有するスキャニングLiDAR用のシステム及び方法の実施形態の動作を示すブロック図である。
図2】視野(FOV)内の物体から反射された自然光を使用して組み合わせたLiDAR/可視光画像を形成する能力を有するLiDAR検出器を示すブロック図である。
図3】入力層に接続された層内の光学スイッチング装置のスイッチング時間を低減するための光学スイッチの層を有するスケーラブルな光学スイッチアーキテクチャを示す。
図4図3のスケーラブルな光学スイッチアーキテクチャの動作を示すタイミング図である。
図5図3のスケーラブルなスイッチアーキテクチャに基づいて構築された3つの層又はステージを有する代表的な1×32光学スイッチを示す。
図6】組み合わせたソリッドステートデバイス及び機械スキャニング装置を使用したLiDARスキャニング用のシステム及び方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書には、必要に応じて詳細な実施形態が開示されているが、開示されている実施形態は、代表的なものであるに過ぎず、その代わりに様々な形態において実施され得ることを理解されたい。これらの図は、必ずしも縮尺が正確ではなく、特定のコンポーネントの詳細を示すために、いくつかの特徴が誇張又は極小化されている場合がある。従って、本明細書において開示されている特定の構造的及び機能的な詳細は、限定として解釈してはならず、特許請求されている主題を様々に利用するように当業者に教示するための代表的な基礎としてのみ解釈することを要する。同様に、様々な実施形態は、代表的な実装形態に関連する特徴の組合せを示しているが、当業者は、1つ又は複数の実施形態の特徴は、明示的に記述又は図示されていない場合がある新しい実施形態を形成するために容易に組み合わせることができることを認識するであろう。
【0022】
この説明において使用されている画像又は関係する用語は、視覚的表現に限定されるものではなく、更に一般的には、視野(FOV)のデータ表現を意味する。データの視覚的表現を生成することなしにコントローラによって処理され得る多次元データアレイを提供するために、FOV内のそれぞれの計測ポイント又はピクセルごとに、場所/位置、距離/レンジ、強度、偏向、速さ/速度、などのような異なるタイプのデータを収集し得る。同様に、ピクセルに対する参照も、関連するデータの視覚的表現又は表示、或いは、表示画面上のエリアを意味しておらず又は必要としておらず、更に一般的には、FOV内の別個の計測ポイント又は観察ポイントを意味する。特定のピクセル場所における基礎をなす個別の計測は、ピクセル内の分解能を改善又は向上させるように使用され得るサブピクセルを意味し得る。例えば、異なるレーザーパルス又はレーザーパルスの異なる特性/プロパティから特定の(x,y)ピクセル場所について生成された計測値に対応するサブピクセルは、分解能を改善するようにピクセル内の時間ドメイン又は空間ドメインの変化を検出又は識別するために使用され得る更なるデータを提供する。
【0023】
分解能は、その最も広い意味において使用されており、及び、一般に、ピクセル(容積又は3次元空間を参照する際には、しばしば、ボクセルとも呼称される)の数/単位面積又は容積を意味し、より高い分解能は、より大きな数のピクセル又はデータポイント/単位面積又は容積を通知し、これは、例えば、規定されたFOV、FOVの一部分、又はFOV内の又は外側の物体を含み得る。
【0024】
車両は、その最も一般的な意味において、あらゆるものを保持する、搬送する、又は運搬するために使用される、自己推進型の機械化された機器として使用されている。自律(或いは、自動化された)車両又は半自律(或いは、半自動化された)車両は、それぞれ、その環境を検知する又はその他の方法で環境情報を受け取る及び人間の介入なしに又は限られた人間の介入を伴って運転する能力を有する車両を意味する。
【0025】
光学スイッチは、信号を入力から出力まで光として維持する全光学的なスイッチを意味する。光学スイッチは、順番に入力といくつかの出力のうちの1つとの間に光を連続的にスイッチング又はルーティングするために、電気光学、音響光学、又は磁気光学効果などの様々な効果を使用し得る。本開示を目的とした場合には、光信号又はパルスを1つのチャネルから別のものに、即ち、入力から複数の出力のうちの1つに、或いは、複数の入力の1つから出力に、ルーティングするために光学信号を電気信号に及び光学信号に戻るように変換する装置は、光学スイッチと見なされてはいない。全光学的スイッチは、光学信号又はパルスの空間ドメインスイッチングを提供するために電気信号又は電子コントローラによって制御し得る。可動部品を有さない光学スイッチは、スイッチング動作を実行するためのなんらの可動機械コンポーネントも有さない、即ち、MEMSに基づいたフォトニックスイッチ内に提供されているものなどの可動ミラーを排除した装置を意味する。
【0026】
光学要素は、ミラー、レンズ(段階的屈折率又は勾配型屈折率レンズを含む)、プリズム、格子、などのような個別の要素のみならず、こちらも光をリダイレクトするように及び/又は光の1つ又は複数の特性を変更するように入射光に対して動作し得る及び反射性、屈折性、回折性、及び/又は更なる高次のプロセスを含み得る統合型のオプティクス及びホログラフィック光学要素をも含む、光に対して動作する任意の要素又はコンポーネントを意味する。
【0027】
ポイントクラウドは、空間内の3次元形状又は物体を表すデータセットを意味する。それぞれのポイントは、固定された又は静止状態の基準点に関して、検出された形状又は物体の単一ポイントのx、y、及びz座標を表している。また、特定の実施形態に応じて、それぞれのポイントは、例えば、RGB(赤色、緑色、青色)値などの色コンテンツ及び/又は速さ/速度、物体識別、又は物体タイプ/カテゴリを含むその他のデータ、パラメータ、又は特性を含み得る。
【0028】
ベクトルクラウドは、ポイントクラウド内のポイント又はポイントのグループの変化又は差を表すデータセットを意味し、ポイント又はポイントのグループの以前の位置又は場所、固定された基準、又は移動する基準であり得る基準からの距離の変化の速度及び方向(或いは、速さ)との関係における変化又は差の特徴を判定し得る。
【0029】
フレームは、特定の時間期間におけるFOV(或いは、その一部分)のデータ表現を意味し、これは、少なくとも一度だけFOV(或いは、その一部分)をスキャニングするために必要とされる時間を反映し得る。フレームデータは、FOV(或いは、その一部分)の2回以上のスキャニングによって生成されたデータの数学的又は統計的組合せであってよい。例えば、特定のピクセルのフレームデータは、(距離、色、速度、などのような)そのピクセルに関連する様々なデータの値の最大、最小、平均、又はその他の関数又は計算であってよい。フレームレートは、フレームの数/単位時間を意味し、及び、通常は、複数のスキャニング/フレームに伴うスキャニングレートの分数である。
【0030】
一般に、本明細書において開示されているプロセス、方法、又はアルゴリズムは、処理装置、コントローラ、又はコンピュータによって実行することが可能であり、これは、任意の既存のプログラミング可能な電子制御ユニット又は専用の電子制御ユニット又はコントローラを含み得る。同様に、プロセス、方法、又はアルゴリズムは、限定を伴うことなしに、ROM装置などの書き込み不能ストレージ媒体上において永久的に保存された情報と、電子的、磁気的、及び/又は光学的ストレージ装置を含む書き込み可能ストレージ媒体上において変更可能に保存された情報と、を含む多くの形態においてコントローラ又はコンピュータによって実行可能であるデータ及び命令として保存し得る。また、特定のプロセス、方法、又はアルゴリズムは、ソフトウェア実行可能オブジェクトにおいて実装し得る。或いは、この代わりに、プロセス、方法、又はアルゴリズムは、全体的に又は部分的に、用途固有の集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、状態機械、コントローラ、又は任意のその他のハードウェアコンポーネント又は装置、或いは、ハードウェア、ソフトウェア、及びファームウェアコンポーネントの組合せなどの適切な専用の又はカスタムのハードウェアコンポーネントを使用することにより、実施し得る。同様に、特定のシーケンス又は順序におけるプロセス、アルゴリズム、又は機能の図示又は記述は、記述されている動作又は結果を実行するために必要とされていない場合もある。いくつかのプロセス、機能、アルゴリズム、又はこれらの一部分は、反復的に実行されてもよく、異なるシーケンスにおいて実行されてもよく、或いは、特定の用途の場合には省略されてもよい。
【0031】
図1は、組み合わせた高速/低速スキャニング装置及び代替レーザービーム形状を有するスキャニングLiDAR用のシステム及び方法の実施形態の動作を示すブロック図である。システム100は、少なくとも1つの物体106を有する視野(FOV)104の少なくとも一部分を表すデータを生成するように構成された組み合わせたトランスミッタ及びレシーバ要素を有するLiDARセンサ102を含む。システム100は、車両190に取り付けられていてもよく又はその他の方法でこれと一体化されていてもよい。車両190は、センサ102によって提供された信号及び関連するデータに基づいた運転者支援アラート、ディスプレイ、制御装置、などを有する自律型車両(AV)、半自律型車両、又は従来の車両であってよい。
【0032】
センサ102は、レーザー110と、レーザー110からレーザーパルスを受信するように構成された入力を有する第1の光学スイッチ112を制御する少なくとも1つのコントローラ108と、を含む。様々な実施形態において、レーザー110は、900nm~1700nmの出力公称波長を有するSWIR範囲においてパルス化モードにおいて動作するファイバレーザーである。少なくとも1つの実施形態において、レーザー110は、センサ102がより長いレンジ及び改善された撮像/検知性能を提供するためにより大きなパワーによって動作し得るように、眼にとって安全な領域内の1550nmの公称出力波長において動作する。レーザー110は、例えば、100~500KHzのレーザーパルスレートにより、例えば、100Hz以上のデータフレームレートを提供するように動作させることができる。当然のことながら、データフレームレート及びレーザーパルス反復レートは、特定の用途及び実装形態に基づいて変化する。
【0033】
図1に示されている代表的な実施形態において、第1の光学スイッチ112は、1つ又は複数のコントローラ108などの少なくとも1つのコントローラによって制御された状態において、ファイバレーザー110によって出力された光学パルスをスイッチ112の入力からN個の出力のうちの1つに転送するように電子的に制御される全光学的1×Nスイッチである。一実施形態において、光学スイッチ112は、Agiltron,Inc.of Woburn,MA,USA又はPrimanex,Inc.of Qingdao,Shandong,Chinaによって提供されている市販のスイッチに類似した1×32磁気光学スイッチによって実装されている。磁気光学スイッチは、スイッチがスイッチング動作を実行するために可動部品を含まないように、光学パルスをスイッチングするためのファラデーローテーターを含む。様々な実施形態は、以上の例における市販の磁気光学スイッチに必要とされている駆動電圧及び電流の必要とされる増大を伴うことなしにポート数の大きい光学スイッチのスイッチング時間を低減するために、図3図5を参照して図示及び記述されているマルチステージ又はマルチ層のカスケード型のアーキテクチャを含む1×N光学スイッチを含み得る。また、システム100は、狭帯域又は広帯域光学ファイバ148を含んでいてもよく、これは、検出器152に到達する及びシステムノイズを増大させる周辺太陽光の量を低減するために、受け取る側のオプティクスの経路内に配置され、及び、送出レーザーの波長を中心としてセンタリングされている。
【0034】
スイッチ112の出力のそれぞれは、第1の軸又は方向に沿って線形アレイ状に位置決めされた第1の複数のファイバ114のうちの1つに結合されている。一実施形態において、トランスミッタファイバ114の線形アレイは、垂直方向において方向付けされている。ファイバ114の出力は、レーザー110によって生成されたレーザーパルスを光学ヘッド(OH)116に供給する。1つ又は複数の実施形態において、OH116は、センサ102のその他のコンポーネントに関して遠隔配置されている。OH116は、透過オプティクス118を含み、これは、関連する光130(或いは、130’)が、1つ又は複数の物体106を収容するFOV104の対応する部分を照明するために異なる角度に導波されるように、ファイバ114からレーザーパルスを受け取るように、及び、1つ又は複数のコントローラ108からの制御信号に応答して回動、回転、又はその他の移動を実行するように構成されたミラー120にレーザーパルスをリダイレクトするように、構成された少なくとも1つの光学要素によって実装し得る。ミラー120は、ガルバノミラー、回転プリズム、MEMSミラーにより、又はPZTに基づいたミラーにより、或いは、特定の用途のために十分正確に1つの次元において空間内にレーザービームを移動させることができる任意のその他の機械的回転/移動/操向メカニズムにより、実装し得る。透過オプティクス118の少なくとも1つの光学要素は、FOV104の望ましいカバレージ部分に基づいて規定された角度において一般的に円形のペンシルビーム130又はオーバル又は楕円出力ビーム130’を提供するために、発散レンズ122又は1つ又は複数の非対称な、非球面の、及び/又は円筒形の光学要素を含み得る。また、オプティクス118は、1つ又は複数の収束レンズ124又は類似の光学要素を含むこともできる。透過オプティクス118の少なくとも1つの光学要素は、1つ又は複数のレンズを含んでいてもよく、それぞれのレンズは、ファイバ114の単一のもの、ファイバ114のグループ、又はすべてのファイバ114と関連付けられている。
【0035】
図1に示されている代表的な実施形態において、OH116は、組み合わせたトランスミッタ及びレシーバコンポーネントを含み、これは、FOV104の対応する部分を照明するために、ファイバ114からのレーザーパルスをミラー120に及び次いで組み合わせたトランスミッタ/レシーバオプティクス128を通じてリダイレクトするビームスプリッタ126を含み得る。オプティクス128は、例えば、1つ又は複数の発散レンズ132、収束レンズ134、及び/又は1つ又は複数の非対称な、非球面の、及び/又は円筒形の光学要素を含み得る。FOV104のスキャニングの際に、1つ又は複数のコントローラ108は、ミラー120の第1の位置に対応する第1の軸140に沿って出力光ビーム130をスキャニングするように複数のスイッチ出力及びファイバ114のそれぞれを通じてレーザー110からのレーザーパルスを導波するために光学スイッチ112を制御するように構成されている。1つ又は複数のコントローラ108は、第1の軸140に直交する第2の軸142に沿った隣接位置にスキャニングレーザーパルスを移動させるように第2の位置に回動又は回転するためにミラー120を制御するように更に構成されている。このプロセスは、FOV104の少なくとも一部分をスキャニングするために反復されている。一実施形態において、センサ102は、スイッチ112の動作が垂直方向においてビーム130(或いは、130’)をスキャニングし、ミラー120が回動又は回転してピクセル144の隣接した列をスキャニングするよう構成されている。別の実施形態において、センサ102は、スイッチ112の動作が水平方向においてビーム130(或いは、130’)をスキャニングし、ミラー120が回動又は回転してピクセル114の隣接した行をスキャニングするように垂直方向においてスキャニングビームを移動させるよう構成されている。当業者は、直交する軸140、142は、図示のように垂直方向及び水平方向において方向付けされる必要がないことを認識するであろう。
【0036】
FOV104がレーザーパルスによってスキャニングされていることから、1つ又は複数の物体106から反射された光は、組み合わせたオプティクス128を通過し、ミラー120によって反射され、及び、ビームスプリッタ126を通じて第2の複数のファイバ150に通過し、これが、反射された光を少なくとも検出器152に供給する。1つ又は複数の検出器152のそれぞれは、アバランシェフォトダイオード(APD)、PINダイオード、ショットキーバリアフォトダイオード、又は特定の用途のために望ましい信号対ノイズ比(SNR)を提供する類似の感度を有する任意のその他の光学検出器などのフォトダイオードによって実装し得る。1つ又は複数の検出器152は、対応する信号を1つ又は複数のコントローラ160に提供する。特定の実装形態に応じて、コントローラ160は、純粋な制御機能以外の機能を実行し得ると共に、例えば、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D、データを分析するFPGA、それぞれの検出されたポイントの位置を算出するプロセッサ、及びデータを遠隔PC又はモニタに伝達するリンクなどの様々な電子回路又はソリッドステートデバイスを収容し得る。1つ又は複数のコントローラ160は、物体106を含むFOV104の少なくとも一部分を表すデータを生成する。1つ又は複数のコントローラ160は、ローカルストレージ162内にFOV104を表すデータを保存し得ると共に/又は、例えば、クラウドサーバー170などの遠隔配置された外部コンピュータにデータを伝達し得る。1つ又は複数のコントローラ160は、1つ又は複数のコントローラ108の1つ又は複数を含み得ると共に、いくつかのケースにおいては、センサ102は、単一コントローラのみを含み得る。
【0037】
複数のファイバ150は、7本のファイバが1つの束にグループ化されるなどのように、グループとして束ねることが可能であり、それぞれの束は、検出器152のラインのうちの単一の検出器に接続されている。単一検出器内への複数のファイバの接続は、ファイバの複数のコアの対物面を95%を超える効率を伴って検出器の結像面内に投影する高NA光学レンズの組合せを通じて効率的に実行し得る。この複数のファイバを単一検出器内に束ねる方法が可能である理由は、すべてのファイバが常に送出レーザーによって照明されているわけではない、即ち、レーザーは、図1において説明されているように、ファイバとの間にスイッチングするからである。異なる時間スロットにおいて照明される異なるグループからのファイバを束ねることにより、単一検出器が正しい時点においてそれぞれのファイバをサンプリングすることができる。この束ねる方法はシステム内の受光ファイバの数を増大させ、従って、検出器の数を増大させることなしに画像の分解能を向上させる。
【0038】
一実施形態において、ファイバ150は、線形アレイ状に配置されており、ファイバのそれぞれは、FOV104のそれぞれのピクセル144が検出器152のうちの1つに対応するように、関連する検出器を有する。一実施形態において、それぞれのレーザーパルスは、検出器152の数が、第1の複数のファイバ114及び第2の複数のファイバ150の数に対応するように、検出器152のうちの1つによって検出される関連するピクセル144を照明するペンシル出力ビーム130を形成する。別の実施形態においては、拡大された楕円又はオーバルレーザービーム130’は、第1の軸に垂直である第2の軸に沿った角度発散よりも整数倍だけ大きい第1の軸に沿った角度発散を有し、複数のピクセル144を照射する。この実施形態において、第2の複数のファイバ150は、第1の複数のファイバ114内のファイバの数の整数倍と、光学スイッチ112の出力数の整数倍と、を含む。これは、FOV104の関連する軸をスキャニングするために光学スイッチ112に必要とされる出力ポートの数を低減し、或いは、その代わりに、同一数の出力ポートの場合により大きなFOV104を提供する。例えば、拡大されたレーザービーム130’は、ターゲット物体106の大きなエリアを照射し得ると共に、(検出器のサンプリングレートが光学スイッチ112のスイッチング時間よりも格段に高速であると仮定することにより)検出器152がターゲット上の五つ(5個)のピクセル144から反射を受け取ることを許容し、従って、対応する係数、即ち、5の倍数、だけ、画像のキャプチャレートを増大させることができる。また、システムは、このケースにおいては、より小さなカウントの光学スイッチ112の使用からも受益する(このケースにおいては、5分の1の数の出力ポート)。より小さなカウントの光学スイッチ112は、スイッチ112をOH116に結合するためにファイバ114の数の1/5を必要とする。これは、より大きな出力パワー/ポート及びより小さなシステムの全体コストを提供する。
【0039】
一実施形態において、コントローラ108、160の少なくとも1つは、本明細書において記述されている1つ又は複数の制御機能又はアルゴリズムを実行するために1つ又は複数のコントローラによって実行可能である命令を表すデータを保存するために、関連する一時的ではないメモリ又はコンピュータ可読ストレージ媒体162を有するマイクロプロセッサに基づいたコントローラである。複数のコントローラが提供されている場合には、コントローラは、通信してデータを交換し、及び/又は、調整又は協働して特定のタスク、機能、アルゴリズム、などを実行し得る。
【0040】
1つ又は複数のコントローラ108、160の1つ又は複数は、FOV104を反復的にスキャニングするためにセンサ102を制御し得る。FOVを表すデータの単一のフレームを形成するために、2回以上のスキャニングからのデータを組み合わせることができる。例えば、FOV104用のフレーム内に表されている特定のピクセル144のデータは、FOV104の10回のスキャニングからの値の平均値であってよい。或いは、この代わりに、ビーム130を別の場所に移動させる前に、10個のレーザーパルスがそれぞれのピクセル144ごとに生成されてもよく、値は、データのフレームを生成するために平均化される。
【0041】
1つ又は複数の実施形態において、1つ又は複数のコントローラ108、160は、1つ又は複数の手動的又は自動的に選択された調節可能なスキャニングモードにおいて動作し得る。一実施形態において、1つ又は複数のコントローラ108、160は、より高いフレームレート及びより低い分解能を有する第1のモード及びより高い分解能を有するより低いフレームレートを有する第2のモードを提供するためにセンサ102の動作を制御し、両方のモードは、同一数のデータポイントを生成する。例えば、LiDARセンサ102は、第1のモードにおいて動作し、これにより、100スキャニング/sにおいてXポイント/スキャニングを生成してもよく、或いは、第2のモードにおいて動作し、これにより、同一のFOV104について10スキャニング/sにおいて10Xポイント/スキャニングを生成してもよい。両方のスキャニングモードは、分解能とスキャニング周波数の間のトレードオフのソフトウェア制御を伴って、同一数のポイント/秒を生成する。スキャニングモードは、関連するインターフェイスを介して車両190の乗員によって手動的に選択されてもよく、或いは、例えば、動作条件、車両の場所、トラフィック、及び環境内の識別された物体106の数に応じて、自律型車両内に自動的に選択されてもよい。或いは、この代わりに、又は組合せにおいて、第1の及び第2のモードは、同一のスキャニングレートを維持しつつ、より高い分解能においてFOV104の一部分のみをスキャニングしてもよい。例えば、車両190がトンネルを通じて移動している場合に、センサ102は100Hzで動作を継続し、これにより、スキャニング分解能を倍加しつつFOV104の半分のみをスキャンし得る。このモードは、カバーされた領域のサイズに基づいてより大きな分解能を提供するスキャニングマスクを提供するように、ソフトウェアを使用して制御される。
【0042】
また、1つ又は複数のコントローラ108、160は、より高い分解能において物体マスクによって指定された領域のみをスキャニングするために、物体マスクの組を使用してセンサ102を制御することもできる。より高い分解能データは、特定の物体のための物体分類を改善するために分類エンジンに入力し得る。
【0043】
また、1つ又は複数のコントローラ108、160は、ハイブリッドスキャニングモードにてセンサ102を動作させ、これにより、時間スライス内にスキャニングモードとの間にスイッチングし及び異なる構成にてそれぞれの時間スライスを稼働させ、特定のコンテキスト内に結果を組み合わせる又は融合するように、構成することもできる。ハイブリッドモードは、利用可能なスキャニング/秒のそれぞれをコンテキスト用のスキャニング計画に従って異なるスキャニング目的に割り当てている。1つ又は複数のスキャニング計画は、フルソフトウェア制御を通じて容易にアクセス及び使用され得るハイブリッド計画を提供するためにLiDARセンサ102又は車両190内に局所的に保存し得る。例えば、スキャニング計画は、(9個の時間スライスを必要とする)3×分解能における3回のスキャニングを規定してもよく、これには、(物体マスクサイズに応じて)調節可能なより高い分解能における識別された物体のスキャニングに対して割り当てられる単一の時間スライスが後続する。このようなハイブリッド計画は、実際の物体のためのより良好な物体分類能力を提供する物体の高分解能画像を伴って、(スキャニング能力/秒の90%を所要する)3×分解能における有効な30Hzスキャニングを提供する。
【0044】
FOV104のLiDARセンサ102による反復されたスキャニングは、物体106の時間に伴うより小さなシフトと、ポイントクラウドを形成する関連するポイントと、を提供する。30Hzを超えるフレームレートにおける反復された高速スキャニングは、2回以上のスキャニングにわたって物体106などの同一の物体を関連付けるために使用し得る。同一の物体106が明瞭に識別されたら、1つ又は複数のコントローラ108、160、クラウドサーバー170、又は別のコントローラ、或いは、車両190のプロセッサは、スキャニングの間の時間にわたるセンサ102からの物体106の距離の変化に基づいて、ポイントクラウド内のそれぞれのポイントごとに速度を評価し得る。その結果、コントローラは、単純なポイントクラウドの代わりに、又はこれとの組合せにおいて、ベクトルクラウドを生成し得る。ポイントクラウド内のそれぞれのポイントは、更新又は変更されたモーション、方向、及び速度を表すベクトルとして評価される。ポイントベクトルは、(直交移動の場合に正確ではない)周波数変調波に関連するドップラー効果に依存するものなどのような、その他の方法よりも正確である。この能力は、10Hzのレベルのフレームレートを有する現時点において利用可能なLiDARセンサの場合には、実際的ではない。例えば、100km/hで走行する車両190に対向して100km/hで移動するターゲット物体106を仮定した場合に、車両190とターゲット物体106との間の相対速度は、200km/h、即ち、55m/sである。(フレーム間100msの)10Hzフレームレートにおいて、ターゲット物体106はフレーム間に5.5m移動するが、これは、計測される物体106の長さを超え、その結果、物体106は到来するトラフィックにおいて見失われる可能性がある。対照的に、これらの相対センサ対物体速度において100Hzフレームレートを提供するLiDARセンサ102は、(連続的なフレーム間に0.5m移動する)個々の車両を追跡及び識別し得る。より高いフレームレートのLiDARセンサ102は、方向及び速度をより正確に追跡し、これにより、同一のFOV104の連続的なフレームの間における物体誤識別の可能性を低減又は除去する能力を有する。
【0045】
図2は、視野(FOV)内の物体から反射された自然光を使用することによって組み合わせたLiDAR/可視光画像を形成する能力を有するLiDARレシーバ/検出器を示すブロック図である。システム200は、図1を参照して記述されているように、LiDARセンサ102との組合せにおいて別個のOHとして使用され得るレシーバ/検出器201を含む。この代わりに、レシーバ/検出器210の主要コンポーネントを組み合わせたセンサ102内に統合し、これにより、ファイバ150から反射光を受け取り及び1つ又は複数の検出器152を置換することもできる。
【0046】
レシーバ/検出器210は、FOV104内の物体106から反射光212を受け取っている。反射光212は、1つ又は複数の物体106から反射された自然(フルスペクトル)又は周辺光との組合せにおいてピクセル144を照射するレーザーパルスからの反射光を含む。反射光212は、レシーバオプティクス220を通過し、これは、収束又は合焦レンズ222及び発散レンズ224などの少なくとも1つの光学要素を含み得る。レシーバオプティクス220を通過した後に、反射光212は、二色性ビームスプリッタ230により、波長に基づいてスプリット又は分割され、波長の第1の範囲232は、第1の検出器240にほぼまっすぐに通過し、波長の第2の範囲は、二色性ビームスプリッタ230によって第2の検出器250にリダイレクトされている。この実施形態において、第1の検出器240は、レーザー110によって生成されたレーザーパルスを含む近赤外(NIR)波長を検出し、第2の検出器250は、(赤色-緑色-青色又はRGB光と呼称され得る)可視光を検出する。検出器240、250によって生成されたアナログ信号は、関連する画像プロセッサ260に提供される前に、A/Dコンバータ242によってデジタルデータに変換し得る。画像プロセッサ260は、別個のコントローラ又はプロセッサ或いは1つ又は複数のコントローラ108、160の1つによって実装し得る。
【0047】
LiDARセンサのオプティクスの受光経路に沿った受動型RGB検出器250の追加は、レーザー110によってピクセルごとにスキャニングされているこれらのターゲット106と並行して、FOV104内のターゲット106から反射されている自然周辺光の可視色を検出する。次いで、画像プロセッサ260は、FOV104内の物体106のカラー二次元画像とマッチング及びオーバーレイされるレーザーの(1550nmなどの)NIR波長における3次元LiDAR画像を生成し得ると共に、大きな値をスキャニングされているシーンのポイントクラウドデータに追加し得る。図2には、代表的な構成が示されているが、このような組み合わせられた画像を有するLiDARセンサを実装するには、特許請求されている主題の範囲内にその他の光学構成も可能である。
【0048】
図3図4は、入力層又はステージに接続された層又はステージ内の光学スイッチング装置のスイッチング時間を低減するための光学スイッチの層を有するスケーラブルな光学スイッチアーキテクチャを示しており、それぞれの層又はステージは、類似のスイッチング又はタイミング要件を有する。図3図4に示されている1×4光学スイッチのより単純な代表的実施形態は、入力層に接続されている層のスイッチング時間を低減するための動作原理及びアーキテクチャを説明しており、及び、図5に関して図示及び記述されている異なるスイッチ構成の3つの層を有する1×32スイッチの実施形態によって更に実証されている1×N光学スイッチを構築するために、それぞれの層ごとに同一又は異なるスイッチ構成を有する複数層にスケーリングし得る。図3において示されているように、光学スイッチ300は、入力層310(第1の層)と、出力層320(第2の層)と、を含む。入力層310は、単一の入力324及び複数の出力326を有する単一スイッチ322(SW1)を含む。入力スイッチ322は1×2光学スイッチによって実装されているが、この入力層のスイッチ構成は、こちらも入力層用の1×2スイッチを有する図5に示されている1×32スイッチ実施形態によって実証されているように、光学スイッチ300の全体的な出力ポート数を制限してはいない。入力層用の1×2スイッチの使用は、同一の用途用の異なるスイッチ構成に関して様々な利点を提供し得るが、これは、限定ではない。入力装置310は、1×Mスイッチ構成などのように、2つ以上の出力を有する単一スイッチを有するアーキテクチャに一般化又は拡張し得る。スイッチ322は、複数の出力326のうちいずれが入力324に結合されているかを判定する少なくとも1つのタイミング、ゲーティング、又はスイッチング信号入力を含む。スイッチング信号入力328は、スイッチ300の特定のアーキテクチャ用の指定されたスイッチング時間内にスイッチング信号を生成する関連するコントローラ又は制御回路(不図示)に接続されている。コントローラ又は制御回路は、図4を参照して図示及び記述されているように、外部コントローラ(不図示)からのマスタータイミング又はスイッチング信号に応答して異なる層内のスイッチ用の異なるスイッチング信号を提供するために、スイッチ内に統合し得る。
【0049】
スイッチ300の出力層320は、1×2光学スイッチ330、332によって表されている複数の1×P光学スイッチを含む。(第2の)出力層320のそれぞれのスイッチは、(隣接する)入力/第1の層310の複数の出力326の1つに接続された関連する単一の入力334、338を含む。また、(第2の)出力層320のそれぞれのスイッチは、関連する複数の出力336、340と、関連するスイッチ入力334、338に結合される複数のスイッチ出力336、340のうちの1つを判定する関連するタイミング/ゲーティング/スイッチング信号入力342、344と、をも含む。出力層320の複数の出力336、340は、図4を参照して記述されているシーケンシャルなスイッチング順序において出口ポート350を提供するように構成し得る。出力層320と出口ポート350の間の出力の特定の構成又は再位置決めは、スイッチの数及びそれぞれの層のスイッチ構成を含むスイッチアーキテクチャに応じて変化する。或いは、この代わりに、スイッチ300は、任意の便利な順序において出口ポート350を出力層320に接続してもよく、出口ポート350は、出力レーザーパルスが上述のように規定された軸に沿ってスキャニングを提供するために隣接するファイバにわたってシーケンシャルに出現するように、線形アレイ中に配置又は再位置決めされた対応する数のファイバに結合されている。
【0050】
図4は、図3のスケーラブルな光学スイッチアーキテクチャの動作を示すタイミング図である。図4に示されているように、図3及び図5の代表的な実施形態において示されているスイッチアーキテクチャは、全体的なスイッチング速度を増大させるために及びさもなければ必要とされる従来の磁気光学スイッチアーキテクチャを駆動するための電圧及び電流の増大を伴うことなしにLiDARセンサ用の増大したフレームレートを促進するために、ポート数の大きい光学スイッチのスイッチング時間を低減する。図3及び図5の代表的な実施形態によって示されているスイッチングアーキテクチャは、低パワー消費及びより低い全体スイッチ費用により、より高速のスイッチング時間をサポートする。
【0051】
図3及び図4を参照すれば、レーザーパルスは、(一例として)状態を10μsごとに変化させるスイッチング信号328に応じて出力ポート326a又は326bのいずれかに結合されるスイッチ322の入力324に進入する。出力ポート326aにおけるレーザーパルスは、SW2用のスイッチング信号342の状態に応じて、スイッチ(SW2)の入力334に、次いで、出力ポート3361又は3362のいずれかに移動する。同様に、出力ポート326bにおけるレーザーパルスも、SW3用のスイッチング信号344の状態に応じて、スイッチ(SW3)332の入力338に、次いで、出力ポート3403又は3404のいずれかに移動する。スイッチング信号342、344は、このケースにおいては20μsごとに状態を変更し、SW2用の信号342は、SW3用の信号344に関して10μsだけ時間シフトされる。従って、10μsごとにスイッチ300に入力されるレーザーパルスは、10μsごとに出口ポート350に出現するが、入力装置310のみは、20μs以内でスイッチングする出力層320と比較して、10μs以内でスイッチングする。図3図4の実施形態において示されている構成の場合、このことは、図3に示されているように、出口アレイ350の線形アレイ内に再位置決めされ得る3361-3403-3362-3404という時間シーケンスにおけるレーザーパルスを出力ポートに結果的にもたらす。
【0052】
図3図4の例示用の光学スイッチアーキテクチャから、アーキテクチャは、1×2スイッチの第3の層を追加することにより、2つの層を有する1×4構成から1×8構成に容易にスケーリング又は拡張され得ることが明瞭であろう。1×2スイッチの第3の層は、第2の層内における20μs又は第1の層内における10μsなどの代わりに、40μsのスイッチング時間を必要とする。
【0053】
図5は、図4に関して図示及び記述されているものに類似したタイミング信号を有する図3のスケーラブルなスイッチアーキテクチャに基づいて構築された、3つの層又はステージを有する代表的な1×32光学スイッチを示している。光学スイッチ500は、1×2スイッチ512を有する入力層510と、2つの1×4スイッチ522、524を有する中間層520と、8つの1×4スイッチ532、534、536、538、540、542、544、546、及び548を有する出力層530と、を含む。それぞれのスイッチSW1~SW11は、図3図4を参照して記述されている例と同様に、入力に結合される複数の出力のうちの1つを判定する対応するスイッチング信号を受け取るスイッチング入力(不図示)を含む。Xのスイッチング時間を有する入力層スイッチング信号の場合に、中間層520の2つのスイッチ522、524のそれぞれは、相互の関係においてXだけオフセットされた2Xのスイッチング時間を有するスイッチング信号を有する。同様に、出力層530の8つのスイッチ532~548も、それぞれ、相互の関係においてXだけ時間シフトされた8Xのスイッチング時間を有するスイッチング信号を有することになり、即ち、SW5用のスイッチング信号は、その他のスイッチング信号のそれぞれに関して2XなどのようにXの整数倍だけ時間シフトされている一方で、SW11用の信号は、SW4用の信号に関して7Xだけ時間シフトされている。当然のことながら、それぞれの層ごとの信号のスイッチング時間及び時間シフトは、層内のスイッチの数と、以前の層内のスイッチの数との関係におけるカスケード内のそれぞれのスイッチの構成と、に依存する。
【0054】
スイッチ530~548の出力は、図3図4を参照して上述したように、シーケンシャルな出口ポート550の線形アレイを提供するように再構成し得る。図5の例において、出力1~32は、1、17、5、21、9、25、13、29、2、18、6、22、10、26、14、30、3、19、7、23、11、27、15、31、4、20、8、24、12、28、16、32というスイッチングシーケンス順序で構成されることになろう。
【0055】
図3図5の実施形態において示されているように、入力層に接続されたそれぞれの層は、入力層よりも低速のスイッチング速度を有するスイッチを含む。更に詳しくは、それぞれの層は、入力層のスイッチング速度と層内のスイッチング要素の整数の数に対応する入力層スイッチング速度の整数倍の間のスイッチング速度を有する。図3図4の例においては、出力層は、入力層スイッチング速度(10μs)と入力層スイッチング速度の二倍(2×10μs=20μs)の間のスイッチング速度を有する2つのスイッチング要素(SW2及びSW3)を有する。図5の例示用の実施形態においては、入力層は、10μsのスイッチング速度を有し、中間層は、2つのスイッチを含み、及び、20μs(2×10μs)の対応するスイッチング速度を有し、及び、出力層は、80μs(8×10μs=80μs)のスイッチング速度を有する8つのスイッチを含む。同様に、層内のそれぞれのスイッチごとのスイッチング信号も、相互の関係において入力層のスイッチング速度によって時間シフトされる。図3図4の例示用の方法において、第2の層320内のそれぞれのスイッチごとのスイッチング信号は、入力層310のスイッチング速度(10μs)だけ時間シフトされている。この関係は、層内のスイッチの特定のサイズ/構成、即ち、スイッチが1×2、1×3、1×4、又は1×Pスイッチであるのかどうか、とは無関係に適用される。例えば、光学スイッチは、10μsのスイッチング速度を有する単一の1×3スイッチを有する入力層、30μsのスイッチング速度を有する3つの1×4スイッチの第2の層、及び120μsのスイッチング速度を有する12個の1×2スイッチの出力層を含み得る。別の例として、光学スイッチは、20μsにおいてスイッチングする入力層、40μs(2×20μs)においてスイッチングする2つのスイッチを有する中間層、及び80μs(4×20μs)においてスイッチングする4つのスイッチを有する出力層を有する3つの層として構成された7つの1×2スイッチを含み得る。
【0056】
図3図5に関して光学スイッチアーキテクチャの代表的な実施形態において示されているように、光学スイッチ300、500は、第1のスイッチング要素322、512を有する少なくとも入力層310、510と、複数のスイッチング要素330~332、532~548を有する出力層320、530と、を含む複数の層又はステージを含む。第1のスイッチング要素322、512及び複数のスイッチング要素330~332、532~548のそれぞれは、例えば、328などの制御信号に応答して、例えば324などの信号入力と例えば326などの複数の出力との間に順番に光を光学的にスイッチングするように構成されている。入力層310、510の第1のスイッチング要素の単一の入力324、512は、光学スイッチ300、500の入力を有し、及び、出力層320、530のスイッチング要素の複数の出力350、550は、光学スイッチ300、500の出力を有する。それぞれの層310、320、510、520、530は、隣接する層内のスイッチング要素のうちの関連するものの複数の出力の1つに接続された層内のそれぞれのスイッチング要素の単一の入力を有する。第1のスイッチング要素322、512は、第1のスイッチング速度において動作し、及び、それぞれの層320、520、530のスイッチング要素は、第1のスイッチング速度よりも低速のスイッチ速度において、及び、更に詳しくは、第1のスイッチング速度と層内のスイッチング要素の整数の数に対応する第1のスイッチング速度の整数倍の間のスイッチング速度において動作する。特定の層内のそれぞれのスイッチング要素ごとのスイッチング信号は、特定の層内のその他のスイッチング要素に関して第1のスイッチング速度の整数倍だけ時間シフトされている。
【0057】
本開示による光学スイッチアーキテクチャは、例えば、全磁気光学スイッチなどのように、同一のタイプ又は動作原理のスイッチング要素(スイッチ)を含み得る。或いは、この代わりに、入力層スイッチング要素は、電気光学スイッチング要素又はセラミックに基づいたスイッチング要素又は任意のその他の高速光学スイッチなどの異なるタイプのスイッチング要素と置換することもできる。適し得る市販のソリッドステート光学スイッチング要素又はスイッチは、Boston Applied Technologies,Inc.(BATi)of Woburn,MA,USAによって製造される自由空間アーキテクチャにおいて動作するOPTOCERAMIC(登録商標)材料を使用したスイッチのNANONA(登録商標)ラインを含む。電気光学又はセラミックに基づいたスイッチの使用は、望ましい高速スイッチング速度を提供するために磁気光学スイッチよりも少ないパワーを必要とし得る一方で、これらのスイッチは、通常、磁気光学スイッチよりも大きな光学損失及び大きな費用を有する。電気光学又はセラミックに基づいたスイッチを有する少数のスイッチによって入力層のみを又は恐らくは第2の層を置換することは、LiDARセンサの100Hz以上のフレームレートを実現するために望ましい高速スイッチング速度を提供しつつ、スイッチの全体的な光学損失及び費用に対するこれらの影響を軽減する。
【0058】
図6は、組み合わせたソリッドステートデバイス及び機械スキャニング装置を使用したLiDARスキャニング用のシステム及び方法の動作を示すフローチャートである。システム又は方法600は、610において表されているように、レーザーパルスを生成することと、612において表されているように第1の軸に沿って方向付けされた第1の線形アレイ状に配置された対応する第1の複数のファイバに結合された複数の出力のそれぞれに対する入力において受信されたレーザーパルスを光学的にスイッチングすることと、を含む。システム又は方法は、614において表されているように、第2の軸に沿って隣接する行/列にパルスを移動させるために機械的装置を制御することを含む。これは、少なくとも1つのミラーを回動又は回転させて、第1の軸に直交する第2の軸に沿って第1の複数のファイバから光をリダイレクトして視野の少なくとも一部分を照射することを含み得る。616において表されているように、光学スイッチング及び機械的位置決め装置の対応する制御により、1つ又は複数の調節可能なスキャニングモードを提供してスキャニングレート、分解能、及び/又はエリアを調節し得る。例えば、調節可能なスキャニングモードは、運転条件、車両の場所、及び/又は環境内のトラフィック及び識別された物体の数に応じて、より高いスキャニングレート又はより高い分解能を提供するスキャニングモードを手動的又は自動的に選択するために、車両操作者により、或いは、自律型車両コントローラにより、選択し得る。例えば、システム又は方法は、両方のスキャニングモードが同一数のポイント/秒を生成する状態において、同一のFOVに伴って、Yスキャニング/秒においてXポイント/スキャニング、或いは、Y/10スキャニング/秒において10Xポイント/スキャニング、を生成する1つのモードにおいて動作することができる。別の調節可能なスキャニング動作モードにおいて、システム又は方法は、同一のスキャニングレートを維持しつつ、より高い分解能において利用可能なFOVの一部分のみをスキャニングし得る。例えば、トンネル内を移動する車両は100Hzでスキャニングし得るが、スキャニング分解能を倍増させつつ、FOVの2分の1のみをスキャニングし得る。このモードは、FOVのスキャニングされた部分のサイズ/エリアに基づいて増大した分解能を提供するように、スキャニングマスクを提供するソフトウェアによって制御し得る。別の調節可能なスキャニングモードにおいては、特定の物体のためのより良好な分類データを提供するように、より高い分解能において物体のそれらの領域のみをスキャニングするために、物体マスクが使用される。
【0059】
更に別のスキャニングモードにおいて、システム又は方法は、時間スライス内にスキャニングモードを変更し得、これにより、それぞれの時間スライスを異なる構成にて稼働させると共に、特定のコンテキスト内に結果を組み合わせる又は融合する。代表的なハイブリッドスキャニングモードは、スキャニング計画に従って、異なるスキャニング目的に基づいて、利用可能なスキャニング/秒を割り当てる。1つ又は複数のコントローラによって実行されるソフトウェア命令によって特定のコンテキストのために後続のアクセスが選択されるように、1つ又は複数のスキャニング計画が保存され得る。
【0060】
システム又は方法は、618において表されているように、第2の線形アレイ状に配置された第2の複数のファイバを通じて、少なくとも1つのミラーを介して少なくともいくつかのレーザーパルスを照射された視野内の物体から反射された光を、少なくとも1つの検出器に導波することを含み、これは、物体から反射され波長の第1の範囲を有する光の第1の部分を、620において表されているように、第1の検出器に導波することと、物体から反射され波長の第2の範囲を有する光の第2の部分を、622において表されているように、第2の検出器に導波することと、を含み得る。波長の第1の範囲は、可視波長を含んでいてもよく、波長の第2の範囲は、赤外波長を含んでいてもよく、光の第1の及び第2の部分を導波することは、二色性ビームスプリッタを通じて物体から反射された光を導波することを有する。第1の及び第2の検出器からの信号は、624において表されているように、処理されて組み合わせられるか又はオーバーレイされ得る。
【0061】
1つ又は複数の検出器からの信号は処理されて、視野の少なくとも一部分を表す626において表されているポイントクラウドが生成される。高いフレームレートによる同一のFOVの反復されたスキャニングは、物体及びポイントクラウド内のポイントの時間に伴うより小さな変化を提供する。30Hzを超えるフレームレートにおける反復された高速スキャニングは、2回以上のスキャニングにわたって物体を識別するために使用し得る。同一の物体が明瞭に識別された後に、ポイントクラウド内のそれぞれのポイントごとに速度を判定することができる。この結果、システム又は方法は、単純なポイントクラウドではなく、628において表されているように、ベクトルクラウドを生成することができる。クラウド上のそれぞれのポイントは、更新されたモーション、方向、及び速度を表すベクトルとして評価される。このようなポイントベクトルは、(直交する移動については正確ではない)周波数変調波によって生成されたドップラー効果に依存するものなどの、その他の方法よりも高精度である。
【0062】
630において表されているように、システム又は方法は、類似の、即ち、既定の閾値未満だけ異なる値を有するベクトルのクラスタに基づいて、物体と、関連する境界線とを識別し得る。本開示は、共有された物体は、同一の方向に同一の速度で移動し(なんらかの許容値内に)同一のベクトルクラウドを有することを認識している。ベクトルクラウドは、同一のモーションベクトルを共有するものとして、同一の物体のすべてのポイントを観察する。この結果、プロセッサのソフトウェアアルゴリズムがクラスタリング及び識別を目的として物体及び関連する境界線を識別することがより容易である。
【0063】
物体は、632において表されているように、クラスタリングに基づいて分類され得る。同一又は類似のモーションベクトルを共有する物体の正確な識別に基づいて、ベクトルクラウドを利用することにより、関係する物体のグループ又はクラスタを、物体の特定のタイプに、より容易に分類又は類別し得る。識別は、樹木又は看板などのより一般的な環境物体に加えて、特定の車両タイプ、又はさらには車両メーカー/モデルなどの、認識された物体タイプを特定することができる。
【0064】
システム又は方法は、634において表されているように、FOVの圧縮された表現としてFOV内のそれぞれのポイントの距離及び速度を含み得るベクトルクラウドデータを保存及び/又は伝達する。共有された速度及びクラスタリングに起因した物体分類の後に、システム又は方法は、物体、場所、及び統合されたモーションベクトルに基づいたシーンの圧縮された評価をその他の適切に装備された車両及び/又は外部クラウドサーバー又はサービスに伝達し得る。識別された物体の場所又は速度のみに依存するよりも良好にFOV及び物体マッピングを評価するために、ベクトルクラウドによって特徴付けされたパラメータを使用し得る。ベクトルクラウド内の物体が特徴付け及び識別された後に、システム又は方法は、(時間に伴って更に詳細に完成される)3次元物体に対する単一の参照として連続的なスキャニング内に出現する物体を局所的に保存し得る。同様に、関連する物体ベクトルクラウドを再送するのではなく、予め伝達された物体に対する単一の参照をリモートサーバー又はサービスに送信することもできる。それぞれのスキャニングは、損失を伴うことなしに画像を取得するために、ベクトルクラウド内に個々のポイント又はベクトルを保存する必要はない。ベクトルクラウドに基づいた圧縮された画像は、物体全体の物体参照、場所、向き、及び単一モーションベクトルを保存するために使用され得る。このような情報は、ベクトルクラウドを再生するのに十分なものであり、物体を表すポイントよりも格段に圧縮されている。また、スキャニングにおける移動していない物体も、シーン物体として一旦保存され得ると共に、後続のスキャニングにおいて参照され得る。
【0065】
ベクトルクラウドデータは、636において一般的に表されているように、特定のシーン又は領域内の道路トラフィック及びその他の物体のマッピングなどのサービスを提供する1つ又は複数のリモートサーバーに転送され得る。ポイントによってではなく速度ベクトルによってターゲット物体を表すことは、特定の領域又は場合によっては世界全体をマッピング及び監視する外部サービスへの検出されたターゲットのデータの伝達を促進する。このようなサービスは、航空管制が航空交通を監視するために行うものと類似の能力を提供し、任意の特定の車両のセンサ能力とは無関係に、複数の車両のための1つ又は複数の共有された/共通の参照ポイントを保持することになろう。シーンの圧縮されたベクトルに基づいた理解は、非常に高いフレームレートにも拘わらず非常にわずかな帯域幅を使用して、スケールにおける高い効率性により、同一の「トラフィックセル」内の多くの車両によって、損失なしに共有し得る。
【0066】
638において表されているように、視野をスキャニングすることによって検出されたベクトルクラウド内の1つ又は複数の物体は、外部サーバー又はサービスによって提供される共有ベクトル空間からの対応するデータを使用することにより、検証又は確認し得る。外部サービスは、上述のように、特定の領域内の複数の車両からベクトルクラウド情報を受信する。この共有ベクトル空間は、特定の車両からのデータをその他の車両によって予め共有されているデータと比較するために使用され得る。このようなサービスは、特定の車両のLiDARセンサから送信されたベクトルクラウド用の検証又は確認を提供し、これにより、ベクトル内に識別されているすべての物体のための確実性スコアを評価して返すことができる。受信した検証又は確実性スコアは、識別された物体とLiDARセンサによって判定された対応する物体位置及びモーションとの関係におけるサービスによって保存されているその位置及びモーションの間のマッチング又は相関値を提供する。
【0067】
システム及び方法は、640において表されているように、ベクトルクラウドデータに基づいて1つ又は複数の識別された物体のための物体分類及びエンリッチメントデータを受信し得る。外部サービスは、1つ又は複数の識別された物体のためのより完全な又は確実な情報を提供し得ると共に、この情報をデータエンリッチメントとして車両LiDARセンサに伝達し得る。このような情報は、物体を肯定的に識別又は分類するには不十分である情報によってLiDARによって検出された離れた物体を改善することができる。例えば、200メートル以上から識別された物体が識別又は分類のために十分なデータをLiDARシステムに提供しない場合がある。外部サービス又はサーバーに伝達されたベクトルクラウドデータに基づいて、外部サービスは、例えば、サービスによって共有ベクトル空間内に保存されている情報並びにベクトルクラウドデータの相対場所、サイズ、及び速度に応じて、自動車又はトラックとして又は更に具体的には青色のトヨタプリウス(登録商標)として、物体を識別し得る。
【0068】
642において表されているように、システム又は方法は、1つ又は複数の物体を識別するベクトルクラウドデータに基づいてリモートサーバー又はサービスから物体履歴データを受信し得る。物体は、特定の場所又はシーンのコンテキストにおける履歴を有する。履歴物体データは、物体タイプ、位置、速度、タイムスタンプ、などを含み得る。例えば、移動していない車両は、最後の移動時刻(タイムスタンプ)の履歴を有することになり、例えば、最後の速度又は最大速さ又は速度を含み得る。システム又は方法によって受信した物体のための履歴データは、状況における特定の運転方式に関する軽減方式又は履歴データに基づいた車両経路に進入する特定の物体の尤度の判定を評価するために使用し得る。同様に、封鎖されたレーン又は道路の近傍の物体も、道路又は車両経路に向かう又はこれから離れる移動を通知する履歴移動ベクトルを有し得る。このようなデータは、外部サービスからLiDARセンサに提供されるオーバーレイとして物体ベクトルに追加され得る。
【0069】
システム又は方法は、644において表されているように、FOVの外側の物体について外部サービス又はサーバーからデータを受信し得る。本開示によるベクトルクラウドデータの使用は、LiDARセンサのFOVの外側にある物体の事前検出情報を提供するために、高速及び低帯域幅における外部サービスによるベクトルデータの共有を促進する。このような物体は、遠過ぎ得るか、近過ぎ得るか、又はその他の方法で車両のLiDARセンサによる検出が妨げられ得るが、その他の車両のセンサには可視状態であり得、又は外部サービス又はサーバーにとっては既知であり得る。同様に、このような物体は、例えば、妨げられた視界を有するコーナーの周りなどのように、検出することが困難である角度から車両に接近する可能性もある。外部サーバー又はサービスから物体情報を受信することは、悪天候又は低視認性状態における動作を改善することができ、このような場合には、安全な運転又は高い確実性(並びに、より大きな速度)の維持のために、自動車の間の情報の共有が不可欠であり得る。
【0070】
646において表されているように、システム又は方法は、FOV内に、他の場合では検出されない物体又は識別されない物体のための物体データを受信できる。外部サーバー又はサービス或いはその他の車両又は道路センサは、近傍のエリア内の物体について車両のLiDARセンサに物体ベクトルデータを伝達し得ると共に、スキャニングLiDARによって生成されたデータを処理する1つ又は複数のコントローラを介して、これらのターゲットシンボルをローカル車両ポイントクラウド画像内に注入し得る。このようなベクトルは、外部道路センサ及び/又は様々な検出センサを有するエリア内のその他の車両から受け取ることができる。注入されたターゲットを含む改善又は拡張されたポイントクラウドは、すべての天候状態においてターゲットをより良好に検出及び分類するために、LiDARセンサの知覚及び分類ソフトウェアによって使用し得る。
【0071】
従って、以上において詳述した及び図1~6において示されているスキャニングLiDAR用のシステム又は方法の代表的な実施形態の1つ又は複数は、いくつかの利点を提供し得る。例えば、1つの軸に沿ったソリッドステート高速スキャニングデバイスの直交する軸に沿ったより低速の機械スキャニング装置との間の組合せは、ソリッドステートスイッチングデバイスに完全に依存したLiDARに関して、より小さな費用及びパワー消費においてより良好な分解能及び検出レンジをLiDARスキャニングに提供し得る。ソリッドステートデバイス及び機械スキャニング装置の組合せは、ミラーの1つが極端な速度及び精度によって動作し、数十億又は数兆のサイクルにわたって摩耗と損傷に晒される2つの機械的ミラーを有するシステムに関して、改善された信頼性を提供し得る。磁気光学(MO)スイッチなどの光学スイッチによってこのような方式の高速ミラースキャニングを置換することは、100Hz以上フレームレートをサポートする能力を有する、より高速のスキャニングレートを提供し得る。ポート数が大きいスイッチのスイッチング時間を低減するために光学スイッチのカスケード型の層又はステージを有する光学スイッチアーキテクチャを含む実施形態は、より小さなパワー消費及び全体スイッチ費用により、増大したLiDARフレームレートを促進する。LiDARスキャニングから結果的に得られるポイントクラウドデータの変化に基づいてベクトルクラウドを生成することは、検出器情報の共有及びLiDARセンサの視野の内側の及び外側の物体の改善された検出を提供するために、車両間の及び/又は車両と外部サーバー又はサービスとの間の高速低帯域幅保存及び通信用のデータの損失なし圧縮を促進する。当業者には、本開示に基づいた特定の用途及び実装形態の多くのその他の利点が認識され得るであろう。
【0072】
以上、代表的な実施形態について説明したが、これらの実施形態は、特許請求されている主題のすべての可能な形態を記述することを意図したものではない。本明細書において使用されている用語は、限定ではなく説明の用語であり、本開示及び特許請求された主題の範囲を逸脱することなしに、様々な変更が実施され得ることを理解されたい。これに加えて、様々な実装実施形態の特徴は、明示的に記述又は図示されていないが、但し、本開示及び特許請求されている主題の範囲に含まれる、当業者には認識可能であり得る、更なる実施形態を形成するために組み合わせることもできる。様々な実施形態は、利点を提供するものとして又は1つ又は複数の望ましい特性に関してその他の実施形態又は従来技術の実装形態よりも好ましいものとして記述されている場合がある。当業者が認識するように、1つ又は複数の特徴又は特性は、望ましい全体的なシステム属性を実現するために損なわれる場合もあるが、これは、特定の用途及び実装形態に依存し得る。これらの属性は、限定されることなく、費用、強度、耐久性、ライフサイクル費用、市場可能性、外観、パッケージング、サイズ、サービス可能性、重量、製造可能性、組立の容易性などを含む。1つ又は複数の特性に関して、その他の実施形態又は従来技術の実装形態よりも望ましくないものとして記述されている実施形態は、必ずしも本開示の範囲外ではなく、特定の用途には望ましいものであり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】