(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-05-28
(54)【発明の名称】使用説明書が組み込まれた尿道カテーテル挿入キットおよびその方法
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240521BHJP
【FI】
A61M1/00 160
A61M1/00 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572907
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 US2022029394
(87)【国際公開番号】W WO2022250994
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591018693
【氏名又は名称】シー・アール・バード・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】1 Becton Drive Franklin Lakes NEW JERSEY 07417 UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】チャップマン、ブライアン
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA19
4C077BB10
4C077DD21
4C077EE04
4C077KK09
4C077KK25
(57)【要約】
本明細書に開示するのは、カテーテル処置のための尿道カテーテル挿入キットである。尿道カテーテル挿入キットは、トレイアセンブリ、尿道カテーテル、およびドレナージシステムを含むことができる。トレイアセンブリは、患者の部分的に開いた脚の間のスペースに合わせて輪郭を付けることができる。トレイアセンブリは、収納トレイおよび作業トレイを含むことができる。作業トレイは、尿道カテーテル挿入キットの複数の構成要素を保持する複数の予め形成された部分を含むことができる。作業トレイは、トレイアセンブリ内の収納トレイの上に架け渡すことができ、それによって、収納トレイ内にカバー付きの収納スペースを形成する。尿道カテーテルは、作業トレイの予め形成された部分のカテーテル部分に配置することができる。ドレナージシステムは、収納スペースに配置することができる。ドレナージシステムは、ドレナージ容器と、尿道カテーテルに接続されたドレナージ管とを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル処置のための尿道カテーテル挿入キットであって、
患者の部分的に開いた脚の間のスペースのために輪郭が付けられたトレイアセンブリであって、
収納トレイと、
尿道カテーテル挿入キットの複数の構成要素を保持する複数の予め形成された部分を含む作業トレイであって、トレイアセンブリの収納トレイの上に架け渡されており、それによって、収納トレイ内にカバー付きの収納スペースを形成する、作業トレイと、を有しているトレイアセンブリと、
前記予め形成された部分のカテーテル部分に配置された尿道カテーテルと、
前記収納スペースに配置されたドレナージシステムであって、
ドレナージ容器と、尿道カテーテルに接続されたドレナージ管とを含む、ドレナージシステムと、を含む、尿道カテーテル挿入キット。
【請求項2】
前記トレイアセンブリが三角プリズム形状を有している、請求項1に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項3】
前記トレイアセンブリが台形プリズム形状を有している、請求項1に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項4】
前記トレイアセンブリが、平坦な面を有する涙滴形状を有しており、平坦な面を有する涙滴形状の平坦な面が該トレイアセンブリの主面である、請求項1に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項5】
前記作業トレイの上縁部が、患者の快適性のために面取りされるか、またはフィレット加工されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項6】
前記収納トレイの短辺間の角が、患者の快適性のために丸くなっている、請求項1~5のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項7】
前記作業トレイが成形プラスチックである、請求項1~6のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項8】
前記収納トレイが折り畳まれた板紙である、請求項1~7のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項9】
前記作業トレイの予め形成された部分が、カテーテル処置に従って配置されており、カテーテル処置の初期の段階では、患者の陰部に近い予め形成された部分の構成要素を利用し、カテーテル処置のその後の段階では、陰部から離れた予め形成された部分の構成要素を利用する、請求項1~8のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項10】
カテーテル処置に従って、前記作業トレイ上に配置されかつ表示された段階的なカテーテル処置の説明書をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項11】
前記段階的なカテーテル処置の説明書が、前記作業トレイの予め形成された部分内または予め形成された部分に沿って、該作業トレイ上に表示されている、請求項10に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項12】
前記収納トレイが、前記作業トレイから作業する間に前記収納トレイの収納スペースに収納された尿道カテーテル挿入キットの構成要素のいずれかへのアクセスを容易にするために、前記収納トレイの端部に開口部を有している、請求項1~11のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項13】
前記作業トレイが、前記カテーテル部分の底部と端部との間に形成されたカテーテル部分の角領域に切欠きを有しており、前記ドレナージ管が、前記カテーテル部分の切欠きを介して前記尿道カテーテルに接続されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項14】
前記切欠きによって、前記尿道カテーテルから前記ドレナージ管を分離することなく、該ドレナージ管を前記収納トレイから取り外すことを可能にする、請求項13に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項15】
前記ドレナージシステムが、前記尿道カテーテルを前記ドレナージ管に接続する採尿ポートを含むコネクタをさらに備えている、請求項1~14のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項16】
前記尿道カテーテル用の潤滑剤を含む潤滑剤容器をさらに備えており、前記作業トレイの予め形成された部分の少なくとも1つの部分が、潤滑剤容器を保持するように構成された潤滑剤容器部分を有している、請求項1~15のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項17】
前記尿道カテーテルのバルーンを膨張させるための膨張剤を含む膨張剤容器をさらに備えており、前記作業トレイの予め形成された部分の少なくとも1つの部分が、膨張剤容器を保持するように構成された膨張剤容器部分を有している、請求項1~16のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項18】
消毒薬のパッケージと1つ以上の綿棒とを含む陰部準備キットをさらに備えており、前記作業トレイの予め形成された部分の少なくとも1つの部分が、前記パッケージから消毒薬を保持するためのウェルと、前記ウェル内の対応する1つ以上の吸収性ヘッドを有する前記1つ以上の綿棒をそれぞれ保持するための1つ以上の角度のついたチャネルとによって構成された陰部準備部分を有している、請求項1~17のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項19】
前記ウェルが、前記パッケージからの消毒薬が該ウェル内に分注されたときに、前記1つ以上の吸収性ヘッドに消毒薬が浸透するように、前記パッケージからの消毒薬の全容量に1つ以上の吸収性ヘッドの容積を加えた容量に見合う容積を有するように寸法が決められている、請求項18に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項20】
前記収納トレイの収納スペースに配置された採尿容器をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【請求項21】
前記作業トレイ内に配置された尿道カテーテル挿入キットの少なくとも構成要素を保護するように構成された保護板紙であって、前記作業トレイが、保護板紙を保持するように構成された前記作業トレイの周囲にリップを含む、保護板紙と、
前記保護板紙と尿道カテーテル挿入キットの外装との間のペリケアキットと、をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の尿道カテーテル挿入キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器に関し、詳しくは使用説明書が組み込まれた尿道カテーテル挿入キットおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿道カテーテルは、患者から尿を排出するために病院などの医療施設で使用される。しかしながら、カテーテル関連尿路感染症(「CAUTI」)は、院内感染(「HAI」)の2番目に多い疾患である。したがって、病院としては、標準治療の一部として厳密な無菌技術に準拠することによってCAUTI率を削減する方法に関心がある。しかし、その標準治療を満たす病院の能力に影響を及ぼす多くの要因がある。これらの要因には、医療従事者の訓練および経験の状況、患者の要因(例えば、一般的な健康、体重、および解剖学的構造)、環境要因、ならびに尿道カテーテル挿入キットの特性(キットの構成要素、キットの構成要素の様々なレイアウト、およびキットの使用説明書を含む)が含まれる。医療において、カテーテルを患者に挿入するための容易で、安全で、かつ信頼できる標準的な方法が必要とされている。
【0003】
本明細書で開示するのは、使用説明書が組み込まれた尿道カテーテル挿入キットおよびその方法である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示するのは、カテーテル処置のための尿道カテーテル挿入キットである。尿道カテーテル挿入キットは、いくつかの実施形態では、トレイアセンブリ、尿道カテーテル、およびドレナージシステムを含む。トレイアセンブリは、患者の部分的に開いた脚の間のスペースに合わせて輪郭が付けられている。トレイアセンブリは、収納トレイおよび作業トレイを含む。作業トレイは、尿道カテーテル挿入キットの複数の構成要素を保持する複数の予め形成された部分(section)を含む。作業トレイは、トレイアセンブリ内の収納トレイの上に架け渡す(suspended over)ことができ、それによって、収納トレイ内にカバー付きの収納スペースを形成する。尿道カテーテルは、作業トレイの予め形成された部分のカテーテル部分に配置される。ドレナージシステムは、収納スペースに配置される。ドレナージシステムは、ドレナージ容器と、尿道カテーテルに接続されたドレナージ管とを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは三角プリズム形状を有する。
いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは台形プリズム形状を有する。
いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは、平坦な面を有する(flat-sided)涙滴形状を有する。平坦な面を有する涙滴形状の平坦な面は、トレイアセンブリの主面である。
【0006】
いくつかの実施形態では、作業トレイの上縁部は、患者の快適性のために面取りされるか、またはフィレット加工されている。
いくつかの実施形態では、患者の快適性のために、収納トレイの短辺間の角が丸くなっている。
【0007】
いくつかの実施形態では、作業トレイは成形プラスチックである。
いくつかの実施形態では、収納トレイは折り畳まれた板紙である。
いくつかの実施形態では、作業トレイの予め形成された部分は、カテーテル処置に従って配列される。カテーテル処置における初期の段階では、患者の陰部に近い作業トレイの予め形成された部分の構成要素を利用する。カテーテル処置のその後の段階では、陰部から離れた作業トレイの予め形成された部分の構成要素を利用する。
【0008】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットは、カテーテル処置に合わせて、作業トレイ上に配置されかつ表示された(marked)段階的なカテーテル処置の説明書をさらに含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、カテーテル処置の説明書の手順(step)は、作業トレイの予め形成された部分内または予め形成された部分と並んで、作業トレイ上に表示される。
【0010】
いくつかの実施形態では、収納トレイは、収納トレイの端部に開口部を含む。開口部によって、作業トレイからの作業中に、収納トレイの収納スペースに収納された尿道カテーテル挿入キットの構成要素のいずれかに容易にアクセスすることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、作業トレイは、カテーテル部分の底部と端部との間に形成されたカテーテル部分の角領域に切欠きを含む。ドレナージ管は、カテーテル部分の切欠きを通して尿道カテーテルに接続される。
【0012】
いくつかの実施形態では、切欠きによって、尿道カテーテルからドレナージ管を分離することなく、ドレナージ管を収納トレイから取り外すことができる。
いくつかの実施形態では、ドレナージシステムはコネクタをさらに含む。コネクタは、尿道カテーテルをドレナージ管に接続する採尿ポートを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットは、尿道カテーテル用の潤滑剤を含む潤滑剤容器をさらに含む。作業トレイの予め形成された部分の少なくとも1つの部分は、潤滑剤容器を保持するように構成された潤滑剤容器部分を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットは、尿道カテーテルのバルーンを膨張させるための膨張剤を含む膨張剤容器をさらに含む。作業トレイの予め形成された部分の少なくとも1つの部分は、膨張剤容器を保持するように構成された膨張剤容器部分を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットは、消毒薬と1本以上の綿棒のパッケージを含む陰部準備キットをさらに含む。作業トレイの予め形成された部分の少なくとも1つの部分は、ウェルおよび1つ以上の角度のついた(angled)チャネルを含む陰部準備部分を含む。ウェルは、パッケージからの消毒薬を保持するように構成されている。1つ以上の角度のついたチャネルは、対応する1つ以上の吸収ヘッドを有する1つ以上の綿棒をそれぞれウェル内に保持するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、ウェルは、パッケージからの消毒薬がウェル内に分注されたときに、1つ以上の吸収性ヘッドに消毒薬が浸透するように、パッケージからの消毒薬の全容量に1つ以上の吸収性ヘッドの容積を加えた容量に見合う容積を有するように寸法が決められる。
【0017】
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットは、収納トレイの収納スペースに配置された採尿容器をさらに含む。
いくつかの実施形態では、尿道カテーテル挿入キットは、作業トレイ内に配置された保護板紙と、保護板紙と尿道カテーテル挿入キットの外装との間のペリケアキット (peri-care kit)とをさらに含む。作業トレイは、保護板紙を保持するように構成されたリップを作業トレイの周囲に含む。保護板紙は、少なくとも、作業トレイ内に配置された尿道カテーテル挿入キットの構成要素を保護するように構成される。
【0018】
また、本明細書に開示するのは、尿道カテーテル挿入キットを用いた尿道カテーテル処置のための方法である。この方法は、外装除去手順と、開脚手順と、トレイ配置手順と、陰部準備手順と、カテーテル挿入手順とを含む。外装除去手順は、尿道カテーテル挿入キットから外装を取り除くことを含む。外装除去手順は、収納トレイの上に架け渡した作業トレイを含むトレイアセンブリを露出またはむき出しにすることを含む。作業トレイは、尿道カテーテル処置のための複数の構成要素を保持する複数の予め形成された部分と、尿道カテーテル処置に合わせて作業トレイ上に配置されかつ表示された段階的なカテーテル処置の説明書とを有する。開脚手順は、患者の脚を部分的に開いて脚の間にスペースを作ることを含む。トレイ配置手順は、患者の脚部間のスペースにトレイアセンブリを配置することを含む。トレイアセンブリは、脚部間のスペースに合わせて輪郭が付けられている。陰部準備手順は、消毒薬のパッケージおよび1つ以上の綿棒を含む陰部準備キットを使用して患者の陰部の準備をすることを含む。陰部準備手順は、陰部に最も近い作業トレイの陰部準備部分から消毒薬のパッケージを取り外すことを含む。陰部準備手順はまた、陰部準備部分内または陰部準備部分に沿って作業トレイ上に表示されたカテーテル処置の説明書に従って、陰部準備部分のウェル内に消毒薬を分注することを含む。ウェル内に消毒薬を分注することで、陰部準備部分の1つ以上の角度のついたチャネル内にそれぞれ保持された1つ以上の対応する綿棒の1つ以上の吸収性ヘッドに浸透させる(saturate)。カテーテル挿入手順は、尿道カテーテルを使って患者にカテーテルを挿入することを含み、これには、尿道カテーテルを陰部から最も遠い作業トレイのカテーテル部分から取り外すこと、ならびに尿道カテーテルをドレナージシステムのドレナージ管またはドレナージ容器のいずれかから分離することなく、ドレナージシステムを収納トレイのカバー付きの収納スペースから取り外すことを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは三角プリズム形状を有する。
いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは台形プリズム形状を有する。
いくつかの実施形態では、トレイアセンブリは、平坦な面を有する涙滴形状を有する。平坦な面を有する涙滴形状の平坦な面は、トレイアセンブリの主面である。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、肛門周辺部洗浄手順をさらに含む。肛門周辺部洗浄手順は、トレイ配置手順の前に、ペリケアキットを用いて患者の肛門周辺部を洗浄することを含む。肛門周辺部洗浄手順はまた、尿道カテーテル挿入キットの外装と、板紙の下の作業トレイ内の尿道カテーテル挿入キットの構成要素を保護するように構成された保護板紙との間から、ペリケアキットを取り外すことを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、作業トレイは、カテーテル部分の底部と端部との間に形成されたカテーテル部分の角領域に切欠きを含む。切欠きは、尿道カテーテルをドレナージシステムから分離することなく、尿道カテーテルを作業トレイのカテーテル部分から取り外すこと、およびドレナージシステムを収納トレイの収納スペースから取り外すことの両方を可能にする。
【0022】
いくつかの実施形態では、方法は、カテーテル潤滑手順をさらに含む。カテーテル潤滑手順は、陰部準備部分とカテーテル部分との間の作業トレイの潤滑剤容器部分から潤滑剤充填容器を取り外すことを含む。カテーテル潤滑手順はまた、潤滑剤容器部分内または潤滑剤容器部分に沿って作業トレイの上に表示されたカテーテル処置の説明書に従って、潤滑剤充填容器から作業トレイの潤滑剤容器部分内に潤滑剤を分注することを含む。カテーテル潤滑手順はまた、カテーテル処置の説明書に従って作業トレイのカテーテル部分内に分注された潤滑剤で尿道カテーテルを潤滑することを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、バルーン膨張手順をさらに含む。バルーン膨張手順は、陰部準備部分とカテーテル部分との間の作業トレイの生理食塩水容器部分から生理食塩水充填容器を取り外すことを含む。バルーン膨張手順はまた、生理食塩水容器部分内または生理食塩水容器部分に沿って作業トレイの上に表示されたカテーテル処置の説明書に従って、尿道カテーテルのバルーンを膨張させるために、生理食塩水充填容器を尿道カテーテルに取り付けることを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、カテーテル挿入手順はまた、尿道カテーテルを患者の尿道に挿入することと、カテーテル処置の説明書に従って生理食塩水充填容器からの生理食塩水でバルーンを膨張させることによってバルーン膨張手順を完了することとを含む。
【0025】
本明細書で提供される概念のこれらおよび他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に開示する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】いくつかの実施形態による、トレイアセンブリと、カテーテル処置のための複数の構成要素とを含む、尿道カテーテル挿入キットを示す。
【
図2】いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための構成要素が取り外された状態の
図1のトレイアセンブリを示す。
【
図3】いくつかの実施形態によるトレイアセンブリの斜視図を示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、棚上の複数の尿道カテーテル挿入キットの梱包を示す。
【
図5】いくつかの実施形態による、トレイアセンブリと、カテーテル処置のための複数の構成要素とを含む、尿道カテーテル挿入キットを示す。
【
図6】いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための構成要素が取り外された状態の
図5のトレイアセンブリを示す。
【
図7】いくつかの実施形態による、別のトレイアセンブリと、カテーテル処置のための複数の構成要素とを含む、尿道カテーテル挿入キットを示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための構成要素が取り外された状態の
図7のトレイアセンブリを示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、トレイアセンブリを締結する(fastening)ための締結機構(fastening mechanism)を示す。
【
図10A】いくつかの実施形態による、尿道カテーテル挿入キットの上部または底部ラベルを示す。
【
図10B】いくつかの実施形態による、尿道カテーテル挿入キットの側面ラベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
いくつかの特定の実施形態をより詳細に開示する前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の複数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有し得ることも理解されたい。
【0028】
本明細書で使用される用語に関して、これらの用語は、いくつかの特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、これらの用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、特徴またはステップのグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、シリアルまたは数値の制限を提供しない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、別様に示されない限り、1つ以上の特徴またはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」などの表示は便宜上のものであり、例えば特定の固定された位置、方向、向きなどを意味するものではない。代わりに、そのような表示は、たとえば、相対的な位置、向き、または方向を反映するために使用される。「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」の単数形には、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の対象が含まれる。
【0029】
例えば、カテーテルの「近位」、「近位部分」または「近位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0030】
例えば、カテーテルの「遠位」、「遠位部分」または「遠位端部分」に関して、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位の長さ」は、カテーテルが患者に使用されるときに患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、カテーテルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用されるときに、患者の近くまたは患者の体内にあることを意図したカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができる。しかしながら、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈が別のことを示唆しない限り、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0031】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
上述したように、尿道カテーテルは、患者から尿を排出するために病院などの医療施設で使用される。しかしながら、カテーテル関連尿路感染症(「CAUTI」)は、院内感染(「HAI」)の2番目に多い疾患である。したがって、病院としては、標準治療の一部として厳密な無菌技術に準拠することによってCAUTI率を削減する方法に関心がある。しかし、その標準治療を満たす病院の能力に影響を及ぼす多くの要因がある。これらの要因には、医療従事者の訓練および経験の状態、患者の要因(例えば、一般的な健康、体重、および解剖学的構造)、環境要因、ならびに尿道カテーテル挿入キットの特性(キットの構成要素、キットの構成要素の様々なレイアウト、およびキットの使用説明書を含む)が含まれる。医療において、カテーテルを患者に挿入するための容易で、安全で、かつ信頼できる標準的な方法が必要とされている。本明細書では、使用説明書が組み込まれた尿道カテーテル挿入キットを含むカテーテル挿入キットおよびその方法を開示する。
【0032】
尿道カテーテル挿入キット
図1、5、および7は、いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための複数の構成要素を伴うトレイアセンブリ102、104、106を含む、尿道カテーテル挿入キット100を示す。
図2および3は、いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための構成要素が取り外された状態の
図1のトレイアセンブリを示す。
図6は、いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための構成要素が取り外された状態の
図5のトレイアセンブリ104を示す。
図8は、いくつかの実施形態による、カテーテル処置のための構成要素が取り外された状態の
図7のトレイアセンブリ106を示す。
【0033】
説明の便宜上、「トレイアセンブリ102」は、前述のトレイアセンブリ間の共通の特徴を説明するときなど、トレイアセンブリ102、104、106のうちの1つ以上のトレイアセンブリを総称的に指すときに、本明細書で任意選択的に使用する。同様に、「収納トレイ112」は、前述の収納トレイ間の共通の特徴を説明するときなど、収納トレイ112、116、120のうちの1つ以上の収納トレイを総称的に指すとき、本明細書で任意選択的に使用する。さらに同様に、「作業トレイ114」は、前述の作業トレイ間の共通の特徴を説明するときなど、作業トレイ114、118、122のうちの1つ以上の作業トレイを総称的に指すとき、本明細書で任意選択的に使用する。そうでない場合には、前述のトレイアセンブリ、作業トレイ、および収納トレイの間の固有の特徴を説明するときなどに、トレイアセンブリ102、104、106、収納トレイ112、116、120、ならびに作業トレイ114、118、122に対して特定の参照を行う。特に、区別が必要な場合、トレイアセンブリ102、収納トレイ112、または作業トレイ114への言及が、一般的な言及であるか、または特定の言及であるかを判断するために、常識的な文脈解釈を使用することができる。
【0034】
尿道カテーテル挿入キット100は、トレイアセンブリ102と、尿道カテーテル108(例えば、フォーリーカテーテル)と、ドレナージ管110およびドレナージ容器(例えば、任意選択で尿メーターを含むドレナージバッグ)を含むドレナージシステム(図示せず)と、を含むことができる。(ドレナージ管110およびドレナージ容器に加えて尿メーターを含むことができるドレナージシステムの説明については、米国特許出願公開第2016/0228676号および同第2017/0216558号を参照されたい。)
トレイアセンブリ102は、収納トレイ112および作業トレイ114を含む。収納トレイ112および作業トレイ114の両方を含むトレイアセンブリ102は、患者の部分的に開かれた脚の間のスペースに合わせて輪郭が付けられている。実際に、以下に説明する方法の開脚手順に従って患者の脚を少なくとも部分的に開くと、患者の脚部間にスペースが形成され、このスペースに合わせて、トレイアセンブリ102が患者の脚部間に配置されるような輪郭を付けられる。
図1~3に示すように、トレイアセンブリ102は、三角プリズム形状を有することができ、作業トレイ114は、トレイアセンブリ102の三角プリズム形状を形成する収納トレイ112と入れ子になっている。同様に、トレイアセンブリ102は、
図5および6のトレイアセンブリ104によって例示されるように、平坦な面を有する涙滴形状を有することができ、平坦な面を有する涙滴形状の平坦な面は、トレイアセンブリ104の主面である。前述のトレイアセンブリ102のものと同様に、作業トレイ116は、トレイアセンブリ104の平坦な面を有する涙滴形状を形成する収納トレイ118と入れ子になっている。有利なことに、トレイアセンブリ104の丸くなった端部は、トレイアセンブリ102または106の収納スペースと比較して、ドレナージシステムのための追加の収納スペース(すなわち、以下に説明する収納スペース128)を提供する。
図7および8に示すように、トレイアセンブリ102は、トレイアセンブリ106によって例示されるような三角プリズム形状を有することができ、作業トレイ120は、トレイアセンブリ106の三角プリズム形状を形成する収納トレイ122と入れ子になっている。そのような形状は、トレイアセンブリ106が患者の脚部間のスペースに配置されるときに、トレイアセンブリ106と患者の陰部との間に追加のスペースを提供する。トレイアセンブリ104の追加の収納スペースが所望される場合、トレイアセンブリ106は、トレイアセンブリ104の丸くなった端部をさらに含むことができ、それによって、面取りされた平坦な面を有する涙滴形状を提供する。患者の部分的に開いた脚の間のスペースに合わせてトレイアセンブリ102に輪郭を付けることは、患者の快適性を提供する一方で、カテーテル処置を行う臨床医に利便性も提供する。それだけでなく、前述に従ってトレイアセンブリ102に輪郭を付けることはまた、
図4に示すように、尿道カテーテル挿入キットの効率的な梱包を可能にする。特に、快適さを増すために、作業トレイ114の上縁部は、患者の快適性のために面取りまたはフィレット加工することができる。加えて、収納トレイ112の短辺間の角は、患者の快適性のために丸くすることができる。
【0035】
収納トレイ112は、
図3に示すように、収納トレイ112の端部に開口部124を含むことができる。開口部124は、作業トレイ114からの作業中に、収納トレイ112内に収納されているか、または他の方法で配置されている尿道カテーテル挿入キット100の構成要素のいずれかへのアクセスを容易にするように構成することができる。例えば、必要になるまで、ドレナージシステムは、作業トレイ114からの作業中に、収納トレイ112に収納することができる。開口部124は、必要に応じて、作業トレイ114の底部へのアクセスを可能にし、作業トレイ114の底部を支持しながら、収納トレイ112から作業トレイ114を持ち上げる。ただし、、作業トレイ114は、いくつかの実施形態では、収納トレイ112に固定(例えば、締結、接着など)することができる。そのような実施形態では、尿道カテーテル挿入キット100は、作業トレイ114がカテーテル処置の間中収納トレイ112に固定されたままであるように設計される。実際、作業トレイ114を収納トレイ112から分離しないように、少なくとも作業トレイ114の上に表示された段階的なカテーテル処置の説明書160の他にも、説明を含めることができる。
【0036】
収納トレイ112は、折り畳まれた板紙製の収納トレイ112であってもよい。収納トレイ112は、収納トレイ112から内側(
図9参照)または外側に向く折り返された長手方向縁部126を含むことができ、それにより、折り返された長手方向縁部126が、以下に説明する作業トレイ114の突起132に係合することができる。したがって、そのような折り返された長手方向縁部は、作業トレイ114と収納トレイ112とを締結するための締結機構の収納トレイ部分を形成する。折り返された長手方向縁部126の代替として、収納トレイ112は、収納トレイ112から内側または外側に向く複数の折り返されたタブを含むことができ、タブは、作業トレイ114の突起132に係合することができ、それによって、作業トレイ114と収納トレイ112とを締結するための締結機構の代替的な収納トレイ部分を形成する。
【0037】
作業トレイ114は、
図3および9に示すように、収納トレイ112から作業トレイ114を架け渡すことによって、収納トレイ112と入れ子になるように構成することができる。実際、作業トレイ114は、トレイアセンブリ102内の収納トレイ112の上に架け渡されており、それによって、収納トレイ112にカバー付きの収納スペース128を形成する。作業トレイ114は、プラスチックで成形され、作業トレイ114の張り出し縁部の一対の長手方向の側面のいずれか一方に成形された複数のくぼみ130を含むことができる。複数のくぼみ130は、対応して、作業トレイ114から外側(
図9参照)または内側に向くことができる張り出し縁部の長手方向の側面の間に複数の突起132を提供する。このような突起は、作業トレイ114と収納トレイ112を締結するための締結機構の作業トレイ部分を形成する。実際、
図9に示すように、作業トレイ114は、突起132が収納トレイ112の折り返された長手方向縁部126またはタブに係合する張り出し縁部の長手方向の側面の間に収納トレイ112の折り返された長手方向縁部126またはタブの挿入を受け入れるように構成することができ、それによって、作業トレイ114と収納トレイ112を固定し、作業トレイ114と収納トレイ112の分離を防止する。実際、
図9に示すように、作業トレイ114は、突起126が収納トレイ112の折り返された長手方向縁部126またはタブに係合する張り出し縁部(overhanging edge)の長手方向の側面の間に収納トレイ112の折り返された長手方向縁部126またはタブの挿入を受け入れるように構成することができ、それによって、作業トレイ114と収納トレイ112を締結し、作業トレイ114と収納トレイ112の分離を防止する。加えて、突起132は、成形(例えば、熱成形)によって、折り返された長手方向縁部126または収納トレイ112のタブに係合するために、突起132の係合面をできるだけ平坦にすることができるように、鋭く突出することができる。前述の締結機構は、作業トレイ114と収納トレイ112とを締結するための二次機構(例えば、接着)の必要性をなくす。
【0038】
少なくとも作業トレイ114は、尿道カテーテル挿入キット100の複数の構成要素をそれぞれ保持するように構成された複数の予め形成された部分を含むことができる。実際、尿道カテーテル挿入キット100の使用準備完了状態では、予め形成された部分は尿道カテーテル挿入キット100の構成要素を保持しており、予め形成された部分は尿道カテーテル挿入キット100の構成要素用に構成されている。作業トレイ114の予め形成された部分は、尿道カテーテル108を保持するように構成されたカテーテル部分134、以下に記載する潤滑剤容器146を保持するように構成された潤滑剤容器部分136、以下に記載する膨張剤容器148を保持するように構成された膨張剤容器部分138、以下に記載する陰部準備キットを保持するように構成された陰部準備部分140を含むことができるが、これらに限定されない。有利には、作業トレイ114の予め形成された部分は、カテーテル処置に従って配置することができる。すなわち、カテーテル処置の初期の段階では、患者の陰部に近い作業トレイ114の予め形成された部分の構成要素を利用し、カテーテル処置のその後の段階では、陰部から離れた作業トレイ114の予め形成された部分の構成要素を利用する。カテーテル処置に従って作業トレイ114の予め形成された部分とともに配置される、以下に記載する段階的なカテーテル処置の説明書160と組み合わせて、尿道カテーテル挿入キット100は、患者に尿道カテーテル108を挿入するための簡単またはストレスのない、安全で信頼できる標準的な方法を提供する。
【0039】
カテーテル部分134は、尿道カテーテル108を保持するように構成されている。実際に、尿道カテーテル挿入キット100の使用準備完了状態において、カテーテル部分134は尿道カテーテル108を保持しており、カテーテル部分134は尿道カテーテル108用に構成されている。カテーテル部分134の底部と端部との間に形成されたカテーテル部分134の角領域の切欠き142は、例えば、尿道カテーテル108が、任意選択で採尿ポートを含むコネクタ144を介してドレナージシステムに予め接続されているとともに、ドレナージ管110が収納トレイ112に収納されているときに、ドレナージシステムのドレナージ管110が切欠き142の底部を介して収納トレイ112から作業トレイ114に通過できるように、構成することができる。カテーテル部分134の角領域における切欠き142の側部は、ドレナージシステムおよび尿道カテーテル108が尿道カテーテル挿入キット100に予め接続されているときに、ドレナージ管110を尿道カテーテル108から分離することなく収納トレイ112から取り外すことができるように、構成することができる。これに対して、カテーテル部分134の端部がそのまま(intact)の状態であるとともに、切欠き142がカテーテル部分134の底部のみからなる(すなわち、切欠き142が単にカテーテル部分134の底部に設けられた穴である)場合には、ドレナージシステムおよび尿道カテーテル108を予め接続する際に、ドレナージ管110、続いて尿道カテーテル108を切欠き142を通して引き抜かなければならず、尿道カテーテル108の汚染(例えば、接触汚染)の危険性がある。あるいは、ドレナージシステムおよび尿道カテーテル108を予め接続する際に、ドレナージ管110を尿道カテーテル108から取り外さなければならず、これもまた、ドレナージ管110を尿道カテーテル108から取り外すか、またはドレナージ管110を尿道カテーテル108に再接続することによって、尿道カテーテル108の汚染の危険性がある。これは、尿道カテーテル108およびドレナージシステムを予め接続する目的(潜在的な汚染を最小限に抑えること)に反している。
【0040】
潤滑剤容器部分136は、尿道カテーテル108用の潤滑剤を含む、含有する、または充填された潤滑剤容器146(例えば、シリンジ、パケット、ポッド、バイアルなど)を保持するように構成されている。実際に、尿道カテーテル挿入キット100の使用準備完了状態において、潤滑剤容器部分136は潤滑剤容器146を保持しており、潤滑剤容器部分部分136は潤滑剤容器146用に構成されている。潤滑剤容器部分136は、潤滑剤容器146(例えば、潤滑剤シリンジ部分、潤滑剤パケット部分、潤滑剤ポッド部分、潤滑剤バイアル部分など)を収容するように予め形成することができるが、潤滑剤容器部分136は、潤滑剤容器146の全ての特徴に適合する必要はない。例えば、潤滑剤容器146がシリンジである場合、潤滑剤容器部分136(例えば、潤滑剤シリンジ部分)は、シリンジのフランジのための凹部を含む必要はない。すなわち、潤滑剤容器部分136は、シリンジを収容するために、少なくともシリンジのフランジに相応する一定の幅または深さを有することができる。実際に、潤滑剤容器部分136は、本明細書に記載する任意の種類の潤滑剤容器146の最大幅または直径に相応する一定の幅または深さを有することができる。有利には、潤滑剤容器部分136は、尿道カテーテル108を潤滑するためにその中に分注された潤滑剤を保持するように構成された潤滑剤ウェルを含むか、または潤滑剤ウェルとして兼用することができる。代替として、作業トレイ114は、潤滑剤ウェルを含むか、または潤滑剤ウェルを兼ねる、本明細書に記載する別の部分(例えば、カテーテル部分134)を含む。さらに代替的に、作業トレイ114は、尿道カテーテル108を潤滑するためにその中に分注された潤滑剤を保持するように構成された専用の潤滑剤ウェル部分を含む。
【0041】
膨張剤容器部分138は、尿道カテーテル108のバルーン150を膨張させるための膨張剤(例えば、生理食塩水)を含む、含有する、または充填される、膨張剤容器148(例えば、シリンジ)を保持するように構成されている。実際に、尿道カテーテル挿入キット100の使用準備完了状態において、膨張剤容器部分138は膨張剤容器148を保持しており、膨張剤容器部分138は膨張剤容器148用に構成されている。膨張剤容器部分138は、膨張剤容器148を収容するように予め形成することができるが、膨張剤容器部分138は、膨張剤容器148のすべての特徴に適合する必要はない。例えば、膨張剤容器148がシリンジである場合、膨張剤容器部分138(例えば、膨張剤シリンジ部分)は、シリンジのフランジのための凹部を含む必要はない。すなわち、膨張剤容器部分138は、シリンジを収容するために、少なくともシリンジのフランジに相応する一定の幅または深さを有することができる。実際には、膨張剤容器部分138は、本明細書に記載する任意の種類の膨張剤容器148の最大幅または直径に相応する一定の幅または深さを有することができる。
【0042】
図示するように、潤滑剤容器部分136および膨張剤容器部分138は、相応の形状および大きさであってもよい。例えば、潤滑剤容器部分136および膨張剤容器部分138は、同じ長さ、幅、作業トレイ114の共通の上面からの深さ、またはそれらの組み合わせを有することができる。あるいは、潤滑剤容器部分136および膨張剤容器部分138の各々は、
図1、2および5~8に示すように、異なる形状または大きさを有することができる。
【0043】
陰部準備部分140は、消毒薬のパッケージ(図示せず)および1つ以上の綿棒152を含む陰部準備キットを保持するように構成されている。(陰部準備キットの説明については、米国特許出願公開第2016/0228676号および同第2017/0216558号を参照されたい。)実際に、尿道カテーテル挿入キット100の使用準備完了状態では、陰部準備部分140は陰部準備キットを保持しており、陰部準備部分140は陰部準備キット用に構成されている。有利には、陰部準備部分140は、消毒薬(例えば、ポビドンヨード溶液)をそのパッケージから保持するために、消毒薬ウェル154を含むか、または消毒薬ウェルとして兼用することができる。陰部準備部分140はまた、消毒薬ウェル154内の対応する1つ以上の吸収性ヘッド158を有する1つ以上の綿棒152をそれぞれ保持するように構成されたスナップインタブを有する1つ以上の角度のついたチャネル156を含むことができる。消毒薬ウェル154は、パッケージからの消毒薬が消毒薬ウェル154内に分注されると、1つ以上の吸収性ヘッド158に消毒薬が浸透するように、パッケージからの消毒薬の全容積に1つ以上の吸収性ヘッド158の容積を加えた容量に見合う容積を有するように寸法が決められる。
【0044】
図示していないが、作業トレイ114の予め形成された部分は、採尿容器を保持するように構成された採尿容器部分をさらに含むことができる。代替的に、収納トレイ112は、作業トレイ114の代わりに採尿容器を保持するように構成されてもよい。実際に、尿道カテーテル挿入キット100の使用準備完了状態において、採尿容器部分は採尿容器を保持しており、採尿容器部分は採尿容器用に構成されている。作業トレイ114の代わりに収納トレイ112が採尿容器を保持するように構成することにより、作業トレイ114の高さを最小化することができる。
【0045】
尿道カテーテル挿入キット100は、尿道カテーテル挿入キット100を用いたカテーテル処置のために、少なくとも作業トレイ114の上に配置されかつ表示された(例えば、印刷された、刷り込まれた、など)段階的なカテーテル処置の説明書160をさらに含むことができる。段階的なカテーテル処置の説明書160のうちの少なくとも一部は、カテーテル処置の手順をどのように実施するかを場所によって明示的または暗示的に示唆する場所(例えば、作業トレイ114の予め形成された部分のうちの1つ以上のうち、作業トレイ114の予め形成された部分のうちの1つ以上と並んで、など)に配置することができる。例えば、陰部準備部分140は、消毒薬をそのパッケージから消毒薬ウェル154内に分注するために、消毒薬ウェル154などの陰部準備部分140内に明示的な説明を含むことができる。例えば、カテーテル部分134は、尿道カテーテル108を潤滑するためにカテーテル部分134内に潤滑剤を分注するための暗示的な説明をカテーテル部分134内に含むことができる。段階的なカテーテル処置の説明書160の少なくとも一部は、カテーテル処置の手順に合わせて示すことができる。例えば、陰部準備部分140から消毒薬のパッケージを取り外すことで、1つ以上の綿棒152の1つ以上の吸収性ヘッド158に消毒薬を浸透させるために、陰部準備部分140の消毒薬ウェル154内にパッケージから消毒薬を分注する説明を示すことができる。例えば、潤滑剤容器146を潤滑剤容器部分136から取り外すことにより、尿道カテーテル108のバルーン150を膨張させるための膨張剤容器148を取り付ける説明を示すことができる。このように段階的なカテーテル処置の説明書160の手順を示すことで、カテーテル処置を行う臨床医を一度に多くの手順で混乱させることがない。
【0046】
図10Aおよび10Bは、いくつかの実施形態による尿道カテーテル挿入キットのラベルを示す。
図示するように、尿道カテーテル挿入キット100は、トレイアセンブリ102の各面に対して上部または底部ラベル162および側面ラベル164を含むことができる。ラベル162、164は、尿道カテーテル挿入キット100の構成要素に関する情報など、尿道カテーテル挿入キット100に関する情報を含むことができる。例えば、上部または底部ラベルは、尿道カテーテル108の寸法を示すことができる。
【0047】
尿道カテーテル挿入キット100は、少なくとも作業トレイ114の構成要素を保護するように構成された保護板紙(図示せず)をさらに含むことができる。作業トレイ114は、板紙を保持するように構成されたリップを作業トレイ114の周囲に含むことができる。
【0048】
尿道カテーテル挿入キット100は、ペリケアキット(図示せず)をさらに含むことができる。(ペリケアキットの説明については、米国特許出願公開第2016/0228676号および同第2017/0216558号を参照されたい。これらの文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)尿道カテーテル挿入キット100は、尿道カテーテル挿入キット100の板紙と外装(例えば、Tyvek(登録商標))との間にペリケアキットを含むように構成することができる。
【0049】
尿道カテーテルキット100において有用である、
図1、5および7に示していないか、または上述していない追加の構成要素としては、安定化デバイス(例えば、シー・アール・バード社のStatLock(登録商標)Foley安定化デバイス)、準備ボール(例えば、脱脂綿ボール)、鉗子、カテーテル処置または採尿の詳細を記入できるラベル、患者の上に置く有窓ドレープ、患者の下に敷くアンダーパッド、手袋(例えば、ラテックスまたはラテックスを含まない手袋のパッケージ)、作業トレイ112および収納トレイ114の周りに巻き付けるための滅菌ラップ(例えば、セントラルサプライルーム[「CSR」]ラップ)、腹帯(例えば、作業トレイ112および収納トレイ114の周りの所定の位置に滅菌ラップを保持するため)、手指消毒剤、ウェットティッシュ(例えば、カスチール石鹸ウェットティッシュのパッケージ)、少なくとも作業トレイ114の上に表示された説明に対する追加の説明(例えば、臨床医用の説明書、患者用の説明パンフレットなど)、安全上の考慮事項のチェックリスト、患者情報チャート、挿入シート、および包装ラベルから選択される任意の1つ以上の構成要素が挙げられるが、これらに限定されない。そのような追加の構成要素は、米国特許出願公開第2016/0228676号および同第2017/0216558号に見出すことができ、これらの文献は参照によりその全体が本願に組み込まれる。
【0050】
方法
尿道カテーテル挿入キット100を用いた尿道カテーテル処置法は、外装除去手順、開脚手順、肛門周辺部洗浄手順、トレイ配置手順、陰部準備手順、カテーテル潤滑手順、カテーテル挿入手順、およびバルーン膨張手順から選択される1つ以上の手順(step)を含むことができる。
【0051】
外装除去手順は、尿道カテーテル挿入キット100から外装を除去することを含むことができる。外装除去手順は、トレイアセンブリ102を露出またはむき出しにすることを含むことができ、上述したように、トレイアセンブリ102は収納トレイ112の上に架け渡された作業トレイ114を含む。また、作業トレイ114は、尿道カテーテル処置のための構成要素を保持する複数の予め形成された部分と、尿道カテーテル処置に従って作業トレイ114上に配置かつ表示された段階的なカテーテル処置説明書と、を有する。外装除去手順はまた、板紙の下の作業トレイ114内の尿道カテーテル挿入キット100の構成要素を保護するように構成された保護板紙を露出またはむき出しにすることを含むことができる。
【0052】
開脚手順は、患者の脚を部分的に開いて脚の間にスペースを作ることを含む。
肛門周辺部洗浄手順は、トレイ配置手順の前に、ペリケアキットを用いて患者の肛門周辺部を洗浄することを含む。肛門周辺部洗浄手順はまた、尿道カテーテル挿入キットの外装と、板紙の下の作業トレイ114内の尿道カテーテル挿入キット100の構成要素を保護するように構成された保護板紙との間から、ペリケアキットを取り外すことを含む。
【0053】
トレイ配置手順は、患者の脚部間のスペースにトレイアセンブリ102を配置することを含む。また、トレイアセンブリ102は、脚部間のスペースに合わせて輪郭が付けられている。実際に、上述したように、トレイアセンブリ102は、
図1~3のトレイアセンブリ102の三角プリズム形状、
図5および6のトレイアセンブリ104の台形プリズム形状、または
図7および8のトレイアセンブリ106の平坦な面を有する涙滴形状を含むことができる。
【0054】
陰部準備手順は、消毒薬のパッケージおよび1つ以上の綿棒を含む陰部準備キットを使用して患者の陰部の準備をすることを含む。陰部準備手順はまた、陰部に最も近い作業トレイの陰部準備部分から消毒薬のパッケージを取り外すことを含むことができる。陰部準備手順はまた、陰部準備部分140内または陰部準備部分140に沿って作業トレイ114の上に表示されたカテーテル処置の説明書160に従って、陰部準備部分140の消毒薬ウェル154内に消毒薬を分注することを含む。これらの説明は、陰部準備部分140の周りの作業トレイ114の上に表示された段階的なカテーテル処置の説明書160の第1および第2の手順として
図2、6、および8に示す。消毒薬ウェル154内に消毒薬を分注することで、陰部準備部分140の1つ以上の角度のついたチャネル156内にそれぞれ保持された1つ以上の綿棒152の1つ以上の吸収性ヘッド158に浸透する。
【0055】
陰部準備手順はまた、作業トレイ114の上に直接印刷された段階的なカテーテル処置の説明書160に従って、非利き手を使って患者の陰部を開創すること、および利き手を使って陰部を消毒薬で拭くことを含むことができる。これらの説明は、潤滑剤容器部分136の周りの作業トレイ114の上に表示された段階的なカテーテル処置の説明書160の第6、第7、および第8の手順として、
図2、6および8に示す。
【0056】
カテーテル潤滑手順は、陰部準備部分140とカテーテル部分134との間の作業トレイ114の潤滑剤容器部分136から潤滑剤充填容器を取り外すことを含むことができる。カテーテル潤滑手順はまた、潤滑剤容器部分136内または潤滑剤容器部分136に沿って作業トレイ114の上に表示された段階的なカテーテル処置の説明書160に従って、潤滑剤充填容器から作業トレイ114の潤滑剤容器部分136内に潤滑剤を分注することを含む。これらの説明は、カテーテル部分134の周りの作業トレイ114の上に表示された段階的なカテーテル処置の説明書160の第4の手順として、
図2、6および8に要約された形態で示す。カテーテル潤滑手順はまた、カテーテル処置の説明書に従って作業トレイ114のカテーテル部分134内に分注された潤滑剤で尿道カテーテル108を潤滑することを含むことができる。
【0057】
カテーテル挿入手順は、尿道カテーテル108を使って患者にカテーテルを挿入することを含み、これには、尿道カテーテル108を陰部から最も遠い作業トレイ114のカテーテル部分134から取り外すこと、ならびに尿道カテーテル108をドレナージシステムのドレナージ管またはドレナージ容器のいずれかから分離することなく、ドレナージシステムを収納トレイ112の収納スペース128から取り外すことを含むことができる。上述したように、作業トレイ114は、カテーテル部分134の底部と端部との間に形成されたカテーテル部分134の角領域に切欠き142を含む。切欠き142は、尿道カテーテル108をドレナージシステムから分離することなく、尿道カテーテル108を作業トレイ114のカテーテル部分134から取り外すこと、およびドレナージシステムを収納トレイ112の収納スペース128から取り外すことの両方を可能にする。
【0058】
カテーテル挿入手順はまた、段階的なカテーテル処置の説明書160に従って、尿道カテーテル108を患者の尿道に挿入することと、膨張剤充填容器(例えば、生理食塩水充填容器)からの膨張剤(例えば、生理食塩水)でバルーン150を膨張させることとを含むことができる。前述のようなバルーン膨張手順は、陰部準備部分140とカテーテル部分134との間の作業トレイ114の膨張剤容器部分138から、膨張剤充填容器を取り外すことを含むことができる。バルーン膨張手順はまた、生理食塩水容器部分内または生理食塩水容器部分に沿って作業トレイ114の上に表示された段階的なカテーテル処置の説明書160に従って、尿道カテーテル108のバルーン150を膨張させるために、膨張剤充填容器を尿道カテーテル108に取り付けることを含むことができる。
【0059】
いくつかの特定の実施形態が本明細書に開示されており、特定の実施形態がある程度詳細に開示されているが、特定の実施形態が本明細書で提供される概念の範囲を制限することは意図されていない。追加の適合または修正は当業者には明らかであり得、より広い態様では、これらの適合または修正もまた包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態から逸脱することができる。
【国際調査報告】